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特表2023-520591SARS-COV-2感染症の治療のための25-ヒドロキシビタミンD
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】SARS-COV-2感染症の治療のための25-ヒドロキシビタミンD
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/593 20060101AFI20230510BHJP
   A61K 31/592 20060101ALI20230510BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230510BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230510BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230510BHJP
   C07K 14/165 20060101ALN20230510BHJP
【FI】
A61K31/593
A61K31/592
A61P31/14
A61P37/04
A61K9/48
C07K14/165 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560917
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 IB2021000220
(87)【国際公開番号】W WO2021205225
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/012,781
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/006,034
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/009,155
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/006,563
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/032,714
(32)【優先日】2020-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353274
【氏名又は名称】エアジェン ファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ チャールズ ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ストラグネル スティーヴン エイ
(72)【発明者】
【氏名】アシュファク アクタル
(72)【発明者】
【氏名】エルシディグ リーム エラメイン
(72)【発明者】
【氏名】ナルティ コルム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA54
4C076AA56
4C076AA72
4C076AA94
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB31
4C076CC35
4C076FF04
4C076FF31
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA32
4C086MA52
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZB05
4C086ZB09
4C086ZB33
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
本明細書では、25-ヒドロキシビタミンD化合物を対象に投与することを含む、COVID-19の治療を必要とする対象におけるCOVID-19を治療する方法が提供される。また、本明細書では、25-ヒドロキシビタミンのハードカプセル剤形も提供される。態様では、25-ヒドロキシビタミンDは、制御放出製剤、任意選択でRayaldee(登録商標)徐放性カルシフェジオールカプセルなどの徐放性経口製剤として投与される。SARS-CoV-2ウイルス負荷の低減を含むSARS-CoV-2感染症を治療する方法が提供される。免疫応答を増加させることを含む、SARS-CoV-2感染症を治療する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SARS-CoV-2感染症を治療する方法であって、SARS-CoV-2感染症の治療を必要とする対象に、有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物の持続放出製剤を投与して、少なくとも50ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成し、SARS-CoV-2感染症を治療することを含む、方法。
【請求項2】
ウイルス負荷の減少を必要とし、SARS-CoV-2に感染した対象のウイルス負荷を減少させる方法であって、前記対象に、有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物の持続放出製剤を投与して、少なくとも50ng/mLの総血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成し、前記対象のSARS-CoV-2ウイルス負荷を減少させる、方法。
【請求項3】
SARS-CoV-2感染症を有すると確認された対象における軽度から中等度のSARS-CoV-2感染症を治療する方法であって、前記対象に、25-ヒドロキシビタミンD化合物を投与して、少なくとも50ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成する、方法。
【請求項4】
患者が、胸部/呼吸器及び身体/全身ドメインの各々について少なくとも1.5のFLU-PRO(著作権)スコアを有し、より重度の疾患を示す臨床徴候がない、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記より重度の疾患を示す臨床徴候が、室内空気に対する94%未満の酸素飽和度、及び30bpm超の呼吸数のうちの1つ又は両方から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
SARS-CoV-2に感染した対象における免疫応答を増加させる方法であって、前記対象に25-ヒドロキシビタミンD化合物の持続放出製剤を投与して、少なくとも50ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成することを含む、方法。
【請求項7】
前記免疫応答が、適応免疫応答である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫応答が、体液性免疫応答である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記体液性免疫応答が、SARS-CoV-2タンパク質に結合する中和抗体の産生を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記量が、前記対象における抗菌ペプチド(AMP)の免疫細胞介在性合成を増加させるのに有効である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記AMPが、LL37である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫細胞が、単球、マクロファージ、及び樹状細胞の群における1つ以上の細胞型である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記量が、前記対象における50ng/mL~100ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成するのに有効である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記量が、前記対象における少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成するのに有効である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが、少なくとも7日間、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超の上昇したレベルで維持される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが、少なくとも14日間、又は少なくとも21日間、又は少なくとも28日間、又は少なくとも35日間、又は少なくとも42日間、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超の上昇したレベルで維持される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象に前記持続放出25-ヒドロキシビタミンD製剤の負荷用量を投与し、続いて1回以上の維持用量の前記25-ヒドロキシビタミンD化合物を投与することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記負荷用量が、約500μg超である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記負荷用量が、約1000μg未満である、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記負荷用量が、少なくとも又は約900μgの前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記負荷用量が、2日以上にわたって分割される、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記負荷用量が、3日にわたって分割される、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記負荷用量が、治療の最初の3日間、1日当たり300μgである、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記負荷用量が、少なくとも22μgの生物学的に利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンD、任意選択で、22μg~250μgの範囲での生物学的に利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンDである、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記1回以上の維持用量が、約50μg超の前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記1回以上の維持用量が、100μg未満又は約100μgの前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記1回以上の維持用量が、約60μgの前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項17~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象に前記25-ヒドロキシビタミンD化合物の900μgの負荷用量を投与し、続いて少なくとも1週間、又は少なくとも13日間、又は少なくとも14日間、又は19日間、又は少なくとも20日間、又は少なくとも26日間、又は1日~20日の範囲、又は1日~19日の範囲、又は1日~30日の範囲で毎日の維持用量を投与することを含む、請求項17~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
各毎日の維持用量が、60μgの前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記維持用量が、少なくとも6μgの生物学的に利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンD、任意選択で、約6μg~25μgの範囲での生物学的に利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンDである、請求項17又は24に記載の方法。
【請求項31】
前記25-ヒドロキシビタミンDが、絶食状態で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記患者のビタミンD代謝物比(VMR、血清24,25-ジヒドロキシビタミンD3対血清25-ヒドロキシビタミンD3の比の100倍として計算される)が、任意選択の第1の負荷用量期間において4~12の範囲にあり、維持投薬期間中3~11の範囲にある、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記患者のVMRが、維持投薬期間中、5未満、又は4.8未満である、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記患者のVMRが、少なくとも28日間、任意選択で維持投薬期間中、実質的に一定のままであるか、又は減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記患者が、徐放によって25-ヒドロキシビタミンDを投与され、前記患者の28日間にわたるVMRの変化率が、即時放出によって投与された生物学的当量の前記25-ヒドロキシビタミンDで生じるであろう前記VMRの変化率よりも小さい、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも13日間、又は少なくとも2週間、又は少なくとも19日間、又は少なくとも20日間、又は少なくとも21日間、又は少なくとも24日間、毎日の維持用量を投与することを含む、請求項17~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、調節放出製剤、任意選択で、徐放性製剤、及び更に任意選択で遅延放出製剤で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、局所投与される、請求項1~17又は36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、経皮パッチによって投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、静脈内投与される、請求項1~2又は36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、25-ヒドロキシビタミンD2若しくは25-ヒドロキシビタミンD3、又は25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3の組み合わせを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、25-ヒドロキシビタミンD3である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、以下の症状、発熱、疲労、咳、及び/又は呼吸困難のうちの1つ以上を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記対象が、肺炎又は肺炎様症状を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記対象が、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
25-ヒドロキシビタミンDの前記投与が、プラセボと比較して、末梢血単核細胞における急性、亜急性、及び遅発性炎症応答関連のメチローム及びトランスクリプトームを加速する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象の末梢血単核細胞(PBMC)数が、プラセボと比較して増加する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象の末梢血好中球数が、プラセボと比較して増加する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象のSARS-CoV-2力価レベル又はバイアル負荷(vial load)が、プラセボと比較して減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記対象のSARS-CoV-2力価レベル又はウイルス負荷が、プラセボと比較して治療の7日目に減少する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記対象のSARS-CoV-2力価レベル又はウイルス負荷が、プラセボと比較して14日目の治療又は治療の20日目、又は治療の28日目、又は治療の35日目、又は治療の42日目に減少する、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、プラセボと比較して、例えば、治療の7日目まで、又は治療の14日目まで、又は治療の21日目まで、又は治療の27日目までに、1つ以上のCOVID-19関連症状(例えば、1つ以上のFLU-PRO(著作権)症状スコア、又は発熱、咳、息切れ、労作時の息切れ、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、下痢、呼吸困難(dyspnea)、胃腸症状、倦怠感、筋肉痛(muscle pain)、筋肉痛(myalgia)、頭痛、喉の痛み、衰弱/疲労、味覚喪失、及び嗅覚喪失)の重症度によって測定される場合、減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、プラセボと比較して、鼻、喉、目、胸部/呼吸器、胃腸及び身体/全身から選択され、任意選択で、胸部/呼吸器、及び身体/全身からの1つ又は両方から選択される1つ以上の平均FLU-PRO(著作権)症状ドメインスコアの重症度によって測定される場合、減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、プラセボと比較して、平均総FLU-PRO(著作権)スコアによって測定される場合、減少する、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、(a)症状の発症から通常の健康状態に戻るまでの時間、及び/又は(b)症状の発症から通常の活動に戻るまでの時間によって測定される場合、減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、最低連続した3日間、平均総FLU-PRO(著作権)症状スコアが0.5に、又はそれ未満低減することとして定義される症状の解消までの時間によって測定される場合、減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルが、プラセボと比較して増加する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルが、プラセボと比較して、治療の7日目に増加する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルが、プラセボと比較して、14日目の治療、又は治療の20日目、又は治療の28日目に増加する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記対象の血清LL37レベルが、プラセボと比較して増加する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象のエオタキシンレベルが、プラセボと比較して減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記対象の単球走化性タンパク質レベルが、プラセボと比較して減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記対象のIL-12レベルが、プラセボと比較して減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記対象のIL-6レベルが、プラセボと比較して減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記対象のIL-6レベルが、100pg/mL未満、又は80pg/mL未満、又は30pg/mL未満に維持される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象のIL-8レベルが、62pg/mL未満、又は31pg/mL未満に維持される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記対象のTNFαレベルが、11pg/mL未満、又は8.1pg/mL未満に維持される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記患者が、慢性腎臓病を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記患者が、ステージ3又は4の慢性腎臓病を有する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記患者が、ステージ5の慢性腎臓病を有する、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記患者が、透析療法を受けている、請求項69又は71に記載の方法。
【請求項73】
前記患者が、血液透析療法を受けている、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記患者のベースライン血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが、約20ng/mL~約25ng/mLの範囲にある、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
任意選択で先行請求項のいずれか一項に記載の、SARS-CoV-2感染症を治療するための薬剤の製造における25-ヒドロキシビタミンD3の持続放出製剤の、使用。
【請求項76】
用量が、絶食状態で投与される複数の30μgソフトカプセルを含み、前記用量が血清総25ヒドロキシビタミンDレベルを少なくとも50ng/mLまで上昇させる、請求項75に記載の使用。
【請求項77】
SARS-CoV-2感染症を治療する方法であって、SARS-CoV-2感染症の治療を必要とする対象に、有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物の即時放出製剤を投与して、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成し、SARS-CoV-2感染症を治療することを含む、方法。
【請求項78】
ウイルス負荷の減少を必要とし、SARS-CoV-2に感染した対象のウイルス負荷を減少させる方法であって、前記対象に、有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物の即時放出製剤を投与して、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成し、前記対象のSARS-CoV-2ウイルス負荷を減少させる、方法。
【請求項79】
SARS-CoV-2に感染した対象における、又は対象における軽度から中等度のCOVID-19の免疫応答を増加させる方法であって、前記対象に25-ヒドロキシビタミンD化合物の即時放出製剤を投与して、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成することを含む、方法。
【請求項80】
前記免疫応答が、適応免疫応答である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記免疫応答が、体液性免疫応答である、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記体液性免疫応答が、SARS-CoV-2タンパク質に結合する中和抗体の産生を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記量が、前記対象における抗菌ペプチド(AMP)の免疫細胞介在性合成を増加させるのに有効である、請求項77~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記AMPが、LL37である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記免疫細胞が、単球、マクロファージ、及び樹状細胞の群における1つ以上の細胞型である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記量が、前記対象における50ng/mL~100ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成するのに有効である、請求項77~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記量が、前記対象における少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成するのに有効である、請求項77~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが、少なくとも7日間、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超の上昇したレベルで維持される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが、少なくとも14日間、又は少なくとも21日間、又は少なくとも28日間、又は少なくとも35日間、又は少なくとも42日間、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超の上昇したレベルで維持される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記対象に持続放出25-ヒドロキシビタミンD製剤の負荷用量を投与し、続いて1回以上の維持用量の前記25-ヒドロキシビタミンD化合物を投与することを含む、請求項77~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記負荷用量が、約160μg超である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記負荷用量が、約350μg未満である、請求項90又は91に記載の方法。
【請求項93】
前記負荷用量が、少なくとも又は約300μgの前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項90~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記負荷用量が、2日以上にわたって繰り返される、請求項90~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記負荷用量が、3日にわたって繰り返される、請求項90~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記負荷用量が、治療の最初の3日間、1日当たり300μgである、請求項90~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記負荷用量が、少なくとも22μgの生物学的に利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンD、任意選択で、22μg~250μgの範囲での生物学的に利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンDである、請求項90に記載の方法。
【請求項98】
前記1回以上の維持用量が、約30μg超の前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項90~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記1回以上の維持用量が、100μg未満又は約100μgの前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項90~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記1回以上の維持用量が、約60μgの前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項90~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記対象に、3日間前記25-ヒドロキシビタミンD化合物の300μgの負荷用量を投与し、続いて少なくとも1週間、又は少なくとも13日間、又は少なくとも14日間、又は19日間、又は少なくとも20日間、又は少なくとも26日間、又は1日~20日の範囲、又は1日~19日の範囲、又は1日~30日の範囲で毎日の維持用量を投与することを含む、請求項90~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
各毎日の維持用量が、60μgの前記25-ヒドロキシビタミンD化合物である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記維持用量が、少なくとも6μgの生物学的に利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンD、任意選択で、約6μg~25μgの範囲での生物学的に利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンDである、請求項90又は102に記載の方法。
【請求項104】
前記25-ヒドロキシビタミンDが、絶食状態で投与される、請求項77~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記患者のビタミンD代謝物比(VMR、血清24,25-ジヒドロキシビタミンD3対血清25-ヒドロキシビタミンD3の比の100倍として計算される)が、任意選択の第1の負荷用量期間において4~12の範囲にあり、維持投薬期間中3~11の範囲にある、請求項77~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記患者のVMRが、維持投薬期間中、5未満、又は4.8未満である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記患者のVMRが、少なくとも28日間、任意選択で維持投薬期間中、実質的に一定のままであるか、又は減少する、請求項77~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記患者が、徐放によって25-ヒドロキシビタミンDを投与され、前記患者の28日間にわたるVMRの変化率が、即時放出によって投与された生物学的当量の前記25-ヒドロキシビタミンDで生じるであろう前記VMRの変化率よりも小さい、請求項77~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
少なくとも13日間、又は少なくとも2週間、又は少なくとも19日間、又は少なくとも20日間、又は少なくとも21日間、又は少なくとも24日間、毎日の維持用量を投与することを含む、請求項77~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、調節放出製剤、任意選択で、徐放性製剤、及び更に任意選択で遅延放出製剤で投与される、請求項77~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、経口投与される、請求項77~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、局所投与される、請求項77~90又は110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、経皮パッチによって投与される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、静脈内投与される、請求項77~90又は110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、25-ヒドロキシビタミンD2若しくは25-ヒドロキシビタミンD3、又は25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3の組み合わせを含む、請求項77~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記25-ヒドロキシビタミンD化合物が、25-ヒドロキシビタミンD3である、請求項77~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記対象が、以下の症状、発熱、疲労、咳、及び/又は呼吸困難のうちの1つ以上を示す、請求項77~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記対象が、肺炎又は肺炎様症状を示す、請求項77~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記対象が、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)を有する、請求項77~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
25-ヒドロキシビタミンDの前記投与が、プラセボと比較して、末梢血単核細胞における急性、亜急性、及び遅発性炎症応答関連のメチローム及びトランスクリプトームを加速する、請求項77~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記対象の末梢血単核細胞(PBMC)数が、プラセボと比較して増加する、請求項77~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記対象の末梢血好中球数が、プラセボと比較して増加する、請求項77~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記対象のSARS-CoV-2力価レベル又はバイアル負荷が、プラセボと比較して減少する、請求項77~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記対象のSARS-CoV-2力価レベル又はウイルス負荷が、プラセボと比較して治療の7日目に減少する、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記対象のSARS-CoV-2力価レベル又はウイルス負荷が、プラセボと比較して治療の14日目、又は治療の20日目、又は治療の28日目に減少する、請求項123又は124に記載の方法。
【請求項126】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、プラセボと比較して、14日間又は20日間又は21日間、又は27日間、又は28日間、又は35日間、又は42日間、1日2回、4段階スケール(0、なし;3、重度)を使用する1つ以上のCOVID-19関連症状(例えば、1つ以上のFLU-PRO(著作権)症状スコア、発熱、咳、息切れ、労作時の息切れ、呼吸困難、悪寒、胃腸症状、倦怠感、筋肉痛(muscle pain)、筋肉痛(myalgia)、頭痛、喉の痛み、味覚喪失、及び嗅覚喪失)の記録された重症度によって証明される場合、減少する、請求項77~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、プラセボと比較して、鼻、喉、目、胸部/呼吸器、胃腸及び身体/全身から選択され、任意選択で、胸部/呼吸器、及び身体/全身からの1つ又は両方から選択される1つ以上の平均FLU-PRO(著作権)症状ドメインスコアの重症度によって測定される場合、減少する、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、プラセボと比較して、平均総FLU-PRO(著作権)スコアによって測定される場合、減少する、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、(a)症状の発症から通常の健康状態に戻るまでの時間、及び/又は(b)症状の発症から通常の活動に戻るまでの時間によって測定される場合、減少する、請求項77~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記対象のCOVID-19疾患の期間が、最低連続した3日間、平均総FLU-PRO(著作権)症状スコアが0.5に又はそれ未満低減することとして定義される症状の解消までの時間によって測定される場合、減少する、請求項77~129のいずれか一項に記載の方法)。
【請求項131】
前記対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルが、プラセボと比較して増加する、請求項77~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルが、プラセボと比較して、治療の7日目に増加する、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルが、プラセボと比較して、14日目、又は治療の20日目、又は治療の28日目に増加する、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記対象の血清LL37レベルが、プラセボと比較して増加する、請求項77~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記対象のエオタキシンレベルが、プラセボと比較して減少する、請求項77~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記対象の単球走化性タンパク質レベルが、プラセボと比較して減少する、請求項77~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記対象のIL-12レベルが、プラセボと比較して減少する、請求項77~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記対象のIL-6レベルが、プラセボと比較して減少する、請求項77~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記対象のIL-6レベルが、100pg/mL未満、又は80pg/mL未満、又は30pg/mL未満に維持される、請求項77~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記対象のIL-8レベルが、62pg/mL未満、又は31pg/mL未満に維持される、請求項77~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記対象のTNFαレベルが、11pg/mL未満、又は8.1pg/mL未満に維持される、請求項77~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記対象の臨床疾患重症度スコアが、プラセボと比較して減少する、請求項77~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記増加が、1日目のレベルと比較した42日目、0日目の治療前レベルと比較した28日目、又は1日目のレベルと比較した28日目、又は14日目のレベルと比較した28日目、又は7日目のレベルと比較した28日目を、又は0日目の治療前レベルと比較した21日目、又は治療の1日目のレベルと比較した21日目、又は治療の7日目のレベルと比較した21日目、又は治療の14日目のレベルと比較した21日目、又は0日目の治療前レベルとの比較した治療の20日目のレベル、又は治療の1日目のレベルとの比較した治療の20日目のレベル、又は治療の7日目のレベルとの比較した治療の20日目のレベル、又は治療前の0日目のレベルとの比較した治療の14日目、又は治療の1日目のレベルとの比較した治療の14日目、又は治療の7日目のレベルとの比較した治療の14日目のレベルにある、請求項121、122、及び131~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記増加が、1日目のレベルと比較した治療の28日目にある、請求項121、122、及び131~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記増加が、治療の7日目のレベルと比較した治療の28日目にある、請求項121、122、及び131~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記減少が、1日目のレベルと比較した42日目、0日目の治療前レベルと比較した28日目、又は1日目のレベルと比較した28日目、又は14日目のレベルと比較した28日目、又は7日目のレベルと比較した28日目を、又は0日目の治療前レベルと比較した21日目、又は0日目の治療前レベルと比較した21日目、又は治療の1日目のレベルと比較した21日目、又は治療の7日目のレベルと比較した21日目、又は治療の14日目のレベルと比較した21日目、又は0日目の治療前レベルとの比較した治療の20日目のレベル、又は治療の1日目のレベルとの比較した治療の20日目のレベル、又は治療の7日目のレベルとの比較した治療の20日目のレベル、又は治療前の0日目のレベルとの比較した治療の14日目、又は治療の1日目のレベルとの比較した治療の14日目、又は治療の7日目のレベルとの比較した治療の14日目のレベルにある、請求項123~130及び135~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記減少が、1日目のレベルと比較した治療の28日目にある、請求項123~130及び135~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
前記減少が、治療の7日目のレベルと比較した治療の28日目にある、請求項123~130及び135~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記患者が、慢性腎臓病を有する、請求項77~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記患者が、ステージ3又は4の慢性腎臓病を有する、請求項149に記載の方法
【請求項151】
前記患者が、ステージ5の慢性腎臓病を有する、請求項149に記載の方法。
【請求項152】
前記患者が、透析療法を受けている、請求項149又は151に記載の方法。
【請求項153】
前記患者が、血液透析療法を受けている、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記患者のベースライン血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが、約20ng/mL~約25ng/mLの範囲にある、請求項77~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
対象の血清総25-ヒドロキシビタミンDを少なくとも50ng/mL、又は50ng/mL超、又は少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超まで上昇させ、かつSARS-CoV-2感染症を治療するための即時放出医薬の製造における25-ヒドロキシビタミンD3の製剤の、使用。
【請求項156】
対象におけるSARS-CoV-2感染症を予防する方法であって、血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを約50~100ngに上昇させるのに十分な薬学的有効量の25-ヒドロキシビタミンDを有する医薬組成物の予防量を投与することを含み、前記組成物は、同等の強度を有するボーラス剤形に対して、約25~50%の25-ヒドロキシビタミンD生物学的利用能を有する、方法。
【請求項157】
25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む固体又は半固体組成物を含有するハードシェルカプセルを含む、ハードカプセル剤形。
【請求項158】
25-ヒドロキシビタミンD及びワックスベースの制御放出剤を含むソフトカプセル制御放出剤形であって、前記剤形のインビトロ及びインビボ放出プロファイルが参照剤形RAYALDEEよりも速く、任意選択で1~10%速い、ソフトカプセル制御放出剤形。
【請求項159】
患者におけるSARS-CoV-2感染症に関連する状態を治療する方法であって、経口剤形の25-ヒドロキシビタミンD3の薬学的有効量の維持用量を前記患者に投与することを含み、前記患者のビタミンD代謝物比(VMR、血清24,25-ジヒドロキシビタミンD3対血清25-ヒドロキシビタミンD3の比の100倍として計算される)は、維持投薬期間を通して実質的に一定のままであるか、又は減少する、方法。
【請求項160】
SARS-CoV-2感染症を有するか、又は有する疑いがある患者を治療するための投薬レジメンであって、制御放出賦形剤及び薬学的有効量の25-ヒドロキシビタミンD3を含む徐放性剤形を前記患者に投与することを含み、前記剤形は、30~70μg/日の量の維持投薬期間において投与され、任意選択で、治療の1日目、2日目、又は3日目に300~900μg/日の範囲の量の負荷投薬期間が先行し、前記患者のビタミンD代謝物比(VMR、血清24,25-ジヒドロキシビタミンD3対血清25-ヒドロキシビタミンD3の比の100倍として計算される)は、維持投薬期間中、実質的に一定のままであるか、又は減少する、投薬レジメン。
【請求項161】
前記患者のVMRが、任意選択の第1の負荷用量期間において4~12の範囲にあり、前記維持投薬期間において3~11の範囲にある、請求項160に記載の投薬レジメン。
【請求項162】
患者の28日間にわたるVMRの変化率が、即時放出によって投与された生物学的当量の前記25-ヒドロキシビタミンDで生じるであろう前記VMRの変化率よりも小さい、請求項160又は161に記載の投薬レジメン。
【請求項163】
前記用量が、絶食状態で前記対象に投与される、請求項160~162のいずれか一項に記載の投薬レジメン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2020年4月6日に出願された米国仮特許出願第63/006,034号、2020年4月7日に出願された同第63/006,563号、2020年4月13日に出願された同第63/009,155号、2020年4月20日に出願された同第63/012,781号、及び2020年5月31日に出願された同第63/032,714号の米国特許法第119条(e)に基づく利益は、本明細書により請求され、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本明細書と同時に提出され、以下の55530ESeq.txtという名前で、156,198バイトのサイズで、2021年4月4日に作成されたASCII(テキスト)ファイルとして同定されるコンピュータで読み取り可能なヌクレオチド/アミノ酸配列表は、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本開示は、概して、SARS-CoV-2感染症の治療に関する。より具体的には、本開示は、徐放性カルシフェジオール(ERC)を含むカルシフェジオールでのSARS-CoV-2感染症の治療に関し、標的血清総25-ヒドロキシビタミンD濃度閾値によって特徴付けられる。
【0004】
関連技術の簡単な説明
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、エンベロープウイルスのコロナウイルス科に属する新規のウイルスである。SARS-CoV-2は、コウモリコロナウイルスと遺伝的類似性を有するプラスセンス一本鎖RNAウイルスであり、2020年1月に中国の武漢の患者から最初に分離された(Hui et al.,International J Infectious Diseases 91:264-266(2020)。2020年3月末の時点で、90万人を超える人々が、SARS-CoV-2に感染し、45,000人を超える人々が、SARS-CoV-2感染によって引き起こされる疾患であるコロナウイルス疾患2019(COVID-19)で死亡した。2020年5月末までに、世界中で約600万人の人々が感染症と診断され、35万人を超える人々が死亡している。
【0005】
現在、COVID-19の治療のための又はSARS-CoV-2感染症のための治療薬として、政府の規制機関によって承認されたものはない。抗マラリア薬である、クロロキン及びヒドロキシクロロキンは、抗生物質(例えば、アジスロマイシン)の有無にかかわらず、SARS-CoV-2患者の治療に評価されているが(Liu et al.,Cell Discov 6:16(2020)、Yao et al.,Clin Infect Dis PMID 32150618、及びGautret et al.,Int J Antimicro Agents PMID 32205204,105949(2020))、治療有効性は、大規模な適切に管理された臨床試験環境ではまだ実証されていない。例えば、Yazdany and Kim,Annals of Internal Medicine DOI:10.7326/M20-1334(2020)を参照されたい。したがって、SARS-CoV-2の感染症を予防する方法、及びSARS-CoV-2に感染した対象又はCOVID-19に感染した対象を治療する方法の必要性が存在する。
【0006】
徐放性カルシフェジオール(ERC)剤形及び関連する方法は、例えば、米国特許第8,2207,149号、同第8,426,391号、同第9,861,644号、及び米国特許出願公開第2019/0083513A1号、及び国際特許出願公開第2020/044314A1号に記載されており、これら全開示は参照により本明細書に組み込まれる。関連するFDA承認産物は、Rayaldee(登録商標)カルシフェジオール徐放性カプセルとして販売されている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、SARS-CoV-2感染症又はCOVID-19疾患を治療又は予防するための方法であって、SARS-CoV-2感染症又はCOVID-19疾患の治療又は予防を必要とする対象に、有効量の25-ヒドロキシビタミンD、任意選択で、その持続放出製剤を投与して、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成することを含む、方法を提供する。
【0008】
本開示の別の態様は、ウイルス負荷の減少を必要とし、SARS-CoV-2に感染した対象のウイルス負荷を減少させる方法であって、ウイルス負荷の減少を必要とする対象に、有効量の25-ヒドロキシビタミンD、任意選択で、その持続放出製剤を投与して、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成することを含む、方法を提供する。
【0009】
本開示の別の態様は、本明細書に更に記載されるように、SARS-CoV-2感染症又はCOVID-19疾患を治療する方法で使用するための、25-ヒドロキシビタミンD組成物、任意選択で、徐放性25-ヒドロキシビタミンD組成物を提供する。
【0010】
本開示の別の態様は、本明細書に更に記載されるように、SARS-CoV-2感染症又はCOVID-19疾患を治療するための薬剤、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンDの持続放出製剤の製造における25-ヒドロキシビタミンDの、使用を提供する。
【0011】
本開示の別の態様は、25-ヒドロキシビタミンD及びワックスベースの制御放出剤を含むソフトカプセル制御放出剤形であって、剤形のインビトロ及びインビボ放出プロファイルが参照剤形RAYALDEEよりも速く、任意選択で1~10%速い、ソフトカプセル制御放出剤形を提供する。
【0012】
本開示の別の態様は、患者におけるSARS-CoV-2感染症に関連する状態を治療する方法であって、経口剤形の25-ヒドロキシビタミンD3の薬学的有効量の維持用量を患者に投与することを含み、患者のビタミンD代謝物比(VMR、血清24,25-ジヒドロキシビタミンD3対血清25-ヒドロキシビタミンD3の比の100倍として計算される)は、維持投薬期間を通して実質的に一定のままであるか、又は減少する、方法を提供する。
【0013】
本開示の別の態様は、SARS-CoV-2感染症を有するか、又は有する疑いがある患者を治療するための投薬レジメンであって、制御放出賦形剤及び薬学的有効量の25-ヒドロキシビタミンD3を含む徐放性剤形を患者に投与することを含み、剤形は、30~70μg/日の量の維持投薬期間において投与され、任意選択で、治療の1日目、2日目、又は3日目に300~900μg/日の範囲の量の負荷投薬期間が先行し、患者のビタミンD代謝物比(VMR、血清24,25-ジヒドロキシビタミンD3対血清25-ヒドロキシビタミンD3の比の100倍として計算される)は、維持投薬期間中、実質的に一定のままであるか、又は減少する、投薬レジメンを提供する。
【0014】
本開示の別の態様は、25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む固体又は半固体組成物を含有するハードシェルカプセルを含む、ハードカプセル剤形を提供する。
【0015】
本明細書中に記載される組成物及び方法について、成分、その組成範囲、置換基、条件及びステップを含むがこれらに限定されない任意選択の特徴は、本明細書中に提供される様々な態様、実施形態及び実施例から選択されることが企図される。
【0016】
更なる態様及び利点は、以下の詳細な説明を図面と併せて検討することにより、当業者には明らかになるであろう。方法、使用、及び組成物は、様々な形態の実施形態が可能であるが、以下の説明は、本開示が例示的であり、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図するものではないという理解とともに、特定の実施形態を含む。
【0017】
本発明の理解を更に容易にするために、10個の図が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ベースラインの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを25ng/mLと仮定し、1日目に532mcg、3、7、14、21、及び28日目に266mcgを投薬することにより、成人への即時放出25-ヒドロキシビタミンD3(生物学的利用能 約75%)の投薬の関数として予測される血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを示す。
図2】絶食時に投薬する対象(図2)、食物とともにそれらの用量を投薬する対象(図3)、並びに摂食及び絶食投薬の平均でそれらの用量を投与する対象(図4)における、実施例4に記載の投薬方法による対象のモデル化された血清25-ヒドロキシビタミンD3レベルを示す。
図3】絶食時に投薬する対象(図2)、食物とともにそれらの用量を投薬する対象(図3)、並びに摂食及び絶食投薬の平均でそれらの用量を投与する対象(図4)における、実施例4に記載の投薬方法による対象のモデル化された血清25-ヒドロキシビタミンD3レベルを示す。
図4】絶食時に投薬する対象(図2)、食物とともにそれらの用量を投薬する対象(図3)、並びに摂食及び絶食投薬の平均でそれらの用量を投与する対象(図4)における、実施例4に記載の投薬方法による対象のモデル化された血清25-ヒドロキシビタミンD3レベルを示す。
図5】実施例4による、通常の活動に戻った対象及び正常な健康状態に戻った対象の頻度分布を示す。
図6】実施例4による、通常の活動に戻った対象及び正常な健康状態に戻った対象の頻度分布を示す。
図7】900mcgの修飾放出カルシフェジオールカプセルの経口投与後の25-ヒドロキシビタミンD3の平均血清濃度の曲線を示す。
図8】開示による剤形のインビトロ溶解プロファイルを示す。
図9】二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)、ステージ3又は4の慢性腎臓病(CKD)、及びビタミンD不足を有する成人患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)型製剤)、IRカルシフェジオール、高用量コレカルシフェロール、及びパリカルシトール及び低用量コレカルシフェロールの反復投薬での時間の関数としての血清総25-D濃度を示す。
図10】二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)、ステージ3又は4の慢性腎臓病(CKD)、及びビタミンD不足を有する成人患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)型製剤)、IRカルシフェジオール、高用量コレカルシフェロール、及びパリカルシトール及び低用量コレカルシフェロールの反復投薬での時間の関数としてのVMRを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
抗原提示細胞(単球/マクロファージ及び樹状細胞)における先天性免疫応答は、パターン認識受容体(例えば、Toll様受容体[TLR])と相互作用する感染ウイルスの病原体関連分子パターン(PAMP)によって開始及び永続化される。TLR活性化は、細胞内ビタミンD受容体(VDR)及びCYP27B1(25-ヒドロキシビタミンD[25D]-1α-ヒドロキシラーゼ)の発現の上方調節をもたらし、後者の事象は、活性型ビタミンD代謝産物である1,25-ジヒドロキシビタミンDの局所生成を上方調節する。次いで、1,25-ジヒドロキシビタミンDは、VDRに細胞内分泌の様式で関与し得、次いで、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)及びインターロイキン1β(IL-1β)遺伝子発現を制御する。IL-1βは適応免疫応答の中心的な開始因子である。マクロファージに十分な量の25-ヒドロキシビタミンDが供給されると、細胞は、ビタミンD受容体(VDR)に結合する1,25-ジヒドロキシビタミンDを局所的に産生する。マクロファージのような免疫細胞におけるVDRの活性化は、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)遺伝子のプロモーターにおけるビタミンD応答要素の存在により、この遺伝子の上方調節をもたらす。CAMPの発現により、CAP-18と呼ばれる前駆体ペプチドの産生の増加がもたらされ、その切断により、LL37及びFALL39と称される2つの抗菌ペプチド(AMP)の産生がもたらされる。
【0020】
1,25-ジヒドロキシビタミンDの酵素的産生は、基質25-ヒドロキシビタミンDの血清供給に依存する。25-ヒドロキシビタミンDは、ヒトにおけるビタミンDの主要な循環代謝産物である。LL37の発現及び分泌は、他の多くの内因性抗菌活性とともに、誘導及びプライミングを必要とする。感染部位でのLL37の配置を含む、迅速で堅牢な抗菌応答のためにヒトマクロファージをプライミングし得る重要な調節シグナルは、ビタミンD、特に25-ヒドロキシビタミンDである(Gombart AF,Saito T,Koeffler HP.Exaptation of an ancient Alu short interspersed element provides a highly conserved vitamin D-mediated innate immune response in humans and primates.BMC Genomics.2009;10:321)。
【0021】
十分な血清総25-ヒドロキシビタミンDを有さないマクロファージは、LL37を放出できなくなり、次いで宿主を保護できなくなる。ヒト血清中の総25-ヒドロキシビタミンDが不足のレベルであると、i)1,25Dの適切な細胞内生成、ii)VDRの適切な活性化、iii)カテリシジン遺伝子の適切なトランス活性化、及びiv)宿主への微生物の侵入と闘うためのLL37の適切な産生及び放出が妨げられる。最終的な結果は、先天性及びその後の適応免疫不全である。
【0022】
いかなる特定の理論によっても拘束されることを意図するものではないが、血清総25-ヒドロキシビタミンDを十分に高いレベルまで上昇させることにより、ヒト宿主における免疫易感染性状態を解消し、感染症及び関連する合併症の進行の悪化を回避し得ると考えられている。別の観点から、血清総25-ヒドロキシビタミンDを十分に高いレベルまで上昇させることにより、ヒト宿主における免疫易感染性状態又はより深刻な免疫易感染性状態を予防し、感染又は感染症及び関連する合併症の進行の悪化を回避し得ると考えられている。ビタミンD栄養補助食品でこれを達成することは信頼できず、非極性ビタミンの分布量が増加するため、肥満では困難である。最新の報告された米国のデータによると、多くのSARS-CoV-2対象は、正常の肥満度指数(BMI)よりも高いと予想される。対照的に、25-ヒドロキシビタミンD及び/又はERCを上昇させることは、より迅速で信頼性が高く、投与される用量によるが、わずか4、8、又は9~12時間しかかからない可能性がある。25-ヒドロキシビタミンDでの治療は、安全であることが示されている。ERCでの治療は、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルの米国FDA承認による証拠として、ステージ3又は4の慢性腎臓病(CKD)を有する患者への投与について安全であることが示されている。Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルは、血清総25-ヒドロキシビタミンDを30ng/mL未満から30~100ng/mLの範囲に上昇させることによりステージ3又は4のCKDを有する成人患者における二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)を治療するために、2016年にUS Food and Drug Administration(FDA)によって承認された。25-ヒドロキシビタミンDが慢性腎臓病(CKD)を有する患者において、おそらく腎外CYP27B1による活性化を介して、ビタミンD応答エンドポイントを産生するためには、50ng/mL以上の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが必要であることが最近示された(Strugnell SA,Sprague SM,Ashfaq A et al.Rationale for Raising Current Clinical Practice Guideline Target for Serum 25-Hydroxyvitamin D in Chronic Kidney Disease.Am J Nephrol.2019;49:284-293)。いかなる特定の理論によっても拘束されることを意図するものではないが、ウイルス刺激マクロファージにおいて発現されたCYP27B1によってインビボで25-ヒドロキシビタミンDが活性化されるためには、25-ヒドロキシビタミンDの腎外活性化を誘導する同様のレベルが必要であると思われる。更に、少なくとも50ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベル(1,25-ジヒドロキシビタミンDの経時的な関連する上昇を伴う)の安全で効果的な達成が、ERCで示されている。いかなる特定の理論によっても拘束されることを意図するものではないが、修飾放出(徐放及び/又は遅延放出)による25-ヒドロキシビタミンDの送達は、25-ヒドロキシビタミンD及び1,25-ジヒドロキシビタミンD化合物を異化するCYP24酵素を上方調節することなく、1,25-ジヒドロキシビタミンDの腎外産生に関与し、したがってより効果的な治療を提供すると考えられる。
【0023】
したがって、本明細書での開示の1つの態様は、成人、例えば、7日以内に症状を示す成人におけるSARS-CoV-2による合併症のない急性疾患の治療方法である。小児対象(任意選択で12歳~17歳の対象)、例えば、7日以内の症状を示す対象における、SARS-CoV-2による合併症のない急性疾患の治療方法もまた提供される。任意選択で、感染した対象は、5日以内、又は3日以内に症状を示す可能性がある。他の態様では、感染した対象は、症状が示される前であり得る。更に他の態様では、感染した対象は、10日以内、又は14日以内で症状を示す可能性がある。
【0024】
本方法の別の態様は、カルシフェジオール、任意選択で、ERCでSARS-CoV-2感染症を治療することであり、患者における血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを少なくとも50ng/mL、任意選択で、少なくとも60ng/mL、任意選択で、60ng/mL超に達成することを含む。任意選択で、血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルは、治療期間の全て又は実質的に全て、例えば、少なくとも13日間、若しくは少なくとも14日間、若しくは19日間、若しくは20日間、若しくは21日間、若しくは27日間、若しくは28日間、又は2~30日間、若しくは2~28日間、若しくは2~27日間、若しくは2~21日間、若しくは2~20日間、若しくは2~19日間、若しくは7~30日間の範囲で、7~14日間、7~20日間、若しくは13~30日間、若しくは14~30日間の範囲で、維持される。
【0025】
別の態様には、SARS-CoV-2又はCOVID-19ワクチン(該当する場合は1回目及び/又は2回目の用量)を受け、かつ疾患を予防するための感染性であるワクチン接種前に症候性COVID-19疾患をもたらした対象の治療が含まれる。
【0026】
別の態様には、SARS-CoV-2又はCOVID-19ワクチン(該当する場合は1回目及び/又は2回目の接種)を受け、かつSARS-CoV-2バリアント、例えば、配列番号1を有するゲノムヌクレオチド配列全体にわたって少なくとも80%の配列同一性を有するバリアントに基づく症候性COVID-19疾患をもたらした対象の治療が含まれる。
【0027】
特定の理論に拘束されないが、SARS-CoV-2に感染した対象における本明細書に記載の血清総25-ヒドロキシビタミンDの上昇は、AMP、例えば、LL37の産生をもたらし、AMPはかかる対象の治療的処置を提供する。
【0028】
したがって、本開示は、SARS-CoV-2感染症を治療する方法を提供する。実施形態では、本方法は、投与を必要とする対象に、SARS-CoV-2感染症を治療するために有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物を投与することを含む。本開示はまた、SARS-CoV-2感染症を治療するための25-ヒドロキシビタミンDの関連した使用、及びSARS-CoV-2感染症を治療するための医薬品の製造における2-ヒドロキシビタミンDの使用も提供する。
【0029】
本開示はまた、ウイルス負荷の低減を必要とし、SARS-CoV-2に感染している対象のウイルス負荷を低減させる方法を提供する。例示的な実施形態では、本方法は、対象のSARS-CoV-2ウイルス負荷を低減させるために有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物を対象に投与することを含む。
【0030】
SARS-CoV-2に感染した対象における免疫応答を増大させる方法が、本開示によって更に提供される。実施形態では、本方法は、対象に十分な量の25-ヒドロキシビタミンD化合物を投与することを含む。
【0031】
態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、例えば、サイトカインストームとしても知られるサイトカイン放出症候群の過炎症反応を治療及び/又は回避することを含む。蓄積されたデータは、COVID-19に対する過活性な免疫応答が心血管系に特有のリスクをもたらし、疾患の重症度において役割を担っていることを示唆している。疾患が進行するにつれて、炎症性サイトカインのレベルが同時に上昇し、T細胞集団の消耗及び枯渇を引き起こす可能性がある。一方、ビタミンDは、免疫調節剤であり、全身性エリテマトーデス及び多発性硬化症を含む自己免疫疾患の病態生理に関与している。ビタミンD不足は、多発性硬化症の危険因子であり、疾患の重症度と相関している。したがって、25-ヒドロキシビタミンDでの適切な治療は、COVID-19と闘うために抗菌タンパク質LL37を上方調節することに加えて、過活性な免疫系を緩和し、免疫細胞の枯渇を改善するのに役立つ可能性があると考えられている。25-ヒドロキシビタミンDでの適切な治療は、過活性で適応性のTリンパ球及びBリンパ球の免疫系を緩和するのに役立つ可能性がある。研究により、入院しているCOVID-19患者の血液中の炎症を誘導するサイトカインのレベルが上昇していることが示されている。Huangらは、血漿IL-1β、IL-1RA、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、塩基性FGF、GCSF、GMCSF、IFNγ、IP10、MCP1、MIP1A、MIP1B、PDGF、TNFα、及びVEGFの濃度は、ICU患者及び非ICU患者の両方において健常の成人より高かったと記載した。Huang et al.“Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan,China”Lancet.2020 15-21 February;395(10223):497-506。Zhangらは、SARS-Cov-2感染患者においてはIL-6レベルが上昇していると記載した。Zhang et al.“The cytokine release syndrome(CRS)of severe COVID-19 and Interleukin-6 receptor(IL-6R)antagonist Tocilizumab may be the key to reduce the mortality”Int J Antimicrob Agents.2020 Mar 29:105954。実施形態では、本方法は、例えば、未治療の患者と比較して、対象に十分な量の25-ヒドロキシビタミンD化合物を投与して、1つ以上の炎症促進性サイトカインを正常化するか、又は1つ以上の炎症促進性サイトカインの上昇を回避することを含む。Heroldらは、IL-6の上昇は人工呼吸器の必要性と強く関連しており、疾患中の各患者の最大IL-6レベル(カットオフ80pg/mL)が呼吸不全を予測していたことを報告した。IL-6レベルが80pg/mLの患者の呼吸不全のリスクは、IL-6レベルが低い患者と比較して22倍高かった。Herold et al.“Level of IL-6 predicts respiratory failure in hospitalized symptomatic COVID-19 patients”medRxiv preprint April 10,2020(doi:https://doi.org/10.1101/2020.04.01.20047381)。Gongらは、重篤な患者では、IL-6が100pg/mL超、IL-8が62pg/mL超、IL-10が20pg/mL超、及びTNFαが11pg/mL超である患者の割合が高いことを含む、疾患の重症度のIL-6、IL-8、IL-10、及びTNFαレベル間の相関関係を報告した。Gong et al.“Correlation Analysis Between Disease Severity and Inflammation-related Parameters in Patients with COVID-19 Pneumonia”medRxiv preprint February 27,2020(doi:https://doi.org/10.1101/2020.02.25.20025643)。更に、Gongらは、重度の患者では、IL-6が30pg/mL超、IL-8が31pg/mL超、IL-10が9.1pg/mL超、及びTNFαが8.1pg/mL超のレベルである患者の割合が高いことを報告した。したがって、本明細書の方法の態様は、炎症促進性サイトカインの過剰な産生を回避するために25-ヒドロキシビタミンD療法を施すことを含む。本明細書の方法の一態様は、IL-6レベルを100pg/mL、又は80pg/mL、又は30pg/mL未満に維持するために25-ヒドロキシビタミンD療法を施すことを含む。本明細書の方法の別の態様は、IL-8レベルを62pg/mL又は31pg/mL未満に維持するために25-ヒドロキシビタミンD療法を施すことを含む。本明細書の方法の別の態様は、IL-10レベルを20pg/mL又は9.1pg/mL未満に維持するために25-ヒドロキシビタミンD療法を施すことを含む。本明細書の方法の別の態様は、TNFαレベルを11pg/mL又は8.1pg/mL未満に維持するために25-ヒドロキシビタミンD療法を施すことを含む。
【0032】
態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、SARS-CoV-2感染症に関連する小児の炎症性症候群を治療及び/又は回避することを含み、これは、SARS-COV-2に一時的に関連する小児多系統炎症性症候群(PIMS-TS)及び小児における多系統炎症性症候群(MIS-C)と称されている。PMIS-TSを有する小児では、ウイルスが免疫系を過剰反応を引き起こし、全身に広範囲の炎症を引き起こすことが疑われている。World Health Organizationの科学的概要は、多臓器不全及びショックにつながる過炎症性症候群を伴う急性疾患のプレゼンテーションである。“Multisystem inflammatory syndrome in children and adolescents temporally related to COVID-19”,WHO Scientific Brief,May 15,2020(https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/multisystem-inflammatory-syndrome-in-children-and-adolescents-with-covid-19で入手可能)。この症候群は、以下によって定義される。(a)3日超の発熱を伴う0~19歳の小児及び青年、並びに(b)次のうちの2つ:(1)発疹又は両側性非化膿性結膜炎又は粘膜皮膚炎症の徴候(口、手又は足)、(2)低血圧又はショック、(3)心筋機能障害、心膜炎の特徴、弁炎、又は冠状動脈異常(ECHO所見又はトロポニン/NT-proBNPの上昇を含む)、(4)凝固障害の証拠(PT、PTT、上昇したd-ダイマーによる)、(5)急性胃腸の問題(下痢、嘔吐、又は腹痛))、並びに(c)ESR、C反応性タンパク質、又はプロカルシトニンなどの炎症のマーカーの上昇、並びに(d)細菌性敗血症、ブドウ球菌性又は連鎖球菌性ショック症候群を含む、炎症の他の明らかな微生物の原因がない、並びに(e)SARS-CoV-2感染症の証拠(RT-PCR、抗原検査又は血清学的陽性による)、又はSARS-CoV-2感染症を有する患者との接触の可能性。実施形態では、本方法は、例えば、未治療の患者と比較して、対象に十分な量の25-ヒドロキシビタミンD化合物を投与して、炎症のマーカーを正常化するか、又は関連症状を低減させるか、又は炎症の1つ又はマーカーの上昇を回避するか、又は関連症状を回避することを含む。
【0033】
態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、症状の発症から通常の健康状態に戻るまでの期間を減少させることを含む。例えば、症状の発症から通常の健康状態に戻るまでの期間は、20日未満又は13日未満であり得る。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、症状の発症から通常の活動に戻るまでの期間を減少させることを含む。例えば、症状の発症から通常の活動に戻るまでの期間は、10日未満又は7日未満であり得る。
【0034】
症状は、例えば、記録された結果を経時的に追跡することによって、InFLUenza Patient-Reported Outcome(FLU-PRO(著作権))アンケートを使用して評価され得る。Powers et al.Development of the Flu-PRO:a patient-reported outcome(PRO)instrument to evaluate symptoms of influenza.BMC Infect Dis 2016;16:1及びPowers et al.Reliability,Validity,and Responsiveness of InFLUenza Patient-Reported Outcome(FLU-PRO(著作権))Scores in Influenza-Positive Patients,Value in Health,Vol.21,Issue 2,2018,p.210-218を参照されたい。
【0035】
FLU-PRO(著作権)アンケートは、患者から報告されたインフルエンザ症状の存在及び重症度の評価基準を提供する32項目の日誌である。FLU-PROは、患者から報告された以下の6つの身体系にわたる症状の存在及び重症度の評価基準を提供する32項目の日誌である。鼻(4項目:鼻水又は滴り、詰まり又は息苦しさ、くしゃみ、副鼻腔圧)、喉(3項目:喉のいがらっぽさ又はムズムズしたかゆみ、喉の痛み(sore)又は痛み(painful)、飲み込みにくさ)、目(3項目:涙目又は潤んだ目、目の痛み(sore)又は痛み(painful)、光に過敏な目)、胸部/呼吸器(7項目:呼吸困難、胸部うっ血、胸部圧迫感、乾いた咳又は空咳、湿った又は緩い咳、咳、粘液又は痰を吐く)、胃腸(4項目:吐き気(吐きたいような気分)、腹痛、嘔吐(頻度)、下痢(頻度))、身体/全身(11項目:めまいを感じる、頭のうっ血、頭痛、食欲不振、いつもより多く眠る、体の痛み(aches)又は痛み(pain)、衰弱又は疲れ、悪寒又は震え、寒がる、熱がる、汗をかく)。対象は、スコアが高いほど、徴候又は症状の頻度が高いことを示す、5段階序数スケールで各徴候又は症状を評価するように求められる。27項目について、スケールは、0(まったくない)、1(少しある)、2(ややある)、3(かなりある)、4(非常にある)である。残りの5項目については、重症度は、発生を数字で表した頻度で評価され、嘔吐又は下痢(0回、1回、2回、3回、又は4回以上)、くしゃみ、咳、及び粘液又は痰を吐く頻度は、0(まったくない)~4(常に)のスケールールで評価される。Han et al.,Using the Influenza Patient-reported Outcome(FLU-PRO)diary to evaluate symptoms of influenza viral infection in a healthy human challenge model.BMC Infect Dis 18,353(2018)を参照されたい。
【0036】
Blair et al.,in“The Clinical Course of COVID-19 in the Outpatient Setting:A Prospective Cohort Study,”Open Forum Infect Dis.2021 Jan 5;8(2):ofab007は、未治療のCOVID-19参加者は、症状の発症から20(13-38)日の中央値(IQR)で通常の健康状態に戻り、症状の発症から17(11-28)日の中央値(IQR)で通常の活動に戻ったと報告した。Blairらはまた、様々な症状の期間及び有病率についても報告した。
【0037】
態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、平均総FLU-PRO(著作権)症状スコアを減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用して1つ以上のドメイン(鼻、喉、目、胸部/呼吸器、胃腸、及び身体/全身)における平均症状スコアを減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用して平均鼻ドメイン症状スコアを減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用して平均喉ドメイン症状スコアを減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用して平均目ドメイン症状スコアを減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用して平均胸部/呼吸器ドメイン症状スコアを減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用して平均胃腸ドメイン症状スコアを減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用して平均身体/全身ドメイン症状スコアを減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用して1つ以上の個々の症状スコアを減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、無味覚症の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、無嗅覚症の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、悪寒の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、咳の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、下痢の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、呼吸困難の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、発熱の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、頭痛の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、筋肉痛の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、喉の痛みの有病率及び/又は期間を減少させることを含む。態様では、SARS-CoV-2感染症を治療する方法は、未治療の患者と比較して、衰弱/疲労の有病率及び/又は期間を減少させることを含む。
【0038】
本明細書中に記載される組成物及び方法について、成分、その組成範囲、置換基、条件及びステップを含むがこれらに限定されない任意選択の特徴は、本明細書中に提供される様々な態様、実施形態及び実施例から選択されることが企図される。本明細書に記載の方法及び組成物は、様々な形態の実施形態が可能であるが、以下の説明は、本開示が例示であり、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図するものではないという理解とともに特定の実施形態を含む。
【0039】
SARS-CoV-2は、コウモリコロナウイルスと遺伝的類似性を有するプラスセンス一本鎖RNAウイルスであり、2020年1月に中国の武漢の患者から最初に分離された(Huiら(2020)、上記。SARS-CoV-2は、ベータコロナウイルス属の種であり、オルソコロナウイルス(Orthocornoavirinae)サブファミリーの一部であり、次いで、これはコロナウイルス科の一部である。SARS-CoV-2の種々の株の完全なゲノム配列が決定されており、National Center for Biotechnology Information(NCBI)のウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov)のGenBankデータベースでオンラインで公的に入手可能である。参照ゲノム配列とみなされる1つの完全なゲノム配列は、GenBankアクセッション番号NC_045512として入手可能である。コードされたタンパク質のアミノ酸配列も提供するこのGenBank記録は、本明細書において(配列番号1)として提供される。SARS-CoV-2ゲノム配列は、スパイク(S)タンパク質(配列番号2)、膜タンパク質(配列番号3)、エンベロープタンパク質(配列番号4)、又はヌクレオキャプシドタンパク質(配列番号5)を含むがこれらに限定されないいくつかのタンパク質をコードする。他のSARSCoV-2タンパク質には、ORF1abポリタンパク質(QIQ50091.1)(配列番号6)、ORF3aタンパク質(QIQ50093.1)(配列番号7)、エンベロープタンパク質(QIQ50094.1)(配列番号8)、膜糖タンパク質(QIQ50095.1)(配列番号9)、ORF6タンパク質(QIQ50096.1)(配列番号10)、ORF7aタンパク質(QIQ50097.1)(配列番号11))、ORF8タンパク質(QIQ50098.1)(配列番号12)、ヌクレオキャプシドタンパク質(QIQ50099.1)(配列番号13)、及びORF10タンパク質(QIQ50100.1)(配列番号14)が含まれるが、これらに限定されない。別段の明示的な記載がない限り、本明細書で使用される場合、「SARS-CoV-2」という用語は、配列番号1によって特徴付けられるウイルス、及びゲノムヌクレオチド配列全体にわたって少なくとも80%の配列同一性を有するその誘導体又はバリアントを包含する。実施形態では、誘導体は、ゲノムヌクレオチド配列全体にわたって少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、又は99.99%の配列同一性を有し得る。
【0040】
現在、宿主細胞へのSARS-CoV-2の侵入には、宿主細胞によって発現されるACE2へのウイルススパイク(S)タンパク質の結合が必要であると考えられている。宿主細胞へのSARS-Cov-2の成功裏な侵入には、セリンプロテアーゼTMPRSSによるSタンパク質のタンパク質分解処理も必要である。例えば、Hoffmann et al.,Cell 181:1-10(2020)を参照されたい。宿主細胞に侵入した後、一本鎖RNAウイルスは、宿主細胞の機序(例えば、宿主細胞のリボソーム)を利用して、宿主細胞の細胞質においてそのRNAゲノム及びそのウイルスタンパク質の複製を開始する。
【0041】
SARS-CoV-2感染症の治療
本開示は、SARS-CoV-2感染症を治療する方法を提供する。例示的な実施形態では、本方法は、投与を必要とする対象に、SARS-CoV-2感染症を治療するために有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物を投与することを含む。本明細書の目的のために、SARS-CoV-2感染症は、臨床徴候及び症状に関係なく、喉又は鼻のぬぐい検体試料の陽性のウイルス核酸検査結果に基づいて診断され得る。いくつかの態様では、SARS-CoV-2感染症は、症状及び曝露のみに基づいて臨床的に診断されるものであり得る。例示的な態様では、SARS-CoV-2感染症は、コロナウイルス肺炎と一致する肺画像化の特徴の存在に基づいて臨床的に診断されるものであり得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語、並びにそれに関連する語は、必ずしも100%又は完全な治療を意味するものではない。むしろ、当業者が潜在的な利益又は治療効果を有するものとして認識する様々な程度の治療がある。この点で、原則として、本開示のSARS-CoV-2感染を治療する方法は、未治療の患者に対して、任意の量又は任意のレベルの治療利益を提供することができる。
【0043】
更に、本方法によって提供される治療は、治療されるSARS-CoV-2感染症の1つ以上の症状又は兆候の治療を含み得る。例えば、本開示の治療方法は、発熱、疲労、咳、息切れ、呼吸困難、寒気、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、味覚の喪失、又は嗅覚の喪失を含むがこれらに限定されないSARS-CoV-2感染症の重症度を低減させるか、又は1つ以上の症状を排除し得る。一態様では、SARS-CoV-2感染症の症状には、痛み、悪寒、喉の痛み、吐き気、及び下痢のうちの1つ以上が含まれる。別の態様では、SARS-CoV-2感染症の症状には、発熱、咳、息切れ、呼吸困難、悪寒、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、及び味覚又は嗅覚の喪失のうちの1つ以上が含まれる。したがって、本開示は、SARS-CoV-2感染症を有する対象における、発熱、疲労、咳、息切れ、呼吸困難、痛み、悪寒、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、吐き気、味覚の喪失、嗅覚の喪失、及び下痢のうちの1つ以上を低減させる方法を提供する。様々な態様では、SARS-CoV-2感染症を有する対象は、呼吸困難、胸部の持続的な痛み又は圧迫感、新たな混乱又は覚醒不能、青みがかった唇などを含むがこれらに限定されない緊急警告兆候を示す。したがって、本開示は、1つ以上の緊急警告兆候を予防又は低減させる方法を提供する。様々な態様では、SARS-CoV-2感染症を有する対象は、肺炎(例えば、コロナウイルス肺炎)を発症するか、又は肺炎様症状を示す。したがって、本開示は、SARS-CoV-2に感染した対象の肺炎を予防若しくは治療するか、又は肺炎様症状を低減させる方法を提供する。
【0044】
また、本開示の方法によって提供される治療は、SARS-CoV-2感染症の進行を遅くすることを包含し得る。例えば、本開示の方法によって提供される治療は、対象におけるSARS-CoV-2ウイルス負荷を低減させ得る。したがって、本開示はまた、ウイルス負荷の低減を必要とし、SARS-CoV-2に感染している対象のウイルス負荷を低減させる方法を更に提供する。例示的な実施形態では、本方法は、対象のSARS-CoV-2ウイルス負荷を低減させるために有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物を対象に投与することを含む。また、例えば、SARS-CoV-2感染症のスペクトルは、伝えられるところによると、軽度から重篤の範囲にある。非肺炎又は軽度の肺炎の症例は、「軽度」とみなされ、「重度」の症例は、呼吸困難、30/分以上の呼吸頻度、93%以下の血中酸素飽和度、300未満の吸気酸素画分に対する動脈酸素分圧比、及び/又は24~48時間以内の50%超の肺浸潤を示し、「重篤な」症例は、呼吸不全、敗血症性ショック、多臓器機能障害又は多臓器不全を示す(Wu and McGoogan,JAMA doi:10.1001/jama.2020.2648)。したがって、本開示の方法は、軽度のSARS-CoV-2感染症から重度のSARS-CoV-2感染症への進行を遅くするか、遅延するか、若しくは予防するか、又は重度のSARS-CoV-2感染症から重篤なSARS-CoV-2感染症への進行を緩慢、遅延、若しくは予防し得る。また、本開示は、軽度のSARS-CoV-2感染症、重度のSARS-CoV-2感染症、又は重篤のSARS-CoV-2感染症を治療する方法を提供する。
【0045】
「治療する」という用語はまた、疾患の予防的処置を包含する。例えば、対象は、SARS-CoV-2に感染している可能性があるが、対象はまだ、SARS-CoV-2感染症によって引き起こされる軽度から重大な呼吸器疾患であるCOVID-19を発症していおらず、対象は、すぐに生命を脅かす可能性がある発熱、深い乾いた咳、息切れを示す。したがって、本開示の方法によって提供される治療は、COVID-19の発症又は再発(reoccurrence)/再発(relapse)を遅延し得る。態様では、本方法は、COVID-19の発症を、1日、2日、4日、6日、8日、10日、15日、30日、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年、2年、4年、又はそれ以上遅延させる。予防的処置は、COVID-19のリスクを低減させることを包含する。態様では、本方法は、疾患のリスクを、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、又はそれ以上、低減させる。したがって、本開示は、SARS-CoV-2に感染した対象におけるCOVID-19の発症を遅延させる方法を提供する。
【0046】
改善の程度(例えば、症状又は転帰の発生率及び/又は重症度の低減)は、例えば、本明細書の実施例に記載されているように、例えば、治療及び未治療の集団群の比較に基づいて、患者が治療されていなかった場合の予測評価基準と比較であり得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「低減させる」という用語及びそれから派生する語は、100%又は完全な低減ではない場合がある。むしろ、当業者が潜在的な利益又は治療効果を有するとして認識する様々な程度の低減が存在する。本開示の方法は、原則として、未治療の患者と比較して、任意の量又はレベルに、症状を低減し、ウイルス負荷を低減し、COVID-19のリスクを減らし得る。実施形態では、本方法によって提供される低減は、少なくとも又は約10%の低減(例えば、少なくとも又は約20%の低減、少なくとも又は約30%の低減、少なくとも又は約40%の低減、少なくとも又は約50%の低減、少なくとも又は約60%の低減、少なくとも又は約70%の低減、少なくとも又は約80%の低減、少なくとも又は約90%の低減、少なくとも又は約95%の低減、少なくとも又は約98%の低減)である。
【0048】
本開示は更に、SARS-CoV-2に感染した対象における免疫応答を増大させる方法を提供する。例示的な実施形態では、本方法は、対象に25-ヒドロキシビタミンD化合物を投与することを含む。様々な場合では、免疫応答は、適応免疫系を過剰に活性化することなく、適応免疫応答である。様々な態様では、25-ヒドロキシビタミンD化合物の投与は、SARS-CoV-2に対する液性免疫及び/又は細胞媒介免疫を増加させる。例えば、対象に投与された25-ヒドロキシビタミンD化合物は、SARS-CoV-2タンパク質に結合し、宿主細胞への侵入を防ぐ中和抗体の産生をもたらし得る。また、例えば、対象に投与された25-ヒドロキシビタミンD化合物は、食細胞、抗原特異的細胞障害性Tリンパ球の活性化、及びウイルスに応答した様々なサイトカインの放出をもたらし得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「増加する」という用語及びそれから派生する語は、100%又は完全な増加ではない場合がある。むしろ、様々な程度の増加があり、当業者は、潜在的な利点又は治療効果を有すると認識している。本開示の方法は、原則として、未治療の患者と比較して、任意の量又はレベルに免疫応答を増加させ得る。実施形態では、本方法によって提供される増加は、少なくとも又は約10%の増加(例えば、少なくとも又は約20%の増加、少なくとも又は約30%の増加、少なくとも又は約40%の増加、少なくとも又は約50%の増加、少なくとも又は約60%の増加、少なくとも又は約70%の増加、少なくとも又は約80%の増加、少なくとも又は約90%の増加、少なくとも又は約95%の増加、少なくとも又は約98%の増加)である。
【0050】
態様では、免疫応答は、先天性免疫応答である。態様では、先天性免疫応答は、感染部位への免疫細胞の動員、補体カスケードの活性化、又は白血球(例えば、マスト細胞、マクロファージ、好中球、及び樹状細胞を含む食細胞、好塩基球、好酸球、ナチュラルキラー細胞などを)を介した器官組織、血液及びリンパ液に存在する抗原の除去を含む。様々な態様では、その量は、対象における抗菌ペプチド(AMP)の免疫細胞介在性合成を増加させるのに有効である。いくつかの場合では、AMPは、LL37、若しくはFALL-39、又はその両方である。AMPの合成を媒介する免疫細胞は、単球、マクロファージ、及び樹状細胞の群における1つ以上の細胞型であり得る。
【0051】
実施形態では、本開示の方法は、未治療の対象と比較して、治療を受けた対象の入院を低減させる(例えば、入院の発生率及び/又は期間)。実施形態では、本開示の方法は、未治療の対象と比較して、治療を受けた対象の緊急治療室への訪問を低減させる(例えば、緊急治療室の訪問の発生率及び/又は期間)。実施形態では、本開示の方法は、未治療の対象と比較して、治療を受けた対象の機械的換気の必要性を低減させる。実施形態では、本開示の方法は、未治療の対象と比較して、治療を受けた対象の死亡率を低減させる。実施形態では、本開示の方法は、未治療の対象と比較して、治療を受けた対象の重大な有害事象の発生率を低減させ、SAEは、1)死亡、2)入院、3)生命を脅かす事象(事象の時点で死のリスクにさらされている参加者として定義)、4)永続的又は重大な障害/無能力をもたらす事象、及び5)適切な医学的判断に基づいて、事象が対象を危険にさらす可能性があり、上に列挙した転帰のうちの1つを予防するために医学的又は外科的介入が必要である可能性がある、重大とみなされ得る上記の結果の1つをもたらさない場合がある他の重要な医学的事象として定義される。実施形態では、治療は、プラセボと比較して、14日間、又は20日間、又は21日間、又は35日間、又は42日間、1日2回の4段階の数値評価スケール(NRS;0、なし;3、重度)を使用する、6つの症状、それらの個別又は平均の記録された重症度(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛、及び発熱)又は、代替的な8つの症状、それらの個別又は平均(発熱、咳、喉の痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛(myalgia)(筋肉痛(muscle pain))、胃腸症状及び労作時の息切れ)によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度及び/又は期間を低減させる(Treanor et al.,JAMA vol.283,no.8,February 23,2000)。実施形態では、治療は、プラセボと比較して、14日間、又は20日間、又は21日間、又は27日間、又は28日間、又は35日間、又は42日間、1日2回の4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用する1つ以上の症状(発熱、咳、息切れ(任意選択で労作時の息切れ)、呼吸困難、悪寒、倦怠感、筋肉痛、頭痛、胃腸症状、喉の痛み、及び味覚又は嗅覚の喪失)の記録された重症度によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度及び/又は期間を低減させる(Treanor et al.,JAMA vol.283,no.8,February 23,2000)。例えば、本開示の方法は、SARS-COV-2感染症を有する個体中で、治験薬の開始から症状の緩和時までの時間として定義される疾患の解消までの時間を(プラセボと比較して)低減させる。症状の軽減は、6つの症状全てのスコアが1以下(軽度又はなし)であり、24時間そのままである、最初の24時間の開始時に生じるとみなすことができる。加えて、又は代替として、疾患の重症度に対する治療の効果は、総症状スコアの曲線下面積分析によって評価され得、本明細書の開示による方法は、プラセボと比較して効果を改善する。更に、本明細書に記載の投薬期間中の毎日、治療中の対象は、11段階NRS(正常な活動を実施することができない、0;正常な活動を完全に実施することができる、10)を使用して、通常の活動を実施する能力を日誌カードに記録することができ、正常活動への回復は、治療開始から、対象が正常レベルの活動に戻る最初の24時間までの時間(時間単位)として定義され、本明細書の開示による方法は、プラセボと比較して期間を低減させる。更に、治療中の対象は、正常な、SARS-CoV-2発生前の健康状態を含む全体的な健康状態の意見を11段階スケール(0、最悪の健康状態及び10、可能な限り最高の健康状態)で視覚的アナログスケールで完成させることができる。これに続いて、患者は、ベースライン時と24時間にわたる健康状態の評価を1日1回夕方に記録でき、正常な健康状態への回復は、治療開始から対象が正常な健康レベルに戻る最初の24時間までの時間(時間単位)として定義され、本明細書の開示による方法は、プラセボと比較して期間を低減させる。これらのスケールの使用は、1997年にオーストラリアでインフルエンザの季節に英語を話すボランティアの間で実施されたパイロット研究で検証されている(Treanorら、2000)。患者は、デジタル体温計で1日2回口腔体温を測定し、日誌カードに記録することもでき、本明細書の開示による方法は、プラセボと比較して、正常な体温に戻るまでの期間を低減させる。本明細書で使用される場合、プラセボとの比較は、集団ベースに基づく個々の評価基準であり得る。
【0052】
実施形態では、25-ヒドロキシビタミンDを受けているSARS-CoV-2対象は、投薬期間中、毎日、i)4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用してSARSCoV-2の6つの症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛、及び発熱)の重症度を1日2回記録し得、ii)11段階NRS(正常な活動を実施することができない、0;正常な活動を完全に実施することができる、10)を使用して通常の活動を実施する能力を1日1回日誌カードに記録し得、かつiii)11段階NRS(0、最悪の健康状態及び10、可能な限り最高の健康状態)を使用して全体的な健康状態の意見を1日1回記録し得る。これらの評価基準(個別に及び組み合わせて)は、治療効果を評価するために、未治療の対象と比較するために使用され得る。
【0053】
実施形態では、25-ヒドロキシビタミンDを受けているSARS-CoV-2対象は、投薬期間中、毎日、i)8つのSARSCoV-2症状(
【0054】
発熱、咳、のどの痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、胃腸症状、及び労作時の息切れ)の重症度を4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して1日2回記録し得、更に任意選択で、ii)11段階NRS(正常な活動を実施できない場合は0、正常な活動を完全に実施できる場合は10)を使用して通常の活動を実施する能力を1日1回記録し得、かつiii)11段階NRS(0、最悪の健康状態及び10、可能な限り最高の健康状態)を使用して、全体的な健康状態の意見を1日1回記録し得る。これらの評価基準(個別に及び組み合わせて)は、治療効果を評価するために、未治療の対象と比較するために使用され得る。
【0055】
本開示の方法の態様では、治療される対象の特徴は、25-ヒドロキシビタミンDを受けなかった対象、及び25-ヒドロキシビタミンDのより低い血清レベルを活性化する対象の特徴とは異なる。態様では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、末梢血単核細胞における急性、亜急性、及び遅発性炎症反応関連のメチローム及びトランスクリプトームを加速する。様々な態様では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、対象の末梢血単核細胞(PBMC)数の増加をもたらす。場合によっては、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、対象の末梢血好中球数の増加をもたらす。更に、場合によっては、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、対象のSARS-CoV-2力価レベル又はバイアル負荷(vial load)の低減をもたらす。任意選択で、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、治療の7日目に対象のSARS-CoV-2力価レベル又はウイルス負荷の低減をもたらす。また、例えば、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、治療14日目に対象のSARS-CoV-2力価レベル又はウイルス負荷の低減をもたらし得る。また、例えば、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、治療20日目に対象のSARS-CoV-2力価レベル又はウイルス負荷の低減をもたらし得る。態様では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、対象の抗SARS-CoV-2抗体レベル(例えば、血清レベル)の増加をもたらす。様々な場合では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、治療の7日目に対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルの増加をもたらす。様々な場合では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、治療の14日目に対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルの増加をもたらす。様々な場合では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、治療の20日目に対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルの増加をもたらす。様々な場合では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、治療の27日目又は28日目に対象の抗SARS-CoV-2抗体レベルの増加をもたらす。例示的な態様では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、未治療の対象と比較して、対象のLL37の血清レベル、及び抗SARS-CoV2抗体レベルの増加をもたらす。例示的な態様では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、未治療の対象と比較して、エオタキシン、単球走化性タンパク質(MCP-1)、IL-12、IL-6、IL-1β、及びカスパーゼ-3のうちの1つ以上の対象の血清レベルの減少をもたらす。
【0056】
態様では、25-ヒドロキシビタミンDの投与は、プラセボと比較して、対象の臨床疾患重症度スコアの低減をもたらす。任意選択で、上記の増加に関して、上記増加は、治療前のレベルと比較した治療の28日目又は27日目、又は治療の7日目のレベルと比較した治療の28日目又は27日目、又は治療の14日目のレベルと比較した治療の28日目又は27日目にある。任意選択で、上記の増加に関して、上記増加は、治療前のレベルと比較した治療の7日目、治療前のレベルと比較した治療の14日目、治療前のレベルと比較した治療の20日目、又は治療の7日目のレベルと比較した治療の20日目、又は治療の14日目のレベルと比較した治療の20日目、又は治療の7日目のレベルと比較した治療の14日目にある。任意選択で、上記の低減に関して、上記低減又は減少は、治療前のレベルと比較した治療の7日目、治療前のレベルと比較した治療の14日目、治療前のレベルと比較した治療の20日目、治療前のレベルと比較した治療の27日目、治療前のレベルと比較した治療の28日目、治療の7日目のレベルと比較した治療の27日目若しくは28日目、治療の7日目のレベルと比較した治療の20日目、治療の14日目のレベルと比較した治療の20日目、又は治療の7日目のレベルと比較した治療の14日目にある。
【0057】
例えば、本明細書に開示される方法は、7、14、21、及び28日目に達成された血清25D濃度(25Dが50ng/mL未満又は50ng/mL以上)に応じて、COVID-19の症状スコアの変化に基づいて転帰を改善し得る(例えば、1日目~42日目を比較して)。本明細書に開示される方法は、7、14、21、及び28日目に達成された血清25D濃度(25Dが50ng/mL未満又は50ng/mL以上)に応じて、0日目に重度のビタミンD欠乏症を有する患者(血清25Dが20ng/mL未満)におけるCOVID-19の症状スコアの変化に基づいて(例えば、1日目~42日目を比較して)転帰を改善し得る。
【0058】
本開示の方法に関して、25-ヒドロキシビタミンD化合物の量は、治療期間中、対象において少なくとも50ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成及び維持するのに有効である。任意選択で、その量は、治療期間中に少なくとも60ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成及び維持するのに有効である。本方法は、治療の最初の24時間で、例えば少なくとも50ng/mL若しくはそれを超える、又は少なくとも60ng/mL又はそれを超える血清レベルを達成することを含み得る。実施形態では、治療中の血清レベルは、200ng/mL以下、又は100ng/mL以下であり得る。例えば、本方法は、治療の最初の24時間で少なくとも50ng/mLかつ100ng/mL未満の血清レベルを達成することを含み得る。様々な場合では、その量は、治療期間中、対象において60ng/mL超、例えば、70ng/mL超、80ng/mL超、90ng/mL超、100ng/mL超、125ng/mL超、150ng/mL超、175ng/mL超、200ng/mL超、250ng/mL超、300ng/mL超、350ng/mL超、400ng/mL超、450ng/mL超、若しくは最大500ng/mL、又は治療期間中、約50ng/mL~約100ng/mL、若しくは約60ng/mL~約100ng/mL、若しくは60ng/mL超~約100ng/mLの範囲の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成及び維持するのに有効である。
【0059】
様々な態様では、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、例えば、毎日(1日当たり1回、1日当たり2回、1日当たり3回、1日当たり4回、1日当たり5回、1日当たり6回)、週3回、週2回、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、隔週、3週間毎、毎月、又は隔月を含む任意のレジメンに従って投与される。
【0060】
場合によっては、本方法は、25-ヒドロキシビタミンD化合物の1回以上の維持用量の前に対象に投与される25-ヒドロキシビタミンD化合物の負荷用量を含む。様々な態様では、負荷用量は、約90μg超、又は少なくとも100μg、又は少なくとも200μg、又は少なくとも250μg、又は約250μg超、又は約500μg超である。任意選択で、負荷用量は、約1200μg以下、1000μg以下である。様々な態様では、負荷用量は、約90μg~約250μg、又は約500μg~約900μg、約500μg~約800μg、約500μg~約700μg、約500μg~約600μg、約600μg~約1000μg、約700μg~約1000μg、約800μg~約1000μg、又は約900μg~約1000μgである。様々な場合では、負荷用量は、少なくとも又は約900μg±90μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物である。前述の用量のうちのいずれも、絶食状態で、例えば、就寝時を含む食事の少なくとも3時間後に、食物なしで投与され得る。前述の用量のうちのいずれも、本明細書に記載のRayaldee(登録商標)型製剤として、又は約25%の生物学的利用能を有する徐放性経口製剤として投与され得る。別の態様では、負荷用量は、即時放出25-ヒドロキシビタミンD製剤である。例えば、Rayaldee(登録商標)型製剤の3倍、又は約70%~80%の生物学的利用能を有する即時放出経口製剤は、約200μg~約750μg、又は約200μg~400μg、又は500μg~600μg、又は500μg~550μg、又は532μg、又は600μg~700μg、又は650μg~750μgの負荷用量で提供され得る。即時放出負荷用量の後に、即時放出又は徐放性製剤による維持投薬が続き得、ある型の実施形態では、徐放性製剤での維持投薬が続き得る。実施形態では、負荷用量は、第1の用量、例えば1日目の用量であり得る。他の実施形態では、負荷用量は、分割用量で、例えば、1日以上、例えば1~5日、又は2~5日の期間にわたって投与される。例えば、負荷用量は、2日以上又は3日間にわたって投与され得、例えば、900μgの負荷用量を、1、2、及び3日目に1日当たり300μgとして投与し、続いて記載の維持用量を投与すし得るか、又は、900μgの負荷用量を、1及び2日目に1日当たり450μgとして投与し、続いて本明細書に記載の維持用量を投与し得る。実施形態では、負荷用量は、絶食状態で投与される。
【0061】
様々な態様では、1日以上の毎日の維持用量は、少なくとも25μg、又は少なくとも30μg、又は30μg超、又は約50μg超の25-ヒドロキシビタミンD化合物である。任意選択で、各維持用量は、100μg未満又は約100μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物である。様々な場合では、各維持用量は、約50μg~約100μg、約50μg~約80μg、約50μg~約70μg、約50μg~約60μg、約60μg~約100μg、約70μg~約100μg、約80μg~約100μg、又は約90μg~約100μgである。様々な場合では、各維持用量は、約60μg±6μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物である。前述の用量のうちのいずれも、絶食状態で、例えば、就寝時を含む食事の少なくとも3時間後に、食物なしで投与され得る。前述の用量のうちのいずれも、本明細書に記載のRayaldee(登録商標)型製剤として、又は約25%の生物学的利用能を有する徐放性経口製剤として投与され得る。あるいは、維持用量は、即時放出製剤、例えば約70~80%の生物学的利用能を有する即時放出剤で投与され得る。実施形態では、維持用量は、絶食状態で投与される。維持用量は、毎日投与され得るか、又は毎日の維持用量は、1日を通して分割用量で投与され得るか、又は等量の25-ヒドロキシビタミンDは、毎日より少ない頻度で、例えば、毎日30μgの代わりに隔日で60μg、毎日30μgの代わりに1週間に約210μgで投与され得る。
【0062】
負荷用量及び維持用量は、対象の体重に基づいて、すなわち比較的高いBMIレベルを有する患者が比較的多くの25-ヒドロキシビタミンDを受け取るように、更に調整され得る。
【0063】
負荷用量及び維持用量は、対象の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルに基づいて更に調整され得る。例えば、ビタミンD不足又は欠乏ではないが、依然として血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが50ng/ml又は60ng/ml未満である患者は、ビタミンD不足又は欠乏である対象よりも比較的低い量の負荷用量を受けることができる。
【0064】
用量、例えば負荷用量及び/又は維持用量は、対象の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを少なくとも40ng/ml、又は少なくとも50ng/ml、又は少なくとも60ng/ml、例えば、40ng/ml~100ng/ml、又は50ng/ml~200ng/ml、50ng/ml~100ng/ml、又は60ng/ml~100ng/ml、又は40ng/ml~80ng/mlの範囲に維持する量で提供され得る。
【0065】
様々な場合では、本方法は、任意選択で、少なくとも3日間、5日間、1週間、10日間、12日間、13日間、2週間、19日間、20日間、3週間、26日間、4週間、又はそれ以上、毎日の維持用量を対象に投与することを含む。任意選択で、本方法は、対象に25-ヒドロキシビタミンD化合物の900μgの負荷用量を投与し、続いて、少なくとも1週間、又は少なくとも2週間、又は少なくとも19日間、少なくとも20日間、又は少なくとも26日間、毎日の維持用量を投与することを含む。様々な場合では、各毎日の維持用量は、60μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物であり得る。任意選択で、かかる方法は、少なくとも13日間、又は少なくとも2週間、又は少なくとも19日間、又は少なくとも20日間、任意選択で少なくとも3週間、又は少なくとも26日間、又は少なくとも4週間、又はそれ以上、毎日の維持用量を投与することを含む。例えば、SARS-Cov-2感染症、又は感染症の進行(例えば、潜伏期から前駆期、又は前駆期からCOVID-19病期)を予防する方法では、その方法には、初期負荷用量なし、又は比較的低い負荷用量を伴う維持投薬(例えば、60μg/日のRayaldee(登録商標)型製剤)が含まれ得る。
【0066】
絶食状態では、Rayaldee(登録商標)型製剤(約25%の生物学的利用能)の900μgの負荷用量は、対象の体重に応じて、血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを約10時間以内に約20ng/mL~30ng/mL上昇させる(体重が高いほど、血清総25-ヒドロキシビタミンDの予想される増加は低くなる)。Rayaldee(登録商標)型製剤の毎日60μgの維持用量は、血清総25-ヒドロキシビタミンDを更に0.6ng/mL増加させる。約25ng/mLのベースライン血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを有する対象は、絶食状態で投与した場合、負荷用量後に約45ng/mL~55ng/mLレベルに達し、14日間の維持投薬後に約53~63ng/mL、26日間の維持投薬後に61~71ng/mLに達する。他の実施形態では、本方法及び製剤は、最初の用量後の最初の24時間で、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mL、及び最大200ng/mL、又は最大100ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを提供するように選択され得る。
【0067】
摂食状態では、絶食状態と比較して、ERC(例えば、Rayaldee(登録商標)型製剤)の投薬後、血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが約3~4倍以上増加する。この理由から、及び投薬による吸収の一貫性を改善するために、全ての投薬は、就寝時(対象の最後の食事の少なくとも約3時間後、任意選択で最後の食事の少なくとも約4時間後と定義される絶食状態)に生じ得る。
【0068】
即時放出カルシフェジオール(MCTオイル中に製剤化)は、Rayaldee(登録商標)型製剤よりも約3倍高い生物学的利用能を有している。その結果、絶食状態での上記の負荷及び維持用量は、3分の2までスケーリング(減少)することができる。経口及び他の投薬量経路を介する両方の他の製剤の用量は、それらの生物学的利用能及び/又は薬物動態に基づいて、当業者によってスケーリングされ得る。例えば、Rayaldee(登録商標)型製剤は、約25%の生物学的利用能を有するため、3倍の生物学的利用能を有する別の型の製剤の負荷用量は、製剤によって送達される約63μg超の生物学的利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンD、又は約125μg超の生物学的利用可能な量であり得る。任意選択で、負荷用量は、製剤によって送達される約250μg未満の生物学的利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンDである。様々な態様では、負荷用量は、約125μg~約300μg、約125μg~約225μg、約125μg~約200μg、約125μg~約175μg、約125μg~約150μg、約150μg~約250μg、約175μg~約250μg、約200μg~約250μg、又は約225μg~約250μgの生物学的利用可能な量である。同様に、1回以上の維持用量は、少なくとも約7μg、又は7μg超、又は約12μg超の生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDであり得る。任意選択で、維持用量は、約25μg以下の生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。様々な場合では、各維持用量は、約12μg~約25μg、約12μg~約20μg、約12μg~約17μg、約12μg~約15μg、約15μg~約25μg、約17μg~約25μg、約20μg~約25μg、又は約22μg~約25μgの生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDであり得る。様々な場合では、各維持用量は、かかる製剤中、約15μg±1.5μgの生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。
【0069】
別の観点から、Rayaldee(登録商標)型製剤は、約25%の生物学的利用能を有するため、投薬量は、任意の型の製剤における25-ヒドロキシビタミンDの生物学的利用可能な量に基づいて表すことができる。様々な態様では、負荷用量は、約22μg超、又は少なくとも25μg、又は少なくとも50μg、又は少なくとも62μg、又は約62μg超、又は約125μg超の生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。任意選択で、負荷用量は、約250μg未満である。様々な態様では、負荷用量は、約22μg~約62μg、又は約125μg~約225μg、約125μg~約200μg、約125μg~約175μg、約125μg~約150μg、約150μg~約250μg、約175μg~約250μg、約200μg~約250μg、又は約225μg~約250μgである。様々な場合では、負荷用量は、少なくとも又は約225μg±22μgの生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。前述の用量のいずれも、絶食状態で、例えば就寝時を含む食事の少なくとも3時間後に、食物なしで投与され得る。様々な態様では、1回以上の毎日の維持用量は、少なくとも約6μg、又は少なくとも約7μg、又は7μg超、又は約12μg超の生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。任意選択で、維持用量は、約25μg以下の生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。様々な場合では、各維持用量は、約12μg~約25μg、約12μg~約20μg、約12μg~約18μg、約12μg~約15μg、約15μg~約25μg、約17μg~約25μg、約20μg~約25μg、又は約22μg~約25μgの生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。様々な場合では、各維持用量は、約15μg±1.5μgの生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンD化合物である。前述の用量のうちのいずれも、絶食状態で、例えば、就寝時を含む食事の少なくとも3時間後に、食物なしで投与され得る。
【0070】
ビタミンDホルモンの細胞内レベルが急速に上昇又は過剰になると、ビタミンD受容体を含有する細胞においてCYP24A1として知られるシトクロムP450酵素の発現が刺激される。CYP24A1酵素は、1,25-ジヒドロキシビタミンD、25-ヒドロキシビタミンD、及びビタミンDを高い特異性で異化し、それによって正常な細胞内ビタミンDホルモンレベルを回復する。これは、ビタミンDホルモンへの過剰で潜在的に有害な局所曝露を制限する重要なフィードバック機序である。したがって、CYP24A1の発現をアップレギュレートすることなく、25-ヒドロキシビタミンDを投与することが企図される。一方、25-ヒドロキシビタミンDの利用能に基づいた迅速な免疫応答を提供するために、例えば、ビタミンD欠乏症の是正のために、投薬の最初の24時間以内に血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを、例えば、少なくとも50ng/mL、又は50ng/mL超、又は少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超、及び任意選択で、最大200ng/mL、又は最大100ng/mLに安全に上昇させることが企図される。同様に、本明細書の方法で使用するための製剤は、例えば、4~24時間、又は4~18時間、又は4~16時間、又は4~12時間、又は4~8時間の範囲のインビボTmaxを提供し得ることが企図される。
【0071】
患者のビタミンD代謝物比(VMR、血清24,25-ジヒドロキシビタミンD3対血清25-ヒドロキシビタミンD3の比、又はビタミンD3型産物、例えば25-ヒドロキシビタミンD3の投与後の24,25-ジヒドロキシビタミンD3対血清25-ヒドロキシビタミンD3の比の100倍として計算)は、CYP24A1の誘導の指標として使用され得る。Strugnell SA,Sprague SM,Ashfaq A et al.“Rationale for Raising Current Clinical Practice Guideline Target for Serum 25-Hydroxyvitamin D in Chronic Kidney Disease”Am.J.Nephrol.2019;49(4):284-293を参照されたい。Strugnellらは、ビタミンD欠乏症及びSHPTを有し、26週間にわたって30又は60μgのERCで治療されたステージ3及び4のCKD患者において、平均治療後VMRが中程度(最大4.8)しか上昇せず、これはCYP24A1の実質的な誘導がなかったことを示唆することを示した。同様に、以下の実施例7に記載されるように、ビタミンD欠乏症及びSHPTを有し、60μgのERCで8週間治療されたステージ3及び4のCKD患者において、平均治療後VMRも5未満のままであった(最大約4.2)。25-ヒドロキシビタミンDの投薬後のVMRは、用量依存的である。25-ヒドロキシビタミンDの十分に高用量、特に即時放出型25-ヒドロキシビタミンDを投与すると、VMRはより高いレベルを達成できる。同様に、25-ヒドロキシビタミンDを十分に頻繁に繰り返し投薬すると、VMRは時間の経時的に加し、望ましいレベルよりも高いレベルに達し得る。更に、25-ヒドロキシビタミンDの十分に迅速で強力な送達により、VMRの速度は、比例して増加する。したがって、一態様では、本明細書の治療方法は、任意選択で、VMRが少なくとも28日間にわたって、更に任意選択で、維持投薬期間中、実質的に一定のままである投薬レジメンを用いる。別の態様では、本明細書の治療方法は、任意選択で、VMRが少なくとも28日間にわたって、更に任意選択で、維持投薬期間中、実質的に減少する投薬レジメンを用いる。別の態様では、本明細書の治療方法は、任意選択で、例えば28日間のVMRの変化率が、即時放出により投与された生物学的等価量の25-ヒドロキシビタミンについてのVMRの変化率よりも小さい徐放性投薬レジメンを用いる。別の態様では、本明細書の治療方法は、任意選択で、VMRが12を超えない、又は11を超えない、又は5を超えない、又は4.8を超えない投薬レジメンを用いる。他の態様では、本明細書に記載のように、患者がビタミンD不足の是正、及び少なくとも50ng/mlの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルの達成から利益を得ることができることを認識して、本明細書の治療方法は、任意選択で、VMRが負荷用量段階中では4.8、又は5、又は11、又は12を超える可能性があり、維持投薬段階では11を超えない、又は5を超えない、又は4.8を超えない投薬レジメンを用いる。更に別の態様では、本明細書の治療方法は、任意選択で、VMRが負荷用量段階中では12を超えず(例えば、4~12の範囲)、維持投薬段階では11を超えない(例えば、3~11の範囲)投薬レジメンを用いる。
【0072】
様々な態様では、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、修飾放出製剤で投与される。本明細書で使用される場合、「制御放出」及び「修飾放出」という用語は互換的に使用され、即時放出から逸脱する方法での投与されたビタミンD化合物の放出を指す。調節放出製剤は、徐放性製剤であり得る。任意選択で、放出調節製剤は、遅延放出態様を含み得る。本明細書で使用される場合、「持続放出」、「徐放」、及び「長期放出」という用語は互換的に使用され、同等の即時放出製剤よりも長期間にわたる投与されたビタミンD化合物の放出を指す。
【0073】
25-ヒドロキシビタミンD化合物は、任意の好適な方法によって対象に投与され得る。経口投与に好適な製剤は、(a)水、生理食塩水、オレンジジュース、牛乳、オイル、又は他のキャリアなどの希釈剤中に溶解、又は懸濁した有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物などの液体溶液又は懸濁液、(b)各々が所与の量の25-ヒドロキシビタミンD化合物を固体又は顆粒として含有するカプセル、小袋、錠剤、ロゼンジ、及びトローチ、(c)粉末、並びに(d)好適なエマルジョンからなり得るか、又はそれらを含み得る。液体製剤は、薬学的に許容される界面活性剤の添加して、又は添加しないいずれかで、水又はアルコール、例えば、エタノール、ベンジルアルコール、及びポリエチレンアルコールなどの希釈剤を含み得る。カプセル形態は、例えば、油、ワックス、又は他の脂質などの担体、界面活性剤、潤滑剤、及びラクトース、スクロース、リン酸カルシウムなどの不活性充填剤、及びコーンスターチを含有する通常のハードシェル又はソフトシェルのゼラチン型のものであり得る。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、並びに他の薬理学的に適合性のある賦形剤、のうちの1つ以上を含み得る。ロゼンジ形態は、香味剤、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント中に本開示の25-ヒドロキシビタミンD化合物を含み、並びに、トローチ(pastille)は、ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシア、エマルジョン、ゲルなどの不活性基剤中に本開示の誘導体を含み、加えて当該技術分野で知られているような他の賦形剤を含む。25-ヒドロキシビタミンD化合物を、担体又は賦形剤中に分配するために、アルコール、例えば、エタノールに溶解し得る。
【0074】
25-ヒドロキシビタミンD化合物を、ポリマー組成物中に分散させることができる。25-ヒドロキシビタミンD化合物を、ポリマーネットワークに埋め込むことができる。ポリマーは、水不溶性であり得、任意選択で、例えば、膨潤性であり得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む球状化ペレット製剤であり得る。かかるペレットを、任意選択で腸溶コーティングすることができ、あるいは、ペレットを、腸溶コーティングされたカプセルシェル(例えば、ゼラチン、植物ベース、又はポリマーベース)に入ることができる。製剤は、脂肪酸グリセリド混合物中に分散された25-ヒドロキシビタミンD化合物を含み得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含むナノ/マイクロ粒子製剤からなるか、又はそれを含み得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物及び薬学的に許容される脂質を含む脂質微粒子製剤からなるか、又はそれを含み得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含むノンパレルシード製剤からなるか、又はそれを含み得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物、並びに吸収促進剤、球状化助剤、水不溶性ポリマー、及び結合剤の群における1つ以上の賦形剤から選択される薬学的に許容される賦形剤からなるか、又はそれらを含み得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物、徐放剤、及び界面活性剤を含む噴霧凝固脂質ビタミンD製剤からなるか、又はそれらを含み得る。実施形態では、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0075】
本開示の25-ヒドロキシビタミンD化合物は、単独で、又は他の好適な成分と組み合わせて、肺投与を介して送達され得、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤にし得る。これらのエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容可能な噴射剤に入れることができる。それらはまた、ネブライザー又はアトマイザーなどの非加圧調製剤用の医薬品として製剤化され得る。かかるスプレー製剤は、粘膜にスプレーするためにも使用され得る。いくつかの実施形態では、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、粉末ブレンド又はマイクロ粒子若しくはナノ粒子に製剤化される。好適な経肺製剤型は、当技術分野で既知である。例えば、Qian et al.,Int J Pharm 366:218-220(2009)、Adjei and Garren,Pharmaceutical Research,7(6):565-569(1990)、Kawashima et al.,J Controlled Release 62(1-2):279-287(1999)、Liu et al.,Pharm Res 10(2):228-232(1993)、国際特許出願公開第2007/133747号及び同第2007/141411号を参照されたい。
【0076】
非経口投与に好適な製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を目的のレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、水性及び非水性の等張無注射菌溶液、並びに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤を含み得る、水性及び非水性の無菌懸濁液が含まれる。「非経口」という用語は、消化管を介してではなく、局所(経皮パッチを含む)、皮下、筋肉内、脊髄内、又は静脈内などの他の経路によることを意味する。本開示の25-ヒドロキシビタミンD化合物は、水、生理食塩水、デキストロース水溶液及び関連する糖溶液、エタノール若しくはヘキサデシルアルコールなどのアルコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールなどのグリコール、ジメチルスルホキシド、グリセロール、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノールなどのケタール、エーテル、ポリ(エチレングリコール)400、油、脂肪酸、脂肪酸エステル若しくはグリセリド、又はアセチル化脂肪酸グリセリドとともに、石鹸若しくは洗剤などの薬学的に許容される界面活性剤、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはカルボキシメチルセルロースなどの懸濁剤、又は乳化剤及び他の薬学的アジュバントの添加の有無にかかわらず、投与され得る。局所製剤は、任意の好適な形態、例えば、クリーム、軟膏、ペースト、ローション、ゲル、又はパッチを取り得る。
【0077】
経腸及び非経口製剤に使用され得る油には、石油、動物、植物、又は合成油が含まれる。油の具体例には、ピーナッツ、大豆、ゴマ、綿実、とうもろこし、オリーブ、ワセリン、及びミネラルが含まれる。一部の実施形態では、非消化性油が企図される。非経口製剤で使用するのに好適な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸が含まれる。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは、好適な脂肪酸エステルの例である。
【0078】
非経口製剤は、約0.5重量%~約25重量%の本開示の25-ヒドロキシビタミンD化合物を溶液中に含有し得る。防腐剤及び緩衝剤が、使用され得る。注射部位での刺激を最小化又は排除するために、かかる組成物は、約12~約17の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1つ以上の非イオン性界面活性剤を含有し得る。そのような製剤中の界面活性剤の量は、典型的には、約5重量%~約15重量%の範囲である。好適な界面活性剤には、ソルビタンモノオレエートなどのポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、及びプロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される、エチレンオキシドと疎水性塩基との高分子量付加物が挙げられる。非経口製剤は、アンプル及びバイアルなどの単位投与又は複数回投与用の密封容器内に提供することができ、注射のための使用直前に、無菌液体賦形剤、例えば、水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保存することができる。即時注射溶液及び懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製され得る。
【0079】
注射可能な製剤は、本発明によるものである。注射可能な組成物のための有効な薬学的賦形剤の要件は、当業者に周知である(例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Company,Philadelphia,PA,Banker and Chalmers,eds.,pages 238-250(1982)、及びASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,pages 622-630(1986)を参照されたい)。
【0080】
様々な態様では、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、経口投与される。様々な場合では、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、25-ヒドロキシビタミンD2若しくは25-ヒドロキシビタミンD3、又は25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3の組み合わせを含む。本明細書に開示される組成物及び方法のあらゆる態様及び実施形態では、25-ヒドロキシビタミンD化合物は25-ヒドロキシビタミンD3であり得ることが特に企図される。本明細書で使用される場合、「25-ヒドロキシビタミンD化合物」という用語は、25-ヒドロキシビタミンD3、25-ヒドロキシビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD4、25-ヒドロキシビタミンD5、又は25-ヒドロキシビタミンD7のうちの1つ以上を指し、それに対する任意の参照において、好ましい実施形態は、25-ヒドロキシビタミンD3及び25-ヒドロキシビタミンD2のうちの1つ以上、好ましくは25-ヒドロキシビタミンD3であると企図される。したがって、本明細書に記載のあらゆる製剤では、活性物質は、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3のうちの1つ又は両方、特に25-ヒドロキシビタミンD3を含み得ることが特に企図される。
【0081】
本明細書で使用される場合、25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む製剤は、安定化された製剤であり得、「安定化された製剤」とは、最初の製造後のある期間、例えば、実際の棚保管又は加速安定性保管条件の後、安定したインビトロ溶解プロファイル(本明細書で更に説明されるパラメータのうちのいずれかによる)及びビタミンD化合物のインビボでの制御放出(例えば、徐放)を示す製剤を指す。活性成分の放出は、当技術分野で既知の方法のうちの1つなどの好適なインビトロ溶解法を使用して測定され得る。原則として、United States Pharmacopeia,USP 43-NF 382S,Dissolution<711>physical tests and determinations、United States Pharmacopeial Convention,Inc.,Rockville,Md.,2020、European Pharmacopoeia 2.9.3 Dissolution Test for Solid Dosage Forms、又はJapanese Pharmacopoeia 6.10 Dissolution Testにおいて記載される溶解研究のうちのいずれかを使用して、製剤が安定しているかどうかを決定し得る。本開示の目的のために、単一媒体インビトロ溶解法は、以下の実施形態で説明するように、装置2を使用するUnited States Pharmacopeia,USP 43-NF 38 2S,Dissolution<711>physical tests and determinations、United States Pharmacopeial Convention,Inc.,Rockville,Md.,2020(パドル法)である。あるいは、溶解特性は、装置1又は2、任意選択で装置2を使用するUSP 43-NF 38 2S,Dissolution<711>の方法2などの2相法を使用して測定され得る。
【0082】
本明細書の開示による安定化された製剤は、一定期間の保存後、インビトロ溶解において、製造直後及び保存前の同じ製剤の溶解と実質的に異ならない、25-ヒドロキシビタミンDの量を放出する。例えば、一実施形態では、製剤は、25℃及び60%の相対湿度で2ヶ月の保存条件に曝露した後、インビトロ溶解中、4時間後の任意の溶解時点で、製剤を保存条件に曝露する前(すなわち、新鮮な生産された製品)のインビトロ溶解中の同じ溶解時点で放出された量と比較して30%以下に変化する、25-ヒドロキシビタミンDの量を放出する。
【0083】
以下の表は、初期製造後の様々な時間、及び溶解試験中の様々な時間で、25℃及び60%RH並びに代替的に、40℃及び75%RHでの保存後、本発明の実施形態について企図される有利な程度の保存安定性の例を提供する。貯蔵安定性の程度は、名目上の活性効力からの最大偏差、すなわちLCからの最大変化%の点で表される。最大偏差の代替実施形態も提供される。
【表1-1】
【表1-2】
【0084】
1つの型の実施形態では、製剤は、溶解試験中の複数の時点、例えば、少なくとも2及び4時間の時点の両方、任意選択で6時間の時点でも、更に任意選択で8時間の時点でも、及び更に任意選択で12時間の時点でも、保存後の溶解プロファイルが新鮮な産物の溶解プロファイルに従うように、すぐ上の表に記載される有利な程度の安定性を有する。あるいは、製剤は、少なくとも2時間、6時間、及び12時間の時点で、すぐ上の表に記載される有利な程度の安定性を有する。あるいは、製剤は、少なくとも4時間、8時間、及び12時間の時点で、すぐ上の表に記載される有利な程度の安定性を有する。あるいは、製剤は、少なくとも2時間、4時間、及び6時間の時点で、すぐ上の表に記載される有利な程度の安定性を有する。あるいは、製剤は、少なくとも4、6、8、及び12時間の時点で、又は4時間以降の全ての時点で、すぐ上の表に記載される有利な程度の安定性を有する。
【0085】
すぐ上の表に記載されたあらゆる実施形態では、偏差は新鮮な産物に関して正(放出が多い)又は負(放出が少ない)であり得ることが企図される。1つの型の実施形態では、偏差は、複数の時点で負(放出が少ない)の方向であることが企図される。更に、1つの型の実施形態では、溶解放出の偏差は、製剤中に安定化剤が存在する場合を除いて、複数の時点で負(放出が少ない)であったことが企図される。
【0086】
本明細書で企図される実施形態のうちのいずれでは、製剤の溶解放出プロファイルは、本明細書で以下に提供される実施例のうちのいずれか1つの特徴を有し得る。例えば、製剤は、2時間で30%未満、6時間で45%超、及び12時間で80%超、更に任意選択で、6時間で60%未満のビタミンD化合物の放出を提供する溶解放出プロファイルによって特徴付けられ得る。
【0087】
別の型の実施形態では、製剤は、100分~140分で30%未満、5~7時間で45%超、及び11~13時間で80%超のビタミンD化合物の放出を提供するインビトロ溶解プロファイルによって特徴付けられ得る。別の型の実施形態では、製剤は、2時間で30%未満、6時間で45%超、及び12時間で80%超のビタミンD化合物の放出を提供するインビトロ溶解プロファイルによって特徴付けられ得る。これらの型の実施形態では、任意選択で、5~7時間でのビタミンD化合物の放出は、60%未満であるか、又は6時間での放出は、60%未満である。
【0088】
別の型の実施形態では、製剤は、2時間で約20%~約40%未満、6時間で少なくとも35%及び12時間で少なくとも70%のビタミンD化合物の放出を提供するインビトロ溶解プロファイルによって特徴付けられ得る。別の型の実施形態では、製剤は、2時間で約25%~約35%未満、6時間で少なくとも40%及び12時間で少なくとも75%のビタミンD化合物の放出を提供するインビトロ溶解プロファイルによって特徴付けられ得る。これらの型の実施形態では、任意選択で、ビタミンD化合物の放出は、例えば、6時間で75%以下、又は6時間で65%以下、又は6時間で60%以下である。
【0089】
様々な場合では、25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む製剤は、ビタミンD化合物に放出可能に結合し、ビタミンD化合物を制御可能に放出するマトリックス成分(例えば、親油性マトリックス)、及び安定剤(例えば、セルロース化合物)を含む。様々な場合では、安定化剤は、セルロース化合物である。本明細書で使用される場合、「セルロース化合物」という用語は、別段の明示されない限り、セルロース(C6105n又はセルロースの誘導体を含み得る。様々な態様では、セルロース化合物は、セルロースエーテルである。「セルロースエーテル」は、セルロース分子中のヒドロキシル基の部分的又は完全なエーテル化をもたらすように化学修飾されたセルロース誘導体である。安定化剤として使用され得るセルロース誘導体の例としては、例えば、セルロース酸、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアニオン性セルロース、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、分子量、粘度、溶解度、及び水和の変化に対応する、各セルロース化合物又は安定化剤の異なるグレードも、これらの用語に包含される。
【0090】
一実施形態では、安定化された製剤は、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3のうちの1つ又は両方、ワックスマトリックス、並びにセルロース化合物を含む。一態様では、安定化された製剤は、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3のうちの1つ又は両方、ワックスマトリックス、並びにセルロース安定化剤を含む。別の態様では、製剤は、安定化された製剤は、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3のうちの1つ又は両方と、ワックスマトリックスと、本明細書に記載の有利な程度の安定性、例えば、すぐ上の表に関して、又は以下に記載の実施例のうちのいずれかと一致する有利な程度の安定性を提供するセルロース安定化剤と、を含む。例えば、この量は、25℃及び60%の相対湿度で少なくとも1ヶ月の貯蔵条件に曝露した後、インビトロ溶解中の溶解時点で放出される活性物質の量と、製剤を保存条件にさらす前に行われたインビトロ溶解中の同じ溶解時点での放出量との間で30%以下の差を提供するのに有効であり得、一方、安定化剤を欠く比較製剤は、同じ保管条件後、溶解放出においてより大きな差をもたらすであろう。
【0091】
一態様では、製剤は、製剤を摂取する対象の胃腸管におけるビタミンD化合物の制御放出のための改良された製剤である。一実施形態では、改善は、製剤を摂取する対象の胃腸管におけるビタミンD化合物の制御放出のために、セルロース安定化剤を製剤に混合することを含む。別の実施形態では、改善は、本明細書に記載の有利な程度の安定性、例えば、すぐ上の表に関して、又は以下に記載の実施例のうちのいずれかと一致する有利な程度の安定性を提供するために、製剤を摂取する対象の胃腸管におけるビタミンD化合物の制御放出のための製剤に混合された有効量のセルロース化合物を含む。例えば、この量は、25℃及び60%の相対湿度で少なくとも1ヶ月の貯蔵条件に曝露した後、インビトロ溶解中の溶解時点で放出される活性物質の量と、製剤を保存条件にさらす前に行われたインビトロ溶解中の同じ溶解時点での放出量との間で30%以下の差を提供するのに有効であり得、一方、安定化剤を欠く比較製剤は、同じ保管条件後、溶解放出においてより大きな差をもたらすであろう。
【0092】
安定化剤は、セルロース化合物を含み得る。本開示の安定化された製剤で使用するためのセルロース化合物及び安定化剤の例としては、セルロース酸、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアニオン性セルロース、及びそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。ポロクサマー(例えば、ポラクサマー407)、ポリ(エチレンオキシド)ポリマー(例えば、ダウのPOLYOXポリマー)、ポビドン、及びヒュームドシリカ(例えば、AEROSIL200、Evonik Industries AG、Essen,Germany)のうちの1つ以上も企図される。安定剤、例えば、セルロース化合物は、好ましくは、任意の追加のコーティング又はシェルを除いた製剤の総重量に基づいて、製剤の少なくとも約5%の量で存在する(重量%)。例えば、セルロース化合物は、製剤の少なくとも5重量%、又は製剤の少なくとも10重量%、又は製剤の少なくとも15重量%、又は製剤の5重量%超、又は製剤の10重量%超、又は製剤の15重量%超の量で存在し得る。好適な範囲には、5重量%~30重量%、10重量%~20重量%、10重量%~15重量%、5重量%~15重量%、及び7.5重量%~12.5重量%が含まれる。例としては、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、及び約15重量%が挙げられる。本明細書で言及される安定化剤は、貯蔵条件、例えば、典型的な棚貯蔵条件中の経時的な実質的な変化に対して溶解放出プロファイル(したがってインビボ放出プロファイルも)を安定化させる薬剤であることが理解される。活性成分自体の分解を予防するための防腐剤として当技術分野で既知の他の薬剤は、「安定化剤」及び「安定剤」という用語に包含されることを意図していないが、かかる防腐剤も本発明の製剤で使用するために企図されている。
【0093】
1クラスの実施形態では、セルロース化合物は、セルロースエーテルである。セルロースエーテルの例としては、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が、特に企図される。HPMCは、以下の特徴のうちの1つ以上によって特徴付けることができ、これらは特に、個別に及び組み合わせて企図される。HPMCのメトキシル成分%は、19~24の範囲にあり得る。ヒドロキシプロピル成分%は、7~12の範囲にあり得る。見かけの粘度(20℃の水中2%の溶液)は、少なくとも50,000cP、又は少なくとも80,000cP、又は約80~120,000cP、又は3000~120,000cP、又は11,000~120,000cP、又は80,000~120,000cPの範囲にあり得る。特に、見かけの粘度(20℃の水中2%の溶液)は、80,000~120,000cPの範囲にあり得る。pH(水中1%の溶液)は、5.5~8.0の範囲にあり得る。例えば、80,000~120,000cPの範囲の見掛け粘度(20℃で水中2%の溶液)を含む、前述の特性の全てを有する好適なヒドロキシルプロピルメチルセルロースは、METHOCEL K100M CR(Dow Wolff Cellulosics、Midland,Mich.)である。
【0095】
1つの型の実施形態では、セルロース化合物は、マトリックスの主成分の融点、例えば65℃で、又は60℃~75℃の範囲でマトリックス製剤に不溶である。
【0096】
1つの型の実施形態では、セルロース化合物は、親水性である。安定化されたワックスマトリックス製剤(Rayaldee(登録商標)型)は、以下の組成物をソフトOptiShell(登録商標)植物性多糖シェルに充填することができる。カプセル充填の0.02重量%のカルシフェジオール、カプセル充填の20.0重量%のパラフィン、カプセル充填の35.34重量%の鉱油、カプセル充填の10.0%のヒプロメロース、カプセル充填の22.56重量%のモノ-及びジ-グリセリド、カプセル充填の9.75重量%のラウロイルポリオキシグリセリド、カプセル充填の2.32重量%の脱水アルコール、及びカプセル充填の0.02重量%のBHT。
【0097】
25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3のうちの1つ以上及びセルロース化合物を含む本開示による医薬製剤は、セルロース化合物を欠く製剤と比較して改善された安定性を有する。一実施形態では、本開示による安定化された製剤は、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3のうちの1つ又は両方を含む活性負荷親油性マトリックス、並びにセルロース系安定化剤の混合物を含み、製剤は、25℃及び60%の相対湿度で少なくとも1ヶ月の保存条件に曝露後のインビトロ溶解中、新鮮な産物で実施されたインビトロ溶解中の同じ溶解時点で放出された量と比較して任意の所与の溶解時点で30%以下変化する、25-ヒドロキシビタミンDの量を放出する。
【0098】
安定化されていない製剤は、組成物が一定期間保存された後に放出される活性成分の量に変化を示す。安定化されていない製剤は、保存条件にさらされた後、新鮮な産物で実施されたインビトロ溶解中の同じ溶解時点で放出された量と比較して所与の溶解時点で、例えば30%以上変化し得る25-ヒドロキシビタミンDの量を放出する。その変化は、所与の時点での溶解速度の増加又は減少であり得、かかる変化は、曲線が初期溶解プロファイルの形状とは異なる溶解プロファイルを産生する。安定化されていない製剤はまた、本明細書に記載の保存後、例えば、25℃及び60%RHで3ヶ月以上の保存後、本開示による安定化された製剤と比較して異なるインビボ効果を示す。安定化された製剤は、本明細書に記載の保存後、例えば、25℃及び60%RHで3ヶ月以上保存した後、安定化されていない製剤と比較して、改善された生物学的利用能などの異なる臨床薬物動態パラメータを示す。本開示による安定化された製剤は、本明細書に記載されるように、製剤を貯蔵安定性にする安定化剤と組み合わされた、貯蔵不安定な基本製剤を有し得る。
【0099】
活性成分に放出可能に結合し、それを制御可能に放出するマトリックスは、例えば、ワックスマトリックスを含む親油性マトリックスであり得る。ワックスマトリックスは、室温で固体又は半固体であり、体温で固体、半固体又は液体、好ましくは体温で半固体又は液体である製剤を提供し得る。一態様では、ワックスマトリックスは、制御放出剤、乳化剤、及び吸収促進剤を含む。
【0100】
使用に好適な制御放出剤の例としては、合成ワックス、微晶質ワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、及び蜜ろうを含むワックス;ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、硬化植物油、グリセリルモノ、ジ又はトリベヘナート;ステアリルアルコール、セチルアルコール、ポリエチレングリコールなどの長鎖アルコール;及び前述のうちのいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ハードパラフィンワックスなどの非消化性ワックス状物質が、好ましい。
【0101】
制御放出剤は、安定化マトリックス製剤の少なくとも5重量%、又は製剤の約5重量%超の量で存在し得る。例えば、使用される制御放出剤に応じて、制御放出剤は、製剤の少なくとも5重量%又は製剤の少なくとも10重量%、又は製剤の少なくとも15重量%、又は製剤の少なくとも20重量%、又は製剤の少なくとも25重量%、又は製剤の5重量%超、又は製剤の10重量%超、又は製剤の15重量%超、又は20重量%超、及び又は製剤の25重量%超を構成し得る。制御放出剤は、50重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、又は30重量%以下の量で存在し得る。好適な範囲には、5重量%~40重量%、10重量%~30重量%、及び15重量%~25重量%が含まれる。例としては、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、及び約25重量%が挙げられる。
【0102】
安定化されたマトリックス製剤で使用するのに好適な乳化剤の例には、混合脂肪酸モノグリセリドなどのHLBが7未満の親油性剤;混合脂肪酸ジグリセリド;脂肪酸モノ及びジグリセリドの混合物;親油性ポリグリセロールエステル;モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、及びジパルミチン酸グリセリルを含むグリセロールエステル;脂肪酸のグリセリルラクトエステル;モノパルミチン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、及びモノオレイン酸プロピレングリコールなどのプロピレングリコールエステル;モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタンを含むソルビタンエステル;ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸を含む脂肪酸及びその石鹸;及びそれらの混合物モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、及びジパルミチン酸グリセリル;脂肪酸のグリセリルラクトエステル;モノパルミチン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、及びモノオレイン酸プロピレングリコールを含むプロピレングリコールエステル;モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタンを含むソルビタンエステル;ステアリン酸、パルミチン酸、及びオレイン酸を含む脂肪酸及びそれらの石鹸;及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
安定化されたマトリックス製剤で使用するのに好ましいリポイド剤は、グリセリド及びその誘導体から選択される。好ましいグリセリドは、中鎖又は長鎖グリセリド、カプリロカプロイルマクロゴルグリセリド、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
好ましい中鎖グリセリドには、中鎖モノグリセリド、中鎖ジグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、モノラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、モノカプリル酸グリセリル、モノジカプリル酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸リノール酸トリグリセリド、及びカプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
低融点を有するモノグリセリドは、安定化されたマトリックス製剤を製造するために好ましい。好ましいモノグリセリドには、モノステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリルなど、好ましくはモノステアリン酸グリセロール(GMS)が含まれるが、これらに限定されない。GMSは、天然の乳化剤である。油溶性であるが、水には溶けにくい。GMSは、3.8のHLB値を有する。親油性乳化剤は、例えば、約10重量%~約40重量%、又は約20重量%~約25重量%の範囲の量で存在し得る。他の例には、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、及び約25重量%が挙げられる。
【0105】
安定化されたマトリックス製剤で使用するのに好適な吸収促進剤の例として、ポリグリコール化グリセリド又はペグ化グリセリドとしても知られるポリエチレングリコシル化グリセリドなどのカプリロカプロイルマクロゴルグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。組成物中に使用され得るペグ化グリセリドは、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドの混合物、並びにポリエチレングリコール、ポリエチレングリコシル化アーモンドグリセリド、ポリエチレングリコシル化コーングリセリド、及びポリエチレングリコシル化カプリリック/カプリックトリグリセリドのモノエステル及びジエステルを含むが、これらに限定されない。吸収促進剤は、13~18、又は13~15のHLB値を有し得る。
【0106】
1つの好ましい吸収促進剤は、GELUCIRE(Gattefosse Corporation、Paramus,N.J.,USA)の商品名で知られている。GELUCIREは、ポリグリコール化グリセリドとしても知られる、グリセロール及びペグエステルの脂肪酸エステルのファミリーである周知の賦形剤である。GELUCIREは、持続放出医薬組成物の調製を含む様々な用途において使用される。GELUCIRE化合物は、両親媒性であり、融点、HLB、様々な溶媒への溶解度などの様々な物理的特性を伴って入手可能な、不活性な半固体のワックス状材料である。それらは本質的に界面活性であり、水性媒体に分散又は可溶化して、ミセル、微視的小球又は小胞を形成する。それらは融点/HLB値によって特定される。融点は摂氏で表される。融点及び/又はHLB値の所望の特性を実現するように、異なるグレードのGELUCIRE賦形剤の1つ又は混合物を選択することができる。好ましいGELUCIRE組成物は、44℃の融点及び14のHLBを有する、ラウロイルマクロゴルグリセリド及びラウロイルポリオキシグリセリドの混合物であるGELUCIRE44/14である。吸収促進剤は、例えば、約5重量%~約20重量%、又は約8重量%~約15重量%の量で存在し得る。他の例には、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、及び約15重量%が挙げられる。
【0107】
ワックスマトリックスの低融点は、ワックスマトリックスの融点を超える約0℃~約50℃の温度で、薬学的活性成分、例えば25-ヒドロキシビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3、又は両方などのビタミンD化合物を組み込む手段を提供し、次いで溶融物(溶液及び/又は分散液)を好適なカプセルに充填する。カプセルは、ソフト又はハードゼラチンカプセル、及び動物又は植物ゼラチンカプセルを含む、溶融物充填の温度に適合する任意の種類のものであり得る。溶融物は、室温まで冷却するとカプセル内で固化する。
【0108】
一態様では、安定化マトリックス製剤は、25-ヒドロキシビタミンD2及び/又は25-ヒドロキシビタミンD3のための油性ビヒクルを更に含み得る。薬学的に許容される任意の油を使用することができる。例としては、動物(例えば、魚)、植物(例えば、大豆)、及び鉱油が挙げられる。油は、使用される25-ヒドロキシビタミンD化合物を容易に溶解することが好ましい。好ましい油性ビヒクルは、鉱油、特に流動パラフィン及びスクアレンなどの非消化性油を含み得る。油性ビヒクルは、例えば、製剤の約10重量%~約50重量%、又は約15重量%~約45重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約30重量%~40重量%の範囲の濃度で存在し得る。1つの型の実施形態では、好適な流動パラフィンは、以下のパラメータのうちの1つ以上によって特徴付けられ得る。比重が約0.88~0.89;動粘度(40℃)が約64cSt~約70cSt;分子量が424;パラフィン系炭化水素が約59%;及び流動点が-24℃。ビタミンD化合物の所望の放出速度を達成するために、ワックスマトリックスと油性ビヒクルとの間の比率は、最適化され得る。したがって、より重い油成分が使用される場合、比較的少ないワックスマトリックスを使用することができ、より軽い油成分が使用される場合、比較的多いワックスマトリックスが使用され得る。
【0109】
本開示による安定化された制御放出組成物は、好ましくは、例えば、単位用量当たり1~1000μgの濃度の25-ヒドロキシビタミンD2及び/又は25-ヒドロキシビタミンD3を含むように設計され、25-ヒドロキシビタミンD2/25-ヒドロキシビタミンD3の制御された又は実質的に一定の放出を、任意選択でヒト又は動物の胃腸管の回腸に長期間にわたってもたらすような方法で調製される。例示的な投薬量としては、単位用量当たり1μg~1000μg、1μg~600μg、1μg~400μg、1μg~200μg、1μg~100μg、5μg~90μg、30μg~80μg、20μg~60μg、30μg~60μg、35μg~50μg、5μg~50μg、及び10μg~25μg、例えば、20μg、25μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、及び100μgが挙げられる。
【0110】
前述の製剤は、任意選択で、ハードカプセル製剤として存在し得る。したがって、本明細書における開示の別の態様は、例えば、経口投与のための、25-ヒドロキシビタミンD化合物を含有する徐放性ハードカプセル製剤である。製剤はまた、任意選択で、遅延放出特性を有し得る。本明細書に記載の方法のいずれかでは、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、本明細書に記載のハードカプセル製剤の形態で投与され得る。
【0111】
25-ヒドロキシビタミンDのハードカプセル製剤は、25-ヒドロキシビタミンDを必要とするあらゆる患者を治療するために使用され得る。ビタミンDの補給を必要とする患者には、健常な対象、ビタミンDの不足又は欠乏のリスクがあるか、それを有する対象、例えば、ステージ1、2、3、4、又は5のCKDを有する対象;ビタミンD強化ミルクを飲まない幼児、小児及び成人(例えば、乳糖不耐性の対象、牛乳アレルギーのある対象、牛乳を摂取しない菜食主義者、及び母乳で栄養を取る幼児);くる病を有する対象;肌の色が濃い対象(例えば、米国では、白人女性の4%と比較して15~49歳のアフリカ系アメリカ人女性の42%がビタミンD欠乏である);高齢者(日光に曝露されている間に皮膚でビタミンDを合成する能力が低下しており、また屋内に留まりやすい人);施設に収容された成人(アルツハイマー病又は精神疾患を有する対象を含む、屋内に留まりやすい人);露出する全ての皮膚を覆う対象(特定の宗教又は文化のメンバーなど);日焼け止めを常用している対象(例えば、日焼け防御指数(SPF)が8の日焼け止めを塗布すると、ビタミンDの産生が95%低減し、SPFが高いほど皮膚のビタミンD産生が更に低減する可能性がある);脂肪吸収不良症候群を有する対象(嚢胞性線維症、胆汁うっ滞性肝疾患、他の肝疾患、胆嚢疾患、膵臓酵素欠損症、クローン病、炎症性腸疾患、スプルー若しくはセリアック病、又は胃及び/若しくは腸の部分又は全部の外科的除去及び/若しくはバイパスを含むがこれらに限定されない);炎症性腸疾患を有する対象;クローン病を有する対象;小腸切除を受けた対象;歯周病を有する対象;フェニトイン、フォスフェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、及びリファンピンを含むビタミンDの異化作用を増加させる薬を服用している対象;コレスチラミン、コレスチポール、オルリスタット、鉱油、及び脂肪代替物を含むビタミンDの吸収を低減させる薬を服用している対象;ケトコナゾールを含むビタミンDの活性化を阻害する薬を服用している対象;コルチコステロイドを含むカルシウム吸収を低下させる薬を服用している対象;肥満を有する対象(体脂肪貯蔵部に蓄えられたビタミンDは生物学的利用能が低い);骨粗鬆症を有する対象及び/又は閉経後の女性が含まれる。ビタミンDの食事摂取基準に関する医学研究所の報告によると、食物消費データは、若年及び高齢女性の両方のビタミンD摂取量の中央値が現在の推奨値を下回っていることを示唆しており、データは、若年及び高齢女性の50%超が、推奨量のビタミンDを摂取していないことを示唆している。
【0112】
他の態様では、本発明の組成物及び方法は、ビタミンD応答性疾患、すなわち、ビタミンD,25-ヒドロキシビタミンD又は活性型ビタミンD(例えば、1,25-ジヒドロキシビタミンD)が疾患の発症若しくは進行を予防するか、又は疾患の兆候若しくは症状を低減する疾患の予防的又は治療的処置に有用である。そのようなビタミンD応答性疾患には、がん(例えば、乳がん、肺がん、皮膚がん、黒色腫、結腸がん、結腸直腸がん、直腸がん、前立腺がん、及び骨がん)が含まれる。1,25-ジヒドロキシビタミンDは、多くの細胞についてインビトロでの細胞分化を誘導し、かつ/又は細胞増殖を阻害することが観察されている。ビタミンD応答性疾患には、自己免疫疾患、例えば、I型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性筋炎、皮膚筋炎、硬化性皮膚炎、線維症、グレーブス病、橋本病、急性又は慢性移植片拒絶、急性又は慢性移植片対宿主疾患、炎症性腸疾患、クローン病、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、湿疹及び乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎及び/又は慢性皮膚炎を含む皮膚炎も含まれる。ビタミンD応答性疾患には、他の炎症性疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、多発性嚢胞腎、多嚢胞性卵巣症候群、膵炎、腎炎、肝炎及び/又は感染症も含まれる。ビタミンD応答性疾患には、高血圧及び心血管疾患も含まれることが報告されている。したがって、本発明は、心血管疾患のリスクがあるか、又は罹患している対象、例えば、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、心筋梗塞、心筋虚血、脳虚血、脳卒中、うっ血性心不全、心筋症、肥満又は他の体重障害、脂質障害(例えば、高脂血症、関連する糖尿病性脂質異常症及び混合型脂質異常症を含む脂質異常症、低アルファリポタンパク血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、及び低HDL(高密度リポタンパク質))、代謝障害(例えば、メタボリックシンドローム、II型真性糖尿病、I型真性糖尿病、高インスリン血症、耐糖能障害、インスリン抵抗性、神経障害、腎症、網膜症、糖尿病性足潰瘍及び白内障を含む糖尿病性合併症)、及び/又は血栓症を有する対象の予防的又は治療的処置を企図する。
【0113】
ビタミンD化合物のレベルの調節から利益を得ることができる疾患には、(i)副甲状腺では-副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、二次性副甲状腺機能亢進症、(ii)膵臓では-糖尿病、(iii)甲状腺では-髄様がん、(iv)皮膚では-乾癬、創傷治癒;(v)肺では-サルコイドーシス及び結核、(vi)腎臓では-慢性腎臓病、低リン血症性VDRR、ビタミンD依存性くる病、(vii)骨では-抗けいれん治療、骨線維形成不全症、嚢胞性線維性骨炎、骨軟化症、骨粗鬆症、骨減少症、骨硬化症、腎性骨萎縮症、くる病、(viii)腸内では-グルココルチコイド拮抗作用、特発性高カルシウム血症、吸収不良症候群、脂肪便症、熱帯性スプルー、並びに(ix)自己免疫障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
実施形態では、ビタミンD化合物のレベルの調節から利益を得る疾患は、がん、皮膚障害(例えば、乾癬)、副甲状腺障害(例えば、副甲状腺機能亢進症及び二次性副甲状腺機能亢進症)、骨障害(例えば、骨粗鬆症)及び自己免疫障害から選択される。実施形態では、ハードカプセル25-ヒドロキシビタミンD製剤は、SARS-CoV-2感染症の治療に使用され得る。実施形態では、ハードカプセル製剤は、慢性腎臓病、任意選択で、ステージ3、4、又は5のCKD、任意選択でステージ3又は4のCKD、任意選択で、ステージ5のCKDを有する患者、及び任意選択で、血液透析を受けている患者における二次性副甲状腺機能亢進症の治療に使用され得る。25-ヒドロキシビタミンDのハードカプセル製剤は、血清iPTHレベルの低下に使用され得る。
【0115】
限定するものではないが、本明細書に記載の製剤及び剤形は、慢性腎臓病(ステージ3、4、又は5)及び二次性副甲状腺機能亢進症を有する患者を治療するため、並びにビタミンD不足及びCOVID-19に関連する症状を治療するために使用され得る。製剤は、CKD患者における副甲状腺ホルモンの有効な低減を達成するため、及び/又はSARS-CoV-2に感染した患者を治療するために、長時間にわたってカルシフェジオールの制御放出に特に有用である。ハードカプセル製剤はまた、投与後最初の2時間でのAPIの早期放出を予防するのにも効果的である。したがって、本発明は、2相の酸性/中性条件下、例えばpH1.2又は1.5で2時間、次いでpH6.5又は6.8の緩衝化された水性媒体に移す条件下でインビトロ溶解プロファイルを有するカルシフェジオールの徐放性剤形を含み、最初の2時間の間に、約5%未満、又は約4%、又は約3%、又は約2%、又は約1%のカルシフェジオールが放出される。一態様では、溶解方法は、pH1.5で2時間、次いでpH6.5の緩衝媒体に移すことができる。別の態様では、溶解方法は、pH1.2で2時間、次いでpH6.8の緩衝媒体に移すことができる。例えば、溶解方法は、装置1又は2及び方法Bを使用し、任意選択で装置2を使用するUSP-NF方法<711>(1000mLの0.1NのHClを37℃2で時間、排出し、次いで1000mLのpH6.8リン酸緩衝液を添加する)に従い得る。その後、pH6.8の緩衝媒体では、カルシフェジオールの放出は、4時間で最大約40%又は36%(2相溶解試験手順の開始から測定)、6時間で少なくとも60又は62%、及び8時間で少なくとも80又は84%であり得る。実施形態では、剤形は、カプセル、任意選択でハードカプセルであり得る。溶解条件は、本明細書に更に記載される標準的な条件であり得る。
【0116】
ハードカプセル製剤の1つの型は、親油性(任意選択でワックス状)充填剤、乳化剤、及び吸収促進剤、例えば、上記のワックスベースのマトリックス製剤と同一又は類似のものを含むか、又はワックスを省略し、代わりにより高濃度の他の親油性放出剤を含む、放出修飾剤を有する。マトリックスは、室温及び人体の正常な体温の両方で固体又は半固体であり得る。それはゆっくりと実質的に一定の様式で放出を開始し、少なくとも4時間、又は少なくとも8時間、又は少なくとも10時間、又は少なくとも12時間、任意選択で、4~24時間、又は6~20時間、又は8~18時間、又は10~16時間、又は約12時間の期間で活性物質を制御放出する。放出機序は、例えば、下部小腸及び/又は結腸の管腔の内容物への、機械的浸食及び/又は漸進的崩壊によって支配され得る。
【0117】
ハードカプセルシェルは、ハードゼラチンカプセル及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、任意の好適な組成物から作製され得る。HPMCカプセルは、任意選択で、他の薬剤、例えば、ゲル化剤又はゲル化助剤で修飾され得る。ハードカプセルシェルは、約0.01~約10重量%のゲル化剤を含み得る。ゲル化剤は、ジェランガムを含み得る。
【0118】
米国特許第5,264,223号及び同第5,431,917号は、HPMCをカラギーナンなどのゲル化剤とともに使用することによって産生されたカプセルを記載している。かかるカプセルの産生は、ゼラチンカプセルと同様の温度設定で行われると主張されていた。Shionogi Qualicaps Co.(Japan)は、ゲル化助剤としてのカラギーナン(例えばカッパ及び/又はイオタカラギーナン)及びゲル化促進剤としての塩化カリウムを含有するHPMCカプセルを産生する。米国特許第6,410,050B1号は、ペクチン及びグリセリンを含有するセルロースカプセル(HPMCを含む)を記載している。米国特許第6,517,865B2号は、ジェランガムなどの親水コロイド及び金属イオン封鎖剤(EDTA、クエン酸ナトリウム、及びクエン酸など)を含むHPMCカプセルを記載している。例えば、それは、2~10%の含水量、及び2%水溶液中で20℃で測定された3~15cpsの粘度を有する少なくとも1つのセルロースエーテルを90~99.98重量%、ジェランガムを0.01~5重量%、並びにEDTA、クエン酸ナトリウム、クエン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属イオン封鎖剤を0.01~8重量%有するカプセル材料を記載している。例えば、2~10%の含水量、及び2%水溶液中で20℃で測定された3~15cpsの粘度を有する、少なくとも1つのセルロースエーテル、任意選択で、HPMC、並びにジェランガム、任意選択で、約0.01~約10重量%、又は約1%~約8%、又は約2%~約7%、又は約4%~約6%、又は約5重量%の量のジェランガムを含有するHPMCカプセルを使用することが企図される。かかるゼラチン化HPMCカプセルは、ゼラチン化助剤を含まないHPMCカプセルと比較して、例えば、胃内で破裂又は崩壊時間がより遅くなると考えられている。更に、又は代替的に、HPMCカプセルは、胃環境におけるカプセルシェルの溶解又は崩壊を遅延又は予防するための腸溶性コーティングを含み得る。酸性媒体での溶解に抵抗し、中性及びアルカリ性媒体で溶解する腸溶性コーティング材料が知られており、例えば、アクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、セラック、セルロースアセテートトリメリテート、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、並びにエチルセルロース、中鎖トリグリセリド、オレイン酸、アルギン酸ナトリウム、及びステアリン酸の混合物を含むコーティング溶液が含まれる。ゲル化剤を含まないか、又はそのパーセンテージが小さい(例えば、0~4%w/w)のハードカプセルは、任意選択で、腸溶性コーティングされ、投薬後0~2時間で最小限からゼロの放出を達成することができる。
【0119】
ハードゼラチンシェル中に25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、本明細書に記載の任意のもの、例えば固体又は半固体組成物、任意選択でワックスマトリックスを含み得る。ワックスの量は、固体又は半固体組成物の重量に基づいて、約20重量%~約36重量%であり得る。ワックスマトリックスのワックスは、非消化性ワックス、任意選択で、パラフィンワックスを含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、油性ビヒクルを、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約25重量%~約41重量%の量で更に含み得る。油性ビヒクルは、非消化性油、任意選択で鉱油を含むか、又はそれからなり得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、安定化剤を、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約2重量%~約18重量%の範囲の量で更に含み得る。安定化剤は、セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、乳化剤を、例えば、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約10重量%~約26重量%の範囲の量で更に含み得る。乳化剤は、例えば、長鎖の飽和及び不飽和脂肪酸のモノ及びジグリセリルエステルを含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、吸収促進剤を、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約3重量%~約17重量%の範囲の量で更に含み得る。吸収促進剤は、グリセロールの脂肪酸エステル及びペグエステル、任意選択で、ラウロイルポリオキシグリセリドを含むか、又はそれらからなり得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、25-ヒドロキシビタミンDのための溶媒を、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約0.2重量%~約6重量%の範囲の量で更に含み得る。溶媒は、アルコール、任意選択で、エタノールを含むか、又はそれからなり得る。ハードカプセル剤形は、例えば、約0.1μg~約2mgの範囲の量で25-ヒドロキシビタミンD化合物を含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物は、25-ヒドロキシビタミンD3を含むか、又はそれからなり得る。剤形は、例えば、6μg~500μgの生物学的利用可能な25-ヒドロキシビタミンDを含み得る。ハードカプセル剤形は、ステージ3、4又は5の慢性腎臓病を有する患者における二次性副甲状腺機能亢進症を治療するために使用され得る。
【0120】
カルシフェジオールハードカプセル製剤は、カプセルシェルに流動性材料を充填すること、又はカプセルシェルに固体若しくは半固体材料の塊若しくはスラグを充填すること、又は固体若しくは半固体の塊をシェル組成物でエンロービング又はコーティングすることを含む、任意の好適な方法によって調製され得る。ハードカプセルのサイズは、パラフィン及び他の賦形剤の特定の充填比に応じて、例えば、サイズ3~サイズ4に調整され、薬物の放出を更に制御し得る。
【0121】
以下の表に、様々な割合の賦形剤を含む25-ヒドロキシビタミンDのHPMCハードカプセル製剤の例を示す(全てのパーセンテージは、カプセル中の充填材料の重量に基づいている)。
【表2】
【0122】
実験計画法(DOE)研究を実施し、パラフィンワックスを製剤の20~40重量%(シェル材料を含まない)、ラウロイルポリオキシグリセリドを4.75~14.75%、モノグリセリド及びジグリセリドを22.5~12.5%、並びにHPMCを6~14%に変化させた。鉱油は、全ての製剤において30%に一定に保たれた。このDOEから、Rayaldee(登録商標)ERC製剤よりも遅いインビトロ放出プロファイルを達成するには、パラフィンワックスのパーセンテージを35%超、ラウロイルポリオキシグリセリドを約4.75%にし得ることがわかった。
【0123】
以下の表に、追加のワックスベースのハードカプセル製剤、植物ベースのカプセルシェルを備えたRayaldee(登録商標)型ソフトカプセル製剤(参照)、及び修飾ワックスベースのソフト植物ベースカプセル製剤の例を提供する。ソフトカプセルは、例えば、修飾デンプン及びイオタカラギーナンを含有するOptiShell(登録商標)植物ベースのカプセルであり得る。
【表3】
【0124】
下の表に記載されているのは、ゼラチン化されたHPMCカプセルシェルを備えた、25-ヒドロキシビタミンDの別のハードカプセル製剤である。ジェランガムは親水性ポリマーであり、上記参照ソフトカプセル製剤の植物カプセルシェルに使用されるカラギーナンと同様の特性を有する。ゼラチン化HPMCカプセルは、非ゼラチン化HPMCカプセルよりも胃内での破裂/崩壊時間が遅くなる。
【表4】
【0125】
組成物は、サイズ4のゼラチン化HPMCカプセルシェル、例えばジェランガムを含有するHPMCカプセルに充填することができる。
【0126】
したがって、本明細書の開示の別の態様は、25-ヒドロキシビタミンDのゼラチン化HPMCハードカプセル製剤である。製剤は、単位用量当たり0.1μg~約2mgの25-ヒドロキシビタミンD化合物、任意選択で25-ヒドロキシビタミンD2及び/又は25-ヒドロキシビタミンD3を含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物の量は更に、約1μg~約1mg、又は約10μg~約900μg、又は約20μg~約600μg、又は約30μg~約300μg又は約60μg~約300μgの範囲、例えば、約20μg、又は約25μg、又は約30μg、又は約40μg、又は約50μg、又は約60μg、又は約70μg、又は約80μg、又は約200μg、又は約300μg、又は約600μg、又は約900μgであり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約20重量%~約36重量%のワックス、任意選択で、非消化性ワックス、例えばパラフィンワックスを含み得る。ワックスの量は更に、約22重量%~約34重量%、又は約24重量%~約32重量%、又は約26重量%~約30重量%の範囲、例えば、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、又は約33重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約25重量%~約41重量%の油性ビヒクル、任意選択で、上記の油性ビヒクル、例えば非消化性油、例えば鉱油を含み得る。油性ビヒクルの量は更に、約27重量%~約39重量%、又は約29重量%~約37重量%、又は約31重量%~約35重量%の範囲、例えば、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、又は約37重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約2重量%~約18重量%の安定化剤、任意選択で、上記の安定化剤、例えばセルロースエーテル、例えばヒプロメロースを含み得る。安定化剤の量は更に、約4重量%~約16重量%、又は約6重量%~約14重量%、又は約8重量%~約12重量%の範囲、例えば、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、又は約13重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約10重量%~約26重量%の乳化剤、任意選択で、上記の乳化剤、例えば、長鎖飽和及び不飽和脂肪酸のモノ及びジグリセリルエステルを含む混合物、例えば、モノ及びジグリセリドNFを含み得る。乳化剤の量は更に、約12重量%~約24重量%、又は約14重量%~約22重量%、又は約16重量%~約20重量%の範囲、例えば、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、又は約23重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約3重量%~約17重量%の吸収促進剤、任意選択で上記の吸収促進剤、例えばグリセロールの脂肪酸エステル及びペグエステル、例えば、ラウロイルポリオキシグリセリド(44/14)を含み得る。吸収促進剤の量は更に、約5重量%~約15重量%、又は約7重量%~約13重量%、又は約9重量%~約11重量%の範囲、例えば、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、又は約13重量%であり得る。25-ヒドロキシビタミンD活性物質は、製剤中に約0.2重量%~約6重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約1重量%~約4重量%、又は約2重量%~約4重量%、例えば、約1.5重量%、又は約2.0重量%、又は約2.5重量%、又は約3重量%、又は約3.5重量%、又は約4重量%の量で存在するアルコール担体、例えばエタノールに溶解することができる。製剤は、少量の防腐剤、例えば抗酸化剤、例えばBHTを、例えば約0.005重量%~約1重量%、又は約0.01重量%~約0.05重量%の範囲、例えば、約0.02重量%含み得る
【0127】
別のハードカプセル製剤型では、ワックスを省略でき、例えば、乳化剤及び/又は吸収促進剤の濃度を増加させることができる。製剤は、単位用量当たり0.1μg~約2mgの25-ヒドロキシビタミンD化合物、任意選択で25-ヒドロキシビタミンD2及び/又は25-ヒドロキシビタミンD3を含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物の量は更に、約1μg~約1mg、又は約10μg~約900μg、又は約20μg~約600μg、又は約30μg~約300μg又は約60μg~約300μgの範囲、例えば、約20μg、又は約25μg、又は約30μg、又は約40μg、又は約50μg、又は約60μg、又は約70μg、又は約80μg、又は約200μg、又は約300μg、又は約600μg、又は約900μgであり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約25重量%~約50重量%の油性ビヒクル、任意選択で、上記の油性ビヒクル、例えば非消化性油、例えば鉱油を含み得る。油性ビヒクルの量は更に、約25重量%~約45重量%、又は27重量%~約45重量%、又は27重量%~約39重量%、又は約29重量%~約37重量%、又は約31重量%~約35重量%の範囲、例えば、約30重量%、約32重量%、約34重量%、約36重量%、約38重量%、約40重量%、約42重量%、約44重量%、又は約46重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約2重量%~約20重量%の安定化剤、任意選択で、上記の安定化剤、例えばセルロースエーテル、例えばヒプロメロースを含み得る。安定化剤の量は更に、約4重量%~約16重量%、又は約6重量%~約14重量%、又は約8重量%~約12重量%の範囲、例えば、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、又は約14重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約15重量%~約45重量%の乳化剤、任意選択で、上記の乳化剤、例えば、長鎖飽和及び不飽和脂肪酸のモノ及びジグリセリルエステルを含む混合物、例えば、モノ及びジグリセリドNFを含み得る。乳化剤の量は更に、
【0128】
約17重量%~約42重量%、若しくは18重量%~約40重量%、若しくは20重量%~約36重量%、若しくは20重量%~約34重量%、若しくは約20重量%~約32重量%、若しくは約20重量%~約30重量%、若しくは約22重量%~約28重量%の範囲、又は例えば、約18重量%、約20重量%、約22重量%、約24重量%、約26重量%、約28重量%、約30重量%、約32重量%、約34重量%、約36重量%、若しくは約40重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約8重量%~約22重量%の吸収促進剤、任意選択で上記の吸収促進剤、例えばグリセロールの脂肪酸エステル及びペグエステル、例えば、ラウロイルポリオキシグリセリド(44/14)を含み得る。吸収促進剤の量は更に、約8重量%~約20重量%、又は約9重量%~約18重量%、又は約10重量%~約16重量%の範囲、例えば、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、又は約16重量%であり得る。25-ヒドロキシビタミンD活性物質は、製剤中に約0.2重量%~約6重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約1重量%~約4重量%、又は約2重量%~約4重量%、例えば、約1.5重量%、又は約2.0重量%、又は約2.5重量%、又は約3重量%、又は約3.5重量%、又は約4重量%の量で存在するアルコール担体、例えばエタノールに溶解することができる。製剤は、少量の防腐剤、例えば抗酸化剤、例えばBHTを、例えば約0.005重量%~約1重量%、又は約0.01重量%~約0.05重量%の範囲、例えば、約0.02重量%含み得る
【0129】
別の態様では、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、小児患者への投薬に好適なかかる製剤を含む国際(PCT)出願公開第2020/044314A1号に記載の製剤の形態で投与され得る。
【0130】
かかる製剤は、ポリマーネットワークに埋め込まれたビタミンD化合物、任意選択で25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含み得る。ポリマーは水不溶性であり得、任意選択で膨潤性であり得る。実施形態では、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0131】
かかる製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む球状化ペレット製剤を含み得る。実施形態では、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。実施形態では、製剤は、遅延放出製剤又は遅延持続放出製剤であり得る。球状化ペレットは、任意選択で腸溶性コーティングされたカプセルに入れることができる。あるいは、ペレットを腸溶コーティングすることができる。
【0132】
かかる製剤は、脂肪酸グリセリド混合物中に分散されたビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含むビタミンD製剤を含み得る。実施形態では、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0133】
かかる製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールと、薬学的に許容される賦形剤と、を含むナノ/マイクロ粒子製剤を含み得る。実施形態では、ナノ/マイクロ粒子製剤は、例えば、賦形剤として徐放性ポリマーを使用することにより、ビタミンD化合物の徐放を提供することができる。
【0134】
かかる製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールと、薬学的に許容される脂質と、を含む脂質微粒子製剤を含み得る。実施形態では、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0135】
かかる製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールと、薬学的に許容される賦形剤と、を含むノンパレルシード製剤を含み得る。実施形態では、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。実施形態では、賦形剤は、徐放性ポリマーコーティングを含むことができる。
【0136】
かかる製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールと、吸収促進剤、球状化助剤、水不溶性ポリマー、及び結合剤の群における1つ以上の賦形剤から選択される薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を含み得る。実施形態では、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0137】
かかる製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールと、徐放剤と、界面活性剤と、を含む噴霧凝固させた脂質ビタミンD製剤を含み得る。実施形態では、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0138】
ハードカプセル又はソフトカプセルのいずれかのシェル組成物は、好ましい実施形態では、低pH環境で安定な組成物であり得る。
【0139】
本明細書に記載の25-ヒドロキシビタミンDの投与及びCOVID-19の治療は、追加の療法の存在下又は非存在下で実施され得る。例えば、COVID-19の追加治療には、抗ウイルス薬、抗マラリア薬(クロロキン、ヒドロキシクロロキン)、及び抗生物質のクラスにおける1つ以上の化合物を含み得る。別の例として、ビタミンD作用の増強のための薬剤、例えば25-ヒドロキシビタミンD化合物及び1,25-ジヒドロキシビタミンD化合物の異化作用を遅らせることができるCYP24阻害剤を投与し得る。
【0140】
抗ウイルス剤には、抗レトロウイルス剤、SARS-CoV-2ウイルスに対する抗体、逆転写酵素の阻害剤が含まれ、マラビロック、エンフビルチド、アマンタジン、ラミブジン、ネビラピン、エファビレンツ、ドルテグラビル、エルビテグラビル、ラルテグラビル、アシクロビル及びアシクロビルのヌクレオシド類似体、ガンシクロビル、シドフォビル、フォルカルネット、リバビリン、インターフェロンアルファ、ペグ化インターフェロンアルファ、ボセプレビル、アタザナビル、ダルナビル、インジナビル、オセルタミビル、ザナミビル、リマンタジン、ペレミビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、テノホビル、アデフォビル、エンテカビル、ラミブジン、テルビブジン、リバビリン、グレカプレビル、グラゾプレビル、パリタプレビル、シメプレビル、ボキシラプレビル、ダクラタスビル、エルバスビル、レディパスビル、オンビタスビル、ピブレンタスビル、ベルパタスビル、ダサブビル、ファムシクロビル、レムデシビル、トリフルリジン並びにソフォブビルのうちの1つ以上が含まれ得る。他の抗ウイルス剤には、ウイルス/非ウイルス標的を標的とすることができるペプチドベースの化合物、及びウイルス/非ウイルス標的を標的とすることができるDNAベースの化合物が含まれる。
【0141】
組み合わせのための抗ウイルス剤は、例えば、GlaxoSmithKlineのRetrovir(登録商標)(3’-アジド-3’-デオキシピリミジン、ジドブジン)及び3’-アジド-3’-デオキシチミジン(AZT)、Hoffmann-LaRocheのHMD(登録商標)(2’,3’-ジデオキシシチジン、ザルシタビン)、Bristol Myers-SquibbのVidex(登録商標)又はVidexEC(登録商標)(2’,3’-ジデオキシイノシン、ジダノシン)、GlaxoSmithKlineのEpivir(登録商標)(ラミブジン)、Bristol Myers-SquibbのZerit(登録商標)(スタブジン)、GileadのViread(登録商標)(テノホビルDF)、GlaxoSmithKlineのziagen(登録商標)(アバカビル)、Gilead SciencesのEmtriva(登録商標)(エムトリシタビン、FTC);又は非ヌクレオシド類似体、例えば、Pfizerのrescriptor(登録商標)(デラビルジン)、Bristol Meyer SquibbのSustiva(登録商標)(エファビレンツ)、Boehringer-Ingelheimのviramune(登録商標)(ネビラピン、11-シクロプロピル-4-メチル-5,11-ジヒドロ-6H-ジピリド[3,2-b:2’,3’-e][1,4]ジアゼピン-6-オン)、ホスホノギ酸三ナトリウム、アンモニウム-21-タングステンナト-9-アンチモネート、1-β-D-リボフラノキシル-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;ウイルス又はレトロウイルスプロテアーゼの阻害剤、例えばウイルスアスパラギン酸プロテアーゼの阻害剤、例えばGlaxoSmithKlineのAganerase(登録商標)(アンプレナビル)、Bristol-MyersSquibbのreyataz(登録商標)(アタザナビル)、GSKのlexiva(登録商標)(フォサンプレナビル)、Merck&CoのCrixivan(登録商標)(インジナビル)などのHIVプロテアーゼの阻害剤;AgouronのViracept(登録商標)(ネルフィナビル)、AbbottのNorvir(登録商標)(リトナビル);Hoffmann-LaRocheのFortovase(登録商標)及びInvirase(登録商標)(サキナビル);及びラシナビル(5(S)-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4(S)-ヒドロキシ-6-フェニル-2(R)(2,3,4-トリメトキシフェニルメチル)-ヘキサノイル-(L)-バリル-N-(2-メトキシ-エチル)-アミド)、アドリアマイシン、GlaxoWellcomeのKVX-478などの他の化合物;VertexのVX-478;Kissei Pharmaceuticalsの141W94;AgouronのAG-1343;Nippon MiningのKNI-272;UpjohnのU-96988;Boehringer-IngelheimのBILA-2011BS(パリナビル);例えば、ポリマンノアセテートなどのウイルス侵入を防止する化合物;例えば、Hofffmann-LaRocheのFuzeon(登録商標)(エンフビルチド、T-20)などの融合阻害剤;又は、GlaxoKlineSmithのEpzicom(登録商標)(アバカビル及びラミブジン)、GlaxoKlineSmithのTrizivir(登録商標)(アバカビル、ラミブジン及びジドブジン)、Gilead SciencesのTruvada(登録商標)(エムトリシタビン及びテノフィルDF)、GlaxoKlineSmithのCombivir(登録商標)(ラミブジン及びジドブジン)、AbbottのKaletra(登録商標)(ロピナビル及びリトナビル)などの任意の組み合わせのうちの1つ以上であり得る。
【0142】
抗菌剤には、スルホンアミド、クロロフェニコールなどのアンフェニコール、スペクチノマイシン、トリメトプリム、チジェンサイクリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、リネゾリド、デオキシクリン、イミペネムなどのカルバペネム、メロペネム、アズトレオナム、チカラシリンクルブネート、ピペラシイン-タゾバクタム、セファロスポリン、例えば、セフトリアキソン、セフタジジム、及びセフェピム、ゲンタマイシン、トブラマイシン、及びアミカシン、ケトライド、アキサキン(ロメフロキサシン)、フロキシン(オフロキサシン)、ノロキシン(ノルフロキサシン)、テキン(ガチフロキサシン)、シプロ(シプロフロキサシン)、アベロックス(モキシフロキサシン)、レバキン(レボフロキサシン)、ファクティブ(ゲミフロキサシン)、シノバック(シノキサシン)、ネグラム(ナリジクス酸)、トラバン(トロバフロキサシン)、及びザガム(スパルフロキサシン)を含むキノロン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、及びオキシフロキサシンなどのフルオロキノロン、バンコマイシン、ポリミキシンB及びコリスチンなどのポリミキシン、セファロスポリン、カルベペネム、アキサキン(ロメフロキサシン)、フロキシン(オフロキサシン)、ノロキシン(ノルフロキサシン)、テキン(ガチフロキサシ)、シプロ(シプロフロキサシン)、アベロクス(モキシフロキサシン)、レバキン(レボフロキサシン)、ファクティブ(ゲミフロキサシン)、シノビック(シノキサシン)、ネグラム(ナリジクス酸)、トラバン(トロバフロキサシン)、及びザガム(スパルフロキサシン)を含むマクロライド、バンコマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リコサミド、ムピロシン、リファンピン、エタンブトール、ピラジナミド、バシトラシン、ポリミキシン、スルホンアミド、グリコペプチド及びニトロイミダゾール、チカルシリン、カルボキシペニシリン、フェニコール、テトラサイクリン、ストレプトグラミン、オキサゾリジノン、クロラムフェニコール、リファマイシン、並びにペニシリン、例えば、ペニシリンV、ペニシリンG、プロカインペニシリンG、ベンザチンペニシリンG、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン及びフルクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、プロピシリン、フェネシリン、アジドシリン、クロメトシリン、及びペナメシリン、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。
【0143】
別の態様では、治療は、コルチコステロイド、例えば、クラスA(ヒドロコルチゾン型)、クラスB(トリアムシノロンアセトニド型)、クラスC(ベタメタゾン型)、及びクラスD(ヒドロコルチゾン-17-ブチレート及びクロベタゾン-17-ブチレート型)における1つ以上の投与を含み得る。例えば、コルチコステロイドには、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ブデソニド、フルオシノロン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、及びモメタゾンが含まれ得る。プレドニゾン、プレドニゾロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(登録商標)、Qvar(登録商標)、Vanceril(登録商標))、トリアムシノロンアセトニド(Azmacort(登録商標))、モメタゾン(Asthmanex(登録商標))、ブデソニド(Pulmocort(登録商標)、Symbicort(登録商標))、フルニソリド(Aerobid(登録商標))、サルメテロールを伴うフルチカゾン(Adviar(登録商標))、及びフマル酸ホルモテロール二水和物を伴うフロ酸モメタゾン(Dulera(登録商標))などのコルチコステロイドは、吸入によって送達され得る。
【0144】
対象は、マウス及びハムスターなどの齧歯目の哺乳動物、並びにウサギなどの兎形目の哺乳動物、ネコ科(ネコ)及びイヌ科(イヌ)を含む食肉目からの哺乳動物、ウシ科(ウシ)及びイノシシ科(ブタ)を含む偶蹄目の哺乳動物、又はウマ科(ウマ)を含む奇蹄目の哺乳動物を含むが、これらに限定されない哺乳動物であり得る。いくつかの態様では、哺乳動物は、霊長目、Ceboid目又はSimoid目(サル)に属するか、又は真猿亜目(ヒト及び類人猿)に属する。いくつかの態様では、哺乳動物は、ヒトである。
【0145】
様々な態様では、対象は、SARS-CoV-2に感染している。様々な態様では、対象は、SARS-CoV-2感染症と診断されている。場合によっては、診断は、臨床徴候及び症状に関係なく、臨床検査に基づくことができる。例えば、診断は、喉のぬぐい検体試料での陽性のウイルス核酸検査結果に基づくことができる。態様では、対象は、ウイルス核酸検査ではなく、症状及び曝露のみに基づいて、SARS-CoV-2感染症であると臨床的に診断される。様々な態様では、臨床的に診断された対象は、コロナウイルス肺炎と一致する肺画像化特徴の存在を示す対象である。様々な場合では、対象は、SARS-CoV-2に感染した対象であり、診断されておらず、そうでなければ感染症に気づいていない。場合によっては、対象は、無症候性であり得る。
【0146】
様々な態様では、患者のベースライン血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルは、約30ng/mL未満、又は約20ng/mL未満、又は20ng/mLから30ng/mLの範囲、又は約20ng/mLから約25ng/mLの範囲であり得る。
【0147】
様々な態様では、対象は、以下の症状、発熱、疲労、咳、及び/又は呼吸困難のうちの1つ以上を示す。例示的な場合では、対象は、肺炎又は肺炎様症状を示す。任意選択で、対象は、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)と診断されている。COVID-19の確認された症例のWorld Health Organizationの定義は、臨床的徴候及び症状に関係なく、臨床検査によってSARS-CoV-2に感染していることが示された人である。様々な場合では、対象は、少なくとも又は50歳以上、60歳、70歳、又は80歳である。様々な態様では、対象は、心血管疾患、真性糖尿病、肥満、高血圧、慢性肺疾患、がん、慢性腎臓病(CKD)を含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの基礎疾患を有する。任意選択で、その対象はステージ3又はステージ4のCKDを有する。任意選択で、対象は、ステージ5のCKDを有する。任意選択で、患者は、少なくとも15mL/分/1.73m2のeGFRを有し、更に任意選択で、60mL/分/1.73m2未満のeGFRを有する。様々な態様では、患者は、透析療法、例えば血液透析療法を受けている。
【0148】
化合物及び方法は、別段記載しない限り、追加の任意選択の要素、特徴、及び以下に更に記載される(図面に示されるものを含む)ステップのうちの1つ以上の任意の組み合わせを含む、実施形態を含むことが企図される。
【0149】
人体に対して実施される方法の特許を禁止する管轄区域においては、組成物のヒト対象への「投与」の意味は、ヒト対象が任意の手法(例えば、経口、吸入、局所適用、注射、挿入など)で自己投与するであろう制御された物質を処方することに限定されるものとする。特許可能な主題を定義する法律又は規制と一致する最も広い合理的な解釈が意図されている。人体に対して実施される方法の特許を禁止しない管轄区域では、組成物の「投与」は、人体に対して実施される方法及び前述の活動の両方を含む。
【0150】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、指定されたものに加えて、他の薬剤、要素、ステップ、又は特徴を含む可能性を示す。
【実施例
【0151】
以下の実施例は、例示のために提供され、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0152】
実施例1
これは、「ドライブスルー」検査センターに来院しているSARS-CoV-2患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)として市販されている)の二重盲検ランダム化プラセボ対照試験である。
【0153】
目的は、SARS-CoV-2感染患者における血清総25-ヒドロキシビタミンDを十分に高いレベルまで急速に上昇させるか、又は十分に高い血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを維持することにより、以下のうちの1つ以上によって証明される転帰の改善がもたらされることを実証することである。(1)プラセボと比較して、14日間又は20日間又は21日間、1日2回、記録された4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用する6つの症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛及び発熱)によって証明されるCOVID-19疾患の重症度及び期間(Treanor et al.,JAMA vol.283, no.8, February 23,2000)、(2)プラセボと比較して、SARS-CoV-2感染症による入院数の顕著な減少、(3)プラセボと比較して、SARS-CoV-2感染症による死亡率の顕著な減少、(4)プラセボと比較して、SARS-CoV-2感染症による入院期間の顕著な減少、及び(5)プラセボと比較して、2週間、20日間、又は3週間にわたるウイルス力価のより急速な低下、及び(6)プラセボと比較して、2週間、20日間、又は3週間にわたる血清抗SARS-CoV-2抗体価のより急速な低下。上昇した血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルは、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超である。別の目的は、ERCの900μgの負荷用量及び60μg/日の維持用量が、プラセボと比較して、血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを少なくとも50ng/mLまで迅速に確実に増加させ、維持することを実証することである。
【0154】
別の目的は、ERC処置がSARS-CoV-2感染患者の先天性免疫及び適応免疫応答の血清バイオマーカーを高めることを実証することである。別の目的は、ERC処置が、プラセボ群のSARS-CoV-2感染患者と比較して、末梢血単核細胞における急性、亜急性、及び遅発性炎症反応関連のメチローム及びトランスクリプトームを加速させることを実証することであり、後者は、ERC処置された対象及びプラセボ処置された対象の対応する亜群におけるバルク及び単一細胞RNA配列決定が実施した。
【0155】
ほぼ等しい数の対象が、ERC群及びプラセボ群に属する。約83人の対象が、ERC処置群及びプラセボ群の各々に属し、合計で約166人の対象である。
【0156】
参加基準では、参加者は少なくとも18歳であり、過去3日以内にSARS-CoV-2に感染していることが確認されている必要がある。更に、参加者は、i)男性及び女性であり得、ii)18~70歳の間であり得、iii)排卵中の女性の場合は、登録時及び最初の治験薬用量を摂取する前に、尿試料によって妊娠検査が陰性であることが確認されている必要があり、iv)排卵中の女性が研究中に効果的な避妊法を使用する意思がある必要があり(女性の参加者は妊娠を避ける必要がある)、v)2週間の研究の経過中、正常な強化食品(例えば、牛乳)を除いて、ビタミンD栄養補助食品の使用を制限する意思がある必要があり、vi)全ての研究要件に準拠する能力を実証する必要があり、かつvii)安全性の評価を損なう可能性のある、若しくは験責任医師の意見で治験への参加を妨げる病状又は身体的状態がない必要がある。
【0157】
除外基準は、以下の次の基準のうちのいずれかを満たす対象が研究から除外されることを示している。i)妊娠中の人、ii)過去6ヶ月においてグルココルチコイド薬を服用している人、iii)副甲状腺機能亢進症、腎臓結石、高カルシウム尿症又は高カルシウム血症の病歴を有する人、iv)慢性肉芽腫形成疾患(サルコイドーシスなど)の病歴がある人、v)ビタミンD又は25-ヒドロキシビタミンDの吸収、分布、代謝、若しくは排泄を著しく変化させる可能性のある任意の外科的又は医学的状態(例えば、小腸切除)を有する人、vi)チアジド若しくは高用量の利尿薬による継続的な治療を受けている人、vii)採血時の血清クレアチニンのスクリーニングで60ml/分/1.73m2未満のeGFRと測定された腎障害を有する人、及び/又はviii)採血時に9.8mg/dL超の血清総カルシウム値を有する人、ix)既存若しくは差し迫った脱水症状の証拠を示す人、x)治験薬のいずれかの成分に対する過敏症があることが知られているか、若しくは疑われる人、及び/又はxi)現在、介入/調査研究に参加しているか、若しくは試験スクリーニング前の30日以内に介入/調査研究に参加したことがある人。試験の経過中に高カルシウム血症の徴候又は症状を報告し、血清カルシウムが10.3mg/dL超と確認された対象は、試験から除外され、無作為化の状態が担当の治験責任医師に開示され、適切な医療提供者に警告される。7日目又は14日目に血清総25-ヒドロキシビタミンDが100ng/mLを超える場合、投薬は中断される。
【0158】
処置群の適格な対象は、1日目に900μgの負荷用量で経口ERC(Rayaldee(登録商標)徐放性カルシフェジオールカプセル)を受け、続いて、その後の19日間(2~20日目)1日当たり60μgの維持用量を受ける。用量は、就寝時、又は少なくとも3時間絶食した後の別の時間に経口投与される。負荷用量後、対象は少なくとも3時間断食を続ける。
【0159】
プラセボ群の適格な対象は、処置群と同じスケジュールで経口類似製剤を受ける。
【0160】
(1)チアジド又は高用量の非チアジド系利尿薬、(2)脂溶性栄養素の吸収を損なう可能性のある薬剤、及び(3)1日当たり1.0gを超える元素カルシウムを提供する栄養補助食品を除いて、併用薬は許可されている。
【0161】
血液試料、スポット尿試料、鼻ぬぐい検体SARS-CoV-2力価レベル、及び血清抗SARS-CoV-2抗体力価は、以下に説明するように、研究中に定期的に取得される。血液試料は、以下について分析される。i)血清総25-ヒドロキシビタミンD、ii)無血清25-ヒドロキシビタミンD、iii)血清インタクト副甲状腺ホルモン(iPTH、25-ヒドロキシビタミンD不足による副甲状腺機能亢進症のマーカー)、iv)LL37、v)増強された先天性免疫の3つの循環バイオマーカー、エオタキシン、単球走化性タンパク質MCP1(CCL2としても知られる)、及びインターロイキン-12(IL-12)T細胞インターフェロンガンマ(IFN-γ)産生の強力な誘導因子、vi)SARS-COv-2感染症に対する適応免疫応答のマーカーとしての血清インターロイキン-6(IL-6)。採取された末梢血好中球及び単核単球(PBMC)は、蛍光活性化細胞選別(FACS)による差分細胞計数、免疫細胞表面マーカー表現型検査、並びに単球及び好中球におけるメチル化されていない転写活性遺伝子の「署名」を確認するためのデコンボリューション分析による差次的全ゲノムバイサルファイトDNA配列決定に供される。介入前後の比較臨床疾患重症度は、毎日のスコアリングによって評価される。スポット尿試料は、カルシウム:クレアチニン比(正常は0.2未満)について分析される。
【0162】
投薬期間中毎日、処置中の対象は、11段階NRS(正常な活動を実施することができない、0;正常な活動を完全に実施することができる、10)を使用して、通常の活動を実施する能力を日誌カードに記録する。処置中の対象は、11段階NRS(0、最悪の健康状態及び10、可能な限り最高の健康状態)で、正常なSARS-CoV-2以前の健康状態を含む全体的な健康状態の意見を記録し、これに続いて、ベースラインでの健康状態の評価を記録し、24時間にわたって1日1回夕方に記録する。対象はまた、1日2回、デジタル体温計で口腔体温を測り、記録する。追加の詳細は、以下の表及びスケジュールで説明されている。
【表5】
【0163】
0、1、7、14、及び21日目に採血し、表2に指定されているように分析する。試料は、SARS-CoV-2感染症、宿主の免疫状態、ビタミンD代謝に関連するバイオマーカーの分析のためにも収集される。
【0164】
全ての血清カルシウム値は、血清アルブミン値が4.0g/dL未満になるように調整される。1、7、14、及び21日目にスポット尿試料を取得し、表2に指定されているように分析する。-3~0、1、7、14、及び21日目に鼻ぬぐい検体試料を採取し、表2に指定されているように分析する。
【表6】
【0165】
研究活動は、以下で更に詳しく説明する。
【0166】
スクリーニング期間(-3~0日目)
スクリーニング訪問(訪問1/-3~0目)
スクリーニング訪問は、SARS-CoV-2感染症の検査の陽性から3日以内に行われる。身体検査(体重、身長及びBMI)及びバイタルサインの評価が実施される。SARS-CoV-2感染症の鼻ぬぐい検体を得る。血液試料は、臨床化学(フルパネル及びeGFR測定)、血液学、血清iPTH、及び血清総25-ヒドロキシビタミンDのために採取される。
【0167】
無作為化及び処置期間(1~20日目)
訪問2(1日目)
朝一番のボイドスポット尿の収集を実施する(訪問のタイミングによっては訪問前に行われる場合がある)。身体検査(体重、身長及びBMI)及びバイタルサインの評価が実施される。SARS-CoV-2感染症の鼻ぬぐい検体を得る。血液試料は、臨床化学(フルパネル及びeGFR決定)、血液学、バイオマーカー、PD及びPKパラメータ(表2を参照されたい)、抗SARS-CoV-2抗体価、並びに宿主免疫応答検出及び定量のための血液PBMC及び血清のために採取される。対象は、ERC又はプラセボでの処置に無作為化される。
【0168】
対象は、訪問時に、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛及び発熱)の重症度、及びデジタル温度計を使用して口腔体温を評価して日誌カードに記録する。
【0169】
対象は、少なくとも3時間絶食した後、「負荷用量」ボトルから割り当てられた医薬品のカプセルの900μgの用量を自己投与する。服用後少なくとも3時間は食事を摂らない。投薬は、日誌カードに記録される。
【0170】
対象は、就寝時に、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛、及び発熱)の重症度、11段階視覚的アナログNRS(0、正常な活動を実施できない;10、正常な活動を完全に実施できる)を使用して通常の活動を実施する能力、11段階NRS(0、最悪の健康状態;10、可能な限り最高の健康状態)を使用して全体的な健康状態の意見、及びデジタル体温計を使用して口腔体温を評価して日誌カードに記録する。
【0171】
2~6日目
2~6日目には、研究訪問又は手順は実施されない。対象は、朝、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛及び発熱)の重症度、及びデジタル温度計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。対象は、毎日就寝時に、割り当てられた「維持用量」ボトルから60μgの用量のカプセルを自己投与し、用量を日誌に記録する。対象は、就寝時に、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛、及び発熱)の重症度、11段階NRS(0、正常な活動を実施できない;10、正常な活動を完全に実施できる)を使用して通常の活動を実施する能力、11段階NRS(0、最悪の健康状態;10、可能な限り最高の健康状態)を使用して全体的な健康状態の意見、及びデジタル体温計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。
【0172】
訪問3(7日目)
対象は、朝、4段階NTRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛及び発熱)の重症度、及びデジタル温度計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。
【0173】
現地訪問中に実施される活動には、朝一番のボイドスポット尿の収集(訪問のタイミングによっては、訪問前に行われる場合がある)、バイタルサインの評価、及びSARS-CoV-2感染症についての鼻ぬぐい検体が含まれる。血液試料は、臨床化学(eGFR決定を含むフルパネル)、バイオマーカー、PD及びPKパラメータ(表2を参照されたい)、抗COVID-19抗体価、並びに宿主免疫応答検出及び定量のための血液PBMC及び血清のために採取される。
【0174】
対象は、就寝時に、割り当てられた「維持用量」ボトルから60μgの用量のカプセルを自己投与し、日誌に記録する。対象は、就寝時に、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛、及び発熱)の重症度、11段階NRS(0、正常な活動を実施できない;10、正常な活動を完全に実施できる)を使用して通常の活動を実施する能力、11段階NRS(0、最悪の健康状態;10、可能な限り最高の健康状態)を使用して全体的な健康状態の意見、及びデジタル体温計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。
【0175】
8~13日目
8~13日目には、研究訪問又は手順は実施されない。対象は、朝、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛及び発熱)の重症度、及びデジタル温度計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。対象は、毎日就寝時に、割り当てられた「維持用量」ボトルから60μgの用量のカプセルを自己投与し、用量を日誌に記録する。対象は、就寝時に、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛、及び発熱)の重症度、11段階NRS(0、正常な活動を実施できない;10、正常な活動を完全に実施できる)を使用して通常の活動を実施する能力、11段階NRS(0、最悪の健康状態;10、可能な限り最高の健康状態)を使用して全体的な健康状態の意見、及びデジタル体温計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。
【0176】
訪問4(14日目)
対象は、朝、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛及び発熱)の重症度、及びデジタル温度計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。
【0177】
現地訪問中に実施される活動には、朝一番のボイドスポット尿の収集(訪問のタイミングによっては、訪問前に行われる場合がある)、バイタルサインの評価、及びSARS-CoV-2感染症についての鼻ぬぐい検体が含まれる。血液試料は、臨床化学(eGFR決定を含むフルパネル)、バイオマーカー、PD及びPKパラメータ(表2を参照されたい)、抗SARS-Cov-2抗体価、並びに宿主免疫応答検出及び定量のための血液PBMC及び血清のために採取される。
【0178】
対象は、就寝時に、割り当てられた「維持用量」ボトルから60μgの用量のカプセルを自己投与し、日誌に記録する。対象は、就寝時に、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛、及び発熱)の重症度、11段階NRS(0、正常な活動を実施できない;10、正常な活動を完全に実施できる)を使用して通常の活動を実施する能力、11段階NRS(0、最悪の健康状態;10、可能な限り最高の健康状態)を使用して全体的な健康状態の意見、及びデジタル体温計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。
【0179】
15~20日目
15~20日目には、研究訪問又は手順は実施されない。対象は、朝、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛及び発熱)の重症度、及びデジタル温度計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。対象は、毎日就寝時に、割り当てられた「維持用量」ボトルから60μgの用量のカプセルを自己投与し、用量を日誌に記録する。対象は、就寝時に、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛、及び発熱)の重症度、11段階NRS(0、正常な活動を実施できない;10、正常な活動を完全に実施できる)を使用して通常の活動を実施する能力、11段階NRS(0、最悪の健康状態;10、可能な限り最高の健康状態)を使用して全体的な健康状態の意見、及びデジタル体温計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。
【0180】
追跡期間、訪問5(21日目)
対象は、朝、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用して6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛及び発熱)の重症度、及びデジタル温度計を使用して口腔体温を自己評価して日誌カードに記録する。
【0181】
現地訪問中に実施される活動には、朝一番のボイドスポット尿の収集(訪問のタイミングによっては、訪問前に行われる場合がある)、バイタルサインの評価、及びSARS-CoV-2感染症についての鼻ぬぐい検体が含まれる。血液試料は、化学(eGFR決定を含むフルパネル)、及び血液学、バイオマーカー、PD及びPKパラメータ(表2を参照)、抗SARS-CoV-2抗体価、並びに宿主免疫応答検出及び定量のための血液PBMC及び血清のために採取される。
【0182】
年齢、性別、人種、身長、体重、BMI、バイタルサイン(血圧及び心拍数)、及びCOVID-19疾患の重症度の評価を含むベースラインの対象の特徴は、対象が感染が確認されてからできるだけ早くスケジュールされたスクリーニング訪問で実施される。一次、二次、及び探索的(利用可能な場合)転帰は、現地内、全体、及び処置群ごとの対象の平均、中央値、標準偏差、四分位数、四分位範囲、最小値、及び最大値を含む記述統計を提示するように、CONSORTガイドラインを使用して、研究群及び追跡時点ごとに要約される。連続変数は平均、標準偏差、及び四分位数を使用して要約され、カテゴリ変数は度数及びパーセンテージを使用して要約される。
【0183】
2つの試料のlogランク試験を使用して、群間で症状の解消の時間のエンドポイントを比較する。二次分析では、Cox比例ハザード回帰モデルを使用して、共変量(例えば、年齢、性別、症状の発症から無作為化までの時間)を調整する。追加の分析では、各人-各日について症状スコアを計算し、追跡期間にわたるこれらのスコアの合計である曲線下面積(AUC)を計算する。研究群間のAUCを比較するために、二試料t検定が使用される。一貫して、50ng/mL以上の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルの割合をフィッシャーの直接確率検定で比較する。二次分析では、ロジスティック回帰を使用して、上記の追加の共変量を調整する。
【0184】
定量的転帰のベースラインからの変化の分析は、固定研究群効果(ERC)、線形時間効果(時間相互作用効果による研究群)、共変量としてのベースライン対象の特徴(例えば、年齢、性別、人種)及び繰り返し測定を説明するための無作為対象効果を含む線形混合効果モデルを使用して実施される。群間の変化の差は、モデルの対比を使用して推定される。
【0185】
処置群の対象は、プラセボ群と比較して血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルの顕著な上昇、例えば少なくとも50ng/mL超を示す。処置群の対象は、プラセボ群と比較して、最初の試験からウイルス力価の顕著な定量的低減を示す(7日目、14日目、20日目、21日目)。処置群の対象はまた、プラセボ群と比較して、血清抗SARS-CoV-2抗体の顕著な加速的で定量的な増加を示す(7、14、20、21日目)。処置群の対象はまた、プラセボと比較して、(7、14、20、21日目)に6つのCOVID-19の症状(咳、呼吸困難、疲労、頭痛、筋肉痛、及び発熱)のうちの1つ以上の重症度の顕著な低減も示す。処置群の患者は、プラセボ群の対象と比較して、末梢血単核細胞における急性、亜急性、及び遅発性炎症反応関連のメチローム及びトランスクリプトームの加速を示し、後者は、処置群及びプラセボ群の対象の対応する亜群におけるバルク及び単一細胞RNA配列決定が実施された。
【0186】
疾患の経過は、減弱する。プラセボと比較して、処置群ではCOVID-19による入院が顕著に減少している。プラセボと比較して、ウイルス力価は、処置群では2週間又は20日間、又は3週間にわたってより急速に減少する。本治療方法は、SARS-COV-2感染症を有する個体中で、治験薬の開始から症状の緩和時までの時間として定義される疾患の解消までの時間を(プラセボと比較して)低減させる。症状の軽減は、6つの症状全てのスコアが1以下(軽度又はなし)であり、24時間そのままである最初の24時間の開始時に生じるとみなされる。本治療方法は、総症状スコアの曲線下面積分析によって評価されるように、プラセボと比較して疾患の重症度を低減させる。本治療方法は、プラセボと比較して、正常な活動に戻るまでの期間を低減させる。本治療方法は、プラセボと比較して、正常な健康状態に戻るまでの期間を低減させる。本治療方法は、プラセボと比較して、正常な口腔体温に戻るまでの期間を低減させる。
【0187】
実施例2
これは、COVID-19患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)として市販されている)の二重盲検無作為化プラセボ対照試験である。
【0188】
900μgの負荷用量で30μgのERCカプセルを1日目に投与し、続いて、その後の26日間(2~27日目)、1日当たり60μgの維持用量を投与する。プラセボは、1日目に類似の900μg負荷用量で投与され、続いて、その後の26日間(2~27日目)、1日当たり60μgの類似維持用量が投与される。ERC及びプラセボの用量は、少なくとも3時間絶食した後、就寝時に経口投与される。
【0189】
各対象は、以下の基準を満たして、登録され、この研究の2つの処置群のうちの1つに無作為化される。1)50~85歳であり、かつ2)過去3日以内にSARS-CoV-2感染症を有していることが確認されている。参加者は、i)男性又は女性であり得、ii)4週間の研究の経過中、正常な強化食品(例えば、牛乳)を除いて、ビタミンD栄養補助食品の使用を制限する意思があり、iii)全ての研究要件に準拠する能力を実証する必要があり、かつiv)安全性の評価を損なう可能性のあるか、若しくは験責任医師の意見で治験への参加を妨げる病状又は身体的状態がない必要がある。
【0190】
以下の基準のうちのいずれかを満たす対象は研究から除外される。i)過去6ヶ月においてグルココルチコイド薬を服用している参加者、ii)副甲状腺機能亢進症、腎臓結石、高カルシウム尿症又は高カルシウム血症の病歴を有する参加者、iii)慢性肉芽腫形成疾患(サルコイドーシスなど)の病歴がある参加者、iv)ビタミンD(コレカルシフェロール又はエルゴカルシフェロール)若しくは25-ヒドロキシビタミンDの吸収、分布、代謝、若しくは排泄を著しく変化させる可能性のある任意の外科的若しくは医学的状態(例えば、小腸切除)を有する参加者、v)チアジド若しくは高用量の利尿薬による継続的な治療を受けている参加者、vi)スクリーニングで60mL/分/1.73m2未満のeGFRと測定された腎障害を有する参加者、vii)既存若しくは差し迫った脱水症状の証拠を示す参加者、viii)治験薬のいずれかの成分に対する過敏症があることが知られているか、若しくは疑われる参加者、又はix)現在、介入/調査研究に参加しているか、若しくは試験スクリーニング前の30日以内に介入/調査研究に参加したことがある参加者。
【0191】
(1)チアジド又は高用量の非チアジド系利尿薬、(2)脂溶性栄養素の吸収を損なう可能性のある薬剤、及び(3)1日当たり1.0gを超える元素カルシウムを提供する栄養補助食品を除いて、併用薬は許可されている。
【0192】
約83人の対象が、ERC処置群及びプラセボ群の各々に登録され、合計で約166人の対象である。
【0193】
研究は、以下の一連の手順に従う。
【0194】
スクリーニング訪問/1日目-簡単な臨床検査が完了する(身長、体重、及び肥満度指数を含む)。人口統計情報、病歴、薬の使用、任意の有害事象、及び4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用するCOVID-19の症状の種類及び重症度(発熱、咳、息切れ、呼吸困難、悪寒、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、及び味覚又は嗅覚の喪失)、及び口腔体温が記録される。対象の血清パラメータを決定するために、血液試料が取得される。対象選択基準を満たす患者について、この訪問中に無作為化が行われる。登録された各対象は、就寝時に絶食状態で900μgのERC(30×30μgカプセル)又は同等数のプラセボカプセルを摂取するように指示される。登録された各対象は、家に持ち帰るためにERC又はプラセボの2つの追加のボトル(30x30μgカプセル)を受け取り、次の26日間、就寝時に2つのカプセル(60μg)を摂取するように指示される。
【0195】
7日目の訪問-血清総25-ヒドロキシビタミンD、クレアチニン、カルシウム、及びリン濃度を決定するために、血液試料が採取される。
【0196】
14日目の訪問-処置に伴う有害事象(TEAE)及び併用薬の使用が記録される。
【0197】
28日目の訪問-処置に伴う有害事象(TEAE)及び併用薬の使用が記録される。対象の血清パラメータを決定するために、血液試料を取得する。
【0198】
投薬期間中、毎日、就寝時に、対象は、i)11段階NRS(正常な活動を実施することができない、0;正常な活動を完全に実施することができる、10)を使用して通常の活動を実施する能力を日誌カードに記録し、かつii)11段階NRS(0、最悪の健康状態;10、可能な限り最高の健康状態)を使用して全体的な健康状態の意見を記録する。
【0199】
一次転帰の評価基準は、1日2回記録される、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用するCOVID-19の症状の種類及び重症度(発熱、咳、息切れ、呼吸困難、悪寒、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、及び味覚又は嗅覚の喪失)、及び口腔体温によって証明されるCOVID-19疾患の重症度及び期間である。二次転帰の評価基準は、50ng/mL、又はそれを超える血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルの達成及び維持である。
【0200】
一次有効性エンドポイントは、治験薬の開始から症状の緩和時までの時間として定義される疾患の期間である。症状の緩和は、記録された全てのCOVID-19の症状(発熱、咳、息切れ、呼吸困難、悪寒、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、及び味覚又は嗅覚の喪失)は1以下(軽度又はなし)と採点され、その期間全体にわたってそのままである最初の24時間の開始時に生じるとみなされる。対象は、1日2回、4段階NRS(0、なし;3、重度)を使用してCOVID-19の各症状の重症度を記録し、デジタル体温計を使用して口腔体温を記録する。
【0201】
二次転帰の評価基準は、(1)死亡率、(2)入院の発生率及び期間、(3)機械換気の要求、(4)少なくとも1つの重度の有害事象(SAE)を有する対象の数、(5)先天性免疫応答及び適応免疫応答の血清バイオマーカー、(6)正常な状態の健康状態及び活動に戻るまでの時間を含む、生活の質の評価基準によって証明されるCOVID-19の重症度及び期間、(7)7日目に達成された血清総25-ヒドロキシビタミンD濃度に応じて(25Dが30ng/mL未満又は30ng/mL以上)、COVID-19の症状スコアの変化に基づく0日目~14日目の臨床的変化、(8)7日目に達成された血清総25-ヒドロキシビタミンD濃度に応じて(25Dが50ng/mL未満又は50ng/mL以上)、COVID-19の症状スコアの変化に基づく0日目~28日目の臨床的変化、(9)7日目に達成された血清総25-ヒドロキシビタミンD濃度に応じて(25Dが30ng/mL未満若しくは30ng/mL以上、又は25Dが50ng/mL未満及び50ng/mL以上)、0日目に重度のビタミンD欠乏症を有する患者(血清総25-ヒドロキシビタミンDが20ng/mL未満)におけるCOVID-19の症状スコアの変化に基づく0日目~14日目の臨床的変化、(10)7日目に達成された血清総25-ヒドロキシビタミンD濃度に応じて(25Dが50ng/mL未満又は50ng/mL以上)、0日目に重度のビタミンD欠乏症を有する患者(血清総25-ヒドロキシビタミンDが20ng/mL未満)におけるCOVID-19の症状スコアの変化に基づく0日目~28日目の臨床的変化である。
【0202】
探索的目的には、(1)末梢血単核細胞(PBMC)における急性、亜急性及び遅発性炎症反応関連のメチローム及びトランスクリプトーム、(2)血清総1,25-ジヒドロキシビタミンD、(3)血清インターロイキン1-β(IL-1β)、(4)血清カスパーゼ-3が含まれる。
【0203】
安全性評価には、(1)血清カルシウム(血清アルブミンで補正、下記参照)、(2)血清リン、及び(3)推定糸球体濾過率(eGFR)の変化の変化が含まれる。
【0204】
例えば、1日目又は7日目に得られた血液試料に基づいて、血清カルシウムが10.3mg/dL超を示す対象は研究から除外され、無作為化状態が責任研究者に開示される。血清総25-ヒドロキシビタミンDが100ng/mLを超える場合、投薬は7日目の血液試料に基づいて中断される。
【0205】
血液試料及び血清抗SARS-CoV-2抗体価は、1、7、28日目に取得される。血液試料は、(1)血清総25-ヒドロキシビタミンD(一次有効性評価基準)、(2)血清総1,25-ジヒドロキシビタミンD、(3)血清LL37、(4)SARS-CoV-2感染症に対する適応免疫応答のマーカーとしての血清インターロイキン-1β(IL-1β)、カスパーゼ-3及びインターロイキン-6(IL-6)についてアッセイされる。
【0206】
処置群の対象は、プラセボ群と比較して血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルの顕著な上昇、例えば少なくとも50ng/mL超を示す。処置群の対象は、プラセボ群と比較して、最初の試験からウイルス力価の顕著な定量的低減を示す(7、14、又は28日目)。処置群の対象はまた、プラセボ群と比較して、血清抗SARS-CoV-2抗体の顕著な加速的で定量的な増加を示す(7、14、又は28日目)。処置群の対象はまた、プラセボと比較して、(7、14、又は28日目)に記録されたCOVID-19の症状のうちの1つ以上の重症度の顕著な低減も示す。処置群の対象はまた、プラセボと比較して、(7、14、又は28日目)に記録されたCOVID-19の症状のうちの1つ以上がスコア1以下に戻るまでの期間の顕著な低減も示す。処置群の患者は、プラセボ群の対象と比較して、末梢血単核細胞における急性、亜急性、及び遅発性炎症反応関連のメチローム及びトランスクリプトームの加速を示す。
【0207】
疾患の経過は、減弱する。プラセボと比較して、処置群ではCOVID-19による入院が顕著に減少している。プラセボと比較して、処置群ではCOVID-19による死亡率が顕著に減少している。プラセボと比較して、処置群では機械換気の要求が顕著に減少している。プラセボと比較して、処置群ではSAEが顕著に減少している。プラセボと比較して、処置群ではウイルス力価がより急速に減少する(7日目、14日目、又は28日目)。本治療方法は、SARS-COV-2感染症を有する個体中で、治験薬の開始から症状の緩和時までの時間として定義される疾患の解消までの時間を(プラセボと比較して)低減させる。症状の軽減は、6つの症状全てのスコアが1以下(軽度又はなし)であり、24時間そのままである最初の24時間の開始時に生じるとみなされる。本治療方法は、総症状スコアの曲線下面積分析によって評価されるように、プラセボと比較して疾患の重症度を低減させる。本治療方法は、プラセボと比較して、正常な健康状態に戻るまでの期間を低減させる。本治療方法は、プラセボと比較して、正常な口腔体温に戻るまでの期間を低減させる。本治療方法は、プラセボと比較して、正常な活動に戻るまでの期間を低減させる。
【0208】
実施例3
これは、COVID-19患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)として市販されている)の二重盲検無作為化プラセボ対照試験である。
【0209】
一次的な目的は、軽度から中等度のCOVID-19患者におけるERC対プラセボ処置の以下に対する効果を評価することである。
1)4段階NRS(なし、0;重度、3)を使用する8つのCOVID-19の症状(発熱、咳、喉の痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、胃腸症状、及び労作時の息切れ)によって証明される疾患の重症度、並びに
2)一貫して50ng/mL、又はそれを超える血清総25Dレベルの達成及び維持。
【0210】
二次的な目的は、以下に対するERC対プラセボ処置の効果を評価することである。
1)4段階NRS(なし、0;重度、3)を使用する8つのCOVID-19の症状(発熱、咳、喉の痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、胃腸症状、及び労作時の息切れ)によって証明される疾患の期間、
2)死亡率、
3)入院の発生率及び期間、
4)緊急治療室への訪問の発生率及び期間、
5)機械換気の要求、
6)少なくとも1つの重度の有害事象(SAE)を有する対象の数、
7)11段階NRS(正常な活動を実施することができない、0;正常な活動を完全に実施することができる、10)及び(最悪の健康状態、0;可能な限り最高の健康状態、10)をそれぞれ使用する、通常の活動を実施する能力及び全体的な健康状態の意見を含む生活の質の評価基準によって証明されるCOVID-19疾患の重症度及び期間、
8)7、14、21、及び28日目に達成された血清25D濃度(25Dが30ng/mL未満又は30ng/mL以上)に応じて、COVID-19の症状スコアの変化に基づく1日目~42日目までの臨床的進展、
9)7、14、21、及び28日目に達成された血清25D濃度(25Dが50ng/mL未満又は50ng/mL以上)に応じて、COVID-19の症状スコアの変化に基づく1日目~42日目までの臨床的進展、並びに
10)7、14、21、及び28日目に達成された血清25D濃度(25Dが30ng/mL未満若しくは30ng/mL以上、又は25Dが50ng/mL未満若しくは又は50ng/mL以上)に応じて、0日目に重度のビタミンD欠乏症を有する患者(血清25Dが20ng/mL未満)におけるCOVID-19の症状スコアの変化に基づく1日目~42日目までの臨床的進展。
【0211】
探索的目的には、以下に対するERC対プラセボ処置の効果の評価が含まれる。
1)宿主末梢血単核細胞(PBMC)のメチローム及びトランスクリプトームにおける急性、亜急性及び遅発性炎症反応関連の変化、
2)血清カルシフェジオール(25D3)、
3)血清総1,25D、
4)血清LL37、
5)血清インタクト副甲状腺ホルモン(iPTH)、
6)血清IL-1β、
7)血清カスパーゼ-3、
8)血清IL-6、及び
9)体重の変化。
【0212】
約83人の対象が、ERC及びプラセボ処置群の各々に無作為化され、合計166人の対象になる。各群の対象の大部分は、15~<60mL/分/1.73m2の推定糸球体濾過率(eGFR)として定義されるステージ3又は4のCKDを有する。
【0213】
対象は、登録及び無作為化された後、スクリーニング及び無作為化のために最大3日間、処置のために28日間、及び追跡(FU)に14日間、研究に最大45日間参加する。
【0214】
ERC対プラセボ処置対象の有効性評価には以下が含まれる。
1)スコア化された疾患の重症度及び期間(下記参照)、
2)50ng/mL以上の血清総25Dレベルの達成及び維持、
3)死亡率、
4)入院の発生率及び期間、
5)緊急治療室への訪問の発生率及び期間、
6)機械換気の要求、
7)宿主PBMCの急性、亜急性及び遅発性炎症反応関連のメチローム及びトランスクリプトームの変化、
8)血清25D3の変化、
9)血清総1,25Dの変化、
10)血清IL-1βの変化、
11)血清カスパーゼ-3の変化、
12)血清IL-6の変化、並びに
13)体重の変化。
【0215】
一次有効性エンドポイントは、治験薬の開始(1日目)から研究終了(42日目)までの総症状スコアとして定義される疾患の重症度である。ERCでの処置を支持する平均総症状スコアにおける処置群間の統計的に有意な差(P<0.05)は、成功裏の転帰である。二次有効性エンドポイントは、治験薬の開始(1日目)から8つのCOVID-19症状全てが完全に観測されなくなる最初の日までの時間として定義される疾患の期間である。
【0216】
投薬期間中、毎日、参加者は、i)1日2回(対象が目覚めた朝に1回、及び対象が寝る前の夕方に1回)、4段階NRS(なし、0;重度、3)を使用する8つのCOVID-19の症状(発熱、咳、喉の痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、胃腸症状、及び労作時の息切れ)の重症度を記録し、ii)11段階NRS(正常な活動を実施することができない、0;正常な活動を完全に実施することができる、10)を使用して通常の活動を実施する能力を1日1回、日誌カードに記録し、かつiii)11段階NRS(最悪の健康状態、0及び可能な限り最高の健康状態、10)を使用して全体的な健康状態の評価を1日1回完了する。
【0217】
安全性は、以下の変化によって全ての対象で評価される。
1)血清総カルシウム(低血清アルブミン対して補正される、以下を参照)、
2)血清リン、及び
3)eGFR。
【0218】
7、14、及び21日目に得られた血液試料に基づいて、血清総カルシウム10.5mg/dL超(血清アルブミンで補正)を示す任意の対象は、血清カルシウムが正常化するまで、1日当たりの維持用量を60μgから30μgに低減し、正常化のその時点で、用量が60μgに増加される。同様に、血清総25Dが100ng/mLを超える場合、7、14及び21日目の血液試料に基づいて、用量を1日当たり30μgに低減させる。7、14、及び21日目に得られた血液試料に基づいて、血清総カルシウム11.0mg/dL超(血清アルブミンで補正)を示す任意の対象についての用量は、血清カルシウムが正常化するまで中断され、正常化のその時点で投薬が1日当たり30μgで再開される。
【0219】
事象のスケジュールを下の表に要約する。
【表7】
【表8】
【表9】
【0220】
上記のスケジュールに記載されているように、研究中に定期的に血液試料を取得する。血液試料を、i)血清総25D(一次有効性評価基準)及び25D3、ii)血清総1,25D、iii)血清LL37、iv)血清iPTH、v)臨床化学及び血液学、並びにvi)SARS-CoV-2感染症に対する適応免疫応答のマーカーとしての血清IL-1β、カスパーゼ-3、及びIL-6についてアッセイする。採取された末梢血好中球及び単核単球は、蛍光活性化細胞選別(FACS)による差分細胞計数、免疫細胞表面マーカー表現型検査、並びに単球及び好中球におけるメチル化されていない転写活性遺伝子の「署名」を確認するためのデコンボリューション分析による差次的全ゲノムバイサルファイトDNA配列決定に供される。介入前後の比較臨床疾患重症度及び生活の質の評価基準は、毎日のスコアリングによって評価される。
【0221】
曲線下面積(AUC)の同等性に関する0.05レベルの両側logランク検定は、ERC処置群及びプラセボ群の1日目及び42日目の総症状スコアの25%の差を検出する検出力を少なくとも80%有する。
【0222】
年齢、性別、人種、民族性、身長、体重、肥満度指数(BMI)及びeGFRを含むベースラインの対象の特徴は、研究群(ERC及びプラセボ)ごとに要約される。一次、二次、及び探索的転帰は、現地内、全体、及び処置群ごとの対象の平均、中央値、標準偏差(SD)、四分位数、四分位範囲、最小値、及び最大値を含む記述統計を提示するように、CONSORTガイドラインを使用して、研究群及び追跡時点ごとに要約される。連続変数は、平均、SD、及び四分位数を使用して要約され、カテゴリ変数は度数及びパーセンテージを使用して要約される。
【0223】
一次有効性エンドポイントについては、COVID-19症状の総スコアが、各人-各日について計算され、42日間の研究期間にわたるこれらのスコアの合計であるAUCが計算される。研究群間のAUCを比較するために、二試料t検定が使用される。同様のアプローチを使用して、生活の質の自己評価に関連する二次有効性エンドポイントを評価する。一貫して、50ng/mL以上の血清総25Dレベルの比率を、フィッシャーの直接確率検定で2つの処置群間を比較する。疾患の持続時間の二次有効性エンドポイントについては、二試料logランク試験を使用して、症状が完全に解消するまでの(1日目からの)時間の平均エンドポイントを群間で比較する。二次分析では、Cox比例ハザード回帰モデルを使用して、共変量(例えば、年齢、性別、症状の発症から無作為化までの時間)を調整する。定量的転帰のベースラインからの変化の分析は、固定研究群効果(ERC)、線形時間効果(時間相互作用効果による研究群)、共変量としてのベースライン対象の特徴(例えば、年齢、性別、人種、民族性、eGFR)及び繰り返し測定を説明するための無作為対象効果を含む線形混合効果モデルを使用して実施される。群間の変化の差は、モデルの対比を使用して推定される。
【0224】
各対象は、この研究の2つの処置群のいずれかに登録及び無作為化されるために、以下の基準を満たす必要がある。
1)18歳以上の男性又は女性、
2)過去7日以内に、RT-PCRを使用した鼻咽頭ぬぐい検体検査の陽性によって証明されるSARS-CoV-2感染症を有することが確認され、
3)8つの症状(発熱、咳、喉の痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、胃腸症状及び労作時の息切れ)のうち1つ以上の存在に基づいて、軽度又は中等度のSARS-CoV-2感染症のみを有し、より深刻な疾患を示す臨床徴候がないことが確認され、
4)6週間の研究経過中、正常な強化食品(例えば、牛乳)を除いて、ビタミンD療法又は栄養補助食品の使用を制限する意思があり、
5)全ての研究要件に準拠する能力を実証する必要があり、かつ
6)安全性の評価を損なう可能性があるか、若しくは験責任医師の意見で治験への参加を妨げる病状又は身体的状態がない必要がある。
【0225】
以下の基準のうちのいずれかを満たす対象は、研究から除外される。
1)重度若しくは重篤なCOVID-19重症度を示す臨床徴候、
2)授乳をしている妊娠中若しくは授乳中の女性、
3)過去6ヶ月における全身性グルココルチコイド薬の使用、
4)原発性副甲状腺機能亢進症、腎結石、高カルシウム尿症及び/若しくは高カルシウム血症の最近の病歴(過去12ヶ月)、
5)慢性肉芽腫形成疾患の病歴(例えば、サルコイドーシス)、
6)結核若しくはヒストプラズマ症の病歴、
7)慢性肝疾患の病歴、
8)うっ血性心不全、制御不良の高血圧及び不整脈を含む慢性心血管疾患を示す心臓事象の病歴(過去12ヶ月)、
9)過去5年間の多発性骨髄腫若しくは乳がん、肺がん若しくは前立腺がんの病歴、
10)ビタミンD若しくは25-ヒドロキシビタミンDの吸収、分布、代謝、若しくは排泄を著しく変化させる可能性のある任意の外科的若しくは医学的状態(例、小腸切除、クローン病若しくは潰瘍性大腸炎の病歴)、
11)チアジド系利尿薬での継続的な治療、
12)高リン血症、高尿酸血症及び痛風の病歴、
13)過去3ヶ月間における血清クレアチニンの15mL/分/1.73m2未満のeGFRとして測定された腎障害、
14)過去3ヶ月における9.8mg/dL以上の血清カルシウム、
15)脱水症状が進行中若しくは差し迫っている証拠、
16)治験薬のいずれかの成分に対して過敏症を有することが知られている、若しくは疑われる、並びに/又は、
17)現在、介入/調査研究に現在参加しているか、若しくは研究スクリーニング前30日以内に参加したことがある。
【0226】
900μgの負荷用量のERCカプセルを、各々300μgの3つの等しい用量に分割し、3日間(1、2、3日目)にわたって投与し、続いて、その後の24日間(4~27日目)、1日当たり60μgの維持用量を投与する。用量は、少なくとも3時間の絶食後、就寝時に経口投与される。患者は、治験薬の投与後、少なくとも3時間絶食のままである必要がある。
【0227】
対照産物は、類似の900μg負荷用量のプラセボであり、各々300μgの3つの等しい用量に分割し、3日間(1、2、3日目)にわたって投与し、続いて、その後の24日間(4~27日目)、1日当たり60μgの類似の維持用量を投与する。用量は、少なくとも3時間の絶食後、就寝時に経口投与される。患者は、投与後、少なくとも3時間絶食のままである必要がある。
【0228】
以下を除いて、併用薬は許可されている。
1)カルシトリオール、パリカルシトール及びドキセルカルシフェロール、
2)チアジド系利尿薬、
3)脂溶性栄養素の吸収を損なう可能性のある薬、並びに
4)1日当たり1.0gを超える元素カルシウムを提供する栄養補助食品。
【0229】
処置群の対象は、プラセボ群と比較して血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルの顕著な上昇、例えば少なくとも50ng/mL超を示す。
【0230】
プラセボ群と比較して、処置群の対象は処置によりもたらされる改善を示している。処置群の対象は、4段階NRS(なし、0;重度、3)を使用する8つのCOVID-19の症状(発熱、咳、喉の痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、胃腸症状、及び労作時の息切れ)によって証明される疾患の重症度の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、4段階NRS(なし、0;重度、3)を使用する8つのCOVID-19の症状(発熱、咳、喉の痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、胃腸症状、及び労作時の息切れ)によって証明される疾患の期間の顕著な低減を示す。処置群の対象は、死亡率の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、入院の発生率及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、緊急治療室への訪問の発生率及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、機械換気の要求が顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、少なくとも1つの重度の有害事象(SAE)を有する対象の数が顕著な低下を示す。処置群の対象は、11段階NRS(正常な活動を実施することができない、0;正常な活動を完全に実施することができる、10)及び(最悪の健康状態、0;可能な限り最高の健康状態、10)をそれぞれ使用する、通常の活動を実施する能力及び全体的な健康状態の意見を含む生活の質の評価基準によって証明されるCOVID-19疾患の重症度及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、7、14、21、及び28日目に達成された血清25D濃度(25Dが30ng/mL未満又は30ng/mL以上)に応じて、COVID-19の症状スコアの変化に基づく1日目~42日目までの臨床的進展の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、7、14、21、及び28日目に達成された血清25D濃度(25Dが50ng/mL未満又は50ng/mL以上)に応じて、COVID-19の症状スコアの変化に基づく1日目~42日目までの臨床的進展の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、7、14、21、及び28日目に達成された血清25D濃度(25Dが30ng/mL未満若しくは30ng/mL以上、又は25Dが50ng/mL未満若しくは又は50ng/mL以上)に応じて、0日目に重度のビタミンD欠乏症を有する患者(血清25Dが20ng/mL未満)におけるCOVID-19の症状スコアの変化に基づく1日目~42日目までの臨床的進展の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、プラセボ群の対象と比較して、末梢血単核細胞における急性、亜急性、及び遅発性炎症反応関連のメチローム及びトランスクリプトームの加速を示す。
【0231】
実施例4
SARS-CoV-2に感染した症候性患者を治療するためのERC(Rayaldee(登録商標)として市販されている)の安全性及び有効性を評価するために、多施設二重盲検無作為化プラセボ対照試験が進行中である。一次的な目的は、軽度から中等度のCOVID-19患者におけるERC処置対プラセボの以下に対する効果を評価することである。
1)InFLUenza Patient-Reported Outcome(FLU-PRO(著作権))アンケートを使用してCOVID-19症状によって証明される疾患の重症度及び期間*、並びに
2)50ng/mL、又はそれを超える血清総25Dレベルの達成及び維持。
*Dr.John Powers、Leidos Biomedical及びNational Institute for Allergy and Infectious Diseases(NIAID)、National Institutes of Health。
【0232】
二次的な目的は、以下に対するERC処置対プラセボの効果を比較することである。
1)緊急治療室/救急の訪問の発生率、
2)酸素飽和度が94%未満の発生率(酸素補給なし)、
3)入院の発生率及び期間、
4)機械換気の要求、
5)死亡率、
6)少なくとも1つの重度の有害事象(SAE)を有する対象の数、
7)FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する生活の質の評価基準によって証明されるCOVID-19疾患の重症度及び期間、並びに
7)7、14、21、及び28日目の30ng/mL未満又はそれ以上及び50ng/mL未満又はそれ以上の血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の関数としてのCOVID-19の臨床経過。
【0233】
探索的目的には、以下に対するERC処置対プラセボの効果の評価が含まれる。
1)血清カルシフェジオール(25-ヒドロキシビタミンD3)、
2)血清24,25-ジヒドロキシビタミンD3(24,25D3)、
3)血清総1,25-ジヒドロキシビタミンD、
4)血清LL37、
5)血漿インタクト副甲状腺ホルモン(iPTH)、
6)血清IL-1β、
7)血清カスパーゼ-1、
8)血清インターロイキン6(IL-6)、
9)DNA及びRNA配列決定における変化、並びに
10)体重の変化。
【0234】
約80人の対象が、ERC処置及びプラセボ群の各々に無作為化され、合計160人の対象になる。対象は、以下のレジメンに従って投与される経口ERC又は対応するプラセボのいずれかを受けるように無作為化されている:負荷用量(900mcgを300mcgの3つの等しい用量に分割し、1、2、及び3日目に各々投与される)が投与され、続いて、その後24回の毎日の維持用量(4~27日目に60mcg)を、夕食後少なくとも3時間絶食した後、就寝時に投与される。患者は、治験薬投与後少なくとも3時間は絶食のままである。カルシトリオール、パリカルシトール、ドキセルカルシフェロール、チアジド系利尿薬、脂溶性栄養素の吸収を損なう可能性のある薬、及び1日当たり0.55gを超える元素カルシウムを提供する栄養補助食品を除いて、併用薬は許可されている。
【0235】
対象は、登録及び無作為化された後、スクリーニング及び無作為化のために最大3日間、処置のために28日間、及び追跡(FU)に14日間、研究に最大45日間参加する。
【0236】
一次有効性エンドポイントは、
(1)治験薬開始時(1日目)の平均総FLU-PRO(著作権)症状スコアが最低3日間連続して0.5に、又はそれ未満に低減するとして定義される症状の解消。解消までの時間は、1日目から最低3日間連続して0.5スコアを達成した最初の日までの日数として定義される。ERCでの処置を支持する症状の消散までの時間における処置群間の統計的に有意な差(片側でP<0.025)は、成功裏の転帰とみなされる。
(2)21及び28日目に評価された50ng/mL、又はそれを超える血清総25Dレベルの達成及び維持であり、成功はこれらの日の両方でレベルが50ng/mL以上であると定義される。
【0237】
研究中の毎日、対象はFLU-PRO(著作権)アンケートを使用して、COVID-19の症状の重症度を1日1回(対象が就寝する前の夜に)記録するように指示される。このアンケートには、FLU-PRO(著作権)を使用する通常の活動を実施する能力及び全体的な健康状態の意見などの生活の質の測定が含まれる。
【0238】
Rayaldee(登録商標)徐放性カプセルの安全性及び忍容性は、有害事象(AE)、身体検査(PE)、バイタルサイン(VS)、心電図(ECG)、血液学、及び臨床化学によって評価されている。以下のパラメータの変化には特に注意が必要である。
(1)血清総カルシウム(血清アルブミンで補正される)、
(2)血清リン、及び
(3)推定糸球体濾過率(eGFR)。
研究の事象のスケジュールを、以下の表に要約する。
【表10】
【表11】
【表12】
【0239】
図2は、プロトコールに従って絶食状態で投薬した対象についての処置群の予測される血清25-ヒドロキシビタミンD3レベルを示し、図3は、食物とともに投与する対象についての予測を示し、図4は、本発明者に知られているRayaldee(登録商標)投与に対する血清応答に基づいてモデル化された、それらの中間の組み合わせについての予測を示す。これらの図のそれぞれにおいて、プロット線は、上から下に順に、体重が73kg、85kg、119kg、及び128kgの患者に対応している。
【0240】
7日目及び14日目に採取した血液試料に基づいて確認された血清総カルシウムが10.5超及び11.0mg/dL以下(血清アルブミンで補正された)を示す対象は、21日目に開始して毎日の維持量を1カプセルに(60mcgから30mcgに)低減する。7日目、14日目の採血で血清総25Dが100ng/mLを超えることが確認された場合は、21日目に開始して、同様に用量を低減する。
【0241】
7、14、及び21日目に得られた血液試料に基づいて確認された血清総カルシウムが11.0mg/dL超(血清アルブミンで補正)を示す対象は、血清カルシウムが正常化するまで投薬を中断し、正常化のその時点で(該当する場合)1日当たり1カプセルで投薬を再開する(1日当たり30mcg)。対象は、確認の採血のために、次の予定された訪問の可能な限り早い日にクリニックに戻るように要求される(例えば、14日目の訪問の場合は12日目)。
【0242】
血清リン、尿酸、又は血漿iPTHの重度(CTCAE≧3)の異常(低い又は高い)を発症する対象は、治験薬処置を中止する。
【0243】
年齢、性別、人種、民族性、身長、体重、肥満度指数(BMI)及びeGFRを含むベースラインの対象の特徴は、研究群(ERC及びプラセボ)ごとに要約される。一次、二次、及び探索的転帰は、現地内、全体、及び処置群ごとの対象の平均、中央値、標準偏差(SD)、四分位数、四分位範囲、最小値、及び最大値を含む記述統計を提示するように、CONSORTガイドラインを使用して、研究群及び追跡時点ごとに要約される。連続変数は、平均、SD、及び四分位数を使用して要約され、カテゴリ変数は度数及びパーセンテージを使用して要約される。
【0244】
2つの一次エンドポイントは、0.025の全体的な片側アルファレベルを維持するために階層的に試験される。したがって、50ng/mL以上の血清25Dレベルの達成の試験は、症状の解消が、<0.025で有意である場合にのみ実施される。
【0245】
一次有効性エンドポイントは、治験薬開始時(1日目)の平均総FLU-PRO(著作権)症状スコアが最低3日間連続して0.5に、又はそれ未満に低減するとして定義される症状の解消である。解消までの時間は、1日目から最低3日間連続して0.5スコアを達成した最初の日までの日数として定義される。解消までの時間は、Kaplan-Meier曲線として表示され、logランク検定を使用して比較される。死亡、入院、又はそうでなければ疾患のために症状スコアを報告できない対象は、回復していないとみなされ、検閲されない。
【0246】
50ng/mL以上の血清25Dレベルの達成及び維持は、21日目及び28日目にカイ二乗統計で評価され、成功は、これらの日の両方で50ng/mL以上のレベルとして定義される。
【0247】
Cox比例ハザードモデルも共変量の評価に使用される。
【0248】
FLU-PRO(著作権)アンケートを使用して、疾患の重症度及び生活の質の評価基準の毎日の評価が各対象によって記録される。加えて、毎日、対象は、通常の活動及び通常の健康状態に戻ったかどうか(はい/いいえ)応答するように;身体の健康状態を評価する(5段階スケール)ように;感染症の症状の重症度(5段階スケール)について;感染症の症状が通常の活動をどの程度妨げているか(5段階スケール)について;及び;感染症の症状が前日の症状と比較してどうであるか(7段階スケール)を求められる。COVID-19に関連する症状を更に評価するために、対象は、過去1日に嗅覚の喪失(無嗅覚症)及び味覚の喪失(無味覚症)を経験したかどうかを毎日尋ねられる。
【0249】
各対象は、この研究の2つの処置群のいずれかに登録及び無作為化されるために、以下の基準を満たす。
1)18歳以上の男性又は女性、
2)過去3日以内に、RT-PCRを使用した鼻咽頭ぬぐい検体検査の陽性によって証明されるSARS-CoV-2感染症を有することが確認され、
3)胸部/呼吸器及び身体/全身ドメインの各々について少なくとも1.5のFLU-PRO(著作権)スコアに基づいて、軽度又は中等度のCOVID-19のみを有することが確認され、より深刻な疾患を示す臨床徴候がなく(例えば、室内空気に対する94%未満の酸素飽和度、及び30bpm超の呼吸数)、
4)現在のCOVID-19の症状が通常の健康状態と一致しておらず、前日と同じか悪化していることを自己評価で表し、
5)6週間の研究経過中、正常な強化食品(例えば、牛乳)を除いて、ビタミンD療法又は栄養補助食品の使用を制限する意思があり、
6)全ての研究要件に準拠する能力を実証する必要があり、かつ
7)安全性の評価を損なう可能性があるか、若しくは験責任医師の意見で治験への参加を妨げる病状又は身体的状態がない必要がある。
【0250】
以下の基準のうちのいずれかを満たす対象は、研究から除外される。
1)重度又は重篤なCOVID-19疾患を示す臨床徴候(例えば、室内空気に対する94%未満の酸素飽和度、及び30bpm超の呼吸数)、
2)授乳をしている妊娠中若しくは授乳中の女性、
3)過去6ヶ月における全身性グルココルチコイド薬の使用、
4)原発性副甲状腺機能亢進症、腎結石、高カルシウム尿症及び/若しくは高カルシウム血症の最近の病歴(過去12ヶ月)、
5)慢性肉芽腫形成疾患の病歴(例えば、サルコイドーシス)、
6)結核若しくはヒストプラズマ症の病歴、
7)慢性肝疾患の病歴、
8)うっ血性心不全、制御不良の高血圧及び不整脈を含む慢性心血管疾患を示す心臓事象の病歴(過去12ヶ月)、
9)過去5年間の多発性骨髄腫若しくは乳がん、肺がん若しくは前立腺がんの病歴、
10)ビタミンD若しくは25-ヒドロキシビタミンDの吸収、分布、代謝、若しくは排泄を著しく変化させる可能性のある任意の外科的若しくは医学的状態(例、小腸切除、クローン病若しくは潰瘍性大腸炎の病歴)、
11)チアジド系利尿薬での継続的な治療、
12)高リン血症、高尿酸血症及び痛風の病歴、
13)過去3ヶ月間における血清クレアチニンの15mL/分/1.73m2未満のeGFRとして測定された腎障害、
14)過去3ヶ月における9.8mg/dL以上の血清カルシウム、
15)脱水症状が進行中若しくは差し迫っている証拠、
16)治験薬のいずれかの成分に対して過敏症を有することが知られている、若しくは疑われる、並びに/又は、
17)現在、介入/調査研究に現在参加しているか、若しくは研究スクリーニング前30日以内に参加したことがある。
【0251】
FLU-PRO(著作権)アンケート[Powers et al,BMC Infect Dis 2016;16:1 and Value in Health,Vol.21,Issue 2,2018,p.210-218]は、登録された対象が毎日就寝時にCOVID-19の症状を自己評価するために使用される。平均症状スコアは、症状ごと、ドメインごと、及び総スコアとして計算される。Powers et al,Value in Health,Vol.21,Issue 2,2018,p.210-218を参照されたい。毎日の日誌には、上記の追加の質問(味覚及び嗅覚の喪失、生活の質の質問)も含まれている。
【0252】
対象は、1、2、及び3日目、夕食後少なくとも3時間絶食した後、就寝時に、治験薬の1日当たり10カプセル(300mcg)の負荷用量を、非アルコール性液体とともに経口経路によって摂取するように指示される。4~27日目、特に指示がない限り、対象は就寝時に1日2カプセルの維持用量を摂取するように指示される。患者はまた、治験薬の投与後、少なくとも3時間絶食のままである必要があると指示される。
【0253】
対象は、6週間の研究経過中、治験薬以外の、通常は強化された食品(牛乳など)を除いて、ビタミンD療法及びビタミンD栄養補助食品の使用を制限する意思がある。CKDの標準の治療薬(ビタミンD、カルシトリオール、パリカルシトール、ドキセルカルシフェロール)は、処置期間中、中断されている。登録時に除外される治療には、チアジド系利尿薬、1α-ヒドロキシル化ビタミンD類似体(カルシトリオール、パリカルシトール、及びドキセルカルシフェロール)、及びビタミンD栄養補助食品(コレカルシフェロール及びエルゴカルシフェロール)が含まれる。
【0254】
この時点で、最初の70人の対象に対するFLU-PRO(著作権)アンケートによって評価された2つの生活の質の評価基準、つまり、対象が通常の活動への戻ったことを自己報告した試験日、及び対象が通常の健康状態に戻ったことを自己報告した試験日についての盲検化データン分析を実施した。通常の活動に戻ったこれらの対象の度数分布を図5に示す。この度数分布は、対象が、概してほぼ同じサイズの2つの群、通常の活動に早く戻る群(ピーク頻度はわずか4~6日後に生じる)、及び通常の活動に戻るのが遅い群(ピーク頻度は18~19日後に生じる)に分類されることを示している。後者の群の通常の活動への復帰が遅いことは、Blair及び同僚らによって発表されたERCで治療されていないCOVID-19患者についての同様のデータと一致している。Blair et al.Open Forum Infect Dis.2021 Jan 5;8(2):ofab007。通常の健康状態に戻った対象の度数分布を図6に示す。この度数分布は、対象が、概して、2つの群、早く元に戻る群と、通常の健康状態に早く戻る群、及び通常の健康状態に戻るのが遅い群に分類されることを示している。前者の群の通常の活動及び健康状態へより早く戻ることは、ERCがCOVID-19の症状を効果的に緩和し、より迅速な回復を促進していることを示唆している。
【0255】
ERC処置群の対象は、プラセボ群と比較して血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルの顕著な上昇、例えば少なくとも50ng/mL超を示すことが企図される。
【0256】
プラセボ群と比較して、処置群の対象は、以下に更に説明するように、ERC処置によりもたらされる1つ以上の改善を示すことが企図される。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用するCOVID-19の症状によって証明されるように、疾患の重症度の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用するCOVID-19の症状によって証明されるように、疾患の期間の顕著な定量的低減を示す。
【0257】
処置群の対象は、緊急治療室/緊急治療への訪問の発生率及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、94%未満の酸素飽和(酸素補給なし)の発生率の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、入院の発生率の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、入院の期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、機械換気の要求が顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、死亡率の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する生活の質の評価基準によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する生活の質の評価基準によって証明されるように、COVID-19疾患の期間の顕著な定量的低減を示す。
【0258】
処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する1つ以上のドメイン(鼻、喉、目、胸部/呼吸器、胃腸、及び身体/全身)の平均症状スコアの低減によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する鼻ドメインの平均症状スコアの低減によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する喉ドメインの平均症状スコアの低減によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する目ドメインの平均症状スコアの低減によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する胸部/呼吸器ドメインの平均症状スコアの低減によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する胃腸ドメインの平均症状スコアの低減によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度及び期間の顕著な定量的低減を示す。処置群の対象は、FLU-PRO(著作権)アンケートを使用する身体/全身ドメインの平均症状スコアの低減によって証明されるように、COVID-19疾患の重症度及び期間の顕著な定量的低減を示す。
【0259】
処置群の対象は、7、14、21、及び28日目の30ng/mL未満又はそれ以上及び50ng/mL未満又はそれ以上の血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の関数としてのCOVID-19の臨床経過の顕著な定量的低減を示す。
【0260】
処置群の対象は、プラセボ群の対象と比較して、末梢血単核細胞における急性、亜急性、及び遅発性炎症反応関連のメチローム及びトランスクリプトームの加速を示す。
【0261】
実施例5
以下の表に、様々なパーセンテージのパラフィンワックス及び鉱油(重量パーセンテージ)を有する25-ヒドロキシビタミンDのHPMCハードカプセル製剤、及び関連するインビトロ溶解放出速度を示す。
【表13】
【0262】
20重量%パラフィン製剤と比較して、パラフィンワックスを20%未満に(10%及び0%に)低減させ、鉱油を関連して増加させた場合、20%のパラフィンワックスを含有する比較ソフトカプセル製剤と比較して顕著案速い放出プロファイルは得られなかった。一方、関連して鉱油の減少を伴うパラフィンワックスの20%超~30%及び40%への増加により、特に2時間後にインビトロ放出速度が大幅に減少した。
【0263】
実施例6
以下の表に、追加のワックスベースのハードカプセル製剤、植物ベースのカプセルシェルを備えたRayaldee(登録商標)型ソフトカプセル製剤(参照)、及び参照製剤と比較して、遅い放出又は速い放出を提供する目的で修飾された修飾ワックスベースのソフト植物ベースカプセル製剤の例を提供する。ソフトカプセルは、修飾デンプン及びイオタカラギーナンを含有するOptiShell(登録商標)植物ベースのカプセルであった。ソフトカプセル速い(試験1)は、賦形剤の濃度を調整することにより、参照と比較して速い放出速度を与えるように製剤化された。ソフトカプセル速いバッチには、増加した量のラウロイルポリオキシグリセリド、低減した量のパラフィンワックスを組み込んだ。いかなる特定の理論によっても拘束されることを意図するものではないが、参照製剤と比較して固形製剤が少なく、吸収促進剤の濃度が高いマトリックス特性のこの修飾は、活性物質の溶解度を増強することを意図しており、結果として、インビトロでのより速い放出速度を示さなかったが、インビボでの放出速度及び吸収量を増加させる。この表には、16人の成人対象の各々への900μgの用量の投与によりもたらされる薬物動態プロファイルも含まれている(平均ベースライン補正血清濃度曲線から抽出、図7)。
【表14】
【0264】
図7は、900μgの修飾放出カルシフェジオールカプセルの経口投与後の25-ヒドロキシビタミンD3の関連する平均血清濃度の曲線を示す。パラフィンワックスの20%から39%への増加により、参照と比較してインビトロ及びインビボの放出が遅くなったが、パラフィンワックスの20%から5%への減少では、試験した溶解条件下でインビトロで速い放出速度は示されなかった。この結果は、パラフィンワックスが20%未満の場合、浸食機序がこれらの製剤の主要な放出機序ではない可能性があることを示唆している。高速バッチ及び参照バッチのカルシフェジオールは同程度に可溶化され、乳化剤を追加しても溶解度は増加しなかった。吸収促進剤のパーセンテージの9.75%から14.75%への増加は、試験した条件下でインビトロではほとんど効果がなかったが、インビボでの吸収は増加し、他のメカニズム、例えば組織への浸透によるものと考えられる。ハード及びソフトカプセルの遅いバッチは、インビトロで予想どおりに動作した。遅いバッチソフトカプセルは、生体内でも予想どおりに動作した。このバッチのマトリックスは比較的固く、固いマトリックスからの有効成分の浸食がこの製剤の主要な機序である可能性がある。
【0265】
以下の表は、USP装置II(おもり付きパドル)による、上記の製剤の溶解時間プロファイルを提供する。
【表15-1】
【表15-2】
【0266】
実施例7
下の表に記載されているのは、ゼラチン化されたHPMCカプセルシェルを有する25-ヒドロキシビタミンDのための別のハードカプセル製剤である。ジェランガムは親水性ポリマーであり、参照ソフトカプセル製剤の植物カプセルシェルに使用されるカラギーナンと同様の特性を有する。ゼラチン化HPMCカプセルは、非ゼラチン化HPMCカプセルよりも胃内での破裂/崩壊時間が遅くなる。
【表16】
【0267】
上記の参照ソフトカプセル製剤の場合のように、20%のワックスの代わりに27.95%ワックスのレベルのパラフィンワックスを使用し、鉱油並びにモノグリセリド及びジグリセリドの濃度をわずかに変更した。マトリックス充填物は、カプセル当たり170mgの代わりに155mgに低減し、組成物はサイズ4のゼラチン化HPMCカプセルシェルに充填された。
【0268】
ゼラチン化HPMCハードカプセル製剤、参照ソフトカプセル製剤、及び上記の試験4製剤についてのインビボ溶解プロファイル(75RPMでのUSP装置II(おもり付きパドル)、5mM リン酸二水素ナトリウム一水和物中の0.5%のSDSの媒体、pH6.8、37±0.5℃、容量500ml)を以下の表に示す。
【表17】
【0269】
同様に、修飾されたインビトロ溶解法を使用してカプセルの溶解を測定し(容器に2つのカプセル、900mlの培地、及び60RPM)、結果を以下の表に示す(5つの参照バッチの平均)。
【表18】
【0270】
2段階溶解法も使用し(pH1.2で2時間、その後pH6.8に移す)、結果を以下及び図8に示す(3つの参照バッチの平均、菱形マーカー、対ゼラチン化HPMC製剤、三角マーカー)。ゼラチン化されたハードカプセル製剤の溶解プロファイルは、植物ベースソフトカプセル製剤の溶解プロファイルと緊密に一致する。
【表19】
【0271】
ゼラチン化HPMCハードカプセル製剤及び参照ソフトカプセル製剤は、絶食状態で対象に投与される。ゼラチン化HPMCハードカプセル製剤の投与によりもたらされる薬物動態の値及びプロファイル(Cmax、AUC、Tmax)は、上記の非ゼラチン化HPMCハードカプセル製剤の投与によりもたらされるかかる値及びプロファイルと比較して、参照製剤の投与によりもたらされる値及びプロファイルにより緊密に一致する。
【0272】
実施例8
二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)、ステージ3又は4の慢性腎臓病(CKD)、及びビタミンD不足を有する成人患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)型製剤)、IRカルシフェジオール、高用量コレカルシフェロール、及びパリカルシトール及び低用量コレカルシフェロールの反復投薬での研究を実施する。
【0273】
これは、ERC、IRカルシフェジオール、高用量コレカルシフェロール、及びパリカルシトールに加えて低用量コレカルシフェロールを評価する比較データを収集するための非盲検試験である。適格な対象は、1:1:1:1の割合で無作為化され、カプセルを飲み込むのに十分な量のノンアルコール飲料とともに、リストされた治験薬のうちの1つで8週間の処置を受けた。
1)ERCカプセル60μgを就寝時に1日1回、第1相ユニットにおいて朝食前の朝に投薬した1日目及び29日目を除く、
2)第1相ユニットにおいて1日目及び29日目の朝の朝食前にIRカルシフェジオール266μg、
3)第1相ユニットにおける1日目及び29日目の朝、朝食前にコレカルシフェロール300,000IU(高用量)、並びに
4)1日1回、朝食前の朝にパリカルシトール1μg(29日目には1日2μgに増加する可能性がある)に加えてコレカルシフェロール800IU(低用量)、第1相ユニットにおいて朝食前に投薬した1日目及び29日目の朝を除く。4週間の処置後、パリカルシトールを受けた対象は、(a)血漿iPTHが治療前のBLから少なくとも30%減少せず、70pg/mLを超えたまま、(b)補正血清カルシウムは9.8mg/dL未満、及び(c)血清リンは5.5mg/dL未満であるという条件で、1日1回朝食前の朝に2μgに加えてコレカルシフェロール800IUに用量を倍増した。
【0274】
対象は、必要な血液試料を提供するために、研究開始時と試験29日目に約14~26時間第1相ユニットに収容された。
【0275】
研究前にカルシトリオール又は他の1α-ヒドロキシル化ビタミンD類似体又はビタミンD栄養補助食品での処を受けた対象は、ベースライン(BL)評価の前に4週間のウォッシュアウト期間を完了し、研究期間中、これらの非治験薬を使用しなかった。対象は、スクリーニング前の12週間以内にカルシウム模倣療法を受けた場合、登録から除外された。
【0276】
血液試料は、スクリーニング及びBL期間中、及び8週間の処置期間中、全ての対象から1週間間隔で収集された。対象者は、研究中、食事カウンセリングと、必要に応じて処方された毎日のカルシウム栄養補助食品によって、1日当たり約1,000~1,500mgの元素カルシウムの食事摂取量を維持した。
【0277】
対象は、血漿iPTHが30pg/mL未満であることが確認された場合、補正血清カルシウムが10.3mg/dL超であることが確認された場合、又は血清リンが5.5mg/dL超であることが確認された場合、以下のスケジュールに従って治験薬の用量を低減する。血漿iPTHが15pg/mL未満又は補正血清カルシウムが11.0mg/dL超であることが確認された場合、投薬を中断し、血漿iPTHが30pg/mL以上かつ補正血清カルシウムが9.8mg/dL未満の場合に以下の投薬スケジュールに従って投薬を再開する。
ERC:1日当たり30μgに減少させる(1日当たり60μgから)
IRカルシフェジオール:29日目の用量を保留する
コレカルシフェロール300,000IU:29日目の用量を保留する
パリカルシトール:用量を1日当たり1μgに減少させる(1日当たり2μgから)
コレカルシフェロール800IUは調整されない
【0278】
ERC(1日当たり30μg)又はパリカルシトール(1日当たり1μg)の最小投薬量を受けている対象に用量の低減が必要とされる場合、対象は投薬を中断し、iPTHが30pg/mL以上、補正血清カルシウムが9.8mg/dL未満になったとき、同じ最小投薬量で再開する。
用量再開(必要な場合):
ERC:1日当たり30μg
1日当たりパリカルシトール1μg
【0279】
時間の関数としての平均血清総25-ヒドロキシビタミンD濃度を図9に示す(ERC群はひし形、IRカルシフェジオール群は三角形、コレカルシフェロール群は円、パリカルシトール+コレカルシフェロール群は四角)。ERC群は50ng/ml超、ほぼ90ng/mlの血清濃度に達成したが、その群のVMRは5未満のままであった(治療終了時の平均値の最大は約4.2)。時間の関数としてのVMRを図10に示す。
【0280】
前述の説明は、理解を明確にするためにのみ提供されており、本発明の範囲内の修正は当業者には明らかであり得るので、そこからいかなる不必要な制限も解釈されるべきではない。
【0281】
本開示を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される「ある(a)」及び「ある(an)」及び「その(the)」という用語並びに同様の指示物は、本明細書に別の記述がなければ、又は明らかに文脈と矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」及び「含有する」という用語は、別途注記のない限り、開放型専門用語として解釈されるべきである(すなわち、「~を含むがこれらに限定されない」を意味する)。本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む(comprise)」という単語並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、記載された整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を含むが、任意の他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を除外しないことを意味すると理解される。
【0282】
本明細書において特に指定のない限り、本明細書中の値の範囲の記載は、その範囲及び各端点に入る各々の別個の値を個々に指す略記方法として役立つことを意図したものであるにすぎず、各々の別個の値及び各端点は、それが本明細書中に個々に記載されているかのように本明細書に組み入れられる。
【0283】
本明細書を通して、組成物が成分又は材料を含むものとして記載されている場合、組成物は、特に記載のない限り、列挙された成分又は材料の任意の組み合わせから本質的に構成され得る、又は、その組み合わせから構成され得ると考えられる。同様に、方法が特定のステップを含むものとして記載される場合、本方法は、別途記載のない限り、列挙されたステップの任意の組み合わせから本質的になるか、又はそれらからなり得ることが企図される。本明細書に例示的に開示される発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素又はステップを欠いた状態で適切に実施され得る。
【0284】
本明細書に開示される方法の実施及びその個々のステップは、手動で実施することができ、及び/又は電子機器によってもたらされる若しくは自動化を用いて実施することができる。特定の実施形態を参照してプロセスを説明してきたが、当業者は、上記方法に関連する行為を実施する他の方法を使用できることを容易に理解するであろう。例えば、別段記載のない限り、本方法の範囲又は趣旨から逸脱することなく、様々なステップの順序を変更することができる。更に、個々のステップのいくつかは、組み合わされてもよく、省略されてもよく、又は追加のステップに更に細分されてもよい。
【0285】
本明細書で引用される全ての特許、刊行物及び参考文献は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。本開示と組み込まれた特許、刊行物及び参考文献との間に矛盾がある場合、本開示が優先される。
図1
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【配列表】
2023520591000001.app
【国際調査報告】