IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スミトモ (エスエイチアイ) クライオジェニックス オブ アメリカ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図1
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図2
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図3
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図4
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図5
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図6
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図7a
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図7b
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図8
  • 特表-改良された分割パルス管接続ライン 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】改良された分割パルス管接続ライン
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
F25B9/00 311
F25B9/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560015
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 US2021024163
(87)【国際公開番号】W WO2021202238
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/001,701
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501356112
【氏名又は名称】スミトモ (エスエイチアイ) クライオジェニックス オブ アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sumitomo(SHI)Cryogenics of America,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ミンギャオ
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ティアン
(72)【発明者】
【氏名】ロングスワース,ラルフ,シー.
(57)【要約】
振動隔離、分離距離、及び実装利便性を含む標準的なコルゲートホース接続ラインの所望の特性を維持又は改善しながら、GM型パルス管冷却装置の圧力波発生装置及びコールドヘッド間の接続ラインにおける損失を減少する。基本的手段は、波形の数を減少し、空隙容積に充填剤を追加し、振動吸収被覆を提供すると共に、コルゲートホース内の回旋の内側空隙容積を減少することである。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力波発生装置(PWG)及びパルス管コールドヘッド間の接続ラインを含むパルス管極低温冷却装置であって、
前記接続ラインは、金属ホースが少なくとも90度湾曲することを可能にする波形を有する前記金属ホースを含み、前記波形の外径は前記波形の内径に比べて少なくとも40%以上大きく、前記金属ホースの内側容積は前記金属ホースのコア容積の33%以下であることを特徴とするパルス管極低温冷却装置。
【請求項2】
前記波形の内側容積を形成する外側回旋の半径は、前記波形の外側容積を形成する内側回旋の半径より小さいことを特徴とする請求項1に記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項3】
前記金属ホースは、前記波形を有するコルゲート部分と、少なくとも1つの直線管路部分と、を含み、
前記波形の内側容積を形成する外側回旋は、前記外側回旋の内径と同じ又はより小さい内径を有する前記直線管路部分により間隔をあけて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項4】
外側回旋により規定される前記波形の内側容積は、少なくとも部分的にエラストマーにより充填されることを特徴とする請求項1に記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項5】
前記金属ホースの外側は、エラストマーにより被覆されることを特徴とする請求項1に記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項6】
前記金属ホースの外側は、網組カバーにより強化されることを特徴とする請求項1に記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項7】
圧力波発生装置(PWG)及びパルス管コールドヘッド間の接続ラインを含むパルス管極低温冷却装置であって、
前記接続ラインは、湾曲可能な金属管と、前記圧力波発生装置及び前記コールドヘッド間の金属間接触を防止するエラストマーシールを有する継手と、を含むことを特徴とするパルス管極低温冷却装置。
【請求項8】
前記エラストマーシールは、前記金属管の2つの部分の継手部の間に配置されることを特徴とする請求項7に記載のパルス管極低温冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年3月30日に出願された米国仮特許出願63/001,701の優先権を主張するものであり、この出願は参照されることにより、本出願に援用される。
【0002】
ここに記載の実施形態は、ギフォード-マクマホン(GM)型パルス管冷却装置の弁機構を、極低温度で装置を冷却するコールドヘッドから分離する接続ラインに関連する損失を最小化することに関する。弁モータ及びコールドヘッド間の接続ラインの改良は、利用可能な冷却を増加し、振動の伝達を減少する。
【背景技術】
【0003】
現在利用されているいくつかの装置及び開発されている新しい装置は、4K以下で動作し、約1Wの冷却及び低レベルの振動を要求する。GM型パルス管冷却装置が使用されており、なぜなら、GM型パルス管冷却装置は、コールドヘッド内に移動する部品を備えずに建造することができるからである。GM型パルス管拡管装置は、通常ヘリウムである循環ガスにより、通常1~2Hzで約2.2及び0.8MPaの高圧及び低圧間でコールドヘッド内外に、極低温の冷却を生成する。単段パルス管コールドヘッドは、ウォームエンド及びコールドエンドを有する冷却装置、コールドエンドヒートステーション、ウォームエンド及びコールドエンドを有するパルス管、及びパルス管のウォームエンドに接続された圧力位相シフト機構を含む。ガスは冷却装置のウォームエンド内外を循環し、パルス管内のガスを加圧及び減圧するコールドエンドヒートステーションを通って流れる。パルス管のウォームエンド及びコールドエンド内外を流れるガスは、フロースムーザを通って流れ、その結果、ガスは層化する(混合しない)。パルス管のウォームエンド及びコールドエンドに入るガスは、パルス管内に残るガスが圧縮ピストンとして作用することを引き起こす。コールドエンド内外を循環するガスは、ソリッドピストンの端部に対して作用し、パルス管内に約15%移動すると考えることができる。P-V図は、ソリッドピストンを有するGM型又はスターリング型循環拡管装置のP-V図と同様である。
【0004】
GM型パルス管内の圧力循環は、ガスをコールドヘッドに循環させる弁機構に接続される高圧の供給ライン及び低圧の戻りラインを有する連続フロー圧縮機により提供される。一体型拡管装置において、弁機構及びコールドヘッドは連結されている。分割パルス管拡管装置において、可撓性であることができ可撓ラインとも呼ばれる管であることができる接続ラインにより、弁機構はコールドヘッドから分離している。約3mmより小さい内径を有する小径ラインは管材料から通常形成され、大径は常コルゲートホースから通常形成される。
【0005】
GM型パルス管の圧縮機及び弁機構は、圧力波発生装置(PWG)とも呼ばれる。この用語は、圧力波発生装置と呼ばれる往復ピストン圧縮機が接続ライン又は接続管を通してパルス管コールドヘッドに接続されているスターリング型パルス管に由来する。スターリング型パルス管は通常、高速、例えば60Hzで動作するので、コールドヘッド内のガス膨張エネルギーは圧縮機のピストンの運動エネルギーとして回収及び貯蔵される。GM型パルス管は通常、1~2Hzで動作し、膨張エネルギーを回収しないが、スターリング型パルス管よりも冷却されるように設計することができる。一方、スターリング型パルス管は、より小型化することができ、より高い温度においてより高い効率を有することができる。
【0006】
例えば4Kの極低温及び低速で動作するGM型パルス管は、パルス管内のガスの層化を維持する為にパルス管のコールドエンドに対する垂直配向に依存する。この用途の圧力波発生装置及びコールドヘッド間の接続管は通常、冷却装置の設置時には位置が固定されている。より高い速度及び温度で動作し、より小径のパルス管を有するスターリング型パルス管冷却装置は、他の配向で動作することができる。なぜなら、ガスが層化する時間が無いからである。スターリング型パルス管は、パルス管内でガスを層化する重力が無い場所で幅広く使用されている。
【0007】
多くの用途で圧力波発生装置及びパルス管コールドヘッド間に接続管を有する主な目的は、圧力波発生装置からパルス管コールドヘッドに伝達される振動を隔離することである。他の理由は、実装の制約の検討、圧力波発生装置からの電磁干渉の隔離、又は磁場からの圧力波発生装置の隔離である。コルゲートホースを使用する接続ラインは、振動を隔離すること、及びGM型パルス管の弁機構の実装に柔軟性を提供すること、の両方に役立つ。
【0008】
Spoorによる米国特許第7628022号には、圧力波発生装置をコールドヘッドに接続する網組カバー(4欄、32行)を有する可撓性コルゲートホースを使用する分割スターリング型パルス管が記載されている。米国特許第7628022号において、圧力波発生装置は「音響電源」として記載されている。接続ラインの主な目的は、圧力波発生装置をコールドヘッドから分離することであり、この特許のメインクレームは動作周波数に基づく最小長さを特定している。
【0009】
4Kに近い温度で動作するGM型パルス管において現在使用されている位相シフト機構には2つの型がある。Xuによる米国特許第9157668号には、バッファボリューム及び圧縮機戻りライン間のブリードラインが追加されている基本的なダブルインレット型パルス管が記載されている。米国特許第9157668号の図1を参照すると、基本的なダブルインレット型パルス管は、圧力波発生装置コンポーネント12、弁V1及びV2、接続ライン20、及びコールドヘッドを含む残りのコンポーネントを含む。ブリードラインを追加しない場合、圧力波発生装置及びコールドヘッドを接続する為に1つのライン20しか必要ない。このことは、圧力波発生装置及び冷却装置242間の接続ラインとしてのライン220を示す米国特許第9157668号の図8に図示されている2段4Kパルス管においても同様である。Xuによる米国特許第10066855号には、4弁パルス管が記載されている。この名称は、1つ又は一連の冷却装置にガスを循環する圧力波発生装置内の2つの弁及び第1段パルス管の為の2つの弁を含む位相シフト機構に由来する。米国特許第10066855号には、それぞれ追加の一対の弁を必要とする第2段及び第3段パルス管にガス流をバランスよく流入させるフロー制御機構が記載されている。米国特許第10066855号の図1を参照すると、パルス管は、圧力波発生装置コンポーネント圧縮機212、弁V1~V6及び接続管、接続ライン220、230、299、及び2段コールドヘッドを含む残りのコンポーネントを含む。圧力波発生装置及び冷却装置間の接続ライン220は、ガス流の90%以上をコールドヘッドに運び、したがって、接続ライン230及び299よりもかなり大きい。3つの接続ラインを必要とする2段4弁パルス管は、ダブルインレット型パルス管に対して不利益であると思われるが、4弁パルス管はバッファボリュームを必要としない。ダブルインレット型パルス管のバッファボリュームは、比較的に大型であり、コールドヘッドとは分離して取り付ける必要があり、比較的に小型の第2の接続ラインを必要とする。
【0010】
分離した圧力波発生装置を有し、4Kに近い約1Wの冷却を提供する2段GM型パルス管の現在の用途の1つは、核磁気共鳴(NMR)法を実行する為の高磁場を生成する超電導電磁石を冷却することである。BrukerBioSpinGmbHに譲渡された3つの特許は、4Kパルス管コールドヘッドがコールドシールドを冷却し、ボイルオフヘリウムを濃縮する核磁気共鳴クライオスタットのネック管に取り付けられた4Kパルス管コールドヘッドを使用してこの問題を解決している。Wikusによる米国特許第9995510号には、1~2Hzの接続ライン内のガスの圧力循環によるクライオスタットへの周期的な力を減少する新規の接続ラインが記載されている。米国特許第9995510号の図7には、コルゲートホースが引き延ばされるのを防止する為にコルゲートホース上に通常SS網組スリーブを有する標準的なコルゲートホースが図示されており、それにより、高周波振動を隔離すると記載されている。Wikusによる米国特許第9982840号には、コルゲートホースによりコールドヘッドから分離された圧力波発生装置を有する2段4K・GM型パルス管の振動を隔離するもう1つの特徴が記載されている。コールドヘッドは、パルス管のウォームフランジをネック官のウォームフランジに密閉する可撓性のダイアフラムを使用してクライオスタットのネック官に取り付けられる。ダイアフラムは、ネック管内のヘリウムを大気から密閉し、ヘリウムは大気より若干高い圧力を有し、それにより、ヘリウムはコールドヘッド上を「浮動」する。Wikusによる米国特許第10401447号は、接続管からのパルス的な力がクライオスタットに力を伝達することなくコールドヘッドがネック管内で少しだけ、例えば1度、前後に揺れることを可能にする方法でネック管内のコールドヘッドを支持するピボット軸受を米国特許第9982840号のコールドヘッドに追加する。米国特許第10401447号の図5は、コルゲートホース部分と連続する管の直線部分を有する接続ラインを図示している。
【0011】
極低温技術2012の前に発表されたK.Nakano及びM.Y.Xuによる論文「分割弁ユニットを有する高効率4K2段パルス管クライオクーラの開発」は、異なる直径の長さ1mのコルゲート接続ラインの性能を比較している。一体型及び分割型GM型パルス管拡管装置の写真が示されている。分割弁ユニットは、弁ユニット及びコールドヘッド間の接続ライン内の圧力低下及び空隙容積による損失により、同じ熱負荷でより高い温度で動作する。1.7Hzの圧力循環による第1段及び第2段のコールドエンドにおける変位は、分割弁ユニットのそれぞれにおいて+/-10.3μm及び+/-14.6μmであると測定された。200Hzまでの周波数における一体型対分割型弁モータの振動の比較は、1.7Hzではわずかな相違しか示されていなかったが、より高い周波数では分割型弁モータにおいては10倍も減少している。
【0012】
圧力波発生装置をコールドヘッドから分離する現在のGM型パルス管冷却装置は、接続ラインに網組SSカバーを有する市販のSSコルゲートホースを使用している。このホースは、弁ユニットの実装に柔軟性を提供し、弁ユニットからコールドヘッドに伝達される振動を減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の実施形態は、振動隔離、分離距離、及び実装利便性を含む現在のコルゲートホース接続ラインの所望の特性を維持又は改善しながら、GM型パルス管冷却装置の圧力波発生装置及びコールドヘッド間の接続ラインにおける損失の減少を提供する。実施形態の基本的手段は、波形の数を減少し、空隙容積に充填剤を追加し、振動吸収被覆を提供すると共に、コルゲートホース内の回旋の内側空隙容積を減少する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの利点は、例えば、圧力波発生装置(PWG)及びパルス管コールドヘッド間の接続ラインを含むパルス管極低温冷却装置により達成され、前記接続ラインは、金属ホースが少なくとも90度湾曲することを可能にする波形を有する前記金属ホースを含み、前記波形の外径は前記波形の内径に比べて少なくとも40%以上大きく、前記金属ホースの内側容積は前記金属ホースのコア容積の33%以下である。実施形態において、前記波形の内側容積を形成する外側回旋は、前記波形の外側容積を形成する内側回旋よりも狭い間隔で配置されている。実施形態において、前記金属ホースは、前記波形を有するコルゲート部分と、少なくとも1つの直線管路部分と、を含む。前記金属ホースの内側容積を形成する外側回旋は、前記外側回旋の内径と同じ又はより小さい内径を有する前記直線管路部分により間隔をあけて配置されている。実施形態において、外側回旋により規定される前記波形の内側容積は、少なくとも部分的にエラストマーにより充填される。実施形態において、前記金属ホースの外側は、エラストマーにより被覆される。実施形態において、前記金属ホースの外側は、網組カバーにより強化される。
【0015】
これらの利点は、例えば、圧力波発生装置(PWG)及びパルス管コールドヘッド間の接続ラインを含むパルス管極低温冷却装置により達成され、前記接続ラインは、湾曲可能な金属管と、前記圧力波発生装置及び前記コールドヘッド間の金属間接触を防止するエラストマーシールを有する継手と、を含む。
【0016】
実施形態は、以下の図面により図示され、同じ又は同様の符号は同じ又は同等の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】圧力波発生装置及びコールドヘッドとの接続ラインの関係を示すダブルインレットGM型2段パルス管冷却装置の概略図である。
図2】市販のコルゲートホースの断面図である。
図3】本発明による可変ピッチコルゲートホースの断面図である。
図4】コルゲートホース部分と直線管路部分を組み合わせた接続ラインの断面図である。
図5】回旋間に直線部分を組み合わせた接続ラインの断面図である。
図6】振動吸収被覆を有する市販のコルゲートホースの断面図である。
図7a】波形の内側容積を充填するエラストマーを有する市販のコルゲートホースの断面図である。
図7b】内径をライニングする管を有する波形の内側容積を充填するエラストマーを有する市販のコルゲートホースの断面図である。
図8】金属間接触を防止するエラストマーシールによりコールドヘッドから圧力波発生装置の高周波振動を隔離する継手の断面図である。
図9】接続ラインの2つの部分間に、コールドヘッドから圧力波発生装置の高周波振動を隔離するエラストマー接合剤を有する接続ラインの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここでは、本発明のいくつかの実施形態が、本発明の好ましい実施形態が図示されている添付の図面を参照にして、より完全に記載される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、ここに記載の実施形態に限定されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全なものとなり、当業者に本発明の範囲を伝達する為に提供されているものである。全体を通して、同様の符号は同様の要素を示し、代替実施形態における同様の要素はプライム記号を使用して示されている。
【0019】
図1は、圧力波発生装置40及びコールドヘッド20との接続ライン1の関係を示すダブルインレットGM型2段パルス管冷却装置500の概略図である。圧力波発生装置40は、圧縮機41、高圧供給ライン42、高圧弁43、低圧弁44、及び低圧戻りライン45から構成される。弁43及び44は通常、弁モータにより駆動される回転弁アセンブリ内のポートとして導入される。弁モータは、接続ライン1を通してコールドヘッドに伝達される高周波振動の主要な発生源である。供給ライン42及び戻りライン45は通常、圧縮機41を弁モータアセンブリから分離することを可能にする可撓性のホースである。パルス管コールドヘッド20は、冷却される装置を収容するクライオスタット50の上部に取り付けられる。クライオスタット50は、冷却装置の熱負荷を最小化する為に必要な断熱性を提供する。周囲温度のコールドヘッド20のコンポーネントは以下の、接続ライン1を第1段冷却装置21(R1)のウォームエンド、開口部24、及び開口部31に接続するライン19と、開口部24を第1段パルス管23(PT1)のウォームエンド、及び開口部26を通して第1段バッファボリューム27(B1)に接続するライン25と、開口部31を第2段パルス管30(PT2)のウォームエンド、及び開口部36を通して第2段バッファボリューム34(B2)に接続するライン32と、である。コールドヘッドのコンポーネントは、温度T1の第1段ヒートステーション22、第2段冷却装置28(R2)、及び温度T2の第2段ヒートステーション29を含む。
【0020】
K.Nakano及びM.Y.Xuによる上述の論文には、長さ1mの接続ラインを有する2段GM型パルス管が記載されている。この論文に記載のパルス管冷却装置は、この発明に含まれる新規の接続ラインの改良の使用の見本である。パルス管冷却装置は、50Hzで6.4kWを引き出し、1.65MPaでヘリウムを充填し、1.7Hzでコールドヘッドにガスを循環する圧縮機を含有する。接続ラインは、標準的な網組コルゲートホースであり、冷却装置へのホースは9.5mmの内径を有し、第1段パルス管へのホースは4.0mmの内径を有する。第1段温度T1は、40Wの熱負荷で45.4Kであると測定され、第2段温度T2は、1.0Wの熱負荷で4.05Kであると測定された。コールドヘッドと一体化された弁機構において、同条件での温度はそれぞれ37.0K及び3.86Kである。本発明による接続ラインを使用する応用は、約1~15kWを引き出し、約3~80Kの温度で動作する圧縮機を使用する。接続ラインは、約1mよりも短い長さを有し、3~15mmの内径を有し、通常、90度までの湾曲性を有する。上述の振動測定は、接続ラインのコネクタ10と反対側のコールドヘッド上のセンサ51(VS)により実行される。
【0021】
図2は、現在接続ラインとして使用されている市販のコルゲートホース100の断面図である。この型のホースの製造業者の1つであるHoseMasterは、ホースの製造工程を以下の通りに記載している。通常ステンレス鋼SSである金属帯を管に形成し、管をシーム溶接し、その後、ホースの回旋を機械的に形成する。HoseMasterはまた、ステンレス鋼の長帯を単一の回旋に形成し、らせん状に巻き付け、端部をシーム溶接することにより、コルゲートホースを製造する。標準的なコルゲートホース2は、加圧時に細壁の管が引き延ばされることを防止するSS網組カバー3を有する。網組カバー無しでは、ホースは0.1~0.3MPaの範囲の典型的な圧力限界を有するが、1層の網組カバーを有すると、ホースは通常5~10MPaの範囲の圧力限界を有する。ホースは、内径(ID)の1.4倍の外径(OD)を有する。外側回旋4aは、ライン内の圧力が高圧及び低圧間で循環する時、空隙容積を表す内側容積4bを部分的に包囲する。この空隙容積は、内側容積4bを加圧及び減圧する量により、コールドヘッドに達するガスの量を減少する。標準的なホースは、約50%の余剰容積比(回旋内の容積/コア容積の割合)を有し、コア容積は、内径内の容積x接続ラインの長さである。即ち、この標準的なホースにおいて、空隙容積はコア容積の約50%である。内側回旋5aは、外側回旋容積5bを包囲する。回旋は、同じ内径の滑らかな壁の管に比べて、ガスがホースを通って流れる時の圧力低下を増大させる一連の円形開口部として作用する。
【0022】
図3は、本発明による可変ピッチコルゲートホース200の断面図であり、内側回旋5a間の距離は、標準的なホースのように同じに維持されるが、外側回旋4aの半径は、内側回旋5aの半径よりも小さい。内側回旋5aの半径が外側回旋4aの半径の6倍である場合、内側容積4bは、コア容積の約27%であり、内側回旋5aのより大きな半径により圧力低下はわずかに減少する。内側回旋5aの半径が外側回旋4aの半径の3倍である場合、内側容積4bは、コア容積の約33%である。開示の発明のコルゲートホースの余剰容積比は33%以下である。代替的に、開示の発明のコルゲートホースの余剰容積比は27%以下である。
【0023】
図4は、コルゲートホース部分6と直線管路部分7を組み合わせた「直線/コルゲート部分ホース」300として特定される接続ラインの断面図である。K.Nakano及びM.Y.Xuによる上述の論文は、90度湾曲時のホースの内径の2.5倍の長さを有するコルゲートホースを使用する。9.5mmの内径の管が使用された場合、湾曲時に3cmよりも短い長さを有し、この長さは全長の3%である。複数のコルゲートホース部分6が直線管路部分7により間隔をあけて配置されているホースは、標準的なコルゲートホース2に比べてより少ない内側容積及びより低い圧力低下を有する。しかしながら、直線管路7により間隔をあけて配置されているコルゲートホース6は、より多くの振動を伝達する。コルゲートホースの内径は、同等の圧力低下の為に湾曲可能な管路の内径よりも大きい。この内径の増加は、接続ライン1の空隙容積を追加する。直線部分7の内径は、コルゲート部分6の内径よりも小さい。
【0024】
図5に図示されている構成は、「直線/コルゲートホース」400として特定され、回旋4a間に直線部分7を組み合わせた接続ラインの断面を示している。ホース300と同様に、直線管路7により間隔をあけて配置されている波形6は、標準的なコルゲートホース2に比べてより少ない内側容積及びより低い圧力低下を有するが、より多くの振動を伝達する。
【0025】
図6は、振動吸収被覆8を有する市販の標準的なコルゲートホース2の断面図である。そのような被覆は、圧力波発生装置からコールドヘッドに伝達される振動を減少する為に、任意の接続ライン構成に適用することができる。
【0026】
図7aは、波形の内側容積を充填するエラストマー9を有する標準的なコルゲートホース2の断面図である。そのような充填は、外側回旋を部分的にしか充填しないが、空隙容積を減少する。エラストマー9が外側回旋9を完全に充填して滑らかな穴を提供する場合、接続ラインの空隙容積による冷却の損失をなくし、圧力低下による損失は減少する。エラストマーは振動も吸収する。図7bでは、内径にライナー管19を追加している。この場合、コア容積は管の内径に基づいている。どちらの設計においても、コア容積に対する内側容積の比は1であることができる。
【0027】
図8には、ネジ付きリップを有する接続管14及び継手カラー12を保持するリップを有する接続管13間の金属間接触を防止するエラストマーシール11によりコールドヘッドから圧力波発生装置の高周波振動を隔離する振動隔離継手10aが図示されている。
【0028】
図9は、接続ラインの2つの部分16、17間に、コールドヘッドから圧力波発生装置の高周波振動を隔離するエラストマー接合剤15を有する接続ラインの断面図である。接続ライン1は、湾曲可能な銅又はステンレス鋼管路から成ることができ、高周波振動を隔離し、圧力循環による接続ラインの拡張及び収縮に関連する低周波振動を減少する、そのようなエラストマー接合継手を含有する。
【0029】
ここで使用されている用語及び記載は、単に説明の為に示されており、限定を意味するものではない。ここに記載の実施形態及び本発明の主旨及び範囲内で様々な変形が可能であると当業者は認識するものである。
【符号の説明】
【0030】
1 接続ライン
2 コルゲートホース
3 網組カバー
4a 外側回旋
4b 内側容積
5a 内側回旋
5b 外側容積
6 コルゲートホース部分
7 直線管路部分
8 振動吸収被覆
9 エラストマー
10 コネクタ
10a 振動隔離継手
11 エラストマーシール
12 継手カラー
13 接続管
14 接続管
15 エラストマー接合剤
16 接続ラインの部分
17 接続ラインの部分
19 ライン、ライナー管
20 コールドヘッド
21(R1) 第1段冷却装置
22(T1) 第1段ヒートステーション
23(PT1) 第1段パルス管
24 開口部
25 ライン
26 開口部
27(B1) 第1段バッファボリューム
28(R2) 第2段冷却装置
29(T2) 第2段ヒートステーション
30(PT2) 第2段パルス管
31 開口部
32 ライン
33 ライン
34(B2) 第2段バッファボリューム
40 圧力波発生装置
41 圧縮機
42 高圧供給ライン
43 高圧弁
44 低圧弁
45 低圧戻りライン
50 クライオスタット
51 センサ
100 コルゲートホース
200 可変ピッチコルゲートホース
300 直線/コルゲート部分ホース
400 直線/コルゲートホース
500 ダブルインレットGM型2段パルス管冷却装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力波発生装置(PWG)及びパルス管コールドヘッド間の接続ラインを含むパルス管極低温冷却装置であって、
前記接続ラインは、金属ホースが少なくとも90度湾曲することを可能にする波形を有する前記金属ホースを含み、前記波形の外径は前記波形の内径に比べて少なくとも40%以上大きく、前記金属ホースの内側容積は前記金属ホースのコア容積の33%以下であることを特徴とするパルス管極低温冷却装置。
【請求項2】
前記波形の内側容積を形成する外側回旋の半径は、前記波形の外側容積を形成する内側回旋の半径より小さいことを特徴とする請求項1に記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項3】
前記金属ホースは、前記波形を有するコルゲート部分と、少なくとも1つの直線管路部分と、を含み、
前記波形の内側容積を形成する外側回旋は、前記外側回旋の内径と同じ又はより小さい内径を有する前記直線管路部分により間隔をあけて配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項4】
外側回旋により規定される前記波形の内側容積は、少なくとも部分的にエラストマーにより充填されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項5】
前記金属ホースの外側は、エラストマーにより被覆されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項6】
前記金属ホースの外側は、網組カバーにより強化されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のパルス管極低温冷却装置。
【請求項7】
圧力波発生装置(PWG)及びパルス管コールドヘッド間の接続ラインを含むパルス管極低温冷却装置であって、
前記接続ラインは、湾曲可能な金属管と、前記圧力波発生装置及び前記コールドヘッド間の金属間接触を防止するエラストマーシールを有する継手と、を含むことを特徴とするパルス管極低温冷却装置。
【請求項8】
前記エラストマーシールは、前記金属管の2つの部分の継手部の間に配置されることを特徴とする請求項7に記載のパルス管極低温冷却装置。
【国際調査報告】