(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】量子ドットフィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20230515BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20230515BHJP
G02F 1/157 20060101ALI20230515BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20230515BHJP
【FI】
G02B5/20
G02F1/13357
G02F1/157
G02F1/167
G02B5/20 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561479
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2020027184
(87)【国際公開番号】W WO2021206703
(87)【国際公開日】2021-10-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516101190
【氏名又は名称】イー インク カリフォルニア, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スタインハーゲン, チェット
【テーマコード(参考)】
2H148
2H391
2K101
【Fターム(参考)】
2H148AA05
2H148AA07
2H148AA09
2H148AA18
2H148AA24
2H148AA25
2H148BD21
2H148BD25
2H148BG01
2H148BG02
2H148BG06
2H148BH01
2H391AA12
2H391AB04
2H391AB34
2H391AC10
2H391AC53
2H391EA02
2K101AA04
2K101AA22
2K101BA01
2K101DA01
2K101EA02
2K101EA11
2K101EA51
2K101EA56
2K101EG52
(57)【要約】
量子ドットフィルムは、複数の密閉されたマイクロセルを含む。マイクロセルは、ポリマー材料の層内に形成され、密閉材料で密閉され得る。マイクロセルは、溶媒および複数の量子ドットの分散体も含み得る。量子ドットフィルムの作製方法は、複数のオープンマイクロセルを有するポリマー材料の層を提供することと、溶媒および複数の量子ドットの分散体を複数のオープンマイクロセルに充填することと、マイクロセルを密閉することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の密閉されたマイクロセルを備える量子ドットフィルムであって、前記マイクロセルは、ポリマー材料の層内に形成され、密閉材料で密閉されており、前記マイクロセルは、溶媒および複数の量子ドットを含む分散体を含む、量子ドットフィルム。
【請求項2】
前記ポリマー材料は、熱可塑性材料および熱硬化性材料からなるグループから選択される、請求項1に記載の量子ドットフィルム。
【請求項3】
前記密閉材料は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ゼラチン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーおよびその誘導体、ポリ(ビニルピロリドン)およびそのコポリマー、多糖類およびその誘導体、メラミン-ホルムアルデヒド、ポリ(アクリル酸)およびその塩形態およびコポリマー、ポリ(メタクリル酸)およびその塩形態およびコポリマー、ポリ(マレイン酸)およびその塩形態およびコポリマー、ポリ(メタクリル酸2-ジメチルアミノエチル)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(アリルアミン)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリメタクリルアミド、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、第4級アンモニウム基で官能基化されたカチオンポリマー、ポリウレタン水分散体、ならびにラテックス水分散体からなるグループから選択される、請求項1に記載の量子ドットフィルム。
【請求項4】
前記密閉材料は、光透過性を有する、請求項3に記載の量子ドットフィルム。
【請求項5】
前記溶媒は、液体を含む、請求項1に記載の量子ドットフィルム。
【請求項6】
前記分散体は、0.01~10%wtの量子ドットを含む、請求項1に記載の量子ドットフィルム。
【請求項7】
前記量子ドットは、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、およびCdTe/ZnSからなるグループから選択されるナノ結晶を含む、請求項1に記載の量子ドットフィルム。
【請求項8】
請求項1に記載の量子ドットフィルムを備える電気光学ディスプレイ。
【請求項9】
発光層およびカラーフィルタ層をさらに備え、前記量子ドットフィルムは、前記発光層と前記カラーフィルタ層との間に配置される、請求項8に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項10】
液晶、誘電泳動分散体、およびエレクトロクロミック材料からなるグループから選択されるシャッター媒体の層をさらに備える、請求項9に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項11】
量子ドットフィルムを作製する方法であって、
複数のオープンマイクロセルを有するポリマー材料の層を提供することと、
溶媒および複数の量子ドットを含む分散体を前記複数のオープンマイクロセルに充填することと、
前記マイクロセルを密閉することと
を含む方法。
【請求項12】
前記提供するステップは、前記複数のオープンマイクロセルを前記ポリマー材料の層内にエンボス加工することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記分散体は、硬化性化合物をさらに含み、前記密閉するステップは、密閉層を形成し、前記密閉されたマイクロセル内に前記溶媒および前記複数の量子ドットを含むように前記硬化性化合物を硬化させることを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年10月6日に出願された米国仮出願第62/568,909号に関し、その優先権を主張する。前述の出願の開示全体は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、量子ドットフィルムに関する。より特定すると、一局面では、本発明は、量子ドットフィルムを含むディスプレイシステムに関する。別の局面では、本発明は、量子ドットフィルムの作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
量子ドットは、電流または光の印加時に特定の周波数の光を発するナノ材料でできた粒子である。量子ドットによって発せられる光の周波数は、ドットのサイズ、形状、材料の種類を変化させることによって変動させられ得る。向上した色正確性に関する潜在力のため、量子ドットの1つの応用は、電気光学ディスプレイ、特にLEDディスプレイである。
【0004】
本明細書では、材料またはディスプレイに適用される「電気光学」という用語は、少なくとも1つの光学特性において異なる第1および第2の表示状態を有する材料を指すようにイメージング技術におけるその従来の意味で使用され、材料は、材料への電界の印加によってその第1の表示状態からその第2の表示状態に変化させられる。光学特性は、典型的には人間の目にとって知覚可能な色であるが、光透過率、反射率、ルミネセンス、または、機械読み取りのために意図されたディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化の意味での疑似色などの別の光学特性であり得る。
【0005】
量子ドットは、一般的に、バックライトユニットとRed-Green-Blue(RGB)カラーフィルタとの間に積層されたフィルムの形態で提供されることによってLEDディスプレイに組み込まれる。バックライトユニットは、青色LEDを備え、発せられた青色光の一部は、量子ドットフィルムを通過した後に赤色および緑色光に変換される。したがって、量子ドットフィルムを出てカラーフィルタに入る光は、赤色、緑色、または青色光の実質的に増加させられた部分を含む。結果として、カラーフィルタによって吸収される光量は、減少させられる。
【0006】
量子ドットフィルムは、エポキシなどのポリマーに量子ドットをブレンドし、ポリマー-量子ドットブレンドの層の両側にバリア層を適用することによって製造される。硬化したポリマーおよびバリア層は、酸素および水から量子ドットを密閉し、これは、時間の経過とともに材料を劣化させ得る。しかしながら、均質性、分散性、および性能損失(量子収率および信頼性)などの、量子ドットとポリマーとの混合に固有の困難が頻繁に存在する。そのため、向上した量子ドットフィルムに関する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
本発明の第1の実施形態によると、量子ドットフィルムは、複数の密閉されたマイクロセルを含み得る。マイクロセルは、ポリマー材料の層内に形成され、密閉材料で密閉され得る。マイクロセルは、溶媒および複数の量子ドットを含む分散体も含み得る。
【0008】
本発明の第2の実施形態によると、量子ドットフィルムの作製方法は、複数のオープンマイクロセルを有するポリマー材料の層を提供することと、溶媒および複数の量子ドットを含む分散体を複数のオープンマイクロセルに充填することと、マイクロセルを密閉することとを含み得る。
【0009】
本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の説明に照らして明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(図面の簡単な説明)
図面は、限定ではなく例のみによって、本発明の概念による1つまたはそれより多くの実装形態を描写する。図において、同様の参照数字は、同一または類似の要素を指す。
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による量子ドットフィルムの側面断面図である。
【0012】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による量子ドットフィルムを組み込んだディスプレイを示す側面断面図である。
【0013】
図1および
図2は、本発明の様々な実施形態の理解の容易性のために縮尺通りに描かれていない概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
以下の詳細な説明では、関連する教示の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が、例によって記述されている。しかしながら、本教示がそのような詳細を伴わずに実施され得ることは、当業者に明らかであるべきである。
【0015】
一般に、本発明の様々な実施形態は、ポリマー/量子ドットブレンドを排除することによって、向上した量子ドットフィルムを提供する。本発明の様々な実施形態によるフィルムは、量子ドットフィルムを複数の封止されたマイクロセル内に封入する。量子ドットの分散体は、様々な方法を使用して光学フィルム内に封止され得る。例えば、ディスプレイシステムに組み込まれる材料は、マサチューセッツ工科大学(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC、および関連企業に譲渡された、または、関連企業の名前における多数の特許および出願に記載されている。様々な技術が、封止された媒体およびマイクロセル電気泳動媒体および他の電気光学媒体を使用する。これらの特許および出願に記載された技術は、以下を含み、それらの全体が、参照によって本明細書に援用される。
(a)電気泳動粒子、流体および流体添加剤。例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号を参照。
(b)カプセル、バインダー、封止プロセス。例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号を参照。
(c)マイクロセル構造、壁材、およびマイクロセルを形成する方法。例えば、米国特許第6,672,921号、第6,751,007号、第6,753,067号、第6,781,745号、第6,788,452号、第6,795,229号、第6,806,995号、第6,829,078号、第6,833,177号、第6,850,355号、第6,865,012号、第6,870,662号、第6,885,495号、第6,906,779号、第6,930,818号、第6,933,098号、第6,947,202号、第6,987,605号、第7,046,228号、第7,072,095号、第7,079,303号、第7,141,279号、第7,156,945号、第7,205,355号、第7,233,429号、第7,261,920号、第7,271,947号、第7,304,780号、第7,307,778号、第7,327,346号、第7,347,957号、第7,470,386号、第7,504,050号、第7,580,180号、第7,715,087号、第7,767,126号、第7,880,958号、第8,002,948号、第8,154,790号、第8,169,690号、第8,441,432号、第8,582,197号、第8,891,156号、第9,279,906号、第9,291,872号、および第9,388,307号、ならびに米国特許出願公開第2003/0175480号、第2003/0175481号、第2003/0179437号、第2003/0203101号、第2013/0321744号、第2014/0050814号、第2015/0085345号、第2016/0059442号、第2016/0004136号、および第2016/0059617号に記載されている。
(d)マイクロセルを充填および密閉する方法。例えば、米国特許第6,545,797号、第6,751,008号、第6,788,449号、第6,831,770号、第6,833,943号、第6,859,302号、第6,867,898号、第6,914,714号、第6,972,893号、第7,005,468号、第7,046,228号、第7,052,571号、第7,144,942号、第7,166,182号、第7,374,634号、第7,385,751号、第7,408,696号、第7,522,332号、第7,557,981号、第7,560,004号、第7,564,614号、第7,572,491号、第7,616,374号、第7,684,108号、第7,715,087号、第7,715,088号、第8,179,589号、第8,361,356号、第8,520,292号、第8,625,188号、第8,830,561号、第9,081,250号、および第9,346,987号、ならびに米国特許出願公開第2002/0188053号、第2004/0120024号、第2004/0219306号、第2006/0132897号、第2006/0164715号、第2006/0238489号、第2007/0035497号、第2007/0036919号、第2007/0243332号、第2015/0098124号、および第2016/0109780号に記載されている。
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ。例えば、米国特許第6,825,829号、第6,982,178号、第7,112,114号、第7,158,282号、第7,236,292号、第7,443,571号、第7,513,813号、第7,561,324号、第7,636,191号、第7,649,666号、第7,728,811号、第7,729,039号、第7,791,782号、第7,839,564号、第7,843,621号、第7,843,624号、第8,034,209号、第8,068,272号、第8,077,381号、第8,177,942号、第8,390,301号、第8,482,835号、第8,786,929号、第8,830,553号、第8,854,721号、第9,075,280号、および第9,238,340号、ならびに米国特許出願公開第2007/0237962号、第2009/0109519号、第2009/0168067号、第2011/0164301号、第2014/0115884号、および第2014/0340738号に記載されている。
(f)ディスプレイに使用されるバックプレーン、接着剤層、および他の補助層および方法。例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号を参照。
(g)色形成および色調整。例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号を参照。
(h)ディスプレイを駆動する方法。例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号を参照。
(i)ディスプレイの応用例。例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号を参照。
(j)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号に記載の非電気泳動ディスプレイ、ならびに、ディスプレイ以外の封止およびマイクロセル技術の応用例。例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号を参照。
【0016】
ここで、
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による量子ドットフィルム10が、図示されている。量子ドットフィルム10は、例えば、マイクロセルのパターンがエンボス加工された光透過性ポリマー材料11の層を備えてもよい。パターンは、例えば、円形、楕円形、立方体、六角形などの多様な幾何学的構成において複数のマイクロセルを提供してもよい。流体溶媒16中の好ましくは均質な量子ドット18、19の分散体が、各マイクロセル内にあり、分散体は、好ましくは液体である。分散体は、光透過性密閉層14でマイクロセル内に密閉され、光透過性密閉層14は、好ましくは硬化性材料から作られる。ポリマー材料11、溶媒16、および密閉層14の屈折率は、好ましくは非常によく一致させられる。
【0017】
複数のマイクロセルを提供されるポリマー材料の層は、アクリレート、メタクリレート、アリル、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、多官能エポキシドおよびそのオリゴマーまたはポリマーなどを含む(が、これらに限定されない)熱可塑性もしくは熱硬化性材料、またはその前駆体などを含み得るが、これらに限定されない。多官能アクリレートおよびそのオリゴマーが、よく使用される。多官能エポキシドと多官能アクリレートの組み合わせも、マイクロセルの望ましい物理機械的特性を実現するために有用である。フィルムの耐屈曲性を向上させるために、ウレタンアクリレートやポリエステルアクリレートなどの柔軟性を付与する低いTg(ガラス転移温度)のバインダーまたは架橋性オリゴマーも、添加され得る。
【0018】
複数のマイクロセルを備えるポリマー材料の層は、柔軟な基板を提供し、それによって、量子ドットを含む分散体をマイクロセルに充填するために、様々な印刷またはコーティング技術の使用を可能にし、それらのいくつかは、安価であり得る。(「印刷」という単語の使用は、印刷およびコーティングの全ての形態を含むことを意図されているが、これらに限定されない。事前計量コーティング(パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティングなど)、ロールコーティング(ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティングなど)、グラビアコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、空気ナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動堆積(米国特許第7,339,715号を参照)、ならびに他の類似の技術。)さらに、得られる量子ドットフィルムは柔軟であり得るため、フレキシブルディスプレイに組み込まれ得る。
【0019】
ポリマー材料は、極性オリゴマーまたはポリマー材料も含み得る。そのような極性オリゴマーまたはポリマー材料は、ニトロ(-NO2)、ヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COO)、アルコキシ(-OR、Rはアルキル基)、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)、シアノ(-CN)、スルホン酸(-SO3)などのグループのうちの少なくとも1つを有するオリゴマーまたはポリマーからなるグループから選択されてもよい。極性ポリマー材料のガラス転移温度は、好ましくは約100℃より下であり、より好ましくは約60℃より下である。好適な極性オリゴマーまたはポリマー材料の特定の例は、ポリヒドロキシ官能基化ポリエステルアクリレート(BDE 1025、Bomar Specialties Co、Winsted、CTなど)、または、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート(例えば、SR504、Sartomer Company)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、SR9035、Sartomer Company)またはエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、SR494、Sartomer Companyから)などのアルコキシル化アクリレートを含み得るが、これらに限定されない。
【0020】
あるいは、重合体は、(a)少なくとも1つの二官能性UV硬化性成分、(b)少なくとも1つの光重合開始剤、および(c)少なくとも1つの離型剤を含んでもよい。好適な二官能性成分は、約200より高い分子量を有してもよい。二官能性アクリレートが、好ましく、ウレタンまたはエトキシル化バックボーンを有する二官能性アクリレートが、具体的に好ましい。より特定すると、好適な二官能性成分は、ジエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR230)、トリエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR272)、テトラエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR268)、ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR295、SR344またはSR610)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(例えば、SartomerからのSR603、SR644、SR252またはSR740)、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、SartomerからのCD9038、SR349、SR601またはSR602)、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート(例えば、SartomerからのCD540、CD542、SR101、SR150、SR348、SR480またはSR541)、およびウレタンジアクリレート(例えば、SartomerからのCN959、CN961、CN964、CN965、CN980またはCN981、CytecからのEbecryl 230、Ebecryl 270、Ebecryl 8402、Ebecryl 8804、Ebecryl 8807またはEbecryl 8808)を含み得るが、これらに限定されない。好適な光重合開始剤は、ビスアシルホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-イソプロピル-9H-チオキサンテン・9-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、および1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1、2-ジフェニルエタン-1-オンまたは2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オンを含み得るが、これらに限定されない。好適な離型剤は、シリコンアクリレート(例えば、CytecからのEbecryl 1360またはEbecryl 350)、シリコンポリエーテル(例えば、MomentiveからのSilwet 7200、 Silwet 7210、 Silwet 7220、 Silwet 7230、 Silwet 7500、 Silwet 7600またはSilwet 7607)などの有機修飾シリコンコポリマーを含むが、これらに限定されない。組成物は、以下の成分、すなわち、共開始剤、単官能UV硬化性成分、多官能UV硬化性成分または安定剤のうちの1つまたはそれより多くをさらに随意に含んでもよい。
【0021】
ポリマー材料にマイクロセルを提供する好ましい方法は、米国特許第6,930,818号に記載された方法など、ポリマー材料の1つの面に微細構造のパターンを適用することによるものであり、米国特許第6,930,818号の内容全体は、参照によって本明細書に援用される。例えば、ロールツーロールプロセスにおいてポリマー材料の連続したシートをエンボス加工するために、その外面に三次元パターンを有するドラムが、使用され得る。ドラムの表面上のパターンは、例えば、複数のマイクロポストの形態であってもよい。
【0022】
分散体中の量子ドット材料は、1つまたはそれより多くの粒子径を有する1つまたはそれより多くの微粒子材料を含んでもよい。本発明の好ましい実施形態では、量子ドット材料は、青色光にさらされると、緑色光および赤色光の両方を発する。量子ドット材料は、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSナノ結晶などのCdSeコア/シェル発光ナノ結晶を含み得るが、これらに限定されない。
【0023】
量子ドット材料は、好ましくは、実質的に可視光の波長未満の直径を有するナノ粒子の形態で提供される。本明細書では、「直径」という用語は、非球状粒子の「相当直径」として通常知られるものを含むように使用される。本発明で使用されるナノ粒子は、球状である必要はなく、または本質的に球状である必要さえない。ナノ粒子ディスプレイの特性におけるバリエーションは、非球形および複合粒子、例えば、1つの材料のコアが異なる材料のシェルによって囲まれている粒子を使用して実現されることができ、本発明は、そのような非球形および/または複合粒子を使用したナノ粒子ディスプレイおよびアセンブリにまで及ぶ。
【0024】
本発明で使用される非球状ナノ粒子(典型的には、全体または一部が導電性材料から形成される)は、多種多様な形状を有してもよい。例えば、そのような粒子は、全ての異なる長さの3つの主軸を有する楕円体の形態を有してもよく、または、扁平もしくは偏長の回転楕円体であってもよい。あるいは、非球状ナノ粒子は、形態において層状であり得、本明細書において、「層状」という用語は、1つの軸に沿った最大寸法が実質的に他の2つの軸の各々に沿った最大寸法未満である集まりを示すように、広義で使用され、したがって、そのような層状ナノ粒子は、写真フィルムにおいてよく知られているタブ状ハロゲン化銀粒子に類似の形態を有し得る。非球状ナノ粒子は、ピラミッドもしくは円錐のフラスタの形態、または細長いロッドの形態を有してもよい。最後に、ナノ粒子は、不規則な形状であってもよい。本発明で使用される複合(コア/シェル)ナノ粒子は、前段落で検討された形態のいずれを有してもよく、典型的には、絶縁コアの周りの導電性シェル、または導電性コアの周りの電気絶縁性シェルを備える。絶縁性コアは、例えば、シリコン、チタニア、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、様々な無機塩、または硫黄から形成されてもよい。上で検討された単純なナノ粒子と同様に、複合ナノ粒子は、例えば、粒子が互いに接着する程度、または、それらが接触する任意の表面に粒子が接着する程度を制御するために表面修飾を受けてもよい。表面修飾の1つの好ましいタイプは、ナノ粒子の表面へのポリマーの付着である。
【0025】
先に述べられたように、本発明の様々な実施形態の局面の1つは、量子ドットがマイクロセル内に封入されたとき、分散体の形態で残っていてもよいことである。本明細書に記載される、マイクロセルを充填するために使用される分散体は、好ましくは、所与の順序で増加する優先度で、0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5%wt未満でない量子ドットを備え得、独立して、好ましくは、所与の順序で増加する優先順位で、少なくとも経済のために、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10%wtを超えない量子ドットを備え得る。
【0026】
溶媒は、流体であってもよく、好ましくは無色透明な液体であり、より好ましくは、光透過性マイクロセルおよび/または密閉層の屈折率と一致する屈折率を有する流体である。好適な溶媒の例は、ヘキサン、イソパー、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体などの炭化水素、トルエン、キシレン、フェニルキシリレン、ドデシルベンゼンまたはアルキルナフタレンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、パーフルオロデカリン、パーフルオロトルエン、パーフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロベンゼン、ジクロルノナンまたはペンタクロロベンゼンなどのハロゲン化溶剤、ならびに、3M Company, St.Paul MNからのFC-43、FC-70またはFC-5060、オレゴン州ポートランドのTCI Americaからのポリ(パーフルオロプロピレンオキシド)などの低分子量ハロゲン含有ポリマー、ニュージャージー州リバーエッジのHalocarbon Product Corp.からのHalocarbon Oilsなどのポリ(クロロトリフルオロ-エチレン)、AusimontからのGaldenまたはデラウェア州のDuPontからのKrytox OilsおよびGreases K-Fluid Series、Dow-corningからのポリジメチルシロキサン系シリコンオイル(DC-200)などのパーフルオロポリアルキルエーテルを含む。
【0027】
マイクロセルを密閉するための密閉材料の層は、様々な技術を使用して適用され得る。例えば、密閉は、熱可塑性または熱硬化性前駆体を分散流体中に分散させることによって達成されてもよく、熱可塑性または熱硬化性前駆体は、分散流体中で非混和であり、ディスプレイ流体の比重より低い比重を有する。前駆体/分散体混合物をマイクロセルに充填した後、前駆体相は、分散体から分離し、上澄み層を形成し、上澄み層は、次に、溶媒蒸発、界面反応、水分、熱または放射線によって固化または硬化させられる。熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂およびその前駆体の特定の例は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、セルロース、ゼラチンなどの材料を含み得る。ディスプレイの物理機械的特性および光学特性を向上させるために、ポリマーバインダーまたは増粘剤、光重合開始剤、触媒、加硫剤、充填剤、着色剤、界面活性剤などの添加物が、密閉組成物に添加されてもよい。
【0028】
別のより好ましい方法では、密閉は、その後に乾燥される分散体充填マイクロセル上に、水性組成物を備える密閉層を適用することによって達成されてもよい。水性組成物において、密閉材料は、水溶性ポリマーの水溶液であってもよい。好適な水溶性ポリマーまたは水溶性ポリマー前駆体の例は、ポリビニルアルコール;ポリエチレングリコール、そのポリプロピレングリコールとのコポリマーおよび例えばPEG-PPG-PEG、PPG-PEG、PPG-PPGなどのその誘導体、ポリ(ビニルピロリドン)およびポリ(ビニルピロリドン)/酢酸ビニル(PVP/VA)などのそのコポリマー、セルロースおよびその誘導体、ポリ(グルコサミン)、デキストラン、グアーガム、デンプンなどの多糖類、ゼラチン、メラミン-ホルムアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、その塩形態およびそのコポリマー、ポリ(メタクリル酸)、その塩形態およびそのコポリマー、ポリ(マレイン酸)、その塩形態およびそのコポリマー、ポリ(メタクリル酸2-ジメチルアミノエチル)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(アリルアミン)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリメタクリルアミド、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2-メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(アリルアミンヒドロクロライド)などの第4級アンモニウム基で官能基化されたカチオン性ポリマーなどを含み得るが、これらに限定されない。シール材は、水中に分散した水分散性ポリマーも含んでもよい。好適なポリマー水分散体の例は、ポリウレタン水分散体およびラテックス水分散体を含み得る。水分散体における好適なラテックスは、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニルおよびそのエチレン酢酸ビニルなどのコポリマー、ならびにポリスチレンブタジエンおよびポリスチレン/アクリレートなどのポリスチレンコポリマーを含む。
【0029】
再び
図1を参照すると、量子ドットフィルム10は、単一のまたはより好ましくは二重の剥離シート12、13を随意に含んでもよい。剥離シート12、13は、好ましくは、マイクロセルが硬化、充填、および密閉された後に適用され、それによって、ポリマー材料のシートは、2つの接着剤層の間に挟まれ、接着剤層の一方または両方が、剥離シートによって覆われる。ポリマー材料シートに1つまたはそれより多くの剥離シートを設けることによって、量子ドットフィルムは、電気光学ディスプレイを組み立てるためのラミネート工程においてより容易に使用され得る。
【0030】
例えば、ここで
図2の実施形態を参照すると、電気光学ディスプレイ20は、複数の積層された層を含んでもよく、層のうちの1つは、先に説明されたように、量子ドットフィルム23である。量子ドットフィルム23は、バックライトユニット22とカラーフィルタ24との間に積層されてもよい。バックライトユニット22は、量子ドットフィルム23を介して光を導くために、反射基板21に随意に積層されてもよい。バックライトユニット22は、好ましくは、1つまたはそれより多くの青色LEDと、ディスプレイ20全体に光を均一に分布させるように構成された導光板とを含む。
【0031】
シャッター媒体26の層は、カラーフィルタ24が量子ドットフィルム23とシャッター媒体26との間にあるように、カラーフィルタ24に積層されてもよい。シャッター媒体は、一般に光を通さない状態と不透明な状態との間で切り替え可能な任意の電気光学媒体を含んでもよい。バックライトユニット22から発せられた青色光は、量子ドットフィルム23を通過し、量子ドットフィルム23は、青色光の一部を赤色光および緑色光に変換する。赤色光、緑色光、青色光は、カラーフィルタ24に入り、カラーフィルタの区分に応じてフィルタリングされ、フィルタは、カラーフィルタの区分を通して通過させる。例えば、「R」部分は、緑色光および青色光を吸収し、赤色光が通過することを可能にし、「G」部分は、赤色光および青色光を吸収し、緑色光が通過することを可能にし、「B」部分は、赤色光および緑色光を吸収し、青色光が通過することを可能にする。カラーフィルタ24の各区分の上方のシャッター媒体は、赤、緑、および青の光の組み合わせおよび/または選択がディスプレイを通過し、最終的にディスプレイによって放射されることを可能にするように独立して切り替えられ得る。シャッター層として使用され得る電気光学媒体の種類は、液晶、エレクトロクロミック材料、および二電気泳動分散体を含むが、これらに限定されない。
【0032】
シャッター媒体を制御するために、一連の光透過性電極25が、シャッター媒体の層26とカラーフィルタ24との間に提供されてもよく、連続した光透過性前面電極27が、シャッター媒体の層26の反対面に対して適用されてもよい。光透過性電極は、例えばアルミニウムまたはITOの薄い金属または金属酸化物層であってもよく、または導電性ポリマーであってもよい。最後に、光透過性保護層28が、ディスプレイ20の外側ビュー面として提供されてもよい。
【0033】
当業者に理解されるように、
図2に図示された実施形態は、図示されたものより多いまたは少ない層を含んでもよい。例えば、追加の接着剤層が、層の各々の間に組み込まれてもよい。あるいは、カラーフィルタ層24および複数の光透過性電極25は、電極が光透過性着色導電材料から作製されるように、1つの層に組み合わされてもよい。さらに別の変形例では、連続した電極層27がシャッター層26とカラーフィルタ24との間に挟まれ、複数の光透過性電極25が前面保護層28に隣接するように、2つの電極層25および27が逆になっていてもよい。
【0034】
上記に開示された刊行物の内容の全ては、参照によって本明細書に援用される。
【0035】
本発明がその特定の実施形態を参照して説明されてきたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ、均等物が置換されてもよいことが、当業者によって理解されるべきである。さらに、具体的な状況、材料、組成物、プロセス、プロセスステップまたは段階を本発明の目的および範囲に適合させるために、多くの変更がなされ得る。そのような全ての変更は本明細書に付属の特許請求の範囲内にあることが、意図されている。
【国際調査報告】