(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】コーティングされたスポンジ
(51)【国際特許分類】
A61K 8/89 20060101AFI20230515BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230515BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230515BHJP
A61K 8/72 20060101ALI20230515BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230515BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20230515BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230515BHJP
A61M 35/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
A61K8/89
A61K8/02
A61K8/81
A61K8/72
A61K8/92
A61K8/25
A61Q1/00
A61M35/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558462
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 US2021015200
(87)【国際公開番号】W WO2021206784
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】スリヴァスタヴァ、ヤスミン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ショーナー、コディ
(72)【発明者】
【氏名】リウ、イーハン
【テーマコード(参考)】
4C083
4C267
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB082
4C083AB152
4C083AB171
4C083AC021
4C083AD021
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD511
4C083BB23
4C083BB31
4C083BB60
4C083CC02
4C083CC50
4C083DD47
4C083DD50
4C083EE05
4C083EE11
4C267AA62
4C267BB06
4C267CC01
4C267GG03
4C267GG11
4C267GG26
(57)【要約】
化粧料及び/又は医薬品塗布のためのスポンジは、表面コーティングでコーティングされる。表面コーティングは、エラストマー性の非シリコーンポリマー、特定のシリコーンポリマー、封入相変化材料、及び任意選択的にセラミック粒子を含有する。コーティングされたスポンジは、望ましい触覚特性を有し、皮膚に適用するために、メイクアップ及び薬剤を効率的に吸収及び放出する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然又は合成スポンジと、前記スポンジの少なくとも1つの表面に付着された、固体の水不溶性のエラストマー性の非シリコーンポリマーの硬化コーティングと、を含む物品であって、前記硬化コーティングが、(i)25℃で少なくとも百万mm
2/秒の動粘度及び/又はASTM926に従って測定した、少なくとも30のウイリアムス可塑度を有する少なくとも1つのシリコーンポリマーと、(ii)25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有する、封入相変化材料の粒子と、任意選択的に(iii)最大50μmの粒径を有するセラミック粒子と、を更に含み、前記シリコーンポリマーは、前記非シリコーンポリマー、前記シリコーンポリマー、前記封入相変化材料粒子、及び前記セラミック粒子の合計重量の2.5~30重量%を構成し、前記封入相変化材料は、前記非シリコーンポリマー、前記シリコーンポリマー、前記封入相変化材料粒子、及び前記セラミック粒子の合計重量の10~70重量%を構成し、前記セラミック粒子は、存在する場合、前記非シリコーンポリマー、前記シリコーンポリマー、前記封入相変化材料粒子、及び前記セラミック粒子の合計重量の、最大で25重量%を構成する、物品。
【請求項2】
前記硬化コーティングが、100~2500μmの厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記相変化材料が、ポリエチレンワックス、蜜蝋、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、サトウキビロウ、ホホバワックス、エピクチクラワックス、ココナツワックス、石油ワックス、又はパラフィンワックスなどの天然又は合成ワックスのうちの任意の1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記シリコーンポリマーが、(a)1千万mm
2/秒~7千5百万mm
2/秒の動粘度を有する少なくとも1つのポリ(ジメチルシロキサン)、(b)7千5百万mm
2/秒超かつ最大2億mm
2/秒、好ましくは最大1億5千万mm
2/秒の動粘度を有する少なくとも1つのポリ(ジメチルシロキサン)、又は(a)と(b)との混合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記シリコーンポリマーが、1千万mm
2/秒~7千5百万mm
2/秒の動粘度を有する、ヒドロキシル末端ポリ(ジメチルシロキサン)と、7千5百万mm
2/秒超かつ最大2億mm
2/秒の動粘度を有するビニル末端ポリ(ジメチルシロキサン)と、の混合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記セラミック粒子が存在し、前記セラミック粒子が、100~3000μmの粒径を有する窒化ホウ素又は窒化ケイ素粒子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記相変化材料が、前記エラストマー性の非シリコーンポリマー、前記シリコーンポリマー、前記封入相変化材料粒子、及び前記セラミック粒子の合計重量の30~50%を構成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記セラミック粒子が、前記エラストマー性の非シリコーンポリマー、前記シリコーンポリマー、前記封入相変化材料粒子、及び前記セラミック粒子の合計重量の4~15%を構成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記シリコーンポリマーが、前記エラストマー性の非シリコーンポリマー、前記シリコーンポリマー、前記封入相変化材料粒子、及び前記セラミック粒子の合計重量の10~20%を構成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記硬化コーティングが、23℃で液体であり、350~8000の重量平均分子量を有する親水性ポリマーを更に含有し、前記親水性ポリマーが、前記エラストマー性ポリマー、前記封入相変化材料粒子、前記セラミック粒子、及び前記親水性ポリマーの合計重量の0.1~15%を構成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
水及び/又は23℃で液体であり、標準圧力下で40~100℃の沸点を有する1つ以上の他の化合物を含有する液相と、前記液相に粒子又は液滴の形態で分散された水不溶性エラストマー性非シリコーンポリマーと、25℃で少なくとも百万mm
2/秒の粘度及び/又はASTM926に従って測定した少なくとも30のウイリアムス可塑度を有し、前記液相に分散された少なくとも1つのシリコーンポリマーと、前記液相に分散された封入相変化材料の粒子と、前記液相に分散されたセラミック粒子と、を含むコーティング組成物であって、前記シリコーンポリマーが、前記非シリコーンポリマー、前記シリコーンポリマー、前記封入相変化材料粒子、及び任意選択的に前記セラミック粒子の合計重量の5~30重量%を構成し、前記封入相変化材料が、前記非シリコーンポリマー、前記シリコーンポリマー、前記封入相変化材料粒子、及び前記セラミック粒子の合計重量の10~70重量%を構成し、前記セラミック粒子が、存在する場合、前記非シリコーンポリマー、前記シリコーンポリマー、前記封入相変化材料粒子、及び前記セラミック粒子の合計重量の、最大で25重量%を構成する、コーティング組成物。
【請求項12】
前記相変化材料が、ポリエチレンワックス、蜜蝋、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、サトウキビロウ、ホホバワックス、エピクチクラワックス、ココナツワックス、石油ワックス、又はパラフィンワックスのうちの任意の1つ以上を含み、前記セラミック粒子が存在し、前記セラミック粒子が、100~3000μmの粒径を有する窒化ホウ素又は窒化ケイ素粒子である、請求項11に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
23℃で液体であり、350~8000の重量平均分子量を有する親水性ポリマーを更に含み、前記親水性ポリマーが、前記エラストマー性ポリマー、前記封入相変化材料粒子、前記セラミック粒子、及び前記親水性ポリマーの合計重量の0.1~15%を構成する、請求項11又は12に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
コーティングされたスポンジを作製する方法であって、請求項11~13のいずれか一項に記載のコーティング組成物を、天然又は合成スポンジの少なくとも1つの表面に適用して、前記少なくとも1つの表面上にフィルムを形成することと、前記コーティング組成物を硬化させて、前記スポンジの少なくとも1つの表面上に前記コーティングを生成することと、を含む、方法。
【請求項15】
化粧料又は薬剤を皮膚に適用する方法であって、前記化粧料又は前記薬剤を、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品に適用することと、前記コーティングされた天然又は合成スポンジを適用された化粧料又は薬剤とともに前記皮膚に接触させて、前記化粧料又は前記薬剤を、前記コーティングされた天然又は合成スポンジから前記皮膚に移動させることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する用途、特に化粧料組成物を皮膚に適用及び/又は除去するために有用なスポンジに関する。
【0002】
スポンジは、一般に、人間の皮膚、特に顔及び手に化粧料を適用するため、及び/又は人間の皮膚から化粧料を除去するか、若しくは人間の皮膚を洗浄するために使用される。スポンジは、天然由来の種類のものであり得るが、より一般的には、ポリウレタン又はシリコーンポリマー発泡体などの合成ポリマー発泡体である。スポンジは、触覚特性を高め、皮膚への刺激を回避するように柔らかく設計され、かつメイクアップ及び他の化粧料を吸収するように親水性であるように設計されている。
【0003】
触覚特性は、消費者にとって非常に重要であるため、望ましい触覚特性をスポンジに付与することができる方法には大きな関心が寄せられている。そのような方法は、スポンジがそれらの基礎的機能を実行する能力、すなわち、皮膚に化粧料を適用する機能及び/若しくは皮膚から化粧料を除去する機能、並びに/又は皮膚を洗浄する機能を、不必要に妨害しないようにする必要がある。
【0004】
ワイプ、ティッシュ、及び他の顔用製品に冷却感覚を付与するために、様々なアプローチが提案されている。これらのアプローチの中には、米国特許第8,039,011号、同第8,894,814号、及び同第9,545,365号、並びに米国特許出願公開第2014/0242127号に記載されているものがある。これらは、ティッシュ又は皮膚に適用されるローションについて説明している。ローションは、例えば低融点ワックス及び他の低融点ポリマーなどの、相変化材料を含有する。米国特許第9,234,509号は、共有結合及び絡み合い機構を介して成形基材に結合するポリマー相変化材料でコーティングされた型成形品を記載している。
【0005】
米国特許出願公開第2016-223269号は、ポリマー相変化材料を含むポリマーフィルムを記載している。
【0006】
国際公開第2017/210439号は、封入相変化材料を含有する表面コーティングを有するポリウレタン発泡体を記載している。発泡体は、寝具材料、すなわち、マットレス、枕、及び類似のアイテムのために使用される。表面コーティングは、それらの製品の所望のセールスポイント特徴である「冷感タッチ」という特徴を付与するものである。
【0007】
本発明は、天然又は合成スポンジと、スポンジの少なくとも1つの表面に付着された固体の水不溶性のエラストマー性の非シリコーンポリマーの硬化コーティングと、を含む物品であって、その硬化コーティングが、(i)25℃で少なくとも百万mm2/秒の動粘度及び/又はASTM926に従って測定した、少なくとも30のウイリアムス可塑度を有する少なくとも1つのシリコーンポリマーと、(ii)25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有する、封入相変化材料の粒子と、任意選択的に(iii)最大50μmの粒径を有するセラミック粒子と、を更に含み、シリコーンポリマーは、非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の2.5~30重量%を構成し、封入相変化材料は、非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の10~70重量%を構成し、セラミック粒子は、それが存在する場合、非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の、最大で25重量%を構成する。
【0008】
コーティングされたスポンジは、皮膚に化粧料を塗布及び/又は肌から化粧料を除去するなどの化粧料用途に特に有用である。コーティングされたスポンジは、そのような用途において非常に望ましい触覚特性を有し、化粧料を皮膚に効果的に移動させる。同様に、コーティングされたスポンジは、皮膚に薬剤を塗布すること、及び/又は皮膚から異物を除去することを伴う医療用途に有用である。コーティングされたスポンジは、皮膚を洗浄するのに好適である。
【0009】
別の態様における本発明は、前述の物品を生成するのに有用なコーティング組成物である。コーティング組成物は、水及び/又は23℃で液体であり、標準圧力下で40~100℃の沸点を有する1つ以上の他の化合物を含有する液相と、液相に粒子又は液滴の形態で分散された水不溶性エラストマー性非シリコーンポリマーと、25℃で少なくとも百万mm2/秒の粘度及び/又はASTM926に従って測定した少なくとも30のウイリアムス可塑度を有し、液相に分散された少なくとも1つのシリコーンポリマーと、液相に分散された封入相変化材料の粒子と、任意選択的に、液相に分散されたセラミック粒子と、を含み、シリコーンポリマーは、非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の2.5~30重量%を構成し、封入相変化材料は、非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の10~70重量%を構成し、セラミック粒子は、存在する場合、非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の、最大で25重量%を構成する。
【0010】
本発明はまた、本発明のコーティングされたスポンジを作製する方法であって、前述のコーティング組成物を、天然又は合成スポンジの少なくとも1つの表面に適用して、その上に連続的又は不連続的なフィルムを形成することと、コーティング組成物を硬化させて、スポンジの少なくとも1つの表面上にコーティングを生成することと、を含む、方法である。
【0011】
本発明はまた、化粧料又は薬剤を皮膚に適用する方法であって、化粧料又は薬剤を本発明のコーティングされた天然又は合成スポンジに適用することと、コーティングされた天然又は合成スポンジを、適用された化粧料又は薬剤とともに、皮膚と接触させて、化粧料又は薬剤を、コーティングされた天然又は合成スポンジから皮膚に移動させることと、を含む、方法である。
【0012】
スポンジは、少なくとも、コーティングが適用される外面(単数又は複数の外面)に開放され、相互接続された細孔システムを有する、水不溶性で可撓性の細胞材料である。スポンジは、例えば海綿動物門のメンバーのような天然のスポンジ又は例えばLuffa aegyptiaca又はLuffa acutangulaのようなヘチマ属であり得る。あるいは、スポンジは、ポリマー材料から作製される非天然細胞材料であってもよく、ポリマー材料としては、例えばセルロース、ポリウレタンゴム、天然ゴム、シリコーンポリマー、共役ジエンのホモポリマー若しくはコポリマー(例えば、ブタジエン及び/又はイソプレンホモポリマー又はコポリマーであって、例としては、ブタジエン-スチレンポリマー及びイソプレン-スチレンコポリマーが挙げられる)、ポリクロロプレン、1つ以上のアクリレートモノマーのホモポリマー又はコポリマー(例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルアクリレートなどが挙げられる);イソブチレンのホモポリマー及び/又はコポリマー;ニトリルゴム;ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム;ネオプレンのホモポリマー又はコポリマーなどがある。ポリマー材料は、示差走査熱量測定によって測定される、0℃以下のガラス転移温度を有し得る。
【0013】
いくつかの実施形態におけるスポンジ(コーティングなし)は、23±2℃の温度で、5秒以下、好ましくは4秒以下の吸湿時間を示す。吸湿時間は、一定の重量に乾燥させた5.08×5.08×2.54cmのスキンレス試料で測定する。3mLの室温水をピペットからスポンジ試料の上面にゆっくりと滴下し、スポンジが水を吸収するのに必要な時間量を吸湿時間として記録する。
【0014】
スポンジ(コーティングなし)は、ASTMのD-3574に従って測定された場合、例えば、少なくとも24kg/m3、少なくとも32kg/m3、少なくとも36kg/m3、又は少なくとも40kg/m3の発泡体密度を有し得る。発泡体密度は、例えば、最大250kg/m3、最大200kg/m3、又は最大175kg/m3であり得る。
【0015】
スポンジ(コーティングなし)は、少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも100%の破断点伸びを示し得る。
【0016】
スポンジ(コーティングなし)は、ISO3386-1に従って測定された場合、40%圧縮で、0.4~15.0kPa、より好ましくは0.4~10kPa、0.4~5kPa、0.4~2.5kPa、又は0.4~1.5kPaの圧縮力たわみ(compression force deflection、CFD)値を示し得る。
【0017】
スポンジ(コーティングなし)は、ASTMのD-3574の反発弾性試験で最大70%、最大60%、最大50%、最大25%、最大20%、最大15%、又は最大10%の弾力性を示し得る。いくつかの実施形態では、スポンジは、20%~70%、40%~70%、又は50%~70%の弾力性を示す。
【0018】
いくつかの実施形態では、スポンジ(コーティングなし)は、最大で1秒、最大で0.25秒、又は最大0.1秒の回復時間を示す。本発明の目的のための回復時間は、室温で2.0インチ(5.08cm)厚のスポンジの厚片(4.0×4.0×2.0インチ、10.16×10.16×5.08cm)をその元の厚さの24%に圧縮し、スポンジをその圧縮で1分間保持し、圧縮力を解放することによって測定される。圧縮力が解放された後にスポンジが元のスポンジの厚さの90%を取り戻すのに必要な時間が回復時間である。回復時間は、Format Messtechnik GmbHからのRESIMAT 150装置(工場ソフトウェアを備える)などの粘弾性発泡体試験装置を使用して便利に測定される。代替的実施形態では、スポンジ(コーティングなし)は、少なくとも1秒又は少なくとも2秒、かつ最大15秒、好ましくは最大10秒の回復時間を示す。
【0019】
スポンジ(コーティングなし)は、ASTMのD3574試験Gに従って測定された場合、少なくとも0.8L/秒の気流を示し得る。気流は、少なくとも1.2L/秒又は少なくとも1.4L/秒であってよく、かつ例えば、最大8L/秒、最大6L/秒、又は最大4L/秒であってよい。
【0020】
前述の特性を有し、かつスポンジとして有用なポリウレタン発泡体は、とりわけ、例えば、国際公開第2017/210439号、米国特許第4,365,025号、同第6,479,433号、同第8,809,410号、同第9,814,187号、及び同第9,840,575号、米国特許出願公開第2004/0049980号、同第2006/0142529号、及び同第2016/0115387号、並びに国際出願PCT/US2018/052323号に記載されているような概括的な方法を使用して調製することができる。
【0021】
スポンジは一般に小さい寸法であり、例えば、200cm3以下、しばしば100cm3以下、又は50cm3以下の体積を有する。その厚さ(最小直交寸法)は、いくつかの実施形態では、3.81cm以下、2.54cm以下、又は1.27cm以下である。スポンジは、型成形されてもよく、すなわち、スポンジの外部幾何形状と同じ内部幾何形状を有する金型内で調製されたものであってもよい。スポンジは、スポンジの最終寸法及び幾何学的形状に対してより大きなスポンジ体を製造することによって作製された切断スポンジであり得る。
【0022】
硬化コーティングは、室温(23℃)で固体であり、水に不溶性であるエラストマー性の非シリコーンポリマーを含む。エラストマー性の非シリコーンポリマー自体は(すなわち、相変化材料及びセラミック粒子が存在しない状態では)、好ましくは、示差走査熱量測定法によって測定された場合に0℃以下のガラス転移温度と、ASTMのD412によって測定された場合に少なくとも50%の破断点伸びを有する。これらの特性を有するポリマーは、本発明の目的のために、エラストマーであると考えられる。エラストマー性の非シリコーンポリマー自体は、-15℃以下、-25℃以下、又は-40℃以下のガラス転移温度を有し得る。破断点伸びは、100%以上であり得る。
【0023】
好適なエラストマー性の非シリコーンポリマーの例としては、天然ゴム及び合成ポリマーが挙げられ、合成ポリマーの例としては、ブタジエン及びイソプレンなどの共役ジエンのホモポリマー及びコポリマー(例えばスチレンーブタジエンゴム);メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアクリレートモノマーのホモポリマー及びコポリマー;イソブチレンのホモポリマー及びコポリマー;ニトリルゴム;ポリスルフィドゴム;ネオプレンのホモポリマー及びコポリマー;ポリウレタンゴムなどが挙げられる。好ましいエラストマー性の非シリコーンポリマーとしては、アクリレートポリマー、すなわち、1つ以上のアクリレートモノマーのホモポリマー及びコポリマーが挙げられ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルアクリレートなどが挙げられる。天然及び/又は合成ラテックス発泡体が有用である。
【0024】
エラストマー性の非シリコーンポリマー(複数可)は、好ましくは、非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%を構成する。いくつかの実施形態では、エラストマー性の非シリコーンポリマーは、例えば、同じ基準で、最大75重量%、最大50重量%、又は最大40重量%を構成する。
【0025】
コーティングは、(i)25℃で、少なくとも百万mm2/秒の動粘度、及び/又はASTM926に従って測定した場合、少なくとも30のウイリアムス可塑度を有する少なくとも1つのシリコーンポリマーと、(ii)封入相変化材料の粒子と、任意選択的に、(iii)最大50μmの粒径を有するセラミック粒子と、を含む。いくつかの実施形態では、封入相変化材料及びセラミック粒子(存在する場合)は、エラストマー性の非シリコーンポリマーに埋め込まれている。
【0026】
シリコーンポリマーは、ケイ素原子及び酸素原子が交互になっているポリマー鎖を有することを特徴とする。ケイ素原子も有機基に結合している。シリコーンポリマーは、回転剪断レオメトリー法(rotational shear rheometry)によって測定される場合に、25℃で少なくとも百万mm2/秒の動粘度を提供するために十分に高い分子量を有する。好適な測定デバイスは、直径25mmの円錐及びプレート形状を備えた、TA社製ダイナミックハイブリッドレオメーター又はAnton Paar社製モジュラーコンパクトレオメーターである。動粘度は、少なくとも5百万mm2/秒、少なくとも1千万mm2/秒、又は少なくとも2千5百万mm2/秒であってよく、例えば、最大5億mm2/秒、最大2億5千万mm2/秒、又は最大1億5千万mm2/秒であり得る。
【0027】
シリコーンポリマーのケイ素原子に結合した有機基は、独立して、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基から選択され得る。これらは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルなどの、1~20個の炭素原子を有するアルキル基;例えば、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基などのシクロアルキル基;例えば、フェニル基、トリル基、及びキシリル基などの、6~12個の炭素原子を有するアリール基;例えば、ベンジル及びフェニルエチルなどの7~20個の炭素原子を有するアラルキル基;及び例えば3,3,3-トリフルオロプロピル及びクロロメチルなどの、1~20個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基によって具体的に例示され得る。シリコーンポリマーは、このような有機基を含有するホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーであってよい。例として、ジメチルシロキシ単位を含むホモポリマー、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキシ単位を含むホモポリマー、ジメチルシロキシ単位及びフェニルメチルシロキシ単位を含むコポリマー、ジメチルシロキシ単位及び3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキシ単位を含むコポリマー、ジメチルシロキシ単位及びジフェニルシロキシ単位を含むコポリマー、並びに、特にジメチルシロキシ単位、ジフェニルシロキシ単位及びフェニルメチルシロキシ単位のインターポリマーが挙げられる。
【0028】
シリコーンポリマーのケイ素結合有機基は、例えば、ビニル、アリル、ブチル、ペンチル、ヘキセニル、又はドデセニルなどの、1~20個の炭素原子を有するアルケニル基から選択してもよい。例として、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたメチルフェニルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたメチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマーが挙げられる。
【0029】
シリコーンポリマーのケイ素結合有機基は、例えば、アミノ、アミド、メルカプト、又はエポキシ官能基などの様々な有機官能基から選択してもよい。
【0030】
シリコーンポリマーは、直鎖種、分枝鎖種、又は直鎖種と分枝鎖種との混合であってもよい。
【0031】
2つ以上のシリコーンポリマーを組み合わせて使用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、シリコーンポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシル末端シリコーンポリマーを含み、その少なくとも1つのヒドロキシル末端シリコーンポリマーは、少なくとも1千万mm2/秒の動粘度、好ましくは2千万mm2/秒~1億5千万mm2/秒の動粘度を有する。そのようなヒドロキシル末端シリコーンポリマーは、好ましくはポリ(ジメチルシロキサン)である。
【0033】
いくつかの実施形態では、シリコーンポリマーは、少なくとも1つのビニル末端シリコーンポリマーを含み、その少なくとも1つのビニル末端シリコーンポリマーは、少なくとも1千万mm2/秒の動粘度、好ましくは2千万~2億mm2/秒の動粘度を有する。そのようなビニル末端シリコーンポリマーは、好ましくはポリ(ジメチルシロキサン)である。具体的な一例は、ジビニルメチコン/ジメチコンコポリマーである。
【0034】
いくつかの実施形態では、シリコーンポリマーは、(a)1千万mm2/秒~7千5百万mm2/秒の動粘度を有する少なくとも1つのポリ(ジメチルシロキサン)、及び(b)7千5百万mm2/秒超かつ最大2億mm2/秒、好ましくは最大1億5千万mm2/秒の動粘度を有する少なくとも1つのポリ(ジメチルシロキサン)を含む。そのような実施形態では、シリコーンポリマー(a)及び(b)は両方ともヒドロキシル末端であってもよく、両方がビニル末端であってもよく、又は一方がヒドロキシル末端であってもよく、他方がビニル末端であってもよい。特定の実施形態では、シリコーンポリマーは、1千万mm2/秒~7千5百万mm2/秒の動粘度を有する、ヒドロキシル末端ポリ(ジメチルシロキサン)と、7千5百万mm2/秒超かつ最大2億mm2/秒、好ましくは最大1億5千万mm2/秒の動粘度を有するビニル末端ポリ(ジメチルシロキサン)と、の混合物である。
【0035】
シリコーンポリマー(複数可)は、エラストマー性の非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料粒子、及び(存在する場合)セラミック粒子の合計重量の2.5~30重量%を構成する。いくつかの実施形態では、シリコーンポリマーは、同じ基準で少なくとも7.5重量%又は少なくとも10重量%を構成し、いくつかの実施形態では、再び同じ基準で最大25重量%又は最大20重量%を構成してもよい。
【0036】
封入相変化材料は、25℃~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有する相変化材料を含み、この相変化材料は、シェル内に含有される。本発明の目的のために、相変化材料の重量は、シェルの重量を含む。シェルは、例えば、封入相変化材料の全重量の5~25%を構成してよく、相変化材料自体は、その残量、すなわち、その75~95重量%を構成する。
【0037】
相変化材料は、例えば、ポリエチレンワックス、蜜蝋、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、サトウキビロウ、ホホバワックス、エピクチクラワックス、ココナツワックス、石油ワックス、又はパラフィンワックスなどの天然又は合成ワックスのうちのいずれか1つ以上であり得るか、又はそれを含有し得る。いくつかの実施形態では、相変化材料は、14~30個、特に14~24個、若しくは16~22個の炭素原子を有するアルカン、又はそのようなアルカンのうちの任意の2つ以上の混合物であるか、又はそれを含む。特定の実施形態では、相変化材料は、オクタデカン及び/又はエイコサンであるか、又はそれを含む。相変化材料は、好ましくは、25~37℃、特に25~32℃、又は28~32℃の溶融温度を有する。
【0038】
封入相変化材料は、示差走査熱量測定によって測定された場合、25~37℃の温度範囲内で少なくとも50ジュール/グラム(J/g)、少なくとも100J/g、又は少なくとも150J/gの融解熱を示し得る。融解熱は、300J/g以上であり得るが、より一般的には最大250J/g又は最大200J/gである。
【0039】
シェル材料は、例えば、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも100℃の溶融温度又は分解温度(ポリマー材料が、溶融せずに分解する場合)を有するポリマー材料であり得る。有用なシェル材料の例としては、架橋メラミン-ホルムアルデヒド、架橋メラミン、架橋レゾルシノール尿素ホルムアルデヒド、及びゼラチンなどの架橋熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0040】
封入相変化材料は、粒子の形態である。粒子は、顕微鏡法によって測定された場合、100nm~100μmの粒径を有し得る。いくつかの実施形態では、粒子は、少なくとも250nm、少なくとも500nm、少なくとも1μm、又は少なくとも5μm、かつ最大75μm又は最大50μmの粒径を有する。
【0041】
封入相変化材料を調製するための好適な方法は、例えば、米国特許第10,221,323号及び同第10,005,059号に記載されている。
【0042】
好適な封入相変化材料は、Microtek Laboratories社(Dayton,Ohio,US)から入手可能である。
【0043】
封入相変化材料は、エラストマー性の非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料、及び(存在する場合)セラミック粒子の合計重量の10~70重量%を構成する。いくつかの実施形態では、封入相変化材料は、前述の基準で、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、かつ同じ基準で最大60重量%又は最大50重量%を構成する。
【0044】
任意選択のセラミック粒子は、概して、23℃で非金属無機固体であり、少なくとも200℃の溶融温度又は分解温度(セラミック粒子が溶融することなく分解する場合)を有することを特徴とする。セラミック材料は、スポンジをコーティングするために使用されるコーティング組成物の、水及び他の成分に不溶性であるべきである。セラミック材料は、少なくとも2つの化学元素の化合物であり、そのうちの少なくとも1つは非金属である。セラミック粒子は、非晶質、半結晶性、又は結晶性であり得るが、0~50℃の温度範囲で相変化を受けない。セラミック材料は、ASTM C1470に従って測定された場合、好ましくは、少なくとも1つの方向に少なくとも50W/(m・K)の熱伝導率を有する。有用なセラミック粒子の例としては、窒化ホウ素が挙げられ、これは、非晶質、又は六方晶、立方晶、及び/若しくはウルツ鉱形態、並びに窒化ケイ素であり得る。
【0045】
セラミック粒子は、最大50μmの粒径を有する。本明細書における粒径は、顕微鏡法を使用して決定された場合の、一次(非凝集)粒子の最長寸法を指す。好ましい最小粒径は、少なくとも100nm、少なくとも250nm、又は少なくとも500nmである。好ましい最大粒径は、最大20μm、最大10μm、又は最大5μmである。
【0046】
セラミック粒子は、それが存在する場合には、エラストマー性の非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料粒子、及びセラミック粒子の合計重量の、最大25重量%を構成する。いくつかの実施形態では、セラミック粒子は、同じ基準で少なくとも2重量%又は少なくとも4重量%を構成し、かつ再び同じ基準で最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%を構成する。
【0047】
いくつかの実施形態では、コーティングは、エラストマー性の非シリコーンポリマー、封入相変化材料、及び(任意選択で)セラミック粒子のエマルジョン及び/又は分散液を形成し、エマルジョン又は分散液を、スポンジの表面に適用し、エマルジョンを硬化させて硬化コーティングを生成することによって製造される。「硬化」は、この文脈において、コーティング組成物が、存在する特定のエラストマー性の非シリコーンポリマーに適した任意のメカニズム又は複数のメカニズムの組み合わせによって固体コーティングに形成されることを単に意味するために使用される。任意の化学反応(例えば、重合、架橋、又は鎖伸長など)が硬化ステップ中に起こることは必要ではないが、いくつかの場合では、そのような反応が起こり得る。硬化は、単に、適用されたエマルジョン又は分散液を乾燥させて、固体コーティングを生成することを伴い得る。
【0048】
エマルジョン又は分散液の形態のコーティング組成物は、連続液相を含む。連続液相は、水及び/又は室温(23℃)で液体であり、40~100℃の標準圧力での沸点を有する1つ以上の他の化合物を含有する。そのような材料は、例えば、コーティング組成物の全重量の10~50%を構成し得る。エラストマー性の非シリコーンポリマーは、粒子又は液滴の形態で連続液相中に分散される。シリコーンポリマーは、好ましくは、液滴の形態で連続液相中に分散される。封入相変化材料の粒子及びセラミック粒子もまた、その中に分散される。エマルジョンは、好ましくは、水性である、すなわち、連続液相は、水を含む。好ましくは、エマルジョン又は分散液は、40~100℃の標準圧力での沸点を有する室温液体有機化合物を、そのような有機化合物及び水の合計重量に基づいて、10重量%以下、特に5重量%以下、又は2重量%以下含有する。
【0049】
エラストマー性の非シリコーンポリマーは、1つ以上のモノマーが液相に溶解又は分散され、ポリマー鎖が沈殿するまで重合条件に供され、液相に分散された固体ポリマー粒子に変換されるエマルジョン重合プロセスで生成されるエマルジョンの形態で提供されてもよい。
【0050】
同様に、エラストマー性の非シリコーンポリマーのエマルジョン又は分散液は、溶融させたエラストマー性の非シリコーンポリマーを液相に分散させ、冷却してエラストマー性の非シリコーンポリマーを固化させる、機械的分散プロセスで製造することができる。
【0051】
更に別の好適なプロセスでは、エラストマー性の非シリコーンポリマーは、粉砕されてよく、又はそれ以外の方法で小さな粒子に形成されてよく、その後その粒子は、液相中に分散される得る。
【0052】
エラストマー性の非シリコーンポリマーの、任意のそのようなエマルジョン又は分散液の液相は、コーティング組成物の液相の一部又は全てを形成し得る。
【0053】
シリコーンポリマーは、好ましくは、液相好ましくは水性液相中の、エマルジョンの形態で提供される。そのようなエマルジョンは、例えば、10~70重量%、特に40~70重量%のシリコーンポリマーを含有し得、エマルジョンの残りの部分は、水及び1つ以上の界面活性剤を含む。そのようなシリコーンポリマーエマルジョンの例は、例えば、国際公開第2012/018750号及び同第2019/081277に記載されている。界面活性剤は、好ましくは非イオン性である。エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー及びエトキシル化脂肪アルコールは、そのようなシリコーンポリマーエマルジョンで使用するための有用な非イオン性界面活性剤の例である。
【0054】
シリコーンポリマーのそのようなエマルジョンでは、シリコーンポリマーは、最大20μmのDv50を有する液滴の形態で有利に存在する。このDv50は、液滴の50体積%が同じ直径又はそれより小さい直径を有する液滴サイズを指す。いくつかの実施形態では、Dv50は、最大10μmであり得る。いくつかの実施形態では、液滴の少なくとも90体積%は、100nm~10μmの粒径を有する。
【0055】
シリコーンポリマーの任意のそのようなエマルジョンの液相は、コーティング組成物の液相の一部又は全部を形成し得る。
【0056】
エマルジョン及び/又は分散液の好ましい形態のコーティング組成物は、好都合なことに、エラストマー性の非シリコーンポリマーのエマルジョン又は分散液を、前述の割合で、シリコーンポリマー、相変化粒子、及びセラミック粒子と組み合わせることによって形成される。シリコーンポリマーはまた、好ましくは、前述のようにエマルジョンの形態で提供される。
【0057】
そのようなコーティング組成物は、すでに記載されたものに加えて、1つ以上の任意の材料を含み得る。
【0058】
有用な任意の材料の中には、室温(23℃)で液体であり、ゲル浸透クロマトグラフィーによれば、350~8000g/mol、特に350~1200g/mol、又は350~800g/molの重量平均分子量を有する1つ以上の親水性ポリマーがある。親水性ポリマーは、好ましくは水溶性である。そのような親水性ポリマーは、少なくとも50重量%又は少なくとも75重量%のオキシエチレン単位を含有し得、例えば、エチレンオキシドのホモポリマー、又はエチレンオキシドと、1,2-プロピレンオキシドなどの1つ若しくは他のアルキレンオキシドとのコポリマー(ランダム及び/又はブロック)であり得る。そのような親水性ポリマーは、存在する場合、親水性ポリマー、エラストマー性の非シリコーンポリマー、シリコーンポリマー、封入相変化材料、及びセラミック粒子の合計重量の0.1~15%を構成し得る。好ましい量は、同じ基準で、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも4、又は少なくとも5重量%、かつ最大12、最大10、又は最大8重量%である。
【0059】
別の有用な任意選択的な材料は、1つ以上の有用な機能を行うことができる1つ以上の界面活性剤である。そのような界面活性剤は、湿潤剤として機能し、相変化材料の粒子及び/又はセラミック粒子の、コーティング組成物の残りの成分への分散を促進し得る。界面活性剤は、コーティング組成物によるガスの同伴を低減し、気泡を低減するために、消泡剤又は脱気剤として機能し得る。様々なシリコーン界面活性剤は、これらの目的に有用であり、かつ硫酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、例えばエトキシル化脂肪アルコールなどのエトキシレート、脂肪酸エステル、アミンオキシド、スルホキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー及びホスフィンオキシドなどの様々な非シリコーン界面活性剤も、上記の目的に有用である。界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性であり得る。1つ以上の界面活性剤は、例えば、コーティング組成物の全重量の、0.1~5重量%を構成し得る。シリコーンポリマーのエマルジョン中に存在する界面活性剤は、コーティング組成物中の界面活性剤の全部又は一部を形成し得る。
【0060】
他の有用な成分には、様々な増粘剤及びチキソトロープ剤などの様々なレオロジー調整剤が含まれる。これらの中でも、ヒュームドシリカ、及び遊離酸基又はカルボン酸塩基(例えば、アルカリ金属、アンモニウム(NH4)、四級アンモニウム、又は四級ホスホニウムカルボン酸塩など)を含有するアクリル酸の様々な水溶性若しくは水膨潤性ポリマーがある。特に有用なレオロジー調整剤としては、Acrysol(登録商標)の商品名でDuPont社によって販売されているような、架橋アクリル酸ポリマーの水性エマルジョンが挙げられる。具体的な例は、Acrysol(登録商標)ASE-60及びAcrysol ASE-95エマルジョンである。そのようなレオロジー調整剤は、存在する場合、例えば、コーティング組成物の0.01~5重量%、好ましくは0.05~1重量%を構成し得る。
【0061】
更に他の有用な成分としては、1つ以上の着色剤、防腐剤、酸化防止剤、及び殺生物剤が挙げられる。
【0062】
コーティング組成物は、前述の成分を混合することによって便利に調製される。エラストマー性の非シリコーンポリマーがエマルジョン又は分散液の形態で提供される場合、任意の都合の良い順序で残りの成分をエラストマー性の非シリコーンポリマーのエマルジョン又は分散液と組み合わせて均質な分散液を生成することが便利である。
【0063】
本発明のコーティング組成物を生成する有用な方法は、液相の一部を容器に充填することである。親水性ポリマーは、使用される場合、エラストマー性の非シリコーンポリマー及びシリコーンポリマーの不在下で、液相のこの部分と混合される。次いで、セラミック粒子(使用される場合)を、容器内の液相(及び使用される場合、親水性ポリマー)の部分と組み合わせ、その後、好ましくはエマルジョン又は分散液の形態のエラストマー性の非シリコーンポリマー、(同様に好ましくはエマルジョンの形態の)シリコーンポリマー、封入相変化材料、及び他の成分を、任意の都合の良い順序で添加する。
【0064】
コーティング組成物は、スポンジの少なくとも1つの外面に適用することができる。コーティング方法は特に重要ではない。ローリング、ブラッシング、噴霧、浸漬、又は他のコーティング方法が好適である。
【0065】
好ましくは、硬化後100μm~10mmの厚さを有する硬化コーティングが、スポンジの少なくとも1つの表面に生成されるのに十分なコーティング組成物が適用される。コーティングの厚さは、好ましくは少なくとも250μm又は少なくとも350μm、かつ最大2,500μm、最大で1500μm、又は最大1000μmである。コーティングは、乾燥後、例えば、コーティングとスポンジの合計重量の1~25%を構成し得る。
【0066】
スポンジの外面上のコーティングは、連続的であり得るが、好ましくは、スポンジ内の細孔の少なくとも一部が、コーティングされた外面で開放されたままであるように不連続である。
【0067】
スポンジの内面は、コーティングされていても、されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、スポンジの内面の25%以下又は10%以下がコーティングされていない。他の実施形態では、スポンジの内面の25%超、又は50%超、及び何と100%がコーティングされている。前述のように、コーティングは、好ましくは、スポンジ内の細孔がコーティングされた外面で開放されたままであるように不連続である。
【0068】
コーティング組成物は、スポンジの表面上で硬化される。硬化方法は、特定のエラストマー性の非シリコーンポリマー及び/又はコーティング組成物の物理的形態にある程度依存し得る。エマルジョンの形態のコーティング組成物の硬化は、コーティング組成物中に存在する可能性がある水及び/又は室温(23℃)で液体であり、標準圧力で40~100℃の沸点を有する1つ以上の他の化合物を除去する乾燥ステップを少なくとも含む。そのような乾燥ステップは、15~30℃などの概ね室温、又は30℃超~100℃以上などの高温で行うことができる。
【0069】
硬化が化学反応(例えば、重合、架橋、又は鎖伸長など)を含む場合、温度などの硬化反応の条件、さもなければコーティング組成物中に存在しない共反応物、触媒、開始剤などの存在などは、硬化を完了するための化学反応を促進するために選択される。
【0070】
いくつかの実施形態におけるコーティングされたスポンジは、最大50、最大40、より好ましくは20~40、又は30~40の摺動抵抗値(コーティング表面上)、少なくとも4、好ましくは少なくとも5、特に5~10の熱冷却値、及び/又は少なくとも3、少なくとも4、又は少なくとも5、好ましくは5~10の熱持続性値を呈し、これらは全て24~25℃の温度及び40~50%の相対湿度下で、BioTac(登録商標)Toccare装置(Syntach BioTac(登録商標)製品マニュアル、V.21、2018年8月)を使用して測定された値である。いくつかの実施形態では、コーティングされたスポンジは、ASTMのD2240に従って測定された場合に、00スケール上で、最大15のジュロメータ硬さを示す。コーティングの存在は、一般に、コーティングされていないスポンジと比較して、摺動抵抗を減少させ、熱冷却性及び熱持続性の両方を増加させることが判明している。
【0071】
更に、いくつかの実施形態では、コーティングされたスポンジは、BioTac(登録商標)Toccare装置を使用して、同じ方法で測定されるように、5未満の粘着性タック値を示す。コーティングの存在は、一般に、コーティングされていないスポンジのものと比較して、この値を減少させることが見出される。
【0072】
コーティングされたスポンジは、化粧料及び/又は医薬製剤を皮膚に塗布するのに有用である。化粧料及び/又は医薬製剤は、例えば、低粘度液体、ローション、クリーム、ゲル、ペースト、又は粉末であり得る。必要なのは、製剤が、コーティングされたスポンジ上に吸着され、かつ/又はそうでなければコーティングされたスポンジに付着され、その後スポンジから皮膚に移送されることができるものであるということだけである。そのような化粧料及び/又は医薬製剤の例としては、制汗剤及びデオドラント;スキンケア用クリーム剤;スキンケア用ローション;保湿剤;アクネ又はシワ除去剤などの、顔面治療剤;パーソナルクレンザー及びフェイシャルクレンザー;バスオイル;香料;コロン;サッシェ;サンスクリーン;プレシェーブ及びアフターシェーブローション;シェービングソープ、及びシェービングフォーム;ヘアシャンプー;ヘアコンディショナー;染毛剤;毛髪弛緩剤;ヘアスプレー;ムース;ジェル;パーマネント剤;脱毛剤;キューティクルコート、メイクアップ;カラー化粧品;ファンデーション;コンシーラー;頬紅;口紅;アイライナー;マスカラ;オイル除去剤;カラー化粧料リムーバー;パウダー;薬剤クリーム;抗アクネ剤、歯科衛生剤、抗生物質、治癒促進剤、及び栄養剤などを含むペースト又はスプレーなど、が挙げられる。
【0073】
コーティングされたスポンジは、化粧料及び/又は医薬製剤を適用するために、従来の方法で使用することができる。化粧料及び/又は医薬製剤は、製剤の製品形態に好適であり得るように、任意の都合の良い方法で、コーティングされたスポンジに適用され得る。浸し塗り、浸漬、こすり付け、ブラッシング、拭き取り、及び他の方法を使用することができる。次いで、適用された化粧料及び/又は医薬製剤を有するコーティングされたスポンジを皮膚と接触させて、化粧料及び/又は医薬製剤を皮膚上に移す。この場合も、接触の様式は特に重要ではなく、一般に、化粧料及び/又は医薬製剤の性質、並びにそれが塗布される皮膚の領域に、適合される。
【0074】
同様に、コーティングされたスポンジは、コーティングされていないスポンジと同じ様式で皮膚を洗浄するために使用され得る。多くの他のものの中でもとりわけ、汚れ、異物、メイクアップなどの化粧料を除去することができる。コーティングされたスポンジの触覚特性は、この使用法にとって非常に有利である。
【0075】
以下の実施例は、本発明を例示するために提示されるが、その範囲を限定することを意図するものではない。全ての部及びパーセンテージは、別途指示がない限り重量部及び重量%である。
【0076】
脱気剤は、Evonik社によってTego Airex 904Wとして販売されているヒュームドシリカを有するポリエーテルシロキサンコポリマーである。
【0077】
PEGは、2の平均名目ヒドロキシル官能価及び約600g/モルの数平均分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0078】
シリコーンエマルジョンAは、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、エトキシル化C11~15二級アルコール、及びグリコール修飾トリメチル化シリカを含有する水性エマルジョンである。Dow Chemical CompanyによってDowsil(商標)52として市販されている。ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン自体は、直径25mmの円錐及びプレート形状を備えた、TA社製ダイナミックハイブリッドレオメーター又はAnton Paar社製モジュラーコンパクトレオメーターを使用して、0.01Hz及び25℃で、回転剪断レオメトリー法によって測定して、3千万mm2/秒の動粘度を有する。ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンは、90°又は180°の固定散乱角でのレーザー回折法によって測定して、10μm以下のDv50を有する球状液滴の形態でエマルジョン中に存在する。エマルジョンは、約65重量%のポリジメチルシロキサンを含有する。
【0079】
アクリルエマルジョンAは、55重量%の固形分を有するアクリルラテックスポリマーエマルジョンである。ラテックス粒子は、約-50℃のTgを有するエラストマー性ポリマーである。これは、Dow Chemical Companyより、Rhoplex(登録商標)E-1791として入手可能である。
【0080】
アクリルエマルジョンBは、55重量%の固形分を有するアクリルラテックスポリマーエマルジョンである。ラテックス粒子は、約-50℃のTgを有するエラストマー性ポリマーである。これは、Dow Chemical Companyより、Rhoplex(登録商標)3166として入手可能である。
【0081】
PCM1は、15~30μmの粒径を有するマイクロカプセル化パラフィンワックスである。ワックスは、材料の重量の85~90%を構成し、ポリマーシェルは、この製品の重量の残量を構成する。ワックスは、約32℃の溶融温度を有する。製品は、160~170J/gの融解エンタルピーを有する。それは、Microtek LaboratoriesからMPCM 32Dとして市販されている。
【0082】
PCM2は、15~30μmの粒径を有するマイクロカプセル化パラフィンワックスである。ワックスは、材料の重量の85~90%を構成し、ポリマーシェルは、この製品の重量の残量を構成する。ワックスは、約28℃の溶融温度を有する。製品は、180~190J/gの融解エンタルピーを有する。それは、Microtek Laboratories社からMPCM 28Dとして市販されている。
【0083】
PCM3は、希釈剤中のPCM1の70%固体スラリーである。
【0084】
RM(レオロジー調整剤)1は、酸基を有する架橋アクリレート粒子を含有する水性エマルジョンである。固形分は28%である。水で希釈し、塩基(NH4OH)で中和した場合、この生成物は増粘剤として機能する。
【0085】
RM2は、酸基を有する架橋アクリレート粒子を含有する水性エマルジョンである。固形分は18%である。水で希釈し、塩基(NH4OH)で中和した場合、この生成物は増粘剤として機能する。
【0086】
NH4OHは、RM1及び/又はRM2を中和するための、28~30%の水酸化アンモニウム溶液である。
【0087】
BNは、Wego Chemical社から入手可能な、約1~3μmの最長寸法を有する小平板の形態の窒化ホウ素(少なくとも98%純度)である。
【0088】
シリコーンエマルジョンBは、末端ビニル基を有する60%のジビニルジメチコン/ジメチコンコポリマーと、1分子当たり約23個のエトキシ基を有するC11~15直鎖アルカノールのエトキシル化混合物と、1分子当たり約3個のエトキシ基を有するC11~15の直鎖アルカノールのエトキシル化混合物を含有する非イオン性エマルジョンである。ジビニルジメチコン/ジメチコンコポリマー自体は、直径25mmの円錐及びプレート形状を備えた、TA社製ダイナミックハイブリッドレオメーター又はAnton Paar社製モジュラーコンパクトレオメーターを使用して、0.01Hz及び25℃で、回転剪断レオメトリー法によって測定して、少なくとも1億2千万mm2/秒の動粘度を有し、かつ90°又は180°の固定散乱角でレーザー回折法で測定した場合、0.6μmのDv50粒径を有する球状液滴の形態で、エマルジョン中に存在する。この製品は、Dowsil(商標)HMW2220非イオン性添加剤として市販されている。
【0089】
コーティング組成物1及びコーティング組成物2が、表1に列記される成分を組み合わせ、それらを実験室用高速ミキサーで混合して均質な混合物を生成することによって、それらから作製される。
【0090】
【表1】
1エラストマー性ポリマー、PCM、BN、及びシリコーンの合計重量に基づく。
【0091】
コーティング組成物は各々、市販のポリウレタン製化粧スポンジ上に、コーティングを生成するために使用される。スポンジは、コーティング前には平坦な側面を有し、楕円形である、Aesthetica Body Spongeとして販売されている。その重量は約13.75gであり、約2cmの厚さを有し、約0.17g/cm3の発泡体密度を有する。その体積は、約81cm3である。スポンジは弾力性があり、圧縮すると急速に元の形にはね返る。それは、開放気泡を有し、表面のスキンを欠いている。
【0092】
各場合において、2.75~3gのコーティング組成物が、スポンジの1つの平坦な面に適用され、平坦なブレードを使用して表面全体に均一に広げられる。適用されたコーティングは、コーティングされたスポンジを80℃で60分間加熱することによって硬化される。コーティング1は、より粘性が高く、表面細孔の多くを遮断する。コーティング2は、コーティングされた表面上の細孔を遮断しない。
【0093】
コーティングされた表面の摺動抵抗と熱冷却性と熱持続性と、反対側のコーティングされていない表面の摺動抵抗と熱冷却性と熱持続性とを、BioTac(登録商標)Toccareデバイス(Suntouch、Montorose、CA)を使用して評価する。これは、相対スケールでの各属性の値を報告する。24~25℃の温度及び47~48%の相対湿度下で、試験を実施する。測定は、試料の中間ライン(試料の試験された平坦な表面を最長寸法の長さに沿って分割する線)上の5点で行われる。意図された化粧料用途については、摺動抵抗の低い値が好ましく、熱冷却性及び熱持続性は、より高い値が好ましい。結果は、以下の表2に示すとおりである。
【0094】
【0095】
これらの基準の3つ全てにおける有意な改善が、コーティングをスポンジ表面に適用することによって得られる。摺動抵抗値は、10単位以上低下する。この程度の変化であれば、人間のユーザによって容易に知覚可能である。
【0096】
熱冷却性値及び熱持続性値の増加は、より望ましい「冷却」感覚並びにその感覚のより長い持続時間を示す。これ程の増加であれば、人間のユーザによって知覚可能である。
【0097】
直径2.54cm、長さ2cm、及び秤量1.78±0.02gの円筒形スポンジ試料を、同じ化粧用スポンジのコーティングされていない試料から打ち抜いた。スポンジ試料を表1に記載のコーティング組成物の一方又は他方に浸漬し、次いで80℃のオーブンに60分間吊り下げて乾燥させる。コーティングされ乾燥したスポンジ試料の重量は2.02÷0.15gであり、約12重量%のコーティングに対応する。コーティングは、スポンジの実質的に全ての外面を覆い、内面への浸透がほとんどない。スポンジの細孔は、開いたままであり、相互接続されたままである。
【0098】
次いで、コーティングされたスポンジ試料を液体メイクアップ(L’Oreal社製True Match(商標)Nude Beige Super-Blendable Makeup Titanium Dioxide Sunscreen)に5秒間浸漬し、取り出し、過剰な液体メイクアップをスポンジ試料から5秒間滴下させて切る。次いで、各試料を秤量して、吸収されたメイクアップ量を決定する。次いで、圧力分布プレートを備えた手作動プランジャを使用して、試料を5秒間、25%だけ(つまり厚さ1.5cmまで)圧縮して、メイクアップを排出させ、再秤量して、放出されたメイクアップ量を決定する。コーティングされていないスポンジ試料も、比較のために同じ方法で評価される。結果は、以下の表3に示すとおりである。
【0099】
【0100】
コーティングされたスポンジは、メイクアップを移動させることにおいて、劇的に効率的であることが分かる。コーティングされていないスポンジは、より多くのメイクアップを吸収するものの、移動させる量が少なく、吸収されたメイクアップの約3分の2を保持してしまう。コーティングされたスポンジは、吸収するメイクアップの量はより少ないものの、移動させる量はより多く、吸収されたメイクアップの半分超を放出する。コーティングされたスポンジは、コーティングされていないスポンジと同量のメイクアップを塗布しながら、化粧料製品の消費量がほぼ3分の1少なくなり、それによって無駄になる製品の量を大幅に減少させる。
【国際調査報告】