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特表2023-520465病原体を検出するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】病原体を検出するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/70 20060101AFI20230510BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230510BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALI20230510BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20230510BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20230510BHJP
   C12Q 1/6888 20180101ALI20230510BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230510BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
C12Q1/70
C12Q1/02 ZNA
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6888 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559926
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 US2021025413
(87)【国際公開番号】W WO2021202897
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/004,143
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/058,172
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511172461
【氏名又は名称】ラボラトリー コーポレイション オブ アメリカ ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ, アイラ
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー, キンバリー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B029BB11
4B029BB13
4B029FA01
4B029FA12
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ10
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR06
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR56
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
試料中の病原体の有無を検出するための方法、組成物およびシステムが開示される。本方法は、対象から試料を得る工程、および試料中に存在する任意の病原体を不活性化するために試料を熱で処理する工程を含んでよい。本方法は、試料中に存在する任意の病原体を濃縮するために試料を処理する工程をさらに含んでよい。また、本方法は、熱不活性化された試料から病原体特異的核酸を単離し、単離された病原体特異的核酸の有無を検出することを含んでよい。特定の実施形態では、方法および/またはシステムを使用してSARS-CoV-2を検出することができる。本方法は、リアルタイムRT-PCRを使用して、約または3時間またはそれ未満で結果を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象由来の試料中のSARS-CoV-2を検出する方法であって、
前記対象から試料を得る工程;
前記試料からSARS-CoV-2 RNAを単離する工程;
前記SARS-CoV-2 RNAからコピーDNA(cDNA)を生成する工程;
前記SARS-CoV-2 cDNAの少なくとも1つの標的配列を増幅する工程;および
前記増幅されたSARS-CoV-2配列を検出する工程、を含む方法。
【請求項2】
前記試料が、ウイルスを不活性化するために処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルスを不活性化するために前記試料を65℃で約30分間加熱する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウイルスを不活性化するために前記試料をプロテアーゼで処理する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
SARS-CoV-2 RNAを単離する前記工程が、ウイルス粒子を濃縮する工程の後に、前記濃縮されたウイルス粒子からの前記SARS-CoV-2 RNAの溶出を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記濃縮されたウイルス粒子からのウイルスRNAの前記溶出が、95℃で少なくとも5分間行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記SARS-CoV-2 cDNAの少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が定量的PCRを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記SARS-CoV-2 cDNAの少なくとも1つの標的配列が、前記SARS-CoV-2のヌクレオカプシド(N)遺伝子の少なくとも一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記増幅する工程が、前記ウイルスに存在しないが前記対象に存在する対照遺伝子からの核酸の増幅をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記対照遺伝子がヒトRNase P(RP)遺伝子である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記試料が、上気道系または下気道系のいずれか由来の検体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が、鼻咽頭スワブ、中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭洗浄物もしくは吸引物、または鼻吸引物のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記SARS-CoV-2 cDNAの少なくとも1つの特異的標的配列を増幅する工程が、前記少なくとも1つの特異的標的配列にプローブをハイブリダイズさせ、それにより、増幅の伸長段階中にTaqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性が前記結合プローブを分解し、前記プローブ上のレポーター色素を前記プローブ上のクエンチャー色素から分離させ、蛍光シグナルを生成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記レポーター色素がFAMである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クエンチャー色素がBHQ1である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、SARS-CoV-2 N1、N2およびN3配列に対するプライマーおよびプローブを使用するマルチプレックスRT-PCRを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブの使用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
対象由来の試料中の病原体の有無を検出する方法であって、
前記対象から試料を得る工程;
前記試料中に存在する任意の病原体を不活性化するために前記試料を処理する工程;
必要に応じて、前記試料中に存在する任意の病原体を濃縮するために、前記試料を処理する工程;
前記試料から病原体特異的核酸を単離するために、前記不活性化されて必要に応じて濃縮された試料を処理する工程;および
前記単離された病原体特異的核酸の有無を検出する工程、を含む方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記不活性化された試料からRNAを単離する工程;
前記不活性化された試料から単離された前記RNAからコピーDNA(cDNA)を生成する工程;
前記cDNAの少なくとも1つの特異的標的配列を増幅する工程;および
増幅された配列の有無を検出する工程、をさらに含む方法。
【請求項20】
前記病原体を不活性化するために前記試料を加熱する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記病原体を不活性化するために前記試料をプロテアーゼで処理する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記病原体がSARS-CoV-2である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
対象由来の試料中の病原体の有無を検出するためのシステムであって、前記病原体を不活性化するための少なくとも1つのステーションと、前記病原体に特異的な核酸の有無を検出するためのステーションとを備える、システム。
【請求項24】
病原体に特異的な核酸の有無を検出するように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体で有形に具現化されたコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
SARS-CoV-2の有無を検出するための試薬を含むキット。
【請求項26】
配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブをさらに含む、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
SARS-CoV-2の有無を検出するための試薬を含む組成物。
【請求項28】
配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブをさらに含む、請求項27に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年4月2日に出願された米国仮特許出願第63/004,143号および2020年7月29日に出願された米国仮特許出願第63/058,172号の優先権を主張する。米国仮特許出願第63/004,143号および第63/058,172号の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年3月30日に作成された前記ASCIIコピーの名称は057618-1235025_SL.txtであり、サイズは3,388バイトである。
【0003】
分野
SARS-CoV-2などのウイルス性病原体およびその変異株を含む、病原体の試験に関連する方法、組成物およびシステムが開示される。
【背景技術】
【0004】
背景
SARS-CoV-2は、コロナウイルス科ベータコロナウイルス属のエンベロープを持つ一本鎖RNAウイルスである。すべてのコロナウイルスは、それらのゲノムの構成および発現において類似性を共有しており、これは16個の非構造タンパク質および4個の構造タンパク質:スパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)およびヌクレオカプシド(N)をコードする。このファミリーのウイルスは、人獣共通感染源である。これらは、軽度の感冒から、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)およびコロナウイルス病2019(COVID-19)などのより重症のものに及ぶ症状を伴う疾患を引き起こす。ヒトに感染することが知られている他のコロナウイルスとしては、229E、NL63、OC43およびHKU1が挙げられる。後者は遍在性であり、感染は典型的には感冒またはインフルエンザ様症状を引き起こす(Su S,Wong G,Shi W,et al.,Epidemiology,Genetic Recombination,and Pathogenesis of Coronaviruses,Trends Microbiol 2016;24(6):490-502;Zhu N,Zhang D,Wang W,et al.,A Novel Coronavirus from Patients with Pneumonia in China,2019.N Engl J Med 2020;382(8):727-733)。
【0005】
SARS-CoV-2ウイルスは、このウイルスに感染したヒトに、重度の呼吸器疾患を含む重篤または生命を脅かす疾患または症状を引き起こす可能性がある。2020年2月11日に、2019-nCoVと暫定的に命名されたウイルスは、正式に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)と命名された。同じく2020年2月11日に、SARS-CoV-2によって引き起こされる疾患は、正式にコロナウイルス病2019(COVID-19)と命名された。2020年2月4日に、保健福祉省(HHS)の長官は、海外で生活している米国市民の国家安全または健康および安全に影響を及ぼす重大な潜在性を有しておりCOVID-19を引き起こすウイルスが関与する公衆衛生上の緊急事態があると決定した。さらに、SARS-CoV-2の新しい変異株が検出されている。したがって、SARS-CoV-2およびその変異株などの病原体を検出するための方法およびシステムの開発が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Su S,Wong G,Shi W,et al.,Epidemiology,Genetic Recombination,and Pathogenesis of Coronaviruses,Trends Microbiol 2016;24(6):490-502
【非特許文献2】Zhu N,Zhang D,Wang W,et al.,A Novel Coronavirus from Patients with Pneumonia in China,2019.N Engl J Med 2020;382(8):727-733
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
SARS-CoV-2およびその変異株などの病原体を検出するためのシステムおよび方法が開示される。本方法およびシステムは、様々な方法で具現化することができる。
【0008】
特定の実施形態では、本方法は、対象由来の試料中の病原体の有無を検出する方法であって、対象から試料を得る工程と、試料中に存在する任意の病原体を不活性化するために試料を処理する工程と、必要に応じて、試料中に存在する任意の病原体を濃縮するために、試料を処理する工程と、試料から病原体特異的核酸を単離するために、熱不活性化されて必要に応じて濃縮された試料を処理する工程と、単離された病原体特異的核酸の有無を検出する工程とを含む方法を含んでよい。特定の実施形態では、試料を加熱して病原体を不活性化することができる。追加的および/または代替的に、プロテアーゼを試料に添加して病原体を不活性化することができる。
【0009】
一実施形態では、病原体はSARS-CoV-2である。例えば、特定の実施形態では、本方法は、対象由来の試料中のSARS-CoV-2を検出する方法であって、対象から試料を得る工程と、試料からSARS-CoV-2 RNAを単離する工程と、必要に応じて、ウイルスを不活性化するために試料を処理する工程と、SARS-CoV-2 RNAからコピーDNA(cDNA)を生成する工程と、SARS-CoV-2 cDNAの少なくとも1つの標的配列を増幅する工程と、増幅されたSARS-CoV-2配列を検出する工程とを含む方法を含んでよい。特定の実施形態では、SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列は、ヌクレオカプシド遺伝子の少なくとも一部を含む。
【0010】
本明細書の方法を実行するためのシステムも開示される。例えば、本システムは、方法の様々な工程を実行するための1つまたは複数のステーションを備えることができる。特定の実施形態では、ステーションは、1つまたは複数の工程を実行するためのロボットステーションを備えてもよい。さらに、本システムは、システムまたはシステムの任意の部分を実行するように構成された命令、および/または開示された実施形態のいずれかの方法の1つまたは複数の工程を実施するように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品を備えてもよい。
【0011】
開示された方法およびシステムは、以下の非限定的な図を参照することによってよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態による病原体の検出のための方法を示す。
図2図2は、本開示の一実施形態によるSAR-CoV-2の検出のための代替方法を示す。
図3図3は、本開示の一実施形態による病原体の検出のためのシステムを示す。
図4図4は、本開示の様々な実施形態による例示的なコンピューティングデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
以下の説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用性または構成を限定することを意図しない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の以下の説明は、様々な実施形態を実施するための可能な説明を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることが理解される。
【0014】
実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明において具体的な詳細が与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態を実施することができることが理解されよう。例えば、方法の工程、または回路、システム、ネットワーク、プロセス、および他の構成要素を含むシステムの一部は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にしないために、ブロック図形式の構成要素として示されてもよい。
【0015】
定義
以下、本開示をより詳細に説明する。本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての特許、出願、公開出願および他の刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。このセクションに記載された定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願および他の刊行物に記載された定義に反するかまたは矛盾する場合、このセクションに記載された定義または本明細書の他の箇所で使用される定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義よりも優先する。
【0016】
本開示またはその実施形態(単数または複数)の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1またはそれを超える要素があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味する。本明細書に記載の開示の態様および実施形態は、態様および実施形態「からなる(consisting)および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」ことを含むことが理解される。
【0017】
「および/または」という用語は、2つまたはそれを超える項目のリストで使用される場合、列挙された項目のいずれか1つを、単独で、または1またはそれを超える列挙された項目と組み合わせて使用できることを意味する。例えば、「Aおよび/またはB」という表現は、AおよびBのいずれかまたは両方、すなわち、A単独、B単独、またはAとBの組み合わせを意味することを意図している。「A、Bおよび/またはC」という表現は、A単独、B単独、C単独、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを意味することを意図している。
【0018】
本開示の様々な態様は、範囲形式で提示されてもよい。範囲形式での説明は、単に便宜および簡潔上のためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「実質的に(substantially)」、「およそ(approximately)」、および「約(about)」という用語は、当業者によって理解されるように、必ずしもではないが大部分が指定されたもの全体(および指定されたもの全体を含む)ものと定義される。任意の開示された実施形態では、「実質的に」、「およそ」、または「約」という用語は、指定されたものの「[パーセンテージ]以内」で置き換えることができ、パーセンテージは0.1、1、5、および10%を含む。本明細書で使用される場合、動作が何かに「基づく」場合、これは、動作が何かの少なくとも一部に少なくとも部分的に基づくことを意味する。
【0020】
「試料」または「患者試料」または「生物学的試料」または「検体」は、本明細書では互換的に使用される。試料は、上気道検体および下気道検体を含み得る。そのような検体(試料)には、鼻咽頭または中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、および鼻咽頭洗浄物/吸引物または鼻吸引物が含まれ得る。試料の他の非限定的な例としては、組織試料(例えば、生検)、血液または血液製剤(例えば、血清、血漿など)、無細胞DNA、尿、液体生検試料、またはそれらの組み合わせが挙げられる。「血液」という用語は、全血、血液製剤、または従来定義されているような血清、血漿、バフィーコートなどの血液の任意の画分を包含する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「対象」または「個体」という用語は、ヒトまたは任意の非ヒト動物を指す。対象または個体は、疾患の診断または処置のために医療提供者に提示するヒトを指す患者であり得、場合によっては、疾患は病原体による任意の感染症であり得る。また、本明細書で使用される場合、用語「個体」、「対象」または「患者」は、すべての温血動物を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、「病原体特異的核酸」または「病原体核酸」は、対象に通常存在しないが、病原体ゲノムに見られる配列である核酸分子である。例えば、「SARS-CoV-2特異的核酸」または「SARS-CoV核酸」は、通常、ヒトゲノム(またはヒト対象由来の試料)中には見出されないが、SARS-CoV-2ゲノムに由来する配列である。
【0023】
本明細書で使用される場合、「SARS-CoV-2」または「SARS-CoV-2ウイルス」は、COVID-19の疾患を引き起こし得るものを含む、ウイルスのすべての遺伝的変異株を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドを指す。この用語は、一本鎖核酸、二本鎖核酸、mRNA、ならびにヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体から作製されたRNAおよびDNAを含むために使用される。
【0025】
本明細書で使用される場合、「検出可能部分」は、結合した分子を定量的に測定することを可能にする化学的部分である。特定の実施形態では、本発明に従って使用されるおよび/または本発明によって提供される特定の分子(例えば、核酸プローブ)は、1またはそれを超える検出可能な実体または部分を含み、すなわち、そのような分子は、そのような実体または部分で「標識」されている。多種多様な検出可能な薬剤のいずれも、本開示の実施において使用することができる。適切な検出可能な薬剤としては、限定されないが、様々なリガンド、放射性ヌクレオチド;蛍光色素;化学発光剤(例えば、アクリジウムエステル、安定化ジオキセタンなど);生物発光剤;スペクトル分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット);微粒子;金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金など);ナノクラスタ;常磁性金属イオン;酵素;比色ラベル(例えば、色素、金コロイドなど);ビオチン;ジオキシゲニン;ハプテン;抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質が挙げられる。
【0026】
特定の実施形態において、検出可能な部分は、蛍光色素である。多種多様な化学構造および物理的特性の多数の既知の蛍光色素が、本開示の実施における使用に適している。蛍光検出可能部分は、検出器によって捕捉された発光を用いてレーザーによって刺激することができる。検出器は、電荷結合素子(CCD)またはその強度を記録する共焦点顕微鏡であり得る。
【0027】
適切な蛍光色素には、フルオレセインおよびフルオレセイン色素(例えば、フルオレセインイソチオシアニンまたはFITC、ナフトフルオレセイン、4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセインまたはFAMなど)、ヘキサクロロ-フルオレセイン(HEX)、カルボシアニン、メロシアニン、スチリル色素、オキソノール色素、フィコエリトリン、エリスロシン、エオシン、ローダミン色素(例えば、カルボキシテトラメチルローダミンまたはTAMRA、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、リサミンローダミンB、ローダミン6G、ローダミンGreen、ローダミンRed、テトラメチルローダミン(TMR)など)、クマリンおよびクマリン色素(例えば、メトキシクマリン、ジアルキルアミノクマリン、ヒドロキシクマリン、アミノメチルクマリン(AMCA)など)、Q-DOTS、オレゴングリーン色素(例えば、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514など)、テキサスレッド、テキサスレッド-X、SPECTRUM RED、SPECTRUM GREEN、シアニン色素(例えば、CY-3、CY-5、CY-3.5、CY5.5など)、ALEXA FLUOR色素(例えば、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680など)、BODIPY色素(例えば、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665など)、IRDyes(例えば、IRD40、IRD 700、IRD 800など)などが含まれるが、これらに限定されない。蛍光標識剤の好ましい特性としては、高いモル吸収係数、高い蛍光量子収率および光安定性が挙げられる。いくつかの実施形態では、標識フルオロフォアは、スペクトルの紫外範囲(すなわち、400nm未満)ではなく可視(すなわち、400と750nmの間)で吸収および発光波長を示す。
【0028】
検出可能な部分は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)などの1つよりも多い化学的実体を含み得る。共鳴移動は、発光強度の全体的な向上をもたらす。共鳴エネルギー移動を達成するために、第1の蛍光分子(「ドナー」蛍光体)は光を吸収し、励起電子の共鳴によってそれを第2の蛍光分子(「アクセプター」蛍光体)に移動させる。1つのアプローチでは、ドナー色素とアクセプター色素の両方を一緒に連結し、オリゴプライマーに結合させることができる。使用され得る色素のドナー/アクセプター対としては、例えば、フルオレセイン/テトラメチルローダミン、IAEDANS/フルオレセイン、EDANS/DABCYL、フルオレセイン/フルオレセイン、BODIPY FL/BODIPY FLおよびフルオレセイン/QSY 7色素が挙げられる。これらの色素の多くは、例えば、Molecular Probes Inc.(Eugene,Oreg.)から市販されている。適切なドナーフルオロフォアとしては、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、テトラクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(TET)、2’-クロロ-7’-フェニル-1,4-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(VIC)などが挙げられる。
【0029】
または、適切な蛍光クエンチャー分子を使用してもよい。本明細書で使用される場合、蛍光クエンチングは、Biosearch Technologiesから市販されているブラックホールクエンチャーなどの分子の蛍光を減少させる任意のプロセスを指す。そのようなクエンチャーとしては、BHQ0、BHQ1、BHQ3およびBHQ4が挙げられるが、これらに限定されない。様々なクエンチャー色素が、FAM、TET、JOE、HEX、オレゴングリーン(登録商標)、TAMRA、ROX、シアニン-3、シアニン-3.5、シアニン-5およびシアニン-5.5(例えば、CY-3、CY-5、CY-3.5、CY5.5など)を含む特定のフルオロフォアとの使用に適している。
【0030】
特定の実施形態において、検出可能な部分は、酵素である。適切な酵素の例としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で使用されるもの、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、β-グルクロニダーゼ、β-D-グルコシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼなどが挙げられる。酵素は、カルボジイミド、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなどのリンカー基を用いて分子に結合されてもよい。
【0031】
特定の実施形態において、検出可能な部分は、放射性同位体である。例えば、分子は同位体標識されていてもよく(すなわち、自然界で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられた1またはそれを超える原子を含んでもよい)、または同位体が分子に結合していてもよい。分子に組み込むことができる同位体の非限定的な例としては、水素、炭素、フッ素、リン、銅、ガリウム、イットリウム、テクネチウム、インジウム、ヨウ素、レニウム、タリウム、ビスマス、アスタチン、サマリウム、およびルテチウム(すなわち、3H、13C、14C、18F、19F、32P、35S、64Cu、67Cu、67Ga、90Y、99mTc、111In、125I、123I、129I、131I、135I、186Re、187Re、201T1、212Bi、213Bi、21lAt、153Sm、177Lu)の同位体が挙げられる。
【0032】
病原体検出のための方法
SARS-CoV-2などの病原体を検出するためのシステムおよび方法が開示される。本方法およびシステムは、様々な方法で具現化することができる。
【0033】
特定の実施形態では、本方法は、対象由来の試料中の病原体の有無を検出する方法であって、対象から試料を得る工程と、試料中に存在する任意の病原体を不活性化するために試料を処理する工程と、必要に応じて、試料中に存在する任意の病原体を濃縮するために、試料を処理する工程と、試料から核酸を単離するために、熱不活性化されて必要に応じて濃縮された試料を処理する工程と、単離された病原体特異的核酸の有無を検出する工程とを含む方法を含んでよい。
【0034】
様々な試料タイプを使用することができる。特定の実施形態では、試料は、上気道系または下気道系のいずれか由来の検体を含む。例えば、試料は、鼻咽頭または中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、または鼻咽頭洗浄物/吸引物または鼻吸引物であり得る。あるいは、他のタイプの試料を用いてもよい。
【0035】
特定の実施形態では、検出する工程は、病原体に特異的な配列の増幅をさらに含む。例えば、病原体がウイルスである場合、検出は、ウイルスに特異的な配列の増幅を含んでよい。病原体がRNAウイルスである特定の実施形態では、検出は、ウイルスに特異的なコピーDNA(cDNA)配列を生成し、続いて、例えばウイルスに特異的な配列のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅による増幅を含んでよい。例えば、本方法は、不活性化された試料からRNAを単離する工程と、不活性化された試料から単離されたRNAからコピーDNA(cDNA)を生成する工程と、cDNAの少なくとも1つの特異的標的配列を増幅する工程と、増幅された配列の有無を検出する工程とを含んでよい。
【0036】
特定の実施形態では、検出する工程は、病原体に存在しないが対象に存在する対照遺伝子の増幅をさらに含む。例えば、対照遺伝子は、ヒトRNase P(RP)遺伝子、または基本的な細胞維持に関与するハウスキーピング遺伝子などの別のヒト遺伝子であり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、試料を加熱して病原体を不活性化する。代替の実施形態では、試料は、指定された時間、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、または少なくとも70℃、または少なくとも75℃に加熱される。試料を、少なくとも10分間、または少なくとも20分間、または少なくとも30分間、または少なくとも40分間、または少なくとも50分間、または1時間、またはそれを超える時間、加熱してもよい。一実施形態では、試料を65℃で約30分間加熱してもよい。特定の実施形態では、病原体を不活性化するために試料をプロテアーゼで処理する。一実施形態では、プロテアーゼ、例えばプロテイナーゼKもまた、熱不活性化の前に試料に添加される。また、他のプロテアーゼを用いてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、ウイルスRNAの分析のために、ウイルスRNAを単離する工程は核酸抽出を含む。追加的および/または代替的に、試料は、病原体を最初に濃縮する方法に供され得る。例えば、ウイルス粒子を単離するために、ウイルス粒子に結合するように設計されたマトリックス(例えば、Nanotrap(登録商標)Virus Capture Kit(Ceres Nanosciences,Inc.)を使用して、試料をウイルスの濃縮(例えば、精製)に供することができる。そのようなマトリックスを使用して、濃縮ウイルス粒子からのウイルスRNAの溶出を、約90~99℃の温度で少なくとも3分間実施することができる。一実施形態において、溶出は、95℃で少なくとも5分間行われ得る。次いで、核酸(例えば、RNAまたはDNA)を試料から単離することができる。
【0039】
または、他の精製方法を使用してもよい。例えば、抽出緩衝液(例えば、HEPES緩衝液)中のプロテアーゼ(例えば、プロテイナーゼK)、EDTA、および非病原体DNA(例えば、サケ精子)を添加したまたは添加していない界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸リチウム)を使用し、約60~65℃で約1時間インキュベートし、続いてフェノール-クロロホルム-イソアミルアルコール中で抽出し、エタノール沈殿させて核酸を単離することができる。または、イソチオシアン酸グアニジニウムまたは他のカオトロピック剤の存在下での抽出を行ってもよい。
【0040】
一実施形態では、病原体はSARS-CoV-2である。したがって、特定の実施形態では、本方法は、対象由来の試料中のSARS-CoV-2を検出する方法であって、対象から試料を得る工程と、試料からSARS-CoV-2 RNAを単離する工程と、SARS-CoV-2 RNAからコピーDNA(cDNA)を生成する工程と、SARS-CoV-2 cDNAの少なくとも1つの標的配列を増幅する工程と、増幅されたSARS-CoV-2配列を検出する工程とを含む方法を含んでよい。一実施形態では、SARS-CoV-2 cDNAの少なくとも1つの標的配列は、SARS-CoV-2のヌクレオカプシド(N)遺伝子の少なくとも一部を含む。
【0041】
この方法は、定量的逆転写酵素(RT)PCRを使用し得る。例えば、特定の実施形態では、病原体の少なくとも1つの特異的標的配列を増幅する工程は、プローブを少なくとも1つの特異的標的配列にハイブリダイズさせ、それにより、増幅の伸長段階中にTaqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性が結合プローブを分解し、増幅中にプローブ上のレポーター色素をプローブ上のクエンチャー色素から分離させ、それによって蛍光シグナルを生成する工程を含んでよい。SARS-CoV-2の検出のために、SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程は、プローブをSARS-CoV-2の少なくとも1つの特異的標的配列にハイブリダイズさせ、それにより、増幅の伸長段階中にTaqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性が結合プローブを分解し、プローブ上のレポーター色素をプローブ上のクエンチャー色素から分離させ、それによって蛍光シグナルを生成する工程を含んでよい。当該分野で公知の種々のレポーター色素および/またはクエンチング色素を使用してもよい。特定の実施形態において、レポーター色素は、FAMである。追加的および/または代替的に、クエンチャー色素はBHQ1であってもよい。定量的PCRのために、次いで、蛍光強度が、増幅全体にわたって、例えば、各PCRサイクルまたは選択された時点でモニターされ得る。
【0042】
病原体に特異的な様々なプライマーおよびプローブを使用することができる。例えば、SARS-CoV-2の場合、SARS-CoV-2の少なくとも1つの特異的標的配列を増幅する工程は、COVID-19 N1、N2およびN3標的に対するプライマーおよびプローブならびにプライマーを使用するマルチプレックスRT-PCRを含む。特定の実施形態では、cDNA中に存在するSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)遺伝子の少なくとも1つの特定の標的配列を増幅する工程は、本明細書に開示の配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブの使用を含む。
【0043】
特定の実施形態では、増幅する工程は、ウイルスに存在しないが対象に存在する対照遺伝子の増幅をさらに含む。例えば、対照遺伝子は、ヒトRNase P(RP)遺伝子、またはハウスキーピング遺伝子などの別の遺伝子であり得る。特定の実施形態では、プライマー(配列番号10および11)および配列番号12のプローブは、RP遺伝子の検出のために使用される。
【0044】
特定の実施形態では、アッセイは、マルチプレックスアッセイとして行われる。例えば、SARS-CoV-2の検出のために、3つのSARS-CoV-2プライマーおよびプローブならびにRPプライマーおよびプローブを用いてアッセイを実施することができる。したがって、特定の実施形態では、SARS-CoV-2 N1遺伝子のプライマーは配列番号1および2であり、内部プローブは配列番号3である。また、特定の実施形態では、SARS-CoV-2 N2遺伝子のプライマーは配列番号4および5であり、内部プローブは配列番号6である。また、特定の実施形態では、SARS-CoV-2 N3遺伝子のプライマーは配列番号7および8であり、内部プローブは配列番号9である。また、特定の実施形態では、RP遺伝子のプライマーは配列番号10および11であり、内部プローブは配列番号12である。TaqMan(登録商標)プローブは、5’末端がレポーター分子6-カルボキシフルオレセイン(FAM)で標識され、3’末端がクエンチャーであるBlack Hole Quencher 1(BHQ-1)(Biosearch Technologies,Inc.,Novato,CA)で標識され得る。これらのプライマーおよびプローブの変異体を使用して、SARS-CoV-2変異株を検出することができる。
【0045】
蛍光強度は、各PCRサイクルでモニターされ得る。方法は自動化されてもよい。例えば、特定の実施形態では、ソフトウェアバージョン1.3を有するApplied Biosystems QuantStudio 7 Flex(QS7)機器を使用して、PCR増幅中の蛍光強度をモニターすることができる。あるいは、定量的PCRをモニタリングするための他の機器およびコンピュータソフトウェアを使用してもよい。
【0046】
本開示の方法の一実施形態(102)を図1に示す。したがって、一実施形態では、試料は対象から得られる(104)。特定の実施形態では、試料は、鼻咽頭または中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、または鼻咽頭洗浄物/吸引物または鼻吸引物であり得る。あるいは、他のタイプの試料を用いてもよい。
【0047】
次に、試料を熱で処理して、試料中に存在する病原体を不活性化することができる(106)。代替の実施形態では、試料は、指定された時間、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、または少なくとも70℃、または少なくとも75℃に加熱される。試料を、少なくとも10分間、または少なくとも20分間、または少なくとも30分間、または少なくとも40分間、または少なくとも50分間、または1時間、またはそれを超える時間、加熱してもよい。一実施形態では、試料を65℃で約30分間加熱してもよい。一実施形態では、プロテアーゼ、例えばプロテイナーゼKまたは別のプロテアーゼを添加して、病原体を不活性化することができる。特定の実施形態では、プロテアーゼはまた、熱不活性化のために熱を加える前に試料に加えられる。
【0048】
また、必要に応じて、試料中に存在する任意の病原体を、試料の残りの部分から部分的に精製(例えば、濃縮)してもよい(108)。例えば、ウイルス粒子を単離するために、ウイルス粒子に結合するように設計されたマトリックス(例えば、Nanotrap(登録商標)Virus Capture Kit、Ceres Nanosciences,Inc.)を使用して、試料をウイルスの濃縮(例えば、精製)に供することができる。または、他の精製方法を使用してもよい。そのようなマトリックスを使用して、濃縮ウイルス粒子からのウイルスRNAの溶出を、90~99℃の温度で少なくとも3分間実施することができる。一実施形態において、溶出は、95℃で少なくとも5分間行われ得る。次いで、核酸(例えば、RNAまたはDNA)を試料から単離することができる(110)。この時点で、病原体特異的核酸の存在および/または量を決定することができる(112)。病原体核酸がRNAである特定の実施形態では、RNAの少なくとも一部のcDNAが生成され得る。
【0049】
病原体核酸の検出のために、病原体に特異的な配列をその後の検出のために増幅することができる。例えば、一実施形態では、病原体中の核酸配列に特異的なプライマーおよび内部プローブを使用する定量的(すなわち、リアルタイム)PCR増幅を使用することができる。一実施形態において、内部プローブは、増幅がTaqポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性がレポーター色素を放出することを可能にし、それによって増幅をモニターすることを可能にするように、レポーター色素およびクエンチャー色素で標識され得る。当技術分野における任意のレポーター色素およびクエンチャー色素が使用され得る。特定の実施形態において、レポーター色素はFAMであり、クエンチャー色素はBHQ1である。あるいは、対立遺伝子種PCR増幅、デジタルPCRまたは核酸配列決定などの他の検出方法を使用してもよい。特定の実施形態では、検出する工程は、ウイルスに存在しないが対象に存在する対照遺伝子の増幅(112)をさらに含む。例えば、対照遺伝子は、ヒトRNase P(RP)遺伝子、またはハウスキーピング遺伝子などの別の遺伝子であり得る。
【0050】
この時点で、結果は、対象、またはその医療提供者、または他の医療専門家に報告され得る(114)。
【0051】
方法は自動化されてもよい。例えば、一実施形態では、ソフトウェアバージョン1.3を備えたApplied Biosystems QuantStudio 7 Flex(QS7)機器を使用してcDNAを増幅する。あるいは、他の増幅システムを使用してもよい。
【0052】
SARS-CoV-2を検出するための本開示の方法の一実施形態(200)を図2に示す。したがって、一実施形態では、試料は対象から得られる(202)。特定の実施形態では、試料は、鼻咽頭または中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、または鼻咽頭洗浄物/吸引物または鼻吸引物であり得る。あるいは、他のタイプの試料を用いてもよい。
【0053】
試料を必要に応じて熱で処理して、試料中に存在するSARS-CoV-2ウイルスを不活性化することができる(204)。代替の実施形態では、試料は、指定された時間、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、または少なくとも70℃、または少なくとも75℃に加熱される。試料を、少なくとも10分間、または少なくとも20分間、または少なくとも30分間、または少なくとも40分間、または少なくとも50分間、または1時間、またはそれを超える時間、加熱してもよい。一実施形態では、試料を65℃で約30分間加熱してもよい。したがって、一実施形態では、試料を加熱してSARS-CoV-2ウイルスを不活性化することができる。一実施形態では、プロテアーゼ、例えばプロテイナーゼKまたは別のプロテアーゼも、ウイルスを不活性化するために添加される。プロテアーゼは、ウイルスの熱不活性化中に機能するように、熱を加える前に加えられてもよい。
【0054】
また、必要に応じて、試料中に存在するSARS-CoV-2ウイルスを、試料の残りの部分から部分的に精製(例えば、濃縮)してもよい(206)。例えば、ウイルス粒子を単離するために、ウイルス粒子に結合するように設計されたマトリックス(例えば、Nanotrap(登録商標)Virus Capture Kit、Ceres Nanosciences,Inc.)を使用して、試料をウイルスの濃縮(例えば、精製)に供することができる。または、他の精製方法を使用してもよい。そのようなマトリックスを使用して、濃縮ウイルス粒子からのウイルスRNAの溶出を、90~99℃の範囲内の温度で少なくとも3分間実施することができる。一実施形態において、溶出は、95℃で少なくとも5分間または同様の条件下で行われ得る。
【0055】
この時点で、SARS-CoV-2 RNAを試料から単離し(208)、これを使用してコピーDNA(cDNA)を生成することができる(210)。cDNAを使用して、試料中のSARS-CoV-2 RNA配列の存在および/または量を決定することができる。例えば、一実施形態では、定量的PCR増幅が使用される(212)。定量的PCRは、cDNA中に存在するSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)遺伝子の少なくとも1つの特異的標的配列を増幅し、増幅されたSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)遺伝子配列を検出することによって行うことができる。一実施形態において、cDNAまたは増幅産物に結合することができる内部プローブは、増幅がTaqポリメラーゼの5’エキソヌクレアーゼ活性がレポーター色素を放出することを可能にし、増幅をモニターすることを可能にするように、レポーター色素およびクエンチャー色素で標識され得る。当技術分野における任意のレポーター色素およびクエンチャー色素が使用され得る。特定の実施形態において、レポーター色素はFAMであり、クエンチャー色素はBHQ1である。特定の実施形態では、表2のプライマーおよびプローブ(配列番号1~9)をSARS-CoV-2の検出に使用する。特定の実施形態では、増幅する工程は、ウイルスに存在しないが対象に存在する対照遺伝子の増幅をさらに含む。例えば、対照遺伝子は、ヒトRNase P(RP)遺伝子、または別の遺伝子であり得る。特定の実施形態では、プライマー(配列番号10~11)および配列番号12のプローブは、RP遺伝子の検出のために使用される。結果は、対象、またはその医療提供者、または他の医療専門家に報告され得る(214)。
【0056】
本方法およびシステムは、1日未満で結果をもたらすように最適化され得る。例えば、本明細書に開示されるSARS-CoV-2の分析の場合、本方法は、10時間未満、または8時間未満、または6時間未満、または4時間未満、または3時間未満、または2時間未満、または1時間未満かかり得る。また、上記のように、一実施形態では、ウイルス核酸の抽出の前に、試料をウイルスの濃縮および/または熱不活性化、および/またはプロテアーゼ処理に供することができる。一実施形態では、熱不活性化は、試料の処理の改善を可能にし、および/または実験室の人員を保護する。これにより、スループットを向上させ、約40分またはそれ未満で複数の試料(例えば、400個の試料)の処理を可能にすることができる。例えば、特定の実施形態では、開示された方法は、ロボットで実行されてもよい。ロボット処理は、完全に手動で実行される方法よりも短いターンアラウンドで多数の試料を分析することを可能にし得る。ロボットの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかによるさらなる分析のために、試料を試料収集装置(例えば、チューブ、バイアル、試料キャリアなど)からロボットで抽出することができる。さらなるロボットの実施形態では、抽出された試料を、開示された方法のいずれかによるPCR反応のために反応容器(例えば、チューブ、バイアルなど)に入れることができる。追加的および/または代替的に、PCR反応はロボットで行われてもよい。
【0057】
組成物およびキット
開示される方法のいずれかを実施するための、または開示されるシステムのいずれかを実行するための組成物および/またはキットも本明細書に開示される。一実施形態では、組成物および/またはキットは、対象由来の試料中の病原体の有無を検出するための試薬を含む。組成物および/またはキットは、対象から試料を得るための試薬または成分、例えば、鼻スワブ、緩衝液、保存液などを含んでよい。組成物および/またはキットは、試料中に存在する任意の病原体を不活性化するために試料を熱で処理するための試薬または成分をさらに含んでよい。組成物および/またはキットは、試料をプロテアーゼで処理するための試薬または成分をさらに含んでよい。組成物および/またはキットは、本明細書で詳細に論じられるように、病原体を部分的に精製するための試薬または成分をさらに含んでよい。試薬および/または成分は、個別に包装されてもよい。また、組成物および/またはキットは、使用説明書をさらに含んでよい。
【0058】
組成物および/またはキットは、単離された病原体特異的核酸の有無を検出するための試薬または成分をさらに含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、組成物および/またはキットは、病原体特異的(および/または対照)RNAからコピーDNA(cDNA)を生成するための試薬または成分をさらに含んでよい。
【0059】
追加的および/または代替的に、組成物および/またはキットは、病原体中の核酸配列に特異的なプライマーおよび内部プローブを使用して、定量的PCR増幅のための試薬または成分をさらに含み得る。特定の実施形態では、増幅がTaqポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性のレポーター色素の放出をモニターすることを可能にするように、内部プローブをレポーター色素およびクエンチャー色素で標識することができる。当技術分野における任意のレポーター色素およびクエンチャー色素が使用され得る。特定の実施形態において、レポーター色素はFAMであり、クエンチャー色素はBHQ1である。
【0060】
いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2の検出のために、組成物および/またはキットは、cDNA中に存在するSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)遺伝子の少なくとも1つの特定の標的配列を増幅し、増幅されたSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)遺伝子配列を検出するための試薬または成分をさらに含んでよい。
【0061】
本開示の組成物および/またはキットには、SARS-CoV-2に特異的な様々なプライマーおよびプローブが含まれ得る。特定の実施形態では、組成物および/またはキットは、SARS-CoV-2 N1、N2およびN3標的に対するプライマーおよび/またはプローブを含んでよい。特定の実施形態では、cDNA中に存在するSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)遺伝子の少なくとも1つの特定の標的配列を増幅する工程は、本明細書に開示の配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブの使用を含む。また、特定の実施形態では、組成物および/またはキットは、ウイルスには存在しないが対象に存在する対照遺伝子の増幅のための試薬(例えば、プライマーおよびプローブ)を含んでよい。例えば、対照遺伝子は、ヒトRNase P(RP)遺伝子、または別の遺伝子であり得る。RP配列の検出のために、RP遺伝子の増幅のための試薬(例えば、プライマーおよびプローブ)は、配列番号10および11のプライマーならびに配列番号12のプローブを含んでよい。特定の実施形態では、プライマーおよび/またはプローブは、本明細書に開示される検出可能部分などの検出可能部分で標識される。
【0062】
組成物および/またはキットを使用して、定量的PCRを使用したその後の増幅のためにRNAをcDNAに逆転写することができる。SARS-CoV-2の分析のために、RT-PCRは、SARS-CoV-2のプライマーおよびプローブ、および/または、ヒトRP遺伝子などの内部(すなわち、非SAR-CoV-2)対照のためのプライマーおよびプローブを用いる多重反応を含んでよい。あるいは、プライマーとプローブの他の組み合わせを他の病原体に使用してもよい。開示される組成物および/またはキットの特定の実施形態では、アッセイは、ヌクレオカプシド遺伝子に対する3セットのSARS-CoV-2プライマーおよびプローブと、RP遺伝子に対する1セットのプライマーおよびプローブとを用いたマルチプレックスアッセイとして行われる。したがって、特定の実施形態では、SARS-CoV-2 N1遺伝子のプライマーは配列番号1および2であり、内部プローブは配列番号3である。また、特定の実施形態では、SARS-CoV-2 N2遺伝子のプライマーは配列番号4および5であり、内部プローブは配列番号6である。また、特定の実施形態では、SARS-CoV-2 N3遺伝子のプライマーは配列番号7および8であり、内部プローブは配列番号9である。また、特定の実施形態では、RP遺伝子のプライマーは配列番号10および11であり、内部プローブは配列番号12である。TaqMan(登録商標)プローブは、5’末端がレポーター分子6-カルボキシフルオレセイン(FAM)で標識され、3’末端がクエンチャーであるBlack Hole Quencher 1(BHQ-1)(Biosearch Technologies,Inc.,Novato,CA)で標識され得る。あるいは、他の色素を使用してもよい。あるいは、プライマーは、内部プローブを必要とせずに増幅産物の検出のために本明細書に開示される検出可能な部分のいずれかで標識され得る。また、これらのプライマーおよびプローブの変異体を使用して、SARS-CoV-2変異株を検出することができる。
【0063】
特定の実施形態では、組成物および/またはキットは、少なくとも1つの以下の対照を含んでよい。
【0064】
内部対照-臨床試料におけるRNase P(RP)対照。RPプライマーおよびプローブセットは、検体の質を制御しかつ核酸が抽出プロセスによって生成されたことを実証するヒトRPについて試験するための各ランに含まれ得る。あるいは、他の内部対照を用いてもよい。
【0065】
陽性鋳型対照-本方法によって標的化されるゲノム領域を有するインビトロ転写鋳型(例えば、SARS-CoV-2)RNAを含む。陽性対照は、rRT-PCR試薬および反応条件の失敗をモニターするために使用され得る。あるいは、別の陽性鋳型対照を使用してもよい。
【0066】
陰性抽出対照(NEC)-一実施形態では、これは以前に特徴付けられた陰性患者試料であり得る。NECは、内部(例えばRP)プライマーおよびプローブセットの抽出対照および陽性対照として使用することができる。
【0067】
鋳型なし(陰性)対照-非特異的増幅、実験設定中の交差汚染、および試薬の核酸汚染をモニターするために、ヌクレアーゼフリーの分子グレード水を使用することができる。
【0068】
システム
本明細書の方法を実行するためのシステムも開示される。例えば、本システムは、方法の様々な工程を実行するための1つまたは複数のステーションを備えることができる。特定の実施形態では、ステーションは、本方法の1つまたは複数の工程を実行するためのロボットステーションを備えてもよい。
【0069】
図3は、病原体検出のためのシステム(300)の一実施形態を示す。したがって、本システムは、対象から試料を取得および/または受け取るためのステーション(302)を備えることができる。
【0070】
例えば、多くの場合、試験領域から離れた場所で対象から(例えば、医療専門家、介護者、または対象者自身によって)試料を採取し、試験領域に送ることができる。試料は、鼻咽頭または中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、または鼻咽頭洗浄物/吸引物または鼻吸引物であり得る。あるいは、他のタイプの試料を用いてもよい。
【0071】
本システムは、特定の実施形態では、試料中に存在する病原体を不活性化するために試料を処理するためのステーション(304)を有してよい。特定の実施形態では、試料を加熱して病原体を不活性化する。代替の実施形態では、試料は、指定された時間、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、または少なくとも70℃、または少なくとも75℃に加熱される。試料を、少なくとも10分間、または少なくとも20分間、または少なくとも30分間、または少なくとも40分間、または少なくとも50分間、または1時間、またはそれを超える時間、加熱してもよい。一実施形態では、試料を65℃で約30分間加熱してもよい。特定の実施形態では、本システムは、プロテアーゼ、例えばプロテイナーゼKまたは別のプロテアーゼを添加するためのステーションを有し得る。このステーション(図3には示されていない)は、熱不活性化のためのステーションの前、後、またはその一部であってもよい。
【0072】
また、必要に応じて、本システムは、試料中に存在する任意の病原体を部分的に精製する(例えば、濃縮する)ためのステーション(306)を有してもよい。例えば、ウイルス粒子を単離するために、ウイルス粒子に結合するように設計されたマトリックス(例えば、Nanotrap(登録商標)Virus Capture Kit、Ceres Nanosciences,Inc.)を使用して、試料をウイルスの濃縮(例えば、精製)に供することができる。または、他の精製方法を使用してもよい。そのようなマトリックスを使用して、濃縮ウイルス粒子からのウイルスRNAの溶出を、90~99℃の温度で少なくとも3分間実施することができる。一実施形態において、溶出は、95℃で約5分間行われ得る。
【0073】
本システムはまた、試料から核酸(例えば、RNAまたはDNA)を単離するためのステーション(308)を有し得る。核酸がRNAである場合、本システムは、RNAからcDNAを生成するためのステーション(310)を有し得る。また、本システムは、試料中の病原体特異的核酸の存在および/または量を決定するためのステーション(312)を有し得る。例えば、一実施形態では、本明細書に開示されるように、病原体中の核酸配列に特異的なプライマーおよび内部プローブを使用する定量的PCR増幅を使用することができる。本システムはまた、結果を対象、またはその医療提供者、または他の医療専門家に報告するステーション(314)を含むことができる。
【0074】
本開示は、例示されているようなステーションのうちのいくつかが、単一のステーションとして組み合わせされ得ることを考慮する。例えば、限定するものではないが、RNA単離、cDNA調製および定量的PCRのためのステーションは、単一のステーションとして組み合わせることができる。あるいは、病原体の熱不活性化および部分的精製のためのステーションを組み合わせてもよい。また、図3に示すように、ステーションのいずれかは、コンピュータ(400)および/またはプログラム可能なソフトウェアによって、自動化、ロボット制御、および/または少なくとも部分的に制御されてもよい。したがって、本システムは、システムまたはシステムの任意の部分を実行するように構成された命令、および/または開示された実施形態のいずれかの方法の1つまたは複数の工程を実施するように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品を備えてもよい。いくつかの実施形態では、1またはそれを超えるデータプロセッサと、1またはそれを超えるデータプロセッサ上で実行された場合に本明細書に開示される1またはそれを超える方法またはプロセスの一部または全部を1またはそれを超えるデータプロセッサに実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを含むシステムが提供される。
【0075】
例えば、1またはそれを超えるデータプロセッサと、1またはそれを超えるデータプロセッサ上で実行された場合に、対象から試料を取得する工程;試料中に存在する任意の病原体を不活性化するために試料を処理する工程;必要に応じて、試料中に存在する任意の病原体を濃縮するために試料を処理する工程;不活化され、必要に応じて濃縮された試料を処理して、試料から病原体特異的核酸を単離する工程;単離された病原体特異的核酸の有無を検出する工程のうちの少なくとも1つを指示するための動作を1またはそれを超えるデータプロセッサに実施させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備えるシステムが開示される。
【0076】
また、システムを実行するように構成された命令、および/または開示された実施形態のいずれかの方法の1つまたは複数の工程を実施するように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品も開示される。例えば、特定の実施形態では、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品は、対象から試料を取得する工程;試料中に存在する任意の病原体を不活性化するために試料を処理する工程;必要に応じて、試料中に存在する任意の病原体を濃縮するために試料を処理する工程;不活化され、必要に応じて濃縮された試料を処理して、試料から病原体特異的核酸を単離する工程;単離された病原体特異的核酸の有無を検出する工程のうちの少なくとも1つを指示するための動作を1またはそれを超えるデータプロセッサに実施させるように構成された命令を含む。
【0077】
本システムおよびコンピュータ製品は、本明細書に開示される方法のいずれかを実行することができる。本明細書に記載の1またはそれを超える実施形態は、プログラムモジュール、エンジン、または構成要素を使用して実施することができる。プログラムモジュール、エンジン、または構成要素は、プログラム、サブルーチン、プログラムの一部、または、1またはそれを超える記載されたタスクもしくは機能を実行することができるソフトウェア構成要素もしくはハードウェア構成要素を含むことができる。本明細書で使用される場合、モジュールまたは構成要素は、他のモジュールまたは構成要素とは独立してハードウェア構成要素上に存在することができる。あるいは、モジュールまたは構成要素は、他のモジュール、プログラムまたは機械の共有要素またはプロセスであり得る。
【0078】
図4は、病原体の検出および/または定量化に使用される分析システム(400)のブロック図を示す。図4に示すように、1またはそれを超えるプロセッサによって実行可能なモジュール、エンジン、または構成要素(例えば、プログラム、コード、または命令)を使用して、様々な実施形態による分析装置システムの様々なサブシステムを実装することができる。モジュール、エンジン、または構成要素は、非一時的コンピュータ媒体に記憶されてもよい。必要に応じて、モジュール、エンジン、または構成要素のうちの1つまたは複数をシステムメモリ(例えば、RAM)にロードし、分析装置システムの1またはそれを超えるプロセッサによって実行することができる。図4に示す例では、本開示の方法を実施するためのモジュール、エンジン、または構成要素が示されている。
【0079】
したがって、図4は、本開示によるシステムおよび方法での使用に適した例示的なコンピューティングデバイス(400)を示す。例示的なコンピューティングデバイス(400)は、1またはそれを超える通信バス(415)を使用してメモリ(410)およびコンピューティングデバイス(400)の他の構成要素と通信するプロセッサ(405)を備える。プロセッサ(405)は、メモリ(410)に格納されたプロセッサ実行可能命令を実行して、図1図3のものまたは本明細書の他の箇所に開示されているものなどの異なる例に従って病原体レベルを検出するための1またはそれを超える方法を実行するか、または1またはそれを超えるステーションを動作させるように構成される。この例では、メモリ(410)は、本明細書で論じるように、SARS-CoV-2または他の病原体についてのRT-PCR結果を分析(420)することができるプロセッサ実行可能命令(425)を格納することができる。
【0080】
この例のコンピューティングデバイス400はまた、ユーザ入力を受け入れるために、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのような1またはそれを超えるユーザ入力デバイス(430)を備えていてもよい。コンピューティングデバイス(400)はまた、ユーザインターフェースなどの視覚出力をユーザに提供するためのディスプレイ(435)を備えていてもよい。コンピューティングデバイス(400)はまた、通信インターフェース(440)を備えていてもよい。いくつかの例では、通信インターフェース(440)は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」);インターネットなどの広域ネットワーク(「WAN」);メトロポリタンエリアネットワーク(「MAN」);ポイント・ツー・ポイントまたはピア・ツー・ピア接続等を含む1またはそれを超えるネットワークを使用した通信を可能にすることができる。他のデバイスとの通信は、任意の適切なネットワークプロトコルを使用して達成され得る。例えば、1つの適切なネットワークプロトコルは、インターネットプロトコル(「IP」)、伝送制御プロトコル(「TCP」)、ユーザデータグラムプロトコル(「UDP」)、または、TCP/IPもしくはUDP/IPなどのそれらの組み合わせを含むことができる。
【0081】
SARS-CoV-2の検出
開示されるSARS-CoV-2 RT-PCR試験の一実施形態は、SARS-CoV-2に感染している疑いがある個体から収集された上気道検体および下気道検体(例えば、鼻咽頭または中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、および鼻咽頭洗浄物/吸引物または鼻吸引物)におけるSARS-CoV-2からの核酸の定性的検出のためのリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(rRT-PCR)試験を含む。
【0082】
一実施形態では、結果は、SARS-CoV-2 RNAの同定のために提示される。SARS-CoV-2 RNAは、一般に、感染の急性期中に呼吸器検体で検出可能である。陽性結果はSARS-CoV-2 RNAの存在を示す。いくつかの実施形態では、患者の病歴および他の診断情報との臨床的相関を使用して、患者の感染状態を判定することができる。一実施形態では、陽性結果は、細菌感染または他のウイルスとの同時感染を排除しない。検出された薬剤は、疾患の明確な原因ではない可能性がある。また、一実施形態では、陰性結果はSARS-CoV-2感染を排除するものではなく、患者管理の判定のための唯一の根拠として使用されるべきではない。陰性結果は、臨床所見、患者の病歴および疫学的情報と組み合わせるべきである。
【0083】
本明細書に開示されるように、いくつかの実施形態では、本方法は、病原体の熱不活性化の工程を使用する。一実施形態では、ウイルスの熱不活性化後、上気道検体および下気道検体(例えば、鼻咽頭または中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、および鼻咽頭洗浄物/吸引物または鼻吸引物)からSARS-CoV-2核酸を単離し、抽出し、精製する。いくつかの実施形態では、試料をウイルス濃縮方法および/またはウイルス核酸の熱抽出に供する。次いで、本明細書に詳細に開示されるように、精製された核酸をcDNAに逆転写し、続いてPCR増幅し、ワンステップ(マルチプレックス)RT-PCRで検出することができる。
【0084】
特定の実施形態では、本方法は、少なくとも1つの以下の対照を利用する。
【0085】
内部対照-臨床試料におけるRNase P(RP)対照。RPプライマーおよびプローブセットは、検体の質を制御しかつ核酸が抽出プロセスによって生成されたことを実証するヒトRPについて試験するための各ランに含まれる。あるいは、他の内部対照を用いてもよい。
【0086】
陽性鋳型対照-本方法によって標的化されるゲノム領域を有するインビトロ転写鋳型(例えば、SARS-CoV-2)RNAを含む。陽性対照は、rRT-PCR試薬および反応条件の失敗をモニターするために使用され得る。
【0087】
陰性抽出対照(NEC)-一実施形態では、これは以前に特徴付けられた陰性患者試料であり得る。RPプライマーおよびプローブセットの抽出対照および陽性対照として使用される。
【0088】
鋳型なし(陰性)対照-非特異的増幅、実験設定中の交差汚染、および試薬の核酸汚染をモニターするために使用されるヌクレアーゼフリーの分子グレード水。
【実施例
【0089】
実施例1
試料を(例えば、96ウェルプレートに)等分し、次いで、ウイルスをプロテイナーゼKの存在下、65℃で30分間加熱することによって不活性化した。COVID-19 RT-PCR試験は、MagNA Pure 96 DNAおよびViral NA Small Volume Kitならびにソフトウェアバージョン1.3を備えたApplied Biosystems QuantStudio7 Flex(QS7)機器を使用して、Roche MagNA Pure-96(MP96)と共に使用することができる。プライマーおよびプローブは、疾患管理センター(CDC)によって推奨されているものである。表1および表2は、使用され得るプライマーおよびプローブならびに試薬を提供する。アッセイは、3つすべてのSARS-CoV-2プライマーおよびプローブならびにRPプライマーおよびプローブを用いたマルチプレックスアッセイとして実施した。TaqMan(登録商標)プローブを、5’末端がレポーター分子6-カルボキシフルオレセイン(FAM)で標識し、3’末端がクエンチャーであるBlack Hole Quencher 1(BHQ-1)(Biosearch Technologies,Inc.,Novato,CA)で標識した。Y=ピリミジン。一実施形態では、オリゴヌクレオチド配列は、SARS-CoV-2変異株の検出のために改変され得る。
【表1】
【表2】
【0090】
COVID-19 RT-PCRで使用される対照
1)陰性(鋳型なし)対照は、アッセイ実行時の試料汚染の可能性を排除するために使用され、すべてのアッセイプレートで使用される。この対照は、分子グレードのヌクレアーゼフリー水である。
2)陽性鋳型(COVID-19_N_P)対照は、アッセイ実行が意図した通りに行われていることを検証するために使用され、50コピー/uLの濃度でのマスターミックス添加から始まるすべてのアッセイプレートで使用される。陽性対照は、N1、N2およびN3のそれぞれ1コピーを含むインビトロ転写および精製ウイルスRNA標的から作製される。陽性鋳型対照は、RNase P標的を含まず、そのマーカーについて「未決定」として得られる。
3)RNase Pを標的とする内部(Hs_RPP30)対照は、核酸がすべての試料に存在することを検証するために使用され、処理されたすべての試料について使用される。これは、陰性として得られた試料が試験のための核酸を含有することを確実にするための抽出対照としても機能する。
4)陰性抽出(NEC)対照は、以前に特徴付けられた陰性患者試料である。これは、抽出プロセス中に発生する任意の交差汚染をモニターするための陰性抽出対照、ならびに抽出試薬および成功したRNA抽出を検証するための抽出対照の両方として機能する。
【0091】
結果の解釈
患者の結果を解釈する前に、すべての試験対照を検査する。対照が有効でない場合、患者の結果は解釈できないか、または一般に解釈されない。
【0092】
1)COVID-19 RT-PCR試験対照-陽性、陰性、および内部:
陰性(鋳型対照なし)-検出されたすべての標的について陰性(Ct非検出)。
陽性(COVID-19_N_P)-検出されたすべての標的について陽性(Ct<40)、内部抽出(Hs_RPP30)-SARS-CoV-2標的について陰性(Ct非検出)、RNase P(RP)標的について陽性(Ct<40)。
陰性抽出(NEC)-SARS-CoV-2標的について陰性(Ct非検出)、RNase P(RP)標的について陽性(Ct<40)。
上記のように対照が行われない場合、実行は無効であると考えられ、すべての検体が抽出工程から繰り返される。
【0093】
2)患者検体の結果の検討と解釈:
RP-すべての臨床試料は、40未満のCtでRP標的について陽性結果をもたらすべきである。この範囲においてRPおよび3つすべてのSARS-CoV-2標的の検出を示すことができない試料は、抽出工程から繰り返されるべきである。試料がSARS-CoV-2標的のいずれかを検出した場合、RP標的の増幅の欠如は有効であり得る(表3)。
【表3】
【0094】
性能評価
1)分析感度:
検出限界(LoD):
LoD研究は、COVID-19 RT-PCR試験によって少なくとも95%の割合で検出することができるSARS-CoV-2の最低濃度(ゲノムコピー(cp)/μL)を確立した。予備LoDは、SARS-CoV-2合成RNAの10倍希釈物を試験することによって確立された。予備LoDは、20レプリケートの2倍希釈物(50cp/μL、25cp/μL、12.5cp/μL、6.25cp/μL、3.125cp/μL、1.25cp/μL)を試験することによって確認された。定量した生SARS-CoV-2を陰性呼吸器臨床マトリックス(NPスワブおよびBAL)に添加することによって、2倍希釈の試料を調製した。研究結果は、COVID-19 RT-PCR試験のLoDが6.25cp/μL(19/20の陽性)であることを示した。
【0095】
2)分析特異性:
COVID-19 RT-PCR試験の交差反応性を、インシリコ分析を使用して、および以下の表に列挙した生物のパネルからの全生物または精製核酸を試験することによって評価した。経験的試験は、すべての標的が、COVID-19 RT-PCR試験のN3標的(SARS様ウイルスの普遍的な検出のための標的)と反応すると予想されるSARSコロナウイルスを除いて、試験したすべての微生物について陰性であることを示した(表4;ND=検出されず)。
【表4】
【0096】
BLAST分析は、表5に列挙した生物についてCOVID-19 RT-PCR試験のプライマーおよびプローブとの相同性を示さなかった。
【表5】
【0097】
3)臨床評価:
COVID-19 RT-PCR試験の性能を評価するために、工夫した臨床試験を行った。合計100個の個々の臨床呼吸器試料、50個のNP(鼻咽頭)スワブおよび50個のBAL(気管支肺胞洗浄液)を本研究で使用した。100個の陰性および80個の人工陽性を試験した。陰性試料には、50個のNPスワブおよび50個のBALが含まれる。陽性試料は、定量された生SARS-CoV-2をスパイクした40個のNPスワブおよび40個のBALで構成されていた。10個の試料をそれぞれ8×、4×、2×、および1×LODでスパイクした。LoDで調製された1つの考案されたBAL試料では、N3標的は決定されなかった。COVID-19 RT-PCR試験とNPスワブおよびBALでの予想結果との間の陽性パーセントおよび陰性パーセントの一致を表6および7に示す。
【表6】
【表7】
【0098】
さらに、5つの陽性患者試料および5つの陰性患者試料をノースカロライナ州保健局(NCDOH)に送付し、EUA下でのCDCアッセイで試験した。すべての結果は一致した(表8)。
【表8】
【0099】
実施例2
特定の実施形態では、本方法は、ウイルス粒子を濃縮し、続いてウイルス粒子からウイルスRNAを抽出することによって実施され得る。RNAが抽出された時点で、実施例1に詳述されているプライマーおよび方法を使用して増幅を行うことができる。
【0100】
簡潔には、試料(鼻スワブ)を受け取り、一部をプレート(例えば、96ウェルマイクロタイタープレート)の個々のウェルに分注する。プロテイナーゼKで処理し、65℃で30分間加熱することによってウイルスタンパク質を不活性化した後(実施例1のように行う)、ウイルス粒子に結合するように設計されたマトリックス(例えば、Nanotrap(登録商標)Virus Capture Kit、Ceres Nanosciences,Inc)を使用して試料をウイルスの濃縮(例えば、精製)に供する。簡潔には、熱不活性化ウイルス粒子を、製造業者によって推奨されるようにウイルス捕捉ビーズ(例えば、Nanotrap(登録商標))と混合する。次いで、ビーズを磁気的に濃縮し、培地を除去し、ビーズをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄することができる。磁気濃縮後、溶出緩衝液を添加し、次いでビーズに付着したウイルス粒子を溶出緩衝液中で必要な時間(例えば、5分)95℃でインキュベートする。次いで、ビーズを磁気的に濃縮し、ウイルスRNAを除去し、実施例1に記載のRT-PCRのために別のプレートに移す。プロセスは、ハミルトンロボットを使用して自動化することができる。ウイルスの加熱抽出を使用すると、実施例1に記載の精製を使用した4時間と比較して、400個の試料の処理を40分で完了させることができる。
【0101】
実施例3-実施形態
様々な非限定的な実施形態が以下に提供される。
【0102】
A1.対象由来の試料中のSARS-CoV-2を検出する方法であって、
対象から試料を得る工程;
試料からSARS-CoV-2 RNAを単離する工程;
SARS-CoV-2 RNAからコピーDNA(cDNA)を生成する工程;
SARS-CoV-2 cDNAの少なくとも1つの標的配列を増幅する工程;および
増幅されたSARS-CoV-2配列を検出する工程、を含む方法。
【0103】
A2.ウイルスを不活性化するために試料が処理される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
A3.ウイルスを不活性化するために試料が加熱される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
A4.試料が、指定された時間、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、または少なくとも70℃、または少なくとも75℃に加熱される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
A4.1 試料が、少なくとも10分間、または少なくとも20分間、または少なくとも30分間、または少なくとも40分間、または少なくとも50分間、または1時間、またはそれを超える時間、加熱される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
A4.2 ウイルスを不活性化するために試料が65℃で約30分間加熱される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
A5.ウイルスを不活性化するために試料がプロテアーゼで処理される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
A6.試料がプロテイナーゼKで処理される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
A7.SARS-CoV-2 RNAを単離する工程が、ウイルス粒子を濃縮する工程の後に、濃縮されたウイルス粒子からのSARS-CoV-2 RNAの溶出を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
A8.濃縮されたウイルス粒子からのウイルスRNAの溶出が、95℃で少なくとも5分間行われる、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
A9.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が定量RT-PCRを含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
A10.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列が、SARS-CoV-2のヌクレオカプシド(N)遺伝子の少なくとも一部を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
A11.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列が、SARS-CoV-2 N1、N2およびN3の配列を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
A12.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、SARS-CoV-2 N1、N2およびN3配列に対するプライマーおよびプローブを使用するマルチプレックスRT-PCRを含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
A13.SARS-CoV-2 cDNAの少なくとも1つの特異的標的配列を増幅する工程が、少なくとも1つの特異的標的配列にプローブをハイブリダイズさせ、それにより、増幅の伸長段階中にTaqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性が結合プローブを分解し、プローブ上のレポーター色素をプローブ上のクエンチャー色素から分離させ、蛍光シグナルを生成する工程を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
A14.レポーター色素がFAMである、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
A15.クエンチャー色素がBHQ1である、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
A16.増幅する工程が、ウイルスに存在しないが対象に存在する対照遺伝子からの核酸配列の増幅をさらに含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
A17.対照遺伝子がヒトRNase P(RP)遺伝子である、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
A18.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブの使用を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
A19.RP遺伝子からの核酸配列を増幅する工程が、配列番号10~12のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブの使用を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
A20.試料が、上気道系または下気道系のいずれか由来の検体を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
A21.試料が、鼻咽頭スワブ、中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭洗浄物もしくは吸引物、または鼻吸引物のうちの少なくとも1つを含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
B1.対象由来の試料中の病原体の有無を検出する方法であって、
対象から試料を得る工程;
試料中に存在する任意の病原体を不活性化するために試料を処理する工程;
必要に応じて、試料中に存在する任意の病原体を濃縮するために、試料を処理する工程;
試料から病原体特異的核酸を単離するために、不活性化されて必要に応じて濃縮された試料を処理する工程;および
単離された病原体特異的核酸の有無を検出する工程、を含む方法。
【0126】
B2.不活性化された試料からRNAを単離する工程;
不活性化された試料から単離されたRNAからコピーDNA(cDNA)を生成する工程;
cDNAの少なくとも1つの特異的標的配列を増幅する工程;および
増幅された配列の有無を検出する工程、をさらに含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
B3.病原体がSARS-CoV-2である、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
B4.病原体を不活性化するために試料が加熱される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
B5.試料が、指定された時間、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、または少なくとも70℃、または少なくとも75℃に加熱される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
B5.1 試料が、少なくとも10分間、または少なくとも20分間、または少なくとも30分間、または少なくとも40分間、または少なくとも50分間、または1時間、またはそれを超える時間、加熱される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
B5.2 病原体を不活性化するために試料が65℃で約30分間加熱される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
B6.病原体を不活性化するために試料がプロテアーゼで処理される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
B7.試料がプロテイナーゼKで処理される、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
B8.病原体核酸を単離する工程が、不活性化された病原体を濃縮する工程の後に、病原体核酸の溶出を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
B9.濃縮された病原体からの病原体核酸の溶出が、95℃で少なくとも5分間行われる、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
B10.病原体核酸の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が定量的PCRを含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
B11.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列が、SARS-CoV-2のヌクレオカプシド(N)遺伝子の少なくとも一部を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
B12.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列が、SARS-CoV-2 N1、N2およびN3の配列を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
B13.病原体の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、1つまたは複数の病原体標的配列に対するプライマーおよびプローブを使用するマルチプレックスRT-PCRを含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
B14.病原体の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、少なくとも1つの病原体標的配列にプローブをハイブリダイズさせ、それにより、増幅の伸長段階中にTaqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性が結合プローブを分解し、プローブ上のレポーター色素をプローブ上のクエンチャー色素から分離させ、蛍光シグナルを生成することを含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
B15.レポーター色素がFAMである、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
B16.クエンチャー色素がBHQ1である、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
B17.増幅する工程が、ウイルスに存在しないが対象に存在する対照遺伝子からの核酸配列の増幅をさらに含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
B18.対照遺伝子がヒトRNase P(RP)遺伝子である、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
B19.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブの使用を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
B20.RP遺伝子からの核酸配列を増幅する工程が、配列番号10~12のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブの使用を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
B21.試料が、上気道系または下気道系のいずれか由来の検体を含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
B22.試料が、鼻咽頭スワブ、中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭洗浄物もしくは吸引物、または鼻吸引物のうちの少なくとも1つを含む、前述または後述の方法の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
C1.前述の実施形態の工程もしくは工程のいずれかを実施するための、または後述のキットもしくは組成物の実施形態の組成物および/もしくはキットのいずれかを使用するための、システム。
【0150】
C2.対象由来の試料中の病原体の有無を検出するためのシステムであって、病原体を不活性化するための少なくとも1つのステーションと、病原体に特異的な核酸の有無を検出するためのステーションとを備える、システム。
【0151】
C3.対象から試料を受け取るためまたは取得するためのステーションを備える、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかのシステム。
【0152】
C4.対象由来の試料から病原体を精製または部分的に精製するためのステーションを備える、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかのシステム。
【0153】
C5.病原体から核酸を単離するためのステーションを備える、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかのシステム。
【0154】
C6.結果を報告するためのステーションを備える、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかのシステム。
【0155】
C7.病原体がSARS-CoV-2である、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0156】
C8.病原体を不活性化するために試料が加熱される、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0157】
C9.試料が、指定された時間、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、または少なくとも70℃、または少なくとも75℃に加熱される、前述または後述のシステムの実施形態のいずれか1つに記載のシステム。
【0158】
C9.1 試料が、少なくとも10分間、または少なくとも20分間、または少なくとも30分間、または少なくとも40分間、または少なくとも50分間、または1時間、またはそれを超える時間、加熱される、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0159】
C9.2 病原体を不活性化するために試料が65℃で約30分間加熱される、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0160】
C10.病原体を不活性化するために試料がプロテアーゼで処理される、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0161】
C11.試料がプロテイナーゼKで処理される、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0162】
C12.病原体核酸を単離する工程が、不活性化された病原体を濃縮する工程の後に、病原体核酸の溶出を含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0163】
C13.濃縮された病原体からの病原体核酸の溶出が、95℃で少なくとも5分間行われる、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0164】
C14.病原体核酸の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が定量的PCRを含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0165】
C15.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列が、SARS-CoV-2のヌクレオカプシド(N)遺伝子の少なくとも一部を含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0166】
C16.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列が、SARS-CoV-2 N1、N2およびN3の配列を含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0167】
C17.病原体の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、1つまたは複数の病原体標的配列に対するプライマーおよびプローブを使用するマルチプレックスRT-PCRを含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0168】
C18.病原体の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、少なくとも1つの病原体標的配列にプローブをハイブリダイズさせ、それにより、増幅の伸長段階中にTaqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性が結合プローブを分解し、プローブ上のレポーター色素をプローブ上のクエンチャー色素から分離させ、蛍光シグナルを生成することを含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0169】
C19.レポーター色素がFAMである、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0170】
C20.クエンチャー色素がBHQ1である、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0171】
C21.増幅する工程が、ウイルスに存在しないが対象に存在する対照遺伝子からの核酸配列の増幅をさらに含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0172】
C22.対照遺伝子がヒトRNase P(RP)遺伝子である、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0173】
C23.SARS-CoV-2の少なくとも1つの標的配列を増幅する工程が、配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブの使用を含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0174】
C24.RP遺伝子からの核酸配列を増幅する工程が、配列番号10~12のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブの使用を含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0175】
C25.試料が、上気道系または下気道系のいずれか由来の検体を含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0176】
C26.試料が、鼻咽頭スワブ、中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭洗浄物もしくは吸引物、または鼻吸引物のうちの少なくとも1つを含む、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0177】
C27.少なくとも1つのステーションが自動化および/またはコンピュータによって制御される、前述または後述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0178】
D1.本方法の任意の工程を実施するか、または前述の実施形態のシステムのステーションのいずれかを実行するように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品。
【0179】
D2.病原体に特異的な核酸の有無を検出するように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体で有形に具現化されたコンピュータプログラム製品。
【0180】
D3.SARS-CoV-2核酸の有無を検出するように構成された命令を含む、前述または後述の実施形態のいずれかの非一時的機械可読記憶媒体で有形に具現化されたコンピュータプログラム製品。
【0181】
E1.前述の実施形態の方法のいずれかを実施するための試薬を含む組成物。
【0182】
E2.SARS-CoV-2の有無を検出する試薬を含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0183】
E3.配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブをさらに含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0184】
E4.配列番号10~12のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブをさらに含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0185】
E5.対象から試料を得るための試薬を含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0186】
E6.病原体を不活性化するためのプロテアーゼを含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0187】
E7.試料中の他の成分から病原体を精製または部分的に精製するための試薬を含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0188】
E8.病原体を検出するための試薬を含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0189】
E9.RNAからcDNAを生成するための試薬を含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0190】
E10.定量的PCRのための試薬を含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0191】
E11.定量的PCRのためのプローブがレポーター色素およびクエンチャー色素で標識されている、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0192】
E12.定量的PCRのためのプローブがFAMおよび/またはBHQ1で標識されている、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0193】
E13.試薬のいずれかを使用するための説明書を含む、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0194】
E14.試薬またはその成分が個々の容器に包装されている、前述または後述の組成物の実施形態のいずれかの組成物。
【0195】
F1.前述の実施形態の方法のいずれかを実施するための試薬を含むキット。
【0196】
F2.SARS-CoV-2の有無を検出する試薬を含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0197】
F3.配列番号1~9のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブをさらに含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0198】
F4.配列番号10~12のいずれか1つの配列を有する少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブをさらに含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0199】
F5.対象から試料を得るための試薬または成分を含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0200】
F6.病原体を不活性化するためのプロテアーゼを含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0201】
F7.試料中の他の成分から病原体を精製または部分的に精製するための試薬を含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0202】
F8.病原体を検出するための試薬を含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0203】
F9.RNAからcDNAを生成するための試薬を含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0204】
F10.定量的PCRのための試薬を含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0205】
F11.定量的PCRのためのプローブがレポーター色素およびクエンチャー色素で標識されている、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0206】
F12.定量的PCRのためのプローブがFAMおよび/またはBHQ1で標識されている、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0207】
F13.試薬のいずれかを使用するための説明書を含む、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0208】
F14.試薬またはその成分が個々の容器に包装されている、前述または後述のキットの実施形態のいずれかのキット。
【0209】
さらなる考察
上記の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために具体的な詳細が示されている。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態を実施することができることが理解される。例えば、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にしないために、回路をブロック図に示すことができる。他の例では、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技術を不必要な詳細なしに示すことができる。
【0210】
上述した技術、ブロック、工程、および手段の実施は、様々な方法で行うことができる。例えば、これらの技術、ブロック、工程、および手段は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせにおいて実装することができる。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1またはそれを超える特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上述した機能を実行するように設計された他の電子ユニット、および/またはそれらの組み合わせ内に実装することができる。
【0211】
また、実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として示されるプロセスとして記載することができることに留意されたい。フローチャートは操作を順次プロセスとして記載することができるが、操作の多くは並行してまたは同時に実施することができる。さらに、操作の順序を並べ替えることができる。プロセスは、その操作が完了したときに終了するが、図に含まれていない追加の工程を有することができる。プロセスは、方法、機能、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応することができる。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼び出し関数またはメイン関数への関数の戻りに対応する。
【0212】
さらに、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、スクリプト言語、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、および/またはそれらの任意の組み合わせによって実装することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語、および/またはマイクロコードで実行される場合、必要なタスクを実施するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの機械可読媒体に記憶することができる。コードセグメントまたは機械実行可能命令は、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラス、または、命令、データ構造、および/またはプログラム文の任意の組み合わせを表すことができる。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、および/またはメモリ内容を渡すことによって、および/または受け取ることによって、別のコードセグメントまたはハードウェア回路に結合することができる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリ共有、メッセージパッシング、チケットパッシング、ネットワーク送信などを含む任意の適切な手段を介して渡す、転送する、または送信することができる。
【0213】
ファームウェアおよび/またはソフトウェア実装の場合、方法論は、本明細書に記載の機能を実施するモジュール(例えば、手順、機能など)で実装することができる。本明細書に記載の方法論を実施する際に、命令を有形に具現化する任意の機械可読媒体を使用することができる。例えば、ソフトウェアコードをメモリに記憶することができる。メモリは、プロセッサ内またはプロセッサの外部に実装することができる。本明細書で使用される場合、「メモリ」という用語は、任意のタイプの長期、短期、揮発性、不揮発性、または他の記憶媒体を指し、任意の特定のタイプのメモリまたはメモリ数、またはメモリが記憶される媒体タイプに限定されるものではない。
【0214】
さらに、本明細書で開示されるように、「記憶媒体」、「記憶」または「メモリ」という用語は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、および/または情報を記憶するための他の機械可読媒体を含む、データを記憶するための1またはそれを超えるメモリを表すことができる。「機械可読媒体」という用語は、携帯型もしくは固定型記憶装置、光記憶装置、無線チャネル、ならびに/または、格納もしくは搬送する命令(単数または複数)および/もしくはデータを記憶することができる様々な他の記憶媒体を含むが、これらに限定されない。
【0215】
本開示の原理は、特定の装置および方法に関連して上述されているが、この説明は、例としてのみ行われ、本開示の範囲に対する限定としてではないことを明確に理解されたい。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2023520465000001.app
【国際調査報告】