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特表2023-520413静電付着を生成するための微細構造化デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】静電付着を生成するための微細構造化デバイス
(51)【国際特許分類】
   H02N 13/00 20060101AFI20230510BHJP
   B81B 1/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
H02N13/00 D
B81B1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559621
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021025347
(87)【国際公開番号】W WO2021202857
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】16/837,819
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513326370
【氏名又は名称】ビーブイダブリュ ホールディング エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルボッカー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ブルーシェール,ルーカス
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081BA22
3C081DA27
3C081EA39
(57)【要約】
デバイス表面を局在化するために、又はターゲット表面に対してデバイス表面を浮揚させるために、表面エネルギーのクーロン場修正及び静電付着を利用する微細構造化デバイス(200)が開示される。表面エネルギーの修正は、電荷が外部からデバイスに送達されるか、又はデバイス上でガルバニックに誘導されるかに応じて、恒久的又は可逆的であり得る。デバイスの微細構造の態様は、ターゲット表面との種々の親水性/疎水性相互作用を誘導する。クーロン場を用いて、親水性/疎水性相互作用を増強又は減少させることができる。開示された電気微細構造化デバイスは、組み合わされて、哺乳動物の体内でインプラントを局在化させること、かつ更に、インプラントとの細胞相互作用を制御するための手段を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板であって、前記基板の上に配設された階層的微細構造を有し、前記基板は、厚みを有する、基板と、
少なくとも1つの電極であって、前記少なくとも1つの電極は、前記基板の前記厚み内に少なくとも部分的に埋め込まれ、電荷源に接続され、前記少なくとも1つの電極は、前記電荷源によって電力供給されたときに局所電荷を提供するように構成され、前記電極を帯電させることにより、静電付着状態が生成される、少なくとも1つの電極と、
を含む、電気微細構造化デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電極の前記局所電荷は、マイクロメートルスケールの電界を生成する、請求項1に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電極は、第1の電極及び第2の電極を含み、前記第1及び第2の電極は、それぞれ前記基板の前記厚み内に埋め込まれ、前記第1の電極は、正電荷を生成するように構成され、前記第2の電極は、負電荷を生成するように構成され、前記第1及び第2の電極は、互いに隣接している、請求項1に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項4】
前記基板は、誘電体である、請求項1に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項5】
前記隣接する第1の電極と第2の電極との間の空間は、電気絶縁体を含む、請求項3に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電極は、前記基板の前記厚み内に少なくとも部分的に埋め込まれ、空間的に周期的なパターンで配置された複数の電極を更に含む、請求項1に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項7】
前記階層的微細構造は、複合ピラーを含み、前記複合ピラーは、少なくとも第1の微細特徴部及び第2の微細特徴部を含み、前記第2の微細特徴部は、前記第1の微細特徴部の周りに配設されている、請求項1に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項8】
前記第1の微細特徴部は、100ミクロン以下の高さ及び20ミクロン以下の直径を有する、請求項7に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項9】
前記第2の微細特徴部は、5ミクロン以下の高さ及び2ミクロン以下の直径を有する、請求項7に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項10】
前記基板は、疎水性である少なくとも一部分を更に含み、前記電極は、前記階層的微細構造とともに配置されて、前記電極が帯電されたときに疎水性である前記基板の一部分を親水性である部分に変化させる、請求項1に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項11】
前記基板は、親水性である少なくとも一部分を更に含み、前記電極は、前記階層的微細構造とともに配置されて、前記電極が帯電されたときに親水性である前記基板の一部分を疎水性である部分に変化させる、請求項1に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項12】
前記電極の少なくとも一部分は、前記第1の微細特徴部内に配設される、請求項7に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項13】
前記電極の少なくとも一部分は、前記第2の微細特徴部内に配設される、請求項7に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項14】
表面材であって、厚みを有し、前記表面材の上に配設された階層的微細構造を含み、前記階層的微細構造は、前記階層的微細構造の上に配設された金属微粒子の層を含む、表面材と、
少なくとも1つの電極であって、前記少なくとも1つの電極は、前記基板の前記厚み内に少なくとも部分的に埋め込まれ、電荷源に接続され、前記少なくとも1つの電極は、前記電荷源によって電力供給されたときに局所電荷を提供するように構成され、前記電極を帯電させることにより、静電付着状態が生成される、少なくとも1つの電極と、
を含む、電気微細構造化デバイス。
【請求項15】
前記階層的微細構造は、複合ピラーを更に含み、前記複合ピラーは、少なくとも第1の微細特徴部及び第2の微細特徴部を含み、前記第2の微細特徴部は、前記第1の微細特徴部の周りに配設されている、請求項14に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項16】
前記第1の微細特徴部は、100ミクロン以下の高さ及び20ミクロン以下の直径を有する、請求項15に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項17】
前記第2の微細特徴部は、5ミクロン以下の高さ及び2ミクロン以下の直径を有する、請求項15に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項18】
前記金属微粒子は、0.1~1.0ミクロンの範囲の直径を有する、請求項15に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項19】
前記階層的微細構造は、2つの別個の微細構造領域であって、前記金属微粒子が亜鉛を含む第1の領域と、前記金属微粒子が銀を含む第2の領域と、を更に含む、請求項14に記載の電気微細構造化デバイス。
【請求項20】
前記階層的微細構造は、2つの別個の微細構造領域であって、前記金属微粒子が亜鉛を含む第1の領域と、前記金属微粒子が金を含む第2の領域と、を更に含む、請求項14に記載の電気微細構造化デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微細構造化デバイスの物理的特性の状態を変化させることができる電気管理システムを有する微細構造化デバイスに関する。本開示はまた、開示される微細構造化表面の表面エネルギーを変化させることによって、静電付着及びエレクトロウェッティングを通じてターゲット表面と相互作用し得る微細構造化表面に関する。更に、埋め込み可能な表面及び一般的な把持強化表面の両方の静電付着微細構造化表面が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0002】
表面は、印加された電界によって表面の湿潤特性を変更することができることが従来技術において知られており、これはエレクトロウェッティングとして知られる。エレクトロウェッティングは、印加された電界から生じる力に基づいて理解することができる。概して、エレクトロウェッティングは、疎水性表面上で利用される。通常、水分子間の引力は、表面上の水を平らにする傾向がある重力に対抗するので、水は、疎水性表面上に置かれた際に球体に近づく。逆に、非極性液体は、自己引力をほとんど有さないため、非極性液体は、重力の作用下で疎水性表面上に広がり得る。これに対して、親水性表面に水を置くと、水が親水性表面に引き付けられることによって、水が自己引力によって球体を形成する傾向が相殺されるため、重力が支配的になり、水滴が広がる。非極性液体が親水性表面上に配置された場合には、重力が優勢であるが、一部の場合では、表面張力が優勢であり、非極性液体は、しばしば、疎水性表面上で球状構成を形成することが考えられ得る。
【0003】
近年、外因性電界は、細胞機能、例えば、創傷治癒における細胞移動を調節するのに有用であることが見出されている。特に骨の修復において、静的電界又は動的電界の影響を利用する治療デバイス及び創傷被覆材が着実に増加している。これらのデバイスは、大きな電極、及び巨視的に均一な電界を使用する。
【0004】
しかしながら、本明細書で提供される開示は、100kV/mのオーダーの大きさの電界強度に関する。かかる電界が、巨視的に間隔を置いて配置された大きな電極上に置かれた場合、典型的には、この電界の強度は、組織の大規模電気穿孔及び電気融合にとって十分となる。対照的に、以下により詳細に記載されるように生成される場は、マイクロメートルスケールであるので、組織の電気穿孔及び電気融合を引き起こさない。したがって、高い電界勾配は、マイクロスケール上の高いエネルギー密度と同等ではない。
【0005】
静電付着を実験した者は、実際に発生した力が理論から計算された力よりも非常に小さくなることを理解している。この理論からの逸脱は、実際の物質が完全に均質な誘電体ではないという事実に起因する。この不均一性は、不均一性がランダムである場合には、静電付着性を阻害する。他方、階層的に構造化された不均質性は、理論的期待値を超えて把持力を高めることができる。微細構造化された電荷局在化と組み合わせた微細構造化誘電体を用いて、静電付着力を幾何学的に制御することができる。例えば、同じデバイスにより、生体組織におけるデバイスを局在化させることと、デバイスに対して細胞の可動性を方向付けることと、の両方を行うことができる。
【0006】
理論からの別の逸脱は、誘電体とターゲット物体との間の接触が決して完全ではないという事実である。以下に説明するように、表面の微細構造は重要な役割を果たすことができる。本開示の目的は、階層的に微細構造化された表面の使用について説明することであり、該階層的微細構造化表面は、局在化した電気力(高電界勾配)と、Wenzel-Cassie界面として知られる複合親水性/疎水性ドメインの形成との両方を通じて誘電
体接触を大幅に改善することができる。
【0007】
静電付着効果は、2つの表面が離れているときの2つの表面の総エネルギーが、2つの表面が接触しているときの総エネルギーよりも大きい効果であることを理解されたい。逆に、電気反発効果は、2つの表面が離れているときの総エネルギーが、2つの表面が接触しているときの総エネルギーよりも小さい効果である。本明細書では、高い剪断力及び剥離力を有する付着表面を説明するために静電付着という用語を使用するが、その逆、すなわち低い剪断力及び剥離力を有する表面も可能である。
【0008】
微視的な表面テクスチャの階層的配置によるこれらの効果は、ランダム及び規則的の両方で、比較的弱い効果を強化及び増幅する空間共振効果を生み出す。特に、空間共鳴は、微細構造化表面と多種多様なターゲット表面との間の界面において、非常に吸引的かつ反発的な微視的領域のインターロック領域をもたらすことができる。
【0009】
これらの吸引性及び反発性の微視的な領域のインターロック領域は、ターゲット表面に摩擦又は摩耗損傷を引き起こすことなく、加工表面を表面に強く付着させる。このタイプの加工された表面は、組織の操作が摩擦又は摩耗組織損傷を引き起こし、術後癒着を引き起こす可能性がある手術室において特に価値がある。概して、この摩擦による組織損傷は肉眼では観察できず、しばしば無視される。したがって、本明細書の微細構造化静電付着デバイスの有益な態様、したがって用途の多くは、まだ認識も予想もされていない。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、一実施形態では、微細構造表面及び少なくとも1つの電極を含み得る電気微細構造化デバイスを提供する。微細構造化デバイスは、電極を帯電させることによって変更され得る、Wenzel湿潤状態又はCassie湿潤状態のうちの少なくとも1つを含んでもよく、電極を帯電させることにより、静電付着状態を生成してもよい。
【0011】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、ターゲット表面への付着を引き起こし得る少なくとも1つの静電付着状態を含み得る。
【0012】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、Wenzel-Cassie湿潤状態の変化を引き起こし得る少なくとも1つの静電付着状態を含み得る。
【0013】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、当該デバイスをターゲット表面に局在化させ得るWenzel-Cassie状態と組み合わせた静電付着状態を含み得る。
【0014】
一実施形態では、電気微細構造デバイスは、デバイスの表面の少なくとも一部を1つの湿潤状態から別の湿潤状態に遷移させ得る、少なくとも1つの電極の帯電を含み得る。
【0015】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、デバイス上の表面エネルギー勾配を変えることができる少なくとも1つの電極の帯電を含み得る。
【0016】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、流体弁状態を生成し得る階層的微細構造と組み合わせて、少なくとも1つの電極の帯電を含み得る。
【0017】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、電気微細構造化デバイスを疎水性表面及び親水性表面のうちの少なくとも1つから親水性表面及び疎水性表面のうちの少なくとも1つに遷移させ得る少なくとも1つの電極の帯電を含み得る。
【0018】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、構造化水を含む湿潤状態を作り出すこと
ができる少なくとも1つの電極の帯電を含み得る。
【0019】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、制動システムとして機能するように構成され得る。
【0020】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、流体/粒子分離システムとして機能するように構成され得る。
【0021】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、当該デバイスが湿潤非導電性表面に付着することができるように構成され得る。
【0022】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、当該デバイスが湿潤導電性表面に付着することができるように構成され得る。
【0023】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、当該デバイスが親水性状態と疎水性状態との間で切り替えられ得るように構成されてもよく、当該デバイスが湿潤表面上を通過すると、水が当該湿潤表面の一部から除去される。
【0024】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、その上に配設された階層的微細構造を有する基板を含み得る。基板は、少なくとも1つの電極が基板の厚み内に少なくとも部分的に埋め込まれ得る厚みを含み得る。電極は更に、電荷源に接続されてもよく、少なくとも1つの電極は、電荷源によって電力供給されると、局所電荷を提供するように構成され、電極を帯電することは、静電付着状態を生成する。
【0025】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、少なくとも1つの電極の局所電荷がマイクロメートルスケールの電界を生成するように構成され得る。
【0026】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、第1の電極及び第2の電極を含み得る。第1及び第2の電極はそれぞれ、基板の厚み内に埋め込まれ得る。第1の電極は、正電荷を生成するように構成されてもよく、第2の電極は、負電荷を生成するように構成されてもよく、第1及び第2の電極は、互いに隣接してもよい。
【0027】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、誘電体である基板を含み得る。
【0028】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、隣接する第1の電極と第2の電極との間の空間が電気絶縁体を含み得るように構成され得る。
【0029】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、基板の厚み内に少なくとも部分的に埋め込むことができ、空間的に周期的なパターンで配置することができる複数の電極を含み得る。
【0030】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、複合ピラーを利用することができる階層的微細構造を含み得る。複合ピラーは、少なくとも第1の微細特徴部及び第2の微細特徴部を含むことができ、第2の微細特徴部は、第1の微細特徴部の周りに配設することができる。一部の実施形態では、複合ピラーは、第2の微細特徴部の周りに配設された第3の微細特徴部、第3の微細特徴部の周りに配設された第4の微細特徴部、及び第4の微細特徴部の周りに配設された第5の微細特徴部などを更に含み得る。
【0031】
一実施形態では、電気微細構造化は、100ミクロン以下の高さ及び20ミクロン以下の直径を有する第1の微細特徴部を含み得る。
【0032】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、5ミクロン以下の高さ及び2ミクロン以下の直径を有する第2の微細特徴部を含み得る。
【0033】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、疎水性である少なくとも一部分を含む基板を含み得る。電気微細構造化デバイスは、階層的微細構造とともに配置されて、電極が帯電したときに疎水性である基板の一部分を親水性である部分に変化させることができる電極を更に含み得る。
【0034】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、親水性である少なくとも一部分を含む基板を含み得る。電気微細構造化デバイスは、階層的微細構造とともに配置されて、電極が帯電したときに親水性である基板の一部分を疎水性である部分に変化させる電極を更に含み得る。
【0035】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、第1の微細特徴部内に配設されている電極の少なくとも一部分を含み得る。
【0036】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、第2の微細特徴部内に配設されている電極の少なくとも一部分を含み得る。
【0037】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、厚みを有し、その上に配設された階層的微細構造を含む表面を含み得る。階層的微細構造は、その上に配設された金属微粒子の層を含み得る。更に、デバイスは、少なくとも1つの電極を含んでもよく、少なくとも1つの電極は、基板の厚み内に少なくとも部分的に埋め込まれ、電荷源に接続され、少なくとも1つの電極は、電荷源によって電力供給されたときに局所電荷を提供するように構成され、電極を帯電させることにより、静電付着状態を生成する。
【0038】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、階層的微細構造が複合ピラーを含み得るように構成され得る。複合ピラーは、少なくとも第1の微細特徴部及び第2の微細特徴部を含むことができ、第2の微細特徴部は、第1の微細特徴部の周りに配設される。
【0039】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、0.1~1.0ミクロンの範囲の直径を有する金属微粒子を含み得る。
【0040】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、階層的微細構造が2つの別個の微細構造領域であって、金属微粒子が亜鉛を含む第1の領域と、金属微粒子が銀を含む第2の領域とを含むように構成され得る。
【0041】
一実施形態では、電気微細構造化デバイスは、階層的微細構造が2つの別個の微細構造領域であって、金属微粒子が亜鉛を含む第1の領域と、金属微粒子が金を含む第2の領域とを含むように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】静電付着デバイスの一実施形態である。
図2】電気微細構造化デバイスの一実施形態である。
図3】電気微細構造化デバイスの一実施形態である。
図4】細胞型の電気選択を伴う組織足場の一実施形態である。
図5】可逆的Wenzel-Cassieドメインを利用する非接触ブレーキの一実施形態である。
図6】構造化された水弁及び電荷反発を使用する血液濾過デバイスの一実施形態である。
図7】階層的に電気微細構造化された付着デバイスの一実施形態である。
図8】電気微細構造デバイス上の電極及び表面微細構造の4レベル階層配置の一実施形態である。
図9】超疎水性/超親水性変換電気微細構造化デバイスの一実施形態である。
図10】スパイラル電界効果電気微細構造化デバイスの一実施形態である。
図11】湿潤導電性表面のための静電付着微細構造化デバイスの一実施形態である。
図12】非導電性表面のための静電付着微細構造化デバイスの一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示による装置及び方法の例示的な適用例が、このセクションで説明される。これらの例は、単に文脈を追加し、本開示の理解を助けるために提供されている。したがって、本開示がこれらの特定の詳細の一部又は全部を伴わずに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知のプロセスステップは詳細に説明されていない。他の用途も可能であり、以下の例は限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0044】
以下の詳細な説明では、説明の一部を形成し、例示として本開示の特定の実施形態が示される添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分に詳細に説明されるが、これらの例は限定ではなく、他の実施形態が使用されてもよく、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく変更が行われてもよいことが理解される。
【0045】
用語が本明細書で使用される場合、「静電付着」とは、静電力を使用する2つの物体の結合を指す。本明細書に記載される静電付着は、これらの静電力の電気的制御を使用して、2つの物体間の一時的かつ取り外し可能な接着を可能にすることができる。この静電的な付着は、クーロン引力によって、又はデバイス表面とターゲット表面との間のWenzel-Cassieドメインの形成を増加させることによって、これらの物体の2つの表面を一緒に保持する。Wenzel-Cassieドメイン形成は、微細構造化表面の表面エネルギーを増加させることによって、開始又は強化することができる。
【0046】
本明細書中で使用される場合、用語「階層的微細構造」とは、三次元プラスチックウェブ、突起のマトリックス、多孔性、及び三次元形成構造の表面に適合するようにされた任意の表面幾何学的変更を記載するために使用される場合、その両方の表面が当該形成構造の三次元パターンを示すものであり、当該パターンは、見る人の目と微細構造の平面との間の垂直距離が約12インチである場合、正常なヒトの目に容易に見えない。微細構造は、任意の幾何学的形状として定義されてもよく、平坦、円形、球形、ピラミッド形、ピラー状などの部分を含んでもよいことが理解されるであろう。微細構造の単一の微細特徴部の断面は、円形、正方形、三角形、円形溝付き、長方形、又は他の幾何学的形状(これらの組み合わせを含む)であってもよい。
【0047】
概して、本明細書で使用される場合、「巨視的」という用語は、見る人の目とウェブの平面との間の垂直距離が約12インチであるときに正常な人間の目に容易に見える構造的特徴部又は要素を指すために使用される。
【0048】
本開示は、表面の一部が電荷の離散領域を含み得る微細構造化表面を有するデバイスを説明する。一部の実施形態では、電荷は、表面に埋め込まれた電荷源及び離散電極を用いて印加され得る。一部の実施形態では、電荷は環境的に発生させることもできる。一実施形態における電荷の印加又は発生は、複数の及び/又は異なるソースによって生成され得
ることが理解されるであろう。
【0049】
静電付着性を利用する一実施形態を図1に示す。静電付着デバイス100は、誘電体基板106に埋め込まれた電極104に接続され得る電荷源102を含み得る。電荷源102は、電極108の一方の半分を正電荷で帯電させ、電極110の他方の半分を負電荷で帯電させることができる。電源がオンにされると、電力供給された静電付着デバイス100は基板112を引き付けることができる。電荷源102をオフに切り替えると、基板112及び誘電体基板106がもはや互いに引き付けられなくなる可能性がある。
【0050】
亜鉛は、湿潤環境に置かれると電位を発生することが知られている。図2を参照すると、電気微細構造化デバイス200は、複合ピラー204を含み得る平坦なポリマー基板202を含むことができる。複合ピラー204は、ベースピラー206及び上部ピラー208から構成され得る。ベースピラー206は、50ミクロンのピッチ208(中心間距離)を有する三角形アレイで離間され得る。ベースピラー206は、100ミクロンの垂直高さ210及び20ミクロンの直径212を有し得る。ベースピラー206の垂直面は、5ミクロンの幅を有する三角形プロファイルのフィン214を含み得る。上部ピラー208は、2ミクロンの直径216及び5ミクロンの垂直高さ218を有し得る。上部ピラー208は、4ミクロンのピッチで三角アレイ状に配置されたベースピラー206の上面に配設され得る。一部の実施形態では、ベースピラー206は、タイプA220及びタイプB222として示される2つのタイプであり得る。タイプA220のベースピラーは、上面上に配設された上部ピラー208を含み得、更に、上部ピラー208の上面224は、亜鉛微粒子堆積物(直径0.1~1.0ミクロン)を含み得る。タイプB222のベースピラーは、上面上に配設された上部ピラー208を含み得、更に、上部ピラー208の上面224は、銀微粒子堆積物(直径0.1~1.0ミクロン)を含み得る。金属微粒子は、ポリマー基板202を含み得る溶液、例えば、エタノール及び非架橋ポリウレタンポリマーの溶液を使用して付着され得る。
【0051】
デバイス200が体内に埋め込まれると、亜鉛は-0.6Vの電圧を発生させることができ、銀は+0.2Vの電圧を発生させることができる。タイプA及びBピラー220、222は、各ピラーの中心間で測定されたピッチから各ピラーの直径を引いたもの(50ミクロンピッチ-20ミクロン直径)によって決定される、約30ミクロンの各ピラー間の間隔を空けて配置されてもよく、これは、26kV/mの電界勾配を生成し得る。付着力は、電界勾配の二乗に比例することが分かる。
【0052】
生成される静電付着力は、静電付着表面とターゲット表面との間の接触面積、及びターゲット基板の分極特性又は誘電率にも影響され得る。接触領域は、両方の表面、すなわち静電付着表面及びターゲット表面の基板表面テクスチャに直接影響され得る。したがって、微細構造表面を開発する際に、基板表面テクスチャを考慮に入れる必要があり得る。表面テクスチャに起因する変動性を除去する1つの方法は、階層的スケーリングと称される複数のスケールで静電付着態様を構築することであり得る。
【0053】
本開示の微細構造化静電付着表面は、導電性表面及び絶縁性表面の両方に付着し得る。絶縁基板材料に対して導電性基板材料上に静電付着力を生成する原理は異なっており、本明細書で更に詳述される。
【0054】
導電性表面上の静電付着は、本明細書に開示されるような静電誘導に基づくことができるが、絶縁性表面上の静電付着は、主に電気分極に起因することができる。導電性基板上の静電付着力のモデル化は、並列容量、すなわち共面容量に基づく理論によって近似することができる。絶縁基板上の静電付着力のモデル化は、複雑な動的分極プロセスによってモデル化することができる。
【0055】
図2に示す実施形態では、タイプAの電極220及びタイプBの電極222を露出させることができる。流体界面は、タイプAピラー220の電極とタイプBピラー222の電極との間の誘電体層として機能し得る。流体界面が実質的に導電性である場合、電極は、好適な誘電体を含むポリマー溶液でコーティングされ得る。導電性基板では、電極を覆う誘電材料の体積抵抗率が約1014Ωcmよりも大きい場合、クーロン力が支配的である。これに対して、体積抵抗率が約1010~1012Ωcmである場合、ジョンソン-ラーベック力が支配的であり得る。
【0056】
導電性基板に対しては、飽和静電付着力を迅速に(通常1秒以内に)得ることができるが、一部の実施形態では、動的静電引力発生プロセスが望ましい。例えば、付着の短期可逆性が所望される実施形態では、誘電体の多孔性を調整することで電極のガルバニック電位が遅くなり、それにより、ガルバニック電位の発生が遅延した場合に、可逆性を得ることができる。電極がガルバニックではなく、外部から帯電される図2に示される実施形態では、多くの動的機能性を可能にすることができる。
【0057】
本開示の静電付着デバイスは、ターゲット表面と微細構造化静電付着表面との間の静電気力を微視的レベルで使用することができる。クーロンタイプの静電表面の場合、静電力は、電位差による誘電分極によって生成され得る。電荷(又は電極)構成に基づいて、微細構造化静電付着表面は、2つのタイプ、すなわち単極(プレート-プレート-キャパシタ)及び双極(櫛形電極)に分類することができる。これらの基本的な電極構成は、種々の階層レベルに配設することができる。電極が外部から帯電される場合、これらの基本的な電極構成の複雑な混合が更に可能になり得る。
【0058】
ここで図3を参照すると、平坦なポリマー基板302を含む外部帯電電気微細構造化デバイス300は、複合ピラー304を含み得る。複合ピラーは、ベースピラー306及び上部ピラー308から構成され得る。ベースピラー306は、50ミクロンのピッチ(中心間距離)を有する三角形アレイで離間され得る。ベースピラー306は、100ミクロンの垂直高さを有してもよく、20ミクロンの直径を有してもよい。更に、ベースピラー306は、5ミクロンの直径を有する三角形プロファイルフィン314を含み得る。上部ピラー308は、2ミクロンの直径、5ミクロンの垂直高さを含み得る。上部ピラー308は、中心間で4ミクロンのピッチを含み得る。一部の実施形態では、上部ピラー308は、三角形アレイに配置され得る。
【0059】
一部の実施形態では、ベースピラー306は、2つのタイプのピラー320、322を含み得る。ベースピラー306は、タイプAピラー320を含み得、タイプAピラーは、その上に階層的に配設された上部ピラー308を含み得、上部ピラー308の上面324は、その上に堆積された金層を含み得る。加えて、上部ピラー308は、基板内に埋め込まれ、階層複合体内を横断し得る導体326を更に含み得る。ベースピラー306は、タイプBピラー322を更に含み得、タイプBピラーは、その上に階層的に配設された上部ピラー308を含み得、上部ピラー308の上面328は、その上に堆積された金層を含み得る。加えて、上部ピラー308は、基板内に埋め込まれ、階層複合体内を横断し得る導体332を更に含み得る。一実施形態では、平坦なポリマー基板302は、導体336と接触し得る堆積された金の円形層334を含み得る。一部の実施形態では、金層は、コーティングされてもよく、又は露出されたままであってもよく、あるいはコーティングされる1つの領域と、露出される別の領域とを含んでもよい。
【0060】
一部の実施形態では、電極構成は、タイプAピラーの金層及びタイプBピラーの金層を電位差を有して帯電させることによって得ることができる。一実施形態では、導体326上の+0.5V及び導体332上の-0.5Vが、導体電位差によって電荷を生成するこ
とができる。別の実施形態では、導体336は、金層(複数可)を帯電させる導体とは異なるように帯電させることができる。金層324及び328が電界勾配を発生させるとき、電極構成は、ほぼ単極であり得る。金層324及び328が異なって荷電される場合、電極構成は双極であり得る。
【0061】
本明細書に開示されるような電極形状及び間隔は、微細構造化表面と相乗的に作用し得る。一部の実施形態では、微細構造化表面は、階層的に積層され、これにより、異なる階層レベル上に単極構成で電極を積層する機会を提供することができる。階層レベル内で、電極は更に、双極構成で離間され得る。外部から供給される電荷の場合、電気微細構造化デバイスの異なる領域は単極であり、他の領域は双極であり得る。
【0062】
単極型微細構造化静電付着表面は、付着力を生成することができる。この実施形態では、電極の1つはターゲット表面に接触することができ、第2の電極は誘電体層によってターゲット表面から絶縁されている。ターゲット表面は、キャパシタが電極と導電性ターゲット表面との間に形成されるように導電性であってもよい。
【0063】
双極型微細構造化静電付着表面は、典型的には、2つの帯電領域の電極を組み合わせることによって構成され得る。この実施形態では、電極は、誘電体層によってターゲット表面から絶縁することができる。電極間の空間は、電気絶縁体で充填され得る。微細構造化デバイスの場合、気泡が電極間に捕捉されたWenzel-Cassie界面を形成することができる。この気泡は、絶縁体として作用し得る。一部の実施形態では、捕捉された物質は、疎水性基板によって引き付けられたオイルであり得る。オイルが例えばベースピラー間に捕捉されると、オイルは絶縁体及び誘電体として機能し得る。
【0064】
交互の正電荷及び負電荷が隣接する電極上に誘導され、デバイスがターゲット表面と接触して配置されるとき、電界は、ターゲット表面上に反対の電荷を生成することができ、それにより、電極とターゲット表面上の誘導電荷との間に静電的な付着を引き起こすことができる。
【0065】
単極構成の1つの重要な違いは、各階層レベルが連続的でなくてもよいことである。この構成は、非連続性によってプレート間に「孔」又は間隙が形成されるため有利である。この構成は、電界が、デバイスが接触するターゲット表面上ではなく、2つの電極間の誘電体内で最も高くなり得るため、従来技術に基づいた直感に反する可能性がある。
【0066】
間隙は、電界がターゲット表面を通って本質的に「漏れる」ことを可能にし得る。この「漏れ」は、従来のバイポーラ設計よりも強い電界を生成する可能性がある。これは、階層設計によって電極間の間隙を大幅に減少させることができるからである。間隙サイズは、単位面積当たりの付着力に強い影響を及ぼし得る。本構成では、階層設計が、標準的なバイポーラ設計と比較して高い電圧破壊定数を有する誘電体を可能にし得るので、より小さい間隙が可能となり得る。
【0067】
電極間の間隙サイズに関する更なる考慮事項は、間隙内の任意の残留材料、外部粒子、及び捕捉された空気に依存する。これらの問題に対する間隙の影響を受けやすいため、微細構造の表面への追加は、重要な役割を果たし得る。表面エネルギーの特定の並置を有するように微細構造を設計することによって、界面構成要素を引き付けるか又は反発させることができる。
【0068】
概して、従来技術は、典型的には数ミリメートルより大きい巨視的な電極構造に依存している。かかる巨視的設計では、経験式によって静電付着応力及びエネルギーを推定することができる。しかしながら、これらの式は微細構造化レベルでは成り立たない。更に、
本明細書に開示される付着力と微細構造パラメータとの間の関係を明らかにするための理論モデルが不足している。
【0069】
従来技術で使用されるような静電付着及び電気反発デバイスには、最適な設計原理が利用できない。静電浮上の問題についてはある程度の進歩があるが、このモデルは巨視的な電極に適用される。微視的な電極が含まれる場合、その目標が周期的に静電付着及び非静電付着である表面を作成することであれば、電極の幾何学的パラメータに関して特に帯電率の最適化に注意を払う必要がある。一例として、壁を上るロボットの足表面の開発が挙げられる。
【0070】
以下の例は、4層及び5層の階層テクスチャを採用し得るが、実際には、(階層的である限り)任意の数の層が、ほとんどの用途に十分であり得ることが理解されるであろう。
【0071】
導電性ターゲット表面上の静電付着に関して、ターゲット導体の一方の側の負電荷及び反対側の正電荷の形成が、微細構造化表面を含む絶縁体に埋め込まれた帯電電極によって生成された外部静電界によって誘導され得る、静電誘導現象が起こり得る。
【0072】
「導電性材料」とは、概して、大量の移動性自由電荷キャリアからなる材料を指し得ることが理解されるであろう。一部の実施形態では、湿潤組織は、自由移動電荷キャリアの濃度を分子の数と同程度にすることができる。これらの電荷は、迅速かつ容易に再配置することができる。電気微細構造化表面/デバイス上に高電界勾配を印加した後、ターゲット導電性基板の表面上に、等しい電荷及び反対の電荷を誘導することができる。次いで、デバイスとターゲット表面との間の静電付着力を形成することができる。
【0073】
一部の実施形態では、電気微細構造化デバイスは、単極、双極、及び/又は更には三極であり得る。従来技術において、双極子設計は、概して、静電付着用途において最も頻繁に使用される設計であった。クーロンタイプの双極電気微細構造化デバイスの場合、デバイスとターゲット基板との間の静電付着力は、直列の誘電体を有する一部の理想的なキャパシタの一連の並列接続から導出することができる。デバイスとターゲット基板との間の空隙、誘電体の厚み、誘電体材料の静電容量、誘電体とターゲット基板表面との間の界面の静電容量を含む静電付着力を効果的に生成するために、特定のパラメータに特に注目することができる。デバイスとターゲット基板との間、及びパッドと基板との間の総静電容量は、電極の数、有効静電付着面積、界面体積の誘電率、及び誘電体の比誘電率に依存し得る。静電付着力は、総静電容量の二乗に応じて変化する。
【0074】
ジョンソン-ラーベック力は、半導体材料などの有限体積抵抗率を有する不完全な誘電体が高電荷移動度ターゲット基板と相互作用するときに発生する。電流漏れ又は電荷移動は、デバイスとターゲット基板との間の接触点を介して起こり得る。一部の実施形態では、強い静電引力が、非接触領域における電荷の蓄積によって界面において生成され得る。階層的微細構造表面の小さな間隙特性は、これらの強いジョンソン-ラーベック付着力の原因となり得る。
【0075】
ジョンソン-ラーベック型電気微細構造デバイスの付着力は、誘電体層を介して印加される電界勾配ではなく、界面に印加される電位差に依存し得る。ジョンソン-ラーベック静電引力は、デバイスとターゲット基板との間の誘電体材料に依存しない。微細構造化デバイスにおいてこれらの力を生成するために特定され得る特定のパラメータは、非接触領域の静電容量、界面にわたる電位差、及び非接触領域にわたる電位差を含み得る。一部の実施形態では、積層階層構造は、間隙配置及び電極配置の両方に最適であり得る。
【0076】
概して、クーロンポテンシャルによる付着力は、特に界面間隙が誘電体材料の厚みより
も小さい実施形態では、ジョンソン-ラーベック力よりも非常に小さい可能性がある。
【0077】
環状付着デバイスの実施形態では、クーロン力が利用されるとき、分離時間が非常に速くなる可能性がある。更に、クーロン構成での電流漏れが少ないことにより、電力消費量が低減され得る。
【0078】
一部の実施形態では、電気微細構造化デバイスは、全分極を含み得、該全分極には、電子分極、イオン分極、配向分極、空間電荷分極、ホッピング分極、界面分極、自発分極、及び遊動分極などの他のタイプの分極の合計が含まれる。
【0079】
電気微細構造化デバイスを接触させる実施形態では、配向分極及び界面分極が、静電付着力の発生の原因となり得る。静電付着現象は、導電性基板及び絶縁性基板の両方において非接触であり得る。非接触電気微細構造化デバイスを有する実施形態では、原子分極及び電気分極が、静電付着力の発生の原因となり得る。
【0080】
本開示のデバイスでは、静電付着は経時的に強化され得ることを理解されたい。付着力の定常状態値は、概して、初期値よりも非常に大きい可能性がある。定常状態値に到達する期間は、種々の設計パラメータに依存し得る。
【0081】
特定の単極電極幾何学形状を含む実施形態では、電極は、概して、空間的に周期的なパターンで配置され得る。概して、電極の長さは、その幅及び/又は厚みよりも非常に大きくてもよく、電極面積は、個々の電極間の面積よりも非常に大きくてもよい。このため、一部の実施形態では、対称的なパターンが好ましい場合がある。
【0082】
当業者は、本開示の種々の実施形態に階層構造を含めることを理解するであろう。階層的に構造化された静電付着デバイスの性能を分析すると、各階層スケールを追加層とみなすことができ、デバイスが有効誘電率を有する複合デバイスであるかのように計算を行うことができる。実効誘電率は、並列混合則によって評価することができる。計算により、各階層の高さが増加するにつれて、静電付着が低減され得ることが明らかとなる。したがって、一部の実施形態では、階層層の高さは、寸法が減少するにつれて減少してもよく、そのため、より多くの層が、デバイスの静電付着特性を増加させる可能性がある。
【0083】
一部の実施形態は、静電付着力を微細構造化表面のファンデルワールス力と組み合わせて、強力な付着力を生成することができる。マイクロスケール又はナノスケールまでの寸法を有する微細構造は、強い付着力を生成することができる。したがって、非常に小さい構造は、デバイスとターゲット表面との間の間隙を減少させるだけでなく、絶対的に引力を高めることもできる。一実施形態では、静電付着デバイスは、静電付着力とファンデルワールス力の両方を生成することが可能であり得る。
【0084】
有用であり得る別のパラメータは、より低い電界レベルで静電クランプ力を向上させ得る絶縁層又は微細構造基板のための半導体材料を包含することである。このクランプ力の増加は、金属電極と周囲の半導体材料との間の境界で起こり得るジョンソン-ラーベック効果に起因し得る。したがって、完全に誘電性の絶縁体ではなく半導電性の絶縁体を使用する場合、より低い電圧及び電流を使用して同じクランプ力を達成することができる。
【0085】
ポリウレタンが半導体材料として良好に機能することが知られているが、種々の他の材料を使用することもできる。これらの他の半導体材料は、典型的には、約107~1013Ωmの範囲のバルク抵抗率を有することができ、より好ましい範囲は約109~1012Ωmである。例えば、種々のポリウレタン、ニトリルハロゲン化ゴム又はラテックスゴム、及び特定のシリコーンが、開示される静電付着デバイスの一部の実施形態に好適な絶
縁材料として使用されてもよい。良好に機能する材料の一例は、DeerfieldポリウレタンPT7811である。
【0086】
一部の実施形態では、添加剤粒子、ドーパント、及び/又は溶液が、別様で絶縁性であるポリマーの導電性を高めるために含まれてもよい。これらの添加剤粒子としては、炭素、第四級塩、及びジオクチルフタレート又はジイソオクチルフタレートなどの可塑剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
かかる材料を使用する一実施形態では、最大約70psiのクランプ力を達成することが可能であり得る。完全な絶縁層ではなく電極上のコーティングを利用する一実施形態では、コーティングは約10~30マイクロメートルの厚さであり得る。他の実施形態では、半導性絶縁体を使用することにより、最大100ミクロン厚であり得る絶縁層の使用が可能となり得る。種々の実施形態では、絶縁材料は、約1GPa未満の弾性率を有するコンプライアント材料を含むことができ、これにより、より良好なクランプを容易にすることができる。
【0088】
開示される付着デバイスの一部の実施形態における高抵抗材料の使用に加えて、異なる特性を有する半導体材料もまた、電極自体として適用される場合に利点を提供し得る。一実施形態では、種々のポリウレタン又は他の材料が、少なくとも1又は複数の電極の表面上で使用され得る。高抵抗電極を有する実施形態では、静電気消散導電性ストリップ材料は、約0.1~1000MΩ/□の範囲の表面抵抗率、約1~50マイクロメートルの厚みを有しており、比較的安価で容易に入手可能であり、機械的及び電気的に堅牢である。より好ましくは、表面抵抗率は1~100MΩ/□の範囲であり得る。一実施形態は、比較的軟質のポリウレタンと混合された炭素粒子を含み得ることが企図される。かかるポリウレタンは、任意の適切な方法で適切な電極表面に噴霧され得るか、浸漬コーティングされ得るか、又は他の方法で適用され得る。電極材料の他の代替物として、非常に低い充填レベルで導電性であり得るナノチューブを利用することができる。更に別の選択肢として、スプレーなどによって適用され得る封止層として薄いコーティングを有するグラファイト電極が挙げられる。この封止層を有する実施形態は、非常に低いカーボンブラック充填量を含んでもよく、又は一部の実施形態では全く含まなくてもよい。他の選択肢は、テトラヒドロフラン中にブレンドされた可塑剤又は軟質ポリウレタンを添加することを含み得る。ジイソオクチルフタレートもポリウレタン可塑剤として使用することができる。良好に機能することが分かっている材料の種々の具体例として、Dupont 100XC10E7、Scicron ABF-300、及びTMF-300材料が挙げられる。
【0089】
以下は、電気微細構造化表面の設計を対象とし得る実施形態である。これらの実施形態は、網羅的であることを意味するものではなく、むしろ、本特許の実施において1つを導くために開示される原理の例である。
【0090】
実施例1.細胞型の電気選択を伴う組織足場
【0091】
生体材料は、罹患した組織又は器官を維持、改善、及び/又は修復するために医療分野で広く使用されている。生体材料と宿主組織との統合の成功は、基層表面特性、並びに宿主組織の質及び周囲環境に依存し得る。以下により完全に定義される実施形態は、これらの種々の因子を利用して、宿主組織及び生体材料のより良好な取り込みを可能にし得る。
【0092】
図4を参照すると、組織足場400は、ポリマー基板404上に配置された微細構造化ピラー402を含み得る。微細構造化ピラー402は、列状に配置され得る。一部の実施形態では、微細構造化ピラー402の列は、微細構造化ピラーの2つの対向する列の間に配設されたより小さいピラー406を更に含み得る。微細構造化ピラー402の2つの対
向する列は、2つの列の間に約10ミクロンの間隔408aを含み得る。加えて、同じ行内の微細構造化ピラー402は、約10ミクロン離間されてもよい(408b)。微細構造化ピラー402は、微細構造化ピラーの中心線に沿って電極412を含み得る内側部分410を含むことができる。一部の電極412は、導体414、416によって電気的に接続され得る。導体414は正の電位を有することができ、導体416は負の電位を有することができ、それによって、微細構造化ピラー402の2つの対向する列の間に位置する領域418に電界勾配を生成することができる。微細構造化ピラー402の対向する列は、正方形420、422、及び424によって示されるように、対称関係が生成されるように位置決めすることができる。各正方形内には、基部428と左分岐部430と右分岐部432とを有するY字形構成426が存在する。左右の分岐部は、434で示されるように隣接する基部に接続して、それにより、ポリマー基板404上に反復パターンが作成されてもよい。
【0093】
一部の実施形態では、微細構造化ピラー404は、円形断面を有し、高さ約10ミクロン、直径約3ミクロンであり得る。より小さいピラー406は、円形断面を有し、高さが約3ミクロンであり、直径が約1ミクロンであり得る。一実施形態では、基板表面404の開口領域436には、リッジ438が配置されてもよく、リッジは、長方形の断面を有し、高さ約10ミクロン、厚み約3ミクロンであり得る。
【0094】
一部の実施形態では、組織足場400の周辺部440の周りに配設された細胞は、微細構造化ピラー402の対向する列の間の経路411に沿って移動させることができる。一部の実施形態では、Y字形構成426は、内皮細胞による血管の形成を促進することができる。
【0095】
実施例2.可逆的なWenzel-Cassieドメイン生成を利用する非接触ブレーキ。
【0096】
図5を参照すると、制動システム500は、制動要素502及び回転要素512を含み得る。制動要素502は、第1の階層レベル504、第2の階層レベル506、及び第3の階層レベル508を含む表面を含み得る。一部の実施形態では、第1の階層レベル504は、正方形の断面を有し得る。一部の実施形態では、第2の階層レベル506は円形断面を有し得る。また、一部の実施形態では、第3の階層レベル508は、円形断面を有し得る。一部の実施形態では、制動要素502は、2つ以上の軸受チャネル510を含み得る。
【0097】
一部の実施形態では、回転要素512は、平滑であり得る表面を含み得る。他の実施形態では、回転要素512は、微細構造がその上に配設された表面を含み得る。一部の実施形態では、回転要素512は、平滑部分及び微細構造化部分の両方を有する表面を含み得る。一部の実施形態では、回転要素は、少なくとも2つの軸受チャネル514を含み得る。制動要素502の軸受チャネル510及び回転要素の軸受チャネル514は、整列され、空洞を生成することができる。一部の実施形態における空洞は、少なくとも1つのボール軸受516を含み得る。加えて、空洞はまた、少なくとも1つのボール軸受516を被覆及び/又は包囲する減摩組成物518を含有し得る。一部の実施形態では、軸受チャネル510及び514は、制動要素502及び回転要素512の周辺側面に沿って位置し、それによって、内部チャンバ520を生成することができる。一部の実施形態では、内部チャンバ520は封止されてもよく、その中に親水性液体522及び不溶性疎水性液体524が収容される。親水性液体522及び不溶性疎水性液体524の体積は、用途に応じて変化し得る。一部の実施形態では、不溶性疎水性液体522よりも多くの親水性液体522の体積が存在し得る。他の実施形態では、親水性液体522よりも多くの不溶性疎水性液体524の体積が存在し得る。また、一部の実施形態では、各液体522、524の
体積は、ほぼ同じであってもよい。「液体」という用語が本明細書で使用されるが、この用語は、半液体、ゲル、粘性組成物なども包含することが理解されよう。一部の実施形態では、不溶性疎水性液体524は、親水性液体522よりも小さい体積であり、制動要素500が動いているときに、疎水性液体が親水性液体中に配設されている間に小球532を形成することができる。
【0098】
回転要素512の一部の実施形態は、第1の階層レベル526、第2の階層レベル528、及び第3の階層レベル530を含む表面を含み得る。第1の階層レベル526は、正方形の断面を有し得る。第2の階層レベル528は、円形断面を有し得る。第3の階層レベルも円形断面を有し得る。一部の実施形態では、組み合わせた階層的微細構造526、528、及び530は、疎水性効果を生成することができる。同様に、一部の実施形態では、制動要素502の組み合わせた階層的微細構造504、506、508もまた、疎水性効果を生成することができる。
【0099】
実際的な観点として、制動システム500の一実施形態は、制動要素502が給電されず、回転要素512が回転して動いているように使用することができる。この状態が発生すると、疎水性液体524の小球532は、回転要素512の微細構造528、530及び制動要素502の微細構造506、508と接触させることができる。この実施形態では、小球532自体が微視的ボール軸受として機能し得る。親水性液体522は、微細構造526と制動要素表面との間、及び微細構造504と回転要素表面との間に形成された空隙内を流動又は移動することができる。
【0100】
一部の実施形態では、第1の階層レベル504は、隣接する微細構造間に交互の電極534、536を含み得る。電極534は正に帯電してもよく、電極536は負に帯電してもよい。電極534及び536に電力を供給することにより、第2及び第3の階層的微細構造506、508をCassie状態からWenzel状態に遷移させることができる。この遷移が起こると、疎水性液体524は、制動要素502上に配設された第2及び第3の階層的微細構造506、508から、回転要素512上の第2及び第3の階層的微細構造528、530に移動することができる。疎水性液体のこの遷移は、回転要素512にその回転を減少させる係止Wenzel-Cassie状態538を作り出すことができる。
【0101】
実施例3.構造化された水弁及び電荷反発を使用する血液濾過デバイス。
【0102】
赤血球の表面上のシアリル化糖タンパク質は、負の電気ゼータ電位の生成に関与し得る。図6を参照すると、血液濾過デバイス600は、その上に配設された複合ピラーを有する表面を含み得る。複合ピラーは階層的に設置されてもよく、第1のピラー602及び第2のピラー604を含んでもよい。第2のピラー604は、第1のピラー602の上部に階層的に配置され得る。一部の実施形態では、複合ピラーは行606に配置され得る。一部の実施形態では、複合ピラーの行は更に、複数の行608が互いに隣接して並列に位置して列を形成するように配置され得る。
【0103】
一部の実施形態では、第1のピラー602の各々は、それに関連付けられた電極610を含み得る。少なくとも3つの並列な行608を有する実施形態では、行は、2つの隣接する列612が同じ電荷であり得、第3の列614が反対の電荷であり得るように電気的に構成され得る。例えば、2つの隣接する列612は正に帯電してもよく、第3の列614は負に帯電してもよい。かかる構成に起因して、反対の電荷を有する隣接する列612と614との間の空間は、水の極性が水分子を整列させ、赤血球616などの微粒子を排除し得る構造化水状態615を生成する。この構成又は同様の構成を有する実施形態は、微粒子を排除し得るがチャネル618内の水流を可能にし得る弁様機構をもたらし得る。
ピラー612、620の2つの正に帯電した列は、赤血球616を引き寄せ、次いで、空間的に変化する表面エネルギーの線に沿って方向622に通過させ得る電位の正弦波変動を受けることができる。
【0104】
一部の実施形態では、入口624は、わずかな圧力下で全血の進入を可能にするように構成され得る。次いで、入口624を通る全血の進入は、微細構造化ピラーの行及び列に沿って移動することができる。図6は、重力に対して垂直な配向面を示すが、他の実施形態は、有利であり得る異なる構成を含み得ることが予想される。一実施形態では、並列な行及び列を垂直に配置することにより、煙突効果を生み出すことができる。更に、赤血球伝導チャネルを重力と反対の方向に配置し、濾液伝導チャネルを重力の方向に配置することが効果的であり得る。この対向型の構成では、煙突-ドレイン構成が想定され、該構成では、煙突効果が空間的に変化する勾配によって達成され得、ドレイン効果が重力によって達成され得る。血小板などの血液の他の成分の濾過においては、この煙突-ドレイン配置を逆にすることができる。
【0105】
実施例4.階層的に電気微細構造化された付着デバイス。
【0106】
ここで図7を参照すると、電気微細構造化された付着デバイス700が開示されており、複合ピラー702を含み得る。一部の実施形態では、複合ピラー702は可撓性であってもよく、一部の実施形態では、複合ピラーは剛性であってもよい。一部の実施形態では、複合ピラー702は、規則的なパターン又はランダムなパターンで配置され得る。特定の実施形態では、複合ピラー702のランダムパターンは、種々の微細構造の表面へのデバイス700の付着を促進するのに好ましい場合がある。複合ピラー702は、任意の断面形状であり得る。一部の実施形態では、断面は円形又は楕円形であり得る。楕円形の断面を有する実施形態では、楕円の主軸は、ランダムに又は同心パターンで配置され得る。
【0107】
一部の実施形態では、複合ピラー702は、第1のピラー704から構成され、その上に第2のピラー706が積層され、その上に更に第3のピラー708が積層され、それにより階層構造を組み込んでもよい。第1のピラー704は、階層構造全体の全高に等しい長さの中心上で互いに離間し得る。一部の実施形態では、第1のピラー704は、高さが100~1000ミクロンであり得る。第2のピラー706は、高さが35~100ミクロンであり得る。第3のピラー708は、高さが1~35ミクロンであり得る。一部の実施形態では、第3のピラー708は、ピラー708高さの長さの0.1~1.5倍の長さの中心上で離間され得る。
【0108】
一部の実施形態では、複合ピラー702は、デバイス700の基板710上に配設され得る。基板710は、正に帯電した電極712及び負に帯電した電極714が埋め込まれた厚みを有し得る。一部の実施形態では、全ての正に帯電した電極712に隣接して、負に帯電した電極714がある。
【0109】
一部の実施形態では、ターゲット表面へのデバイス700の静電付着は、導電線716、718を介して電極712、714を帯電させることによって生成され得る。
【0110】
実施例5.電気微細構造デバイス上の電極及び表面微細構造の4レベル階層配置。
【0111】
ここで図8を参照すると、単一の4レベル微細構造800が示されている。一部の実施形態では、微細構造800は、実施例4に開示されるような複合ピラー702を置換するために使用され得る。一部の実施形態では、実施例4の全体的な電極構造は、4レベル微細構造800と同じままであり得る。一実施形態では、第1の微細構造802は、半球状であってもよく、デバイスの表面810の周囲に配設される。第2の微細構造804は、
円筒形であってもよく、第1の微細構造802の周りに配設されてもよい。第3の微細構造806は、円筒形であってもよく、第2の微細構造804の周りに配設されてもよい。第4の微細構造808は、円形の繊維状構造であってもよく、第3の微細構造806の周りに配設されてもよい。電極812は、半球状であってもよく、第1の微細構造702と同様の幾何学形状に輪郭付けられてもよい。電極812は、リード線816と関連付けられ、それによって帯電されてもよい。
【0112】
実施例6.超疎水性/超親水性変換電気微細構造化デバイス。
【0113】
ここで図9を参照すると、超疎水性/超親水性変換電気微細構造デバイス900が示されている。図9は、2つのセクションに分割され、右側902は超疎水性状態を示し、左側904は超親水性状態を示す。電気微細構造デバイス900は、基板層906を含み得る。基板層906の周りには、第1のピラー908及び第2のピラー910が配設され得る。第1及び第2のピラー908、910は階層的に配置され得る。一部の実施形態では、第1のピラー908は、六角形の断面を有し得る。一部の実施形態では、第2のピラー910は、円形の断面を有し得る。一部の実施形態では、基板層906は、電極914が配設される厚みを含み得る。一部の実施形態では、第2の電極912は、第2のピラー910の周りに配設され得る。更に、一部の実施形態では、最終疎水性コーティング層916も含まれ得る。
【0114】
一実施形態では、第2の電極912は、第2のピラー910の上部付近に配設され得る。第2の電極912は、第2のピラー910の上面全体を覆うように配置されてもよいし、上面を部分的に覆うように配置されてもよい。一実施形態では、電極は、第1の電極914と反対の電荷であってもよい。第1の電極914は、基板層906の厚み内に配設されてもよく、概して、第1のピラー908間の領域に位置してもよい。電極912、914が反対の電荷である場合、構造は超親水性特性を有し、Wenzel湿潤状態918を達成することができる。電極912、914が同じ電荷である場合、構造は超疎水性特性を示し、Cassie非湿潤状態920を達成することができる。
【0115】
実施例7.スパイラル電界効果電気微細構造化デバイス。
【0116】
次に図10を参照すると、スパイラル電界効果電気微細構造デバイス1000が示されている。一部の実施形態では、かかるスパイラル構造は、デバイスの親水性/疎水性状態を迅速に逆転させる際に有用であり得る。デバイス1000は、ピラーの外壁上にリッジ1004を伴う、円錐ピラー1002から構成され得る。一実施形態では、2つの円錐ピラー1006、1008が互いに隣接していてもよく、それらの間に、下方向1010に上昇する表面エネルギーが生成される。この上昇する表面エネルギーは、当該下方向1010に毛細管力を生成することができる。一部の実施形態では、円錐ピラー1002は、電極1012が配設される内部を有し得る。一実施形態では、電極1012はスパイラル構成で配置され得る。スパイラル構成は、均一であってもよく、又はスパイラル構成は、円錐ピラー1002の直径が増加するにつれて外向きに先細状になってもよい。電極1012に電力が供給されていないとき、表面はWenzel湿潤であり得る。電極1012に電力が供給されると、電極が外向きに先細状になる実施形態では、電極が円錐ピラー1002の頂点に向かってよりきつく巻かれるにつれて電界強度が増加する。先細状の電極1016、1018を有する2つの隣接する円錐ピラー1006、1008が反対の電荷を有する場合、表面エネルギー勾配は、非荷電状態と比較して逆になり得、その結果、Cassie湿潤状態となる。
【0117】
実施例8.湿潤導電性表面のための静電付着微細構造化デバイス。
【0118】
ここで図11を参照すると、湿潤導電性表面への付着のための電気微細構造デバイス1100が示されている。デバイス1100は、基板層1102と、リッジ1106を有する第1のピラー1104と、第2のピラー1108と、電極1110と、導体1112とを含み得る。一部の実施形態では、基板材料は、親水性であり、自然に湿潤し得る。デバイス1100は、デバイスが湿潤導電性表面に接触すると、矢印1114によって示されるように水が迅速に吸い上げられ得るように構成され得る。水が急速に吸い上げられると、電極1110は導電性表面1116に非常に接近することができ、デバイス1100の静電付着を大幅に向上させることができる。
【0119】
実施例9.非導電性表面のための静電付着微細構造化デバイス。
【0120】
ここで図12を参照すると、湿潤非導電性表面への付着のための電気微細構造化デバイス1200が示されている。デバイス1200は、基板層1202、リッジ1206を有する第1のピラー1204、第2のピラー1208、電極1210、1212、及び導体1214、1216を含み得る。一部の実施形態では、基板材料は、親水性であり、自然に湿潤し得る。デバイス1200は、デバイスが湿潤非導電性表面に接触すると、水が迅速に吸い上げられ得るように構成され得る。水が急速に吸い上げられると、電極1210は単極構成で近接することができる。
【0121】
このように、新規で有用な微細構造化電界効果デバイスの本開示の特定の実施形態について説明してきたが、かかる言及は、以下の特許請求の範囲に記載されているものを除いて、本開示の範囲に対する限定として解釈されることを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
【国際調査報告】