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  • 特表-治療方法及び関連組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-19
(54)【発明の名称】治療方法及び関連組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20230512BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20230512BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230512BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20230512BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20230512BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20230512BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230512BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K48/00
A61K45/00
A61K39/395 T
A61K31/713
A61K31/7105
A61K35/761
A61K35/76
A61P35/00
A61K9/06
A61K47/04
A61K47/24
A61P43/00 121
A61K31/4402
C07K14/00
C12N15/11 Z
C07K16/28
A61K38/21
A61K39/395 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022552219
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 AU2021050167
(87)【国際公開番号】W WO2021168516
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】2020900586
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2020900813
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512290779
【氏名又は名称】アセンド・バイオファーマシューティカルズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クレメント・レオン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ピーターズ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB11
4C076CC27
4C076DD29
4C076DD64P
4C076FF35
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084AA19
4C084AA20
4C084DA21
4C084DA24
4C084MA28
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZC022
4C084ZC412
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA28
4C087MA66
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZC41
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045DA01
4H045EA28
(57)【要約】
本発明は、異常な細胞増殖(例えば、がん)を特徴とする疾患の治療を必要とするヒト対象におけるそれを治療する方法に関する。特に、本発明は、治療有効量の、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる薬剤を投与することと、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤(例えば、ビスモデギブ)を対象に投与することとによって、上記の状態を治療することに関する。少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤(例えば、チェックポイント阻害剤)と、Hhシグナル伝達経路の阻害剤と、SiOマトリックスゲルなどの制御放出マトリックスとを含有する、制御放出薬学的組成物を含む薬学的組成物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患している対象を治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の、
(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに
(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤、を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記対象が、哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が、ヒトである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(i)の少なくとも1つの薬剤が、II型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、又はII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、前記対象におけるII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの内因性産生及び/又は放出を刺激する薬剤である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、前記対象におけるインターフェロンガンマの内因性産生及び/又は放出を刺激する薬剤である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、1つ以上のチェックポイント阻害剤を含む、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のチェックポイント阻害剤が、PD-1受容体、CTLA-4受容体、又は前記PD-1受容体及び前記CTLA-4受容体の両方の活性化を阻害する、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のチェックポイント阻害剤が、前記PD-1受容体及び前記CTLA-4受容体の両方の活性化を阻害する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のチェックポイント阻害剤が、ポリペプチドチェックポイント阻害剤又はペプチドチェックポイント阻害剤を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリペプチドチェックポイント阻害剤又は前記ペプチドチェックポイント阻害剤が、チェックポイント受容体に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリペプチドチェックポイント阻害剤又は前記ペプチドチェックポイント阻害剤が、チェックポイント受容体リガンドに結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記チェックポイント受容体リガンドが、PD-L1、PD-L2、CD80/B7-1、CD86/B7-2、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリペプチドチェックポイント阻害剤が、抗体又はその抗原結合部分である、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体が、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、AGEN1181、トレメリムマブ、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体又はその抗原結合部分が、二重特異性である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記二重特異性抗体が、M7824、MGD013、FS118、MCLA-134、XmAb-20717、ATOR-1015、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のチェックポイント阻害剤が、標的化ポリヌクレオチドを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記標的化ポリヌクレオチドが、siRNA、RNAi、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CRISPRガイドRNA(gRNA)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、前記対象に、治療有効量のII型インターフェロンを投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記II型インターフェロンが、インターフェロンガンマである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、前記対象におけるII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のためのポリヌクレオチドである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のための前記ポリヌクレオチドが、前記対象に投与される組換えウイルスによってコードされる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記組換えウイルスが、組換えDNAウイルスである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組換えDNAウイルスが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、又はレンチウイルスである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記組換えDNAウイルスが、アデノウイルス又はレンチウイルスである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記組換えDNAウイルスが、アデノウイルスである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記組換えアデノウイルスが、インターフェロンガンマの発現のためのものである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
インターフェロンガンマの発現のための前記アデノウイルスが、ASN-002/SP-002である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記治療有効量の前記II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のための前記組換えウイルスが、投与日当たり、病変ごとに少なくとも1×10個のウイルス粒子(vp)として投与される、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、全身的に、病変内に、又は局所的に投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、SMO、PTCH1、GLI、SHHat、tGLI1、及びSHHからなる群から選択される標的を阻害する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記Hhシグナル伝達経路標的が、SMOである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記Hhシグナル伝達経路標的が、SHHである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、小分子阻害剤である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記Hhシグナル伝達経路の前記小分子阻害剤が、ビスモデギブ、ソニデジブ、サリドギブ、LEQ-506、タラデギブ、イトラコナゾール、グラスデギブ、ジェルビン(Jervine)、CUR61414、BMS-833923、TAK-441、MRT-92、GDC-0449、HH-13、GANT61、及びHH-20からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記小分子阻害剤が、ビスモデギブである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記小分子阻害剤が、約150mg~約500mg/日の用量で投与される、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はペプチドを含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、Hhシグナル伝達経路標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記薬剤が、SHH、SMO、PTCH1、GLI、SHHat、又はtGLI1に対する抗体又はその抗原結合部分を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記薬剤が、SHHに対する抗体又はその抗原結合部分を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
SHHに対する前記抗体又はその抗原結合部分が、5E1、MEDI-5304、1C11-2G4、その抗原結合部分、及びSHHへの結合に関して5E1、MEDI-5304、1C11-2G4のうちのいずれか1つと競合する抗体又はその抗原結合部分からなる群から選択される抗体又はその抗原結合部分である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記薬剤が、PTCH1に対する抗体又はその抗原結合部分を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、ポリヌクレオチドである、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記ポリヌクレオチドが、前記Hhシグナル伝達経路を阻害するポリペプチドをコードする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリヌクレオチドが、Hhシグナル伝達経路標的に対して標的化されるmiRNA、siRNA、RNAi、又はCRISPR gRNA、アンチセンスRNA、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドであるか、又はそれをコードする、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記対象が、前記ポリヌクレオチドの発現のための組換えウイルスを投与される、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記組換えウイルスが、組換えDNAウイルスである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、全身的に、病変内に、又は局所的に投与される、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、全身的に投与される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、病変内に投与される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、制御放出製剤として投与される、請求項50~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる前記少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する前記薬剤の投与が、第1の投与期間中に別々に行われる、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記第1の投与期間中に、(ii)が、(i)の投与開始後に投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の投与期間中に、(ii)が、(i)の投与開始から少なくとも1~3週間後に投与される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の投与期間中に、(ii)が、(i)の投与前に投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の投与期間中に、(ii)が、(i)の投与の少なくとも1~3週間前に投与される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる前記少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する前記薬剤の投与が、第1の投与期間中に同時に投与される、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
(i)及び(ii)が、(i)及び(ii)の両方を含有する単一の製剤において同時投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
(i)、(ii)、又は(i)及び(ii)の両方が、第1の投与期間中に複数回投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも第2の投与期間を更に含む、請求項54~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記対象が、約1週間~約12週間の期間にわたって治療される、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
投与された(ii)の用量又は(i)と組み合わせて(ii)を用いた治療期間が、単独で(ii)を用いた治療に関連する少なくとも1つの有害事象の誘発を回避するために限定される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
異常な細胞増殖を特徴とする前記疾患が、がん、線維性疾患、又は皮膚疣贅からなる群から選択される、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
異常な細胞増殖を特徴とする前記疾患が、がんである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記がんが、基底細胞がん、黒色腫、リンパ腫、扁平上皮がん、メルケル細胞がん、肺がん、前立腺がん、肉腫、髄芽腫、線維形成間質を有するがん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、膵がん、中皮腫、間葉がん、上皮がん、及び腺がんからなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記がんが、基底細胞がん(BCC)である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、基底細胞母斑症候群(BCNS)又は散発性BCCに罹患している、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記がんが、再発がん(recurrent cancer)又は再発がん(relapsing cancer)である、請求項66~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害するための少なくとも2つの薬剤が、投与される、請求項1~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記2つの薬剤が、異なるHhシグナル伝達経路標的を阻害する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患している対象を治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の、
(i)少なくとも1つのチェックポイント阻害剤、及び
(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤、を投与することを含む、方法。
【請求項74】
対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤の使用であって、前記対象が、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用。
【請求項75】
前記受容体の活性化を増加させる前記少なくとも1つの薬剤が、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロン、II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項73に記載の使用。
【請求項76】
対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための、前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤の使用であって、前記対象が、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用。
【請求項77】
前記対象が、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、前記II型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストを投与されている、又は投与され得る、請求項75に記載の使用。
【請求項78】
対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の使用であって、前記対象が、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用。
【請求項79】
対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための、前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤の使用であって、前記対象が、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を投与されている、又は投与され得る、使用。
【請求項80】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用するための薬学的組成物であって、
(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに
(ii)前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤、を含む、薬学的組成物。
【請求項81】
(i)が、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、又はII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストを含む、請求項80に記載の薬学的組成物。
【請求項82】
(i)の少なくとも1つの薬剤が、1つ以上のチェックポイント阻害剤を含む、請求項80に記載の薬学的組成物。
【請求項83】
前記インターフェロンが、インターフェロンガンマである、請求項80~82のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項84】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用するための薬学的組成物であって、
(i)少なくとも1つのチェックポイント阻害剤、及び
(ii)前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤、を含む、薬学的組成物。
【請求項85】
制御放出マトリックスを更に含み、(i)及び(ii)の各々が、前記制御放出マトリックス全体に散在する、請求項80~84のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項86】
前記制御放出マトリックスが、SiOマトリックスゲルを含む、請求項85に記載の薬学的組成物。
【請求項87】
前記SiOマトリックスヒドロゲルが、水及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、約5:1~約4,000:1の最終モル比で含む、請求項86に記載の薬学的組成物。
【請求項88】
前記水対TEOSの比が、約400:1である、請求項87に記載の薬学的組成物。
【請求項89】
前記薬学的組成物が、デポー製剤である、請求項80~88のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、異常な細胞増殖を特徴とする疾患のための療法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
異常な細胞増殖を特徴とする状態、例えば、がんの効果的な治療は、依然として臨床医にとって大きな課題である。ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路の阻害剤、例えば、ビスモデギブは、がん及び他の増殖性障害を治療するために利用可能な薬剤の貯蔵庫への有益な付加物となっている。それにもかかわらず、耐性、又はより一般的には、Hhシグナル伝達阻害剤に応答する持続性の開発は、単剤療法としてのそれらの有用性を低下させる。更に、Hhシグナル伝達阻害剤による治療に一般的に必要とされる延長された治療、及び患者に対するそれらの関連する有害作用は、増殖性障害を治療するためのHhシグナル伝達阻害剤の使用に対して更なる欠点を提示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、Hhシグナル伝達経路の阻害剤の治療有効性を強化することができる治療方法及び組成物の継続的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、驚くべきことには、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を相乗的に増加させる薬剤と組み合わせたHhシグナル伝達経路の1つ以上の阻害剤(例えば、ビスモデギブ)の組み合わせが、異常に増殖する細胞のより完全な排除を誘発し、Hhシグナル伝達経路の阻害剤の治療的に効果的な使用に必要な投与レベル及び治療期間を低減することを見出した。
【0005】
したがって、異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患している対象を治療する方法であって、治療有効量の、(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤を対象に投与することを含む方法が、本明細書に提供される。
【0006】
いくつかの実施形態において、治療される対象は、哺乳動物である。いくつかの好ましい実施形態において、治療される対象は、ヒトである。
【0007】
いくつかの実施形態において、(i)の少なくとも1つの薬剤は、II型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、又はII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストである。
【0008】
いくつかの実施形態において、(i)の少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、又はII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、治療有効量のII型インターフェロンを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、II型インターフェロンが投与されるべき場合、II型インターフェロンは、インターフェロンガンマである。他の実施形態において、(i)の少なくとも1つの薬剤は、治療される対象におけるII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のためのポリヌクレオチドである。いくつかの好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは、インターフェロンガンマの発現のためのポリヌクレオチドである。
【0009】
いくつかの好ましい実施形態において、II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のためのポリヌクレオチドは、対象に投与される組換えウイルスによってコードされる。いくつかの実施形態において、組換えウイルスは、組換えDNAウイルスである。いくつかの実施形態において、組換えDNAウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、又はレンチウイルスである。いくつかの好ましい実施形態において、組換えDNAウイルスは、アデノウイルスである。いくつかの好ましい実施形態において、組換えアデノウイルスは、インターフェロンガンマの発現のためのものである。いくつかの好ましい実施形態において、インターフェロンガンマの発現のためのアデノウイルスは、ASN-002/SP-002である。いくつかの実施形態において、本方法が、治療有効量のII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のための組換えウイルスを投与することを含む場合、組換えウイルスは、投与日当たり、病変ごとに少なくとも1×10個のウイルス粒子(vp)として投与される。
【0010】
いくつかの実施形態において、(i)の少なくとも1つの薬剤は、対象におけるII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの内因性産生及び/又は放出を刺激する薬剤である。いくつかの実施形態において、(i)の少なくとも1つの薬剤は、対象におけるインターフェロンガンマの内因性産生及び/又は放出を刺激する薬剤である。いくつかの実施形態において、II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの内因性産生及び/又は放出を刺激する薬剤は、1つ以上のチェックポイント阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のチェックポイント阻害剤は、PD-1受容体、CTLA-4受容体、又はPD-1受容体及びCTLA-4受容体の両方の活性化を阻害する。
【0011】
いくつかの好ましい実施形態において、1つ以上のチェックポイント阻害剤は、ポリペプチドチェックポイント阻害剤又はペプチドチェックポイント阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドチェックポイント阻害剤又はペプチドチェックポイント阻害剤は、チェックポイント受容体に結合する。他の実施形態において、ポリペプチドチェックポイント阻害剤又はペプチドチェックポイント阻害剤は、チェックポイント受容体リガンドに結合する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドチェックポイント阻害剤又はペプチドチェックポイント阻害剤は、PD-L1、PD-L2、CD80/B7-1、CD86/B7-2、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるチェックポイント受容体リガンドに結合する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドチェックポイント阻害剤は、抗体又はその抗原結合部分である。いくつかの実施形態において、抗体は、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、AGEN1181、トレメリムマブ、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、二重特異性である。いくつかの実施形態において、抗体又はその抗原結合部分が、二重特異性である場合、二重特異性抗体は、M7824、MGD013、FS118、MCLA-134、XmAb-20717、ATOR-1015、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態において、1つ以上のチェックポイント阻害剤は、標的化ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、標的化ポリヌクレオチドは、siRNA、RNAi、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CRISPRガイドRNA(gRNA)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態において、(i)の少なくとも1つの薬剤は、全身的に、病変内に、又は局所的に投与される。
【0014】
いくつかの実施形態において、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤は、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤を阻害し、SMO、PTCH1、GLI、SHHat、tGLI1、及びSHHの中から選択される標的を阻害する。いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路標的は、SMOである。他の実施形態において、Hhシグナル伝達経路標的は、SHHである。
【0015】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、小分子阻害剤である。いくつかの実施形態において、小分子阻害剤は、ビスモデギブ、ソニデジブ、サリドギブ、IPI926、LEQ-506、タラデギブ、イトラコナゾール、グラスデギブ、ジェルビン(Jervine)、CUR61414、BMS-833923、TAK-441、MRT-92、GDC-0449、HH-13、GANT61、及びHH-20からなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、小分子阻害剤は、ビスモデギブである。いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路の小分子阻害剤は、約150mg~約500mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路の小分子阻害剤は、約150mg/日の用量で投与される。
【0016】
他の実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はペプチドを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、Hhシグナル伝達経路標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、SHH、SMO、PTCH1、GLI、SHHat、又はtGLI1に対する抗原結合部分を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、SHHに対する抗体又はその抗原結合部分を含む。いくつかの実施形態において、SHHに対する抗体又はその抗原結合部分は、5E1、MEDI-5304、1C11-2G4、その抗原結合部分、及びSHHへの結合に関して5E1、MEDI-5304、1C11-2G4のうちのいずれか1つと競合する抗体又はその抗原結合部分からなる群から選択される抗体又はその抗原結合部分である。他の実施形態において、薬剤は、PTCH1に対する抗体又はその抗原結合部分を含む。いくつかの実施形態において、PTCH1に対する抗体は、α-PTCH1抗体である。
【0018】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、Hhシグナル伝達経路を阻害するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、Hhシグナル伝達経路標的に対して標的化されるmiRNA、siRNA、RNAi、又はCRISPR gRNA、アンチセンスRNA、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドであるか、又はそれをコードする。
【0019】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤が、ポリヌクレオチドである場合、対象は、ポリヌクレオチドの発現のための組換えウイルスを投与される。いくつかの好ましい実施形態において、組換えウイルスは、組換えDNAウイルスである。
【0020】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、全身的に、病変内に、又は局所的に投与される。いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、全身的に投与される。他の実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、病変内に投与される。いくつかの実施形態において、投与経路にかかわらず、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、制御放出製剤として投与される。いくつかの実施形態において、制御放出製剤は、病変内経路及び全身経路の両方を介して投与される。
【0021】
いくつかの実施形態において、(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する薬剤の投与は、第1の投与期間中に別々に行われる。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1の投与期間中に、(ii)は、(i)の投与開始後に投与される。いくつかの実施形態において、(ii)が、(i)の投与開始後に投与される場合、(ii)は、(i)の投与開始から少なくとも1~3週間後に投与される。他の実施形態において、第1の投与期間中に、(ii)は、(i)の投与前に投与される。いくつかの実施形態において、(ii)は、(i)の投与開始の少なくとも1~3週間前に投与される。
【0023】
他の実施形態において、(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する薬剤は、第1の投与期間中に同時投与される。いくつかの実施形態において、(i)及び(ii)は、(i)及び(ii)の両方を含有する単一の製剤において同時投与される。
【0024】
いくつかの実施形態において、(i)、(ii)、又は(i)及び(ii)の両方は、第1の投与期間中に複数回投与される。
【0025】
いくつかの実施形態において、(i)及び(ii)は、第1の投与期間及び少なくとも第2の投与期間中に投与される。
【0026】
いくつかの実施形態において、対象は、約1週間~約12週間の期間にわたって治療される。いくつかの実施形態において、対象は、約1週間~約12週間の期間にわたって治療される場合、投与された(ii)の用量又は(ii)を用いた治療期間は、(ii)を用いた治療に関連する少なくとも1つの有害事象の誘発を回避するために限定される。
【0027】
いくつかの実施形態において、異常な細胞増殖を特徴とする疾患は、がん、線維性疾患、又は皮膚疣贅からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、異常な細胞増殖を特徴とする疾患は、がんである。いくつかの実施形態において、がんは、基底細胞がん、黒色腫、リンパ腫、扁平上皮がん、メルケル細胞がん、肺がん、前立腺がん、肉腫、髄芽腫、線維形成間質を有するがん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、膵がん、中皮腫、間葉がん、上皮がん、及び腺がんからなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、治療されるがんは、基底細胞がん(BCC)である。いくつかの実施形態において、BCCに罹患している対象は、基底細胞母斑症候群(BCNS)又は散発性BCCに罹患している。いくつかの実施形態において、対象が、がんの治療を受けるべき場合、がんは、再発がん(recurrent cancer)又は再発がん(relapsing cancer)である。
【0028】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害するための少なくとも2つの薬剤が、投与される。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの薬剤は、異なるHhシグナル伝達経路標的を阻害する。
【0029】
更に、本発明は、異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患している対象を治療する方法であって、治療有効量の(i)少なくとも1つのチェックポイント阻害剤、並びに(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0030】
更なる態様では、対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤の使用であって、対象が、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロン、II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0031】
別の態様では、対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤の使用であって、対象は、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、II型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストを投与されている、又は投与され得る。
【0032】
別の態様では、対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の使用であって、対象は、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用が、本明細書で提供される。
【0033】
別の態様では、対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のためのヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つ少なくとも1つの薬剤の使用であって、対象は、少なくともチェックポイント阻害剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用が、本明細書で提供される。
【0034】
更なる態様では、異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用するための薬学的組成物であって、(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、又はII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストを含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、対象における発現のためのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを含む。薬学的組成物のいくつかの好ましい実施形態において、インターフェロンは、インターフェロンガンマである。
【0035】
関連する態様では、異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用するための薬学的組成物であって、(i)少なくとも1つのチェックポイント阻害剤、及び(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0036】
上述の薬学的組成物のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、薬学的組成物は、制御放出マトリックスも含み、(i)及び(ii)の各々が、制御放出マトリックス全体に散在する。いくつかの実施形態において、制御放出マトリックスは、SiOマトリックスゲルを含む。いくつかの実施形態において、SiOマトリックスヒドロゲルは、水及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、約5:1~約4,000:1の最終モル比で含む。いくつかの実施形態において、水対TEOSの比は、約400:1である。
【0037】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、デポー製剤である。
【0038】
本明細書に開示されるか、又は本出願の明細書に個別若しくは集合的に示されるステップ、特性、整数、組成物、及び/若しくは治療剤、並びに当該ステップ若しくは特性のうちの2つ以上の任意の組み合わせ。
【0039】
本明細書の任意の実施形態は、特に具体的に明記しない限り、任意の他の実施形態に変更すべきところは変更して適用すると解釈されるものとする。
【0040】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲を限定されるものではなく、例示のみを目的とするものである。本明細書に記載されるような、機能的に同等の製品、組成物、及び方法は、明らかに、本発明の範囲内である。
【0041】
本明細書を通じて、特に具体的に明記しない限り、又は特に文脈がそれ以外を必要としない限り、単一のステップ、組成物、ステップの群又は組成物の群への言及は、1つ及び複数(例えば、1つ以上)のそのようなステップ、組成物、ステップの群又は組成物の群を包含すると解釈されるものとする。
【0042】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】ビスモデギブ及びAd5-mIFNガンマを用いた治療単剤療法及び併用治療レジメンに対するB16F10腫瘍担持マウスにおける治療応答。示されるように、治療レジメン群1~群8における治療期間にわたる腫瘍体積の線グラフ。ビスモデギブを1日当たり50mg/kgで7日間、病変内Ad5-mIFNガンマ(1×1010個のVP/腫瘍)を3日間(群4)投与したマウスは、20日目に最も遅い腫瘍増殖及び最高の生存率を示した。
【発明を実施するための形態】
【0044】
一般的な技術及び定義
特に具体的に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者(例えば、ウイルスベクター構築、トランスフェクション、遺伝子ノックダウン、遺伝子ノックアウト、遺伝子療法、分子遺伝学、がん生物学、がん療法、免疫学、薬理学、タンパク質化学、及び生化学)によって一般的に理解されるものと同じ意味を有すると解釈されるものとする。
【0045】
特に指示されない限り、本明細書にに記載される任意の組換え分子生物学又は免疫学的技術は、当業者に周知の標準的な手順である。そのような技術は、J.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley and Sons(1984)、J.Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989)、T.A. Brown(editor),Essential Molecular Biology:A Practical Approach,Volumes 1 and 2,IRL Press(1991)、D.M. Glover and B.D. Hames(editors),DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes 1-4,IRL Press(1995及び1996)、及びF.M. Ausubel et al.(editors),Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての最新版を含む),Ed Harlow and David Lane(editors) Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory,(1988)、及びJ.E. Coligan et al.(editors) Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(現在までの全ての最新版を含む)などの出典文献全体を通じて記述され、説明されている。
【0046】
本明細書で使用される場合、約という用語は、反対の定めのない限り、指定された値の+/-10%、より好ましくは+/-5%を指す。
【0047】
本明細書全体を通じて、「含む(comprise)」という用語、又は「含む(comprises)」若しくは「含むこと(comprising)」などの変化例は、記載された要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群の包含することを暗示するが、任意の他の要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群を除外しないことが理解されよう。
【0048】
本出願で使用される場合、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することが意図される。つまり、特に指定のない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを使用する」は、任意の自然の包括的な置換を意味することが意図される。つまり、XがAを使用する場合、XがBを使用する場合、又はXがA及びBの両方を使用する場合、これらの事例はいずれも「XはA又はBを使用する」これらの事例はいずれも「XはA又はBを含む」の条件を満たしていることになる。更に、A及びB及び/又は同様のものの少なくとも1つは、一般に、A又はB又はA及びBの両方を意味する。加えて、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」及び「an」は、特に断らない限り、あるいは単数形をさすものとして用いられていることが前後文脈から明らかでない限り、一般に「1つ以上(one or more)」を意味するものとして解釈されるべきである。
【0049】
本明細書で使用される「異常な細胞増殖を特徴とする疾患」という用語は、細胞分裂が、特定の細胞集団における細胞分裂、細胞生存、及び/又は細胞死の速度を調節する1つ以上の調節シグナル又はタンパク質に対する応答の減少、応答の欠如、又は誇張された応答を特徴とする任意の疾患を指す。そのような調節シグナルの例としては、調節シグナル又はタンパク質としては、増殖因子、チェックポイントタンパク質、腫瘍抑制タンパク質、プロアポトーシスタンパク質、及び抗アポトーシスタンパク質の有無が挙げられるが、これらに限定されない。異常な細胞増殖を特徴とする疾患の例としては、がん、線維性疾患、又は皮膚疣贅が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用される「II型インターフェロン」という用語は、インターフェロンガンマ受容体、例えば、インターフェロンガンマに結合するインターフェロンを指す。一実施形態において、II型インターフェロンは、ヒトインターフェロンである。「II型インターフェロン」は、II型インターフェロンのペグ化形態も含む。
【0051】
本明細書で使用される「I型インターフェロン」という用語は、インターフェロンα受容体複合体に結合し、活性化するインターフェロンのサブクラスを指す。I型インターフェロンの非限定的な例としては、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンイプシロン、インターフェロンカッパ、及びインターフェロンオメガ1が挙げられる。一実施形態において、I型インターフェロンは、ヒトインターフェロンである。「I型インターフェロン」は、I型インターフェロンのペグ化形態も含む。
【0052】
本明細書で使用される「ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する薬剤」という用語は、正準受容体パッチド(PTCH1)及び/又は共受容体増殖停止特異的遺伝子1(GAS1)、がん遺伝子関連細胞接着調節(CDO/CDON)、並びにCDOの兄弟(Brother of CDO)(BOC)の上流又は下流のシグナル伝達を妨げる任意の種類の分子を指す。Hhシグナル伝達経路の阻害剤の例示的な標的には、パッチ1(PTCH1)、平滑化(SMO)、神経膠腫関連がん遺伝子ホモログ(GLI)、SHHアセチルトランスフェラーゼ(SHHat)、切断型GLI1(tGLI1)、及びソニックヘッジホッグ(SHH)が含まれる。阻害剤によるHhシグナル伝達経路標的の活性の阻害は、100%未満、例えば、約10%~約95%、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は約10%~約95%のHhシグナル伝達経路標的の活性の別のパーセント阻害であり得る。Hhシグナル伝達経路の阻害剤は、小分子(例えば、ソニデギブ)であり得る。あるいは、阻害剤は、ペプチド、タンパク質、核酸、又はそれらの組み合わせであろ得、単離された形態で直接投与され得るか、又は発現ベクター(例えば、ヒト対象におけるコードされた阻害剤の発現のためのプラスミド又は組換えウイルス)を介して間接的に投与され得る。
【0053】
「少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる薬剤」という用語は、本明細書で使用される場合、そのような受容体を直接的に又は間接的に活性化する任意の種類の分子を指す。そのような受容体の直接的な活性化剤には、投与される外因性インターフェロン、インターフェロンをコードする投与される外因性ポリヌクレオチド、投与されるペプチド又はペプチド模倣アゴニスト、並びに少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体を活性化することができる小分子アゴニストが含まれるが、これらに限定されない。そのような受容体の間接的な活性化剤とは、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体を活性化することができる内因性インターフェロンの産生又は分泌の増加をもたらすインターフェロンの投与を指す。そのような間接的な活性化剤には、PD-1受容体、CTLA-4受容体、又はPD-1受容体及びCTLA-4受容体の両方の活性化を阻害するチェックポイント阻害剤又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
「投与期間」という用語は、本明細書で使用される場合、第1及び第2の治療剤の1つ以上の用量が所望の時間相関係で対象に投与される規定の期間を指す。例えば、第1の投与期間内に、小分子阻害剤は、インターフェロンガンマを発現する組換えウイルスの投与開始の少なくとも10日前に2回投与され得る。したがって、第1の投与期間内に、小分子阻害剤は、組換えウイルスの前に投与される。第2の投与期間が開始され、同じ投与順序が継続される場合、小分子阻害剤は、第1の投与期間に生じた組換えウイルスの前回の投与後に生じたとしても、組換えウイルスの前に投与されると依然として考えられる。
【0055】
本明細書で使用される「有効量」又は「治療有効量」という用語は、治療される疾患又は状態の症状のうちの1つ以上をある程度緩和する十分な量の投与される薬剤(例えば、組換えウイルス、Hhシグナル伝達経路の阻害剤、又は精製タンパク質)を指す。結果は、疾患の兆候、症状、若しくは原因の低減及び/若しくは緩和、又は生物学的システムの任意の他の所望の変化であり得る。併用療法の一部として投与される治療剤の「治療有効量」は、単独で(すなわち、単剤療法として)使用されるときに治療的に有効であり得る治療剤の量を指すことができるか、又は1つ以上の追加の治療剤との組み合わせによって治療的に有効であり得る減少した量を指し得る。
【0056】
本明細書で使用される「組換えウイルス」という用語は、実験的介入によって遺伝子操作され、実験的に導入された発現カセットからポリヌクレオチドを発現することができる任意のウイルスを指す。
【0057】
本明細書で使用される「投与する(administer)」又は「投与する(administered)」という用語は、対象を、直接的又は間接的な手段によって問題の治療剤に曝露することを広く包含する。場合によっては、例えば、ペプチド、タンパク質、又はポリヌクレオチドなどの生物学的薬剤が投与される場合、任意の好適な投与経路によって単離された精製試薬として直接送達することができるか、あるいは、例えば、関連する生物学的薬剤をコードするプラスミドDNA、修飾mRNA、又は組換えウイルスをヒト対象に送達することによって、対象内の生物学的薬剤の発現を誘導することによって間接的に送達することができる。
【0058】
本明細書で使用される「有害事象」という用語は、対象/患者における任意の望ましくない臨床的発生(対象のベースラインの健康と比較して)を指し、患者における意図しない疾患若しくは傷害として定義される任意の望ましくない医学的発生、又は望ましくない臨床的兆候(異常な検査所見を含む)である。より具体的には、本明細書で言及される有害事象のグレードには、米国国立がん研究所によって発行された「有害事象のための共通用語基準」(2010年6月14日に発行されたバージョン4.03)に基づいて発行されたものが含まれる。これらには、医学的介入を必要としない軽度の症状として現れる軽度(グレード1)の有害事象、最小限の局所的又は非侵襲的介入を必要とする中等度(グレード2)の有害事象、直ちに生命を脅かすものではないが、入院又は入院の長期化を必要とし得る重度又は医学的に重要な(グレード3)有害事象、緊急介入を必要とする生命を脅かす(グレード4)有害事象、及び有害事象関連の死亡(グレード5)が含まれる。がん療法のためのHhシグナル伝達経路を阻害するための薬剤の投与に一般的に関連する有害事象としては、ミオパシー、疲労、脱毛症(抜け毛)、味覚障害(味覚認識の歪み)、体重減少、クレアチンホスホキナーゼの上昇、筋けいれん/痙攣、及び卵巣機能不全、並びに新たな発症扁平上皮がんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
「コードする(encoding)」「コードする(encodes)」「コードされる(encoded)」などの用語は、本明細書で使用される場合、対応するDNA若しくはRNA配列が1つ以上のRNAに転写されるか、又は1つ以上のペプチド若しくはタンパク質に翻訳されることができる任意の生体分子を指す。そのようなコード可能な生体分子の例には、miRNA、siRNA、アンチセンスRNA、gRNA、タンパク質、及びペプチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用される「発現する(expressing)」又は「発現(expression)」という用語は、転写及び/又は翻訳のプロセスを指す。
【0061】
本明細書で使用される「精製された(purified)」という用語は、タンパク質(例えば、「精製されたインターフェロンガンマ」など)に関して、ネイティブ又は自然環境で通常タンパク質に関連する汚染物質を実質的に含まない形態で提供されるタンパク質を指す。
【0062】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、融合ダイアボディ、トリアボディ、ヘテロ共役抗体、無傷分子及びその断片を含むキメラ抗体、並びに他の抗体様分子を含む。抗体は、例えば、VHドメイン又はVLドメインのいずれかを含むドメイン抗体、重鎖可変領域の二量体(VHH、ラクダ科に関して記載される)、軽鎖可変領域の二量体(VLL)、直接又はリンカーを介して連結され得る軽鎖(VL)及び重鎖(VH)可変領域のみを含有するFv断片、又は重鎖可変領域及びCH1ドメインを含有するFd断片を含むが、これらに限定されない、様々な形態の修飾を含む。
【0063】
本明細書で使用される「抗原結合部分」という用語は、特定の抗原に結合する抗体上の領域を指す。典型的には、そのような抗原結合部分は、少なくとも重鎖可変ドメイン(V)及び軽鎖可変ドメイン(V)を含み、これらは共に抗原結合部分を形成する。そのような抗原結合部分の例としては、例えば、一本鎖可変断片(scFv)が挙げられる。
【0064】
本明細書で使用される「小分子」という用語は、2000ダルトン未満の分子量を有する化合物又は分子を指す。
【0065】
本明細書で使用される「相乗効果(synergy)」又は「相乗的(synergistic)」という用語は、薬剤の組み合わせの使用から生じる効果(例えば、「細胞死の誘導」)であって、その効果が各薬剤を別々に使用することから生じる効果の合計より定量的に大きい効果を指す。例えば、A剤で30%の細胞死を引き起こし、B剤で30%の細胞死を引き起こす場合、そのような効果の(非相乗的な)合計は、60%であり得る。実際に、薬剤A及びBの組み合わせが60%を超える細胞死をもたらす場合、それらの組み合わさられた効果は、相乗的と見なされるであろう。
【0066】
本明細書で使用される「治療すること(treating)」又は「治療(treatment)」という用語は、(i)特許請求の範囲に記載の方法に従って対象に自己治療を指示する(例えば、薬物を自己投与する)、又は(ii)特許請求の範囲に記載の方法に従って対象を治療するように第三者に指示する、任意の形態の指示を提供することによって、医療従事者による対象の直接治療(例えば、治療剤を対象に投与することによる)、又は少なくとも1人の当事者(例えば、医師、看護師、薬剤師、若しくは医薬品販売員)よって行われる間接治療の両方を指す。「治療すること」又は「治療」という用語の意味においても、例えば、疾患の十分に早い段階で治療薬を投与して、その進行を予防又は遅延させることによって、治療される疾患の再発又は減少の予防が包含される。
【0067】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療
本明細書に記載される方法は、(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤の併用レジメンを投与することによって、異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患しているヒト対象を治療することに関する。理論に拘束されることを望むものではないが、II型及び/又はI型インターフェロン受容体活性の増加と併せたHh経路シグナル伝達の阻害は、単剤療法と比較して治療投与及び/又は持続時間を減少させる相乗的な抗増殖効果をもたらす。
【0068】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される治療方法は、ウシ、ヒツジ、ウマ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ブタ、非ヒト霊長類、又はヒトなどの哺乳動物対象に対して行われる。いくつかの好ましい実施形態において、治療される対象は、ヒト対象である。
【0069】
本明細書に提供される方法のいずれかによって治療することができるがんとしては、基底細胞がん、黒色腫、リンパ腫、扁平上皮がん、メルケル細胞がん、肺がん、前立腺がん、肉腫、髄芽腫、線維形成間質を有するがん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、膵がん、中皮腫、間葉がん、上皮がん、及び腺がんが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、治療される対象は、基底細胞がんに罹患している。いくつかの実施形態において、基底細胞がん(BCC)に罹患している対象は、基底細胞母斑症候群(BCNS)又は散発性BCCに罹患している。いくつかの実施形態において、治療方法は、再発がん(recurrent cancer)又は再発がん(relapsing cancer)に罹患している対象に対して行われる。
【0070】
本明細書に提供される方法によって治療することができる線維性疾患としては、ケロイド、強皮症/全身性硬化症、腎性全身性線維症、癒着性関節包炎、デュピュイトレン拘縮、及び関節線維症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
好ましい実施形態において、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する薬剤(例えば、ビソモデギブ)の用量、(II型若しくはI型)インターフェロン(又はアゴニスト若しくはチェックポイント阻害剤)の用量、又は組み合わせ治療における両方の用量は、各薬剤の単独投与に関して当該技術分野で許容される標準用量と比較して減少され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される治療方法のうち、減少した用量は、治療される対象における少なくとも1つの有害事象の誘導を回避する。いくつかの好ましい実施形態において、投与される用量は、標準用量と比較して、約25%~約95%減少し、例えば、約25%~約95%の範囲で治療される異常な細胞増殖疾患の標準用量と比較して、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、又は別のパーセントの用量減少である。いくつかの好ましい実施形態において、用量は、標準用量と比較して、約50%~約85%減少する。
【0072】
異常な細胞増殖を特徴とする様々な種類の疾患の症状、診断試験、及び予後試験は、当該技術分野において既知である。例えば、National Comprehensive Cancer Network:
(nccn.org/professionals/physician_gls/f_guidelines.asp)、及びBritish Medical Journal(BMJ) Best Practice(ウェブサイト:bestpractice.bmj.com)を、それぞれ参照されたい。
【0073】
ヘッジホッグシグナル伝達経路の阻害
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、SMO、PTCH1、GLI、SHHat、tGLI1、SHH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のHhシグナル伝達経路標的を阻害する。投与される阻害剤には、小分子、ペプチド、タンパク質、核酸、又はそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0074】
いくつかの実施形態において、薬剤は、Hhシグナル伝達経路の小分子阻害剤である。Hhシグナル伝達経路の好適な小分子阻害剤には、ソニデジブ/LDE225(CAS 956697-53-3)、サリドギブ(CAS 1037210-93-7)、ビスモデギブ(CAS 879085-55-9)、LEQ-506(CAS 1204975-42-7)、タレデギブ(CAS 1258861-20-9)、イトラコナゾール(CAS 84625-61-6)、グラスデギブ(CAS 1095173-27-5)、GANT61(CAS 500579-04-4)、ジェルビン(CAS 469-59-0)、CUR61414(CAS 334998-36-6)、BMS-833923(CAS 1059734-66-5)、TAK-441(CAS 1186231-83-3)、MRT-92(CAS 1428307-52-1)、HH-13(Li et al.,2019)、GANT61(CAS 500579-04-4)、及びHH-20(Li et al.,2019)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、投与される小分子阻害剤は、ビスモデギブである。
【0075】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、Hhシグナル伝達経路標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、SHH、SMO、PTCH1、GLI、SHHat、又はtGLI1に対する抗体又はその抗原結合部分を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、SHHに対する抗体又はその抗原結合部分を含む。SHHに対する抗体の好適な例には、5E1、MEDI-5304、及びSHHへの結合に関して5E1、MEDI-5304、又は1C11-2G4のうちのいずれか1つと競合する抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
他のHhシグナル伝達経路標的に対する抗体の好適な例としては、PTCH1に対するα-Ptch1(Nakamura et al.,2007)及びSMOに対するE5(Santa Cruz Biotechnology,カタログ番号sc-166685)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害するためのポリペプチド剤は、(非抗体)負の調節因子である。いくつかの実施形態において、陰性調節因子は、Rab 23(Chi et al.,2012)、融合hSu(fu)のヒトサプレッサー(Stone et al.,1999、又は優性遺伝子の陰性SHH-G27A(Singh et al.,2009)である。いくつかの実施形態において、タンパク質又はペプチド阻害剤は、細胞膜透過性ペプチド(CPP)を含むコンジュゲート又は融合タンパク質として提供される。CPPは、当該技術分野で既知であり、市販されている(例えば、Hoffmann et al.,2018を参照されたい)。いくつかの実施形態において、阻害剤がタンパク質である場合、タンパク質は、Hhシグナル伝達経路の抗体阻害剤である。いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路の阻害剤は、ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド阻害剤は、配列番号1に対応するHL2-m5のアミノ酸配列を含む。
【数1】
式中、O2beYは、非天然アミノ酸O-(2-ブロモエチル)-チロシンに対応する(Owens et al.,2017)。
【0078】
他の実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、Hhシグナル伝達経路を阻害するための上述のポリペプチド又はペプチドのうちのいずれか(例えば、SHHに対する抗体)をコードする。
【0079】
他の実施形態において、ポリヌクレオチド酸は、Hhシグナル伝達経路を阻害するポリペプチドをコードしないが、むしろ、Hhシグナル伝達経路標的に対して標的化されるmiRNA、siRNA、RNAi、又はCRISPR gRNA、アンチセンスRNA、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドであるか、又はそれをコードする。当業者は、ポリヌクレオチドがRNA又はタンパク質の発現のために利用される場合、哺乳動物対象におけるRNA及び/又はタンパク質の発現のための好適なベクターが、インビボでのトランスフェクション又は本明細書に記載される組換えウイルスを使用したウイルス形質導入のいずれかによって治療される対象に投与され得ることを理解するであろう。
【0080】
他の実施形態において、ポリヌクレオチドは、miRNAである。好適なmiRNAには、miR-125b、miR-323、miR324-5p、miR-210、及びmiR-14が含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態において、ポリヌクレオチドは、アンチセンスRNAである。Hhシグナル伝達経路の好適なアンチセンスRNA阻害剤には、GLI1に対するアンチセンスオリゴマー(Hegde et al.,2012)、GLI2(Narita et al.,2008)、及びSMO(Gao et al.,2006)が含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態において、投与されるポリヌクレオチドは、Hhシグナル伝達経路のCRISPR標的化のためのgRNAを含む。gRNAの好適な例には、GLI1に対するgRNA(Diao et al.,2018)、GLI2(Hsiao et al.,2018)、及びSMO(Wu et al.,2018)が含まれるが、これらに限定されない。標的化gRNAは、gRNAと併用される標的化酵素(例えば、Cas9)に応じて、標的遺伝子のノックアウト又はノックダウンに使用され得ることが当業者に理解されるであろう(Konermann et al.,2018)。
【0081】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドが一過性インビボトランスフェクションによって投与される場合、ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの種類のヌクレオチド、例えばシトシンの割合(例えば、10%、30%、50%、又は100%)がインビボでの安定性を増加させるように化学修飾される化学修飾(コード又は非コード)RNAである。例えば、場合によっては、修飾シストシンは、5-メチルシトシンである。そのようなポリヌクレオチドは、特にトランスフェクション/送達薬剤と組み合わせたときに、インビボで細胞への送達/トランスフェクションに特に有用である。場合によっては、化学修飾RNAは、シストシンの大部分(例えば、全て)が5-メチルシトシンであり、ウラシルの大部分(例えば、全て)が偽ウラシルである化学修飾RNAである。そのような修飾RNAの合成及び使用は、例えば、WO2011/130624に記載されている。例えば、Liu et al.(2015)及びYoun et al.(2015)に要約されているように、DNA及びRNAポリヌクレオチドのインビボトランスフェクションのための方法が、当該技術分野で既知である。
【0082】
II型及び/又はI型インターフェロン受容体活性を増加させるための薬剤
いくつかの実施形態において、II型及び/又はI型インターフェロン受容体活性を増加させるために投与される薬剤は、外因性インターフェロンを含む。本明細書に記載される治療方法のいくつかの実施形態において、投与されるインターフェロンのアミノ酸配列は、ヒトII型インターフェロンのアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列、例えば、ヒトインターフェロンガンマ(GenBank番号NP_000610.2)、例えば、ヒトインターフェロンガンマ配列と約80%~100%同一の範囲のヒトインターフェロンガンマ配列と82%、85%、88%、90%、92%、95%、97%、99%、又は別のパーセント同一のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態において、投与されるインターフェロンガンマのアミノ酸配列は、ヒトインターフェロンガンマのアミノ酸配列と100%同一である。他の実施形態において、投与されるインターフェロンガンマは、ヒトI型ヒトインターフェロンのアミノ酸配列と少なくとも約80%同一のアミノ酸配列、例えば、ヒトI型インターフェロンのアミノ酸配列と82%、85%、88%、90%、92%、95%、97%、99%、又は別のパーセント同一のアミノ酸配列を含む。好適なヒトI型インターフェロンとしては、インターフェロンアルファ(GenBank番号AAA52724.1)、インターフェロンベータ(GenBank番号AAC41702.1)、インターフェロンイプシロン(GenBank番号AAQ88933)、インターフェロンカッパ(GenBank番号EAW58563.1)、及びインターフェロンオメガ1(GenBank番号CAA41626.1)のうちの1つ以上が挙げられる。
【0083】
いくつかの実施形態において、インターフェロンガンマは、実質的に精製されたタンパク質として、ヒト投与に安全であると考えられる純度のレベル、例えば、概して99%を超える純度、及び約5×10IU/mg~約4×10IU/mgのレベルで投与される。
【0084】
他の実施形態において、投与されるII型又はI型インターフェロンは、ヒト対象において発現されるII型又はI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチドとして間接的に投与される。いくつかの好ましい実施形態において、コードされるインターフェロンのアミノ酸配列は、ヒトインターフェロンガンマのアミノ酸配列(GENBANK番号NP_000610.2)と少なくとも約80%同一のII型インターフェロンであり、例えば、ヒトインターフェロンガンマ配列と約80%~100%同一の範囲のヒトインターフェロンガンマ配列と82%、85%、88%、90%、92%、95%、97%、99%、又は別のパーセント同一である。好ましい実施形態において、コードされたインターフェロンガンマのアミノ酸配列は、ヒトインターフェロンガンマのアミノ酸配列と100%同一である。
【0085】
いくつかの好ましい実施形態において、II型又はI型インターフェロンが、II型又はI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチドとして投与される場合、ポリヌクレオチドは、治療される対象における発現のために組換えウイルスを介して投与される。いくつかの実施形態において、組換えウイルスがヒト対象におけるII型又はI型インターフェロンの発現に使用される場合、同じ組換えウイルスは、本明細書に記載されるHhシグナル伝達経路の阻害剤を共発現する。
【0086】
いくつかの実施形態において、II型インターフェロン、I型インターフェロンは、本明細書に記載されるポリヌクレオチドの形態で投与されるべき場合、ポリヌクレオチドは、「ネイキッド」ポリヌクレオチド(例えば、プラスミド発現ベクター又は発現アンプリコン)の一過性インビボトランスフェクションによって投与される。
【0087】
いくつかの実施形態において、II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロン受容体活性を増加させるための薬剤は、対象におけるII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの内因性産生及び/又は放出を刺激する薬剤である。いくつかの好ましい実施形態において、薬剤は、対象におけるインターフェロンガンマの内因性産生及び/又は放出を刺激する。いくつかの実施形態において、II型及び/又はI型インターフェロン受容体活性を増加させるための薬剤は、1つ以上のチェックポイント阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のチェックポイント阻害剤は、PD-1受容体、CTLA受容体、又はその両方の活性化を阻害する。いくつかの実施形態において、薬剤は、PD-1受容体の活性化を阻害し、CTLA-4受容体の活性化を阻害する1つ以上のチェックポイント阻害剤を含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、1つ以上のチェックポイント阻害剤は、ポリペプチド又はペプチドを含む。いくつかの実施形態において、チェックポイントインヒビターポリペプチド又はチェックポイントインヒビターペプチドは、チェックポイント受容体に結合する。他の実施形態において、チェックポイントインヒビターポリペプチド又はチェックポイントインヒビターペプチドは、チェックポイント受容体リガンドに結合する。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤ポリペプチド又はチェックポイント阻害剤ペプチドが、チェックポイント受容体リガンドに結合する場合、チェックポイント受容体リガンドは、PD-L1、PD-L2、CD80/B7-1、CD86/B7-2、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、1つ以上のチェックポイント阻害剤が、ポリペプチドを含む場合、ポリペプチドは、抗体又はその抗原結合部分である。好適なチェックポイント阻害剤抗体には、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、AGEN1181、トレメリムマブ、及びそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、1つ以上のチェックポイント阻害剤が抗体を含む場合、抗体は、二重特異性である。好適な二重特異性抗体としては、M7824(臨床試験識別子NCT02699515を参照されたい)、MGD013(NCT03219268)、FS118、MCLA-134、XmAb-20717、及びATOR-1015が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Dahlen et al.,2018を参照されたい)。
【0090】
いくつかの実施形態において、1つ以上のチェックポイント阻害剤は、ペプチドを含む。好適なペプチドチェックポイント阻害剤の例としては、(D)PPA-1(Chang et al.,2015)、PL120131(Boohaker et al.,2018)、TPP-1(Li et al.,2018)、UNP-12(Sasikumar et al.,2013)、NP-12(Saskikumar et al.,2019)、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
他の実施形態において、1つ以上のチェックポイント阻害剤は、標的化ポリヌクレオチドを含む。標的化ポリヌクレオチドの好適な例としては、siRNA、RNAi、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。そのような標的化ポリヌクレオチドは、例えば、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、CD80/B7-1、CD86/B7-2、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上の発現に対して向けられ得る。好適な標的化ポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知であり、例えば、MN-siPDL1(Yoo et al.,2019)及びPD-1に対するgRNA Choi et al.(2019)である。
【0092】
組換えウイルス
いくつかの実施形態において、(i)Hhシグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤、及び/又は(ii)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤(例えば、チェックポイント阻害剤)が、ペプチド、ポリペプチド、又はポリヌクレオチドを含む場合、組換えウイルスは、対象(例えば、ヒト対象)に投与されるときに、ペプチド、ポリペプチド、又はポリヌクレオチドの発現を誘導するために投与される。様々な組換えウイルスタイプは、II型若しくはI型インターフェロン、及び任意に、本明細書に記載されるHhシグナル伝達経路を阻害するポリペプチド、ポリヌクレオチド、若しくはペプチドの発現に好適である。
【0093】
いくつかの実施形態において、投与される組換えウイルスは、DNAウイルスである。好適な種類のDNAウイルスとしては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レトロウイルス、及びレンチウイルスが挙げられる。そのような種類の組換えDNAウイルスの設計、産生、及び使用のための方法は、Fukazawa et al.(2010)及びアデノウイルスのための“Gene Therapy Protocols”、AAVのための“Adeno-Associated Virus:Methods and Protocols”、HSVのためのCody et al.(2013)及び“Herpes Simplex Virus:Methods and Protocols”、レトロウイルスのための“Gene Therapy Protocols Vol.1:Production and In Vivo Applications of Gene Transfer Vectors”及びAmer et al.(2014)、並びにレンチウイルスのためのMerten et al.(2016)及びEmeagi et al.(2013)に例示されるように、当該技術分野において確立されている。いくつかの好ましい実施形態において、治療方法に使用される組換えウイルスは、アデノウイルスである。いくつかの好ましい実施形態において、組換えアデノウイルスは、インターフェロンガンマ(Tg1042及びSP-002としても知られている)の発現のための複製欠損型5型アデノウイルスであるASN-002である(Urosevic,2007、Liu et al.,2004、Dummer et al.,2004 and 2010、Accart et al.,2013、Khammari et al.,2015、Dreno et al.,2014、Hillman et al.,2004)。
【0094】
他の実施形態において、投与される組換えウイルスは、組換え、複製欠損、又は複製コンピテントRNAウイルスである。好適な種類の複製欠損又は複製コンピテントRNAウイルスは、アルファウイルス(例えば、シンドビス又はSemliki Forestウイルス)、フラビウイルス(例えば、Kunjinウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、Sendaiウイルス)、ラブドウイルス(例えば、小胞性口内炎ウイルス)、及びオルトミクソウイルス(例えば、A型インフルエンザウイルス)である。そのようなタイプの組換えRNAウイルスの設計、産生、及び使用方法は、アルファウイルスのためのLundstrom(2015)及びQuetglas et al.(2010)、フラビウイルスのためのHoang-Le et al.(2009)及びUsme-Ciro et al.(2013)、パラミクソウイルスのためのCattaneo(2010)、ラブドウイルスのためのFinke et al.(2005)及びChang et al.(2010)、並びにオルトミクソウイルスのためのU.S.8,475,806に例示されるように、当該技術分野において確立されている。
【0095】
いくつかの実施形態において、組換えDNA又はRNAウイルスは、形質導入細胞において複製することができない複製欠損ウイルスである。他の実施形態において、組換えウイルスは、形質導入宿主細胞内で複製することができる複製コンピテントウイルスである。あるいは、組換えウイルスは、特定の細胞型において、又は特定の発現プロファイルを有する細胞、例えば、p53欠損がん細胞においてのみ複製することができる条件付き複製コンピテントウイルスである。
【0096】
本明細書に記載される方法における組換えウイルスからの生物学的薬剤の発現を駆動するための好適なプロモーターの例としては、CMV、CAG、EF-1-Ι、HSV1-TK、SV40、
【数2】
、及びPGKプロモーターなどの構成的プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、プロモーターは、TET-オペレーター要素を含有するものなどの誘導性プロモーターである。ある特定の実施形態において、標的選択的プロモーターは、特定の細胞型において、又は異常な細胞増殖を示す細胞において特異的に、生物学的薬剤の発現を駆動するために使用される。本明細書に記載される方法に有用な好適なプロモーターの例としては、erb2プロモーター(乳がん)、がん胎児性抗原プロモーター(結腸直腸がん)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体プロモーター(結腸直腸がん)、チロシナーゼプロモーター(黒色腫)、メラコルチン受容体(黒色腫)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)プロモーター(多発がん)、RAS関連核タンパク質プロモーター(多発がん)、乳がん転移抑制剤1プロモーター(多発がん)、Rad51Cプロモーター(多発がん)、及びミニ染色体維持複合体成分5プロモーター(多発がん)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
いくつかの実施形態において、2つ以上のタンパク質が組換えウイルスから発現されるべき場合、組換えウイルスは、ポリシストロンmRNAをコードする発現カセット(「ポリシストロン発現カセット」)を含有し、翻訳されると、異なるアミノ酸配列又は官能基、例えば、インターフェロンガンマ及びHhシグナル伝達経路のタンパク質阻害剤(例えば、hSu(fu))を含む独立したポリペプチドを生じる。いくつかの実施形態において、ポリシストロン発現カセットは、ピコルナウイルス、例えば、口蹄疫ウイルス(FMDV)ウイルス2Aペプチド配列によってコードされることによって分離される複数のポリペプチド配列を含む「ポリタンパク質」をコードする。2Aペプチド配列は、保存されたグリシンと最後のプロリンとの間の正常なペプチド結合の形成を防止することによって、共翻訳的に作用し、次のコドンにスキップしてリボソームを生成し、新生ペプチドがGlyとProとの間で切断する。切断後、短い2Aペプチドは、「上流」タンパク質のC末端に融合したままであり、一方プロリンは、「下流」タンパク質のN末端に付加され、翻訳中に新生ポリペプチド配列を別個のポリペプチドに切断することができる。例えば、Trichas et al.(2008)を参照されたい。
【0098】
他の実施形態において、ポリシストロン発現カセットは、ポリシストロン発現カセットに組み込まれたオープンリーディングフレーム間に1つ以上の内部リボソーム侵入部位(IRES)配列を組み込み得る。IRES配列及びそれらの使用は、例えば、Martinez-Sales(1999)に例示されるように、当該技術分野で既知である。
【0099】
いくつかの実施形態において、本方法において使用される組換えウイルスは、Bucholz et al.(2015)において概説されるように、標的化されたトロピズム、例えば、特定の細胞型に対するトロピズムを有する。組換えウイルスカプシド表面に組み込むのに好適な標的部分には、過剰増殖する細胞(例えば、がん細胞)によって過剰発現される細胞表面受容体に結合するリガンドが含まれる。例えば、乳がん細胞において頻繁に過剰発現されるHer2/neu受容体は、AAV(Munch et al.2013)におけるレンチウイルス(Munch et al.2011)に対して行われたように、設計されたアンクリリン反復タンパク質(DARPin)リガンドを組み込むことによって標的化され得る。別の例では、組換えレンチウイルスは、抗体をウイルスカプシド表面に組み込むことによって、黒色腫細胞の表面上で過剰発現されるP糖タンパク質を標的とするように設計されている(Morizono et al.2005)。
【0100】
投与レジメン
当業者は、本明細書に記載されるように、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる薬剤と併用して投与される場合に、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤の好適な治療有効用量が、特定のHhシグナル伝達経路阻害剤、治療の副作用の発現、特定の薬剤、疾患段階、治療を必要とする対象又は宿主の特徴(例えば、体重)、治療される特定のタイプの疾患の特性、提案される投与経路などの要因に依存するが、それにもかかわらず、それにもかかわらず、当該技術分野で既知の方法で決定することができることを理解するであろう。所望の用量は、好都合には、単回用量で、又は同時に(又は短期間にわたって)投与される分割用量として、又は適切な間隔で、例えば、1日当たり2回、3回、4回、又はそれ以上のサブ用量として提示され得る。
【0101】
一般に、併用投与される薬剤は、必ずしも同じ薬学的組成物で投与される必要はなく、異なる物理的及び化学的特性のために、異なる経路によって投与され得る。
【0102】
複数の投与ステップ間の期間は、各医薬品の特性(医薬品の効力、溶解性、バイオアベイラビリティ、血漿中半減期、及び速度論的プロファイルなど)に応じて、数分から数日の範囲であり得る。様々な生理学的パラメータの概日変動も評価して、最適な用量間隔を決定し得る。
【0103】
初回投与は、例えば、静脈内注射、ボーラス注射、5分~約5時間にわたる注入、丸剤、カプセル、局所塗布、経皮パッチなどの実用的な任意の経路、又はそれらの組み合わせを介して行うことができる。いくつかの実施形態において、投与は、病変内注射、病変周辺に注射、又は病変部近傍への注射(例えば、約5cm又は約1cm以内)などの皮下注射によるものである。いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路阻害剤は、経口投与され、II型又はI型インターフェロン(例えば、組換えウイルスによって)は、病変内投与される。
【0104】
本明細書に記載される治療方法のいくつかの実施形態において、(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、又は(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤のいずれかが、全身的に、病変内に、又は局所的に投与される。
【0105】
いくつかの好ましい実施形態において、例えば、治療される対象は、局所投与に適した病変/腫瘍(例えば、基底細胞がん)を呈する場合、(i)の投与は、病変内である。いくつかの実施形態において、(i)の投与は、病変内投与であり、(ii)の投与は、全身的投与である。
【0106】
いくつかの実施形態において、(i)及び(ii)の各々の投与は、第1の投与期間中、すなわち、(i)及び(ii)の第1の用量セットが対象に投与される期間中に別々に行われる。いくつかの実施形態において、第1の投与期間中に、(ii)は、(i)の投与開始後に投与される。いくつかの実施形態において、(ii)は、(i)の投与開始から少なくとも1日~約8週間後、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、7週間後、又は(i)の投与開始から少なくとも1日~約8週間後の別の期間投与される。いくつかの実施形態において、(ii)は、(i)の投与開始から少なくとも1~3週間後に投与される。
【0107】
他の実施形態において、第1の投与期間中に、(ii)は、(i)の投与前に投与される。いくつかの実施形態において、(ii)は、(i)の投与開始の少なくとも1日~約8週間前、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、7週間前、又は(i)の投与開始の少なくとも1日~約8週間前の別の期間投与される。いくつかの好ましい実施形態において、(ii)は、(i)の投与開始の約10日~約14日前に投与される。
【0108】
いくつかの実施形態において、(i)及び(ii)は、第1の投与期間中に同時投与される、すなわち、それらは、互いに1日未満で対象に投与される。いくつかの実施形態において、(i)及び(ii)の同時投与は、第1の投与期間内に互いに約1分~約22時間以内、例えば、第1の投与期間中に、5分、30分、1時間、2時間、8時間、12時間、18時間、又は約1分~約22時間の別の時間間隔内の(i)及び(ii)の投与を含む。いくつかの実施形態において、(i)及び(ii)が同時投与される場合、それらは、(i)及び(ii)の両方を含有する単一の製剤において同時投与される。
【0109】
いくつかの実施形態において、(i)、(ii)、又は(i)及び(ii)の両方は、第1の投与期間中に複数回投与される。いくつかの実施形態において、(i)、(ii)、又は(i)及び(ii)の両方は、第1の投与期間中に、週約1回~1日当たり約1回、例えば、5日に1回、4日に1回、3日に1回、2日に1回、又は週約1回~1日当たり約1日の別の頻度で投与される。いくつかの実施形態において、(i)及び(ii)が第1の投与期間中に複数回投与される場合、(ii)の投与頻度は、(i)の投与頻度よりも低い。他の実施形態において、(i)の投与頻度は、(ii)の投与頻度よりも低い。いくつかの実施形態において、(i)及び(ii)の投与頻度は、同じである。
【0110】
いくつかの実施形態において、治療される対象は、少なくとも第1及び第2の投与期間を含む複数の投与期間にわたって、本明細書に記載される併用治療を投与される。投与期間の数は、1~14の範囲、例えば、2、3、4、5、6、8、10、12、又は1~14の投与期間の別の数であり得る。いくつかの実施形態において、治療は、少なくとも第1及び第2の投与期間を含む。対象が複数の投与期間にわたって治療される場合、総計用量(i)及び/又は(ii)は、異なる投与期間の間で変化し得る。
【0111】
疾患の治療のためのHhシグナル伝達経路を阻害する薬剤を用いた細胞増殖疾患(例えば、がん)の単剤療法は、特に有効な応答に必要なこれらの薬剤の持続時間(通常約10カ月)及び用量を考慮すると、有害事象を引き起こすことが一般的に認識されている。しかしながら、そのような副作用(例えば、筋肉のけいれん/痙攣、疲労、及びミオパチー)は、通常、患者が完全な治療経過を完了する前にそのような薬剤による治療を停止することをもたらす。実際、有害事象(例えば、筋肉のけいれん)は、治療の2カ月後に早くも始まることが多い(Lacouture et al,2018)。対照的に、本明細書に記載される併用治療方法では、(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する薬剤による治療間の相乗作用は、(ii)の実質的に減少した持続時間及び/又は用量を提供する。したがって、いくつかの実施形態において、(i)と組み合わせて(ii)を用いた投与された又は治療期間の投与は、単独で(ii)を用いた治療に関連する少なくとも1つの有害事象の誘発を回避するために限定される。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される(i)を用いた併用治療で投与される(ii)の用量は、(ii)を用いた単独療法に必要な(ii)の用量よりも約10%~約90%少ないが、一方、同時に、(ii)を用いた単独療法に関連する中等度を超える事象の誘導を回避し、例えば、(ii)を用いた単独療法に必要な(ii)の用量より約20%少ない、30%少ない、40%少ない、50%少ない、60%少ない、70%少ない、80%少ない、又はその用量よりも約10%~約90%少ない別の値であるが、一方、(ii)を用いた単独療法に関連する中等度を超える事象の誘導を回避する。他の実施形態において、本明細書に記載される(i)を用いた併用治療で投与される(ii)を用いた治療期間の持続時間は、(ii)を用いた単独療法に必要な(ii)を用いた治療の持続時間よりも約10%~約90%少ないが、一方、同時に、(ii)を用いた単独療法に関連する中等度を超える事象の誘導を回避し、例えば、(ii)を用いた単独療法に必要な(ii)を用いた治療期間の持続時間よりも約20%少ない、30%少ない、40%少ない、50%少ない、60%少ない、70%少ない、80%少ない、又はその持続時間よりも約10%~約90%少ない別の値であるが、一方、(ii)を用いた単独療法に関連する中等度を超える事象の誘導を回避する。
【0112】
いくつかの実施形態において、治療される対象が基底細胞がんに罹患している場合、投与期間は、(i)を1週間で2~3回、及び(ii)を毎日投与することを含む。他の実施形態において、治療される対象が基底細胞がんに罹患している場合、投与期間は、2週間で2~3回の投与を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、全ての投与期間を含む治療期間は、約3週間~約40週間、例えば、4週間、5週間、8週間、12週間、16週間、18週間、20週間、24週間、30週間、32週間、34週間、36週間、又は約3週間~約40週間の別の治療期間である。
【0114】
いくつかの実施形態において、II型及び/又はI型インターフェロンの発現のための組換えウイルスの投与、並びに任意に、Hhシグナル伝達経路阻害剤の阻害剤の発現は、病変内投与経路によるものである。いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害するポリペプチド(例えば、抗体)又はポリヌクレオチド(例えば、shRNA)が組換えウイルスから発現されるべき場合、それは、同じ組換えウイルス由来のII型又はI型インターフェロンと共発現される。他の実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害するポリペプチド(例えば、抗体)又はポリヌクレオチド(例えば、shRNA)が、組換えウイルスを投与することによって対象において発現される場合、それは、ヒト対象におけるII型又はI型インターフェロンの発現を駆動するために使用される組換え発現ウイルスとは別個であり、異なる組換えウイルスから発現される。
【0115】
いくつかの実施形態において、投与される組換えウイルスの病変内総用量は、約1×10個のウイルス粒子/病変~約1×1012個のウイルス粒子/病変、例えば、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、8×10、1×10、1.5×10、2×10、3×10、4×10、6×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、8×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、8×1011、9×1011個、又は約1×10個のウイルス粒子/病変~約1×1012個のウイルス粒子/病変の別の数のウイルス粒子/病変である。いくつかの実施形態において、病変内ウイルス用量は、約2×1010個のウイルス粒子/病変~約3×1011個のウイルス粒子/病変の範囲である。いくつかの実施形態において、治療有効量のII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のための組換えウイルスは、投与日当たり、病変ごとに少なくとも5×10個のウイルス粒子~約5×10個のウイルス粒子として投与される。いくつかの好ましい実施形態において、治療有効量のII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のための組換えウイルスは、投与日当たり、病変ごとに少なくとも1×10個のウイルス粒子~約1×10個のウイルス粒子として投与される。いくつかの好ましい実施形態において、治療有効量のII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のための組換えウイルスは、投与日当たり、病変ごとに少なくとも約1×10個のウイルス粒子として投与される。
【0116】
いくつかの実施形態において、治療される対象は、各投与期間において、Hhシグナル伝達経路の小分子阻害剤との併用治療において、I型又はII型インターフェロンを発現する組換えウイルスを複数回投与される。
【0117】
他の実施形態において、組換えウイルスの投与が病変内である場合、投与期間当たりの組換えウイルス粒子の総計用量は、約1×10個のウイルス粒子/病変~約1×1013個のウイルス粒子/病変の範囲、例えば、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、8×10、1×10、1.5×10、2×10、3×10、4×10、6×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、8×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、8×1011、9×1011、1×1012、1.5×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、8×1012、9×1012個、又は約1×10個のウイルス粒子/病変~約1×1013個のウイルス粒子/病変の投与期間当たりの別の数の総ウイルス粒子である。
【0118】
いくつかの実施形態において、組換えウイルスの投与が、全身投与、腹腔内投与、又は胸腔内投与によるものである場合、組換えウイルスのための投与期間当たりの総計ウイルス用量は、投与期間当たり約1×10個のウイルス粒子~約1×1014個のウイルス粒子、例えば、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、8×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、8×1010、9×1010、1×1011、1.5×1011、2×1011、3×1011、4×1011、6×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、8×1013、9×1013、又は約1×10個のウイルス粒子~約1×1014個のウイルス粒子の投与期間当たりの別の数の総ウイルス粒子である。
【0119】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤が、小分子阻害剤(例えば、ビスモデギブ)であり、投与が病変内である場合、用量濃度は、病変ごとに少なくとも約5μM~約40μM、例えば、病変ごとに10μM、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、又は約5μM~約40μMの別の用量濃度である。いくつかの実施形態において、用量濃度は、病変ごとに少なくとも約20μM~約100μM、例えば、25μM、30μM、45μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、又は病変ごとに約20μM~約100μMの別の濃度である。他の実施形態において、小分子阻害剤(例えば、ビスモデギブ)の病変内用量は、投与当たり約0.02mg/病変~約10mg/病変の範囲、例えば、約0.05mg/病変、0.075mg/病変、0.1mg/病変、0.15mg/病変、0.2mg/病変、0.25mg/病変、0.3mg/病変、0.5mg/病変、0.7mg/病変、0.8mg/病変、1mg/病変、1.5mg/病変、2mg/病変、3mg/病変、3.5mg/病変、4mg/病変、4.5mg/病変、5mg/病変、5.5mg/病変、6mg/病変、7mg/病変、8mg/病変、9mg/病変、又は投与当たり約0.02mg/病変~約10mg/病変の別の病変内用量である。いくつかの好ましい実施形態において、小分子Hhシグナル伝達経路阻害剤の病変内用量は、約2.5mg/病変~約10mg/病変の範囲である。
【0120】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるように、治療される疾患は、本明細書に提供される併用治療方法に記載されるような1つ以上の阻害剤の全身投与による治療を含む。他の実施形態において、投与は、腹腔内投与である。いくつかの実施形態において、投与は、胸膜内投与である。
【0121】
Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤が小分子阻害剤(例えば、ビスモデギブ)であり、投与が全身的であるいくつかの実施形態において、循環中の用量濃度は、約10μM~約80μM、例えば、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、50μM、60μM、70μM、又は約10μM~約80μMの循環中の別の濃度である。いくつかの好ましい実施形態において、循環中の用量濃度は、少なくとも約20μM~約40μM、例えば、25μM、30μM、35μM、又は少なくとも約20μM~約40μMの循環中の別の濃度である。いくつかの実施形態において、1つ以上の阻害剤が全身投与、腹腔内投与、又は胸腔内投与によって投与される場合、各投与用量は、投与当たり約0.1mg/kg~約12mg/kgの範囲、例えば、0.20mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、又は約0.1mg/kg~約12mg/kgの範囲の別の用量である。いくつかの好ましい実施形態において、1つ以上の阻害剤の用量は、約2mg/kg~約5mg/kgである。
【0122】
いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路の小分子阻害剤は、投与日当たり約50mg~約500mgの用量、例えば、75mg、100mg、150mg、200mg、300mg、400mg、450mg、又は投与日当たり約50mg~約500mgの別の総用量で投与される。いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路の小分子阻害剤は、投与日当たり約150mgの総用量で投与される。
【0123】
他の実施形態において、本明細書に記載される疾患(例えば、皮膚がん)の治療は、本明細書に記載される阻害剤の局所投与を含む。いくつかの実施形態において、阻害剤は、約0.01%(w/v)~約3%(w/v)の範囲、例えば、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.08%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、1.2%、1.3%、1.5%、1.7%、2%、2.2%、2.5%、2.8%、又は約0.01%(w/v)~約3%(w/v)の別の局所濃度の製剤として局所投与される。いくつかの実施形態において、阻害剤濃度は、約0.02%(w/v)~約2%である。好ましい実施形態において、局所濃度は、約0.1%~約0.5%である。
【0124】
いくつかの実施形態において、治療される対象は、投与期間内に少なくとも1つの阻害剤の複数回の投与を受ける。したがって、いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤の投与が全身投与、腹腔内投与、又は胸腔内投与によるものである場合、阻害剤の投与期間ごとの総計用量は、投与期間ごとの総計用量当たり約0.5mg/kg~約25mg/kgの範囲、例えば、0.6mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、18mg/kg、又は総計用量当たり約0.5mg/kg~約25mg/kgの範囲の別の用量である。いくつかの実施形態において、投与期間当たりの総計用量は、投与期間当たりの総計用量当たり約1mg/kg~約10mg/kgである。
【0125】
いくつかの好ましい実施形態において、Hhシグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤は、小分子阻害剤ビスモデギブである。いくつかの実施形態において、ビスモデギブの投与が全身的である場合、循環中の用量濃度は、約10μM~約80μM、例えば、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、50μM、60μM、70μM、又は約10μM~約80μMの循環中の別の濃度である。いくつかの好ましい実施形態において、循環中の用量濃度は、少なくとも約20μM~約40μM、例えば、25μM、30μM、35μM、又は少なくとも約20μM~約40μMの循環中の別の濃度である。
【0126】
いくつかの実施形態において、ビスモデギブの投与が病変内である場合、用量濃度は、病変当たり約10μM~約40μM、例えば、病変当たり15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、又は約10μM~約40μMの別の用量濃度である。他の実施形態において、ビスモデギブは、約0.0025mg/病変~約0.3mg/病変の範囲の用量、例えば、0.005mg/病変、0.0075mg/病変、0.01mg/病変、0.02mg/病変、0.025mg/病変、0.04mg/病変、0.05mg/病変、0.07mg/病変、0.1mg/病変、0.15mg/病変、0.2mg/病変、0.25mg/病変、又は約0.0025mg/病変~約0.3mg/病変の別の病変内用量で病変内投与される。好ましい実施形態において、ビスモデギブの病変内投与は、約0.0025mg/病変~約0.05mg/病変の範囲の用量である。
【0127】
いくつかの実施形態において、ビスモデギブは、全身(例えば、経口)、腹腔内、又は胸腔内経路によって、投与当たり約0.1mg/kg~約12mg/kgの用量、例えば、0.20mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、又は約0.1mg/kg~約12mg/kgの範囲の別の用量で投与される。いくつかの好ましい実施形態において、ビスモデギブの用量は、約2mg/kg~約5mg/kgである。いくつかの好ましい実施形態において、ビスモデギブは、1日約150mg~約500mgの用量、例えば、160mg、170mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、又は1日約150mg~約500mgの別の経口用量で経口投与される。
【0128】
いくつかの実施形態において、対象が病変内投与に適した疾患(例えば、基底細胞がん又は皮膚疣贅)について治療されるべき場合、Hhシグナル伝達経路の阻害剤及びII型又はI型インターフェロンの両方が病変内経路によって投与される。例示的な好ましい実施形態において、非複製組換えアデノウイルスは、インターフェロンガンマの発現に使用され、約5×1010個のウイルス粒子/病変~約3×1011個のウイルス粒子/病変の範囲の用量で週に約2~5回投与され、Hhシグナル伝達経路の小分子阻害剤は、約2mg/kg~約5mg/kgの範囲の用量で経口投与される。いくつかの実施形態において、上記の治療は、最大4週間繰り返される。
【0129】
薬学的組成物
本明細書に記載される治療剤のうちのいずれかは、単独で又は本明細書に記載される組み合わせた薬学的組成物のいずれかで、病変内、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、若しくは胸腔内)、経口、又は経皮投与経路を含むが、これらに限定されない任意の従来の手段を介して対象に投与するために製剤化することができる。
【0130】
したがって、いくつかの実施形態において、異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用するための薬学的組成物であって、(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロン、又はII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、並びに(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路の少なくとも1つの阻害剤を含む、薬学的組成物もまた、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、WNTシグナル伝達の阻害剤も含む。
【0131】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用するための薬学的組成物であって、(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤を含む、薬学的組成物もまた、本明細書で提供される。薬剤のいくつかの実施形態において、(i)は、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、又はII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストを含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、対象における発現のためのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチドを含む組換えウイルスを含む。いくつかの好ましい実施形態において、インターフェロン(又は発現されるインターフェロン)は、インターフェロンガンマである。
【0132】
治療剤は、治療される患者による経口摂取のための注射用製剤、水性経口分散液、液体、ミスト、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁液など、固形経口剤形、制御放出製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、粉剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、並びに混合即時放出製剤及び制御放出製剤を含むが、これらに限定されない任意の好適な剤形に製剤化され得る。
【0133】
経口使用のための薬学的調製物は、任意に、1つ以上の固体賦形剤を本明細書に記載される治療剤のうちの1つ以上と混合し、任意に、得られる混合物を粉砕し、好適な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を処理して、錠剤又は糖衣錠コアを得ることによって得ることができる。好適な賦形剤としては、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類などの充填剤、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、又はポリビニルピロリドン(PVP若しくはポビドン)若しくはリン酸カルシウムなどの他のものが挙げられる。必要に応じて、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)などの崩壊剤を加えてもよい。
【0134】
薬学的固体剤形は、治療剤に加えて、適合性の担体、結合剤、充填剤、懸濁剤、香味剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、滑沢剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤、可塑化剤、安定化剤、浸透増強剤、保湿剤、消泡剤、抗酸化剤、防腐剤、又は1つ以上のそれらの組み合わせなどの1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含むことができる。
【0135】
本明細書に記載される固体剤形で使用するのに好適な担体としては、アカシアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファ化デンプンマルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、乳酸ステアロイルナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、予備ゼラチン化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸ステアリン酸塩、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
本明細書に記載される固体剤形で使用するのに好適な充填剤としては、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸二塩基性カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、予備ゼラチン化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
固体剤形マトリックスから治療剤をできるだけ効率的に放出するために、崩壊剤が、しばしば製剤において、特に剤形が結合剤で圧縮される場合に使用される。崩壊剤は、水分が剤形内へ吸収された場合、膨張又は毛細血管作用によって剤形マトリックスを破裂させるのに役立つ。本明細書に記載される固体剤形で使用するのに好適な崩壊剤としては、トウモロコシデンプン若しくはジャガイモデンプンなどの天然デンプン、National 1551若しくはAmijel(登録商標)などの予備ゼラチン化デンプン、又はPromogel(登録商標)若しくはExplotab(登録商標)などのグリコール酸ナトリウム、木製品などのセルロース、メチル結晶性セルロース、例えば、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、及びSolka-Floc(登録商標)、メチルセルロース、クロスカルメロース、又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、又は架橋クロスカルメロース、架橋グリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン、クロスポビドン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸などのアルギン酸塩若しくはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)などのクレイ、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ(Karaya)、ペクチン、若しくはトラガカントなどのゴム、ナトリウムグリコール酸デンプン、ベントナイト、天然の海綿質、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、シトラスパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、混合デンプン(combination starch)中のラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0138】
結合剤は、固体経口剤形の製剤に粘着性を与え:粉末を充填したカプセル製剤のために、それらは、プラグ形成を助けて、軟又は硬のシェルカプセルへと充填することができ、錠剤製剤のために、それらは、錠剤が圧縮後に無傷なままであることを確かなものとし、圧迫又は充填ステップ前の混合均一性を確証する助けとなる。本明細書に記載される固体剤形における結合剤として使用するのに好適な材料としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Hypromellose USP Pharmacoat-603、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(Aqoate HS-LF及びHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、及び微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、多糖類酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、予備ゼラチン化デンプン、トラガント、デキストリン、糖、スクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))、ラクトース、天然若しくは合成のゴム、例えば、アラビアゴム、トラガント、ガッチゴム、イサポール皮の粘液(mucilage of isapol husks)、デンプン、ポリビニルピロリドン(例えば、 Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10、及びPovidone(登録商標)K-12)、カラマツアラボガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
一般に、結合剤レベルの20~70%が、粉末充填ゼラチンカプセル製剤において使用される。錠剤製剤における結合剤の使用レベルは、直接圧縮、湿式造粒法、ローラ圧縮、又はそれ自体が適度な結合剤として作用し得る充填剤などの他の賦形剤の使用のいずれかによって変化する。当業者は、剤形用の結合剤のレベルを決定することができるが、錠剤製剤中の最大で70%の結合剤の使用レベルが一般的である。
【0140】
本明細書に記載される固体剤形で使用するための好適な潤滑剤又は流動促進剤としては、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール又はメトキシポリエチレングリコール、例えば、Carbowax(商標)、PEG 4000、PEG 5000、PEG 6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、安息香酸グリセリル、ラウリル硫酸マグネシウム、又はラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
本明細書に記載される固体剤形で使用するのに好適な希釈剤としては、糖類(ラクトース、スクロース、及びデキストロースを含む)、多糖類(デキストラート及びマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、及びソルビトールを含む)、シクロデキストリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
本明細書に記載される固体剤形で使用するのに好適な湿潤剤としては、例えば、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンラウリン酸モノエステル、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリル酸ポリオキシエチレンソルビタン、第四級アンモニウム化合物(例えば、Polyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドクサートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGSなどが挙げられる。
【0143】
本明細書に記載される固体剤形で使用するのに好適な界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンオレイン酸モノエステル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート、ポロキサマー(polaxomer)、胆汁塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキサイド及び酸化プロピレンのコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)(BASF)などが挙げられる。
【0144】
本明細書に記載される固体剤形で使用するための好適な懸濁剤としては、ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、又はポリビニルピロリドンK30、ポリエチレングリコール、例えば、ポリエチレングリコールは、約300~約6000、又は約3350~約4000、又は約7000~約5400の分子量を有することができ、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリソルベート-80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えば、トラガント、アカシアゴム、グアーゴム、キサンタンガムを含むキサンタン、糖、セルロース、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
本明細書に記載される固体剤形で使用される添加剤の間には相当量の重複が存在することを理解されたい。したがって、上に列挙された添加剤は、本明細書に記載される固体剤形に含まれ得る添加剤の種類の単なる例示的なものであって、限定的なものではないとみなされるべきである。そのような添加剤の量は、所望の特定の特性に従って、当業者によって容易に決定することができる。
【0146】
経口投与用の液体製剤剤形は、薬学的に許容される水性経口分散液、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル剤、及びシロップを含むが、これらに限定されない群から選択される水性懸濁液であり得る。
【0147】
The USP Pharmacists’Pharmacopeia(2005 edition,chapter 905)に定義されるように、本明細書に記載される水性懸濁液及び分散液は、少なくとも4時間、均質な状態でとどまることができる。均質性は、全組成物の均質性の決定に関して一貫したサンプリング方法によって判定されなければならない。一実施形態において、水性懸濁液は、1分未満の物理的撹拌によって均質な懸濁液に再懸濁することができる。別の実施形態において、水性懸濁液は、45秒未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液に再懸濁することができる。更に別の実施形態において、水性懸濁液は、30秒未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液に再懸濁することができる。更に別の実施形態において、均質な水性分散体を維持するために撹拌は必要とされない。
【0148】
上に列挙された添加剤に加えて、液体製剤は、水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤などの、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤も含むことができる。例示的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、コレステロール、コレステロールエステル、タウロコール酸、ホスホチジルコリン、油、例えば、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物などである。
【0149】
筋肉内、皮下、又は静脈内注射に適した製剤は、生理学的に許容される滅菌水溶液若しくは非水溶液、分散液、懸濁液、又は乳剤、及び滅菌注射液又は分散液に再構成するための滅菌粉末を含み得る。好適な水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒、又はビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモホールなど)、それらの好適な混合物、植物油(オリーブ油など)、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合には必要な粒径を維持することによって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。皮下注射に好適な製剤は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分注剤などの添加剤を含有してもよい。微生物の増殖は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの種々の抗菌剤及び抗真菌剤によって確実に防止可能である。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことも望ましい場合がある。注射可能な医薬品形態の持続的な吸収は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどを用いることによって可能となる。
【0150】
静脈内注射のために、本明細書に記載される治療剤は、水溶液、好ましくは、ハンク溶液、リンガー溶液、又は生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液中で製剤化され得る。経粘膜投与のために、浸透されるべき障壁に適切な浸透剤が、その製剤中で用いられる。そのような浸透剤は、一般的に、当該技術分野で公知である。他の非経口注射のために、適切な製剤は、好ましくは、生理学的に適合性の緩衝液又は賦形剤とともに、水溶液又は非水溶液を含み得る。そのような賦形剤は、一般的に、当該技術分野で公知である。
【0151】
非経口注射には、ボーラス注射又は持続注入を包含し得る。注射のための製剤は、単位剤形で、例えば、アンプルで、又は加えられた防腐剤を含む複数用量の容器内で提供されてもよい。本明細書に記載される薬学的組成物は、油性又は水性ビヒクル中の滅菌懸濁液、水溶液、又はエマルジョンとして、非経口注射に好適な形態であり得、かつ懸濁剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの処方剤を含有してもよい。非経口投与のための薬学的製剤は、水溶性型の治療剤の水溶液を含む。加えて、治療剤の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製されてもよい。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有してよい。任意に、懸濁液はまた、治療剤の溶解度を増加させて、高濃度溶液の調製を可能にする好適な安定剤又は薬剤も含有してもよい。あるいは、治療剤は、使用の前に、好適なビヒクル、例えば、滅菌されたピロゲンを含まない水とともに構成するための粉末形態であってもよい。本明細書に記載される治療剤は、正確な投薬量の単回投与に好適な単位剤形であってもよい。単位剤形において、製剤は、適切な量の1つ以上の治療剤を含有する単位用量に分割される。単位用量は、別個の量の製剤を含有するパッケージの形態であってもよい。非限定的な例は、パッケージ化された錠剤又はカプセル剤、及びバイアル又はアンプル剤中の粉末である。水性懸濁液組成物は、単回用量の再閉鎖不能容器にパッケージ化することができる。あるいは、複数回用量の再閉鎖可能な容器を使用することができ、この場合、組成物中に防腐剤を含むことが典型的である。ほんの一例として、非経口注射のための製剤は、アンプルを含むが、これに限定されない単位剤形で、又は加えられた防腐剤を含む複数用量の容器内で提供されてもよい。
【0152】
制御放出薬学的組成物は、本明細書でも提供される。制御放出は、治療剤が長期間にわたって所望のプロファイルに従って組み込まれる剤形からの治療剤の放出を指す。制御放出プロファイルとしては、例えば、持続放出、長期放出、パルス放出、及び遅延放出プロファイルが挙げられる。即時放出組成物とは対照的に、制御放出組成物は、長期間にわたって所定のプロファイルに従って、対象に薬剤を送達することを可能にする。そのような放出速度は、長期間の間、治療上有効なレベルの薬剤を提供し、それによって、従来の急速放出剤形と比較して、副作用を最小限に抑えながら、より長期間の薬理反応を提供することができる。このようなより長期間の反応により、対応する短時間作用性の即時放出調製物では達成されない多くの固有の恩恵がもたらされる。
【0153】
本明細書で提供される制御放出薬学的組成物は、これらの活性剤のうちの1つ以上の放出が好ましい時間間隔にわたって生じるように、組み合わせ製剤内の活性剤の放出プロファイルをカスタマイズすることを可能にする。いくつかの好ましい実施形態において、制御放出薬学的組成物中のHhシグナル伝達経路を阻害する薬剤は、Hhシグナル伝達経路の小分子阻害剤である。
【0154】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、1日当たり約150mg~約3000mgのHhシグナル伝達経路の小分子阻害剤、例えば、200mg、300mg、600mg、800mg、1000mg、1200mg、1600mg、1800mg、2000mg、2400mg、2800mg、又は約100mg~約3000mgの小分子阻害剤の別の用量を含む。いくつかの実施形態において、制御放出薬学的組成物は、約200mg~約1400mgの小分子阻害剤を含む。他の実施形態において、制御放出薬学的組成物は、約600mg~約1000mgの小分子阻害剤を含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、活性剤のうちの1つ以上は、約1時間~約5週間の範囲の期間、例えば、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、5日、1週間、10日、2週間、18日、3週間、4週間、又は約1時間~約5週間の別の期間にわたって放出される。
【0156】
いくつかの実施形態において、制御放出プロファイルは、投与後の放出期間の開始においてより高い放出速度を有し、次いで経時的に低下する(一次放出動態)。他の実施形態において、放出速度は、投与後の放出期間にわたって徐々に増加する。好ましい実施形態において、放出プロファイルは、全ての活性薬剤が放出される(ゼロ次放出動態)まで、投与後の放出期間全体にわたって比較的一定のままである。
【0157】
好ましい実施形態において、制御放出薬学的組成物の投与時のHhシグナル伝達経路の小分子阻害剤の放出プロファイルは、ヒト対象における少なくとも1つの有害事象の誘発を回避するように適合される。いくつかの実施形態において、Hhシグナル伝達経路の小分子阻害剤の放出速度は、1日当たり総用量の約0.5%~1日当たり総用量の約10%、例えば、1日当たり総用量の0.6%、0.8%、1%、1.1%、1.2%、1.5%、1.8%、2%、2.5%、2.75%、3%、3.5%、4%、6%、7%、8%、9%、又は別の割合である。
【0158】
いくつかの実施形態において、制御放出製剤中の小分子阻害剤の放出速度(総用量のパーセンテージとして)は、製剤中の別の活性剤(例えば、組換えウイルス、ポリヌクレオチド、又は精製タンパク質若しくはペプチド)の放出プロファイルとは異なる。
【0159】
いくつかの実施形態において、制御放出薬学的組成物がインターフェロンガンマを含む場合、インターフェロンガンマは、全身送達のために約1μg/日~約10μg/日の速度、例えば、2μg/日、3μg/日、4μg/日、5μg/日、7μg/日、8μg/日、又は約1μg/日~約10μg/日の範囲の精製されたインターフェロンガンマの全身投与のための別の放出速度で放出される。
【0160】
いくつかの実施形態において、制御放出薬学的組成物がインターフェロンガンマを含む場合、インターフェロンガンマは、局所的送達、例えば、腫瘍内への移植に対して約5ng/日~約200ng/日の速度、例えば、10ng/日、20ng/日、30ng/日、50ng/日、75ng/日、100ng/日、125ng/日、150ng/日、175ng/日、又は約10ng/日~約200ng/日の範囲の局所投与のための別の放出速度で放出される。
【0161】
少なくとも1つの組換えウイルスが本明細書に記載される薬学的組成物に含まれる場合、本明細書に記載されるそのような薬学的組成物は、治療される状態、治療される対象、所望の放出速度、及び用量当たりの所望の治療期間を含むいくつかの考慮事項に応じて、50%組織培養感染用量(TCID50)/ml及び/又はウイルス粒子(vp)/mlとして表されるウイルス力価の範囲を含んでよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される薬学的組成物は、約1×10のTCID50/ml~約3×1010のTCID50/ml、例えば、1.5×10のTCID50/ml、1.8×10のTCID50/ml、2.0×10のTCID50/ml、3.0×10のTCID50/ml、4.0×10のTCID50/ml、5.0×10のTCID50/ml、5.5×10のTCID50/ml、6.0×10のTCID50/ml、6.5×10のTCID50/ml、7.0×10のTCID50/ml、7.5×10のTCID50/ml、8.0×10のTCID50/ml、8.5×10のTCID50/ml、9.0×10のTCID50/ml、1.0×1010のTCID50/ml、1.5×1010のTCID50/ml、2.0×1010のTCID50/ml、2.5×1010のTCID50/ml、又は約1×10のTCID50/ml~約3×1010のTCID50/mlの別のTCID50/mlの値の力価を有する。いくつかの好ましい実施形態において、TCID50/mlは、約4×10のTCID50/ml~8×10のTCID50/mlである。
【0162】
いくつかの実施形態において、vp/TCID50の等価性は、約20~100のvp/TCID50である。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される薬学的組成物は、約2×1010個のvp/ml~約3×1012個のvp/ml、例えば、2×1010個のvp/ml、3×1010個のvp/ml、4×1010個のvp/ml、5×1010個のvp/ml、6×1010個のvp/ml、7×1010個のvp/ml、8×1010個のvp/ml、9×1010個のvp/ml、1×1011個のvp/ml、2×1011個のvp/ml、3×1011個のvp/ml、4×1011個のvp/ml、5×1011個のvp/ml、6×1011個のvp/ml、7×1011個のvp/ml、8×1011個のvp/ml、9×1011個のvp/ml、1×1012個のvp/ml、2×1012個のvp/ml、又は約2×1010個のvp/ml~約3×1012個のvp/mlの別の力価を有する。いくつかの好ましい実施形態において、力価は、約3×1010個のvp/ml~約8×1011個のvp/mlである。他の好ましい実施形態において、薬学的組成物の力価は、約3×1010個のウイルス粒子/ml~約5×1012個のウイルス粒子/mlである。
【0163】
制御放出薬学的組成物の好適な制御放出マトリックスについては、当該技術分野で記載されている。いくつかの実施形態において、SiOマトリックスヒドロゲルは、生体吸収性ゾルゲル誘導オルトケイ酸テトラエチル(別名「テトラトキシシラン」又は「TEOS」)Si(OCマトリックスゲル(「SiOマトリックスゲル」)である。この技術は、DelSiTech Ltd(Turku,Finland)によって製品化されている。そのような生体吸収性SiOマトリックスゲルは、国際特許出願公開WO2005082781の表題「生体吸収性ソルゲル誘導体SiOを調製するための方法」及びWO2007135224の表題「シリカ系材料を保管するための方法、方法で製造したパッケージ、及びシリカ系製品のパッケージ化のためのパッケージの使用」に記載されるように、小分子薬物及び組換えウイルスを含む活性治療剤の持続的送達に有用である。この技術は、DelSiTech Ltd(Turku,Finland)によって製品化されている。
【0164】
要するに、SiOマトリックスゲルソルゲルは、SiOマトリックスゲルがゲル化したSiOを含むゾルから調製されるゾルゲルプロセスによって調製される。ゾルゲル由来のSiOは、典型的には、加水分解を介して部分的に加水分解されたシリカ種又は完全に加水分解されたケイ酸のいずれかを含有するゾルを形成するアルコキシド又は無機ケイ酸塩から調製される。SiOHを含有する種の結果としての縮合反応は、増加するシロキサン結合の量を伴うより大きなシリカ種の形成をもたらす。更に、種は、凝集し、ゲルが形成されるまでナノサイズ粒子及び/又はより大きな凝集体を形成する。ゲルの形態では、固体状態が優勢であるが、系は、依然として様々な量の液体を含有し、材料は、典型的には乾燥前に柔らかく粘弾性であり、広範囲に乾燥されている場合は硬く脆くなる。ゾルの形態では、液体状態が優勢であるが、系は、様々な量の固相(複数可)を含み、材料は、依然として流動性を有する。SiOゲルが調製されてからゾルがゲル化するまでの時間を、ゾルエージングタイムと称される。自然乾燥は、典型的には、系が周囲条件で蒸発を可能にするように、ゾルを熟成させる時に生じる。制御放出薬学的組成物の生成は、ゲル形成前に、薬学的組成物に含まれるべき所望の量の活性治療剤(例えば、インターフェロンガンマを発現する組換えウイルス及びHhシグナル伝達経路の小分子阻害剤)をゾルに添加することによって達成される。このプロセスの最終結果として、I型又はII型インターフェロンの発現のための1つ以上の組換えウイルス、Hhシグナル伝達経路を阻害するための薬剤、SiOマトリックスヒドロゲル、及びシリカ微粒子を含むSiOマトリックスヒドロゲルを含有する薬学的組成物が得られ、組換えウイルス及びHhシグナル伝達経路を阻害するための薬剤は、SiOマトリックスヒドロゲル内に散在する。
【0165】
SiOゲル系制御放出薬学的組成物中の活性剤の放出速度は、必要に応じて調整することができる。一般に、SiOゲルマトリックスの最大溶解速度及び活性剤の放出速度は、水とアルコキシドとのモル比が約2であるSiOゲルについて生じ、これよりも低い比率又は高い比率で、より遅い溶解速度及び放出速度をもたらす。更に、SiOゲルマトリックス内に含まれる多量の活性剤は、マトリックスの溶解及び活性剤の放出速度を増加させることにも留意すべきである。
【0166】
制御放出薬学的組成物は、主に経口、非経口、肺、局所、経皮、及び外科的に移植可能な投与のためのナノ及びマイクロスフィアとして調製することができる。
【0167】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される薬学的組成物について観察される組換えウイルス放出の速度(溶解速度)は、それがインビボで行うよりもインビトロでの速度の約10倍で生じる。
【0168】
例示的な非限定的な実施形態において、約100:1~150:1の初期モル比での水及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)混合物のpHを塩酸でpH2に調整し、室温で25分間激しく撹拌する。次いで、0.1MのNaOHを加えることによって、ゾルのpHを所望のpH(6、6.5、又は7)に調整する。ゾルは氷水浴中で冷却され、含まれるべき活性剤の所望量が加えられる。
【0169】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物中のSiOマトリックスヒドロゲルは、約5:1~約4,000:1の最終モル比、例えば、10:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、300:1、400:1、500:1、750:1、1,000:1、2,000:1、3,000:1、又は約50:1~約700:1、若しくは約5:1~約1,000:1の水対TEOSの別の最終モル比で水及びTEOSを含む。いくつかの好ましい実施形態において、水対TEOSの最終モル比は、約400:1である。
【0170】
当業者に既知であり、本明細書に記載される製剤との使用に好適な、多くの他のタイプの制御放出系。そのような送達系の例としては、例えば、ポリ乳酸及びポリグリコール酸、プリアンヒドライド、及びポリカプロラクトンなどのポリマーベースの系、多孔質マトリックス、コレステロール、コレステロールエステル、及び脂肪酸などのステロールを含む脂質、又はモノ、ジ、及びトリグリセリドなどの中性脂肪を含む非ポリマーベースの系、ヒドロゲル放出系、シラスチック系、ペプチドベースの系、ワックスコーティング、生体侵食性剤形、従来の結合剤を使用した圧縮錠剤などが挙げられる。例えば、米国特許第4,327,725号、同第4,624,848号、同第4,968,509号、同第5,461,140号、同第5,456,923号、同第5,516,527号、同第5,622,721号、同第5,686,105号、同第5,700,410号、同第5,977,175号、同第6,465,014号、及び同第6,932,983号を参照されたい。
【0171】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される薬学的組成物は、デポー製剤として生成される。
【実施例
【0172】
実施例1-IFNγ及びビスモデギブを発現するアデノウイルスの併用療法の抗腫瘍有効性
ビスモデギブは、BCCでの使用が承認されているヘッジホッグ阻害剤である。いくつかのマウス腫瘍モデルにおいて、Ad5-mIFNガンマとビスモデギブとの組み合わせの抗腫瘍有効性を評価する。好適なモデルとしては、マウス黒色腫細胞株、B16-F0、及びそれ以降の皮下腫瘍移植モデル4T1(乳がん細胞株)、CT26(マウス結腸がん細胞株)、及びヒト腫瘍異種移植片MDA-MB-231(ヒト乳がん細胞株)が挙げられる。
【0173】
実験的設計
2×10個の腫瘍細胞を、C57BL/6マウスに皮下に移植して、腫瘍を生成する。腫瘍が直径3~6mmであると、1×1010個のウイルス粒子(VP)/腫瘍のAd-5-mIFNγ、ビスモデギブ(経口灌漑による50mg又は100mg/kg)、又はその両方を、表1に示すスケジュールに従って様々な実験群に投与する。表1において、「0」日目は、治療の初期日を示す。ビスモデギブは、水中のDMSO又はPEG 400/5%のデキストロース(75:25v/v)で投与される。
【0174】
1日おきに腫瘍増殖及び生存のためのキャリパー測定によってモニタリングされるべきマウス。エンドポイントは、許容される最大腫瘍サイズ、及び苦痛の兆候が明らかになった場合の動物の犠牲など、承認された動物倫理の要件に従って決定される。
【0175】
データ解析
データは、平均±誤差及び統計学的有意性として、群内の全ての動物の個々の腫瘍増殖曲線に記録及び表現される。生存率を、カプラン・マイヤー生存率曲線としてプロットし、対数ランク検定を使用して統計学的比較を行う。
【0176】
mRNAの単離、ホルマリン固定、及び/又は腫瘍浸潤細胞のマルチパラメータフローサイトメトリー分析のために、上から2匹のマウス/群(除去ポイントが決定される)からの腫瘍。
【表1】
【0177】
実施例2-IFNγ及びビスモデギブを発現するアデノウイルスの併用療法は、マウスにおける腫瘍増殖を低下させる。
方法
マウス
雌B6D2F1/Jマウス(Jackson Laboratories)は10週齢であり、研究の1日目に19.4~29.9gの個々の体重(BW)の範囲を有した。
【0178】
腫瘍細胞培養
B16F10マウス結腸がん細胞株を、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、100単位/mLのペニシリンナトリウムG、25μg/mLのゲンタマイシン、及び100μg/mLの硫酸ストレプトマイシンを含有するDMEM培地中で維持した。腫瘍細胞を、5%のCO及び95%の空気の雰囲気中、37℃の加湿インキュベーター中の組織培養フラスコ中で培養した。
【0179】
インビボ腫瘍移植及び測定
B16F10細胞は、対数増殖期中に採取し、PBS中に再懸濁した。各マウスに、(0.1mLの細胞懸濁液中で)5×10個の細胞を右脇腹に皮下注射した。平均体積が所望の30~60mmの範囲に近づくと、増殖をモニタリングするために、腫瘍を2次元でキャリパーによって測定した。腫瘍サイズ(mm)は、以下から計算した。
【数3】
式中、w=腫瘍の幅(mm)及びl=腫瘍の長さ(mm)。腫瘍重量は、1mgが腫瘍体積の1mmに等しいという仮定に基づいて推定することができる。
【0180】
腫瘍細胞移植の8日後、研究の1日目に、個々の腫瘍体積が32~63mmの範囲であり、群平均腫瘍体積が41~42mmの範囲である腫瘍体積に応じて、動物を8群(1群当たりn=10)に分類した。腫瘍進行を、研究期間中、キャリパー測定を使用して、週に3回モニタリングした。
【0181】
治療剤
製剤化の前に、ビスモデギブ及びAd5-mIFNg(ストック濃度3.3×1012個のウイルス粒子/mL)を、-80℃で保管した。投与日ごとに、ビスモデギブをビヒクル2(75% PEG 400:25% D5W(水中5%デキストロース))に溶解させて、5mg/mL及び10mg/mLの投与溶液を得、この投与溶液は、10mL/kgの体積(20gのマウス1匹当たり0.2mL)で投与すると、50mg/kg及び100mg/kgを投与し、各動物の体重に調整しされた。
【0182】
投与初日に、Ad5-mIFNgを急速に解凍し、ビヒクル1(1Mのサッカロース、54mg/LのTween(登録商標)80、10mMのTris、1mMのMgCl、150mMのNaCl、pH8)中で希釈して、5×1011個の粒子/mL及び2×1011個の粒子/mLの投与溶液を得、これを、動物1匹当たり20μL及び50μLの固定体積で投与した時に、1×1010個の粒子/動物を投与した。
【0183】
治療
研究の1日目に、確立されたB16F10腫瘍を担持する雌マウスを、8つの群(1群当たりn=10)に選別し、表2に要約された治療計画に従って投与を開始した。ビヒクル1及びAd5-mIFNg(1×1010個の粒子/動物)を、20μL又は50μLのいずれかの固定体積で腫瘍内(itu)投与し、ビヒクル2及びビスモデギブを、10mL/kg(20gマウス当たり0.2mL)の体積で経口(po)投与し、各動物の体重に対して調整した。これらの群は、以下の通りであった。
群1は、対照群として機能し、20μLのビヒクル1を1日1回3日間(qdx3)腫瘍内投与し、ビヒクル2を1日1回7日間経口投与した。
群2は、20μLのビヒクル1を1日1回3日間腫瘍内投与し、50mg/kgのビスモデギブを1日1回7日間経口投与した。
群3は、20μLの1×1010個の粒子/動物のAd5-mIFNgを1日1回3日間腫瘍内投与し、ビヒクル2を投与した。
群4は、1×1010個の粒子/動物のAd5-mIFNg 1を1日1回3日間腫瘍内投与し、50mg/kgのビスモデギブ2を1日1回7日間経口投与した。
群5は、20μLのビヒクル1を週に1回1週間(qwk×1)腫瘍内投与し、続いて50μLのビヒクル1を週に1回1週間(8日目に開始)腫瘍内投与し、加えて、ビヒクル2を10日目まで週に3回(tiwk)経口投与した。
群6は、20μLのビヒクル1を週に1回1週間(qwk×1)腫瘍内投与し、続いて50μLのビヒクル1を週に1回1週間(8日目に開始)腫瘍内投与し、ビヒクル2において100mg/kgのビスモデギブを13日目まで週に3回(tiwk)経口投与した。
群7は、1×1010個の粒子/動物を含む20μLのAd5-mIFNgを週に1回1週間(qwk×1)腫瘍内投与し、続いて1×1010個の粒子/動物を含む50μLのAd5mIFNgを週に1回2週間(8日目に開始)腫瘍内投与し、ビヒクル2を週に3回3週間(tiwk×3)腫瘍内投与した。
群8は、1×1010個の粒子/動物を含む20μLのAd5-mIFNgを週に1回1週間(qwk×1)腫瘍内投与し、続いて1×1010個の粒子/動物を含む50μLのAd5mIFNgを週に1回2週間(8日目に開始)腫瘍内投与し、100mg/kgのビスモデギブを週に3回3週間(tiwk×3)経口投与した。
【0184】
エンドポイント及び腫瘍増殖遅延(TGD)分析
腫瘍は、キャリパーを使用して、週に3回測定し、各動物は、その腫瘍が所定の腫瘍体積エンドポイントの1500mmに達した場合、又は研究の最終日(45日目)に、安楽死させた。腫瘍体積エンドポイントのために研究を終了した動物は、腫瘍進行(TP)のために安楽死されたものとして、安楽死の日付と共に記録した。
【0185】
結果
B16F10腫瘍担持マウスを表2に示すように処置し、腫瘍増殖をキャリパー測定によってモニタリングした。図1に示すように、ビスモデギブを1日1回7日間(群2)又は週に3回を3週間(群6)による経口処置は、対照ビヒクル処置群と比較して、マウスにおける腫瘍増殖を有意に低下させなかった。実際には、これらの群のマウスのいずれも、12日目以降生存していなかった(倫理的エンドポイントで処分された)。腫瘍阻害の比較のために、最初の8匹のマウス/群のうち少なくとも4匹のマウスが生存している時の平均腫瘍体積を比較した。
【0186】
Ad5-mIFNgを、1日1回3日間(群3)又は週に1回1週間(群7)のいずれかで腫瘍内投与すると、対照(群1及び群6)と比較して、腫瘍増殖が有意に阻害された。ビスモデギブ(週に3回を3週間)と組み合わせたAd5-mIFNg(週に1回1週間)(群8)に対する処置用量レジメンAd5-mIFNg(週に1回1週間)を単独及びビヒクル2(群7)の組み合わせにおける治療有効性に有意差はなかった。対照的に、Ad5-mIFNg(1日1回3日間)及びビスモデギブ(1日1回7日間)(群4)の併用処置用量は、個々の処置(群3及び群2)よりも腫瘍増殖を遅延させた。36日目に、Ad5-mIFNgのみにより1日1回3日間(群3)処置された8匹中1匹、又はビスモデギブのみにより1日1回7日間処置された群(群2)からの生存マウスなしと比較して、群4においてマウスの50%(8匹中4匹)が、依然として生存していた。20日目に、(群4)の併用処置群の平均腫瘍サイズは、Ad5-mIFNg単独(群3)で処置したマウスの腫瘍の平均腫瘍サイズの30%であった。
【表2-1】
【表2-2】
【0187】
実施例3-基底細胞母斑症候群患者におけるIFNγ及びビスモデギブを発現するアデノウイルスの併用療法
進行中の臨床試験(26週間の期間)において、散発性又は基底細胞母斑症候群患者に複数の低リスクの基底細胞がんを呈する患者は、ビスモデギブ(150mg、経口)を毎日4週間投与され、ASN-002の1×1011VP/病変の3回の単回病変内注射を受けた(3~5週目に週1回の注射)。患者は、研究の26週目まで(すなわち、治療後19週間まで)、治療反応をモニタリングされた。
【0188】
この期間にわたって、合計23個の病変をモニタリングした(単回又は多回注入病変、及び注入されていない病変を含む)。25週目に、この併用治療に応答して、50%を超える局所領域での完全組織学的クリアランス(CHC)が観察された。ASN-002治療のみを使用した以前の研究と比較して、18週目に0%の局所領域でのCHCが観察された。Sofenら(2015)による研究では、12週間にわたって150mgのビスモデギブの1日用量を投与された手術可能な基底細胞がん患者は、16%の局所領域でのCHCを示した。
【0189】
したがって、本明細書に開示される方法に基づいて予想されるように、現在進行中のこの研究の結果は、ビスモデギブ及びASN-002を用いた併用治療が、これらの治療剤のいずれかを用いた単剤療法と比較して優れた治療応答をもたらすことを強調する。
【0190】
本出願は、2020年2月28日に出願されたAU2020900585及び2020年3月17日に出願されたAU2020900813からの優先権を主張し、これらの両方の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0191】
広範に記載されている本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されるように本発明に対して多数の変形及び/又は修正が行われ得ることは、当業者には理解されよう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0192】
本明細書において考察及び/又は参照される全ての刊行物は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0193】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、デバイス、物品などの任意の考察は、本発明のための文脈を提供することのみを目的としている。これらの事柄のいずれか又は全てが先行技術の基盤の一部を形成する、又は、本出願の各請求項の優先日以前に存在した通り、本発明に関連した当該分野では共通の常識であったということが承認としてはみなされない。
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図1
【配列表】
2023520747000001.app
【手続補正書】
【提出日】2021-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患している対象を治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の、
(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに
(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤、を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記対象が、哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が、ヒトである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(i)の少なくとも1つの薬剤が、II型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、又はII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、前記対象におけるII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの内因性産生及び/又は放出を刺激する薬剤である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、前記対象におけるインターフェロンガンマの内因性産生及び/又は放出を刺激する薬剤である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、1つ以上のチェックポイント阻害剤を含む、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のチェックポイント阻害剤が、PD-1受容体、CTLA-4受容体、又は前記PD-1受容体及び前記CTLA-4受容体の両方の活性化を阻害する、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のチェックポイント阻害剤が、前記PD-1受容体及び前記CTLA-4受容体の両方の活性化を阻害する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のチェックポイント阻害剤が、ポリペプチドチェックポイント阻害剤又はペプチドチェックポイント阻害剤を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリペプチドチェックポイント阻害剤又は前記ペプチドチェックポイント阻害剤が、チェックポイント受容体に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリペプチドチェックポイント阻害剤又は前記ペプチドチェックポイント阻害剤が、チェックポイント受容体リガンドに結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記チェックポイント受容体リガンドが、PD-L1、PD-L2、CD80/B7-1、CD86/B7-2、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリペプチドチェックポイント阻害剤が、抗体又はその抗原結合部分である、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体が、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、AGEN1181、トレメリムマブ、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体又はその抗原結合部分が、二重特異性である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記二重特異性抗体が、M7824、MGD013、FS118、MCLA-134、XmAb-20717、ATOR-1015、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のチェックポイント阻害剤が、標的化ポリヌクレオチドを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記標的化ポリヌクレオチドが、siRNA、RNAi、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CRISPRガイドRNA(gRNA)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、前記対象に、治療有効量のII型インターフェロンを投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記II型インターフェロンが、インターフェロンガンマである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、前記対象におけるII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のためのポリヌクレオチドである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のための前記ポリヌクレオチドが、前記対象に投与される組換えウイルスによってコードされる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記組換えウイルスが、組換えDNAウイルスである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組換えDNAウイルスが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、又はレンチウイルスである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記組換えDNAウイルスが、アデノウイルス又はレンチウイルスである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記組換えDNAウイルスが、アデノウイルスである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記組換えアデノウイルスが、インターフェロンガンマの発現のためのものである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
インターフェロンガンマの発現のための前記アデノウイルスが、ASN-002/SP-002である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記治療有効量の前記II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの発現のための前記組換えウイルスが、投与日当たり、病変ごとに少なくとも1×10個のウイルス粒子(vp)として投与される、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記(i)の少なくとも1つの薬剤が、全身的に、病変内に、又は局所的に投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、SMO、PTCH1、GLI、SHHat、tGLI1、及びSHHからなる群から選択される標的を阻害する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記Hhシグナル伝達経路標的が、SMOである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記Hhシグナル伝達経路標的が、SHHである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、小分子阻害剤である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記Hhシグナル伝達経路の前記小分子阻害剤が、ビスモデギブ、ソニデジブ、サリドギブ、LEQ-506、タラデギブ、イトラコナゾール、グラスデギブ、ジェルビン(Jervine)、CUR61414、BMS-833923、TAK-441、MRT-92、GDC-0449、HH-13、GANT61、及びHH-20からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記小分子阻害剤が、ビスモデギブである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記小分子阻害剤が、約150mg~約500mg/日の用量で投与される、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はペプチドを含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、Hhシグナル伝達経路標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記薬剤が、SHH、SMO、PTCH1、GLI、SHHat、又はtGLI1に対する抗体又はその抗原結合部分を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記薬剤が、SHHに対する抗体又はその抗原結合部分を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
SHHに対する前記抗体又はその抗原結合部分が、5E1、MEDI-5304、1C11-2G4、その抗原結合部分、及びSHHへの結合に関して5E1、MEDI-5304、1C11-2G4のうちのいずれか1つと競合する抗体又はその抗原結合部分からなる群から選択される抗体又はその抗原結合部分である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記薬剤が、PTCH1に対する抗体又はその抗原結合部分を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、ポリヌクレオチドである、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記ポリヌクレオチドが、前記Hhシグナル伝達経路を阻害するポリペプチドをコードする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリヌクレオチドが、Hhシグナル伝達経路標的に対して標的化されるmiRNA、siRNA、RNAi、又はCRISPR gRNA、アンチセンスRNA、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドであるか、又はそれをコードする、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記対象が、前記ポリヌクレオチドの発現のための組換えウイルスを投与される、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記組換えウイルスが、組換えDNAウイルスである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、全身的に、病変内に、又は局所的に投与される、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、全身的に投与される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、病変内に投与される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、制御放出製剤として投与される、請求項50~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる前記少なくとも1つの薬剤、並びに(ii)前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する前記薬剤の投与が、第1の投与期間中に別々に行われる、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
(i)、(ii)、又は(i)及び(ii)の両方が、第1の投与期間中に複数回投与される、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
少なくとも第2の投与期間をさらに含む、請求項54~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、約1週間~約12週間の期間にわたって治療される、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
投与された(ii)の用量又は(i)と組み合わせて(ii)を用いた治療期間が、単独で(ii)を用いた治療に関連する少なくとも1つの有害事象の誘発を回避するために限定される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
異常な細胞増殖を特徴とする前記疾患が、がん、線維性疾患、又は皮膚疣贅からなる群から選択される、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
異常な細胞増殖を特徴とする前記疾患が、がんである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記がんが、基底細胞がん、黒色腫、リンパ腫、扁平上皮がん、メルケル細胞がん、肺がん、前立腺がん、肉腫、髄芽腫、線維形成間質を有するがん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、膵がん、中皮腫、間葉がん、上皮がん、及び腺がんからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記がんが、基底細胞がん(BCC)である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記対象が、基底細胞母斑症候群(BCNS)又は散発性BCCに罹患している、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記がんが、再発がん(recurrent cancer)又は再発がん(relapsing cancer)である、請求項6063のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害するための少なくとも2つの薬剤が、投与される、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記2つの薬剤が、異なるHhシグナル伝達経路標的を阻害する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患している対象を治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の、
(i)少なくとも1つのチェックポイント阻害剤、及び
(ii)ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤、を投与することを含む、方法。
【請求項68】
対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤の使用であって、前記対象が、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用。
【請求項69】
前記受容体の活性化を増加させる前記少なくとも1つの薬剤が、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロン、II型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項68に記載の使用。
【請求項70】
対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための、前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤の使用であって、前記対象が、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用。
【請求項71】
前記対象が、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、前記II型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストを投与されている、又は投与され得る、請求項70に記載の使用。
【請求項72】
対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の使用であって、前記対象が、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤と共に投与されている、又は投与され得る、使用。
【請求項73】
対象における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための医薬品の製造のための、前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤の使用であって、前記対象が、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を投与されている、又は投与され得る、使用。
【請求項74】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用するための薬学的組成物であって、
(i)少なくとも1つのII型インターフェロン及び/又はI型インターフェロンの受容体の活性化を増加させる少なくとも1つの薬剤、並びに
(ii)前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤、を含む、薬学的組成物。
【請求項75】
(i)が、少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロン、又はII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンをコードするポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのII型インターフェロン及び/若しくはI型インターフェロンの受容体のためのアゴニストを含む、請求項74に記載の薬学的組成物。
【請求項76】
(i)の少なくとも1つの薬剤が、1つ以上のチェックポイント阻害剤を含む、請求項75に記載の薬学的組成物。
【請求項77】
前記インターフェロンが、インターフェロンガンマである、請求項7476のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項78】
異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用するための薬学的組成物であって、
(i)少なくとも1つのチェックポイント阻害剤、及び
(ii)前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する少なくとも1つの薬剤、を含む、薬学的組成物。
【請求項79】
制御放出マトリックスを更に含み、(i)及び(ii)の各々が、前記制御放出マトリックス全体に散在する、請求項7478のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項80】
前記制御放出マトリックスが、SiOマトリックスゲルを含む、請求項79に記載の薬学的組成物。
【請求項81】
前記SiOマトリックスヒドロゲルが、水及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、約5:1~約4,000:1の最終モル比で含む、請求項80に記載の薬学的組成物。
【請求項82】
前記水対TEOSの比が、約400:1である、請求項81に記載の薬学的組成物。
【請求項83】
前記薬学的組成物が、デポー製剤である、請求項7482のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項84】
基底細胞がん(BCC)に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、前記ヒト対象に、治療有効量の
(i)1つ以上のBCC関連病変への病変内又は病巣周囲注射によるインターフェロンガンマの発現のための組換えDNAウイルス、及び
(ii)前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する薬剤、を投与することを含む、方法。
【請求項85】
前記組換えDNAウイルスが、アデノウイルスである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
病変ごとに少なくとも5×10 10 個のウイルス粒子(vp)を投与することを含む、請求項84又は請求項85に記載の方法。
【請求項87】
病変ごとに5×10 10 個のvp~1.5×10 11 個のvpを投与することを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤の標的が、平滑化(SMO)である、請求項84~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤が、ビスモデギブ、ソニデジブ、サリドギブ、LEQ-506、タラデギブ、イトラコナゾール、グラスデギブ、ジェルビン(Jervine)、CUR61414、BMS-833923、TAK-441、MRT-92、GDC-0449、HH-13、GANT61、及びHH-20からなる群から選択される、請求項84~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、ビスモデギブである、請求項84~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、約50mg/日~約500mg/日の用量で投与される、請求項89又は請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記用量が、約150mg/日である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、全身的に投与される、請求項84~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する薬剤が、経口投与される、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記対象が、約1週間~約12週間の期間にわたって治療される、請求項84~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
基底細胞がんを治療する方法において組み合わせて使用するための、インターフェロンガンマの発現のための組換えDNAウイルス、及び前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する薬剤であって、前記組換えDNAウイルスが、病変内又は病変周囲に投与されるべきである、組換えDNAウイルス、及び薬剤。
【請求項97】
基底細胞がんに罹患している対象の治療のための医薬品の製造におけるインターフェロンガンマの発現のための組換えDNAウイルスの使用であって、前記対象が、前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する薬剤で投与されているか、又は投与され得、前記組換えDNAウイルスが、病変内又は病変周囲に投与されるべきである、使用。
【請求項98】
基底細胞がんに罹患している対象の治療のための医薬品の製造における前記ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路を阻害する薬剤の使用であって、前記対象が、インターフェロンガンマの発現のための組換えDNAウイルスを投与されているか、又は投与され得、前記組換えDNAウイルスが、病変内又は病変周囲に投与されるべきである、使用。
【請求項99】
前記Hhシグナル伝達経路を阻害する前記薬剤が、全身的に投与される、請求項97~98のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】