(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】付加製造方法を使用してフッ素含有エラストマ組成物から形成される物品、および熱硬化性エラストマ組成物のための付加製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/118 20170101AFI20230515BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20230515BHJP
B29C 64/295 20170101ALI20230515BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230515BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230515BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230515BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/209
B29C64/295
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560057
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 US2021025276
(87)【国際公開番号】W WO2021202813
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514179458
【氏名又は名称】グリーン, ツイード テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】505231659
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ マサチューセッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ペリヤサミー, ムーカン
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル, ロナルド アール.
(72)【発明者】
【氏名】サッサーノ, エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ミード, ジョーイ
(72)【発明者】
【氏名】カズマー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】バナジー, シブシャンカー
(72)【発明者】
【氏名】バービン, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】キーニー, エリン イー.
(72)【発明者】
【氏名】フェーン, リーダ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA36A
4F213AA45A
4F213AB03
4F213AC02
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL25
4F213WL32
4F213WL42
4F213WL52
4F213WL74
(57)【要約】
付加製造を使用してエラストマ物品を形成するための硬化性ポリマーを押し出すために好適な装置、およびそのような装置における使用のために好適な硬化性フッ素含有ポリマー組成物が、フッ素含有エラストマ物品を形成するための付加製造方法とともに、開示される。付加製造方法は、硬化性フルオロポリマー組成物から形成されたフィラメントを提供することと、駆動機構およびプリンタノズルを有する付加製造プリンタを提供することと、フィラメントを付加製造プリンタの中に、駆動機構を通して、および支持管の内壁によって画定された縦方向通路を通して、給送することと、熱をフィラメントに印加することと、ノズルの出口から退出する加熱されたフィラメントの連続した層を付加製造プリンタを使用して、基板上に印刷し、フッ素含有エラストマ物品を形成することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素含有エラストマ物品を形成するための付加製造方法であって、前記方法は、
硬化性フルオロポリマー組成物から形成されたフィラメントを提供することと、
駆動機構およびプリンタノズルを有する付加製造プリンタを提供することと、
前記駆動機構を通して、および支持管の内壁によって画定された縦方向通路を通して、付加製造プリンタの中に前記フィラメントを給送することであって、前記支持管は、第1の端部から第2の端部まで延び、前記支持管の前記第2の端部は、プリンタノズルへの入口との流体連通および/またはその中への前記フィラメントの通過を可能にするように位置付けられている、ことと、
前記フィラメントに熱を印加することと、
前記付加製造プリンタを使用して、前記ノズルの出口から退出する前記フィラメントの連続した層を基板上に印刷し、前記フッ素含有エラストマ物品を形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
フィラメントは、前記硬化性フルオロポリマー組成物を押し出すことによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィラメントを前記支持管に導入することに先立って、前記フィラメントを冷却することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィラメントを前記プリンタ駆動機構の中に導入することに先立って、前記フィラメントを冷却することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィラメントは、前記硬化性フルオロポリマー組成物の流動を前記プリンタ装置内で開始するために十分であり、かつかなりの硬化が生じる温度を下回る温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィラメントは、ASTM D2084の試験方法を使用して、ゴムプロセス分析器上で決定される前記硬化性フルオロポリマー組成物に関連付けられた時間T2に対応する温度を下回る温度まで加熱される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記硬化性フルオロポリマーは、部分的にフッ素化される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記硬化性フルオロポリマーは、硬化性ペルフルオロポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ペルフルオロポリマーの硬化の開始は、差動走査熱量計を使用して、熱分析によって示される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フィラメントは、かなりの硬化が生じる温度を下回る温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記フィラメントは、約100℃~約250℃である温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記フィラメントは、約105℃~約200℃である温度まで加熱される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィラメントは、約115℃~約160℃である温度まで加熱される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱は、前記付加製造プリンタ内の加熱機構によって発生させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記駆動機構は、駆動ホイールと、支持ホイールとを備え、前記方法は、前記支持管の前記第1の端部に進入することに先立って、前記フィラメントを前記駆動ホイールおよび前記支持ホイールに通すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記駆動機構は、駆動ホイールと、支持ホイールとを備え、前記支持管の前記第1の端部は、前記支持ホイールと前記駆動ホイールとの間で前記駆動機構を通して上向きに延び、前記フィラメントが給送ローラから離れると、前記フィラメントを支持する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
支持管壁が、前記支持管壁を通して横方向に延びている側面開口部を画定し、前記開口部の周囲の前記壁は、前記駆動ホイールの形状に合った輪郭を形成され、前記方法は、前記フィラメントが前記駆動機構を通過するとき、前記フィラメントが前記側面開口部のエリア内で前記駆動ホイールに接触するように、前記フィラメントを給送することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プリンタ駆動機構は、歯車付き駆動ローラを備え、前記方法は、前記フィラメントを前記歯車付き駆動ローラを通して給送することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記支持管は、前記歯車付き駆動ローラの下方に延びている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記支持管の前記一部は、前記歯車付き駆動ローラの上方に延び、前記方法は、前記歯車付きローラの上方の前記支持管の前記一部を通して、前記歯車付きローラの中に前記フィラメントを給送することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記歯車付きローラの上方の前記支持管の前記一部を冷却することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ノズルの出口は、開口部を横断して横方向に測定される開口部を画定し、前記開口部は、加熱する前に横方向に測定される前記フィラメントの外径より広い、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ノズル出口の前記開口部は、最も広い寸法における前記出口開口部を横断して横方向に測定される幅を有し、前記最も広い寸法は、加熱する前に横方向に測定される前記フィラメントの外径の約10%~約200%である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記プリンタの印刷ヘッドから延びている前記ノズルの一部は、前記ノズル部分に沿って縦方向に測定される前記ノズルの一部への入口から前記ノズル出口まで測定される長さを有し、前記長さは、前記ノズル出口の直径より約5~約20倍大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記ノズルは、前記ノズルの加熱される部分に沿って縦方向に測定される前記ノズルの前記加熱される部分における長さを有し、前記長さは、前記ノズル出口の直径の約1~約10倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記ノズルの前記加熱される部分の前記長さは、フィラメント直径が約1.7mmであるとき、約15mm~約30mmである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
加熱する前の硬化性フルオロポリマー組成物から形成される前記フィラメントは、約0.2mm~約20mmの外径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
加熱する前の硬化性フルオロポリマー組成物から形成される前記フィラメントは、約1.0mm~約3.0mmの外径を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記付加製造プリンタは、前記駆動機構を動作させるための駆動モータを含み、前記駆動機構は、前記フィラメントと前記付加製造駆動プリンタとの間の摩擦を克服するために十分なトルクを提供しながら、前記材料を前記付加製造プリンタを通して、前記ノズルから外に押し出すために十分な圧力を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記駆動モータは、ステッパモータのトルクを増加させるための歯車付き伝達機構を有するステッパモータである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
付加製造装置を使用して、硬化性フルオロポリマー組成物を備えている加熱されたフィラメントによって形成される物品であって、前記物品は、フルオロエラストマを備えている、物品。
【請求項32】
前記付加製造装置は、溶融フィラメント製作装置である、請求項31に記載の物品。
【請求項33】
前記硬化性フルオロポリマー組成物中の前記硬化性フルオロポリマーは、硬化性ペルフルオロポリマー組成物であり、前記物品は、ペルフルオロエラストマを備えている、請求項31に記載の物品。
【請求項34】
前記硬化性組成物は、少なくとも1つの硬化性フルオロポリマーと、少なくとも1つの硬化剤とを備えている、請求項31に記載の物品。
【請求項35】
前記組成物は、少なくとも1つの充填剤をさらに備えている、請求項31に記載の物品。
【請求項36】
前記フィラメントは、約0.2mm~約3.0mmの直径を有する、請求項31に記載の物品。
【請求項37】
前記フィラメントは、約1.0mm~約2.0mmの直径を有する、請求項36に記載の物品。
【請求項38】
硬化性フルオロポリマー化合物を分析し、貯蔵弾性率を推定し、前記硬化性フルオロポリマーから形成されるフィラメントのための印刷パラメータを決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記貯蔵弾性率は、前記硬化性フルオロポリマーのフィラメントのための印刷パラメータを最適化するために、DMAまたは平行プレートレオメータを使用して推定される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
付加製造組成物における使用のための硬化性フッ素含有組成物であって、前記組成物は、
硬化剤と反応するための官能基を有する硬化性フルオロポリマーと、
前記官能基と反応することが可能である硬化剤と
を備えている、組成物。
【請求項41】
前記フッ素含有組成物は、約10%硬化させられたときの約0.78dNm~約90%硬化させられたときの約28.01dNmのトルクを有する、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記硬化性フッ素含有組成物は、基板上に自己接着するように十分に粘性であるが、依然として、その構造的完全性を実質的に保持しながら、基板から除去可能であることができる、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記硬化性組成物は、付加製造装置を使用した印刷中、硬化せずに、または、0%を上回るが、約25%未満の程度まで少なくとも部分的に硬化させられて、処理されることが可能である、請求項40に記載の組成物。
【請求項44】
前記フッ素含有組成物は、硬化性ペルフルオロポリマーを備えている、請求項40に記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物は、1つ以上の追加の硬化性フルオロポリマーまたは1つ以上の追加のペルフルオロポリマーを備えている、請求項40に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物は、前記1つ以上の追加の硬化性フルオロポリマーまたは1つ以上の追加のペルフルオロポリマーを硬化させるための1つ以上の追加の硬化剤を備えている、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
エラストマを備えている3次元印刷物品を形成することが可能である付加製造装置であって、前記装置は、
プリンタ駆動機構であって、前記プリンタ駆動機構は、前記プリンタ駆動機構を通過する硬化性ポリマーフィラメントの通過を促進するように構成されている、プリンタ駆動機構と、
前記プリンタ駆動機構と動作可能に通信する駆動モータであって、前記駆動機構は、歯車付き伝達機構を備えている、駆動モータと、
ノズルを備えている印刷ヘッドと
を備え、
前記ノズルは、ポリマーフィラメントを受け取るための入口と、基板上への硬化性ポリマーフィラメントの加熱押し出しのための出口とを有する、付加製造装置。
【請求項48】
前記プリンタ駆動機構は、駆動ローラと、支持ローラとを備え、前記装置は、前記プリンタ駆動機構の下に延びているように据え付けられた支持管をさらに備え、前記駆動ローラは、前記プリンタ駆動機構内の管の中に給送されたフィラメントに接触するように位置付けられている、請求項47に記載の付加製造装置。
【請求項49】
前記支持管は、前記プリンタ駆動機構と前記ノズルの入口との間の前記支持管を通した連通のために、前記プリンタ駆動機構の下側表面から延びている、請求項48に記載の付加製造装置。
【請求項50】
前記支持管は、前記プリンタ駆動機構の上方に位置付けられた第1の端部と、前記ノズルの入口に近接した第2の端部とを有し、前記支持管は、前記支持管の前記第1の端部を通過し、前記支持管の前記第2の端部を通して退出するフィラメントを支持するように構成されている、請求項49に記載の付加製造装置。
【請求項51】
前記支持管は、前記管の前記第1の端部から前記管の前記第2の端部までの縦方向通路を画定する内部表面を有する縦方向に延びている壁と、開口部とを有し、
前記開口部は、前記管の前記壁を通して、前記管の前記内部表面から外部表面まで横方向に延び、前記駆動ローラと前記支持管の前記縦方向通路を通過するフィラメントとの間の直接接触を促進する、請求項50に記載の付加製造装置。
【請求項52】
前記支持管の前記第1の端部は、給送ローラから離れる硬化性ポリマーフィラメントを受け取りながら、前記フィラメントの座屈を回避するように位置付けられている、請求項50に記載の付加製造装置。
【請求項53】
前記プリンタ駆動機構に進入する前に前記フィラメントを冷却するための予冷器をさらに備えている、請求項50に記載の付加製造装置。
【請求項54】
前記プリンタ駆動機構は、前記プリンタ駆動機構を通過する硬化性フルオロポリマーフィラメントの通過を促進するように構成され、前記物品は、フルオロエラストマを備えている、請求項47に記載の付加製造装置。
【請求項55】
前記プリンタ駆動機構は、前記プリンタ駆動機構を通過する硬化性ペルフルオロポリマーフィラメントの通過を促進するように構成され、前記物品は、ペルフルオロエラストマを備えている、請求項54に記載の付加製造装置。
【請求項56】
前記駆動モータは、ステッパモータであり、前記歯車付き伝達機構は、約0.2Nm~約4Nmのトルクを提供するように構成されている、請求項47に記載の付加製造装置。
【請求項57】
前記歯車付き伝達機構は、1つ以上の遊星歯車を含む、請求項56に記載の付加製造装置。
【請求項58】
前記ノズル出口の直径は、約0.1mm~約20mmである、請求項47に記載の付加製造装置。
【請求項59】
前記ノズル出口の直径は、約0.4mm~約1.0mmである、請求項58に記載の付加製造装置。
【請求項60】
前記基板は、摩擦表面を備えている、請求項47に記載の付加製造装置。
【請求項61】
前記摩擦表面は、接着剤を備えている、請求項60に記載の付加製造装置。
【請求項62】
前記装置は、約250℃未満の温度で印刷することが可能である、請求項47に記載の付加製造装置。
【請求項63】
前記装置は、約200℃未満の温度で印刷することが可能である、請求項62に記載の付加製造装置。
【請求項64】
請求項63に記載の付加製造装置前記装置は、約160℃未満の温度で印刷することが可能である。
【請求項65】
エラストマを備えている3次元印刷物品を形成することが可能である付加製造装置であって、前記装置は、
プリンタ駆動機構であって、前記プリンタ駆動機構は、前記プリンタ駆動機構を通過する硬化性ポリマーフィラメントの通過を促進するように構成され、前記プリンタ駆動機構は、歯車付き駆動ローラを備えている、プリンタ駆動機構と、
前記プリンタ駆動機構と動作可能に通信する駆動モータと、
ノズルを備えている印刷ヘッドであって、前記ノズルは、ポリマーフィラメントを受け取るための入口と基板上への硬化性ポリマーフィラメントの加熱押し出しのための出口とを有する、印刷ヘッドと、
前記プリンタ駆動機構に進入する前に前記フィラメントを冷却するための予冷器と
を備えている、付加製造装置。
【請求項66】
前記装置は、前記プリンタ駆動機構の下に延びているように据え付けられた支持管をさらに備えている、請求項65に記載の付加製造装置。
【請求項67】
前記支持管は、前記プリンタ駆動機構の歯車付きローラと前記ノズルの前記入口との間の前記支持管を通した連通のために、前記歯車付き駆動ローラの下方から延びている、請求項66に記載の付加製造装置。
【請求項68】
前記支持管は、前記プリンタ駆動機構の上方に位置付けられた第1の端部および第1の部分と、前記歯車付き駆動ローラの下方から、前記ノズルの前記入口に近接した第2の端部まで延びている第2の部分とを有する、請求項66に記載の付加製造装置。
【請求項69】
前記支持管の前記第1の部分は、前記予冷器内にある、請求項68に記載の付加製造装置。
【請求項70】
前記支持管の前記第1の端部は、給送ローラから離れる硬化性ポリマーフィラメントを受け取りながら、前記フィラメントの座屈を回避するように位置付けられている、請求項66に記載の付加製造装置。
【請求項71】
前記予冷器は、冷却剤を受け取るための空洞を画定する壁を有する、請求項65に記載の付加製造装置。
【請求項72】
前記予冷器壁は、ボアも画定し、前記ボアは、前記歯車付き駆動ローラを通過する前の前記フィラメントを冷却するための前記フィラメントの通過を可能にする、請求項71に記載の付加製造装置。
【請求項73】
前記プリンタ駆動機構は、前記プリンタ駆動機構を通過する硬化性フルオロポリマーフィラメントの通過を促進するように構成され、前記物品は、フルオロエラストマを備えている、請求項65に記載の付加製造装置。
【請求項74】
前記プリンタ駆動機構は、前記プリンタ駆動機構を通過する硬化性ペルフルオロポリマーフィラメントの通過を促進するように構成され、前記物品は、ペルフルオロエラストマを備えている、請求項73に記載の付加製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本非仮特許出願は、35U.S.C.§119(e)下、その開示全体が参照することによって本明細書に組み込まれる2020年3月31日に出願され、「Articles Formed From Fluorine-containing Elastomer Compositions Using an Additive Manufacturing Method and Additive Manufacturing Methods for Thermoset Elastomer Compositions」と題された米国仮特許出願第63/003,149号の優先権および利益を主張する。
(発明の分野)
【0002】
本発明は、付加製造、特に、溶融フィラメント製作および堆積を通したフッ素含有エラストマを含む熱硬化性エラストマの付加製造の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
付加製造は、一般に、3次元(「3D」)印刷とも称され、物品の迅速なプロトタイピングおよび商業用生産のために、人気を博しつつある。種々のタイプの付加製造プロセスが、公知であり、とりわけ、ステレオリソグラフィ(「SLA」)等の液槽光重合方法、材料または結合剤噴射方法、選択的レーザ焼結(「SLS」)等の粉末床溶融結合方法、および熱溶解積層法(「FDM」)、溶融フィラメント製造(「FFF」)、および直接ペレット押し出し成形等の材料押し出し成形方法を含む。
【0004】
液槽光重合方法では、液体フォトポリマー樹脂が、構築プラットフォームが位置付けられた液槽内に貯蔵される。物品が、物品が一連の層または断面として表される物品のコンピュータモデルに基づいて、形成されることができる。コンピュータモデルに基づいて、物品の第1の層が、液体フォトポリマー樹脂を選択的に硬化させるためのUV光を使用して形成される。第1の層が形成されると、構築プラットフォームが、降下させられ、UV光が、物品の後続層を第1の層の上部に形成するように、液体フォトポリマー樹脂を硬化させるために使用される。このプロセスは、印刷物品が形成されるまで、繰り返される。
【0005】
材料噴射方法では、物品が、熱硬化性フォトポリマー等の液体材料の液滴を堆積させ、物品のコンピュータモデルに基づいて、物品の第1の層を形成することによって、層毎様式で調製される。液体材料の堆積させられた層は、UV光の印加等によって、硬化させられ、または固められる。後続層は、印刷物品を生産するように、同じ様式で堆積させられる。結合剤噴射では、物品は、粉末状材料の層を構築プラットフォーム上に堆積させ、液体結合剤を選択的に堆積させ、粉末を接合することによって形成される。粉末および結合剤の後続層が、同じ様式で堆積させられ、結合剤は、粉末層間の接着剤としての役割を果たす。
【0006】
粉末床溶融結合方法、具体的に、SLSでは、物品が、物品が一連の層または断面として表される印刷されるべき物品のコンピュータモデルを発生させることによって形成される。物品を調製するために、粉末の層が、構築プラットフォーム上に堆積させられ、粉末は、レーザの使用によって焼結され、コンピュータモデルに基づいて、物品の層を形成する。層が、焼結されると、粉末のさらなる層が、堆積させられ、焼結される。このプロセスは、必要に応じて繰り返され、所望の構成を有する物品を形成する。
【0007】
FDMまたはFFF等の材料押し出し成形方法では、物品が一連の層として表される物品のコンピュータモデルが、発生させられる。物品は、材料のフィラメントを押し出しヘッドに給送することによって生産され、それは、フィラメントを加熱し、加熱されたフィラメントを基板上に堆積させ、物品の層を形成する。層が形成されると、押し出しヘッドは、物品のコンピュータモデルに基づいて、物品の次の層の堆積に進む。このプロセスは、印刷物品が完全に形成されるまで、層毎様式で繰り返される。同様に、直接ペレット押し出し成形では、フィラメントではなく、ペレットが、給送材料として使用され、ペレットは、押し出しヘッドに給送され、加熱され、基板上に堆積させられる。
【0008】
種々のポリマー材料が、付加製造方法における使用のために公知である。付加製造において使用される一般的ポリマー材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、およびポリ乳酸(PLA)を含む。より最近では、高性能エンジニアリング熱可塑性物質が、一般的ポリマー材料に対して改良された機械的および化学的特性を伴う印刷物品を生産するために使用されている。そのような高性能熱可塑性物質は、ポリアリールエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリカーボネート、およびポリエーテルイミドを含む。
【0009】
付加製造方法は、種々の形状および構成のいずれかを有する物品を迅速に形成するために使用されることができるが、付加製造プロセスによって形成される物品は、印刷物品のz-方向において、弱い層間接着力に悩まされ得る。
【0010】
現在、FFFおよびFDMに基づく材料押し出し成形3次元印刷(ME3DP)を使用する付加製造は、高度に柔軟性のある効率的な付加製造技法と見なされる。このプロセスでは、熱可塑性フィラメントが、加熱され、次いで、「押し出し」され、下層に融合される。この技法は、その技術分野において、コンピュータ支援設計を使用して、より複雑な幾何学形状を伴う製造構成要素を開発するために、潜在的に有用なものとして見なされている。
【0011】
上で述べられたように使用される材料を使用することに加え、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレンマトリクス中のエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM+PP)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、およびスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)等の軟質熱可塑性エラストマを印刷するために、FFFを使用する技法を開発するためのさらなる試みが行われている。しかしながら、そのような材料は、FFFを使用して処理し、物品を形成することにおいて課題を示す。N Kumar et al.,”3D Printing of Flexible Parts Using EVA Material,”Materials Physics and Mechanics 37,pp.124-132(2018)、N. Kumar et al.,”Additive Manufacturing of Flexible Electrically Conductive Polymer Compositions Using CNC-Assisted Fused Layer Modeling Process,”Journal of the Brazilian Society of Mechanical Sciences and Engineering,40:175(2018)、および、K.Elkins et al.,”Soft Elastomers for Fused Deposition Modeling,”Virginia Polytechnic Institute and State University,presented in the International Solid Freeform Fabrication Symposium(1997)を参照されたい。
【0012】
そのような材料は、軟質であるので、それらは、多くの用途のための適正な圧縮永久歪および熱抵抗を欠いている傾向にある。より良好な性能を提供するために、それらは、概して、複合エラストマ(すなわち、硬化性ポリマー、1つ以上の充填剤、および概してまた、硬化系を含む加硫のための硬化性エラストマ組成物)の形態における使用のために調製される。そのような材料が、処理されると、それらは、架橋されたゴム系内にネットワーク構造を形成し、それは、層状FFF技術を使用して物体を製作する能力に悪影響を及ぼし得る。当技術分野において、そのようなネットワーク化された構造が、FFFまたは別の付加技術を用いて、それらの形成を成功させる能力が存在することを前提として、強い界面接合を含むべきである仕上げられた製品の潜在性をもたらすような技法の開発の必要性がある。
【0013】
当技術分野において、完全に複合された硬化性エラストマ組成物の処理特性が、熱可塑性物質の処理特性(FFF処理において典型的に使用される上記のもの等)と非常に異なることは、エラストマエリアにおいける付加加工可能な化合物の開発に関するさらなる問題である。エラストマを付加製造プロセスに導入することを試みるとき、特に、熱硬化性エラストマの場合、硬化性複合形態では、硬化させる前、材料の処理の目的のために、材料をその硬化温度を下回って保つように配慮されることが必要である。そのような材料は、加熱されないとき、それらが、高粘度(問題は、通常、熱の印加によって対処される)と、処理中および意図的硬化に先立って、架橋の形成を防止および抑止する必要性とを有するので、処理に関してさらなる課題を示す。
【0014】
現在利用可能な3次元印刷機器を使用した可撓性フィラメントの給送も、フィラメントの座屈に起因して生じる問題を防止することを含むそのような粘度および硬化防止の必要性に起因して、課題を示す。
【0015】
フルオロエラストマ(FKM)およびペルフルオロエラストマ(FFKM)の両方を含むフッ素含有エラストマは、化学的かつプラズマ的にも耐性があり、高温および高圧用途のために好適なある組成物中でも使用されることができる。それらは、種々の最終用途、とりわけ、化学的および/またはプラズマ的に耐性であり、かつ材料純度が、所望の特質である医薬品および半導体製造における使用のためのシールおよびガスケット構成要素として、および過酷な化学物質や高温および高圧に耐えるその能力に起因して、油田および流体取扱用途において採用されている。しかしながら、フッ素含有エラストマは、処理することが困難であり、概して、それらが化合物中で十分に混成され、時期尚早に硬化させられないことを確実にするために、慎重な化合を要求する当技術分野において公知の材料である。それらは、製造することがかなり高価でもあり、ある場合、クリーンルーム設備および押し出し成形を要求し、その後、圧縮成型が続く。
【0016】
当技術分野において、軟質エラストマ材料、熱硬化性エラストマ、および他のエラストマ材料を処理する方法の必要性が存在し、それらは、FFFまたはFDM等の付加製造において採用されること、特に、物品をフッ素含有エラストマからより安価に形成することが可能であるとこれまでと考えられておらず、フッ素含有エラストマは、処理することが困難および/または高価であることが公知であり、フッ素含有エラストマは、その他の点で、そのような材料が付加製造を使用した処理を成功することが不可能であるという当技術分野において現在受け入れられている見解を支持する特性および処理課題を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、フッ素含有エラストマ物品を形成するための付加製造方法を含み、方法は、硬化性フルオロポリマー組成物から形成されたフィラメントを提供することと、駆動機構およびプリンタノズルを有する付加製造プリンタを提供することと、フィラメントを付加製造プリンタの中に、駆動機構を通して、および支持管の内壁によって画定された縦方向通路を通して、給送することであって、支持管は、第1の端部から第2の端部まで延び、支持管の第2の端部は、入口をプリンタノズルと流体連通するように位置付けられる、ことと、熱をフィラメントに印加することと、ノズルの出口から退出するフィラメントの連続した層を付加製造プリンタを使用して、基板上に印刷し、フッ素含有エラストマ物品を形成することとを含む。
【0018】
本明細書の方法では、フィラメントは、給送ローラから給送され得る。フィラメントは、好ましくは、硬化性フルオロポリマー組成物を押し出すことによって形成される。フィラメントは、フィラメントを支持管に導入することに先立って、冷却され得る。冷却方法は、フィラメントを剛補し、可能な座屈を低減させるために、フィラメントを管に導入することに先立って、適用され得る。フィラメントは、駆動機構に進入することに立って、冷却され得る。
【0019】
一実施形態では、硬化性フルオロポリマー組成物を含むフィラメントは、プリンタ装置内での硬化性フルオロポリマー組成物の流動のために十分であり、かつかなりの硬化が生じる温度を下回る温度まで加熱される。例えば、フィラメントは、当技術分野において公知のような試験方法であるASTM D2084の試験方法を使用して、ゴムプロセス分析器(RPA)上で決定されるような、硬化性フルオロポリマー組成物に関連付けられた時間T2に対応する温度を下回る温度まで加熱され得る。好適なRPAは、商業的に利用可能である。1つの好適なRPAは、例えば、Alpha Technologies Companyから、RPAモデル2000として利用可能である。そのような温度は、T2を下回る時間内に、フィラメントを前の層上に堆積させ、硬化が所望されるまで、例えば、後硬化加熱ことの間、硬化を防止または回避することを可能にする。
【0020】
硬化性フルオロポリマーは、部分的にフッ素化されるか、または、硬化性ペルフルオロポリマーであり得る。フルオロポリマーがペルフルオロポリマーであるとき、そのような方法では、フィラメントは、硬化性ペルフルオロポリマーの流動を可能し、かつかなりの硬化が生じる温度を下回る温度まで加熱され得る。例えば、ペルフルオロポリマーのための硬化の開始は、差動走査熱量計(DSC)を使用して、熱分析によって示され得る。硬化特性は、特に、採用されている硬化系に起因して、フィラメントを形成するために選択される硬化性FKMおよび/またはFFKMに応じて、実質的に変動するであろう。したがって、選択された化合物DSC曲線が、所望の加熱温度を決定するために調べられ得る。
【0021】
例示的実施形態では、あるタイプの材料に関して、部分的に実質的に、または完全にフッ素化される硬化性フルオロポリマーは、そのような温度が化合物およびその硬化系に応じて調節されるであろうという理解を伴って、約100℃~約250℃の温度、好ましくは、約105℃~約200℃の温度、より好ましくは、約115℃~160℃の温度まで加熱され得る。
【0022】
熱は、好ましくは、付加製造プリンタ内、好ましくは、印刷ヘッド内の加熱機構によって発生させられる。付加製造プリンタ内の駆動機構は、好ましくは、駆動ホイールと、支持ホイールとを備え、方法は、支持管の第1の端部に進入することに先立って、フィラメントを駆動ホイールおよび支持ホイールに通すことをさらに含み得る。代替実施形態では、支持管の第1の端部は、支持ホイールと駆動ホイールとの間の駆動機構を通して上向きに延び、給送ローラから離れると、フィラメントを支持する。支持管壁が、随意に、支持管壁を通して横方向に延びている側面開口部を画定し得、開口部の周囲の壁は、駆動ホイールの形状に合った輪郭を形成され得、方法は、次いで、フィラメントが駆動機構を通過するとき、側面開口部のエリア内で駆動ホイールに接触するように、フィラメントを給送することをさらに含み得る。
【0023】
さらなる実施形態では、駆動機構は、歯車付き駆動ローラを備え得、方法は、フィラメントを歯車付き駆動ローラを通して給送することをさらに含み得る。支持管は、歯車付き駆動ローラの下方から延び得る。支持管の一部は、方法が支持管の一部を通してフィラメントを歯車付き駆動ローラの上方およびローラの中に給送することをさらに含み得るように、歯車付き駆動ローラの上方にさらに延び得る。方法は、歯車付き駆動ローラの上方に延びている支持管の一部を冷却することをさらに含み得る。
【0024】
方法では、ノズルの出口は、好ましくは、加熱する前に横方向に測定される加熱されたフィラメントの外径より広い、好ましくは、開口部を横断して横方向に測定される開口部を画定する。ノズル出口の開口部は、一実施形態では、加熱する前に横方向に測定されるフィラメントの外径の約10%~約200%である最も広い寸法における出口開口部を横断して横方向に測定される幅を有し得る。
【0025】
プリンタの印刷ヘッドから延びているノズルの1つの部分は、ノズル部分に沿って縦方向に測定されるノズルの一部への入口からノズル出口まで測定される長さを有し得、長さは、加熱する前のフィラメントの直径の約5~約20倍である。別の実施形態では、ノズルは、その加熱される部分内に、加熱されたフィラメントの外径の約1~約10倍であるノズルの加熱される部分に沿って縦方向に測定される長さを有し得る。そのような実施形態では、硬化性フルオロポリマー組成物から形成されるノズルフィラメントは、加熱することに先立って、好ましくは、約0.2mm~約20mmの外径、より好ましくは、約1.0mm~約3.0mmの外径を有し得る。
【0026】
方法における付加製造プリンタは、フィラメントと付加製造駆動プリンタとの間の摩擦を克服するために十分なトルクを提供しながら、材料を付加製造プリンタを通して、ノズルから外に押し出すために十分な圧力を提供する駆動機構を動作させるための駆動モータを含み得る。一実施形態では、駆動モータは、ステッパモータのトルクを増加させるための少なくとも1つの遊星歯車を含み得る歯車付き伝達機構を有するステッパモータである。
【0027】
本発明は、付加製造装置を使用して、硬化性フルオロポリマー組成物を備えている加熱されたフィラメントによって形成される物品をさらに含み、物品は、フルオロエラストマを備えている。付加製造装置は、好ましくは、溶融フィラメント製作装置である。硬化性フルオロポリマー組成物は、硬化性フルオロポリマーを含み得、一実施形態では、硬化性フルオロポリマーは、それが、硬化性ペルフルオロポリマーであり、物品が、ペルフルオロエラストマを含むように、全フッ素化される。硬化性組成物は、少なくとも1つの硬化性フルオロポリマーと、少なくとも1つの硬化剤とを含み得る。組成物は、少なくとも1つの充填剤をさらに含み得る。一実施形態では、フィラメントは、約0.2mm~約3.0mm、好ましくは、約1.0mm~約2.0mmの直径を有する。
【0028】
別の実施形態では、方法は、例えば、DMA、平行プレートレオメータ、または他の方法を使用して、硬化性フルオロポリマー化合物を分析し、貯蔵弾性率を推定し、印刷パラメータを決定する、例えば、最適化することをさらに含む。
【0029】
本発明は、硬化剤と反応するための官能基を有する硬化性フルオロポリマーと、官能基と反応することが可能である硬化剤とを含む付加製造組成物における使用のための硬化性フッ素含有組成物も含む。フッ素含有組成物は、好ましくは、約10%硬化させられたときの約0.78dNm~約90%硬化させられたときの約28.01dNmのトルクを有する。そのようなトルクは、ASTM D2084試験方法論に従って、RPAによって測定され得る。好ましい実施形態では、硬化性フッ素含有組成物は、基板上に自己接着するように十分に粘性であるが、依然として、基板から除去可能であることが可能でありながら、基板上に堆積させられたフッ素含有材料の構造的完全性を実質的に保定する。そのような実施形態では、硬化性組成物は、好ましくは、付加製造装置を使用した印刷中、硬化が生じずに、または0%を上回るが、約25%未満の程度まで、部分的硬化を伴って、処理されることが可能である。
【0030】
フッ素含有組成物は、硬化性ペルフルオロポリマーである硬化性フルオロポリマーを含み得る。それらは、1つ以上の追加の硬化性フルオロポリマーまたは1つ以上の追加のペルフルオロポリマーを含み得る。組成物はさらに、次いで、1つ以上の追加の硬化剤を備え、1つ以上の追加の硬化性フルオロポリマーまたは1つ以上の追加のペルフルオロポリマーを硬化させ得る。
【0031】
本発明は、エラストマを備えている3次元印刷物品を形成することが可能である付加製造装置をさらに含み、付加製造装置は、プリンタ駆動機構を通過する硬化性ポリマーフィラメントの通過を促進するように構成されたプリンタ駆動機構と、プリンタ駆動機構と動作可能に通信する駆動モータであって、駆動機構は、1つ以上の遊星駆動ホイールを含み得る歯車付き伝達機構を備えている駆動モータと、ポリマーフィラメントを受け取るための入口と基板上への硬化性ポリマーフィラメントの加熱押し出しのための出口とを有するノズルを備えている印刷ヘッドとを備えている。
【0032】
装置のプリンタ駆動機構は、駆動ローラと、支持ローラとを備え得、装置は、プリンタ駆動機構の下に延びているように据え付けられた支持管をさらに備え得、駆動ローラは、好ましくは、プリンタ駆動機構内の管の中に給送されたフィラメントに接触するように位置付けられる。支持管は、プリンタ駆動機構とノズルの入口との間の連通のために、プリンタ駆動機構の下側表面から延び得る。支持管は、好ましくは、プリンタ駆動機構の上方に位置付けられた第1の端部と、好ましくは、ノズルの入口に近接した第2の端部とを有し、支持管は、好ましくは、支持管の第1の端部を通過し、支持管の第2の端部を通して退出する、フィラメントを支持するように構成される。支持管は、好ましくは、管の第1の端部から管の第2の端部まで縦方向通路を画定する内部表面を有する縦方向に延びている壁と、駆動ローラと支持管の縦方向通路を通過するフィラメントとの間の直接接触を促進するために、内部表面から管の外部表面まで、管の壁を通して横方向に延びている開口部とを有する。支持管の第1の端部は、給送ローラから離れる硬化性ポリマーフィラメントを受け取りながら、フィラメントの座屈を回避するように位置付けられ得る。
【0033】
装置は、フィラメントがプリンタ駆動機構に進入する前にフィラメントを冷却するための予冷器をさらに備え得る。
【0034】
装置のプリンタ駆動機構は、プリンタ駆動機構を通過する硬化性フルオロポリマーフィラメントの通過を促進するように構成され得、物品は、次いで、フルオロエラストマを含み得る。プリンタ駆動機構は、プリンタ駆動機構を通過する硬化性ペルフルオロポリマーフィラメントの通過を促進ようにも構成され得、物品は、次いで、ペルフルオロエラストマを含み得る。
【0035】
装置の駆動モータは、ステッパモータであり得、歯車付き伝達機構は、好ましくは、約0.2~約4のトルクを提供するように構成された遊星歯車を含み得る。しかしながら、トルクは、異なる印刷条件およびノズル構成のために調節され得ることを理解されたい。
【0036】
ノズルの出口は、約0.2mm~約20mm、好ましくは、約1.0mm~約3.0mmであり得る。
【0037】
さらなる実施形態では、基板は、基板上への非粘性の押し出された硬化性ポリマーの接着力を改良するために、摩擦表面を備え得る。そのような摩擦表面は、例えば、接着剤を備え得る。
【0038】
付加製造装置は、好ましくは、約250℃未満の温度で、より好ましくは、約200℃未満の温度で、最も好ましくは、約160℃未満の温度で印刷することが可能である。
【0039】
本発明は、エラストマを備えている3次元印刷物品を形成することが可能である付加製造装置も含み、付加製造装置は、プリンタ駆動機構を通過する硬化性ポリマーフィラメントの通過を促進するように構成され、歯車付き駆動ローラを備えているプリンタ駆動機構と、プリンタ駆動機構と動作可能に通信する駆動モータと、ポリマーフィラメントを受け取るための入口と基板上への硬化性ポリマーフィラメントの加熱押し出しのための出口とを有するノズルを備えている印刷ヘッドと、プリンタ駆動機構に進入する前にフィラメントを冷却するための予冷器とを備えている。
【0040】
そのような実施形態では、装置は、プリンタ駆動機構の下に延びているように据え付けられた支持管をさらに備え得る。支持管は、プリンタ駆動機構の歯車付きローラとノズルの入口との間の支持管を通した連通のために、歯車付き駆動ローラの下方から延び得る。支持管は、プリンタ駆動機構の上方に位置付けられた第1の端部および第1の部分と、歯車付き駆動ローラの下方から、ノズルの入口に近接した第2の端部まで延びている第2の部分とを有し得る。支持管の第1の部分は、予冷器内に据え付けられる、またはその一部であり得る。
【0041】
支持管の第1の端部は、給送ローラから離れる硬化性ポリマーフィラメントを受け取りながら、フィラメントの座屈を回避するように位置付けられ得る。予冷器は、冷却剤を受け取るための空洞を画定する壁を有し得る。予冷器壁は、歯車付き駆動ローラを通過する前、フィラメントを冷却するために、フィラメントの通過を可能にするためのボアも画定し得る。プリンタ駆動機構は、プリンタ駆動機構を通過する硬化性フルオロポリマーフィラメントの通過を促進するように構成され得、物品は、フルオロエラストマを含む。プリンタ駆動機構は、プリンタ駆動機構を通過する硬化性ペルフルオロポリマーフィラメントの通過を促進ようにさらに構成され得、物品は、ペルフルオロエラストマを含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
前述の概要および本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて熟読されるとき、より深く理解されるであろう。本発明を例証する目的のために、現在好ましい、その実施形態が、図面に示される。しかしながら、本発明は、示される精密な配列および手段に限定されないことを理解されたい。
【0043】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による装置の概略フローチャート表現である。
【0044】
【
図1A】
図1Aは、
図1の装置の好ましい実施形態の概略フローチャート表現である。
【0045】
【
図2】
図2は、本明細書の本発明の好ましい実施形態による装置の斜視図である。
【0046】
【
図2A】
図2Aは、線2A-2Aに沿って得られた
図2の装置の一部の縦方向断面図である。
【0047】
【
図3】
図3は、駆動ホイールと支持ホイールとの間の支持管の側面立面図であり、ポリマーフィラメントが、
図2の装置における使用のために、支持管を通して延びている。
【0048】
【
図3A】
図3Aは、駆動ホイールおよび支持ホイールがない
図3の支持管の側面立面図である。
【0049】
【
図4】
図4は、従来技術の付加製造プリンタのノズル出口の底部立面図である。
【0050】
【
図4A】
図4Aは、本発明の好ましい実施形態による装置における使用のためのノズル出口の底部立面図である。
【0051】
【
図5】
図5は、本明細書の発明における使用のためのステップの概略フローチャート表現である。
【0052】
【
図6】
図6は、押し出されたペルフルオロポリマーフィラメントのために印加される温度に関するmm単位におけるフィラメント長のグラフ表現である。
【0053】
【
図7】
図7は、本明細書の実施形態における使用のための歯車付き伝達機構の例である。
【0054】
【
図7A】
図7aは、
図7の歯車付き伝達機構における使用のための遊星歯車の例である。
【0055】
【
図8】
図8は、サンプル1における材料の熱挙動の差動走査熱量計グラフ表現である。
【0056】
【
図9】
図9は、サンプル2における材料の熱挙動の差動走査熱量計グラフ表現である。
【0057】
【
図10】
図10は、サンプル3における材料の熱挙動の差動走査熱量計グラフ表現である。
【0058】
【
図11】
図11は、本明細書の印刷装置内のプリンタ駆動機構の一実施形態による装置と共に使用される線11-11に沿って得られた
図11Aにおけるような冷却装置の断面図である。
【0059】
【0060】
【
図12】
図12は、本明細書の例示的実施形態のための温度(℃)に対するPa単位における貯蔵弾性率(G’)のグラフ表現である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本明細書の発明は、フッ素含有エラストマ物品を形成するための付加製造方法、付加製造装置から押し出された硬化性フルオロポリマー組成物を含む加熱されたフィラメントから形成される物品、および硬化剤と反応するための官能基を有する硬化性フルオロポリマーと、官能基と反応することが可能である硬化剤とを含む付加製造組成物における使用のための硬化性フッ素含有組成物を含む。
【0062】
本明細書で使用されるように、「付加製造」は、層毎様式において、加熱された材料を層として基板上に堆積させ、物品を形成することによって、物品を調製するために好適な種々の製造技法および装置を含むことができる。本明細書の方法、物品、および組成物は、限定ではないが、3次元印刷と、とりわけ、熱溶解積層法(「FDM」)、溶融フィラメント製造(「FFF」)、および直接ペレット押し出し成形等の材料押し出し成形方法とを含む種々の付加製造プロセスのいずれかにおいて使用されることができる。好ましくは、付加製造プロセスは、FFFまたはFDM等の材料押し出し成形方法である。
【0063】
FDMまたはFFFプロセスでは、例えば、本明細書の硬化性ポリマー組成物は、好ましくは、押し出されたフィラメントの形態において提供される。物品のコンピュータモデルが、付加製造において公知のように提供されることができ、コンピュータモデルは、複数の層または断面として、物品を表すであろう。物品は、次いで、フィラメントが典型的付加製造装置の出口における押し出しノズルに給送されるにつれて、層毎様式で形成され、付加製造装置は、物品のコンピュータモデルに基づいて物品の層を形成するために構築プラットフォームまたは基板上にそれを堆積させるために、熱をフィラメントに提供し、加熱されたフィラメントを押し出す。堆積させられると、加熱されたフィラメントは、物品の層を形成するように、硬質化する。フィラメントの後続層が、フィラメントの第1の層上に堆積させられ、物品のコンピュータモデルに基づいて、物品の後続層を形成する。このプロセスは、印刷物品を形成するように、物品の全ての層が堆積させられるまで繰り返される。物品が完成すると、物品の熱硬化、または過剰材料を除去するためのヤスリ研磨等の表面処理等の種々の仕上げプロセスが、実施され得る。
【0064】
本明細書に説明されるように、印刷物品を形成するために、付加製造プロセスにおいて使用されるとき、印刷後の硬化性フルオロポリマー組成物は、好ましくは、硬化系と、熱の印加とを使用して、架橋され、熱の印加は、材料の一部の架橋を生成する硬化性フルオロポリマーの初期硬化を誘発するために十分な温度まで組成物を加熱すること、および/または、層の形成に応じて、および/または後硬化ステップ中、組成物を高温で実質的または完全に架橋する温度まで組成物を加熱するために十分な温度まで組成物を加熱すること等による。
【0065】
装置を通した処理中、およびノズルを通過することに先立って、フィラメントは、好ましくは、硬化性フルオロポリマーが装置を通して流動することを可能にし、層または複数の層が印刷されるまで、フルオロポリマーの硬化を回避または最小化するために十分な温度までのみ加熱される。処理中、温度は、流動を可能にするが、硬化が生じない、または開始されたとしても、あまり実質的にならない温度を下回って保たれることが好ましい。本明細書の付加製造プロセスにおける使用のために提供されるような硬化性フルオロポリマー組成物は、装置を通して流動性であるが、FFFまたはFDM付加製造装置内の加熱されたノズルの中に進入している間、架橋されないか、または、ある程度までしか架橋されない。
【0066】
硬化は、付加製造プロセスにおける個々の層の形成中、層が堆積させられた後も持続するであろう。FFFまたはFDM装置では、熱を提供し、押し出されたフィラメントの退出を可能にし得る押し出しヘッドまたはノズルは、材料が、退出し、堆積し、堆積させられた層内で硬化するにつれて、架橋を誘発するために必要な熱を提供し得る。付加製造プロセス中のそのような架橋は、物品内の層間接着力を改良することによって、仕上げられた物品を強化することに役立つと考えられる。
【0067】
印刷物品が、付加製造プロセスによって完全に形成されると、最終熱硬化ステップも、行われ得、最終熱硬化ステップにおいて、印刷物品は、さらなる架橋または後硬化を受け得る。所望の温度および時間は、選択される硬化性フルオロポリマー、所望の架橋度、および任意の硬化剤、共硬化剤、および/または、硬化加速器の有無、および該当する場合、フィラメントが、初期物品形成ステップ中、付加製造装置を通過する間にすでに生じた架橋度に応じて、変動させられ得る。好ましくは、硬化性フルオロポリマー組成物の硬化の大部分は、あるレベルの熱の持続印加を通した印刷物品の最終硬化中、または形成された物品への後硬化中に生じる。
【0068】
硬化性フルオロポリマーを硬化させることは、印刷物品の層間の増加させられた接着力を提供すると考えられ、それは、印刷物品に、引張強度および弾性率等、改良され、より均一な機械的性質を提供しながら、依然として、圧縮能力、強度、および化学物質、プラズマ、および高温および/または高圧条件に対する耐性が、使用時に印刷物品に関して遭遇されるであろう事例を含め、エラストマ材料の利益を物品に提供する。
【0069】
エラストマ物品を印刷するための付加製造の使用の他の利益は、製造効率における改良を含む。Oリングおよびガスケット等の大部分のエラストマ物品は、特に、より複雑な幾何学形状を伴う物品を作製することを試みるとき、圧縮成型からの低収率に遭遇する。従来の圧縮成型が、そのようなプロセスを用いて達成可能な複雑な幾何学形状のレベルを限定する、いくつかの事例が存在する。さらに、大部分のフルオロエラストマおよびペルフルオロエラストマ物品に関して、成型において除去される瞬間的な失われる部片および他の問題がより高い製造コストに寄与するので、初期硬化性フルオロまたはペルフルオロポリマーのための高材料コストが存在する。付加製造3次元印刷の精密性の使用は、そのようなプロセス廃棄物を低減させ、コストを削減することができる。
【0070】
さらに、本明細書の付加製造プロセスに導入される修正は、種々の商業的に開発された付加製造装置が、押し出された材料中の高粘度と組み合わせられた強度の不足に起因して、熱硬化性および他のより軟質かつより粘性エラストマを使用して物品を形成することを試みる間に当技術分野において以前遭遇されていた課題を克服することを可能にする。
【0071】
そのような改良は、押し出されたフィラメントの座屈を防止することにおける解決、装置ノズルからの材料の不必要な硬化を伴わずに制御された様式において印刷することにおける解決、および、材料を装置の印刷ヘッドまたはノズルを通して押し出す能力に干渉する装置内の摩擦および押し出されたフィラメントの受け取り基板表面上への接着力から生じる問題における解決を可能にする。
【0072】
以前に実証されているような従来のポリマーまたはある熱可塑性エラストマを使用する付加製造プロセスでは、印刷物品の層は、主に、ポリマー拡散による互いの中への層の混合または融解によって接合される。本発明の硬化性フルオロポリマー組成物は、それらが、印刷物品を形成する際に送達されるとき、早期硬化を伴わずに、押し出されることが可能であるので、従来の層間接着力と、物品が層毎に印刷されるにつれた持続硬化および架橋による強化との両方によって、層が接合することを可能にする。
【0073】
本明細書の硬化性フルオロポリマー組成物は、とりわけ、油およびガス掘削および回収、半導体処理、航空宇宙用途、シールおよびガスケット、構造的ブラケット、自動車用途、医療デバイス、補綴具およびインプラント、建設用材料、および消費者製品を含む種々の産業および種々の最終用途における使用のためのプロトタイプ、部品、および交換部品を形成するために使用され得る。例えば、硬化性フルオロポリマー組成物は、パッケージング、Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケット、軸受、弁座、アダプタ、山形バックアップリング等のシールアセンブリ、管類および他の製品を形成するために使用される3次元物品に形成され得る。
【0074】
結果として生じる物品は、それらがフッ素化または全フッ素化材料から形成されるので、溶媒、化学、およびプラズマ耐性でもあり、良好な物理的特性(例えば、引張強度および弾性率)およびエラストマ特性、熱特性および圧縮永久歪を享受しながら、材料中の廃棄物の排除に起因して、より低いコストで製造されるであろう。
【0075】
方法では、硬化性フルオロポリマー組成物を含むように形成されるフィラメントが、提供される。そのような組成物は、本明細書では、概して、硬化性フルオロポリマーとも称される1つ以上の硬化性フッ素含有ポリマーを含む。
【0076】
本明細書における使用のための硬化性フッ素含有ポリマーは、1つ以上の硬化性フッ素含有モノマーから形成される任意の好適な硬化性フッ素含有ポリマーであり得、それらのうちの1つは、硬化系内の1つ以上の硬化性薬品と反応することによって硬化を可能にするために、官能基を有する。硬化性フッ素含有ポリマーは、硬化すると、部分的にフッ素化されたエラストマ(本明細書に、フルオロエラストマとも称される)を形成する部分的にフッ素化された硬化性フルオロポリマーであり得るか、または、硬化すると、ペルフルオロエラストマを形成する実質的または完全にフッ素化(すなわち、全フッ素化)された硬化性ペルフルオロポリマーであることができる。
【0077】
高純度または清浄な環境において使用されるであろう最終用途のために、またはその中で過酷な化学物質および高温および圧力が遭遇される坑内用途のために、意図される部品を作製するために、少なくとも1つの硬化性フルオロポリマーは、好ましくは、ペルフルオロエラストマを形成するために有用であろう硬化性ペルフルオロポリマーである。本明細書における組成物は、部分的にフッ素化された硬化性フルオロポリマー組成物、または実質的または完全にフッ素化された硬化性ペルフルオロポリマー組成物であるかどうかにかかわらず、1つのみのフルオロまたはペルフルオロポリマーを含み得るか、または、2つ以上のそのようなフルオロまたはペルフルオロポリマーを組成物中に含み得、それは、使用および/または硬化させられるとき、単一フルオロまたはペルフルオロエラストマのみを有するエラストマ物品を形成するか、または2つ以上のものが使用されるとき、混成されたペルフルオロエラストマを有する物品を形成するかのいずれかであろう。さらに硬化性フルオロポリマーは、硬化性ペルフルオロポリマーと混成され、部分的にフッ素化された混成されたフルオロエラストマを作製し得る。
【0078】
本願において使用されるように、「ペルフルオロエラストマ」または「硬化させられたペルフルオロエラストマ」は、別様に示されない限り、本明細書に説明される硬化性組成物中の好ましい硬化性ペルフルオロポリマー等の硬化性ペルフルオロポリマーを硬化させることによって形成される任意の硬化させられたエラストマ材料または組成物を含む。
【0079】
硬化させられたペルフルオロエラストマを形成するために使用されるために好適な「硬化性ペルフルオロポリマー」(時として、当技術分野において、「ペルフルオロエラストマ」またはより適切に「ペルフルオロエラストマガム」とも称される)は、そのポリマー主鎖上で、実質的に完全にフッ素化される、好ましくは、完全に全フッ素化されたポリマーである。本開示に基づいて、官能性架橋基の一部としての水素の使用に起因して、一部の残留水素が、それらの材料の架橋内の一部のペルフルオロエラストマ中に存在し得ることを理解されたい。ペルフルオロエラストマ等の硬化させられた材料は、架橋されたポリマー構造である。
【0080】
硬化時、硬化させられたペルフルオロエラストマを含む付加製造によって物品を形成するための本明細書の好ましいペルフルオロエラストマ組成物において使用される硬化性ペルフルオロポリマーは、1つ以上の全フッ素化モノマーを重合することによって形成され、それらのうちの1つは、好ましくは、上で述べられたような硬化部位、すなわち、硬化を可能にするための官能基を有する全フッ素化硬化部位モノマーである。官能基は、全フッ素化されないこともある反応基であるか、またはそれを含むかのいずれかであり得る。2つ以上の硬化性フルオロまたはペルフルオロポリマー、好ましくは、少なくとも1つの随意の硬化剤(硬化性薬品)が、本明細書では、好ましくは、組成物に組み込まれ得、それは、次いで、硬化させられ、結果として生じる架橋され、硬化させられた、フルオロエラストマ組成物、好ましくは、本明細書に説明されるようなペルフルオロエラストマ組成物を形成する。
【0081】
本明細書で使用されるように、硬化性フッ素含有エラストマ組成物は、硬化性ペルフルオロポリマー組成物であり得、それは、1つのみの硬化性ペルフルオロポリマーまたは2つ以上のそのような硬化性ポリマーの混成を組成物中に含み、それらの各々(全フッ素化される場合)は、少なくとも1つの全フッ素化硬化部位モノマーを含む2つ以上の全フッ素化モノマーを重合することによって形成され、少なくとも1つの全フッ素化硬化部位モノマーは、硬化を可能にするための少なくとも1つの官能基(硬化部位)を有する。そのような硬化性ペルフルオロポリマー材料は、概して、米国標準試験方法(ASTM)の標準化されたゴム定義に従って、および関連部分が参照することによって本明細書に組み込まれるASTM規格D1418-17において本明細書の上で説明されるように、FFKMとも称される。
【0082】
本明細書で使用されるように、「圧縮永久歪」は、変形圧縮負荷が除去された後、歪んだままであり、その元の形状に戻らないエラストマ材料の傾向を指す。圧縮永久歪値は、材料が回復することができない元の歪みのパーセンテージとして表される。例えば、0%の圧縮永久歪値は、変形圧縮負荷の除去後、材料がその元の形状に完全に戻ることを示す。逆に言えば、100%の圧縮永久歪値は、材料が加えられた変形圧縮負荷から全く回復しないことを示す。30%の圧縮永久歪値は、元の歪みの70%が回復されていることを示す。より高い圧縮永久歪値は、概して、シール漏出に関する潜在性を示す。3次元付加製造および層毎形成プロセスを使用して形成される物品は、完全に硬化させられると、少なくとも同じ最終用途およびその中でペルフルオロエラストマが当技術分野において現在採用されている環境における使用のために好適な圧縮永久歪等のエラストマ特性、引張強度および引張係数等の物理的特性、および化学およびプラズマ耐性特性を達成することができる。
【0083】
本明細書に説明されるように、本発明は、硬化性ペルフルオロエラストマまたは硬化性フルオロエラストマ組成物を含む硬化性フッ素含有エラストマ組成物、およびそのような硬化性フッ素含有エラストマ組成物から形成される成型された物品を含み得る。
【0084】
そのようなペルフルオロエラストマ組成物は、好ましくは、少なくとも1つ、より好ましくは、2つ以上の硬化性ペルフルオロポリマー、好ましくは、ペルフルオロコポリマーを含み、そのうちの少なくとも1つは、高含有量のテトラフルオロエチレン(TFE)を有する。他の好適な共モノマーは、他のエチレン性不飽和フルオロモノマーを含み得る。2つのそのようなペルフルオロポリマーが、混成物中で使用される場合、それらの両方は、好ましくは、TFEまたは別の類似全フッ素化オレフィンモノマーを有する。各硬化性ペルフルオロポリマーは、好ましくは、1つ以上のペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)も有し得、それらは、直鎖または分枝鎖であり得るアルキルまたはアルコキシ基を含み、エーテル連結も含み得、本明細書における使用のための好ましいPAVEは、例えば、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、ペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、ペルフルオロメトキシビニルエーテル、および他の類似化合物を含み、特に、好ましいPAVEは、PMVE、PEVE、およびPPVEである。PAVEは、その使用が本明細書に説明されるような本発明と一貫する限り、硬化性ペルフルオロポリマーおよび最終硬化性組成物中で、単独で、または上記のPAVEタイプと組み合わせて使用され得る。
【0085】
ペルフルオロポリマーは、好ましくは、TFEと、少なくとも1つのPAVEと、硬化性ポリマーの架橋を可能にするための硬化部位または官能基を組み込む少なくとも1つの全フッ素化された硬化部位モノマーとのコポリマーである。硬化部位モノマーは、本明細書に記載の好ましい硬化部位を伴う種々のタイプであり得る。好ましい硬化部位は、窒素含有基を有するものを含むが、しかしながら、特に、第1および/または第2の硬化性ペルフルオロポリマー以外の追加の硬化性フルオロポリマーまたはペルフルオロポリマーが組成物に提供され得るので、例えば、カルボキシル基、アルキルカルボニル基、またはヨウ素または臭素を有するハロゲン化基等の他の硬化部位基、および当技術分野において公知の他の硬化部位も、使用され得る。本明細書の本開示は、放射線硬化の使用または種々の好ましい硬化剤(本明細書に、架橋剤、硬化性薬品とも称される)の使用も含み、当技術分野において公知の他の硬化部位が、使用される場合、そのような代替硬化部位を硬化させることが可能である他の硬化剤も、使用され得る。例えば、有機過酸化物に基づくもの等の過酸化物硬化系および関連過酸化物共硬化剤が、ハロゲン化官能性硬化部位基と共に使用され得る。
【0086】
例示的硬化部位モノマーは、下で列挙され、硬化性組成物における使用のための本明細書に説明される硬化性フルオロポリマーまたは硬化性ペルフルオロポリマーにおいて使用され得、それらの大部分は、PAVEベースの構造であり、反応性部位を有する。ポリマーは、変動し得るが、好ましい構造は、以下の構造(A)を有するそれらである。
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n-X1 (A)
式中、mは、0または1~5の整数であり、nは、1~5の整数であり、X1は、ニトリルまたはシアノ等の窒素含有基である。しかしながら、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン化末端基も、X1として使用され得る。
【0087】
本明細書に記載の硬化部位または官能基X1、例えば、窒素含有基は、硬化剤と反応させられると、架橋のための反応性部位を含む。式(A)による化合物は、単独で、またはそれらの種々の随意の組み合わせで、使用され得る。架橋の観点から、架橋官能基は、窒素含有基、好ましくは、ニトリル基であることが好ましい。
【0088】
式(A)による化合物は、単独で、またはそれらの種々の随意の組み合わせで、使用され得る。
【0089】
式(A)による硬化部位モノマーのさらなる例は、下記の式(1)-(17)を含む:
【0090】
CY2=CY(CF2)n-X2 (1)
式中、Yは、HまたはFであり、nは、1~約8の整数である。
【0091】
CF2=CFCF2Rf2-X2 (2)
式中、Rf2は、(-CF2)n-であり、-(OCF2)n-およびnは、0または1~約5の整数である。
【0092】
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2)m(OCH2CF2CF2)nOCH2CF2-X2 (3)
式中、mは、0または1~約5の整数であり、nは、0または1~約5の整数である。
【0093】
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2)m(OCF(CF3)CF2)nOCF(CF2)-X2 (4)
式中、mは、0または1~約5の整数であり、nは、0または1~約5の整数である。
【0094】
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2)n-X2 (5)
式中、mは、0または1~約5の整数であり、nは、1~約8の整数である。
【0095】
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m-X2 (6)
式中、mは、1~約5の整数である。
【0096】
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2)nCF(-X2)CF3 (7)
式中、nは、1~約4の整数である。
【0097】
CF2=CFO(CF2)nOCF(CF3)-X2 (8)
式中、nは、2~約5の整数である。
【0098】
CF2=CFO(CF2)n-(C6H4)-X2 (9)
式中、nは、1~約6の整数である。
【0099】
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)-X2 (10)
式中、nは、1~約2の整数である。
【0100】
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)-X2 (11)
式中、nは、0または1~約5の整数である。
【0101】
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n=X2 (12)
式中、mは、0または1~約4の整数であり、nは、1~約5の整数である。
【0102】
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)-X2 (13)
【0103】
CH2=CFCF2OCH2CF2-X2 (14)
【0104】
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)-X2 (15)
式中、mは、0を上回る整数である。
【0105】
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2)n-X2 (16)
式中、nは、少なくとも1の整数である。
【0106】
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3))OCF2-X2 (17)
式中、X2は、ハロゲンまたはアルキル化ハロゲン基(IまたはBr、CH2Iおよび類似アルキル化またはアルコキシル化反応性ハロゲン基および同等物)等のモノマー反応性部位であることができる。そのような硬化部位モノマーは、硬化性フルオロポリマーとの使用のために、少なくとも部分的にフッ素化され得るが、好ましくは、硬化性ペルフルオロポリマーにおける使用のために重合されるとき、ポリマー主鎖内にある、硬化部位モノマーの主鎖の一部に沿って、全フッ素化され得る。
【0107】
非全フッ素化フルオロポリマーである硬化性フルオロポリマーも、フルオロエラストマから付加製造することによって物品を作製することにおける使用のために、本発明において使用され得る。そのようなフルオロポリマー(FKM)は、ASTM D1418-10aにおいてASTM Internationalによって提供される標準的ゴム命名法定義によって分類された材料である。そのようなエラストマ命名法による標準的FKMポリマーは、典型的に、少なくとも2つのモノマーを有し、それらのうちの1つは、フッ素化され、好ましくは、その全てが、ある程度までフッ素化され、少なくとも1つの硬化部位モノマーは、加硫における使用のためのものである。少なくとも2つのモノマーは、好ましくは、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロペンまたは類似フッ素化オレフィンを含むが、種々の他のモノマーも同様に含み得る。フルオロエラストマ組成物はまた、フルオロエラストマの硬化部位モノマー内の官能基との架橋反応を受けることが可能である少なくとも1つの硬化性薬品を含み得る。
【0108】
そのような硬化部位モノマーは、過酸化物硬化性であり、BrまたはI等のハロゲン化材料を硬化部位官能基内に備えている官能基を含み得る硬化部位モノマーを含み得る。そのような硬化部位モノマーは、架橋を可能にするための反応性官能基を有する。FKM内のモノマーのうちの少なくとも2つは、好ましくは、ヘキサフルオロプロペン(HFP)およびフッ化ビニリデン(VF2)であるが、他の典型的モノマーは、当技術分野において公知の種々のフルオロポリマーを形成するために、これらの2つに加え、使用され得る。
【0109】
硬化性フルオロポリマーは、放射線架橋性であり得るが、好ましくは、硬化系を通して、架橋性(硬化性)であり、エラストマ材料を形成するために硬化部位モノマー内の官能基と反応することが可能である硬化性薬品が、添加される。いくつかの硬化系に関して、硬化性薬品と協働する、共硬化性薬品、または第2の硬化性薬品が、使用され得る。随意に、硬化加速剤も同様に、採用され得る。本明細書の付加製造における使用のために好適な組成物は、単一硬化性フルオロポリマー、または所望の最終特性に応じて、例えば、ポリマー混成物、グラフト組成物、または合金の形態における少なくとも2つの硬化性フルオロポリマーの組み合わせを有し得る。
【0110】
用語「未硬化」または「硬化性」は、材料が意図される用途のためにまだ十分に硬化させられていないように、まだ任意の相当な程度に架橋反応にさらされていない本明細書の組成物における使用のためのフッ素含有ポリマーを指す。
【0111】
本明細書の組成物のための硬化性フルオロポリマーは、随意に、上で述べられたように、追加のそのようなポリマーを混成組成物またはグラフトおよび/または共重合組成物中に含み得る。さらに、ポリマー主鎖は、鎖に沿って、種々の硬化部位モノマーを含み、架橋のための1つ以上の異なる官能基を提供し得る。組成物は、架橋反応を補助するための硬化性薬品および共硬化性薬品および/または加速剤も含み得る。
【0112】
1つ以上の硬化性フルオロポリマーおよび/または1つ以上の硬化性ペルフルオロポリマーは、そのような組成物内に存在し得る。そのようなポリマー自体は、1つ以上のフッ素化モノマーを重合または共重合することによって形成される。当技術分野において公知の種々の技法(直接重合、乳化重合、および/またはフリーラジカル開始重合、ラテックス重合等)は、そのようなポリマーを形成するために使用されることができる。
【0113】
FKMフルオロポリマーは、2つ以上のモノマーを重合することによって形成され得、好ましくは、それらのうちの1つは、少なくとも部分的にフッ素化される。例えば、HFPおよびVF2は、テトラフルオロエチレン(TFE)、または1つ以上のペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、または硬化を可能にするための硬化部位モノマー、すなわち、少なくとも1つのフルオロポリマー硬化部位モノマーである少なくとも1つのモノマーとともに、類似モノマーと組み合わせられ得る。本明細書に説明されるようなフルオロエラストマ組成物は、硬化させられ、フルオロエラストマを形成することが可能である任意の好適な標準的硬化性フルオロエラストマフルオロポリマー(FKM)、および本明細書に説明されるような1つ以上の他の硬化性薬品を含み得る。
【0114】
好適な硬化性FKMフルオロポリマーの例は、SolvaySolexis,S.p.A.(イタリア)から利用可能な商標名Tecnoflon(登録商標)PL958およびTecnoflon(登録商標)959下で販売されているものまたは他の類似フルオロポリマーを含む。好ましくは、本明細書で使用される硬化性フルオロポリマーは、好適な物理的特性を有するが、本明細書の用途において採用され、付加製造プロセスの中に導入されるとき、それらが、例えば、FFFまたはFDMにおける使用のために、フィラメントとして押し出され得るレオロジーおよび粘度も有する。そのような材料の他の供給業者は、とりわけ、Daikin Industries(日本)、Asahi Glass Company(日本)、3M Corporation(Minnesota)、S.V.Lebedev Synthetic Rubber Research Institute(ロシア)(VNIISK)、およびE.I.DuPont de Nemours&Company,Inc.(Delaware)を含む。そのようなFKMポリマーは、ポリマーの主鎖上で完全にフッ素化されない。
【0115】
本発明によると、硬化系内の1つ以上の硬化性薬品(本明細書では、硬化剤とも称される)が、使用される。好適な硬化剤は、ビスフェニルベースの硬化剤、ニトリル硬化剤、および有機過酸化物および共硬化剤等の過酸化物硬化剤および共硬化剤を含む。FKMに関する本明細書の好ましい実施形態では、ビスフェニルベースの硬化剤が、VF2モノマー基、好ましくは、隣接するHFPモノマーを通して硬化し、過酸化物ベースの硬化系が、硬化性フルオロポリマー中の硬化部位モノマー上の官能基との反応を通して硬化する。FFKMのための上で説明されるような好適なニトリル硬化系も、使用され得る。
【0116】
過酸化物硬化系と反応するための硬化部位モノマー内の好ましい官能基は、ハロゲン化反応基、例えば、ヨウ素または臭素を有するそれらを含むが、しかしながら、例えば、ビスフェニルベースの硬化を向上させ得るそれら、同様に、例えば、ニトリル基、すなわち、窒素含有反応基を有するそれら等、追加の硬化部位が、同じまたは異なる硬化部位モノマーに提供され得る。
【0117】
なおもさらなる実施形態では、例示的硬化部位モノマーは、上で列挙されたそれらを含み、それらは、上記構造(A)および変形例(1)-(17)として記載の構造等、PAVEベースの構造および反応性部位を有する。
【0118】
本明細書の組成物における使用のためのフルオロポリマーは、重合によってフッ素含有硬化性フルオロポリマーを形成するための任意の公知または今後開発される重合技法(例えば、乳化重合、ラテックス重合、鎖開始重合、バッチ重合、およびその他を含む)を使用して合成され得る。好ましくは、重合は、反応性硬化部位がポリマー主鎖の少なくとも1つの末端上に位置しているように、および/または主要ポリマー主鎖から垂下しているように、行われる。
【0119】
ポリマーを作製する1つの可能な方法は、フッ素含有エラストマ(有機または無機過酸化物およびアゾ化合物)の重合のための当技術分野において公知のそれら等の開始剤を使用したラジカル重合を含む。典型的開始剤は、過硫酸塩、過炭酸塩、過酸エステル等であり、好ましい開始剤は、過硫酸の塩、酸化炭酸塩およびエステル、および過硫酸アンモニウムを含み、最も好ましいものは、過硫酸アンモニウム(APS)である。これらの開始剤は、単独で、または亜硫酸塩および亜硫酸塩等の還元剤とともに使用され得る。
【0120】
当技術分野において公知の標準的重合手順が、使用され得る。硬化部位モノマーが、フッ素含有エラストマを調製するとき、添加および共重合され得る。その未硬化または硬化性状態では、有用なフルオロエラストマ組成物は、2つ以上のタイプの硬化剤と組み合わせて活性官能基を伴う2つの硬化部位モノマー、例えば、少なくとも1つのビスフェニルベースの硬化剤と、有機過酸化物硬化系とを有する等の二重硬化系を含み得、2つの硬化系は、フルオロポリマー上に存在する硬化部位モノマーの官能基のうちの1つとの架橋反応を受けることが可能である。加えて、所望に応じて、追加の硬化性薬品または組硬化性薬品と共硬化性薬品の組み合わせが、特に、追加の硬化部位モノマーが提供される場合、採用され得る。硬化加速剤も、所望に応じて使用され得る。述べたようなハロゲン含有官能基が、過酸化物硬化系内の有機過酸化物硬化性薬品および/または共硬化性薬品と反応し得る。
【0121】
FKMフルオロポリマー中で過酸化物硬化系を使用するとき、好適な硬化性フルオロポリマーは、上で述べられたように、例えば、ハロゲン化アルキルおよび他の誘導体等の過酸化物硬化性官能基と、部分的または完全にハロゲン化された炭化水素基とを伴うフッ素化構造を有するVF2、HFP、および硬化部位モノマーのポリマーを含む。
【0122】
過酸化物ベースの硬化系のための硬化性薬品は、フルオロポリマー鎖上の硬化部位モノマーの官能基を加熱し、それとの架橋反応に関わることによってラジカルを発生させることが可能である有機およびジアルキル過酸化物または他の過酸化物等、当技術分野において公知または今後開発される任意の有機過酸化物硬化性薬品および/または共硬化性薬品であり得る。例示的ジアルキル過酸化物は、ジ-ターシャリブチル-過酸化物、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサン、過酸化ジクミル、過酸化ジベンゾイル、過安息香酸ジターシャリブチル、およびジ-[1,3-ジメチル-3-(ターシャリブチルパーオキシ)ブチル]-炭酸塩を含む。他の過酸化系は、例えば、そのような硬化性薬品に関する関連部分が参照することによって組み込まれる米国特許第4,530,971号および第5,153,272号に説明される。
【0123】
そのような過酸化物硬化性薬品のための共硬化剤は、典型的に、例えば、シアヌル酸トリアリル(TAC)、イソシアヌル酸トリアリル(TAIC)、イソシアヌル酸トリ(メチルアリル)(TMAIC)、トリス(ジアリルアミン)-s-トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N-ジアリルアクリルアミド、ヘキサアリルホスホラミド、N,N,N’,N’-テトラアルキルテトラフタルアミド、N,N,N’,N’-テトラアリルマロンアミド、イソシアヌル酸トリビニル、2,4,6-トリビニルメチルトリシロキサン、およびシアヌル酸トリ(5-ノルボルネン-2-メチレン)等、多価不飽和され、有用な硬化を提供する過酸化物硬化性薬品と協働するイソシアヌル酸等のアリル化合物および類似化合物を含む。当技術分野において周知の最も好ましいものは、シアヌル酸トリアリル(TAIC)であり、それは、DIAK(登録商標)、例えば、DIAK(登録商標)#7、およびTAIC(登録商標)DLCを含むTAIC(登録商標)等の商標名下で販売されている。
【0124】
ビスフェニルベースの硬化性薬品として、ビスフェニルベースの材料およびその誘導体は、使用され得るが、好ましくは、ビスフェノールA、BOAP、ビスアミノチオフェノール、ビスアミドオキシム、および/またはビスアミドラゾン等の硬化剤が、使用される。しかしながら、モノアミジンおよびモノアミドキシム、トリアジン、シアノ基含有ニトリル硬化剤、オルガノ金属化合物およびその水酸化物、ジアミンおよびカルバミン酸ジアミン等のアミノ基を含有する硬化性薬品、例えば、N,N’-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、トリメチレンジアミン、シンナミリデン、トリメチレンジアミン、シンナミリデンエチレンジアミン、およびシンナミリデンヘキサメチレンジアミン、カルバミン酸ヘキサメチレンジアミン、カルバミン酸ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、モノカルバミン酸1,3-ジアミノプロパン、カルバミン酸エチレンジアミン、カルバミン酸トリメチレンジアミン、および米国特許第7,521,510B2号、第7,247,749B2号、および第7,514,506B2号(それぞれ、関連部分がシアノ基含有フルオロポリマーおよび同等物のための種々の硬化剤の一覧に関して本明細書に組み込まれる)に説明されるような硬化剤等の追加の硬化剤も、ビスフェニルベースの硬化剤および過酸化物ベースの硬化系に加え、所望に応じて、および/またはそのような薬品によって硬化性である追加の硬化部位モノマーが提供される場合、使用され得る。
【0125】
BOAP、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、およびその塩および誘導体、ビスアミノチオフェノール、およびパラベンゾキノンジオキシム(PBQD)を含むビスフェニルベースの硬化剤およびその誘導体は、随意に、過酸化物硬化系との組み合わせにおいても使用され得る。これらの硬化剤に加え、米国特許第7,247,749号および7,521,510号(そのような化合物に関する関連部分が組み込まれる)に説明されるような他のビスフェニルベースの硬化剤およびその誘導体も、使用され得る。使用されるビスフェニルベースの硬化剤のタイプにかかわらず、化合物は、上で述べられたように、硬化部位モノマーと反応するために、少なくとも1つ、好ましくは、2つのヒドロキシル含有機能反応性硬化部位を有することが最も好ましい。
【0126】
本明細書の硬化性フルオロポリマーまたはペルフルオロポリマーの各々における少なくとも1つの硬化部位モノマーの各々は、好ましくは、硬化性フルオロポリマーの約0.01~約10モルパーセントの量で存在する。フルオロポリマー中の他のモノマーの比率は、最終フルオロポリマーまたはペルフルオロポリマーにおいて異なる特性を達成するために、当該分野の範囲内で変動させられ得る。
【0127】
硬化性フルオロポリマーまたはペルフルオロポリマーを伴う組成物において使用される硬化剤の総量は、好ましくは、組成物中の硬化性フルオロポリマーの約0.01~約10重量部/100重量部である。
【0128】
そのような硬化性フルオロポリマー組成物およびペルフルオロポリマー組成物は、フッ素含有エラストマを化合することにおける使用のために公知のような種々の添加剤および充填剤または今後開発される新しい添加剤を含み得る。所望の最終特性に応じて、硬化剤は別として、組成物中の充填剤および添加剤は、随意に、組成物中の硬化性フッ素含有ポリマーの組み合わせられた重量に基づいて、約0.5部品~約100重量部、好ましくは、硬化性フッ素含有ポリマーの組み合わせられた重量に基づいて、約10部品~約50重量部の量で添加され得る。
【0129】
所望に応じて、必須ではないが、(上記の硬化剤以外の)添加剤も、押し出されたフィラメントの化合中、およびそれを形成することに先立って、組成物の中への混合または混成等によって、混和され得る。添加剤は、随意であり、要求されず、ある場合、条件が調節される必要があるであろうほど粘度特性を改変し得る。しかしながら、所望に応じて、あるエラストマ性能性質を達成するために、硬化加速剤、硬化性共薬品、処理補助剤、可塑剤、充填剤、および改質剤、例えば、シリカ、フルオロポリマー(マイクロ粉末形態、ペレット、ファイバ、およびナノ粉末形態におけるTFEおよびその溶融加工可能コポリマー)、フルオロ黒鉛、シリカ、硫酸バリウム、炭素、カーボンブラック、フッ化炭素、粘土、タルク、金属充填剤(酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ケイ素、ジルコニウム酸化物)、金属炭化物(炭化ケイ素、炭化アルミニウム)、金属窒化物(窒化ケイ素、窒化アルミニウム)、他の無機充填剤(フッ化アルミニウム、フッ化炭素)、着色剤、有機色素、および/または顔料、例えば、アゾ、イソインドリン、キナクリドン、ジケトピロロピロール、アントラキノン等、イミド充填剤(ポリイミド、ポリアミドイミド、およびポリエーテルイミド等)、ケトンプラスチック(PEEK、PEK、およびPEKKのようなポリアリーレンケトン等)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリオキシベンゾエート等が、当技術分野において公知の量において使用され得、および/または異なる特性のために変動させられ得る。本明細書の充填剤は全て、単独で、または2つ以上のそのような充填剤および添加剤と組み合わせて、使用され得る。
【0130】
好ましくは、任意の随意の充填剤が、上記の量において使用され、その量は、組成物中の組み合わせられた硬化性フルオロまたはペルフルオロポリマーの約100百分比部未満である。付加製造のための加熱曲線を評価するために使用され得る所望の硬化時間および温度は、調製されるポリマー組成物に基づいて展開され得、それは、ポリマーがフィラメント加熱曲線上の所望の位置Dにあることを可能にする特性の印刷のための選択を誘導すべきである。
【0131】
本発明はさらに、駆動機構およびプリンタノズルを有する付加製造プリンタを提供することを要求する。そのような付加製造プリンタは、例えば、Ultimaker BV(オランダ)から利用可能なUltimakerおよびMonoprice(Brea,California)から利用可能なMonoprice Makerの名称下のものを含め、購入のために市販されている。しかしながら、本明細書の本開示に基づく、エラストマ物品を印刷することが可能である任意のそのような付加製造プリンタが、使用され得ることを理解されたい。好ましくは、そのようなプリンタは、本明細書に説明される改良を含む装置の好ましい特徴のうちの1つ以上のものを有し得るか、または、(3次元物品がフルオロエラストマまたはペルフルオロエラストマを含むように、部分的に実質的に、または完全にフッ素化されたフッ素含有硬化性フルオロポリマーを押し出すことが可能であることを前提として)代替特徴とともに製造業者によって直接作製され得る。
【0132】
方法中、好ましくは、フィラメントが、印刷ノズルを含む加熱された印刷ヘッドに進入後、より好ましくは、フィラメントが、ノズルから退出するにつれて、熱が、フィラメントに印加され、加熱されたフィラメントを形成する。熱が、プロセス中の任意のステップにおいて印加され得る(例えば、加熱されたフィラメントは、加熱されたフィラメントが、フィラメントをノズルの出口を通して押し出すために十分に高温であるように、印刷駆動機構に進入するとき、印刷駆動機構内にあるとき、印刷ヘッド内のノズル内にあるとき、または印刷ヘッドからノズル出口まで延びているノズル部分内にあるとき、予熱され得る)が、フィラメントは、流動性であるが、硬化を開始するほど高温ではないか、または、層または複数の層の印刷に先立って、実質的な硬化を回避するために、任意の硬化を最小化するようにのみ、加熱されることが好ましい。好ましくは、フィラメントは、印刷ヘッド内で加熱され、ノズルに進入し、それを通して進行し、ノズル出口から外に、加熱されたフィラメントとして出る。
【0133】
1つの好ましい例では、ローラにおけるフィラメントは、プリンタを通したノズルまでの経路に進入することに先立って、冷却され、フィラメントを補剛し、座屈の可能性を防止することに役立つ。任意の好適な深冷または冷却方法および装置が、この目的のために使用され得、そのような機構は、当技術分野において公知であり、深冷または冷却装置が、下記にさらに詳細に説明されるように、本明細書に説明される任意の実施形態の中に組み込まれ得る。
【0134】
代表的熱曲線を示す
図6を参照すると、フィラメント幅に及ぼされる影響が、代表的硬化性ペルフルオロポリマーに関して、温度増加につれて示される。熱が増加するにつれて、フィラメント厚は、変化し、フィラメントが、より周囲の温度(位置A)から、硬化(すなわち、架橋)反応が開始するレベル(位置B)に移行するにつれて、より広く(より厚く)なる。硬化が、進行し、温度が、増加するにつれて、フィラメントは、より細くなり、直径がより小さくなり、定位置Cにおいて、その最も薄いレベルに達し、実質的な硬化が生じた。本出願人の実験に基づいて、処理のために、材料の硬化は、回避されるか、または十分な強度を材料に提供するための硬化の約25%未満であるのいずれかであるべきであるが、硬化が、エラストマ物品の層毎堆積を作製する間、硬化性材料を流動させ、それをノズルを通して押し出し、持続硬化を可能にする能力を阻止するであろうほど、大きく進行すべきではないことが決定された。位置Dが、硬化性ペルフルオロポリマーをノズルを通して押し出すための理想的範囲として認められた。したがって、高温融解のために設計される、商業用プリンタの大部分が、付加製造において使用し、フルオロまたはペルフルオロエラストマ物品を形成するために全く好適ではないことも決定された。したがって、200℃を下回って、より好ましくは、約250℃を下回って、より好ましくは、約200℃を下回って、さらにより好ましくは、160℃またはそれを下回って動作させることが可能である付加製造装置を使用することが好ましい。
【0135】
そのような付加プリンタ装置を使用することにおいて、硬化性ペルフルオロポリマーが、プロセス中の押し出されるフィラメントとして、硬化の開始に先立つ温度、またはある程度の硬化が生じる範囲まで(それは、印刷中、0を上回るが、硬化の約25%程度まで最小化される)加熱されることがさらに好ましい。硬化性フルオロまたはペルフルオロポリマーの硬化特性の評価は、試験方法ASTM D2084を使用して、RPAによって行われ得、次いで、加熱されたフィラメントの温度は、好ましくは、RPAを使用して、曲線上の時間T2に関連付けられた温度を下回る温度に保たれる。上で述べられたような商業用例を含む任意の好適なRPAが、この目的のために使用され得る。いくつかの実施形態では、使用される硬化性ポリマーに応じて、フィラメントは、約100℃~約250℃、好ましくは、約105℃~約200℃、最も好ましくは、約110℃~約160℃の温度まで加熱され得る。
【0136】
図1を参照すると、それは、ここでは、概して、実施形態100と称される本明細書での使用のための一般的付加製造装置を表す概略フローチャートであり、押し出されたフィラメント10が、ロール形態において、給送ローラ12から送達され得る。給送ローラは、押し出されたポリマーフィラメントの送達のために使用される任意の標準的給送ローラであることができる。
【0137】
初期導入時に冷却され得るフィラメントは、プリンタ駆動機構16を通して付加製造プリンタの14中に給送され、プリンタ駆動機構16は、好ましくは、モータ18によって動作させられる。示される好ましい実施形態では、支持管20が、駆動ローラ間のプリンタ機構と、印刷ヘッド34内のノズル36の入口42との間に延びている。
【0138】
支持管20は、横方向断面において、円形、楕円形、長円形、卵形状、正方形、三角形、多角形等の種々の形状を有し得る。好ましくは、支持管は、円形断面形状等、管内のフィラメントの進行の容易性のために、その断面形状からいくつかの内部湾曲表面を有する。管は、外部表面と、縦方向に延びている通路26を画定する内部表面24とを有する縦方向に延びている管状壁22から形成される。支持管は、第1の端部28から第2の端部30まで延びている。フィラメントは、付加製造プリンタ14から退出し、ノズル34を含む、印刷ヘッド32に進入する。ノズル34から離れることにおいて、押し出されるフィラメントは、ノズル出口40を通して一貫して押し出され、ノズル出口40は、押し出されたフィラメント10を基板36上に堆積させ、当技術分野において公知のような標準的付加製造コンピュータ支援制御(図示せず)によって、印刷ヘッドを移動させ続け、材料の層毎適用を形成し、エラストマ物品38を形成する。
【0139】
支持管の第2の端部30は、好ましくは、その第2の端部における支持管と印刷ヘッドとの間の流体(流動性)連通を可能にするために、プリンタノズルへの入口に近接して(本明細書では、その範囲内にあること、その近傍にあること、それに近接すること、その一般的エリア内にあること、それに並置されること、またはそれに触れることを意味するように意図される)位置付けられる。管が、実践的観点から、より近づくにつれて、管は、フィラメント座屈に遭遇せずに、より多くの支持をフィラメントに与え得る。しかしながら、支持管の第2の端部と印刷ヘッドおよびノズルの入口の実際の近接性は、使用される具体的装置の設計が支持管の第2の端部が到達することを可能にする近接度に影響を及ぼすであろう。
【0140】
ノズル32の出口40から退出する加熱されたフィラメントの連続した層は、付加製造プリンタ14を使用して、基板36上に印刷され、フッ素含有エラストマ物品38を形成する。
【0141】
付加製造プリンタに提供される硬化性フルオロポリマーおよびペルフルオロポリマーフィラメントは、好ましくは、硬化性フルオロポリマー組成物を押し出すことによって形成される。そのような押し出し機は、当技術分野において公知であり、圧縮成型によって、Oリング等の物体を形成することにおける使用のためのフルオロポリマーの「ロープ」を形成するために使用される。そのような押し出し機は、付加製造プロセスにおける使用のための押し出されたフィラメントを調製するために使用されることができ、当技術分野において周知である。
【0142】
熱が、制御された硬化および流動性のために、プロセス中(フィラメントを管に導入するより前を含む)、随時、ある程度まで印加され、フィラメントが、プロセスを通して、ノズルから外に流動することを可能にしながら、過剰な硬化または早期硬化を回避し得る。しかしながら、好ましくは、熱の印加は、印刷ヘッド内で、フィラメントが、ノズルに進入するにつれて生じ、ノズルおよびその出口を通して、押し出された流動を可能にする。フィラメントは、それがノズルを通して流動し、硬化が制御されることを前提として、ある範囲の粘度を有し得る。例えば、121°で約10~約160ML1+10のMooney粘度。
【0143】
図は、上で議論されるように、これを図示し、位置Dは、ノズルを通した押し出しのための理想的処理温度範囲である。硬化のための温度が変動し得る種々のポリマーに関して、温度は、
図6における代表的曲線および本明細書の例に関連する
図8-10に示される例示的曲線内の硬化曲線の好ましいエリアに示されるように、そのポリマーの硬化サイクルに適応するように調節され得る。フルオロまたはペルフルオロポリマーは、好ましくは、物品が形成され、仕上げられるにつれて(その任意の後硬化を含む)、約10%~約90%の程度まで、ノズル出口内で、およびその後、硬化させられる。
【0144】
フィラメントは、外部加熱器、加熱されたファン、または付加製造プリンタ内の随意の加熱機構を含む任意の好適な熱機構17を通して加熱され得、好ましくは、加熱要素は、プリンタ駆動機構および/または印刷ヘッド内に位置する。
【0145】
好ましい実施形態における装置は、概略フローチャート形態において、
図1Aを参照して説明される。好ましい実施形態は、概して、本明細書では、実施形態200と称され、同様の番号は、全ての実施形態において、共通要素を示す。示されるように、硬化性フッ素含有ポリマーフィラメントが、給送ローラ212から、駆動ホイール244と、支持ホイール246とを含む、装置214内のプリンタ駆動機構216へと、3次元付加製造装置214に給送される。2つのホイールは、駆動モータ218を通して一貫して移動し、支持管220の第1の端部228に進入することに立って、硬化性フッ素含有フィラメントが駆動ホイール244と支持ホイール248との間の空間248(フィラメント厚のための所望の接触間隙によって画定される)を通過するとき、それを支持し、摩擦を提供する。
【0146】
本実施形態では、装置は、支持ホイール244と駆動ホイール246との間でプリンタ駆動機構216を通して上向きに延びている支持管220の第1の端部228を有する随意の特徴をさらに含み得、それによって、支持管は、フィラメントが給送ローラ212から離れ、プリンタ駆動機構に進入するとき、フィラメントを支持し、特に、任意の熱がすでに印加されている場合(または、給送ローラから離れた後のフィラメントと装置との摩擦接触の熱から)、この時点におけるフィラメントの座屈を回避し得る。
【0147】
そのような実施形態で使用され得る支持管は、
図3および3Aに示され、本明細書で議論される追加の横方向開口部に関してのみ、実施形態100の支持管と異なる。したがって、全体的管は、そうでなければ同じである。
【0148】
管220は、縦方向に延びている通路226を有する管状壁222として形成され、通路226は、支持管壁222の内部表面224によって画定される。フッ素含有エラストマが、硬化が開始するときを制御しようとして給送されるので、管は、好ましくは、管内壁の経路全体に沿って不必要な摩擦接触を導入しない材料から形成される。したがって、管は、好ましくは、平滑材料、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはテトラフルオロエチレンの成型可能コポリマー等の低摩擦材料からも形成される。
【0149】
支持管壁222は、支持管壁222の内部表面224から壁の外部表面252まで、支持管壁222を通して横方向に延びている側面開口部250も画定する。開口部250を画定し、包囲する壁は、駆動ホイール224の形状に合った輪郭を形成される。フィラメント210は、好ましくは、上で述べられたように、プロセス中の摩擦を低減させる材料から形成された支持管を通過する間、プロセスにおいてあまりに早期に不必要に硬化に従事することを回避するように、支持管を通して給送され得る。フィラメント210が、支持管220の通路226を通過するとき、横方向に延びている側面開口部250は、フィラメントが、駆動機構を通過するとき、側面開口部のエリア内の駆動ホイール244とのフィラメントの制御された接触を可能にし、フィラメントが、一貫して、かつ所望の速度で、移動するように保ちながら、プリンタ駆動機構の上方から(かつ支持管220の第1の端部228が給送ローラ212に達し得るほど近接から)支持管を使用して、摩擦衝撃を最小化し、フィラメントを支持しながら、支持管の中への平滑フィラメント導入を維持し、それによって、フィラメントの印刷駆動機構の上方およびノズルの上方の柱高を制御し、フィラメントを印刷ヘッドの中に方向づけ、その接近の速度を制御することにおいて、プリンタ駆動機構内のプリンタ駆動ローラの重要な役割を犠牲にせずに、付加製造プリンタを通して、フッ素含有エラストマ等の処理が困難なエラストマの平滑かつ制御可能な通過を可能にする。
【0150】
本明細書のさらなる改良では、フィラメント温度プロファイルに起因して、
図6における例証的形態に示されるように、硬化性フッ素含有ポリマーを付加製造装置内で処理するとき、この性質のエラストマ材料(および他の類似粘性熱硬化性エラストマ)は、ノズル出口から離れることにおいて標準的印刷熱可塑性フィラメントより多くの圧力を要求することに留意されたい。
図4に示されるように、従来技術の印刷ノズルは、押し出された硬化性フッ素含有ポリマーまたは他の類似エラストマベースポリマーから形成されるフィラメントを収容するために必要とされるものより幾分小さくあり得る。最も標準的付加製造装置は、(特に、ある程度の硬化が開始されるにつれて)より粘性の材料を容易に受け入れるために要求される圧力の程度を取り扱うように設計されていない。粘性熱可塑性物質にかかる圧力を増加させるための標準的アプローチは、それらを加熱することである。しかしながら、硬化性フッ素含有ポリマーまたは類似未硬化エラストマベースポリマーへのあまりに多くの熱は、硬化の開始を引き起こし得、フィラメントを誤った瞬間に弱くし得、および/または、ノズル234の入口242における座屈またはノズルの詰まりを引き起こし得る。
【0151】
故に、
図1または1Aの実施形態では、
図4および4Aを参照して示されるように、本明細書の好ましい実施形態におけるノズル234の出口240(またはノズル32内の出口40)は、標準的従来技術の付加プリンタ装置ノズルのノズルQの出口Oの標準的内径(ID)より広くなるように修正され得る。好ましい出口は、拡張された内径または幅w
2(出口の最も広い寸法において横方向に測定される)と、対応して、熱曲線(例えば、
図6参照)のある段階(その段階において、フルオロポリマーは、好ましい位置Dに進入し、熱が、実施形態100と同じである様式において、加熱機構217によってプリンタ内で制御される)における加熱されたフッ素含有フルオロポリマーフィラメントの最大外径を収容するためのより広い外径または幅w
1とを有する。好ましい処理温度におけるその熱曲線に基づくフィラメントのフィラメント厚とほぼ同じサイズまたは±約0.1mm~約0.5mmの範囲内である出口サイズを使用することによって、フィラメントは、ノズルを通して適切に押し出され、無中断押し出しを可能にし、印刷ヘッドの入口における詰まりを回避し、座屈を防止し得る。
【0152】
例えば、
図6に示されるように、好ましい加熱ゾーン位置Dにおける硬化性ペルフルオロポリマー組成物から形成されたフィラメントは、約0.2mm~約20mmの外径を有する。したがって、ノズルは、適宜、サイズを決定され得、例えば、約0.2mm~約20mmであり得、好ましくは、約1.0mm~約3.0mmである。
【0153】
実施形態100および200の好ましい実施形態では、付加製造プリンタ14、214は、好ましくは、ステッパモータである駆動機構を動作させるための駆動モータ18、218を含む。そのようなモータは、好ましくは、フィラメントと付加製造駆動プリンタおよびその構成要素との間の任意の摩擦を克服するために十分なトルクを提供しながら、一定速度を失わずに、材料を付加製造プリンタを通して、ノズルの出口から外に押し出すために十分な圧力を提供し、かつ詰まりまたはフィラメント座屈を回避する。
【0154】
大部分の標準的付加プリンタは、容易に押し出し可能であるあまり粘性ではない材料のために設計されたステッパモータを有するので、駆動モータは、ステッパモータが使用される場合でも、フィラメントの平滑移動のために不十分なトルクを有する可能性が高く、動作のための追加の電力を要求する。したがって、付加製造プリンタは、印刷エラストマ物品を達成するために、より粘性であり、および/または、一定速度および厚さに維持される必要がある、エラストマ材料を印刷するとき、より大きい容量のステッパモータを有し、および/または、動作のための要求されるトルクおよび電力要件を達成するために修正されるべきである。本明細書の1つの好ましい修正は、歯車付き伝達機構257を付加プリンタ駆動機構のステッパモータに提供し、ステッパモータのトルクを増加させることである。歯車付き伝達機構の例は、1つ以上の遊星歯車254を含み得る。遊星歯車254を含むそのような歯車付き伝達機構257は、
図7および7Aに示される。
図7Aでは、単一遊星歯車254が、示され、それは、ステッパモータ218を歯車付き伝達機構257としての駆動シャフト256に取り付けられる。縁歯260を有する接続する一連のより小さい歯車258は、回転可能に位置付けられ、内部噛合歯262と相互作用する。一連のそのような遊星歯車254は、商業用付加製造プリンタの標準的駆動モータトルクを調節し、向上させるために、相互接続様式において、直列に使用され得る。下記の表1は、修正に先立った同じモータと比較して、
図7の構成を使用して修正されたステッパモータに関するトルクおよび他の特性の増加を示す。
【表1】
【0155】
本発明は、付加製造装置のノズルを通して押し出された硬化性フルオロポリマー組成物を備えている加熱されたフィラメントによって形成される物品も含む。装置は、上記に記載され、
図2における組み立てられた様式で示されるような特徴を含み得る。付加製造装置14、214は、好ましくは、FFFまたはFKMデバイスのための溶融フィラメント製作装置または溶融堆積装置である。
【0156】
種々の硬化性フッ素含有組成物が、使用され、本明細書の付加製造組成物としての3次元物品に形成され得、種々の硬化性フッ素含有組成物は、各々が硬化剤と反応するための官能基を有する部分的にフッ素化されるフルオロポリマー(FKM)および実質的または完全にフッ素化されるペルフルオロポリマー(FFKM)を含む硬化性フッ素含有ポリマーのうちの1つ以上のものを含み、選択されたそれらのポリマーを硬化させるために好適な1つ以上の硬化剤をさらに含み得、それらは、上で説明されるように、選択されたフルオロポリマーの硬化部位モノマー上のそれぞれの官能基または複数の基と反応することが可能である。上で説明されるような装置における付加製造のための好ましいフルオロポリマーおよびペルフルオロポリマーは、121℃で約10~約160ML1+10の未硬化Mooney粘度を有する。
【0157】
本発明は、3次元印刷エラストマ物品を形成することが可能である上で述べられたような付加製造装置をさらに含む。本明細書の装置のプリンタ駆動機構は、好ましい実施形態では、上で説明されるような駆動ローラと、支持ローラとを含み得、装置は、本明細書に説明されるような支持管をさらに含み得、それは、駆動ローラが、好ましくは、プリンタ駆動機構内の管の中に給送される押し出されたフィラメントに接触するように位置付けられるように、プリンタ駆動機構の下に延びているように据え付けられる。支持管は、したがって、
図2に示されるように、印刷ヘッド232を通して、プリンタ駆動機構の下側表面264等の下側表面からノズル234の入口242に近接するエリアYまで延び得る。
【0158】
支持管は、好ましくは、プリンタ駆動機構216の上方に位置付けられたその第1の端部228を有し得、その第2の端部230は、好ましくは、ノズル234の入口に近接する。上記により完全に説明されるように、支持管220は、好ましくは、支持管の第1の端部228を通過し、支持管の第2の端部230を通して退出する硬化性フッ素含有ポリマーのフィラメントを支持するように構成され、駆動ローラと支持管の縦方向通路を通過するフィラメントとの間の直接接触を促進するために、管の壁を通して、管の内部表面から外部表面まで横方向に延びている上で説明されるような側面開口部も含み得る。上でも述べられたように、1つの好ましい実施形態では、支持管220の第1の端部228は、給送ローラから離れる硬化性ポリマーフィラメントを受け取り、フィラメントの座屈を回避するように、給送ローラのより近くに位置付けられ、柱高を低減させ得る。
【0159】
さらなる実施形態では、基板236は、基板上への非粘性の押し出された硬化性ポリマーの接着力を改良するために、摩擦表面を備え得る。硬化性フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンを含み、高度に不活性であるので、摩擦表面266等の粘性または摩擦仕上げまたは上側表面を基板236上に作成することは、仕上げられた物品を形成することにおける結果を改良し得る。層間接着力は、硬化プロセスによって改良され得るが、基板236への初期接着力は、安定した物品を構築し、後続層を受け取る強固な第1の層を敷設するために重要である。そのような摩擦表面は、例えば、接着剤、粗面化された表面、最小限の量の接着剤を引きよせるまたは有する処理、または第1の印刷層と幾分相互作用し得るPTFE含有表面を備え得る。
【0160】
図2に示されるように、支持管は、印刷駆動機構の上方に、縦方向に測定される長さl
1を有し、印刷駆動機構の底部表面264から、ノズル入口242を有する印刷ヘッド232に近接する上部エリアYまでの長さl
4も有し、印刷駆動機構の下に延びている。基板から給送ローラ212の底部までの距離は、ローラから基板と接触する押し出し物までのフィラメント経路の全長を表し、l
5として表される。支持管の第1の端部から、フィラメントがノズルに進入する印刷ヘッド内の場所までの距離は、l
2であり、支持管上部からノズル出口まで測定された長さは、l
3である。l
3とl
2との間の差異は、ノズル高を表す。l
3と、l
1とl
4との組み合わせられた長さとの間の差異は、印刷駆動機構の高さである。上向きに延びている管の高さは、好ましくは、歯車付き伝達機構内の駆動歯車から、ヒートブレーク、すなわち、フィラメントが加熱された印刷ヘッドに進入するエリアまでの距離に近似的に合致するように選択される。具体的距離は、歯車付き伝達機構、モータ、および関連伝達機構パッケージング内の駆動歯車のサイズ設定によって選択される。より短い距離が、好ましいが、上向きに延びている管の使用は、フィラメントが、3次元印刷装置内で性能を発揮し、かつそれを通して正常に移動するために十分な支持を提供する。
【0161】
上で述べられたように、説明される種々の実施形態では、冷却または深冷装置が、硬化性フッ素含有ポリマー材料の付加製造における種々の利益を達成するために、プロセスの開始時に提供され得る。例えば、
図11に示される予冷器の形態における深冷または冷却装置Eが、提供され得る。予冷器Eは、実施形態200によるものであるが、本明細書の実施形態200’によるプリンタ214’等、付加印刷装置内での使用のための幾分修正された駆動機構216’を伴うプリンタの上方に搭載される多層容器Jとして示される。そのような駆動機構は、同様に、フィラメント押し出し機の一部であることができる。
図11に示されるフィラメント210’は、多層容器Jによって画定されたボアQを通して、支持管220’に提供される。示されるように、ボアQは、好ましくは、丸みを帯びた横方向断面であるが、動作または設計目的のために、形状が修正され得る。ボアは、支持管までの平滑通路を可能しながら、フィラメント220’が、予冷器E内の冷却された壁およびボアQを通過することも可能にする。フィラメントが、通過するにつれて、フィラメント温度は、冷却チャンバEA(それも、多層容器Jの構造によって、かつその中に画定される)内の冷却剤等の冷却剤の温度に接近する。除去可能カバーEBは、所望に応じて、冷却剤Tの清掃、充填、および/または交換のために提供され得る。
【0162】
約-40℃の温度を達成するための塩化カルシウム六水和物および氷の混合物を含む使用される冷却剤は、変動し得る。しかしながら、ドライアイス、通常の氷、およびその他が、温度低減および所望の最終条件に応じて、使用され得る。予冷器Eは、随意のカバーEB等によって、断続的に充填され得るか、または連続的な交換給送を通して、冷却のために設計される交換器を通して流れる冷却剤等の冷却剤を導入すること等によって、連続的に充填され得る。好ましくは、本明細書に説明されるようなフッ素化材料では、予冷器は、連続的に充填され、約-40℃の好ましい低温に保たれるが、温度は、選択された材料に従って変動させられ得る。
【0163】
冷却およびノズル押し出し温度は、動的機械分析(DMA)等の分析ツールを使用して測定されるように、本明細書に説明されるような材料特性を使用して、導出および選定され得る。
図12を参照すると、貯蔵弾性率が、例えば、冷却剤温度から、フィラメント内の硬化性フルオロポリマー組成物または硬化性ペルフルオロポリマー組成物の硬化温度まで、ある範囲の温度にわたって測定され得る。いくつかの事例では、複数のDMA試験および分析が、可変試料および重複した温度におけるDMAデータを合致させることによって正規化された最終結果を使用して行われ得る。
図12は、2つのDMA試験から導出される、貯蔵弾性率値の範囲を示す例示的プロファイルであり、第1の試験は、-80℃~20℃に及び、第2の試験は、20℃~140℃に及んだ。20℃における貯蔵弾性率データが、温度の関数としての相対的貯蔵弾性率が使用のために十分に特性評価されるように、2つのデータ組を「合致」またはスケーリングさせるために使用された。
【0164】
冷却温度およびノズル押し出し温度は、付加製造印刷プロセス中、相対的貯蔵弾性率を決定するために選択され得る。例えば、例示的
図12上に示される点1は、フィラメントが
図11に示される駆動歯車等の駆動および支持ホイール244’、246’を通して駆動されている点において(
図11における対応する点1において)評価されるフィラメントに関する-40℃温度および50MPa貯蔵弾性率に対応する。そして、印刷するためにノズルに進入するときの駆動機構の高温端における
図11上の点2における温度は、
図12における対応する点2によって示されるように、貯蔵弾性率が2MPaである点2において60℃であるように選択される。
【0165】
予冷器Eを組み込むときの装置およびプロセスの他の利点は、支持管の「自由柱長」を参照して識別されることができ、自由柱長は、概して、本明細書では、駆動ローラまたは歯車内の中心線点から、ローラ/歯車の下方の入口に、そして、駆動機構の下に延びている支持管の下側部分の中までの距離として定義される。二重駆動歯車および制御された最小限の隙間を装備するE3D Online(Oxfordshire,UK)から市販の商業用Hemera(登録商標)押し出し機を使用して調製される
図11に示される例示的装置では、自由柱長は、5mmであり、フィラメント直径は、1.75mmである。記載されるような駆動機構を有する押し出し機は、印刷用途のための搭載ブラケット上に搭載された。自由柱長に関して、駆動されるフィラメントを単に支持される柱として見なすと、フィラメントの臨界座屈力(F
cr)は、以下のように推定される。
F
cr=μ
EIπ
2
(I)
L
2
式中、μは、拘束係数であり、Eは、ヤング率であり、Iは、断面積の慣性のモーメントであり、Lは、自由柱長である。
図11の予冷器E等の予冷器を使用することで、臨界座屈力F
crは、この例示的実施形態では、0.36Nから9.1Nに増加させられ、臨界座屈圧力、P
cr(最大圧力)の増加に対応し、それは、以下のように計算される。
F
cr/A (II)
式中、Aは、0.15MPa~3.8MPaのフィラメントの断面積である。
【0166】
上で述べられたような最大圧力の増加は、プロセス中および装置内のフィラメントの達成可能延伸を大幅に増加させ、それによって、低減させられたノズルオリフィス直径の使用を可能にする。達成可能延伸(入口からノズルの中へ、ノズルの出口を通したフィラメント直径の低減を意味する)は、フィラメント押し出しを弾性塑性変形を受ける固体材料と見なすことによって、推定されることができる。そして、最大延伸比Bが、オイラー数eとして推定され、それは、約2.71828であり、押し出されている材料の貯蔵弾性率に対する最大圧力の比率kに高められる。すなわち、
B=ePcr/k (III)
【0167】
説明される材料特性およびフィラメントに関して、本例示的実施形態における本明細書で印刷される硬化性フルオロ-およびペルフルオロポリマー組成物のための予冷器の使用は、最大延伸比を予冷器を伴わない1.1から予冷器を伴う6.6まで増加させることが可能である。最小オリフィス直径が、次いで、延伸比の2乗によって除算されるフィラメント直径として推定され得る。分析は、本明細書の予冷器の使用が、ノズルオリフィスが1.69mmから0.68mmまで減少することを可能にすることを示唆する。この原理および設計は、そのような利益が付加製造印刷において有利となるであろう硬化性フルオロポリマー組成物および硬化性ペルフルオロポリマー組成物および他の材料を用いて採用され得る。
【0168】
本明細書のプロセスでは、
図5において表されるような1つの例示的実施形態300では、方法は、押し出された形態で(すなわち、それらは、事前に化合され、初期ロープまたはフィラメントに押し出され得る)、上記のフルオロポリマーまたはペルフルオロポリマー組成物等の硬化性ポリマーを提供すること302を含む。方法は、本明細書の任意の実施形態による付加製造プリンタを提供すること304を含み、そのプリンタは、好ましくは、駆動機構と、印刷ヘッドおよびノズルとを含む。熱が、ステップ306において、フィラメントに印加され、それは、付加製造プリンタ駆動機構内で、または印刷ヘッドおよび/またはノズル内で、給送段階を含むプロセスの種々の段階において行われ得る。さらなるステップ308は、押し出し物として、印刷ヘッドノズルの出口から、基板上に退出するように、支持管を通して、および付加製造プリンタを通して、フィラメントを給送することを含む。連続層が、次いで、ステップ310において、基板上に最初に押し出された層上に適用され、3次元、印刷物品を基板上に形成し得る。
【0169】
本発明が、ここで、以下の非限定的例に関して説明されるであろう。
(実施例1)
【0170】
3つの硬化性フルオロポリマーが、本明細書の
図2に示されるような装置を使用して、付加製造に関して評価された。すなわち、以下である。Tecnoflon(登録商標)959としてSolvayから市販のFKMの第1の硬化性フルオロポリマー化合物(サンプル1)。Greene,Tweed(Kulpsville,PA)からChemraz(登録商標)G20として利用可能なFFKMを含む、第2の化合物(サンプル2)。Tecnoflon(登録商標)VPL75545に基づくFKMを含む、第3の化合物(サンプル3)。
【0171】
サンプル2中のFFKMは、硬化性ペルフルオロポリマーと、ビスフェニルベースの硬化剤とを含み、ビスフェニルベースの硬化剤は、ベースペルフルオロポリマーに対して1.3重量部で添加された。追加の添加剤は、組成物内に組み込まれなかった。
【0172】
サンプル1中のFKMは、過酸化物硬化系と混成され、5百分比部のFKMポリマーを構成し、シリカ充填剤が、13百分比部のFKMポリマー内に組み込まれ、着色剤および処理補助剤が、さらに含まれた。サンプル2のFFKMおよびサンプル1のFKM化合材料は、化合されたFFKMおよびFKM化合物のより粘着性の性質に関連付けられる、剛性、およびそれぞれのガラス遷移温度、フィラメント押し出し能力、および材料の可動ダイレオロジー(MDR)特性に基づいて選択された。第3のサンプルのFKMは、カーボンブラック充填剤および2百分比部の過酸化物硬化剤のポリマーおよび3百分比部の共硬化剤のポリマーを含んだ。この化合物はまた、粘着度および他のサンプルと比較した可変硬化および熱分析曲線に関して選定された。
【0173】
フィラメントが、2つの外径サイズ、すなわち、1.7mmおよび2.7mmで押し出された。実験試験は、硬化剤の有無別の両方で行われ、フィラメントとしての材料の性能および特性を査定した。DSCプロファイルが、起動され、それらは、それぞれ、
図8、9、および10におけるサンプル1、2、および3に関して示され、サンプルの材料を印刷するための最良範囲およびガイドラインを提供する。
【0174】
材料は、UltimakerおよびMonoprice Maker Select Plusの両方の中に印刷するために導入された。後者は、材料を印刷するために最も好適であり、さらなる試験のために使用された。
【0175】
装置は、押し出されたフィラメントを支持するために、PTFEから形成される上向きおよび下向きに延びている支持管を含んだ。側孔が、上で説明されるように、管に提供された。ステッパモータが、歯車付き伝達機構が、
図7Aに示されるように、一連の遊星歯車を含むことによって修正され、ノズル開口部は、2mmであった。装置内の温度は、印刷するために、115℃に、FKMおよびFFKMを印刷するために、容認可能範囲(約90℃~約120℃)に保たれた。
【0176】
印刷ヘッドは、1mmの層高、1.75mmの線幅、100%の充填密度、200℃の印刷温度、25℃の構築プレート温度、および4mm/秒の印刷速度に関して設定された。本層高および線幅は、増加させられたノズル幅と一致するように、標準的印刷レベルから増加させられた。
【0177】
温度は、ノズルからのより容易な押し出しのために、および基板表面上に位置付けられる接着剤テープ材料から形成される摩擦表面への接着力を促すために十分に粘度を降下させるように最大化された。ASTM D412-Cによる引張試験片が、材料からの印刷に成功した。
(実施例2)
【0178】
化合物が、半粘性エラストマ材料であるTecnoflon LTとして市販のペルフルオロポリマーに基づいて調製された。化合物(サンプル4)は、硬化性ペルフルオロポリマーと、1.3重量部でベースペルフルオロポリマーに添加されたビスフェニルベースの硬化剤とを含んだ。追加の添加剤は、組成物内に組み込まれず、その中の駆動機構として、移動可能Hemera(登録商標)押し出し機上に搭載された予冷器を有する
図11および11Aに示されるような印刷装置を使用して、印刷された。サンプルは、1.5mmにおけるノズル開口部および80℃のノズル温度を使用して稼働された。
【0179】
印刷することに先立って、DMA分析データが、サンプル4およびサンプル3(例1において使用される)の両方に関して収集された。サンプル4に関して、DMA分析が、-80℃~20℃の低温において、3℃/分の加熱率および50gm力/負荷で行われた。冷却は、液体窒素を使用して達成された。化合物サンプルが、比未硬化材料を使用して、139インチ/直径を伴って、Oリングとして調製された。DMA分析は、引張DMAであった。高温DMA分析が、25℃~150℃の温度において、同じ加熱率で、500gm力/負荷および50gm力/負荷の両方および同じ化合物サンプル寸法を用いて、但し、圧縮DMA分析を用いて、サンプルに関して収集された。同じ試験は、サンプル3を用いて、但し、50gm力/負荷においてのみ行われた。このデータは、印刷温度を選択し、貯蔵弾性率G’(Pa単位)を推定するために使用された。サンプル4に関して示される推定グラフは、
図12に現れる。
【0180】
推定される貯蔵弾性率は、最大座屈力、最大印刷圧力、および最大延伸比を推定するための弾性率として使用された。推定される弾性率および計算された座屈力F
crおよび計算された最大圧力(MPa)、最大延伸比は、下記の表2に示される。このデータに基づいて、最小ノズル直径(mm)が、採用される装置のために決定された。
【表2】
【0181】
このデータから、サンプルは、
図11および11Aの装置を使用して、1.75mm直径および0.005mの自由柱長のフィラメントを使用して、シールの形態における金属上の試験プレートの中に印刷された。
【0182】
その広範な発明の概念から逸脱することなく、上で説明される実施形態に変更が行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されず、添付の請求項によって定義されるような本発明の精神および範囲内の修正を網羅するように意図されることを理解されたい。
【国際調査報告】