IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フアン、カルロス、バルベーラ、マジョルの特許一覧

特表2023-520531コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法
<>
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図1
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図2
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図3
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図4
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図5
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図6
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図7
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図8
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図9
  • 特表-コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】コンテナ用ガントリークレーン及び運転方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 19/00 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
B66C19/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560323
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 ES2021070217
(87)【国際公開番号】W WO2021198546
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】P202030266
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522387777
【氏名又は名称】フアン、カルロス、バルベーラ、マジョル
【氏名又は名称原語表記】Juan Carlos, BARBERA MAYOR
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】フアン、カルロス、バルベーラ、マジョル
(57)【要約】
少なくとも1つの高架水平ビームを有するコンテナ用ガントリークレーンであって、前記水平ビームの第1のセクションで支持された船舶側スプレッダと、前記水平ビームの第2のセクションで支持されたコンテナ陸上側スプレッダと、船舶側スプレッダによって持ち上げられたコンテナの下に置きやすいように、ビームに沿って変位可能に取り付けられ、コンテナを支持し、コンテナを陸上側スプレッダの下の位置に変位させるように配置された水平搬送台車とを備え、前記水平搬送台車は、コンテナを分離可能に固定するための固定手段を備える、ガントリークレーン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高架水平ビーム(1)を有するコンテナ用ガントリークレーンであって、
1つ又は複数のコンテナ(10)を持ち上げるように配置され、前記水平ビーム(1)の第1のセクション(11)で支持された1つ又は複数の船舶側スプレッダ(2)と、
1つ又は複数のコンテナ(10)を下げるように配置され、前記水平ビーム(1)の第2のセクション(12)で支持された1つ又は複数の陸上側スプレッダ(3’)と、
前記船舶側スプレッダ(2)によって持ち上げられた前記コンテナ(10)の下に位置することができるように前記ビームに沿って変位可能に取り付けられ、前記コンテナを支持し、前記コンテナを前記陸上側スプレッダ(3’)の下の位置に変位させるように配置され、前記コンテナ(10)を分離可能な方法で固定するための1つ又は複数の固定アセンブリ(41’)を備える水平搬送台車(4’)と
を備え、
各固定アセンブリ(41’)は、前記固定アセンブリ(41’)をその垂直対称軸(43’)を中心に90°回転させるのに適した回転機構(42’)を備えることを特徴とする、
前記コンテナ用ガントリークレーン。
【請求項2】
前記陸上側スプレッダ(3’)が、前記コンテナ(10)を前記水平ビーム(1)に平行な位置に固定するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項3】
前記陸上側スプレッダ(3)が、前記水平ビーム(1)に平行な位置及び前記水平ビーム(1)に垂直な位置の両方に前記コンテナ(10)を固定することができるように、垂直対称軸を中心に回転するための回転手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項4】
前記水平ビーム(1)の前記第1のセクション(11)に沿って移動し、前記船舶側スプレッダ(2)の少なくとも1つで支持するように配置された少なくとも1つの支持台車(21)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項5】
前記水平ビーム(1)の前記第2のセクション(12)に沿って移動し、前記陸上側スプレッダ(3’)の少なくとも1つを支持するように配置された少なくとも1つの第2の支持台車(31)を備えることを特徴とする、請求項4に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項6】
前記水平ビーム(1)が2組のレールを備え、前記スプレッダ(2、3’)の前記支持台車(21、31)が、前記2組のレールの一方に沿って移動するように配置された1組の車輪を備え、前記水平搬送台車(4’)が、前記2組のレールの他方に沿って移動するように配置された別の1組の車輪を備えることを特徴とする、請求項5に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項7】
前記水平ビーム(1)が二重構成を有し、前記2組のレールの一方が前記水平ビーム(1)の内面に配置され、前記支持台車(21、31)の前記車輪の組が前記2組のレールの前記一方の上を移動するように配置され、前記2組のレールの他方が前記水平ビーム(1)の上面に配置され、前記水平搬送台車(4’)の前記車輪の組が前記2組のレールの前記他方の上を移動するように配置されることを特徴とする、請求項6に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項8】
少なくとも1つの船舶側スプレッダ(2)及び陸上側スプレッダ(3)の垂直変位を同時に作動させて動作可能に連結するように配置された作動手段を備え、それにより、前記陸上側スプレッダ(3)で下げられる前記コンテナ(10)で利用可能な重力位置エネルギー及び/又は運動エネルギーを、前記船舶側スプレッダ(2)で他のコンテナ(10)を持ち上げるために前記作動手段によって利用することができることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項9】
前記作動手段が、前記スプレッダ(2、3)を互いに動作可能に連結する少なくとも1つのケーブルを有するケーブルシステムを備え、前記ケーブルシステムが、伝達システム(5)によって作動されやすいことを特徴とする、請求項8に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項10】
前記作動手段が、各スプレッダ(2、3)のための独立したケーブルシステム(22、32)と、前記ケーブルシステム(22、32)に分離可能に接続され、それらを動作可能に連結するように配置された伝達システム(5)とを備えることを特徴とする、請求項8に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項11】
異なる作業高さで前記水平ビーム(1)の下の1つ又は複数の平行ビームと、それらの対応する水平搬送台車とを備えることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項12】
前記水平ビーム(1)に対して直列構成で配置された1つ又は複数の追加の水平ビーム(1’、1’’)を備え、前記水平ビームは、それぞれの水平搬送台車又はそれぞれのスプレッダを備え、これらの上又は下のいずれかにコンテナ(10)固定手段を備え、前記コンテナ(10)を受け取り、前記追加の水平ビーム(1’、1’’)に沿ってそれらを移動させるように配置されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項13】
前記スプレッダ(2、3)の上昇及び/又は下降を制動するための回生ブレーキを備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項14】
前記船舶側スプレッダ(2)、前記陸上側スプレッダ(3’)、及び前記水平搬送台車(4)は、速度センサと、前記コンテナ(10)に対する位置センサと、固定手段(33)及び前記固定アセンブリ(41’)の結合センサとを備えることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項15】
前記水平搬送台車(4、4’)は、オペレータがアクセスするためのプラットフォームを備えることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のコンテナ用ガントリークレーンによって船舶から陸上にコンテナを荷降ろしするための方法であって、
以下を同時に含む第1のステップ(A’)であって、
前記船舶の1つ又は複数のコンテナ(10)を前記船舶側スプレッダ(2)に固定し、
前記水平搬送台車(4’)に予め積載されているコンテナを前記固定アセンブリ(41’)から切り離し、それらを陸上側スプレッダ(3’)に固定し、これらのコンテナは、前記水平ビーム(1)に平行な位置に予め積載されている、
第1のステップ(A’)と、
前記船舶の前記コンテナ(10)を前記船舶側スプレッダ(2)で持ち上げると同時に、前記水平搬送台車(4’)を前記船舶側スプレッダ(2)に近づける一方で、それらの固定アセンブリ(41’)を前記コンテナ(10)の下で前記水平ビーム(1)に垂直な位置に置かれるまで回転させ、同時に予め積載された前記コンテナを前記陸上側スプレッダ(3’)で下げることを含む、第2のステップ(B’)と、
前記固定手段(41’)によって前記船舶の前記コンテナ(10)を前記水平搬送台車(4’)に固定するのと同時に、前記コンテナ(10)の前記船舶側スプレッダ(2)を切り離し、その間、予め積載された前記コンテナの前記陸上側スプレッダ(3’)を切り離すことを含む、第3のステップ(C’)と、
前記陸上側スプレッダ(3’)を持ち上げると同時に前記固定アセンブリ(41’)をその垂直対称軸(43’)を中心に90°回転させながら、前記船舶の前記コンテナ(10)を積載した前記水平搬送台車(4’)を移動させて、前記水平ビーム(1)に平行な位置で前記陸上側スプレッダ(3’)の下にそれらを置きながら、前記船舶側スプレッダ(2)を下げる、第4のステップ(D’)と、
前記水平搬送台車(4’)に対して前記船舶からの前記コンテナ(10)を切り離すと同時にそれらを陸上側スプレッダ(3’)に固定し、その間、前記船舶の他のコンテナを船舶側スプレッダ(2)に固定することを含む、第5の段階(E’)と、
前記陸上側スプレッダ(3’)で前記船舶の前記コンテナ(10)を下げ、前記船舶側スプレッダ(2)で前記他のコンテナを持ち上げ、前記固定アセンブリ(41’)が前記他のコンテナの下に配置されるまで前記固定アセンブリ(41’)を回転させながら、前記水平搬送台車(4’)を前記船舶側スプレッダ(2)に近づけることを含む、第6の段階と、
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、港及び鉄道駅などの輸送用コンテナに荷役するためのガントリークレーンに関する。本発明はまた、前記ガントリークレーンの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
STS(Ship to Shore)クレーンとも呼ばれるコンテナガントリークレーンは、従来技術で知られている。それらは、輸送ターミナルでコンテナを荷役するためのインフラストラクチャからなり、通常、以下のものを備える。
-通常は4つの柱とその両端にある水平の片持ちビームを有するガントリ型の構造体
-ビーム内のレールシステム
-スプレッダ
【0003】
スプレッダはグリップフレームを介した装置で、通常、ビームレールによって移動できる台車から吊り下げられ、その高さはモータで駆動するプーリ付きのケーブルで制御される。スプレッダは、通常ツイストロックとして知られる電気機械要素である固定手段によって、コンテナの上部四隅に取付け可能である。それらはまた、クレーンオペレータが作動させるフリッパとして知られるフィンなどのセンタリング手段を有することができ、コンテナ上に置かれたときにスプレッダをセンタリングさせることができる。
【0004】
ガントリークレーンは、例えば、ドックとコンテナ船との間でコンテナの移送を行う。法律により、クレーンは、少なくとも1人のオペレータによって手動で運転されなければならない。クレーンを管理するオペレータは、通常、ガントリーの上部に配置されたキャビンの中におり、ガントリーが船舶の高さにあるとき、オペレータは、スプレッダ付きクレーンが荷役するコンテナまで移動して下降するように運転し、ツイストロックを作動させてコンテナにロックし、それを吊り上げ、水平方向に移動させてドックに積み込む。既に地上にある場合、コンテナは別の輸送手段(通常はコンテナトラック)上に置かれるか、又は積み重ねられる。
【0005】
なお、最新の「半自動」クレーンでは、キャビンは付属のコントロールビルで仮想化され、オペレータは遠隔で荷役を管理することに留意されたい。
【0006】
ガントリークレーンは、高さが最大140メートルであり、荷重が2万トンを超える構造である。所与のコンテナの荷役時間は長く、ガントリークレーンを運転するためのエネルギー量が大きいことは明らかである。
【0007】
消費エネルギーや荷役時間の短縮のため、米国特許3630390号明細書や米国特許5931625号明細書に開示されたガントリークレーンは、ビームに船舶の側のスプレッダ(船舶側スプレッダ、以下同じ)、陸上の側のスプレッダ(陸上側スプレッダ、以下同じ)と、水平搬送台車とを備えるビームを有し、これらは、船舶側スプレッダが下降して別のコンテナを取り、陸上側スプレッダが上昇して台車からコンテナを荷降ろしし、次いで走行を逆にする間に、船舶側から陸上側へコンテナを移動させる可能性を提示している。
【0008】
一方、文献米国特許3630390号明細書には、運河の両岸間に延び、運河内にあるコンテナ船の荷役が可能なクレーンブリッジが示されている。クレーンブリッジには、2つのグループのスプレッダと各グループのトロリーがあり、これらは同時に作業することができる。
【0009】
一方、米国特許5931625号明細書の文献のクレーンは、2つのコンテナ用のプラットフォームを備え、コンテナの位置を交換するための回転システムを備えたトロリーを開示しており、このクレーンにより、スプレッダの動作方向にコンテナを船舶から降ろし、反対方向に別のコンテナを船に積むことができるが、常に臨港線と平行に並んでいる。
【0010】
しかしながら、既存のクレーンを改良して、コンテナの取扱いを更に容易にし、荷役時間を短縮することが適切である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許3630390号明細書
【特許文献2】米国特許5931625号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、以下に説明する利点を奏するガントリークレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、レールを有する少なくとも1つの水平ビームが高所に配置されたコンテナ用ガントリークレーンであって、
-前記水平ビームの第1のセクションで支持された1つ又は複数のコンテナを持ち上げるように配置された1つ又は複数の船舶側スプレッダと、
-前記水平ビームの第2のセクションで支持された1つ又は複数のコンテナを下げるように配置された1つ又は複数の陸上側スプレッダと、
-船舶側スプレッダによって持ち上げられたコンテナの下に置かれ、それらを支持し、それらが陸上側スプレッダの下に置かれるまで移動させることができるように、ビームに沿って変位可能に取り付けられた、例えば、トロリーとして知られる水平コンテナ搬送台車であって、前記水平搬送台車がコンテナを分離可能な方法で固定するために1つ又は複数の固定アセンブリを備える、水平コンテナ搬送台車と、
を備える、ガントリークレーンからなる。
【0014】
前のセクションで述べたように、スプレッダは、把持フレームとして機能する装置であり、その高さは、モータによって駆動されるケーブルプーリシステムによって制御される。スプレッダは、通常ツイストロックとして知られる電気機械要素である固定手段によって、コンテナの上部四隅に分離可能な方法で固定することができる。
【0015】
本発明のクレーン構成により、ビームの1つのセクション内でコンテナを持ち上げながら、同時に別のセクション内で、好ましくはビームの対向するセクション内で、他のコンテナを下げることが可能である。この技術的効果により、水平搬送台車を一方の側から他方の側に移動させながら、一部のスプレッダを持ち上げ、他のスプレッダを下げたりと、オペレータがクレーンをより時間効率的に使用できるという利点がある。
【0016】
好ましくは、クレーンは、水平ビームの第1のセクションに沿って移動し、船舶側スプレッダの少なくとも1つを支持するように配置された少なくとも1つの支持台車を備える。同様に、クレーンは、水平ビームの第2のセクションに沿って移動し、陸上側スプレッダの少なくとも1つを支持するように配置された支持台車を備えることができる。このようにして、様々な横方向位置でコンテナを荷役することが可能である。
【0017】
好ましい実施形態では、水平ビームは2組のレールを備え、スプレッダの支持台車は、前記2組のレールのうちの一方で移動するように配置された車輪の組を備え、水平搬送台車は、前記2組のレールのうちの他方のレールで移動するように配置された車輪の別の組を備える。好ましくは、水平ビームは二重構成を有し、前記2組のレールのうちの1組は、水平ビームの内側面に位置し、支持台車の車輪の組は、2組のレールのうちの前記1組の上を移動するように配置され、前記2組のレールのうちの他方は、水平ビームの上面に位置し、水平搬送台車の車輪の組は、2組のレールのうちの前記他方の上を移動するように配置される。
【0018】
本発明のクレーンの別の異なる態様は、少なくとも1つの船舶側スプレッダと陸上側スプレッダの垂直変位を同時に作動させるように配置された作動手段を備えることであり、前記スプレッダは、陸上側スプレッダで下げられたコンテナで利用可能な潜在的な重力エネルギー及び/又は運動エネルギーを船舶側スプレッダで他のコンテナを持ち上げる作動手段によって利用することができるように、互いに動作可能に連結されている。この特徴により得られる利点は、以下の通りである。
-吊り上げられるコンテナを持ち上げるために、下げられるコンテナの潜在的な重力及び/又は運動エネルギーを利用する。
-このようなエネルギーを使用することにより、1つ又は複数のコンテナを水平方向に移動させることができる台車と共に、2つ以上の船舶側スプレッダ及び2つ以上の陸上側スプレッダを並行して動作させることが実現可能であり、クレーンが必要とする動力を過度に増やす必要がなく、これにより荷役時間の使用が更に増加する。
-このようなエネルギーを使用することにより、クレーンによって消費されるエネルギーを過度に増やすことなく、コンテナの積み込み速度を増加させることが可能であり、これにより、荷役時間の使用が更に増加する。
【0019】
上記に依存する第1の実施形態では、前記作動手段は、前記スプレッダを互いに動作可能に連結する少なくとも1つのケーブルを有するケーブルシステムを備え、前記ケーブルシステムは、伝達システムによって作動されやすい。伝達システムに関しては、例えば、ギアシステム、ウインチ、及び/又はモータによって動作可能な同等のシステムを備えることができる。第2の実施形態では、前記作動手段は、各スプレッダに対して独立したケーブルシステムを備え、伝達システムは、前記ケーブルシステムに分離可能に接続し、それらを自由に動作可能に連結するように配置される。この後者の実施形態では、作動手段は、各スプレッダに対して単一のモータ又は独立したモータによって作動させることができる。
【0020】
次いで、任意に、ガントリークレーンは、スプレッダ及び/又は水平搬送台車に回生ブレーキを備えることができ、その結果、コンテナを移動させるときに利用可能な運動エネルギーを前記回生ブレーキによって回収することができる。
【0021】
本発明のガントリークレーンの任意の実施形態では、それは、前記水平ビームの下に、異なる作業高さで、1つ又は複数の平行ビームと、それらの対応する水平搬送台車とを備える。このように、いくつかの船舶側スプレッダと降下を同時に使用する代替方法が有利である。
【0022】
上述したように、水平搬送台車は、コンテナに対する1つ又は複数の固定アセンブリを備え、それは、好ましくは、本発明のスプレッダのものと同様に、ツイストロックからなる。
【0023】
好ましくは、クレーンのより一層の自動化を図るために、船舶側スプレッダ、陸上側スプレッダ及び/又は水平搬送台車は、速度センサ、コンテナに対する位置センサ、及び/又は固定手段及び固定アセンブリの結合センサを備える。
【0024】
このガントリークレーンの相補的な態様は、前記水平ビームに対する直列構成の1つ又は複数の追加の水平ビームの配置からなり、この水平ビームは、それぞれの水平搬送台車又はスプレッダを備え、これらの上か下のいずれかに、コンテナを固定するための固定手段及び固定アセンブリを有しており、コンテナを受け入れて前記追加の水平ビームを通ってコンテナを移動させる。
【0025】
本発明のガントリークレーンの運転を容易にするために、前記水平搬送台車は、例えば、水平搬送台車及び/又は陸上側スプレッダへのコンテナの固定を制御するために、オペレータがアクセスするためのプラットフォームを有していてもよい。
【0026】
好ましい実施形態では、水平搬送台車の各固定アセンブリは、固定アセンブリをその垂直対称軸を中心に90°回転させるのに適した回転機構を備える。オプションとして、回転機構は回転クラウン(建築構造物のタワークレーンのブームを支持及び回転させるために広く使用されているディスク形状の機構)からなる。旋回クラウンは、その中心が旋回点となるように、固定アセンブリの垂直対称軸上に配置される。各回転機構は、台車の水平移動中にそのそれぞれの固定アセンブリを90°回転させるように構成された制御システムを備え、その結果、各コンテナは、ビームの一方の端から他方の端まで90°回転して到着する。コンテナは、船舶側では臨港線に平行な位置(コンテナが船舶で到着したときの位置)にあり、陸上側では臨港線と直交する位置にあることとなり、これは陸上車両による積み込みに適した位置である。可能なサブ実施形態では、陸上側スプレッダは、ビームに対して垂直に配置される。別の可能なサブ実施形態では、陸上側スプレッダは回転手段を有し、それにより、陸上側スプレッダは、コンテナをビームに対して平行な位置及び垂直な位置の両方に固定することができ、したがって、コンテナをいずれの位置でも地上に荷降ろしすることができる。この好ましい実施形態において、いくつかの利点が実装されている。
【0027】
本発明の別の態様は、上述のようなガントリークレーンによるコンテナの荷揚げ方法からなる。この方法は、1つ又は複数の船舶側スプレッダを持ち上げると同時に、1つ又は複数の陸上側スプレッダを下げることを含む第1のステップからなることを特徴とする。このステップで述べたステップを同時に実行することで、本発明のガントリークレーンによって説明される価値と利点を得ることができる。
【0028】
より時間効率を高めるために、前記ステップは、少なくとも1つの水平搬送台車を同時に船舶側スプレッダに近づけることを含むことが好ましい。このステップは、特定の状況では、例えば、貨物の荷降ろしの開始時に、水平搬送台車が既に船舶側スプレッダに隣接している可能性があるという事実から、任意であると考えられる。
【0029】
前のステップのいずれかに続いて、好ましくは、運転方法は、船舶側スプレッダによって既に吊り上げられたコンテナの下に少なくとも1つの水平搬送台車を置き、水平搬送台車を前記コンテナに固定し、船舶側スプレッダを切り離し、同時に、陸上側スプレッダをそれと一緒に下げられたコンテナから切り離すことを含む。コンテナの荷降ろしではよくあることであるが、荷積みエリアと荷降ろしエリアの両方で、コンテナへのスプレッダの固定を制御するオペレータが存在する。このステップにより、複数のコンテナを含む貨物の荷降ろし時に、オペレータが費やす時間を最適化することができる。
【0030】
前のステップに続いて、本方法は、1つ又は複数の陸上側スプレッダを持ち上げると同時に、1つ又は複数の船舶側スプレッダを下げ、積載された水平搬送台車を陸上側スプレッダの近くに移動させることを含むステップを含み得る。
【0031】
前述のステップに続いて、本方法は、水平搬送台車によって移動されたコンテナを陸上側スプレッダの下に配置し、陸上側スプレッダを前記コンテナに固定し、前記コンテナの水平搬送台車を切り離しながら、船舶側スプレッダを新しいコンテナに固定するステップを含み得る。
【0032】
最初のガントリークレーンが開発されてから半世紀以上が経過し、この分野で大きな技術革新が行われた後、上述の特徴を取り込み、本明細書で説明する方法で動作し、ここで述べた有益な利点をもたらすクレーンは、まだ公表されていない。
【0033】
本明細書でなされる説明をよりよく理解するために、一組の図面が提供されており、本発明のコンテナ用ガントリークレーンの一実施形態の実際的事例が、概略的に、単に非限定的な例として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】コンテナ用ガントリークレーンの実施形態の第1の例の斜視図である。
図2図1の挿入図Iの拡大図である。
図3】スプレッダの上昇と下降を同時に連結する伝達システムを備えたコンテナ用ガントリークレーンの概略図である。
図4】水平ビームと直列の追加ビームを有するコンテナ用ガントリークレーンの実施形態の一例の概略図である。
図5】本発明の第1の運転方法の可能な一連のステップの図である。
図6】コンテナ用ガントリークレーンの実施形態の第2の例の斜視図である。
図7図6の挿入図VIの拡大図である。
図8】本発明の第2の運転方法の可能な一連のステップの図である。
図9】本発明の第3の運転方法の可能な一連のステップの図である。
図10】コンテナ用ガントリークレーンの実施形態の第3の例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
特許請求の範囲に記載のコンテナ用ガントリークレーン及びその運転方法の一実施形態について、図1図4を参照して以下に説明する。
【0036】
本発明のガントリークレーンの好ましい実施形態は、図1に示す通りであり、以下を見ることができる。
-水平ビーム(1)、
-前記水平ビーム(1)の第1のセクション(11)で支持台車(21)によって支持される船舶側スプレッダ(2)であり、前記スプレッダ(2)は、プーリ(22)を有するケーブルシステムによって下げられ、コンテナ(10)に固定される、
-前記水平ビーム(1)の第2のセクション(12)で支持される陸上側スプレッダ(3)、
-船舶側スプレッダ(2)と陸上側スプレッダ(3)との間で前記水平ビーム(1)上に支持される水平搬送台車(4)。
【0037】
明確にするために、図1には、ガントリークレーンのレール又は運転室を示していない。
【0038】
図2は、図1の挿入図Iの拡大図を示す。陸上側スプレッダ(3)、対応する支持台車(31)、対応するケーブルシステム(32)、及びコンテナ(10)に対する固定手段(33)、並びに固定アセンブリ(41)を備える水平搬送台車(4)を詳細に示す。明確にするために、図2のコンテナ(10)は、透明な壁で示されている。
【0039】
図3は、船舶側スプレッダ(2)と陸上側下降スプレッダ(3)を動かすケーブルシステム(22、32)がウインチ(5)によって連結されている本発明のクレーンの概略的な実施形態を示しており、陸上側スプレッダ(3)でコンテナ(10)を下げるときに利用可能な重力ポテンシャルエネルギーと運動エネルギーは、船舶側スプレッダ(2)によるコンテナ(10)の持ち上げに使用される。
【0040】
図4は、前記水平ビーム(1)と直列の構成で2つの追加の水平ビーム(1’、1’’)を有し、それらのそれぞれの水平搬送台車(図示せず)とそれぞれのスプレッダ(3’)を備え、これらの上又は下のいずれかに、コンテナ(10)を固定するための手段を有しており、コンテナを受け取り、コンテナを前記追加の水平ビーム(1’、1’’)を通って移動させる、ガントリークレーンを概略的に示す。
【0041】
運転方法に関して、図1に示すクレーンでコンテナを荷降ろしする例示的なステップを図5に示す。この例では、本方法は、水平搬送台車(4)を船舶側スプレッダ(2)に近づけ移動させながら、コンテナ(10)を積載した船舶側スプレッダ(2)を持ち上げると同時に、別のコンテナ(10)を積載した陸上側スプレッダ(3)を下げることを含む第1のステップ(A)を含む。
【0042】
次に、図示の運転方法は、船舶側スプレッダ(2)によって既に吊り上げられているコンテナ(10)の下に水平搬送台車(4)を置き、水平搬送台車(4)を前記コンテナ(10)に固定し、船舶側スプレッダ(2)を切り離すと同時に、下げられたコンテナから陸上側スプレッダ(3)を切り離すことを含む、第2のステップ(B)を含む。
【0043】
続いて、図5の方法は、船舶側スプレッダ(2)を下げると同時に、陸上側スプレッダ(3)を持ち上げ、コンテナ(10)を積載した水平搬送台車(4)を陸上側スプレッダ(3)に近づけることを含む、第3のステップ(C)を示す。
【0044】
サイクルを完了するために、図5に示す方法は、水平搬送台車(4)によって移動されたコンテナ(10)を陸上側スプレッダ(3)の下に置き、陸上側スプレッダ(3)を前記コンテナに固定し、水平搬送台車(4)を切り離しながら、船舶側スプレッダ(2)を新しいコンテナに固定することを含む、第4のステップ(D)を含む。
【0045】
図6は、本発明のガントリークレーンの第2の好ましい実施形態を示しており、以下を見ることができる。
-水平ビーム(1)、
-コンテナ(10)の固定位置が通常のもの、すなわち水平ビーム(1)に対して垂直である船舶側スプレッダ(2)、
-コンテナ(10)の固定位置が代わりに水平ビーム(1)に平行である陸上側スプレッダ(3’)、
-その固定アセンブリ(41’)が回転機構(42’)による回転の過程でコンテナ(10)を支持する水平搬送台車(4’)。
【0046】
図7は、船舶側スプレッダ(2)の下の水平搬送台車(4’)を詳細に示しており、固定アセンブリ(41’)は、その垂直対称軸(43’)を中心とした回転のための回転機構(42’)によって支持されている。
【0047】
図8は、図6及び図7に示すクレーンによって船舶(明確にするために図示せず)に積載されたコンテナを荷降ろしするための方法の一例を示す。この例では、本方法は、船舶側スプレッダ(2)を船舶のコンテナ(10)の1つに固定すると同時に水平搬送台車(4’)によって既に搬送されたコンテナをその固定アセンブリ(41’)に対して切り離し、陸上側スプレッダ(3’)を前記後者のコンテナ(10)に固定することを含む、第1のステップ(A’)を含む。
【0048】
次に、図8の運転方法は、船舶側スプレッダ(2)で船舶のコンテナ(10)を持ち上げながら水平搬送台車(4’)を前記コンテナ(10)の下に配置されるまでそれに近づけると同時に、他方のコンテナ(10)を陸上側スプレッダ(3’)で下げることを含む、第2のステップ(B’)を含む。見て分かるように、船舶側のコンテナ10の位置は水平ビーム1に対して垂直であり、一方、陸上側のコンテナ10の位置は水平ビーム1に対して平行である。
【0049】
次に、図8の運転方法は、水平搬送台車(4’)を船舶の前記コンテナ(10)に固定すると同時に船舶側スプレッダ(2)を切り離し、一方それと同時に下降したコンテナから陸上側スプレッダ(3’)を切り離すこと含む、第3のステップ(C’)を含む。
【0050】
続いて、図8の方法は、船舶側スプレッダ(2)を下げると同時に陸上側スプレッダ(3’)を持ち上げ、船舶のコンテナ(10)を積載した水平搬送台車(4’)の固定アセンブリ(41’)を90°回転させながら、陸上側スプレッダ(3’)の下に位置するまで変位させることを含む、第4の段階(D’)を示す。
【0051】
最後に、図8の運転方法は、第1の段階(A’)のステップを他のコンテナ(10)を用いて繰り返すこと、及びコンテナ(10)が陸上側スプレッダ(3’)と共に下降する第6の段階などの残りの段階を連続的に繰り返すことで構成される、第5の段階(E’)を含む。
【0052】
図9は、図6及び図7に示すクレーンを用いて陸上から船舶にコンテナを積み込む方法の一例を示す。この例では、本方法は、陸上側スプレッダ(3’)を地上にあるコンテナ(10)のうちの1つを固定すると同時に、その固定アセンブリ(41’)の水平搬送台車(4’)によって既に搬送されたコンテナを切り離して船舶側スプレッダ(2)を前記後者のコンテナ(10)に固定することを含む、第1のステップ(A’’)を含む。
【0053】
次に、図9の運転方法は、陸上側スプレッダ(3’)で地上コンテナ(10)を持ち上げると同時に水平搬送台車(4’)を前記コンテナ(10)の下に置かれるまでそれに近づきながら、他方のコンテナ(10)を船舶側スプレッダ(2)で下げることを含む、第2のステップ(B’’)を含む。見て分かるように、船舶側のコンテナ10の位置は水平ビーム1に対して垂直であり、一方、陸上側のコンテナ10の位置は水平ビーム1に対して平行である。
【0054】
次に、図9の運転方法は、水平搬送台車(4’)を前記地上コンテナ(10)に固定すると同時にそれを陸上側スプレッダ(3’)から切り離し、と同時に船舶側スプレッダ(2)を下げたコンテナから切り離すことを含む、第3のステップ(C’’)を含む。
【0055】
続いて、図9の方法は、陸上側スプレッダ(3’)を下げると同時に、船舶側スプレッダ(2)を持ち上げ、地上コンテナ(10)を積載した水平搬送台車(4’)の固定アセンブリ(41’)を90°回転させながら、船舶側スプレッダ(2)の下に位置するまで変位させることを含む、第4の段階(D’’)を示す。
【0056】
最後に、図9の運転方法は、第1の段階(A’’)のステップを他のコンテナ(10)を用いて繰り返すこと、及びコンテナ(10)を船舶側スプレッダ(2)で下降させる第6の段階などの残りの段階を連続的に繰り返すことで構成される、第5の段階(E’’)を含む。
【0057】
図10は、以下を含む荷役システムを示す。
-主ガントリークレーン(1)及び1つ又は複数の副ガントリークレーン(100、101)であって、互いに平行であり、それぞれがそれぞれの水平搬送台車及びそれぞれのスプレッダを有する。
-ガントリークレーン(1、100、101)のビームに垂直な少なくとも1つのレール(200)であって、そのスプレッダの1つの下を走行し、コンテナを受け取り、好ましくはガントリークレーン(1、100、101)間でそれを自律的に移動させるための少なくとも1つの水平搬送台車(この実施形態では、地面に隣接するレール上に位置するが、それは高架ビーム上でもありうる)を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】