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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】病原体診断検査
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/50 20060101AFI20230510BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230510BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20230510BHJP
   C12Q 1/6888 20180101ALI20230510BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230510BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
C12N15/50
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6888 Z
G01N33/53 M
G01N33/569 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560915
(86)(22)【出願日】2021-04-05
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2021025806
(87)【国際公開番号】W WO2021207091
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/005,996
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/062,406
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/136,449
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/154,571
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521229005
【氏名又は名称】オクタント,インク.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】コスリ,スリラム
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,エリック,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ガスペリーニ,モリー,ジャネット
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ10
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR62
4B063QS24
(57)【要約】
【解決手段】本明細書では、PCRおよびシーケンシングを用いて病原体感染症を検出および診断するのに有用な方法が記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体のコロナウイルス感染症を検出する方法であって、
(a)前記個体からの生体サンプルを提供する工程であって、前記生体サンプルがコロナウイルス合成RNAを含み、前記コロナウイルス合成RNAの配列が、自然発生のコロナウイルス核酸配列とは異なる、工程と、
(b)前記生体サンプルを溶解して、それによって溶解した生体サンプルを生成する工程と、
(c)前記溶解した生体サンプルに対して逆転写反応を行い、溶解し逆転写された生体サンプルを得る工程と、
(d)前記溶解し逆転写された生体サンプル上で増幅反応を行い、増幅された生体サンプルを得る工程であって、前記溶解し逆転写された生体サンプル上の前記増幅反応は、コロナウイルス核酸配列に特異的なコロナウイルスプライマーのセットを用いて行われ、前記コロナウイルスプライマーのセットが、前記コロナウイルス核酸配列および前記コロナウイルス合成RNAを増幅する、工程と、
(e)次世代シーケンシングを使用して、前記増幅された生体サンプルを配列決定する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記コロナウイルス核酸配列の配列リードが検出される場合に、コロナウイルス感染症について陽性の診断を提供する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コロナウイルス感染症またはSARS-Cov-2感染症について前記陽性診断を提供する工程は、前記コロナウイルス核酸配列からの前記配列リード対前記コロナウイルス合成RNAの配列リードの比またはその数学的等価物が、約0.1の比を超える場合に、提供される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
コロナウイルス感染症について前記陽性診断を提供する工程は、前記コロナウイルス核酸からの前記配列リードと前記コロナウイルス合成RNAの前記配列リードが約100を超える場合に、提供される、請求項2~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記溶解した生体サンプルは、前記逆転写反応を行う前に単離または精製されない、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記生体サンプルの溶解および前記溶解した生体サンプルに対する前記逆転写反応の実行は、同じウェル、チューブ、または反応容器内で行われる、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記生体サンプルの溶解は熱溶解を含む、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記熱溶解は、前記生体サンプルを少なくとも約50℃の温度に加熱することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記個体からの前記生体サンプルは、複数のコロナウイルス合成RNA配列を含み、ここで、前記複数のコロナウイルス合成RNA配列は、少なくとも2つの異なる合成コロナウイルスRNA配列を含む、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記複数の合成コロナウイルスRNA配列は、少なくとも4つの異なる合成コロナウイルスRNA核酸配列を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記合成RNA核酸または前記複数の合成核酸は、約20%~約30%の量のグアニンヌクレオチド、約20%~約30%の量のアデニンヌクレオチド、約20%~約30%の量のシトシンヌクレオチド、約20%~約30%の量のウラシルヌクレオチドを含む、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記合成コロナウイルスRNA核酸または前記複数の合成コロナウイルスRNA核酸は、ほぼ等しい比でグアニンとシトシンとアデニンとウラシルとを含む、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記合成コロナウイルスRNA核酸または前記複数の合成コロナウイルスRNA核酸は、合成SARS-Cov-2RNA核酸または複数の合成SARS-Cov-2RNA核酸を含む、請求項1~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、インフルエンザA感染症、インフルエンザB感染症、またはこれらの組み合わせを検出する工程をさらに含む、請求項1~14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記溶解した生体サンプルに対する前記増幅反応は、インフルエンザA核酸配列に特異的なインフルエンザAプライマーのセット、またはインフルエンザB核酸配列に特異的なインフルエンザBプライマーのセットを用いて行われる、請求項1~15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記インフルエンザA核酸配列に特異的な前記インフルエンザAプライマーのセットは、配列番号24または25、および配列番号26、あるいは配列番号27および配列番号28に記載される配列を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記インフルエンザB核酸配列に特異的な前記インフルエンザBプライマーのセットは、配列番号29または30に記載される配列を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記溶解した生体サンプルに対する前記増幅反応は、インフルエンザA核酸配列に特異的なインフルエンザAプライマーのセット、およびインフルエンザB核酸配列に特異的なインフルエンザBプライマーのセットを用いて行われる、請求項1~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記個体からの前記生体サンプルは、インフルエンザA合成RNA、インフルエンザB合成RNA、またはこれらの組み合わせをさらに含み、ここで、前記インフルエンザA合成RNA、前記インフルエンザB合成RNA、または前記これらの組み合わせは、自然発生のインフルエンザAまたはインフルエンザBの核酸配列とは異なる、請求項1~19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
インフルエンザAからの配列リード対前記インフルエンザA合成RNAの配列リードの比またはその数学的等価物が約0.1の比を超える場合に、インフルエンザA感染症について陽性診断を提供する工程をさらに含む、請求項1~20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
前記インフルエンザAからの配列リード対前記インフルエンザB合成RNAの配列リードとの比またはその数学的等価物が約0.1の比を超える場合に、インフルエンザB感染症について陽性診断を提供する工程をさらに含む、請求項1~21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記コロナウイルス核酸配列は、N1配列、S2配列、またはこれらの組み合わせである、請求項1~22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記コロナウイルス核酸配列は、SARS-Cov-2 N1配列、SARS-Cov-2 S2配列、またはこれらの組み合わせである、請求項1~23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
前記コロナウイルスプライマーのセットは、配列番号13および配列番号14、または配列番号18および配列番号19に記載される配列を含む、請求項1~24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
前記コロナウイルスプライマーのセットは、配列番号20および配列番号21、または配列番号22および配列番号23に記載される配列を含む、請求項1~24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
前記コロナウイルスプライマーのセットは、約50ナノモル~約250ナノモルの濃度で存在する、請求項1~26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
前記コロナウイルスプライマーのセットは、約100ナノモルの濃度で存在する、請求項1~26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
前記インフルエンザA核酸配列は、インフルエンザAマトリックス配列、インフルエンザA非構造タンパク質1配列、インフルエンザAヘマグルチニン配列、インフルエンザAノイラミニダーゼ配列、インフルエンザA核タンパク質配列、およびこれらの組み合わせである、請求項16~28のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
前記インフルエンザB核酸配列は、インフルエンザBマトリックス配列、インフルエンザB非構造タンパク質1配列、インフルエンザBヘマグルチニン配列、インフルエンザBノイラミニダーゼ配列、インフルエンザB核タンパク質配列、およびこれらの組み合わせである、請求項16~29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
前記コロナウイルスプライマーの前記セット、前記インフルエンザAプライマーのセット、または前記インフルエンザBプライマーのセットのいずれか1つ以上は、サンプル多重化を可能にする1つ以上のインデックス配列を含む、請求項1~30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
前記コロナウイルス合成RNAは、配列番号1~12のいずれか1つに記載される配列のいずれか1つ以上と少なくとも約90%相同な核酸配列を含む、請求項1~31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
前記コロナウイルス合成RNAは、配列番号1~12のいずれか1つに記載される配列のいずれか1つ以上と少なくとも約90%相同な複数の異なる核酸配列を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記インフルエンザA合成RNAは、配列番号31または32のいずれか1つに記載される配列のいずれか1つ以上と少なくとも約90%相同なRNA配列を含む、請求項20-33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
前記インフルエンザB合成RNAは、配列番号33に記載される配列と少なくとも約90%相同なRNA配列を含む、請求項20-34のいずれか1つに記載の方法。
【請求項36】
前記コロナウイルス合成RNAは、配列番号1~4に記載される4つの配列と少なくとも約90%相同な複数の4つの異なる核酸配列を含む、請求項1~35のいずれか1つに記載の方法。
【請求項37】
前記コロナウイルス合成RNA、前記インフルエンザA合成RNA、または前記インフルエンザB合成RNAは、約10コピー/反応~約500コピー/反応の濃度で存在する、請求項1~36のいずれか1つに記載の方法。
【請求項38】
前記コロナウイルス合成RNAは、約10コピー/反応~約500コピー/反応の濃度で存在する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記コロナウイルス合成RNA、前記インフルエンザA合成RNA、または前記インフルエンザB合成RNAは、約200コピー/反応の濃度で存在する、請求項1~36のいずれか1つに記載の方法。
【請求項40】
前記コロナウイルス合成RNAは、約200コピー/反応の濃度で存在する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記生体サンプルは、鼻腔スワブまたは唾液サンプルを含んでいる、請求項1~40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
前記生体サンプルは、個体の約10マイクロリットル未満の唾液、または個体の鼻腔スワブで接種した約10マイクロリットル未満の緩衝液を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記生体サンプルは、鼻腔スワブで接種された約10マイクロリットル未満の緩衝液を含む、請求項1~42のいずれか1つに記載の方法。
【請求項44】
前記溶解した生体サンプルに対する前記増幅反応は、サンプル対照に特異的なプライマー対を用いて行われる、請求項1~43のいずれか1つに記載の方法。
【請求項45】
前記サンプル対照はハウスキーピング遺伝子である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記サンプル対照に特異的な前記プライマー対はRPP30に特異的である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記サンプル対照に特異的な前記プライマー対は、配列番号15または16、および配列番号17に記載される配列を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ウイルスからの第1のヌクレオチド配列を含む5’近位領域と、
前記ウイルスからの第2のヌクレオチド配列を含む3’近位領域と、
介在ヌクレオチド配列と
を含む合成核酸であって、
前記介在ヌクレオチド配列は、約20%~約30%の割合のグアニンヌクレオチド、約20%~約30%の量のアデニンヌクレオチド、約20%~約30%の量のシトシンヌクレオチド、約20%~約30%の量のウラシまたはチミジンヌクレオチドを含み、介在配列はウイルスの自然発生配列とは異なる、合成核酸。
【請求項49】
前記合成核酸はDNAを含む、請求項48に記載の合成核酸。
【請求項50】
前記合成核酸はDNAからなる、請求項49に記載の合成核酸。
【請求項51】
前記合成核酸はRNAを含む、請求項48に記載の合成核酸。
【請求項52】
前記合成核酸はRNAからなる、請求項51に記載の合成核酸。
【請求項53】
前記ウイルスは、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、またはコロナウイルスである、請求項48または52のいずれか1つに記載の方法。
【請求項54】
前記ウイルスはコロナウイルスである、請求項48または52のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項55】
前記コロナウイルスは、SARS-COV-2である、請求項54に記載の合成核酸。
【請求項56】
前記介在ヌクレオチド配列核酸は、ほぼ等しい比でグアニンとシトシンとアデニンとウラシルまたはチミジンヌクレオチドとを含む、請求項48または55のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項57】
前記3’近位領域および前記5’近位領域は、コロナウイルスS2遺伝子配列と少なくとも90%相同なヌクレオチド配列を含む、請求項48~56のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項58】
前記5’近位領域および前記3’近位領域は、コロナウイルスS2遺伝子配列と少なくとも95%相同なヌクレオチド配列を含む、請求項48~56のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項59】
前記5’近位領域および前記3’近位領域は、コロナウイルスS2遺伝子配列と同一のヌクレオチド配列を含む、請求項48~56のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項60】
前記5’近位領域および前記3’近位領域は、コロナウイルスN1遺伝子配列と少なくとも90%相同なヌクレオチド配列を含む、請求項48~56のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項61】
前記5’近位領域および前記3’近位領域は、コロナウイルスN1遺伝子配列と少なくとも95%相同なヌクレオチド配列を含む、請求項48~56のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項62】
前記5’近位領域および前記3’近位領域は、コロナウイルスN1遺伝子配列と同一のヌクレオチド配列を含む、請求項48~56のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項63】
前記コロナウイルスN1遺伝子配列または前記コロナウイルスS2遺伝子配列は、SARS-CoV-2遺伝子配列である、請求項57~62のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項64】
前記配列核酸は、配列番号1~12のいずれか1つに記載のいずれか1つ以上の配列と少なくとも90%相同である配列を含む、請求項46~63のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項65】
前記配列核酸は、配列番号1~12のいずれか1つに記載の任意の1つ以上の配列と少なくとも95%相同な配列を含む、請求項46または63のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項66】
前記配列核酸は、配列番号1~12のいずれか1つに記載のいずれか1つ以上の配列と同一である配列を含む、請求項46または63のいずれか1つに記載の合成核酸。
【請求項67】
請求項46~66のいずれか1つに記載の合成核酸からなる複数の合成核酸であって、少なくとも2つの異なるヌクレオチド配列を含む合成核酸を含む、複数の合成核酸。
【請求項68】
前記複数の合成核酸は、少なくとも2つの異なるヌクレオチド配列を含む合成核酸を含む、請求項67に記載の複数の合成核酸。
【請求項69】
前記複数の合成核酸は、少なくとも4つの異なるヌクレオチド配列を含む、請求項67に記載の複数の合成核酸。
【請求項70】
前記4つの異なるヌクレオチド配列は、配列番号1~4に記載されるものである、請求項69に記載の複数の合成核酸。
【請求項71】
前記4つの異なるヌクレオチド配列は、配列番号5~12に記載されるものから選択される、請求項69に記載の複数の合成核酸、
【請求項72】
生体サンプル中のウイルス核酸の存在または不在を判定するための反応混合物であって、前記反応混合物は、請求項48~66のいずれか1つの合成核酸または請求項67~71のいずれか1つの複数の合成核酸、前記生体サンプルの少なくとも一部、および、存在する場合、前記生体サンプル中の前記ウイルス核酸を増幅するのに十分な1つ以上の酵素または試薬を含む、反応混合物。
【請求項73】
前記生体サンプルはヒト生体サンプルである、請求項72に記載の反応混合物。
【請求項74】
前記生体サンプルは唾液、頬のスワブ、鼻咽頭スワブ、または中鼻甲介スワブを含む、請求項72または73に記載の反応混合物。
【請求項75】
前記生体サンプルは唾液または鼻咽頭スワブを含む、請求項72または73に記載の反応混合物。
【請求項76】
前記ウイルス核酸は、インフルエンザA、インフルエンザB、またはコロナウイルス核酸である、請求項72~75のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項77】
前記コロナウイルス核酸配列は、SARS-COV-2核酸である、請求項76に記載の反応混合物。
【請求項78】
前記1つ以上の試薬は、逆転写酵素、dNTP、前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、マグネシウム塩、およびこれらの組み合わせからなるリストから選択される、請求項72~77のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項79】
前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、ヒトヌクレオチド配列に特異的である、請求項78に記載の反応混合物。
【請求項80】
前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、ハウスキーピング遺伝子に特異的である、請求項78または79に記載の反応混合物。
【請求項81】
前記サンプル対照に特異的な前記プライマー対はRPP30に特異的である、請求項80に記載の反応混合物。
【請求項82】
前記サンプル対照に特異的な前記プライマー対は、配列番号15または16、および配列番号17に記載される配列を含む、請求項81に記載の反応混合物。
【請求項83】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、インフルエンザAヌクレオチド配列、インフルエンザBヌクレオチド配列、およびコロナウイルスヌクレオチド配列に特異的である、請求項78~82のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項84】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、コロナウイルスS1またはN2配列に特異的である、請求項83に記載の反応混合物。
【請求項85】
前記コロナウイルスS1またはN2配列は、コロナウイルスS1またはN2核酸配列である、請求項78または84のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項86】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対、または前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、配列番号13~30または100~605のいずれか1つに記載される配列を含む、請求項78~85のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項87】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対、または前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、配列番号13および配列番号14、配列番号18および配列番号19、配列番号20および配列番号21、配列番号24または25および配列番号26、配列番号29および配列番号30に記載される配列を含む、請求項78~85のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項88】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対、または前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、約50マイクロモル~約250マイクロモルの濃度で存在する、請求項78~87のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項89】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対、または前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、約100マイクロモルの濃度で存在する、請求項78~88のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項90】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対、または前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、約200マイクロモルの濃度で存在する、請求項78~88のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項91】
前記コロナウイルス合成RNAは、約10コピー/反応~約500コピー/反応混合物の濃度で存在する、請求項72~90のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項92】
前記コロナウイルス合成RNAは、約200コピー/反応混合物の濃度で存在する、請求項72~90のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項93】
前記反応混合物の体積は、約10マイクロリットル~約100マイクロリットルである、請求項72~92のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項94】
前記反応混合物の体積は、約20マイクロリットルである、請求項72~92のいずれか1つに記載の反応混合物。
【請求項95】
生体サンプル中のウイルス核酸の存在または不在を判定するためのキットであって、前記キットは、請求項46~66のうちのいずれか1つの合成核酸または請求項67~71のいずれか1つの複数の合成核酸、および、前記生体サンプルから前記ウイルス核酸を増幅するのに十分な1つ以上の酵素または試薬を含む、キット。
【請求項96】
前記ウイルス核酸は、インフルエンザA核酸、インフルエンザB核酸、またはコロナウイルス核酸である、請求項95に記載のキット。
【請求項97】
前記コロナウイルス核酸はコロナウイルス核酸である、請求項95または96に記載のキット。
【請求項98】
前記1つ以上の試薬は、逆転写酵素、dNTP、前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、マグネシウム塩、およびこれらの組み合わせからなるリストから選択される、請求項95~97のいずれか1つに記載のキット。
【請求項99】
前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、ヒトヌクレオチド配列に特異的である、請求項98に記載のキット。
【請求項100】
前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、ハウスキーピング遺伝子に特異的である、請求項98または99に記載のキット。
【請求項101】
前記サンプル対照に特異的な前記プライマー対はRPP30に特異的である、請求項100に記載のキット。
【請求項102】
前記サンプル対照に特異的な前記プライマー対は、配列番号15または16、および配列番号17に記載される配列を含む、請求項101に記載のキット。
【請求項103】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、インフルエンザAヌクレオチド配列、インフルエンザBヌクレオチド配列、およびコロナウイルスヌクレオチド配列に特異的である、請求項98~102のいずれか1つに記載のキット。
【請求項104】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、コロナウイルスS1またはN2配列に特異的である、請求項103に記載のキット。
【請求項105】
前記コロナウイルスS1またはN2配列は、コロナウイルスS1またはN2核酸配列である、請求項103または104のいずれか1つに記載のキット。
【請求項106】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対、または前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、配列番号13~30または100~605のいずれか1つに記載される配列を含む、請求項98~105のいずれか1つに記載のキット。
【請求項107】
前記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対、または前記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な前記プライマー対は、配列番号13および配列番号14、配列番号18および配列番号19、配列番号20および配列番号21、配列番号24または25および配列番号26、配列番号29および配列番号30に記載される配列を含む、請求項98~105のいずれか1つに記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年4月6日に出願された米国仮出願第63/005,996号、2020年8月6日に出願された米国仮出願第63/062,406号、2021年1月12日に出願された米国仮出願第63/136,449号、2021年2月26日に出願された米国仮出願第63/154,571号の利益を主張するものであり、これらの文献はそれぞれ、引用によって全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明者および出願人は、2020年3月31日付けのOpen Covid Pledgeと一致するCOVID-19の感染爆発を終結させるという共通の目的を進める団体に、本明細書に記載される特定の主題を自由に許可する意向である。
【0003】
ウイルス性疾患およびウイルス性疾患の発生は、数千年にわたり人類を苦しめてきた。ウイルス性疾患の特定、監視、および指導の重要な部分は、ウイルス感染症について個体を効率的かつ正確に検査する能力である。COVID-19の原因となる新型コロナウイルスSARS-Cov-2は、2019年末に中国の武漢省で発生し、そこから2020年の前半にかけて、ウイルスは急速に世界中に広がり、医療システムを圧倒し、商業を麻痺させた。迅速で感度が高く、費用対効果の高い検査が求められている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、病原体感染症を抱える個体を診断する方法が記載されている。この方法は、PCRおよび配列決定を用いて、生体サンプルからのウイルスゲノムの高特異的かつ高感度な検出を達成する。そのような検出を可能にする本明細書に記載される方法の特徴には、1)精製または単離を行うことなく、溶解剤中または溶解条件の後に直接、逆転写および/または増幅を行うこと、2)対象となるウイルス配列を標的とするオリゴヌクレオチドプライマーにより増幅可能であるが、異なる区別可能な介在配列を含む合成核酸が、逆転写増幅混合物にスパイクされて存在して、より正確な定量化と低い検出閾値を可能にすること、3)次世代シーケンシングによる多重化を可能にするためにインデックスを行うこと含まれる。特定の実施形態では、病原体は、ウイルス感染症(例えば、SARS-CoV-2)である。本明細書の方法はさらに、1を超えるウイルス病原体を検出できるように多重化することができる(例えば、SARS-CoV-2とインフルエンザAまたはB、あるいはその両方)。
【0005】
本明細書には、一態様において、病原体感染症を抱える個体を診断する方法が記載されており、上記方法は、a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程と、a)上記個体からの上記生体サンプルを溶解剤と接触させて、溶解した生体サンプルを得る工程と、b)上記溶解した生体サンプルに対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅させた溶解した生体サンプルを得る工程であって、ここで、上記溶解した生体サンプルに対する上記PCR反応は、PCRプライマーの第1のセットを用いて行われ、PCRプライマーの上記第1のセットが病原体核酸配列を増幅する、工程と、c)次世代シーケンシングを用いて、上記PCR増幅させた溶解した生体サンプルを配列決定する工程と、d)病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出される場合、上記病原体感染症について陽性の診断を提供し、あるいは、病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出されない場合、上記個体について陰性の診断を提供する工程とを含む。特定の実施形態では、上記個体はヒト個体である。特定の実施形態では、上記病原体感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、およびそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、上記細菌感染症は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびそれらの組み合わせによる感染症である。特定の実施形態では、上記真菌感染症は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびそれらの組み合わせによる感染症である。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、DNAウイルスによる感染症である。特定の実施形態では、上記DNAウイルスは、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、または痘瘡、およびそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、RNAウイルスによる感染症である。特定の実施形態では、上記RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、またはオルソミクソウイルスを含む。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、コロナウイルス感染症である。特定の実施形態では、上記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である。特定の実施形態では、上記個体からの上記生体サンプルは、血液サンプル、血漿サンプル、血清サンプル、頬のスワブ、尿サンプル、精液サンプル、膣スワブ、便サンプル、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせによるものである。特定の実施形態では、上記個体からの上記生体サンプルは、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせに由来する。特定の実施形態では、上記方法は、合成核酸を上記溶解剤または上記溶解した生体サンプルに添加する工程を含む。特定の実施形態では、上記合成核酸はRNAである。特定の実施形態では、上記合成核酸はDNAである。特定の実施形態では、上記合成核酸は、PCRプライマーの上記第1のセットによって結合されるように構成された配列のセットを含む。特定の実施形態では、プライマーの上記第1のセットは、上記病原体核酸配列および上記合成核酸の両方を増幅する。特定の実施形態では、上記合成核酸配列は、上記病原体核酸配列と同一ではないヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本方法は、上記溶解した生体サンプルに逆転写反応を行う工程を含む。特定の実施形態では、上記逆転写反応は、上記ポリメラーゼ連鎖反応を行う前に行われる。特定の実施形態では、上記逆転写反応は、上記溶解した生体サンプルをそれ以上精製することなく行われる。特定の実施形態では、上記溶解した生体サンプルに対する上記逆転写反応は、ウイルスcDNAを産生する。特定の実施形態では、上記ウイルスcDNAは、コロナウイルスcDNAである。特定の実施形態では、上記コロナウイルスcDNAは、SARS-COV-2 cDNAである。特定の実施形態では、上記逆転写反応および上記PCRは、単一工程反応である。特定の実施形態では、上記PCRはエンドポイント分析である。特定の実施形態では、上記PCRはリアルタイムPCR反応ではない。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1セットは、コロナウイルス核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、上記コロナウイルス核酸配列は、SARS-COV-2核酸配列である。特定の実施形態では、上記SARS-COV-2核酸配列は、N1遺伝子またはS2遺伝子を含む。特定の実施形態では、本方法は、プライマーの第2のセットを含む。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒト核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、GAPDH、ACTB、RPP30、およびそれらの組み合わせから選択されるヒト核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒトRPP30を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、配列決定アダプター配列を有するプライマーと、配列決定アダプター配列を有していないプライマーの混合物を含む。特定の実施形態では、配列決定アダプター配列を有するプライマーと配列決定アダプター配列を有していないプライマーとの比は、約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4である。特定の実施形態では、上記PCRは30~45個の増幅サイクルを含む。特定の実施形態では、上記PCRは35~45個の増幅サイクルを含む。特定の実施形態では、上記PCRは39~42個の増幅サイクルを含む。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1のセット、PCRプライマーの上記第2のセット、またはPCRプライマーの上記第1のセットとPCRプライマーの上記第2のセットの両方は、可変ヌクレオチド配列を含む核酸配列を含んでいる。特定の実施形態では、上記可変ヌクレオチド配列は、上記個体に固有のサンプルIDである。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1のセット、PCRプライマーの上記第2のセット、またはPCRプライマーの上記第1のセットとPCRプライマーの上記第2のセットの両方は、次世代シーケンシング反応のためのアダプター配列を含む。特定の実施形態では、上記方法は、病原体ゲノムの10未満のコピーを検出することができる。特定の実施形態では、上記方法は、病原体ゲノムの5未満のコピーを検出することができる。特定の実施形態では、上記病原体ゲノムは、コロナウイルスゲノムである。特定の実施形態では、上記コロナウイルスゲノムは、SARS-COV-2ゲノムである。特定の実施形態では、上記PCRによってコロナウイルス配列が検出された場合のコロナウイルスの上記陽性診断は、SARS-COV-2診断である。特定の実施形態では、本方法は、コロナウイルスの菌株を判定する。特定の実施形態では、本方法は、COVID-19の菌株を判定する。
【0006】
本明細書には、病原体感染症を抱える個体を診断する方法も記載されており、上記方法は、(a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程と、(c)上記生体サンプルに対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅させた生体サンプルを得る工程であって、ここで、上記生体サンプルに対する上記PCR反応は、PCRプライマーの第1のセットを用いて行われ、PCRプライマーの上記第1のセットが病原体核酸配列を増幅する、工程と、(d)次世代シーケンシングを用いて、上記PCR増幅させた生体サンプルを配列決定する工程と、(e)病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出される場合、上記病原体感染症について陽性の診断を提供し、あるいは、病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出されない場合、上記個体について陰性の診断を提供する工程とを含む。特定の実施形態では、上記個体はヒト個体である。特定の実施形態では、上記病原体感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、およびそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、上記細菌感染症は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびそれらの組み合わせによる感染症である。特定の実施形態では、上記真菌感染症は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびそれらの組み合わせによる感染症である。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、DNAウイルスによる感染症である。特定の実施形態では、上記DNAウイルスは、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、または痘瘡、およびそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、RNAウイルスによる感染症である。特定の実施形態では、上記RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、またはオルソミクソウイルスを含む。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、コロナウイルス感染症である。特定の実施形態では、上記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である。特定の実施形態では、上記個体からの上記生体サンプルは、血液サンプル、血漿サンプル、血清サンプル、頬のスワブ、尿サンプル、精液サンプル、膣スワブ、便サンプル、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせによるものである。特定の実施形態では、上記個体からの上記生体サンプルは、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせに由来する。特定の実施形態では、本方法は、合成核酸を溶解剤または上記溶解した生体サンプルに添加する工程を含む。特定の実施形態では、上記合成核酸はRNAである。特定の実施形態では、上記合成核酸はDNAである。特定の実施形態では、上記合成核酸は、PCRプライマーの上記第1のセットによって結合されるように構成された配列のセットを含む。特定の実施形態では、プライマーの上記第1のセットは、上記病原体核酸配列および上記合成核酸の両方を増幅する。特定の実施形態では、上記合成核酸配列は、上記病原体核酸配列と同一ではないヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本方法は、上記生体サンプルに逆転写反応を行う工程を含む。特定の実施形態では、上記逆転写反応は、上記ポリメラーゼ連鎖反応を行う前に行われる。特定の実施形態では、上記逆転写反応は、上記生体サンプルをそれ以上精製することなく行われる。特定の実施形態では、上記生体サンプルに対する上記逆転写反応は、ウイルスcDNAを産生する。特定の実施形態では、上記ウイルスcDNAは、コロナウイルスcDNAである。特定の実施形態では、上記コロナウイルスcDNAは、SARS-COV-2 cDNAである。特定の実施形態では、上記逆転写反応および上記PCRは、単一工程反応である。特定の実施形態では、上記PCRはエンドポイント分析である。特定の実施形態では、上記PCRはリアルタイムPCR反応ではない。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1セットは、コロナウイルス核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、上記コロナウイルス核酸配列は、SARS-COV-2核酸配列である。特定の実施形態では、上記SARS-COV-2核酸配列は、N1遺伝子またはS2遺伝子を含む。特定の実施形態では、本方法は、プライマーの第2のセットを含む。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒト核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、GAPDH、ACTB、RPP30、およびそれらの組み合わせから選択されるヒト核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒトRPP30を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、配列決定アダプター配列を有するプライマーと、配列決定アダプター配列を有していないプライマーの混合物を含む。特定の実施形態では、配列決定アダプター配列を有するプライマーと配列決定アダプター配列を有していないプライマーとの比は、約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4である。特定の実施形態では、上記PCRは30~45個の増幅サイクルを含む。特定の実施形態では、上記PCRは35~45個の増幅サイクルを含む。特定の実施形態では、上記PCRは39~42個の増幅サイクルを含む。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1のセット、PCRプライマーの上記第2のセット、またはPCRプライマーの上記第1のセットとPCRプライマーの上記第2のセットの両方は、可変ヌクレオチド配列を含む核酸配列を含んでいる。特定の実施形態では、上記可変ヌクレオチド配列は、上記個体に固有のサンプルIDである。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1のセット、PCRプライマーの上記第2のセット、またはPCRプライマーの上記第1のセットとPCRプライマーの上記第2のセットの両方は、次世代シーケンシング反応のためのアダプター配列を含む。特定の実施形態では、上記方法は、病原体ゲノムの10未満のコピーを検出することができる。特定の実施形態では、上記方法は、病原体ゲノムの5未満のコピーを検出することができる。特定の実施形態では、上記病原体ゲノムは、コロナウイルスゲノムである。特定の実施形態では、上記コロナウイルスゲノムは、SARS-COV-2ゲノムである。特定の実施形態では、上記PCRによってコロナウイルス配列が検出された場合のコロナウイルスの上記陽性診断は、SARS-COV-2診断である。特定の実施形態では、本方法は、コロナウイルスの菌株を判定する。特定の実施形態では、本方法は、COVID-19の菌株を判定する。
【0007】
本明細書において、別の態様では、病原体感染症を抱える個体を診断する方法が記載され、本方法は、PCRプライマーの第1のセットを使用して上記個体からの生体サンプルから核酸を増幅する工程であって、それによって増幅された核酸を得る工程を含み、上記PCRプライマーの第1セットは、上記生体サンプルから病原体核酸配列および合成核酸配列を増幅し、上記合成核酸配列は、上記病原体核酸配列と少なくとも1つのヌクレオチドで異なる。特定の実施形態では、上記個体はヒト個体である。特定の実施形態では、上記病原体感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、または真菌感染症を含む。特定の実施形態では、上記細菌感染症は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびそれらの組み合わせによる感染症である。特定の実施形態では、上記真菌感染症は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびそれらの組み合わせによる感染症である。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、DNAウイルスによる感染症である。特定の実施形態では、上記DNAウイルスは、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、痘瘡、またはそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、RNAウイルスによる感染症である。特定の実施形態では、上記RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、またはオルソミクソウイルスを含む。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、コロナウイルス感染症である。特定の実施形態では、上記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である。特定の実施形態では、上記個体からの上記生体サンプルは、血液サンプル、血漿サンプル、血清サンプル、頬のスワブ、尿サンプル、精液サンプル、膣スワブ、便サンプル、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせによるものである。特定の実施形態では、上記個体からの上記生体サンプルは、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせに由来する。特定の実施形態では、上記合成核酸はRNAである。特定の実施形態では、上記合成核酸はDNAである。特定の実施形態では、上記合成核酸は、PCRプライマーの上記第1のセットによって結合されるように構成された配列のセットを含む。特定の実施形態では、上記合成核酸配列は、上記病原体核酸配列と少なくとも5つのヌクレオチドで異なる。特定の実施形態では、上記病原体感染症は、合成核酸配列と病原体核酸配列の比に基づいて診断される。特定の実施形態では、本方法は、上記生体サンプルに由来する上記核酸に逆転写反応を行う工程を含む。特定の実施形態では、上記生体サンプルに由来する上記核酸に対する上記逆転写反応は、コロナウイルスcDNAを産生する。特定の実施形態では、上記コロナウイルスcDNAは、SARS-COV-2 cDNAである。特定の実施形態では、増幅核酸の上記増幅はPCR反応を含む。特定の実施形態では、上記PCR反応はエンドポイント分析である。特定の実施形態では、上記PCR反応はリアルタイムPCR反応ではない。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1セットは、コロナウイルス核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、上記コロナウイルス核酸配列は、SARS-COV-2核酸配列である。特定の実施形態では、上記SARS-COV-2核酸配列は、N1遺伝子またはS2遺伝子を含む。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1のセットは、可変ヌクレオチド配列を含む核酸配列を含んでいる。特定の実施形態では、上記可変ヌクレオチド配列は、上記個体に固有のサンプルIDである。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1のセットは、次世代シーケンシング反応のためのアダプター配列を含む。特定の実施形態では、本方法は、PCRプライマーの第2のセットを用いて上記生体サンプルから核酸を増幅する工程を含み、ここで、PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒト核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、GAPDH、ACTB、RPP30、およびそれらの組み合わせから選択される核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒトRPP30を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、配列決定アダプター配列を有するプライマーと、配列決定アダプター配列を有していないプライマーの混合物を含む。特定の実施形態では、配列決定アダプター配列を有するプライマーと配列決定アダプター配列を有していないプライマーとの比は、約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4である。特定の実施形態では、上記PCRは30~45個の増幅サイクルを含む。特定の実施形態では、上記PCRは35~45個の増幅サイクルを含む。特定の実施形態では、上記PCRは39~42個の増幅サイクルを含む。特定の実施形態では、PCRプライマーの第2のセットは、可変ヌクレオチド配列を含む核酸配列を含んでいる。特定の実施形態では、上記可変ヌクレオチド配列は、上記個体に固有のサンプルIDである。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、次世代シーケンシング反応のためのアダプター配列を含む。特定の実施形態では、上記生体サンプルからの増幅核酸の配列決定は、次世代シーケンシング技術を使用する。特定の実施形態では、上記方法は、病原体ゲノムの10未満のコピーを検出することができる。特定の実施形態では、上記方法は、病原体ゲノムの5未満のコピーを検出することができる。特定の実施形態では、上記病原体ゲノムは、コロナウイルスゲノムである。特定の実施形態では、上記病原体ゲノムは、SARS-COV-2ゲノムである。特定の実施形態では、本方法は、コロナウイルスの菌株を判定する。特定の実施形態では、本方法は、SARS-COV-2の菌株を判定する。
【0008】
本明細書において、別の態様では、5’近位領域、3’近位領域、および介在核酸配列を含む合成核酸も記載されている。特定の実施形態では、上記合成核酸はRNAを含む。特定の実施形態では、上記合成核酸はDNAを含む。特定の実施形態では、上記5’近位領域はウイルス核酸配列を含む。特定の実施形態では、上記ウイルス核酸配列はコロナウイルス配列を含む。特定の実施形態では、上記ウイルス核酸配列は、SARS-COV-2配列を含む。特定の実施形態では、上記3’近位領域はウイルス核酸配列を含む。特定の実施形態では、上記ウイルス核酸配列はコロナウイルス配列を含む。特定の実施形態では、上記ウイルス核酸配列は、SARS-COV-2配列を含む。特定の実施形態では、上記5’近位領域、上記3’近位領域、または上記5’近位領域と上記3’近位領域の両方は、長さが約30ヌクレオチド未満である。特定の実施形態では、上記5’近位領域、上記3’近位領域、または上記5’近位領域と上記3’近位領域の両方は、長さが約25ヌクレオチド未満である。特定の実施形態では、上記5’近位領域、上記3’近位領域、または上記5’近位領域と上記3’近位領域の両方は、長さが約20ヌクレオチド未満である。特定の実施形態では、上記5’近位領域は、上記合成核酸の5’末端にある。特定の実施形態では、上記3’近位領域は、上記合成核酸の3’末端にある。特定の実施形態では、上記介在核酸配列は、ウイルス核酸配列と約99%、98%、97%、95%、90%、85%、80%、または75%未満同一である。特定の実施形態では、上記合成核酸配列はコロナウイルス配列である。特定の実施形態では、上記合成核酸配列はSARS-COV-2配列である。特定の実施形態では、合成核酸は、上記個体の病原体感染症を検出する方法で使用するためのものである。特定の実施形態では、上記病原体感染症は、コロナウイルス感染症である。特定の実施形態では、上記ウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である。
【0009】
別の態様では、第1の核酸配列と第2の核酸配列を含む合成核酸分子を含む組成物が本明細書に記載され、ここで、(1)第1の核酸配列は、病原体核酸分子からの配列と同一であり、(2)第2の核酸配列は、病原体核酸分子からの配列と同一ではない。特定の実施形態では、第1の核酸配列は、第2の核酸配列の3’に位置する。特定の実施形態では、合成核酸分子は、第3の核酸配列をさらに含み、ここで、第3の核酸配列は、病原体核酸分子からの第2の配列と同一である。特定の実施形態では、第3の核酸配列は、第2の核酸配列の5’にある。特定の実施形態では、第1の核酸配列または第3の核酸配列は、5、10、15、20、25、または30ヌクレオチド未満である。特定の実施形態では、第2の核酸配列は、25、50、100、150、200、または500ヌクレオチド未満のヌクレオチド総数を含む。特定の実施形態では、第2の核酸配列は、25、50、100、150、200、または500ヌクレオチドよりも大きいヌクレオチド総数を含む。特定の実施形態では、合成核酸分子は、リボ核酸(RNA)分子、デオキシリボ核酸(DNA)分子、またはRNA-DNAハイブリッド分子である。特定の実施形態では、第1の核酸配列、第3の核酸配列、または第1の核酸配列と第3の核酸配列の両方が、プライマー結合部位を含む。特定の実施形態では、組成物は、病原体核酸分子をさらに含む。特定の実施形態では、病原体核酸分子は病原体に由来し、病原体は、細菌、ウイルス、真菌、またはそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、細菌は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびそれらの組み合わせに由来する。特定の実施形態では、真菌は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびそれらの組み合わせである。特定の実施形態では、ウイルスはDNAウイルスである。特定の実施形態では、DNAウイルスは、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、または痘瘡、およびそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、ウイルスはRNAウイルスである。特定の実施形態では、RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、またはオルソミクソウイルスを含む。特定の実施形態では、ウイルスはコロナウイルスである。特定の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-COV-2ウイルスである。特定の実施形態では、組成物は複数のプライマーをさらに含み、ここで、複数のプライマーの1つのプライマーは、合成核酸分子の配列または病原体核酸分子の配列にハイブリダイズするように構成される。特定の実施形態では、合成核酸分子の配列と病原体核酸分子の配列は同一である。特定の実施形態では、合成核酸分子は、病原体核酸分子と同じ効率で増幅される。特定の実施形態では、合成核酸分子は、病原体核酸分子の増幅産物と同じサイズまたは10塩基対以内のサイズの増幅産物を作成するように構成される。
【0010】
別の態様では、病原体感染症を抱える個体を診断する方法も本明細書に記載されており、上記方法は、(a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程と、(b)上記個体からの上記生体サンプルを溶解剤と接触させて、溶解した生体サンプルを得る工程と、(c)上記溶解した生体サンプルに対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅させた溶解した生体サンプルを得る工程であって、ここで、上記溶解した生体サンプルに対する上記PCR反応は、PCRプライマーの第1のセットを用いて行われ、PCRプライマーの上記第1のセットが病原体核酸配列を増幅する、工程と、(d)次世代シーケンシングを用いて、上記PCR増幅させた溶解した生体サンプルを配列決定する工程と、(e)病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出される場合、上記病原体感染症について陽性の診断を提供し、あるいは、病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出されない場合、上記個体について陰性の診断を提供する工程とを含む。
【0011】
別の態様では、異なる核酸配列を有する複数の合成核酸を含む組成物が本明細書に記載され、異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、病原体核酸配列と同一の共通の5’配列、病原体核酸配列と同一の共通の3’配列、および複数の配列間で異なる介在配列を含む。特定の実施形態では、異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、一本鎖である。特定の実施形態では、異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、二本鎖である。特定の実施形態では、異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、RNAからなるか、またはRNAを含む。特定の実施形態では、異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、DNAからなるか、またはDNAを含む。特定の実施形態では、病原体核酸配列と同一の上記共通の5’配列は、30ヌクレオチド以下である。特定の実施形態では、病原体核酸配列と同一の上記共通の3’配列は、30ヌクレオチド以下である。特定の実施形態では、上記介在配列は50ヌクレオチド以下である。特定の実施形態では、上記介在配列は30ヌクレオチド以下である。特定の実施形態では、病原体核酸配列は、細菌病原体、真菌病原体、またはウイルス病原体に由来する。特定の実施形態では、上記細菌病原体は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびそれらの組み合わせのものである。特定の実施形態では、上記真菌病原体は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびそれらの組み合わせである。特定の実施形態では、上記ウイルス病原体はDNAウイルスである。特定の実施形態では、上記DNAウイルスは、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、または痘瘡、およびそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、上記ウイルス病原体はRNAウイルスである。特定の実施形態では、上記RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、オルソミクソウイルス、またはそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、上記ウイルス病原体は、コロナウイルスである。特定の実施形態では、上記コロナウイルスは、SARS-COV-2である。特定の実施形態では、上記病原体核酸配列は、コロナウイルスのスパイクタンパク質をコードする核酸配列である。特定の実施形態では、異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、S2_001、S2_002、S2_003、およびS2_004のいずれか1つ以上から選択される配列を含むか、または上記配列からなる。特定の実施形態では、組成物は、病原体による感染を診断または検出する方法において使用するためのものである。特定の実施形態では、組成物は、病原体次世代配列リードを正規化する方法において使用するためのものである。
【0012】
本明細書では、個体におけるコロナウイルス感染症を検出する方法であって、上記方法は、(a)上記個体から生体サンプルを提供する工程であって、上記生体サンプルがコロナウイルス合成RNAを含み、上記コロナウイルス合成RNAの配列が、自然発生のコロナウイルス核酸配列とは異なる、工程と、(b)上記生体サンプルを溶解して、それによって溶解した生体サンプルを生成する工程と、(c)上記溶解した生体サンプルに対して逆転写反応を行い、溶解し逆転写された生体サンプルを得る工程と、(d)上記溶解し逆転写された生体サンプル上で増幅反応を行い、増幅された生体サンプルを得る工程であって、上記溶解し逆転写された生体サンプル上の上記増幅反応は、コロナウイルス核酸配列に特異的なコロナウイルスプライマーのセットを用いて行われ、上記コロナウイルスプライマーのセットが、上記コロナウイルス核酸配列および上記コロナウイルス合成RNAを増幅する、工程と、e)次世代シーケンシングを使用して、上記増幅された生体サンプルを配列決定する工程とを含む。特定の実施形態では、上記方法は、上記コロナウイルス核酸配列の配列リードが検出される場合に、コロナウイルス感染症について陽性の診断を提供する工程をさらに含む。
【0013】
特定の実施形態では、上記コロナウイルス感染症は、SARS-Cov-2感染症である。特定の実施形態では、上記コロナウイルス感染症またはSARS-Cov-2感染症について上記陽性診断を提供する工程は、上記コロナウイルス核酸配列からの上記配列リード対上記コロナウイルス合成RNAの配列リードの比またはその数学的等価物が、約0.1の比を超える場合に、提供される。特定の実施形態では、コロナウイルス感染症に対して上記陽性診断を提供する工程は、上記コロナウイルス核酸からの上記配列リードと上記コロナウイルス合成RNAの上記配列リードが約100を超える場合に、提供される。特定の実施形態では、上記溶解した生体サンプルは、上記逆転写反応を行う前に単離または精製されない。特定の実施形態では、上記生体サンプルの溶解および上記溶解した生体サンプルに対する上記逆転写反応の実行は、同じウェル、チューブ、または反応容器内で行われる。特定の実施形態では、上記生体サンプルの溶解は、熱溶解を含む。特定の実施形態では、上記熱溶解は、上記生体サンプルを少なくとも約50℃の温度に加熱することを含む。特定の実施形態では、上記個体からの上記生体サンプルは、複数のコロナウイルス合成RNA配列を含み、ここで、上記複数のコロナウイルス合成RNA配列は、少なくとも2つの異なる合成コロナウイルスRNA配列を含む。特定の実施形態では、上記複数の合成コロナウイルスRNA配列は、少なくとも4つの異なる合成コロナウイルスRNA核酸配列を含む。特定の実施形態では、上記合成RNA核酸または上記複数の合成核酸は、約20%~約30%の量のグアニンヌクレオチド、約20%~約30%の量のアデニンヌクレオチド、約20%~約30%の量のシトシンヌクレオチド、約20%~約30%の量のウラシルヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、上記合成コロナウイルスRNA核酸または上記複数の合成コロナウイルスRNA核酸は、ほぼ等しい比でグアニンとシトシンとアデニンとウラシルとを含む。特定の実施形態では、上記合成コロナウイルスRNA核酸または上記複数の合成コロナウイルスRNA核酸は、合成SARS-Cov-2RNA核酸または複数の合成SARS-Cov-2RNA核酸を含む。特定の実施形態では、本方法は、インフルエンザA感染、インフルエンザB感染、またはそれらの組み合わせを検出する工程をさらに含む。特定の実施形態では、上記溶解した生体サンプルに対する上記増幅反応は、インフルエンザA核酸配列に特異的なインフルエンザAプライマーのセット、またはインフルエンザB核酸配列に特異的なインフルエンザBプライマーのセットを用いて行われる。特定の実施形態では、上記インフルエンザA核酸配列に特異的な上記インフルエンザAプライマーのセットは、配列番号24または25、および配列番号26、あるいは配列番号27および配列番号28に記載される配列を含む。特定の実施形態では、上記インフルエンザB核酸配列に特異的な上記インフルエンザBプライマーのセットは、配列番号29または30に記載される配列を含む。特定の実施形態では、上記溶解した生体サンプルに対する上記増幅反応は、インフルエンザA核酸配列に特異的なインフルエンザAプライマーのセット、およびインフルエンザB核酸配列に特異的なインフルエンザBプライマーのセットを用いて行われる。特定の実施形態では、上記個体からの上記生体サンプルは、インフルエンザA合成RNA、インフルエンザB合成RNA、またはそれらの組み合わせをさらに含み、ここで、上記インフルエンザA合成RNA、上記インフルエンザB合成RNA、または上記それらの組み合わせは、自然発生のインフルエンザAまたはインフルエンザBの核酸配列とは異なる。特定の実施形態では、本方法は、インフルエンザAからの配列リード対上記インフルエンザA合成RNAの配列リードの比またはその数学的等価物が約0.1の比を超える場合に、インフルエンザA感染について陽性診断を提供する工程をさらに含む。特定の実施形態では、上記方法は、上記インフルエンザAからの配列リード対上記インフルエンザB合成RNAの配列リードとの比またはその数学的等価物が約0.1の比を超える場合に、インフルエンザB感染について陽性診断を提供する工程をさらに含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルス核酸配列は、N1配列、S2配列、またはそれらの組み合わせである。特定の実施形態では、上記コロナウイルス核酸配列は、SARS-Cov-2 N1配列、SARS-Cov-2 S2配列、またはそれらの組み合わせである。特定の実施形態では、上記コロナウイルスプライマーのセットは、配列番号13および配列番号14、または配列番号18および配列番号19に記載される配列を含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルスプライマーのセットは、配列番号20および配列番号21、または配列番号22および配列番号23に記載される配列を含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルスプライマーのセットは、約50ナノモル~約250ナノモルの濃度で存在する。特定の実施形態では、上記コロナウイルスプライマーのセットは、約100ナノモルの濃度で存在する。特定の実施形態では、上記インフルエンザA核酸配列は、インフルエンザAマトリックス配列、インフルエンザA非構造タンパク質1配列、インフルエンザAヘマグルチニン配列、インフルエンザAノイラミニダーゼ配列、インフルエンザA核タンパク質配列、およびそれらの組み合わせである。特定の実施形態では、上記インフルエンザB核酸配列は、インフルエンザBマトリックス配列、インフルエンザB非構造タンパク質1配列、インフルエンザBヘマグルチニン配列、インフルエンザBノイラミニダーゼ配列、インフルエンザB核タンパク質配列、およびそれらの組み合わせである。特定の実施形態では、上記コロナウイルスプライマーのセット、上記インフルエンザAプライマーのセット、または上記インフルエンザBプライマーのセットのいずれか1つ以上は、サンプル多重化を可能にする1つ以上のインデックス配列を含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルス合成RNAは、配列番号1~12のいずれか1つに記載される配列のいずれか1つ以上と少なくとも約90%相同な核酸配列を含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルス合成RNAは、配列番号1~12のいずれか1つに記載される配列のいずれか1つ以上と少なくとも約90%相同な複数の異なる核酸配列を含む。特定の実施形態では、上記インフルエンザA合成RNAは、配列番号31または32のいずれか1つに記載される配列のいずれか1つ以上と少なくとも約90%相同なRNA配列を含む。特定の実施形態では、上記インフルエンザB合成RNAは、配列番号33に記載される配列と少なくとも約90%相同なRNA配列を含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルス合成RNAは、配列番号1~4に記載される4つの配列と少なくとも約90%相同な複数の4つの異なる核酸配列を含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルス合成RNA、上記インフルエンザA合成RNA、または上記インフルエンザB合成RNAは、約10コピー/反応~約500コピー/反応の濃度で存在する。特定の実施形態では、上記コロナウイルス合成RNAは、約10コピー/反応~約500コピー/反応の濃度で存在する。特定の実施形態では、上記コロナウイルス合成RNA、上記インフルエンザA合成RNA、または上記インフルエンザB合成RNAは、約200コピー/反応の濃度で存在する。特定の実施形態では、上記コロナウイルス合成RNAは、約200コピー/反応の濃度で存在する。特定の実施形態では、上記生体サンプルは、鼻腔スワブまたは唾液サンプルを含んでいる。特定の実施形態では、上記生体サンプルは、個体の約10マイクロリットル未満の唾液、または個体の鼻腔スワブで接種した約10マイクロリットル未満の緩衝液を含む。特定の実施形態では、上記生体サンプルは、鼻腔スワブで接種された約10マイクロリットル未満の緩衝液を含む。特定の実施形態では、上記溶解した生体サンプルに対する上記増幅反応は、サンプル対照に特異的なプライマー対を用いて行われる。特定の実施形態では、上記サンプル対照はハウスキーピング遺伝子である。特定の実施形態では、上記サンプル対照に特異的な上記プライマー対はRPP30に特異的である。特定の実施形態では、上記サンプル対照に特異的な上記プライマー対は、配列番号15または16、および配列番号17に記載される配列を含む。
【0014】
本明細書では、ウイルスからの第1のヌクレオチド配列を含む5’近位領域と、上記ウイルスからの第2のヌクレオチド配列を含む3’近位領域と、介在ヌクレオチド配列とを含む合成核酸が記載され、上記介在ヌクレオチド配列は、約20%~約30%の割合のグアニンヌクレオチド、約20%~約30%の量のアデニンヌクレオチド、約20%~約30%の量のシトシンヌクレオチド、約20%~約30%の量のウラシまたはチミジンヌクレオチドを含み、上記介在配列はウイルスの自然発生配列とは異なる。特定の実施形態では、上記合成核酸はDNAを含む。特定の実施形態では、上記合成核酸はDNAからなる。特定の実施形態では、上記合成核酸はRNAを含む。特定の実施形態では、上記合成核酸はRNAからなる。特定の実施形態では、上記ウイルスは、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、またはコロナウイルスである。特定の実施形態では、上記ウイルスはコロナウイルスである。特定の実施形態では、上記コロナウイルスはSARS-COV-2である。特定の実施形態では、上記介在ヌクレオチド配列核酸は、ほぼ等しい比でグアニンとシトシンとアデニンとウラシルまたはチミジンヌクレオチドとを含む。特定の実施形態では、上記3’近位領域および上記5’近位領域は、コロナウイルスS2遺伝子配列と少なくとも90%相同なヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、上記5’近位領域および上記3’近位領域は、コロナウイルスS2遺伝子配列と少なくとも95%相同なヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、上記5’近位領域および上記3’近位領域は、コロナウイルスS2遺伝子配列と同一のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、上記5’近位領域および上記3’近位領域は、コロナウイルスN1遺伝子配列と少なくとも90%相同なヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、上記5’近位領域および上記3’近位領域は、コロナウイルスN1遺伝子配列と少なくとも95%相同なヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、上記5’近位領域および上記3’近位領域は、コロナウイルスN1遺伝子配列と同一のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルスN1遺伝子配列または上記コロナウイルスS2遺伝子配列は、SARS-CoV-2遺伝子配列である。特定の実施形態では、上記配列核酸は、配列番号1~12のいずれか1つに記載のいずれか1つ以上の配列と少なくとも90%相同である配列を含む。特定の実施形態では、上記配列核酸は、配列番号1~12のいずれか1つに記載の任意の1つ以上の配列と少なくとも95%相同な配列を含む。特定の実施形態では、上記配列核酸は、配列番号1~12のいずれか1つに記載のいずれか1つ以上の配列と同一である配列を含む。特定の実施形態では、複数の合成核酸が本明細書に記載され、上記複数の合成核酸は、少なくとも2つの異なるヌクレオチド配列を含む合成核酸を含む。特定の実施形態では、上記複数の合成核酸は、少なくとも2つの異なるヌクレオチド配列を含む合成核酸を含む。特定の実施形態では、上記複数の合成核酸は、少なくとも4つの異なるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、上記4つの異なるヌクレオチド配列は、配列番号1~4に記載されるものである。特定の実施形態では、上記4つの異なるヌクレオチド配列は、配列番号5~12に記載されるものから選択される。
【0015】
生体サンプル中のウイルス核酸の存在または不在を判定するための反応混合物が本明細書に記載され、上記反応混合物は、本明細書に記載される合成核酸または本明細書に記載される複数の合成核酸、上記生体サンプルの少なくとも一部、および、存在する場合、上記生体サンプル中の上記ウイルス核酸を増幅するのに十分な1つ以上の酵素または試薬を含む。特定の実施形態では、上記生体サンプルは、ヒト生体サンプルである。特定の実施形態では、上記生体サンプルは、唾液、頬のスワブ、鼻咽頭スワブ、または中鼻甲介スワブを含む。特定の実施形態では、上記生体サンプルは、唾液または鼻咽頭スワブを含む。特定の実施形態では、上記ウイルス核酸は、インフルエンザA核酸、インフルエンザB核酸、またはコロナウイルス核酸である。特定の実施形態では、上記コロナウイルス核酸は、Sars-Cov-2核酸である。特定の実施形態では、上記1つ以上の試薬は、逆転写酵素、dNTP、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、マグネシウム塩、およびそれらの組み合わせからなるリストから選択される。特定の実施形態では、上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、ヒトヌクレオチド配列に特異的である。特定の実施形態では、上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、ハウスキーピング遺伝子に特異的である。特定の実施形態では、上記サンプル対照に特異的な上記プライマー対はRPP30に特異的である。特定の実施形態では、上記サンプル対照に特異的な上記プライマー対は、配列番号15または16、および配列番号17に記載される配列を含む。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、インフルエンザAヌクレオチド配列、インフルエンザBヌクレオチド配列、およびコロナウイルスヌクレオチド配列に特異的である。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、コロナウイルスS1またはN2配列に特異的である。特定の実施形態では、上記コロナウイルスS1またはN2配列は、コロナウイルスS1またはN2核酸配列である。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、配列番号13~30または100~605のいずれか1つに記載される配列を含む。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、配列番号13および配列番号14、配列番号18および配列番号19、配列番号20および配列番号21、配列番号24または25および配列番号26、配列番号29および配列番号30に記載される配列を含む。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、約50マイクロモル~約250マイクロモルの濃度で存在する。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、約100マイクロモルの濃度で存在する。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、約200マイクロモルの濃度で存在する。特定の実施形態では、上記コロナウイルス合成RNAは、約10コピー/反応~約500コピー/反応混合物の濃度で存在する。特定の実施形態では、上記コロナウイルス合成RNAは、約200コピー/反応混合物の濃度で存在する。特定の実施形態では、上記反応混合物の体積は、約10マイクロリットル~約100マイクロリットルである。特定の実施形態では、上記反応混合物の体積は、約20マイクロリットルである。
【0016】
生体サンプル中のウイルス核酸の存在または不在を判定するためのキットも本明細書に記載され、上記キットは、本明細書に記載される合成核酸または本明細書に記載される複数の合成核酸、および、上記生体サンプルから上記ウイルス核酸を増幅するのに十分な1つ以上の酵素または試薬を含む。特定の実施形態では、上記ウイルス核酸は、インフルエンザA核酸、インフルエンザB核酸、またはコロナウイルス核酸である。特定の実施形態では、上記コロナウイルス核酸はコロナウイルス核酸である。特定の実施形態では、上記1つ以上の試薬は、逆転写酵素、dNTP、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、マグネシウム塩、およびそれらの組み合わせからなるリストから選択される。特定の実施形態では、上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、ヒトヌクレオチド配列に特異的である。特定の実施形態では、上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、ハウスキーピング遺伝子に特異的である。特定の実施形態では、上記サンプル対照に特異的な上記プライマー対はRPP30に特異的である。特定の実施形態では、上記サンプル対照に特異的な上記プライマー対は、配列番号15または16、および配列番号17に記載される配列を含む。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、インフルエンザAヌクレオチド配列、インフルエンザBヌクレオチド配列、およびコロナウイルスヌクレオチド配列に特異的である。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、コロナウイルスS1またはN2配列に特異的である。特定の実施形態では、上記コロナウイルスS1またはN2配列は、コロナウイルスS1またはN2核酸配列である。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、配列番号13~30または100~605のいずれか1つに記載される配列を含む。特定の実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、配列番号13および配列番号14、配列番号18および配列番号19、配列番号20および配列番号21、配列番号24または25および配列番号26、配列番号29および配列番号30に記載される配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書に記載される新規な特徴はとりわけ、添付の特許請求の範囲内に明記される。本明細書に記載される特徴の原則が用いられている例示的な例を説明する以下の詳細な記載、および以下の添付図面を参照することで、本明細書に記載されている、特徴およびの特徴の利点がより良く理解されるであろう。
図1】ウイルス感染症の診断の例示的な概略図を例示する。
図2A】サンプル中のSARS-CoV-2核酸の検出を実証するデータを例示する。
図2B】サンプル中のSARS-CoV-2核酸の検出を実証するデータを例示する。
図3】本開示にかかる例示的なプライミングスキームを例示する。
図4】COVID19のためのSwabSeq診断検査プラットフォームを例示する。
図5】臨床検体の検証を示し、高感度なRT-qPCR反応と同等の検出限界を実証する。
図6】配列決定ライブラリー設計を示す。
図7】COVID-19アンプリコンおよび合成S2スパイクを増幅する際にS2プライマーが同等のPCR効率を示すことを示している。
図8】非常に高いウイルス濃度では、SwabSeqが直線性を維持することを示す。
図9】MiSeqまたはNextSeq Machineで実施された配列決定が同様の感度を呈することを示す。
図10】NextSeq550を使用するRNA精製サンプルについての予備的および確認的な検出限界データを示す。
図11】従来の採取媒体および緩衝液への抽出不要なプロトコルが、RTおよびPCR阻害の影響を克服するために希釈を必要とすることを示している。
図12】1日当たり数千のサンプルへのスケーラブルな検査を可能にする、軽量サンプルの受け入れ、採取、および処理システムの例示的な開発を示している。
図13】唾液を95℃に30分間予熱することでRT-PCRが改善されることを示している。
図14】PCR阻害が増幅産物に有意な影響を与えることを示している。
図15】PCRサイクルの数を増加させ、未精製または阻害サンプルタイプ(例えば、唾液)で動作するtapestationが、ライブラリー調製における非特異的ピークのサイズを増加させることが見られることを示している。
図16】TaqPathが、NEB Lunaと比較して、SARS-CoV2-陰性サンプルにおけるS2リードの数を減少させることを示している。
図17】MiSeqにおける鋳型ラインからのキャリーオーバー汚染が相互汚染に寄与することを示している。
図18】アンプリコンリードにおける配列決定エラーおよび潜在的なアンプリコンミスアサイメント(mis-assignment)を示す。
図19】異なるインデックス付け戦略の視覚化を示す。
図20】混合モデルを使用するインデックスミスアサイメントに対する計算上の補正を示す。
図21】S2リードにおけるノイズ源としてのインデックスミスアサイメントの役割を定量化することを示している。
図22】プライマー二量体および非特異的増幅産物に対するプライマー濃度低下の効果を示す。
図23】多様化した合成核酸スパイクイン配列を示す。
図24】N1スパイクイン(上)またはS2スパイクイン(下)で得られたデータ、および異なるアンプリコンN1(上)またはS2(下)の検出を示す。
図25】N1およびS2を組み合わせることにより、どちらか一方を個別に検出する場合と比較して、SARS-CoV2-検出の感度を増加させることができることを示している。
図26】異なる体積の唾液サンプルを用いた検出の結果を示す。
図27】異なる体積の鼻腔スワブサンプルを使用した検出の結果を示す。
図28】SwabSeqがインフルエンザAまたはインフルエンザBを検出できることを示す。
図29】陽性および陰性サンプルを呼び出すための例示的なアルゴリズムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
伝染力の強い疾患または病原性の高い疾患の発生頻度が高まっている。世界の死亡者の3分の1は感染症に起因しており、感染症は世界の死亡および身体障害の第2の原因である。人間の病気を引き起こす感染症を特定および診断するための迅速で正確な読み出しを得ることは、効果的な公衆衛生対応を実施し、かつ、人間の医療の提供を改善するために、特にウイルス感染症の場合には、診断医学の重要な要素である。ウイルス感染症を検出するための多数の方法が、臨床診断目的のために開発されているが、これらの検査のほとんどは、十分に迅速または高スループットな読み出しを提供せず、および/または急増する対象を迅速に検査することに関連するリソース負荷のために実現可能ではない。
【0019】
さらに、ウイルス感染症を抱える個体を診断する方法およびシステムが本明細書で提供される。本明細書に記載されるようなこうした方法およびシステムは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ライブラリー調製戦略、および次世代シーケンシングを活用して、ウイルス感染を正確に特定する読み出しまたは情報をもたらし、増加する対象を効率的に検査する必要性に伴う課題を満たすために効果的に拡張することができる。サンプル内のウイルス感染症の特定および診断を促進するために、本方法は、(1)ウイルスからの核酸配列の効果的かつ効率的な単離、(2)ウイルスに対応するまたはウイルスに由来する核酸分子の効果的かつ効率的な処理、および(3)複数のサンプルを並行して検査でき、検査の全体的なリソース負荷を軽減するサンプルの効果的かつ効率的な多重化における進歩または解決策を提供する。
【0020】
本明細書では、サンプル中の病原体ゲノムを検出する方法が記載され、上記方法は、増幅核酸を得るPCRプライマーの第1のセットを用いてサンプルから核酸を増幅する工程であって、PCRプライマーの上記第1のセットが、ウイルス核酸配列と合成核酸配列とを増幅する、工程を含む。合成核酸配列は、合成核酸を用いない増幅と比較して、検出限界を低くすることを可能にするアッセイにおいてサンプルと増幅対照を提供する。合成核酸は、生体サンプルに接触させた溶解物に添加する(「スパイクする」)ことができ、または、合成核酸は溶解緩衝液を生体サンプルに接触させる前に、溶解緩衝液中に存在することもできる。サンプルは生体サンプルであってもよい。生体サンプルは個体から得ることができる。合成核酸は、途中の任意の工程で添加することができる。1つを超える合成核酸を本明細書に記載される方法で使用することができる。例えば、1つの合成核酸は、1つ以上のウイルス核酸の対照として機能することができ、1つの合成核酸は、1つ以上のヒト核酸の対照(例えば、ハウスキーピング対照)として機能することができ、または、例えば、複数の合成核酸は、複数の病原体配列の対照として機能するように添加することができる。
【0021】
さらに、本明細書には、5’近位領域、3’近位領域、および介在核酸配列を含む合成核酸が記載されている。合成核酸は、5’末端と3’末端の間の配列が配列決定により区別可能であることを条件として、病原体配列の増幅を可能にする任意の配列を5’末端と3’末端に含むことができる。特定の実施形態では、5’末端と3’末端の間の配列は、病原体配列とは異なる1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの配列を除いて、病原体配列と同一である。
【0022】
さらに、本明細書には、5’近位領域、3’近位領域、および介在核酸配列を含む合成核酸が記載されている。合成核酸は、5’末端と3’末端の間の配列が配列決定により区別可能であることを条件として、病原体配列の増幅を可能にする任意の配列を5’末端と3’末端に含むことができる。特定の実施形態では、5’末端と3’末端の間の配列は、病原体配列とは異なる1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの配列を除いて、病原体配列と同一である。
【0023】
本明細書では、個体におけるコロナウイルス感染症を検出する方法も記載されており、上記方法は、(a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程であって、上記生体サンプルがコロナウイルス合成RNAを含み、上記コロナウイルス合成RNAの配列が、自然発生のコロナウイルス核酸配列とは異なる、工程と、(b)上記生体サンプルを溶解して、それによって溶解した生体サンプルを生成する工程と、(c)上記溶解した生体サンプルに対して逆転写反応を行い、溶解し逆転写された生体サンプルを得る工程と、(d)上記溶解し逆転写された生体サンプル上で増幅反応を行い、増幅された生体サンプルを得る工程であって、上記溶解し逆転写された生体サンプル上の上記増幅反応は、コロナウイルス核酸配列に特異的なコロナウイルスプライマーのセットを用いて行われ、上記コロナウイルスプライマーのセットが、上記コロナウイルス核酸配列および上記コロナウイルス合成RNAを増幅する、工程と、(e)次世代シーケンシングを使用して、上記増幅された生体サンプルを配列決定する工程とを含む。特定の実施形態では、上記方法は、上記コロナウイルス核酸配列の配列リードが検出される場合に、コロナウイルス感染症について陽性の診断を提供する工程をさらに含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である。特定の実施形態では、上記コロナウイルス感染症またはSARS-Cov-2感染症について上記陽性診断を提供する工程は、上記コロナウイルス核酸配列からの上記配列リード対上記コロナウイルス合成RNAの配列リードの比またはその数学的等価物が、約0.1の比を超える場合に、提供される。特定の実施形態では、コロナウイルス感染症に対して上記陽性診断を提供する工程は、上記コロナウイルス核酸からの上記配列リードと上記コロナウイルス合成RNAの上記配列リードが約100を超える場合に、提供される。
【0024】
本明細書では、個体におけるコロナウイルス感染症を検出する方法も記載されており、上記方法は、(a)上記個体から生体サンプルを提供する工程であって、上記生体サンプルがコロナウイルス合成RNAを含み、上記コロナウイルス合成RNAの配列が、自然発生のコロナウイルス核酸配列とは異なる、工程と、(b)上記生体サンプルを溶解して、それによって溶解した生体サンプルを生成する工程と、(c)上記溶解した生体サンプルに対して逆転写反応を行い、溶解し逆転写された生体サンプルを得る工程と、(d)上記溶解し逆転写された生体サンプル上で増幅反応を行い、増幅された生体サンプルを得る工程であって、上記溶解し逆転写された生体サンプル上の上記増幅反応は、コロナウイルス核酸配列に特異的なコロナウイルスプライマーのセットを用いて行われ、上記コロナウイルスプライマーのセットが、上記コロナウイルス核酸配列および上記コロナウイルス合成RNAを増幅する、工程とを含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である。
【0025】
本明細書では、個体におけるコロナウイルス感染症を検出する方法も記載されており、上記方法は、(a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程であって、上記生体サンプルがコロナウイルス合成RNAを含み、上記コロナウイルス合成RNAの配列が、自然発生のコロナウイルス核酸配列とは異なる、工程と、(b)上記生体サンプルを溶解して、それによって溶解した生体サンプルを生成する工程と、(c)上記溶解した生体サンプルに対して逆転写反応を行い、溶解し逆転写された生体サンプルを得る工程とを含む。特定の実施形態では、上記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である。
【0026】
合成核酸分子を含む組成物も提供され、本明細書に開示される方法に役立つ。合成ヌクレオチドは、一般に、合成対照に対応する配列決定リードを病原体配列に対応するものと区別することを可能にする短い改変されたストレッチを除いて、増幅の標的となるウイルス配列と同一であるインビトロ転写または合成対照のRNAである。例えば、第1の核酸配列と第2の核酸配列とを含む合成核酸分子を含む組成物が開示され、ここで、第1の核酸配列は、病原体核酸分子からの配列と同一であり、第2の核酸配列は、病原体核酸配列からの配列と同一ではない。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、合成核酸分子の3’領域に位置する。いくつかの実施形態では、合成核酸分子は、第3の核酸配列をさらに含み、ここで、第1の核酸配列は、病原体核酸分子からの第1の配列と同一であり、ここで、第3の核酸配列は、病原体核酸分子からの第2の配列と同一である。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第2の核酸分子の領域3’に位置し、第3の核酸配列は、第2の核酸分子の領域5’に位置する。いくつかの実施形態では、第2の核酸配列は、5、10、15、20、25、または30ヌクレオチド未満である。いくつかの実施形態では、第2の核酸合成核酸分子は、25、50、100、150、200、または500ヌクレオチド未満のヌクレオチド総数を含む。いくつかの実施形態では、第2の核酸合成核酸分子は、25、50、100、150、200、または500ヌクレオチドよりも大きなヌクレオチド総数を含む。いくつかの実施形態では、合成核酸分子は、リボ核酸(RNA)分子、デオキシリボ核酸(DNA)分子、またはRNA-DNAハイブリッド分子である。特定の実施形態では、合成核酸分子は、対応する病原体配列の約10%以内の効率でPCR増幅される。特定の実施形態では、合成核酸分子は、対応する病原体配列の約5%以内の効率でPCR増幅される。特定の実施形態では、合成核酸分子は、対応する病原体配列の同じ効率でPCR増幅される。
【0027】
複数の合成核酸を本明細書に記載の方法に従って使用することで、感度をさらに高め、偽陽性を低減し、または核酸配列の定量化の正確性およびまたは精度を向上させることができる。複数の合成核酸は、検出すべき病原体配列に特異的なプライマーのセットと共増幅することができる2、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上の異なる配列を含んでもよい。複数の合成核酸は、複数の合成核酸にとって望ましい特定の特徴を有していてもよい。特定の実施形態では、複数の合成核酸の異なる配列の融解温度は、実質的に同じであってもよく、または複数の合成核酸の平均融解温度の摂氏約0.5°、1°、2°、3°、4°、または5°の範囲内であってもよい。特定の実施形態では、標的とされる複数の合成核酸のヌクレオチド構成は、約30%~約20%のA、約30%~約20%のG、約30%~約20%のC、約30%~約20%のTである。特定の実施形態では、標的とされる複数の合成核酸のヌクレオチド構成は、約25%のA、約25%のG、約25%のC、約25%のTである。特定の実施形態では、標的とされる複数の合成核酸のヌクレオチド構成は、約30%~約20%のA、約30%~約20%のG、約30%~約20%のC、約30%~約20%のTのうちの1つ以上である。特定の実施形態では、標的とされる複数の合成核酸のヌクレオチド構成は、約25%のA、約25%のG、約25%のC、約25%のTのうちの1つ以上である。特定の実施形態では、複数の合成核酸は、複数の合成核酸の異なる配列間の二次構造または二量体化を最小化するように選択または設計される。
【0028】
本明細書には、ウイルス感染症を抱える個体を診断する方法も記載されており、上記方法は、(a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程と、(b)上記個体からの上記生体サンプルを溶解剤と接触させて、溶解した生体サンプルを得る工程と、(c)上記溶解した生体サンプル上で逆転写反応を実施する工程と、(d)上記溶解した生体サンプルに対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅させた溶解した生体サンプルを得る工程であって、ここで、上記溶解した生体サンプルに対する上記PCR反応は、PCRプライマーの第1のセットとPCRプライマーの第2のセットを用いて行われ、PCRプライマーの上記第1のセットはウイルス核酸配列を増幅し、PCRプライマーの上記第2のセットは、上記個体が属する種のゲノム配列を増幅する、工程と、(e)次世代シーケンシングを用いて、上記PCR増幅させた溶解した生体サンプルを配列決定する工程と、(f)任意選択で、ウイルス配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出される場合、上記ウイルス感染症について陽性の診断を提供し、あるいは、ウイルス配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出されない場合、上記ヒト個体について陰性の診断を提供する工程とを含む。特定の実施形態では、PCRプライマーの第1のセットは、溶解した生体サンプル中に存在する合成核酸配列を増幅することができる。合成核酸配列は、それが配列決定により識別可能となるように、介在核酸配列が異なることを除けば、ウイルス核酸配列と同じプライマー結合部位を含む。特定の実施形態では、合成核酸配列はRNAである。
【0029】
本明細書には、病原体感染症を抱える個体を診断する方法も記載されており、上記方法は、(a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程と、(b)上記個体からの上記生体サンプルを溶解剤と接触させて、溶解した生体サンプルを得る工程と、(c)上記溶解した生体サンプルに対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅させた溶解した生体サンプルを得る工程であって、ここで、上記溶解した生体サンプルに対する上記PCR反応は、PCRプライマーの第1のセットとPCRプライマーの第2のセットを用いて行われ、PCRプライマーの上記第1のセットは病原体核酸配列を増幅し、プライマーの上記第2のセットは、上記個体の核酸配列を増幅する、工程と、(d)次世代シーケンシングを用いて、上記PCR増幅させた溶解した生体サンプルを配列決定する工程と、(e)任意選択で、病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出される場合、上記病原体感染症について陽性の診断を提供し、あるいは、病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出されない場合、上記ヒト個体について陰性の診断を提供する工程とを含む。特定の実施形態では、PCRプライマーの第1のセットは、溶解した生体サンプル中に存在する合成核酸配列を増幅することができる。合成核酸配列は、それが配列決定により識別可能となるように、介在核酸配列が異なることを除けば、ウイルス核酸配列と同じプライマー結合部位を含む。特定の実施形態では、合成核酸配列はRNAである。
【0030】
本明細書に記載される方法は、非ヒトサンプルを含む任意の数のサンプルにおける病原体の存在を監視するために使用することができる。監視は、家畜または野生動物の群れ、野生動物集団、または囲い込まれた生きた動物(例えば、動物園、野生動物公園、あるいは食用またはペットとして動物が販売される生きた動物の市場)を監視することを含み得る。
【0031】
サンプル中の病原体の存在を監視する方法も本明細書に記載され、上記方法は、(a)サンプルを提供する工程と、(b)上記サンプル抽出剤と接触させて、抽出されたサンプルを得る工程と、(c)上記抽出されたサンプルに対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅させた抽出されたサンプルを得る工程であって、ここで、上記抽出されたサンプルに対する上記PCR反応は、PCRプライマーの第1のセットを用いて行われる、工程と、(d)次世代シーケンシングを用いて、上記PCR増幅させた溶解した生体サンプルを配列決定する工程と、(e)任意選択で、病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出される場合、上記病原体について陽性の読み出しを提供し、あるいは、病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出されない場合、陰性の読み出しを提供する工程とを含む。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第1のセットは、抽出された生体サンプル中に存在する合成核酸配列を増幅することができる。合成核酸配列は、それが配列決定により識別可能となるように、介在核酸配列が異なることを除けば、病原体核酸配列と同じプライマー結合部位を含む。特定の実施形態では、合成核酸配列はRNAである。特定の実施形態では、合成核酸配列はDNAである。
【0032】
ウイルス感染症の特定、検出、および/または診断を達成するために、本明細書に開示される方法とシステムは、(a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程と、(b)上記個体からの上記生体サンプルを溶解剤と接触させて、溶解した生体サンプルを得る工程と、(c)上記溶解した生体サンプル上で当初の核酸伸長反応を実施する工程と、(d)上記溶解した生体サンプルに対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅させた溶解した生体サンプルを得る工程であって、ここで、上記溶解した生体サンプルに対する上記PCR反応は、PCRプライマーの第1のセットとPCRプライマーの第2のセットを用いて行われ、PCRプライマーの上記第1のセットはウイルス核酸配列を増幅し、PCRプライマーの上記第2のセットは、上記個体が属する種のゲノム配列を増幅する、工程と、(e)次世代シーケンシングを用いて、上記PCR増幅させた溶解した生体サンプルを配列決定する工程と、(f)任意選択で、ウイルス配列またはその誘導体が上記PCRまたは上記配列決定によって検出される場合、上記ウイルス感染症について陽性の診断を提供し、あるいは、コロナウイルス配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出されない場合、上記ヒト個体について陰性の診断を提供する工程とを含む。
【0033】
ウイルス感染症の検出のための核酸処理の方法も本明細書に開示される。そのような方法は、(a)ウイルス核酸分子および宿主核酸分子を含むサンプルを提供する工程と、(b)バーコード配列を含む第1のプライマーを使用して上記ウイルス核酸分子上で核酸伸長反応を行うことにより、バーコード化ウイルス核酸分子を生成する工程と、(c)上記バーコード配列を含む第2のプライマーを使用して上記宿主核酸分子上で核酸伸長反応を行うことにより、バーコード化宿主核酸分子を生成する工程と、(d)上記バーコード化ウイルス核酸分子および上記バーコード化宿主核酸分子を配列決定し、(i)上記バーコード配列と(ii)上記ウイルス核酸分子またはその誘導体に対応する配列、および上記宿主核酸分子を特定する工程と、(e)上記ウイルス核酸分子に対応する上記配列が(d)において特定される場合、ウイルス感染症について陽性の診断を提供する工程とを含む。
【0034】
本明細書で使用される「バーコード」という用語は一般に、分析物に関する情報を伝える、または伝えることができるラベルまたは識別子を指す。バーコードは分析物の一部であり得る。バーコードは分析物から独立したものであり得る。バーコードは、分析物(例えば、核酸分子)に取り付けられたタグ、または分析物の内因性特性(例えば、分析物のサイズまたは末端配列)に加え、タグの組み合わせであり得る。バーコードは特異的であってもよい。バーコードは様々な異なるフォーマットを有することができる。例えば、バーコードは、ポリヌクレオチドバーコード、ランダムな核酸および/またはアミノ酸配列、ならびに、合成核酸および/またはアミノ酸配列を含み得る。バーコードは、可逆的または不可逆的な手法で分析物に付けることができる。バーコードは、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)サンプルの配列決定の前、間、および後に、上記サンプルのフラグメントに付加することができる。バーコードは、個々のシーケンシングリードの特定および/または定量化を可能にすることができる。
【0035】
本明細書で使用されるように、「リアルタイム」という用語は、約1秒未満、10分の1秒未満、100分の1秒未満、1ミリ秒未満、またはそれ未満の応答時間を指すことができる。応答時間は1秒より大きくてもよい。いくつかの例では、リアルタイムとは、同時または実質的に同時の処理、検出、または特定を指すことができる。
【0036】
本明細書で使用されるように、「ゲノム」という用語は、植物、動物、細菌、真菌、またはウイルスからのゲノム情報を指し、これは、例えば、対象の遺伝情報の少なくとも一部または全体であってもよい。ゲノムは、DNAまたはRNAのいずれかにコードすることができる。ゲノムは、非コード領域と同様に、コード領域(例えば、タンパク質をコードする領域)を含むことができる。ゲノムは、生物中のすべての染色体の配列を含むことができる。例えば、ヒトゲノムは通常、合計46本の染色体を有する。これら全ての配列がヒトゲノムを構成することができる。
【0037】
「アダプター(adaptor)」、「アダプター(adapter)」、および「タグ」という用語は、同義的に使用されてもよい。アダプターまたはタグは、ライゲーション、ハイブリダイゼーション、または他のアプローチを含む任意のアプローチによって「タグ付け」されるポリヌクレオチド配列に結合させることができる。
【0038】
本明細書で使用されるように、「シーケンシング」という用語は一般に、1つ以上のポリヌクレオチドにおけるヌクレオチド塩基の配列を決定するための方法および技術を指す。ポリヌクレオチドは、例えば、その変異体または誘導体(例えば、一本鎖DNA)を含む、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などの核酸分子であり得る。「次世代シーケンシング」とは、サンガーシーケンシングではないハイスループットシーケンシングの方法を指す。配列決定は、現在入手可能な様々なシステム、例えば、限定されないが、Illumina(登録商標)(例えば、iSeq 100、MiniSeq、MiSeq、またはNextSeqシリーズのマシン)、Pacific Biosciences(PacBio(登録商標))、オックスフォード・ナノポア(Oxford Nanopore)(登録商標)、またはライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)(Ion Torrent(登録商標))による配列決定システムによって実施することが可能である。代替的にまたは追加的に、配列決定は、核酸増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、デジタルPCR、定量的PCR、またはリアルタイムPCR)、または等温増幅を使用して実施されてもよい。そのようなシステムは、対象によって提供されたサンプルからシステムによって生成された、対象(例えば、ヒト)の遺伝情報に対応する複数の生の遺伝データを提供してもよい。いくつかの例では、そのようなシステムは、配列決定リード(本明細書では「リード」ともいう)を提供する。リードは、配列決定された核酸分子の配列に対応する核酸塩基の文字列を含み得る。いくつかの状況では、本明細書で提供されるシステムおよび方法は、プロテオミクス情報と共に使用されてもよい。
【0039】
本明細書で使用されるように、「ビーズ」という用語は一般に、粒子を指す。ビーズは固体または半固体粒子であってもよい。ビーズはゲルビーズであってもよい。ゲルビーズはポリマーマトリクス(例えば、重合または架橋結合によって形成されたマトリックス)を含んでもよい。ポリマーマトリクスは1つ以上のポリマー(例えば、様々な官能基または繰り返し単位を有するポリマー)を含んでもよい。ポリマーマトリクス中のポリマーは、例えば、ランダムコポリマーにランダムに配置されてもよく、および/または、例えば、ブロックコポリマーにおいて規則的な構造を有してもよい。架橋結合は、共有結合、イオン結合、または誘導結合、相互作用、あるいは物理的な絡み合いを介することができる。ビーズは高分子であってもよい。ビーズは一緒に結合された核酸分子から形成されてもよい。ビーズは、モノマーまたはポリマーなどの分子(例えば、高分子)の共有結合的または非共有結合的な組み立てを介して形成されてもよい。そのようなポリマーまたはモノマーは、天然または合成であってもよい。そのようなポリマーまたはモノマーは、例えば、核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)であってもよく、または上記核酸分子を含んでもよい。ビーズはポリマー材料で形成されてもよい。ビーズは磁性体または非磁性体であってもよい。ビーズは硬質であってもよい。ビーズは可撓性および/または圧縮性であってもよい。ビーズは破壊可能または溶解可能であってもよい。ビーズは1つ以上のポリマーを含むコーティングで覆われた固体粒子(例えば、限定されないが、酸化鉄、金、または銀を含む金属ベースの粒子)であってもよい。このようなコーティングは破壊可能または溶解可能であってもよい。
【0040】
本明細書で使用されるように、「サンプル」という用語は広義に使用され、環境サンプル(例えば、水サンプル、下水サンプル)、生食品または調理食品のサンプル、非ヒト個体の集団(例えば、野生動物または家畜動物)から生成されたサンプル、あるいはヒトまたは非ヒト動物からの生体サンプルを指すことができる。サンプルは任意の数の高分子、例えば、細胞性高分子を含んでもよい。サンプルは細胞サンプルであってもよい。サンプルは細胞株または細胞培養サンプルであってもよい。サンプルは1つ以上の細胞を含むことができる。サンプルは1つ以上の微生物を含むことができる。生体サンプルは核酸サンプルまたはタンパク質サンプルであってもよい。生体サンプルはさらに、炭水化物サンプルまたは脂質サンプルであってもよい。生体サンプルは他のサンプルに由来するものであってもよい。サンプルは、生検、コア生検、針吸引液(needle aspirate)、または細針吸引液などの組織サンプルであってもよい。サンプルは、血液サンプル、尿サンプル、または唾液サンプルなどの流体サンプルであってもよい。サンプルは皮膚サンプルであってもよい。サンプルは頬のスワブであってもよい。サンプルは鼻咽頭スワブであってもよい。サンプルは血漿または血清のサンプルであってもよい。サンプルは、無細胞または無細胞サンプルであってもよい。無細胞サンプルは、細胞外ポリヌクレオチドを含んでもよい。細胞外ポリヌクレオチドは、血液、血漿、血清、尿、唾液、粘膜排出物、唾液、便、および涙からなる群から選択され得る身体のサンプルから単離されてもよい。
【0041】
「生物学的粒子」という用語は一般に、本明細書で使用されるように、生体サンプルに由来する個別の生体系を指す。生物学的粒子は高分子であってもよい。生物学的粒子は小分子であり得る。生物学的粒子はウイルスであってもよい。生物学的粒子は細胞または細胞の誘導体であってもよい。生物学的粒子は細胞小器官であってもよい。生物学的粒子は細胞の集団からのまれな細胞であってもよい。生物学的粒子は、限定されないが、原核細胞、宿主細胞、細菌、真菌、植物、哺乳動物、または他の動物細胞タイプ、マイコプラズマ、正常組織細胞、腫瘍細胞、あるいは、単細胞由来または多細胞生物由来であれ、他の細胞タイプを含む、任意のタイプの細胞であってもよい。生物学的粒子は細胞の成分であってもよい。生物学的粒子はDNA、RNA、細胞小器官、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせであってもよく、またはこれらを含んでもよい。生物学的粒子は、細胞、または細胞の1つ以上の成分(例えば、細胞ビーズ)、例えば、細胞からのDNA、RNA、細胞小器官、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせを含むマトリックス(例えば、ゲルまたはポリマーマトリックス)であってよく、またはこれを含んでもよい。生物学的粒子は、対象の組織から得られてもよい。生物学的粒子は、硬化した細胞であってもよい。このような硬化した細胞は、細胞壁または細胞膜を含んでもよく、または、含まなくてもよい。生物学的粒子は、細胞の1つ以上の成分を含んでもよいが、細胞の他の成分を含まなくてもよい。このような成分の例は、核または細胞小器官である。細胞は生細胞であってもよい。生細胞は、培養可能であってもよく、例えば、ゲルまたはポリマーマトリックスに封入されている際に培養可能であってもよく、あるいはゲルまたはポリマーマトリックスを含んでいる際に培養可能であってもよい。
【0042】
本明細書で使用されるように、「病原体」という用語は、個体の集団において疾患を引き起こすことができる任意の生物またはウイルスを含み、このような集団は動物または植物を含み得る。この用語は保菌者個体または種に存在する病原体も包含し、病原体は保菌者個体または種では疾患を引き起こさないが、別の個体または種に伝染して疾患を引き起こすことができる。本明細書で使用されるように、病原体は、限定されないが、細菌、原生動物、真菌、線形動物、ウイロイド、およびウイルス、またはそれらの任意の組み合わせを含み、各病原体は、それ自体または別の病原体と共同して、限定されないが、哺乳動物と、限定されないが、人間とを含む脊椎動物において疾患を誘発することができる。本明細書で使用されるように、「宿主」という用語は、病原体によって感染され得る生物を指し、植物、動物、脊椎動物、哺乳動物、げっ歯類、ウシ、ウマ、ブタ、家禽、トリ、ガチョウ、アヒル、魚、甲殻類などを含む。
【0043】
本明細書で使用されるように、「細菌」または「真正細菌」は、原核生物のドメインを指す。細菌は、以下、(1)グラム陽性菌(gram+)であって、2つの大きな小区分、(i)高G+C群(放線菌、マイコバクテリア、ミクロコッカスなど)(ii)低G+C群(バチルス、クロストリジア、ラクトバチルス、ブドウ球菌、連鎖球菌、マイコプラズマ)がある、グラム陽性菌、(2)プロテオバクテリア、例えば、紫色光合成+非光合成グラム陰性菌(ほとんどの「一般的な」グラム陰性菌を含む)、(3)シアノバクテリア、例えば、酸素発生型光合成生物、(4)スピロヘータとその近縁種、(5)プランクトミセス、(6)バクテロイデス、(7)クラミジア、(8)緑色硫黄細菌、(9)緑色非硫黄細菌(嫌気性光合成生物も含む)、(10)放射線抵抗性微小球菌およびその近縁種、(11)サーモトガおよびサーモシフォの好熱菌のように、少なくとも11の異なる群を含む。「グラム陰性菌」としては、球菌、非腸内桿菌、および腸内桿菌が挙げられる。グラム陰性細菌の属としては、例えば、ナイセリア、スピリルム、パスツレラ、ブルセラ、エルシニア、フランシセラ、ヘモフィルス、ボルデテラ、エシェリキア、サルモネラ、赤痢菌、クレブシェラ、プロテウス、ビブリオ、シュードモナス、バクテロイド、酢酸菌、好気菌、アグロバクテリウム、アゾトバクター、スピリルム、セラチア、ビブリオ、根瘤菌、クラミジア、リケッチア、トレポネーマ、およびフソバクテリウムが挙げられる。「グラム陽性細菌」としては、球菌、非胞子形成桿菌、および胞子形成桿菌が挙げられる。グラム陽性細菌の属としては、例えば、アクチノマイセス、バチルス、クロストリジウム、コリネバクテリウム、エリシペロスリクス、ラクトバチルス、リステリア、マイコバクテリウム、ミキソコッカス、ノカルディア、スタフィロコッカス、ストレプトコッカス、およびストレプトマイセスが挙げられる。「病原性細菌(Pathogenic bacteria)または(pathogenic bacterium)」は、他の宿主生物に直接感染することによって、または他の生物で疾患を引き起こす物質(例えば、病原性毒素などを産生する細菌)を産生することによって、別の宿主生物(例えば、動物および植物)で疾患を引き起こす細菌種である。
【0044】
本明細書で使用されるように、「高分子成分」という用語は一般に、生体粒子内に含有される、または生体粒子からの高分子を意味する。高分子成分は核酸を含んでいてもよい。場合によっては、生体粒子は高分子であってもよい。高分子成分はDNAを含んでもよい。高分子成分はRNAを含んでもよい。RNAはコーディングまたはノンコーディングであってもよい。RNAは、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)、または転移RNA(tRNA)であってもよい。RNAは転写物であってもよい。RNAは、核酸塩基の長さが200未満の小分子RNAであってもよく、または、核酸塩基の長さが200を超える大分子RNAであってもよい。低分子RNAとしては、5.8SリボソームRNA(rRNA)、5S rRNA、転移RNA(tRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、PiWi相互作用(Piwi-interacting)RNA(piRNA)、tRNA由来低分子RNA(tsRNA)、および低分子rDNA由来RNA(srRNA)が挙げられることができる。RNAは二本鎖RNAであってもよく、または、一本鎖RNAであってもよい。RNAは環状RNAであってもよい。高分子成分はタンパク質を含んでもよい。高分子成分はペプチドを含んでもよい。高分子成分はポリペプチドを含んでもよい。
【0045】
本明細書で使用されるように、「分子タグ」という用語は一般に、高分子成分に結合することができる分子を指す。分子タグは、高分子成分に高い親和性で結合することができる。分子タグは、高い特異性で高分子成分に結合することができる。分子タグは、ヌクレオチド配列を含んでもよい。分子タグは、核酸配列を含んでもよい。核酸配列は、分子タグの少なくとも一部または全体であってもよい。分子タグは、核酸分子であってもよく、または核酸分子の一部であってもよい。分子タグは、オリゴヌクレオチドであってもよく、または、ポリペプチドであってもよい。分子タグは、DNAアプタマーを含んでもよい。分子タグは、プライマーであってもよく、プライマーを含んでもよい。分子タグは、タンパク質であってもよく、タンパク質を含んでもよい。分子タグは、ポリペプチドを含んでもよい。分子タグは、バーコードであってもよい。
【0046】
本明細書で使用されるような「ハウスキーピング遺伝子」、「ハウスキーピング対照」、または同様のそのような用語は、一般に、正常条件および病理生理学的条件の両方において生物で発現する遺伝子、または異なる組織および細胞タイプによって発現する遺伝子を指す。場合によっては、ハウスキーピング遺伝子は、基本的な細胞機能の維持に必要とされる構成的な遺伝子である。ハウスキーピング遺伝子は一般に、ほとんどの正常な状態および病態生理学的条件下で、比較的一定の割合で発現する。ハウスキーピング遺伝子の具体例としては、限定されないが、RPP30、βアクチン、および/またはGAPDHが挙げられる。
【0047】
本明細書で使用されるように、「区画(partition)」という用語は、一般に、1つ以上の種を含有するか、または1つ以上の反応を行うのに適し得る空間または容積を意味する。区画は、液滴またはウェルなどの物理的区画であってもよい。区画は、空間または容積を別の空間または容積から隔離してもよい。液滴は、第1の相と非混和性の第2の相(例えば、油)中の第1の相(例えば、水相)であってもよい。液滴は、例えば、水相中のカプセルまたはリポソームなどの、第1の相から相分離していない第2の相中の第1の相であってもよい。区画は、1つ以上の他の(内側の)区画を含んでもよい。場合によっては、区画は、複数のおよび/または遠くの物理的区画にまたがるインデックス(例えば、インデックス付きライブラリー)によって定義および識別可能な仮想コンパートメントであってもよい。たとえば、物理的なコンパートメントは、複数の仮想コンパートメントを含んでもよい。
【0048】
本明細書で使用される「a」、「an」、および「the」という用語は一般に、文脈によって明確に指示されない限り、単数および複数の参照先を指す。
【0049】
「少なくとも」、「~より大きい」、または「~以上」という用語が一連の2つ以上の数値における最初の数値の前に付けられる場合は常に、「少なくとも」、「~より大きい」、または「~以上」という用語は、一連の数値における数値の各々に適用される。例えば、1、2、または3以上は、1以上、2以上、または3以上と同等の意味である。
【0050】
「~以下(no more than)」、「~未満」、または「~以下(less than or equal to)」という用語が一連の2つ以上の数値における最初の数値の前に付けられる場合は常に、「~以下(no more than)」、「~未満」、または「~以下(less than or equal to)」という用語は、一連の数値における数値の各々に適用される。例えば、3、2、または1以下は、3以下、2以下、または1以下と同等の意味である。
【0051】
以下の記載では、様々な実施形態を完全に理解するために、特定の詳細について説明されている。しかしながら、当業者は、これらの詳細がなくとも提供された実施形態が実行され得ることが理解されよう。文脈が特別に必要としない限り、以下の明細書と請求項の全体にわたって、「含む(comprise)」という単語およびその変更形態(例えば、「含む(comprises)」または「含むこと(comprising)」)は、開かれた包括的な意味で、すなわち、「限定されないが、~を含む」という意味で解釈されるものとする。明細書および添付の請求項内で用いられるように、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が他に明確に指示していない限り、複数の指示物を含む。用語「または」は、その内容がそれ以外のものを明確に指示していない限り、「および/または」を含む意味で一般に用いられていることにも留意されたい。さらに、本明細書で提供される見出しは、便宜上のものであり、主題の実施形態の範囲や意味を解釈するものではない。
【0052】
本明細書で使用されるように、「約」という用語は、10%以下の記載された量に近い量を指す。
【0053】
「相同する」、「相同性」、または「パーセント相同性」という用語は、参照配列と比較してアミノ酸配列または核酸配列を記載するために本明細書で使用される際、Karlin and Altschul(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268,1990,modified as in Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877,1993)によって記載される式を用いて決定され得る。こうした式は、Altschul et al.(J.Mol.Biol.215:403-410,1990)のbasic local alignment search tool(BLAST)プログラムに組み入れられる。配列のパーセント相同性は、本出願の出願日の時点での、BLASTの最新バージョンを使用して決定可能である。
【0054】
本明細書で使用されるように、「個体」、「患者」、または「対象」という用語は、記載された組成物および方法が検出に有用である少なくとも一つの疾患を診断された、その疾患に罹患している疑いがある、またはその疾患の発症のリスクがある個体を指す。特定の実施形態では、個体は哺乳動物である。特定の実施形態では、哺乳動物は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラマ、アルパカ、またはヤクである。特定の実施形態では、個体はヒトである。
【0055】
病原性感染症
本明細書に記載される方法は、細菌、ウイルス、真菌、原生生物、線虫、およびウイロイドを含む多くの異なる病原体の検出を可能にすることができる。
【0056】
例えば、検出または診断可能である病原体としては、限定されないが、炭疽菌(炭疽)、ボツリヌス菌毒素(ボツリヌス中毒)、ペスト菌(ペスト)、大痘瘡(天然痘)および他の関連するポックスウイルス、野兎病菌(野兎病)、ウイルス性出血熱、アレナウイルス(例えば、フニンウイルスJunin、マチュポウイルス、ガナリトウイルス、チャパレウイルス、ラッサウイルス、および/またはルジョウイルス)、ブンヤウイルス(例えば、ハンタウイルス肺症候群を引き起こすハンタウイルス、リフトバレー熱、および/またはクリミア・コンゴ出血熱)、フラビウイルス、デング熱、フィロウイルス(例えば、エボラウイルスとマールブルグウイルス)、類鼻疽菌(類鼻疽)、Q熱コクシエラ(Q熱)、ブルセラ族(ブルセラ症)、鼻疽菌(鼻疽)、オウム病クラミジア(オウム病)、リシン毒素(トウゴマ)、イプシロン毒素(ウェルシュ菌)、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)、発疹チフス(発疹チフスリケッチア)、食物由来および飲用水由来の病原体、下痢原性大腸菌、病原性のビブリオ菌、赤痢菌族、サルモネラ、リステリア菌、カンピロバクター・ジェジュニ、エンテロコリチカ菌、カリシウイルス、A型肝炎、クリプトスポリジウム・パルバム、シクロスポラ・カイエタネンシス、ランブル鞭毛虫、赤痢アメーバ、トキソプラズマ原虫、フォーラーネグレリア、バラムチア・マンドリルリス、真菌、微胞子虫、蚊が媒介するウイルス(例えば、西ナイルウイルス(WNV)、ラクロス脳炎(LACV)、カリフォルニア脳炎、ベネズエラウマ脳炎(VEE)、東部ウマ脳炎(EEE)、西部ウマ脳炎(WEE)、日本脳炎ウイルス(JE)、セントルイス脳炎ウイルス(SLEV)、黄熱ウイルス(YFV)、チクングニアウイルス、ジカウイルス、ニパウイルスとヘンドラウイルス、追加のハンタウイルス、ダニ媒介性出血熱ウイルス、ブニヤウイルス、重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)、ハートランドウイルス、フラビウイルス(例えば、オムスク出血熱ウイルス、アルクルマウイルス、キャサヌル森林病ウイルス)、ダニ媒介性脳炎複合体フラビウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、ポワッサン/シカダニウイルス、薬剤耐性の結核を含む結核、インフルエンザウイルス、狂犬病ウイルス、プリオン、連鎖球菌、シュードモナス、赤痢菌、カンピロバクター、サルモネラ、クロストリジウム、エシェリキア、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、天然痘、オルソミクソウイルス、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV)、SARS-CoV-2(COVID-19)、MERS-CoV、他の高病原性ヒトコロナウイルス、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0057】
本明細書に記載される方法は、ウイルスを診断するために使用することも可能である。特定の実施形態では、ウイルスは、DNAウイルスを含む。特定の実施形態では、ウイルスは、RNAウイルスを含む。
【0058】
ウイルス核酸の検出は、ウイルス感染を検出および診断するための本明細書に記載される方法の基礎である。ウイルス感染の検出および診断のために、ウイルス核酸分子は、検査されるウイルスのゲノムの一部である。いくつかの実施形態では、上記ウイルスはコロナウイルスである。いくつかの実施形態では、上記コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(COVID-19)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、および中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、上記コロナウイルスはCOVID-19である。開示される方法は、他のRNAおよびDNAゲノムウイルスの分類に有用である。いくつかの実施形態では、上記ウイルスは、RNAウイルスである。いくつかの実施形態では、上記RNAウイルスは、二本鎖RNAゲノムを含む。いくつかの実施形態では、上記RNAウイルスは、一本鎖RNAゲノムを含む。いくつかの実施形態では、上記RNAウイルスは、コロナウイルス、インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルス、およびエボラウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、上記ウイルスは、DNAウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、COVID-19である。
【0059】
例えば、本明細書の方法は、コロナウイルスの検出に有用である。コロナウイルス感染症を診断するための方法は、他のウイルスにも適用可能である。コロナウイルスは、コロナウイルス科のコロナウイルス亜科の員であり、ニドウイルス目である(International Committee on Taxonomy of Viruses)。コロナウイルス亜科は、4つの属、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、およびデルタコロナウイルスからなる。これらの属は、系統発生関係とゲノム構造に基づいて区別されている。一般に、アルファコロナウイルスとベータコロナウイルスは哺乳動物に感染する。同様に、一般に、ガンマコロナウイルスとデルタコロナウイルスは鳥類に感染するが、哺乳動物にも感染することがある。アルファコロナウイルスとベータコロナウイルスは、ヒトの呼吸器疾患および胃腸炎に関連し、その原因となることがある。高病原性ウイルス(例えば、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)および中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV))は、ヒトに重症呼吸器症候群を引き起こす可能性がある。他の4種類のコロナウイルス(例えば、HCoV-NL63、HCoV-229E、HCoV-OC43、およびHKU1)は一般に、免疫力のない宿主、乳児、幼児、および高齢者において軽度の上気道疾患を誘発する。アルファコロナウイルスとベータコロナウイルスは、ヒトだけでなく、家畜にも大きな疾病の負担を与える可能性がある。これらのウイルスは、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス、ブタ腸管下痢ウイルス(PEDV)、ブタ急性下痢症候群コロナウイルス(SADS-CoV)を含む。現在の配列データベースに基づき、全てのヒトコロナウイルスは動物由来感染症起源を有する。例えば、SARS-CoV、MERS-CoV、HCoV-NL63、およびHCoV-229Eは、コウモリに由来すると考えられている。家畜は、自然宿主からヒトへのウイルス伝染を可能にする中間宿主として重要な役割を担っている可能性がある。加えて、家畜自身がコロナウイルスによる疾患に罹患することもある。
【0060】
生体サンプル
ウイルス感染を診断するために個体からの生体サンプルを使用および処理する方法が本明細書に提供される。このような生体サンプルは、以前にウイルスに曝露された個体、以前にウイルスについて陽性と診断された個体、またはウイルス曝露のリスクがあるとみなされる個体からのものであり得る。本明細書に記載される方法は、集団監視、すなわち、所定の集団におけるウイルス感染の量に関する情報を提供する目的で、複数の個体から提供されたサンプルを使用する場合にも有用であり得る。生体サンプルは、口腔粘膜または鼻腔粘膜であり得る。サンプルは、血液、血清、または血漿であり得る。生体サンプルは、特定の実施形態では、鼻腔スワブ、鼻咽頭スワブ、頬スワブ、口腔液スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせを含み、ここで、スワブは個体からサンプルを集めるために使用されている。
【0061】
実際には、生体サンプルは無数の採取装置を用いて採取されるが、これらの装置はすべて本発明の装置と共に使用することができる。採取装置は一般に市販されているが、所定の用途のために特別に設計および製造することもできる。臨床サンプルについては、鼻腔、鼻咽頭、頬、口腔液、便、扁桃、膣、子宮頸、および創傷のスワブを含む、様々な市販スワブタイプが利用可能である。サンプル採取装置の寸法および材料は様々であり、装置は、特殊なハンドル、キャップ、破損を容易にしかつ指示するためのスコア、および採取マトリクスを含んでもよい。
【0062】
血液サンプルは、容量の異なる多種多様な市販のチューブで採取され、そのうちのいくつかは、添加物(ヘパリン、クエン酸塩、およびEDTAなどの抗凝固剤を含む)、サンプル流入を促す真空、針挿入を容易にするストッパー、およびサンプルへの曝露からオペレータを保護するカバーを含む。組織や体液(例えば、痰、化膿性物質、吸引液)もチューブで採取されるが、一般に血液チューブとは区別される。これらの臨床サンプル採取装置は一般に、検査のために高度な病院または民間の臨床検査機関に送られる(ただし、迅速な連鎖球菌検査のための喉/扁桃腺スワブの評価などの特定の検査は、ポイントオブケアで実施することができる)。環境サンプルは、フィルターまたはフィルターカートリッジ(例えば、空気呼吸器、エアロゾル、水濾過装置から)、スワブ、粉末、または液体として存在してもよい。
【0063】
サンプルの処理
採取後、生体サンプルを溶解剤と接触させて、生体サンプルから得られた細胞内に存在するウイルス核酸を放出する。このような溶解はさらに、検査されている個体のゲノムDNAを放出する。このようなゲノムDNAは、サンプル/増幅対照として機能することができる。サンプル採取および溶解は、ウイルス配列の増幅のための本明細書に記載される方法の前に、またはウイルス配列の増幅と配列決定の部位で、行うことができる。
【0064】
開示された方法およびシステムに従って、サンプルは、区画内のサンプルの内容物を放出するために、溶解試薬と共に採取または区画化されてもよい。区画は、バイアル、チューブ、および/またはプレート内のウェルを含む。このような実施形態では、核酸分子の伸長および増幅に使用される試薬の添加と同時に、またはその前に、溶解剤をサンプル懸濁液と接触させることができる。いくつかの実施形態では、サンプル内の核酸の処理(例えば、増幅、プライマー伸長、逆転写酵素など)は、細胞溶解に用いられるのと同じ条件下で行われる。分離した区画は、個々のサンプルおよび/または1つ以上の試薬を含んでもよい。いくつかの実施形態では、生成された分離した区画は、プライマー、および核酸の増幅のための酵素(例えば、逆転写酵素および/またはポリメラーゼ)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、生成された分離した区画は、バーコード化オリゴヌクレオチド(例えば、バーコード配列を含むプライマー)を含むことができる。いくつかの実施形態では、生成された分離した区画は、バーコード担持ビーズを含むことができる。いくつかの実施形態では、分離した区画は、占有されていなくてもよい(例えば、試薬なし、サンプルなし)。
【0065】
有益なことに、溶解試薬とサンプルが共に区画に分けられる(co-patitioned)場合、溶解試薬は、区画内のサンプルの内容物の放出を促すことができる。区画内で放出された内容物は、他の区画の内容物から分離されたままであってもよい。
【0066】
溶解剤の例としては、生物活性試薬、例えば、異なる細胞タイプ、例えば、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌、植物、酵母、哺乳動物などの、溶解に使用される溶解酵素、例えば、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、リゾスタフィン、ラビアーゼ(labiase)、キタラーゼ、溶解性の実施形態(lytiembodiment)、および、例えば、Sigma-Aldrich,Inc(St Louis,Mo.)から入手可能な他の様々な溶解酵素、および他の市販の溶解酵素などが挙げられる。他の溶解剤は、追加的または代替的に、サンプルと共に区画に分けられることで、サンプルの内容物の区画への放出を引き起こしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、界面活性剤ベースの溶解液が、細胞を溶解するために使用されてもよいが、これらは、界面活性剤が安定なエマルジョンに干渉し得るエマルジョンベースの系にはあまり好ましくないことがある。いくつかの実施形態では、溶解液は、例えば、TritonX-100および/またはTween20などの非イオン性界面活性剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、溶解液は、例えば、サルコシルおよびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのイオン性界面活性剤を含んでもよい。本明細書に記載される溶解剤は、1つ以上のプロテイナーゼ(例えば、プロテイナーゼK)を含んでいてもよい。エレクトロポレーション、熱的、音響的、または機械的な細胞破壊も、特定の実施形態において使用されてもよく、例えば、区画分割に追加されるかまたは代用され得るサンプルのカプセル化など、非エマルジョンベースの区画分割が使用されてもよく、この場合、カプセル剤の任意の孔径は、細胞破壊の後に所与のサイズの核酸断片を保持するほど十分に小さい。
【0067】
溶解剤はさらに、サンプルの添加の前または後に加熱される高温の水または反応緩衝液を含んでもよい。例えば、溶解剤は、少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95℃に加熱される加熱PCRまたは逆転写酵素反応混合物であってもよい。時間の量について、それは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10分またはそれ以上である。
【0068】
代替的に、または、上記のサンプルと共に区画に分けられる溶解剤に加えて、他の試薬もサンプルと共に区画に分けられることができ、例えば、DNaseおよびRNase不活性化剤または阻害剤、例えば、プロテイナーゼK、キレート剤、例えば、EDTA、および核酸のその後の処理に対する異なる細胞溶解物成分の負の活性または影響を除去または他の方法で低減する際に採用する他の試薬を含む。加えて、カプセル化されたサンプルの実施形態では、サンプルは、サンプルまたはその内容物を、共に区画に分けられたマイクロカプセルから放出するために適切な刺激に曝露されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロカプセルの分解、および細胞またはその内容物のより大きな区画への放出を可能にするために、化学的刺激はカプセル化されたサンプルと共に区画に分けられてもよい。いくつかの実施形態では、この刺激は、それぞれのマイクロカプセル(例えば、ビーズ)から核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)を放出するための本明細書の他の場所に記載される刺激と同じであってもよい。代替的な態様では、これは、カプセル化されたサンプルの区画への放出が、同じ区画への核酸分子の放出とは異なる時間になることを可能にするために、異なる、重ならない刺激であってもよい。
【0069】
区画は、1つ以上の反応を実施するための種(例えば、試薬)を含んでいてもよい。種は、例えば、本明細書に記載されるものを含む核酸増幅反応のための試薬(例えば、プライマー、ポリメラーゼ、dNTPs、補助因子(例えば、イオン性補助因子)、緩衝液)、酵素反応のための試薬(例えば、酵素、補助因子、基質、緩衝液)、逆転写のための試薬(例えば、逆転写酵素)、重合、ライゲーション、または消化などの核酸修飾反応のための試薬、および/あるいは鋳型調製のための試薬を含んでもよい。場合によっては、プライマーは前駆体に結合してもよい。プライマーは逆転写のために使用されてもよい。プライマーはポリT配列を含んでいてもよく、または標的核酸分子に特異的であってもよい(すなわち、標的核酸の配列に相補的であってもよい)。いくつかの実施形態では、プライマーは特定の標的核酸配列(例えば、ウイルス核酸配列)にハイブリダイズする。
【0070】
追加の試薬、例えば、サンプルのDNAを断片化するエンドヌクレアーゼ、サンプルの核酸断片を増幅し、増幅された断片にバーコード分子タグを結合させるために用いられるDNAポリメラーゼ酵素およびdNTPsが、サンプルと共に区画に分けられてもよい。ポリメラーゼ、トランスポザーゼ、リガーゼ、プロテイナーゼK、DNAseなどを含むがこれらに限定されない他の酵素が、共に区画に分けられてもよい。溶解したサンプルがRNAベースのウイルスを含む場合、追加の試薬は逆転写酵素も含んでもよい。
【0071】
本明細書に記載される方法の1つの利点は、インフルエンザA/B、コロナウイルス、または他の病原体配列の1つ以上の検出のために唾液サンプルを使用できることである。本明細書に記載される方法で使用するための唾液サンプルは、約100、50、25、10、9、8、7、6、5、4、3、または2マイクロリットル未満の唾液を含んでもよい。特定の実施形態では、唾液サンプルは、約20マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、唾液サンプルは、約10マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、唾液サンプルは、約8マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、唾液サンプルは、約7マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、唾液サンプルは、約6マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、唾液サンプルは、約5マイクロリットル未満である。
【0072】
本明細書に記載される方法の1つの利点は、インフルエンザA/B、コロナウイルス、または他の病原体配列の1つ以上の検出のために少量の鼻腔スワブサンプルを使用できることである。鼻腔スワブは、PBSまたは生理食塩水などの約1ミリリットルの緩衝液に接種し、その後、少量のサンプルを使用してウイルス感染を検出してもよい。本明細書に記載される方法で使用するための鼻腔スワブサンプルは、約100、50、25、10、9、8、7、6、5、4、3、または2マイクロリットル未満の接種した鼻腔スワブを含んでもよい。特定の実施形態では、接種された鼻腔スワブサンプルは、約20マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、接種された鼻腔スワブサンプルは、約10マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、接種された鼻腔スワブサンプルは、約8マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、接種された鼻腔スワブサンプルは、約7マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、接種された鼻腔スワブサンプルは、約6マイクロリットル未満である。特定の実施形態では、接種された鼻腔スワブサンプルは、約5マイクロリットル未満である。
【0073】
病原体配列の検出
ウイルスは一般に、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含むゲノム構造を含んでいる。このようなゲノムは、一本鎖または二本鎖の核酸からなることができる。さらに、ウイルスのゲノムは一般に、感染する宿主とは異なる核酸配列を含む。したがって、ウイルスゲノム内の他とは異なる核酸配列は、分子および遺伝子の増幅技術や配列決定技術を用いて検出の標的を提供する。さらに、ウイルス間の遺伝子配列および構造の違いは、ウイルスのクラス、サブクラス、および個々の株を互いに区別することを可能にする。したがって、ウイルスに特異的な核酸配列、要素、鋳型、または遺伝子座を認識するプライマー(例えば、プローブ)は、ウイルス感染の特定および検出に使用することができる。
【0074】
本明細書に記載されるウイルス配列の検出は、PCR反応を使用してウイルス核酸を増幅すること、およびPCR増幅の結果を配列決定することを含む。検出されるウイルスがRNAベースのウイルスである例では、増幅はさらに、逆転写反応を含む。逆転写反応は、PCT増幅の前の別の工程であってもよく、または、PCR酵素とプライマーの存在下で起こる1工程反応であってもよい。PCR増幅は、オリゴヌクレオチドプライマー対を介して行われる。このようなプライマーは、標的特異的部分を含むことに加えて、図3に示すように、インデックス配列および/または配列決定アダプター配列も含んでもよい。
【0075】
ウイルスおよび宿主核酸分子の増幅は、ウイルスおよび宿主核酸分子にハイブリダイズしたプライマーを伸長または増幅する酵素の使用を介して達成することができる。特に、宿主およびウイルスの核酸に対応するcDNAを生成するためには、逆転写酵素が用いられる。例えば、RNAを含むゲノムを有するウイルスの場合、上記核酸伸長反応は逆転写反応である。宿主細胞内でのDNA転写のRNA核酸産物は、逆転写酵素を用いて処理することができる。逆転写酵素は市販のものを容易に使用することができる。トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素およびモロニーマウス白血病ウイルス(M-MuLV、MMLV)逆転写酵素は、分子生物学のワークフローで一般的に使用されるRTである。M-MuLV逆転写酵素は、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いている。ProtoScript II逆転写酵素は、RNase H活性を低減させ、耐熱性を向上させた組換えM-MuLV逆転写酵素である。これを用いて、野生型M-MuLVよりも高い温度で一本鎖cDNAを合成することができる。この酵素は最大で50℃まで活性があり、より高い特異性、高い収率のcDNAと、最大12kbの長さのより完全長のcDNA産物を提供する。操作されたRTの使用により、完全長産物の形成効率が向上し、mRNA転写物の5’末端のコピーが確実に完了し、RNA配列の忠実なDNAコピーの伝播と特徴づけが可能になる。反応がより高い温度で行われる、より耐熱性の高いRTの使用は、大量の二次構造を含有するRNAを扱う場合に有用である。いくつかの実施形態では、上記核酸伸長反応は、逆転写酵素反応、ポリメラーゼ連鎖反応、またはそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、上記核酸伸長反応は、(i)プライマーをウイルス核酸分子にハイブリダイズさせること、および(ii)逆転写酵素を使用すること、上記プライマーを伸長させることを含む。
【0076】
逆転写後または逆転写中(該当する場合)、サンプルは増幅反応に供される。特定の実施形態では、増幅反応は、PCR反応である。特定の実施形態では、PCR反応は、リアルタイムPCR反応ではない。特定の実施形態では、PCRは、ウイルス核酸配列を増幅するのに十分な設定されたサイクル数で実施される。溶解し逆転写されたサンプルは、Nサイクルの間増幅され得る。特定の実施形態では、Nは、30、35、40、または45サイクルよりも大きい。特定の実施形態では、Nは、30と50サイクルの間、40と50サイクルの間、35と45サイクルの間、36と44サイクルの間、37と43サイクルの間、38と42サイクルの間、39と41サイクルの間、または40と45サイクルの間である。特定の実施形態では、溶解し逆転写されたサンプルは、40サイクル増幅され得る。
【0077】
プライマー対は、最適化された濃度で増幅PCR反応に添加することができる。特定の実施形態では、ウイルス核酸/合成核酸および/または宿主対照を増幅するプライマーセットの濃度は、プライマー対を、1マイクロモル未満の濃度でPCR反応に添加することができる。特定の実施形態では、濃度は、約800nM、400nM、200nM、100nM、150nM、または50nMである。
【0078】
ポリメラーゼ連鎖反応増幅は、可変ヌクレオチド配列(バーコード)などの機能的配列をさらに組み込むために使用することができる。いくつかの実施形態では、上記ポリメラーゼ連鎖反応は、サンプルインデックス配列、アダプター配列、プライマー配列、プライマー結合配列、シーケンサーのフローセルに結合するように構成された配列、および追加のバーコード配列からなる群から選択される、1以上の追加の配列を、上記バーコード化ウイルス核酸分子およびバーコード化宿主核酸分子の一方または双方に組み込む。
【0079】
本明細書に記載される方法は、ウイルス核酸と共逆転写および/または増幅される合成核酸を含む。特定の実施形態では、ウイルス配列を増幅するオリゴヌクレオチドプライマーのセットも、合成核酸を増幅する。サンプルは、サンプル中の核酸の処理に関する情報を提供する合成核酸分子で「スパイク」され得る。特定の実施形態では、合成核酸分子は、処理または増幅の前に生体サンプルに添加される。特定の実施形態では、合成核酸は、既知の濃度または量で生体サンプルにスパイクされる。特定の実施形態では、既知の量は、1×10、1×10、1×10、10、5、4、3、2、または1コピーの合成核酸である。特定の実施形態では、合成対照核酸はRNAである。理想的には、合成核酸の増幅部分の長さは、増幅されるウイルス核酸標的の長さと一致しており、ウイルス核酸標的と同じ長さであるか、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50ヌクレオチド以内であるアンプリコンを生成する。同様に、合成核酸の配列は、ウイルス配列と高度に相同でなければならないが、合成核酸が配列決定によって識別できるように、少なくとも1ヌクレオチドだけ異なることが望ましい。特定の実施形態では、合成核酸は、増幅されるウイルス核酸の配列と比較して、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15ヌクレオチドだけ異なる。
【0080】
合成核酸配列は、配列リードを正規化するため、および、サンプル調製中の損失、あるいは増幅または配列決定中に導入された非効率性/バイアスを考慮するために、使用されてもよい。
【0081】
合成核酸は、下流の処理および分析のための「スパイクされた」合成核酸の性能をさらに向上させるために、異なる配列を有する複数の核酸を含んでもよい。複数の核酸(The plurality)は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の異なる配列を含んでもよい。複数の核酸は、2、3、4、5個の異なる配列を含んでもよい。複数の核酸は、4個の異なる配列を含んでもよい。複数の核酸は、S2スパイク配列、N1核タンパク質配列、またはそれらの組み合わせを増幅するプライマーと共に使用するためのものであってもよい。例示的な配列を以下の表に示す(合成核酸はRNAであるため、すべてのTsは配列のRNAバージョンではUsである)。合成核酸または複数の合成核酸のいずれか1つ以上は、以下に示される配列番号1~12のいずれかと少なくとも約90%、95%、97%、98%、99%、または同一の相同性を有することができる。
【0082】
【表1】
【0083】
合成核酸は、検査されるウイルス核酸配列を増幅する同じプライマーによって結合され得るが、配列決定によって検査されるウイルス核酸配列と区別可能な異なる介在配列を含む5’および3’近位配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、合成核酸分子を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、ウイルス核酸を増幅するのと同じプライマーによって結合され得る5’および3’近位配列を損なう合成核酸分子を提供する工程をさらに含む。特定の実施形態では、上記5’近位領域、上記3’近位領域、または上記5’近位領域と上記3’近位領域の両方は、長さが約30ヌクレオチド未満である。特定の実施形態では、上記5’近位領域、上記3’近位領域、または上記5’近位領域と上記3’近位領域の両方は、長さが約25ヌクレオチド未満である。特定の実施形態では、上記5’近位領域、上記3’近位領域、または上記5’近位領域と上記3’近位領域の両方は、長さが約20ヌクレオチド未満である。特定の実施形態では、5’近位領域は、合成核酸の5’末端にある。特定の実施形態では、3’近位領域は、合成核酸の3’末端にある。特定の実施形態では、介在核酸配列は、ウイルス核酸配列と約99%未満、98%未満、97%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、または75%未満、同一である。いくつかの実施形態では、合成核酸分子は、上記ウイルス核酸分子および上記ヒト核酸分子とは異なる合成配列を含む。いくつかの実施形態では、合成核酸分子は、宿主および/またはウイルス配列に対して、10%以下、25%以下、50%以下、75%以下、90%以下、95%以下、または98%以下のヌクレオチド配列同一性を含む。
【0084】
特定の実施形態では、合成核酸は、約1コピー/ウェル~約1,000,000コピー/ウェルの方法における濃度を達成するために溶解物に添加される。特定の実施形態では、特定の実施形態では、合成核酸は、約1コピー/ウェル~約50コピー/ウェル、約1コピー/ウェル~約100コピー/ウェル、約1コピー/ウェル~約500コピー/ウェル、約1コピー/ウェル~約1,000コピー/ウェル、約1コピー/ウェル~約5,000コピー/ウェル、約1コピー/ウェル~約10,000コピー/ウェル、約1コピー/ウェル~約100,000コピー/ウェル、約1コピー/ウェル~約1,000,000コピー/ウェル、約50コピー/ウェル~約100コピー/ウェル、約50コピー/ウェル~約500コピー/ウェル、約50コピー/ウェル~約1,000コピー/ウェル、約50コピー/ウェル~約5,000コピー/ウェル、約50コピー/ウェル~約10,000コピー/ウェル、約50コピー/ウェル~約100,000コピー/ウェル、約50コピー/ウェル~約1,000,000コピー/ウェル、約100コピー/ウェル~約500コピー/ウェル、約100コピー/ウェル~約1,000コピー/ウェル、約100コピー/ウェル~約5,000コピー/ウェル、約100コピー/ウェル~約10,000コピー/ウェル、約100コピー/ウェル~約100,000コピー/ウェル、約100コピー/ウェル~約1,000,000コピー/ウェル、約500コピー/ウェル~約1,000コピー/ウェル、約500コピー/ウェル~約5,000コピー/ウェル、約500コピー/ウェル~約10,000コピー/ウェル、約500コピー/ウェル~約100,000コピー/ウェル、約500コピー/ウェル~約1,000,000コピー/ウェル、約1,000コピー/ウェル~約5,000コピー/ウェル、約1,000コピー/ウェル~約10,000コピー/ウェル、約1,000コピー/ウェル~約100,000コピー/ウェル、約1,000コピー/ウェル~約1,000,000コピー/ウェル、約5,000コピー/ウェル~約10,000コピー/ウェル、約5,000コピー/ウェル~約100,000コピー/ウェル、約5,000コピー/ウェル~約1,000,000コピー/ウェル、約10,000コピー/ウェル~約100,000コピー/ウェル、約10,000コピー/ウェル~約1,000,000コピー/ウェル、または約100,000コピー/ウェル~約1,000,000コピー/ウェルで添加される。特定の実施形態では、合成核酸は、約1コピー/ウェル、約50コピー/ウェル、約100コピー/ウェル、約500コピー/ウェル、約1,000コピー/ウェル、約5,000コピー/ウェル、約10,000コピー/ウェル、約100,000コピー/ウェル、または約1,000,000コピー/ウェルで添加される。特定の実施形態では、合成核酸は、少なくとも約1コピー/ウェル、約50コピー/ウェル、約100コピー/ウェル、約500コピー/ウェル、約1,000コピー/ウェル、約5,000コピー/ウェル、約10,000コピー/ウェル、または約100,000コピー/ウェルで添加される。特定の実施形態では、合成核酸は、最大で約50コピー/ウェル、約100コピー/ウェル、約500コピー/ウェル、約1,000コピー/ウェル、約5,000コピー/ウェル、約10,000コピー/ウェル、約100,000コピー/ウェル、または約1,000,000コピー/ウェルで添加される。
【0085】
増幅および/または配列決定後、得られた検出病原体核酸分子と合成オリゴヌクレオチドの比率は、病原性感染症の検出および診断に有用である。感染病原体の検出および診断に使用される比率の構成要素は、特定の配列または配列のセットについてのリード数、特定の配列または配列のセットのコピー数(例えば、特定の配列に関連する異なる固有の分子識別子配列の数)、配列決定情報から導き出される数または量、あるいはそれらの任意の組み合わせに基づくことができる。いくつかの実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、1よりも大きい。いくつかの実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、1に等しいか、または約1である。いくつかの実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、1未満である。
【0086】
特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、約0.00001:1~約0.5:1である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、約0.00001:1~約0.00005:1、約0.00001:1~約0.0001:1、約0.00001:1~約0.0002:1、約0.00001:1~約0.0003:1、約0.00001:1~約0.0004:1、約0.00001:1~約0.0005:1、約0.00001:1~約0.001:1、約0.00001:1~約0.005:1、約0.00001:1~約0.01:1、約0.00001:1~約0.1:1、約0.00001:1~約0.5:1、約0.00005:1~約0.0001:1、約0.00005:1~約0.0002:1、約0.00005:1~約0.0003:1、約0.00005:1~約0.0004:1、約0.00005:1~約0.0005:1、約0.00005:1~約0.001:1、約0.00005:1~約0.005:1、約0.00005:1~約0.01:1、約0.00005:1~約0.1:1、約0.00005:1~約0.5:1、約0.0001:1~約0.0002:1、約0.0001:1~約0.0003:1、約0.0001:1~約0.0004:1、約0.0001:1~約0.0005:1、約0.0001:1~約0.001:1、約0.0001:1~約0.005:1、約0.0001:1~約0.01:1、約0.0001:1~約0.1:1、約0.0001:1~約0.5:1、約0.0002:1~約0.0003:1、約0.0002:1~約0.0004:1、約0.0002:1~約0.0005:1、約0.0002:1~約0.001:1、約0.0002:1~約0.005:1、約0.0002:1~約0.01:1、約0.0002:1~約0.1:1、約0.0002:1~約0.5:1、約0.0003:1~約0.0004:1、約0.0003:1~約0.0005:1、約0.0003:1~約0.001:1、約0.0003:1~約0.005:1、約0.0003:1~約0.01:1、約0.0003:1~約0.1:1、約0.0003:1~約0.5:1、約0.0004:1~約0.0005:1、約0.0004:1~約0.001:1、約0.0004:1~約0.005:1、約0.0004:1~約0.01:1、約0.0004:1~約0.1:1、約0.0004:1~約0.5:1、約0.0005:1~約0.001:1、約0.0005:1~約0.005:1、約0.0005:1~約0.01:1、約0.0005:1~約0.1:1、約0.0005:1~約0.5:1、約0.001:1~約0.005:1、約0.001:1~約0.01:1、約0.001:1~約0.1:1、約0.001:1~約0.5:1、約0.005:1~約0.01:1、約0.005:1~約0.1:1、約0.005:1~約0.5:1、約0.01:1~約0.1:1、約0.01:1~約0.5:1、または約0.1:1~約0.5:1である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、約0.00001:1、約0.00005:1、約0.0001:1、約0.0002:1、約0.0003:1、約0.0004:1、約0.0005:1、約0.001:1、約0.005:1、約0.01:1、約0.1:1、または約0.5:1である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、少なくとも約0.00001:1、約0.00005:1、約0.0001:1、約0.0002:1、約0.0003:1、約0.0004:1、約0.0005:1、約0.001:1、約0.005:1、約0.01:1、または約0.1:1である。
【0087】
特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、約1:1~約1:100である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、約1:100~約1:50、約1:100~約1:25、約1:100~約1:10、約1:100~約1:5、約1:100~約1:4、約1:100~約1:3、約1:100~約1:2、約1:100~約1:1、約1:100~約1:1、約1:50~約1:25、約1:50~約1:10、約1:50~約1:5、約1:50~約1:4、約1:50~約1:3、約1:50~約1:2、約1:50~約1:1、約1:50~約1:1、約1:25~約1:10、約1:25~約1:5、約1:25~約1:4、約1:25~約1:3、約1:25~約1:2、約1:25~約1:1、約1:25~約1:1、約1:10~約1:5、約1:10~約1:4、約1:10~約1:3、約1:10~約1:2、約1:10~約1:1、約1:10~約1:1、約1:5~約1:4、約1:5~約1:3、約1:5~約1:2、約1:5~約1:1、約1:5~約1:1、約1:4~約1:3、約1:4~約1:2、約1:4~約1:1、約1:4~約1:1、約1:3~約1:2、約1:3~約1:1、約1:3~約1:1、約1:2~約1:1、約1:2~約1:1、または約1:1~約1:1である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、約1:100、約1:50、約1:25、約1:10、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、または約1:1である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、少なくとも約1:100、約1:50、約1:25、約1:10、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、または約1:1である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、最大で約1:50、約1:25、約1:10、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、または約1:1である。
【0088】
特定の実施形態では、合成核酸対病原体核酸の比は、約1:100~約1:50、約1:100~約1:25、約1:100~約1:10、約1:100~約1:5、約1:100~約1:4、約1:100~約1:3、約1:100~約1:2、約1:100~約1:1、約1:100~約1:1、約1:50~約1:25、約1:50~約1:10、約1:50~約1:5、約1:50~約1:4、約1:50~約1:3、約1:50~約1:2、約1:50~約1:1、約1:50~約1:1、約1:25~約1:10、約1:25~約1:5、約1:25~約1:4、約1:25~約1:3、約1:25~約1:2、約1:25~約1:1、約1:25~約1:1、約1:10~約1:5、約1:10~約1:4、約1:10~約1:3、約1:10~約1:2、約1:10~約1:1、約1:10~約1:1、約1:5~約1:4、約1:5~約1:3、約1:5~約1:2、約1:5~約1:1、約1:5~約1:1、約1:4~約1:3、約1:4~約1:2、約1:4~約1:1、約1:4~約1:1、約1:3~約1:2、約1:3~約1:1、約1:3~約1:1、約1:2~約1:1、約1:2~約1:1、または約1:1~約1:1である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、約1:100、約1:50、約1:25、約1:10、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、または約1:1である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、少なくとも約1:100、約1:50、約1:25、約1:10、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、または約1:1である。特定の実施形態では、病原体核酸対合成核酸の比は、最大で約1:50、約1:25、約1:10、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、または約1:1である。
【0089】
病原体リード対病原体合成核酸(病原体リードと区別できる配列を持つ)の比を使用して、特定の病原体(例えば、コロナウイルス、インフルエンザA、インフルエンザB)による陽性診断を示すことができる。代替的に、比が陽性の閾値を超えない場合、陰性の診断がなされる。いくつかの実施形態では、病原体核酸から合成核酸までの配列リードが約0.01~約0.5の比を超える場合、病原体について陽性の診断がなされる。いくつかの実施形態では、病原体核酸から合成核酸までの配列リードが、約0.01~約0.4、約0.01~約0.3、約0.01~約0.2、約0.02~約0.5、約0.02~約0.2、約0.03~約0.5、約0.03~約0.2、約0.04~約0.5、約0.03~約0.2、約0.05~約0.5、約0.05~約0.2、約0.06~約0.5、約0.06~約0.2、約0.07~約0.5、約0.07~約0.2、約0.08~約0.5、約0.08~約0.2の比を超える場合に、病原体について陽性の診断がなされる。いくつかの実施形態では、病原体核酸から合成核酸までの配列リードが、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、または約0.1の比を超える場合に、病原体について正の診断がなされる。
【0090】
病原体リード+病原体合成核酸(病原体リードと区別できる配列を有する)の合計量は、病原体(例えば、コロナウイルス、インフルエンザA、インフルエンザB)の存在について陽性または陰性の診断を試みるために十分な配列データが存在するかどうかを示すために、使用可能である。いくつかの実施形態では、合成核酸とともに病原体核酸の配列リードの合計数が最小閾値を超える場合にのみ、陽性または陰性の診断を行うことができ、さもなければ結果は結論に至らない。いくつかの実施形態では、最小閾値は、少なくとも約10リード、少なくとも約20リード、少なくとも約30リード、少なくとも約40リード、少なくとも約50リード、少なくとも約60リード、少なくとも約70リード、少なくとも約80リード、少なくとも約90リード、少なくとも約100リード、少なくとも約150リード、少なくとも約200リード、または少なくとも約250リードである。
【0091】
場合によっては、サンプル対照を使用して、十分な遺伝物質がサンプル中に存在し、確実に陽性または陰性診断を呼び出すことができることを検証することができる。リードの量は、サンプル対照についてカウントされ得る。このサンプル対照は通常、検査が実施されている個体の種のハウスキーピング遺伝子である。特定の実施形態では、検査されている個体がヒトである場合、サンプル対照は、βアクチン、GAPDH、またはRPP30である。特定の実施形態では、検査されている個体がヒトである場合、サンプル対照はRPP30である。特定の実施形態では、陽性または陰性の診断を送達するために存在するサンプル対照からのリードの量は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、128、19、20、25、または30リードを超える。特定の実施形態では、陽性または陰性の診断を送達するために存在するサンプル対照からのリードの量は、10リードに等しいか、または10リードを超える。
【0092】
開示される方法はさらに、多重化戦略と組み合わせて、複数のサンプルの検査を並行して効果的かつ効率的に可能にすることができる。本明細書で使用されるように、「多重化」は、1つ以上のサンプルに対して複数のアッセイを同時に実施することを指す。多重化はさらに、複数の別々のサンプルの各々において複数のアッセイを同時に実施することも含むことができる。例えば、分析される反応混合物の数は、区画の数に基づくことができ、各区画において実施されるアッセイの数は、各ウェルの内容物に接触するプローブの数に基づくことができる。開示された方法の適用において、多重化設計および戦略を効果的に採用することができる。例えば、1つ以上の固有のバーコードまたはアダプター核酸分子を標的核酸分子に結合させることができ、ここで、固有のバーコードまたはアダプター核酸分子は標的核酸分子を特定またはバーコード化する。いったんバーコード化されると、サンプルは単一の配列決定ライブラリーに組み合わされるか、プールされ、バーコード化された標的核酸(例えば、病原体核酸分子および/または合成核酸分子)は、他のバーコード化サンプルと区別することができる。したがって、サンプル多重化および核酸バーコードの使用は、群または複数の個体からの第1の個体からの配列決定リードを識別するために使用され得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、配列決定前にプールされる。特定の実施形態では、10、25、50、75、100、または500を超えるサンプルがプールされ、単一の配列決定ライブラリーで解析される。
【0093】
さらに、1つ以上の病原体を1つのアッセイで検査することができる。例えば、複数の呼吸器系ウイルス(またはウイルス亜型)を1つのアッセイで分析することができる。従って、1つの病原体について開示された方法を、1つの反応における複数の病原体の検出および分析のために組み合わせることができる。(例えば、複数の病原体核酸分子に特異的な複数のプライマーを使用し、複数の合成核酸分子をサンプルに添加することができる)。さらなる例として、いくつかの実施形態では、第1の病原体はコロナウイルスであり、第2の病原体はインフルエンザウイルスである。複数の病原体の例としては、ウイルスの異なる亜型またはクレード(例えば、インフルエンザA H1N1およびインフルエンザA H3N2)も挙げられる。
【0094】
本明細書に記載される方法および反応混合物は、複数のコロナウイルス配列の増幅および配列決定を利用してもよい。特定の実施形態では、増幅および配列決定される複数のコロナウイルス配列は、S2配列を含む。特定の実施形態では、増幅および配列決定される複数のコロナウイルス配列は、N1配列を含む。特定の実施形態では、増幅され配列決定される複数のコロナウイルス配列は、S2配列およびN1配列を含む。このような検査は、各ウイルス標的について、複数の合成核酸スパイクイオン対照を利用してもよい。
【0095】
本明細書に記載される方法、反応混合物、およびキットは、コロナウイルス(例えば、SARS-CoV2)およびインフルエンザAおよび/またはインフルエンザBを検査するために使用することが可能である。そのような検査は、医療提供者および保健機関が、異なる一般的な呼吸器病原体のアウトブレイクを同時に監視する際に有用であろう。本明細書に記載される方法は、コロナウイルスとインフルエンザAおよびBを同時に検出するための三重の検査で使用することができる。そのような検査は、各ウイルス標的について1つずつ、3つの異なる合成核酸スパイクイオン対照を利用してもよい。
【0096】
本明細書に記載される方法は、ウイルス宿主(例えば、検査される個体)の核酸配列を標的とするオリゴヌクレオチドプライマーの第2のセットを含んでもよく、このようなプライマーセットは、サンプルおよび増幅のための陽性対照を提供する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、GAPDH、ACTB、RPP30、およびそれらの組み合わせから選択されるヒト核酸配列を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒトRPP30配列を増幅する。特定の実施形態では、PCRプライマーの上記第2のセットは、配列決定アダプター配列を有するプライマーと、配列決定アダプター配列を有していないプライマーの混合物を含む。特定の実施形態では、配列決定アダプター配列を有するプライマーと配列決定アダプター配列を有していないプライマーとの比は、約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4である。アダプターを含むプライマーと含まないプライマーの混合物は、ウイルス宿主核酸の検出を可能にするが、より多くの配列決定リードをウイルス配列に割くことができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、病原体の感染の診断の結果は、ヒト核酸配列の最小所定数のリードが検出されない場合、結論に至らない。いくつかの実施形態では、ヒト核酸配列の最小所定数のリードは、ヒト核酸配列の少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10のロード、少なくとも約15のリード、少なくとも約20のリード、または少なくとも約25のリードを超えなければならない。いくつかの実施形態では、ヒト核酸配列の最小所定数のリードは、少なくとも約10のリードを超えなければならない。
【0098】
コロナウイルスは、直径100~160nmのエンベロープウイルス粒子を形成する。コロナウイルスは、一本鎖リボ核酸(ssRNA)ウイルスであり、27~32kbのサイズのポジティブセンスRNAゲノムを含む。コロナウイルスのゲノムの5’領域はポリタンパク質pp1abをコードし、これはさらに16の非構造タンパク質に切断され、これらはゲノムの転写と複製に関与している。3’領域は、エンベロープ糖タンパク質スパイク(例えば、ウイルススパイク)、エンベロープ、膜、およびヌクレオカプシドを含む構造タンパク質をコードする。構造タンパク質をコードする遺伝子は、種特異的なアクセサリー遺伝子として機能することもでき、ウイルス複製に不要な場合もある。
【0099】
COVID-19(HCoV-19またはSARS-CoV-2とも呼ばれる)は、ベータコロナウイルスの一種であり、ヒトに感染することが知られている7番目のコロナウイルスである。COVID-19コロナウイルスは、(SARS-CoV、MERS-CoVでも観察されるように)重篤な疾患を引き起こす可能性がある。COVID-19は、ヒトの受容体であるACE2を効率的に標的とすることを実証している。スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)は、コロナウイルスゲノムの中で最も可変性の高い部分である。6つの受容体結合ドメイン(RBD)アミノ酸は、ACE2受容体との結合やSARS-CoV様ウイルスの宿主範囲を決定するのに重要であることが示されている。SARS-CoVタンパク質配列に基づいて、ACE2結合に関与し、受容体標的化に寄与する残基は、Y442、L472、N479、D480、T487、およびY4911である(これらの残基はSARS-CoV-2のL455、F486、Q493、S494、N501、およびY505にも相当する)である。COVID-19では、これら6つの残基のうち5つがCOVID-19とSARS-CoVの間で異なり、COVID-19受容体結合ドメイン(RBD)タンパク質のL455、F486、Q493、S494、およびN501に相当している。COVID-19のこのような配列特性は、COVID-19を特定、検出、および/または診断するために使用することができる。例えば、COVID-19受容体結合ドメイン(RBD)の配列の固有の配列は、COVID-19を特定、検出、または診断するために使用することができる。
【0100】
COVID-19はさらに、12ヌクレオチドの挿入により、ウイルススパイクタンパク質境界のS1サブユニットおよびS2サブユニット内に機能的な多塩基(furin)切断部位を含んでいる。この挿入された配列は、3つのO-結合型グリカンの獲得を増強している。多塩基性切断部位と3つの隣接する予測されたO-結合型グリカンはいずれもCOVID-19に固有のものであり、これまでαコロナウイルスまたはβコロナウイルスでは特定されていないものである。したがって、COVID-19のウイルススパイク配列の特性は、COVID-19を特定、検出、および/または診断するために使用することができる。例えば、COVID-19のウイルススパイク挿入物の配列の固有の配列は、COVID-19を特定、検出、または診断するために使用することができる。
【0101】
本明細書に記載された方法は、個体のウイルス感染症の検出と診断に役立つ。特定の実施形態では、ウイルス感染症はインフルエンザである。特定の実施形態では、ウイルス感染症はコロナウイルスである。特定の実施形態では、ウイルス感染症はCOVID-19である。特定の実施形態では、ウイルス感染症はMERS-CoVである。特定の実施形態では、ウイルス感染症はSARS-COV-2である。
【0102】
原則として、任意の適切なウイルス核酸配列は、オリゴヌクレオチドプライマー対に標的とされることが可能である。そのような標的としては、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質、ウイルススパイクタンパク質、ウイルスエンベロープタンパク質、またはウイルス膜タンパク質をコードする核酸配列が挙げられる。そのような標的としては非構造タンパク質が挙げられる。
【0103】
検出されるウイルス感染症がSARS-CoV-2である場合、検出されたウイルス核酸は、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質(N1)、ウイルススパイクタンパク質(S2)、ウイルスエンベロープタンパク質、またはウイルス膜タンパク質の1つ以上をコードするものでありうる。特定の実施形態では、検出される核酸は、16個のSARS-CoV-2非構造タンパク質、NSP1、NSP2、NSP3、NSP4、NSP5、NSP6、NSP7、NSP8、NSP9、NSP10、NSP111、NSP12、NSP13、NSP14、NSP15、またはNSP16のうちのいずれか1つ以上をコードするものである。
【0104】
本明細書に記載される方法において使用され得る例示的なプライマー対は、本開示に続く配列付録において記載される配列に結合することができる。特定の実施形態では、付録に列挙されるプライマーのいずれかを、本明細書に記載される方法において使用することができる。
【0105】
バーコード化オリゴを含むプライマーは、サンプル分析(例えば、サンプルの特定、追跡、定量化など)において有用である。例えば、共通バーコード配列と固有の分子識別子配列をさらに含むバーコード化オリゴヌクレオチドを含む区画内のプライマーは、(1)共通バーコードの使用を介してある区画に属する配列を識別し、(2)固有の分子識別子の使用を介して転写コピー数を識別するために使用可能である。いくつかの実施形態では、上記第1のプライマーセットは、プライマー配列、アダプター配列、プライマーアニーリング配列、固有の分子識別子配列、および捕捉配列からなる群から選択される1つ以上の追加の機能的配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、上記第2のプライマーは、プライマー配列、アダプター配列、プライマーアニーリング配列、固有の分子識別子配列、および捕捉配列からなる群から選択される1つ以上の追加の機能的配列をさらに含む。一般に、プライマーは、ウイルス、宿主、または合成核酸分子の標的配列に特異的(すなわち、それに相補的である、または、それに相補的な配列を含む)である。
【0106】
図4図21はさらに、本明細書に開示される方法および組成物、ならびにそれらの使用および/または適用の利点を実証および/または例示する。図4はCOVID19のためのSwabSeq診断検査プラットフォームを例示する。(A)では、Swab Seqのワークフローは、開始から終了まで約12時間かかる5工程プロセスである。(B)の各ウェルでは、臨床サンプルのRT-PCRが実施される。各ウェルには、SARS-CoV-2 S2遺伝子およびヒトRPP30遺伝子のcDNAとアンプリコンを生成する2セットのインデックス付きプライマーがある。各プライマーは、Illuminaシーケンシング用のP5およびP7アダプター、固有のi7およびi5分子バーコード、および固有のプライマー対で合成される。重要なのは、すべてのウェルに合成のインビトロS2標準があり、これはこの方法が規模を拡大して機能するための鍵となる。(C)では、インビトロS2標準(S2-Spikeと略す)は、ウイルスのS2遺伝子と補完されている(下線部)6塩基対が異なる。(D)では、様々なウイルス濃度でリードがカウントされる。(E)では、レシオメトリック正規化により、各アンプリコンのウェル内での正規化が可能となる。(F)では、各ウェルには、増幅のための2つの内部ウェル対照、インビトロS2標準、およびヒトRPP30がある。RPP30アンプリコンは、検体採取の対照として機能する。インビトロS2標準は、SwabSeqが真の陰性を区別する能力にとって必要不可欠である。
【0107】
図5は、臨床検体の検証が、高感度なRT-qPCR反応と同等の検出限界を実証することを示している。(A)では、SARS-CoV2がない鼻腔スワブサンプルの検出限界(LOD)をプールし、ATCC不活化ウイルスを異なる濃度で添加した。鼻腔スワブサンプルをRNA精製し、SwabSeqを使用して、1mLあたり250のゲノムコピー当量(genome copy equivalents)(GCE)の検出限界が示された。(B)では、UCLA Health Clinical Microbiology Laboratoryを通じて入手したRNA精製された臨床鼻腔スワブ検体を、FDA認可のプラットフォームを使用して臨床プロトコルに基づいて検査し、さらにSwabSeqを使用して検査した。SARS-CoV-2に陽性(n=31)およびSARS-CoV-2に陰性(n=35)と判定されたサンプルとの100%の一致が示されている。(C)では、抽出不要の鼻咽頭スワブからの検査されたRNA精製サンプルを検査し、558GCE/mLの検出限界を示した。(D)の臨床サンプルでは、UCLA Health Clinical Microbiology Laboratoryで行った検査で、陰性(n=20)および陽性(n=20)で100%の一致を示した。(E)では、唾液検体の抽出不要の処理により、検出限界が1000GCE/mLまで低下することが示されている。
【0108】
図6は配列決定ライブラリー設計を示す。S2(上)とRPP30(下)のアンプリコンについてアンプリコン設計が示されている。アンプリコンは、i5およびi7の分子インデックスが各サンプルを一意に識別するように設計されている。SwabSeqは、すべてのIlluminaのプラットフォームと互換性があるように設計された。図7は、COVID-19アンプリコンおよび合成S2スパイクを増幅する際にS2プライマーが同等のPCR効率を示すことを示している。S2_spikeまたはSARS-CoV-2ウイルス(C19gRNAとして緑色で標識される)のいずれかの入力によるプライマーのPCR効率の勾配は、以下の通りである。S2_spike勾配=-6.68e-6、および、C19gRNA(Twist Control)勾配=-6.74e-6。プライマーがS2スパイクRNA対C19gRNAの優先的増幅を示さない場合、勾配は同等(平行)であることが予想される。このことは、S2スパイクとC19gRNAは、S2プライマー対を用いて同等の増幅効率を有することを示している。バンドは予測値の95%の信頼区間を表し、切片が異なるため重複せず、この勾配の分析には無関係である。
【0109】
図8は、非常に高いウイルス濃度では、SwabSeqが直線性を維持することを示す。異種サンプルタイプやPCR阻害がある場合でも、陰性サンプルを呼び出すことができるように、内部ウェル対照であるS2 Spikeが含まれている。(A)では、ウイルス濃度が上昇するにつれて、S2に起因するリードが増加し、(B)では、S2 Spikeに起因するリードが減少する。(C)では、S2とS2 Spikeの比率により、追加のレベルでのレシオメトリック正規化が行われ、最大で少なくとも200万コピー/mLの溶解物まで直線性を示した。両軸の目盛りはlog10スケールで配置されていることに注意する。
【0110】
図9は、MiSeqまたはNextSeq Machineで実施された配列決定が同様の感度を呈することを示す。MiSeqとNextSeqの両方で実行したマルチプレックスライブラリーは、精製RNAバックグラウンドにおける幅広いSARS-CoV2ウイルスコピーで直線性を示した。図10は、NextSeq550を使用するRNA精製サンプルについての予備的および確認的な検出限界データを示す。(A)では、予備的なLODデータが250コピー/mLのLODを特定し、(B)では、確認的な研究が250コピー/mLのLODを示した。(C)では、精製RNAについて例示的な結果解釈ガイドラインが示される。
【0111】
図11は、従来の採取媒体および緩衝液への抽出不要なプロトコルが、RTおよびPCR阻害の影響を克服するために希釈を必要とすることを示している。(A)では、ウイルス輸送媒体(VTM)に入れた鼻咽頭(NP)スワブの抽出不要プロトコルを検査した。ATCC生活性化ウイルスを、プールしたVTMに様々な濃度でスパイクし、RT-PCR反応に加える前にサンプルを水で1:4に希釈した。5714コピー/mLの検出限界が観察された。(B)では、通常生理食塩水(NS)で採取した鼻咽頭(NP)スワブをプールし、その後、さまざまな濃度のATCC生不活性化ウイルスでスパイクした。人為的なサンプルを水で1:4に希釈した。ここで、初期の研究は、2857~5714コピー/mLの間の同様の検出限界を示している。(C)では、Amies緩衝液(ESwab)に採取した天然の臨床サンプルを検査した。陽性サンプルのS遺伝子Ctカウント(x軸)をSwabSeq S2対S2スパイク比(y軸)と比較した。サンプルを3連(色)で実行した。Ctカウントが27以下の場合は高い一致度が見られたが、27を超える場合は変動が大きく、RTおよびPCR阻害が検出限界に影響を与えていることが示唆された。
【0112】
図12は、1日当たり数千のサンプルへのスケーラブルな検査を可能にする、軽量サンプルの受け入れ、採取、および処理の開発を示している。(A)では、サンプル採取の課題を解決するために、自動化可能なチューブに直接サンプルを採取する軽量な採取方法が開発された。ここでは、個体が少量の唾液のサンプル(漏斗とチューブに0.25mL)を堆積させるために漏斗が使用される。このセットアップは、複数の種類のサンプルに対応することができる。(B)では、サンプル受け入れを容易にするために、個体がバーコードリーダーを使ってサンプルチューブを登録し、識別情報をQualtricsのセキュアインスタンス(secure instance)に送信するためのウェブベースのアプリが開発された。その後、個体がサンプルを採取し、チューブをラックに入れる。このロータッチな分析前処理により、多大な管理負担なく1日に数千のサンプルが可能となる。(C)では、全体的なワークフローがラボでの処理を効率化する。まず、個体がサンプルを自動化可能なチューブに採取し、サンプルを96チューブラックに入れる。サンプルは96ラックフォーマットでラボに到着し、サンプルの効率的な不活性化と処理を可能にし、プラットフォームを通るサンプルのフローを劇的に増加させる。
【0113】
図13は、唾液を95℃に30分間予熱することにより、RT-PCRが劇的に改善されることを示す。ウイルスゲノムの検出は、対照の検出におけるロバストが改善されたことを示す。(A)では、予熱を行わない場合、S2スパイクの検出は最小限であり、対照アンプリコンのカウントは低くなっている。(B)では、95℃の予熱工程を30分間行った場合、S2アンプリコンと合成S2スパイクのロバストな検出が観察された。図14は、PCR阻害が増幅産物に大きな影響を与えることを示しており、2%アガロース遺伝子は、Rt-PCR反応から得られたウェルのサブセットについて実行された。精製RNA(A9-A12)と比較して、未精製溶解物(A1-A8)のスワブからのRT-PCR阻害が観察された。2つのバンドがウェルのこのサブセットにおいて観察され、S2またはS2スパイク(177bp)およびRPP30(133bp)プライマー対に対する2つのアンプリコンを表している。図15は、PCRサイクルの数を増加させ、未精製または阻害サンプルタイプ(例えば、唾液)で動作するtapestationが、ライブラリー調製における非特異的ピークのサイズを増加させることが見られることを示している。精製されたアンプリコンライブラリーのAgilent TapeStationによる代表的な結果。両方のライブラリートレースで100bpをわずかに超える非特異的なピーク(矢印)が観察されたが、このピークは未精製サンプルやPCRサイクル数の増加によりサイズが大きくなることが確認された。重要なことは、この非特異的なピークのサイズが増加すると、ライブラリーの定量化が不正確になることが観察されたことである。したがって、Illuminaシーケンサーでのクラスタ密度を最適化するためには、所望のピーク(RPP30およびS2)の割合に基づいて最終ライブラリーのロード濃度を定量化することが示唆される。
【0114】
図16は、TaqPathが、NEB Lunaと比較して、SARS-CoV2-陰性サンプルにおけるS2リードの数を減少させることを示している。(A)と(B)では、Luna One Step RT-PCR Mix(New England Biosciences)対TaqPath(商標)1-Step RT-qPCR Master Mix(Thermofisher Scientific)が比較された。TaqPath Mastermix中のUNGの存在は、SARS-CoV-2陰性サンプル中のS2リード数を大幅に減少させ、SARS-CoV-2陽性とSARS-CoV-2陰性のより正確な診断が可能になったと考えられる。
【0115】
図17は、MiSeqにおける鋳型ラインからのキャリーオーバー汚染が相互汚染に寄与することを示している。この実験では、4個の384ウェルプレートでRT-PCRを行ったが、3個のプレートしかプールされなかった。左側は、今回の実行に含まれない384ウェルプレート(ただし、前回の実行でインデックスが使用されたもの)の各サンプルのアンプリコンの各々の観察されたカウントである。前回の実行で使用したインデックスのアンプリコンリードは低レベル(0~150リード)で存在している。その後の実行の前に、通常の洗浄に加えて、漂白洗浄を行った。このその後の実行では、3個の異なるプレートをプールし、4個目の384ウェルプレートを除いた。右側は、除かれたプレートに対応するサンプルインデックスについて、アンプリコンのそれぞれの観察されたカウントである(再度、前回の実行でインデックスが使用されたもの)。キャリーオーバー汚染量の顕著な減少が観察され、キャリーオーバーリードはサンプルあたり<10である。代替的に、いくつかの実施形態では、汚染およびそれによる結果の交絡を低減させるために、リバースプライマーとフォワードプライマーの異なる組み合わせが、同じ機器でのその後の実行で使用される。配列上のプライマーを回転させることにより、リードがサンプルからの真のリードであるか、または以前の実行からのクロスオーバー汚染であるかを決定することができる。図18は、アンプリコンリードにおける配列決定エラーおよび潜在的なアンプリコンミスアサイメント(mis-assignment)を示す。実験v18では、通常より少ないPhiXがロードされ(11%)、リードの全体的な質が低下している。ここで気づいた傾向は他の実行でも続いているが、この実行では配列決定エラーや過度に寛容なエラー訂正によって発生しうる問題がより明確に浮き彫りになっている。(A)では、リード1の各位置について、塩基品質スコアが12未満のリードの割合。リード1の最初の6塩基がS2とS2スパイクを区別し、低品質の塩基呼び出しの割合が最も高いことに注目されたい。(B)では、各リード1配列と予想されるS2配列(行)またはS2スパイク配列(列)のいずれかとのハミング距離、黄色はS2またはS2スパイクとして明確に識別可能である完全一致配列および編集距離1配列である。赤色は、誤って割り当てされた可能性がある配列である(S2として割り当てられたS2スパイクが、このアッセイでは最も問題となる)。
【0116】
図19は、異なるインデックス付け戦略の視覚化を示す。ここで、i5インデックスは水平線として描かれ、i7インデックスは垂直線として描かれ、色は固有のインデックスを表す。コンビナトリアル(または完全コンビナトリアル)インデックス付けでは、i5およびi7インデックスを組み合わせて固有の組み合わせを作るが、各i5およびi7インデックスは、プレート内で複数回使用され、あらゆる可能なi5およびi7が使用されてもよい。固有のデュアルインデックス付けの場合、i5とi7インデックスはそれぞれ1プレートあたり1回のみ使用される。このため、より多くのオリゴを合成する必要がある。セミコンビナトリアルインデックス付け(Semi-combinatorial indexing)では、使用する組み合わせはより限定され、ウェルのサブセットに対してのみインデックスが繰り返され、多くの可能な組み合わせが使用されない。実際には(ここには描かれていないが)、i7インデックスは固有であるが、i5インデックスは384ウェルプレート全体で最大で4回繰り返すことができる設計が使用された。Swabseq開発の大部分において、1536の組み合わせまたはサンプルを実行することを可能にするセミコンビナトリアルインデックス付け(384×96)または固有のデュアルインデックス付け(384UDI)のいずれかが使用された。
【0117】
図20は、混合モデルを使用するインデックスミスアサイメントに対する計算上の補正を示す。検査可能なサンプル数を拡大するために、コンビナトリアルインデックス付け戦略を使用することができる。この実験では、i5上の単一のインデックスがプレートを一意に識別するために使用され、96個のi7インデックスがウェルを識別するために使用された。(A)では、S2対S2スパイクの比(y軸)は、CovidがRT-qPCRによって検出されたかどうか(x軸)に基づいて、臨床サンプルについてプロットされている。SARS-CoV-2陽性サンプルは、Ct<32になるようにフィルタリングされた。プレート間のインデックスのミスアサインメントの影響は、プレート間で同じi7バーコードを共有するすべてのサンプル間でS2とS2スパイクの和が高いi7インデックスとして観察され得る(色)。(B)では、i7バーコードの同一性をランダム効果として扱うことにより、log10(S2+1/S2_spike+1)比の計算上の補正後に、Aのデータに対して最良線形不偏予測量の残差がプロットされている(Y軸)。
【0118】
図21は、S2リードにおけるノイズ源としてのインデックスミスアサイメントの役割を定量化することを示している。(A)は、固有のデュアルインデックス設計を使用した実行v19からのi5とi7のインデックス対の各対に対するウイルスS2+S2スパイクカウントの一致マトリックスである。対角線に沿ったインデックス対は、実験で存在するサンプルについて予想されるインデックス対(予想されるマッチングインデックス)に対応し、対角線から外れたインデックス対は、インデックスミスアサインメント事象に対応する。(B)では、ウイルスRNAが既存のゼロ量であるサンプルについての、ウイルスSカウント対スパイクカウントの比の分布である。平均比は0.00028である。(C)では、各サンプルに対するi7ミスアサインメント事象の数対ウイルスS2+S2スパイクカウントの数。(D)では、各サンプルにおけるi5ミスアサインメント事象の数対ウイルスS2+S2スパイクカウントの数。
【0119】
バーコード
指標として機能する可変ヌクレオチド配列(バーコード)は、本明細書に記載されるPCRプライマーの第1のセットまたは第2のセットのいずれかに含まれ得る。さらに、バーコードは、別個のライブラリー調製反応において加えられてもよい。本明細書に記載される可変ヌクレオチド配列は、本明細書で使用される配列決定反応から得られた結果をデコンボリューションするために、サンプルインデックスとして使用することができる。
【0120】
いったん細胞の内容物が溶解剤によってそれぞれの区画に放出されると、そこに含まれる高分子成分(例えば、RNA、DNA、またはタンパク質などのサンプルの高分子成分)は、区画内でさらに処理され得る。本明細書に記載される方法およびシステムに従って、個々のサンプルの高分子成分の内容物は、それらの高分子成分の特徴付けの際に、それらが同じサンプルまたは粒子に由来するものとして帰属され得るように、固有の識別子を提供され得る。個々のサンプルまたはサンプルの群に特徴を帰する能力は、特に個々のサンプルまたはサンプルの群に固有の識別子を割り当てることによって提供される。サンプルの高分子成分(および、結果としてのその特徴)に固有の識別子をタグ付けまたは標識するために、例えば、核酸バーコードの形態の固有の識別子は、個々のサンプルまたはサンプルの集団に割り当てられ得るか、または関連付けられ得る。その後、これらの固有の識別子を使用して、サンプルの成分や特徴を個々のサンプルまたはサンプルの群に帰属させることができる。
【0121】
いくつかの態様では、これは、個々のサンプルまたはサンプルの群を、固有の分子識別子配列(UMI)を含む固有の識別子またはバーコードと共に区画に分けることによって実行される。いくつかの態様では、固有の識別子は、個々のサンプルの核酸内容物、またはサンプルの他の成分、特にそれらの核酸の断片に結合するか、またはそれ以外の方法で関連付けることができる核酸バーコード配列を含む核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)の形態で提供される。核酸分子は、所定の区画における核酸分子間として、そこに含まれる核酸バーコード配列が同じであるが、異なる区画間として、核酸分子が異なるバーコード配列を有することができ、かつ、有し、あるいは、所定の分析における区画のすべてで多くの異なるバーコード配列を少なくとも表すように、区画に分けられる。いくつかの態様では、1つの核酸バーコード配列のみが所定の区画に関連付けられ得るが、いくつかの実施形態では、2つ以上の異なるバーコード配列が存在してもよい。
【0122】
核酸バーコード配列は、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)の配列内に約6~約20またはそれ以上のヌクレオチドを含むことができる。核酸バーコード配列は、約6~約20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上のヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、バーコード配列の長さは、約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、バーコード配列の長さは、少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、バーコード配列の長さは、最大で約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれより短くてもよい。これらのヌクレオチドは、完全に連続していてもよく、すなわち、隣接するヌクレオチドの単一のストレッチであってもよく、または1以上のヌクレオチドによって分離された2以上の別々の部分配列(subsequences)に分離されていてもよい。いくつかの実施形態では、分離したバーコード部分配列は、長さが約4~約16ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態では、バーコード部分配列は、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドまたはそれより長くてもよい。いくつかの実施形態では、バーコード部分配列は、少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドまたはそれより長くても。いくつかの実施形態では、バーコード部分配列は、最大で約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドまたはそれより短くてもよい。
【0123】
共に区画に分けられた核酸分子は、共に区画に分けられたサンプルからの核酸の処理に有用な他の機能的配列も含むことができる。これらの配列としては、例えば、関連するバーコード配列を結合させながら区画内の個々のサンプルからゲノムDNAを増幅するための標的化またはランダム/ユニバーサル増幅プライマー配列、配列決定プライマーまたはプライマー認識部位、例えば、配列の存在の識別のための、またはバーコード核酸をプルダウンするためのハイブリダイゼーションまたはプローブ配列、あるいは多くの他の潜在的な機能的配列のいずれかが挙げられる。例えば、1つの区画がオリゴヌクレオチドを含有している2つ以上の区画の合体、または区画、例えば、マイクロ流体系内の区画へのオリゴヌクレオチドの微分散を含む、オリゴヌクレオチドを共に区画に分ける他の機構も採用されてもよい。いくつかの実施形態では、プライマーは、バーコードオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プライマー配列は、鋳型核酸分子内の配列に相補的な標的化プライマー配列である。いくつかの実施形態では、第1の核酸分子は、1つ以上の機能的配列をさらに含み、第2の核酸分子は、1つ以上の機能的配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の機能的配列は、アダプター配列、追加のプライマー配列、プライマーアニーリング配列、配列決定プライマー配列、シーケンサーのフローセルに結合するように構成された配列、および固有の分子識別子配列からなる群から選択される。
【0124】
例えば、上述したバーコード化核酸分子(例えば、バーコード化オリゴヌクレオチド)は、サンプルに加えられる。いくつかの実施形態では、区画は、同じバーコード配列を有するバーコード化オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、複数の区画のうちの1つの区画は、同一のバーコード配列を有するバーコード化オリゴヌクレオチドを含み、複数の区画内のうちの各区画は、固有のバーコード配列を含む。いくつかの実施形態では、バーコード化オリゴヌクレオチドの集団は、少なくとも約1,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約5,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約10,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約50,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約100,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約1,000,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約5,000,000個の異なるバーコード配列、または少なくとも約10,000,000個の異なるバーコード配列、あるいはそれ以上を含む、多様なバーコード配列ライブラリーを提供する。さらに、各バーコード化オリゴヌクレオチドは、多くの核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)分子が結合した状態で提供可能である。特に、個々のバーコード化オリゴヌクレオチド上のバーコード配列を含む核酸分子の分子数は、少なくとも約1,000個の核酸分子、少なくとも約5,000個の核酸分子、少なくとも約10,000個の核酸分子、少なくとも約50,000個の核酸分子、少なくとも約100,000個の核酸分子、少なくとも約500,000個の核酸、少なくとも約1,000,000個の核酸分子、少なくとも約5,000,000個の核酸分子、少なくとも約10,000,000個の核酸分子、少なくとも約50,000,000個の核酸分子、少なくとも約100,000,000個の核酸分子、少なくとも約250,000,000個の核酸分子、および、実施形態によっては、少なくとも約10億個の核酸分子、またはそれ以上であり得る。所定のバーコード化オリゴヌクレオチドの核酸分子は、同一の(または共通の)バーコード配列、異なるバーコード配列、あるいはその両方の組み合わせを含むことができる。所定のバーコード化オリゴヌクレオチドの核酸分子は、核酸分子の複数のセットを含むことができる。所定のセットの核酸分子は、同一のバーコード配列を含むことができる。同一のバーコード配列は、別のセットの核酸分子のバーコード配列とは異なり得る。
【0125】
さらに、バーコード化オリゴヌクレオチドの集団が区画に分けられる際、結果として生じる区画の集団はさらに、少なくとも約1,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約5,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約10,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約50,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約100,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約1,000,000個の異なるバーコード配列、少なくとも約5,000,000個の異なるバーコード配列、または少なくとも約10,000,000個の異なるバーコード配列を含む、多様なバーコードライブラリーを含むことができる。さらに、集団の各区画は、少なくとも約1,000個の核酸分子、少なくとも約5,000個の核酸分子、少なくとも約10,000個の核酸分子、少なくとも約50,000個の核酸分子、少なくとも約100,000個の核酸分子、少なくとも約500,000個の核酸、少なくとも約1,000,000個の核酸分子、少なくとも約5,000,000個の核酸分子、少なくとも約10,000,000個の核酸分子、少なくとも約50,000,000個の核酸分子、少なくとも約100,000,000個の核酸分子、少なくとも約250,000,000個の核酸分子、および、実施形態によっては、少なくとも約10億個の核酸分子を含むことができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、所定の区画内に複数の異なるバーコードを組み込むことが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、区画内のバーコード化オリゴヌクレオチドは、(1)区画内のすべてのバーコード化オリゴヌクレオチドによって共有される共通のバーコード配列、および、(2)各バーコード化オリゴヌクレオチド間で異なる固有の分子識別子または追加のバーコード配列を含むことができる。共通のバーコード配列は、例えば、所定の区画からの出力の二重のまたは独立した確認として、所定の区画へのバーコードのより強いアドレスまたは属性を提供することによって、その後の処理における識別をより確実なものとする場合がある。
【0127】
いくつかの実施形態では、バーコード化オリゴヌクレオチドはビーズに結合し、ここで、特定のビーズに結合する核酸分子のすべては同じ核酸バーコード配列を含むが、多くの多様なバーコード配列は、使用されるビーズの集団にわたって表される。いくつかの実施形態では、例えば、ポリアクリルアミドポリマーマトリックスを含むヒドロゲルビーズは、多くの核酸分子を運ぶことができるため、核酸分子の固体支持体および区画への送達ビヒクルとして用いられ、本明細書の他の箇所に記載されるように、特定の刺激への曝露時にそれらの核酸分子を放出するように構成されてもよい。
【0128】
核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)は、ビーズへの特定の刺激の適用時にビーズから放出可能であり得る。いくつかの実施形態では、刺激は、例えば、核酸分子を放出する感光性の連結の切断による、光刺激であってもよい。他の実施形態では、熱刺激が使用されてもよく、ビーズ環境の温度の上昇は、連結の切断を引き起こすか、核酸分子の他の放出はビーズを形成する。さらに他の実施形態では、ビーズへの核酸分子の連結を切断するか、さもなければビーズからの核酸分子の放出をもたらす化学的刺激が使用されてもよい。一実施形態では、このような組成物は、サンプルのカプセル化のために上記のポリアクリルアミドマトリックスを含み、DTTなどの還元剤への曝露を介して結合した核酸分子の放出のために分解されてもよい。
【0129】
本開示の方法において使用するために企図され得る支持体は、例えば、ウェル、マトリックス、ロッド、容器、またはビーズであってもよい。支持体は、任意の有用なサイズ、表面化学、流動性、固体性、密度、多孔性、および組成などの任意の有用な特性および特徴を有していてもよい。いくつかの実施形態では、支持体は、プレート上のウェルの表面である。いくつかの実施形態では、支持体は、ゲルビーズなどのビーズであってもよい。ビーズは、固体または半固体であってもよい。ビーズの追加の詳細は、本明細書の他の箇所で提供されている。
【0130】
支持体(例えば、ビーズ)は、それに官能化されたアンカー配列(例えば、本明細書に記載されている)を含んでもよい。アンカー配列は、例えば、ジスルフィド結合を介して支持体に結合されてもよい。アンカー配列は、部分的なリード配列および/またはフローセル機能的配列を含んでもよい。このような配列は、シーケンサー(例えば、Illuminaシーケンサー)によって配列に結合した核酸分子の配列決定を可能にし得る。様々なアンカー配列は様々な配列決定用途に役立つことがある。アンカー配列は例えば、TruSeqまたはNexteraの配列を含んでもよい。アンカー配列は任意の有用な長さおよびヌクレオチド組成などの任意の有用な特徴を有していてもよい。例えば、アンカー配列は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アンカー配列は、15個のヌクレオチドを含んでいてもよい。アンカー配列のヌクレオチドは、自然発生のものであってもよく、または、非自然発生のものであってもよい(例えば、本明細書に記載されるように)。ビーズは、それに結合した複数のアンカー配列を含んでもよい。例えば、ビーズは、それに結合した複数の第1アンカー配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ビーズは、それに結合した2つ以上の異なるアンカー配列を含んでもよい。例えば、ビーズは、それに結合した複数の第1のアンカー配列(例えば、Nextera配列)および複数の第2のアンカー配列(例えば、TruSeq配列)の両方を含んでもよい。それに結合した2つ以上の異なるアンカー配列を含むビーズについて、各異なるアンカー配列の配列は、ビーズから遠位の端部において、各他のアンカー配列の配列から区別可能であってもよい。例えば、異なるアンカー配列は、ビーズから最も遠い2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のヌクレオチドにおける1つ以上のヌクレオチド差を含んでいてもよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、複数の異なるバーコード分子(例えば、核酸バーコード分子)が、同じ支持体(例えば、ビーズ)上に生成されてもよい。例えば、2つの異なるバーコード分子が同じ支持体上に生成されてもよい。代替的に、3つ以上の異なるバーコード分子が、同じ支持体上に生成されてもよい。同じ支持体に結合した異なるバーコード分子は、1つ以上の異なる配列を含んでもよい。例えば、異なるバーコード分子は、1つ以上の異なるバーコード配列および/または他の配列(例えば、スターター配列)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、同じ支持体に結合した異なるバーコード分子は、同じバーコード配列を含んでもよい。同じ支持体に結合した異なるバーコード分子は、同じまたは異なるバーコード配列を含んでもよい。同様に、異なるバーコード分子は、同じまたは異なる固有の分子識別子(UMI)を含んでいてもよい。
【0132】
次世代シーケンシング
本明細書に開示される方法に記載されるように、核酸分子の配列決定が使用され、病原性感染症の検出および診断に有用である。一般に、配列決定は、1つ以上のポリヌクレオチドにおけるヌクレオチド塩基の配列を決定するための方法および技術を指す。ポリヌクレオチドは、例えば、その変異体または誘導体(例えば、一本鎖DNA)を含む、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)であり得る。配列決定は、現在入手可能な様々なシステム、例えば、限定されないが、Illumina、Pacific Biosciences、Oxford Nanopore、またはLife Technologies(Ion Torrent)による配列決定システムによって実施することができる。このような装置は、対象によって提供されたサンプルから装置によって生成された、対象(例えば、ヒト)の遺伝情報に対応する複数の生の遺伝データを提供することができる。いくつかの状況では、本明細書で提供されるシステムおよび方法は、プロテオミクス情報と共に使用されてもよい。代替的にまたは追加的に、配列決定は、核酸増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、デジタルPCR、定量的PCR、またはリアルタイムPCR)、または等温増幅を使用して実施されてもよい。そのようなシステムは、対象によって提供されたサンプルからシステムによって生成された、対象(例えば、ヒト)の遺伝情報に対応する複数の生の遺伝データを提供してもよい。いくつかの例では、そのようなシステムは、配列決定リード(本明細書では「リード」ともいう)を提供する。リードは、配列決定された核酸分子の配列に対応する核酸塩基の文字列を含み得る。いくつかの状況では、本明細書で提供されるシステムおよび方法は、プロテオミクス情報と共に使用されてもよい。
【0133】
次世代シーケンシングは、大量の配列情報を生成することができる多くの技術を含み、サンガーシーケンシングまたはマキサム・ギルバートシーケンシングを除くものである。一般に、次世代シーケンシングは、単一分子リアルタイムシーケンシング、合成によるシーケンシング、イオン半導体シーケンシングなどを包含する。例示的な次世代シーケンシングマシンは、Illumina,Inc.のMiniSeq、iSeq100、NextSeq 1000、NextSeq 2000、NovaSeq 6000、NextSeq 550シリーズなど、Thermo Fisher ScientificからのIon Torrentマシン、または、Pacific BiosciencesからのSequelシステムを含んでもよい。
【0134】
本明細書に記載の方法と共に使用される次世代シーケンシングマシンは、1つの機械から24時間以内に少なくとも1、5、10、15、25、50、75、100、200、300ギガバスのデータまたはそれ以上のデータを生成することができる。
【0135】
本明細書に記載される方法と共に使用される次世代シーケンシングマシンは、1つの機械から24時間以内に少なくとも1、1、4、10、15、25、50、75、100、200、300、500、または10億の配列リードのデータまたはそれ以上のデータを生成することができる。
【0136】
シーケンシングデータを受信および解析し、ならびに、サーバー、解析ポータル、または電子メールを介して電子的に送信またはアクセスすることができる1つ以上のレポートを出力するためのコンピュータプログラム、コンピューティング装置、または解析プラットフォーム/システムも含まれる。コンピューティング装置または解析プラットフォームは、本明細書に記載されるアルゴリズムおよび方法に従って動作することができる。
【0137】
反応混合物
本明細書では、生体サンプル中のウイルス核酸の存在または不在を判定するための反応混合物も提供される。いくつかの実施形態では、反応混合物は、本明細書で提供される合成核酸と、上記生体サンプルの少なくとも一部と、存在する場合には上記生体サンプル中の上記ウイルス核酸を増幅するのに十分な1つ以上の酵素または試薬とを含む。
【0138】
上記生体サンプルは、本明細書で提供される生体サンプルのいずれかであってよい。いくつかの実施形態では、生体サンプルはヒト生体サンプルである。いくつかの実施形態では、上記生体サンプルは唾液、頬のスワブ、鼻咽頭スワブ、または中鼻甲介スワブを含む。いくつかの実施形態では、上記生体サンプルは唾液または鼻咽頭スワブを含む。いくつかの実施形態では、上記生体サンプルは唾液を含む。いくつかの実施形態では、上記生体サンプルは鼻咽頭スワブを含む。
【0139】
合成核酸は本明細書で提供される合成核酸のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、合成核酸は本明細書で提供されるSARS-CoV-2合成RNA核酸である。いくつかの実施形態では、上記SARS-CoV-2合成RNA核酸は、約10コピー/反応混合物~約500コピー/反応混合物の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2合成RNA核酸は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、または500コピー/反応混合物の濃度で存在する。
【0140】
ウイルス核酸は本明細書で提供されるウイルス核酸のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、上記ウイルス核酸は、インフルエンザA核酸、インフルエンザB核酸、またはコロナウイルス核酸である。いくつかの実施形態では、上記コロナウイルス核酸は、Sars-Cov-2核酸である。
【0141】
いくつかの実施形態では、酵素または試薬は、逆転写酵素、dNTP、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、マグネシウム塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、反応混合物は、ウイルス核酸を増幅するために使用することができる1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、酵素は逆転写酵素である。逆転写酵素の非限定的な例としては、限定されないが、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、およびモロニーマウス白血病ウイルス(M-MuLV、MMLV)、およびその変異体が挙げられる。
【0143】
いくつかの実施形態では、反応はデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、他の所望の核酸(例えば、dATG、dCTP、dTTP、dGTP)と同様に、ウイルス核酸の増幅に必要なdNTPの各々の混合物を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、反応混合物はウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対を含む。ウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対は、本明細書で提供されるプライマー対のいずれかであり得る。上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、インフルエンザAヌクレオチド配列、インフルエンザBヌクレオチド配列、およびコロナウイルスヌクレオチド配列に特異的である。いくつかの実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、コロナウイルスS1またはN2配列に特異的である。
【0145】
いくつかの実施形態では、反応混合物はサンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対は、生体サンプルが由来する生物によって発現される内因性のヌクレオチド配列に特異的である。いくつかの実施形態では、上記サンプル対照ヌクレオチドに特異的なプライマー対は、ハウスキーピング遺伝子に特異的である。いくつかの実施形態では、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対は、GAPDH、RPP30、またはACTBに特異的である。いくつかの実施形態では、サンプル対照ヌクレオチドに特異的なプライマー対はRPP30に特異的である。
【0146】
いくつかの実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、約50マイクロモル~約250マイクロモルの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250マイクロモルの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、約100マイクロモルの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対、または上記サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、約200マイクロモルの濃度で存在する。
【0147】
いくつかの実施形態では、反応混合物はマグネシウム塩を含む。いくつかの実施形態では、マグネシウム塩は、反応の酵素(例えば、逆転写酵素)が機能し、標的核酸を増幅できるように十分な量で含まれる。いくつかの実施形態では、マグネシウム塩は塩化マグネシウムである。いくつかの実施形態では、反応混合物は、約0.1mM~約50mMのマグネシウムイオンの濃度を含む。いくつかの実施形態では、マグネシウムイオンの濃度は、約1mM~約10mMである。
【0148】
特定の実施形態では、上記反応混合物の体積は、約10マイクロリットル~約100マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、上記反応混合物の体積は、約20マイクロリットル~約90マイクロリットル、約30マイクロリットル~約80マイクロリットル、または約40マイクロリットル~約60マイクロリットルである。いくつかの実施形態では、上記反応混合物の体積は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100マイクロリットルである。
【0149】
キット
オリゴヌクレオチドプライマー対を含むキットも本明細書に記載されている。特定の実施形態では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドプライマー対と、本開示にかかる合成核酸とを含むキットがある。合成核酸は、S1、N2増幅のためのものであってもよい。キットは増幅のために十分な試薬、例えば、逆転写、PCR増幅、および/または配列決定反応のための緩衝液(10倍、5倍、2倍、または1倍の濃度で提供される)、dNTP、逆転写酵素、PCR増幅酵素(例えば、Taqポリメラーゼおよび/またはその変異体)も含んでもよい。これらの成分は、単独で、または必要に応じて組み合わせてバイアルまたは容器に入れられてもよい。
【0150】
生体サンプル中のウイルス核酸の存在または不在を判定するためのキットも本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で提供される合成核酸と、生体サンプルを形成するためにウイルス核酸を増幅するのに十分な1つ以上の酵素または試薬とを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、酵素または試薬は、逆転写酵素、dNTP、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対、マグネシウム塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、キットは、ウイルス核酸を増幅するために使用することができる1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、酵素は逆転写酵素である。逆転写酵素の非限定的な例としては、限定されないが、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、およびモロニーマウス白血病ウイルス(M-MuLV、MMLV)、およびその変異体が挙げられる。
【0153】
いくつかの実施形態では、キットはデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、他の所望の核酸(例えば、dATG、dCTP、dTTP、dGTP)と同様に、ウイルス核酸の増幅に必要なdNTPの各々の混合物を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、キットはウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対を含む。ウイルスヌクレオチド配列に特異的なプライマー対は、本明細書で提供されるプライマー対のいずれかであり得る。上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、インフルエンザAヌクレオチド配列、インフルエンザBヌクレオチド配列、およびコロナウイルスヌクレオチド配列に特異的である。いくつかの実施形態では、上記ウイルスヌクレオチド配列に特異的な上記プライマー対は、コロナウイルスS1またはN2配列に特異的である。
【0155】
いくつかの実施形態では、キットはサンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対は、生体サンプルが由来する生物によって発現される内因性のヌクレオチド配列に特異的である。いくつかの実施形態では、上記サンプル対照ヌクレオチドに特異的なプライマー対は、ハウスキーピング遺伝子に特異的である。いくつかの実施形態では、サンプル対照ヌクレオチド配列に特異的なプライマー対は、GAPDH、RPP30、またはACTBに特異的である。いくつかの実施形態では、サンプル対照ヌクレオチドに特異的なプライマー対はRPP30に特異的である。
【0156】
いくつかの実施形態では、キットはマグネシウム塩を含む。いくつかの実施形態では、マグネシウム塩は、キットの酵素(例えば、逆転写酵素)が機能できるように十分な量で含まれる。いくつかの実施形態では、マグネシウム塩は塩化マグネシウムである。
【0157】
以下の実施形態は、本明細書に開示される特徴の組み合わせの非限定的な順列を詳述する。特徴の組み合わせのその他の順列も考慮される。特に、これらの番号を付けた実施形態の各々は、列挙されるような順序とは無関係に、前述のまたは以下の番号を付けた実施形態に従属または関連するものとして、考慮される。
【0158】
1.病原体感染症を抱える個体を診断する方法であって、(a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程と、(b)上記個体からの上記生体サンプルを溶解剤と接触させて、溶解した生体サンプルを得る工程と、(c)上記溶解した生体サンプルに対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅させた溶解した生体サンプルを得る工程であって、ここで、上記溶解した生体サンプルに対する上記PCR反応は、PCRプライマーの第1のセットを用いて行われ、PCRプライマーの上記第1のセットが病原体核酸配列を増幅する、工程と、(d)次世代シーケンシングを用いて、上記PCR増幅させた溶解した生体サンプルを配列決定する工程と、(e)病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出される場合、上記病原体感染症について陽性の診断を提供し、あるいは、病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出されない場合、上記個体について陰性の診断を提供する工程とを含む、方法。2.上記個体はヒト個体である、実施形態1の方法。3.上記病原体感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、または真菌感染症、およびそれらの組み合わせを含む、実施形態1または2に記載の方法。4.上記溶解剤は、少なくとも摂氏50度まで熱した水またはPCR反応緩衝液を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。5.上記溶解剤は、少なくとも摂氏90度まで熱した水またはPCR反応緩衝液を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。6.上記細菌感染症は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびそれらの組み合わせによる感染症である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。7.上記真菌感染症は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびそれらの組み合わせによる感染症である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。8.上記ウイルス感染症は、DNAウイルスによる感染症である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。9.上記DNAウイルスは、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、または痘瘡、およびそれらの組み合わせを含む、実施形態8に記載の方法。10.上記ウイルス感染症は、RNAウイルスによる感染症である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。11.上記RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、またはオルソミクソウイルスを含む、実施形態10に記載の方法。12.上記ウイルス感染症はコロナウイルス感染症である、実施形態11に記載の方法。13.上記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である、実施形態12に記載の方法。14.上記個体からの上記生体サンプルは、血液サンプル、血漿サンプル、血清サンプル、頬のスワブ、尿サンプル、精液サンプル、膣スワブ、便サンプル、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせによるものである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。15.上記個体からの上記生体サンプルは、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせに由来する、実施形態14に記載の方法。16.合成核酸を上記溶解剤または溶解した生体サンプルに添加する工程を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。17.複数の合成核酸を上記溶解剤または上記溶解した生体サンプルに添加する工程を含み、上記複数の合成核酸は異なる配列を有する合成核酸を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。18.上記複数の合成核酸は4つを含む、実施形態17に記載の方法。19.合成核酸を上記方法に添加する工程を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。20.複数の合成核酸を上記方法に添加する工程を含み、上記複数の合成核酸は異なる配列を有する合成核酸を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。21.上記複数の合成核酸は4つを含む、実施形態20に記載の方法。22.上記合成核酸はRNAである、実施形態19に記載の方法。23.上記合成核酸はDNAである、実施形態19に記載の方法。24.上記合成核酸は、PCRプライマーの上記第1のセットによって結合されるように構成された配列のセットを含む、実施形態19または23のいずれか1つに記載の方法。25.プライマーの上記第1のセットは、上記病原体核酸配列および上記合成核酸の両方を増幅する、実施形態19~24のいずれか1つに記載の方法。26.上記合成核酸配列は、上記病原体核酸配列と同一ではないヌクレオチド配列を含む、実施形態19~24のいずれか1つに記載の方法。27.上記溶解した生体サンプル上で逆転写反応を実施する工程を含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。28.上記逆転写反応は、上記ポリメラーゼ連鎖反応を行う前に行われる、実施形態27に記載の方法。29.上記逆転写反応は、上記溶解した生体サンプルをそれ以上精製することなく行われる、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。30.上記溶解した生体サンプルに対する上記逆転写反応は、ウイルスcDNAを産生する、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。31.上記ウイルスcDNAはコロナウイルスcDNAである、実施形態30に記載の方法。32.上記コロナウイルスcDNAは、SARS-COV-2 cDNAである、実施形態31に記載の方法。33.上記逆転写反応および上記PCRは、単一工程反応である、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。34.上記PCRはエンドポイント分析である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。35.上記PCRはリアルタイムPCR反応ではない、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。36.PCRプライマーの上記第1のセットは、コロナウイルス核酸配列を増幅する、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。37.上記コロナウイルス核酸配列は、SARS-COV-2核酸配列である、実施形態36に記載の方法。38.上記SARS-COV-2核酸配列は、N1遺伝子またはS2遺伝子を含む、実施形態37に記載の方法。39.PCRプライマーの第2のセットを含み、プライマーの上記第2のセットは、上記個体の核酸配列を増幅する、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。40.PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒト核酸配列を増幅する、実施形態39に記載の方法。41.PCRプライマーの上記第2のセットは、GAPDH、ACTB、RPP30、およびそれらの組み合わせから選択されるヒト核酸配列を増幅する、実施形態40に記載の方法。42.PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒトRPP30を増幅する、実施形態41に記載の方法。43.PCRプライマーの上記第2のセットは、配列決定アダプター配列を有するプライマーと、配列決定アダプター配列を有していないプライマーの混合物を含む、実施形態40-42のいずれか1つに記載の方法。44.配列決定アダプター配列を有するプライマーと配列決定アダプター配列を有していないプライマーとの比は、約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4である、実施形態43に記載の方法。45.上記PCRは30~45個の増幅サイクルを含む、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。46.上記PCRは35~45個の増幅サイクルを含む、実施形態45に記載の方法。47.上記PCRは39~42個の増幅サイクルを含む、実施形態45に記載の方法。48.PCRプライマーの上記第1のセット、PCRプライマーの上記第2のセット、またはPCRプライマーの上記第1のセットとPCRプライマーの上記第2のセットの両方は、可変ヌクレオチド配列を含む核酸配列を含んでいる、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。49.上記可変ヌクレオチド配列は、上記個体に固有のサンプルIDである、実施形態48に記載の方法。50.PCRプライマーの上記第1のセット、PCRプライマーの上記第2のセット、またはPCRプライマーの上記第1のセットとPCRプライマーの上記第2のセットの両方は、次世代シーケンシング反応のためのアダプター配列を含む、実施形態1~49のいずれか1つに記載の方法。51.第2の合成核酸を上記方法に加える工程を含む、実施形態39-50のいずれか1つに記載の方法。52.上記第2の合成核酸はRNAである、実施形態51に記載の方法。53.上記第2の合成核酸はDNAである、実施形態51に記載の方法。54.上記第2の合成核酸は、PCRプライマーの上記第2のセットによって結合されるように構成された配列のセットを含む、実施形態51-53のいずれか1つに記載の方法。55.プライマーの上記第2のセットは、上記ヒト核酸配列および上記合成核酸の両方を増幅する、実施形態51-54のいずれか1つに記載の方法。56.上記合成核酸配列は、上記ヒト核酸配列と同一ではないヌクレオチド配列を含む、実施形態51-54のいずれか1つに記載の方法。57.上記方法は、病原体ゲノムの10未満のコピーを検出することができる、実施形態1~56のいずれか1つに記載の方法。58.病原体ゲノムの5未満のコピーを検出することができる、実施形態1~56のいずれか1つに記載の方法。59.上記病原体ゲノムはコロナウイルスゲノムである、実施形態57または58に記載の方法。60.上記コロナウイルスゲノムは、SARS-COV-2ゲノムである、実施形態57または58に記載の方法。61.上記PCRによってコロナウイルス配列が検出された場合のコロナウイルスの上記陽性診断は、SARS-COV-2診断である、実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法。62.上記方法はコロナウイルスの株を判定する、実施形態1~61のいずれか1つに記載の方法。63.上記方法は、COVID-19の菌株を判定する、実施形態1~61のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
64.病原体感染症を抱える個体を診断する方法であって、上記方法は、PCRプライマーの第1のセットを使用して上記個体からの生体サンプルから核酸を増幅する工程であって、それによって増幅された核酸を得る工程を含み、上記PCRプライマーの第1セットは、上記生体サンプルから病原体核酸配列および合成核酸配列を増幅し、上記合成核酸配列は、上記病原体核酸配列と少なくとも1つのヌクレオチドで異なる、方法。65.上記個体はヒト個体である、実施形態64に記載の方法。66.上記病原体感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、または真菌感染症を含む、実施形態64または65に記載の方法。67.上記細菌感染症は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびこれらの組み合わせによる感染症である、実施形態64~66のいずれか1つに記載の方法。68.上記真菌感染症は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびこれらの組み合わせによる感染症である、実施形態64~66のいずれか1つに記載の方法。69.上記ウイルス感染症は、DNAウイルスによる感染症である、実施形態64~66のいずれか1つに記載の方法。70.上記DNAウイルスは、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、痘瘡、およびこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態69に記載の方法。71.上記ウイルス感染症は、RNAウイルスによる感染症である、実施形態64~66のいずれか1つに記載の方法。72.上記RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、またはオルソミクソウイルスを含む、実施形態71に記載の方法。73.上記ウイルス感染症はコロナウイルス感染症である、実施形態71に記載の方法。74.上記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である、実施形態73に記載の方法。75.上記個体からの上記生体サンプルは、血液サンプル、血漿サンプル、血清サンプル、頬のスワブ、尿サンプル、精液サンプル、膣スワブ、便サンプル、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはこれらの任意の組み合わせによるものである、実施形態64~74のいずれか1つに記載の方法。76.上記個体からの上記生体サンプルは、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせに由来する、実施形態75に記載の方法。77.上記合成核酸はRNAである、実施形態64~76のいずれか1つに記載の方法。78.上記合成核酸はDNAである、実施形態64~76のいずれか1つに記載の方法。79.上記合成核酸は、PCRプライマーの上記第1のセットによって結合されるように構成された配列のセットを含む、実施形態64~78のいずれか1つに記載の方法。80.上記合成核酸配列は、上記病原体核酸配列と少なくとも5つのヌクレオチドで異なる、実施形態64~79のいずれか1つに記載の方法。81.上記病原体感染症は、合成核酸配列と病原体核酸配列の比に基づいて診断される、実施形態64~79のいずれか1つに記載の方法。82.上記生体サンプルに由来する上記核酸上で逆転写反応を実施する工程を含む、実施形態64~81のいずれか1つに記載の方法。83.上記生体サンプルに由来する上記核酸に対する上記逆転写反応は、コロナウイルスcDNAを産生する、実施形態64~81のいずれか1つに記載の方法。84.上記コロナウイルスcDNAは、SARS-COV-2 cDNAである、実施形態83に記載の方法。85.上記増幅核酸はPCR反応を含む、実施形態64~84のいずれか1つに記載の方法。86.上記PCR反応はエンドポイント分析である、実施形態85に記載の方法。87.上記PCR反応はリアルタイムPCR反応ではない、実施形態64~86のいずれか1つに記載の方法。88.PCRプライマーの上記第1のセットは、コロナウイルス核酸配列を増幅する、実施形態64~87のいずれか1つに記載の方法。89.上記コロナウイルス核酸配列は、SARS-COV-2核酸配列である、実施形態88に記載の方法。90.上記SARS-COV-2核酸配列は、N1遺伝子またはS2遺伝子を含む、実施形態89に記載の方法。91.PCRプライマーの上記第1のセットは、可変ヌクレオチド配列を含む核酸配列を含んでいる、実施形態64~90のいずれか1つに記載の方法。92.上記可変ヌクレオチド配列は、上記個体に固有のサンプルIDである、実施形態91に記載の方法。93.PCRプライマーの上記第1のセットは、次世代シーケンシング反応のためのアダプター配列を含む、実施形態64~92のいずれか1つに記載の方法。94.PCRプライマーの第2のセットを使用して上記生体サンプルから核酸を増幅する工程を含み、ここで、PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒト核酸配列を増幅する、実施形態64~92のいずれか1つに記載の方法。95.PCRプライマーの上記第2のセットは、GAPDH、ACTB、RPP30、およびこれらの組み合わせから選択される核酸配列を増幅する、実施形態94に記載の方法。96.PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒトRPP30を増幅する、実施形態95に記載の方法。97.PCRプライマーの上記第2のセットは、配列決定アダプター配列を有するプライマーと、配列決定アダプター配列を有していないプライマーの混合物を含む、実施形態94~96のいずれか1つに記載の方法。98.配列決定アダプター配列を有するプライマーと配列決定アダプター配列を有していないプライマーとの比は、約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4である、実施形態97に記載の方法。99.上記PCRは30~45個の増幅サイクルを含む、実施形態64~98のいずれか1つに記載の方法。100.上記PCRは35~45個の増幅サイクルを含む、実施形態99に記載の方法。101.上記PCRは39~42個の増幅サイクルを含む、実施形態99に記載の方法。102.PCRプライマーの上記第2のセットは、可変ヌクレオチド配列を含む核酸配列を含んでいる、実施形態94~101のいずれか1つに記載の方法。103.上記可変ヌクレオチド配列は、上記個体に固有のサンプルIDである、実施形態102に記載の方法。104.PCRプライマーの上記第2のセットは、次世代シーケンシング反応のためのアダプター配列を含む、実施形態94~103のいずれか1つに記載の方法。105.次世代シーケンシング技術を使用して、上記生体サンプルからの上記増幅核酸を配列決定する工程を含む、実施形態64~104のいずれか1つに記載の方法。106.上記方法は、病原体ゲノムの10未満のコピーを検出することができる、実施形態64~105のいずれか1つに記載の方法。107.病原体ゲノムの5未満のコピーを検出することができる、実施形態64~104のいずれか1つに記載の方法。108.上記病原体ゲノムはコロナウイルスゲノムである、実施形態106または107に記載の方法。109.上記病原体ゲノムは、SARS-COV-2ゲノムである、実施形態106または107に記載の方法。110.上記方法はコロナウイルスの株を判定する、実施形態64~109のいずれか1つに記載の方法。111.上記方法は、SARS-COV-2の菌株を判定する、実施形態110に記載の方法。
【0160】
112.5’近位領域、3’近位領域、および介在核酸配列を含む、合成核酸。113.上記合成核酸はRNAを含む、実施形態112に記載の合成核酸。114.上記合成核酸はDNAを含む、実施形態112に記載の合成核酸。115.上記5’近位領域はウイルス核酸配列を含む、実施形態112~114のいずれか1つに記載の合成核酸。116.上記ウイルス核酸配列はコロナウイルス配列を含む、実施形態115に記載の方法。117.上記ウイルス核酸配列は、SARS-COV-2配列を含む、実施形態116に記載の方法。118.上記3’近位領域はウイルス核酸配列を含む、実施形態112~114のいずれか1つに記載の合成核酸。119.上記ウイルス核酸配列はコロナウイルス配列を含む、実施形態118に記載の方法。120.上記ウイルス核酸配列は、SARS-COV-2配列を含む、実施形態119に記載の方法。121.上記5’近位領域、上記3’近位領域、または上記5’近位領域と上記3’近位領域の両方は、長さが約30ヌクレオチド未満である、実施形態112~120のいずれか1つに記載の合成核酸。122.上記5’近位領域、上記3’近位領域、または上記5’近位領域と上記3’近位領域の両方は、長さが約25ヌクレオチド未満である、実施形態112~120のいずれか1つに記載の合成核酸。123.上記5’近位領域、上記3’近位領域、または上記5’近位領域と上記3’近位領域の両方は、長さが約20ヌクレオチド未満である、実施形態112~120のいずれか1つに記載の合成核酸。124.上記5’近位領域は、上記合成核酸の5’末端にある、実施形態112~123のいずれか1つに記載の合成核酸。125.上記3’近位領域は、上記合成核酸の3’末端にある、実施形態112~123のいずれか1つに記載の合成核酸。126.上記介在核配列は、ウイルス核酸配列と約99%、98%、97%、95%、90%、85%、80%、または75%未満同一である、実施形態112~125のいずれか1つに記載の合成核酸。127.上記合成核酸配列はコロナウイルス配列である、実施形態126に記載の合成核酸。128.上記合成核酸配列は、SARS-COV-2配列である、実施形態126に記載の合成核酸。129.上記個体の病原体感染症を検出する方法における、実施形態112~128のうちのいずれか1つの合成核酸の使用。130.上記病原体感染症はコロナウイルス感染症である、実施形態129に記載の使用。131.上記ウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である、実施形態130に記載の使用。
【0161】
132.ウイルス感染症の検出のための核酸処理の方法であって、上記方法は、(a)ウイルス核酸分子および宿主核酸分子を含むサンプルを提供する工程と、(b)第1のバーコード配列を含む第1のプライマーを使用して上記ウイルス核酸分子上で核酸伸長反応を行うことにより、バーコード化ウイルス核酸分子を生成する工程と、(c)第2のバーコード配列を含む第2のプライマーを使用して上記宿主核酸分子上で核酸伸長反応を行うことにより、バーコード化宿主核酸分子を生成する工程と、(d)上記バーコード化ウイルス核酸分子および上記バーコード化宿主核酸分子を配列決定し、(i)上記バーコード配列と(ii)上記ウイルス核酸分子またはその誘導体に対応する配列、および上記宿主核酸分子を特定する工程と、(e)上記ウイルス核酸分子に対応する上記配列が(d)において特定される場合、ウイルス感染症について陽性の診断を提供する工程とを含む、方法。133.(b)と(c)は同時に実施される、実施形態132に記載の方法。134.上記第1のプライマーは、プライマー配列、アダプター配列、プライマーアニーリング配列、固有の分子識別子配列、および捕捉配列からなる群から選択される1つ以上の追加の機能的配列をさらに含む、実施形態132~133のいずれか1つに記載の方法。135.上記第2のプライマーは、プライマー配列、アダプター配列、プライマーアニーリング配列、固有の分子識別子配列、および捕捉配列からなる群から選択される1つ以上の追加の機能的配列をさらに含む、実施形態132~134のいずれか1つに記載の方法。136.(a)は合成核酸分子を提供することをさらに含む、実施形態132~135のいずれか1つに記載の方法。137.合成核酸分子は、上記ウイルス核酸分子および上記ヒト核酸分子とは異なる合成配列を含む、実施形態136に記載の方法。138.(b)は、上記第1のプライマーを使用して、上記核酸伸長を実施することにより、バーコード化合成核酸分子を生成する、実施形態137に記載の方法。139.(c)は、上記第2のプライマーを使用して、上記核酸伸長を実施することにより、バーコード化合成核酸分子を生成する、実施形態137に記載の方法。140.上記核酸伸長反応は逆転写反応である、実施形態132~139のいずれか1つに記載の方法。141.上記核酸伸長反応はポリメラーゼ連鎖反応である、実施形態132~139のいずれか1つに記載の方法。142.上記核酸伸長反応は、逆転写酵素反応、ポリメラーゼ連鎖反応、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態132~139のいずれか1つに記載の方法。143.(b)にて、上記核酸伸長反応は、(i)上記第1のプライマーを上記ウイルス核酸分子にハイブリダイズすること、(ii)上記プライマー伸長するために逆転写酵素を使用することを含む、実施形態142に記載の方法。144.(b)にて、上記核酸伸長反応は、(i)上記第1のプライマーを上記ウイルス核酸分子にハイブリダイズすること、(ii)上記プライマー伸長するために逆転写酵素を使用することを含む、実施形態142に記載の方法。145.(b)にて、上記核酸伸長反応は、(i)上記第1のプライマーを上記ウイルス核酸分子にハイブリダイズすること、(ii)上記プライマー伸長するためにポリメラーゼ酵素を使用することを含む、実施形態142に記載の方法。146.ポリメラーゼ連鎖反応はエンドポイントポリマー鎖反応である、実施形態142に記載の方法。147.上記方法は、(d)の前に、上記バーコード化ウイルス核酸分子と上記バーコード化宿主核酸分子を増幅することをさらに含む、実施形態132~146のいずれか1つに記載の方法。148.実施形態132~147のいずれか1つに記載の方法。上記方法は、(d)の前に、上記バーコード化ウイルス核酸分子と上記バーコード化宿主核酸分子を、ポリメラーゼ連鎖反応のNサイクルに供する工程をさらに含む、149.Nは35個のサイクルよりも大きい、実施形態148に記載の方法。150.Nは40個のサイクルよりも大きい、実施形態148に記載の方法。151.Nは45個のサイクルよりも大きい、実施形態148に記載の方法。152.上記ポリメラーゼ連鎖反応は、サンプルインデックス配列、アダプター配列、プライマー配列、プライマー結合配列、シーケンサーのフローセルに結合するように構成された配列、および追加のバーコード配列からなる群から選択される1以上の追加の配列を、上記バーコード化ウイルス核酸分子およびバーコード化宿主核酸分子の一方または双方に組み込む、実施形態148に記載の方法。153.(b)と(c)の後に、上記サンプルは、(b)と(c)において少なくとも1つの核酸伸長反応を実施した後に、1つ以上のサンプルと組み合わされる、実施形態132~152のいずれか1つに記載の方法。154.上記サンプルは、(b)と(c)において上記核酸伸長反応の1回のラウンドを実施した後に、1つ以上のサンプルと組み合わされる、実施形態153に記載の方法。155.上記サンプルは1つ以上の細胞を含む、実施形態132~154のいずれか1つに記載の方法。156.(b)の前に、上記1つ以上の細胞から上記ウイルス核酸分子と上記宿主核酸分子を放出する工程をさらに含む、実施形態155に記載の方法。157.(b)の前に、上記1つ以上の細胞から上記ウイルス核酸分子と上記宿主核酸分子を放出するのに十分な条件に上記サンプルを供する工程をさらに含む、実施形態155に記載の方法。158.(b)と(c)は、上記1つ以上の細胞から上記ウイルス核酸分子と上記宿主核酸分子を放出するのに十分な条件下で実行される、実施形態157に記載の方法。159.上記ウイルス核酸分子と上記宿主核酸分子は、(b)と(c)の前に上記サンプルから精製されない、実施形態157に記載の方法。160.(d)において、上記サンプルに関連付けられるとして、上記ウイルス核酸分子またはその誘導体、および、上記宿主核酸分子またはその誘導体を関連付けるために、上記バーコード配列を使用することをさらに含む、実施形態132~159のいずれか1つに記載の方法。161.(e)において、上記サンプルを特定するために、上記バーコード化ウイルス核酸分子および上記バーコード化宿主核酸分子を使用する工程をさらに含み、上記サンプルは上記ウイルス感染症について検査されている対象に一致する、実施形態132~160のいずれか1つに記載の方法。162.上記サンプルが対象から得られる、実施形態132~161のいずれか1つに記載の方法。163.上記対象はヒトである、実施形態162に記載の方法。164.上記対象は動物である、実施形態162に記載の方法。165.上記宿主核酸分子は上記対象のゲノムの一部である、実施形態162に記載の方法。166.上記宿主核酸分子は上記対象のトランスクリプトームの一部である、実施形態162に記載の方法。167.上記宿主核酸分子は一意に発現されたタンパク質をコードする、実施形態132~166のいずれか1つに記載の方法。168.上記宿主核酸分子はゲノムDNA分子である、実施形態132~166のいずれか1つに記載の方法。169.上記宿主核酸分子は一意に転写されたRNA分子である、実施形態132~166のいずれか1つに記載の方法。170.上記宿主核酸は、GAPDH、ACTB、RPP30、およびこれらの組み合わせである、実施形態132~169のいずれか1つに記載の方法。171.上記ウイルス核酸分子はウイルスのゲノムの一部である、実施形態132~170のいずれか1つに記載の方法。172.上記ウイルスはコロナウイルスである、実施形態171に記載の方法。173.上記コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-COV-2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、および中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)からなる群から選択される、実施形態172に記載の方法。174.上記コロナウイルスは、SARS-COV-2である、実施形態173に記載の方法。175.上記ウイルスはRNAウイルスである、実施形態174に記載の方法。176.上記RNAウイルスは、二本鎖RNAゲノムを含む、実施形態175に記載の方法。177.上記RNAウイルスは、一本鎖RNAゲノムを含む、実施形態175に記載の方法。178.上記RNAウイルスは、コロナウイルス、インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルス、およびエボラウイルスからなる群から選択される、実施形態175に記載の方法。179.上記ウイルスはDNAウイルスである、実施形態170に記載の方法。180.(a)の前に、上記サンプルを区画に分ける工程をさらに含む、実施形態34~169のいずれか1つに記載の方法。181.上記区画はウェルである、実施形態180に記載の方法。182.上記区画は複数のウェルのうちの1つのウェルである、実施形態180に記載の方法。183.上記バーコード配列は上記複数のウェルのうちの上記ウェルに固有である、実施形態182に記載の方法。184.(b)と(c)は同時に実施される、実施形態132~183のいずれか1つに記載の方法。185.上記ウイルス感染症は、SARS-COV-2である、実施形態132~184のいずれか1つに記載の方法。186.サンプルは鼻咽頭スワブまたは中鼻甲介スワブによって対象から得られる、実施形態132~183のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
187.第1の核酸配列と第2の核酸配列とを含む合成核酸分子を含む組成物であって、ここで、(1)第1の核酸配列は、病原体核酸分子からの配列と同一であり、(2)第2の核酸配列は、病原体核酸分子からの配列と同一ではない、組成物。188.第1の核酸配列は、第2の核酸配列の3’に位置する、実施形態187に記載の組成物。189.合成核酸分子は、第3の核酸配列をさらに含み、ここで、第3の核酸配列は、病原体核酸分子からの第2の配列と同一である、実施形態187~188のいずれか1つに記載の組成物。190.第3の核酸配列は、第2の核酸配列の5’にある、実施形態176に記載の組成物。191.第1の核酸配列または第3の核酸配列は、5、10、15、20、25、または30ヌクレオチド未満である、実施形態187~190のいずれか1つに記載の組成物。192.第2の核酸配列は、25、50、100、150、200、または500ヌクレオチド未満のヌクレオチド総数を含む、実施形態187~191のいずれか1つに記載の組成物。193.第2の核酸配列は、25、50、100、150、200、または500ヌクレオチドよりも大きいヌクレオチド総数を含む、実施形態187~191のいずれか1つに記載の組成物。194.合成核酸分子は、リボ核酸(RNA)分子、デオキシリボ核酸(DNA)分子、またはRNA-DNAハイブリッド分子である、実施形態187~193のいずれか1つに記載の組成物。195.第1の核酸配列、第3の核酸配列、または第1の核酸配列と第3の核酸配列の両方が、プライマー結合部位を含む、実施形態187~194のいずれか1つに記載の組成物。196.組成物は、病原体核酸分子をさらに含む、実施形態187~194のいずれか1つに記載の組成物。197.病原体核酸分子は病原体に由来し、病原体は、細菌、ウイルス、真菌、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態196に記載の組成物。198.細菌は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびこれらの組み合わせに由来する、実施形態197に記載の組成物。199.真菌は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびこれらの組み合わせである、実施形態197に記載の組成物。200.ウイルスはDNAウイルスである、実施形態197に記載の組成物。201.DNAウイルスは、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、または痘瘡、およびこれらの組み合わせを含む、実施形態200に記載の組成物。202.上記ウイルスはRNAウイルスである、実施形態197に記載の組成物。203.RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、またはオルソミクソウイルスを含む、実施形態202に記載の組成物。204.ウイルスはコロナウイルスである、実施形態189に記載の組成物。205.コロナウイルスは、SARS-COV-2ウイルスである、実施形態190に記載の組成物。206.組成物は複数のプライマーをさらに含み、ここで、複数のプライマーの1つのプライマーは、合成核酸分子の配列または病原体核酸分子の配列にハイブリダイズするように構成される、実施形態196~205のいずれか1つに記載の組成物。207.合成核酸分子の配列と病原体核酸分子の配列は同一である、実施形態206に記載の組成物。208.合成核酸分子は、病原体核酸分子と同じ効率で増幅される、実施形態187~207のいずれか1つに記載の組成物。209.合成核酸分子は、病原体核酸分子の増幅産物と同じサイズまたは10塩基対以内のサイズの増幅産物を作成するように構成される、実施形態187~207のいずれか1つに記載の組成物。
【0163】
210.病原体感染症を抱える個体を診断する方法であって、上記方法は、(a)上記個体からの生体サンプルを提供する工程と、(c)上記生体サンプルに対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅させた生体サンプルを得る工程であって、ここで、上記生体サンプルに対する上記PCR反応は、PCRプライマーの第1のセットを用いて行われ、PCRプライマーの上記第1のセットが病原体核酸配列を増幅する、工程と、(d)次世代シーケンシングを用いて、上記PCR増幅させた溶解した生体サンプルを配列決定する工程と、(e)病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出される場合、上記病原体感染症について陽性の診断を提供し、あるいは、病原体配列が上記PCRまたは上記配列決定によって検出されない場合、上記個体について陰性の診断を提供する工程とを含む、方法。211.上記個体はヒト個体である、実施形態210に記載の方法。212.上記病原体感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、または真菌感染症、およびこれらの組み合わせを含む、実施形態210または211に記載の方法。213.上記細菌感染症は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびこれらの組み合わせによる感染症である、実施形態210~212のいずれか1つに記載の方法。214.上記真菌感染症は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびこれらの組み合わせによる感染症である、実施形態210~212のいずれか1つに記載の方法。215.上記ウイルス感染症は、DNAウイルスによる感染症である、実施形態210~212のいずれか1つに記載の方法。216.上記DNAウイルスは、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、または痘瘡、およびこれらの組み合わせを含む、実施形態215に記載の方法。217.上記ウイルス感染症は、RNAウイルスによる感染症である、実施形態210~216のいずれか1つに記載の方法。218.上記RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、またはオルソミクソウイルスを含む、実施形態217に記載の方法。219.上記ウイルス感染症はコロナウイルス感染症である、実施形態218に記載の方法。220.上記コロナウイルス感染症は、SARS-COV-2感染症である、実施形態219に記載の方法。221.上記個体からの上記生体サンプルは、血液サンプル、血漿サンプル、血清サンプル、頬のスワブ、尿サンプル、精液サンプル、膣スワブ、便サンプル、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはこれらの任意の組み合わせによるものである、実施形態210~220のいずれか1つに記載の方法。222.上記個体からの上記生体サンプルは、鼻咽頭スワブ、中鼻甲介スワブ、またはそれらの任意の組み合わせに由来する、実施形態221に記載の方法。223.合成核酸を上記溶解剤または溶解した生体サンプルに添加する工程を含む、実施形態210~222のいずれか1つに記載の方法。224.合成核酸を上記方法に添加する工程を含む、実施形態210~222のいずれか1つに記載の方法。225.上記合成核酸はRNAである、実施形態224に記載の方法。226.上記合成核酸はDNAである、実施形態224に記載の方法。227.上記合成核酸は、PCRプライマーの上記第1のセットによって結合されるように構成された配列のセットを含む、実施形態224~226のいずれか1つに記載の方法。228.プライマーの上記第1のセットは、上記病原体核酸配列および上記合成核酸の両方を増幅する、実施形態224~227のいずれか1つに記載の方法。229.上記合成核酸配列は、上記病原体核酸配列と同一ではないヌクレオチド配列を含む、実施形態224~228のいずれか1つに記載の方法。230.上記溶解した生体サンプル上で逆転写反応を実施する工程を含む、実施形態210~229のいずれか1つに記載の方法。231.上記逆転写反応は、上記ポリメラーゼ連鎖反応を行う前に行われる、実施形態230に記載の方法。232.上記逆転写反応は、上記溶解した生体サンプルをそれ以上精製することなく行われる、実施形態210~231のいずれか1つに記載の方法。233.上記溶解した生体サンプルに対する上記逆転写反応は、ウイルスcDNAを産生する、実施形態210~231のいずれか1つに記載の方法。234.上記ウイルスcDNAはコロナウイルスcDNAである、実施形態233に記載の方法。235.上記コロナウイルスcDNAは、SARS-COV-2 cDNAである、実施形態233に記載の方法。236.上記逆転写反応および上記PCRは、単一工程反応である、実施形態210~235のいずれか1つに記載の方法。237.上記PCRはエンドポイント分析である、実施形態210~236のいずれか1つに記載の方法。238.上記PCRはリアルタイムPCR反応ではない、実施形態210~237のいずれか1つに記載の方法。239.PCRプライマーの上記第1のセットは、コロナウイルス核酸配列を増幅する、実施形態210~238のいずれか1つに記載の方法。240.上記コロナウイルス核酸配列は、SARS-COV-2核酸配列である、実施形態239に記載の方法。241.上記SARS-COV-2核酸配列は、N1遺伝子またはS2遺伝子を含む、実施形態240に記載の方法。242.PCRプライマーの第2のセットを含み、プライマーの上記第2のセットは、上記個体の核酸配列を増幅する、実施形態210~241のいずれか1つに記載の方法。243.ここで、PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒト核酸配列を増幅する、実施形態242に記載の方法。244.PCRプライマーの上記第2のセットは、GAPDH、ACTB、RPP30、およびこれらの組み合わせから選択されるヒト核酸配列を増幅する、実施形態243に記載の方法。245.PCRプライマーの上記第2のセットは、ヒトRPP30を増幅する、実施形態244に記載の方法。246.PCRプライマーの上記第2のセットは、配列決定アダプター配列を有するプライマーと、配列決定アダプター配列を有していないプライマーの混合物を含む、実施形態242-245のいずれか1つに記載の方法。247.配列決定アダプター配列を有するプライマーと配列決定アダプター配列を有していないプライマーとの比は、約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4である、実施形態246に記載の方法。248.上記PCRは30~45個の増幅サイクルを含む、実施形態210~247のいずれか1つに記載の方法。249.上記PCRは35~45個の増幅サイクルを含む、実施形態248に記載の方法。250.上記PCRは39~42個の増幅サイクルを含む、実施形態248に記載の方法。251.PCRプライマーの上記第1のセット、PCRプライマーの上記第2のセット、またはPCRプライマーの上記第1のセットとPCRプライマーの上記第2のセットの両方は、可変ヌクレオチド配列を含む核酸配列を含んでいる、実施形態210~250のいずれか1つに記載の方法。252.上記可変ヌクレオチド配列は、上記個体に固有のサンプルIDである、実施形態251に記載の方法。253.PCRプライマーの上記第1のセット、PCRプライマーの上記第2のセット、またはPCRプライマーの上記第1のセットとPCRプライマーの上記第2のセットの両方は、次世代シーケンシング反応のためのアダプター配列を含む、実施形態210~252のいずれか1つに記載の方法。254.上記方法は、病原体ゲノムの10未満のコピーを検出することができる、実施形態210~253のいずれか1つに記載の方法。255.病原体ゲノムの5未満のコピーを検出することができる、実施形態210~253のいずれか1つに記載の方法。256.上記病原体ゲノムはコロナウイルスゲノムである、実施形態254または255に記載の方法。257.上記コロナウイルスゲノムは、SARS-COV-2ゲノムである、実施形態254または255に記載の方法。258.上記PCRによってコロナウイルス配列が検出された場合のコロナウイルスの上記陽性診断は、SARS-COV-2診断である、実施形態210~257のいずれか1つに記載の方法。259.上記方法はコロナウイルスの株を判定する、実施形態210~258のいずれか1つに記載の方法。260.上記方法は、COVID-19の菌株を判定する、実施形態210~258のいずれか1つに記載の方法。261.異なる核酸配列を有する複数の合成核酸を含む組成物であって、異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、病原体核酸配列と同一の共通の5’配列、病原体核酸配列と同一の共通の3’配列、および複数の配列間で異なる介在配列を含む、組成物。262.異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、一本鎖である、実施形態261に記載の組成物。263.異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、二本鎖である、実施形態261に記載の組成物。264.異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、RNAからなるか、またはRNAを含む、実施形態261~263のいずれか1つに記載の組成物。265.異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、DNAからなるか、またはDNAを含む、実施形態261~263のいずれか1つに記載の組成物。266.病原体核酸配列と同一の上記共通の5’配列は、30ヌクレオチド以下である、実施形態261~265のいずれか1つに記載の組成物。267.病原体核酸配列と同一の上記共通の3’配列は、30ヌクレオチド以下である、実施形態261~266のいずれか1つに記載の組成物。268.上記介在配列は50ヌクレオチド以下である、実施形態261~267のいずれか1つに記載の組成物。269.上記介在配列は30ヌクレオチド以下である、実施形態268に記載の組成物。270.病原体核酸配列は、細菌病原体、真菌病原体、またはウイルス病原体に由来する、実施形態261~269のいずれか1つに記載の組成物。271.上記細菌病原体は、Streptococcus属、Pseudomonas属、Shigella属、Campylobacter属、Salmonella属、Clostridium属、またはEscherichia属、およびこれらの組み合わせのものである、実施形態270に記載の組成物。272.上記真菌病原体は、Candida、Blastomyces、Cryptococcus、Coccidoides、Histoplasma、Paracoccidioides、Sporothrix、またはPneumocystis、およびこれらの組み合わせである、実施形態270に記載の組成物。273.上記ウイルス病原体はDNAウイルスである、実施形態270に記載の組成物。274.上記DNAウイルスは、B型肝炎、C型肝炎、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘、または痘瘡、およびこれらの組み合わせを含む、実施形態273に記載の組成物。275.上記ウイルス病原体はRNAウイルスである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。276.上記RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、エボラウイルス、レトロウイルス、オルソミクソウイルス、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態270に記載の組成物。277.上記ウイルス病原体はコロナウイルスである、実施形態276に記載の組成物。278.上記コロナウイルスは、SARS-COV-2である、実施形態277に記載の組成物。279.上記病原体核酸配列は、コロナウイルスのスパイクタンパク質をコードする核酸配列である、実施形態27
7または278に記載の組成物。280.異なる核酸配列を有する上記複数の合成核酸は、S2_001、S2_002、S2_003、およびS2_004のいずれか1つ以上から選択される配列を含むか、または上記配列からなる、実施形態277-279のいずれか1つに記載の組成物。281.病原体による感染症を診断または検出する方法で使用するための、実施形態261~280のいずれか1つに記載の組成物。282.病原体次世代配列リードを正規化する方法で使用するための、実施形態261~280のいずれか1つに記載の組成物。
【実施例
【0164】
以下の例示的な実施例は、本明細書に記載される組成物および方法の実施形態の代表であり、いかなるようにも限定することを意図していない。
【0165】
実施例1-ウイルス感染症のSwabSeq診断
図1は、サンプルを採取および処理するための例示的なワークフローを示す。サンプルは、102で例示したように、スワップ(例えば、唾液、鼻咽頭、または中鼻甲介)を使用してヒト対象から得ることができる。スワブは、106に例示されるように、サンプル内の細胞を溶解するのに十分な条件に直接置くことができる。RNAの単離は必要ないため、(1)アッセイを行うのにかかる時間を短縮し、(2)感度を高め、(3)アッセイのための材料のコストを低減する。サンプルを任意選択で、緩衝液(例えば、TE緩衝液)中に保存し、ステップ126、128のようにサンプルを得てから数日以内に後日溶解することができる。ウイルス核酸の正確かつ高感度な同定を促進するために、溶解したサンプルは、その後の核酸処理と結果として得られる配列情報(108に例示する)をベンチマークすることができる合成核酸でスパイクすることが可能である。合成核酸は、ウイルス特異的プライマーによって増幅することができる配列を含むが、配列出力においてウイルス標的とは異なることと容易に同定され得る既知の配列を有する。サンプルは、1~32個の384ウェルプレート間のスケールが可能なマイクロタイタープレートで区画に分けて処理され、少なくとも384~12,288個のサンプルの検査が可能である。
【0166】
核酸処理およびライブラリー調製は次に、110で例示するように、逆転写およびPCRによって、区画/ウェル内で行われる。検出に使用されるプライマーは、(a)目的の標的(例えば、コロナウイルスまたはインフルエンザからの小領域)と、(b)ヒトの標的(そこに何らかのヒト配列があることを確認するための対照、例えば、RPP30(RNaseP)は、CDCの標準的なqPCRベースの検査においてCDCによって使用されている)と、(c)標的アッセイが確実に増幅するようにし、標的を定量化するための内部の合成RNA分子(上記の通り)、例えば、病原体配列からのリードの正規化を可能にするものとに相補的な配列を含む。PCRによる増幅はエンドポイントまで行われ、その後、配列決定が行われる。エンドポイントPCRと合成鋳型は、高価な正規化工程を避けるために、正規化のレベルを追加する。標的増幅に使用されるプライマーの設計は、サンプルのデコンボリューションと、どのサンプルがウイルス配列に対するポジティブな配列決定リードを含んでいるかを同定することを可能にする指標の追加を可能にする。
【0167】
サンプルはその後、バーコード化された配列およびウイルス標的リードの存在を同定するために配列決定される。リードは、ウイルスベクターおよびウイルス負荷について陽性または陰性の配列決定データを測定するためにバイオインフォマティクスに処理される。このアッセイをさらに発展させて、多型領域を配列決定し、病原体の株を決定することも可能である。これは、標的病原体アンプリコン対ヒト標的アンプリコン、対アンプリコン中のスパイクの比率を比較することで実現可能である。
【0168】
実施例2-サンプル中のSARS-CoV RNAの検出
SARS-CoV-2RNAを含むサンプルを、本明細書に開示する方法を用いて分析した。サンプルは、SARS-CoV-2 RNA分子の定義されたコピー数を含んでいた。N1領域(ヌクレオカプシド)およびサブユニットS2領域を標的とするプライマーを、SARS-CoV-2 RNA分子を検出するために使用した。結果として生じる配列決定産物をヒトのRRP30 RNAと比較した。コピー数の関数としてのSARS-CoV:RRP30は、範囲標的領域206、216について分析された(図2A図2B)。驚くべきことに、サブユニットS2を標的とすることで、SARS-CoV-2 RNA分子の3つのコピーを含むサンプル内で区別可能な検出が得られた。N1を標的とすることで、S2よりも2~5倍高いコピー数であるが、許容できる感度で区別可能な検出が実証された。図2Bは、N1遺伝子座とS2遺伝子座に相補的な異なるプライマー配列210の分析を実証している。検出は、N1とS2の標的の両方についてプライマー配列に依存していた。検査したすべてのプライマーにわたって、S2を標的とすることは、N1の場合よりも2~5倍少ないコピー数で区別可能な検出を示し、S2を標的とすることは、サンプル中のSARS-CoV RNAの検出のためのより高い解像度の分析を提供することを付与している。
【0169】
実施例3-増幅と配列決定によるウイルス診断
本明細書に記載される方法と共に使用するための増幅および配列決定プロトコルの一例が本明細書に記載されている。溶解緩衝液中のサンプルは、QRT-PCR反応の添加前に加熱されてもよい(例えば、75℃で10分間)。
【0170】
20μLの総容量、7μLのサンプル溶解物、10μLのLuna(登録商標)ユニバーサル1工程反応ミックス(Universal One-Step Reaction Mix)、1μLの酵素ミックス(Enzyme Mix)、400nMのウイルス核酸標的プライマー、ハウスキーピングプライマー(例えば、RPP3 100nM アダプターなし、50nM アダプターあり)、合成核酸(標的ウイルスと同じプライミング領域)100コピーで、個々の反応によるQRT-PCR反応のセットアップを実行する。RPP3プライマー全体の濃度を高く保ちながら、配列決定アダプターでRPP3プライマーの濃度を下げることにより、宿主RNA専用の配列決定リードの数を制限しつつ、低量のRPP3が検出される。さらに、これはプライマー二量体形成も抑制した。
【0171】
55℃で30分間(逆転写反応)のサイクリングプロトコル、95℃で1分、その後、{95℃で10秒間、60℃で30秒間}を40回。
【0172】
配列決定のために各ウェル5μLをプールし、[AxyPrep PCR Clean-up Kit](www.fishersci.com/shop/products/axygen-axyprep-mag-pcr-clean-up-kits/14223152)を用いて精製する。[deNovix dsDNA High Sensitivity Fluorescent Assay Kit](www.denovix.com/denovix-dsdna-assays/)でライブラリーを定量化する。最大50%のPhiX対照ライブラリーDNAを添加することができる。NextSeqおよびMiSeq上のIlluminaデュアルインデックスシングルリード配列決定を用いてライブラリーを配列決定する。
【0173】
以下、本明細書に記載されるウイルス感染症の検出方法において使用することができるプライマー対を記載した表(表1)を示す。プライマー対は対として開示され、例えば、o325_octN1_Fおよびo326_octN1_Rは、ウイルス核酸の増幅を生じるように設計されたプライマー対を記載している。以下に記載される配列はさらに、配列決定アダプターおよび/またはインデックス配列を含んでいてもよい。
【0174】
【表2-1】
【0175】
【表2-2】
【0176】
【表2-3】
【0177】
【表2-4】
【0178】
【表2-5】
【0179】
【表2-6】
【0180】
【表2-7】
【0181】
【表2-8】
【0182】
【表2-9】
【0183】
【表2-10】
【0184】
【表2-11】
【0185】
【表2-12】
【0186】
【表2-13】
【0187】
【表2-14】
【0188】
【表2-15】
【0189】
【表2-16】
【0190】
【表2-17】
【0191】
実施例4-SwabSeq:大規模にスケールアップしたSARS-CoV-2検査のためのハイスループット・プラットフォーム
有効なワクチンがない場合、公衆衛生戦略は、COVID-19の原因であるSARS-CoV-2の広がりを制御するための唯一の手段であり続ける。感染力が症状に関連するSARS-CoV-1とは対照的に、SARS-CoV-2の感染力は無症状期/未症状期に高い。そのため、症状のみに基づく感染抑制は不可能であり、パンデミックの制御にはSARS-CoV-2のスクリーニングが必要不可欠となる。
【0192】
地域のロックダウンが解除され、人々が仕事に戻り、他の活動を再開するにつれて、感染率が再び上昇し始めている。米国の多くの地域で、症例の増加は、COVID-19についてFDAが承認した検査の大部分を構成する定量的RT-PCR検査の能力を圧倒している。検査能力を拡大した地域でも、1回の検査費用が約100ドルであるため、集団スクリーニングのための臨床検査を展開することができない。さらに、結果の返却が長く遅れるのは、検査能力が不十分なためであり、数時間の検査時間のためではなく、このため、ウイルス感染の予防や地域的な流行の抑制に検査が役に立たなくなる。頻繁で安価な集団検査を、接触者の追跡や感染した個体の隔離と組み合わせることで、ウイルスの拡散を阻止できる可能性が最も高くなる。次世代シーケンシングを活用して検査能力を大規模にスケールアップするSARS-CoV-2検査プラットフォームであるSwabSeqが本明細書に記載されている。
【0193】
SwabSeqは、いくつかの重要な領域において、1工程逆転写およびポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)アプローチを改善するものである。SwabSeqは、RTおよびPCRプライマーに埋め込まれた分子バーコードを使用して、各サンプルを一意に標識する。RT-PCR工程の後、バーコード化サンプルは単一の配列決定ライブラリーにまとめられ、これによりIlluminaシーケンサーで最大で数十万サンプルの多重化が可能となる。検査の読み出しは蛍光ではなく(したがって高価なqPCRマシンの必要性はなくなる)、ウイルスの配列決定リードのカウントである。短いリード長(26塩基対)は、標的配列を同定するのに十分であり、総配列決定時間を約5時間に抑える。
【0194】
SARS-CoV-2を同定するSwabSeqのロバストな能力の鍵となるのは、各ウェル内のウイルスリードカウントの正規化を可能にする内部のインビトロRNA標準を含んでいることである。この内部標準は、カウントベースのアッセイをレシオメトリックなものに変える。これは、臨床サンプルにおけるRT阻害およびPCR阻害の不均一性にもかかわらず、陽性および陰性のサンプルを正確に呼び出すことができるため、重要である。インビトロのRNA標準に加えて、読み出しとしての配列決定に依存しているため、SwabSeqは、プライマーが消費されるまで最大50サイクルで実行される増幅を使用することができる。このエンドポイントPCRは、無抽出サンプルに存在する酵素阻害を克服し、分析感度の損失を最小限に抑えながらワークフローのさらなる合理化を可能にする。これらの機能のおかげで、現在のRT-定量的PCR(RT-qPCR)診断検査よりも、はるかに高いスループットでの検査が可能となるが、現在のRT-定量的PCR(RT-qPCR)診断検査は、RNA精製と、必要な機器の入手に制約があるRT-qPCRというコストのかかる労働集約型かつ試薬集約型の工程とを必要とする。対照的に、SwabSeqは、容易に入手でき、十分に活用されていないサーモサイクラーとDNAシーケンサーのみを使用する。SwabSeqは、1日あたり数百サンプルを超えるスケールで通常必要とされる大規模な自動化を行うことなく、1日あたり数万サンプルのスケールで実施することが可能である。
【0195】
本明細書で実証されるように、SwabSeqは、精製サンプル中のウイルスRNAの検出に対して極めて高い感度および特異性を有する。本明細書における開示および実施例は、中鼻スワブおよび口腔液からの抽出物を含まない溶解物のおいて低い検出限界をさらに実証している。これらの結果は、SwabSeqが前例のない規模のSARS-CoV-2検査に使用される可能性を実証している。
【0196】
結果
SwabSeqは、5つの工程(図4、パネルA):(1)サンプル採取、(2)i7およびi5の位置に固有の分子インデックスを含むプライマーを用いた逆転写およびPCR(図4、パネルB、図6)、(3)ライブラリー調製のための一意にバーコード化されたサンプルをプールすること、(4)プールされたライブラリーの配列決定、(5)カウントおよびウイルス検出のためのバーコード化配列決定リードの各サンプルに対する計算上の割り当てからなる、簡単でスケーラブルなプロトコルである。
【0197】
このアッセイは、2つの遺伝子:SARS-CoV-2のS2遺伝子とヒトリボヌクレアーゼP/MRPサブユニットP30(RPP30)を増幅する2つのプライマーセットからなる。このアッセイは、合成対照に対応する配列決定リードを陰性配列に対応するものと区別することを可能にする短改変ストレッチ(図4、パネルC)を除いて、増幅のために標的化されるウイルス配列と同一である合成インビトロ転写対照RNAを含んでいる。プライマーは、陰性配列と合成配列の両方を等しい効率で増幅する(図7)。
【0198】
S2内部対照は2つの目的を果たす。第1に、PCRおよび逆転写の阻害剤、同様にウェル間変動の他の源は、対照とサンプルの両方の増幅に同じように影響する可能性がある。陰性リードの数対対照リードの数の比は、陰性リードの数のみよりも正確で定量的なウイルス負荷の測定値を提供する(図4、パネルEおよびD)。第2に、内部対照は、エンドポイントPCRの使用にもかかわらず、広い範囲のウイルス入力にわたって直線性を保持することを可能にする(図8)。このアプローチでは、各ウェルにおける最終的なDNA量は、ウイルス負荷ではなく、プライマーの総濃度によって大部分が決定され、つまり、陰性サンプルは、陽性サンプルと同様のS2リードの総数を有することが期待される。違いは、陰性サンプルでは、すべてのS2アンプリコンリードが対照の合成配列にマッピングされるということである。ウイルスS2に加えて、このアッセイ/方法は、検体の質と採取の効率を制御するために、ヒトハウスキーピング遺伝子を逆転写および増幅することを含む(図4のパネルF)。
【0199】
RT-PCR後、サンプルを等量で組み合わせ、精製し、使用することで、1つの配列決定ライブラリーを生成する。Illumina MiSeqおよび/またはIllumina NextSeqの両方がこれらのライブラリーを配列決定するために使用可能である(図9)。装置の配列決定時間は、アンプリコンの26塩基対の配列決定のみによって最小化される(方法)。各リードは、その配列に基づいて、陰性、対照のS2またはRPP30に由来するものとして分類され、関連するインデックス配列(バーコード)に基づいてサンプルに割り当てられる。特異性を最大化し、および、誤った分類または割り当てから生じる偽陽性シグナルを避けるために、このマッチング操作には保守的な編集距離の閾値を使用している(方法および補足結果)。配列決定リードは、期待される配列の1つと一致しない場合、廃棄される。陰性および対照のS2およびRPP30のリードのカウントは、各サンプルについて得られ、下流の分析に使用される(方法、下記)。
【0200】
サンプル中のウイルスRNAの存在を検出および定量化するには、数千リードで十分であることが観察された(控えめに10,000リード)。これは、MiSeq v3フローセルでの実行あたり1,500サンプル、NextSeqでの実行あたり20,000サンプル、およびNovaSeq S2フローセルでの実行あたり最大150,000サンプルに換算される。計算上の分析は1回の実行あたり数分しかかからない。SwabSeqはCOVID-19検査のための合理的かつスケーラブルなプロトコルである。SwabSeqプロトコルは、複数のノイズ源を特定および除去することによってさらに最適化された(図21、パネルA、B、C、およびD)。
【0201】
診断プラットフォームとしてのSwabSeqの検証
SwabSeqはまず、UCLA Clinical Laboratoryが標準RT-qPCRアッセイで以前に検査した精製RNAサンプルで検証された。検出の分析限界を決定するために、不活性化ウイルスを、プールされた残りの臨床鼻咽頭スワブ検体で希釈した。この残りのサンプルはすべてSARS-CoV-2について陰性であることが確認された。これらの残りのサンプルにおいて、1mLあたり8000~125ゲノムコピー当量(GCE)の範囲で、熱不活性化SARS-CoV-2(ATCCR VR-1986HK)の連続2倍希釈を行った。1mLあたり250GCEまですべてのサンプルでSARS-CoV-2が検出され、1mLあたり125GCEまでほとんどのサンプルで検出された(図2A)。これらの結果から、SwabSeqは高感度であり、分析上の検出限界(LOD)が1mLあたり250GCEであることが立証された。この検出限界は、現在承認されている多くの高感度RT-qPCRアッセイよりも低いものである。この比較は、SwabSeqが臨床診断検査として非常に有効であることを実証している。
【0202】
SwabSeqは、高い感度と特異性でウイルスを検出する。UCLA Clinical Microbiology Laboratoryからの確定した陽性(n=31)サンプルおよび陰性(n=33)サンプルを再検査した。すべてのサンプルについて、RT-qPCRの結果と100%の一致が見られた(図5)。ライブラリーは、MiSeqとNextSeq550の両方で配列決定され(図9)、異なる配列決定機器の間で100%の一致がみられた。
【0203】
RT-qPCR診断検査をスケールアップする際の大きな妨げの1つは、RNA精製工程である。RNA抽出は自動化が困難であり、サプライチェーンは、パンデミックの過程で必要な試薬の需要についていくことができなかった。RNA精製の妨げを回避するやり方として、様々な抽出不要のサンプルタイプから直接SARS-CoV-2を検出するSwabSeqの能力が調査された。
【0204】
鼻腔スワブ採取のためにCDCが推奨する培地には、いくつかのタイプ:ウイルス輸送培地(VTM)、アミーズ輸送培地(Amies transport medium)、および通常の生理食塩水がある。主要な技術的課題は、採取緩衝液中の成分によるRT阻害またはPCR阻害から生じる。検体を水で希釈することで、RTおよびPCRの阻害を克服し、人工的なおよび陽性の臨床患者サンプル中のウイルスRNAを検出することが可能となった(図11)トリス-EDTA(TE)緩衝液に直接採取された鼻腔スワブを水で1:1に希釈して検査した。このアプローチにより、558GCE/mLの検出限界が得られた(図5、パネルC)。正常な生理食塩水に採取した鼻咽頭サンプルの抽出不要のプロトコルとUCLA Clinical Microbiology Labが実施したRT-qPCRとの比較では、すべてのサンプルで100%の一致が見られた(図2D)。
【0205】
漏斗状の収集装置を用いて唾液がマトリックスチューブ内に直接収集される抽出不要の唾液プロトコルも検査された(図12)。主な技術的課題は、唾液中の様々な成分がウイルスRNAを分解するのを防止し、この不均一で粘性のあるサンプルタイプの正確なピペッティングを確実にすることであった。唾液サンプルを95℃で30分間加熱すると、予熱しない場合と比較して、PCR阻害が減少し、S2アンプリコンの検出が向上した(図13)。加熱工程の後、サンプルを0.1%のTween-20で2×TBEの1:1の体積で希釈した。この方法を用いて、2000GCE/mLのLoDが得られた(図5、パネルE)。
【0206】
考察
Swabseqは、診断臨床検査における既存の障害を緩和する可能性を有する。さらに、SwabSeqは、集団監視を介したパンデミックの抑制に必要な規模の検査を可能にするさらに大きな可能性を有している。この技術は、感染症の監視や診断への超並列次世代シーケンシングの新規な使用を説明している。SwabSeqは、精製RNAと抽出不要な溶解物の両方から臨床検体中のSARS-CoV-2 RNAを検出することができ、臨床診断室で行われるRT-qPCRと同等の高い臨床および分析感度と特異性を維持する。SwabSeqは、スケールと低コストを優先するようにさらに最適化される。なぜなら、これらは現在のCOVID-19診断検査に欠けている重要な要素であるからである。
【0207】
SwabSeqは、臨床検査用ではなく、監視検査のツールとして評価されなければならない。臨床検査は臨床的な意思決定を伝えるものであるため、高い感度と特異性を必要とするが、監視検査では、最も重要な因子は検査の幅と頻度、およびターンアラウンドタイムである。十分に広範で頻繁な検査は、迅速な結果の返送とあわせて、一律の自宅待機命令ではなく、感染個体の選択的隔離によってウイルスの大流行を効果的に抑制することができる。大学キャンパスでの監視検査の疫学的モデリングにより、70%の感度の診断検査であっても、短いターンアラウンドタイムで頻繁に実施することにより、感染を抑制することができることが示されている。頻繁な検査を実用化するための主要な課題は、検査コストと、1日あたり数百~数千の検体を採取および処理するためのロジスティックスである。
【0208】
診断検査におけるIlluminaシーケンシングの使用は、ターンアラウンドタイムおよびコストに関して懸念を集めている。SwabSeqは、5時間で標的配列の分子インデックスと26塩基対を読み出す短時間シーケンシングランを使用し、その後、デスクトップコンピュータによって5分で実行できる計算分析を行う。1回のMiSeqランで1,000サンプルが分析される場合の配列決定試薬のコストは、1サンプルあたり1ドル未満である。フローセルあたり13倍のリードを生成するNextSeq550で10,000サンプルを実行すると、このコストを約10分の1に削減することができる。反応量を減らし、より安価なRT-PCR試薬を使用するためのさらなる最適化により、試験あたりの総コストをさらに減少させることができる。
【0209】
最後に、SARS-CoV-2の検査をスケールアップするには、ハイスループットなサンプル採取および処理ワークフローが必要である。ほとんどの学術的な臨床検査室で一般的な手動プロセスは、簡単な自動化には容易に適合しない。鼻咽頭スワブをVTM、Amies、またはNSに入れる現在のプロトコルは、細胞株への細胞毒性効果を特定するために生きたウイルス培養が使用され、検査が低スループットの手動で行われていた分子遺伝学前(pre-molecular-genetics)の時代に遡る収集方法である。スケールアップした採取方法に対する新しい視点は、検査コミュニティにとって非常に有益となる。
【0210】
いくつかの群は、サンプル登録と患者情報収集をスマートフォンのアプリを介して検査される個体に直接押し付ける「軽量」のサンプル採取アプローチを試験的に行っている。サンプル要求の労力の多くは、電子医療システム間の相互運用性の欠如に起因しており、検査室の専門家がすべてのサンプルの情報を手作業で入力している。HIPAAに準拠した登録プロセスを開発することで、手間のかかるサンプル要求を合理化することができる。スケーラビリティを促進するために、自動キャッパー・デキャッパーや96ヘッド液体ハンドラーなどの簡単な自動化に適合した少量のチューブを使用するサンプル採取プロトコルを使用することができる。これらのアプローチは、実験室で処理して検査を実行するために必要な実践的な作業の量を減少させる。
【0211】
SwabSeq診断プラットフォームは、診断および広範な監視検査の両方のニーズを満たすために検査能力を増やすことによって、従来の臨床診断検査、ならびにCOVID-19のために登場したポイントオブケア迅速診断プラットフォームの増大するアーセナルを補完するものである。将来的には、SwabSeqはさらなる病原体およびウイルス標的を受け入れるように容易に拡張可能である。これにより、特に複数の呼吸器系病原体が集団で循環し、症状だけでは容易に区別できない冬の風邪やインフルエンザの季節に、この検査の有用性がさらに高まる可能性がある。社会が社会の教育、ビジネス、およびレクリエーション分野の安全な再開を目指すなか、診断検査は新しい常識の一部となる可能性が高い。
【0212】
方法
サンプル採取:本研究で使用されたすべての患者サンプルは匿名化された。すべてのサンプルはUCLA IRB Approvalで入手された。鼻咽頭サンプルは、COVID19が疑われる患者において医療提供者によって採取された。
【0213】
人工的な検体の作成:臨床的検出限界の実験のために、UCLA Clinical Microbiology Laboratoryによって採取された確認されたCOVID-19陰性の残りの鼻咽頭スワブ検体がプールされた。プールされた臨床検体に、指定濃度のATCC不活性化ウイルス(ATCC 1986-HK)をスパイクし、以下に説明するように抽出した。臨床精製RNAサンプルについては、鼻咽頭スワブとして採取し、KingFisherFlex(Thermofisher Scientific)機器を用いて、MagMaxビーズ抽出で精製した。すべての抽出は、製造業者のプロトコルに従って行った。抽出不要のサンプルでは、まずサンプルを指定の濃度で操作して(contrived)、陰性を認めた臨床サンプルをプールし、TE緩衝液または水中でサンプルの希釈を行ってから、RT-PCRマスターミックスに加えた。
【0214】
抽出不要の唾液検体の処理:唾液は、小型の漏斗(Amazonからの部品番号)を使用して、直接マトリックスチューブに採取される。唾液サンプルをマトリックスチューブに採取し、95℃に30分間加熱した。その後、サンプルを凍結させるか、1%のTween-20を含む2×TBEによる希釈によって処理して、最終濃度を1×TBEおよび0.5%のTween-2とした。Qiagen Protease and RNA Secure(ThermoFisher)を含む1×Tweenも検査した。これも成功したが、サンプル間の変動が大きく、追加のインキュベーションの工程を必要とした。
【0215】
抽出不要の鼻腔スワブ溶解物の処理:すべての抽出不要な溶解物を、56℃で30分間熱不活性化を用いて、不活性化した。次に、サンプルを1:4の比にて水で希釈し、マスターミックスに直接添加した。希釈量は、使用された液体培地によって異なった。CDCが推奨する培地のうち、正常な生理食塩水が最もロバスト性を示した。ウイルス輸送培地とAmies緩衝液は、水で希釈しても克服することが困難な、著しいPCR阻害を示した。一実施形態では、スワブは、PCR阻害になんの影響も及ぼさない希釈したTE緩衝液に直接入れられる。
【0216】
バーコードプライマーの設計:バーコードプライマーは、1,536個の固有の10bp i5バーコードのセットと1,536個の固有の10bp i7バーコードのセットから選択された。これらの10bpバーコードは、(i5およびi7のセット内の)任意の2つのインデックス間で3の最小レーベンシュタイン距離があること、およびバーコードが2ヌクレオチドよりも大きなホモポリマーリピートを含まないことという基準を満たす。さらに、Primer3に対するパイソンAPIにおけるヘルパー関数を用いて、ホモ二量体化およびヘテロ二量体化を最小限に抑えるように、バーコードを選択した。
【0217】
S2およびRPP30の合成スパイクの構築:S2スパイクインDNA鋳型の構築のために、SARS-CoV-2のgRNA(Twist BioSciences、#1)上で表2のプライマーを用いてRT-PCRを行った。RPP30 スパイクインDNA鋳型の構築のために、HEK293T溶解物に対して、RT PCR(FP_1,R)と第2ラウンドのPCR(FP_2,R)を行った。生成物をゲル上で行って、~150bpの特異的な生成物を同定した。DNAをAmpure beads(Axygen)を用いて、1.8の比のビーズ:サンプル量で精製した。混合物をボルテックスし、室温で5分間インキュベートした。磁石を用いてビーズを1分間結合し、70%のEtOHで2回洗浄し、ビーズを5分間風乾し、その後、磁石から取り出して100uLのIDTE緩衝液で溶出した。ビーズ溶液を磁石に戻し、1分後に溶出液を除去した。DNAをナノドロップ(Denovix)によって定量化した。
【0218】
この調製したDNA鋳型を標準的なHiScribe T7インビトロ転写(NEB社)に使用した。20uL反応あたり300ngの鋳型DNAを用い、37度で16時間インキュベートして、製造業者の説明書に従ってIVT反応物を調製した。IVT反応物を、製造元の指示に従って、DNAseIで処理した。RNAはRNA Clean & Concentrator-25キット(Zymo Research)で、製造者の指示に従って精製し、水に溶出させた。RNAスパイクインは、ナノドロップとTapeStation用のRNAスクリーンテープキット(Agilent)の両方によって、製造者の指示に従って定量化され、RNAが正しいサイズ(約133nt)であることを確認した。
【0219】
【表3】
【0220】
1工程RT-PCR:Luna(登録商標)ユニバーサル1工程RT-qPCRキット(Universal One-Step RT-qPCR Kit)(New England BioSciences E3005)またはTaqPath(商標)1工程RT-qPCRマスターミックス(1-Step RT-qPCR Master Mix)(Thermofisher Scientific、A15300)のいずれかを用いて、20μLの反応量でRT-PCRを行った。いずれのキットも製造業者のプロトコルに従って使用した。マスターミックス中のプライマーの最終濃度は、RPP30 FおよびRプライマーで50nMであり、S2 FおよびRプライマーで400nMであった。合成S2 RNAは、1反応あたり500コピーのコピー数となるようにマスターミックスに直接添加された。サンプルを20μLの反応物にロードした。すべての反応は、96ウェルまたは384ウェルのフォーマットで行い、サーモサイクラーの条件は、製造業者のプロトコルに従って実行された。精製RNAサンプルについては、40サイクルのPCRを実施した。未精製のサンプルについては、50サイクルのエンドポイントPCRを実施した。
【0221】
多重ライブラリーの調製:RT-PCR反応後、マルチチャンネルピペットまたはIntegra Viaflow Benchtopリキッドハンドラーを用いて、サンプルをプールした。各ウェルから6μLを組み合わせて無菌リザーバーに入れ、全量を15mLのコニカルチューブに移し、ボルテックスした。全量の100uLを1.7mLのエッペンドルフチューブに移して、両面SPRIクリーンアップを行った。簡潔に言えば、50μLのAmpureXPビーズ(A63880)を、100μLのプールしたPCR体積に加え、ボルテックスした。5分後、磁石を使用してビーズを1分間収集し、上清を新しいエッペンドルフチューブに移した。追加の130uLのAmpure XPビーズを150uLの上清に追加し、ボルテックスした。さらに5分後、磁石を使用してビーズを1分間収集し、ビーズを新鮮な70%EtOHで2回洗浄した。40uLのqiagenのEB緩衝液中でビーズからDNAを溶出させた。磁石を使用して1分間ビーズを回収し、33uLの上清を新しいチューブに移した。
【0222】
配列決定プロトコル:ライブラリーはIllumina MiSeq(2012)またはNextseq550のいずれかで配列決定された。各MiSeqの実行の前に、Illuminaプロトコルに従って次亜塩素酸ナトリウム溶液(Sigma Aldrich、239305)を使用して、漂白洗浄が行われた。プールして定量したライブラリーは、(Qubit 4 FluorometerとIlluminaのng/ulとnM間の変換式に基づいて)6nMの濃度に希釈され、25pM(MiSeq)または1.5pM(NextSeq)でシーケンサーにロードされた。PhiX Control v3(Illumina,FC-110-3001)を、ライブラリーの推定30~40%でライブラリーにスパイクされた。PhiXは、Read 1にさらなる配列多様性を提供し、これは鋳型の登録を支援し、実行と塩基の質を向上させる。
【0223】
この用途のために、MiSeqは、2つのカスタム配列決定プライマーミックス、つまり、Read1プライマーミックスとi7プライマーミックスを必要とする。両方のミックスは、20uMのプライマーの最終濃度(各アンプリコンの配列決定プライマーの10uM)を有する。NextSeqは、追加の配列決定プライマー、つまり、i5プライマーミックスを必要とし、これも最終濃度は20uMである。MiSeq Reagent Kit v3(150サイクル、MS-102-3001)は、Read1配列決定プライマーミックスとリザーバー12にロードされ、30uLのi7配列決定プライマーミックスとリザーバー13にロードされる。NextSeq 500/550 Mid Output Kitは、52ulのRead1配列決定プライマーミックスとリザーバー20に、85ulのi7配列決定プライマーミックスとリザーバー22に、85ulのi5配列決定プライマーミックスとリザーバー22にロードされる。Index 1とIndex 2はそれぞれ10bpであり、Read 1は26bpである。
【0224】
分析:バイオインフォマティクス分析は、Illuminaのbcl2fastqソフトウェア(v2.20.0.422)を用いて、BCLファイルをFASTQ配列決定ファイルに標準変換することからなる。サンプルあたりの逆多重化とリードカウントは、カスタムソフトを使用して実施される。ここで、read1は、アンプリコン配列に1ヌクレオチドの誤りがある可能性を考慮し、予想される3つのアンプリコンのうちの1つに一致する。ハミング距離は、対応する配列が互いに異なる位置の数であり、配列間の距離の一般的に使用されている尺度である。サンプルは、リードがどのサンプルに由来するかを識別するために、2つのインデックスリードを用いて逆多重化される。観察されたインデックスリードは、インデックス配列の一方または両方に1ヌクレオチドの誤りがある可能性を考慮し、予想されるインデックス配列に一致する。index1とindex2の両方が、予想されるインデックス配列からのハミング距離が1よりも大きい場合、3つのリードのセットは破棄される。各アンプリコンと各サンプルのリードのカウントが計算される。この分析では、Fastqファイルを処理し、観察および予想されたアンプリコンとインデックスとの間のハミング距離を計算するために、ShortReadとstringdistパッケージに依存するいくつかのカスタムスクリプトがRで書かれた。このアプローチは非常に保守的であり、配列決定分析の制御は非常に低レベルであった。しかしながら、kallistoとbustools SwabSeq分析ツールの継続的な開発によって、SwabSeqを実施する他の群に対して、より使いやすく、計算効率の高い解決策が提供可能となる。
【0225】
患者の精製サンプルの分類のための基準:分析パイプラインについて、各タイプの検体に対するQCメトリックが開発された。精製RNAについては、各サンプルは、RPP30について少なくとも10リードが検出され、S2およびS2の合成スパイクインリードの合計が2,000リードを超えることが必要であった。これらの条件が満たされない場合、サンプルは1回再実行され、2回目が失敗した場合には再サンプルが要求される。SARS-CoV-2が存在するかどうかを判定するために、0.003を超えるS2対S2スパイクの比を計算する。(この比を計算する前に、S2とS2スパイクの両方に1カウントを追加することで、結果を対数スケールでプロットすることが容易になる)。比が0.003よりも大きい場合、そのサンプルについてSARS-CoV-2が検出されたと結論づけられ、比が0.003以下である場合、SARS-CoV-2は検出されないと結論づけられる(図10、パネルA、B、およびC)。
【0226】
同じ対のプライマーは、SおよびSスパイクの両方のアンプリコンを増幅する。実行はエンドポイントアッセイであるため、プライマーは、増幅を継続するための限定試薬となる。このアッセイの開発において、あるサンプルについてS2カウントが増加すると、S2スパイクカウントが減少することが観察された(図8)。非常に高いウイルス負荷では、S2スパイクのリードカウントは1000リード未満にまで減少した。したがって、S2とS2スパイクを一緒に考慮することで、QCは、非常に高いウイルス力価でもSARS-CoV-2を呼び出すことができる。したがって、S2アンプリコンカウントが非常に高く、サンプルが大量のSARS-CoV-2 RNAを含有することからS2スパイクカウントが低くなるシナリオについても考慮することが重要である(図8)。
【0227】
したがって、S2とS2スパイクは同じプライマー対に由来するため、S2カウントとS2スパイクカウントの合計が2000を超えることがQCにおいて要求された。例えば、S2カウントが2000よりも大きく、S2スパイクカウントが0よりも大きいことが検出されると、これは確実にSARS-CoV-2陽性サンプルとなり、その結果、SARS-CoV-2が検出されることになる。
【0228】
インデックスのミスアサインメントの分析:固有のデュアルインデックスとアンプリコン特異的インデックスを使用して、インデックスのミスアサインメントを研究した。このスキームでは、各サンプルにSまたはスパイクのアンプリコン用の2つの固有のインデックスと、RPP30アンプリコン用の2つの固有のインデックス、合計してサンプルあたり合計4つの固有のインデックスが割り当てられた。各インデックス対のすべての可能な対の組み合わせ(1つのi7と1つのi5)を持つカウントマトリックスを使用して、一致するマトリックス行列を生成した。一致するマトリックスの対角線上のカウントは実際のサンプルに対応し、対角線から外れたカウントはインデックススワップ事象に対応する。i7とi5のインデックスのミスアサインメントの範囲は、一致するマトリックスの対角線から外れた要素の行と列の和をそれぞれ取ることによって決定された。既存のゼロ量のウイルスRNAが分かっているウェルへのインデックススワップの観察された比は、それらのウェルについてウイルスSカウント対スパイク比の平均を取ることによって計算された。
【0229】
補足結果
検出限界の改善には、ノイズ源を最小限に抑えることが必要である:高感度分子診断アッセイを実行する際の大きな課題の1つは、1つの汚染物質またはノイズ源でさえも、検査の分析感度を低下させる可能性があることである。SwabSeqの開発のプロセスにおいて、SARS-CoV-2 RNAが存在しなかった対照サンプルからのS2リードが観察された(図4、パネルD)。これらのリードは「鋳型なしの対照」(NTC)リードと呼ばれる。SwabSeq最適化の重要な部分は、アッセイの検出限界(LoD)を向上させるためにNTCリードの源を理解し、最小限に抑えることであった。NTCリードの2つの源:分子汚染とミスアサインメント配列決定リードが特定された。
【0230】
分子汚染を最小限に抑えるために、分子遺伝学診断研究所で一般的に使用されているプロトコルと手順に従った。分子汚染を制限するために、合成RNA対照とマスターミックスの希釈液を作るための専用フードを使用した。それぞれの新しい実行の開始時に、ピペットを希釈溶液で滅菌し、PCRプレートを10%漂白剤で滅菌し、その後、15分間のUV光処理を行った。
【0231】
高濃度であるPCR後の生成物がPCR前のプロセスを汚染するのを防ぐために、PCR前およびPCR後の工程は物理的に2つの別々の部屋に分けられ、そこではいかなる増幅プレートもPCR前の実験室空間内で決して開かれることはなかった。さらにPCR後の汚染を防ぐために、ウラシル-N-グリコシラーゼ(UNG)を含むRT-PCRマスターミックスと、ウラシル-N-グリコシラーゼ(UNG)を含まないRT-PCRマスターミックスが比較された。TaqPath(商標)1-Step RT-qPCR Master Mix(Thermofisher Scientific)中のUNGの存在は、Luna One Step RT-PCR Mix(New England Biosciences)と比較して、陰性患者のサンプル中に存在するS2リードのPCR後の汚染を低減する顕著な改善を示した(図14)。RT-PCRマスターミックスは、PCR後のアンプリコンがウラシル含有DNAとなるように、dTTPとdUTPの混合物を含有する。これらのPCR後は、以前に実行されたSwabSeq実験の残骸であるため、UNGによって選択的に除去することができる。
【0232】
第3の分子汚染源は、Illumina MiSeqのシーケンサー鋳型ライン上のキャリーオーバー汚染であった。漂白剤維持洗浄を行うことなく、前のシーケンシングランで実行されたインデックスは、それらのインデックスが含まれていない実験において同定された。いくつかのインデックスのリード数は多くのS2リードで存在していたが、キャリーオーバー汚染の存在はアッセイの感度と特異性に影響を与える。余分な維持および漂白洗浄の後、10リード未満まで存在するキャリーオーバーリードの量は、実質的に減少した(図15)。
【0233】
NTCリードの別の源は、アンプリコンのミスアサインメントである。アンプリコンのミスアサインメントは、配列決定(および、おそらくより低い割合でオリゴ合成)エラーにより、S2スパイクに由来するが所定のサンプル内のS2配列に誤って割り当てられるアンプリコン配列がもたらされる場合に、発生する。リード1の最初にS2をS2スパイクと区別するのはわずか6bpである。配列決定エラーは、リードの最初にエラー率が高く見えるため、S2リードとして誤って分類されるS2スパイクリードをもたらしかねない(図16、パネルA)。アンプリコンリードの計算誤差補正が寛容すぎると、これらのリードは誤ったカテゴリーに不用意にカウントされることがある。このS2リードのミスアサインメントの源を減少させるために、編集距離に関するより保守的な閾値が使用された(図16、パネルB)。将来的な再設計または追加のウイルスアンプリコンへの伸長は、配列多様性のより長い領域を操作することを考慮しなければならない。
【0234】
NTCリードの追加の源は、S2アンプリコンリードが、インデックス付け戦略に基づいて誤ったサンプルに割り当てられるときである。アッセイでは、個々のサンプルは、インデックスリードの対によって識別される(図4、パネルB)。サンプルの誤ったインデックスへのミスアサインメントは、インデックスプライマー配列の汚染、インデックス配列の合成エラー、インデックス配列の配列決定エラー、または「インデックスホッピング」によって起こり得る。
【0235】
完全なコンビナトリアルインデックス付け(i5およびi7インデックスのそれぞれの可能な組み合わせを用いてアッセイ中のサンプルにタグ付けされる)から、各サンプルが明確かつ無関係なi7およびi5のインデックス(図17)を有する固有のデュアルインデックス付け(UDI)までの、SwabSeqの開発における複数のインデックス付け戦略が利用された。しかし、多くの固有のプライマーを開発するためにかなりの初期コストがかかるため、スケールアップの能力には限界があることがある。完全なコンビナトリアルインデックス付けのアプローチは、固有のプライマーの組み合わせの数を大幅に増やす。完全なコンビナトリアルインデックス付けとインデックスのセットがサンプルの小さなサブセット間でのみ共有されるUDIとの間の折衷的な戦略も使用することができる。このような設計は、サンプルのミスアサインメントの影響を軽減し、何万もの患者のサンプルへのスケールアップを容易にする(図17)。完全なコンビナトリアルインデックス付け(図17)では、NTCリード深さは、同じi7配列を共有するすべてのサンプルにわたって合計されたS2リードの総数と相関した(図18、パネルA)。これは、S2ウイルスリードが多いサンプルから、同じインデックスを共有するサンプルへのインデックスホッピングの効果と一致する。陽性サンプルがインデックス間でランダム化される場合、例えば、線形混合モデルを用いてこの効果を計算的に補正することができる。
【0236】
最後に、コンビナトリアルインデックス付けおよびセミコンビナトリアルインデックス付け戦略に関連する課題は、固有のデュアルインデックス付け(UDI)を用いることによって軽減することができ、これは、インデックスホップリードの数を2桁減少させる戦略である。陰性対照サンプルのUDIでは一貫して低いS2ウイルスリードが観察された。アッセイで生じるはずのないインデックスの組み合わせのリードをカウントすることにより、インデックスのミスアサインメントを定量化することもできる(図21、パネルAおよびB)。インデックスホッピング事象の数は、S2+S2スパイクリードの総数と相関しており(図21、パネルCおよびD)、このことは、ホッピングされたリードは、予想されるインデックスが強いウイルスシグナルを有するウェルから来る可能性がより高いことを示している。1~2%のホッピングの全体的な割合はMiSeqで定量化され、パターン化されたフローセル装置ではより高くなることが知られている。
【0237】
アンプリコンベースの配列決定では、RT-PCRおよび配列決定工程における環境汚染から、計算上の補正に基づくリードのミスアサインメントおよびIlluminaのフローセル上の「インデックスホッピング」まで、多くのノイズ源が存在する。これらのエラー源を防止および補正することで、SwabSeqアッセイの検出限界は劇的に改善される。
【0238】
実施例5-SARS-CoV-2検査に対するプライマー濃度の効果
プライマー濃度の低下の効果を、S2およびN1アンプリコンについて検査した。唾液(1:1に希釈)または鼻腔スワブのいずれかを用いて、20uLの反応物においてプライマー濃度を400nMから100nMに低下させた。RPP30アンプリコンのプライマー濃度は50nMで同じであった。プライマー濃度を低くすることで、定量的な能力を保持することができる。さらに、プライマー濃度を低くすることで、配列決定リードを占有するプライマー二量体や非特異的な増幅産物を少なくすることができる。図22に示すゲルでは、このプライマー二量体のバンドは、鋳型のない対照(NTC)レーンでは~120bpであった。各ゲルに同量のDNAをロードした。400nMのプライマーを用いて行ったRT-PCRを示すゲルでは、NTCレーンで120bpのこのプライマー二量体バンドは、100nMのプライマーを用いて行ったRT-PCRを示すゲルよりもはるかに明るいことが分かる。増幅反応において200nMのプライマー濃度を使用することで、プライマー二量体と非特異的な産物の顕著な改善と減少も見られた。
【0239】
実施例6-多様化した合成配列
本明細書に記載される方法は、サンプルと共抽出、転写、および増幅される内部対照配列として機能する合成核酸配列の存在によって改善される。
【0240】
S2合成核酸配列
4つの合成RNA S2オリゴは、PhiXを必要とすることなく配列決定中にロバストな塩基呼び出しを確実に行うのに十分な塩基多様性を可能にする配列決定中のヌクレオチド塩基多様性を増加させるために設計された。合成RNAオリゴを等モル式にまとめてプールし、反応あたり250コピーのRNAの総濃度でRT-PCRマスターミックスにスパイクさせた。いくつかの組み合わせがあったが、セット#1が最も機能したことがわかった。これらの配列は、各位置の4つの塩基のそれぞれを均等に表すように特定の塩基対の変更を有する、野生型S2配列に由来した(25%A、25%T、25%G、25%Cを標的とする)。ヌクレオチドの均等な分布を実現するには配列のランダム化を必要とし、26bpのリード領域で元の鋳型とは似ていない最終的な多様化したS2スパイク配列が得られた。配列は、二次構造を減らすために最適化され、すべて同様の融解温度を持っている。隣接配列はS2アンプリコンと相同性を有している。このスパイクを用いたLoDは、図23に示す配列と同様に良好であった。この分析に使用したプライマーは、フォワードGCTGGTGCTGCAGCTTATTATGTGGGT(配列番号18)、および、リバースAGGGTCAAGTGCACAGTCTA(配列番号19)であった。
【0241】
N1合成核酸配列
これは、N1特異的プライマーを用いて増幅することができる多様化した合成配列を使用した場合にも明らかであった。これらのN1配列は、2019-nCoV_N1-F;GACCCCAAAATCAGCGAAAT(配列番号20)、および、2019-nCoV_N1-R;TCTGGTTACTGCCAGTTGAATCTG(配列番号21)で増幅された。
【0242】
予備的な検出限界実験は、陰性唾液にスパイクされ、連続的に希釈した人工的なサンプル(ATCC熱不活性化SARS-CoV-2標準を使用)を用いて行われた。これは、3つのプライマー条件:N1とS2の両方、N1のみ、およびS2のみを用いて行われた。RPP30は最終反応濃度50nMで、S2は100nMで、およびN1は100nMで存在した。S2のみによる我々のアッセイの感度は、8000GCE/mLであると決定された。この実験からのN1の予備的なLoDは6000GCE/mLであり、N1+S2の予備的LoDは4000GCE/mLであり、図25に示すように、N1を加えることによってSwabSEQアッセイの感度が改善されることを示している。
【0243】
多様化した合成配列を含めることにより、配列決定プロセス中のPhiXへの依存を低減しながら、SwabSEQ検査の感度と精度を改善することができた。以下の表3における例示的な合成配列を参照されたい。
【0244】
【表4】
【0245】
実施例7-SwabSeqは、複数の異なるSARS-CoV-2アンプリコンを検出することができる。
SwabSeqは、2つのSARS-CoV-2遺伝子:N1およびS2、ならびに合成N1およびS2対照を検出することができ、陽性サンプルを呼び出す能力を増大させる。各アンプリコンのデータを図24に示す。
N1 F:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT XXXXXXXXXX ACCCCAAAATCAGCGAAAT(配列番号22)、
N1 R:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC XXXXXXXXXX TCTGGTTACTGCCAGTTGAATCTG(配列番号23)、
Xは、各プライマーの固有のデュアルインデックス(UDI)を表す。
【0246】
実施例8-異なるサンプルでのSwabSeqのパフォーマンス
最小限のサンプルまたは小さなサンプルから作業する能力は、特に侵襲性の低い唾液サンプルが使用できる場合、検査にとって重要である。図26は、最大10uLの唾液サンプルが、RTまたはPCRを阻害することなくライブラリー調製中に使用することができることを示し、図27は、最大6uLの鼻腔スワブサンプル(1mLの1XPBSに接種した鼻腔スワブ)が、RTまたはPCRを阻害することなくライブラリー調製中に使用することができることを示している。
【0247】
実施例9-SwabSeqは、インフルエンザウイルスおよびSARS-CoV-2ウイルスの両方を検出するために使用することができる。
複数のウイルスを同時に検出することができる配列決定および検出システムおよびプラットフォームは有利である。SARS-CoV-2とインフルエンザAおよびインフルエンザBのコード検出のための実験を行った。
【0248】
具体的には、FluA MP、FluA NS、およびFluB NSのゲノム配列の標的アンプリコンを同定するSwabSeqの能力を、NCBI Influenza Databaseからダウンロードした。その後、予備的なプライマーをこれらの配列に位置合わせして、これらのゲノムの各々の標的増幅領域を抽出した。この情報を使用してプライマーをさらに最適化し、できるだけ多くのアンプリコンを標的とした。次に、すべての固有の増幅領域をエクスポートして、標的リストに追加した。図28に示す結果は、SwabSeqが、人工的なサンプルにおいてインフルエンザAまたはBを検出することができることを示している。
【0249】
他の呼吸器系病原体についてSwabseqを実施するために、ユニバーサルなインフルエンザAおよびインフルエンザBのSwabseqプライマーを設計した。インフルエンザAについては、インフルエンザAを標的とする2つのプライマー対、M1(FluA_5_f1 GACCAATCYTGTCACCTCTGAC(配列番号24)、FluA_5_f2 GACCAATYCTGTCACCTYTGAC(配列番号25)、FluA_5_r AGGGCATTTTGGAYAAAGCGTCTA(配列番号26))0、および、NS1(FluA_12_f TTGGGGTCCTCATCGGAG(配列番号27)、FluA_12_r TTCTCCAAGCGAATCTCTGTA(配列番号28))遺伝子を試験した。インフルエンザBについては、NS1(FluB_11_f AAGATGGCCATCGGATCC(配列番号29)FluB_11_r GTCTCCCTCTTCTGGTGATAATC(配列番号30))遺伝子に特異的なプライマー対。合成核酸スパイクの配列を以下に示す。
FluA_5_spike_004
GACCGATCCTGTCACCTCTGACTAAGGGTGGCACAACGCAGTGTGTTGAGCTCCCTTAGTAGGGTGACTAGCACCGGCAGCGTAGACGCTTTGTCCAAAATGCCCT(配列番号31)
FluA_12_spike_002
TTGGGGTCCTCATCGGAGGACGCTTAAATAATAGTAGGAACGTTCGAGTCTCTAAAAATATACAGAGATTCGCTTGGAGAA(配列番号32)
FluB_11_spike_004
AAGATGGCCATCGGATCCTCAACTCACTCCTGTAATGAGTCGTAGACAAGGATAAGAGGCCCGATCGGCAGTATTTCGCCCTTTCTAAAAATAATGTGACCTGGGACGCACTGCACCGATTATCACCAGAAGAGGGAGAC(配列番号33)
【0250】
実施例10-S2プライマーの包括性および交差反応性
SARS-CoV-2の高い変異率を考慮すると、配列決定試験で利用されるプライマーは、多くの異なる変異体を増幅することができることが重要である。SwabSeq検査の包含性を評価するために、S2プライマーセットとS2アンプリコン配列のインシリコ分析を行った。プライマー分析では、GISAIDで利用可能なSARS-CoV-2配列を評価した。まず、1%以上の未同定ヌクレオチド(N’s)を有すると定義した低品質ゲノムをフィルターで除外した。残りの324,355の高品質ゲノムでBLASTn(NCBI)解析を行うことで、ダウンロードしたSARS-CoV-2配列に対して2つのSARS-CoV-2プライマー配列をそれぞれ照会することで、これらの配列間のプライマーの相同性のレベルを定量化した。解析は、全解析株の91.24%が両方のプライマー配列に対して100%の相同性を持ち、324,355の全ゲノム中28,398株(すなわち、8.76%)がプライマーに対して100%未満の相同性を有することを示した。フォワードS2プライマーでは、303,840株(93.67%)のGISAIDゲノムが100%の相同性を有する。リバースS2プライマーでは、305,019(94.04%)のGISAIDゲノムは100%の相同性を有する。S2アンプリコンは26塩基対であり、303,934(93.70%)のGISAIDゲノムは、100%の相同性を有する。
【0251】
代表的な一般的な呼吸器系病原体とSwabSeqプライマーの交差反応性を評価するために、インシリコ分析を行った。プライマー分析のために、38個の非SARS-CoV-2コンセンサスゲノムを、陰性サンプルコホートとしてNCBIからダウンロードした。BLASTn(NCBI)分析を行い、コホート内のゲノムのそれぞれと80%を超える相同性でプライマー対の数を定量化した。病原体のいずれも、プライマーのいずれかと80%を超える相同性を示さない。
【0252】
実施例11-配列決定データの分析
SwabSeqの抽出、増幅、および配列決定の工程と組み合わせることができる、病原体への感染の決定を行う分析プラットフォームの一例が本明細書に提示される。
【0253】
まず、すべての標的とされるアンプリコンおよびバーコードインデックスに対する全ての一塩基置換、欠失、および挿入が生成される。これらは次に、元の配列、標的の名前、および一致のタイプ(正確なマッチ、ミスマッチ、欠失、挿入)を含むネストされたデータ構造内のキーとして使用される。このデータ構造のキーはインデックス付けられているため、配列決定データに対して厳密な文字列マッチングを行い、あらかじめ決められたマッチングの許容範囲(1塩基置換、欠失、挿入)内で迅速に標的情報を検索することができる。重複する配列はすべて削除され、残りの固有の配列のマッチタイプは、「未確定」に再分類される。
【0254】
次に、配列決定データは、FASTQファイルから抽出され、対応する辞書(インデックス1、インデックス2、またはアンプリコン)とマッチングされる。マッチングの前に、機器およびキット情報は読み込まれて、どの配列がマッチングの前に逆相補的にされる必要があるかが決定される。
【0255】
マッチング機能は、元の標的配列(インデックスに使用)または標的の名前(アンプリコンに使用)のいずれかを返す。これは、多様化したスパイクおよびインフルエンザ標的を含む多くの標的が、一緒に集約することを必要とするいくつかの配列を有するため、重要な工程である。マッチタイプなどの他のデータも同様に返すことができる。
【0256】
マッチした配列は、次に、そのインデックスおよびアンプリコン標的によって集約され、インデックス対あたりの総リードの表が返される。この情報は、COVID-19およびインフルエンザ(Influenza)A/Bの有無と同様に、品質管理のために下流で使用される(キャリーオーバー汚染、インデックスホッピング、増幅の失敗などを決定するために使用することができる)。
【0257】
この情報は、品質管理プロットと、QC合格/不合格、COVID-19陽性/陰性、インフルエンザ(Influenza)A/B陽性/陰性などの各サンプルに関する情報を有する表とを含む自動生成PDFとして返される。
【0258】
アンプリコンとバーコードの辞書ベースの完全な一致は、すべての一塩基の欠失、挿入、およびミスマッチを考慮しながら、既存のバイオインフォマティクス解析ライブラリーに依存することなく高速な解析を可能にする。
【0259】
S2プライマー、S2合成核酸、およびRPP30プライマーを使用する場合の陽性サンプルを呼び出すアルゴリズムの一例を以下の表4と図29に示し、RPP30アンプリコンのリードの絶対数、S2+S2スパイクの絶対数、および0.1を超えるS2/S2スパイクの比を必要とする。
【0260】
【表5】
【0261】
実施例12-検出限界
検出限界(LoD)試験は、希釈系列を用いて陰性唾液検体中の熱不活性化SARS-CoV-2ウイルス(ATCC、VR-1986)にスパイクすることにより実施された。1濃度あたり11回の抽出反復が実施された。予備的なLoDは、11回の反復中11回で検査が陽性となる最低濃度として定義された。LoDの判定は、UDGを有するLuna(登録商標)Probe One-Step RT-qPCR 4X MixとTaqPath(商標)1-Step RT-qPCR Master Mixについて、独立して実施された。両方のRT-qPCRマスターミックスについて、予備的なLoDは8,000GCE/mlと決定された。結果を表5に示す。
【0262】
【表6】
【0263】
UDGを有するLuna(登録商標)Probe One-Step RT-qPCR 4X MixとTaqPath(商標)1-Step RT-qPCR Master Mixの両方について、検出限界の確認試験は、決定した検出限界の1.5倍と1倍に相当する12,000GCE/mLと8,000GCE/mLの最終濃度で、陰性唾液検体中の熱不活性化SARS-CoV-2ウイルス(ATCC、VR-1986)においてスパイクすることで実施された。各濃度について10回の抽出反復を行った。UDGを有するLuna(登録商標)Probe One-Step RT-qPCR 4X MixとTaqPath(商標)1-Step RT-qPCR Master Mixについて、これらの2つの濃度でLoD確認を個別に実施した。両方のRT-qPCRマスターミックスにおける最小限のLoDは、UDGを有するLuna(登録商標) Probe One-Step RT-qPCR 4X MixとTaqPath(商標)1-Step RT-qPCR Master Mixの両方について8000GCE/mLであることが確認された。
【0264】
実施例13-臨床評価
実験室開発試験(LDT)を用いて以前に分析され、陽性または陰性と確認された唾液臨床サンプルを比較して、SwabSeqの性能を評価する試験を実施した。
【0265】
唾液サンプルを採取し、MiniSeq Illuminaシーケンサーを使用して実行した。UDGを有するLuna Probe One-Step RT-qPCR 4x Mixを使用した結果を表6にまとめる。UDGを有するLuna Probe One-Step RT-qPCR 4x Mixを使用すると、陽性一致率(25/25)は100%、陰性一致率(93/93)は100%であった。Taqpath 1-Step RT-qPCR Master Mixを使用した結果を表7にまとめる。陽性一致率(25/25)は100%、陰性一致率(93/93)は100%であった。
【0266】
【表7】
【0267】
【表8】
【0268】
SwabSeqの信頼性を評価するために、同じ臨床サンプルを用いて2日目に中間精度試験を実施した。2日目に使用した試験の実施者および試験で使用した機器(Viaflo-96、マニュアルピペットセット、MiniSeqシーケンサー、サーマルサイクラー)は、1日目とはすべて異なるものとした。次に、唾液臨床サンプルを、実験室開発試験(LDT)を用いて以前に分析し、陽性または陰性であることを確認したものと比較した。
【0269】
SwabSeqを用いた結果は、表8および表9にまとめられている。UDGを有するLuna Probe One-Step RT-qPCR 4x Mixを使用して分析した臨床サンプルは、表8にまとめられている。陽性一致率(25/25)は100%で、陰性一致率(93/93)は100%で、2つの中間精度実行間の一致率は100%であった。Taqpath 1-Step RT-qPCR マスターミックスを使用して分析した臨床サンプルは、表9にまとめられている。陽性一致率(25/25)は100%で、陰性一致率(93/93)は100%で、2つの中間精度実行間の一致率は100%であった。
【0270】
【表9】
【0271】
【表10】
【0272】
以前に分析され、陽性または陰性と確認された唾液臨床サンプルを比較するSwabSeqを用いて行った2つの中間精度実行は、100%の一致を示す。
【0273】
実施例14-精度
実行内および実行間の精度を評価するために、MiniSeqシーケンサー上で3回の実行にわたって、1mLあたりの2つの人工的なウイルス濃度:12,000コピー/mLおよび24,000コピー/mLで複製を実行した。これは、UDGを有するLuna(登録商標)Probe One-Step RT-qPCR 4X Mix(表10)およびTaqPath(商標)1-Step RT-qPCR Master Mix(表11)の両方を使用するように反復された。これらの濃度は、我々のアッセイの検出限界の1.5倍および3倍を表す。Taqpathマスターミックスを用いた我々の3回目の精度実行の一致率は100%ではないことが観察された(表11参照)。陰性対照唾液にスパイクされたウイルスRNA SARS-CoV-2標準からなる人工的なサンプルが、迅速に処理されないと劣化することがあり得ることがしばしば観察された。LunaとTaqpathの両方で4回目の精度実行では、人工的なサンプルを室温でそれほど長い時間放置していなかったため、4回目の実行で100%の一致が確認された。
【0274】
【表11】
【0275】
【表12】
【0276】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないことが当業者に明らかであろう。当業者であれば、多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく思いつくだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明の実施に際して利用され得ることを理解されたい。
【0277】
本明細書で言及されているすべての刊行物、特許出願、発行特許、およびその他の文書は、個々の刊行物、特許出願、発行特許、またはその他の文書がその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれるテキストに含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する範囲において除外される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図27
図28
図29
【配列表】
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【国際調査報告】