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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(54)【発明の名称】サンプルのビーズに基づく分析法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/76 20060101AFI20230511BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20230511BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G01N21/76
G01N33/483 C
G01N33/569 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561579
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 CA2021050466
(87)【国際公開番号】W WO2021203201
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】16/845,458
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512112024
【氏名又は名称】アレンティック マイクロサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アラン・マーク・ファイン
【テーマコード(参考)】
2G045
2G054
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA36
2G045FA14
2G045GC09
2G045GC11
2G054AA07
2G054AB04
2G054AB05
2G054CA20
2G054CD01
2G054CE02
2G054EA02
2G054EA03
(57)【要約】
方法は、2つ以上のビーズをサンプルに含まれる化学成分の1つ又は複数のユニットの各ユニットに連結させて、化学成分のユニット毎に、2つ以上のビーズ及び化学成分のユニットを含む多重ビーズ複合体を形成する工程と、サンプルをイメージセンサーの表面上に配置する工程と、イメージセンサーにおいて、光源から発した光を受光する工程であって、受光された光が、多重ビーズ複合体のビーズによって反射され、それによって屈折され、又はそれを通じて伝達された光を含む、工程と、イメージセンサーにおいて、受光された光から、サンプルの1つ又は複数の画像を捕捉する工程と、サンプルの少なくとも1つの画像において、分離した多重ビーズ複合体を同定する工程であって、分離した多重ビーズ複合体の同定が、相互の近接度に基づき、多重ビーズ複合体それぞれの2つ以上のビーズを関連付けることを含む、工程とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のビーズをサンプルに含まれる化学成分の1つ又は複数のユニットの各ユニットに連結させて、前記化学成分のユニット毎に、2つ以上のビーズ及び前記化学成分のユニットを含む多重ビーズ複合体を形成する工程と、
前記サンプルをイメージセンサーの表面上に配置する工程と、
前記イメージセンサーにおいて、光源から発した光を受光する工程であって、受光された光が、前記多重ビーズ複合体のビーズによって反射され、それによって屈折され、又はそれを通じて伝達された光を含む、工程と、
前記イメージセンサーにおいて、前記受光された光から、前記サンプルの1つ又は複数の画像を捕捉する工程と、
前記サンプルの少なくとも1つの画像において、分離した多重ビーズ複合体を同定する工程であって、前記分離した多重ビーズ複合体の同定が、相互の近接度に基づき、前記多重ビーズ複合体それぞれの2つ以上のビーズを関連付けることを含む、工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記分離した多重ビーズ複合体の同定に基づき、前記化学成分の存在を同定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分離した多重ビーズ複合体の同定に基づき、前記化学成分のレベルを同定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分離した多重ビーズ複合体を同定する工程が、前記分離した多重ビーズ複合体を計数することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
2つ以上のビーズを前記化学成分の各ユニットに連結させる工程が、2つ以上の連結ユニットを、前記化学成分の1つ又は複数のユニットの各ユニットに結合させることを含み、
前記連結ユニットのそれぞれも、各多重ビーズ複合体が、前記2つ以上の連結ユニットのそれぞれに連結した1つ又は複数のビーズを含む2つ以上のビーズ、2つ以上の連結ユニット、及び前記化学成分のユニットを含むように、1つ又は複数のビーズに連結している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記連結ユニットが抗体を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記連結ユニットが、病原体由来のカプシドタンパク質又はその他の抗原を含み、及び前記化学成分のユニットが、前記病原体に対する抗体を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記病原体がウイルスを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記2つ以上の連結ユニットの少なくとも2つが相互に異なる、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記2つ以上の連結ユニットが、前記化学成分のユニットの異なる場所に結合する、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
多重ビーズ複合体の2つ以上のビーズの少なくとも2つが、同一の反射特性、屈折特性、及び伝達特性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
多重ビーズ複合体の2つ以上のビーズの少なくとも2つが、前記光源から発した光に対して、異なる反射特性、屈折特性、若しくは伝達特性、又はその組合せを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記異なる反射特性、屈折特性、又は伝達特性が、ビーズの色、ビーズのサイズ、ビーズの形状、及びビーズの複屈折性のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化学成分の各ユニットが病原性ウイルスの抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルを前記イメージセンサーの表面上に配置する工程が、前記表面上に前記サンプルの単層を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記サンプルを前記イメージセンサーの表面上に配置する工程が、前記サンプルを、前記イメージセンサーの表面と前記イメージセンサーの表面と反対側の第2の表面の間に閉じ込めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプルの少なくとも1つの画像において、分離した個々のビーズを、前記分離した個々のビーズのそれぞれによって反射され、それによって屈折され、又はそれによって伝達された光に基づき、且つその他のビーズに対する前記分離した個々のビーズそれぞれの近接度に基づき同定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
イメージセンサーの表面に光感受性素子のアレイを有するイメージセンサーと、
前記イメージセンサーと通信可能に接続した1つ又は複数のコンピューティングプロセッサーと
を含む装置であって、
前記1つ又は複数のコンピューティングプロセッサーが、
前記イメージセンサーから、前記イメージセンサーの表面に位置するサンプルの1つ又は複数の画像を表すデータを受け取る工程であって、
前記サンプルが1つ又は複数の多重ビーズ複合体を含み、
各多重ビーズ複合体が化学成分のユニットに連結した2つ以上のビーズを含み、
前記1つ又は複数の画像が、光源から発し、及び前記イメージセンサーにおいて受光された光に基づき、
受光された光が、前記多重ビーズ複合体のビーズによって反射され、それによって屈折され、又はそれを通じて伝達された光を含む、工程と、
前記サンプルの画像の少なくとも1つにおいて、分離した多重ビーズ複合体を同定する工程であって、分離した多重ビーズ複合体の同定が、前記多重ビーズ複合体のそれぞれにおいて、その2つ以上のビーズを相互の密接した近接度に基づき関連付けることを含む、工程と
を含むオペレーションを実施するように構成された装置。
【請求項19】
前記オペレーションが、前記分離した多重ビーズ複合体の同定に基づき、前記化学成分の存在を同定する工程を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記オペレーションが、前記分離した多重ビーズ複合体の同定に基づき、前記化学成分のレベルを同定する工程を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記分離した多重ビーズ複合体を同定する工程が、前記分離した多重ビーズ複合体を計数することを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
各多重ビーズ複合体が、前記化学成分のユニットに結合した2つ以上の連結ユニットを含み、前記連結ユニットのそれぞれも、各多重ビーズ複合体が、前記2つ以上の連結ユニットのそれぞれに連結した1つ又は複数のビーズを含む2つ以上のビーズ、2つ以上の連結ユニット、及び前記化学成分のユニットを含むように、1つ又は複数のビーズに連結している、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記連結ユニットが抗体を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記連結ユニットが病原体由来のカプシドタンパク質又はその他の抗体を含み、及び前記化学成分のユニットが前記病原体に対する抗体を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記病原体がウイルスを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記2つ以上の連結ユニットの少なくとも2つが相互に異なる、請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記2つ以上の連結ユニットが、前記化学成分のユニットの異なる場所に結合する、請求項22に記載の装置。
【請求項28】
多重ビーズ複合体の2つ以上のビーズの少なくとも2つが、同一の反射特性、屈折特性、及び伝達特性を有し、及び1つ又は複数のプロセッサーが、反射特性、屈折特性、及び伝達特性を検出するように構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項29】
多重ビーズ複合体の2つ以上のビーズの少なくとも2つが、前記光源から発した光に対して異なる反射特性、屈折特性、若しくは伝達特性、又はその組合せを有し、及び1つ又は複数のプロセッサーが、反射特性、屈折特性、及び伝達特性を検出するように構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項30】
前記異なる反射特性、屈折特性、又は伝達特性が、ビーズの色、ビーズのサイズ、ビーズの形状、及びビーズの複屈折性のうちの少なくとも1つを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記化学成分の各ユニットが、病原性ウイルスの抗体を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項32】
前記イメージセンサーの表面と反対側の第2の表面を備え、前記第2の表面が、前記サンプルを、前記第2の表面と前記イメージセンサーの前記表面の間に閉じ込めるように構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項33】
前記第2の表面が、前記第2の表面と前記イメージセンサーの前記表面の間で前記サンプルの単層が形成されるように構成される、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
光源を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記オペレーションが、前記サンプルの少なくとも1つの画像において、分離した個々のビーズを、前記分離した個々のビーズのそれぞれによって反射され、それによって屈折され、又はそれによって伝達された光に基づき、且つその他のビーズに対する前記分離した個々のビーズそれぞれの近接度に基づき同定する工程を含む、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月28日出願の米国特許出願第16/368,707号の一部継続である、2020年4月10日出願の米国特許出願第16/845,458号の優先権を主張する。
【0002】
本記載は、ビーズに基づくサンプルの分析法に関する。
【背景技術】
【0003】
診断目的で、患者の全血サンプルに含まれる有用な情報をすべて取得するためには、例えば、血液サンプルに含まれる様々な種類の血球の全血球数(CBC)及びそのヘモグロビン含量だけでなく、血液の無細胞部分(例えば、血漿)に含まれるその他成分の化学分析も必要とされる。そのようなその他成分は、様々な種類の分子及びイオンを含み得る。
【0004】
伝統的に、血液のCBC及び化学分析の両方が検査室において、静脈切開により取得された静脈血のチューブを使用しながら、高価な大型機械上で実施される。化学分析を完了し、そして結果を返すのに、数時間又は数日が必要とされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公開第2016/0041200号
【特許文献2】米国特許公開第2014/0152801号
【特許文献3】米国特許公開第2018/0284416号
【特許文献4】米国特許公開第2017/0293133号
【特許文献5】米国特許公開第2016/0187235号
【特許文献6】米国特許第9,041,790号
【特許文献7】米国特許第9,720,217号
【特許文献8】米国特許第10,114,203号
【特許文献9】米国特許第9,075,225号
【特許文献10】米国特許第9,518,920号
【特許文献11】米国特許第9,989,750号
【特許文献12】米国特許第9,910,254号
【特許文献13】米国特許第9,952,417号
【特許文献14】米国特許第10,107,997号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般的に、本開示の態様は、2つ以上のビーズをサンプルに含まれる化学成分の1つ又は複数のユニットの各ユニットに連結させて、化学成分のユニット毎に、2つ以上のビーズ及び化学成分のユニットを含む多重ビーズ複合体を形成する工程と、サンプルをイメージセンサーの表面上に配置する工程と、イメージセンサーにおいて、光源から発した光を受光する工程であって、受光された光が、多重ビーズ複合体のビーズによって反射され、それによって屈折され、又はそれを通じて伝達された光を含む、工程と、イメージセンサーにおいて、受光された光から、サンプルの1つ又は複数の画像を捕捉する工程と、サンプルの少なくとも1つの画像において、分離した多重ビーズ複合体を同定する工程であって、分離した多重ビーズ複合体の同定が、相互の近接度に基づき、多重ビーズ複合体それぞれの2つ以上のビーズを関連付けることを含む、工程とを含む方法である。
【0007】
複数の実施形態は、下記の特徴の2つ以上について、その1つ又は組合せを含み得る。方法は、分離した多重ビーズ複合体の同定に基づき、化学成分の存在を同定する工程を含む。方法は、分離した多重ビーズ複合体の同定に基づき、化学成分のレベルを同定する工程を含む。分離した多重ビーズ複合体を同定する工程は、分離した多重ビーズ複合体を計数することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、2つ以上のビーズを化学成分の各ユニットに連結させる工程は、2つ以上の連結ユニットを、化学成分の1つ又は複数のユニットの各ユニットに結合させることを含み、連結ユニットのそれぞれも、各多重ビーズ複合体が、2つ以上のビーズ、2つ以上の連結ユニット、及び化学成分のユニットを含むように、1つ又は複数のビーズに連結している。いくつかの実施形態では、連結ユニットは抗体を含む。いくつかの実施形態では、連結ユニットは、病原体由来のカプシドタンパク質又はその他の抗原を含み、及び化学成分のユニットは、病原体に対する抗体を含む。いくつかの実施形態では、病原体はウイルスを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の連結ユニットの少なくとも2つは互いに異なる。いくつかの実施形態では、2つ以上の連結ユニットは、化学成分のユニットの異なる場所に結合する。
【0009】
複数の実施形態は、下記の特徴の2つ以上について、その1つ又は組合せを含み得る。多重ビーズ複合体の2つ以上のビーズの少なくとも2つは、同一の反射特性、屈折特性、及び伝達特性を有する。多重ビーズ複合体の2つ以上のビーズの少なくとも2つは、光源から発した光に対して、異なる反射特性、屈折特性、若しくは伝達特性、又はその組合せを有する。異なる反射特性、屈折特性、又は伝達特性は、ビーズの色、ビーズのサイズ、ビーズの形状、及びビーズの複屈折性のうちの少なくとも1つを含む。化学成分の各ユニットは病原性ウイルスの抗体を含む。イメージセンサーの表面上にサンプルを配置する工程は、表面上にサンプルの単層を形成することを含む。イメージセンサーの表面にサンプルを配置する工程は、サンプルを、イメージセンサーの表面とイメージセンサーの表面と反対側の第2の表面の間に閉じ込めることを含む。方法は、サンプルの画像の少なくとも1つにおいて、分離した個々のビーズを、分離した個々のビーズのそれぞれによって反射され、それによって屈折され、又はそれによって伝達された光に基づき、且つその他のビーズに対する分離した個々のビーズそれぞれの近接度に基づき、同定する工程を含む。
【0010】
一般的に、本開示の態様は、イメージセンサーの表面に光感受性素子のアレイを有するイメージセンサーと、イメージセンサーと通信可能に接続した1つ又は複数のコンピューティングプロセッサーとを含む装置であって、1つ又は複数のコンピューティングプロセッサーが、イメージセンサーから、イメージセンサーの表面に位置するサンプルの1つ又は複数の画像を表すデータを受け取る工程であって、サンプルが1つ又は複数の多重ビーズ複合体を含み、各多重ビーズ複合体が化学成分のユニットに連結した2つ以上のビーズを含み、1つ又は複数の画像が、光源から発し、及びイメージセンサーにおいて受光された光に基づき、受光された光が、多重ビーズ複合体のビーズによって反射され、それによって屈折され、又はそれを通じて伝達された光を含む、工程と、サンプルの画像の少なくとも1つにおいて、分離した多重ビーズ複合体を同定する工程であって、分離した多重ビーズ複合体の同定が、多重ビーズ複合体のそれぞれにおいて、その2つ以上のビーズを相互の密接した近接度に基づき関連付けることを含む、工程とを含むオペレーションを実施するように構成された装置である。
【0011】
複数の実施形態は、下記事項の2つ以上について、そのうちの1つ又は組合せを含み得る。オペレーションは、分離した多重ビーズ複合体の同定に基づき、化学成分の存在を同定する工程を含む。オペレーションは、分離した多重ビーズ複合体の同定に基づき、化学成分のレベルを同定する工程を含む。分離した多重ビーズ複合体を同定する工程は、分離した多重ビーズ複合体を計数することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、各多重ビーズ複合体は、化学成分のユニットに結合した2つ以上の連結ユニットを含み、連結ユニットのそれぞれも、各多重ビーズ複合体が、2つ以上のビーズ、2つ以上の連結ユニット、及び化学成分のユニットを含むように1つ又は複数のビーズに連結している。いくつかの実施形態では、連結ユニットは抗体を含む。いくつかの実施形態では、連結ユニットは、病原体由来のカプシドタンパク質又はその他の抗原を含み、及び化学成分のユニットは病原体に対する抗体を含む。いくつかの実施形態では、病原体はウイルスを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の連結ユニットの少なくとも2つは互いに異なる。いくつかの実施形態では、2つ以上の連結ユニットは、化学成分のユニットの異なる場所に結合する。
【0013】
複数の実施形態は、下記事項の2つ以上について、そのうちの1つ又は組合せを含み得る。多重ビーズ複合体の2つ以上のビーズのうちの少なくとも2つは、同一の反射特性、屈折特性、及び伝達特性を有し、並びに1つ又は複数のプロセッサーは、反射特性、屈折特性、及び伝達特性を検出するように構成される。多重ビーズ複合体の2つ以上のビーズのうちの少なくとも2つは、光源から発した光に対して異なる反射特性、屈折特性、又は伝達特性、又はその組合せを有し、並びに1つ又は複数のプロセッサーは、反射特性、屈折特性、及び伝達特性を検出するように構成される。異なる反射特性、屈折特性、又は伝達特性は、ビーズの色、ビーズのサイズ、ビーズの形状、及びビーズの複屈折性のうちの少なくとも1つを含む。化学成分の各ユニットは、病原性ウイルスの抗体を含む。装置は、イメージセンサーの表面と反対側の第2の表面を備え、第2の表面は、サンプルを、第2の表面とイメージセンサーの表面の間に閉じ込めるように構成される。第2の表面は、第2の表面とイメージセンサーの表面の間でサンプルの単層が形成されるように構成される。装置は光源を含む。オペレーションは、サンプルの画像の少なくとも1つにおいて、分離した個々のビーズを、分離した個々のビーズのそれぞれによって反射され、それによって屈折され、又はそれによって伝達された光に基づき、且つその他のビーズに対する分離した個々のビーズそれぞれの近接度に基づき計数する工程を含む。
【0014】
これら及びその他の態様、特徴、実施形態、及び長所は、(1)方法、装置、システム、成分、プログラム生成物、ビジネス法、機能を実施するための手段又は工程として、及びその他の方法で表現され得るが、また(2)下記の説明及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】サンプルの化学分析に関する概略図を示す図である。
図2】サンプルの化学分析に関する概略図を示す図である。
図3】サンプルの化学分析に関する概略図を示す図である。
図4】標準曲線のグラフを示す図である。
図5】サンプルの化学分析に関する概略図を示す図である。
図6】サンプルの化学分析に関する概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
いくつかの実施形態において、小型ポータブルで使い勝手の良い比較的安価なサンプル分析デバイスを使用しながら、全血サンプルの化学分析を、単独で、又はCBCと直接組み合わせて、ポイントオブケアにおいて、数分以内に低コストで実施可能であるサンプル分析技術について、ここで記載する。いくつかの用途において、サンプル分析デバイスは、そのサイズが小型で低コストであることから、大量に再生産され、また1つ又は複数のヘルスケア現場、居住地、工業地帯、又は商業地帯内の多くの場所に対して流通され得る。いくつかの用途において、サンプル分析デバイスの多くのユニットが、サンプル分析(例えば、血液化学又はCBC)のための機器が利用できないか又は法外に費用のかかる場所を含む現場において、流通及び使用され得る。
【0017】
用語「ポイントオブケア」は、例えばヘルスケアが提供される患者又はその他の人員と、物理的に密接に近接している任意の場所を含め、広範囲に使用される。多くのケースでは、ポイントオブケアとは、患者が物理的に存在する状態で、例えば同一室内若しくは建物において、又は同一場所若しくは近距離内で提供されるサービスを指す。
【0018】
下記の議論の多くは、ヒト又はその他の動物から採取された全血の化学分析に対するサンプル分析技術の適用について触れるが、サンプル分析技術は、サンプル(生体サンプルであり得るが、しかしそうである必要はない)が、目的とする化学成分(例えば、分子又はイオン等)を含有する幅広い文脈(カウントすることと関係しない場合があり、またカウントされる1つ若しくは複数の種類の粒子、ユニット、又はその他の要素を含む場合もあれば、含まない場合もある)に対しても適用可能である。
【0019】
用語「サンプル」は、例えば任意の液状物又はその他の塊又は材料本体(1つ又は複数の分析可能な化学成分を含有し、及び1つ又は複数の種類の1つ又は複数のカウント可能なユニットを含有する場合もあれば、含有しない場合もある)を含め、幅広く使用される。カウント可能なユニットは、いくつかのケースでは、入射光に対して不透過性、半透明性、さもなければ不透明性であり得る。分析可能な化学成分は、いくつかの事例では、入射光に対して透明性、半透明性、さもなければ非不透過性であり得る。いくつかの事例では、サンプルは、異なる種類のカウント可能な血球を含有し、また分析可能な化学成分、例えば分子又はイオン等(2つ挙げるとすれば)もやはり含有する全血である。
【0020】
用語「化学成分」は、例えばサンプルの化学物質、イオン、分子、及びその他の構成要素(識別可能(例えば、目視可能)でカウント可能なユニットの形態で存在しなくてもよい)を含め、幅広く使用される。
【0021】
用語「化学成分のユニット」は、例えば化学成分の単一ユニット、例えば単一の分子、イオン、又はその他の構成要素等を含め、幅広く使用される。代表的なサンプルでは、所定の種類の化学成分について多くのユニット、例えば化学物質について多くの分子が存在する。
【0022】
用語「カウント可能なユニット」は、例えば分離しており、識別可能、目視可能、同定可能であり、及び計数の対象となる、サンプル中に存在する要素を含め、幅広く使用される。一般的に、カウント可能なユニットは透明ではない。全血の場合、カウント可能なユニットは、異なる種類の血球を含み得る。
【0023】
用語「化学分析」は、例えば、サンプルに含まれる1つ又は複数の種類の化学成分の同定及び定量(例えば、レベルの決定)を含め、幅広く使用される。いくつかのケースでは、化学分析は、1つ又は複数の種類の1つ又は複数の分子の存在を同定する工程、及びサンプル又はサンプルの特定の容積に含まれる分子の種類それぞれの分量、容積、又は割合(%)を特徴づける工程を含み得る。
【0024】
これまでに指摘した通り、サンプル分析技術はより広範囲の用途を有するものの、便宜上、時に、サンプルが全血又は全血の成分を含むような特定の例について議論する。
【0025】
用語「全血」は、例えば、ヒト又はその他の動物から採取されたその当初の形態の血液を含め、幅広く使用される。全血は、カウント可能なユニット、例えば血球及び化学成分を含む血漿等を含む。「血漿(Blood plasma)」と題するウィキペディアエントリーに記載されるように、血漿は、「血球を全血のまま懸濁状態で通常保持する血液の黄色味を帯びた液体成分である。換言すれば、血漿は、細胞及びタンパク質を担持する血液の液体部分である。血漿は、主に水(最大95容積%)であり、並びに溶解したタンパク質(6~8%) (例えば、血清アルブミン、グロブリン、及びフィブリノゲン)、グルコース、凝固因子、電解質(Na+、Ca2+、Mg2+、HCO3 -、Cl-等)、ホルモン、二酸化炭素(血漿は排泄生成物輸送のための主要媒体である)、及び酸素を含有する」。凝固因子は、血塊に関与する分子、例えばプラスミノーゲン及びプロトロンビン等を含む。
【0026】
用語「血液細胞」は、例えば赤血球(red blood cell又はerythrocyte)、白血球(white blood cell又はleukocyte)、稀な血球細胞タイプ、不明確な血球細胞タイプ、及び血小板(platelet又はthrombocytes)を含め、幅広く使用される。
【0027】
図1に示すように、血液を化学分析するための代表的な自動化された技術10は、無細胞化学成分12、例えば、血漿14に含まれる1つ又は複数の化学成分の分子を同定及び定量化するために、蛍光に基づくサンドイッチイムノアッセイ技術を使用する。蛍光に基づくサンドイッチイムノアッセイにおける「サンドイッチ」の「充填物」は、例えば血漿に含まれる所与の標的化学成分の分子16である。分子それぞれは、実際には、血液サンプルに対する2種類の抗体20、22を添加する結果としてサンドイッチ化18される。一方の種類の抗体20は、標的分子上の1つの場所24と特異的に結合することが知られており、また標的分子が保持される既知の「基盤」を提供するという意味合いで、「捕捉抗体」として働く。他方の種類の抗体22は「検出抗体」として働き、そして標的分子と特異的に、ただし標的分子上の異なる場所26に結合することも公知である。いくつかの事例では、捕捉抗体は、例えば表面28に固定され、そして文字通り標的分子を「捕捉」し、そして表面上の特定の場所にそれを保持する。検出抗体は、それに連結した蛍光分子30によって一般的に標識される。
【0028】
標的分子が捕捉されたら、すなわち捕捉抗体に結合したら、高強度励起光32がサンプルを1つの波長帯において照明し、その結果、連結した蛍光分子からかなりより低強度の放出光34が、一般的により長波長側の異なる蛍光波長帯において放射される。放射された光は光検出器36により感知される(はるかに高強度の励起光をブロックするためにフィルター38を通過した後)。光検出器は、比較的低強度の蛍光波長帯光の存在及びその強度レベルに対してきわめて高感度であり、従って蛍光強度、ひいてはサンプル中に存在する標的化学成分の量を示すシグナルを生成することができる。
【0029】
捕捉抗体及び適切に標識された(蛍光分子により)検出抗体からなる好適で相違する組を使用することによって、蛍光サンドイッチ技術が、血液の異なる標的化学成分を同時に同定及び定量するのに使用可能である。そのような多重化のいくつかの実施形態では、異なる捕捉抗体が異なる場所において固定された表面に連結し、こうして異なる標的分子が固定された表面におけるその場所に基づき区別される。いくつかの実施形態では、異なる種類の標的分子がサンプル中のその場所に関係なく区別する方法として、標的分子はサンプル中で溶解又は懸濁したまま存続し、そして異なる捕捉抗体は、異なる波長帯又は異なる帯の組合せにおいて蛍光の光を生成する蛍光ビーズ(例えば、Luminex(登録商標)ビーズ)を使用して標識される。
【0030】
後ほど議論されるように、サンプル分析技術のいくつかの実施形態では、化学分析は、全血球数(CBC)法を実施するための接触式単層非蛍光イメージング技術と組み合わされる。いくつかの理由から、上記標準的蛍光サンドイッチ技術は、接触式単層非蛍光CBC技術との適合性が最適というわけではない。1つの理由は、接触式CBC技術において、血液サンプルは、イメージセンサーの光感受性表面と直接接触した状態にあるのが一般的であり、表面とサンプルの間にフィルター素子を組み込んで高強度励起光をブロックすることができないという点にある。第2の理由は、接触式CBC技術は、蛍光サンドイッチイムノアッセイ技術で一般的に必要とされる洗浄及びその他の処理工程(その1つは、サンプルから不透明血球を除去することと関係する)との相性がそれほど良くない点にある。サンプル分析技術で使用された全血サンプルと同一のサンプルが接触式CBC技術についてもやはり使用される場合には、洗浄及び処理工程は容易に適用できない。[しかし、なおも後ほど議論されるように、接触式CBC技術は血液の単層の使用に基づくので、単層のいくつかの部分は血球を含まず、光通過性の血漿のみを含有する。従って、血球が存在することから、イメージセンサーの面積全体が標的分子の化学分析に適さない可能性があるものの、全血が存在しても、イメージセンサーの面積の一部分はサンプル分析技術に適する]。蛍光性のサンドイッチ技術と上記した接触式CBC技術との適合性が最適ではない第3の理由は、高分解能イメージセンサーのピクセルサイズが小さいので、より大面積の光検出器で可能な場合と同程度に、低強度の蛍光放射光を検出するための適度に低感度の光感受性を提供できない点にある。
【0031】
ここに記載されるサンプル分析技術は、全血の化学分析を実施するために独立に使用可能であり、又は同一サンプル及び同一光源からの光を使用する接触式CBC技術と組み合わせて、又はそれに付加して(同時又は連続的に)、全血の化学分析を実施するのに使用可能である。その結果、小型で安価なデバイスを使用するポイントオブケアにおいて、接触式CBC技術及び血液化学分析の両方が、わずかばかりの全血サンプル(例えば、50マイクロリッター未満、又は15マイクロリッター未満、又は5マイクロリッター未満のサンプル)において実質的に同時に迅速に実施可能である。化学分析が全血において実施される事例について多くの場合議論しているが、サンプル分析技術は、生の全血、又は化学成分を変化させ、若しくは調整、若しくは除去、若しくは補充するために処理された全血、又は血漿を含む血球の一部若しくは全部が除去された全血に適用され得る。
【0032】
用語「接触式CBC技術」は、例えば、イメージセンサーの表面と接触している(例えば、近距離場内の)サンプルにおいて1つ又は複数の種類の血球が同定及びカウントされる任意の技術を含め、広範囲に使用される。接触式CBC技術に関する追加情報は、米国特許公開第2016/0041200号、同第2014/0152801号、同第2018/0284416号、同第2017/0293133号、同第2016/0187235号、及び米国特許第9,041,790号、同第9,720,217号、同第10,114,203号、同第9,075,225号、同第9,518,920号、同第9,989,750号、同第9,910,254号、同第9,952,417号、同第10,107,997号のうちの1つ又は複数に見出すことができ、そのすべてが本明細書において参照により組み込まれる。
【0033】
図2を参照すると、サンプル分析技術のいくつかの実施形態では、全血の単層100が、高分解能イメージセンサー104の表面102(感光性素子(例えば、ピクセル)106のアレイが露出している)と、フタ110の対応する表面108の間に位置し、表面102と表面108の間のその長さ、幅、及び厚さ112により定義される既知容積を有する単層を形成する。そのような単層を形成させるための構造及び技術の例は、米国特許公開第2016/0041200号、同第2014/0152801号、同第2018/0284416号、同第2017/0293133号、同第2016/0187235号のうちの1つ又は複数、及び米国特許第9,041,790号、同第9,720,217号、同第10,114,203号、同第9,075,225号、同第9,518,920号、同第9,989,750号、同第9,910,254号、同第9,952,417号、同第10,107,997号に記載されており、そのすべてが本明細書において参照により組み込まれている。
【0034】
用語「高分解能」は、例えば2次元の一方又は両方において、5μm、又は3μm、又は1μmより小さく、又は例えばサブミクロンであるピクセル間隔を有するイメージセンサーを含め、幅広く使用される。
【0035】
用語「単層」は、単層全般において、2つのユニットが厚さによって定義される寸法内で積層不能なように、例えばサンプルに含まれる特定の種類のユニット、例えば血球等の厚さを上回らない厚さを有するサンプルの容積を含め、幅広く使用される。全血サンプルの場合、単層の厚さは、1マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲であり得る。
【0036】
光源122からの光120は単層100を照明する。光の部分124はサンプル単層を通過することができ、そしてイメージセンサーのアレイ128内の感光性素子126によって受光される。光の部分130は単層の成分131によって反射又は屈折され得るが、また反射又は屈折された光はアレイ内の感光性素子によって受光され得る。光の部分132は単層の成分を通じて伝達され得るが、また伝達された光はアレイ内の感光性素子によって受光され得る;光の部分は単層の成分によって吸収され得る。後ほど議論されるように、単層の成分は、カウント可能なユニット、化学成分、ビーズ、及びその他の素子を含み得る。
【0037】
光源は、照明光を、1つ又は複数の選択された波長帯及びその組合せにおいて提供するように構成若しくは制御され、又は構成制御され得る。幅広く多様な種類の光源及びその組合せ、例えば、LED、LEDパネル、有機LED、蛍光パネル、白熱ランプ、アンビエント照明、単色LEDのアレイ、狭帯域光源のアレイ、例えば赤色、緑色、及び青色LED若しくはレーザー等、小型化されたカラーディスプレイ、例えば液晶若しくは有機LED(OLED)ディスプレイ、又はRGBレーザーカラープロジェクター等が使用可能である。
【0038】
光源から発し、及び単層を通過し、それによって反射又は屈折され、又はそれを通じて伝達された光を使用して、イメージセンサーは、様々な種類のカウント可能なユニット(例えば、血球)、及び検出可能である(その自然の状態において、又は後ほど議論されるように標識された結果として)化学成分を含む、単層の1つ又は複数の画像を捕捉する。捕捉された画像のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数のプロセッサー(Processor)、又はその他の画像処理コンポーネント113によって処理されて、例えばCBCを含む全血サンプルに関する、又はカウント可能なユニット及び化学成分の化学分析に関する、又はその両方に関する情報133を生成する。とりわけ、得られる情報として、赤血球のカウント数及びそのヘモグロビン含有量を挙げることができる。
【0039】
CBC情報は、捕捉された画像において、サンプルに含まれる各種類のカウント可能なユニットを同定し、及びその数をカウントすることにより生成可能である。CBC技術に関し、及び接触式イメージセンサーを使用して画像化することに関する追加情報は、例えば米国特許公開第2016/0041200号、同第2014/0152801号、同第2018/0284416号、同第2017/0293133号、同第2016/0187235号、及び米国特許第9,041,790号、同第9,720,217号、同第10,114,203号、同第9,075,225号、同第9,518,920号、同第9,989,750号、同第9,910,254号、同第9,952,417号、同第10,107,997号に見出すことができ、そのすべてが本明細書において参照により組み込まれている。
【0040】
図3に示すように、全血の単層140(例えば、接触式CBC技術で使用される全血の単層と同一の単層等)が、全血の様々な化学成分142、144の化学分析に使用可能である。このために、全血単層サンプルの異なる種類の化学成分について、その個々のユニットが、蛍光サンドイッチ法と類似したサンドイッチ法148の充填物として処理可能である。しかしながら、ここに記載されるサンプル分析技術の実施形態では、捕捉抗体150、152、及び検出抗体154、156は蛍光特性を有する必要がなく、また直接目視可能、さもなければ光源から発し、そして単層又は単層の成分を通過し、それによって反射若しくは屈折され、又はそれを通じて伝達された光を使用して検出可能であるビーズ158、160、162、164に連結している。得られた光は、イメージセンサー168内で整列した光感受性素子(例えば、ピクセル)166によって受光される(蛍光技術とは異なり、光源は単層サンプル内には存在せず、その外部にある)。
【0041】
受光された光を使用して(いくつかのケースでは、受光された光と同一の光が、接触式CBC技術で使用される)、イメージセンサーは、単層サンプルの1つ又は複数の画像を捕捉する。1つ又は複数のプロセッサー170又はその他の画像処理デバイスが、1つ又は複数の受け取られた画像を処理し、並びにサンプルに含まれる化学成分それぞれの存在を同定し、及びそのレベル(例えば数量(quantity)、分量(amount)、容積、割合(%))を決定する様々な技術を適用する。
【0042】
抗体150、152、及び154、156が連結したビーズ158、160、160、162は、蛍光特性を必要としない。ビーズは、ビーズから反射され、それによって屈折され、又はそれを通過する光源からの光に基づき検出可能、目視可能、さもなければ識別可能である特性を有し得る。そのようなビーズは、時に「ダイレクトインジケータービーズ」と呼ばれる。ダイレクトインジケータービーズは、その小さなサイズに関連して時にミクロビーズと呼ばれる形態を採ることができる。ミクロビーズは、0.5~500マイクロメートルのサイズを一般的に有する。
【0043】
用語「ダイレクトインジケータービーズ」(又は時に単に「ビーズ」)は、例えば、任意のタグ、マーカー、又はその他のインジケーターデバイス、又はインジケーター特性を含め、幅広く使用されるが、それらは、サンプルの化学成分と連結又は会合可能であり、及びインジケーターデバイス又は特性上に入射し、そしてそれによって反射若しくは屈折され、又はそれを通じて伝達された、受光後の光を使用しながら、センサーにおいて同定可能である。いくつかのケースでは、ダイレクトインジケータービーズは、小さな粒状物、粒子、ビーズ、球状体、又はその他の要素の形態、及びその組合せを採ることができ、また様々な形状、サイズ、材料、及び色であり得る。
【0044】
サンプルに含まれる化学成分のユニットの存在を決定するために、プロセッサーは、画像を分析してビーズ及び2つ以上のビーズの複合体についてその識別可能な特性を直接検出するが、そのような特性は、光源から発し、ビーズから反射され、及びビーズによって屈折され、又はビーズを通じてイメージセンサーの表面に伝達された光によって明らかにされる。
【0045】
ビーズ及びビーズの複合体の「直接識別可能な特性」という用語は、例えば任意の品質、特質、又はその他の特色を含め、幅広く使用されるが、それらは、光源から発し、そしてビーズから反射され、ビーズによって屈折され、又はビーズを通じて伝達された光から検出、決定、又は導出可能である。直接識別可能な特性には、例えば色、サイズ、テクスチャー、複屈折性、若しくは形状、又はその組合せが含まれ得る。
【0046】
用語「ビーズの複合体」は、2つ以上のビーズを含め、幅広く使用されるが、ビーズは、サンプル中のユニット、例えば分子又はその他の化学成分等に連結していることから、例えば相互に会合し得る。一般的に、複合体の2つ以上のビーズは、相互に一定の密接に近接した(例えば、触れあう)状態で検出可能である。いくつかのケースでは、複合体の2つ以上のビーズは、2つ以上の事前に決定された直接識別可能な異なる特性を有するので、その検出が可能である。例えば、複合体の2つのビーズは、イメージセンサーからの画像を処理することによって識別可能である2つの異なる固有色を有し得る。
【0047】
言葉「~を連結する」は、直接的及び間接的な連結の両方を含め、使用される。例えば、2つの粒子、ユニット、又はその他の要素は、相互に直接連結し得る(例えば、接触及び結合した状態で)、又は間接的に連結し得る(例えば、2つの粒子、ユニット、又はその他の要素のそれぞれに結合した連結ユニットによって相互に連結される)。
【0048】
用語「連結ユニット」は、例えば、任意の抗体(例えば、標的ユニットが特定の細胞型である場合には、CD分類の細胞表面抗原を標的とする抗体)、病原性ウイルス由来のカプシドタンパク質又はその他の抗原(例えば、標的ユニットが病原性ウイルスに対する抗体であり、病原性ウイルスに対するこれまでの曝露を示唆する場合)、並びに化学成分のユニットとの結合又は連結(例えば、直接連結)に適するその他の結合分子及び構造を含め、幅広く使用される。
【0049】
ここで記載されるサンプル分析技術は、異なる多様なモードで適用され得る。
【0050】
1つのそのようなモード(時に、複合ビーズモードと呼ばれる)のいくつかの事例では、化学成分はサンプル中に溶解又は懸濁したまま存続する。捕捉抗体及び検出抗体(それぞれ分離したダイレクトインジケータービーズと接続している)は、所定の標的分子、又は標的化学成分のその他のユニット上の2つの異なる場所に同時に結合して、2つのビーズからなる複合体(すなわち、ダブレット)を形成する。[各ダイレクトインジケータービーズには、2つ以上のその特有な(捕捉又は検出)抗体がその表面に結合しているので、ビーズは2つ以上のそのような複合体に同時に関与することができ、トリプレット又はより高次のビーズ複合体を形成する]。
【0051】
イメージセンサーにより捕捉された1つ又は複数の画像を処理することにより、ダブレット又はより高次の複合体中に存在するそのようなビーズを特定することが可能であり、従って化学成分と関連付けられる。サンプルにおいて特定されたビーズの合計数(複合体化したビーズと複合体化していないビーズ(すなわちシングルトン))に対する複合体化したビーズの割合を決定することにより、サンプルに含まれる化学成分の標的ユニット(例えば、分子)について、そのレベル又は分量又は数量又は濃度を決定することが可能である。
【0052】
いくつかのケースでは、捕捉抗体又は検出抗体の両方ではなく、その一方のみが標的分子に結合している場合もあるので、特定されたシングルトンビーズは、必ずしも標的分子に未結合のビーズではないというのが正しい。
【0053】
しかしながら、一定のインキュベーション条件下において、サンプル中のビーズと接続した捕捉抗体及びビーズと接続した検出抗体の濃度が一定であり、且つその比が既知であると仮定すれば、ビーズ複合体インデックス(すなわち、デバイスにより特定された全ビーズに対する複合体化したビーズの割合)と標的分子の濃度の間の関係を表す「標準曲線」を実験的に確立することが可能である。
【0054】
これを実験的に実施して、図4に示す標準曲線をプロラクチン(Prolactin)について生成した。標準曲線を使用しながら、同一のインキュベーション条件の下、ビーズ複合体インデックス(Bead complex index)を決定することにより、サンプルに含まれるプロラクチンの、そうでなければ不明な濃度を決定することが可能である。
【0055】
いくつかの実施形態では、同一のビーズが、化学成分の所定のユニットと結合する捕捉抗体及び検出抗体の両方を標識するのに使用可能である。いくつかの実施形態では、異なる化学成分のユニットに連結することとなる捕捉抗体及び検出抗体に対して、直接識別可能な異なる特性を有するビーズの複合体を使用することによって、異なる化学成分の存在及びレベルを同時に検出するプロセスを多重化することが可能である。多重化は、異なる色、サイズ、形状、テクスチャー、又はその他の直接識別可能な特性を有するビーズを使用することにより達成され得る。
【0056】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、捕捉抗体200は、固定された表面202に不可逆的に結合しており、例えば異なる種類の捕捉抗体は、固定された表面上のアレイ204内に位置する既知の対応する場所においてスポット206として結合している。そのような実施形態では、捕捉抗体はそれに連結したダイレクトインジケータービーズを有する必要はないが、しかし検出抗体はそれに連結したダイレクトインジケータービーズを有する。固定された表面は、フタ110(イメージセンサー104の表面102と対面し、そしてサンプルの単層100によって占有されるギャップを定義する)の表面108であり得る。サンプルの単層がギャップ内にあり、そして捕捉抗体のアレイ内の印刷されたスポットと接触しているとき、サンプルに含まれる各化学成分は、化学成分の種類に基づき、アレイ内の印刷されたスポットの場所により定義される位置において各捕捉抗体と結合し、それと同時に、ダイレクトインジケータービーズと接続している検出抗体と結合することができる。
【0057】
単層を通過し、そしてダイレクトインジケータービーズによって反射、屈折、又は伝達された入射光を使用して捕捉された画像は、次に検出抗体に連結したビーズの画像化された場所に基づき、異なる種類の化学成分の量を特定及び決定するために処理され得る。化学分析のこの技術は、個別に又はこれまでに議論された接触式CBC技術と組み合わせて使用可能である。
【0058】
いくつかの実施形態では、場所に基づく化学分析技術と、溶液状態又は懸濁状態(すなわち、場所に基づかない、複合ビーズモード)での化学分析技術との組合せが使用され得る。
【0059】
ポイントオブケアの環境において、これらの化学分析技術をCBC技術と組み合わせて使用するために、サンプルをイメージセンサー表面に負荷する前に、ビーズ接続抗体をサンプルに添加する工程を設けなければならない。1つのアプローチは、患者から採取された血液のサンプルをチューブに通過させることであり、そこで、乾燥したビーズ接続抗体が血液により可溶化され、そして標的分子との結合が可能となる。次に調製されたサンプルはセンサー表面上に配置され得る。別のアプローチは、フタが血液サンプルと単層形成時に遭遇するときに、ビーズ接続抗体が可溶化するように、フタ110の表面108上にビーズ接続抗体を配置することである(いくつかのケースでは、フタの特定場所に不可逆的に結合したビーズフリーの捕捉抗体に付加して)。
【0060】
いくつかの実施形態において、標的化学成分のユニットは、抗原、ホルモン、バイオマーカー、薬物、ウイルスカプシド、病原体指向性抗体(例えば、ウイルス指向性抗体)、オリゴヌクレオチド、又は別の分子、細胞、若しくは粒子のうちの少なくとも1つを含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、ビーズは連結ユニットに結合しており、また連結ユニットは、化学成分の標的ユニットに結合する。図3の例では、連結ユニット150及び154は、第1の化学成分の第1の標的ユニット142に結合しており、並びに連結ユニット152及び156は、第2の化学成分の第2の標的ユニット144に結合している。ビーズ158及び160は、連結ユニット150及び154にそれぞれ結合して、ビーズ158及び160、連結ユニット150及び154、並びに標的ユニット142を含む多重ビーズ複合体143を形成する。ビーズ162及び164は、連結ユニット152及び156にそれぞれ結合して、ビーズ162及び164、連結ユニット152及び156、並びに標的ユニット144を含む多重ビーズ複合体145を形成する。いくつかの実施形態では、多重ビーズ複合体の同定を可能にするのは、ビーズ162及び164相互の近接性、又は近接度の一定性、又はその両方である。近接度は、例えば、ビーズの1つ若しくは複数の絶対的な距離又は寸法の割合に関して測定可能である。
【0062】
連結ユニット150、152、154、156は、検出抗体又は捕捉抗体であり得るが、ただしそうである必要はない。抗体に付加又は代替して、連結ユニット150、152、154、156は、病原性ウイルスのカプシドタンパク質、又はその他の抗原を含み得る。連結ユニット150、154は、互いに異なる場合もある。
【0063】
化学成分の標的ユニット142及び144は、抗原、ホルモン、バイオマーカー、薬物、ウイルスカプシド、病原体指向性抗体(例えば、ウイルス指向性抗体)、オリゴヌクレオチド、又は別の分子、細胞、若しくは粒子のうちの少なくとも1つを含み得る。連結ユニット150、152 (例えば)は、ウイルスのタンパク質を含み得るが、該タンパク質はウイルスの抗体142と結合する。
【0064】
いくつかの実施形態では、ビーズ158、160は、1つ又は複数の特性、例えばサイズ、色、形状、表面性状、半透明性、質量等、及びその組合せにおいて相互に異なる。
【0065】
図6に示すように、いくつかの実施形態では、連結ユニット306(例えば、捕捉ユニット、捕捉粒子、又はその他の捕捉要素)は、表面310(例えば、イメージセンサーの表面又はフタの表面)上の既知の場所308に結合している。表面310は、既知の場所312のアレイを含み得るが、既知の場所それぞれは、既知の種類の連結ユニットに対応する(306を除き図示せず)。連結ユニット306は化学成分の標的ユニット304に結合しており、標的ユニット304は連結ユニット302に結合している。連結ユニット302は、ダイレクトインジケータービーズ300に結合している。図5を参照する際に記載したように、連結ユニット306は既知の種類(例えば、化学成分の標的ユニット304と結合することが既知の種類)のユニットであり、また既知の場所にあるので、ダイレクトインジケータービーズ300を画像化する工程、及び既知の場所308を決定する工程は、化学成分の分量若しくは存在、又はその両方を決定するのに使用され得る。
【0066】
連結ユニット302及び306は抗体であり得るが、しかしそうである必要はなく、また図3を参照する際に上記したような、いくつかの種類の連結ユニットを含み得る。化学成分の標的ユニット304は、抗原、ホルモン、バイオマーカー、薬物、ウイルスカプシド、病原体指向性抗体(例えば、ウイルス指向性抗体)、オリゴヌクレオチド、又は別の分子、細胞、若しくは粒子のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、捕捉ビーズは連結ユニットを含む。いくつかの実施形態では、表面(例えば、表面310)は連結ユニットを含む。
【0068】
標的ユニット及び連結ユニットの様々な選択は、様々な用途で、例えばサイトメトリー、in vitro診断、環境分析、多重生化学アッセイ、血清学、及び遺伝子発現等、及びその組合せにおいて使用され得る。
【0069】
患者から得られた血液のサンプルに適用される血清学の一例では、ビーズは、感染性ウイルスの組換えウイルスタンパク質に結合している。組換えウイルスタンパク質は、サンプル中の感染性ウイルスの抗体と結合する。感染性ウイルスの抗体と会合したビーズの2つ以上からなる複合体について、同定若しくは計数、又はその両方がなされ、そして同定若しくは計数、又はその両方(複合体化しなかった単一のビーズの同定若しくは計数、又はその両方と連動する可能性がある)の結果が、これまでに記載したように、感染性ウイルスの抗体の存在若しくはレベル、又はその両方を決定するのに使用される。感染性ウイルスの抗体に関し、その決定された存在若しくはレベル、又はその両方に基づき、患者の感染性ウイルスに対する過去の曝露が特定され得る。血液以外のサンプルも、血液に付加し又はそれに代替して使用され得る。
【0070】
その他の実施形態も下記の特許請求の範囲の範囲内にある。
【符号の説明】
【0071】
10 自動化された技術
12 無細胞化学成分
14 血漿
16 分子
18 サンドイッチ化
20 抗体
22 抗体
24 場所
26 場所
28 表面
30 蛍光分子
32 励起光
34 放射光
36 光検出器
38 フィルター
100 単層
102 表面
104 イメージセンサー
106 感光性素子
108 表面
110 フタ
112 厚さ
113 プロセッサー
120 光
122 光源
124 光の部分
126 感光性素子
128 アレイ
130 光の部分
131 単層の成分
132 光の部分
133 情報
140 単層
142 化学成分/標的ユニット/ウイルスの抗体
143 多重ビーズ複合体
144 化学成分/標的ユニット
145 多重ビーズ複合体
148 サンドイッチ
150 捕捉抗体/連結ユニット
152 捕捉抗体/連結ユニット
154 検出抗体/連結ユニット
156 検出抗体/連結ユニット
158 ビーズ
160 ビーズ
162 ビーズ
164 ビーズ
166 光感受性素子
168 イメージセンサー
170 プロセッサー
200 捕捉抗体
202 固定された表面
204 アレイ
206 スポット
300 ダイレクトインジケータービーズ
302 連結ユニット
304 標的ユニット
306 連結ユニット
308 既知の場所
310 表面
312 既知の場所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】