(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(54)【発明の名称】搬送用フック
(51)【国際特許分類】
B66C 1/36 20060101AFI20230511BHJP
B66C 1/66 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B66C1/36 E
B66C1/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503515
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2021058668
(87)【国際公開番号】W WO2021204688
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(31)【優先権主張番号】102020123514.3
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522391350
【氏名又は名称】スタンプファー クリスティアン
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】スタンプファー クリスティアン
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004CA01
3F004CC01
3F004EA01
(57)【要約】
本発明は、荷重を持ち上げて移動させるための搬送用フックに関し、搬送用フック(1)は、搬送用フック(1)がリフト装置に接続され得る結合要素(4)を有するレバー部分(2)と、荷重(101)を持ち上げて移動させるために、荷重(101)の孔(102)に係合可能なフックシャンク(3)とを備える。フックシャンク(3)は、結合要素(4)からアングル部分(14)の頂点(SP)に延びる線とフックシャンク(3)に沿って延びる線との間の角度(α)が90°より小さいように、レバー部分(2)にアングル部分(14)で接続されている。フックは、小さな開口部を介して上向き面の荷重をピックアップして、確実に持ち上げるために使用されることができる。搬送用フックは、搬送用フックが不意に解放されることを安全に防止する異なるロック要素を備えることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重を持ち上げて移動させるための、孔(102)が形成された板状部分を備える搬送用フックであって、
前記搬送用フック(1)が、前記搬送用フック(1)をリフト装置に接続することができる結合要素(4)を有するレバー部分(2)と、
実質的にほぼ直線的なフックシャンク(3)と、
を備え、
前記フックシャンク(3)が、前記結合要素(4)からアングル部分(14)の内面に位置する頂点(SP)へ延びる線と前記フックシャンク(3)に沿って延びる線との間に90°より小さい角度(α)を形成するように、前記レバー部分(2)に前記アングル部分(14)で接続され、前記フックシャンク(3)及び前記アングル部分(14)は、前記荷重(101)を持ち上げて移動させるために、前記フックシャンク(3)及び前記アングル部分(14)が前記荷重の前記孔(102)に係合でき、前記フックシャンクが前記孔(102)のエッジ領域の背後に係合できるように、ほぼ均一な厚さの連続ストランドを形成する、搬送用フック。
【請求項2】
荷重を持ち上げて移動させるための搬送用フックで、特に請求項1に記載の搬送用フックであって、
前記搬送用フック(1)が、前記搬送用フック(1)をリフト装置に接続することができる結合要素(4)を有するレバー部分(2)と、
前記荷重(101)を持ち上げて移動させるために前記荷重(101)の孔(102)に係合できるフックシャンク(3)と
を備え、
少なくとも前記フックシャンク(3)は、実質的に円形の断面からなる円形構造体である、搬送用フック。
【請求項3】
前記結合要素が前記レバー部分(2)上に結合開口部(4)として形成され、及び/又は前記結合手段が前記フックシャンク(3)から離れて面する前記レバー部分(2)の自由端(2a)に配置される、請求項1又は2に記載の搬送用フック。
【請求項4】
前記搬送用フック(1)が、例えば、鋳造、粉末からのプレス、固体材料からの機械加工、又は半製品からの鍛造により、一体に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送部分。
【請求項5】
前記レバー部分(2)が板状であり、前記レバー部分(2)の幅(B)又は厚さ(H)よりも何倍も大きい長さ(L)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の搬送用フック。
【請求項6】
前記フックシャンク(3)が、前記アングル部分(14)によって前記レバー部分2に接続され、これによって、係合領域(15)が前記アングル部分に隣接して形成され、前記係合領域(15)、前記アングル部分(14)及び前記フックシャンク(3)が、それぞれ実質的に円形の断面を有する円形構造体として形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の搬送用フック。
【請求項7】
前記係合領域(15)、前記アングル部分(14)及び前記フックシャンク(3)の直径(D)が実質的に等しく、特に板状の前記レバー部分(2)の厚さ(H)に対応する、請求項6に記載の搬送用フック。
【請求項8】
前記フックシャンク(3)から離れて面する自由端(2a)における前記レバー部分(2)の幅(B)が、前記フックシャンク(3)に隣接する前記レバー部分(2)の幅(B)より大きい、請求項1~7のいずれか一項に記載の搬送用フック。
【請求項9】
前記レバー部分(2)は、前記フックシャンク(3)の前記係合部分(3c)よりも何倍も長い、請求項1~8のいずれか一項に記載の搬送用フック
【請求項10】
荷重を持ち上げて移動させるための搬送用フック、特に、請求項1~9のいずれか一項に記載の搬送用フックであって、前記搬送用フックが、結合要素(4)を有するレバー部分(2)であって、それを介して前記搬送用フック(1)をリフト装置に接続できる、レバー部分(2)と、前記荷重(101)の孔(102)を通して係合できるフックシャンク(3)であって、前記フックシャンク(3)が前記レバー部分(2)にアングル部分(14)で接続される、フックシャンク(3)とを備え、
前記孔(102)を通して係合した前記フックシャンク(3)が前記孔(102)から脱出できなくなるように、前記フックシャンク(3)に突出部を形成できるように、前記搬送用フック(1)に移動可能に配置されたロック部(7b、7c、7e)を備える安全装置が提供される、搬送用フック。
【請求項11】
前記ロック部(7b、7c、7e)は、前記フックシャンク(3)上に突出部を形成しないように弾力に対して移動することができ、前記フックシャンク(3)を前記孔(102)から引き出すことができるように、バネによって荷重されていることを特徴とする、
請求項10に記載の搬送用フック。
【請求項12】
前記ロック部(7b、7c、7e)は、前記搬送用フックに様々な方法で摺動自在に取り付けられ、特に長手方向に摺動自在に取り付けられるロックロッド(7c)を備えること
を特徴とする、請求項10又は11に記載の搬送用フック。
【請求項13】
前記レバー部分(2)が、前記安全装置(7)を保持するように設計された保持ブラケット(6)を備えること
を特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載の搬送用フック。
【請求項14】
前記アングル部分(14)は、前記ロック部(7b、7c、7e)のガイドを形成する貫通孔(8)を有すること
を特徴とする、請求項10~13のいずれか一項に記載の搬送用フック。
【請求項15】
前記ロック部(7b、7c、7e)は、前記ロック部(7b、7c、7e)を作動させるためのハンドル(9)を備え、前記ハンドル(9)は、前記可動ロック部(7b、7c、7e)の一方又は両方の端部位置を固定するためのストップとしても設計できること
を特徴とする、請求項10~14のいずれか一項に記載の搬送用フック。
【請求項16】
ラッチ機構が前記可動ロック部(7b、7c、7e)をその一方の端部位置で解放可能に固定するために設けられること
を特徴とする、請求項14~19のいずれか一項に記載の搬送用フック
。
【請求項17】
前記搬送用フック(1)が、前記搬送用フック(1)を前記荷重(101)の前記孔(102)の中に固定するロック要素(5)を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の搬送用フック。
【請求項18】
前記ロック要素(5)が、旋回ジョイント(S)において前記フックシャンク(3)に接続され、好ましくは、前記フックシャンク(3)から突出するロック位置、又は前記フックシャンク(3)に対して静止する位置に弾性的に予張される、請求項17に記載の搬送用フック。
【請求項19】
前記ロック要素(5)は、前記係合部(3c)が前記荷重(101)の前記孔(102)を通して係合されるときに前記フックシャンク(3)の表面に対して横たわるように適合され、前記孔(102)を通して係合した後に、前記ロック位置に弾性的に旋回する、請求項17又は18に記載の搬送用フック。
【請求項20】
荷重(101)を持ち上げて移動するために、前記荷重(101)の上面(101a)内に単一又は少なくとも2つの実質的に円形の孔(102)を備えるリフトシステムであって、前記リフトシステム(100)が、
単一又は2つ以上の搬送用フック(1)であって、特に請求項1~19のいずれか一項に記載の搬送用フック(1)を備え、
前記搬送用フック(1)のそれぞれは、ロープ(103)又はチェーンに接続され、前記ロープ(103)又はチェーンは、前記リフト装置(200)のグリッパに接続できるように、前記搬送用フック(1)から離れる方向に向く端部に配置される、リフトシステム(100)。
【請求項21】
構造体、特に、前記荷重(101)の上面(101a)の板状部分内に少なくとも1つの孔(102)を備える、構造体(101)を、フックシャンク(3)、アングル部分(14)及びレバー部分(2)を備える少なくとも1つの搬送用フック(1)で、特に請求項1~19のいずれか一項に記載の搬送用フック(1)で、持ち上げて、移動するための方法であって、
前記搬送用フック(1)のフックシャンク(3)が、好ましくは円形の前記孔(102)を通して挿入され、
前記フックシャンク(3)から離れた前記レバー部分(2)の端部に、前記孔(102)から離れる方向に荷重される力ベクトルを有する、引張力を有するリフト装置(200)を備え、
それによって、前記フックシャンク(3)又は前記アングル部分が、円形の前記孔(102)に挿入され、前記孔(102)のエッジ領域の背後に係合して、前記構造体を持ち上げる、方法。
【請求項22】
円形の前記孔(102)の直径は、少なくとも前記板状部分の厚さに対応することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
・前記孔(102)の領域における前記荷重(101)は、前記フックシャンク(3)の最大径の2倍よりも小さい厚さを有すること、及び/又は
・最大孔径が前記フックシャンク(3)の最大径(D)の2倍より大きくないこと、及び/又は
・前記最大孔径がフックシャンク長(HSL)より小さいこと、及び/又は
・前記孔が楕円形、特に、ほぼ円形であること、
を特徴とする、請求項21又は22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接して配置され、上方からしかアクセスできない床要素などの荷物を持ち上げて移動させるための搬送用フックに関する。
【背景技術】
【0002】
空間内で、コンテナ、フレーム、プレハブ部品、モジュール構造体の部品、あるいは機械などの物品は側面又は背面からピックアップできないように設置されている、又は設置しなければならないので、持ち上げて移動することは困難である。ここで、コンテナなどを、リフト装置に面する表面で、簡単ではあるが確実に、リフト装置に接続することができれば、有利である。
【0003】
床カバー支持構造体は、互いに取り付けられる多数の長手方向に整列した板からなり、特許文献1から公知である。床カバー支持構造体は、所定の距離で互いに平行に延びる細長い孔の形態の少なくとも2つの結合開口部を備える。あるいは、ダブルフックは、床カバー支持構造体に対して横方向に係合することができる。ダブルフックは、孔を通して床カバー支持構造体の内部に係合することができ、ダブルフックは、リフト装置に接続することができる。
【0004】
特許文献2は、支持構造体及び2つの孔を備える産業用マットを開示している。孔は、産業用マットを運ぶために使用することができる。パネル状要素を持ち上げるための他の既知のツールには、パネル状要素を外側の面でピックアップするためのチャンネルフック又はトング状ツールが含まれる。
【0005】
特許文献3は、石のブロックの穿孔された孔に挿入するためにベースに取り付けられたピン状要素を開示している。孔の中で摩擦係合することによって、石のブロックを持ち上げることができる。ベースは、ピンの上に横方向に突出し、石のブロックの表面に対してそれ自体を支持する。これにより、くさびが形成される。
【0006】
搬送用フックで、孔を通して挿入することができ、安全装置によってこの孔のエッジの背後に係合するものを、特許文献4は開示している。
【0007】
特許文献5は、石ブロックを持ち上げるためのセルフロック式リフト装置を開示している。これは、ブラケットが直角に取り付けられているピン状の構造体を備える。クランプレバーが、ブラケットに枢動可能に取り付けられている。クランプレバーの一端には、ロープを取り付けるための結合要素が設けられている。クランプレバーの他端は、ピン状部分が石ブロックの対応する孔に挿入されたときに、石ブロックの表面に押し付けられるエッジを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0292397号明細書
【特許文献2】米国特許第9741847号明細書
【特許文献3】米国特許第845724号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102016222787号明細書
【特許文献5】米国特許第1373438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、安全に荷物をピックアップし、持ち上げ、空間内で危険なしに移動させることができる搬送用フック及びリフティングシステムを提供することである。さらなる課題は、適切な手順を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの課題は、独立請求項の対象によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に明記されている。
【0011】
第一の態様は、孔が形成された板状部分を有する荷重を持ち上げて移動させるための搬送用フックに関し、搬送用フックは、搬送用フックがリフト装置に接続され得る結合要素を有するレバー部分と、フックシャンクとを備え、フックシャンクは、レバー部分にアングル部分で接続されており、その結果、結合要素からアングル部分の内面に配置されているアングル部分の頂上に延びる線とフックシャンクに沿って走る線との角度が90°よりも小さく、好ましくは85°よりも小さいようになっている。フックシャンクとアングル部分は、ほぼ均一な厚さの連続したストランドを形成しているので、荷重を持ち上げて移動するために、フックシャンクとアングル部分は荷重の孔に係合でき、フックシャンクは孔のエッジの背後に係合している。
【0012】
角度が90°より小さいので、フックは荷重の表面に対して斜めの方向にも引っ張ることができ、それにもかかわらず、張力がかかったときに、フックが緩まないように、フックシャンクが荷重の背後に係合することが確保される。
【0013】
フックシャンクとアングル部分の領域でほぼ均一な厚さのストランドからフックを設計することにより、フックシャンクとアングル部分の少なくとも一部が孔に挿入され、フックシャンクが孔のエッジに係合することができる。
【0014】
好ましくは、フックシャンクは、ほぼ直線的な形状である。「ほぼ直線的」とは、フックシャンクの直線的な設計又は曲線的な設計を意味するが、アングル部分よりも実質的に小さい程度に湾曲している。このような湾曲したフックシャンクの半径は、レバー部分の長さの少なくとも半分、特にレバー部分の長さの少なくとも全体である。フックシャンクのほぼ直線的な形成により、フックシャンク自体は、端部のさらに大きな孔の背後に確実に係合し、同時に、ほぼ平坦な板の孔に確実に挿入できるよう、所望の長さに設計することが可能であり、その板は、少なくともレバー部分の長さに相当する距離だけ孔の周囲の全面に延びている。強く湾曲したレバー部分の場合、レバー部分の湾曲と伸長により、フック部分を挿入できるようにするために板の孔を非常に大きくしなければならず、それによって、確実な保持が達成されないという問題、又はフック部分がその湾曲により孔を通して適合しないという問題があるであろう。これに関連して、係合用の孔を端部に配置することができない大きな表面を有する板状部分の場合には、レバー部分を板状部分の表面に対してほぼ平行に配置できること、又は僅かに傾斜した角度だけ傾けて配置できることを考慮することが必要である。また、本発明によるフックは、大きな表面積からなる板状部分を有する本体を確実に持ち上げるために用いることができ、それによって、対応する孔は、フック部分又はアングル部分の断面積よりも僅かに大きければよい。
【0015】
角度は、80°未満にすることができ、特に、約75°の範囲にある。しかしながら、60°未満、好ましくは70°未満であってはならず、さもなければ、搬送される荷重の厚さが非常に制限されることになる。
【0016】
第二の態様は、荷重を持ち上げて移動させるための搬送用フックに関し、搬送用フックは、搬送用フックがリフト装置に接続され得る結合要素を有するレバー部分と、荷重の孔を通して係合し得るフックシャンクとを備え、少なくともフックシャンクは、実質的に丸い断面を有し、少なくとも部分的に、丸い構成要素である。
【0017】
実質的に丸い断面を有する円形構造体は、それによって実質的にエッジがないように形成され、孔の中で傾斜することなく孔の軸の周りに自由に回転できる。
【0018】
このように、フックシャンクが円形構造体として形成されているので、フックを荷重の孔の中で、孔の中心を通るほぼ垂直な軸の周りに回転させても、傾斜が発生することはない。その結果、荷重の孔に挿入する際にフックを自由に配置することができ、荷重を持ち上げるために引張応力が加わったときに自動的に位置合わせを行うことができる。
【0019】
円形構造体の本質的に円形の断面は、楕円形の断面、特に正確な円形の断面であることができる。これは、円形構造体が荷重の非円形の孔に傾斜する可能性のあるエッジを備えていないことを意味する。
【0020】
結合要素は、レバー部分、特にフックシャンクから離れたレバー部分の端部に設けられた結合開口部を備えることができ、ロープ又はチェーンなどの引っ張り手段を取り付けるのに役立ち、この引っ張り手段で、フックを、例えば、荷重を持ち上げるためにクレーンなどの吊上げ装置により引っ張ることができる。結合開口部の代わりに、フックを直接又は引っ張り手段を介して間接的にリフト装置に接続するための任意の他の結合手段も提供されてもよい。
【0021】
結合開口部又は他の結合手段は、好ましくは、リフト装置に面する荷重の上面の中に挿入されるか、又は荷重の上面に接続される。
【0022】
荷重の孔は、例えば、円形又は楕円形であってもよい。特に、孔は、実質的に円形の貫通孔であってもよく、その貫通孔は、後からでも、例えば、手動フライスカッターで、容易に荷重に導入することができる。荷重は、例えば、イベントテントの床カバーであってよく、床カバーは、好ましくは、木材又はプラスチックで作られており、中空部品、フレーム、又は、リフト装置に面する上面に孔を有する機械、又は対応する孔が後に導入される機械などの他の荷重であってよい。
【0023】
孔の直径は、荷重の重量に依存する。基本的に、搬送用フックの寸法は持ち上げられ運ばれる荷重の重量によっても決まるので、荷重が大きければ大きいほど、搬送用フックの直径は大きくなる。また、荷重が小さければ小さいほど、搬送用フック及び孔を小さく設計できることにも当てはまる。これは、荷重の孔の直径と、搬送用フックの材料の厚さ及び/又は材料とが、持ち上げられるべき荷重の重量に適合でき、適応できることを意味する。
【0024】
驚くべきことに、最大径が2cm以下、特に1.8cm以下又は1.5cm以下の比較的小さな孔で、重い荷重を運ぶのに十分であることが示された。これにより、孔は、つまずきの危険を生じさせることなく、搬送可能な床の床カバーに、孔を導入することができる。
【0025】
フックシャンクは、好ましくは、本質的に直線的であるように形成される。フックシャンクは、湾曲したアングル部分によって、好ましくはほぼ直線的なレバー部分に接続されている。
【0026】
好ましくは、フックシャンク、アングル部分、及びレバー部分の隣接する係合領域は、荷重の孔の中に係合するため、及び孔を通して係合するために実質的に同じ断面形状を有する。
【0027】
一実施形態では、フックシャンクは、係合部分から斜めに延びる固定自由端を含むことができる。自由固定端は、レバー部分から離れる方向に延び、したがって、搬送用レバーの全長を長くすることができる。係合部分と自由ロック端は一種のダブルノーズを形成し、荷重から解放されたままの搬送用フックが荷重の孔から落ちたり、リフト装置によって引き抜かれたりするのを防いでいる。固定自由端は、好ましくは、2つの部分の間の相対運動が不可能であるように、係合部分に接続される。フックシャンクは、自由固定端の有無にかかわらず一体に形成できる。
【0028】
つまり、接着や溶接などで結合されたいくつかの部品で構成されていない。レバー部分も同様である。その後、フックシャンク及びレバー部分は、材料嵌め(materialschluessige)、力嵌め(formschluessig)及び/又は形状嵌め(kraftschluessig)方式で互いに接続され、搬送用フックを形成することができる。レバー部分とフックシャンクからなる搬送用フックは、全体として一体に成形されていること、当初から一体に成形されていることが好ましい。
【0029】
部品を一次成形する方法としては、例えば、金属又はプラスチックの鋳造、その後の焼結を伴う又は伴わない粉末プレス、鋸引きやフライス加工のような固体材料からの機械加工、又は対応する半製品からの鍛造がある。これらの技術のいずれかを単独で使用して搬送用フックを形成することができる。しかしながら、これらの技術のうちの2つ又は3つを用いて搬送用フックを完成させることもでき、例えば、レーザなどの方法を使用して、板材から搬送用フックの大まかな形状を切り出し、その後、フックシャンクを鍛造することができる。搬送用フックを少なくとも1つのプロセスで製造した後、後処理を行うことができ、例えば、鋭いエッジの除去、焼き入れ、研磨、又は少なくとも部分的に表面のコーティングを行うことができる。材料として、鋼又は鉄などの金属、あるいは鋼又は鉄と同様の弾力性を有する強化プラスチックを使用することもできる。大きな重量を持ち上げて搬送する必要のない特殊な用途では、軽金属又は軽金属合金を材料として検討することも可能である。
【0030】
搬送用フックのレバー部分は、実質的に板状であってもよい。レバー部分は、レバー部分の幅又は厚さの何倍もの長さを有することができる。レバー部分の長さ、幅及び厚さは、専門家が課題に応じて選択することができる。
【0031】
フックシャンクの自由端は、端部で、又は全体的に丸みを帯びることができ、特に、実質的に半円形であってもよい。断面は、好ましくは実質的に円形であるが、楕円形であってもよいし、丸みを帯びた角の間に実質的に真っ直ぐな中間領域を有する丸みを帯びた角を有するものであってもよい。同じことが、必要な変更を加えて、任意の自由固定端に適用され、この自由固定端は、係合要素を起点として、自由固定端が延びる方向に先細になる直径を有する円錐形の設計とすることができる。
【0032】
フックシャンク又は接続部及び/又はアングル部分及び/又は係合部の円周方向の形状は、好ましくは、鋭いエッジを有さず、孔の中又は孔を通しての容易な係合を可能にする。丸い断面は、有利なことに、搬送用フックが孔のエッジに押し付けられるときに、孔のエッジに損傷を与えることを回避する。
【0033】
係合部及び/又はアングル部分及び/又はフックシャンク及び/又はフックシャンクのオプションの自由固定端の直径は、板状のレバー部分の厚さに本質的に対応することができる/可能性がある。タスク及び運ばれる荷重に応じて、所定の直径は、レバー部分の厚さよりも小さく又は大きくすることも可能である。
【0034】
フックシャンクから離れた自由固定端におけるレバー部分の幅は、係合領域に隣接するレバー部分の幅よりも大きくてもよい。例えば、レバー部分の幅は、自由端で係合部よりも1.5倍又は2倍であってもよい。
【0035】
フックシャンクに面する端部において、レバー部分は、移行領域を有してもよく、移行領域は、フックシャンクと同様に、フックシャンクの直径に実質的に対応する直径を有する円形である。フックシャンクがこの移行領域を超えて荷重の孔に入るのを防ぐために、レバー部分は、レバー部分から側方に突出する翼を有してもよく、こうして、レバー部分は、レバー部分の平均直径よりも大きい翼の領域における幅、例えば、この領域におけるレバー部分の直径の2倍を有することになる。
【0036】
フックは、2つの翼、好ましくは同一形状の翼を備えることができ、この2つの翼は、レバー部分の反対側でレバーに接続され、結果として右翼と左翼を形成する。この場合、翼は、レバー部分に接続され、特にフックシャンクに面するレバー部分の下側で、例えば、溶接、接着、又はその他の好ましくは取り外し不能に接続される。あるいは、翼は、例えば、力嵌め又は材料嵌め方式で接合された方法で、レバー部分に接続される翼要素として一体に形成することができる。
【0037】
翼要素、それぞれレバー部分から離れる方向に向いた翼要素の上面は、レバー部分の周囲の外面を越えて突出してもよく、又は接続状態において、フックの表面と平坦であってもよく、これは、翼要素がレバー部分から突出せず、翼要素のためにレバー部分によって形成されるレセプタクルに、周囲のレバー部分と同じ高さに位置することを意味している。最後に、レバー部分は、翼要素のための受けスロットを有していてもよく、そこに翼要素が挿入され、例えば、接着剤で固定されたり、ネジで取り付けられたりして固定される。同じことが、必要な変更を加えて、右翼と左翼にも適用される。
【0038】
翼又は翼要素は、レバーの中央長手方向軸に対して横方向の長さの延長又はスパンを有し、翼又は翼要素の領域におけるレバー部分の直径を、例えば、約2倍にするように選択される。翼又は翼要素の断面は任意であり、孔への損傷を避けるために丸みを帯びたエッジを有することができる。好ましくは、翼又は翼要素は、少なくともレバー部分から突出する領域において、実質的に円形、例えば、楕円形、水滴形又は楕円形の直径を有する。直径は、翼又は翼要素の長さにわたって一定であってもよいし、翼又は翼要素の長手方向及び/又は横方向において連続的又は部分的に変化してもよい。フックシャンクに面する翼又は翼要素の前端は、レバー部分又はレバー部分の表面からそれぞれ90°~110°の角度で突出してもよい。上から見たとき、翼は、実質的に四角形又は三角形の周辺形状を備えても、あるいは翼要素は、実質的に円又は三角形のセグメントの形状である周辺形状を備えてもよい。翼又は翼要素の前端からフックの前端におけるフックの長手方向の接線までの距離は、係合部の領域におけるフックシャンクの直径の約2倍とすることができる。また、この距離は、より大きくても小さくてもよい。
【0039】
搬送用フックのレバー部分は、フックシャンクの何倍もの長さを有することが好ましい。特に、レバー部分は、フックシャンクの少なくとも2.5倍、特に少なくとも3倍、好ましくは少なくとも4倍の長さである。レバー部分が長ければ長いほど、フックの孔への係合が安定する。
【0040】
フックシャンクの長さHSLは、好ましくは少なくとも2cm、特に少なくとも3cm、好ましくは少なくとも4cmである。
【0041】
フックシャンクから離れる方向に向いたレバー部分の自由端は、好ましくは、例えばクレーンなどのリフト装置に接続されるように適合されている。この目的のために、自由端は、アイの形状に形成することができ、又は、少なくとも1つの結合開口部をレバー部分の表面に挿入することができ、その開口を介して、例えば、ロープ又はチェーンを通過させることができる。自由端は、また、レバー部分の自由端に接続又は接合された、バネ安全フック又は目的に適した他の任意の既知の接続要素の形態とすることも可能である。
【0042】
搬送用フックは、少なくとも搬送用フックに荷重の重量がかかっていないときに、フックシャンクを孔の中に固定するロック要素をさらに備えてもよい。例えば、ロック要素は、例えば、係合部又はアングル部分において、フックシャンクに旋回ジョイントで接続される保護フラップであることができる。それは、好ましくは、フックシャンクから斜めに突出するロック位置、又はロック要素がオフである、すなわち、好ましくはフックシャンクに対して形状嵌め方式で静止する解放位置に弾性的に予荷重されることができる。弾性張力は、例えば、圧縮バネ又は引張バネのような弾性要素によって発生させることができる。ロック要素がフックシャンクに形状嵌めで接触しているとき、フックシャンクの構造から離れる方向に向くロック要素の表面は、好ましくは、フックシャンクの表面を形成する。これは、フックシャンクと接触しているロック要素がフックシャンクから突出せず、周囲のフックシャンクと同一平面上にある、ロック要素用のフックシャンクによって形成されたレセプタクルに位置することを意味する。
【0043】
フックシャンク又は少なくとも係合部が孔を通して案内される前に、ロック位置に予張されたロック要素は、ロック要素が前端を孔に向けた状態で孔内に横たわるまで、例えば、親指で弾性力に逆らって解放位置に押圧することができる。親指は、ロック要素を解放することができ、ロック要素は、解放位置又は解放位置とロック位置の間の中間位置で孔の中に保持される。フックシャンクが孔を十分に通過すると、弾性要素は、荷重が持ち上げられたときに、レバー部分のロックフックに作用する引張力によって、ロック要素を保持されるロック位置へと完全に押し込むことができる。ロック装置を解除するには、ロック要素を解放位置に戻し、搬送用フックが孔から引き出されたときに、ロック要素上をスライドする孔のエッジが、ロック要素が解放位置に押すことができる程度に孔内に戻るまで、そこに保持しなければならない。
【0044】
本発明のさらなる態様は、荷重を持ち上げて移動させるための搬送用フックに関し、搬送用フックは、搬送用フックがリフト装置に接続され得る結合要素を有するレバー部分と、荷重の孔を通して係合し得るフックシャンクとを備え、フックシャンクは、レバー部分にアングル部分を有して接続される。この搬送用フックは、孔に通したフックシャンクが孔から抜けなくなるように、フックシャンクに突出部を形成できるように搬送用フックに移動可能に配置されたロック部を備える安全装置によって特徴付けられる。
【0045】
したがって、ロック部によって形成された突出部は、使用時に、リフト装置が係合することができるフックの結合要素から荷重の反対側に配置することができ、突出部のために、フックシャンクが孔を通って適合せず、そこから引き出されないようにすることができる。典型的には、この突出部は、孔が形成されている荷重の部分の背面側に配置される。
【0046】
しかしながら、ロック部は、使用時にフックの結合要素と同じ荷重の側に配置することもできる。このようなロック部は、レバー部分に配置され、その上に、レバー部分からフックシャンクと同じ方向に延びる突出部を形成することができる。これにより、レバー部分のフックシャンクに面する側面が、荷重の表面から距離を保つ。その結果、フックシャンクは孔のエッジの背後に係合し、搬送用フックは孔から取り外すことができない。
【0047】
ロック部は、好ましくは、特に長手方向に移動できるように、搬送用フックに取り付けられるロックロッドを備える。
【0048】
搬送用フックのレバー部分は、安全装置を保持するために使用される保持ブラケットを含むことができる。
【0049】
搬送用フックのレバー部分は、安全装置を保持するために使用される保持ブラケットを含むことができる。
【0050】
保持ブラケットは、搬送用フックと一体的に、特にレバー部分に形成又は鋳造することができ、「一体的に」の意味は、搬送用フックについて既に上で説明したとおりである。保持ブラケットは、例えば、形状、力及び/又は材料のロックによって、レバー部分に接合することができる別個の部品とすることができる。
【0051】
安全装置は、保持ブラケットに取り付けるために使用できる取付板を備えることができる。移動可能に取り付けられたロック部は、ロックロッドと、それが保持ブラケットにバネで荷重される他の部品とからなる。特に、これらの部品は、ロック部を操作するために使用することができるハンドルを備える。
【0052】
保持ブラケットは、ロックロッドのための通過孔を有する板状であることもでき、保持ブラケットは、安全装置の取付板のためのストップを形成する。好ましくは、安全装置をロック位置又は休止位置に予張するバネ要素は、一端を保持ブラケットの外側に取付板から離れる方向に向け、他端を保持ブラケットに面したハンドルの端部に支持される。これは、バネ要素、例えば、圧縮バネ又は引張バネが、保持ブラケットの外側で自由にアクセス可能であることを意味する。バネ要素は、弾性のある圧縮可能又は膨張可能なスリーブによって汚染から保護することができる。
【0053】
搬送用フックは、アングル部分の領域に貫通孔を有することができ、この貫通孔は、ロック部、特にロックロッドのためのガイド、好ましくはリニアガイドを形成する。これは、ロック部が、取付板から、アングルシャンクの領域で搬送用フックの貫通孔の中に延び、貫通孔を通って、フックシャンクから突出するように貫通孔の外に延び、固定突出部を形成することができることを意味する。ロックロッドが貫通孔の内側に配置されている場合、ロックロッドは、搬送用フックを荷重から解放又は荷重に接続できる解放位置をとり、保持ブラケットから離れる方向に向く端部で貫通孔の外に延びる場合、搬送用フックを孔内に固定するロック位置をとる。
【0054】
ロック部をロック位置から解放位置に移動させるために、ロック部は、取付板から離れたロックロッドの自由端が搬送用フックの貫通孔内に位置する程度に、弾性要素又はバネの力に抗して手で動かすことができるハンドルを備えることができる。この解放位置において、ロックロッドは、例えば、ロック機構によって固定することができ、これにより、ロックロッドは、例えば、保管中に、又は搬送用フックを使用する場所への搬送中に、損傷から有利に保護される。このロック機構は、例えば、ハンドルを用いてロック部をその長手方向軸の周りに回転させることによって作動させることができる。ロック機構は、また、ハンドル又は他の手段を用いて、ロック部をロック位置に固定し、意図せずに解放位置に戻ることができないようにすることもできるように設計することができる。
【0055】
アングル部分の領域における貫通孔の製造を容易にするために、フックは、貫通孔が形成される領域において、ドーマーの形態でフックの外面から突出するノーズを備えることができる。ノーズは、保持ブラケットに面し、保持ブラケットと実質的に平行な平坦な面を有する。これにより、ドリルを平面上に配置することができるため、貫通孔の穿孔が容易となる。
【0056】
ノーズは、好ましくは固定的なように、又はあまり好ましくは着脱可能なように、フックに接続される別個の部品とすることができる。ノーズは、フックと一体に形成することができ、その一体とは、フックについて既に説明したのと同じ意味を有する。ノーズは、有利なことに、貫通孔の長さを延長し、それにより、ロックロッドは、貫通孔内でより長い長さにわたってガイドされ、したがって、より長い長さにわたって損傷から保護される。
【0057】
ノーズは、保持ブラケットに面する表面を有してもよく、この表面は、ハンドルが意図せずに作動することを防止する形状及び大きさである。意図しない作動とは、特に、保持ブラケットから離れる方向に面するハンドルの側に作用する力によって引き起こされるロック部の意図しない解放を意味すると理解される。
【0058】
ノーズは、レバー部分の中央長手方向軸に実質的に平行に配向され、レバー部分から離れる方向に向いた平坦面を備えることができる。ノーズは、平坦な表面から上方に、好ましくは斜めに突出する延長部を備え、穿孔が形成されたハンドルに面するノーズの側を拡大するように構成され得る。ハンドルに面するノーズの突出面は、ノーズに面するハンドルの突出面と少なくとも同じ大きさである。ノーズの突出面は、ハンドルの突出面を少なくとも実質的に、好ましくは完全に覆っている。
【0059】
ロック部は、上述したロック要素に作用して、ロック要素をロック位置に枢動させるために使用することもできる。この場合、ロック要素は、弾性的に休止位置に予張され、伸縮ロックロッドによって弾性的な予張力に抗してロック位置に移動させることができ、好ましくはロック位置に保持される。ロック部は、搬送用フックが孔の中で二重に固定されるように、前述のように伸縮位置へ予張することができる。ロック部が解放位置に移動され、好ましくは解放位置に固定されると、ロック要素は弾性的に解放位置に戻され、搬送用フックを再び孔から取り外すことができる。搬送用フックを孔から取り外すために、荷重の下に手を伸ばす必要はない。ロック部がロック位置に固定されると、ロック要素の弾性反動力は、ロック要素が解放された後に、ロックロッドをロック位置に戻すこともできる。この場合、ロック要素は、ロックロッドをロック位置に固定する。
【0060】
荷重が搬送用フックに張力をかけて吊るされる場合、搬送用フックはセルフロック方式で孔の中に受け取られる。すなわち、前述のロック装置は、主に、荷重を持ち上げる前及び持ち上げる最中に、搬送用フックが荷重の孔から引き出されることを防止する。当然、それらは、荷重の持ち上げ中に搬送用フックを固定することもできるが、この場合、搬送用フックは、フックシャンクが孔のエッジの背後に係合し、搬送用フックが荷重の孔によって所定の位置に固定されることによって、それ自体で十分に固定される。
【0061】
本発明の別の態様は、荷重を持ち上げて移動させるためのリフトシステムに関する。このリフトシステムは、レバー部分とフックシャンクとを備える単一又は少なくとも2つの搬送用フックと、搬送用フックに接続される又は接続可能なリフト装置と、を備える。好ましくは、少なくとも2つの搬送用フックを使用する場合、搬送用フックは同一に構成される。
【0062】
搬送用フックは、特に、上記で説明したような搬送用フックとすることができる。搬送用フックのそれぞれは、好ましくは、レバー部分においてロープ又はチェーンに接続される。ロープ又はチェーンは、リフト装置の接続要素又はグリッパに接続できるように、搬送用フックから離れる方向に向いた端部に配置される。
【0063】
搬送用フックのそれぞれは、フックシャンクで荷重の孔に通すことができ、リフト装置が荷重を持ち上げることによって搬送用フックに引張力を加えると同時に、クランプによって孔の中で固定される。搬送用フックのそれぞれは、搬送用フックを孔の中で追加的に固定するロック要素及び/又は安全装置を備えることができる。ロック要素又は安全装置は、好ましくは、上述した安全装置に関する。
【0064】
リフトシステムは、積荷の孔に係合する単一の搬送用フックのみから構成することができる。大きな、例えば、平らな又は中空の部品の場合、リフトシステムが少なくとも3つ、4つ又はそれ以上の搬送用フックを備えると、設置、持ち上げ及び搬送中に、荷重が傾斜及び/又は回転することを防止するために有利である。
【0065】
本発明のさらなる態様は、荷重、例えば、構造体の上面内に少なくとも1つの丸い孔を含む中空構造体又は成形管である荷重を、単一又は複数の搬送用フック、特に上に説明したような搬送用フック、又は上に図示したようなリフトシステムを用いて、持ち上げ、移動するための方法に関する。
【0066】
搬送用フックは、フックシャンク及びレバー部分を備える。荷重の孔は、好ましくは、ほぼ円形の貫通孔であり、その後で、荷重に挿入することも可能である。
【0067】
吊り上げの準備のために、搬送用フックのフックシャンクは、手で部分的に孔に挿入することができる。第一のステップでロック部及び/又はロック要素をフックシャンクと共に孔に挿入して孔を通して送り出すように、旋回ジョイントでフックシャンクに接続され弾性的にロック位置に予張されているロック部及び/又はロック要素を、ロック要素がフックシャンク上に突出しない解放位置に手で移動又は押すことが必要であろう。第二のステップにおいて、搬送用フックは、フックシャンクが孔、好ましくは楕円形又は円形の孔でクランプされるように、孔への搬送用フックの挿入方向と実質的に反対である力ベクトルで、引張力を荷重される。
【0068】
以上説明した態様は、それぞれ独立して使用することもできるし、実施形態例で示すように、互いに組み合わせて使用することもできる。以下では、図を参照しながら本発明をより詳細に説明する。図には、搬送用フックの実施形態例が示されているが、それによってこれらの実施形態に範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】安全装置を有する搬送用フックを側面図である。
【
図2】安全装置のない
図1の搬送用フック透視図である。
【
図4】
図2の搬送用フックを側面から見て、中央長手方向軸に沿った断面図である。
【
図5】ロック位置に予張されたロック要素を有する搬送用フックである。
【
図6】ロック位置に押し込まれ、安全装置によってそこに保持されるロック要素を有する搬送用フックである。
【
図7】2つ又は3つの搬送用フックを有するリフトシステムの概略図である。
【
図8】搬送用フックで荷物を把持して持ち上げるためのプロセスステップの概略図である。
【
図9】
図9a、
図9bは、解放位置とロック位置における別のロック要素を有する搬送用フックである。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、搬送用フック1を示し、これを用いて、荷重101、例えば、イベントテントの床要素などを持ち上げることができる。
【0071】
搬送用フック1は、レバー部分2と、フックシャンク3と、安全装置7に接続された保持ブラケット6とを備え、搬送用フック1を荷重101の孔102に係合し、部分的に通過させた状態で固定することができる。
【0072】
レバー部分2は、自由端2aと、結合要素として作用し、フックシャンク3から離れた自由端2aに近い、結合開口部4とを有する。フックシャンク3に隣接して、フックシャンクとレバー部分2とを接続するアングル部分14がある。アングル部分14は、レバー部分2とフックシャンク3とが互いに斜めに配置されるように曲げられている。
【0073】
レバー部分2は、アングル部分14に隣接する係合領域15を有し、係合領域15は、以下に説明するように、特定の状況において荷重101の孔102に係合するために、アングル部分14及びフックシャンク3と実質的に同じ断面形状を有する。
【0074】
本実施形態では、係合領域15、アングル部分14及びフックシャンク3は、若干平坦な側部表面16を有するほぼ円形の断面からなる。好ましくは、断面は、孔102の中心を通り、孔102が作られる荷重の板状部分に対して垂直な孔軸105の周りを孔102内で自由に回転するように、実質的にエッジのない形状である。実質的にエッジがないことは、例えば、100°以上、特に150°以上の鈍角のみがエッジに形成されていることを意味する。このようなエッジがあれば、孔のエッジに形成された突出部に絡む危険性は低い。したがって、
図1に示す実施形態例では、断面がほぼ円形の平坦な表面16がそれぞれエッジ17を形成しており、このような鈍角を囲むことにより、絡まる危険性は、もはやない。
【0075】
フックシャンク3は、係合部分3aと、アングル部分から離れた自由端3bとを備え、鈍い形状、例えば、球セグメントの形状を有している。本実施形態例では、搬送用フック1は、一体品として形成されるか、又は一体品から形成される。これは、例えば、搬送用フック1が、板材から切り出されたもの、鋳造工程で製造されたもの、粉末からプレスされたもの、又は半製品から鍛造されたものであることを意味する。
【0076】
安全装置7は、取付板7aとロック部とを備え、本実施形態では、中空円筒7bと自由端7dを有するロックロッド7cとから形成されている。ロック部は、さらに、ロックロッド7cに連結されるハンドル9を備える。中空円筒7bは内ねじを、ロックロッド7cの後部は外ねじを有し、これらは互いに係合される。ロックナット7eにより、一方では円盤状のハンドル9をロック部に固定し、他方ではロックロッド7cの中空円筒7bに対する相対位置を調整することができる。これにより、ロック部の長さを調整し、搬送用フック1で持ち上げるべき荷重101の孔102のサイズに適合させることができる。
【0077】
中空円筒7bは、保持ブラケット6の貫通孔10に摺動可能に取り付けられている。貫通孔10には、取付板7aに支持されてロック部7b、7c、7eに力を加え、ロック部を保持ブラケット6から遠ざける圧縮バネ(図示せず)が配置されている。
【0078】
ロックロッド7cは、アングル部分14を貫通して延びる貫通孔8に摺動可能に取り付けられ、保持ブラケット6から離れたフックシャンク3側に結合し、ロックロッドが自由端7dでロック位置にあるフックシャンク3上に突出する(
図1)。
【0079】
貫通孔8,10は、互いに位置合わせされており、すなわち、孔10の中心軸A10は、孔8の中心軸A8と一致する。
【0080】
本実施形態では、ハンドル9は、ロック位置と解放位置との間でのロック部7b,7c,7eの移動を制限するためのストップとしても機能する。
【0081】
ロック位置では、フックシャンク3上のロックピン7cがその自由端7dで突出し、ハンドル9が係合領域15でレバー部分2に当たる。解放位置では、ロックピン7cがその自由端7dで搬送用フック1の貫通孔8に完全に引っ込み、ハンドル9が保持ブラケット6に当たる。このように、ロック部は貫通孔10に対して伸縮可能になっている。
【0082】
この解放位置において、ロックロッドは、任意選択で、ロック機構(図示せず)によって固定することができ、これにより、ロックロッドは、例えば、保管中に、又は搬送用フックを使用する場所への搬送中に、損傷から有利に保護される。このロック機構は、例えば、ハンドル9を用いてロック部をその長手方向軸の周りに回転させることによって作動させることができる。ロック機構は、また、ハンドル9又は他の手段を用いてロック部をロック位置に固定し、それが意図せずに解放位置に戻らないようにすることもできるように設計することが可能である。
【0083】
取付板7aは、解放位置においてロック板7aを介してロック部が後方に突出する貫通孔を有することができる。そして、この貫通孔は、ロック部のさらなるリニアガイドを形成する。本実施形態例では、取付板7aは、貫通孔を有さずに設計されている。ハンドル9の代替として、取付板は、ロック部の解放位置への移動を制限するために、ロック部のためのストップを設けることができる。
【0084】
アングル部分14は、係合領域15をフックシャンク3と斜めに接続し、本実施形態における角度は90°未満である。搬送用フックの他の実施形態では、角度は、約90°又は90°とすることができる。接続線Vが、アングル部分15の結合点と頂点SPを通って延びている。結合点は、例えば、リフト装置が搬送用フック1を持ち上げるために係合する接続点である。本実施形態では、結合点は、搬送用フック1がリフト装置200に接続できる結合開口部4の中心点4Aである。頂点SPは、アングル部分の内面に配置されている。フック線HLは、フックシャンク3の内面に沿って走る。接続線Vとフック線HLは、90°より小さく、好ましくは85°より小さく、特に80°より小さいか、又は75°より小さい角度αで交差している。
【0085】
角度αが小さいほど、フックシャンク3は、搬送用フック1が孔に引っ掛けられた荷重の板状部分の裏側に強く係合し、レバー部分2を荷重の板状部分に対して垂直に配置する必要が少なくなる。
【0086】
フックシャンク3は、孔のエッジの損傷を緩和又は防止するために、例えば、滑り止めの表面を有する、及び/又は弾性材料からなる部分的なシース又はコーティング13を有してもよい。
【0087】
図2は、
図1の搬送用フック1を安全装置7なしで、透視図で示す。
図2は、安全装置7用のレセプタクル6a内の貫通孔10と、取付板7aが搬送用フック1に接続できる取付点11を示し、この接続は、例えば、図示されていない対応接続要素を介して、ねじ込み、又は確実に受けることができる。さらに、
図2には、ロックロッド7cのための貫通孔8が示されている。
【0088】
実施形態では、レバー部分2は、平坦な構造体として設計されており、すなわち、本質的に互いに平行に走る2つの平坦な側壁12を有している。側壁12は、レバー部分2の厚さH(
図3)及び/又は幅Bが、レバー部分の長さL又は長さの一部にわたって変化するように、互いに斜めに延びることもできる。
【0089】
レバー部分2は、その係合領域15に直接隣接する第一の幅B1と、幅B1の約2倍である自由端2a付近の第二の幅B2とを有する。実施形態例では、第一の幅B1から第二の幅B2への移行はステップ状であるが、レバー部分2のその長さに沿った拡大は、連続的に実施することも可能である。
【0090】
この拡大は、フックシャンク3と同じ側を向くように設計される。結合開口部4の中心は、残りのレバー部分2の中央長手方向軸MLA(
図4a)から少しオフセットすることができる。本実施形態では、オフセットは、結合開口部4の半径にほぼ対応する。中央長手方向軸MLAに対するオフセットは、フックシャンク3が配置されている側に向けられるので、上記で説明した接続線Vとフック線HLとの間の角度αは、オフセットなしよりも小さく、それによって、フックシャンク3による角度の偏向又は背後の係合は、より顕著である。
【0091】
図3は、
図2の搬送用フック1を上から見た図である。本実施形態の搬送用フック1は、その全長Lに沿って実質的に均一な厚さHからなる。つまり、実質的に丸い、又は円形のフックシャンク3の直径Dは、平らなレバー部分2の厚さに対応する。また、厚さHは、例えば、接続部3cの近傍よりも自由端2aで、小さくすることができる。
【0092】
搬送用フック1は、中央長手方向平面MLE(MLEは
図3の図面平面に対して垂直である)を基準とする鏡面設計である。これは、搬送用フック1が、例えば、溶接して一緒に接合される2つの鋳造又は成形部品からなり得ることを意味している。これにより、貫通孔8、10をそれぞれの半部に形成することができるので、搬送用フック1の後処理を省くことができる。
【0093】
図3の上面図は、
図2と同様に、安全装置7のロックロッド7cのための貫通孔8、貫通孔10及び取付点11を示す。
【0094】
図4は、搬送用フック1を側面図で示す図a)、フックシャンク3に自由ロック端3eを有する搬送用フック1の別の実施形態を示す図b)、図a)の搬送用フック1を中央長手方向平面MLEに沿って、側壁12と平行に通る断面を示す図c)よりなる。図c)の搬送用フックは、任意の磁石19を備え、特に永久磁石を備え、これは、荷重101が磁気金属からなるか磁石19に引き付けられる金属からなる場合に、孔102に搬送用フック1を追加で固定させるものである。
【0095】
図4aは、安全装置7がないだけで、
図1の搬送用フック1の図示と実質的に同じである。したがって、
図1の説明を参照されたい。
【0096】
図4bは、搬送用フック1の代替実施形態を示す。この搬送用フック1は、係合部3cに接続される自由ロック端3eの形態のロックを含んでいる。自由ロック端3eは、レバー部分2から離れる方向に係合部3cから突出して、搬送用フック1の長手方向に延びている。自由ロック端3eと係合部3cは、それによって一種のダブルノーズを形成し、搬送用フック1が搬送装置によって引張力を受けていないとき、又はまだ受けていないとき、搬送用フック1を荷重101の孔102に確実に固定する。
【0097】
図4cは、ロック装置7のない
図4aの搬送用フック1を通る断面を示す。この図において、フックシャンク3及び保持ブラケット6内のそれぞれの貫通孔8及び10のコースは、それぞれ初めて見ることができる。貫通孔10の中心軸A10と貫通孔8の中心軸A8が一致していること、すなわち、2つの中心軸A8とA10とが一致していることが明らかである。これにより、貫通孔10と貫通孔8を片側から2段階で作成することができる。また、貫通孔10と貫通孔8を反対側から2つのツールで同時に穿孔することも可能である。
【0098】
さらに、磁石14が搬送用フック1に接続され、例えば接着剤で固定されるか、力嵌め及び/又は形状嵌めによって接続される。磁石14は、持ち上げられるべき荷重101が磁性材料で作られているか、又は磁性材料、例えば、強化プラスチック中の金属粒子を含む場合に、追加の安全装置を提供する。磁石14は、好ましくは、搬送用フック1を荷重101上に固定し、荷重101が好ましくは所定の重量で持ち上げられると、荷重101から容易に解放される永久磁石である。
【0099】
図5は、安全装置7に接続するための保持ブラケット6を有しない搬送用レバー1を示す。搬送用フック1を荷重101の孔102に固定するために、搬送用フック1は、フックシャンク3の領域に、旋回ジョイントSで係合部3cに接続されるロック要素5を備えている。ロック要素5は、図示のロック位置に弾性的に予張されており、フックシャンク3又は係合部3cと共に、荷重101の孔102に挿入するために、例えば、手で、フックシャンク3上の引張力に逆らって押すことができる。ロック要素5が孔102を完全に通過すると、弾性力によって図示のロック位置に自動的に移動し、それによって、荷重101の孔102に搬送用フック1が固定される。
【0100】
図6は、安全装置7とロック要素5を有する搬送用レバー1を示し、この場合、ロック要素5は、フックシャンク3に対して横たわる解放位置に弾性的に予張されている。この位置から、安全装置7によって、弾性力に逆らって、図示されたロック位置に移動させることができる。この目的のために、ロックロッド7cは、自由端7dでロック要素5を押し、そのロック要素5を図示のロック位置に移動させ、その位置で固定する。
【0101】
ロック要素5をロック位置に設定するために、ロックロッド7cは、例えば、ハンドル9を介してロック機構(図示せず)によって図示の位置に固定することができ、例えば、ロックロッド7c上のハンドル9を回転させて伸縮した位置に固定することができる。搬送用フック1を荷重101の孔102から取り外すには、次に、ハンドル9によってロックロッド7cを解放することだけが必要である。次いで、ロック要素5に作用する弾性反動力は、ロック要素5を解放位置に押し戻し、ロック要素5のバネ力がロックロッド7cにかかるバネ力より大きいとき、同時にロックロッド7cを貫通孔8内に戻らせることができる。
【0102】
ロック部をロック位置及び解放位置に固定するためのロック機構が設けられている場合、ロック部7b、7c、7eに作用するためのバネは、完全に省略することができる。このことは、説明した全ての実施形態に当てはまるが、その理由は、ロック部は、ロック位置だけでなく、解放位置においても、バネなしで、規定された方法で保持されるからである。しかしながら、バネを適用することは、ロック部が常に自動的に定められた位置になるため、有利である。バネは、ロック部が解放位置に押されるように配置することもできる。しかしながら、この場合、ロック部をロック位置に固定することができるロック機構を設けることが望ましい。
【0103】
さらなる実施形態による搬送用フック1は、レバー部分2に可動安全レバー20が形成されている(
図9a、9b)。安全レバー20は、レバー部分2の側の結合開口部に隣接する旋回ジョイント21によって旋回可能に取り付けられており、そこからフックシャンク3も離れて延びている。安全レバー20は、安全レバーがストップ要素22でフックシャンクに当たり、さらなる旋回運動が阻止されるまで、フックシャンク3から短い距離だけ離れるように折り畳むことができる(
図9b)。
【0104】
解放位置(
図9a)では、安全レバー20は、レバー部分2に直接接続されている。したがって、搬送用フック1は、フックシャンク3と共に荷重101の孔102に挿入し、再び引き出すことができ、レバー部分2は、この目的のために荷重101の表面とほぼ平行に配置されている。
【0105】
ロック位置では、安全レバー20は、レバー部分2からフックシャンク3と同じ側に突出する(
図9b)。これにより、フック脚が荷重101の孔102のエッジの背後に係合することができる。レバー部分2は、荷重101の表面に向かって移動することができないため、搬送用フック1は孔102から取り外すことができない。
【0106】
したがって、安全レバー20は、搬送用フック1に可動ロック部を形成し、搬送用フックを孔102に固定するために使用することができる。
【0107】
安全レバーは、対応する固定装置によって、その端部位置で固定することができる。この固定装置(図示せず)は、例えば、レバー部分2と安全レバー20との間に配置され、これらを押し広げるバネを備えてもよい。固定リングは、レバー部分2の周りに巻きつき、レバー部分2に対して静止している安全レバー20をも囲み、レバー部分2に対して静止しているその位置に固定するように、レバー部分に沿って変位させることができる(
図9a)。ロックリングをフックシャンク3の方向に変位させることによって、安全レバー20を解放することができる。ラッチ手段は、バネの代わりに、又はバネに加えて、
図9a及び/又は
図9bに従って、安全レバーをその端部位置で固定するために設けることもできる。枢動可能な安全レバーの代わりに、枢動可能ではない別の可動ロック部を設けることもでき、これは、レバー部分2によって変化し得る突出部を形成することが可能である。
【0108】
図7は、板状の荷重101又は板状部分を有する構造体を支持する第一のリフトシステム100の一例を図面a)で示している。荷重101は、荷重101の孔102を通して係合する搬送用フック1のフックシャンク3(
図3)の直径Dよりわずかに大きい直径を有する3つの実質的に円形の孔102を備える。搬送用フック1は、ロープ又はチェーン103によって、図面a)に方向矢印で示されるリフト装置200に接続することができる。ロープ103は、直接又は接続要素104を介して、リフト装置200に、例えば、クレーンに接続することができる。
【0109】
図面b)は、板状の荷重101又は板状部分を有する構造体を支持する第二のリフトシステム100を示す。構造体101は、荷重101の孔102を通して係合する搬送用フック1のフックシャンク3(
図3)の直径Dよりわずかに大きい直径を有する4つの実質的に円形の孔102を備える。搬送用フック1は、ロープ又はチェーン103によって、図面b)に方向矢印で示されるリフト装置200に接続することができる。ロープ103は、直接又は接続要素104を介して、リフト装置200に、例えば、クレーンに接続することができる。
【0110】
図面c)は、箱形又は中空構造体の荷重101を有するリフトシステム100を示す。板状部分を形成する荷重101の上面101には、搬送用フック1が係合する2つの孔102が挿入されている。搬送用フック1は、
図7の図面a)、b)に示すように、ロープ103を介してリフト装置200に接続されている。
【0111】
図8では、4つの手描きのスケッチは、1つ以上の搬送用フック1を使用して、板状部分の実質的に円形の孔102を有する荷重101を把持して持ち上げるために必要なプロセス手順を示している。
【0112】
図面a)は、レバー部分2とフックシャンク3とを有する搬送用フック1を示し、搬送用フック1が、例えば、手で、どのように荷重101の円形孔102に持っていかれるかを示している。図面b)では、フックシャンク3は、荷重101の円形孔102に通され、板状の荷重101から下方に突出している。搬送用フック1のレバー部分2は、荷重101の上面101aに実質的に平らに横たわっている。
【0113】
図面c)において、搬送用フック1は、結合開口部4を介して、図面c)に方向矢印で示されるリフト装置200に、例えば、クレーンに接続されており、搬送用フック1に引張力が加えられる。これにより、搬送用フック1は、内周壁104の下部エッジを中心として荷重101の孔102内で回転し、フックシャンク3が荷重101の背面101bに向かって旋回される。搬送用フック1は、複数の孔102と複数の搬送用フック1を備える
図7のリフトシステム100のいずれかによって荷重101が持ち上げられると、端部位置として図面c)に示す位置を想定している。また、図面c)には、リフト装置200のレバー部分への適用点とアングル部分14の頂点SPとを結ぶ直線Vが描かれている。この直線Vとフックシャンクの上面上の第二の直線との間の角度αは、90°未満である。
【0114】
図面d)において、単一の搬送用フック1は、搬送用フック1が荷重101の重量を支持する端部位置まで、図面d)に方向矢印で示されるリフト装置200によって移動されている。荷重101は、搬送用フックから実質的に垂直に下方に垂れ下がる.
【0115】
図8a)~
図8d)に示す実施形態例では、孔102を備える荷重101の板状部分がフックシャンク3に比べて薄い。薄い荷重101の場合、つまりフックシャンク3の厚さに比べて孔102の領域が薄い場合、孔102は、フックシャンク3の断面積又は最大径Dよりわずかに大きければ十分である。
【0116】
しかしながら、より厚い負荷も搬送用フック1で持ち上げることができる。荷重101が孔102の領域でより厚いほど、フックシャンク3とアングル部分14を孔102に挿入できるように、孔102を大きくする必要がある。また、これは、フックシャンク3がレバー部分2に対してどれだけ曲がっているかに依存する。
【0117】
テストにより、最大孔径は、好ましくはフックシャンク3の最大径Dの2倍より大きく以下に、特にフックシャンク3の最大径Dの1.8倍以下に、又はフックシャンク3の最大径Dの1.5倍以下に、又はフックシャンク3の最大径Dの1.3倍以下にしなければならず、これにより、搬送用フックを持ち上げている間に張力を受けたときに、フックシャンクとアングル部分が、一方では、孔に挿入できるようになり、他方では、孔から脱出できないことが分かっている。
【0118】
孔102の領域における荷重の厚さは、好ましくはフックシャンク3の最大径Dの2倍以下、特にフックシャンク3の最大径Dの1.5倍以下、又はフックシャンク3の最大径Dの1.3倍以下の大きさである。
【0119】
不用意な脱出を防ぐために、最大孔径は、フックシャンクの自由端3bとフックシャンク3から離れたレバー部分2の側面との間の距離であるフックシャンク長HSL(
図3a)よりも小さいことが好ましい。孔の最大径は、好ましくは、フックシャンク長HSLの0.8倍未満、特にフックシャンク長HSLの0.7倍未満、又はフックシャンク長HSLの0.5倍未満か、又はフックシャンク長HSLに0.3倍未満である。これにより、孔の領域における荷重の最大厚さが制限される。
【0120】
孔102は、好ましくは円形である。また、円形から逸脱してもよく、それによって、最小の孔径が最大の孔径から50%以上、好ましくは25%以上、特に10%以上逸脱しないことが機能的である。
【0121】
図10a~
図10cは、
図1の搬送用フック1を変形して示したものである。搬送用フック1は、リフトシステム100(図示せず)によって荷重101を持ち上げて搬送するために、結合開口部4を有するレバー部分2と、荷重101の孔102(いずれも図示せず)を通して係合できるフックシャンク3とを備える。搬送用フック1は、安全装置を備え、それで、安全装置が作動中に、搬送用フック1が孔102から意図せず搬送用フック1を移動できないように、孔102内に固定できるか、又は搬送用フック1がリフトシステム100によって引っ張り力を受けるときに固定される。
【0122】
搬送用フック1が孔102に深く挿入されるのを防ぐために、搬送用フック1は翼要素18からなり、翼要素18は2つの別々の翼18.1及び18.2からなってもよい。翼要素18は、フックシャンク3に面する搬送用フック1の背面2bで搬送用フック1に接続され、好ましくは接着、材料嵌め又は力嵌めの方法などによって、しっかりと接続されている。翼18.1、18.2は、
図10a)に示すように、搬送用フック1の上方からの図において、搬送用フック1から横方向に突出している。搬送用フック1は、翼要素18又は翼18.1、18.6が搬送用フック1に接続される領域で、直径Dを有する(
図2参照)。例えば、搬送用フック1から離れて向く端である外側端18.1a、18.2a間の間隔AFFは、それからこの領域の搬送用フック1の直径Dをおよそ2倍に対応させ得る。しかしながら、距離AFFは、また、より大きくすることも、あるいはより小さくすることができる。距離AFFは、翼要素18のスパン幅と呼ぶこともできる。翼要素18は、図示のように搬送用フック1に接続された場合、翼要素18との接続領域の近傍において、レバー部分2又は搬送用フック1の下面2bよりも下方に突出していてもよいし、翼要素18が搬送用フック1の背面よりも突出しないように、明示しない凹部に配置してもよいが、好ましくは、搬送用フック1の周囲の表面と平面である。
【0123】
搬送用フック1は、搬送用フック1の上面に形成されたノーズ23をさらに備える。図示の実施形態では、ノーズ23は、フックシャンク3から離れる方向に向く上面2cからドーマー状に突出する。ノーズ23は、保持ブラケット6に面した平面状の前面パネル23aを備え、図示の実施形態例では、ノーズ23に面した保持ブラケット6の外面6bと実質的に平行になるようにされている。
【0124】
ノーズ23は、貫通孔8の開口部がある領域で、搬送用フック1に接続され、アングル部分14におけるロックロッド7cのための開口部及びガイドを形成している。ノーズ23は、貫通孔23を延長し、前面パネル23aは、有利には搬送用フック1のアングル部分14に貫通孔8を作るためのドリル用の平坦な取付面を形成する。同時に、ノーズは、ロックロッド7c用のガイド領域を延長し、ロックロッド7cは、延長した貫通孔8の中で、より良好に保護される。
【0125】
ノーズ23の上面は、図示されていないロックロッド7cの中央長手方向軸と平行に走ることができる。ロックロッド7cの中心軸に垂直な前面パネル23aの領域におけるノーズ23の高さHNは、ノーズ23が搬送用フック1の正面図においてハンドル9を完全に覆うように、選択することができる。これにより、荷物のピックアップ又は搬送時に、ハンドル9が図示のロック位置から意図せず解放されることが防止される。したがって、最後に説明したノーズ23は、例えば、リフトシステム100のロープ又は荷重101の凹凸によって、ハンドルが意図せず移動してしまい、搬送の安全性が確保できなくなることを確実に防止する。
【0126】
アングル部分14に面するその端部において、ノーズ23は、搬送用フック1の先導端の表面に当たる接線Tからの距離NTを有してよく、この距離は、フックシャンク3及び/又はアングル部分14の直径Dに依存する。距離NTは、好ましくは直径Dのほぼ2倍にすることができる。しかしながら、距離NTも、直径の2倍より小さくすることも、あるいは大きくすることもできる。
【0127】
図10bに示すように、前面パネル23aの高さHNは、ノーズ23の一部である延長部24によって決定することができ、これはノーズ23と一緒に予め形成されているか、又はノーズ23とは別に形成されて、その後、ノーズ23に接続される。後者の場合、延長部24は、例えば、プラスチックなどノーズ23の材料と異なる材料で形成することができ、摩耗又は損傷の場合に交換することが可能である。
【0128】
また、ノーズ23は、ロック要素も備えることができ、このロック要素によって、ロックロッド7cは、ロック位置に、また好ましくは休止位置にも固定されることができる。例えば、このロック要素は、ロックロッド7cの凹部に係合又はラッチするスライダとすることができる。貫通孔8に対して固定位置にロックロッド7cを固定するための他の既知の機構も本発明に含まれる。このような解決策では、保持ブラケット6を完全に省略することができ、その結果、材料とコストを節約できる。
図10bは、ハンドル9がロックロッド7cの端部を形成する実施形態を示している。
【0129】
図10bに明示されていなくても、保持ブラケット6は、
図10bに示すように、搬送用フック1の長手方向の厚さが実質的に小さい板状で、例えば、厚さが3mm、又は0.5cm、又は1cm、又はその他の寸法の鋼板で形成することが可能である。この場合、ロックロッド7cをロック位置又は休止位置に予張するバネ要素(図示せず)は、保持ブラケット6の外側に配置され、一端を保持ブラケットの外側面に対して、他端をハンドルに対して負担することになるであろう。バネは、好ましくは、ロックロッド7cを囲むコイルバネである。この実施形態では、上述した実施形態で設けられたような取付板7aの要件はない。バネ要素は、弾性スリーブによって汚染から保護することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 搬送用フック
2 レバー部分
2a 自由端
2b 背面
2c 表面
3a フックシャンク
3a 係合部分
3b 自由端
3c 自由ロック端
4 結合開口部
4A 中心点
5 ロック要素
6 保持ブラケット
6a レセプタクル
6b 外周面
7 接続装置
7a 取付板
7b 中空円筒
7c ロックロッド
7d 自由端
7e ロックナット
8 貫通孔
9 ハンドル
10 貫通孔
11 取付点
12 孔壁
13 コーティング
14 アングル部分
15 係合領域
16 平坦化された表面
17 エッジ
18 翼要素
18.1a 翼端
18.2 翼
18.2a 翼端
19 磁石
20 安全レバー
21 旋回ジョイント
22 ストップ要素
23 ノーズ
23a 前面パネル
23b 表面
24 延長部
100 リフトシステム
101 荷重、構造体
101a 上面
101b 背面
102 孔
103 ロープ、チェーン
104 内周壁
105 孔軸
200 リフト装置
α 角度
A 支持点
AFF 距離
B1 第一の幅
B2 第二の幅
D 直径
H 厚さ
HL フック線
HN 高さ
NT 距離
L 長さ
S 旋回ジョイント
SP 頂点
T 接線
V 接続線
MLE 中央長手方向平面
A8 中心軸
A10 中心軸
α 角度
【国際調査報告】