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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】ディスクカッター
(51)【国際特許分類】
   E21C 25/16 20060101AFI20230510BHJP
   B23D 61/02 20060101ALI20230510BHJP
   B28D 1/04 20060101ALI20230510BHJP
   B23B 27/20 20060101ALN20230510BHJP
【FI】
E21C25/16
B23D61/02 Z
B28D1/04 B
B23B27/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560936
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2021058877
(87)【国際公開番号】W WO2021204765
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】2005021.7
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517056608
【氏名又は名称】エレメント、シックス、(ユーケー)、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ELEMENT SIX (UK) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】シュオ、ルー
【テーマコード(参考)】
2D065
3C046
3C069
【Fターム(参考)】
2D065DA07
2D065DB05
2D065DB07
2D065GA03
3C046HH04
3C069AA01
3C069BA04
3C069BB01
3C069BB02
3C069BB03
3C069BC01
3C069BC04
3C069CA01
3C069EA01
(57)【要約】
本開示は岩盤掘削機の切削アセンブリ用のディスクカッターに関する。ディスクカッターは少なくとも1つの軽量化開口を含むカッター本体を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩盤掘削機の切削アセンブリ用のディスクカッターであって、前記ディスクカッターは、直径が500mm未満であるカッター本体を備え、前記カッター本体は少なくとも1つの軽量化開口を含み、前記カッター本体の周縁面に沿って連続的に複数の工具保持部が取り付けられ、前記複数の工具保持部の少なくとも1つに切削要素が取り付けられ、前記ディスクカッターの総質量は5kg未満である、ディスクカッター。
【請求項2】
前記カッター本体は複数の軽量化開口を備える、請求項1に記載のディスクカッター。
【請求項3】
前記カッター本体は3つ以上の軽量化開口を備える、請求項1又は2に記載のディスクカッター。
【請求項4】
前記カッター本体は4つ、5つ又は6つの軽量化開口を備える、請求項3に記載のディスクカッター。
【請求項5】
前記カッター本体は駆動スピンドルを受け入れる駆動スピンドル開口と、複数のスポークとを備え、前記複数の軽量化開口の1つが一対の隣り合うスポークの間に位置する、請求項2から4のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項6】
前記駆動スピンドル開口は前記本体の中央から径方向にずれて位置する、請求項5に記載のディスクカッター。
【請求項7】
前記駆動スピンドル開口は放射状に集中して位置する、請求項5に記載のディスクカッター。
【請求項8】
前記複数のスポークは前記駆動スピンドル開口から外向きに径方向に延びる、請求項7に記載のディスクカッター。
【請求項9】
前記複数のスポークは前記ドライバスピンドル開口に対して非対称に配置される、請求項7又は8に記載のディスクカッター。
【請求項10】
前記複数のスポークは前記ドライバスピンドル開口に対して対称に配置される、請求項7又は8に記載のディスクカッター。
【請求項11】
前記スポークには第1の端から第2の端に向かってテーパがつけられている、請求項5から10のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項12】
前記第2の端は前記本体の周縁面に位置するか、その近くに位置する、請求項11に記載のディスクカッター。
【請求項13】
前記カッター本体は一連のスロットを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項14】
前記カッター本体の直径は450mm未満である、請求項1から13のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項15】
前記カッター本体の直径は200~400mmである、請求項1から14のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項16】
前記カッター本体はアルミニウム合金を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項17】
前記工具保持部は本体部と、前記本体部から延び、前記カッター本体にまたがって置かれる一対の離間した脚部とを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項18】
工具保持部毎に1つの切削要素を備える請求項1から17のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項19】
前記1つの切削要素は前記工具保持部の中央に取り付けられる、請求項19に記載のディスクカッター。
【請求項20】
工具保持部にある2つの切削要素を備える請求項1から18のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項21】
前記2つの切削要素は前記工具保持部上で互いに離間して配置される、請求項21に記載のディスクカッター。
【請求項22】
前記2つの切削要素は前記カッター本体の前記平面から外向きに向く、請求項21又は22に記載のディスクカッター。
【請求項23】
前記切削要素は多結晶ダイヤモンド(PCD)を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項24】
前記切削要素は多結晶ダイヤモンド焼結体(PDC)である、請求項1から23のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項25】
前記ディスクカッターの総質量は3kg未満である、請求項1から24のいずれか一項に記載のディスクカッター。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載のディスクカッターを備える岩盤掘削機用のロボット切削アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は採掘掘削機又はトレンチング機械に用いられるディスクカッターに関する。特に、多結晶ダイヤモンドなどの超硬材料を含む切削要素を有するディスクカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの種類の岩盤層が、一般的にスラブとして認知されている大規模な鉱床として世界中で入手可能である。スラブを用地から取り出すために、地上の採石場に様々な種類の採掘設備が配備される。スラブは専門設備を用いて持ち出され、典型的には、巨大で非常に強力な車両によって、スラブが眠っている場所から持ち出される。岩盤スラブの重量は最大40トン(40,000kg)であってもよい。研磨などの処理が現場で行なわれてもよいし、これの代わりに、スラブが家庭用及び産業用の適切な大きさにされた断片に切断するために現場外に運搬されてもよい。
【0003】
特定の岩盤層の幾何学的な形状を持つブロックや、幾何学的な形状を持たないブロックを採掘して取り出すことを容易にする小型で用途が広い切削アセンブリを提供することは困難である。
【0004】
出願人の同時係属中の出願WO 2019/180164 A1、WO 2019/180169 A1、WO 2019/180170 A1には、水平の切削の向きと垂直の切削の向きとの間で動かすことができる円形のディスクカッターを備える切削アセンブリが開示されている。ディスクカッターの外周面の周囲に円筒形の切削要素と、対応する個数分の工具保持部とが配置されて設置される。各工具保持部は、円形の本体に対して少なくとも部分的に側方にオフセットしてもよい。
【0005】
本発明の目的は、超小型切削アセンブリ、特にロボット用途に好適な超小型切削アセンブリを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様に係れば、岩盤掘削機の切削アセンブリ用のディスクカッターであって、ディスクカッターは、直径が500mm未満であるカッター本体を備え、カッター本体は少なくとも1つの軽量化開口を含み、カッター本体の周縁面に沿って連続的に複数の工具保持部が取り付けられ、複数の工具保持部の少なくとも1つに切削要素が取り付けられ、ディスクカッターの総質量は5kg未満である、ディスクカッターが提供される。
【0007】
この配置はロボット切削アセンブリでの使用に特に有効である。地下で操業が行なわれてもよいが、地上からロボット切削アセンブリを遠隔操作することができる。これにより、現地での人間の関与が最小化され、切削運転がより安全になる。重量が削減されるので、切削アセンブリが俊敏になり、遠隔からの操作が容易になる。
【0008】
好ましくは、カッター本体は複数の軽量化開口を備える。カッター本体は3つ以上の軽量化開口を備えてもよい。たとえば、カッター本体は4つ、5つ又は6つの軽量化開口を備えてもよい。
【0009】
任意で、カッター本体は駆動スピンドルを受け入れる駆動スピンドル開口と、複数のスポークとを備え、前記複数の軽量化開口の1つが一対の隣り合うスポークの間に位置する。
【0010】
駆動スピンドル開口は本体の中央から径方向にずれて位置してもよい。これの代わりに、駆動スピンドル開口は放射状に集中して位置してもよい。
【0011】
好ましくは、複数のスポークは駆動スピンドル開口から外向きに径方向に延びる。複数のスポークはドライバスピンドル開口に対して非対称に配置されてもよい。これの代わりに、複数のスポークはドライバスピンドル開口に対して対称に配置されてもよい。
【0012】
好ましくは、スポークには第1の端から第2の端に向かってテーパがつけられている。任意で、第2の端は本体の周縁面に位置するか、その近くに位置する。
【0013】
カッター本体は一連のスロットを備えてもよい。
【0014】
一実施形態では、カッター本体の直径は450mm未満である。好ましくは、カッター本体の直径は200~400mmである。
【0015】
好ましくは、カッター本体はアルミニウム合金を含む。
【0016】
任意で、工具保持部は本体部と、本体部から延び、カッター本体にまたがって置かれる一対の離間した脚部とを備える。
【0017】
任意で、工具保持部には1つの切削要素が取り付けられる。1つの切削要素は工具保持部の中央に取り付けられてもよい。
【0018】
任意で、工具保持部には2つの切削要素が取り付けられる。2つの切削要素は工具保持部上で互いに離間して配置されてもよい。
【0019】
任意で、2つの切削要素はカッター本体の平面から外向きに向く。
【0020】
好ましくは、切削要素は多結晶ダイヤモンド(PCD)を含む。切削要素は多結晶ダイヤモンド焼結体(PDC)であってもよい。
【0021】
好ましくは、ディスクカッターの総質量は3kg未満である。
【0022】
本発明の第2の態様に係れば、本発明の第1の態様に係るディスクカッターを備える岩盤掘削機用のロボット切削アセンブリが提供される。
【0023】
以下、添付の図面を参照して本発明を単に例としてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ロングウォールマイニングシステムの一部として公知の切削アセンブリの第1の変形例を取り入れた地下坑道の概略平面図であり、特に、水平面の向きで切削アセンブリを示している。
図2図1のロングウォールマイニングシステムの概略端面図である。
図3】ロングウォールマイニングシステムの一部として公知の切削アセンブリの第2の変形を取り入れた地下坑道の略平面図であり、特に、垂直面の向きで切削アセンブリを示している。
図4図3のロングウォールマイニングシステムの概略端面図である。
図5】略円形のカッター本体と、ディスクカッターに取り付けられた複数の工具保持部と、各工具保持部に固着した切削要素とを有する本発明の第1の実施形態のディスクカッターの斜視図である。
図6図5のディスクカッターの側面図である。
図7図5のディスクカッターの一部を形成する工具保持部及び切削要素の第1の実施形態の側面図である。
図8図7の工具保持部及び切削要素の正面図である。
図9】工具保持部及び切削要素の第2の実施形態の側面図である。
図10図9の工具保持部及び切削要素の正面図である。
図11】カッター本体の第2の実施形態の側面図である。
図12】カッター本体の第3の実施形態の側面図である。
図13】カッター本体の第4の実施形態の側面図である。
図14】本発明の第2の実施形態のディスクカッターの斜視図である。
図15図14のディスクカッターの側面図である。
図16】工具保持部及び切削要素の第3の実施形態の斜視図である。
図17図16の工具保持部及び切削要素の側面図である。
図18図16の工具保持部及び切削要素の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図中、同様の部分には同様の参照番号が割り当てられている。
【0026】
まず図1図2を参照して、地下の天然地層2に切り込む公知の切削アセンブリの全体が10で示されている。
【0027】
切削アセンブリは地下坑道でよく見られるロングウォールマイニングシステム1の一部を形成する。切削アセンブリは、坑道踏前4上で動作し、一連の調節可能な天盤支保6に囲まれた公知のシアラー(shearer)技術に代わるものである。シアラーが採掘の方向に進むのに応じて、天盤支保6はシアラーの直後で坑道天盤8を支保するように配置される。天盤支保6の後ろでは、坑道天盤6が比較的抑制されるようにして崩壊する。通常、収集アームによって切羽で採掘された岩石を集めて、後で坑道から除去するために岩石を搬送システムに移す。
【0028】
図1及び図2に示されているように、切削アセンブリ10は基部12と、基部12から延びる離間した一対の支持アーム14と、一対の可動支持アーム14の間で延び、これらに回転可能に取り付けられている駆動スピンドル16と、駆動スピンドル16まわりに固定されている複数のディスクカッター18とを備える。
【0029】
図3及び図4に示されている別の公知の切削アセンブリでは、基部12から支持アーム14が1つだけ延びる。1つの支持アーム14によって駆動スピンドル16が中央で支持され、駆動スピンドル16には1つの支持アーム14の両側に分散している複数のディスクカッター18が取り付けられている。
【0030】
通常、上記のディスクカッター18、すなわち各ディスクカッター18は、その中心(芯)で駆動スピンドル16の周囲に取り付けられる。
【0031】
基部12はディスクカッター18の運搬システムとして機能する。基部12は、ディスクカッター18を切削される岩盤層2に近接する運転位置内まで前進させ、運転位置から後退させるように移動可能である。基部12が岩盤層2に接近する速度は、切削アセンブリ10を岩盤層2内に送り込む送り率を決定するいくつかの変数の1つである。(天盤支保6と連携する)基部12は採掘される岩盤層2の長大な壁に沿って横にも移動可能であり、すなわち、左から右と、その逆にも移動可能である。
【0032】
各支持アーム14は、移動して第1の切削の向きと第2の切削の向きになることができるように構成されている。図1及び図2で一番よく分かるが、第1の切削の向きでは、駆動スピンドル16が水平である。この結果、これに対応して、ディスクカッター18によって形成された岩盤層2の切り口が垂直になる。図3及び図4で一番よく分かるが、第2の切削の向きでは、駆動スピンドル16が垂直である。したがって、これに対応して、ディスクカッター18によって形成された岩盤層2の切り口が水平になる。第1及び第2の切削の向きは上記の第1の実施形態又は第2の実施形態のいずれかで可能である。
【0033】
駆動スピンドル16が上記の垂直と水平との間のいかなる切削方向でも動作可能であるように支持アーム14が動くことができてもよいが、これは必須ではない。これの代わりに、支持アーム14は、支持アーム14を第1の切削の向きと第2の切削の向きとの間で動かすことができるが、第1及び第2の切削の向きでだけ支持アーム14が最大限に動作することができる(すなわち、ディスクカッターは岩盤の切削や粉砕を容易にするために回転する)ように構成されてもよい。
【0034】
必要な切削の深さに応じて各支持アーム14を第1の動作位置と第2の動作位置との間で動かすことができ、適宜、各支持アーム14が第1及び第2の切削の向きの各々になる。これは図2の両矢印Aによって示されている。たとえば、第1の動作位置では、駆動スピンドル16が坑道踏前4に近接するように下降し、第2の動作位置では、駆動スピンドル16が坑道天盤8に近接するように上昇する。
【0035】
各支持アーム14は、第2のアーム部分に軸継手(又はこれの代わりに自在継手)によって接続される第1のアーム部分を有してもよく、第1及び第2のアーム部分の各々は互いに対して独立して動くことができる。この配置により、切削アセンブリ10が動作し得る自由度が増し、その運動性が改善される効果が得られる。
【0036】
駆動スピンドル16は特定の速度で回転するモータによって駆動される。通常、モータの出力は、選定されたディスクカッター18の種類と、必要とされる切削力とに応じて1つのディスクカッター18あたり20~50kWになる。
【0037】
ロボットカッターアセンブリでの使用に特に適するディスクカッターが考えられてきた。
【0038】
以下、図5及び図6に注目して、本発明の実施形態では、ディスクカッター100は円形のカッター本体102と、カッター本体102の周縁に配置された複数の工具保持部104とを備える。各工具保持部104には1つの切削要素106が取り付けられる。駆動スピンドル16の回転によってディスクカッター100の対応する回転が起こる。
【0039】
ディスクカッター100の重量を最小化するために、開口が残るようにカッター本体102からパネルが取り去られている。これらの開口はカッター本体102の厚さ分を貫通して延びている。数個のパネルを取り去ることで、開口に挟まれたスポークが残る。通常、これらのパネルはレーザによって取り去られるが、いかなる形態の機械加工でも用いることができる。開口のパターンによって、ディスク全体の重量を削減しつつ、構造的強度が維持される。様々な用途向けに最適化された強度対重量比を様々な形状設計によって実現することができる。
【0040】
本実施形態では、カッター本体102が5つの放射状スポーク108と5つの軽量化開口110とを備え、一対の隣接するスポーク108の間に1つの開口110がある。スポーク108は中央シャフト開口112の周囲で規則的に離間している。ただし、スポーク108は中央でずれており、カッター本体102はその回転軸線すなわちシャフト開口112に対して非対称である。スポーク108の幅はカッター本体102の中央から本体102の周縁面(又は外周面)113に向かって大きくは変わらない状態を維持する。各開口110は角が丸められた三角形である。三角形の開口110の2つの面114はほぼ径方向に延び、第3の面116はほぼ周方向に延びる。
【0041】
カッター本体102の直径は約421mmであり、その厚さは3mmである。シャフト開口112の直径は10mmであり、シャフト開口112の寸法及び形状は駆動スピンドル16を受け入るように設定されている。カッター本体102はアルミニウム合金7068製であり、その重量は約1.47kgである。カッター本体102がスチール製であるとすれば、その重量は約2.58kgである。
【0042】
他の実施形態では、カッター本体の直径は500mm未満である。好ましくは、カッター本体の直径は500mm未満である。好ましくは、カッター本体の直径は200~400mmである。
【0043】
以下、図7及び図8に注目して、カッター本体102には24個の工具保持部104が取り付けられている。各工具保持部104は本体部118と、本体部118から延びる一対の離間した脚部120とを備える。一対の脚部120に対する本体部118の長さの比はおよそ1:1である。本体部118が切削要素106を受け入れる。本体部118は略立方体状であるが、高さは、工具保持部104の頭部121が下方に傾斜するように工具保持部104に正面から裏面に至る途中で低下し始める。切削要素106は、切削要素106が上方に向くように所定の角度で工具保持部104の正面に挿入されている。一対の脚部の各脚部120は板状である。一対の脚部120は隙間122の分だけ離間しており、これにより、カッター本体102の両側での工具保持部104の結着が可能になる。ボルトを受け入れる孔124が一対の脚部120を貫通して延びている。
【0044】
図11図12及び図13で一番よく分かるが、カッター本体102は、カッター本体102の周縁面113に沿って周期的に配置された複数のスロット126を備える。工具保持部104がカッター本体102に取り付けられる場合、脚部120がカッター本体102の両側をカッター本体102の近傍にある状態で乗り越し、各本体部118が少なくとも部分的にスロット126内に置かれる。各工具保持部104をカッター本体102にナット及びボルト(図示せず)で固着させる。これの代わりに、ろう付けや溶接などの恒久的な接続を用いることができる。ろう付け、溶接及び/又は機械的接続の混成も用いてもよい。これの代わりに、1つ以上の工具保持部104を、たとえば、鍛造、粉末冶金などによってカッター本体102と一体的に形成してもよい。スロット126によって使用中にボルトにかかる剪断力が抑えられる。隣接するスロット126の間に延びるカッター本体102の周縁面113によって、工具保持部104がカッター本体102の周囲で規則的に離間する。
【0045】
各工具保持部104はスチール製であるが、これの代わりに、70HV(ビッカース硬さ)を超える硬さを持つ任意の1種類以上の金属や炭化物やセラミック系材料を含んでいてもよい。工具保持部104はアルミニウム合金を含んでいてもよく、カッター本体104と同じ材料を含んでいてもよい。工具保持部104は炭化物(たとえば炭化タングステン)を含んでいてもよい。
【0046】
本実施形態の工具保持部の厚さは約8mmである。
【0047】
各切削要素106は130HV以上の硬さ値を持つ硬質耐磨耗性材料を含む。切削要素106は、立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド、ダイヤモンド類似材料(diamond like material)又はこれらの組合せからなる群から選択される超硬材料を含むことが好ましいが、代わりに炭化タングステンなどの硬質材料であってもよい。切削要素106は、超硬材料が接合される超硬合金基材を含んでいてもよい。
【0048】
図5~10では、切削要素106は、石油ドリリングやガスドリリングの分野でよりよく見られる多結晶ダイヤモンド焼結体(polycrystalline diamond compact:PDC)である。このようなPDCは円筒形であることが多く、通常、スチールや炭化物基材に接合されるダイヤモンド層焼結体を含む。PDCの直径は6mm~30mmであり、好ましくは8mm~25mmである。たとえば、PDCの直径は6mm、11mm、12mm、13mmや、16mmや19mmであってもよい。図5図8では、PDCの直径は6mmである。図9及び図10に示されている実施形態では、PDCの直径は12mmである。ディスクカッター100に直径の組合せが用いられてもよい。各PDCに面取り加工がなされてもよいし、二重の面取り加工がなされ(double chamfered)てもよいし、複数の面取り加工がなされ(multiple chamfered)てもよい。各PDCは研磨されたカッター面を備えてもよいし、少なくとも部分的に研磨されてもよい。
【0049】
PDCの直径が11mmである場合、好ましいカッター本体の直径は400mmであり、その厚さは6mmである。この場合でも、カッター本体はアルミニウム合金7068を含むことが好ましい。24個のPDCを支持するのに24個の工具保持部が用いられる。各工具保持部の厚さは13mmである。シャフト開口はこの場合も10mmである。この結果として得られるディスクカッターの重量は約2.48Kgである。カッター本体がスチールで製造されることになるとすれば、アセンブリ全体の重量は約4.51Kgになる。
【0050】
任意で、(PDC型)切削要素のすくい角は15度~30度である。任意で、すくい角はおよそ20度である。任意で、すくい角は正の角度であっても負の角度であってもよい。図7は、切削要素106が工具保持部102からどのように突出しているのかを示す。
【0051】
岩盤掘削用途では、ディスクカッター100を岩盤層2に接触させ、駆動スピンドル16が回転することによって、駆動スピンドル16のディスクカッター100が回転することで、岩盤層2がスライスされる。選定された切削要素22の寸法に応じて切削アセンブリ10で岩盤層2に切り込み、たとえば、およそ16mmの直交する滑らかな切り口を生成する。切削された岩石は自重を受けて飛び出す(breakout)か、たとえばくさび形の工具を用いた二次的なくさびの力によって飛び出すかする。
【0052】
図11~13は、本出願で説明されている特徴のものと任意に組み合されて用いられることが可能なカッター本体102の代替形態を示す。図12及び図13では、4つの開口が残るように本体から4つのパネルが取り去られている。同様に、図5図6図11図14及び図15では、5つのパネルが取り去られている。通常、これらのパネルはレーザによって取り去られるが、いかなる形態の機械加工でも用いることができる。開口のパターンによって、ディスク全体の重量を削減しつつ、構造的強度が維持される。様々な用途向けに最適化された強度対重量比を様々な形状設計によって実現することができる。
【0053】
図11を参照して、カッター本体の第2の実施形態が200で示されている。本体は、5つの放射状スポーク202と5つの軽量化開口204とを備え、一対の隣接するスポーク202の間に1つの開口204がある。スポーク202は規則的に離間し、駆動スピンドル16を受け入れる中央シャフト開口112に対して対称である。スポーク202には外向きにカッター本体200の中央から本体200の周縁面113に向かって周方向に先太りする。結果として、各開口204の形状は、円弧状の内面と外面206との組と、円弧状の面206と隣り合う一対のまっすぐな面208とを有する略台形になる。円弧状の面206は周方向に延びる一方で、まっすぐな面208は径方向に延びる。
【0054】
図12では、カッター本体の第3の実施形態が300で示されている。本体は4つの放射状スポーク302と4つの軽量化開口304とを備え、一対の隣接するスポーク302の間に1つの開口304がある。スポーク302は中央シャフト開口112の周囲で規則的に離間している。ただし、スポーク302は中央でずれており、本体300はその回転軸線すなわちシャフト開口112に対して非対称である。スポーク302の幅は本体300の中央から本体300の周縁面113に向かって大きくは変わらない状態を維持する。各開口304は、ほぼ径方向に延びる隣り合う2つの面306と、ほぼ周方向に延び、対向する隣り合う一対の面308とを有する四辺形である。
【0055】
図13を参照して、カッター本体の第4の実施形態が400で示されている。本体は、4つの放射状スポーク402と4つの軽量化開口404とを備え、一対の隣接するスポーク402の間に1つの開口404がある。スポーク402は規則的に離間し、駆動スピンドル16を受け入れる中央シャフト開口112に対して対称である。スポーク402には外向きに本体400の中央から本体400の周縁面113に向かって周方向に先太りする。したがって、各開口404の形状は、円弧状の内面と外面406との組と、円弧状の面406と隣り合う一対のまっすぐな面408とを有する略台形になる。円弧状の面406は周方向に延びる一方で、まっすぐな面408は径方向に延びる。
【0056】
切削要素106は従来のPDCではなく、3次元形状のカッターであってもよい。切削要素106の打撃チップ(strike tip)は円錐形、角錐形、弾道(ballistic)形、チゼル(chisel)形や半球形であってもよい。打撃チップの先を切り詰めて打撃チップが平面状の先端を持ってもよいし、打撃チップの先を切り詰めなくてもよい。打撃チップは軸対称であってもよいし、非対称であってもよい。本発明のいずれかの態様と組み合せて、切削要素106のあらゆる形状を用いることができる。このような形状のカッターの例はWO 2014/049162及びWO 2013/092346に見ることができる。
【0057】
図14及び図15にはディスクカッターの第2の実施形態が示されている。ディスクカッター1000は略円形のカッター本体102と、円形の本体20の周縁に配置された複数の工具保持部1002とを備える。カッター本体102は第1の実施形態のカッター本体と同じであるので、これ以上の説明は省略する。
【0058】
各工具保持部1002には1つの切削要素1004が結着させられる。図16及び図17で一番よく分かるが、切削要素1004は3次元形状のカッターを備える。切削要素1004は、先が切り詰められた円錐形の打撃チップ1006を有し、円錐形の打撃チップ1006は炭化物基材1008に接合される。打撃チップ1006は超硬材料を含む。切削要素1004の幅広の基部が工具保持部1002の凹所内に強固に設置され、打撃チップ1006の自由端が、カッター本体102の平面と調和する、ディスクカッター1000の所望の回転方向に向く(図18を参照)。基材1008は、打撃チップ1006が工具保持部1002から突き出るようにほぼ完全に工具保持部1002内に置かれる(図17を参照)。この仕方では、打撃チップ1006は使用中に工具保持部1002の「本体えぐり(bodywash)」(すなわち浸食(erosion))を抑えるのに有用である。
【0059】
図示しないさらなる実施形態では、工具保持部1002に2つの切削要素1004が設けられてもよい。これらの切削要素1004は離間する。2つの打撃チップ1006はこの場合でもディスクカッター1000の所望の回転方向に向くが、当該方向はカッター本体1000の平面と調和しない。打撃チップ1006の各々は相反する方向に、中心線から外れた向きに向き、カッター本体1000の平面に対して対称である。
【0060】
ディスクカッター1000の総質量は5kg未満である。
【0061】
本発明は特に実施形態を参照して示されて説明されているが、添付の請求項によって定められる本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて形態及び細部の様々な変形がなされてもよいことは当業者によって理解される。
【0062】
たとえば、カッター本体102,200,300,400のいずれかの実施形態をPDC切削要素106及び/又は3次元形状のカッター1004と組み合せて用いてもよい。
【0063】
たとえば、相反する方向に中心線から外れた向きに向き、カッター本体のplanに対して対称である2つの切削要素の各々が、3次元形状の切削要素1004ではなく、PDCであってもよい。
【0064】
以下、本明細書で用いられるいくつかの標準的な用語と概念とを簡単に説明する。
【0065】
本明細書で用いられる場合、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料は複数のダイヤモンド粒子を含み、多数のダイヤモンド粒子が互いに粒子間結合し、ダイヤモンドの含有量は材料の少なくとも80体積パーセント前後である。ダイヤモンド粒子の間の隙間は実質的に空であってもよいし、隙間にバルクフィラー材料が少なくとも部分的に充填されてもよいし、隙間は実質的に空であってもよい。バルクフィラー材料は焼結促進材料を含んでいてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2022-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩盤掘削機の切削アセンブリ用のディスクカッターであって、前記ディスクカッターは、直径が500mm未満であるカッター本体を備え、前記カッター本体は少なくとも1つの軽量化開口を含み、前記カッター本体の周縁面に沿って連続的に複数の工具保持部が取り付けられ、前記複数の工具保持部の少なくとも1つに切削要素が取り付けられ、前記ディスクカッターの総質量は5kg未満である、ディスクカッター。
【請求項2】
前記カッター本体は複数の軽量化開口を備える、請求項1に記載のディスクカッター。
【請求項3】
前記カッター本体は3つ以上の軽量化開口を備える、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項4】
前記カッター本体は4つ、5つ又は6つの軽量化開口を備える、請求項3に記載のディスクカッター。
【請求項5】
前記カッター本体は駆動スピンドルを受け入れる駆動スピンドル開口と、複数のスポークとを備え、前記複数の軽量化開口の1つが一対の隣り合うスポークの間に位置する、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項6】
前記駆動スピンドル開口は前記本体の中央から径方向にずれて位置する、請求項5に記載のディスクカッター。
【請求項7】
前記駆動スピンドル開口は放射状に集中して位置する、請求項5に記載のディスクカッター。
【請求項8】
前記複数のスポークは前記駆動スピンドル開口から外向きに径方向に延びる、請求項7に記載のディスクカッター。
【請求項9】
前記複数のスポークは前記ドライバスピンドル開口に対して非対称に配置される、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項10】
前記複数のスポークは前記ドライバスピンドル開口に対して対称に配置される、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項11】
前記スポークには第1の端から第2の端に向かってテーパがつけられている、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項12】
前記第2の端は前記本体の周縁面に位置するか、その近くに位置する、請求項11に記載のディスクカッター。
【請求項13】
前記カッター本体は一連のスロットを備える、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項14】
前記カッター本体の直径は450mm未満である、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項15】
前記カッター本体の直径は200~400mmである、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項16】
前記カッター本体はアルミニウム合金を含む、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項17】
前記工具保持部は本体部と、前記本体部から延び、前記カッター本体にまたがって置かれる一対の離間した脚部とを備える、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項18】
工具保持部毎に1つの切削要素を備える請求項に記載のディスクカッター。
【請求項19】
前記1つの切削要素は前記工具保持部の中央に取り付けられる、請求項18に記載のディスクカッター。
【請求項20】
前記工具保持部にある2つの切削要素を備える請求項に記載のディスクカッター。
【請求項21】
前記2つの切削要素は前記工具保持部上で互いに離間して配置される、請求項20に記載のディスクカッター。
【請求項22】
前記2つの切削要素は前記カッター本体の前記平面から外向きに向く、請求項21に記載のディスクカッター。
【請求項23】
前記切削要素は多結晶ダイヤモンド(PCD)を含む、及び/又は、前記切削要素は多結晶ダイヤモンド焼結体(PDC)である、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項24】
前記切削要素は多結晶ダイヤモンド焼結体(PDC)である、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項25】
前記ディスクカッターの総質量は3kg未満である、請求項に記載のディスクカッター。
【請求項26】
請求項に記載の前記ディスクカッターを備える岩盤掘削機用のロボット切削アセンブリ。
【国際調査報告】