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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】半導体集積回路のテストソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20230515BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20230515BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20230515BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
H01R33/76 503B
H01R43/00 B
G01R31/26 J
G01R31/28 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531234
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 US2021025913
(87)【国際公開番号】W WO2021207153
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/006,529
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519417551
【氏名又は名称】スミスズ インターコネクト アメリカズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SMITHS INTERCONNECT AMERICAS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100192924
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕充
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ウルスー
(72)【発明者】
【氏名】ジアチュン ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】シャン ソー
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン バハジ
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
5E024
5E051
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG01
2G003AG07
2G003AG12
2G132AF10
2G132AJ07
2G132AL03
5E024CA12
5E024CB04
5E051BA06
5E051BB01
(57)【要約】
ICのテストソケットは、ソケット本体と回転接触子とエラストマー保持具とを備える。ソケット本体は、ICに対向する上面と、ロード基板に対向する底面とを備える。ソケット本体は、上面から底面の開口部まで延在するスロットを画定する。回転接触子はスロット内に配置される。エラストマー保持具は、ソケット本体内の回転接触子を捕捉し、回転接触子が周りを回転する丸い部分を備える。エラストマー保持具は、ロード基板との係合時に遊離状態から負荷前状態に並進すると、回転接触子から並進力を受けて圧縮し、ICとの係合時に負荷前状態から負荷状態に回転すると、回転接触子から回転力を受けて圧縮する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットなリードなし半導体集積回路(IC)のテストソケットであって、
ソケット本体であって、前記フラットなリードなし半導体ICと対向するように構成される上面と、前記上面の反対側で、ロード基板と対向するように構成される底面と、を備え、前記ソケット本体は、前記上面から前記底面の開口部まで延在するスロットを画定する、ソケット本体と、
前記スロット内に配置された回転接触子であって、前記回転接触子は、遊離状態と負荷前状態との間で並進するように構成され、前記回転接触子は、前記負荷前状態と負荷状態との間で回転するように構成される、回転接触子と、
前記ソケット本体内で前記回転接触子を捕捉するエラストマー保持具であって、前記エラストマー保持具は、前記回転接触子が周りを回転する丸い部分を備え、前記エラストマー保持具は、前記ロード基板との係合時に前記遊離状態から前記負荷前状態に並進すると、前記回転接触子から並進力を受けて圧縮するように構成され、前記エラストマー保持具は、前記フラットなリードなし半導体ICとの係合時に前記負荷前状態から前記負荷状態に回転すると、前記回転接触子から回転力を受けて圧縮するように構成される、エラストマー保持具と、
を備えるテストソケット。
【請求項2】
請求項1に記載のテストソケットにおいて、前記回転接触子は、前記ソケット本体の前記上面に近接する先端部を備え、前記先端部は、前記回転接触子が前記負荷前状態から前記負荷状態に回転すると、前記フラットなリードなし半導体ICのコンタクトパッドに係合するように構成される、テストソケット。
【請求項3】
請求項2に記載のテストソケットにおいて、前記回転接触子の前記先端部が、前記回転接触子が前記負荷前状態から前記負荷状態に回転すると、前記フラットなリードなし半導体ICの前記コンタクトパッドに対して並進するように構成される、テストソケット。
【請求項4】
請求項2に記載のテストソケットにおいて、前記回転接触子は、前記先端部と反対側の端部に爪をさらに備え、前記爪は、前記回転接触子が前記負荷前状態から前記負荷状態に回転すると、前記ソケット本体の壁から離れて移動するように構成される、テストソケット。
【請求項5】
請求項2に記載のテストソケットにおいて、前記回転接触子は、
前記ソケット本体の前記底面に近接する丸い突出部であって、前記負荷前状態と前記負荷状態とにあるとき、前記ロード基板のプリント回路基板(PCB)パッドに係合するように構成される、丸い突出部と、
前記先端部と前記丸い突出部との間に延在するアームであって、前記アームは、前記スロット内の前記ソケット本体の支持端上で回転するように構成される、アームと、
をさらに備える、テストソケット。
【請求項6】
請求項1に記載のテストソケットにおいて、前記フラットなリードなし半導体ICが設置されるように構成されるレセプタクルを画定するソケットフレームをさらに備える、テストソケット。
【請求項7】
請求項6に記載のテストソケットにおいて、前記ソケットフレームは、前記エラストマー保持具の上方に配置され、前記エラストマー保持具は、前記ソケットフレームに対して前記回転接触子から並進力を受けて圧縮するように構成され、前記エラストマー保持具は前記ソケットフレームに対して前記回転接触子から回転力を受けて圧縮するように構成される、テストソケット。
【請求項8】
半導体集積回路(IC)のテストシステムであって、前記テストシステムは、
ロード基板と、
テストソケットと、
を備え、前記テストソケットは、
ソケット本体であって、前記半導体ICと対向するように構成される上面と、前記ロード基板に取り付けられる底面と、を備え、前記ソケット本体は、前記上面から前記底面の開口部まで延在するスロットを画定する、ソケット本体と、
負荷前状態で前記スロット内に配置される回転接触子であって、前記回転接触子は、前記負荷前状態と負荷状態との間で回転するように構成される、回転接触子と、
前記ソケット本体内で前記回転接触子を捕捉するエラストマー保持具であって、前記エラストマー保持具は、前記回転接触子が周りを回転するように構成される丸い部分と、前記回転接触子に接触力と戻り力とを与える四角形部分と、を備え、前記エラストマー保持具は、ソケットフレームと前記回転接触子との間で圧縮されて、前記エラストマー保持具は、前記半導体ICとの係合時に前記負荷前状態から前記負荷状態に回転すると、前記回転接触子から回転力を受けてさらに圧縮するように構成される、エラストマー保持具と、
を備える、テストシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のテストシステムにおいて、前記回転接触子は、前記ソケット本体の前記上面に近接する先端部を備え、前記先端部は、前記回転接触子が前記負荷前状態から前記負荷状態に回転すると、前記半導体ICのコンタクトパッドに係合するように構成される、テストシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のテストシステムにおいて、前記回転接触子の前記先端部は、前記回転接触子が前記負荷前状態から前記負荷状態に回転すると、前記半導体ICの前記コンタクトパッドに対して並進するように構成される、テストシステム。
【請求項11】
請求項9に記載のテストシステムにおいて、前記回転接触子は、前記先端部と反対側の端部に爪をさらに備え、前記爪は、前記回転接触子が前記負荷前状態から前記負荷状態に回転すると、前記ソケット本体の壁から離れて移動するように構成される、テストシステム。
【請求項12】
請求項9に記載のテストシステムにおいて、前記回転接触子は、
前記ソケット本体の前記底面に近接する丸い突出部であって、前記負荷前状態と前記負荷状態とにあるとき、前記ロード基板のプリント回路基板(PCB)パッドに係合するように構成される、丸い突出部と、
前記先端部と前記丸い突出部との間に延在するアームであって、前記アームは、前記スロット内の前記ソケット本体の支持端上で回転するように構成される、アームと、
をさらに備える、テストシステム。
【請求項13】
請求項8に記載のテストシステムにおいて、前記ソケットフレームは、前記半導体ICが設置されるように構成されるレセプタクルを画定する、テストシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のテストシステムにおいて、前記ソケットフレームは、前記半導体ICのコンタクトパッドを前記回転接触子と位置合わせするように構成される先細り状のガイド壁を備える、テストシステム。
【請求項15】
半導体集積回路(IC)のテストシステムを組み立てる方法であって、前記方法は、
テストソケットのソケット本体の対応するスロット内に複数の回転接触子を配置することと、
前記回転接触子の上方にエラストマー保持具を配置することと、
前記複数の回転接触子と前記エラストマー保持具との上方にソケットフレームを取り付けることと、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記複数の回転接触子を配置することは、前記複数の回転接触子の各回転接触子に対して、前記ソケット本体の支持端上に前記回転接触子を配置することを含む、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、
前記ソケット本体をロード基板上に取り付けることと、
負荷前状態において前記ソケットフレームに向かって前記複数の回転接触子を並進させて、前記ソケットフレームに対して前記エラストマー保持具を圧縮することと、
をさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記半導体ICを前記テストソケット内に配置することと、
負荷状態において前記エラストマー保持具の周りで前記複数の回転接触子を回転することと、それによって前記エラストマー保持具に各回転接触子の爪を回転させて前記ソケットフレームに対して前記エラストマー保持具を圧縮することと、
をさらに含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記複数の回転接触子を回転させることは、前記半導体ICの対応するコンタクトパッドに対して各回転接触子の先端部を並進させることを含む、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、前記テストソケットから前記半導体ICを取り外すことと、前記負荷前状態に戻るように前記複数の回転接触子を回転させることと、をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、一般に、半導体集積回路のテストソケットに関連し、より具体的には、テスト中の集積回路のコンタクトパッド上で並進、または「スクラブ(scrub)」する回転接触子を有するテストソケットに関連する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路(IC)は、様々なパッケージ、又は、チップ構成で製造され、例えば、多くのICアプリケーションで一般的であり、大量に生産されるクワッドフラットリードなし(QFN:a quad flat no-leads)パッケージを含む。任意の量のICの製造は、一般に、それらのICのエンドユーザのアプリケーションを模擬する方法でICをテストすることを含む。ICをテストする1つの方法は、各ICを、ICの接触と種々の機能性とを発揮するプリント回路基板(PCB)に接続することである。PCBは、時にロード基板と呼ばれ、多くのICをテストするために再利用されることができる。このようなテストを可能にするロード基板の基本的な構成要素は、大量のICをテストするために何度も再使用されることのできるICのテストソケットである。テストソケットは、電気的にも機械的にも、ICをロード基板に接続する。テストソケットが再使用されることのできる程度は、例えば、信号性能などの性能を劣化させることなく、何回の「サイクル」に耐えることができるかによって定量化される。ICがテストソケットに挿入または設置されるたびに、1サイクルと呼ばれる。一般に、多くのサイクルの過程で、テストソケットの接触子と構造との電気的および機械的特性は、例えば、酸化、摩滅、圧縮、張力、または摩耗の他の形態の結果として劣化し始める。このような劣化は、最終的にテスト自体の完全性に影響を与え、その時点でテストソケットはその有効寿命の終わりに達する。従って、長寿命サイクルに対して良好な電気的及び機械的性能を維持するテストソケットが望まれる。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、フラットなリードなし半導体ICのテストソケットは、ソケット本体と回転接触子とエラストマー保持具とを備える。ソケット本体は、フラットなリードなし半導体ICと対向するように構成される上面と、上面の反対側で、ロード基板と対向するように構成される底面とを備える。ソケット本体は、上面から底面の開口部まで延在するスロットを画定する。回転接触子はスロット内に配置される。回転接触子は、遊離状態と負荷前状態との間で並進して、負荷前状態と負荷状態との間でエラストマー保持具の丸い部分の周りを回転するように構成される。エラストマー保持具は、ソケット本体内で回転接触子を捕捉する。エラストマー保持具は、ロード基板との係合時に遊離状態から負荷前状態に並進すると、回転接触子から並進力を受けて圧縮するように構成され、フラットなリードなし半導体ICとの係合時に負荷前状態から負荷状態に回転すると、回転接触子から回転力を受けて圧縮するように構成される。
【0004】
別の態様では、テストシステムが、ロード基板とテストソケットとを備える。テストソケットは、半導体ICと対向するように構成される上面と、ロード基板に取り付けられる底面とを備える。ソケット本体は、上面から底面の開口部まで延在するスロットを画定する。回転接触子は負荷前状態でスロット内に配置される。回転接触子は、負荷前状態と負荷状態との間でエラストマー保持具の丸い部分の周りを回転するように構成される。エラストマー保持具はソケット本体内で回転接触子を捕捉する。エラストマー保持具はソケットフレームと回転接触子との間を圧縮して、半導体ICとの係合時に負荷前状態から負荷状態に回転すると、回転接触子から回転力を受けてさらに圧縮するように構成される。
【0005】
さらに別の態様では、半導体ICのテストシステムを組み立てる方法が提供される。この方法は、テストソケットのソケット本体の対応するスロット内に複数の回転接触子を配置することを含む。この方法は、回転接触子の上方にエラストマー保持具を配置することを含む。この方法は、複数の回転接触子とエラストマー保持具との上方にソケットフレームを取り付けることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】ICテストシステムの例の断面図である。
図2】QFN ICのテストソケットの例の斜視図である。
図3】遊離状態における図1に示されるテストソケット内の回転接触子の一実施形態の断面図である。
図4】負荷前状態における図3に示される回転接触子の断面図である。
図5】負荷状態における図3図4とに示される回転接触子の断面図である。
図6図3~6に示される回転接触子の斜視図である。
図7】遊離状態における図3~5に示される回転接触子の斜視図である。
図8】半導体ICのテストシステムを組み立てる方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載されるテストソケットの実施形態は、テスト中のロード基板とICとが係合されると、ICのコンタクトパッド上にスクラブを発生する回転接触子を提供する。記載されるテストソケットは、QFN ICのようなフラットなリードなしICパッケージを受け入れるように構成されており、そこで、ICのコンタクトパッド上のスクラブは、ICとテストソケットの回転接触子との間の電気接続の接触電気抵抗を低減することが望ましい。逆に言えば、本明細書に記載されるテストソケットは、一般に、ロード基板のPCB接触子上の回転接触子によって並進、またはスクラブを最小化する。
【0008】
図1は、半導体IC102をテストするためのICテストシステム100の例の断面図である。IC102は、パッケージ内の回路との間で信号を導通させるための複数のコンタクトパッド104を一般に含む単一の半導体チップにパッケージされた1つ以上の電子回路である。ICテストシステム100は、テストソケット108が取り付けられるロード基板106を含む。ロード基板106は、IC102を、ロード基板106と一体化された負荷回路またはテスト回路(図示せず)に接続するであろうPCB接触子110を含む。テストソケット108は、IC102の多くのユニットをロード基板106に接続するための再使用可能なインタフェースである。図2は、IC102のようなQFN ICのテストソケット108の斜視図である。テストソケット108は、IC102を受け入れるレセプタクル(受け口)114を画定するソケット本体112を含む。テストソケット108のある実施形態では、ソケット本体112が、コンタクトパッド104とPCB接触子110とを適切に位置合わせすることを確実にするために、IC102をレセプタクル114に導くために直線状または先細り状とすることができるガイド壁116を含む。より具体的には、ガイド壁116が、コンタクトパッド104をテストソケット108内の対応する接触子(図示せず)と位置合わせする。テストソケット108の接触子は、IC102のコンタクトパッド104の各々をロード基板106上の対応するPCB接触子110と電気的に接続するために、ソケット本体112を貫通して延在する。
【0009】
図3は、遊離状態、すなわち、テストソケット108がロード基板106に取り付けられる前であってIC102が設置される前の、(図1に示される)テストソケット108内の回転接触子300の一実施形態の断面図である。図4は、負荷前状態、すなわち、テストソケット108がロード基板106に取り付けられるが、IC102はまだ設置されていない状態における回転接触子300の断面図である。図5は、負荷状態、すなわち、テストソケット108がロード基板106に取り付けられ、IC102がレセプタクル114に設置されている状態における回転接触子300の断面図である。図6は、テストソケット108から分離した回転接触子300の斜視図である。回転接触子300は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼、または他の導電性金属、またはそれらのいくつかの組合せなどのような導電性材料から構成される。
【0010】
回転接触子300は、ソケット本体112内のスロット302に設置される。回転接触子300は、レセプタクル114からソケット本体112内の開口部304まで延在し、そこで、PCB接触子110と突出して係合する。回転接触子300は、回転接触子300が遊離状態にあるとき、ソケット本体112の表面310と支持端312とにそれぞれ静止する表面306とアーム308とを含む。回転接触子300は、表面310と支持端312とに対して回転接触子300を保持、または付勢するエラストマー保持具314によってスロット302内に捕捉される。エラストマー保持具314は、回転接触子300とIC102のコンタクトパッド104との間と回転接触子300とロード基板106のPCB接触子110との間との良好な接続を維持するための力を提供する。
【0011】
回転接触子300は、IC102のコンタクトパッド104上で係合して並進し、またはスクラブする先端部316を有する第1の端部で終端し、先端部316をアーム308の下面に接続する丸みを帯びた端部318を含む。回転接触子300は、丸爪320と平坦部322とを有する、先端部316とは反対側の第2の端部で終端する。
【0012】
回転接触子300の先端部316は、IC102のコンタクトパッド104上で効果的なスクラブを可能にするため、尖った、または「鋭利」であるべきである。例えば、一実施形態では、先端部316が約0.05ミリメートル(mm)の半径で丸められる。より一般的には、先端部316が0.10mm以下の半径で丸められるべきである。
【0013】
回転接触子300のアーム308の下面に先端部316を連結する丸みを帯びた端部318は、遊離状態でテストソケット108の組立中の円滑な運動を可能にし、スロット302内の円滑な回転運動を可能にするため、十分な半径で丸められる。例えば、一実施形態では、丸みを帯びた端部318は約0.15mmの半径を有する。
【0014】
回転接触子のアーム308は、実質的に直線であり、特定の実施形態では、回転接触子300の反対側の端部よりも先端部316の方が狭い。例えば、アーム308は、先細りとすることができ、先端部316の近くにある狭い幅Wを有し、PCB接触子110との接触点の近くでより広い幅Wを有する。アーム308の先細りは、増幅した幅Wによって、回転接触子300のより大きな機械的強度を可能にする。アーム308の先細りは、回転接触子300の表面における不連続を回避することによって、効率的な電流伝導をも可能にする。また、アーム308の幅Wは、回転接触子300が表面310と支持端312とにおいてソケット本体112に静止するところ(表面306の形状を有する)を部分的に画定する。
【0015】
回転接触子300の表面306は、テストソケット108が遊離状態にあるとき、ソケット本体112の表面310上に静止し、負荷前状態または負荷状態にあるとき、表面310から離れて上昇する。丸爪320は、回転接触子が負荷前状態に移動すると、エラストマー保持具314と係合する。丸爪320は、エラストマー保持具314の円滑な変形を提供するために丸くされ、変形時にエラストマー保持具314の摩耗を低減する。一実施形態では、例えば、丸爪320は約0.18mmの半径を有する。より一般的には、丸爪320が円滑な変形を可能にし、エラストマー保持具314の摩耗を最小にするために、少なくとも0.10mmの半径を有するべきである。
【0016】
テストソケット108がロード基板106上に取り付けられると(すなわち、図4に示される負荷前状態)、PCB接触子110は回転接触子300と係合し、ロード基板106はソケット本体112と係合する。回転接触子300と係合すると、PCB接触子110は、回転接触子300を上方に押し上げて、エラストマー保持具314をテストソケット108のソケットフレーム324に対して圧縮する。より具体的には、回転接触子300がソケットフレーム324に向かって並進し、ソケットフレーム324の第1の頂部326と第2の頂部328に対してエラストマー保持具314を圧縮し、変形させる。回転接触子300の平坦部322は、スロット302を部分的に画定するソケット本体112の壁に沿って、回転接触子300の円滑な並進を可能にする。エラストマー保持具314は、ロード基板106と係合してエラストマー保持具314が圧縮されると、回転接触子300に負荷前力を加える。回転接触子300に加えられる負荷前力は、回転接触子300とPCB接触子110との間の良好な電気的接触を確実にし、レセプタクル114へIC102を挿入することによって少なくとも部分的に弱められなければならない。エラストマー保持具314によって提供される負荷前力の量は、エラストマー保持具314の適切な特性を選択することによって、所与のアプリケーションにカスタマイズ可能である。
【0017】
IC102が、テストソケット108のレセプタクル114に挿入されるか、または設置されると、コンタクトパッド104は、回転接触子300の先端部316と係合し、ソケット本体112内のスロット302の中に先端部316を下方に押し込む。先端部316のスロット302への下向きの運動は、エラストマー保持具314の周りの回転接触子300の回転運動をもたらす。また、ソケット本体112の支持端312は、支点、または転心としても機能し、IC102の下向きの力を、回転接触子300の丸爪320によってエラストマー保持具314に加えられる圧縮力、または接触力に伝達し、エラストマー保持具314は、さらにソケットフレーム324の第1の頂部326と第2の頂部328とに対して変形する。同様に、PCB接触子110も、エラストマー保持具314を圧縮するため、IC102の下向きの力を回転力に伝達する転心として動作する。回転接触子300の運動は回転であるため、丸爪320はソケット本体112の壁から離れて回転し、同様に、回転接触子300の先端部316は、コンタクトパッド104に沿って並進、またはスクラブする。回転接触子300、より具体的には先端部316の回転運動によって発生したスクラブが、コンタクトパッド104と回転接触子300との間の接続の電気抵抗を低減し、最終的にはIC102のコンタクトパッド104とロード基板106のPCB接触子110との間の電気接続の接触電気抵抗を低減する。エラストマー保持具314の周りおよびPCB接触子110に対する(across)回転は、ロード基板106のPCBパッド110上のスクラブの低減を可能にする。
【0018】
IC102がテストソケット108のレセプタクル114から取り外されると、エラストマー保持具314は、回転力を受けて予め変形され、負荷前状態に戻り、回転接触子300の回転力を逆転させ、回転接触子300を戻り力で負荷前状態に戻す。
【0019】
図7は、遊離状態で、テストソケット108内に配置された(図3図6に示される)回転接触子300の斜視図である。図7は、IC102から分離したコンタクトパッド104を示し、ロード基板106から分離したPCB接触子110を示す。回転接触子300は、ソケット本体112に画定されたスロット302内に配置される。図7は、図示の回転接触子300に近接するソケット本体112の部分のみを示す。テストソケット108の実施形態は、1つ以上の寸法に沿ってそれぞれのスロット302にパッケージされた任意の数の回転接触子300を含むことができる。例えば、図2に示されるテストソケット108の一実施形態は、ソケット本体112の4つの端の全てに配置された複数の回転接触子300を有するQFN ICのために構成される。このような実施形態では、例えば、スロット302は、回転接触子300の運動を図3から図5に示される平面内での回転運動に制限するため、ソケット本体112において独立して画定される。反対に、特定の実施形態では、エラストマー保持具314とソケットフレーム324とがそれぞれのスロット302内に配置された複数の回転接触子300にまたがる。
【0020】
エラストマー保持具314は、回転接触子300とIC102のコンタクトパッド104との間、および回転接触子300とロード基板106のPCB接触子110との間の良好な、または「緊密な」接続を維持するための力を提供する。エラストマー保持具314は、負荷前力を発生させるために回転接触子300と係合する丸い部分702を含む。エラストマー保持具314は、回転接触子300がIC102からの接触力の下で負荷状態に遷移するときに変形し、IC102がテストソケット108のレセプタクル114から取り外されたときに、戻り力で回転接触子300を負荷前状態に押し戻す四角形部分704を含む。ソケットフレーム324の第1の頂部326は、爪320の頂部、または先端と沿うように位置決めされる。同様に、ソケットフレーム324の第2の頂部328は、エラストマー保持具314の丸い部分702の中心線に沿うように配置される。
【0021】
図8は、図3から図5および図7に示されるテストソケット108を組み立てる方法800のフロー図である。回転接触子300は、ソケット本体112の対応するスロット302内に配置される(802)。各回転接触子300は、表面310と支持端312との上に配置される。次に、エラストマー保持具314は、エラストマー保持具314とソケット本体112との間に回転接触子300を捕捉するために、回転接触子300の上方に配置される(804)。ソケットフレーム324は、回転接触子300とエラストマー保持具314との上方に取り付けられ(806)、エラストマー保持具314と回転接触子300との両方を適所に保持する。回転接触子300が遊離状態にあるとき、すなわちテストソケット108がロード基板上に取り付けられる前において、エラストマー保持具314は圧縮されない。次いで、テストソケット108は、遊離状態から負荷前状態に回転接触子300を遷移させるために、ロード基板106上に取り付けられる(808)。回転接触子300は、負荷前状態においてソケットフレーム324に向かって並進し、ソケットフレーム324に対してエラストマー保持具314を圧縮する。より具体的には、エラストマー保持具314は、ソケットフレーム324の第1の頂部326と第2の頂部328とに対して圧縮して変形する。
【0022】
半導体IC102は、テストソケット108内に配置されて(810)、負荷前状態から負荷状態に回転接触子300を遷移させる(810)。回転接触子300は、エラストマー保持具314の周りを回転し、ソケットフレーム324に対してエラストマー保持具314を圧縮するため、各回転接触子300の爪320をエラストマー保持具314に回転させる。各回転接触子300の先端部316は、半導体IC102の対応するコンタクトパッド104に対して並進する。
【0023】
半導体IC102がテストソケット108から取り外されると、回転接触子300は負荷前状態に戻るように回転する。負荷状態から負荷前状態に戻るまで遷移すると、エラストマー保持具314は、ソケット本体112の表面310に向かって戻るように爪320を放出して回転し、それによって、先端部316をソケットフレーム324に向かって戻るように回転する。
【0024】
本明細書に記載されるシステムと装置との技術的効果は、(a)エラストマー保持具を介してカスタマイズ可能な負荷前力を提供することと、(b)ICをテストソケット内に設置する際に半導体ICコンタクトパッドに対するスクラブを可能にすることと、(c)ICをテストソケット内に設置する際にスクラブを導入することによってテストソケットとICとの間の接触電気抵抗を低減することと、(d)回転接触によってロード基板のPCB接触子に対するスクラブを低減することと、を含むことができる。
【0025】
前記の明細書および以下の特許請求の範囲において、以下の意味を有する多数の用語が参照される。
【0026】
本明細書で使用される場合、単数形で列挙され、「1つ」という語が先行する要素または工程は、そのような除外が明示的に列挙されない限り、複数の要素または工程を除外しないものとして理解されるべきである。さらに、本開示の「例示的な実装」または「一つの実装」への言及は、列挙された特徴も組み込む追加の実装の存在を除外するものとして解釈されることを意図しない。
【0027】
「任意の」または「場合により」は、続いて記載される事象または状況が起こり得る、または起こる必要がないこと、および記載が、事象が起こる例と起こらない例とを含むことを意味する。
【0028】
本願の明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される近似用語は、任意の定量的な表現を修飾するために使われることができ、その用語が関連する基本的な機能に変化をもたらさない許容範囲内で可変であってよい。したがって、「約」、「程度」、および「実質的に」などの1つまたは複数の用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されるべきではない。少なくともいくつかの例では、近似用語が値を測定するための機器の精度に対応し得る。本明細書および特許請求の範囲全体にわたって、範囲の限定は、組み合わされてもよく、または交換されてもよい。そのような範囲は、文脈または言語が沿わないことを示さない限り、識別され、その中に含まれるすべての一部の範囲を含む。
【0029】
特に断らない限り、「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」という語句のような分岐用語は、一般に、項目、用語等がX、Y、またはZ、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、X、Y、および/またはZ)であり得ることを述べるために使用される文脈内で理解される。したがって、このような分岐言語は、一般に、特定の実施形態がそれぞれ存在するために、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、またはZのうちの少なくとも1つを必要とすることを暗示されるものではなく、暗示すべきではない。さらに、「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という語句のような分岐用語は、特に断らない限り、X、Y、Z、または「X、Y、および/またはZ」を含むそれらの任意の組み合わせを意味するとしても理解される。
【0030】
本明細書で説明されるシステムと方法とは、本明細書で説明される特定の実施形態に限定されず、むしろ、システムの構成要素および/または方法の工程は本明細書で説明される他の構成要素および/または工程とは独立して別個に利用され得る。
【0031】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示されていても他の図面には示されていないが、これは便宜上のものにすぎない。本開示の原則によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照および/または特許請求され得る。
【0032】
本明細書は、最良の形態を含む開示に関する詳細を提供するために、また、任意の装置またはシステムを作製して使用することと、任意の組み込まれた方法を実行することとを含めて、任意の当業者が本開示を実施することを可能にするために、例を使用する。本開示の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語と異なる構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語と実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】