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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】人体関節安定化装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20230510BHJP
   A61F 13/06 20060101ALI20230510BHJP
   A61F 13/14 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A61F5/02 N
A61F13/06 A
A61F13/14 A
A61F5/02 K
A61F5/02 G
A61F5/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560486
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 CA2021050454
(87)【国際公開番号】W WO2021203191
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/005,974
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521178644
【氏名又は名称】ストコ デザイン インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ラッツキー ニック
(72)【発明者】
【氏名】カンペリ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】レイリー ケビン
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB02
4C098BB03
4C098BB04
4C098BB09
4C098BB10
4C098BB11
4C098BB12
4C098BC03
4C098BC15
4C098BC45
4C098BD05
4C098BD15
(57)【要約】
本発明は、着用者の関節を安定化するように構成されるウェアラブルブレースガーメントを提供する。ガーメントは、ガーメント上またはガーメント内の導管で、関節周りの三次元空間経路に沿って配置される張力部材を有する。張力部材は、長手方向に沿って実質的に伸長できない複数のストランドを有する。ガーメントは、横方向に広げられたストランドを含む織物部分をさらに含み、各ストランドは対応するストランド導管内に配置される。テンショナは、ガーメント上に配置され、張力部材内の張力を調整するために配置される。テンションイブナーは、テンショナおよび引張部材のストランドと張力的に連携して、ガーメントに配置される。テンションイブナーは、織物部分内の張力部材の複数の伸長不能なストランド間の張力を均等化するために配置される。テンションイブナーは、ホイップルツリーを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ホイップルツリーは、多層ホイップルツリーでもよい。
【選択図】 図18A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の関節を安定化させるためのウェアラブルブレースガーメントであって、該ガーメントは、少なくとも部分的に関節を包むように構成されており、
前記ガーメントは、
前記関節を中心とする3次元空間経路に沿って配置されるように構成された張力部材を有し、該張力部材は、長手方向に沿って実質的に非伸張性の複数のストランドを有し、
更に、前記ガーメント上に配置され、前記張力部材内の張力を調整するために配置されたテンショナと、
前記テンショナと前記張力部材のストランドと張力的に連携して、前記ガーメント上に配置されるテンションイブナーと、を有し、前記テンションイブナーは、前記張力部材の複数の非伸張性ストランドの間のテンションを平均化することを特徴とする、ウエアラブルガーメント。
【請求項2】
請求項1記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記テンションイブナーは、ホイップルツリーを有することを特徴とする。
【請求項3】
請求項2記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは多層ホイップルツリーであることを特徴とする。
【請求項4】
請求項2記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、前記張力部材の実質的に非伸張性のストランドと係合するために配置されたプーリを有することを特徴とする。
【請求項5】
請求項4記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記プーリは、木材、金属、ポリマーのいずれかでできていることを特徴とする。
【請求項6】
請求項2記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、射出成形プーリと立体的に印刷されたプーリのいずれか1つを有することを特徴とする。
【請求項7】
請求項2記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、前記張力部材の実質的に非伸張性のストランドと係合するために配置された、中通し可能な部材を含むことを特徴とする。
【請求項8】
請求項7記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記中通し可能な部材は、前記張力部材の実質的に非伸張性のストランドと係合するために配置されたビーズ、ブロック、リング、ハトメおよびホイップルバーのうちの1つ以上を含むことを特徴とする。
【請求項9】
請求項8記載のウエアラブルガーメントにおいて、ビーズ、ブロック、リング、ハトメおよびホイップルバーのうちの1つ以上は、木材、金属、およびポリマーのうちの1つでできていることを特徴とする。
【請求項10】
請求項7記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記中通し可能な部材は、射出成形され又は、3次元的に印刷されたものであることを特徴とする。
【請求項11】
請求項2記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、前記張力部材の実質的に非伸張性のストランドと係合するために配置された実質的に非伸張性の布のループを有することを特徴とする。
【請求項12】
請求項2記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、前記張力部材の実質的に非伸張性のストランドと係合するために配置された非伸張性ケーブル内のループを有することを特徴とする。
【請求項13】
請求項2記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、機械的利点(a mechanical advantage)を提供するように構成されていることを特徴とする。
【請求項14】
請求項1記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記ガーメントは更に、横方向に広がるストランドを含む織物部分を有し、各ストランドは、前記ガーメント上またはガーメント内の、対応するストランド導管内に配置されていることを特徴とする。
【請求項15】
請求項14記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記ガーメントは、摩擦係数を有するガーメント材料からなり、各導管は、前記ストランドに対する前記ガーメント材料の摩擦係数よりも、前記ストランドに対する低い摩擦係数を有することを特徴とする。
【請求項16】
請求項14記載のウエアラブルガーメントにおいて、各導管は、前記ガーメント材料とは異なる材料のチューブを有することを特徴とする。
【請求項17】
請求項14記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記テンションイブナーはホイップルツリーを有することを特徴とする。
【請求項18】
請求項1記載のウエアラブルガーメントにおいて、張力部材の3次元空間経路は、前記関節において四肢の周囲に延びていることを特徴とする。
【請求項19】
請求項1記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記張力部材の3次元空間経路は、前記張力部材内の張力が前記関節近傍に圧縮力を生じるように配置されていることを特徴とする。
【請求項20】
請求項1記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記関節は、着用者の足首、肘、手首、肩、股関節、首、脊椎、および1つ以上の椎骨のうちの1つであることを特徴とする。
【請求項21】
請求項20記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記テンションイブナーはホイップルツリーを有することを特徴とする。
【請求項22】
請求項1記載のウエアラブルガーメントにおいて、前記テンショナは、テンションイブナーに張力を加える際に機械的利点(a mechanical advantage)を提供するように構成されていることを特徴とする。
【請求項23】
ユーザが着用できるブレースガーメントであって、該ブレースガーメントは、閉じた引張可能なループ、テンショナ、およびテンションイブナーを有しており、前記テンショナは、引張可能なループに張力を付与するために配置されており、前記ループは、前記ガーメント内または前記ガーメント上の1つ以上の導管に沿って実質的に自由に移動するように配置された張力部材を有し、
前記張力部材は、複数の、可撓性を有する、実質的に長手方向に伸長不可能なストランドを有し、
前記ガーメントは、複数のストランドが横方向に広がり、各ストランドが対応するストランド導管内で実質的に自由に移動するように配置された織物部分を有し、
前記引張可能なループは、前記ガーメントがユーザによって着用され、該引張可能なループに張力がかけられると、該ユーザの関節に圧力をかけるように前記ユーザの関節上に配置さており、
前記テンションイブナーは、前記複数のストランドに係合するように配置され、前記テンショナによって加えられた張力を該複数のストランド間で均等化するよういに配置されていることを特徴とする。
【請求項24】
請求項23記載のブレースガーメントにおいて、該ブレースガーメントは、ユーザの脚の膝用に構成され、前記織物部分は、ユーザの対応する下腿三頭筋の遠位領域で脚に対して部分的に円を描くように形成されていることを特徴とする。
【請求項25】
請求項24記載のブレースガーメントにおいて、前記引張部材は、少なくとも部分的に脚の太ももを取り囲んでいることを特徴とする。
【請求項26】
請求項23記載のブレースガーメントにおいて、該ブレースガーメントは、ユーザの肩関節を有する胴体用に形成され、前記織物部分は、ユーザの肩関節に対向する胴体の一部を把持するように構成されていることを特徴とする。
【請求項27】
請求項26記載のブレースガーメントにおいて、前記張力部材は、ユーザの胴体を囲んでいることを特徴とする。
【請求項28】
請求項23記載のブレースガーメントにおいて、前記テンションイブナーはホイップルツリーを有することを特徴とする。
【請求項29】
請求項28記載のブレースガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは多層ホイップルツリーであることを特徴とする。
【請求項30】
請求項28記載のブレースガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、前記張力部材の実質的に伸長不可能なストランドと係合するために配置された滑車を有することを特徴とする。
【請求項31】
請求項28記載のブレースガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、張力部材の実質的に伸長不可能なストランドと係合するために配置された中通し可能な部材を有することを特徴とする。
【請求項32】
請求項31記載のブレースガーメントにおいて、前記中通し可能な部材は、前記張力部材の実質的に伸長不可能なストランドと係合するために配置されたビーズ、ブロック、リング、ハトメおよびホイップルバーのうちの1つ以上を含むことを特徴とする。
【請求項33】
請求項32記載のブレースガーメントにおいて、ビーズ、ブロック、リング、ハトメおよびホイップルバーのうちの1つ以上は、木材、金属、およびポリマーのうちの1つでできていることを特徴とする。
【請求項34】
請求項33記載のブレースガーメントにおいて、ポリマーからなるビーズ、ブロック、リング、ハトメおよびホイップルバーのうちの1つ以上は、射出成形および三次元印刷のいずれかによって作製されたものであることを特徴とする。
【請求項35】
請求項28記載のブレースガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、前記張力部材の実質的に伸長不可能なストランドと係合するために配置された実質的に伸長不可能な布のループを有することを特徴とする。
【請求項36】
請求項28記載のブレースガーメントにおいて、前記ホイップルツリーは、前記張力部材の実質的に伸長不可能なストランドと係合するために配置された伸長不可能なケーブル内のループを有することを特徴とする。
【請求項37】
請求項23記載のブレースガーメントにおいて、前記テンショナは、テンションイブナーに張力を加える際に機械的利点(a mechanical advantage)を提供するように構成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPCのA61で例示される医療分野に関し、特に、ウォーキング促進装置等の、人体の関節安定化装置及びこれに関連する方法に関する。1観点においては、本発明は、人間の膝を安定化させる装置及び、該膝の損傷靱帯を治療するように構成し、準備した装置の作用に関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科用ブレースは、関節や、関節周りをつなぐ手足に損傷を受けたときに、人体の手足の関節を安定化させるために使用する。このように、膝、足首、肘及び手首を安定化させるためにブレースを使用する。ブレースをあてがうことで、手足や関節の機能を実行させながら、損傷した手足や関節の負担を減らすことにより、更にダメージを与えるリスクを最小限に抑えることが出来る。
【0003】
膝のブレース製品の幾つかは、膝前十字靱帯(ACL)、後十字靱帯(PCL)、内側側副靱帯(MCL)等の膝の靱帯を特別にプロテクトするように開発されてきた。これらの靱帯は、特に熱心なスポーツ活動に関与している個人が膝を無理に使った時しばしば損傷を受ける。外側側副靱帯(LCL)も時々くじく。これら靱帯をプロテクトするブレース製品は、テクノロジーや機能や効力に関して大いに異なっている。このような製品は、国際特許公開WO/2019/113700およびWO/2020/093160号に開示されており、いずれも本願の譲受人に譲渡されている。
【0004】
いくつかの製品は、関節の接合を保った状態で機械的に包み込むことに焦点を当てている。こうした製品は、やや重いヒンジ機構を有し、全体的に嵩高であって、特に美的ではない。全く反対に、ガーメント(補正着)の形を取ったいくつかの製品があり、膝を安定化して上記した靱帯を保護する際に、膝の近傍に圧縮力を作用させる、異なるテクノロジーを用いたガーメント(補正着)の異なる形態である。いくつかのガーメント(補正着)は、十分な圧縮力を作用させることが出来ない欠点がある。他のものは全体的には十分な圧縮力を作用させるが、鍵となる解剖学的な領域に直接、該圧縮力が作用しないものもある。
【0005】
膝ブレース製品は、変形性関節症に対処するために開発され、内側コンパートメント軟骨(the medial compartment cartilage)への圧力を低下(アンロード)させることに焦点を当てています。アンローダー膝ブレースには、顆頭パッドとフォースストラップの2つの主なスタイルがある。顆頭パッドの設計では、顆頭パッドに加えられた圧力を中心とする3点曲げ機構を使用して、膝に作用するモーメントを低下させる。フォースストラップでの設計では、膝を包み込むストラップを使用してモーメントを適用する。どちらの場合も、顆頭パッドまたはストラップからの圧力が加わると、不快感を引き起こし、血液循環が制限される可能性がある。内側コンパートメントへの圧力を低下するように構成されたブレースは、腓骨神経に圧力をかけ、しびれまたは痛みを伴う状況を引き起こすことも知られている。研究によると、患者の半数以上がこれらの問題のためにこれらのブレースの使用を中止している。アンローダー膝ブレースはまた、移動、快適性、大きさ、重量など、従来のブレースと同じ多くの問題に悩まされており、適合性の低下につながっている。
【0006】
外反性モーメントを伴い、膝窩動脈の血液循環を妨げないアンローダー膝ブレースの必要性がある。また、長時間の使用による痛みや不快感を避けることも必要である。さらに、側顆に対して顆頭力を加えないブレースの必要性がある。列挙された追加の問題に対処し、これらの装置への不満を減らすために、アンローダーブレースの必要性があるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第1の観点は、人体の関節を少なくとも部分的に包むために配置されたガーメントを示すものであり、該ガーメントは、ガーメント材料のマトリックス内またはマトリックス上に、対応する所定の湾曲した3次元空間経路に沿ってそれぞれ長手方向に配置された1つ以上の張力部材を有し、対応する所定の経路は、1つ以上の張力部材を関節の少なくとも1つの天然靭帯に空間的に関連付いている。1つ以上の張力部材は、それぞれ、実質的に縦方向に非伸張性材料である1つ以上のストランドを含み得る。ガーメント材料は、ガーメント材料内またはガーメント材料上に配置され、各張力部材の1つ以上のストランドを受け入れるように配置された導管を含み得る。各導管は、ストランドに対するガーメント材料の摩擦係数よりも、ストランドに対する摩擦係数が低くてもよい。各導管は、ガーメント材料とは異なる材料の1つ以上のチューブを有し、該チューブは、対応する張力部材の所定の3次元空間経路に沿って縦方向に配置されている。
【0008】
該ガーメントは、更に少なくとも一つの引張部材を引っ張るための、一つ以上の引張部材の少なくとも一つに沿って配置された少なくとも一つのテンショナを有してもよい。一つ以上の引張部材の少なくとも一つは、更に前記少なくとも一つの引張部材の異なるストランド間の張力の相違をバランスさせるために配置された少なくとも一つの張力調整器を有してもよい。
【0009】
前記関節は人体の足における膝蓋骨を持った膝であり、前記一つ以上の引張部材の少なくとも一つの引張部材の前記軌跡は、前記膝蓋骨に対して垂直に近接し外側に伸延するように配置された外側セグメント及び前記膝蓋骨に対して垂直に近接し内側に伸延するように配置された内側セグメントを有してもよい。該ガーメントは、足の後部を回る、少なくとも一つの引張部材の前記外側セグメントに少なくとも一つの引張部材の内側セグメントを接続する、非伸張性織物の少なくとも一つの部分を有してもよい。
【0010】
少なくとも1つの張力部材の外側および内側セグメントは、さらに、それぞれ上部および下部の交差点の膝の上および下で互いに交差するように配置されてもよい。ガーメントは、少なくとも1つの張力部材の内側セグメントを、上部の交差点で膝上部の前を覆う、少なくとも1つの張力部材の側方セグメントに接続する非伸張性布の一部と、少なくとも1つの張力部材の内側セグメントを、下部の交差点で膝下部の前を覆う、少なくとも1つの張力部材の側方セグメントに接続する、非伸張性布の一部とをさらに含んでもよい。
【0011】
一般に、関節接合部が膝である場合、ガーメントは、脚部上で互いに水平に張力がかかる張力部材の2つのセグメントを横方向に接合する非伸張性布の一部を含み得る。
【0012】
該ガーメントは、更に人体のウエストに関して、ガーメントを締めるために配置されたベルト及び該ベルトに少なくとも一つの引張部材を接続する安定化コネクタを有し、該安定化コネクタは、実質的に非伸張性材料から構成されていてもよい。
【0013】
少なくとも一つの張力部材の3次元的な空間軌跡は、前記関節で繋がれた足の周囲に伸延していてもよい。少なくとも一つの張力部材の3次元的な空間軌跡は、少なくとも一つの引張部材内の張力が、関節近傍で圧縮力を生成するか及ぼすように配置されていてもよい。一つ以上の張力部材の少なくとも一つの長手方向部分は、実質的に非伸張性織物の区間で構成されていてもよい。
【0014】
他の観点においては、ガーメントは、該ガーメント内又は上の導管に沿って自由に移動できるように構成された閉鎖された引張ループを有し、前記導管は、少なくとも足の膝の上及び下のいずれかで、ユーザの足の前部の外側及び内側間で、自分自身と交差するように配置されている。ある実施例では、前記導管は、足の膝の上及び下の両方で、ユーザの足の前部の外側及び内側間で、自分自身と交差するように配置されている。前記引張ループは、ガーメントの中又は上で、ガーメントがユーザに着用され、該引張ループが引っ張られると、ユーザの外側の側副靱帯及び内側の側副靱帯の少なくとも一つに圧力を加えるように配置されている。該ガーメントは、更に、前記引張ループに張力を与えるために設けられたテンショナを有してもよい。該ガーメントは更に、ユーザのウエスト周りにフィットするように配置されたベルトを有し、前記引張ループは該ベルトにアンカー固定されていてもよい。前記導管は、足の下腿三頭筋の近接領域で、該足を取り巻く軌跡に沿って配置されていてもよい。
【0015】
ガーメントは、アンカー部材を有してもよく、前記引張部材とアンカー部材は、少なくとも部分的に又は大部分で太股を取り巻く形で結合していてもよい。他の実施例では、引張部材は少なくとも部分的に又は大部分で太股を取り巻いている。
【0016】
前記引張ループは、低摩擦材料の層間に挟まれた導管に沿って伸延する引張部材を有してもよい。ガーメントは、ガーメント材料から形成され、前記導管は、前記ガーメント材料内に含まれ、ステッチによって側方に区切られていてもよい。前記ステッチは、低摩擦繊維から構成されていてもよい。前記引張ループは、前記導管に沿って伸延する引張部材を有し、該導管は低摩擦管から構成されていてもよい。また、導管は低摩擦の突き合わされた管から構成されていてもよい。前記引張ループは、実質的に長手方向に非伸張性の材料から作られている引張部材を有してもよく、該非伸張性の材料は可撓性を有してもよい。
【0017】
他の観点においては、人間ユーザの足の膝を安定化する方法であって、該方法は、着ることの出来る(ウエアラブル)ガーメントをユーザの膝の周りに適用し、ガーメントは、ガーメントの足、ガーメントの膝、テンショナ及び、ガーメントの足の周りに配置されている、ガーメント内又は上を、導管に沿って長手方向に自由に移動可能に配置された閉鎖引張ループを有し、導管は、ガーメントの足の前部の内側及び外側間の、ガーメントの膝上及び膝下で、自分自身と交差するように配置され、テンショナは、ループの張力を調整するように配置され、前記テンショナを作用させてループの張力を調整する。
【0018】
前記適用は、ユーザにガーメントを、ユーザの足の下腿三頭筋の端部領域に対して、ループの第1の部分を配置し、ユーザの足の太股上又はその上方で、ループの第2の部分を配置し、そしてユーザの足の膝蓋骨の内側及び外側に、ユーザの膝の二つの側副靱帯に近接して、第1及び第2の部分間のループ上に位置する、前記ループの第3及び第4の部分を位置させるように構成してもよい。前記ループの第2の部分の配置は、該ループの第2の部分をユーザの足の太股の後部に対して配置することを含んでいてもよい。
【0019】
他の観点においては、ユーザの膝を安定化するためのウエアラブルガーメントの製造方法であり、該方法は、少なくとも膝、近接する下腿三頭筋及び近接する太股の先端部分の、少なくとも一部を被覆するガーメントを成形し、少なくともガーメントの中又は上のいずれかに、張力ループを受け入る導管を設け、該導管は、少なくともガーメントの膝の上及び下のいずれかで、ガーメントの前の内側及び外側間でそれ自身が交差するように配置され、導管を介した経路に沿って、引張部材を通し、前記ループの上又は中に、該ループの張力を調整するためのテンショナを設ける。
【0020】
前記引張部材を通すことは、実質的に非伸張性の引張部材を通すことから構成されてもよい。前記引張部材を通すことは、可撓性を持った実質的に非伸張性の引張部材を通すことから構成さてもよい。引張部材を通すことは、該引張部材が、PTFE,ステンレススチール、ナイロン(登録商標)、ケブラー(登録商標)の一つ以上から作られたものを、超高分子量ポリエチレンベースの繊維、ダイヤモンド織の繊維の一つ以上から作られたものを通すことから構成されてもよい。ダイヤモンド織の繊維から作られた引張部材を通すことは、綿、ポリエステル、ポリプロピレン及びテクノーラ(登録商標)のいずれかから作られた引張部材を通すことから構成さてもよい。
【0021】
前記導管を設けることは、該導管を膝の上及び下で自分自身と交差するように配置することを含むよいにしてもよい。ガーメントを成形することは、該ガーメントをユーザのウエストまで伸延させ、該ウエストの周りにベルトを成形することを含んでもよい。前記テンショナを設けることは、該テンショナを前記ベルトに配置することを含んでもよい。ループ上又は内にテンショナを設けることは、該テンショナをガーメントの太股上に設けることを含んでもよい。
【0022】
更なる実施例では、ユーザの膝を安定化するためのウエアラブルガーメントであり、該ウエアラブルガーメントは、ガーメントの中又は上に配置された導管に沿って自由に動くように配置された閉鎖引張ループを有し、該導管は、膝に対して外側部及び内側部を持った導管パスに沿って伸延し、前記ループ内の張力を調整するために、ループ内又は上に設けられた調整可能なテンショナを有し、導管パスの外側部及び内側部は、ユーザの膝の外側及び内側の側副靱帯にそれぞれ近接した、ユーザの膝の膝蓋骨をそれぞれ通過し、導管パスの外側及び内側部は、ユーザの膝下及び上のすくなくとも一つの点である、少なくとも一カ所の点で互いに接近している。
【0023】
前記導管パスの外側及び内側部は、ユーザの膝の下の第1の点及びユーザの膝上の第2の点で互いに接近していてもよい。前記引張ループは、ガーメントがユーザに着られて、前記引張ループが引っ張られた場合、ユーザの外側側副靱帯及び内側側副靱帯の少なくとも一つに圧力が掛かるように配置されていてもよい。前記導管は、足の下腿三頭筋の端部領域で該足を実質的に周回する軌跡に沿って配置されていてもよい。前記引張ループは、前記導管に沿って伸びる引張部材を有していてもよい。前記テンショナは、ユーザの太股に配置されていてもよい。前記引張部材は、実質的に長手方向に非伸張性の材料から作られていてもよく、また材料は、可撓性を有していてもよい。前記導管は、順に並べられた低摩擦管から構成されていてもよい。
【0024】
他の観点においては、ユーザの膝を安定化するためのウエアラブルガーメントを製造する方法であって、該方法は;少なくとも、膝、隣接する下腿三頭筋及び隣接する太股の末端部分を、少なくとも部分的にカバーするガーメントを成形するステップ;引張ループを受け入れるための導管をガーメント内及び上の少なくともどちらかに設けるステップ,該導管は膝に対して外側及び内側部分を持った導管パスに沿って伸延しており、導管パスの外側及び内側部分は、少なくとも一つの点で互いに接近しており、該少なくとも一つの点は、ユーザの膝の上又は下のうちの少なくとも一つであり;該パスに沿った導管内に引張部材を通すステップ;ループの張力を調整するためのテンショナを、該ループ内及び上のいずれかに設けるステップからなる。
【0025】
引張部材を通すステップは、実質的に非伸張性の引張部材を通してもよい。引張部材を通すステップは、可撓性を有し、実質的に非伸張性の引張部材を通してもよい。引張部材を通すステップは、該引張部材が、PTFE,ステンレススチール、ナイロン(登録商標)、ケブラー(登録商標)の一つ以上から作られたもので、超高分子量ポリエチレンベースの繊維、ダイヤモンド織の繊維の一つ以上であってもよい。
【0026】
ダイヤモンド織の繊維から作られた引張部材を通すことは、綿、ポリエステル、ポリプロピレン及びテクノーラ(登録商標)のいずれかから作られた引張部材を通すことであってもよい。導管を設けることは、導管パスの外側及び内側部分を、ユーザの膝の上及び下で互いに接近するように、導管を配置することを含んでもよい。ガーメントを成形することは、該ガーメントをユーザのウエストにまで伸延させ、該ウエスト周りにベルトを成形し、テンショナを、該ベルト上に配置するように構成してもよい。テンショナを、ループ内又は上に配置することは、テンショナを、ガーメントの太股に配置することを含んでもよい。
【0027】
さらなる実施形態では、着用者の関節を安定化するためのウェアラブルブレースガーメントが提示される。該ガーメントは、少なくとも部分的に関節を包むように配置される。該ガーメントは、ガーメント上またはガーメント内の導管内に、関節周りの空間経路に配置された張力部材を有し、該張力部材は、長手方向に沿って実質的に非伸張性の複数のストランドと、横方向に広がるストランドを有する織物部とを有し、各ストランドは、対応するストランド導管に配置されている。また該ガーメントは、ガーメント上に配置され、張力部材内の張力を調整するために配置されたテンショナ、前記テンショナ及び前記テンション部材のストランドと張力的に連通して前記ガーメント上に配置されるテンションイブナーを有し、該テンションイブナーは、テンション部材の複数の非伸張性ストランド間のテンションを均等化する。テンションイブナーは、多層ホイップルツリーを含むホイップルツリーであってもよい。ホイップルツリーは、より具体的には2層または3層のホイップルツリーであり得る。
【0028】
ホイップルツリーは、プーリおよび/または中通し可能な部材を用いてもよい。中通し可能な部材は、ビーズ、リング、ハトメ、ブロック、非伸張性布のループ、非伸張性ケーブルのループ、および張力部材の非伸張性ストランドと係合するためのホイップルバーを含み得る。プーリ、中通し可能なビーズ、リング、ハトメ、ブロックおよびホイップルバーは、木材、金属、プラスチックおよび他の適切なポリマー材料を含む、加えられた張力に耐えることができる任意の材料で形成され得る。ポリマー素子は、射出成形または三次元印刷技術によって形成され得る。
【0029】
ガーメントはガーメント材料で作られてもよく、各導管は、ストランドに対するガーメント材料の摩擦係数よりもストランドに対する低い摩擦係数を有し得る。導管の各々は、衣服材料とは異なる材料のチューブを備えてもよい。張力部材の3次元空間経路は、張力部材内の張力が関節近接に圧縮力を生じるように配置されてもよい。テンショナは、張力イブナーに張力を加える際に機械的利点(a mechanical advantage)を提供するように、張力イブナーと係合されてもよい。関節は、着用者の足首、肘、手首、肩、股関節、首、脊椎、および1つ以上の椎骨のうちの1つであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
次に示す発明の実施例や添付した図面を参照することにより、本発明の上記した特徴やその他の特徴、目的、及びそれらを達成する方法が明らかになり、発明自体をより良く理解することが出来る。
【0031】
図1】人間の左膝の一般的構造を示す図である。膝頭及びその癒着箇所は、明確性のために削除してある。
【0032】
図2】人間の左膝補強用ブレースガーメント(補正着)の第1実施例を示す図である。
【0033】
図3】人間の左膝補強用ブレースガーメント(補正着)の他の実施例を示す図である。
【0034】
図4】人間の左膝補強用ブレースガーメント(補正着)の他の実施例を示す図である。
【0035】
図5図2の腿部の拡大詳細図である。
【0036】
図6A】1実施例における引張部材及び導管の構造を示す図である。
【0037】
図6B】他の実施例における引張部材及び導管の構造を示す図である。
【0038】
図6C】他の実施例における引張部材及び導管の構造を示す図である。
【0039】
図7】人間の足の膝を安定化させる方法を示すフローチャートである。
【0040】
図8】人間の膝の補強用ブレースガーメント(補正着)の製造方法を示すフローチャートである。
【0041】
図9】人間の左膝の補強用ブレースガーメント(補正着)の他の実施例を示す図である。
【0042】
図10】人間の膝の補強用ブレースガーメント(補正着)の他の製造方法を示すフローチャートである。
【0043】
図11】人間の左膝の補強用ブレースガーメント(補正着)の他の実施例を示す図である。
【0044】
図12図6Bの引張部材を有する張力調整装置の実施例を示す図である。
【0045】
図13図11の引張部材の二つの端部で張力を調整する際に使用する張力調整装置の実施例を示す図である。
【0046】
図14A】テンショナ及びテンションイブナーを持ったブレースガーメントの斜視図である。
図14B】テンショナ及びテンションイブナーを持ったブレースガーメントの斜視図である。
【0047】
図15図14Aおよび図14Bのガーメントの構成要素の切り欠き図であり、複合非伸張性ケーブルの複数のストランドが、ガーメントのふくらはぎグリップ内の導管によってどのようにガイドされるかを示す図である。
【0048】
図16A図14Aおよび図14Bのガーメントの2層ホイップルツリーテンションイブナーの異なる実施形態を示す概略図である。
図16B図14Aおよび図14Bのガーメントの2層ホイップルツリーテンションイブナーの異なる実施形態を示す概略図である。
図16C図14Aおよび図14Bのガーメントの2層ホイップルツリーテンションイブナーの異なる実施形態を示す概略図である。
図16D図14Aおよび図14Bのガーメントの2層ホイップルツリーテンションイブナーの異なる実施形態を示す概略図である。
図16E図14Aおよび図14Bのガーメントの2層ホイップルツリーテンションイブナーの異なる実施形態を示す概略図である。
図16F図14Aおよび図14Bのガーメントの2層ホイップルツリーテンションイブナーの異なる実施形態を示す概略図である。
【0049】
図17A図14Aおよび図14Bのガーメントの3層ホイップルツリーテンションイブナーの異なる実施形態を示す概略図である。
図17B図14Aおよび図14Bのガーメントの3層ホイップルツリーテンションイブナーの異なる実施形態を示す概略図である。
図17C図14Aおよび図14Bのガーメントの3層ホイップルツリーテンションイブナーの異なる実施形態を示す概略図である。
【0050】
図18A】着用者の肩関節を支持するブレースガーメントの一実施形態を示す斜視図である。
図18B】着用者の肩関節を支持するブレースガーメントの一実施形態を示す斜視図である。
【0051】
図19A】着用者の肩関節を支持するブレースガーメントの他の実施形態を示す斜視図である。
図19B】着用者の肩関節を支持するブレースガーメントの他の実施形態を示す斜視図である。
【0052】
図20】着用者の足首関節を支持するブレースガーメントの一実施形態を示す図。
【0053】
図21A】着用者の手首関節を支持するブレースガーメントの一実施形態を示す図。
図21B】着用者の手首関節を支持するブレースガーメントの一実施形態を示す図。
【0054】
図22A】着用者の肘関節を支持するブレースガーメントの一実施形態を示す図。
図22B】着用者の肘関節を支持するブレースガーメントの一実施形態を示す図。
図22C】着用者の肘関節を支持するブレースガーメントの一実施形態を示す図。
【0055】
図面を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。図面は、本発明の実施例を示しているが、図面は必ずしも一定の比率に基づいて作成されているわけではなく、本発明をより詳しく例示し説明するためにある特徴は誇張されていることもある。フローチャート及びスクリーンショットは、本質的に表示しており、本発明の実際の実施例は図面には示されていない特徴やステップを更に含んでいる場合がある。ここで説明した例示は、ある1つの形態における本発明の実施例を説明しており、この例示がいかなる場合でも本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に開示した実施例は、網羅的ではなく、これに続く詳細な説明に開示した正確な形態に本発明を限定するものではない。むしろ、実施例は、他の当業者がこれらティーチングを利用することができるように選び、記載してある。
【0057】
本発明は、人体の接合関節用のブレース配置を有するガーメント(補正着)に関する。該ブレースは、ガーメント(補正着)材料の母材上又は中に、それぞれが対応する所定の形に曲がって三次元空間的な軌跡に沿って長手方向に配置された張力部材を有しており、この対応する所定の形の軌跡は、空間的に、一つ以上の張力部材を、関節の少なくとも一つの天然の靱帯と関連付けている。ガーメント(補正着)及びブレースを説明するために、最初に図1に示す人間の膝を考えてみる。
【0058】
図1は、前部から見た人間の左膝の内部膝部100を示しているが、膝蓋骨、即ち膝頭及びその癒着箇所は、この特定の関節の内部構造を明確にするために削除してある。図に示す足の主要な骨は、大腿骨110、脛骨120及び腓骨130である。これらの骨が接合している間に接触する部分には、接合軟骨140が設けられており、脛骨120上の2つの軟骨部分は、内側半月板144及び側方半月板146である。骨は、該骨を一緒に保持する戦略的に配置された靱帯によって互いに対して安定している。これら骨には、大腿骨110と脛骨120の面が相互に作用しながら共に結合する後十字靱帯(PCL)150と膝前十字靱帯(ACL)160、大腿骨110の頭部内側及び外側に対して、それぞれ脛骨120及び腓骨130と結合する内側側副靱帯(MCL)170と外側側副靱帯(LCL)180がある。
【0059】
次の説明では、本発明のガーメント(補正着)の実施例は、人間の体の中間部から脚の下部まで配置され、該ガーメント(補正着)で被覆される足を含め、体の下部全体に亘っている。しかしながら、実際の実施例では、腰まで、或いは腰を超えて全体を覆っている場合もあれば、そうでない場合も有り、また足を完全に被覆している場合もあればそうでない場合もある。本発明によるこれらガーメント(補正着)の形態は、スタイル、製造方法及び/又は個々の状況の特定形態によって決めることが出来る。従って、次に示す実施例の詳細な説明は、ごくわずかな可能性のあるガーメント(補正着)のバリエーションを表すにとどまる。
【0060】
図2に示すブレースガーメント(補正着)は、第1の実施例であり、図1の膝関節にガーメント200が着用され、該ガーメント200は、ベルト210、引張部材220、固定部材230及びテンショナ240を有している。破線で示す四角形100が、図1に示す左脚の領域である。引張部材220は、上述した靱帯150、160、170,180の配置に関連した所定の経路をたどる。点Aでテンショナ240から進んで、引張部材220がその経路で分岐する点Bにまで経路を進み、1つの閉ループ経路を形成する。該経路は、左側面から進んで内側で左脚の膝蓋骨190を通過し、再度曲がって下腿三頭筋(人間のふくらはぎの集合筋)の末端部の点Cで左足の外側部に到達する。そこから、足の背面を再度周回し(点線で示す)、左足の内側部の点Dに到達する。そして点Dから進んで、点Eで自分の経路と交差して、膝蓋骨190の側面を周回する曲線経路に沿って進む。点Fで自身と交差した後、経路は、左側面方向に鋭く曲がって再結合する地点Bに到達する。交差点E、Fでは、引張部材220の二つの伸延部分は、互いに独立であり、結合していないので、可能な限り、互いに自由に移動することが出来るようになっている。
【0061】
固定部材230の経路はテンショナ240の点Gから伸延して、大腿部の後ろを回って(点線で示す)内側の点Hを経由して点Iに達し、そこで直近の引張部材220で終わる。引張部材220の経路は、点Iで鋭く曲がる。固定部材230と引張部材220が点Iで配置される正確な態様は、以下に詳細に述べる。現在の目的のためには、固定部材230の経路と引張部材220の経路が協同で、ブレースガーメント200を大腿部に固定するために大腿部の周りを回る閉鎖ループを生成する点を指摘するだけで十分である。即ち、以下の更なる実施例も参照すると、引張部材220と固定部材230は、引張部材220と固定部材230の間にどのような固定機能が配置されようと、それとは無関係に、大腿部を共に十分に取り巻いている。足のふくらはぎの引張部材220による経路によって形成される点Cから点Dを経て点Eのループは、同様にブレースガーメント200をふくらはぎに固定するものである。
【0062】
使用時には、引張部材220は、テンショナ240を介してガーメント200の装着者によりその張力が調整される形となってもよい。同様に、実施例では、固定部材230は、以下に詳細に述べるように、導管内の経路に沿って伸延しており、固定部材230は、テンショナ240によってその張力を調整されるようにしてもよい。他の実施例では、固定部材230は、長手方向に非伸縮性の材料から構成することが出来、テンショナ240は、該非伸縮性材料上に配置されて、引張部材220を引っ張ることで固定部材230も引っ張るように、構成することも可能である。
【0063】
テンショナ240は、逆転防止機構や接合金具の無いものも含めて多様な実施態様を採ることが出来る。引張部材220に長手方向の張力を与えることが出来、人間の動作と互換性があれば、どのような構成でも適している。
【0064】
図2の実施例は、膝の上下で共に自分自身と交差する引張部材220を特に示す。より一般的な実施例では、引張部材220は膝の上か又は下で自分自身と交差するのみでいいかもしれない。しかし、膝の対向する側で引張部材220の経路の上方に向かう部分と下方に向かう部分が互いに近接し、そこで張部材220が実際、自分自身で交差することは、メリットがある。
【0065】
本発明によるガーメントの第2の実施例を図3に、ベルト210’、引張部材220’、及びテンショナ240’からなるガーメント200’として示す。実施例では、引張部材220’の模式的な経路は右ヒップ上のベルト210’のテンショナ240’の点A’からスタートする。そして点A’から装着者の後ろをまわり(破線で示す)、左足の側面に位置する点B’にゆく。そこで、引張部材220’は、経路が分岐し、単一の閉鎖ループを形成する。ループは、左側面から左足の内側で、膝蓋骨190を通過し、再度曲がって下肢三頭筋末端部の点C’で左足の側面に達する。そこから再度足の背部を回って(破線で示す)進み、左足の内側の点D’に達する。そして点D’から点E’で自分自身の経路と交差し、点F’で再度自分自身の経路と交差するまでに、膝蓋骨190の側面の周囲を回る曲線経路に沿って進む。次いで経路は左側面方向に鋭く曲がって点B’に達し、そこで自分自身と再結合する。交差点E’、F’では、引張部材220’の出て行く部分と入ってくる部分は独立であり、互いに結合していないので、可能な限り、互いに自由に移動することが出来るようになっている。
【0066】
この態様では、引張部材220‘は、足を取り巻いているために、膝領域100に安定化圧縮力を生成または作用させるばかりか、引張部材220’がふくらはぎの周囲の領域C‘-E’-F‘で足を固定するように、足及びガーメントに力を生成又は作用させる。従って、引張部材220’は、該引張部材220‘が身体の周りの円の少なくとも一部、恐らく大部分を完成させている事実によって、足に対する先端固定部材として自ら作用し、ベルト210‘の先端で固定される。実際には、引張部材220’は、テンショナ240’を介してガーメント200’の装着者によってその張力が調整されるようになっていてもよい。他の実施例では、テンショナは胴体の前部にまで更に回るように配置して、引張部材220’が足を上から下に見た場合に、太股の周囲を完全に回るようにしてもよい。ここで「太もも十分に取り囲む」という語句は、たとえ実際の経路が螺旋の性状を呈していたとしても、こうした状態を意味するものである。図3の点A’から点B’に伸びる引張部材220’の部分は、固定部材としても見ることが出来、これは図2の実施例における固定部材230の役割と同じ役割を果たすものである。
【0067】
図3の実施例では、膝の上下両方で自分自身と交差する引張部材220’を特に示している。より一般的な実施例では、引張部材は膝の上又は下のどちらかでのみ自分自身と交差すればよい。しかし、膝の対向する側で引張部材220’の経路の上方に向かう部分と下方に向かう部分が互いに近接し、そこで張部材220’が実際、自分自身で交差することは、メリットがある。
【0068】
ガーメントの更なる実施例を図4に、ベルト210’’引張部材220’’及びテンショナ240’’からなるガーメント200’’として示す。この実施例では、引張部材220’’の模式的な経路は、テンショナ240’’の点A’’からスタートする。経路は点A’’から左足の膝蓋骨190の内側を通過し、再度曲がって下肢三頭筋の末端部分の点C’’で左足の側面に達し、そこから足の背部を回って(破線で示す)点D’’の左足の内側に達する。そして点D’’から進んで、点E’’で自分自身の経路と交差し、更に、膝蓋骨190の側面を回り込んだ経路に沿って進み、点F’’で再度、自分自身の経路と交際する。経路は、点G’’で太股の内側を回って太股の後部を太股の後ろを回る形で進み(破線で示す)、点H’’でテンショナ240’’に達する。交差点E’’、F’’では、引張部材220’’の出て行く部分と入ってくる部分は互いに結合していないので、可能な限り、互いに自由に移動することが出来るようになっている。
【0069】
この態様では、引張部材220‘‘は、足を取り巻いているために、膝領域100に安定化圧縮力を生成または作用させるばかりか、引張部材220’がふくらはぎの周囲の領域C‘‘-E’’-F‘‘で足を固定するように、足及びガーメントに力を生成又は作用させる。引張部材220’‘は、従って足に対する先端固定部材として機能する。同様に、太股周りの足を取り巻いているために、引張部材はガーメントを太股に対して固定する。実際には、引張部材は、テンショナ240’’を介してガーメント200’’の装着者によってその張力が調整されるようになっていてもよい。
【0070】
図4の実施例では、膝の上下両方で自分自身と交差する引張部材220’’を特に示している。より一般的な実施例では、引張部材は膝の上又は下のどちらかでのみ自分自身と交差すればよい。しかし、膝の対向する側で引張部材220’’の経路の上方に向かう部分と下方に向かう部分が互いに近接し、そこで張部材220’’が実際、自分自身で交差することは、メリットがある。
【0071】
図2図3及び図4の実施例では、それぞれの場合で引張部材220、220’、220’’は、仮に伸縮可能なループが円形で無くとも、また、テンショナ240、240’、240’’がある場合にはループの中にあるにも関わらず、伸縮可能なループとして述べている。更に、多様な実施例では、引張部材220、220’、220’’及び固定部材230は、個別に又は協働して、全体的に又は主要部として、又は少なくとも部分的に太股を取り巻いている。
【0072】
図2及び図4に示す実施例では、ガーメントは完全な下半身用ガーメントの形である必要は無く、安定化させる足の関連部分をカバーするだけで足るものである。図2及び図4の固定手段の配置では、ベルト210’、210’’は除去される。従って、図2及び図4に示す実施例では、関係する足についてのタイツの形で使用されることもできる。該タイツは太ももの上からふくらはぎの下まで伸びるものである。装着者は、美的な理由からより大きなガーメントを使用することが望まれてもよい。完全な下半身ガーメントの一般的な観点から考えると、引張部材220、220’’の自己固定の観点からは、ガーメントを足にまで延長したり、足を覆うようにしたりする必要は無い。ガーメント200、200’、200’’は、膝全体又は一部を包み込むものでもよい。例えば、膝又は膝蓋骨の後部は、原則的にガーメント200、200’又は200’’によってカバーされない状態のままであってもよい。
【0073】
引張部材220、220’、220’’の正確な経路の選択は、膝を安定化するために要求される力によって決まり、また、図1において説明した膝の四つの靱帯に要求される支持と圧縮力によって順に決まる。この点において、引張部材220、220’、220’’は二つの外側靱帯MCL,LCLの近傍を通過し、これらの領域内の膝に圧力を加える点に注意すべきである。従って、引張部材220、220’、220’’の経路は靱帯の位置によって予め決まっている。図2図3及び図4において、単一の引張部材が所定の経路に沿って縦(長手)方向に配置設置されている。即ち、張力は該経路に沿って縦(長手)方向に向いている。ガーメントは、一般的に、ガーメント材料のマトリックス(織り目)上、又はマトリックス(織り目)内の、対応する所定の曲がった三次元空間経路に沿って、それぞれが長手方向に配置された、一つ又は二つの引張部材を持っていてもよく、該対応する所定の経路は、一つ以上の張力部材を、解剖学的な関節の少なくとも一つの靱帯と、空間的に関連付けている。
【0074】
引張部材220、220’、220’’の性質とガーメント200、200’、200’’が作られている材料のマトリックス(織り目)との相互作用について述べる。図2図3及び図4は、模式的に引張部材220、220’、220’’の経路を示しているが、引張部材220、220’、220’’をガーメント200、200’、200’’内又は上にどのようにして内蔵又は保持させるかについては示していない。引張部材220,220’、220’’はガーメント200、200’、200’’内を、ガーメントに引っかかることなく、またガーメントを過度に歪ませることなく、自由に動くことが必要である。このために、引張部材220、220’、220’’はガーメント200、200’、200’’が作られている材料のマトリックス(織り目)内の導管(溝)内に、その経路に沿って配置されている。導管は、ガーメントの素材の織り内の自然な通路から構成することが出来る。他の実施例では、導管は本質的に管状であってもよく、ガーメント200、200’、200’’の材料マトリックス(織り目)内に、又は外部に装着される形で配置されてもよい。また、別の実施例では、導管は配管の部分から構成されていてもよく、また、本開示では、「順次菅接続“collated tubing”」という語句で述べられている。順次菅接続を使用することは、引張部材220、220’、220’’とガーメント200,200’、200’’のマトリックス(織り目)材料との間の摩擦の度合いを変更することができる。また更なる実施例では、導管は、ガーメント200、200’、200’’のマトリックスの生地材料とは異なる生地材料から作られていてもよい。また、異なる実施例では、導管は、引張部材220、220’、220’’のどちらかの側と引張部材経路を区別するステッチパターンで作れていてもよい。そうしたステッチパターンの特別な場合は、ガーメントの材料は縫い目で縫い合わされており、引張部材220,220’、200’’はその縫い目の中を縦方向に伸延する形のものである。
【0075】
引張部材220、200’、200’’は、個々の導管に沿って伸延する複数の個々の糸から構成されていてもよく、該個々の糸は、テンショナ240、240’、240’’に入る前に一緒に合わされる。引張部材220、220’、220’’は、ガーメントの材料マトリックス(織り目)よりも実質的な伸張性が小さな材料から形成されてもよい。引張部材220、220’、220’’に使用するに好適な材料は、長手方向には伸張性が無いが、可撓性のあるものであってよい。引張部材220、200’、200’’に適した材料は、これらに限定するものではないが、ステンレススチール、ナイロン、ケブラー(登録商標)、テフロン(登録商標)、ダイニーマ(登録商標)などの超高分子量ポリエチレンベースの繊維、綿、ポリエステル及びポリプロピレン、例えば、限定するものではないが、テクノーラ(登録商標)を含んだダイヤモンド織又はバスケット織の多様な繊維である。(ケブラーは、E. I. DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY CORPORATION DELAWARE Chestnut Run Plaza, 974 Centre Road WILMINGTON DELAWARE 19805 の登録商標;テフロンは、THECHEMOURS COMPANY FC, LLC LIMITED LIABILITY COMPANY DELAWARE 1209 ORANGE STREET WILMINGTON DELAWARE 19801 の登録商標;ダイニーマは、DSM IP Assets B.V. LIMITED LIABILITY COMPANY NETHERLANDS Het Overloon 1 HEERLEN NETHERLANDS NL6411 TE の登録商標;テクノーラは、TEIJIN KABUSHIKI KAISHA (TEIJIN LIMITED) CORPORATION JAPAN 6-7, MIN AMIHOMM ACHI l-CHOME CHUO-KU, OSAKA JAPAN の登録商標である)導管はガーメントのマトリックス材料と同じ材料で形成されてもよく、引張部材の材料に対してより小さな摩擦係数を持った導管材料で内部が裏打ちされ、引張部材220、220’、220’’が可能な限り自由に動くようになっていてもよい。導管は、管又は突き合わされた管(順次菅接続された管)の形であってもよい。管の断面に関しては特別な構造的な制限は無い。突き合わされた管は、それが伸張しないものであっても、大変低い摩擦の管材料を選択することが出来る点で有用である。順次突き合わされた配管部分は、引張部材220、220’、220’’に張力を作用させた際に、ガーメント200、200’、200’’が過度にしわくちゃにならずに互いに近づくことが出来るからである。図2図3図4及び図5に示すように、テンショナ240、240’、240’’は引張部材220、220’、220’’によって形成されるループ上、又はループ内に多様に配置されてよい。
【0076】
引張部材220、220’、220’’がそれぞれの導管内で自由に動けるように考慮し、図2に戻って、点Iでの固定部材230と引張部材220との間の関係を解明してみる。このために、図2の太股領域を図5により詳細に拡大して示す。一つの実施例では、固定部材230は、引張部材220の導管222と同様に、点Gから点Iに、導管232に沿って伸延している。この配置がアンカーとしての機能するために、固定部材230は点I近傍の導管232の端部234に取り付けられている。ここで注意すべきは、固定部材230は、点Iで引張部材220に接続していない点であり、それは、引張部材220は、導管222内で自由に移動する必要があるからである。この配置では、テンショナ240の点Aから点Iへ伸延する引張部材220の部分は、固定部材230の全体と共に、太股周りに伸延するアンカーを形成する。引張部材220は通過点Iを自由に動くことが出来る必要から、点Iでの引張部材220の経路の曲率は、引張部材220の柔軟性で決定される曲率の上限となる。これは、材料に、実質的に長手方向で非伸張性を有しながら高い柔軟性を有なさければならないことを要求する引張部材220の材料の選択に寄与する。図2及び図5の特定の実施例に関して有用な、綿、ポリエステル及びポリプロピレンを含んだダイヤモンド織又はバスケット織の多様な繊維が選択される。
【0077】
固定部材230と引張部材220間のガーメント200の部分250は、非伸張性材料から形成して、テンショナ240から固定部材230に作用する張力が、固定部材230と引張部材220間の領域近傍でガーメント200の部分250を単純に引き伸ばしてしまわないようにしてもよい。他の実施例では、点I近傍の固定部材230の端部をループ状に形成し、固定部材230の端部に作用する力をより広い領域に拡散させ、ガーメント200の布を引っ張ったり、又は変形させたりしないようにしてもよい。図5は、また、引張部材220がテンショナポート242を介してテンショナ240に入っていることを示す。
【0078】
ガーメント200、200’、200’’のマトリックス材料又は布の選択に際しては多くの自由度がある。材料に、例えば、限定されるものではないが、スパンデックスや限定されるものではないが、例えば綿を含む他の繊維とスパンデックスの混合など、かなりの弾性を有する材料を使用することには、いくつかのメリットがある。これにより、ガーメントを意図的にピタリとしたものとすることができる。これにより、引張部材220、220’、220’’が引っ張られた際に、しわくちゃになることを防止することができる。
【0079】
図6A、6B、6Cに引張部材に使用する導管の異なる実施態様を示す。例えば、図2及び図5の素子を使用すると、図6Aは、ステッチ224によって生成されたガーメント200材料マトリックスの縫い目であり、この実施例では、管の形の縫い目に沿って伸びる導管222を有している。引張部材220は、導管222内を長手方向に伸延している。導管222の材料は、引張部材220に対して低い摩擦係数を持つものが選択される。より一般的な場合では、複数の縫い目があってもよく、それぞれがそれに沿った長手方向に伸延する導管222を有している。各導管222は、それに沿って長手方向に伸延する引張部材220のストランドを有している。図6Aでは、導管222は断面が円形で示されているが、他の実施例では、引張部材220のストランドが実質的に自由に移動可能ならば、どのような適切な断面を持ったものでもよいが、同時に、導管222は、ガーメントが対象とする人間工学的要求も満足させる必要がある。一つの適切な断面は、引張部材220のストランドを収納するだけの十分な曲率を持った、半円形又は円のより小さな部分であり、一側が、ガーメント材料200に簡単に一体化できるように、平らになっている。導管222は、とても低い摩擦で非伸張性を有するかぎり、突き合わされたものでもよいと既に説明した。管の材料は、例えば、テフロン(登録商標)又はシリカを含むものであるが、それに限定されるものではない。関連する実施例では、引張部材220のストランドは、ステッチの縫い目内で、低摩擦材料の二つの細片の間で単に挟まれている。更なる実施例では、縫い目は、近接する材料マトリックスを接着剤、ヒートシーリング又は他の結合機構によって結合することで作ってもよく、導管は適切にスペースの設けられた縫い目の間に形成される。導管は、図3及び図4の実施例内で同様に実施されてもよい。
【0080】
図6Bは、引張部材220をガーメント200のマトリックス材料内に導入するための方法の他の実施例である。図6Bは、ガーメント200の織の端面図である。図では、ガーメント200のマトリックス材料内に、引張部材220の三つのストランドのそれぞれの一端が、四つの列でステッチされ又は織り込まれたものを示す。引張部材220の三つのストランド220A、220B、220Cは、ステッチ260によって保持された低摩擦材料である二つの細長い細片270間に挟まされている。この図面では、ガーメント200の材料は、二つのシートとして示されている。図面では、明瞭にするために模式的に示されているが、材料は実際には織られている。ステッチングの繊維は低摩擦材料であり、引張部材220は低摩擦材料に対して全方向にスライド可能である。この実施例では、導管222’は、低摩擦材料の細片270と低摩擦材料のステッチング260により形成されている。この実施例は、ガーメント200内の縫い目で行われるか、又はガーメント材料200を低摩擦材料270で挟むことで、引張部材220の全ての領域で実行されてよい。導管は図3及び図4の実施例で同様に実行されてもよい。
【0081】
図6Cは、導管222’’がガーメント200の表面に順に並べられた半円筒形管の形で装着され、引張部材220が導管222’’内を通過している。ある実施例では、管の基部は、閉じているか、低摩擦材料が並べられていてもよい。図6A、6B、6Cでは、引張部材220、220’、220’’は断面又は側面が円形で示されているが、一般的な実施例では、引張部材220、220’、220’’の側面又は断面形状は限定されない。
【0082】
他の観点において、図7のフローチャートに示すように、方法[700]は、人間ユーザの膝を安定化するためにあるものであり、ステップ[710]では、着ることの出来る(ウエアラブル)ガーメント200、200‘、200’‘をユーザの膝の周りに適用する。ガーメントは、ガーメントの足、ガーメントの膝、テンショナ240、240’、240‘‘及び、ガーメント200、200‘、200’‘の足の周りに配置されている、ガーメント200、200‘、200’‘内又は上を、導管222,222’、222‘‘に沿って長手方向に自由に移動可能に配置された閉鎖引張ループ220,220’、220‘‘を有し、導管222,222’、222‘‘は、ガーメントの足の前部の内側及び外側間の、上(点F,F’,F‘‘)及び下(点E,E’、E‘‘)の少なくとも一カ所で、自分自身と交差するように配置され、テンショナ240、240’、240‘‘は、ループ220,220’、220‘‘の張力を調整するように配置され、ステップ720で、テンショナ240、240’、240‘‘を作用させてループ220,220’、220‘‘の張力を調整する。ある実施例では、ガーメント200、200‘、200’‘は、導管222,222’、222‘‘が、ガーメントの足の前部の内側及び外側間の、ガーメント200、200‘、200’‘の膝の上(点F,F’,F‘‘)及び下(点E,E’、E‘‘)の両方で、自分自身と交差するように配置されている。
【0083】
ステップ710は、ユーザにガーメント200、200‘、200’‘を、ユーザの足の下腿三頭筋の先端領域に対して、ループの第1の部分(C、C’、C’‘からD、D’、D’‘)を配置し、ユーザの足の太股又はその上で、ループの第2の部分(点F、F’、F’‘上の位置)を配置し、そしてユーザの膝の二つの側副靱帯に近接したユーザの足の膝蓋骨の内側及び外側に、第1及び第2の部分間(点E,E’、E‘‘と点F,F’,F‘‘の間)のループ上に位置する、該ループの第3及び第4のループを位置させるように構成することもできる。ループの第2の部分の配置は、該ループの第2の部分をユーザの足の太股の後部に対して配置することを含んでいてもよい(図4参照)。
【0084】
図8のフローチャートによる別の観点においては、方法800は、ユーザの膝を安定化するためのウエアラブルガーメントの製造のために提示されるものであり、該方法は、ステップ810で、少なくとも膝、近接する下腿三頭筋及び近接する太股の先端部分の、少なくとも一部を被覆するガーメントを成形し、ステップ820で、少なくともガーメントの中又は上のいずれかに、張力ループを受け入れ可能な導管を設け、該導管は、少なくともガーメントの膝の下及び上のいずれかで、ガーメントの前の内側及び外側間でそれ自身が交差するように配置され、ステップ830で、導管を介した経路に沿って、引張部材を通し、ステップ840で、該ループの上又は中に、該ループの張力を調整するためのテンショナを設ける。
【0085】
引張部材を通すステップ830は、実質的に伸びない(非伸張性の)引張部材を通すようにしてもよい。引張部材を通すステップ830は、柔軟性を持った非伸張性の引張部材を通すようにしてもよい。引張部材を通すステップ830は、該引張部材が、PTFE,ステンレススチール、ナイロン、ケブラー(登録商標)の一つ以上から作られたものを、超高分子量ポリエチレンベースの繊維、ダイヤモンド織の繊維の一つ以上から作られたものを通すようにしてもよい。ダイヤモンド織の繊維から作られた引張部材を通すことは、綿、ポリエステル、ポリプロピレン及びテクノーラ(登録商標)のいずれかから作られた引張部材を通すようにてもよい。
【0086】
導管を設けるステップ840は、導管を膝の上及び下で自分自身と交差するように配置するようにてもよい。ガーメントを成形するステップ810は、該ガーメントをユーザのウエストまで伸延させ、該ウエストにベルトを成形するようにてもよい。テンショナを設けるステップは、テンショナをウエストに設けるようにしてもよい。ループ上又は内にテンショナを設けるステップ840は、該テンショナをガーメントの太股上に設けるようにしてもよい。
【0087】
図9に示す更なる実施例では、ウエアラブルガーメント900はユーザの膝100を安定化するためのものであり、該ウエアラブルガーメントは、ガーメント900の中又は上に配置された導管930に沿って自由に動くように配置された閉鎖引張ループ920を有し、該導管930は、膝100に対して外側部及び内側部を持った導管パスに沿って伸延し、調整可能なテンショナ940は、ループ920内の張力を調整するために、ループ920内又は上にあり、導管パスの外側部及び内側部は、図1のユーザの膝100の外側170及び内側180の側副靱帯に近接した、ユーザの膝100の膝蓋骨190をそれぞれ通過し、導管パスの外側及び内側部は、ユーザの膝100下(点X)及び上(点Y)のすくなくとも一つの点である、一カ所以上の点で互いに接近している。図9の破線は、導管及び引張ループが足の後部にあることを示している。
【0088】
導管パスの外側及び内側部は、ユーザの膝100の下の第1の点(点X)及びユーザの膝100の上の第2の点(点Y)の両方で互いに接近してもよい。実際の導管部分は、点X、点Yで重なってもよく、導管内の引張ループの外側及び内側部は、点Y及び点Xで結合することは無い点を注意すべきである。引張ループ920は、ガーメント900がユーザに着られて、引張ループがテンショナ940を作動させることで引っ張られると、ユーザの外側側副靱帯180及び内側側副靱帯170の少なくとも一つに圧力を掛けるように配置されてよい。導管930は、図9に示すように、足の下腿三頭筋の末端部分で足を実質的に囲む経路に沿って配置してもよい。これはガーメント900が下腿三頭筋を支えている。引張ループ920は、導管930に沿って伸延する引張部材から構成されてよい。テンショナ940は、ユーザの太股に配置されてよい。引張部材は、実質的に長手方向に非伸張性を有する材料から作られてもよく、該材料は可動性を有してよい。ループ920は、図6A図6B、及び図6C及びこれらの図面に付随するテキストで示されたものと同様に、ガーメント900の材料内又は上に配置されるようにしてもよい。導管930は、低摩擦管であり、該管は並べられて(順次菅接続されて)いてもよい。図4の実施例と同じように、図9の引張ループ920は、実質的に太股の周りに伸延し、これによりガーメント900が太股を支えている。
【0089】
図2図3及び図4に示す実施例で使用された、ユーザの太股を支える配置は、図9の実施例に適用してもよい。ガーメント900の材料が変形及び伸張せず、これにより、引張ループ920による力を分断させないことを確実にするために、ガーメントの部分950は適当な非伸張性材料で作ることができる。図9の実施例は、図4の場合ととても似ているように見えるが、ループ920はそれ自身、重なっていない。
【0090】
他の観点では、図10で述べるように、ユーザの膝100を安定化するためのウエアラブルガーメント900の製造方法1000を示すものである。該方法は、少なくとも、膝100、隣接する下腿三頭筋及び隣接する太股の末端部分を、少なくとも部分的にカバーするガーメント900を成形するステップ1010;引張ループ920を受け入れるための導管930をガーメント内及び上の少なくともどちらかに設けるステップ1020,該導管930は膝100に対して外側及び内側部分を持った導管パスに沿って伸延しており、導管パスの外側及び内側部分は、少なくとも一つの点で互いに接近しており、該少なくとも一つの点は、ユーザの膝100の上又は下のうちの少なくとも一つであり;該パスに沿った導管930内に引張部材220を通すステップ1030;ループ920内で張力を調整するためのテンショナ940を、該ループ内及び上のいずれかに設けるステップ1040からなる。
【0091】
引張部材220を通すステップ1030は、実質的に非伸張性の引張部材を通すことから構成することが出来る。引張部材220を通すステップ1030は、可撓性を有し、実質的に非伸張性の引張部材を通すことから構成することができる。引張部材を通すステップ1030は、該引張部材が、PTFE,ステンレススチール、ナイロン、ケブラー(登録商標)の一つ以上から作られたもので、超高分子量ポリエチレンベースの繊維、ダイヤモンド織の繊維の一つ以上から作られたものを通すようにしてもよい。ダイヤモンド織の繊維から作られた引張部材を通すことは、綿、ポリエステル、ポリプロピレン及びテクノーラ(登録商標)のいずれかから作られた引張部材を通すようにてもよい。導管930を設けるステップ102は、導管パスの外側及び内側部分を、ユーザの膝100の上及び下の両方で互いに接近するように、導管930を配置するように構成してもよい。ガーメント900を成形するステップ1010は、ガーメント900をユーザのウエストにまで伸延させ、該ウエスト周りにベルトを成形し、テンショナ940を、該ベルト上に配置するようにテンショナ940を、構成してもよい。テンショナ940を、ループ内又は上に配置するステップ1040は、テンショナ940を、ガーメントの太股に配置するようにしてもよい。
【0092】
図4の実施例の変形としては、引張部材220’’の部分は、ガーメント200’’の繊維内に導入された実質的に長手方向に非伸張性の一本の織物から構成されていてもよい。図4では、実質的に長手方向に非伸張性の材料で構成された引張部材220’’の関連する部分は、例えばセグメントG’’からH’’であってもよい。引張部材220’’の残りの部分は、すでに上記したように、導管内の非伸張性の撚り糸から構成してもよい。非伸張性の撚り糸は、セグメントG’’-H’’に、その両端で支持されている。テンショナ240’’はセグメントG’’-H’’の一端に、又は一端部上に配置されてよい。図4の実施例のこの変形では、テンショナ240’’は、実質的に長手方向に非伸張性の材料のセグメントG’’-H’’の端部H’’に設けられている。同様に、図2図3及び図9の実施例の引張部材220、220’、920の部分は、実質的に長手方向に非伸張性の材料から構成されていてもよい。
【0093】
本出願で、語句「実質的に非伸張性の織物」とは、少なくとも第1の方向において実質的な非伸張性を有する、二次元的に伸延する織物について使用している。該織物は、該第1の方向に垂直な方向においては、伸張性に関する制限は無くても、あってもよい。こうした材料の限定されない例としては、限定されるものではないが、所謂、2方向ストレッチ織物(2-way-stretch fabrics)を含むものである。該2方向ストレッチ織物は、スパンデックス、ナイロン、ダイニーマ(登録商標)、ケブラー(登録商標)、ポリエステル、インジオ(登録商標)、オレフィン繊維、リヨセル及び/又は綿を含む材料の混合物を、求められる次元において伸張が許容される形で、織り、編み又は編み込んだものである。(インジオは、NATUREWORKS LLC LIMITED LIABILITY COMPANY DELAWARE 15305 INNETONKA BLVD MINNETONKA MINNESOTA 55345の登録商標)「2方向」ストレッチとは、ここでは、一次元の二つの対向する方向に伸張することであり、他方、第1の方向に直角などのような方向においても実質的に非伸張性を残していることである。他の「実質的に非伸張性の織物」は、例えば、限定されるものではないが、第2の繊維内に埋め込まれた又はサンドイッチ構造で埋め込まれた、二次元のメッシュ内のダイニーマ(登録商標)繊維を含むものであり、どのような方向においても実質的な伸張性を示さない。非伸張性は、ガーメント200の繊維のマトリクス材料の非伸張性と比較した場合に、「実質的」なものと見なされるものである。ガーメント繊維は、「実質的に非伸張性織物」と比較した場合、伸張性が有り、拡張性がある。
【0094】
ユーザの膝100を安定化するウエアラブルガーメントの他の観点が、図11により語られるが、これは図4で示したガーメントの変形である。図4の番号は、図1でも維持される。引張部材220’’とベルト210’’を接続する安定化コネクタ280’’は、引張部材220’’の張力を調整する際に、ガーメント200’’が引き下げられるのを防止する。安定化コネクタ280’’は、多様な形で実施することができるが、全ての実施例は、引張部材220’’のベルト210’’への接続原理を持つものである。図11では、安定化コネクタ280’’は、長手方向の張力を維持するために、少なくとも長手方向において非伸張性を示す、実質的な非伸張性繊維のベルトで実現している。図11では、安定化コネクタ280’’は、ガーメント200’’の前を横断する形で伸延しているが、安定化コネクタ280’’は、同時にガーメント200’’の後ろを横断する形で、引張部材220’’からベルト210’’へ伸延するものでもよい。他の実施例では、安定化コネクタ280’’は、導管内に配置され、実質的に非伸張性の張力を作用させ得る部材であればよく、従って引張部材220’’と同じ構成であってもよい。
【0095】
引張部材220’’の張力を調整する際に、ガーメント200’’が過度に変形したり、くしゃくしゃになったりしないように、実質的に非伸張性織物の安定化部分250’’、260’’又は270’’を、ガーメント200’’の織物又はマトリックス材料内に導入し、引張部材220’’の導管222(図6A、6B、6C参照)又は導管222の直近のガーメント材料又は織物に装着する。安定化部分250’’、260’’又は270’’に使用される実質的に非伸張性の織物は、少なくとも水平方向が非伸張性方向として使用される。
【0096】
足下の前部上、及び交差点E’’に近接して配置された安定化部分250’’は、二つのセグメントE’’-C’’及びE’’-D’’に沿った引張部材220’’の経路に直角な主要成分で、引張部材220’’のセグメントE’’-C’’及びE’’-D’’の力に作用する。安定化部分250’’は、これら二つのセグメントE’’-C’’及びE’’-D’’に沿った引張部材220’’を支持する導管に留められるようにしてもよい。図11では、安定化部分250’’は、セグメントE’’-C’’及びE’’-D’’間の、交差点E’’下の足の前部の殆どを覆うほぼ三角形の形で伸延している。一般的に、安定化部分250’’は、セグメントE’’-C’’及びE’’-D’’間の、交差点E’’下の足の前部部分に被覆伸延して、足の前部上のセグメントE’’-C’’及びE’’-D’’間の、交差点E’’の下で、横方向の張力を生成するようにする。
【0097】
足上の前部上、及び交差点F’’に近接して配置された安定化部分270’’は、二つのセグメントF’’-A’’及びF’’-G’’に沿った引張部材220’’の経路に直角な主要成分で、引張部材220’’のセグメントF’’-A’’及びF’’-G’’の力に作用する。安定化部分270’’は、これら二つのセグメントF’’-A’’及びF’’-G’’に沿った引張部材220’’を支持する導管に留められるようにしてもよい。図11では、安定化部分270’’は、セグメントF’’-A’’及びF’’-G’’間の、交差点F’’上の足の前部の殆どを覆うほぼ三角形の形で伸延している。一般的に、安定化部分270’’は、セグメントF’’-A’’及びF’’-G’’間の、交差点F’’上の足の前部部分に被覆伸延して、足の前部上のセグメントF’’-A’’及びF’’-G’’間の、交差点F’’の上で、横方向の張力を生成するようにする。
【0098】
足上の後部の大きな部分で交差点F’’に近接した安定化部分260””は、これらの横及び中間セグメントE’’-F’’に沿った引張部材220’’の経路に直角な主要成分で、引張部材220’’の横及び中間セグメントE’’-F’’の力に作用する。安定化部分260’’は、これら横及び中間セグメントE’’-F’’に沿った引張部材220’’を支持する導管に留められるようにしてもよい。図11で、図示した安定化部分260’’は、横及び中間セグメントE’’-F’’間の膝蓋骨190の下で、交差点E’’上の足の後部上を、ほぼ四角形の形で明確に伸延している。一般的に、安定化部分260’’は、横及び中間セグメントE’’-F’’間の、交差点E’’上で、交差点F’’下の、足の後部部分に被覆伸延して、足の後部上の横及び中間セグメントE’’-F’’間の、交差点E’’の上及び交差点F’’下で横方向の張力を生成するようにしてもよい。図11の実施例に繋がるものとして、膝の関節の自由を考慮して、交差点E’’及びF’’間の、安定化部分260’’によってカバーされる領域を制限してもよい。
【0099】
一般的な実施例では、安定化部分250’’、260’’及び/又は270’’は、水平方向には実質的に非伸張性の繊維から構成されており、安定化部分250’’、260’’及び/又は270’’は、引張部材220’’の水平に対向する内側及び外側部分間で伸延するように配置されている。引張部材220’’の内側及び外側部分は、引張部材220’’に、テンショナ240’’を動作させることで、長手方向に張力を作用させている状態では、ガーメント内で互いに横方向の張力を作用させている。図11からも分かるように、横方向の張力が膝蓋骨190の全体領域で交差点E’’及びF’’間の足の後ろ周辺に生じ、また交差点E’’及びF’’上及び下では、横方向の張力が足の前の部分に生じる。一般的な場合には、ガーメント200’’は、引張部材220の二つのセグメントを横方向に交差させている非伸張性織物の部分は、足の上で互いに水平に引っ張り合った状態にある。
【0100】
他の実施例では、図11及び図6Bを参照しつつ、図12に示すように、ガーメント200’’は、引張部材220’’の少なくとも二つの糸(ストランド)の間の張力のバランスを取るための張力調整器290’’を有することができる。実施例から、引張部材220’’は、図6Bに示すように、複数の糸(ストランド)220A、220B、220Cからなっていると考えることが出来る。図12に、引張部材220’’の一端を示すが、これは糸(ストランド)220A、220B、220Cの一端を示すことである。非限定的な例から、図12に示す引張部材220’’の終端は、引張部材220’’の終端に配置された直接的張力調整器290’’(図11参照)であってもよい。ガーメントをユーザが着て足を動かすと、引張部材220’’が撓んで、張力調整器290’’が無いと、引張部材220’’の異なる糸(ストランド)内の張力の大きな相違が発生することがある。調整器290’’があることで、引張部材220’’は、ガーメントの摩擦状態を乱す張力のアンバランス状態を生じさせること無く撓むことが出来、引張部材220’’がねじれることでユーザの快適性が阻害されることを防止することができる。
【0101】
図11では、張力調整器290‘’は、点C‘’の左足の側面に配置されており二つの引張部材220’’の終端を有している。別の実施例では、張力調整器290’’は引張部材220’’の何処に配置してもよく、例えば、点F’’の上でもよい。張力調整器290‘’内では、図12に詳細を示すように、二つの外糸(外ストランド)220A、220Cが結合され、プーリ292’’の周りを自由に移動できる単一糸を構成している。明瞭にするために、図6で使用した符号のいくつかは図12では除去しており、引張部材220’’の一端だけを示している。他端は、同一であるが、示されたものとは180度反転している。プーリ292’’は、プーリ軸294’’を中心に回転することが出来る。張力調整器290’’は、引張部材220’’の糸(ストランド)220A、220B、220Cに平行な非伸張方向を持った実質的に非伸張性織物のベース296’’上に設けられてよい。引張部材220’’が、図12に示すように、奇数の糸(ストランド)からなる場合には、ペアを構成しない糸は、張力調整器290‘’内又は近傍で終端させてもよい。中央糸220Bの終端方法は多様なものが考えられるが、図12は、一般的な終端を示している。図13は引張部材220’’の両端の張力調整器290’’内での終端方法を示すものであり、二つのプーリ292’’が対向する形で配置され、糸(ストランド)220A及び220C間の張力を、張力調整器290’’の二つの端部でバランスさせている。引張部材220’’の一端では張力調整器290‘’は一つだけのプーリ292’’を持つが、図11の張力調整器290‘’は引張部材220’’の二つの端部で張力を調整する必要があり、図11の張力調整器290’’は、図13の張力調整器290’’の二つのプーリ配置を持っていることを示す。
【0102】
図6B及び12には、引張部材220’’内で1対の糸(ストランド)だけが結合されているが、一般的にはこうした方法で複数対の糸(ストランド)が結合されていてもよい。こうした糸は一般的には図12に示すように、対照的に配置されてよく、適切なプーリを持った各対は、各対の二つの結合された糸の間で張力のバランスをとる。図12は、糸が奇数、即ち3つの場合である。他の実施例では、引張部材220’’内の糸の総数は偶数であってもよく、その場合、結合されたペアのみとなる。一般的に、ペアになった糸は、それらペアが、引張部材全体の中心線を中心にして、実質的に対照的な鏡面配置となるように配置される。各ペアは、上記した適切なプーリの周りで移動することで、二つの構成する糸間でその張力をバランスさせる。
【0103】
他の実施例では、調整器は、引張部材220’’の中心線からほぼ等距離の一対の二つの糸(ストランド)の張力を、バランスさせるような他の同様な機械的な配置でもよいものである。これには、限定する例ではないが、結合された糸を曲管内で自由にスライドさせることのできる、曲管(図示せず)も含まれる。
【0104】
他の実施例では、張力調整器290’’はテンショナ240’’の近くに配置してもよい。また別の実施例では、張力調整器290’’は、テンショナ240’’と一体になってもよい。この場合、図13の二つのプーリ配置は以下のように変更してもよい。張力調整機能はプーリ周りの糸の回転により維持し、一方で、張力は、限定されない実施例であるが、二つのプーリ軸294’’を互いに接近離反させる形で移動させることで張力を増加及び減少させて調整するようにしてもよい。図13は、この配置を示すものであり、テンショナと張力調整器の一体化した組み合わせとして機能する。
【0105】
図14A及び図14Bで示す他の実施例では、図1の膝関節は、内側側副靱帯ブレースガーメント1900が装着されており、ブレースガーメント1900は、ベルト1910、左足用テンショナ1940A、右足用テンショナ1940B、複合ケーブル1930A及び1930Bの形態で、導管1928A及び1928B内をそれぞれ移動可能に配置された引張部材、及び非伸張性材料織物上又は内に部分的に配置された導管1928A及び1928Bを有している。ケーブル1930A及び1930Bは、実質的に非伸張性材料からなる複数のストランドからそれぞれ作られており、限定する物ではないが、例えば、PTFE,ステンレススチール、ナイロン(登録商標)、ケブラー(登録商標)、一つ以上の超高分子量ポリエチレンベースの繊維及びダイヤモンド織の繊維である。ダイヤモンド織の繊維は、限定する物ではないが、例えば、綿、ポリエステル、ポリプロピレン及びテクノーラ(登録商標)であってよい。破線の四角形100は、図1の左足の領域を示している。この実施例では、引張複合ケーブル1930A及び1930Bは、非伸張性材料の織物が胴体又は太股のいずれかに対するアンカーとして作用する一方で、膝関節に必要な力を生成するための手段であり、また、ケーブル内の張力によって生成された力を膝関節に伝えている。この機能を達成するために、ケーブルのストランドは実質的に非伸張性であり、複合ケーブル1930A及び1930Bは非伸張性である。
【0106】
図14A及び14Bでは、左膝に圧力を加える点に焦点を当てると、非伸張性複合ケーブル1930Aの4本のストランドは、左足のふくらはぎグリップ1926Aを介して互いに横方向に広がっている。ケーブル1930Aは、それ以外では導管1928Aの内部で延びています。左膝の内側に圧力を加える非伸張性織物1924Aは、その2つの水平方向の端部で導管1928Aに取り付けられている。ケーブル1930Aの張力が増加すると、導管1928Aの2つの部分が互いに引き離されるため、左膝の内側側の圧力がウェブ1924Aを介して相応に増加する。
【0107】
図14A及び14Bの一実施形例では、導管1928Aは、ケーブル1930Aをベルト1910内で腰回りに配置している。上部の非伸張性織物1922A(図14B参照)は導管1928Aの位置を決めている。テンショナ1940Aはケーブル1930Aの張力を調整するためにケーブル1930Aのライン内に配置されている。テンショナ1940Aは、それによって左膝の圧力を制御し、本実施形態では、右腰上に配置される。他の実施形態では、テンショナ1940Aは、ケーブル1930Aのライン内の導管1928Aの経路に沿った他の場所に配置されてもよい。テンションイブナー1942Aは、以下でより詳細に説明するが、テンショナ1940Aによって加えられた張力がテンションイブナー1942Aを介して複合ケーブル1930Aのすべてのストランドに伝達されるように、ケーブル1930Aのライン内の導管1928Aの経路に沿ったどこかに配置されてもよい。この配置によりテンションイブナー1942Aは、テンショナ1940Aおよびテンションメンバー1930Aのストランドと張力的に連携したものとなります。以下の例では、テンショナ1940Aのすぐ隣に配置されたテンションイブナー1942Aについて述べる。一般的に、テンションイブナー1942Aは、テンショナ1940Aから離れた位置に配置されてもよいが、テンショナ1940Aと張力的に連携して配置される。テンションイブナー1942Aの役割は、複合ケーブル1930Aのすべてのストランドが、異なるストランドによる異なる個々の経路、例えば、下腿三頭筋の周りなど、にも係わらず、同じ張力を保つことを保証するようにすることである。この張力の均等化がどのように達成されるかについては、以下でさらに詳しく説明する。
【0108】
図1の内側側副靭帯(MCL)170に適切な力を加えるために、図14Aの非伸張性材料織物1924Aは、関節の内側側100に力を加えるように配置される。力は、一般的に左膝の側方に向けられる。これは、左膝の内側側副靭帯170の問題によって生じる内側変位に対して、左膝関節を安定させる。それに対応して、非伸張性材料織物1924Bは、右膝の内側側に力を加えるように配置され、力は一般的に右膝の側方に向けられる。これは、右膝の内側側副靭帯の問題によって生じる内側変位に対して、右膝関節を安定させる。複合ケーブル1930Aは、管路1928Aを出て、個々の導管内でふくらはぎグリップ1926Aを介してルーティングされ、下腿三頭筋を部分的に周回する。下腿三頭筋を部分的に周回しつつ、複合ケーブル1930Aの分かれたストランドは、導管1928Aを通って集合する。
【0109】
次に、テンションイブナー1942Aに目を向け、図14A、14B、図15および16Aを参照してその動作を説明する。図15において、図6Bの基本的な導管配置は、図14Aおよび図14Bの複合ケーブル1930Aの4本のストランドをふくらはぎグリップ1926Aを通してルーティングする際に採用される。他の実施形態では、異なる数のストランドが、複合ケーブル1930Aにおいて採用され得る。ふくらはぎグリップ1926A内の導管1923は、導管の横方向限界を規定するステッチ1960の列と、ユーザの皮膚に垂直な方向の内側および外側の限界を規定する2層の低摩擦材料の細片1970によって定義される。ふくらはぎグリップ1926Aの生地1970は、図15に示すように2つの層を備えてもよく、またはいくつかの実施形態では単層でもよい。なお、図15では、ステッチは平行として示している。一般に、導管1923は平行であることに限定されず、ふくらはぎグリップ1926Aの生地1970を通る発散および収束経路をたどり得る。それらの経路は、下腿三頭筋のふくらはぎグリップ1926Aのグリップを改善するために選択することができる。さらなる実施形態においては、使用される導管は、図6Aおよび図6Cに示すタイプのものであってもよい。
【0110】
ふくらはぎグリップ1926Aの生地1970は、ガーメントの一般的な生地と同じでよい。他の実施形態では、ふくらはぎグリップ1926Aの生地1970は、ブレースガーメント1900の一般的な生地と異なっていてもよい。図14A図14B図15および図16Aに示す配置は、ベルト1910上の腰の周囲に時計回り(足に向かって見下ろす)方向にテンショナ1940Aに近づく複合ケーブル1930Aの第1の端部と、ベルト1910上の腰の周囲に反時計回りにテンショナ1940Aに近づく複合ケーブル1930Aの第2の端を有する。したがって、複合ケーブル1930Aの第1端は、図14Aの図面の右側からテンショナ1940Aに接近し、第2端は図14Aの図の左からテンショナ1940Aに近づく。
【0111】
図14Bは、ガーメント1900の右脚のいくつかの態様をより明確に示している。上述した左脚と同様の配置を採用している。右脚の要素は、関連する数字の後に「A」ではなく「B」でラベル付けするという単純な方式によって、左脚に関連する要素と区別される。ガーメント1900の右脚用のテンショナ1940B及びテンションイブナー1942Bは、図14Bにおいてユーザの左腰に配置されている。
【0112】
一実施形態では、反時計回りに(図14Aの図面の左から)テンショナ1940Aに近づく複合ケーブル1930Aの第2の端部は、直接的または間接的に、テンショナ1940Aに静止した形で単に固定されてもよい。この実施形態では、複合ケーブル1930Aの第2端の反時計回りに接近する4本のストランドの全てがテンショナ1940Aに固定されている。
【0113】
ここで、図14Aの図面の右側からテンショナ1940Aに接近し、ふくらはぎグリップ1926Aを通ってテンションイブナー1942Aにルーティングされる複合ケーブル1930Aの第1の端部の4本のストランドに目を向ける。図16A図16Eに示す実施形態では、テンショナ1940Aは、テンションイブナー1942の要素(例えば、図16Aおよび図16Bのプーリ1943A)およびそれらに取り付けられた任意の要素を双方向矢印1949Aによって示される方向に沿って移動するように配置される。これは、非伸張性ケーブル1941Aを引っ込めるか、または伸延させることによって達成される。この目的のために、非伸張性ケーブル1941Aの2つの端部のうちの一方は、テンショナ1940Aに固定的に取り付けられてもよく、他方の端部は、テンショナ1940Aの動作によって後退または延長され得る。他の実施形態では、非伸張性ケーブル1941Aの両端は、テンショナ1940Aの動作によって後退または延長され得る。
【0114】
図16Aは、さらに詳細にテンションイブナー1942Aの一実施形態を示す。テンションイブナー1942Aは、馬車時代からよく知られている装置であり、米国特許商標庁によって付与された、いくつかの特許の対象であるホイップルツリー1935Aを含む。21世紀の最も一般的な用途の1つは、自動車のフロントガラスワイパーの圧力を均等にすることである。非伸張性ケーブル1948Aは、プーリ1943Aをホイップルツリー1935Aの一次旋回バー1944Aの支点または旋回点に接合する。用語「ホイップルバー」は、本明細書では、ホイップルツリーの旋回バーを記述するために使用される。「スウィングル」という用語は、ホイップルツリーで使用されるタイプの旋回バーを記述するために、いくつかの分野でも使用されている。他の実施形態では、非伸張性ケーブル1941Aは、ホイップルツリー1935Aと直接係合してもよく、これはプーリ1943Aが省略された実施形態である。ホイップルツリー1935Aは、以下により詳細に説明される。プーリおよび非伸張性ケーブルの様々な配置を用いて、ホイップルツリー1935Aをテンショナ1940Aに近づけたり遠ざけたりすることができる。
【0115】
ホイップルツリー1935Aは、図16Aの特定の実施形態に示すように、「ダブルツリー」ホイップルツリーであり、2層のホイップルバーから構成され、第1層にバー1944Aが、第2層にバー1945Aおよび1946Aが、図14Aおよび図15で説明した複合ケーブル1930Aの4本のストランドを収容するためにある。図16Aでは、複合ケーブル1930Aの4本のストランドが図16Aのホイップルバーの第2層に接続されて示されている。より一般的な実施形態では、ホイップルツリー1935Aは、ホイップルバーのさらなる層を有し、複合ケーブルのより多くのストランドと係合することができる。用語「多層ホイップルツリー」は、本明細書では、複数の層のホイップルバーを有するホイップルツリーを記載するために使用される。
【0116】
ホイップルバー1944Aは、ホイップルバー1944Aに関連する回転矢印によって示されるように、その支点またはピボットポイントを中心に自由に回転することができる。ケーブル1947A‘の張力がケーブル1947Aの張力よりも高い場合、ホイップルバー1946Aはホイップルバー1944Aをホイップルバー1945Aよりも強く引っ張り、ホイップルバー1944Aは、張力の差が無くなる回転角度まで、ピボット ポイントを中心に時計回りに回転します。同じ作用は、ホイップルバー1945Aに取り付けられた2本のストランド1930Aが異なる量の張力下にある場合に起こる。ホイップルバー1945Aは、その指示されたピボットポイントの周りを、ホイップルバー1945Aに取り付けられた2本のストランドの張力が等しくなる回転角度まで回転する。同じ挙動は、ホイップルバー1946Aについても、それに取り付けられた2本のストランド1930A間の張力のいかなる差に関しても成り立つ。
【0117】
図14A図14B図15および図16Aには、複合ケーブル1930Aについて合計4本のストランドが示されている。一般に、任意の整数N>1のストランドは、この一般的な手段によって張力のバランスをとるためにホイップルツリーイブナー1942Aに接続され得る。3本のストランド1930Aを採用するには、ホイップルバー1945Aに2本のストランド1930Aを取り付けてもよく、一方、ホイップルバー1946Aは省略してもよく、3本目のストランド1930Aはホイップルバー1944Aに直接取り付けてもよい。4本を超えるストランドを採用するために、図16Aのストランド1930Aとホイップルバー1945Aおよび1946Aとの間に追加の層のホイップルバーを配置してもよく、その結果、「トリプルツリー」ホイップルツリーを生じる。複合ケーブル1930Aのストランドの数に概念的な制限はなく、一般化されたホイップルツリーイブナーによってこのように張力のバランスを取ることが出来る。
【0118】
図16Aでは、概念を説明するためにレバー及び支点ベースのホイップルツリー1935Aが採用されているが、テンションイブナー1942Aの他の実施形態では、ストランドが通過し得る穴を有する装置を含め、ストランドが移動またはスライドすることを可能にする他の装置の配置が採用され得る。このタイプの適切な装置には、限定されるものではないが、プーリ、ねじ込み式ビーズ、リング、ハトメ、ブロック、非伸縮性織物のループ、および他のケーブルまたはストランドのループが含まれる。用語「ブロック(滑車)」は、本明細書では、「滑車装置(block and tackle)」で使用されるシングルまたはダブルホールブロック(滑車)を特に記述するために使用される。装置は、機能的に類似した別の装置と係合することを可能にする接続機構を有してもよい。それらを別の機能的に類似した装置に接続する機構は、実質的に非伸張性ケーブル、またはねじ、またはストランドであり得る。いくつかの実施形態では、接続機構は、複合ケーブル1930Aまたはケーブル1930Aのストランドと同じ材料のケーブルであり得る。
【0119】
ふくらはぎグリップ1926Aは、例えばゴムを含む伸縮可能な材料から作製され得るが、それによって、複合ケーブル1930Aおよび張力イブナー1942Aの横方向に広がるストランドを採用することを避ける必要がある。適切なグリップ挙動のためのそうした試みは、ブレースガーメント1900着用者のためにカスタマイズされるべき伸縮可能な材料の問題を解決することはない。複合ケーブル1930Aとテンションイブナー1942Aの横方向に広げられたストランドの使用は、その制限を克服する。
【0120】
図16Bでは、図16Aのテンションイブナー1942Aの概念の代替実施形態に目を向ける。図16Bにおいてテンショナ1940Aは、プーリ1943A、1944A、1945A及び1946Aの集合体を双方向矢印1949Aで示す方向に沿って移動させるように配置されている。これは、非伸張性ケーブル1941Aを引っ込めるか、または延長することによって達成される。この目的のために、非伸張性ケーブル1941Aの2つの端のうちの一方は、テンショナ1940Aに固定的に取り付けられてもよく、他方の端は、テンショナ1940Aの動作によって後退または延長され得る。他の実施形態では、非伸張性ケーブル1941Aの両端は、テンショナ1940Aの動作によって後退または延長され得る。非伸張性ケーブル1948Aはプーリ1943Aをプーリ2044Aに接合する。他の実施形態では、非伸張性ケーブル1941Aは、プーリ2044A部上でスライドさせるためにプーリ2044Aと直接係合してもよく、これはプーリ1943Aが省略された実施形態である。プーリ2044Aをテンショナ1940Aに近づけたり遠ざけたりするために、プーリおよび非伸張性ケーブルの様々な配置が採用され得る。
【0121】
非伸張性複合ケーブル1930Aの4本のストランドは、図16Bに示すように、実際には2本のループ状のストランドであり、それぞれがそれ自体折り畳まれ、1本のストランドがプーリ2045Aに巻き付き、もう1本のストランドがプーリ2046Aに巻き付いている。2本のストランドの各々の両端は、ユーザの左脚および身体周りで複合ケーブル1930Aの所定の経路全体をナビゲートしつつ、既に上で説明したように時計回りにテンショナ1940Aに近づいてゆき、ストランドがテンショナ1940Aに到達するとテンショナ1940Aに固定される。プーリ2045Aおよび2046Aは、プーリ2044Aと係合する非伸張性ケーブル2047Aによって接続されている。プーリ2045Aの周りに折り畳まれたストランド1930Aの張力がプーリ2045Aの両側で等しくない場合、そのストランド1930Aは、その張力が均等になるまで、プーリ2045Aをスライドまたは回転させることによって、プーリ2045Aの周りを移動する。プーリ2046Aの周りに折り畳まれたストランド1930Aについても同様である。
【0122】
プーリ2045Aに関するストランド1930Aにおける分解張力とプーリ2046Aに関するストランド1930Aにおける分解張力とが互いに不均衡である場合、ケーブル2047Aがプーリ2044A上を滑るか、またはプーリ2044Aを回転させてストランド1930A内の張力を均一にするために、2つのプーリは互いに相対的に移動する。この張力の平均化配置は、図16Aのホイップルツリー1935Aのように機能する。さまざまなプーリの回転度は、すでに説明した張力の違いとプーリの半径によって決まる。図16Bの実施形態における相違点は、図16Aのホイップルバー1944A、1945Aおよび1946Aがプーリ2044A、2045Aおよび2046Aによって置き換えられること、及びケーブル1947Aおよび1947A‘は単一のケーブル2047Aによって置き換えられることである。図16Bにおける特定の実施形態もまた、「ダブルツリー」(2層)ホイップルツリー2035Aである。図16Aの配置と同様に、図16Bの実施形態は、同様に、より多くの層のプーリおよびより大きくまたは奇数のストランドを包含するように拡張され得る。一般に、図16Bのホイップルツリー実施形態は、多層ホイップルツリーの別の例である。
【0123】
テンションイブナー1942Aのさらなる実施形態は、図16Bのプーリが、ケーブルおよびストランドが巻かれるリングによって置き換えられる、図16Cに示されている。リングは、加えられた張力に耐えることができる任意の適切な材料のものであってよく、金属リング、プラスチックリングおよび布のリングまたは布のループを含むがこれらに限定されない。より具体的には、図16Bのケーブル2047Aは、ループ状の非伸張性ケーブル2147Aによって置き換えられる。図16Bのように、それ自体が折り返された2本のストランド1930Aが採用され、ストランドは非伸張性ケーブル2147Aの両端に配置されたリング2045A‘および2046A’に通され、それによってプーリ2045Aおよび2046Aを不要としている。テンショナ1940Aから張力を加えられた非伸張性ケーブル1941Aは、リング2044A‘に直接通され、ケーブル2147Aはリング2044A’に直接通される。図16Bのプーリ1943Aは、図16Bのケーブル1948Aと同様に省略される。この実施形態では、テンションイブナー1942Aおよびホイップルツリー2035A‘は、プーリまたはホイップルバーを含まず、装置の動作は、上述のタイプのリング内で摺動するケーブルおよびストランドのみに基づいている。それにもかかわらずその機能は図16Bと同様である。図16Aおよび図16Bの配置と平行するように、図16Cの実施形態は、同様に、より多くの層のリングおよびより大きくまたは奇数のストランドを包含するように拡張され得る。一般に、図16Cのリングベースのホイップルツリー実施形態は、多層ホイップルツリーの別の例である。
【0124】
図16Cの配置から導出されたテンションイブナー1942Aのさらなる実施形態は、図16Cのリングがケーブルおよびストランド内のループによって置き換えられる図16Dに示されている。図16Dのように、それ自体が折り返された2本のストランド1930Aが採用され、非伸張性ケーブル2147Aの端部を通され、それによってリング2045A‘および2046A’を不要とする。ケーブル2147Aは、ケーブル1941Aを介して直接通されている。この実施形態では、テンションイブナー1942Aおよびホイップルツリー2035A‘’は、リング、プーリ、またはホイップルバーを含まず、装置の動作は、他のストランドまたはケーブルのループ内でスライドするケーブルおよびストランドにのみ基づいている。それにもかかわらずその機能は図16Cと同様である。図16A図16B、および図16Cの配置と平行するように、図16Dの実施形態は、同様に、より多くの層のケーブルループおよびより大きくまたは奇数のストランドを包むように拡張され得る。一般に、図16Dのループベースのホイップルツリー実施形態は、多層ホイップルツリーの別の例である。
【0125】
テンションイブナー1942Aおよびテンショナ1940Aとのその相互作用の代替実施形態には、図16Eに示す例が含まれる。明確にするために、図16Bのようなプーリを用いた本実施例を示す。本実施形態では、非伸縮性ケーブル1941Aも、システム内の張力を調整するためにテンショナ1940Aによって伸縮されるが、プーリ2245Aおよびプーリ2246Aの両方に係合されている。プーリ2245Aとプーリ2246Aとの間で、ケーブル1941Aもプーリ2244Aと係合する。ケーブル2248Aは、プーリ2244Aをテンショナ1940Aに固定的に取り付けるだけである。図16Bのように、ケーブルストランド1930Aもプーリ2245Aおよび2246Aと係合している。図16Bおよび図16Cとの比較では、この配置が、ケーブル2047Aおよびケーブル2147Aをそれぞれ省略し、それらの張力均一機能をホイップルツリー2135Aのケーブル1941Aに割り当てていることを示す。なお、本実施形態におけるケーブル1941A及びストランド1930Aの動きは、それらが係合しているプーリの摺動と回転との組み合わせであってもよい。この配置は2層のホイップルツリーのままであり、したがって多層のホイップルツリーの例でもあります。図16A図16B、16C、および図16Dの配置と平行するように、図16Eの実施形態は、同様に、より多くの層のプーリおよびより大きくまたは奇数のストランドを包含するように拡張され得る。
【0126】
図16Fでは、図16Eの実施形態の変形例が示されており、図16Eのケーブル2248Aおよびプーリ2244Aは、単にハトメ2344Aと置き換えられ、ハトメ2344Aが図16Fにおいて、プーリ2244Aが図16Eで果たしている役割と同じ役割を果たすことを示すために特別に選択された表示である。ハトメ2344Aは、それに加えられる張力に耐えることができる任意の材料から作製され得る。図16A図16B図16C、16D、および図16Eの配置と平行するように、図16Fの実施形態は、同様に、より多くの層のプーリおよびより大きくまたは奇数のストランドを包含するように拡張され得る。例えば、テンショナ1940にさらなるハトメ2344Aを追加することができ、ケーブル1941Aは、プーリ2245Aと2246Aの間に配置された第3のプーリと係合することができ、第3のプーリは別のストランド1930Aと係合し、それによって、図14Aおよび14Bのふくらはぎグリップ1926Aを通して6本のストランド(すなわち、さらに2つの二本ストランド)を通すことができる。図16Fの配置2235A、およびここで説明するその拡張のものは、2層ホイップルツリーのままであり、したがって多層ホイップルツリーの例でもある。図16A図16B、および図16Cに関して図16Dに示すように、図16Dおよび図16Eのプーリは、適切に配置されたケーブルループによって置き換えられてもよい。いくつかの実施形態、例えば図16Eに示す実施形態は、テンショナ1940Aでケーブル1941Aに及ぼされる力がケーブルストランド1930Aにより大きな力をもたらすという点で機械的利点(a mechanical advantage)を有し得る。
【0127】
図17Aは、3層ホイップルツリー2335Aを含む代替張力イブナー1942Aが、8本のストランドにおける張力を平均化するためにどのように用いられるかを示す。8本のストランド1930Aは、複合ケーブル1930の一端でプーリ上でループされている4本のストランドから生じ、次いで、導管1928Aを介して進み、図14Aおよび14Bのふくらはぎグリップ1926Aを介して個別に通される。その後、それらは、導管1928Aを介して複合ケーブル1930Aとして進行し、ケーブル1930Aの他端でテンショナ1940Aと、既に上で説明した異なる延長可能な固定方法で係合する。この3層ホイップルツリーは、図16A乃至図16Fを参照して説明したいずれの形態で実現されてもよい。明確にするために、図16Bのシステム上に構築されたプーリベースの実装が選択される。この実施形態では、2本の非伸張性ケーブル1932Aが、それらの4つの端部で4つのプーリ1934Aに固定されている。8本のストランド1930Aがプーリ1934Aと係合している。本実施形態の張力均等機能は、図17Aに、ストランド1930Aにおける張力のバランスをとるためのプーリ1934Aおよびケーブル1932Aの追加層があることを除いて、既に説明したように進行する。他のすべての点で、図17Aの実施形態は図16Bの実施形態と同じであり、残りの要素は図16Bの実施形態と同じ符号を付す。
【0128】
図17Bは、図17Aのホイップルツリー配置に基づく更に別の3層ホイップルツリー配置2335A‘の実施形態を示す。図17Bの実施形態では、プーリ1394Aは存在しない。代わりに、4つのプーリ1934のうちの2つは、連続ストランド1930Aのペアの相互ループ1934A'によって機能的に置き換えられ、ストランド1930Aはプーリ2045Aおよび2046A上にルーティングされる。これは3層のホイップルツリーのままであるが、第3層は、図17Aのそれとは異なり、2つのピボットポイントしか有さない。図17Bの実施形態を、第3層が4つのピボットポイントを有するであろうホイップルツリーイブナーに変換するために、図16Cのケーブル2147Aに使用されるのと同じ配置がプーリ2045Aおよび2046Aの各々について採用されるかもしれない。このような配置では、ケーブル1930Aのどれもプーリと係合されず、それぞれがループ配置1934A’を持ち、合計4つになります。
【0129】
図17Cは、図16Dのホイップルツリー配置および、図17Bのループされたストランド1930A構成およびループ1934A‘を採用することに基づく、3層ホイップルツリー配置2335A‘’のさらなる実施形態を示す。図16Dの符号を、その実施形態と同一である構造の部分について採用する。
【0130】
図16B図16Fを参照して2層ホイップルツリーについて既に説明したように、3層配置は、同じ機能を果たすために、布を含む張力に耐える適切な材料のリング、ハトメまたはブロックを含む他の機械的変形物も使用され得る。図17A、17Bおよび17CCの実施形態はまた、多層ホイップルツリー張力イブナーに依存している。
【0131】
図16A図16Fおよび図17A図17は全て、図14Aおよび図14Bにおいてガーメント1900の左脚配置を用いた多層ホイップルツリー張力イブナーを記載している。右脚の張力と共に使用するための多層ホイップルツリーテンションイブナー1942Bについても、同じ基本的な配置がなされ得る。図14Aおよび図14Bは、それぞれ左膝および右膝の内側側面に圧力を加えるように配置された、非伸張性織物1942Aおよび1942Bを示す。2つの膝の外側に圧力を加えるために、適切な張力部材、導管、非伸張性ケーブル、テンショナおよびテンションイブナーと共に、同様の非伸張性織物を配置してもよい。テンションイブナーの対は、図16A図16Fおよび図17A図17Cに従って実施され得る。いくつかのガーメントでは、図16A図16Fおよび図17A~14Cによるテンションイブナーの対の一部のみを実装する必要があるかもしれない。ガーメントのいくつかの実施形態は、一方または両方の膝の外側および内側の両方に同時に圧力を加えるために、前述のように、非伸張性織物を外側および内側の両方に配置する場合を含み得る。
【0132】
人間の膝の例は、人間の膝を安定させるためのブレースガーメント200、200‘’および1900を記述するために、上記で使用されてきた。本明細書に記載される概念は、しかしながら、ヒトの膝に限定されず、安定化されるべき任意の解剖学的関節に適用され得るが、例えばこれらに限定されない、ヒトの足首、肘、手首、肩、股関節、首、背骨、および1つ以上の椎骨を含む。図18Aおよび図18Bは、着用者の胴体の上部ならびに上腕の隣接する部分を包み込み、それによって肩を包み込む肩ブレースガーメント2400によって安定化される右肩関節の例を示す。非伸張性織物2424は、非伸張性織物2424が配置される胴体の側面に対向する胴体の側の着用者の胸郭に固定するために、胴体の周りに沿った非伸張性織物2424の形を取った張力部材の作用のもと、選択された、損傷したまたは不安定な肩関節に圧力を提供する。図14Aおよび図14Bのように、非伸張性ケーブル2430、互いに横方向に広がる複数の構成ストランドに分割されてもよく、図18Aおよび図18Bで使用されている4本のストランド2430は、図14Aおよび図14Bを参照して既に説明したストランド導管内のグリップ2426を介してルーティングされる。グリップ2426Aの生地は、ガーメント2400の一般的な生地と同じであってよい。他の実施形態では、グリップ2426の生地は、ブレースガーメント2400の一般的な生地と異なり得る。テンショナ2440は、図14A及び図14Bに示す実施形態におけるテンショナと同じものであってよい。テンションイブナー2442は、張力に関しては、テンション部材のストランド及びテンショナと連携して、図16A図16Fのテンショナと同じでよい。図16A図16Fおよび図17A~17Cのテンションイブナーを参照して説明したように、ストランドの数は2以上の任意の数であってもよく、テンションイブナー2442は多層ホイップルツリーを含む、ホイップルツリーであってもよい。
【0133】
図19Aおよび図19Bは、着用者の胴体の上部を包み込み、上腕の隣接部分を包み込み、それによって肩を包むショルダーブレースガーメント2600によって安定化される右肩関節の別の実施形態を示す。ショルダーブレースガーメント2600の肩部2622は、肩部2622が配置されている胴体の側と対向する側で着用者の胸郭でアンカー固定するために、胴体の周りの経路をたどる複合張力部材の作用下で、選択された負傷したまたは不安定な肩関節に圧力を与える。本実施形態において、張力部材は、ショルダー部2622;ストラップ2610A、2610B、2620B、2620A、及び2620B;ホイップルツリーイブナー2642A及び2642B;及び面ファスナー生地2626及び2640の2つの相互に係合する部分を持ったテンショナを有する。張力は、部分2626及び2640を互いに重ねて概ね反対方向に引っ張り、それらを相互に係合させることによって加えられる。ホイップルツリーイブナー2642Aおよび2642Bは、一方ではストラップ2610Aおよび2620Aにより、他方ではストラップ2610Bおよび2620Bにより、通し部材として機能するハトメ2644を通って移動するホイップルツリーの実質的に非伸張性糸によって、述べた経路に沿って張力のバランスを取る。ガーメント2600は上半身全体を包むものとして示されていますが、支持されていない左肩を包む必要はない。原則として、ブレースガーメント2600は、図19Aおよび19Bに示されるようなTシャツを備える必要はなく、本明細書に番号が付けられた他の構成要素のみを備えてもよい。注目されるように、図19Aおよび図19Bの実施形態は、図18Aおよび図18Bの実施形態とは異なり、張力部材のためのいかなる導管の使用も必要とせず、分離した部分的なテンショナまたは分離した部分的なテンションイブナーを有することもない。テンションイブナーと同様に、テンションが分散されます。他の実施形態では、生地部分2626および2640によって記述される面ファスナーテンショナは、ホイップルツリーイブナー2642Aおよび2642Bと係合する他のテンションナーの配置によって代用され得る。テンショナとしては、図14A及び図14Bに示す実施形態におけるテンショナと同様のものを用いることができる。ホイップルツリーイブナー2642Aおよび2642Bは、図16A図16Fのホイップルツリーイブナーのいずれかによって、またはテンショナおよびストラップ2610A、2610B、2620A、および2620Bと係合することができる任意の張力イブナーによって代用され得る。
【0134】
図20は、人間の足首用のウェアラブルブレースガーメント3100を示す。この実施形態では、左足が例として使用されるが、ウェアラブルブレースガーメント3100の構造の対称形の物が右足用に適しているであろう(図示せず)。足の外側が示され、内側は同じ配置を有し、外側から内側に向かって足の下に延びる非伸張性織物3150および3151を有し、外側から内側へ足の上を延びる非伸張性織物3152、下腿の前部を横切って脚の外側から内側に延びる非伸張性織物3153を有し、また下腿の後方を横切って脚の外側から内側に伸びる非伸張性織物3154を有する。したがって、以下に説明する張力部材の配置は、図20に示す外側と脚の内側でほぼ同じである。
【0135】
既に説明した非伸張性織物3150、3151、3152、3153および3154に加えて、非伸張性織物3155(および脚の内側にあるそれに相当するもの)は、織物3150と一体であってもよく、または、面ファスナーまたは他の配列によって非伸張性織物3150と係合する別個の非伸張性織物であってもよい。アンカーバンド3110は、足首の上の下腿の周囲に装着され、図20に示す重なり合った面ファスナー配列を含む多様な配列のいずれかによって、脚の周囲に締着され得る。非伸張性織物3155(および脚の内側におけるそれに相当するもの)は、面ファスナー配置または他の任意の安定した取り付け機構を介してアンカーバンド3110に取り付けられ得る。
【0136】
足首関節に適切な安定化力を加えるために、テンショナ3120がアンカーバンド3110上に設けられている。テンショナ3210は、非伸張性糸3160を有するホイップルツリー配列と係合する実質的に非伸張性の糸の2つのループによって、非伸張性織物3150、3151、3152、3153および3154に必要な力を加える。足首の外側のループには3170という符号が付いています。内側のループは、図20では見えず、足によって隠されているが、糸3170の経路の実質的なミラーイメージである経路をたどる。テンショナ3120が締め付けられると、実質的に非伸張性のループ3170(および脚の内側のそれに相当するもの)は、ホイップルツリーのループ3160を介して、非伸張性織物3150、3151、3152、3153および3154上の糸が通過可能な部材を介してスライドし、ループ3170と前記した脚の内側のそれに相当するものとの間の張力のバランスをとる。これはまた、足首関節の外側と内側の間に加えられる力のバランスを取ります。ウェアラブルブレースガーメント3100は、前述の要素が取り付けられる靴下3190を備え得る。靴下3190は、靴下全体またはつま先のない靴下であり得る。
【0137】
図21Aおよび図21Bは、人間の手首用のウェアラブルブレースガーメント33000を示す。ブレースガーメント3300は、面ファスナーまたは他の取り外し可能な固定配列によって手の周りに固定されたハンドアンカーバンド3310と、面ファスナーまたは他の取り外し可能な留め具配列によって前腕の周りに固定されたアームアンカーバンド3350とを備える。背側ストラップ3330Aおよび3330Bは、それらの遠位端において、手の背側にあるハンドアンカーバンド3310に取り付けられている。付属品は恒久的なものでも、面ファスナータイプの留め具を介して取り外し可能でもよい。背側ストラップ3330Aおよび3330Bは非伸張性であってよい。手のひらストラップ3330Cおよび3330Dは、手の手のひら側のハンドアンカーバンド3310に、それらの遠位端で取り付けられている。付属品は恒久的なものでも、面ファスナータイプの留め具を介して取り外し可能でもよい。手のひらストラップ3330Cおよび3330Dは非伸張性であってよい。4つのストラップ3330A、3330B、3330Cおよび3330Dの全ては、それらの近位端部にそれぞれのループまたは導管3344A、3344B、3344C、3344Dを有し得る。
【0138】
テンショナ3320は、アームアンカーバンド3350の背側に配置され、実質的に非伸張性ケーブルまたは糸3342Aおよび3342Bによってストラップ3330A、3330B、3330Cおよび3330Dと係合する。ケーブル3342Aは、ループまたは中通し可能な部材3344Aおよび3344B、ならびにアームアンカーバンド3350の背側に配置されたループまたは中通し可能な部材3344Hを通過する。ケーブル3342Aの一端は、アームアンカーバンド3350に結び付けられている。ケーブル3342Aの他端は、テンショナ3320に接続され得る。テンショナ3320の動作によってケーブル3342Aの張力が増加するにつれて、ケーブル3342Aおよび中通し可能な部材3344A、3344Bおよび3344Hによって形成されるホイップルツリーテンションイブナーは、背側ストラップ3330Aにおける張力および背側ストラップ3330Bにおける張力が同じであることを確実にする。
【0139】
ケーブル3342Bの一端は、アームアンカーバンド3350に結び付けられ、他端はテンショナ3320に接続されて、テンショナ3320がケーブル3342B内の張力を調整できるようにすることができる。ブレースガーメント3300の掌側にある中通し可能な部材3344C、3344D、3344E、3344Fおよび3344Gと組み合わせたケーブル3342Bによって形成されたホイップルツリーイブナーは、掌ストラップ3330Cにおける張力と掌ストラップ3330Dにおける張力が同じであることを確実にする。符号a、b、cおよびdは、図21Aおよび3342ABに示されるアンカーバンド3350両側の周りの手首に近接するケーブル3342のルートをたどる際の助けとなる。テンショナ2230を調整して、手首を安定させるために手首に力を加える。ブレースガーメント3300は、上述の配置が取り付けられ得る手袋3310を備え得る。グローブ3310は、フルグローブであってもよいし、フィンガーレスグローブであってもよい。
【0140】
図22A、22Bおよび22Cは、人間の肘を安定化させるためのウェアラブルブレースガーメント3500を示す。図22A図22Bおよび図22Cでは、ブレースガーメント3500が、人間の着用者の右肘に適用された状態で、異なる視点で示されている。図22Aは右手の手のひら側からの右肘の正面図を示し、一方図22Bは右手の背中側からの同じ肘の背面図を示す。図22Cは、上腕二頭筋が収縮した第3の斜視図において、同じ右腕および右手を示す。前腕アンカーバンド3510および上腕アンカーバンド3550は、それぞれ前腕および上腕に解放可能に固定されている。この目的のために、両方のアンカーバンドは、アームの2つの部分への取り付けを容易にする面ファスナー部材または他の部材を備えていてもよい。図22Bおよび図22Cに示すように、テンショナ3520は、前腕アンカーバンド3510の背側に配置される。実質的に非伸張性ケーブル3560の一端は、前腕アンカーバンド3510に取り付けられ、ケーブル3560の他端は、その他端でテンショナ3520と係合し、テンショナ3520がケーブル3560内の張力を調整することを可能にする。実質的に非伸張性ケーブル3570Aおよび3570Bは、いずれも、それらの両端部を上腕アンカーバンド3550に取り付けている。ケーブル3570Aおよび3570BBは、両方ともケーブル3560を介してループされている。ケーブル3570Aをガイドするために、前腕アンカーバンド3510上の中通し可能な部材3544Aを介してさらにループされる。ケーブル3570Bをガイドするために、前腕アンカーバンド3510上の中通し可能な部材3544Bを通してさらにループされる。
【0141】
ケーブル3570Aおよび3570Bは、前腕アンカーバンド3510と上腕アンカーバンド3550との間に延びる導管に沿って配線され得る。いくつかの実施形態では、ブレースガーメント3500は、上腕アンカーバンド3550における近位端から前腕アンカーバンド3510における遠位端まで延びる管状ガーメント3590をさらに含み得る。ケーブル3570Aおよび3570Bのための導管は、管状ガーメント3590の上または内部に配置され得る。導管は、図6A図6Bまたは6Cで説明した配置に従って実装され得る。
【0142】
ケーブル3570Aおよび3570Bは、ケーブル3560ならびに中通し可能な部材3544Aおよび3544Bと共に、ケーブル3570Aおよび3570Bにおける張力を等しくする役割を果たすホイップルツリーイブナーを構成する。テンショナ3520を調整すると、ケーブル3570Aおよび3570Bの張力が調整され、ホイップルツリーイブナーは、2つのケーブル3570Aおよび3570Bの各々の張力が同じであることを自動的に保証する。ケーブル3570Aおよび3570Bの張力は、ユーザの肘関節を安定させるのに必要な力を生み出す。
【0143】
図14A図22Cは、着用者の関節を安定化させるためのウェアラブルブレースガーメント1900、2400、2600、3100、3200、3500の態様および実施形態を説明し、ガーメントは関節を少なくとも部分的に包み込むように配置された。ガーメントは、関節を中心とした三次元空間経路に沿って配置された張力部材を備えてもよい。張力部材は実施形態間で異なるが、長手方向に沿って実質的に非伸張性の複数のストランドを備えていてもよい。ブレースガーメントは、ガーメント上に配置され、張力部材内の張力を調整するために配置されたテンショナをさらに備えてもよい。テンショナは実施形態間で変化し得るが、テンショナ1940A、1940B、2440、3120、3320および3520、ならびに図19Aおよび図19Bの面ファスナー配置によって例示される。ブレースガーメントは、テンションイブナー1942A、1942B、2442、3642A、2642B(ならびに図20~22Cのケーブル配置)をさらに含み、テンショナ及び張力部材のストランドと連携して張力的にガーメント上に配置され、張力部材の複数の非伸張性ストランド間の張力を均等に配分するテンションイブナーを含むことができる。
【0144】
テンションイブナーは、ホイップルツリーを含んでもよく、これは、多層ホイップルツリーであってもよい。様々な実施形態のためのテンションイブナーとして使用するのに好適なホイップルツリーは、図12および13、ならびに図16A図17Cに示されている。ホイップルツリーは、張力部材の実質的に非伸張性のストランドと係合するために配置されるプーリ(例えば、1943A、2044A、2045A、2046A)を備え得る。プーリは、木材、金属、およびポリマーのいずれかでできていてもよい。いくつかの実施形態では、ホイップルツリーは、射出成形プーリおよび三次元印刷プーリのうちの1つを含み得る。ホイップルツリーは、張力部材の実質的に非伸張性のストランドと係合するために配置された中通し可能な部材を含み得る。中通し可能な部材は、張力部材の実質的非伸張性ストランドと係合するために配置されるビーズ、ブロック、リング、アイレット(ハトメ)および/またはホイップルバーであり得る。ビーズ、ブロック、リング、ハトメまたはホイップルバーは、木材、金属、およびポリマーのいずれかでできていてもよい。中通し可能な部材は、射出成形または三次元印刷されてもよい。ホイップルツリーは、張力部材の実質的非伸張性ストランドと係合するために配置された実質的非伸張性布のループを含み得る。ホイップルツリーは、機械的利点(a mechanical advantage)を提供するように構成されてもよい。
【0145】
ブレースガーメントは、横方向に広げられたストランドを含む織物部分を含み得、各ストランドは、ガーメント上またはガーメント内の対応するストランド導管内に配置される。ガーメントはガーメント材料で作られてもよく、各導管は、ストランドに対するガーメント材料の摩擦係数よりも低い摩擦係数を有し得る。各導管は、ガーメント材料とは異なる材料のチューブを備えてもよい。張力部材の三次元空間経路は、関節で繋がる四肢の周囲に延びていてもよい。張力部材の3次元空間経路は、張力部材内の張力が関節に近接する圧縮力を生じるように配置されてもよい。関節は、着用者の足首、肘、手首、肩、股関節、首、脊椎、および1つ以上の椎骨のうちの1つであり得る。テンショナは、テンションイブナーに張力を加える際に、機械的利点を提供するように構成され得る。
【0146】
図14Aおよび図14B、ならびに図18Aおよび18Bは、着用者の関節接合部を安定化するためのウェアラブルブレースガーメント1900、2400を記載し、ガーメント1900、2400は、関節を少なくとも部分的に包み込むために配置される。該ガーメントは、ガーメント1900、2400上又は内の導管において関節の周りの三次元空間経路に沿って配置される張力部材と、長手方向に沿って延伸する、実質的に非伸張性の複数のストランド1930A、1930B、2430を含む張力部材と、横方向に広がるストランド(各ストランドは対応するストランド導管内に配置され)を含む織物部分1926A、1926B、2426と、ガーメント1900、2400に配置され、張力部材内の張力を調整するために配置されたテンショナ1940A、1940B、2440と、テンショナ1940A、1940B、2440及びテンション部材のストランド1930A、1930B、2430と張力的に連通する形でガーメント1900、2400に配置されたテンションイブナー1942A、1942B、2442を有し、該テンションイブナー1942A、1942B、2442は、張力部材の複数の非伸張性ストランド1930A、1930B、2430の間で張力を均等化するために配置される。
【0147】
テンションイブナーは、多層ホイップルツリーであるホイップルツリー1935A、2035A、2035A'、2035A''、2135A、2235A、2335A、2335A'、2335A''であってもよい。ホイップルツリーは、より具体的には、2層のホイップルツリーまたは3層のホイップルツリーであり得、ホイップルツリーは、プーリおよび中通し可能な部材のうちの1つ以上を採用し得る。中通し可能な部材は、ビーズ、リング、ハトメ、ブロック、非伸張性織物のループ、非伸張性ケーブルのループ、および張力部材の非伸張性ストランド1930A、2430と係合するためのホイップルバーのうちの1つ以上を含み得る。プーリ、中通し可能なビーズ、リング、ハトメ、ブロックおよびホイップルバーは、木材、金属、プラスチックおよび他の適切なポリマー材料から形成されるがこれらに限定されない、加えられた張力に耐えることができる任意の材料で形成され得る。これらの要素は、例えば限定するものではないが、射出成形または三次元印刷技術によって形成され得る。
【0148】
ガーメント1900、2400は衣服材料で作られてもよく、各導管は、ストランド1930A、2430に対する衣服材料の摩擦係数よりも低い、ストランド1930A、2430に対する摩擦係数を有し得る。導管の各々は、ガーメント材料とは異なる材料のチューブを備えてもよい。張力部材の3次元空間経路は、張力部材内の張力が関節に直接圧縮力を生じるように配置されてもよい。
【0149】
テンショナ1940A、2440は、図16A、16B、16C、および16Dならびに図17A、17B、および17Cのテンショナ1940Aについて示されているように、テンションイブナーに張力を加える際に機械的に好都合なように、張力イブナー1940A、2442と係合され得る。関節は、着用者の足首、肘、手首、肩、股関節、首、脊椎、および1つ以上の椎骨のうちの1つであり得る。
【0150】
ここで提示されたブレースガーメントの用途の1つは、および内部構造の明瞭さのために多様な癒着物が除去された膝蓋骨または膝蓋骨を有する人間の左膝を示す、図1により最もよく説明される。変形性関節症は、関節軟骨140の内側および関節軟骨140の外側である脛骨120上の軟骨がすり減った状態の、痛みを伴う状態である。一般に、関節軟骨140の内側がより頻繁にそうした状態を示す傾向がある。この状態の1つの可能な治療法は、関節軟骨140の内側に残っているもの(もしあれば)に大腿骨110によって加えられる圧力を低下させることである。これは、図14Aの左脚に示されているタイプのブレースガーメントを使用することによって達成され得るが、代わりに、図14Aに描かれているように内側ではなく、左膝関節の外側または側方に適用される。左膝関節の外側に加えられた力は、関節軟骨140の内側への圧力を「アンロード」し、摩耗および痛みを軽減する。同様の配置は、人体解剖学における他の関節に対して実施され得る。
【0151】
本発明を例示的なデザインを持ったものとして述べたが、本発明はこの開示の精神及び範囲内で更に変形することが出来る。本出願は、従って一般的な原則を用いて本発明を多様に変更したり、使用したり、また応用したりすることを意図し本発明の範囲内とするものである。更に、本出願は、本開示から出発して、この発明に関連する技術の既知又は習慣的なプラクティス内でもたらされるものを含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
【国際調査報告】