(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(54)【発明の名称】発泡性連続フィラメント
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230511BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20230511BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230511BHJP
C08J 9/06 20060101ALN20230511BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L23/08
C08K3/013
C08J9/06 CER
C08J9/06 CEZ
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557999
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2021024362
(87)【国際公開番号】W WO2021195498
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508036075
【氏名又は名称】ゼフィロス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】チャプリツキ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アップファル,ジェフ
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4F074AA13
4F074AA16
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4J002AA011
4J002AC071
4J002AC081
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4J002BB151
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4J002GK01
(57)【要約】
単一ポリマー又はポリマーの配合物と、所定の活性化温度を有する泡立て剤と、を備える発泡性フィラメント組成物において、単一ポリマー又はポリマーの配合物はポリマー鎖の絡み合いを可能にするのに十分な分子量を有し、単一ポリマー又はポリマーの配合物は、泡立て剤の所定の活性化温度より低い温度にて溶融加工可能である、組成物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性フィラメント組成物において、
単一ポリマー又はポリマーの配合物と、
所定の活性化温度を有する泡立て剤と、を備え、
前記単一ポリマー又はポリマーの配合物は、ポリマー鎖の絡み合いを可能にするのに十分な分子量を有し、
前記単一ポリマー又はポリマーの配合物は、結果として得られるフィラメントを形成するにあたりフィラメント形成中の発泡活性化を回避するために前記泡立て剤の前記所定の活性化温度より十分に低い温度にて溶融加工可能である、組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、前記単一ポリマー又はポリマーの配合物は、以下を備える群、即ち:エチレンオクテンコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、スチレン-イソプレンブロックコポリマー、ポリ(スチレン--ブタジエン-スチレン)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、又はそれらの組合せ、を備える群から選択される、組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組成物において、前記単一ポリマー又はポリマーの配合物は、204.4°C(400°F)未満、176.7°C(350°F)未満、148.9°C(300°F)未満、又は更には104.4°C(220°F)未満の温度にて溶融加工可能である、組成物。
【請求項4】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記単一ポリマー又はポリマーの配合物は、約0.7g/cm
3~約0.99g/cm
3の未硬化密度を有するエチレンオクテンを備える、組成物。
【請求項5】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記単一ポリマー又はポリマーの配合物は、それぞれが約0.7g/cm
3~約0.99g/cm
3の未硬化密度を有する少なくとも2つのエチレンオクテンポリマーの配合物を備える、組成物。
【請求項6】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記単一ポリマー又はポリマーの配合物は、約0.5g/cm
3~約1.5g/cm
3の未硬化密度を有するゴム又はゴムの配合物を備える、組成物。
【請求項7】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約0.01g/cm
3~約1.5g/cm
3の発泡後密度を有する、組成物。
【請求項8】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約0.1g/cm
3~約0.5g/cm
3の発泡後密度を有する、組成物。
【請求項9】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約1~約100のアスカーC発泡硬度を有する、組成物。
【請求項10】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約5~約60のアスカーC発泡硬度を有する、組成物。
【請求項11】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約20~約60のアスカーC発泡硬度を有する、組成物。
【請求項12】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約40~約65のアスカーC発泡硬度を有する、組成物。
【請求項13】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約0.1mm~約2.0mmの発泡後の気泡の平均サイズを有する、組成物。
【請求項14】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約0.2mm~約0.4mmの発泡後の気泡の平均サイズを有する、組成物。
【請求項15】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約0.3mm~約2.0mmの発泡後の気泡の平均サイズを有する、組成物。
【請求項16】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記泡立て剤の前記所定の活性化温度は約110°C~約200°Cである、組成物。
【請求項17】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記泡立て剤の前記所定の活性化温度は約135°C~約160°Cである、組成物。
【請求項18】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約0.1mm~約1.5mmの範囲の直径を有する、組成物。
【請求項19】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、約0.8mm~約1.2mmの範囲の直径を有する、組成物。
【請求項20】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、前記結果として得られるフィラメントと同じ組成の1つ又はそれ以上の追加のフィラメントと共に織られる、組成物。
【請求項21】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、前記結果として得られるフィラメントとは異なる組成の1つ又はそれ以上の追加のフィラメントと共に織られる、組成物。
【請求項22】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記結果として得られるフィラメントは、少なくとも部分的又は実質的に連続気泡材料である、組成物。
【請求項23】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記組成物は微粒子状成分を含む、組成物。
【請求項24】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記組成物は微粒子状成分を含み、前記微粒子状成分は、前記未発泡フィラメント直径の5分の1(1/5)の直径と前記未発泡フィラメント直径の20分の1(1/20)の直径の間、である直径を有する、組成物。
【請求項25】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記組成物は微粒子状成分を含み、前記微粒子状成分は、前記未発泡フィラメント直径の20分の1(1/20)未満の直径、前記未発泡フィラメント直径の100分の1(1/100)未満の直径、又は更には前記未発泡フィラメント直径の1000分の1(1/1000)未満の直径、である直径を有する、組成物。
【請求項26】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記単一ポリマー又はポリマーの配合物は、120°C未満、100°C未満、又は80°C未満の軟化点を有する、組成物。
【請求項27】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記泡立て剤は化学的泡立て剤である、組成物。
【請求項28】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記単一ポリマー又はポリマーの配合物は、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンから選択されたより高い分子量のオレフィンモノマーとのメタロセン触媒重合コポリマーを含む、組成物。
【請求項29】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物であって、5g/10分より小さいメルトインデックスを有するコポリマー、を含む組成物。
【請求項30】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物であって、20g/10分より大きいメルトインデックスを有するコポリマー、を含む組成物。
【請求項31】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物であって、前記発泡組成物のアスカーC硬度が40より小さくなるように選択された1つ又はそれ以上のコポリマー、を含む組成物。
【請求項32】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物であって、前記発泡組成物のアスカーC硬度が30より大きくなるように選択された1つ又はそれ以上のコポリマー、を含む組成物。
【請求項33】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、重量パーセント吸水率は約0.2~約1.2である、組成物。
【請求項34】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記組成物の圧縮永久歪は、ASTM D3574-17試験Dに従って測定して、21°Cにて10%~15%の変化である、組成物。
【請求項35】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記組成物の圧縮永久歪は、ASTM D3574-17試験Dに従って測定して、43°Cにて28%~32%の変化である、組成物。
【請求項36】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記組成物の圧縮永久歪は、ASTM D3574-17試験Dに従って測定して、54°Cにて30%~38%の変化である、組成物。
【請求項37】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記利用される泡立て剤の量は、約0.5重量%~4重量%である、組成物。
【請求項38】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、押出中、前記フィラメントは、100%未満、80%未満、60%未満、40%未満、又は更には20%未満のダイスウェル比パーセンテージを有する、組成物。
【請求項39】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物において、前記フィラメントの前記所定の活性化温度は、天然繊維に劣化を生じさせる温度より低い、組成物。
【請求項40】
上記請求項の何れか一項に記載の組成物を製造する方法において、前記組成物を溶融混錬する工程と、前記組成物を押し出して前記発泡性フィラメントを形成する工程と、を含む方法。
【請求項41】
上記請求項の何れか一項に記載の発泡性フィラメント組成物を用いてファブリックを縫う工程と、縫った後に前記フィラメントを発泡させる工程と、を備える方法。
【請求項42】
織り、編み、インレイ加工、かぎ針編み、編組、又は3Dプリンティングのための、上記請求項の何れか一項に記載の発泡性フィラメントの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概括的には、発泡性材料に関する。より詳しくは、本教示は、刺激へ暴露されると発泡するように適合されているポリマーフィラメント(polymeric filament)に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡材料は、クッション作用、エネルギー吸収、及び断熱用途に有用である。一部の発泡材料は圧縮性であって、エネルギーの放散、エネルギーの貯蔵、又は両者の組合せを可能にしている。発泡材料は、シートクッション、マットレス、枕、及び一部のアパレル品目の様な用途での快適性向上に寄与する応力分散を可能にすることができる。フィラメントの形態をした発泡性材料を、織り、編み、又はそれ以外のやり方でファブリックへ組み入れて、複雑な形状及び表面の輪郭に馴染むことのできる発泡材料を可能にすることができる。織り、編み、プリンティング、又はそれ以外のやり方で他の材料と一体に形成され、続いて発泡工程が行われたとき、発泡フィラメントは、フィラメント自体へ又は他の材料へ接着し、その結果、両方の材料の特性を有する最終組成物又は非接着展開原料のための結合剤として作用する最終組成物がもたらされることになる。
【0003】
発泡性フィラメントの生産は特定の課題を提示することがある。即ち、フィラメントは熱へ暴露されると発泡するように適合されているのが望ましいとされ得るが、発泡のための温度は、フィラメントと一体に組み入れられている何れかの材料に損傷又は応力を引き起こすほど高くてはいけない。また、フィラメントは押出プロセスによって発泡されることもあり、押出しプロセスも加熱を要するのだが、押出温度は、過早発泡を回避するためにフィラメントが発泡する温度より低くなくてはならない。
【0004】
フィラメントは、発泡工程後に、連続気泡(open cell)の構成、独立気泡(closed cell)の構成、又は連続気泡と独立気泡の何らかの組合せを有する発泡体を形成することができる。「独立気泡」という用語は、発泡体構造のガス充填チャンバ又はセルが、セル間に接続性がなく且つセル間にガス交換が全くないか又は極めて低速なガス交換しかない状態でポリマー材料によって完全に封入されていることを表す。「連続気泡」という用語は、発泡構造のセル同士がセル間にガスの比較的絞りのない流れを可能にする経路によって接続されていることを表す。どちらのタイプの発泡体も、クッション作用とエネルギー吸収を提供することができるが、両者はわずかに異なるメカニズムによって機能する。独立気泡発泡体は、主に発泡体の独立気泡内部に閉じ込められたガスの圧縮を通じてクッション性を発揮するものであり、セルは微小エアバッグ又は空気バネとして機能する。そういうものであるから、持続的な荷重及び高温下にある独立気泡発泡体は、発泡体が長時間にわたって圧縮され及び/又は高温に曝されたときにセルからガスが出てゆく又は発散するせいで圧縮永久歪(compression set)を起こしやすいだろう。
【0005】
連続気泡発泡体も同じくクッション作用とエネルギー吸収を提供することができる。しかしながら、連続気泡発泡体のクッション作用及びエネルギー吸収の特性は、セル内のガスの圧縮の結果ではなく、ポリマーセル発泡体材料のセル壁を構成するポリマー材料の特性によって支配されている。発泡材料は、セル壁を形成するポリマー又はポリマー配合物の弾性率と材料の多孔性の程度を適正に選択することによって、より容易圧縮性にもなれば、より圧縮耐性にもなり得る。
【0006】
セル発泡体の圧縮性は、更に、発泡材料の硬化密度(cured density)を通じて制御されることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本教示は、フィラメント又は繊維(単一組成物を備えるか又は複数組成物を備える)へと混錬及び形成され得るポリマー又はポリマー配合物に関しており、フィラメントは製造物品へ組み入れられ、その後の工程で発泡させることもできる。結果として得られる発泡構造は実質的に連続気泡であり得る。結果として得られる発泡構造は、実質的に独立気泡であり得る。発泡体構造の硬度は、セル壁材料のポリマー組成物の選択を通じて、及び最終発泡体密度の制御を通じて、高度に調整可能であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の教示は、単一ポリマー又はポリマーの配合物と、所定の活性化温度を有する泡立て剤(foaming agent)と、を備える発泡性フィラメント組成物に向けられている。単一ポリマー又はポリマーの配合物はポリマー鎖の絡み合いを可能にするのに十分な分子量を有し、単一ポリマー又はポリマーの配合物は、結果として得られるフィラメントを形成するにあたりフィラメント形成中の発泡活性化を回避するために泡立て剤の所定の活性化温度より十分に低い温度にて溶融加工可能である。
【0009】
単一ポリマー又はポリマーの配合物は、以下を備える群、即ち:エチレンオクテンコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、スチレン-イソプレンブロックコポリマー、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、又はそれらの組合せ、を備える群から選択され得る。
【0010】
単一ポリマー又はポリマーの配合物は、204.4°C(400°F)未満、176.7°C(350°F)未満、148.9°C(300°F)未満、又は更には104.4°C(220°F)未満の温度にて溶融加工可能であり得る。単一ポリマー又はポリマーの配合物は、約0.7g/cm3~約0.99g/cm3の未硬化密度を有するエチレンオクテンを備え得る。単一ポリマー又はポリマーの配合物は、それぞれが約0.7g/cm3~約0.99g/cm3の未硬化密度を有する少なくとも2つのエチレンオクテンポリマーの配合物を備え得る。単一ポリマー又はポリマーの配合物は、約0.5g/cm3~約1.5g/cm3の未硬化密度を有するゴム又はゴムの配合物を備え得る。結果として得られるフィラメントは、約0.01g/cm3~約1.5g/cm3の発泡後密度を有し得る。結果として得られるフィラメントは、約0.1g/cm3~約0.5g/cm3の発泡後密度を有し得る。
【0011】
結果として得られるフィラメントは、約1~約100のアスカーC発泡硬度を有し得る。結果として得られるフィラメントは、約5~約60のアスカーC発泡硬度を有し得る。結果として得られるフィラメントは、約20~約60のアスカーC発泡硬度を有し得る。結果として得られるフィラメントは、約40~約65のアスカーC発泡硬度を有し得る。結果として得られるフィラメントは、約0.1mm~約2.0mmの発泡後の気泡の平均サイズ(average cell size post-foaming)を有し得る。結果として得られるフィラメントは、約0.2mm~約0.4mmの発泡後の気泡の平均サイズを有し得る。結果として得られるフィラメントは、約0.3mm~約2.0mmの発泡後の気泡の平均サイズを有し得る。
【0012】
泡立て剤の所定の活性化温度は、約110°C~約200°Cであり得る。泡立て剤の所定の活性化温度は、約135°C~約160°Cであり得る。
【0013】
結果として得られるフィラメントは、約0.1mm~約1.5mmの範囲の直径を有し得る。結果として得られるフィラメントは、約0.8mm~約1.2mmの範囲の直径を有し得る。
【0014】
結果として得られるフィラメントは、結果として得られるフィラメントと同じ組成の1つ又はそれ以上の追加のフィラメントと共に織られ得る。結果として得られるフィラメントは、結果として得られるフィラメントとは異なる組成の1つ又はそれ以上の追加のフィラメントと共に織られ得る。結果として得られるフィラメントは、少なくとも部分的又は実質的に連続気泡材料であり得る。
【0015】
組成物は微粒子状成分を含み得る。組成物は微粒子状成分を含んでいてもよく、微粒子状成分は、未発泡フィラメント直径の5分の1(1/5)の直径と未発泡フィラメント直径の20分の1(1/20)の直径の間、である直径を有する。組成物は、微粒子状成分を含んでいてもよく、微粒子状成分は、未発泡フィラメント直径の20分の1(1/20)未満、100分の1(1/100)未満、又は更には1000分の1(1/1000)未満の直径、である直径を有し得る。
【0016】
単一ポリマー又はポリマーの配合物は、120°C未満、100°C未満、又は80°C未満の軟化点又は融点を有し得る。
【0017】
泡立て剤は、化学的泡立て剤であり得る。単一ポリマー又はポリマーの配合物は、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンから選択されたより高い分子量のオレフィンモノマーとのメタロセン触媒重合コポリマーを含む。組成物は、5g/10分より小さいメルトインデックスを有するコポリマーを含み得る。組成物は、20g/10分より大きいメルトインデックスを有するエチレンのコポリマーを含み得る。
【0018】
組成物は、発泡組成物のアスカーC硬度が40未満となるように選択された1つ又はそれ以上のコポリマーを含み得る。組成物は、発泡組成物のアスカーC硬度が30未満となるように選択された1つ又はそれ以上のコポリマーを含み得る。
【0019】
重量パーセントでの組成物の吸水率は約0.2~約1.2であり得る。組成物の圧縮永久歪は、ASTM D3574-17試験Dに従って測定して、21°Cにて10%~15%の変化であり得る。組成物の圧縮永久歪は、ASTM D3574-17試験Dに従って測定して、43°Cにて28%~32%の変化であり得る。組成物の圧縮永久歪は、ASTM D3574-17試験Dに従って測定して、54°Cにて30%~38%の変化であり得る。
【0020】
利用される泡立て剤の量は、約0.5重量%~4重量%であり得る。膨張した組成物が艶消し仕上げを有するように、物理的発泡剤(physical blowing agent)が利用され得る。押出中、フィラメントは、100%未満、80%未満、60%未満、40%未満、又は20%未満のダイスウェル比パーセンテージを有し得る。
【0021】
組成物は、単一ポリマー又はポリマーの配合物と、泡立て剤と、を備え得る。フィラメント自体は、単一ポリマー又はポリマーの配合物と、泡立て剤と、を備え得る。組成物は、ポリマー又はポリマー配合物の融点より高いが泡立て剤の所定の活性化温度より低い温度にてフィラメントへと押し出され又は紡糸されることができる。発泡性フィラメントは、熱又は別の刺激によって、発泡材料を形成するように活性化され得る。結果として得られる発泡体構造の硬度及び圧縮性は、ポリマーの選択及び発泡のレベルに基づいて調整可能であり得る。
【0022】
本明細書の教示は、更に、単一ポリマー又はポリマーの配合物と、所定の活性化温度を有する泡立て剤と、を備える発泡性フィラメント組成物へ向けられている。単一ポリマー又はポリマーの配合物は、ポリマー鎖の絡み合いを可能にするのに十分な分子量を有し得る。単一ポリマー又はポリマーの配合物は、結果として得られるフィラメントを形成するにあたり泡立て剤の所定の活性化温度より低い温度にて溶融加工可能であり得る。
【0023】
本明細書の教示は、更に、ここに記載の組成物を製造する方法であって、組成物を溶融混錬する工程と、組成物を押し出して発泡性フィラメントを形成する工程と、を含む方法を企図している。教示はまた、本明細書に記載の発泡性フィラメントを用いてファブリックを縫う工程と、縫った後にフィラメントを発泡させる工程と、を備える方法に向けられている。本明細書の教示はまた、織り、編み、インレイ加工、かぎ針編み、編組、3Dプリンティング、又は不織布作成のための、ここに記載の発泡性フィラメントの使用を企図している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本教示によるフィラメントの、発泡の前と後の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に提示されている解説及び例示は、当業者に発明、その原理、及びその実践的適用に習熟してもらうことを意図している。したがって、示されている本開示の特定の実施形態は網羅的であろうとする意図もなければ発明を限定する意図もない。ゆえに発明の範囲は、以上の記述を参照して確定されるのではなく、代わりに付随の特許請求の範囲並びにその様な特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。更に、付随の特許請求の範囲から収集され得るところの他の組合せが実施可能であり、その様な組合せもまたこれによりこの書面による記述へ参照により組み入れられる。
【0026】
本明細書の教示は、テキスタイル、靴、スポーツ用品及び付属品、家具、屋外備品、又は車両内装のうちの1つ又はそれ以上の構築に使用するためのポリマーフィラメントに向けられている。フィラメントは、同様の組成の追加のフィラメントと共に織られてもよいし、異なる組成のフィラメントと共に織られ得る。フィラメントは、1つ又はそれ以上の材料又は表面を縫い合わせる手段として、又は装飾的な表面を提供する手段として使用されてもよい。フィラメントは、メッシュ材料へと形成され得る。
【0027】
発泡性フィラメント組成物は、単一ポリマー又はポリマーの配合物と、発泡剤(例えば、泡立て剤)と、を備え得る。発明での使用に適したポリマーは、固体材料、ノンブロッキングペレット、チャンク、クラム、ベール、又はピースとして利用可能なものであり得る。ポリマー又はポリマーの配合物は、限定するわけではないが、熱可塑性ポリウレタン、エラストマー、ポリアミド、ポリエステル、スチレンブロックコポリマー、及びポリオレフィンを含み得る。スチレンブロックポリマーは、スチレンと、イソプレン、ブタジエン、エチレンブチレン、エチレンプロペン、又はそれらの何らかの組合せとのブロックコポリマーを含み得る。本明細書に記載のフィラメントへの使用に適し得るスチレンの特定のブロックコポリマーが、商標名Kratonの下に利用可能である。適切なポリオレフィンの実施例は、EPDMエラストマー(商標名Nordelの下に利用可能な実施例)を含むエチレンのコポリマー、及び、エチレンと、ビニルアセテート、メチルアクリレート、又はブチルアクリレートの様な極性モノマーとのコポリマーであり得る。適したエチレンコポリマーが、Dow社、Arkema社、及びCelanese社から入手可能な商標名Elvax、Elvaloy、Evatane、Lotryl、Orevac、又はAtevaの下に利用可能である。
【0028】
フィラメントは、ポリマー又はポリマーの配合物を単独で押し出すことによって形成され得る。フィラメントは、非発泡性フィラメントの上から発泡性材料を共に押し出すことによって形成され得る。フィラメントを二成分繊維とすることも実施可能である。発泡性部分は、フィラメントの内部に、フィラメントの外部に、又はその両方にあってもよい。随意的に、両成分が発泡性であってもよい。二成分フィラメントは、形成されたフィラメントを、発泡性材料を通して(内部又は外部に沿って)延伸する(drawing)ことによって形成され得る。二成分繊維は、ダイを通した同時溶融押出によって作製され得る。例えば、電線へのポリマーコーティングに類似したプロセスが利用され得る。製造プロセス中の滑りを回避するために又はUV耐性のために、発泡性材料を二成分繊維の内部に含むことが望まれ得る。
【0029】
二成分フィラメントの1つ又はそれ以上の成分を、成分の組合せへ強度及び剛性を提供するように組み入れことも実施可能であり、その結果、フィラメントは織り又は編みの様なその後の加工工程で引き伸ばし又は破断を来しにくくなる。単一成分発泡性フィラメントが使用されることが必須であるか又は望ましい場合、発泡性フィラメントは、フィラメントの物品内への二次的加工を可能にするために高い弾性率及び高い破断引張応力(tensile stress at break)を有することが好適であり得る。
【0030】
本明細書に記載のポリマー又はポリマー配合物で形成されるフィラメントのための選択された組成物の実施例が表1に示されている。
【0031】
【0032】
表1からの実施例の、押出特性、発泡体のセルサイズ、及びアンカーC値が下表2に示されている。
【0033】
【0034】
表1からの実施例の様々な物理的特性が表3に示されている。
【0035】
【0036】
表2及び表3に提示されている実施例1~9及びそれらの対応する特性を考慮して、発泡性フィラメントを形成するために選択される材料は、特定の所望の特性及び特徴が発泡前及び/又は発泡後に示されるように選択され得ることが観察される。選択される特性及び特徴は、フィラメントが単独で形成されるか又は二成分繊維として形成されるか、どのようにフィラメントが最終物品へ組み入れられるか、発泡性フィラメントが組み入れられる物品の機能、及び発泡性フィラメントが完成物品に付与すると期待される特性に依存し得る。
【0037】
1つの非限定的な実施例では、フィラメントが単一成分フィラメントとして使用されるときには、熱可塑性ポリウレタンポリマーをベースとする実施例1からの発泡性フィラメントが、その活性化前の高い弾性率及び破断時応力に因り好適とされ得る。より低い弾性率及び破断時応力を有する他のフィラメントは、剛性及び強度を補充する第2の成分と共に二成分繊維として加工される必要があるだろう。
【0038】
実施例1の熱可塑性ポリウレタンフィラメントならびに実施例9のスチレンブタジエンフィラメントは、小さく均一なセルサイズを有する活性後セル発泡体をもたらす。小さく均一なセルサイズはシーリングのための用途では好ましいとされ、というのも、多くの小さいセルが水などの異物の侵入に対してより曲がりくねった経路を提供するからである。小さく均一なセルサイズは、発泡材料の特定の機械的特性を改善することも知られている。実施例1及び実施例9は、この同様に小さく均一なセルサイズを提供しながらも、アスカーC硬度によって測定されるところの極めて異なる軟度値を提供する。実施例1はアスカーC硬度80の微細セルサイズを有し、一方、実施例9のフィラメントはアスカーC硬度13を有する。これら材料のそれぞれは、フィラメントにとっての特定の意図される使途に応じて選択され得る。
【0039】
ニトリルブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムとしてそれぞれ作製された実施例8及び実施例9のブタジエン系エラストマーは、どちらも非常に柔らかく13以下のアスカーC値をもたらす。実施例8及び実施例9に実証されているタイプの軟質発泡体は、クッション作用及び快適さを伴う用途に好適であり得る。加えて、ニトリル系エラストマーは、ガソリン、ディーゼル燃料、及びモーター油の様な非極性流体に対して優れた耐性を有することが知られている。そういうものとして、実施例8の発泡性フィラメントは、これらのタイプの流体への曝露が起こる可能性のある用途では有用であり得る。
【0040】
実施例1の熱可塑性ポリウレタンフィラメントならびにエチレンオクテンコポリマーの配合物をベースとする実施例7のフィラメントは、非常に低いダイスウェルを示しており、フィラメントの押出中に材料を延伸する必要性の低い小径フィラメントの作製の実施可能性をもたらす。
【0041】
実施例7のフィラメントは、中程度のセルサイズ、軟度、及び破断引張応力を有する特性の均衡を提供する。エチレンオクテンコポリマーをベースとするフィラメントは、硬度の調整性能の様な他の固有の属性を提供し、この技術に基づくフィラメントの他の属性は以下により詳細に提示されている。
【0042】
留意すべきこととして、すべてのポリマー配合物が、実施例4及び実施例5によって実証されている様に厚さ1mm未満のフィラメントへ加工できるとは限らない。これは、少なくとも部分的には、より高い粘度及び/又は分子量に起因し得る。実施例5は、他の組成物と比較して90°C及び300s?1にてより高い粘度を有した。比較的低い粘度の実施例4は、約1.5mmのフィルムへ変換されたが、1mm以下のフィルムへは変換されなかった。不完全な材料適合性は、潜在的に高いダイスウェルを含め、不均一な押出物の原因となり得る。
【0043】
表1の実施例はすべて157.2°C(315°F)の温度にて約15分間の暴露時間で完全又はほぼ完全に活性化する。発泡剤(blowing agent)活性剤(activator)を組み入れたサンプルは、140.6°C(285°F)の温度にて約12分間(対流オーブン中)で完全又はほぼ完全に活性化する。代替的には、活性化は加熱されたプラテン又は他の急速加熱デバイス内でより短時間で起こり得る。発泡剤活性剤を含有する材料については、少なくとも部分的な活性化は、135°C(275°F)以下程度の低い温度にて実現される。他の物品へ組み入れられるとき、完全活性化に要する時間及び温度は、物品のサイズ及び形状や、どこで発泡性フィラメントが物品に組み入れられるか、又はどのように熱が印加されるか、に依存して変わり得る。例えば、発泡性フィラメントが物品の内部に位置づけられ、表面から絶縁されている場合、完全活性化を実現するには、より高い温度又はより長い時間が必要であるかもしれない。更に、表1の実施例5以外の実施例すべては、98.9°C(210°F)以下のダイ温度にてフィラメントへと押し出されることができる。これは、発泡性材料を望ましからざる発泡体の過早活性化なしにフィラメントへ加工するのに必要な温度と完全又はほぼ完全な活性化にとって必要とされる温度との間の重要な差をもたらす。
【0044】
本明細書に記載されている様に、フィラメントは、刺激(例えば、熱、誘導、マイクロ波、UV光、湿気など)へ暴露されると発泡(例えば、活性化)するように適合され得る。膨張より前には、フィラメントは手触りが柔らかく及び/又は本質的に可撓性でありながらも、本明細書に記載されている様に材料を縫うときの使用にとって十分な強度を提供し得る。これらの特性の1つ又はそれ以上は、発泡後も維持され得る。
【0045】
その様な活性化可能な材料を使用する場合に、材料の加工温度(例えば、材料が製造され及び適用される温度)が比較的低いことが望ましいのはもっともだろう。他にも利点はあるが中でも、低い加工温度は製造上の負担を軽減する。加工温度が所定の活性化温度よりはるかに低い(例えば、所定の活性化温度より少なくとも4.4°C(40°F)低い、少なくとも15.6°C(60°F)低い、又は、更には少なくとも26.7°C(80°F)低い)なら、好都合である。
【0046】
材料の過早活性化を回避するために十分に低い温度で発泡性組成物を発泡性フィラメントへ混錬及び加工するためには、材料が、フィラメント形成が起こる温度にて十分に低い粘度を有することが好適であり得る。例えば、ポリマー組成物は300s-1及び90°Cでのキャピラリーレオメーターによって測定される粘度が、約4000Pa.s以下、好ましくは3000Pa.s以下、より好ましくは2500Pa.s以下であるのが好適であり得る。代替的には、ポリマー組成物は、1000s?1及び90°Cでのキャピラリーレオメーターによって測定される粘度が、約2500Pa.s以下、好ましくは1500Pa.s以下、より好ましくは1000Pa.s以下であるのが好適であり得る。ポリマーがずり減粘性である場合、改善された加工のために必要な粘度を実現するのが有益であり得る。
【0047】
目標フィラメント形成温度にて十分に低い粘度を得るには、ポリマー材料が、非晶質材料については軟化点より上、又は結晶質材料についてはその融点よりわずかに上で加工されるのが望ましい。したがって、ポリマー材料は比較的低い軟化点又は融点を有するのが望ましいとされ得る。同時に、融合温度は、フィラメントが周囲温度で凝集又は融合するほど低くないのがよい。例えば、好適なポリマー材料は、120°C未満又は約120°C、100°C未満又は約100°C、又は、更には80°C未満又は約80°Cの軟化点又は融点を有する材料であり得る。軟化点は、表3に報告されている様に、非晶質材料(例えば、ポリマー配合物)のガラス転移温度に大まかに対応し得る。この結果は予想外ではない、というのもガラス転移温度は相対分子運動の増加を可能にするポリマーの自由体積の変化に対応するからである。
【0048】
更に、発泡性フィラメントは実質的に細いことが望ましいとされ得る。例えば、発泡性フィラメントは1mm以下の直径に形成されるのが望ましいとされ得る。細い直径のフィラメントを形成するためには、押し出される材料が最小の又は低いダイスウェルを有することが必要であるかもしれない。ダイスウェルは、溶融物がダイを通過する際の残留ポリマーの配向及び絡み合いの結果である。エントロピー駆動力が、ポリマー成分をそれらの押出前の状態へ復帰させ、その結果、押し出されたフィラメントの押出後の厚さに変化が生じることもある。したがって、ダイスウェルを最小限にし、細いフィラメントを得るためには、より低い固有粘度のポリマーであって、より低い分子量を有し、ひいてはポリマーの絡み合いがより低いポリマーが好適であり得る。これは表3に観察されており、高い熱可塑性と低い分子量を有する実施例1及び実施例7の主ポリマーは、15%以下の低いダイスウェルを有する。対照的に、実施例8及び実施例9の主ポリマーであるより高い分子量のエラストマーポリマーは、70%を超える高いダイスウェルを有する。
【0049】
発泡性フィラメントを、織り、編み、又はかぎ針編みの様な方法によって物品へと加工するために、フィラメントの組成は、フィラメントがそれ自体の上を容易に滑るように低い摩擦係数を有するように選択され得る。内的な滑り補助剤の組み入れによって又はフィラメントを外から滑り補助剤で処理することによって摩擦は或る程度まで軽減され得るが、表面粗さの様な特定の特徴はこれらの処理によって十分に補償されず、フィラメントの加工に悪影響を及ぼす可能性がある。押出物品の表面粗さの1つの原因は溶融破壊(メルトフラクチャー,melt fracture)である。溶融破壊は、押出プロセス中に剪断応力が起こった結果である。溶融破壊の原因となる剪断応力を低減する1つの手段は、より高い温度で加工することである。しかしながら、この手法は、熱活性化可能な材料ではフィラメント形成中の材料の過早活性化の危険性があるので利用できない。したがって、フィラメントの組成は、溶融破壊の原因となる剪断応力を回避するために、目標加工温度にて十分に低い粘度を有するように選択され得る。
【0050】
発泡性フィラメント組成物は、粘度改質のための1つ又はそれ以上の添加剤を含み得る。1つの実施例として、添加剤は、加工を容易にするために組成物の粘度を下げるように選択され得る。粘度改質剤は液体であり得る。液体の粘度改質添加剤は、石油をベースとしたパラフィン系加工油であり得る。使用に適した油が、Holly Frontier Refining and Marketing, LLC社から入手可能な商標名Sunpar、又はChevron U.S.A., Inc.社から入手可能な商標名ParaLuxの下に利用可能である。代替的には、粘度改質剤は、低分子量、高メルトインデックスのポリマー又はコポリマーとすることができる。低分子量ポリマーは、典型的には、少なくとも400以上、好ましくは800以上のメルトインデックス(ASTM D1238に従って、190°C、2.16Kg重量にて測定)を有し得る。適切な等級が、Dow社から入手可能な商標名Affinity GAの下に利用可能である。エチレンビニルアセテートコポリマー及びエチレンアクリレートコポリマーも、これらの基準を満たすものとして利用可能であり、本明細書の教示による使用に適する。代替的には、粘度はワックスを組み入れることによって下げられ得る。粘度改質添加剤は、使用されるときには典型的に10重量%以下、より好ましくは5重量%以下のレベルで添加される。低分子量添加剤は、液体であろうと固体であろうと、発泡性フィラメント組成物を発泡プロセスの前及び/又は後に可塑化するように機能し得る。
【0051】
発泡性フィラメント組成物は、熱活性化される物理的又は化学的な泡立て剤を含有し得る。泡立て剤は、発泡性フィラメントの混錬及び形成中は実質的に変化しないままであるが、フィラメントの発泡温度に近い温度又は発泡温度にてサイズが変化する又はガスを放出するように選択され得る。泡立て剤は、好ましくは約100°Cの温度までは実質的に変化しないままであるが、約110°C又は更には約135°Cの温度にて発砲し始め又はガスを放出し始めるようになっていてもよい。発明での使用に適し得る物理的泡立て剤の実施例が、Nouryon,Inc.社から入手可能な商標名Expancelの下に利用可能である。組成物は化学的泡立て剤を含有し得る。化学的泡立て剤は、吸熱性又は発熱性の泡立て剤であり得る。吸熱性泡立て剤は活性化中にマトリックスから熱を吸収し、一方、発熱性泡立て剤は熱を放出する。吸熱性泡立て剤は、炭酸イオン及び重炭酸イオンの金属塩を含む。現発明での使用に適した吸熱性泡立て剤が、Rit-Chem社から入手可能な商標名Kycerol、及びClariant社から入手可能な商標名Hydrocerolの下に利用可能である。発泡性フィラメント組成物は発熱性泡立て剤を含有し得る。発明での使用に適した発熱性泡立て剤は、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、p-トルエンスルホニルヒドラジド、又はp,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を含む。
【0052】
泡立て剤のタイプ及び量は、フィラメントを発泡させるための所望の活性化温度及び所望の体積増加(又は密度低下)のレベルに基づいて選択され得る。例えば、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)は、低~中度の発泡温度(約135°C~約160°Cの範囲の温度)が所望されるときの泡立て剤として選択され得る。泡立て剤の量は、使用される泡立て剤のタイプ及び所望の体積増加のレベルに依存するが、典型的には、総フィラメント組成物の約0.2重量%~15重量%、又は更には1.5重量%~6重量%の範囲であり得る。
【0053】
随意的には、泡立て剤からのガス放出のオンセット温度を下げるために泡立て剤活性剤が利用され得る。活性剤の量及びタイプは、使用される化学的泡立て剤(例えば、発泡剤)のタイプに依存し得る。アゾジカルボンアミド系発泡剤については、酸化亜鉛及び亜鉛塩又はカルシウム塩が活性剤として機能し得る。アゾジカルボンアミド系発泡剤のための好適な活性剤は、ベンゼンスルホン酸の亜鉛塩である。p-トルエンスルホニルヒドラジド及び/又はp,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)のための好適な活性剤は尿素である。泡立て剤活性剤は、使用される場合、典型的には、総発泡性フィラメント組成物の5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは1重量%未満であるであろう。
【0054】
フィラメントが感熱材料を含有する物品へ組み入れられた後に発泡されることになっているとき、低い活性化温度の発泡剤の選択によって又は発泡剤活性剤の添加によって発泡プロセスの活性化点を下げることが望ましい。より低い活性化温度は、フィラメントが含有されている物品の他の成分の溶融、そり、酸化、又は変色の様な劣化なしに活性化を可能にさせる。例えば、より低い活性化温度を有するフィラメントは、より広い範囲の材料との利用を可能にし得る。これは、非合成繊維、ファブリック、及びテキスタイルと組み合わせるときには特に重要である。具体的な例は、綿、羊毛、麻、絹、竹、リネン、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、スパンデックス、及び、衣類、靴、寝具、及び運動具に使用される頻度の高い他のテキスタイルを含む。
【0055】
低温の活性化温度を有する発泡性フィラメントを生産する能力は、微細フィラメントを、泡立て剤の過早活性化を引き起こすことなく効率的且つ効果的に生産するためのより低い粘度の必要性の観点から特定の課題を提示する。活性化可能でない系では、温度を上げることは、以上に論じられている様に、粘度を下げてスループットを速めるための又はダイスウェル又は溶融破壊の問題を解消するための一般的な手法である。現教示による材料は、泡立て剤の過早活性化を引き起こすことなしにフィラメントへと加工することを可能にする温度にて粘度が十分に低いように選択され得る。これらの困難な加工要件を満たすために必要な低い粘度は、固有に低い粘度の材料の選択を通じて、慎重に選択された添加剤を通じて、又はこれらの手法の組合せを通じて実現される。現教示による材料はまた、発泡フィラメントと共に使用されている他の成分への損傷を引き起こすことなく発泡プロセスが起こることができるように、十分に低い活性化温度を維持し得る。このことは重要である、というのも、発泡性フィラメントは組立体又は構成中にたった1つの成分として使用される傾向が高いと予想されるが、発泡性フィラメントは所望に応じて単独で使用されることもあれば他の発泡性フィラメントと共に使用されることもあり得るからである。
【0056】
活性化され膨張したフィラメントにとって非光沢又は艶消し仕上げが所望されるときには、物理的発泡剤(例えば、泡立て剤)又は物理的泡立て剤の組合せが利用され得る。1つの非限定的な例として、物理的発泡剤は、表面上及び表面直下の発泡剤の球体が膨張して光をランダムパターンへと偏向させるという事実に因り、表面を艶消しするように作用し得る。艶消し目的のために必要とされる発泡剤の量は、約0.5重量%~4重量%であり得る。
【0057】
本明細書の教示に従って利用することのできる特定のポリマー材料は、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンの様なより高い分子量のオレフィンモノマーとのメタロセン触媒重合コポリマーを含む。本明細書の教示による使用に適し得るこのタイプのポリマーが、Dow Polymers社から入手可能な商標名Engage、Versify、及びAffinity、及び、ExxonMobile社から入手可能な商標名Exxactの下に利用可能な生成物である。ポリマー成分は、典型的には、発泡性フィラメント組成物の約50重量%~約90重量%以上、好ましくは60重量%~80重量%の間を構成する。
【0058】
発泡性フィラメント組成物は、随意的には、個々のポリマー鎖間の結合を作り出すことのできる熱活性化架橋剤を含み得る。熱活性化泡立て剤と同様に、熱活性化架橋剤は、発泡性フィラメント組成物の混錬及び形成に用いられる温度、例えば、100°C又はそれより高い温度まで未反応のままである。熱活性化架橋剤は、発泡剤の活性化の活性化温度に近いか又はそれより上の温度にて、ポリマーを架橋するように反応し得る。熱活性化架橋剤は、室温では極めて長い半減期を有するが高温では実質的により短い半減期を有する有機過酸化物であり得る。発明での使用に適した有機過酸化物は、限定するわけではないが、ジクミルパーオキサイド、ジ(ター-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ブチル4,4-ジ(ター-ブチルパーオキシ)バレレート、ター-ブチルパーオキシベンゾエート、又は1,1-ジ(ター-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンを含む。有機過酸化物は、ニートで使用されることもできるし、担体上に供給されることもできる。適し得る有機過酸化物が、Nouryon社から入手可能な商標名Trigonox及びPerkadox、及び、Arkema社から入手可能な商標名Luperox、Dicup、及びVulcupの下に利用可能である。ニートで又は担体上で使用されるとき、活性有機過酸化物は、典型的には、発泡性フィラメント組成物の総重量の5%未満、好ましくは4%未満、より好ましくは1%未満の活性過酸化物で存在し得る。架橋剤を組み入れた何れかの組成物は、活性化及び発泡工程後の高温にてより安定し、例えば熱水で洗浄され熱を使って乾燥される物品へ組み入れられた場合の、その後の再加熱時に変形し又は流動する傾向が低くなり得る。熱活性化架橋剤は、泡立て剤の活性化中にフィラメントがガスを閉じ込めるのを支援し得る。熱活性化架橋剤は、更に、発泡性フィラメント材料の、発泡した状態での特定の特性を改善すること、例えば強度の改善又は耐摩耗性の改善などを支援し得る。
【0059】
発泡性フィラメントは、硬化剤によって引き起こされる臭気のせいで、熱活性化硬化剤を含有しないことが好適であり得る。更に、発泡プロセスを通して実質的に熱可塑性のままである材料、即ち架橋剤を含まない材料は、必要な場合又は望ましい場合に再循環させるのがより容易であり得る。
【0060】
発泡性フィラメント組成物は、随意的には、架橋助剤を含み得る。助剤は、系内の架橋度を高めるように機能し、更に、架橋が起こるのに必要な時間及び温度を引き下げ得る。助剤として適した化合物は、典型的には、有機過酸化物架橋剤によって生成されるフリーラジカルと容易に反応する炭素-炭素二重結合を有する。助剤は、単官能性(1つの二重結合を含む)、二官能性(2つの二重結合を含む)、又は多官能性(3つ以上の二重結合を含む)であり得る。二重結合は、ビニル基、アリル基、アクリレート、又はメタクリレートとして存在し得る。助剤は、液体又は固体であり得る。1つの適した助剤が、Cray Valley社から入手可能な商標名Dymalinkの下に利用可能である。使用される場合、助剤は、典型的には、発泡性フィラメント組成物の総重量の約5%未満、又は更には約3%未満で存在し得る。
【0061】
発泡性フィラメント組成物は、随意的には、1つ又はそれ以上の不活性微粒子状成分を含み得る。その様な不活性微粒子は、残りの組成物と物理的に相互作用するかもしれないが、発泡性フィラメント組成物の他の成分との化学反応性を来すことはないであろう。微粒子状成分は、発泡性フィラメントの特性を改変可能であり得る。例えば、微粒子状成分は、発泡性フィラメント組成物のポリマー成分の見かけ弾性率を増加させ得る。それらは、形成された繊維又はフィラメントの触覚的な粘着性を低下させ、表面光沢に影響を及ぼし得る。有用な微粒子状成分は、限定するわけではないが、タルク、フェルスパー、ウォラストナイト、雲母、粘土、又は石灰岩を含む。使用することのできる微粒子状成分の最大粒径は、製造されようとするフィラメントの直径によって制限され得る。好ましくは、微粒子状成分の直径は、未発泡フィラメント直径の20分の1(1/20)未満の直径、より好ましくは、未発泡フィラメント直径の1000分の1(1/1000)未満の直径である。
【0062】
発泡性フィラメント組成物への他の随意的な添加剤は、染料、顔料、炭化水素樹脂、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、及び難燃剤を含む。改善されたUV耐性は添加剤の添加によって実現できるが、高い度合いのUV耐性を必要とする用途については、ポリマー組成物が、脂肪族ポリマー材料を単独に又は主にベースとし、何れの芳香族ポリマーも添加剤も不含であるのが好適であり得る。
【0063】
結果として得られる発泡フィラメント組成物の硬度は、調整されてもよく、アスカーデュロメータ測定を用い、又は荷重変位を測定することによる機械的試験を介して、容易に測定され及び比較されることができる。これは、エチレンオクテンコポリマーを使用して具体的に実証される。硬度は、発泡中の体積膨張の量と組み合わせて単数又は複数のメタロセンコポリマーの密度に相関づけられ得る結晶性を選択することによって容易に調整される。実施例のフィラメントが、下表4に列挙されている成分を用いて形成され、関連づけられる密度及びアスカーC発泡体硬度が表1に示されている結果を用いて測定されている。表4に様々なエチレンオクテン含有組成物について示されているメルトインデックスは、ASTM1238(190°Cにて2.16kg重量)に従って測定されている。
【0064】
【0065】
例えば、発泡後に45±5のアスカーC硬度を提供する発泡性フィラメント組成物は、密度0.885と密度0.864の2つのエチレンオクテンコポリマーを大凡3:1の比と350%の体積増加で使用して得ることができる。比較として、例えば、発泡後に20±5のアスカーC硬度を提供する発泡性フィラメント組成物は、密度0.885と密度0.864の同じエチレンオクテンコポリマーを大凡1:2の比と500%の体積増加で使用して得ることができる。
【0066】
活性化(140.6°C(285°F)にてポストベーキング)後の様々なフィラメントの吸水量を判定するために吸水率も測定された。結果が下表5に示されている。以下の試験された材料は少なくとも部分的に又は実質的に連続気泡発泡体であるが、吸水のレベルはなおも最小である。
【0067】
【0068】
表5は、本明細書の教示に従って作製された発泡フィラメント材料についての吸水率データを、L&L Products, Inc.社から入手可能な市販の独立気泡発泡体材料L?2803との比較と共に示している。試験は、適切な時間量と温度で両生成物を発泡させた後に行われた。
【0069】
【0070】
表6は、本教示による発泡性フィラメント材料の圧縮永久歪を、表5に参照されている独立気泡L?2803材料と比較している。圧縮永久歪は、ASTM D3574?17試験Dに従って測定された。
【0071】
発泡後のフィラメントは、小さく均一な気泡構造から成るのが望ましいとされ得る。均一な気泡構造を有する独立気泡発泡体は、改善された機械的特性を有することが知られている。連続気泡発泡体については、より細かい気泡構造が、水などの異物の侵入に対してより曲がりくねった経路を作り出す。
【0072】
発泡性フィラメント組成物は、Banbury又はShaw内部ゴムミキサ又はシグマブレードダブルアームミキサの様な一般的な溶融混錬設備内で混錬することができる。好ましくは、材料は、ツインスクリュー押出機又はスクリュー設計へミキシング要素を組み入れたシングルスクリュー押出機の様な連続プロセスにて混合される。ツインスクリュー押出機は、逆回転又は共回転であり得る。加工条件は、ポリマー成分の融点に近いか又は融点をわずかに上回るが発泡剤及び存在する場合には架橋剤のどちらの活性化温度よりも低い温度を維持するように選択されなくてはならない。バッチ式に生産される場合、発泡性フィラメント組成物は、その後のフィラメントへの加工のためにペレット又はチャンクへと変換される。材料は、水中ペレタイジング又はストランドペレタイジング動作を通してペレットへ形成され又は不揃いなピースへ細断され得る。それはまた、シート形成とその後の裁断によって形成されてもよい。連続混合プロセスで生産される場合、材料は、フィラメントを形成するために単一又は複数の開口部を有するダイを通して直接フィラメントへ変換されることができ、又はその後のフィラメントへの加工のためにペレットへ変換され得る。
【0073】
その後、発泡性フィラメント組成物は、押出ダイを取り付けたシングルスクリュー押出機でフィラメントへ変換されることができる。シングルスクリュー押出機は、サージングを最小限にしてポリマー溶融物の効率的なポンピングを提供し、一貫したフィラメント直径を現出させる能力をもたらす。加工は、ポリマーの融点又は軟化点又はそれよりわずか上で且つブローイング添加剤及び架橋添加剤の活性化温度より下で起こり得る。押出ダイは、単一のフィラメントを提供する単一の開口部、又は更なる加工のために別々に巻かれ又は束ねられ得る複数のフィラメントを提供する複数の開口部を有し得る。本教示によるフィラメント直径は、0.1mm以下~1.5mm以上の範囲、好ましくは0.8mm~1.2mmの間であり得る。
【0074】
現教示の発泡性フィラメントは、織り、編み、かぎ針編み、編組、様々な不織方法、又は3Dプリンティングの様な、従来の方法を介してファブリック又は物品へ形成されることができ、又は不織製品の一部として使用されることができる。代替的には、発泡性フィラメントは、既存の布又はファブリックへインレイ加工され(be inlaid)得る。所望のサイズ及び形状の物品の形成に続いて、発泡性フィラメントは、発泡し及び随意的には架橋するように活性化され得る。発泡性フィラメント組成物は、中程度の温度にてその発砲構造を形成するように活性化されることができる。好ましくは、フィラメントを発泡させる温度は、165°C未満、より好ましくは150°C未満、いっそう好ましくは140°C未満である。材料が発泡する温度は、発泡剤、利用されるなら発泡剤活性剤、及び所望されるなら架橋剤、の選択によって制御される。温度特性の関数としてのポリマー溶融物及び粘度を発泡剤分解温度に整合させることが、望ましい発泡フィラメントの生産を支援し得る。
【0075】
発泡すると、フィラメント組成物の密度は、約1g/cm3~約0.25g/cm3以下に低下し、使用される泡立て剤のタイプと量によっては分解温度範囲のポリマーレオロジーと相まって0.05g/cm3以下に低下し得る。結果として得られる発泡体構造は、少なくとも部分的には又は実質的には連続気泡であり得る。これは、発泡体が圧縮されたときに気泡からガスが急激且つ容易に排出されることから明らかであり、発泡体が水中で圧縮されたときはバブルの形成によって観察される。
【0076】
或る例示としてのポリマー発泡フィラメントの活性化の前と後の断面図が
図1に示されている。活性化前として示されている単一ポリマー又はポリマー配合物10は、発泡剤の活性化前の複数の発泡剤粒子12を含む。活性化後、単一ポリマー又はポリマー配合物10は、発泡剤の活性化の結果として形成される閉じ込められたガスの気泡14を含む。
【0077】
本明細書に記載されている何れかの数的値は、何れかの下位値と何れかの上位値との間に少なくとも2単位の隔たりがあることを前提に、下位値から上位値までのすべての値を1単位の増分で含む。一例として、成分の量又はプロセス変数の値、例えば温度、圧力、時間などが、例えば1~90、好ましくは20~80、より好ましくは30~70であると述べられている場合、例えば15~85、22~68、43~51、30~32などの値が本明細書に明示的に列挙されているものとする。1未満の値については、1単位は、それ相応に0.0001、0.001、0.01、又は0.1であるものと考えられる。これらは、何が具体的に意図されているかの一例にすぎず、列挙されている最も低い値と最も高い値との間の数的値のすべての実施可能な組合せが、同様のやり方で、本出願内で明示的に述べられているものと見なされる。見て分かる様に、本明細書での「重量部 (parts by weight)」として表されている量の教示は更に、同じ範囲が重量%の用語で表されることも企図している。したがって、発明の詳細な説明での、「結果として得られるポリマー配合物組成物のx重量部」という用語での範囲の表現はまた、「結果として得られるポリマー配合物組成物の重量%でのx」という同じ記載量の範囲の教示も企図している。
【0078】
別段の言及のない限り、すべての範囲は、両方の終点及び終点間のすべての数を含む。範囲に関連しての「約」又は「大凡」の使用は範囲の両端へ適用される。したがって、「約20~30」は、少なくとも指定された終点を含めて「約20~約30」をカバーすることを意図している。
【0079】
特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。組合せを記述するための「本質的に○○から成る」という用語は、識別されている要素、原料、成分、又は工程、並びに組合せの基本的で新規性のある特性に実質的に影響を及ぼさないその様な他の要素、原料、成分、又は工程を含むものとする。本明細書での、要素、原料、成分、又は工程の組合せを記述するための「○○を備える」又は「○○を含む」という用語の使用は、当該の要素、原料、成分、又は工程から本質的に成る又は更には当該の要素、原料、成分、又は工程から成る実施形態も想定している。本明細書での「may」の対訳である「○○し得る」、「〇〇であってもよい」などの使用は、「含まれ得る」、「含まれていてもよい」とされる何れかの記載の属性が随意であることを意図している。
【0080】
複数の要素、原料、成分、又は工程が、単一の一体化された要素、原料、成分、又は工程によって提供されることもできる。代替的に、単一の一体化された要素、原料、成分、又は工程が、別々の複数の要素、原料、成分、又は工程へ分割されることもあり得る。要素、原料、成分、又は工程を記述するための原文の「a」又は「one」の対訳である「或る」又は「1つの」という開示は、追加の要素、原料、成分、又は工程を排除することを意図していない。本明細書での、或る族に属する元素又は金属へのすべての言及は、1989年のCRC Press,Inc.社によって出版され版権所有されている元素周期表を参照する。単数又は複数の族への何れかの言及は、族の番号づけについてのIUPACの体系的方法を用いてこの元素周期表に反映されている族であるものとする。
【0081】
本明細書に記載の量の濃縮物又は希釈物が採用されてもよいと理解しておきたい。概して、記載の原料の相対的比率は同じままであるだろう。したがって、一例として、教示がA成分30重量部とB成分10重量部を求めている場合、その様な教示はA成分とB成分を相対比3:1で使用することの教示も成していることが当業者には理解されるだろう。実施例中の濃度の教示は、記載の値の約25%(又はそれより上)以内で変化してもよく、同様の結果が期待される。また、実施例のその様な組成物は、現方法に成功裏に採用され得る。
【0082】
以上の記述は説明を目的としており制限を課そうとするものではないことが理解される。当業者には、上記説明が読まれ次第、提供されている実施例の他にも多くの実施形態並びに多くの適用が明らかとなろう。したがって、教示の範囲は、上記説明を参照して確定されるべきではなく、代わりに、付随の特許請求の範囲並びにその様な特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。付随の特許請求の範囲での、本明細書に開示されている主題の何れかの態様の省略は、その様な主題の放棄でもなければ、発明者らが開示しなかったと解釈されてもならない。以上の記述は説明を目的としており制限を課そうとするものではないことが理解される。当業者には、上記説明が読まれ次第、提供されている実施例の他にも多くの実施形態並びに多くの適用が明らかとなろう。
【0083】
本明細書に提示されている解説及び例示は、当業者に発明、その原理、及びその実践的適用に習熟してもらうことを意図している。当業者は教示を特定の使用の必要条件に最も適切であり得る数多くの形態に適合させ適用することができる。したがって、示されている本教示の特定の実施形態は網羅的であろうとする意図もなければ教示を限定する意図もない。ゆえに教示の範囲は、以上の記述を参照して確定されるのではなく、代わりに付随の特許請求の範囲並びにその様な特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。更に、付随の特許請求の範囲から収集され得るところの他の組合せが実施可能であり、その様な組合せもまたこれによりこの書面による記述へ参照により組み入れられる。
【符号の説明】
【0084】
10 単一ポリマー又はポリマー配合物
12 発泡剤粒子
14 閉じ込められたガスの気泡
【国際調査報告】