(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(54)【発明の名称】雑草防除管理方法、雑草防除管理車両、および雑草防除管理システム
(51)【国際特許分類】
A01M 21/04 20060101AFI20230511BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A01M21/04 C
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557833
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2021056465
(87)【国際公開番号】W WO2021190966
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】マルコム、フエルス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、チャールズ、チャップル
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121CC05
2B121DA63
2B121EA26
2B121FA06
2B121FA16
(57)【要約】
本発明は雑草を防除するための方法(10)に関し、この方法は、a)圃場に播かれた作物種子の地理的情報を取得して、作物種子マップを生成し、b)作物種子が播かれた、または播かれている最中の圃場の少なくとも2つの異なる時点での土壌隆起データおよび土壌隆起に対応する地理的情報を取得して、少なくとも2つの異なる時点での圃場の土壌表面形状を示す土壌表面形状マップを生成し、c)土壌表面形状マップと作物種子マップを比較して、圃場に播かれた種子の生長とは関連しない土壌隆起の形状における差異を特定し、d)圃場に播かれた作物種子の生長とは関連しない、圃場の特定された土壌隆起における差異に基づいて雑草防除剤散布マップを生成する、というステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑草を防除するための方法(10)であって、
a)圃場に播かれた作物種子の地理的情報を取得し、作物種子マップを生成し、
b)前記作物種子が播かれたまたは播かれている最中の前記圃場の、少なくとも2つの異なる時点での、土壌隆起データと土壌隆起に対応する地理的情報とを取得し、前記圃場の前記少なくとも2つの異なる時点での土壌表面形状を示す土壌表面形状マップを生成し、
c)前記土壌表面形状マップと前記作物種子マップとを比較して、前記圃場に播かれた前記種子の生長とは関連しない前記土壌隆起の形状における差異を特定し、
d)前記圃場に播かれた前記作物種子の生長とは関連しない、前記圃場の特定された前記土壌隆起における前記差異に基づいて、雑草防除剤散布マップを生成する、
ステップを含む雑草防除方法(10)。
【請求項2】
前記作物種子マップ用、および第1時点での前記土壌表面形状を示す前記土壌表面形状マップ用のデータは、農業用車両を用いて前記圃場で同時に取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップe)前記雑草防除剤散布マップに従った雑草防除剤の前記圃場への散布、を含む請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップa)~e)は、前記圃場で前記作物種子および/または雑草の複数の芽が発生する前および/または発生している間に行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記圃場に播かれた前記作物種子の前記地理的情報は、前記作物種子の播種中に土壌に衝突した前記作物種子の地理的情報を記録するよう構成されている少なくとも1つのセンサにより取得される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記圃場の前記土壌隆起データと前記土壌隆起に対応する前記地理的情報とは、土壌表面に向けて光パルスを生成して反射の時間を測定するよう構成されているセンサおよび場所特定手段を用いて取得される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
雑草防除管理のための車両(100)であって、
少なくとも1つの種子位置センサ(111)と少なくとも1つの土壌隆起センサ(112)とを含む複数のセンサ(110)と、
制御処理ユニット(120)と、
播種ユニット(130)と、
を含み、
前記車両(100)は、前記播種ユニット(130)を用いて圃場に作物種子を播くよう構成され、
前記少なくとも1つの種子位置センサ(111)は、播種中に土壌表面に衝突した前記播種ユニット(130)からの前記作物種子の種子地理的位置データを収集するよう構成され、
前記制御処理ユニット(120)は、前記種子地理的位置データを前記少なくとも1つの種子位置センサ(111)から受信して、前記圃場の作物種子マップを生成するよう構成され、
前記車両の前記少なくとも1つの土壌隆起センサ(112)は、前記圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報とを含む土壌隆起データを収集するよう構成され、
前記制御処理ユニット(120)は、前記少なくとも1つの土壌隆起センサ(112)から前記土壌隆起データを受信して、前記圃場の第1時点での土壌表面形状を示す土壌表面形状マップを生成するよう構成され、
前記種子位置データおよび前記土壌隆起データは、前記車両の前記播種ユニットを用いて植物の前記作物種子が前記圃場に播かれたのと同じ場合に取得される、
雑草防除管理車両(100)。
【請求項8】
出力ユニット(140)を含み、
前記出力ユニット(140)は、前記圃場の前記作物種子マップおよび前記圃場の前記土壌表面形状マップを前記制御処理ユニット(120)から受信するよう構成され、
前記出力ユニット(140)は、前記圃場の前記作物種子マップおよび前記圃場の前記土壌表面形状マップを出力するよう構成される、
請求項7に記載の雑草防除管理車両。
【請求項9】
雑草防除管理のための車両(200)であって、
少なくとも1つの土壌隆起センサ(210)と、
制御処理ユニット(220)と、
送受信機(230)と、
を含み、
前記少なくとも1つの土壌隆起センサ(210)は、第1時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報とを含む土壌隆起データを収集するよう構成され、
前記少なくとも1つの土壌隆起センサ(210)は、前記第1時点より後の第2時点での前記圃場の隆起量と前記土壌隆起に対応する前記地理的情報とを含む土壌隆起データを収集するよう構成され、
前記制御処理ユニット(220)は、前記少なくとも1つの土壌隆起センサ(210)から前記土壌隆起データを受信して、少なくとも2つの異なる時点での前記圃場の土壌表面形状マップを生成するよう構成され、
前記制御処理ユニット(220)は、前記送受信機(230)を利用して前記圃場の作物種子マップを受信するよう構成され、
前記制御処理ユニット(220)は、前記土壌表面形状マップと前記作物種子マップを比較して、前記圃場に播かれた前記種子の生長とは関連しない前記土壌隆起の形状における差異を特定し雑草防除剤散布マップを生成するよう構成される、
雑草防除管理車両(200)。
【請求項10】
前記制御処理ユニット(220)は、前記送受信機(230)を利用して前記第1時点での前記圃場の前記隆起量と前記土壌隆起に対応する前記地理的情報とを含む前記土壌隆起データ、および/または前記第1時点での前記圃場の前記土壌表面形状マップを受信するよう構成される、請求項9に記載の雑草防除管理車両(200)。
【請求項11】
出力ユニット(240)を含み、
前記出力ユニット(240)は、前記圃場用の前記雑草防除剤散布マップを前記制御処理ユニット(220)から受信するよう構成され、
前記出力ユニット(240)は、前記圃場用の前記雑草防除剤散布マップを出力するよう構成される、
請求項9~10のいずれか一項に記載の雑草防除管理車両(200)。
【請求項12】
前記車両はさらに、少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット(250)を含み、
前記少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット(250)は、雑草防除散布剤を放出するよう構成され、
前記制御処理ユニット(220)は、前記雑草防除剤散布マップに従って前記少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット(250)を制御するよう構成される、
請求項9~11のいずれか一項に記載の雑草防除管理車両(200)。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法に従って生成される、雑草防除剤散布マップ。
【請求項14】
第1雑草防除管理車両(100)および第2雑草防除管理車両(200)を含む雑草防除管理システム(300)であって、
前記第1車両は、
少なくとも1つの種子位置センサ(111)と、
制御処理ユニット(120)と、
播種ユニット(130)と、
送受信機(140)と、
を含み、
前記第2車両は、
少なくとも1つの土壌隆起センサ(210)と、
制御処理ユニット(220)と、
送受信機(230)と、
を含み、
前記第1車両(100)は、前記播種ユニット(130)を用いて圃場に作物種子を播くよう構成され、
前記第1車両の前記少なくとも1つの種子位置センサ(111)は、播種中に土壌表面に衝突した前記播種ユニット(130)からの前記作物種子の種子地理的位置データを収集するよう構成され、
前記第1車両の前記制御処理ユニット(120)は、前記少なくとも1つの種子位置センサ(111)の前記種子位置データを受信して、前記圃場の作物種子マップを生成するよう構成され、
前記第2車両(200)の前記少なくとも1つの土壌隆起センサ(210)は、第1時点および前記第1時点より後の第2時点での前記圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報とを含む土壌隆起データを収集するよう構成され、
前記第2車両(200)の前記制御処理ユニット(220)は、前記少なくとも1つの土壌隆起センサ(210)から前記土壌隆起データを受信して、前記圃場の少なくとも2つの異なる時点での土壌形状マップを生成するよう構成され、
前記第1車両の前記制御処理ユニット(120)は、前記送受信機(140)を利用して前記圃場の前記作物種子マップを前記第2車両(200)へ送信するよう構成され、
前記第2車両(200)の前記制御処理ユニット(220)は、前記送受信機(230)を利用して前記第1車両(100)から前記圃場の前記作物種子マップを受信するよう構成され、
前記第2車両(200)の前記制御処理ユニット(220)は、前記土壌表面形状マップと前記種子マップとを比較して、前記圃場に播かれた前記種子の生長とは関連しない前記土壌隆起の形状における差異を特定し雑草防除剤散布マップを生成するよう構成される、
雑草防除管理システム(300)
【請求項15】
前記第1車両は、少なくとも1つの土壌隆起センサ(112)を含み、
前記第1車両の前記少なくとも1つの土壌隆起センサ(112)は、前記第1時点での前記圃場の隆起量と前記土壌隆起に対応する地理的情報とを含む土壌隆起データを収集するよう構成され、
前記第1車両の前記制御処理ユニット(120)は、前記少なくとも1つの土壌隆起センサ(112)から前記土壌隆起データを受信して、前記第1時点での前記圃場の土壌表面形状マップを生成するよう構成され、
前記第1車両の前記制御処理ユニット(120)は、前記送受信機(140)を利用して前記第1時点での前記圃場の前記土壌表面形状マップを前記第2車両(200)へ送信するよう構成され、
前記第2車両(200)の前記制御処理ユニット(220)は、前記送受信機(230)を利用して前記第1時点での前記圃場の前記土壌表面形状マップを前記第1車両(100)から受信するよう構成される、
請求項14に記載の雑草防除管理システム(300)。
【請求項16】
前記第2車両(200)は、少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット(250)を含み、
前記少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット(250)は、雑草防除散布剤を放出するよう構成され、
前記第2車両(200)の前記制御処理ユニット(220)は、前記雑草防除剤散布マップに従って前記少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット(250)を制御するよう構成される、
請求項14~15のいずれか一項に記載のシステム(300)。
【請求項17】
プロセッサにより実行された場合に、
a)圃場に播かれた作物種子の地理的情報を受信し(410)、
b)前記ステップa)で受信した前記情報に基づいて、作物種子マップを生成し(420)、
c)前記作物種子が播かれたまたは播かれている最中の前記圃場の、少なくとも2つの異なる時点での、土壌隆起データと土壌隆起に対応する地理的情報とを受信し(430)、
d)前記ステップc)で受信した前記情報に基づいて、前記圃場の前記少なくとも2つの異なる時点での土壌表面形状を示す土壌表面形状マップを生成し(440)、
e)前記土壌表面形状マップと前記作物種子マップとを比較し(450)、
f)前記圃場に播かれた前記種子の生長とは関連しない前記土壌隆起の形状における差異を特定し(460)、
g)前記圃場に播かれた前記作物種子の生長とは関連しない、前記圃場の特定された前記土壌隆起における前記差異に基づいて雑草防除剤散布マップを生成する(470)、
ステップを実行するよう構成される、雑草防除管理のためのコンピュータプログラム製品(400)。
【請求項18】
e)前記雑草防除剤散布マップに従って、雑草防除剤を前記圃場へ散布するよう車両に指示する(480)ステップをさらに含む、請求項17に記載の雑草防除管理用コンピュータプログラム製品(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草防除管理方法、雑草防除管理車両、雑草防除管理システム、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の一般的背景は雑草防除(weed control)であり、特に、発芽前の雑草防除である。現代の農業は、充分な食料を安全で持続可能な方法で生産する上で多くの課題に直面している。農産物の品質および数量に影響を及ぼす課題の一つは望ましくない雑草によりもたらされ、それらの雑草は農産物の収量および品質に重大な悪影響を及ぼしうる。これに対する解決策には、圃場(agricultural field)に化学的除草剤製品および生物学的な除草剤製品を雑草の発生前および発生後に散布することが含まれる。しかし、こうした手法には比較的多量の製品が散布され、必ずしも最適な時期や最適な場所に散布されないという不利益がある。非常に効率的な処置は発芽前の段階であるが、最初の根が発達中である発芽した後の段階である。根の生長を阻害する除草剤製品は、根が除草剤製品の阻害効果に打ち勝つほど充分に発達していないこの段階で非常に効果的である。しかし、雑草の場所は発芽前の段階ではわからないので、除草剤製品は雑草が生長中の場所だけでなく圃場全体に散布される。
【発明の概要】
【0003】
化学的除草剤製品および生物学的除草剤製品を圃場へより特化して散布するために、(特に発芽前の雑草防除管理のための)雑草防除管理のための改善された手段を有することは有益となるであろう。本発明の目的は独立請求項の主題により達成され、更なる実施形態は従属請求項に含まれる。以下に記載される本発明の態様および実施例は雑草防除方法、雑草防除車両、雑草防除システム、およびコンピュータプログラム製品にも適用されることに留意されたい。
【0004】
第1態様によれば、雑草を防除するための方法が提供され、この方法は、
a)圃場に播かれた作物種子の地理的情報を取得して作物種子マップを生成し、
b)作物種子が播かれた、または播かれている最中の圃場の少なくとも2つの異なる時点での土壌隆起データと土壌隆起に対応する地理的情報を取得して、少なくとも2つの異なる時点での圃場の土壌表面形状を示す土壌表面形状マップを生成し、
c)土壌表面形状マップと種子マップを比較して、圃場に播かれた種子の生長とは関連しない土壌隆起の形状における差異を特定し、
d)圃場に播かれた作物種子の生長とは関連しない、圃場の特定された土壌隆起における差異に基づいて雑草防除剤散布マップを生成する、
というステップを含む。
【0005】
したがって、圃場の土壌内の作物種子の地理的位置は播種中に記録される。作物種子マップとは、播種後の圃場における作物種子の地理的分布を二次元または三次元で表示したものを指す。圃場の土壌隆起の形状は、例えば作物種子の播種の直後、および雑草が発芽し始めているがまだ発生していない、または発生したばかりである、より後の第2時点において測定される。データの比較により、2つの異なる時点での土壌隆起の形状における差異が、雑草が生長している可能性のある場所を示す。雑草が発生する前に、生長している芽が上方へ突き出るので、土壌は動かされる。この土壌の変位は適切なセンサにより検出することができる。機械学習アルゴリズムは、雑草の発芽とは関連がない理由による土壌の変位、例えば気象的な出来事や土壌の浸食、鳥や動物のマーキングなどによる土壌の変位の識別に対応する。新たに発生した作物種子に対しては散布されないのが明白であるため、そして雑草および作物により引き起こされる土壌変位は類似しうるため、雑草防除剤散布マップを生成する際には播種中の作物種子の地理的位置を特定し、作物種子の地理的位置を考慮する必要がある。雑草防除剤散布マップとは、圃場の雑草を適切に防除するために雑草防除剤を散布することができる圃場の(発芽および発生している)雑草の地理的分布を(少なくとも)二次元(または三次元)で表示したものを指す。このようにして雑草を非常に早い時点で特定することができて、これにより、精密農業の雑草防除散布が発芽前の段階で可能となる。
【0006】
一例では、作物種子マップおよび第1時点での土壌表面形状を示す土壌表面形状マップ用のデータは、農業用車両を用いて圃場で同時に取得される。
【0007】
つまり、作物種子マップ用のデータおよび第1時点での土壌表面形状のデータは、一つの作業工程で取得される。例えば、播種車両は圃場に作物種子を播いている。作物種子の地理的位置は播種工程の間に記録される。例えば、通過した種子を検出するセンサと、種子がこのセンサを通過した際のタイムスタンプを付けるためのタイマーとを備える種子計測システムを用いて、播種車両のGPSシステムを用いてすべてが同期される。同時に、播種車両上のセンサは第1時点での土壌隆起の形状に関するデータを取得することができる。これらの結合された作業工程は、圃場で必要なデータを取得するのに地上車両による更なる作業は必要ないという利点を有し、CO2排出および土壌圧縮による損害の防止に関して利点を有する。
【0008】
一例では、この方法は更なるステップe)を含み、雑草防除剤が雑草防除剤散布マップに従って圃場へ散布される。
【0009】
つまり、精密農業手法において、雑草生長の非常に早い段階で除草剤を散布するのに雑草防除剤散布マップを車両で使用することができる。これには、精密に散布する手法によって散布される除草剤がより少ないという利点だけでなく、より早期の生長段階にある雑草はより後の段階よりも防除が容易であるために必要な除草剤がより少なくなるという利点もある。
【0010】
一例では、この方法のステップa)~e)は、圃場で作物種子および/もしくは雑草の複数の芽が発生する前、ならびに/または作物種子および/もしくは雑草の複数の芽が発生している間に行われる。
【0011】
したがって、この雑草防除管理方法は、作物種子植物と雑草の間で栄養資源の獲得競争が激しい、作物種子が播かれた後の早期の生長段階において特に有益である。
【0012】
一例では、圃場に播かれた作物種子の地理的情報は、作物種子の播種中に土壌に衝突した作物種子の地理的情報を記録するよう構成されている少なくとも1つのセンサにより取得される。
【0013】
したがって、様々な既知の検出手法を用いて、圃場の種子の地理的位置についての情報を取得することができる。上述したように、通過した種子を検出するセンサと、種子がこのセンサを通過した際のタイムスタンプをGPSシステムと同期して付けるためのタイマーとを備える計測システムを用いて、圃場の作物種子の地理的位置を評価することができる。別の手法には、例えば、播種工程の間にGPSデータと共にカメラを用いて土壌に衝突した種子から取得した画像の画像分析が含まれる。
【0014】
一例では、圃場の土壌隆起データおよび土壌隆起に対応する地理的情報は、土壌表面に向けて光パルスを生成して反射の時間を測定するよう構成されているセンサおよび場所特定手段を用いて取得される。
【0015】
このようにして、lidarセンサ(LIDARやLiDARとしても知られる)などの既知の高分解能のセンサをGPSシステムと組み合わせて用いることで、土壌隆起データを取得することができる。
【0016】
本発明の第2態様によれば、少なくとも1つの種子位置センサと少なくとも1つの土壌隆起センサとを含む複数のセンサと、制御処理ユニットと、播種ユニットとを含む雑草防除管理車両が提供される。この車両は、播種ユニットを用いて圃場に作物種子を播くよう構成される。少なくとも1つの種子位置センサは、播種中に土壌表面に衝突した播種ユニットからの作物種子の種子地理的位置データを収集するよう構成される。制御処理ユニットは、種子地理的位置データを少なくとも1つの種子位置センサから受信して、圃場の作物種子マップを生成するよう構成される。車両の少なくとも1つの土壌隆起センサは、圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。制御処理ユニットは、少なくとも1つの土壌隆起センサから土壌隆起データを受信して、圃場の第1時点での土壌表面形状を示す土壌表面形状マップを生成するよう構成される。種子位置データおよび土壌隆起データは、車両の播種ユニットを用いて植物の作物種子が圃場に播かれたのと同じ場合に取得される。
【0017】
つまり、雑草防除管理車両は、播種工程の直後の(例えば、播種車両の車輪が通過した後の)圃場の土壌の作物種子の地理的位置および表面構造を(高分解能で)測定するための適切なセンサ機器を備える播種車両とすることができる。このようにして、雑草防除管理で有用なデータを播種工程中に得ることができる。
【0018】
一例では、雑草防除管理車両は出力ユニットを含む。出力ユニットは、圃場の作物種子マップおよび圃場の土壌表面形状マップを制御処理ユニットから受信するよう構成される。出力ユニットは、圃場の作物種子マップおよび圃場の土壌表面形状マップを出力するよう構成される。
【0019】
つまり、作物種子マップおよび土壌表面形状マップは、例えば、モニター、携帯型、プリンタ、スクリーン、または任意の他の情報監視装置/媒体上で農業従事者へ見せることができる。
【0020】
本発明の第3態様によれば、少なくとも1つの土壌隆起センサと、制御処理ユニットと、送受信機とを含む(第2)雑草防除管理車両が提供される。少なくとも1つの土壌隆起センサは、第1時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。少なくとも1つの土壌隆起センサは、第1時点より後の第2時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。制御処理ユニットは、少なくとも1つの土壌隆起センサから土壌隆起データを受信して、少なくとも2つの異なる時点での圃場の土壌表面形状マップを生成するよう構成される。制御処理ユニットは、送受信機を利用して圃場の作物種子マップを受信するよう構成される。制御処理ユニットは、土壌表面形状マップと作物種子マップを比較して、圃場に播かれた種子の生長とは関連しない土壌隆起の形状における差異を特定して雑草防除剤散布マップを生成するよう構成される。
【0021】
言い換えれば、車両は第1時点の土壌隆起データおよび第2時点での(例えば、第1時点よりも数日/数週間後の表示とすることもできる)土壌隆起データを取得する。また、車両はより早い時点で生成された作物種子マップについての情報も受信する。車両の制御処理ユニットは、生成されて受信した情報を用いて雑草防除剤散布マップを生成する。また、作物種子マップ、土壌表面形状マップ、および/または雑草防除剤散布マップの算出および生成は外部処理ユニットで行うこともできて、情報/分析は情報/分析を必要とする車両へ送信することができる。
【0022】
一例では、(第2)車両の制御処理ユニットは、送受信機を利用して第1時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データ、および/または第1時点での圃場の土壌表面形状マップとを受信するよう構成される。
【0023】
このように、第2車両は第2時点での土壌隆起データを取得する必要があるに過ぎず、第1車両により(例えば、播種工程中に播種車両により)生成された、または他の車両により生成された土壌隆起データを使用することができる。第2車両は、例えば無線通信を介してデータを受信して、この情報を用いて雑草防除剤散布マップを生成する。したがって、第2車両が圃場にいながら雑草防除剤散布マップを生成することは可能であり、これにより、車両が雑草防除測定の必要な場所にいながら直接雑草防除測定を開始することが可能となる。
【0024】
一例では、(第2)雑草防除管理車両は出力ユニットを含む。出力ユニットは、圃場用の雑草防除剤散布マップを制御処理ユニットから受信するよう構成される。出力ユニットは、圃場用の雑草防除剤散布マップを出力するよう構成される。
【0025】
一例では、(第2)雑草防除管理車両は少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニットを含む。少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニットは、雑草防除散布剤を放出するよう構成される。制御処理ユニットは、雑草防除剤散布マップに従って少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニットを制御するよう構成される。
【0026】
したがって、第2時点での土壌隆起データを取得する第2車両は、雑草防除剤散布マップを生成するためのすべてのデータを有する。そのようにするために、車両は外部処理能力を使用することもできる。ただし、車両が圃場で第2時点での土壌隆起データを取得しているのと同時に、車両はデータを分析して、雑草の防除を例えば適切な除草剤製品を必要に応じて散布して開始することができる。この連続した工程により有効性が向上する。
【0027】
本発明の第4態様では、本発明の第1態様で論じられた方法に従って生成された雑草防除剤散布マップが提供される。
【0028】
本発明の第5態様では、第1雑草防除管理車両および第2雑草防除管理車両を含む雑草防除管理システムが提供される。第1車両は、少なくとも1つの種子位置センサと、制御処理ユニットと、播種ユニットと、送受信機とを含む。第2車両は、少なくとも1つの土壌隆起センサと、制御処理ユニットと、送受信機とを含む。第1車両は播種ユニットを用いて圃場に作物種子を播くよう構成される。第1車両の少なくとも1つの種子位置センサは、播種中に土壌表面に衝突した播種ユニットからの作物種子の種子地理的位置データを収集するよう構成される。第1車両の制御処理ユニットは、少なくとも1つの種子位置センサの種子位置データを受信して圃場の作物種子マップを生成するよう構成される。第2車両の少なくとも1つの土壌隆起センサは、第1時点および第1時点より後の第2時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。第2車両の制御処理ユニットは、少なくとも1つの土壌隆起センサから土壌隆起データを受信して、少なくとも2つの異なる時点での圃場の土壌形状マップを生成するよう構成される。第1車両の制御処理ユニットは、送受信機を利用して圃場の作物種子マップを第2車両へ送信するよう構成される。第2車両の制御処理ユニットは、送受信機を利用して圃場の作物種子マップを第1車両から受信するよう構成される。第2車両の制御処理ユニットは、土壌表面形状マップと種子マップを比較して、圃場に播かれた種子の生長とは関連しない土壌隆起の形状における差異を特定して雑草防除剤散布マップを生成するよう構成される。
【0029】
一例では、雑草防除管理システムは、少なくとも1つの土壌隆起センサをさらに含む第1車両を含む。第1車両の少なくとも1つの土壌隆起センサは、第1時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。第1車両の制御処理ユニットは、少なくとも1つの土壌隆起センサから土壌隆起データを受信して、第1時点での圃場の土壌表面形状マップを生成するよう構成される。第1車両の制御処理ユニットは、送受信機を利用して第1時点での圃場の土壌表面形状マップを第2車両へ送信するよう構成される。第2車両の制御処理ユニットは、送受信機を利用して第1時点での圃場の土壌表面形状マップを第1車両から受信するよう構成される。
【0030】
一例では、雑草防除管理システムは、少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニットをさらに含む第2車両を含む。少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニットは、雑草防除散布剤を放出するよう構成される。第2車両の制御処理ユニットは、雑草防除剤散布マップに従って少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニットを制御するよう構成される。
【0031】
別の態様によれば、プロセッサにより実行された場合に第1態様の方法を実行するよう構成されているコンピュータプログラム製品が提供される。
【0032】
有利には、上記態様のいずれかによって提供される利益は他の態様のすべてに同様に当てはまり、逆もまた同様である。
【0033】
上記の態様および実施例は以下で記載される実施形態から明確となり、また以下で記載される実施形態を参照して明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下では、例示の実施形態について以下の図面を参照して説明する。
【0035】
【
図1】雑草防除剤散布マップの生成の模式的な例を示す。
【
図2】a)およびb)は、(側面斜視図で)雑草の発芽過程の模式的な例と、(上面斜視図で)雑草の発芽過程により生成される土壌隆起のパターンを示す。
【
図3】雑草防除管理車両(100)の一例の概略構成を示す。
【
図4】雑草防除管理車両(200)の一例の概略構成を示す。
【
図5】雑草防除管理システム(300)の一例の概略構成を示す。
【
図6】(側面斜視図で)雑草防除管理車両(100)の詳細例の概略構成を示す。
【
図7】(側面斜視図で)雑草防除管理車両(200)の詳細例の概略構成を示す。
【
図8】雑草防除管理用コンピュータプログラム製品(400)の一例の概略構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、第1実施形態においては雑草防除管理方法10に関する。この方法は、
a)圃場に播かれた作物種子の地理的情報を取得して作物種子マップを生成し、
b)作物種子が播かれた、または播かれている最中の圃場の少なくとも2つの異なる時点での土壌隆起データと土壌隆起に対応する地理的情報を取得して、少なくとも2つの異なる時点での圃場の土壌表面形状を示す土壌表面形状マップを生成し、
c)土壌表面形状マップと作物種子マップを比較して、圃場に播かれた種子の生長とは関連しない土壌隆起の形状における差異を特定し、
d)圃場に播かれた作物種子の生長とは関連しない、圃場の特定された土壌隆起における差異に基づいて雑草防除剤散布マップを生成する、
というステップを含む。
【0037】
一例では、「地理的情報」という用語は、例えば地理的座標で表現される、現実世界の地理的位置を指す。
【0038】
一例では、「作物種子が播かれた、または播かれている最中の」という表現は、播種の直後の時点を指す。例えば、作物種子が車両の前部に播種設備を備える車両を用いて播かれて、同じ車両の後部のセンサを用いて同じ作業工程内で土壌隆起データを取得できる場合。また、時点はより後、例えば播種の数日後の表示とすることもできる。データは、播種車両とは異なる車両を用いて取得することもできる。
【0039】
一例では、地理的情報の分解能は±10cmであり、より好ましくは±5cm、さらに好ましくは±2cmであり、この分解能はGPSリアルタイムキネティック(RTK)システムなどの場所特定手段を備える種子位置センサにより達成することができる。
【0040】
一例では、圃場に播かれた作物種子の地理的情報についての情報は、種子を検出するカメラ、レーザースキャナ、もしくは一次元ラインセンサ、光線、および温められた種子を検出する感温素子を位置特定システムと共に用いて取得することができる。米国特許出願公開第2014/0076216A1号明細書は、種子の粒子に正確に穴を開けて、種子の位置を図表に登録する方法について論じている。
【0041】
一例では、作物種子マップは、播種後の圃場での作物種子の地理的分布の特に少なくとも二次元(あるいは三次元)の表示の形態である図表内での種子位置の登録を指す。
【0042】
一例では、圃場の土壌隆起データおよび土壌隆起に対応する地理的情報は、lidarセンサ、Parallax社製レーザー測距センサ、立体視センサ、赤外線(IR)反射率センサ、飛行時間型(タイムオブフライト)センサ、超音波センサ、レーダーセンサを用いて取得される
【0043】
一例では、lidarセンサが使用される。
【0044】
一例では、3Dのlidarセンサが使用される。
【0045】
一例では、カメラと共にlidarセンサが使用される。カメラは、例えば、すでに発生している雑草の葉の部分を特定することができて、この情報は雑草防除剤散布マップの生成で考慮されうる。
【0046】
一例では、カメラは可視波長範囲にわたって動作するよう構成される。一例では、カメラは近赤外領域で動作するよう構成される。一例では、カメラは単色である。一例では、カメラはRGBなどの色情報を取得するよう構成される。一例では、カメラはハイパースペクトル情報を取得するよう構成される。
【0047】
一例では、圃場全体の様々な場所で複数のlidarスキャンが取得される。これは、高い一貫性のあるlidar点密度(光による検出および測距で測定される所与の標的上の単位面積当たりの点の数)を提供するために行われる。地上での、および/または地上近くでのlidar検出で考慮すべき一つの問題は、スキャナにより近い土壌の部分が遠く離れた部分と比べてより密に網羅されている状況で点密度が不均一となりうることである。これについては、様々な手段、例えば、パルスの繰り返し数を上げる、スキャンパターンおよび/またはスキャン速度を変える、などにより対処が可能である。
【0048】
一例では、圃場の土壌隆起データおよび土壌隆起に対応する地理的情報は、lidarセンサ、およびGPSリアルタイムキネティック(RTK)などの位置特定システムを用いて取得される。
【0049】
一例では、少なくとも2つの異なる時点とは、例えば1日、1週間、2週間、3週間の時間差を伴う2つの異なる時刻での、土壌隆起データおよび土壌隆起に対応する地理的情報の測定を指す。
【0050】
一例では、土壌隆起データは複数の異なる時点で取得され、それぞれが以前の土壌隆起データと比較される。一例として、土壌隆起データは毎日取得される。
【0051】
一例では、土壌表面形状マップは、圃場での地理的座標を少なくとも二次元(または三次元)で表示したものを指し、各地理的座標に対して(測定時の)土壌隆起量が示される。地理的位置(水平方向)のデータ分解能は、用いられるlidarおよび位置特定手段により決まり、好ましくは最低でも2cmであり、より好ましくは1cm、さらに好ましくは1cm未満である。土壌隆起量の測定に関しては、今日のlidarセンサは、雑草の発芽と生長を示す土壌隆起の形状における変化を検出するのに充分な垂直方向の差異を検出するために表示ミリメートルの分解能を有する。
【0052】
一例では、2つ以上の土壌表面形状マップの間の地理的位置の小さなずれを補正するためにアルゴリズムが適用される。
【0053】
一例では、少なくとも2つの異なる時点での土壌表面形状マップが互いに比較される(
図1のa)、b)を参照)。この比較により、圃場の同じ地理的位置での経時的な土壌隆起量の変化が明らかとなる(
図1のd)を参照)。雑草の発芽活動に関するパターンにおけるこれらの差異は、機械学習アルゴリズムを用いてさらに分析することができる。雑草が発芽する際、芽が芽の上にある土壌を押す。土壌は芽の上へ隆起する(
図2のa)の側面斜視図を参照)。上記のこうした雑草の発芽過程を分析すると、他の土壌隆起を変化させる発生、例えば気象活動などと区別しうるパターンが明らかになる(
図2のb)の上面斜視図での取り得るパターンの略図を参照)。また、発芽している雑草に起因しない他の土壌隆起の変化は類似の方法で分析することができて、例えば機械学習アルゴリズムを用いて分類することができる。少なくとも2つの異なる時点での土壌形状マップを作物種子マップに重ね合わせることで(
図1のd)を参照)、発芽している雑草を特定して、播かれた作物種子、および気象的発生などの他の理由のために発生した土壌隆起変化と区別することができる。そして、雑草防除剤散布マップを生成することができる(
図1のe)を参照)。雑草防除剤散布マップは、圃場の雑草を適切に防除するために雑草防除剤を散布することができる圃場の(発芽および発生している)雑草の地理的分布を(少なくとも)二次元(または三次元)で表示したものである。
【0054】
一例では、土壌隆起データ/土壌形状マップの分析は、機械学習アルゴリズムの利用を含む。
【0055】
一例では、機械学習アルゴリズムは決定木アルゴリズムを含む。
【0056】
一例では、機械学習アルゴリズムは人工ニューラルネットワークを含む。
【0057】
一例では、機械学習アルゴリズムは複数の土壌隆起形状マップに基づいて教育されている。一例では、機械学習アルゴリズムは、少なくとも1種類の雑草、様々な土壌種類、および様々な土壌含水量に起因する複数の土壌隆起パターンを含む、複数の土壌隆起形状マップに基づいて教育されている。一例では、機械学習アルゴリズムは、複数の雑草、様々な土壌種類、および様々な土壌含水量の複数の土壌隆起パターンを含む、複数の土壌隆起形状マップに基づいて教育されている。
【0058】
一例では、上述したものと類似した機械学習アルゴリズムが、すでに発生している雑草、雑草の種類(少なくとも単子葉植物/双子葉植物)、生長の段階/大きさ、および地理的位置を特定するのに使用される。
【0059】
一例では、すでに発生している雑草のデータが雑草防除剤散布マップを生成するのに用いられる。
【0060】
一例では、個々の作物種子の周りの半径20cm、好ましくは10cm、より好ましくは5cm、さらに好ましくは3cmが、雑草防除剤を散布しないように雑草防除剤散布マップで印が付けられる。
【0061】
一例によれば、作物種子マップおよび第1時点での土壌表面形状を示す土壌表面形状マップ用のデータは、農業用車両を用いて圃場で同時に取得される。
【0062】
一例では、特定の地理的位置に対する作物種子マップ用のデータは、同じ地理的位置に対する第1時点での土壌表面形状用のデータの取得より前に(ただし、同じ車両を用いて)取得される。一例として、
図6は車両を示しており、特定の場所に対する作物種子マップ用のデータは(例えばカメラ、
図6の111を参照)、同じ場所に対する第1時点での土壌表面形状用のデータの取得より前に取得される(
図6の112、および車両100の移動方向を参照)。播種車両内には、作物種子が溝へ置かれた後に土壌を押し付けて溝を閉じる溝埋め器133がしばしば存在する。それゆえ、播種作業が行われた後に土壌隆起のデータを取得する必要がある。
【0063】
一例では、「同時に」という表現は、同じ車両を用いた圃場での一つの連続した作業を指す
【0064】
一例では、「第1時点」は、作物種子が播かれた直後である。
【0065】
一例によれば、雑草防除管理方法は、ステップe)雑草防除剤散布マップに従った雑草防除剤の圃場への散布、をさらに含む。
【0066】
一例では、雑草防除剤は選択性雑草防除剤および/または非選択性雑草防除剤である。したがって、精密な雑草防除管理方法により、非選択性除草剤を散布することも可能である。
【0067】
一例では、雑草防除剤は発芽前雑草防除剤および/または初期発芽後雑草防除剤である。
【0068】
一例によれば、雑草防除管理方法のステップa)~e)は、圃場で作物種子および/もしくは雑草の複数の芽が発生する前、ならびに/または作物種子および/もしくは雑草の複数の芽が発生している間に行われる。
【0069】
一例では、雑草防除管理方法は、作物種子の圃場への播種後の最初の2カ月以内、好ましくは最初の4週間以内に適用される。
【0070】
一例によれば、雑草防除管理方法は、圃場に播かれた作物種子の地理的情報を、作物種子の播種中に土壌に衝突した作物種子の地理的情報を記録するよう構成されている少なくとも1つのセンサにより取得する。
【0071】
一例では、作物種子の播種中に土壌に衝突した作物種子の地理的情報を記録するよう構成されている少なくとも1つのセンサは、種子を検出するカメラ、レーザースキャナ、もしくは一次元ラインセンサ、光線、および/または温められた種子を検出する感温素子のグループから選択され、これらはすべて位置特定手段と共に(そして同期して)用いられる。
【0072】
一例では、場所特定手段は、GPS、慣性航行システム、画像ベースの位置測定システムのうちの1つまたは複数を含む。GPSシステムは、好ましくはGPSリアルタイムキネティック(RTK)システムである。場所は地上の正確な場所に対する地理的な場所とすることができる、または、例えば圃場の境界などの1つまたは複数の地上の別の場所を基準とする地上の場所とすることができる。つまり、絶対的な地理的場所を利用することができる、または、絶対的に知られている必要はないが既知の場所を基準とする地上の場所を使用することができる。
【0073】
一例では、場所は絶対的な地理的位置である。
【0074】
一例では、カメラが使用される場合は、場所は1つまたは複数の既知の場所を基準として特定される場所である。つまり、画像は、その正確な地理的位置を知ることなしに地上の特定の場所に関連していると特定することができるが、画像が取得された場所を知ることで、1つまたは複数の地上の既知の位置に対して画像が取得された場所を記録することができる。つまり、車両が地面の画像を取得した、GPSにより得られた絶対的な場所を提供することができて、および/または、圃場の境界などの既知の位置に対する画像の取得された場所を提供することもできて、これにより、やはり、制御処理ユニットが圃場の境界の絶対位置を知っているので、画像が取得された正確な位置を特定することができる。
【0075】
一例では、GPSユニットは、例えば特定の画像が取得された際のカメラの場所などの場所を特定するのに使用される、および/または、特定する際に使用される。
【0076】
一例では、例えば特定の画像が取得された際のカメラの場所などの場所を特定するために、慣性航行ユニットが単独で、またはGPSユニットと組み合わせて使用される。
【0077】
一例によれば、雑草防除管理方法は、土壌表面に向けて光パルスを生成して反射の時間を測定するよう構成されているセンサを場所特定手段と共に(また同期して)用いて取得された圃場の土壌隆起データおよび土壌隆起に対応する地理的情報を取得する。
【0078】
一例では、土壌表面に向けて光パルスを生成して反射の時間を測定するよう構成されているセンサは、lidarセンサ、Parallax社製レーザー測距センサ、立体視センサ、IR反射率センサ、タイムオブフライトセンサ、超音波センサ、レーダーセンサのグループから選択される。
【0079】
一例では、lidarセンサが使用される。
【0080】
一例では、3Dのlidarセンサが使用される。
【0081】
一例では、カメラと共にlidarセンサが使用される。カメラは、例えば、すでに発生している雑草の葉の部分を特定することができて、この情報は雑草防除剤散布マップの生成で考慮されうる。
【0082】
一例では、lidarセンサおよび/またはカメラは、最適な分解能のために一番下(直線的に下方)に近い土壌のデータ/画像を取得することができる。
【0083】
一例では、lidarセンサおよび/またはカメラは、水平面により近い(水平方向からおよそ20°~40°)土壌のデータ/画像を取得することができる。
【0084】
一例では、圃場の同じ地理的位置のデータ/画像は、一番下に近い角度や水平方向からおよそ20°~40°の角度などの異なる複数の角度から取得される。すでに発生している双子葉植物の雑草に対しては、一番下に近い撮像が最も効果的となり、単子葉植物に対しては、水平面により近い撮像が最も効果的となる。
【0085】
一例では、場所特定手段は、(作物種子位置センサに関連して上述したのと同様に)GPS、慣性航行システム、画像ベースの位置測定システムのうちの1つまたは複数を含む。また、複数のセンサを1つの場所特定手段と共に使用して、地理的情報をそれぞれのセンサデータと同期させることも可能である。
【0086】
図3は、雑草防除管理車両100の模式的な例を示す。雑草防除管理車両100は、少なくとも1つの種子位置センサ111と少なくとも1つの土壌隆起センサ112とを含む複数のセンサ110と、制御処理ユニット120と、播種ユニット130とを含む。車両100は、播種ユニット130を用いて圃場に作物種子を播くよう構成される。少なくとも1つの種子位置センサ111は、播種中に土壌表面に衝突した播種ユニット130からの作物種子の種子地理的位置データを収集するよう構成される。制御処理ユニット120は、種子地理的位置データを少なくとも1つの種子位置センサ111から受信して、圃場の作物種子マップを生成するよう構成される。車両の少なくとも1つの土壌隆起センサ112は、圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。制御処理ユニット120は、少なくとも1つの土壌隆起センサ112から土壌隆起データを受信して、圃場の第1時点での土壌表面形状を示す土壌表面形状マップを生成するよう構成される。種子位置データおよび土壌隆起データは、車両の播種ユニットを用いて植物の作物種子が圃場に播かれたのと同じ場合に取得される。
【0087】
一例では、車両100は、無人陸上車両(UGV)、トラクター、播種車両、無人航空機(UAV)であり、好ましくはUGV、トラクター、または播種車両である。
【0088】
一例では、少なくとも1つの種子位置センサ111は、(方法に対して上述したように)好ましくは種子を検出するカメラ、レーザースキャナ、もしくは一次元ラインセンサ、光線、および/または温められた種子を検出する感温素子のグループから選択され、これらはすべて位置特定手段と共に用いられる。適切な位置特定手段は、方法に関連して論じられた。
【0089】
一例では、少なくとも1つの土壌隆起センサ112は、(方法に対して上述したように)好ましくはlidarセンサ、Parallax社製レーザー測距センサ、立体視センサ、IR反射率センサ、タイムオブフライトセンサ、超音波センサ、レーダーセンサのグループから選択される。
【0090】
一例では、lidarセンサが使用される。
【0091】
一例では、3Dのlidarセンサが使用される
【0092】
一例では、カメラと共にlidarセンサが使用される。
【0093】
一例では、制御処理ユニット120は、完全に車両の一部とすることができる、または、少なくとも1つの追加の外部処理ユニットを有することができて、制御処理ユニット120は無線データ送信を用いて(外部のコンピュータ、クラウドなどとすることができる)外部処理ユニットと通信を行う。
【0094】
一例では、播種ユニット130は、作物種子を土壌へ置くよう構成されている、少なくとも1つの種子投与システム132を含む。
【0095】
一例では、播種ユニット130は、土壌に溝を切るよう構成されている、少なくとも1つの溝切器131をさらに含む。
【0096】
一例では、播種ユニット130は、溝を閉じるよう構成されている、少なくとも1つの溝埋め器133をさらに含む。
【0097】
一例では、溝埋め器133は車輪である。
【0098】
一例では、種子は、種子投与システム132によって少なくとも1つの溝切器131により生成された溝へ置かれる。
【0099】
一例では、播種ユニット130および少なくとも1つの種子位置センサ111は、車両の後部のより近く、好ましくは車両の後輪の後方に取り付けられる/配置される少なくとも1つの土壌隆起センサ112と比べて車両の前部のより近くに取り付けられる/配置される。
【0100】
一例によれば、雑草防除管理車両100は出力ユニット140をさらに含む。出力ユニット140は、圃場の作物種子マップおよび圃場の土壌表面形状マップを制御処理ユニット120から受信するよう構成される。出力ユニット140は、圃場の作物種子マップおよび圃場の土壌表面形状マップを出力するよう構成される。
【0101】
一例では、出力ユニットは、モニター、プリンタ、スクリーン、情報監視装置、および/または任意の他の情報監視媒体を含む。
【0102】
図4は、雑草防除管理車両200の模式的な例を示す。雑草防除管理車両200は、少なくとも1つの土壌隆起センサ210と、制御処理ユニット220と、送受信機230とを含む。少なくとも1つの土壌隆起センサ210は、第1時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。少なくとも1つの土壌隆起センサ210は、第1時点より後の第2時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。制御処理ユニット220は、少なくとも1つの土壌隆起センサ210から土壌隆起データを受信して、少なくとも2つの異なる時点での圃場の土壌表面形状マップを生成するよう構成される。制御処理ユニット220は、送受信機230を利用して圃場の作物種子マップを受信するよう構成される。制御処理ユニット220は、土壌表面形状マップと作物種子マップを比較して、圃場に播かれた種子の生長とは関連しない土壌隆起の形状における差異を特定して雑草防除剤散布マップを生成するよう構成される。
【0103】
一例では、車両200は、無人陸上車両(UGV)、トラクター、無人航空機(UAV)であり、好ましくはUAVまたはトラクターである。
【0104】
一例では、少なくとも1つの土壌隆起センサ210は、少なくとも1つの土壌隆起センサ112に関連して記載されたものと類似したセンサである。
【0105】
一例では、圃場の作物種子マップは第1車両100により生成されている。作物種子マップについてのこの情報は、(例えば、第1車両から第2車両へ直接、またはデータクラウドもしくは外部処理ユニットを介して、好ましくは無線通信を用いて)第2車両200へ送信される。
【0106】
一例によれば、雑草防除管理車両200は、送受信機230を利用して第1時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データ、および/または第1時点での圃場の土壌表面形状マップとを受信するよう構成されている制御処理ユニット220を含む。
【0107】
一例では、第2車両200は、(第1時点ではなく)第2時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを取得する。作物種子マップと同様に、第2車両200は、第1時点での土壌隆起データおよび/または土壌表面形状マップを第1車両100(または別の車両)から直接、またはデータクラウドもしくは外部処理ユニットを介して受信する。第2車両200が雑草防除剤散布ユニット250を含む場合、この車両が第2時点での土壌隆起データを取得し、雑草防除剤散布マップを生成するのに必要なすべての他のデータを自身の送受信機を用いて受信し、雑草防除剤散布マップを生成して、自身の雑草防除剤散布ユニットを用いて圃場の雑草の防除を開始することが可能であり、このすべてが圃場での一つの作業手順の中にある。
【0108】
別の例によれば、雑草防除管理車両200は出力ユニット240を含む。出力ユニット240は、圃場用の雑草防除剤散布マップを制御処理ユニット220から受信するよう構成される。出力ユニット240は、圃場用の雑草防除剤散布マップを出力するよう構成される。一例では、出力ユニット240は、モニター、プリンタ、スクリーン、情報監視装置、および/または任意の他の情報監視媒体を含む。また、出力ユニットは、散布作業を行うために散布マップを受信する別の車両とすることもできる。
【0109】
一例では、車両200はUAVであり、圃場の雑草防除剤散布マップについての情報が無線通信を用いて出力ユニットへ送信される。
【0110】
別の例によれば、雑草防除管理車両200は少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット250を含む。少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット250は、雑草防除散布剤を放出するよう構成される。制御処理ユニット220は、雑草防除剤散布マップに従って少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット250を制御するよう構成される。
【0111】
一例では、雑草防除散布ユニット250は少なくとも1つの散布ユニットを含む。少なくとも1つの散布ユニットは、液体を散布するよう構成される。
【0112】
一例では、散布ユニットは、例えばブーム噴霧器である。
【0113】
一例では、散布ユニットに関連しての「少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニットを制御する」という表現は、散布工程の開始の制御と散布工程の停止の制御を指す。
【0114】
一例では、散布ユニットは、散水ノズルなどの少なくとも1つの液体噴霧器、および/または、回転円板などの少なくとも1つの噴霧円板を含む。
【0115】
一例では、少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニットは、液体噴霧器と、液体タンクと、少なくとも1つの供給管とを含む。液体タンクは液体を保持するよう構成される。供給管は、液体タンクからの液体を液体噴霧器へ輸送するよう構成される。液体噴霧器は液体を散布するよう構成される。
【0116】
一例では、「液体」という用語は、化学および/または生物学に基づいた除草剤活性成分(本明細書において上で論じた雑草防除剤など)を含む液体を指す。
【0117】
一例では、制御処理ユニットは、少なくとも1つの散布ユニットを制御して、液体を好ましい堆積物の種類に応じて微細な液滴として、一つの噴流として、一つの液滴として、またはこれらの組み合わせとして散布するよう構成される。
【0118】
別の例によれば、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される雑草防除管理方法に従って生成される雑草防除剤散布マップに関する。
【0119】
一例では、雑草防除剤散布マップは、圃場の雑草を適切に防除するために雑草防除剤を散布することができる圃場の(発芽および発生している)雑草の地理的分布を(少なくとも)二次元(または三次元)で表示したものである(
図1のd)を参照)。
【0120】
一例では、雑草防除剤散布マップの情報は、散布マップに従って圃場の様々な場所に除草剤を散布するよう構成されている、散布ユニットを含む複数の他の車両(UAVなど)へ送信することができる。
【0121】
図5は、雑草防除管理システム300の模式的な例を示す。第1雑草防除管理車両100および第2雑草防除管理車両200を含む雑草防除管理システム300。第1車両は、少なくとも1つの種子位置センサ111と、制御処理ユニット120と、播種ユニット130と、送受信機140とを含む。第2車両は、少なくとも1つの土壌隆起センサ210と、制御処理ユニット220と、送受信機230とを含む。第1車両100は、播種ユニット130を用いて圃場に作物種子を播くよう構成される。第1車両の少なくとも1つの種子位置センサ111は、播種中に土壌表面に衝突した播種ユニット130からの作物種子の種子地理的位置データを収集するよう構成される。第1車両の制御処理ユニット120は、少なくとも1つの種子位置センサ111の種子位置データを受信して圃場の作物種子マップを生成するよう構成される。第2車両200の少なくとも1つの土壌隆起センサ210は、第1時点および第1時点より後の第2時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。第2車両200の制御処理ユニット220は、少なくとも1つの土壌隆起センサ210から土壌隆起データを受信して、少なくとも2つの異なる時点での圃場の土壌形状マップを生成するよう構成される。第1車両の制御処理ユニット120は、送受信機140を利用して圃場の作物種子マップを第2車両200へ送信するよう構成される。第2車両200の制御処理ユニット220は、送受信機230を利用して第1車両100から圃場の作物種子マップを受信するよう構成される。第2車両200の制御処理ユニット220は、土壌表面形状マップと種子マップを比較して、圃場に播かれた種子の生長とは関連しない土壌隆起の形状における差異を特定して雑草防除剤散布マップを生成するよう構成される。
【0122】
一例によれば、雑草防除管理システム300は、少なくとも1つの土壌隆起センサ112を含む第1車両を含む。第1車両の少なくとも1つの土壌隆起センサ112は、第1時点での圃場の隆起量と土壌隆起に対応する地理的情報を含む土壌隆起データを収集するよう構成される。第1車両の制御処理ユニット120は、少なくとも1つの土壌隆起センサ112から土壌隆起データを受信して、第1時点での圃場の土壌表面形状マップを生成するよう構成される。第1車両の制御処理ユニット120は、送受信機140を利用して第1時点での圃場の土壌表面形状マップを第2車両200へ送信するよう構成される。第2車両200の制御処理ユニット220は、送受信機230を利用して第1時点での圃場の土壌表面形状マップを第1車両100から受信するよう構成される。一例では、第2車両200は第1時点での圃場の土壌表面形状マップを生成する必要はなく、第1車両100または別の車両からこの情報を受信する。
【0123】
一例によれば、雑草防除管理システム300は、少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット250を含む第2車両200を含む。少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット250は、雑草防除散布剤を放出するよう構成される。第2車両200の制御処理ユニット220は、雑草防除剤散布マップに従って少なくとも1つの雑草防除剤散布ユニット250を制御するよう構成される。
【0124】
図6は、雑草防除管理車両100の詳細例の概略構成を示す。示されている車両はトラクターなどの地上車両であり、溝切器132を備える播種ユニット130、種子投与システム132、および溝埋め器133を含む。作物種子位置センサ111は、土壌内の作物種子の地理的位置を記録するカメラである。カメラはGPSシステムと同期される。車両は、車両の後部にlidarスキャナなどの土壌隆起センサ112を含む。土壌隆起は、播種ユニット130を用いた播種工程を終えた後に(第1時点で)lidarセンサを用いてスキャンされる。
【0125】
図7は、雑草防除管理車両200の詳細例の概略構成を示す。この例における車両200はUAVである。UAVは圃場の上を飛行し、3Dのlidarセンサなどの土壌隆起センサ210を用いて地下をスキャンする(
図7のa))。UAV上の複数のセンサがlidarセンサの位置、高度、地面からの高さ、および向きを継続的に記録することで、lidar画像に土壌表面の詳細な3Dのマップとなる正確な位置情報を含めることが可能となる。UAVは、別のより早い時点での作物種子マップデータおよび土壌隆起データを送受信機230を用いて受信する。制御処理ユニット(示されていない)は受信した情報および土壌隆起センサ210からの情報を用いて、除草剤活性成分を土壌へ散布する必要がある場所を評価する(そして散布マップを生成する)。したがって、同じ圃場からの、1日または複数の日の期間にわたって取得された2つ以上のlidar画像を比較、分析することで、土壌の高さの局所的な変化による差異が示される。制御処理ユニットは、発芽している種子の土壌表面の下での生長を示す変化を分析して、それらの種子の場所の一覧を作成する。2つ以上の土壌表面形状マップの間の地理的位置の小さなずれを補正するためにアルゴリズムを適用することができる。また、制御処理ユニットは、生長している植物を分析し、植物の種類を特定し、望ましくない雑草であると識別された場合にはそれら植物の種類、大きさ、および場所の一覧を作成する。誤検出を特定して取り除くのにアルゴリズムを適用することができる。また、UAV200は取得した土壌隆起データを外部処理ユニットへ送信することもできて、外部処理ユニットは散布マップを生成し、噴霧するためにUAV200へ、または
図7のc)に示される別の噴霧専用UAVへ散布マップを送り返す。
図7のb)は、同じUAVが散布マップを使用して、自身の雑草防除ユニット250を用いて雑草を直接防除できることを示す。あるいは、雑草防除剤を散布するのに特化した別のUAVは、散布マップをUAV200から受信して、雑草防除剤を土壌へ散布することができる(
図7のc))。
【0126】
別の例示の実施形態では、前述の実施形態のうちの1つに係る方法の方法ステップを適切なシステム上で実行するよう構成されていることを特徴とするコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品が提供される。
【0127】
図8は、雑草防除管理用コンピュータプログラム製品400の一例の概略構成を示す。雑草防除管理用コンピュータプログラム製品400は、プロセッサにより実行された場合に、
a)圃場に播かれた作物種子の地理的情報を受信し(410)、
b)ステップa)で受信した情報に基づいて作物種子マップを生成し(420)、
c)作物種子が播かれた、または播かれている最中の圃場の少なくとも2つの異なる時点での土壌隆起データおよび土壌隆起に対応する地理的情報を受信し(430)、
d)ステップc)で受信した情報に基づいて、少なくとも2つの異なる時点での圃場の土壌表面形状を示す土壌表面形状マップを生成し(440)、
e)土壌表面形状マップと作物種子マップを比較し(450)、
f)圃場に播かれた種子の生長とは関連しない土壌隆起の形状における差異を特定し(460)、
g)圃場に播かれた作物種子の生長とは関連しない、圃場の特定された土壌隆起における差異に基づいて雑草防除剤散布マップを生成する(470)、
というステップを実行するよう構成される。
【0128】
一例によれば、雑草防除管理用コンピュータプログラム製品400は、
e)雑草防除剤散布マップに従って、雑草防除剤を圃場へ散布するよう車両に指示する(480)、
というステップをさらに含む。
【0129】
コンピュータプログラム製品はコンピュータ装置に記憶されることがあり、このコンピュータ装置も一実施形態の一部でありうる。このコンピュータ装置は、上述の方法のステップを実行する、または実行させるように構成されてもよい。さらに、このコンピュータ装置は上記の車両および/またはシステムの構成要素を動作させるよう構成されてもよい。コンピュータ装置は、自動で動作するように、および/または、ユーザの命令を実行するように構成することができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリへロードされることがある。データプロセッサは、このように前述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行する能力を備えていることがある。
【0130】
本発明のこの例示の実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラム、およびアップデートにより既存のプログラムを本発明を使用するプログラムへと変えるコンピュータプログラムの両方を対象とする。さらに、コンピュータプログラム製品が上述した方法の例示の実施形態の手順を実現するのに必要なすべてのステップを提供できることがある。
【0131】
本発明の更なる例示の実施形態によれば、CD-ROM、USBスティック、または同種のものなどの、前節で説明されたコンピュータプログラム製品である/ありうるコンピュータプログラム製品が記憶されているコンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータプログラムは他のハードウェアと共に、または他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体または半導体媒体などの適切な媒体に記憶される、および/または、係る媒体で配布されることがあるが、他の形態で、例えばインターネットまたは他の有線もしくは無線の電気通信システムを介するなどにより配布されることもある。
【0132】
しかし、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提供されることもあり、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリへダウンロードすることができる。
【0133】
本発明の更なる例示の実施形態によれば、本発明の前述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行するよう構成されているコンピュータプログラム製品をダウンロード可能とするための媒体が提供される。
【0134】
本発明の実施形態は異なる複数の主題に関して説明されていることに留意されたい。特に、一部の実施形態は方法の類のクレームに関して説明されているが、他の実施形態は車両、散布マップ、および/またはシステムの類のクレームに関して説明されている。しかし、当業者であれば、上記および以下の記述から、特に通知がない限り、1種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる複数の主題に関連する特徴の任意の組み合わせも、本出願を以て開示されていると見做されると推測するであろう。
【0135】
本発明は図面および上述の説明で例証され、詳細に説明されたが、そのような図および説明は例証または例示であると考えられるべきであり、制限的であると考えられるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。当業者は、開示された実施形態に対する他の変形を、特許請求される発明を実践する際に、図面、本開示、および従属請求項を検討することで理解、達成することができる。
【0136】
請求の範囲において、「含む(comprising)」という単語は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞の「a」または「an」は複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが請求項に記載されるいくつかの項目の機能を実行してもよい。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているとしても、単にその事実をもって、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示しているわけではない。請求の範囲におけるいずれの参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】