(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】がんに対する治療方法及び診断方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230510BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230510BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230510BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20230510BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALI20230510BHJP
C12Q 1/6841 20180101ALI20230510BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20230510BHJP
C07K 16/22 20060101ALI20230510BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20230510BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230510BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230510BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230510BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230510BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230510BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20230510BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230510BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20230510BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A61K45/00 101
C07K16/28 ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6841 Z
C12Q1/6869 Z
C07K16/22
C07K16/24
A61P35/00
A61P35/04
A61K45/06
A61P43/00 121
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K31/403
G01N33/53 M
G01N33/53 P
G01N33/50 P
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560203
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2021025511
(87)【国際公開番号】W WO2021202959
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ, リー-フェン
(72)【発明者】
【氏名】マリアザサン, サンジーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ユエン, コベ チユン
(72)【発明者】
【氏名】フセニ, マールーク
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CA17
2G045CA20
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2G045CB01
2G045DA13
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2G045DA36
2G045FA40
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2G045FB03
2G045FB08
4B063QA01
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4C084AA17
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4C084AA24
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4C085CC23
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4C086AA01
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4C086BC10
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4C086ZC20
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
本発明は、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))に対する治療方法及び診断方法、並びに組成物を提供する。本発明は、本発明のバイオマーカー(例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えばIL8)の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法、がんを有する個体に対する治療法を選択するための方法、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定する方法、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対するがんを有する個体の応答をモニタリングする方法、及びがんを有する個体を治療する方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、全生存期間(OS)又は全奏効率(ORR)によって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項2】
IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを含み、応答が、OS又はORRによって示される、方法。
【請求項3】
PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、方法。
【請求項4】
がんを有する個体に対する治療を選択するための方法であって、
(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体に対するPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること
を含む、方法。
【請求項5】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項6】
IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答が、OS又はORRによって示される、方法。
【請求項7】
PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、方法。
【請求項8】
がんを有する個体に対する治療を選択するための方法であって、
(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、個体に対する抗がん療法を選択すること
を含む、方法。
【請求項9】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、
(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること
を含む、方法。
【請求項10】
PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、方法。
【請求項11】
PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対する、がんを有する個体の応答をモニタリングする方法であって、
(a)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、
(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること
を含む、方法。
【請求項12】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、
(b)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項13】
PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、方法。
【請求項14】
PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対する、がんを有する個体の応答をモニタリングする方法であって、
(a)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、
(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル以上である場合、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項15】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、
(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること
を含む、方法。
【請求項16】
PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、方法。
【請求項17】
PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対する、がんを有する個体の応答をモニタリングする方法であって、
(a)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、
(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること
を含む、方法。
【請求項18】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、
(b)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項19】
PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、方法。
【請求項20】
PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対する、がんを有する個体の応答をモニタリングする方法であって、
(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、
(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項21】
抗がん療法の投与後の時点が、抗がん療法の投与後約4~約8週間である、請求項9~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
抗がん療法の投与後の時点が、抗がん療法の投与後約6週間である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項24】
IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを含み、応答が、OS又はORRによって示され、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られている、方法。
【請求項25】
PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、方法が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、方法。
【請求項26】
がんを有する個体に対する治療を選択するための方法であって、
(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体に対するPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること
を含む、方法。
【請求項27】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項28】
IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答が、OS又はORRによって示され、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られている、方法。
【請求項29】
PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、方法。
【請求項30】
がんを有する個体に対する治療を選択するための方法であって、
(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、個体に対する抗がん療法を選択すること
を含む、方法。
【請求項31】
試料が、血漿試料、組織試料、細胞試料、全血試料、血清試料、又はそれらの組み合わせである、請求項1~14及び21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
試料が血漿試料である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
組織試料が、腫瘍組織試料である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
腫瘍組織試料が、腫瘍細胞、腫瘍浸潤免疫細胞、間質細胞、又はそれらの組み合わせを含む、請求項15~20及び33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
腫瘍浸潤免疫細胞が腫瘍浸潤骨髄細胞を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
腫瘍組織試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料、アーカイブ試料、新鮮試料、又は凍結試料である、請求項15~20及び33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
細胞試料が末梢血単核細胞(PBMC)を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で血漿試料又はPBMCを含む試料中で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項39】
IL8の基準レベル未満である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを含む、方法。
【請求項40】
PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、方法。
【請求項41】
がんを有する個体に対する治療を選択するための方法であって、
(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定された血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、個体に対するPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること
を含む、方法。
【請求項42】
がんを有する個体を治療する方法であって、
(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定された血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること
を含む、方法。
【請求項43】
IL8の基準レベル以上である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む、方法。
【請求項44】
PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、方法。
【請求項45】
がんを有する個体に対する治療を選択するための方法であって、
(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)で決定された血漿試料中又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、個体に対する抗がん療法を選択すること
を含む、方法。
【請求項46】
応答が、OS又はORRによって示される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項47】
応答がOSによって示される、請求項1~4、10、及び11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療からの延長されたOSを有する可能性が高い、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
応答がOS又はORRによって示される、請求項16、17、及び38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
応答がOSによって示される、請求項23~26及び49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療からの延長されたOSを有する可能性が高い、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
応答が、OS又はORRによって示される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項53】
応答がOSによって示される、請求項5~8及び52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
個体が、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法による治療と比較して、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からの低下したOSを有する可能性が高い、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
応答がOS又はORRによって示される、請求項19、20及び42~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
応答がOSによって示される、請求項27~30及び55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からの低下したOSを有する可能性が高い、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
IL8の基準レベルが、がんを有する個体の集団から決定される、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
IL8の基準レベルが、がんを有する患者の集団において決定された発現レベルの中央値、発現レベルの三分位値、又は最大選択されたログランク基準レベルである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
IL8の基準レベルが、がんを有する患者の集団において決定された発現レベルの中央値である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
最大選択されたログランク基準レベルが、12pg/mLのIL8である、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
基準レベルが、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られた試料中のIL8のレベルである、請求項9~14、21及び22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
基準レベルが、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られた試料中のIL8のレベルである、請求項15~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
IL8の発現レベルが核酸発現レベルである、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
核酸発現レベルがmRNA発現レベルである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
mRNA発現レベルが、RNAシーケンシング(RNA-seq)、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖応答(RT-qPCR)、定量的PCR(qPCR)、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ分析、遺伝子発現の連続分析(SAGE)、MassARRAY技術、in situハイブリダイゼーション(ISH)、又はそれらの組み合わせによって決定される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
RNA-seqがシングルセルRNAシーケンシング(scRNA-seq)である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
IL8の発現レベルが、タンパク質発現レベルである、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
タンパク質発現レベルが、免疫組織化学法(IHC)、ウエスタンブロット法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降法、免疫蛍光法、ラジオイムノアッセイ、又は質量分析法によって決定される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
個体が、Tエフェクター(T
eff)シグネチャの基準レベル以上である腫瘍試料中のT
effシグネチャの発現レベルを有する、請求項5~8、12~14、18~22、27~37、42~45及び52~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
T
effシグネチャが、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される1つ以上の遺伝子を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
T
effシグネチャが、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される2つ以上の遺伝子を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
T
effシグネチャが、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される3つ以上の遺伝子を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
T
effシグネチャが、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
個体が、がんについて以前に治療されたことがない、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
個体が、がんについて以前に治療されたこがある、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
がんが、膀胱がん、腎臓がん、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、リンパ腫、前立腺がん、肝臓がん、頭頸部がん、黒色腫、卵巣がん、中皮腫又は骨髄腫である、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
膀胱がんが尿路上皮癌腫(UC)である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
UCが局所進行性又は転移性UCである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
個体が、事前の白金ベースの化学療法を受けたことがある、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
個体が、事前の白金ベースの化学療法後に進行している、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
個体が、局所進行性又は転移性UCについて以前に治療されたことがない、請求項79に記載の方法。
【請求項83】
個体が白金ベースの化学療法に不適格である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
個体がシスプラチン不適格である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
腎臓がんが腎細胞癌腫(RCC)である、請求項77に記載の方法。
【請求項86】
RCCが転移性RCC(mRCC)である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
個体がmRCCについて以前に治療されたことがない、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
肺がんが非小細胞肺がん又は小細胞肺がんである、請求項77に記載の方法。
【請求項89】
乳がんがトリプルネガティブ乳がん(TNBC)又はHER 2陽性乳がんである、請求項77に記載の方法。
【請求項90】
乳がんがTNBCである、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを更に含む、請求項3、4及び11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを更に含む、請求項16、17、25、26、40及び41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与することを更に含む、請求項7、8、13、及び14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与することを更に含む、請求項19、20、29、30、44及び45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法が、VEGFアンタゴニスト、IL8アンタゴニスト、IL1Bアンタゴニスト、IL1Rアンタゴニスト、又はそれらの組み合わせを含む、請求項5、6、8、12、及び14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法が、VEGFアンタゴニスト、IL1Bアンタゴニスト、IL1Rアンタゴニスト、又はそれらの組み合わせを含む、請求項18、20、27、28、30、42、43、及び45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
抗がん療法がVEGFアンタゴニストとPD-L1結合アンタゴニストとを含む、請求項95又は96に記載の方法。
【請求項98】
VEGFアンタゴニストが、抗VEGF抗体又はVEGF受容体(VEGFR)阻害剤である、請求項95~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
VEGFアンタゴニストが、抗VEGF抗体である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
抗VEGF抗体がベバシズマブである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
IL8アンタゴニストが、抗IL8抗体又は小分子IL8阻害剤である、請求項95~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
IL1Bアンタゴニストが、抗IL1B抗体又は小分子IL1B阻害剤である、請求項95~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
IL1Rアンタゴニストが、抗IL1R抗体又は小分子IL1R阻害剤である、請求項95~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
PD-L1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される、請求項15~90、92、94及び96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
PD-L1軸結合アンタゴニストがPD-L1結合アンタゴニストである、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
PD-L1結合アンタゴニストが、PD-L1のそのリガンド結合パートナーのうちの1つ以上のへの結合を阻害する、請求項1~14、21、22、31~37、46~48、52~54、58~62、64~91、93、95、及び97~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
PD-L1結合アンタゴニストがPD-L1のPD-1への結合を阻害する、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
PD-L1結合アンタゴニストが、PD-L1のB7-1への結合を阻害する、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
PD-L1結合アンタゴニストが、PD-L1の、PD-1とB7-1との両方への結合を阻害する、請求項106~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1抗体である、請求項104~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、MDX-1105、デュルバルマブ、及びアベルマブからなる群から選択される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
抗PD-L1抗体が以下の超可変領域(HVR):
(a)GFTFSDSWIHのHVR-H1配列(配列番号19);
(b)AWISPYGGSTYYADSVKGのHVR-H2配列(配列番号20);
(c)RHWPGGFDYのHVR-H3配列(配列番号21);
(d)RASQDVSTAVAのHVR-L1配列(配列番号22);
(e)SASFLYSのHVR-L2配列(配列番号23);及び
(f)QQYLYHPATのHVR-L3配列(配列番号24)
を含む、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項113】
抗PD-L1抗体が、
(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号25)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号4)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、請求項110~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
抗PD-L1抗体が、
(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;
(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
抗PD-L1抗体が、
(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;
(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
抗PD-L1抗体が、
(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;
(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
抗PD-L1抗体が、
(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;
(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
抗PD-L1抗体が、
(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;
(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
抗PD-L1抗体が、
(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
抗PD-L1抗体が、
(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むVLドメイン
を含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
抗PD-L1抗体がアテゾリズマブである、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
追加の治療剤を個体に投与することを更に含む、請求項1~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
追加の治療剤が、免疫治療剤、細胞傷害性薬剤、成長阻害剤、放射線治療剤、抗血管新生剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
個体がヒトである、請求項1~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療から利益を得ることができる、がんを有する個体を同定するためのキットであって、
(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、
(b)請求項3又は10に記載の方法に従って、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定するために試薬を使用するための説明書と
を含む、キット。
【請求項126】
PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法による治療から利益を得ることができる、がんを有する個体を同定するためのキットであって、
(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、
(b)請求項7又は13に記載の方法に従って、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定し、それにより個体を、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法による治療から利益を得ることができる個体として同定するために試薬を使用するための説明書と
を含む、キット。
【請求項127】
がんを有する個体を治療するためのキットであって、
(a)PD-L1結合アンタゴニストと、任意に、
(b)請求項3又は10に記載の方法に従って、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法に応答する可能性が高いと同定された、がんを有する個体にPD-L1結合アンタゴニストを投与するための説明書と
を含む、キット。
【請求項128】
がんを有する個体を治療するためのキットであって、
(a)PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法と、任意に
(b)請求項7又は13に記載の方法に従って、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法に応答する可能性が低いと同定された、がんを有する個体に、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を投与するための説明書と
を含む、キット。
【請求項129】
PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療から利益を得ることができる、がんを有する個体を同定するためのキットであって、
(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、
(b)請求項16、25、及び40のいずれか一項に記載の方法に従って、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定するために試薬を使用するための説明書と
を含む、キット。
【請求項130】
PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法による治療から利益を得ることができる、がんを有する個体を同定するためのキットであって、
(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、
(b)請求項19、29、及び44のいずれか一項に記載の方法に従って、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定し、それにより個体を、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法による治療から利益を得ることができる個体として同定するために試薬を使用するための説明書と
を含む、キット。
【請求項131】
がんを有する個体を治療するためのキットであって、
(a)PD-L1軸結合アンタゴニストと、任意に、
(b)請求項16、25、及び40のいずれか一項に記載の方法に従って、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法に応答する可能性が高い同定された、がんを有する個体にPD-L1軸結合アンタゴニストを投与するための説明書と
を含む、キット。
【請求項132】
がんを有する個体を治療するためのキットであって、
(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法と、任意に
(b)請求項19、29、及び44のいずれか一項に記載の方法に従って、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法に応答する可能性が低いと同定された、がんを有する個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を投与するための説明書と
を含む、キット。
【請求項133】
がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニストであって、個体が、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、応答がOS又はORRによって示される、PD-L1結合アンタゴニスト。
【請求項134】
PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、個体が、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、応答がOS又はORRによって示される、抗がん療法。
【請求項135】
がんを有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1結合アンタゴニストであって、方法が、
(a)有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、
(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること
を含む、PD-L1結合アンタゴニスト。
【請求項136】
PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体を治療する方法において使用するための抗がん療法であって、方法が、
(a)有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、
(b)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること
を含む、抗がん療法。
【請求項137】
がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニストであって、PD-L1結合アンタゴニストの投与後の時点に個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であると決定されている、PD-L1結合アンタゴニスト。
【請求項138】
PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、PD-L1結合アンタゴニストの投与後の時点に個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であると決定されている、抗がん療法。
【請求項139】
がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストであって、個体が、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答が、OS又はORRによって示される、PD-L1軸結合アンタゴニスト。
【請求項140】
PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、個体が、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答が、OS又はORRによって示される、抗がん療法。
【請求項141】
がんを有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストであって、方法が、
(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、
(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること
を含む、PD-L1軸結合アンタゴニスト。
【請求項142】
がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストであって、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点に個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であると決定されており、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、PD-L1軸結合アンタゴニスト。
【請求項143】
PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体を治療する方法において使用するための抗がん療法であって、方法が、
(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、
(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること
を含む、抗がん療法。
【請求項144】
PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点に個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であると決定されており、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、抗がん療法。
【請求項145】
がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストであって、個体が、IL8の基準レベル未満である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されている、PD-L1軸結合アンタゴニスト。
【請求項146】
PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、個体が、IL8の基準レベル以上である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されている、抗がん療法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式にて電子的に提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。当該ASCIIコピーは、2021年3月30日に作成され、50474-202WO2_Sequence_Listing_3.30.21_ST25と命名され、大きさは23,551バイトである。
【0002】
発明の分野
がん等の病理学的な症状の治療及び診断のための方法及び組成物が本明細書で提供される。具体的には、本明細書は、患者選択及び診断のためのバイオマーカー、治療方法、製品、診断キット、及び検出方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
がんは、依然としてヒトの健康に対する最も致命的な脅威のうちの1つである。がん又は悪性腫瘍は転移し、制御されていない様子で急速に成長し、時を得た検出及び治療を極めて困難にする。米国において、がんは、毎年約130万人の新たな患者に影響を及ぼし、心疾患に続く第2の主な死亡原因であり、死亡の約4件に1件を占める。固形腫瘍が、これらの死亡の大部分の原因である。膀胱がんは、世界で5番目に一般的な悪性腫瘍であり、1年当たり40万件近くの症例が新たに診断され、およそ15万件の関連死が報告されている。特に、転移性尿路上皮癌腫(UC)は転帰不良に関連しており、これまで有効な治療法がほとんどなく、満たされていない主な医学的ニーズを表している。別の例では、腎細胞癌腫(RCC)は、腎臓がんの最も一般的なタイプであり、複数の組織学的サブタイプを有する。
【0004】
プログラム死リガンド1(PD-L1)は、慢性感染、妊娠、組織同種移植片、自己免疫疾患、及びがんにおける免疫系応答の抑制に関係があるとされているタンパク質である。PD-L1は、T細胞、B細胞、及び単球の表面上に発現される、プログラム死1(PD-1)として知られる抑制性受容体に結合することにより免疫応答を調節する。PD-L1は、別の受容体、B7-1との相互作用によっても、T細胞機能を負に制御する。PD-L1/PD-1及びPD-L1/B7-1複合体の形成は、T細胞受容体のシグナル伝達を負に制御し、その後、T細胞活性化の下方制御、及び抗腫瘍免疫活性の抑制をもたらす。
【0005】
がん(例えば、膀胱がん(例えば、尿路上皮膀胱がん))の治療における著しい前進にかかわらず、改善された療法及び診断方法が未だに求められている。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明は、がん、例えば、膀胱がん(例えば、尿路上皮膀胱がん、UBC)のための治療方法及び診断方法、並びに組成物を提供する。
【0007】
一態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、全生存期間(OS)又は全奏効率(ORR)によって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む、方法を特徴とする。
【0008】
別の態様では、本発明は、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを含み、応答が、OS又はORRによって示される、方法を特徴とする。
【0009】
別の態様では、本発明は、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、方法を特徴とする。
【0010】
別の態様では、本開示は、がんを有する個体の治療を選択するための方法を特徴とし、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体に対するPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む、方法。
【0011】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0012】
別の態様では、本発明は、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答が、OS又はORRによって示される、方法を特徴とする。
【0013】
別の態様では、本発明は、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、方法を特徴とする。
【0014】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体に対する治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を選択すること、を含む。
【0015】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること;及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0016】
別の態様では、本発明は、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、方法が、抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、方法を特徴とする。
【0017】
別の態様では、本発明は、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対するがんを有する個体の応答をモニタリングする方法を特徴とし、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル未満である場合、該個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0018】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0019】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニストであって、個体が、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、応答がOS又はORRによって示される、PD-L1結合アンタゴニストを特徴とする。
【0020】
別の態様では、本発明は、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、個体が、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、応答がOS又はORRによって示される、抗がん療法を特徴とする。
【0021】
別の態様において、本発明は、がんを有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1結合アンタゴニストを特徴とし、該方法は、(a)有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること;及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0022】
別の態様では、本発明は、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体を治療する方法において使用するための抗がん療法を特徴とし、該方法は、(a)有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0023】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニストであって、PD-L1結合アンタゴニストの投与後の時点に個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であると決定されている、PD-L1結合アンタゴニストを特徴とする。
【0024】
別の態様では、本発明は、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、PD-L1結合アンタゴニストの投与後の時点に個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であると決定されている、抗がん療法を特徴とする。
【0025】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストであって、個体が、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答が、OS又はORRによって示される、PD-L1軸結合アンタゴニストを特徴とする。
【0026】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、個体が、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答が、OS又はORRによって示される、抗がん療法を特徴とする。
【0027】
別の態様において、本発明は、がんを有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストを特徴とし、該方法は、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0028】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストであって、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点に個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であると決定されており、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、PD-L1軸結合アンタゴニストを特徴とする。
【0029】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体を治療する方法において使用するための抗がん療法を特徴とし、該方法は、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0030】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点に個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であると決定されており、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、抗がん療法を特徴とする。
【0031】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストであって、個体が、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されている、PD-L1軸結合アンタゴニストを特徴とする。
【0032】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、がんを有する個体の治療に使用するための抗がん療法であって、個体が、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されている、抗がん療法を特徴とする。
【0033】
別の態様では、本発明は、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、方法が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、方法を特徴とする。
【0034】
別の態様では、本発明は、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対するがんを有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル以上である場合、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0035】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0036】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、方法が、抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、方法を特徴とする。
【0037】
別の態様において、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対するがんを有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0038】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0039】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、方法が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、方法を特徴とする。
【0040】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対するがんを有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0041】
いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。
【0042】
いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0043】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0044】
別の態様では、本発明は、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、方法が、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを含み、応答が、OS又はORRによって示され、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られている、方法を特徴とする。
【0045】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、方法が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、方法を特徴とする。
【0046】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体に対する治療を選択するための方法を特徴とし、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0047】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0048】
別の態様では、本発明は、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、方法が、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答が、OS又はORRによって示され、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られている、方法を特徴とする。
【0049】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、方法が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、方法を特徴とする。
【0050】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体対する治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、項がん療法を選択すること、を含む。
【0051】
いくつかの態様では、試料は、組織試料、細胞試料、全血試料、血漿試料、血清試料、又はこれらの組み合わせである。
【0052】
いくつかの態様では、試料は血漿試料である。
【0053】
いくつかの態様では、組織試料は腫瘍組織試料である。
【0054】
いくつかの態様では、腫瘍組織試料は、腫瘍細胞、腫瘍浸潤免疫細胞、間質細胞、又はそれらの組み合わせを含む。
【0055】
いくつかの態様では、腫瘍浸潤免疫細胞は、腫瘍浸潤骨髄細胞を含む。
【0056】
いくつかの態様では、腫瘍組織試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料、アーカイブ試料、新鮮な試料、又は凍結試料である。
【0057】
いくつかの態様では、細胞試料は末梢血単核細胞(PBMC)を含む。
【0058】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び
(b)工程(a)において血漿試料又はPBMCを含む試料において決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0059】
別の態様では、本発明は、IL8の基準レベル未満である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法個体に投与することを含む、方法を特徴とする。
【0060】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い、がんを有する個体を同定する方法であって、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、方法を特徴とする。
【0061】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体対する治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、個体に対するPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0062】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療する方法を特徴とし、(a)血漿試料又は個体由来のPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料中又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)個体に、血漿試料中又は工程(a)で決定されたPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を投与すること、を含む。
【0063】
別の態様では、IL8の基準レベル以上である個体から血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がんを有する個体を治療する方法であって、方法が、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む、方法を特徴とする。
【0064】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法であって、方法が、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、方法を特徴とする。
【0065】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体対する治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された血漿試料中又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、個体に対する抗がん療法を選択すること、を含む。
【0066】
いくつかの態様では、応答は、OS又はORRによって示される。
【0067】
いくつかの態様では、応答は、OSによって示される。
【0068】
いくつかの態様では、個体は、PD-L1結合アンタゴニストを含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療からの延長されたOSを有する可能性が高い。
【0069】
いくつかの態様では、応答は、OS又はORRによって示される。
【0070】
いくつかの態様では、応答は、OSによって示される。
【0071】
いくつかの態様では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療からの延長されたOSを有する可能性が高い。
【0072】
いくつかの態様では、応答は、OS又はORRによって示される。
【0073】
いくつかの態様では、応答は、OSによって示される。
【0074】
いくつかの態様では、個体は、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からの低下したOSを有する可能性が高い。
【0075】
いくつかの態様では、応答は、OS又はORRによって示される。
【0076】
いくつかの態様では、応答は、OSによって示される。
【0077】
いくつかの態様では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からの低下したOSを有する可能性が高い。
【0078】
いくつかの態様は、IL8の基準レベルは、がんを有する個体の集団から決定される。
【0079】
いくつかの態様では、IL8の基準レベルは、がんを有する患者の集団において決定された発現レベルの中央値、発現レベルの三分位値、又は最大選択されたログランク基準レベルである。
【0080】
いくつかの態様では、IL8の基準レベルは、がんを有する患者の集団において求められる発現レベルの中央値である。
【0081】
いくつかの態様では、最大選択されたログランク基準レベルは、12pg/mLのIL8である。
【0082】
いくつかの態様では、基準レベルは、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られた試料中のIL8のレベルである。
【0083】
いくつかの態様では、基準レベルは、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られた試料中のIL8のレベルである。
【0084】
いくつかの態様では、IL8の発現レベルは核酸発現レベルである。
【0085】
いくつかの態様では、核酸発現レベルはmRNA発現レベルである。
【0086】
いくつかの態様では、mRNA発現レベルは、RNAシーケンシング(RNA-seq)、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖応答(RT-qPCR)、定量的PCR(qPCR)、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ分析、遺伝子発現の連続分析(SAGE)、MassARRAY技術、in situハイブリダイゼーション(ISH)、又はそれらの組み合わせによって決定される。
【0087】
いくつかの態様では、RNA-seqはシングルセルRNAシーケンシング(scRNA-seq)である。
【0088】
いくつかの態様では、IL8の発現レベルはタンパク質発現レベルである。
【0089】
いくつかの態様では、タンパク質発現レベルは、免疫組織化学法(IHC)、ウェスタンブロット法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降法、免疫蛍光法、ラジオイムノアッセイ、又は質量分析法によって決定される。
【0090】
いくつかの態様では、個体は、Teffシグネチャーについての基準レベル以上である腫瘍試料におけるTエフェクター(Teff)シグネチャーの発現レベルを有する。
【0091】
いくつかの態様では、Teffシグネチャーは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される1つ以上の遺伝子を含む。
【0092】
いくつかの態様では、Teffシグネチャーは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される2つ以上の遺伝子を含む。
【0093】
いくつかの態様では、Teffシグネチャーは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される3つ以上の遺伝子を含む。
【0094】
いくつかの態様では、Teffシグネチャーは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1を含む。
【0095】
いくつかの態様では、個体は、がんに対する治療を以前に受けたことがない。
【0096】
いくつかの態様では、個体は、がんに対する治療を以前に受けたことがある。
【0097】
いくつかの態様では、がんは、膀胱がん、腎臓がん、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、リンパ腫、前立腺がん、肝臓がん、頭頸部がん、黒色腫、卵巣がん、中皮腫又は骨髄腫である。
【0098】
いくつかの態様では、膀胱がんは、尿路上皮癌腫(UC)である。
【0099】
いくつかの態様では、UCは局所進行性または転移性UCである。
【0100】
いくつかの態様では、個体は、事前の白金ベースの化学療法を受けたことがある。
【0101】
いくつかの態様では、個体は、事前の白金ベースの化学療法の後に進行している。
【0102】
いくつかの態様では、個体は、局所進行性又は転移性UCについて以前に治療されたことがない。
【0103】
いくつかの態様では、個体は、白金ベースの化学療法に対して不適格である。
【0104】
いくつかの態様では、個体はヒトである。
【0105】
いくつかの態様において、腎臓がんは、腎細胞癌腫(RCC)である。
【0106】
いくつかの態様において、RCCは転移性RCC(mRCC)である。
【0107】
いくつかの態様では、個体は、がんに対する治療を以前に受けていない。
【0108】
いくつかの態様では、肺がんは、非小細胞肺がん又は小細胞肺がんである。
【0109】
幾つかの態様では、乳がんはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)又はHER2陽性乳がんである。
【0110】
いくつかの態様では、乳がんはTNBCである。
【0111】
いくつかの態様では、方法は、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを更に含む。
【0112】
いくつかの態様では、方法は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること更に含む。
【0113】
幾つかの態様では、本方法は、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与することを更に含む。
【0114】
幾つかの態様では、本方法は、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与することを更に含む。
【0115】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた抗がん療法が、VEGFアンタゴニスト、IL8アンタゴニスト、IL1Bアンタゴニスト、IL1Rアンタゴニスト、又はそれらの組み合わせを含む。
【0116】
いくつかの態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法が、VEGFアンタゴニスト、IL1Bアンタゴニスト、IL1Rアンタゴニスト、又はそれらの組み合わせを含む。
【0117】
いくつかの態様において、抗がん療法は、VEGFアンタゴニスト及びPD-L1結合アンタゴニストを含む。
【0118】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体又はVEGF受容体(VEGFR)阻害剤である。
【0119】
いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは抗VEGF抗体である。
【0120】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブである。
【0121】
いくつかの態様では、IL8アンタゴニストは、抗IL8抗体又は小分子IL8阻害剤である。
【0122】
いくつかの態様では、IL1Bアンタゴニストは、抗IL1B抗体又は小分子IL1B阻害剤である。
【0123】
いくつかの態様では、IL1Rアンタゴニストは、抗IL1R抗体又は小分子IL1R阻害剤である。
【0124】
いくつかの態様では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される。
【0125】
いくつかの態様では、PD-L1軸結合アンタゴニストはPD-L1結合アンタゴニストである。
【0126】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する。
【0127】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1への結合を阻害する。
【0128】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のB7-1への結合を阻害する。
【0129】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-1及びB-1の両方へのPD-L1の結合を阻害する。
【0130】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。
【0131】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、MDX-1105、デュルバルマブ、及びアベルマブからなる群から選択される。
【0132】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、以下の超可変領域(HVR)を含む:
(a)GFTFSDSWIH(配列番号19)のHVR-H1配列;(b)AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号20)のHVR-H2配列;(c)RHWPGGFDY(配列番号21)のHVR-H3配列;(d)RASQDVSTAVA(配列番号22)のHVR-L1配列;(e)SASFLYS(配列番号23)のHVR-L2配列;及び(f)QQYLYHPAT(配列番号24)のHVR-L3配列。
【0133】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号25)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号4)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。
【0134】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。
【0135】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。
【0136】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;
(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。
【0137】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。
【0138】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。
【0139】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。
【0140】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むVLドメイン。
【0141】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブである。
【0142】
いくつかの態様において、追加の治療剤を個体に投与することを更に含む治療する方法。
【0143】
いくつかの態様では、追加の治療剤は、免疫治療剤、細胞傷害性薬剤、成長阻害剤、放射線治療剤、抗血管新生剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0144】
いくつかの態様では、個体はヒトである。
【0145】
別の態様において、本発明は、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療から利益を得る場合がある腎臓がんに罹っている個体を同定するためのキットを特徴とし、このキットは:(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に記載の方法のいずれか1つに従ってPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがんを有する個体を同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0146】
別の態様において、本発明は、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療から利益を得る場合がある腎臓がんに罹患している個体を同定するためのキットを特徴とし、該キットは:(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に記載の方法のいずれか1つに従ってPD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定し、それにより、個体を、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療から利益を得ることができる個体として同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0147】
別の態様において、本発明は、がんを有する個体を治療するためのキットを特徴とし、該キットは、(a)PD-L1結合アンタゴニストと、任意に、(b)本明細書に記載される方法のいずれか1つに従ってPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法に応答する可能性があると同定されたがんを有する個体にPD-L1結合アンタゴニストを投与するための説明書を備える。
【0148】
別の態様において、本発明は、がんを有する個体を治療するためのキットを特徴とし、該キットは、(a)PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた抗がん療法と、任意に、(b)本明細書に記載される方法のいずれか1つに従ってPD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法に応答する可能性が低いと同定されたがんを有する個体に、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を投与するための説明書を備える。
【0149】
別の態様では、本発明は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療から利益を得ることができるがんを有する個体を同定するためのキットを特徴とし、該キットは、(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に記載の方法のいずれか1つに従ってPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがんを有する個体を同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0150】
別の態様において、本発明はPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療から利益を得る場合がある腎臓がんに罹患している個体を同定するためのキットを特徴とし、該キットは:(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に記載の方法のいずれか1つに従ってPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定し、それにより、個体を、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療から利益を得ることができる個体として同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0151】
別の態様では本発明は、がんを有する個体を治療するためのキットを特徴とし、該キットは、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストと、任意に、(b)本明細書に記載される方法のいずれか1つに従ってPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法に応答する可能性があると同定されたがんを有する個体にPD-L1軸結合アンタゴニストを投与するための説明書を備える。
【0152】
別の態様では、本発明は、がんを有する個体を治療するためのキットを特徴とし、該キットは、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法と、任意に、(b)本明細書に記載される方法のいずれか1つに従ってPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法に応答する可能性が低いと同定されたがんを有する個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を投与するための説明書を備える。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【
図1】
図1は、IL8発現と臨床転帰との関連を評価した臨床試験をまとめた概略図である。Atezo、アテゾリズマブ;BEP、バイオマーカー評価可能集団。
【
図2】
図2は、IMvigor210(コホート1及び2を含む)及びIMvigor211(アテゾリズマブ及び化学療法で治療された患者を含む)臨床試験におけるバイオマーカー評価可能な患者、並びにIL8低及びIL8高サブグループの人口統計及びベースライン特性を示す表である。
【
図3】
図3は、IMmotion150臨床試験におけるバイオマーカー評価可能な患者並びにIL8低及びIL8高サブグループの人口統計及びベースライン特性を示す表である。
【
図4】
図4A~4Eは、高血漿IL8が転移性UC(mUC)及び転移性RCC(mRCC)における不良な転帰に関連することを示す一連のグラフである。
図4Aでは、高いベースライン血漿IL8(pIL8)レベル(カットオフ中央値:15pg/mL)は、IMvigor210のコホート2におけるより悪い全生存期間(OS)と有意に関連していた(HR=1.90、95%CI:1.31、2.74P<0.0001)。
図4Bでは、高いベースラインIL8血漿レベルは、固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)2.1によって、より多数の非レスポンダー(SD及びPD)(P=0.01、両側フィッシャー直接確率検定)と有意に関連していた。CR、完全奏効;PR、部分奏効;SD、安定疾患;PD、進行性疾患。
図4Cにおいて、高いベースライン血漿IL8は、IMvigor210のコホート2のmUC患者におけるT
effシグネチャー発現を有する腫瘍においてさえ、不良なOSと関連していた。血漿IL8発現の上昇は、T
eff高腫瘍においてさえも、低血漿IL8発現と比較してより悪いOSと関連していた(HR:1.71;95%CI:1.12、3.26、P=0.017)。
図4Dでは、ランダム化mUC第3相試験(IMvigor211)において、高いベースライン血漿IL8レベルは、アテゾリズマブ(HR:1.83;95%CI:1.48、2.26、P<0.0001)群及び化学療法(HR:1.67;95% CI:1.38、2.03、P<0.0001)群の両方においてより悪いOSと有意に関連した。しかしながら、低いベースライン血漿IL8は、化学療法群と比較してアテゾリズマブ群においてOSを有意に改善した(HR:0.76;95%CI:0.61、0.94、P=0.01)。
図4Eは、ランダム化mRCC第2相試験(IMmotion150)において、高ベースライン血漿IL8が、アテゾリズマブ(HR1.98;95%CI:1.12、3.5、P=0.018)群及びアテゾリズマブ+ベバシズマブ(HR1.89、95%CI:1.08、3.3、P=0.025)群においてより悪い無増悪生存(PFS)と有意に関連したが、スニチニブ群(HR1.29、95%CI:0.73、2.3、P=0.377)では関連しなかったことを示す。
【
図5】
図5A及び5Bは、IMvigor210コホート1のmUC患者における高血漿IL8発現とより悪いOS(
図5A)及びORR(
図5B)との関連を示す一連のグラフである。
【
図6】
図6A及び6Bは、IMvigor210(
図6A)及びIMmotion150(
図6B)臨床試験において、血漿IL8発現が好中球対リンパ球比(NLR)と中程度の相関を有することを示す一連のグラフである。
【
図7】
図7A及び7Bは、血漿IL8レベルが、腫瘍Tエフェクター(T
eff)遺伝子発現(
図7A)又は腫瘍遺伝子変異量(
図7B)等の高い腫瘍免疫存在のマーカーと相関しなかったことを示す一連のグラフである。
【
図8】
図8A及び8Bは、血漿IL8発現の治療中の増加がアテゾリズマブ群におけるmUCのより悪いOSと関連していたことを示す一連のグラフである。
図8Aでは、血漿IL8の治療中の変化を、治療中のサイクル3の1日目(C3D1)とベースラインサイクル1の1日目(C1D1)との間の血漿IL8レベルの比と呼ぶ。血漿IL8レベルの高い治療中の増加(カットオフ中央値:1.09pg/mL)は、IMvigor210のコホート2のより悪いOSと有意に関連していた(HR:0.48;95%CI:0.31、0.76、P<0.01)。
図8Bに示すように、Mvigor211臨床試験で同様の傾向が観察され、血漿IL8レベルの高い治療中の増加がアテゾリズマブ群でのみより悪いOSと有意に関連したが(HR:0.49、95%CI:0.36;0.66、P<0.001)、化学療法群では関連しなかった(HR:0.83、95%CI:0.63;1.1、P=0.19)。
【
図9】
図9A~9Eは、血漿IL8発現の治療中の増加がmUCのORR及びOSに関して不良な転帰と関連していたことを示す一連のグラフである。
図9A及び
図9Bは、それぞれIMvigor210のコホート1及びコホート2において、血漿IL8レベルの高い治療中の増加がより悪いORRと関連していたことを示す。
図9Cは、血漿IL8レベルの高い治療中の増加が、IMvigor211における化学療法群ではなく、アテゾリズマブ群におけるより悪いORRに関連したことを示す。
図9Dは、IMvigor210のコホート1において、血漿IL8レベルの高い治療中の増加がより悪いOSと有意に関連したことを示す。
図9Eは、アテゾリズマブで治療された患者では絶対リンパ球及び骨髄数に有意差がなかったが、IMvigor211では化学療法で治療された患者では絶対リンパ球及び骨髄数の増加があったことを示す。したがって、低血漿IL8における化学療法に関連する不良な応答は、リンパ系及び骨髄系細胞の減少によるものではなかった。
【
図10】
図10A~10Hは、骨髄系細胞のサブセットにおける高いIL8遺伝子発現に関連する不良な臨床転帰が、抗原提示遺伝子を含む遺伝子のダウンレギュレートと相関していたことを示す一連のグラフである。
図10Aでは、mUC IMvigor210研究において、5人のレスポンダー及び5人の非レスポンダーから単離された末梢血単核細胞(PBMC)の単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)によって、異なる骨髄クラスター及びリンパクラスターのサブセットが明らかにされた。クラスターは、
図10Bに示すリンパ球(上図)及び骨髄(下図)細胞特異的マーカーの発現によって同定された。
図10Cは、骨髄性クラスターのサブセットに対する高いIL8遺伝子発現を示す。
図10Dでは、IL8高骨髄細胞と低骨髄細胞との間の異なる遺伝子発現分析は、IL8高骨髄細胞における骨髄性炎症応答遺伝子(薄い灰色)の有意な濃縮を示したが、IL8低骨髄細胞では抗原提示機構遺伝子(濃い灰色)の有意な濃縮が観察された。
図10Eは、
図10Fに示すように、レスポンダーと比較した、非レスポンダーの骨髄クラスターにおけるIL8遺伝子発現の増加を示し、骨髄クラスターのサブセットが非レスポンダーにおいて有意に高いIL8発現を有した(
***偽発見率(FDR)<0.001;
**FDR<0.01)。
図10Gでは、PBMCにおける高いIL8遺伝子発現は、mUC IMvigor210試験においてより悪いOSと有意に関連していた(HR:1.36、95%CI:1.07、1.73、P=0.013)。
図10Hでは、PBMCにおける高いIL8遺伝子発現は、RCC IMmotion150試験のアテゾリズマブ群(HR2.52;95%CI:1.29、4.9、P=0.007)でのみ悪化したPFSと有意に関連したが、アテゾリズマブ+ベバシズマブ(HR1.11;95%CI:0.64、1.9、P=0.708)群又はスニチニブ(HR0.81;95% CI:0.47、1.4、P=0.436)群では関連しなかった。
【
図11】
図11A~11Fは、IMvigor210研究からの5名のレスポンダー及び5名の非レスポンダーからのPBMCのscRNA-seqからの結果を示す一連のグラフである。
図11Aは、均一多様体近似及び投影によって評定されるレスポンダーと非レスポンダーとの間の細胞(各ドットは1つの細胞を表す)の分布を示すscRNA-seqの可視化を示す。
図11Bは、UMAPによって評定される、示された群についての細胞(各ドットは1つの細胞を表す)の分布を示すscRNA-seqの可視化を示す。R1~5はレスポンダー1~5を表し、NR1~5は非レスポンダー1~5を表す。
図11Cは、各細胞において検出されたRNA転写物の数を示す(log10スケールに基づいて色分けされている)。
図11Dは、レスポンダー及びノンレスポンダーについて、示されたクラスターに属する細胞の分率を示す。
図11Eは、示されたクラスターについて示された群に属する細胞の分率を示す。
図11Fは、示されたクラスターの細胞数を示す。
【
図12】
図12は、全ての骨髄性クラスターにおけるIL8高細胞対IL8低細胞(カットオフ中央値)間の遺伝子セット濃縮経路分析を示すグラフである。
【
図13】
図13A及び13Bは、単球クラスターにおけるレスポンダーとノンレスポンダーとの間の示差的遺伝子発現分析を示す一連のグラフである。非レスポンダーでは骨髄性炎症応答遺伝子が有意に濃縮されているのに対して、レスポンダーではヒト白血球抗原(HLA)遺伝子及びインターフェロンガンマ(IFNg)誘導遺伝子等の抗原提示機構遺伝子が有意に濃縮されている。
【
図14】
図14A~14Hは、RCCにおけるscRNA-seq分析による腫瘍及び血液からの免疫サブセットにおけるIL8遺伝子発現の評価、並びにRCC及びmUCにおける臨床転帰とのIL8遺伝子発現の関連を示す一連のグラフである。
図14Aでは、scRNA-seqは、一致した血液及び腫瘍中の白血球中の免疫サブセットを同定した。
図14Bでは、RCCからの腫瘍及び血液からの免疫サブセットにおける選択されたリンパ系及び骨髄系関連遺伝子の発現が示される。
図14Cは、選択された遺伝子セットのスケーリングされた発現(対数発現カウント値)を報告するヒートマップを示す。遺伝子発現シェーディングスキームは、-2.0から2.0までのスケール対数発現分布に基づく。右余白のカラーバーは、目的の例示的な細胞のサブセットを強調表示する。
図14Dは、IL8高腫瘍骨髄性細胞とIL8低腫瘍骨髄性細胞との間の示差的遺伝子発現分析を示し、IL8高腫瘍骨髄性細胞における骨髄性炎症応答遺伝子(濃い灰色)の有意な濃縮を示すが、腫瘍試料中のIL8低骨髄性細胞では抗原提示機構遺伝子(薄い灰色)の有意な濃縮が観察された。
図14Eは、高腫瘍IL8遺伝子発現が、アテゾリズマブ単独療法群における低腫瘍IL8遺伝子発現と比較してOSの低下(HR:3.97、95%CI:1.83、8.6、P<0.001)に関連していたが、アテゾリズマブ+ベバシズマブ群(HR:1.78、95%CI:0.92、3.4、P=0.088)及びスニチニブ群(HR:1.75、95% CI:0.83、3.7、P=0.144)では関連していなかったことを示す。
図14Fは、IMvigor210試験において、アテゾリズマブ単剤療法群における低い腫瘍IL8遺伝子発現と比較して、高い腫瘍IL8遺伝子発現がより悪いOSと関連していたことを示す(HR:1.34、95%CI:1.03、1.74、P=0.026)。
図14Gは、高腫瘍IL8遺伝子発現が、アテゾリズマブ単独療法群における低腫瘍IL8発現と比較して、Tエフェクター(T
eff)高患者(HR:15.6、95%CI:3.15、77.6、P<0.001)においてOSの低下と関連していたが、アテゾリズマブ+ベバシズマブ群(HR:0.96、95%CI:0.29、3.2、P=0.945)及びスニチニブ群(HR:1.94、95%CI:0.67、5.6、P=0.225)では関連していなかったことを示す。
図14Hは、高い腫瘍IL8遺伝子発現が、IMvigor210のアテゾリズマブ単剤治療患者のT
eff高患者におけるより悪いOSと関連していたことを示す(HR:1.67、95%CI:1.12、2.49、P=0.012)。
【
図15】
図15は、Seuratを使用した例示的なRCC scRNAデータ分析ワークフローの概要を示す概略図である。簡潔には、Seurat(バージョン3.0)を使用して、Cell Ranger2.2.1から出力された生の50遺伝子発現(GEX)マトリックスに対して基本的な品質管理を行い、続いて試料の多重-分離、アラインメント、フィルタリング、及びUMI(ユニバーサル分子識別子)計数を行った。RCC血液及び腫瘍単一細胞データを正常化のために一緒に統合した。最初の20個の主成分を、クラスタリング(解像度=0.6)及びUMAP視覚化に使用した。同定のクラスターに濃縮された遺伝子に基づいてクラスターを同定した。
【
図16】
図16A及び16Bは、リンパ系及び骨髄系細胞のUMAP視覚化の結果を示す一連のグラフである。
図16Aは、示されたクラスターについてプロットされた血液又は腫瘍由来の細胞の分率(
図15参照)を示す。
図16Bは、示されたクラスターにおける示された血液又は腫瘍群に対する細胞の分率を示す。
【
図17】mRCC腫瘍の単一細胞RNAseqにおける細胞型特異的マーカーのスケーリングされた平均遺伝子発現を示すグラフである。Tcm、セントラルメモリーT細胞;Tem、エフェクターメモリー;M1様、M1様マクロファージ;M2様、M2様マクロファージ。
【
図18】
図18は、IL8高細胞対IL8低腫瘍内骨髄細胞(クラスター7)の示差的遺伝子発現分析を示すグラフであり、IL8高細胞における炎症遺伝子(例えば、IL1B、PTGS2、IL1RN及びNLRP3)のより高い発現、並びに他の遺伝子の中でも抗原プロセシング及び提示に関与する遺伝子(例えば、HLA-DR5、HLA-DRB6、HLA-C及びB2M)の発現低下を明らかにする。
【
図19】mRCCにおける末梢血白血球中のIL8高発現単一細胞とIL8低発現単一細胞との間の遺伝子セット濃縮経路分析を示すグラフである。IL8低発現細胞に富む経路は濃い灰色で示され(負の濃縮スコア)、IL8高発現細胞に富む経路は薄い灰色で示される(正の濃縮スコア)。
【
図20】
図20は、IL8遺伝子発現の上昇が組織学的評定によって、より高い好中球の存在と相関したことを示す一連のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0154】
発明の詳細な説明
I.序文
本発明は、がん、例えば、膀胱がん(例えば、尿路上皮膀胱がん、RCC)のための治療方法及び診断方法、並びに組成物を提供する。本発明は、少なくとも部分的には、個体から得られた試料中の本発明のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の任意のバイオマーカー、例えばIL8の発現レベルの決定が、がんを有する個体の治療、がんを有する個体の診断、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性があるかどうかの決定、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ)を含む抗がん療法の治療効果の最適化、及び/又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ)を含む抗がん療法の患者選択に有用であるという発見に基づく。
【0155】
例えば、本明細書に提供されるデータは、末梢及び腫瘍内IL8及び/又は関連する骨髄性炎症がチェックポイント遮断に対する耐性を付与することを実証する。更に、IL8の発現は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法を含むチェックポイント阻害剤療法に対する治療応答の予測バイオマーカーとして使用することができる。特に、IL8発現が低い個体、又はIL8発現が治療中に減少している個体は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い。対照的に、高いIL8発現又はIL8発現の治療中の増加を伴う患者は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストと1つ以上の追加の抗がん治療剤とを含む併用療法、又はPD-L1軸結合アンタゴニストを含まない抗がん療法)による治療から利益を得ることができる。本明細書で提供されるデータはまた、IL8高がんの状況でアップレギュレート又はダウンレギュレートされる遺伝子を提供し、これはIL8発現の代理として使用することができる。例えば、表2~4(アップレギュレートされた遺伝子)及び表5~7(ダウンレギュレートされた遺伝子)を参照されたい。
【0156】
II.定義
本明細書に記載の本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態の「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことが理解される。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途示されない限り、複数のものを含む。
【0157】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」に続く値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(且つ説明する)。例えば、「約X」について言及する記述は、「X」の記述を含む。
【0158】
本明細書で使用される場合、「CXCL8」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型CXCL8(ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド8、インターロイキン8(IL8)としても知られている)を指す。この用語は「完全長」の未処理のIL8と、細胞内でのプロセシングにより得られる任意の形態のIL8とを包含する。この用語は、IL8の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトIL8の核酸配列は、NCBI Entrez Gene ID番号3576の下に示されている。例示的なヒトIL8のアミノ酸配列は、UniProt受入番号P10145の下に示されている。
【0159】
本明細書で使用される場合、「CD8A」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型CD8Aを指す。この用語は「完全長」の未処理のCD8Aと、細胞内でのプロセシングにより得られる任意の形態のCD8Aとを包含する。この用語は、CD8Aの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトCD8Aのアミノ酸配列は、UniProt受入番号M12824の下に示されている。ヒトCD8Aによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P01732-1に記載されている。
【0160】
本明細書で使用される場合、「GZMA」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型GZMA(グランザイムA)を指す。この用語は、「全長」のプロセシングされていないGZMA、及び細胞におけるプロセシングから生じるGZMAの任意の形態を包含する。この用語は、GZMAの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント、又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトGZMAの核酸配列は、UniProt受託番号M18737に記載されている。ヒトGZMAによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P12544-1に記載されている。
【0161】
本明細書で使用される場合、「GZMB」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型GZMB(グランザイムB)を指す。この用語は、「全長」のプロセシングされていないGZMB、及び細胞におけるプロセシングから生じるGZMBの任意の形態を包含する。この用語は、GZMBの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント、又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトGZMBの核酸配列は、UniProt受託番号M17016に記載されている。ヒトGZMBによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt 受託番号P10144-1に記載されている。
【0162】
本明細書で使用される場合、「PRF1」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型PRF1(パーフォリン1、孔形成タンパク質としても公知)を指す。この用語は「完全長」の未処理のPRF1と、細胞内でのプロセシングにより得られる任意の形態のPRF1とを包含する。この用語は、PRF1の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。ヒトPRF 1の例示的な核酸配列は、UniProt受託番号X13224及びX12940に示されている。ヒトPRF1によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P14222-1に記載されている。
【0163】
「検出」という用語は、直接又は間接検出を含む、検出の任意の手段を含む。
【0164】
本明細書で使用される場合、「バイオマーカー」という用語は、試料、例えば表1~7のいずれか1つに記載の任意の遺伝子、例えばIL8で検出することができる指標、例えば予測、診断及び/又は予後を指す。バイオマーカーは、個体が治療に応答するか又は治療から利益を得る可能性の指標(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法)として、及び/又は特定の、分子的、病理学的、組織学的及び/又は臨床的性質を特徴とする疾患又は障害の特定のサブタイプ(例えば、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC)))の指標としてはたらく可能性がある。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子である。バイオマーカーとしては、ポリヌクレオチド(例えば、DNA及び/又はRNA)、ポリヌクレオチドコピー数の変化(例えば、DNAコピー数)、ポリペプチド、ポリペプチド、及びポリヌクレオチド修飾(例えば、翻訳後修飾)、炭水化物、並びに/又は糖脂質に基づく分子マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、例えば、物理的、生化学的、化学的及び/又は生理学的特性に基づいて特徴付けられる及び/又は同定される細胞実体及び/又は他の分子実体を含有する、目的の対象及び/又は個体から得られるか又は由来する組成物を指す。例えば、「疾患試料」という句及びその変形は、特徴付けられるべき細胞及び/又は分子実体を含有することが期待されるか又は含有することが知られている、目的の対象から得られた任意の試料を指す。試料としては、組織試料、初代若しくは培養細胞又は細胞株、細胞上清、細胞溶解物、血小板、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、卵胞液、精液、羊水、乳、全血、血液由来の細胞、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、腫瘍溶解物、及び組織培養培地、組織抽出物、例えば、ホモジナイズされた組織、腫瘍組織、細胞抽出物、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
「組織試料」又は「細胞試料」は、対象又は個体の組織から得られた同様の細胞の集合を意味する。組織又は細胞試料の供給源は、新鮮な、凍結した、及び/又は保存された器官、組織試料、生検、及び/又は吸引液から等の固形組織;血漿等の血液又は任意の血液構成物;脳脊髄液、羊水、腹水、又は間質液等の体液;対象の妊娠又は発育における任意の時期の細胞であってもよい。細胞試料は、例えば、PBMCを含み得る。組織試料は、初代又は培養細胞又は細胞株であってもよい。任意に、組織又は細胞試料は、疾患組織/器官から得られる。例えば、「腫瘍試料」は、腫瘍又は他のがん組織から得られた組織試料である。組織試料は、細胞型(例えば、腫瘍細胞及び非腫瘍細胞、がん性細胞及び非がん性細胞)の混合集団を含有し得る。組織試料は、保存剤、抗凝固剤、緩衝液、固定剤、栄養剤、又は抗生物質等の天然の組織と天然では混合しない化合物を含有し得る。
【0167】
「腫瘍浸潤免疫細胞」とは、本明細書で使用される場合、腫瘍又はその試料中に存在する任意の免疫細胞を指す。腫瘍浸潤性免疫細胞としては、腫瘍内免疫細胞、腫瘍周囲免疫細胞、他の腫瘍間質細胞(例えば、線維芽細胞)、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。そのような腫瘍浸潤免疫細胞は、例えばTリンパ球(CD8+Tリンパ球及び/又はCD4+Tリンパ球等)、Bリンパ球、又は顆粒球(例えば、好中球、好酸球、及び好塩基球)、単球、マクロファージ、樹状細胞(例えば、互いに組み合う樹状細胞)、組織球、及びナチュラルキラー細胞を含む他の骨髄系細胞であり得る。
【0168】
本明細書で使用される場合、「腫瘍細胞」とは、腫瘍又はその試料中に存在する任意の腫瘍細胞を指す。腫瘍細胞を、当該技術分野で公知であり、かつ/又は本明細書に記載される方法を使用して、腫瘍試料中に存在し得る他の細胞、例えば、間質細胞及び腫瘍浸潤免疫細胞と区別することができる。
【0169】
本明細書における目的では、組織試料の「切片」は、組織試料の単一の部分又は小片、例えば、組織試料(例えば、腫瘍試料)から切り取られた組織又は細胞の薄切片を意味する。組織試料の複数の切片を、採取し、分析に供することができることが理解され、但し、組織試料の同じ切片を、形態学的レベル及び分子レベルの両方で分析することができ、あるいはポリペプチド(例えば、免疫組織化学によって)及び/又はポリヌクレオチド(例えば、in situハイブリダイゼーションによって)に関して分析することができることが理解されるものとする。
【0170】
個体に対する臨床的利益の増加に関連するバイオマーカーの「量」又は「レベル」は、生物学的試料中で検出可能なレベルである。これらは、当業者に既知であり、かつ本明細書にも開示される方法によって測定され得る。評定されるバイオマーカーの発現レベル又は量を使用して、治療への応答を決定することができる。
【0171】
「発現のレベル」又は「発現レベル」という用語は、一般に、同義に使用され、一般に、生物学的試料中のバイオマーカーの量を指す。「発現」は、一般に、情報(例えば、遺伝子コード及び/又はエピジェネティック情報)が、細胞中に存在し、機能する構造に変換されるプロセスを指す。したがって、本明細書で使用される場合、「発現」とは、ポリヌクレオチドへの転写、ポリペプチドへの翻訳、又は更にポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)を指す場合がある。転写されたポリヌクレオチド、翻訳されたポリペプチド、又はポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)の断片も、それらが選択的スプライシングによって生成された転写物若しくは分解された転写物に由来するか又は例えばタンパク質分解によるポリペプチドの翻訳後プロセシングに由来するかどうかにかかわらず、発現されたものと見なされるべきである。「発現した遺伝子」とは、mRNAとしてポリヌクレオチドに転写され、その後、ポリペプチドに翻訳されるもの、及びまたRNAに転写されるが、ポリペプチドに翻訳されないもの(例えば、転移及びリボソームRNA)を含む。
【0172】
本明細書で使用される場合、「基準発現レベル」及び「基準レベル」という用語は、別の発現レベル、例えば個体からの試料中の本明細書に記載の1つ以上の遺伝子(例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えばIL8)の発現レベルが、例えば予測、診断、予後、及び/又は治療決定を行うために比較される発現レベルを互換的に指す。例えば、基準発現レベルは、基準集団(例えば、基準集団、例えば、がんを有する患者の集団における中央値発現レベル、三分位値発現レベル又は最大選択されたログランク基準レベル)、基準試料、及び/又は事前割り当て値(例えば、抗がん療法による治療に対する個体の応答性と、カットオフ値より上及び/又はカットオフ値より下での異なる抗がん療法での治療に対する個体の応答性との間の有意差に基づいて、基準集団において抗がん療法で治療された個体の第1のサブセット(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法)と、同じ基準集団において異なる抗がん療法で治療された個体の第2のサブセット(又は抗がん療法で治療されていない個体)とを有意に(例えば、統計的に有意に)分離するために以前に決定されたカットオフ値)における発現レベルから誘導され得る。いくつかの実施形態では、最大選択されたログランク基準レベルは、12pg/mLのIL8である。いくつかの事例では、基準レベルは、個体への治療(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法)の投与前、投与と同時、又は投与後の時点で個体から得られた試料中の基準レベルであり得る。いくつかの実施形態では、カットオフ値は、基準集団における発現レベルの中央値、又は平均値であり得る。他の実施形態では、基準レベルは、基準集団における発現レベルの上位40%、上位30%、上位20%、上位10%、上位5%、又は上位1%であり得る。特定の実施形態では、カットオフ値は、基準集団における発現レベルの中央値であり得る。当業者であれば、参照免疫スコア発現レベルに関する数値が、適応症(例えば、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))、発現レベルを検出するために使用される方法論(例えば、RNA-seq又はRT-qPCR)、免疫スコアを生成するために使用される統計方法、及び/又は試験される遺伝子の特定の組み合わせに応じて変化し得ることを理解するであろう。
【0173】
レベルを「上回る」(例えば、基準レベルを上回る)、「発現の増加」、「発現レベルの増加」、「レベルの増加」、「発現の上昇」、「発現レベルの上昇」、又は「レベルの上昇」という表現は、対照(例えば、疾患又は障害(例えば、がん)に罹患していない個体(複数可))中のバイオマーカーの発現レベル、内部対照(例えば、ハウスキーピングバイオマーカー)、若しくは治療(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法)の投与前に得られた試料中のバイオマーカーのレベルと比較して、又は基準レベル(例えば、患者(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストに対する応答性について試験されている、がんを有する患者)の群/集団由来の試料中のバイオマーカーの発現レベル中央値、患者(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストに対して応答しないと同定された、がんを有する患者)の群/集団由来の試料中のバイオマーカーの発現レベル中央値、若しくは以前に個体から前もって得られた試料中のレベル)と比較して、個体におけるバイオマーカー(例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えばIL8)の発現レベルの増加又はレベルの増加を指す。
【0174】
レベル「未満」(例えば、基準レベル未満)、「発現の減少」、「発現レベルの減少」、「レベルの減少」、「発現の低下」、「発現レベルの低下」、又は「レベルの低下」という表現は、対照(例えば、疾患又は障害(例えば、がん)に罹患していない個体(複数可))におけるバイオマーカーの発現レベルと比較して、個体におけるバイオマーカー(例えば、表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)、内部対照(例えば、ハウスキーピングバイオマーカー)、又は治療(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法)の投与前に得られた試料中のバイオマーカーのレベル))若しくは基準レベル(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストに対する反応性について試験される患者群/集団、例えば、がんを有する患者からの試料中のバイオマーカーの発現レベルの中央値)に対する相対値;例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストに応答しないと同定されたがんを有する患者の患者群/集団からの試料中のバイオマーカーの発現レベルの中央値;又は、以前の時期にその個体から事前に得られた試料におけるレベル)に対する発現低下又はレベル低下を指す。いくつかの実施形態では、低減した発現とは、発現がほとんど又はまったくないことである。
【0175】
「基準試料」、「基準細胞」、「基準組織」、「対照試料」、「対照細胞」、又は「対照組織」は、本明細書で使用される場合、比較目的のために使用される試料、細胞、組織、又は標準物を指す。一実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、同じ患者又は個体の身体の健康な及び/又は罹患していない部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。例えば、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、罹患した細胞又は組織に隣接する、健康な及び/又は罹患していない細胞又は組織(例えば、腫瘍に隣接する細胞又は組織)であってもよい。別の実施形態では、基準試料は、同じ患者又は個体の身体の治療されていない組織及び/又は細胞から得られる。更に別の実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、患者又は個体ではない、ある個体の身体の健康な及び/又は罹患していない部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。なお別の実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、患者又は個体ではない、ある個体の身体の治療されていない組織及び/又は細胞から得られる。別の実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、治療(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法)の投与前に、患者から得られる。
【0176】
「ハウスキーピングバイオマーカー」という用語は、通常、全ての細胞型に同様に存在する、バイオマーカー又はバイオマーカー(例えば、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド)の群を指す。いくつかの実施形態では、ハウスキーピングバイオマーカーは、「ハウスキーピング遺伝子」である。「ハウスキーピング遺伝子」は、本明細書において、その活性が細胞機能の維持に必須であるタンパク質をコードし、通常、全ての細胞型に同様に存在する遺伝子又は遺伝子の群を指す。
【0177】
本明細書で使用される場合、「増幅」とは、一般に、所望の配列の複数のコピーを生成するプロセスを指す。「複数のコピー」とは、少なくとも2つのコピーを意味する。「コピー」は、鋳型配列に対する完全な配列相補性又は同一性を必ずしも意味しない。例えば、コピーは、デオキシイノシン等のヌクレオチド類縁体、意図的な配列改変(鋳型にハイブリダイズ可能であるが相補的ではない配列を含むプライマーによって導入される配列改変等)、及び/又は増幅中に生じる配列エラーを含み得る。
【0178】
「多重PCR」という用語は、単一の反応で2つ以上のDNA配列を増幅させる目的で、1超のプライマーセットを使用して単一の源(例えば、個体)から得られた核酸上で行われる単一のPCR反応を指す。
【0179】
本明細書で使用される場合、「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」の技術は、一般に、核酸、RNA、及び/又はDNAの微量の特定の一片が、例えば、米国特許第4,683,195号に記載されるように増幅される、手順を指す。一般に、オリゴヌクレオチドプライマーが設計され得るように、目的とする領域の末端又はそれ以降からの配列情報が利用可能でなければならず、これらのプライマーの配列は、増幅される鋳型の反対側の鎖と同一また同様である。2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅される材料の端部と一致し得る。PCRを用いて、特定のRNA配列、全ゲノムDNA由来の特定のDNA配列及び全細胞RNAから転写したcDNA、バクテリオファージ配列又はプラスミド配列等を増幅し得る。一般に、Mullis et al.,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263(1987)及びErlich,ed.,PCR Technology,(Stockton Press,NY,1989)を参照されたい。本明細書で使用される場合、PCRは、プライマーとしての既知の核酸(DNA又はRNA)の使用を含む、核酸試験試料を増幅する核酸ポリメラーゼ反応法の一例であると見なされるが、唯一の例ではなく、核酸の特定の小片を増幅若しくは生成するために、又は特定の核酸に相補的な核酸の特定の小片を増幅若しくは生成するために、核酸ポリメラーゼを利用する。
【0180】
「定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応」又は「qRT-PCR」とは、PCR産物の量がPCR反応の各工程で測定されるPCRの一形態を指す。この技術は、例えば、Cronin et al.,Am.J.Pathol.164(1):35-42(2004)及びMa et al.,Cancer Cell 5:607-616(2004)を含む、様々な刊行物に記載されている。
【0181】
「マイクロアレイ」という用語は、基板上のハイブリダイズ可能なアレイ要素、好ましくはポリヌクレオチドプローブの規則的配置を指す。
【0182】
「診断」という用語は、分子的又は病理学的状態、疾患、又は症状(例えば、がん)の同定又は分類を指すために本明細書で使用される。例えば、「診断」とは、特定のタイプのがんの同定を指し得る。「診断」はまた、例えば組織病理学的基準によるか又は分子的特徴による、がんの特定のサブタイプ(例えば、バイオマーカー(例えば、特定の遺伝子、又は当該遺伝子によりコードされるタンパク質)のうちの1つ又はその組み合わせの発現によって特徴付けられるサブタイプ)の分類を指す場合もある。
【0183】
本明細書で使用される場合、「診断を援助する」という用語は、疾患又は障害(例えば、がん)の特定のタイプの症状又は状態の存在又は性質に関して臨床的決定を行う助けとなる方法を指すために本明細書で使用される。例えば、疾患又は症状(例えば、がん)の診断を補助する方法は、個体からの生物学的試料中の特定のバイオマーカー(例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えばIL8)を測定することを含み得る。
【0184】
「相関する」又は「相関すること」とは、任意の方法で、第1の解析又はプロトコルの性能及び/又は結果を第2の解析又はプロトコルの性能及び/又は結果と比較することを意味する。例えば、第1の分析若しくはプロトコルの結果を、第2のプロトコルを行う際に使用してもよく、及び/又は第1の分析若しくはプロトコルの結果を使用して、第2の分析若しくはプロトコルを行うべきかどうかを決定してもよい。ポリペプチド解析又はプロトコルの実施形態に関して、ポリペプチド発現解析又はプロトコルの結果を使用して、特定の治療レジメンを行うべきかどうかを決定することができる。ポリヌクレオチド解析又はプロトコルの実施形態に関して、ポリヌクレオチド発現解析又はプロトコルの結果を使用して、特定の治療レジメンを行うべきかどうかを決定することができる。
【0185】
「治療に対する応答」、「治療に対する応答性」又は「治療からの利益」は、個体に対する利益を示す任意のエンドポイントを使用して評定することができ、限定されないが、(1)疾患進行(例えば、がんの進行)のある程度の阻害(減速及び完全停止を含む);(2)腫瘍サイズの縮小(例えば、完全奏効若しくは部分奏効を含む客観的奏効、又はそのような奏効の比率若しくは可能性);(3)隣接する末梢臓器及び/又は組織へのがん細胞浸潤の抑制(すなわち、減少、減速又は完全停止);(4)転移の阻害(すなわち、減少、減速又は完全停止);(5)疾患又は障害(例えば、がん)に関連する1つ以上の症候のある程度の軽減;(6)全生存期間(例えば、OSハザード比(HR)<1)及び無増悪生存期間(例えば、PFS HR<1)を含む生存期間の増加又は延長;及び/又は(9)治療後の所与の時点での死亡率の低下(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の若しくはPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療)。一実施形態では、バイオマーカー(例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えばIL8)を使用して、バイオマーカーを発現しない患者と比較して、医薬品(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の若しくはPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療)による治療に応答する可能性が増えていると予測される個体を同定する。
【0186】
「奏効」とは、完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を含む測定可能な応答を指す。いくつかの実施形態では、「奏効率(ORR)」とは、完全奏効(CR)率及び部分奏効(PR)率の合計を指す。
【0187】
「完全奏効」又は「CR」とは、治療に対する応答において、がんの全ての徴候の消滅(例えば、全ての標的病変の消滅)が意図される。これは、必ずしもがんが治癒されたことを意味しない。
【0188】
「持続的応答」とは、治療の休止後に腫瘍成長を低減させることに対する持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、医薬品の投与期の開始時のサイズと比較して、同じままであっても、より小さくてもよい。いくつかの実施形態では、持続性応答は、治療期間と少なくとも同じ期間、治療期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、若しくは3.0倍又はそれ以上の期間を有する。
【0189】
本明細書で使用される場合、「がんの再発を低減又は阻害すること」とは、腫瘍若しくはがんの再発、又は腫瘍若しくはがんの進行を低減又は阻害することを意味する。本明細書に開示されるように、がんの再発及び/又はがんの進行には、がん転移が含まれるが、これに限定されない。
【0190】
本明細書で使用される場合、「部分奏効」又は「PR」とは、治療に応答した、1つ以上の腫瘍若しくは病巣のサイズ、又は身体内のがんの範囲の低下を指す。例えば、いくつかの実施形態では、PRは、ベースラインSLDを基準として、標的病変の最長直径の合計(SLD)の少なくとも30%の減少を指す。
【0191】
本明細書で使用される場合、「安定疾患」又は「SD」は、治療開始以降の最小SLDを基準として、PRと言えるほどの十分な標的病変の収縮も、PDと言えるほどの十分な増加もないことを指す。
【0192】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患」又は「PD」とは、治療開始以降、又は1つ以上の新たな病変の存在以降、記録された最小SLDを基準として、標的病変のSLDの少なくとも20%の増加を指す。
【0193】
「生存」という用語は、患者が生存していることを指し、全生存及び無進行生存を含む。
【0194】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間」(PFS)は、治療中及び治療後の時間の長さを指し、その間、治療されている疾患(例えば、がん)は悪化しない。無増悪生存期間は、患者が完全寛解又は部分寛解を経験した時間の量、並びに患者が安定した疾患を経験した時間の量を含み得る。
【0195】
本明細書で使用される場合、「全生存」(OS)は、特定の期間後に生きている可能性が高い、群における個体のパーセンテージを指す。
【0196】
「生存期間を延長すること」とは、未治療の患者と比較して(すなわち、医薬品で治療されていない患者と比較して)、又は指定されたレベルでバイオマーカーを発現しない患者と比較して、及び/又は抗腫瘍剤で治療された患者と比較して、治療される患者において全生存期間又は無増悪生存期間が増加することを意味する。
【0197】
免疫機能障害との関連での「機能障害」という用語は、抗原刺激への免疫応答性が低減した状態を指す。この用語には、抗原認識は生じ得るが、後に続く免疫応答が感染又は腫瘍成長の制御に無効である、「消耗」及び/又は「アネルギー」の両方の共通要素が含まれる。
【0198】
本明細書で使用される場合、「機能障害性」という用語には、抗原認識に対する不応性又は無応答性、具体的には、抗原認識を、増殖、サイトカイン産生(例えば、IL-2)、及び/又は標的細胞死滅等の下流T細胞エフェクター機能に翻訳する能力の障害も含まれる。
【0199】
「アネルギー」という用語は、T細胞受容体を介して送達される不完全又は不十分なシグナル(例えば、Ras活性化の不在下での細胞内Ca2+の増加)に起因する抗原刺激に対する無応答の状態を指す。T細胞アネルギーは、共刺激の不在下における抗原での刺激に際しても生じ得、結果的に細胞は、共刺激との関連においても、抗原によるその後の活性化に不応性になる。無応答状態は、多くの場合、インターロイキン2の存在により覆され得る。アネルギーT細胞は、クローン増殖を経ず、及び/又はエフェクター機能を獲得しない。
【0200】
「消耗」という用語は、多くの慢性感染及びがん発症中に生じる持続的TCRシグナル伝達に起因するT細胞機能障害の状態としてのT細胞消耗を指す。不完全な又は不十分なシグナル伝達を通じてではなく、持続的シグナル伝達に起因するという点で、これは、アネルギーとは区別される。これは、エフェクター機能不良、阻害性受容体の持続的発現、及び機能的エフェクター又はメモリーT細胞とは異なる転写状態によって定義される。疲弊は、感染及び腫瘍の最適な制御を妨げる。消耗は、外因性の負の制御性経路(例えば、免疫制御性サイトカイン)及び細胞内因性の負の制御性(共刺激)経路(PD-1、B7-H3、B7-H4等)の両方に起因し得る。
【0201】
「T細胞機能を増強する」とは、持続した若しくは増幅された生物学的機能を有するようにT細胞を誘導するか、引き起こすか、若しくは刺激すること、又は消耗された若しくは不活性のT細胞を更新若しくは再活性化することを意味する。T細胞機能の増強の例としては、介入前のレベルと比較した、CD8+T細胞からのγインターフェロンの分泌の増加、増殖の増加、抗原応答性(例えば、ウイルス、病原体、又は腫瘍のクリアランス)の上昇が挙げられる。一実施形態では、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、又は200%の増強である。この増強を測定する様態は、当業者に公知である。
【0202】
「腫瘍免疫」とは、腫瘍が免疫認識及び排除を回避する過程を指す。したがって、治療的概念として、腫瘍免疫は、そのような回避が減弱し、腫瘍が免疫系によって認識かつ攻撃されるときに「治療される」。腫瘍認識の例としては、腫瘍結合、腫瘍縮小及び腫瘍排除が挙げられる。
【0203】
「免疫原性」とは、免疫応答を誘発する特定の物質の能力を指す。腫瘍は、免疫原性であり、腫瘍免疫原性を増強させることは、免疫応答による腫瘍細胞の排除を助ける。腫瘍免疫原性の増強の例としては、PD-L1軸結合アンタゴニストによる治療が挙げられる。
【0204】
「プログラム死リガンド1」及び「PD-L1」という用語は、本明細書において、天然型配列PD-L1ポリペプチド、ポリペプチドバリアント、並びに天然型配列ポリペプチド及びポリペプチドバリアントの断片(これらは、本明細書において更に定義される)を指す。本明細書に記載されるPD-L1ポリペプチドは、ヒト組織型から、若しくは別の源から等、多様な供給源から単離されるか、又は組換え法若しくは合成法によって調製されたものであり得る。
【0205】
「天然型配列PD-L1ポリペプチド」は、対応する、自然界に由来するPD-L1ポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0206】
「PD-L1ポリペプチドバリアント」又はその変化形は、本明細書に定義されるPD-L1ポリペプチド、一般的には活性型PD-L1ポリペプチドであって、本明細書に開示される天然型配列PD-L1ポリペプチド配列のいずれかに対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するものを意味する。そのようなPD-L1ポリペプチドバリアントには、例えば、天然型アミノ酸配列のN末端又はC末端に1つ以上のアミノ酸残基が付加又は欠失されたPD-L1ポリペプチドが含まれる。通常、PD-L1ポリペプチドバリアントは、本明細書に開示される天然型配列PD-L1ポリペプチド配列に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有する。通常、PD-L1バリアントポリペプチドは、少なくとも約10アミノ酸長であり、あるいは少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、281、282、283、284、285、286、287、288、若しくは289アミノ酸長、又はそれ以上である。任意に、PD-L1バリアントポリペプチドは、天然型PD-L1ポリペプチド配列と比較して1つ以下の保存的アミノ酸置換、あるいは天然型PD-L1ポリペプチド配列と比較して2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個以下の保存的アミノ酸置換を有する。
【0207】
「血管内皮増殖因子」又は「VEGF」という用語は、Swiss Prot受託番号P15692、Gene ID(NCBI):7422によって例示されるような、血管内皮増殖因子タンパク質Aを指す。「VEGF」という用語は、Swiss Prot受託番号P15692、Gene ID(NCBI):7422のアミノ酸配列を有するタンパク質、並びにそのホモログ及びアイソフォームを包含する。「VEGF」という用語はまた、VEGFの既知のアイソフォーム、例えば、スプライスアイソフォーム、例えば、VEGF111、VEGF121、VEGF145、VEGF165、VEGF189、及びVEGF206、並びにそれらの天然に存在する対立遺伝子及びプロセシングされた形態(VEGF165のプラスミン切断によって生成される110アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子を含む)を包含し、これらは、Ferrara Mol.Biol.Cell.21:687,2010;Leung et al.,Science,246:1306.1989;及びHouck et al.,Mol.Endocrin.,5:1806,1991に記載されている。「VEGF」という用語はまた、マウス、ラット、又は霊長類等の非ヒト種に由来するVEGFも指す。特定の種に由来するVEGFは、ヒトVEGFではhVEGF、マウスVEGFではmVEGF等の用語によって示されることがある。「VEGF」という用語はまた、165個のアミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子のアミノ酸8~109又は1~109を含む、ポリペプチドの切断形態を指すためにも使用される。VEGFの任意のこのような形態への言及を、本出願では、例えば、「VEGF109」、「VEGF(8~109)」、「VEGF(1~109)」、又は「VEGF165」によって同定することができる。「切断された」天然型VEGFのアミノ酸位置は、天然型VEGF配列に示される通りにナンバリングされる。例えば、切断された天然型VEGFでのアミノ酸位置17番(メチオニン)は、天然型VEGFでも位置17番(メチオニン)である。切断された天然型VEGFは、KDR及びFlt-1受容体に対して、天然型VEGFに匹敵する結合親和性を有する。本明細書で使用される場合、「VEGFバリアント」という用語は、天然型VEGF配列に1つ以上のアミノ酸変異を含むVEGFポリペプチドを指す。任意に、1つ以上のアミノ酸変異には、アミノ酸置換(複数可)が含まれる。本明細書に記載のVEGFバリアントを簡潔に表記する目的で、数字は、(Leung et al.,(上記参照)及びHouck et al.,(上記参照)で提供される)推定上の天然型VEGFのアミノ酸配列に沿ったアミノ酸残基の位置を指すことに留意されたい。別途明記されない限り、本明細書で使用される場合、「VEGF」という用語は、VEGF-Aを示す。
【0208】
本明細書で同義に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは塩基、及び/又はそれらの類縁体であっても、又はDNA若しくはRNAポリメラーゼによって若しくは合成反応によってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であってもよい。したがって、例えば、本明細書で定義されるポリヌクレオチドとしては、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域を含むDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、並びに一本鎖及び二本鎖領域を含むRNA、一本鎖若しくはより典型的には二本鎖を含むか又は一本鎖及び二本鎖領域を含み得るDNA及びRNAを含むハイブリッド分子が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、RNA若しくはDNA、又はRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。このような領域内の鎖は、同じ分子由来であっても、又は異なる分子由来であってもよい。これらの領域は、これらの分子のうちの1つ以上の全てを含み得るが、より典型的には、これらの分子のうちのいくつかの領域のみを含む。三重らせん領域の分子のうちの1つは、多くの場合、オリゴヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」という用語は、具体的にはcDNAを含む。
【0209】
ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類縁体等の修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合には、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリの前に付与されても、又は後に付与されてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって遮られ得る。ポリヌクレオチドは、標識との複合等によって、合成後に更に修飾されてもよい。修飾の他の種類としては、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上の類縁体での置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非電荷性結合(例えば、メチルホスホン酸塩、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート等)によるもの、及び電荷性結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)によるもの、懸垂部分、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシン等)等を含むもの、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラーレン等)によるもの、キレート剤(例えば、金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属等)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾結合(例えば、アルファアノマー核酸等)によるもの、並びにポリヌクレオチド(複数可)の未修飾形態等が挙げられる。更に、糖内に通常存在するヒドロキシル基のうちのいずれかは、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により代置されるか、標準的な保護基により保護されるか、若しくは活性化されて追加のヌクレオチドへの追加の結合を準備してもよく、又は固体若しくは半固体支持体にコンジュゲートされてもよい。5’及び3’末端OHは、リン酸化され得るか又はアミン若しくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換され得る。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル-、2’-フルオロ-、又は2’-アジド-リボース、炭素環糖の類縁体、α-アノマ-糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロース、又はリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、アクリル酸類縁体、及び脱塩基ヌクレオシド類縁体、例えば、メチルリボシドを含む、当該技術分野で一般的に知られているリボース糖又はデオキシリボース糖の類似形態も含み得る。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替的な連結基によって代置されてもよい。これらの代替的な連結基としては、ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、’’(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、又はCH2(「ホルムアセタール」)に置き換えられる実施形態が挙げられるが、これらに限定されず、各R又はR’は独立して、Hであるか、又は置換若しくは非置換アルキル(1-20C)(任意に、エーテル(-O-)結合を含む)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、若しくはアラルジルである。ポリヌクレオチドにおける結合全てが同一である必要はない。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される1つ以上の異なる種類の修飾及び/又は同じ種類の複数の修飾を含有し得る。前述の説明は、RNA及びDNAを含む本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0210】
「オリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、一般に、約250ヌクレオチド長未満であるが、必ずしもそうではない短い一本鎖ポリヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチドは、合成であってもよい。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、相互排他的ではない。ポリヌクレオチドについての上記の説明は、オリゴヌクレオチドに等しく、かつ完全に適用可能である。
【0211】
「プライマー」という用語は、核酸にハイブリダイズすることができ、一般に、遊離3’-OH基を提供することによって、相補的核酸の重合を可能にする、一本鎖ポリヌクレオチドを指す。
【0212】
「低分子」という用語は、約2000ダルトン以下、好ましくは約500ダルトン以下の分子量を有する任意の分子を指す。
【0213】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」という用語は互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞には、初代形質転換細胞、及び継代の数にかかわらずそれに由来する子孫を含む、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれる。子孫は、核酸含量が親細胞と完全に同じでなくてもよく、変異を含んでもよい。本明細書には、最初に形質転換された細胞でスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物活性を有する突然変異子孫が含まれる。
【0214】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製する核酸構造としてのベクター、及びベクターが導入された宿主細胞のゲノム内へと組み込まれたベクターを含む。特定のベクターは、それらが機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。このようなベクターを、本明細書では「発現ベクター」と言う。
【0215】
「単離された」核酸は、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、通常核酸分子を含む細胞内に含まれる核酸分子が含まれるが、核酸分子は、染色体外、又は天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0216】
「障害」は、哺乳動物を問題の障害に罹患させる症状を含む、慢性及び急性の障害又は疾患を含むがこれらに限定されない、治療から利益を得るであろういずれかの症状である。
【0217】
「がん」及び「がん性」という用語は、制御されていない細胞成長を典型的に特徴とする哺乳動物における生理学的症状を指すか又は説明する。がんの例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ性悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。このようながんの更に具体的な例としては、限定するものではないが、腎臓又は腎がん(例えば、腎細胞がん癌腫(RCC))、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺がん、及び肺の扁平上皮癌腫を含む)、膀胱がん(例えば、尿路上皮膀胱癌腫(UC)、筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)、及びBCG不応性非筋層浸潤性膀胱がん(NMIBC))、尿路のがん、乳がん(例えば、HER2+乳がん及びトリプルネガティブ乳がん(TNBC)、(これはエストロゲン受容体(ER-)、プロゲステロン受容体(PR-)、及びHER2(HER2-)陰性である)、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)等の前立腺がん、腹膜のがん、肝細胞がん、胃がん又は胃のがん(消化管がん及び消化管間質がんを含む)、膵臓がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん(例えば、肝細胞癌腫(HCC))、肝がん、結腸がん、直腸がん、大腸がん、子宮内膜癌腫又は子宮癌腫、唾液腺癌腫、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝癌腫、肛門癌腫、陰茎癌腫、黒色腫(表在拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫、及び結節型黒色腫を含む)、多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞性NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病(CML)、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、及び骨髄異形成症候群(MDS)、並びにファコマトーシスと関連する異常血管増殖、浮腫(脳の腫瘍に関連するもの等)、メイグス症候群、脳腫瘍、頭頸部がん、及び関連する転移が挙げられる。いくつかの実施形態では、がんは、膀胱がんである。特定の実施形態では、膀胱がんはUC(例えば、進行性UC又は転移性UC(mUC))である。いくつかの実施形態では、がんは腎臓がんである。特定の実施形態では、腎臓がんは、RCC(例えば、以前に未治療のRCCを含む、進行性RCC又は転移性RCC(mRCC))である。
【0218】
「早期がん」又は「早期腫瘍」とは、浸潤性でも転移性でもないがんを意味し、ステージ0のがん、ステージIのがん、又はステージIIのがんに分類される。
【0219】
「進行性」がんとは、元の部位又は器官の外に、局所浸潤又は転移のいずれかによって広がったがんである。
【0220】
「不応性」がんとは、化学療法剤等の抗腫瘍剤ががん患者に投与されているにもかかわらず進行するがんである。不応性がんの例は、白金不応性であるがんである。
【0221】
「再発性」がんとは、最初の治療に応答した後に、最初の部位又は遠隔部位のいずれかで再増殖したがんである。
【0222】
「細胞増殖性障害」及び「増殖性障害」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する障害を指す。一実施形態では、細胞増殖性障害は、がんである。
【0223】
「腫瘍」という用語は、本明細書で使用される場合、悪性であるか良性であるかにかかわらず、全ての新生物の細胞成長及び増殖、並びに全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。
【0224】
「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0225】
「医薬製剤」という用語は、調製物中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤を投与する対象にとって許容できないほど有毒である更なる構成成分を含有しない調製物を指す。
【0226】
「薬学的に許容され得る担体」は、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容され得る担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0227】
本明細書で使用される場合、「治療」(及びその文法的な変形語、例えば、「治療する」又は「治療すること」)は、治療される個体の本来の経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の経過の間に行うことができる。治療の望ましい効果には、限定されないが、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学的帰結の縮小、転移を予防すること、疾患の進行の速度を遅らせること、疾患の状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗PD-L1抗体及び/又は抗PD-1抗体)は、疾患の発達を遅らせるか、又は疾患の進行を減速させるために使用される。
【0228】
「抗がん療法」という用語は、がんの治療に有用な治療を指す。抗がん療法剤の例には、チェックポイント阻害剤(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体))又はPD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))、細胞傷害剤、化学療法剤、成長阻害剤、放射線療法で使用される薬剤、抗血管新生剤(例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)))、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及びがんを治療するための他の薬剤、例えば抗CD20抗体、血小板由来成長因子阻害剤(例えば、GLEEVEC(商標)(メシル酸イマチニブ))、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、以下の標的PDGFR-β、BlyS、APRIL、BCMA受容体、TRAIL/Apo2、他の生物活性及び有機化学物質の1つ以上に結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)等が含まれるが、これらに限定されない。これらの組み合わせも本発明に含まれる。
【0229】
「単剤療法」とは、障害(例えば、がん)を治療するために1種類の治療(例えば、治療剤又は他の治療様式(例えば、放射線))を使用する治療法(例えば、抗がん療法)を指す。例えば、単剤療法は、障害を治療するための単一の治療剤の使用を指し得る。例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法は、いかなる追加の抗がん剤治療剤もなしでPD-L1軸結合アンタゴニストを投与することを含む療法である。別の例では、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法は、追加の抗がん療法剤なしでPD-L1結合アンタゴニストを投与することを含む療法である。
【0230】
「PD-L1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能障害を除去するように、PD-L1軸結合パートナーとその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用を阻害し、結果として、T細胞機能が復元又は増強される分子を指す。本明細書で使用される場合、PD-L1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト及びPD-1結合アンタゴニスト、並びにPD-L1とPD-1との間の相互作用を妨害する分子(例えば、PD-L2-Fc融合体)を含む。
【0231】
本明細書で使用される場合、「PD-L1結合アンタゴニスト」は、PD-L1と、PD-1及び/又はB7-1等のその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用から生じるシグナル形質導入を低下、遮断、阻害、抑止、又は妨害する分子である。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体及びその抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、小分子アンタゴニスト、ポリヌクレオチドアンタゴニスト、並びにPD-L1と、PD-1及び/又はB7-1等のその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用に起因するシグナル形質導入を低下、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1又はPD-1を介してTリンパ球及び他の細胞上で発現される細胞表面タンパク質により又はそれを介して媒介される負のシグナルを低減し、これにより、機能不全のT細胞の機能不全状態を軽減する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。具体的な一態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のYW243.55.S70である。別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMDX-1105である。更に別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のアテゾリズマブである。また別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるMEDI4736(デュルバルマブ)である。また別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されるMSB0010718C(アベルマブ)である。
【0232】
本明細書で使用される場合、「PD-1結合アンタゴニスト」とは、PD-1と、PD-L1及び/又はPD-L2等のその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用から生じるシグナル形質導入を低下、遮断、阻害、抑止、又は妨害する分子である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L1及び/又はPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体及びその抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、小分子アンタゴニスト、ポリヌクレオチドアンタゴニスト、並びにPD-1と、PD-L1及び/又はPD-L2との相互作用から生じるシグナル形質導入を低下、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1又はPD-L1を介してTリンパ球及び他の細胞上で発現される細胞表面タンパク質により又はそれを介して媒介される負のシグナルを低減し、これにより、機能不全のT細胞の機能不全状態を軽減する。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のMDX-1106(ニボルマブ)である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のMK-3475(ペムブロリズマブ)である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載されるMEDI-0680(AMP-514)である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のPDR001である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のREGN2810である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のBGB-108である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のAMP-224である。
【0233】
「VEGFアンタゴニスト」又は「VEGF特異的アンタゴニスト」という用語は、VEGFに結合するか、VEGF発現レベルを低減させるか、又はVEGFの生物学的活性(1つ以上のVEGF受容体へのVEGF結合、VEGFシグナル伝達、及びVEGF媒介性血管新生、並びに内皮細胞生存又は増殖を含むが、これらに限定されない)を中和、遮断、阻害、抑止、低減、又は妨害することができる分子を指す。例えば、VEGFの生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減、又は妨害することができる分子は、1つ以上のVEGF受容体(VEGFR)(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、膜結合型VEGF受容体(mbVEGFR)、又は可溶性VEGF受容体(sVEGFR))に結合することによって、その効果を発揮し得る。このようなアンタゴニストは、本明細書では「VEGFR阻害剤」とも称される。本発明の方法に有用なVEGF特異的アンタゴニストとしては、VEGFに特異的に結合するポリペプチド、抗VEGF抗体及びその抗原結合断片、VEGFに特異的に結合し、それによって1つ以上の受容体への結合を封じる、受容体分子及び誘導体、融合タンパク質(例えば、VEGF-Trap(Regeneron))、及びVEGF121-ゲロニン(Peregrine)が挙げられる。VEGF特異的アンタゴニストとしてはまた、VEGFポリペプチドのアンタゴニストバリアント、VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも断片に相補的なアンチセンス核酸塩基オリゴマー、VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも断片に相補的な低分子RNA、VEGFを標的とするリボザイム、VEGFに対するペプチボディ、及びVEGFアプタマーが挙げられる。VEGFアンタゴニストとしてはまた、VEGFRに結合するポリペプチド、抗VEGFR抗体、及びその抗原結合断片、並びにVEGFRに結合し、それによってVEGFの生物学的活性(例えば、VEGFのシグナル伝達)を遮断、阻害、抑止、低減、若しくは妨害する誘導体、又は融合タンパク質が挙げられる。VEGF特異的アンタゴニストとしてはまた、VEGF又はVEGFRに結合し、VEGF生物学的活性を、遮断、阻害、抑止、低減、又は妨害することができる非ペプチド低分子が挙げられる。したがって、「VEGF活性」という用語は、具体的には、VEGFのVEGF媒介性生物学的活性を含む。特定の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、VEGFの発現レベル又は生物学的活性を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上低減させる、又は阻害する。いくつかの実施形態では、VEGF特異的アンタゴニストによって阻害されるVEGFは、VEGF(8-109)、VEGF(1-109)、又はVEGF165である。
【0234】
本明細書で使用される場合、VEGFアンタゴニストとしては、抗VEGFR2抗体及び関連する分子(例えば、ラムシルマブ、タニビルマブ、アフリベルセプト)、抗VEGFR1抗体及び関連する分子(例えば、イクルクマブ、アフリベルセプト(VEGF Trap-Eye、EYLEA(登録商標))、及びジブ-アフリベルセプト(VEGF Trap、ZALTRAP(登録商標))、二重特異性VEGF抗体(例えば、MP-0250、バヌシズマブ(VEGF-ANG2)、及びUS2001/0236388に開示されている二重特異性抗体)、抗VEGFアーム、抗VEGFR1アーム、及び抗VEGFR2アームのうちの2つの組み合わせを含む二重特異性抗体、抗VEGFA抗体(例えば、ベバシズマブ、セバシズマブ)、抗VEGFB抗体、抗VEGFC抗体(例えば、VGX-100)、抗VEGFD抗体、並びに非ペプチド低分子VEGFアンタゴニスト(例えば、パゾパニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、スチバーガ、カボザンチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、テラチニブ、ドビチニブ、セジラニブ、モテサニブ、スルファチニブ、アパチニブ、フォレチニブ、ファミチニブ、及びチボザニブ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0235】
「抗VEGF抗体」とは、十分な親和性及び特異性でVEGFに結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体は、VEGFに対して十分に高い結合親和性を有し、例えば、抗体は、100nM-1pMのKd値でhVEGFに結合し得る。抗体親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴系アッセイ(PCT出願公開の国際公開第2005/012359号に記載されているようなBIAcore(登録商標)アッセイ等)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び競合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA))によって決定され得る。
【0236】
特定の実施形態では、抗VEGF抗体は、VEGF活性が関与する疾患又は症状を標的とし、かつそれを妨害する際に治療剤として使用され得る。抗体はまた、例えば、治療薬としてのその効果を評価するために、他の生物学的活性アッセイにも供され得る。そのようなアッセイは、当技術分野で既知であり、抗体に対する標的抗原及び意図される使用に依存する。例としては、HUVEC阻害アッセイ、腫瘍細胞成長阻害アッセイ(例えば、国際公開第89/06692号に記載のもの)、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)及び補体媒介性細胞傷害性(CDC)アッセイ(米国特許第5,500,362号)、並びにアゴニスト活性又は造血アッセイ(国際公開第95/27062号を参照)が挙げられる。抗VEGF抗体は、通常、VEGF-B又はVEGF-C等の他のVEGFホモログにも、PIGF、PDGF、又はbFGF等の他の成長因子にも結合しない。一実施形態では、抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB 10709によって産生される、モノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体である。別の実施形態では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブ(BV、AVASTIN(登録商標))として既知の抗体を含むが、これに限定されない、Presta et al.(Cancer Res.57:4593-4599,1997)に従って生成される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。
【0237】
「rhuMAb VEGF」又は「AVASTIN(登録商標)」としても公知の抗VEGF抗体「ベバシズマブ(BV)」は、Presta et al.(Cancer Res.57:4593-4599,1997)に従って生成される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。これは、変異型ヒトIgG1フレームワーク領域と、ヒトVEGFの、その受容体への結合を遮断するマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1由来の抗原結合相補性決定領域とを含む。フレームワーク領域の大部分を含む、ベバシズマブのアミノ酸配列の約93%は、ヒトIgG1に由来し、配列の約7%は、マウス抗体A4.6.1に由来する。ベバシズマブは、分子量が約149,000ダルトンであり、グリコシル化されている。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、2005年2月26日に発行された米国特許第6,884,879号に更に記載されており、その開示全体は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。追加の好ましい抗体としては、PCT出願公開の国際公開第2005/012359号に記載されているG6又はB20シリーズ抗体(例えば、G6-31、B20-4.1)が挙げられる。追加の好ましい抗体については、米国特許第7,060,269号、同第6,582,959号、同第6,703,020号、同第6,054,297号、国際公開第98/45332号、国際公開第96/30046号、国際公開第94/10202号、欧州特許第0666868号B1、米国特許出願公開第2006009360号、同第20050186208号、同第20030206899号、同第20030190317号、同第20030203409号、及び同第20050112126号、並びにPopkov et al.,(Journal of Immunological Methods 288:149-164,2004)を参照されたい。他の好ましい抗体としては、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、191、K101、E103、及びC104を含むか、又はあるいは残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、183、及びQ89を含む、ヒトVEGF上の機能的エピトープに結合する抗体が挙げられる。
【0238】
「IL8アンタゴニスト」とは、IL8に結合し、IL8発現レベルを低下させ、又はIL8生物学的活性(1つ以上のIL8受容体へのIL8結合及びIL8シグナル伝達を含むがこれらに限定されない)を中和、遮断、阻害、抑止、低減若しくは妨害することができる分子を指す。例えば、IL8生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減又は干渉することができる分子は、1つ以上のIL8受容体(例えば、IL8RA及び/又はIL8RB)に結合することによってその効果を発揮することができる。いくつかの事例では、IL8アンタゴニストは抗IL8抗体である。例示的な非限定的な抗IL8抗体としては、HuMax-IL8(別名、BMS-986253)が挙げられる。他の事例では、IL8アンタゴニストは小分子IL8阻害剤である。例示的な非限定的な小分子IL8阻害剤としては、レパリキシンが挙げられる(例えば、Leitner et al.Int.J.Immunopathol.Pharmacol.20(1):25-36,2007)。
【0239】
抗IL8抗体は、十分な親和性及び特異性でIL8に結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体は、IL8に対して十分に高い結合親和性を有し、例えば、抗体は、100nM-1pMのKd値でIL8に結合し得る。抗体親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴系アッセイ(PCT出願公開の国際公開第2005/012359号に記載されているようなBIAcore(登録商標)アッセイ等)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び競合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA))によって決定され得る。抗IL8抗体は、中和抗IL8抗体であり得る。例示的な抗IL8抗体としては、HuMax-IL8(別名、BMS-986253)が挙げられる。
【0240】
「IL1Bアンタゴニスト」とは、IL1Bに結合し、IL1B発現レベルを低下させ、又はIL1B生物学的活性(1つ以上のIL1B受容体へのIL1B結合及びIL1Bシグナル伝達が含まれるが、これらに限定されない)を中和、遮断、阻害、抑止、低減若しくは妨害することができる分子を指す。例えば、IL1B生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減又は干渉することができる分子は、「IL1Rアンタゴニスト」とも呼ばれる1つ以上のIL1B受容体(例えば、IL1R1、IL1R2及び/又はIL-1RAcP)に結合することによってその効果を発揮することができる(下記参照)。いくつかの事例では、IL1B結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。例示的な非限定的な抗IL1B抗体としては、カナキヌマブ、ゲボキズマブ、LY2189102、XOMA052及び2H(例えば、Goh et al.MAbs 6(3):764-772,2014を参照)が挙げられる。他の事例では、IL1Bアンタゴニストは小分子IL1B阻害剤(例えば、IL1B放出を阻害する小分子、例えば、カスパーゼ1阻害剤(例えば、プラルナカサン(VX-740)及びVX-765))である。例示的なIL1Bアンタゴニストは、例えば、Dinarello et al.Nat.Rev.Drug Discov.11(8):633-652,2012に記載されている。
【0241】
抗IL1B抗体は、十分な親和性及び特異性でIL1Bに結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体は、IL1Bに対して十分に高い結合親和性を有し、例えば、抗体は、100nM-1pMのKd値でIL1Bに結合し得る。抗体親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴系アッセイ(PCT出願公開第WO2005/012359号に記載されているようなBIAcore(登録商標)アッセイ等)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び競合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA))によって決定され得る。抗IL1B抗体は、中和抗IL1B抗体であり得る。例示的な非限定的な抗IL1B抗体としては、カナキヌマブ、ゲボキズマブ、LY2189102、XOMA052及び2H(例えば、Goh et al.MAbs 6(3):764-772,2014を参照)が挙げられる。
【0242】
「IL1Rアンタゴニスト」とは、IL1Rに結合し、IL1R発現レベルを低下させ、又はIL1R生物学的活性(1つ以上のリガンドへのIL1R結合を含むが、これに限定されない)を中和、遮断、阻害、抑止、低減若しくは干渉することができる分子を指す。いくつかの事例では、IL1Rアンタゴニストは抗IL1R抗体である。例示的な非限定的な抗IL1R抗体としては、AMG108が挙げられる。他の事例では、IL1Rアンタゴニストは、組換えIL-1RAタンパク質又はその操作されたバージョン、例えばアナキンラ(KINERET(登録商標))である。更に他の事例では、IL1Rアンタゴニストは、可溶性デコイ受容体、例えば、リロナセプト(ARCALYST(登録商標))であり、これは、ヒトIL1Rの細胞外部分のリガンド結合ドメイン(IL1R1)及びヒトIgG1のFc領域にインラインで連結されたIL1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAcP)を含む二量体融合タンパク質である。他の事例では、IL1Bアンタゴニストは小分子IL1B阻害剤である。例示的なIL1Rアンタゴニストは、例えば、Dinarello et al.Nat.Rev.Drug Discov.11(8):633-652,2012に記載されている。
【0243】
抗IL1R抗体は、十分な親和性及び特異性でIL1Rに結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体は、IL1Rに対して十分に高い結合親和性を有し、例えば、抗体は、100nM-1pMのKd値でIL1Rに結合し得る。抗体親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴系アッセイ(PCT出願公開第WO2005/012359号に記載されているようなBIAcore(登録商標)アッセイ等)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び競合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA))によって決定され得る。抗IL1R抗体は、中和抗IL1R抗体であり得る。例示的な非限定的な抗IL1R抗体としては、AMG108が挙げられる。
【0244】
本明細書で使用される場合、「細胞傷害性薬剤」という用語は、細胞の機能を阻害若しくは妨害する、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質を指す。この用語には、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLuの放射性同位体)、化学療法剤、例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、又は他のインターカレート剤、核酸分解酵素等の酵素及びその断片、抗生物質、細菌、真菌、植物又は動物由来の低分子毒素又は酵素的に活性な毒素等の毒素(その断片及び/又はバリアントを含む)、並びに以下に開示される様々な抗腫瘍剤若しくは抗がん剤が含まれることが意図される。他の細胞毒性剤は、以下に記載されている。殺腫瘍性剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
【0245】
化学療法剤とは、がんの治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例としては、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン等のアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチローロメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);δ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));β-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類縁体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9-アミノカンプトテシン);ブリオスタチン;ペメトレキセド;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類縁体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類縁体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニマスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;カルマスティン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン等のニトロソウレア;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えば、Nicolaou et al.,Angew.Chem Intl.Ed.Engl.,33:183-186(1994)を参照)等の抗生物質;ジネミシンAを含むジネミシン;エスペラミシン並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドクソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート等の葉酸類縁体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類縁体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジネン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクシウリジン等のピリミジン類縁体;アミノグルテチミド、マイトテイン、トリロスタン等の抗副腎剤;フォリン酸等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エフロルニチン;エリプチニウムアセテート;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシン及びアンサマイトシン等のメイタンシノイド;ミトグアゾン;マイトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))(Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、パクリタキセルのアルブミン組換ナノ粒子製剤(ABRAXANE(商標))(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)、及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))(Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン(ELOXATIN(商標))、スタトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン(triplatin)及びリポプラチン(lipoplatin)等の白金類縁体;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド;並びに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸又は誘導体;並びにCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略称)、並びにFOLFOX(5-FU及びロイコボリンと組み合わせた、オキサリプラチン(ELOXATIN(商標))による治療レジメンの略称)等の、上記のうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。更なる化学療法剤は、メイタンシノイド(例えばDM1)等の抗体薬物結合体と有用な細胞毒性剤、並びに例えば、MMAE及びMMAF等のオーリスタチンを含む。
【0246】
「化学療法剤」には、がんの成長を促進し得るホルモン作用を制御、低減、遮断、又は阻害するために作用する「抗ホルモン薬剤」又は「内分泌治療剤」も含まれ、しばしば全身性又は体全体の治療の形態にある。化学療法剤はホルモン自体であってもよい。例としては、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)トレミフェン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方制御因子(ERD);卵巣を抑制するか又は活動停止するように機能する薬剤、例えば、LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標)ロイプロリド酢酸塩、ゴセレリン酢酸塩、ブセレリン酢酸塩、及びトリプテレリン等の黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト;フルタミド、ニルタミド、及びビカルタミド等の他の抗アンドロゲン薬;並びに副腎におけるエストロゲン生産を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)メゲストロールアセテート、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールを含む、抗エストロゲン及び選択的なエストロゲン受容体調節因子(SERM)が挙げられる。加えて、化学療法剤のかかる定義には、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、DIDROCAL(登録商標)エチドロネート、NE-58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、又はACTONEL(登録商標)リセドロネート等のビスホスホネート;並びにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えばPKC-アルファ、Raf、H-Ras、及び表皮成長因子受容体(EGFR)等の異所(abherant)細胞増殖に関係があるとされるシグナル伝達系路における遺伝子の発現を阻害するもの;THERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン等のワクチン;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ジトシル酸ラパチニブ(別名、GW572016、ErbB-2及びEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);並びに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、又は誘導体が含まれる。
【0247】
化学療法剤にはまた、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)等の抗体、及び抗体-薬物コンジュゲート、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)も含まれる。本発明の化合物と組み合わせた薬剤としての治療可能性を有する追加のヒト化モノクローナル抗体としては、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピヌズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セロリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マッツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクセリズマブ、ペクセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レスリビズマブ、ロベリズマブ、ルピズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカタツズマブテトラキセタン、タドキシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブセルモレウキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、及びインターロイキン-12 p40タンパク質を認識するように遺伝子組換えされた、ヒト配列のみの完全長IgG1λ抗体である抗インターロイキン-12(ABT-874/J695、Wyeth Research及びAbbott Laboratories)が挙げられる。
【0248】
化学療法剤には、EGFRに結合するか又はさもなければそれと直接相互作用し、そのシグナル伝達活性を妨害又は低減する化合物を指す「EGFR阻害剤」も含まれ、代わりに「EGFRアンタゴニスト」とも称される。このような剤の例としては、EGFRに結合する抗体及び低分子が挙げられる。EGFRに結合する抗体の例としては、MAb579(ATCC CRL HB8506)、MAb455(ATCC CRL HB8507)、MAb225(ATCC CRL8508)、MAb528(ATCC CRL8509)(米国特許第4,943,533号、Mendelsohn et al.を参照)及びそのバリアント、例えば、キメラ化された225(C225又はセツキシマブ、ERBUTIX(登録商標))及び再構成されたヒト225(H225)(国際公開第96/40210号、Imclone Systems Inc.を参照)、IMC-11F8、完全ヒト型EGFR標的抗体(Imclone)、II型変異型EGFRに結合する抗体(米国特許第5,212,290号)、米国特許第5,891,996号に記載されているようなEGFRに結合するヒト化抗体及びキメラ抗体、及びABX-EGF又はパニツムマブ(国際公開第98/50433号、Abgenix/Amgenを参照)等のEGFRに結合するヒト抗体、EMD55900(Stragliotto et al.Eur.J.Cancer 32A:636-640(1996)を参照)、EMD7200(マツズマブ)(EGFとTGF-アルファの両方のEGFR結合を競合させるEGFRに対するヒト化EGFR抗体(EMD/Merck)、ヒトEGFR抗体、HuMax-EGFR(GenMab)、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3.及びE7.6.3として公知であり、米国特許第6,235,883号に記載の完全ヒト抗体、MDX-447(Medarex Inc)、並びにmAb806又はヒト化mAb806(Johns et al.,J.Biol.Chem.279(29):30375-30384(2004))が挙げられる。抗EGFR抗体は、細胞毒性剤にコンジュゲートされてよく、それによりイムノコンジュゲートを生成することができる(例えば、EP659,439A2を参照されたい、Merck Patent GmbH)。EGFRアンタゴニストは、米国特許第5,616,582号、同第5,457,105号、同第5,475,001号、同第5,654,307号、同第5,679,683号、同第6,084,095号、同第6,265,410号、同第6,455,534号、同第6,521,620号、同第6,596,726号、同第6,713,484号、同第5,770,599号、同第6,140,332号、同第5,866,572号、同第6,399,602号、同第6,344,459号、同第6,602,863号、同第6,391,874号、同第6,344,455号、同第5,760,041号、同第6,002,008号、及び同第5,747,498号、並びに以下のPCT公報:国際公開第98/14451号、国際公開第98/50038号、国際公開第99/09016号、及び国際公開第99/24037号に記載される化合物等の小分子が含まれる。特定の低分子EGFRアンタゴニストとしては、OSI-774(CP-358774、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharmaceuticals)、PD183805(CI1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-、二塩酸塩、Pfizer Inc.)、ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca)、ZM105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca)、BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim)、PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール)、(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)、CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド)、EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブチンアミド)(Wyeth)、AG1478(Pfizer)、AG1571(SU5271、Pfizer)、及び二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016又はN-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミン)が挙げられる。
【0249】
化学療法剤としてはまた、「チロシンキナーゼ阻害剤」(前段落に記載のEGFR標的薬物を含む)、低分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤(Takedaから入手可能なTAK165等)、ErbB2受容体チロシンキナーゼの経口選択的阻害剤であるCP-724,714(Pfizer及びOSI)、二重HER阻害剤(EGFRに優先的に結合するが、HER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害するEKB-569(Wyethから入手可能)等)、ラパチニブ(GSK572016、Glaxo-SmithKlineから入手可能)、経口HER2及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤、PKI-166(Novartisから入手可能)、pan-HER阻害剤(カネルチニブ(CI-1033、Pharmacia)等)、Raf-1阻害剤(Raf-1シグナル伝達を阻害するISIS Pharmaceuticalsから入手可能なアンチセンス薬剤ISIS-5132等)、非HER標的TK阻害剤(イマチニブメシル酸塩(GLEEVEC(登録商標)、Glaxo SmithKlineから入手可能)等)、多標的チロシンキナーゼ阻害剤(スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizerから入手可能)等)、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(バタラニブ(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AGから入手可能)等)、MAPK細胞外制御キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmaciaから入手可能)、キナゾリン(PD153035、4-(3-クロロアニリノ)キナゾリン等)、ピリドピリミジン、ピリミドピリミジン、ピロロピリミジン(CGP59326、CGP60261、及びCGP62706等)、ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン、クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド)、ニトロチオフェン部分を含有するチルホスチン、PD-0183805(Warner-Lamber)、アンチセンス分子(例えば、HERコード核酸に結合するもの)、キノキサリン(米国特許第5,804,396号)、トリホスチン(米国特許第5,804,396号)、ZD6474(Astra Zeneca)、PTK-787(Novartis/Schering AG)、pan-HER阻害剤(CI-1033(Pfizer)等)、Affinitac(ISIS3521、Isis/Lilly)、イマチニブメシル酸塩(GLEEVEC(登録商標))、PKI166(Novartis)、GW2016(Glaxo SmithKline)、CI-1033(Pfizer)、EKB-569(Wyeth)、セマキシニブ(Pfizer)、ZD6474(AstraZeneca)、PTK-787(Novartis/Schering AG)、INC-1C11(Imclone)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標))、又は以下の特許公報:米国特許第5,804,396号;国際公開第1999/09016号(American Cyanamid);国際公開第1998/43960号(American Cyanamid);国際公開第1997/38983号(Warner Lambert);国際公開第1999/06378号(Warner Lambert);国際公開第1999/06396号(Warner Lambert);国際公開第1996/30347号(Pfizer,Inc);国際公開第1996/33978号(Zeneca);国際公開第1996/3397号(Zeneca);及び国際公開第1996/33980号(Zeneca)のうちのいずれかに記載のものも挙げられる。
【0250】
化学療法剤としてはまた、デキサメタゾン、インターフェロン、コルヒチン、メトプリン、シクロスポリン、アンホテリシン、メトロニダゾール、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アミホスチン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、生BCG、ベバクジマブ、ベキサロテン、クラドリビン、クロファラビン、ダルベポエチンアルファ、デニロイキン、デクスラゾキサン、エポエチンアルファ、エロチニブ、フィルグラスチム、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、レナリドミド、レバミゾール、メスナ、メトキサレン、ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オプレルベキン、パリフェルミン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、キナクリン、ラスブリカーゼ、サルグラモスチム、テモゾロミド、VM-26、6-TG、トレミフェン、トレチノイン、ATRA、バルルビシン、ゾレドロネート、及びゾレドロン酸、ならにそれらの薬学的に許容され得る塩も挙げられる。
【0251】
化学療法剤としては、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ピバリン酸チクソコルトール、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、プロピオン酸アクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン-17-ブチレート、クロベタゾン-17-プロピオネート、カプロン酸フルオコルトロン、ピバリン酸フルオコルトロン及び酢酸フルプレドニデン;免疫選択的抗炎症ペプチド(ImSAIDs)、例えばフェニルアラニン-グルタミン-グリシン(FEG)及びそのD体形態(feG)(IMULAN BioTherapeutics,LLC);抗リウマチ薬、例えばアザチオプリン、シクロスポリン(シクロスポリンA)、D-ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミドミノシクリン、スルファサラジン、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)遮断剤、例えばエタネルセプト(ENBREL(登録商標)インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、セトリズマブペゴール(CIMZIA(登録商標))、ゴリムマブ(SIMPONI(登録商標))、インターロイキン1(IL-1)遮断剤、例えばアナキンラ(KINERET(登録商標))、T細胞共刺激遮断剤、例えばアバタセプト(ORENCIA(登録商標))、インターロイキン6(IL-6)遮断剤、トシリズマブ(ACTEMERA(登録商標));インターロイキン13(IL-13)遮断剤、例えばレブリキズマブ;インターフェロンアルファ(IFN)遮断剤、例えばロンタリズマブ;ベータ7インテグリン遮断剤、例えばrhuMAb Beta7;IgE経路遮断剤、例えば抗M1プライム;分泌ホモ三量体LTa3及び膜結合ヘテロ三量体LTa1/β2遮断剤、例えば抗リンホトキシンアルファ(LTa);種々の調査剤、例えばチオプラチン、PS-341、フェニルブチレート、ET-18-OCH3、及びファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L-739749、L-744832);ポリフェノール、例えばケルセチン、レスベラトロール、ピセアタンノール、没食子酸エピガロカテキン、テアフラビン、フラバノール、プロシアニジン、ベツリン酸及びその誘導体;オートファジー阻害剤、例えばクロロキン;デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルチシン;ベツリン酸;アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9-アミノカンプトテシン);ポドフィロトキシン;テガフール(UFTORAL(登録商標));ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標));ビスホスホネート、例えばクロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、又はリセドロネート(ACTONEL(登録商標));並びに上皮成長因子受容体(EGF-R);ワクチン、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチン;ペリフォシン、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ又はエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);CCI-779;チピファニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;Bcl-2阻害剤、例えば、オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標));ピクサントロン;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、ロナファルニブ(SCH 6636、SARASAR(商標));並びに上記のうちのいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、又は誘導体;並びに上記のうち2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0252】
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、親薬物と比較して腫瘍細胞に対する細胞毒性が低く、酵素的により活性な親形態へと活性化又は変換されることができる、薬学的に活性な物質の前駆体又は誘導体形態を指す。例えば、Wilman,’’Prodrugs in Cancer Chemotherapy’’Biochemical Society Transactions,14,pp.375-382,615th Meeting Belfast(1986)及びStella et al.,’’Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,’’Directed Drug Delivery,Borchardt et al.,(ed.),pp.247-267,Humana Press(1985)を参照されたい。本発明のプロドラッグには、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、Dアミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、場合によって置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、又は置換されていてもよいフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されず、これらプロドラッグは、より活性な細胞毒性遊離薬物へと変換され得る。本発明で使用するためのプロドラッグ形態に誘導体化され得る細胞毒性薬物の例としては、上述の化学療法剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0253】
「成長阻害剤」とは、本明細書で使用される場合、in vitro又はin vivoのいずれかで細胞(例えば、その成長がPD-L1発現に依存する細胞)の成長及び/又は増殖を阻害する化合物又は組成物を指す。したがって、成長阻害剤は、S期における細胞のパーセンテージを著しく低減するものであり得る。成長阻害剤の例としては、細胞周期進行(S期以外の場所で)を遮断する薬剤、例えば、G1停止及びM期停止を誘導する薬剤が挙げられる。標準的なM期遮断剤としては、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン、及びトポイソメラーゼII阻害剤、例えば、アントラサイクリン系抗生物質ドキソルビシン((8S-シス)-10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキサピラノシル)オキシ]-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロキシ-8-(ヒドロキシアセチル)-1-メトキシ-5,12-ナフタセンジオン)、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが挙げられる。G1を停止する薬剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、及びara-C等のDNAアルキル化剤は、S期停止にも波及する。更なる情報は、Murakami et al.(WB Saunders:Philadelphia,1995)による’’The Molecular Basis of Cancer,’’Mendelsohn and Israel,eds.,Chapter 1,entitled’’Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs’’、特に13頁に見出され得る。タキサン(パクリタキセル及びドセタキセル)は、いずれもイチイ由来の抗がん薬である。ヨーロッパイチイ由来のドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)の半合成類縁体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体由来の微小管のアセンブリを促進し、脱重合を妨害することによって微小管を安定させ、細胞内での有糸分裂を阻害する。
【0254】
「放射線治療」とは、正常に機能するか、又は細胞を完全に破壊する能力を制限するように、細胞に十分な損傷を誘導するための指向性ガンマ線又はベータ線の使用を意味する。用量及び治療期間を決定するために、当技術分野で既知の方法が多く存在することが理解されるだろう。典型的な治療は、1回投与として与えられ、典型的な線量は、1日10~200単位(グレイ)の範囲である。
【0255】
本明細書で使用される場合、「個体」「患者」、及び「対象」という用語は、互換的に使用され、治療が所望される任意の単一の動物、より好ましくは哺乳類(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、動物園の動物、雌ウシ、ブタ、ヒツジ、及び非ヒト霊長類等の非ヒト動物を含む)を指す。特定の実施形態では、本明細書の患者はヒトである。
【0256】
本明細書で使用される場合、「投与する、投与すること」は、化合物(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト、又は任意の他の抗がん剤)又は医薬組成物(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト、又は任意の他の抗がん治療剤を含む医薬組成物)の投与量を個体(例えば、患者)に与える方法を意味する。本明細書に記載の方法で利用される組成物を、例えば、筋肉内に、静脈内に、皮内に、経皮的に、動脈内に、腹腔内に、病巣内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、胸膜内に、気管内に、髄腔内に、鼻腔内に、腟内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、腹膜に、皮下に、結膜下に、小胞内に、粘膜に、心膜内に、臍帯内に、眼内に、眼窩内に、硝子体内に(例えば、硝子体内注射により)、点眼により、経口的に、局所的に、経皮的に、非経口的に、吸入により、注射により、移植により、注入により、持続注入により、標的細胞を直接的に浸す局所灌流により、カテーテルにより、洗浄により、クリームに入れて、又は脂質組成物に入れて、投与することができる。本明細書に記載の方法において利用される組成物はまた、全身的又は局所的に投与することができる。投与方法は、様々な因子(例えば、投与される化合物又は組成物、及び治療される症状、疾患、又は障害の重症度)に応じて変化し得る。本明細書では、単回投与又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投与スケジュールが想定される。
【0257】
「治療有効量」又は「有効量」とは、哺乳動物における疾患又は障害を治療又は予防するための治療剤の量を指す。がんの場合、治療有効量の治療剤は、がん細胞の数を低減し、原発腫瘍サイズを低減し、末梢臓器へのがん細胞浸潤を阻害し(すなわち、ある程度減速し、好ましくは停止する)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度減速し、好ましくは停止する)、腫瘍成長をある程度阻害し、及び/又は障害に関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減し得る。薬物が既存のがん細胞の成長を予防し、及び/又はそれらを死滅させることができる程度まで、この薬物は、細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性であり得る。がん療法に関して、in vivoでの有効性は、例えば、生存期間、疾患進行の期間(time to disease progression:TTP)、応答速度(例えば、ORR、CR及び/若しくはPR)、応答期間、並びに/又は生活の質を評定することによって測定され得る。
【0258】
「同時に」という用語は、投与の少なくとも一部が時間的に重複する2つ以上の治療剤の投与を指すために本明細書で使用される。したがって、同時投与には、1つ以上の薬剤の投与が1つ以上の他の薬剤の投与を中止した後で継続する投薬レジメンが含まれる。
【0259】
「低減又は阻害する」とは、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれ以上の全体的な減少をもたらす能力を意味する。低減又は阻害は、例えば、治療されている障害の症状、転移の存在若しくはサイズ、又は原発腫瘍のサイズに対して言及する場合がある。
【0260】
「添付文書」という用語は、治療用製品の市販のパッケージに通例含まれ、かかる治療用製品の使用に関する指示、用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌、及び/又は警告についての情報を含む指示書を指すために使用される。
【0261】
「滅菌」製剤は、無菌であるか、又は全ての生存微生物及びそれらの胞子を含まない。
【0262】
「製造品」は、少なくとも1つの試薬、例えば、疾患又は障害(例えば、がん)を治療するための医薬品、又は本明細書に記載のバイオマーカー(例えば、IL8)を特異的に検出するためのプローブを含む任意の製造品(例えば、パッケージ又は容器)又はキットである。特定の実施形態では、製造物又はキットは、本明細書に記載される方法を実施するための単位として販売促進、配給、又は販売される。
【0263】
「に基づく」という語句は、本明細書で使用される場合、1つ以上のバイオマーカーについての情報が、例えば、治療の決定、添付文書に提供される情報、又はマーケティング/宣伝指針等を伝えるために使用されることを意味する。
【0264】
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び抗体断片を含むがこれらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。
【0265】
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定及び分離され、かつ/又は回収された抗体である。その自然環境の混入成分は、抗体の研究的、診断的、及び/又は治療的使用を支障が生じるであろう物質であり、それらには、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体は、(1)例えば、ローリー法によって決定される、95重量%超、いくつかの実施形態では、99重量%超になるまで、(2)例えば、スピニング・カップ・シークエネーターを使用して、N末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)例えば、クマシーブルー又は銀染色を使用して、還元又は非還元条件下でSDS-PAGEによって均質性が得られるまで精製される。単離された抗体には、組換え細胞内のin situ抗体が含まれるが、これは、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないためである。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製されるであろう。
【0266】
「天然型抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖が1つのジスルフィド共有結合により重鎖に連結される一方で、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的に離間した鎖間ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(VH)を有し、その後いくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(VL)を有し、その他方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。
【0267】
任意の哺乳動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(「κ」)及びラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明らかに異なるタイプのうちの一方に割り当てられ得る。
【0268】
「定常ドメイン」という用語は、抗原結合部位を含有する可変ドメインである免疫グロブリンの他の部分と比較して、より保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。定常ドメインは、重鎖のCH1、CH2、及びCH3ドメイン(集合的に、CH)、並びに軽鎖のCHL(又はCL)ドメインを含む。
【0269】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは、「VH」と称され得る。軽鎖の可変ドメインは、「VL」と称され得る。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の高い部分であり、抗原結合部位を含む。
【0270】
「可変」という用語は、可変ドメインの特定の部分の配列が抗体間で広く異なり、かつ各特定の抗体の特定の抗原への結合及び特異性において使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体にわたって均等に分布していない。これは、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方における超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然型の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、ベータ-シート構造を接続し、かついくつかの場合では、ベータ-シート構造の一部を形成するループを形成する3つのHVRによって接続されたベータシート立体配置を大いに採用する4つのFR領域を含む。各鎖内のHVRは、FR領域によって近接して互いに保持され、他方の鎖からのHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与していないが、抗体の抗体依存性細胞毒性への関与等の様々なエフェクター機能を呈する。
【0271】
「超可変領域」、「HVR」、又は「HV」という用語は、本明細書で使用される場合、配列が超可変性であり、かつ/又は構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は、VHに3つ(H1、H2、H3)及びVLに3つ(L1、L2、L3)の、6つのHVRを含む。天然型抗体では、H3及びL3が、6つのHVRのうちで最も高い多様性を示し、特にH3が抗体に優れた特異性を与える上で特有の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37-45(2000);Johnson and Wu,in Methods in Molecular Biology 248:1-25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2003)を参照されたい。実際に、重鎖のみからなる、天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の非存在下で機能的であり、安定している。例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature 363:446-448(1993);Sheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照されたい。
【0272】
いくつかのHVR描写が本明細書で使用され、本明細書に包含されている。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)。代わりに、Chothiaは、構造的ループの位置を指す(Chothia及びLeskJ.Mol.Biol.196:901~917(1987))。AbM HVRは、KabatのHVRとChothiaの構造的ループとの間の折衷物を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらHVRの各々に由来する残基を、以下に示す。
ループ Kabat AbM Chothia 接触
L1 L24-L34 L24-L34 L26-L32 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L52 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L91-L96 L89-L96
H1 H31-H35b H26-H35b H26-H32 H30-H35b(Kabatナンバリング)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35(Chothiaナンバリング)
H2 H50-H65 H50-H58 H53-H55 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H96-H101 H93-H101
【0273】
HVRは、以下の「伸長HVR」を含み得る:VLにおいて、24~36又は24~34(L1)、46~56又は50~56(L2)、及び89~97又は89~96(L3)、並びにVHにおいて、26~35(H1)、50~65又は49~65(H2)、及び93~102、94~102、又は95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabat et al.,(上記参照)に従ってナンバリングされる。
【0274】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0275】
「Kabatにおけるような可変ドメイン残基ナンバリング」又は「Kabatにおけるようなアミノ酸位置ナンバリング」という用語、及びそれらの変形は、Kabat et al.,(上記参照)における抗体の編集物の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用されるナンバリングシステムを指す。このナンバリングシステムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮、又はそれへの挿入に対応する、より少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)、及び重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82c等)を含んでもよい。残基のKabatナンバリングは、所与の抗体に対して、抗体の配列と「標準の」Kabatによってナンバリングされた配列との相同領域での整列によって決定され得る。
【0276】
Kabatナンバリングシステムは一般に、可変ドメイン(およそ軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)内の残基に言及するときに使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。「EUナンバリングシステム」又は「EU指標」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域における残基について言及する際に使用される(例えば、Kabat et alで報告されるEUインデックス、上記参照)。「KabatにおけるようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングを指す。
【0277】
「全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、以下に定義される抗体断片ではなく、その実質的にインタクトな形態にある抗体を指すために、本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、具体的には、Fc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
【0278】
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、インタクトな抗体の一部を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体断片は、抗原結合断片である。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、ダイアボディ、直鎖状抗体、一本鎖抗体分子、並びに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0279】
抗体のパパイン消化により、各々単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と、容易に結晶化するその能力を反映して命名された残りの「Fc」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片が産生される。ペプシン処理は、F(ab’)2断片をもたらし、これは、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋し得る。
【0280】
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片である。一実施形態では、二本鎖Fv種は、密接に非共有会合した1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種において、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインは、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種における構造に類似の「二量体」構造で会合し得るように、可動性ペプチドリンカーによって共有結合し得る。各可変ドメインの3つのHVRが相互作用してVH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を定義するのは、この立体配置においてである。集合的に、6つのHVRが抗体に抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的なHVRを3つしか含まないFvの半分)であっても、全結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0281】
Fab断片は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含有し、軽鎖定常ドメイン及び第1の重鎖定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含む、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における少数の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が、遊離チオール基を持つFab’の本明細書での呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生されたものであった。抗体断片の他の化学的カップリングも公知である。
【0282】
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含み、これにより、scFvが抗原結合に望ましい構造を形成することが可能になる。scFvに関するレビューについては、例えば、Pluckthuen,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York,1994),pp.269-315を参照されたい。
【0283】
「ダイアボディ」という用語は、二つの抗原結合部位を持つ抗体断片を指し、その断片は、同一ポリペプチド鎖の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH-VL)。非常に短いために同一鎖上で二つのドメインの対形成ができないリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは二価でも二特異性でもよい。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003);及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)において、より完全に記載されている。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)においても記載されている。
【0284】
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の型を指す。抗体の5つの主要なクラスがあり、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分ける場合がある。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0285】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、例えば、その集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能な変異、例えば、天然に存在する変異を除いて同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。ある特定の実施形態では、かかるモノクローナル抗体は、典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列の選択を含むプロセスによって得られたものである。例えば、この選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、又は組み換えDNAクローンのプール等の複数のクローンからの特有のクローンの選択であり得る。選択された標的結合配列が、例えば、標的への親和性を改善し、標的結合配列をヒト化し、細胞培養におけるその産生を改善し、in vivoでのその免疫原性を低減し、多重特異性抗体を作製するように更に改変されてもよく、かつ改変された標的結合配列を含む抗体が本発明のモノクローナル抗体でもあることを理解されたい。様々な決定基(エピトープ)に対する様々な抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、典型的には他の免疫グロブリンによる混入がないという点で有利である。
【0286】
「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495-97(1975);Hongo et al.,Hybridoma 14(3):253-260(1995),Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988);Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)を参照)、及びヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座又は遺伝子の一部又は全てを有するヒト又はヒト様抗体を動物で産生するための技術(例えば、国際公開第1998/24893号、国際公開第1996/34096号、国際公開第1996/33735号、国際公開第1991/10741号;Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255-258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1993)、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、及び同第5,661,016号、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992);Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994);Morrison,Nature 368:812-813(1994);Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845-851(1996);Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996);及びLonberg et al.,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995))を含む様々な技法によって作製され得る。
【0287】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体、並びにそれらが所望の生物学的活性を呈する限り、そのような抗体の断片を含む(例えば、米国特許第4,816,567号及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984)を参照されたい)。キメラ抗体には、PRIMATIZED(登録商標)抗体が挙げられ、この抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルを目的の抗原で免疫化することによって産生された抗体由来である。
【0288】
「ヒト抗体」とは、ヒト若しくはヒト細胞により産生される抗体、又はヒト抗体レパートリー若しくはヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト起源由来の抗体のアミノ酸に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
【0289】
「ヒト化」抗体は、非ヒト超可変領域(HVR)由来のアミノ酸残基及びヒトフレームワーク領域(FR)由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えばCDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体に対応し、FRの全て又は実質的に全てが、ヒト抗体に対応する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」とは、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0290】
「抗PD-L1抗体」及び「PD-L1に結合する抗体」という用語は、抗体がPD-L1の標的化において診断剤及び/又は治療剤として有用であるような充分な親和性を有して、PD-L1に結合可能である抗体を指す。一実施形態では、非関連非PD-L1タンパク質への抗PD-L1抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)で測定した場合に、PD-L1への抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、異なる種のPD-L1間で保存されているPD-L1のエピトープに結合する。
【0291】
「抗PD-1抗体」及び「PD-1に結合する抗体」という用語は、抗体がPD-1の標的化において診断剤及び/又は治療剤として有用であるような充分な親和性を有して、PD-1に結合可能である抗体を指す。一実施形態では、非関連非PD-1タンパク質への抗PD-1抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、PD-1への抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、異なる種のPD-1間で保存されているPD-1のエピトープに結合する。
【0292】
「遮断」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害又は低減するものである。好ましい遮断抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を実質的に又は完全に阻害する。
【0293】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の、合計の非共有性相互作用の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(Kd)によって表され得る。親和性は、本明細書に記載するものを含め、当該技術分野で一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な説明的かつ例示的な実施形態が以下に記載される。
【0294】
本明細書で使用される場合、「結合する」、「~に特異的に結合する」、又は「~に特異的である」という用語は、標的と抗体との間の結合等、測定可能かつ再生可能な相互作用を指し、これは、生体分子を含む分子の異種集団の存在下において、標的の存在を決定づけるものである。例えば、標的(エピトープであり得る)に結合するか、又はそれに特異的に結合する抗体は、この標的に、他の標的に結合するよりも高い親和性で、結合力で、より容易に、かつ/又はより長期間結合する抗体である。一実施形態では、抗体が無関係の標的に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される、抗体の標的への結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、又は0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。特定の実施形態では、抗体は、異なる種由来のタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合は、排他的結合を含むことができるが、必須ではない。
【0295】
「親和性成熟」抗体とは、改変等を有しない親抗体と比較して、1つ以上の超可変領域(HVR)に1つ以上の改変を有し、そのような改変により抗体の抗原に対する親和性が改善される抗体を指す。
【0296】
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、参照抗体がその抗原に結合するのを50%以上遮断する抗体、及び逆に、競合アッセイにおいて、抗体がその抗原に結合するのを50%以上遮断する参照抗体を指す。
【0297】
「イムノコンジュゲート」は、細胞傷害性薬剤を含むが、これに限定されない1つ以上の異種分子にコンジュゲートされた抗体である。
【0298】
本明細書で使用される場合、「イムノアドヘシン」という用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを組み合わせた、抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体(すなわち、「異種の」)の抗原認識及び結合部位以外である所望の結合特異性を持つアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含む。免疫アドヘシン分子のアドヘシン部分は、典型的には、少なくとも受容体又はリガンドの結合部位を含む連続するアミノ酸配列である。イムノアドヘシン中の免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG1、IgG2(IgG2A及びIgG2Bを含む)、IgG3、又はIgG4サブタイプ、IgA(IgA1及びIgA2を含む)、IgE、IgD、又はIgM等の任意の免疫グロブリンから得ることができる。Ig融合物は、好ましくは、Ig分子内の少なくとも1つの可変領域の場所に、本明細書に記載のポリペプチド又は抗体のドメインの置換を含む。特に好ましい実施形態では、免疫グロブリン融合物は、IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合物の作製に関しては、米国特許第5,428,130号も参照されたい。例えば、本明細書における治療に有用な医薬としての有用なイムノアドヘシンとしては、免疫グロブリン配列の定常ドメインに融合される、PD-L1若しくはPD-L2の細胞外ドメイン(ECD)若しくはPD-1結合部分、あるいはPD-1の細胞外又はPD-L1若しくはPD-L2結合部分(それぞれ、PD-L1 ECD-Fc、PD-L2 ECD-Fc、及びPD-1 ECD-Fc等)を含むポリペプチドが挙げられる。細胞表面受容体のIg FcとECDとのイムノアドヘシンの組み合わせは、可溶性受容体と称されることがある。
【0299】
「融合タンパク質」及び「融合ポリペプチド」は、一緒に共有結合した2つの部分を有するポリペプチドを指し、該部分のそれぞれは、異なる特性を有するポリペプチドである。この特性は、in vitro又はin vivoでの活性等の生物学的特性であり得る。この特性はまた、標的分子への結合、反応の触媒作用等の単純な化学的又は物理的特性であり得る。これらの2つの部分は、単一のペプチド結合によって直接的に、又はペプチドリンカーを通して連結され得るが、それらは、互いのリーディングフレーム内にある。
【0300】
本明細書で同定されるポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントが得られるように、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後に、いずれの保存的置換も配列同一性の一部とは見なさずに、候補配列内のアミノ酸残基が、比較されるポリペプチド内のアミノ酸残基と同一であるパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当該技術分野における技術の範囲内にある種々の方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成され得る。当業者であれば、比較されている配列の全長にわたって最大の整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、整列を測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成している。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成され、ソースコードは、ユーザ文書と共に米国著作権庁、Washington D.C.、20559に提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.、South San Francisco、Californiaから公的に利用可能である。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0D上で使用するために編集される必要がある。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変わらない。
【0301】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
【0302】
このとき、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2により、AとBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一であるとして一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直前の段落で説明したように得られる。
【0303】
「実質的に同じ」という用語は、本明細書で使用される場合、当業者が、当該値(例えば、Kd値又は発現レベル)により測定される生物学的特質の文脈において、2つの値の間にある差異を生物学的及び/又は統計学的に重要性がほとんどないか、まったくないと見なすような、2つの数値間の充分に程度の高い類似性を意味する。当該2つの値の間の差異は、参照/比較値の関数として、例えば、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/又は約10%未満である。
【0304】
「実質的に異なる」という語句は、本明細書で使用される場合、当業者が、当該値(例えば、Kd値又は発現レベル)により測定される生物学的特質の文脈において、2つの値の間にある差異を統計学的に重要性があると見なすような、2つの数値間の充分に程度の高い差異を意味する。当該2つの値の間の差異は、参照/比較分子に対する値の関数として、例えば、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、及び/又は約50%超である。
【0305】
「標識」という単語は、本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドプローブ又は抗体等の試薬に直接的又は間接的にコンジュゲート又は融合され、コンジュゲート又は融合される試薬の検出を容易にする化合物又は組成物を指す。標識は、それ自体が検出可能(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)であり得、又は酵素的標識の場合、検出可能な基質化合物若しくは組成物の化学的改変を触媒し得る。この用語は、検出可能な物質をプローブ又は抗体に結合すること(すなわち、物理的に連結すること)によって、プローブ又は抗体の直接的標識化、並びに直接的に標識化される別の試薬との反応性によって、プローブ又は抗体の間接的標識化を包含することを意図する。間接的標識化の例としては、蛍光標識された二次抗体を使用する一次抗体の検出、及び蛍光標識されたストレプトアビジンで検出され得るようなビオチンを有するDNAプローブの末端標識が挙げられる。
【0306】
III.方法
A.診断、同定、予測及び選択の方法
本開示は、とりわけ、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法、がんを有する個体に対する治療を選択するための方法、及びPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定する方法を提供する。前述の方法のいずれかは、個体から得られた試料中の本明細書に提供されるバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の任意の遺伝子の発現レベル、例えばIL8発現に基づいてもよい。本明細書に記載されるように、例えば実施例1では、IL8の基準レベルを下回る個体から得られた試料中のIL8の発現レベル、又はIL8の基準レベルと比較したIL8の発現レベルの治療中の減少は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法からの治療応答の改善に関連する。対照的に、本明細書、例えば実施例1にも記載されるように、IL8の基準レベル以上である個体から得られた試料中のIL8の発現レベル、又はIL8の基準レベルと比較したIL8の発現レベルの治療中の増加は、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法からの治療応答の低下に関連し、これは個体を、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法から利益を得るものとして同定することができる。本明細書にも記載されるように、本発明はまた、例えば腫瘍試料及び/又はPBMCにおいて、IL8高がんに関連してアップレギュレート又はダウンレギュレートされる遺伝子を提供する。例えば、
図1を参照されたい。IL8高がんの状況においてアップレギュレート又はダウンレギュレートされる1つ以上の遺伝子、例えば表2~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法、がんを有する個体に対する治療を選択するための方法、及びPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定する方法において、IL8発現の代理として使用することができる。本方法のいずれかは、抗がん療法、例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、以下のセクションIVに記載されているように)を含む抗がん療法、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の若しくはPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を患者に投与することを更に含み得る。任意の方法は、有効量の1つ以上の追加の治療剤を個体に投与することを更に含み得る。
【表1】
【0307】
1.IL8
本開示のいくつかの態様では、低下した又は低いIL8レベルを使用して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い個体を同定及び/又は選択することができる。例えば、低下した又は低いベースライン又は治療中のIL8発現レベル(例えば、IL8の基準レベルに対して)を使用して、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い個体を同定することができる。
【0308】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと個体を同定する。
【0309】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体に対するPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0310】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0311】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと個体を同定し、応答は、OS又はORRで示される。
【0312】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体に対するPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0313】
更に別の例では、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルが、IL8の基準レベル未満であることにより、個体を、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定し、応答は、OS又はORRによって示される。
【0314】
更なる例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0315】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体を、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定する。いくつかの事例では、試料は、血漿試料である。他の事例では、試料はPBMCを含む。
【0316】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることが、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定する、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む治療を選択すること、を含む。いくつかの事例では、試料は、血漿試料である。他の事例では、試料はPBMCを含む。
【0317】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと個体を同定する。
【0318】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることが、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定する、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0319】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料は血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと個体を同定する。
【0320】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料は血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることが、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定する、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0321】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0322】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体がPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。
【0323】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0324】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0325】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体がPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0326】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答は、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0327】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0328】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善された応答を有する可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から、改善されたORR、改善されたCR率、改善されたPR率、延長されたPFS、及び/又は延長されたOSを有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善されたORRを有する可能性があり得る。他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたPFSを有する可能性があり得る。なお更に他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたOSを有する可能性があり得る。
【0329】
本開示の他の態様では、上昇した又は高いIL8レベルを使用して、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い個体を同定及び/又は選択することができる。例えば、上昇した又は高いベースライン又は治療中のIL8発現レベル(例えば、IL8の基準レベルに対して)を使用して、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い個体を同定することができる。そのような患者は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストと1つ以上の追加の治療剤(例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ等の抗VEGF抗体)、又はPD-L1軸結合アンタゴニストを含まない抗がん療法)との併用療法)による治療の候補であり得る。
【0330】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体を、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定する。
【0331】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を選択すること、を含む。
【0332】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0333】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定し、応答はOS又はORRによって示される。
【0334】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を選択すること、を含む。
【0335】
例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルが、IL8の基準レベル以上であることにより、個体を、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定し、応答は、OS又はORRによって示される。
【0336】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を選択すること、を含む。
【0337】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体を、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定する。
【0338】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた治療を選択すること、を含む。
【0339】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体がPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0340】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0341】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料は、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体がPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0342】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料は、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0343】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0344】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体がPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0345】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体を、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0346】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0347】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体がPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0348】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0349】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0350】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からの応答が低下している可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療から、ORRの低下、CR率の低下、PR率の低下、PFSの短縮又はOSの短縮を有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からORRが低下している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からPFSが短縮している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からOSが短縮している可能性があり得る。
【0351】
2.IL8高がんにおいてアップレギュレートされる遺伝子
本開示のいくつかの態様では、IL8高がんにおいてアップレギュレートされる1つ以上の遺伝子の減少した又は低いレベルを使用して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い個体を同定及び/又は選択することができる。例えば、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上遺伝子の(例えば、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルに対して)低下した又は低いベースライン又は治療中の発現レベルを使用して、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い個体を同定することができる。
【表2】
【表3】
【表4】
【0352】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。
【0353】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定する、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0354】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0355】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0356】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定し、応答がOS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0357】
更に別の例では、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法であって、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、反応が、OS又はORRによって示される、方法が本明細書で提供される。
【0358】
更なる例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0359】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。いくつかの事例では、試料は、血漿試料である。他の事例では、試料はPBMCを含む。
【0360】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定する、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む治療を選択すること、を含む。いくつかの事例では、試料は、血漿試料である。他の事例では、試料はPBMCを含む。
【0361】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。
【0362】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0363】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料は血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。
【0364】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0365】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0366】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。
【0367】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体、又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0368】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0369】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0370】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体、又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0371】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0372】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善された応答を有する可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から、改善されたORR、改善されたCR率、改善されたPR率、延長されたPFS、及び/又は延長されたOSを有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善されたORRを有する可能性があり得る。他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたPFSを有する可能性があり得る。更に他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたOSを有する可能性があり得る。
【0373】
本開示の他の態様では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上遺伝子のレベルの上昇又は高レベルを使用して、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い個体を同定及び/又は選択することができる。例えば、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上遺伝子の(例えば、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルに対して)上昇した又は高いベースライン又は治療中の発現レベルを使用して、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い個体を同定することができる。そのような患者は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストと1つ以上の追加の治療剤(例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ等の抗VEGF抗体)、又はPD-L1軸結合アンタゴニストを含まない抗がん療法)との併用療法)による治療の候補であり得る。
【0374】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、IL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0375】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0376】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0377】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0378】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0379】
例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法であって、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、反応が、OS又はORRによって示される、方法が本明細書で提供される。
【0380】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて抗がん療法を選択すること、を含む。
【0381】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0382】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)血漿試料又は個体由来のPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた治療を選択すること、を含む。
【0383】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0384】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0385】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0386】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0387】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0388】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0389】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択することを含む。
【0390】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0391】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体がPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0392】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択することを含む。
【0393】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0394】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からの応答が低下している可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療から、ORRの低下、CR率の低下、PR率の低下、PFSの短縮又はOSの短縮を有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からORRが低下している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からPFSが短縮している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からOSが短縮している可能性があり得る。
【0395】
3.IL8高がんにおいてダウンレギュレートされた遺伝子
本開示のいくつかの態様では、IL8高がんにおいてダウンレギュレートされる1つ以上の遺伝子の増加した又は高いレベルを使用して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い個体を同定及び/又は選択することができる。例えば、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上遺伝子の(例えば、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルに対して)増加した又は高いベースライン又は治療中の発現レベルを使用して、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高い個体を同定することができる。
【表5】
【表6】
【表7】
【0396】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。
【0397】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定する、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0398】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0399】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0400】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定し、応答がOS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0401】
更に別の例では、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法であって、個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、反応が、OS又はORRによって示される、方法が本明細書で提供される。
【0402】
更なる例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0403】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。いくつかの事例では、試料は、血漿試料である。他の事例では、試料はPBMCを含む。
【0404】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、該血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定する、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む治療を選択すること、を含む。いくつかの事例では、試料は、血漿試料である。他の事例では、試料はPBMCを含む。
【0405】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。
【0406】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0407】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料は血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。
【0408】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0409】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0410】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される。
【0411】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体、又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0412】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0413】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0414】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体、又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を選択すること、を含む。
【0415】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0416】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善された応答を有する可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から、改善されたORR、改善されたCR率、改善されたPR率、延長されたPFS、及び/又は延長されたOSを有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善されたORRを有する可能性があり得る。他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたPFSを有する可能性があり得る。更に他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたOSを有する可能性があり得る。
【0417】
本開示の他の態様では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上遺伝子のレベルの低下又は低レベルを使用して、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い個体を同定及び/又は選択することができる。例えば、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上遺伝子の(例えば、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルに対して)低下した又は低いベースライン又は治療中の発現レベルを使用して、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い個体を同定することができる。そのような患者は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストと1つ以上の追加の治療剤(例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ等の抗VEGF抗体)、又はPD-L1軸結合アンタゴニストを含まない抗がん療法)との併用療法)による治療の候補であり得る。
【0418】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、IL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0419】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0420】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0421】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0422】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルを下回ることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0423】
例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法であって、個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、反応が、OS又はORRによって示される、方法が本明細書で提供される。
【0424】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることが、個体を、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定し、応答が、OS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて抗がん療法を選択すること、を含む。
【0425】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0426】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)血漿試料又は個体由来のPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた治療を選択すること、を含む。
【0427】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0428】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0429】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低い、がんを有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0430】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料であり、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択すること、を含む。
【0431】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0432】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される。
【0433】
更に別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択することを含む。
【0434】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0435】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含み、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体がPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答はOS又はORRによって示される。
【0436】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体に対して治療を選択するための方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、個体についてPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法を選択することを含む。
【0437】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0438】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からの応答が低下している可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療から、ORRの低下、CR率の低下、PR率の低下、PFSの短縮又はOSの短縮を有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からORRが低下している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からPFSが短縮している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からOSが短縮している可能性があり得る。
【0439】
4.試料及び基準レベル
任意の適切な試料が、本明細書に記載される方法のいずれかにおいて使用され得る。例示的な非限定的な試料としては、血漿試料、組織試料、細胞試料、全血試料、血清試料、又はそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの事例では、試料は、血漿試料である。いくつかの事例では、腫瘍試料は腫瘍組織試料である。いくつかの事例では、腫瘍組織試料は、腫瘍細胞、腫瘍浸潤免疫細胞、間質細胞、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの事例では、腫瘍浸潤免疫細胞は、腫瘍浸潤骨髄細胞を含む。いくつかの事例では、腫瘍組織試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料、アーカイブ試料、新鮮な試料、又は凍結試料である。いくつかの事例では、細胞試料は末梢血単核細胞(PBMC)を含む。
【0440】
任意の適切な基準レベルが、本明細書中に記載される方法のいずれかにおいて使用され得る。例えば、いくつかの事例では、本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8の基準レベルは、がんを有する個体の集団から決定される。例えば、いくつかの事例では、本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8の基準レベルは、がんを有する患者の集団で決定された発現レベルの中央値、発現レベルの三分位値、又は最大選択されたログランク基準レベルである。いくつかの実施形態では、最大選択されたログランク基準レベルは、12pg/mLのIL8である。いくつかの事例では、本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8の基準レベルは、がんを有する患者の集団で決定された発現レベルの中央値である。特定の一例では、基準レベルは、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られた試料中の本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8のレベルであり得る。別の特定の例では、基準レベルは、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8のレベルであり得る。
【0441】
特定の事例では、第1の試料中のバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在及び/又は発現レベル/量は、第2の試料中の存在/非存在及び/又は発現レベル/量と比較して増加又は上昇する。特定の事例では、第1の試料中のバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在/非存在及び/又は発現レベル/量は、第2の試料中の存在及び/又は発現レベル/量と比較して減少又は低下する。ある特定の事例では、第2の試料は、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織である。遺伝子の存在/不在及び/又は発現レベル/量を決定するための更なる開示が本明細書に記載されている。
【0442】
ある特定の事例では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、試験試料が得られたときとは異なる1つ以上の時点で得られる同じ対象又は個体由来の単一の試料又は複数の試料の組み合わせである。例えば、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、試験試料が得られるよりも早い時点で同じ対象又は個体から得られる。このような基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、基準試料ががんの最初の診断中に得られる場合、かつがんが転移性がんになったときに試験試料が後で得られる場合に有用であり得る。
【0443】
特定の事例では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、患者ではない1つ以上の健常な個体由来の複数の試料の組み合わせである。特定の事例では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、対象又は個体ではない、疾患又は障害(例えば、がん)を有する1つ以上の個体由来の複数の試料の組み合わせである。特定の実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、正常組織由来のプールされたRNA試料、又は患者ではない1つ以上の個体由来のプールされた血漿若しくは血清試料である。特定の実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、腫瘍組織由来のプールされたRNA試料、又は患者ではない、疾患若しくは障害(例えば、がん)を有する1つ以上の個体由来のプールされた血漿若しくは血清試料である。
【0444】
任意の方法のいくつかの例において、発現の上昇又は増加とは、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織と比較して、本明細書に記載されるもの等の標準的な技術の公知の方法によって検出されるバイオマーカー(例えば、本明細書中に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)(例えば、タンパク質又は核酸(例えば、遺伝子又はmRNA))のレベルの約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のいずれかの全体的な増加を指す。特定の実施形態では、上昇した発現とは、試料におけるバイオマーカーの発現レベル/量の増加を指し、増加は、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベル/量の少なくとも約1.5倍、1.75倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、25倍、50倍、75倍、又は100倍のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、上昇した発現とは、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、対照組織、又は内部対照(例えば、ハウスキーピング遺伝子)と比較して、約1.5倍超、約1.75倍、約2倍、約2.25倍、約2.5倍、約2.75倍、約3.0倍、又は約3.25倍の全体的な増加を指す。
【0445】
任意の方法のいくつかの例において、発現の低下とは、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織と比較して、本明細書に記載されるもの等の標準的な技術の公知の方法によって検出されるバイオマーカー(例えば、本明細書中に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)(例えば、タンパク質又は核酸(例えば、遺伝子又はmRNA))のレベルの約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のいずれかの全体的な低下を指す。特定の実施形態では、低減した発現とは、試料におけるバイオマーカーの発現レベル/量の減少を指し、減少は、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベル/量の少なくとも約0.9倍、0.8倍、0.7倍、0.6倍、0.5倍、0.4倍、0.3倍、0.2倍、0.1倍、0.05倍、又は0.01倍のうちのいずれかである。
【0446】
5.バイオマーカーの存在及び/又は発現レベルの決定
バイオマーカー(例えば、本明細書中に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在及び/又は発現レベル/量は、DNA、mRNA、cDNA、タンパク質、タンパク質断片、及び/又は遺伝子コピー数を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の適切な基準に基づいて定性的及び/又は定量的に決定することができる。試料中の本明細書に記載される様々なバイオマーカー(例えば、本明細書中に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在及び/又は発現レベル/量は、多くの手法によって分析され得、これらの多くは、当該技術分野で既知であり、当業者によって理解されており、免疫組織化学(「IHC」)、ウェスタンブロット分析、免疫沈降、分子結合アッセイ、ELISA、ELIFA、蛍光活性化細胞分類(「fluorescence activated cell sorting:FACS」)、MassARRAY、プロテオミクス、定量的血液ベースのアッセイ(例えば、血清ELISA)、生化学的酵素活性アッセイ、原位置ハイブリダイゼーション、蛍光原位置ハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization:FISH)、サザン分析、ノーザン分析、全ゲノム配列決定、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)及び他の増幅型検出方法、例えば、分枝DNA、SISBA、TMA等を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RNA-seq(例えば、scRNA-seq)、マイクロアレイ分析、遺伝子発現プロファイリング、及び/又は遺伝子発現の連続分析(「serial analysis of gene expression:SAGE」)、並びにタンパク質、遺伝子、及び/又は組織アレイ分析によって行われ得る多種多様のアッセイのうちのいずれか1つが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子及び遺伝子産物の状態を評価するための典型的なプロトコルは、例えば、Ausubel et al.,eds.,1995,Current Protocols in Molecular Biology、第2部(ノーザンブロット法)、第4部(サザンブロット法)、第15部(免疫ブロット法)、及び第18部(PCR分析)において見出される。Rules Based Medicine又はMeso Scale Discovery(「MSD」)から入手可能なアッセイ等の多重化免疫アッセイも使用され得る。
【0447】
本明細書に記載される方法のいずれにおいても、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の発現レベルは核酸発現レベルであり得る。いくつかの事例では、核酸発現レベルは、qPCR、rtPCR、RNA-Seq、多重qPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ分析、SAGE、MassARRAY技法、又はin situハイブリダイゼーション(例えば、FISH)を用いて決定される。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、IL8)の発現レベルは、腫瘍細胞、腫瘍浸潤免疫細胞、PBMC、間質細胞、又はそれらの組み合わせで決定される。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の発現レベルは、腫瘍浸潤免疫細胞において決定される。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の発現レベルは、腫瘍細胞において決定される。特定の事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の発現レベルは、PBMCにおいて決定される。
【0448】
細胞中のmRNAの評価方法が周知であり、該方法として、例えば、相補的DNAプローブを使用したハイブリダイゼーションアッセイ(1つ以上の遺伝子に特異的な標識リボプローブを使用したインサイツハイブリダイゼーション、ノーザンブロット、及び関連技法等)、並びに様々な核酸増幅アッセイ(遺伝子のうちの1つ以上に特異的な相補的プライマーを使用したRT-PCR、及び他の増幅型検出方法、例えば、分岐状DNA、SISBA、TMA等)が挙げられる。加えて、このような方法は、生物学的試料中の標的mRNAのレベルを(例えば、アクチン・ファミリー・メンバー等の「ハウスキーピング」遺伝子の比較対照mRNA配列のレベルを同時に試験することによって)決定することを可能にする1つ以上の工程を含み得る。任意に、増幅された標的cDNAの配列が決定され得る。任意の方法は、マイクロアレイ技術によって組織又は細胞試料中の標的mRNA等のmRNAを試験又は検出するプロトコルを含む。核酸マイクロアレイを使用して、試験及び対照組織試料からの試験及び対照mRNA試料を逆転写し、標識して、cDNAプローブを生成する。その後、プローブを、固体支持体に固定した核酸のアレイにハイブリダイズする。アレイは、アレイの各メンバーの配列及び位置が分かるように構成する。例えば、その発現がPD-L1軸結合アンタゴニストを含む治療の臨床的利益の増加又は低下と相関する様々な遺伝子の選択が、固体支持体上にアレイされ得る。標識されたプローブの、特定のアレイメンバーとのハイブリダイゼーションは、プローブが由来する試料がその遺伝子を発現することを示す。
【0449】
特定の事例では、mRNA発現レベルが、RNAシーケンシング(RNA-seq)、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖応答(RT-qPCR)、定量的PCR(qPCR)、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ分析、遺伝子発現の連続分析(SAGE)、MassARRAY技術、in situハイブリダイゼーション(ISH)、又はそれらの組み合わせによって決定される。いくつかの特定の事例では、RNA-seqは単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)である。
【0450】
本明細書に記載される方法のいずれにおいても、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在及び/又は発現レベル/量は、バイオマーカーのタンパク質発現レベルを決定することによって測定される。特定の事例では、本方法は、生物学的試料を、本明細書に記載されるバイオマーカー(例えば、本明細書に記載される任意のバイオマーカーに特異的に結合する抗体、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、抗IL8抗体)に特異的に結合する抗体と、そのバイオマーカーの結合を許容する条件下で接触させること、及び、複合体が抗体とバイオマーカーとの間で形成されるかどうかを検出することを含む。このような方法は、in vitro法又はin vivo法であってもよい。いくつかの事例では、抗体を使用して、PD-L1軸結合アンタゴニストでの治療に適格な対象、例えば個体の選択のためのバイオマーカーを選択する。タンパク質発現レベルを測定する、当技術分野で公知であるか、又は本明細書で提供される任意の方法を使用してもよい。例えば、いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)のタンパク質発現レベルは、フローサイトメトリー(例えば、蛍光活性化セルソーティング(FACS(商標)))、ウェスタンブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光、ラジオイムノアッセイ、ドットブロッティング、免疫検出法、HPLC、表面プラズモン共鳴、光学分光法、質量分析及びHPLCからなる群から選択される方法を使用して決定される。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)のタンパク質発現レベルは、腫瘍浸潤免疫細胞において決定される。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)のタンパク質発現レベルは、腫瘍細胞において決定される。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)のタンパク質発現レベルは、腫瘍浸潤免疫細胞及び/又は腫瘍細胞において決定される。いくつかの事例では、タンパク質発現レベルは、免疫組織化学法(IHC)、ウェスタンブロット法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降法、免疫蛍光法、ラジオイムノアッセイ、又は質量分析法によって決定される。
【0451】
特定の事例では、試料中のバイオマーカータンパク質(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在及び/又は発現レベル/量は、IHC及び染色プロトコルを使用して検査される。組織切片のIHC染色は、試料中のタンパク質の存在を決定又は検出する信頼できる方法であることが示されてきた。方法、アッセイ及び/又はキットのいずれかのいくつかの事例では、バイオマーカーはIL8である。1つの実例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の発現レベルは、(a)抗体によって試料(患者から得られる腫瘍試料等)のIHC分析を実行することと、(b)試料中のバイオマーカーの発現レベルを決定することと、を含む方法を使用して決定される。いくつかの事例では、IHC染色強度は、参照と比較して決定される。いくつかの事例では、参照は、参照値である。いくつかの事例では、基準は基準試料(例えば、対照細胞株染色試料、非がん性患者由来の組織試料、又はバイオマーカーネガティブ(例えば、IL8陰性)腫瘍試料)である。
【0452】
IHCは、形態学的染色及び/又はin situハイブリダイゼーション(例えば、ISH)等の追加の技術と組み合わせて行われてもよい。2つの一般的なIHC方法、直接アッセイ及び間接アッセイが利用可能である。第1のアッセイに従って、抗体の標的抗原への結合は、直接決定される。この直接アッセイは、更なる抗体相互作用なしで可視化され得る、蛍光タグ又は酵素標識された一次抗体等の標識試薬を使用する。典型的な間接アッセイでは、コンジュゲートしていない一次抗体が抗原に結合し、次いで、標識された二次抗体が該一次抗体に結合する。二次抗体が酵素的標識にコンジュゲートする場合、発色基質又は蛍光発生基質が添加されて、抗原の可視化をもたらす。いくつかの二次抗体が、一次抗体上の異なるエピトープと反応し得るため、シグナル増幅が生じる。
【0453】
IHCに使用される一次抗体及び/又は二次抗体は、典型的には、検出可能な部分で標識される。多数の標識が利用可能であり、これらは、一般に、以下のカテゴリにグループ化され得る:(a)35S、14C、125I、3H、131I等の放射性同位体、(b)コロイド金粒子、(c)希土類キレート(ユーロピウムキレート)、テキサスレッド、ローダミン、フルオレセイン、ダンシル、リサミン、ウンベリフェロン、フィコエリスリン、フィコシアニン、又はSPECTRUM ORANGE7及びSPECTRUM GREEN7等の市販のフルオロフォアを含むがこれらに限定されない、蛍光標識及び/又は上記のいずれか1つ以上の誘導体、(d)さまざまな酵素-基質標識が利用可能であり、米国特許第4,275,149号は、これらのいくつかのレビューを提供する。酵素的標識の例としては、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌性ルシフェラーゼ、例えば、米国特許第4,737,456号を参照)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ等)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ等が挙げられる。
【0454】
酵素-基質の組み合わせの例としては、例えば、基質として過酸化水素を用いる西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、発色基質としてパラ-ニトロフェニルリン酸を用いるアルカリホスファターゼ(AP)、及び発色基質(例えば、p-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)又は蛍光発生基質(例えば、4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼ)を用いるβ-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)が挙げられる。これらの一般的な総説については、例えば、米国特許第4,275,149号及び同第4,318,980号を参照されたい。
【0455】
検体は、例えば、手動で調製してもよいし、又は自動染色機器(例えば、Ventana BenchMark XT又はBenchmark ULTRA instrument)を使用して、調製してもよい。このようにして調製された検体は、マウントかつカバースリップされ得る。次いで、例えば、顕微鏡を使用して、スライド評価が決定され、当技術分野で日常的に使用される染色強度基準が用いられ得る。1つの事例では、腫瘍からの細胞及び/又は組織を、IHCを使用して試験するとき、染色は概して、(試料中に存在し得る間質又は周辺組織と対照的に)腫瘍細胞(複数可)及び/又は組織において決定又は評定されることを理解されたい。いくつかの事例では、腫瘍からの細胞及び/又は組織を、IHCを使用して試験するとき、染色は、腫瘍内免疫細胞又は腫瘍周囲免疫細胞を含む腫瘍浸潤免疫細胞において決定又は評定することを含むことが理解される。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書中に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在は、IHCによって、試料の0%超、試料の少なくとも1%、試料の少なくとも5%、試料の少なくとも10%、試料の少なくとも15%、試料の少なくとも15%、試料の少なくとも20%、試料の少なくとも25%、試料の少なくとも30%、試料の少なくとも35%、試料の少なくとも40%、試料の少なくとも45%、試料の少なくとも50%、試料の少なくとも55%、試料の少なくとも60%、試料の少なくとも65%、試料の少なくとも70%、試料の少なくとも75%、試料の少なくとも80%、試料の少なくとも85%、試料の少なくとも90%、試料の少なくとも95%、又はそれを超えて検出される。試料は、例えば病理学者又は自動化画像分析によって、本明細書に記載された基準(例えば、表2参照)のいずれかを用いてスコアリングされ得る。
【0456】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)が、診断抗体(すなわち、一次抗体)を使用する免疫組織化学によって検出される。いくつかの事例では、診断抗体はヒトバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)に特異的に結合する。いくつかの事例では、診断用抗体は、非ヒト抗体である。いくつかの事例では、診断用抗体は、ラット、マウス、又はウサギ抗体である。いくつかの事例では、診断用抗体は、ウサギ抗体である。いくつかの事例では、診断用抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの事例では、診断用抗体は、直接標識される。他の事例では、診断用抗体は、間接的に標識される。
【0457】
例えば、本明細書中に記載される方法のいずれかのいくつかの事例では、IL8は、抗IL8診断抗体(すなわち、一次抗体)を使用する免疫組織化学によって検出される。いくつかの事例では、IL8診断抗体はヒトIL8に特異的に結合する。いくつかの事例では、IL8診断抗体は非ヒト抗体である。いくつかの事例では、IL8診断抗体は、ラット、マウス又はウサギ抗体である。いくつかの事例では、IL8診断抗体はウサギ抗体である。いくつかの事例では、IL8診断抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの事例では、IL8診断抗体を直接標識する。他の事例では、IL8診断抗体は間接的に標識される。
【0458】
前述の方法のいずれかのいくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の発現レベルは、IHCを使用して腫瘍浸潤免疫細胞、腫瘍細胞、PBMC、又はそれらの組み合わせで検出される。腫瘍浸潤性免疫細胞としては、腫瘍内免疫細胞、腫瘍周囲免疫細胞又はそれらの任意の組み合わせ、及び他の腫瘍間質細胞(例えば、線維芽細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。かかる腫瘍浸潤免疫細胞は、Tリンパ球(CD8+Tリンパ球及び/又はCD4+Tリンパ球等)、Bリンパ球、又は顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、マクロファージ、樹状細胞(例えば、互いに組み合う樹状細胞)、組織球、及びナチュラルキラー細胞を含む他の骨髄系細胞であり得る。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の染色は、試料中の染色、例えば膜染色、細胞質染色、及びそれらの組み合わせの存在によって検出される。他の事例では、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の非存在は、試料中の染色の非存在又は非存在として検出される。
【0459】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの例では、個体は、Tエフェクター(Teff)シグネチャの基準レベル以上である腫瘍試料中のTeffシグネチャの発現レベルを有し得る。いくつかの事例では、Teffシグネチャは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される1つ以上の遺伝子を含む。いくつかの事例では、Teffシグネチャは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される2つ以上の遺伝子を含む。いくつかの事例では、Teffシグネチャは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される3つ以上の遺伝子を含む。いくつかの事例では、Teffシグネチャは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1を含む。
【0460】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの例において、個体は、そのがんについて以前に治療されていない。
【0461】
本明細書に記載される方法のいずれかの他の例において、個体は、以前にがんについて治療されている。
【0462】
個体は、任意の適切なタイプのがんを有し得る。例示的な非限定的ながんとしては、膀胱がん、腎臓がん、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、リンパ腫、前立腺がん、肝臓がん、頭頸部がん、黒色腫、卵巣がん、中皮腫又は骨髄腫が挙げられる。いくつかの態様では、膀胱がんは、尿路上皮癌腫(UC)である。いくつかの態様では、がんは局所進行性又は転移性のUCである。いくつかの態様では、個体は、事前の白金ベースの化学療法を受けている。いくつかの態様では、個体は、前の白金ベースの化学療法後に進行している。いくつかの態様では、個体は、局所進行性又は転移性UCについて以前に治療されたことがない。いくつかの態様では、個体は、白金ベースの化学療法に対して不適格である。いくつかの態様では、個体はヒトである。いくつかの態様において、腎臓がんは、腎細胞癌腫(RCC)である。いくつかの態様において、RCCは転移性RCC(mRCC)である。いくつかの態様では、個体は、がんに対する治療を以前に受けていない。いくつかの態様では、肺がんは、非小細胞肺がん又は小細胞肺がんである。幾つかの態様では、乳がんはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)又はHER2陽性乳がんである。
【0463】
5.バイオマーカーの存在及び/又は発現レベルの決定に基づく患者の選択及び治療
本明細書に記載される方法のいずれも、個体に抗がん療法を投与することを更に含み得る。例えば、いくつかの事例では、抗がん療法は、個体由来の試料中の本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8の発現レベルの決定に基づいて選択される。例えば、いくつかの事例では、抗がん療法は、個体由来の試料中のIL8の発現レベルの決定に基づいて選択される。
【0464】
例えば、いくつかの事例では、本方法は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法を個体に投与することを更に含む。
【0465】
他の事例では、本方法は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えて、抗がん療法を個体に投与することを更に含む。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法は、VEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)、IL8アンタゴニスト(例えば、抗IL-8抗体又は小分子IL8阻害剤)、IL1Bアンタゴニスト(例えば、抗IL1B抗体又は小分子IL1B阻害剤)、IL1Rアンタゴニスト(例えば、抗IL1R抗体又は小分子IL1R阻害剤)又はそれらの組み合わせを含む。任意の適切なVEGFアンタゴニスト、IL8アンタゴニスト、IL1Bアンタゴニスト又はIL1Rアンタゴニストを使用することができる(例えば、下記のセクションIVを参照)。いくつかの事例では、抗がん療法は、VEGFアンタゴニスト及びPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む。いくつかの事例では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体又はVEGF受容体(VEGFR)阻害剤である。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは抗VEGF抗体である。いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブである。
【0466】
任意の適切なPD-L1軸結合アンタゴニストを使用することができる(例えば、下記のセクションIVを参照)。例えば、いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される。
【0467】
いくつかの態様では、PD-L1軸結合アンタゴニストはPD-L1結合アンタゴニストである。任意の適切なPD-L1結合アンタゴニストを使用することができる(例えば、下記のセクションIVを参照)。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1への結合を阻害する。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のB7-1への結合を阻害する。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1及びB7-1の両方への結合を阻害する。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、MDX-1105、デュルバルマブ、およびアベルマブからなる群から選択される。
【0468】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、下記の超可変領域(HVR)のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つ全てを含む:GFTFSDSWIHのHVR-H1配列(配列番号19);(b)AWISPYGGSTYYADSVKGのHVR-H2配列(配列番号20);(c)RHWPGGFDYのHVR-H3配列(配列番号21);(d)RASQDVSTAVAのHVR-L1配列(配列番号22);(e)HVR-L2配列SASFLYSのHVR-L2配列(配列番号23);及び(f)HVR-L3配列QQYLYHPATのHVR-L3配列(配列番号24)、又は(a)GFTFSDSWIHのHVR-H1配列(配列番号19);(b)AWISPYGGSTYYADSVKGのHVR-H2配列(配列番号20);(c)RHWPGGFDYのHVR-H3配列(配列番号21);(d)RASQDVSTAVAのHVR-L1配列(配列番号22);(e)SASFLYSのHVR-L2配列(配列番号23);及び(f)QQYLYHPATのHVR-L3配列(配列番号24)と少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)の配列同一性を有する1、2、3、4、5若しくは6個のHVR。
【0469】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの特定の態様において、抗PD-L1抗体は以下の超可変領域(HVR)を含む:(a)GFTFSDSWIH(配列番号19)のHVR-H1配列;(b)AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号20)のHVR-H2配列;(c)RHWPGGFDY(配列番号21)のHVR-H3配列;(d)RASQDVSTAVA(配列番号22)のHVR-L1配列;(e)SASFLYS(配列番号23)のHVR-L2配列;及び(f)QQYLYHPAT(配列番号24)のHVR-L3配列。
【0470】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、下記を含む:(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号25)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号4)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブである。
【0471】
本明細書に記載される方法のいずれも、更なる治療剤を個体に投与することを更に含み得る。いくつかの態様では、追加の治療剤は、免疫治療剤、細胞傷害性薬剤、成長阻害剤、放射線治療剤、抗血管新生剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0472】
本明細書に記載の方法の任意いくつかの態様では、上記個体はヒトである。
【0473】
B.治療方法及び使用のための組成物
本開示は、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療することを提供する。いくつかの事例では、本開示の方法は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法を患者に投与することを含む。本明細書に記載される(例えば、以下のIV項を参照)か、当該技術分野で既知であるPD-L1軸結合アンタゴニストのいずれも、該方法に使用され得る。いくつかの事例では、本方法は、個体から得られた試料中の本明細書に記載のバイオマーカー(例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えばIL8)の存在及び/又は発現レベルを決定すること、並びに例えば、本明細書に記載の方法(例えば、上記の第III節第A節又は下記の実施例に記載されているもの)又は当技術分野で公知の方法のいずれかを使用して、試料中のバイオマーカーの存在及び/又は発現レベルに基づいて患者に抗がん療法を投与することを含む。例えば、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がんを有する個体を治療する方法が本明細書で提供される。また、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がんを有する個体を治療する方法が本明細書で提供される。本明細書にも記載されるように、本発明はまた、例えば腫瘍試料及び/又はPBMCにおいて、IL8高がんに関連してアップレギュレート又はダウンレギュレートされる遺伝子を提供する。例えば、
図1を参照されたい。IL8高がんに関連してアップレギュレート又はダウンレギュレートされる1つ以上遺伝子、例えば表2~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを、例えば、1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定されたがんを有する個体を治療する方法において、及び1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定されたがんを有する個体を治療する方法において、IL8発現の代理として使用することができる。PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対する、がんを有する個体の応答をモニタリングする方法も本明細書で提供される。使用のための関連組成物も提供される。
【0474】
1.IL8
本開示のいくつかの態様では、低下した又は低いIL8レベルを有する個体を、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法で治療することができる。例えば、低下した又は低いベースライン又は治療中のIL8発現レベル(例えば、IL8の基準レベルに対して)を有する個体を、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法で治療することができる。
【0475】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定する、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を、個体に投与すること、を含む。
【0476】
別の態様では、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0477】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストが本明細書で提供され、個体は、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されている。
【0478】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつかの態様では、応答は、ORR、CR率、PR率、PFS、OS及び/又はDORによって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0479】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、全生存期間(OS)又は全奏効率(ORR)によって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0480】
別の例では、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0481】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、個体は、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0482】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、全生存期間(OS)又は全奏効率(ORR)によって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0483】
別の例では、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0484】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)が本明細書で提供され、個体は、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0485】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)血漿試料又は個体由来のPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料中又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)において血漿試料又はPBMCを含む試料において測定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体にPD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法薬を投与すること、を含む。
【0486】
別の態様では、IL8の基準レベル未満である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0487】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、個体は、血漿試料又はIL8の基準レベル未満である個体由来のPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されている。
【0488】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0489】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル未満である場合、該個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0490】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、該方法は、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること;及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0491】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するのに使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルは、IL8の基準レベル未満であると決定されている。
【0492】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0493】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0494】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、該方法は、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0495】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するのに使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルは、IL8の基準レベル未満であると決定されており、試料は、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である。
【0496】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0497】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0498】
別の態様では、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られている。
【0499】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストが本明細書で提供され、個体は、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られる。
【0500】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0501】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0502】
別の例では、IL8の基準レベル未満である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示され、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られている。
【0503】
別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストが本明細書で提供され、個体は、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル未満であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答はOS又はORRによって示される。
【0504】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0505】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善された応答を有する可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から、改善されたORR、改善されたCR率、改善されたPR率、延長されたPFS、及び/又は延長されたOSを有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善されたORRを有する可能性があり得る。他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたPFSを有する可能性があり得る。更に他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたOSを有する可能性があり得る。
【0506】
本開示の他の態様では、上昇した又は高いIL8レベルを有する個体を、抗がん療法、例えばPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法で治療することができる。例えば、上昇した又は高いベースライン又は治療中のIL8発現レベル(例えば、IL8の基準レベルに対して)を有する個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストと1つ以上の追加の治療剤(例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ等の抗VEGF抗体)、又はPD-L1軸結合アンタゴニストを含まない抗がん療法)との併用療法で治療され得る。
【0507】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を投与すること、を含む。
【0508】
別の例では、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づくPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0509】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されている。
【0510】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0511】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を投与すること、を含む。
【0512】
別の例では、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づくPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0513】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、該反応はOS又はORRによって示される。
【0514】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0515】
別の例では、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0516】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法での治療に応答する可能性が低いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0517】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)血漿試料又は個体由来のPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、血漿試料中又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、IL8の発現レベルを決定すること、及び(b)個体に、血漿試料中又は工程(a)で決定されたPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を投与すること、を含む。
【0518】
別の態様では、IL8の基準レベル以上である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づくPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0519】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、IL8の基準レベル以上である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されている。
【0520】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、個体にPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を投与すること、を含む。
【0521】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0522】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、個体にPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を投与すること、を含む。
【0523】
別の態様では、がんを有する個体を治療するのに使用するための、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルは、IL8の基準レベル以上であると決定されている。
【0524】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、個体にPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を投与すること、を含む。
【0525】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、(b)試料中のIL8の発現レベルをIL8の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルが基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0526】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法で使用するための、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、IL8の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0527】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するのに使用するための、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中のIL-8の発現レベルは、IL8の基準レベル以上であると決定されており、試料は、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である。
【0528】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0529】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を投与すること、を含む。
【0530】
別の態様では、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づくPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又はそれと同時に得られている。
【0531】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、、個体は、個体由来の試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又はそれと同時に個体から得られる。
【0532】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0533】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中のIL8の発現レベルを決定することであって、試料中のIL8の発現レベルがIL8の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、試料中のIL8の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定されたIL8の発現レベルに基づいて、個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を投与すること、を含む。
【0534】
別の例では、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づくPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答は、OS又はORRによって示され、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点又はそれと同時に得られている。
【0535】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた、抗がん療法であって、個体は、IL8の基準レベル以上である個体由来の試料中のIL8の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答はOS又はORRによって示される。
【0536】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0537】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からの応答が低下している可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療から、ORRの低下、CR率の低下、PR率の低下、PFSの短縮又はOSの短縮を有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からORRが低下している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からPFSが短縮している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からOSが短縮している可能性があり得る。
【0538】
2.IL8高がんにおいてアップレギュレーションされる遺伝子
本開示のいくつかの態様では、IL8高がんにおいてアップレギュレートされる1つ以上の遺伝子のレベルが低下している又は低い個体を、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法で治療することができる。例えば、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子(例えば、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルに対して)の低下した又は低いベースライン又は治療中の発現レベルを有する個体を、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法で治療することができる。
【0539】
一態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0540】
別の態様では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0541】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストが本明細書で提供され、個体は、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルが表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の基準レベル未満であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されている。
【0542】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつかの態様では、応答は、ORR、CR率、PR率、PFS、OS及び/又はDORによって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0543】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、全生存期間(OS)又は全奏効率(ORR)によって示される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定する、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、有効量のPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0544】
別の例では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0545】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、個体は、表2~4のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0546】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性があると同定され、応答が、全生存期間(OS)又は全奏効率(ORR)によって示される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、有効量のPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0547】
別の例では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0548】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)が本明細書で提供され、個体は、表2~4のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0549】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)血漿試料又は個体由来のPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)個体に、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法薬を、血漿試料中又は工程(a)において、PBMCを含む試料中で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて投与すること、を含む。
【0550】
別の態様では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0551】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、個体は、個体由来からの血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルが表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の基準レベル未満であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されている。
【0552】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0553】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上遺伝子の発現レベルが基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0554】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、該方法は、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること;及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0555】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するのに使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であると決定されている。
【0556】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が血漿試料、腫瘍組織試料又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む試料である、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0557】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が血漿試料、腫瘍組織試料又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む試料である、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上遺伝子の発現レベルが基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0558】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、該方法は、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0559】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するのに使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であると決定されており、試料は、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である。
【0560】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0561】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体、又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及びb)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、有効量のPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0562】
別の態様では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ又は複数の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)、又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定されたがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られる方法が、本明細書で提供される。
【0563】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストが本明細書で提供され、個体は、表2~4のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られる。
【0564】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0565】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、有効量のPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0566】
別の例では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定されたがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答がOS又はORRによって示され、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られる方法が本明細書で提供される。
【0567】
別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストであって、個体は、表2~4のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答はOS又はORRによって示される、PD-L1軸結合アンタゴニストが本明細書で提供される。
【0568】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0569】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善された応答を有する可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から、改善されたORR、改善されたCR率、改善されたPR率、延長されたPFS、及び/又は延長されたOSを有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善されたORRを有する可能性があり得る。他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたPFSを有する可能性があり得る。更に他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたOSを有する可能性があり得る。
【0570】
本開示の他の態様では、IL8高がんにおいてアップレギュレートされる1つ以上の遺伝子、例えば表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子のレベルが上昇している又は高い個体を、抗がん療法、例えばPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法で治療することができる。例えば、表2~4のいずれか1つに記載の1つ位以上の遺伝子(例えば、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルに対して)の上昇した又は高いベースライン又は治療中の発現レベルを有する個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストと1つ以上の追加の治療剤(例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ等の抗VEGF抗体)、又はPD-L1軸結合アンタゴニストを含まない抗がん療法)との併用療法)で治療することができる。
【0571】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法薬を、工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて投与すること、を含む。
【0572】
別の例では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0573】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法での治療に応答する可能性が低いと同定されている。
【0574】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0575】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0576】
別の例では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0577】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法での治療に応答する可能性が低いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0578】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0579】
別の例では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0580】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法での治療に応答する可能性が低いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0581】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)血漿試料又は個体由来のPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法薬を、血漿試料中又は工程(a)で決定されたPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて投与すること、を含む。
【0582】
別の態様では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0583】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法での治療に応答する可能性が低いと同定されている。
【0584】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料における表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0585】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0586】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料における表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0587】
別の態様では、がんを有する個体を治療するのに使用するための、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であると決定されている。
【0588】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料における表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0589】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが基準レベル以上である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0590】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法で使用するための、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料における表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0591】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するのに使用するための、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であると決定されており、試料は、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である。
【0592】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0593】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0594】
別の態様では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づくPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又はそれと同時に得られている。
【0595】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた、抗がん療法であって、個体は、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られる。
【0596】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0597】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0598】
別の例では、表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づくPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答は、OS又はORRによって示され、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又はそれと同時に得られている。
【0599】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた、抗がん療法であって、個体は、表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答はOS又はORRによって示される。
【0600】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0601】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からの応答が低下している可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療から、ORRの低下、CR率の低下、PR率の低下、PFSの短縮又はOSの短縮を有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からのOPRが低下している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からのPFSが短縮している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からのOSが短縮している可能性があり得る。
【0602】
3.IL8高発現がんにおいてダウンレギュレートされた遺伝子
本開示のいくつかの態様では、IL8高がんにおいてダウンレギュレートされる1つ以上の遺伝子のレベルが増加している又は高い個体を、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法で治療することができる。例えば、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子(例えば、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルに対して)の増加した又は高いベースライン又は治療中の発現レベルを有する個体を、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法で治療することができる。
【0603】
一態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0604】
別の態様では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0605】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストが本明細書で提供され、個体は、個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルが表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の基準レベル以上であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されている。
【0606】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつかの態様では、応答は、ORR、CR率、PR率、PFS、OS及び/又はDORによって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0607】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、全生存期間(OS)又は全奏効率(ORR)によって示される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定する、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、有効量のPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0608】
別の例では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0609】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、個体は、表5~7のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0610】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む抗がん療法による治療に応答する可能性があると同定され、応答が、全生存期間(OS)又は全奏効率(ORR)によって示される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、有効量のPD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0611】
別の例では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0612】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)が本明細書で提供され、個体は、表5~7のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0613】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)血漿試料又は個体由来のPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)個体に、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法薬を、血漿試料中又は工程(a)において、PBMCを含む試料中で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて投与すること、を含む。
【0614】
別の態様では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0615】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、個体は、個体由来からの血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の発現レベルが表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の基準レベル以上であることに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されている。
【0616】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0617】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上遺伝子の発現レベルが基準レベル以上である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0618】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、該方法は、(a)有効量の、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点に個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0619】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するのに使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であると決定されている。
【0620】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が血漿試料、腫瘍組織試料又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む試料である、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0621】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が血漿試料、腫瘍組織試料又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む試料である、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上遺伝子の発現レベルが基準レベル以上である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0622】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、該方法は、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である場合、個体に抗がん療法を投与し続けること、を含む。
【0623】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するのに使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であると決定されており、試料は、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である。
【0624】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0625】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体、又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、有効量のPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0626】
別の態様では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ又は複数の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)、又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定されたがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られる方法が、本明細書で提供される。
【0627】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストが本明細書で提供され、個体は、表5~7のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られる。
【0628】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0629】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル以上であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、有効量のPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0630】
別の例では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ又は複数の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと決定されたがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答がOS又はORRによって示され、試料が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られる方法が本明細書で提供される。
【0631】
別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニストであって、個体は、表5~7のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の基準レベル以上である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答はOS又はORRによって示される、PD-L1軸結合アンタゴニストが本明細書で提供される。
【0632】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0633】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善された応答を有する可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から、改善されたORR、改善されたCR率、改善されたPR率、延長されたPFS、及び/又は延長されたOSを有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から改善されたORRを有する可能性があり得る。他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたPFSを有する可能性があり得る。更に他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含まない抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)を含む抗がん療法による治療から延長されたOSを有する可能性があり得る。
【0634】
本開示の他の態様では、IL8高がんにおいてダウンレギュレートされる1つ以上の遺伝子、例えば表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子のレベルが低下している又は低い個体を、抗がん療法、例えばPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法で治療することができる。例えば、表5~7のいずれか1つに記載の1つ位以上の遺伝子(例えば、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルに対して)の減少した又は低いベースライン又は治療中の発現レベルを有する個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストと1つ以上の追加の治療剤(例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ等の抗VEGF抗体)、又はPD-L1軸結合アンタゴニストを含まない抗がん療法)との併用療法)で治療することができる。
【0635】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法薬を、工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて投与すること、を含む。
【0636】
別の例では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0637】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法での治療に応答する可能性が低いと同定されている。
【0638】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0639】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0640】
別の例では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0641】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法での治療に応答する可能性が低いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0642】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答がOS又はORRによって示される、個体由来の試料中の表2~4のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0643】
別の例では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答はOS又はORRによって示される。
【0644】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)単剤療法を含む抗がん療法での治療に応答する可能性が低いと同定されており、応答はOS又はORRによって示される。
【0645】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)血漿試料又は個体由来のPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法薬を、血漿試料中又は工程(a)で決定されたPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて投与すること、を含む。
【0646】
別の態様では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えて、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0647】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、個体は、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の血漿試料又はPBMCを含む試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法での治療に応答する可能性が低いと同定されている。
【0648】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料における表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0649】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが基準レベル未満である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0650】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法において使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法が本明細書で提供され、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料における表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0651】
別の態様では、がんを有する個体を治療するのに使用するための、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であると決定されている。
【0652】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料における表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルが表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0653】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の応答をモニタリングする方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、遺伝子の発現レベルを決定すること、(b)試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが基準レベル未満である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0654】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法で使用するための、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、(a)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む有効量の抗がん療法を個体に投与すること、(b)PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料における表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料が、血漿試料、腫瘍組織試料又はPBMCを含む試料である、つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(c)個体の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ又は複数の遺伝子の発現レベルが表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である場合、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を個体に投与すること、を含む。
【0655】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するのに使用するための、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与後の時点で個体から得られた試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルは、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であると決定されており、試料は、血漿試料、腫瘍組織試料、又はPBMCを含む試料である。
【0656】
抗がん療法の投与後の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与の数時間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年後(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後、約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。いくつかの事例では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約4~約8週間である。例えば、いくつかの態様では、抗がん療法の投与後の時点は、抗がん療法の投与後約6週間である。
【0657】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0658】
別の態様では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づくPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又はそれと同時に得られている。
【0659】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた、抗がん療法であって、個体は、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られる。
【0660】
応答は、任意の適切な応答であり得る。例えば、いくつか態様では、応答は、ORR、完全奏効(CR)率、部分奏効(PR)率、PFS、OS及び/又は奏効期間(DOR)によって示される。いくつかの事例では、応答はORR又はOSによって示される。いくつかの特定の事例では、応答はORRによって示される。他の特定の事例では、応答はPFSによって示される。更に他の特定の事例では、応答はOSによって示される。
【0661】
例えば、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法であって、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に得られた個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することであって、試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルが、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満であることにより、個体が、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定され、応答が、OS又はORRによって示される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定すること、及び(b)工程(a)で決定された表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む。
【0662】
別の例では、表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づくPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと決定された、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療する方法が本明細書で提供され、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、有効量の抗がん療法を個体に投与することを含み、応答は、OS又はORRによって示され、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又はそれと同時に得られている。
【0663】
更に別の例では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体の治療に使用するためのPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた、抗がん療法であって、個体は、表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の基準レベル未満である個体由来の試料中の表5~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いと同定されており、試料は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られ、応答はOS又はORRによって示される。
【0664】
抗がん療法の投与前の任意の適切な時点を使用することができる。例えば、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与の数時間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、又は約24時間)、数日前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、又は約31日間)、数週間前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、又は約52週間)、数カ月前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、又は約12ヵ月)、又は数年前(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10年)であり得る。いくつかの事例では、抗がん療法の投与前の時点は、抗がん療法の投与前の約1~約16週間、約2~約16週間、約3~約16週間、約4~約16週間、約5~約16週間、約6~約16週間、約7~約16週間、約8~約16週間、約9~約16週間、約10~約16週間、約11~約16週間、約12~約16週間、約13~約16週間、約14~約16週間、約15~約16週間、約1~約15週間、約2~約15週間、約3~約15週間、約4~約15週間、約5~約15週間、約6~約15週間、約7~約15週間、約8~約15週間、約9~約15週間、約10~約15週間、約11~約15週間、約12~約15週間、約13~約15週間、約14~約15週間、約1~約14週間、約2~約14週間、約3~約14週間、約4~約14週間、約5~約14週間、約6~約14週間、約7~約14週間、約8~約14週間、約9~約14週間、約10~約14週間、約11~約14週間、約12~約14週間、約13~約14週間、約1~約13週間、約2~約13週間、約3~約13週間、約4~約13週間、約5~約13週間、約6~約13週間、約7~約13週間、約8~約13週間、約9~約13週間、約10~約13週間、約11~約13週間、約12~約13週間、約1~約12週間、約2~約12週間、約3~約12週間、約4~約12週間、約5~約12週間、約6~約12週間、約7~約12週間、約8~約12週間、約9~約12週間、約10~約12週間、約11~約12週間、約1~約11週間、約2~約11週間、約3~約11週間、約4~約11週間、約5~約11週間、約6~約11週間、約7~約11週間、約8~約11週間、約9~約11週間、約10~約11週間、約1~約10週間、約2~約10週間、約3~約10週間、約4~約10週間、約5~約10週間、約6~約10週間、約7~約10週間、約8~約10週間、約9~約10週間、約1~約9週間、約2~約9週間、約3~約9週間、約4~約9週間、約5~約9週間、約6~約9週間、約7~約9週間、約8~約9週間、約1~約8週間、約2~約8週間、約3~約8週間、約4~約8週間、約5~約8週間、約6~約8週間、約7~約8週間、約1~約7週間、約2~約7週間、約3~約7週間、約4~約7週間、約5~約7週間、約6~約7週間、約1~約6週間、約2~約6週間、約3~約6週間、約4~約6週間、約5~約6週間、約1~約5週間、約2~約5週間、約3~約5週間、約4~約5週間、約1~約4週間、約2~約4週間、約3~約4週間、約1~約3週間、約2~約3週間、又は約1~約2週間である。
【0665】
前述の方法のいずれにおいても、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療からの応答が低下している可能性があり得る。例えば、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)単剤療法を含む抗がん療法による治療から、ORRの低下、CR率の低下、PR率の低下、PFSの短縮又はOSの短縮を有する可能性があり得る。いくつかの特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からのOPRが低下している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からのPFSが短縮している可能性があり得る。いくつかの他の特定の事例では、個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト)に加えた抗がん療法による治療と比較して、PD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療からのOSが短縮している可能性があり得る。
【0666】
4.試料及び基準レベル
任意の適切な試料が、本明細書に記載される方法のいずれかにおいて使用され得る。例示的な非限定的な試料としては、血漿試料、組織試料、細胞試料、全血試料、血清試料、又はそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの事例では、試料は、血漿試料である。いくつかの事例では、腫瘍試料は腫瘍組織試料である。いくつかの事例では、腫瘍組織試料は、腫瘍細胞、腫瘍浸潤免疫細胞、間質細胞、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの事例では、腫瘍浸潤免疫細胞は、腫瘍浸潤骨髄細胞を含む。いくつかの事例では、腫瘍組織試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料、アーカイブ試料、新鮮な試料、又は凍結試料である。いくつかの事例では、細胞試料は末梢血単核細胞(PBMC)を含む。
【0667】
任意の適切な基準レベルが、本明細書中に記載される方法のいずれかにおいて使用され得る。例えば、いくつかの事例では、本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8の基準レベルは、がんを有する個体の集団から決定される。例えば、いくつかの事例では、本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8の基準レベルは、がんを有する患者の集団で決定された発現レベルの中央値、発現レベルの三分位値、又は最大選択されたログランク基準レベルである。いくつかの実施形態では、最大選択されたログランク基準レベルは、12pg/mLのIL8である。いくつかの事例では、本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8の基準レベルは、がんを有する患者の集団で決定された発現レベルの中央値である。特定の一例では、基準レベルは、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与前の時点に又は投与と同時に個体から得られた試料中の本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8のレベルであり得る。別の特定の例では、基準レベルは、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法の投与後の時点で個体から得られた試料中の本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8のレベルであり得る。
【0668】
特定の事例では、第1の試料中のバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在及び/又は発現レベル/量は、第2の試料中の存在/非存在及び/又は発現レベル/量と比較して増加又は上昇する。特定の事例では、第1の試料中のバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在/非存在及び/又は発現レベル/量は、第2の試料中の存在及び/又は発現レベル/量と比較して減少又は低下する。ある特定の事例では、第2の試料は、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織である。遺伝子の存在/不在及び/又は発現レベル/量を決定するための更なる開示が本明細書に記載されている。
【0669】
ある特定の事例では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、試験試料が得られたときとは異なる1つ以上の時点で得られる同じ対象又は個体由来の単一の試料又は複数の試料の組み合わせである。例えば、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、試験試料が得られるよりも早い時点で同じ対象又は個体から得られる。このような基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、基準試料ががんの最初の診断中に得られる場合、かつがんが転移性がんになったときに試験試料が後で得られる場合に有用であり得る。
【0670】
特定の事例では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、患者ではない1つ以上の健常な個体由来の複数の試料の組み合わせである。特定の事例では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、対象又は個体ではない、疾患又は障害(例えば、がん)を有する1つ以上の個体由来の複数の試料の組み合わせである。特定の実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、正常組織由来のプールされたRNA試料、又は患者ではない1つ以上の個体由来のプールされた血漿若しくは血清試料である。特定の実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、腫瘍組織由来のプールされたRNA試料、又は患者ではない、疾患若しくは障害(例えば、がん)を有する1つ以上の個体由来のプールされた血漿若しくは血清試料である。
【0671】
任意の方法のいくつかの例において、発現の上昇又はオズかとは、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞又は対照組織と比較して、本明細書に記載されるもの等の標準的な技術の公知の方法によって検出されるバイオマーカー(例えば、本明細書中に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)(例えば、タンパク質又は核酸(例えば、遺伝子又はmRNA))のレベルの約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のいずれかの全体的な増加を指す。特定の実施形態では、上昇した発現とは、試料におけるバイオマーカーの発現レベル/量の増加を指し、増加は、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベル/量の少なくとも約1.5倍、1.75倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、25倍、50倍、75倍、又は100倍のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、上昇した発現とは、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、対照組織、又は内部対照(例えば、ハウスキーピング遺伝子)と比較して、約1.5倍超、約1.75倍、約2倍、約2.25倍、約2.5倍、約2.75倍、約3.0倍、又は約3.25倍の全体的な増加を指す。
【0672】
任意の方法のいくつかの例において、発現低下とは、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞又は対照組織と比較して、本明細書に記載されるもの等の標準的な技術の公知の方法によって検出されるバイオマーカー(例えば、本明細書中に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)(例えば、タンパク質又は核酸(例えば、遺伝子又はmRNA))のレベルの約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のいずれかの全体的な低下を指す。特定の実施形態では、低減した発現とは、試料におけるバイオマーカーの発現レベル/量の減少を指し、減少は、基準試料、基準細胞、基準組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベル/量の少なくとも約0.9倍、0.8倍、0.7倍、0.6倍、0.5倍、0.4倍、0.3倍、0.2倍、0.1倍、0.05倍、又は0.01倍のうちのいずれかである。
【0673】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの例では、個体は、Tエフェクター(Teff)シグネチャの基準レベル以上である腫瘍試料中のTeffシグネチャの発現レベルを有し得る。いくつかの事例では、Teffシグネチャは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される1つ以上の遺伝子を含む。いくつかの事例では、Teffシグネチャは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される2つ以上の遺伝子を含む。いくつかの事例では、Teffシグネチャは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1から選択される3つ以上の遺伝子を含む。いくつかの事例では、Teffシグネチャは、CD8A、GZMA、GZMB及びPRF1を含む。
【0674】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの例において、個体は、そのがんについて以前に治療されたことがない。
【0675】
本明細書に記載される方法のいずれかの他の例において、個体は、以前にがんについて治療されたことがある。
【0676】
個体は、任意の適切なタイプのがんを有し得る。例示的な非限定的ながんとしては、膀胱がん、腎臓がん、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、リンパ腫、前立腺がん、肝臓がん、頭頸部がん、黒色腫、卵巣がん、中皮腫又は骨髄腫が挙げられる。いくつかの態様では、膀胱がんは、尿路上皮癌腫(UC)である。いくつかの態様では、がんは局所進行性又は転移性のUCである。いくつかの態様では、個体は、事前の白金ベースの化学療法を受けている。いくつかの態様では、個体は、事前の白金ベースの化学療法後に進行している。いくつかの態様では、個体は、局所進行性又は転移性UCについて以前に治療されたことがない。いくつかの態様では、個体は、白金ベースの化学療法に対して不適格である。いくつかの態様では、個体はヒトである。いくつかの態様において、腎臓がんは、腎細胞癌腫(RCC)である。いくつかの態様において、RCCは転移性RCC(mRCC)である。いくつかの態様では、個体は、がんに対する治療を以前に受けていない。いくつかの態様では、肺がんは、非小細胞肺がん又は小細胞肺がんである。幾つかの態様では、乳がんはトリプルネガティブ乳がんTNBC又はHER2陽性乳がんである。
【0677】
5.例示的な治療剤、投与経路、併用療法及び投薬レジメン
本明細書に記載される方法のいずれも、個体に抗がん療法を投与することをさらに含み得る。例えば、いくつかの事例では、抗がん療法は、個体由来の試料中の本明細書に記載のバイオマーカー、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子、例えばIL8の発現レベルの決定に基づいて選択される。
【0678】
例えば、いくつかの事例では、本方法は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法を個体に投与することを更に含む。
【0679】
他の事例では、本方法は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えて、抗がん療法を個体に投与することを更に含む。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法は、VEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)、IL8アンタゴニスト(例えば、抗IL-8抗体又は小分子IL8阻害剤)、IL1Bアンタゴニスト(例えば、抗IL1B抗体又は小分子IL1B阻害剤)、IL1Rアンタゴニスト(例えば、抗IL1R抗体又は小分子IL1R阻害剤)又はそれらの組み合わせを含む。任意の適切なVEGFアンタゴニスト、IL8アンタゴニスト、IL1Bアンタゴニスト又はIL1Rアンタゴニストを使用することができる(例えば、下記のセクションIVを参照)。いくつかの事例では、抗がん療法は、VEGFアンタゴニスト及びPD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む。いくつかの事例では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体又はVEGF受容体(VEGFR)阻害剤である。いくつかの態様では、VEGFアンタゴニストは抗VEGF抗体である。いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブである。
【0680】
任意の適切なPD-L1軸結合アンタゴニストを使用することができる(例えば、下記のセクションIVを参照)。例えば、いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される。
【0681】
いくつかの態様では、PD-L1軸結合アンタゴニストはPD-L1結合アンタゴニストである。任意の適切なPD-L1結合アンタゴニストを使用することができる(例えば、下記のセクションIVを参照)。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1への結合を阻害する。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のB7-1への結合を阻害する。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1及びB7-1の両方への結合を阻害する。いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、MDX-1105、デュルバルマブ、およびアベルマブからなる群から選択される。
【0682】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、下記の超可変領域(HVR)のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つ全てを含む:GFTFSDSWIHのHVR-H1配列(配列番号19);(b)AWISPYGGSTYYADSVKGのHVR-H2配列(配列番号20);(c)RHWPGGFDYのHVR-H3配列(配列番号21);(d)RASQDVSTAVAのHVR-L1配列(配列番号22);(e)HVR-L2配列SASFLYSのHVR-L2配列(配列番号23);及び(f)HVR-L3配列QQYLYHPATのHVR-L3配列(配列番号24)、又は(a)GFTFSDSWIHのHVR-H1配列(配列番号19);(b)AWISPYGGSTYYADSVKGのHVR-H2配列(配列番号20);(c)RHWPGGFDYのHVR-H3配列(配列番号21);(d)RASQDVSTAVAのHVR-L1配列(配列番号22);(e)SASFLYSのHVR-L2配列(配列番号23);及び/又は(f)QQYLYHPATのHVR-L3配列(配列番号24)と少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)の配列同一性を有する1、2、3、4、5若しくは6個のHVR。
【0683】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの特定の態様において、抗PD-L1抗体は以下の超可変領域(HVR)を含む:(a)GFTFSDSWIH(配列番号19)のHVR-H1配列;(b)AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号20)のHVR-H2配列;(c)RHWPGGFDY(配列番号21)のHVR-H3配列;(d)RASQDVSTAVA(配列番号22)のHVR-L1配列;(e)SASFLYS(配列番号23)のHVR-L2配列;及び(f)QQYLYHPAT(配列番号24)のHVR-L3配列。
【0684】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、下記を含む:(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号25)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号4)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)と同様のVHドメイン及び(b)と同様のVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は以下を含む:(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むVLドメイン。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブである。
【0685】
本明細書中に記載される方法のいずれかは、追加の治療剤を個体に投与することを更に含み得る。いくつかの態様では、追加の治療剤は、免疫治療剤、細胞傷害性薬剤、成長阻害剤、放射線治療剤、抗血管新生剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの事例では、第2の治療剤は、活性化共刺激分子に対して指向されるアゴニストである。いくつかの事例では、第2の治療剤は、阻害性共刺激分子に対して指向されるアンタゴニストである。
【0686】
本明細書に記載の方法の任意いくつかの態様では、上記個体はヒトである。
【0687】
本明細書に記載される方法に用いられる組成物(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト及び他の抗がん治療剤)は、例えば、静脈内に、筋肉内に、皮下に、皮内に、経皮的に、動脈内に、腹腔内に、病変内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、胸膜内に、気管内に、髄腔内に、鼻腔内に、腟内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、腹膜に、結膜下に、小胞内に、粘膜に、心膜内に、臍帯内に、眼内に、眼窩内に、経口的に、局所的に、経皮的に、硝子体内に(例えば、硝子体内注射により)、点眼により、吸入により、注射により、移植により、注入により、持続注入により、標的細胞を直接的に浸す局所灌流により、カテーテルにより、洗浄により、クリームに入れて、又は脂質組成物に入れて、を含む任意の好適な方法により投与され得る。本明細書に記載の組成物はまた、全身的又は局所的に投与することができる。投与方法は、様々な因子(例えば、投与される化合物又は組成物、及び治療される症状、疾患、又は障害の重症度)に応じて変化し得る。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。投薬は、その投与が短期か又は長期かに部分的に依存して、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射等の注射により行うことができる。本明細書では、単回投与又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投与スケジュールが想定される。
【0688】
例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト、VEGFアンタゴニストおよび本明細書中に記載される他の抗がん治療剤(例えば、抗体、結合ポリペプチドおよび/または小分子)を含む治療剤は、優良医療実務と一致する様式で製剤化され、投薬され、投与され得る。これに関連して考慮すべき因子には、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に知られている他の因子が含まれる。治療剤は、問題の障害を予防又は治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤と製剤化される必要はないが、任意に1つ以上薬剤と同時に投与される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する治療剤の量、障害又は治療の種類、及び上記の他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載のものと同じ投薬量及び投与経路によって、又は本明細書に記載の投薬量の約1~99%、又は適切であると経験的/臨床的に判断される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0689】
がん(例えば、膀胱がん(例えば、尿路上皮膀胱がん))の予防又は治療のため、本明細書に記載されるPD-L1軸結合アンタゴニストの適切な投薬量(単独で、又は1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用されるとき)は、治療される疾患の種類、疾患の重症度及び経過、PD-L1軸結合アンタゴニストが予防目的で投与されるのか又は治療目的で投与されるのかどうか、治療経験、患者の臨床歴及びPD-L1軸結合アンタゴニストへの応答、並びに主治医の裁量に左右されることになる。治療剤は、好適には、患者に一度に又は一連の治療にわたって投与される。1つの典型的な1日投薬量は、上で言及した因子に応じて、約1μg/kg~100mg/kg以上の範囲であり得る。数日以上にわたる反復投与に関しては、病状に応じて、治療は一般に疾患症状の望まれる抑制が起こるまで継続されるものとする。そのような用量は、断続的に、例えば、毎週又は3週間ごとに(例えば、患者が、例えば、約2~約20回、又は例えば、約6回の用量の治療剤を投与されるように、)投与され得る。最初のより高い負荷用量とそれに続く1回以上のより低い用量を投与することができる。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であってもよい。この療法の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。
【0690】
例えば、一般的な提案として、ヒトに投与される抗体(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト抗体又はVEGFアンタゴニスト抗体)の治療有効量は、1回以上の投与によるかどうかにかかわらず、患者の体重の約0.01~約50mg/kgの範囲であろう。いくつかの事例では、使用される抗体は、約0.01mg/kg~約45mg/kg、約0.01mg/kg~約40mg/kg、約0.01mg/kg~約35mg/kg、約0.01mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約25mg/kg、約0.01mg/kg~約20mg/kg、約0.01mg/kg~約15mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約5mg/kg、又は約0.01mg/kg~約1mg/kgであり、これらは例えば、毎日、毎週、2週間毎、3週間毎、又は毎月に投与される。いくつかの事例では、抗体は、15mg/kgで投与される。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であってもよい。1つの事例では、本明細書に記載される抗PD-L1抗体は、21日周期(3週間毎、q3w)の1日目に、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、又は約1800mgの用量でヒトに投与される。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体アテゾリズマブは、3週間毎(q3w)に、静脈内に1200mgで投与される。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体アテゾリズマブは、2週間毎(q2w)に、静脈内に840mgで投与される。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体アテゾリズマブは、4週間毎(q4w)に、静脈内に1680mgで投与される。用量は、注入物等の、単回用量で、又は複数回用量(例えば、2回用量又は3回用量)で投与されてもよい。併用治療において投与される本抗体の用量は、単剤治療と比較して減少し得る。この療法の進展は、従来の技法によって容易にモニタリングされる。
【0691】
いくつかの事例では、方法は、有効量の追加の治療剤を患者に投与することを更に含む。いくつかの事例では、第2の治療剤は、細胞毒性剤、化学療法剤、成長阻害剤、放射線療法剤、血管新生阻害剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、化学療法又は化学療法剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、放射線療法剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、標的化された治療剤又は標的化された治療剤と併せて投与される場合がある。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、免疫療法又は免疫療法剤、例えばモノクローナル抗体と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、第2の治療剤は、活性化共刺激分子に対して指向されるアゴニストである。いくつかの事例では、第2の治療剤は、阻害性共刺激分子に対して指向されるアンタゴニストである。
【0692】
上記のかかる併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が同じか又は別個の製剤中に含まれる)及びPD-L1軸結合アンタゴニストの投与が、追加の治療剤(複数可)の投与の前、それと同時、かつ/又はそれに続いて発生し得る、個別投与を包含する。1つの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストの投与及び追加の治療剤の投与は、互いの約1カ月以内、又は約1、2、若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5、若しくは6日以内に発生する。
【0693】
理論に拘束されることを望むものではないが、活性化する共刺激分子を促進することによる又は陰性共刺激分子を阻害することによるT細胞刺激の増強が、腫瘍細胞死を促し、それによってがんの進行を治療又は遅延し得ると考えられる。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、活性化共刺激分子に対して指向されるアゴニストと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、活性化する共刺激分子は、CD40、CD226、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、HVEM、又はCD127を含み得る。いくつかの事例では、活性化する共刺激分子に対するアゴニストは、CD40、CD226、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、HVEM、又はCD127に結合するアゴニスト抗体である。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、阻害性共刺激分子に対して指向されるアンタゴニストと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、抑制性共刺激分子は、CTLA-4(CD152としても知られている)、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7-H3、B7-H4、IDO、TIGIT、MICA/B、又はアルギナーゼを含み得る。いくつかの事例では、抑制性共刺激分子に対するアンタゴニストは、CTLA-4、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7-H3、B7-H4、IDO、TIGIT、MICA/B、又はアルギナーゼに結合するアンタゴニスト抗体である。
【0694】
いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CTLA-4(CD152としても知られている)に対して指向されるアンタゴニスト、例えば、遮断抗体と併せて投与され得る。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、イピリムマブ(別名、MDX-010、MDX-101、又はYERVOY(登録商標))と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、トレメリムマブ(別名、チシリムマブ又はCP-675,206)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、B7-H3(CD276としても知られている)に対して指向されるアンタゴニスト、例えば、遮断抗体と併せて投与され得る。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、MGA271と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、TGF-ベータに対して指向されるアンタゴニスト、例えば、メテリムマブ(CAT-192としても知られている)、フレソリムマブ(GC1008としても知られている)、又はLY2157299と併せて投与され得る。
【0695】
いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(例えば、細胞毒性T細胞又はCTL)の養子移入を含む治療と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、ドミナントネガティブTGFベータ受容体、例えばドミナントネガティブTGFベータII型受容体を含むT細胞の養子移入を含む治療と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、HERCREEMプロトコル(例えば、ClinicalTrials.gov Identifier NCT00889954を参照)を含む治療と併せて投与されてもよい。
【0696】
いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CD137(別名、TNFRSF9、4-1BB、又はILA)に対して指向されるアゴニスト、例えば活性化抗体と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、ウレルマブ(別名、BMS-663513)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CD40に対して指向されるアゴニスト、例えば活性化抗体と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CP-870893と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、OX40(別名、CD134)に対して指向されるアゴニスト、例えば活性化抗体と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、抗OX40抗体(例えば、AgonOX)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CD27に対して指向されるアゴニスト、例えば活性化抗体と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CDX-1127と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)に対して指向されるアンタゴニストと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、1-メチル-D-トリプトファン(別名、1-D-MT)は、IDOアンタゴニストを伴う。
【0697】
いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、抗体薬物コンジュゲートと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、抗体-薬物接合体は、メルタンシン又はモノメチルオーリスタチンE(MMAE)を含む。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、抗NaPi2b抗体-MMAEコンジュゲート(別名、DNIB0600A又はRG7599)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、トラスツズマブエムタンシン(別名、T-DM1、アド-トラスツズマブエムタンシン、又はKADCYLA(登録商標)、Genentech)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、DMUC5754Aと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、エンドセリンB受容体(EDNBR)を標的とする抗体-薬物コンジュゲート、例えばMMAEとコンジュゲートされたEDNBRに対して指向される抗体と併せて投与されてもよい。
【0698】
いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、抗血管新生剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストを、VEGFに対する抗体、例えばVEGF-Aと併せて投与することができる。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、ベバシズマブ(別名、AVASTIN(登録商標)、Genentech)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、アンジオポエチン2(別名、Ang2)に対して指向される抗体と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、MEDI3617と併せて投与されてもよい。
【0699】
いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、抗腫瘍剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CSF-1R(別名、M-CSFR又はCD115)を標的とする薬剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、抗CSF-1R(別名、IMC-CS4)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、インターフェロン、例えばインターフェロンα又はインターフェロンγと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、Roferon-A(別名、組換えインターフェロンアルファ-2a)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、GM-CSF(別名、組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、rhu GM-CSF、サルグラモスチム、又はLEUKINE(登録商標))と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、IL-2(別名、アルデスロイキン又はPROLEUKIN(登録商標))と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、IL-12と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CD20を標的とする抗体と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、CD20を標的とする抗体は、オビヌツズマブ(別名、GA101又はGAZYVA(登録商標))又はリツキシマブである。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、GITRを標的とする抗体と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、GITRを標的とする抗体は、TRX518である。
【0700】
いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、がんワクチンと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、がんワクチンは、ペプチドがんワクチンであり、いくつかの事例では、個別のペプチドワクチンである。いくつかの事例では、がんペプチドワクチンは、多価長ペプチド、マルチペプチド、ペプチドカクテル、ハイブリッドペプチド、又はペプチドパルス樹状細胞ワクチンである(例えば、Yamada et al.,Cancer Sci.104:14-21,2013を参照)。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、アジュバントと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、TLRアゴニスト、例えばPoly-ICLC(別名、HILTONOL(登録商標))、LPS、MPL、又はCpG ODNを含む治療と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、腫瘍壊死因子(TNF)アルファと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、IL-1と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、HMGB1と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、IL-10アンタゴニストと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、IL-4アンタゴニストと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、IL-13アンタゴニストと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、HVEMアンタゴニストと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、例えば、ICOS-Lの投与によってICOSアゴニストと併せて、又はICOSに対して指向されるアゴニスト抗体と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CX3CL1を標的とする治療と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CXCL9を標的とする治療と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CXCL10を標的とする治療と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、CCL5を標的とする治療と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、LFA-1又はICAM1アゴニストと併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、セレクチンアゴニストと併せて投与されてもよい。
【0701】
いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、標的療法と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、B-Rafの阻害剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、ベムラフェニブ(別名、ZELBORAF(登録商標))と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、ダブラフェニブ(別名、TAFINLAR(登録商標))と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、エルロチニブ(別名、TARCEVA(登録商標))と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、MEK1(別名、MAP2K1)又はMEK2(別名、MAP2K2)等のMEKの阻害剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、コビメチニブ(別名、GDC-0973又はXL-518)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、トラメチニブ(別名、MEKINIST(登録商標))と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、K-Rasの阻害剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、c-Metの阻害剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、オナルツズマブ(別名、MetMAb)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、Alkの阻害剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、AF802(別名、CH5424802又はアレクチニブ)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の阻害剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、BKM120と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、イデラリシブ(別名、GS-1101又はCAL-101)と併せて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、ペリホシン(別名、KRX-0401)と併せて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、Aktの阻害剤と併せて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、MK2206と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、GSK690693と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、GDC-0941と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、mTORの阻害剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、シロリムス(別名、ラパマイシン)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、テムシロリムス(別名、CCI-779又はTorisel(登録商標))と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、エベロリムス(別名、RAD001)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、リダフォロリムス(別名、AP-23573、MK-8669、又はデフォロリムス)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、OSI-027と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、AZD8055と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、INK128と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、二重PI3K/mTOR阻害剤と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、XL765と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、GDC-0980と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、BEZ235(別名、NVP-BEZ235)と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、BGT226と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、GSK2126458と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、PF-04691502と併せて投与されてもよい。いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、PF-05212384(別名、PKI-587)と併せて投与されてもよい。
【0702】
IV.組成物及び薬学的製剤
本明細書では、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を個体に投与することを含む、個体におけるがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))を治療するための、又はその進行を遅延させるための方法が、本明細書に提供される。また本明細書では、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法も提供される。がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))に罹患している患者が、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療と同時治療に応答する可能性が高いかどうかを決定するための方法を、本明細書において更に提供する。PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))に罹患している患者の応答性を予測する方法が本明細書で提供される。本明細書では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、尿路上皮膀胱がん))に罹患している患者のための療法を選択するための方法が提供される。上記方法のいずれかは、本明細書で提供されるバイオマーカーの発現レベル、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベル、例えばがんを有する又は有すると疑われる個体由来の試料中のIL8発現に基づいてもよい。例えば、IL8の基準レベルと比較してIL8発現が減少している個体、又はIL8の基準レベルと比較してIL8発現が治療中に減少している個体は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療の候補であり得る。別の例では、1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較して表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現が低下しているか、又は1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較して表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現が治療中に減少している個体は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療の候補であり得る。更に別の例では、1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較して表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現が増加しているか、又は1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較して表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現が治療中に増加している個体は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療の候補であり得る。
【0703】
他の態様では、本明細書において、個体においてがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))を治療する又は進行を遅延させる方法であって、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた、治療有効量の抗がん療法を個体に投与することを含む方法が提供される。また本明細書では、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定する方法も提供される。本明細書では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))に罹患している患者が、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の、又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法による治療に応答する可能性が高いかどうかを決定するための方法が、提供される。本明細書では、PD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に対するがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))に罹患している患者の応答性を予測する方法が提供される。本明細書では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)及び腎臓がん(例えば、RCC))に罹患している患者のための、例えばPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療のための治療法を選択するための方法が本明細書で提供される。前述の方法のいずれかは、本明細書で提供されるバイオマーカーの発現レベル、例えば表1~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベル、例えばがんを有する又は有すると疑われる個体由来の試料中のIL8発現に基づいてもよい。例えば、IL8の基準レベルと比較してIL8発現が上昇している個体、又はIL8の基準レベルと比較してIL8発現が治療中に増加している個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療の候補であり得る。別の例では、1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較して表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現が上昇しているか、又は1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較して表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現が治療中に増加している個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療の候補であり得る。更に別の例では、1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較して表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現が低下しているか、又は1つ以上の遺伝子の基準レベルと比較して表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現が治療中に減少している個体は、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療の候補であり得る。
【0704】
これらの薬剤及びそれらの組み合わせは、例えば、本明細書(例えば、上記のセクションII及びIIIにおいて)に記載の任意の方法の一部として、がんの治療に有用である。任意の適切なPD-L1軸結合アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト及び/又は更なる抗がん剤を、本明細書に記載される方法及びアッセイにおいて使用することができる。本発明の方法及びアッセイにおける使用に適切な非限定的な実施例が以下に更に記載されている。これらの例のいずれも、例えば、医薬、例えば個体においてがんを治療するための医薬の調製において使用され得る。
【0705】
A.例示的なPD-L1軸結合アンタゴニスト
任意の適切なPD-L1軸結合アンタゴニストが使用され得る。例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストを含む。PD-1(プログラム死1)はまた、当該技術分野において「プログラム細胞死1」、「PDCD1」、「CD279」、及び「SLEB2」としても言及される。例示的なヒトPD-1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q15116に示されている。PD-L1(プログラム死リガンド1)はまた、当技術分野において「プログラム細胞死1リガンド1」、「PDCD1LG1」、「CD274」、「B7-H」、及び「PDL1」としても言及される。例示的なヒトPD-L1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7.1に示される。PD-L2(プログラム死リガンド2)はまた、当該技術分野において「プログラム細胞死1リガンド2」、「PDCD1LG2」、「CD273」、「B7-DC」、「Btdc」、及び「PDL2」としても言及される。例示的なヒトPD-L2は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9BQ51に示されている。いくつかの事例では、PD-1、PD-L1、及びPD-L2は、ヒトPD-1、PD-L1及びPD-L2である。
【0706】
1.例示的なPD-L1結合アンタゴニスト
本明細書に記載されるか又は当技術分野で公知の任意の適切なPD-L1結合アンタゴニストを使用することができる。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、例えば、以下に記載されるものである。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1との間及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体はヒト化抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、ヒト抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、YW 243.55.S 70、アテゾリズマブ、MDX-1105、及びMEDI 4736(デュルバルマブ)、並びにMSB 0010718 C(アベルマブ)からなる群から選択される。抗体YW243.55.S70は、国際公開第2010/077634号に記載される抗PD-L1である。BMS-936559としても知られるMDX-1105は、国際公開第2007/005874号に記載の抗PD-L1抗体である。MEDI4736(デュルバルマブ)は、国際公開第2011/066389号及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載されている抗PD-L1モノクローナル抗体である。この発明の方法に有用な抗PD-L1抗体の例、及びその作製方法は、PCT特許出願の国際公開第2010/077634号、国際公開第2007/005874号、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,217,149号、及び米国特許出願公開第 2013/034559号に記載されており、これらは出典明示により本明細書に援用される。
【0707】
国際公開第2010/077634号A1及び米国特許第8,217,149号に記載される抗PD-L1抗体は、本明細書に記載される方法において使用され得る。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、配列番号3の重鎖可変領域配列及び/又は配列番号4の軽鎖可変領域配列を含む。なお更なる事例では、以下の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供される:
(a)重鎖配列は、以下の重鎖配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSA(配列番号3)、及び
(b)軽鎖配列は、以下の軽鎖配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号4)。
【0708】
一事例では、抗PD-L1抗体は、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3配列を含む重鎖可変領域を含み、
(a)HVR-H1配列は、GFTFSX1SWIH(配列番号5)であり、
(b)HVR-H2配列は、AWIX2PYGGSX3YYADSVKG(配列番号6)であり、
(c)HVR-H3配列は、RHWPGGFDY(配列番号7)であり、
更に、X1はD又はGであり、X2はS又はLであり、X3はT又はSである。特定の一態様では、X1はDであり、X2はSであり、X3はTである。別の態様では、ポリペプチドは、式:(FR-H1)-(HVR-H1)-(FR-H2)-(HVR-H2)-(FR-H3)-(HVR-H3)-(FR-H4)に従って、HVR間に並置された可変領域重鎖フレームワーク配列を更に含む。更に別の態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。更なる態様では、フレームワーク配列はVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、フレームワーク配列の少なくとも1つは以下の通りである:
FR-H1は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号8)であり、
FR-H2は、WVRQAPGKGLEWV(配列番号9)であり、
FR-H3は、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号10)であり、
FR-H4は、WGQGTLVTVSA(配列番号11)である。
【0709】
なお更なる態様では、重鎖ポリペプチドは、以下のHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3を含む可変領域軽鎖と更に組み合わされる:
(a)HVR-L1配列は、RASQX4X5X6TX7X8A(配列番号12)であり、
(b)HVR-L2配列は、SASX9LX10S(配列番号13)であり、
(c)HVR-L3配列は、QQX11X12X13X14PX15T(配列番号14)であり、
式中、X4はD又はVであり、X5はV又はIであり、X6はS又はNであり、X7はA又はFであり、X8はV又はLであり、X9はF又はTであり、X10はY又はAであり、X11はY、G、F、又はSであり、X12はL、Y、F又はWであり、X13はY、N、A、T、G、F又はIであり、X14はH、V、P、T又はIであり、X15はA、W、R、P又はTである。なお更なる態様では、X4はDであり、X5はVであり、X6はSであり、X7はAであり、X8はVであり、X9はFであり、X10はYであり、X11はYであり、X12はLであり、X13はYであり、X14はHであり、X15はAである。
【0710】
なお更なる態様では、軽鎖は、式:(FR-L1)-(HVR-L1)-(FR-L2)-(HVR-L2)-(FR-L3)-(HVR-L3)-(FR-L4)に従ってHVR間に並置された可変領域軽鎖フレームワーク配列を更に含む。なお更なる態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。なお更なる態様では、フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。なおさらなる態様では、フレームワーク配列の少なくとも1つは以下である。
FR-L1は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号15)であり、
FR-L2は、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号16)であり、
FR-L3は、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号17)であり、
FR-L4は、FGQGTKVEIKR(配列番号18)である。
【0711】
別の事例では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD-L1抗体又は抗原結合断片が提供され、
(a)重鎖は、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含み、更に、
(i)HVR-H1配列は、GFTFSX1SWIH(配列番号5)であり、
(ii)HVR-H2配列は、AWIX2PYGGSX3YYADSVKG(配列番号6)であり、
(iii)HVR-H3配列は、RHWPGGFDY(配列番号7)であり、
(b)軽鎖は、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含み、更に、
(i)HVR-L1配列は、RASQX4X5X6TX7X8A(配列番号12)であり、
(ii)HVR-L2配列は、SASX9LX10S(配列番号13)であり、
(iii)HVR-L3配列は、QQX11X12X13X14PX15T(配列番号14)であり、
式中、X1はD又はGであり、X2はS又はLであり、X3はT又はSであり、X4はD又はVであり、X5はV又はIであり、X6はS又はNであり、X7はA又はFであり、X8はV又はLであり、X9はF又はTであり、X10はY又はAであり、X11はY、G、F、又はSであり、X12はL、Y、F又はWであり、X13はY、N、A、T、G、F又はIであり、X14 はH、V、P、T又はIであり、X15はA、W、R、P又はTである。特定の態様では、X1はDであり、X2はSであり、X3はTである。別の態様において、X4はDであり、X5はVであり、X6はSであり、X7はAであり、X8はVであり、X9はFであり、X10はYであり、X11はYであり、X12はLであり、X13はYであり、X14はHであり、X15はAである。また別の態様では、X1はDであり、X2はSであり、X3はTであり,X4はDであり、X5はVであり、X6はSであり、X7はAであり、X8はVであり、X9はFであり、X10はYであり、X11はYであり、X12はLであり、X13はYであり、X14はHであり、X15はAである。
【0712】
更なる一態様では、重鎖可変領域は、(FR-H1)-(HVR-H1)-(FR-H2)-(HVR-H2)-(FR-H3)-(HVR-H3)-(FR-H4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(FR-L1)-(HVR-L1)-(FR-L2)-(HVR-L2)-(FR-L3)-(HVR-L3)-(FR-L4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含む。なお更なる態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、又はIII配列に由来する。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列のうちの1つ以上は、配列番号8、9、10、及び11として記載される。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列のうちの1つ以上は、配列番号15、16、17、及び18として記載される。
【0713】
なお更なる態様では、抗体は、ヒト又はマウスの定常領域を更に含む。なお更なる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選択される。なお更なる態様では、ヒト定常領域はIgG1である。なお更なる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3からなる群から選択される。なお更なる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。なお更なる態様では、抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。なお更なる態様では、「エフェクターレスFc変異(eeffector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)に起因する。なお更なる例では、エフェクターなしのFc突然変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0714】
なお別の事例では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD-L1抗体が提供され、
(a)重鎖は、それぞれ、GFTFSDSWIH(配列番号19)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号20)、及びRHWPGGFDY(配列番号21)に対して少なくとも85%の配列同一性を有する、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3配列を更に含むか、又は
(b)軽鎖は、RASQDVSTAVA(配列番号22)、SASFLYS(配列番号23)、及びQQYLYHPAT(配列番号24)に対して、それぞれ、少なくとも85%の配列同一性を有するHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3配列を更に含む。
【0715】
具体的な一態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。
【0716】
別の一態様では、重鎖可変領域は、(FR-H1)-(HVR-H1)-(FR-H2)-(HVR-H2)-(FR-H3)-(HVR-H3)-(FR-H4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(FR-L1)-(HVR-L1)-(FR-L2)-(HVR-L2)-(FR-L3)-(HVR-L3)-(FR-L4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含む。更に別の態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、又はIII配列に由来する。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列のうちの1つ以上は、配列番号8、9、10、及び11として記載される。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列のうちの1つ以上は、配列番号15、16、17、及び18として記載される。
【0717】
なお更なる態様では、抗体は、ヒト又はマウスの定常領域を更に含む。なお更なる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選択される。なお更なる態様では、ヒト定常領域はIgG1である。なお更なる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3からなる群から選択される。なお更なる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。なお更なる態様では、抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。なお更なる態様では、「エフェクターレスFc変異(effector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)に起因する。なお更なる例では、エフェクターなしのFc突然変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0718】
別の更なる事例では、以下の重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供される:
(a)重鎖配列は、以下の重鎖配列と少なくとも85%の配列同一性を有する:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号25)、及び/又は
(b)軽鎖配列は、以下の軽鎖配列と少なくとも85%の配列同一性を有する:
【0719】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号4)。
【0720】
特定の態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。別の一態様では、重鎖可変領域は、(FR-H1)-(HVR-H1)-(FR-H2)-(HVR-H2)-(FR-H3)-(HVR-H3)-(FR-H4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(FR-L1)-(HVR-L1)-(FR-L2)-(HVR-L2)-(FR-L3)-(HVR-L3)-(FR-L4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含む。更に別の態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。更なる一態様では、重鎖フレームワーク配列は、Kabat下位群I、II、又はIII配列由来である。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。なお更なる一態様では、重鎖フレームワーク配列のうちの1つ以上は、配列番号8、9、10、及びWGQGTLVTVSS(配列番号27)として記載される。
【0721】
なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列のうちの1つ以上は、配列番号15、16、17、及び18として記載される。
【0722】
なお更なる態様では、抗体は、ヒト又はマウスの定常領域を更に含む。なお更なる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選択される。なお更なる態様では、ヒト定常領域はIgG1である。なお更なる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3からなる群から選択される。なお更なる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。なお更なる態様では、抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。なお更に具体的な一態様では、最小のエフェクター機能は、原核細胞内での産生に起因する。なお更なる態様では、「エフェクターレスFc変異(effector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)に起因する。なお更なる例では、エフェクターなしのFc突然変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0723】
更なる一態様では、重鎖可変領域は、(FR-H1)-(HVR-H1)-(FR-H2)-(HVR-H2)-(FR-H3)-(HVR-H3)-(FR-H4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(FR-L1)-(HVR-L1)-(FR-L2)-(HVR-L2)-(FR-L3)-(HVR-L3)-(FR-L4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含む。なお更なる態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、又はIII配列に由来する。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列の1つ以上は以下のとおりである:
FR-H1は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFS(配列番号29)であり、
FR-H2は、WVRQAPGKGLEWVA(配列番号30)であり、
FR-H3は、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号10)であり、
FR-H4は、WGQGTLVTVSS(配列番号27)を含む軽鎖可変領域を含む。
【0724】
なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列の1つ以上は以下の通りである:
FR-L1は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号15)であり、
FR-L2は、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号16)であり、
FR-L3は、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号17)であり、
FR-L4は、FGQGTKVEIK(配列番号28)を含む軽鎖可変領域を含む。
【0725】
なお更なる態様では、抗体は、ヒト又はマウスの定常領域を更に含む。なお更なる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選択される。なお更なる態様では、ヒト定常領域はIgG1である。なお更なる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3からなる群から選択される。なお更なる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。なお更なる態様では、抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。なお更なる態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターなしのFc変異」又は非グリコシル化に起因する。なお更なる例では、エフェクターなしのFc突然変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0726】
なお別の事例では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD-L1抗体が提供され、
(c)重鎖はそれぞれ、GFTFSDSWIH(配列番号19)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号20)、及びRHWPGGFDY(配列番号21)と少なくとも85%の配列同一性を有する、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3配列を更に含む、及び/又は、
(d)軽鎖は、RASQDVSTAVA(配列番号22)、SASFLYS(配列番号23)、及びQQYLYHPAT(配列番号24)に対して、それぞれ、少なくとも85%の配列同一性を有するHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3配列を更に含む。
【0727】
具体的な一態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。
【0728】
別の一態様では、重鎖可変領域は、(FR-H1)-(HVR-H1)-(FR-H2)-(HVR-H2)-(FR-H3)-(HVR-H3)-(FR-H4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(FR-L1)-(HVR-L1)-(FR-L2)-(HVR-L2)-(FR-L3)-(HVR-L3)-(FR-L4)のようにHVR間に並置された1つ以上のフレームワーク配列を含む。更に別の態様では、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、又はIII配列に由来する。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、重鎖フレームワーク配列の1つ以上は、配列番号8、9、10、及びWGQGTLVTVSSASTK(配列番号31)として記載されている。
【0729】
なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。なお更なる態様では、軽鎖フレームワーク配列のうちの1つ以上は、配列番号15、16、17、及び18として記載される。なお更なる態様では、抗体は、ヒト又はマウスの定常領域を更に含む。なお更なる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選択される。なお更なる態様では、ヒト定常領域はIgG1である。なお更なる態様では、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3からなる群から選択される。なお更なる態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。なお更なる態様では、抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。なお更なる態様では、「エフェクターレスFc変異(effector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)に起因する。なお更なる例では、エフェクターなしのFc突然変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0730】
なお更なる事例では、以下の重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供される:
(a)重鎖配列は、以下の重鎖配列と少なくとも85%の配列同一性を有する:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTK(配列番号26)、又は
(b)軽鎖配列は、以下の軽鎖配列と少なくとも85%の配列同一性を有する:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号4)。
【0731】
いくつかの事例では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供され、軽鎖可変領域配列は、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。いくつかの事例では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供され、重鎖可変領域配列は、配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。いくつかの事例では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供され、軽鎖可変領域配列は、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、重鎖可変領域配列は、配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。いくつかの事例では、重鎖及び/又は軽鎖のN末端の1、2、3、4、又は5個のアミノ酸残基は、欠失、置換、又は修飾され得る。
【0732】
なお更なる事例では、以下の重鎖及び軽鎖配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供される:
(a)重鎖配列は、以下の重鎖配列と少なくとも85%の配列同一性を有する:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号32)、及び/又は
(b)軽鎖配列は、以下の軽鎖配列と少なくとも85%の配列同一性を有する:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号33)。
【0733】
いくつかの事例では、重鎖及び軽鎖配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供され、軽鎖配列は、配列番号33のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの事例では、重鎖及び軽鎖配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供され、重鎖配列は、配列番号32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの事例では、重鎖及び軽鎖配列を含む単離された抗PD-L1抗体が提供され、軽鎖配列は、配列番号33のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有し、重鎖配列は、配列番号32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0734】
いくつかの事例では、単離された抗PD-L1抗体は、アグリコシル化されている。抗体のグリコシル化は、典型的には、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型とは、炭水化物部分のアスパラギン残基の側鎖への結合を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素結合の認識配列である。したがって、ポリペプチド内でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合型グリコシル化とは、糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つのヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はトレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用され得る。抗体からのグリコシル化部位の除去は、(N結合型グリコシル化部位について)上述のトリペプチド配列のうちの1種が除去されるようにアミノ酸配列を改変することによって好都合に達成される。この改変は、グリコシル化部位内のアスパラギン、セリン、又はトレオニン残基の別のアミノ酸残基(例えば、グリシン、アラニン又は保存的置換)との置換によって行われ得る。
【0735】
本明細書の事例のいずれにおいても、単離された抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7.1に示されるようなヒトPD-L1、又はそのバリアントに結合することができる。
【0736】
上に列挙された実施形態のいずれかで使用するためのそのようなPD-L1アンタゴニスト抗体又は本明細書中に記載される他の抗体(例えば、PD-L1発現レベルの検出のための抗PD-L1抗体)は、下記のサブセクションFのセクション1~7に記載される特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて有し得ることが明確に意図される。
【0737】
2.A.例示的なPD-1結合アンタゴニスト
本明細書に記載されるか又は当技術分野で公知の任意の適切なPD-1結合アンタゴニストを使用することができる。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、そのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な一態様では、PD-1のリガンド結合パートナーは、PD-L1及び/又はPD-L2である。別の例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、その結合リガンドへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L1結合パートナーは、PD-1及び/又はB7-1である。別の例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2の、そのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合リガンドパートナーはPD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、又はオリゴペプチドであり得る。
【0738】
いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、例えば以下で記載されるような抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)である。いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペンブロリズマブ)、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、及びBGB-108からなる群から選択される。MDX-1106、別名MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558、又はニボルマブは、WO2006/121168に記載される抗PD-1抗体である。MK-3475、別名ペムブロリズマブ又はランブロリズマブは、国際公開第2009/114335号に記載されている抗PD-1抗体である。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPD-L1若しくはPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。AMP-224、別名B7-DCIgは、国際公開第2010/027827号及び国際公開第2011/066342号に記載されているPD-L2-Fc融合可溶性受容体である。
【0739】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、MDX-1106である。「MDX-1106」の別名としては、MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558、及びニボルマブが挙げられる。いくつかの事例では、抗PD-1抗体はニボルマブ(CAS登録番号:946414-94-4)である。なお更なる事例では、配列番号1からの重鎖可変領域アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号2からの軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む単離された抗PD-1抗体が提供される。なお更なる事例では、以下の重鎖及び/又は軽鎖配列を含む単離された抗PD-1抗体が提供される:
【0740】
(a)重鎖配列は、以下の重鎖配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する:QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号1)、及び
(b)軽鎖配列は、以下の軽鎖配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号2)。
【0741】
上に列挙された実施形態のいずれかで使用するためのそのようなPD-1アンタゴニスト抗体又は本明細書に記載される他の抗体(例えば、PD-1発現レベルの検出のための抗PD-1抗体)は、以下のサブセクションFのセクション1~7に記載される特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて有し得ることが明確に企図される。
【0742】
3.A.例示的なPD-L2結合アンタゴニスト
いくつかの事例では、PD-L1軸結合アンタゴニストはPD-L2結合アンタゴニストである。本明細書に記載されるか又は当技術分野で公知の任意の適切なPD-L2結合アンタゴニストを使用することができる。いくつかの事例では、PD-L2結合アンタゴニストは、抗PD-L2抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)である。いくつかの事例では、PD-L2結合拮抗薬は、イムノアドヘシンである。
【0743】
上に列挙された実施形態のいずれかで使用するためのそのようなPD-L 2アンタゴニスト抗体又は本明細書に記載される他の抗体(例えば、PD-L2発現レベルの検出のための抗PD-L2抗体)は、以下のサブセクションFのセクション1~7に記載される特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて有し得ることが明確に企図される。
【0744】
B.例示的なVEGFアンタゴニスト
VEGFアンタゴニストとしては、VEGFに結合するか、VEGF発現レベルを低減するか、又はVEGFの生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減、又は妨害し得る任意の分子が挙げられる。例示的なヒトVEGFは、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P15692、Gene ID(NCBI):7422として示される。
【0745】
任意の適切な抗VEGFアンタゴニスト抗体を使用することができる。いくつかの事例では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、「rhuMab VEGF」又は「AVASTIN(登録商標)」としても公知のベバシズマブである。ベバシズマブは、Presta et al.(Cancer Res.57:4593-4599,1997)に従って生成される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。ベバシズマブは、ヒトVEGFのその受容体への結合を遮断するマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1由来の変異ヒトIgG 1フレームワーク領域及び抗原結合相補性決定領域を含む。フレームワーク領域の大部分を含む、ベバシズマブのアミノ酸配列の約93%は、ヒトIgG1に由来し、配列の約7%は、マウス抗体A4.6.1に由来する。ベバシズマブは、分子量が約149,000ダルトンであり、グリコシル化されている。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、その開示全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる、米国特許第6,884,879号に更に記載される。追加の好ましい抗体としては、PCT出願公開の国際公開第2005/012359号に記載されているG6又はB20シリーズ抗体(例えば、G6-31、B20-4.1)が挙げられる。追加の好ましい抗体については、米国特許第7,060,269号、同第6,582,959号、同第6,703,020号、同第6,054,297号、国際公開第98/45332号、国際公開第96/30046号、国際公開第94/10202号、欧州特許第0666868号B1、米国特許出願公開第2006009360号、同第20050186208号、同第20030206899号、同第20030190317号、同第20030203409号、及び同第20050112126号、並びにPopkov et al.(Journal of Immunological Methods 288:149-164,2004)を参照されたい。他の好ましい抗体としては、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、191、K101、E103、及びC104を含むか、又はあるいは残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、183、及びQ89を含む、ヒトVEGF上の機能的エピトープに結合する抗体が挙げられる。
【0746】
他の事例では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGFR2抗体又は関連する分子(例えば、ラムシルマブ、タニビルマブ、アフリベルセプト)、抗VEGFR1抗体又は関連する分子(例えば、イクルクマブ、アフリベルセプト(VEGF Trap-Eye、EYLEA(登録商標))、又はジブ-アフリベルセプト(VEGF Trap、ZALTRAP(登録商標)))、二重特異性VEGF抗体(例えば、MP-0250、バヌシズマブ(VEGF-ANG2)、又はUS2001/0236388に開示されている二重特異性抗体)、抗VEGFアーム、抗VEGFR1アーム、及び抗VEGFR2アームのうちの2つの組み合わせを含む二重特異性抗体、抗VEGFA抗体(例えば、ベバシズマブ、セバシズマブ)、抗VEGFB抗体、抗VEGFC抗体(例えば、VGX-100)、抗VEGFD抗体、又は非ペプチド低分子VEGFアンタゴニスト(例えば、パゾパニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、スチバーガ、カボザンチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、テラチニブ、ドビチニブ、セジラニブ、モテサニブ、スルファチニブ、アパチニブ、フォレチニブ、ファミチニブ、又はチボザニブ)である。
【0747】
上に列挙した実施形態のいずれかで使用するためのそのようなVEGFアンタゴニスト抗体又は本明細書に記載される他の抗体(例えば、VEGF発現レベルを検出するための抗VEGF抗体)は、以下のサブセクションFのセクション1~7に記載される特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて有し得ることが明確に企図される。
【0748】
C.他のIL8アンタゴニスト
IL8アンタゴニストには、IL8と結合し、IL8発現レベルを低下させ、又はIL8生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑止、低下、若しくは妨害することができる任意の分子が含まれる。例示的なヒトIL8は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P10145で示されている。
【0749】
任意の適切なIL8軸結合アンタゴニストが使用され得る。いくつかの事例では、IL8アンタゴニストは抗IL8抗体である。例示的な非限定的な抗IL8抗体としては、HuMax-IL8(別名、BMS-986253)が挙げられる。いくつかの事例では、IL8阻害剤は、小分子IL8阻害剤である。例示的な非限定的な小分子IL8阻害剤としては、レパリキシンが挙げられる(例えば、Leitner et al.Int.J.Immunopathol.Pharmacol.20(1):25-36,2007)。
【0750】
D.例示的なIL1Bアンタゴニスト
IL1Bアンタゴニストには、IL1Bに結合し、IL1B発現レベルを低下させ、又はIL1B生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑止、低下、若しくは干渉することができる任意の分子が含まれる。例示的なヒトPD-1は、UniProtKB/Swiss-Prot受入託番号P01584に示される。
【0751】
任意の適切なIL1B軸結合アンタゴニストが使用され得る。いくつかの事例では、IL1Bアンタゴニストは、抗IL1B抗体である。例示的な非限定的な抗IL1B抗体としては、カナキヌマブ、ゲボキズマブ、LY2189102、XOMA052及び2H(例えば、Goh et al.MAbs 6(3):764-772,2014を参照)が挙げられる。他の事例では、IL1Bアンタゴニストは小分子IL1B阻害剤(例えば、IL1B放出を阻害する小分子、例えば、カスパーゼ1阻害剤(例えば、プラルナカサン(VX-740)及びVX-765))である。例示的なIL1Bアンタゴニストは、例えば、Dinarello et al.Nat.Rev.Drug Discov.11(8):633-652,2012に記載されている。
【0752】
E.例示的なIL1Rアンタゴニスト
IL1Rアンタゴニストには、IL1Rに結合し、IL1R発現レベルを低下させ、又はIL1R生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減若しくは干渉することができる任意の分子が含まれる。例示的なヒトIL1R、1型は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P14778に示されている。例示的なヒトIL1R、2型は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P27930に示されている。
【0753】
任意の適切なIL1R軸結合アンタゴニストが使用され得る。いくつかの事例ではIL1Rアンタゴニストは、抗IL1R抗体である。例示的な非限定的な抗IL1R抗体としては、AMG108が挙げられる。他の事例では、IL1Rアンタゴニストは、組換えIL-1RAタンパク質又はその操作されたバージョン、例えばアナキンラ(KINERET(登録商標))である。更に他の事例では、IL1Rアンタゴニストは、可溶性デコイ受容体、例えば、リロナセプト(ARCALYST(登録商標))であり、これは、ヒトIL1Rの細胞外部分のリガンド結合ドメイン(IL1R1)及びヒトIgG1のFc領域にインラインで連結されたIL1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAcP)を含む二量体融合タンパク質である。他の事例では、IL1Bアンタゴニストは小分子IL1B阻害剤である。例示的なIL1Rアンタゴニストは、例えば、Dinarello et al.Nat.Rev.Drug Discov.11(8):633-652,2012に記載されている。
【0754】
F.抗体
抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体及び抗IL1R抗体)が本明細書で提供される。なお更なる事例では、本明細書に記載の抗体のうちのいずれかをコードする単離核酸が提供される。いくつかの事例では、核酸は、本明細書に記載される抗PD-L1抗体のいずれかをコードする核酸の発現に適切なベクターを更に含む。なお更なる特定の態様では、ベクターは、核酸の発現に適した宿主細胞内にある。なお更なる特定の態様では、宿主細胞は真核細胞又は原核細胞である。なお更なる特定の態様では、真核細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の哺乳動物細胞である。
【0755】
抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野において既知の方法を使用して、例えば発現に適した形態の先述の抗PD-L1抗体又は抗原結合断片のいずれかをコードする核酸を含む宿主細胞を、そのような抗体又は断片を生成するために適した条件下で培養すること、及び抗体又は断片を回収することを含むプロセスにより、作製することができる。
【0756】
上に列挙した事例のいずれかで使用するためのそのような抗体(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体及び抗PD-L2抗体)、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体、抗IL1R抗体、又は本明細書に記載される他の抗体は、以下のセクション1~7に記載される特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて有し得ることが明確に企図される。
【0757】
1.抗体親和性
特定の事例では、本明細書中に提供される抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。
【0758】
1つの事例では、Kdは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一例では、RIAは、目的の抗体及びその抗原のFabバージョンを用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の滴定系の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原によりFabを平衡化し、次いで、結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することにより測定する(例えばChen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2~5時間、室温(およそ23℃)でブロッキングする。非吸着性プレート(Nunc番号269620)中、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、目的のFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評定と一貫する)。次いで、関心のあるFabを一晩インキュベートする;しかしながら、平衡に達することを達するために、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次いで、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(MICROSCINT-20(商標);Packard)を添加し、プレートを10分間TOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)で計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
【0759】
別の事例によると、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を使用するアッセイは、約10の応答ユニット(RU)で固定化抗原CM5チップを用いて25℃で実施される。1つの事例では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE(登録商標),Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化される。抗原を10mM酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mL(約0.2μM)に希釈した後、5μl/分の流量で注入し、結合タンパク質のおよそ10応答単位(RU)を達成する。抗原のインジェクション後、1Mのエタノールアミンをインジェクトして、未反応基をブロックする。動態測定のために、Fab(0.78nM~500nM)の2倍段階希釈物が、25℃で、およそ25μL/分の流速で、0.05%のポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤(PBST)を含むPBSに注入される。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して、会合及び解離センサーグラムを同時にフィッティングすることによって、計算する。平衡解離定数(Kd)は、kオフ/kオン比として算出される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。上記表面プラズモン共鳴アッセイによるオンレートが106M-1s-1を超える場合、オンレートは、ストップトフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)、又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計で測定される場合に、増加する抗原濃度の存在下で、25℃で、PBS中20nMの抗抗原抗体(Fab型)(pH7.2)の蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、16nm帯域通過)の増加又は減少を測定する蛍光消光技法を使用して決定することができる。
【0760】
2.抗体断片
特定の事例では、本明細書に提供される抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)は、抗体断片である。抗体断片としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、及び以下に記載する他の断片が挙げられるがこれらに限定されない。特定の抗体断片の総説としては、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の参照には、例えばPluckthuen,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい;また、国際公開第93/16185号を参照されたい;及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を構成し、かつin vivo半減期を増加させたFab及びF(ab’)2断片の議論については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0761】
ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003);and Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)においても説明されている。
【0762】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て又は一部又は軽鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体断片である。特定の事例では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、マサチューセッツ州ウォルサム、例えば米国特許第6,248,516号B1を参照)。
【0763】
抗体断片は、本明細書に記載されるように、組み換え宿主細胞(例えばE.coli又はファージ)による、インタクトな抗体のタンパク分解、及び産生を含むがこれらに限定されない各種技術により製造可能である。
【0764】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
特定の事例では、本明細書に提供される抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類に由来する可変領域)とヒト定常領域を含む。更なる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0765】
特定の事例では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減する一方で、親非ヒト抗体の特異性及び親和性は保持するようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体由来であり、かつFR(又はその一部)がヒト抗体配列由来である1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部を含む。いくつかの事例では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を復元又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0766】
ヒト化された抗体及びその作製方法については、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)で総説され、更に以下に記載されている:Riechmannら.,Nature332:323-329(1988);Queen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフトを記載する);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(リサーフェシングを記載する);Dall’Acquaら,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャッフリング」を記載;及びOsbournら,Methods36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフルの「ガイド付き選択アプローチを記載する)。
【0767】
ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:「ベストフィット」法を用いて選択されたフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照);軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい);並びにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照)。
【0768】
4.ヒト抗体
特定の事例では、本明細書に提供される抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で公知の様々な技法を使用して作製され得る。ヒト抗体は一般的に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0769】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製することができる。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わるか、又は染色体外に存在するか、又は動物の染色体にランダムに組み込まれるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有する。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。例えば、XENOMOUSE(商標)技術について記載した米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号;HUMAB(登録商標)技術について記載した米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術について記載した米国特許第7,041,870号;並びにVELOCIMOUSE(登録商標)技術について記載した米国特許出願公開第2007/0061900号もまた参照されたい。そのような動物によって生成されるインタクトな抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって更に改変されてもよい。
【0770】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によっても作製することができる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。更なる方法は、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載する)を含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)にも記載されている。
【0771】
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても作製され得る。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0772】
5.ライブラリ由来の抗体
本発明の抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)は、所望の1つ以上の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野で知られている。そのような方法については、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)で概説し、McCafferty et al.,Nature 348:552-554;Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)に更に記載されている。
【0773】
特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリ中でランダムに再結合され、次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されているように抗原結合ファージのスクリーニングを行うことができる。ファージは、典型的には、抗体断片を一本鎖Fv(scFv)断片又はFab断片のいずれかとしてディスプレイする。免疫源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。代替的に、ナイーブレパートリは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)によって記載されているように、免疫化を行わずに、広範囲の非自己抗原及びまた自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローン化することができる。最後に、ナイーブライブラリは、幹細胞から再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダムな配列を含むPCRプライマーを使用して、非常に可変的なCDR3領域をコードし、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載されているように、in vitroで再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載する特許公報としては、例えば:米国特許第5,750,373号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0774】
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体断片とみなされる。
【0775】
6.多重特異性抗体
上記態様のいずれか1つにおいて、本明細書において提供する抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体であり得る。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の事例では、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
【0776】
多重特異性抗体を作製する技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983)、国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照)、及び「ノブ・イントゥ・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、静電的ステアリング効果を操作して抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製すること(例えば、国際公開第2009/089004号A1を参照)、2つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.,Science 229:81(1985)を参照)、ロイシンジッパを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.148(5):1547-1553(1992)を参照)、二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照)、及び一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.152:5368(1994)を参照、及び、例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載されるような三重特異性抗体を調製することによって作製されてもよい。
【0777】
「オクトパス抗体」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も、本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号A1を参照されたい)。
【0778】
本明細書の抗体又は断片には、PD-L1並びに別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用Fab」又は「DAF」も含まれる。
【0779】
7.抗体バリアント
特定の事例では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列バリアント(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)が意図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせにより、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望される特徴、例えば、抗原結合を保有することを条件とする。
【0780】
I.置換、挿入、及び欠失バリアント
特定の事例では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換による突然変異誘発に関して目的の部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表8において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表8において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下に更に記載される通りである。アミノ酸置換は、目的の抗体中に導入され得、その産物は、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善された抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)若しくは補体依存性細胞傷害(CDC)についてスクリーニングされ得る。
【表8】
【0781】
アミノ酸は共通の側鎖特性に従ってグループ化することができる。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0782】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うであろう。
【0783】
一種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基の置換を伴う。一般に、更なる研究のために選択される得られたバリアント(複数可)は、親抗体と比べて、特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加及び/又は免疫原性の低減)における修飾(例えば、改善)を有し、かつ/又は実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有することになる。例示的な置換型バリアントは、例えば、本明細書に記載の技術等のファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を使用して簡便に生成され得る親和性成熟抗体である。要するに、1つ以上のHVR残基が変異され、バリアント抗体がファージにディスプレイされ、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0784】
変更(例えば、置換)は、抗体親和性を改善するために、例えば、HVRにおいて行われてもよい。そのような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照)、及び/又は抗原と接触する残基内で行われ得、結果として得られるバリアントVH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリを構築し、それから再選択することによる親和性成熟が、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの事例では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。その後、このライブラリがスクリーニングされて、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを同定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)をランダム化する、HVR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発又はモデリングを使用して、特異的に同定され得る。特にCDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
【0785】
特定の事例では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVR中で行われてよい。このような改変は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であってもよい。上述のバリアントVH及びVL配列の特定の事例では、各HVRは、改変されていないか、又は1つ、2つ、又は3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
【0786】
変異導入の標的となり得る抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されているように「アラニンスキャニング変異導入」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は標的残基群(例えば、荷電残基、例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu)が同定され、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置き換えられる。更なる置換が、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。あるいは、又は加えて、抗体と抗原との間の接点を同定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされるか又は除去されてもよい。バリアントを、所望の特性を有するか否かを決定するためにスクリーニングしてもよい。
【0787】
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントとしては、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPTのための)又はポリペプチドへの抗体のN末端又はC末端の融合が挙げられる。
【0788】
II.グリコシル化バリアント
特定の事例では、本明細書に提供される抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)は、その抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように変更され得る。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作り出されるか、又は除去されるようにアミノ酸配列を改変させることにより好都合に達成され得る。
【0789】
抗体がFc領域を含む場合、それに付着した炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞によって産生された天然型抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に付着される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに付着したフコースが含まれ得る。いくつかの事例では、特定の特性が改善された抗体バリアントを作製するために、本発明の抗体中におけるオリゴ糖の修飾が行われ得る。
【0790】
1つの事例では、Fc領域に結合した(直接的に又は間接的に)フコースを欠く炭水化物構造を有する抗体バリアントが提供される。例えば、そのような抗体内のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%又は20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI-TOF質量分析法によって測定されたように、Asn297(例えば、複合体構造、ハイブリッド構造、及び高マンノース構造)に付着した全ての糖鎖構造の合計に対するAsn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域の約297位に位置するアスパラギン残基を指す(Fc領域残基のEUナンバリング);ただし、Asn297はまた、抗体のマイナーな配列変化のために、位置297の上流又は下流、すなわち位置294と300の間の約±3個のアミノ酸に位置していてもよい。このようなフコシル化バリアントは、ADCCの機能を改善している可能性がある。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号及び同第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」又は「フコース欠乏」抗体バリアントに関する刊行物の例としては:米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;同第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;同第2002/0164328号;同第2004/0093621号;同第2004/0132140号;同第2004/0110704号;同第2004/0110282号;同第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;同第2003/084570号;同第2005/035586号;同第2005/035778号;同第2005/053742号;同第2002/031140号;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を生成可能な細胞株の例としては、タンパク質フコシル化で欠失したLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108A1号;及び国際公開第2004/056312A1号,Adamsら、特に実施例11)、並びにα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞等のノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006;及び国際公開第2003/085107号)が挙げられる。
【0791】
二分されたオリゴ糖を有する抗体バリアントが更に提供され、該抗体バリアントでは、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖が、GlcNAcによって二分されている。そのような抗体バリアントは、低減されたフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有し得る。このような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第2003/011878号、米国特許第6,602,684号、及び米国特許出願公開第2005/0123546号に記載されている。Fc領域に付着したオリゴ糖の少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体バリアントも提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。このような抗体バリアントは、例えば、国際公開第1997/30087号、同第1998/58964号、及び同第1999/22764号に記載されている。
【0792】
III.Fc領域バリアント
特定の事例では、1つ以上のアミノ酸修飾を、本明細書に提供される抗体のFc領域に導入することができ(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)、それにより、Fc領域バリアントが生成される。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0793】
特定の事例では、本開示は、全てではないが一部のエフェクター機能を有し、それによりin vivoでの抗体の半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(例えば、補体及びADCC等)が不要又は有害である用途にとって望ましい候補となる、抗体バリアントを企図する。CDC及び/又はADCC活性の低下/消失を確認するために、in vitro及び/又はin vivoの細胞毒性アッセイを実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、ADCC活性を欠く可能性がある)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCの媒介のための主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁、表3に要約されている。対象の分子のADCC活性を評定するためのin vitroアッセイの非限定的例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)を参照)、及びHellstrom,I et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985);米国特許第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法が用いられ得る(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA;及びCYTOTOX 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照))。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、又は更に、対象の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されているように、動物モデルにおいて in vivoで評定することができる。また、抗体がC1qに結合することができず、CDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号における、C1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評定するために、CDCアッセイを実施してもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg et al.,Blood.101:1045-1052(2003);及びCragg et al.,Blood.103:2738-2743(2004)を参照)。FcRn結合及びin vivo クリアランス/半減期決定も、当該技術分野で既知の方法を使用して行われ得る(例えば、Petkova et al.Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照)。
【0794】
エフェクター機能が低下した抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329の1つ以上が置換されたものが含まれる(米国特許第6,737,056号及び同第8,219,149号)。そのようなFc変異体としては、アミノ酸位置265、269、270、297及び327の2つ以上が置換されたFc変異体が挙げられ、残基265及び297をアラニンに置換した、いわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号及び同第8,219,149号)を含む。
【0795】
FcRへの結合が改善又は減少した特定の抗体バリアントが記載される。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
【0796】
特定の事例では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFc領域を含む。
【0797】
いくつかの事例では、例えば米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(すなわち向上又は低下のいずれか)をもたらすFc領域内で変化が起こる。
【0798】
半減期が増加し、母体IgGを胎児に移入する役割を果たす新生児型Fc受容体(FcRn)(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))への結合が向上した抗体が、米国特許出願公開第2005/0014934号A1(Hinton et al.)に記載されている。それらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。このようなFcバリアントとしては、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するバリアントを含む(米国特許第7,371,826号)。
【0799】
Fc領域のバリアントの他の例に関して、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0800】
IV.システイン操作抗体バリアント
特定の事例では、システイン改変抗体、例えば抗体の1つ以上の残基がシステイン残基により置換されている「thioMAb」を作製するのが望ましい場合がある。特定の事例では、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基が抗体の接近可能部位に配置され、それは、本明細書で更に説明するように、例えば薬物部分又はリンカー-薬物部分等の他の部分に抗体をコンジュゲートさせて免疫コンジュゲートを作製するために使用され得る。特定の事例では、以下の残基のうちの任意の1つ以上を、システインで置換することができる:軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成され得る。
【0801】
V.抗体誘導体
特定の事例では、本明細書に提供される抗体は、当該技術分野で既知であり、容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含有するように更に修飾され得る。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐していても、分岐していなくてもよい。抗体に付着するポリマーの数は変化し得て、1つを超えるポリマーが付着する場合、ポリマーは、同じ分子であってもよく、又は異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又は種類は、限定するものではないが、改良される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義される条件下で治療に使用されるかどうか等を含む考慮事項に基づいて決定することができる。
【0802】
別の例では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。一例では、非タンパク質性部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長であってもよく、通常の細胞に害を与えないが、抗体非保護性部位に近位の細胞が死滅する温度まで非保護性部位を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
【0803】
VI.免疫コンジュゲート
本発明はまた、化学療法剤若しくは薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素的に活性な毒素、又はその断片)、又は放射性同位元素等の1つ以上の細胞傷害剤にコンジュゲートされた本明細書で提供される抗体(例えば、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗VEGF抗体、抗IL8抗体、抗IL1B抗体又は抗IL1R抗体)を含む免疫コンジュゲートを提供する。
【0804】
1つの事例では、イムノコンジュゲートは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であり、抗体が、これらに限定されるわけではないが、マイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号、及び欧州特許第0425235B1号を参照);モノメチルオーリスタチン薬剤部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)等のオーリスタチン(米国特許第5,635,483号、同第5,780,588号、及び同第7,498,298号を参照);ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号;Hinman et al.,Cancer Res.53:3336-3342(1993);ならびLode et al.,Cancer Res.58:2925-2928(1998)を参照);ダウノマイシン及びドキソルビシン等のアントラサイクリン(例えばKratz et al.,Current Med.Chem.13:477-523(2006);Jeffrey et al.,Bioorganic&Med.Chem.Letters 16:358-362(2006);Torgov et al.,Bioconj.Chem.16:717-721(2005);Nagy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829-834(2000);Dubowchik et al.,Bioorg.&Med.Chem.Letters 12:1529-1532(2002);King et al.,J.Med.Chem.45:4336-4343(2002);及び米国特許第6,630,579号を参照);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセル等のタキサン;トリコテセン;並びにCC1065を含む1つ以上の薬剤に結合している。
【0805】
別の事例では、イムノコンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンシンタンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリス(Saponaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含むがこれらに限定されない酵素活性毒素又はその断片にコンジュゲートされた、本明細書に記載される抗体を含む。
【0806】
別の事例では、免疫コンジュゲートは、放射性原子に複合され、放射性コンジュゲートを形成する、本明細書に記載される抗体を含む。放射性コンジュゲートの生成には、様々な放射性同位体が利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位元素が挙げられる。放射性物質が検出のために使用される場合、それは、シンチグラフィ研究のための放射性原子、例えばtc99m又はI123、又は核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)イメージング(別名、磁気共鳴イメージング、MRI)のためのスピンラベル、例えば再びヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含んでいてもよい。
【0807】
抗体と細胞毒性剤とのコンジュゲートは、例えば、各種の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製することができる:N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCl等)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジル等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビスアジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネート等)、及び二活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)。例えば、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されているように、リシン免疫トキシンを調製することができる。炭素14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、抗体にラジヌクレオチドを共役させるための例示的なキレート剤である。国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内での細胞傷害性薬物の放出を促進する「開裂性リンカー」であってもよい。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカー、又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992);米国特許第5,208,020号)を使用してもよい。
【0808】
本明細書における免疫コンジュゲート又はADCは明確に、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホEMCS、スルホGMBS、スルホKMUS、スルホMBS、スルホSIAB、スルホSMCC、スルホSMPB、及び市販の(例えばPierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aから)SVSB(サクシニミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含む架橋剤により調製したコンジュゲートを企図するが、これらに限定されない。
【0809】
D.医薬製剤
本明細書で提供される治療剤(複数可)(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗PD-1抗体)、VEGFアンタゴニスト、IL8アンタゴニスト、IL1Bアンタゴニスト、IL1Rアンタゴニスト、又は任意の他の抗がん治療剤)の治療製剤は、所望の純度を有する治療剤(複数可)を、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態の任意の薬学的に許容され得る担体、賦形剤、又は安定剤と混合することによって、貯蔵用に調製される。製剤に関する一般的な情報については、例えば、Gilman et al.(eds.)The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th Ed.,Pergamon Press,1990;A.Gennaro(ed.),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.,Pennsylvania,1990;Avis et al.(eds.)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York,1993;Lieberman et al.(eds.)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker,New York,1990;Lieberman et al.(eds.),Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker,New York,1990;及びWalters(ed.)Dermatological and Transdermal Formulations(Drugs and the Pharmaceutical Sciences),Vol 119,Marcel Dekker,2002を参照されたい。
【0810】
許容され得る担体、賦形剤、又は安定剤は、レシピエントに対し、用いられる投薬量及び濃度で非毒性であり、これらには、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸等の緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤、防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール、メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾール等)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等)、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン等)、単糖、二糖、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む)、EDTA等のキレート剤、糖(スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール等)、ナトリウム等の塩形成対イオン、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、並びに/又は非イオン性界面活性剤(TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)等)が挙げられる。
【0811】
本明細書の製剤はまた、2つ以上の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものも含有し得る。かかる医薬品の型及び有効量は、例えば製剤中に存在するアンタゴニストの量及び型、並びに対象の臨床的パラメータに依存する。
【0812】
活性成分はまた、例えばコアセルベーション技法又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタチレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)中に、又はマクロ乳濁液中に取り込まれても良い。そのような技術が、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0813】
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性製剤の適切な例としては、アンタゴニストを含有する固体の疎水性ポリマーの半透過性マトリクスが挙げられ、該マトリクスは、成型品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態にある。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγ-L-グルタミン酸エチルとのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)等の分解性の乳酸-グリコール酸コポリマー(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)、並びにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0814】
in vivo投与のために使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成される。
【0815】
上記の製品のうちのいずれも、PD-L1軸結合アンタゴニストの代わりに又はそれに加えて本明細書に記載される免疫コンジュゲートを含み得ることを理解されたい。
【0816】
V.キット及び製品
疾患又は障害(例えば、がん(UC及びRCCを含む))を有する個体由来の試料中のバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の存在を決定するための1つ以上の試薬を備えるキットが本明細書で提供される。いくつかの事例では、試料中にバイオマーカーが存在しないこと、又は基準レベルと比較してバイオマーカーの発現レベルが低下していることは、疾患を有する個体をPD-L1軸結合アンタゴニストで治療した場合の有効性の可能性がより高いことを示す。いくつかの事例では、試料中のバイオマーカーの存在、又は基準レベルと比較したバイオマーカーの発現レベルの上昇は、個体をPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法で治療した場合の有効性の可能性が低いことを示す。任意に、キットは、疾患又は障害(例えば、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC)))を治療するための医薬(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)若しくはPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体)、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の若しくはPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法)を選択するためにキットを使用するための説明書を更に備え得る。
【0817】
本明細書では、薬学的に許容され得る担体中のPD-L1軸結合アンタゴニストと、PD-L1軸結合アンタゴニストがバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の発現に基づいて疾患又は障害(例えば、がん)を有する患者を治療するためのものであることを示す添付文書とを含む、一緒に包装された製品も提供される。また、本明細書では、薬学的に許容され得る担体中のPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法と、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えた抗がん療法がバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の発現に基づいて疾患又は障害(例えば、がん)を有する患者を治療するためのものであることを示す添付文書とを含む、一緒に包装された製品も提供される。治療方法には、本明細書に開示される治療方法のいずれかが含まれる。本開示はまた、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む医薬組成物、又はPD-L1軸結合アンタゴニスト以外の若しくはPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて抗がん療法を含む医薬組成物と、医薬組成物がバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えば、IL8)の発現に基づいて疾患又は障害を有する患者を治療するためのものであることを示す添付文書とをパッケージ中で組み合わせることを含む、製品を製造する方法に関する。
【0818】
製品は、例えば、容器、及び容器上の又は容器に関連するラベル又は添付文書を含んでもよい。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ等が含まれる。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、がんの医薬品を活性薬剤として含む組成物を保持又は収容し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈用溶液袋又はバイアルであり得る)。
【0819】
製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸干渉食塩水、リンガー溶液、及び/又はデキストロース溶液等の薬学的に許容され得る希釈緩衝液を含む第2の容器を更に含んでもよい。製品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、及びシリンジを含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含んでもよい。
【0820】
本発明のキット又は製品はまた、組成物が本明細書のバイオマーカー(例えば、本明細書に記載されるバイオマーカー、例えば、表1~7のいずれか1つに示される1つ以上の遺伝子、例えばIL8)の発現レベルに基づいてがんを治療するために使用されることを示す情報を、例えば添付文書の形態で含む。添付文書又はラベルは、紙面、又は電子媒体上、例えば、磁気記録媒体(例えば、フロッピーディスク)、CD-ROM、汎用シリアルバス(USB)フラッシュドライブ、及び同様のもの等の任意の形態をとってもよい。ラベル又は添付文書はまた、キット又は製品中の薬学的組成物及び投与剤形に関する他の情報も含み得る。
【0821】
一例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療から利益を得ることができるがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定するためのキットであって、該キットは、(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に提供される方法のいずれか1つに従ってPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがんを有する個体を同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0822】
別の態様では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法による治療から利益を得ることができるがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定するためのキットであって、該キットは、(a)IL8の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に提供される方法のいずれか1つに従ってPD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定し、それにより、個体を、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療から利益を得ることができる個体として同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0823】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療から利益を得ることができるがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定するためのキットであって、該キットは、(a)表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に提供される方法のいずれか1つに従ってPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがんを有する個体を同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0824】
更に別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法による治療から利益を得ることができるがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定するためのキットであって、該キットは、(a)表2~4のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に提供される方法のいずれか1つに従ってPD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定し、それにより、個体を、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療から利益を得ることができる個体として同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0825】
更なる例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))を含む抗がん療法による治療から利益を得ることができるがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定するためのキットであって、該キットは、(a)表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に提供される方法のいずれか1つに従ってPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いがんを有する個体を同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0826】
別の例では、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法による治療から利益を得ることができるがん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を同定するためのキットであって、該キットは、(a)表5~7のいずれか1つに記載の1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定するための試薬と、任意に、(b)本明細書に提供される方法のいずれか1つに従ってPD-L1結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法による治療に応答する可能性が低いがんを有する個体を同定し、それにより、個体を、PD-L1結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1結合アンタゴニストに加えた抗がん療法による治療から利益を得ることができる個体として同定するために試薬を使用することに関する説明書を備える。
【0827】
別の態様では、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するためのキットであって、該キットは、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))と、任意に、(b)本明細書に提供される方法のいずれか1つに従ってPD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法に応答する可能性があると同定されたがんを有する個体にPD-L1軸結合アンタゴニストを投与するための説明書を備える。
【0828】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、膀胱がん(例えば、UC)又は腎臓がん(例えば、RCC))を有する個体を治療するためのキットであって、該キットは、(a)PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1抗体)又はPD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体))以外の又はそれに加えた抗がん療法;及び任意に、(b)本明細書に提供される方法のいずれか1つに従ってPD-L1軸結合アンタゴニスト単剤療法を含む抗がん療法に応答する可能性が低いと同定されたがんを有する個体に、PD-L1軸結合アンタゴニスト以外の又はPD-L1軸結合アンタゴニストに加えて、抗がん療法を投与するための説明書を備える。
【実施例】
【0829】
以下の実施例は、本明細書で特許請求される発明を例示するために提供されるのであって、限定するものではない。
【0830】
実施例1:全身性及び腫瘍関連IL8は、PD-L1チェックポイント阻害に対する臨床的有用性の欠如と相関する
CXCL8としても公知のインターロイキン8(IL8)は、好中球及び骨髄性白血球の化学誘引因子として作用し、好中球の脱顆粒を誘導する炎症誘発性多機能システイン-X-システイン(CXC)ケモカインである。IL8及びチェックポイント阻害に対する臨床転帰(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療)との関連は、無作為化試験において包括的に評価されていない。更に、免疫チェックポイント阻害剤に対する耐性に影響を及ぼすIL8の供給源及び根底にある生物学は依然として不明である。この研究では、転移性尿路上皮癌腫(mUC)及び転移性腎細胞癌腫(mRCC)を有する1581人の患者を代表する複数の無作為化治験から、アテゾリズマブ(抗PD-L1モノクローナル抗体(mAb))で治療された患者の血漿中の循環IL8タンパク質及び末梢血単核細胞(PBMC)及び腫瘍中のIL8遺伝子発現を含むIL8発現を分析した。
【0831】
A.結果
本発明者らは、mUC及びmRCCにおけるPD-L1ブロッキングモノクローナル抗体アテゾリズマブの臨床活性を評価した大規模臨床研究において、血漿、PBMC及び腫瘍内IL8発現と臨床転帰との関連を調査した(
図1)。IMvigor210(NCT02108652)は、2つのコホート:事前の白金ベースの化学療法後に疾患が進行した局所進行性又は転移性尿路上皮癌腫を有するコホート2の登録患者(n=254)と、一方、転移状況において治療歴のない、シスプラチン不適格であると考えられるコホート1(n=91)の登録患者とを含むmUCにおける単群第II相研究であった。IMvigor211は、事前の白金治療患者を化学療法(タキサン又はビンフルニン)又はアテゾリズマブのいずれかで治療した無作為化第3相mUC試験(NCT02302807)(n=1068)であった。IMmotion150(NCT01984242)は、無作為化された第II相試験であり、未治療のmRCC患者(n=248)において、抗血管新生標準治療チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるスニチニブに対するベバシズマブ(抗VEGF mAb)を伴う又は伴わないアテゾリズマブの臨床活性を調査した。高レベル及び低レベルの血漿IL8の群間のバイオマーカー評価可能患者の人口統計学及びベースライン特性を
図2及び3に示す。本発明者らは、臨床転帰との関連について多変量解析を行い、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス、肝転移の存在、及びmUCの腫瘍量(最長直径の合計、SLD);並びにメモリアル・スローン・ケタリングがんリスク(MSKCC)予後リスクスコア、以前の腎摘出術、及びmRCCデータセットにおけるSLDについて調整した。
【0832】
高いベースライン血漿IL8(カットオフ中央値)は、IMvigor 210コホート2において、より悪い全生存期間(OS)(ハザード比(HR)=1.90、95%CI:1.31、2.74、P<0.0001)及び客観的奏効率(ORR)(
図4A及び4B)と有意に関連していた。高血漿IL8は、多変量解析(MVA)時に不良OSと有意に関連したままであり、血漿IL8と不良OSとの関連は臨床的予後因子とは無関係であることを示唆している。コホート2と同様に、IMvigor 210コホート1のmUC患者では、高血漿IL8とより悪いOS及びORRとの関連も観察された(
図5A及び5B)。
【0833】
血漿IL8は、好中球対リンパ球比(NLR)と中程度の相関を有していた(
図6A及び6B)。血漿IL8は、腫瘍Tエフェクター(T
eff)遺伝子発現(T
effシグネチャは、CD8A、GZMA、GZMB、及びPRF1を含んでいた)又は腫瘍遺伝子変異量等の腫瘍免疫の存在が高いマーカーと相関しなかった(
図7A及び7B)。予想外にも、高血漿IL8は、チェックポイント阻害剤(CPI)に対する治療結果に悪影響を及ぼした。血漿IL8が上昇していた患者は、たとえ腫瘍がCPI(
図4C)に対する応答と広く関連する高いT
effシグネチャを有していたとしても、血漿IL8が低い患者と比較してより悪いOSを有していた(HR:1.71;95%CI:1.12、3.26、P=0.017)。
【0834】
上記の知見の堅牢性を確認するために、本発明者らは続いてIMvigor 211で血漿IL8を評価した。MVAは、高血漿IL8を有する患者がアテゾリズマブと化学療法群の両方で有意に悪いOSを有することを示し(
図4D)、高血漿IL8がmUCの予後予測であることを示した。しかしながら、低血漿IL8を有する患者では、アテゾリズマブは化学療法と比較してOSを改善した(HR:0.76、95%CI:0.61、0.84、P=0.01)(
図4D)。IMmotion 150研究では、高い血漿IL8レベルは、アテゾリズマブで治療された患者においてOSの減少と関連し(HR:2.55、95% CI:1.18、5.5、P=0.017)、アテゾリズマブ+ベバシズマブ(HR:1.25、95% CI:0.61、2.60、P=0.535)及びスニチニブ治療された(HR:1.48、95%CI:0.69、3.20、P=0.314)患者においてOSが悪化する傾向を示した(
図4E)。
【0835】
次に、本発明者らは、IMvigor 210及びIMvigor 211の試験におけるベースラインと比較して、治療中(アテゾリズマブ又は化学療法治療の6週間後)の血漿IL8レベルを評価した。IMvigor 210のコホート2(
図8A及び9A~9E)及びコホート1(
図9A~9E)の両方において、血漿IL8の治療中の減少は、有意に良好なOS(HR:0.48;95%CI:0.31、0.76、P<0.01)及びORRと関連していた。同様の傾向が、化学療法ではなくアテゾリズマブ(HR:0.49、95%CI:0.36;0.66、P<0.001)で治療された患者のIMvigor 211試験で観察され、血漿IL8の治療中の減少がアテゾリズマブに対するより良好な臨床転帰を予測したことを示唆した(
図8B)。
【0836】
本発明者らは、循環末梢血単核細胞(PBMC)の特定のサブセットにおけるIL8発現が有効性と関連しているかどうかを評価した。本発明者らは、IMvigor 210研究からの5人のレスポンダー及び5人の非レスポンダーからのPBMCの単一細胞RNA配列決定(scRNA-seq)を行った(
図10A及び11A~11F)。均一多様体近似及び投影(Uniform Manifold Approximation and Projection)(UMAP)は、系統特異的マーカー遺伝子をにより骨髄細胞及びリンパ細胞を同定した(
図10B)。リンパ系クラスターと比較して、IL8発現は単球様(クラスター0、1、3、4、13)及び巨核球(MK)クラスター(クラスター14)で高く、クラスター1(
図10C)で最も高い発現であった。IL8高骨髄性細胞とIL8低骨髄性細胞との間の差次的遺伝子発現分析により、IL8高細胞における骨髄性炎症遺伝子の濃縮が明らかにされた(
図10D及び12)。同時に、IL8低細胞と比較して、IL8高細胞におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子及びインターフェロンガンマ(IFNg)誘導遺伝子等の抗原提示機構に関連する遺伝子の下方制御があった(
図10D、12、13A、13B)。
【0837】
IL8産生骨髄細胞の割合並びに骨髄細胞上のIL8の相対的発現は、レスポンダーと比較して非レスポンダーにおいてより高かった(
図10E及び10F)。本発明者らは、PBMCにおけるIL8遺伝子発現の分析をIMvigor 210及びIMmotion 150の患者のコホート全体に拡張した。実際、NanoStringプラットフォームによる遺伝子発現分析は、PBMCにおける高いIL8遺伝子発現がIMvigor 210のmUC患者におけるより悪いOS(HR:1.36、95%CI:1.07、1.73、P=0.013)(
図10G)と有意に関連することを確認した。同様に、mRCC患者における高いPBMC IL8遺伝子発現はまた、アテゾリズマブ単独療法群(HR 2.52;95%CI、1.29、4.90、p=0.007)では悪化したPFSと関連していたが、アテゾリズマブ+ベバシズマブ又はスニチニブ群では関連していなかった(
図10H)。膀胱がんにおけるIL8高PBMCにおいてアップレギュレートされる遺伝子(例えば、局所進行性又は転移性尿路上皮癌腫)を表4に示す。膀胱がんにおけるIL8高PBMCにおいてダウンレギュレートされる遺伝子(例えば、局所進行性又は転移性尿路上皮癌腫)を表7に示す。表4又は表7に示す1つ以上の遺伝子の発現レベルを、IL8発現の代用として使用することができる。
【0838】
骨髄細胞は、腫瘍微小環境(TME)内で異なる表現型を獲得することができる。したがって、本発明者らは、4人のRCC患者から新鮮な腫瘍及び末梢血を入手し、腫瘍内及び一致したPBMCのscRNA-seqによる遺伝子発現プロファイルを評価した。UMAP視覚化は、リンパ系細胞及び骨髄系細胞が13個のサブセットに別々にクラスター化したことを示した(
図14A、
図15、
図16A、
図16B)。血液と比較して、腫瘍は骨髄細胞が豊富であり、B細胞及びT細胞サブセットが同時に減少した(
図14B)。mUC PBMCにおける本発明者らの観察と同様に、IL8発現は骨髄細胞に特異的であり、その発現は末梢血骨髄細胞と比較して腫瘍浸潤骨髄細胞において、特に腫瘍特異的骨髄細胞サブセットであるクラスター7において高かった(
図14B及び17)。IL8高対IL8低腫瘍内骨髄細胞の差次的遺伝子発現分析により、IL8高細胞における炎症性遺伝子(例えば、IL1B、PTGS2、IL1RN及びNLRP3)のより高い発現、及び他の遺伝子の中でも、抗原プロセシング及び提示に関与する遺伝子(例えば、HLA-DR5、HLA-DRB6、HLA-C及びB2M)の発現低下が明らかになった(
図14C及び18)。RCC患者由来の血液中のIL8高骨髄性集団対低骨髄性集団のscRNA-seq分析も同様の傾向を示し(
図14D及び19)、これはmUC患者におけるPBMC分析からの本発明者らの観察結果と一致していた。腎臓がん(例えば、RCC)におけるIL8高腫瘍においてアップレギュレートされる遺伝子を表3に示す。腎臓がん(例えば、RCC)におけるIL8高腫瘍においてダウンレギュレートされる遺伝子を表6に示す。表3又は表6に示す1つ以上の遺伝子の発現レベルを、IL8発現の代用として使用することができる。
【0839】
本発明者らは更に、mUC(IMvigor 210)及びmRCC(IMmotion 150)腫瘍におけるIL8遺伝子発現を調べ、IL8遺伝子発現の上昇が組織学的評定によるより高い好中球の存在と相関することを見出した(
図20)。アテゾリズマブで治療されたmRCCにおけるより悪いPFS(HR:、2.73、95%CI:1.49、5.0、p=0.0001、
図14E)及びmUC患者のより悪いOS(HR:1.34、95%CI:1.03、1.74、P=0.026、
図14F)に関連する腫瘍における高いIL8遺伝子発現。本発明者らはまた、T
eff高サブセットにおける臨床転帰に対するIL8発現の効果を評価し、高腫瘍IL8発現は、アテゾリズマブで治療された患者ではmRCCにおけるこれらの免疫浸潤腫瘍においてさえより悪いPFS(HR:4.33、95%CI:1.75、10.7、P=0.001、
図14G)及びmUCにおけるより悪いOS(HR:1.67、95%CI:1.12、2.49、P=0.011)(
図14H)と関連したままであったが、アテゾリズマブ+ベバシズマブ若しくはスニチニブで治療されたmRCC患者では関連しなかったことを見出した(
図14G)。
【0840】
要約すると、本発明者らのデータは、末梢及び腫瘍内IL8及び関連する骨髄性炎症がチェックポイント遮断に対する耐性を付与し得ることを示す。更に、IL8の発現は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法を含むCPI療法に対する治療応答の予測バイオマーカーとして使用することができる。特に、IL8発現が低い患者は、PD-L1軸結合アンタゴニストを含む抗がん療法による治療に応答する可能性が高いが、IL8発現が高い患者は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1軸結合アンタゴニストと1つ以上の追加の抗がん治療剤とを含む併用療法)以外の又はそれに加えて、抗がん療法による治療から利益を得ることができる。
【0841】
B.材料及び方法
1.臨床試料の収集
この分析のための試料は、IMvigor 210、すなわち転移性尿路上皮癌腫患者におけるアテゾリズマブを調査する単群第2相研究(NCT02951767、NCT02108652)、第3相mUC治験IMvigor211(NCT02302807)から収集され、患者を、第二選択又はそれ以上の治療として化学療法(タキサン又はビンフルニン又はアテゾリズマブのいずれかで治療した。腫瘍組織を、研究参加の2年前に全ての患者から採取した。RECIST v1.1を使用して、治療に対する応答を評定した。
【0842】
2.mRCC試料の取得
本発明者らの研究では、淡明細胞型腎癌腫と診断された5人の患者からの合計14個の試料(ccRCC)、5つの腫瘍並びに4つの一致した隣接する正常組織及び全血をscRNA分析に含めた。新鮮な残存腫瘍及び隣接する正常組織を、選択的治癒的切除時に収集した。
【0843】
3.腫瘍組織解離及び単一細胞RNAシーケンシング
RCCとして分類された腫瘍を有する治療歴のない患者からの外科的切除を調達し(Discovery Life Sciences、iSpecimen Inc、Avaden BioSciences及びTriMetis Life Sciences)、一晩かけて本発明者らの施設に輸送した。淡明細胞型腎癌腫(ccRCC)と診断された4人の患者からの合計8つの新鮮試料(4つの腫瘍及び4つの適合全血)を単一細胞RNA分析に含めた。到着した試料は、血液の後が目視により検出されなくなるまでPBSですすいだ。その後試料を、コラゲナーゼD(0.5mg/ml)とDNAse(0.1mg/ml)の組み合わせを用いて、15分以上37℃で穏やかに振盪しながら消化させた。その後試料をgentleMACS(商標)解離装置(Miltenyi Biotec)に供し、続いて更に10分間37°Cでインキュベートした。24時間以内に、ヒト腫瘍解離キット及びgentleMACS(商標)プロトコルを使用して組織を単一細胞懸濁液に処理した。組織の酵素的解離の後、細胞を抗CD45(Biolegend、カリフォルニア州サンディエゴ)で染色し、4種類のレーザー(405nm、488nm、561nm、638nm)を備えたBecton Dickinson FACSARIA(商標)セルソーターで蛍光活性化細胞ソーティング(FACS(登録商標)によってCD45+細胞を精製した。70psi及び90kHzで作動する70ミクロンのノズルを、各ソートセッションの設定として使用した。カルセインブルーAM+およびヨウ化プロピジウム-(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)に基づく単一生細胞のみを含むようにFACS(登録商標)ゲートを引き出した。
【0844】
RCC血液及び腫瘍から単離した生存CD45+細胞を、2000~4000細胞の細胞回収率を標的とする10XCHROMIUM(商標)単一細胞捕捉チップのウェルに負荷した。製造業者のプロトコル(10X Genomics)に従って、CHROMIUM(商標)Single Cell Controllerでエマルジョン中の単一-細胞ゲルビーズ(GEM)を作製し、CHROMIUM(商標)単一細胞5’ライブラリ及びGel Beadキットを使用してscRNA-seqライブラリを調製した。シーケンシングライブラリーを、以下のリード長:26bpリード1、8bp i7インデックス、0bp i5インデックス及び98bpリード2を使用したペア-エンドシーケンシングのために、高出力150サイクルキット(Illumina)を備えたILLUMINA(登録商標)NextSeq500に1.3pMでロードした。
【0845】
4.事前濃縮及びFACS(登録商標)ソーティング
組織の組織酵素解離に続いて、単一細胞懸濁液を、磁気ビーズ分離を使用する一回の生細胞又はCD45+濃縮に供し、続いてT細胞の同定のための抗CD45及び-CD3のカクテル、上皮細胞の除外のための抗EPCAM、及びソーティングゲートからの非T細胞の除外のための抗CD56、抗CD14、抗CD16、抗CD11b及び抗CD19による抗体染色に供した。細胞を、4つのレーザー(405nm、488nm、561nm、638nm)を備えたBecton Dickinson FACSAria(商標)セルソーターでの蛍光活性化セルソーティング(FACS(登録商標))により精製した。70psi及び90kHzで作動する70ミクロンのノズルを、各ソートセッションの設定として使用した。FACS(登録商標)ゲートを、カルセインBlue AM+およびヨウ化プロピジウム-(Thermo Fisher Scientific)に基づく生きた単一細胞のみを含むように引き出した。更なるゲートを、CD3+CD45+EpCAM又はCD45+EpCAM-細胞に到達するように設けた。
【0846】
5.単一細胞懸濁液の調製-10x Genomics CHROMIUM(商標)プラットフォームを使用したCHROMIUM(商標)単一細胞5’RNA-seq配列決定ライブラリーの調製
細胞懸濁液をCHROMIUM(商標)Single Cell Controller装置(10x Genomics)にロードして、エマルジョン中の単一細胞ゲルビーズ(GEM)を生成した。単一細胞RNA-Seqライブラリーを、Chromium Single Cell 5’Library&Gel Bead キット(パート番号(P/N)1000006及びP/N 220112、10x Genomics)を使用して調製した。96-Deep Well Reaction Module(Bio-Rad;P/N 1851197)を備えたC1000 TOUCHTMサーマルサイクラーでGEM-RTを実施した:53℃で45分間、85℃で5分間;4℃で保持、及び-20℃で保存。GEMをドライアイス上で10xGenomicsに輸送し、次いで、破壊し、一本鎖cDNAをDYNABEADS(登録商標)MyOne(商標)Silane Beads(Thermo Fisher Scientific;P/N 2000048)で精製した。バーコード化完全長cDNAを、96ディープウェル反応モジュールでC1000 TOUCH(商標)サーマルサイクラーを使用して増幅した:98℃で45秒間;133サイクル:98℃で20秒間、67℃で30秒間、及び72℃で1分間;72℃で1分間;4℃で保持。増幅したcDNA産物をSPRI select(登録商標)試薬キット(0.63SPRI;Beckman Coulter;P/N23318)で精製した。
【0847】
5’遺伝子発現を、CHROMIUM(商標)Single Cell 30/50 Library Constructionキット(P/N 1000020)中の試薬を用いて構築した。5’遺伝子発現ライブラリー構築について、これらの工程に従った:(1)断片化、末端修復及びAテイリング;(2)SPRIselect(登録商標)試薬による断片化後、最終修復及びA-テーリング浄化;(3)アダプターライゲーション;(4)SPRISelect(登録商標)試薬によるライゲーション後の浄化;(5)SPRIselect(登録商標)試薬による試料インデックスPCR両面浄化;(5)ライブラリ構築後の品質管理(QC)。
【0848】
濃縮されたライブラリ構築について、これらの工程に従った:(1)断片化、末端修復及びAテーリング;(2)アダプターライゲーション;(3)SPRIselect(登録商標)試薬によるライゲーション後の浄化;(4)試料インデックスPCR及び浄化。バーコード配列決定ライブラリーを定量PCR(ILLUMINA(登録商標)プラットフォーム用KAPA Biosystems Library定量キットP/N KK4824)によって定量した。
6.ソフトウェアCell Ranger 2.2.0
【0849】
Cell Ranger Single Cell Software Suite v.2.2.1を使用して、試料の多重分離、アラインメント、フィルタリング、及びユニバーサル分子識別子(UMI)の計数を行った。各それぞれの亜集団のデータを、単一細胞トランスクリプトームの直接比較のために集約した。4対の腫瘍試料からの合計52,671個の単一細胞を捕捉し、チャネルごとに回収された細胞の数は3695~9809の範囲であった。細胞あたりの平均リードは91,346及び33,789で変動し、細胞あたりのUMIの中央値は1408~4187であった。発現遺伝子を有する細胞数が200未満である場合、低品質の細胞を廃棄した。ミトコンドリア遺伝子発現の割合が40%より大きい場合も、細胞を除去した。対になった4人の患者からの最終細胞数は25,459であった。組織位置、すなわち隣接する正常及び腫瘍によって引き起こされる変動は、Seuratによる「SCTtransform」機能を利用して除去された。
【0850】
7.技術データの単一細胞分析
Seurat(Butler et al.Nature Biotechnol.36:411-420,2018)(バージョン3.0)を使用して、
図10A~10H及び14A~14G中の遺伝子発現(GEX)データを分析した。少なくとも5個の細胞で発現が検出された遺伝子、及び少なくとも10個の遺伝子が検出された細胞を使用した。可変遺伝子は、x.low.カットオフ=0.05及びy.カットオフ=0.1で同定された。最初の20個の主成分を、クラスタリング(解像度=0.6)及びUMAP視覚化に使用した。SingleR(バージョン1.0.1)を使用して免疫細胞型(Aran et al.,Nat.Immunol.20,163-172,2019)をアノテーションした。SingleRは、RNA配列決定(RNA-seq)によって配列決定された純粋な細胞型の参照データセットとの比較によって単一細胞トランスクリプトームの細胞同一性を割り当てるために参照データセット内の変数遺伝子を使用して相関を計算する。ここで、本発明者らは、SingleRを使用して、RCC腫瘍細胞の単球、マクロファージ及びリンパ球系細胞を同定した。更に、本発明者らは、サブクラスタM1及びM2マクロファージにSingleRマーカー相関に基づくSeuratクラスタリングアプローチを適用した。PBMC及びRCC腫瘍の免疫表現型検査は、クラスター特異的遺伝子のアノテーションから推測された;CD3T細胞(CD3D、CD3E)、CD8T細胞(CD3E、CD8A)、B細胞(CD79A)、CD14単球(CD14、S100A8)、及びナチュラルキラー(NK)細胞(NKG7及びCD3E陰性)。
【0851】
8.RCC腫瘍の単一細胞分析
Seurat(Butler et al.id.){3(バージョン3.0)を使用して、Cell Rangerから出力された生の50 GEXマトリックスの基本的な品質管理を行った。Seuratの分析の前に、30個未満の遺伝子又は3000個超の遺伝子を有する細胞を取り除き、5個未満の細胞で発現される遺伝子を除去した。次に、Seuratで実装された遺伝子分散分析を使用して、0.0~3.0の間の対数平均発現及び0.5未満の対数分散を有する遺伝子を保存して、非常に可変的な遺伝子を選択した。
【0852】
5’GEXデータの偏りのない可視化のため、Seuratに実装されたUMAPである主成分分析(PCA)を使用した:最初の20個の主成分は全ての試料に対して選択され、より多数の主成分を使用した場合に大きな違いは見られなかった。UMAPによる2D視覚化を考慮して、CXCL8遺伝子及び特異的遺伝子を発現する細胞(CD3T(CD3D、CD3E)、CD8T(CD3E、CD8A)、B細胞(CD79A)、CD14単球(CD14)及びNK細胞(NKG7+及びCD3E陰性)を表示することによって特徴プロットを生成した。次に、UMAPプロットで可視化された各細胞を、その発現に基づいて、M(マクロファージ)細胞、NK細胞、又はB細胞の1つとしてアノテーションした。個々の細胞を、細胞型マーカー:骨髄サブセット(CD14、S100A8、IL1B、CXCL8)、NK(NKG7)、B細胞(CD79A)又はT細胞(CD3D、CD8A)の濃縮によって分類した。
【0853】
細胞を特定のタイプとして分類するためには、全ての陽性マーカーの総UMIカウントが合計で少なくとも4になることが必要であった(より多くのマーカーが使用されるために8個のUMIを必要とするマクロファージを除く)。
【0854】
9.試薬及び抗体
FACSソーティングに使用される抗体を以下に列挙する:
CD45:Biolegend,2D1,B237418,368512,APC又は368516 APC/Cy(登録商標)7
CD3:Biolegend,HIT3a,B256208,300308,PE.
EpCAM:Biolegend,9C4,B255542,324222,PE/Cy7.
CD56:Biolegend,5.1H11,B263355,362546,FITC.
CD14:Biolegend,63D3,B257234,367116,FITC.
CD11b:Biolegend,ICRF44,B218669,301330,FITC.
CD16:Biolegend,B73.1,B238206,360716,FITC.
CD19:Biolegend,HIB19,B2448329,302206,FITC.
【0855】
10.ソフトウェアバージョン
計算解析を、Cell Rangerソフトウェア(10x Genomics、カリフォルニア州プレザントン)バージョン2.2.0,Perlバージョン5.18.4、Rバージョン3.6.0、並びに解析用Rの以下のパッケージ及びバージョンを使用して実施した:Seurat,3.0.0 [2];edgeR,3.26.0;クラスタ、2.0.8;dynamicTreeCut,1.63-1;UMAP、WGCNA、1.66[53];及び生存、2.42-6。
【0856】
11.PBMC単離
酸クエン酸デキストロース(ACD)採血管に収集した全血を一晩輸送し、次いで、カルシウム又はマグネシウムを含まないダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(Lonza)で3倍超希釈した。希釈した細胞懸濁液を50ml又は15mlコニカルチューブ中FICOLL-PAQUE(商標)PLUS(GE Healthcare)で慎重に下層化した。次いで、チューブを、ブレーキをオフにして、室温(RT)において900×gで30分間遠心分離した。PBMCを含む間期を回収し、PBSで洗浄し、その後10分間500×gでRTで遠心分離した後更に処理した。
【0857】
12.PBMC RNA抽出
患者由来のPBMCをACDバキュテイナチューブ(Becton,Dickinson and Company)内で単離した。次いで、PBMC細胞ペレットをRNAlater(登録商標)(Qiagen)に保存し、抽出まで-20°Cで凍結保存するまで4°Cで1~5日間保存した。PureLink(登録商標)RNA Mini Kit(Thermo Fisher Scientific)を用いて抽出を行い、NanoDrop(商標)分光光度計(Thermo Fisher Scientific)を用いて定量した。
【0858】
13.PBMC NanoString遺伝子発現分析
患者を、NanoString免疫パネルによって測定されるカットオフとしての中央値mRNA発現レベルを使用して、またt検定によって決定されるP値を用いて、IL8高発現カテゴリーとIL8低発現カテゴリーとに分けた。NanoString遺伝子発現データを、R/Bioconductorパッケージ「NanoStringQCPro」を使用して処理した。原数値を陽性対照計数によって調整した後、プローブ及びレーン特異的バックグラウンドを陰性対照及びブランク測定の両方に基づいて計算した。背景補正後、計数をlog2変換し、ハウスキーピング遺伝子発現(TMEM55B、VPS33B、TBP、及びTUBB)によって正規化した。
【0859】
14.血漿IL8アッセイ
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)血漿試料(ベースライン及び治療1日目のサイクル(C3D1))を治療前後の患者から収集し、-80℃で保存した。IL8レベルを、SIMPLE PLEX(登録商標)Ellaマルチ分析物プラットフォームでの予め適格なイムノアッセイによってモニタリングした。試料を試料希釈剤で2倍希釈し、データ取得のためにカートリッジに充填した。
【0860】
15.RNA-seq遺伝子発現プロファイリング
298全ての試料の全トランスクリプトームプロファイルを、TruSeq(登録商標)RNA Access技術を使用して生成した。まず、リボソームリードを除去するために、リードをリボソームRNA配列にアラインメントした。残りのリードを、以下のパラメータとの最大2つのミスマッチを可能にするGSNAPアライナを使用してヒト参照ゲノム(GRCh38)にアラインした:’-M 2-n 10-B 2-i 1-N1-w 200000-E 1-ペアマックス-rna=200000-クリップ-オーバーラップ)。遺伝子発現レベルを定量するために、各RefSeq遺伝子のエクソンにマッピングされたリードの数を、R/BioconductorパッケージGenomicAlignmentsによって提供される機能性を使用して鎖特異的様式で計算した。
【0861】
16.遺伝子発現分析
これらの各特徴のスコアを計算するために、最初にedgeRの正規化係数を使用してカウントを正規化し(Robinson et al.Bioinformatics 26(1):139-140,2010)、続いてlimma’s voomを用いて低いカバレッジ(つまり、利用可能な試料の少なくとも10分の1では0.25 CPM(100万あたりのカウント)に達しない)及びlog2変換(Ritchie et al.Nucl.Acids Res.43(7):e47,2015)を伴う遺伝子を除外した。各PPIの遺伝子発現スコアを記載のように計算した(Mariathasan et al.Nature 554(7693):544-548,2018)。各遺伝子のzスコア形質転換発現について主成分分析を行い、主成分1を抽出して遺伝子シグネチャスコアとした。
【0862】
17.経路分析
遺伝子の総数(N)を考慮して、経路内の有意に差次的に発現される遺伝子の数(S)が偶然によって予想されるよりも多いかどうかを評定することにより、有意な濃縮について個々のREACOME経路を評定した。超幾何検定を用いてp値(P)を決定し、次いで、Benjamini and Hochberg(1995)の方法を用いて複数の経路にわたる検定について補正して、調整p値(P adj.)を得た。
【0863】
18.統計学的分析
OSの確率を推定し、IMvigor210及びIMvigor211コホートについてのOS中央値又はIMmotion150コホートについてのPFSを推定するために使用されたKaplan-Meier法を使用して、事象までの時間転帰を推定し、Kaplan-Meier曲線を作成した。OS又はPFSをログランク検定によって比較した。OS及びPFS分析のため、生存していた患者のデータを最後の接触時に打ち切りした。OS及びPFSのハザード比及び95%信頼区間をCox回帰モデルによって推定した。Cox比例ハザード及び線形回帰モデルを実施して、単変量及び多変量解析における予後因子を同定した。
【0864】
他の実施形態
上述の発明は、理解を明確にする目的のために説明及び実施例によってある程度詳細に記載されているが、これらの記載及び実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、その全体が参考として明示的に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】