(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】フィルムネガを作製する方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230510BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230510BHJP
B41C 1/00 20060101ALN20230510BHJP
【FI】
G03F7/20 501
B41J2/01 129
B41C1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560854
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 US2021030589
(87)【国際公開番号】W WO2021226035
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506314391
【氏名又は名称】マクダーミッド グラフィックス ソリューションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】マネイラ、ジョン
【テーマコード(参考)】
2C056
2H084
2H197
【Fターム(参考)】
2C056FB01
2C056FB02
2C056FD20
2H084BB04
2H084CC01
2H197AA01
2H197AA21
2H197CA02
2H197CA05
2H197CA09
2H197CE01
2H197HA01
(57)【要約】
フィルムネガを調製する方法であって、UV印刷基材上に所望のパターンでUVインクを分散させる工程と、UVインクを化学線源で硬化させて、UVインクを架橋及び硬化させ、所望のパターンでUV印刷ポリマー層を創出する工程と、を含む、方法。本UVインクは、少なくとも実質的に無溶媒であり、印刷基材は、接着剤層又はインク受容性層を含まず、インク受容性であるように改変されていない。フィルムネガは、フレキソ印刷要素を作製するプロセスで使用され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムネガを調製する方法であって、
(a)UV印刷基材上に所望のパターンでUVインクを分散させる工程と、
(b)前記UVインクを化学線源で硬化させて、前記UVインクを架橋及び硬化させ、前記所望のパターンでUV印刷ポリマー層を創出する工程と、を含み、
前記UVインクが、少なくとも実質的に無溶媒であり、
前記印刷基材が、接着剤層又はインク受容性層を含まず、インク受容性であるように改変されていない、方法。
【請求項2】
前記印刷基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択される透明材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記UVインクが、約365nm~約405nmの範囲の波長出力で少なくとも1つのUV光源への露光によって硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記UVインクの硬化時間で前記UV印刷を硬化させる工程が、1分当たり約16インチ~1分当たり約3インチの速度で、少なくとも1つのUV光源に対して前記印刷基材を前進させることによって達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記印刷基材が、前記印刷基材上に配置された接着剤層を含み、前記接着剤層が、剥離ライナで覆われ、前記UVインクが、前記剥離ライナの表面上に印刷される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記UVインクが、約60°F~約90°Fの温度で硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記UVインクが、約70°F~約80°Fの温度で硬化される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記UVインクが、1つ以上の光開始剤、モノマー、及び結合剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記UVインクが、シアン、マゼンタ、黄色、及び黒色を含む四色系を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記UVインクが、単一色インクであり、前記単一色インクが、黒色である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記UVインクの前記硬化が、真空下で空気除去を改善するように構成された表面形態を生成し、前記表面形態が、マイクロチャネルを画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記UVインクが、加熱又は乾燥工程に供されない、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
フレキソ印刷要素を画像化するプロセスで使用可能なフィルムネガであって、請求項1に記載の方法に従って生成された、フィルムネガ。
【請求項14】
液体フォトポリマー樹脂を使用してI-プレートを調製する方法であって、
(a)実質的に平面状の透明支持面上に第1のフィルムネガを位置決めする工程であって、前記第1のフィルムネガが、第1の所望のパターンで構成されている、位置決めする工程と、
(b)前記第1のフィルムネガと直接的又は間接的に接触して液体フォトポリマーの層をキャストする工程と、
(c)前記第1のフィルムネガと整列してかつ反対側で第2のフィルムネガを位置決めする工程であって、前記第2のフィルムネガが、液体フォトポリマーの前記層と直接的又は間接的に接触しており、前記第2のフィルムネガが、前記第1の所望のパターンと整列して第2の所望のパターンを有するように構成されている、位置決めする工程と、
(d)前記第1のUV印刷ポリマー層及び前記第2のUV印刷ポリマー層を通して化学線を露光して、前記第1の所望のパターン及び前記第2の所望のパターンに従って前記液体フォトポリマー層を選択的に架橋及び硬化させる工程と、を含み、
前記第1及び第2のフィルムネガが、請求項1に記載の方法に従って生成される、方法。
【請求項15】
前記第2の所望のパターンが、前記第1の所望のパターンよりも大きい寸法であり、それによって、前記第1の所望のパターンの周りに島を生成する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、改善されたフォトポリマー製版プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、一般的に大量部数のために使用される印刷方法である。フレキソ印刷版は、紙、板紙材料、段ボール、フィルム、ホイル、及び積層体など様々な基材上での印刷に用いられる。新聞及び買い物袋は、顕著な例である。粗い表面及び延伸性のフィルムは、フレキソ印刷によってのみ経済的に印刷することができる。
【0003】
フレキソ印刷要素は、概して、支持層と、1つ以上の感光性層と、任意選択のスリップフィルム剥離層と、任意選択の保護カバーシートと、を含む。保護カバーシートは、使用準備が整うまでプレート又は光硬化性要素を損傷から保護することができる、プラスチック又は任意の他の取り外し可能な材料から形成される。使用される場合、スリップフィルム剥離層が、保護カバーシートと光硬化性層との間に配置されて、汚染からプレートを保護し、取り扱いの容易さを増加させ、インク受容性層として機能し得る。露光及び現像の後、フォトポリマーフレキソ印刷版は、フロア層によって支持され、バッキング基材に固定された様々な画素からなる。
【0004】
フレキソ印刷要素は、広範な条件下で良好に機能することが極めて望ましい。したがって、印刷要素は、厚紙、コーティング紙、新聞、カレンダー紙、及びポリプロピレンなどの高分子フィルムを含む広範囲の基材にそれらのレリーフ画像を付与することができるべきである。重要なことに、プリンタが作製しようとしている多くの印刷のために、画像は、迅速かつ忠実に転送されるべきである。
【0005】
フレキソレリーフ画像印刷要素は、固体光硬化性又は光重合性層(すなわち、シートポリマー)の画像化及び露光を含む様々な方式で、並びに液体フォトポリマー樹脂の加工によって、製造することができる。液体フォトポリマー樹脂から作製されたフレキソ印刷要素は、未硬化樹脂が印刷要素の非画像領域から回収され、追加印刷版の作製に使用され得るという利点を有する。液体フォトポリマー樹脂は、シート状ポリマーと比較して可撓性の点で更なる利点を有し、これにより、機械設定を変更するだけで、あらゆる必要なプレートゲージの生成を可能にする。
【0006】
フレキソ印刷のためのレリーフ画像は、感光層又は光硬化性層上の非画像領域をマスクするために画像のネガを使用して創出することができる。感光性層又は光硬化性層の画像領域は、紫外線(ultraviolet、UV)光への露光下で架橋することによって硬化させることができる。
【0007】
フレキソ印刷版は、デジタルで(コンピュータからプレート、すなわちCTP(computer-to-plate)として知られる)、又は画像設定器を介してネガに処理される従来のフィルムを露光及び現像するアナログプロセスによって画像化され得る。
【0008】
ネガは、透明プラスチック(例えば、ポリエステル)材料上にUV遮断インクを印刷するためにインクジェットプリンタを使用して作製することもできる。プラスチック材料の表面は、インクジェット受容性でなければならないか、又はインクジェット受容性であるように作製されなればならない。つまり、表面は、許容可能に安定した詳細な画像、すなわち、移動することなく、プラスチックに付着し、かつ迅速に乾燥するものを創出することができなければならない。プラスチック材料は、インクジェット受容性コーティング、例えば、マイクロ多孔性コーティング又はインクジェット受容性ポリマーのコーティングでコーティングすることによって、インクジェット受容性にされ得、又は材料は、酸エッチングなどのような何らかの他の様式で処理されて、インクがフィルムに付着し、かつ、移動することなく、迅速に乾燥することを可能にする表面を生成してもよい。インクジェット受容性プラスチック材料の使用は、例えば、Maneiraへの米国特許第9,726,971号に開示されており、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
液体フォトポリマー樹脂から印刷版を生成するための様々なプロセスが開発されており、例えば、Kojimaらへの米国特許第5,213,949号、Strongらへの米国特許第5,813,342号、Longらへの米国特許出願公開第2008/0107908号、Gushらへの米国特許第3,597,080号であり、これらの各々の主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
液体製版プロセスにおける典型的な工程は、
(1)キャスト及び露光と、
(2)回収と、
(3)洗浄と、
(4)後露光と、
(5)乾燥と、
(6)不粘着化と、を含む。
【0011】
キャスト及び露光工程では、写真用ネガを底部ガラスプラテン上に配置し、露光ユニット内のネガの上にカバーフィルムを配置する。露光ユニットは、概して、下方にUV光源(下部光)を備えた底部ガラスプラテンと、上方にUV光源(上部光)を備えたフラットトップガラスプラテンを有する蓋と、を含む。
【0012】
フォトポリマー上へのネガの画像詳細を正確に再現することは、ネガが可能な限りフォトポリマー層の近くに配設されることを必要とする。次いで、真空によって空気を全て除去し、それによってネガ及び/又はカバーフィルムのいずれのしわも排除することができる。加えて、底部ガラスプラテンは、カバーフィルムとネガとの間のあらゆる空気の除去を更に容易にするために溝付きであってもよい。その後、液体フォトポリマーの層及び裏張りシート(すなわち、ポリエステル又はポリエチレンテレフタレートの薄層)がカバーフィルム及びネガの頂部に既定の厚さまでキャストされる。液体フォトポリマーと結合するために片面をコーティングすることができるバッキングシートを、キャストされた液体フォトポリマー層の上にラミネートして、露光後のプレートの裏面として機能させる。
【0013】
上及び/又は下の化学線源(すなわち、上部光及び下部光)が使用されて、フォトポリマーを化学線に露光させて、ネガに覆われていない領域内の液体フォトポリマー層を選択的に架橋かつ硬化させる。上化学線源が使用されて、印刷版のフロア層を創出し(すなわち、背面露光)、その一方では、下化学線源が使用されて、ネガを通してフォトポリマーを化学線に露光させて、レリーフ像を創出する(面露光)。プレートゲージは、保護された底部露光ガラス上に液体フォトポリマーを分配した後に、底部露光ガラスから所望の距離に頂部露出ガラスを配置することによって、調整及び/又は設定することができる。
【0014】
上部光源を所定の時間オンにして、基材に隣接するフォトポリマーをプレートの表面全体にわたって均一に架橋させ、フロアを形成する。その後、画像化される領域を、下部光源からの(すなわち、底部ガラスプラテンを介して)化学線に露光する。化学線は、ネガの透明な領域を通って輝き、それらの領域においてフォトポリマーに架橋させ、フロア層に結合するレリーフ画像を形成する。下部光源に露光されない液体フォトポリマー(すなわち、未硬化のフォトポリマー)は、液体状態のままであり、回収及び再利用することができる。
【0015】
使用される放射線の種類は、光重合性層内の光開始剤の種類に部分的に依存する。デジタル画像化マスク又は写真用ネガは、下地の材料が化学線に露光されることを防止し、それゆえマスクで覆われた領域は重合せず、一方、マスクで覆われていない領域は、化学線に露光されて重合する。例えば、とりわけ、カーボンアークランプ、水銀蒸気アークランプ、蛍光ランプ、電子フラッシュユニット、電子ビームユニット、写真フラッドランプ、及び発光ダイオード(light emitting diode、LED)などの可視及びUV源を含む、任意の従来の化学線源を使用することができ、放出された光の波長は、特定の種類の光開始剤に部分的に依存する。
【0016】
露光の完了後、印刷版は露光ユニットから除去され、化学線に露光されなかったフォトポリマー(すなわち、ネガで覆われたフォトポリマー)は、液体のままであり、更なる使用のために回収され得る。液体製版では、樹脂回収は、光重合性樹脂印刷版の生成に関連する重要な要素であり、UV放射線に露光されない全ての領域において、樹脂は露光後に液体のままであり、再生され得る。典型的なプロセスでは、未硬化樹脂は、「再生」工程で物理的に除去され、これは、典型的には、印刷版の表面上に残っている液体フォトポリマーを圧搾すること、真空吸引すること、ないしは別の方法で除去することを含む。この再利用工程の使用は、フォトポリマー樹脂の材料コストの節約になるだけでなく、現像用化学物質の使用及びコストも低減させ、また、より安全でかつ取り扱いがより容易である、より軽量なプレートを作製する。
【0017】
次いで、回収工程後に残っている液体樹脂の残留痕跡を、ウォッシュアウト溶液を使用するノズル又はブラシ洗浄によって除去して、ウォッシュアウトしたプレートを取得し、硬化したレリーフ画像を残すことができる。典型的には、プレートは、石鹸及び/又は洗剤を含む水溶液が、任意の残留する未露光のフォトポリマーを洗い流すために使用されるウォッシュアウトユニット中に置かれる。次いで、プレートを水ですすいであらゆる残留溶液も除去する。
【0018】
印刷要素の硬化領域は、洗浄(又は現像)溶液に不溶性であるため、洗浄後に、硬化光重合性樹脂で形成されたレリーフ画像が得られる。硬化樹脂は、同様に特定のインクに不溶性であり、したがって、フレキソ印刷において使用することができる。
【0019】
その後、印刷版は、様々な露光後及び不粘着化工程に供される。後露光は、プレートを水及び食塩水に浸漬することと、印刷版の化学線(UV光)への追加的露光を実施して、印刷版を完全に硬化させ、プレート強度を高めることと、を伴い得る。不粘着化工程は(使用される場合)、完全に非粘着性のプレート表面を確実にするために殺菌ユニット(すなわち、ライトフィニッシャ)の使用を伴うことができる。特定の樹脂は非粘着性であり、したがって、不粘着化工程を必要とせずに印刷機の準備を整えることができるため、この工程は全てのプレートに必要とされるわけではない。次いで、印刷版をすすぎ、乾燥させることができる。
【0020】
典型的には、液体フォトポリマーから調製されたフレキソ印刷要素のフロア面積は、プレート厚さの少なくとも約半分を占め、プレート厚さの残りは、レリーフ領域を含む。フロアは、プレートに寸法安定性を提供し、レリーフ領域を支持する。
【0021】
このプロセスの変形は、フロア面積を最小化し、シート全体を覆うであろうフロアを作製する際に使い尽くされるフォトポリマーの量を低減するために再生され得る液体フォトポリマーの量を大幅に増加させる。これらの印刷版は、一般に「組み付けプレート」、「島プレート」、又は「I-プレート」と称される。
【0022】
I-プレートは、液体製版プロセスに別の工程を追加する。つまり、プレート全体にわたって延在するフロアを作製する代わりに、第2の写真ネガをフォトポリマー層の上部に配設する。このネガ(マスキングフィルムとも称される)は、ネガ上の画像領域を概説する。プレートを最初にマスキングフィルムを通して上部UV光に露出させ、基材に隣接する感光層内に硬化ポリマーの島を形成させる。露光のタイミング及び強度は、重合が基材からフォトポリマー層を通って全て延在するのを防止するために制限される。レリーフ画像ネガの下からの第2のより低いUV露光は、詳細な硬化レリーフ画像を、そのように創出された島の上に形成させる。このプロセスは、例えば、Battistiらへの米国特許出願公開第2012/0082932号、Maneiraへの米国特許第9,726,971号であり、これらの各々の主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。レリーフ画像ネガ及びマスキングフィルムは、レリーフ画像ネガの各画像領域がマスキングフィルムの各透明領域のほぼ中央にあるように整列(すなわち、位置合わせ)される。
【0023】
I-プレートを生成する際の困難のうちの1つは、設定プロセス中にマスキングフィルムをネガに位置合わせすることであり、そのため、フロア面積内に創出された島が、所望のレリーフ画像と並ぶ(すなわち、位置合わせされる)ことになる。マスキングフィルムは、典型的には、基材の表面の上に塗布され、滑り、マスキングフィルムを誤って位置合わせさせる。Battistiらへ米国特許出願公開第2012/0082932号は、後で液体フォトポリマーの層に接着される島画像のデジタル表現が印刷された基材を使用することによってこの問題を解決しようと試みる。しかしながら、これは、追加の工程を必要とし、製版プロセスを更に延長する。
【0024】
Vestらへの米国特許第9,703,201号は、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、液体フォトポリマー印刷ブランクを選択的に活性放射線に露光してレリーフ画像印刷版を創出するI-プレートを生成する別の方法を記載しており、これは、複数のUV LEDを含むライトバーを、バッキングシートを通して液体フォトポリマー印刷ブランクの上面にわたって走査して、選択領域内で液体フォトポリマーの層を硬化させて、バッキングシートに隣接して硬化ポリマーの島を創出することによって行われる。ライトバーは、ライトバーの幅にわたって配列された複数のUV LEDを含み、そのため、ライトバーが液体フォトポリマー印刷ブランクの表面の上を走査すると、液体フォトポリマー印刷ブランクの表面は、架橋及び硬化に供されて、その中に硬化された島を創出し得る。
【0025】
製版プロセスにおける時間のかかる工程のうちの1つは、その中で使用されるフィルムネガ又は他のマスク層の創出である。当該技術分野において、好ましくは液体製版プロセスで使用するために、効率的な様式でフィルムネガ又は他のマスク層を創出する、改善された方法への必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0026】
本発明の目的は、改善された液体フォトポリマー製版プロセスを提供することである。
【0027】
本発明の別の目的は、好ましくは液体製版プロセスで使用するための、フィルムネガ又は他のマスク層を創出する、改善された方法を提供することである。
【0028】
本発明の更に別の目的は、インクジェット印刷基材(フィルムベース)がインクジェット受容性であるか、インクジェット受容性であるように改変される必要性を排除する、フィルムネガ又は他のマスク層を創出する方法を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、液体製版プロセスで使用され得、かつ製版プロセスの画像化工程中に真空下で空気除去を改善するように構成された表面形態を呈する、フィルムネガ又は他のマスク層を創出する、改善された方法を提供する。
【0030】
そのために、一実施形態では、本発明は、概して、インクジェット印刷方法を使用して、フィルムネガ又は他のマスク層を生成する方法に関する。印刷ポリマー層を含む、開示されたフィルムネガ又はマスク層は、液体フレキソ印刷版の製造に利用され得る。いくつかの実施形態では、所望のUV光遮断密度を有するUV印刷ポリマー層(例えば、UV印刷ポリマー層マスク)は、フレキソ印刷版の製造又は画像化に利用され得る。
【0031】
本明細書に記載のインクジェット印刷方法を使用してフィルムネガ又は他のマスク層を生成するプロセスは、上にインクを印刷するための非吸収性の透明表面(すなわち、インクジェット印刷基材)を提供することを含むUV印刷ポリマー層を生成する。インクジェット印刷基材は、それを通る露光(例えば、UV露光)を可能にするように構成された透明な支持面(例えば、ガラス表面)と接触して位置決めされ得る。ガラス表面は、実質的に平面状であり得、インクジェット印刷基材をその上に位置決めすることが可能である。インクジェット印刷基材とガラス表面との間に閉じ込められた空気は、1つ以上のUVインクを受容するために、しわがない表面を確実にするために除去される。次いで、UVインクを、所望のパターンでインクジェット印刷基材上に移送することができる。好ましい実施形態では、ネガ形成UVインクは、UVインクジェット印刷ヘッドから排出される。UV印刷ポリマー層は、所望のパターンに基づいて、好ましくはコンピュータ生成され、UVインクジェット印刷ヘッドに伝達される。
【0032】
一実施形態では、UVインクジェット印刷プロセスは、例えば、組み付けプレート、島プレート、及びI-プレートを含む、液体フレキソ印刷版の製造に利用される低減フロア面積を生成するために、マスク層を生成する際に使用するように構成され得る。
【0033】
一実施形態では、UV印刷ポリマー層は、1つ以上のマイクロチャネルを画定する表面形態を含み得、これは、フォトポリマー画像化プロセス中に真空下で空気除去を改善するように部分的に構成されている。
【0034】
本明細書に記載の方法は、いくつかある機能強化の中でも、(i)印刷デバイス信頼度、(ii)技術サポート、(iii)消耗品コスト、(iv)労働コスト、(v)液体製版プロセス、(vi)マスク生成速度、並びに(vii)最終製品生成及び品質を実質的に改善することができる。
【0035】
特に、本明細書に記載のUVインクは、揮発性化合物及び/又は水の除去を必要としないため、画像化工程を簡略化することができる。より好ましくは、本発明の実施に使用可能なUVインクは、少なくとも実質的に無溶媒である。
【0036】
開示された方法は、典型的には少なくとも約60分を必要とする従来の作業時間と比較して、約15分以下で画像ネガを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の実施形態の特徴及び態様は、添付の図面を参照して以下に説明され、その要素は、必ずしも縮尺通りに示されていない。
【0038】
本開示の例示的な実施形態は、以下の図を参照して更に説明される。以下に説明され、図に示される、様々な特性、工程、及び特性/工程の組み合わせは、本開示の範囲内に依然としてある実施形態をもたらすために、異なって配列及び編成され得ることに留意されたい。
【0039】
開示されたアセンブリ、システム、及び方法を作製及び使用する際に当業者を助けるために、添付の図面を参照する。
【
図1】従来技術による従来の液体フォトポリマー製版プロセスを概略的に示す。
【
図2】従来技術による従来のインクジェットフィルム技術を概略的に示す。
【
図3】本開示によるUVポリマー層マスクを有するアナログ製版プロセスを概略的に示す。
【
図4】本開示によるUVインクジェットフィルム技術を概略的に示す。
【0040】
また、全ての要素が各図でラベル付けされ得るわけではないが、同じ参照番号を有する全ての要素は、類似又は同一の部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、好ましくは液体製版プロセスで使用するための、フィルムネガ又は他のマスク層を調製するための方法を提供し、得られたUV印刷ポリマー層を調製するプロセスは、フィルム基材がインクジェット受容性であるか、インクジェット受容性であるように改変される必要性を排除する。得られたUV印刷ポリマー層は、液体製版プロセス中にフィルムネガ又は他のマスク層として使用することができる。
【0042】
本発明は、後続の画像化プロセス中に真空下で空気除去を改善するように構成された表面形態を含む、改善されたUV印刷ポリマー層を含む、フィルムネガ又は他のマスク層を生成する。
【0043】
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、単数及び複数の両方を指す。
【0044】
本明細書で使用する場合、用語「約」とは、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を意味し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、及び依然として更により好ましくは+/-0.1%以下の変動を、このような変動が本明細書に記載される本発明で実施するために適切である限り、含むことを意味する。更に、修飾語「約」が意味する値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0045】
本明細書で使用するとき、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」、「前部(front)」、「後部(back)」のような空間的に相対的な用語は、別の要素又は特徴に対する1つの要素又は特徴の関係を説明するために使用される。「前部(front)」及び「後部(back)」という用語は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprise(s))」及び/又は「含む(comprising)」とは、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「印刷ポリマー層」及び「UV印刷ポリマー層」という用語は、画像ネガ、バックマスクなどを指し得る。
【0048】
本明細書で使用するとき、特定の要素又は化合物に関し、「実質的に含まない」又は「本質的に含まない」とは、上記で定義されていない場合、所与の元素又は化合物が、フレキソ印刷の当業者に周知である通常の分析手段によって検出不可であることを意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「実質的に平面状」という用語は、本明細書で別途定義されない限り、基材又は構成要素が概ね同じ平面上にあることを指す。
【0050】
図を参照すると、
図1は、従来技術の従来の液体フォトポリマー製版システムを示し、
図2は、従来技術の従来のインクジェットフィルム技術を示す。
図1に示されるように、積層構成でいくつかの層を含む従来の液体フォトポリマープレートシステム10。各々がその前に層の上に位置決めされる層は、下部ガラスプラテン12、画像化フィルム層14、カバーフィルム層16、カバーフィルム層16上にキャストされている、又は他の方法で配置された液体フォトポリマー層18、キャリアシート/ベースフィルム層20、バックマスクフィルム層22、及び上部ガラスプラテン24を含む。下部UVランプ26は、下部ガラスプラテン12の下方に位置決めされ、上部UVランプ28は、上部ガラスプラテン24の上方に位置決めされ、これによって、UVランプ26、28は、液体フォトポリマー層18の上面及び下面に向かって光を投射する。
【0051】
図2に示されるように、従来のインクジェットフィルムプロセス50は、UVインク56、58、60、62を使用するときに許容可能な詳細な画像を創出するために、受容性インク層54をフィルムベース52と接触させて配設する必要がある。シアン56(斜線で示される)、マゼンタ58(斜めの網目線で示される)、黄色60(垂直線で示される)、及び黒色62(塗りつぶしとして示される)を含むUVインク色を使用して、詳細な画像を創出することができる。この従来のプロセスの一例は、例えば、Maneiraへの米国特許第9,726,971号に記載されており、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。所望のUV光遮断密度を有する開示されたUV印刷ポリマー層(例えば、UV印刷ポリマー層マスク)は、液体フレキソ印刷版の製造又は画像化に利用することができる。
【0052】
図3は、本明細書に更に記載される方法に従って調製されたUVポリマー層マスク100を利用する、本発明による製版プロセスを示す。
【0053】
本発明による液体製版プロセスは、UVポリマー層マスクの使用を含み、以下の層:下部ガラスプラテン102、画像化フィルム104、カバーフィルム層106、液体フォトポリマー層108、キャリアシート/ベースフィルム層110、UVポリマー層マスク層112、及び上部ガラスプラテン114、を含み、各々がその前の層の上に位置決めされている。下部UVランプ116は、下部ガラスプラテン102の下方に位置決め可能であり、上部UVランプ118は、上部ガラスプラテン114の上方に位置決め可能であり、そのため、UVランプ116、118は、液体フォトポリマー層108に向かって光を投射する。
【0054】
図4に示されるように、また
図2に示される先行技術のプロセスとは対照的に、UVインクジェットフィルムシステム150は、本明細書で記載し、UVインク56、58、60、62をインクジェット印刷基材152に直接的に塗布する。つまり、インクジェット印刷基材152は、インク受容性層を含まず、インク受容性であるように改変されていない。シアン56(斜線で示される)、マゼンタ58(斜めの網目線で示される)、黄色60(垂直線で示される)、及び黒色62(塗りつぶしとして示される)を含むUVインク色。先行技術の方法とは対照的に、本発明のフィルムベースは、いかなるインク受容性層も、インクジェット印刷基材をインク受容性にし得るフィルムベースに対する改変も含まず、またそれらを必要としない。
【0055】
本明細書に記載のUVインクジェット印刷プロセスは、4色56、58、60、62であっても単一色であってもよいUVインクを上に印刷するための非吸収性透明基材であるインクジェット印刷基材(例えば、フィルムベース)152を含む。
【0056】
別の好ましい実施形態では、単一色インクが使用され、最も好ましくかつ最も典型的には黒色である。これは、シアン、マゼンタ、及び黄色のインクを使用する必要性を排除し、プロセスをより効果的にする。しかしながら、他の単一色インクも本発明の実施において使用可能であり、当業者に既知であろう。
【0057】
本発明の発明者らは、印刷ヘッドの従円色チャネルの全てにわたって黒色インクを設置することによって、機器の保全及び較正が低減され、機器の出力速度を増加させながらインク消費を最小限に抑えることを見出した。したがって、典型的な四色系を使用する代わりに、フィルムネガを調製するために黒色インクを使用する。またこれにより、インク消費が可能な限り低くなり、プロセスがより効率的かつ高い費用効果の高いものになる。
【0058】
インクジェット印刷基材は、実質的に平面状の透明な支持面(例えば、ガラス表面)と接触して位置決めされ、この支持面は、露光(例えば、UV露光)がそれを通ることを可能にするように構成されている。一実施形態では、インクジェット印刷基材と支持面との間に閉じ込められた空気は、インクジェット印刷基材のしわを排除するか、又は少なくとも低減させるために除去される。しばしば真空による閉じ込められた空気の除去は、好ましくは、インクジェット印刷基材上にUVインクを印刷する前に実行される。その後、UVインクは、所望のパターンで一貫してインクジェット印刷基材上に印刷され、所望のパターンは、一連の印刷ドット又は他の印刷特性若しくは島であり得る。
【0059】
UVインクは、コンピュータ生成画像を受信する(すなわち、通信している)ように構成されているUVインクジェット印刷ヘッドから排出される。次いで、UVインクを少なくとも1つのUV光から化学線に露光し、少なくとも1つのUV光は、露光ユニット内に配置される。少なくとも1つのUV光は、ガラス表面の下方、ガラス表面の上方、及び/又はそれらの間の位置に位置決めされ得る。一実施形態では、第2のUV光は、第1のUV光の反対側に位置決めされる。UV光へのUVインクの露光は、UVインクの架橋及び硬化を促進して、インクジェット印刷基材上にネガ又はマスク層を創出し、所望のパターンでUV印刷ポリマー層を生成する。
【0060】
インクジェット印刷基材は、いかなるUVブロッカー又は阻害剤も含有しない任意の透明なプラスチック材料を含み得る。好ましくは、インクジェット印刷基材は、インクジェット受容性ではなく、及び/又はインクジェット受容性であるように改変されておらず、より好ましくは、インクジェット印刷基材は、インクジェット受容性層を含まず、インクジェット受容性であるように改変されていない。一実施形態では、インクジェット印刷基材は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、及びポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)からなる群から選択される透明材料である。
【0061】
一実施形態では、インクジェット印刷基材は、接着剤又はインク受容性層を含まない。したがって、1つの好ましい実施形態では、UVインクは、インクジェット印刷基材上に直接的に印刷され、UVインクは、上に接着剤が配置されていないインクジェット印刷基材の表面上に直接的に印刷される。
【0062】
別の実施形態では、インクジェット印刷基材は、接着剤層を含み、インク受容性層を含まない。それに基づいて、インクジェット印刷基材は、剥離ライナを有する接着剤層を含み、接着層は、インクジェット印刷基材の表面上に配置される。
【0063】
一実施形態では、インクジェット印刷基材は、基材と一体の感圧接着剤ライナと、印刷される剥離ライナとが上に取り付けられた多層構造である。製版プロセス中、感圧接着剤ライナは、プレートをプレス取り付けに接着するために、典型的には、最終印刷版の後部に塗布される。本明細書に記載のプロセスは、この追加の工程と、感圧接着剤層を印刷版に接着するのに必要とされる労力とを排除する。したがって、剥離ライナは、UVインクが印刷される表面であり、その剥離ライナは、感圧接着剤を保護する薄いポリエステル又はポリエチレンテレフタレートフィルムである。UVインクは、接着剤層の剥離ライナ上に配置された別個のプリントライナ上に印刷され得る。
【0064】
本発明に記載のインクジェット印刷基材は、様々なUVインクと共に作用するように構成され、これらのUVインクは、1つ以上の光開始剤、モノマー、及び結合剤を含む。本発明の実施において使用可能なUVインクは、少なくとも実質的に無溶媒であるUVインクである。本明細書で使用される場合、「無溶媒」という用語は、1重量%未満の検出可能な限界中、好ましくは0.1重量%未満の検出可能な限界中の溶媒を含有するUVインクを指す。
【0065】
1つ以上のUVインクは、SPC-0371、F-200、LH-100、MUH-100-Si、LF-140、LF-200、LUS-120、LU-125、LUS-150、LUS-170、LUS-175、LUS-200、LUS-350、MH-100、PR-100、PR-200、SW-100(各々が、限定ではなく例として、Mimaki(登録商標)Engineering Co.,Ltd(日本、長野県))によって製造される)を含む群から選択され得る。他の無溶媒UVインクも当業者に既知であり、本発明において使用可能であろう。好ましい実施形態では、無溶媒UVインクは、アナログ液体フレキソ印刷版の製造中にフィルムネガのマスキング部分によって覆われた未露光フォトポリマーの部分のUV硬化を制限(又は防止)するように十分に不透明である。単一の色系で使用するのに好適な黒色インクには、上記のUVインクが含まれる。
【0066】
本発明のUV印刷ポリマー層を作製するプロセスは、概して、
(1)インクジェット印刷基材を提供することであって、インクジェット印刷基材が、インク受容性層を含まない、及び/又はインクジェット印刷基材が、インク受容性であるように改変されていない、提供する工程と、
(2)インクジェット印刷基材上に所望のパターンでUVインクを印刷することであって、UVインクが、少なくとも実質的に無溶媒である、印刷する工程と、
(3)UVインクをUV光源に露光することによって、UV印刷インクを硬化させる工程と、を含む。
【0067】
一実施形態では、UV光源は、約365nm~約405nmの範囲の波長出力を生成するように構成された少なくとも1つのUV光を含み得る。一実施形態では、UV光源は、インクジェット印刷基材の幅にわたって走査可能になるように取り付けられる。
【0068】
一実施形態では、インクジェット印刷基材は、インクジェットプリンタに対して移動して、その上に分配されたUVインクを選択的に架橋及び硬化させる。好ましい実施形態では、インクジェット印刷基材は、インクジェットプリンタを通って前進して、インクジェット印刷基材上に所望のパターンUVインクを印刷し、所望のパターンは、概して、一連の印刷ドット、印刷特性、及び/又は島である。インクジェットプリンタはまた、その中に取り付けられたUV光源を含み、それは、インクジェット印刷基材がインクジェットプリンタを通って前進するのと少なくとも実質的に同時に、UVインクを直ちに架橋及び硬化させ、これは、追加のコーティングの必要性を排除するのに役立つ。他の構成も、当業者に既知である。
【0069】
全黒色インク送達構成の実施形態では、本発明者らは、機能不全ノズル又はチャネルを遠隔方向に向け直すことによって、機器の信頼性を高め、より迅速な技術応答サポートを有することが可能であることを発見した。黒色インクの使用により、全てのインクベイの消耗が全てのチャネル及びノズルにわたって等しいことが確実になり、4色構成で発生し得る各それぞれのチャネルにおける不均一なインク体積の使用量を排除する。
【0070】
黒色インクの顔料添加により、UV及び透過性光遮断の両方が、液体フォトポリマープレート露光中の最小インク消費で達成される。更にまた、最小光透過性を確保することによって、異なる光波間の光屈折が最小限になり、最も高い露光忠実度を提供する。
【0071】
1つの好ましい実施形態では、光重合体架橋は、単一色又は四色系のいずれかについて、透過濃度計(X-Rite 361T又はMacbeth Td-929 Photo Graphic Color Densitometer光グラフィックカラー濃度計など)を使用して測定されるように、2.0未満の光透過率で達成することができる。
【0072】
UVインクの硬化時間は、例えば、印刷速度、層の配置、及び表面形態要件を含む他のパラメータに依存して配位され得る。印刷速度及び露光時間は、UVインクの硬化を促進する(例えば、タッチに硬化される)。場合によっては、ポリマー層UVインクの硬化時間は、UVインク印刷基材を、UV光源に対して、1分当たり約16インチ~1分当たり約3インチの速度で前進させることによって達成され得る。UVインクの硬化は、約60°F~約90°Fの範囲の温度で起こり得る。具体的には、UVインク硬化は、約70°F~約80°Fの温度範囲で起こり得る。より好ましくは、UV硬化は、室温で行われ得る。しかしながら、「室温」は、個人、季節、及び/又は国に基づいて主観的であり得、したがって、本開示は、「室温」の単一の解釈に限定するものではないことが理解される。それにもかかわらず、室温で実行される硬化は、UVインクと基材との間の良好な接着を達成するために追加の局所熱を必要としないことが理解され、これは、本UVインク硬化法の一般的な欠点である。
【0073】
本発明のプロセスによって作製されたフィルムネガとは対照的に、先行技術のUVインクは、フィルムネガを生成するために加熱及び乾燥する追加の工程を必要とする溶媒系インクである。この場合、不十分な熱は、マスクの汚れ及び移動を引き起こし、生産困難を引き起こす可能性がある。一方、過度の熱及び基材を歪ませることができ、画像化フィルムに位置合わせの問題を引き起こす。したがって、好ましい実施形態では、本発明は、本発明のフィルムネガを生成するためのいかなる加熱又は乾燥工程も必要としない。
【0074】
いくつかの実施形態では、開示されたUV印刷ポリマー層は、「フロア」の露出中に利用され得る。例えば、所望のパターンに似ているが、わずかに大きい寸法であるフロアを生成する。例えば、所望のパターンに似たフロアは、所望のパターンよりも約4分の1~約2分の1インチ大きい寸法であり得る。印刷版のこの方法は、一般に「組み付けプレート」、「島プレート」、又は「I-プレート」と称される。この方法を利用することにより、フロアを創出するために使用される液体フォトポリマーがより少なくなる。
【0075】
したがって、一実施形態では、本発明は、概して、液体フォトポリマー樹脂を使用してI-プレートを調製する方法に関し、本方法は、
(a)実質的に平面状の透明支持面上に第1のフィルムネガを位置決めする工程であって、第1のフィルムネガが、第1の所望のパターンで構成されている、位置決めする工程と、
(b)第1のフィルムネガと直接的又は間接的に接触して液体フォトポリマーの層をキャストする工程と、
(c)第1のフィルムネガと整列してかつ反対側で第2のフィルムネガを位置決めする工程であって、第2のフィルムネガが、液体フォトポリマーの層と直接的又は間接的に接触しており、第2のフィルムネガが、第1の所望のパターンと整列して第2の所望のパターンを有するように構成されている、位置決めする工程と、
(d)第1のUV印刷ポリマー層及び第2のUV印刷ポリマー層を通して化学線を露光して、第1の所望のパターン及び第2の所望のパターンに従って液体フォトポリマー層を選択的に架橋及び硬化させる工程と、を含み、
第1及び第2のフィルムネガは、本明細書に記載の方法に従って生成される。
【0076】
いくつかの実施形態では、開示されたUVインクは、UV印刷ポリマー層を形成するように印刷されるとき、真空下での空気除去を改善するために部分的に構成された表面形態を含み得る。特に、UVインクは、硬化されると、1つのマイクロチャネルを画定する表面形態を有し得る。1つ以上のマイクロチャネルは、所定のパターンで、無作為化されたパターンで、又は部分的に所定のパターン及び部分的に無作為化されたパターンで、位置決めされ得る。開示された空気除去は、機械的真空のプロセスを通して、開示されたUV印刷ポリマー層と隣接する表面との間に閉じ込められた空気の除去を促進し得る。例えば、開示された空気除去は、開示されたUV印刷ポリマー層と上部ガラスとの間に閉じ込められた空気の除去を促進し得る。開示されたUV印刷ポリマー層と上部ガラスとの間に閉じ込められた空気は、上部ガラスにしわを引き起こし得、これは、液体フォトポリマープレートの品質に悪影響を及ぼし得る。
【0077】
本開示は、例示的な実装を参照して説明しているが、本開示は、そのような例示的な実装によって限定されないか、又はそのような例示的な実装に限定されない。むしろ、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、様々な修正、改良、及び/又は代替の実装が採用され得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】