(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(54)【発明の名称】人工授粉のための方法およびそれを行うための装置
(51)【国際特許分類】
A01H 1/02 20060101AFI20230511BHJP
A01H 6/52 20180101ALN20230511BHJP
A01H 6/60 20180101ALN20230511BHJP
A01H 6/78 20180101ALN20230511BHJP
A01H 6/74 20180101ALN20230511BHJP
【FI】
A01H1/02 A
A01H6/52
A01H6/60
A01H6/78
A01H6/74
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503527
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 IL2021050386
(87)【国際公開番号】W WO2021205442
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522392656
【氏名又は名称】ブルームエックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルグラブリ,タイ
(72)【発明者】
【氏名】セネシュ,イド
(72)【発明者】
【氏名】ケレン,アビ
【テーマコード(参考)】
2B030
【Fターム(参考)】
2B030AA03
2B030AB03
2B030AD07
2B030HA01
2B030HA07
(57)【要約】
果樹園および畑などの農業エリアの人工授粉のための、新規的、汎用的、畑内/果樹園内の、十分に制御された、スケーラブルで、使いやすく、コスト効果の高い管理システムおよび方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業エリアのための授粉管理システムであって、
a)花粉を収集するように構成された花粉収集要素と、花粉を放出するように構成された花粉添加要素とを備える、授粉モジュールと、
b)授粉モジュールと動作可能に係合し、少なくとも1つのセンサを備える、データ取得モジュールと、
c)授粉モジュールおよびデータ取得モジュールと通信するサーバであって、データ取得モジュールによって取得されたデータを処理するように構成されたサーバと、
d)サーバおよび授粉モジュールと通信するコントローラを備えるオペレーションモジュールであって、前記コントローラが授粉モジュールに命令を与えるように構成された、オペレーションモジュールと、
e)ユーザインターフェースと
を備え、
前記システムが、農業エリアまたはその一部に人工授粉を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
データ取得モジュールが取得データをサーバに送信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
コントローラによって授粉モジュールに与えられる命令が、サーバによって処理されたデータに基づく、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも1つのセンサが、赤外線カメラと、温度センサと、湿度センサと、ライダーと、録音器と、GNSSと、4D画像センサと、ハイパースペクトルイメージングと、IMUと、光センサとからなるグループから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
データ取得モジュールが複数のセンサを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
授粉モジュールの花粉収集要素が、高圧電源と、電極と、花粉収集面と、任意選択により容器とを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
花粉収集要素が、花粉粒に静電力を加えて、花粉粒を花粉収集面に引きつける電界を発生するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
花粉収集要素が、内部制御ユニット、振動エンジンまたは吸引ユニットのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
サーバが、取得データを受け取り、取得データを記憶し、取得データに基づいて授粉ヒートマップを生成し、またはこれらの任意の組合せを行うように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
サーバが、授粉ヒートマップをオペレーションモジュールに送信するようにさらに構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
データが、位置データ(GPS)と、IMUデータと、視覚データと、気候関連データとのうちから選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
データがリアルタイムデータである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
リアルタイムデータが、取得モジュールの少なくとも1つのセンサによって取得されるデータ、データ取得モジュールによって外部ソースから受け取られるデータ、またはこれらの組合せのうちから選択される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
リアルタイムデータを処理し、前記リアルタイムデータに基づいて農業エリアに授粉するようにさらに構成されている、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
リアルタイムデータが、位置データ(GPS)と、IMUデータと、視覚データと、気候関連データとのうちから選択される、請求項12から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
サーバが、授粉されるエリア、授粉時間、授粉エピソードの頻度、授粉エピソードの回数、各授粉エピソードの持続期間、またはこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを制御するようにさらに構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
花粉収集要素と花粉添加要素とが、花粉を収集し、放出するように構成された単一のユニットを形成する、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
授粉モジュールの花粉収集要素と花粉添加要素とが別々の要素である、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
農業エリアが作物の畑または果樹園である、請求項1から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
授粉を必要とする農業エリアまたはその一部のための人工授粉方法であって、
a)請求項1から19のいずれか一項に記載の授粉管理システムを提供することと、
b)授粉管理システムのデータ取得モジュールによってデータを取得することと、
c)取得データを授粉管理システムのサーバに送信することと、
d)サーバによってステップb)のデータを処理して出力を生成することと、
e)ステップd)の出力をオペレーションモジュールのコントローラに送信することと、
f)授粉モジュールによって農業エリアに授粉することと
を含み、
農業エリアに授粉するステップがコントローラによって与えられる命令に従って実行され、コントローラによって与えられる命令がステップd)の出力に基づく、方法。
【請求項21】
農業エリアに授粉するステップが、授粉モジュールの花粉収集要素によって花粉を収集し、授粉モジュールの花粉添加要素によって花粉を放出するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
花粉収集要素によって花粉を収集するステップが、花粉粒に静電力を加えて、花粉粒を花粉収集要素の花粉収集面に引きつける電界を発生するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
データ取得モジュールによってデータを取得するステップが、データ取得モジュールの少なくとも1つのセンサによってデータを取得すること、外部ソースからデータを受け取ること、またはこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
データ取得モジュールによってデータを取得するステップが、データ取得モジュールの少なくとも1つのセンサによってデータを取得することと、外部ソースからデータを受け取ることとを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
データが、位置データ(GPS)と、IMUデータと、視覚データと、気候関連データとのうちから選択される、請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
データがリアルタイムデータである、請求項20から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
データを処理し、出力を生成するステップが、授粉エピソードの回数を設定するステップ、授粉のタイミングを設定するステップ、授粉の頻度を設定するステップ、授粉エピソードの持続期間を設定するステップ、授粉の場所を設定するステップ、授粉されるエリアを設定するステップ、またはこれらの任意の組合せのうちから選択されるステップを含む、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
農業エリアに授粉するステップが2回以上の授粉エピソードを含む、請求項20から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
事前設定された回数の授粉エピソードを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
授粉エピソードが事前設定された頻度で実行される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
各授粉エピソードが事前設定された持続期間を有する、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
農業エリアまたはその一部が作物の畑または果樹園である、請求項20から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
取得データがリアルタイムデータであり、授粉がリアルタイム授粉である、請求項20から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
人工授粉管理システムを提供することを含む作物の収量を増加させる方法であって、前記授粉管理システムが授粉モジュールを備え、前記授粉モジュールが少なくとも1つの花粉収集要素を備え、前記花粉収集要素が、花粉粒に静電力を加えて、粉収集要素に花粉粒を引きつけるように構成される、方法。
【請求項35】
授粉管理システムが、データ取得モジュールと、データ取得モジュールと通信するサーバと、サーバ、データ取得モジュールおよび授粉モジュールと通信するオペレーションモジュールと、ユーザインターフェースとをさらに備える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
花粉収集要素が、高圧電源と、電極と、花粉収集面と、任意選択により容器とを備え、前記高圧電源が電極に高電圧を供給し、前記電極が、花粉粒に静電力を加える電界を発生するように構成される、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
花粉粒が花粉収集要素の花粉収集面に引きつけられる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
農業エリアが果樹園である、請求項34から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
農業エリアが作物の畑である、請求項34から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
作物が樹木作物または畑作物である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
作物が、アボカドと、カカオと、ナッツと、柑橘類と、キウイと、桃と、梨と、プラムと、サクランボと、マンゴーと、ライチと、アプリコットとからなるグループから選択される樹木作物である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
花粉収集要素であって、高圧電源と、電極と、花粉収集面と、任意選択により容器とを備え、前記高圧電源が電極に高電圧を供給し、前記電極が花粉粒に静電力を加える電界を発生するように構成され、前記花粉粒が要素の花粉収集面に引きつけられる、花粉収集要素。
【請求項43】
内部制御ユニット、振動エンジン、送風器、または吸引ユニットのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項42に記載の花粉収集要素。
【請求項44】
作物を備える農業エリアまたはその一部の人工授粉のコンピュータにより実行される方法であって、プロセスが、
a)請求項1から19のいずれか一項に記載の人工授粉システムを提供することと、
b)データ取得モジュールによってデータを収集することと、
c)データを処理し、データから抽出された作物の状態を示すパラメータのセットに基づいて作物の状態を評価することと、
d)作物の状態に基づいてコントローラに命令を与えることと、
e)農業エリアまたはその一部に授粉することと
を含む、方法。
【請求項45】
前記データが画像データである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記農業エリアの状態を評価することが、トレーニング済みニューラルネットワークを使用することを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
処理するステップが、画像データに基づいて出力を生成するためにトレーニングされたコンピュータにより実行されるアルゴリズムを使用して前記画像データを計算するステップを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記コンピュータにより実行されるアルゴリズムが、画像データから抽出された所定の特徴ベクトルまたは属性に基づいて出力を生成するためにトレーニングされる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記方法が、前記アルゴリズムによって、作物の複数のトレーニング画像を含むトレーニングデータセットに従ってトレーニングプロセスを実行するステップを含み、複数のトレーニング画像のそれぞれの各トレーニング画像がそれぞれのトレーニング画像中で表示されている前記作物の状態に関連付けられている、請求項45から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記トレーニングプロセスが、
a)画像センサを使用して作物の画像をキャプチャするステップと、
b)画像データから抽出された作物の状態を示すパラメータまたは属性に関連付けられたタグを付けることによって画像を所望のカテゴリに分類するステップと、
c)コンピュータビジョンアルゴリズムを適用して、各所望のカテゴリに関連付けられた特徴ベクトルのセットを決定するステップと
を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
コンピュータにより実行されるトレーニング済みアルゴリズムとともに機械学習プロセスを適用して、撮像された作物の状態を決定するステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記アルゴリズムが、処理されたデータとともにニューラルネットワークを使用して機械学習プロセスによって実行される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記機械学習プロセスが、少なくとも1つのニューラルネットワークによって、少なくとも1つの作物の少なくとも1つの所望のカテゴリのタグを計算することであって、少なくとも1つの分類カテゴリのタグが少なくとも1つのニューラルネットワークの重みに少なくとも従って計算され、少なくとも1つのニューラルネットワークが少なくとも1つの画像センサによってキャプチャされた複数の作物の複数のトレーニング画像を含むトレーニングデータセットに従ってトレーニングされ、複数のトレーニング画像のそれぞれの各トレーニング画像がそれぞれのトレーニング画像中に表示されている少なくとも1つの作物の少なくとも1つの所望のカテゴリの前記タグに関連付けられている、ことと、少なくとも1つの分類カテゴリのタグに従って、コントローラによる実行のための命令を生成することとを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
作物が畑作物である、請求項44から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
作物が樹木作物である、請求項44から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
農業エリアが果樹園である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
樹木作物が、アボカドと、カカオと、ナッツと、柑橘類と、キウイと、桃と、梨と、プラムと、サクランボと、マンゴーと、ライチと、アプリコットとからなるグループから選択される、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
樹木作物が、アボカドとマンゴーとライチとのうちから選択される、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工授粉の分野に関する。より具体的には、本発明は、授粉管理のための新規なシステムおよび方法と、作物の収量を増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
授粉は、植物の雄性器官から花粉粒を植物の雌性器官(柱頭)に移すことを伴うプロセスである。このプロセスは、風、小鳥、昆虫(特に蜂)などによって自然に行われる。このプロセスは、その後の受精、種子生成、および果実および野菜の形成にとって重要である。様々な自然授粉媒介者の消滅は、深刻化すれば、ほぼ例外なく昆虫授粉に依存している様々な作物の生産を著しく害することになる。また、グローバル化のプロセスは、様々な作物の生産をその自然生息地から、作物とともに進化した自然授粉媒介者が存在しない様々な地理的場所に移行させてきた。作物の収量と品質に全部が直接影響を与える非効率的な花粉抽出、不適切な植物体形状および大きさ、作物の蜜および花粉への誘引の欠如により、ローカルの授粉媒介者が効率的に授粉を行うことができない可能性があるため、自然授粉媒介者が存在しないことは授粉の質に著しい影響を与える。さらに、昆虫による授粉プロセスは、天候条件、気温およびその他の人間が制御できない条件によって変わる可能性のある、昆虫の挙動に依存する。
【0003】
人工授粉は、上記の難点を制御された効率的な方法で克服するのに有用な解決策であり、したがって、作物収量および品質の向上を実現する。現在利用可能な解決策には様々な欠点がある。たとえば、手作業による授粉は、最も単純で安価な人工授粉方法である。ブラシなどの様々な道具を使用して、雄花から花粉粒をそっと収集し、それを雌花の柱頭に直接添加する。手作業による授粉の別の方法は、切り花の雄器官を授粉先の花の雌器官にこすりつけることである。これらの方法は、小規模の場合には有用であるが、大規模に適用するには熟練した人間の労力を必要とする。その他の解決策は、花の大量収穫と処理を行って花粉粒を抽出する。収集された花粉は、次に、様々な技術を使用して花に添加される。この複雑なプロセスは、費用と時間の両方がかかり、畑または果樹園自体では行えない場合がある。この方法は、短期一斉開花期と1つの花当たり多数の花粉粒とを有する特定の種類の作物に適している。
【0004】
人工授粉、収量増加、および畑内/果樹園内管理のための、スケーラブルな、畑内/果樹園内での、費用効果の高い、十分に制御された、使いやすいシステムおよび方法の提供が、長い間満たされていないニーズのままある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の主要な目的は、果樹園および畑などの農業エリアの人工授粉のための、汎用的な、畑内/果樹園内の、十分に制御された、スケーラブルな、使いやすく、費用効果の高い管理システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、農業エリアのための授粉管理システムであって:
a.花粉を収集するように構成された花粉収集要素と;花粉を放出するように構成された花粉添加要素とを備える、授粉モジュールと;
b.授粉モジュールと動作可能に係合し、少なくとも1つのセンサを備える、データ取得モジュールと;
c.授粉モジュールおよびデータ取得モジュールと通信するサーバであって、データ取得モジュールによって取得されたデータを処理するように構成されたサーバと;
d.サーバおよび授粉モジュールと通信するコントローラを備えるオペレーションモジュールであって、前記コントローラが授粉モジュールに命令を与えるように構成された、オペレーションモジュールと;
e.ユーザインターフェースと
を備え、
前記システムが、農業エリアまたはその一部に人工授粉を行うように構成されている、システムを提供する。
【0007】
本発明は、さらに、授粉を必要とする農業エリアまたはその一部のための人工授粉方法であって、
a.本発明の実施形態による授粉管理システムを提供することと;
b.授粉管理システムのデータ取得モジュールによってデータを取得することと;
c.取得データを授粉管理システムのサーバに送信することと;、
d.出力を生成するためにサーバによってステップb)のデータを処理することと;
e.ステップd)の出力をオペレーションモジュールのコントローラに送信することと;
f.授粉モジュールによって農業エリアに授粉することと
を含み、
農業エリアに授粉するステップがコントローラによって与えられる命令に従って実行され、コントローラによって与えられる命令がステップd)の出力に基づく、方法を提供する。
【0008】
本発明は、さらに、人工授粉管理システムを提供することを含む作物の収量を増加させる方法であって、前記授粉管理システムが授粉モジュールを備え、前記授粉モジュールが少なくとも1つの花粉収集要素を備え;前記花粉収集要素が、花粉粒に静電力を加え、それによって花粉収集要素に花粉粒を引きつけるように構成される、方法を提供する。
【0009】
本発明は、花粉収集要素であって、高圧電源と、電極と、花粉収集面と、任意選択により容器とを含み、前記高圧電源が電極に高電圧を供給し;前記電極が花粉粒に静電力を加える電界を発生するように構成され、;前記花粉粒が花粉収集要素の花粉収集面に引きつけられる、花粉収集要素をさらに提供する。
【0010】
本発明は、作物を備える農業エリアまたはその一部の人工授粉のコンピュータにより実行される方法であって、プロセスが:
a.本発明の実施形態による人工授粉システムを提供することと;
b.データ取得モジュールによってデータを収集することと:
c.データを処理し、データから抽出された作物の状態を示すパラメータのセットに基づいて作物の状態を評価することと;
d.作物の状態に基づいてコントローラに命令を与えることと;
e.農業エリアまたはその一部に授粉することと
を含む方法をさらに提供する。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の図面および説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】授粉管理システムの例示の一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】授粉方法の例示の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図3A】コンピュータにより実行される授粉方法の例示の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図3B】コンピュータにより実行される授粉方法の例示の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図3C】コンピュータにより実行される授粉方法の例示の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図4A】アボカドの木における授粉の結果をグラフで表した図である。
【
図4B】アボカドの木における授粉の結果をグラフで表した図である。
【
図5】花粉収集要素の例示の一実施形態を示す略図である。
【
図6A】アボカドの木の授粉の結果をグラフで表した図である。
【
図6B】アボカドの木の授粉の結果をグラフで表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明する前に、本発明は、その適用が以下の説明に記載され、または図面に示されている構成要素の構造および配置の詳細には限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態にも適用可能であり、または様々な方法で実践または実行されるものである。また、本明細書で採用されている表現および用語は、説明を目的としており、限定とみなされるべきではないことも理解されたい。
【0014】
いくつかの実施形態によると、本発明は、農業エリアのための授粉管理システムであって:
a)花粉を収集するように構成された花粉収集要素と;花粉を放出するように構成された花粉添加要素とを備える、授粉モジュールと;
b)授粉モジュールと動作可能に係合し、少なくとも1つのセンサを備える、データ取得モジュールと;
c)授粉モジュールおよびデータ取得モジュールと通信するサーバであって、データ取得モジュールによって取得されたデータを処理するように構成されたサーバと;
d)サーバおよび授粉モジュールと通信するコントローラを備えるオペレーションモジュールであって、前記コントローラが授粉モジュールに命令を与えるように構成された、オペレーションモジュールと;
e)ユーザインターフェースと
を備え、
前記システムが、農業エリアまたは前記農業エリアの所望の一部に人工授粉を行うように構成されている、システムを提供する。
【0015】
一実施形態では農業エリアは畑である。別の実施形態では農業エリアは果樹園である。本明細書で使用されている「畑」という用語は、耕作作物のために使用される開墾された囲い込まれた土地のエリアと理解されることが意図されている。本発明の作物のリストには、トウモロコシ、大豆、小麦、米、油脂種子、綿、ブドウ、サトウキビ、果実および野菜などの作物が含まれるが、これらには限定されない。本明細書で使用されている、果樹園という用語は、作物の木が栽培されている土地のエリアと理解されることが意図されており、作物の木は、所望の農産物を産するかまたは産する潜在力を有する木を指すが、これには限定されない。本発明の樹木作物の非限定的なリストには、リンゴ、アボカド、ナッツ、カカオ、キウイ、桃、梨、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、タンジェリンなどの柑橘類、サクランボ、プラム、アプリコット、マンゴー、ライチ、または、本発明の管理システムの恩恵を受け得る任意のその他の樹木作物が含まれる。本明細書で使用されている「一部」という用語は、全体のうちの明確に区別可能な部分または区画を指すがこれには限定されず、一方、「全体」は農業エリア全体である。一部は、任意の大きさ、形状、および幾何的配置のものとすることができる。一部は、エリアの大きな部分またはエリアの小さな部分であり得る。エリアの一部の大きさは、事前設定可能であるか、または散発的に選定可能である。
【0016】
いくつかの実施形態によると、データ取得モジュールは、取得データをサーバに送信するように構成される。いくつかの実施形態によると、コントローラによって授粉モジュールに与えられる命令は、サーバによって処理されたデータに基づく。本発明のコンテキストでは、「取得データ」という用語は、少なくとも1つのセンサを使用してデータ取得モジュールによって取得されたデータ、ならびに/または、外部ソースから、受け取られ、および/もしくは採集され、および/もしくは、転送され、および/もしくは収集されたデータと理解されることが意図されている。典型的には、データ取得モジュールによって取得されるデータは、少なくとも1つのセンサによって得られるデータと外部ソースからのデータとの組合せである。外部ソースから受け取られるデータの非限定的なリストには、畑関連のメタデータ、気候測定値ならびに気候予測データ、および畑視覚データが含まれる。畑メタデータの非限定的なリストには、植物の種類、作付けマップ、植物の齢、自然授粉媒介者マッピング巣箱(natural pollinators mapping beehive)、気候データが含まれ得る。実施形態によっては、気候データは、第三者サービスによって、顧客の測候所から、またはデータ取得モジュールの少なくとも1つのセンサを使用して得られてもよい。いくつかの実施形態によると、視覚データが、外部供給業者を使用して得られるか、データ取得ユニットおよび/あるいはドローンの画像センサによって、ならびに/または衛星画像会社などであるがこれには限定されない第三者によって、収集されてもよい。一実施形態では、コントローラによって授粉モジュールに与えられる命令は、サーバによって処理されたデータに基づく。本明細書で使用されている「センサ」という用語は、物理的環境からの何らかの種類の入力を検出し、応答するデバイスを指すが、これには限定されない。具体的な入力は、光、熱、動き、湿度、圧力または任意のその他の環境入力であり得るが、これらには限定されない。本発明のセンサの非限定的なリストには、1つ以上の赤外線カメラ、温度センサ、湿度センサ、ライダー、録音器、GNSS、4D画像センサ、ハイパースペクトルイメージング、IMU、光センサ、または任意のその他の適用可能なセンサ、あるいはこれらの組合せが含まれる。一実施形態では、データ取得モジュールは、複数のセンサを備える。別の実施形態では、データ取得モジュールは、複数の異なるセンサを備える。一実施形態では、データ取得モジュールは、センサのオンデマンドセットを備える。一実施形態では、異なるセンサの組合せがユーザによって定義される。一実施形態では、データ取得モジュールは、センサの事前設定された組合せを備える。
【0017】
いくつかの実施形態によると、本発明は、高圧電源と、電極と、花粉収集面と、任意選択により容器とを備える、授粉モジュールの花粉収集要素を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態によると、花粉収集要素は、花粉粒に静電力を加える電界を発生し、それによって花粉収集面に花粉粒を引きつけるように構成される。一実施形態では、花粉収集要素は、内部制御ユニット、振動エンジン、または吸引ユニットのうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0019】
いくつかの実施形態によると、サーバは、取得データを受け取り、取得データを記憶し、取得データに基づいて授粉ヒートマップを生成し、またはこれらの任意の組合せを行うように構成される。一実施形態では、サーバは、授粉ヒートマップをオペレーションモジュールに送信するようにさらに構成される。本発明のコンテキストでは、「ヒートマップ」という用語は、以下のうちの1つ以上を含む、授粉に関する畑および/または果樹園の全体的図と解釈されることが意図されている:すなわち、畑の様々な部分における開花率を識別すること、環境データに基づいてエリア内の授粉効率を評価すること、エリアのニーズと以前の授粉活動とに基づき、およびその他の環境要因(天候、ミツバチの活動など)に基づいて、授粉すべきエリアをマークすることである。
【0020】
いくつかの実施形態によると、データは、開花の生物季節学的および形態学的段階、植物の健康状態、および授粉のための環境適合性などの、作物状況を示す。一実施形態では、データは、授粉効率を示すデータを含む。本明細書で使用されるデータという用語は、環境の状態および生体系に与える影響に関する任意の情報および/または入力を指すが、これには限定されない。データは、データ取得モジュールのセンサによって取得されてもよく、および/または、天気予報、昆虫の活動、または関連性がある可能性がある任意のその他の情報などであるがこれらには限定されない外部ソースから収集可能である。センサによって取得されるデータは、健康/病害状態、収量推定値、開花段階などを含み得るが、これらには限定されない。
【0021】
いくつかの実施形態によると、本発明の授粉管理システムは、農業エリアから取得されたリアルタイムデータを処理し、前記リアルタイムデータに基づいて農業エリアに授粉するようにさらに構成される。一実施形態では、リアルタイムデータは、データ取得モジュールの少なくとも1つのセンサによって取得されたデータ、外部ソースからデータ取得モジュールによって受け取られたデータ、またはこれらの組合せから選択される。本明細書で使用される「リアルタイム」という用語は、実質的に即時にフィードバックとして利用可能なように、入力データが数ミリ秒以内に処理される設定に関係することを指すが、これには限定されない。一実施形態では、リアルタイムデータは、複数のセンサによって取得されたデータ、外部ソースから収集されたデータ、またはこれらの組合せから選択される。
【0022】
いくつかの実施形態によると、サーバは、授粉されるエリア、授粉時間、授粉エピソード(episode)の頻度、授粉エピソードの回数、各授粉エピソードの持続期間、またはこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを制御するようにさらに構成される。一実施形態では、農業エリアの授粉は、複数回の授粉エピソードを含む。一実施形態では、農業エリアの授粉は、事前定義された時間間隔の事前設定された回数の授粉エピソードを含む。一実施形態では、各授粉エピソードは、データ取得モジュールによって取得されたリアルタイムデータに基づいて行われる。一実施形態では、授粉されるエリアの場所が、データ取得ユニットによって取得されたデータおよび/またはリアルタイムデータに基づいて決定される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、花粉収集要素と花粉添加要素とが、花粉を収集し、放出するように構成された単一のユニットを形成する。一実施形態によると、花粉は花粉収集要素によって花粉粒に加えられる静電力を使用して収集され、任意選択により花粉は花粉粒の貯蔵に適用可能な種類の容器に貯蔵され、所望のタイミングで、花粉は、花粉収集要素と花粉添加要素とがともに花粉粒の収集と放出の両方を行うように設計された単一のアセンブリを構成するようにして花粉収集要素に直接および/または間接的に装着された花粉添加要素によって放出される。いくつかの実施形態によると、授粉モジュールの花粉収集要素と花粉添加要素とは別々の要素である。一実施形態によると、授粉モジュールの花粉収集要素と花粉添加要素とは、直接にも間接にも互いに対して装着されず、すなわち、花粉粒は花粉収集要素による静電力を使用して収集され、次に、授粉モジュールの花粉添加要素に貯蔵され、および/または花粉添加要素に移される。
【0024】
次に、授粉プロセス全体を最適化し、向上させるために、授粉モジュールの一部としての静電授粉要素8と、その他の構成要素とを含むシステム100の例示の一実施形態の略図を示す
図1を参照する。授粉モジュールは、操作者が位置する畑および/または果樹園における授粉ヒートマップを中央サーバから受け取り、操作者を授粉する関連植物までナビゲートする。授粉要素は、電源1と、制御ユニット2であって、リアルタイムデータを処理するため、およびサーバ入力を授粉要素の制御に結合するために使用される処理ユニット4と、センサ6から受け取ったすべてのデータを記憶するためのデータストレージ3とを備えた制御ユニット2とを含む。センサ機能が、植物の状況に関する環境データ(気温、湿度、可視/不可視光、および/または音などであるがこれらには限定されない)を収集する。GNSS、memsおよびその他のナビゲーションセンサを備えたナビゲーションシステム9が、樹木での作業者の現在位置と慣性位置とに関するデータを提供することができる。ユーザインターフェース5は、操作者を授粉を行う場所に誘導するための画面または指示ライトを含む。1つ以上のリモートサーバからデータを送受信するために無線接続7が使用される。いくつかの実施形態によると、花粉収集要素は、内部制御ユニットと、振動エンジンと、吸引ユニットとから選択されるユニットのうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0025】
いくつかの実施形態によると、本発明は、授粉を必要としている農業エリアの人工授粉方法を提供する。次に、本発明の方法の例示の実施形態のフローチャートを示す
図2を参照する。方法は:本発明の実施形態による授粉管理システムを提供すること[1000]と;授粉管理システムのデータ取得モジュールによってデータを取得すること[2000]と;授粉管理システムのサーバに取得データを送信すること[3000]と;授粉管理システムの中央サーバに取得データを送信すること[4000]と;出力を生成するためにサーバによってステップ[2000]のデータを処理すること[5000]と;ステップ[5000]の出力をオペレーションモジュールのコントローラに送信すること[6000]と;授粉モジュールによって農業エリアに授粉すること[7000]とを含む。一実施形態では、農業エリアに授粉するステップは、コントローラによって与えられる命令に従って実行される。一実施形態では、コントローラによって与えられる命令は、ステップ[5000]の出力に基づく。
【0026】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、農業エリアに授粉するステップは、授粉モジュールの花粉収集要素によって花粉を収集し、授粉モジュールの花粉添加要素によって花粉を放出するステップを含む。
【0027】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、花粉収集要素によって花粉を収集するステップは、授粉粒に静電力を加え、それによって花粉粒を花粉収集ユニットの花粉収集面に引きつける電界を発生するステップをさらに含む。
【0028】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、データ取得モジュールによってデータを取得するステップは、データ取得モジュールの少なくとも1つのセンサによってデータを取得すること、外部ソースからデータを受け取ること、またはこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。本発明の方法のコンテキストでは、「データを取得する」とは、結果としてデータが収集される、データ取得モジュールの1つ以上の構成要素によって行われる少なくとも1つのアクションまたは一連のアクションと理解されるものと意図されている。データはデータ取得モジュールのその少なくとも1つのセンサによって取得可能であり、および/または、データは外部ソースから受け取ることができる。データは、データがデータ取得モジュールの構成に適合した形式である限り、データは任意の他の手段によって取得することもできる。本発明のシステムおよび方法の実施形態によると、授粉モジュールの少なくとも1つのセンサによって取得されるデータには、位置データ(GPS)、IMUデータ、視覚データ(たとえば授粉中の作物植物の画像)、気温、湿度、風などの気候関連データが含まれ得るが、これらには限定されない。
【0029】
これらのデータは、授粉有効性の測定(たとえば、授粉への天候適合性の評価、開花および花の受容性、授粉の運用上のニーズ、 - 何が授粉されたか、および今後追加の活動をスケジュールする時期の評価)の両方の基礎として役立つことになる。実施形態によると、外部ソースから取得されるデータは、畑関連メタデータ、気候測定値ならびに気候予測データ、および畑視覚データも含んでもよい。畑メタデータは、植物の種類、作付けマップ、植物の齢、自然授粉媒介者マッピング巣箱であってもよく、気候データは第三者サービスによって、または顧客の測候所から、またはシステムのセンサを使用して入手されてもよい。
【0030】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、データはリアルタイムデータである。
【0031】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、データを処理し、出力を生成するステップは、授粉エピソード回数を設定するステップ、授粉のタイミングを設定するステップ、授粉の頻度を設定するステップ、授粉エピソードの持続期間を設定するステップ、授粉の場所を設定するステップ、授粉されるエリアを設定するステップまたはこれらの任意の組合せから選択されたステップを含む。
【0032】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、授粉のタイミングは取得データに基づいて設定される。一実施形態では、授粉の場所は取得データに基づいて設定される。一実施形態では、方法は、1回より多くの授粉エピソードを含む。一実施形態では、方法は複数回の授粉エピソードを含む。一実施形態では、方法は事前設定された回数の授粉エピソードを含む。一実施形態では、取得データはリアルタイムデータであり、授粉はリアルタイム授粉である。一実施形態では、授粉エピソード回数は、リアルタイムデータに基づいてリアルタイムで設定される。一実施形態では、授粉エピソードは事前設定された頻度で実行される。一実施形態では、各授粉エピソードは事前設定された持続期間を有する。
【0033】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、方法は、ステップ[2000]から[7000]を所定回数繰り返すことをさらに含む。
【0034】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、データは、データ取得ユニットの複数のセンサによって取得されたデータ、少なくとも1つの外部ソースから収集されたデータ、またはこれらの組合せから選択される。
【0035】
いくつかの実施形態によると、農業エリアは、作物の畑である。一実施形態では、農業エリアは果樹園である。
【0036】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、作物は樹木作物である。一実施形態では、樹木作物は、アボカド、カカオ、ナッツ、柑橘類、キウイ、桃、マンゴー、ライチ、梨、プラム、サクランボ、アプリコット、または本発明の授粉システムおよび/または方法から利益を得ることができる任意のその他の樹木作物から選択されるが、これらには限定されない。
【0037】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、作物は畑作物である。一実施形態では、本発明の畑作物のリストには、トウモロコシ、大豆、小麦、米、油脂種子、穀類、綿、ブドウ、サトウキビ、果実および野菜が含まれるが、これらには限定されない。
【0038】
いくつかの実施形態によると、本発明は、人工授粉管理システムを提供することを含む、作物の収量を増加させる方法を提供し、前記授粉管理システムは授粉モジュールを備え;前記授粉モジュールは少なくとも1つの花粉収集要素を備え;前記花粉収集要素は、花粉粒に静電力を加え、それによって花粉収集要素に花粉粒を引きつけるように構成される。一実施形態では、授粉管理システムは、データ取得モジュールと、データ取得モジュールと通信するサーバと、サーバ、データ取得モジュールおよび授粉モジュールと通信するオペレーションモジュールと、ユーザインターフェースとをさらに備える。一実施形態では、花粉粒は花粉収集要素の花粉収集面に引きつけられる。一実施形態では、農業エリアは果樹園である。別の実施形態では、農業エリアは作物の畑である。本明細書で使用されている「収量」または「農業生産性」または「農業生産高」という用語は、耕作地単位面積当たりの作物の収量の測定量、および/または植物自体の種子産出量を指すが、これには限定されない。本発明のコンテキストでは、収量の増加は、当技術分野で知られている、および/または栽培者によって使用されている、任意の適切なパラメータまたは技術に従って測定可能である。たとえば、1作物当たりの果実数および/または種子数、果実の大きさ、作物の重量、およびその他のパラメータである。上記の方法のいくつかの実施形態によると、作物の収量は、5%から500%増加させることができる。一実施形態では、作物の収量は、10%から500%増加させることができる。作物の収量は、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%。180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、310%、320%、330%、340%、350%、360%、370%、830%、390%、400%、410%、420%、430%、440%、450%、460%、470%、480%、490%、500%増加させることができる。
【0039】
いくつかの実施形態によると、本発明は、高圧電源と、電極と、花粉収集面と、任意選択により容器を備える、収集要素を提供し、前記高圧電源は電極に高電圧を供給し;前記電極は花粉粒に静電力を加える電界を発生するように構成され;前記花粉粒は要素の花粉収集面に引きつけられる。一実施形態では、花粉収集要素は、内部制御ユニット、振動エンジン、送風器、または吸引ユニットうちの少なくとも1つをさらに備える。次に、本発明の花粉収集ユニット200の例示の一実施形態を示す
図5を参照する。高圧電源20が、花粉粒に静電力を加える電界を生成する電極30に高電圧を供給する。それで花粉は花粉収集面40に引き寄せられる。
【0040】
いくつかの実施形態によると、本発明は、作物を備える農業エリアまたはその一部の人工授粉のコンピュータにより実行される方法を提供する。次に、この方法の例示の一実施形態のフローチャートを示す
図3Aを参照すると、方法は:本発明の実施形態による人工授粉システムを提供するステップ[10000]と;データ取得モジュールによってデータを収集するステップ[11000]と;ステップ[11000]のデータを処理するステップ[12000]と;データから抽出された作物の状態を示すパラメータのセットに基づいて作物の状態を評価するステップ[13000]と;作物の状態に基づいてコントローラに命令を与えるステップ[14000]と;農業エリアまたはその一部に授粉するステップ[15000]とを含む。
【0041】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、前記データは画像データである。
【0042】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、作物の状態を評価する前記ステップは、トレーニング済みニューラルネットワークを使用することを含む。一実施形態では、処理する前記ステップは、画像データに基づいて出力を生成するためにトレーニングされたコンピュータにより実行されるアルゴリズムを使用して前記画像データを計算するステップを含む。別の実施形態では、コンピュータにより実行されるアルゴリズムは、画像データから抽出された所定の特徴ベクトルまたは属性に基づいて出力を生成するようにトレーニングされる。一実施形態では、前記方法は、前記アルゴリズムを使用して、少なくとも1つの画像センサによってキャプチャされた複数の作物植物の複数のトレーニング画像を含むトレーニングデータセットに従ってトレーニングプロセスを実施するステップを含み、複数のトレーニング画像のそれぞれのトレーニング画像がそれぞれのトレーニング画像中で表示されている前記作物植物の状態に関連付けられている。
【0043】
次に、上記のプロセスの例示の一実施形態を示す
図3Bを参照すると、前記トレーニングプロセスが、画像センサを使用して作物植物の画像をキャプチャするステップ[16000]と;画像データから抽出された作物の状態を示すパラメータまたは属性に関連付けられたタグを付けることによって画像を所望のカテゴリに分類するステップ[17000]と;各所望のカテゴリに関連付けられた特徴ベクトルのセットを決定するためにコンピュータビジョンアルゴリズムを適用するステップ[18000]とを含む。いくつかの実施形態によると、上記のプロセスは、撮像された作物の状態を決定するためにコンピュータにより実行されるトレーニング済みアルゴリズムとともに機械学習プロセスを適用するステップ[19000]をさらに含む。
【0044】
次に、上記のプロセスの例示の一実施形態を示す
図3Cを参照すると、前記トレーニングプロセスは、画像センサを使用して作物植物の画像をキャプチャするステップ[16000a]と、画像中の特定のオブジェクトにタグ付けし、前記オブジェクトに所望のクラスでラベル付けすることによって、画像を所望のカテゴリに分類するステップ[17000a]と、各所望のカテゴリに関連付けられた特徴ベクトルのセットを決定するためにコンピュータビジョンアルゴリズムを適用するステップ[18000a]とを含む。
【0045】
上記の方法のいくつかの実施形態によると、方法は、撮像された開花期植物の状態を決定するために、コンピュータにより実行されるトレーニング済みアルゴリズムとともに機械学習プロセスを適用するステップを含む。一実施形態では、前記アルゴリズムは、処理されたデータとともにニューラルネットワークを使用して機械学習プロセスにより実施される。さらに他の実施形態では、前記機械学習プロセスは、少なくとも1つのニューラルネットワークによって、少なくとも1つの開花期植物の少なくとも1つの所望のカテゴリのタグを計算することであって、少なくとも1つの分類カテゴリのタグが少なくとも1つのニューラルネットワークの重みに従って少なくとも計算され、少なくとも1つのニューラルネットワークが、少なくとも1つの画像センサによってキャプチャされた複数の作物植物の複数のトレーニング画像を含むトレーニングデータセットに従ってトレーニングされ、複数のトレーニング画像のそれぞれのトレーニング画像が、それぞれのトレーニング画像中で表示されている少なくとも1つの作物植物の少なくとも1つの所望のカテゴリの前記タグに関連付けられている、ことと;少なくとも1つの分類カテゴリのタグに従ってコントローラによる実行のための命令を生成することとを含む。あるいは、機械学習プロセスが、少なくとも1つのニューラルネットワークによって、少なくとも1種類の作物植物の少なくとも1つの所望のクラスのタグを計算することを含み、少なくとも1つのクラスのタグは少なくとも1つのニューラルネットワークの重みに少なくとも従って計算され、少なくとも1つのニューラルネットワークは、少なくとも1つの画像センサによってキャプチャされた複数の作物植物の複数のトレーニング画像を含むトレーニングデータセットに従ってトレーニングされ、複数のトレーニング画像のそれぞれの各トレーニング画像が、それぞれのトレーニング画像中で表示されている少なくとも1つの植物の種類の少なくとも1つの所望のクラスの前記タグに関連付けられている、ことと;少なくとも1つのクラスのタグに従ってコントローラによる実行のための命令を生成することとを含む。
【0046】
本発明のコンテキストでは、「作物」と「作物植物」という用語は互いに交換可能であり、両方とも、植物全体、および/または、葉、果実、種子、茎、木の枝、木の幹、花、または本明細書で明示的に言及されていない任意のその他の部分を含むがこれらには限定されない、植物の部分と理解されることが意図されている。本発明の作物植物は、畑作物および/または樹木作物であり、したがって「作物植物」という用語が樹木または樹木作物も含む。
【0047】
いくつかの実施形態によると、本発明の追加の目的は、畑内/果樹園内授粉プロセスの全体的方法を開示することであり:花粉の収集が、花粉粒に静電力を加えるように構成された花粉収集要素を使用して行われ;花粉添加は、静電スプレー、空気ポンプ、または当技術分野の任意のその他の添加方法などであるがこれらには限定されない様々な方法を使用して行われ;データが、無線またはその他の接続を使用してリモートサーバに後で送信される任意のデータを収集するために使用されるデータ取得モジュールを使用して収集される。当業者は、サーバが、単一のコンピュータ、クラウド内またはローカルマシン上のコンピュータのネットワークであってもよく;サーバはデータを処理し、栽培者に知見を提供することになり;サーバが、(リアルタイムアクションの場合)デバイスの「ユーザインターフェース」を使用し、(リアルタイムおよび/またはオフラインアクションの場合)ダッシュボードを使用して、栽培者が取るべき必要な将来のアクションに関する推奨を提供することになることがわかるであろう。当業者は、データのサービングが、ウェブサイト、モバイルアプリケーション、タブレットアプリケーション、および市販されているかまたは開発中のその他のプラットフォームなど、様々なプラットフォーム上で供給され得ることがわかるであろう。サーバが提供可能な知見およびアクションは、授粉効率と;非効率的授粉に起因して再人工授粉をすべきエリアに関する推奨と;果樹園/畑における害虫および物理的損害に関する報告;水質条件;作物近傍の気温および湿度と、授粉の頻度および/または持続期間および/または場所に影響を及ぼす可能性のある任意のその他のパラメータとを含むが、これらには限定されない。
【0048】
本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態について説明することのみを目的としており、本発明を限定するものであることは意図されていない。
【0049】
いくつかの実施形態によると、本発明の方法は、植物の状態を決定するためにコンピュータにより実行されるトレーニング済みアルゴリズムとともに機械学習プロセスを適用するステップを含む。したがって、アルゴリズム(またはコンピュータ可読プログラム)が、処理されたデータとともにニューラルネットワークを使用する機械学習プロセスにより実行されることは、本発明の範囲内に含まれる。本発明のシステム内で実行される機械学習のコンテキストにおける「トレーニング」という用語は、機械学習アルゴリズムを作成するプロセスを指す。トレーニングは、深層学習フレームワークおよびトレーニングデータセットの使用を伴う。障害検出から消費者情報まで、様々なユースケース用に機械学習モデルをトレーニングするために、トレーニングデータのソースを使用することができる。ニューラルネットワークは、授粉のコンテキストにおいて個々の植物の状態を識別するために、分類カテゴリの計算、および/または、埋め込み、および/またはクラスタ化の実行、および/またはトレーニング済みクラスからのオブジェクトの検出を行ってもよい。本明細書で使用されている「クラス」という用語は、何らかの特性または属性を共通に有し、種類、タイプまたは質によって他のものから区別されるもののセットまたはカテゴリを指すが、これらには限定されない。
【0050】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、その他のプログラム可能データ処理装置またはその他のデバイス上で実行されるそれらの命令が機能/行為を実行するようにコンピュータにより実行されるプロセスを生成すべく、コンピュータ、その他のプログラム可能データ処理装置、またはその他のデバイス上で一連の動作ステップが行われるようにするために、コンピュータ、その他のプログラム可能データ処理装置またはその他のデバイスにロードされてもよい。
【0051】
本明細書で使用されている「分類する」という用語はクラスタ化する、またはタグ付けするという用語と互いに交換可能な場合があり、たとえば複数の植物画像が分析される場合、各画像がその事前定義された特徴ベクトルに従って分類され、クラスタを作成するために使用されてもよく、および/または、植物画像が埋め込まれ、埋め込まれたものがクラスタ化されてもよい。「所望のカテゴリ」という用語は、埋め込みという用語と交換可能な場合があり、たとえば、植物の画像に応答したトレーニング済みニューラルネットワークの出力が、1つ以上の分類カテゴリ、または計算された埋め込みを格納するベクトルであってもよい。分類カテゴリと埋め込みは、同じトレーニング済みニューラルネットワークによって出力されてもよく、たとえば分類カテゴリはニューラルネットワークの最後の層によって出力され、埋め込みはニューラルネットワークの隠れ埋め込み層によって出力される。
【0052】
ニューラルネットワークのアーキテクチャは、たとえば畳み込み層、プーリング層、非線形層、局所結合層、全結合層および/またはこれらの組合せとして実現することができる。
【0053】
画像中の植物または植物状態特性標的のタグ付けおよび分類は、ユーザによって手動または半手動で入力され(たとえばGUIを介して、たとえば利用可能な表現型特性標的のリストから選択)、データ記憶デバイスに記憶されている事前定義済みの値として得られ、および/または自動的に計算されてもよいことに留意されたい。
【0054】
以下、機械学習のコンテキストにおける「特徴ベクトル」という用語は、観察される現象、たとえばセンサによって検出される現象の個々の測定可能な特性または特徴またはパラメータまたは属性を指す。本明細書では、情報を与える際立った特徴を選択することが、パターン認識、機械学習、分類および回帰における有効なアルゴリズムにとって重要なステップであることは明らかである。特徴ベクトルからの分類を使用するアルゴリズムには、最近傍分類、ニューラルネットワークおよび統計的技法が含まれる。コンピュータビジョンおよび画像処理では、特徴は、特定の用途に関係する計算タスクを解くための適切な情報である。特徴は、点、エッジまたはオブジェクトなどの画像内の特定の構造体であってもよい。特徴は、画像に適用された一般近傍演算または特徴検出の結果であってもよい。特徴が、画像に適用される局所近傍演算によって定義されるとき、特徴抽出と一般に呼ばれる手続きが実行される。
【0055】
例1:エッティンガー種とハス種とのアボカド樹木の他家授粉(1回、3回、6回の処理)
エッティンガー種とハスの種との間で40本の樹木に他家授粉が行われた。いかなる人工授粉処理も受けなかった対照グループと対比して1回、3回または6回の連続処理が行われ、平均果実数および収量増加が測定された。その結果を表1に示す:
【0056】
【0057】
表1により、
図4Aに示すように、対照グループと比較して、顕著により多い平均果実数が観察され、収量の顕著な増加が明らかであった。
【0058】
さらに、
図4Bに示すように、平均果実数の増加にもかかわらず、果実重量の変化は見られなかった。
【0059】
例2:エッティンガー種とハス種とのアボカド樹木の他家授粉(1回、4回、8回の処理)
エッティンガー種とハスの種とで40本の樹木に他家授粉が行われた。いかなる人工授粉処理も受けなかった対照グループと対比して1回、4回または8回の連続処理が行われ、平均果実数および収量増加が測定された。その結果を表2に示す:
【0060】
【0061】
表2により、
図6Aに示すように、対照グループと比較して、より多くの平均果実数が観察され、収量の顕著な増加が明らかであった。
【0062】
さらに、
図6Bに示すように、平均果実数の増加にもかかわらず、1回の処理当たりの平均果実重量の変化は見られなかった。
【0063】
例3:ライチ樹木(Litchi chinensis)の人工授粉
フロリダ種(授粉側)とマウリチウス種(被授粉側)との間で40本のライチ樹木に他家授粉が行われる。どのような処理も受けていない対照グループと対比して他家授粉処理が行われ、平均果実数および収量増加が測定される。平均果実重量も測定される。示されている処理以外は、樹木は同じ栽培条件で栽培されている。
【0064】
平均果実数の増加と顕著な収量増加とが見られる。
【0065】
例4:マンゴー樹木(Mangifera indica)の人工授粉
表4に示す処理に従って、タリ種、キーツ種およびケント種からの40本の樹木に他家授粉または自家授粉される。
【0066】
【0067】
いかなる人工授粉処理も受けていない対照グループと対比して処理が行われ、平均果実数と収量増加が測定される。平均果実重量も測定される。示されている処理以外は、樹木は同じ栽培条件で栽培される。
【0068】
平均果実数の増加と顕著な収量増加が見られる。
【0069】
本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態の説明のみを目的としており、本発明を限定するものであることは意図されていない。コンテキストが明確に他の解釈を示していない限り、本明細書で使用されている単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、複数形も含むことが意図されている。また、「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書で使用されているとき、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはこれらのグループまたは組合せの存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはこれらのグループまたは組合せの存在または追加を排除しない。本明細書で使用されている「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(having)」およびこれらの活用形は、「含むがそれには限定されない」ことを意味する。「からなる(consisting of)」という用語は、「含み、それに限定される」ことを意味する。
【0070】
本明細書で使用されている「および/または」という用語は、関連付けられている列挙項目のうちの1つ以上の項目のあらゆる可能な組合せと、選択的に解釈されるときには組合せがないこと(「または」)とを含む。
【0071】
別に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。また、一般的に使用されている辞書で定義されている用語などの用語は、本明細書および特許請求の範囲のコンテキストにおけるそれらの用語の意味と一貫性のある意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されていない限り、理想化された、または過度に形式的な意味に解釈されるべきではないことを、さらに理解されたい。簡潔および/または明確にするために、よく知られている機能または構造については詳細に説明されていない場合がある。
【0072】
要素が別の要素の「上にある」、要素に「装着されている」、「動作可能に結合されている」、「動作可能に連結されている」、「動作可能に係合している」、「接続されている」、「結合されている」、「接触している」などと言う場合、その要素は、直接、その別の要素の上にある、装着されている、接続されている、動作可能に結合されている、動作可能に係合している、結合されている、および/または接触しているか、あるいは介在要素が存在していてもよいことを、さらに理解されたい。一方、要素が別の要素に「直接接触している」と言う場合、介在要素は存在しない。「約」という用語が使用されている場合、数量、持続時間などの測定可能な値を指し、明記されている値からの±20%、±10%、±5%、±1%または±0.1%の変動を、そのような変動が本開示の方法を行うのに適切であるものとして包含することが意図されている。
【0073】
たとえば「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「確立する」、「分析する」、「確認する」などの用語は、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内の物理的(または電子的)数量として表されたデータを、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ、あるいは動作および/またはプロセスを実行する命令を記憶可能なその他の非一過性の情報記憶媒体内の物理的数量として同様に表された他のデータになるように操作および/または変換する、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、またはその他の電子コンピューティングデバイスの動作および/またはプロセスを指しうることはわかるであろう。
【0074】
本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、層および/または区分を説明するために、第1、第2などの用語が使用されている場合があるが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または区分は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。むしろこれらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層および/または区分を、別の要素、構成要素、領域、層および/または区分から区別するためにのみ使用されている。
【0075】
わかりやすくするために別々の実施形態のコンテキストで説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態において組み合わされて備えられてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態のコンテキストで説明されている様々な特徴が、別々に、または任意の適切な部分的組合せで、または本発明の任意の記載されている実施形態に適合するように備えられてもよい。様々な実施形態のコンテキストで記載されている特定の特徴は、それらの要素がなければその実施形態が動作不能でない限り、それらの実施形態の必須の特徴とみなされるべきではない。
【0076】
本出願全体を通じて、本発明の様々な実施形態が範囲形式で示されている場合がある。範囲形式の説明は、単に便宜上および簡潔さのために過ぎず、本発明の範囲の柔軟性のない限定であると解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、可能なすべての部分的範囲とその範囲内の個別の数値とを具体的に開示しているものとみなされるべきである。たとえば、1から6までなどの範囲の記載は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの部分的範囲と、その範囲内の個別の数値、たとえば1、2、3、4、5および6とを具体的に開示しているものとみなされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0077】
本明細書で数値範囲が示されているときはいつでも、その示されている範囲内の記載されているいずれの数字(小数または整数)も含むことが意図されている。第1の示されている数と第2の示されている数との「間の範囲にわたる/範囲である」という語句、および第1の示されている数「から」第2の示されている数「まで」の「範囲にわたる/範囲である」という語句は、本明細書では互いに交換可能に使用されており、第1の示されている数字と第2の示されている数字と、その間のすべての小数および整数を含むものと意図されている。
【0078】
「複数(plurality)」および「複数(a plurality)」という用語が使用されているときはいつでも、たとえば「多数」または「2つ以上」を含むものと意図されている。「複数(plurality)」および「複数(a plurality)」という用語は、本明細書全体を通じて2つ以上の構成要素、デバイス、要素、ユニット、パラメータなどを説明するために使用されている場合がある。「セット」という用語は、本明細書で使用されているとき、1つ以上のものを含み得る。明記されていない限り、本明細書に記載されている方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスに制限されない。さらに、記載されている方法の実施形態またはその要素のうちのいくつかが、同時に、または同時点に、または並行して起こり得るかまたは行われることができる。
【0079】
すべての言及されている公開文献、特許出願、特許およびその他の参照文献は、それらの公開文献の開示の全体が、本発明が関係する技術分野の状態をより完全に説明するために参照により本出願に組み込まれる。矛盾がある場合、定義を含めて本特許出願が優先するものとする。さらに、材料、方法および例は例示に過ぎず、限定的であることは意図されていない。本出願全体を通じて、様々な公開文献、公開特許出願および公開特許が参照されている。
【0080】
当業者は、本発明が、上記で具体的に示され、説明されているものには限定されないことがわかるであろう。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されており、上記の様々な特徴の組合せおよび部分的組合せと、以上の説明を読めば当業者が想到すると考えられるその変形および修正も含む。
【国際調査報告】