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特表2023-520863限外ろ過およびイオン交換によるスラリー銅廃液の処理
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】限外ろ過およびイオン交換によるスラリー銅廃液の処理
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20230515BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20230515BHJP
   B01D 61/18 20060101ALI20230515BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20230515BHJP
   B01D 61/22 20060101ALI20230515BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20230515BHJP
【FI】
C02F1/44 E
B01D61/14 500
B01D61/18
B01D65/02
B01D61/22
C02F1/44 A
C02F1/44 D
C02F1/42 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558341
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 US2021026096
(87)【国際公開番号】W WO2021207298
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/006,269
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513180152
【氏名又は名称】エヴォクア ウォーター テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Evoqua Water Technologies LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】フランク エル ササマン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ダブリュー マーティン
【テーマコード(参考)】
4D006
4D025
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006JA67Z
4D006KA72
4D006KB11
4D006KB13
4D006KC03
4D006KC13
4D006KC16
4D006KD11
4D006KD17
4D006KE02R
4D006KE07P
4D006KE07R
4D006KE12R
4D006KE15Q
4D006KE15R
4D006MA02
4D006MA21
4D006MC63
4D006PA01
4D006PB08
4D006PB70
4D006PC01
4D025AA09
4D025AB23
4D025BA10
4D025BA17
4D025BB01
4D025CA10
4D025DA05
(57)【要約】
溶解銅および0.75μm未満の数加重平均サイズを有する研磨粒子を含む、銅CMPプロセスからの廃棄物ストリームを処理する方法は、廃棄物ストリームを供給タンクに導入すること、廃棄物ストリームを供給タンクから限外ろ過モジュールに流すこと、廃棄物ストリームを限外ろ過モジュールの膜を通してろ過し、固体の少ないろ過液を形成すること、限外ろ過モジュールから固体の少ないろ過液をイオン交換ユニットに導き、溶解銅を除去し、廃棄物ストリームの銅濃度より低い銅濃度を有する処理水溶液を製造すること、膜限外ろ過モジュールを逆洗して限外ろ過モジュールの膜からスラリー固体を除去すること、および、除去されたスラリー固体を処理水溶液と組み合わせて、環境への排出に適した銅濃度を有する混合排出ストリームを形成することを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮した溶解銅および0.75μm未満の数加重平均サイズを有する研磨粒子を含むスラリー固体を含む、銅化学機械研磨プロセスからの水性廃棄物ストリームを処理する方法であって、
水性廃棄物ストリームを供給タンクに導入すること、
水性廃棄物ストリームを供給タンクから限外ろ過モジュールに流すこと、
限外ろ過モジュールの膜を通して水性廃棄物ストリームをろ過し、固体の少ないろ過液を形成すること、
限外ろ過モジュールから固体の少ないろ過液をイオン交換ユニットに導き、溶解銅を除去し、水性廃棄物ストリームの銅濃度よりも低い銅濃度を有する処理水溶液を製造すること、
膜限外ろ過モジュールを逆洗し、限外ろ過モジュールの膜からスラリー固体を除去すること、および、
除去されたスラリー固体を処理水溶液と組み合わせて、環境への排出に適した銅濃度を有する混合排出ストリームを形成すること
を含む、方法。
【請求項2】
限外ろ過モジュールから固体の少ないろ過液をろ過液保持タンクに導き、ろ過液保持タンクから固体の少ないろ過液をイオン交換ユニットに導くことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
限外ろ過モジュールを逆洗することが、ろ過液保持タンクからの固体の少ないろ過液で限外ろ過モジュールの膜を逆洗することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
限外ろ過モジュールの逆洗に使用された固体の少ないろ過液および除去されたスラリー固体を逆洗保持タンクに導くことをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
逆洗保持タンク内で、除去されたスラリー固体を沈降させることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
逆洗保持タンクから供給タンクに上澄みを導くことをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
供給タンク内で水性廃棄物ストリームのpHを調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
供給タンク内で水性廃棄物ストリームのpHを調整することは、水性廃棄物ストリームのpHを約3のpHに調整することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
限外ろ過モジュールの膜を通して水性廃棄物ストリームをろ過することが、限外ろ過モジュールの入口圧力を1平方インチ当たり約1.5ポンド未満に維持しながら、1日当たり膜面積1平方フィート当たり約40ガロン(GFD)の水性廃棄物ストリームを限外ろ過モジュールの膜を通してろ過することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
限外ろ過モジュールの逆洗が、ろ過および逆洗の各サイクルにおいて水性廃棄物ストリームをろ過する所定時間の後に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
水性廃棄物ストリームを供給タンクに導入することが、0.50μm以上のサイズを有する研磨粒子の濃度が少なくとも10/mlである水性廃棄物ストリームを導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
濃縮した溶解銅および0.75μm未満の数加重平均サイズを有する研磨粒子を含むスラリー固体を含む、銅化学機械研磨プロセスからの水性廃棄物ストリームの処理を容易にする方法であって、
限外ろ過モジュール、イオン交換モジュール、および逆洗保持タンクを準備すること、
限外ろ過モジュールをイオン交換モジュールの上流に流体的に接続すること、
逆洗保持タンクを限外ろ過モジュールの逆洗出口に流体的に接続すること、
逆洗保持タンクの固体出口をイオン交換モジュールの出口に流体的に接続すること、および、
逆洗保持タンクの上澄み液出口を限外ろ過モジュールの入口に流体的に接続すること
を含む、方法。
【請求項13】
濃縮した溶解銅および0.75μm未満の数加重平均サイズを有する研磨粒子を含むスラリー固体を含む、銅化学機械研磨プロセスからの水性廃棄物ストリームを処理するシステムであって、
水性廃棄物ストリームの供給源に流体的に接続可能な供給タンクと、
供給タンクの出口に流体的に接続可能な入口を有する限外ろ過ユニットと、
イオン交換ユニットを通過するストリームから銅を除去するように操作可能な媒体を含み、限外ろ過ユニットのろ過液出口に流体的に接続可能な入口を有するイオン交換ユニットと、
限外ろ過ユニットの逆洗出口に流体的に接続可能な入口、イオン交換ユニットの精製水出口に流体的に接続可能な沈降固体出口、および供給タンクに流体的に接続可能な上澄み出口を有する逆洗保持タンクと
を含む、システム。
【請求項14】
限外ろ過ユニットのろ過液出口とイオン交換ユニットの入口との間に流体的に接続可能なろ過液保持タンクをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
ろ過液保持タンクから限外ろ過ユニットを通り、逆洗保持タンクへろ過液を導くように構成された逆洗ポンプをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、該システムに、
水性廃棄物ストリームを供給タンクに導入すること、
水性廃棄物ストリームを供給タンクから限外ろ過ユニットへ流すこと、
水性廃棄物ストリームを限外ろ過ユニットの膜を通してろ過し、固体の少ないろ過液を形成すること、
限外ろ過ユニットからイオン交換ユニットを介して固体の少ないろ過液を導き、水性廃棄物ストリームの銅濃度より低い銅濃度を有する処理水溶液を製造すること、
限外ろ過ユニットの膜を逆洗して、限外ろ過ユニットの膜からスラリー固体を除去すること、および、
除去され、保持された固体を処理水溶液と組み合わせて、環境への排出に適した銅濃度を有する混合排出ストリームを形成すること
を含む方法を実行させるように構成されたコントローラをさらに含む、システム。
【請求項17】
コントローラが、システムに、除去されたスラリー固体を逆洗保持タンク内で沈降させるようにさらに構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
コントローラが、システムに、供給タンク内で水性廃棄物ストリームのpHを調整させるようにさらに構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
コントローラが、システムに、供給タンク内で水性廃棄物ストリームのpHを約3のpHに調整させるようにさらに構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
限外ろ過ユニットの入口圧力を1平方インチ当たり約1.5ポンド未満に維持しながら、限外ろ過ユニットの膜を通して1日当たり膜面積1平方フィート当たり約40ガロン(GFD)の水性廃棄物ストリームをシステムにろ過させるように、コントローラがさらに構成されている、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2020年4月7日に出願された「TREATMENT OF SLURRY COPPER WASTEWATER WITH ULTRAFILTRATION AND ION EXCHANGE」と題する米国仮特許出願シリアル番号63/006,269に対する35 U.S.C. §119(e)に基づく優先権を主張しており、その内容全体は参照により本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に開示される態様および実施形態は、廃棄物ストリームから1つ以上の金属種の濃度を低減するためのシステムおよび方法に関し、特に、化学機械平坦化廃棄物スラリーストリームから1つ以上の金属種を除去するためのシステムおよび装置に関するものである。
【発明の概要】
【0003】
一態様によれば、濃縮した溶解銅および0.75μm未満の数加重平均サイズを有する研磨粒子を含むスラリー固体を含む、銅化学機械研磨プロセスからの水性廃棄物ストリームを処理する方法が提供される。この方法は、水性廃棄物ストリームを供給タンクに導入すること、水性廃棄物ストリームを供給タンクから限外ろ過モジュールに流すこと、水性廃棄物ストリームを限外ろ過モジュールの膜を通してろ過して固体の少ないろ過液を形成すること、限外ろ過モジュールから固体の少ないろ過液をイオン交換ユニットを通して導き、溶解銅を除去して水性廃棄物ストリームの銅濃度よりも低い銅濃度を有する処理水溶液を製造すること、膜限外ろ過モジュールを逆洗して限外ろ過モジュールの膜からスラリー固体を除去すること、および、除去されたスラリー固体を処理水溶液と組み合わせて、環境への排出に適した銅濃度を有する混合排出ストリームを形成することを含む。
【0004】
いくつかの実施形態において、本方法は、限外ろ過モジュールからの固体の少ないろ過液をろ過液保持タンクに導くこと、および、ろ過液保持タンクからの固体の少ないろ過液をイオン交換ユニットに導くことを更に含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、限外ろ過モジュールを逆洗することは、ろ過液保持タンクからの固体の少ないろ過液で限外ろ過モジュールの膜を逆洗することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、本方法は、限外ろ過モジュールを逆洗するために使用された固体の少ないろ過液および除去されたスラリー固体を逆洗保持タンクに導くことをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、本方法は、逆洗保持タンクにおいて除去されたスラリー固体を沈降させることをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、本方法は、逆洗保持タンクから供給タンクへ上澄みを導くことをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、本方法は、供給タンク内で水性廃棄物ストリームのpHを調整することをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、供給タンク内で水性廃棄物ストリームのpHを調整することは、水性廃棄物ストリームのpHを約3のpHに調整することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、限外ろ過モジュールの膜を通して水性廃棄物ストリームをろ過することは、限外ろ過モジュールの入口圧力を1平方インチ当たり約1.5ポンド未満に維持しながら、1日当たり膜面積1平方フィート当たり約40ガロン(GFD)の水性廃棄物ストリームを、限外ろ過モジュールの膜を通してろ過することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、限外ろ過モジュールの逆洗は、ろ過および逆洗の各サイクルにおいて水性廃棄物ストリームをろ過する所定時間の後に実行される。
【0013】
いくつかの実施形態において、水性廃棄物ストリームを供給タンクに導入することは、0.50μm以上のサイズを有する研磨粒子の濃度が少なくとも10/mlである水性廃棄物ストリームを導入することを含む。
【0014】
別の態様によれば、濃縮した溶解銅および0.75μm未満の数加重平均サイズを有する研磨粒子を含むスラリー固体を含む、銅化学機械研磨プロセスからの水性廃棄物ストリームの処理を容易にする方法が提供される。本方法は、限外ろ過モジュール、イオン交換モジュール、および逆洗保持タンクを準備すること、限外ろ過モジュールをイオン交換モジュールの上流に流体接続すること、逆洗保持タンクを限外ろ過モジュールの逆洗出口に流体接続すること、逆洗保持タンクの固体出口をイオン交換モジュールの出口に流体接続すること、および、逆洗保持タンクの上澄み出口を限外ろ過モジュールの入口に流体接続することを含む。
【0015】
別の態様によれば、濃縮した溶解銅および0.75μm未満の数加重平均サイズを有する研磨粒子を含むスラリー固体を含む、銅化学機械研磨プロセスからの水性廃棄物ストリームを処理するためのシステムが提供される。このシステムは、水性廃棄物ストリームの供給源に流体的に接続可能な供給タンクと、供給タンクの出口に流体的に接続可能な入口を有する限外ろ過ユニットと、イオン交換ユニットを通過するストリームから銅を除去するように操作可能な媒体を含み、限外ろ過ユニットのろ液出口に流体的に接続可能な入口を有するイオン交換ユニットと、限外ろ過ユニットの逆洗出口に流体的に接続可能な入口、イオン交換ユニットの精製水出口に流体的に接続可能な沈降固体出口、および供給タンクに流体的に接続可能な上澄み出口を有する逆洗保持タンクと、を備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、システムは、限外ろ過ユニットのろ過液出口とイオン交換ユニットの入口との間に流体的に接続可能なろ過液保持タンクをさらに備える。
【0017】
いくつかの実施形態において、システムは、ろ過液保持タンクから限外ろ過ユニットを通り、逆洗保持タンクへろ過液を導くように構成された逆洗ポンプをさらに備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、システムは、水性廃棄物ストリームを供給タンクに導入すること、水性廃棄物ストリームを供給タンクから限外ろ過ユニットに流すこと、水性廃棄物ストリームを限外ろ過ユニットの膜を通してろ過して固体の少ないろ過液を形成すること、限外ろ過ユニットからの固体の少ないろ過液をイオン交換ユニットを通して導き、水性廃棄物ストリームの銅濃度よりも低い銅濃度を有する処理水溶液を製造すること、限外ろ過ユニットの膜を逆洗して、限外ろ過ユニットの膜からスラリー固体を除去すること、および、除去した保持固体を処理水溶液と組み合わせて環境へ放出するのに適した銅濃度を有する混合排出ストリームを形成することを含む方法をシステムに行わせるように構成されたコントローラをさらに備える。
【0019】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムに、除去されたスラリー固体を逆洗保持タンク内で沈降させるようにさらに構成される。
【0020】
いくつかの実施形態において、コントローラは、システムに、供給タンク内で水性廃棄物ストリームのpHを調整させるようにさらに構成される。
【0021】
いくつかの実施形態において、コントローラは、システムに、供給タンク内で水性廃棄物ストリームのpHを約3のpHに調整させるようにさらに構成される。
【0022】
いくつかの実施形態において、コントローラは、限外ろ過ユニットの入口圧力を1平方インチ当たり約1.5ポンド未満に維持しながら、限外ろ過ユニットの膜を通して1日当たり膜面積1平方フィート当たり約40ガロンの水性廃棄物ストリームをシステムにろ過させるようにさらに構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
添付の図面は、縮尺通りに描かれることを意図していない。図面において、様々な図に図示される各同一またはほぼ同一の構成要素は、同数の数字で表される。明確にするために、全ての構成要素が全ての図面においてラベル付けされるとは限らない。以下の図面において、
図1A図1Aは、銅(Cu)化学機械研磨(CMP)プロセスからの廃棄物スラリーのサンプル中の研磨材料の粒子の測定された粒子サイズを図示しており、
図1B図1Bは、CuCMPプロセスからの廃棄物スラリーのサンプル中の研磨材料の粒子の測定された濃度を図示しており、
図2図2は、本発明の1つ以上の実施形態に従ったCMPスラリー廃棄物処理システムの概略図であり、
図3図3は、一例のCuCMPスラリー廃棄物処理システムからの排出液中の全Cu濃度を求めるための計算を説明しており、
図4図4は、CuCMPスラリーの異なるサンプルをろ過するための限外ろ過器の様々な操作方法を評価するために使用されるシステムの構成を図示しており、
図5図5は、CuCMPスラリーのろ過および逆洗評価中の限外ろ過器への流体流入および流出方向を図示しており、
図6図6は、ろ過評価に使用される限外ろ過器の化学的に強化された逆洗におけるステップを図示しており、
図7A図7Aは、第1セットの条件下でCuCMPスラリーのろ過のために限外ろ過器を動作させている間の、時間対入口圧力のチャートであり、
図7B図7Bは、別の条件のセット下でCuCMPスラリーのろ過のために限外ろ過器を作動させている間の、時間対入口圧力のチャートであり、
図7C図7Cは、別のセットの条件下でCuCMPスラリーのろ過のために限外ろ過器を作動させている間の、時間対入口圧力のチャートであり、
図7D図7Dは、別のセットの条件下でCuCMPスラリーのろ過のために限外ろ過器を作動させている間の、時間対入口圧力のチャートであり、
図7E図7Eは、別のセットの条件下でCuCMPスラリーのろ過のために限外ろ過器を作動させている間の、時間対入口圧力のチャートであり、
図7F図7Fは、別のセットの条件下でCuCMPスラリーのろ過のために限外ろ過器を作動させている間の、時間対入口圧力のチャートであり、
図7G図7Gは、別のセットの条件下でCuCMPスラリーのろ過のために限外ろ過器を作動させている間の、時間対入口圧力のチャートであり、
図7H図7Hは、別のセットの条件下でCuCMPスラリーのろ過のために限外ろ過器を作動させている間の、時間対入口圧力のチャートであり、そして、
図7I図7Iは、別のセットの条件下でCuCMPスラリーのろ過のために限外ろ過器を作動させている間の、時間対入口圧力のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
半導体マイクロエレクトロニックチップ(マイクロチップ)製造会社は、マイクロチップ上の電子回路をより小さな寸法に縮小するための高度な製造プロセスを開発してきた。より小さな回路寸法は、単一のマイクロチップ上により小さな個々の最小特徴サイズまたは最小線幅を含む。最小特徴サイズまたは最小線幅を小さくすることで、より多くのコンピュータロジックをマイクロチップに搭載することができる。
【0025】
現代の多くの半導体製造プロセスでは、旧来のアルミニウムベースのプロセスの代わりに銅(Cu)を使用して、シリコンウエハ上にCuマイクロチップ回路を形成している。銅はアルミニウムよりも電気抵抗が低く、それにより、マイクロチップ内の電気伝導体にアルミニウムを利用するマイクロチップよりも、低発熱ではるかに速い速度で動作することができるマイクロチップを提供する。Cuは、超大規模集積回路(ULSI)および相補型金属酸化膜半導体(CMOS)シリコン構造体に導入され、これらのシリコン構造体上の相互接続材料、およびビア、およびトレンチとして利用されている。完全集積の多値集積回路マイクロチップでは、現在、Cuは好ましい相互接続材料である。
【0026】
ULSIシリコン構造体は、100万個を超えるトランジスタを含む集積回路である。CMOSシリコン構造体とは、同一基板上にn型金属酸化物半導体(N-MOS)とp型金属酸化物半導体(P-MOS)とのトランジスタを含む集積回路である。
【0027】
Cu金属層の化学的機械研磨(CMP)平坦化は、多くの現代の半導体製造プロセスの一部として使用されている。CMP平坦化により、マイクロチップのための平坦な基板作業面が得られる。現在の技術ではCuを効果的にエッチングできないため、半導体製造設備ツールでは、シリコンウエハの表面を準備するために研磨工程を採用している。
【0028】
集積回路の化学機械研磨は、半導体マイクロエレクトロニクスウエハの平坦化を含む。マイクロチップの局所的な平坦化は、化学的および機械的に動作して、約10μmまでの微細なレベルで表面を平滑化する。マイクロチップの全体の平坦化は、約10μm以上の高さにまで及ぶ。CMP平坦化装置は、後続の精密集積回路製造ステップの前に材料を除去するために使用される。
【0029】
CMP平坦化プロセスは、酸化剤、研磨剤、錯化剤、および他の添加物からなる研磨スラリーを含む。研磨スラリーは、研磨パッドと一緒に使用され、ウエハから余分なCuを除去する。化学的/機械的スラリーでウエハを研磨することにより、シリコン構造体からシリコン、Cu、および各種微量金属を除去する。化学的/機械的スラリーは、研磨パッドと組み合わせて平坦化テーブル上のシリコンウエハに導入される。酸化剤およびエッチング液を導入し、物質の除去を制御する。ウエハからゴミを除去するために、脱イオン水によるリンス処理を行うことが多い。逆浸透膜(RO)からの超純水(UPW)および脱イオン水もまた、シリコンウエハをリンスするために半導体製造設備ツールで使用することができる。
【0030】
CMP平坦化プロセスでは、プロセス水にCuが導入される。政府の規制機関は、CMP平坦化プロセスからの廃液について、CMP平坦化が電気めっきプロセスではないにもかかわらず、電気めっきプロセスからの廃液についてと同様に厳しく規制を書き込んでいる。
【0031】
廃液中の溶液中のCuイオンは、許容される廃液処理のために副産物である研磨スラリーから除去されることが望ましい。
【0032】
マイクロチップのCMP平坦化により、約1から100mg/lのレベルでCuイオンを含む副産物「研削」(研磨)スラリー廃水が生成される。マイクロチップの平坦化からの副産物研磨スラリー廃水は、約500から2000mg/l(500から2000ppm)のレベルで直径約0.01から1.0μmのサイズの研磨材料固体、例えば、シリカ、アルミナ、および/または1つ以上の他の金属酸化物も含有する。図1Aおよび1Bは、CuCMPプロセスからの廃棄物スラリーのサンプルにおいて観察された研磨材料の粒子の、粒子サイズおよび濃度を図示している。サンプル11194は、顧客のシステムにおいてpHを3.27に調整した後の廃Cu研磨スラリーストリームから採取したものである。サンプル38Cは、顧客の酸性化ステップの前に収集された廃Cu研磨スラリーストリームからのもので、試験室で硫酸を用いてpH4に酸性化されたものである。サンプル38Dは、顧客の酸性化ステップの前に収集された廃Cu研磨スラリーストリームからのもので、試験室で硫酸を用いてpH3に酸性化されたものである。サンプル39A1は、廃Cu研磨スラリーストリームのサンプルで、高固形分条件を模擬するために試験室でバージンスラリー(3.35mL/L)をスパイクしたものである。バージンスラリーを添加した後のこのサンプルのpHは7.0だった。サンプル39A2は、廃Cu研磨スラリーストリームのサンプルで、これも高固形分条件を模擬するために試験室でバージンスラリー(3.35mL/L)をスパイクしたものである。このサンプルのpHは、硫酸でpH3に調整された。図1の表から分かるように、バージンスラリーをスパイクしていない各サンプルについて、数加重平均粒子サイズは0.75μm未満であった。
【0033】
過酸化水素(H)からなる酸化剤は、典型的には、CMPプロセス中にマイクロチップからCuを溶解させるのを助けるために使用される。従って、約300ppm以上のレベルの過酸化水素(H)も副産物研磨スラリー廃水中に存在し得る。
【0034】
クエン酸またはアンモニアのようなキレート剤も、Cuを溶液中に維持することを容易にするために副産物研磨スラリー中に存在し得る。
【0035】
CMPスラリー廃水は、リンスストリームを含めて約10gpmの流量でいくつかのCMPツールから排出される。このCMPスラリー廃水は、約1から100mg/lの濃度で溶解したCuを含み得る。
【0036】
複数の工具を操作する製造施設は、典型的には、製造施設の流出口に排出されたときに環境上の懸念となるのに十分な量のCuを発生させるであろう。製造施設の廃水処理システムに導入する前に、CuCMP廃水中に存在するCuの排出を制御するための処理プログラムが望まれている。
【0037】
半導体製造施設における廃水処理システムは、しばしば、pH中和およびフッ化物処理を特徴とする。「配管末端」処理システムは、典型的には、Cuのような重金属を除去するための装置を含んでいない。Cu除去のための点源処理を提供するための装置および方法は、高価な配管末端Cu処理システムを設置する必要性を解決するであろう。
【0038】
廃棄物溶液の特徴と同様に装置の物流を考慮すると、コンパクトであり、単一のCuCMPツールまたはCuCMPツールのクラスタの排出要件を満たすことができる点源Cu処理装置が望ましい。
【0039】
イオン交換技術は、大量の水から低レベルの汚染物質を濃縮して除去するのに有効である。また、イオン交換は、特定の汚染物質を除去するための廃水処理においても効果的に用いられている。イオン交換で廃水から特定の汚染物質を経済的に除去するためには、選択的な樹脂を利用するか、除去しなければならない特定のイオンに対してイオン選択性を持たせることが重要であることが多い。1980年代には、多くのイオン交換樹脂メーカーが選択的な樹脂を開発した。これらのイオン交換樹脂は、特定のイオンに対して、従来のカチオン樹脂およびアニオン樹脂よりも高い容量と高い選択性とを有するため、広く受け入れられた。
【0040】
カチオン選択性樹脂は、グルコン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、およびアンモニアなどの錯化剤、ならびに一部の弱いキレート化合物を含む溶液から遷移金属を除去する能力を実証している。これらの選択性樹脂はキレート樹脂と呼ばれ、イオン交換部位が遷移金属を掴んで付着させる。キレート樹脂は錯化剤または弱いキレート化学物質との間の化学結合を切断する。
【0041】
イオン交換樹脂は、溶液からCuイオンを引き抜くために使用される。
【0042】
銅スラリーを含む廃水は、溶解したCuを除去するためにイオン交換で処理され得る。通常、スラリーはイオン交換カラムを詰まらせることなく通過する。しかしながら、最近、以前に利用されていたCuCMPスラリーよりも研磨剤粒子サイズが小さい新しいCuCMPスラリーが利用されるようになってきている。この新しいスラリーを使用したCMPツールからの廃棄物ストリーム中の研磨剤粒子サイズ分布および濃度は、前述の図1Aおよび図1Bに示されている。この新しいタイプのスラリーの例を利用したCMPツールからの廃棄物ストリームは、通過する際にイオン交換システムを詰まらせることが観察されている。特定の理論に束縛されるものではないが、イオン交換システムを通過する前にpHが(3まで)低下すると、研磨粒子が互いに付着して成長し、目詰まりを引き起こすと考えられる。イオン交換システムにもかかわらず、より良いCu除去を得るために、pHは典型的に低下する。
【0043】
一実施形態では、限外ろ過器と濃縮タンクとからなるCu含有スラリーのイオン交換処理を可能にするシステムおよび方法が提案される。スラリーCu廃棄物は、限外ろ過器システムに入る。いくつかの実施形態では、限外ろ過器システムは、ろ過モードで32分、逆洗モードで2分、動作される。逆洗モードの間、ろ過液は、順方向流量の2倍の速度で限外ろ過器システムを通して逆処理され得る。いくつかの実施形態では、逆洗自体は約0.6分続く。残りの1.4分の間、限外ろ過器システムを通しての順流または逆流はない。逆洗サイクルの間、限外ろ過器システムによって除去されたあらゆる固体は、限外ろ過器システムから洗い流される。逆洗は濃縮タンクに導かれ、そこで固体が沈降する。固体の沈降は数秒のうちに起こり得る。濃縮タンクの上澄み液(オーバーフロー)は、ほとんど固体がなく、限外ろ過器に戻されることがある。固体は、イオン交換システムの排出液にゆっくりと流すことができる。これらの固体はまだいくらかのCu(例えば、約15mg/L)を含んでいるが、その量は沈降により十分に減少しており、イオン交換排出液/スラリー固体排出物の組み合わせにおけるCuの著しい増加を引き起こすことはない。イオン交換排出液中のCuを0.1mg/Lと仮定すると、沈殿したスラリー固体をイオン交換排出液と混合した後のCuレベルは0.145mg/Lとなり、それでも多くの管轄区域で用いられている排出目標0.5mg/Lより十分に低い。
【0044】
図2を参照すると、本システムの動作は以下の通りである。
【0045】
流入するCu含有CMPスラリー廃棄物ストリーム105は、供給タンク110に導入される。CMPスラリー廃棄物ストリーム105は、供給タンク110に導入される前に、約3のpHを有するようにpH調整によって前処理されたものであってよい。加えてまたは代替的に、CMPスラリー廃棄物ストリーム105は、pH調整剤140の供給源(例えば、水酸化ナトリウムの硫酸)からのpH調整剤の供給タンク110への導入により、供給タンク110内で所望のpH、例えば、約3にpH調整されてもよい。順流運転中、Cuスラリー廃棄物は、供給タンク110から供給ポンプ115を経て限外ろ過器モジュール120に流入する。Cuスラリー廃棄物は、限外ろ過器モジュール120の膜を通してろ過され、固体の少ないろ過液が生成する。いくつかの実施形態では、限外ろ過器モジュール120の膜は、0.02μmの孔径を有するポリエーテルスルホン膜である。限外ろ過器120からのろ過液は、ろ過液保持タンク125に導かれ、そこからCuイオン交換システム130を通してポンプで送られる。Cuイオン交換システム130は、LEWATIT(登録商標)TP207弱酸性、キレート性イミノ二酢酸基を有するマクロポーラスイオン交換樹脂(Sybron Chemicals Inc., a LANXESS Company, Birmingham, N.J)などの樹脂、あるいは参照によりここに組み込まれる米国特許第7,488,423号に開示されるような他の樹脂および/またはシステム構成要素を利用してもよく、米国特許第7,488,423号に開示されるように動作させることができる。
【0046】
設定された間隔(例えば、32分ごと)で、限外ろ過器は、ろ過液保持タンク125からのろ過液を使用して逆洗される。限外ろ過器120で除去されたスラリー固体を含む逆洗は、逆洗保持タンク135に導かれる。逆洗保持タンク135は、汚泥濃縮タンクとほぼ同様に動作する。固体が収集されるとき、それらは沈降させられる。結果として生じる上澄み液は、供給タンク110に戻される。上澄み液は、いくらかの残留固体を含む可能性があるので、イオン交換システム130にではなく、供給タンク110に送られる。
【0047】
逆洗保持タンク135内の固体は沈降する。濃縮/沈降した固体は、次に、制御された速度でイオン交換システムの排出液にポンプで送られる。ここで、それらは、イオン交換システム130からの、今やCuフリーな(または本質的にCuフリー、例えば0.1mg/L以下の溶解Cuを有する)排出液と再び組み合わされて、排出される。固体はまだいくらかの浸入型Cuを含むが、それらの量が著しく減少しているので、組み合わされた排出物中のCuは重要ではなく、組み合わされた排出物は多くの管轄区域で環境に排出され得る。
【0048】
固体は、浸入型Cuをまだ含んでいるので、逆洗保持タンク135中で濃縮される。計算は、固体が再導入されるとき、イオン交換システム排出物中の全体的なCuレベルがわずかに増加するだけであることを示す。一例のシステムの計算は図3に示されており、15mg/LのCuを含む廃棄物ストリームを供給した場合、システムからの最終混合排出物中のCuの総濃度は0.145mg/Lであり、最終混合排出物中のCu濃度は、廃棄物ストリーム中の初期濃度の1%未満であることを示している。
【0049】
システムは、本明細書に開示される方法の実施形態を実行するために、システムの異なるバルブV、ポンプ、およびpH調整剤140の供給源を制御するコンピュータ化されたコントローラ145を含んでもよい。コントローラ145とバルブ、ポンプ、およびpH調整剤の供給源との間の接続は、図示を容易にするために示されていない。
【実施例
【0050】
(実施例-限外ろ過試験)
(サンプルの説明)
いくつかのCuCMPスラリーサンプルを受け取り、評価した。以下のリストは、サンプル(体積およびラベル)について詳述する。
(サンプル# 容量 ラベル)
11190 2x1L D1X SCWスラリーサンプル
11193 1x55gal 流入液
11245 1x55gal D1X SCW流入液、pH約9.5
11244 1x2.5gal D1X SCWスラリーサンプル(PL8109)-1A
11245 1x2.5gal D1X SCWスラリーサンプル(PL8109)-1B
11246 1x2.5gal D1X SCWスラリーサンプル(Cu4545)-2A
11247 1x2.5gal D1X SCWスラリーサンプル(Cu4545)-2B
【0051】
(限外ろ過器の説明)
異なる試験サンプルの処理方法の評価に使用した限外ろ過器は、9mmのチャンネルを7本持つシングルマルチボアのポリエーテルスルホンチューブを含んでいた。
【0052】
以下は、試験に使用した限外ろ過器の一般的な説明である。実験セットアップの図が図4に示されている。
(限外ろ過器―膜)
- 構造材料 ポリエーテルスルホン(PES)
- 数量 1
- 表面積、合計 1.07平方フィート
- 流入ポンプタイプ 容積式
- 逆洗ポンプタイプ 容積式
(動作パラメータ)
- バックパルス頻度(分) 30から120
- バックパルス流量(GFD) 135
- 流入流量(GFD) 35から40
(運転モード)
以下のようないくつかの運転条件を検討した。
- 標準運転:デッドヘッドタイプの運転で、ろ過液のストリームのみが生成される。これは、36秒の逆洗を伴う32分のサイクルである。
- 長時間の運転:デッドヘッドタイプの運転で、ろ過液のストリームのみが生成される。脱イオン水リンス(逆洗で除去された固形分に銅が含まれていないことを確認するため)と脱イオン水逆洗を含む2時間サイクル。
- 長時間の運転フロースルー:2時間サイクルで、濃縮液から総流量の約25%で入口に戻るサイドストリームを再循環させる。再度、脱イオン水によるリンスで固体から銅を除去する。
ろ過および逆洗の間の限外ろ過器への流体流入および流出方向は、図5に示されている。
【0053】
(化学的に強化された逆洗)
入口圧力が約12PSIに達したら、膜を洗浄した。限外ろ過試験中に行われた洗浄は、化学的に強化された逆洗、または略してCEBであった。一般的に、これはろ過液の一部を取り、水酸化ナトリウムでpH12に調整することおよび/または硫酸でpH2に調整することを含む。そして、これらの溶液をCEB溶液として使用する。5から60分の浸漬期間があり、その後、通常のろ過液を使用して再度逆洗が行われ、運転プロセスが再開される。
【0054】
しかし、このテストでは、ろ過液中にCuが含まれているため、若干の修正が行われた。修正したプロセスを以下に詳述する。
- システムを通して脱イオン水を10分間流す。
- 水酸化ナトリウム溶液の逆洗を行う。
- 5から60分間浸漬する。
- 脱イオン水でリンスする。
- 硫酸溶液の逆洗を行う。
- 5分間浸漬する。
- 脱イオン水でリンスする。
- 運転再開(条件を変更する場合は、CEBが成功したことを確認するために、ベースとなる合成溶液を数時間運転する)する。
この化学的に強化された逆洗のステップは、図6に示されている。
【0055】
(運転条件)
試験された最初の数条件は、限外ろ過に使用するための実行可能性の決定のためのものであった。
【0056】
(条件1)
- ベース溶液:サンプル#11225
- スパイク溶液:3.35mL/Lスラリーサンプル#11190
- pH:そのままのpHからpH6.96
- 逆洗頻度:32分
- フロー:43GFD
- 総運転時間:4時間
【0057】
【表1】
【0058】
(条件2)
- ベース溶液:サンプル#11225
- スパイク溶液:3.35mL/Lスラリーサンプル#11190
- pH:3(pHを下げるために硫酸を使用)
- 逆洗頻度:32分
- フロー:43GFD
- 総運転時間:4時間
【0059】
【表2】
【0060】
(条件3)
- 試験の目的:UFが精密ろ過に代わる有効な手段であるかどうかを判断する。
- ベース溶液:硫酸銅および過酸化物を添加した脱イオン水、その後合成サンプルを使用した。
- スパイク溶液:スラリーサンプル#11244と#11245とを各3.35mL/Lで使用。
- pH:3(14mg/Lの硫酸が必要)
- 逆洗頻度:32分
- フロー:38GFD
- 総運転時間:10時間
【0061】
【表3-1】

【表3-2】

【表3-3】
【0062】
条件3の下で運転された限外ろ過器の時間対入口圧力のチャートが図7Aに示されている。入口圧力は、後続のろ過運転ごとに増加し、8時間/4回のろ過および3回の逆洗運転後に12psiの最高値に達した。
【0063】
(条件4)
- 試験の目的:逆洗の間の運転時間を延長する
- ベース溶液:銅および過酸化物を添加した脱イオン水
- スパイク溶液:スラリーサンプル#11244と#11245とを各3.35mL/Lで使用。
- pH:6
- 逆洗頻度:120分
- フロー:38GFD
- 総運転時間:9時間40分
【0064】
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】
【0065】
条件4の下で運転された限外ろ過器の時間対入口圧力のチャートが図7Bに示されている。入口圧力は、後続のろ過運転ごとに増加し、約10時間/5回のろ過および4回の逆洗運転後に12psi超の最高値に達した。
【0066】
(条件5)
- 試験の目的:フロースルーモードが運転を長くするかどうかを決定する
- ベース溶液:銅および過酸化物を添加した脱イオン水
- スパイク溶液:スラリーサンプル#11244と#11245とを各3.35mL/Lで使用。
- pH:6
- 逆洗頻度:120分
- フロー:38GFD
- 総運転時間:8時間
【0067】
【表5-1】

【表5-2】

【表5-3】
【0068】
条件5の下で運転された限外ろ過器の時間対入口圧力のチャートが図7Cに示されている。入口圧力は、その後のろ過運転ごとに増加し、約8時間/4回のろ過および3回の逆洗運転後に12psiに近い最高値に達した。
【0069】
(条件6)
- 試験の目的:標準運転モード
- ベース溶液:銅および過酸化物を添加した脱イオン水
- スパイク溶液:スラリーサンプル#11244と#11245とを各3.35mL/Lで使用。
- pH:6
- 逆洗頻度:32分
- フロー:38GFD
【0070】
【表6-1】

【表6-2】

【表6-3】
【0071】
条件6の下で運転された限外ろ過器の時間対入口圧力のチャートが、図7Dに示されている。入口圧力は、最初は後続のろ過運転ごとに増加し、4時間から16時間の間の運転では約1.2から1.3psiで安定したままであり、その後後続の運転とともに増加し始め、約18時間/34回のろ過および33回の逆洗運転後に1.4psiをわずかに上回る最高値に達している。
【0072】
(条件7)
- 試験の目的:逆洗上澄み液を供給タンクにデカントした標準運転モード
- ベース溶液:銅および過酸化物を添加した脱イオン水
- スパイク溶液:スラリーサンプル#11244と#11245とを各3.35mL/Lで使用。
- pH:6
- 逆洗頻度:32分
- フロー:40GFD
【0073】
【表7-1】

【表7-2】

【表7-3】

【表7-4】

【表7-5】
【0074】
条件7の下で運転された限外ろ過器の時間対入口圧力のチャートが図7Eに示されている。このチャートにおいて、21.91時間から27.31時間のデータは、ゲージの故障のため無効である。各ろ過運転終了時の最大入口圧力は約1.5psiでかなり安定したままであり、多くのろ過運転が運転7時間から13時間の間に低い最大入口圧力に達していることが分かる。
【0075】
(条件8)
- 試験の目的:すべての逆洗固体の再構成が、入口圧力を増加させるか、または運転の長寿命に影響を与えるかどうかを決定する。逆洗上澄み液を供給タンクにデカントした標準運転モード。逆洗固体を回収し、フィードに添加した。
- ベース溶液:銅および過酸化物を添加した脱イオン水
- スパイク溶液:スラリーサンプル#11244と#11245とを各3.35mL/Lで使用。
- pH:6
- 逆洗頻度:32分
- フロー:40GFD
【0076】
【表8-1】

【表8-2】

【表8-3】
【0077】
条件8の下で運転された限外ろ過器の時間対入口圧力のチャートが、図7Fに示されている。最大入口圧力は、当初、後続のろ過運転について約10psiまで増加したが、その後減少し、後続のろ過運転について約8psiでかなり安定したままであった。
【0078】
(条件9)
- 試験の目的:逆洗の間の1時間の運転が実行可能であるかどうかを決定する。
- ベース溶液:銅および過酸化物を添加した脱イオン水
- スパイク溶液:スラリーサンプル#11244と#11245とを各3.35mL/Lで使用。
- pH:6
- 逆洗頻度:60分
- フロー:40GFD
【0079】
【表9-1】

【表9-2】

【表9-3】
【0080】
条件9の下で運転された限外ろ過器の時間対入口圧力のチャートが、図7Gに示されている。入口圧力は、その後のろ過運転ごとに上昇し、約16時間/16回のろ過および15回の逆洗運転後に10psi超の最高値に達した。
【0081】
(条件10)
- 試験の目的:バイオグロースの蓄積の影響を調べるため、逆洗上澄み液をフィードタンクにデカントして、標準運転モードを繰り返す。
- ベース溶液:銅および過酸化物を添加した脱イオン水
- スパイク溶液:スラリーサンプル#11244と#11245とを各3.35mL/Lで使用。
- pH:6
- 逆洗頻度:32分
- フロー:40GFD
【0082】
【表10-1】

【表10-2】

【表10-3】

【表10-4】

【表10-5】
【0083】
条件10の下で運転された限外ろ過器の時間対入口圧力のチャートが、図7Hに示されている。入口圧力は、その後のろ過運転ごとに上昇し、約28.5時間の運転後に10.75psiの最高値に到達した。
【0084】
(条件11)
- 試験の目的:殺生物剤の添加が生物学的成長を妨げ、注入口圧力または運転寿命を阻害しないかどうかを決定する。
- ベース溶液:銅および過酸化物を添加した脱イオン水
- スパイク溶液:スラリーサンプル#11244と#11245とを各3.35mL/Lで使用。
- pH:6
- 逆洗頻度:32分
- フロー:40GFD
【0085】
【表11-1】

【表11-2】

【表11-3】

【表11-4】
【0086】
条件11の下で運転された限外ろ過器の時間対入口圧力のチャートが図7Iに示されている。入口圧力は、後続のろ過運転ごとに増加し、約26時間の運転後の運転で6.0から6.5psiの間の最高値に到達した。
【0087】
上記の例は、濃縮した溶解銅および0.75μm未満の数加重平均サイズを有する研磨粒子を含むスラリー固体を含む、銅化学機械研磨プロセスからの水性廃棄物ストリームをろ過処理するための、ならびに逆洗または化学洗浄によってフィルタ多孔性および入口圧力を回復するための開示された限外ろ過器の有効性を示すものであった。少なくともいくつかの条件下での動作、例えば、条件6および7は、限外ろ過器が各逆洗で回復して、ろ過および逆洗サイクルの延長した回数にわたってろ過中の最大入口圧力を約1.5psi未満に維持するために提供されたものである。
【0088】
本明細書で使用される言い回しおよび用語は、説明のためのものであり、限定的であると見なすべきではない。本明細書で使用されるように、用語「複数」は、2つ以上の項目または構成要素を指す。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「もつ(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」および「含む(involving)」は、書面の説明または請求項などにかかわらず、オープンエンド用語であり、すなわち「含むがそれには限定されない(including but not limited to)」を意味するものである。したがって、このような用語の使用は、その後に列挙された項目、およびその等価物、ならびに追加的な項目を包含することを意図している。「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、特許請求の範囲に関して、それぞれ、閉鎖式の、または半閉鎖式の移行句である。請求項要素を修飾するために請求項において「第一」、「第二」、「第三」などの序数を使用することは、それ自体、ある請求項要素の他の要素に対する優先順位、先行順位、または方法の行為が実行される時間順序を意味せず、単にある名前を有するある請求項要素と同じ名前を有する他の要素(ただし序数を使用)とを区別するためにラベルとして使用されているに過ぎない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
【国際調査報告】