(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを含む経口送達システム
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4706 20060101AFI20230515BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230515BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230515BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230515BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20230515BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230515BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230515BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230515BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230515BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230515BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230515BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230515BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20230515BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230515BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230515BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230515BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230515BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20230515BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20230515BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230515BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230515BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
A61K31/4706
A61K45/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P33/06
A61P37/02
A61P31/14
A61P17/00
A61K9/70 401
A61K47/10
A61K47/34
A61K47/22
A61K47/20
A61K47/44
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/14
A61K47/08
A61K47/06
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555619
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 IB2021000249
(87)【国際公開番号】W WO2021214544
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522363368
【氏名又は名称】グラニス ファーマシューティカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】プラコヤニス,フォショス,エム.
(72)【発明者】
【氏名】モディ,ニサージ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
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4C086MA32
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4C086NA13
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB15
4C086ZB33
(57)【要約】
関節リウマチ、エリテマトーデス、SARS CoV-2、晩発性皮膚ポルフィリン症の治療のためのヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間及び/又は7日間連続して投与するためのリザーバ型又は絆創膏型又は接着型の経口送達システム(ODS)に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを投与するための経口送達システム(ODS)であって、以下の:
-ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを含む並びに少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物を含む活性物質領域又は活性物質リザーバ、
-不透過性の支持層、かつ
-場合によっては、着脱可能な支持層で覆われた剥離膜、
を含み、
前記ODSは初回通過代謝をバイパスする、経口送達システム。
【請求項2】
活性物質領域又は活性物質リザーバが、重合体マトリクスシステム、液体システム、ゲルシステム、又は感圧接着システムとして構成される、請求項1に記載の経口送達システム。
【請求項3】
活性物質リザーバはパウチ状システムとして構成される、請求項1又は2に記載の経口送達システム。
【請求項4】
活性物質リザーバは、流動性、粘性、半固体、ゲル状、液体製剤、溶液、分散液、懸濁液、及びエマルジョンからなる群から選択される製剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項5】
活性物質リザーバの、粘膜に面した側は活性物質透過性膜により閉じられ、かつ、粘膜と反対側は活性物質不透過性層によって閉じられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項6】
活性物質の放出速度を変更又は制御する活性物質透過性膜を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項7】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン含有領域は、単層、二層、又は多層の活性物質マトリクスである、請求項1~6のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項8】
絆創膏又は包帯として適用することができるように、さらに接着剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項9】
活性物質は、天然重合体、多糖類、寒天、アルギン酸及びその誘導体、カシアトラ(cassia tora)、コラーゲン、ゼラチン、ゲルムガム、グアーガム、ペクチン、カリウムカラギーナン、ナトリウムカラギーナン、トラガカンス、キサンタム、ゴムコパル、キトサン、樹脂、半合成重合体、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、合成重合体、カルボキシビニル重合体、カルボマー、カルボポール940、カルボポール934、カルボポール971pNF、ポリエチレン、粘土、ケイ酸塩、ベントナイト、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、アクリル重合体(オイドラギット)、アクリル酸エステル、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンホモ重合体、ポリビニルピロリドン共重合体、PVP、コリドン30、ポロキサマー、イソブチレン、酢酸ビニルエチル共重合体、天然ゴム、合成ゴム、感圧接着剤、シリコーン重合体、bio psa 4302、bio-psa 4202、アクリル感圧接着剤、duro-tak 87-2156、duro-tak 387-2287、duro-tak 87-9301、duro-tak 387-2051、ポリイソブチレン、低分子量ポリイソブチレン、中分子量ポリイソブチレン、分子量35000ポリイソブチレン、アクリル系共重合体、ゴム系接着剤、ホットメルト接着剤、スチレン-ブタジエン共重合体、ベントナイト、すべての水及び/又は有機溶媒の膨潤性重合体及びそれらの組み合わせからなる群から選択されたマトリクスである、請求項1~8のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項10】
活性物質リザーバは、活性物質が吸着される繊維材料、織布、又は不織布を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項11】
被験体の口腔粘膜を介して血液に1日あたり1~40mgのヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを送達することができ、かつ、最大で2000ng/mlの血漿濃度を生成することができる、請求項1~10のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項12】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、活性物質リザーバの相対総質量の0.1~50質量%の範囲の濃度で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項13】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、活性物質リザーバの相対総質量の1~30質量%の範囲の濃度で存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項14】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、活性物質リザーバの相対総質量の1~20質量%の範囲の濃度で存在する、請求項1~13のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項15】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、溶解状態又は懸濁状態のいずれかで、活性物質リザーバに存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項16】
活性物質リザーバは、前記活性物質リザーバの総質量に対して1~99質量%の量の可溶化剤を少なくとも1つ含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項17】
活性物質リザーバは、前記活性物質リザーバの総質量に対して5~70質量%の量の可溶化剤を少なくとも1つ含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項18】
可溶化剤は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール、多価アルコール、グリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチエングリコール、グリセリン、グリコール誘導体、ピロリドン、Nメチル2-ピロリドン、2ピロリドン、スルホキシド類、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド、鉱物油、植物油、ごま油水、極性溶媒、半極性溶媒、非極性溶媒、揮発性化学物質、エタノール、プロパノール、酢酸エチル、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、IPA、ヘキサン、酸、酢酸、乳酸、レブリン酸、塩基、ペンタン、ジメチルホルムアミド、ブタン、脂質、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項19】
活性物質リザーバは、前記活性物質リザーバの総質量に対して0.1~50質量%の量の透過促進剤を少なくとも一つ含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項20】
活性物質リザーバは、前記活性物質リザーバの総質量に対して1~25質量%の量の透過促進剤を少なくとも一つ含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項21】
透過促進剤は、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、デシルメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド、アゾン、ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、エステル、脂肪酸エステル、モノラウリン酸プロピレングリコール、エタン酸ブチル、エタン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、エタン酸メチル、乳酸ラウリル、オレイン酸デシル、モノオレイン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ラウリン酸ラウリル、脂肪酸、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、アルコール、脂肪族アルコール、グリコール、オレイルアルコール、ナタノール、ドデカノール、プロピレングリコール、グリセロール、エーテル、アルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、尿素、トリグリセリド、トリアセチン、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪族アルコールのエステル、精油、界面活性剤型促進剤、brij、ラウリル硫酸ナトリウム、tween、ポリソルベート、テルペン、テルペノイド、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の経口送達システム。
【請求項22】
経口液体製剤、経口半固体製剤、又は経口重合体マトリクス製剤、経口接着マトリクス製剤、フィルム形成ゲル製剤、フィルム形成スプレー製剤、経口液体スプレー、又は経口スプレーとして製剤化される、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
関節リウマチ、マラリア、エリテマトーデス、SARS CoV-2感染症、晩発性皮膚ポルフィリン症を治療するための、請求項1~22のいずれかに記載のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを含むODSの使用。
【請求項24】
関節リウマチの治療法及び/又は予防法であって、以下の:
-関節リウマチの治療及び/又は予防が必要である患者を選択すること、
-請求項1~22のいずれかに記載されているODSを患者の口腔粘膜に塗布すること、かつ、
それによって前記関節リウマチを治療及び/又は予防すること、
を含む、関節リウマチの治療法及び/又は予防法。
【請求項25】
エリテマトーデスの治療法及び/又は予防法であって、以下の:
-エリテマトーデスの治療及び/又は予防が必要である患者を選択すること、
-請求項1~22のいずれかに記載されているODSを患者の口腔粘膜に塗布すること、かつ、
それによって前記エリテマトーデスを治療及び/又は予防すること、
を含む、エリテマトーデスの治療法及び/又は予防法。
【請求項26】
マラリアの治療法及び/又は予防法であって、以下の:
-マラリアの治療及び/又は予防が必要である患者を選択すること、
-請求項1~22のいずれかに記載されているODSを患者の口腔粘膜に塗布すること、かつ、
それによって前記マラリアを治療及び/又は予防すること、
を含む、マラリアの治療法及び/又は予防法。
【請求項27】
SARS CoV-2の治療法及び/又は予防法であって、以下の:
-SARS CoV-2の治療及び/又は予防が必要である患者を選択すること、
-請求項1~22のいずれかに記載されているODSを患者の口腔粘膜に塗布すること、かつ、
それによって前記SARS CoV-2を治療及び/又は予防すること、
を含む、SARS CoV-2の治療法及び/又は予防法。
【請求項28】
晩発性皮膚ポルフィリン症の治療法及び/又は予防法であって、以下の:
-晩発性皮膚ポルフィリン症の治療及び/又は予防が必要である患者を選択すること、
-請求項1~22のいずれかに記載されているODSを患者の口腔粘膜に塗布すること、かつ、
それによって前記晩発性皮膚ポルフィリン症を治療及び/又は予防すること、
を含む、晩発性皮膚ポルフィリン症の治療法及び/又は予防法。
【請求項29】
ODSの塗布期間が少なくとも24時間、かつ、最大で7日である、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを投与するための経口送達システム(ODS)の製造方法であって、以下の:
-活性物質領域又は活性物質リザーバを提供すること、
-不透過性の支持層を提供すること、
-場合によっては、着脱可能な支持層で覆われた剥離膜を提供すること、
を含む、方法であって、ここで、
前記活性物質領域又は活性物質リザーバは、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及び少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物を含む、方法。
【請求項31】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの初回通過代謝効果をバイパスできる、請求項1~22のいずれか1項に記載の経口送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際出願は、2020年4月20日に出願された米国製造番号63/012,443の優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、十分なインビボ性能と良好なバイオアベイラビリティを有する医薬組成物の新規経口送達システム(ODS)に関する。特に、本開示のヒドロキシクロロキン/クロロキンの経口医薬組成物は、関節リウマチ、マラリア、エリテマトーデス、SARS CoV-2感染症、晩発性皮膚ポルフィリン症の治療用に、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間及び/又は7日間連続塗布するためのプラスター剤形におけるリザーバパッチ剤形若しくはマトリクス、若しくは接着剤における液体若しくは半固体を含む。
【0003】
関節リウマチ(RA)は慢性の炎症性自己免疫疾患である。滑膜関節の対称性の炎症を特徴とし、軟骨と骨の進行性のびらんを引き起こす。治療しないと2年以内に不可逆的な関節損傷が起こる。この疾患では、身体の免疫系が関節を取り囲む膜の内側を攻撃する。世界人口の1~2%が当該疾患に罹患している。女性の発症率は男性の3倍である。この疾患はどの年齢でも起こりうるが、ほとんどの患者は30歳~50歳である。患者の総寿命を3年から18年短縮させうる。米国の平均治療費は6000ドル/症例/年である(非特許文献1)。
【0004】
エリテマトーデス(LE)も自己免疫疾患の一つで、両極端の年齢と性別に発症するが、主に出産適齢期の女性を標的とする。臨床症状は様々であり、皮膚外の徴候がない皮疹から進行性の多系統疾患(非特許文献2)を含むものまである。
【0005】
晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)は、皮膚を侵すポルフィリン症又は血液疾患の一種である。PCTは最も一般的なポルフィリン症の1つである。この状態の人は日光に曝露すると症状が現れることが多いため、ヴァンパイア病という場合もある。男性よりも女性に多く発症する。通常は30歳以降に発症する。PCTは希少疾患である;一般集団では1万人~25,000人に約1人の割合で発生すると推定されている(非特許文献3)。
【0006】
現在、アメリカのポルフィリン症財団(APF)は、ヒドロキシクロロキン100mgを週2回用いることを推奨している。これは28mg/日に相当する。APF推奨用量は経口的に開発できる。HCQ及び/又はCQは、本剤の作用機序が不明であるため、適応外使用されてきた。他の理由としては、適当な剤形が入手できないこと、分割用の錠剤が採点されないこと、100mg錠が市場で入手できないことが挙げられる(非特許文献4)。
【0007】
ヒドロキシクロロキン(HCQ)は免疫調節薬である。プラケニル等の硫酸塩は、エリテマトーデス、関節リウマチ、マラリアの治療薬として承認されている。さらに、HCQ及び/又はCQは、SARS-COv及びSARS-COv-25に対するHCQ及び/又はCQの効能を示唆するインビトロ研究に基づき、COVID-19の潜在的な治療選択肢として関心を集めた(非特許文献5)。錠剤の経口投与量は200~600mg/日である(非特許文献6)。薬物動態研究では、経口バイオアベイラビリティは吸収速度が速いと約75%であることが明らかになっている。この薬剤は脂溶性が高く、分布体積が極めて大きいため、半減期が非常に長い(~50時間)。薬物の血漿中濃度は、吸収速度の変動によって変動する可能性がある(非特許文献7)が、その後の研究では、血漿中濃度ではなく全血中濃度を測定し、体重に基づいて投与することで、この変動が大幅に減少することが立証された(非特許文献8)。
【0008】
ヒドロキシクロロキン硫酸塩は白色の結晶性の粉末で、水に溶けやすく、アルコール、クロロホルム、エーテルにほとんど溶けない。ヒドロキシクロロキン硫酸塩の分子量は433.956である。
【0009】
【化1】
ヒドロキシクロロキン塩基のlogP値は3.6、融点は90°Cである。塩基の水溶性は0.026mg/ml(非特許文献9)である。塩基はlogP値が高いため、その塩と比較して有機溶媒への溶解性が極めて優れる可能性がある。
【0010】
HCQは現在、APIの硫酸塩200mgの経口錠剤が入手可能であり、これはAPIの基本形155mgに相当する。200mg経口投与後3時間前後で血中HCQピーク濃度は約129.6ng/ml、血漿中HCQピーク濃度は約50.3ng/mlであると多くの研究が結論付けている。さらに、無作為化クロスオーバー研究では、経口及び静注による155mg投与に基づいて、HCQのバイオアベイラビリティは0.74であることが判明した(非特許文献10及び11)。
【0011】
HCQはアルブミン及びアファ1酸性糖タンパク質と中等度のタンパク質結合(~40%)を示した。HCQは深い組織分布のために高い分布体積を示した(非特許文献12及び13)。動物実験では、肺、腎臓、肝臓、脾臓に高濃度のHCQ及び/又はCQが認められた。ある動物実験では、肺のHCQ及び/又はCQ濃度は血漿の6~7倍であることが判明した(非特許文献14)。
【0012】
過去の研究では、HCQクリアランスは15.5L/Hrと報告されている。また、ほとんどの研究では、血中濃度に基づく最終半減期は30日~60日、血漿中濃度プロファイルに基づくと~32日と報告されている。
【0013】
HCQ及び/又はCQの抗ウイルス効果に関するインビトロでの肯定的な研究により、SARS-CoV-2に対する潜在的な治療法として関心を集めた。HCQ及び/又はCQの抗炎症作用は免疫調節及びサイトカインの下流産生に依存する。さらに、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入の成功は、ウイルスのスパイクタンパク質とアンジオテンシン変換酵素-2(ACE-2)の相互作用に強く依存している。HCQ及び/又はCQはACE-2のグリコシル化を減少させ、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の細胞表面への結合及び細胞統合を阻害する。最近の研究では、HCQ及び/又はCQがガングリオシドと結合し、スパイクタンパク質と細胞膜との間のコミュニケーションを阻害し、細胞へのウイルスの侵入を阻害することが示された(非特許文献15~18)。
【0014】
まれではあるが重篤な副作用が報告されており、そのほとんどは長期使用によるものである。HCQ及び/又はCQ誘発性の後天性リソソーム蓄積症は、ミオパチー及び心筋症(非特許文献19)を含むいくつかの重篤な副作用を引き起こす。ほとんどの症例はCYP450 2C8変異(非特許文献20)によって増強される蓄積によって引き起こされる。その高いlogKo/w値により、HCQ及び/又はCQは、リソソームのリン脂質と結合する筋細胞に容易に浸透し、リン脂質のリソソーム蓄積をもたらす。さらに、HCQやCQはpHを上昇させることでリソソーム酵素を阻害し、グリコーゲンやリン脂質を蓄積させる。リソソームに代謝産物が異常に蓄積すると、結果としてリソソーム蓄積症となり、筋原線維の解体、萎縮、線維化を引き起こし、これが心筋症につながる可能性がある(非特許文献21及び22)。HCQ及び/又はCQは、薬物誘発性トルサード・ド・ポワント(TdP)のリスク増加の指標であるQT/QTc延長を引き起こす心臓K+チャネル閉塞を介して心筋の脱分極及び再分極に影響を及ぼす。TdPは通常自己限定性であるが、致死的な心室細動に変性し、心臓突然死を引き起こすことがある(非特許文献20)。
【0015】
現在、推奨用量の5mg/kg/日未満、HCQ及び/又はCQは通常安全であるが、QT/QRSの延長が表面心電図(非特許文献6)で観察されることは稀である。
【0016】
口腔粘膜薬物送達では、口腔粘膜パッチ又は口腔内崩壊性組成物を口腔粘膜表面に塗布する。口腔粘膜パッチ又は口腔内崩壊性組成物薬の口腔粘膜塗布期間を通して、無傷の粘膜を通して継続的に放出され(経細胞性、経細胞間性、経虫垂性で)、かつ、送達されて、全身効果が達成される。そのため、一度塗布した口腔内崩壊性組成物や口腔粘膜パッチは、1週間にも及ぶ塗布期間にもよるが、1日を通して、あるいは1日以上にわたって、体循環に薬剤を送り込むことができる。
【0017】
経口粘膜送達は、現在1日2~3回経口投与されているクロロキン(CQ)及びヒドロキシクロロキン(HCQ)の投与頻度を減らすことができる。口腔粘膜送達を介して、CQ及び/又はHCQの口腔内崩壊性組成物又は口腔薄膜製剤又は口腔内崩壊性錠剤を口腔粘膜に塗布することができ、それにより、経口投与期間を通して薬剤を送達することができる。必要に応じて、経口投与の期間は1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、及び/又は最大15日間であることができる。したがって、経口粘膜送達は、投与頻度を減らすことによって、経口送達の反復投与レジメンを克服することができる。
【0018】
さらに、経口粘膜薬物送達薬は、経口投与期間を通して緩慢かつ継続的に投与されるため、1日の複数回投与に伴う薬物血漿濃度のピークやトラフは存在しない。そのため、CQ及び/又はHCQの口腔粘膜及び/又は口腔内崩壊により、薬物血漿濃度を急激に変化させず、長期間にわたって薬物の治療効果を得ることができる。CQ及びHCQについては、経口粘膜送達による薬物血漿濃度が経口錠剤に伴う最高血漿中濃度を下回るため、経口粘膜送達による患者への副作用は少ないと考えられる。
【0019】
新規経口投与システムでは、経口バイオアベイラビリティに基づいて経口投与と比較して類似の薬物動態プロファイルを達成するのが一般的であり、非常に低い経口バイオアベイラビリティの薬物に対する薬物の全体的な曝露を低減する可能性がある。経口粘膜製剤は、塗布期間を通して血漿中の活性分子を定常状態の血漿濃度で継続的に送達するため、典型的な経口薬物送達に伴うピークと谷を防ぐことができる。
【0020】
経口粘膜薬物送達は、初回の過去の影響や、腸管の活動性や内容物による吸収率の変動を回避するため、条件付き経口送達よりも有利でありうる。しかし、腸管とは異なり、口腔粘膜送達は粘膜のバリア機能と吸収のための限られた表面積によって制限される。経口粘膜送達の最適な候補は、低分子量で、非常に強力な脂溶性分子であり、25mg/日未満の用量が必要である。この薬剤の半減期は、口腔粘膜システムの反復投与時に極めて重要な役割を果たした。半減期が長いことは、前回の投与からのAPIの利用可能性による結果投与中の遅延時間を排除する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
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【発明の概要】
【0022】
本明細書に開示されるリザーバODSの構造は、パウチシステム内に液体、半固体、又は懸濁液の形態の活性物質であるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを含む。パウチシステムは、粘膜を回避する側にODSを覆う不浸透性支持層、及び、口腔経路を介したヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの制御送達用の、粘膜と接触する剥離ライナーを含む着脱可能な保護層を含む。
【0023】
本開示によるマトリクス又はプラスターODSの構造は、重合体又は接着性マトリクスに懸濁又は可溶化された活性物質であるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、不浸透性裏層と剥離ライナー及び/又は着脱可能な保護層の間のカバーを含む。本開示によれば、活性物質であるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン自体を、感圧接着剤又は重合体マトリクス中に可溶化又は懸濁させるか、又はODSを皮膚に固定できるさらなるプラセボ感圧性接着層を設けることができる。
【0024】
保管中の着脱可能な保護層は、リザーバODS内の剥離ライナーと粘膜に面した感圧接着剤ODS表面を覆い、塗布前に取り外される。
【0025】
本開示は、マトリクスシステムとして設計されたODSと、リザーバ膜システムとして設計されたODSの両方を提供する。
【0026】
本開示によるODSは、リザーバシステムの形でもマトリクスシステムの形でも用いることができる。本発明によれば、リザーバシステムは、不透過性バッキング、速度制御膜、接着性周辺リング、剥離可能な保護バッキングで覆われて形成されたパウチから構成される。不浸透性バッキングは、中央体積を提供するように構成され、その中に、溶解及び懸濁した薬物を有する半固体又は液体の形態の薬物リザーバを収容する。好ましい実施形態は、システムから口腔粘膜への薬物の経路の外側に接着性の周辺リングを利用するが、口腔粘膜上でシステムを維持するための他の手段を用いることもできる。そのような手段には、インライン接着層;接着剤のオーバーレイ、又はバックル、ベルト、弾性アームバンド等の他の固定手段が含まれることも検討されてよい。
【0027】
本明細書に開示されるODSは、この活性物質であるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン含有混合物を適当な支持体、例えばシリコーン層を備えた熱可塑性フィルムにコーティングし、かつ、溶媒成分の蒸発後に、後にODSの支持層を構成するさらなるフィルムで覆うように製造することができる。可塑剤、粘着剤、可溶化剤、安定剤、充填剤、担体物質、浸透促進剤等の補助剤として適する薬学的に許容される物質は、原則として当業者に公知である。
【0028】
本開示の装置は拡散プロセスによって薬物を連続的に放出することができる。このモードでは、装置のリザーバと皮膚及びその下にある組織との間のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン活性の差が駆動力となる。本開示の担体及び/又はビヒクル及び/又は重合体系に完全に溶解又は分散したヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、担体を介して口腔粘膜に浸透する。リザーバ又はマトリクスシステムは口腔粘膜と拡散連絡しており、これは、リザーバ又はマトリクスシステムは、口腔粘膜に直接接触するか、あるいは、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及び透過促進剤がリザーバ又はマトリクスから口腔粘膜に移動するための透過経路を提供する半透過性物質に接触することを意味する。介在する材料は、均質、不均一、又は複数の異なる層で構成されてよい。
【0029】
本開示による、リザーバ又はマトリクスシステムは口腔粘膜と拡散連絡しており、これは、リザーバ又はマトリクスシステムは、口腔粘膜に直接接触するか、あるいは、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及び透過促進剤がリザーバ又はマトリクスから口腔粘膜に移動するための透過経路を提供する半透過性物質に接触することを意味する。介在する材料は、均質、不均一、又は複数の異なる層で構成されてよい。
【0030】
本開示による、ODSの活性物質リザーバ又はマトリクス又は感圧性接着層を製造するのに適したベース重合体は、セルロースをベースとする重合体及びその誘導体であってこれらに限定されない(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、天然重合体、多糖類及びその誘導体であってこれらに限定されない(寒天、アルギン酸及びその誘導体、カシアトラガム、コラーゲン、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、ペクチン、カリウムカラギーナン、ナトリウムカラギーナン、トラガカンス、キサンタンガム、コパル、デンプン、キトサン、樹脂等)、カルボキシビニル重合体又はカルボマー等のそれらに限定されない合成重合体及びその誘導体(カルボポール940、カルボポール934、カルボポール971)、ポリエチレン及びその共重合体、ケイ酸等の粘土類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンホモ重合体およびポリビニルピロリドン共重合体であってこれらに限定されない(PVP、ポロキサマー)、アクリル酸そのエステル、ポリアクリル酸共重合体、イソブチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、スチレンジエン共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体、イソプレンブロック共重合体、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム又はネオプレンゴム等の合成ゴム、及びシリコーン系感圧接着剤、又は「ホットメルト接着剤」があげられる。用語「ホットメルト接着剤」は、溶媒で液化するのではなく、高温、好ましくは60~200℃の範囲での溶融によって液化するあらゆる接着剤を含む。ホットメルト接着剤としては、特に、水素化コロフォニーのエステルとセルロース誘導体との混合物が適している。上記のベース重合体は、適当な混合物の形で用いることもできる。
【0031】
上記の重合体の上に、当業者に公知の他の重合体も、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンと互換性があれば、重合体ビークル又はマトリクス又は感圧接着層を製造するためのベース重合体として用いることができる。理論的には、ODSの製造には、当技術分野で公知である様々な重合体、樹脂及び添加剤を考慮することができる。しかし、これらの物質が口腔粘膜に接触する限り、口腔粘膜に許容され、製剤がヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの送達に適していることに留意する必要がある。
【0032】
他の実施形態では、活性物質であるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、最も簡素な場合、ベース重合体の溶液又は溶融物中に、粗く、コロイド状又は分子状に分散している。さらなるODS製造技術では、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、過飽和溶液、ナノエマルジョン又はナノ懸濁液、非晶質、結晶、共結晶の形で、ベース重合体でコーティングされるか、ホットメルト押出プロセスを用いて重合体に可溶化される。
【0033】
本発明の好ましい実施形態は、活性物質であるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンが溶解状態でODSのリザーバに存在する:この場合、製剤は可能であれば、好ましくは、可溶化剤を含む。可溶化剤の選択例としては、(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80等)等のこれらに限定されないポリソルベート、(span80、span20等)等のこれらに限定されないスパン、(アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性)等のこれらに限定されない界面活性剤、モノカプリル酸プロピレングリコールI型、モノカプリル酸プロピレングリコールII型、ジカプリル酸プロピレングリコール、中鎖トリグリセリド、モノラウリン酸プロピレングリコールII型、リノレオイルポリオキシル6グリセリド、カプリルグリセリド、オレイルポリオキシル6グリセリド、ラウロイルポリオキシル6グリセリド、ポリグリセリル3-ジオレイン酸、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、モノラウリン酸プロピレングリコールI型等、シクロデキストリン、多価アルコール、特に1,2-プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量200以上)、ジメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチルトルミド、モノイソプロピリデングリセリン及びその他の可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤及び当業者に公知である類似の化合物又は化学物質は、単独又はそれらの組み合わせで用いることができる。可溶化剤の部分は、ヒドロキシクロロキンおよび/またはクロロキンリザーバーの総質量に対して、1~99%質量、特に5~75%質量であることが有利であることが証明されている。例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等の可溶化剤には、同時に透過促進剤として作用するものがあることが考慮される。
【0034】
他の実施形態では、溶媒はまた、総リザーバ又はマトリクス又は感圧接着マトリクスシステムの質量を構成するのに用いることもできる。これらの溶媒は、リザーバ又はマトリクス系におけるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの溶解性を高めるために用いることもできる。当業者に公知であるこのような溶媒は、(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等)のこれらに限定されないC1-C20アルコール、多価アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、水、(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等)等のこれらに限定されないグリコール類、(N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン等)等のこれらに限定されないピロリドン類、(ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド等)等のこれらに限定されないスルホキシド類、ジメチルイソソルビド、鉱油、植物油、(エタノール、プロパノール、酢酸エチル、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、イソプロピルアルコール)等のこれらに限定されないマトリクスパッチを作るのに用いられうるがこれに限定されない揮発性化学物質、乳酸、酢酸等の酸、塩基等であるが、これらに限定されないものを、単独又はそれらの混合物として用いることができる。
【0035】
口腔粘膜を通過するヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン流束を高めるために、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンのリザーバ又はマトリクス又は感圧接着剤が、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンのリザーバ又はマトリクス又は感圧接着剤の総質量に対して各々0.1~25%質量、好ましくは1~15%質量の透過促進剤を含有することは、特にマトリクス又は接着システムにおいて有益であることが証明されている。口腔粘膜浸透促進剤の好ましい例は、水、スルホキシド及び類似の化学物質であって、例えば、これらに限定されない(ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、デシルメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド等)、アゾン、ピロリドン類であって、例えば、これらに限定されない(N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン等)、エステル類であって、例えば、これらに限定されない(モノラウリン酸プロピレングリコール、エタン酸ブチル、エタン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、エタン酸メチル、モノオレイン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ラウリン酸ラウリル等)、脂肪酸類であって、例えば、これらに限定されない(カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸等)、アルコール類、脂肪アルコール類及びグリコール類であって、例えば、これらに限定されない(オレイルアルコール、エタノール、ドデカノール、プロピレングリコール、グリセロール等)、エーテル類であって、例えば、これらに限定されない(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、尿素、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、脂肪アルコール類のエステル類、メチル、エチル又はイソプロピルアルコールと長鎖脂肪酸のエステル類、酢酸と脂肪酸のエステル類、乳酸、オレイン酸ジエタノールアミンとのエステル類、精油類、テルペン類及びテルペノイド類であって、例えば、これらに限定されない(テルピネオール、リモネン、チモール、シネオール等)、界面活性剤型促進剤(ポリソルベート80、ポリソルベート20等)、リポソーム類、ニオソーム、トランスフェローム、エタノソーム等や、書籍「Percutaneous Penetration Enhancers」(Eric W.Smith,Howard I.Mailbach,2005.Nov CRC press)で言及されているすべての浸透促進剤又は透過促進剤があげられる。上記の透過促進物質は単独で又は混合物として添加することができる。
【0036】
一定の放出速度で最大放出を達成するためには、好ましくは、活性物質マトリクス又はリザーバ又は感圧接着剤中のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン濃度を可能な限り最適化される。ただし、この内容では、濃度が高すぎると、沈殿を引き起こす過飽和のために活性物質の物理的安定性に悪影響を与える可能性があることに留意する必要がある。本願発明に関するODSは、用いられるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン濃度は、活性物質リザーバ又はマトリクス又は感圧接着剤の総質量に対して、各々、0.1~50%質量、特に1~25%質量の範囲である。
【0037】
さらに、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンマトリクス、感圧接着剤、又はマトリクスの個々の層には、これらに限定されないが、グリセロール及びそのエステル、リン酸エステル、グリコール誘導体、糖アルコール、セバシン酸エステル、アゼラート、クエン酸エステル、酒石酸エステル、アジピン酸塩、フタル酸エステル、トリアセチン、オレイン酸エステル、及び書籍『Handbook of Plasticizers』(George Wypych,2004,Chem Tec Publishing)で言及されている経口薬物送達システムで用いられうるすべての可塑剤を、単独又はそれらの組み合わせで当業者に公知である可塑剤を含めることができる。これらの可塑剤の濃度は、活性物質マトリクスの総質量に対して、最大50%質量、好ましくは5~25%質量である。
【0038】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンマトリクスが、接着パッチ内にマルチラミネート薬物を含有する、二層構造又は多層構造を有するような実施形態を含むこともできる。例えば、各種マトリクス層には、上記の重合体から構成される重合体が含まれてよい。この場合、マトリクス層は、重合体又は感圧重合体又はホットメルト重合体の組成、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの濃度、透過促進剤又は可溶化剤が異なる点で互いに異なる。これらの層は、2つの異なるドラッグイン接着剤層の間又は1つの支持フィルムの下の複数のドラッグイン接着剤層の間の半透過性膜を用いて分離することができる。
【0039】
本開示のシステム及び方法は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを投与するための経口送達システム(ODS)であって、以下の:ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを含む医薬組成物と少なくとも1つの賦形剤を含む活性物質領域又は活性物質リザーバ、不透過性の支持層、かつ
-場合によっては、着脱可能な支持層で覆われた剥離膜、を含む、経口薬物送達システムを提供する。本開示のシステム及び方法は、活性物質領域又は活性物質リザーバが、重合体マトリクスシステム、液体システム、ゲルシステム、又は感圧接着システムとして構成されるODSを提供する。
【0040】
本開示のシステム及び方法は、活性物質リザーバはパウチシステムとして構成される、ODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、活性物質リザーバは、流動性、粘性、半固体、ゲル状、液体製剤、溶液、分散液、懸濁液、及びエマルジョンからなる群から選択される製剤である、ODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、活性物質リザーバーがフィルム形成ゲル、フィルム形成溶液及び/又はフィルム形成スプレーからなる群から選択される製剤であるODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、活性物質リザーバの、口腔粘膜に面した側は活性物質透過性膜により閉じられ、口腔粘膜と反対側は活性物質不透過性層によって閉じられる、ODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、活性物質の放出速度を変更又は制御する活性物質透過性膜を含む、ODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン含有領域は、単層、二層、又は多層の活性物質マトリクスである、ODSを提供する。
【0041】
本開示のシステム及び方法は、絆創膏又は包帯として適用することができるように、さらに接着剤を含むODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、活性物質は、プラスチック又は合成樹脂マトリクス、感圧性接着マトリクスであり、このマトリクスのベース重合体は、アクリル酸及びそのエステルに基づく重合体であり、イソブチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、合成ゴム、スチレン-ジエン共重合体、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、イソプレンブロック共重合体、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ブチルゴム及びネオプレンゴム、シリコーンに基づく感圧接着剤、ホットメルト接着剤、水素化コロフォニーのエステルとセルロース誘導体の混合物、及びそれらの組み合わせから選択される、ODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、活性物質リザーバは、活性物質が吸着される繊維材料、織布、又は不織布を含む、ODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、被験体の口腔粘膜から血液に1日あたり1~40mgのヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを送達することができ、かつ、最大で2000ng/mlの血漿濃度を生成することができる、ODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、活性物質リザーバの相対総質量の0.1~50質量%、好ましくは1~30質量%%、より好ましくは1~20質量%の範囲の濃度で存在する、ODSを提供する。
【0042】
本開示のシステム及び方法は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、溶解状態又は懸濁状態のいずれかで、活性物質リザーバに存在するODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、活性物質リザーバは、活性物質リザーバの総質量に対して1~99質量%、特に5~70質量%の量の可溶化剤を少なくとも1つ含む、ODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、可溶化剤が、ポリソルベート、スパン、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性)、モノカプリル酸プロピレングリコール及びその誘導体、グリコール及びその誘導体、トリグリセリド及びその誘導体、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロデキストリン、多価アルコール、ポリエチレングリコール(分子量200以上)、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチルトルミド、モノイソプロピリデングリセリン、スルホキシド、並びにこれらに限定されないがジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、デシルメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、トリアセチン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるODSを提供する。
【0043】
本開示のシステム及び方法は、活性物質リザーバは、活性物質リザーバの総質量に対して0.1~50質量%、特に、1~25質量%の量の透過促進剤を少なくとも一つ含むODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、透過促進剤は、アゾン、ピロリドン類、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、エステル類、モノラウリン酸プロピレングリコール、エタン酸ブチル、エタン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、エタン酸メチル、モノオレイン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ラウリン酸ラウリル、脂肪酸、アルコール類、脂肪アルコール類及びグリコール類、エーテル類、尿素、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、脂肪アルコール類のエステル類、メチル、エチル又はイソプロピルアルコールとの長鎖脂肪酸のエステル類、脂肪アルコール類のエステル類、酢酸、乳酸、ジエタノールアミン類、精油類、モノラウリン酸プロピレングリコールI型及びII型、テルペン及びテルペノイド、界面活性剤型促進剤、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、ODSを提供する。
【0044】
本開示のシステム及び方法は、以下の:関節リウマチの治療及び/又は予防が必要な患者を選択すること;その患者の口腔粘膜に本開示のシステム及び方法のODSを塗布すること;それによって関節リウマチを治療及び/又は予防すること、を含む、関節リウマチを治療及び/又は予防する方法を提供する。本開示のシステム及び方法は、以下の:エリテマトーデスの治療及び/又は予防が必要な患者を選択すること;その患者の口腔粘膜に本開示のシステム及び方法のODSを塗布すること;それによってエリテマトーデスを治療及び/又は予防すること、を含む、エリテマトーデスを治療及び/又は予防する方法を提供する。本開示のシステム及び方法は、以下の:マラリアの治療及び/又は予防が必要な患者を選択すること;その患者の口腔粘膜に本開示のシステム及び方法のODSを塗布すること;それによってマラリアを治療及び/又は予防すること、を含む、マラリアを治療及び/又は予防する方法を提供する。本開示のシステム及び方法は、以下の:SARS CoV-2感染の治療及び/又は予防が必要な患者を選択すること;その患者の口腔粘膜に本開示のシステム及び方法のODSを塗布すること;それによってSARS CoV-2感染を治療及び/又は予防すること、を含む、SARS CoV-2感染を治療及び/又は予防する方法を提供する。本開示のシステム及び方法は、以下の:晩発性皮膚ポルフィリン症の治療及び/又は予防が必要な患者を選択すること;その患者の口腔粘膜に本開示のシステム及び方法のODSを塗布すること;それによって晩発性皮膚ポルフィリン症を治療及び/又は予防すること、を含む、晩発性皮膚ポルフィリン症を治療及び/又は予防する方法を提供する。
【0045】
本開示のシステム及び方法は、ODSの塗布期間が少なくとも24時間、かつ、最大で7日である、方法を提供する。
【0046】
本開示のシステム及び方法は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを投与するための経口送達システム(ODS)の製造方法であって、以下の:活性物質領域又は活性物質リザーバを提供すること、不透過性の支持層を提供すること、場合によっては、着脱可能な支持層で覆われた剥離膜を提供すること、を含む、方法であって、ここで、前記活性物質領域又は活性物質リザーバは、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及び少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物を含む、方法を提供する。
【0047】
本開示のシステム及び方法は、関節リウマチの治療及び/又は予防、マラリアの治療及び/又は予防、エリテマトーデスの治療及び/又は予防、SARS CoV-2感染の治療及び/又は予防、晩発性皮膚ポルフィリン症の治療及び/又は予防に用いる薬剤の調製に用いるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン含有ODSを提供する。本開示のシステム及び方法は、患者の疾患又は状態を治療又は予防する方法であって、その疾患又は状態が、関節リウマチ及び/又はエリテマトーデス及び/又はマラリア及び/又はSARS CoV-2感染症及び/又は晩発性皮膚ポルフィリン症からなる群、及びそれらの組み合わせから選択される方法であって、当該疾患又は状態を治療又は予防する必要がある患者を選択することを含む方法である。本発明の組成物を治療上有効な量で患者に投与することにより、当該患者の当該疾患を治療又は予防することを提供する。
【0048】
さらなる実施形態では、本開示は、医薬として用いるのに有効な量で、そして最も好ましくは、例えば、本明細書に記載されているように、対象における疾患又は症状を治療するための医薬としての使用するために、本明細書に記載されている化合物及び医薬組成物の使用を提供する。
【0049】
さらに他の実施形態では、本開示は、本開示の医薬組成物及び少なくとも1つのさらなる治療薬を、医薬として用いるのに有効な量で、そして最も好ましくは、例えば本開示のように、疾患又は疾患に関連する症状を対象で治療するための医薬としての使用を提供する。
【0050】
本開示は、患者における、本明細書に記載された疾患又は症状を治療及び/又は予防するための方法を提供し、ここで、当該方法は、本明細書に記載された当該疾患又は症状を治療及び/又は予防する必要がある患者を選択することを含む。本開示の組成物を治療有効量で患者に投与することにより、当該患者の当該疾患を治療及び/又は予防する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンとは、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの単独又はそれらの組み合わせのいずれかの医薬として許容されるすべての形態をいい、例えば、遊離塩基、塩、異性体、非晶質、結晶性、共結晶性、固溶体、プロドラッグ、アナログ、誘導体、代謝産物等の形態があげられるが、これらに限定されない。
RA:関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis)
SARS CoV:重症急性呼吸器コロナウイルス(Severe acute Respiratory Coronavirus)
LE:エリテマトーデス(Lupus Erythematosus)
PCT:晩発性皮膚ポルフィリン症(Prophyria Cutanea Tarda)
ODS:初回通過代謝をバイパスできる経口送達システム(Oral delivery system)。
【0052】
範囲:
用語「製剤(formulation)」と「組成物(composition)」は互換可能に用いられる。
用語「新規経口薬物送達システム」と「経口送達システム」は互換可能に用いられる。
用語「リザーバシステム」と「リザーバパッチ」は互換可能に用いられる。
用語「マトリクスシステム」と「マトリクスパッチ」は互換可能に用いられる。
用語「経口組成物」と「医薬組成物」は互換可能に用いられる。
用語「液体」としては、これに限定されないが、溶液、懸濁液、マイクロ懸濁液、ナノ懸濁液、分散液、スプレー、エアロゾルがあげられ、好ましくは、溶液である。
用語「半固体」には、ゲル、軟膏、クリーム、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ペースト、バーム、マグマ、ローション、ムース、ワックス等があげられるが、好ましくは、ゲルである。
用語「重合体フィルム」としては、これらに限定されないが、感圧接着剤及び/又は非接着性重合体があげられる。
経口送達システム:薬剤組成物を含むリザーバシステム及び/又はマトリクスシステム。
全ての医薬組成物は質量パーセントである。
液体製剤で用いられる促進剤は、これらに限定されないが、半固体及び重合体製剤に用いることができる。
【0053】
本明細書で用いられる用語「被験体」と「患者」は互換可能に用いられる。本明細書で用いられる用語「患者」とは、動物、好ましくは、非霊長類(例えば、牛、豚、馬、猫、犬、ネズミ等)や霊長類(例えば、サルと人間)等の哺乳類、最も好ましくは、ヒトである。ある実施形態では、対象は、家畜(例:馬、豚、牛)やペット(例:犬や猫)等の非ヒト動物である。具体的な実施形態では、被験体は高齢者である。他の実施形態では、被験体はヒト成人である。他の実施形態では、被験体はヒト子供である。さらに他の実施形態では、被験体はヒト幼児である。
【0054】
本明細書で用いられる用語「薬剤」は、疾患又は状態の予防、治療、管理及び/又は診断に用いるためのいかなる分子、化合物、方法論及び/又は物質をいう。ここでいう「有効量」とは、疾患又は状態の発生、再発又は発症及びその1つ以上の症状を予防し、他の治療法の予防効果を増強又は改善し、疾患又は状態の重症度、期間を短縮し、1つ以上の症状を改善し、疾患又は状態の進行を防止し、疾患又は状態の退行を引き起こし、及び/又は他の治療法の治療効果を増強又は改善するのに十分量の治療をいう。
【0055】
本明細書で用いられる用語「薬学的に許容される」は、連邦又は州政府の規制機関によって承認された、又は動物、特にヒトに対する、米国薬局方、欧州薬局方、又はその他の一般に認められている薬局方に記載されているものを意味する。
【0056】
本明細書で用いられる用語「治療薬」は、疾患又は障害の治療及び/又は管理の目的で用いられるいかなる分子、化合物、及び/又は物質をいう。
本明細書で用いられる用語「治療法」は、疾患又は状態、又はその1つ以上の症状の予防、治療及び/又は管理に用いられうるいかなる方法、組成、及び/又は薬剤をいう。特定の実施形態では、用語「治療」及び「治療」は、低分子治療をいう。
本明細書で用いられる用語「治療する」、「治療する」、及び「治療する」は、対象への治療法の投与に関連して、疾患又は状態の進行及び/又は期間の減少又は阻害、がん等の疾患又は状態の重篤度の減少又は改善、及び/又は1つ以上の治療法の投与に起因する1つ以上の症状の改善をいう。
【0057】
本明細書で用いられる用語「誘導体」又は「誘導体化された」は、本発明の化合物の化学修飾物、又はその薬学的に許容される塩又はその混合物を含む。すなわち「誘導体」は、発明の化合物の機能的等価物であって、所定の対象において改善された薬理学的機能活性を誘導することができるものであってよい。このような化学修飾の例としては、ハロゲン基、アルキル基、アシル基又はアミノ基による水素の置換があげられる。
【0058】
本明細書で用いられる用語「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩又は遊離塩基の付加塩を含む。本明細書の化合物で用いられる用語「薬学的に許容される塩」は、全ての可能な異性体及びその混合物、並びに薬学的に許容される代謝産物、生体前駆体及び/又はプロドラッグ、例えば、本発明の化合物の1つとは異なる構造式を有する化合物であっても、哺乳類のような対象、特にヒトに投与されると、生体内で本発明の化合物に直接又は間接的に変換される化合物、をその範囲内に含むことも意味する。
【0059】
化合物は、酸付加塩や塩基塩等の薬学的に許容される塩、又はその水和物を含む溶媒和物の形であってよい。適当な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成され、例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サッカレート、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩があげられる。適当な塩基塩は、無毒の塩を形成する塩基から形成され、例としてはナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛及びジエタノールアミン塩があげられる。
【0060】
用語「約」及びその範囲の一般的な使用は、用語「約」で限定されているかどうかにかかわらず、ここで示されている正確な数に限定されないことを意味し、発明の範囲から逸脱していないが、引用された範囲内の実質的な範囲をいうことを意図している。本明細書で用いられる用語「約」は当業者に理解され、用いられる文脈によってある程度異なる。その用語が用いられる文脈を考慮して、当業者にとって明確でない用語が使用される場合、本明細書で用いられる用語「約」はプラスマイナス10%までを意味する。
【0061】
本明細書で用いられる用語「経口」は、粘膜又は粘膜との直接接触による薬物の送達、投与又は塗布をいう。このような送達、投与又は塗布は、皮膚、経皮、粘膜経由及び粘膜経由としても公知である。本明細書で用いられる用語「口腔」には粘膜及び口腔が含まれ、口腔、頬、鼻、直腸及び膣の粘膜が含まれる。
【0062】
本明細書で用いられる用語「経口薬物送達システム」は、例えば、装置等のシステムをいい、皮膚(又は上記の他の表面)に塗布すると薬物を放出する組成物を含むシステムをいう。経口薬物送達システムは、薬物含有組成物、及び場合によっては、支持層及び/又は剥離ライナー層を含むことができる。ある実施形態では、経口薬物送達システムは実質的に非水性の固体形態であり、それが接触する表面に適合することができ、有害な生理的反応なく、また、対象への経口投与中に水性接触によって可視的に分解されずに、経口投与を容易にするように、そのような接触を維持することができる。このようなシステムの多くは、当該技術分野では公知であり、経粘膜パッチのように市販されている。通常、経口薬物送達システムは、以下でより詳細に説明するように、マトリクス型システム、フィルム形成システムとリザーバ型システムの3つのカテゴリのいずれかに分類される。
【0063】
経口薬物送達システムには、薬物不透過性の支持層又はフィルムを含めることもできる。ある実施形態では、支持層は薬物含有組成物に隣接している。存在する場合、支持層は重合体マトリクス層(及び存在する他の層)を環境から保護し、使用中の薬剤の損失及び/又は他の成分の環境への放出を防止する。支持層としての使用に適した材料は、当該分野では公知であり、ポリエステル、ポリエチレン、酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等のフィルム、金属箔、不織布、布、及び市販のラミネートを含んでよい。一般的な支持材の厚さは2~1000マイクロメートルの範囲である。例えば、3MのScotch Pak(登録商標)1012又は9732(エチレン酢酸ビニル共重合体ヒートシール層があるポリエステルフィルム)、9723(ポリエチレンとポリエステルのラミネート)、又はCoTran9720(ポリエチレンフィルム)は、Dow(登録商標)BLF2050(エチレン酢酸ビニル層と内部SARAN(登録商標)層を含む多層支持層)等のDow(登録商標)支持層フィルムと同様に、ここで説明する経口薬物送達システムに有用である。
【0064】
経口薬物送達システムには、剥離ライナーも含まれる場合があり、通常は、支持層と比較してシステムの反対側の面に隣接して配置される。剥離ライナーがある場合、使用前にシステムから取り外して、重合体マトリクス層及び/又は接着層を塗布前に露出させる。剥離ライナーとしての使用に適した材料は、当該分野では公知であり、ダウコーニング社のBio-Release(登録商標)ライナー及びSyl-off(登録商標)7610の市販製品、Loparex社のPET剥離ライナー(シリコンコーティング)、及び3M社の1020、1022、9741、9744、9748、9749、及び9755スコッチパックTM(フッ素樹脂コーティングポリエステルフィルム)があげられる。
【0065】
経口薬物送達システムは、一般に経口薬物送達システムのために先行技術で使用されていたパウチストック材料のように、包装されていても提供されていてもよい。例えば、デュポン社のSurlyn(登録商標)は、パウチストック素材として用いることができる。あるいは、共押出エチレンアクリル酸/低密度ポリエチレン(EAA/LDPE)材料、又はINEOS社のBarex(登録商標)(アクリロニトリル-アクリル酸メチル)を含むパウチストックを用いてよい。
【0066】
本開示は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを7日間まで経口送達するための医薬組成物を提供する。
一実施形態では、本開示は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの経口送達のための液体製剤としての医薬組成物を提供する。一態様では、本発明はさらに、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及びビヒクル系を含む液体製剤を提供する。本開示はさらに、必要な酸又は上記pH調整のための塩基を用いる必要がある場合、溶媒(可溶化剤)、浸透促進剤を含むビヒクル系を提供する。好ましくは、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンと溶媒系を含む液体製剤である。
【0067】
一態様では、液体製剤は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンとビヒクル系を含み、ここで、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、0.1~50質量%で存在し、ビヒクル系は、5~99.9質量%で存在する。より好ましくは、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンが1~25質量%で存在し、ビヒクル系が1~99質量%で存在する。本発明はさらに、約0.1~50質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.1~99.9質量%のジメチルスルホキシド、0.1~99.9質量%のジメチルイソソルビド、0.1~99.9質量%のジプロピレングリコール、0.1~99.9質量%の高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.1~50質量%の脂肪酸、0.1~50質量%の乳酸、0.1~99.9質量%のプロピレングリコール、0.1~99.9質量%のポリエチレングリコール-400、0.1~50質量%の水、pH3.5~8を含む本発明の例示的な組成物を提供する。より好ましくは、約1~25質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、5~50質量%のジメチルスルホキシド、5~50質量%のジメチルイソソルビド、1~25質量%のジプロピレングリコール、1~50質量%の高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.1~20質量%の脂肪酸、0.1~20質量%の乳酸、1~25質量%のプロピレングリコール、1~25質量%のポリエチレングリコール-400、1~25質量%の水、pHは4~7の間で調整される。範囲を限定せずに、この範囲の例示的な製剤を実施例1に示す。
【0068】
他の実施形態では、本開示は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを最長で7日間経口送達するための半固体製剤としての医薬組成物を提供する。
【0069】
一態様では、本開示はさらに、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及び高分子ビヒクル系を含む半固体製剤を提供する。本発明はさらに、溶媒(可溶化剤)、透過性増強賦形剤、及びpH調整のために必要な場合は、重合体又はゲル化剤又は増粘剤を含む、ビヒクル系を提供する。ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンと高分子ビヒクル系を含む半固体製剤が好ましい。
【0070】
半固体製剤の一態様では、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンと、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンが0.1~50質量%で存在し、高分子ビヒクル系が0.1~99.9質量%で存在する高分子ビヒクル系とを含む。より好ましくは、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンは、1~30質量%で存在し、高分子ビヒクル系は、最大100質量%となるように、25~99質量%で存在する。
【0071】
本開示はさらに、約0.1~50質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.5~99.9質量%のジメチルスルホキシド、0.5~99.9質量%のポリエチレングリコール-400、0.5~99.9質量%のジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5~99.9質量%のプロピレングリコール、0.5~99.9質量%のジプロピレングリコール、0.1~50質量%の乳酸、0.5~99.9質量%のジメチルイソソルビド、0.5~50質量%の脂肪酸、0.5~50質量%の水、0.1~50質量%のポリビニルピロリドン、pH3.5~8を含む本発明の例示的な製剤を提供する。より好ましくは、約0.1~25質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.5~50質量%のジメチルスルホキシド、0.5~50質量%のポリエチレングリコール-400、0.5~50質量%のジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5~50質量%のプロピレングリコール、0.5~50質量%のジプロピレングリコール、0.1~20質量%の乳酸、0.5~50質量%のジメチルイソソルビド、0.5~50質量%の脂肪酸、0.5~50質量%の水、0.1~30質量%のポリビニルピロリドン、pHは4~7の間で調整する。
【0072】
本開示はさらに、約0.1~25質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.5~50質量%のジメチルスルホキシド、0.5~50質量%のポリエチレングリコール-400、0.5~50質量%の高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5~50%質量%のプロピレングリコール、0.5~50質量%のジプロピレングリコール、0.1~20質量%の乳酸、0.5~50質量%のジメチルイソソルビド、0.5~50質量%の脂肪酸、0.5~50質量%の水、0.1~30%質量%のポリビニルピロリドン、0.1~15質量%のヒドロキシプロピルセルロースHF、4~7の間で調整されたpHを含む本発明の他の例示的な製剤を提供する。
【0073】
本開示はさらに、約0.1~25質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.5~50質量%のジメチルスルホキシド、0.5~50質量%のポリエチレングリコール-400、0.5~50質量%の高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5~50%質量%のプロピレングリコール、0.5~50質量%のジプロピレングリコール、0.1~20質量%の乳酸、0.5~50質量%のジメチルイソソルビド、0.5~30質量%のカプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、0.5~50質量%のモノラウリン酸プロピレングリコールII型、0.5~30質量%のTween-20、0.1~15質量%のヒドロキシプロピルセルロースHF、4~7の間で調整されたpHを含む本発明の他の例示的な製剤を提供する。範囲を限定せずに、この範囲の例示的な製剤を実施例に示す。
【0074】
本開示はさらに、約0.1~25質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.5~50質量%のジメチルスルホキシド、0.5~50質量%のヘキシレングリコール、0.5~50質量%の高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5~50質量%のトリアセチン、0.1~20質量%の乳酸、0.5~50質量%のジメチルイソソルビド、0.5~30質量%のカプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、0.5~50質量%の脂肪酸、0.5~50質量%の水、0.1~30質量%のポリビニルピロリドン、0.1~15質量%のヒドロキシプロピルセルロースHF、4~7の間で調整されたpHを含む、本発明の他の例示的な製剤を提供する。
【0075】
本開示はさらに、約0.1~25質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.5~50質量%のジメチルスルホキシド、0.5~50質量%のヘキシレングリコール、0.5~50質量%の高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5~50質量%のトリアセチン、0.1~20質量%の乳酸、0.5~50質量%のジメチルイソソルビド、0.5~30質量%のカプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、0.5~50質量%の脂肪酸、0.5~50質量%の水、0.1~30質量%のポリビニルピロリドン、0.1~15質量%のヒドロキシプロピルセルロースHF、pHを4~7の間で調整したものを含む本発明の他の例示的な製剤を提供する。
【0076】
本開示はさらに、約0.1~25質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.5~99質量%のジメチルスルホキシド、0.5~99質量%のポリエチレングリコール-400、0.5~99質量%のプロピレングリコール、0.5~99質量%のモノラウリン酸プロピレングリコールII型、0.5~50質量%の水、0.1~15質量%のヒドロキシプロピルセルロースHF、pHを4~7の間で調整したものを含む、本発明の他の例示的な製剤を提供する。範囲を限定せずに、この範囲の例示的な製剤を実施例に示す。
【0077】
本開示は、RA及び/又はマラリア及び/又はLE及び/又はPCT及び/又はSARS CoVの治療のためのヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの経口送達に関する。他の実施形態は、官能基を含まず、架橋されていないが、大量のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを吸収又は可溶化することができ、同時に粘膜への同等以上の接着及び粘膜を介した浸透を提供するアクリル又はシリコーンの感圧接着剤及び/又は重合体マトリクスの使用に関する。用いられうるが限定されない感圧接着剤(PSA)のより好ましい例としては、純粋なアクリル酸モノマーに基づくもののほか、例えば共モノマーとして酢酸ビニル又は炭化水素共重合体を用いるアクリル酸共重合体及び三元共重合体があり、これらにはおしゃぶりやその他の感圧接着剤修飾剤も含まれてよい。これらのPSAのいくつかの例は、duro-tak 87-900A、duro-tak 87-901A、duro-tak 87-2516、duro-tak 87-9301、Bio PSA-4202、Bio PSA-4302、Bio PSA-4502、Bio PSA-4602等である。
【0078】
本開示の他の実施形態は、可溶化剤及び/又は溶媒及び/又は浸透性向上剤を用いて、パッチ内の液体の吸収及び固定化によりパッチを安定化させることによって、マトリクスパッチ内の結晶化を阻害することである。このような賦形剤の例としては、PVP、PVP/PVA、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイドシリカ、キサンタンガム等があげられるが、これらに限定されない。
【0079】
他の実施形態は、揮発性と不揮発性の2種類の促進剤を備えるマトリクス及び/又はドラッグイン接着剤及び/又はドラッグイン重合体である。揮発性促進剤は、ジメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等、20°Cで蒸気圧0.2mmHg以上の賦形剤であり、不揮発性促進剤は、尿素、乳酸ラウリル等、20°Cで蒸気圧0.2mmHg未満の液体であり、揮発性促進剤は、マトリクス及び/又はドラッグイン接着剤及び/又はドラッグイン高分子製剤の乾燥過程で蒸発する促進剤である。
【0080】
本開示の他の実施形態では、約0.1~99質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.5~99質量%のジメチルスルホキシド、0.5~99質量%のトリアセチン、0.5~99質量%の高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5~99質量%のモノラウリン酸プロピレングリコールII型、0.1~99質量%の接着剤を含む製剤である。より好ましくは、0.1-50質量%のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、0.5~50質量%のジメチルスルホキシド、0.5~50質量%のトリアセチン、0.5~50質量%の高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5-50質量%のモノラウリン酸プロピレングリコールII型、0.1~90質量%の接着剤を含む製剤である。
以下の例を参考に発明の詳細を説明するが、本発明はこれに限定されるものではないことを理解すべきである。
【実施例1】
【0081】
本実施例では、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン50mg経口投与と生物学的に同等な血中濃度(±20%)を与える必要があるパッチ剤又は半固体製剤の調製について説明する。最初に、フランツ拡散細胞から得られたインビトロ透過性フラックスプロファイルに基づいて、50mgのヒドロキシクロロキンを含む経口製剤を調製し、その用量を経口50mg/日のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンと生物学的に同等な血中濃度(±20%)が得られるように調整する。1日目~5日目又は7日目まで目標とする治療的な血中濃度を達成できる経口製剤を調製するために、異なるアプローチ(例えば、薬物負荷量の変化、溶媒/促進剤の組み合わせ等)を行う。
【実施例2】
【0082】
以下は、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、又はヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの組み合わせを含む経口マトリクスパッチ又は経口半固体製剤の開発及び最適化に利用される実験手順の説明である。代表的な製剤処方を表1に示す。
【0083】
【表1】
本開示の経口製剤は、当業者に公知である以下の:(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等)のこれらに限定されないC1-C20アルコール、多価アルコール、(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等)等のこれらに限定されないグリコール類、グリコール類の誘導体、(N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン等)等のこれらに限定されないピロリドン類、(ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド等)等のこれらに限定されないスルホキシド類、ジメチルイソソルビド、鉱油、植物油、ごま油水、極性溶媒、半極性溶媒、非極性溶媒、(エタノール、プロパノール、酢酸エチル、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、IPA、ヘキサン)等のマトリクスパッチを作るのに用いることができるがこれに限定されない揮発性化学物質、酢酸、乳酸、レブリン酸等の酸、塩基等の酸、ペンタン、ジメチルホルムアミド、ブタン、脂質等、をこれらに限定されずに、単独又はこれらの組み合わせた溶媒を含むことができる。より好ましくは0.01%~95%w/w又はw/vの範囲で含むことができる。本開示の製剤は、製剤の約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、約80%、及び約95%の濃度の溶媒を含むことができる。例示的な実施形態では、本開示の製剤は、約1~20%、約5%~25%、約10%~約20%、又は約15%~約18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約63.13%、及び約40%~約64%w/wの濃度の溶媒を含むことができる。本開示の例示的な製剤では、溶媒は約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の濃度である。
【0084】
本開示の経口製剤は、当業者に公知である以下の:天然重合体寒天、アルギン酸及びその誘導体、カシアトラ、コラーゲン、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、ペクチン、カリウムカラギーナン、ナトリウムカラギーナン、トラガカンス、キサンタンガム、コパルガム、キトサン、樹脂等)のこれらに限定されないその誘導体、セルロース及びその誘導体に限定されないような半合成重合体及び(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)のこれらに限定されないその誘導体、カルボキシビニル重合体又はカルボマー等のそれらに限定されない合成重合体及びその誘導体(カルボポール940、カルボポール934、カルボポール971p NF)、ポリエチレン及びその共重合体等、(ケイ酸塩、ベントナイト)、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、アクリル重合体(オイドラギット)、アクリル酸エステル、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、(PVP、コリドン30、ポロキサマー)、イソブチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、合成ゴム、(bio psa 4302、bio-psa 4202等)等のシリコーン重合体等の感圧接着剤、(duro-tak 87-2156、duro-tak 387-2287、duro-tak 87-9301、duro-tak 387-2051等)等のアクリル感圧接着剤、(ポリイソブチレン低分子量、中分子量ポリイソブチレン、分子量35000ポリイソブチレン等)等のポリイソブチレン、アクリル系共重合体、ゴム系接着剤、ホットメルト接着剤、スチレン-ブタジエン共重合体、ベントナイト、すべての水及び/又は有機溶媒膨潤性重合体等、をこれらに限定されずに、単独又はこれらの組み合わせたゲル化剤及び/又は増粘剤及び/又は懸濁剤及び/又は重合体及び/又は接着性重合体及び/又は感圧接着性重合体を含むことができる。例示的な実施形態では、本開示の製剤は、製剤の約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、約80%、及び約95%の濃度のゲル化剤及び/又は増粘剤及び/又は懸濁剤及び/又は重合体及び/又は接着性重合体及び/又は感圧接着性重合体を含むことができる。例示的な実施形態では、本開示の製剤は、約1~20%、約5%~25%、約10%~約20%、又は約15%~約18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約63.13%、及び約40%~約64%w/wの濃度のゲル化剤及び/又は増粘剤及び/又は懸濁剤及び/又は重合体及び/又は接着性重合体及び/又は感圧接着性重合体を含むことができる。本開示の例示的な製剤では、ゲル化剤及び/又は増粘剤及び/又は懸濁剤及び/又は重合体及び/又は接着性重合体及び/又は感圧接着性重合体は、約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の濃度であり、より好ましくは0.1%~80%のw/w又はw/vの範囲である。
【0085】
本開示の経口製剤は、当業者に公知である以下の:スルホキシド及び類似の化学物質であって、例えば、これらに限定されない(ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、デシルメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド等)、アゾン、ピロリドン類であって、例えば、これらに限定されない(N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン等)、脂肪酸エステル類であって、例えば、これらに限定されない(モノラウリン酸プロピレングリコール、エタン酸ブチル、エタン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、エタン酸メチル、乳酸ラウリル、オレイン酸デシル、モノオレイン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ラウリン酸ラウリル等)、脂肪酸類であって、例えば、これらに限定されない(カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸等)、アルコール類、脂肪アルコール類及びグリコール類であって、例えば、これらに限定されない(オレイルアルコール、エタノール、ドデカノール、プロピレングリコール、グリセロール等)、エーテルアルコール類であって、例えば、これらに限定されない(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、尿素、トリアセチン等でこれに限定されないトリグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、脂肪アルコール類のエステル類、精油類、界面活性剤型促進剤であって、例えば、これらに限定されない(brij、ラウリル硫酸ナトリウム、tween、ポリソルベート)、テルペン、テルペノイド及び書籍「Percutaneous Penetration Enhancers」(Eric W.Smith,Howard I.Mailbach,2005.Nov,CRC press)で言及されているすべての浸透促進剤又は透過促進剤等、をこれらに限定されずに、単独又はこれらの組み合わせた透過促進剤を含むことができる。例示的な実施形態では、本開示の製剤は、製剤の約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、約80%、及び約95%の濃度の透過促進剤を含むことができる。例示的な実施形態では、本開示の製剤は、約1~20%、約5%~25%、約10%~約20%、又は約15%~約18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約63.13%、及び約40%~約64%w/wの濃度の透過促進剤を含むことができる。例示的な実施形態では、本開示の製剤の透過促進剤は、約1質量%~20質量%、好ましくは5質量%~25質量%、より好ましくは10質量%~20質量%、の濃度であり、より好ましくは0.01%~95%のw/w又はw/vの範囲である。
【0086】
ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを除く表1の全成分を18時間撹拌しながら混合した。次に、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンを添加剤混合物に加え、最終的な経口製剤を調製した。
【実施例3】
【0087】
口腔パッチを作成するための例として、組成物HCQ及び/又はCQ 1を用いた、以下の工程が提供される。上記の材料を18時間かき混ぜた後、市販のベンチトップスプレッダーを用いて、8x14インチの剥離ライナー(3M 9744等)のシートにマトリクスを0.5mmの厚さに均等に広げる。
【0088】
次に、シートを110°Fのオーブンに一時間入れ、酢酸エチル接着溶媒を蒸発させる。次に、光や酸化的劣化を抑制するために酸素透過性の低い不透明な支持膜(3M 9730NRフィルム等)を、気泡や空隙の形成を避けるために手で慎重に塗布する。円形のダイス(直径1.5インチ)を用いて、その後の研究でパッチ(7平方cm)に切断する。乾燥後の薬物接着マトリクスの表面密度は5~30mg/sqcmで、0.1~20%w/wのヒドロキシクロロキンを含む。
【実施例4】
【0089】
次に、調製した経口製剤を以下のようにフラックス測定試験にかけた。-80°Cで保存されたヒト死体の皮膚を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で、室温で解凍し、研究で用いる前に、欠陥がないか目視検査した。次に、円筒状ドナーコンパートメントと13mLの容量の他のウォータージャケット付き円筒状受容体コンパートメントを含む標準的なフランツ拡散細胞を用いて、経皮流束を測定した。死体の皮膚を、真皮側を受容体コンパートメントに向けて2つの区画の間にクランプした。ドナーコンパートメントを、上記のように調製された経皮ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン製剤で充填した。受容体コンパートメントを受容体培地で充填し、一定の温度で保持し、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンが皮膚を介して受容体コンパートメントに拡散する際に、それを収集するために絶えず撹拌した。受容液が常に皮膚に接触していることを確認することが重要である。ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの分析のために24時間間隔で受容体コンパートメントを空にし、新鮮な受容体溶液に置換した。受容体コンパートメントのシンク状態を維持するためには、受容体コンパートメント内のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキンの濃度を溶解度の10%未満に保つことが重要である。
【0090】
本開示の経口製剤は、当業者に公知である以下の:グリセロール及びそのエステル、リン酸エステル、グリコール誘導体、糖アルコール、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、酒石酸エステル、アジピン酸塩、フタル酸エステル、トリアセチン、オレイン酸エステル等の可塑剤、並びに、書籍『Handbook of Plasticizers』(George Wypych,2004,Chem Tec Publishing)で言及されている経口薬物送達システムで用いられうるすべての可塑剤を、単独又はそれらの組み合わせで当業者に公知である可塑剤を含めることができる。本開示の製剤は、製剤の約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、及び約80%の濃度の可塑剤を含むことができる。例示的な実施形態では、本開示の製剤の可塑剤は、約1~20%、約5%~25%、約10%~約20%、又は約15%~約18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約63.13%、及び約40%~約64%w/wの濃度である。より好ましくは例示的な実施形態では、本開示の製剤の可塑剤は、約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の濃度である。より好ましくは0.01%~95%のw/w又はw/vの範囲である。
【実施例5】
【0091】
本開示の経口製剤は、当業者に公知である以下の:ワセリン、ラノリン、鉱油、ジメチコン、酸化亜鉛、グリセリン、プロピレングリコール及びその他を、単独又はそれらの組み合わせで当業者に公知である皮膚刺激軽減剤、保湿剤、皮膚刺激軽減剤及び類似の化合物又は化学物質を含めることができる。より好ましくは0.01%~95%のw/w又はw/vの範囲である。本開示の製剤は、製剤の約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、及び約80%の濃度の皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚刺激軽減剤及び類似の化合物を含むことができる。本開示の製剤は、約1~20%、約5%~25%、約10%~約20%、又は約15%~約18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約63.13%、及び約40%~約64%w/wの濃度の皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚刺激軽減剤及び類似の化合物を含むことができる。本開示の製剤の皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚刺激軽減剤及び類似の化合物は、約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の濃度であり、より好ましくは0.01%~95%のw/w又はw/vの範囲である。
【実施例6】
【0092】
本開示の経口製剤は、当業者に公知である以下の:(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80等)等のこれらに限定されないポリソルベート、(span80、span20等)等のこれらに限定されないスパン、(アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性)等のこれらに限定されない界面活性剤、モノカプリル酸プロピレングリコールI型、モノカプリル酸プロピレングリコールII型、ジカプリル酸プロピレングリコール、中鎖トリグリセリド、モノラウリン酸プロピレングリコールII型、リノレオイルポリオキシル6グリセリド、カプリルグリセリド、オレイルポリオキシル-1-6-グリセリド、ラウロイルポリオキシル6グリセリド、ポリグリセリル-3-ジオレイン酸、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド等、シクロデキストリン等を、単独又はそれらの組み合わせで当業者に公知である可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤及びこれらに類する化合物又は化学物質を含めることができる。より好ましくは0.01%~95%のw/w又はw/vの範囲である。本開示の製剤は、製剤の約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、及び約80%の濃度の可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤及びこれらに類する化合物又は化学物質を含めることができる。本開示の製剤は、約1~20%、約5%~25%、約10%~約20%、又は約15%~約18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約63.13%、及び約40%~約64%w/wの濃度の可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤及びこれらに類する化合物又は化学物質を含めることができる。本開示の製剤の可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤及びこれらに類する化合物又は化学物質は、約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の濃度であり、より好ましくは0.01%~95%のw/w又はw/vの範囲である。
【実施例7】
【0093】
製剤中の活性薬剤の安定性及び/又は溶解性を高めるために、コーティング、カプセル化、マイクロカプセル化、ナノカプセル化、凍結乾燥、キレート剤、錯化剤等に制限されることなく、異なる技術及び成分を用いることができる。
【実施例8】
【0094】
本開示の経口製剤は、当業者に公知である以下の:リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤等、かつ、(カルボン酸、無機酸、スルホン酸、ビニル性カルボン酸その他)等のこれらに限定されない酸、(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム)等のこれらに限定されない塩基等を、単独又はそれらの組み合わせで当業者に公知であるpH緩衝補助剤及びpH安定剤、並びこれらに類似化合物であって、製剤のpHを、好ましくは、4.0~8.0の範囲内に、維持するのに役立つ化合物を含めることができる。より好ましくは0.01%~30%のw/w又はw/vの範囲である。本開示の製剤は、製剤の約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、及び約80%の濃度のpH緩衝補助剤及びpH安定剤、並びこれらに類似化合物を含めることができる。本開示の製剤は、約1~20%、約5%~25%、約10%~約20%、又は約15%~約18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約63.13%、及び約40%~約64%w/wの濃度のpH緩衝補助剤及びpH安定剤、並びこれらに類似化合物を含めることができる。本開示の製剤のpH緩衝補助剤及びpH安定剤、並びこれらに類似化合物は、約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の濃度であり、より好ましくは0.01%~30%のw/w又はw/vの範囲である。
【実施例9】
【0095】
本開示の経口製剤は、当業者に公知である以下の:(メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸、BHA、BHT)、酸化剤、安定剤、変色剤、防腐剤及び安定剤を得るのに役立つ当業者に公知である類似の化合物又は化学物質等の抗酸化剤等を、単独又はそれらの組み合わせで当業者に公知である抗酸化剤を含めることができる。より好ましくは0.01%~50%のw/w又はw/vの範囲である。本開示の製剤は、製剤の約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、及び約80%の濃度の酸化防止剤を含めることができる。本開示の製剤は、約1~20%、約5%~25%、約10%~約20%、又は約15%~約18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約63.13%、及び約40%~約64%w/wの濃度の酸化防止剤を含めることができる。本開示の製剤の酸化防止剤は、約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の濃度であり、より好ましくは0.01%~50%のw/w又はw/vの範囲である。
【実施例10】
【0096】
本開示の経口製剤は、当業者に公知である軟膏及び/又はクリームベース及び/又はゲル及び/又はフィルム形成製剤及び/又は経皮マトリクス製剤及び/又は接着剤中マトリクスパッチ及び/又はマトリクスパッチにおいて製剤化することができる。
【実施例11】
【0097】
本開示のパッチ形態の経口送達システムを作製するための材料は、当業者に公知の以下の:例えば、リザーバパッチ、マトリクスパッチ、接着剤中の薬剤、フィルム形成製剤、マイクロドージング経口パッチ、経口フィルム等であり、かつ、これらに限定されないが、重合体、共重合体、誘導体、支持フィルム、剥離膜、剥離ライナー等を、単独又はそれらの組み合わせで含むことができる。感圧接着剤(これらに限定されない、シリコーン重合体、ゴム系接着剤、アクリル重合体、アクリル系共重合体、ポリイソブチレン、アクリル酸イソオクチルアクリル酸共重合体、ホットメルト接着剤、ポリブチレン等)、支持フィルム(これらに限定されない、エチレン酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、金属箔、ポリエステル、アルミ化ドフィルム、ポリエチレン等)、剥離膜(これらに限定されない、マイクロポーラスポリエチレン膜、マイクロポーラスポリプロピレン膜、速度制御エチレン酢酸ビニル共重合体膜等)、離型ライナー(これらに限定されない、シリコン型ポリエステルフィルム、フルオロ重合体コーティングされたポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム、シリコン型ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、及びテープ等である。
【0098】
本開示の経口製剤及び/又は経口送達システムは、関節リウマチ及び/又はマラリア及び/又はエリテマトーデス及び/又はSARS CoV感染及び/又は晩発性皮膚ポルフィリン症予防の治療及び/又は予防に必要なヒト血漿中に、活性薬剤、ヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及びその誘導体の少なくとも治療有効量を、単独又は組み合わせて、送達することができる。治療上有効な活性薬剤であるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、及び/又はその誘導体の用量とは、関節リウマチ及び/又はマラリア及び/又はエリテマトーデス及び/又はSARS CoV感染及び/又は晩発性皮膚ポルフィリン感染症の治療及び/又は予防に必要なヒト血漿中の治療濃度をいう。さらに、経口製剤又は経口送達システムにおけるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及びその誘導体の正確な治療有効用量は、患者の状態等の要因に基づいて当業者が決定することができるが、これらに限定されない。経口製剤又は経口送達システムは、異なる用量強度及びパッチサイズで利用可能であり、患者の要求に基づいて最適な治療結果が達成される。
【0099】
さらに他の実施形態では、本開示の経口製剤及び/又は経口送達システムは、少なくとも治療有効用量のヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及びその誘導体を送達することができる。活性薬剤であるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン、及びその誘導体の治療上有効な用量とは、関節リウマチ及び/又はマラリア及び/又はエリテマトーデス及び/又はSARS CoV感染及び/又は晩発性皮膚ポルフィリン症の治療及び/又は予防及び/又は管理に必要なヒト血漿中の活性薬剤の治療濃度をいう。
【0100】
活性薬剤であるヒドロキシクロロキン及び/又はクロロキン及びその誘導体の経口製剤又は経口パッチは、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、約8日~約13日の範囲で1回、2週間に1回、15日に1回のいずれかの用法や用量で粘膜表面に塗布することができる。
【実施例12】
【0101】
感圧接着剤製剤:
【0102】
【表2】
本剤の製剤は、これに限定されるものではない。
【0103】
開示は、その具体例を参照して詳細に説明されているが、その精神と範囲を逸脱することなく、そこに様々な変更及び修正を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0104】
参考資料:
【0105】
【0106】
【表4】
本発明は、その具体例を参照して詳細に説明されているが、その精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】