(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-19
(54)【発明の名称】肺感染症の重症度の早期診断のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G16H 50/80 20180101AFI20230512BHJP
【FI】
G16H50/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558177
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 US2021024347
(87)【国際公開番号】W WO2021195489
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259161
【氏名又は名称】ダイアグノース アーリー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラー,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,カール-マグナス
(72)【発明者】
【氏名】シュースター,ジェフリー エー.
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
本開示は、例えばCOVID-19ウイルスによる感染症の早期診断のため、かつ感染症の治療のための行動方針を決定するための方法及びデバイスを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンデミック中に医療リソースを割り当てる方法であって、
a)既知の症状に基づいて複数の患者をスクリーニングすることと、
b)病原体による感染症について前記患者の各々を検査することと、
c)前記患者からの呼気を捕捉することであって、前記病原体は、前記捕捉された呼気から除去される、捕捉することと、
d)前記患者の前記呼気中の化合物のレベルを決定することと、
e)前記決定されたレベルに基づいて、前記患者に医療リソースを割り当てることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記病原体は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、メタニューモウイルス及びエンテロウイルスから選択されるウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記病原体は、ウイルスであり、前記化合物は、肺線維症の進行のバイオマーカーである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウイルスは、COVID-19である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記検査することは、リアルタイムRT-PCR検査を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記医療リソースは、病院のベッド、集中治療室のベッド、人工呼吸器、気管内チューブ、医師、看護師、X線、CATスキャン又は抗ウイルス薬である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記病原体は、ウイルス及び細菌から選択され、前記病原体は、フィルタを用いて除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルタは、ガラス繊維フィルタ、ポリカーボネート膜フィルタ、及び活性炭フィルタから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フィルタは、約0.3μm以下の有効孔径を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有効孔径は、約0.1μm以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フィルタは、呼気試料から前記病原体の約95%以上を除去する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記フィルタは、前記病原体の約99%以上を除去する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルタは、前記病原体の約99.9%以上を除去する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記呼気は、捕捉される前に前記フィルタを進行する、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記呼気は、捕捉された後に前記フィルタを通過させられる、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記呼気は、息捕捉システム内に捕捉され、前記息捕捉システムは、呼気試料を前記フィルタに通過させた後に廃棄される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記検査することは、呼気捕捉の後に行われ、前記フィルタによって捕捉された前記病原体は、前記病原体による感染症を診断するために分析される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記バイオマーカーは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、アリシン又はそれらの任意の組み合わせである、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記検査することは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、又はアリシンのレベルを測定することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記検査することは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、又はアリシンのうちの2つ以上又は4つ以上のレベルの比を測定することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記検査することは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、及びアリシンのレベルを測定することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記検査することは、リアルタイムポイントオブケア(rt-POC)検査を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項23】
前記rt-POC検査は、約1時間以内に結果を返す、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記rt-POC検査は、約10分以内に結果を返す、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記rt-POC検査は、約1分以内に結果を返す、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記rt-POC検査は、
a)息チャンバと、
b)センサと、
c)検査の結果を表示するためのシステム、又は
d)検査の結果を伝送するためのシステムと
から構成されるシステムを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記息チャンバに取り付けるように構成された耐久性構成要素、ベースユニット、バイオマーカー検出器、試薬、ポンプ、弁、反応チャンバ、フィルタ、ディスプレイ、流量センサ、フローボリュームセンサ、圧力センサ、呼気流量を計算するためのシステム、呼気体積を計算するためのシステム、ディスプレイ、又はスピーカのうちの1つ以上を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記センサは、電気化学的免疫センサ、光学的免疫センサ、微小重量免疫センサ、温度測定免疫センサ、抗体免疫センサ、アプタマー免疫センサ、マイクロRNA免疫センサ、フィルム上に固定化されたメソ-テトラ(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン(TPPS)、比色センサ、フォトクロミックセンサチップ、酵素バイオセンサ、有機電気化学トランジスタ、蛍光センサ、電気化学発光センサ、D-フェニルアラニン蛍光センサ、エナンチオ選択的センサ、電位差測定センサ、ODAP選択的センサ、電気化学的金属イオンセンサ、マイクロカンチレバーセンサ、又は超分子発光センサである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
肺線維症の進行に関連するバイオマーカーを検査するための方法であって、
a)呼気試料を肺活量測定フィルタに導入することと、
b)少量の前記呼気試料を二酸化炭素メータに分流することと、
c)残存試料を加熱して試料をイオン化することと、
d)前記イオン化された試料を質量分析計の試料入口に導入することと、
e)肺線維症の進行に関連するバイオマーカーを検出することと
を含む、方法。
【請求項30】
前記バイオマーカーは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、アリシン又はそれらの任意の組み合わせである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
肺線維症の進行を特徴とするウイルス感染症又は細菌感染症について患者を治療する方法であって、
a)前記患者からの呼気試料を肺活量測定フィルタに導入することと、
b)前記呼気試料をイオン化することと、
c)前記イオン化された試料を質量分析計の試料入口に導入することと、
d)肺線維症の進行に関連するバイオマーカーを検出することと、
e)前記検出されたバイオマーカーを用いて前記患者を治療することと
を含む、方法。
【請求項32】
前記患者は、ウイルス感染症を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ウイルス感染症は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、メタニューモウイルス及びエンテロウイルス感染症である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記バイオマーカーは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、アリシン又はそれらの任意の組み合わせである、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばCOVID-19ウイルスによる感染症の早期診断のための方法及び装置、並びに感染症の治療のための行動方針を決定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示において、文書、行為、及び/又は知識の項目が言及及び/又は議論される場合、このような言及及び/又は議論は、文書、行為、及び/又は知識の項目及び/又はそれらの任意の組み合わせが、優先日にあり、公的に利用可能であり、公衆に知られており、共通の一般知識の一部であり、かつ/又は別様で、任意の適用可能な法定規定の下で任意の先行技術を構成し、かつ/又は本開示が関係する任意の問題を解決するための任意の試みに関連することが知られていることを認めるものではない。更に、何ら免責されるものではない。
【0003】
新たなヒトウイルス又は細菌学的発生は、いつ起こってもおかしくないものがある。新型ウイルスの中には、動物が新しい変異体を獲得し、それがヒトに伝播することで生まれるものも少なくない。これらのウイルスの一部の例としては、COVID-19、SARS、エボラ、及びインフルエンザが挙げられる。このような伝播の程度が高い場合に、パンデミックが生じる。これらのウイルスの一部は、肺感染症に関連する。
【0004】
新たなパンデミックが発生した場合、診断検査、薬物治療、病院のベッド及びスタッフ、人工呼吸器及び気管内チューブなどの医療物資、並びに人工呼吸器などの医療機器が不足する可能性がある。これらのウイルスの伝染を制限し、それによって任意の所与の時点での重篤な症例の数を制限し、利益を得る可能性が最も高い者に集中治療を標的化する措置を講じることで、最良の結果を達成することができる。
【0005】
パンデミックウイルス感染症などの多くの感染症では、肺感染症(例えば、肺炎)に伴う死亡率及び罹患率が高い。一部の肺感染症は、呼気飛沫を介して直接接触することなく、ウイルスなどの感染物質を伝播させる可能性がある。
【0006】
SARSなどの一部のコロナウイルスは、肺線維症と関連している場合がある(Tse et al.,J.Clin.Path.57:260-265,2004)。(リアルタイムRT-PCRにより)COVID-19が確認された一部の患者の一部の胸部CTスキャンでは、線維症の発症を示唆するすりガラス状の陰影が示されている。(She et al.,J.Med.Virol.92:747-754,2020)。肺瘢痕組織の活発で継続的な形成、すなわち肺線維症の進行は、特定のバイオマーカー、特にプロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、及びアリシンのレベルの上昇と関連している可能性があり(Gaugg et al.,Respirology 24:437-444,2019)、これは、肺線維症の分析された肺組織にも見られている(Kang et al.,J.Proteome Res.15:1717-1724,2016)。現在、一部のO2飽和度及びすりガラス状の陰影のX線測定を使用して、一部の肺機能及び一部の瘢痕化を診断することができる。ただし、どちらの方法も、高価で時間がかかる検査を繰り返さなければ、例えばCOVID-19のような特定のウイルス感染症及び疾患の重症度を示す肺機能の低下率を測定することはできない。したがって、特定のウイルス感染症及び疾患の重症度を検出するために、例えば進行性の肺瘢痕化及び肺線維症による肺機能の低下速度を測定する方法及び装置が技術的に必要とされている。
【0007】
また、解決すべき技術的問題も存在しており、この技術的問題とは、肺線維症の進行をもたらすウイルス感染症又は疾患を有する可能性が最も高い患者を早期に特定し、この情報を使用して、これらの患者のための所定の、推奨される又は最良の治療コースを決定し、それによって、限られたリソースを患者のこの部分集団に振り向けることである。更に、この技術的問題には、肺線維症を進行させるウイルス感染症又は疾患を有する可能性が最も低い患者を早期に特定し、及びこの情報を使用して、これらの患者を限定的又は無治療の対象とし、このような患者をより積極的な治療選択肢から排除し、肺線維症を進行させるウイルス感染症又は疾患を有する可能性が最も高い患者に対してこれらのより積極的な選択肢を解放することも含まれる。
【発明の概要】
【0008】
概して、本開示は、肺線維症を進行させるウイルス感染症又は疾患を有する可能性がより高い又は最も高いウイルス感染症又は疾患を有する患者の早期検出のための種々の技術(例えば、方法、装置)を可能にする。特定の態様では、これらの技術は、ウイルス感染症、例えばCOVID-19感染症(例えば、武漢変異体、英国変異体、南アフリカ変異体、NYC変異体)に関連する肺線維症の進行と相関するバイオマーカーの早期検出のために、採取された呼気を疾患、例えばパンデミック疾患の病因に関連するバイオマーカーについて分析し、それによって、より積極的な治療選択肢を最も必要とする患者を特定することを含む。特定の態様では、これらの技術は、パンデミック中、特にピーク需要の間に、薬剤、検査、病院のベッド、スタッフ、機器、及び物資の需要を低減する方法を可能にする。したがって、特定の態様では、これらの技術は、現在最も必要としている人々への医療サービス、機器、及び物資へのアクセスを提供するための追加の診断技術を提供することができる。同様に、特定の態様では、限定された検査キットを、パンデミック中に感染症又は重症度が高い感染症に罹患している可能性が最も高い者に向けるための追加のスクリーニング方法が必要であるが、これは、これらの技術によって対処することができる。これらの技術はまた、疾患、例えば、パンデミック疾患の病因に関連するバイオマーカー、例えば、ウイルス感染症、例えば、COVID-19感染症に関連する肺線維症の進行と相関する一部のバイオマーカーについて、採取された呼気のリアルタイムポイントオブケア分析のための方法及びシステムを可能にする種々の必要性に対処するものである。
【0009】
特定の態様では、本開示は、パンデミック中に医療リソースを割り当てる方法を可能にし、この方法は、a)既知の症状に基づいて患者のセットをスクリーニングすること(例えば、センサ、診断キット、体液)と、b)病原体による感染症について検査することと、c)患者からの呼気を捕捉することであって、病原体は、捕捉された呼気から除去される、捕捉することと、d)患者のセットの各患者について呼気中の化合物のレベルを決定することと、e)決定されたレベルに基づいて、医療リソース(例えば、機器、人工呼吸器、薬物)のセットを患者に割り当てる(例えば、移動させる、取り付ける、入力する)こととを含む。特定の態様では、病原体は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、メタニューモウイルス、エンテロウイルス、又はそれらの変異体から選択されるウイルスである。他の態様では、病原体はウイルスであり、化合物は肺線維症の進行のバイオマーカーである。一部の態様では、ウイルスは、COVID-19(例えば、武漢変異体)又はその任意の変異体(例えば、英国、南アフリカ、NYC)である。更なる態様では、検査は、リアルタイムRT-PCR検査を含む。更に別の態様では、医療リソースは、病院のベッド、集中治療室のベッド、人工呼吸器、気管内チューブ、医師、看護師、X線、CATスキャン、化学組成物、生物学的組成物、モノクローナル抗体、又は抗ウイルス薬である。特定の態様では、病原体はウイルス及び細菌から選択され、病原体はフィルタを使用して除去される。特定の態様では、フィルタは、ガラス繊維フィルタ、ポリカーボネート膜フィルタ、及び活性炭フィルタから選択される。特定の態様では、フィルタは、約0.3μm以下の有効孔径を有する。特定の態様では、有効孔径は約0.1μm以下である。特定の態様では、フィルタは、呼気試料から病原体の約95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、又は99.9%以上を除去する。特定の態様では、呼気は、捕捉される前に、フィルタを通過するか、通行するか、進行するか、又は移動する。特定の態様では、呼気は、(例えば、重力、正圧又は負圧を介して)捕捉された後にフィルタを通過させられる。特定の態様では、呼気は息捕捉システム(例えば、単回使用システム)に捕捉され、息捕捉システムは、呼気試料をフィルタに通過させた後に廃棄される。特定の態様では、検査は呼気捕捉の後に行われ、フィルタによって捕捉された病原体は、病原体による感染症を診断するために分析される。特定の態様では、バイオマーカーは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、アリシン、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の態様では、検査は、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、又はアリシンのレベルを測定することを含む。特定の態様では、検査は、プロリン、4ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、又はアリシンのうちの2つ以上、又は4つ以上、又は全てのレベルの比を測定することを含む。特定の態様では、検査は、リアルタイムポイントオブケア(rt-POC)検査を含む。特定の態様では、rt-POC検査は、約1時間以内、約10分以内、又は約1分以内で結果を返す。特定の態様では、rt-POC検査は、a)息チャンバ、b)センサ、及びc)検査の結果を表示するためのシステム(例えば、プロセッサ及びプロセッサと動作可能に通信し、プロセッサがそれに応じてプログラムされるディスプレイ)、又はd)rt-POC検査の結果を伝送するためのシステムから構成されるシステムを含む。特定の態様では、システムは、息チャンバに取り付けるように構成された耐久性構成要素、ベースユニット、バイオマーカー検出器、試薬、ポンプ、弁(例えば、逆止弁、ボール弁、バタフライ弁)、反応チャンバ、フィルタ、ディスプレイ(例えば、LCD、電気泳動、プラズマ、デジタル、アナログ)、流量センサ、フローボリュームセンサ、圧力センサ、呼気流量を計算するためのシステム、呼気体積を計算するためのシステム、ディスプレイ(例えば、LCD、電気泳動、プラズマ、デジタル、アナログ)、又はスピーカのうちの1つ以上を更に含む。特定の態様では、センサは、電気化学的免疫センサ、光学的免疫センサ、微小重量免疫センサ、温度測定免疫センサ、抗体免疫センサ、アプタマー免疫センサ、マイクロRNA免疫センサ、フィルム上に固定化されたメソ-テトラ(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン(TPPS)、比色センサ、フォトクロミックセンサチップ、酵素バイオセンサ、有機電気化学トランジスタ、蛍光センサ、電気化学発光センサ、D-フェニルアラニン蛍光センサ、エナンチオ選択的センサ、電位差測定センサ、ODAP選択的センサ、電気化学的金属イオンセンサ、マイクロカンチレバーセンサ、又は超分子発光センサである。
【0010】
特定の態様では、本開示はまた、肺線維症の進行に関連するバイオマーカーを検査するための方法であって、a)呼気試料を肺活量測定フィルタに導入することと、b)ある量の呼気試料を二酸化炭素メータに分流することと、c)残存呼気試料を加熱して呼気試料をイオン化することと、d)イオン化された呼気試料を質量分析計の試料入口に導入することと、e)肺線維症の進行に関連するバイオマーカーを検出することとを含む方法を可能にする。特定の態様では、バイオマーカーは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、アリシン、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0011】
特定の態様では、本開示はまた、肺線維症の進行を特徴とするウイルス感染症又は細菌感染症について患者を治療する方法であって、a)患者からの呼気試料を肺活量測定フィルタに導入することと、b)呼気試料をイオン化することと、c)イオン化された呼気試料を質量分析計の試料入口に導入することと、d)肺線維症の進行に関連するバイオマーカーを検出することと、e)検出されたバイオマーカーを用いて、又はそれに基づいて患者を治療することとを含む方法を可能にする。特定の態様では、患者は、ウイルス感染症を有する。特定の態様では、ウイルス感染症は、コロナウイルス(例えば、COVID-19、武漢変異体、英国変異体、南アフリカ変異体、NYC変異体)、インフルエンザウイルス、合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、メタニューモウイルス及びエンテロウイルス感染症である。特定の態様では、バイオマーカーは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、アリシン、又はそれらの任意の組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むと最もよく理解される。一般的な実施によれば、図面の様々な特徴は、縮尺どおりでないことが強調される。逆に、様々な特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大又は縮小される。図面には、以下の図が含まれる。
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態のフローチャートであり、一実施形態では、状態の検査が迅速かつ容易に利用可能である。
【
図2】本開示の別の実施形態のフローチャートであり、状態の検査が不足しており、かつ/又は結果を返すために長い時間を要する。
【
図3】本開示の別の実施形態のフローチャートであり、臨床状況とは別にDECA検査手順を詳述し、
図1及び
図2に示すDECAテキストボックスを説明している。
【
図4】本開示の別の実施形態のフローチャートであり、物理的プロセスを詳述している。
【
図5】本開示によるデバイス及びシステムで使用するための息チャンバの一実施形態を示す。
【
図6】本開示によるデバイス及びシステムで使用するための息チャンバの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概して、本開示は、肺線維症を進行させるウイルス感染症又は疾患を有する可能性がより高い又は最も高いウイルス感染症又は疾患を有する患者の早期検出のための種々の技術(例えば、方法、装置)を可能にする。特定の態様では、これらの技術は、ウイルス感染症、例えばCOVID-19感染症に関連する肺線維症の進行と相関するバイオマーカーの早期検出のために、採取された呼気を疾患、例えばパンデミック疾患の病因に関連するバイオマーカーについて分析し、それによって、より積極的な治療選択肢を最も必要とする患者を特定することを含む。特定の態様では、これらの技術は、パンデミック中、特にピーク需要の間に、薬剤、検査、病院のベッド、スタッフ、機器、及び物資の需要を低減する方法を可能にする。したがって、特定の態様では、これらの技術は、現在最も必要としている人々への医療サービス、機器、及び物資へのアクセスを提供するための追加の診断技術を提供することができる。同様に、特定の態様では、限定された検査キットを、パンデミック中に感染症に罹患している可能性が最も高い者に向けるための追加のスクリーニング方法が必要であるが、これは、これらの技術によって対処することができる。これらの技術はまた、疾患、例えば、パンデミック疾患の病因に関連するバイオマーカー、例えば、ウイルス感染症、例えば、COVID-19感染症に関連する肺線維症の進行と相関する一部のバイオマーカーについて、採取された呼気のリアルタイムポイントオブケア分析のための方法及びシステムを可能にする種々の必要性に対処する。
【0015】
特定の態様では、本開示は、パンデミック中に医療リソースを割り当てる方法を可能にし、この方法は、a)既知の症状に基づいて患者のセットをスクリーニングすること(例えば、センサ、診断キット、体液)と、b)病原体による感染症について検査することと、c)患者からの呼気を捕捉することであって、病原体は、捕捉された呼気から除去される、捕捉することと、d)患者のセットの各患者について呼気中の化合物のレベルを決定することと、e)決定されたレベルに基づいて、医療リソース(例えば、機器、人工呼吸器、薬物)のセットを患者に割り当てる(例えば、移動させる、取り付ける、入力する)こととを含む。特定の態様では、病原体は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、メタニューモウイルス、エンテロウイルス、又はそれらの変異体から選択されるウイルスである。他の態様では、病原体はウイルスであり、化合物は肺線維症の進行のバイオマーカーである。一部の態様では、ウイルスは、COVID-19(例えば、武漢変異体)又はその任意の変異体(例えば、英国、南アフリカ、NYC)である。更なる態様では、検査は、リアルタイムRT-PCR検査を含む。更に別の態様では、医療リソースは、病院のベッド、集中治療室のベッド、人工呼吸器、気管内チューブ、医師、看護師、X線、CATスキャン、化学組成物、生物学的組成物、モノクローナル抗体、又は抗ウイルス薬である。特定の態様では、病原体はウイルス及び/又は細菌から選択され、病原体はフィルタを使用して除去される。特定の態様では、フィルタは、ガラス繊維フィルタ、ポリカーボネート膜フィルタ、及び活性炭フィルタから選択される。特定の態様では、フィルタは、約0.3μm以下の有効孔径を有する。特定の態様では、有効孔径は約0.1μm以下である。特定の態様では、フィルタは、呼気試料から病原体の約95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、又は99.9%以上を除去する。特定の態様では、呼気は、捕捉される前に、フィルタを通過するか、通行するか、進行するか、又は移動する。特定の態様では、呼気は、(例えば、重力、正圧又は負圧を介して)捕捉された後にフィルタを通過させられる。特定の態様では、呼気は息捕捉システム(例えば、単回使用システム)内に捕捉され、息捕捉システムは、呼気試料をフィルタに通過させた後に廃棄される。特定の態様では、検査は呼気捕捉の後に行われ、フィルタによって捕捉された病原体は、病原体による感染症を診断するために分析される。特定の態様では、バイオマーカーは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、アリシン、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の態様では、検査は、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、又はアリシンのレベルを測定することを含む。特定の態様では、検査は、プロリン、4ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、又はアリシンのうちの2つ以上、又は4つ以上、又は全てのレベルの比を測定することを含む。特定の態様では、検査は、リアルタイムポイントオブケア(rt-POC)検査を含む。特定の態様では、rt-POC検査は、約1時間以内、約10分以内、又は約1分以内で結果を返す。特定の態様では、rt-POC検査は、a)息チャンバ、b)センサ、及びc)検査の結果を表示するためのシステム(例えば、プロセッサ及びプロセッサと動作可能に通信し、プロセッサがそれに応じてプログラムされるディスプレイ)、又はd)rt-POC検査の結果を伝送するためのシステムから構成されるシステムを含む。特定の態様では、システムは、息チャンバに取り付けるように構成された耐久性構成要素、ベースユニット、バイオマーカー検出器、試薬、ポンプ、弁(例えば、逆止弁、ボール弁、バタフライ弁)、反応チャンバ、フィルタ、ディスプレイ(例えば、LCD、電気泳動、プラズマ、デジタル、アナログ)、流量センサ、フローボリュームセンサ、圧力センサ、呼気流量を計算するためのシステム、呼気体積を計算するためのシステム、ディスプレイ(例えば、LCD、電気泳動、プラズマ、デジタル、アナログ)、又はスピーカのうちの1つ以上を更に含む。特定の態様では、センサは、電気化学的免疫センサ、光学的免疫センサ、微小重量免疫センサ、温度測定免疫センサ、抗体免疫センサ、アプタマー免疫センサ、マイクロRNA免疫センサ、フィルム上に固定化されたメソ-テトラ(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン(TPPS)、比色センサ、フォトクロミックセンサチップ、酵素バイオセンサ、有機電気化学トランジスタ、蛍光センサ、電気化学発光センサ、D-フェニルアラニン蛍光センサ、エナンチオ選択的センサ、電位差測定センサ、ODAP選択的センサ、電気化学的金属イオンセンサ、マイクロカンチレバーセンサ、又は超分子発光センサである。
【0016】
特定の態様では、本開示はまた、肺線維症の進行に関連するバイオマーカーを検査するための方法であって、a)呼気試料を肺活量測定フィルタに導入することと、b)ある量の呼気試料を二酸化炭素メータに分流することと、c)残りの呼気試料を加熱して呼気試料をイオン化することと、d)イオン化された呼気試料を質量分析計の試料入口に導入することと、e)肺線維症の進行に関連するバイオマーカーを検出することとを含む方法を可能にする。特定の態様では、バイオマーカーは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、アリシン、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0017】
特定の態様では、本開示はまた、肺線維症の進行を特徴とするウイルス感染症又は細菌感染症について患者を治療する方法であって、a)患者からの呼気試料を肺活量測定フィルタに導入することと、b)呼気試料をイオン化することと、c)イオン化された呼気試料を質量分析計の試料入口に導入することと、d)肺線維症の進行に関連するバイオマーカーを検出することと、e)検出されたバイオマーカーを用いて、又はそれに基づいて患者を治療することとを含む方法を可能にする。特定の態様では、患者は、ウイルス感染症を有する。特定の態様では、ウイルス感染症は、コロナウイルス(例えば、COVID-19、武漢変異体、英国変異体、南アフリカ変異体、NYC変異体)、インフルエンザウイルス、合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、メタニューモウイルス及びエンテロウイルス感染症である。特定の態様では、バイオマーカーは、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、アリシン、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0018】
添付の例示的な図面のセットは、本開示の種々の実施形態を示す。このような図面は、本開示を必ずしも限定するものとして解釈されるべきではない。同様の番号及び/又は同様の番号付けスキームは、全体を通して同様及び/又は同様の要素を指すことができる。
【0019】
本開示は、ここで、本開示の一部の実施形態が示される添付の図面のセットを参照してより完全に説明される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に開示される実施形態に必ずしも限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の種々の概念を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0020】
本開示の態様は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装することができる。本明細書に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実装され得る。このハードウェア及びソフトウェアの互換性を明確に例示するために、様々な例示的な成分、ブロック、モジュール、回路、及びステップは、概して、それらの機能の観点から上述されている。そのような機能がハードウェア又はソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課される特定の用途及び設計制約事項に依存する。当業者は、記載された機能を、各特定の用途に対して様々な方法で実装し得るが、そのような実装形態の意思決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものと解釈されるべきではない。
【0021】
本明細書に含まれるフローチャート及びブロック図は、本開示の種々の実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、又は命令の一部を表し得る。一部の代替実装形態では、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックは、含まれる機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能若しくは動作を実行する、又は専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装することができることにも留意されたい。
【0022】
「次いで」、「次に」などの語は、ステップの順序を限定するものではなく、これらの語は、単に、方法の説明を通して読者を導くために使用される。プロセスフロー図は、動作を順次プロセスとして説明する場合があるが、動作の多くは、並行して又は同時に実行され得る。更に、動作の順序は並べ替えられてもよい。プロセスは、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応することができ、プロセスが関数に対応するとき、その終了は、呼び出し関数又はメイン関数への関数のリターンに対応することができる。
【0023】
特定の実施形態に関して説明される特徴又は機能は、種々の他の実施形態において、及び/又は種々の他の実施形態と組み合わされてもよく、部分的に組み合わされてもよい。また、本明細書で開示されるような実施形態の異なる態様及び/又は要素は、同様の方法で組み合わされてもよく、サブコンビネーションされてもよい。更に、一部の実施形態は、個々に及び/又は集合的に、より大きなシステムの構成要素であってもよく、他の手順がそれらの適用に優先してもよく、かつ/又は別様にそれらの適用を修正してもよい。加えて、本明細書に開示されるように、一部のステップが、実施形態の前、後、及び/又は同時に必要とされ得る。少なくとも本明細書に開示される任意の及び/又は全ての方法及び/又はプロセスは、少なくとも1つのエンティティ又はアクタを介して任意の方法で少なくとも部分的に実行され得ることに留意されたい。
【0024】
本明細書で使用される用語は、直接的又は間接的、完全又は部分的、一時的又は永続的、作用又は不作用を示唆することができる。例えば、ある要素が別の要素に対して「上にある」、「接続されている」、又は「結合されている」と称される場合、その要素は、他の要素に対して直接的に上にある、接続されている、又は結合されていることが可能であり、かつ/又は、間接的及び/又は直接的な変異体を含む介在要素が存在することが可能である。対照的に、要素が別の要素に「直接接続されている」又は「直接結合されている」と言及される場合、介在要素は存在しない。
【0025】
第1、第2などの用語は、種々の要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションは、必ずしもこのような用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層又はセクションを別の要素、構成要素、領域、層又はセクションから区別するために使用される。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、本開示の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと称することができる。
【0026】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、必ずしも本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの」及び「その」は、文脈が別段明確に示さない限り、中間の整数又は小数の形態を含む、複数形(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、数十、数百、数千、数百万、又はそれ以上)も含むことが意図される。また、本明細書では「1つ以上」という句も使用されるが、本明細書で使用される場合、「1つ」という用語は、「1つ以上」を意味するものとする。「含む」及び/又は「含んでいる」という用語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在及び/又は追加を排除しない。更に、本開示が、本明細書において、何かが他の何かに「に基づいて」と記載された場合、このような記述は、1つ以上の他のものにも基づき得る基礎を指す。換言すれば、明示的に別段の指示がない限り、本明細書で使用される「に基づいて」は、「に少なくとも部分的に基づいて」を包括的に意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することが意図される。すなわち、別段の指定がない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを採用する」は、自然な包括的置換のいずれかを意味することが意図される。すなわち、XがAを採用する、XがBを採用する、又はXがA及びBの両方を採用する場合、「XはA又はBを採用する」は、前述の事例のいずれかの下で満たされる。例えば、別段の指定がない限り、又は文脈から明らかでない限り、XはA又はBを含むは、XがAを含み得、XがBを含み得、XがA及びBを含み得ることを意味することができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「応答」又は「応答する」という用語は、入力(例えば、ローカル、リモート)などのマシンソースのアクション若しくはインアクション、又は入力(例えば、ユーザ入力デバイスを介した)などのユーザソースのアクション若しくはインアクションを含むことが意図される。
【0029】
本明細書で使用される場合、「約」及び/又は「実質的に」という用語は、公称値/用語から+/-10%の変動を指す。このような変動は、常に任意の所与のものに含まれる。
【0030】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって概して理解されるのと同じ意味を有する。概して使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本明細書で明示的に定義しない限り、理想的及び/又は過度に形式的な意味に解釈されてはならない。
【0031】
これにより、本開示において言及又は参照される全ての発行された特許、公開された特許出願、及び非特許刊行物は、各個別の発行された特許、公開された特許出願、又は非特許刊行物が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同程度に、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。更により明確にするために、参照による全ての組み込みは、あたかもそれらの特定の刊行物が本明細書にコピーされて貼り付けられたかのように、あたかも本開示の全ての目的のために本開示に元々含まれたかのように、組み込まれた刊行物を具体的に含む。したがって、本明細書に開示されているものへの任意の言及は、上記で説明したように、参照により組み込まれる全ての主題を含む。しかしながら、いずれかの開示が参照により本明細書に組み込まれ、このような開示が本開示と部分的又は全体的に矛盾する場合、矛盾又はより広い開示又は用語のより広い定義の範囲で、本開示が支配する。このような開示が互いに部分的に又は全体的に矛盾する場合、矛盾の程度まで、後の日付の開示が支配する。
【0032】
本製剤及び方法を説明する前に、本開示は、説明される特定の製剤及び方法に限定されず、したがって、当然ながら変動し得ることを理解されたい。また、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであることも理解されたい。
【0033】
値の範囲が提供される場合、文脈上別段の指示のない限り、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、下限のユニットの10分の1まで具体的に開示されていることを理解されたい。規定範囲における任意の規定値又は介在値と、その規定範囲における任意の他の規定値又は介在値との間のより小さい各範囲が、本開示に包含される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立してその範囲に含まれても、又は除外されてもよく、より小さい範囲に限度のいずれかが含まれる範囲、どちらも含まれない範囲、又は両方の限度が含まれる範囲の各々も、規定範囲内の任意の具体的に除外されている限度に従って本開示に包含される。規定範囲が限度の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限度のいずれか又は両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【0034】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの」及び「その」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「製剤」への言及は、複数の製剤を含み、「方法」への言及は、1つ以上の方法及び当業者に公知のその等価物への言及などを含む。
【0035】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前に専らそれらの開示のために提供されている。本明細書のいかなる内容も、本開示が先行開示のために、そのような刊行物に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行日とは異なる場合がある。
【0036】
本開示は、例えばCOVID-19ウイルス(例えば、武漢変異体、英国変異体、南アフリカ変異体、NYC変異体)による感染症の初期診断のための方法及びデバイス、並びに感染症の治療のための行動方針を決定するための方法及びデバイスに関する。特定の実施形態では、本方法は、ウイルス感染症による有意な死亡率及び罹患率についてのリスク因子に基づいて対象を選択することと、咳又は発熱などの症状についてチェックすることと、肺機能を検査することと、感染体についての診断検査を実施すること、例えば、リアルタイム逆転写(RT)-PCR診断パネルを使用してCOVID-19について検査することと、試料からウイルス及び細菌を排除する方法で呼気を収集することと、進行性肺線維症についてのバイオマーカーなどの、活動性感染症の予想される重症度に関するバイオマーカーの証拠について試料を分析することと、結果に基づいて治療を修正することとを含む。
【0037】
本開示は、例えばCOVID-19ウイルスによる感染症の重症度を決定するための方法及びデバイスに関する。本開示は、感染症、例えばCOVID-19感染症について陽性の検査結果を有する対象をスクリーニングして、それらの状態の重症度を決定し、その結果を使用して、病院のベッド、スタッフ、機器、又は物資を含むがこれらに限定されないリソースを効率的に割り当て、挿管及び機械的換気を含むがこれらに限定されない侵襲的かつ潜在的に危険な治療の使用を回避する方法を可能にする。本開示は、感染症、例えばCOVID-19感染症の症状を示す対象をスクリーニングし、検査キット、例えばリアルタイムRT-PCR検査キットを検査陽性の可能性が最も高い者に効率的に割り当て、より直接的な検査、例えばリアルタイムRT-PCR検査キットが利用可能でない場合に、病院のベッド、スタッフ、機器、又は物資を含むがこれらに限定されないリソースを効率的に割り当てる方法を可能にする。
【0038】
本開示は、疾患、好ましくはパンデミック疾患の病因に関連するバイオマーカーの存在について呼気を分析する方法において使用するための呼気を収集するためのシステムを可能にする。本開示は、細菌又はウイルスが収集された呼気試料中に存在しないような方法で呼気を収集するためのシステムを可能にする。本開示は、COVID-19に対して陽性と検査された患者の呼気試料を収集し、試料を分析することを可能にする。本開示は、細菌及びウイルス(例えば、COVID-19コロナウイルス)を含むがこれらに限定されない病原体を除去する空気フィルタを含む、呼気を収集するためのシステムを可能にする。
【0039】
本開示は、呼気を収集するための2ステージシステムを可能にし、第1のステージは、細菌又はウイルスを含むがこれらに限定されない病原体を含む空気を収集し、更に、第2のステージは、病原体が除去された呼気を収集し、特定の実施形態では、ウイルス感染症又は細菌感染症を含むがこれらに限定されない状態を診断するために、第1のステージの内容物が病原体の存在について検査される。本開示は、2ステージシステムを可能にし、病原体を含む呼気は、第1のステージで捕捉され、その後、第1のステージは、第2のステージと接触して配置され、更に、空気は、病原体を除去するフィルタを通して第2のステージに押し込まれる。本開示は、第1のステージ及び第2のステージを有する呼気収集デバイスを可能にし、呼気が第1のステージから第2のステージに渡された後、第1のステージは除染及び/又は廃棄される。
【0040】
本開示は、疾患状態の重篤度の1つ以上のバイオマーカーのためのセンサを含むデバイスにおいて呼気を収集することを可能にし、検査は、ポイントオブケア、例えばドライブスルー検査場所、緊急治療室、又は病院のベッドにおいて実施することができ、デバイスは、試料の更なる輸送又は調製なしにリアルタイムで検査の結果を返し、患者のトリアージを容易にする。本開示は、分析が行われるのと同じ場所において検査を行うことを可能にし、呼気バイオマーカーを分析システムに導入する手段は、限定されないが、呼気を捕捉し、捕捉された呼気を、特定の実施形態では本質的に直ちに分析システムに導入すること、及び対象を分析システムに直接呼気させることを含むリストから選択される。本開示は、例えば家庭、職場、又はドライブスルー環境において、遠隔で呼気試料を収集し、捕捉された呼気試料を分析のために実験室の場所に輸送するための手段(例えば、収集キット)を可能にする。
【0041】
本開示は、ウイルス感染症、細菌感染症、又はCOVID-19(本明細書に開示される種々の変異体を含む)を含むがこれらに限定されない疾患が、安価で迅速に診断され得るという点で有利である。本開示は、病原体を潜在的に含有する呼気が、汚染並びに呼気の捕捉後のスタッフ及び機器の病原体への潜在的な曝露なしに、疾患状態の診断のために捕捉され得るという点で有利である。本開示は、患者をトリアージし、疾患状態の診断及び治療のために限られたリソースを最も効率的に使用するために、捕捉された呼気を使用して、肺瘢痕組織の活発かつ継続的な形成又は進行性肺線維症を含むがこれらに限定されない病因及び/又は病態生理疾患状態の重篤度を決定することができるという点で有利である。
【0042】
本開示は、患者をトリアージし、医療関係者への曝露を、治療を最も必要とする者のみに限定し、それによって医療関係者への感染を最小限に抑え、医療関係者の利用可能性を最大化するために、捕捉された呼気を使用して、進行性肺線維症を含むがこれに限定されない病因及び/又は病態生理疾患状態の重篤度を判定することができる点で有利である。本開示は、息バイオマーカー及び呼気病原体が単一の非侵襲的収集イベントにおいて収集され得、病態生理学の間接的評価、及び好ましくは間接的評価によって示された場合のみの感染症の直接検査の両方を可能にし、それによって重篤な患者の侵襲的な鼻咽頭又は血液の採取を制限し、医療関係者、施設、及び機器の病原体への曝露を制限するという点で有利である。
【0043】
本開示は、検査の結果が、ポイントオブケアでデバイス又はシステムによって迅速に返され、それによって、例えば、患者を帰宅させるべきか、通常の病院のベッドに収容すべきか、又はICUに収容すべきかに関する現場での決定を支援又は可能にするという点で有利である。本開示は、検査の結果がポイントオブケアでデバイス又はシステムによって返され、それによって、輸送及び/又は下流処理を必要とする検査で起こり得る機器、設備、及び人員の汚染を防止するという点で有利である。
【0044】
本開示のこれら及び他の利点、並びに特徴は、以下により完全に記載されるような製剤及び方法論の詳細を読めば、当業者に明らかになる。
【0045】
本開示は、パンデミック中に患者をトリアージする方法及びシステムを可能にする。パンデミック中、治療及び投薬は供給が不足することになる。パンデミックとは、概してウイルス感染症又は細菌感染症である。多くの場合、これらは重篤な肺感染症に関連する。最近の一例は、COVID-19(例えば、武漢変異体、英国変異体、南アフリカ変異体、NYC変異体)などのコロナウイルスである。
【0046】
重篤な肺感染症は、長期の影響、例えば瘢痕化及び肺線維症を有する可能性があり、肺瘢痕組織の活発かつ継続的な形成、線維症形成率は、肺感染症の重篤度の指標であり、ICUへの入院及び機械的換気などの集中的介入の必要性を予測するものと考えられている。肺線維症の進行速度は、単一の胸部X線又はCATスキャンで決定することは不可能である。
【0047】
一部の特定のアミノ酸、具体的にはプロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン及びアリシンは、進行する肺線維症並びに肺瘢痕組織の活発かつ継続的に形成され続けている間、正常レベルよりも高いレベルで存在する。特定の態様では、呼気中の有機化合物のレベルが測定され、これらのレベルを用いて疾患の将来の重篤度が予測される。これらの結果に基づいて、患者を帰宅させるか、通常の病院のベッドに入院させるか、又はICUに入院させることができる。このタイプの検査の例は、Diagnose Early社のCOVID重症度診断(DECA)検査である。アミノ酸は、誘導体化なしでは、GCxGC-MSによって容易に分析することができないため、高効率イオン化スーパー二次エレクトロスプレーイオン化(Super-SESI)装置(Fossil Ion Technology,Madrid Spain)と高分解能質量分析(HRMS)とを組み合わせて使用することが、DECA検査のための分析の概して好ましい経路となる(又は他の適切なデバイスを使用することができる)。しかしながら、特定の実施形態では、試料処理を必要とするGCxGC-MSを使用するDECA検査が利用されている。Super-SESIデバイスでは、試料は、Super-SESIの試料移送ラインに入るときに、理想的には約100%相対湿度、約37℃の試料とともに導入される。Super-SESIイオン化法を使用するDECA分析には、種々の試料状況が存在しており、例えば、患者が1回又は数回の呼気をSuper-SESIデバイスに直接提供するときのリアルタイム呼気収集、又は呼気がチャンバ又はステンレス鋼バッグ(又はステンレス鋼を含むか又は含まない別の適切なバッグ)内に捕捉されることが挙げられる。呼気は、例えば、他のDiagnose Early社の特許出願に開示されるように、約-30℃~約-70℃又は液体窒素温度、約-196℃に保たれたチャンバ内に息する患者によって、呼気凝縮液として捕捉することができる。呼気試料は、Super-SESI移送ラインへの導入前に、試料が約100%の相対湿度又はそれに近い相対湿度になるようにしながら、体積空気/窒素に再構成される。加えて、呼気は、息チャンバを使用して捕捉され、液体窒素に浸漬された息カートリッジ内で濃縮され、その後、Super-SESI移送ラインへの導入前に、試料が約100%の相対湿度又はそれに近い相対湿度になるようにしながら、体積空気/窒素に再構成され得る。
【0048】
特定の態様では、呼気試料は息チャンバ内に捕捉され、試料中の関連バイオマーカーのレベルが分析される。分析は、試料を実験室に送ることによって行うことができる。しかしながら、これを行うことに関する問題、例えば病原体による汚染及び時間遅延が存在する。したがって、特定の実施形態では、呼気試料を捕捉し、リアルタイム(例えば、約70、60、50、40、30、20、15、10、5分未満)で検査の結果を返すリアルタイムポイントオブケア(rt-POC)システムが使用される。時には、検査は、感染症に関して既に陽性であると検査された患者に対して行われる。しかしながら、パンデミックは通常、新規の病原体、例えば過去に見たことがないウイルスが原因であり、検査は極めて供給不足となる可能性があり、又は結果を返すために長い時間を要する可能性がある。この場合、パンデミック病原体による感染症についての検査の結果が出る前に、息検査を行い、その結果に基づいて患者をトリアージすることができる。検査が極端に不足している場合には、息検査を使用して病原体検査を受ける人を決定することができ、又は病原体検査を完全に省くことができる。
【0049】
特定の態様では、一部の方法は、これらに限定されないが、他者を保護するためにウイルス及び細菌を捕捉し得るフィルタを使用して呼気試料を捕捉することと、呼気中に見出された特定の複数のアミノ酸の相対量を測定することと、疾患状態、好ましくは疾患状態の重症度を診断するために測定された量を使用することと、重症度が低い患者を安全に帰宅させることと、重症度が高い患者に救命治療を提供することに限られたリソースを集中させることとを含み得る。
【0050】
図1は、本開示の一実施形態を示しており、状態の直接検査が容易に利用でき、かつ比較的迅速に行えるものである。好ましくは、この状態はパンデミックであり、十分な患者が集中的な治療及び/又は投薬を必要とし、治療及び/又は投薬が不足することが予測されるか、又はすでにそうなっている状態である。好ましくは、この状態は、重篤な肺感染症を引き起こし得るウイルス感染症又は細菌感染症である。好ましい一実施形態では、パンデミック病原体はCOVID-19(例えば、武漢変異体、英国変異体、南アフリカ変異体、NYC変異体)であり、検査はリアルタイムRT-PCRである。COVID-19の例を用いた1つの実施形態を
図1のフローチャートに示している。この実施形態では、検査は容易に利用可能であり、結果は2日以内、好ましくは1日以内に返され、より好ましくは検査結果は同日に利用可能である。
【0051】
患者がパンデミック病原体について陰性であると検査された場合、患者は、その状態について通常通りに治療される。患者がパンデミック病原体に対して陽性であると検査された場合、患者が、その生存が挿管及び機械的換気を含むがこれらに限定されない集中治療を必要とする部分集団にあるか否かを判定することが重要である。これらの集中治療は供給不足となる可能性が非常に高いため、生存がかかっている患者のためにそれらを確保することが重要である。
【0052】
上記のように、肺感染症の1つの潜在的な結果は、関連する罹患率及び死亡率があり、そして重症度及び集中治療の必要性の予測因子であると考えられているのが、肺瘢痕組織のかつ継続的な形成及び急速に進行する肺線維症である。肺線維症は、胸部X線又はCATスキャンによって診断することができるが、CATスキャン又は胸部X線からは、その状態が既存であるか、又はパンデミック病原体感染症によって引き起こされるか、若しくは悪化するかは、不明である。
【0053】
急速に進行する肺についての呼気バイオマーカーが存在し、パンデミック病原体感染症の最も急性の肺症例では、急速に進行する肺線維症、すなわち、肺瘢痕組織が活発かつ継続的に形成されることと考えられるので、
図1に示されるような息チャンバを使用して、パンデミック病原体について陽性と検査された患者から呼気が収集される。息チャンバ、並びに診断バイオマーカーのために呼気を濃縮及びアッセイするための方法及びシステムの実施形態の例は、
図5及び
図6に示されるものを含み得るが、これらに限定されない。
図5は、いずれかの側に逆止弁(CV1及びCV2)及びマウスピース(M)を有する200mlの息チャンバ(BC)を示し、
図6は、いずれかの側にボール弁(BV1及びBV2)を有する息チャンバ(BC-200)を示している。
図6には、息チャンバエンドキャップ(BC-E1及びBC-E2)、逆止弁(CV-1)、Viton O-リング(CT-VO)を備えた直線コネクタ、及びステンレス鋼管(SST1-4)も示されている。
【0054】
機器及び人員の汚染を回避するために、採取した呼気に含まれる病原体が、分析プロセスの後のステージに伝わらないようにすることが重要である。これは、呼気試料からウイルス及び細菌をフィルタリングすることによって達成することができる。好ましいフィルタは、病原体の約95%以上(例えば、95、96、97、98、99%)、より好ましくは約99%以上、より好ましくは約99.9%以上を除去する。好ましいフィルタは、約0.3μm以下の孔径を有する。COVID-19及びSARSのようなコロナウイルスは、約100nmの直径を有するので、約0.1μm以下の孔径が必要とされ得る。一実施形態では、病原体は、息チャンバ及び下流プロセスの汚染を回避するために、息チャンバ内への導入前に、呼気試料からフィルタリングされる。しかしながら、必要とされる孔サイズ及び付随するフィルタの高い圧力損失、並びに対象の肺機能が低下している可能性があるため、対象に息チャンバ内へ息させ、次いで、加圧ガス、ピストン、又は息チャンバ内の呼気試料を加圧する任意の他の手段を使用して、チャンバからフィルタを通してガスを押し出すことによって、呼気を捕捉することが好ましい場合がある。次いで、この除染された呼気試料は、第2のチャンバ内に捕捉され得る。好ましくは、捕捉された試料は、息チャンバから、フィルタを通して、
図1に説明されるような濃縮システムの中に追い出される。次いで、この呼気凝縮液を必要に応じて加温し、二次エレクトロスプレーMSシステムなどであるがこれに限定されない分析システムに注入することができる。
【0055】
特定の実施形態では、呼気捕捉及び検査は、例えば人工呼吸器による積極的な介入を必要とする可能性が高いCOVID-19による感染症のバイオマーカーとして、肺感染症の重症度、例えば進行性肺線維症を示す状態のバイオマーカーである1つ以上の化合物のためのセンサから構成されるリアルタイムポイントオブケア(rt-POC)システムを使用して行われる。一実施形態において、rt-POCバイオマーカー検出システムは、呼気試料が採取される前又は本質的に直後(例えば、約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1分以内)に、分析の他の成分、例えば試薬の添加を必要とする。好ましくは、rt-POCシステムは、システム内に又はシステムとともに予めパッケージされた全ての必要な試薬とともに検査サイトに供給される。より好ましくは、センサは追加の試薬を必要としない。好ましいセンサは、バイオマーカー、好ましくは揮発性有機化合物、より好ましくはプロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン及びアリシンのうちの1つ以上を含み得るがこれらに限定されないアミノ酸を検出するセンサである。
【0056】
好ましいrt-POCシステムは、約10時間以内、約5時間以内、約1時間以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内、又は約1分以内で検査結果を返す。
【0057】
VOC、好ましくはアミノ酸、好ましくはプロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン、及びアリシンのうちの1つ以上を検出できる任意の検出器を使用でき、この検出器には現在利用可能な検出器及び将来開発される検出器が含まれる。使用され得る検出器の例としては、容量型免疫センサ、電気化学的免疫センサ、光学的免疫センサ、微小重量免疫センサ、温度測定免疫センサ、抗体免疫センサ、アプタマー免疫センサ、マイクロRNA免疫センサ、メソ-テトラ(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン(TPPS)フィルムセンサ、比色センサ、フォトクロミックセンサチップ、酵素バイオセンサ、有機電気化学トランジスタ、蛍光センサ、電気化学発光センサ、D-フェニルアラニン蛍光センサ、エナンチオ選択的センサ、電位差測定センサ、ODAP選択的センサ、電気化学的金属イオンセンサ、マイクロカンチレバーセンサ、及び超分子発光センサが挙げられるが、これらに限定されない免疫センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
rt-POC実施形態では、検査は、ドライブスルー検査場所、自立型診療所、緊急治療室、病院のベッド、及び屋外トリアージ場所、テントなどの一時的トリアージ建物、又は診断及び/又は緊急度の割り当てのために使用され、構築され、又は再利用される任意の他の場所若しくは物理的に画定された領域を含むがこれらに限定されない、ポイントオブケアで実施される。
【0059】
特定の実施形態では、rt-POCシステムは、呼気が捕捉されるときに息チャンバに取り外し可能に取り付けられる、耐久性の(すなわち、複数患者使用の)構成要素を含み得る。この耐久性構成要素は、息チャンバを通る患者呼気流量、フローチャンバを通る患者呼気体積を測定するためのシステム、患者が息チャンバを通して適切に呼気していることを患者に知らせるためのシステム、患者が息チャンバを通して必要量を呼気したことを示すためのシステム、息チャンバを保持するためのハンドル、息チャンバを取り付けるためのマウント、又はベースステーションへのアタッチメントのうちの1つ以上を含み得る。
【0060】
特定の実施形態では、rt-POCシステムは、呼気が捕捉された後に息チャンバ、耐久性構成要素、及びセンサのうちの1つ以上がドッキングされたベースステーションを含み得る。ベースステーションにドッキングした後、検査が完了し、検査の結果が表示及び/又は伝送される。
【0061】
特定の実施形態では、rt-POCシステムは、情報を入力するためのシステム(例えば、物理的又は仮想キーボード、マイクロフォン、カメラ)を含み、情報は、患者名、患者の生年月日、患者識別番号又は英数字列、検査を行う人の身元、検査の場所、日付、時間などを含み得るが、これらに限定されない。データを入力するためのシステムは、息チャンバ、ベースステーションの一部であってもよく、又は検査を記録する紙文書、又は電子患者記録へのデータの入力を可能にするコンピュータワークステーションなどの別個のシステムであってもよい。データを入力するためのシステムはまた、耐久性システム、使い捨て構成要素、試薬、患者、又は介護者などのものを識別するための読取機を含み得る。リーダは、バーコードリーダ、クイックレスポンス(QR)コードリーダ、カメラ、RFIDリーダ、又は指紋識別子、虹彩認識システム、若しくは顔認識を含むがこれらに限定されないバイオメトリックシステムを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0062】
rt-POCバイオマーカー検出システムは、息チャンバ、耐久性構成要素、及びベースユニットのうちの1つ以上から構成されてもよく、そのそれぞれは、1つ以上のバイオマーカー検出器、1つ以上の試薬、分析を実行するための電力、試料を濃縮し、試料を移動させ(例えば、押す、引く、持ち上げる、下げる)、試薬を導入するなどのためのポンプ、弁、反応チャンバ、配管及び他の流体又はマイクロ流体構成要素、ウイルスなどの汚染物質を除去するための1つ以上のフィルタ、検査の状態を示すためのディスプレイ、検査の結果を示すためのディスプレイ、患者データ、時間、日付、検査の場所、検査の結果を含むがこれらに限定されないデータを伝送するための有線又は無線又は導波路システムのうちの1つ以上を含んでもよい。息チャンバ又は耐久性構成要素は、流量センサ、フローボリュームセンサ、又は圧力センサを含むシステムと、呼気流量を計算するためのシステムと、呼気体積を計算するためのシステムと、ディスプレイ、スピーカ、又は呼気流量及び/若しくは呼気体積に関する情報を通信するための他の構成要素とを含み得る。例えば、このようなディスプレイの一部は、LCD、電気泳動、プラズマ、デジタル、アナログ、又は他のものを含み得る。例えば、このような伝送のうちの一部は、有線若しくは無線であり得るか、又は好適な伝送機、受信機、送受信機、若しくは他のネットワーキング機器を伴う導波管を介し得る。
【0063】
特定の実施形態では、rt-POCシステムは、情報を送達するためのシステム(例えば、ディスプレイ、スピーカ)を含み、情報は、患者名、患者の生年月日、患者識別番号又は英数字列、検査を行う人の身元、検査の場所、日付、時間、検査の結果、将来の治療の提案などを含み得るが、これらに限定されない。データを入力するためのシステムは、息チャンバ、ベースステーション、検査を記録する紙文書、又は電子患者記録へのデータの入力を可能にするコンピュータワークステーションなどの別個のシステムの一部であってもよい。関連するバイオマーカー、例えば、これらに限定されないが、急速に進行する肺線維症又は肺瘢痕組織の活発かつ継続的な形成についてのバイオマーカーのレベルが上昇したことが、呼気試料に示された場合、患者は、集中治療室への入院、供給不足であり得る抗ウイルス剤又は抗菌剤を含むがこれらに限定されない医薬品による治療、並びに挿管及び機械的換気を含むがこれらに限定されないリストから選択される療法を含む集中療法を受けることができる。
【0064】
図2は、診断及び治療方法の別の実施形態を示しており、これは、感染症についての検査が供給不足であり、かつ/又は結果を返すためにかなりの時間を要する場合に好ましい場合がある。例として、2020年3月25日現在、COVID-19に関連する死亡者は21,000人を超えているが、COVID-19に感染している疑いがある全ての患者を検査するために利用可能な十分な検査は存在しなかった。これは、以下の優先度(表1)に基づく検査を要求した当時のCDC検査ガイドラインから分かる。
【0065】
【0066】
例として、患者が症状を有するが、まだ重大ではなく、医療従事者、初期対応者、又はリスク集団のメンバーではない場合、患者は「リソースが許す限り」検査されるだけであった。疾患の重篤な進行のバイオマーカーに関して優先度2以下のいずれかを検査し、その結果に基づいてCOVID-19感染症に関して検査するか否かを判定することが好ましい。
【0067】
また、2020年3月現在、検査へのアクセスを許可された者であっても、結果を得るためにかなりの期間、多くの場合10日間も待つ必要があった。検査結果を待つ間に患者をトリアージする方法があれば、より良い結果につながったことは明らかである。
【0068】
図2に見られるように、検査が供給不足である場合の適切な方法の別の実施形態は、最初に、
図1に概説される方法を使用してバイオマーカーについて検査し、次いでバイオマーカーが予想される疾患の重症度を示した場合に、パンデミック病原体について検査し、それに応じて治療することである。
【0069】
パンデミック病原体の検査が結果を返すために何日もかかる場合には、患者がパンデミック病原体に感染しているか否かが判明する前に、バイオマーカーの結果に基づいて集中療法を開始することを選択することができる。
【0070】
図3は、
図1及び
図2に示されるDECAテキストボックスを詳述する臨床状況とは別のDECA検査手順を詳述している。
【0071】
図4は、肺線維症の進行に関連するバイオマーカーについて呼気試料を検査する一実施形態に含まれる物理的ステップ100を詳述している。呼気試料は、肺活量測定フィルタ102に入力され、少量の呼気試料は、二酸化炭素メータ104に分流される。残存呼気試料を加熱して、残存呼気試料106をイオン化し、イオン化された呼気試料を質量分析計108の試料入口に入力する。質量分析計からの出力により、肺線維症110の進行に関連するか又はそれを示すバイオマーカーが検出される。
【0072】
代替又は追加の実施形態では、本開示のDECA検査を使用して、COVID-19又は他の医学的状態によって引き起こされる肺障害からの回復を追跡することができる。これは、自然回復であってもよく、従来の(例えば、ステロイドによる)医療治療、又は幹細胞などの技術による新たな治療、又はmRNA分子の導入若しくは他の遺伝子操作技術による細胞経路の活性化/再プログラミングによる回復であってもよい。この代替的な使用事例の根拠は、本出願において概説されるDECA検査が、活性コラーゲン代謝、線維の形成及び線維の分解の両方の指標となるということである。両方のプロセスは、損傷した細胞を線維で置き換えることによる線維性組織の確立の間、及び線維性組織が肺の幹細胞に由来する新しい細胞によって置き換えられるリモデリングによる回復の間のいずれかにおいて、活性時にプロリン、ヒドロキシプロリン及び他のアミノ酸を放出する。
【実施例】
【0073】
以下の実施例は、当業者に、本開示の作製及び使用方法の完全な開示及び記載を提供するために提示されるものであり、著者が開示とみなす範囲を限定することを意図せず、また、以下の実験が行われる全て又は唯一の実験であることを表すことを意図するものではない。使用される数字(例えば、量、温度など)に対する正確性を確保する努力がなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差は考慮されるべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量又は計算された正確な分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はその付近である。
【0074】
実施例1
この実施例は、スーパー二次エレクトロスプレーイオン化(Super-SESI)装置(Fossil Ion Technology,Madrid Spain)へのリアルタイム試料導入の物理的ステップを詳述する。
【0075】
質量分析計(例えば、Orbitrap CG-MS,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)の試料入口に取り付けられたSuper-SESI装置は、試料を装置のイオン化チャンバに導く移送ラインに取り付けられたマウスピースを有する。少量の試料を移送ラインからグラフィックインターフェース(GUI)を備えた二酸化炭素メータ(CO2メータ)に連続的に分流させる。マウスピースは、肺活量測定フィルタ若しくは肺機能検査フィルタ、又はフィルタ若しくはテフロン(登録商標)管類を伴わない肺活量測定マウスピースであり得る。特定の実施形態では、約99.99%のウイルスフィルタ効率及び約99.999%の細菌フィルタ効率を有する肺活量測定フィルタが使用される。
【0076】
患者又は検査対象は、移送ラインに取り付けられた肺活量測定フィルタ内に息を呼気し、少なくとも約2Lの総体積が装置を通過するまで約20~30秒間、CO2メータGUIによって案内されて、均一な呼気流量を維持する。代替的に、オフラインで収集された約50mL~約6Lの呼気試料を、同様の方法でSuper-SESI装置に導入することができ、息捕捉デバイスで捕捉して保存することができる。この場合、移送ラインは、肺活量測定マウスピースの代わりに取り付けられたチューブアダプタを有する。呼気収集デバイスは、Super-SESI装置内への最適な試料流を可能にする方法で、Super-SESI移送ラインに取り付けられる。試料収集デバイスは、試料の移送の前に約30、約70、約100又は約200℃まで加熱され得、試料が移送する間維持され得る。このような呼気収集デバイスは、ステンレス鋼採取バッグ、又はステンレス鋼若しくはTEFLON(登録商標)ポリマーなどの他の不活性材料から作製されるチャンバであり得る。
【0077】
装置のイオン化チャンバを通って流れる呼気試料は、連続的にイオン化され、取り付けられた高分解能質量分析計によって分析される。
【0078】
実施例2
以下のように計画した臨床試験:
本発明者らの呼気収集デバイスを使用してベッドサイド試料を収集する。
1回の完全な息のためにデバイスに吹き込む。
病室で抗ウイルスフィルタマウスピースを廃棄する。
標準プロトコルに従って部屋の外で(清潔な領域において)抗ウイルスワイプを使用してデバイスを拭く。
呼気収集器を保存袋に入れる。
スタンフォードの中央研究所へ輸送する。
中央研究所で試料を検査する。
臨床検査結果を集計する。
【0079】
臨床試験中の接触感染の回避:
マウスピース中の抗ウイルスフィルタは、ウイルスを病室中に保持し、ウイルスの伝播を排除する。
COVID-19を有する病室で材料を取り扱うための既存の院内プロトコルに従う。
医師及び病院職員は、現在使用しているのと同じPPEを使用し、手順に変更はない。
【0080】
実施例3
本開示を利用する以下のようなサンプル草稿交付申請:
COVID-19重篤度の測定。
DECA検査(Diagnose Early社のCOVID重症度検査)。
COVID-19進行の重症度を評価するためのアミノ酸の使用。
入院患者の病気の重篤度の測定。
【0081】
課題:
COVID-19患者の95%は、薬剤療法なしで自力で回復する。5%は重症化する。
【0082】
解決策:
本発明の非侵襲性検査は、非常に初期のステージで、重篤になるリスクがある患者を特定するために役立つ。
【0083】
背景:
本発明者らの仮説は、本発明者らの技術を用いて、COVID-19重篤度の先行指標として肺線維症急速増殖(RGLF)を検出することができるというものである。患者が入院、機械的換気、ICUへの入院、及び高度な薬物療法を含む更なる治療を必要とするか否かを正確に予測することができる。
【0084】
説明:
二次エレクトロスプレーイオン化(SESI)、ガスクロマトグラフィ(GC)、及び高分解能質量分析(HRMS)を使用して、COVID-19感染症の初期に、機械的換気の将来の必要性を予測するための呼気に基づくVOC分析。
【0085】
生物学的な仕組み:
肺細胞は、コラーゲンを含む種々のタンパク質から構成される基底膜に固定される。コラーゲンは、そのアミノ酸組成の約17%が単一アミノ酸プロリンであるという独特の特徴を有し、コラーゲン分解を呼気中で識別可能にする。肺線維症の急速な成長が起こると、コラーゲンが分解し、プロリン(他のアミノ酸の中でも)が呼気中に高レベルで検出可能となる。
【0086】
本発明者らの非侵襲的技術は、これらの増加したレベルの特定のアミノ酸を正確に検出することができ、これは、肺線維症の活発な成長を示し、これは、患者が高度な治療(入院、ICU、機械的換気、及び薬物療法)を必要とする可能性が高い先行指標となる。
【0087】
競合となる検査:
既存の技術では、このタイプのスクリーニングを提供することができない。
【0088】
血液検査:
血液は、正確な信号を生成するには、あまりにも多くの化合物を有し、あまりにも複雑である。息分析は、身体全体にわたる代謝プロセスの採取を可能にする。呼気収集は非侵襲的であり、無痛であり、繰り返し採取することができる。呼気は、約2500の低分子量揮発性化合物を含有しており、質量分析と組み合わせたSESIは、1兆分の1(10e-12)~100京分の1(10e-18)の範囲の非常に低い存在量で存在する化合物を検出することができる。血液又は血液からのヘッドスペースを用いて同様のメタボローム研究を行うことができるが、息に基づくVOC分析はより直接的であり、より容易な試料の取り扱い及び分析を提供する。息VOC分析は、血液又は撮像技術を使用して現在行うことができない方法で、肺損傷の早期検出及び診断、並びに療法選択及び治療監視のための患者層別化を可能にすることができる。
【0089】
CTスキャン及び胸部X線では、継続的な疾患進行の速度を測定することができない。これらは、検査時の肺損傷のレベルを測定するのみである。COVID-19を有する患者では、放射線学的変化がなくても迅速な臨床進行が継続する可能性があるという点で、「臨床放射線学的」な解離が存在する。
【0090】
基本的な着想:
呼気中に見られる単純なアミノ酸バイオマーカーは、各患者の臨床経過を正確かつ非侵襲的に予測することができ、これにより治療を導くことができる。どの患者が危篤急性状態に進行しようとしているかを予測することにより、病院は、これらの患者に、供給が限られている可能性がある救命薬物療法及び機械的介入などの介入を提供することができる。どの患者(患者自身で回復し、自宅環境で回復するために退院することができる患者を含む)がこれらの療法を伴わずに回復するかを予測することにより、病院のベッド、機械的換気能力、他の機器及び備品、並びに医師の時間を解放し、これらのリソースを最も必要とする者に向けることが可能となる。
【0091】
新規薬物療法の発見及び承認を可能にすること:
今日、製薬会社は、3つのタイプの患者、すなわち、軽度の症状を示すか又は症状を示さない患者の80%、何らかの医学的介入を必要とするが死亡の危険性がない患者の15%、及び高度なケア及び薬物治療を必要とする患者の5%に対して新しい療法を検査している。この80%は非常に大きなプラセボシグナルをもたらすため、統計的有意性を達成することは困難であり得る。(受け入れ基準が試験に含めるための追加のバイオマーカー分析を必要とする)臨床設計により、ケアを必要とする20%、又は死亡のリスクがある5%のみを試験に受け入れることができ、より高い統計的有意性をもたらし、より小規模な臨床試験を可能にし、救命に有効な薬物の特定及び承認が早められる。
【0092】
本発明者らの検査が病院環境でどのように機能することを意図しているか:
咳、発熱、及び息切れを含む症状を示す患者に、COVID-19による感染についてのリアルタイムRT-PCR検査を実施する。本発明者らの検査を、COVID-19について陽性である患者に対して行う。本発明者らの非侵襲性息検査は、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、アラニン、バリン、ロイシン/イソロイシン及びアリシンを含むアミノ酸バイオマーカー、並びに呼気中に見出される種々の他のバイオマーカーを検出するために使用される。
【0093】
本発明者らの結果及び患者の症状に基づいて、COVID-19陽性患者を3つのリスク群に分類する:
危篤:最良の利用可能な療法を必要とするが、供給が制限される可能性がある。
重篤:入院を必要とするが、より標準的で容易に利用可能な療法で生存する。モニタリングされ、疾患の進行が必要に応じて危篤カテゴリに移される。
軽度/中等度:家庭環境で良好に回復する。
【0094】
提案した臨床試験がどのように機能するか(臨床試験プロトコル概要):
【0095】
提案した研究設計:
試験設計は非盲検である。
90日連続。
統計的要件の更なる分析まで、N=100~300。
【0096】
手順:
リアルタイムRT-PCR検査を用いたCOVID-19についての検査を行う。
COVID-19について検査陽性である患者の摂取評価を行う。包含評価は、症状(咳、発熱、息切れを含む)、一般的健康状態、COVID-19への既知の曝露に関するアンケート、及びインフォームドコンセントの評価を含む。
病院の治療ごとに個人用保護具を着用して、技術者、看護師、又は医師は、Diagnose Early社の息収集デバイスを使用して、検査室又はベッドサイドで呼気試料を収集する。対象への指示を行う。
完全に吸入する。
マウスピースを口に入れ、唇で密封する。
快適である限り息を吐く。
病室で抗ウイルスフィルタ及びマウスピースを廃棄する。
標準プロトコルに従って、前室において抗ウイルスワイプを用いて息収集デバイスを拭く。
呼気収集器を保存袋に入れる。
中央研究所へ輸送する。
中央研究所で試料を検査する。
臨床検査結果を集計する。
【0097】
エンドポイント:
バイオマーカーとCovid-19重症度との相関。
Diagnose Early社の技術チームと協力して、Stanford Quantitative Sciences Unitによって、最終臨床試験設計、効果サイズ、検出力の計算、統計的有意性などが完了される。
IRBの承認は、スケジュールを前倒しして行われる。
汚染及び感染の制御。
COVID-19に感染している可能性がある患者のケアについては、スタンフォード医療センターの標準及び手順に従う。
個人用保護具(PPE)。
入院患者、ボランティア、及びスタッフ(病院及びDiagnose Early社)の間でのCOVID-19の特定、モニタリング及び報告。
研究手順からの汚染がないことを確実にするための更なる保護手段。
患者室におけるマウスピース及び抗ウイルスフィルタのバイオハザード廃棄。
息収集デバイスの汚染除去。
デバイス汚染に使用された物資のバイオハザード廃棄。
呼気の収集及び分析に関与する者の安全性を保証するための適切なPPE及び書面によるプロトコル。
【0098】
技術スタック:
息収集デバイス。
非侵襲性。
抗ウイルスフィルタ。
マウスピース。
200ml収集体積。
試料調製手順。
二次エレクトロスプレーイオン化。
高分解能質量分析。
【0099】
実施例4
この実施例は、好ましいDECA検査報告を説明する。検査報告出力により、DECA検査の各アミノ酸部分についての正規化された数値及び/又はDECA検査の部分であるアミノ酸についてのアミノ酸レベルの比の数値が得られる。好ましい指標は、全ての年齢群について、異なる年齢群について、及び他の利用可能なコホート特性について、それらが利用可能であり、臨床研究によって確認されるので、全集団における正常値範囲を示す。肺損傷を有さないヒトにおける特定のアミノ酸についてのレベルの好ましい数値は、集団の大きなセグメントに対応する多様なコホートを使用する臨床試験の結果として得られる。好ましいスケールは、どの範囲又は値を呈するかを、数値を用いて示し、これは、おそらく低度から中等度の継続的な線維症プロセス又は高度から重篤の継続的な線維症プロセスを示す。
【0100】
実施例5
この実施例は、呼気試料中のアミノ酸レベルの正規化値及び/又は比を得るための好ましいプロセスを記載する。呼気試料中のイオン化化合物を、約1Hzでスペクトルを出力するHRMS機器で分析する。約20~30秒間のSuper-SESIイオン化装置への試料導入により、約20~30個のスペクトルが生成される。各スペクトルは、約2000~7000個のイオン種が測定される結果となる。各イオン種について、質量(M/z)及び機器強度を決定し、記録する。較正実験において、DECAアミノ酸についての質量(M/z)を決定した。較正実験において、イオン種の同一性が決定される。
【0101】
HRMS機器からのデータは、自動処理を可能にする特定の品質基準を満たすように自動的に検証することができ、あるいは出力の目視検査又は手動若しくは自動手順の組み合わせによって手動で検証することができる。HRMS機器からのデータを処理するために、1つの呼気試料又は複数の呼気試料からのスペクトルを含むことができる機器出力データファイルは、汎用mzXMLデータフォーマット(又は同様のフォーマット)に変換することができ、これは、生データから、呼気試料中の特定のアミノ酸の絶対レベル又は相対レベルを表すDECA検査出力値への自動データ処理を単純化する一連の処理プログラムとのインターフェースを可能にする。
【0102】
1つの質量分析処理プログラム、又は連続して使用される複数のプログラムの使用は、Python又は類似のスクリプト言語であり得るスクリプト言語を使用して自動化され得る。呼気中のアミノ酸のレベルを決定するための1つの好ましい方法は、約20~約30個のスペクトルの強度を使用して、呼気試料全体にわたる特定のアミノ酸についての特定のM/z(抽出イオン電流、EICとも称される)の強度を積分することである。積分されたEICは、DECA検査に無関係であり、いずれの疾患によっても影響を受けない別の化合物イオン、又はイオン化の前に呼気試料にスパイクされた呼気中に見出されない化合物に対して更に正規化することができる。
【0103】
アミノ酸の正規化された値は、呼気試料の測定された体積、又はSuper-SESI-HRMSへの試料導入の間に測定されるような特定の二酸化炭素濃度を有する呼気試料の分画体積に対して更に正規化され得る。特定のアミノ酸レベルについての最終的な正規化された値は、別のアミノ酸レベルの値で除算されて、アミノ酸レベル間の比を生成し得る。この比を使用して、出力数値の数を減少させるか、又はコラーゲン産生対エラスチン産生/分解などのプロセスを潜在的に示すことができる。
【0104】
HRMSを用いたデータ取得の終了から最終的なDECA検査出力までに用いられる合計時間は、約1秒未満、又は約5秒未満、又は約10秒未満であり得る。
【0105】
本開示は、最も実用的で好ましい実施形態であると考えられる方法で本明細書に示され、説明されている。しかしながら、本開示の範囲内にあるそれらからの逸脱がなされてもよく、本開示を読んだ当業者には明らかな修正が想到されることが認識される。
【0106】
本開示は、その特定の実施形態に関して記載されてきたが、本開示の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得、同等物が置換され得ることを当業者は理解すべきである。更に、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、単一のプロセスステップ、又は複数のプロセスステップを本開示の目的、趣旨、及び範囲に適合させるために、多くの修正を行うことができる。このような修正は全て、本明細書に添付される特許請求の範囲内であることが意図される。
【0107】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2020年3月26日に出願された米国仮特許出願第63/000,452号及び2020年4月3日に出願された米国仮特許出願第63/005,148号に対する優先権の利益を主張し、これらの出願の各々は、あらゆる目的のために本明細書中に参考として援用される。
【国際調査報告】