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特表2023-520577圧延機に冷却剤を供給するように構成された障害のある冷却ユニットの検出
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  • 特表-圧延機に冷却剤を供給するように構成された障害のある冷却ユニットの検出 図1A
  • 特表-圧延機に冷却剤を供給するように構成された障害のある冷却ユニットの検出 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】圧延機に冷却剤を供給するように構成された障害のある冷却ユニットの検出
(51)【国際特許分類】
   B21B 38/00 20060101AFI20230510BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20230510BHJP
   B21B 27/10 20060101ALI20230510BHJP
   B21B 45/02 20060101ALI20230510BHJP
   B21B 38/02 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B21B38/00 G
B21C51/00 L
B21C51/00 Q
B21B27/10 A
B21B45/02 320T
B21B38/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560889
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2021055786
(87)【国際公開番号】W WO2021209198
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】20169497.3
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】リンドグレーン、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シェーグレーン、クリステル
(72)【発明者】
【氏名】リンドバリ、カール-フレデリック
(57)【要約】
本発明は、ワークロール(100a~b)の間のワークアイテム(102)を加工するように配置されたワークロール(100a~b)に冷却剤を供給するように構成された冷却ユニット(106a)のセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するための方法に関し、本方法は、冷却ユニット(106a)のサブセットから排出された冷却剤の流量を変化させることと、流量を変化させることに応じて、制御ユニットのサブセット中の制御ユニットの少なくとも各々についてのワークアイテムの平坦度変化値を決定することと、平坦度変化値は、ワークロール(100a~b)の下流のワークアイテムの平坦度変化を示す、平坦度変化値を基準平坦度変化値と比較することに基づいて、障害のある冷却ユニットを検出することとを備える。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークロール(100a~b)の間のワークアイテム(102)を加工するように配置されたワークロール(100a~b)に冷却剤を供給するように構成された冷却ユニット(106a~n)のセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するための方法であって、前記方法は、
前記冷却ユニットのうちの少なくとも1つから排出された前記冷却剤の流量を変化させること(S102)と、
流量を変化させることに応じて、少なくとも前記少なくとも1つの冷却ユニットについての前記ワークアイテムの平坦度変化値を決定すること(S104)と、ここで、前記平坦度変化値は、前記ワークロールの下流の前記ワークアイテムの平坦度変化を示すものであり、
前記平坦度変化値を基準平坦度変化値と比較することに基づいて、障害のある冷却ユニットを検出すること(S106)と
を備える、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの冷却ユニットのうちの1つについての前記平坦度変化値が前記基準平坦度変化値から閾値を超えて逸脱しているとき、それぞれの前記冷却ユニットは障害があるというインジケーションを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記平坦度変化値は、異なる時刻に決定された平坦度値間の差である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準平坦度変化値は、前記少なくとも1つの冷却ユニットのうちの少なくとも別の1つの冷却ユニットの流量を変化させることに応じて決定される平坦度変化値に基づく、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記基準平坦度変化値は、前記少なくとも1つの冷却ユニットの複数のセットの流量を変化させることに応じて決定される平坦度変化値のセットに基づいて決定される統計値に基づく、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
冷却ユニットのサブセットについての流量は、実質的に一定に維持される、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの冷却ユニットの各々は、前記少なくとも1つの冷却ユニットの流量が変化するときに流量が実質的に一定に維持される最も近い近隣冷却ユニットを有する、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの冷却ユニットは、前記少なくとも1つの冷却ユニットの流量が変化するときに流量が実質的に一定に維持される冷却ユニットが間に置かれた冷却ユニットを備える、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
連続する流量変化間の時間期間は、所定の時間期間よりも長い、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記平坦度変化値は、流量が一定に維持される冷却ユニットについて決定される、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの冷却ユニットは、前記冷却ユニットのセットの、1つおきの冷却ユニット、2つおきの冷却ユニット、3つおきの冷却ユニット、又は4つおきの冷却ユニットを備える、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ワークロールの間のワークアイテムを加工するように配置されたワークロールに冷却剤を供給するように構成された冷却ユニットのセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するためのシステム(400)であって、前記システムは、
前記ワークロールの下流の前記ワークアイテムの平坦度値を測定するための感知機構(202)と、
制御ユニットと
を備え、前記制御ユニットは、
変化した流量に応じて測定された前記平坦度値を示す平坦度データを前記感知機構から受信することと、
前記平坦度データに基づいて少なくとも1つの冷却ユニットの各々についての前記ワークアイテムの平坦度変化値を決定することと、ここで、前記平坦度変化値は、前記ワークロールの下流の前記ワークアイテムの平坦度変化を示すものであり、
障害のある冷却ユニットを検出するために、前記平坦度変化値を基準平坦度変化値と比較することと
を行うように構成されている、システム。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記少なくとも1つの冷却ユニットに供給される冷却剤の流量を変化させるためのバルブ(302)を制御するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも2つのワークロールの間のワークアイテムを加工するように構成された少なくとも2つのワークロールと、請求項12又は13に記載のシステムとを備える圧延機(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークロールの間のワークアイテムを加工するように配置されたワークロールに冷却剤を供給するように構成された冷却ユニットのセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するための方法に関する。本発明は更に、対応する制御ユニット、システム、及び圧延機に関する。
【背景技術】
【0002】
金属圧延は、一般に、2つのワークロール間で金属ワークピースを圧延することによって、低減された均一な厚さを有する金属ワークピースを製造することに関する。冷間圧延では、金属ワークピースは、金属の結晶化温度を下回る低い比較的低い温度で加工される。冷間圧延機における熱制御は、ワークロールの横方向にわたる温度差が、製造される製品の平坦度に影響を及ぼすので、重要である。
【0003】
熱制御は、加熱システム及び冷却システムの両方によって提供され得る。冷却システムは、多くの場合、ワークロール上に冷却流体を噴霧するように配置されたノズルを含む。機能不全のノズルは、平坦度に影響を及ぼし、このことから、最終製品の品質に影響を及ぼし得る。
【0004】
従来、冷却システムを検査するためにオフライン冷却試験が実行されている。このために、ノズルは、ワークロール上に冷却液を噴霧するように制御され、それによって、噴霧パターンの目視検査が実行される。しかしながら、これは時間が掛かると共に手作業を必要とする。
【0005】
それ故に、圧延機における冷却システム動作の評価に関して改善の余地がある。
【発明の概要】
【0006】
先行技術の上述及び他の欠点を考慮して、本発明の目的は、圧延機における冷却ユニット動作のオンライン診断のための方法を提供することである。
【0007】
本発明の第1の態様によると、ワークロールの間のワークアイテムを加工するように配置されたワークロールに冷却剤を供給するように構成された冷却ユニットのセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するための方法が提供され、本方法は、少なくとも1つの冷却ユニットから排出された冷却剤の流量を変化させることと、流量を変化させることに応じて、少なくとも少なくとも1つの冷却ユニットについてのワークアイテムの平坦度変化値を決定することと、平坦度変化値は、ワークロールの下流のワークアイテムの平坦度変化を示す、平坦度変化値を基準平坦度変化値と比較することに基づいて、障害のある冷却ユニットを検出することとを備える。
【0008】
本発明は、冷却ユニットの流量を変化させることによって、ワークアイテムの平坦度が変更され、平坦度の変更は、障害のある冷却ユニットと比較して完全に機能的な冷却ユニットでは異なるであろうという認識に少なくとも部分的に基づく。このことから、流量の変化は、ワークロール上の励起として使用され、測定された平坦度変化は、励起の応答である。それ故に、変化した流量によって引き起こされる平坦度応答は、冷却ユニット診断のために評価される。
【0009】
この目的のために、平坦度変化値が決定される。平坦度値は、冷却ユニットの下流のワークアイテムの平坦度を示す。平坦度値は、測定されたワークアイテム張力プロファイルから算出されたワークアイテムの横方向ひずみプロファイルから導出され得る。このことから、平坦度値は、ワークアイテムにおける測定された応力を示し得る。この横方向ひずみプロファイルから、別個の部分が、空間相関によってそれぞれの冷却ユニットに関連付けられ得る。部分の各々に基づいて、各冷却ユニットに1つずつ、それぞれの平坦度変化値が決定され得る。平坦度変化値は、2つの平坦度値間の差であり得る。平坦度測定のための技法は、ワークアイテム張力プロファイルを測定することに基づく技法を含めて、それ自体知られている。
【0010】
平坦度変化値は、あるレベルから別のレベルに流量を変化させることによって引き起こされる平坦度の変化を示す。言い換えれば、ワークアイテムの平坦度が連続的に測定される場合、流量の変化がワークアイテムの平坦度に与える効果を検出することが可能である。このことから、ワークアイテムがワークロール間に供給されているときに、ワークロール上に塗布される冷却剤の流量を変化させることに応じた平坦度値の変化である。
【0011】
冷却ユニットは、ワークロール上に冷却剤を噴霧するための様々な構成要素を含み得る。冷却ユニットは、ノズル及びバルブを備え得、ここでバルブは、ノズルへの冷却剤の供給を開閉する。加圧された冷却剤は、開いたバルブを通ってノズルに流れ、そこから冷却剤がワークロール上に噴霧される。障害は、冷却ユニットのどこでも生じ得るが、最も一般的には、障害はバルブ又はノズルにおいて生じる。
【0012】
冷却ユニットにおける障害は、多くの考えられる条件によって引き起こされ得、異なる性質のものであり得る。例えば、障害は、ノズルからの変化した噴霧角度、噴霧の幅が変化したこと、完全に又は部分的に閉塞されたノズル、又は機能不全のバルブ、等であり得る。
【0013】
流量の変化は、ある流量レベルから別の流量レベルに流量が変化することを意味する。
【0014】
平坦度変化値は、関連付けられた冷却ユニットについて決定されたワークアイテムの第1の平坦度値と第2の平坦度変化値との間の差の絶対値であり得る。
【0015】
基準平坦度変化値を考慮した平坦度変化値の評価は、様々な方法で実行され得る。例えば、冷却ユニットのうちの1つについての平坦度変化値が同じ流量変化についての基準平坦度変化値から閾値を超えて逸脱しているとき、それぞれの冷却ユニットは障害があるというインジケーションが提供され得る。偏差は、平坦度変化値と基準平坦度変化値との間の差の絶対値であり得る。
【0016】
一実施形態では、基準平坦度変化値は、冷却ユニットのうちの少なくとも別の1つの流量を変化させることに応じて決定される平坦度変化値(複数可)に基づき得る。それ故に、障害のある冷却ユニットの評価は、平坦度変化値を互いに比較することに基づくことができる。更に、これが冷却ユニットのセットに対して実行される場合、異常な平坦度応答、例えば、他の冷却ユニットの平坦度値の少なくとも一部から、又は好ましくは他の冷却ユニットの全部又は一部についての平坦度変化値の中央値から閾値を超えて逸脱する平坦度変化値、を有する冷却ユニットは、障害のある冷却ユニットであると結論付けることができる。これは、有利なことに、障害のある冷却ユニット検出の改善された自動化を提供し、少なくとも大規模な事前基準測定を必要としない。
【0017】
実施形態では、基準平坦度変化値は、冷却ユニットの複数のセットの流量を変化させることに応じて決定される平坦度変化値のセットに基づいて決定される統計値に基づく。好ましくは、基準平坦度変化値は、冷却ユニットのセットにおける冷却ユニットの全部又は一部についての平坦度変化値の中央値であり得る。これは、冷却ユニットに障害があるかどうかのより正確な決定を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、冷却ユニットのサブセットについての流量は、一定に維持される。例えば、冷却ユニットのサブセット中の各冷却ユニットは、少なくとも1つの冷却ユニットの流量が変化するときに流量が実質的に一定に維持される最も近い近隣冷却ユニットを有する。これは、有利なことに、冷却ユニットに対する噴霧角度又は噴霧幅のずれを検出することを提供する。このことから、冷却ユニットが、冷却剤を噴霧すべきでないワークロールの近隣ゾーン上に冷却剤を噴霧しているかどうかを決定することが可能である。流量が実質的に一定であるということは、流量の小さな変化は許容され得るが、そのような変化は平坦度変化測定に有意に影響を及ぼさないように十分に小さくあるべきであると広く解釈されるべきである。
【0019】
実施形態では、少なくとも1つの冷却ユニットは、少なくとも1つの冷却ユニットの流量が変化するときに流量が実質的に一定に維持される冷却ユニットが間に置かれた冷却ユニットを備え得る。可能な実装態様では、例えば、1つおき、2つおき、3つおき、又は4つおきの冷却ユニットの流量が変化する。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの冷却ユニットの流量が増加すると、少なくとも1つの他の冷却ユニットの流量が減少する。これは、有利なことに、冷却剤の総流量を一定に維持することを提供する。
【0021】
実施形態では、連続する流量変化間の時間期間は、所定の時間期間よりも長くあり得る。所定の時間期間は、有利なことに、変化する流量によって引き起こされるワークロールへの冷却効果が検出可能であり、平坦度測定において少なくとも部分的に安定するのに十分な長さである。このことから、ワークアイテムの平坦度への冷却効果はいくらか遅延し得、効果が生じると、ワークアイテムの平坦度はしばらくドリフトする。従って、流量があるレベルから別のレベルに変化した後、少なくとも所定の時間期間の間、流量は一定に維持される。これは、平坦度が測定される前に平坦度変化の大部分が生じていることを可能にする。
【0022】
更に、流量変化間の時間期間は、好ましくは、各連続する流量変化について等しい。言い換えれば、連続する時間期間は等しい。更に、時間期間は、冷却ユニットの各々について等しい。
【0023】
平坦度は、様々な考えられる方法で、及び様々なデバイスを用いて測定され得る。1つのそのようなデバイスは、一般に、ワークアイテムの横方向形状を測定する形状計として知られ、これに基づいてワークアイテムの平坦度のインジケーションが導出され得る。更に、いわゆる応力計が、平坦度測定を実行するために使用され得る。当業者に知られているように、応力計は、ワークアイテムにおける応力の横方向分布を、例えばN/mm2を単位として測定し、これに基づいて、ワークアイテムの平坦度のインジケーションが導出され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、平坦度変化値は、流量が実質的に一定に維持される冷却ユニットについて決定され得る。これは、冷却ユニットが噴霧すべきでないときに噴霧すること、又は近隣冷却ユニットが冷却ユニットに関連付けられていない誤ったゾーン中に噴霧していることに関連する障害を検出することを可能にする。
【0025】
ワークアイテムは、好ましくは、金属ストリップであり得る。
【0026】
本発明の第2の態様によると、ワークロールの間のワークアイテムを加工するように配置されたワークロールに冷却剤を供給するように構成された冷却ユニットのセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するように構成された制御ユニットが提供され、本制御ユニットは、冷却ユニットのうちの少なくとも1つから排出された冷却剤の流量が変化することに応じて、冷却ユニットのうちの少なくとも1つの各々についてのワークアイテムの平坦度変化値を示す平坦度データを獲得することと、ここで、平坦度変化値は、ワークロールの下流のワークアイテムの平坦度変化を示す、平坦度変化値を基準平坦度変化値と比較することに基づいて、障害のある冷却ユニットを検出することとを行うように構成される。
【0027】
制御ユニットは、少なくとも1つの冷却ユニットのノズルに供給される冷却剤の流量を変化させるためのバルブを制御するように構成され得る。このことから、制御ユニットは、制御ユニットが制御信号をバルブに送って流量を変化させ得るように、バルブの制御回路又は制御機構に通信可能に接続され得る。
【0028】
流量変化の大きさは、例えば、金属ストリップの材料及び冷却剤とワークロールとの間の温度差に依存し得る。流量変化は、十分に大きな平坦度変化が引き起こされ、検出可能であるように、十分に大きくなければならない。例として、流量変化は、0%~100%流量、又は10%~100%流量、又は10%~90%流量、20%~80%流量、30%~70%流量であり得る。しかしながら、平坦度応答が検出可能である限り、他の可能な流量変化が考えられる。
【0029】
本発明の第2の態様の更なる効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関連して上記で説明したものと大部分が類似している。
【0030】
本発明の第3の態様によると、ワークロールの間のワークアイテムを加工するように配置されたワークロールに冷却剤を供給するように構成された冷却ユニットのセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するためのシステムが提供され、本システムは、ワークロールの下流のワークアイテムの平坦度値を測定するための感知機構と、制御ユニットとを備え、制御ユニットは、変化した流量に応じて測定された平坦度値を示す平坦度データを感知機構から受信することと、平坦度データに基づいて少なくとも1つの冷却ユニットの各々についてのワークアイテムの平坦度変化値を決定することと、ここで、平坦度変化値は、ワークロールの下流のワークアイテムの平坦度変化を示す、障害のある冷却ユニットを検出するために、平坦度変化値を基準平坦度変化値と比較することとを行うように構成される。
【0031】
本発明の第3の態様の更なる効果及び特徴は、本発明の第1の態様及び第2の態様に関連して上記で説明したものと大部分が類似している。
【0032】
少なくとも2つのワークロール間のワークアイテムを加工するように構成された少なくとも2つのワークロールと、本発明の第3の態様の実施形態によるシステムとを備える圧延機が更に提供される。
【0033】
圧延機は、冷間圧延機であり得る。
【0034】
本発明の更なる特徴、及び利点は、添付の特許請求の範囲及び以下の説明を検討すると明らかになるであろう。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の異なる特徴が、以下に説明する実施形態以外の実施形態を作成するために組み合わされ得ることを認識する。
【0035】
ここで、本発明のこれらの及び他の態様を、本発明の実例的な実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】本発明の実施形態による、ワークアイテムを加工するワークロール、及びワークロール上の冷却剤の噴霧パターンを概念的に例示する。
図1B】ワークロールに冷却剤を塗布する冷却ユニットのセットの概念図である。
図1C図1Aのワークロールの側面図であり、本発明の実施形態によるシステムの概念図である。
図1D】平坦度測定を概念的に例証するダイアグラムである。
図1E】絶対平坦度変化値を概念的に例証するダイアグラムである。
図2】本発明の実施形態による方法ステップのフローチャートである。
図3】本発明の実施形態による反対方向に変化する冷却ユニット流量を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を実施するための形態では、本発明の様々な実施形態を、特定の実装形態を参照して本明細書で説明する。実施形態を説明する際に、明確にするために特定の専門用語が採用される。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の専門用語に限定されることを意図されない。特定の例証的な実施形態を議論するが、これは例示を目的としてのみ行われることを理解されたい。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成要素及び構成を使用することができることを認識するであろう。
【0038】
図1Aは、ワークロール100a及び100bの間のワークアイテム102を加工するように配置されたワークロール100a及び100bを概念的に例示する。ワークロール100a及び100bは、金属ストリップ102の形態のワークアイテムを加工するように構成された、冷間圧延機などの圧延機プロセスプラント500中に備えられ得る。
【0039】
当技術分野で知られているように、金属ストリップの加工中、最終製品の平坦度は、ワークロール100a及び100bの幅にわたる温度変化にある程度依存する。従って、ワークロール100a~bの効率的な熱制御を有することが重要である。ワークロール100a~bの冷却は、ワークロール100a~bの近くに配置された冷却ユニットを通して各ワークロール100a~bに冷却剤を塗布することによって提供される。図1Aでは、個々の冷却ユニットの噴霧パターン又は噴霧ゾーン104を概念的に例示する。全てのスプレーパターン又はゾーンに番号が付されているわけではないことに留意されたい。
【0040】
図1Bは、ワークロール100aに冷却剤101を供給するように配置された冷却ユニット106a~nのセットの上面図を概念的に例示する。冷却ユニットからの流量は、冷却ユニット106a~nの各々からワークロール100aに供給される冷却剤の流量を変化させるために個別に制御可能である。
【0041】
図1Bは、平坦度を表す平坦度プロファイル105、例えば、ワークロール100a~bの下流のワークアイテム102の「概念的張力プロファイル」を概念的に例示する。平坦度変化値Va~Vnのセットは、平坦度プロファイル105から決定され得る。ここで、平坦度変化値Vfは、平坦度プロファイル105の平坦度値と、先に決定された平坦度基準プロファイル107からの平坦度値との間の差として例示する。このことから、平坦度基準プロファイル107及び平坦度プロファイル105は、流量が変化する前、又は少なくとも変化した流量の効果が検出される前の、2つの異なる時刻におけるワークアイテム102の幅にわたるプロファイル、平坦度プロファイル107、及び変化した流量に応じた平坦度プロファイル105である。ワークアイテム102の平坦度プロファイルは、連続的に監視され得、それによって、平坦度変化が、平坦度プロファイルを互いに比較することから決定され得る。「平坦度プロファイル」は、ワークアイテムの平坦度プロファイルを示す横方向ひずみプロファイルを指し得ることに留意されたい。
【0042】
図1Cは、ワークアイテム102を加工するワークロール100a~bの側面図である。ワークアイテム102は、回転するワークロール100a~b間に供給され、それによって、ワークロール100a~b間の間隔は、ワークロール100a~b間のワークアイテム102の厚さの低減と平坦化を提供する。冷却ユニット106a及び108は、それぞれのワークロール100a及び100bに冷却剤101の噴霧を供給するように配置される。各冷却ユニットは、バルブ302及びノズル308を備える。図1Cに示す構成要素は縮尺通りではなく、本明細書に提示する実施形態の理解のために示す概念図であることが理解される。
【0043】
上述したように、冷却剤は、ワークロール100a~bの熱制御のために使用される。ワークロール100a~bの横方向にわたる温度変化は、例えば、ワークアイテム102の平坦度を測定するように構成された感知機構202のロケーションにおいて、ワークロール100a~bの下流のワークアイテムの平坦度に影響を及ぼすであろう。そのような感知機構は、形状計、例えば、いわゆる「応力計」として提供され得、それは、ワークアイテムの平坦度のずれによって引き起こされるロールに対する圧力変化を測定するように構成され得る。形状計は、一般に、それ自体知られている。
【0044】
図1Dは、ワークアイテムの平坦度測定を概念的に例示する。測定は、平坦度値のセットを提供し、各々は、ダイアグラム600においてバーによって表され、ここで1つのバーは、602と番号付けされる。平坦度変化値は、冷却剤の流量を変化させることに応じたバーの高さの変化である。例えば、1つの冷却ユニットからの流量をあるレベルから別のレベルに変化させることに応じて、バー602の高さ、即ちバー602によって表される平坦度値は、破線として示す、第2のバー604によって表される第2の平坦度値に変化し得る。2つの平坦度値間の差は、平坦度変化値Vである。
【0045】
図1Eは、ワークアイテムの幅に沿った位置に対する各冷却ユニットの流量変化についての測定された絶対平坦度変化値のダイアグラム700であり、その1つは702で示す。ダイアグラム700は、基準平坦度変化値を例示し、それは、好ましい実施形態では、絶対平坦度変化値の中央値である。ダイアグラム700は、本明細書で説明する実施形態に適用可能な2つの異なる閾値レベルを更に概念的に例示する。上限閾値及び下限閾値である。このことから、絶対平坦度変化値が上限閾値を上回る場合、又は絶対平坦度変化値が下限閾値を下回る場合、対応する冷却ユニットは、障害があると結論付けられ得る。
【0046】
図1Eは、絶対平坦度変化値702と基準平坦度変化値との間の偏差Dを例証する。この偏差Dが、基準平坦度変化値と例えば上限閾値レベルとの間の差によって与えられる閾値よりも大きい場合、対応する冷却ユニットは、障害があると結論付けられ得る。基準平坦度変化値と上限閾値との間の差は、基準平坦度変化値と下限閾値との間の差とは異なり得る。このことから、絶対平坦度変化値が基準平坦度変化値よりも大きいか又は小さいかに応じて使用される上限及び下限閾値があり得る。
【0047】
図2は、本発明の実施形態による方法ステップのフローチャートである。図2の方法ステップは、図1A~Dに関連して説明する。
【0048】
本方法は、ワークロール100a~bの間のワークアイテム102を加工するように配置されたワークロール100a~bに冷却剤を供給するように構成された冷却ユニット106のセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するためのものである。
【0049】
本方法のステップS102では、冷却ユニット106a~nのうちの少なくとも1つの冷却ユニット106fから排出された冷却剤の流量を変化させる。流量(複数可)を変化させることに応じて、ステップS104では、少なくとも1つの冷却ユニットの各々についてのワークアイテム102の平坦度変化値Vf(図1DのVも参照)を決定する。平坦度変化値は、ワークロール100a~bの下流のワークアイテム102の平坦度変化を示す。平坦度は、ワークロール100a~bの下流の感知機構202によって決定される。
【0050】
ステップS106では、平坦度変化値(複数可)Vfを基準平坦度変化値と比較することに基づいて、障害のある冷却ユニットを検出する。
【0051】
1つの可能な実装形態では、冷却ユニットのうちの1つについての平坦度変化値が基準平坦度変化値から閾値を超えて逸脱しているとき、それぞれの冷却ユニットは障害があるというインジケーションを提供する。
【0052】
例えば、平坦度変化値Vfが許容範囲を超えて、即ち閾値を超えて、基準平坦度変化値を上回る場合、冷却ユニット106fは障害のある冷却ユニットであると結論付けられ得る。
【0053】
図1Bに関連して上述したように、平坦度変化値は、ワークアイテムの平坦度の変化を反映する。平坦度変化値は、ワークアイテムがワークアイテム間に供給されているときに異なる時刻に決定された平坦度値間の差である。このことから、平坦度変化値を決定するために使用されている平坦度値は、2つの異なる時刻、従ってワークアイテム上のロケーションにおける平坦度を反映する。平坦度値のうちの少なくとも1つは、ワークアイテムが加工されている間に変化する流量に応じて決定され得る。平坦度値間の差は、差の絶対値であり得る。言い換えれば、冷却ユニットについて決定される平坦度変化値は、流量を変化させることに応じた平坦度の展開に基づく。図1C及び図1Dを参照すると、ワークアイテムがワークロール100a~bを通して供給されるとき、感知機構202は、ワークアイテム102の平坦度を連続的に測定する。このことから、平坦度値602は、流量があるレベルから別のレベルに変化する前に、又は少なくとも変化した流量の効果がワークアイテムにおいて生じる前に取得され得、この平坦度値は、平坦度への冷却効果が生じたときに流量が変化した後に取得された平坦度値604と比較され得る(図3を参照した議論も参照)。平坦度値間の差は、流量変化によって引き起こされる平坦度応答を反映する。
【0054】
基準平坦度変化値は、冷却ユニットのうちの少なくとも別の1つの流量を変化させることに応じて決定される平坦度変化値に基づき得る。他の可能な実装形態では、基準平坦度変化値は、冷却ユニットの複数のセットの流量を変化させることに応じて決定される平坦度変化値のセットに基づいて決定される統計値に基づき得る。好ましくは、基準平坦度変化値は、冷却ユニット106a~nについての平坦度変化値の中央値であり得る。図1Dを更に参照すると、平坦度変化値Vは、平坦度値の各々、例えば、ダイアグラムに示す各バー位置に対して決定される。平坦度変化値は、冷却ユニットの各々について決定され、言い換えれば、ダイアグラム600の各バー602は、それぞれの冷却ユニットに関連付けられ得る。その後、全ての平坦度変化値の中央値が決定され、基準平坦度変化値として使用される。平坦度変化値が平坦度変化値の中央値からあまりに大きく、即ち閾値を超えて逸脱する場合、それぞれの冷却ユニットは、障害があると結論付けられる。例えば、平坦度変化値が基準平坦度値に対する所定数の標準偏差内にあるかどうかを決定する標準偏差、パーセンタイル、等などの他の統計値が適用され得る。
【0055】
例えば、ここで図1Bを参照すると、平坦度変化値Va~Vnの中央値、又は冷却ユニットの少なくともサブセットについての平坦度変化値、例えば平坦度変化値Vb~Vm、の中央値の場合、平坦度変化値Vfは、平坦度変化値Va~Vnの中央値から著しく逸脱し、サブセットのみが考慮される場合、サブセットVb~Vmの中央値から著しく逸脱するであろう。言い換えれば、平坦度変化値Vfは、他の平坦度変化値に対して異常であると考えられ得、それによって、冷却ユニット106fは、障害があると結論付けられ得る。好ましくは、全ての平坦度変化値の中央値が使用されるが、平坦度変化値のサブセットを使用することが考えられ得る。サブセットの場合、ワークアイテムのエッジについての終了値、例えばVa及びVnは、サブセットと見なされ得る。
【0056】
一般に、連続する流量変化間の時間期間は、所定の時間期間よりも長い。例えば、第1の流量変化は、時間期間が所定の時間期間に等しい場合に維持される第1の流量レベルまで実行される。このようにして、変化する流量によって引き起こされる平坦度への効果が生じ、平坦度測定において検出可能であり得る。測定後、流量は、第2の流量レベルに変化し得、以下同様である。
【0057】
図3は、本発明の実施形態による流量変化スキームを概略的に説明するグラフである。y軸は流量を表し、x軸は時間を表す。グラフでは、破線は、第1の冷却ユニット106bについての冷却剤流量対時間を表し、実線は、図1Bに示す第2の冷却ユニット106eについての冷却剤流量対時間を表す。破線はまた、冷却ユニットの第1のサブセットを表し得、実線は、冷却ユニットの第2のサブセットを同様に良く表し得る。このことから、冷却ユニットのサブセットについての流量は、図3のスキームに従って変化し得る。
【0058】
図3は、2つの冷却ユニット106b及び106eについての流量が変化し、第1の冷却ユニット106bの流量が増加すると、第2の冷却ユニット106eの流量が減少し、逆もまた同様であることを例示する。例えば、時間t1において、第1の冷却ユニット106bの流量がF1からF2に増加するのに対して、同時に、第2の冷却ユニット106eについての流量がF2からF1に減少する。時間t2において、第1の冷却ユニット106bの流量がF2からF1に減少するのに対して、同時に、第2の冷却ユニット106eについての流量がF1からF2に増加する。
【0059】
別の流量に切り替える前に、流量を維持するための時間期間Tは、ワークアイテムの平坦度への流量変化の効果が生じ、測定可能となることを可能にするためにt1からt2まで経過する。平坦度は、持続時間の終了前であるが、平坦度効果が測定可能であることを保証するために所定の時間期間Tthが経過した後に測定される。
【0060】
流量が一定に維持される時間期間T、即ち流量変化間の時間期間は、好ましくは、各連続する流量変化について等しく、言い換えれば、連続する持続時間は等しい。更に、冷却ユニットの各々についての時間期間は、好ましくは、等しい。図3に例示するように、時間期間Tは、流量変化間の連続する時間期間について同じである。更に、平坦度変化値を決定するために使用される平坦度測定は、対応する流量変化から等しい時間が経過した後、例えば所定の時間期間Tthで実行されることが好ましい。
【0061】
2つの冷却ユニット又は冷却ユニットの2つのサブセットに対して反対方向に流量を変化させることは、有利なことに、全ての冷却ユニットに対する流量が等しく変化した場合よりも、冷却剤の総流量を一定に近く維持する。これは、冷却ユニット試験中のより良好な全体的な冷却を供給する。
【0062】
重なり合う冷却剤噴霧流を検出する能力を改善するために、変化する流量の冷却ユニット間に少なくとも1つ又は2つの冷却ユニットを不変のままにしておくことが有利である。
【0063】
言い換えれば、重なり合う噴霧流の効果を検出する能力を更に改善するために、選択された冷却ユニットの流量が変化するとき、冷却ユニットのあるサブセットについての流量が一定に維持される。例えば、冷却ユニット106bと106eとの間に配置された冷却ユニット106c~dについての流量は、実質的に一定に維持され得る。
【0064】
有利な実施形態では、少なくとも1つの冷却ユニットの各々は、最も近い近隣冷却ユニットを有しており、例えば、流量が一定に維持される上述の冷却ユニット106c~dは、流量が変化するそれぞれの冷却ユニット106b及び106eに最も近い近隣部である。
【0065】
少なくとも1つの冷却ユニット106a~nは、少なくとも1つの冷却ユニットの流量が変化するときに流量が実質的に一定に維持される冷却ユニット、例えば、冷却ユニット106c~dが間に置かれた複数の冷却ユニットを備え得る。
【0066】
実施形態では、平坦度変化値は、流量が一定に維持される冷却ユニットについて決定され得る。このことから、平坦度変化値は、現在の流量変化において流量が変化していない冷却ユニットについてさえ決定され得る。これは、冷却ユニットが冷却剤を噴霧すべきでないときに冷却剤を噴霧していること、又は噴霧ゾーンが冷却剤を受け入れるべきでないときに冷却剤を受け入れていることを検出する能力を改善し、近隣冷却ユニットに障害があることを示し得る。
【0067】
冷却ユニットの総数又はサブセット中の冷却ユニットの数は、ここでは例を目的としてのみ示し、手近な特定の圧延機設定に応じて任意の数の冷却ユニットを含み得る。例えば、圧延機は、10、15、20、25、30、35、40、50、60、又は任意の他の数の冷却ユニットを備え得る。
【0068】
流量が変化するサブセット中の冷却ユニットの数は、ワークロールに冷却剤を供給するように配置された冷却ユニットの任意のサブセットであり得る。サブセットは、単一の冷却ユニットでさえあり得るが、好ましい実施形態は、サブセット中に2つおきの冷却ユニットを有することを含む。言い換えれば、冷却ユニット106c、106f、106i、及び106lについての流量は、平坦度変化値を決定するために同時に変化し得る。残りの冷却ユニットについての流量は、実質的に一定に維持され得る。冷却ユニット106c、106f、106i、及び106lについての平坦度変化値が決定されると、残りの冷却ユニットのセットについての流量が変化し、全ての冷却ユニットについての平坦度変化値が決定されるまで以下同様である。
【0069】
再び図1Cを参照する。一実装形態では、制御ユニット300は、冷却ユニットのセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するように構成される。上記で説明したように、冷却ユニット106a~n、108は、ワークアイテム102を加工するように配置されたワークロール100a~bに冷却剤を供給するように構成される。
【0070】
制御ユニット300は、冷却ユニット106a~nのうちの少なくとも1つから排出される冷却剤の流量が変化したことに応じて、少なくとも1つの冷却ユニットの各々についてのワークアイテム102の平坦度変化値を示す平坦度データを獲得するように構成される。平坦度変化値は、ワークロールの下流のワークアイテムの平坦度変化を示す。言い換えれば、制御ユニット300は、感知機構202から平坦度データを受信するために感知機構202と通信している。平坦度データは、平坦度変化値自体を含み得るか、又は制御ユニット300が、平坦度データを処理して、平坦度変化値を計算し得る。
【0071】
制御ユニット300は、上記で説明した方法で、平坦度変化値を基準平坦度変化値と比較することに基づいて障害のある冷却ユニットを検出するように構成される。
【0072】
制御ユニット300は、冷却ユニットについての流量を制御するバルブ302に接続され得る。制御ユニット300は、流量が変化しているという制御信号をバルブ302から受信し得、それによって、制御ユニットは、所定の時間期間閾値Tthが経過した後に、平坦度データを獲得する。
【0073】
他の可能な実装形態では、制御ユニット300は、障害のある冷却ユニットを検出するための平坦度測定手順を開始する。このために、制御ユニットは、バルブ302を制御して、それぞれの冷却ユニット106a~nのノズル308に供給される冷却剤の流量を変化させる。それ故に、制御ユニット300は、バルブ302に制御信号を送信して、冷却ユニットについての流量を変化させるために開閉するように命令する。
【0074】
バルブ302は、手段によってリザーバからノズルへの加圧された冷却剤の流れを制御するように構成される。
【0075】
図1A~C、特に図1Cを再び参照すると、ワークロールの間のワークアイテムを加工するように配置されたワークロールに冷却剤を供給するように構成された冷却ユニットのセットにおける障害のある冷却ユニットを検出するためのシステム400が更に提供される。システムは、ワークロールによって加工される下流のワークアイテム102の平坦度値を測定するための感知機構202を備える。本システムは、変化した流量に応じて測定された平坦度値を示す平坦度データを感知機構202から受信することと、平坦度データに基づいて少なくとも1つの冷却ユニットの各々についてのワークアイテムの平坦度変化値を決定することと、ここで、平坦度変化値は、ワークロール100a~bの下流のワークアイテムの平坦度変化を示す、障害のある冷却ユニットを検出するために、平坦度変化値を基準平坦度変化値と比較することとを行うように構成された制御ユニット300を更に備える。
【0076】
システムは、冷却剤リザーバから冷却ユニットへの冷却剤の流れを制御するように構成された少なくとも1つのバルブ302を備え得る。
【0077】
図面は縮尺通りではなく、実施形態の概念的な例示を提供することに留意されたい。
【0078】
制御ユニットは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルデジタルシグナルプロセッサ、又は別のプログラマブルデバイスを含み得る。制御ユニットはまた、又は代わりに、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ若しくはプログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイス、又はデジタルシグナルプロセッサを含み得る。制御ユニットが、上述のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はプログラマブルデジタルシグナルプロセッサなどのプログラマブルデバイスを含む場合、プロセッサは、プログラマブルデバイスの動作を制御するコンピュータ実行可能コードを更に含み得る。
【0079】
本発明を、その特定の例証的な実施形態を参照して説明してきたが、多くの異なる変更、修正などが当業者には明らかになるであろう。
【0080】
加えて、開示した実施形態に対する変形形態は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明を実施する際に当業者が理解及び達成することができる。特許請求の範囲では、「備える」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示さない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
【国際調査報告】