(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】微細構造付きの原子平滑なデバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B81B 1/00 20060101AFI20230510BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20230510BHJP
H01L 21/60 20060101ALN20230510BHJP
【FI】
B81B1/00
B81C1/00
H01L21/92 604C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559671
(86)(22)【出願日】2020-06-28
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2020098480
(87)【国際公開番号】W WO2022000123
(87)【国際公開日】2022-01-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215231
【氏名又は名称】深▲せん▼清華大学研究院
【氏名又は名称原語表記】Research Institute of Tsinghua University in Shenzhen
【住所又は居所原語表記】Research Institute of Tsinghua University In Shenzhen, Gaoxin South 7th Blvd. Nanshan District Shenzhen, Guangdong 518057, China
(71)【出願人】
【識別番号】514326214
【氏名又は名称】清▲華▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】鄭 泉水
(72)【発明者】
【氏名】向 小健
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA11
3C081BA10
3C081BA22
3C081BA72
3C081CA02
3C081CA13
3C081CA23
3C081CA26
3C081CA31
3C081CA32
3C081DA03
3C081DA04
3C081DA05
3C081DA27
3C081DA30
3C081EA21
3C081EA41
(57)【要約】
下から上に基板、粘着材料、基板上に位置する第2の媒体層、微細構造、第1の媒体層を含む微細構造付きの原子平滑なデバイスであって、第1の媒体層の表面は原子平滑な表面である。従来の微細構造の加工過程で発生するピット又はバリを効果的に回避することができる微細構造付きの原子平滑なデバイスの製造方法をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に基板、粘着材料、基板上に位置する第2の媒体層、微細構造、第1の媒体層を含む微細構造付きの原子平滑なデバイスであって、
前記第1の媒体層の表面は原子平滑な表面である、ことを特徴とする原子平滑なデバイス。
【請求項2】
前記原子平滑な表面の直径は1~100μmであり、好ましくは、前記微細構造と第1、第2の媒体層とは異種材料であり、且つ微細構造と媒体層の間で反応が発生せず、前記原子平滑なデバイスのエッジにバリがなく、内部は少なくとも10μm×10μmの範囲内でバリ又はピットがない、ことを特徴とする請求項1に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項3】
前記第1の媒体層の厚さは2~100nmであり、前記第1の媒体層、第2の媒体層は、いずれも絶縁層が好ましく、酸化ケイ素層がより好ましく、好ましくは堆積方式を用いて製造して得られる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項4】
前記微細構造は金属電極であり、好ましくはAu、Cu、Agであり、金属電極の厚さは、好ましくは10~150nmであり、より好ましくは20~50nmである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の微細構造付きの原子平滑なデバイスの製造方法であって、
二次元材料の表面に第1の媒体層を成長させて原子平滑なフィルムを得るステップ1と、
第1の媒体層に微細加工によって微細構造を製造して得るステップ2と、
微細構造上に第2の媒体層を成長させるステップ3と、
第2の媒体層に粘着材料を塗布するステップ4と、
粘着材料によって第2の媒体層を基板に接続するステップ5と、
二次元材料を剥離し、少量の残留した二次元材料、第1の媒体層、微細構造、第2の媒体層、粘着材料を有する基板を得るステップ6と、
酸素プラズマを用いてエッチングし、基板上の前記少量の残留した二次元材料を除去するステップ7と、
微細構造付きの原子平滑なデバイスを得るステップ8とを含む、ことを特徴とする微細構造付きの原子平滑なデバイスの製造方法。
【請求項6】
前記二次元材料は、好ましくはグラフェン又は高配向性熱分解グラファイトであり、前記第1の媒体層、第2の媒体層は、いずれも絶縁層が好ましく、酸化ケイ素層がより好ましく、好ましくは、いずれも堆積方式を用いて製造可能である、ことを特徴とする請求項5に記載の微細構造付きの原子レベル平坦なデバイスの製造方法。
【請求項7】
前記微細構造は金属電極であり、好ましくはAu、Cu、Agであり、より好ましくは、金属電極の厚さは10~150nmであり、より好ましくは20~50nmである、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の微細構造付きの原子レベル平坦なデバイスの製造方法。
【請求項8】
前記粘着材料は紫外線硬化型接着剤、樹脂から選ばれる1種又は2種である、ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の微細構造付きの原子レベル平坦なデバイスの製造方法。
【請求項9】
前記基板は、Si、SiC、SOI、サファイア、マイカ、グラフェン、二硫化モリブデンから選ばれる1つ又はそれらの組み合わせである、ことを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載の微細構造付きの原子レベル平坦なデバイスの製造方法。
【請求項10】
前記原子平滑なフィルムの直径は1μm~100μmである、ことを特徴とする請求項4~9のいずれか一項に記載の微細構造付きの原子レベル平坦なデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロナノ加工の技術分野に関し、具体的には、微細構造付きの原子平滑なデバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の技術の継続的な進歩に伴い、コンピュータの磁気ヘッド、磁気ディスク、集積回路チップなどの原子平滑な表面の使用がますます広がっている。原子平滑な表面とは、表面に原子層レベルを超える段差がない表面をいい、原子平滑な表面は、多くの優れた性質を有し、その非常に低い起伏により、非常に高い精度の制御を実現することができる。
【0003】
それと同時に、技術の発展と人類の需要につれて、デバイスの小型化は発展傾向になっている。デバイスが小さくなるに伴い、摩擦と摩耗による損失もますます重要とされ、例えば、マイクロモータは、世界上で最初のマイクロモータが製造された後、わずか1分程度運行しただけで、摩耗により故障した。一方、小型化デバイスに電力を供給する方法も重要な研究方向である。摩擦ナノ発電機などの従来の小型発電機は、内部メカニズムの制限により必然的に摩擦と摩耗を引き起こし、さらに使用寿命が短くなり、さらにそのエネルギー損失も発電機の出力電力を制限する。超潤滑技術をマイクロ発電機に使用すれば、超潤滑の無摩耗、非常に低い摩擦の特性により、発電機の使用寿命と出力電力が大幅に向上する。
【0004】
コンデンサ式超潤滑発電機は、コンデンサの発電原理を利用し、超潤滑特性と組み合わせた新型のマイクロ発電機である。理論的計算の観点から、その発電効率は非常に高く、電流密度は少なくとも従来のマイクロ発電機の最高密度の100倍であり、さらに、使用寿命が特に長く、非常に大きな利点を有する未来のマイクロ発電機である。しかし、コンデンサ式超潤滑発電機を実現するためには、微細構造付きの大面積(約100×100μm2)の原子平滑な表面を製造しなければならない。
【0005】
平滑な表面を製造する従来のプロセスは、エッチング法、犠牲層法、直接堆積法などがある。しかし、微細構造と平滑な表面は異種材料であるため、材料の接合部には常にいくつかのバリ又はピットがあり、平滑ではなく、起伏は約数十ナノメートルであり、これにより、最終的に微細構造を有するデバイスの表面、特にエッジで原子平滑な表面を形成できない。上記のバリ、ピットの問題をさらに解決するか、又は平滑な表面を達成しようとすれば、高精度の研磨機器と技術的手段が必要である。しかし、研磨プロセスの採用は、精度の制御要求が高く、機器コストも高いだけでなく、比較的複雑な、微細構造を有するデバイスの原子平滑な表面を形成しにくいため、操作しやすく、同時にバリ/ピットなどの問題を回避可能な、微細構造付きの大面積の原子平滑なデバイスの製造方法を提供しなければならない。
【発明の概要】
【0006】
上記の問題を解決するために、本発明は二次元材料が有する原子平滑で層間作用力が低い特性を利用し、外力の作用下で、基板と二次元材料を機械的に剥離し、ピット又はバリが出現する可能性のある表面を底面として粘着材料によって基板に接続し、従来の微細加工プロセスによるピット又はバリの現象を効果的に回避し、酸素プラズマを用いてエッチングすると、残留した二次元材料を除去した後、微細構造付きの原子平滑な表面を得ることができる。
【0007】
下から上に基板、粘着材料、基板上に位置する第2の媒体層、微細構造、第1の媒体層を含む微細構造付きの原子平滑なデバイスを提供し、第1の媒体層の表面は原子平滑な表面であり、直径は1~100μmであり、フィルムの下に微細構造を有し、微細構造と第1の媒体層、第2の媒体層とは異種材料であり、且つ微細構造と媒体層の間で反応が発生できず、該原子平滑なデバイスのエッジにバリがなく、内部は少なくとも10×10μm2の範囲内でバリ又はピットがない。
【0008】
本発明は微細構造付きの原子平滑なデバイスの製造方法をさらに提供し、まず、二次元材料をテンプレートとして第1の媒体層を成長させて原子平滑なフィルムを得て、次にフィルムに微細構造を製造し、微細構造に第2の媒体層を成長させて基板に接続し、二次元材料を機械的に剥離し、少量の残留した二次元材料、第1の媒体層、微細構造、粘着材料、第2の媒体層を有する基板を得て、酸素プラズマによってエッチングし、基板上の少量の残留した二次元材料を除去し、フィルムの下に微細構造付きの大面積の原子平滑なデバイスを得る。該製造プロセスは、従来の微細構造の加工によるエッジのバリ又はピットを効果的に回避し、且つ数百ミクロンスケールの大面積の原子平滑なデバイスを製造することができる。
【0009】
微細構造付きの原子平滑なデバイスの製造方法は、
【0010】
二次元材料の表面に第1の媒体層を成長させて原子平滑なフィルムを得るステップ1と、
【0011】
第1の媒体層に微細加工によって微細構造を製造して得るステップ2と、
【0012】
微細構造上に第2の媒体層を成長させるステップ3と、
【0013】
第2の媒体層に粘着材料を塗布するステップ4と、
【0014】
粘着材料によって第2の媒体層を基板に接続するステップ5と、
【0015】
二次元材料を機械的に剥離し、少量の残留した二次元材料、第1の媒体層、微細構造、第2の媒体層、粘着材料を有する基板を得るステップ6と、
【0016】
酸素プラズマを用いてエッチングし、基板上の少量の残留した二次元材料を除去するステップ7と、
【0017】
微細構造付きの原子平滑なデバイスを得るステップ8とを含む。
【0018】
さらに、前記二次元材料はグラフェン又は高配向性熱分解グラファイトHOPGを用いる。
【0019】
さらに、前記第1の媒体層、第2の媒体層は、いずれも絶縁層が好ましく、好ましくは酸化ケイ素層である。
【0020】
さらに、前記第1の媒体層、第2の媒体層の成長はいずれも堆積方式を用いて製造可能である。
【0021】
さらに、前記微細構造は金属電極であり、好ましくはAu、Cu、Agである。
【0022】
さらに、金属電極の厚さは10~150nmであり、好ましくは20~50nmである。
【0023】
さらに、前記粘着材料は紫外線硬化型接着剤、樹脂から選ばれる1種又は2種である。
【0024】
さらに、前記基板は、Si、SiC、SOI、サファイア、マイカ、グラフェン、二硫化モリブデンから選ばれる1つ又はそれらの組み合わせである。
【0025】
さらに、前記原子平滑なフィルムの直径は1μm~100μmである。
【0026】
(1)本発明は異種構造の表面に研磨プロセスを採用せず、超潤滑で平滑な表面を得るために、要求が非常に高い研磨機器及び加工技術を使用することを回避する。
【0027】
(2)本発明は二次元材料が有する原子平滑で層間作用力が低い特性を利用し、層間が互いに剥離可能であり、外力の作用下で、基板と二次元材料を機械的に剥離する過程において、二次元材料は必然的にせん断されて第1の媒体層に付着し、これにより必要な構造の完全性を確保し、ピット又はバリが出現する可能性のある表面を底面として粘着材料によって基板に接続し、従来の微細加工プロセスによるピット又はバリの現象を効果的に回避し、酸素プラズマを用いてエッチングすると、残留した二次元材料を除去可能であり、且つ酸素プラズマは媒体層と反応せず、目標フィルムの表面を損傷しない。原子平滑なデバイスを得て、直径は100μmに達することができ、且つフィルムの下に微細構造を有する。本発明の製造方法は簡単で便利であり、従来の微細構造の加工過程で発生するピット又はバリを効果的に回避することができる。
【0028】
(3)本発明は二次元材料の表面の原子平滑性、即ち、二次元材料(例えば、グラフェン)がどの大きさの平滑な表面を有することができれば、それに対して成長した第1の媒体層がどの大きさの平滑な表面を有するかも利用しているため、幅広い汎用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係るフィルムの下に微細構造付きの原子平滑なデバイスの製造プロセスのステップのフロー模式図である。
【0030】
【
図2】本発明に係るフィルムの下に微細構造付きの原子平滑なデバイスを製造するフローチャートである。
【0031】
【
図3】従来のプロセスで微細構造付きのデバイスを製造するフローチャートである。
【0032】
【
図4】従来のエッチング法で製造された原子平滑なデバイスで、バリ、ピットが発生する模式図である。
【0033】
【
図5】従来のエッチング法によるデバイス表面のAFM走査断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
実施例:フィルム(膜)の下に金属電極付きの原子平滑なデバイスの製造
【0035】
図1のステップ8に示される構造は本実施例における金属電極付きの原子平滑なデバイスであり、該デバイスは下から上にサファイア基板、紫外線硬化型接着剤、基板上に位置する第2の酸化ケイ素層、使用必要に応じて配置されるAu電極、第1の酸化ケイ素層を含み、第1の酸化ケイ素層の表面は原子平滑な表面であり、直径は1~100μmであり、第1の酸化ケイ素層の下のAu電極アレイと第1、第2の酸化ケイ素層の間で反応が発生せず、該原子平滑なデバイスのエッジにバリがなく、内部は少なくとも10μm×10μmの範囲内で突起又はピットがなかった。
【0036】
以下、
図1、
図2を参照しながら、本発明の実施例のデバイスの製造方法を説明し、酸化ケイ素を絶縁媒体材料とし、Auを金属電極とし、紫外線硬化型接着剤を粘着剤とし、サファイアを基板として例にとる。
図1に示すように、まず、HOPGを解離し、新しい平滑な表面を得て、次に新しい表面に低温で厚さ100nmの1層の第1の媒体層酸化ケイ素を成長させてから、酸化ケイ素にコンデンサ式超潤滑発電機の金属極板、例えば、6×6×0.2μm
3のAu電極アレイを作成し、電極ピッチは6μmであり、次に低温で厚さ500nmの第2の媒体層酸化ケイ素を成長させることにより、Au電極アレイを完全に被覆でき、次に1滴の紫外線硬化型接着剤を第2の媒体層酸化ケイ素の表面に滴下し、スピンコーターで接着剤を均一にし、接着剤の厚さを約100μmにし、次に、サイズがHOPGに相当する厚さ1mmの1枚のサファイアシートを紫外線硬化型接着剤に被覆し、紫外線ランプを用いて照射して両者を接着させ、1分間照射した後に、紫外線硬化型接着剤が硬化する。HOPGは層状材料で層間解離エネルギーが低いため、機械的剥離の方法を用いてHOPGとサファイアを解離するときに、紫外線硬化型接着剤、第2の媒体層酸化ケイ素、Au電極、第1の媒体層酸化ケイ素フィルム及び一部のHOPGはサファイア上に保留し、最後に、O2- -Plasmaを用いてサファイア上に残留したHOPGに衝撃を与え、衝撃時間は残留したHOPGの厚さに応じて決められる。O2-は酸化ケイ素と反応しないため、HOPGを除去した後にフィルムの下に金属電極付きの大面積の原子平滑なデバイスを得ることができる。原子間力顕微鏡下で該デバイスの表面が原子平滑であることを観察した。
【0037】
本発明で製造されたフィルムの下に微細構造を有する大面積の原子平滑なデバイスは、直径が100μmに達することができる。製造方法は簡単で便利であり、従来の微細構造の加工過程で発生するピット又はバリを効果的に回避することができる。異種構造の表面に研磨プロセスを採用しないことにより、超潤滑で平滑な表面を得るために要求が非常に高い研磨機器及び加工技術を使用することを回避することができるため、幅広い適用性を有する。
【0038】
比較例:従来のエッチング法での金属電極付きのデバイスの製造
【0039】
以下、
図3、
図4、
図5を参照しながら、本発明の比較例の製造方法及びその効果を説明し、酸化ケイ素基板、Au電極を例にとる。
図3は従来のプロセスで微細構造付きのデバイスを製造するフローチャートを示す。まず、酸化ケイ素基板に1層のフォトレジストをスピンコーティングし、次にマスクを用いてフォトレジストがコーティングされた基板を露光し、次に現像液を用いて露光されたフォトレジストを洗浄し、後続の金属電極のパターンを形成し、次に、フォトリソグラフィーを行い、酸化ケイ素基板上の金属電極パターンの酸化ケイ素を除去し、即ち、空の金属電極パターンを事前にエッチングし、次に、空の酸化ケイ素基板にAuを蒸着し、蒸着の厚さはエッチングの厚さとほぼ同じであり、その後に剥離し、即ち、アセトンなどの溶液を用いてフォトレジストと反応し、フォトレジストとフォトレジスト上に蒸着されたAuを除去し、次に、基板に1層の絶縁層酸化ケイ素を成長させることにより、Auと酸化ケイ素を被覆した。
【0040】
図4は従来のエッチング法で製造された原子平滑なデバイスで、バリ、ピットが発生する模式図である。酸化ケイ素が成長する時にAuと酸化ケイ素基板への吸着性が異なるため、両者上に成長する酸化ケイ素の成長速度も異なり、これにより、接合部には常にいくつかのバリ又はピットがあり、平滑ではない。
図5に示すように、起伏は約数十ナノメートルであり、これにより、最終的に微細構造を有するデバイスの表面、特にエッジで原子平滑な表面を形成できない。つまり、該異種材料層自体は原子平滑であるという要求を満たすことが困難で、フィルムの下に微細構造を有する原子平滑なデバイスを実現することも困難である。したがって、従来の一般的なプロセス手段の観点から、上記の数十ナノメートルの突起又はバリを解決することは困難であり、原子平滑な表面の要求を満たすことができない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上記の説明は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の特許請求の範囲に従って行われる同等の変更及び修正は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる範囲に属するべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に基板、粘着材料、基板上に位置する第2の媒体層、微細構造、第1の媒体層を含む微細構造付きの原子平滑なデバイスであって、
前記第1の媒体層の表面は原子平滑な表面である、ことを特徴とする原子平滑なデバイス。
【請求項2】
前記原子平滑な表面の直径は1~100μmであり
、前記原子平滑なデバイスのエッジにバリがなく、内部は少なくとも10μm×10μmの範囲内でバリ又はピットがない、ことを特徴とする請求項1に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項3】
前記微細構造と第1、第2の媒体層とは異種材料であり、且つ微細構造と媒体層の間で反応が発生しない、ことを特徴とする請求項1に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項4】
前記第1の媒体層の厚さは2~100nmであり、前記第1の媒体層、第2の媒体層は、いずれも絶縁層
である、ことを特徴とする請求項1
~3のいずれか一項に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項5】
前記第1の媒体層、第2の媒体層は、いずれも酸化ケイ素層であり、堆積方式を用いて製造して得られる、ことを特徴とする請求項4に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項6】
前記微細構造は金属電極であり
、金属電極の厚さは
、10~150nmであ
る、ことを特徴とする請求項1
~3のいずれか一項に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項7】
前記微細構造はAu、Cu、Agである、ことを特徴とする請求項6に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項8】
前記金属電極の厚さは20~50nmである、ことを特徴とする請求項6に記載の原子平滑なデバイス。
【請求項9】
請求項1に記載
の原子平滑なデバイスの製造方法であって、
二次元材料の表面に第1の媒体層を成長させて原子平滑なフィルムを得るステップ1と、
第1の媒体層に微細加工によって微細構造を製造して得るステップ2と、
微細構造上に第2の媒体層を成長させるステップ3と、
第2の媒体層に粘着材料を塗布するステップ4と、
粘着材料によって第2の媒体層を基板に接続するステップ5と、
二次元材料を剥離し、少量の残留した二次元材料、第1の媒体層、微細構造、第2の媒体層、粘着材料を有する
構造を得るステップ6と、
酸素プラズマを用いてエッチングし、
前記構造上の前記少量の残留した二次元材料を除去するステップ7と、
微細構造付きの原子平滑なデバイスを得るステップ8とを含む、ことを特徴とす
る製造方法。
【請求項10】
前記二次元材料は
、グラフェン又は高配向性熱分解グラファイトであり、前記第1の媒体層、第2の媒体層は、いずれも絶縁層
である、ことを特徴とする請求項
9に記載
の製造方法。
【請求項11】
前記微細構造は金属電極であり
、金属電極の厚さは10~150nmで
ある、ことを特徴とする請求項
9又は
10に記載
の製造方法。
【請求項12】
前記微細構造はAu、Cu、Agであり、前記金属電極の厚さは20~50nmである、ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記粘着材料は紫外線硬化型接着剤、樹脂から選ばれる1種又は2種である、ことを特徴とする請求項
9~10のいずれか一項に記載
の製造方法。
【請求項14】
前記基板は、Si、SiC、SOI、サファイア、マイカ、グラフェン、二硫化モリブデンから選ばれる1つ又はそれらの組み合わせである、ことを特徴とする請求項
9~10のいずれか一項に記載
の製造方法。
【請求項15】
前記原子平滑なフィルムの直径は1μm~100μmである、ことを特徴とする請求項
9~10のいずれか一項に記載
の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は微細構造付きの原子平滑なデバイスの製造方法をさらに提供し、まず、二次元材料をテンプレートとして第1の媒体層を成長させて原子平滑なフィルムを得て、次にフィルムに微細構造を製造し、微細構造に第2の媒体層を成長させて基板に接続し、二次元材料を機械的に剥離し、少量の残留した二次元材料、第1の媒体層、微細構造、粘着材料、第2の媒体層を有する構造を得て、酸素プラズマによってエッチングし、前記構造上の少量の残留した二次元材料を除去し、フィルムの下に微細構造付きの大面積の原子平滑なデバイスを得る。該製造プロセスは、従来の微細構造の加工によるエッジのバリ又はピットを効果的に回避し、且つ数百ミクロンスケールの大面積の原子平滑なデバイスを製造することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】