(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】COVID-19を治療する方法における使用のための、エズリンペプチド1
(51)【国際特許分類】
C07K 7/08 20060101AFI20230515BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20230515BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230515BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
C07K7/08 ZNA
A61K38/10
A61P31/14
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560303
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2021058459
(87)【国際公開番号】W WO2021198346
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522387537
【氏名又は名称】パンタファルム・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネッセルフート,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ネッセルフート,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】オスマース,リュディガー
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA23
4C084CA59
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB331
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4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA16
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA20
(57)【要約】
本発明は、COVID-19を治療する方法における使用及びCOVID-19後症候群を治療する方法における使用のための、エズリンペプチド1及び/又はその類似体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてCOVID-19を治療する方法における使用のためのエズリンペプチド1であって、アミノ酸配列NH2_Thr-Glu-Lys-Lys-Arg-Arg-Glu-Thr-Val-Glu-Arg-Glu-Lys-Glu_COOH(配列番号1)を含む、エズリンペプチド1。
【請求項2】
対象においてCOVID-19後症候群を治療する方法における使用のためのエズリンペプチド1であって、アミノ酸配列NH2_Thr-Glu-Lys-Lys-Arg-Arg-Glu-Thr-Val-Glu-Arg-Glu-Lys-Glu_COOH(配列番号1)を含む、COVID-19後症候群エズリンペプチド1。
【請求項3】
前記エズリンペプチド1が、皮下投与のために生理食塩水に溶解される、請求項1又は請求項2に記載の使用のためのエズリンペプチド1。
【請求項4】
前記エズリンペプチド1が、経口投与のために製剤化される、請求項1又は請求項2に記載の使用のためのエズリンペプチド1。
【請求項5】
前記エズリンペプチド1が、吸入のため又は鼻腔内投与のために製剤化される、請求項1又は請求項2に記載の使用のためのエズリンペプチド1。
【請求項6】
毎日投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のためのエズリンペプチド1。
【請求項7】
前記対象が、SARS-CoV-2について陽性反応が出たヒトであるか、又はSARS-CoV-2に感染していると疑われるヒトである、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のためのエズリンペプチド1。
【請求項8】
COVID-19又はCOVID-19後症候群を治療する方法における使用のための、エズリンペプチド1及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
皮下投与、経口投与、吸入又は鼻腔内投与のいずれかのために製剤化される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
COVID-19又はCOVID-19後症候群を対象において治療する方法における使用のための、式(I):
NH2_X
1-Glu-Lys-Lys-Arg-Arg-Glu-Thr-Val-Glu-Arg-Glu-X
2-X
3_COOH (I)
のエズリンペプチド1の類似体であって、
式中、X
1、X
2及びX
3は、同一であるか又は異なっており、かつ、非極性アミノ酸残基であり、前記アミノ酸は、特にグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、メチオニン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、COVID-19後症候群エズリンペプチド1の類似体。
【請求項11】
X
1、X
2及びX
3は、同一であり、かつ、グリシン残基である、請求項10に記載の使用のためのエズリンペプチド1の類似体。
【請求項12】
前記類似体が、皮下投与のために生理食塩水に溶解される、請求項10又は11に記載の使用のためのエズリンペプチド1の類似体。
【請求項13】
前記類似体が、経口投与のために製剤化される、請求項10又は11に記載の使用のためのエズリンペプチド1の類似体。
【請求項14】
前記類似体が、吸入のため又は鼻腔内投与のために製剤化される、請求項10又は11に記載の使用のためのエズリンペプチド1の類似体。
【請求項15】
毎日投与される、請求項10~14のいずれか1項に記載の使用のためのエズリンペプチド1の類似体。
【請求項16】
前記対象が、SARS-CoV-2について陽性反応が出たヒトであるか、又はSARS-CoV-2に感染していると疑われるヒトである、請求項10~15のいずれか1項に記載の使用のためのエズリンペプチド1の類似体。
【請求項17】
前記エズリンペプチド1の類似体が、エズリンペプチド1と組み合わせて用いられる、請求項10~16のいずれか1項に記載の使用のためのエズリンペプチド1の類似体。
【請求項18】
COVID-19又はCOVID-19後症候群を治療する方法における使用のための、エズリンペプチド1の類似体又はエズリンペプチド1の類似体とエズリンペプチド1との組み合わせ及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、COVID-19を治療する方法における使用のためのエズリンペプチド1に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルス疾患2019(COVID-19)は、SARS-CoV-2と呼ばれる新型コロナウイルスによって起こる。頭字語「SARS」は、重症急性呼吸器症候群を表す。湖北省(中国)における2019年末のCOVID-19の突然の発生は、世界に蔓延しており、人々の健康及び世界経済に影響を及ぼしている。2020年3月30日の時点で、COVID-19は、世界で約750,000人において確認されており、インフルエンザの致死率が1%未満であるのに対し、およそ3~5%の致死率を有する。ほとんどの診断は、呼吸器由来の検体を用いるPCRに依存する。
【0003】
2020年3月11日に、WHO事務局長は、相次ぐSARS-CoV-2による感染症(COVID-19)を、パンデミックと宣言した。
【0004】
新型コロナウイルスSARS-CoV-2は、インフルエンザに似た症候、例えば乾性咳、発熱、鼻水及び倦怠感などを引き起こす。また、いがらっぽい喉、頭痛、関節痛、悪心、下痢及び悪寒も報告されている。このウイルスは、人から人へと感染する。飛沫感染は、伝播の主な様式である。伝播は、人から人へと直接起こる場合もあり、又は、手と口や鼻の粘膜又は目の結膜との間の接触を通して間接的に起こる場合もある。疾患のわずかな症候又は非特異的な症候しか示していない個人によって感染した者が、報告されている。無症状症例の割合は、明らかではない。現在、感染者が何らかの症候を自覚するまでに、最大14日かかり得ると考えられている。WHOによると、潜伏期間は、平均5~6日間である。
【0005】
現在までに報告されている症例の中で、感染の5件中3件が、例えば、約1週間にわたる乾性咳及び39.5℃未満の発熱の症例を有する軽症であった。このことは、SARS-CoV-2感染後の全ての疾患が重症の経過をたどり、治療を必要とするわけではないことを意味する。敗血症へと進行する他の急性感染性疾患とは異なり、COVID-19の重症の経過は、最初の症候の発症から命を脅かす(主に)肺機能の悪化(呼吸困難及び肺炎を含む)まで、長期にわたって進行を示すようである。重症急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、疾患の重要な経過の顕著な特徴を反映する。感染症の治療は、疾患症状(例えば、酸素の供給、体液平衡の維持、必要な場合には細菌の同時感染に対抗するための抗生物質の投与)の重症度に依存し、関連の基礎慢性疾病の治療も含む。現行のCOVID-19の管理は支持的であり、ARDSは、死亡の主因である。
【0006】
蓄積された証拠により、重症のCOVID-19を罹患する患者の下位集団は、高炎症及び治療不可能な肺組織損傷をもたらすサイトカインストーム症候群を有し得ることが示唆される。sHLH(二次血球貪食性リンパ組織球症)に似たサイトカインプロフィールがCOVID-19疾患重症度(インターロイキン(IL)-2、IL-7、顆粒球コロニー刺激因子、インターフェロン-γ誘導性タンパク質10、単球化学誘因タンパク質1、マクロファージ炎症性タンパク質1-α、及び腫瘍壊死因子-αの増大によって特徴づけられる)に関連することが、報告されている。中国の武漢における150の確認されたCOVID-19の症例の後向き多施設共同研究に由来する致死の予測因子としては、フェリチンの増大(非生存者における平均1297.6ng/mlに対し生存者における614.0ng/ml;p<0.001)及びIL-6(p<0.0001)が挙げられ、死亡率が、ウイルスによる高炎症に起因し得ることを示唆している(Mehta et al.,The Lancet,Vol.395,p.1033-1034(2020年3月))。
【0007】
COVID-19パンデミックの経過の間、COVID-19に罹患する患者は急性感染が落ち着いた後に遅発性/長期的影響を患うこともまた、明らかになった。罹患者がCOVID-19自体から回復しても、彼らは決して健康とはいえない。むしろ、彼らは、慢性疲労、息切れなどの呼吸困難、嗅覚の喪失、集中力の欠如、不安及び抑うつなどの長期的な影響を患う。これらの長期的症候はまた、COVID-19後症候群、長期COVID(コロナ後遺症)又は遅発性COVIDとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Mehta et al.,The Lancet,Vol.395,p.1033-1034(2020年3月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
COVID-19の有効な治療に対し、緊急の必要性が存在する。現在は、抗ウイルス剤及びワクチンを含む新規な治療の開発が注目されている。しかし、好適な新しい薬物治療及びワクチンが間初されるまでに、少なくとも数か月、最悪の場合には1年間超かかる場合がある。それまでは、高まる死亡率を低減する喫緊の必要性に対処するため、安全性の確認されたプロフィールを有する既存の認可された治療を用いた、COVID-19の合併症としての高炎症を含むARDSの予防及び/又は治療に対する緊急の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、エズリンペプチド1又はエズリンペプチド1及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が、COVID-19疾患の危機的な経過を避けるために好適であることを見出した。
【0011】
本発明者らはまた、エズリンペプチド1の類似体又はエズリンペプチド1の類似体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が、COVID-19疾患の危機的な経過を避けるために好適であることを見出した。
【0012】
本発明者らはまた、エズリンペプチド1とエズリンペプチド1の類似体との組み合わせ又はエズリンペプチド1、エズリンペプチド1の類似体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が、COVID-19疾患の危機的な経過を避けるために好適であることを見出した。
【0013】
本発明者らはまた、エズリンペプチド1、エズリンペプチド1の類似体、及びエズリンペプチド1もしくはエズリンペプチド1の類似体又はエズリンペプチド1とエズリンペプチド1の類似体との組み合わせ及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が、COVID-19後症候群を治癒させるか又は少なくとも寛解させるために好適であり、また、患者がCOVID-19後症候群に罹患する危険性を低減するためにも好適であることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
エズリンタンパク質は、シトビリン(cytovillin)又はビリン-2(villin-2)とも呼ばれ、EZR遺伝子によってヒトにおいてコードされるタンパク質である。本発明のために使用されるペプチドは、HEP-1ペプチド又はヒトエズリンペプチド1(TEKKRRETVEREKE)として知られ、かつ、HIV感染の治療のために開発された(WO95/33768A1)、14アミノ酸残基を含む医薬テトラデカペプチドNH2_Thr-Glu-Lys-Lys-Arg-Arg-Glu-Thr-Val-Glu-Arg-Glu-Lys-Glu_COOH(配列番号1:TEKKRRETVERKEKE)であるか又はこれを含む。HEP-1は、抗ウイルス性C型肝炎生物学的活性を有することが公知であり、C型肝炎を有する患者の治療のために使用され得る(WO2004/067024A2)。さらに、HEP-1が抗潰瘍性生物学的活性を有し、胃腸管の潰瘍性疾患の治療のために使用され得ることも報告されている(WO2007/060440)。
【0015】
エズリンペプチド1の類似体は、以下の一般式のテトラデカペプチドである:
NH2_X1-Glu-Lys-Lys-Arg-Arg-Glu-Thr-Val-Glu-Arg-Glu-X2-X3_COOH (I)
式中、X1、X2及びX3は、同一であるか又は異なっており、かつ、非極性アミノ酸残基であり、このアミノ酸は、特に、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、メチオニン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。このようなエズリンペプチド1の類似体の特定の例は、X1、X2及びX3がグリシン残基である式(I)の化合物であり、すなわち、それぞれ配列番号2:GEKKRRETVERKEGG又はNH2_Gly-Glu-Lys-Lys-Arg-Arg-Glu-Thr-Val-Glu-Arg-Glu-Gly-Gly_COOH(配列番号2)の化合物である。式(I)のエズリンペプチド1の類似体は、US2016/0346383から公知である。
【0016】
本発明において使用されるペプチド、すなわちエズリンペプチド1及び式(I)のその類似体は、当該分野で周知のペプチド合成化学(例えばUS2016/0346383及びその中で挙げられた引用文献)によって合成され得る。例えば、本発明のペプチドは、標準的手順を用いて液相合成によって、もしくは固相合成によって、又はその組み合わせによって合成されてもよい。固相合成が使用される場合、ポリスチレン樹脂もしくはポリアミド樹脂、又はPEGハイブリッドポリスチレン樹脂もしくはPEGベースの樹脂などの固相が使用される。合成の間に、異なる保護基、例えば、N末端保護基、t-Boc又はFMOC保護基が使用される。いくつかの場合、断片が、固相方法を用いて合成されて、その後溶液中で結合して一緒にされてもよい。この方法において、ペプチドはアミノ酸鎖のカルボニル基側からアミノ基側へと合成され得るが、細胞においてはペプチドは反対方向から合成される。このような方法において、アミノ保護されたアミノ酸は、基質ビーズ(すなわち樹脂ビーズ)に結合して、カルボニル基と樹脂との間の共有結合を形成する。次いで、アミノ基は、脱保護されて、次のアミノ保護されたアミノ酸のカルボニル基と反応する。所望のペプチド鎖が形成されるように、このサイクルは、必要な回数繰り返される。次いで、この手順の最後に、合成されたペプチドが、ビーズから切り離される。このペプチド合成において主に使用されるアミノ基のための保護基は、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(「Fmoc」)及びt-ブチルオキシカルボニル(「Boc」)である。Fmoc基は、塩基を用いてアミノ末端から除去されるが、Boc基は、酸を用いて除去される。さらに、ベンジルオキシカルボニル(Z)基もしくはアリルオキシカルボニル(Alloc)保護基、又は光脱離可能(リソグラフィ)保護基、あるいは側基保護技術が使用され得る。ペプチド生成物は、HPLC分離によって、又は任意の他の精製方法によって精製される。ペプチド構造は、アミノ酸分析、質量分析及び高速液体クロマトグラフィーデータによって確認される。本発明において使用されるペプチドは、好ましくは、上記のアミノ酸配列を有するが、それを分解から保護するために、又はそのバイオアベイラビリティ及び/もしくは生物適合性を増大するために、当業者が好適とみなすように又は当業者によって求められるように(例えばC又はN末端において)改変されていてもよい。
【0017】
本明細書中で使用される「対象」又は「患者」は、SARS-CoV-2について陽性反応が出たか又はSARS-CoV-2に感染している疑いのあるヒトをいう。これらの対照は、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)に罹患している可能性があるか、又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)を発症している疑いがある。上述のように、COVID-19は、SARS-CoV-2と呼ばれる新型コロナウイルスによって起こる。
【0018】
本明細書中で使用されるCOVID-19は、以下の症候の1つ以上を伴う:乾性咳、発熱、鼻水、倦怠感、いがらっぽい喉、頭痛、関節痛、悪心、下痢及び悪寒。特に、COVID-19は、主な症候として、乾性咳、発熱、鼻水及び倦怠感を伴うことが報告されている。
【0019】
軽症の症候を有する患者におけるCOVID-19の有病期間中央値は1~2週間であると報告されている。重症の経過は、約3~6週間にわたる入院及び集中治療を含み得る。
【0020】
本発明のために使用される医薬組成物は、抗ウイルス物質、抗菌物質、鎮痛性物質及び/又は抗炎症性物質などの他の薬学的活性物質を、任意選択的に含んでもよい。好ましい実施形態において、医薬組成物はまた、免疫刺激剤も含んでよい。抗ウイルス物質の例は、アシクロビル、リバビリン、バラシクロビル、オセルタミビル、レムデシビル又はザナミビルである。抗菌物質の例は、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、セファロスポリン、糖ペプチド、マクロライド、ペニシリン、ポリペプチド、キノロン、スルホンアミド、テトラサイクリン、グリシルサイクリン、オキサゾリジノン、アンフェニコール、プロイロムチリン、リンコサミド、ストレプトグラミン、ステロイド抗菌剤、環状ペプチド、リポペプチド及びこれらの混合物である。
【0021】
本明細書中で使用される用語「約」は、定量的な意味でプラス又はマイナス5%、又は別の実施形態においてプラス又はマイナス10%、又は別の実施形態においてプラス又はマイナス15%、又は別の実施形態においてプラス又はマイナス20%を意味する。特に、本明細書中で使用される用語「約」は、定量的な意味でプラス又はマイナス5%又は所定のそれぞれの値を意味する。
【0022】
「薬学的に許容される」は、活性成分の生物学的活性の効力に影響を及ぼさず、かつ投与される患者に対し毒性でない、任意の担体を包含することを意味する。好適な薬学的担体の例は、当該分野で周知であり、リン酸緩衝化生理食塩水、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、種々のタイプの湿潤剤、無菌溶液などが挙げられる。このような担体は、従来的方法によって製剤化されてもよく、有効用量で対象に投与されてもよい。さらなる薬学的に適合性の担体としては、ゲル、生物吸収性マトリックス材料、治療剤を含む埋め込みエレメント、又は任意の好適なビヒクル、送達もしくは調合手段もしくは材料が挙げられる。
【0023】
医薬組成物の投薬量は、例えば年齢、体重、性別、疾患の重症度などの患者特異的パラメータに基づいて、臨床医によって決定される。用語「投薬レジメン」又は「治療様式」は、エズリンペプチド1もしくはその類似体又はこれらの組み合わせと任意の他の任意選択的な薬学的活性物質との、適時連続的又は同時の投与をいう。このことは、構成成分が、互いに物理的に接触する単位剤形(例えば、1つの単一錠剤又は溶液)で提供されてもよく、又は同時にもしくはある特定の時間の相違をもって摂取される別個の物(例えば、2つの錠剤又は溶液)として投与されてもよいことを意味する。この時間の相違は、0.5時間~1日の範囲内、好ましくは1時間~5時間の範囲内であってもよい。
【0024】
エズリンペプチド1及びその類似体は、1日に体重1kgあたり50mg以上の高投薬量であっても毒性ではないので、エズリンペプチド1及びその類似体の投薬量は、特には重大な意味を持たない。好ましくは、エズリンペプチド1及びその類似体は、1日に少なくとも0.1mg、特に1日に少なくとも0.2mg、例えば、1日に少なくとも0.5mg、例えば1日に0.1~50mg又は1日に0.2~20mgもしくは1日に0.5~10mgの量で、成人のヒトに投与される。非経口投与のために典型的には、経口又は直腸投与のためよりも低い投薬量が必要とされる。COVID-19の症候の迅速な緩和を達成するために、1日に少なくとも1mg又は1日に少なくとも2mg投与することが合理的であるが、他の場合には、より低い投薬量が好適である場合がある。
【0025】
一実施形態において、エズリンペプチド1は、1日に約0.2~8ミリグラム(mg)、好ましくは1~5mg、より好ましくは2~4mg又はその範囲内で投与される。別の実施形態において、エズリンペプチド1は、1日に0.1~5ミリグラム(mg/日)、好ましくは0.1~4mg/日、より好ましくは0.1~1mg/日、特には0.1~0.5mg/日の範囲内の投薬量で投与される。より高い投薬量、例えば、1~5mg/日、より好ましくは1~3mg/日の範囲内で開始して、その後、より低い投薬量、例えば、0.1~0.5mg/日で続けることも可能である。
【0026】
エズリンペプチド1及び/又はその類似体、例えばエズリンペプチド1及び/又はその類似体を含む医薬組成物は、COVID-19に伴う症候が出る前、間又は後に、対象に投与されてもよい。好ましくは、これは、COVID-19に伴う少なくとも1つの症候の発症の直後に投与される。それが不可能である場合、好ましくは、SARS-CoV-2感染についての陽性結果を受けた後に投与されるべきである。それが不可能である場合、好ましくは、発熱、咳及び/又は呼吸障害の発症前又は直後に投与されるべきである。エズリンペプチド1又はエズリンペプチド1を含む医薬組成物は、好ましくは患者の入院開始前に投与されるべきである。一般に、早ければ早いほどよい。投薬量は、毎日1分包で投与されても、又は1日又は2日おきに数回の部分用量で投与してもよい。投与は、感染の経過の間なされるべきであり、COVID-19に伴う最後の症候が少なくとも1日、より好ましくは少なくとも2日にわたって消えるまで維持されるべきである。エズリンペプチド1及び/又はその類似体、例えばエズリンペプチド1及び/又はその類似体を含む医薬組成物はまた、例えば、感染が起こる前に、例えば感染が起こる1日又は2日前に、予防的に投与されてもよい。
【0027】
医薬組成物は、対象の身体への投与に好適な投薬形態で調製及び投与されてもよい。これは、投与の意図する経路に適合するように製剤化される。投与の経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、筋肉内、動脈内又は皮下投与、及び経口投与が挙げられる。投与の好適な経路はまた、吸入及び鼻腔内投与である。別の好適な経路は、直腸投与である。好ましくは、投与経路は、皮下である。
【0028】
皮下投与される場合、医薬組成物は、好ましくは、充分に潅流された組織、例えば臍下組織に、例えば腸骨棘の高さの臍下側部に注射される。
【0029】
医薬組成物は、任意の好都合な助剤及び/又は生理学的に許容できる希釈剤を用いて、製剤化されてもよい。製剤化の種類は、既知の方法での投与の経路に依存する。
【0030】
好ましい実施形態において、製剤は、錠剤、ロゼンジ剤、液剤、ゲル剤、懸濁液、エマルジョン又は溶液として調製されてもよい。
【0031】
非経口適用、特に皮下適用のために使用される溶液又は懸濁液は、以下の構成成分を含み得る:注射用水、(生理)食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、不揮発油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶剤などの無菌希釈剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は重硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤;酢酸、クエン酸又はリン酸などの緩衝液及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの等張化調整剤。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムによって調整され得る。非経口調製物は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又は多回用量バイアル内に封入されてもよい。
【0032】
非経口投与に好適な医薬組成物は、注射可能である。注射可能液の調製のために、無菌水溶液、分散液又はエマルジョンが使用される。無菌注射可能溶液又は分散液の即時調製のための無菌粉末もまた、使用され得る。非経口投与のために好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor(登録商標)EL(BASF,Parsippany,N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は、無菌でなければならず、容易なシリンジ操作性がある程度に流体であるべきである。組成物は、製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)及び好適なこれらの混合物を含む、溶媒又は分散媒体であってもよい。例えば、レクチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合には必要な粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用によって、適切な流動性が維持され得る。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの種々の抗菌剤及び抗真菌剤によって達成され得る。実施形態にしたがい、組成物において等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール又は塩化ナトリウムが添加される。注射可能組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸ナトリウム及びゼラチンを組成物中に入れることによって、達成され得る。
【0033】
無菌注射可能溶液は、必要の量の活性化合物を、所望の場合は上に列挙した1種の成分又は成分の組み合わせと共に、適切な溶剤に組み込むこと、及びその後、例えば濾過滅菌又は加熱滅菌により滅菌することによって、調製され得る。一般に、分散剤は、塩基分散媒体及び上記列挙されたものからの必要な他の成分を含む無菌ビヒクル中に活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌注射可能溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製物は、真空乾燥又は凍結乾燥によって調製され、それにより、活性成分の粉末及び既に濾過滅菌されたその溶液由来の任意のさらなる所望の成分が得られる。
【0034】
さらに好ましい実施形態において、本発明の製剤は、経口投与に好適である。経口組成物は、一般に、不活性な希釈剤又は食用の担体を含む。経口治療投与の目的で、活性化合物が賦形剤中に組み込まれてもよく、錠剤、トローチ剤、咀嚼剤(chewie)、ロゼンジ剤、ゲルカプセル剤、軟質ゲル剤、又はカプセル剤、例えばゼラチンカプセル剤の形態で使用され得る。経口組成物はまた、洗口液としての使用のために、液体担体を用いて調製されてもよい。薬学的に適合性の結合剤又は助剤材料が、組成物の一部として含まれてもよい。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、ロゼンジ剤などは、以下の成分又は類似の性質の化合物を含んでもよい:微結晶性セルロース、トラガカントガム又はゼラチンなどの結合剤;デンプン又は乳糖などの賦形剤、アルギン酸、primogel(デンプングリコール酸ナトリウム)又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;ショ糖又はサッカリンなどの甘味剤。
【0035】
本発明の製剤は、望ましい場合には、任意のさらなる構成成分を、そのような構成成分がエズリンペプチド1の有効性を実質的に損なわない限り、含んでもよい。無論、このさらなる構成成分は、典型的には、薬学的に許容される。このような構成成分としては、例えば、増粘剤、甘味剤、香味剤、香料、さらなる医薬品、グリシン、マンニトール、二酸化ケイ素、シリカゲル、結合剤、ビタミン、例えばグリシン、デンプン、セルロース、キチン、水、アルコール及び鉱物などの担体が挙げられる。
【0036】
吸入に好適な医薬組成物としては、吸入システム(定用量吸入器、乾燥粉末吸入器、ソフトミスト吸入器及びネブライザーを含む)を用いてエアロゾルに変換され得る任意の調合物を含む。特に、吸入のための医薬組成物は、最大10μm、特に最大5μmの粒子サイズを有するエアロゾルに変換されることが好ましい。好適な組成物としては、溶液、懸濁液が挙げられ、及び乾燥粉末も挙げられる。組成物の種類に依存して、これらは、薬学的に許容される固体又は液体の担体及び/又は薬学的に許容される賦形剤を含んでもよく、これらとしては、水、生理食塩水、静菌水、PBS、アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、グリシン及びメチオニンを含む);ポリソルベートなどの界面活性剤及び例えばマンニトール、乳糖、トレハロース、ラフィノースなどの糖が挙げられる。特に好適なのは、生理食塩水中のエズリンペプチド1及び/又はその類似体の溶液である。鼻腔内投与のために好適な医薬組成物は、吸入について言及された任意の製剤、特に、生理食塩水中のエズリンペプチド1及び/又はその類似体の溶液などの液体製剤を含む。
【0037】
薬物送達技術において当業者に通常用いられる充填剤、担体、保存料及び安定化剤が、提供される医薬組成物の調製のための許容できる担体又は充填剤として使用され得る。注射のために、蒸留水又は生理食塩水が、主に使用される。
【0038】
直腸投与のために好適な医薬組成物は、特に坐剤である。
【0039】
非常に恐ろしい重症急性呼吸窮迫症候群を含むCOVID-19の危険な経過を回避する驚くべき特性をエズリンペプチド1が有することが、本発明者らによって驚くべきことに見出された。SARS-CoV-2は、新型ウイルスであるがゆえに、人体に対して完全に異質である。したがって、ヒトの身体は、感染が起きた際に備えた適切な抗体応答を有さない。このことは、高炎症を伴い得る強い免疫応答が、感染後に患者において起こることを意味する。これは、感染した肺組織に免疫細胞が遊走して細胞傷害性免疫細胞を介して感染した肺組織を攻撃するので、COVID-19の経過においてウイルス肺炎症を引き起こし得る。肺組織は、細胞傷害性免疫細胞の移動を伴う極めて高い免疫防御に起因して、ますます炎症性となる。このことは、酸素交換をより困難にし、肺の線維症の発達に起因して肺組織を不可逆的に損傷し得る。
【0040】
エズリンペプチド1は、免疫調節性テトラデカペプチドであり、これは、細胞培養物中で抗ウイルス効果を示す(R.Ataullakhanov et al.;Antiviral Mechanisms of the drug‘Gepon’:Modulation of Cytokine Gene Transcription in a J-96 Human Cell Line.Eksp Klin Gastroenterol.2005;(1):14-9,106)。抗ウイルス効果の解釈は、ウイルスの標的細胞へのドッキングが防止され得たことであった。加えて、細胞培養物において、これが炎症性サイトカイン産生に対する効果を有すること、そしてそれにより、炎症ストレスへの影響を有することを示した。これは、炎症促進性サイトカイン及び炎症性サイトカイン(例えば、IL-1、IL-6、TNF-α)の産生を低減するが、アルファ-インターフェロン及びベータ-インターフェロンの合成を誘導する。本発明者らは、炎症性サイトカインの産生の改変に起因して、COVID-19の経過において起こり得る免疫学的に誘導された炎症反応を調節することができると結論した。したがって、肺炎症は、下方調節され得るか、又は防止さえされ得る。エズリンペプチド1及びその類似体の抗炎症効果に起因して、肺組織における大量のサイトカイン放出の結果としての肺線維症の危険性は、顕著に低減し得るか、又は防止さえされ得る。
【0041】
したがって、SARS-CoV-2感染後のエズリンペプチド1の早期投与は、その抗ウイルス効果に起因するのみならず、抗炎症効果にも起因して、有病期間全体を短縮し、疾患の肺への侵襲を防止し、例えばARDSを発症することによる重篤な経過を経ることを防止することについて、奏功する。この疾患が既に肺に侵襲しているとしても、エズリンペプチド1投与は、COVID-19のこの重篤な合併症の進行を防止することが期待される。
【0042】
さらに、エズリンペプチド1及び/又はその類似体の投与は、長期COVIDとも呼ばれる長期COVID-19後症候群を治癒するか又は少なくとも寛解することが見出された。COVID-19感染の急性期の間のエズリンペプチド1及び/又はその類似体の投与によって、COVID-19後症候群の発症は回避され得るか、又は少なくともCOVID-19後症候群の発症の危険性又はその重症度を低減するが、急性感染が引いた後、数週間又は1月後であってさえ、エズリンペプチド1及び/又はその類似体の投与によって、長期COVIDの寛解又はさらに治癒でさえも達成され得る。言い換えると、COVID-19後症候群及びその病理学的症候の寛解又はさらに治癒でさえも、COVID-19後症候群の間のエズリンペプチド1及び/又はその類似体の投与によって達成され得る。このために、エズリンペプチド1及び/又はその類似体は、上述のような投薬量、特に数日間にわたり、1日に0.1~5ミリグラム(mg/日)、好ましくは0.1~4mg/日、より好ましくは0.1~1mg/日、特に0.1~0.5mg/日の範囲内の投薬量で投与される。
【実施例】
【0043】
実施例1:69歳の患者、
危険因子:肥満症、1度AVブロック、筋緊張亢進
3月1日~7日のスイス(グリンデルヴァルド)へのスキー旅行
疾患の経過:
2020年3月08日:味覚の喪失
2020年3月09日:倦怠感を伴う気分の悪さ及び頭痛
2020年3月11日:同じ症候であるが38℃を超える発熱
2020年3月12日:コロナウイルス検査;同じ症候であるが39℃を超える発熱、
2020年3月13日:陽性検査結果;乾性咳が始まり症候が持続
2020年3月14日:第1回エズリンペプチド1投与(夕方)、症候の持続
2020年3月15日:第2回エズリンペプチド1投与(朝)、症候の増大
2020年3月16日:第3回エズリンペプチド1投与(朝)、強い眼痛を伴う症候の増大
2020年3月17日:第4回エズリンペプチド1投与(朝)、より多くの咳を伴う症候の増大
2020年3月18日:第5回エズリンペプチド1投与(朝)、回復の顕著な兆候、眼痛なし、熱の低下
2020年3月19日:第6回エズリンペプチド1投与(朝)、回復の顕著な兆候、通常の体温、倦怠感なし
2020年3月20日:第7回エズリンペプチド1投与(朝)、味覚の回復、全身状態良好
2020年3月21日:第8回エズリンペプチド1投与(朝)、もはや病気の兆候なし
投薬量: 2mgエズリンペプチド1、生理食塩水中に溶解、10の単回投薬量(0.2mg)に分割した、
1日1回皮下投与
【0044】
驚くべきことに、投与後の症候の重篤度が、このリスクグループの患者において予測したものより顕著に低下した。疾患の経過もまた、このリスクグループの患者について予測した疾患の経過と比較して顕著に短かった。肺の線維症などの重篤な合併症は起きなかった。
【0045】
実施例2:64歳男性患者、
危険因子:筋緊張亢進、喘息、COPD、高コレステロール血症
常用薬:
●カンデサルタン8mg
●Foster(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フマル酸ホルモテロール二水和物)
●シンバスタチン
投薬量:6単回用量×2mgエズリンペプチド1、生理食塩水中に溶解、及び皮下投与した(s.c.).
疾患の経過:
●2020年4月23日:最初の発熱、38.4℃;
●2020年4月24日:39.0℃を超える高熱、悪心、味覚の喪失、呼吸窮迫、乾性咳、激しい頭痛を伴う重症な臨床兆候;
コロナPCRを行い、SARS-CoV-2について陽性結果が出た、
第1回エズリンペプチド1、2mg皮下(s.c.)(夕方);
●2020年4月25日:朝、第2用量エズリンペプチド1、2mgs.c.;朝に体温は37.5℃まで下がるが、未だ、全身の脱力、息切れ、咳、食欲不振、夕方に体温は再び39.0℃;
●2020年4月26日:第3回エズリンペプチド1投与、2mgs.c.;
未だ食欲不振、軽い咳、夕方に体温は未だ37.5℃;
●2020年4月27日:第4用量エズリンペプチド1、2mgs.c.;
軽い咳、軽い頭痛、体温37.4℃;
●2020年4月28日:第5回エズリンペプチド1投与、2mgs.c.;
頭皮を触ると少し痛む程度、未だ軽い脱力、体温37.3℃;
●2020年4月30日:第6回エズリンペプチド1投与、2mgs.c.;
臨床症候の顕著な改善、通常の体温、肉眼的血尿(目立たない泌尿器診察)、CRPレベル100mg/l以上、肺炎の疑いのため胸部CTを行った;
●2020年05月1日~2020年05月04日:CRPレベルの上昇に起因する抗生物質適用範囲、
味覚の完全回復、咳なし、発熱なし、臨床的に良好な状態。
【0046】
実施例3:79歳男性患者、
危険因子/既存疾患:COPD、2型真正糖尿病、2つの人工心臓弁、2018年に卒中
投薬量:単回用量の2mgエズリンペプチド1、生理食塩水中に溶解及び2020年12月23日に皮下投与(s.c.)、その後0.2mg/日エズリンペプチド1(単回用量、s.c.)を、4日間にわたって行う。
疾患の経過:
●第1の症候:2020年12月に始まる:咳、嗅覚及び味覚の喪失;
●2020年12月18日から咳の連続的な悪化、倦怠感及び食欲不振、息切れ;
●抗原検査陽性(ラテラルフロー検査)2020年12月22日、2020年12月23日にSARS-Cov2についてPCR検査陽性;
●2020年12月23日:2日間にわたって2mg/日、その後4日間にわたって0.2mg/日でのHEP-1治療の開始;
●2020年12月25日:咳及び全身状態の顕著な改善;
●HEP-1治療の完了後はさらなる兆候なし。
【0047】
実施例4:49歳女性患者、
危険因子/既存疾患:高血圧
投薬量:単回用量の2mg/日エズリンペプチド1、生理食塩水中に溶解及び2日間にわたる皮下投与(s.c.)、その後4日間にわたる0.2mg/日エズリンペプチド1(単回用量、s.c.)。
疾患の経過:
●第1の症候:2020年12月19日ひどい咳、倦怠感、寒気;
●さらなる症候:2020年12月21日下痢、胸郭痛、狭心症、息切れ;
●抗原検査陽性(ラテラルフロー検査)2020年12月21日、2020年12月23日にSARS-Cov2についてPCR検査陽性;
●2020年12月23日:2日間にわたって2mg/日、その後4日間にわたって0.2mg/日でのHEP-1治療の開始;
●2020年12月25日:咳及び全身状態の顕著な改善;
●HEP-1治療の完了後はさらなる兆候なし。
【0048】
実施例5:53歳男性患者、
危険因子/既存疾患:高血圧
初期投薬量:単回用量の2mg/日エズリンペプチド1、生理食塩水中に溶解及び2日間にわたる皮下投与(s.c.)、その後4日間にわたる0.2mg/日エズリンペプチド1(単回用量、s.c.)。
その後の投薬量:14日間にわたる0.2mg/日エズリンペプチド1(単回用量、s.c.)。
疾患の経過:
●第1の症候:2020年12月23日ひどい咳及び鼻炎、四肢痛、喉の痛み、嗅覚及び味覚の喪失、狭心症、倦怠感、寒気;
●2020年12月23日:2日間にわたって2mg/日(単回用量)、その後4日間にわたって0.2mg/日でのHEP-1治療の開始;
●2020年12月26日:症候の顕著な改善;
●2020年12月28日:SARS-Cov2についてPCR再検査はなお陽性;
●HEP-1治療の完了後は13.2021年01月13日までさらなる兆候なし、その後重度の息切れ。
●2021年01月15日:14日間にわたる0、2mg/日エズリンペプチド1(単回用量)の投与;
●HEP-1治療の完了後はさらなる息切れなし。
【0049】
実施例6:68歳女性患者、
危険因子/既存疾患:不明
投薬量:単回用量の0.2mg/日エズリンペプチド1、生理食塩水中に溶解及び10日間にわたる皮下投与(s.c.)。
疾患の経過:
●第1の症候:2020年12月09日発熱、咳、頭痛、息切れ及び倦怠感;
●2020年12月10日にSARS-Cov2についてのPCR検査陽性;
●2020年12月10日:10日間にわたって0.2mg/日でのHEP-1治療の開始;
●2020年12月14日:症候の顕著な改善;
●2020年12月20日:症候の完全な回復。
【配列表】
【国際調査報告】