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特表2023-520481血管の中心線を精密に抽出する方法、装置、分析システム、及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】血管の中心線を精密に抽出する方法、装置、分析システム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20230510BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230510BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20230510BHJP
   G06T 7/162 20170101ALI20230510BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230510BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A61B6/03 360J
A61B6/03 375
A61B6/03 360D
G06T7/00 612
G06T7/60 150D
G06T7/162
G06T1/00 290A
G06T5/00 710
G06T5/00 705
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560075
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2020116106
(87)【国際公開番号】W WO2021196536
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010248890.3
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】522036093
【氏名又は名称】▲蘇▼州▲潤▼▲邁▼▲徳▼医▲療▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 之元
(72)【発明者】
【氏名】曹 文斌
(72)【発明者】
【氏名】除 磊
(72)【発明者】
【氏名】劉 廣志
【テーマコード(参考)】
4C093
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA35
4C093DA02
4C093EE20
4C093FA44
4C093FF03
4C093FF15
4C093FF19
4C093FF28
5B057AA08
5B057AA09
5B057BA03
5B057CA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB02
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE02
5B057CE03
5B057CE06
5B057CE09
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB05
5B057DB09
5B057DC07
5L096AA03
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA18
5L096DA01
5L096EA05
5L096FA13
5L096FA19
5L096GA55
(57)【要約】
本発明は、血管の中心線を精密に抽出する方法、装置、分析システム、及び記憶媒体を提供した。血管の中心線を精密に抽出する方法は、造影剤が血管内で充満状態にある、冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択することと、冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得することと、関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップすることと、冠動脈2次元造影画像から開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割することと、局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して第1画像を得ることと、第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得ることと、第2画像から血管の最初の中心線を抽出することと、血管の最初の中心線を矯正して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得ることと、を含む。本発明は、血管輪郭線の精密な抽出を実現し、抽出が高速である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の中心線を精密に抽出する方法であって、
造影剤が血管内で充満状態にある、冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択することと、
前記冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得することと、
前記関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップすることと、
前記冠動脈2次元造影画像から前記開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割することと、
前記局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して第1画像を得ることと、
前記第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得ることと、
前記第2画像から血管の最初の中心線を抽出することと、
前記血管の最初の中心線を矯正して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得ることと、を含む
ことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記冠動脈2次元造影画像から前記開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割することは、
前記関心のある血管セグメントの少なくとも1つのシード点をピックアップすることと、
開始点、シード点、終了点の中の隣接する2つの点同士の間の前記第2画像をそれぞれ分割して、少なくとも2つの局所血管領域図を得ることと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行することは、
WとHは、それぞれ前記2次元カーネル関数の幅および高さを表し、
2次元カーネル関数
【数1】

を介してフィルタリングし、
このうち、x∈[0,W)、y∈[0,H)であり、σは、標準偏差を表し、
σ=0.5~5.0
であり、eは、自然定数を表す
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記
【数2】

である
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1画像に対して血管強調を実行することは、
異なる前記標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、それぞれ複数のマトリックス特徴値を計算することと、
すべてのマトリックス特徴値の中から最大値を出力値として選択することと、を含み、
前記出力値に対応する画像が、血管強調後の第2画像である
ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記異なる前記標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、それぞれ複数のマトリックス特徴値を計算することは、
異なる前記標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、複数の2次元マトリックスH(x,y)を取得することと、
各々の前記2次元マトリックスに対応する第1パラメータおよび第2パラメータを取得することと、
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに基づいて、各々の前記2次元マトリックスのマトリックス特徴値を得ることと、を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記異なる前記標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、複数の2次元マトリックスH(x,y)を取得することは、
前記2次元カーネル関数g(x,y)に基づいて、式
【数3】

を通じて画像のx方向における2次導関数を得ることと、
2次元カーネル関数g(x,y)に基づいて、式
【数4】

を通じて画像のy方向における2次導関数を得ることと、
2次元カーネル関数g(x,y)に基づいて、式
【数5】

を通じて画像のx、yとの夾角がいずれも45°である方向における2次導関数を得ることと、
前記Ixx、Ixy、およびIyyに基づいて、2次元マトリックス
【数6】

を得ることと、を含み、
このうち、σは、標準偏差を表し、
σ=0.5~5.0
であり、eは、定数を表し、
【数7】

は、畳み込みを表し、I(x,y)は、画像の画素値を表し、Ixx、Ixy、およびIyyは、それぞれ、画像の、x方向、xおよびyとの夾角がいずれも45°である方向、および、y方向における2次導関数を表す
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記各々の前記2次元マトリックスに対応する第1パラメータおよび第2パラメータを取得することは、
前記Ixxおよび前記Iyyに基づいて、式
【数8】

を通じてKを得ることと、
前記Ixx、前記Ixy、および前記Iyyに基づいて、式
【数9】

を通じてQを得ることと、
前記Kおよび前記Qに基づいて、式
【数10】

を通じて第1パラメータを得ることと、
前記Kおよび前記Qに基づいて、式
【数11】

を通じて第2パラメータを得ることと、を含み、
このうち、λは、第1パラメータを表し、λは、第2パラメータを表し、Ixx、Ixy、およびIyyは、それぞれ、画像の、x方向、xおよびyとの夾角がいずれも45°である方向、および、y方向における2次導関数を表す
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに基づいて、各々の前記2次元マトリックスのマトリックス特徴値を得ることは、
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに基づいて、式
【数12】

を通じてRBを得ることと、
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに基づいて、式
【数13】

を通じてSを得ることと、
前記RBおよび前記Sに基づいて、式
【数14】

を通じて、マトリックス特徴値Vを得ることと、を含み、
このうち、βは、線状とブロック状との区別を調整するためのパラメータを表し、
β=0.4~0.8
であり、γは、線状物全体の滑らかさを制御するためのパラメータを表し、
γ=3.0~5.0
である
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第2画像から血管の最初の中心線を抽出することは、
前記第2画像から血管骨格を抽出することと、
血管の分岐点をピックアップし、開始点と終了点とともに無向グラフを作成することと、
血管骨格の方向に沿って、前記無向グラフの隣接する2つの点同士の間の最短距離を検索し、開始点から終了点への方向に沿って、すべての経路を得ることと、
前記無向グラフの開始点から前記終了点への方向に沿って、すべての経路の中で最も距離が短い血管経路線を前記血管の最初の中心線とすることと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記血管の最初の中心線を矯正して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得ることは、
複数の血管の中心点を結ぶことによって前記血管の最初の中心線を形成し、各々の前記血管の中心点に対して法線を作成することと、
前記法線の方向に沿って、グレースケール値統計を実行し、画像強調後の前記第2画像であると、血管の中心から外れた点を法線の方向に沿って血管領域内でグレースケール値が最大である位置に移動して、補正を完了し、画像が元の画像であると、血管の中心から外れた点を法線の方向に沿って血管領域内でグレースケール値が最小である位置に移動して、補正を完了することと、
補正後の前記血管の中心点を再度結んで、血管の精密な中心線を得ることと、を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の中のいずれか1項に記載の血管の中心線を精密に抽出する方法に用いられる、血管の中心線を精密に抽出する装置であって、
順番に接続された、冠動脈2次元造影画像読込ユニット、画像選択ユニット、関心血管セグメントピックアップユニット、画像分割ユニット、フィルタリングユニット、画像強調ユニット、最初中心線抽出ユニット、および、中心線補正ユニットを、備え、
前記冠動脈2次元造影画像読込ユニットは、患者の少なくとも1つの身体位置の、少なくとも2つの撮影角度の冠動脈2次元造影画像を読込みリ、
前記画像選択ユニットは、前記冠動脈2次元造影画像読込ユニットから、造影剤が血管内で充満状態にある、冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択し、
前記関心血管セグメントピックアップユニットは、前記冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得し、前記関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップし、
前記画像分割ユニットは、前記関心血管セグメントピックアップユニット中の前記冠動脈2次元造影画像から、前記開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割し、
前記フィルタリングユニットは、前記画像分割ユニット中の前記局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して、第1画像を得、
前記画像強調ユニットは、前記フィルタリングユニット中の前記第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得、
前記最初中心線抽出ユニットは、前記画像強調ユニットの前記第2画像から血管の最初の中心線を抽出し、
前記中心線補正ユニットは、前記最初中心線抽出ユニットによって抽出された血管の最初の中心線に対して矯正を実行して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得る
ことを特徴とする前記装置。
【請求項13】
冠動脈分析システムであって、
請求項12に記載の血管の中心線を精密に抽出する装置を含む
ことを特徴とする冠動脈分析システム。
【請求項14】
コンピューター記憶媒体であって、
コンピュータープログラムがプロセッサによって実行されるときに、請求項1乃至11の中のいずれか1項に記載の血管の中心線を精密に抽出する方法が実現される
ことを特徴とするコンピューター記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冠動脈医療の技術分野に関し、特に、血管の中心線を精密に抽出する方法、装置、分析システム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の血液中の脂質と炭水化物が血管壁の沈着すると、血管壁にプラークが形成され、血管狭窄につながる。特に、心臓の冠動脈付近の血管狭窄は、心筋への血液供給が不十分になり、冠動脈性心疾患や狭心症などの疾患を誘発し、人の健康に深刻な脅威をもたらす。統計によると、我が国(中国)には、現在約1100万人の冠動脈性心臓病患者がおり、心臓血管インターベンション手術で治療する患者の数が毎年10%以上増加している。
【0003】
冠動脈造影(CAG)やコンピューター断層撮影(CT)などの従来の医療検出手段は、心臓冠動脈狭窄の重症度を表示できるが、冠動脈虚血を正確に評価することができない。冠動脈機能評価の精度を向上させるために、1993年にPijlsによって、圧力測定を通じて冠動脈機能を計算するための新しい指標であるフラクショナル・フロー・リザーブ(Fractional Flow Reserve、FFR)が提案された。長期にわたる基礎研究および臨床研究の結果、FFRは、冠動脈狭窄の機能評価のゴールドスタンダードになった。
【0004】
フラクショナル・フロー・リザーブ(FFR)は、通常、心筋のフラクショナル・フロー・リザーブを指し、病気の冠動脈が心筋に供給できる最大血流量と当該冠動脈が完全に正常である場合の最大血流量との比として定義され、研究によると、最大冠動脈充血の状態で、血流量の比は圧力値に置き換えられることが示されている。すなわち、FFR値の測定は、最大冠動脈充血の状態で、圧力センサを利用して冠動脈の遠位端の狭窄部の圧力と冠動脈狭窄部の近位端の圧力を測定することによって計算することができる。
【0005】
従来の技術で、血管の3次元のモデルを利用して血管評価パラメータを計算する場合、血管の中心線を抽出する必要がある場合が多いが、血管の中心線を抽出精度をいかに向上させるかが常に技術者の課題であった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、血管の中心線をいかに精密に抽出するかの問題を解決するための、血管の中心線を精密に抽出する方法、装置、冠動脈分析システム、及びコンピューター記憶媒体を提供する。
【0007】
上記の目的を実現するために、第1の態様によると、本発明は、血管の中心線を精密に抽出する方法を提供し、上記方法は、
造影剤が血管内で充満状態にある、冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択することと、
前記冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得することと、
前記関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップすることと、
前記冠動脈2次元造影画像から前記開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割することと、
前記局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して第1画像を得ることと、
前記第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得ることと、
前記第2画像から血管の最初の中心線を抽出することと、
前記血管の最初の中心線を矯正して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得ることと、を含む。
【0008】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記冠動脈2次元造影画像から前記開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割することは、
前記関心のある血管セグメントの少なくとも1つのシード点をピックアップすることと、
開始点、シード点、終了点の中の隣接する2つの点同士の間の前記第2画像をそれぞれ分割して、少なくとも2つの局所血管領域図を得ることと、を含む。
【0009】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行することは、
WとHは、それぞれ前記2次元カーネル関数の幅および高さを表し、
2次元カーネル関数
【数1】

を介してフィルタリングし、
このうち、x∈[0,W)、y∈[0,H)であり、σは、標準偏差を表し、
σ=0.5~5.0
であり、eは、自然定数を表す。
【0010】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記
【数2】

である。
【0011】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記第1画像に対して血管強調を実行することは、
異なる前記標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、それぞれ複数のマトリックス特徴値を計算することと、
すべてのマトリックス特徴値の中から最大値を出力値として選択することと、を含み、
前記出力値に対応する画像が、血管強調後の第2画像である。
【0012】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記異なる前記標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、それぞれ複数のマトリックス特徴値を計算することは、
異なる前記標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、複数の2次元マトリックスH(x,y)を取得することと、
各々の前記2次元マトリックスに対応する第1パラメータおよび第2パラメータを取得することと、
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに基づいて、各々の前記2次元マトリックスのマトリックス特徴値を得ることと、を含む。
【0013】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記異なる前記標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、複数の2次元マトリックスH(x,y)を取得することは、
前記2次元カーネル関数g(x,y)に基づいて、式
【数3】

を通じて画像のx方向における2次導関数を得ることと、
2次元カーネル関数g(x,y)に基づいて、式
【数4】

を通じて画像のy方向における2次導関数を得ることと、
2次元カーネル関数g(x,y)に基づいて、式
【数5】

を通じて画像のx、yとの夾角がいずれも45°である方向における2次導関数を得ることと、
前記Ixx、Ixy、およびIyyに基づいて、2次元マトリックス
【数6】

を得ることと、を含み、
このうち、σは、標準偏差を表し、
σ=0.5~5.0
であり、eは、定数を表し、
【数7】

は、畳み込みを表し、I(x,y)は、画像の画素値を表し、Ixx、Ixy、およびIyyは、それぞれ、画像の、x方向、xおよびyとの夾角がいずれも45°である方向、および、y方向における2次導関数を表す。
【0014】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記各々の前記2次元マトリックスに対応する第1パラメータおよび第2パラメータを取得することは、
前記Ixxおよび前記Iyyに基づいて、式
【数8】

を通じてKを得ることと、
前記Ixx、前記Ixy、および前記Iyyに基づいて、式
【数9】

を通じてQを得ることと、
前記Kおよび前記Qに基づいて、式
【数10】

を通じて第1パラメータを得ることと、
前記Kおよび前記Qに基づいて、式
【数11】

を通じて第2パラメータを得ることと、を含み、
このうち、λは、第1パラメータを表し、λは、第2パラメータを表し、Ixx、Ixy、およびIyyは、それぞれ、画像の、x方向、xおよびyとの夾角がいずれも45°である方向、および、y方向における2次導関数を表す。
【0015】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに基づいて、各々の前記2次元マトリックスのマトリックス特徴値を得ることは、
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに基づいて、式
【数12】

を通じてRBを得ることと、
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに基づいて、式
【数13】

を通じてSを得ることと、
前記RBおよび前記Sに基づいて、式
【数14】

を通じて、マトリックス特徴値Vを得ることと、を含み、
このうち、βは、線状とブロック状との区別を調整するためのパラメータを表し、
β=0.4~0.8
であり、γは、線状物全体の滑らかさを制御するためのパラメータを表し、
γ=3.0~5.0
である。
【0016】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記第2画像から血管の最初の中心線を抽出することは、
前記第2画像から血管骨格を抽出することと、
血管の分岐点をピックアップし、開始点と終了点とともに無向グラフを作成することと、
血管骨格の方向に沿って、前記無向グラフの隣接する2つの点同士の間の最短距離を検索し、開始点から終了点への方向に沿って、すべての経路を得ることと、
前記無向グラフの開始点から前記終了点への方向に沿って、すべての経路の中で最も距離が短い血管経路線を前記血管の最初の中心線とすることと、を含む。
【0017】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法において、前記血管の最初の中心線を矯正して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得ることは、
複数の血管の中心点を結ぶことによって前記血管の最初の中心線を形成し、各々の前記血管の中心点に対して法線を作成することと、
前記法線の方向に沿って、グレースケール値統計を実行し、画像強調後の第2画像であると、血管の中心から外れた点を法線の方向に沿って血管領域内でグレースケール値が最大である位置に移動して、補正を完了し、画像が元の画像であると、血管の中心から外れた点を法線の方向に沿って血管領域内でグレースケール値が最小である位置に移動して、補正を完了することと、
補正後の前記血管の中心点を再度結んで、血管の精密な中心線を得ることと、を含む。
【0018】
第2の態様によると、本発明は、血管の中心線を精密に抽出する装置を提供し、上記装置は、順番に接続された、冠動脈2次元造影画像読込ユニット、画像選択ユニット、関心血管セグメントピックアップユニット、画像分割ユニット、フィルタリングユニット、画像強調ユニット、最初中心線抽出ユニット、および、中心線補正ユニットを、備え、
前記冠動脈2次元造影画像読込ユニットは、患者の少なくとも1つの身体位置の、少なくとも2つの撮影角度の冠動脈2次元造影画像を読込みリ、
前記画像選択ユニットは、前記冠動脈2次元造影画像読込ユニットから、造影剤が血管内で充満状態にある、冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択し、
前記関心血管セグメントピックアップユニットは、前記冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得し、前記関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップし、
前記画像分割ユニットは、前記関心血管セグメントピックアップユニット中の前記冠動脈2次元造影画像から、前記開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割し、
前記フィルタリングユニットは、前記画像分割ユニット中の前記局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して、第1画像を得、
前記画像強調ユニットは、前記フィルタリングユニット中の前記第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得、
前記最初中心線抽出ユニットは、前記画像強調ユニットの前記第2画像から血管の最初の中心線を抽出し、
前記中心線補正ユニットは、前記最初中心線抽出ユニットによって抽出された血管の最初の中心線に対して矯正を実行して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得る。
【0019】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する装置において、前記画像強調ユニットは、順番に接続された、2次元マトリックスモジュール、パラメータ計算モジュール、マトリックス特徴値計算モジュール、マトリックス特徴値選別モジュール、および、第2画像モジュールを、備え、
前記2次元マトリックスモジュールは、異なる前記標準偏差およびマトリックスの大きさに基づいて、複数の2次元マトリックスを取得し、
前記パラメータ計算モジュールは、前記2次元マトリックスモジュール中の複数の2次元マトリックスに基づいて、各々の前記2次元マトリックスに対応する第1パラメータおよび第2パラメータを取得し、
前記マトリックス特徴値モジュールは、前記パラメータ計算モジュールによって算出された前記第1パラメータと前記第2パラメータとに基づいて、各々の前記2次元マトリックスのマトリックス特徴値を得、
前記マトリックス特徴値選別モジュールは、前記マトリックス特徴値モジュール中のすべてのマトリックス特徴値の中から、最大値を出力値として選択し、
前記第2画像モジュールは、前記マトリックス特徴値選別モジュールの出力値に基づいて、前記出力値に対応する画像を血管強調後の第2画像とする。
【0020】
第3の態様によると、本発明は、冠動脈分析システムを提供し、上記システムは、上記の血管の中心線を精密に抽出する装置を含む。
【0021】
第4の態様によると、本発明は、コンピューター記憶媒体を提供し、コンピュータープログラムがプロセッサによって実行されるときに、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法が実現される。
【0022】
本発明の実施例によって提供される解決策によってもたらされる有益な効果は、少なくとも以下を含む。
【0023】
本発明は、血管の中心線を精密に抽出する方法を提供する。造影剤の色が暗いので、造影剤が血管に充満されていないと、血管の形状が不完全になり、エッジの色が明るくなり、撮影された血管の画像が不完全になってしまう。それで、後の段階で血管のエッジのピックアップが不正確になる問題が発生しやすくなる。したがって、本発明によると、造影剤が血管内で充満状態にある、冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択することによって、血管の形状を完全に表示することができる。
【0024】
計算量を削減するために、本発明によると、冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得し、前記関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップし、前記冠動脈2次元造影画像から前記開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割する。局所血管領域図が冠動脈造影画像よりも小さいため、計算量が少なく、システムの応答速度が高速である。
【0025】
画像にノイズが存在するため、ノイズの画像への影響を低減するために、本発明によると、局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して第1画像を得る。鮮明な血管を得るために、本発明によると、第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得る。本発明によると、第2画像から血管の最初の中心線を抽出する速度がより速い。
【0026】
血管には枝があり、血管の中心線は血管の質と血管のエッジに関連しているため、血管の最初の中心線上の点には誤差がある。血管の最初の中心線を矯正するために、本発明によると、血管の最初の中心線の法線の方向に沿って、グレースケール値統計を実行し、画像強調後の第2画像であると、血管の中心から外れた血管の中心点を法線の方向に沿って血管領域内でグレースケール値が最大である位置に移動して、補正を完了して血管の精密な中心線を得るため、血管の中心線の抽出精度を向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
ここで説明する図面は、本発明のさらなる理解を提供するために使用され、本発明の一部を構成する。本発明の模式的な実施例およびその説明は、本発明を解釈するために使用され、本発明の不適切な限定を構成するものではない。
【0028】
図1】本発明の血管の中心線を精密に抽出する方法のフローチャートである。
図2】本発明の冠動脈2次元造影画像である。
図3】本発明のステップS600のフローチャートである。
図4】本発明のステップS610のフローチャートである。
図5】本発明の第2画像である。
図6】本発明のステップS700のフローチャートである。
図7】本発明のステップS800のフローチャートである。
図8】本発明の抽出された血管の中心線を含む画像である。
図9】本発明の血管の中心線を精密に抽出する装置の構成のブロック図である。
図10】本発明の画像強調ユニット600の構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本発明の具体的な実施例および対応する図面を参照して、本発明の技術的解決策を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、本発明の一部の実施例にすぎず、全部の実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な努力なしに当業者によって得られた他のすべての実施例は、本発明の保護範囲内に入る。
【0030】
以下、図面で本発明の複数の実施形態を開示し、明確に説明するために、多くの実際的な詳細が以下の説明で一緒に説明される。しかしながら、これらの実際的な詳細は、本発明を限制するために使用されるべきではないことを理解すべきである。つまり、本発明の一部の実施形態では、これらの実際的な詳細は不要である。なお、図面を簡略化する目的で、いくつかの周知の構造および構成要素が図面に単純な概略的な方法で示される。
【0031】
従来の技術で血管3次元モデルを利用して血管評価パラメータを計算する場合、血管輪郭線を抽出する必要がある場合が多く、血管のカールとエッジが不鮮明な問題により、血管輪郭の抽出が特に難しく、計算データが膨大で煩雑なため、血管輪郭線をいかに高速に抽出するか、および、いかに抽出精度を向上させるかは常に技術者が解決しようとする問題であった。
【0032】
実施例1:
図1に示すように、本発明は、上記の問題を解決するために、血管の中心線を精密に抽出する方法を提供し、前記方法は、以下のステップを含む。
S100において、造影剤が血管内で充満状態にある、図2に示すような冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択し、
S200において、冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得し、
S300において、関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップし、
S400において、冠動脈2次元造影画像から開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割し、
S500において、局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して第1画像を得、
S600において、第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得、
S700において、第2画像から血管の最初の中心線を抽出し、
S800において、血管の最初の中心線を矯正して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得る。
【0033】
本発明は、血管の中心線を精密に抽出する方法を提供し、造影剤の色が暗いので、造影剤が血管に充満されていないと、血管の形状が不完全になり、エッジの色が明るくなり、撮影された血管の画像が不完全になってしまう。それで、後の段階で血管のエッジのピックアップが不正確になる問題が発生しやすくなる。したがって、本発明によると、造影剤が血管内で充満状態にある、冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択することによって、血管の形状を完全に表示することができる。
【0034】
計算量を削減するために、本発明によると、冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得し、関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップし、冠動脈2次元造影画像から開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割する。局所血管領域図が冠動脈造影画像よりも小さいため、計算量が少なく、システムの応答速度が高速である。
【0035】
画像にノイズが存在するため、ノイズの画像への影響を低減するために、本発明によると、局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して第1画像を得る。鮮明な血管を得るために、本発明によると、第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得る。本発明によると、第2画像から血管の最初の中心線を抽出する速度がより速い。
【0036】
血管には枝があり、血管の中心線は血管の質と血管のエッジに関連しているため、血管の最初の中心線上の点には誤差がある。血管の最初の中心線を矯正するために、本発明によると、血管の最初の中心線の法線の方向に沿って、グレースケール値統計を実行し、画像強調後の第2画像であると、血管の中心から外れた点を法線の方向に沿って血管領域内でグレースケール値が最大である位置に移動して、補正を完了して血管の精密な中心線を得るため、血管の中心線の抽出精度を向上させた。
【0037】
実施例2:
図1に示すように、本発明は、上記の問題を解決するために、血管の中心線を精密に抽出する方法を提供し、前記方法は、以下のステップを含む。
S100において、造影剤が血管内で充満状態にある、図2に示すような冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択し、
S200において、冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得し、
S300において、関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップし、
S400において、冠動脈2次元造影画像から開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割し、好ましくは、血管のピックアップ精度を向上させるために、本発明は、開始点と終了点との間で、関心のある血管セグメントの少なくとも1つのシード点をさらにピックアップすることができ、開始点、シード点、終了点の中の隣接する2つの点同士の間の第2画像をそれぞれ分割して、少なくとも2つの局所血管領域図を得、
S500において、局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して第1画像を得、S500は、以下のステップを含む。
【0038】
WとHは、それぞれ前記2次元カーネル関数の幅および高さを表し、
2次元カーネル関数
【数15】

を介してフィルタリングし、
このうち、x∈[0,W)、y∈[0,H)であり、σは、標準偏差を表し
σ=0.5~5.0
であり、eは、自然定数を表す。
【0039】
好ましくは、計算量を削減するために、σは、
【数16】

の区間の値を取ることができ、また、
【数17】

のときに計算することによって、計算速度を向上させる。
【0040】
S600において、第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得、図3に示すように、S600は、以下のステップを含む。
【0041】
S610において、異なる標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、それぞれ複数のマトリックス特徴値を計算し、図4に示すように、S610は、以下のステップを含む。
【0042】
S611において、異なる標準偏差σおよびマトリックスの大きさに基づいて、複数の2次元マトリックスH(x,y)を取得し、S611は、具体的に、以下のステップを含む。
【0043】
A)2次元カーネル関数g(x,y)に基づいて、式
【数18】

を通じて画像のx方向における2次導関数を得、
B)2次元カーネル関数g(x,y)に基づいて、式
【数19】

を通じて画像のy方向における2次導関数を得、
C)2次元カーネル関数g(x,y)に基づいて、式
【数20】

を通じて画像のx、yとの夾角がいずれも45°である方向における2次導関数を得、
D)Ixx、Ixy、およびIyyに基づいて、2次元マトリックス
【数21】

を得、
このうち、σは、標準偏差を表し、
σ=0.5~5.0
であり、eは、定数を表し、
【数22】

は、畳み込みを表し、I(x,y)は、画像の画素値を表し、Ixx、Ixy、およびIyyは、それぞれ、画像の、x方向、xおよびyとの夾角がいずれも45°である方向、および、y方向における2次導関数を表す。
【0044】
S612において、各々の2次元マトリックスに対応する第1パラメータおよび第2パラメータを取得し、S612は、具体的に、以下のステップを含む。
【0045】
I)IxxおよびIyyに基づいて、式
【数23】

を通じてKを得、
II)Ixx、Ixy、およびIyyに基づいて、式
【数24】

を通じてQを得、
III)KおよびQに基づいて、式
【数25】

を通じて第1パラメータを得、
IV)KおよびQに基づいて、式
【数26】

を通じて第2パラメータを得、
このうち、λは、第1パラメータを表し、λは、第2パラメータを表し、Ixx、Ixy、およびIyyは、それぞれ、画像の、x方向、xおよびyとの夾角がいずれも45°である方向、および、y方向における2次導関数を表す。
【0046】
S613において、第1パラメータおよび第2パラメータに基づいて、各々の2次元マトリックスのマトリックス特徴値を得、S613は、具体的に、以下のステップを含む。
【0047】
1)第1パラメータおよび第2パラメータに基づいて、式
【数27】

を通じてRBを得、
2)第1パラメータおよび第2パラメータに基づいて、式
【数28】

を通じてSを得、
3)RBおよびSに基づいて、式
【数29】

を通じて、マトリックス特徴値Vを得、
このうち、βは、線状とブロック状との区別を調整するためのパラメータを表し、
β=0.4~0.8
であり、γは、線状物全体の滑らかさを制御するためのパラメータを表し、
γ=3.0~5.0
である。
【0048】
本発明は、異なる標準偏差を利用して、異なるWおよびHを得、その目的は、異なる管径の血管を強調するためである。本発明は、画像を強調するための計算により、画像が不鮮明な血管であっても、比較的に鮮明な強調された血管を得ることができ、応用範囲が広い。
【0049】
S620において、すべてのマトリックス特徴値の中から最大値を出力値として選択し、出力値に対応する画像が血管強調後の図5に示すような第2画像である。
【0050】
S700において、第2画像から血管の最初の中心線を抽出し、図6に示すように、S700は、以下のステップを含む。
【0051】
S710において、第2画像から血管骨格を抽出し、
S720において、血管の分岐点をピックアップし、開始点と終了点とともに無向グラフを作成し、
S730において、血管骨格の方向に沿って、前記無向グラフの隣接する2つの点同士の間の最短距離を検索し、開始点から終了点への方向に沿って、すべての経路を得、
S740において、無向グラフの開始点から終了点への方向に沿って、すべての経路の中で最も距離が短い血管経路線を前記血管の最初の中心線とする。
【0052】
S800において、血管の最初の中心線を矯正して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得、図7に示すように、S800は、具体的に以下のステップを含む。
【0053】
S810において、複数の血管の中心点を結ぶことによって血管の最初の中心線を形成し、各々の血管の中心点に対して法線を作成し、
S820において、法線の方向に沿って、グレースケール値統計を実行し、画像強調後の第2画像であると、血管の中心から外れた点を法線の方向に沿って血管領域内でグレースケール値が最大である位置に移動して、補正を完了し、グリッドが位置する画像が元の画像であると、血管の中心から外れた点を法線の方向に沿って血管領域内でグレースケール値が最小である位置に移動して、補正を完了し、
S830において、補正後の血管の中心点再度結んで、図8に示すような血管の精密な中心線を得る。
【0054】
第2の態様によると、本発明は、血管の中心線を精密に抽出する装置を提供し、上記装置は、図9に示すように、順番に接続された、冠動脈2次元造影画像読込ユニット100、画像選択ユニット200、関心血管セグメントピックアップユニット300、画像分割ユニット400、フィルタリングユニット500、画像強調ユニット600、最初中心線抽出ユニット700、および、中心線補正ユニット800を備え、冠動脈2次元造影画像読込ユニット100は、患者の少なくとも1つの身体位置の、少なくとも2つの撮影角度の冠動脈2次元造影画像を読込みリ、画像選択ユニット200は、冠動脈2次元造影画像読込ユニット中から、造影剤が血管内で充満状態にある、冠動脈2次元造影画像を1フレーム選択し、関心血管セグメントピックアップユニット300は、冠動脈2次元造影画像から関心のある血管セグメントを取得し、関心のある血管セグメントの開始点と終了点をピックアップし、画像分割ユニット400は、関心血管セグメントピックアップユニット中の冠動脈2次元造影画像から、開始点および終了点に対応する局所血管領域図を分割し、フィルタリングユニット500は、画像分割ユニット中の局所血管領域図に対してフィルタリング処理を実行して、第1画像を得、画像強調ユニット600は、フィルタリングユニット中の第1画像に対して血管強調を実行して第2画像を得、最初中心線抽出ユニット700は、画像強調ユニットの第2画像から血管の最初の中心線を抽出し、中心線補正ユニット800は、最初中心線抽出ユニットによって抽出された血管の最初の中心線に対して矯正を実行して、血管の中心から外れた点を血管の中心に補正し、血管の精密な中心線を得る。
【0055】
選択的に、上記の血管の中心線を精密に抽出する装置において、図10に示すように、画像強調ユニット600は、順番に接続された、2次元マトリックスモジュール610、パラメータ計算モジュール620、マトリックス特徴値計算モジュール630、マトリックス特徴値選別モジュール640、および、第2画像モジュール650を備え、2次元マトリックスモジュール610は、異なる標準偏差およびマトリックスの大きさに基づいて、複数の2次元マトリックスを取得し、パラメータ計算モジュール620は、2次元マトリックスモジュール610中の複数の2次元マトリックスに基づいて、各々の2次元マトリックスに対応する第1パラメータおよび第2パラメータを取得し、マトリックス特徴値モジュール630は、パラメータ計算モジュール620によって算出された第1パラメータおよび第2パラメータに基づいて、各々の2次元マトリックスのマトリックス特徴値を得、マトリックス特徴値選別モジュール640は、マトリックス特徴値モジュール630中のすべてのマトリックス特徴値の中から最大値を出力値として選択し、第2画像モジュール650は、マトリックス特徴値選別モジュール640の出力値に基づいて、出力値に対応する画像を血管強調後の第2画像とする。
【0056】
第3の態様によると、本発明は、冠動脈分析システムを提供し、上記システムは、上記の血管の中心線を精密に抽出する装置を含む。
【0057】
第4の態様によると、本発明は、コンピューター記憶媒体を提供し、コンピュータープログラムがプロセッサによって実行されるときに、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法が実現される。
【0058】
当業者には理解されるように、本発明の様々な態様は、システム、方法、またはコンピュータープログラム製品として具現化することができる。したがって、本発明の様々な態様は、以下の形態で具現化することができる。すなわち、完全にハードウェアの実装、完全にソフトウェアの実装(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなど)、またはハードウェアとソフトウェアの態様の組み合わせの実装であり得、ここで「回路」、「モジュール」、または「システム」と総称される場合がある。なお、いくつかの実施例において、本発明の様々な態様は、1つまたは複数のコンピューター可読媒体上のコンピュータープログラム製品の形で実装することもでき、当該コンピューター可読媒体には、コンピューター可読プログラムコードが組み込まれている。本発明の実施例の方法および/またはシステムの実装は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせで実行または完了することを含み得る。
【0059】
たとえば、本発明の実施例による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明の実施例による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装され得る。本発明の例示的な実施例において、本明細書で説明する方法および/またはシステムの例示的な実施例の1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行され得る。選択的に、当該データプロセッサは、命令および/またはデータを記憶するための揮発性記憶装置、および/または、命令および/またはデータを記憶するための不揮発性記憶装置を含み、たとえば、磁気ハードディスクおよび/またはモバイル媒体を含む。選択的に、ネットワーク接続をさらに提供する。選択的に、ディスプレイおよび/またはキーボードやマウスなどのユーザー入力デバイスをさらに提供する。
【0060】
1つまたは複数のコンピューター可読の任意の組み合わせを利用することができる。コンピューター可読媒体は、コンピューター可読信号媒体またはコンピューター可読記憶媒体であり得る。コンピューター可読記憶媒体は、たとえば電気、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置、またはデバイス、または上記の任意の組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピューター可読記憶媒体のより具体的な例(網羅的なリストではない)は、次のようなものを含む。
【0061】
コンピューター可読記憶媒体は、1本または複数のワイヤによる電気的接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、または上記の任意の適切な組み合わせを含む。本明細書では、コンピューター可読記憶媒体は、プログラムを含むまたは格納する任意の有形の媒体であり得、当該プログラムは、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはこれらと組み合わせて使用することができる。
【0062】
コンピューター可読信号媒体は、ベースバンドで、またはコンピュータ可読プログラムコードが具現化された搬送波の一部として伝播データ信号を含むことができる。このような伝播データ信号は、電磁信号、光信号、または前述の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な形態をとることができる。コンピュータ可読信号媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはこれらと関連して使用するためのプログラムを送信、伝搬、または移送できるコンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であり得る。
【0063】
コンピュータ可読媒体に具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバーケーブル、RFなど、または前述の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切な媒体を使用して送信され得る。
【0064】
たとえば、本発明の様々な態様の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および、「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書くことができる。プログラムコードは、完全にユーザーのコンピューター上で、部分的にユーザーのコンピューター上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザーのコンピューターと部分的にリモートコンピューター上で、または完全にリモートコンピューターまたはサーバー上で実行することができる。リモートコンピューターの場合、リモートコンピューターは、ローカルエリアネットワーク(LAN)やワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意の種類のネットワークを介してユーザーのコンピューターや外部コンピューターに接続することができる(たとえば、インターネットサービスプロバイダーを使用してインターネット経由で接続する)。
【0065】
フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装できることを理解すべきである。これらのコンピュータープログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されて、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサによって実行されると、コンピュータプログラム命令を引き起こすマシンを生成することによって、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実装するための装置をもたらす。
【0066】
これらのコンピュータープログラム命令は、さらに、コンピューター可読媒体に記憶することができ、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスを特定の方法で動作させ、それによって、コンピューター可読媒体に記憶された命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実装する命令の製造品(article of manufacture)をもたらすことができる。
【0067】
コンピュータープログラム命令は、さらに、コンピューター(たとえば、冠動脈分析システム)またはたのプログラム可能なデータ処理デバイスにロードして、コンピューター、他のプログラム可能なデータ処理装置または他の装置上で一連の操作ステップを実行させてコンピューター実現プロセスをもたらし、それによって、コンピューター、他のプログラム可能なデータ処理装置または他の装置で実行される命令が、フローチャートおよび/または1つまたは複数のブロック図ブロックで指定された機能/動作を実装するためのプロセスを提供するようにする。
【0068】
本発明の以上の具体的な例は、本発明の目的、技術的解決策、および有益な効果をさらに詳細に説明するものであり、上記は本発明の具体的な実施例にすぎず、本発明を限制することを意図しなく、本発明の精神と原理の範囲内でなされた修正、同等の置換、改良などは、本発明の保護範囲内に含まれるものとすることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0069】
100 冠動脈2次元造影画像読込ユニット
200 画像選択ユニット
300 関心血管セグメントピックアップユニット
400 画像分割ユニット
500 フィルタリングユニット
600 画像強調ユニット
610 2次元マトリックスモジュール
620 パラメータ計算モジュール
630 マトリックス特徴値計算モジュール
640 マトリックス特徴値選別モジュール
650 第2画像モジュール
700 最初中心線抽出ユニット
800 中心線補正ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項14】
コンピュータープログラムが記憶されているコンピューター記憶媒体であって、
コンピュータープログラムがプロセッサによって実行されるときに、請求項1乃至11の中のいずれか1項に記載の血管の中心線を精密に抽出する方法が実現される
ことを特徴とするコンピューター記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
第4の態様によると、本発明は、コンピュータープログラムが記憶されているコンピューター記憶媒体を提供し、コンピュータープログラムがプロセッサによって実行されるときに、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法が実現される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
第4の態様によると、本発明は、コンピュータープログラムが記憶されているコンピューター記憶媒体を提供し、コンピュータープログラムがプロセッサによって実行されるときに、上記の血管の中心線を精密に抽出する方法が実現される。
【国際調査報告】