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特表2023-520467高高度プラットフォームの運動を補償するためのアンテナビーム生成の制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】高高度プラットフォームの運動を補償するためのアンテナビーム生成の制御
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/24 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
H01Q3/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559930
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 US2021022936
(87)【国際公開番号】W WO2021202111
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】16/838,077
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アナント、シャラス
(72)【発明者】
【氏名】ヘニンウルフ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】スコット、サイモン
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA10
5J021BA01
5J021DB06
5J021EA05
5J021FA31
5J021HA08
(57)【要約】
成層圏においてあるパターン(604)で移動して、目的領域にカバレッジを提供し、目的領域に対して相対的な高高度プラットフォーム(HAP)(102、200、400、603)の移動を補償するように構成された、HAP用の方法およびアンテナシステムが提供される。HAPの移動は監視されている(905)。HAPが目的領域に対して相対的に移動した(910)、かつ、相対的な移動に基づいて、HAPにおける複数のアンテナのうちの第1のアンテナが目的領域のうちの選択された部分をカバーできなくなった(915)と判断されると、HAPの移動に起因して目的領域に提供される通信サービスが中断されないように、目的領域のうちの選択された部分をカバーするために複数のアンテナのうちの第2アンテナに切り替えることによって、アンテナによって送信されたビームを調整するためにHAPにおけるアンテナアレイ切替回路が使用される(920)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成層圏においてあるパターンで移動して目的領域に通信サービスを提供するように構成された、高高度プラットフォーム(HAP)用のアンテナシステムであって、前記アンテナシステムが、前記目的領域に対して相対的な、前記成層圏における前記HAPの移動を補償するように構成され、前記アンテナシステムが、
コントローラと、
複数のビームに関連付けられた通信信号を前記コントローラから受信するように構成されたアンテナアレイ切替回路と、
前記アンテナアレイ切替回路に動作可能に結合された複数のアンテナであって、前記複数のアンテナの各々が、前記目的領域のうちの選択された部分に通信サービスを提供するビームを送信するように構成されている、複数のアンテナと
を備え、
前記コントローラが、
前記HAPが前記成層圏において前記目的領域に対して相対的に移動したと判断することと、
前記相対的な移動に基づいて、前記複数のアンテナのうちの第1のアンテナが前記目的領域のうちの前記選択された部分をカバーすることができなくなったと判断することと、
前記目的領域に提供される前記通信サービスが前記HAPの前記移動に起因して中断されないように、前記目的領域のうちの前記選択された部分をカバーするために前記複数のアンテナのうちの第2のアンテナに切り替えることによって、前記アンテナアレイ切替回路に、前記複数のアンテナにより送信される前記ビームを調整させることとを行うように構成されている、
アンテナシステム。
【請求項2】
前記複数のアンテナが、フェーズドアンテナアレイまたはノンフェーズドアレイのいずれかを形成する、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
前記複数のアンテナが円筒アンテナである、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
前記円筒アンテナの各々が、蒲鉾型の反射器の軸に沿って配置された2つの給電部を有する2素子給電反射器を含み、前記給電部の各々が、方位角または仰角で走査するために変数である位相を有する、請求項3に記載のアンテナシステム。
【請求項5】
センタービームおよび前記センタービームを取り囲む任意の外部ビームが、少なくとも40kmの直径を有する前記目的領域をカバーするように構成されている、請求項4に記載のアンテナシステム。
【請求項6】
前記複数のビームが、少なくとも、センタービームの周りに配置された外部ビームのセットを含む、請求項3から5のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項7】
前記外部ビームのセットが、少なくとも6つのビームを含む、請求項6に記載のアンテナシステム。
【請求項8】
前記アンテナアレイ切替回路が、フィード信号を前記複数のアンテナにルーティングするように構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項9】
前記複数のアンテナが環状アンテナである、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
前記HAPの前記移動を補償するために前記複数のアンテナへの給電が切り替えられる、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項11】
前記複数のアンテナへの前記給電の各々が、仰角または方位角のうちの少なくとも1つに基づいて選択される、請求項10に記載のアンテナシステム。
【請求項12】
成層圏において動作するように構成された高高度プラットフォーム(HAP)であって、前記HAPが、
請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナシステムと、
前記アンテナシステムに動作可能に結合された推進システムであって、前記推進システムが、前記目的領域に対して相対的な、前記成層圏における前記HAPの位置を調整するように構成されている、推進システムと
を備える、高高度プラットフォーム(HAP)。
【請求項13】
成層圏においてあるパターンで移動して目的領域にカバレッジを提供し、前記目的領域に対して相対的な高高度プラットフォーム(HAP)の移動を補償するように、前記HAPを制御する方法であって、前記方法が、
コントローラによって、前記成層圏における前記HAPの移動を監視する段階と、
前記コントローラによって、前記HAPが前記成層圏において前記目的領域に対して相対的に移動したと判断する段階と、
前記コントローラによって、前記相対的な移動に基づいて、前記HAPにおける複数のアンテナのうちの第1のアンテナが前記目的領域のうちの選択された部分をカバーできなくなったと判断する段階と、
前記目的領域に提供される通信サービスが前記HAPの前記移動に起因して中断されないように、前記目的領域のうちの前記選択された部分をカバーするために前記複数のアンテナのうちの第2のアンテナに切り替えることによって、前記コントローラによって、前記HAPにおけるアンテナアレイ切替回路に、前記複数のアンテナにより送信されたビームの調整を実行させる段階と
を備える、方法。
【請求項14】
前記複数のアンテナによって送信される前記ビームが、少なくとも、センタービームの周りに配置された外部ビームのセットを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記外部ビームのセットが少なくとも6つのビームを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記センタービームの周りに配置された前記外部ビームのセットの送信が、前記複数のアンテナのうちの円筒アンテナによって実行される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記センタービームの周りに配置された前記外部ビームのセットの送信が、前記複数のアンテナのうちの環状アンテナによって実行される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のアンテナのうちの1つまたは複数への給電の位相を変えて、方位角または仰角のうちの少なくとも1つで走査する段階をさらに備える、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のアンテナのうちの1つまたは複数の前記給電を切り替えて、前記HAPの前記移動を補償する段階をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
仰角または方位角のうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数のアンテナの各々の前記給電の内の特定のものを選択する段階をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年4月2日に出願された米国特許出願第16/838,077号の利益を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
インターネット、セルラデータネットワーク、および他のシステムを介したテレコミュニケーションコネクティビティは、世界の多くの地域で利用可能である。しかしながら、そのようなコネクティビティが利用可能でない、信頼性がない、または自然災害により停電を受ける場所が多く存在する。いくつかのシステムは、成層圏に位置する衛星または他の高高度プラットフォーム(HAP)を介して、遠隔地またはネットワークインフラストラクチャが限られた場所にネットワークアクセスを提供することができる。HAPは、互いに、ならびに地上ネットワーク機器およびモバイルデバイスと通信して、例えばロングタームエボリューション(LTE)規格によるテレコミュニケーションコネクティビティを提供し得る。
【0003】
HAPは、それぞれのビームを介して地上の異なる領域にインターネットサービスを提供する複数のセクタを有する通信プラットフォームを含む。生成されるビームが狭いほど、アンテナの利得がより良好になり、リンクバジェットがより良好になる。所望のカバレッジエリアはいくつかのビームを含み得、各ビームは、クライアントデバイスの視点から異なるセクタに対応する。
【発明の概要】
【0004】
所与のHAPが選択された位置にサービスを提供する場合、「軌道維持(on station)」に留まるための操作または他の是正処置を行う必要があり得る。HAPおよびその是正処置のタイプに応じて、それが発射するビームは、急速な速度で地上に対して相対的に移動(例えば、回転)し得る。この移動は、繰り返されるハンドオーバまたは通信プラットフォームのセクタのための他の調整を要求し得、それにより、処理要求が増加し、通信遅延が生まれ、HAPおよびクライアントデバイスのバッテリを消耗させ得る。いくつかのハンドオーバの問題は、デジタルビーム形成(DBF)を介して対処され得る。しかしながら、DBFは、より高い周波数でより多くの阻止が必要となり得る多数のアンテナ素子が要求され得ることから電力および機器の重量の観点で高価であり得る。さらに、パラボラリフレクタアンテナを使用する場合、走査角度は数度に限られ、それゆえ、HAPの移動を追跡することは困難または不可能である。
【0005】
位置保持の間、例えば、HAPが円形または他のパターンで空中を移動する場合に、通信プラットフォームのセクタは地上に対して相対的に急速な速度で回転し得る。一例において、ユーザ機器(UE)または他のクライアントデバイスは、10~20秒ごとに新しいビームに遭遇し得る。これにより、UEは、アイドルモードの間に繰り返しの再選択、または接続モードの間に複数のハンドオーバを実行させられ得る。これは、UEの電池寿命を著しく低下させ、テレコミュニケーションシステムのスループットに対して不利な影響を及ぼし得る。
【0006】
このことを考慮して、本技術の態様によれば、目的領域の上に位置を保持する、専用のアンテナ構造がHAPに対して採用される。これらの構造により、デジタルビーム形成の制約が回避され、成層圏において動作するものなどのモバイルHAPに強固なアーキテクチャが提供される。
【0007】
一態様において、高高度プラットフォーム(HAP)用のアンテナシステムは、成層圏においてあるパターンで移動して、目的領域に通信サービスを提供するために提供され、アンテナシステムは、前記目的領域に対して相対的な、成層圏における前記HAPの移動を補償するように構成されている。前記アンテナシステムは、コントローラと、複数のビームに関連付けられた通信信号を前記コントローラから受信するように構成されたアンテナアレイ切替回路と、前記アンテナアレイ切替回路に動作可能に結合された複数のアンテナであって、前記複数のアンテナの各々が、前記目的領域のうちの選択された部分に通信サービスを提供するビームを送信するように構成されている、複数のアンテナとを含む。
前記コントローラは、前記HAPが前記成層圏において前記目的領域に対して相対的に移動したと判断することと、前記相対的な移動に基づいて、前記複数のアンテナのうちの第1のアンテナが前記目的領域のうちの前記選択された部分をカバーすることができなくなったと判断することと、前記目的領域に提供される前記通信サービスが前記HAPの前記移動に起因して中断されないように、前記目的領域のうちの前記選択された部分をカバーするために前記複数のアンテナのうちの第2のアンテナに切り替えることによって、前記アンテナアレイ切替回路に、前記複数のアンテナにより送信される前記ビームを調整させることとを行うように構成されている。
【0008】
前記複数のアンテナは、フェーズドアンテナアレイまたはノンフェーズドアレイのいずれかを形成してよい。前記複数のアンテナは円筒アンテナであってよい。前記円筒アンテナの各々は、蒲鉾型の反射器の軸に沿って配置された2つの給電部を有する2素子給電反射器を含み、前記給電部の各々が、方位角または仰角で走査するために変数である位相を有する。センタービームおよび前記センタービームを取り囲む任意の外部ビームは、少なくとも40kmの直径を有する前記目的領域をカバーするように構成されてよい。前記複数のビームは、少なくとも、センタービームの周りに配置された外部ビームのセットを含む。前記外部ビームのセットは少なくとも6つのビームを含んでよい。前記アンテナアレイ切替回路が、フィード信号を前記複数のアンテナにルーティングするように構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含んでよい。前記複数のアンテナは環状アンテナであってよい。前記複数のアンテナへの給電は、前記HAPの前記移動を補償するために切り替えられてよい。前記複数のアンテナへの前記給電の各々は、仰角または方位角のうちの少なくとも1つに基づいて選択されてよい。HAPは、アンテナシステムを備えて、アンテナシステムに動作可能に結合された推進システムを動作させるように構成されてよい。推進システムは、目的領域に対して相対的な、成層圏におけるHAPの位置を調整するように構成されてよい。
【0009】
別の態様において、成層圏においてあるパターンで移動して目的領域にカバレッジを提供し、前記目的領域に対して相対的な前記HAPの移動を補償するように、HAPを制御する方法提供され、前記方法は、コントローラによって、前記成層圏における前記HAPの移動を監視する段階と、前記コントローラによって、前記HAPが前記成層圏において前記目的領域に対して相対的に移動したと判断する段階と、前記コントローラによって、前記相対的な移動に基づいて、前記HAPにおける複数のアンテナのうちの第1のアンテナが前記目的領域のうちの選択された部分をカバーできなくなったと判断する段階と、前記目的領域に提供される前記通信サービスが前記HAPの前記移動に起因して中断されないように、前記目的領域のうちの前記選択された部分をカバーするために前記複数のアンテナのうちの第2のアンテナに切り替えることによって、前記コントローラによって、前記HAPにおけるアンテナアレイ切替回路に、前記複数のアンテナにより送信されたビームを調整させる段階とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本技術の態様による例示的なシステムの機能図である。
【0011】
図2】本技術の態様による気球構成を示す。
【0012】
図3】本技術の態様による例示的なペイロード配置である。
【0013】
図4】本技術の態様による、横推力を有する気球プラットフォームの一例である。
【0014】
図5】本技術の態様によるカバレッジ例を示す。
【0015】
図6】本技術の態様による、位置保持およびビーム回転の一例を示す。
【0016】
図7A】本技術の態様によるアンテナ構成を示す。
図7B】本技術の態様によるアンテナ構成を示す。
図7C】本技術の態様によるアンテナ構成を示す。
図7D】本技術の態様によるアンテナ構成を示す。
【0017】
図8】本技術の態様によるアンテナシステムを示す。
【0018】
図9】本技術の態様による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[概要]
図1は、上で説明した気球または他の高高度プラットフォームの一団が使用され得る例示的なシステム100を示す。この例は、本開示の範囲または本明細書で説明される特徴の有用性を限定するものと見なされるべきではない。システム100は気球ネットワークと見なされてよい。この例では、気球ネットワーク100は、気球102A~F、ならびに地上の基地局106および112などの複数のデバイスを含む。気球ネットワーク100はまた、以下でより詳細に論述されるようなテレコミュニケーションサービスをサポートする様々なデバイスなどの複数の追加のデバイス(図示せず)、またはネットワークに参加し得る他のシステムを含んでよい。
【0020】
システム100内のデバイスは、互いに通信するように構成される。一例として、気球は、気球間通信を促進するために通信リンク104および/または114を含んでよい。例として、リンク114は、無線周波数(RF)信号(例えば、ミリメートル波送信)を採用し得る一方、リンク104は自由空間光伝送を採用する。代替的に、全てのリンクは、RF、光、またはRFおよび光伝送の両方を採用するハイブリッドであり得る。このように、気球102A~Fは、データ通信のためのメッシュネットワークとして集合的に機能し得る。気球のうちの少なくともいくつかは、RFおよび/または光リンクであり得るそれぞれのリンク108および110を介して地上局106および112と通信するように構成され得る。
【0021】
1つのシナリオでは、所与の気球102は、光リンク104を介して光信号を送信するように構成され得る。ここで、所与の気球102は、1つまたは複数の高出力発光ダイオード(LED)を使用して光信号を送信してもよい。代替的に、気球102のうちのいくつかまたは全ては、光リンク104上での自由空間光通信のためのレーザシステムを含んでよい。他のタイプの自由空間通信が可能である。さらに、光リンク104を介して別の気球から光信号を受信するために、気球は1つまたは複数の光受信機を含んでよい。
【0022】
気球はまた、それぞれの通信リンクを介した地上局との通信のために、様々なRF空中インタフェースプロトコルのうちの1つまたは複数を利用してよい。例えば、気球102A~Fのうちのいくつかまたは全ては、他の可能性の中でも、IEEE 802.11(IEEE 802.11改定のいずれも含む)に記載される様々なプロトコル、セルラプロトコル、例えばGSM(登録商標)、CDMA、UMTS、EV-DO、WiMAX(登録商標)、および/もしくはLTE、5G、ならびに/または長距離通信のために開発された1つもしくは複数の専用プロトコルを使用して、RFリンク108を介して地上局106および112と通信するように構成されてよい。LTE通信を使用する一例では、基地局は進化型NodeB(eNodeB)基地局であり得る。別の例では、基地局はベーストランシーバステーション(BTS)基地局であり得る。これらの例は限定するものではない。
【0023】
いくつかの例では、リンクは、HAP対地上通信のための所望のリンク容量を提供しない場合がある。例えば、地上ゲートウェイからバックホールリンクを提供するために容量増大が望ましい場合がある。したがって、例示的なネットワークはまた、ネットワークの様々な気球と地上の基地局との間で大容量空中対地上リンクを提供し得る気球を含んでよい。例えば、気球ネットワーク100において、気球102Fは、局112と直接通信するように構成され得る。
【0024】
ネットワーク100における他の気球のように、気球102Fは、リンク104を介した1つまたは複数の他の気球との通信(例えば、RFまたは光)のために動作可能であり得る。気球102Fはまた、光リンク110を介した地上局112との自由空間光通信のために構成され得る。したがって、光リンク110は、気球ネットワーク100と地上局112との間の大容量リンク(RFリンク108と比較して)として機能し得る。加えて、気球102Fは、地上局106とのRF通信のために動作可能であり得る。他の場合において、気球102Fは、気球対地上通信のために光リンクのみを使用し得る。
【0025】
気球102Fには、自由空間光通信システムに代えて、またはそれに加えて、気球対地上通信のための専用の高帯域幅RF通信システムが搭載されてよい。高帯域幅RF通信システムは、光リンク104のうちの1つと実質的に同じ容量を有するRFリンクを提供し得る超広帯域システムの形態を取ってよい。
【0026】
さらなる例では、気球102A~Fのいくつかまたは全てを、地上ベースの通信リンクに加えて、またはその代替として、宇宙ベースの衛星および/または他のタイプのHAP(例えば、ドローン、飛行機、飛行船など)との通信リンクを確立するように構成することができる。いくつかの実施形態では、気球は、光またはRFリンクを介して衛星または高高度プラットフォームと通信し得る。しかしながら、他のタイプの通信構成が可能である。
【0027】
上述したように、気球102A~Fは、メッシュネットワークとして集合的に機能し得る。より具体的には、気球102A~Fは自由空間光リンクまたはRFリンクを使用して互いに通信し得るため、気球は、自由空間光またはRFメッシュネットワークとして集合的に機能し得る。メッシュネットワーク構成において、各気球は、それに向けられたデータを受信し、かつデータを他の気球にルーティングするように動作可能であるメッシュネットワークのノードとして機能し得る。そのため、データは、ソース気球とデスティネーション気球との間のリンクの適切なシーケンスを判断することによって、ソース気球からデスティネーション気球へとルーティングされ得る。
【0028】
気球が互いに対して相対的に、および/または地上に対して相対的に移動するにつれてネットワークトポロジが変更され得る。それに応じて、気球ネットワーク100は、メッシュプロトコルを適用して、ネットワークのトポロジの変更につれてネットワークの状態を更新し得る。気球ネットワーク100はまた、所望のネットワークトポロジの提供に役立てるために、風および高度の制御または横推力を使用する位置保持機能を実装し得る。例えば、位置保持は、気球102A~Fのうちのいくつかまたは全てが、ネットワークにおける1つまたは複数の他の気球に対して相対的な一定の位置(および、場合によっては、地上局またはサービスエリアに対して相対的に一定の位置)を維持する、および/またはその一定の位置へと移動することを伴い得る。このプロセスの一環として、各気球は、その所望のトポロジを判断し、かつ、必要に応じて、どのようにして所望の位置に移動する、および/またはその所望の位置決めを維持するかを判断するために、位置保持機能を実装し得る。例えば、気球は、目的領域の上で位置を保持する間に、気流に乗ったことに応じて移動し得るか、または円形もしくは他のパターンで移動し得る。
【0029】
所望のトポロジは、特定の実装例、および気球が連続的に移動しているかどうかに応じて異なり得る。いくつかの場合において、気球は、実質的に均一なトポロジを提供するために位置保持を実装し得、気球は、それら自体を気球ネットワーク100における隣接する気球から実質的に同じ距離(または一定の距離範囲内)に配置するように機能する。代替的には、気球ネットワーク100は、気球が様々な理由で特定領域内でより密にまたはより密ではなく分配されている不均一なトポロジを有してよい。一例として、より高い帯域幅の需要を満たすのに役立つために、気球は、需要がより大きいエリア(例えば、都市圏)上でより密にクラスタ化されてよく、需要がより少ないエリア(例えば、大きな水域)でより密ではないようにクラスタかされてよい。加えて、例示的な気球ネットワークのトポロジは、ネットワークの所望のトポロジにおける変更に従って気球がそれらそれぞれの位置決めを調整することを可能にするように適合可能であり得る。
【0030】
気球以外には、ドローンが、自律的な様式でルートを飛行し、空中写真のためにカメラを携行し、商品をある場所から別の場所へと運搬し得る。「無人航空機(UAV)」および「飛行ロボット」という用語は、多くの場合、ドローンの類義語として使用される。用途の範囲は広範囲に及び、これには、工業プラントおよび農業地の空中からの監視、ならびに災害時の場合の最初のレスポンダのサポートが含まれる。いくつかの用途では、単一のドローンよりもドローンのチームが採用されることが有益である。複数のドローンは、所与の領域をより速くカバーすることができる、または、異なる視点からの写真を同時に撮ることができる。
【0031】
図1の気球は、成層圏に配備された高高度気球であり得る。一例として、高高度気球ネットワークにおいて、気球は、一般的に、強風への気球の曝露および商業用飛行機との干渉を制限するために、成層圏の高度、例えば、50,000フィート(15,240メートル)~70,000フィート(21,336メートル)、またはそれより高いもしくは低い高度で動作するように構成され得る。気球が、風が様々な気球の位置に対して非対称の様式で影響を及ぼし得る成層圏において信頼性のあるメッシュネットワークを提供するために、気球は、風がそれぞれの気球をそれぞれ所望の位置に運ぶように、それらそれぞれの高度を調整することによって互いに対して相対的に横方向および/または長手方向に移動するように構成され得る。横方向の推力はまた、気球の伝搬経路に影響を及ぼすために採用され得る。
【0032】
例示的な構成において、高高度気球プラットフォームは、様々な他のコンポーネントと共に、外被およびペイロードを含む。図2は、図1の気球のいずれかを表し得る高高度気球200の一例である。示されるように、例示的な気球200は、外被202と、ペイロード204と、その間の連結部材(例えば、ダウンコネクト)206とを含む。少なくとも1つのゴアパネルが外被を形成し、これは、内部に加圧浮揚ガスを維持するように構成されている。例えば、気球は過圧気球であり得る。上部プレート208は、外被の上段に沿って配置されてよく、一方、基部プレート210は、上部の場所の反対にある外被の下部に沿って配置されてよい。この例では、連結部材206は、ペイロード204を基部プレート210に接続している。
【0033】
外被202は様々な形状および形態であり得る。例えば、外被202は、ポリエチレン、マイラー、FEP、ゴム、ラテックスもしくは他の薄膜材料などの材料、または、内側もしくは外側に繊維補強が埋め込まれたこれらの材料の複合ラミネートで作成されてよい。要求される強度、ガスバリア、RF、および熱特性を発揮するために、他の材料やそれらの組み合わせ、または積層体を採用してもよい。さらに、外被202の形状およびサイズは、特定の実装例に応じて異なり得る。加えて、外被202には異なるタイプの気体、例えば空気、ヘリウム、および/または水素が充填され得る。他のタイプの気体、およびそれらの組み合わせもまたは可能である。形状には、球体および「かぼちゃ」などの典型的な気球形状、または、対称であり、形状揚力を提供し、もしくは形状を変更可能である空気力学的形状が含まれ得る。揚力は、揚力ガス(例えば、ヘリウム、水素)、導電性表面の静電帯電、空気力学的な揚力(翼の形状)、空気移動デバイス(プロペラ、フラップ翼、静電気的推進など)、または揚力技法の任意のハイブリッドの組み合わせからもたらされ得る。
【0034】
図3に示される一例によれば、気球プラットフォームのペイロード300は、1つまたは複数のプロセッサ304と、メモリ306の形態のオンボードデータストレージとを有する制御システム302を含む。メモリ306は、プロセッサにより実行され得る命令を含む、プロセッサ304によってアクセス可能な情報を格納する。メモリ306はまた、プロセッサによって取得、操作、または格納され得るデータを含む。メモリは、プロセッサによりアクセス可能な情報を格納できる任意の非一時的なタイプのもの、例えば、ハードドライブ、メモリカード(例えば、サムドライブまたはSDカード)、ROM、RAM、および他のタイプの書き込み可能なリードオンリメモリであり得る。命令は、プロセッサによって、機械コードなど直接的に実行される命令、またはスクリプトなど間接的に実行される命令の任意のセットであり得る。その点で、「命令」、「アプリケーション」、「段階」、および「プログラム」という用語は、本明細書において区別なく使用され得る。命令は、1つまたは複数のプロセッサによる直接処理のためにオブジェクトコードフォーマットで、または、スクリプト、もしくは要求に応じて解釈されるかもしくは事前にコンパイルされる独立したソースコードモジュールの集合体を含む他の任意のコンピューティングデバイス言語で格納され得る。データは、命令に従って1つまたは複数のプロセッサ304によって取得、格納、または修正され得る。
【0035】
1つまたは複数のプロセッサ304は、市販のCPUなど、任意の従来のプロセッサを含むことができる。代替的には、各プロセッサは、ASIC、コントローラ、または他のハードウェアベースのプロセッサなどの専用コンポーネントであり得る。図3は、プロセッサ304、メモリ306、および制御システム302の他の要素を、同じブロック内にあるものとして機能的に示しているものの、システムは実際には、同じ物理的筐体内に格納されていてもされていなくてもよい複数のプロセッサ、コンピュータ、コンピューティングデバイス、および/またはメモリを含み得る。例えば、メモリは、制御システム302のものとは異なる筐体に位置したハードドライブまたは他の記憶媒体であり得る。したがって、プロセッサ、コンピュータ、コンピューティングデバイス、またはメモリへの言及は、並列して動作してもよいししなくてもよい、プロセッサ、コンピュータ、コンピューティングデバイス、またはメモリの集合体への言及を含むことが理解されるであろう。
【0036】
ペイロード300はまた、多数の異なる機能を提供するために、様々な他のタイプの機器およびシステムを含んでもよい。例えば、示されるように、ペイロード300は、上で論述したように、RFおよび/または光リンクを介して信号を送信し得る1つまたは複数の通信システム308を含む。例のみとして、通信システム308は、LTEまたは他のテレコミュニケーションサービスを提供し得る。通信システム308は、1つまたは複数の送信機および受信機(または送受信機)、1つまたは複数のアンテナ、および1つまたは複数のベースバンドモジュールなどの通信コンポーネントを含む。以下でさらに論述するように、各アンテナは、多数の地上のユーザのためのカバレッジを提供する異なるビームを有する複数のセクタを有し得る。
【0037】
ペイロード300は、気球の様々なコンポーネントに電力を供給するための電源310も含むものとして示されている。電源310は、1つまたは複数の再充電可能なバッテリ、または、キャパシタもしくは再生燃料電池のような他のエネルギー貯蔵システムを含み得る。さらに、気球300は、電源に加えて、またはその一部として、発電システム312を含み得る。発電システム312は、ソーラーパネル、貯蔵エネルギー(熱風)、相対風力発電、または不均一大気帯電(図示せず)、またはそれらの任意の組み合わせを含んでよく、電源310を充電するおよび/またはそれにより分配される電力を生成するのに使用され得る。
【0038】
ペイロード300は、測位システム314をさらに含んでよい。測位システム314は、例えば、全地球測位システム(GPS)、慣性航法システム、および/または星追跡システムを含み得る。測位システム314は、加えてまたは代替的に、様々な運動センサ(例えば、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、および/またはコンパス)を含み得る。
【0039】
ペイロード300は、制御システム302とは別の、または部分的もしくは完全に組み込まれたナビゲーションシステム316を含んでよい。ナビゲーションシステム316は、所望のトポロジまたは他のサービス要件に従った位置内に位置を維持する、またはそこに移動するために、位置保持機能を実装し得る。特に、ナビゲーションシステム316は、風データ(例えば、オンボードおよび/またはリモートセンサから)を使用して、高度および/または横方向の位置調整を判断し得、これにより、風によって気球を所望の方向および/または所望の位置に運ばれる。横方向の位置調整はまた、ペイロードとは別個の横方向測位システムによって直接扱われてもよい。代替的には、高度および/または横方向の調整は、中央制御位置によって計算され、地上ベース、空中ベース、または衛星ベースのシステムによって送信されて高高度気球に通信されてよい。他の実施形態において、特定の気球は、他の気球のために高度および/または横方向の調整を計算し、調整コマンドをそれらの他の気球に送信するように構成されてよい。
【0040】
横方向の位置または速度を変更するために、プラットフォームは横推力システムを含んでよい。図4は、図1の気球のいずれかを表し得る、プロペラベースの横推力を有する気球プラットフォームの1つの例示的な構成400を示す。示されるように、例400は、外被402、ペイロード404、および、外被402とペイロード404との間に配置されたダウンコネクト部材406を含む。ペイロード404と外被402との間のケーブルまたは他の配線は、ダウンコネクト部材406内を通され得る。1つまたは複数のソーラーパネルアセンブリ408が、ペイロード404または気球プラットフォームの別の部分に結合され得る。ペイロード404およびソーラーパネルアセンブリ408は、例えば、ソーラーパネルアセンブリ408を太陽と位置合わせして発電を最大化するために、ダウンコネクト部材406の周りで回転する(例えば、最大で360°の回転)ように構成されてよい。例400はまた、横推力システム410を示す。横推力システム410の本例は1つの可能性である一方、その位置はまた、ペイロードセクション404の前方および/もしくは後方、または外被セクション402の前方および/もしくは後方、または、所望の推力ベクトルを提供する任意の他の位置であってよい。
【0041】
ナビゲーションシステムは、慣性測定ユニット(IMU)および/もしくは差分GPSなどのオンボードナビゲーションセンサから取得したデータ、受信したデータ(例えば、天候情報)、ならびに/または、健康状態および性能センサ(例えば、力トルクセンサ)などの他のセンサを評価して、気球のシステムの動作を管理することができる。例えば位置保持のために横推力システムを起動する判断がなされると、ナビゲーションシステムは、位置、風の方向、高度、および電力の可用性のために受信したセンサデータを活用して、特定の期間にわたって、または、特定の条件に達する(例えば、システム全体の健康状態、温度、振動、および他の性能パラメータを監視および報告しながら、特定の速度または位置に達する)まで、プロペラを適切な方向に向け、特定の推力状態を提供する。
[例示的な構成]
【0042】
HAPは、空中で円形または他の所定のパターンで移動することによって「位置保持」を実行し得る。この一例は、図5のビュー500に示されている。ここで、ドローンベースのHAPなどのHAP502は、UEまたは他のクライアントデバイス504のセットにテレコミュニケーションサービス(例えば、LTE通信を介した)を提供する。HAP502は、破線506によって示されるような、サービスエリアなどの選択された地理的領域に対して相対的に移動し得る。例えば、高度制御および/または横推力システムは、HAPが、サービスエリア上でその所定の円形パターンへと移動し、それを維持することを可能にし得る。
【0043】
図6は、5kmよりも小さい半径を有する所定の円形パターン(破線604によって示される)で高度20kmを飛行し、かつ地上に7つのビーム606...606を生成しているHAP602の一例600を示す。これは、一点鎖線608によって示されるような40kmのおおよその直径を有するフットプリントを提供し、各ビーム606は、約13kmのおおよその直径を有する。ビームの数が増加するにつれて、ビーム当たりのサポートされるユーザの数が減少する。1つのシナリオでは、所望のカバレッジエリアは、7~19のビーム(またはそれより多いもしくはそれより少ない)を含み得る。
【0044】
サービスエリアのサイズ、HAPの地上の高さ、ビームサイズ、および他の要素に応じて、HAPが位置保持ループを完了するのに数分(例えば、2~15分、またはそれより多いもしくはそれより少ない)かかり得る。この運動により、HAPの通信システムによって発射されて地上で受信されるビーム606は、急速な速度で回転させられ得る。例えば、ほんの数分の間に、ビーム606...606のパターンがセンタービーム606の周りを一回転し得る。同時に、センタービーム606は、HAPが移動するにつれて地上に対して相対的に回転したり移動したりしない場合があり、または、外部ビーム606...606よりもはるかに少なく移動し得る。結果として、外部ビーム606...606によってカバーされたエリアにおける地上のUEは、10~15秒ごと、またはそれより多いもしくはそれより少ない間隔で新しいビームを観測し得る。ビームのこの急速な運動により、UEは、反復した際選択(例えば、アイドルモードで)およびハンドオーバ(例えば、接続モードで)を実行させられ得る。これは、電池寿命を低下させ、システムのスループットを低減し得る。
【0045】
いくつかのシステムではビーム運動に対処するのにデジタルビーム形成が使用され得る一方、これは、他のシステムでは実現可能ではない場合がある。例えば、特によりも高い周波数(例えば、1.9GHZ以上)において、デジタルビーム形成のために追加の機器が要求され得る。そのような追加の機器は、HAPに対して重量を追加し、それにより、特に、成層圏で動作する航空機よりも軽量のものについて、サービス寿命およびカバレッジ機能が限定され得る。
【0046】
そのような問題に対処するために、HAP運動は、位相アレイ、または、異なるビームを介した送信のためにアンテナにデータをルーティングするための他の給電メカニズムと共に、円筒または環状型リフレクタアンテナのセットを含むアンテナ構造を使用することによって補償され得る。図7Aおよび図7Bは、それぞれ、3つおよび4つの円筒型または環状型アンテナを使用する2つの例を示す。これらのリフレクタアンテナ構成は、最大で、例えば+/-45°まで1つの寸法で走査(ステアリング)することができるが、直交方向の走査は、最大で、例えば+/-10°に限られる。
【0047】
方位角でのステアリングは、中心点の周りでのHAP回転として実装され得る。仰角でのステアリングは、HAPバンクまたはロールとして実装され得る。円筒および環状型アンテナは、第1の寸法におけるステアリングと、第2の寸法において限られたステアリングを有する。以下でさらに説明するように、アンテナユニットは、仰角面においてビームの到達のいくらかの限界が依然として存在し得るものの、方位角面の360度全体が、アンテナユニットによって送信されたビームにより到達され得るように配置され得る。
【0048】
図7Aの例700は、三角形の形状の3アンテナ構成を示し、アンテナユニットA(702)、B(702)、およびC(702)は各々、360度走査のうちの120度をカバーする。例えば、これらのアンテナユニットの各々は、円筒型アンテナであってよく、または環状型アンテナであってもよい。HAPの運動を補償するために、例えば方位角および/または仰角に基づいて各アンテナの給電部が選択されるように、これらのアンテナユニット702の各々は、複数の給電部(図示せず)を有する。各アンテナユニット702には給電メカニズム704が動作可能に結合される。図7Bの例750は、四角形の形状の4アンテナ構成を示し、アンテナユニットA(752)、B(752)、C(752)、およびD(752)は各々、360度走査のうちの90度をカバーする。各アンテナユニット752には給電メカニズム754が動作可能に結合される。HAPの運動を補償するために、例えば方位角および/または仰角に基づいて各アンテナの給電部が選択されるように、これらのアンテナユニット752の各々は、複数の給電部(図示せず)を有する。
【0049】
複数の円筒アンテナユニット702、752の各々は、6より多いビームなど、複数のビームを生成することが可能であり得る(励起された場合)。複数のビームのうちの1つまたは複数は、図6に示されるビーム606のうちの1つを形成し得る。特に、各円筒アンテナユニットは、図6に示される6つの外部ビームのうちの1つまたは複数を形成し得、円筒アンテナユニットのうちの少なくとも1つは中心ビーム606を形成し得る。代替的には、別個のアンテナユニットがセンタービームを生成し得る。
【0050】
図6のビーム例を参照すると、図7Aの配置において、アンテナ702は外部ビーム606を生成するのに使用されてよく、アンテナ702は外部ビーム606を生成するのに使用されてよく、アンテナ702は外部ビーム606を生成するのに使用されてよい。他の外部ビーム606、606および606は、単一のアンテナまたはアンテナの組み合わせによって生成され得る。例えば、アンテナ702および702は組み合わせで外部ビーム606を生成してよく、アンテナ702および702は組み合わせで外部ビーム606を生成してよく、アンテナ702および702は組み合わせで外部ビーム606を生成してよい。
【0051】
さらに、図6のビーム例を参照すると、図7Bの配置において、アンテナ702は外部ビーム606を生成するのに使用されてよく、アンテナ702は外部ビーム606および606を生成するのに使用されてよく、アンテナ702は外部ビーム606を生成するのに使用されてよく、アンテナ702は外部ビーム606および606を生成するのに使用されてよい。ビームが、例えばアンテナ702からアンテナ702へ、そしてアンテナ702などへとロールオーバするにつれて、これを補償するために信号は異なるようにルーティングされる。
【0052】
円筒型アンテナは、第1の寸法にわたってより大きい角度でステアリングすることができ、かつ第2の寸法にわたってより小さい角度でステアリングすることができるという性質を有する。例えば、上で説明したアーキテクチャでは、各アンテナユニットは、方位角面に沿って+/-45°ステアリングすることができ、仰角面に沿って+/-10°ステアリングすることができる。仰角面に沿ったこのステアリング角は、円筒型アンテナに代えて環状型アンテナを使用した場合にはより大きくなり得る。
【0053】
代替のアーキテクチャでは、1つまたは複数のドーナツ環状アンテナが採用され得る。ドーナツ環状アンテナは、図7Bの4アンテナ752~752の代わりとなり得、仰角空間全体をスムーズにカバーし得る。図7Cの例示的な構成770に示されるように、環状型アンテナ772は、放物線状に湾曲した側部を有するドーナツまたは環状型の配置を有する。図7Cにおけるチェック状のパターンの陰影は、アンテナ772の湾曲を示すために含まれている。
【0054】
各アンテナ構成について、ビーム直径はアンテナの寸法によって判断される。
【0055】
円筒型または環状型アンテナは、パラボラリフレクタタイプのアンテナである。1つのシナリオでは、アンテナは、リフレクタと直接放射フェーズドアレイ(DRA)との折衷物を提供するフェーズドアレイ給電リフレクタ(PAFR)を使用する。PAFRは、DRAの性能の利点の多くを提供する一方、はるかに小さく、より低いコストの(給電)アレイを利用する。
【0056】
図7Aの三角形の配置700を一例として使用すると、フェーズドアレイ(または給電構造)は、円筒アンテナユニットA、B、およびCを使用して方位角においてビームを走査する。HAPが回転するにつれて、地上のビームは、アンテナユニットA、B、およびCからの異なるビームを使用することによって固定される。図7Dに示されるように、円筒アンテナユニットA、B、およびCの各々は、半径Rおよび長さHを有する蒲鉾型の反射器782の軸に沿って配置された給電785および790を含む2素子給電反射器780を含み得る。給電785および790の位相は、方位角で走査するために変動し得る。いくつかの実装では、アンテナユニットに2つより多い給電が含まれてよく、デジタルビーム形成を実行するためにその位相が変動してよい。いくつかの例では、ビームを特定の方向に向けるため、または複数のビームを複数の方向に向けるために、ホーンアンテナ指向が実装されてよい。給電選択を通じて、複数のアンテナのうちのそれぞれは、異なる時点で複数の給電部を介してビームを生成して、図6に示されるようにセンタービーム606の周りで外部ビーム606~606を移動させるように制御され得る。
【0057】
円筒/環状アンテナの間でビームを切り替えることは、給電メカニズムのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などによって、デジタル方式で扱われ得る。フェーズドアレイは、単一アレイ、または、4つの別個の位相アレイ(各円筒/環状アンテナについて1つずつ)であり得る。代替的には、ノンフェーズドアレイアーキテクチャを使用してもよい。
【0058】
いくつかの例では、多入力多出力(MIMO)構成が使用されてよい。例として、2×2MIMOシステムが使用されてよく、ここで、図6に示される各ビーム606~606は2つの入力信号を有し、これらは異なる偏光で送信される。偏波は直交であってよく、例えば、垂直および水平の偏波であってよい。代替的には、シングルパッチアンテナは2箇所で給電されて、2つの偏波を生成し得る。
【0059】
HAPが地上に対して相対的に移動するにつれて、給電メカニズムは、アンテナ選択を採用して、地上のUEの位置ならびにHAPの位置および配向(すなわち、ポーズ)を仮定したときの適切な仰角または方位角のステアリングを有するビームをビーム606~606の中から選んでよい。上で言及したように、アンテナの各々は、複数の給電部(図示せず)を有してよい。したがって、アンテナ選択は、ビームを送信するためのアンテナの1つまたは複数の特定の給電部を選択することを含み得る。1つまたは複数の特定の給電部は、例えば、どの給電部がHAPの位置および配向を仮定したときに地上のUEの位置に対応する方位角および/または仰角で指向することが可能であるかに基づいて選択され得る。この選択により、HAPの移動を補償するビームを生成するのに正しい信号が使用されることが保証される。図8は、例えば、図7Aのアンテナ構成700または図7Bの構成750に関して、複数のビームを生成するために採用され得る例示的なアンテナシステム800を示す。示されるように、給電メカニズム704または754は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラ、および/または他の処理デバイスであり得るコントローラ802と、アンテナアレイ切替回路806とを含んでよい。コントローラ802は、アンテナアレイ切替回路806を介して複数の円筒アンテナユニット702、702および702に信号804をルーティングし得る。
【0060】
破線矢印810は、所望のビーム配置および方向に従って、スイッチが信号804をそれぞれのアンテナユニット702に渡すことを示す。
【0061】
アンテナアレイ切替回路806は、地上のUEに到達するために適切な仰角または方位角ステアリングを有するビームに関連付けられた円筒アンテナユニット702のうちの1つまたは複数を選択するようにコントローラ802によって制御され得る。ビームは、地上のビームの位置およびHAPの位置に基づいて選択され得る。
【0062】
例えば、UEが、アンテナユニット702によって生成されたビーム606によってカバーされたエリアに位置しているため、コントローラ802は、第1の時点において、アンテナユニット702を介して送信されるように、アンテナアレイ切替回路806を介して信号804を向けてよい。第2の時点において、HAP602の移動に基づいて、アンテナシステムは回転し得、それによりUEが位置している同じエリアは、ビーム606によりカバーされなくなり、むしろ、アンテナユニット702によって生成されたビーム606によってカバーされ得る。したがって、当該エリアに対して相対的なHAP602の検出された動きにより、コントローラ802は、第2の時点において、アンテナアレイ切替回路806を介してアンテナユニット702に信号804を向けてよい。
【0063】
図9は、本技術の態様に係る、成層圏においてあるパターンで移動して、目的領域にカバレッジを提供し、目的領域に対して相対的なHAPの移動を補償するように構成されたHAPの方法900のフローチャートである。段階905において、コントローラがHAPの移動を監視する。段階910において、コントローラは、HAPが成層圏において目的領域に対して相対的に移動したと判断する。段階915において、コントローラは、相対的な移動に基づいて、HAPにおける複数のアンテナのうちの第1のアンテナが、目的領域のうちの選択された部分をカバーできなくなったと判断する。段階920において、コントローラは、目的領域に提供される通信サービスがHAPの移動に起因して中断されないように、目的領域のうちの選択された部分をカバーするために複数のアンテナのうちの第2のアンテナに切り替えることによって、HAPにおけるアンテナアレイ切替回路に、複数のアンテナにより送信されたビームを調整させる。
【0064】
いくつかの実装では、方法900は、GPS位置を使用してHAPの既知の将来の経路に基づいて実行され得る。例えば、コントローラは、既知の将来の経路および現在のGPS位置を使用してHAPの移動を予測し、予測された移動を使用して目的領域へのHAPの相対的な移動を予測し得る。その後、将来の時点または将来の位置において、HAPにおける複数のアンテナのうちの第1のアンテナが、目的領域のうちの選択された部分をカバーできなくなったと判断され得る。その後、複数のアンテナのうちの第1のアンテナから複数のアンテナのうちの第2のアンテナへの切り替えは、将来の時点または将来の位置においてスケジューリングおよび実行され得る。
【0065】
別段の指定がない限り、前述の代替例は、相互排他的ではなく、独自の利点を達成するために様々な組み合わせにおいて実装されてよい。特許請求の範囲によって定義された主題から逸脱することなく、上で論述された特徴のこれらのおよび他の変形および組み合わせを利用することができるため、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義された主題の限定としてではなく例示として解釈されるべきである。加えて、本明細書において説明される例の提供、および「等/例えば(such as)」、「備える/有する/含む(including)」等で表現された句は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、例は、多くの考えられ得る実施形態のうちの1つのみを例示するものとして意図されている。さらに、異なる図面における同じ参照符号は、同じまたは類似の要素を識別することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
【国際調査報告】