(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】EEGの記録および分析
(51)【国際特許分類】
A61B 5/372 20210101AFI20230510BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230510BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20230510BHJP
【FI】
A61B5/372
A61B5/00 G
A61B5/00 102A
G16H10/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560873
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2021025489
(87)【国際公開番号】W WO2021207010
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518273806
【氏名又は名称】エピテル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EPITEL,INC.
【住所又は居所原語表記】630 S. String Fellow Ct.,Unit #b,Salt Lake City,UT 84111,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ケー・エルウッド
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル・エー・フランケル
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ジェイ・レームクーレ
(72)【発明者】
【氏名】ジーン・エム・ウィーラー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・リングスチュイル
(72)【発明者】
【氏名】エリン・エム・ウェスト
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・ディー・マクグラス
【テーマコード(参考)】
4C117
4C127
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB04
4C117XB08
4C117XB12
4C117XC11
4C117XC15
4C117XD01
4C117XD03
4C117XE14
4C117XE18
4C117XE23
4C117XE26
4C117XE57
4C117XG16
4C117XG19
4C117XG24
4C117XH15
4C117XH16
4C117XJ12
4C117XJ45
4C117XQ20
4C127AA03
4C127BB03
4C127CC06
4C127GG16
4C127KK03
4C127KK05
5L099AA22
(57)【要約】
一実施形態は、ユーザによって装着された1つまたは複数のシングルチャネルEEGセンサーからEEGデータを取得するステップと、プロセッサを使用して、前記EEGデータを公称および異常のうちの一方として分類するステップと、前記EEGデータの分類に関連付けられた指示を提供するステップとを含む方法を提供する。他の実施形態が説明され、請求される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって装着された1つまたは複数のシングルチャネルEEGセンサーからEEGデータを取得するステップと、
プロセッサを使用して、前記EEGデータを公称および異常のうちの一方として分類するステップと、
前記EEGデータの分類に関連付けられた指示を提供するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記指示が、警告、EEGトレースをマーキングするデータ、カウント、報告、および予測のうちの1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記提供するステップが、前記EEGデータのEEGトレースのセグメントをマーキングするステップを含み、前記マーキングするステップが、ディスプレイデバイス上に表示するためのカラーコードおよびラベルのうちの1つまたは複数を提供するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分類するステップが、
複数のシングルチャネルEEG時間セグメントを個別に評価するステップと、
個々のEEG時間セグメントよりも長く続く発作事象を示すために、前記複数のシングルチャネルEEG時間セグメントのセットを識別するステップと、
順序付けられたEEG時間セグメントを含む注釈リストを作成するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分類するステップが、履歴データ、環境データ、およびユーザ供給データのうちの1つまたは複数と組み合わせて前記EEGデータを分析するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記取得するステップが、リモートデバイスにおいて前記EEGデータを受信するステップを含み、前記分類するステップが、前記リモートデバイスを使用して実行され、前記指示が、第2のリモートデバイスに提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記取得するステップが、4つのシングルチャネルEEGセンサーのEEGデータを取得するステップを含み、
前記4つのシングルチャネルEEGセンサーの各々が、患者の額位置および耳の後ろの位置のうちの1つに配置される、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記分類するステップが、シングルチャネルEEGセンサーおよび有線EEGセンサーのうちの1つまたは複数によって取得されたデータを使用して訓練されたモデルを使用することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記分類するステップが、ユーザによって装着された複数のシングルチャネルEEGセンサーによって取得されたデータと、前記ユーザによって装着された有線EEGセンサーから取得されたデータとを使用して訓練されたモデルを使用するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記取得するステップが、2つ以上のシングルチャネルEEGセンサーからEEGデータを取得するステップを含み、
前記方法が、前記2つ以上のシングルチャネルEEGセンサーの配置のための命令を提供するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
出力デバイスと、
前記出力デバイスに動作可能に結合されたプロセッサと、
ユーザによって装着された1つまたは複数のシングルチャネルEEGセンサーからEEGデータを取得することと、
前記EEGデータを公称および異常のうちの一方として分類することと、
前記EEGデータの分類に関連付けられた指示を提供することと
を行うために前記プロセッサによって実行可能である命令を記憶するメモリと
を含むシステム。
【請求項12】
前記指示が、警告、EEGトレースをマーキングするデータ、カウント、報告、および予測のうちの1つまたは複数である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記出力デバイスがディスプレイデバイスであり、前記命令が、前記ディスプレイデバイス上に表示するためのカラーコードおよびラベルのうちの1つまたは複数を提供することを含む、前記EEGデータのEEGトレースのセグメントをマーキングするように前記プロセッサによって実行可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
分類するために前記プロセッサによって実行可能な前記命令が、
複数のシングルチャネルEEG時間セグメントを個別に評価するための命令と、
個々のEEG時間セグメントよりも長く続く発作事象を示すために、前記複数のシングルチャネルEEG時間セグメントのセットを識別するための命令と、
順序付けられたEEG時間セグメントを含む注釈リストを作成するための命令と
を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記命令が、履歴データ、環境データ、およびユーザ供給データのうちの1つまたは複数と組み合わせて前記EEGデータを分析するために前記プロセッサによって実行可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記出力デバイスが、前記指示を、ネットワークを介してリモートデバイスに通信するように動作する、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記命令が、4つのシングルチャネルEEGセンサーから前記EEGデータを取得するために前記プロセッサによって実行可能であり、
前記4つのシングルチャネルEEGセンサーの各々が、患者の額位置および耳の後ろの位置のうちの1つに配置される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
分類するために前記プロセッサによって実行可能である前記命令が、シングルチャネルEEGセンサーおよび有線EEGセンサーのうちの1つまたは複数によって取得されたデータを使用して訓練されたモデルを使用する、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
分類するために前記プロセッサによって実行可能である前記命令が、ユーザによって装着された複数のシングルチャネルEEGセンサーによって取得されたデータと、前記ユーザによって装着された有線EEGセンサーから取得されたデータとを使用して訓練されたモデルを使用する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
ユーザによって装着された2つ以上のシングルチャネルEEGセンサーからEEGデータを取得するステップと、
前記EEGデータをリモートデバイスに送信するステップと、
前記リモートデバイスのプロセッサを使用して、前記EEGデータを公称および異常のうちの一方として分類するステップと、
前記リモートデバイスからリモートユーザに関連付けられたディスプレイに、前記EEGデータのモンタージュを含むデータを提供するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、EEGの記録および分析に関する。
【背景技術】
【0002】
米国には何千もの病院がある。これらの病院の多くは、地域または地方の病院である。これらの地域または地方の病院は、従来、病院システムまたはネットワークの一部である。1つのそのようなネットワークの一例は、1つの主要な三次病院を有するいくつかの地域病院を含む。大規模な病院ネットワーク外の地域または地方の病院は、通常、地域または地方の病院の専門分野外の緊急および集中治療ソリューションのために、大規模な三次病院と契約する。
【0003】
脳波(EEG)モニタリングは、従来、脳波サービスを有する神経科をサポートする大規模な三次病院においてのみ利用可能である。多くの病院は、EEGモニタリングを提供していない。これらの病院は、そのような監視が患者に必要であるか、または望まれる場合、より大きい三次病院またはそのパートナーとの手配を行う。これは、従来、専門サービスの専門家のために、患者を三次病院に紹介する形態をとる。多くの場合、これは、サービスのために三次病院に患者を移動させる、または移送することを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要約すれば、一実施形態は、ユーザによって装着された1つまたは複数のシングルチャネルEEGセンサーからEEGデータを取得するステップと、プロセッサを使用して、EEGデータを公称および異常のうちの一方として分類するステップと、EEGデータの分類に関連付けられた指示を提供するステップとを含む方法を提供する。
【0005】
別の実施形態は、出力デバイスと、出力デバイスに動作可能に結合されたプロセッサと、ユーザによって装着された1つまたは複数のシングルチャネルEEGセンサーからEEGデータを取得することと、EEGデータを公称および異常のうちの一方として分類することと、EEGデータの分類に関連付けられた指示を提供することとを行うためにプロセッサによって実行可能である命令を記憶するメモリとを含むシステムを提供する。
【0006】
さらなる実施形態は、ユーザによって装着された2つ以上のシングルチャネルEEGセンサーからEEGデータを取得するステップと、EEGデータをリモートデバイスに送信するステップと、リモートデバイスからリモートユーザに関連付けられたディスプレイに、EEGデータのモンタージュを含むデータを提供するステップとを含む方法を提供する。
【0007】
上記は、概要であり、したがって、詳細の簡略化、一般化、および省略を含むことができ、したがって、概要が例示的なものに過ぎず、決して限定することを意図するものではないことを、当業者は諒解されよう。
【0008】
実施形態をより良く理解するために、その他のおよびさらなる特徴および利点とともに、添付の図面と併せて、以下の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】EEGモニタリングおよび指示の一例を示す図である。
【
図6】EEGモニタリングおよび指示の例示的な方法を示す図である。
【
図7A】アプリケーションビューまたは画面の例を示す図である。
【
図7B】アプリケーションビューまたは画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態の構成要素は、本明細書において一般的に説明され、図に示されるように、説明される例示的な実施形態に加えて、多種多様な異なる構成で配置され、設計され得ることが容易に理解されよう。したがって、図に表される例示的な実施形態の以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではなく、それらの実施形態を単に代表するものである。
【0011】
初期発作診断後の治療を最適化するために、てんかん専門医は、標準的な国際的「10-20」システムにおける19+チャネルの有線EEG配置により、病院において高品質で長期のEEG研究を取得することが理想的である。そのような研究は、そのプロセスが法外に高価であり、時間がかかり、患者にとって極めて不便であるので、実行することが困難であり得る。加えて、てんかん監視ユニットに費やされる時間は、人が通常長期間にわたって有する発作活動のいずれかまたはすべてをキャプチャしない可能性がある。しかしながら、最適な治療は、多くの場合、患者の痙攣性(臨床的)および非痙攣性(亜臨床的)発作活動の完全な程度を識別することに依存する。現在、病院外で発作活動の履歴を収集するための技法は、発作日記、すなわち、家ベースの自己報告記録であり、これは不完全であり得る。発作日記は、正確に維持することが困難であり得、日誌が不正確である可能性があり、適切な薬物療法に関する臨床的決定が困難になる。さらに、従来のEEG技法は、多くの緊急医療シナリオ、特に救急隊員または小規模もしくは地方の病院の臨床医が遭遇する緊急医療シナリオにおける監視の必要性に十分に対処していない。
【0012】
次に図面を参照すると、添付の特許請求の範囲のより良い理解を提供するために、代表的な例示的実施形態について説明する。
【0013】
図1Aを参照すると、一実施形態は、センサー101aを提供する。センサー101aは、様々な形態をとることができるが、
図1Aの例は、患者の皮膚に接着するウェアラブルセンサーを示す。センサー101aは、EEGモニタリングを病院から取り出すデータ分析プラットフォームを含み得る。センサー101aは、小さいサイズを特徴とし、様々な位置に配置することができ、長時間装着中のユーザの負担を低減する。これは、
図1Aに示されるように、リアルタイムEEGデータキャプチャを提供する小型の便利なセンサー101aを使用するEEGデータ収集を可能にする。これは、多くの電極および測定場所を特徴とする病院環境において典型的に使用される複雑な有線電極構成とは対照的である。
【0014】
図1Aに示される例では、小型の接続型ヘルスウェアラブルセンサー101aは、痙攣性(臨床的)と非痙攣性(亜臨床的)発作の両方の発生について分析され得るシングルチャネルEEGデータを感知することを提供する。センサー101aは、たとえば、2つの電極接点間の電圧差を感知することによって、脳の電気的活動を検出することによって、ユーザのEEGデータを感知する。センサーは、典型的なEEGモンタージュの単一の双極チャネル(「シングルチャネル」)を形成する、センサーハウジングによって分離された2つの電極を含み得る。一実施形態では、センサー101aは、高密度EEGにおける双極対と同様に、直径6mmの金電極および18mmの電極間隔を有するシングルチャネル差動増幅送信機およびデータロガーである。電極接点は、患者の皮膚上に配置されるデバイスの表面上に配置され得、たとえば、電圧感知を可能にするヒドロゲルなどの材料を含むステッカーまたは他の接着剤を介して患者に接着される。センサー101aは、シングルチャネルEEGデータを感知し、記録するために、ユーザ上の適切な場所、たとえば、生え際の下の頭皮上に配置される。EEGデータは、たとえば、センサー101aに記憶された分析または機械学習モデルの適用を介して、オンボードで分析されてもよく、またはローカルデバイスもしくはリモートデバイスもしくは上記の組合せによって分析されてもよい。例として、センサー101aは、ワイヤレスネットワーク、たとえば、セキュアなBLUETOOTH Low Energy(BLE)(登録商標)を介して、スマートフォンまたはタブレットにデータを通信するなど、パーソナルエリアネットワーク(PAN)を使用してローカルデバイスに通信し得る。同様に、センサー101aは、ローカルデバイスなどの仲介デバイスを介して通信するかどうかにかかわらず、インターネットを介してリモートサーバまたはクラウドデバイスにEEGデータを通信するなど、ワイドエリアネットワーク(WAN)を使用してリモートデバイスと通信し得る。
【0015】
一実施形態では、EEGモニタリングセンサー101aは、第1の電極および第2の電極を含む自己完結型記録パッチであり、第1および第2の電極は、協働して電圧を測定する。センサー101aは、測定された電圧からEEG信号を生成し、EEG信号を増幅し、EEG信号をデジタル化し、EEGデータをメモリに検索可能に記憶するための回路を含む。センサー101aはまた、電源と、回路、電源、ならびに第1および第2の電極を一体型パッケージに収容するエンクロージャとを含み得る。センサー101aは、ユーザの頭皮、たとえば、額または両頭頂部に装着されて、ユーザが通常の日常的な活動を行っている間、長期間にわたってEEGデータをキャプチャすることができる。
【0016】
図1Bに示されるように、一実施形態では、センサー101bは、目立たず、耐水性であるように設計され、人の通常の日常生活のすべての面で連続的な使用を可能にする。
図2の例では、センサー101bは、耳の後ろなどの位置において髪の生え際の下に配置されてもよい。センサー101bの配置は、たとえば、(キャップ内の典型的な有線センサーアレイによる監視を介した)センサーのフルモンタージュを使用した正式な評価に続く、またはセンサー101bもしくはセンサーのセットの位置を経時的に調整することによって促進にされる洗練された位置推定を介して、事前診断によって支援され得る。センサー101bの適切な配置を選択することによって、シングルチャネルEEGデータの有用性は、脳活動または脳内の発作活動の焦点に近接してセンサー101bを配置することによって改善される。
【0017】
非限定的な例として、患者は、最初に、たとえば臨床医から、指示された場所で発作活動の診断を受け得る。その後、患者は、センサー101bを使用して発作活動を監視するように求められ得る。一実施形態では、電子医療記録(EMR)など、または位置マップ画像もしくはイラストへのユーザ入力を受信するアプリケーションにおいて、診断された発作活動の位置を示すデータソースがアクセスされる。位置データは、たとえば、センサー101bとローカルデバイスとの間のペアリングおよびデータ通信を容易にするコンパニオンモバイルアプリケーションを介して、患者に供給されてもよい。別の例では、位置情報は、ユーザ(たとえば、患者または臨床医)によって閲覧され得るオンラインアプリケーションに供給される。したがって、位置データは、シングルチャネルセンサー、たとえばセンサー101bを使用して次の発作が検出される可能性を最大にするために、センサー、たとえばセンサー101bの許容可能な配置を示す命令の形態でユーザに提供され得る。
【0018】
センサー101bのサイズが小さいため、たとえば、長さおよび幅が1インチ程度であり、深さ寸法が1/2インチ程度であるため、センサー101bは、たとえば、充電式バッテリなどのオンボード電源を充電するために、取り外される必要がある前に、数日間、連続的に装着され得る。これは、睡眠中に起こる発作など、センサーを装着しているユーザが、意識的に知らない可能性のある発作を含む発作を識別する検出プロセスを使用して、大量のシングルチャネルEEGデータのキャプチャ、記録、および分析を可能にする。
【0019】
図1Aおよび
図1Bに示されるセンサー101a、101bは、任意の患者、成人、青年、子供または新生児における使用に適している。シングルセンサー101a、101bを使用して、リアルタイムまたは後の分析のためのEEGデータのより正確な記録を促進し得る。センサーはまた、防水性または耐水性であり、センサー101a、101bが濡れる可能性のある活動中の装着に適している。これは、発作日記、発作予測、および発作警告のための長期間の装着および包括的なEEGデータ収集をさらに容易にする。
【0020】
センサー101a、101bを実行可能な長期的ウェアラブルセンサーとする際の考慮事項は、電力消費である。例示的な目標は、センサー101a、101bを再充電することなく約3日間動作することである。継続的な監視を可能にするために、ユーザは、2つ(または複数)のセンサー101a、101bを有し得、一方を使用し、他方は再充電される。そのような構成は、連続的なEEGデータのキャプチャおよび監視を可能にする。
【0021】
長期間の装着を容易にするために、いくつかの技法が使用され得る。たとえば、センサー101a、101bの電力消費動作は、センサー101a、101bから別のデバイスにEEGデータを送信することである。データ通信に使用される電力を低減するために、センサー101a、101bは、間隔を置いてキャプチャされたEEGデータを送信し得る。たとえば、センサー101a、101bは、所定の時間量(たとえば、6秒)の間、EEGデータをキャプチャし、次いで、そのキャプチャされたEEGデータを送信、たとえば、EEGデータの1ページまたは複数ページを送信することができる。間隔を置いてデータを送信することによって、センサー101a、101bは、短時間(たとえば、1秒)の間、送信能力を起動するだけでよい。別の例として、電力効率の良いマイクロプロセッサが、センサーでの使用のために選択されてもよい。たとえば、いくつかのマイクロプロセッサは、データ通信のためにDMAによって低電力SRAMにデータを送信しながら、スリーププロセッサコアまたは能力を含み得る。この機能により、電力消費が大幅に削減され得る。さらに、センサー101a、101bは、省略されたいくつかの構成要素、たとえば、ワイヤレス無線を有し得、所与の使用事例についての電力節約および適切なデータ転送を促進するために、他の構成要素、たとえば、USB、または近距離場もしくはRFIDなど他のデータ通信要素を様々な組合せで含み得る。物理的な通信ポートが含まれる場合、センサー101a、101bをユーザの皮膚に接着する取り外し可能なヒドロゲルまたはステッカーの下に配置するなど、水または汚染要素の侵入を防止するために、それを覆うことができる。ステッカーの厚さは、変更されてもよく、たとえば、ステッカーまたはその材料(たとえば、ヒドロゲル領域)の厚さは、その湾曲した皮膚上への配置などの使用状況に適応するように増加されてもよく、一方、より薄いステッカーは、比較的平坦な表面上で使用されてもよい。
【0022】
センサー101a、101bは、成人、青年、子供、および新生児による使用に適している。
図2の例では、臨床または救急医療環境における監視のためのシステムが示されている。
【0023】
図2の例は、例示的な患者を使用するが、この非限定的な例は、他の臨床または非臨床シナリオに拡張され得る。発作は、救急治療シナリオまたは窒息状態の新生児(特に生後2日以内)によくみられる。フルモンタージュの臨床EEGシステムは、監視のために多くの(11以上の)テザー接続(有線)電極リードを使用する。これらのリードは、EEG技術者によって配置されなければならず、配置するのに最大60分かかる可能性がある。縮小セット(3リード)振幅統合脳波(aEEG)記録システムは、フィルタリング、整流、および平均化信号として表示されるEEG活動の履歴とともに、2つのチャネルからのリアルタイムEEGを提供する。しかしながら、電極は、従来、専門家によって配置されている。aEEGリードは、標準的な10-20EEGシステムの両頭頂領域に配置される。aEEGは、発作ならびに脳症に関連付けられた他の背景EEG異常を診断するために使用することができる。わずか48時間の持続的に異常なaEEGは、有害な神経発達転帰に関連付けられる。
【0024】
図2では、複数のシングルチャネルセンサー(まとめて201で示される)が、EEGモンタージュを作成するために、概略的に両頭頂領域の眼の上方、および各耳の後ろにあるように、互いに離間して、患者の頭皮上に配置される一実施形態が示される。代替が可能であり、たとえば、2つのセンサーが、10~20EEGシステムのほぼ両頭頂領域の上に配置されて、3つのチャネル、(1)C3-P3、(2)C4-P4、および(3)C3P3-C4P4のハイブリッドを生成するようにしてもよい。センサー201の出力は、(本明細書でさらに説明するように)アプリケーションによって同期され、編成され、リアルタイムで閲覧され、ソフトウェアによって、たとえば、aEEGに変換され得る。
【0025】
診断後の命令と同様に、センサー201を配置するための命令は、デスクトップコンピュータ、タブレット、他の病院モニタ、またはモバイルデバイスなどのデバイス202を使用して提供されてもよく、アプリケーション203を実行し、患者の頭皮、たとえば、額、耳の後ろ、それらの組合せ、または他のもしくは追加の位置上のセンサー201の配置情報を示すグラフィックとして命令を表示する。この場合の配置情報は、一般化されてもよく、たとえば、所与のタイプの脳損傷または外傷性事象に罹ったと考えられる患者における発作監視のためのおおよその位置であってもよく、または、追加のデータへのアクセスが利用可能である場合、たとえば、患者について疑われる特定のタイプの事故、または、成人もしくは小児救急医療患者の場合のような別の臨床シナリオにおいて、何らかの方法でカスタマイズされてもよい。特定の例として、一実施形態は、
図2に示されるようなグラフィカルな命令を提供することができ、緊急医療スクリーニングは、額上の2つ、および耳の後ろの2つの4つのセンサーを使用して、患者に対して行われる。この4センサー構成では、一実施形態は、
図4Bに関連してさらに説明するように、たとえば、1つのセンサーから別のセンサーに対してEEG信号を減算して10チャネル「縦横」モンタージュを作成することによって、所望のモンタージュ(本明細書に説明するような)を作成することができる。
【0026】
図2に示される例では、アプリケーション203は、デバイス202、たとえば、医療グレードタブレット上で動作する。アプリケーションは、緊急医療のためのEEGデータの収集を容易にするようにプログラムされてもよいが、アプリケーションのバージョンは、発作日記コンテキストにおける家庭での使用のために使用されてもよい。一例では、アプリケーション203は、EEGモニタリングに慣れていない地方または地域の病院の臨床医など非専門家によるEEGデータ収集のための命令を提供する。例として、アプリケーション203は、4つのシングルチャネルセンサー201の配置および配向を示す、
図2に示されるようなグラフィックを提供し得る。いくつかの例では、シングルチャネルセンサー201は、マーキングを含むことなどによって、方向性があり、キーが付けられてもよい。
図2の例では、グラフィックは、シングルチャネルセンサー201上の同様のマーキングに対応する金のドット207を示し、これは、患者の頭皮上に配置するためのデバイス(図示せず)の下側の電極の正しい配向を可能にする。すなわち、キー付きデバイスは、ユーザが、シングルチャネルセンサー201を患者上に適切に位置合わせすることを可能にする。
【0027】
命令およびワイヤレスシングルチャネルセンサーは、非専門家による現場または臨床背景での迅速な収集および分析(遠隔分析でさえも)を可能にする。これによって、従来のEEGモニタリング機器および専門家を有するより大きい病院など別の場所に患者を搬送する必要性が回避され、または低減する。たとえば、発作の疑いがあると、地域の病院の救急部スタッフは、
図2に示されたグラフィックによって指示されるように、4つのセンサー201を頭皮上および生え際の下に配置することができる。センサーは、グラフィックを表示するのと同じデバイス、すなわち
図2の例では202であり得るタブレットまたは他のデバイスにEEGデータを送信し始める。次いで、タブレットまたは他のデバイス202は、EEGデータおよび患者情報を、たとえば、EEGレビュープラットフォームソフトウェアを実行する安全なクラウドサーバ204に中継する。次いで、救急部スタッフは、病院ネットワーク内または病院ネットワーク外の三次病院のEEGサービスに神経学的コンサルティングを指示する。三次病院のオンコールのてんかん専門医は、デバイス207上で実行するモバイルアプリケーション206にログオンして、EEGをリアルタイムで、または実質的にリアルタイムでレビューすると同時に、EEGレビュープラットフォームにおける定量的EEG分析特徴を使用することもできる。たとえば、カメラでキャプチャされた患者の画像もしくビデオ、心拍数、パルスオキシメトリ、または適切なデバイスによってキャプチャされた温度データなど、他のまたは追加のデータは、他のセンサーまたはデバイスによって同様に提供されてもよい。一実施形態は、たとえば、予備診断、患者の移送、薬物治療または介入の継続または中止などの提案された選択肢など、EEGデータに基づいて警告または予測を提供することができ、または単に、発作もしくは他のEEG異常が疑われるEEGトレースデータ内の領域を示すことができる。
【0028】
一例では、アプリケーション203は、BLEを介してセンサー201に接続し、EEGデータを受信し、EEGデータをバッファリングし、WIFIを介してEEGデータをクラウド204に送信し、遠隔地にいる別の臨床医によって取り出され、閲覧され得る。たとえば、EEGデータは、クラウド205から取り出され、医療グレードタブレットまたは他のデバイス205上で遠隔の専門家によってレビューされ得る。これは、デバイス205上で実行されるアプリケーション206に表示されるEEGデータのレビューを容易にする。両方のセンサー204からのEEGデータは、たとえば、タブレット202からのBLEコマンドによって同期され得る。
【0029】
クラウドデバイス204は、新生児科医または小児てんかん専門医などの専門家が、モバイルアプリケーション206を実行するタブレット205にログオンして、EEGをリアルタイムで、aEEGとして閲覧することを可能にする、EEGレビューソフトウェアを実行するサーバインスタンスを提供し得る。aEEGデータは、
図4Aに関して説明したマーキングなどの指示を含み得る。
【0030】
図2の例の一般的な原理は、他のシナリオに拡張することができる。たとえば、小児および成人における集中治療のための一実施形態では、2つのセンサー、4つのセンサー、8つのセンサー、またはセンサーの様々な組合せが使用され得る。データフローおよび動作は
図2の例と同様であり、成人てんかん専門医または小児てんかん専門医は、デバイス205にログオンしてリアルタイムでEEGデータを監視することができ、より正確な決定をより迅速に行い、適切なケアについて地域の病院スタッフにアドバイスすることが可能になる。同様に、トリアージ使用事例では、
図2の例のように、およそF7、F8、TP9、およびTP10の4つのセンサーは、国際10-10システムの近似であり、
図4Bに関してさらに説明されるように、EEGの10チャネルを生成する合計8つの電極を与える。一実施形態では、様々なシングルチャネルセンサーによって取得されたEEGデータは、所望の差動モンタージュを作成するために同期され、結合され得る。これは、少なくとも部分的に、たとえば、センサーの数および配置が与えられたときに利用可能な差分モンタージュ(たとえば、10-10)を決定し、これをユーザに表示し、ユーザが所望の構成を選択することを可能にするか、またはユーザのためにモンタージュを自動的に構成する、アプリケーションまたはソフトウェアプログラムで達成され得る。
【0031】
一実施形態では、たとえば、デバイス202上で実行されるアプリケーションは、ユーザ、たとえば、緊急医療スタッフを段階的な視覚で視覚的に案内する。これは、必ずしも限定しないが、患者ブレスレットおよび各センサー上のバーコードを走査すること、頭皮上にセンサーを配置すること、および品質信号が記録され、たとえばクラウドに中継されることを確実にすることによってユーザを案内することを含み得る。いくつかの実施形態では、追加のまたは低減されたデータが提供され得る。たとえば、EEGデータは、ポイントオブケアにおいて、たとえば、デバイス202において示されない場合がある。これは、救急室のスタッフおよび医師に対応するために行われる場合があり、そのようなデータ表示は気を散らすものであると考え得る。他の実施形態では、そのようなデータは、たとえば、発作タイプ検出、提案された治療または移送オプションなどの特定のアクションに対する警告に関して表示され得る。したがって、一実施形態では、デバイス202上で実行されるアプリケーションは、個々のセンサーなどからの不十分な信号品質など、ユーザ警告の形で問題があるときにのみユーザと対話するように設計され得る。これらのユーザ警告は、たとえば、各センサー上でLEDを赤色または青色に点滅させ、たとえば、
図6に関して説明されるようにセンサーを再配置または再配向するためのガイダンスを取得するなど、問題を解決することを通してスタッフを導くために、アプリケーションとの対話が必要とされることをスタッフに示すように設計されている。
【0032】
1つまたは複数のシングルチャネルセンサーによるEEGデータの収集は、EEGデータが、発作を示すEEGデータ内のエリアを迅速に決定するために、(本明細書でさらに説明するように)イベントマーカーとともにレビューされることを可能にする。本明細書でさらに説明するように、EEGデータが受ける検出、分析、または分類のタイプおよび性質は、使用事例または所望の結果に応じて変わり得る。たとえば、トリアージイベントのマーキングの場合、リアルタイム発作予測が望まれる使用事例と比較して、より高い偽陽性率を有するモデルを使用することができる。同様に、家庭内発作日記の使用のために、単純なしきい値処理プロセスは、EEGデータトレース上に発作カウントおよびマーカーを生成するのに好適であり得る。
【0033】
図3を参照すると、EEGモニタリングおよび指示の一例が示されている。多くの場合、ビデオEEGを用いたてんかん監視ユニットにおいて、短期または長期の監視によって発作障害を診断することは困難である。さらに、てんかんセンターを受診した人の20~30%が、心因性非てんかん発作(PNES)と診断されると推定される。したがって、長期監視、たとえば、家庭内発作監視を容易にする機構が望ましい。
【0034】
一実施形態では、301において、シングルチャネルEEGセンサーからEEGデータが取得される。本明細書に記載されるように、これは、診断後に配置されるシングルセンサー、診断前に配置されるシングルセンサー、または様々な状況で使用される複数のセンサーであり得る。シングルセンサーの使用は、家庭での使用により適切であり得るが、複数のセンサーは、臨床または監督されたシナリオに、より適切であり得る。そのような各センサーは、シングルチャネルEEGデータを提供する。
【0035】
302において、シングルチャネルEEGデータが分類される。302で実行される分類は、様々なデバイスを使用して実装され得る。たとえば、302における分類は、センサーによって、PANを介してセンサーと通信するローカルデバイスにおいて、WANを介してセンサーと通信するリモートデバイスもしくはクラウドデバイスにおいて、または前述のものの適切な組合せにおいて実行され得る。
【0036】
302で実行される分類は、様々な形態をとり得る。たとえば、検出モデルは、一般的な発作検出のために、特定の量または期間にわたって脳活動を検出するための単純なしきい値処理の形態をとってもよい。1つまたは複数のモデルは、特定の臨床設定、たとえば、
図2に関して説明したような緊急医療環境において有用であることが知られている特定のタイプの脳活動を検出するように設計され得る。たとえば、キャプチャされたEEGデータから情報を分析および抽出するために、過去40年にわたって多くの信号処理技法が研究されてきた。信号処理技法は、発作(ictal)(発作)状態と発作(ictal)間(非発作)状態とを区別するために使用することができ、EEGデータに適用することができる様々な信号処理技法を説明する幅広い科学論文および研究がある。EEGデータから抽出される最も一般的な情報は、スパイク波発生、時間領域特性(たとえば、レンジ、分散、スキュー)、周波数領域特性、時間周波数領域特性(たとえば、ウェーブレット分解)、複雑性尺度(たとえば、エントロピー、フラクタル次元)、相関尺度(たとえば、チャネル間相関)、および状態ダイナミクスである。
【0037】
一実施形態は、302において、シングルチャネルEEGデータとともに使用するための機械学習技法を使用する。一実施形態では、機械学習モデルは、たとえば、有線またはテザー接続されたEEGシステムを介して収集される、他のEEGデータと組み合わせて、たとえばセンサー101aなど1つまたは複数のセンサーからのEEGデータを使用して訓練され得る。例として、
図5に関してさらに説明されるように、発作(ictal)間(発作前)および発作(ictal)(発作)EEGデータの2秒セグメントが、センサー記録から抽出され、発作発生を識別するために使用され得る。
【0038】
一実施形態では、302でEEGデータを分類することによって発作(ictal)状態を識別する際に、履歴データ(たとえば、パターンまたは傾向、EMRから取得された医療記録情報など)、環境データ(たとえば、天候データ)、またはユーザの活動(たとえば、行動)など追加データとの相関を使用して、304で示されるように、発作活動の開始を決定すること、またはその過去の発生を示すことを支援し得る。たとえば、心理的、行動的、および環境的な手がかりは、ユーザの発作(ictal)(発作)状態に相関する潜在的な情報として識別することができる。この追加データは、随意に、EEGデータの分類を行うために、または独立して行われた分類の信頼性を向上させるために使用され得る。
【0039】
一例として、ユーザフィードバックは、発作検出プロセスを改善するために使用され得る。最初に、302において、一般的な発作活動の自動検出が実行され得る。一実施形態が一般的な発作活動を検出する場合、ユーザが供給した入力を使用して、(たとえば、時間、重症度などに関する)検出の精度を向上させることができる。たとえば、センサー101aに含まれる小さいボタンまたはモバイルアプリケーションに含まれる入力要素などの入力インターフェースを使用して、発作活動が起こっている、起ころうとしている、または起こったばかりであるとユーザが感じたときの指示を提供することができる。同様に、インターフェースは、ユーザが、事象に関する重症度、持続時間、または他のデータを記録することを可能にし得る。このフィードバックは主観的であり、発作活動の発生を決定するための信頼できる源として使用することは望ましくない場合がある。しかしながら、ユーザが供給したデータは、非てんかん性発作のユーザの経験に対する洞察を提供し得る。したがって、それは、検出された発作または検出の欠如を確認するために使用され得る。たとえば、EEGデータが高品質で記録され、発作がないことを自動分析が示す場合、発作が発生しているということをユーザが繰り返し示すことは、ユーザが他の何か、たとえば、非てんかん性発作、心理的事象を経験していることを示し得る。逆に、そのようなデータフィードバックは、モデルまたはしきい値チューニングが必要であるか、または望ましいことを示し得る。
【0040】
302において、EEGデータが、たとえば、公称(たとえば、非発作、発作前)または異常(たとえば、発作前または発作)として分類された後、一実施形態は、指示の形態で出力を提供することができる。一実施形態では、発作前EEGデータなどのEEGデータは、分類のために使用されている特徴、コンテキスト(たとえば、発作前活動が無視され、より低い偽陽性率を優先して公称として分類されるモードが選択され得るなど)、変動しきい値などに応じて、公称または異常として分類され得る。一実施形態では、302における分類の結果として発作が検出された場合、303において、この分類を使用して、306において、警告を生成すること(たとえば、患者または臨床医に対して)、検出をトリガしたか、または追加のデータと相関するEEGセグメントをマーキングすること、発作カウントを増分すること、または報告を形成することなどの指示を提供することができる。
【0041】
具体的な例として、
図4Aを参照すると、一実施形態は、306において、トレース401aに表示されるEEGデータのセグメントのマーキングの形態をとる指示を提供し得る。指示402aは、発作事象の分類をトリガしたEEGトレースの領域を強調表示し得る。これは、てんかん専門医または別の臨床医によるレビューを容易にする可能性がある。たとえば、EEGトレース401aの重要なまたは興味深い部分の識別を容易にするために、トレースまたはテキストまたは他のグラフィカルインジケータ上のカラーコーディングが自動的に供給されてもよい。追加または代替として、自動プログラムは、たとえば、自動的に、または手動入力に応答して、EEGトレース401aのこの部分にナビゲートするためのリンクまたは位置マーカーを提供し得る。これは、大量のEEGトレースデータ401aの迅速なレビューを容易にし、たとえば、患者がセンサーを連続的に装着しており、周期的な間隔で重要な事象を迅速にレビューすることを望む遠隔臨床医に、数日間にわたるなど、大量のEEGデータを提供する。
【0042】
2つ以上のセンサーのEEGデータは、様々な方法で表示され得る。
図4Bの例に示されるように、個々のセンサーのEEGトレースデータ、および別のセンサーとの比較を介して取得された差分EEGデータが表示され得る。たとえば、
図4Bでは、センサー201と類似の4つのシングルチャネルEEGセンサーなどの4つのセンサーが、F7、TP9、F8、およびTP10に近い位置でEEGデータを記録するために使用されている。これらの位置は、本明細書で説明するように、緊急医療環境で利用される、それぞれ、額(前部左および右)および耳の後ろ(左および右)の位置に対応し得る。
図4Bの例では、関連するセンサーからのEEGトレースデータの4つのチャネルが上から下にリストされている。その後、差動トレース、たとえば、F8-TP10、F7-F8、TP9-TP10、F7-TP10、およびF8-TP9がリストされる。一実施形態では、これらのEEGトレースの順序は、たとえば、ユーザの好み(トレースのドラッグアンドドロップなどのユーザ入力によって識別される)に基づいて、またはより多いまたはより少ない差分トレースもしくは個々のセンサートレースを作成することによって、修正され得る。具体的な例として、2つのセンサーが使用されるシナリオでは、2つのセンサートレース、たとえば、F7およびF8が表示され得、これらのセンサーの読取り値から作成された1つまたは複数の差分トレースも表示され得る。一実施形態では、トレースの作成または表示は、たとえば、
図6および
図4Bに関して説明するようなアプリケーションが、センサー位置を決定し、関心のある差分トレースを作成するためにセンサーペアを自動的に関連付けることによって、自動化され得る。
【0043】
再び
図3を参照すると、302における分類が、たとえば発作前など、異常な分類をもたらす場合、一実施形態は、305において、予測(forecast)または予測(prediction)の形態で指示を提供することができる。一例では、周波数および/または振幅の変化が公称EEGデータトレースから取得されるしきい値を超えるが、発作事象として確信を持って分類されるほど十分ではないEEGデータなど、EEGデータが異常である場合、発作前分類が行われ得る。同様に、EEGデータが、発作に至るまでの既知のパターン、たとえば、発作前に来るEEGデータの変化の特性周波数を示すパターン、またはEEGデータの特性振幅変化、またはそれらの組合せと一致する場合、発作前事象が生じ得る。
図5の例に記載されるように、そのようなEEGトレースデータを識別するのに有用であり得るEEGデータの特徴は、人間のラベル付けされた訓練データから取得され得る。他の分類と同様に、この決定は、心理学的、行動学的、または環境的データなどの追加のデータ304を参照することによって支援され得る。
【0044】
305で提供される指示は、たとえばセンサーの装着者などのユーザに提供される予測を含み得る。305で提供される指示は、EEGデータまたは他のデータ304が変化するにつれて変化するリアルタイム予測(たとえば、1秒または2秒以内に生成される)の形態をとり得る。305で提供される指示は、たとえば、1時間ごと、1日ごと、1週間ごと、または他の時間期間の予測など、他の形態をとることができる。時間期間予測は、304でアクセスされた履歴データによって影響され得、たとえば、発作頻度の増加傾向または減少傾向は、予測を形成または修正することを支援し得る。予測は、たとえば、差し迫った、ある日の可能性、今後1週間の間など、ある時間期間中の発作の可能性に関連するモバイルアプリケーションにおいて表示されるスコアまたは色など、様々な形態をとることができる。同様に、予測は、センサーまたは接続されたローカルデバイス、リモートデバイスなどによって生成される触覚、音声または視覚効果の形態をとることができる。また、予測は、臨床医または別のユーザなど、他のまたは追加のユーザに提供され得る。臨床医に提供される予測の場合、予測は、低酸素性虚血性脳症などの関連する診断の指示、および提案される治療、たとえば、治療的低体温などの関連動作、またはオンコール専門家とのコンサルテーションを要求するなどの自動または半自動動作を含み得る。
【0045】
リアルタイムまたは差し迫った発作予測(forecasting)または予測(prediction)は、発作(ictal)間(発作が来ない)、発作(ictal)前(発作事象が次のX分/時間で起こる)、および発作(ictal)(発作が起きている)状態の間で、時間依存の方法で区別を行わなければならないという点で、さらなる複雑さを加える。発作検出と同様に、情報特徴および機械学習技法は、発作予測に関して広く試験され、科学文献において詳述されている。発作予測の成功は、多くの場合、感度(発作が起こるという警告が正しかったか、見逃しはなかったか)によって、および1時間あたりの誤警報率または「タイムインワーニング」(警告がどのくらいの頻度で発生するか)によって測定される。てんかんを有するすべての人が、心理的、行動的、または環境的発作誘発因子を識別できるわけではない。しかし、てんかん患者の半数以上が、少なくとも1つの発作誘発因子を報告している。発作誘発因子の第1位は情緒的ストレスである。これに続いて、睡眠不足および疲労など、発作をトリガすることがよく知られている行動因子が続く。他の行動因子には、アルコール消費、抗発作薬非遵守、および身体運動が含まれる。時刻、光のちらつき、および天候(たとえば、周囲温度、相対湿度)などの環境要因は、発作に対する感受性を増加させることが示されている。
【0046】
発作検出と同様に、発作予測は、302において実行される分類の形態をとることができる。同様に、履歴データ、環境データ、またはユーザ提供データなどの追加データを使用して、公称または異常としてのEEGデータの分類を生成または修正することができる。このデータは、305で提供される予測(forecast)または予測(prediction)を形成するために使用され得る。
【0047】
302で分類するために使用される追加のデータは、限定はしないが、履歴データ(たとえば、発作傾向データなど)、環境データ(たとえば、天候、ちらつき光への曝露などの刺激データなど)、およびユーザデータ(たとえば、行動データ)を含み得る。ユーザデータは、ユーザによって直接的または間接的に提供され得る。たとえば、ユーザデータは、モバイルアプリケーションに自己評価データを入力するなど、ユーザによって直接入力されてもよい。非限定的な例としては、ストレスレベル、睡眠品質評価、既知の尺度による睡眠スコア、睡眠時間などがある。ユーザまたは他のデータは、たとえば、リンクされた健康アプリから、医療記録から、医師など別のデバイス上の別のユーザの入力から、または加速度計データを提供する携帯電話もしくはスマートウォッチなど別のデバイスから間接的に取得され得る。
【0048】
一実施形態では、指示は、例として306で示されるように、報告の形態をとり得る。たとえば、デジタル発作日記報告が患者または臨床医に提供され得る。てんかん専門医は、患者の発作活動の正確で定量的な記録を有し、治療が有効であるかどうかを知らせ、患者の治療をより迅速かつうまく適応させることができる。
【0049】
発作の検出または予測の改善は、収集されるEEGデータの量および質に大きく依存する。現在、実用的なEEGデータベースは存在しない。いくつかの実験室のEEGデータベース(たとえば、MITデータベース)があるが、これらのデータベース内のEEGデータは、現実世界で収集されるEEGデータの品質を表すものではないので、予測に使用するにはクリーンすぎる。EEGデータ収集の容易さは、EEGデータ収集センサー101a、101bの使用、およびユーザの毎日のルーチンに対するその最小限の影響などを介して、EEGデータ利用可能性を改善する。したがって、一実施形態の特徴は、シングルチャネルEEGデータ収集センサー101a、101b、付随するEEGデータ分析、および発作予測技法の使用である。シングルチャネルEEGデータ収集は、ユーザの脳内で、発作活動が常に、または最初にどこで発生しているかを正確に識別することができない場合があるが、発作活動の発生の単純な検出は、ユーザがてんかんを管理および治療するのを助けるための有益なツールを提示する。説明されるように、センサーの位置または配置は、たとえば、予備的または後続の完全EEGモンタージュに関して、センサーのデータ品質の分析などに関して、など、経時的に洗練され得る。加えて、予測機能は、ユーザは、予期せぬ発作が起こり得る不安を低減して活動を行うことができるので、改善された生活の質をユーザに提供することができる。
【0050】
302における分類を介して発作を識別および/または予測する一態様は、様々な発作タイプを区別することを含み得る。たとえば、欠神発作は、典型的には1日に何回も起こり、そのような発作の電子的シグネチャは、すべての年齢にわたって同じである。したがって、大規模なEEGデータを収集し、機械学習によって発作予測モデルを改善して欠神発作を検出することは、比較的容易であり得る。他のタイプの発作は、月に1回など、あまり頻繁に起こらない可能性があり、そのため、機械学習モデルを訓練することができるEEGデータがないため、正確に予測することが困難な場合がある。しかしながら、一般的な発作タイプのための一般化された発作予測モデルの作成から開始して、特にユーザによるセンサー101a、101bの長期間の装着が継続するにつれて、他のタイプの発作をカバーするモデルの使用によって一実施形態が拡張され、洗練され得る。このEEGデータは、将来の発作検出および予測モデルを形成するのに適したデータベースを構築するために、ユーザの許可を得て記憶され、使用され得る。
【0051】
次に
図5を参照すると、EEGデータ分類の一例が示されている。
図5に示される例示的な分類技法は、たとえば
図3に示されるより大きい処理技法の一部として分類を提供するために使用され得る。
【0052】
EEGデータを分類するために機械学習プロセスを利用する一実施形態では、訓練フェーズは、
図5の501~505に概説されるプロセスを含み得る。例として、501に示されるように、患者は、複数のセンサー、たとえば、
図2のセンサー201などの4つのシングルチャネルEEGセンサーを装着する。一例では、4つのセンサー201が、額および耳の後ろの位置に配置されてもよく、たとえば、左額上の1つのセンサー、右額上の1つのセンサー(F7/F8)、左耳の後ろの1つのセンサー、および右耳の後ろの1つのセンサー(TP9/TP10)である。センサーは、訓練EEGデータを収集するためにある時間期間にわたって装着されてもよく、たとえば、患者は、てんかん監視ユニット(EMU)滞在中に7日間センサー201を装着してもよい。
【0053】
一例では、訓練データは、センサー201を使用して収集されたシングルチャネルEEGデータと、標準治療の一部として通常の10-20または10-10マルチチャネル有線EEG(wired EEG)センサーまたはヘッドセットを使用して収集されたEEGデータの両方を含み得る。すなわち、センサー201と有線EEGセンサーまたはヘッドセットの両方は、EEG訓練データのセットを取得するために、同時に同じ患者によって装着され得る。
【0054】
EMU滞在中、レビューソフトウェアおよびてんかん専門医のうちの1つまたは複数は、有線EEGデータ記録における潜在的発作事象を識別する。また、部屋の患者および/または家族は、たとえば、ボタンを押して、発作が起こっていることを示し得る。てんかん専門医は、(従来のように)発作がいつ起こったかを決定するために、レビューソフトウェアおよびユーザ提供のイベントマーカーとともに、複数日の有線EEG全体をレビューする。また、てんかん専門医は、(従来のように)EEGデータをレビューして、どのタイプの発作事象が起こったかを識別してもよい。発作の起源が焦点であった場合、てんかん専門医は、どの有線EEG電極が焦点の中心であったかを示すことができる。また、てんかん専門医は、発作のEEGの開始/停止、各センサーが配置された位置の有線EEG上で電子的発作が見えるかどうか、および電子的な不明瞭なアーチファクト(たとえば、特許運動)の開始/停止を示し得る。この情報から、いつ発作が(従来の技術により)電気的に可視であるかがわかり、これは、4つのセンサー201を介して取得されたデータと比較するために利用され得る。
【0055】
502で示されるように、生のEEGデータの前処理が実行される。例として、50/60Hzのラインノイズの除去、筋電図(EMG)筋活動を除去するためのローパスフィルタリング、データ振幅における患者間およびセンサー間の差を考慮するための標準化の正規化など、ノイズ除去またはフィルタリングが適用され得る。501で行われる他のまたは追加の信号処理は、たとえば、F7/F8配置センサーなどの特定のセンサー配置からの(眼球運動の影響を除去するための)電気眼球アーチファクト除去を含むことができる。
【0056】
503において、前処理されたデータは、短期間セグメント(たとえば、0.5~10秒間)にセグメント化される。一実施形態では、各セグメントは、たとえば、501の患者装着フェーズにおいて発作中に以前に指摘された時間からのその起源、および発作がセンサー201の位置で可視であったかどうかに基づいて、発作または非発作として、ラベル付けされる。
【0057】
504において、特徴抽出が実行される。一実施形態では、以下の特徴のうちの1つまたは複数が、セグメント化されたデータから抽出される、すなわち、時間領域(最小、最大、平均、中央、範囲、分散、標準偏差、スキュー、尖度)、周波数領域(高速フーリエ変換、EEG固有帯域(s、デルタ、θ、α、β、γ))、時間周波数領域(ウェーブレット)、複雑性領域(サンプル/スペクトルエントロピー、非線形エネルギー演算子、Hjorthパラメータ、フラクタル次元)、変換、(主成分分析、線形判別分析)、および履歴(重み付けされ得る過去のセグメント値)。
【0058】
505において、モデルチューニングが実行される。EEGセンサーデータは、非常に不均衡である(たとえば、非発作セグメントと発作の比が100:1である)ので、EEGデータのサブセットを使用してもよい(たとえば、EEGデータ/モデルでは3:1)。機械学習モデル、たとえば、
図5に示すようなランダムフォレスト、またはサポートベクトルマシン、人工ニューラルネットワーク(浅いまたは深い)などが505において訓練され、訓練データ上でチューニングされる。たとえば、チューニングは、ハイパーパラメータチューニング、特徴関連性決定、クロス検証(たとえば、リーブワンアウト(LOO)法を使用する)などを含み得る。
【0059】
受信者動作曲線(ROC)曲線下面積(AUC)、特異度、感度、陽性予測値、偽陽性率、または前述の任意の組合せなどのメトリックを使用して、最良のモデルを決定することができる。いくつかの場合、たとえば、発作検出が最も重要であり、偽陽性が許容可能である場合、たとえば、発作日記のコンテキストにおいて、特定のモデルは、別のシナリオ、たとえば、自動化された投薬推奨または疑わしい診断を提供するなど、偽陽性が最小限に抑えられるべきである場合における使用よりも選択され得る。一実施形態では、使用されるモデルは、たとえば、使用コンテキストに適合するように確率しきい値などのパラメータを調整することによって、交換または修正され得る。例として、一実施形態は、たとえば、使用コンテキストを示す選択可能要素を表示し、選択後、示されたコンテキストのための所定のモデルまたはパラメータのセットをロードするなど、エンドユーザデータに入力インターフェースを提供することによって使用されるモデルを調整することができる。たとえば、発作日記、リアルタイム警告、緊急医療などのコンテキストは、選択を介して示され得、モデルをロードするか、またはモデルのパラメータ、たとえば、感度を調整するように修正され得る確率しきい値を、示されたコンテキストに一致するように調整し得る。より経験豊富なユーザは、モデルパラメータとより直接的にインターフェースすることができる。
【0060】
505でのチューニングに続いて、チューニングされたモデルは、検出に使用するために保存され得る。たとえば、ステップ506~510において、以前にチューニングされたモデルなどのモデルがアクセスされ、たとえば、治療シナリオにおいて1つまたは複数のセンサー201を使用して収集された患者データ上で実行される。本明細書で説明するように、これは、506~510に概説されるように、セグメント検出のプロセスを含み得る。例として、506において、たとえば、以前に発作障害と診断された患者は、たとえば、発作事象を見つけ出す可能性が最も高いとして患者のてんかん専門医によって案内された配置を使用して、1つまたは複数のセンサー201を装着する。有線EEGデータは記録されず、患者は、たとえば日常活動中、センサー201を装着する。一例では、患者は、センサー201を1日24時間まで装着し、数日間装着することができる。
【0061】
センサー201によって収集されたEEGデータは、
図2の例のように、クラウドプラットフォームなどのリモートデバイスにストリーミングされ得る。507で生センサーEEGデータ前処理が実行され、508でEEGセグメントが識別され、509で特徴が抽出され、これは、それぞれ502、503、および504で実行される処理と同様であり得る。
【0062】
510において、ラベル付けされていないセグメント化された特徴セットは、訓練されたモデルを通して実行され、その出力は、たとえば、511~514において概説されるように、発作検出プロセス全体において利用され得る。
【0063】
図5の例では、510で実行されるモデルの出力は、セグメントまたはセグメントのセットごとの発作イベントに対するセグメント確率511を含み得る。一実施形態では、510で実行されるモデルの出力は、セグメントが発作事象中に発生する0~1の尤度である。いくつかの実施形態では、たとえば、特定の発作タイプに合わせて調整された機械学習モデルが、そのようなモデルのユーザ選択などによって使用される場合、発作の特定のタイプは、決定されてもよく、または決定されなくてもよい。一実施形態では、たとえば、510~514に概説されるように、一般的な発作検出モデルおよび識別プロセスは、各発作タイプについての確率を有する一連のモデルに類似し、発作/非発作決定を行うために一緒に組み合わされるか、または考慮される。
【0064】
512において、セグメントスティッチングが実行される。たとえば、セグメント確率は、(全体の)発作事象の開始/停止時間を作成するために組み合わされ、すなわち、複数のセグメントからなる。これは、多くの方法で達成することができる。例として、セグメントは、個々のセグメントしきい値処理(たとえば、周波数および振幅EEGデータの変化を各セグメントのしきい値と比較するなど)、マルチセグメントしきい値処理およびウィンドウ処理プロセス(たとえば、1つまたは複数のしきい値と比較して、複数のセグメント確率を一緒に組み合わせるか、または考慮すること)、または統合ウィンドウ処理(たとえば、重み付けされた、リーキーな、など)を介して、一緒にステッチされるか、または組み合わされ得る。ウィンドウは、典型的には、数秒程度の短さ(たとえば、欠神発作)であるか、または最長で数分の持続時間がある(たとえば、限局性発作)。
【0065】
513において、決定された発作イベントの開始/停止時間について、たとえば、患者の医療記録またはEEGトレース表示のための注釈が生成される。この注釈リストデータは、たとえば、
図3による指示として、様々な方法で利用することができる。たとえば、一実施形態は、注釈リスト(そのようなEEGデータを識別するための発作またはメタデータに関連付けられたEEGデータのセグメントのリスト)を、ローカルデバイス上で実行されるアプリケーションを介して患者に直接、またはローカルデバイスもしくはリモートデバイスを介して臨床医に直接(たとえば、臨床医がリモートである場合)提示することができる。注釈リストデータはまた、生のEEGトレースデータとともに、クラウドプラットフォームに記憶され、臨床医がレビューすることもできる。
【0066】
514には、てんかん専門医のレビュー段階が示されている。一実施形態では、臨床医は、注釈および/または生EEGデータをレビューし、臨床決定を行うことができる。514において、てんかん専門医または単にユーザレビューのプロセスは、コンテキストによって影響され得る。たとえば、一実施形態では、多くの偽陽性につながる低しきい値が(本明細書で説明されるように)設定され得る。そのような実施形態では、全体の発作/発作なしの決定が行われても行われなくてもよい。むしろ、513で生成された注釈は、たとえば、潜在的に興味深いEEGデータのより迅速なレビューのために臨床医に提供されてもよく、発作/非発作の決定は、このレビューに基づいて臨床医によって行われてもよい。他のコンテキストでは、レビューは、別のユーザ、たとえば、自宅のユーザが発作日記を作成することによって行われてもよい。このコンテキストにおいて、追加のまたは異なるデータ、たとえば、潜在的に興味深いEEGデータがいつ記録されたかを示す時間または位置コンテキストデータが、ユーザレビューを容易にするために表示されてもよい。
【0067】
図6を参照すると、非専門家ユーザによるセンサー201などの1つまたは複数のEEGセンサーの使用を容易にするために、一実施形態は、ユーザがセンサーを配置し、EEGデータを記録することを案内する、モバイルデバイス上で使用するためのモバイルアプリケーションなどのアプリケーションを提供する。例として、
図6に示されるように、一実施形態は、ユーザが、モバイルデバイスを使用してセンサーまたは患者データを容易にキャプチャすることを可能にする。
図6の例では、601において、アプリケーションは、たとえば、バーコード、QRコード(登録商標)、または、たとえば、各センサーが設けられた他のコード化データの画像をキャプチャすることを介して、センサーデータを取得する。これは、一実施形態がセンサーを自動的に識別することを可能にする。同様に、患者データは、アプリケーションによって自動的にまたは半自動的にキャプチャされてもよい。もちろん、本明細書で説明される他のデータ入力と同様に、データは手動で入力されてもよい。バーコードからセンサーデータをキャプチャするユーザの例示的な画面またはアプリケーションビューが
図7Aに提供される。
図7Aに示されるように、アプリケーションは、バーコードの画像をキャプチャし、キャプチャされたセンサー情報(たとえば、バーコードまたは他のキャプチャされたデータから形成された識別情報)を表示画面に自動的に入力することができる。アプリケーションはさらに、アプリケーションまたはコンテキストのために使用されるセンサーの数をユーザに示し得る。
図7Aの例では、4つのセンサー位置が示されており、そのうちの2つが正常に識別されている。これは、ユーザが、シナリオにおいて使用されるセンサーの数、たとえば、緊急医療シナリオのための4つのセンサーを決定するのを支援する。
【0068】
一実施形態では、アプリケーションは、ユーザに命令ステップをさらに表示し得る。たとえば、アプリケーションは、センサーのオンまたは起動、ボタン押下などのユーザ入力により達成される自動または半自動ルーチンであり得る、センサーのペアリング、センサーがモバイルデバイスに接続されていることの確認、モバイルデバイスがリモートデバイス(たとえば、クラウドプラットフォーム)に接続されていることの確認、患者に接着されるセンサーの準備、患者上のセンサー配置のための適切な位置の決定、アプリケーション内へのセンサーの再配置、データの記録、およびデータの(ローカルまたはリモートで)記憶のための命令を表示し得る。さらに、アプリケーションは、追加のまたは代替の表示機能、たとえば、専門家、臨床医などとのライブビデオ通話を行う能力を含むことができ、後者は、ライブまたはリアルタイムのトラブルシューティングまたは診断のコンテキストを支援することができる。
【0069】
ユーザがセンサーを起動し、アプリケーションを実行するモバイルデバイスに接続すると、これは、602に示すようにアプリケーションによって確認される。たとえば、アプリケーションは、
図7Bに示されるように、位置図にセンサーを表示することができる。これは、ユーザが、センサーが所与のコンテキストについて患者上に適切に配置され、これがアプリケーションビューに正確に反映されるかどうかを決定するのを支援する。
図7Bの例では、センサーは、図示されるように、額および耳の後ろの位置に配置される。アプリケーションによって提供される図中の所与のセンサーIDが、患者上の物理的センサーの実際の位置と一致しない(たとえば、バーコード上で可視であるか、またはそうでなければ物理的センサー上で識別可能である)場合、ユーザは、対象センサーアイコンを選択して(たとえば、モバイルタッチスクリーンの場合、タッチして)、図中のその位置を再割当てすることができる。例として、
図7Bのセンサー502は、アプリケーションによって右前に位置するセンサーとして示されるが、実際には、ユーザによって左前に配置された場合、ユーザは、単に、アプリケーションとインターフェースすることによって、それを再配置することができる。これは、様々な方法をとることができる。
図7Bの例では、ユーザは、701で示されるように、アレイ内の別のセンサーとその位置を交換するためのメニューを呼び出すために、センサー502について702で示される選択可能なアイコンにタッチすることができる。同様に、アイコン702のドラッグアンドドロップなどの別の機構を使用して、アプリケーション内のセンサーを再配置することができる。これは、たとえば、別のセンサー位置からの減算を介して差分EEGデータを作成するために、実際のセンサーによって収集されたEEGデータが確実にアプリケーションに知られるようになる。
【0070】
再び
図6を参照すると、一実施形態は、603において、センサー位置が適切であることを確認することができ、その後、604に示されるように、センサーを再配置する決定が来ない場合、605に示されるように、記録セッションを開始することができる。606で決定されるように、所定の時間に、またはユーザ選択もしくはインターフェースなどの別の要因に基づいて、記録セッションが終了され得る。その後、607に示されるように、セッションのEEGデータは、ローカル、リモート、またはその両方で記憶され得る。本明細書で説明されるように、605における記録中に、他のアクティビティが一実施形態によって実行され得る。たとえば、センサーのEEGデータは、たとえば、クラウドプラットフォーム、リモート臨床医などによって、ローカルにまたはリモートに分析されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態は、多種多様なデバイスのいずれかまたはデバイスの組合せを使用して実装され得ることが容易に理解されるであろう。
図8を参照すると、コンピュータ800に含まれる例示的なシステムオンチップ(SoC)が示されており、これは、1つまたは複数の実施形態を実装する際に使用され得る。
図8に概説されるSoCまたは同様の回路は、コンピュータ800に加えて様々なデバイスに実装され得、たとえば、同様の回路は、センサー870または別のデバイスもしくはプラットフォーム870aに含まれ得る。加えて、その一例が
図8に提供されているSoC以外の回路が、1つまたは複数の実施形態において利用され得る。
図8のSoCは、図示されるように、特定のアプリケーション要件を満たすために単一の半導体チップ上に統合された機能ブロックを含む。
【0072】
1つまたは複数のグラフィック処理ユニット(GPU)および/またはマイクロ処理ユニット(MPU)を含み得る中央処理ユニット(CPU)810は、算術演算および論理演算を実行する算術論理ユニット(ALU)と、命令を復号し、タイミングおよび制御ユニットに情報を提供する命令デコーダと、一時データ記憶のためのレジスタとを含む。CPU810は、いくつかのユニットを備える単一の集積回路を備えることができ、その設計および配置は、選択されたアーキテクチャに応じて異なる。
【0073】
コンピュータ800はまた、たとえば、メモリ850とハードウェア周辺装置との間でデータを転送するためのダイレクトメモリアクセス(DMA)コントローラを備えるメモリコントローラ840を含む。メモリコントローラ840は、キャッシュ制御、メモリ保護、および仮想メモリを処理するように機能するメモリ管理ユニット(MMU)を含む。コンピュータ800は、様々な通信プロトコル(たとえば、I2C、USBなど)を使用して通信するためのコントローラを含み得る。
【0074】
メモリ850は、様々なメモリタイプ、揮発性および不揮発性、たとえば、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、およびキャッシュメモリを含み得る。メモリ850は、埋め込まれたプログラムおよびダウンロードされたソフトウェア、たとえば、EEG処理ソフトウェアなどを含み得る。限定ではなく例として、メモリ850はまた、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータを含み得る。
【0075】
システムバスは、コンピュータ800の様々な構成要素間の通信を可能にする。I/Oインターフェース830および無線周波数(RF)デバイス820、たとえば、WIFIおよび電気通信無線、BLEデバイスなどは、コンピュータ800が、ワイヤードまたはワイヤレス機構を使用して、センサー870またはリモートデバイス870aにデータを送受信することを可能にするために含まれる。コンピュータ800は、1つまたは複数の他のリモートコンピュータまたはデータベースへの論理接続を使用して、ネットワーク化されたまたは分散された環境で動作し得る。論理接続は、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、またはワイドエリアネットワーク(WAN)などのネットワークを含み得るが、他のネットワーク/バスも含み得る。たとえば、コンピュータ800は、インターネットを介して、センサー870およびリモートデバイス870aとの間でデータを通信し、ならびに、センサー870とリモートデバイス870aとの間でデータを通信することができる。
【0076】
したがって、コンピュータ800は、本明細書に記載されるように、EEGデータを記憶および分析し、実施形態の他の機能を実行するように構成されたプログラム命令を実行することができる。ユーザは、I/Oインターフェース830に接続され得る入力デバイスを介してコンピュータ800とインターフェースする(たとえば、コマンドおよび情報を入力する)ことができる。ディスプレイまたは他のタイプのデバイスもまた、I/Oインターフェース830から選択されるインターフェースを介してコンピュータ800に接続または結合され得る。
【0077】
本明細書で説明する様々な機能は、プロセッサ、たとえばCPU810に送信され、それによって実行される、メモリ、たとえばメモリ850に記憶された実行可能命令を使用して実装され得ることに留意されたい。コンピュータ800は、プログラムおよび他のデータを永続的に記憶する1つまたは複数の記憶デバイスを含む。記憶デバイスは、本明細書で使用される場合、非一時的記憶媒体である。非一時的記憶デバイスまたは媒体のいくつかの追加の例には、限定はしないが、ハードディスクまたはソリッドステートドライブなどのコンピュータ800に一体化されたストレージ、および光ディスクまたはメモリスティックなどの取り外し可能ストレージが含まれる。
【0078】
メモリまたは記憶デバイスに記憶されたプログラムコードは、限定はしないが、ワイヤレス、ワイヤライン、光ファイバ、ケーブル、RF、または前述の任意の適切な組合せを含む、任意の適切な伝送媒体を使用して送信され得る。
【0079】
動作を実行するためのプログラムコードは、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれ得る。プログラムコードは、完全に単一のデバイス上で実行されてよく、部分的に単一のデバイス上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行されてよく、部分的に単一のデバイス上でかつ部分的に別のデバイス上で実行されてよく、または完全に別のデバイス上で実行されてよい。場合によっては、デバイスは、LAN、WAN、PANなどの近距離ワイヤレス機構、近距離通信機構を含む任意のタイプの接続またはネットワークを介して接続されてもよく、または接続は、ワイヤレス接続を使用して、またはUSB接続などのハードワイヤ接続を介して、他のデバイスを通して(たとえば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)行われてもよい。
【0080】
例示的な実施形態は、様々な例示的な実施形態による例示的な方法、デバイス、およびプログラム製品を示す図を参照して本明細書に記載される。動作および機能は、プログラム命令によって少なくとも部分的に実装され得ることが理解されよう。これらのプログラム命令は、デバイスのプロセッサを介して実行される命令が指定された機能/動作を実装するように、専用マシンを生成するためにデバイスのプロセッサに提供され得る。
【0081】
特定の要素が図で使用され、要素の特定の順序付けが示されているが、これらは非限定的な例であることに注目すべきである。特定の文脈では、明示的に示された例は、説明の目的のためにのみ使用され、限定として解釈されるべきではないので、2つ以上の要素が組み合わされてもよく、要素が2つ以上の要素に分割されてもよく、またはいくつかの要素が、必要に応じて、並べ替えられても、再編成されても、または省略されてもよい。
【0082】
例示的な実施形態が、添付の図面を参照して本明細書で説明されたが、この説明は限定的なものではなく、様々な他の変更および修正が、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、当業者によってその中で影響を受け得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0083】
101 センサー
201 センサー
202 デバイス
203 アプリケーション
204 クラウド
204 センサー
205 クラウド
205 デバイス
206 モバイルアプリケーション
207 デバイス
304 追加のデータ
800 コンピュータ
810 中央処理ユニット(CPU)
830 I/Oインターフェース
840 メモリコントローラ
850 メモリ
870 センサー
870a リモートデバイス
【国際調査報告】