(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】新規免疫調節剤
(51)【国際特許分類】
C12N 15/19 20060101AFI20230515BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230515BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230515BHJP
C07K 14/52 20060101ALI20230515BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20230515BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230515BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230515BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230515BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230515BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230515BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230515BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230515BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230515BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20230515BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230515BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230515BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230515BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20230515BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
C12N15/19
C12N15/63 Z ZNA
C12N1/15
C07K14/52
C12Q1/6876 Z
C12Q1/686 Z
A61P35/00
A61P31/18
A61P25/28
A61P37/02
A61P29/00
A61K31/7088
A61K48/00
A61K38/02
A61K39/00 H
A61P43/00 121
A61P37/04
A61P43/00 105
A61P31/22
A61K39/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560317
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2021058776
(87)【国際公開番号】W WO2021198500
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522387733
【氏名又は名称】ヴァイロセラ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ゴムペルズ、 アースラ ゴムペルズ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
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4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA01
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は免疫調節剤に関し、特に、ある範囲のケモカイン受容体との活性を持つケモカイン5様剤に関する。本発明は、このケモカイン様剤およびその変異体の、医薬としての使用に関する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1の核酸配列もしくはその変異体またはそれに相補的な核酸配列およびその変異体を含む、単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
変異体が、配列番号2、3、6、7、8および9またはそれらの変異体より選択される核酸配列を含む、請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチドを含む、核酸構築物。
【請求項4】
請求項3に記載の核酸構築物を含む、宿主細胞。
【請求項5】
配列番号4、5、14、15のアミノ酸配列またはその変異体を含む、単離ポリペプチド。
【請求項6】
請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、または請求項5に記載の単離ポリペプチドと、医薬的に許容され得る担体とを含む、医薬組成物。
【請求項7】
請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、または請求項5に記載の単離ポリペプチドを含む、アジュバント製剤。
【請求項8】
請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、または請求項5に記載の単離ポリペプチドと、ワクチン抗原とを含む、ワクチンまたは療法組成物。
【請求項9】
医薬として使用するための、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物。
【請求項10】
CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8のうちの1つ以上またはそれらの結合ケモカインの改変されたレベルによって特徴づけられる障害の治療において使用するための、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物。
【請求項11】
癌、HSV感染、HIV感染またはHIV/AIDS、アルツハイマー病、および自己免疫炎症性構成要素を有する疾患より選択される障害の治療において使用するための、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物。
【請求項12】
障害がHSV感染であり、好ましくは、前記HSV感染が急性、再活性化、持続性および/または潜在性である、請求項11記載の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物。
【請求項13】
感染の再活性化または疾患の再発を減少させることにおける使用のための、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物。
【請求項14】
感染の伝播を減少させることにおける使用のための、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物。
【請求項15】
CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8のうちの1つ以上またはそれらの結合ケモカインの改変されたレベルによって特徴づけられる障害の治療のための方法であって、その必要がある患者に、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項16】
障害が、癌、HIV感染またはHIV/AIDS、HSV感染、アルツハイマー病、および自己免疫炎症性構成要素を有する疾患より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
障害がHSV感染であり、好ましくは、前記HSV感染が急性、再活性化、持続性および/または潜在性である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a) 急性の感染または疾患
b) 感染の潜在
c) 潜在感染の確立
d) 感染の再活性化または疾患の再発、および
e) 感染の伝播
のうちの少なくとも1つを減少させる方法であって、その必要がある患者に、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項19】
医薬の製造における、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物の使用。
【請求項20】
CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8のうちの1つ以上またはそれらの結合ケモカインの改変されたレベルによって特徴づけられる障害の治療のための医薬の製造における、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物の使用。
【請求項21】
障害の治療のための医薬の製造における、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物の使用であって、前記障害が、癌、HSV感染、HIV感染またはHIV/AIDS、アルツハイマー病、および自己免疫炎症性構成要素を有する疾患より選択される、使用。
【請求項22】
障害がHSV感染であり、好ましくは、前記HSV感染が急性、再活性化、持続性および/または潜在性である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
疾患の再発または感染の再活性化を減少させるための医薬の製造における、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物の使用。
【請求項24】
感染の伝播を減少させるための医薬の製造における、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物の使用。
【請求項25】
少なくとも1つのサイトカイン受容体の活性化を改変する方法であって、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物または請求項5に記載の単離ポリペプチドを、ターゲット細胞または患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項26】
サイトカイン受容体が、CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
免疫原性アジュバントまたは免疫療法剤としての、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、または請求項5に記載の単離ポリペプチドの使用。
【請求項28】
組込み型iciHHV-6Aを保有し、iciU83A遺伝子またはiciU83A-N転写物を発現する患者を同定する方法であって、患者から核酸試料を得る工程と、配列番号10および11に定義されるプライマー対を用いて増幅を行う工程とを含む、方法。
【請求項29】
CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8のうちの1つ以上、またはそれらの結合ケモカインの改変されたレベルによって特徴づけられる障害を治療するためのキットであって、請求項1または2に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸構築物、請求項5に記載の単離ポリペプチド、請求項6に記載の医薬組成物、または請求項8に記載のワクチンもしくは療法組成物を、前記障害を治療するための指示と共に含む、キット。
【請求項30】
組込み型iciHHV-6Aを保有し、iciU83A遺伝子またはiciU83A-N転写物を発現する患者を同定するためのキットであって、前記組込み型の配列の増幅のためのプライマーを含み、前記プライマーが配列番号10または11に定義されるような配列を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫調節剤、特に、ある範囲のケモカイン受容体との活性を持つケモカイン様剤に関する。本発明は、このケモカイン様剤およびその変異体(variant)の、医薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高度療法(advanced therapy)戦略を用いた免疫療法は、感染性疾患、癌および自己免疫を含む、広範囲の病態の治療に非常に有望である。高度療法は、遺伝子送達の組み合わせとして分類され、これは、遺伝子治療などの目的から、免疫調節剤を伴う遺伝子送達(DNA免疫療法とも称される)まで、異なる方法で使用され得る。in vivoでの遺伝子送達の適用における初期の懸念は、宿主ゲノム内にDNAが組込まれて、その結果、例えば癌の発生につながり得る遺伝子破壊や制御不全が起こるという可能性に基づく認識された危険性が中心であった。しかし、20年を超える試験や、多様な治験におけるヒトでの30,000を超える投薬で、DNAワクチン接種による遺伝子送達は、傑出した安全な記録を持ち、DNA組込みや残存DNAの維持のいずれに関する証拠もほぼ出てこなかった。細胞内の遊離DNAを制御する、現在知られる細胞機構(例えばcGAS経路)があり、したがって、ゲノム内へのDNAの場当たり的な(ad hoc)導入は稀である。これは、DNAワクチンおよび高度療法を評価する規制委員会による再評価につながっており、これには、推奨を準備中の、核酸ワクチンに関する近年のWorld Health Organisation顧問委員会(consulting committee)(2018/19)での例が含まれる。目的は、DNAワクチンアプローチの開発をストリームライン化し迅速にすることであり、これは疾患アウトブレイク、癌などの医学的な緊急事態のための迅速な開発を行うために、あるいは実際のところ個別化医療のためにも、非常に重要である。
【0003】
ケモカインは、ワクチン製剤における分子アジュバントとして、また、癌免疫療法のためにも利用されてきている。これらは、化学誘引を通じて免疫細胞サブセットを活性化し、可動化して、疾患を治療するかまたは免疫化において免疫反応を増進させることができる(Bobanga et al., 2013)。ケモカインのウイルス修飾は、ワクチン免疫調節剤としての、または癌などの疾患の免疫療法におけるもしくは自己免疫における有用性を有する、特性のユニークな組み合わせを提示する(Vilgelm and Richmond, 2019; Pontejo et al 2018)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Bobanga et al., 2013
【非特許文献2】Vilgelm and Richmond, 2019
【非特許文献3】Pontejo et al 2018
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、本明細書においてiciHHV-6Aと称される、ヒト・ヘルペスウイルス6A(HHV-6A)のヒト染色体組込み(integrated)内因型由来の、ヒト・ケモカインを同定した。本発明者らは、iciHHV-6A由来のヒトiciU83Aの転写物cDNAが、循環遊離ウイルスHHV-6A由来のU83Aケモカイン転写物とは異なり、iciU83A-Nと称される新規ケモカインを導くことを見出した。本発明者らは本明細書において、本明細書に記載されるiciU83A-Nおよび変異体が、免疫原性アジュバントとして、また医薬として使用され得ることを示す。
【0006】
本発明の第一の態様において、配列番号1の核酸配列もしくはその変異体またはそれに相補的な配列およびその変異体を含むかまたはこうした配列からなる、単離ポリヌクレオチドを提供する。好ましくは、変異体は、配列番号2、3、6、7、8および9またはそれらの変異体より選択される核酸配列を含む。
【0007】
本発明の別の態様において、上述の単離ポリヌクレオチドを含む核酸構築物を提供する。本発明のさらなる態様において、上述のようなポリヌクレオチドまたは核酸構築物を含む宿主細胞を提供する。
【0008】
本発明の別の態様において、配列番号4、5、14、15の配列またはそれらの変異体を含む、単離ポリペプチドを提供する。
【0009】
本発明のさらなる態様において、上述の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物または単離ポリペプチドと、医薬的に許容され得る担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明の別の態様において、上述の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物または単離ポリペプチドを含む、アジュバント製剤を提供する。
【0011】
さらなる態様において、上述の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物または単離ポリペプチドを含む、ワクチンまたは療法組成物を提供する。好ましくは、ワクチンまたは療法組成物は、癌、HIV感染またはHIV/AIDS、HSV感染、コロナウイルス、ライノウイルス、アルツハイマー病および自己免疫炎症性構成要素を有する疾患のうちの1つの治療のために選択される。別の態様において、医薬として使用するための、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物を提供する。
【0012】
さらにさらなる態様において、CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8またはそれらの結合ケモカインのうちの1つ以上の改変されたレベルによって特徴づけられる障害の治療において、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物を提供する。好ましくは、障害は、癌、HSV感染、HIV感染またはHIV/AIDS、コロナウイルス感染、ライノウイルス感染、アルツハイマー病および自己免疫炎症性構成要素を有する疾患より選択される。
【0013】
さらなる態様において、感染または疾患の再発を減少させることにおける使用のための、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物を提供する。
【0014】
さらなる態様において、感染の伝播を減少させることにおける使用のための、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物を提供する。
【0015】
本発明の別の態様において、CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8またはそれらの結合ケモカインのうちの1つ以上の改変されたレベルによって特徴づけられる障害の治療のための方法であって、治療の必要がある患者に、上述の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物を投与する工程を含む、方法を提供する。好ましくは、障害は、癌、HIV感染またはHIV/AIDS、HSV感染、コロナウイルス感染、ライノウイルス感染、アルツハイマー病および自己免疫炎症性構成要素を有する疾患の1つより選択される。いくつかの実施形態において、障害はHSV感染であり、好ましくは、HSV感染は急性、再活性化、持続性または潜在性である。
【0016】
したがって、本発明の1つの態様において:
a) 急性の感染または疾患
b) 感染の潜在
c) 潜在感染の確立
d) 感染の再活性化または疾患の再発、および
e) 感染の伝播
の少なくとも1つを減少させる方法であって、その必要がある患者に、本明細書に記載されるような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0017】
さらなる態様において、医薬製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物の使用を提供する。
【0018】
別の態様において、CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8またはそれらのリガンドであるケモカインのうちの1つ以上の改変されたレベルによって特徴づけられる障害の治療のための医薬の製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物の使用を提供する。
【0019】
別の態様において、障害の治療のための医薬の製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物の使用であって、障害が、癌、HSV感染、HIV感染またはHIV/AIDS、アルツハイマー病および自己免疫炎症性構成要素を有する疾患より選択される、使用を提供する。いくつかの実施形態において、障害はHSV感染であり、好ましくは、HSV感染は急性、再活性化、持続性および/または潜在性である。
【0020】
さらなる態様において、疾患の再発または感染の再活性化を減少させるための医薬の製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物の使用を提供する。
【0021】
さらなる態様において、感染の伝播を減少させるための医薬の製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、あるいはワクチンまたは療法組成物の使用を提供する。
【0022】
別の態様において、少なくとも1つのサイトカイン受容体の活性化を改変する方法であって、上述の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物または単離ポリペプチドを、ターゲット細胞または患者に投与する工程を含む、方法を提供する。好ましくは、サイトカイン受容体は、CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8より選択される。
【0023】
別の態様において、免疫原性アジュバントまたは免疫療法剤としての、上述の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物または単離ポリペプチドの使用を提供する。好ましくは、免疫原性アジュバントまたは免疫療法剤は、癌、HIV感染またはHIV/AIDS、HSV感染、コロナウイルス、ライノウイルス、アルツハイマー病および自己免疫炎症性構成要素を有する疾患の1つの治療のために選択される。
【0024】
さらなる態様において、組込み型iciHHV-6Aを保有し、iciU83A遺伝子またはiciU83A-N転写物を発現する患者を同定する方法であって、患者から核酸試料を得る工程と、配列番号10および11に定義されるプライマー対、ならびに配列番号12および13のプローブまたは入れ子(nested)プライマーを用いて増幅を行う工程とを含む、方法を提供する。
【0025】
別の態様において、CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8またはそれらの結合ケモカインのうちの1つ以上の改変されたレベルによって特徴づけられる障害を治療するためのキットであって、上述の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチドまたは医薬組成物を、前記障害を治療するための指示と共に含む、キットを提供する。
【0026】
本発明の最後の態様において、組込み型iciHHV-6Aを保有しiciU83A遺伝子またはiciU83A-N転写物を発現する患者を同定するためのキットが提供され、該キットは、配列番号10または11に定義される配列を含む、組み込まれた配列の増幅のためのプライマー、ならびに配列番号12および13のプローブまたは入れ子プライマーを含む。
【0027】
本発明は、以下の非限定的な図面においてさらに記述される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、組込み型iciHHV-6A iciU83Aの核酸およびアミノ酸配列を示す。
【
図2】
図2は、スプライシングされた組込み型iciHHV-6A U83AのDNA配列を示す。この図は、本発明者らの予期せぬ発見を示す;スプライシングは、一過性遺伝子発現細胞におけるcDNA分析によって示されるように、3'スプライス部位近位突然変異TGA-TGGに関わらず、DR(ダイレクトリピート)TACCおよび非コンセンサススプライスドナー/アクセプター対を通じて起こっており、循環型ウイルスとは異なり、全長遺伝子中の非同義SNPが、このスプライシング産物を元来のスプライシングされた停止コドンの突然変異を有するように変換している。これは、予期せぬことに、疎水性相互作用特性を持つ8つのさらなるアミノ酸をコードする、リードスルーを可能にする(以下にさらに詳細に記載される)。
【
図3】
図3は、組込み型iciU83AおよびiciU83A-Nの遺伝子および転写物の検出のための診断プライマーを示す。A:>組込み型iciHHV-6A ciU83Ai診断プライマー対およびプローブ/入れ子プライマー(atg tcc att cgg ctt ttt att g)gt ttt ttt tat acg gca tat att ggt atg gct atc gga(プライマー対)。B:3’端を維持する誘導体を含む、、入れ子PCR同定またはプローブを用いたスプライシング化遺伝子iciU83A-N検出用、5’ tggtccgctgccgtacccgtctgg 3’。
【
図4】
図4は、iciU83AのiciU83A-Nへのスプライシングを伴う、細胞におけるin vitro発現を示す。遺伝子iciU83Aをプラスミド発現構築物内にクローニングし、HEK293細胞内にトランスフェクションした。レーン1~3は陰性対照であり、オリゴヌクレオチドプライマーを含まない反応混合物、オリゴヌクレオチドプライマーを含む反応混合物、オリゴヌクレオチドプライマーを含み、水のみのテンプレートである反応混合物である。レーン4~7は、プラスミドベクターpCMVからプライマーを用いてプライミングされた、トランスフェクション細胞から抽出された総RNAの一工程RT-PCR反応である(iciU83A遺伝子を増幅するプライマーも含む、図示していない)。レーン5および7はDNaseで処理されておらず、トランスフェクションからの残渣DNAを示す。レーン4および6は、DNase処理されている。レーン4および5は逆転鎖酵素を含む。レーン5は全長DNAを示し、レーン4は、発現されたスプライシング化cDNA産物、iciU83A-Nを示す。
【
図5】
図5は、iciU83A-N cDNAの細胞におけるin vitro発現を示す。iciU83A-NのcDNAをプラスミド発現構築物内にクローニングし、HEK293細胞内にトランスフェクションした。トランスフェクション2日後、総RNAを抽出した。RNAをDNase処理し(レーン2および3)、次いで、逆転写酵素処理する(レーン2)か、または処理しなかった(レーン3)。レーン1の陰性対照は水のみのテンプレートである。レーン4はDNAマーカーを示す。
【
図6】
図6は、急性感染からウイルス曝露14日後までの疾患からの防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおけるiciU83A-N DNA構築物の有効性を示す。ここで、既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。
【
図7】
図7は、急性感染による疾患の総重症度からの個体における防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示す。総平均急性病変は、動物の75%に関して完全な排除を示す。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。
【
図8】
図8は、急性感染からの防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示す。(A)は、免疫化に続くウイルス曝露後の平均ウイルス負荷の減少を示す。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。(B)は、免疫化に続くウイルス曝露後の個々の動物におけるウイルス負荷の有意な減少を示す。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。
【
図9】
図9は、再発疾患からの防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示し、免疫化に続くウイルス曝露後、すべての動物において、累積再発病変日数によって示される、再発疾患の有意な減少がある。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。ワクチン処置なしに比較して、再発からの防御は、V1T1(配列番号2)組み合わせを含むものでのみ示され、V1T1が除去されると見られない。
【
図10】
図10は、再発疾患からの防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示し、免疫に続くウイルス曝露の15日後~63日後に再発した病変の総重症度として、個々の動物において示される、再発疾患の有意な減少がある。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。ワクチン処置なしに比較して、再発からの有意な防御は、V1T1(配列番号2)組み合わせを含むものでのみ示され、V1T1が除去されると見られない。
【
図11】
図11は、定量的DNA PCR、qPCRによって測定され、すべての動物における、総再発である無症候性再発シェディングウイルスからの防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示す。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。
【
図12】
図12は、定量的DNA PCR、qPCRによって測定され、個々の動物における、総再発である無症候性再発シェディングウイルスからの防御に関する傾向を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示す。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。
【
図13】
図13は、定量的DNA PCR、qPCRによって測定されるところの、検出される潜在感染を半減させる、動物の後根神経節(DRG)における潜在感染の確立からの有意な防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示す。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。
【
図14】
図14は、定量的DNA PCR、qPCRによって測定される、個々の動物の後根神経節(DRG)の潜在感染の確立からの個々の動物における有意な防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示す。58%で検出可能なDNAがなく、動物の半数超が防御されている。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。
【
図15】
図15は、定量的DNA PCR、qPCRによって測定されるところの、検出される潜在感染を半減させる、動物の脊髄の潜在感染の確立からの有意な防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示す。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。
【
図16】
図16は、定量的DNA PCR、qPCRによって測定される、個々の動物の脊髄の潜在感染の確立からの個々の動物における有意な防御を示す、HSV2のin vivo前臨床モデルにおける、本明細書においてVIT1として知られるiciU83A-N構築物の有効性を示す。50%で検出可能なDNAがなく、動物の半数が防御されている。既知の免疫原を含有する抗原DNA製剤が、VIT1-VTL1-1016(配列番号2)と組み合わせられている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明はここでさらに記述される。以下の節において、本発明の異なる態様をより詳細に定義する。こうして定義された各態様は、明らかに逆に示されない限り、任意の他の単数または複数の態様と組み合わせられ得る。特に、好ましいまたは好適であると示される任意の特徴を、好ましいまたは好適であると示される任意の他の単数または複数の特徴と組み合わせてもよい。
【0030】
本発明の実施は、別に示されない限り、当該技術分野の技術の範囲内である、生物学、微生物学、組織培養、分子生物学、化学、生化学および組換えDNA技術、バイオインフォマティクスの慣用的な技術を使用するであろう。こうした技術は、文献中に詳細に説明されている。
【0031】
本明細書において用いられる際、単語「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド」、「核酸分子」または「ポリヌクレオチド」は、DNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えばmRNA)、天然存在、突然変異、合成のDNAまたはRNA分子、およびヌクレオチド類似体を用いて生成されたDNAまたはRNAの類似体を含むと意図される。これらは一本鎖でもまたは二本鎖でもよい。こうした核酸またはポリヌクレオチドには、限定されるわけではないが、構造遺伝子のコード配列、アンチセンス配列、およびmRNAまたはタンパク質産物をコードしない非コード制御配列が含まれる。これらの用語はまた、遺伝子も包含する。用語「遺伝子」または「遺伝子配列」は、生物学的機能と関連するDNA核酸を指すよう、広く用いられる。したがって、遺伝子は、ゲノム配列におけるようにイントロンおよびエクソンを含んでもよく、またはcDNAにおけるようにコード配列のみを含んでもよく、かつ/または制御配列と組み合わされたcDNAを含んでもよい。
【0032】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において交換可能に用いられ、ペプチド結合によって共に連結される任意の長さのポリマー型のアミノ酸を指す。
【0033】
本発明の第一の態様において、配列番号1に定義されるような核酸配列もしくはその変異体またはそれに相補的な配列もしくはその変異体を含むかまたはこうした配列からなる、単離ポリヌクレオチドを提供する。配列番号1は、iciU83A-Nを生じるiciU83AのcDNA配列である。本明細書において用いられる際、iciU83A-Nまたはその変異体は、CCLA-Nと称され得る。こうした用語は交換可能に用いられ得る。
【0034】
用語「変異体」または「機能的変異体」は、本明細書に記載される配列いずれかに関して全体を通じて用いられる際、完全な非変異体の配列の生物学的機能を保持する、変異体ヌクレオチドもしくはアミノ酸配列またはそのヌクレオチドもしくはアミノ酸配列の一部(例えば断片)を指す。機能的変異体はまた、機能に影響を及ぼさない配列改変(例えば保存されていない残基におけるもの)を有する、関心対象の配列の変異体も含む。やはり含まれるのは、本明細書に示されるような野生型配列に比較して、実質的に同一である、すなわち例えば保存されていない残基におけるいくつかの配列変動のみを有し、生物学的に活性である変異体である。コードされるポリペプチドの機能特性に影響を及ぼさずに所与の部位で異なるアミノ酸の産生を生じる、核酸配列における改変は、当該技術分野に周知である。例えば、疎水性アミノ酸であるアミノ酸アラニンに関するコドンを、別の、より疎水性でない残基、例えばグリシン、あるいはより疎水性である残基、例えばバリン、ロイシン、またはイソロイシンをコードするコドンによって置換してもよい。同様に、1つの負荷電残基を別の負荷電残基にする置換、例えばグルタミン酸からアスパラギン酸への置換、あるいは1つの正荷電残基を別の正荷電残基にする置換、例えばアルギニンからリジンへの置換を生じる変化もまた、機能的に同等の産物を生じると予期され得る。提唱される改変は各々、当該技術分野のルーチンの技術内に十分に収まり、コードされる産物の生物学的活性の保持の決定も同様である。
【0035】
全体を通じて記載される本発明の任意の態様で用いられる際、「変異体」または「機能的変異体」は、本明細書に記載される非変異体の核酸またはアミノ酸配列に対して少なくとも25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の全体配列同一性を有する。1つの実施形態において、変異体は非変異体配列に対して、98%または99%の配列同一性を有する。
【0036】
代替的な実施形態において、変異体は、当該核酸またはアミノ酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列であり得る。「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、プローブが、他の配列に対するよりも、そのターゲット配列に、検出可能により大きい度合いで(例えばバックグラウンドよりも少なくとも2倍高く)ハイブリダイズする条件を意図する。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況において異なるであろう。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件のストリンジェンシーを調節することによって、プローブに対して100%相補的であるターゲット配列が同定され得る(相同プロービング)。あるいは、ストリンジェンシー条件を調節して、配列中のある程度のミスマッチを可能にして、より低い度合いの類似性(similarity)が検出されるようにしてもよい(異種プロービング)。一般的に、プローブは、長さ約1000ヌクレオチド未満、好ましくは長さ500ヌクレオチド未満である。
【0037】
典型的には、ストリンジェントな条件は、pH 7.0~8.3で、塩濃度が約1.5M Naイオン未満、典型的には0.01~1.0M Naイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば10~50ヌクレオチド)に関しては少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば50ヌクレオチドより長い)に関しては少なくとも約60℃である。ハイブリダイゼーションの期間は、一般的に約24時間未満、通常約4~12時間である。ストリンジェントな条件はまた、脱安定化剤、例えばホルムアミドの添加でも達成され得る。
【0038】
1つの実施形態において、変異体は、配列番号2、3、6、7、8および9より選択される配列を有する。配列番号2は、iciU83A-NのポリTトラクト中にTからCへの突然変異を有する。配列番号3は、iciU83A-Nのヒトコドン最適化型である。配列番号6は、iciU83AのポリTトラクト中にTからCへの突然変異を有する。配列番号7は、スプライスドナーおよびアクセプター部位、ならびに隣接するTACCダイレクトリピート中に突然変異を有する。配列番号8は、iciU83A-NのポリTトラクト中にTからCへの突然変異、スプライスドナーおよびアクセプター部位中、ならびに隣接するTACCダイレクトリピート配列中に突然変異を有する。配列番号9は、スプライスドナーおよびアクセプター部位中に調整突然変異を有するiciU83A-Nのヒトコドン最適化型である。配列番号2、3、6、7、8および9のうちの1つの変異体もまた、本発明の範囲内に含まれる。したがって、本発明の1つの実施形態において、配列番号1、2、3、6、7、8および9のうちの1つとして定義される核酸配列またはその変異体(変異体は上に定義される)を含むかまたはこうした配列からなる、単離ポリヌクレオチド配列を提供する。スプライスおよびドナー部位における上述の突然変異は、全長型のiciU83Aの安定化を導く。したがって、本発明の別の態様において、全長型のiciU83Aを安定化させる方法であって、
図1および2に示されるような配列番号1に定義される核酸配列のスプライスドナーおよび/またはアクセプター部位内に1つ以上の突然変異を導入する工程を含む、方法を提供する。
【0039】
配列番号2からなる配列は、iciU83A-N突然変異バリアントであり、また、「VTL1」、「VTL1-1016」または「VIT1」とも称され、これらの用語は交換可能に使用され得る。
【0040】
さらなる実施形態において、単離ポリヌクレオチドは、リボヌクレオチド(RNA)分子、好ましくは配列番号4、5、12または13に定義されるようなiciU83A-Nタンパク質またはその変異体をコードするmRNA分子であり得る。Toll様受容体(TLR)経路による検出を回避するために、RNA分子は修飾され得る。
【0041】
本発明の別の態様において、RNA分子をナノ粒子の形で投与してもよい。1つの例において、ナノ粒子はリポソーム-プロタミン-RNA、あるいはLPRである。LPRは、修飾アニオン性mRNAを含み、これをポリカチオンであるプロタミンと混合してmRNA/プロタミン複合体を生じ、これを次いでリポソーム(陽イオン性脂質DOTAPおよびコレステロールを含む)と混合して、好ましくはPEG化されるLPR複合体を形成する(Wang et al, 2013; Molecular Therapy, 21(2) 358-367)。生じるLPRはサイズが小さく(<100nm)、容易に内在化されることが可能である。
【0042】
本発明のさらなる実施形態において、本明細書記載の単離ポリヌクレオチドを含む核酸構築物を提供する。好ましい実施形態において、核酸構築物はベクター、より好ましくは発現ベクター、好ましくは組換え発現ベクターである。ベクターにはまた、プラスミド、コスミド、人工染色体、他のウイルスベクター(すなわちHHVではないもの)等が含まれ得る。トランスフェクションを用いて、非ウイルスベクターをターゲット細胞または組織に送達し得る。適切なトランスフェクション技術の例は当業者に知られ、そしてこれには、化学的および物理的トランスフェクションが含まれる。
【0043】
さらなる実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、遺伝子発現のための制御配列に、作動可能であるように(operably)連結されている。
【0044】
用語「作動可能であるように連結される」は、全体を通じて用いられる際、プロモーター配列が関心対象の遺伝子またはヌクレオチド配列の転写を開始し、終結させることが可能であるような、関心対象の遺伝子またはヌクレオチド配列に対するプロモーター配列およびポリアデニル化終結配列の間の機能的な連結を指す。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、制御配列は、プロモーター、より好ましくは恒常的プロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)極初期プロモーターである。他の適切なプロモーターは当業者に周知である。
【0046】
本発明のすべての態様にしたがって、用語「制御配列」は、本明細書において、「プロモーター」と交換可能に用いられ、すべての用語は、連結される配列の発現を達成可能である制御核酸配列を指すように広い文脈で解釈されるものとする。用語「制御配列」はまた、細胞、組織または臓器において、核酸分子の発現を与えるか、活性化するかまたは増進させる、合成融合分子または誘導体も含む。用語「プロモーター」は、典型的には、遺伝子の転写開始点から上流に位置し、RNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の結合に関与し、それによって、作動可能であるように連結された核酸の転写を導く、核酸調節配列を指す。前述の用語に含まれるのは、古典的真核生物ゲノム遺伝子に由来する転写制御配列(CCAATボックス配列を伴うまたは伴わない、正確な転写開始に必要なTATAボックスを含む)、および遺伝子発現を改変するさらなる制御要素(すなわち上流活性化配列、エンハンサーおよびサイレンサー)である。この用語内にやはり含まれるのは、古典的原核生物遺伝子の転写制御配列であり、この場合、-35ボックス配列および/または-10ボックス転写制御配列が含まれ得る。機能的に同等のプロモーターを同定するため、例えばプロモーターをレポーター遺伝子に作動可能であるように連結し、多様な組織中のレポーター遺伝子の発現レベルおよびパターンをアッセイすることによって、候補プロモーターのプロモーター強度および/または発現パターンを分析し得る。適切な周知のレポーター遺伝子が当業者に知られ、これには、例えばベータ-グルクロニダーゼまたはベータ-ガラクトシダーゼが含まれる。
【0047】
さらなる実施形態において、核酸配列は、例えばSV40ウイルス由来の、1つ以上のポリアデニル化終結配列を含む。
【0048】
本発明のさらなる態様において、本明細書記載の核酸構築物を含む宿主細胞を提供する。宿主細胞は原核または真核であってもよく、細菌細胞、真菌細胞、例えば酵母、植物細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞が含まれ得る。好ましい実施形態において、哺乳動物細胞はヒト細胞である。好ましくは、宿主細胞は、本明細書記載のポリヌクレオチドを発現した。
【0049】
本発明の別の態様において、配列番号4、5、14または15に定義されるようなアミノ酸配列あるいはその変異体を含むかまたはこうした配列からなる単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明のポリペプチドはケモカインである。それに代えて、またはそれに加えて、これらは、ケモカイン受容体のアンタゴニストまたはアゴニストとしてを含めて、活性化するかまたは抑制するように作用し得る。
【0050】
本発明のポリペプチドは、コードされるタンパク質を精製するために、またはin vivoでの発現を容易にするために用いられるさらなるアミノ酸;例えば、GSまたはGSRDDDDKまたはGSRIEGRのN末端付加を含んでもよい。他のさらなる配列を代わりに用いてもよい。本発明のポリペプチドは、ポリペプチドの精製に有用なさらなる配列;例えば切断認識配列、例えばトロンビン、エンテロキナーゼ、または因子Xa認識配列を含み得る。
【0051】
本発明のさらなる態様は、本明細書記載のポリペプチドを精製する方法を提供し、該方法は、宿主細胞において、配列番号1のヌクレオチド配列またはその変異体を含むベクターであって結合タグをコードするヌクレオチド配列をさらに含むベクターを発現させる工程と、発現されたポリペプチドを前記結合タグのターゲットに結合させる工程と、前記ターゲットから、前記結合したポリペプチドをリリースさせる工程とを含む。好ましくは、結合タグはグルタチオンに結合し;タグは、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)であり得る。結合タグターゲットは、好ましくは固体支持体上に固定され;これによって、結合したポリペプチドを未結合産物から容易に単離することが可能になる。類似の固体支持体上に固定される他の適切な結合タグを用いてもよい。
【0052】
ベクターは、切断認識部位をさらにコードしてもよく;好ましくはこの部位は結合タグ内にあるかまたは結合タグに隣接する。認識部位は、とりわけ、トロンビン、エンテロキナーゼまたは因子Xaのものであり得る。方法は次いで、認識部位でポリペプチドを切断する工程を含み得る。
【0053】
本発明のポリヌクレオチド、核酸構築物およびポリペプチドは、サイトカインとして、特にサイトカイン受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとして有用であり得る。したがって、本発明のさらなる態様にしたがって、1つ以上のサイトカイン受容体の活性化を防止する(すなわちアンタゴナイズする)か、または受容体を活性化する(すなわちアゴナイズする)方法であって、ターゲット細胞または患者に、単離ポリヌクレオチド、核酸構築物またはポリペプチドを投与する工程を含む、方法を提供する。1つの実施形態において、1つ以上のサイトカイン受容体をアンタゴナイズする方法であって、配列番号1、2または3より選択される核酸配列を含む単離ポリヌクレオチドまたは核酸構築物、あるいは配列番号4または5より選択される単離ポリペプチドを投与する工程を含む、方法を提供する。あるいは、全長遺伝子産物の発現が、アンタゴニストの発現を阻害して、受容体のアゴニスト活性を生じるか、または同族(cognate)ケモカイン受容体を発現するサプレッサーT細胞サブセットの活性を停止させる。したがって、別の実施形態において、1つ以上のサイトカイン受容体をアゴナイズする方法であって、配列番号6、7、8または9より選択される核酸配列を含む単離ポリヌクレオチドまたは核酸構築物、あるいは配列番号14または15より選択される単離ポリペプチドおよびその変異体を投与する工程を含む、方法を提供する。注目すべきことに、配列番号6は、スプライシング化産物および全長産物の混合物(iciU83A-N/iciU83A)をコードする。
【0054】
刺激または抑制あるいはアンタゴナイズまたはアゴナイズすべきサイトカイン受容体は、好ましくは、CCR1、CCR4、CCR5、CCR6、およびCCR8のうちの1つ以上より選択される。
【0055】
上記を考慮すると、本発明のポリヌクレオチド、核酸構築物およびポリペプチドを用いて、免疫応答を媒介させるためにCCR1、CCR4、CCR5、CCR6、および/またはCCR8を発現する細胞を徴集(recruiting)することによって、ワクチン、好ましくは核酸ワクチンの送達を増強させ得る。言い換えると、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを用いて、同時送達されるポリペプチド(すなわち抗原)またはそれをコードするDNAの抗原性を増進させ得る。これらを用いて、感染性疾患に関するワクチン、あるいは癌または自己免疫状態に関する療法ワクチンと共に、予防的または療法的に処置し得る。1つの実施形態において、感染性疾患は、単純ヘルペスウイルス1型および2型、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトコロナウイルス、例えばSARS-CoV2またはSARS様ウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、コロナウイルスまたはB型およびC型肝炎ウイルスである。別の実施形態において、癌は、固形腫瘍、例えば前立腺癌、乳癌またはリンパ腫である。さらなる実施形態において、自己免疫状態は、関節リウマチまたは慢性閉塞性肺疾患である。
【0056】
したがって、本発明のさらなる態様において、本発明の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物またはポリペプチド、あるいはその変異体を含む、アジュバント製剤を提供する。ワクチン抗原を伴うアジュバント製剤の使用もまた提供する。アジュバントは、ワクチン抗原と組み合わせて用いた際、ワクチン抗原に対する免疫反応を増進させる物質である。ワクチンアジュバントは身体の免疫反応を改善し、しばしば、ワクチン中でより少量の不活性化ウイルスまたは細菌を使用することを可能にする。
【0057】
したがって、本発明のさらなる態様において、本発明の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物もしくはポリペプチドまたはその変異体(免疫原性アジュバントとして)と、ワクチン抗原とを含む、ワクチンまたは療法組成物を提供し、ここで、ワクチン抗原は任意の抗原に対するものであり得る。ワクチン抗原は、DNA、RNAまたはペプチドワクチンであり得るが、好ましい態様において、抗原はヌクレオチド配列によってコードされる(すなわちワクチンはDNAワクチンである)。ワクチンの調製における、配列番号4、5、14もしくは15のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその変異体もしくは誘導体、あるいはこうしたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用もまた提供する。用語「ワクチン組成物」および「療法組成物」は、本明細書において交換可能である。
【0058】
本発明にしたがった使用のためのワクチンまたは療法組成物は、これらを投与する被験体または患者において、防御免疫反応を誘導可能である。免疫反応は、任意の望ましくない感染性病原体、あるいは適切な抗原、例えば病原体上または病原体中に存在する抗原に対して誘導されてもよい。したがって、ワクチンは、病原体に対するワクチン、例えばウイルス、細菌、真菌、他の原核または真核細胞または生物に対する、あるいは任意のこうした病原体をターゲティングするために使用され得る任意のタンパク質、糖タンパク質または他の分子もしくは構造に対するワクチンであってもよい。典型的には、疾患は、病原体、例えば細菌またはウイルス感染によって引き起こされる。例えば、ウイルス感染は、ヘルペスウイルス科の種によって引き起こされる感染であってもよく、特に、HSV1(単純ヘルペスウイルス1としてもまた知られる)、HSV2(単純ヘルペスウイルス2としてもまた知られる)、HHV3(水痘帯状疱疹ウイルスとしてもまた知られる)、HHV4(エプスタイン・バーウイルスとしてもまた知られる)、HHV5(サイトメガロウイルスとしてもまた知られる)、HHV6A/B、HHV7またはHHV8(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスとしてもまた知られる)を含む、ヒト・ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染であり得る。例えば、HSV2(ヒト単純ヘルペスウイルス2)の場合、ワクチン抗原製剤は、実施例2に記載されるように、HSV2の既知の免疫原である糖タンパク質D(gD)をコードする配列を含有し得る。適切なワクチンまたは療法組成物は、投与される被験体において防御免疫反応を誘導可能な任意の組成物であり得る。
【0059】
典型的には、本明細書に記載されるワクチンは、治療法、例えば疾患、特に感染性疾患を防止するかまたは治療する療法または予防法による治療法で用いられる。ワクチンまたは療法組成物は、1つ以上の活性療法構成要素、例えばウイルス、ペプチド、タンパク質に基づく、細胞に基づく、および/または核酸に基づく産物、例えば生ウイルスワクチン、生細菌ワクチン、死滅または不活化ウイルスまたは細菌ワクチン、関心対象の抗原をコードするベクターを含み得る。
【0060】
本発明記載のワクチンは、粘膜皮膚投与、または鼻内、筋内もしくは皮内投与あるいは他の送達法のために製剤化され得る。本発明記載のワクチンは、単回投与、2回投与または3回投与で、2~12週間離れた間隔で送達され得る。例えば、間隔は2週間、3週間、4週間、2ヶ月または3ヶ月であり得る。さらに、本発明記載のワクチンは、最初の投与後、12ヶ月間隔で、毎年の「ブースター」ワクチンとして投与され得る。
【0061】
免疫療法剤は、免疫化の部位へと免疫細胞を制御する。これらは、走化性サイトカインであるケモカインとして、CCR1、CCR4、CCR5もしくはCCR6のアゴニストまたはアンタゴニストとして、化学誘引を増加させ得るかまたは減少させ得る。本発明による免疫療法剤は、粘膜皮膚投与、または鼻内、筋内もしくは皮内投与あるいは他の送達法のために製剤化され得る。本発明記載の免疫療法剤は、単回投与、2回投与または3回投与で、2~12週間離れた間隔で送達され得る。例えば、間隔は2週間、3週間または4週間、あるいは2ヶ月または3ヶ月であり得る。さらに、本発明記載の療法剤は、最初の投与後、12ヶ月間隔で、毎年の「ブースター」ワクチンとして投与され得る。
【0062】
本発明の別の態様において、本発明の単離ポリヌクレオチド、核酸構築物もしくはポリペプチドまたはその変異体と、医薬的に許容され得る担体とを含む、医薬組成物を提供する。用語「担体」は、それと共に活性成分を投与する、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。適切な医薬担体は、E. W. Martinによる“Remington’s Pharmaceutical Sciences” 1995に記載される。医薬組成物の例には、経口、局所または非経口投与のための、任意の固形(錠剤、丸剤、カプセル、顆粒等)または液体(溶液、懸濁物、エマルジョン等)組成物が含まれる。
【0063】
本発明の別の態様において、医薬として使用するための、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチドもしくは医薬組成物またはその変異体を提供する。
【0064】
本発明のさらなる態様において、医薬の製造における、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、もしくはワクチンもしくは療法組成物またはその変異体の使用を提供する。
【0065】
本発明の別の態様において、以下のケモカイン受容体:CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8またはそのケモカインリガンドのうちの1つ以上の改変されたレベル、好ましくは上昇したレベルによって特徴づけられる障害の治療において使用するための、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、もしくはワクチンもしくは療法組成物またはその変異体を提供する。
【0066】
本発明の別の態様において、以下のケモカイン受容体:CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8またはそのケモカインリガンドのうちの1つ以上の改変されたレベル、好ましくは上昇したレベルによって特徴づけられる障害を治療する方法であって、治療の必要がある患者に、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、もしくはワクチンもしくは療法組成物またはその変異体を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0067】
本発明のさらに別の態様において、CCR1、CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8またはそのケモカインのうちの1つ以上の改変されたレベルによって特徴づけられる障害の治療のための医薬の製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物の使用を提供する。
【0068】
さらなる好ましい態様において、障害は、癌、例えば固形腫瘍、リンパ腫および血液学的増殖または悪性病変、HIV感染またはHIV/AIDS、HSV感染(ヒト単純ヘルペスウイルス、HSV1およびHSV2)、コロナウイルス、アルツハイマー病および自己免疫炎症性構成要素を有する疾患、例えば多発性硬化症、関節リウマチ、喘息、糖尿病、ループス、移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または炎症性腸疾患の1つより選択される。障害が癌である場合、医薬は腫瘍内医薬として使用されることも可能であり、それにより、該医薬の投与は、クリアランスのために病変への免疫細胞の輸送を媒介するであろう(受容体CCR4、CCR5、CCR6およびCCR8を保有する細胞に対するアゴニストまたはアンタゴニスト活性)。同じ原理を、本明細書に列挙する他の条件に適用してもよい。障害が感染である場合、好ましくは、感染は、急性、再活性化、持続性および/または潜在性である。ウイルス再活性化は、再発性疾患を生じさせ得る。急性感染とは、症状が感染後短期間に渡って(例えば6ヶ月未満で)発展して、宿主において疾患を引き起こし、宿主の免疫系によって検出不能なレベルまで消散され得る、初回感染を意味する。再活性化再発性感染とは、急性または最初の感染が排除された後、より長い期間(例えば6ヶ月を超えて)宿主において持続する可能性があり、次いで、潜在期後に、宿主において、ウイルスが再活性化され、病態および/または症状、再発を引き起こし得る感染を意味する。潜在性とは、隠れた、不活性のまたは休眠性の感染を意味し(特定の組織中であり得る)、あるいは言い換えると、感染または疾患の知覚され得る徴候を生じないが、宿主において後に再活性化されて、持続性感染を生じるか、疾患を引き起こすか、または別の宿主に伝播し得る感染を意味する。特に、感染は、ウイルス感染であり得、さらに具体的に、HSV感染であり得る。
【0069】
本明細書に開示されるデータは、本発明の範囲の下で、急性、再活性化、持続性および潜在感染が治療され得ることを立証する。例えば、
図6~8は、急性感染および急性疾患の減少を立証し、
図9~12は、再活性化感染および再発性疾患の減少を示し、
図13~16は、潜在感染の減少を示し、これらは本明細書においてさらに記載される。本明細書に開示される実験データは、本発明の範囲下の、VIT1(配列番号2)を含むワクチンまたは療法組成物が副作用をまったく伴わず安全であったことを立証するため、本発明のさらなる有利な効果は、安全な治療の提供である。
【0070】
したがって、別の態様において、宿主において急性感染を減少させるための、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体の使用を提供する。
【0071】
さらに、別の態様において、宿主において急性感染を減少させるための方法であって、その必要がある患者に、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体を投与する工程を含む、方法がある。
【0072】
さらなる態様において、急性感染を減少させるための医薬の製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物の使用がある。
【0073】
特に、感染は、ウイルス感染であってもよく、そしてさらに具体的に、HSV感染であってもよい。
【0074】
「急性感染を減少させる」とは、治療前の急性感染レベルと比較した際、または所定の時点での未治療対照(すなわち陰性対照)における急性感染レベルと比較した際、最大10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%あるいはそれより大きい、急性感染レベルの減少を意味する。
【0075】
例えば、
図6は、第6日において、すなわち陰性対照における急性感染のピークにおいて、本発明の範囲下の処置(例えばVTL2gDおよびVTL1 DNA)は陰性対照と比較して90%超の日毎平均病変スコアの減少を引き起こすことを立証する。同様に、
図7は、本発明の範囲下の処置(例えばVTL2gDおよびVIT1 DNA)が、陰性対照と比較して、所定の時間経過に渡って、ほぼ100%の急性病変の平均重症度の減少、および陰性対照と比較して、およそ70%の急性病変罹患個体数の減少を引き起こすことを示す。
図8Aは、本発明の範囲下の処置(例えばVTL2gDおよびVIT1 DNA)が、陰性対照と比較して、時間経過終盤に、およそ35%、ウイルスDNAの減少を引き起こすことを示す。
図8Bは、本発明の範囲下の処置(例えばVTL2gDおよびVIT1 DNA)が、陰性対照と比較して、時間経過終了時までに、およそ70%、急性ウイルス負荷を伴う個体数の減少を引き起こすことを立証する。
【0076】
したがって、別の態様において、宿主における感染の潜在性を減少させるための、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体の使用を提供する。
【0077】
さらに、別の態様において、宿主における感染の潜在性を減少させるための方法であって、その必要がある患者に、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体を投与する工程を含む、方法がある。
【0078】
さらなる態様において、宿主における感染の潜在性を減少させるための医薬の製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物の使用がある。
【0079】
特に、感染は、ウイルス感染であってもよく、さらに具体的に、HSV感染であってもよい。
【0080】
潜在性の減少とは、治療前の潜在感染レベルと比較した際、または未治療対照(すなわち陰性対照)における潜在感染レベルと比較した際、最大10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%もしくは90%またはそれより大きい、潜在感染レベルの減少を意味する。
【0081】
あるいは、さらなる態様において、潜在感染の確立を防止するための、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体の使用を提供する。
【0082】
さらに、潜在感染の確立を防止する方法であって、その必要がある患者に、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0083】
さらに、潜在感染の確立を防止するための医薬の製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物の使用を提供する。
【0084】
「潜在感染の確立を防止する」とは、治療前の潜在感染レベルと比較した際、または未治療対照(すなわち陰性対照)における潜在感染レベルと比較した際、最大10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%もしくは90%またはそれより大きい、潜在感染レベルの減少を意味する。潜在感染の確立の防止はまた、未治療または陰性対照に比較して、100%の減少を含むことも可能であり、したがって、潜在感染の根絶を示唆する、検出可能な潜在性DNAの非存在を含むことも可能である。例えば、本明細書に開示される
図13および14は、本発明の範囲下の処置が、陰性対照に比較して、後根神経節でのウイルスDNAの減少を提供することを立証し、
図15および16は、これがまた脊髄にも当てはまることを示す。
【0085】
特に、
図13は、本発明の範囲下の処置(すなわちVTL2gD DNAプラスVIT1)が、陰性対照におけるレベルのおよそ50%まで、後根神経節での潜在性DNA負荷の減少を生じさせることを立証する。
図14は、本発明の範囲下の処置(すなわちVTL2gD DNAプラスVIT1)が、後根神経節での検出可能な潜在性DNAを伴う個体数の減少を生じさせることを立証し、特に、陰性対照に比較して、4倍多い個体が、後根神経節で検出可能なレベルのDNAを持たないことを示す。
図15は、本発明の範囲下の処置(すなわちVTL2gD DNAプラスVIT1)が、陰性対照に比較して、脊髄で検出される潜在性DNAレベルのおよそ40%の減少を生じさせることを立証する。
図16は、本発明の範囲下の処置(すなわちVTL2gD DNAプラスVIT1)が、脊髄での検出可能な潜在性DNA負荷を伴う個体数の減少を生じさせることを立証し、特に、陰性対照ではそうした個体がいなかったのに比較して、本発明の治療下ではおよそ50%の個体が、脊髄で検出可能なレベルのDNAを持たないことを示す。
【0086】
本発明の1つの態様において、すでに罹患している個体において、感染の再活性化または疾患の再発を減少させるための、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体の使用を提供する。
【0087】
本発明の別の態様において、感染の再活性化または疾患の再発を減少させる方法であって、その必要がある患者に、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0088】
さらなる態様において、感染の再活性化または疾患の再発を減少させるための医薬の製造における、上述のような単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物の使用がある。
【0089】
好ましくは、感染はウイルス感染であり、さらに好ましくは、これはHSV感染であり得る。
【0090】
「感染の再活性化または疾患の再発を減少させる」とは、治療前の再発感染レベルと比較した際、または未治療対照(すなわち陰性対照)における再発感染レベルと比較した際、最大10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%もしくは90%またはそれより大きい、感染の再活性化または疾患の再発のレベルの減少を意味する。
【0091】
例えば、感染の再活性化または疾患の再発の減少は、ウイルス感染または疾患のin vivoモデルで測定可能であり、こうしたモデルには、限定されるわけではないが、例えば、本明細書に開示されるようなHSV感染および疾患のモデルがある。特に、再活性化感染および再発性疾患としての再発の減少は、再発病変の重症度の減少、再発性ウイルスDNAシェディングの減少(負荷または存在に基づく)、および/または後根神経節または脊髄における潜在性DNAの減少(負荷または存在に基づく)によって測定され得る。しかし、他の適切なモデルが当業者に知られるであろう。
【0092】
上述のように、
図13~16は、本発明の範囲下の処置が、感染の再活性化または疾患の再発を導き得る潜在感染を減少させることを立証する。さらに、
図9および10は、感染の再活性化または疾患の再発の指標となる再発病変の減少を立証する。特に、
図9は、本発明の範囲下の処置(すなわちVTL2gD DNAプラスVIT1)が、陰性対照に比較して、時間経過の終了時までに、再発病変を伴う日数のおよそ60%の減少を引き起こすことを立証する。
図10は、本発明の範囲下の処置(すなわちVTL2gD DNAプラスVIT1)が、陰性対照に比較して、時間経過の終了時までに、総平均再発病変スコアのおよそ40%の減少を引き起こすことを立証する。
【0093】
さらに、
図11および12は、本発明の範囲下の処置が、やはり再発性再活性化感染の指標である再発性シェディングのレベルを減少させることを立証する。例えば、
図11は、本発明の範囲下の処置(すなわちVTL2gD DNAプラスVIT1)が、陰性対照に比較して、およそ15%、平均再発性シェディングDNA負荷の減少を引き起こすことを示す。
図12は、本発明の範囲下の処置(すなわちVTL2gD DNAプラスVIT1)が、陰性対照に比較して、およそ30%、実験期間に渡り再発性シェディングDNAに関する陽性スワブの発生の減少を引き起こすことを立証する。
【0094】
本発明の1つの態様において、感染の伝播を減少させるための、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体の使用を提供する。
【0095】
本発明の別の態様において、感染の伝播を減少させる方法であって、その必要がある患者に、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物、あるいはその変異体を投与する工程を含む、方法を提供する。好ましくは、感染はウイルス感染である。
【0096】
伝播とは、感染を引き起こす病原体(例えばウイルスまたは細菌)が、1つの宿主から別の宿主に移動する能力を意味する。例えば、ウイルス伝播の減少は、ウイルス感染のモデル、例えば限定されるわけではないが、本明細書に開示されるようなHSV感染のモデルにおいて、再発性再活性化ウイルスDNAシェディングの減少(負荷または存在に基づく)によって、および/または後根神経節または脊髄における潜在性DNAの確立の減少(負荷または存在に基づく)によって、測定され得る。
【0097】
伝播の減少とは、治療前の伝播レベルと比較した際、または未治療対照(すなわち陰性対照)における伝播レベルと比較した際、最大10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%もしくは90%またはそれより大きい、伝播レベルの減少を意味する。特にこれは、治療前のシェディングレベルと比較した際、または未治療対照(すなわち陰性対照)におけるシェディングレベルと比較した際、最大10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%もしくは90%またはそれより大きく、シェディングレベルが減少することを意味し得る。
【0098】
上に説明されるように、
図11および12は、本発明の範囲下の処置(すなわちVTL2gD DNAプラスVIT1)が、感染の伝播を引き起こし得るウイルスシェディングの減少を引き起こすことを立証する。
【0099】
したがって、本発明の1つの態様において:
a) 急性の感染および疾患
b) 感染の潜在
c) 潜在感染の確立
d) 感染の再活性化および疾患の再発、ならびに
e) 感染の伝播
のうちの少なくとも1つを減少させる方法であって、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、単離ポリペプチド、医薬組成物、またはワクチンもしくは療法組成物を、必要とする患者に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0100】
本発明の医薬組成物の投与は、経口的または非経口的に達成され得る。非経口送達の方法には、局所、動脈内、筋内、皮下、髄内、クモ膜下腔内、心室内、静脈内、腹腔内、粘膜または鼻内投与が含まれる。活性成分に加えて、こうした組成物は、賦形剤、および他の構成成分を含む、医薬的に許容され得る適切な担体を含み得、これらは、活性化合物を医薬投与に適した調製物へと加工することを促進する。
【0101】
経口使用のための医薬調製物は、活性化合物と固形賦形剤を組み合わせ、任意選択で、生じた混合物をすりつぶし、望ましい場合は錠剤または糖衣錠(dragee)コアを得るために適切なさらなる化合物を添加した後、顆粒混合物をプロセシングすることを通じて得られ得る。適切な賦形剤には、炭水化物またはタンパク質充填剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトールを含む糖;トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモ、または他の植物由来のデンプン;セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム;ならびにアラビアゴムおよびトラガカントを含むゴム;ならびにタンパク質、例えばゼラチンおよびコラーゲンが含まれる。望ましい場合、崩壊剤または可溶化剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはその塩が添加され得る。
【0102】
糖衣錠コアは、適切なコーティング、例えば濃縮糖溶液と共に提供されてもよく、これはまた、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物も含有し得る。製品同定のため、または活性化合物の量を特徴づけるため、染料または色素を錠剤または糖衣錠コーティングに添加することも可能である。
【0103】
経口使用可能な医薬調製物には、ゼラチン製の押し込み型カプセル、ならびにゼラチン製およびグリセロールまたはソルビトールなどのコーティングのソフト密封カプセルが含まれる。押し込み型カプセルは、充填剤または結合剤、例えばラクトースまたはデンプン、潤滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および任意選択で安定化剤と混合された活性成分を含有し得る。ソフトカプセルでは、活性化合物は、安定化剤を含むまたは含まない、適切な液体、例えば脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁され得る。
【0104】
非経口投与のための医薬製剤には、活性化合物の水溶液が含まれる。注射のため、本発明の医薬組成物は、水溶液中、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝剤、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的に緩衝された生理食塩水中に製剤化され得る。水性懸濁物注射液は、懸濁物の粘性を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有し得る。さらに、活性化合物の懸濁物は、適切なように、油性注射懸濁物として調製され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、脂肪油、例えばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド、あるいはリポソームが含まれる。任意選択で、懸濁物はまた、高濃縮溶液の調製を可能にするため、化合物の溶解度を増加させる、適切な安定化剤または剤も含有し得る。
【0105】
局所または鼻投与のため、特定の障壁に浸透させるために適切な浸透剤を製剤中で使用し得る。
【0106】
本発明の医薬組成物は、実質的に当該技術分野に知られる標準製造法にしたがって、製造され得る。
【0107】
本発明の別の態様において、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチドまたは医薬組成物、あるいはその変異体は、組み合わせ療法の一部を形成し得る。1つの実施形態において、HIV感染および/またはHIV/AIDSの治療法であって、該単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチドまたは医薬組成物を、別の抗HIV療法剤と組み合わせて患者に投与する工程を含む、方法を提供する。HIV療法剤とは、療法で有用な薬剤またはワクチンまたは他の剤を意味する。組み合わせは相乗的であり得る。単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチドまたは医薬組成物は、他の抗HIV療法剤と同じ医薬の一部として、または同時にもしくは異なる時点で投与される別個の医薬として、提供され得る。
【0108】
本発明はまた、HIVの治療において使用するための、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチドまたは医薬組成物、あるいはその変異体であって、別の抗HIV療法剤と相乗的な組み合わせで用いられる、前記単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチドまたは医薬組成物、あるいはその変異体も提供する。
【0109】
本発明に従う別の抗HIV療法剤は、HIV複製阻害剤、HIVワクチンまたはHIV進入阻害剤、例えばCCR5共受容体または他のHIV受容体を通じた感染を遮断する、ペプチドもしくはそれをコードするヌクレオチド配列または小分子薬剤より選択され得る。
【0110】
本発明は、細菌感染を治療する方法であって、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチドまたは医薬組成物、あるいはその変異体を、患者に投与する工程を含む、方法をさらに提供する。本発明はまた、抗細菌組成物の調製における、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチドまたは医薬組成物、あるいはその変異体の使用も提供する。本明細書に記載される単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、ポリペプチドまたは医薬組成物、あるいはその変異体を含む抗細菌組成物もまた提供する。
【0111】
本発明の別の態様において、組込みiciHHV-6Aを保有するかまたはiciU83A遺伝子およびiciU83A-N転写物を発現する患者を同定する方法であって、患者から核酸試料を得る工程と、配列番号10および11に定義されるプライマー対を用いて増幅を行う工程とを含む、方法を提供する。これは、核酸ワクチン中に用いられる発現構築物中の、またはコードされるポリペプチドとしての、iciU83AおよびiciU83A-N遺伝子で試験または治療をすることにおいて、患者群を階層化するために用いられ得る。これらはまた、in vitro細胞発現で遺伝子の発現を追跡して定量化するために、およびin vivo発現で、防御効果に関連して発現を定量化し、位置決定するために、かつ送達を監視するために、使用され得る。iciU83AまたはiciU83A-N遺伝子またはポリペプチドで処置された患者において、これらの診断プライマーを用いて、送達、発現、局在および安定性を追跡し得る。これらの特徴は、次いで、有効性の診断になり得る。非常に重要なことに、該診断プライマーを用いて、循環ウイルスから、ワクチン遺伝子発現を区別することができる。本発明の別の態様において、配列番号10または11、12および13に定義される単離ポリヌクレオチド配列あるいはその変異体(変異体は上記に定義される)を提供する。本明細書に記載される組込みiciHHV-6Aの検出を可能にする、プライマーとしてのこれらの配列の使用もまた提供する。
【0112】
プライマーおよびプローブ配列は以下のとおりである:
遺伝子全体に関して:
5’ATGTCCATTCGGCTTTTTATTG 3’ 配列番号10
5’TCATGATTCTTTGTCTAATTTC 3’ 配列番号11
入れ子PCR同定またはプローブを用いた、全長遺伝子iciU83Aおよびスプライシング化遺伝子iciU83A-Nの検出のためには、3'端を維持する誘導体を含めて:
5’AAAAAGCTAAAAAGTTGTTCTGCTGCTTACCCGTCTGG3’ 配列番号12
5’TGGTCCGCTGCCGTACCCGTCTGG3’ 配列番号13
【0113】
前述の開示は、本発明を作製し使用する方法ならびにその最適な様式を含めて、本発明の範囲内に含まれる主題の一般的な説明を提供するが、以下の実施例は、本発明を当業者にとってさらに実施可能化し、その完全な書面による明細を提供するために提供される。しかし、これらの実施例の詳細が、本発明を限定すると解釈されてはならず、本発明の範囲は、本開示に付随する特許請求の範囲およびその同等物から理解されなければならないことを当業者は認識するであろう。本発明の多様なさらなる態様および実施形態は、本開示を考慮して、当業者には明らかであろう。
【0114】
本明細書で用いられる「および/または」は、他方を伴うまたは伴わない、2つの明記される特徴または構成要素の各々の具体的開示と解釈される。例えば、「Aおよび/またはB」は、各々が個々に本明細書に示されるのと同じように、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBの各々の具体的開示と解釈されるものとする。
【0115】
文脈に反しない限り、上に示される特徴の説明および定義は、本発明のいずれかの特定の側面または態様に限定されず、記載されるすべての態様および実施形態に等しく適用される。
【0116】
前述の出願(application)、ならびにその出願にまたはその審査手続き中に引用されたすべての文書および配列寄託番号(「出願引用文書」)、ならびに出願引用文書中に引用されるかまたは参照されたすべての文書、ならびに本明細書に(herein)引用されるかまたは参照されるすべての文書(「本明細書引用文書」)、ならびに本明細書引用文書中に引用されるかまたは参照されるすべての文書は、本明細書にまたはそこに参照により取り込まれる任意の文書に言及される製品に関する製造者の使用説明書、説明書、製品明細書、および製品シートと共に、参照により本明細書に組み込まれ、本発明の実施に使用され得る。より具体的には、すべての参照される文書は、各々の文書が具体的にかつ個々に、参照により組み込まれると示されるのと同じ程度まで、参照により組み込まれる。
【0117】
本発明はここで、以下の限定されない実施例において説明される。
【実施例】
【0118】
[実施例1. ゲノム、in silicoおよびin vitro細胞発現]
DNA組込みに関する懸念は、分子生物学技術およびin vitro細胞培養を用いた相同組換えによる組込み、ならびに特定のウイルスファミリーによる複製戦略の観察に関係している。相同組換えによる組込みは、細胞培養によって導入された遺伝子で、in vitroで時々観察されてきたが、稀な事象であり(およそ100万のうちに1つ)、形質導入された細胞を単離するために強い選択を必要とする。対照的に、いくつかのウイルスは、その複製周期の必須ステップとしてDNA組込みを用い、したがって、組込みは各々のかつすべての複製周期で起こる。これらは周知のレトロウイルス科であり、これには、非常によく特徴づけられたHIVを含むレンチウイルス科が含まれる。しかし、これらはRNAウイルスであり、天然RNAの複製コピーを生成する経路の一部として、RNAゲノムのDNAコピーを作製するために、ウイルスにコードされた酵素、すなわち逆転写酵素を必要とし、このDNAコピーは次いで、ウイルスにコードされる別の酵素、インテグラーゼによって、宿主に組み込まれ、ここで宿主DNA複製により複製される。したがって、DNA組込みは、これらのウイルス複製の必須ステップである。実際、このウイルスファミリーの祖先は、ヒト宿主ゲノムで優勢な反復DNAファミリーを構成する。これは、ヒト宿主ゲノム遺伝子組み込みに関する最も大きな懸念となるのは、実際、DNA遺伝子導入ではなく、RNAワールドであることを示す。
【0119】
レトロウイルスは、宿主ゲノム内に導入されたウイルスDNAの大部分を占めるが、これは、長い進化期間に渡るものである。古代のウイルス遺伝子導入には、もはや現在のヒト宿主内で細胞受容体と相互作用し得ないエンベロープタンパク質をコードするウイルスゲノムが含まれる。これは、これらがもはや存在しない古代の宿主と相互作用するようにモデリングされているためである。この原理と同様なものに、例外的なDNAウイルス組込みを伴う1つのDNAウイルスファミリーがある。これは、ロゼオロウイルス(roseolovirus)であり、ヒトの例にはヒト・ヘルペスウイルスA/B、HHV-6AおよびHHV-6Bが含まれる。これらはDNAウイルスのうち最大のものの1つのメンバーであり、これらのウイルスは、他のヘルペスウイルス同様、宿主の寿命期間に渡って潜在を確立し得る。一般的に、このヘルペスウイルス潜在戦略は、エピソーム中に維持されるウイルスゲノムを生じる。この規則の例外として、ロゼオロウイルス、HHV-6AおよびHHV-6Bは、宿主ゲノムのテロメア領域中に組み込まれ得る。これは、複製経路の必須ステップではないと見られるため、レトロウイルスとは異なる。その代わり、これは潜在の一形態であると見られる。潜在におけるこのステップが、これらのウイルスの天然生活環中に起こるかどうかはやはり明らかでない。しかし明らかであるのは、HHV-6AおよびBが、0.2% HHV-6Aおよび0.4% HHV-6Bというほぼ等しい比率で、ヒト集団のおよそ1%で組み込まれていることである(Tweedy et al., 2016)。これらは古代の事象と見られ、メンデル的遺伝系譜をもたらし、これらの組込みを内因性ウイルスゲノムであるように見せている。遺伝するヒト染色体組込みHHV-6BであるiciHHV-6Bゲノムは、循環ウイルスHHV-6Bと一緒に分離(co-segregate)されると見られる一方、iciHHV-6Aと称される遺伝する染色体組込み(inherited chromosomally integrated)HHV-6Aゲノムは別個であると見られる(Greninger et al., 2018; Tweedy et al., 2015b; Tweedy et al., 2016)。これらは、ホモ・サピエンスの拡大(dissemination)の初期に組み込まれたと見られ、我々の系統発生学的再構築では、これらのゲノムは循環ウイルスとは別個のものとして分離され、その最初期のファミリーはおよそ25万年前に位置付けられた(未公表データ)。したがって、これは稀な事象であり、また、これらが異色のゲノムであることを示す。本発明者らの次世代ディープシークエンシングによる分析によって、組込み事象に関連する最古の系列の1つが染色体17pのテロメアに示された。驚くべきことに、本発明者らのゲノム解析は、それがすべての遺伝子を損なわれないまま(intact)有しているだけでなく、ウイルス複製に必要な既知のcis作用配列も有することが示された。本明細書に記載されるように、コードされる免疫調節遺伝子には、予期せぬことに、別個の特性を持つ、新規スプライシング産物を伴うものが含まれる(
図2に示される通り)。
【0120】
新規結果は、遺伝子U83Aによってコードされる中心的な免疫調節剤ケモカインに焦点を当てる。循環ウイルスにおいては、これは、ケモカイン様分子をコードし、この分子は一連のヒト・ケモカイン受容体との相互作用を通じたユニークな特異性を伴って、免疫細胞走化性を媒介し得る(Catusse et al., 2009; Catusse et al., 2007; Clark et al., 2013; Dewin et al., 2006)。この特異性は、いかなる他のヒト・ケモカインまたは微生物ペプチドのものとも異なった。本発明者らは、組み込まれたゲノムが、ホモ・サピエンスまたは原人祖先に感染した祖先ウイルス由来のものであるならば、免疫調節遺伝子が異なり得ると仮定した。本発明者らは、その遺伝子構造はゲノムに渡って維持されていることを見出した一方、iciHHV-6Aにおける免疫調節遺伝子ケモカインU83AであるiciU83Aでは(
図1)、本発明者らは予期せぬことに、転写物が異なっており(cDNA、
図2)、改変されたタンパク質産物(
図2)をコードすることを発見した。
【0121】
循環ウイルスのU83A遺伝子は、珍しいダイレクトリピート配列内に含有される非古典的なスプライスドナーおよびアクセプター部位である、TACC内のCT-ACを用いてスプライシングされる(French et al., 1999; Tweedy et al., 2015b)。iciHHV-6Aゲノムでは、これらのcis作用エレメントは維持されているが、想定されるスプライスアクセプター部位の近位に別個の非同義SNPがあり、これがアクセプタースプライシング配列コンセンサス部位に影響を及ぼし、こうしたものとして、上記珍しいスプライシング事象を混乱させるように配置される(
図1)。さらに、本発明者らの以前の結果は、心臓疾患を有し組込み型iciHHV-6Aを有する2人の個体において、全長のスプライシングされていない転写物が発現される証拠を示していた(Tweedy et al., 2015b)。したがって、iciHHV-6Aのこの遺伝子座において何らかのスプライシング事象がそもそも起こったのかどうかが明らかではなかった。このことは、iciHHV-6Aについての最初のゲノム配列に関する本発明者らのアノテーションに示されており、そこでは全長遺伝子産物のみが示されている(HHV-6Aに関するNCBI NC_001664.4参照ゲノム配列およびiciHHV-6Aに関するKT895199.1)。特筆すべきことに、このウイルスにおいて全長U83Aは成熟分泌産物をもたらす全シグナル配列をコードしているが、実際にはこれは循環ウイルスでは稀にしか発現されない。これは、フレームシフト突然変異を与えることにより遺伝子の発現を中断させるポリTトラクト中のバリエーションによるものであり、したがって、シグナル配列はもはや作られず産物は分泌されない。しかし、iciHHV-6Aゲノムにおいては、iciU83A遺伝子は、固定長のポリTトラクトを伴う完全シグナル配列をコードするよう遺伝的に固定されている(Tweedy et al., 2015b)。さらに、この祖先iciU83A遺伝子で、何らかのスプライシングが起こったかどうかは明らかではなかった。循環ウイルスの遺伝子発現についてRNAseqを用いたトランスクリプトミクス分析は、U83遺伝子座にマッピングされるアンチセンススプライシング転写物、または組込み型iciHHV-6A/Bゲノム中の制限された遺伝子発現(遺伝子制御に関与する極初期遺伝子からなる)を同定したのみであり、それ以上はU83Aについて記述していない(Peddu et al., 2019)。ウイルスケモカインに関する以前の概説は、制限された遺伝子発現を記載し、また、iciHHV-6Aゲノムを保有する人々において同定される転写物にはスプライシングU83Aが欠如していることも記載しており、2人の患者ドナーでU83Aの全長転写物発現のみが検出されたという、2つのiciHHV-6A組込みゲノムに言及している本発明者らの以前のゲノム分析を引用していた(Pontejo et al., 2018; Tweedy et al., 2015b)。
【0122】
驚くべきことに、本出願に要約される本発明者らの発見は、in vitroでトランスフェクションされた細胞における個々の遺伝子発現を調べることによって、組込みU83A遺伝子(iciU83A)が発現され、かつスプライシングされ得ることを示した。これは、ゲノム予測と、細胞内にトランスフェクションされた後RT-PCRおよびそれに続く配列決定を用いて特徴づけられた、発現ベクター中のciU83A遺伝子のcDNA分析との両方を用いることによって同定された。これは、iciHHV-6A個体についての以前のin vivoおよび細胞の特徴づけに関わらず、かつスプライスドナー部位に近位のSNPにも関わらず、非コンセンサススプライシングが利用され得ることを示した(
図2)。この突然変異は、ウイルスにおいて、全長ヒト組込みiciU83A遺伝子中、GAT(Asp)からGGT(Gly)へのコード突然変異型を引き起こす(
図1~3)。こうした情報を用いて、本発明者らは、診断プライマーを設計可能することができた(
図3)。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、この同じコード突然変異が、スプライシングによるフレームシフトから今や、スプライシングの停止コドンをちょうど破壊することになり、これがウイルスU83A遺伝子の切詰(truncated)型、すなわちU83A-N(分子のうちコードされるN末端側の半分のみを含むことから)を導くことを見出した(
図2)。要約すると、この発見は、以下の理由から驚くべきものであり、予期されないものである:
1. 染色体組込み型遺伝子iciHHV-6A U83Aにおける非同義突然変異は、この組込み部位において、すべての関連ゲノムで保存されており、スプライシング後にフレームシフト突然変異を生じて、スプライシング停止コドンの除去およびiciHHV-6A U83A-Nのスプライス遺伝子cDNAのコード配列の伸長を生じる。
2. このコード伸長は、最も稀なコドンの1つ(トリプトファンをコードするもの)で開始する。
3. 該スプライシング自体は、稀な非コンセンサスドナーおよびアクセプター部位であり、珍しいダイレクトリピート構造を含む。
4. 上記非同義突然変異は、非コンセンサスドナーおよびアクセプター部位に隣接し、スプライシング効率に影響を及ぼし得る。
5. 関連ウイルスHHV-6Bもまた、ヒト染色体組込みゲノム型iciHHV-6Bを有し、これは同じフレームシフト、停止コドン破壊、非同義突然変異を持たない。これは、スプライシング産物の同じ構造を有する。
【0123】
ウイルスゲノムにおいて、U83AおよびU83A-Nは、それぞれ、全長およびスプライシングされた遺伝子からの切詰タンパク質産物をコードする(Dewin et al., 2006)。これらは、U83Aケモカインの対となるアゴニストおよびアンタゴニスト型として機能し、ウイルス拡散または免疫回避のためにウイルス複製部位への免疫細胞誘引を調整する中心となる。驚くべきことに、ヒト染色体組込みHHV-6A iciU83Aにおいて、スプライシング産物は、この部位ではもはや切り詰められない。その代わり、それは今や下流の停止コドンまで伸長され、伸長切詰産物iciU83A-Nを生じる(
図2)。これはここで、8アミノ酸の疎水性タグを有する(
図2)。これは、膜と会合するか、または多量体を仲介するように作用して、これらはどちらも、安定化および提示改変を導き得る。上述のように、この突然変異は、非コンセンサススプライスアクセプター部位に近位であるため、本明細書に示されるような実験的定義なしに、スプライシングされたcDNAを予測することは不可能であった。実際、この遺伝子中のこのスプライスは過去に実証も記録もされていなかった。
【0124】
スプライス産物は、別個の機能ドメインを有する。本発明者らは、以前、コードされるN末端ドメインが、ケモカイン受容体相互作用の特異性を決定づけることを立証した(Dewin et al., 2006)。これは、17アミノ酸ペプチド領域に特定され得、CCR2およびCCR5相互作用の間の特異性の決定因子は単一アラニン残基である(Clark et al., 2013)。iciU83A-N分子において、このN末端ドメインは損なわれないままであり、先に定義されたような受容体特異性を示す(
図1および2)。実際、全長U83AにウイルスU83A-Nスプライシング分子を比較すると、すべての受容体特異性は維持され、スプライシングされた切詰分子ではC末端シグナル伝達ドメインのみが消失した。この機能的N末端ドメインはiciU83A-N分子でも保持され、コードされるN末端結合ドメインは完全に無傷であるが、C末端シグナル伝達ドメインが除去されている。しかし、驚くべきことに、かつ予期せぬことに、iciU83A-N分子は切詰されているだけでなく、疎水性伸長を構成する8アミノ酸のC末端伸長を有する(
図2)。これは芳香族残基リッチなドメインで構成され、このドメインは複数のトリプトファン残基を通じて、膜会合を増加させると共に、分子のユニークな多量体化も増加させ得る。こうしたトリプトファン「タグ付け」は、実験上、共有結合されたペプチドの安定性および多量体化を増加させると共に、脂質膜相互作用を破壊し、殺細菌活性を増加させ、多量体化を促進する(Kamei et al., 2018; Singh et al., 2017; Yau et al., 1998)。したがって、iciU83A-Nコード分子におけるこの疎水性C末端タグは、他のウイルスコード性ケモカイン分子より優れた、かつ異なる、活性を提供する。実際、ヒトにコードされるケモカインであるフラクタルカインは、2つの別個の型、可溶性分泌型および膜係留型を有する。神経生物学ならびに心臓学におけるその多岐な機能の主因となるのはこの多様性である。
【0125】
維持されたN末端ドメインに由来する、報告された特異性には、CCR1、4、5、6および8受容体のターゲティングが含まれる(Catusse et al., 2009; Catusse et al., 2007; Dewin et al., 2006)。このユニークな組み合わせは、特にCCR4およびCCR6を通じた、免疫抑制性T制御リンパ球のターゲティングを可能にする。ヒトCCR6は、CCL20に単一特異性であり、したがって、CCR6を含む拡張された受容体相互作用は、ciU83A-N分子のユニークな特性である。ユニークな適用は、これらの受容体のアンタゴニストとして作用する能力にある。これは、C末端シグナル伝達部分がもはや存在しないためである。特にCCR4のアンタゴニズムは、ターゲット抗原に対する免疫を増加させる新規機構と立証されてきており(Bayry et al., 2008)、また、腫瘍微小環境を改変することによって腫瘍に対する免疫反応性を明らかにする際にも有用である(Vilgelm and Richmond, 2019)。免疫サプレッサーのブロッキングは、抗体分子を腫瘍学に適用するためのよく定義された機構である。これらは、いわゆる「免疫チェックポイント阻害剤」に対する抗体である;これらは、通常、免疫シグナル伝達に「ブレーキ」を加え、例えば免疫寛容の破壊および「自己免疫」反応の損傷性自己免疫反応の開放を防止する、免疫抑制性Tリンパ球上のシグナル伝達分子の受容体またはリガンドの対のいずれかに向けられる。この戦略は、末期癌患者に対して成功裡に用いられてきているが、これは固有の安全性リスクを有し、患者の少数に対してのみ働き(<30%)(Konstantina et al., 2019; Kwok et al., 2016)、この成功率は小分子開発を支持せず、また、腫瘍上の特定の受容体発現を通じてこの方法への感受性を決定するために、患者およびその癌の遺伝子プロファイリングのさらなるリソースを要求する。しかし、本発明者らのiciU83A-Nの発見を用いると、その多様なケモカイン受容体は正常宿主免疫細胞上に発現され、したがって、遺伝的に進化している癌が免疫を回避することとは別である。これにより、より多くの人々に免疫療法を適用するための新規治療法が可能になる。
【0126】
iciU83AおよびiciU83A-N遺伝子は、いくつかの奇異なcis作用特徴を有する。本発明者らは以前、ウイルスU83A遺伝子が、N末端コード領域の方にポリTモチーフを有することを示した。T塩基の数の変動がフレームシフト突然変異を生じ、これがコードされるペプチドに未成熟終結を引き起こすため、これは遺伝子の5'端の不安定性を生じさせ得、それによってU83A遺伝子の発現が調節され得る(
図1)(Dewin et al., 2006; Tweedy et al., 2015b)。これは、ヘルペスウイルスのDNA編集機構によって調節されると見られ、この機構は、ヒト・ヘルペスウイルスのいくつかにおいてバリエーションを促進する。例えば、単純ヘルペスウイルス、ヒト・アルファヘルペスウイルス1および2において、DNA編集がポリCまたはGトラクト(これはこのGCリッチゲノムで起こり得る)で起こり、これらは、ホモポリマートラクトの個々の変動により、ホモポリマーフレームシフト突然変異(HFM)を生じさせ、一方、ATリッチゲノムであるHHV-6においては、HFMは、ここのポリTトラクト中で生じる(Dewin et al., 2006; Tweedy et al., 2015b; Tweedy et al., 2016; Tweedy et al., 2017)。ポリT塩基がインフレームセットである場合でのみ、全長遺伝子が発現され、これはその場合小胞体内への翻訳同時的挿入に必要なN末端シグナル配列をコードし、その後、成熟U83Aケモカイン様分子の分泌のための切断およびプロセシングが続く。循環ウイルスにおいては、これは実際、稀なバリアントであり、大部分は、ポリTトラクトを介して中断されたU83A遺伝子を有し、これは一回の感染中に変化し得るという証拠が示されてきている(Dewin et al., 2006; Tweedy et al., 2015b)。しかし、ウイルスとは異なり、ciU83Aゲノムがサブテロメア/テロメア領域の17p遺伝子座で組み込まれたものであるciHHV-6Aの組込み型ゲノムは、全長ciU83A分子が産生されることを可能にするポリTトラクトのみを有する。循環ウイルス中とは異なり、これが優勢であるかまたは唯一の型であることがディープシークエンシングによって示されている(Tweedy et al., 2015a; Tweedy et al., 2015b; Tweedy et al., 2016; Tweedy et al., 2017)。この型、iciU83Aは、2つだけの非同義SNPを有し、循環ウイルスU83Aと比較してコード変化を生じる(
図2)。これらのうちの1つは、N末端領域中にあるが、外因性ウイルスの天然バリエーションの一部である(Clark et al., 2013)。2つ目のものは、スプライスアクセプター部位に近位の突然変異である(
図2)。N末端領域はウイルスU83Aに比較して維持されているため、これは、受容体特異性の共有を示す。C末端シグナル伝達ドメインのみが、この単一非同義突然変異を有する。
【0127】
株バリアントおよび他の組込み型ウイルスゲノムにおけるポリTトラクトの長さを分析すると、全長遺伝子は、ポリTトラクトが破壊されている場合にのみ安定化され得ることが示される。したがって、全長コード化された機能型に遺伝子を固定するために、ここでは、このポリTトラクトを突然変異させる一方、同じコドン使用およびコード可能性を保持する。この発見は、この遺伝子を、シグナル配列をコードし従って成熟産物が分泌可能である機能型に固定し(
図1)、本明細書においてiciU83AおよびciU83A-Nについての機能に関して紹介される(配列番号2、6および8;
図7)。
【0128】
U83AおよびciU83Aは、さらに、遺伝子構造中で、遺伝子発現に影響を及ぼす2つの他の新規特徴を共有する。第一に、どちらも、ダイレクトリピートTACCを含有し、これはこの遺伝子に関して新規である。さらに、このTACCモチーフは、非コンセンサススプライスドナーおよびアクセプター対CT-ACの一部を形成し、この対は、中断されたより小さい遺伝子産物中で本発明者らが同定したものである(French et al., 1999)。しかし、循環ウイルス遺伝子U83A中のスプライスドナー/アクセプター対は、ヒト細胞株で個々に発現された際にスプライシングされるため、細胞スプライシング装置によって認識される(おそらくマイナー型のスプライソソームを通じて)(French et al., 1999; Lin et al., 2010)。これらの特徴はどちらも、iciU83A遺伝子中に存在するが、予測されるスプライシング効果は完全に異なる。U83A遺伝子は、特徴的に、スプライス部位に停止コドンを導入するようにスプライシングされて、、全長産物の半分のサイズである切詰型U83A-N産物を生じる。しかし、この停止コドンTGAは、ciU83A-N中ではTGGに突然変異され(
図1および2)(全長iciU83A遺伝子とインフレームであれば、これはコード突然変異Asp-Glyを生じる;
図2)、これはスプライスアクセプター部位に近位であるため、これはスプライシングも妨害し得た。実際、上述のように、このスプライス型は、先行技術では開示されたり刊行されたりしていない。
【0129】
ヒトサイトメガロウイルスIE遺伝子プロモーターおよびSV40ウイルスポリアデニル化部位を含有するプラスミドDNA発現ベクターを用い、本発明者らはこの産物をクローニングし、トランスフェクション試薬を用いて、細胞株HEK293に形質導入した。RNAを抽出し、次いで逆転写ポリメラーゼ連鎖反応RT-PCRによって分析した。結果は、このスプライスドナー部位が利用され、さらに、スプライス産物が、今や以前の停止コドン部位をリードスルーし、上述のようにコード領域を非尋常的に8アミノ酸伸長させることを示した(
図4および5)。重要なことに、この特徴は、組込み型の発現を決定するために適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いた診断に用いられ得る(
図3)。
【0130】
循環ウイルスでは、この遺伝子を中断させるポリTトラクト、ならびに全長産物を切詰めする非コンセンサス細胞スプライシングの両方による制御のため、コードされる全長U83Aは稀である。感染後期にスプライシングが抑制されて、全長遺伝子産物のリードスルーが生じる可能性もある(Dewin et al., 2006; Tweedy et al., 2015b)。循環ウイルス遺伝子発現によって発揮される制御の非存在下でこの効果をシミュレーションするために、ダイレクトリピートおよびスプライスドナー/アクセプター対の両方を突然変異させることができる。本明細書に示されるように、コドン使用およびコード潜在能力の両方を維持しながら、iciU83A遺伝子に対してこれを行った。配列番号6~8において、本発明者らは、本明細書に記載される使用のために、全長iciU83Aを改変して発現を安定化させた。配列番号6はN末端不均一性を除去し、配列番号7はスプライシングを防止し、配列番号8は、N末端不均一性を除去し、かつスプライシングを防止する。したがって、概説されるような(Pontejo et al., 2018)および以下に示されるような免疫刺激のための有用性のために、これらの産物は、ここではユニークに修正され、配列番号6および8では不均一性が除去され、あるいは配列番号7および8では全長型に固定される。
【0131】
上述のように、組込み型iciHHV-6Aゲノムは、ヒト宿主のものとは異なるAT組成バイアスを保持する。他のウイルス遺伝子について、バイアスのある組成がヒト宿主のものにマッチされた際、タンパク質発現が増加することが立証されてきている。これを行うため、本発明者らは、最新の情報蓄積および予測プログラムに従って、U83AおよびiciU83Aの両方、ならびにU83A-NおよびiciU83A-NのcDNAに関して、コドン使用をヒトゲノムのものにマッチするよう変化させた(HIVE dbとして公的データベースを利用することを含む)。次いで、これらをさらに改変して、ポリTトラクトならびに残っているTACCモチーフおよび非コンセンサスドナー/アクセプター部位を調整した。例えば本明細書に記載される使用(
図7)のために最適発現タンパク質濃度が必要な場合、これらの遺伝子構築物を用いることも可能である。配列番号9は、N末端不均一性を防止し、TACCダイレクトリピートを破壊し、スプライスドナー/アクセプター部位を除去して、最大化ヒトコドン使用を伴い(HIVE dbの使用を含む)、遺伝子発現を安定的全長アゴニストに固定するように突然変異されたiciU83Aを示す。
【0132】
[実施例2. 前臨床モデルにおけるin vivo発現は、ワクチン用途において防御を示す。]
本明細書においてVTL1と称される、iciU83A-N由来の新規ヴァイロカイン(virokine)の有効性を評価するために、感染性疾患の前臨床モデルにおいてこれを試験して、免疫療法剤としてのその能力を評価した。これは、性感染症STDのHSV2モデル系において、所有権のある(proprietary)、予防的DNAワクチン製剤の最初のものであった。HSV2は、世界中でおよそ4億人の人々に感染し、主要な疾患の再発性STD、性器ヘルペスを伴い、最も深刻な病態では、毒性の薬剤での継続的療法を必要とし、また、HIV伝播を有意に促進し、高い死亡率、60%の致死率を伴う新生児疾患を引き起こす(Looker et al., 2017; Looker et al., 2015; Looker et al., 2020)。したがって、感染または疾患を防止するために、HSV2ワクチンが必要であるが、多くの試験にも関わらず、有効なワクチンは産生されていない。予防ワクチンは、伝播および新規疾患を除去可能であり、片方感染の(discordant)カップルおよびHIVに罹患している人々には特に必要である。VTL1ヴァイロカインは、免疫細胞徴集を促進してワクチン接種を増進させると共に、上述のようにリガンド結合部分を保持するため、CCR5共受容体に結合することによってHIVを阻害することも可能である。
【0133】
HSV2疾患の治療または防止を評価するための、よく確立された前臨床小動物モデルがある。規制の観点から推奨される前臨床モデルは、モルモット(Guinea pig)モデルであるが、これはヒト疾患と相関し、ヒト疾患におけるような感染の再発を示すためである。このモデルは、自発的再発の評価を可能にする唯一の小動物モデルであると見られ、よりヒト疾患に似ている(Strasser et al., 2000)。さらに、中和抗体レベルおよび疾患からの防御が、ヒト疾患防御にリンクしていると見られる。実験的ワクチンを比較するための陽性対照として用いられてきたこのモデル系における現在のゴールドスタンダードとなるものは、臨床試験で用いられるような、シグナルペプチド切断後のアミノ酸残基306までのgD糖タンパク質、gD306の分泌部分のタンパク質製剤である。これは、組み合わせアジュバント、MPLおよびalumと共に製剤化され、これは、最近の臨床試験においてこのタンパク質と製剤化されたアジュバントに相当する(Belshe et al., 2012)。この試験は、中和抗体と防御の相関を示したが、興味深いことにHSV1に対してのみであり、HSV2に対する防御はなかった(Belshe et al., 2014)。これは、この応答を上昇させることがヒトにおける防御を増加させ得ることを示した。
【0134】
タンパク質を用いることの複雑さは、その量を精製し、標準化すると共に、その安定性および毒性を評価することが必要になることである。DNAワクチンは、増加された安全性において、および低い産生コストで有効にスケールアップが可能である点でより優れている。欠点は、クリニックにおいて十分な防御免疫を刺激できない点である。しかし、これらは水産養殖では成功してきている。したがって、抗原製剤において十分な免疫ブーストがあれば、これは可能であるはずである。以前、ネズミモデル系を用いて、ヒト・ケモカインCCL5は、gDにコードされるDNAに対する免疫学的反応をブーストすることが立証されている(Sin et al., 2000)。この有効性分析では、DNAプラットホームアプローチを用いて、モルモットモデルにおけるケモカイン様VTL1ヴァイロカインのものと、免疫学的ブーストを比較する。本発明者らは、既知の免疫原gDをコードするDNAを含有する抗原製剤を用いる。これを、以前ワクチン接種されていない陰性対照、および、上述のように現在まで臨床試験で最も成功しているタンパク質ワクチンである、MPLおよびalumと共に製剤化されたgD306のゴールドスタンダード陽性対照と比較する。
【0135】
研究設計は、以前確立された標準プロトコルにしたがった(Strasser et al., 2000)。これは、3週間間隔を空けて筋内注射される2回または3回の免疫化を伴い、次いで、膣内送達されるウイルスに曝露される、モルモットモデルにしたがう。本研究において、HSV2感染のモルモット前臨床モデルにおける予防的ワクチン研究において、gD DNA製剤と共にVTL1を評価する。ここでは、試験されるこの産物の有効性を最大限試験するために、3回のワクチン用量ではなく最適未満レジームである2回用量を、gDプラスミドを用いた以前の試験(Bernstein et al., 1999; Strasser et al., 2000)との比較に用い、これをより高いウイルス曝露力価と組み合わせた。配列番号2におけるように安定発現のため突然変異されたケモカインVTL1 DNA、iciU83A-Nを合成し、ヒトサイトメガロウイルスIE1遺伝子由来の遺伝子発現用プロモーターと、SV40ポリアデニル化および終結シグナルによる転写終結シグナルを含有する発現プラスミド中で構築した。コード配列に加えて、各構築物は、天然Kozakコンセンサス配列を保持した。配列は、示されるように(配列番号2)構築物中に確認され、決定された隣接プラスミド配列は、インフレーム発現を生じた。VTL1(突然変異iciU83A-N、配列番号2)をコードするDNA構築物を、記載されるように0.25%ブピバカインと製剤化した(Bernstein et al., 1999)。これらを陰性対照(免疫なし)、および陽性対照(MPL/alumと製剤化されたゴールドスタンダードのgDサブユニットタンパク質ワクチン)と比較した。2つのDNAワクチンに関して、VTL2gD(既知の免疫原HSV2 gDを含有する)を含む300マイクログラムの総DNAを用い、次いで、200マイクログラムのVTL2gD製剤と100マイクログラムのVTL1 DNAを含むVTL2gD + VTL1 DNA製剤を用いた。VTL1 DNA(iciU83A-N突然変異バリアント、配列番号2)は、VTL1 46アミノ酸、配列番号4をコードした。すべてのワクチンを筋内(IM)経路によって送達した。各群には12匹の動物が含まれた。
【0136】
0.1mlの体積の2回の用量を、IMで、3週間間隔で投与した。ウイルス曝露(1x10
6 pfu、HSV-2株MS)を、最後の免疫の3週間後に膣内投与した。記載されたようにウイルスを膣円蓋に接種した(Bernstein et al., 1999)。第14日まで、動物を急性疾患に関して毎日調べた(
図6)。陰性対照群のすべての動物は、急性疾患に特徴的な水疱病変を示した。対照的に、陽性対照群であるgDサブユニットタンパク質+MPL/alumアジュバントは、疾患を持つものを25%(3/12)しか示さなかった。VTL試験試料において、これらは、VTL2gD+VTL1の陽性対照の疾患を持つものの25%(3/12)と類似のレベルの、ほぼ完全な防御を示した。これらの防御レベルは、陰性対照に比較して、有意に有効であった(p<0.01
)。
【0137】
図6に示されるように、経験される総病変は、陰性対照に比較して、VTL免疫動物において有意に減少するかまたは排除された。免疫化を伴わないものは、0.67(SD 1.48)の陽性対照サブユニットタンパク質ワクチン、および0.33(SD 0.62)の免疫原製剤VTL2gD + VTL1免疫調節剤のVTLワクチンに比較して、8.29(SD 6.57)の平均総病変スコアを有した(接種の4~14日後)。これらの結果は、サブユニットタンパク質陽性対照よりも優れており、陰性対照に比較して高い有意性を示しほぼ完全な防御を示した(p<0.0001)。これらはまた、類似のプロトコルを用いて、それだけで発現された全長HSV2gD2プラスミドを用いた以前の実験よりも顕著に改善されており、この場合は、その実験における5.9(+/-0.5)の陰性対照に比較して2.7(+/-0.7)の総病変スコアを示していた(Strasser et al 2000)。要約すると、ケモカイン様分子ヴァイロカインをコードするヒトVTL1組込み型ウイルスを含有するVTL DNAワクチンは、臨床試験で以前用いられたアジュバント化サブユニットタンパク質ワクチンのものを超える有効な防御をDNAワクチンとして示した。
【0138】
[実施例3. 前臨床モデルにおけるin vivo発現は、疾患を防止しウイルス感染を減少させることにおけるワクチン有用性を示す。]
本明細書においてVTL1、または図中ではVirokine Immune Therapeuticを表わすVIT1と称される、iciU83A-N由来の新規ヴァイロカインの有効性をさらに評価するため、さらなるアッセイを行って、急性疾患およびウイルス感染を防止することにおける有用性を評価した。実行したアッセイには、実施例2に記載する免疫プロトコル後のウイルス曝露に続くウイルス感染に対する影響を決定するために、実施例2に示すように疾患重症度に関する総スコア決定をすることを含み、膣スワブのプラーク力価決定のためのフォローアップを伴った。有効性エンドポイントは、急性疾患の発生および重症度に加えて、プラークアッセイによるウイルス力価決定によって測定される、ウイルス膣複製に対する効果であった。
【0139】
異なるワクチン処置 対 ワクチンなしに関する複数比較のために、Dunnett検定を用い、一方向ANOVAを伴ってGraphpad Prismを用いて、すべてのin vivo例に関して統計分析を行った。非ガウス分布の場合、Wilcoxon検定を用いたノンパラメトリック比較を用いた。有意性をP値<0.05(*)、<0.01(**)、<0.001(***)で示した。
【0140】
in vivo前臨床モデル研究における群は以下の通りであった:
1. ワクチンなし=陰性対照、ワクチンなし
2. VTL2gD DNA + VIT1 = VTL2gD DNA + VIT1 DNA(すなわちVIT1ワクチン)
3. VTL2gD DNA = 示す実験におけるVTL2gD DNA
4. gD タンパク質 + mpl/alum= 陽性対照、以前臨床試験されたgD306(分泌型) + アジュバントMPL/alum
【0141】
VTL2gD DNAは、HSV2の既知の免疫原糖タンパク質gDをコードするDNAを含有する製剤である。DNA製剤は、記載されるように0.25%ブピバカインを含有した(Bernstein et al., 1999)。陽性対照である、MPL/alumと同様のアジュバント製剤を伴うgDタンパク質は、ヒト臨床試験において、HSV1感染からの防御にある程度の活性があることが示されており、モルモットモデル系を用いた前臨床試験の活性と同様であり(Belshe et al 2012; Bourne et al., 2003)、したがってモルモットモデルにおいて臨床的に適切な反応を示すために使用可能である。臨床的有用性を示すために、以下の実験ではこの特定の陽性対照を用いるが、当業者には、問題のウイルスに対する免疫反応をやはり同様に誘導可能な任意の他の組成物もまた適切であろうことが明らかであろう。
【0142】
VTL1としても知られるVIT1は、ウイルスケモカイン様遺伝子ヒト適応型ヴァイロカイン免疫療法剤の、本出願に記載されるDNAである(スプライスバリアント、配列番号2)。
【0143】
3.1 急性疾患の発生および重症度
DNA VIT1製剤(配列番号2を含む)を、陰性対照(ワクチンなし)または陽性対照(gDタンパク質(分泌型gD306)+ MPL/alum、女性におけるHSV2およびHSV1に対する部分的防御を示す以前の臨床試験で用いられた製剤と類似(Belshe et al, 2012))と比較して試験する。
【0144】
VTL2gD + VIT1は、gDタンパク質MPL/alumの陽性対照に関して示されたものを超える、有効な防御を示す。
【0145】
これはまた、各試験コホート(12匹の動物、非ワクチン群は11匹の動物)において個々の動物に関して示される、急性、原発性疾患、平均病変スコアの全体の分析によっても示される。VIT1ワクチン処置個体は、有意により低下したスコアを有する。
【0146】
1日平均病変スコアを
図6に示し、ここで、個体あたりの総平均スコアは有意に減少すると共に、
図7でわかるように、罹患動物も減少し、VIT1ワクチンはほぼ完全な防御を示す。
【0147】
3.2. ウイルス膣複製に対する効果
病変発展に対する処置の効果の結果を、原発性疾患中のウイルスシェディングに対する効果と比較する。最適未満の2用量免疫接種を用いて、gDタンパク質製剤に関する有意に低下した膣ウイルス負荷の分析は、ウイルスシェディングの対数減少に近い減少で示されるように、疾患防御と相関する。
【0148】
ウイルス曝露8日後までに、VIT1ワクチン製剤は、ほぼすべての動物で検出不能なレベルまで、ウイルスシェディングを有意に減少させた。p<0.01(
図8Aおよび8B)。
【0149】
[実施例4 前臨床モデルにおけるin vivo発現は、検出可能な潜在感染を防止することにおいて、および再発性持続感染性疾患を防止するための療法剤としての、ワクチン有用性を示す]
ここで、ウイルス再活性化、再発性疾患および潜在性持続性感染を防止することにおける有用性に関して、VIT1(配列番号2)含有ワクチンを評価する。実施例2で記載されるin vivo前臨床モデルは、ワクチンでの2回の免疫接種スケジュール後、ウイルス、HSV2での曝露の63日後まで延長したフォローアップを有する。実行されるアッセイには、膣シェディングスワブのDNA PCR、ならびに潜在感染部位である後根神経節(DRG)と脊髄のDNA PCRが含まれる。有効性エンドポイントは、再発性疾患、無症候性シェディングおよび潜在性ウイルス負荷に対する効果であった。検出限界を記録し、ウイルス定量化に関しては0.7 log pfu/mlで、qPCRに関しては0.5 log マイクログラムコピーDNA/mlの検出限界未満で検出不能と測定された。
【0150】
4.1. 再発性疾患に対する効果
ウイルス再活性化および疾患再発に対するワクチン処置の効果を、感染曝露の15~63日後に分析した。累積1日病変をプロットし、個体あたりの総平均病変スコアを比較した。
【0151】
これは、VIT1を伴うVLT2gD DNAワクチンが、VIT1との組み合わせでのみ再発性疾患を防止可能であることを示し、療法剤としてのVIT1有用性を立証した。
【0152】
明らかに、VTL2gD DNA治療へのVIT1ケモカインDNAの添加は、再発性病変の有効なコントロールを生じた。これは、陽性対照gDタンパク質サブユニットワクチン製剤と類似であり、それぞれp<0.05およびp<0.01で、臨床的有用性を示した(
図9および10)。
【0153】
VTL2gD DNA + VIT1およびgDタンパク質サブユニットワクチン製剤はどちらも、疾患を有する個体の病変日数を半分にする一方、大部分の動物は、いかなる疾患再発からも完全に防御された(7/12 58%)。
【0154】
4.2. 無症候性シェディングによって示されるウイルス再活性化に対する効果
ウイルス曝露20日後のウイルス再活性化に関する証拠後のウイルスシェディングの減少に関して、ワクチン処置の効果を試験した。これを行うため、膣スワブにおいて定量的PCRによりアッセイされたDNA負荷を、ウイルス分泌についての指標として用いた。
【0155】
非ワクチン接種動物に比較して、ワクチン接種動物における再発性シェディング事象における再活性化ウイルスおよび総平均負荷の分析を行った。gDタンパク質サブユニットワクチンでは効果がなかった一方、VTL2gD DNA + VIT製剤に関して、ウイルスシェディング減少の傾向があり、VIT1ワクチンを投与された動物は、ほぼ半分の全体負荷(p=0.1)および3分の1のシェディング事象(20%減少して14の再発)を有した(
図11および12)。
【0156】
4.3. 潜在性ウイルス負荷に対する効果
後根神経節および脊髄における部位での潜在感染の確立に対する効果をアッセイした。研究終了時、すなわちウイルス曝露の63日後、存在するDNAを、潜在性のこれらの部位で、qPCRを用いて定量化した。ウイルス分泌に関する傾向と同様、総平均DRG負荷の分析は、ワクチンなしに比較して、すべてのワクチンで有意に減少したレベルを示し、VTL2gD DNA + VIT1ワクチンは量を半減させた。p<0.01(
図13)。ワクチンを投与されなかった動物の<20%に比較して、VTL2gD DNA + VIT1ワクチンで処置した動物の半数超は、DRGにおいて検出可能DNAから防御された(
図14)。
【0157】
脊髄で検出される潜在性DNAの分析は、陽性対照タンパク質サブユニットおよびVIT1ワクチンの両方で類似の効果を示し、脊髄における潜在性DNA負荷を有意に減少させた(p<0.05)。しかし、VTL2gD DNA + VIT1ワクチンのみが、脊髄におけるDNA検出を伴う動物の数を有意に減少させ、これは、gDサブユニットタンパク質ワクチンでは見られなかった(
図15および16)。
【0158】
4.4. 要約
VTL2gD DNA + VIT製剤は、急性、原発性疾患およびウイルス複製に対して非常に有効であった。VIT1ワクチンは、再活性化ウイルス感染に対して、再発性ウイルスシェディングを減少させる効果を有し、こうした効果はタンパク質サブユニットワクチン陽性対照では見られず、陽性対照は、臨床試験においてある程度の有効性を示したが、より高い活性が必要であった。また、VIT1を伴うと、VIT1なしでは見られない、原発性および再発性疾患の両方での減少が見られると共に、潜在性負荷の検出の有意な減少が見られ、半数を超える動物が完全に防御された。1匹の動物のみが研究中に死亡し、これはワクチンなしの群のみであり、この群のさらに2匹の動物が、試料収集を妨げる重度の感染を有した。比較すると、VIT1ワクチンは安全であり、副作用なしに感染および疾患の防御を示した(表1に要約)。
【0159】
【0160】
これは、このモデル系に関して最適未満の投薬スケジュールであり(3回ではなく、2回の免疫接種)、投薬増加または他の送達経路で改善が見られる可能性がある。VIT1(配列番号1、2、3によってコードされる)はまた、オン/オフスイッチとして刺激のための対立する様式で提示可能であり(配列番号7、8、9)、出願中の(pending)活性スプライシング配列番号6は、組み合わせた有用性のため、両方の産物をコードし得る。
【0161】
VITヴァイロカインによって提供される細胞徴集は、ウイルス再活性化および再発に対する増進された効果を示す。細胞性免疫は、ウイルス再活性化および再発の制御に影響を及ぼすことが知られる。これはまた、VITが免疫療法剤として作用し得ることを立証する。
【0162】
VIT1は、ヒトに適合されており、したがって、ヒトのセッティングにおける効果は、さらに改善された転帰を有する可能性が高い。ex vivoアッセイにおける比較は、HIV感染防御アッセイにおいて、関連分子がCCL5よりも100倍高い有効性を持つことを示し、これはCCR5活性と合致している(Catusse et al 2007)。したがって、ヒト系における防御効果は、VIT1に関して、より高い可能性が高く、ヒト・ケモカイン受容体との相互作用に関するより高いアフィニティを定義する以前のデータ(Dewin et al 2006)と合わせて、HSV2および関連するHSV1のための予防的および療法的ワクチン処置として、臨床セッティングでのさらなる研究を是認し、さらに、疾患または感染からの効率的な防御を提供する新規タイプのワクチン製剤における免疫調節処置としての有用性を立証する。
【0163】
配列表
【0164】
配列番号1:VTL101 ciU83A-Nヌクレオチド配列cDNA
GTCGAAATGTCCATTCGGCTTTTTATTGGTTTTTTTTATACGGCATATATTGGTATGGCTATCGGATTTATATGTAGTTCCCCCGATGCGGAGCTGTTTTCCGAAAAATCACGTATTTCGTCTTCTGTCTTGTTAGGATGTTTGTTGTGTTGCATGGATTGGTCCGCTGCCGTACCCGTCTGGTTTGGAGCAGGGCTCGATGTGTGA
【0165】
配列番号2 自己のKozak配列を伴い、ポリTトラクト(下線)中で突然変異されている、VTL1016 ciU83A-Nヌクレオチド配列cDNA。
GTCGAAATGTCCATTCGGCTTTTTATTGGTTTCTTTTATACGGCATATATTGGTATGGCTATCGGATTTATATGTAGTTCCCCCGATGCGGAGCTGTTTTCCGAAAAATCACGTATTTCGTCTTCTGTCTTGTTAGGATGTTTGTTGTGTTGCATGGATTGGTCCGCTGCCGTACCCGTCTGGTTTGGAGCAGGGCTCGATGTGTGA
【0166】
配列番号3 ヒトコドン最適化され、ポリTを含まずTACCを含まないように手動で調整されたVTL1017 ciU83A-N cDNA
GTCGAAATGTCCATCCGCCTTTTCATTGGCTTCTTTTACACAGCATACATCGGGATGGCTATAGGCTTCATTTGCTCCTCTCCAGACGCGGAGCTGTTTTCAGAGAAAAGCCGGATATCTAGTAGCGTGCTGCTCGGATGTCTGCTCTGTTGCATGGACTGGTCCGCTGCCGTCCCAGTGTGGTTCGGCGCTGGACTGGATGTGTGA
【0167】
配列番号4 VTL101、VTL1016およびVTL1017由来のci83A-N cDNAがコードするアミノ酸配列、8アミノ酸の追加的C末端伸長を示す(下線)。
MSIRLFIGFFYTAYIGMAIGFICSSPDAELFSEKSRISSSVLLGCLLCCMDWSAAVPVWFGAGLDV
【0168】
配列番号5 シグナル配列の後で切断されて、成熟分泌産物を生じる、VTL101、VTL1016およびVTL1017由来のci83A-N cDNAがコードするアミノ酸配列(やはりC末端延長8アミノ酸を含む。下線)。
FICSSPDAELFSEKSRISSSVLLGCLLCCMDWSAAVPVWFGAGLDV
【0169】
配列番号6 ポリT領域が破壊されるよう突然変異され(下線)、自己のKozak配列を保持する、VTL1018 iciU83A DNA。
GTCGAAATGTCCATTCGGCTTTTTATTGGTTTCTTTTATACGGCATATATTGGTATGGCTATCGGATTTATATGTAGTTCCCCCGATGCGGAGCTGTTTTCCGAAAAATCACGTATTTCGTCTTCTGTCTTGTTAGGATGTTTGTTGTGTTGCATGGATTGGTCCGCTGCCGTACCTGGGAAAACAGAGCCTTTTAGAAAACTTTTTGATGCAATCATGATTAAAAAGCTAAAAAGTTGTTCTGCTGCTTACCCGTCTGGTTTGGAGCAGGGCTCGATGTGTGATATGGCAGATGCATCGCCGACAAGTCTTGAATTAGGATTGTCGAAATTAGACAAAGAATCATGA
【0170】
配列番号7 下線で示されるようにダイレクトリピートTACCおよびスプライスドナー/アクセプター部位を通じたスプライシングが破壊されるように突然変異され、Kozakコンセンサス配列を保持する、VTL1019 iciU83A DNA。
GTCGAAATGTCCATTCGGCTTTTTATTGGTTTTTTTTATACGGCATATATTGGTATGGCTATCGGATTTATATGTAGTTCCCCCGATGCGGAGCTGTTTTCCGAAAAATCACGTATTTCGTCTTCTGTCTTGTTAGGATGTTTGTTGTGTTGCATGGATTGGTCCGCTGCCGTGCCAGGGAAAACAGAGCCTTTTAGAAAACTTTTTGATGCAATCATGATTAAAAAGCTAAAAAGTTGTTCTGCTGCTTATCCATCTGGTTTGGAGCAGGGCTCGATGTGTGATATGGCAGATGCATCGCCGACAAGTCTTGAATTAGGATTGTCGAAATTAGACAAAGAATCATGA
【0171】
配列番号8 下線で示されるようにポリT領域およびスプライシングが破壊されるように突然変異され、自己のKozak配列を保持する、VTL1020 iciU83A DNA。
GTCGAAATGTCCATTCGGCTTTTTATTGGTTTCTTTTATACGGCATATATTGGTATGGCTATCGGATTTATATGTAGTTCCCCCGATGCGGAGCTGTTTTCCGAAAAATCACGTATTTCGTCTTCTGTCTTGTTAGGATGTTTGTTGTGTTGCATGGATTGGTCCGCTGCCGTGCCAGGGAAAACAGAGCCTTTTAGAAAACTTTTTGATGCAATCATGATTAAAAAGCTAAAAAGTTGTTCTGCTGCTTATCCATCTGGTTTGGAGCAGGGCTCGATGTGTGATATGGCAGATGCATCGCCGACAAGTCTTGAATTAGGATTGTCGAAATTAGACAAAGAATCATGA
【0172】
配列番号9 ヒトコドン使用のために最適化され、下線で示されるようにスプライシングを破壊するように手動で調整され、Kozak配列を保持する、VTL1021 iciU83A DNA。
GTCGAAATGAGCATCAGACTGTTCATCGGCTTCTTCTACACCGCCTACATCGGCATGGCCATCGGCTTCATCTGCAGCAGCCCCGACGCCGAGCTGTTCAGCGAGAAGAGCAGAATCAGCAGCAGCGTGCTGCTGGGCTGCCTGCTGTGCTGCATGGACTGGAGCGCCGCCGTGCCAGGCAAGACCGAGCCCTTCAGAAAGCTGTTCGACGCCATCATGATCAAGAAGCTGAAGAGCTGCAGCGCCGCCTATCCTAGCGGCCTGGAGCAGGGCAGCATGTGCGACATGGCCGACGCCAGCCCCACCAGCCTGGAGCTGGGCCTGAGCAAGCTGGACAAGGAGAGCTGA
【0173】
配列番号10および11:診断的プローブまたはプライマーである配列番号12および13と共に、組込み型iciU83AおよびiciU83A-N遺伝子および転写物を検出するための、診断プライマー。
完全遺伝子のために:
5’ATGTCCATTCGGCTTTTTATTG 3’ 配列番号10
5’TCATGATTCTTTGTCTAATTTC3’ 配列番号11
【0174】
配列番号12および13:下線で示される診断3'ヌクレオチドを保持する、診断的プローブまたはプライマー、iciU83Aのための配列番号12、およびiciU83A-Nのための配列番号13
5’AAAAAGCTAAAAAGTTGTTCTGCTGCTTACCCGTCTGG3’ 配列番号12
5’TGGTCCGCTGCCGTACCCGTCTGG3’ 配列番号13
【0175】
配列番号14 VTL1018、VTL1019、VTL1020およびVTL1021のコードされるアミノ酸配列
M S I R L F I G F F Y T A Y I G M A I G
F I C S S P D A E L F S E K S R I S S S
V L L G C L L C C M D W S A A V P G K T
E P F R K L F D A I M I K K L K S C S A
A Y P S G L E Q G S M C D M A D A S P T
S L E L G L S K L D K E S -
【0176】
配列番号15:VTL10118、VTL1019およびVTL1020のアミノ酸配列をコードする、シグナル配列が切断された成熟分泌型
F I C S S P D A E L F S E K S R I S S S
V L L G C L L C C M D W S A A V P G K T
E P F R K L F D A I M I K K L K S C S A
A Y P S G L E Q G S M C D M A D A S P T
S L E L G L S K L D K E S -
【0177】
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【配列表】
【国際調査報告】