(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(54)【発明の名称】超伝導電流制御システム
(51)【国際特許分類】
H10N 60/10 20230101AFI20230511BHJP
H02M 5/12 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H10N60/10 K ZAA
H02M5/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558142
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2021021947
(87)【国際公開番号】W WO2021242356
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ストランド、ジョエル ディ.
【テーマコード(参考)】
4M113
5H750
【Fターム(参考)】
4M113AC07
4M113AD21
4M113AD23
5H750BA01
5H750CC11
5H750FF02
(57)【要約】
一例は、超伝導電流制御システムを含む。システムは、負荷インダクタと制御インダクタを含む誘導カプラを含む。誘導カプラは、負荷インダクタを介して供給される負荷電流に基づいて、制御インダクタから超伝導回路デバイスに制御電流を誘導的に供給するように構成される。また、システムは、複数の超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を含むSQUID配列を含む電流制御要素を含む。電流制御要素は、負荷インダクタを流れる負荷電流の振幅を制御して、超伝導回路デバイスへの制御電流の振幅を制御するように誘導カプラに結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導電流制御システムであって、
負荷インダクタおよび制御インダクタを含む誘導カプラであって、前記負荷インダクタを介して供給される負荷電流に基づいて、前記制御インダクタから超伝導回路デバイスに制御電流を誘導的に供給するように構成される前記誘導カプラと、
複数の超伝導量子干渉デバイス(以下、SQUIDとする)を含むSQUID配列を含む電流制御要素であって、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御して、前記超伝導回路デバイスへの前記制御電流の振幅を制御するように前記誘導カプラに結合されている前記電流制御要素と、を備えるシステム。
【請求項2】
前記複数のSQUIDは、前記SQUID配列の第1の端子と前記SQUID配列の第2の端子との間に配列に配置された複数の高周波(以下、RFとする)SQUIDとして配置され、前記第1および第2の端子の少なくとも1つは、前記誘導カプラに導電的に結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のRF SQUIDの配列は、前記SQUID配列の前記第1および第2の端子間に並列に配置されたRF SQUIDの第1の配列およびRF SQUIDの第2の配列として配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のSQUIDの各々は、ジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合に対向するインダクタとを含み、前記複数のSQUIDは、個々の前記ジョセフソン接合および個々の前記インダクタごとに交互パターンで配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のSQUIDの各々に関連する前記インダクタは、第1のインダクタであり、前記複数のSQUIDの各々は、第2のインダクタを含み、前記第2のインダクタは、配列内の前記複数のSQUIDの個々の1つと前記複数のSQUIDの先行する1つとを相互接続して、入力電流に応答して前記複数のSQUIDの個々の1つおよび前記複数のSQUIDの先行する1つに磁束を供給し、前記負荷電流は、前記入力電流の一部である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記電流制御要素は、バイアス電流を受け取って、前記バイアス電流の振幅に基づいて前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電流制御要素は、前記バイアス電流を受け取って、前記SQUID配列の前記複数のSQUIDの各々に磁束を誘導するように構成された変圧器を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記負荷電流は、前記負荷インダクタを前記超伝導電流制御システムの入力で受け取られる入力電流の一部として流れるように供給される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと並列に配置されており、前記電流制御要素は、前記入力電流の第1の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと直列に配置されており、前記超伝導電流制御システムは、前記電流制御要素と前記負荷インダクタとの直列配置と並列の分路インダクタをさらに備え、前記入力電流の第1の部分は、前記分路インダクタを通過し、前記電流制御要素は、前記入力電流の第2の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の前記第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
超伝導回路デバイスに供給される制御電流の振幅を制御する方法であって、
誘導カプラを介して電流制御要素に前記超伝導回路デバイスを結合するステップであって前記電流制御要素は、複数の高周波(以下、RFとする)超伝導量子干渉デバイス(以下、SQUIDとする)を含むSQUID配列を含んでおり、
前記電流制御要素に入力電流を供給し、かつ前記誘導カプラに関連する負荷電流を供給して、前記誘導カプラに関連する制御インダクタから前記制御電流を誘導的に供給するステップと、
前記電流制御要素にバイアス電流を供給して、前記バイアス電流の振幅に基づいて負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御するステップと、を含む方法。
【請求項12】
前記複数のSQUIDの各々が、ジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合と対向して配置された第1のインダクタと、第2のインダクタを含み、前記複数のRF SQUIDが、個々の前記ジョセフソン接合および個々の前記第1のインダクタごとに交互のパターンで配置され、前記第2のインダクタは、配列内の前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つとを相互接続して、前記入力電流に応答して前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つに磁束を供給する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記誘導カプラは、前記電流制御要素に関連する第1の端子および第2の端子のうちの少なくとも1つを介して前記電流制御要素に結合されており、前記SQUID配列は、前記SQUID配列の第1の端子と第2の端子との間に並列に配置された複数のRF SQUIDの第1の配列および複数のRF SQUIDの第2の配列として配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記バイアス電流を供給することは、前記電流制御要素に関連する変圧器に前記バイアス電流を供給して、前記SQUID配列の前記複数のRF SQUIDの各々に磁束を誘導して、前記負荷電流の振幅を制御することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと並列に配置されており、前記電流制御要素は、前記入力電流の第1の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと直列に配置されており、超伝導電流制御システムは、前記電流制御要素と前記負荷インダクタとの直列配置と並列の分路インダクタをさらに含み、前記入力電流の第1の部分は、前記分路インダクタを通過し、前記電流制御要素は、前記入力電流の第2の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の前記第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
超伝導電流制御システムであって、
負荷インダクタおよび制御インダクタを含む誘導カプラであって、前記超伝導電流制御システムの入力において受け取られる入力電流の一部として前記負荷インダクタを介して供給される負荷電流に基づいて、前記制御インダクタから超伝導回路デバイスに制御電流を誘導的に供給するように構成される前記誘導カプラと、
第1の端子と第2の端子との間に並列に配置された第1の超伝導量子干渉デバイス(以下、SQUIDとする)配列および第2のSQUID配列を含む電流制御要素であって、前記第1および第2のSQUID配列の各々が複数のRF SQUIDを含んでおり、前記電流制御要素は、前記第1および第2の端子のうちの少なくとも1つを介して前記誘導カプラに結合されて、前記電流制御要素に供給されるバイアス電流の振幅に基づいて前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御し、前記制御電流は、前記負荷電流の振幅に基づく振幅を有する、前記電流制御要素と、を備えるシステム。
【請求項18】
前記複数のSQUIDの各々が、ジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合と対向して配置された第1のインダクタと、第2のインダクタとを含み、前記複数のRF SQUIDが、個々の前記ジョセフソン接合および個々の前記第1のインダクタごとに交互のパターンで配置され、前記第2のインダクタは、配列内の前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つとを相互接続して、前記入力電流に応答して前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つに磁束を供給する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと並列に配置されており、前記電流制御要素は、前記入力電流の第1の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと直列に配置されており、前記超伝導電流制御システムは、前記電流制御要素と前記負荷インダクタとの直列配置と並列の分路インダクタをさらに備え、前記入力電流の第1の部分は、前記分路インダクタを通過し、前記電流制御要素は、前記入力電流の第2の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の前記第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、古典的および超伝導コンピューティングシステムに関し、より詳細には、超伝導電流制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な異なる種類の超伝導回路では、動的磁束を介して所与の回路に動作電力を供給するために制御ループが一般的に用いられる。磁束制御は、所与の超伝導回路を含む電流ループに結合された負荷インダクタを流れる電流を介して行うことができる。負荷インダクタは、相互インダクタンスを実現する誘導結合を介して電流ループに結合することができる。超伝導回路に十分な電流を供給するために、超伝導デジタルアナログ変換器(DAC)を負荷インダクタに結合して、超伝導回路への電流振幅を調整することができる。従って、DACを、超伝導回路に十分な振幅の電流を供給するために、較正プロセス時に調整することができる。
【発明の概要】
【0003】
一例は、超伝導電流制御システムを含む。システムは、負荷インダクタと制御インダクタを含む誘導カプラを含む。誘導カプラは、負荷インダクタを介して供給される負荷電流に基づいて、制御インダクタから超伝導回路デバイスに制御電流を誘導的に供給するように構成される。また、システムは、複数の超伝導量子干渉デバイス(SQUID:superconducting quantum interference device)を含むSQUID配列を含む電流制御要素を含む。電流制御要素は、負荷インダクタを流れる負荷電流の振幅を制御して、超伝導回路デバイスへの制御電流の振幅を制御するように誘導カプラに結合される。
【0004】
別の例は、超伝導回路デバイスに供給される制御電流の振幅を制御する方法を含む。方法は、誘導カプラを介して電流制御要素に超伝導回路デバイスを結合することを含む。電流制御要素は、複数の高周波(RF)SQUIDを含むSQUID配列を含む。また、方法は、電流制御要素に入力電流を供給し、かつ誘導カプラに関連する負荷電流を供給して、誘導カプラに関連する制御インダクタから制御電流を誘導的に供給することを含む。方法は、電流制御要素にバイアス電流を供給して、バイアス電流の振幅に基づいて負荷インダクタを流れる負荷電流の振幅を制御することをさらに含む。
【0005】
別の例は、超伝導電流制御システムを含む。システムは、負荷インダクタと制御インダクタを含む誘導カプラを含む。誘導カプラは、超伝導電流制御システムの入力において受け取られる入力電流の一部として負荷インダクタを介して供給される負荷電流に基づいて、制御インダクタから超伝導回路デバイスに制御電流を誘導的に供給するように構成される。システムは、第1の端子と第2の端子との間に並列に配置された第1のSQUID配列および第2のSQUID配列を含む電流制御要素をさらに含む。第1および第2のSQUID配列の各々は、複数のRF SQUIDを含む。電流制御要素は、第1および第2の端子のうちの少なくとも1つを介して誘導カプラに結合されて、電流制御要素に供給されるバイアス電流の振幅に基づいて負荷インダクタを流れる負荷電流の振幅を制御する。制御電流は、負荷電流の振幅に基づく振幅を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】一例の超伝導量子干渉デバイス(SQUID)配列を示す図。
【
図4】さらなる別の例の超伝導電流制御システムを示す図。
【
図5】超伝導回路デバイスに供給される制御電流の振幅を制御するための方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、概して、古典的および超伝導コンピューティングシステムに関し、より詳細には、超伝導電流制御システムに関する。電流制御システムは、制御電流を十分な最適振幅に調整するなどのために、超伝導回路デバイスに制御電流を供給することを必要とし得る、様々な古典的および/または超伝導コンピュータシステムのいずれにおいても実装することができる。例えば、超伝導電流制御システムは、超伝導回路デバイスの較正時に、制御電流の振幅を十分に最適な振幅に調整するように実施することができる。超伝導電流制御システムは、互いに相互インダクタンスを有するように配置された負荷インダクタおよび制御インダクタを含む誘導カプラを含むことができる。負荷インダクタは、超伝導電流制御システムに供給される入力電流の一部である負荷電流を伝導して、制御インダクタを介して超伝導回路デバイスに制御電流を誘導的に供給するように構成することができる。従って、制御電流は、負荷電流の振幅に基づいて制御される振幅を有する。
【0008】
超伝導電流制御システムは、誘導カプラの負荷インダクタに結合された電流制御要素をさらに含む。電流制御要素は、負荷電流の振幅を制御するために入力電流の一部を伝導するように配置された高周波(RF)超伝導量子干渉デバイス(SQUID)などのSQUIDの配列を含むことができる。また、電流制御要素は、電流制御要素のインダクタンスを制御するためにSQUID配列の磁束量を制御することができる振幅を有するバイアス電流を受け取ることができる。例えば、電流制御要素は、入力電流の第1の部分を伝導するように負荷インダクタと並列に配置されて、負荷インダクタが入力電流の第2の部分を伝導するようにすることができる。別の例として、電流制御要素は、負荷インダクタと直列に配置することができ、分路インダクタ(shunt inductor)が負荷インダクタと電流制御要素との直列接続と並列に配置されて、電流制御要素および負荷インダクタが入力電流の第1の部分を伝導し、分路インダクタが入力電流の第2の部分を伝導するようにすることができる。
【0009】
図1は、一例の超伝導電流制御システム10を示す。超伝導電流制御システム10は、超伝導回路デバイス12の較正時など、超伝導回路デバイス12に制御電流I
CTRLを供給することを必要とし得る、様々な古典的および超伝導コンピュータシステムのいずれにおいても実装することができる。
【0010】
図1の例では、超伝導電流制御システム10は、静電流振幅(static current amplitude)を有する入力電流I
INを受け取る。超伝導電流制御システム10は、互いに相互インダクタンスを有するように配置された負荷インダクタ16および制御インダクタを含むことができる誘導カプラ14を含む。負荷インダクタ16は、超伝導電流制御システム10に供給される入力電流I
INの一部である負荷電流I
LDを伝導するように構成することができる。その結果、誘導カプラ14は、関連する制御インダクタを介して超伝導回路デバイス12に制御電流I
CTRLを供給することができる。従って、制御電流I
CTRLは、負荷電流I
LDの振幅に基づいて制御される振幅を有する。
【0011】
超伝導電流制御システム10は、電流制御要素18をさらに含む。電流制御要素18は、負荷電流I
LDの振幅を制御するために入力電流I
INの一部を伝導するように構成された、高周波(RF)SQUIDなどの超伝導量子干渉デバイス(SQUID)20の配列を含むことができる。例えば、電流制御要素18は、負荷インダクタ16を流れる入力電流I
INの一部を分流する(divert)ように電流制御要素18のインダクタンスを制御することができるように、負荷インダクタ16に結合される。
図1の例では、電流制御要素18は、電流制御要素18のインダクタンスを制御するなどのために、電流制御要素18のSQUID配列20の磁束量を制御することができる振幅を有するバイアス電流I
BIASを受け取る。本明細書でより詳細に説明するように、電流制御要素18は、負荷インダクタ16と並列または直列に配置することができる。従って、負荷インダクタ16は、超伝導回路デバイス12に供給される制御電流の振幅に対応することができる振幅を有する入力電流I
INの一部を伝導することができる。
【0012】
一例として、SQUID配列20は、配列に沿って交互配置で配置された複数のRF超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を含むことができる。RF SQUIDの各々は、負荷電流ILDの振幅を制御するためにバイアス電流IBIASによって制御される入力電流IINの一部の誘導経路を形成する1つのジョセフソン接合および一対のインダクタを含むことができる。例えば、SQUID配列20内のRF SQUIDの配置は、SQUID配列20が電流制御要素18の個々の端子間に並列に設けられた2つのRF SQUID配列を含むことができるように、2つの誘導経路を並列に含むことができる。
【0013】
図2は、一例の電流制御要素50を示す。電流制御要素50は、
図1の例における電流制御要素18に対応することができる。従って、
図2の例の以下の説明では、
図1の例が参照される。
【0014】
電流制御要素50は、第1の端子52および第2の端子54を含む。例として、第1の端子52および第2の端子54のうちの少なくとも1つは、
図1の例における誘導カプラ14に結合することができる。第1の端子52は、本明細書でより詳細に説明するように、入力インダクタL
INが電流制御要素50の2つのSQUID配列の各々の間で分割されるように、入力インダクタL
INに結合される。第2の端子54は、変圧器56の二次巻線に結合され、変圧器56の一次巻線は、バイアス電流I
BIASを伝導するように構成される。さらに、電流制御要素50は、複数(2×N個)のRF SQUID58を含み、RF SQUID58の配置は、第1の端子52と第2の端子54との間に2列のN個のRF SQUID58の並列した交互配列の連続で配置される。従って、RF SQUID58の2列のN個の連続配列は、第1および第2の端子52および54の間で互いに対する鏡像として示される。一例として、Nの量は、空間的な考慮に対してNの量を多くすることに対する、電流制御要素50を通る電流経路の増加したインダクタンスのバランスを取るように選択することができる。
【0015】
RF SQUID58の各々は、一対のインダクタおよび1つのジョセフソン接合を含む。RF SQUID58の2列のN個の連続配列の各々において、インダクタは、L
X1およびL
X2とラベル付けされ、Xは、RF SQUID58の個々の配列に沿った個々のRF SQUID58の番号に対応する。同様に、RF SQUID58の2列のN個の連続配列の各々において、ジョセフソン接合はJ
Xとラベル付けされている。一例として、全てのジョセフソン接合J
Xは、ほぼ等しい臨界電流ICを有することができる。
図2の例では、L
11を除いて、RF SQUID58の各々の第1のインダクタL
X1は、RF SQUID58の連続において先行するRF SQUID58に共通である。さらに、N番目のRF SQUID58は、変圧器56の二次巻線に結合された追加のインダクタL
(N+1)1を含む。本明細書で説明するように、
図2の例では、RF SQUID58のインダクタL
X1およびL
X2は、第1の端子52と第2の端子54との間の入力電流I
INの一部に対する一対の誘導経路を形成し、誘導経路の各々は、個々のジョセフソン接合J
Xの各々と並列にインダクタL
X1およびL
X2を介して設けられている。本明細書でより詳細に説明するように、第1の端子52と第2の端子54との間に制御された可変インダクタンスを供給するために、RF SQUID58の各々の磁束は、バイアス電流I
BIASにより制御することができる。
【0016】
前述したように、電流制御要素50は、2つのRF SQUID配列として形成され、配列の各々のN段の各々は、個々の線形インダクタLX1およびLX2によって分路された臨界電流ICを有するジョセフソン接合JXで構成されるものとして示されている。従って、並列にある2つの配列のインダクタンス、および磁束微分L’T(Φac)は、以下のように表すことができる。
【0017】
【数1】
ここで、Φ
0は磁束量子であり、δ
0(Φ
dc)は次のように表すことができる。
【0018】
【数2】
従って、式1~式4は、入力電流I
INの一部に対して誘導電流経路を供給するために、電流制御要素50のインダクタンスをバイアス電流I
BIASによって制御する方法を示す。
【0019】
電流制御要素50の配置の結果として、誘導カプラ14を介して超伝導回路デバイス12に誘導的に供給される制御電流ICTRLの振幅を設定するために、電流制御要素50は、負荷インダクタ16に流れる負荷電流ILDの電流振幅を設定するように実装されることができる。電流制御要素50内のRF SQUID58の配列の配置により、ジョセフソン接合JXのジョセフソンインダクタンスに対する負荷インダクタ16の負荷インダクタンスの比βLは、1未満とすることができる。従って、電流制御要素50は、入力電流IINに対して誘導電流経路を提供するために単純なSQUIDを実装する典型的な電流制御方法とは対照的に、ヒステリシス挙動を示すことなく、負荷電流ILD、従って、制御電流ICTRLの振幅を制御するように動作することができる。従って、電流制御要素50は、単一のSQUIDを実装する典型的な電流制御方法と比較して、著しく高いダイナミックレンジで動作することができる。
【0020】
図3は、一例の超伝導電流制御システム100を示す。超伝導電流制御システム100は、超伝導回路デバイス102の較正時など、超伝導回路デバイス102に制御電流I
CTRLを供給することを必要とし得る、様々な古典的および超伝導コンピュータシステムのいずれにおいても実装することができる。
【0021】
図3の例では、超伝導電流制御システム100は、静電流振幅を有する入力電流I
INを受け取る。超伝導電流制御システム100は、互いに相互インダクタンスを有するように配置された負荷インダクタL
LDおよび制御インダクタL
CTRLを含む変圧器として
図3の例で示される誘導カプラ104を含む。超伝導電流制御システム100はまた、負荷インダクタL
LDと並列に配置されるものとして
図3の例で示される電流制御要素106を含む。従って、電流制御要素106は、入力電流I
INの第1の部分に対応する電流I
CCを伝導するように構成され、負荷インダクタL
LDは、(例えば、電流I
CCと負荷電流I
LDの和が入力電流I
INにほぼ等しくなるような)入力電流I
INの第2の部分である負荷電流I
LDを伝導するように構成される。その結果、制御インダクタL
CTRLは、負荷電流I
LDの振幅に基づいて超伝導回路デバイス102に制御電流I
CTRLを供給することができる。
【0022】
例として、電流制御要素106は、
図2の例における電流制御要素50に対応することができる。従って、電流制御要素106は、電流制御要素106と負荷インダクタL
LDとの間の並列配置を提供するために、負荷インダクタL
LDの両端が個々の端子52および54に結合されるように配置することができる。前述したのと同様に、電流制御要素106は、負荷電流I
LDの振幅を制御するために電流I
CCを伝導するように配置されたRF SQUIDの配列を含む。
図3の例では、電流制御要素106は、電流制御要素106のインダクタンスを制御するために、電流制御要素106のRF SQUID配列の磁束の量を制御することができる振幅を有するバイアス電流I
BIASを受け取る。従って、負荷インダクタL
LDは、超伝導回路デバイス102に供給される制御電流I
CTRLの振幅に対応することができる振幅を有する負荷電流I
LDを伝導することができる。例えば、電流制御要素106がバイアスされていないとき(例えば、バイアス電流I
BIASがほぼゼロの振幅を有するとき)、電流制御要素106は、入力電流I
INのほぼ半分を負荷インダクタL
LDから分流することができ、ほぼ最大にバイアスされたとき、入力電流I
INのほぼゼロを負荷インダクタL
LDから分流することができる。従って、電流制御要素106は、ほぼゼロのバイアス状態とほぼ完全なバイアス状態との間で、負荷電流I
LDのほぼ2倍のダイナミックレンジを提供することができる。
【0023】
図4は、一例の超伝導電流制御システム150を示す。超伝導電流制御システム150は、超伝導回路デバイス152の較正時など、超伝導回路デバイス152に制御電流I
CTRLを供給することを必要とし得る、様々な古典的および超伝導コンピュータシステムのいずれにおいても実装することができる。
【0024】
図4の例では、超伝導電流制御システム150は、静電流振幅を有する入力電流I
INを受け取る。超伝導電流制御システム150は、互いに相互インダクタンスを有するように配置された負荷インダクタL
LDおよび制御インダクタL
CTRLを含む変圧器として
図4の例で示される誘導カプラ154を含む。超伝導電流制御システム150はまた、負荷インダクタL
LDと直列に配置されるものとして
図4の例で示される電流制御要素156を含む。超伝導電流制御システム150は、電流制御要素156と負荷インダクタL
LDの直列配置と並列に配置された分路インダクタL
SHをさらに含む。従って、分路インダクタL
SHは、入力電流I
INの第1の部分に対応する電流I
CCを伝導するように構成され、電流制御要素156および負荷インダクタL
LDの直列配置は、(例えば、電流I
CCと負荷電流I
LDの和が入力電流I
INにほぼ等しくなるような)入力電流I
INの第2の部分である負荷電流I
LDを伝導するように構成される。その結果、制御インダクタL
CTRLは、負荷電流I
LDの振幅に基づいて超伝導回路デバイス152に制御電流I
CTRLを供給することができる。
【0025】
例として、電流制御要素156は、
図2の例における電流制御要素50に対応することができる。従って、電流制御要素156は、電流制御要素156および負荷インダクタL
LDの直列配置を提供するために、負荷インダクタL
LDが端子52および54の一方に結合されるように配置することができる。前述したのと同様に、電流制御要素156は、負荷電流I
LDを伝導するように配置されたRF SQUIDの配列を含む。
図4の例では、電流制御要素156のインダクタンスを制御するなどのために、電流制御要素156は、電流制御要素156のRF SQUID配列の磁束の量を制御することができる振幅を有するバイアス電流I
BIASを受け取る。従って、電流制御要素156および負荷インダクタL
LDは、超伝導回路デバイス152に供給される制御電流I
CTRLの振幅に対応することができる振幅を有する負荷電流I
LDを伝導することができる。例えば、電流制御要素156がバイアスされていないとき(例えば、バイアス電流I
BIASがほぼゼロの振幅を有するとき)、電流制御要素156および負荷インダクタL
LDは、負荷インダクタL
LDとして入力電流I
INのほぼ半分を伝導することができ、ほぼ最大にバイアスされたとき、負荷インダクタL
LDとして入力電流I
INのほぼゼロ振幅(例えば、約0.025アンペア)を伝導することができる。従って、電流制御要素156は、ほぼゼロのバイアス条件とほぼ完全なバイアス条件との間で、負荷電流I
LDの約20倍のダイナミックレンジを提供することができる。
【0026】
上記した構造的および機能的特徴を考慮して、本開示の様々な態様による方法は、
図5を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
図5は、超伝導回路デバイスに供給される制御電流の振幅を制御するための方法200の一例を示す。本開示に従って、いくつかの態様は、本明細書に示され、かつ説明されたものとは異なる順序で、および/または他の態様と同時に発生し得るため、
図5の方法は、図示された順序によって限定されないことを理解および認識されたい。さらに、本実施例の一態様による方法を実施するために、図示された全ての特徴が必要とされるわけではない。
【0027】
202において、超伝導回路デバイス(例えば、超伝導回路デバイス12)が、誘導カプラ(例えば、誘導カプラ14)を介して電流制御要素(例えば、電流制御要素18)に結合され、電流制御要素は、複数のRF SQUID(例えば、SQUID58)を含むSQUID配列(例えば、SQUID配列20)を含む。204において、入力電流(例えば、入力電流IIN)が、電流制御要素に供給され、誘導カプラに関連する負荷電流(例えば、負荷電流ILD)が、誘導カプラに関連する制御インダクタ(例えば、制御インダクタLCTRL)から制御電流(例えば、制御電流ICTRL)を誘導的に供給するために供給される。206において、バイアス電流(例えば、バイアス電流IBIAS)が電流制御要素に供給されて、バイアス電流の振幅に基づいて負荷インダクタを流れる負荷電流の振幅を制御する。
【0028】
上記に記載されているのは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられる全ての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本発明のさらに多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の技術思想および範囲内に含まれるそのような全ての変更、修正および変形を包含することが意図されている。さらに、本開示または特許請求の範囲が「ある」、「第1の」、または「別の」構成要素、またはそれらと同等の構成要素を記載している場合、それは、そのような構成要素を1つまたは複数含むと解釈されるべきであり、2つ以上の要素を必要とするわけでも、除外するわけでもない。本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、含むがこれに限定されないことを意味し、「含んでいる」という用語は、含んでいるがこれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導電流制御システムであって、
負荷インダクタおよび制御インダクタを含む誘導カプラであって、前記負荷インダクタを介して供給される負荷電流に基づいて、前記制御インダクタから超伝導回路デバイスに制御電流を誘導的に供給するように構成される前記誘導カプラと、
複数の超伝導量子干渉デバイス(以下、SQUIDとする)を含むSQUID配列を含む電流制御要素であって、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御して、前記超伝導回路デバイスへの前記制御電流の振幅を制御するように前記誘導カプラに結合されている前記電流制御要素と、を備えるシステム。
【請求項2】
前記複数のSQUIDは、前記SQUID配列の第1の端子と前記SQUID配列の第2の端子との間に
並列に配置された高周波(以下、RFとする)SQUIDの第1の配列およびRF SQUIDの第2の配列に配置された複数の
RF SQUIDとして配置され、前記第1および第2の端子の少なくとも1つは、前記誘導カプラに導電的に結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のSQUIDの各々は、ジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合に対向するインダクタとを含み、前記複数のSQUIDは、個々の前記ジョセフソン接合および個々の前記インダクタごとに交互パターンで配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のSQUIDの各々に関連する前記インダクタは、第1のインダクタであり、前記複数のSQUIDの各々は、第2のインダクタを含み、前記第2のインダクタは、配列内の前記複数のSQUIDの個々の1つと前記複数のSQUIDの先行する1つとを相互接続して、入力電流に応答して前記複数のSQUIDの個々の1つおよび前記複数のSQUIDの先行する1つに磁束を供給し、前記負荷電流は、前記入力電流の一部である、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記電流制御要素は、バイアス電流を受け取って、前記バイアス電流の振幅に基づいて前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電流制御要素は、前記バイアス電流を受け取って、前記SQUID配列の前記複数のSQUIDの各々に磁束を誘導するように構成された変圧器を備える、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記負荷電流は、前記負荷インダクタを前記超伝導電流制御システムの入力で受け取られる入力電流の一部として流れるように供給される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと並列に配置されており、前記電流制御要素は、前記入力電流の第1の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと直列に配置されており、前記超伝導電流制御システムは、前記電流制御要素と前記負荷インダクタとの直列配置と並列の分路インダクタをさらに備え、前記入力電流の第1の部分は、前記分路インダクタを通過し、前記電流制御要素は、前記入力電流の第2の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の前記第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
超伝導回路デバイスに供給される制御電流の振幅を制御する方法であって、
誘導カプラを介して電流制御要素に前記超伝導回路デバイスを結合するステップであって前記電流制御要素は、複数の高周波(以下、RFとする)超伝導量子干渉デバイス(以下、SQUIDとする)を含むSQUID配列を含んでおり、
前記電流制御要素に入力電流を供給し、かつ前記誘導カプラに関連する負荷電流を供給して、前記誘導カプラに関連する制御インダクタから前記制御電流を誘導的に供給するステップと、
前記電流制御要素にバイアス電流を供給して、前記バイアス電流の振幅に基づいて負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御するステップと、を含む方法。
【請求項11】
前記複数のSQUIDの各々が、ジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合と対向して配置された第1のインダクタと、第2のインダクタを含み、前記複数のRF SQUIDが、個々の前記ジョセフソン接合および個々の前記第1のインダクタごとに交互のパターンで配置され、前記第2のインダクタは、配列内の前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つとを相互接続して、前記入力電流に応答して前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つに磁束を供給する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記誘導カプラは、前記電流制御要素に関連する第1の端子および第2の端子のうちの少なくとも1つを介して前記電流制御要素に結合されており、前記SQUID配列は、前記SQUID配列の第1の端子と第2の端子との間に並列に配置された複数のRF SQUIDの第1の配列および複数のRF SQUIDの第2の配列として配置される、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記バイアス電流を供給することは、前記電流制御要素に関連する変圧器に前記バイアス電流を供給して、前記SQUID配列の前記複数のRF SQUIDの各々に磁束を誘導して、前記負荷電流の振幅を制御することを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと並列に配置されており、前記電流制御要素は、前記入力電流の第1の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと直列に配置されており、超伝導電流制御システムは、前記電流制御要素と前記負荷インダクタとの直列配置と並列の分路インダクタをさらに含み、前記入力電流の第1の部分は、前記分路インダクタを通過し、前記電流制御要素は、前記入力電流の第2の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の前記第2の部分の振幅を制御するために提供する、請求項
10に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
上記に記載されているのは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられる全ての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本発明のさらに多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の技術思想および範囲内に含まれるそのような全ての変更、修正および変形を包含することが意図されている。さらに、本開示または特許請求の範囲が「ある」、「第1の」、または「別の」構成要素、またはそれらと同等の構成要素を記載している場合、それは、そのような構成要素を1つまたは複数含むと解釈されるべきであり、2つ以上の要素を必要とするわけでも、除外するわけでもない。本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、含むがこれに限定されないことを意味し、「含んでいる」という用語は、含んでいるがこれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
超伝導電流制御システムであって、
負荷インダクタおよび制御インダクタを含む誘導カプラであって、前記負荷インダクタを介して供給される負荷電流に基づいて、前記制御インダクタから超伝導回路デバイスに制御電流を誘導的に供給するように構成される前記誘導カプラと、
複数の超伝導量子干渉デバイス(以下、SQUIDとする)を含むSQUID配列を含む電流制御要素であって、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御して、前記超伝導回路デバイスへの前記制御電流の振幅を制御するように前記誘導カプラに結合されている前記電流制御要素と、を備えるシステム。
[付記2]
前記複数のSQUIDは、前記SQUID配列の第1の端子と前記SQUID配列の第2の端子との間に配列に配置された複数の高周波(以下、RFとする)SQUIDとして配置され、前記第1および第2の端子の少なくとも1つは、前記誘導カプラに導電的に結合される、付記1に記載のシステム。
[付記3]
前記複数のRF SQUIDの配列は、前記SQUID配列の前記第1および第2の端子間に並列に配置されたRF SQUIDの第1の配列およびRF SQUIDの第2の配列として配置される、付記2に記載のシステム。
[付記4]
前記複数のSQUIDの各々は、ジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合に対向するインダクタとを含み、前記複数のSQUIDは、個々の前記ジョセフソン接合および個々の前記インダクタごとに交互パターンで配置される、付記1に記載のシステム。
[付記5]
前記複数のSQUIDの各々に関連する前記インダクタは、第1のインダクタであり、前記複数のSQUIDの各々は、第2のインダクタを含み、前記第2のインダクタは、配列内の前記複数のSQUIDの個々の1つと前記複数のSQUIDの先行する1つとを相互接続して、入力電流に応答して前記複数のSQUIDの個々の1つおよび前記複数のSQUIDの先行する1つに磁束を供給し、前記負荷電流は、前記入力電流の一部である、付記4に記載のシステム。
[付記6]
前記電流制御要素は、バイアス電流を受け取って、前記バイアス電流の振幅に基づいて前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御するように構成される、付記1に記載のシステム。
[付記7]
前記電流制御要素は、前記バイアス電流を受け取って、前記SQUID配列の前記複数のSQUIDの各々に磁束を誘導するように構成された変圧器を備える、付記6に記載のシステム。
[付記8]
前記負荷電流は、前記負荷インダクタを前記超伝導電流制御システムの入力で受け取られる入力電流の一部として流れるように供給される、付記1に記載のシステム。
[付記9]
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと並列に配置されており、前記電流制御要素は、前記入力電流の第1の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の第2の部分の振幅を制御するために提供する、付記8に記載のシステム。
[付記10]
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと直列に配置されており、前記超伝導電流制御システムは、前記電流制御要素と前記負荷インダクタとの直列配置と並列の分路インダクタをさらに備え、前記入力電流の第1の部分は、前記分路インダクタを通過し、前記電流制御要素は、前記入力電流の第2の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の前記第2の部分の振幅を制御するために提供する、付記8に記載のシステム。
[付記11]
超伝導回路デバイスに供給される制御電流の振幅を制御する方法であって、
誘導カプラを介して電流制御要素に前記超伝導回路デバイスを結合するステップであって前記電流制御要素は、複数の高周波(以下、RFとする)超伝導量子干渉デバイス(以下、SQUIDとする)を含むSQUID配列を含んでおり、
前記電流制御要素に入力電流を供給し、かつ前記誘導カプラに関連する負荷電流を供給して、前記誘導カプラに関連する制御インダクタから前記制御電流を誘導的に供給するステップと、
前記電流制御要素にバイアス電流を供給して、前記バイアス電流の振幅に基づいて負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御するステップと、を含む方法。
[付記12]
前記複数のSQUIDの各々が、ジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合と対向して配置された第1のインダクタと、第2のインダクタを含み、前記複数のRF SQUIDが、個々の前記ジョセフソン接合および個々の前記第1のインダクタごとに交互のパターンで配置され、前記第2のインダクタは、配列内の前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つとを相互接続して、前記入力電流に応答して前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つに磁束を供給する、付記11に記載の方法。
[付記13]
前記誘導カプラは、前記電流制御要素に関連する第1の端子および第2の端子のうちの少なくとも1つを介して前記電流制御要素に結合されており、前記SQUID配列は、前記SQUID配列の第1の端子と第2の端子との間に並列に配置された複数のRF SQUIDの第1の配列および複数のRF SQUIDの第2の配列として配置される、付記11に記載の方法。
[付記14]
前記バイアス電流を供給することは、前記電流制御要素に関連する変圧器に前記バイアス電流を供給して、前記SQUID配列の前記複数のRF SQUIDの各々に磁束を誘導して、前記負荷電流の振幅を制御することを含む、付記11に記載の方法。
[付記15]
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと並列に配置されており、前記電流制御要素は、前記入力電流の第1の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の第2の部分の振幅を制御するために提供する、付記11に記載の方法。
[付記16]
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと直列に配置されており、超伝導電流制御システムは、前記電流制御要素と前記負荷インダクタとの直列配置と並列の分路インダクタをさらに含み、前記入力電流の第1の部分は、前記分路インダクタを通過し、前記電流制御要素は、前記入力電流の第2の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の前記第2の部分の振幅を制御するために提供する、付記11に記載の方法。
[付記17]
超伝導電流制御システムであって、
負荷インダクタおよび制御インダクタを含む誘導カプラであって、前記超伝導電流制御システムの入力において受け取られる入力電流の一部として前記負荷インダクタを介して供給される負荷電流に基づいて、前記制御インダクタから超伝導回路デバイスに制御電流を誘導的に供給するように構成される前記誘導カプラと、
第1の端子と第2の端子との間に並列に配置された第1の超伝導量子干渉デバイス(以下、SQUIDとする)配列および第2のSQUID配列を含む電流制御要素であって、前記第1および第2のSQUID配列の各々が複数のRF SQUIDを含んでおり、前記電流制御要素は、前記第1および第2の端子のうちの少なくとも1つを介して前記誘導カプラに結合されて、前記電流制御要素に供給されるバイアス電流の振幅に基づいて前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流の振幅を制御し、前記制御電流は、前記負荷電流の振幅に基づく振幅を有する、前記電流制御要素と、を備えるシステム。
[付記18]
前記複数のSQUIDの各々が、ジョセフソン接合と、前記ジョセフソン接合と対向して配置された第1のインダクタと、第2のインダクタとを含み、前記複数のRF SQUIDが、個々の前記ジョセフソン接合および個々の前記第1のインダクタごとに交互のパターンで配置され、前記第2のインダクタは、配列内の前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つとを相互接続して、前記入力電流に応答して前記複数のRF SQUIDの個々の1つと前記複数のRF SQUIDの先行する1つに磁束を供給する、付記17に記載のシステム。
[付記19]
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと並列に配置されており、前記電流制御要素は、前記入力電流の第1の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の第2の部分の振幅を制御するために提供する、付記17に記載のシステム。
[付記20]
前記電流制御要素は、前記負荷インダクタと直列に配置されており、前記超伝導電流制御システムは、前記電流制御要素と前記負荷インダクタとの直列配置と並列の分路インダクタをさらに備え、前記入力電流の第1の部分は、前記分路インダクタを通過し、前記電流制御要素は、前記入力電流の第2の部分に対する調整可能な誘導経路を、前記負荷インダクタを流れる前記負荷電流としての前記入力電流の前記第2の部分の振幅を制御するために提供する、付記17に記載のシステム。
【国際調査報告】