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特表2023-520871核酸品質決定のための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】核酸品質決定のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20230515BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALI20230515BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20230515BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z
C12Q1/6806 Z
C12N15/09 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559378
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2021024962
(87)【国際公開番号】W WO2021202583
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/002,785
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521209823
【氏名又は名称】パーソナル ゲノム ダイアグノスティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン, ジョン エフ.
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
(57)【要約】
第1のプライマーセットおよび第2のプライマーセットを含む、サンプル中の核酸の品質を決定するための組成物および方法が本明細書で提供される。さらに、本明細書では、反復核酸配列の増幅のためのプライマーセットを含む、サンプル中の核酸の品質を決定するための組成物および方法が提供される。本発明は、一般に、サンプル中の核酸の品質の決定に関し、より具体的には、ライブラリー調製および配列決定の前に核酸の品質を決定することに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の核酸の品質を決定するためのシステムであって、
(a)複数の第1のフォワードプライマーおよび複数の第1のリバースプライマーを含む第1のプライマーセットであって、各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーは、
(i)前記核酸中の反復配列と相補性を有しかつ第1の融解温度を有する3’末端配列と、
(ii)前記核酸に存在せずかつ第2の融解温度を有し、前記第2の融解温度が前記第1の融解温度よりも高い、5’末端共通配列と
を含む、第1のプライマーセットと、
(b)複数の第2のフォワードプライマーおよび複数の第2のリバースプライマーを含む第2のプライマーセットであって、各第2のフォワードプライマーおよび各第2のリバースプライマーが5’末端共通配列を含む、第2のプライマーセットと
を含む、システム。
【請求項2】
前記第2の融解温度が前記第1の融解温度よりも約5℃~25℃高い、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項3】
前記第1の融解温度が約45℃~70℃である、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項4】
前記第2の融解温度が約60℃~85℃である、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項5】
前記第1のプライマーセットが、等しい数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項6】
前記第1のプライマーセットが、等しくない数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項7】
前記第2のプライマーセットが、等しい数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項8】
前記第2のプライマーセットが、等しくない数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項9】
前記第1のプライマーセットが、約1~20の第1のフォワードプライマーおよび約1~20の第1のリバースプライマーを含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項10】
前記第2のプライマーセットが、約1~20の第2のフォワードプライマーおよび約1~20の第2のリバースプライマーを含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項11】
前記反復核酸配列がレトロトランスポゾンを含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項12】
前記レトロトランスポゾンがL1レトロトランスポゾンである、請求項11に記載のプライマーのシステム。
【請求項13】
各第1のフォワードプライマーの前記5’末端共通配列が配列番号1の配列を含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項14】
各第1のリバースプライマーの前記5’末端共通配列が配列番号2の配列を含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項15】
各第1のフォワードプライマーの前記3’末端配列が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項16】
各第1のリバースプライマーの前記3’末端配列が、配列番号7、配列番号10、配列番号12、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む、請求項1に記載のプライマーのシステム。
【請求項17】
サンプル中の核酸の品質を決定する方法であって、(a)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)混合物を調製するステップであって、
(i)複数の第1のフォワードプライマーおよび複数の第1のリバースプライマーを含む第1のプライマーセットであって、各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーは、
(i)前記核酸中の反復配列と相補性を有しかつ第1の融解温度を有する3’末端配列と、
(ii)前記核酸に存在せずかつ第2の融解温度を有し、前記第2の融解温度が前記第1の融解温度よりも高い、5’末端共通配列と
を含む、第1のプライマーセットと、
ii)複数の第2のフォワードプライマーおよび複数の第2のリバースプライマーを含む第2のプライマーセットであって、各第2のフォワードプライマーおよび各第2のリバースプライマーが5’末端共通配列を含む、第2のプライマーセットと
を含む、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)混合物を調製するステップと、
(a)前記サンプルに対して第1のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うステップであって、前記第1のPCRの各サイクルの第1の伸長ステップが、前記第1の融解温度程度の温度である、ステップと、
(b)前記サンプルに対して第2のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うステップであって、前記第2のPCRにおける各サイクルの第2の伸長ステップが、前記第2の融解温度程度の温度である、ステップと、
(c)アンプリコンのサイズ範囲を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記第2の融解温度が前記第1の融解温度よりも約5℃~25℃高い、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の融解温度が約45℃~70℃である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の融解温度が約60℃~85℃である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の伸長ステップが、前記第1の融解温度よりも約5℃低い温度から前記第1の融解温度よりも5℃高い温度であり、前記第2の融解温度よりも少なくとも5℃低い温度である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の伸長ステップが、前記第2の融解温度より約5℃低い温度から前記第2の融解温度よりも5.0℃高い温度であり、前記第1の融解温度より少なくとも5℃高い温度である、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の伸長ステップが約2分間である、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の伸長ステップが約1分間である、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のプライマーセットが、等しい数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のプライマーセットが、等しくない数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記第2のプライマーセットが、等しい数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記第2のプライマーセットが、等しくない数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のプライマーセットが、約1~20の第1のフォワードプライマーおよび約1~20の第1のリバースプライマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記第2のプライマーセットが、約1~20の第2のフォワードプライマーおよび約1~20の第2のリバースプライマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの最終濃度が、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの最終濃度よりも高い、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
第1のフォワードプライマーの最終濃度が、第1のリバースプライマーの最終濃度と同じまたは同様である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第2のフォワードプライマーの最終濃度が、第2のリバースプライマーの最終濃度と同じまたは同様である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記反復核酸配列がレトロトランスポゾンを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項35】
前記レトロトランスポゾンがL1レトロトランスポゾンである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のPCRが約3~5サイクルを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項37】
前記第2のPCRが約10~35サイクルを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項38】
アンプリコンの強度比を決定するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項39】
予測されるアンプリコンサイズの存在が核酸の品質と相関する、請求項17に記載の方法。
【請求項40】
予測されるアンプリコンサイズの存在が核酸サイズと相関する、請求項17に記載の方法。
【請求項41】
予測されるアンプリコン強度比の存在が核酸品質と相関する、請求項17に記載の方法。
【請求項42】
予測されるアンプリコン強度比の存在が核酸サイズと相関する、請求項17に記載の方法。
【請求項43】
各第1のフォワードプライマーの前記5’末端共通配列が配列番号1の配列を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項44】
各第1のリバースプライマーの前記5’末端共通配列が配列番号2の配列を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項45】
各第1のフォワードプライマーの前記3’末端配列が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項46】
各第1のリバースプライマーの前記3’末端配列が、配列番号7、配列番号10、配列番号12、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、2020年3月31日に出願された米国特許出願第63/002,785号に基づく利益を主張するものである。この先の出願の開示は、本出願の開示の一部とみなされ、参照により本出願の開示に組み込まれる。
【0002】
配列表の組み込み
添付の配列表のデータは、参照により本出願に組み込まれる。添付の配列表テキストファイル、ファイル名PGDX3150-1 WO_SL.txtは、2021年3月15日に作成され、3,116バイトである。ファイルは、Windows(登録商標) OSを使用するコンピュータ上のMicrosoft Wordを使用してアクセスすることができる。
【0003】
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、サンプル中の核酸の品質の決定に関し、より具体的には、ライブラリー調製および配列決定の前に核酸の品質を決定することに関する。
【背景技術】
【0004】
背景情報
広範なライブラリー調製および配列決定の前のDNAなどの核酸サンプルの品質の決定は、劣化しすぎてうまく解析されないサンプルに対する時間および費用を無駄にしないために、非常に有用である。現在のアッセイは、DNAの長さまたは増幅性(amplifiability)に基づく。いずれのアッセイも十分に堅牢性と予測性とを兼ね備えていない。
【0005】
原則として、増幅性は核酸の機能的評価に最も近いが、少数の特異的な断片で行われるため、必ずしも十分な情報を提供するとは限らない。したがって、解析のためのより広い範囲の核酸サイズに基づき、堅牢で予測的な情報を提供するアッセイが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、反復核酸配列の増幅を使用して核酸品質を決定するための組成物および方法に関する。
【0007】
一実施形態では、本発明は、(a)複数の第1のフォワードプライマーおよび複数の第1のリバースプライマーを含む第1のプライマーセットであって、各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーは、(i)核酸中の反復配列と相補性を有しかつ第1の融解温度を有する3’末端配列と、(ii)核酸に存在せずかつ第2の融解温度を有し、第2の融解温度が第1の融解温度よりも高い、5’末端共通配列とを含む、第1のプライマーセットと、(b)複数の第2のフォワードプライマーおよび複数の第2のリバースプライマーを含む第2のプライマーセットであって、各第2のフォワードプライマーおよび各第2のリバースプライマーが5’末端共通配列を含む、第2のプライマーセットとを含む、サンプル中の核酸の品質を決定するためのシステムを提供する。一態様では、第2の融解温度は、第1の融解温度よりも約5℃~25℃高い。一態様では、第1の融解温度は約45℃~70℃である。一態様では、第2の融解温度は約60℃~85℃である。一態様では、第1のプライマーセットは、等しい数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含む。一態様では、第1のプライマーセットは、等しくない数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含む。一態様では、第2のプライマーセットは、等しい数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含む。一態様では、第2のプライマーセットは、等しくない数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含む。一態様では、第1のプライマーセットは、約1~20の第1のフォワードプライマーおよび約1~20の第1のリバースプライマーを含む。一態様では、第2のプライマーセットは、約1~20の第2のフォワードプライマーおよび約1~20の第2のリバースプライマーを含む。一態様では、反復核酸配列はレトロトランスポゾンを含む。一態様では、レトロトランスポゾンはL1レトロトランスポゾンである。一態様では、各第1のフォワードプライマーの5’末端共通配列は、配列番号1の配列を含む。一態様では、各第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、配列番号2の配列を含む。一態様では、各第1のフォワードプライマーの3’末端配列は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む。一態様では、各第1のリバースプライマーの3’末端配列は、配列番号7、配列番号10、配列番号12、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、サンプル中の核酸の品質を決定する方法であって、(a)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)混合物を調製するステップであって、(i)複数の第1のフォワードプライマーおよび複数の第1のリバースプライマーを含む第1のプライマーセットであって、各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーは、(i)核酸中の反復配列と相補性を有しかつ第1の融解温度を有する3’末端配列と、(ii)核酸に存在せずかつ第2の融解温度を有し、第2の融解温度が第1の融解温度よりも高い、5’末端共通配列とを含む、第1のプライマーセットと、ii)複数の第2のフォワードプライマーおよび複数の第2のリバースプライマーを含む第2のプライマーセットであって、各第2のフォワードプライマーおよび各第2のリバースプライマーが5’末端共通配列を含む、第2のプライマーセットと、を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)混合物を調製するステップと、(a)サンプルに対して第1のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うステップであって、第1のPCRの各サイクルの第1の伸長ステップが、第1の融解温度程度の温度である、ステップと、(b)サンプルに対して第2のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うステップであって、第2のPCRにおける各サイクルの第2の伸長ステップが、第2の融解温度程度の温度である、ステップと、(c)アンプリコンのサイズ範囲を決定するステップとを含む、方法を提供する。一態様では、第2の融解温度は、第1の融解温度よりも約5℃~25℃高い。一態様では、第1の融解温度は約45℃~70℃である。一態様では、第1の伸長ステップは約2分間である。一態様では、第2の伸長ステップは約1分間である。一態様では、第1のプライマーセットは、等しい数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含む。一態様では、第1のプライマーセットは、約1~20の第1のフォワードプライマーおよび約1~20の第1のリバースプライマーを含む。一態様では、第2のプライマーセットは、約1~20の第2のフォワードプライマーおよび約1~20の第2のリバースプライマーを含む。一態様では、反復核酸配列はレトロトランスポゾンを含む。一態様では、レトロトランスポゾンはL1レトロトランスポゾンである。一態様では、第2のPCRは約10~35サイクルを含む。
【0009】
さらに別の態様では、本方法は、アンプリコンの強度比を決定するステップをさらに含む。一態様では、予測されるアンプリコンサイズの存在は核酸品質と相関する。一態様では、各第1のフォワードプライマーの5’末端共通配列は、配列番号1の配列を含む。一態様では、各第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、配列番号2の配列を含む。一態様では、各第1のフォワードプライマーの3’末端配列は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む。一態様では、各第1のリバースプライマーの3’末端配列は、配列番号7、配列番号10、配列番号12、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのプライマーおよび方法の概要を示す。
【0011】
図2図2は、核酸品質を決定するためのPCRのための代表的なLINE配列を示す。
【0012】
図3図3は、核酸品質を決定するための代表的なプライマーおよびプライマー成分を示す。
【0013】
図4図4は、予測されたアンプリコンのサイズ分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、ゲノム内の数百以上の異なる部位を増幅することができる少数のプライマーを使用したヒトゲノムの反復配列の増幅が、DNA品質に関するロバストで正確な情報を提供するという発見に基づいている。かかる情報は、例えば、ライブラリー調製および次世代シーケンシング(NGS)に有用である。
【0015】
核酸の品質を決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーのシステムが本明細書で提供される。本明細書で提供される核酸品質を決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーのシステムは、第1のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含み得る。本明細書で提供される核酸品質を決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーのシステムはまた、第2のオリゴヌクレオチドプライマーセットを含み得る。
【0016】
任意の核酸の品質は、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドプライマーのシステムを使用して決定することができる。核酸は、任意のサンプルまたは任意の種類のサンプルに由来し得る。例えば、サンプルは、血液、唾液、血漿、血清、尿、または他の生物学的流体であり得る。更なる例示的な生物学的流体としては、漿膜液、リンパ液、脳脊髄液、粘膜分泌物、膣液、腹水液、胸膜液、心膜液、腹膜液、および腹腔液が挙げられる。いくつかの態様では、サンプルは組織サンプルである。いくつかの態様では、サンプルは細胞サンプルまたは単一細胞である。例えば、保存凍結サンプル、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプル、および任意の他の方法によって保存されたサンプルを含む、新鮮なサンプルまたは保存サンプルを使用することができる。
【0017】
サンプルは、正常な健康な対象に由来し得る。サンプルはまた、疾患または障害を有する対象に由来し得る。任意の疾患または障害を有する対象に由来するサンプル中の核酸の品質は、本明細書で提供されるプライマーのシステムを使用して決定することができる。いくつかの態様では、疾患または障害は癌である。いくつかの態様では、サンプルは、癌を有する対象に由来する流体サンプルである。いくつかの態様では、サンプルは、健康な対象または癌を有するもしくは有する疑いがある対象に由来する組織サンプルまたは細胞サンプルである。癌サンプルは、固形腫瘍または液状腫瘍に由来するサンプルであり得る。癌は、腎癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、口腔癌、咽頭癌、膵臓癌、甲状腺癌、黒色腫、皮膚癌、頭頸部癌、脳癌、造血器癌、白血病、リンパ腫、骨癌、筋肉癌、肉腫、および横紋筋肉腫などであり得る。疾患または障害は、感染性疾患、例えば、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染または寄生虫感染であり得る。
【0018】
核酸の品質は、本明細書で提供される核酸品質を決定するための本発明のプライマーシステムを使用してサンプル中で決定することができる。核酸品質を決定する前に、サンプルから核酸を抽出、単離、または精製することもできる。抽出、単離、または精製のための任意の適切な方法を使用することができる。例示的な方法としては、フェノール-クロロホルム抽出、グアニジニウム-チオシアネート-フェノール-クロロホルム抽出、ゲル精製、ならびにカラムおよびビーズの使用が挙げられる。市販のキットは、核酸の抽出、単離、または精製に使用することができる。
【0019】
任意の生物または種に由来する核酸の品質は、本明細書で提供されるプライマーのシステムを使用して決定することができる。例えば、任意の動物、植物、または微生物に由来する核酸の品質は、本明細書で提供されるプライマーのシステムを使用して決定することができる。ヒト、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットを含む)、ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどを含む家畜、ならびに霊長類(サル、チンパンジー、オランウータンおよびゴリラを含む)などに由来する核酸を含む、任意の哺乳動物に由来する核酸の品質を決定することができる。任意の他の動物に由来する核酸の品質は、例えば、爬虫類、鳥類、両生類、硬骨魚類、軟骨魚類、および無脊椎動物に由来する核酸を含む、本明細書で提供されるプライマーのシステムを使用して決定することができる。例えば、任意の被子植物、任意の裸子植物、任意のシダ類および関連生物、任意のツノゴケ類、任意のゼニゴケ類、任意のコケ類、および任意の緑藻類に由来する核酸の品質を決定することができる。例示的な微生物としては、真核生物または原核生物の単細胞生物、例えば細菌、古細菌、原生生物、原生動物、および真菌、ならびにウイルスおよびウイロイドが挙げられる。
【0020】
任意の種類の核酸の品質は、例えば、DNA、RNA、および核酸断片を含む本明細書で提供されるプライマーのシステムを使用して決定することができる。DNA源としては、例えば、染色体DNA、プラスミドDNA、cDNA、無細胞DNA(cfDNA)、循環腫瘍DNA(ctDNA)、およびそれらの任意の断片が挙げられる。任意の適切な方法によりRNAに対して逆転写を行ってDNAを調製し、本明細書で提供されるプライマーのシステムを使用してDNA品質を決定することができる。核酸品質を決定した後、例えば、核酸ライブラリーの調製に核酸を使用することができる。いくつかの態様では、ライブラリーはゲノムライブラリーである。核酸ライブラリーは、例えば、末端修復、Aテーリングおよびアダプターライゲーションにより、核酸分子に同定のための1つもしくはそれを超えるバーコードを含み得るオリゴヌクレオチドのセットまたはサブセットを結合することによって調製することができる。核酸および核酸のライブラリーは、例えば次世代シーケンシング(NGS)によって解析することができる。任意の適切なシーケンシング法を使用して核酸を解析することができる。例示的なNGS方法としては、Roche 454シーケンサー、Life Technologies SOLiDシステム、Life Technologies Ion Torrent、BGI/MGIシステム、Genapsysシステム、およびIllumina Genome Analyzer II、Illumina MiSeq、Illumina HiSeq、Illumina NextSeq、およびIllumina NovaSeq装置などのIlluminaシステムが挙げられる。
【0021】
本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドプライマーのシステムは、第1のプライマーセットを含み得る。第1のプライマーセットは、複数の第1のフォワードプライマーを含み得る。第1のプライマーセットはまた、複数の第1のリバースプライマーを含み得る。本明細書で使用される場合、フォワードプライマー」および リバースプライマー」という用語は、文脈上特に明記されていない限り、それぞれ「+鎖プライマー」および「-鎖プライマー」という用語と互換的に使用することができる。複数の第1のフォワードプライマーおよび複数の第1のリバースプライマーの各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーは、本明細書で提供されるプライマーのシステムを使用してその品質が決定される核酸中の反復配列と相補性を有する3’末端配列を含み得る。複数の第1のフォワードプライマーおよび複数の第1のリバースプライマーの各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーはまた、品質が決定される核酸に存在しない5’末端共通配列を含み得る。したがって、第1のプライマーセットに含まれるプライマーは、ハイブリッドプライマーであり得る。本明細書で使用される場合、「ハイブリッドプライマー」という用語は、核酸分子内で連続していないかもしくは互いに隣接していない核酸分子内の少なくとも2つの配列と相補性を有するか、または核酸分子内に最初に存在しない少なくとも2つの配列の少なくとも1つを有する少なくとも2つの配列を有するプライマーを意味する。一例として、ハイブリッドプライマーが核酸配列と相補的な3’末端配列および核酸と相補性のない5’末端配列とを含む場合、ハイブリッドプライマーの5’末端配列と相補的な配列を有する核酸分子は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成することができ、それによってハイブリッドプライマーの3’末端および5’末端配列の両方と相補性を有する核酸分子を生成する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「相補的」および「相補性」という用語は、ポリヌクレオチドが互いに塩基対を形成する能力を指す。塩基対は、典型的には、逆平行ポリヌクレオチド鎖中のヌクレオチド間の水素結合によって形成される。相補的ポリヌクレオチド鎖は、ワトソン・クリック様式(例えば、A-T、A-U、C-G)で、または二重鎖の形成を可能にする任意の他の様式で塩基対合することができる。当業者が理解するように、DNAではなくRNAを使用する場合、チミンではなくウラシルがアデノシンに相補的であると考えられる塩基である。
【0023】
正確もしくは完全な相補性または100%相補性とは、1本のポリヌクレオチド鎖の各ヌクレオチドが逆平行ポリヌクレオチド鎖のヌクレオチドと水素結合することができる状況を指す。正確な相補性よりも低いとは、2本の鎖の全部ではなく一部のヌクレオチドが互いに水素結合することができる状況を指す。例えば、2つの20量体について、各鎖上の2つの塩基対のみが互いに水素結合することができる場合、ポリヌクレオチド鎖は10%相補性を示す。別の例として、各鎖上の20ヌクレオチドのうち18ヌクレオチドが互いに水素結合することができる場合、ポリヌクレオチド鎖は90%相補性を示す。「実質的な相補性」とは、非相補的であるように選択されるポリヌクレオチド鎖の領域、例えばオーバーハングを除いて、75%またはそれを超える相補性を示すポリヌクレオチド鎖を指す。したがって、相補性は、文脈上特に明記されていない限り、逆平行鎖上のヌクレオチドと類似または相補的でないように選択されるオーバーハングを考慮しない。いくつかの態様では、反復核酸配列と相補性を有する3’末端配列は、反復核酸配列に対して正確または完全な相補性を示す。いくつかの態様では、反復核酸配列と相補性を有する3’末端配列は、反復核酸配列に対して実質的な相補性を示す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「5’末端共通配列」は、一部または全部のフォワードプライマーがプライマーの5’末端に同じ配列または実質的に同じ配列を含み、一部または全部のリバースプライマーがプライマーの5’末端に同じ配列または実質的に同じ配列を含むことを意味する。例えば、第1のフォワードプライマーおよび第2のフォワードプライマーの5’末端共通配列(後述)は同じ配列を含み得、5’末端共通配列の更なるヌクレオチド5’、3’または5’と3’との両方も含み得る。別の例として、第1のリバースプライマーおよび第2のリバースプライマーの5’末端共通配列(後述)は同じ配列を含み得、5’末端共通配列の更なるヌクレオチド5’、3’または5’と3’との両方も含み得る。フォワードプライマーの5’末端共通配列は同じであっても異なっていてもよい。例えば、フォワードプライマーは、フォワードプライマー間で共有される2つ以上の5’末端共通配列、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える異なる5’末端共通配列を含み得る。リバースプライマーの5’末端共通配列は同じであっても異なっていてもよい。例えば、リバースプライマーは、リバースプライマー間で共有される2つ以上の5’末端共通配列、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える異なる5’末端共通配列を含み得る。フォワードプライマーおよびリバースプライマーの5’末端共通配列は同じであっても異なっていてもよい。増幅される核酸に存在しない任意の配列は5’末端共通配列であり得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、プライマー配列に言及する際の「3’末端配列」は、変動し得る各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーの3’末端の配列を意味する。第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約34、約35ヌクレオチドを含む任意の長さであり得る。任意の数の異なる3’末端配列が、本明細書で提供される第1のプライマーセットの第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれ得る。例えば、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20の異なる3’末端配列を含み得る。
【0026】
異なる数の3’配列の任意の組み合わせが、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれ得る。例えば、第1のフォワードプライマーは4つの異なる3’末端配列を有し得る。第1のフォワードプライマーは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含み得る。いくつかの態様では、第1のリバースプライマーは3つの異なる3’末端配列を含む。いくつかの態様では、第1のリバースプライマーは、配列番号7、配列番号10、配列番号12、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む。したがって、本明細書で提供されるプライマーのシステムの第1のプライマーセットは、等しくない数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含み得る。一例として、第1のフォワードプライマーは4つの異なる3’末端配列および5’末端共通配列を含み得、第1のリバースプライマーは3つの異なる3’末端配列および5’末端共通配列を含み得る。本明細書で提供されるプライマーシステムの第1のプライマーセットはまた、等しい数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含み得る。一例として、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーは、同じ数の異なる3’末端配列および5’末端共通配列を含み得る。いくつかの態様では、第1のプライマーセットは約1~20の第1のフォワードプライマーを含む。いくつかの態様では、第1のプライマーセットは約1~20の第1のリバースプライマーを含む。第1のプライマーセットは、任意の数の第1のフォワードプライマーおよび任意の数の第1のリバースプライマーを含み得る。
【0027】
5’末端共通配列は、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約34、約35ヌクレオチドを含む任意の長さであり得る。第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、同じまたは実質的に同じ配列を含み得る。第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、本明細書で提供されるプライマーシステムを使用して品質について解析される核酸に存在しない任意の配列を含み得る。いくつかの態様では、第1のフォワードプライマーの5’末端共通配列は、配列番号1の配列を含む。いくつかの態様では、第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、配列番号2の配列を含む。
【0028】
本明細書で提供される核酸品質を決定するためのプライマーシステムに含まれる第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、第1の融解温度を有し得る。本明細書で提供される核酸品質を決定するためのプライマーシステムに含まれる第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、第2の融解温度を有し得る。第2の融解温度は、第1の融解温度よりも高くなり得る。いくつかの態様では、第2の融解温度は、第1の融解温度よりも約5℃~25℃高い。第1の融解温度は45℃~70℃程度であり得る。第1の融解温度は、約45℃~50℃、約45℃~55℃、約45℃~60℃、約45℃~65℃、約45℃~70℃であり得る。いくつかの態様では、例として、第1の融解温度は、約70℃~65℃、約70℃~60℃、約70℃~55℃、約70℃~50℃、約70℃~45℃である。いくつかの態様では、第1の融解温度は約50℃~53℃である。いくつかの態様では、第1の融解温度は約50.7℃~52.5℃である。一般に、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列の融解温度は、互いに0.1℃、0.5℃、1.0℃、1.5℃、2.0℃、2.5℃、3.0℃、3.5℃、4.0℃、4.5℃、5.0℃、およびその間の任意の数または範囲内である。
【0029】
第2の融解温度は60℃~85℃程度であり得る。いくつかの態様では、例として、第2の融解温度は、約60℃~85℃、約60℃~80℃、約60℃~75℃、約60℃~70℃、約60℃~65℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は、約80℃~85℃、約75℃~85℃、約70℃~85℃、約65℃~85℃、約60℃~85℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~75℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~73℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~72℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~71℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~70.9℃である。
【0030】
本明細書で提供される第1のプライマーセットの第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーは、本明細書で提供されるプライマーのシステムを使用してその品質が決定される核酸中の反復配列と相補性を有する3’末端配列を含み得る。反復核酸配列はレトロトランスポゾンを含み得る。クラスI転移因子またはRNA中間体介在トランスポゾンとも呼ばれるレトロトランスポゾンは、RNA転移中間体を介した逆転写によりRNAをDNAに変換することによって、それ自身をして異なるゲノム位置にコピーアンドペーストすることができる遺伝要素である。
【0031】
レトロトランスポゾンの種類としては、LTRおよび非LTRレトロトランスポゾンが挙げられる。LTRレトロトランスポゾンは、サイズが5キロベースを超える。LTRレトロトランスポゾンは、レトロトランスポゾンの各末端に、長末端反復配列(LTR)と呼ばれる反復DNAの長鎖を含む。例示的なLTRレトロトランスポゾンとしては、Ty1-コピア様(シュウドウイルス科)、Ty3-ジプシー様(メタウイルス科)およびレトロトランスポゾンのBEL-Pao様群が挙げられる。レトロトランスポゾンのTy1-コピア様およびTy3-ジプシー様群の半数体核あたり数百万コピーが、動物、真菌、原生生物、および植物のゲノムにおいて見出され得るが、BEL-Pao様因子は動物においてのみ見出され得る。
【0032】
非LTRレトロトランスポゾンとしては、長鎖散在反復配列(LINE)および短鎖散在反復配列(SINE)が挙げられる。LINE転写物は、ゲノムの部位への挿入後にLINEをコピーすることを可能にするRNAポリメラーゼIIプロモーターを含む。LINE転写物は、逆転写酵素の翻訳のために核から細胞質に移動する転移中間体である。逆転写酵素は、ゲノムの新しい部位に組み込まれ得るLINE RNAのDNAコピーを生成する。各LINEは約7,000塩基対(bp)の長さであり、ヒトゲノムには推定100,000~4,000の完全長LINE-1因子が存在する。多くのLINEは、突然変異の蓄積があるために転写または翻訳されない。LINEの5つの主要な群としては、L1、RTE、R2、I、およびJockeyの群が挙げられる。ヒトLINEは、LINE-1/L1ならびにL2およびL3の残物を含む。ヒトゲノムは、約850,000のLINE因子を含み、約516,000コピーのL1因子、約315,000コピーのL2因子および約37,000コピーのL3因子を含む。LINE-1/L1因子は、哺乳動物に広く見出され、ヒトゲノムにおいて依然として活性である。更なるLINE因子としては、Tad、CRE、Deceiver、およびInkcap様因子が挙げられる。
【0033】
SINE因子としては、約100~700bpの非自律的な非コード転移因子(TE)が含まれる。SINE因子としては、CORE-SINE、V-SINE、AmnSINEの3つの種類が挙げられる。SINE因子はRNAポリメラーゼIIIによって転写され、転写領域はプロモーター要素を含む。SINE因子はタンパク質をコードせず、逆転写およびゲノムへの組み込みのために、LINEによってコードされるタンパク質を使用する可能性が高い。例示的なSINEとしては、約300ヌクレオチドの短鎖散在反復配列であり、ヒトおよび他の種に見出され得るAlu因子が挙げられる。Alu因子は、ヒトにおいて最も一般的なSINEであり、ヒトゲノム全体で1,000,000コピーを超える。更なる例示的なSINEとしては、イヌのSINE_Cfリピート、ならびに植物のAu-SINEおよびAngio-SINEが挙げられる。
【0034】
第1のプライマーセットの第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、任意の生物に由来する任意のレトロトランスポゾンの配列と相補性を有し得る。例えば、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、本明細書で提供されるプライマーのシステムを使用してその品質が決定される核酸源に基づいて設計することができる。したがって、3’末端配列は、その品質が決定された核酸が得られた生物に見出されるレトロトランスポゾンと相補性を有し得る。核酸はヒト由来であり得る。いくつかの態様では、レトロトランスポゾンはL1レトロトランスポゾンである。
【0035】
第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、レトロトランスポゾンの両鎖に沿ったジグザグ配列と相補性を有するように設計することができる。レトロトランスポゾンの両鎖に沿ったジグザグ配列は重複していなくてよい。いくつかの態様では、各第1のフォワードプライマーは各第1のリバースプライマーでアンプリコンを生成し、各第1のリバースプライマーは各第1のフォワードプライマーでアンプリコンを生成する。このようにして、約50bp~200bp、約50bp~300bp、約50bp~400bp、約50bp~500bp、約50bp~600bp、約50bp~700bp、約50bp~800bp、約50bp~900bp、約50bp~1,000bp、約50bp~1,500bp、約50bp~2,000bp、約50bp~2,500bp、約50bp~3,000bp、約50bp~3,500bp、約50bp~4,000bp、約50bp~4,500bp、約50bp~5,000bpを含むサイズの範囲に沿って多数のアンプリコンを生成することができる。いくつかの態様では、アンプリコンは約100~2,000bpの範囲である。
【0036】
サンプル中の核酸の品質を決定するためのプライマーシステムは、第2のプライマーセットを含み得る。第2のプライマーセットは、複数の第2のフォワードプライマーおよび複数の第2のリバースプライマーを含み得る。各第2のフォワードプライマーおよび各第2のリバースプライマーは、5’末端共通配列を含み得る。
【0037】
第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列は、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーに含まれ得る。例えば、各フォワードプライマーは、プライマーの5’末端に同じ配列または実質的に同じ配列を含み得、各リバースプライマーは、プライマーの5’末端に同じ配列または実質的に同じ配列を含み得る。別の例として、第1のフォワードプライマーおよび第2のフォワードプライマーの5’末端共通配列は、同じ配列を含み得、5’末端共通配列の更なるヌクレオチド5’、3’または5’と3’との両方も含み得る。別の例として、第1のリバースプライマーおよび第2のリバースプライマーの5’末端共通配列は同じ配列を含み得、5’末端共通配列の更なるヌクレオチド5’、3’または5’と3’との両方も含み得る。フォワードプライマーの5’末端共通配列は同じであっても異なっていてもよい。リバースプライマーの5’末端共通配列は同じであっても異なっていてもよい。フォワードプライマーおよびリバースプライマーの5’末端共通配列は同じであっても異なっていてもよい。
【0038】
いくつかの態様では、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列のみを含み、他の配列またはヌクレオチドを含まない。いくつかの態様では、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列に加えて、他の配列またはヌクレオチドを含み得る。例えば、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、5’末端共通配列のヌクレオチド上流または5’に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える更なるヌクレオチドを含み得る。別の例として、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーはまた、5’末端共通配列のヌクレオチド下流または3’に5’末端共通配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える更なるヌクレオチドを含み得る。5’末端共通配列の下流または3’の更なるヌクレオチドは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列に存在するヌクレオチドのすべてを含まずに、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列に存在する5’ヌクレオチドを含み得る。したがって、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの5’末端共通配列の下流または3’に含まれる更なるヌクレオチドは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる3’末端配列に伸長することができる。いくつかの態様では、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーに含まれる3’末端配列は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる3’末端配列よりも少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20少ない3’ヌクレオチドを含む。したがって、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーに含まれる3’末端配列よりも少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20多い3’ヌクレオチドを含み得る。
【0039】
5’末端共通配列を含む第2のフォワードプライマー、5’末端共通配列および任意の数の追加のヌクレオチドを含む第2のフォワードプライマー、5’末端共通配列を含む第2のリバースプライマー、ならびに5’末端共通配列および任意の数の追加のヌクレオチドを含む第2のリバースプライマーを含む、第2のフォワードプライマーと第2のリバースプライマーとの任意の組み合わせを第2のプライマーセットに含めることができる。したがって、第2のプライマーセットは、等しい数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含み得る。第2のプライマーセットはまた、等しくない数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含み得る。いくつかの態様では、第2のプライマーセットは約1~20の第2のフォワードプライマーを含む。いくつかの態様では、第2のプライマーセットは約1~20の第2のリバースプライマーを含む。第2のプライマーセットは、任意の数の第2のフォワードプライマーおよび任意の数の第2のリバースプライマーを含み得る。
【0040】
第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列の第1の融解温度よりも高い融解温度を有し得る。第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの融解温度は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの5’末端共通配列の第2の融解温度と同様であり得るか、またはそれに対応し得る。例えば、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーが5’末端共通配列に加えて配列またはヌクレオチドを含まない場合、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの融解温度は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列の第2の融解温度に対応し得る。別の例として、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーが5’末端共通配列に加えて配列またはヌクレオチドを含む場合、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの融解温度は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列の第2の融解温度よりも高くなり得る。第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの融解温度は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列の第2融解温度よりも約0.5℃、1.0℃、1.5℃、2.0℃、2.5℃、3.0℃、3.5℃、4.0℃、4.5℃、5.0℃、5.5℃、6.0℃、6.5℃、7.0℃、7.5℃、8.0℃、8.5℃、9.0℃、9.5℃、10.0℃、10.5℃、11.0℃、11.5℃、12.0℃、12.5℃、13.0℃、13.5℃、14.0℃、14.5℃、15.0℃、15.5℃、16.0℃、16.5℃、17.0℃、17.5℃、18.0℃、18.5℃、19.0℃、19.5℃、20.0℃、20.5℃、21.0℃、21.5℃、22.0℃、22.5℃、23.0℃、23.5℃、24.0℃、24.5℃、25.0℃、およびその間の任意の数または範囲で高くなり得る。
【0041】
いくつかの態様では、本明細書で提供されるプライマーセットの第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーはタグまたは標識を含む。タグまたは標識は、例えば、PCRにより生成されたアンプリコンの検出に使用することができる。カラータグまたはラベルを含む任意の種類のタグまたはラベルを使用することができる。例示的なカラータグまたはラベルは、フルオロフォアを含む。例えば、ユウロピウムおよびテルビウムのものを含む蛍光ランタニド錯体、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル-クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade Blue、Texas Red(例えば、Invitrogen社から入手可能である)、および参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる11th Edition of the Molecular Probes Handbook by Richard P.Hauglandに記載されている他のものを含む、任意のフルオロフォアを使用することができる。他のフルオロフォアとしては、例えば、Cy3-dCTP、Cy3-dUTP、Cy5-dCTP、Cy5-dUTP(GE Healthcare)、フルオレセイン-12-dUTP、テトラメチルローダミン-6-dUTP、Texas Red(登録商標)-5-dUTP、Cascade Blue(登録商標)-7-dUTP、BODIPY(登録商標)FL-14-dUTP、BODIPY(登録商標)R-14-dUTP、BODIPY(登録商標)TR-14-dUTP、ローダミングリーン(商標)-5-dUTP、オレゴングリーン(登録商標)488-5-dUTP、Texas Red(登録商標)-12-dUTP、BODIPY(登録商標)630/650-14-dUTP、BODIPY(登録商標)650/665-1 4-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)488-5-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)532-5-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)568-5-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)594-5-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)546-1 4-dUTP、フルオレセイン-12-UTP、テトラメチルローダミン-6-UTP、Texas Red(登録商標)-5-UTP、Cascade Blue(登録商標)-7-UTP、BODIPY(登録商標)FL-14-UTP、BODIPY(登録商標)TMR-14-UTP、BODIPY(登録商標)TR-14-UTP、ローダミングリーン(商標)-5-UTP、Alexa Fluor(登録商標)488-5-UTP、およびAlexa Fluor(登録商標)546-1 4-UTP(Invitrogen)、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)532、Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Fluor(登録商標)647、BODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、Cascade Blue、Cascade Yellow、Dansyl、リサミンローダミンB、Marina Blue、Oregon Green 488、Oregon Green 514、Pacific Blue、ローダミン6 G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ならびにCy2、Cy3.5、Cy5.5、およびCy7(GE Healthcare)が挙げられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、サンプル中の核酸の品質を決定する方法が本明細書で提供される。
【0043】
本明細書で提供されるサンプル中の核酸品質を決定する方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)混合物を調製するステップを含み得る。PCR混合物は、複数の第1のフォワードプライマーおよび複数の第1のリバースプライマーを含む第1のプライマーセットを含み得る。各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーは、核酸に存在しかつ第1の融解温度を有する反復配列と相補性を有する3’末端配列を含み得る。各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーはまた、核酸に存在せずかつ第2の融解温度を有する5’末端共通配列を含み得る。第2の融解温度は、第1の融解温度よりも高くなり得る。いくつかの態様では、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーは、低濃度または最終限界濃度、例えば、約0.05μM、約0.04μM、約0.03μM、約0.02μM、約0.01μM、約0.009μM、約0.008μM、約0.007μM、約0.006μM、約0.005μM、約0.004μM、約0.003μM、約0.002μM、約0.001μM、およびその間の任意の数または範囲でPCR反応混合物に含められる。いくつかの態様では、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの最終濃度は同じまたは同様である。本明細書で使用される場合、「同様のプライマー濃度」とは、2倍以下しか異ならないプライマー濃度を指す。
【0044】
PCR混合物はまた、第2のプライマーセットを含み得る。第2のプライマーセットは、複数の第2のフォワードプライマーおよび複数の第2のリバースプライマーを含み得る。各第2のフォワードプライマーおよび各第2のリバースプライマーは、5’末端共通配列を含み得る。いくつかの態様では、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、0.05μM、0.06μM、0.07μM、0.08μM、0.09μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1.0μM、1.5μM、2.0μM、およびその間の任意の数または範囲などの大モル過剰に対応する最終濃度でPCR反応混合物に含まれる。いくつかの態様では、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、0.1μM~0.5μMの最終濃度でPCR反応混合物に含まれる。いくつかの態様では、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの最終濃度は同じまたは同様である。
【0045】
いくつかの態様では、PCR反応混合物に含まれる第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの最終濃度は、PCR反応混合物に含まれる第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの最終濃度よりも高い。大モル過剰に対応するPCR反応混合物に含まれる第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの最終濃度は、低濃度または限界濃度に対応する第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの最終濃度よりも高くなり得る。いくつかの態様では、PCR反応混合物に含まれる第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの最終濃度は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの最終濃度よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも55倍、少なくとも60倍、少なくとも65倍、少なくとも70倍、少なくとも75倍、少なくとも80倍、少なくとも85倍、少なくとも90倍、少なくとも95倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも6,000倍、少なくとも7,000倍、少なくとも8,000倍、少なくとも9,000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも50,000倍、少なくとも100,000倍、およびその間の任意の数または範囲である。
【0046】
本明細書で提供されるプライマーのシステムに含まれる任意のプライマーセットは、本明細書で提供される核酸品質を決定するための方法のPCR混合物に含まれ得る。
【0047】
本明細書で提供されるサンプル中の核酸品質を決定するための方法のPCR混合物は、第1のプライマーセットを含み得る。第1のプライマーセットは、複数の第1のフォワードプライマーを含み得る。第1のプライマーセットはまた、複数の第1のリバースプライマーを含み得る。複数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーは、本明細書で提供される方法を用いてその品質が決定される核酸中の反復配列と相補性を有する3’末端配列を含み得る。複数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーはまた、品質が決定される核酸に存在しない5’末端共通配列を含み得る。したがって、第1のプライマーセットに含まれるプライマーは、上記のようにハイブリッドプライマーであり得る。反復核酸配列と相補性を有する3’末端配列は、核酸中の反復配列に対して正確または完全な相補性を示し得る。反復核酸配列と相補性を有する3’末端配列はまた、核酸中の反復配列に対して実質的な相補性を示し得る。
【0048】
各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーは、同じ5’共通末端配列を含み得る。各第1のフォワードプライマーおよび各第1のリバースプライマーの3’末端配列は変化し得る。第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約34、約35ヌクレオチドを含む任意の長さであり得る。本明細書で提供される方法のPCR混合物に含まれる第1のプライマーセットの第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーには、任意の数の異なる3’末端配列が含まれ得る。例えば、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20の異なる3’末端配列を含み得る。
【0049】
異なる数の3’配列の任意の組み合わせが、本明細書で提供される方法において調製されるPCR混合物の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれ得る。例えば、第1のフォワードプライマーは4つの異なる3’末端配列を有し得る。いくつかの態様では、第1のフォワードプライマーは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む。いくつかの態様では、第1のリバースプライマーは3つの異なる3’末端配列を含む。いくつかの態様では、第1のリバースプライマーは、配列番号7、配列番号10、配列番号12、またはそれらの任意の組み合わせの配列を含む。したがって、本明細書で提供される方法で調製されたPCR混合物の第1のプライマーセットは、等しくない数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含み得る。一例として、第1のフォワードプライマーは4つの異なる3’末端配列および5’末端共通配列を含み得、第1のリバースプライマーは3つの異なる3’末端配列および5’末端共通配列を含み得る。本明細書で提供される方法で調製されたPCR混合物の第1のプライマーセットはまた、等しい数の第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーを含み得る。一例として、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーは、同じ数の異なる3’末端配列および5’末端共通配列を含み得る。いくつかの態様では、第1のプライマーセットは約1~20の第1のフォワードプライマーを含む。いくつかの態様では、第1のプライマーセットは約1~20の第1のリバースプライマーを含む。第1のプライマーセットは、任意の数の第1のフォワードプライマーおよび任意の数の第1のリバースプライマーを含み得る。
【0050】
5’末端共通配列は、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約34、約35ヌクレオチドを含む任意の長さであり得る。第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、同じまたは実質的に同じ配列を含み得る。第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、本明細書で提供される方法を使用して品質について解析される核酸に存在しない任意の配列を含み得る。いくつかの態様では、第1のフォワードプライマーの5’末端共通配列は、配列番号1の配列を含む。いくつかの態様では、第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、配列番号2の配列を含む。
【0051】
本明細書で提供される核酸品質を決定するための方法のPCR混合物に含まれる第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、第1の融解温度を有し得る。核酸品質を決定するための方法のPCR混合物に含まれる第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの5’末端共通配列は、第2の融解温度を有し得る。第2の融解温度は、第1の融解温度よりも高くなり得る。いくつかの態様では、第2の融解温度は、第1の融解温度よりも約5℃~25℃高い。第1の融解温度は45℃~70℃程度であり得る。いくつかの態様では、第1の融解温度は、約45℃~50℃、約45℃~55℃、約45℃~60℃、約45℃~65℃、約45℃~70℃である。いくつかの態様では、例として、第1の融解温度は、約70℃~65℃、約70℃~60℃、約70℃~55℃、約70℃~50℃、約70℃~45℃である。いくつかの態様では、第1の融解温度は約50℃~53℃である。いくつかの態様では、第1の融解温度は約50.7℃~52.5℃である。いくつかの態様では、第1の融解温度は約50.7℃~52.5℃である。一般に、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列の融解温度は、互いに0.1℃、0.5℃、1.0℃、1.5℃、2.0℃、2.5℃、3.0℃、3.5℃、4.0℃、4.5℃、5.0℃、およびその間の任意の数または範囲内である。
【0052】
第2の融解温度は60℃~85℃程度であり得る。いくつかの態様では、例として、第2の融解温度は、約60℃~85℃、約60℃~80℃、約60℃~75℃、約60℃~70℃、約60℃~65℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は、約80℃~85℃、約75℃~85℃、約70℃~85℃、約65℃~85℃、約60℃~85℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~75℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~73℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~72℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~71℃である。いくつかの態様では、第2の融解温度は約70℃~70.9℃である。
【0053】
PCR混合物に含まれる第1のプライマーセットの第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーは、本明細書で提供されるサンプル中の核酸品質を決定するための方法を使用してその品質が決定される核酸中の反復配列と相補性を有する3’末端配列を含み得る。反復核酸配列はレトロトランスポゾンを含み得る。3’末端配列は、LTRおよび非LTRレトロトランスポゾンを含む任意のレトロトランスポゾンと相補性を有し得る。例示的なレトロトランスポゾンとしては、Ty1-コピア様(シュウドウイルス科)、Ty3-ジプシー様(メタウイルス科)、およびレトロトランスポゾンのBEL-Pao様群、L1、L2、L3、RTE、R2、I、およびJockey、およびTad、CRE、Deceiver、およびInkcap様因子を含むLINEの任意のグループ、ならびにSINE、例えばCORE-SINE、V-SINE、およびAmnSINEが挙げられる。
【0054】
本明細書で提供される方法で調製されたPCR混合物の第1のプライマーセットの第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、任意の生物に由来する任意のレトロトランスポゾンの配列と相補性を有し得る。例えば、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、本明細書で提供される方法を使用してその品質が決定される核酸源に基づいて設計することができる。したがって、3’末端配列は、その品質が決定された核酸が得られた生物に見出されるレトロトランスポゾンと相補性を有し得る。核酸はヒト由来であり得る。いくつかの態様では、レトロトランスポゾンはL1レトロトランスポゾンである。
【0055】
第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、レトロトランスポゾンの両鎖に沿ったジグザグ配列と相補性を有するように設計することができる。レトロトランスポゾンの両鎖に沿ったジグザグ配列は重複していなくてよい。いくつかの態様では、各第1のフォワードプライマーは各第1のリバースプライマーでアンプリコンを生成することができ、各第1のリバースプライマーは各第1のフォワードプライマーでアンプリコンを生成することができる。このようにして、約50bp~200bp、約50bp~300bp、約50bp~400bp、約50bp~500bp、約50bp~600bp、約50bp~700bp、約50bp~800bp、約50bp~900bp、約50bp~1,000bp、約50bp~1,500bp、約50bp~2,000bp、約50bp~2,500bp、約50bp~3,000bp、約50bp~3,500bp、約50bp~4,000bp、約50bp~4,500bp、約50bp~5,000bpを含むサイズの範囲に沿って多数のアンプリコンを生成することができる。いくつかの態様では、アンプリコンは約100~2,000bpの範囲である。
【0056】
本明細書で提供されるサンプル中の核酸の品質を決定する方法で調製されたPCR混合物は、第2のプライマーセットを含み得る。第2のプライマーセットは、複数の第2のフォワードプライマーおよび複数の第2のリバースプライマーを含み得る。各第2のフォワードプライマーおよび各第2のリバースプライマーは、5’末端共通配列を含み得る。
【0057】
第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列は、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーに含まれ得る。いくつかの態様では、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列のみを含み、他の配列またはヌクレオチドを含まない。いくつかの態様では、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列に加えて、他の配列またはヌクレオチドを含み得る。例えば、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、5’末端共通配列のヌクレオチド上流または5’に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える更なるヌクレオチドを含み得る。別の例として、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーはまた、5’末端共通配列のヌクレオチド下流または3’に5’末端共通配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える更なるヌクレオチドを含み得る。5’末端共通配列の下流または3’の更なる配列またはヌクレオチドは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列に存在するヌクレオチドのすべてを含まずに、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列に存在する5’ヌクレオチドを含み得る。したがって、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの5’末端共通配列の下流または3’に含まれる更なるヌクレオチドは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる3’末端配列に伸長することができる。いくつかの態様では、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーに含まれる3’末端配列は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる3’末端配列よりも少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20少ない3’ヌクレオチドを含む。したがって、いくつかの態様では、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列は、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーに含まれる3’末端配列よりも少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20多い3’ヌクレオチドを含む。
【0058】
5’末端共通配列を含む第2のフォワードプライマー、5’末端共通配列および任意の数の更なるヌクレオチドを含む第2のフォワードプライマー、5’末端共通配列を含む第2のリバースプライマー、および5’末端共通配列および任意の数の更なるヌクレオチドを含む第2のリバースプライマー、ならびに5’末端共通配列および任意の数の更なるヌクレオチドを含む第2のリバースプライマーを含む、第2のフォワードプライマーと第2のリバースプライマーとの任意の組み合わせを、本明細書で提供される核酸品質を決定する方法において調製されるPCR混合物の第2のプライマーセットに含めることができる。したがって、第2のプライマーセットは、等しい数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含み得る。第2のプライマーセットはまた、等しくない数の第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーを含み得る。いくつかの態様では、第2のプライマーセットは約1~20の第2のフォワードプライマーを含む。いくつかの態様では、第2のプライマーセットは約1~20の第2のリバースプライマーを含む。第2のプライマーセットは、任意の数の第2のフォワードプライマーおよび任意の数の第2のリバースプライマーを含み得る。
【0059】
第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーは、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列の第1の融解温度よりも高い融解温度を有し得る。第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの融解温度は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの5’末端共通配列の第2の融解温度と同様であり得るか、またはそれに対応し得る。例えば、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーが5’末端共通配列以外の配列を含まない場合、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの融解温度は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列の第2の融解温度に対応し得る。別の例として、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーが5’末端共通配列に加えてヌクレオチドを含む場合、第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの融解温度は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列の第2の融解温度よりも高くなり得る。第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの融解温度は、第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーに含まれる5’末端共通配列の第2融解温度よりも約0.5℃、1.0℃、1.5℃、2.0℃、2.5℃、3.0℃、3.5℃、4.0℃、4.5℃、5.0℃、5.5℃、6.0℃、6.5℃、7.0℃、7.5℃、8.0℃、8.5℃、9.0℃、9.5℃、10.0℃、10.5℃、11.0℃、11.5℃、12.0℃、12.5℃、13.0℃、13.5℃、14.0℃、14.5℃、15.0℃、15.5℃、16.0℃、16.5℃、17.0℃、17.5℃、18.0℃、18.5℃、19.0℃、19.5℃、20.0℃、20.5℃、21.0℃、21.5℃、22.0℃、22.5℃、23.0℃、23.5℃、24.0℃、24.5℃、25.0℃、およびその間の任意の数または範囲で高くなり得る。
【0060】
いくつかの態様では、本明細書で提供される方法において使用されるプライマーセットの第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーはタグまたは標識を含む。タグまたは標識は、例えば、PCRにより生成されたアンプリコンの検出に使用することができる。カラータグまたはラベルを含む任意の種類のタグまたはラベルを使用することができる。例示的なカラータグまたはラベルは、フルオロフォアを含む。例えば、ユウロピウムおよびテルビウムのものを含む蛍光ランタニド錯体、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル-クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade Blue、Texas Red(例えば、Invitrogen社から入手可能である)、および参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる11th Edition of the Molecular Probes Handbook by Richard P.Hauglandに記載されている他のものを含む、任意のフルオロフォアを使用することができる。他のフルオロフォアとしては、例えば、Cy3-dCTP、Cy3-dUTP、Cy5-dCTP、Cy5-dUTP(GE Healthcare)、フルオレセイン-12-dUTP、テトラメチルローダミン-6-dUTP、Texas Red(登録商標)-5-dUTP、Cascade Blue(登録商標)-7-dUTP、BODIPY(登録商標)FL-14-dUTP、BODIPY(登録商標)R-14-dUTP、BODIPY(登録商標)TR-14-dUTP、ローダミングリーン(商標)-5-dUTP、オレゴングリーン(登録商標)488-5-dUTP、Texas Red(登録商標)-12-dUTP、BODIPY(登録商標)630/650-14-dUTP、BODIPY(登録商標)650/665-1 4-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)488-5-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)532-5-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)568-5-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)594-5-dUTP、Alexa Fluor(登録商標)546-1 4-dUTP、フルオレセイン-12-UTP、テトラメチルローダミン-6-UTP、Texas Red(登録商標)-5-UTP、Cascade Blue(登録商標)-7-UTP、BODIPY(登録商標)FL-14-UTP、BODIPY(登録商標)TMR-14-UTP、BODIPY(登録商標)TR-14-UTP、ローダミングリーン(商標)-5-UTP、Alexa Fluor(登録商標)488-5-UTP、およびAlexa Fluor(登録商標)546-1 4-UTP(Invitrogen)、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)532、Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Fluor(登録商標)647、BODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、Cascade Blue、Cascade Yellow、Dansyl、リサミンローダミンB、Marina Blue、Oregon Green 488、Oregon Green 514、Pacific Blue、ローダミン6 G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ならびにCy2、Cy3.5、Cy5.5、およびCy7(GE Healthcare)が挙げられる。
【0061】
本明細書で提供されるサンプル中の核酸の品質を決定する方法は、サンプルに対して第1のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うステップを含み得る。いくつかの態様では、第1のPCRの各サイクルの第1の伸長ステップは、本明細書で提供されるPCR反応混合物に含まれる第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーの3’末端配列の第1の融解温度程度の温度である。いくつかの態様では、第1の伸長ステップは、第1の融解温度よりも約5℃低い温度から第1の融解温度よりも5℃高い温度である。いくつかの態様では、第1の伸長ステップは、第2の融解温度よりも少なくとも5℃低い温度である。いくつかの態様では、第1の伸長ステップは、第1の融解温度よりも約5℃低い温度から第1の融解温度よりも5℃高く、第2の融解温度より少なくとも5℃低い温度である。いくつかの態様では、第1の伸長ステップは約45℃~70℃である。いくつかの態様では、第1の伸長ステップは、約45℃~50℃、約45℃~55℃、約45℃~60℃、約45℃~65℃、約45℃~70℃である。いくつかの態様では、例として、第1の伸長ステップは、約70℃~65℃、約70℃~60℃、約70℃~55℃、約70℃~50℃、約70℃~45℃である。いくつかの態様では、第1の伸長ステップは約50℃~53℃である。いくつかの態様では、第1の伸長ステップは約50.7℃~52.5℃である。いくつかの態様では、第1の伸長ステップは約50℃である。
【0062】
第1の伸長ステップは、任意の適切な長さの時間であり得る。例えば、第1の伸長ステップは、約30秒、約40秒、約50秒、約1分、約1分10秒、約1分20秒、約1分30秒、約1分40秒、約1分50秒、約2分、約2分10秒、約2分20秒、約2分30秒、約2分40秒、約2分50秒、約3分、およびその間の任意の数または範囲であり得る。いくつかの態様では、第1の伸長ステップは約2分間である。
【0063】
第1のPCRは、任意の適切な数のサイクルを含み得る。一般に、第1のPCRのサイクル数は10サイクル未満であるが、より多くのサイクル数を行うこともできる。第1のPCRは、約1サイクル、約2サイクル、約3サイクル、約4サイクル、約5サイクル、約6サイクル、約7サイクル、約8サイクル、約9サイクル、約10サイクルであり得る。いくつかの態様では、第1のPCRは約3~5サイクルを含む。
【0064】
本明細書で提供されるサンプル中の核酸の品質を決定する方法は、サンプルに対して第2のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うステップを含み得る。いくつかの態様では、第2のPCRにおける各サイクルの第2の伸長ステップは、本明細書で提供されるPCR反応混合物に含まれる第2のフォワードプライマーおよび第2のリバースプライマーの5’末端共通配列の第2の融解温度程度である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは、第2の融解温度よりも約5℃低い温度から第2の融解温度よりも5℃高い温度である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは、第1の融解温度よりも少なくとも5℃高い温度である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは、第2の融解温度よりも約5℃低い温度から第2の融解温度よりも5℃高く、第1の融解温度よりも少なくとも5℃高い温度である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは約60℃~85℃である。いくつかの態様では、例として、第2の伸長ステップは、約60℃~85℃、約60℃~80℃、約60℃~75℃、約60℃~70℃、約60℃~65℃である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは、約80℃~85℃、約75℃~85℃、約70℃~85℃、約65℃~85℃、約60℃~85℃である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは約70℃~75℃である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは約70℃~73℃である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは約70℃~72℃である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは約70℃~71℃である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは約70℃~70.9℃である。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは約70℃である。
【0065】
第2の伸長ステップは、任意の適切な長さの時間であり得る。例えば、第2の伸長ステップは、約30秒、約40秒、約50秒、約1分、約1分10秒、約1分20秒、約1分30秒、約1分40秒、約1分50秒、約2分、約2分10秒、約2分20秒、約2分30秒、約2分40秒、約2分50秒、約3分、およびその間の任意の数または範囲であり得る。いくつかの態様では、第2の伸長ステップは約1分間である。
【0066】
第2のPCRは、任意の適切な数のサイクルを含み得る。一般に、第2のPCRのサイクル数は10サイクルを超えるが、より少ないサイクル数で行うこともできる。第2のPCRは、約10サイクル、11サイクル、約12サイクル、約13サイクル、約14サイクル、約15サイクル、約16サイクル、約17サイクル、約18サイクル、約19サイクル、約20サイクル、約21サイクル、約22サイクル、約23サイクル、約24サイクル、約25サイクル、約26サイクル、約27サイクル、約28サイクル、約29サイクル、約30サイクル、約31サイクル、約32サイクル、約34サイクル、約35サイクル、約36サイクル、約37サイクル、約38サイクル、約39サイクル、約40サイクル、約41サイクル、約42サイクル、約43サイクル、約44サイクル、約45サイクル、約46サイクル、約47サイクル、約48サイクル、約49サイクル、約50サイクル、またはそれを超えるサイクル数であり得る。いくつかの態様では、第2のPCRは約10~35サイクルを含む。いくつかの態様では、第2のPCRは約15~25サイクルを含む。
【0067】
本明細書で提供されるサンプル中の核酸の品質を決定する方法は、アンプリコンのサイズ範囲を決定するステップを含み得る。本明細書で使用される場合、アンプリコン」は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、または遺伝子重複などの増幅または複製事象の産物である核酸を意味する。PCRなどの増幅反応の産物に言及する場合、文脈上特に明記されていない限り、「アンプリコン」および「PCR産物」という用語は互換的に使用することができる。
【0068】
第1のフォワードプライマーおよび第1のリバースプライマーは、レトロトランスポゾンの両鎖に沿ったジグザグ配列および/または非重複配列に対して、それらの3’末端で相補性を有するように設計することができる。各第1のフォワードプライマーは、一般に各第1のリバースプライマーでアンプリコンを生成することができ、各第1のリバースプライマーは、一般に各第1のフォワードリバースプライマーでアンプリコンを生成することができるので、本明細書で提供される方法を使用して、約50~200bp、約50~300bp、約50~400bp、約50~500bp、約50~600bp、約50~700bp、約50~800bp、約50~900bp、約50~1,000bp、約50~1,500bp、約50~2,000bp、約50~2,500bp、約50~3,000bp、約50~3,500bp、約50~4,000bp、約50~4,500bp、約50~5,000bpを含む、様々なサイズのアンプリコンを単独で生成することができる。いくつかの態様では、アンプリコンは約100~2,000bpの範囲である。本明細書で提供される方法によって生成される任意のアンプリコンのサイズ範囲は、核酸品質の解析に使用することができる。
【0069】
本明細書で提供される核酸品質を決定する方法は、アンプリコンの強度比を決定するステップを含み得る。Agilent 4200 TapeStationシステム、Agilent 2200 TapeStationシステム、Agilent 2100 Bioanalyzerシステム、Agilent DNA ScreenTape Analysis、Agilent D1000 and High Sensitivity D1000 Screen Tape Assays、Lab901 TapeStation、およびShimadzu MCE-202 MultiNAなどを含む任意の適切な方法を使用してアンプリコンサイズおよびアンプリコン強度比を決定することができる。いくつかの態様では、予測されるアンプリコンサイズの存在は核酸品質と相関する。いくつかの態様では、予測されるアンプリコンサイズの存在は核酸サイズと相関する。いくつかの態様では、予測されるアンプリコン強度の存在は核酸品質と相関する。いくつかの態様では、予測されるアンプリコン強度の存在は核酸品質と相関する。
【0070】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「a」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の参照を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、本開示などを読めば当業者には明らかになるであろう本明細書に記載される種類の1つもしくはそれを超える方法および/またはステップを含む。
【0071】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0072】
量、持続時間などの測定可能な値に言及する際に本明細書で使用される「約」とは、指定された値から±20%または±10%、または±5%、またはさらには±1%の変動を包含することを意味し、かかる変動は、開示された組成物または開示された方法を実施するのに適切である。
【0073】
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、任意のデオキシリボ核酸(DNA)分子、リボ核酸(RNA)分子、または核酸類似体を指す。DNAまたはRNA分子は、二本鎖または一本鎖であり得、任意のサイズであり得る。例示的な核酸としては、染色体DNA、プラスミドDNA、cDNA、無細胞DNA(cfDNA)、循環腫瘍DNA(ctDNA)、mRNA、tRNA、rRNA、siRNA、マイクロRNA(miRNAまたはmiR)、hnRNAが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な核酸類似体としては、ペプチド核酸、モルホリノおよびロックド核酸、グリコール核酸およびトレオース核酸が挙げられる。本明細書で使用される場合、「核酸分子」および「核酸」という用語は、例えば、核酸分子および核酸の断片、ならびに任意の全長または非断片化核酸分子および核酸を含むことを意味する。
【0074】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語は、リボ核酸およびデオキシリボ核酸の両方の個々の単位、ならびにヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体、および標識ヌクレオチドなどの修飾ヌクレオチドを含む。さらに、「ヌクレオチド」は、糖、リン酸および/または塩基単位が存在しないかもしくは他の化学構造によって置き換えられているものなど、天然に存在しない類似体構造を含む。したがって、「ヌクレオチド」という用語は、個々のペプチド核酸(PNA)(Nielsenら、Bioconjug.Chem.1994;5(l):3-7)ユニットおよびロックド核酸(LNA)(Braasch and Corey,Chem.Biol.2001;8(1):1-7)ユニットならびに他の同様のユニットを包含する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「サンプル」および「生物学的サンプル」という用語は、本明細書で提供される組成物および方法での使用に適した任意のサンプルを指す。本組成物および方法と共に使用されるサンプルは、対象に由来する組織サンプルもしくは体液、または生検手順(例えば、針生検)もしくは外科的処置によって得られた組織から得ることができる。本方法の生物学的サンプルは、体液、例えば脳脊髄液(CSF)、血液、血清、血漿、尿、唾液、涙、および腹水などのサンプルであり得る。体液のサンプルは、当業者に公知の任意の適切な方法によって回収することができる。
【0076】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、本明細書に開示される方法が実施される任意の個体または患者を指す。「対象」という用語はまた、本明細書で提供される組成物および方法と共に使用するための核酸の供給源である任意の個体または患者を含み得る。「対象」という用語は、「個体」または「患者」という用語と互換的に使用することができる。対象はヒトであってもよいが、当業者には理解されるように、対象は動物であってもよい。したがって、哺乳動物、例えばげっ歯類(マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットを含む)、ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどを含む家畜、霊長類(サル、チンパンジー、オランウータンおよびゴリラを含む)、爬虫類、鳥類、両生類、硬骨魚類、軟骨魚類、および無脊椎動物を含む他の動物が、対象の定義内に含まれる。対象は、植物または微生物であってもよい。
【実施例
【0077】
実施例1
この実施例は、単一の増幅反応からの核酸品質の解析のためのより広い範囲のDNAサイズを提供し、より少ない量のDNAと共に使用することができ、個々の部位でのDNA変化の影響を受けにくい新規アッセイの設計を説明する。
【0078】
DNA品質を決定するための現在の方法は、例えば、次世代シーケンシング(NGS)のためのライブラリー調製にサンプルを進めるべきかどうかを効果的に評価するには不十分である。サンプルが首尾よく変換され得るかどうかの成功を予測する機能的アッセイを有している場合、非常に有用であろう。定量的機能指標(QFI)アッセイは、増幅性について少数のDNAセグメントを調べるが、断片の数およびサイズが限られているため、その有用性に限界がある。したがって、アッセイの予測可能性を改善するために、より適切なサイズ範囲にわたってより多くのゲノム断片を増幅するアッセイを生成した。
【0079】
DNA品質を決定するための新規なアッセイは、ゲノム上の数百以上の異なる部位を増幅することができる少数のプライマーを用いた、ヒトゲノムの反復配列の増幅に依拠している。これらのプライマーは、NGSに関連する領域を増幅することができ、その結果、DNA品質のより正確な把握を行うことができるようにする。
【0080】
L1レトロトランスポゾンの高度に反復された5’末端の配列に基づいてプライマーを設計した。両鎖に沿ったジグザグ配列を、均一な融解温度を有し、107~833bpの範囲の断片サイズを生じるように選択した。選択された7つのプライマーの各々は、反対の鎖上の他のプライマーの各々と68を超える異なるアンプリコンを生成するはずである。これは、100~2,000bp領域に多くのサイズを有する断片をもたらす。図1は、DNAプライマーおよびアッセイ方法の概要を提供する。
【0081】
L1結合プライマーは、ヒトDNAに存在しない共通の配列に融合され、1つの配列が+鎖プライマーに付加され、2つ目の配列が-鎖プライマーに融合される。融合点に隣接する塩基は、L1配列との重複を最小限に抑えるように選択した。次いで、融合プライマーを低濃度で増幅混合物に添加し、ごく少数のサイクル(例えば、3~5サイクルであり、サイクル数は最適化することができる)でL1配列のTmでゲノムDNAを増幅するために使用する。図2は、初回PCRの代表的なLINE配列を、予想されるアンプリコン長および予測されるアンプリコンの数と共に示す。
【0082】
少数のサイクルの後、温度を5’末端融合配列のTmまで上昇させ、次いで、大モル過剰の融合プライマーにより、反応をさらに多くのサイクルにわたって増幅する(例えば、15~25サイクルであり、サイクル数は最適化することができる)。これにより、標準的なDNAサイジング装置(例えば、TapeStation、DNAシーケンサー、またはサイズによってDNAを分離するための他の方法)で分離される広範囲のDNA断片が生成される。特定のサイズまたはサイズ範囲における強度比は、DNAサイズおよび品質と相関させるために使用される。プライマーおよびプライマー成分を図3に示す。予測されるアンプリコンのサイズ分布を図4に示す。
【0083】
アッセイのいくつかの改変が可能である。例えば、共通のプライマーを1つまたは数塩基だけL1配列に伸長させ、異なる色のタグで標識することができ、その結果、特異的な断片のより良好な分解能が起こり得る。例えば、可能な性能向上のために異なるプライマーを使用することもできる。
【0084】
この方法の利点は、出発物質としての反復DNAの使用に由来する。ゲノム当たりDNAの100~1000倍のコピーの存在により、はるかに少量のDNAの検出および非常に少量の出発物質の使用が可能になる。DNA断片の多くはわずかに異なるサイズを有するので、標準的なQFIアッセイと比較して、より多くのサイズが調べられる。さらに、ゲノム全体からの領域が検査されるので、ゲノムの単一領域が変化してもアッセイに実質的な影響を及ぼすことはない。
【0085】
要約すると、核酸品質を決定するための新規なアッセイを、反復核酸配列の解析に基づいて設計した。新規なアッセイは、例えばライブラリー調製および次世代シーケンシング(NGS)などの用途、ならびに核酸品質が重要である任意の他の用途のために核酸品質を決定するのに有用である。
【化1】
【表1】
【0086】
本開示を通してなされた、特許、特許出願、特許公報、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書へのありとあらゆる参照および引用は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0087】
本発明を上記の例を参照して説明したが、本発明の精神および範囲内に修正および変形が包含されることは理解されよう。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2023520871000001.app
【国際調査報告】