(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】水性発泡組成物および液体の表面上での跳ね返りからのエアロゾルの形成を防止および/または抑制するためのその使用
(51)【国際特許分類】
C11D 17/04 20060101AFI20230510BHJP
E03D 11/02 20060101ALI20230510BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20230510BHJP
C11D 1/22 20060101ALI20230510BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230510BHJP
C09K 3/30 20060101ALI20230510BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230510BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
C11D17/04
E03D11/02 Z
C11D1/90
C11D1/22
C11D3/20
C09K3/30 G
C09K3/30 J
C09K3/30 R
C09D7/63
C09D201/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560355
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2021052303
(87)【国際公開番号】W WO2021198837
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020000006820
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388420
【氏名又は名称】ウニヴェルシタ・デッリ・ストゥーディ・ディ・フォッジア
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITA’ DEGLI STUDI DI FOGGIA
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リソ,アルカンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルツィッコ,ロベルト
【テーマコード(参考)】
2D039
4H003
4J038
【Fターム(参考)】
2D039AA01
2D039DB04
4H003AB27
4H003AD04
4H003BA20
4H003DA05
4H003DA06
4H003DB01
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4H003ED19
4H003ED28
4H003ED29
4H003ED31
4H003FA06
4H003FA20
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4H003FA27
4H003FA28
4H003FA34
4J038JA17
4J038JA55
4J038JB12
4J038JC12
4J038KA09
4J038NA09
4J038PA06
4J038PB01
(57)【要約】
本発明は、液体の表面上での跳ね返り、より具体的にはトイレの外部表面および/または内部表面での尿の跳ね返りからのエアロゾルの形成を防止および/または抑制するのに特に効果的な新規の水性発泡組成物に関する。本発明の水性発泡組成物は、少なくとも1つのベタイン、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、少なくとも1つの炭酸ジアルキル、少なくとも4つの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和アルキル鎖を有する少なくとも1つの脂肪アルコール、少なくとも4つの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和アルキル鎖を有する少なくとも1つの脂肪酸エステル、および所望により、少なくとも1つのpH調整剤、少なくとも1つの脱臭物質および/または噴射剤ガスを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのベタイン、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、少なくとも1つの炭酸ジアルキル、少なくとも4つの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和アルキル鎖を有する少なくとも1つの脂肪アルコール、および少なくとも4つの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和アルキル鎖を有する少なくとも1つの脂肪酸エステルを含む、水性発泡組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのベタインが、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルホベタイン、およびそれらのあらゆる混合物からなる群より選択され、少なくとも1つのベタインが、好ましくは組成物の総重量に対して2~5重量%の範囲の総量で組成物中に存在する、請求項1に記載の水性発泡組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのアニオン性界面活性剤が、スルホネート界面活性剤、アルキルスルファネート、アルキルエーテルスルファネート、アルキルアリールスルファネート、およびそれらのあらゆる混合物からなる群より選択され、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤が、好ましくは組成物の総重量に対して0.3~3重量%の範囲の総量で組成物中に存在する、請求項1または2に記載の水性発泡組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの炭酸ジアルキルが、炭酸ビス-プロピルヘプチルであり、少なくとも1つの炭酸ジアルキルが、好ましくは組成物の総重量に対して0.5~3.5重量%の範囲の総量で組成物中に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性発泡組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの脂肪アルコールが、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびそれらのあらゆる混合物からなる群より選択され、少なくとも1つの脂肪アルコールが、好ましくは組成物の総重量に対して0.5~2.5重量%の範囲の総量で組成物中に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性発泡組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの脂肪酸エステルが、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セテアリル、およびそれらのあらゆる混合物からなる群より選択され、少なくとも1つの脂肪酸エステルが、好ましくは組成物の総重量に対して0.1~3重量%の範囲の総量で組成物中に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の水性発泡組成物。
【請求項7】
pH調整剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の水性発泡組成物。
【請求項8】
pH調整剤が、有機酸、好ましくは乳酸であり、pH調整剤が、好ましくは組成物の総重量に対して0.002~0.02重量%の範囲の総量で組成物中に存在する、請求項7に記載の水性発泡組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの脱臭物質をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の水性発泡組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの脱臭物質が、クエン酸トリエチル、ベルガモットのエッセンス、抗菌剤、例えばパラアミノ安息香酸誘導体、レシノール酸、およびそれらのあらゆる混合物からなる群より選択され、少なくとも1つの脱臭物質が、好ましくは組成物の総重量に対して0.4~2.5重量%の範囲の総量で組成物中に存在する、請求項9に記載の水性発泡組成物。
【請求項11】
噴射剤ガスをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の水性発泡組成物。
【請求項12】
噴射剤ガスが、液化石油ガス(LPG)、ヒドロフルオロアルカン、炭化水素および窒素プロトキシドからなる群より選択され、噴射剤ガスが、好ましくは組成物の総重量に対して4~15重量%の範囲の総量で組成物中に存在する、請求項11に記載の水性発泡組成物。
【請求項13】
表面上の液体の跳ね返りからのエアロゾルの形成を防止および/または抑制するための方法であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の水性発泡組成物で該表面をコーティングする工程を含む、方法。
【請求項14】
表面が、水性発泡組成物を該表面上に噴霧することによりコーティングされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
液体が動物の尿である、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
動物の尿がヒトの尿であり、表面が便器の外部表面および/または内部表面である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
液体の表面上での跳ね返りからのエアロゾルの形成を防止および/または抑制するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の水性発泡組成物の使用。
【請求項18】
液体が動物の尿である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
動物の尿がヒトの尿であり、表面が便器の外部表面および/または内部表面である、請求項18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の表面での跳ね返りからのエアロゾル、特に便器の表面での尿流の跳ね返りに続いて形成されるエアロゾルの形成を防止および/または抑制するのに効果的な水性発泡組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
院内感染は、病院で獲得される感染である。それらは通常、薬剤耐性菌の伝播の影響である。院内感染は、病院で獲得されたが、患者が退院した後にのみ疾患を引き起こす感染症、または施設のスタッフの間で発生する感染(職業感染)を含む。
【0003】
重要なことに、入院患者は多くの理由で感染症にかかりやすくなっている:免疫力が低下しているか、または侵襲的な医療処置および技術を受けている可能性がある。
【0004】
特に、院内感染は長期の入院を引き起こし、それ故に公衆衛生上の負担となり得る。
【0005】
世界保健機関(WHO)の4つのWHO地域(ヨーロッパ、東地中海、東南アジアおよび西太平洋)を代表する14か国の55の病院での有病率に関する調査は、入院患者の平均8.7%が院内感染を起こしていることを示した。最高の院内感染の有病率は、東地中海地域と東南アジアの病院(それぞれ11.8%と10%)であった。ヨーロッパと西太平洋地域では、有病率はそれぞれ7.7%と9%であった。
【0006】
2013年の欧州17か国の医療関連感染症の有病率調査から、有病率は約3.4%である。この調査から、主なタイプの感染症は、気道感染症(33.6%)、症候性尿路感染症(22.3%)、皮膚感染症(21.4%)であった。明らかに、管理および医療施設は院内感染の発生と拡大に重要な役割を果たしており、施設、換気システムおよび水と衛生システムの機構が感染源であり得るという証拠が蓄積されつつある。
【0007】
実際、共用バスルームおよび便座の衛生状態は、このような感染症の伝播に重要な役割を果たしている可能性がある(Johnson D.L., et al. American Journal of Infection Control. 2013: 254-8)。多くの細菌およびウイルスは、便座に飛散した場合、洗浄後でさえセラミック表面に吸着するため残留し、一定回数水洗した後に徐々に(部分的に)希釈されることが示されている。病原微生物は、汚染された表面との直接接触、および/またはトイレの水洗によりまたは排尿中に生成される液滴(バイオエアロゾル)を介して拡散し得る。
【0008】
より具体的には、用語「バイオエアロゾル」は、通常、生物によって生成される空気中に浮遊する粒子の集合を示し、例えば、発話、咳もしくはくしゃみ、または尿のしぶきにより放出される液滴であり、粒子状の微生物およびその断片、毒素、および廃棄物を含む。
【0009】
特に注目すべきは、尿流の跳ね返りの結果としてトイレで形成されるバイオエアロゾルが移動し、下気道に到達することさえあることが示されている。
【0010】
したがって、バイオエアロゾルは、院内感染の発生の潜在的な原因の1つであり、疾患の流布においてこの液滴粒子が果たす役割は、院内領域に限定されない。最近、いくつかのデータは、患者の糞便中に新型コロナウイルスSARS-CoV-2が存在することを示しており、したがって、家庭または他の環境の糞便を介して感染する可能性もある(Holshue ML et al. N. Engl. J. Med. Jan 3, 2020; Chen C. et al. Annals of Int. Med. March 30, 2020)。ウイルスが気道から除去された後でも、消化管のウイルス感染および糞便感染の可能性が持続し得る。
【0011】
したがって、ウイルスの拡散を制御するには、糞便伝播を防ぐための更なる対処が有用または必要であり得る。
【0012】
さらに、トイレの水洗の際にバイオエアロゾルが生成されることは、1950年代にデンマークの研究によって初めて報告され(Jessen, C. (1955). Luftborne Mikroorganismer Forekomst og Bekaempelse, p. 103. Copenhagen)、この研究では、寒天プレートを使用して、重力によって空気から沈降するバイオエアロゾルを捕捉した。1975年のGerbaらによる研究("Microbiological hazards of household toilet: droplet production and the fate of residual organism," Appl. Microbiol. 1975; 30 (2): 229-237)は、最初の数時間以内に汚染が主にトイレの近くで生じるが、エアロゾル粒子は空気中に長時間残り、遅れて部屋全体に堆積することを示した。
【0013】
最近のKnowlton SDらによる研究("Bioaerosol concentrations generated from toilet flushing in a hospital-based patient care setting"; Antimicrobial Resistance and Infection Control (2018) 7:16)は、糞便および他の利用者による前のトイレの使用に由来する微生物を含むバイオエアロゾルが30分以上存続することを明確に示した。
【0014】
長年にわたって、人がトイレまたは小便器を用いるときに、いわゆる「跳ね返り流」および尿によって生成されるバイオエアロゾルを減らすために、多数の装置、付属品および便座の構成が開発されてきた。これらの装置は、立位からトイレまたは小便器に排尿するときの、主に男性利用者を対象としていた。装置の壁または装置内の水への尿の衝突は、トイレまたは小便器を用いる人を含む周囲の表面に尿の二次流を生じる。様々な構成における現在の装置および関連付属品は、二次流またはバイオエアロゾルを形成する可能性を排除するような方法で尿流を制限することが実質的にできない。
【0015】
近年、細長い形状、曲線、およびスプラッシュガード付きのシールドによってバイオエアロゾルの形成を減らすことを目的とする、幅広い様々な小便器構成が作られているが、これらを用いるには、すでに市場にある一般的なトイレおよび小便器の形状に大幅な変更が必要になるため、これらの装置の多くには、製造および採用のコストが高いという問題がある。
【0016】
JP2015120882は、水洗トイレへの尿または糞便の排泄により生じる水しぶき、悪臭および音を防止するために、水との化学的反応により、トイレに貯められた水の表面に泡の層を生成する組成物を記載している。
【0017】
KR200486073は、便器内に含まれる水を周囲環境から密閉および分離でき、これにより臭いの拡散を防止できる発泡体を記載している。
【0018】
KR100712937は、発泡エアロゾル、およびトイレ、特に水洗トイレを脱臭および殺菌するためのその使用を記載している。より具体的には、KR100712937に記載の発泡エアロゾルは、界面活性剤、安定化剤および噴射剤を含み、その使用は、便器内の水面にそれを適用して泡を水の上に浮かせることを含む。
【0019】
DE102014004913は、トイレ内の水と接触すると泡を生成できるタブレットを記載している。当該タブレットは、アニオン性界面活性剤化合物と、脂肪アルコールを含む安定化剤を含む。
【発明の概要】
【0020】
したがって、これに関連して、トイレでの尿流の跳ね返りからのエアロゾルの形成を単純な方法で効果的に減らし、これにより感染の前兆である危険なバイオエアロゾルの拡散を妨げるが、同時に、現状の当該技術分野に存在するシステムの欠点を有していない、新しいシステムを提供する必要性が継続的に存在する。
【0021】
この目的および他の目的は、添付の請求項1に定義される水性発泡組成物、添付の請求項13に定義される方法、および添付の請求項17に定義される発泡組成物の使用によって達成される。本発明の組成物、方法および組成物の使用の好ましい実施態様は、従属請求項で定義される。
【0022】
添付の独立請求項および従属請求項は、本明細書の不可欠な部分を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のいくつかの好ましい実施態様の詳細な説明を以下に示す。
【0024】
本発明によれば、水性発泡組成物は、少なくとも1つのベタインを含む。ベタインは、主に大量のミセルを形成する能力による乳化および安定化活性で知られている、特定のクラスの両性界面活性剤である。
【0025】
本発明の発泡組成物における使用に適切なベタインは、例えばアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルホベタイン、およびそれらのあらゆる混合物である。
【0026】
本発明の発泡組成物における少なくとも1つのベタインは、好ましくはアルキルアミドプロピルベタインである。
【0027】
好ましい実施態様において、少なくとも1つのベタインは、組成物の総重量に対して2~5重量%、好ましくは2.5~4.5重量%、より好ましくは3~4重量%の範囲の総量で、例えば組成物の総重量に対して3重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4重量%の総量で発泡組成物中に存在する。
【0028】
本発明による発泡組成物はまた、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含む。当該技術分野で知られているように、これらの分子は、一般的に、末端にカルボキシレート、スルファネートまたはスルホネート基を有する炭素原子の長鎖からなり、ぬれ性を高め、懸濁液およびエマルジョンを安定化されるためにしばしば使用される、洗浄および起泡特性を備える。
【0029】
好ましくは、本発明の発泡組成物における少なくとも1つのアニオン性界面活性剤は、スルホネート界面活性剤、アルキルスルファネート、アルキルエーテルスルファネート、アルキルアリールスルファネート、およびそれらのあらゆる混合物からなる群より選択される。より好ましくは、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤は、6~22個、さらにより好ましくは12~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状のアルキル鎖を有するアルキルスルファネートである。
【0030】
より好ましくは、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤は、12~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状アルキル鎖を有するアルキルスルファネートのナトリウム塩(C12-C18アルキル硫酸ナトリウム)である。
【0031】
本発明による特に好ましいアニオン性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムである。
【0032】
好ましい実施態様において、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤は、組成物の総重量に対して0.3~3重量%、好ましくは0.5~2.5重量%、より好ましくは0.8~2重量%の範囲の総量で、例えば組成物の総重量に対して0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2重量%の総量で発泡組成物中に存在する。
【0033】
本発明によれば、発泡組成物は、少なくとも1つの炭酸ジアルキル、好ましくは対称炭酸ジアルキルをさらに含むことにより特徴づけられる。本発明の組成物における使用に適した対称炭酸ジアルキルの中で、炭酸ビス-プロピルヘプチルが特に好ましい。
【0034】
典型的には、炭酸ジアルキルは、pHに対する調節作用を発揮し、洗浄組成物中の泡の一貫性(consistency)に寄与する。
【0035】
好ましい実施態様において、少なくとも1つの炭酸ジアルキルは、組成物の総重量に対して0.5~3.5重量%、好ましくは0.8~3重量%、より好ましくは1~2重量%の範囲の総量で、例えば組成物の総重量に対して1重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2重量%の総量で発泡組成物中に存在する。
【0036】
特に好ましい実施態様において、少なくとも1つの炭酸ジアルキルは、組成物の総重量に対して1.65重量%、1.66重量%、1.67重量%、1.68重量%、または1.69重量%の総量で発泡組成物中に存在する。
【0037】
本発明による発泡組成物中には、少なくとも4つの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和アルキル鎖を有する少なくとも1つの脂肪アルコールもまた存在する。脂肪アルコールは、乳化力を有し、それが含まれる泡の一貫性要因として作用して、構造および一貫性を与え、持続時間を延長する。特に、脂肪アルコールを含む泡は、一過性ではなく、また室温で急速に崩壊しない。
【0038】
好ましくは、少なくとも1つの脂肪アルコールのアルキル鎖は、飽和直鎖であり、より好ましくは、6~24個、さらにより好ましくは8~22個の炭素原子を含む飽和直鎖である。
【0039】
本発明の発泡組成物における使用に適した脂肪アルコールの中で、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびそれらのあらゆる混合物が、非限定的な例として挙げられる。
【0040】
本発明によれば、セチルアルコールおよびステアリルアルコールを含む混合物の使用が特に好ましく、より好ましくは、混合物の総重量に対して30重量%のセチルアルコールおよび70%重量%のステアリルアルコールを含む混合物である。
【0041】
この説明に関連して、上で定義したセチルアルコールおよびステアリルアルコールを含む混合物は、「セトステアリルアルコール」と称する。
【0042】
好ましい実施態様において、少なくとも1つの脂肪アルコールは、組成物の総重量に対して0.5~2.5重量%、好ましくは0.8~2重量%、より好ましくは1~1.5重量%の範囲の総量で、例えば組成物の総重量に対して1重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%の総量で発泡組成物中に存在する。
【0043】
本発明による発泡組成物は、少なくとも4つの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和アルキル鎖を有する少なくとも1つの脂肪酸エステルをさらに含む。脂肪アルコールと同様に、脂肪酸エステルはまた、それを含む泡に対して十分な構造を確保するのに寄与する。
【0044】
好ましくは、脂肪酸のアルキル鎖は、飽和直鎖であり、より好ましくは、6~32個、さらにより好ましくは8~28個、さらにより好ましくは10~24個、最も好ましくは12~22個の炭素原子を含む飽和直鎖である。
【0045】
好ましい実施態様によれば、少なくとも1つの脂肪酸エステルは、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セテアリル、およびそれらのあらゆる混合物からなる群より選択される。
【0046】
好ましい実施態様において、少なくとも1つの脂肪酸エステルは、組成物の総重量に対して0.1~3重量%、好ましくは0.4~2重量%、より好ましくは0.5~1.5重量%の範囲の総量で、例えば組成物の総重量に対して0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9 重量%、1重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%の総量で発泡組成物中に存在する。
【0047】
本発明によれば、発泡組成物はまた、pH調整剤、好ましくは有機酸、より好ましくは乳酸を含み得る。
【0048】
好ましい実施態様において、pH調整剤は、好ましくは、組成物の総重量に対して0.002~0.02重量%、より好ましくは組成物の総重量に対して0.005~0.01重量%の範囲の量で、例えば組成物の総重量に対して0.005重量%、0.006重量%、0.007重量%、0.008重量%、0.009重量%、0.01重量%の総量で発泡組成物中に存在する。
【0049】
別の好ましい実施態様によれば、少なくとも1つの脱臭物質が本発明による発泡組成物中に存在し、該脱臭物質は、好ましくはクエン酸トリエチル、ベルガモットのエッセンス、抗菌剤、例えばパラアミノ安息香酸誘導体、レシノール酸、およびそれらのあらゆる混合物より選択される。
【0050】
好ましい実施態様において、少なくとも1つの脱臭物質は、組成物の総重量に対して0.4~2.5重量%、好ましくは組成物の総重量に対して0.6~2重量%、より好ましくは組成物の総重量に対して0.8~1.5重量%、さらにより好ましくは組成物の総重量に対して0.9~1重量%の範囲の総量で、例えば組成物の総重量に対して0.9重量%、0.91重量%、0.92重量%、0.93重量%、0.94重量%、0.95重量%、0.96重量%、0、97重量%、0.98重量%、0.99重量%、1重量%の総量で組成物中に存在する。
【0051】
所望により、本発明の発泡組成物は、噴射剤ガス、例えば液化石油ガス(LPG)、ヒドロフルオロアルカン、炭化水素、例えばノルマルブタン、亜酸化窒素をさらに含み得る。本発明の組成物中における噴射剤ガスの存在は、泡の送達速度に影響を及ぼし、その含有量は、泡の一貫性に反比例する。
【0052】
好ましい実施態様において、噴射剤ガスは、組成物の総重量に対して4~15重量%、好ましくは組成物の総重量に対して5~12重量%、より好ましくは組成物の総重量に対して6~10重量%の範囲の総量で、例えば組成物の総重量に対して6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%の総量で発泡組成物中に存在する。
【0053】
好ましい実施態様において、本発明の発泡組成物は、以下の成分を含み、その重量%は、該組成物の総重量に対して示される:2~5重量%の範囲の量の少なくとも1つのベタイン;0.3~3重量%の範囲の量の少なくとも1つのアニオン性界面活性剤;0.5~3.5重量%の範囲の量の少なくとも1つの炭酸ジアルキル;0.5~2.5重量%の範囲の量の、少なくとも4つの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和アルキル鎖を有する少なくとも1つの脂肪アルコール;0.1~3重量%の範囲の量の、少なくとも4つの炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和アルキル鎖を有する少なくとも1つの脂肪酸エステル;78~88重量%の範囲の量の浸透水、および所望により、0.002~0.02重量%の範囲の量のpH調整剤;0.4~2.5重量%の範囲の量の少なくとも1つの脱臭物質;4~15重量%の範囲の量の噴射剤ガス。
【0054】
本発明に関連して、用語「浸透水」は、逆浸透プロセスを用いて得られた、過剰なカルシウムおよびミネラル塩を精製した水を意味する。
【0055】
本発明の第1の好ましい発泡組成物は、以下の成分を含み、その重量%は、該組成物の総重量に対して示される:2~5重量%の範囲の量のアルキルアミドプロピルベタイン;0.3~3重量%の範囲の量のC12-C18アルキル硫酸ナトリウム;0.5~3.5重量%の範囲の量の炭酸ビス-プロピルヘプチル;0.5~2.5重量%の範囲の量のセトステアリルアルコール;0.1~3重量%の範囲の量のミリスチン酸イソプロピルまたはミリスチン酸セテアリル;78~88重量%の範囲の量の浸透水、および所望により、0.002~0.02重量%の範囲の量の乳酸;0.4~2.5重量%の範囲の量のクエン酸トリエチル;4~15重量%の範囲の量の液化石油ガス(LPG)。
【0056】
本発明の第2の好ましい発泡組成物は、以下の成分を含み、その重量%は、該組成物の総重量に対して示される:3.7重量%の量のアルキルアミドプロピルベタイン;1重量%の量のC12-C18アルキル硫酸ナトリウム;1.67重量%の量の炭酸ビス-プロピルヘプチル;1.4重量%の量のセチルステアリルアルコール;0.6重量%の量のミリスチン酸イソプロピルまたはミリスチン酸セテアリル;0.009重量%の量の乳酸;0.93重量%の量のクエン酸トリエチル;7重量%の量の液化石油ガス(LPG);83.7重量%の量の浸透水。
【0057】
先に示し、下記の実験の部でより詳細に説明するように、本発明の主題である発泡組成物は、表面に適用されると、驚くべきことに、例えば便器の表面上での尿流の跳ね返り後の、表面上での液体の跳ね返りの結果として、生成されるエアロゾル液滴の形成を遮断する能力を備えることが証明された。
【0058】
いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、本発明による発泡組成物のこの驚くべき特性は、本発明の組成物によって発揮されるエアロゾル液滴の機械的トラップの作用に由来し得ると考える。
【0059】
本明細書で用いる用語「トイレ」は、排尿および排便などの生理機能による排泄物を処理することを意図した、一般にセラミック製の便器からなる衛生装置を指す。典型的には、トイレは便座を備え、多くの場合、跳ね上げ式の便座である。
【0060】
有利には、本発明の発泡組成物はまた、表面に適用されると、周囲温度、湿度および換気条件に関わらないが、限られた時間、かなりの安定性および持続性を示し、それ故に、使用後に簡単なプロセスで、例えばトイレを流す基準量の水で洗浄することにより、完全に除去することができる。
【0061】
特に、本発明の発泡組成物の適用後、様々な種類の表面に損傷は検出されず、組成物の除去後、痕跡または残留物は残っていない。
【0062】
本発明の発泡組成物の別の利点は、適用表面上に均一な一貫性の連続層を形成する能力であり、同時にかなりの接着性を特徴とし、これにより、傾斜または垂直位置でも様々な種類の表面上で安定性を維持することができる。
【0063】
上記の驚くべき有利な特徴により、本発明による発泡組成物は、表面上の液体の跳ね返りからのエアロゾルの形成を防止および/または抑制する目的で用いるのに特に適している。
【0064】
したがって、添付の請求項13に定義される方法および添付の請求項17に定義される水性発泡組成物の使用もまた本発明の範囲内である。
【0065】
本発明の水性発泡組成物は、好ましくは噴霧によって表面に適用される。噴霧プロセスは、手動または自動で、例えば分配システムに接続された近接センサーを用いて、様々な距離から実施し得る。例えば、噴霧操作は、短い距離、例えば数センチメートル、好ましくは約10cmの距離から1メートル以上の距離まで行い得る。
【0066】
一実施態様において、本発明の発泡組成物は、適用表面上に、厚さが2cm~6cm、好ましくは3cm~5cmの発泡層を形成する。
【0067】
好ましくは、本発明の方法において、跳ね返り液体は動物の尿、より好ましくはヒト対象体の尿である。
【0068】
好ましくは、表面は便器の外部表面および/または内部表面である。トイレの外部表面および/または内部表面を構成する材料は、例えば、セラミック、金属、ポリカーボネート、硬質プラスチック、ガラスおよびプレキシガラスを含むが、これらに限定されない。
【0069】
上記実施態様において、本発明の発泡組成物の使用は、有利には、病原性微生物、例えば細菌、ウイルスおよび真菌、細胞物質またはアレルゲンのキャリアとしての、いわゆるバイオエアロゾルの潜在的疾患播種体である、トイレの壁への尿流の衝突によって生成される液滴の環境への分散により引き起こされる汚染からの衛生的(hygienic)および公衆衛生的(sanitary)リスクを劇的に減少させることができる。
【0070】
好ましくは、本発明の発泡組成物は、表面を覆うように適用されると、1分以上、より好ましくは1~2分間安定なままである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
以下の実験の部は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を例示的で非限定的な目的のために提供される。実験の部では、添付の図面が参照される。
【
図1】
図1は、(1)トイレ、(2)試験の実施のために吸取紙が置かれる便座、および(3)排尿を模倣するデバイスを含む、実験に使用されるシステムの概略図を示す。上部には、画像を収集するために使用されるカメラ(4)を示す。
【
図2】
図2は、本発明の発泡組成物の非存在下(A)および存在下(C)で形成し、便座の吸取紙上に収集した跳ね返りエアロゾルを示す。吸取紙を4つの象限に分割した:(B)および(D)の画像は、それぞれ、(A)および(C)に示す吸取紙の左上パネルの拡大図である。
【
図3】
図3は便座カバーの概略図で、6枚のペトリ皿に1~6の番号(太字)が付けられている。各皿について、本発明の発泡組成物を用いなかった条件下で、3回の繰り返しで観察された、CFUで表される回収された細菌コロニーの数を示す数値区間が括弧内に示されている。
【
図4】
図4は、本発明の発泡組成物の存在下(三角)および不存在下(四角)での、CFU/cm
2として表される、3枚のペトリ皿の繰り返しにおいて収集されたコロニー数の平均値および標準偏差を示すグラフを示す。
【実施例】
【0072】
実施例1:実験モデル
発明者が設定した実験モデルを、
図1の主要構成要素に示す。便器1は、この材料は透明で、規則的な表面を有し、容易に切断および曲げ得るため、ポリカーボネート系に属する樹脂であるレキサン製であった。したがって、作成された便器は、壁の傾斜および底の水位の両方を調整できる。便座2の表面は、一辺が1メートルの正方形であり、その上に吸取紙を置いて試験を行う。
【0073】
排尿を模倣するのに用いるデバイス3は、高さ、位置および傾斜を調整可能である。流速は、流量(ml/分)および尿の総量の両方について調整可能である。実験のために、発明者らは成人男性の基準パラメーター、すなわち20秒間20ml/秒を選択した。
【0074】
発明者らが用いた液体は、尿と同じ表面張力を持つように37℃の温度に保たれた水であり、二次エアロゾルが吸取紙に目に見える痕跡を残すことができるようにメチレンブルーで着色されていた。
【0075】
実験によって得られた、すなわちトイレの表面上の37℃の着色した水流から得られた二次液滴(二次エアロゾル)は、平均して直径1mm未満のサイズを有するので、データを十分定性的および定量的に分析するために、フィルム面に平行な近距離で液滴の写真を撮る必要があった。これらの考慮事項により、便座上に置かれた紙の象限(70×70cm)を、それぞれサイズが35×35cmの4つの象限に分割した(
図2A~D)。
【0076】
図1に示すとおりに、本発明の実験では、カメラ4、特にニコンD800カメラを、三脚を用いて使用した。画像の解析には、デジタル画像を処理するコンピュータプログラム「Image J」を使用した。色相、彩度および明度の特性値を標準化し、すべての実験に使用した。
【0077】
実施例2:本発明の発泡組成物の有効性
発明者らの実験では、37℃の着色した水流によりトイレの表面上に生じ、吸取紙に放出された二次液滴(二次エアロゾル)の痕跡を、一定の表面を占める青色の点の数として計算した(例えば1386滴、面積の1.71%)。本発明の発泡組成物の非存在下で実施した実験から得られた典型的な結果を
図2A~Bに示す。さらに、個々の点の色強度を評価することにより、予備較正プロセスによって、発明者らは、分散した流体の全体積を追跡した。様々な試料の分析を、自動化画像分析により行い、その結果を
図2BおよびDに示す。
【0078】
二次エアロゾルの形成の防止および/または抑制における本発明の発泡組成物の有効性は、
図2C~Dに明確に示されており、これは、先に記載されているがトイレの壁上に発泡組成物の存在下で実施した実験試験から得られた吸取紙の試料示す。本発明の組成物の非存在下で実施した実験の結果(
図2A~Bに示す)とは異なり、
図2C~Dの吸取紙試料には液滴が存在せず、占有表面が0%に等しい。この結果は、本発明の水性発泡組成物が、表面上の液体の跳ね返りからのエアロゾルの形成を防止および/または抑制するできることを示している。
【0079】
実施例3:本発明の発泡組成物の安定性
急速に分解するする製剤は排尿全体中でアロゾルの形成を防止できず、逆に、安定過ぎる泡は取り除くのが難しいか、または便器をきれいにするのに極めて水を必要とするため、本発明の発泡組成物が果たすべき機能の目的にとって特に重要なのは、経時安定性である。排尿の平均持続時間は約21秒と報告されているが(Yang P. et al. PNAS 2014, vol. 111; no. 33 p. 11932-11937)、排尿の行為自体は、個人差(年齢、病状、行動習慣)によって大きく異なり得るため、発明者らは、堆積から最大2分間の発泡組成物の安定性を試験し、前の段落で示したものと同等の結果が得られた。
【0080】
比較のため、本発明者らは、石鹸および液体または粉末洗剤の両方から、および加圧シリンダーから直接得られる様々な市販の泡、例えばシェービングフォームを試した。試験した試料のいずれにおいても、跳ね返り尿流からのエアロゾルの形成を防止および/または抑制するのに適した、安定性、一貫性およびトイレ壁への付着の適切な特性は見られなかった。
【0081】
実施例4:本発明の発泡組成物の抗菌効力
本発明者らは、本発明の発泡組成物が、排尿中に病原微生物の潜在的キャリアである跳ね返り液滴の形成を防止する、抗菌活性を発揮することを示すことを目的とした試験を行った。
【0082】
実験には、本発明者らは、以下を含む装置を使用した:
1)セラミック便器;
2)500mlの生理食塩水を含むビーカー(床から2メートル上に配置)と、流れの栓を備えた直径0.4cmのシリコンチューブからなる、排尿を模倣する液体流のためのシステム;
3)液体流の分配中に揮発し得る細菌細胞を回収するためトイレの蓋の内面に固定された、マッコンキー寒天培地を含む蓋なしのペトリ皿6枚を備えた(総表面381cm
2)、ボール紙製の中央スロット付きのトイレの蓋(
図3)。
【0083】
プロセスの開始時および各実験の終了時に、すべての表面を70%エタノールで完全に洗浄した。
【0084】
2019年に敗血症患者の血液培養から得られたクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)(KP04_2019_UNIFG)の多耐性菌分離株(MDR)を病原体として用いた。
【0085】
KP04_2019_UNIFG細胞をLB寒天プレートで好気的に35±2℃にて一晩培養した。その後、プレート上で増殖した細菌コロニーを生理食塩水中に懸濁して、約1×108CFU/mlに相当する0.5マクファーランド標準(MF)に到達させた。次いで、懸濁液を2Lの生理食塩水で希釈して、1×105CFU/mlの最終細菌負荷に到達させた。
【0086】
実験を、3つの異なる条件下で(3回)実施した:
a)2Lの生理食塩水(陰性対照)をトイレに注ぎ、続いて500mlの生理食塩水で作った液体流を30秒間注いだ;
b)1×105CFU/mlの細菌分離株を生理食塩水中に含む2Lの細菌懸濁液を用いて、便器の内面を均一に汚染し、底を満たし、続いて500mlの生理食塩水で作った液体流を30秒間注いだ;
c)1×105CFU/mlの細菌分離株を生理食塩水中に含む2Lの細菌懸濁液を用いて、便器の内面を均一に汚染し、底を満たし、その後、液体流を加える前に便器の内壁上に泡の層を堆積させ、続いて500mlの生理食塩水で作った液体流を30秒間注いだ。
【0087】
流れの送達後、各実験で用いたマッコンキー寒天プレートを、周囲空気中35±2℃にて12~18時間インキュベートした。検出された微生物負荷を、回収したCFU/cm
2で表す。回収したコロニーを、MALDI-TOF質量分析により種レベルで同定した。上記に示した実験は、12~18時間のインキュベーション後、本発明の発泡組成物を使用した場合および陰性対照の場合、プレートは細菌の増殖を示さなかったのに対し、本発明の組成物の非存在下で実施した実験の場合、分析したすべての皿で細菌増殖が観察されたことを明らかにした(
図3の括弧内の数値範囲):0.11±0.05CFU/cm
2(収集されたコロニーの平均値±標準偏差、6皿の合計面積に対して正規化、3回実験の繰り返し)。
【0088】
上記に示した結果は、本発明の発泡組成物が、細菌、ウイルス、胞子、真菌および寄生生物などの微生物を捕捉し、それらの揮発を防ぐことができることを示している。
【国際調査報告】