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特表2023-520722貫通孔を有する切削インサートグリーン体を形成するためのプレスツールおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(54)【発明の名称】貫通孔を有する切削インサートグリーン体を形成するためのプレスツールおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/02 20060101AFI20230511BHJP
   B30B 11/02 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B22F3/02 A
B30B11/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561551
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2020087374
(87)【国際公開番号】W WO2021204413
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】20168742.3
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506297474
【氏名又は名称】ヴァルター アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】プレスニツ, マヌエル
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018BA11
4K018BA15
4K018CA15
4K018CA18
4K018KA15
(57)【要約】
本発明は、プレスツール、および粉末を圧縮して、長さ(L)の貫通孔(6)を有する切削インサートグリーン体(5)を形成するための方法に関する。プレスツールは、圧縮空間を画定するように動作可能なキャビティ(4)と、貫通孔(6)を一緒に形成するための第1のコアロッド(7)および第2のコアロッド(8)であって、各々が前端部に接触面(9)を有する第1のコアロッド(7)および第2のコアロッド(8)とを備える。コアロッド(7、8)の両方は、コア軸線(10)に沿って両方向に移動可能に配置される。コアロッド(7、8)の両方がそれぞれのプレス位置にあるとき、それぞれの接触面(9)は、圧縮空間内で互いに接触し、第1のコアロッド(7)および第2のコアロッド(8)の両方がそれぞれの解放位置にあるとき、それぞれの接触面(9)は、長さ(L)よりも大きい距離だけ離隔している。第1のコアロッド(7)は、前方に面する当接面(17)を備える基体(11)と、シャフト(13)およびヘッド(14)の形態の前部を有するピストン(12)とを備える。第1のコアロッド(7)の接触面(9)は、ヘッド(14)の前端面である。ヘッド(14)は、後方に面する当接面(17)を備える。ピストン(12)は、複数の伸長位置および後退位置に移動可能であり、後退位置では、ヘッド(14)の当接面(17)が基体(11)の当接面(17)に当接する。第1のコアロッド(7)および第2のコアロッド(8)の両方がそれぞれのプレス位置にあるとき、ピストン(12)は後退位置にある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を圧縮して、長さ(L)の貫通孔(6)を有する切削インサートグリーン体(5)を形成するためのプレスツールであって、
-前記切削インサートグリーン体(5)の寸法に対応する圧縮空間を画定するように動作可能なキャビティ(4)と、
-前記貫通孔(6)を一緒に形成するための第1のコアロッド(7)および第2のコアロッド(8)であって、各々が、前端部から後端部までの長手方向延在部と、前記前端部にある接触面(9)とを有する、第1のコアロッド(7)および第2のコアロッド(8)と
を備え、
-前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)はともに、それぞれの前端部が互いに対向した状態でコア軸線(10)に沿って長手方向に配置され、
-前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)はともに、前記コア軸線(10)の両方向に移動可能に配置され、前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)はともに、それぞれのプレス位置およびそれぞれの解放位置に移動可能であり、
-前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)の両方がそれぞれのプレス位置にあるとき、それぞれの接触面(9)が前記圧縮空間内で互いに接触し、
-前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)の両方がそれぞれの解放位置にあるとき、それぞれの接触面(9)が、前記長さ(L)よりも大きい距離だけ離隔している、
プレスツールにおいて、
前記第1のコアロッド(7)が、
-前方に面する当接面(17)を前端部に備える、基体(11)の形態の長手方向に延在する後方部分と、
-長手方向に延在するシャフト(13)の形態の後部と、半径方向に突出するヘッド(14)の形態の前部とを有するピストン(12)と
を備え、
-前記接触面(9)が、前記ヘッド(14)の前端面であり、
-前記ヘッド(14)が、後方に面する当接面(17)を後端部に備え、
-前記シャフト(13)が、前記ピストン(12)が複数の伸長位置と、前記ヘッド(14)の前記当接面(17)が前記基体(11)の前記当接面(17)に当接する後退位置とに移動可能であるように、前記コア軸線(10)に沿って前記基体(11)内に長手方向に移動可能に配置され、
前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)の両方がそれぞれのプレス位置にあるとき、前記ピストン(12)が前記後退位置にあること
を特徴とする、プレスツール。
【請求項2】
前記第1のコアロッド(7)が、削り取り位置に移動可能であり、
-前記基体(11)の前方に面する前記当接面(17)が、前記第1のコアロッド(7)が前記プレス位置にあるときに最大に前方にあり、
-前記ピストン(12)が、前記複数の伸長位置の第1の伸長位置にあり、前記ヘッド(14)の前記前端面の形態の前記接触面(9)が、前記プレス位置よりもさらに前方にある、
請求項1に記載のプレスツール。
【請求項3】
前記第2のコアロッド(8)が、前記前端部に向かって先細になるセグメント(18)を備え、前記基体(11)が、前記前端部に向かって先細になるセグメント(16)を備え、前記ヘッド(14)が一定の断面を有し、前記プレス位置において、前記長さ(L)が、前記第2のコアロッド(8)の前記先細になるセグメント(18)の少なくとも一部、前記ヘッド(14)、および前記基体(11)の前記先細になるセグメント(16)の少なくとも一部を含む、請求項1または2に記載のプレスツール。
【請求項4】
前記ピストン(12)が、前記第1の伸長位置に向かって付勢されて配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレスツール。
【請求項5】
前記ピストン(12)が、後端部において前記基体(11)の前方に面する表面に当接し、前端部において前記シャフト(13)の後方に面する表面に当接する弾性要素(24)によって付勢されて配置される、請求項4に記載のプレスツール。
【請求項6】
前記第1のコアロッド(7)が、前記ピストン(12)の前記複数の伸長位置の最大伸長位置を画定する停止機構を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のプレスツール。
【請求項7】
前記停止機構が、
-基体停止面と、
-シャフト停止面と
を備え、
-前記基体停止面と前記シャフト停止面とは、前記コア軸線(10)に沿って見て互いの反対側に、かつ互いに対向して配置され、
-前記ピストン(12)が前記最大伸長位置にあるとき、前記基体停止面と前記シャフト停止面とが互いに接触する、
請求項6に記載のプレスツール。
【請求項8】
前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)の一方の前記前端部が、後方に延在する凹部(30)を備え、前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)の他方の前記前端部が、嵌合する前方に延在する凸部(31)を備え、前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)の両方がそれぞれのプレス位置にあるとき、前記凸部(31)が、前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)を位置合わせするために前記凹部(30)内に受け入れられる、請求項1~7のいずれか一項に記載のプレスツール。
【請求項9】
-前記基体(11)が、前記基体(11)の前記前端部の開口部から後方に延在するボア(15)を有し、
-前記シャフト(13)の後端部が、前記開口部を通って前記ボア(15)内に延在し、
-前記基体(11)の前記前方に面する当接面(17)が、前記開口部を取り囲む前端面である、
請求項1~8のいずれか一項に記載のプレスツール。
【請求項10】
前記基体(11)の前記ボア(15)の前記開口部が、皿穴(32)を備える、請求項9に記載のプレスツール。
【請求項11】
前記ピストン(12)が、前記ヘッド(14)の前記後端部から前記シャフト(13)の前端部まで前記コア軸線(10)に沿って延在し、かつ前記皿穴(32)と嵌合するネック(33)をさらに備え、
-前記ヘッド(14)の前記後方に面する当接面(17)が、前記ネック(33)に隣接する後端面であり、
-前記ピストン(12)が前記後退位置にあるとき、前記ネックが、前記ピストン(12)と前記基体(11)とを位置合わせするために前記皿穴内に受け入れられる、
請求項10に記載のプレスツール。
【請求項12】
前記コア軸線(10)が水平であり、前記シャフト(13)が、上方に収束して隆起部を形成する側面を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のプレスツール。
【請求項13】
前記ヘッド(14)が、前記コア軸線(10)の軸線方向に長さを有し、前記ヘッド(14)の軸線方向の前記長さが、前記プレス位置において、5~40μm、好ましくは20~30μm減少可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載のプレスツール。
【請求項14】
プレスツールを用いて長さ(L)の貫通孔(6)を有する切削インサートグリーン体(5)を形成するための方法であって、前記プレスツールが、
-キャビティ(4)と、
-第1のコアロッド(7)および第2のコアロッド(8)であって、各々が前端部から後端部までの長手方向延在部と、前記前端部にある接触面(9)とを有する、第1のコアロッド(7)および第2のコアロッド(8)と
を備え、前記第1のコアロッド(7)が、
-前方に面する当接面(17)を前端部に備える、基体(11)の形態の長手方向に延在する後方部分と、
-長手方向に延在するシャフト(13)の形態の後部と、半径方向に突出するヘッド(14)の形態の前部とを有するピストン(12)であって、前記接触面(9)が、前記ヘッド(14)の前端面であり、前記ヘッド(14)が、後方に面する当接面(17)を後端に備える、ピストン(12)と
を備える方法において、
-前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)の両方を、それぞれの前端部が互いに対向した状態でコア軸線(10)に沿って長手方向に配置するステップと、
-前記ピストン(12)を、その前記シャフト(13)と共に、前記基体(11)の前記コア軸線(10)に沿って長手方向に配置するステップと、
-前記ピストン(12)を前記コア軸線(10)に沿って後退位置に移動させるステップであって、前記ヘッド(14)の前記当接面(17)が前記基体(11)の前記当接面(17)に対して当接する、前記ピストン(12)を前記コア軸線(10)に沿って後退位置に移動させるステップと、
-前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)を前記コア軸線(10)に沿ってそれぞれのプレス位置に移動させるステップであって、それぞれの接触面(9)が、前記切削インサートグリーン体(5)の寸法に対応する圧縮空間内の前記キャビティ(4)内で互いに接触する、前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)を前記コア軸線(10)に沿ってそれぞれのプレス位置に移動させるステップと、
-前記キャビティ(4)に所定量の粉末を充填するステップと、
-前記圧縮空間内の前記粉末を圧縮して前記切削インサートグリーン体(5)を形成するように前記キャビティ(4)を動作させるステップと、
-前記コア軸線(10)に沿って、前記第2のコアロッド(8)を後方に、前記ピストン(12)を前方に第1の伸長位置まで移動させるステップと、
-前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)を前記コア軸線(10)に沿ってそれぞれの解放位置に移動させるステップであって、それぞれの接触面(9)が前記長さ(L)よりも大きい距離だけ離隔している、前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)を前記コア軸線(10)に沿ってそれぞれの解放位置に移動させるステップと、
-前記圧縮空間を減圧するように前記キャビティ(4)を動作させるステップと、
-前記切削インサートグリーン体(5)を取り外すステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記第1のコアロッド(7)および前記第2のコアロッド(8)を前記それぞれのプレス位置に移動させるステップと、前記ピストン(12)を前記コア軸線(10)に沿って前記後退位置に移動させるステップとの後に、前記第1のコアロッド(7)の前記接触面(9)と前記第2のコアロッド(8)の前記接触面(9)とを互いに対して移動させることによって、前記コア軸線(10)の方向に前記ヘッド(14)の軸線方向長さを5μm~40μm、好ましくは20μm~30μm減少させるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末を圧縮して、長さ(L)の貫通孔を有する切削インサートグリーン体を形成するためのプレスツールに関する。本発明はさらに、プレスツールを用いて長さ(L)の貫通孔を有する切削インサートグリーン体を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2004/0414463号パンフレットは、圧縮された冶金粉末からグリーン部品を形成するための単軸プレスを開示しており、この場合、冶金粉末を長円形のコアロッドの周りに配置することによってグリーン部品に開口部が付与される。コアロッドは、各々が相補的な端部を有する第1のセグメントおよび第2のセグメントを含む。セグメントは、プレスの両側に配置され、それらの長手方向軸線に沿って移動可能である。動作中、セグメントは、それらの端部が出会うように一緒に押され、連続的なコアロッドが形成される。次いで、粉末がダイキャビティ内に充填され、グリーン部品が形成される。最後に、セグメントが後退され、完成したグリーン部品が排出される。この公知のプレスの問題は、セグメントの端部が互いに接触した位置で、セグメントがグリーン部品の開口部にバリのリングを残すことである。完成した切削インサートでは、そのような残ったバリリングは、締結ねじを損傷する可能性がある鋭い縁部を形成する可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、上記の問題を少なくとも部分的に回避することである。この目的は、本発明によれば、請求項1に記載のプレスツールおよび請求項14に記載の切削インサートグリーン体を形成するための方法によって達成される。
【0004】
粉末を圧縮して、長さ(L)の貫通孔を有する切削インサートグリーン体を形成するための本発明のプレスツールは、
-グリーン体の寸法に対応する圧縮空間を画定するように動作可能なキャビティと、
-貫通孔を一緒に形成するための第1のコアロッドおよび第2のコアロッドであって、各々が、前端部から後端部までの長手方向延在部と、前端部に接触面とを有する、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドと
を備え、
-第1のコアロッドおよび第2のコアロッドはともに、それぞれの前端部が互いに対向した状態でコア軸線に沿って長手方向に配置され、
-第1のコアロッドおよび第2のコアロッドはともに、コア軸線の両方向に移動可能に配置され、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドはともに、それぞれのプレス位置およびそれぞれの解放位置に移動可能であり、
-第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの両方がそれぞれのプレス位置にあるとき、それぞれの接触面は圧縮空間内で互いに接触し、
-第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの両方がそれぞれの解放位置にあるとき、それぞれの接触面は、長さ(L)よりも大きい距離だけ離隔しており、
-第1のコアロッドは、前方に面する当接面を前端部に備える、基体の形態の長手方向に延在する後方部分と、長手方向に延在するシャフト(13)の形態の後部と、半径方向に突出するヘッドの形態の前部とを有するピストンとを備え、
-接触面は、ヘッドの前端面であり、
-ヘッドは、後端部に、後方に面する当接面を備え、
-シャフト(13)は、ピストンが複数の伸長位置およびヘッドの当接面が基体の当接面に当接する後退位置に移動可能であるように、コア軸線に沿って基体内に長手方向に移動可能に配置され、
第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの両方はそれぞれのプレス位置にあるとき、ピストンは後退位置にある。
【0005】
プレスツールを用いて長さ(L)の貫通孔を有する切削インサートグリーン体を形成するための本発明の方法であって、プレスツールは、
-キャビティと、
-第1のコアロッドおよび第2のコアロッドであって、各々が前端部から後端部までの長手方向延在部と、前端部に接触面とを有する、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドと
を備え、第1のコアロッドは、
-前方に面する当接面を前端部に備える、基体の形態の長手方向に延在する後方部分と、
-長手方向に延在するシャフトの形態の後部と、半径方向に突出するヘッドの形態の前部とを有するピストンであって、接触面が、ヘッドの前端面であり、ヘッドが、後端に、後方に面する当接面を備える、ピストンと
を備え、
-第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの両方を、それぞれの前端部が互いに対向した状態でコア軸線に沿って長手方向に配置するステップと、
-ピストンをそのシャフトと共に基体のコア軸線に沿って長手方向に配置するステップと、
-キャビティに所定量の粉末を充填するステップと、
-ピストンをコア軸に沿って後退位置に移動させるステップであって、ヘッドの当接面が基体の当接面に当接する、移動させるステップと、
-第1のコアロッドおよび第2のコアロッドをコア軸線に沿ってそれぞれのプレス位置に移動させるステップであって、それぞれの接触面が、グリーン体の寸法に対応する圧縮空間内のキャビティ内で互いに接触する、移動させるステップと、
-圧縮空間内の粉末を圧縮して切削インサートグリーン体を形成するようにキャビティを動作させるステップと、
-コア軸線に沿って、第2のコンタクトロッドを後方に、ピストンを前方に第1の伸長位置まで移動させるステップと、
-第1のコアロッドおよび第2のコアロッドをコア軸線に沿ってそれぞれの解放位置に移動させるステップであって、それぞれの接触面が長さ(L)よりも大きい距離だけ離隔している、移動させるステップと、
-圧縮空間を減圧するようにキャビティを動作させるステップと、
-切削インサートグリーン体を取り外すステップと
を含む、方法。
【0006】
切削インサートグリーン体の形成中、第1のコアおよび第2のコアロッドは両方ともそれぞれのプレス位置に配置され、接触面は互いに接触し、当接面は互いに接触する。接触面の第1の界面および当接面の第2の界面において、それぞれ環状のバリのリングが、切削インサートグリーン体の貫通孔内に形成され得る。伸長位置に移動可能なピストンを備える第1のコアロッドのおかげで、切削インサートグリーン体がプレスツールから取り外される前に、これらのバリリングを除去することができるか、または少なくとも大幅に低減することができる。これは、例えば、まず第2のコアロッドをそのプレス位置から後方にある距離だけ後退させることによって達成することができる。その後、または同時に、ピストンは、接触面間の界面でバリリングを通過して前方に移動される。その後、第1のコアロッドと第2のコアロッドの両方はそれぞれの解放位置に移動され、ピストンは接触面間の界面を2回目に越えて、および当接面間の界面を越えて移動する。ピストンがバリリング上を移動するため、これらは貫通孔の内面から少なくとも部分的に削り取られる。
【0007】
本発明によるプレスツールは、サーメット、超硬合金粉末、または冶金粉末などの粉末を圧縮して切削インサートグリーン体を形成するのに適している。完成した切削インサートグリーン体が形成され、プレスツールから取り外された後、焼結、研削、エッジ処理および/またはコーティングなどの他の処理を施すことができる。切削インサートは、切削インサートグリーン体から得ることができ、機械加工、例えば金属切削に使用することができる。そのような切削インサートの例は、切削インサートのフライス加工、切削インサートの旋削加工および切削インサートの穿孔加工である。
【0008】
本発明によるプレスツールは、任意の適切な種類のものとすることができる。好ましくは、プレスツールは、ダイおよび2つのパンチを備え、これらのパンチは、パンチ軸線に沿って互いに接近および離隔するように移動可能である。例えば、プレスツールは、ダイおよび2つのパンチを備えるいわゆる単軸プレスツール、少なくとも2つの可動部分および2つの可動パンチを有するダイを備えるいわゆるスプリットダイプレスツール、または、コア軸線がパンチ軸線に対して垂直であるいわゆるクロスホールプレスツールである。ダイおよびパンチがそれらの最も近い位置にあることにより画定された空間は、切削インサートグリーン体の形状および寸法に対応する圧縮空間を構成する。
【0009】
第1のコアロッドおよび第2のコアロッドは両方とも、それぞれの前端部が互いに対向した状態でコア軸線に沿って長手方向に配置されている。コア軸線は、プレスツール内に任意の適切な延在部を、例えば水平または垂直に有することができる。可動パンチを備えるプレスツールでは、コア軸線は、パンチ軸線と同じであるか、またはパンチ軸線に垂直であり得る。ダイ軸線に沿って互いに接近および離隔するように移動可能な半体を備えるスプリットダイを備えるプレスツールでは、コア軸線はダイ軸線と一致するか、またはダイ軸線およびパンチ軸線の一方または両方に対して垂直であり得る。
【0010】
好ましくは、第1のコアロッドの長手方向軸線および第2のコアロッドの長手方向軸線は、位置合わせされ、コア軸線と一致する。しかしながら、軸線はわずかにオフセットされている、および平行であり得る。
【0011】
コアロッドの前進は他方のコアロッドに向かう方向であり、後退は他方のコアロッドから離れる方向である。したがって、前進は、圧縮空間の中心に向かう移動であってもよいが、中心を通過する移動でもあり得る。
【0012】
任意選択的に、第1のコアロッドおよび第2のコアは、自己完結型構成要素であるか、または一方もしくは両方がプレスツールの他の部分と一体かつ一部品である。例えば、コアロッドは、パンチまたはダイ半体の一部であり、パンチまたはダイ半体と一緒にのみ移動可能であり得る。しかしながら、コアロッドは、プレスツール内、例えばダイまたはパンチ内で移動可能に案内される別個の構成要素であることが好ましい。
【0013】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1および第2のコアロッドは、独立して移動可能であるように配置される。これにより、有利には、第1のコアロッドは、第2のコアロッドの位置とは無関係にその位置のいずれかに移動させることができ、その逆も可能である。別の実施形態では、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドは同調して移動可能に配置される。それにより、有利には、第1および第2のコアロッドの互いに接近および離隔する移動は、駆動および制御がより容易になる。任意選択的に、ピストンは、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの移動から少なくとも部分的に独立して移動可能である。例えば電気モータ、空気圧または油圧駆動ユニットなどの1つまたは複数の駆動ユニットを使用して、コアロッドおよびピストンの移動を駆動することができる。駆動ユニットの動作は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)などの制御ユニットによって制御することができる。
【0014】
好ましくは、第1のコアロッドは削り取り位置に移動可能であり、基体の前方に面する当接面は、第1のコアロッドがプレス位置にあるときに最大で前方にある。ピストンは、複数の伸長位置の第1の伸長位置にあり、ヘッドの前端面の形態の接触面は、プレス位置よりもさらに前方にある。これにより、第1のコアロッドの基体は、ピストンのヘッドを前方に移動させるためにさらに前方に移動する必要がない。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のコアロッドは、前端部に向かって先細になるセグメントを備え、基体は前端部に向かって先細になるセグメントを備え、ヘッドは一定の断面を有し、プレス位置において、長さ(L)は、第2のコアロッドの先細になるセグメントの少なくとも一部、ヘッド、および基体の先細になるセグメントの少なくとも一部を含む。これは、両端部に皿穴を有する貫通孔を有する切削インサートグリーン体をプレスツールにおいて形成することができる点で有利である。任意選択的に、先細になるセグメントは、前端部までずっと延在することができるか、またはセグメントは、前端部に最も近いヘッドと同じ断面を有する部分を含むことができる。
【0016】
好ましくは、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドは一緒になって、両方がそれぞれのプレス位置にあるときに連続的なコアロッドを形成する。具体的には、第2のコアロッドの接触面における断面の形状は、ヘッドの接触面における断面の形状と同じであり、および/または、ヘッドの当接面における断面の形状は、基体の当接面における断面の形状と同じである。例えば、長さ(L)にわたるヘッドおよびコアロッドの断面の形状は、楕円形または円筒形である。基体および第2のコアロッドの断面の寸法は、ヘッドから後方に向かって大きくすることができる。少なくとも長さ(L)に沿って、連続的なコアロッドは、長さ(L)の中心に位置する断面平面にわたって鏡面対称であり得る。長さ(L)の長手方向中心は、ヘッドの長手方向中心に対応し得る。
【0017】
任意選択的に、両方のコアロッドがそれぞれのプレス位置にあるとき、両方の接触面は、長さ(L)に沿って中央位置にあるか、または中央位置の横側の位置にある。したがって、動作中、長さ(L)は、等しい長さを有するコアロッドの部分によって占められ得るか、または第1のコアロッドは、第2のコアロッドよりも長い長さを占め得るか、またはその逆であり得る。
【0018】
好ましくは、ヘッドの長手方向長さは、長さ(L)よりも少なくとも1mm短い。好ましくは、ヘッドの長手方向長さは、0.5mmよりも長く、より好ましくは1.3mmよりも長い。少なくとも1つの実施形態によれば、ヘッドの長手方向長さは、長さ(L)の1/3である。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、ヘッドは、コア軸線の軸線方向に長さを有し、プレス位置におけるヘッドの軸線方向長さは、5~40μm、好ましくは20~30μm減少可能である。これにより、コア軸線の方向に追加の圧縮を提供するようにプレスツールを設計することができ、これは、皿穴を有する切削インサートグリーン体を形成するときに有利である。例えば、ヘッドは、鋼などの400GPa未満のヤング率(E)を有する材料を含むか、またはヘッドは、その厚さを変化させるように動作することができる圧電ディスクを含む。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によれば、ピストンは、第1の伸長位置に向かって付勢されて配置される。これにより、第2のコアロッドが後方に移動されるとき、ピストンは自動的に伸長位置、例えば削り取り位置などのさらに前方の位置に移動する。例えば、ばねなどの弾性要素を配置して、ピストンを伸長位置に向かって前方に押すことができる。あるいは、第1のコアロッドは、空気または油などの加圧流体によってピストンに付勢を提供するように構成することができる。
【0021】
好ましくは、第1のコアロッドは、ピストンの複数の伸長位置の最大伸長位置を画定する停止機構を備える。これにより、ピストンがこの最大伸長位置にあり、基体が後方に移動されるとき、ピストンは基体と一緒に後方に移動する。停止機構はまた、ピストンが基体から外れることを防止する。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、基体は、基体の前端部の開口部から後方に延在するボアを有し、シャフトの後端部は、開口部を通ってボア内に延在する。基体の前方に面する当接面は、開口部を取り囲む前端面である。これは、シャフトがボア内の基体の内側に案内されることを可能にする第1のコアロッドの便利な設計である。付勢要素および/または停止機構を備える実施形態では、これらをボアの内側に配置することができる。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの一方の前端部は、後方に延在する凹部を備え、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの他方の前端部は、嵌合する前方に延在する凸部を備え、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの両方がそれぞれのプレス位置にあるとき、凸部は、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドを位置合わせするために凹部内に受け入れられる。例えば、ヘッドは、前端部から前方に突出する雄型突出部を備え、第2のコアロッドは、前端部から後方に延在する嵌合雌型陥凹部を備える。第1のコアロッドと第2のコアロッドとの良好な位置合わせにより、切削インサートグリーン体の貫通孔の良好な公差を達成することができる。
【0024】
任意選択的に、接触面は、前方に面する前端面である。接触面は、例えば、コア軸線に垂直な前端面である。嵌合する凸部/凹部を有する実施形態では、接触面は、凸部/凹部の表面であってもよい。そのような実施形態では、接触面はまた、凸部/凹部の前方に面する長手方向に延在する外周面であるか、またはその部分を含んでもよい。
【0025】
任意選択的に、基体のボアの開口部は、皿穴を備える。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によれば、ピストンは、ヘッドの後端部からシャフトの前端部までコア軸線に沿って延在し、基体ボア内の皿穴と嵌合するネックをさらに備える。ピストンが後退位置にあるとき、ネックは、ピストンと基体とを位置合わせするために皿穴内に受け入れられる。ピストンと基体との良好な位置合わせにより、切削インサートグリーン体の貫通孔の良好な公差を達成することができる。
【0027】
好ましくは、ヘッドの前端部および後端部の両方は、第2のコアロッドおよび基体の対応する凹部とそれぞれ嵌合する凸部を含み、切削インサートグリーン体の貫通孔のさらに良好な位置合わせ、およびそれによってさらに改善された公差を提供する。凸部/凹部は、円錐形の協働する案内面を含むことができる。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、基体内の皿穴は、ヘッドの対応するネックと協働しない。代わりに、皿穴は、シャフトの表面から破片が除去されるように、削り取られたバリリングから破片を受けるように構成される。これにより、シャフトの表面および貫通孔の内面を滑る破片によって引き起こされる摩耗を低減することができる。加えて、または代わりに、ヘッドには、シャフトに隣接する後方に面する当接面に環状溝を設けることができる。
【0029】
ヘッドの耐摩耗性を改善するために、ヘッドは超硬合金を含むことができる。ヘッドには、好ましくはPVDまたはCVD技術によって堆積された耐摩耗性コーティングを設けることができる。
【0030】
好ましくは、ピストンは、基体に取り外し可能に受け入れられる。これにより、例えば周縁部でヘッドがバリリングの削り取りに起因して摩耗した場合に、ピストンを交換することができる。
【0031】
少なくとも1つの実施形態によれば、基体の前方に面する当接面は、基体の開口部に隣接する前端面であり、ヘッドの後方に面する当接面は、ネックに隣接する後端面である。任意選択的に、当接面はコア軸線に垂直である。嵌合するネック/皿穴を有する実施形態では、当接面はまた、ネック/皿穴の長手方向に延在する外周面であるか、またはその部分を含んでもよい。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、基体のシャフトおよびボアは、少なくとも開口部に最も近い部分に沿って、同じ断面形状を有する。ボアの内側寸法は、シャフトがボア内の摺動接触部と合うように、シャフトの外側寸法に適合される。シャフトおよびボアの断面形状は、円形とすることができる。任意選択的に、断面は、相対回転を防止する形状を有する。例えば、断面形状は、多角形であるか、または直線状の辺を有する円形部分を有する。あるいは、シャフトには、ボア内のスロットに受け入れられる半径方向に突出するピンが設けられる。
【0033】
コア軸線が水平である少なくとも1つの実施形態によれば、シャフトは、隆起部を形成する上方に収束する側面を有する。これにより、シャフト上に落下する削り取られたバリリングからの破片は、シャフトから離れるように下方に案内される。これにより、破片が開口部に詰まるリスク、および破片がボア内のシャフトの詰まりまたは摩耗を引き起こすリスクが低減される。例えば、シャフトは、三角形の断面を有することができる。
【0034】
プレスツールを用いて長さ(L)の貫通孔を有する切削インサートグリーン体を形成するための本発明の方法の少なくとも1つの実施形態によれば、本発明およびその任意の実施形態によるプレスツールを使用することを含む。本発明の方法のステップは、問題のプロセスに適した任意の順序で実行することができる。
【0035】
好ましくは、プレスツールを製造するステップ、ならびに第1のコアロッド、第2のコア、およびピストンをその中に配置するステップは、最初に、かつ第1のプレスサイクルを開始する前に行われる。以下のプレスサイクルでは、これらのステップを除外することができる。
【0036】
好ましくは、
-ピストンをコア軸線に沿って後退位置に移動させるステップであって、ヘッドの当接面が基体の当接面に当接する、移動させるステップと、
-第1のコアロッドおよび第2のコアロッドをコア軸線に沿ってそれぞれのプレス位置に移動させるステップであって、それぞれの接触面が、グリーン体の寸法に対応する圧縮空間内のキャビティ内で互いに接触する、移動させるステップと、
-キャビティに所定量の粉末を充填するステップと
を任意の順序で実行することができる。
【0037】
クロスホールプレスツールを使用する一実施形態によれば、これらのステップの第1のステップは、ピストンを移動させるステップであり、第2のステップは第1のコアロッドおよび第2のコアロッドを移動させるステップであり、第3のステップはキャビティを充填するステップである。第1および第2のコアロッドは両方とも、それぞれのプレス位置に到達するためにキャビティ内に前方に移動される。
【0038】
単軸プレスツールを使用する一実施形態によれば、これらのステップの第1のステップは、キャビティを充填するステップであり、第2のステップはピストンを移動させるステップであり、第3のステップは第1のコアロッドおよび第2のコアロッドを移動させるステップである。それぞれのプレス位置に到達するために、第2のコアロッドはキャビティ内の充填位置から後方に移動され、第1のコアロッドは前方に移動される。
【0039】
好ましくは、圧縮空間を圧縮するようにキャビティを動作させるステップは、上記3つのステップの後に実行される。好ましくは、圧縮空間を圧縮するようにキャビティを動作させるステップは、所定の方式に従ってパンチを互いに向かって移動させるステップを含む。例えば、パンチの移動は、例えば圧縮ステップの終了時よりも開始時の方が急な傾斜を有する曲線に従うことができる。スプリットダイを備えるプレスツールが使用される実施形態では、ダイ部品の移動も所定の方式に従う。ダイ部品の移動は、例えば圧縮ステップの終了時よりも開始時の方が急な傾斜を有する曲線に従ってもよい。任意選択的に、各パンチおよび該当する場合には各ダイの移動は、個別に制御されるか、またはすべてもしくは一部が同調して動く。
【0040】
キャビティが所望の圧縮に到達すると、ダイとパンチとの間に圧縮空間が画定される。圧縮空間は、切削インサートグリーン体の形状および寸法に対応する。
【0041】
実施形態によれば、方法は、圧縮ステップの後にアンロードステップを含む。その中で、パンチは、コアロッドの追従する移動が容易になるようにグリーン体を弛緩させるために、わずかな距離、例えば0.05~0.1mmだけ後退される。
【0042】
任意選択的に、第2のコアロッドを後方に移動させるステップは、第2のコアロッドをグリーン体の貫通孔から完全に外側に、または少なくとも少なくとも0.1mm移動させることを含む。これにより、ヘッドには、前方に移動して、粉末を圧縮するステップで形成され得るバリリングを削り取るのに十分な空間が与えられる。その中で、ヘッドは、プレス位置よりもさらに前方の第1の伸長位置に到達する。第1の伸長位置では、ヘッドの接触面は、圧縮ステップ中に接触面間の界面に形成されたバリリングよりもさらに前方にある。付勢されたピストンが使用される方法の実施形態では、ヘッドは、後方に移動する第2のコアロッドと一緒に前方に移動する。
【0043】
好ましくは、ヘッドの第1の伸長位置への前進は、通常は0.1mm未満である少なくともバリリングの厚さである。好ましくは、ヘッドは、ヘッドの長手方向長さに等しい距離だけ前方に移動する。
【0044】
好ましくは、以下のステップは、第1のコアロッドおよび第2のコアロッドをそれぞれの解放位置に移動させることを含む。任意選択的に、両方のコアロッドが、それらの接触面が貫通孔の外側にある状態で配置されるか、または第1および第2のコアロッドの一方のみが、その接触面が貫通孔の外側にある状態で配置される。好ましくは、第1および第2のコアロッドの両方がそれぞれの解放位置に移動したとき、接触面間の距離は、貫通孔の長さ(L)よりも少なくとも1mm、好ましくは少なくとも5mm大きい。
【0045】
好ましくは、圧縮空間を減圧するようにキャビティを動作させるステップは、パンチ、および該当する場合にはダイ部品を、所定の方式に従って互いに離隔するように移動させるステップを含む。その中で、パンチおよび任意の可動ダイ部品は、減圧ステップの開始時の方が減圧ステップの終了時よりも急ではない可能性がある曲線に従うことができる。
【0046】
最後に、切削インサートグリーン体をプレスツールから取り外す。コアロッドの一方が貫通孔の内側に解放位置を有する実施形態では、切削インサートグリーン体は、コアロッドからリフトオフされ、その後にのみプレスツールから分離される。任意選択的に、第1および第2のコアロッドの一方の接触面は、プレス位置および解放位置の両方において圧縮空間内の同じ位置を有する。解放位置における接触面間の距離が長さ(L)よりも小さい距離のみ大きい実施形態では、切削インサートグリーン体は、キャビティからコア軸線に垂直に取り外される。
【0047】
以下、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】クロスホールプレスツールにおいて実現される本発明の一実施形態によるプレスツールの一般的な設計の一部が切り欠かれた分解図である。
図2】第1の実施形態による第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの長手方向断面図を示す。
図3】第1の実施形態によるプレスツールの上面図である。
図3a図3に示すような、本発明の方法の第1の実施形態による一連のプレスツールの長手方向断面図である。
図3b図3に示すような、本発明の方法の第1の実施形態による一連のプレスツールの別の長手方向断面図である。
図3c図3に示すような、本発明の方法の第1の実施形態による一連のプレスツールのさらに別の長手方向断面図である。
図3d図3に示すような、本発明の方法の第1の実施形態による一連のプレスツールのさらに別の長手方向断面図である。
図3e図3に示すような、本発明の方法の第1の実施形態による一連のプレスツールのさらに別の長手方向断面図である。
図3f図3に示すような、本発明の方法の第1の実施形態による一連のプレスツールのさらに別の長手方向断面図である。
図4】さらなる実施形態による第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの長手方向断面図を示す。
図5】さらなる実施形態による第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの長手方向断面図を示す。
図6】さらなる実施形態による第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの長手方向断面図を示す。
図7a】追加の実施形態の基体の断面図である。
図7b】追加の実施形態の基体の別の断面図である。
図7c】追加の実施形態の基体のさらに別の断面図である。
図8】別の実施形態による第1のコアロッドおよび第2のコアロッドの長手方向断面図を示す。
図9】さらなる実施形態による第1のコアロッドの長手方向断面図を示す。
図10】さらなる実施形態による第1のコアロッドの長手方向断面図を示す。
図11】さらなる実施形態による第1のコアロッドの長手方向断面図を示す。
【0049】
すべての図は概略図であり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、それぞれの実施形態を明瞭にするために必要な部分のみを示しているが、他の部分は省略または単に示唆され得る。別段の指示がない限り、同様の参照番号は、異なる図の同様のまたは対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1には、本発明によるプレスツールの一実施形態の一般的な設計が分解図で示されている。プレスツールは、ダイ1を備えたクロスホールプレスツールである。図において、ダイは、その内部を示すために中央で分解されて示されている。プレスツールは、上部パンチ2および下部パンチ3をさらに備える。パンチ2、3は、パンチ軸線に沿って互いに接近および離隔するように移動可能である。ダイ1、上部パンチ2、および下部パンチ3は、それらの間にキャビティ4を画定する。キャビティ(4)は、パンチを垂直パンチ軸線に沿って互いに向かって移動させることによって圧縮空間を画定するように動作可能である。圧縮空間は、プレスツールによって形成される切削インサートグリーン体5の空間および寸法に対応する。図1では、圧縮空間は切削インサートグリーン体5によって占められ、切削インサートグリーン体5は、長さ(L)(図3fを参照)の貫通孔6を有する。
【0051】
プレスツールは、第1のコアロッド7および第2のコア8をさらに備える。それらはそれぞれ、前端部から後端部までの長手方向延在部と、前端部に接触面9とを有する。第1および第2のコアロッド7、8は、水平コア軸線10に沿って長手方向に配置され、それぞれの中心長手方向軸線はコア軸線10と一致し、それぞれの接触面9は互いに対向する。第1のコアロッド7および第2のコアロッド8はともに、コア軸線10の両方向に移動可能に配置されている。コアロッドの前進は他方のコアロッドに向かう方向であり、後退は他方のコアロッドから離れる方向である。
【0052】
図2を参照すると、第1のコア7は、基体11の形態の長手方向後方部分と、ピストン12とを備える。長手方向前方部分において、基体は、前端部に向かって先細になるセグメント16を備える。ボア15は、基体11の前端部の先細になるセグメント16の開口部から後方に延在する。前方に面する当接面17は、開口部を取り囲む前端面であり、前端面はコア軸線10に垂直である。
【0053】
ピストン12は、長手方向に延在するシャフト13の形態の後部と、シャフトの前端部にある、シャフト13から半径方向に突出するヘッド14とを備える。シャフト13は、基体11のボア15内に長手方向に移動可能に配置される。シャフトの長手方向軸線およびボアの長手方向軸線はともに、コア軸線10と一致する。第1のコアロッドの接触面9は、ヘッド14の前端面であり、前端面はコア軸線10に垂直である。ヘッド14は、後方に面する当接面17を有し、当接面17は、シャフト13に隣接し、コア軸線10に垂直な後端面である。
【0054】
第2のコアロッド8、基体およびピストン12は、すべて独立して移動可能に配置されている。したがって、各々を他の位置から独立した位置に個別にすることができる。個々の移動は、PLC(図示せず)の形態の制御ユニットによって制御される電気モータによって駆動される。
【0055】
長手方向前方部分において、第2のコアロッド8は、前端部に向かって先細になるセグメント18を備える。第2のコア8の接触面9は、コア軸線10に垂直な前端面である。
【0056】
本発明のプレスツールにおいて形成することができる切削インサートグリーン体5の貫通孔の典型的な長さ(L)は、6~10mmである。両側に皿穴を有する貫通孔6を有する切削インサートグリーン体5では、貫通孔6の円筒形中央部の典型的な長さは1~5mmである。例示的な実施形態では、ヘッドは、1.3mmの長手方向長さを有し、全長(L)の1mmの部分は、第2のコアロッド8の先細になるセグメントによって形成され、全長(L)の0.7mmの部分は、第1のコアロッド7の先細になるセグメント16によって形成される。長さ(L)にわたるヘッド14およびコアロッドの断面は楕円形である。ヘッド14は、一定の断面を有する。ヘッドの楕円形断面の長軸線の典型的な寸法は3~10mmであり、例示的な実施形態では5.4mmである。
【0057】
ダイ、パンチ、第2のコアロッド8、基体11およびピストン12のシャフト13は超硬合金製である。ピストン12のヘッド14は、ヤング率(E)が200GPaの鋼製である。
【0058】
概略図3図3fを参照して、以下では、本発明のプレスツールの上述の第1の実施形態を用いて切削インサートグリーン体を形成する方法の一実施形態。
【0059】
図3aにおいて、第1のコア7および第2のコアロッド8の両方は、コア軸線10に沿って長手方向に配置され、それぞれの前端部のそれぞれの接触面9が互いに対向している。ピストン12のシャフト13は、基体11のボア15内に配置され、シャフト13の長手方向軸線は、コア軸線10と一致する。ピストン12は、コア軸線10に沿って後退位置に移動され、ヘッド14の当接面17は、基体11の当接面17に当接する。
【0060】
第1のコアロッド7および第2のコア8は、コア軸線に沿ってそれぞれのプレス位置に移動される。その中で、第1のコアロッド7および第2のコア8の両方は、キャビティ4内の中央位置に向かって前方に移動される。第1のコアロッド7および第2のコアロッドの両方が図3bに示すようにそれぞれのプレス位置にあるとき、それぞれの接触面9は、圧縮空間内のキャビティ4内で互いに接触する。ピストン12は、当接面17が互いに当接する後退位置に依然としてある。下部パンチ3を上昇させてキャビティ4内に底部を形成し、キャビティ4に所定量の冶金粉末19を充填する。粉末19は、コアロッド7、8の周りを通って流れ、下方および上方からキャビティの一部を満たす。最終的に、コアロッド7、8は、粉末19によって取り囲まれる。
【0061】
図3cにおいて、キャビティは、パンチ2、3を互いに向かって移動させ、それによって圧縮空間内で粉末19を圧縮することによって粉末19を圧縮するように動作される。圧縮空間は、キャビティ4内の縮小された空間であり、形成される切削インサートグリーン体5と同じ形状および寸法を有する。圧縮の開始時、パンチは終了時よりも速く移動される。圧縮中、コアロッド7、8はそれぞれのプレス位置に留まる。図から分かるように、長さ(L)を有する貫通孔6は、第1のコアロッド7および第2のコアロッド8によって形成され、第1のコアロッド7および第2のコアロッド8は一緒に連続的なコアロッドを形成する。その中で、長さ(L)の一部は第2のコアロッド8の先細になるセグメント18によって占められ、長さ(L)の一部はヘッド14によって占められ、長さ(L)の一部は基体11の先細になるセグメント16によって占められる。第1のコアロッド7および第2のコアロッド8によって形成される連続的なコアロッドは、ヘッド14の長手方向中心を通る断面平面にわたって鏡面対称である。先細になるセグメントを有する連続的なコアロッドは、両側に皿穴を有する貫通孔6を形成する。
【0062】
皿穴で粉末を余分な量だけ圧縮するために、コアロッドが一緒に押されて、ヘッド14の長さが約20~30μm弾性的に減少する。
【0063】
パンチがそれらの最も近い位置に到達し、粉末19が所定量圧縮された後、プレスツールは、パンチ2、3を0.07mmの小さな距離だけ離すことによってアンロードされる。これにより、圧縮体が弛緩し、コアロッド7、8が貫通孔6内に詰まることが防止される。
【0064】
圧縮中、環状のバリリング20が貫通孔6の壁、接触面、および当接面が出会う場所、すなわちヘッド14の両側に形成される。これらを除去するために、第2のコアロッド8は、その接触面9が貫通孔6および圧縮空間の外側になるように、コア軸線10に沿って後方に移動される。その後、図3dに見られるように、ピストン12は、コア軸線10に沿って第1の伸長位置まで前方に移動されるが、基体11は静止したままである。基体11およびピストン12がこのように配置されるとき、第1のコアロッド7は削り取り位置にある。第2のコアロッド8の先細になるセグメント18の最小断面に等しい一定の断面を有するヘッド14により、ヘッドは、第2のコアロッド8の先細になるセグメント18によって提供される皿穴を損傷することなく前方に移動することができる。さらに、基体11の前方に面する当接面は、長手方向において、第1のコアロッド7がプレス位置にあるときと貫通孔6内の同じ位置にある。これにより、ピストン12が前方に移動されたときに、基体の先細になるセグメント16によって提供される皿穴は影響を受けないままである。ピストン12の第1の伸長位置への前進中、ヘッドは、接触面9間の界面の位置で貫通孔壁に形成されたバリリング20上を移動する。これにより、ヘッド14の外面、特に外周前縁部が、壁からバリリング20を削り取る。
【0065】
図3eを参照すると、基体11は、その当接面17が貫通孔6および圧縮空間の外側になるように、コア軸線10に沿って後方に移動される。その後、ピストン12はコア軸線10に沿って後方に移動される。その中で、ヘッド14は、接触面間の界面の位置で貫通孔壁に形成されたバリリング20を越えて2回目に移動する。その後、ヘッドがさらに後方に移動されると、ヘッド14は、当接面17間の界面の位置に形成されたバリリング20上を移動する。これにより、ヘッド14の外面、特に外周後縁部が、壁からバリリング20を削り取る。基体11の先細になるセグメント16の最小断面に等しい一定の断面を有するヘッド14により、ヘッドは、先細になるセグメント16によって提供される皿穴を損傷することなく後方に移動することができる。
【0066】
最終的に、ピストン12は、接触面9が貫通孔6および圧縮空間の外側に位置するほど後方にある。その後、第1のコアロッド7の接触面9と第2のコアロッド8の接触面9とは、貫通孔6の長さ(L)よりも大きい距離(21)だけ離隔される。図3fにおいて、キャビティは、パンチ2、3を互いに離隔するように移動させることによって圧縮空間を減圧するように動作される。減圧の開始時、パンチは終了時よりもゆっくりと移動される。最後に、プレスツール内で冶金粉末19を圧縮して形成された切削インサートグリーン体5が取り外される。切削インサートグリーン体5は、両端部に皿穴を有する貫通孔6を有する。
【0067】
図4図11において、本発明の代替実施形態を示す。これらの実施形態は、主に第1のコアロッド7の構造によって、上述した第1の実施形態とは異なり、そのため、図4図11および説明はこれらの構成要素の説明に限定される。
【0068】
図4は、第2のコア8および基体11を示しており、両方とも先細になるセグメントを欠いている。代わりに、第2のコアロッド8の前部、ヘッド14および基体11の前部はすべて同じ一定の断面を有する。第1および第2のコアロッド7、8の両方がそれぞれのプレス位置にあるとき、一定の断面を有する連続的なコアロッドが形成される。この連続的なコアロッドは、皿穴のない一定の断面を有する貫通孔6を形成する。
【0069】
図5は、ピストン12が第1の伸長位置に向かって付勢されている第1のコア7を示す。基体11のボア15は、シャフト13を案内するためのより小さい断面を有する長手方向前部と、より大きい断面を有する長手方向後部とを備える。シャフト13は、後部内に延在する。シャフトの後端部は、停止ナット22が螺合されるねじ山を備える。停止ナットは、ボア15のより大きな後部内で摺動可能である。ボア15の後部の後端部には、支持ブロック23がボア壁に固定されている。コイルばね24の形態の弾性要素が、後端部において支持ブロック23に取り付けられ、前端部において停止ナット22に取り付けられている。固定された支持ブロック23と移動可能な停止ナット22との間で作用するコイルばね24によって及ぼされる力により、ピストン12は伸長位置に向かって付勢される。力は、支持ブロック23をボア15の後部の他の長手方向位置に固定することによって調整することができる。
【0070】
ピストン12の最大伸長位置は、ボア15の後部の前壁に当接する停止ナット22によって画定される。したがって、停止ナット22とボア15の後部の前壁とは、一緒になって停止機構を形成する。この例では、停止機構は、コア軸線10に沿って互いの反対側に、かつ互いに対向して配置された、後方に面するボア15の前壁と、前方に面する停止ナット22の前面とを備える。ピストン12がこの最大伸長位置にあり、基体11が後方に移動されるとき、ピストン12は基体11と一緒に後方に移動する。ピストン12が基体11から外れることも防止される。
【0071】
図6に示す実施形態は、ボア15が一定の断面を有する点で、図5を参照して説明した実施形態とは異なる。コイルばね24は、後端部においてボア15の底部に取り付けられ、前端部においてシャフト13の後端部に取り付けられている。第1のコアロッド7には、シャフト13内の長手方向スロット25と、ボア15およびスロット25内に半径方向に突出するピン26とを備える停止機構が設けられている。ピストン12の最大伸長位置は、スロット25の後壁に当接するピン26によって画定される。この例では、停止機構は、コア軸線10に沿って/平行に互いの反対側に、かつ互いに対向して配置された、前方に面するスロット25の後壁と、後方に面するピン26の表面とを備える。この実施形態は、第1のコアロッド7の後端部へのアクセスを必要とせずに、従来技術のコアロッドに付勢ピストン12および停止機構を後付けすることができるという点で有利である。
【0072】
代替的な実施形態では、シャフト13には、ボア15内のスロット25に受け入れられる半径方向に突出するピン26が設けられる。
【0073】
代替的な実施形態では、付勢力は、空気または油などの加圧流体をボア15内に導くことによって提供される。
【0074】
図7a~図7cは、シャフト13および基体11の相対回転が防止される異なる実施形態による、基体11のボア15内のシャフト13を通る第1のコアロッド7の断面図を示す。図7aでは、シャフト13およびボア15はそれぞれ平面27を有する。図7bでは、シャフトには、基体11のボア15の壁のスロット29に配置された隆起部28が設けられている。図7cでは、シャフト13は多角形であり、この場合は三角形である。上述したクロスホールプレスツールなどの水平コア軸線10を有するプレスツールで使用される場合、シャフト13上に落下する削り取られたバリリング20からの破片は、分岐する側面上を滑り落ち、したがってシャフト13とボア15との間に詰まる可能性が低い。
【0075】
図8には、第2のコアロッド8の一方の前端部が、後方に延在する凹部30を備え、ヘッド14の前端部が、嵌合する前方に延在する凸部31を備える一実施形態が示されている。第2のコア8の接触面9は凹部30の底面であり、接触面9は凸部31の前端面である。凹部30および凸部31の外周側面は、円錐形である。第1のコアロッド7および第2のコアロッド8がそれぞれのプレス位置に移動されたとき、これらの円錐形側面は、接触面9が接触するときに第1のコアロッド7および第2のコアロッド8を位置合わせするように案内する。
【0076】
図9には、ボア15の開口部に皿穴32が設けられた一実施形態が示されている。ピストン12は、ヘッドの後端部からシャフトの前端部までコア軸線に沿って延在し、基体ボア15内の皿穴32と嵌合するネック33を備える。皿穴32およびネック33の外周側面は円錐形である。ピストン12が基体11内に後退されると、これらの円錐形側面はヘッド14を案内する。これにより、ピストン12および基体11は、それぞれの当接面が互いに当接したときに位置合わせされる。
【0077】
図10および図11は、当接面/当接面17に配置された溝34の各々の例示的な一実施形態を示す。図11の実施形態では、ボア15の開口部を取り囲む当接面17に環状溝34が設けられている。溝34は、正方形の断面を有する。また、図11では、ヘッド14の当接面17に環状溝34が設けられている。図11の実施形態では、両方の溝34は半円形の断面を有する。上述したクロスホールプレスツールなどのプレスツールに使用される場合、削り取られたバリリング20からの破片をこれらの溝34に集めることができ、したがって、シャフト13とボア15との間に詰まる可能性が低い。
図1
図2
図3
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】