(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(54)【発明の名称】画像化システム用の光学トレーンおよびスペクトルエッジ検出
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20230511BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G02B21/00
G01N21/64 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560524
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 US2020066873
(87)【国際公開番号】W WO2021206768
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518244644
【氏名又は名称】レアサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】クーパー ジェレミー ライアン
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
2G043
2H052
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043EA01
2G043FA02
2G043FA06
2G043HA09
2G043JA03
2G043LA03
2G043NA01
2H052AA09
2H052AC12
2H052AC13
2H052AC30
2H052AC34
2H052AD03
2H052AF01
2H052AF25
(57)【要約】
本開示は、一般に、画像化システム用の光学トレーン(optical train )に関する。より具体的には、本開示は、光学収差を制限するよう構成された画像化システムに関する。さらに、本開示は、特に、複数の検出構成成分中の個々の検出構成成分を検出するためにサンプルを画像化するよう構成された画像化システムの光学収差を制限する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像化システムであって、
前記画像化システムの光路内に位置決めされるよう構成された光学フィルタを含む少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体と、
前記画像化システムの前記光路内に位置決めされるよう構成された動的補正光学系と、
前記画像化システムの前記光路内に位置決めされるよう構成された固定補正光学系とを含む、画像化システム。
【請求項2】
前記画像化システムの前記光路内に位置決めされるよう構成されたテレセントリックチューブレンズをさらに含む、請求項1記載の画像化システム。
【請求項3】
前記固定補正光学系は、前記光学フィルタと前記動的補正光学系の組み合わせによって生じる非点収差を実質的に軽減するよう構成されている、請求項1記載の画像化システム。
【請求項4】
前記固定補正光学系と前記動的補正光学系と前記光学フィルタとの組み合わせによって残留非点収差が生じたとしても該残留非点収差は、ほぼゼロ(0)である、請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記光学フィルタの選択された第1の入射角に関し、前記動的補正光学系は、第2の入射角まで傾けられるよう構成され、前記固定補正光学系の前記入射角は、前記選択された第1の入射角のところでの前記光学フィルタと前記第2の入射角のところでの前記動的補正光学系との組み合わせによって生じる前記非点収差を実質的に軽減するための非点収差を生じさせるよう構成されている、請求項1記載の画像化システム。
【請求項6】
前記動的補正光学系は、前記光学フィルタの傾動によって生じる横方向画像シフトを実質的に安定化するよう構成されている、請求項1記載の画像化システム。
【請求項7】
前記動的補正光学系によって生じる横方向画像シフトと前記光学フィルタの傾動によって生じる前記横方向画像シフトの合計は、ほぼ一定である、請求項6記載の画像化システム。
【請求項8】
前記光学フィルタの選択された第1の入射角に関し、前記動的補正光学系は、第2の入射角まで傾けられるよう構成され、前記動的補正光学系によって生じる横方向画像シフトと前記光学フィルタによって生じる前記横方向画像シフトの合計は、ほぼ一定である、請求項6記載の画像化システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体によって保持された前記光学フィルタ、および前記動的補正光学系は、ほぼ平行なX軸上で傾動するよう構成され、前記固定補正光学系は、実質的に垂直なY軸上で傾けられる、請求項1記載の画像化システム。
【請求項10】
前記テレセントリックチューブレンズは、前記テレセントリックチューブレンズが画像と物体空間の両方内でテレセントリックである位置で前記画像化システムの前記光路内に配置されている、請求項2記載の画像化システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体を保持するよう構成されたフィルタチェンジャをさらに含む、請求項1記載の画像化システム。
【請求項12】
前記フィルタチェンジャは、フィルタホイールであり、前記少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体は、前記光学フィルタをほぼ0゜からほぼ89.9゜までの範囲から選択された入射角まで傾斜させるよう構成されている、請求項11記載の画像化システム。
【請求項13】
前記フィルタチェンジャは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または少なくとも20個の傾動可能なフィルタ組立体を含む、請求項11記載の画像化システム。
【請求項14】
ダイクロイックフィルタ、ポリクロイックフィルタ、ショートパスフィルタ、ロングパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、およびマルチパスフィルタから成る群のうちの少なくとも1つを選択した低インシデンスフィルタをさらに含み、前記低インシデンスフィルタは、ほぼ10.0゜からほぼ30.0゜までの範囲にある角度から選択された励起光の入射角を有するよう構成されている、請求項1記載の画像化システム。
【請求項15】
前記低インシデンスフィルタは、ポリクロイックフィルタである、請求項14記載の画像化システム。
【請求項16】
前記画像化システムは、蛍光顕微鏡型画像化システムである、請求項1記載の画像化システム。
【請求項17】
前記光学フィルタは、干渉フィルタである、請求項1記載の画像化システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体は、前記光学フィルタをほぼ0゜からほぼ89.9゜までの範囲から選択された入射角まで傾動させるよう構成されている、請求項1記載の画像化システム。
【請求項19】
画像化システムの非点収差を軽減する方法であって、前記方法は、
光学フィルタを第1の入射角で前記画像化システムの光路内に位置決めするステップと、
動的補正光学系を第2の入射角で前記画像化システムの前記光路内に位置決めするステップと、
固定補正光学系を第3の入射角で前記画像化システムの前記光路内に位置決めするステップとを含み、
前記固定補正光学系の前記入射角は、前記第1の入射角での前記光学フィルタの非点収差と前記第2の入射角での前記動的補正光学系の総合非点収差を実質的に軽減するための非点収差を生じさせるよう構成されている、方法。
【請求項20】
画像化システムの横方向画像シフトを安定化する方法であって、前記方法は、
光学フィルタを、第1の入射角で前記画像化システムの光路内に位置決めするステップと、
動的補正光学系を第2の入射角で前記画像化システムの前記光路内に位置決めするステップとを含み、前記動的補正光学系は、前記光学フィルタの傾動によって生じる横方向画像シフトを実質的に安定化するよう構成されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(本発明)は、一般に、サンプルの分析のための顕微鏡画像化システムに関する。特に、本開示は、蛍光顕微鏡用の画像化システムの光学収差の軽減に関する。さらに、本開示は、自動高スループット画像化システム用の光学トレーン(optical train)に関する。加うるに、本開示は、多数の検出構成成分を順次検出する方法および画像化システムに関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本出願は、2020年4月6日に出願された米国特許仮出願第63/005,932号の優先権主張出願である。
【0003】
本明細書において言及する全ての刊行物および特許出願を参照により引用し、個々の刊行物または特許出願が具体的にかつ個々に参照により引用されているかのごとくこれらの記載内容全体が本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0004】
顕微鏡検査法は、無機および有機サンプルを検査するとともに画像化するために用いられる強力な技術である。選択されるサンプルとしては、検出または画像化のために標的とされる場合のある1種類以上のバイオマーカーまたは成分を含む生物サンプルが挙げられる。顕微鏡検査法で用いられる現行の光学トレーン型フィルタおよび画像化システムでは、限定された数の標識(ラベル)しか任意所与の時点において使用することができない。さらに、画像化システムには、画像品質上の問題、例えば、収差、非点収差、焦点ずれ(シフト)および画像シフトなどの欠点がある。その結果、医療技師、研究者、および顕微鏡使用者は、サンプルをより効率的にかつ正確に画像化するためのシステムおよび方法を求め続けている。
【発明の概要】
【0005】
一観点では、画像化システムの諸実施形態が提供される。画像化システムは、画像化システムの光路内に位置決めされるよう構成された光学フィルタを含む少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体と、画像化システムの光路内に位置決めされるよう構成された動的補正光学系と、画像化システムの光路内に位置決めされるよう構成された固定補正光学系とを含む。
【0006】
画像化システムは、画像化システムの光路内に位置決めされるよう構成されたテレセントリックチューブレンズをさらに含むのが良い。
【0007】
幾つかの実施形態では、固定補正光学系は、光学フィルタと動的補正光学系の組み合わせによって生じる非点収差を実質的に軽減するよう構成されている。
【0008】
固定補正光学系と動的補正光学系と光学フィルタとの組み合わせによって残留非点収差が生じたとしても、かかる残留非点収差は、ほぼゼロ(0)であると言える。
【0009】
幾つかの実施形態では、光学フィルタの選択された第1の入射角に関し、動的補正光学系は、第2の入射角まで傾けられるよう構成され、固定補正光学系の入射角は、選択された第1の入射角のところでの光学フィルタと第2の入射角のところでの動的補正光学系との組み合わせによって生じる非点収差を実質的に軽減するための非点収差を生じさせるよう構成されている。動的補正光学系は、光学フィルタの傾動によって生じる横方向画像シフトを実質的に安定化するよう構成されているのが良い。幾つかの実施形態では、動的補正光学系によって生じる横方向画像シフトと光学フィルタの傾動によって生じる横方向画像シフトの合計は、ほぼ一定である。光学フィルタの選択された第1の入射角に関し、動的補正光学系は、第2の入射角まで傾けられるよう構成されるのが良く、動的補正光学系によって生じる横方向画像シフトと光学フィルタによって生じる横方向画像シフトの合計は、ほぼ一定である。
【0010】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体によって保持された光学フィルタ、および動的補正光学系は、ほぼ平行なX軸を中心として傾動するよう構成され、固定補正光学系は、実質的に垂直なY軸を中心として傾けられる。テレセントリックチューブレンズは、テレセントリックチューブレンズが画像と物体空間の両方内でテレセントリックである位置で画像化システムの光路内に配置されるのが良い。
【0011】
幾つかの実施形態では、画像化システムは、少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体を保持するよう構成されたフィルタチェンジャをさらに含む。フィルタチェンジャは、フィルタホイールであるのが良く、少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体は、光学フィルタをほぼ0゜からほぼ89.9゜までの範囲から選択された入射角まで傾斜させるよう構成されているのが良い。幾つかの実施形態では、フィルタチェンジャは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または少なくとも20個の傾動可能なフィルタ組立体を含む。
【0012】
幾つかの実施形態では、画像化システムは、ダイクロイックフィルタ、ポリクロイックフィルタ、ショートパスフィルタ、ロングパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、およびマルチパスフィルタから成る群のうちの少なくとも1つを選択した低インシデンスフィルタを含み、低インシデンスフィルタは、ほぼ10.0゜からほぼ30.0゜までの範囲にある角度から選択された励起光の入射角を有するよう構成されている。低インシデンスフィルタは、ポリクロイックフィルタであるのが良い。
【0013】
幾つかの実施形態では、画像化システムは、蛍光顕微鏡型画像化システムである。
【0014】
光学フィルタは、干渉フィルタであるのが良い。
【0015】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの傾動可能なフィルタ組立体は、光学フィルタをほぼ0゜からほぼ89.9゜までの範囲から選択された入射角まで傾動させるよう構成されている。
【0016】
別の観点では、画像化システムの非点収差を軽減する方法が提供される。本方法は、光学フィルタを第1の入射角で画像化システムの光路内に位置決めするステップと、動的補正光学系を第2の入射角で画像化システムの光路内に位置決めするステップと、固定補正光学系を第3の入射角で画像化システムの光路内に位置決めするステップとを含み、固定補正光学系の入射角は、第1の入射角での光学フィルタの総合非点収差と第2の入射角での動的補正光学系の非点収差を実質的に軽減するための非点収差を生じさせるよう構成されている。
【0017】
さらに別の観点では、画像化システムの横方向画像シフトを安定化する方法が提供される。本方法は、光学フィルタを、第1の入射角で画像化システムの光路内に位置決めするステップと、動的補正光学系を第2の入射角で画像化システムの光路内に位置決めするステップとを含み、動的補正光学系は、光学フィルタの傾動によって生じる横方向画像シフトを実質的に安定化するよう構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】蛍光顕微鏡型画像化システム用の光学トレーンの一実施形態を示す略図である。
【
図2A】フィルタホイールの一実施形態の斜視図である。
【
図2B】フィルタ組立体の一実施形態の斜視図である。
【
図3】フィルタ組立体、カム、およびモータの一実施形態の斜視図である。
【
図4A】蛍光顕微鏡型画像化システム用の光学トレーンの一実施形態を示す略図である。
【
図4B】蛍光顕微鏡型画像化システム用の光学トレーンの選択された要素の斜視図である。
【
図5】蛍光顕微鏡型画像化システム用の光学トレーンの別の実施形態を示す略図である。
【
図6】蛍光顕微鏡型画像化システム用の光学トレーンの別の実施形態を示す略図である。
【
図7A】第1の検出構成成分の発光スペクトルを示すグラフ図である。
【
図7B】第2の検出構成成分の発光スペクトルを示すグラフ図である。
【
図7C】第3の検出構成成分の発光スペクトルを示すグラフ図である。
【
図8A】発光スペクトルおよびバックグラウンド信号を示すグラフ図である。
【
図9A】第1および第2の検出構成成分の発光スペクトルおよび画像化を示すグラフ図である。
【
図9B】第1および第2の検出構成成分の発光スペクトルおよび画像化を示すグラフ図である。
【
図9C】第1および第2の検出構成成分の発光スペクトルおよび画像化を示すグラフ図である。
【
図9D】第1および第2の検出構成成分の発光スペクトルおよび画像化を示すグラフ図である。
【
図9E】第1、第2、および第3の検出構成成分の発光スペクトルおよび画像化を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明において、「原画像」という用語は、センサまたは検出器によって捕捉されたデータまたは少なくとも1つの信号を含む未処理の画像(オペレータまたは最終使用者に視覚的に表示されようとそうでなかろうと、いずれにせよ)を表すために用いられる。
【0020】
以下の説明において、「最終画像」という用語は、処理されたデータまたは少なくとも1つの信号を含む画像(オペレータまたは最終使用者に視覚的に表示されようとそうでなかろうと、いずれにせよ)を表すために用いられている。「最終画像」はまた、2つ以上の原画像または他の最終画像の比較および/または分析の結果として得られる出力画像である画像(オペレータまたは最終使用者に視覚的に表示されようとそうでなかろうといずれにせよ)を表すために使用される場合がある。
【0021】
以下の説明において、「光」という用語は、電磁スペクトルの可視部分中の電磁線の表示には限定されず、電磁スペクトルの紫外線部分および赤外線部分中の放射線を表すことも意図される。
【0022】
以下の説明において、「サンプル」という用語は、有機固形物、有機流体、無機固形物、無機流体、生物学的流体、生物学的半固体、生物学的固体(固体、例えば組織のままである場合があり、あるいは任意適当な仕方で液化されている場合がある)、懸濁液、懸濁液の一部分、懸濁液の一成分などを表すために使用される。
【0023】
以下の説明において、「標的分析物」または「標的物質」という用語は、関心のある生物学的物質を表すために用いられる。
【0024】
以下の説明において、「非標的分析物」という用語は、標的分析物ではない生物学的物質を表すために用いられる。
【0025】
以下の説明において、「バイオマーカー(生体指標)」という用語は、標的分析物もしくは標的物質上または標的分析物もしくは標的物質内に存在する物質(すなわち、標的分析物内に例えば食菌作用を介して内在化された細胞内または細胞外標的分析物など)を表すために用いられる。バイオマーカーとしては、ペプチド、タンパク質、サブユニット、ドメイン、モチーフ、エピトープ、イソフォルム、DNA、RNAなどが挙げられるが、これらには限定されない。バイオマーカーは、投薬のための標的分子であるのが良い。
【0026】
以下の説明において、「親和性分子」という用語は、別の分子に結合しまたはこれと相互作用することができる分子であればどのようなものでも表すために用いられる。相互作用または結合は、共有であっても良くまたは非共有であっても良い。親和性分子としては、抗体、ハプテン、タンパク質、アプタマー、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、または別の分子と相互作用しもしくは結合する任意の適当な分子(例えば、バイオマーカー、結合ペアの分子またはビオチンまたはアビジン(これらには限定されない)を含む相補分子、その他)が挙げられるが、これらには限定されない。
【0027】
以下の説明において、「チャネル」という用語は、蛍光体の1つ以上の検出構成成分によって提供された信号に基づいて色または色範囲を説明するために用いられている。色または色範囲は、選択された干渉フィルタ(すなわち、励起フィルタ、発光フィルタ、ポリクロイックフィルタ、ダイクロイックフィルタ)および/または信号の波長に基づいて得られる。例えば、チャネルは、紫色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色、エンジ色などであって良い。さらに、複数のチャネルが用いられる場合、各チャネルは、特有の色または色範囲を有する。例えば、第1のチャネルは、緑色であるのが良く、第2のチャネルは、橙色であるのが良い。2つ以上の検出構成成分は、互いに異なる波長を呈する信号をもたらすことができるが、これら信号は、用いられるフィルタセットに基づいて同一のチャネル内に存在するのが良いことが注目されるべきである。例えば、第1の検出構成成分は、488nmの波長を有する信号を提供し、第2の検出構成成分は、500nmの波長を有する信号を提供する。例えこれらの波長が互いに同一ではなくても、チャネルのうちの1つ内のフィルタセットは、488nmと500nmの両方の波長を通し、それによりこれら両方の波長を同時に画像化することができ、それにより488nm発光および500nm発光を含む単一の画像を生じさせることができる。チャネルはまた、励起バンドパス(帯域幅)と発光バンドパスの組み合わせを説明することができる。
【0028】
以下の説明において、「検出構成成分」という用語は、検出のための信号を提供し、それによりサンプルまたは試料内の別の化合物、別の物質、分析物などの存在を示す化合物または物質を表すために用いられる。検出構成成分は、蛍光性であるのが良く、例えば蛍光性プローブであり、あるいは発色性であるのが良く、例えば発色性染料であるのが良い。蛍光性プローブは、反応性染料、有機染料、蛍光性タンパク質、量子ドット、非タンパク質有機分子、ナノ粒子(例えば、ナノダイヤモンド)、リン一体形ドット(PID)などであるのが良い。
【0029】
検出構成成分は、検出のための信号を提供し、それによりサンプルまたは試料内の別の化合物、別の物質、分析物などの存在を示す化合物または物質である。検出構成成分は、トレーサーとして、ある特定の構造体のための標識として、バイオマーカーのための標識としてあるいはその他として使用できる。検出構成成分を分布しても良く、あるいは検出構成成分は、摂取、選択的摂取、拡散および結合分子への取り付け(これらには限定されない)を含む仕方で適当な構造またはバイオマーカーを標識表示することができる。検出構成成分は、直接的標識化または間接的標識化によってバイオマーカーに結合されるのが良い。
【0030】
種々の酵素標識(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスフェイト)とともに使用できる発色性染料としては、3,3’‐ジアミノベンジジン(DAB),3‐アミノ‐9‐エチルカルバゾール(AEC)、4‐クロロ‐1‐ナフトール(CN),P‐フェニレンジアミン二塩酸塩/ピロカテコール(Hanker-Yates試薬)、ファストレッドTR、ニューフクシン、ファストブルーBBなどが挙げられるがこれらは限定されない。蛍光性プローブとしては、1,5IAEDANS、1,8‐ANS、4‐メチルウンベリフェロン、5‐カルボキシ‐2,7ジクロロフルオレセイン、5‐カルボキシフルオレセイン(5‐FAM)、5‐カルボキシナフトフルオレセイン、5‐カルボキシテトラメチルローダミン(5‐TAMRA)、5‐FAM(5‐カルボキシフルオレセイン)、5‐HAT(ヒドロキシトリプタミン)、5‐ヒドロキシトリプタミン(HAT)、5‐ROX(カルボキシ‐X‐ローダミン)、5‐TAMRA(5‐カルボキシテトラメチルローダミン)、6‐カルボキシローダミン6G、6‐CR 6G、6‐JOE、7‐アミノ‐4‐メチルクマリン、7‐アミノアクチノマイシンD(7‐AAD)、7‐ヒドロキシ‐4‐メチルクマリン、9‐アミノ‐6‐クロロ‐2‐メトキシアクリジン、ABQ、アシッドフクシン、ACMA(9‐アミノ‐6‐クロロ‐2‐メトキシアクリジン)、アクリジンオレンジ、アクリジンレッド、アクリジンイエロー、アクリフラビン、アクリフラビンフォイルゲンSITSA、エクオリン(発光タンパク質)、自家蛍光タンパク質、Alexa Fluor350(商標)、Alexa Fluor430(商標)、Alexa Fluor488(商標)、Alexa Fluor532(商標)、Alexa Fluor546(商標)、Alexa Fluor568(商標)、Alexa Fluor594(商標)、Alexa Fluor633(商標)、Alexa Fluor647(商標)、Alexa Fluor660(商標)、Alexa Fluor680(商標)、アリザリンコンプレキソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン(APC)、AMC、AMCA‐S、AMCA(アミノメチルクマリン)、AMCA‐X、アミノアクチノマイシンD、アミノクマリン、アミノメチルクマリン(AMCA)、アニリンブルー、ステアリン酸アントロシル、APC(アロフィコシアニン)、APC‐Cy7、APTRA‐BTC、APTS、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイエロー7GLL、アタブリン、ATTO‐TAG(商標)CBQCA、ATTO‐TAG(商標)FQ、オーラミン、オーロホスフィンG、オーロホスフィン、BAO9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF(高pH)、BCECF(低pH)、ベルベリン硫酸塩、ベータラクタマーゼ、BFP青方偏移GFP(Y66H:青色蛍光タンパク質)、BFP/GFP FRET、ビマン、ビスベンズアミド、ビスベンズアミド(ヘキスト)、bis‐BTC、ブランコフォルFFG、ブランコフォルSV、BOBO(商標)‐1、BOBO(商標)‐3、ボディパイ492/515、ボディパイ493/503、ボディパイ500/510、ボディパイ505/515、ボディパイ530/550、ボディパイ542/563、ボディパイ558/568、ボディパイ564/570、ボディパイ576/589、ボディパイ581/591、ボディパイ630/650‐X、ボディパイ650/665‐X、ボディパイ665/676、ボディパイFl、ボディパイFL ATP、ボディパイFl‐セラミド、ボディパイR6G SE、ボディパイTMR、ボディパイTMR‐X 抱合体、ボディパイTMR‐X,SE、ボディパイTR、ボディパイTR ATP、ボディパイTR‐X SE、BO‐PRO(商標)‐1、BO‐PRO(商標)‐3、ブリリアントスルホフラビンFF、ブリリアントバイオレット421、ブリリアントバイオレット510、ブリリアントバイオレット605、ブリリアントバイオレット650、ブリリアントバイオレット711、ブリリアントバイオレット786、BTC、BTC‐5N、カルセイン、カルセインブルー、カルシウムクリムソン(商標)、カルシウムグリーン、カルシウムグリーン‐1、カルシウムグリーン‐2、カルシウムグリーン‐5N、カルシウムグリーン‐C18、カルシウムオレンジ、カルコフロールホワイト、カルボキシ‐X‐ホダミン(5‐ROX)、カスケードブルー(商標)、カスケードイエロー、カテコールアミン、CCF2(GeneBLazer)、CFDA、CFP(シアン蛍光タンパク質)、CF405S、CF488A、CF488、CF543、CF647、CF750、CF760、CF780、FP/YFP FRET、クロロフィル、クロモマイシンA、クロモマイシンA、CL‐NERF、CMFDA、セレンテラジン、セレンテラジンcp、セレンテラジンf、セレンテラジンfcp、セレンテラジンh、セレンテラジンhcp、セレンテラジンip、セレンテラジンn、セレンテラジンO、クマリンファロイジン、C‐フィコシアニン、CPMメチルクマリン、CTC、CTCホルマザン、Cy2(商標)、Cy3.1 8、Cy3.5(商標)、Cy3(商標)、Cy5.1 8、Cy5.5(商標)、Cy5(商標)、Cy7(商標)、シアンGFP、サイクリックAMPフルオロセンサ(FiCRhR)、CyQuant 細胞増殖アッセイ、ダブシル、ダンシル、ダンシルアミン、ダンシルカダベリン、ダンシルクロリド、ダンシルDHPE、DAPI、ダポキシル(Dapoxyl)、ダポキシル2(Dapoxyl2)、ダポキシル2(Dapoxyl3)、DCFDA、DCFH(ジクロロジヒドロフルオレセインジアセタート)、DDAO、DHR(ジヒドロローダミン123)、ジ‐4‐ANEPPS、ジ‐8‐ANEPPS、DiA(4‐ジ‐16‐ASP)、ジクロロジヒドロフルオレセインジアセタート(DCFH)、DiD‐脂溶性トレーサー、DiD(DiIC18(5))、DIDS、ジヒドロローダミン123(DHR)、DiI(DiIC18(3))、ジニトロフェノール、DiO(DiOC18(3))、DiR、DiR(DiIC18(7))、DM‐NERF(高pH)、DNP、ドーパミン、DsRed、DTAF、DY‐630‐NHS、DY‐635‐NHS、EBFP(高感度青色蛍光タンパク質)、ECFP(高感度シアン蛍光タンパク質)、EGFP(高感度緑色蛍光タンパク質)、ELF97、エオシン、ER‐Tracker(商標)グリーン、ER‐Tracker(商標)レッド、ER‐Tracker (商標)ブルー‐ホワイトDPX、エリスロシン、エリスロシンITC、エチジウムブロミド、エチジウムホモダイマー1(EthD‐1)、オイクリシン、ユーコライト(EukoLight)、塩化ユウロピウム(III)、EYFP(高感度黄色蛍光タンパク質)、ファストブルー、FDA、FIF(ホルムアルデヒド誘起蛍光)、FITC、FITC抗体、フラゾオレンジ:Fluo‐3、Fluo‐4、フルオレセイン(FITC)、フルオレセインジアセタート、フルオロエメラルド、フルオロゴールド(ヒドロキシスチルバミジン)、フルオロルビー、フルオロX、FM1‐43(商標)、FM4‐46、フラレッド(商標)(高pH)、フラレッド(商標)/Fluo‐3、フラ‐2,高カルシウム、フラ‐2,低カルシウム、フラ‐2/BCECF、ゲナクリルブリリアントレッドB、ゲナクリルブリリアントイエロー10GF、ゲナクリルピンク3G、ゲナクリルイエロー5GF、GeneBlazer(CCF2)、GFP(S65T)、GFP赤方偏移(rsGFP)、GFPワイルドタイプ,非紫外光励起(wtGFP)、GFPワイルドタイプ,紫外光励起(wtGFP)、GFPuv、シュウ酸、グラニュラブルー、ヘマトポルフィリン、ヘキスト33258、ヘキスト33342、ヘキスト34580、HPTS、ヒドロキシクマリン、ヒドロキシスチルバミジン(フルオロゴールド)、ヒドロキシトリプタミン、Indo‐1,高カルシウム、Indo‐1,低カルシウム、インドジカルボシアニン(DiD)、インドトリカルボシアニン(DiR)、イントラホワイトCfJC‐1、JO‐JO‐1、JO‐PRO‐1、レーザープロ、ラウロダン、LDS751、ロイコホールPAF、ロイコホールSF、ロイコホールWS、リサミンローダミン、リサミンローダミンB、カルセイン/エチジウムホモダイマー、LOLO‐1、LO‐PRO‐1、ルシファーイエロー、リソトラッカーブルー、リソトラッカーブルー‐ホワイト、
リソトラッカーグリーン、リソトラッカーレッド、リソトラッカーイエロー、リソセンサーブルー、リソセンサーグリーン、リソセンサーイエロー/ブルー、マググリーン、マグダラレッド(フロキシンB)、マグ‐フラレッド、マグ‐フラ‐2、マグ‐フラ‐5、マグ‐Indo‐1、マグネシウムグリーン、マグネシウムオレンジ、マラカイトグリーン、マリーナブルー、マキシロンブリリアントフラビン10GFF、マキシロンブリリアントフラビン8GFF、メロシアニン、メトキシクマリン、ミトトラッカーグリーン、ミトトラッカーオレンジ、ミトトラッカーレッド、ミトラマイシン、モノブロモビマン、モノブロモビマン(mBBr‐GSH)、モノクロロビマン、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン)、mストロベリー(mStrawberry)、NBD、NBDアミン、ナイルレッド、ニトロベンゾオキサジドール、ノルアドレナリン、ヌクレアファストレッド、ヌクレアイエロー、ナイロサンブリリアントイアビンE8G、オレゴングリーン(商標)、オレゴングリーン(商標)488、オレゴングリーン(商標)500、オレゴングリーン(商標)514、パシフィックブルー、パラローズアニリン(フォイルゲン)、PBFI、PE‐Cy5、PE‐Cy7、PerCP、PerCP‐Cy5.5、PE‐テキサスレッド(レッド613)、フロキシンB(マグダラレッド)、ホレートAR、ホレートBKL、ホレートRev、ホレートRPA、ホスフィン3R、フォトレジスト、フィコエリトリンB、フィコエリトリンR、PKH26(シグマ)、PKH67、PMIA、ポントクロームブルーブラック、POPO‐1、POPO‐3、PO‐PRO‐1、PO‐PRO‐3、プリムリン、プロシオンイエロー、プロピジウムヨウ化物(PI)、ピレン、ピロニン、ピロニンB、ピロザルブリリアントフラビン7GF、QD400、QD425、QD450、QD500、QD520、QD525、QD530、QD535、QD540、QD545、QD560、QD565、QD570、QD580、QD585、QD590、QD600、QD605、QD610、QD620、QD625、QD630、QD650、QD655、QD705、QD800、QD1000、QSY7、キナクリンマスタード、レッド613(PE‐テキサスレッド)、レソルフィン、RFP、RH414、Rhod‐2、ローダミン、ローダミン110、ローダミン123、ローダミン5GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB200、ローダミンBエクストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミングリーン、ローダミンファロイジン、ローダミンファロイジン、ローダミンレッド、ローダミンWT、ローズベンガル、R‐フィコシアニン、R‐フィコエリスリン、rsGFP(赤方偏移GFP(S65T))、S65A、S65C、S65L、S65T、サファイアGFP、SBFI、セロトニン、Sevronブリリアントレッド2B、Sevronブリリアントレッド4G、SevronブリリアントレッドB、Sevronオレンジ、SevronイエローL、sgGFP(商標)(スーパーグローGFP(super glow GFP))、SITS(プリムリン)、SITS(スチルベンイソチオスルホン酸)、SNAFLカルセイン、SNAFL‐1、SNAFL‐2、SNARFカルセイン、SNARF1、ソディウムグリーン、スペクトラムアクア、スペクトラムグリーン、スペクトラムオレンジ、スペクトラムレッド、SPQ(6‐メトキシ‐N‐(3‐スルホプロピル)キノリニウム)、スチルベン、スルホローダミンB can C 、スルホローダミンGエクストラ、SYTO11、SYTO12、SYTO13、SYTO14、SYTO15、SYTO16、SYTO17、SYTO18、SYTO20、SYTO21、SYTO22、SYTO23、SYTO24、SYTO25、SYTO40、SYTO41、SYTO42、SYTO43、SYTO44、SYTO45、SYTO59、SYTO60、SYTO61、SYTO62、SYTO63、SYTO64、SYTO80、SYTO81、SYTO82、SYTO83、SYTO84、SYTO85、SYTOXブルー、SYTOXグリーン、SYTOXオレンジ、SYTOXレッド、テトラサイクリン、テトラメチルローダミン(TRITC)、テキサスレッド(商標)、レキサスレッド‐X(商標)抱合体、チアジカルボシアニン(DiSC3)、チアジンレッドR、チアゾールオレンジ、チオフラビン5、チオフラビンS、チオフラビンTCN、チオライト、チオゾールオレンジ、チノポールCBS(カルコフロールホワイト)、TMR、TO‐PRO‐1、TO‐PRO‐3、TO‐PRO‐5、TOTO‐1、TOTO‐3、トリカラー(PE‐Cy5)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、トゥルーブルー、トゥルーレッド、チューブリントラッカー(商標)グリーン、ウルトラライト、ウラニンB、UvitexSFC、wtGFP(ワイルドタイプGFP)、WW781、X‐ローダミン、XRITC、キシレンオレンジ、Y66F、Y66H、Y66W、イエローGFP(黄方偏移)、緑色蛍光タンパク質、YFP(黄色蛍光タンパク質)、YO-PRO-1、YO-PRO-3、YOYO-1、YOYO-3、CF350、CF405S、CF405M、CF405L、CF430、CF440、CF450、CF488A、CF503R、CF514、CF532、CF543、CF550R、CF555、CF568、CF570、CF583、CF594、CF620R、CF633、CF640R、CF647、CF660c、CF660R、CF680、CF680R、CF700、CF750、CF770、CF790、CF800、CF820、DY-344IN、DY-350XL、DY-360XL、DY-370XL、DY-376XL、DY-380XL、DY-395XL、DY-396XL、DY-480XL、DY-481XL、DY-485XL、DY-510XL、DY-511XL、DY-520XL、DY-521XL、DY-601XL、DY-350、DY-351、DY-405、DY-410、DY-415、DY-430、DY-431、DY-478、DY-488、DY-490、DY-495、DY-505、DY-530、DY-546、DY-547、DY-547P1、DY-548、DY-548P1、DY-549、DY-549P1、DY-550、DY-554、DY-555、DY-556、DY-557、DY-560、DY-580、DY-585、DY-590、DY-591、DY-594、DY-605、DY-610、DY-615、DY-630、DY-631、DY-632、DY-633、DY-634、DY-635、DY-636、DY-641、DY-643、DY-647、DY-647P1、DY-648、DY-648P1、DY-649、DY-649P1、DY-650、DY-651、DY-652、DY-654、DY-660P1、DY-675、DY-676、DY-677、DY-678、DY-679P1、DY-680、DY-681、DY-682、DY-684、DY-700、DY-701、DY-703、DY-704、DY-705、DY-706、DY-720、DY-730、DY-731、DY-732、DY-734、DY-736、DY-749、DY-747P1、DY-749P1、DY-750、DY-751、DY-752、DY-754、DY-765、DY-776、DY-777、DY-778、DY-780、DY-781、DY-782、DY-784、DY-800、DY-805、DY-820、DY-831、DY-845、DY-865ならびにこれらの組み合わせおよび誘導体が挙げられるが、これらには限定されない。一実施形態では、検出構成成分、例えば有機蛍光体は、約0.01kD以上の分子量を有するのが良く、かかる分子量としては、少なくとも1kD、少なくとも10kD、少なくとも25kD、少なくとも50kD、少なくとも75kD、少なくとも100kD、少なくとも150kD、少なくとも200kD、少なくとも250kD、少なくとも300kD、少なくとも340kD、少なくとも350kD、少なくとも500kD、および少なくとも750kDが挙げられるが、これらには限定されない。
【0031】
以下の説明において、「染料」または「標識」という用語は、区別なく用いられ、これらは、検出構成成分に結合されまたはこれと相互作用する親和性分子を表すために用いられる。結合または相互作用は、直接的または間接的である。直接的結合または相互作用は、バイオマーカーと検出構成成分との共有結合性または非共有結合性相互作用を含む。間接的結合または相互作用は、結合ペアを形成する少なくとも第1および第2の相補分子の使用を含む。第1および第2の相補分子は、組み合わせ状態で、以下の方法、すなわち、疎水性相互作用、イオン性相互作用、水素結合性相互作用、非共有結合性相互作用、共有結合性相互作用、親和性相互作用などのうちの少なくとも1つの仕方で結合しまたは相互作用する結合ペアである。結合ペアとしては、免疫型結合ペア、例えば抗原抗体反応、抗原抗体フラグメント、ハプテン‐抗ハプテン、または一次抗体‐二次抗体、非免疫型結合ペア、例えばビオチン‐アビジン、ビオチン‐ストレプトアビジン、葉酸‐葉酸結合タンパク質、ホルモン‐ホルモン受容体、レクチン‐特定の炭水化物、酵素‐酵素、酵素‐基質、酵素‐基質類似体、酵素‐偽基質(酵素活性によっては触媒できない基質類似体)、酵素‐補因子、酵素‐モジュレータ、酵素‐阻害剤、またはビタミンB12‐内因子が挙げられるが、これらには限定されない。結合ペアの他の適当な例としては、相補的核酸フラグメント(相補的ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドを含む)、プロテインA抗体、プロテインG抗体、核酸‐核酸結合タンパク質、ポリマーリンカー(例えば、ポリエチレングリコール)、またはポリヌクレオチド‐ポリヌクレオチド結合タンパク質が挙げられる。結合ペアは、増幅法に含まれる場合がありまたは増幅法として使用できる。増幅法はまた、信号を増大させるようバイオマーカーに結合されまたはこれと相互作用する検出構成成分の数を増大させるよう実施される。一実施形態では、結合ペアが用いられる場合、染料は、あらかじめ共役されるのが良く、例えば、標識化、染色、または付加ステップ中、親和性分子がサンプルに付加されたときの検出構成成分に既に結合されまたは相互作用するようになっている。一実施形態では、結合ペアが用いられる場合、染料がサンプル内に共役されるのが良く、その結果、標識化、染色、または付加ステップが親和性分子‐最初の結合分子抱合体、第2の結合ペア分子‐検出構成成分抱合体の導入(任意所望のまたは適当な順序で)を含み、第1および第2の結合ペア分子は、互いに相補するとともに互いに結合しまたは相互作用する。
【0032】
さらに、「複数の染料」は、親和性分子および/または検出構成成分が互いに異なる2つ以上の染料を表すために使用される場合がある。例えば、抗CK-Alexa 647が抗EpCAM-Alexa 647とは異なる。別の例として、抗CK-Alexa 647は、抗CK-Alexa 488とは異なる。
【0033】
以下の説明において、「抱合体」という用語は、第2の化学物質、分子、構成成分などに結合されまたはこれと相互作用する第1の化学物質、分子、構成成分などを表すために用いられる。結合または相互作用は、直接的または間接的である。直接的結合または相互作用は、バイオマーカーと検出構成成分との共有結合性または非共有結合性相互作用を含む。間接的結合または相互作用は、結合ペアを形成する少なくとも第1および第2の相補分子の使用を含む。第1および第2の相補分子は、組み合わせ状態で、以下の方法、すなわち、疎水性相互作用、イオン性相互作用、水素結合性相互作用、非共有結合性相互作用、共有結合性相互作用、親和性相互作用などのうちの少なくとも1つの仕方で結合しまたは相互作用する結合ペアである。結合ペアとしては、免疫型結合ペア、例えば抗原抗体反応、抗原抗体フラグメント、ハプテン‐抗ハプテン、または一次抗体‐二次抗体、非免疫型結合ペア、例えばビオチン‐アビジン、ビオチン‐ストレプトアビジン、葉酸‐葉酸結合タンパク質、ホルモン‐ホルモン受容体、レクチン‐特定の炭水化物、酵素‐酵素、酵素‐基質、酵素‐基質類似体、酵素‐偽基質(酵素活性によっては触媒できない基質類似体)、酵素‐補因子、酵素‐モジュレータ、酵素‐阻害剤、またはビタミンB12‐内因子が挙げられるが、これらには限定されない。結合ペアの他の適当な例としては、相補的核酸フラグメント(相補的ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドを含む)、プロテインA抗体、プロテインG抗体、核酸‐核酸結合タンパク質、ポリマーリンカー(例えば、ポリエチレングリコール)、またはポリヌクレオチド‐ポリヌクレオチド結合タンパク質が挙げられる。
【0034】
以下の説明において、「信号」という用語は、データを1つの場所または源から別の場所または検出器に伝える電流または電磁場を表すために用いられる。例えば、信号を検出構成成分によって発光させることができ、それによりサンプルまたは標的分析物、例えば細胞上または細胞内の検出構成成分の存在を伝えることができる。
【0035】
以下の説明において、「多重化」という用語は、サンプルを複数の染料で標識化するプロセスまたはキットを表すために用いられる。検出構成成分の各々は、互いに異なる波長を放出する。例えば、少なくとも2つの染料は、サンプルを標識化するよう使用できる。多重化は、2個、4個、6個、8個、10個、12個、16個、20個、24個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個またはそれ以上の染料を含むのが良い。
【0036】
標的分析物上のバイオマーカーを標識化する例示の方法について説明する。一実施形態では、少なくとも1つの標的分析物を含むことが疑われるサンプルを得る。サンプル収集および/または処理の適当な装置、システム、および/または方法としては、以下の米国特許および米国特許出願公開、すなわち、米国特許第7,074,577号明細書、同第7,220,593号明細書、同第7,329,534号明細書、同第7,358,095号明細書、同第7,629,176号明細書、同第7,915,029号明細書、同第7,919,049号明細書、同第8,012,742号明細書、同第9,039,999号明細書、同第9,217,697号明細書、同第9,492,819号明細書、同第9,513,291号明細書、同第9,533,303号明細書、同第9,539,570号明細書、同第9,541,481号明細書、同第9,625,360号明細書、同第10,345,237号明細書、米国特許出願公開第2014/0161688号明細書、同第2017/0014819号明細書、同第2017/0059552号明細書、同第2017/0074759号明細書、米国特許仮出願第62/873,390号明細書のうちの1つ以上に記載された装置、システム、および/または方法を含むのが良く、これら米国特許および米国特許出願公開の各々を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。標的分析物の回収、隔離、または採取に適した装置、システム、および/または方法は、以下の米国特許および米国特許出願公開、すなわち、米国特許第9,222,953号明細書、同第9,440,234号明細書、同第9,519,002号明細書、同第9,810,605号明細書、米国特許出願公開第2017/0219463号明細書、同第2017/0276575号明細書のうちの1つ以上に記載された装置、システム、および/または方法を含むのが良く、これら米国特許および米国特許出願公開の各々を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0037】
一実施形態では、サンプルは、サンプル収集および/または処理後に染色を受けるのが良い。一実施形態では、サンプルを多重化するのが良い。少なくとも1つの染料が例えばオートステイナー(autostainer)によりまたはオペレータによって手動で標識のためにサンプルに添加される。一実施形態では、少なくとも1つの標的分析物を染色する。一実施形態では、少なくとも1つの非標的分析物または非標的物質を染色する。一実施形態では、少なくとも1つの標的分析物および少なくとも1つの非標的分析物または物質を染色する。
【0038】
染色後、サンプルを画像化するのが良く、それにより、染色されたサンプルを光源、例えばレーザまたは発光ダイオードからの励起光、例えば赤外光、赤色光、青色光、緑色光、および/または紫外光の1つ以上の波長で照明する。画像化は、フローサイトメーターまたは顕微鏡、例えば蛍光顕微鏡、スキャナ、または任意他の適当な画像化システムもしくはモダリティにより行われるのが良い。一実施形態では、画像化は、検出構成成分が画像化されると、明視野および/または暗視野照明、蛍光など(これらには限定されない)を含むスペクトルにわたって信号を提供することができるシステムで実施されるのが良い。生成された画像を複数の検出構成成分が用いられる場合に重ね合わせるのが良い。発光、反射、回折、散乱およびこれらの組み合わせが検出/画像化に用いられる。画像を分析すると、例えば標的分析物を回収しまたは採取することが望ましい場合、標的分析物を検出し、数え上げ、かつ/あるいはその存在場所を突き止めることができる。画像化は、管内で、顕微鏡スライド上で、または画像化のための任意適当な容器または基体内で実施される。
【0039】
上記方法は、画像化顕微鏡、スキャナ、フローサイトメーター、またはマイクロフルイディックデバイス、例えばチップもしくはマイクロチャネルのうちの少なくとも1つによって実施でき、あるいは、この方法は、上記の任意の組み合わせによって実施できる。説明する方法は、検出構成成分が画像化されると、明視野および/または暗視野照明、蛍光など(これらには限定されない)を含むスペクトルにわたって信号を提供することができるシステムで使用できる。
【0040】
画像化システム用の光学トレーン
蛍光顕微鏡検査法では、蛍光体(または蛍光染料)が検査または研究のためのサンプル、例えば関心のあるタンパク質または他の分子、組織、および細胞を染色するために用いられる。蛍光体は、一波長の光を吸収し、別の波長の光(蛍光)を放出することができる。典型的な蛍光顕微鏡セットアップでは、3つのフィルタ、すなわち、励起フィルタ、発光フィルタ、およびダイクロイックフィルタが用いられる。各蛍光体は、特有の吸収または励起波長帯域を有し、励起フィルタは、当該励起波長範囲を透過するよう選択される。蛍光体は、いったん励起されると、ある範囲の波長を放出する。発光フィルタは、所望の発光波長を透過する。励起波長を反射し、発光波長を透過するよう特別に設計されたダイクロイックフィルタは、励起チャンネルと発光チャンネルを分離するために用いられる。ダイクロイックフィルタはまた、発光波長を反射し、励起波長を透過するよう設計される場合がある。
【0041】
図1は、蛍光顕微鏡型画像化システムの光学トレーンの一実施形態を示している。光路は、少なくとも1つの励起光104、例えば可視スペクトル、赤外線(“IR”)、または紫外線(“UV”)スペクトルの光を放出する励起源102を含むのが良い。励起源102としては、レーザ光源、LED光源、キセノン光源、ハロゲン光源、白熱光源、または他の適当な光源が挙げられる。幾つかの実施形態では、励起光104は、少なくとも第1の励起波長106および第2の励起波長108を含む複数の波長を有する。かかる実施形態では、励起光104は、励起スペクトルセレクタ110と相互作用し、その結果、第1の励起波長106は、励起スペクトルセレクタ110を通り、第2の励起波長108は、励起スペクトルセレクタ110を通ることがないよう遮断される。特定の実施形態では、励起源セレクタ110は、1つ以上の光学フィルタまたは干渉フィルタ、例えば1つ以上の可変励起フィルタを含むのが良い。かかる一実施形態では、第1の励起波長106が励起スペクトルセレクタ110の励起フィルタを出た後、この第1の励起波長は、次に、第2のフィルタ112で反射される。第2のフィルタ112は、第1の励起波長106の方向を対物レンズ114中に向ける。第2のフィルタ112は、ダイクロイック、ポリクロイック、ショートパス、ロングパス、バンドパス、バンドストップ、または任意適当なフィルタであって良い。
【0042】
引き続き
図1を参照すると、対物レンズ114は、第2のフィルタ112で反射された第1の励起波長106を受け取って第1の励起波長106をサンプルまたはそのフラクション134上、その中、またはその近くの一点または表面のところに集束させる。第1の励起波長106は、サンプルまたはそのフラクション134上またはその中の第1の検出構成成分(図示せず)を刺激し、それにより第1の検出構成成分(図示せず)が第1の発光波長信号116を放出する。第1の発光波長信号116は、対物レンズ114によって捕捉され、第1の発光波長を通すよう構成された第2のフィルタ112を透過し、発光スペクトルセレクタ130を透過し、そして発光検出器140に至り、ここで原画像が捕捉されまたは収集される。発光検出器140は、画像データを捕捉するための電荷結合素子(“CCD”)、CMOSカメラ、科学CMOSカメラ、フォトダイオード、光電子増倍管などであるのが良く、画像データは、次に、画像にコンパイルされ、コンピュータまたは関連ソフトウェアまたはプログラムによって処理されて分析されるのが良い。ある特定の実施形態では、第2のフィルタ112は、原型的には蛍光体を励起する短い波長を反射し、蛍光体によって放出される長い波長を透過するよう構成されたダイクロイックフィルタである。第2のフィルタ112と発光スペクトルセレクタ130は、一緒になって、非発光エネルギーおよび迷光が発光検出器140のセンサに到達するのを制限しまたは阻止するよう構成されている。
【0043】
別の実施形態では、励起源102は、励起光104を放出し、次に、励起スペクトルセレクタ110と相互作用し、その結果、第2の励起波長108は、励起スペクトルセレクタ110を通り、第1の励起波長106は、励起スペクトルセレクタ110を通らないよう遮断される。次に、第2の励起波長108は、第2のフィルタ112で反射され、それにより第2の励起波長108の向きが対物レンズ114中に変えられる。対物レンズ114は、第2の励起波長108を受け取って第2の励起波長108をサンプルまたはそのフラクション134上、その中、またはその近くの一点または表面のところに集束させる。第2の励起波長108は、サンプルまたはそのフラクション134上またはその中の第2の検出構成成分(図示せず)を刺激し、それにより第2の検出構成成分(図示せず)が第2の発光波長信号118を放出する。第2の発光波長信号118は、対物レンズ114によって捕捉され、第2のフィルタ112を透過し、発光スペクトルセレクタ130を通され、そして発光検出器140上に至るのが良く、ここで原画像を捕捉するのが良い。説明したプロセスを所望の数の検出構成成分について1回以上実施するのが良い。
【0044】
変形実施形態では、励起源102は、励起光104を1つ以上の別々の波長、例えば第1の励起波長106および第2の励起波長108として放出するよう構成されているのが良い。他の実施形態では、
図1に示された蛍光顕微鏡の光路は、オプションとして、励起スペクトルセレクタ110を含まない。
【0045】
引き続き
図1を参照すると、サンプルまたはそのフラクション134は、ベース132上にまたはカバー136とベース132との間に配置されるのが良い。カバー136およびベース132は、画像化を可能にするよう光学的にクリアであるのが良くまたは光学的に透明であるのが良い。幾つかの実施形態では、ベース132およびカバー136は、ガラス、不活性金属、金属、半金属、有機または無機材料、およびプラスチック材料、例えばポリマー、ならびにこれらの組み合わせのうちの1つ以上で構成されるのが良い。
【0046】
サンプル134、カバー136、およびベース132は、サンプル134を必要に応じてx方向、y方向、またはz方向に動かすようプラットホーム128上に配置されるのが良い。プラットホーム128は、第1の励起波長106をサンプルまたはそのフラクション134内、その上、またはその近くに対物レンズ114によって集束させることができるアパーチュア138を有するのが良い。プラットホーム128は、駆動装置120によって駆動されるのが良く、駆動装置120は、サンプル134を位置決めするためにz方向駆動装置124、x方向駆動装置122、およびy方向駆動装置126のうちの少なくとも1つを含む。駆動装置120は、モータ、例えばサーボモータまたはステッピングモータ、圧電アクチュエータ、ソレノイドなどであるのが良い。
【0047】
光路は、境界光信号のSN比を増大させるよう、例えば共焦点顕微鏡に設けられたカットオフアパーチュア(図示せず)をさらに含むのが良い。
【0048】
一実施形態では、励起スペクトルセレクタ110または発光スペクトルセレクタ130は、所望の波長の光を遮断しまたは通すよう構成された少なくとも一つの固定フィルタまたは少なくとも一つの可変もしくは傾動可能なフィルタであるのが良い。一実施形態では、励起スペクトルセレクタ110または発光スペクトルセレクタ130は、ノッチフィルタ、バンドストップフィルタ、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、バンドパスフィルタ、またはポリクロイックフィルタであるのが良い。一実施形態では、励起スペクトルセレクタ110または発光スペクトルセレクタ130は、回折格子であるのが良い。一実施形態では、励起スペクトルセレクタ110または発光スペクトルセレクタ130は、フィルタに対する到来励起または放出光線の相対入射角を変化させることによって選択済み波長を遮断しまたは通過させるよう再角度付け可能な可変角度または可変傾きフィルタを含むのが良い。一例として、第1の励起波長106は、励起スペクトルセレクタ110を通過し、第2の励起波長108は、少なくとも一つには励起スペクトルセレクタ110の角度に起因して、励起スペクトルセレクタ110を通過しないよう遮断される。変形例として、励起スペクトルセレクタ110は、第1の励起波長106を遮断し、第2の励起波長108を通過させるよう選択的に角度付けされても良い。本明細書で用いられる入射角は、表面上に入射する光線と、入射箇所のところの表面に垂直な線とのなす角度(θ)である。
【0049】
別の実施形態では、第1の発光波長信号116は、発光スペクトルセレクタ130を通過し、第2の発光波長信号118は、少なくとも1つには発光スペクトルセレクタ130の角度に起因して発光スペクトルセレクタ130を通過するのが制止される。変形例として、発光スペクトルセレクタ130は、第1の発光波長信号116を遮断し、第2の発光波長信号118を通過させるよう選択的に角度付けされても良い。
【0050】
引き続き
図1を参照すると、発光スペクトルセレクタ130は、少なくとも1つ以上の干渉フィルタ、または特に発光フィルタ、例えば第1の発光フィルタ142および第2の発光フィルタ144を含むのが良い。第1の発光フィルタ142および第2の発光フィルタ144は、それぞれが互いに平行でありまたは変形例として互いに垂直である軸線上で傾けられまたは角度付けされることができる可変フィルタであるように構成されているのが良い。第1の発光フィルタ142は、第1の発光フィルタ142と放出光線との間の所望の入射角(長い破線で描かれたフィルタ142によって示されている)を実現するよう傾けられまたは角度付けられるのが良い。同様に、第2の発光フィルタ144は、第2の発光フィルタ144と放出光線との間の所望の入射角(長い破線で描かれたフィルタ144によって示されている)を実現するよう傾けられまたは角度付けられるのが良い。
【0051】
第1の発光フィルタ142と第2の発光フィルタ144を互いに別個独立に傾動させまたは角度付けすることができる。ある特定の実施形態では、第1の発光フィルタ142は、任意所望の位置(すなわち、第1の位置、第2の位置、第3の位置、第4の位置、……n番目の位置)まで可変的に位置決めされるのが良く、各位置は、異なる角度θに対応している。同様に、第2の発光フィルタ144は、任意所望の位置(すなわち、第1の位置、第2の位置、第3の位置、第4の位置、……n番目の位置)まで可変的に位置決めされるのが良く、各位置は、異なる角度θに対応している。第1の発光フィルタ142と第2の発光フィルタ144は、互いに独立の位置および角度を有するのが良く、その結果、第1の発光フィルタ142および第2の発光フィルタ144のうちの一方または両方を一本以上の放出光線に対して同一の入射角または異なる入射角に角度付けしまたは傾動させることができるようになっている。特定の実施形態では、第1の発光フィルタ142および第2の発光フィルタ144は、所望の波長の発光を通過させまたは遮断するよう角度付けされるのが良い。
【0052】
例えば、第1の原画像を第1の発光フィルタ142が第1の入射角に向けられるとともに第2の発光フィルタ144が第3の入射角に向けられた状態で得ることができる。次に、第1の発光フィルタ142の角度を第1の入射角から第2の入射角に向け直すことができ、その間、第2の発光フィルタ144は、第3の入射角の状態にとどまる。すると、第2の原画像を得ることができる。加うるに、少なくとも1つ以上の原画像を捕捉する際、第2の発光フィルタ144の角度を第3の入射角から第4の入射角に向け直すことができる。すると、第3の原画像を得ることができる。一実施形態では、第1、第2、第3、および第4の角度のうちの少なくとも2つは、同一である。一実施形態では、第1、第2、第3、および第4の角度のうちで同一の角度のものはない。
【0053】
少なくとも1つのフィルタを傾動させまたは角度付ける実施形態の任意のものに関し、任意の発光フィルタを任意所望の時間またはシーケンスだけ傾動させまたは角度付けると、所望の発光波長範囲を遮断し又は通すことができる。例えば、第1の発光フィルタ142が第1の入射角に向けられた状態で第1の原画像を得た後、第1の発光フィルタ142を第2の入射角に傾動させまたは角度付けることができる。すると、第2の原画像を得ることができる。次に、第1の発光フィルタ142を再び傾動させまたは角度付け、第3の原画像を得ることができる。換言すると、各フィルタを任意の点でかつ任意の量だけ他の1つまたは複数の発光フィルタとは独立して傾動させまたは角度付けると、任意の原画像および/または任意所望の発光波長範囲を得ることができる。
【0054】
一実施形態では、任意個数のフィルタを用いることができ、かかる個数としては、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、15個、20個、25個、30個、40個、50個、60個、70個、75個、80個、90個、または100個が挙げられるが、これらには限定されない。
【0055】
励起スペクトルセレクタ110の幾つかの特定の実施例および実施形態は、フィルタを傾動させてフィルタ上への光路の入射角を変えることによって波長遮断および透過をチューニングすることができるよう構成された1つ以上の可変干渉フィルタを含むのが良い。幾つかの実施形態では、励起スペクトルセレクタ110および/または発光スペクトルセレクタ130のうちの少なくとも一方は、傾けることができまたは角度付けすることができる少なくとも1つの可変干渉フィルタを含むのが良い。かかるある特定の実施形態では、励起スペクトルセレクタ110と発光スペクトルセレクタ130の両方は、少なくとも1つの可変干渉フィルタを含むのが良い。かかる実施形態では、可変干渉フィルタは、励起フィルタ、発光フィルタ、ポリクロイックフィルタであるのが良く、そしてマルチチャンネル蛍光顕微鏡および高スループット画像化システムと共に用いられるよう構成されている。
【0056】
励起スペクトルセレクタ110または発光スペクトルセレクタ130の個々のフィルタおよび/またはこれらフィルタと励起または放出光線との間の入射角は、1つ以上の検出構成成分の発光スペクトルの選択済み帯域幅(バンドパス)で原画像を捕捉するための所望の波長を提供するよう選択されるのが良い。例えば、励起スペクトルセレクタ110および/または発光スペクトルセレクタ130に含まれる干渉フィルタは、1つ以上の発光スペクトルエッジのうちの低い方のエッジおよび高い方のエッジ上の場所で原画像を捕捉するために光路に沿って所望の波長を遮断するとともに/あるいは透過させるよう構成されている。例えば、一実施形態では、検出構成成分は、これらのピークのところで50nm以下のスペクトル差を有するのが良い。一実施形態では、検出構成成分は、これらのピークのところで10nm以下のスペクトル差を有するのが良い。一実施形態では、検出構成成分は、これらのピークのところで1~50nmのスペクトル差を有するのが良い。一実施形態では、検出構成成分は、これらのピークのところでスペクトルが数ナノメートルだけ離されるのが良く、かかる数ナノメートルとしては、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、15nm、20nm、25nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、75nm、80nm、90nm、または100nmが挙げられるが、これらには限定されない。一実施形態では、連続して位置するスペクトル(例えば、ピークのところ)相互間の差は、同一であるのが良い(例えば、第1の検出構成成分と第2の検出構成成分は、10nmだけ離され、第2の検出構成成分と第3の検出構成成分は、10nmだけ離される)。一実施形態では、連続して位置するスペクトル(例えば、ピークのところ)相互間の差は、互いに異なるのが良い(例えば、第1の検出構成成分と第2の検出構成成分は、10nmだけ離され、第2の検出構成成分と第3の検出構成成分は、25nmだけ離される)。
【0057】
一実施形態では、任意のフィルタへの光の入射角θは、ほぼ0.0゜、1.0゜、2.0゜、3.0゜、4.0゜、5.0゜、6.0゜、7.0゜、8.0゜、9.0゜、10.0゜、11.0゜、12.0゜、15.0゜、20.0゜、25.0゜、30.0゜、40.0゜、45.0゜、50.0゜、60.0゜、70.0゜、75.0゜、80.0゜、85.0゜、または89.9゜であるのが良い。一実施形態では、任意のフィルタへの光の入射角は、最大90゜まで(しかしながら90゜を含まない)であるのが良い。一実施形態では、任意のフィルタに対する光の入射角は、90゜未満であるのが良い。一実施形態では、任意のフィルタに対する光の入射角は、0.0゜~89.9゜であるのが良い。ある特定の実施形態では、2つ以上の傾動可能なフィルタが設けられている場合、各フィルタは、互いに自由にかつ独立して傾動することができ、その結果、2つ以上のフィルタは、同一の入射角を有することができまたは同一の入射角を有するフィルタが2つとして存在しないようになっている。特定の実施形態では、入射角は、フィルタによって通されまたは遮断されるべき所望の波長に応じて選択される。
【0058】
フィルタチェンジャ
本明細書において開示される画像化システムの光学トレーンは、多数の光学フィルタを迅速かつ容易に交換するよう構成されたフィルタチェンジャを含むのが良い。ある特定の実施形態では、フィルタチェンジャは、1つ以上の光学フィルタを保持するよう構成されたフィルタスライダまたはフィルタホイールであるのが良い。本明細書において開示するフィルタチェンジャは、マルチチャンネル型蛍光顕微鏡検査法用のシステムおよび方法ならびに自動高スループット画像化システムで使用されるよう構成されているのが良い。幾つかの実施形態では、励起スペクトルセレクタ110および/または発光スペクトルセレクタ130のうちの少なくとも一方は、傾けることができまたは角度を付けることができる1つ以上の可変光学フィルタ、例えば1つ以上の可変干渉フィルタを有する少なくとも1つのフィルタチェンジャを含むよう構成されているのが良い。例えば、
図1を参照すると、第1または第2の発光フィルタ142,144のうちの一方または両方は、1つ以上の可変干渉フィルタを有するフィルタチェンジャによって保持される可変干渉フィルタであるのが良い。
【0059】
図2Aを参照すると、フィルタチェンジャの一実施形態が回転フィルタホイールであるのが良く、フィルタホイール200は、光学トレーンの光路内に位置決めされるのが良い1つ以上の光学フィルタ、例えば可変干渉フィルタ242を含む。フィルタホイール200は、ハブ250のところの軸線またはアクスルを中心としてまたはこの回りに時計回りにまたは反時計回りの方向に回転するよう構成されているのが良い。フィルタホイール200は、設計上、フィルタホイール200の所望の位置に配置された位置表示器または戻り止めを備えるのが良い。例えば、フィルタホイール200を手動でまたはアクスルがハブ250に取り付けられたモータによって回転させることができ、その目的は、可変干渉フィルタ242を任意所望のフィルタ位置、例えばフィルタ位置252に位置決めすることにある。好ましい実施形態では、フィルタ位置252は、光学トレーンを通って進んでいる光ビームの光路内に配置され、それにより可変干渉フィルタ242が光ビームの光路内に配置される。例えば、フィルタホイール200をアクスルがハブ250に取り付けられたモータによって回転させて、可変干渉フィルタ242を第1の発光波長信号116および第2の発光波長信号118の一方または両方の光路内に位置決めする(例えば、
図1および
図4Bもまた参照されたい)。
【0060】
幾つかの実施形態では、フィルタチェンジャ、例えばフィルタスライダまたはフィルタホイール200は、光学フィルタを保持するよう構成された少なくとも1つのフィルタ組立体を有するのが良い。
図2Aに示されているように、フィルタホイール200は、光学フィルタ、例えば可変干渉フィルタ242を保持するよう構成された少なくとも1つのフィルタ組立体260を有するのが良い。ある特定の実施形態では、フィルタホイール200は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、およびそれ以上のフィルタ組立体260を有することができる。一実施形態では、フィルタホイール200は、2つ以上のフィルタ組立体260を有し、各フィルタ組立体260は、光学フィルタを含み、全て同一の光学フィルタ特性を有する光学フィルタは2つとしてない。別の実施形態では、2つ以上のフィルタ組立体260の各々は、光学フィルタを含み、少なくとも2つの光学フィルタは、同一の光学フィルタ特性を有する。さらに別の実施形態では、フィルタチェンジャは、フィルタが設けられていない少なくとも1つのフィルタ組立体260を有することができ、例えば、フィルタ組立体260は、光学窓、クリアなガラスから成り、あるいは、フィルタ組立体260は、何も保持していない場合がある。
【0061】
図2Bを参照すると、フィルタ組立体260の幾つかの実施形態は、ベース264およびリテーナ266を備えたケース内に干渉フィルタ、例えば可変干渉フィルタ242を保持するよう構成されている。一実施形態では、ベース264およびリテーナ266は、1つ以上のホールドダウンクリップ276を含み、そして光が可変干渉フィルタ242を通過することができるようにするよう構成された窓274をもたらすのが良い。特定の実施形態では、ベース264は、フィルタホイール200に取り付けられた状態でフィルタ組立体260の傾動、回転および/または並進を可能にするよう構成された少なくとも1つの軸受278をさらに有するのが良い。一実施形態では、少なくとも1つの軸受278は、可変干渉フィルタ242と光学トレーンの光路内の励起または放出光線との間の入射角を変化させるためにフィルタホイール200に取り付けられた状態で可変干渉フィルタ242、ベース264、およびリテーナ266を含むフィルタ組立体260の傾動および/または並進を可能にするよう構成されているのが良い。
【0062】
次に
図3を参照すると、フィルタホイール200を含む画像化システム用の光学トレーンのある特定の実施形態では、傾斜(チルト)機構体がフィルタ組立体に係合してフィルタ組立体を傾動させるよう構成されているのが良い。例えば、傾斜機構体、例えばカム300は、これが光路内に配置された状態でフィルタ組立体260に係合するよう構成されているのが良い。特定の実施形態では、傾斜機構体、例えばカム300は、フィルタ組立体260の軸受272と係合するよう構成されるとともに、フィルタ組立体260および可変干渉フィルタ242を傾動させるよう構成されており、それにより、可変干渉フィルタ242と光路内の放出または励起光線との間の入射角を変化させる。
【0063】
カム300は、本体302および本体302から延びる尾部304を有するのが良く、尾部は、フィルタ組立体260の軸受272に係合するよう係合面308を有する。カム300の尾部304は、任意適当な形状または形態のものであって良く、例えば、長方形、立方体、三角形、ピラミッド形、湾曲形、鍵形、角形、またはこれらの組み合わせなどである。さらに、尾部304は、カムを回転させたときに任意他の部品を回避するような寸法形状のものであるのが良い。カム300の一実施形態では、本体302は、モータ320とカム300とを結合するためにモータ320またはコネクタと嵌合するよう本体302を少なくとも部分的に貫通して延びるボア310を有する。一実施形態では、本体302は、モータ320と嵌合するアクスルまたは他のコネクタを有する。別の実施形態では、カム300とモータ320は、一体型ユニットまたは単一部品であるのが良い。
【0064】
フィルタホイール200の一実施形態では、フィルタ組立体260および可変干渉フィルタ242をフィルタ位置252のところで、軸受272とカム300の係合によって傾動させることができ、その結果、フィルタへの光の入射角は、ほぼ0.0゜からほぼ89.9゜までの範囲にある任意の入射角であって良い。例えば、所望のフィルタへの光の入射角は、ほぼ0.0゜、1.0゜、2.0゜、3.0゜、4.0゜、5.0゜、6.0゜、7.0゜、8.0゜、9.0゜、10.0゜、11.0゜、12.0゜、15.0゜、20.0゜、25.0゜、30.0゜、40.0゜、45.0゜、50.0゜、60.0゜、70.0゜、75.0゜、80.0゜、85.0゜、または89.9゜(これらには限定されない)であるのが良い。ある特定の実施形態では、2つ以上の可変干渉フィルタが光路内に配置されている場合、各フィルタは、自由にかつ他のフィルタとは別個独立に傾動することができるよう構成されているのが良く、その結果、2つ以上のフィルタは、同一の入射角を有することができ、または同一の入射角を有するフィルタが2つとしてないようになっている。入射角は、フィルタによって遮断されまたは通されるべき所望の波長に基づいて選択されるのが良い。
【0065】
光学収差の補正
光線が本明細書において説明した蛍光顕微鏡の光学トレーンを通って進んでいるとき、光線は、光学素子、例えばガラスや他のサブストレートで作られた光学窓および光学フィルタに当たる。フィルタのガラス表面に入射する光線は、これら光線が屈折して空気からガラスに入り、そしてガラスから空気中に戻る際に歪められることになる。光学素子による光の屈折および歪みにより光学収差が生じ、かかる光学収差により光学システムの性能および画像品質の劣化が生じる場合がある。光学収差は、非点収差、横方向画像シフト、焦点シフト、球面収差、色収差、コマ(コマ収差)、口径食、および視界全体にわたる可変スペクトル選択が挙げられる。光学収差により、画像レジストレーションエラー、合焦エラー、ならびに画像分解能および精度の低下が生じる場合がある。光学収差が生じることは、種々の検出構成成分、互いに異なる蛍光体およびフィルタセットから捕捉される多数の画像のアライメントを利用するマルチチャンネル型蛍光顕微鏡システムを用いる際に特に問題である。光学収差を最小限にし、制限し、ゼロにするとともに/あるいは補正する蛍光顕微鏡型画像化システム用の光学トレーンの実施形態が本明細書において開示される。
【0066】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、蛍光顕微鏡システム用の光学トレーンの実施形態は、フィルタチェンジャ400によって保持されるとともに光路内に位置決めされた傾動可能または可変光学フィルタ、例えば可変干渉フィルタ242を含むのが良い。幾つかの実施形態では、可変光学フィルタは、これが一般的に別の方式、例えば液晶を利用した可変フィルタよりも著しく良好な透過効率を提供するので、発光帯スペクトルまたは発光波長を選択するために用いられるのが良い。励起光線または放出光線は、これらが可変干渉フィルタ242を通過する際に屈折して歪み、それにより多くの場合、横方向画像シフトおよび非点収差が生じる。可変干渉フィルタ242の入射角を変えると、結果としての何らかの横方向画像シフトおよび非点収差もまた変わる。本明細書において開示するように、光学素子は、可変干渉フィルタ242によって生じる漸変光学収差を軽減し、最小限に抑え、あるいは補正するために光路内に配置されるのが良い。例えば、ある特定の実施形態では、動的補正光学系410が可変干渉フィルタ242と一緒に働いて可変干渉フィルタ242の任意所望の入射角に関して予測可能でありかつほぼ一定の横方向画像シフトおよび非点収差を生じさせるよう構成されているのが良い。他の実施形態では、固定補正光学系420が光路内に位置決めされるとともに、可変干渉フィルタ242および動的補正光学系410によって生じる任意の非点収差を実質的に軽減しまたは最小限に抑えるよう構成されているのが良い。他の実施形態では、固定補正光学系420、動的補正光学系410および可変干渉フィルタ242は、光路内に位置決めされるとともに非点収差、横方向画像シフト、および焦点シフトを同時に最小限に抑えるよう構成されているのが良い。
【0067】
図4Bを参照すると、光学トレーンの実施形態は、Y軸422に実質的に垂直なX軸412を中心として傾動可能な動的補正光学系410を含むのが良く、固定補正光学系420は、Y軸422を中心として傾動してある。動的補正光学系410は、平たい光学的に透明なプレート、例えば所望のサブストレートで形成された光学窓であるのが良い。動的補正光学系410は、可変干渉フィルタ242の前か後かのいずれかの場所で光学トレーンの光路内に位置決め可能である。
【0068】
一実施形態では、動的補正光学系410は、ハブ416を含む動的光学系組立体414によって支持されている。ある特定の実施形態では、ハブ416は、実質的にX軸412に沿って配置されている。動的補正光学系410を、手動で、またはモータおよび/またはアクスルとハブ416の係合によって、X軸412回りに選択的に傾動させることができる。特定の実施形態では、動的補正光学系410の表面に対する光路内の光の入射角は、ほぼ0.0゜からほぼ89.9゜までの範囲にある任意の入射角であって良い。例えば、動的補正光学系410への光の入射角は、ほぼ0.0゜、1.0゜、2.0゜、3.0゜、4.0゜、5.0゜、6.0゜、7.0゜、8.0゜、9.0゜、10.0゜、11.0゜、12.0゜、15.0゜、20.0゜、25.0゜、30.0゜、40.0゜、45.0゜、50.0゜、60.0゜、70.0゜、75.0゜、80.0゜、85.0゜、または89.9゜(これらには限定されない)であるのが良い。
【0069】
図4Aおよび4Bを参照すると、固定補正光学系420は、平たい光学的に透明なプレート、例えば所望のサブストレートで形成された光学窓であるのが良い。固定補正光学系420は、Y軸422回りに傾けられた固定角度で光学トレーンの光路内に配置されており、この角度は、ほぼ0゜からほぼ90゜まで、ほぼ10゜からほぼ80゜まで、ほぼ20゜からほぼ70゜まで、ほぼ30゜からほぼ60゜まで、およびほぼ40゜からほぼ50゜まで(これらには限定されない)の範囲にある任意の角度から選択される。特定の実施形態では、固定補正光学系420の固定角度は、光学トレーン内の1つ以上の光学素子によってもたらされる場合のある光学収差のうちの1つ以上を実質的に補正することができる任意の角度である。
【0070】
本明細書において説明するように、固定補正光学系420をY軸422を中心として傾動させ、動的補正光学系410をX軸412を中心として傾動させる。
図4Bを参照すると、可変干渉フィルタ242をX軸412にほぼ平行でありかつY軸422にほぼ垂直なX軸を中心として傾動させる。したがって、可変干渉フィルタ242および動的補正光学系410は、固定補正光学系420の傾動の中心となるY軸422にほぼ垂直であるほぼ平行なX軸を中心として傾動するよう構成されている。
【0071】
動的補正光学系410と可変干渉フィルタ242を互いに独立に傾動させることができる。ある特定の実施形態では、可変干渉フィルタ242を任意所望の位置(すなわち、第1の位置、第2の位置、第3の位置、第4の位置、そしてn番目の位置まで様々な位置)まで可変的に傾動させると、所望の波長の放出光を通しまたは遮断することができ、各位置は、異なる角度に対応している。同様に、動的補正光学系410を任意の所望の位置(すなわち、第1の位置、第2の位置、第3の位置、第4の位置、そしてn番目の位置まで様々な位置)まで可変的に傾動させることができ、各位置は、異なる角度に対応している。動的補正光学系410および可変干渉フィルタ242は、互いに独立した位置または角度を有することができ、その結果、動的補正光学系410および可変干渉フィルタ242のうちの一方または両方を1つ以上の放出光線に対して同一の入射角までまたは互いに異なる入射角まで傾動させることができるようになっている。
【0072】
例えば、多数の原画像の捕捉中、第1の原画像を第1の入射角で可変干渉フィルタ242で、かつ対応の第3の入射角で動的補正光学系410で得ることができる。第2の原画像に関し、可変干渉フィルタ242を第1の入射角から第2の入射角まで再角度付けすることができ、他方、動的補正光学系410を対応の第4の入射角まで傾動させる。このよう、動的補正光学系410は、可変干渉フィルタ242と一緒に働いて、可変干渉フィルタ242の任意所望の入射角に関し、予測可能でありかつほぼ一定の横方向画像シフトおよび非点収差を生じさせるよう構成されているのが良い。
【0073】
可変干渉フィルタ242、動的補正光学系410、および固定補正光学系420は、特定の順序で光学トレーン内に位置決めされる必要はない。幾つかの実施形態では、光学トレーンの光路は、固定補正光学系420、動的補正光学系410、およびフィルタホイール200をこの順序で通過する。
【0074】
A.非点収差
蛍光顕微鏡の動作中、本明細書において説明したような光学トレーンは、含まれている光学素子のうちの1つ以上によって生じる光学収差を実質的に軽減し、最小限におさえ、ゼロにするとともに/あるいは打ち消すよう構成されている。引き続き
図4Aおよび
図4Bを参照すると、一実施形態では、固定補正光学系420は、動的補正光学系410と可変干渉フィルタ242の両方によってもたらされる非点収差を実質的に軽減するとともに/あるいはほぼゼロにするよう構成されている。別の実施形態では、固定補正光学系420と動的補正光学系410と可変干渉フィルタ242の組み合わせによって引き起こされまたはもたらされる残留非点収差は、ほぼゼロ(0)である。
【0075】
かかる実施形態では、動的補正光学系410および可変干渉フィルタ242により生じる総合非点収差は、たとえ可変干渉フィルタ242がX軸回りに選択的に傾けられているときでも、ほぼ一定の値であるよう定められる。したがって、可変干渉フィルタ242の選択された角度に関し、動的補正光学系410もまた傾けられ、その結果、これらの総合非点収差は、固定補正光学系420によって生じる非点収差をほぼ打ち消すようになっている。
【0076】
B.横方向画像シフト
別の実施形態では、動的補正光学系410と可変干渉フィルタ242の両方によってもたらされる横方向画像シフトの合計は、可変干渉フィルタ242の任意所望の入射角に関してほぼ一定に保たれる。例えば、動的補正光学系410(LSHFT410)および可変干渉フィルタ242(LSHFT242)により引き起こされる総合横方向シフトは、ほぼ一定(LSHFTConstant)である。別の形態では、次の通りである。
LSHFTConstant=LSHFT410+LSHFT242
【0077】
したがって、可変干渉フィルタ242の選択された入射角に関し、動的補正光学系410(LSHFT410)および可変干渉フィルタ242(LSHFT242)により引き起こされる総合横方向画像シフトは、たとえ可変干渉フィルタ242がX軸回りに選択的に傾けられたとしてもほぼ一定の値である。
【0078】
C.焦点シフト
別の実施形態では、本明細書において説明しているような光学トレーンは、動的補正光学系410および可変干渉フィルタ242を介する屈折によってもたらされる経路焦点距離によって生じる全焦点シフトを実質的に安定化するよう構成されている。焦点シフトが安定化されると、システム焦点は、センサまたはカメラ、および/または対物レンズを光軸に沿って調節して、所望の画像焦点を達成することによってオフセットされるのが良い。
【0079】
テレセントリックチューブレンズ
無限補正対物レンズは、無限に焦点を持つ顕微鏡対物レンズである。無限補正対物レンズで画像を作るため、チューブレンズを用いて、画像を画像平面に焦点合わせするのが良い。チューブレンズと共に無限補正対物レンズを用いた場合の一利点は、対物レンズとチューブレンズとの間に追加の光学部品、例えば光学フィルタをシステム中に挿入することができる空間が存在することである。本明細書において説明する幾つかの実施形態では、無限補正対物レンズと共に用いられるよう構成されたテレセントリックチューブレンズは、口径食、色収差、球面収差、および視界全体にわたる可変スペクトル選択などの光学収差を最小限に抑え、軽減し、制限し、ゼロにするとともに/あるいは補正するために蛍光顕微鏡の光路内に位置決めされるのが良い。また、テレセントリックチューブレンズを用いると、光学収差をデジタル補正する必要性を最小限に抑えることができ、それにより、画像処理がCPU負荷を軽減することによって迅速に動作することができ、それにより高いシステムスループットが得られる。
【0080】
図5を参照すると、蛍光顕微鏡システム用の光学トレーンの実施形態が、二重テレセントリックチューブレンズ500を含むのが良い。テレセントリックチューブレンズは、無限のところに入射瞳または出射瞳を備えた複合レンズである。テレセントリックチューブレンズは、光路の光軸に平行である主光線を生じさせる。互いに平行な主光線は、これらが傾動型または可変光学フィルタ、例えば可変干渉フィルタ242(
図4B)を通る際に、これらが視界全体にわたって一定の選択されたスペクトルを生じさせるので望ましい。換言すると、テレセントリックチューブレンズにより作られる平行な主光線は、可変光学フィルタに対して同一の入射角を持ち、したがって、一般に、可変光学フィルタに対する同一のスペクトル応答を呈する。
【0081】
ある特定の実施形態では、二重テレセントリックチューブレンズ500は、傾傾動型フィルタまたは可変干渉フィルタ、例えば可変干渉フィルタ242から見て上流側の位置510のところに配置されるよう構成されている。位置510は、光路内に配置されるのが良く、この位置では、二重テレセントリックチューブレンズ500は、画像空間と物体空間の両方内でテレセントリックである。かかる実施形態では、二重テレセントリックチューブレンズ500は、画像空間(レンズと検出器との間の空間)を通る実質的に平行である主光線を生じさせる。同様なかかる実施形態では、二重テレセントリックチューブレンズ500は、実質的に平行でありかつ発光検出器140のところでほぼゼロ(0)の入射角を有する主光線を生じさせるよう構成されている。主光線は、互いに平行であるので、視界全体にわたる可変スペクトル選択、球面収差、色収差、コマ(コマ収差)、および口径食を最小限に抑えまたは制限することができ、それにより画像分解能および品質が向上する。
【0082】
低インシデンスフィルタ
一般に、ダイクロイックフィルタおよびポリクロイックフィルタは、標準の45゜の入射角で動作するよう設計された所望の通過帯および遮断帯を有するよう構成されている。しかしながら、入射角が小さいと、良好なフィルタ性能が得られ、かかる良好なフィルタ性能としては、遮断、透過、急なバンドパス(帯域通過)エッジ、およびビーム視準の向上が挙げられる。本明細書では、標準の45°の入射角よりも小さいまたは狭い励起光の入射角を有するポリクロイック励起フィルタを含む蛍光顕微鏡用の光学トレーンの実施形態が開示されている。
【0083】
図6を参照すると、光路は、励起スペクトルセレクタ110に向かって方向づけられる励起光104を放出する励起源102を含むのが良く、励起スペクトルセレクタ110は、所望の励起波長、例えば第1の励起波長106および/または第2の励起波長108を透過するよう構成された少なくとも1つの励起フィルタを含む。第1の励起波長106および/または第2の励起波長108が励起スペクトルセレクタ110の励起フィルタによって透過された後、かかる第1の励起波長106および/または第2の励起波長108は、光路に対して小さい入射角を生じさせるよう位置決めされた低インシデンスフィルタ600の方へ差し向けられる。ある特定の実施形態では、低インシデンスフィルタ600の入射角は、ほぼ10.0゜からほぼ30.0゜までの範囲にある任意の入射角であって良い。例えば、低インシデンスフィルタ600に対する光の入射角は、ほぼ10.0゜、11.0゜、12.0゜、13.0゜、14.0゜、15.0゜、16.0゜、17.0゜、18.0゜、19.0゜、20.0゜、21.0゜、22.0゜、23.0゜、24.0゜、25.0゜、26.0゜、27.0゜、28.0゜、29.0゜、または30.0゜(これらには限定されない)であるのが良い。
【0084】
選択された入射角θでは、低インシデンスフィルタ600は、第1の励起波長106および/または第2の励起波長108を対物レンズ114に反射し、そして第1の発光波長信号116および/または第2の発光波長信号118の透過を可能にするよう構成されている。狭または低インシデンスフィルタ600は、ダイクロイック、ポリクロイック、ショートパス、ロングパス、バンドパス、バンドストップ、マルチパス、または任意所望のフィルタであって良い。
【0085】
スペクトルエッジ検出
多数の検出構成成分または蛍光体がマルチチャンネル・マルチカラー型蛍光顕微鏡に用いられる場合、スペクトルオーバーラップまたはクロストークは、1つの検出構成成分信号を別の検出構成成分から識別する能力を制限する場合がある。本明細書において開示するように、スペクトルエッジ検出は、どの検出構成成分が検出されているとともに/あるいは画像化されているかについて曖昧さのないという点で、例えば検出構成成分を直交的に識別することによって個々の検出構成成分を複数の検出構成成分(例えば、多重化中)から識別することができる手段としてのプロセスである。スペクトルエッジ検出の性能の向上は、マルチチャンネル・マルチカラー型蛍光顕微鏡に用いられる光学トレーン中の光学収差を最小限に抑え、制限するとともに/あるいはゼロにすることによって実現できる。
【0086】
本明細書において説明する蛍光顕微鏡の幾つかの実施形態に関し、原画像は、発光スペクトルの選択された波長で発光検出器によって収集される。各原画像は、全選択発光スペクトル信号を含む。各全信号は、1つ以上の検出構成成分からの1つ以上の信号を含む。各全信号は、さらに、バックグラウンドまたは自己蛍光に起因する信号をさらに含む場合がある。スペクトルエッジ検出に関し、関心のある信号、例えば関心のある検出構成成分からの信号の特徴は、特徴のない信号(すなわち、信号が未知の値および/または構造を有する)の存在下において、例えば、バックグラウンド、自己蛍光、または望まれない検出構成成分から識別できる。換言すると、スペクトルエッジ検出は、検出構成成分の強度(およびかくしてそれぞれの寄与分)が未知である場合、複数の信号(または画像)中の望まれない検出構成成分から寄与分をなくすことによって、少なくとも部分的にオーバーラップしたスペクトルを有する複数の検出構成成分からの寄与分で構成される複数の信号(または画像)中の関心のある検出構成成分の寄与分を決定する。
【0087】
スペクトルエッジ検出はまた、例えば、検出構成成分を基準検出構成成分に対して検出する際、または、意図していようと(例えば、酸素濃度、金属イオン濃度、環境上の変化、細胞内取り込み(エンドサイトーシス)、細胞外放出(エキサイトーシス)などを含むサンプル変数を検出する検出構成成分)、非意図的であろうと(例えば、サンプルまたは試薬の可変pHにより検出構成成分が発光シフトを呈する)いずれにせよ、1つ以上の要因に基づく発光シフトを呈する検出構成成分を組み込む際、信号の小規模な変化を考慮に入れるのが良い。
【0088】
スペクトルエッジ検出は、発光スペクトル曲線または励起スペクトル曲線、例えば検出構成成分のための発光スペクトル曲線または励起スペクトル曲線のエッジ(例えば、後側エッジ(後縁)または前側エッジ(前縁))を用いて複数のスペクトル的にオーバーラップした検出構成成分内の単一の検出構成成分を同定する。例えば、2つの原画像を検出構成成分発光スペクトル曲線の同一の前側または後側スペクトルエッジに沿って得ることができ、2つの原画像を検出構成成分発光スペクトル曲線の異なる前側および後側スペクトルエッジに沿って得ることができ、あるいは、1つの原画像を検出構成成分発光スペクトル曲線の前側または後側スペクトルエッジに沿って得ることができかつ1つの原画像を検出構成成分発光スペクトル曲線のピーク発光で得ることができる。
【0089】
スペクトルエッジ検出はまた、単一の検出構成成分または複数の検出構成成分について本明細書において説明した実施例および方法の組み合わせを利用することができる。例えば、複数の検出構成成分を用いる場合、第1の検出構成成分をピークおよび前側スペクトルエッジからの信号により検出することができ、第2の検出構成成分を前側スペクトルエッジからの信号により検出することができ、第3の検出構成成分を前側スペクトルエッジおよび後側スペクトルエッジからの信号により検出することができる。さらに、スペクトルエッジ検出は、第1の検出構成成分のための曲線および第2の検出構成成分のための線を形成することができ、その結果、この線の少なくとも一部分が各発光スペクトルのデータ点(例えば、所与の発光/励起波長での信号)を含む曲線に該当する。
【0090】
図7Aは、第1の検出構成成分の発光スペクトル702を示している。発光スペクトル702は、前側スペクトルエッジ(スペクトル前縁)704および後側スペクトルエッジ(スペクトル後縁)706を含む。換言すると、前側スペクトルエッジ704は、ピーク発光708の左側に位置しまたはピーク発光708よりも短い波長をもつ発光スペクトル702の一部分であり、後側スペクトルエッジ706は、ピーク発光708の右側に位置しまたはピーク発光708よりも長い波長をもつ発光スペクトル702の一部分である。発光スペクトル702が示されているが、このスペクトルは、励起スペクトルであっても良い。
【0091】
図7Bは、第2の検出構成成分の発光スペクトル710を示している。発光スペクトル710は、前側スペクトルエッジ(スペクトル前縁)712および後側スペクトルエッジ(スペクトル後縁)714を含む。換言すると、前側スペクトルエッジ712は、ピーク発光716の左側に位置しまたはピーク発光716よりも短い波長をもつ発光スペクトル710の一部分であり、後側スペクトルエッジ714は、ピーク発光716の右側に位置しまたはピーク発光716よりも長い波長をもつ発光スペクトル710の一部分である。発光スペクトル710が示されているが、このスペクトルは、励起スペクトルであっても良い。
【0092】
図7Cは、第3の検出構成成分の発光スペクトル720を示している。発光スペクトル720は、前側スペクトルエッジ(スペクトル前縁)722および後側スペクトルエッジ(スペクトル後縁)724を含む。換言すると、前側スペクトルエッジ722は、ピーク発光726の左側に位置しまたはピーク発光726よりも短い波長をもつ発光スペクトル720の一部分であり、後側スペクトルエッジ724は、ピーク発光726の右側に位置しまたはピーク発光726よりも長い波長をもつ発光スペクトル720の一部分である。発光スペクトル720が示されているが、このスペクトルは、励起スペクトルであっても良い。
【0093】
一実施形態では、バックグラウンドまたは自己蛍光を画像または信号から除きながら染料または検出構成成分を検出する方法またはシステムのうちの任意のものを用いることができる。例えば、第1の検出構成成分の2つ以上の原画像が提供され、その結果、これら画像の少なくとも1つが第1の検出構成成分のスペクトルエッジの下方端部に位置し、これら画像の少なくとも1つが第1の検出構成成分のスペクトルエッジの上方端部に位置する。原画像のうちの少なくとも1つは、自己蛍光またはバックグラウンドにより生じる信号を含む。第1の検出構成成分の第1の最終画像が提供され、この第1の最終画像は、第1の最終画像が第1の検出構成成分からの原画像に基づいており、第1の最終画像は、自己蛍光またはバックグラウンドにより生じる信号を含まない。これは、バックグラウンドまたは自己蛍光をどの画像からも除くよう任意の数の検出構成成分について実施できる。
【0094】
図8Aおよび
図8Bでは、第4の検出構成成分(発光スペクトル804で示されている)が個々の検出構成成分をバックグラウンドまたは自己蛍光に対して識別する方法の一例として用いられている。しかしながら、注目されるべきこととして、本明細書において説明する方法は、これには限定されず、この方法を第1、第2、および/または第3の検出構成成分(発光スペクトル702,710,720によって示されている)または他の任意の適当な検出構成成分について実施することができる。
【0095】
図8Aは、発光スペクトル804およびバックグラウンド信号802を示している。バックグラウンド信号802は、関心のある信号に対して比較的不変であり、したがって既知の値を持つ一定値(すなわち、直線)として示されると見込まれる。加うるに、発光スペクトル804とバックグラウンド信号802との相対的強度は未知である。
【0096】
わかりやすくするために、
図8B~
図9Eは、単一波長から得られた画像I
1~I
18を示している。しかしながら、画像I
1~I
18を所与の帯域幅全体にわたって得ることができ(すなわち、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、15nm、20nm、25nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、75nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nmまたはそれ以上)、その結果、画像(二点鎖線で示されている)は、それぞれの帯域幅全体にわたって平均信号を示している。加うるに、原画像が得られるが、信号(例えば、個々の信号を含む全信号)は、画像相互間のサンプルの同一の場所に相当する原画像中の画素からのものである。例えば、点Aは、画像化対象のサンプル上またはサンプル内の所与の場所である。第1の原画像中の点Aを表す第1の画素は、第1の全信号を含む。第2の原画像中の点Aを表す第2の画素は、第2の全信号を含む。本明細書において説明する方法のうちの1つ以上を用いて、第1および第2の原画像のそれぞれの第1および第2の画素の第1および第2の全信号を評価するとともに/あるいは比較して個々の検出構成成分の寄与分を求める。
【0097】
図8Bは、画像化中に得られた第1および第2の信号S
1,S
2をそれぞれ含む原画像I
1,I
2を示している。信号S
1,S
2は、第4の検出構成成分およびバックグラウンド802の全寄与分を示している。原画像I
1は、前側スペクトルエッジの下方端部上の第1の信号S
1を含み、原画像I
2は、前側スペクトルエッジの高い方の端上のところで取られている。第4の検出構成成分(発光スペクトル804で示されている)を識別するため、原画像I
1,I
2を分析するとともに、第1の信号S
1と第2の信号S
2との間の第4の検出構成成分の相対寄与分を求めるために任意適当な数学的、コンピュータ計算的、または代数的プロセスまたは変換により信号の変化を処理し、比較するとともに/あるいは分析し、かかるプロセスまたは変換としては、減算、微分、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。次に、処理、比較および/または分析に基づいて第4の検出構成成分を示す最終の画像を提供することができる。
【0098】
スペクトルエッジ検出を複数の検出構成成分内の各検出構成成分について実施することができ、それにより任意所望の数の検出構成成分によりサンプルまたはそのフラクションの多重化を可能にする。一実施形態では、少なくとも2つの検出構成成分を多重化のために用いることができる。一実施形態では、任意適当な数の検出構成成分を用いることができ、その数は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、16個、20個、24個、28個、30個、32個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、または100個であるが、これらには限定されない。
【0099】
スペクトルエッジ検出を、スペクトルオフセットを有する検出構成成分について実施することができ、この場合、スペクトルオフセットは、比較可能なスペクトルエッジ上またはスペクトルピークのところのスペクトルの差である。一実施形態では、このプロセスは、スペクトルオフセットの差が50nm以下である検出構成成分について実施できる。一実施形態では、このプロセスは、スペクトルオフセットの差が10nm以下である検出構成成分について実施できる。一実施形態では、このプロセスは、スペクトルオフセットの差が1~50nm以下である検出構成成分について実施できる。一実施形態では、このプロセスは、スペクトル差が10~50nm以下である検出構成成分について実施できる。一実施形態では、このプロセスをスペクトルオフセットの差が1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、15nm、20nm、25nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、75nm、80nm、90nm、または100nmである検出構成成分について実施できるが、これらには限定されない。一実施形態では、連続して位置するスペクトル相互間(例えば、ピークのところでの)差は、同一であるのが良い(例えば、第1の検出構成成分と第2の検出構成成分は、10nmだけ離されており、第2の検出構成成分と第3の検出構成成分は、10nmだけ離されている)。一実施形態では、連続して位置するスペクトル相互間(例えば、ピークのところでの)差は、互いに異なっていても良い(例えば、第1の検出構成成分と第2の検出構成成分は、10nmだけ離されており、第2の検出構成成分と第3の検出構成成分は、25nmだけ離されている)。
【0100】
一実施形態では、各検出構成成分の信号寄与分(例えば、寄与分または減算係数による)は、例えば、関心のない検出構成成分(すなわち、第1の検出構成成分は、関心のない検出構成成分であり、第2の検出構成成分は、関心のある検出構成成分である場合、かつ/あるいはまた第1の検出構成成分は、関心のある検出構成成分であり、第2の検出構成成分は、関心のない検出構成成分である場合)またはバックグラウンド/自己蛍光によって提供される信号寄与分を打ち消しまたはゼロにすることによって少なくとも2つの原画像により決定できる。2以上であればどのような数の原画像をもスペクトルエッジ検出のために得ることができ、かかる数は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、100またはこれ以上を含むが、これらには限定されない。
【0101】
図9A~
図9Eに関して分かりやすくするために、第1の検出構成成分の発光スペクトル702はまた、“A”によって示され、第2の検出構成成分の発光スペクトル710は、“B”によって示され、第3の検出構成成分の発光スペクトル720は、“C”によって示されている。この別名におけるA、B、またはCに続く添え字は、関心のある検出構成成分が寄与強度である画像を示している。例えば、データ点A
3は、発光スペクトル702上のデータ点A
3によって示された原画像I
3内のAの寄与分(または第1の検出構成成分)を示している。そこで、A
3~A
18は、それぞれ原画像I
3~I
18中のAの寄与分(または、第1の検出構成成分)を示し、B
3~B
18は、それぞれ原画像I
3~I
18中のBの寄与分(または、第2の検出構成成分)を示し、C
3~C
18は、それぞれ原画像I
3~I
18中のCの寄与分(または、第3の検出構成成分)を示している。
【0102】
図9Aは、第1の検出構成成分の発光スペクトル702および第2の検出構成成分の発光スペクトル704を示している。原画像I
3,I
4,I
5が発光スペクトル702および発光スペクトル710上の指定配置場所で得られている。原画像I
3は、発光スペクトル702の前側スペクトルエッジ704の低い方の端のところで取られ、原画像I
4は、発光スペクトル702の前側スペクトルエッジ712の高い方の端のところで取られ、この高い方の端はまた、発光スペクトル710の前側スペクトルエッジ712の低い方の端とオーバーラップし、原画像I
5は、発光スペクトル710の前側スペクトルエッジ712の高い方の端のところで取られている。発光スペクトル702,710が示されているが、このスペクトルは、励起スペクトルであっても良い。
【0103】
一実施形態では、4つ以上の原画像を得ることができる。一実施形態では、原画像の各々を用いて検出構成成分のうちの唯一の検出構成成分を分析する。一実施形態では、原画像のうちの1つ以上を用いて検出構成成分のうちの少なくとも2つ(すなわち、オーバーラップが存在する)を分析する。一実施形態では、第1の検出構成成分と第2の検出構成成分との間の原画像のうちで同一のものが存在しない(すなわち、全ての画像は、別々である)。一実施形態では、第1の検出構成成分の原画像のうちの少なくとも1つと第2の検出構成成分の原画像のうちの少なくとも1つは、同一の画像である。
【0104】
一実施形態では、後側スペクトルエッジの高い方の端のところで取られた原画像は、前側スペクトルエッジの高い方の端を含むことができ、またその逆が成り立つ(すなわち、前側スペクトルエッジの高い方の端のところで取られた原画像は、後側スペクトルエッジの高い方の端を含むことができる)。一実施形態では、特定のスペクトルエッジの高い方の端のところで取られた原画像は、対向したスペクトルエッジの高い方の端を含まない(すなわち、上の方の後側スペクトルエッジのところの原画像は、上の方の前側スペクトルエッジを含まず、上の方の前側スペクトルエッジのところの原画像は、上の方の後側スペクトルエッジを含まない)。
【0105】
第1の検出構成成分(発光スペクトル702によって示されている)および第2の検出構成成分(発光スペクトル710によって示されている)を識別するため、原画像I3,I4,I5を分析し、第1および第2の検出構成成分の相対寄与分を求める。例えば、相対寄与分を任意適当な数学的、コンピュータ計算的、または代数的プロセスまたは変換によって求めることができ、かかるプロセスまたは変換としては、減算、微分、積分またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。次に、第1の検出構成成分の最終画像を原画像I3,I4の分析結果、例えば原画像I3,I4全体にわたる第1の検出構成成分の相対寄与分に基づいて提供する。次に第2の検出構成成分の最終画像を原画像I4,I5の分析結果、例えば原画像I4,I5全体にわたる第2の検出構成成分の相対寄与分に基づいて提供する。
【0106】
図9Bは、得られた原画像I
6,I
7,I
8を有することを除き、
図9Aの発光スペクトルとほぼ同じ例示の第1および第2の発光スペクトルを示している。原画像I
6,I
8は、第1の検出構成成分の発光強度が同一または実質的に同一の値を有しかつ第2の検出構成成分の発光強度が画像相互間で異なる点のところで取られている。原画像I
7は、第2の検出構成成分に関する少なくとも3つのデータ点が線を形成する一点のところで取られている。
【0107】
図9Cは、得られた原画像I
9,I
10を有することを除き、
図9Aの発光スペクトルとほぼ同じ例示の第1および第2の発光スペクトルを示している。原画像I
9は、第1の検出構成成分の後側スペクトルエッジの高い方の端が第2の検出構成成分の前側スペクトルエッジの低い方の端とオーバーラップする一点のところで取られている。原画像I
10は、第1の検出構成成分の後側スペクトルエッジの低い方の端が第2の検出構成成分の前側スペクトルエッジの高い方の端とオーバーラップする一点のところで取られている。
図9Cに示されているように、第1の検出構成成分の後側エッジは、第2の検出構成成分の前側エッジとオーバーラップしており、その結果、原画像I
9は、第1の検出構成成分の後側スペクトルエッジの高い方の端および第2の検出構成成分の前側スペクトルエッジの低い方の端を含み、原画像I
10は、第1の検出構成成分の後側スペクトルエッジの低い方の端および第2の検出構成成分の前側スペクトルエッジの高い方の端を含む。一実施形態では、第1の検出構成成分の前側エッジは、第2の検出構成成分の後側エッジとオーバーラップしている。
【0108】
図9Dは、得られた原画像I
11~I
14を有することを除き、
図9Cの発光スペクトルとほぼ同じ例示の第1および第2の発光スペクトルを示している。原画像I
12,I
13は、それぞれ発光スペクトル702および発光スペクトル710のピークのところで取られている。スペクトルのピーク発光を用いると、原画像相互間の検出構成成分の相対寄与分を求めることができ、他方の原画像は、ピーク発光が収集される検出構成成分の発光スペクトルのスペクトルエッジ(前側または後側)内にある。
【0109】
一実施形態では、第1の発光スペクトルの2つ以上の原画像が得られ、この場合、これら画像のうちの少なくとも1つは、第1の発光スペクトルのスペクトルエッジの低い方の端のところにあり、画像のうちの少なくとも1つは、第1の発光スペクトルの同一のスペクトルエッジの高い方の端のところにある。第2の発光スペクトルの2つ以上の原画像が得られ、この場合、これら画像のうちの少なくとも1つは、第2の発光スペクトルのスペクトルエッジの低い方の端のところにあり、画像のうちの少なくとも1つは、第2の発光スペクトルの同一のスペクトルエッジの高い方の端のところにある。第1の検出構成成分(第1の発光スペクトルによって示されている)の第1の最終画像および第2の検出構成成分(第2の発光スペクトルによって示されている)の第2の最終画像が提供され、この場合、第1および第2の最終画像は、第1および第2の検出構成成分からの原画像に基づいている。一実施形態では、第1および第2の発光スペクトルの原画像のうちの少なくとも1つは、同一の画像である。例えば、第1の発光スペクトルの第2の画像(第1の発光スペクトルのスペクトルエッジの高い方の端のところに位置する)は、第2の発光スペクトルの第1の画像(第2の発光スペクトルのスペクトルエッジの低い方の端のところに位置する)と同一の画像である。
【0110】
2つの検出構成成分を説明したが、このプロセスを任意の数の検出構成成分に使用することができる。換言すると、n番目の発光/励起スペクトルの2つ以上の原画像が得られ、この場合、これら画像のうちの少なくとも1つは、n番目の発光/励起スペクトルのスペクトルエッジの低い方の端のところにあり、これら画像のうちの少なくとも1つは、n番目の発光/励起スペクトルのスペクトルエッジの高い方の端のところにあり、nは、1以上(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、16、20、24、28、30、32、40、50、60、70、80、90、100またはそれ以上)である。次に、このプロセスを少なくとも1つ以上の発光/励起スペクトルについて繰り返す。
【0111】
一実施形態では、オーバーラップしたスペクトルを有する個々の検出構成成分による信号寄与分を求めるため、一検出構成成分の少なくとも3つのデータ点を得るべきであり、その結果、3つのデータ点が曲線を形成し、別の検出構成成分の少なくとも2つのデータ点が得られるべきであり、その結果、2つのデータ点が線を形成する。どの検出構成成分が曲線を形成するためのデータ点または線を形成するためのデータ点を必要とするかについての決定は相対的スペクトルエッジに基づくことが必要である。換言すると、互いに異なる発光スペクトルの同一のスペクトルエッジ(すなわち、前側または後側)を用いる場合、同一のスペクトルエッジの少なくとも一部分を有する発光スペクトルは、少なくとも2つのデータ点だけを必要とする他の発光スペクトルのうちの発光スペクトルに分類される。少なくとも2つのデータ点(すなわち、線を形成するデータ点)を用いると、他の検出構成成分により提供される曲線の存否を問わず、検出構成成分の寄与分を求めることができ、さらに、少なくとも3つのデータ点(すなわち、曲線を形成するデータ点)を用いると、当初の検出構成成分により提供される線の存否を問わず他の検出構成成分の寄与分を求めることができる。
【0112】
一実施形態では、オーバーラップしたスペクトルを有する個々の検出構成成分による信号寄与分を求めるため、一検出構成成分の少なくとも3つのデータ点が収集され、その結果、3つのデータ点は、曲線を形成し、別の検出構成成分の少なくとも3つのデータ点が収集され、その結果、これら3つのデータ点は、曲線または線を形成する。例えば、
図9Dに戻ってこれを参照すると、データ点B
12~B
14のデータ点を以下の方程式に代入することができる。
上式において、C
Bは、発光Bの曲率(例えば、第2導関数)であり、S
B12は、画像I
12の波長における発光Bの信号強度であり、S
B13は、画像I
13の波長における発光Bの信号強度であり、S
B14は、画像I
14の波長における発光Bの信号強度である。A
12~A
14のデータ点を以下の方程式に代入することができる。
上式において、C
Aは、発光Aの曲率(例えば、第2導関数)であり、S
A12は、画像I
12の波長における発光Aの信号強度であり、S
A13は、画像I
13の波長における発光Aの信号強度であり、S
A14は、画像I
14の波長における発光Aの信号強度である。検出構成成分は、これら発光波長における大きな曲率(すなわち、より正(例えば、+5が+2よりも大きく、別の例として、+4は-1よりも大きい)またはより負(例えば、-6は-1よりも大きく(絶対値で言って)、別の例として、-5は+2よりも大きい))が個々の検出構成成分に一致しているので、互いに識別可能である。換言すると、検出構成成分は、互いに異なる発光波長全体にわたり大きな曲率を有する。例えば、Alexa 647は、660nm、670nm、および680nmにわたり、同一の発光波長にわたるAlexa 594よりも大きな曲率を有する。Alexa 594は、609nm、619nm、および632nmにわたり、同一の発光波長にわたるAlexa 647よりも大きな曲率を有する。したがって、660nm、670nm、および680nmにわたる曲率に基づいて、Alexa 674をAlexa 594から識別することができ、609nm、619nm、および632nmにわたる曲率に基づいて、Alexa 594をAlexa 647から識別することができる。
【0113】
図9Eは、4つの画像I
15~I
18の3つの発光スペクトル702,710,720(A,B,C)を示している。発光Bの前側エッジは、発光Aの前側エッジの下側に位置する。したがって、発光Aについては少なくとも3つのデータ点(例えばA
15~A
17またはA
15,A
16,A
18)が得られ、発光Bについては少なくとも2つのデータ点(例えば、B
15とB
16、またはB
15とB
17、またはB
16とB
17)が得られる。加うるに、発光Cの前側エッジは、発光Bの前側エッジの下に位置する。したがって、発光Bについては少なくとも3つのデータ点(例えばB
15,B
17,B
18またはB
16~B
18)が得られ、発光Cについては少なくとも2つのデータ点(例えば、C
16とC
17、またはC
17とC
18、またはC
16とC
18)が得られる。発光A~発光Cのそれぞれのデータ点を用いると、検出構成成分のそれぞれの寄与分を求めることができる。
【0114】
一実施形態では、第1の発光スペクトルの2つの別々の発光波長における2つ以上の原画像が得られ、この場合、これら画像のうちの少なくとも1つは、第1の発光スペクトルの前側スペクトルエッジまたは後側スペクトルエッジ内にあり、これら画像のうちの少なくとも1つは、第1の発光スペクトルの後側スペクトルエッジまたは前側スペクトルエッジ内にある。換言すると、2つ以上の原画像は、同一の発光スペクトルの互いに異なるスペクトルエッジ内にある(すなわち、前側スペクトルエッジ内の少なくとも1つの原画像および後側スペクトルエッジ内の少なくとも1つの原画像、前側スペクトルエッジは、一検出構成成分の発光スペクトル内にある)。
【0115】
図9Eに示されているように、発光スペクトルA,Bの信号は、これらの発光スペクトルの互いに異なるスペクトルエッジ上の原画像を介して収集される(発光スペクトルAについてはA
15とA
17、発光スペクトルBについてはB
15/B
16/B
17とB
18)。互いに異なるスペクトルエッジ上の信号の強度は、互いに等しくても良くまたはそうでなくても良い(例えば、強度は、一方のスペクトルエッジ上で大きく、他方のスペクトルエッジ上で小さくても良い)。
【0116】
一実施形態では、第1の発光スペクトルの2つ以上の原画像が得られ、この場合、原画像のうちの少なくとも1つは、第1の発光スペクトルの前側スペクトルエッジまたは後側スペクトルエッジ内にあり、これら画像のうちの少なくとも1つは、第1の発光スペクトルの後側スペクトルエッジまたは前側スペクトルエッジ内にあり、原画像のうちの少なくとも1つは、ピーク強度波長の状態にある。換言すると、2つ以上の原画像は、同一の発光スペクトルの互いに異なるスペクトルエッジ内にあり、1つの原画像は、ピーク強度波長の状態にある。
図9Eに示されているように、発光スペクトルAは、この発光スペクトル(発光スペクトルAについてはA
15とA
17)の互いに異なるスペクトルエッジ上に信号を提供し、ピーク強度波長(発光スペクトルAについてはA
16)の状態で信号を提供する。
【0117】
図9Eは、前側スペクトルエッジ、ピーク発光、および後側スペクトルエッジ内で発光スペクトルAから収集された原画像を示しているが、これは、1つだけの発光スペクトルには限定されるようにはなっていない。同一形式の原画像を所望した数の発光スペクトルについて収集することができる。
【0118】
一実施形態では、信号強度の変化(例えば、画素レベル)を用いると、検出構成成分を識別することができる。
【0119】
一実施形態では、例えば発光スペクトルの代表的な点が得られる場合、信号強度の変化率または変化分をそのスペクトルの後側エッジに基づいて求めることができる。一実施形態では、例えば発光スペクトルの代表的な点が得られる場合、信号強度の変化率または変化分をスペクトルの前側エッジに基づいて求めることができる。
【0120】
一実施形態では、例えば励起スペクトルの代表的な点が得られる場合、強度の変化率または変化分をそのスペクトルの後側エッジに基づいて求めることができる。一実施形態では、例えば励起スペクトルの代表的な点が得られる場合、強度の変化率または変化分をスペクトルの前側エッジに基づいて求めることができる。
【0121】
一実施形態では、信号強度の変化分を予想値と比較するのが良い。例えば、強度の変化分は、予想値の±(プラスまたはマイナス)0.01%まで、0.02%まで、0.05%まで、0.1%まで、0.15%まで、0.2%まで、0.25%まで、0.3%まで、0.35%まで、0.4%まで、0.45%まで、0.5%まで、0.55%まで、0.6%まで、0.65%まで、0.7%まで、0.75%まで、0.8%まで、0.85%まで、0.9%まで、0.95%まで、1%まで、2%まで、5%まで、10%まで、15%まで、20%まで、25%まで、30%まで、33%まで、35%まで、40%まで、45%まで、50%まで、55%まで、60%まで、65%まで、70%まで、75%まで、80%まで、85%まで、90%まで、95%まで、または99%までであるのが良い。一実施形態では、信号強度の変化分をしきい値と比較するのが良い。一実施形態では、信号強度の変化分は、正または負である場合があり、その結果、正または負の変化分は、所望の検出構成成分を識別する。
【0122】
一実施形態では、例えば画像処理および分析中、しきい値を適用して信号が所望の検出構成成分、望ましくない検出構成成分、ノイズ、またはバックグラウンドによって生じたかどうかを判定することができる。
【0123】
一実施形態では、例えば所望のまたは所定の波長における第1の画像と第2の画像との信号強度の変化分が第1のしきい値以上である場合、画素または信号は、結果的に生じる分析のための画像のために「続行」され、これに対し、第1の画像と第2の画像との間の信号の変化分が第1のしきい値未満である場合、画素または信号は、結果的に生じる分析のための画像にとって「ターンオフ」される。
【0124】
一実施形態では、第1の検出構成成分の発光スペクトル702の第1の発光導関数を得ることができ、第2の検出構成成分の発光スペクトル710の第2の発光導関数を得ることができる。一次導関数について説明するが、任意のこれよりも高次の導関数を実施することが望ましい場合には計算するのが良い。
【0125】
一実施形態では、例えば発光スペクトルの代表的な点が得られる場合、変化率は、しきい値以上であるのが良い。一実施形態では、例えば発光スペクトルの代表的な点が得られる場合、強度の変化分は、正であっても良く、少なくともしきい値の量だけ正であっても良く、かつ/あるいは第1の発光のある特定の倍数だけ正であっても良い。一実施形態では、例えば励起スペクトルの代表的な点が得られる場合、変化率は、しきい値以下であるのが良い(すなわち、より負であり、例えば、-5は、-3よりも小さい)。一実施形態では、例えば励起スペクトルの代表的な点が得られる場合、強度の変化分は、負であっても良く、少なくともしきい値の量だけ負であっても良く、かつ/あるいは第1の励起のある特定の倍数だけ負であっても良い。
【0126】
一例として、Δx(発光波長の変化分)が10nmであり、Δy(発光強度の変化分)が50%であり、勾配が50%/10nmまたは5%/nmである。第1の画像と第2の画像を比較した場合、それぞれの画素相互間の少なくとも5倍の強度の増加分は、第1の検出構成成分のせいにすることができ、画素は、「続行」され、これに対し、それぞれの画素相互間の5倍未満の強度の増加分の原因を第1の検出構成成分以外の何か(例えば、バックグラウンド)のせいにすることができ、画素は、「ターンオフ」される。この実施例は、値および/または百分率に限定されるものではない。第1のしきい値は、発光強度の予期または予想変化分に基づく範囲を含むのが良い。例えば、第1のしきい値は、勾配±(プラスまたはマイナス)0.01%まで、0.02%まで、0.05%まで、0.1%まで、0.15%まで、0.2%まで、0.25%まで、0.3%まで、0.35%まで、0.4%まで、0.45%まで、0.5%まで、0.55%まで、0.6%まで、0.65%まで、0.7%まで、0.75%まで、0.8%まで、0.85%まで、0.9%まで、0.95%まで、1%まで、2%まで、5%まで、10%まで、15%まで、20%まで、25%まで、30%まで、33%まで、35%まで、40%まで、45%まで、50%まで、55%まで、60%まで、65%まで、70%まで、75%まで、80%まで、85%まで、90%まで、95%まで、または99%であるのが良い。
【0127】
【0128】
一実施形態では、第1の検出構成成分を励起した(それにより第1の画像を得た)場合、第1の励起光の波長は、第2の検出構成成分を励起しないよう選択されるのが良い。次に、第2の励起光の波長もまた、第1の検出構成成分を励起し(それにより第2の画像を提供し)、第2の検出構成成分を励起しないよう選択されるのが良い。第1の画像と第2の画像を処理してこれらを比較すると、励起波長の変化に起因する第1の検出構成成分の発光に基づいて発光強度の変化分(換言すると、勾配、またはy/x)を得ることができる。
【0129】
一実施形態では、励起光のうちの少なくとも1つは、1つ以上の検出構成成分を刺激することができる。しかしながら、結果として生じる勾配は、以下に説明するように、1つ以上の望まれない検出構成成分の信号を除去するよう使用できる。
【0130】
一実施形態では、2つ以上の励起波長に起因して生じる2つ以上の画像を互いに比較して処理すると、所望の勾配を算出することができる。結果的に生じる勾配を用いると、最終画像において信号をオンの状態に保ちまたは信号をオフにすることができる。一実施形態では、2つ以上の励起波長に起因して生じる2つ以上の信号を互いに比較して処理すると、所望の勾配を算出することができる。結果的に生じる勾配は、最終画像において信号をオンに保ちまたは信号をオフにするよう使用できる。
【0131】
一実施形態では、一次またはこれよりも高次の導関数を各検出構成成分スペクトルエッジについて計算することができる。一実施形態では、それぞれの検出構成成分のスペクトルエッジを用いると、互いに異なる検出構成成分の発光を区別することができる。
【0132】
一実施形態では、原画像の最小数は、nであり、この場合、nは、検出構成成分の数である。例えば、第1の原画像を第1の発光スペクトルの後側エッジの上方端部のところでおよび第2の発光スペクトルの前側エッジの下方端部のところで得ることができる。第2の原画像を第1の発光スペクトルの後側エッジの下方端部のところでおよび第2の発光スペクトルの前側エッジの上方端部のところで得ることができる。第1の原画像と第2の原画像を処理するとともに/あるいは分析すると、第1の検出構成成分(第1の発光スペクトルによって示されている)の第1の最終画像および第2の検出構成成分(第2の発光スペクトルによって示されている)の第2の最終画像を提供することができる。発光スペクトルについて説明しているが、この実施形態は、励起スペクトルについて実施することができる。
【0133】
一実施形態では、原画像の最小数は、n+1であり、この場合、nは、検出構成成分の数である。
【0134】
一実施形態では、第1および第2の検出構成成分の原画像および最終画像の全ては、例えばスクリーン(例えば、電話、タブレット、コンピュータ、テレビ、PDA、手持ち型デバイスなどのうちの少なくとも1つのスクリーン)上で最終使用者またはオペレータに表示される。一実施形態では、第1および/または第2の検出構成成分の原画像のうちの少なくとも1つが表示される。一実施形態では、第1および/または第2の検出構成成分の最終画像のうちの少なくとも1つが表示される。一実施形態では、原画像のうちのどれも表示されないが、最終画像のうちの少なくとも1つが表示される。一実施形態では、原画像のうちのどれも表示されないが、最終画像の全てが表示される。
【0135】
信号(例えば、同一のスペクトルエッジ、互いに異なるスペクトルエッジ、ピークおよび1つのスペクトルエッジ、ピークおよび2つのスペクトルエッジなど)を収集する実施例は、例示の収集について具体的に説明される発光スペクトルに限定されるものではない。むしろ、信号収集は、1つ以上の発光スペクトルに適用可能であり、この場合、全ての発光スペクトルが、同一の収集(例えば、同一のスペクトルエッジ、互いに異なるスペクトルエッジ、ピークおよび1つのスペクトルエッジ、ピークおよび2つのスペクトルエッジなど)を有し、少なくとも2つの発光スペクトルが同一の収集を有し、または同一の収集を有する発光スペクトルはない。
【0136】
原画像を得るため、画像化がフローサイトメーターまたは顕微鏡、例えば蛍光顕微鏡、スキャナなどを用いて実施されるのが良い。画像化は、従来型落射蛍光、ライトシート(light sheet )顕微鏡、超解像度顕微鏡、および共焦点顕微鏡を用いて実施できる。
【0137】
画像またはファイルのどれであっても、原画像であろうと処理済みであろうといずれにせよ、本発明の任意の実施形態の実施の際、任意の時点において任意適当な記憶媒体に記憶させることができる。記憶媒体としては、ハードディスク、読み取り書き込み記憶装置(RAM)、読み取り専用記憶装置(ROM)、分散型コンピューティングシステムの記憶装置、光ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、またはBlu-ray(登録商標)ディスク)、フラッシュメモリデバイス、メモリーカードなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0138】
本発明の実施形態は、上述した方法およびその任意のステップ(これらは、方法およびステップの任意の組み合わせを含む)を実施する命令を記憶することができる非一過性コンピュータ可読媒体を含む。例えば、非一過性コンピュータ可読媒体は、1つ以上のプロセッサまたは類似のデバイスによって実行可能な命令を記憶することができる。
【0139】
本発明の実施形態は、上述の方法およびこれら方法の任意のステップ(これらは、方法およびステップの任意の組み合わせを含む)を実施する命令を記憶することができる2つ以上の非一過性コンピュータ可読媒体を含む。例えば、実行のための命令は、2つ以上のプロセッサまたは類似のデバイスに分割することができる。
【0140】
本発明の別の実施形態は、コンピュータにより実行可能な命令を読みだして実行するコンピュータまたは機器(例えば、電話、タブレット、PDAなど)、例えば、任意の実施形態の機能を実行するために記憶媒体(上述したように、画像またはファイルを記憶する記憶媒体と同一であっても良くまたはこれとは異なっていても良い)上に記録されまたは記憶された非一過性コンピュータ可読媒体をさらに含むのが良い。コンピュータは、中央処理装置(CPU)、超小型演算処理装置(MPU)、または他の回路構成のうちの1つ以上を含むことができ、また、別々のコンピュータまたは別々のコンピュータプロセッサのネットワークを含むことができる。コンピュータにより実行可能な命令は、例えば、ネットワークまたは記憶媒体からコンピュータに提供可能である。
【0141】
コンピュータまたは機器はまた、例えばモニターまたはスクリーン上に、原画像であれ処理済みの画像であれいずれにせよ、画像またはファイルのうちの任意のものを表示するよう構成されているのが良い。
【0142】
特徴または要素が本明細書において別の特徴または要素「上」に位置していると記載されている場合、これは、他の特徴または要素上に直接位置する場合があり、または介在する特徴または要素もまた存在している場合がある。これとは対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素「上に直接」位置していると記載されている場合、介在する特徴または要素は存在しない。また、特徴または要素が別の特徴または要素に「連結され」、「取り付けられ」、または「結合され」と記載されている場合、これは、他の特徴または要素に直接連結され、取り付けられ、もしくは結合されている場合があり、または介在する特徴または要素が存在している場合がある。これとは対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接連結され」、「直接取り付けられ」、または「直接結合され」と記載されている場合、これは介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に対して説明しまたは図示しているが、説明されまたは図示されている特徴または要素は、他の実施形態に当てはまる。また、当業者であれば理解されるように、別の特徴に「隣接して」設けられている構造または特徴への言及は、この隣接の特徴とオーバーラップしまたはその下に位置する部分を有する場合がある。
【0143】
本明細書で用いられる用語法は、特定の実施形態についてのみ説明するためであり、かかる用語法は、本発明を限定するものではない。例えば、原文明細書で用いられている単数形“a”、“an”、および“the”は、別段の明示の指定がなければ、複数形をも含むものである。さらに理解されるように、“comprises ”(訳文では、「~を有する」としている場合が多い)および/または“comprising”という用語は、本明細書で用いられる場合、記載した特徴、ステップ、操作、要素および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、コンポーネントおよび/またはこれらの群の存在または追加を排除しない。本明細書で用いられている「および/または」という表現は、関連の列記したアイテムのうちの1つ以上の任意の組み合わせおよび全ての組み合わせを含んでおり、この表現を“/”と省略表記している場合がある。
【0144】
空間的に、図形的に、または数的に関連性のある用語、例えば、「~の下に」、「~より下に」、「~の下の」、「~の上に」、「~の上の方に」、「~よりも高い」などは、本明細書においては、図面に示されているように1つの要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を説明するために説明の便宜上用いられている場合がある。理解されるように、空間的に関連性のある用語は、図面に示された向きに加えて、使用または操作の際に異なる向きを含むことが意図されている。例えば、図示のデバイス、システム、または方向を逆にした場合、他の要素または特徴の「~の下の」または「~の下の方に」と記載された要素は、他の要素または特徴「の上に」向く。かくして、例示の用語「~の下に」は、上と下の向きの両方を含む場合がある。もしくは、デバイスが別の方向に差し向けられる場合があり(90゜または他の向きに回転され)、本明細書で用いられる空間的に関連性のある記述はそれに従って解釈される。同様に、「~の上方に」、「~の下方に」、「~に垂直の」、「~に水平の」などは、特段の指定がなければ、説明の目的で本明細書において用いられている。さらに、「~の下の」、「~よりも高い」などは、要素、特徴、情報などを示すために用いられ、これらは、表、グラフ、またはプロットのさらに下にまたはさらに上に位置し、あるいは、値もしくは強度において小さいまたは大きい。
【0145】
「第1」および「第2」という用語は、本明細書においては、種々の特徴/要素(ステップを含む)を説明するために用いられている場合があるが、これら特徴/要素は、別段の指定がなければ、これらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、一特徴/要素を別の特徴/要素から識別するために用いられている場合がある。かくして、以下に説明する第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ばれる場合があり、同様に、以下に説明する第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と呼ばれる場合があり、このことは、本発明の教示から逸脱しない。加うるに、「第1」および「第2」が用いられるが、これらの用語は、種々の特徴/要素を1つだけまたは2つだけに限定することを意図していない。むしろ、3つ(すなわち、第3)、4つ(すなわち、第4)以上が該当する場合またはそのようにすることが望ましい場合に含められまたは用いられる場合がある。
【0146】
原文明細書および以下の原文特許請求の範囲全体を通じて、別段の必要がなければ、“comprise”およびその語尾変化、例えば“comprises”および“comprising”は、種々のコンポーネントを方法および物品(例えば、装置および方法を含む構成物および機器)において共同して用いることができることを意味している。例えば、“comprising”という用語は、任意の記載された要素またはステップを含めることを示唆するが、任意他の要素またはステップを排除することを意味していないと理解される。
【0147】
本明細書および特許請求の範囲において、実施例に用いられるものとして、しかも別段の明示の指定がなければ全ての数は、単語の前に「約」または「ほぼ」が位置しているように読まれるべきであり、これは、この用語が明示的に現れていない場合であってもそうである。「約」または「ほぼ」という語句は、記載された値および/または位置が値および/または位置の妥当な予想範囲内にあるということを示すために大きさおよび/または位置を記載している場合に使用される場合がある。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の±0.1%、記載された値(または値の範囲)の±1%、記載された値(または値の範囲)の±2%、記載された値(または値の範囲)の±5%、記載された値(または値の範囲)の±10%などの値を有する場合がある。本明細書において与えられている任意の数値はまた、別段の指定がなければ、約またはほぼその値を含むものと理解されるべきである。例えば、値「10」が示されている場合、「約10」もまた示されている。本明細書において列記された任意の数値範囲は、本明細書において包含された全ての部分範囲を含むことが意図されている。また、当業者によって適切に理解されるように、値が示されている場合、その値「以下」、「その値以上」およびこれら値相互間の考えられる範囲もまた示されていることは言うまでもない。例えば、値「X」が示されている場合、「X以下」、ならびに「X以上」(例えば、Xは数値である)もまた示されている。また、本願全体を通じて、データが多くの互いに異なるフォーマットで提供されており、このデータが終点および始点ならびにデータ点の任意の組み合わせによる範囲を表している。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が示されている場合、10超、10以上、10未満、10以下、10に等しい、ならびに15超、15以上、15未満、15以下、15に等しいが開示されているとともに10~15とみなされることは言うまでもない。また、2つの特定の単位相互間の各単位もまた開示されていることは言うまでもない。例えば、10および15が示されている場合、11、12、13,14もまた示されている。
【0148】
種々の例示の実施形態を上述したが、多くの変更のうちの任意のものを特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、種々の実施形態に対して行うことができる。例えば、種々の説明した方法ステップを実施する順序を変形実施形態では変更する場合が多くあり、他の変形実施形態では、1つ以上の方法ステップが全て省かれる場合がある。種々の装置およびシステム実施形態のオプションとしての特徴が含まれている実施形態もあれば、含まれていない実施形態もある。したがって、上記説明は、主として、例示目的であり、本発明の範囲が特許請求の範囲に記載されているかのように本発明の範囲を限定するものと解されるべきではない。
【0149】
本明細書に含まれる実施例および例は、例示のためであって限定する目的ではなく、本発明の主題を実施する特定の実施形態を示している。上述したように、他の実施形態を利用するとともに特定の実施形態から導き出すことができ、その結果、構造上および論理上の置換および変更を本発明の範囲から逸脱することなく実施できる。単に便宜上であって本発明の範囲を任意の単一の本発明または本発明の技術的思想に自発的に制限することを意図せず、事実、2以上が開示されている場合、本発明の主題のかかる実施形態を本明細書では個々にまたはひとまとめに「本発明」という表現によって言及する場合がある。かくして、特定の実施形態を本明細書において図示するとともに説明したが、同一の目的を達成するよう工夫された構成を図示の特定の実施形態に代えて用いることができる。本開示内容は、種々の実施形態の任意かつ全ての改造例または変形例を含むものである。上述の実施形態、および本明細書において具体的に説明した他の実施形態の組み合わせは、上述の説明を検討すると、当業者には明らかになろう。
【0150】
上記説明は、例示目的で、本発明の徹底的な理解を提供するよう特定の用語体系を用いた。しかしながら、当業者には明らかなように、特定の細部は、本明細書において説明したシステムおよび方法を実施するために必要とされるわけではない。特定の実施形態の上述の説明は、図示および説明の目的のために例示的に提供されている。上記説明は、本開示内容が全てでありまたは本開示内容を説明した形態そのものに限定することを意図していない。多くの改造および変形が上記教示を考慮して可能である。実施形態は、本開示内容の原理および実用的な利用可能性を最もよく説明し、それにより当業者が本開示内容および意図した特定の用途に合った種々の変更を加えた種々の実施形態を最適利用することができるようにするために図示されるとともに説明されている。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の記載かおよびその均等範囲によって定められる。
【国際調査報告】