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特表2023-520938バイオベース基油を含む潤滑油組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】バイオベース基油を含む潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 107/02 20060101AFI20230515BHJP
   C10M 159/22 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 159/24 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 129/10 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 129/54 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 135/10 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 137/10 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 139/00 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 133/16 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 133/56 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 159/20 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 129/26 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 135/18 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 133/04 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 133/54 20060101ALI20230515BHJP
   C10M 105/32 20060101ALI20230515BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 10/12 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 40/12 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 40/00 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 30/10 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 30/04 20060101ALN20230515BHJP
   C10N 30/08 20060101ALN20230515BHJP
【FI】
C10M107/02 ZBP
C10M159/22 ZHV
C10M159/24 ZAB
C10M129/10
C10M129/54
C10M135/10
C10M137/10 A
C10M139/00 Z
C10M133/16
C10M133/56
C10M159/20
C10M129/26
C10M135/18
C10M133/04
C10M133/54
C10M105/32
C10N10:04
C10N10:12
C10N40:04
C10N40:08
C10N40:25
C10N40:12
C10N40:00 A
C10N40:30
C10N50:10
C10N30:00 Z
C10N30:10
C10N30:04
C10N30:08
C10N30:00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562095
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 IB2021052936
(87)【国際公開番号】W WO2021205385
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/007,979
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598037547
【氏名又は名称】シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】391050525
【氏名又は名称】シェブロンジャパン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522396296
【氏名又は名称】シェブロン (チャイナ) ケミカルズ カンパニー、リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】501381217
【氏名又は名称】シェブロン・オロナイト・テクノロジー・ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボッファ 、アレクサンダー ボウマン
(72)【発明者】
【氏名】エリオット、イアン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ジョン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ニューウェル、ジェニファー エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】シュッツェンデロヴィッツ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】カラベル、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ムールハッチ、ラモウン
(72)【発明者】
【氏名】チョムメルークス、クレア
(72)【発明者】
【氏名】ボールール、アラシュ
(72)【発明者】
【氏名】ギル、ミア
(72)【発明者】
【氏名】トゥー、シャオミン ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】久保 浩一
(72)【発明者】
【氏名】田中 勲
(72)【発明者】
【氏名】服部 大輝
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ガン
(72)【発明者】
【氏名】ホーゲンド―ルン、リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】クレイジェット、ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】ファン レーウェン、イェルーン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ホウテン、ヴィルヘルムス ペトルス
(72)【発明者】
【氏名】ボーンス、コルネリス ヘンドリクス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、ディーン エス.
(72)【発明者】
【氏名】パラッツォット、ジョン ディー.
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA02A
4H104BA07A
4H104BB05C
4H104BB14C
4H104BB24C
4H104BB31A
4H104BB33A
4H104BB41A
4H104BE01C
4H104BE11C
4H104BF01C
4H104BF03C
4H104BG06C
4H104BG10C
4H104BH07C
4H104BJ07C
4H104CA00
4H104CB14A
4H104DB05C
4H104DB06C
4H104DB07C
4H104EA03A
4H104EB05
4H104EB07
4H104EB08
4H104EB09
4H104FA06
4H104LA02
4H104LA04
4H104LA05
4H104LA12
4H104LA20
4H104PA02
4H104PA03
4H104PA05
4H104PA07
4H104PA09
4H104PA20
4H104PA42
4H104PA44
4H104PA49
4H104QA18
(57)【要約】
本発明は、一般に、バイオベース基油を含む潤滑油組成物及び当該潤滑油組成物でエンジンを潤滑する方法に関する。エンジンにおける当該潤滑油組成物の使用もまた開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオベース基油を含む潤滑油組成物であって、前記バイオベース基油は、下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記潤滑油組成物。
【請求項2】
前記組成物が摩耗防止剤、洗浄剤、分散剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、増粘剤、または酸化防止剤をさらに含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
前記組成物がカルシウム洗浄剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
前記カルシウム洗浄剤は、スルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤である、請求項3に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
前記カルシウム洗浄剤は、中性、低過塩基性、中過塩基性、高過塩基性もしくは超高過塩基性のスルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤のうちの1つ以上である、請求項3に記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
前記組成物がマグネシウム洗浄剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
前記マグネシウム洗浄剤は、スルホン酸マグネシウムまたはサリチル酸マグネシウム洗浄剤である、請求項6に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
前記組成物が異性化ノルマルアルファ-オレフィン由来の洗浄剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
前記カルシウム洗浄剤のアルキル置換基は、分子あたり12~40個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンから由来する、請求項8に記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
前記カルシウム洗浄剤のアルキル置換基は、分子あたり14~28個の炭素原子を有する異性化ノルマルアルファ-オレフィンから由来する残基である、請求項8に記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
前記異性化ノルマルアルファ-オレフィンは、約0.1~約0.4の前記ノルマルアルファ-オレフィンの異性化レベル(I)を有し、前記オレフィンの異性化レベル(I)は、TopSpin 3.2スペクトル処理ソフトウェアを使用して400MHzでクロロホルム-d1中のBruker Ultrashield Plus 400で得られた水素-1(1H)NMRによって決定され、前記異性化レベル(I)は、以下の式で表され、
I=m/(m+n)
mは0.3±0.03~1.01±0.03ppmの化学シフトを有するメチル基のNMR積分であり、nは1.01±0.03~1.38±0.10ppmの化学シフトを有するメチレン基のNMR積分である、請求項8に記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
前記組成物が無灰洗浄剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
前記潤滑油組成物は、スルホン酸マグネシウム洗浄剤と、サリチル酸カルシウム洗浄剤との両方をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項14】
前記潤滑油組成物は、スルホン酸マグネシウム洗浄剤と、カルシウムフェネート及びスルホン酸カルシウムから選択されるカルシウム洗浄剤とをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項15】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の重量に対して、約200~約3000ppmのカルシウムをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項16】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の重量に対して、約100~約2000ppmのマグネシウムをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項17】
前記潤滑油組成物は、脂肪酸源に由来する有機摩擦調整剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項18】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、1.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項19】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、2.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項20】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、3.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項21】
前記潤滑油組成物は、C/C第二級ZnDTP、C3/C6第一級、C12アリール、C4/C8第一級、C3/C6第二級、C3/C8第二級、及びC第一級ZnDTPから選択される耐摩耗添加剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項22】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記有機モリブデン化合物が硫黄含有有機モリブデン化合物または硫黄非含有有機モリブデン化合物である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項23】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記モリブデン化合物がモリブデン-コハク酸イミド複合体である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項24】
前記モリブデン-コハク酸イミド複合体は、C24~C350のアルキルまたはアルケニルコハク酸イミドから由来する、請求項23に記載の潤滑油組成物。
【請求項25】
前記コハク酸イミドは、C70~C128のポリイソブテニルコハク酸無水物と、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びそれらの組み合わせから選択されるポリアルキレンポリアミンとの反応から誘導されるポリイソブテニルコハク酸イミドである、請求項23または24に記載の潤滑油組成物。
【請求項26】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記モリブデン化合物は、モリブデンジチオカルバメート、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンカルボキシレート、モリブデンエステル、モリブデンアミン、モリブデンアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~22のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項27】
前記潤滑油組成物は、粘度指数が200を超え、かつノアック(NOACK)揮発性が15%未満である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項28】
前記潤滑油組成物は、粘度指数が250を超え、かつノアック揮発性が15%未満である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項29】
前記潤滑油は、自動車用エンジンオイル(火花または圧縮点火、直接またはポート噴射)、ハイブリッドエンジンオイル、ハイブリッド車用油の電気モータ/バッテリーシステムに結合されたエンジン、船舶用油、ギア油、農機油、無段変速機油、手動変速機油、自動変速機油、電気車変速機油、移動用天然ガス油、定置用天然ガス油、動力鉄道エンジンオイル、発電用油、油圧油、二重燃料油、トラクタ油圧油、耐摩耗性油圧油、ハイブリッドドライブライン油、オートバイ油、グリース、減圧または高真空下で使用されるグリース、減速機用グリース、油圧機器用グリース、航空機に使用されるベアリング用グリース、ロケット用グリース、宇宙機器用グリース、ロボットの関節用グリース、または真空ポンプ潤滑油組成物である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項30】
前記潤滑油組成物は、生物由来燃料、エタノール、またはメタノールによって部分的もしくは完全に燃料供給されるエンジン用潤滑油組成物である、請求項29に記載の潤滑油組成物。
【請求項31】
0W-4、0W-8、0W-12、0W-16、0W-20、0W-30、0W-40、5W-20、または5W-30の大型車または乗用車用潤滑油組成物であって、
(a)1~99重量%のバイオベース基油であって、
下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、mは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
分子量が、300g/mol~1500g/molの範囲にある、
前記バイオベース基油と、
(b)1~99重量%の2次基油と、
(c)少量の分散防止剤添加剤パッケージとを含む、前記潤滑油組成物。
【請求項32】
前記2次基油は、約2cSt~約30cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【請求項33】
前記2次基油は、約2cSt~約10cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【請求項34】
前記2次基油は、約2cSt~約6cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【請求項35】
前記2次基油は、約2cSt~約4cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【請求項36】
前記2次基油は、約2cSt~約3cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【請求項37】
前記潤滑油は、前記潤滑油組成物に対して、硫酸灰分が0.8重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満である自動車用潤滑剤である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項38】
前記潤滑油は、前記潤滑油組成物に対して、リン含有量が0.08重量%未満、0.07重量%未満、0.06重量%未満、0.05重量%未満、0.04重量%未満、0.03重量%未満、0.02重量%未満である自動車用潤滑剤である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項39】
前記真空ポンプ油はISO VG 32、46、または68である、請求項29に記載の潤滑油組成物。
【請求項40】
バイオベース基油を含むプロセス油であって、前記バイオベース基油は、下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記プロセス油。
【請求項41】
洗浄剤の製造における請求項40に記載のプロセス油の使用。
【請求項42】
バイオベース基油を含む希釈油であって、前記バイオベース基油は、下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記希釈油。
【請求項43】
洗浄剤の製造における請求項42に記載の希釈油の使用。
【請求項44】
添加剤濃縮物であって、
(a)バイオベース基油であって、
下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
分子量が、300g/mol~1500g/molの範囲にある、
前記バイオベース基油と、
(b)少量の潤滑添加剤とを含む、前記添加剤濃縮物。
【請求項45】
粘度指数向上剤濃縮物であって、
(a)バイオベース基油であって、
下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
分子量が、300g/mol~1500g/molの範囲にある、
前記バイオベース基油と、
(b)オレフィン共重合体、ジエン系共重合体、星型、くし型、または直鎖型のいずれでもよいポリ(メタ)アクリレート共重合体、及びブロック共重合体、ジブロック共重合体、もしくはトリブロック共重合体から選択される少量の粘度指数向上剤とを含む、前記粘度指数向上剤濃縮物。
【請求項46】
前記粘度指数向上剤は、分散剤粘度指数向上剤である、請求項45に記載の粘度指数向上剤濃縮物。
【請求項47】
バイオベース基油を含む溶媒であって、前記バイオベース基油は、下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記溶媒。
【請求項48】
エンジンにおけるタイミングチェーンの伸びを減少させる方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記タイミングチェーンを潤滑するステップを含む、前記方法。
【請求項49】
内燃エンジンにおける使用済み油の低速早期着火(LSPI)を改善する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項50】
内燃エンジンにおけるバイオディーゼル存在下での酸化を低下及び/または抑制する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項51】
請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物を配合することを含む、潤滑油組成物のノアック揮発性を抑制または低下する方法。
【請求項52】
内燃エンジンにおけるピストンの清浄度を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項53】
内燃エンジンにおけるピストンの堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項54】
内燃エンジンにおけるターボチャージャーの堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項55】
内燃エンジンにおける堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項56】
内燃エンジンにおけるオイルミスト分離器の清浄度(OMS)を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項57】
内燃エンジンにおける大型車(HD)または乗用車(PC)の精製油の燃費を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項58】
中間冷却器システム及びそれらの配管内の堆積物を減少させる、請求項53~57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
大型車(HD)または乗用車(PC)エンジンの燃費保持を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項60】
内燃エンジンにおけるシールエラストマー適合性を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項61】
内燃エンジンにおける酸化安定性を向上する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項62】
添加剤パッケージ安定性を向上する方法であって、以下の分子構造を有するバイオベース基油を前記パッケージに添加することを含み、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記方法。
【請求項63】
添加剤パッケージ溶解性を向上する方法であって、以下の分子構造を有するバイオベース基油を前記パッケージに添加することを含み、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記方法。
【請求項64】
内燃エンジンにおける潤滑油組成物の低温特性を改善する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含み、精製油及び使用済み油の両方の特性が、流動点、CCS、MRV、ゲル化指数、ROBO、Mack T10A/T11A/T12A試験によって決定される、前記方法。
【請求項65】
内燃エンジンにおける腐食を抑制する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項66】
内燃エンジンにおける泡の形成を抑制する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項67】
内燃エンジンにおける曝気制御を向上する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項68】
燃料及び/または水で汚染される、内燃エンジンにおけるエマルションを安定化させる方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項69】
内燃エンジンにおける摩擦を低下する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項70】
内燃エンジンにおけるスラッジ形成を低下する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項71】
内燃エンジンにおける精製油の摩耗性能を改善する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項72】
内燃エンジンにおける使用済み油の摩耗性能を改善する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項73】
内燃エンジンにおける油消費を低下する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項74】
オイルドレン間隔を延長する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項75】
ガソリン微粒子フィルター(GPF)、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、EGRシステム、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNOxトラップ(LNT)、または選択的触媒還元(SCR)から選択される後処理装置との互換性を向上する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項76】
CEC L-109-16及び またはL105-12試験で測定されるバイオディーゼル適合性を改善する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項77】
請求項1~29のいずれかに記載の天然ガスエンジン用潤滑油組成物を用いて天然ガスエンジンを運転するステップを含む、1つ以上のスチールピストンを備える前記天然ガスエンジンにおける堆積物形成を防止または抑制する方法。
【請求項78】
請求項1~29のいずれかに記載の潤滑油組成物でトラクタ油圧システムを潤滑することを含む、前記トラクタ油圧システムの低速での低トルク変動を維持しながら、ブレーキ及びクラッチ容量を改善する方法。
【請求項79】
前記潤滑油組成物は、船舶用潤滑油組成物であり、前記船舶用潤滑油組成物は、システム油、船舶用シリンダ潤滑油(MCL)、またはトランクピストン油(TPEO)組成物である、請求項1~28のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項80】
前記潤滑油組成物は、SAE20、30、40、50、または60モノグレードエンジンオイルに関する2015年1月改訂のSAE J300要件の仕様を満たすモノグレード潤滑剤であり、ASTM D2896によって決定される5~200mg KOH/gのTBNを有する、請求項79に記載の潤滑油組成物。
【請求項81】
前記潤滑油組成物は、5~200mg KOH/g、5~150mg KOH/g、5~100mg KOH/g、15~150mg KOH/g、20~80mg KOH/g、30~100mg KOH/g、30~80mg KOH/g、60~100mg KOH/g、60~150mg KOH/g、20~70mg KOH/g、15~55mg KOH/g、及び5~15mg KOH/gの範囲のうちの1つのTBMを有する、請求項79または80に記載の潤滑油組成物。
【請求項82】
前記組成物は、生物由来燃料、エタノール、もしくはメタノール、アンモニア、気体燃料、残留燃料、船舶用残留燃料、低硫黄船舶用残留燃料、船舶用留出燃料、低硫黄船舶用留出燃料、または高硫黄燃料によって部分的もしくは完全に燃料供給されるエンジン用組成物である、請求項79~81のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項83】
前記組成物は、250~1100rpmで運転される圧縮点火4ストローク内燃エンジン用組成物である、請求項79~82のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項84】
前記潤滑剤は、200rpm以下で運転される圧縮点火2ストローク内燃エンジン用潤滑油である、請求項79~82のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項85】
ディーゼル内燃エンジンの燃費を向上する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項86】
ディーゼル内燃エンジンの油消費を改善する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項87】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の低温特性を改善する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項88】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の中和能力を向上する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項89】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の摩耗性能を改善する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項90】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の酸化安定性を向上する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項91】
ディーゼル内燃エンジンにおけるスラッジ形成を低下する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項92】
ディーゼル内燃エンジンの粘度上昇制御を改善する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項93】
ディーゼル内燃エンジンにおけるスカッフィングを低下する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項94】
ディーゼル内燃エンジンにおける堆積物を減少させる方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項95】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の塩基度の減少の速度を低下する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項96】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の泡の形成を抑制する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項97】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物のアスファルテン分散性を向上する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項98】
潤滑油組成物の増粘方法であって、以下の分子構造を有するバイオベース基油を前記潤滑油組成物に添加することを含み、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記方法。
【請求項99】
潤滑油組成物の保存安定性を向上する方法であって、以下の分子構造を有するバイオベース基油を前記潤滑油組成物に添加することを含み、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記方法。
【請求項100】
バイオベース基油を含む潤滑油組成物であって、前記バイオベース基油が炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記潤滑油組成物。
【請求項101】
前記組成物が摩耗防止剤、洗浄剤、分散剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、増粘剤、または酸化防止剤をさらに含む、請求項100に記載の潤滑油組成物。
【請求項102】
前記組成物がカルシウム洗浄剤をさらに含む、請求項100または101に記載の潤滑油組成物。
【請求項103】
前記カルシウム洗浄剤は、スルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤である、請求項102に記載の潤滑油組成物。
【請求項104】
前記カルシウム洗浄剤は、中性、低過塩基性、中過塩基性、高過塩基性もしくは超高過塩基性のスルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤のうちの1つ以上である、請求項102に記載の潤滑油組成物。
【請求項105】
前記組成物がマグネシウム洗浄剤をさらに含む、請求項100~104のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項106】
前記マグネシウム洗浄剤は、スルホン酸マグネシウムまたはサリチル酸マグネシウム洗浄剤である、請求項105に記載の潤滑油組成物。
【請求項107】
前記組成物が異性化ノルマルアルファ-オレフィン由来の洗浄剤をさらに含む、請求項100~106のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項108】
前記カルシウム洗浄剤のアルキル置換基は、分子あたり12~40個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンから由来する、請求項107に記載の潤滑油組成物。
【請求項109】
前記カルシウム洗浄剤のアルキル置換基は、分子あたり14~28個の炭素原子を有する異性化ノルマルアルファ-オレフィンから由来する残基である、請求項107に記載の潤滑油組成物。
【請求項110】
前記異性化ノルマルアルファ-オレフィンは、約0.1~約0.4の前記ノルマルアルファ-オレフィンの異性化レベル(I)を有し、前記オレフィンの異性化レベル(I)は、TopSpin 3.2スペクトル処理ソフトウェアを使用して400MHzでクロロホルム-d1中のBruker Ultrashield Plus 400で得られた水素-1(1H)NMRによって決定され、前記異性化レベル(I)は、以下の式で表され、
I=m/(m+n)
mは0.3±0.03~1.01±0.03ppmの化学シフトを有するメチル基のNMR積分であり、nは1.01±0.03~1.38±0.10ppmの化学シフトを有するメチレン基のNMR積分である、請求項107に記載の潤滑油組成物。
【請求項111】
前記組成物が無灰洗浄剤をさらに含む、請求項100~110のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項112】
前記潤滑油組成物は、スルホン酸マグネシウム洗浄剤と、サリチル酸カルシウム洗浄剤との両方をさらに含む、請求項100~111のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項113】
前記潤滑油組成物は、スルホン酸マグネシウム洗浄剤と、カルシウムフェネート及びスルホン酸カルシウムから選択されるカルシウム洗浄剤とをさらに含む、請求項100~112のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項114】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の重量に対して、約200~約3000ppmのカルシウムをさらに含む、請求項100~113のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項115】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の重量に対して、約100~約2000ppmのマグネシウムをさらに含む、請求項100~114のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項116】
前記潤滑油組成物は、脂肪酸源に由来する有機摩擦調整剤をさらに含む、請求項100~115のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項117】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、1.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、請求項100~116のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項118】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、2.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、請求項100~117のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項119】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、3.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、請求項100~118のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項120】
前記潤滑油組成物は、C/C第二級ZnDTP、C3/C6第一級、C12アリール、C4/C8第一級、C3/C6第二級、C3/C8第二級、及びC第一級ZnDTPから選択される耐摩耗添加剤をさらに含む、請求項100~119のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項121】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記有機モリブデン化合物が硫黄含有有機モリブデン化合物または硫黄非含有有機モリブデン化合物である、請求項100~120のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項122】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記モリブデン化合物がモリブデン-コハク酸イミド複合体である、請求項100~121のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項123】
前記モリブデン-コハク酸イミド複合体は、C24~C350のアルキルまたはアルケニルコハク酸イミドから由来する、請求項122に記載の潤滑油組成物。
【請求項124】
前記コハク酸イミドは、C70~C128のポリイソブテニルコハク酸無水物と、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びそれらの組み合わせから選択されるポリアルキレンポリアミンとの反応から誘導されるポリイソブテニルコハク酸イミドである、請求項122に記載の潤滑油組成物。
【請求項125】
前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記モリブデン化合物は、モリブデンジチオカルバメート、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンカルボキシレート、モリブデンエステル、モリブデンアミン、モリブデンアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項100~121のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項126】
前記潤滑油組成物は、粘度指数が200を超え、かつノアック揮発性が15%未満である、請求項100~125のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項127】
前記潤滑油組成物は、粘度指数が250を超え、かつノアック揮発性が15%未満である、請求項100~126のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項128】
前記潤滑油は、自動車用エンジンオイル(火花または圧縮点火、直接またはポート噴射)、ハイブリッドエンジンオイル、ハイブリッド車用油の電気モータ/バッテリーシステムに結合されたエンジン、船舶用油、ギア油、農機油、無段変速機油、手動変速機油、自動変速機油、電気車変速機油、移動用天然ガス油、定置用天然ガス油、動力鉄道エンジンオイル、発電用油、油圧油、二重燃料油、トラクタ油圧油、耐摩耗性油圧油、ハイブリッドドライブライン油、オートバイ油、グリース、減圧または高真空下で使用されるグリース、減速機用グリース、油圧機器用グリース、航空機に使用されるベアリング用グリース、ロケット用グリース、宇宙機器用グリース、ロボットの関節用グリース、または真空ポンプ潤滑油組成物である、請求項100~127のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項129】
前記潤滑油組成物は、生物由来燃料、エタノール、またはメタノールによって部分的もしくは完全に燃料供給されるエンジン用潤滑油組成物である、請求項128に記載の潤滑油組成物。
【請求項130】
0W-4、0W-8、0W-12、0W-16、0W-20、0W-30、0W-40、5W-20、または5W-30の大型車または乗用車用潤滑油組成物であって、
(a)1~99重量%のバイオベース基油であって、
炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
i.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
ii.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
iii.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、
前記バイオベース基油と、
(b)1~99重量%の2次基油と、
(c)少量の分散防止剤添加剤パッケージとを含む、前記潤滑油組成物。
【請求項131】
前記2次基油は、約2cSt~約30cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【請求項132】
前記2次基油は、約2cSt~約10cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【請求項133】
前記2次基油は、約2cSt~約6cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【請求項134】
前記2次基油は、約2cSt~約4cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【請求項135】
前記2次基油は、約2cSt~約3cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【請求項136】
前記潤滑油は、前記潤滑油組成物に対して、硫酸灰分が0.8重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満である自動車用潤滑剤である、請求項100~135のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項137】
前記潤滑油は、前記潤滑油組成物に対して、リン含有量が0.08重量%未満、0.07重量%未満、0.06重量%未満、0.05重量%未満、0.04重量%未満、0.03重量%未満、0.02重量%未満である自動車用潤滑剤である、請求項100~136のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項138】
前記真空ポンプ油はISO VG 32、46、または68である、請求項128に記載の潤滑油組成物。
【請求項139】
バイオベース基油を含むプロセス油であって、前記バイオベース基油が炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記プロセス油。
【請求項140】
洗浄剤の製造における請求項139に記載のプロセス油の使用。
【請求項141】
バイオベース基油を含む希釈油であって、前記バイオベース基油が炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記希釈油。
【請求項142】
洗浄剤の製造における請求項141に記載の希釈油の使用。
【請求項143】
添加剤濃縮物であって、
(a)バイオベース基油であって、
炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
i.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
ii.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
iii.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、
前記バイオベース基油と、
(b)少量の潤滑添加剤とを含む、前記添加剤濃縮物。
【請求項144】
粘度指数向上剤濃縮物であって、
(a)バイオベース基油であって、
炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
i.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
ii.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
iii.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、
前記バイオベース基油と、
(b)オレフィン共重合体、ジエン系共重合体、星型、くし型、または直鎖型のいずれでもよいポリ(メタ)アクリレート共重合体、及びブロック共重合体、ジブロック共重合体、もしくはトリブロック共重合体から選択される少量の粘度指数向上剤とを含む、前記粘度指数向上剤濃縮物。
【請求項145】
前記粘度指数向上剤は、分散剤粘度指数向上剤である、請求項144に記載の粘度指数向上剤濃縮物。
【請求項146】
バイオベース基油を含む溶媒であって、前記バイオベース基油が炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記溶媒。
【請求項147】
エンジンにおけるタイミングチェーンの伸びを減少させる方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記タイミングチェーンを潤滑するステップを含む、前記方法。
【請求項148】
内燃エンジンにおける使用済み油の低速早期着火(LSPI)を改善する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項149】
内燃エンジンにおけるバイオディーゼルの存在下での酸化を減少及び/または抑制する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項150】
潤滑油組成物のノアック揮発性を抑制または低下する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物を配合することを含む、前記方法。
【請求項151】
内燃エンジンにおけるピストンの清浄度を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項152】
内燃エンジンにおけるピストンの堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項153】
内燃エンジンにおけるターボチャージャーの堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項154】
内燃エンジンにおける堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項155】
内燃エンジンにおけるオイルミスト分離器の清浄度(OMS)を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項156】
内燃エンジンにおける大型車(HD)または乗用車(PC)の精製油の燃費を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項157】
中間冷却器システム及びそれらの配管内の堆積物を減少させる、請求項152~156のいずれかに記載の方法。
【請求項158】
大型車(HD)または乗用車(PC)エンジンの燃費保持を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項159】
内燃エンジンにおけるシールエラストマー適合性を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項160】
内燃エンジンにおける酸化安定性を向上する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項161】
添加剤パッケージの安定性を改善する方法であって、炭化水素混合物によって形成されるバイオベース基油を添加することを含み、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記方法。
【請求項162】
添加剤パッケージの溶解性を向上する方法であって、炭化水素混合物によって形成されるバイオベース基油を添加し、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記方法。
【請求項163】
内燃エンジンにおける潤滑油組成物の低温特性を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項164】
内燃エンジンにおける腐食を抑制する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項165】
内燃エンジンにおける泡の形成を抑制する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項166】
内燃エンジンにおける曝気制御を向上する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項167】
燃料及び/または水で汚染される、内燃エンジンにおけるエマルションを安定化させる方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項168】
内燃エンジンにおける摩擦を低下する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項169】
内燃エンジンにおけるスラッジ形成を低下する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項170】
内燃エンジンにおける精製油の摩耗性能を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物でエンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項171】
エンジンにおける使用済み油の摩耗性能を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項172】
内燃エンジンにおける油消費を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物でエンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項173】
オイルドレン間隔を延長する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項174】
ガソリン微粒子フィルター(GPF)、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、EGRシステム、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNOxトラップ(LNT)、または選択的触媒還元(SCR)から選択される後処理装置との互換性を向上する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物でエンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項175】
CEC L-109-16及び またはL105-12試験で測定されるバイオディーゼル適合性を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項176】
1つ以上のスチールピストンまたは1つ以上のアルミニウムピストンを備える天然ガスエンジンにおける堆積物形成を防止または抑制する方法であって、請求項100~128のいずれかに記載の天然ガスエンジン用潤滑油組成物を用いて前記天然ガスエンジンを運転するステップを含む、前記方法。
【請求項177】
トラクタ油圧システムの低速での低トルク変動を維持しながら、ブレーキ及びクラッチ容量を改善する方法であって、請求項100~128のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記油圧システムを潤滑することを含む、前記方法。
【請求項178】
前記潤滑油組成物は、船舶用潤滑油組成物であり、前記船舶用潤滑油組成物は、システム油、船舶用シリンダ潤滑油(MCL)、またはトランクピストン油(TPEO)組成物である、請求項100~127のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項179】
前記潤滑油組成物は、SAE20、30、40、50、または60モノグレードエンジンオイルに関する2015年1月改訂のSAE J300要件の仕様を満たすモノグレード潤滑剤であり、ASTM D2896によって決定される5~200mg KOH/gのTBNを有する、請求項178に記載の潤滑油組成物。
【請求項180】
前記潤滑油組成物は、5~200mg KOH/g、5~150mg KOH/g、5~100mg KOH/g、15~150mg KOH/g、20~80mg KOH/g、30~100mg KOH/g、30~80mg KOH/g、60~100mg KOH/g、60~150mg KOH/g、20~70mg KOH/g、15~55mg KOH/g、及び5~15mg KOH/gの範囲のうちの1つのTBNを有する、請求項178または179に記載の潤滑油組成物。
【請求項181】
前記組成物は、生物由来燃料、エタノール、もしくはメタノール、アンモニア、気体燃料、残留燃料、船舶用残留燃料、低硫黄船舶用残留燃料、船舶用留出燃料、低硫黄船舶用留出燃料、または高硫黄燃料によって部分的もしくは完全に燃料供給されるエンジン用組成物である、請求項178~180のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項182】
前記組成物は、250~1100rpmで運転される圧縮点火4ストローク内燃エンジン用組成物である、請求項178~181のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項183】
前記潤滑剤は、200rpm以下で運転される圧縮点火2ストローク内燃エンジン用潤滑油である、請求項178~181のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項184】
ディーゼル内燃エンジンの燃費を向上する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項185】
ディーゼル内燃エンジンの油消費を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項186】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の低温特性を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項187】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の中和能力を向上する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項188】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の摩耗性能を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項189】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の酸化安定性を向上する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項190】
ディーゼル内燃エンジンにおけるスラッジ形成を低下する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項191】
ディーゼル内燃エンジンの粘度上昇制御を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項192】
ディーゼル内燃エンジンにおけるスカッフィングを低下する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項193】
ディーゼル内燃エンジンにおける堆積物を減少させる方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項194】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の塩基度の減少の速度を低下する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項195】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の泡の形成を抑制する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項196】
ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物のアスファルテン分散性を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【請求項197】
ディーゼル内燃エンジン用潤滑油組成物を増粘する方法であって、前記潤滑油組成物に、炭化水素混合物によって形成されるバイオベース基油を添加することを含み、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記方法。
【請求項198】
潤滑油組成物の保存安定性を向上する方法であって、炭化水素混合物によって形成されるバイオベース基油を添加することを含み、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
増大する高性能の潤滑剤ベースストックに対する要求により、改善された炭化水素混合物を含有する改善された潤滑油が引き続き必要とされている。業界では、これらの炭化水素混合物が、より厳しい、好ましくは再生可能資源からの、エンジンオイルの要件を満たすことができる優れたノアック(Noack)揮発性及び低温粘度特性を備えることを要求している。
【発明の概要】
【0002】
本発明の一実施形態によると、バイオベース基油を含む潤滑油組成物が提供される。本発明の別の実施形態によると、上記潤滑油組成物でエンジンを潤滑する方法が提供される。本発明の別の実施形態によると、エンジンにおける上記潤滑油組成物の使用が提供される。
【0003】
定義
以下の用語は、本明細書で使用される場合、特に反対の意に言及しない限り、以下の意味を有する。本明細書において、以下の単語及び表現が使用される場合、以下に付与される意味を有する。
【0004】
「大量」とは、組成物の50重量%を超えることを意味する。
【0005】
「少量」とは、記載された添加剤に関して、及び組成物中に存在する全ての添加剤類の総質量に関して表されており、添加剤または添加剤類の有効成分として計算される組成物の50重量%未満を意味する。
【0006】
「活性成分」または「活性物質」もしくは「オイルフリー」は、希釈剤または溶媒ではない添加剤材料を指す。
【0007】
記載される全てのパーセンテージは、特に明記しない限り、(すなわち、キャリアまたは希釈油に関係ない)活性成分ベースの重量%である。
【0008】
プロセス油は、原材料成分として、または加工の補助として、多種多様な化学及び技術産業で使用される特別な油である。
【0009】
希釈油(キャリア油とも呼ばれる)は希釈剤である。特定の液体は、粘性が高すぎて簡単にポンピングし難いか、密度が高すぎて特定の地点から他の地点へ流れ難い。取扱いを改善し、液体の粘度を低下させることで、ポンピング及び輸送コストを低下する。
【0010】
略語「ppm」は、潤滑油組成物の総重量に基づく、100万分の1重量を意味する。
【0011】
150℃の高温高せん断(HTHS)粘度は、ASTM D4683に従って決定した。
【0012】
100℃の動粘度(KV100)は、ASTM D445に従って決定した。
【0013】
金属 - 「金属」という用語は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの混合物を指す。
【0014】
自動車エンジンは、「内燃エンジン」を指し、火花点火、燃焼点火、直接/間接噴射またはポートフロー噴射、冷却ありまたはなしの中間冷却器または自然吸気を備えたターボコンパウンドであることができ、乗用車、オフロードのトラックなどに好適なEGRまたは排ガス後処理システムを備えるか、または備えていないエンジンであることができる
【0015】
ハイブリッドエンジンとは、ハイブリッド車両の電気モータやバッテリーシステムに結合されるエンジンを指す。
【0016】
オイルミスト分離器の清浄度(OMS)は、スラッジ、ワニスラッカー、炭素質、灰タイプなどの堆積物タイプを指す。これらは、ピストン、ライナー、バルブステム、排気ポート、ロッカーカバー、サンプ、オイルフィルター(目詰まり)、シリンダヘッド、オイルオリフィスなどの位置によって異なる。
【0017】
「添加剤パッケージ」とは、特定の処理速度で使用した場合に、潤滑液体に1つ以上の機能を提供する化学成分または混合である潤滑添加剤を意味する。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲に掛けて、油溶性または油分散性という表現が使用される。油溶性または油分散性とは、所望のレベルの活性または性能を提供するのに必要な量を、潤滑粘度油に溶解、分散、または懸濁することによって組み込むことができることを意味する。通常、これは、上記材料の少なくとも約0.001重量%を潤滑油組成物に組み込むことができることを意味する。油溶性及び油分散性、特に「安定分散性」という用語のさらなる議論については、米国特許第4,320,019号を参照により、この点に関する関連教示について本明細書に明示的に組み込まれる。
【0019】
本明細書で使用される「硫酸灰」という用語は、潤滑油中の洗浄剤及び金属添加剤から生じる不燃性残留物を指す。硫酸灰は、ASTM試験D874を使用して決定され得る。
【0020】
本明細書で使用される「全塩基価」または「TBN(Total Base Number)」という用語は、試料の1グラム中のKOHのミリグラムに相当する塩基の量を指す。従って、高いTBN値はより多くのアルカリ生成物を反映し、よって、より高いアルカリ度を反映する。TBNは、ASTM D 2896 試験を使用して決定された。
【0021】
ホウ素、カルシウム、マグネシウム、モリブデン、リン、硫黄、及び亜鉛の含有量は、ASTM D5185に従って決定された。
【0022】
窒素含有量は、ASTM D4629に従って決定された。
【0023】
ノアック揮発性は、ASTM D5800A-DまたはASTM D6417のいずれか1つによって決定された。
【0024】
本明細書で言及される全てのASTM標準は、本出願の出願日現在の最新バージョンである。
【0025】
特に明記しない限り、全てのパーセンテージは重量パーセントである。
【0026】
本開示は、様々な変更及び代替形態を受け入れるが、その具体的な実施形態を本明細書で詳細に説明する。しかしながら、本明細書に記載の具体的な実施形態は、開示された特定の形態に本開示を限定することを意図するものではなく、反対に、意図は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲内の、全ての変形、均等物、及び代替を網羅することであることに理解されたい。
【0027】
一般的な説明または実施例の中で記載される全てのアクティビティーが必要ではないことに、また特定のアクティビティーの一部が必要ではない可能性があることに、また記述されるものに加え、1つ以上のさらなるアクティビティーが実行されることができることに留意されたい。さらに、アクティビティーを列挙する順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。
【0028】
具体的な実施形態に関して、利益、他の利点、及び課題に対する解決策を本明細書で説明している。しかしながら、利益、利点、及び課題に対する解決策、ならびに任意の利益、利点、または解決策を生じさせ得る、またはより顕著にし得るいずれの特徴(複数可)は、いずれのまたは全ての特許請求の範囲の重大、必要、または不可欠な特徴として解釈されないものとする。
【0029】
本明細書に記載の実施形態の仕様及び例示は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図する。
【0030】
本明細書で使用される、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、特徴の一覧を含む工程、方法、項目、または装置は、必ずしもこれらの特徴のみに限定されず、明示的に列挙されない他の特徴またはかかる工程、方法、項目、または装置に固有の他の特徴を含み得る。さらに、明示的に反対に述べられない限り、「または」は包括のまたはを指し、排他のまたはではない。例えば、条件AまたはBは、Aが真(または存在する)でありBが偽(または存在しない)であること、Aが偽(または存在しない)でありBが真(または存在する)であること、及びAならびにBの両方が真(または存在する)であることのうちのいずれの1つによって満たされる。
【0031】
「a」または「an」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を説明するために使用される。これは単に便宜のため、及び本開示の実施形態の範囲の大まかな要旨を付与するために行われるものである。本明細書は、1つまたは少なくとも1つを含むように読み取られるべきであり、また単数は、他に明記しない限り、複数を含み、逆も然りである。値を言及するときの「平均」という用語は、平均、幾何平均、または中央値を意味することを意図する。元素の周期表内の列に対応するグループ番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition(2000-2001)に見られるように、「新しい表記法」規則を使用する。
【0032】
特に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び例は、例示に過ぎず、限定的であることは意図されない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来のものであり、石油及びガス産業を含めて潤滑剤産業内の教科書及び他の資料源で見つけられ得る。
【発明を実施するための形態】
【0033】
仕様及び例示は、本明細書に記載の構造または方法を使用する配合物、組成物、装置、及びシステムの全ての要素及び特徴を網羅的かつ包括的に説明することを意図するものではない。別の実施形態は単一の実施形態と組み合わせて提供することができ、逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な特徴を、別々に、または任意の副組み合わせで提供することもできる。さらに、範囲で記載した値は、その範囲内の全ての値を含む。本明細書を読んだ後、当業者には多くの他の実施形態が明らかになるであろう。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的代替、論理的代替、または別の変更が行われ得るように、他の実施形態を使用し、本開示から導き出すことができる。従って、本開示は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。
【0034】
本開示の態様は、以下の特許請求の範囲を含むが、これらに限定されない。
1.バイオベース基油を含む潤滑油組成物であって、前記バイオベース基油は、下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記潤滑油組成物。
【0035】
2.前記組成物が摩耗防止剤、洗浄剤、分散剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、増粘剤、または酸化防止剤をさらに含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【0036】
3.前記組成物がカルシウム洗浄剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0037】
4.前記カルシウム洗浄剤は、スルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤である、請求項3に記載の潤滑油組成物。
【0038】
5.前記カルシウム洗浄剤は、中性、低過塩基性、中過塩基性、高過塩基性もしくは超高過塩基性のスルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤のうちの1つ以上である、請求項3に記載の潤滑油組成物。
【0039】
6.前記組成物がマグネシウム洗浄剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0040】
7.前記マグネシウム洗浄剤は、スルホン酸マグネシウムまたはサリチル酸マグネシウム洗浄剤である、請求項6に記載の潤滑油組成物。
【0041】
8.前記組成物が異性化ノルマルアルファ-オレフィン由来の洗浄剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0042】
9.前記カルシウム洗浄剤のアルキル置換基は、分子あたり12~40個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンから由来する、請求項8に記載の潤滑油組成物。
【0043】
10.前記カルシウム洗浄剤のアルキル置換基は、分子あたり14~28個の炭素原子を有する異性化ノルマルアルファ-オレフィンから由来する残基である、請求項8に記載の潤滑油組成物。
【0044】
11.前記異性化ノルマルアルファ-オレフィンは、約0.1~約0.4の前記ノルマルアルファ-オレフィンの異性化レベル(I)を有し、前記オレフィンの異性化レベル(I)は、TopSpin 3.2スペクトル処理ソフトウェアを使用して400MHzでクロロホルム-d1中のBruker Ultrashield Plus 400で得られた水素-1(1H)NMRによって決定され、前記異性化レベル(I)は、以下の式で表され、
I=m/(m+n)
mは0.3±0.03~1.01±0.03ppmの化学シフトを有するメチル基のNMR積分であり、nは1.01±0.03~1.38±0.10ppmの化学シフトを有するメチレン基のNMR積分である、請求項8に記載の潤滑油組成物。
【0045】
12.前記組成物が無灰洗浄剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0046】
13.前記潤滑油組成物は、スルホン酸マグネシウム洗浄剤と、サリチル酸カルシウム洗浄剤との両方をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0047】
14.前記潤滑油組成物は、スルホン酸マグネシウム洗浄剤と、カルシウムフェネート及びスルホン酸カルシウムから選択されるカルシウム洗浄剤とをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0048】
15.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の重量に対して、約200~約3000ppmのカルシウムをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0049】
16.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の重量に対して、約100~約2000ppmのマグネシウムをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0050】
17.前記潤滑油組成物は、脂肪酸源に由来する有機摩擦調整剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0051】
18.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、1.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0052】
19.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、2.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0053】
20.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、3.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0054】
21.前記潤滑油組成物は、C/C第二級ZnDTP、C3/C6第一級、C12アリール、C4/C8第一級、C3/C6第二級、C3/C8第二級、及びC第一級ZnDTPから選択される耐摩耗添加剤をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0055】
22.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記有機モリブデン化合物が硫黄含有有機モリブデン化合物または硫黄非含有有機モリブデン化合物である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0056】
23.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記モリブデン化合物がモリブデン-コハク酸イミド複合体である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0057】
24.前記モリブデン-コハク酸イミド複合体は、C24~C350のアルキルまたはアルケニルコハク酸イミドから由来する、請求項23に記載の潤滑油組成物。
【0058】
25.前記コハク酸イミドは、C70~C128のポリイソブテニルコハク酸無水物と、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びそれらの組み合わせから選択されるポリアルキレンポリアミンとの反応から誘導されるポリイソブテニルコハク酸イミドである、請求項23または24に記載の潤滑油組成物。
【0059】
26.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記モリブデン化合物は、モリブデンジチオカルバメート、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンカルボキシレート、モリブデンエステル、モリブデンアミン、モリブデンアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~22のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0060】
27.前記潤滑油組成物は、粘度指数が200を超え、かつノアック揮発性が15%未満である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0061】
28.前記潤滑油組成物は、粘度指数が250を超え、かつノアック揮発性が15%未満である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0062】
29.前記潤滑油は、自動車用エンジンオイル(火花または圧縮点火、直接またはポート噴射)、ハイブリッドエンジンオイル、ハイブリッド車用油の電気モータ/バッテリーシステムに結合されたエンジン、船舶用油、ギア油、農機油、無段変速機油、手動変速機油、自動変速機油、電気車変速機油、移動用天然ガス油、定置用天然ガス油、動力鉄道エンジンオイル、発電用油、油圧油、二重燃料油、トラクタ油圧油、耐摩耗性油圧油、ハイブリッドドライブライン油、オートバイ油、グリース、減圧または高真空下で使用されるグリース、減速機用グリース、油圧機器用グリース、航空機に使用されるベアリング用グリース、ロケット用グリース、宇宙機器用グリース、ロボットの関節用グリース、または真空ポンプ潤滑油組成物である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0063】
30.前記潤滑油組成物は、生物由来燃料、エタノール、またはメタノールによって部分的もしくは完全に燃料供給されるエンジン用潤滑油組成物である、請求項29に記載の潤滑油組成物。
【0064】
31.0W-4、0W-8、0W-12、0W-16、0W-20、0W-30、0W-40、5W-20、または5W-30の大型車または乗用車用潤滑油組成物であって、
(a)1~99重量%のバイオベース基油であって、
下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、mは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
分子量が、300g/mol~1500g/molの範囲にある、
前記バイオベース基油と、
(b)1~99重量%の2次基油と、
(c)少量の分散防止剤添加剤パッケージとを含む、前記潤滑油組成物。
【0065】
32.前記2次基油は、約2cSt~約30cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【0066】
33.前記2次基油は、約2cSt~約10cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【0067】
34.前記2次基油は、約2cSt~約6cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【0068】
35.前記2次基油は、約2cSt~約4cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【0069】
36.前記2次基油は、約2cSt~約3cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項31に記載の潤滑油組成物。
【0070】
37.前記潤滑油は、前記潤滑油組成物に対して、硫酸灰分が0.8重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満である自動車用潤滑剤である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0071】
38.前記潤滑油は、前記潤滑油組成物に対して、リン含有量が0.08重量%未満、0.07重量%未満、0.06重量%未満、0.05重量%未満、0.04重量%未満、0.03重量%未満、0.02重量%未満である自動車用潤滑剤である、先行請求項のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0072】
39.前記真空ポンプ油はISO VG 32、46、または68である、請求項29に記載の潤滑油組成物。
【0073】
40.バイオベース基油を含むプロセス油であって、前記バイオベース基油は、下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記プロセス油。
【0074】
41.洗浄剤の製造における請求項40に記載のプロセス油の使用。
【0075】
42.バイオベース基油を含む希釈油であって、前記バイオベース基油は、下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記希釈油。
【0076】
43.洗浄剤の製造における請求項42に記載の希釈油の使用。
【0077】
44.添加剤濃縮物であって、
(a)バイオベース基油であって、
下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
分子量が、300g/mol~1500g/molの範囲にある、
前記バイオベース基油と、
(b)少量の潤滑添加剤とを含む、前記添加剤濃縮物。
【0078】
45.粘度指数向上剤濃縮物であって、
(a)バイオベース基油であって、
下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
分子量が、300g/mol~1500g/molの範囲にある、
前記バイオベース基油と、
(b)オレフィン共重合体、ジエン系共重合体、星型、くし型、または直鎖型のいずれでもよいポリ(メタ)アクリレート共重合体、及びブロック共重合体、ジブロック共重合体、もしくはトリブロック共重合体から選択される少量の粘度指数向上剤とを含む、前記粘度指数向上剤濃縮物。
【0079】
46.前記粘度指数向上剤は、分散剤粘度指数向上剤である、請求項45に記載の粘度指数向上剤濃縮物。
【0080】
47.バイオベース基油を含む溶媒であって、前記バイオベース基油は、下記の分子構造を有し、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記溶媒。
【0081】
48.エンジンにおけるタイミングチェーンの伸びを減少させる方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記タイミングチェーンを潤滑するステップを含む、前記方法。
【0082】
49.内燃エンジンにおける使用済み油の低速早期着火(LSPI)を改善する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0083】
50.内燃エンジンにおけるバイオディーゼル存在下での酸化を低下及び/または抑制する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0084】
51.請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物を配合することを含む、潤滑油組成物のノアック揮発性を抑制または低下する方法。
【0085】
52.内燃エンジンにおけるピストンの清浄度を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0086】
53.内燃エンジンにおけるピストンの堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0087】
54.内燃エンジンにおけるターボチャージャーの堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0088】
55.内燃エンジンにおける堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0089】
56.内燃エンジンにおけるオイルミスト分離器の清浄度(OMS)を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0090】
57.内燃エンジンにおける大型車(HD)または乗用車(PC)の精製油の燃費を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0091】
58.中間冷却器システム及びそれらの配管内の堆積物を減少させる、請求項53~57のいずれかに記載の方法。
【0092】
59.大型車(HD)または乗用車(PC)エンジンの燃費保持を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0093】
60.内燃エンジンにおけるシールエラストマー適合性を向上する方法であって、(a)請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0094】
61.内燃エンジンにおける酸化安定性を向上する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0095】
62.添加剤パッケージ安定性を向上する方法であって、以下の分子構造を有するバイオベース基油を前記パッケージに添加することを含み、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記方法。
【0096】
63.添加剤パッケージ溶解性を向上する方法であって、以下の分子構造を有するバイオベース基油を前記パッケージに添加することを含み、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記方法。
【0097】
64.内燃エンジンにおける潤滑油組成物の低温特性を改善する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含み、精製油及び使用済み油の両方の特性が流動点、CCS、MRV、ゲル化指数、ROBO、Mack T10A/T11A/T12A試験によって決定される、前記方法。
【0098】
65.内燃エンジンにおける腐食を抑制する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0099】
66.内燃エンジンにおける泡の形成を抑制する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0100】
67.内燃エンジンにおける曝気制御を向上する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0101】
68.燃料及び/または水で汚染される、内燃エンジンにおけるエマルションを安定化させる方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0102】
69.内燃エンジンにおける摩擦を低下する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0103】
70.内燃エンジンにおけるスラッジ形成を低下する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0104】
71.内燃エンジンにおける精製油の摩耗性能を改善する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0105】
72.内燃エンジンにおける使用済み油の摩耗性能を改善する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0106】
73.内燃エンジンにおける油消費を低下する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0107】
74.オイルドレン間隔を延長する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物でエンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0108】
75.ガソリン微粒子フィルター(GPF)、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、EGRシステム、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNOxトラップ(LNT)、または選択的触媒還元(SCR)から選択される後処理装置との互換性を向上する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0109】
76.CEC L-109-16及び またはL105-12試験で測定されるバイオディーゼル適合性を改善する方法であって、請求項1~38のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0110】
77.請求項1~29のいずれかに記載の天然ガスエンジン用潤滑油組成物を用いて天然ガスエンジンを運転するステップを含む、1つ以上のスチールピストンを備える前記天然ガスエンジンにおける堆積物形成を防止または抑制する方法。
【0111】
78.請求項1~29のいずれかに記載の潤滑油組成物でトラクタ油圧システムを潤滑することを含む、前記トラクタ油圧システムの低速での低トルク変動を維持しながら、ブレーキ及びクラッチ容量を改善する方法。
【0112】
79.前記潤滑油組成物は、船舶用潤滑油組成物であり、前記船舶用潤滑油組成物は、システム油、船舶用シリンダ潤滑油(MCL)、またはトランクピストン油(TPEO)組成物である、請求項1~28のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0113】
80.前記潤滑油組成物は、SAE20、30、40、50、または60モノグレードエンジンオイルに関する2015年1月改訂のSAE J300要件の仕様を満たすモノグレード潤滑剤であり、ASTM D2896によって決定される5~200mg KOH/gのTBNを有する、請求項79に記載の潤滑油組成物。
【0114】
81.前記潤滑油組成物は、5~200mg KOH/g、5~150mg KOH/g、5~100mg KOH/g、15~150mg KOH/g、20~80mg KOH/g、30~100mg KOH/g、30~80mg KOH/g、60~100mg KOH/g、60~150mg KOH/g、20~70mg KOH/g、15~55mg KOH/g、及び5~15mg KOH/gの範囲のうちの1つのTBNを有する、請求項79または80に記載の潤滑油組成物。
【0115】
82.前記組成物は、生物由来燃料、エタノール、もしくはメタノール、アンモニア、気体燃料、残留燃料、船舶用残留燃料、低硫黄船舶用残留燃料、船舶用留出燃料、低硫黄船舶用留出燃料、または高硫黄燃料によって部分的もしくは完全に燃料供給されるエンジン用組成物である、請求項79~81のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0116】
83.前記組成物は、250~1100rpmで運転される圧縮点火4ストローク内燃エンジン用組成物である、請求項79~82のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0117】
84.前記潤滑剤は、200rpm以下で運転される圧縮点火2ストローク内燃エンジン用潤滑油である、請求項79~82のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0118】
85.ディーゼル内燃エンジンの燃費を向上する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0119】
86.ディーゼル内燃エンジンの油消費を改善する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0120】
87.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の低温特性を改善する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0121】
88.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の中和能力を向上する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0122】
89.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の摩耗性能を改善する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0123】
90.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の酸化安定性を向上する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0124】
91.ディーゼル内燃エンジンにおけるスラッジ形成を低下する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0125】
92.ディーゼル内燃エンジンの粘度上昇制御を改善する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0126】
93.ディーゼル内燃エンジンにおけるスカッフィングを低下する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0127】
94.ディーゼル内燃エンジンにおける堆積物を減少させる方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0128】
95.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の塩基度の減少の速度を低下する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0129】
96.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の泡の形成を抑制する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0130】
97.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物のアスファルテン分散性を向上する方法であって、請求項79~84のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0131】
98.潤滑油組成物の増粘方法であって、以下の分子構造を有するバイオベース基油を前記潤滑油組成物に添加することを含み、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記方法。
【0132】
99.潤滑油組成物の保存安定性を向上する方法であって、以下の分子構造を有するバイオベース基油を前記潤滑油組成物に添加することを含み、
[B]n-[P]m
式中、
[B]は、バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
[P]は、非バイオベースの炭化水素繰り返し単位であり、
nは1より大きく、かつmは4より小さく、
[B]と[P]の立体配列は、直鎖状、分岐状、または環状であり、
[B]と[P]の順次配列は、ブロック、交互、またはランダムであり、
前記バイオベース基油の分子量は、300g/mol~1500g/molの範囲にある、前記方法。
【0133】
100.バイオベース基油を含む潤滑油組成物であって、前記バイオベース基油が炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記潤滑油組成物。
【0134】
101.前記組成物が摩耗防止剤、洗浄剤、分散剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、増粘剤、または酸化防止剤をさらに含む、請求項100に記載の潤滑油組成物。
【0135】
102.前記組成物がカルシウム洗浄剤をさらに含む、請求項100または101に記載の潤滑油組成物。
【0136】
103.前記カルシウム洗浄剤は、スルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤である、請求項102に記載の潤滑油組成物。
【0137】
104.前記カルシウム洗浄剤は、中性、低過塩基性、中過塩基性、高過塩基性もしくは超高過塩基性のスルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤のうちの1つ以上である、請求項102に記載の潤滑油組成物。
【0138】
105.前記組成物がマグネシウム洗浄剤をさらに含む、請求項100~104のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0139】
106.前記マグネシウム洗浄剤は、スルホン酸マグネシウムまたはサリチル酸マグネシウム洗浄剤である、請求項105に記載の潤滑油組成物。
【0140】
107.前記組成物が異性化ノルマルアルファ-オレフィン由来の洗浄剤をさらに含む、請求項100~106のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0141】
108.前記カルシウム洗浄剤のアルキル置換基は、分子あたり12~40個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンから由来する、請求項107に記載の潤滑油組成物。
【0142】
109.前記カルシウム洗浄剤のアルキル置換基は、分子あたり14~28個の炭素原子を有する異性化ノルマルアルファ-オレフィンから由来する残基である、請求項107に記載の潤滑油組成物。
【0143】
110.前記異性化ノルマルアルファ-オレフィンは、約0.1~約0.4の前記ノルマルアルファ-オレフィンの異性化レベル(I)を有し、前記オレフィンの異性化レベル(I)は、TopSpin 3.2スペクトル処理ソフトウェアを使用して400MHzでクロロホルム-d1中のBruker Ultrashield Plus 400で得られた水素-1(1H)NMRによって決定され、前記異性化レベル(I)は、以下の式で表され、
I=m/(m+n)
mは0.3±0.03~1.01±0.03ppmの化学シフトを有するメチル基のNMR積分であり、nは1.01±0.03~1.38±0.10ppmの化学シフトを有するメチレン基のNMR積分である、請求項107に記載の潤滑油組成物。
【0144】
111.前記組成物が無灰洗浄剤をさらに含む、請求項100~110のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0145】
112.前記潤滑油組成物は、スルホン酸マグネシウム洗浄剤と、サリチル酸カルシウム洗浄剤との両方をさらに含む、請求項100~111のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0146】
113.前記潤滑油組成物は、スルホン酸マグネシウム洗浄剤と、カルシウムフェネート及びスルホン酸カルシウムから選択されるカルシウム洗浄剤とをさらに含む、請求項100~112のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0147】
114.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の重量に対して、約200~約3000ppmのカルシウムをさらに含む、請求項100~113のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0148】
115.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の重量に対して、約100~約2000ppmのマグネシウムをさらに含む、請求項100~114のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0149】
116.前記潤滑油組成物は、脂肪酸源に由来する有機摩擦調整剤をさらに含む、請求項100~115のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0150】
117.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、1.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、請求項100~116のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0151】
118.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、2.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、請求項100~117のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0152】
119.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、3.0重量%を超える酸化防止剤をさらに含む、請求項100~118のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0153】
120.前記潤滑油組成物は、C/C第二級ZnDTP、C3/C6第一級、C12アリール、C4/C8第一級、C3/C6第二級、C3/C8第二級、及びC第一級ZnDTPから選択される耐摩耗添加剤をさらに含む、請求項100~119のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0154】
121.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記有機モリブデン化合物が硫黄含有有機モリブデン化合物または硫黄非含有有機モリブデン化合物である、請求項100~120のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0155】
122.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記モリブデン化合物がモリブデン-コハク酸イミド複合体である、請求項100~121のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0156】
123.前記モリブデン-コハク酸イミド複合体は、C24~C350のアルキルまたはアルケニルコハク酸イミドから由来する、請求項122に記載の潤滑油組成物。
【0157】
124.前記コハク酸イミドは、C70~C128のポリイソブテニルコハク酸無水物と、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びそれらの組み合わせから選択されるポリアルキレンポリアミンとの反応から誘導されるポリイソブテニルコハク酸イミドである、請求項122に記載の潤滑油組成物。
【0158】
125.前記潤滑油組成物は、前記潤滑油組成物の総重量に対して、モリブデン量が50~2000ppmのモリブデン化合物をさらに含み、前記モリブデン化合物は、モリブデンジチオカルバメート、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンカルボキシレート、モリブデンエステル、モリブデンアミン、モリブデンアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項100~121のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0159】
126.前記潤滑油組成物は、粘度指数が200を超え、かつノアック揮発性が15%未満である、請求項100~125のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0160】
127.前記潤滑油組成物は、粘度指数が250を超え、かつノアック揮発性が15%未満である、請求項100~126のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0161】
128.前記潤滑油は、自動車用エンジンオイル(火花または圧縮点火、直接またはポート噴射)、ハイブリッドエンジンオイル、ハイブリッド車用油の電気モータ/バッテリーシステムに結合されたエンジン、船舶用油、ギア油、農機油、無段変速機油、手動変速機油、自動変速機油、電気車変速機油、移動用天然ガス油、定置用天然ガス油、動力鉄道エンジンオイル、発電用油、油圧油、二重燃料油、トラクタ油圧油、耐摩耗性油圧油、ハイブリッドドライブライン油、オートバイ油、グリース、減圧または高真空下で使用されるグリース、減速機用グリース、油圧機器用グリース、航空機に使用されるベアリング用グリース、ロケット用グリース、宇宙機器用グリース、ロボットの関節用グリース、または真空ポンプ潤滑油組成物である、請求項100~127のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0162】
129.前記潤滑油組成物は、生物由来燃料、エタノール、またはメタノールによって部分的もしくは完全に燃料供給されるエンジン用潤滑油組成物である、請求項128に記載の潤滑油組成物。
【0163】
130.0W-4、0W-8、0W-12、0W-16、0W-20、0W-30、0W-40、5W-20、または5W-30の大型車または乗用車用潤滑油組成物であって、
(a)1~99重量%のバイオベース基油であって、
炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
i.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
ii.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
iii.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、
前記バイオベース基油と、
(b)1~99重量%の2次基油と、
(c)少量の分散防止剤添加剤パッケージとを含む、前記潤滑油組成物。
【0164】
131.前記2次基油は、約2cSt~約30cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【0165】
132.前記2次基油は、約2cSt~約10cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【0166】
133.前記2次基油は、約2cSt~約6cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【0167】
134.前記2次基油は、約2cSt~約4cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【0168】
135.前記2次基油は、約2cSt~約3cStのKV100を有するポリ-アルファ-オレフィン(PAO)、芳香族、グループI、グループII、グループIII、エステル基油、またはそれらの混合物である、請求項130に記載の潤滑油組成物。
【0169】
136.前記潤滑油は、前記潤滑油組成物に対して、硫酸灰分が0.8重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満である自動車用潤滑剤である、請求項100~135のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0170】
137.前記潤滑油は、前記潤滑油組成物に対して、リン含有量が0.08重量%未満、0.07重量%未満、0.06重量%未満、0.05重量%未満、0.04重量%未満、0.03重量%未満、0.02重量%未満である自動車用潤滑剤である、請求項100~136のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0171】
138.前記真空ポンプ油はISO VG 32、46、または68である、請求項128に記載の潤滑油組成物。
【0172】
139.バイオベース基油を含むプロセス油であって、前記バイオベース基油が炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記プロセス油。
【0173】
140.洗浄剤の製造における請求項139に記載のプロセス油の使用。
【0174】
141.バイオベース基油を含む希釈油であって、前記バイオベース基油が炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記希釈油。
【0175】
142.洗浄剤の製造における請求項141に記載の希釈油の使用。
【0176】
143.添加剤濃縮物であって、
(a)バイオベース基油であって、
炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
i.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
ii.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
iii.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、
前記バイオベース基油と、
(b)少量の潤滑添加剤とを含む、前記添加剤濃縮物。
【0177】
144.粘度指数向上剤濃縮物であって、
(a)バイオベース基油であって、
炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
i.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
ii.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
iii.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、
前記バイオベース基油と、
(b)オレフィン共重合体、ジエン系共重合体、星型、くし型、または直鎖型のいずれでもよいポリ(メタ)アクリレート共重合体、及びブロック共重合体、ジブロック共重合体、もしくはトリブロック共重合体から選択される少量の粘度指数向上剤とを含む、前記粘度指数向上剤濃縮物。
【0178】
145.前記粘度指数向上剤は、分散剤粘度指数向上剤である、請求項144に記載の粘度指数向上剤濃縮物。
【0179】
146.バイオベース基油を含む溶媒であって、前記バイオベース基油が炭化水素混合物によって形成され、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記溶媒。
【0180】
147.エンジンにおけるタイミングチェーンの伸びを減少させる方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記タイミングチェーンを潤滑するステップを含む、前記方法。
【0181】
148.内燃エンジンにおける使用済み油の低速早期着火(LSPI)を改善する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0182】
149.内燃エンジンにおけるバイオディーゼルの存在下での酸化を減少及び/または抑制する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0183】
150.潤滑油組成物のノアック揮発性を抑制または低下する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物を配合することを含む、前記方法。
【0184】
151.内燃エンジンにおけるピストンの清浄度を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0185】
152.内燃エンジンにおけるピストンの堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0186】
153.内燃エンジンにおけるターボチャージャーの堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0187】
154.内燃エンジンにおける堆積物を減少させる方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0188】
155.内燃エンジンにおけるオイルミスト分離器の清浄度(OMS)を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0189】
156.内燃エンジンにおける大型車(HD)または乗用車(PC)の精製油の燃費を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0190】
157.中間冷却器システム及びそれらの配管内の堆積物を減少させる、請求項152~156のいずれかに記載の方法。
【0191】
158.大型車(HD)または乗用車(PC)エンジンの燃費保持を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0192】
159.内燃エンジンにおけるシールエラストマー適合性を向上する方法であって、(a)請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0193】
160.内燃エンジンにおける酸化安定性を向上する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、(b)前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0194】
161.添加剤パッケージの安定性を改善する方法であって、炭化水素混合物によって形成されるバイオベース基油を添加することを含み、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記方法。
【0195】
162.添加剤パッケージの溶解性を向上する方法であって、炭化水素混合物によって形成されるバイオベース基油を添加し、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記方法。
【0196】
163.内燃エンジンにおける潤滑油組成物の低温特性を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0197】
164.内燃エンジンにおける腐食を抑制する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0198】
165.内燃エンジンにおける泡の形成を抑制する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0199】
166.内燃エンジンにおける曝気制御を向上する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0200】
167.燃料及び/または水で汚染される、内燃エンジンにおけるエマルションを安定化させる方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0201】
168.内燃エンジンにおける摩擦を低下する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0202】
169.内燃エンジンにおけるスラッジ形成を低下する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0203】
170.内燃エンジンにおける精製油の摩耗性能を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物でエンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0204】
171.エンジンにおける使用済み油の摩耗性能を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0205】
172.内燃エンジンにおける油消費を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物でエンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0206】
173.オイルドレン間隔を延長する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0207】
174.ガソリン微粒子フィルター(GPF)、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、EGRシステム、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNOxトラップ(LNT)、または選択的触媒還元(SCR)から選択される後処理装置との互換性を向上する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物でエンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0208】
175.CEC L-109-16及び またはL105-12試験で測定されるバイオディーゼル適合性を改善する方法であって、請求項100~137のいずれかに記載の潤滑油組成物で内燃エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを一定期間運転するステップとを含む、前記方法。
【0209】
176.1つ以上のスチールピストンまたは1つ以上のアルミニウムピストンを備える天然ガスエンジンにおける堆積物形成を防止または抑制する方法であって、請求項100~128のいずれかに記載の天然ガスエンジン用潤滑油組成物を用いて前記天然ガスエンジンを運転するステップを含む、前記方法。
【0210】
177.トラクタ油圧システムの低速での低トルク変動を維持しながら、ブレーキ及びクラッチ容量を改善する方法であって、請求項100~128のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記油圧システムを潤滑することを含む、前記方法。
【0211】
178.前記潤滑油組成物は、船舶用潤滑油組成物であり、前記船舶用潤滑油組成物は、システム油、船舶用シリンダ潤滑油(MCL)、またはトランクピストン油(TPEO)組成物である、請求項100~127のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0212】
179.前記潤滑油組成物は、SAE20、30、40、50、または60モノグレードエンジンオイルに関する2015年1月改訂のSAE J300要件の仕様を満たすモノグレード潤滑剤であり、ASTM D2896によって決定される5~200mg KOH/gのTBNを有する、請求項178に記載の潤滑油組成物。
【0213】
180.前記潤滑油組成物は、5~200mg KOH/g、5~150mg KOH/g、5~100mg KOH/g、15~150mg KOH/g、20~80mg KOH/g、30~100mg KOH/g、30~80mg KOH/g、60~100mg KOH/g、60~150mg KOH/g、20~70mg KOH/g、15~55mg KOH/g、及び5~15mg KOH/gの範囲のうちの1つのTBMを有する、請求項178または179に記載の潤滑油組成物。
【0214】
181.前記組成物は、生物由来燃料、エタノール、もしくはメタノール、アンモニア、気体燃料、残留燃料、船舶用残留燃料、低硫黄船舶用残留燃料、船舶用留出燃料、低硫黄船舶用留出燃料、または高硫黄燃料によって部分的もしくは完全に燃料供給されるエンジン用組成物である、請求項178~180のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0215】
182.前記組成物は、250~1100rpmで運転される圧縮点火4ストローク内燃エンジン用組成物である、請求項178~181のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0216】
183.前記潤滑剤は、200rpm以下で運転される圧縮点火2ストローク内燃エンジン用潤滑油である、請求項178~181のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【0217】
184.ディーゼル内燃エンジンの燃費を向上する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0218】
185.ディーゼル内燃エンジンの油消費を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0219】
186.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の低温特性を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0220】
187.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の中和能力を向上する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0221】
188.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の摩耗性能を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0222】
189.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の酸化安定性を向上する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0223】
190.ディーゼル内燃エンジンにおけるスラッジ形成を低下する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0224】
191.ディーゼル内燃エンジンの粘度上昇制御を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0225】
192.ディーゼル内燃エンジンにおけるスカッフィングを低下する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0226】
193.ディーゼル内燃エンジンにおける堆積物を減少させる方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0227】
194.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の塩基度の減少の速度を低下する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0228】
195.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物の泡の形成を抑制する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0229】
196.ディーゼル内燃エンジンにおける潤滑油組成物のアスファルテン分散性を改善する方法であって、請求項178~183のいずれかに記載の潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑するステップと、前記エンジンを運転するステップとを含む、前記方法。
【0230】
197.ディーゼル内燃エンジン用潤滑油組成物を増粘する方法であって、前記潤滑油組成物に、炭化水素混合物によって形成されるバイオベース基油を添加することを含み、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記方法。
【0231】
198.潤滑油組成物の保存安定性を向上する方法であって、炭化水素混合物によって形成されるバイオベース基油を添加することを含み、前記炭化水素混合物は、
a.FIMSによると、炭素数が偶数の分子のパーセンテージは80%以上であり、
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0であり、
c.分子あたり平均0.3~1.5の5+メチルを有する、前記方法。
【0232】
バイオベース基油
一態様において、バイオベース油は、以下のように説明することができる。基油、特に、ミルセン、オシメン、及びファルネセンなどのバイオベースの炭化水素テルペンに由来するイソパラフィンは、2012年2月13日に出願された国際特許出願第PCT/US2012/024926号の「Base Oils and Methods for Making the Same」及び2012年10月18日に公表され、カリフォルニア州エメリービルのAmyris,Inc.に譲渡されたNicholas Ohler,et al.のWO2012/141784に記載されている。WO2012/141784には、イソペンチルピロリン酸またはジメチルアリルピロリン酸から誘導することができるテルペンが開示されており、用語「テルペン」は、ヘミテルペン、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、セスターテルペン、トリテルペン、テトラテルペン、及びポリテルペンを包含する。炭化水素テルペンは、水素及び炭素原子のみを含み、酸素などのヘテロ原子を含まず、いくつかの実施形態では、一般式(Cを有し、nは1以上である。「共役テルペン」または「共役炭化水素テルペン」は、少なくとも1つの共役ジエン部分を含むテルペンを指す。共役テルペンの共役ジエン部分は、いずれの立体化学(例えば、シスまたはトランス)を有してもよく、テルペンのより長い共役セグメントの一部であってよく、例えば、共役ジエン部分が、共役トリエン部分の一部であってよい。また、炭化水素テルペンは、モノテルペノイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、トリテルペノイド、テトラテルペノイド、及び対応するテルペンと同じ炭素骨格を示すが、対応するテルペンより少ない数または多い数の水素原子を有するポリテルペノイド、例えば、対応するテルペンよりも水素原子が2つ少ない、4つ少ない、または6つ少ないテルペノイド、または対応するテルペンよりも2つ多い、4つ多い、または6つ多い水素原子を有するテルペノイドを包含する。共役炭化水素テルペンのいくつかの非限定的な例としては、イソプレン、ミルセン、a-オシメン、β-オシメン、a-ファルネセン、β-ファルネセン、β-スプリンゲン、ゲラニルファルネセン、ネオフィタジエン、c/s-フィタ-1,3-ジエン、フランス-フィタ-1,3-ジエン、イソデヒドロスクアレン、イソスクアラン前駆体I、及びイソスクアラン前駆体IIが挙げられる。テルペンとイソプレノイドという用語は、同じ意味で使用される場合があり、多種多様な植物やいくつかの昆虫によって生成され得る、大きく多様な種類の有機分子である。いくつかのテルペンまたはイソプレノイド化合物は、酵母などの遺伝子操作微生物を含む微生物によって、糖などの有機化合物から得ることもできる。テルペンまたはイソプレノイド化合物は様々な再生可能資源から得られるため、環境に優しく再生可能な基油を製造するための有用なモノマーである。いくつかの実施形態では、共役炭化水素テルペンは、糖などの再生可能な炭素源を使用する微生物から誘導される。このような特定のバイオベース基油ストックをさらに処理すると、非常に有用で優れたエンジンオイルが得られることがわかった。例えば、Amyris,Inc.(Emeryville,California)から商業的に入手可能なBiofene(商標)β-ファルネセンなどの4つの二重結合を含むC15炭化水素は、4つの二重結合のうちの3つが単結合に還元されるように、前処理して不純物を除去して、水素化する。部分的に水素化された中間生成物は、その後、BFまたはBF複合体などの触媒を使用して、直鎖状のアルファ-オレフィン(LAO)とオリゴマー化反応にさらされる。C10~約C75の範囲の炭化水素混合物からなるさらなる中間生成物が得られる。次に、この炭化水素のオリゴマー混合物を水素化し、不飽和の量を減少させる。次に、飽和炭化水素混合物を蒸留して目的の組成物を得て、最終的にエンジンオイルに望ましい基油製品仕様(40℃での動粘度など)を満たすようにブレンドする。一実施形態のエンジンオイル配合物に好適なブレンドを生成するために使用できるバイオベース基油仕様の望ましい例を表1に示す。本開示のいくつかの実施形態では、NOVASPEC(取引上の表示)(Novvi LLC,Emeryville,CA,United States、(REACH登録番号01-2120031429-59-0000))が販売する市販のバイオベース炭化水素基油(部分的に水素化されたp-3,7,11-トリメチルドデカ-1,3,6,10-テトラエンと、水素化された直鎖状のC-C16アルファ-オレフィンとの間の水素化反応生成物)を使用する。

【表1】
【0233】
有利なことに、特定の実施形態では、エンジンオイルに含まれる基油中の炭素原子の少なくとも約20%が、再生可能な炭素源に由来する。例えば、そのような一実施形態では、エンジンオイルに含まれる基油中の炭素原子の少なくとも約30%が、再生可能な炭素源に由来する。さらなる例として、そのような一実施形態では、エンジンオイルに含まれる基油中の炭素原子の少なくとも約40%が、再生可能な炭素源に由来する。さらなる例として、そのような一実施形態では、エンジンオイルに含まれる基油中の炭素原子の少なくとも約50%が、再生可能な炭素源に由来する。さらなる例として、そのような一実施形態では、エンジンオイルに含まれる基油中の炭素原子の少なくとも約60%が、再生可能な炭素源に由来する。さらなる例として、そのような一実施形態では、エンジンオイルに含まれる基油中の炭素原子の少なくとも約70%が、再生可能な炭素源に由来する。さらなる例として、そのような一実施形態では、エンジンオイルに含まれる基油中の炭素原子の少なくとも約80%が、再生可能な炭素源に由来する。さらなる例として、そのような一実施形態では、エンジンオイルに含まれる基油中の炭素原子の少なくとも約90%が、再生可能な炭素源に由来する。いくつかの変形形態において、エンジンオイルの基油成分の炭素原子は、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または約100%が再生可能な炭素源に由来する。反応生成物の付加物中の炭素原子源は、付加物の構造及び/または分子量を示す分析結果と組み合わせる反応メカニズムを含むがこれに限定されない任意の好適な方法によって決定され得るか、または放射性炭素年代決定法によって(例えば、その全体が本明細書に組み込まれるASTM D6866-12「放射性炭素分析を使用して固体、液体、及び気体試料のバイオベース含有量を決定するための標準試験方法(Standard Test Methods for Determining the Biobased Content of Solid,Liquid,and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis)」に従って)決定され得る。例えば、ASTM D6866-12または別の適切な技術を使用し、バイオベース基油中の炭素14と炭素12の同位体の比を、液体シンチレーション計数及び/または同位体比質量分析によって測定し、試料中の現代炭素含有量を決定することができる。現代炭素含有量がないという測定値は、全ての炭素が化石燃料に由来することを示す。再生可能な炭素源から得られた試料は、最大100%の現代炭素含有量の付随する量を示す。
【0234】
本開示のいくつかの実施形態では、バイオベースの炭化水素基油の1つ以上の繰り返し単位は、部分水素化共役炭化水素テルペンの特定の種である。このような部分水素化共役テルペンの特定の種は、水素化過程によって生成されても、生成されなくてもよい。特定の変更形態において、部分水素化炭化水素テルペン種は、接触水素化に加えるか、または接触水素化以外の1つ以上のステップを含む方法によって調製される。
【0235】
部分水素化共役炭化水素テルペンの特定の種の非限定的な例としては、ジヒドロファルネセン、テトラヒドロファルネセン、及びヘキサヒドロファルネセンについて本明細書で提供される構造のいずれか、ジヒドロミルセン及びテトラヒドロミルセンについて本明細書で提供される構造のいずれか、及びジヒドロオシメン及びテトラヒドロオシメンについて本明細書で提供される構造のいずれかが挙げられる。
【0236】
原料として有用し得る部分水素化共役炭化水素テルペンの特定の種の一例としては、構造(A11)の飽和炭化水素尾部を有する末端オレフィンが挙げられる。
【化1】

式中、nは、1、2、3、または4である。
【0237】
いくつかの変形形態において、構造A11を有するモノオレフィンアルファ-オレフィンは、共役ジエンがテルペンの1,3位にある共役炭化水素テルペンから誘導され得る。例としては、1,3-ジエン共役炭化水素テルペン(例えば、ファルネセン、ミルセン、オシメン、スプリンゲン、ゲラニルファルネセン、ネオフィタジエン、トランス-フィタ-1,3-ジエン、またはcz’s-フィタ-1,3-ジエンなどのC10-C30共役炭化水素テルペン)から誘導されるアルファ-オレフィンが挙げられる。一般構造A11を有するアルファ-オレフィンの別の非限定的な例としては、構造A12を有する3,7,11-トリメチルドデセンが挙げられる。
【化2】
【0238】
構造A11を有するモノオレフィンアルファ-オレフィンは、任意の好適な方法を用いて適切な共役炭化水素テルペンから調製し得る。いくつかの変形形態において、構造A11を有するモノオレフィンアルファ-オレフィンは、炭化水素テルペン(例えば、ファルネセンの場合はファルネソール、またはミルセンの場合はゲラニオール)に対応する第一級アルコールから生成される。この方法は、第一級アルコールを水素化し、水素化アルコールからカルボン酸エステルまたはカルバメートエステルを形成し、エステルを熱分解(または、エステルを加熱して脱離反応を促進)して飽和炭化水素尾部を有するアルファ-オレフィンを形成することを含み、例えば、Smith,L.E.;Rouault,G.F.,J.Am.Chem.Soc.1943,65,745-750に3,7-ジメチルオクテンの調製が記載され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。対応する炭化水素テルペンの第一級アルコールは、任意の好適な方法を使用して得てよい。
【0239】
原料として有用し得る部分水素化共役炭化水素テルペンの特定の種の他の例としては、構造(A13)または構造(A15)の飽和炭化水素尾部を有するモノオレフィンが挙げられる。

【化3】

式中、nは、1、2、3、または4である。一般構造A13、A15、またはA11を有するモノオレフィンは、ある場合には、ミルセン、ファルネセン、スプリンゲン、ゲラニルファルネセン、ネオフィタジエン、フランス-フィタ-1,3-ジエン、またはc/Sup’/Sups-フィタ-1,3-ジエンなど1,3-ジエン部分を有する共役炭化水素テルペンから誘導される。また、ここでも、共役物は、第1のステップで保護基で(例えば、ディールスアルダー反応を介して)官能化し、第2のステップで環外オレフィン結合を水素化し、第3のステップで保護基を除去し得る。構造A13、A15、またはA11を有するモノオレフィンを製造する方法の非限定的な一例として、1,3-ジエンを有する共役炭化水素テルペンを触媒の存在下でSOと反応させ、ディールスアルダー付加物を形成することが挙げられる。ディールスアルダー付加物は、適切な水素化触媒で水素化され、環外オレフィン結合を飽和させ得る。逆ディールスアルダー反応を水素化付加物に対して(例えば、加熱により、場合によっては適切な触媒の存在下で)実行し、スルホンを除去して1,3-ジエンを形成し得る。次いで、1,3-ジエンを、当該技術分野で周知の触媒を使用して選択的に水素化することで、構造A11、A13またはA15を有するモノオレフィン、または前述のものの2つ以上の混合物が得られる。1,3-ジエンについての位置選択的水素化触媒の非限定的な例は、Jong Tae Lee et al,“Regioselective hydrogenation of conjugated dienes catalyzed by hydridopentacyanocobaltate anion using β-cyclodextrin as the phase transfer agent and lanthanide halides as promoters,”J.Org.Chem.,1990,55(6),pp.1854-1856、V.M.Frolov et al,“Highly active supported palladium catalysts for selective hydrogenation of conjugated dienes into olefins,”Reaction Kinetics and Catalysis Letters,1984,Volume25,Numbers 3-4,pp.319-322、Tungler,A.,Hegedus,L.,Fodor,K.,Farkas,G.,Furcht,A.and Karancsi,Z.P.(2003)“Reduction of Dienes and Polyenes,”in The Chemistry of Dienes and Polyenes,Volume2(ed.Z.Rappoport)John Wiley & Sons,Ltd,Chichester,UK.、及びTungler,A.,Hegedus,L.,Fodor,K.,Farkas,G.,Furcht,A.and Karancsi,Z.P.,“Reduction of Dienes and Polyenes”in Patai’s Chemistry of Functional Groups(John Wiley and Sons,Ltd,2009年12月15日オンライン出版)に提供されており、それぞれの全体は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、1,3-ジエンへの1,4水素付加のための当該技術分野で周知の触媒により、構造A13を有するモノオレフィンが得られる。非限定的な一例として、β-ファルネセンを触媒の存在下でSOと反応させ、ディールスアルダー付加物を形成し、これを続いて水素化し、スルホンを脱離させることで、1,3-ジエンを形成し、続いて、1,3-ジエンに位置選択的に水素を付加する当該技術分野で周知の触媒を使用して選択的に水素化することで、3,7,11-トリメチルドデカ-2-エン、3,7,11-トリメチルドデカ-1-エン、または3-メチレン-7,11-ジメチルドデカン、もしくは前述のもののいずれか2以上の混合物を形成することができる。
【0240】
供給原料として有用し得る部分水素化炭化水素テルペンの特定の種のさらなる別の例として、1,3-共役ジエンを有する共役炭化水素テルペンと少なくとも1つの追加のオレフィンを結合(例えば、ミルセン、ファルネセン、スプリンゲン、またはゲラニルファルネセン)することで、一般構造A14の末端オレフィンを得てよい。
【化4】

式中、nは、1、2、3、または4である。非限定的な一変形形態において、構造A14を有する化合物は、関連する炭化水素テルペン(例えば、ファルネセンの場合はファルネソール、またはミルセンの場合はゲラニオール)に対応する不飽和第一級アルコールから誘導され得る。不飽和第一級アルコールは、好適な反応条件下で好適な触媒に露出され、第一級アルコールを脱水し、末端オレフィンA14を形成し得る。
【0241】
本明細書に記載のオレフィン供給原料は、例えば、本明細書に記載の部分水素化経路または他の経路によって得られる任意の有用な量の特定の種(例えば、構造A11、A12、またはA15を有するアルファ-オレフィン種、構造A13を有するモノオレフィン種、または構造A14を有する不飽和末端オレフィン種)を含んでよい。特定の変更形態において、オレフィン系供給原料は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の種が構造A11、A12、A13、A14、またはA15を有する。特定の変更形態において、オレフィン系供給原料は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の3,7,11-トリメチルドデカ-1-エンを含む。特定の変更形態において、オレフィン系供給原料は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の3-メチレン-7,11-ジメチルドデカンを含む。特定の変更形態において、オレフィン系供給原料は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の3,7,11-トリメチルドデカ-2-エンを含む。特定の変更形態において、オレフィン系供給原料は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の3,7,11-トリメチルドデカ-1,6,10-トリエンを含む。特定の変更形態において、オレフィン系供給原料は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の3,7-ジメチルオクタ-1-エンを含む。特定の変更形態において、オレフィン系供給原料は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の3,7-ジメチルオクタ-2-エンを含む。特定の変更形態において、オレフィン系供給原料は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエンを含む。
【0242】
本明細書に記載されるように、いくつかの変形形態において、部分水素化炭化水素テルペンのアルファ-オレフィン種または内部オレフィン種を含む炭化水素テルペン原料は、1つ以上のアルファ-オレフィンとの触媒反応に適しており、テルペンの付加物を含むイソパラフィンと1つ以上のアルファ-オレフィンとの混合物を形成する。いくつかの変形例において、そのように生成されたイソパラフィンの混合物の少なくとも一部は、基油として使用され得る。
【0243】
一実施形態では、バイオベース油は、ASTM-D6866-12によって測定されるように、再生可能な炭素源から誘導されるバイオベース基油源の炭素原子を少なくとも約25%、ASTM-D6866-12によって測定されるように、再生可能な炭素源から誘導されるバイオベース基油源の炭素原子を少なくとも約40%、ASTM-D6866-12によって測定されるように、再生可能な炭素源から誘導されるバイオベース基油源の炭素原子を少なくとも約50%、ASTM-D6866-12によって測定されるように、再生可能な炭素源から誘導されるバイオベース基油源の炭素原子を少なくとも約60%、ASTM-D6866-12によって測定されるように、再生可能な炭素源から誘導されるバイオベース基油源の炭素原子を少なくとも約70%、ASTM-D6866-12によって測定されるように、再生可能な炭素源から誘導されるバイオベース基油源の炭素原子を少なくとも約80%、またはASTM-D6866-12によって測定されるように、再生可能な炭素源から誘導されるバイオベース基油源の炭素原子を少なくとも約90%を含有する。
【0244】
一実施形態では、バイオベース基油は、少なくとも7個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも8個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも9個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも10個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも11個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも15個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも20個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも22個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも24個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも26個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)、少なくとも27個の平均メチル分岐指数(炭素100個あたりのメチル分岐)をさらに有する。
【0245】
一実施形態では、バイオベース基油の分子量は、300g/モル~800g/モルの範囲内であり、バイオベース基油の分子量は390g/モル~510g/モルの範囲である。
【0246】
バイオベース基油は、全炭素原子の25~34%が分岐に含まれ、かつ全イソパラフィン分岐の半分未満が2つ以上の炭素原子を含む分子構造を有する少なくとも95%の非環状イソパラフィンを含み、エンジンオイルは、ASTM-D6866方法で測定したように、25%を超える再生可能な炭化水素含有量を有する。
【0247】
一実施形態では、バイオベース基油の少なくとも95重量%が非環式イソパラフィンを含み、非環式イソパラフィンの少なくとも25重量%が水素化セスキテルペノイドモノマー単位、非環式イソパラフィンの少なくとも30重量%が水素化セスキテルペノイドモノマー単位、非環式イソパラフィンの少なくとも35重量%が水素化セスキテルペノイドモノマー単位、または非環式イソパラフィンの少なくとも45重量%が水素化セスキテルペノイドモノマー単位である。
【0248】
一実施形態では、バイオベース基油は、OECD 301 B試験法によると、28日間で50%を超えて生分解され、バイオベース基油は、OECD 301 B試験法によると、28日間で60%を超えて生分解され、バイオベース基油は、OECD 301 B試験法によると、28日間で70%を超えて生分解される。
【0249】
一実施形態では、バイオベース基油は、ASTM D2270-10に従って測定される粘度指数(VI)が120を超えることを特徴とし、分岐比は0.41未満である。
【0250】
一実施形態では、バイオベース基油は、ASTM D2270-10に従って測定される粘度指数(VI)が120を超えることを特徴とし、バイオベース基油分子の少なくとも40%超が分子あたり3つを超えるメチル分岐を有し、バイオベース基油分子の少なくとも50%が分子あたり3つを超えるメチル分岐を有し、バイオベース基油分子の少なくとも60%が分子あたり3つを超えるメチル分岐を有する。
【0251】
一実施形態では、バイオベース基油は、ASTM D2270-10に従って測定される粘度指数(VI)が120を超えることを特徴とし、バイオベース基油分子の25%超が分子あたり6つを超えるメチル分岐を有し、バイオベース基油分子の少なくとも30%が分子あたり3つを超えるメチル分岐を有し、バイオベース基油分子の少なくとも40%が分子あたり3つを超えるメチル分岐を有し、バイオベース基油分子の少なくとも50%が分子あたり3つを超えるメチル分岐を有し、バイオベース基油分子の少なくとも60%が分子あたり3つを超えるメチル分岐を有する。
【0252】
一実施形態では、バイオベース基油は、ASTM-D6866-12によって測定したときに60%超、ASTM-D6866-12によって測定したときに70%超、ASTM-D6866-12によって測定したときに80%超、ASTM-D6866-12によって測定したときに90%超の再生可能な炭素含有量を有することを特徴とする。
【0253】
基油は、ASTM-D2007-1で測定したときに、少なくとも90%の飽和含有量を有する。
【0254】
一実施形態では、基油に含まれる炭化水素分子の少なくとも50%が分子あたり奇数個の炭素原子を含み、基油に含まれる炭化水素分子の少なくとも60%が分子あたり奇数個の炭素原子を含み、基油に含まれる炭化水素分子の少なくとも70%が分子あたり奇数個の炭素原子を含み、基油に含まれる炭化水素分子の少なくとも80%が分子あたり奇数個の炭素原子を含む。
【0255】
一実施形態では、バイオベース基油は、OECD 301 B試験法によると、28日間で60%を超えて生分解され、バイオベース基油は、OECD 301 B試験法によると、28日間で70%を超えて生分解される。
【0256】
基油は、ミルセン、オシメン、ファルネセン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるバイオベーステルペンを含む。一実施形態では、基油はファルネセンを含む。一実施形態では、バイオベース基油はファルネセンから誘導される。一実施形態では、バイオベース基油は糖から誘導される。
【0257】
一態様において、バイオベースの基油は、高品質の合成ベースストックとして使用するのに適したNMRによって特徴付けられる固有の分岐構造を有する飽和炭化水素混合物である。炭化水素混合物は、非常に低い揮発性、優れた低温特性などを含む優れた特性を備えており、これらの特性は高品質のベースストックの重要な性能属性である。具体的に、混合物には、FIMSによる偶数炭素数を有する分子が80%超含まれる。NMRによって特徴付けられた炭化水素混合物の分岐特性は、-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐鎖)+2.0以上の範囲のBP/BIを有する。さらに、平均して、内部メチル分岐の少なくとも0.3~1.5が、末端炭素から4個の炭素超離れて位置する。この固有の分岐構造を有する飽和炭化水素は、低粘度自動車用エンジンオイルのブレンドに有利な驚くべきコールドクランクシミュレーション粘度(CCS)とノアック揮発性の関係を示す。
【0258】
一実施形態では、本明細書に記載の炭化水素混合物は、オレフィンのオリゴマー化及びその後の水素異性化の生成物である。C14~C20のオレフィンは、オリゴマー化され、未反応のモノマー、ダイマー(C28~C40)、及びトリマーとそれ以上のオリゴマー(≧C42)からなるオリゴマー分布を形成する。未反応のモノマーは、その後のオリゴマー化で再利用できるように蒸留除去される。次いで、残りのオリゴマーは水素異性化され、驚くべきコールドクランクシミュレーション粘度(CCS)とノアック揮発性の関係を一貫して与える、本明細書に記載の最終分岐構造を達成する。
【0259】
炭化水素特性の定義
次の特性は、飽和炭化水素混合物を記述する際に使用される。
【0260】
粘度は、ベースストックの流動性を測定する物理的特性である。粘度は温度と強い関数関係である。一般的に使用される2つの粘度測定は、動的粘度(dynamic viscosity)と動粘度(kinematic viscosity)である。動的粘度は、液体の流れに対する内部抵抗を測定する。エンジンオイルの-35℃におけるコールドクランキングシミュレータ(CCS)粘度は、動的粘度測定の一例である。動的粘度のSI単位はPa・sである。使用される従来の単位は、センチポアズ(cP)で、0.001Pa・s(または1mPa・s)に相当する。業界は、ゆっくりとSI単位に移行している。動粘度は、動的粘度と密度との比率である。動粘度のSI単位は、mm2/sである。業界で一般的に使用される他の単位は、40℃(KV40)及び100℃(KV100)でセンチストークス(cSt)ならびに100°F及び210°FでSUS(Saybolt Universal Second)である。便利にも1mm2/sは1cStと等しい。ASTM D5293及びD445は、CCS及び動粘度を測定するためのそれぞれの方法である。
【0261】
粘度指数(VI)は、温度の関数としてベースストックの動粘度変化を測定するために使用される経験的数値である。VIが高いほど、温度による粘度の相対的な変化は少なくなる。VIが高いベースストックは、ほとんどの潤滑用途、特に、動作温度の大きい変化にさらされるマルチグレードの自動車用エンジンオイルや他の自動車用潤滑剤に望ましい。ASTM D2270は、VIを決定するために一般的に使用される方法である。
【0262】
流動点は、試験片の動きが観察される最低温度である。ほとんどの潤滑剤は、液相で動作するように設計されているため、これはベースストックにとって最も重要な特性の1つである。流動点が低いことは、通常、特に寒い時期の潤滑に望ましい。ASTM D97は、流動点を測定するための標準的な手動方式である。ASTM D5950やASTM D6749などの自動化方式に徐々に置き換えられている。1℃の試験間隔を有するASTM D5950は、本特許の実施例の流動点測定に使用される。
【0263】
揮発性は、昇温際の蒸発による油の損失に対する測定である。特に軽量グレードのベースストックの場合、排出及びと動作寿命に関する懸念のため、これは非常に重要な仕様になっている。揮発性は、特に沸点曲線の前端で、オイルの分子組成に依存している。ノアック(ASTM D5800)は、自動車用潤滑剤の揮発性を測定する際、一般的に受け入れられる方法である。ノアック試験方法自体は、運転中の内燃エンジンなどの高温での使用における蒸発損失をシミュレートする。
【0264】
沸点分布は、5%及び95%の材料が蒸発する真沸点(TBP)によって定義される沸点範囲である。本明細書では、これをASTM D2887によって測定する。
【0265】
NMR分岐分析
炭化水素の特性評価のためにNMR分光法で測定した分岐パラメータは、次のものを含む。
【0266】
分岐指数(BI):イソパラフィン炭化水素中のH NMR化学範囲の0.5~2.1ppmで現れる全ての水素のうち、0.5~1.05ppmの化学シフト範囲に現れるメチル水素のパーセンテージ。
【0267】
分岐近接度(BP):13C NMR化学シフト29.8ppmで現れる末端基または分岐から除去された4個以上の炭素原子である反復メチレン炭素のパーセンテージ。
【0268】
内部アルキル炭素:3-メチル、4-メチル、5+メチル、隣接メチル、内部エチル、n-プロピルを含み、かつ13.8ppmで現れる末端メチル炭素を除く、13C NMR化学シフト0.5ppm及び22.0ppmの間に現れる未知のメチルを含む、末端メチル炭素から除去された3個以上の炭素であるメチル、エチル、またはプロピル炭素の数。
【0269】
5+メチル炭素:平均イソパラフィン分子中の13C NMR化学シフト19.6ppmで現れる末端炭素から離れた4個を超える炭素であるメチン炭素に付着したメチル炭素の数。
【0270】
NMRスペクトルは、5mmのBBIプローブを使用するBruker AVANCE 500分光計を用いて得た。各試料は、CDCl3と1:1(重量:重量)で混合した。H NMRを500.11MHzで記録し、各スペクトルについて64回のスキャンを加えて4秒の間隔で適用した9.0μs(30℃)パルスを使用した。13C NMRは、7.0μsパルスを使用し、逆ゲートデカップリングを有する125.75MHzで記録し、各スペクトルについて4096のスキャンを同時に加えて6秒間隔で適用した。緩和剤として少量の0.1M Cr(acac)を添加し、内部標準としてTMSを使用した。
【0271】
本発明の潤滑剤ベースストック試料の分岐特性は、以下の6つのステップ手順に従って決定される。手順は、US 20050077208 A1に詳細に記載されており、その全体が本明細書に組み込まれる。次の手順は、現在の試料セットを特徴付けるためにわずかに変更される。
(1)DEPTパルスシーケンス(Doddrell,D.T.;D.T.Pegg;M.R.Bendall,Journal of Magnetic Resonance 1982,48,323ff.)を使用して、CH分岐中心及びCH分岐終点を特定する。
(2)APTパルスシーケンス(Patt,S.L.;J.N.Shoolery,Journal of Magnetic Resonance 1982,46,535ff.)を用いて、複数の分岐を開始する炭素(四級炭素)がないことを確認する。
(3)表及び計算値(Lindeman,L.P.,Journal of Qualitative Analytical Chemistry 43,1971 1245ff;Netzel,D.A.,et.al.,Fuel,60,1981,307ff.)を用いて、特定の分岐位置及び長さに様々な分岐炭素共鳴を割り当てる。分岐NMR化学シフト(ppm)
【表2】

(4)末端メチル炭素の統合強度を単一炭素の強度(混合物の分子あたりの総積分/炭素数)と比較し、異なる炭素位置での分岐発生の相対頻度を定量化する。例えば、分子あたり5+メチル分岐の数は、単一炭素の強度に対して19.6ppmの化学シフト際の信号強度から計算される。末端及び分岐メチルの両方が同じ共鳴位置で生じる2-メチル分岐の固有の場合に、分岐発生頻度計算を実行する前に強度を2で割った。4-メチル分岐率を計算して表にする場合、二重計数を避けるために5+メチルへの寄与を減らす必要がある。未知のメチル分岐は、5.0ppm~22.5ppmの間に現れる信号の寄与から計算されるが、表2に記録された分岐は含まない。
(5)参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,090,989号に記載された計算を用いて、分岐指数(BI)及び分岐近接度(BP)を計算する。(6)2-メチル分岐を除いて、ステップ3及び4で見つけた分岐を加え、分子あたりの全内部アルキル分岐を計算する。このような分岐は、3-メチル、4-メチル、5+メチル、内部エチル、n-プロピル、隣接メチル、及び未知のメチルを含み得る。
【0272】
FIMS分析:本発明の炭化水素分布は、FIMS(field ionization mass spectroscopy)によって決定される。FIMSスペクトルは、Waters GCT-TOF質量分析計によって得られた。試料は、1分あたり50℃の速度で約40℃~500℃に加熱される固体プローブを介して導入された。質量分析計は、10年あたり5秒の速度で40m/z~1000m/zにスキャンした。得られた質量スペクトルを合計し、最大6個の環を含むパラフィン及びシクロパラフィンの炭素数分布を提供する1つの平均スペクトルを生成した。
【0273】
炭化水素の構造及び特性
本明細書に開示される炭化水素混合物の構造は、FIMS及びNMRによって特徴付けられる。FIMS分析は、炭化水素混合物の分子の80%超が偶数の炭素数を有することを示す。
【0274】
本明細書に開示される炭化水素混合物の固有の分岐構造は、BP、BI、内部アルキル分岐、及び5+メチルなどのNMRパラメータを特徴とする。炭化水素混合物のBP/BIは≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分岐)+2.0の範囲である。炭化水素混合物の5+メチルは、分子あたり平均0.3~1.5である。
【0275】
炭化水素混合物は、炭素数分布、C28~C40炭素、及びC42以上に基づき、2つの炭素範囲に分類することができる。一般に、各炭化水素混合物中に存在する分子の約95%以上は、特定範囲内の炭素数を有する。C28~C40の範囲の代表的な分子構造は、NMR及びびFIMS分析に基づいて提案され得る。いずれか1つの特定理論に縛られることなく、オレフィンのオリゴマー化及び水素異性化によって形成される構造は、その構造全体に分布したメチル、エチル、ブチル分岐を有し、分岐指数及び分岐近接度が生成物の驚くほど優れた低温特性に寄与すると推定される。本炭化水素混合物における例示的な構造は以下の通りである。
【0276】
炭化水素混合物の固有の分岐構造及び狭い炭素分布は、特に低粘度エンジンオイル用途において、高品質の合成基油として使用することに適合させる。炭化水素混合物は以下を示す:3.0~10.0cStの範囲のKV100;-20~-55℃の範囲の流動点;ノアックが2750(-35℃でのCCS)(-0.8)/±2の間にあるようにする-35℃でのノアックとCCSの関係。
【0277】
28~C40の範囲の炭素数を有する本発明に係る炭化水素混合物、及び炭素数がC28~C36の範囲にある別の実施形態またはC32の炭素数を有する分子の別の実施形態における炭化水素混合物は、一般に、上記のBP/BI、分子あたりの内部アルキル分岐、分子あたり5+メチル分岐、及びノアック/CCS関係の特性に加えて、次のような特性を示す:3.0~6.0cStの範囲のKV100;11ln(BP/BI)+135~11ln(BP/BI)+145の範囲のVI;33ln(BP/BI)-45~33ln(BP/BI)-35の範囲の流動点。
【0278】
一実施形態では、C28~C40炭化水素混合物のKV100は3.2~5.5cStであり;別の実施形態では、KV100は4.0~5.2cStの範囲であり;及び別の実施形態では、KV100は4.1~4.5cStの範囲である。
【0279】
C28~C40炭化水素混合物のVIは、一実施形態では125~155、別の実施形態では135~145の範囲である。
【0280】
炭化水素混合物の流動点は、一実施形態では25~-55℃、別の実施形態では35~-45℃の範囲である。
【0281】
一実施形態では、C28~C40炭化水素混合物の沸点範囲は、ASTM D2887によって測定したとき、125℃(95%でのTBP~5%でのTBP)以下であり;別の実施形態では、100℃以下;一実施形態において75℃以下;別の実施形態では、50℃以下;一実施形態では、30℃以下である。好ましい実施形態では、沸点範囲が50℃以下、さらにより好ましくは30℃以下であるものは、所与のKV100に対して驚くほど低いノアック揮発性(ASTM D5800)を与える。
【0282】
一実施形態においては、C28~C40炭化水素混合物は、14~30の範囲の分岐近接度(BP)及び15~25の範囲の分岐指数(BI)を有し;別の実施形態では、15~28の範囲のBP及び16~24の範囲のBIを有する。
【0283】
28~C40炭化水素混合物のノアック揮発性(ASTM D5800)は、一実施形態において、16重量%未満であり;一実施形態では、12重量%未満であり;一実施形態では、10重量%未満であり;一実施形態では、8重量%未満であり;及び一実施形態では、7重量%未満である。また、一実施形態では、C28~C40炭化水素混合物は、-35℃でのCCS粘度が2700cP未満であり;別の実施形態では、2000cP未満であり;一実施形態では、1700cP未満であり;一実施形態では、1500cP未満である。
【0284】
42以上の炭素数範囲の炭化水素混合物は、一般に、上記のBP/BI、分子あたり内部アルキル分岐、分子あたり5+メチル分岐、-35℃でのノアックとCCSの関係に関する特性の他に、以下の特性を示す:6.0~10.0cStの範囲のKV100;11ln(BP/BI)+145~11ln(BP/BI)+160の範囲のVI;及び33ln(BP/BI)-40~33ln(BP/BI)-25の範囲の流動点。
【0285】
42以上の炭素を含む炭化水素混合物は、一実施形態では、8.0~10.0cStの範囲のKV100を有し、別の実施形態では、8.5~9.5cStの範囲のKV100を有する。
【0286】
≧42個の炭素を有する炭化水素混合物のVIは、一実施形態では、140~170であり;別の実施形態では、150~160である。
【0287】
一実施形態では、流動点は-15~-50℃の範囲であり;別の実施形態では、-20~-40℃である。
【0288】
一実施形態では、≧42個の炭素を含む炭化水素混合物は、18~28の範囲のBP及び17~23の範囲のBIを有する。別の実施形態では、炭化水素混合物は、18~28の範囲のBP及び17~23の範囲のBIを有する。
【0289】
一般に、上に開示した両方の炭化水素混合物は、以下の特徴を示す:分子の少なくとも80%が、FIMSによる偶数の炭素数を有すること;3.0~10.0cStの範囲のKV100;-20~-55℃の範囲の流動点;ノアックが2750(CCS@-35℃)(-0.8)±2の間にあるというノアックとCCS@-35℃の関係;分子あたり≧-0.6037(内部アルキル分岐)+2.0の範囲のBP/BI;及び分子あたり平均0.3~1.5の5+メチル分岐。
【0290】
水素異性化炭化水素混合物は、C28~C40の範囲の炭素数を有する二量体、及びC42以上の炭素数を有する三量体+の混合物を含む。炭化水素混合物のそれぞれは、分子あたり≧-0.6037(内部アルキル分岐)±2.0の範囲のBP/BI、平均して、分子あたり5番目以上の位置に0.3~1.5のメチル分岐がある。重要なことに、各組成の分子のうちの少なくとも80%は、FIMSによって決定された偶数の炭素数を有する。また、別の実施形態では、炭化水素組成物のそれぞれは、ノアックが2750(-35℃でのCCS)(-0.8)±2であるという、ノアックと-35℃でのCCSの関係を示す。これらの特性により、低粘度エンジンオイルだけでなく、他の多くの高性能潤滑製品の配合が可能になる。
【0291】
一実施形態では、C16オレフィンは、オリゴマー化反応の供給物として使用される。供給物としてC16オレフィンを使用する場合、水素異性化二量体生成物は、一般に、<8%のノアック損失と共に4.3cStのKV100及び約1,700cPの-35℃でCCSを示す。非常に低いノアック揮発性は、他の3.9~4.4cSt合成ベースストックと比較して、高い開始沸点及び狭い沸点分布のためである。これにより、揮発性の要件が厳しい低粘度エンジンオイルでの使用に最適化される。優れたCCS及び流動点特性は、上述した分岐特性によるものである。一実施形態では、材料は、≦-40℃の流動点を有する。これは、Mini-Rotary Viscosity(ASTM D4684)及びScanning Brookfield Viscosity(ASTM D2983)仕様を含み、0W配合についての重要なエンジンオイル配合要件を満たすために必要なものである。
【0292】
2次基油
本明細書に開示される潤滑油組成物は通常、少なくとも1つの潤滑粘度油を含む。当業者に知られている任意の基油が、本明細書に開示される潤滑粘度油として使用され得る。潤滑油組成物を調製するために好適ないくつかの基油は、Mortier et al.,“Chemistry and Technology of Lubricants,”3rd Edition,London,Springer,Chapters 1 and 2(2011);及びA.Sequeria,Jr.,“Lubricant Base Oil and Wax Processing,”New York,Marcel Decker,Chapter 6,(1994);及びD.V.Brock,Lubrication Engineering,Vol.43,pages 184-5,(1987)(その全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。通常、潤滑油組成物における基油の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約60~約99.5重量%であり得る。いくつかの実施形態では、潤滑油組成物における基油の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約75~約99重量%、約80~約98.5重量%、または約80~約98重量%であり得る。
【0293】
特定の実施形態では、上記のバイオベース基油に加え、基油は、任意の天然または合成潤滑基油留分である、またはそれを含む。合成油のいくつかの非限定的な例には、エチレンなどの少なくとも1つのアルファ-オレフィンの重合から調製される油、またはフィッシャー・トロプシュプロセスなどの一酸化炭素及び水素ガスを使用する炭化水素合成手順から調製される油が含まれる。特定の実施形態では、基油は、基油の総重量に対して、約10重量%未満の1つ以上の重質留分を含む。重質留分は、100℃で少なくとも約20cStの粘度を有する潤滑油留分を指す。特定の実施形態では、重質留分は、100℃で少なくとも約25cStまたは少なくとも約30cStの粘度を有する。さらなる実施形態では、基油における1つ以上の重質留分の量は、基油の総重量に対して、約10重量%未満、約5重量%未満、約2.5重量%未満、約1重量%未満、または約0.1重量%未満である。またさらなる実施形態では、基油は、重質留分を含まない。
【0294】
特定の実施形態では、潤滑油組成物は、大量の潤滑粘度基油を含む。いくつかの実施形態では、基油は、100℃で約2.5センチストーク(cSt)~約20cStの動粘度を有する。本明細書に開示される基油または潤滑油組成物の動粘度は、ASTM D 445(参照により本明細書に組み込まれる)に従って測定され得る。
【0295】
他の実施形態では、基油は、ベースストックまたはベースストックのブレンドである、またはそれを含む。さらなる実施形態では、ベースストックは、抽出、溶媒精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化、及び再精製を含むがこれらに限定されない多様な異なるプロセスを使用して製造される。いくつかの実施形態では、ベースストックは、再精製ストックを含む。さらなる実施形態では、再精製ストックは、製造、コンタミネーション、または先行使用を介して導入された物質を実質的に含まないものとする。
【0296】
いくつかの実施形態では、基油は、American Petroleum Institute(API)Publication 1509,Seventeenth Edition,September 2012(すなわち、API Base Oil Interchangeability Guidelines for Passenger Car Motor Oils and Diesel Engine Oils)(参照により本明細書に組み込まれる)で既定されている、グループI~Vの1つ以上におけるベースストックの1つ以上を含む。APIガイドラインは、多様な異なるプロセスを使用して製造され得る潤滑成分としてベースストックを定義している。グループI、II及びIIIベースストックは、鉱油であり、それぞれが特定の範囲の飽和物量、硫黄含有量及び粘度指数を有する。好適なグループIの基油には、例えば、軽質中性、中質中性、及び重質中性ベースストックなどの、真空蒸留カラムからの軽質オーバーヘッドカットが含まれる。基油には、残渣ベースストックまたはボトム留分、例えばブライトストックもまた含まれ得る。ブライトストックは、残渣ストックまたはボトムから従来より製造されてきた高粘度基油であり、高度に精製及び脱ろうされている。グループIVベースストックは、ポリアルファオレフィン(PAO)である。グループVのベースストックには、グループI、II、III、またはIVに含まれない全ての他のベースストックが含まれる。
【0297】
下記表3に、グループI、II、及びIIIベースストックに対するの飽和度レベル、硫黄レベル及び粘度指数を示す。
【表3】
【0298】
いくつかの実施形態では、基油は、グループI、II、III、IV、Vまたはそれらの組み合わせにおけるベースストックの1つ以上を含む。他の実施形態では、基油は、グループII、III、IVまたはそれらの組み合わせにおけるベースストックの1つ以上を含む。
【0299】
基油は、天然潤滑粘度油、合成潤滑粘度油及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、基油には、合成ワックス及びスラックワックスの異性化によって得られるベースストック、ならびに粗製物の芳香族及び極性成分を(溶媒抽出に加えまたはその代わりに)水素化分解することによって生成される水素化分解ベースストックが含まれる。他の実施形態では、潤滑粘度基油には、天然油、例えば、動物油、植物油、鉱油、石炭またはシェールに由来する油、及びそれらの組み合わせが含まれる。動物油のいくつかの非限定的な例には、骨油、ラノリン、魚油、ラード油、イルカ油、アザラシ油、サメ油、獣脂油、及びクジラ油が含まれる。植物油のいくつかの非限定的な例には、ヒマシ油、オリーブ油、ピーナッツ油、菜種油、コーン油、ゴマ油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、ベニバナ油、大麻油、亜麻仁油、キリ油、オイチシカ油、ホホバ油、及びメドウフォーム油が含まれる。そのような油は、部分的にまたは完全に水素化され得る。鉱油のいくつかの非限定的な例は、グループI、II、及びIIIベースストック、液化石油、及びパラフィン系、ナフテン系または混合パラフィン系-ナフテン系タイプの溶媒処理もしくは酸処理鉱油を含む。いくつかの実施形態では、鉱油はニートまたは低粘度鉱油である。
【0300】
いくつかの実施形態では、合成潤滑粘度油には、炭化水素油及びハロ置換炭化水素油、例えば、重合及び内部重合オレフィン、アルキルベンゼン、ポリフェニル、アルキル化ジフェニルエーテル、アルキル化ジフェニルスルフィド、ならびにそれらの誘導体、それらのアナログ及びホモログなどが含まれる。他の実施形態では、合成油には、アルキレンオキシドポリマー、インターポリマー、コポリマー及びそれらの誘導体であって、末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などによって改変されていてもよいものが含まれる。さらなる実施形態では、合成油には、ジカルボン酸と多様なアルコールとのエステルが含まれる。特定の実施形態では、合成油には、C~C12モノカルボン酸ならびにポリオール及びポリオールエーテルから作製されたエステルが含まれる。さらなる実施形態では、合成油には、トリ-アルキルホスフェートエステル油、例えば、トリ-n-ブチルホスフェート及びトリ-iso-ブチルホスフェートが含まれる。
【0301】
いくつかの実施形態では、合成潤滑粘度油には、ケイ素ベースの油(ポリアルキル-、ポリアリール-、ポリアルコキシ-、ポリアリールオキシ-シロキサン油及びシリケート油など)が含まれる。他の実施形態では、合成油には、リン含有酸の液体エステル、ポリマーテトラヒドロフラン、ポリアルファオレフィンなどが含まれる。
【0302】
ワックスの水素異性化に由来する基油も、単独でまたは前述の天然及び/または合成基油と組み合わせて使用され得る。そのようなワックス異性化油は、水素異性化触媒での天然もしくは合成ワックスまたはそれらの混合物の水素異性化によって生成される。
【0303】
さらなる実施形態では、基油は、ポリ-アルファ-オレフィン(PAO)を含む。通常、ポリ-アルファ-オレフィンは、約2~約30、約4~約20、または約6~約16個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンに由来し得る。好適なポリ-アルファ-オレフィンの非限定的な例には、オクテン、デセン、それらの混合物などに由来するものが含まれる。これらのポリ-アルファ-オレフィンは、100℃で約2~約15、約3~約12、または約4~約8センチストークの粘度を有し得る。いくつかの例では、ポリ-アルファ-オレフィンは、鉱油などの他の基油と一緒に使用され得る。
【0304】
さらなる実施形態では、基油は、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体であって、ポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシル基が、エステル化、エーテル化、アセチル化などによって改変され得るものを含む。好適なポリアルキレングリコールの非限定的な例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピレングリコール、及びそれらの組み合わせが含まれる。好適なポリアルキレングリコール誘導体の非限定的な例には、ポリアルキレングリコールのエーテル(例えば、ポリイソプロピレングリコールのメチルエーテル、ポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)、ポリアルキレングリコールのモノ及びポリカルボン酸エステル、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの例では、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体は、他の基油、例えば、ポリ-アルファ-オレフィン及び鉱油と一緒に使用され得る。
【0305】
さらなる実施形態では、基油は、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)と多様なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)とのエステルのいずれかを含む。これらのエステルの非限定的な例には、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2-エチルヘキシル)、フマル酸ジ-n-ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2-エチルヘキシルジエステルなどが含まれる。
【0306】
さらなる実施形態では、基油は、フィッシャー・トロプシュプロセスによって調製される炭化水素を含む。フィッシャー・トロプシュプロセスは、フィッシャー・トロプシュ触媒を使用して水素及び一酸化炭素を含有する気体から炭化水素を調製する。これらの炭化水素は、基油として有用なものとするためにさらなる処理を必要とし得る。例えば、炭化水素は、当業者に知られているプロセスを使用して脱ろう、水素異性化、及び/または水素化分解され得る。
【0307】
さらなる実施形態では、基油は、未精製油、精製油、再精製油、またはそれらの混合物を含む。未精製油は、さらなる精製処理をせずに天然または合成源から直接的に得られるものである。未精製油の非限定的な例には、乾留手順から直接的に得られるシェール油、一次蒸留から直接的に得られる石油、及びエステル化プロセスから直接的に得られ、さらなる処理をせずに使用されるエステル油が含まれる。精製油は、前者が1つ以上の特性を改善するために1つ以上の精製プロセスによってさらに処理された場合を除き、未精製油に類似する。溶媒抽出、2次蒸留、酸または塩基抽出、ろ過、浸出などの多くのそのような精製プロセスが当業者に知られている。再精製油は、精製油を得るために使用されるものと類似するプロセスを精製油に適用することによって得られる。そのような再精製油は、再生利用または再処理油としても知られており、しばしば、使用済添加剤及び油分解生成物の除去に関するプロセスによって追加的に処理され得る。
【産業上の利用可能性】
【0308】
船舶用
本発明の潤滑油組成物は、船舶用潤滑剤として使用され得る。船舶用ディーゼル内燃エンジンは、一般に、低速、中速、または高速エンジンに分類され得る。低速ディーゼルエンジンは、典型的には、毎分約60~200回転(rpm)の範囲で動作する。低速ディーゼルエンジンは、2ストロークサイクルで動作し、典型的には、パワーシリンダをクランクケースから分離して燃焼生成物がクランクケースに入り、クランクケースオイルと混合することを防止するダイアフラムと、1つ以上のスタッフィングボックスとを備えた「クロスヘッド」構造の直接結合及び直接反転エンジンである。燃焼ゾーンからクランクケースを完全に分離することで、当業者は、異なる潤滑油、シリンダ潤滑剤、及びシステム油で、燃焼室とクランクケースとをそれぞれ潤滑することになった。船舶用シリンダ潤滑剤は、典型的には、SAE40、SAE50、またはSAE60のモノグレード仕様に合わせて製造される。典型的に、船舶用ディーゼルシリンダ潤滑剤は、5~200mg KOH/g(例えば、5~150mg KOH/g、10~100mg KOH/g、15~150mg KOH/g、20~80mg KOH/g、30~80mg KOH/g、30~60mg KOH/g、及び30~50mg KOH/g)の範囲のTBNを有する。船舶用システム油潤滑剤は、典型的には、SAE20またはSAE30のモノグレード仕様に合わせて製造される。典型的に、船舶用システム油潤滑剤は、5~15mg KOH/gの範囲のTBNを有する。
【0309】
中速エンジンは、典型的には、約250~1100rpmの範囲で作動し、4ストロークサイクルで作動する。これらのエンジンは、典型的には、トランクピストンで設計される。トランクピストンエンジンでは、エンジンの全ての領域の潤滑に単一の潤滑油が採用される。船舶用トランクピストンエンジンオイル潤滑剤は、典型的には、SAE30またはSAE40のモノグレード仕様に合わせて製造される。典型的に、船舶用トランクピストンエンジンオイル潤滑剤は、10~70mg KOH/g(例えば、10~60mg KOH/g、15~55mg KOH/g、及び15~60mg KOH/g)の範囲のTBNを有する。
【0310】
「船舶用」という用語は、エンジンを水上船において使用されるものに制限するものではなく;当該技術分野において理解されるように、それは、また、補助発電用のもの及び発電用の主推進固定陸地ベースエンジン(main propulsion stationary land-based engine)用のものなど他の産業用の用途を含む。本発明の潤滑油組成物は、メインエンジンが設置される船舶に搭載されたメインエンジンのシリンダにオイルを供給するために設計されたシステムなど、搭載型ブレンドシステムにも使用し得る。
【0311】
NGEO
本発明の潤滑油組成物は、天然ガスエンジン潤滑剤として使用され得る。本開示が適用可能な天然ガスエンジンは、天然ガスで動作するもの、すなわち天然ガスを燃料とするものとして特徴付けられ、内燃エンジンを含んでもよい。天然ガスエンジンは、定置式天然ガスエンジン、定置式バイオガスエンジン、定置式埋立ガスエンジン、(鉱山ガスまたは炭層メタン、埋立ガス、バイオガス、坑口または生未処理天然ガスを含む)定置式非従来型天然ガスエンジン、または二元燃料エンジンであり得る。一実施形態では、内燃エンジンは、例えば、坑口ガス収集、圧縮、及び他のガスパイプラインサービスで使用される定置式エンジンであり;(熱電併給を含む)発電用であり;灌漑用である。
【0312】
本明細書に開示される潤滑油組成物は、例えば、少なくとも20bar(2.0MPa)のブレーキ平均有効圧力(BMEP)、例えば、少なくとも22bar(2.2MPa)、少なくとも24bar(2.4MPa)、少なくとも26bar(2.6MPa)、20~30bar(2.0~3.0MPa)、22~30bar(2.2~3.0MPa)、24~30bar(2.4~3.0MPa)、または22~28bar(2.2~2.8MPa)の高持続負荷条件下で動作するエンジンの堆積物を制御するのに利用してもよい。
【0313】
本開示の潤滑油組成物は、エンジンの複数の機械的構成要素のいずれにおいても、有利な堆積制御性能を提供することができる。機械的構成要素は、ピストン、ピストンリング、シリンダライナー、シリンダ、カム、タペット、リフター、ギア、バルブ、またはジャーナル、ローラー、テーパー、ニードル、もしくはボールベアリングを含むベアリングであってよい。いくつかの態様では、機械的構成要素は鋼を含む。
【0314】
本開示の潤滑油組成物は、モノグレードエンジンオイル、例えば、SAE20、SAE30、SAE40、SAE50、またはSAE60の粘度グレードエンジンオイルであり得る。また、本開示の潤滑油組成物は、マルチグレードエンジンオイルであってよい。
【0315】
鉄道エンジンオイル
本発明の潤滑油組成物は、鉄道エンジン潤滑油として使用され得る。本開示の潤滑油組成物は、中速または低速ディーゼルエンジン用マルチグレードエンジンオイル、例えば、15W-x、20W-x、または25W-x(xは、30、40、50、または60から選択され得る)のSAE粘度グレードのエンジンオイルであってよい。本開示の潤滑油組成物は、モノグレードのエンジンオイルであってよい。
【0316】
本明細書において、「低速」ディーゼルエンジンとは、毎分500回転(rpm)未満の回転速度で駆動される圧縮着火内燃エンジンを意味し、例えば、船舶用クロスヘッドディーゼルエンジンが挙げられ;「中速」ディーゼルエンジンとは、500~1800rpmの回転速度で駆動される圧縮着火内燃エンジンを意味し、例えば、機関車用ディーゼルエンジン、船舶用トランクピストンディーゼルエンジン、機関車用二元燃料エンジン、または陸上定置動力ディーゼルエンジンが挙げられる。
【0317】
機能性液体
本発明の潤滑油組成物は、機能性液体潤滑剤として使用し得る。機能性液体は、限定されるものではないが、トラクタ用油圧液体、オートマチック変速機液体、連続可変変速機液体、及び手動変速機液体を含む動力伝達液体、油圧液体、ギアオイル、パワーステアリング液体、風力タービンに使用される液体、及び伝動機構部品に関連した液体を含む油圧液体を含む、様々な液体を包含する用語である。例えば、自動変速液体のようなこれらの液体の各々には、著しく異なる機能的特徴を持つ液体が必要となる異なるデザインを有する様々な変速機が存在するため、異なるタイプの様々な液体が存在する点に留意されたい。
【0318】
トラクタ油圧液体に関して、これらの液体は、エンジンを潤滑することを除く、トラクタにおける全ての潤滑用途に用いられる多目的な製品である。また、エンジンも潤滑するいわゆるスパートラクタオイルユニバーサル液体またはSTOU液体は、本発明の目的のトラクタ油圧液体として含まれる。これらの潤滑用途は、ギアボックス、動力取出し及びクラッチ装置(複数可)、後車軸、減速ギア、湿式制動装置、及び油圧アクセサリの潤滑を含んでもよい。最終的な結果として得られる液体組成物が異なる用途で必要とされる全ての必須の特徴を提供するように、トラクタ液体の範囲内に含まれる成分は慎重に選択されなければならない。このような特徴は、同時に湿式制動装置を作動させ、動力取出し(PTO)クラッチ性能を提供する能力を提供すると共に、オイル浸漬制動装置の湿式制動装置作動音を防止するための適切な摩擦特性を提供する能力を含み得る。トラクタ液体は、十分な耐摩耗性及び極圧特性、ならびに水耐性/水ろ過性の能力を提供しなければならない。螺旋斜角試験ならびに連続平歯車試験に合格する液体の能力によって、歯車装置の用途において重要なトラクタ液体の極圧(EP)特性を示し得る。トラクタ液体が青銅、黒鉛組成物、及びアスベストから構成されるオイル浸漬ディスクブレーキにおいて使われるとき、トラクタ液体は十分な湿式制動能力を提供すると共に、湿式制御作動音試験に合格する必要があり得る。トラクタ液体は、黒鉛及び青銅クラッチを含むそれらのクラッチのような動力変速クラッチに摩擦保持を提供するその能力を示す必要があり得る。
【0319】
機能性液体が自動変速液体の場合に、自動変速液体は、力を伝達するためのクラッチプレートのために十分な摩擦を有しているはずである。しかしながら、作動の際に、液体が加熱するにつれて、温度効果によって液体の摩擦係数は低下する傾向を有している。トラクタ油圧液体または自動変速液体は、その高い摩擦係数を高温で維持することが重要である。さもなければ、制動システムまたは自動変速機は故障する場合がある。
【0320】
本発明の潤滑油組成物は、変速機にビルトインされた電動機及び/または発電機を備える電気車、ハイブリッド車、及びプラグインハイブリッド車において使用するのに好適であり得る。潤滑剤は、金属化合物(例えば、Ca、Mo、またはZn)を実質的に含まず、高い体積抵抗率、摩耗保護、及び銅腐食耐性を示す。
【0321】
他の潤滑油添加剤
本発明の潤滑油組成物はまた、他の従来の添加剤が分散または溶解された潤滑油組成物のいずれの望ましい特性を付与または改善することができるこれら添加剤を含んでもよい。当業者に知られている任意の添加剤が、本明細書に開示される潤滑油組成物において使用され得る。いくつかの好適な添加剤は、Mortier et al.,“Chemistry and Technology of Lubricants”,2nd Edition,London,Springer,(1996);及びLeslie R.Rudnick,“Lubricant Additives:Chemistry and Applications”,New York,Marcel Dekker(2003)(これらの両方は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。例えば、潤滑油組成物は、酸化防止剤、消耗防止剤、金属洗浄剤などの洗浄剤、さび止め剤、曇り除去剤、解乳化剤、金属非活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、パッケージ適合剤、腐食抑制剤、無灰分散剤、染料、極圧剤など、及びそれらの混合物とブレンドすることができる。種々の添加剤は、公知であり、市販されている。これらの添加剤、またはそれらの類似化合物は、通常のブレンド手順によって、本発明の潤滑油組成物の調製に用いることができる。
【0322】
通常、潤滑油組成物における添加剤の各々の濃度は、使用される場合、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.001重量%~約50.0重量%、約0.001重量%~約40.0重量%、約0.001重量%~約30.0重量%、約0.001重量%~約20重量%、約0.01重量%~約15重量%、または約0.1重量%~約10重量%の範囲であり得る。
【0323】
無灰分散剤
潤滑油組成物は、1つ以上の塩基性窒素原子を含有する1つ以上の無灰分散剤を含有することができる。潤滑油組成物を配合するために分散剤が使用される場合、該分散剤は、当該技術分野において、「分散防止剤添加剤パッケージ」を意味すると理解される。本明細書で使用される塩基性窒素化合物は、例えば、ASTM D664試験またはD2896によって測定して、塩基性窒素を含まなければならない。塩基性窒素化合物は、スクシンイミド、ポリスクシンイミド、カルボン酸アミド、ヒドロカルビルモノアミン、炭化水素ポリアミン、マンニッヒ塩基、ホスホルアミド、チオホスホルアミド、ホスホンアミド、分散剤粘度指数向上剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。これらの塩基性窒素含有化合物は、以下に記載される(それぞれは少なくとも1個の塩基性窒素を有しなければならないという条件を設けることに留意されたい)。組成物が塩基性窒素を含み続ける限り、窒素含有組成物のいずれも、当技術分野で周知の手順を用いて、例えば、ホウ素またはエチレンカーボネートによって後処理されてもよい。
【0324】
本発明で採用される分散剤の調製の際に有用な窒素含有組成物の別のクラスには、いわゆる、分散剤粘度指数向上剤(VI向上剤)が含まれる。これらのVI向上剤は、一般に、炭化水素ポリマー、とりわけ、脂環式または脂肪族オレフィンもしくはジオレフィンなどの1種以上のコモノマーから誘導されるさらなる単位を場合によって含むエチレン及び/またはプロピレンから誘導されるポリマーを、官能基化することによって調製される。官能基化は、通常、ポリマー上に少なくとも1つの酸素原子を有する反応部位(単数)または部位(複数)を導入する様々なプロセスによって行われ得る。次いで、ポリマーは、窒素含有供給源と接触され、ポリマー骨格上に窒素含有官能基を導入する。一般的に用いられる窒素供給源には、任意の塩基性窒素化合物、とりわけ本明細書に記載の窒素含有化合物及び組成物が含まれる。好ましい窒素供給源は、アルキレンアミン、例えばエチレンアミン、アルキルアミン、及びマンニッヒ塩基である。
【0325】
一実施形態では、分散剤を製造する際に用いられる塩基性窒素化合物は、スクシンイミド、カルボン酸アミド、及びマンニッヒ塩基である。別の好ましい実施形態において、分散剤を製造する際に用いられる塩基性窒素化合物は、約1000もしくは約1300または約2300の平均分子量を有するスクシンイミド、及びそれらの混合物である。このようなスクシンイミドは、当該技術分野で知られている通りにホウ素またはエチレンカーボネートで後処理され得る。
【0326】
概して、潤滑油組成物中の1種以上の分散剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.05~約15重量%で変わる。別の実施形態では、1種以上の分散剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.1~約10重量%で変わる。
【0327】
酸化防止剤
潤滑油組成物は、基油の酸化を低減または防止することができる1つ以上の酸化防止剤を含むことができる。当業者に知られている任意の酸化防止剤が、潤滑油組成物において使用されてもよい。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、アミン系酸化防止剤(例えば、ビス-ノニル化ジフェニルアミン、ビス-オクチル化ジフェニルアミン、オクチル化/ブチル化ジフェニルアミンなどのアルキルジフェニルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、アルキルまたはアリールアルキル置換フェニル-α-ナフチルアミン、アルキル化p-フェニレンジアミン、テトラメチル-ジアミノジフェニルアミンなど)、フェノール系酸化防止剤(例えば、2-tert-ブチルフェノール、4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4,4’-メチレンビス-(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-ジ-tert-ブチル-o-クレゾール)など)、硫黄ベースの酸化防止剤(例えば、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、硫化フェノール系酸化防止剤など)、リンベースの酸化防止剤(例えば、ホスファイトなど)、亜鉛ジチオホスフェート、油溶性銅化合物及びそれらの組み合わせが挙げられる。酸化防止剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.01重量%から約10重量%まで、約0.05重量%から約5重量%まで、または約0.1重量%から約3重量%まで変わり得る。
【0328】
洗浄剤
本発明の潤滑油組成物は、1種以上の洗浄剤を含むことができる。金属含有または灰生成洗浄剤は、いずれも堆積物を低減または除去する洗浄剤として、かつ酸中和剤またはさび止め剤として機能し、それによって摩耗及び腐食を低減し、エンジンの寿命を延ばす。洗浄剤は一般に、極性頭部及び長い疎水性尾部を含む。極性頭部は、酸性有機化合物の金属塩を含む。この塩は、実質的に化学量論量の金属を含んでもよく、正塩、中性塩、または低過塩基性として通常記載され、典型的には、0~<150mg KOH/gの100%活性質量のTBNを有する。過剰な金属化合物(例えば、酸化物または水酸化物)を酸性ガス(例えば、二酸化炭素)と反応させることによって、多量の金属塩基が取り込まれてもよい。得られる過塩基性洗浄剤は、金属塩基(例えば炭酸塩)ミセルの外層として中和された洗浄剤を含む。そのような過塩基性洗浄剤は、100%の活性成分質量で100mg KOH/g以上~250mg KOH/gのTBNを有してもよく、中過塩基性と見なされる。高過塩基性洗浄剤は、250mg KOH/g超の100%の活性成分質量でTBNを有してもよい。使用されてもよい洗浄剤には、金属、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えば、バリウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウムの中性、低過塩基性、中過塩基性、及び高過塩基性の油溶性スルホン酸塩、ホウ素化スルホン酸塩、フェネート、硫化フェネート、チオホスホン酸塩、サリチル酸塩及びナフテン酸塩ならびに他の油溶性カルボン酸塩が含まれる。最も一般に使用される金属は、カルシウム及びマグネシウム(これらはいずれも、潤滑剤に使用される洗浄剤中に存在してもよい)、ならびにカルシウム及び/またはマグネシウムとナトリウムとの混合物である。洗浄剤はまた、上記の少なくとも2つの界面活性剤から由来する界面活性剤系を含むものとして当該技術分野で周知の複合またはハイブリッド洗浄剤であり得る。
【0329】
過塩基性洗浄剤のアルキル置換基は、12~40個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンから誘導された残基であり得る。アルキル置換基は、分子あたり14~28個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンから誘導された残基であり得る。アルキル置換基は、プロピレン、ブチレン、またはそれらの混合物から選択されるモノマーのC12~C40のオリゴマーを含むオレフィンから誘導された残基であり得る。使用されるオレフィンは、直鎖状、異性化直鎖状、分岐鎖状、または部分分岐直鎖状であり得る。オレフィンは、直鎖状オレフィンの混合物、異性化直鎖状オレフィンの混合物、分岐鎖状オレフィンの混合物、部分分岐直鎖状オレフィンの混合物、または前述のいずれかの混合物であり得る。アルファ-オレフィンは、ノルマルアルファ-オレフィン、異性化ノルマルアルファ-オレフィン、またはそれらの混合物であり得る。
【0330】
一般に、さらなる洗浄剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.001重量%~約45.0重量%、約0.001重量%~約40.0重量%、約0.001重量%~約25重量%、約0.05重量%~約20重量%、または約0.1重量%~約15重量%にすることができる。
【0331】
摩擦調整剤
本発明の摩擦調整剤に加えて、本発明の潤滑油組成物は、可動部品間の摩擦を低減することができるさらなる摩擦調整剤を含むことができる。当業者に知られている任意の摩擦調整剤が、潤滑油組成物において使用されてもよい。適した摩擦調整剤の非限定的な例としては、脂肪族カルボン酸;脂肪族カルボン酸の誘導体(例えば、アルコール、エステル、ホウ素化エステル、アミド、金属塩など);モノ-、ジ-もしくはトリ-アルキル置換リン酸またはホスホン酸;モノ-、ジ-もしくはトリ-アルキル置換リン酸またはホスホン酸の誘導体(例えば、エステル、アミド、金属塩など);モノ-、ジ-もしくはトリ-アルキル置換アミン;モノ-もしくはジ-アルキル置換アミドならびにこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態における摩擦調整剤の例として、アルコキシル化脂肪族アミン;ホウ素化脂肪族エポキシド;脂肪族ホスファイト、脂肪族エポキシド、脂肪族アミン、ホウ素化アルコキシル化脂肪族アミン、脂肪酸の金属塩、脂肪族酸アミド、グリセロールエステル、ホウ素化グリセロールエステル;及び米国特許第6,372,696号(その内容は、参照により本明細書に取り込まれる)に開示された脂肪族イミダゾリン;C~C75、またはC~C24、またはC~C20の脂肪族酸エステルと、アンモニア及びアルカノールアミンなどからなる群から選択される窒素含有化合物との反応生成物から得られる摩擦調整剤ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。摩擦調整剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.01重量%~約10重量%、約0.05重量%~約5重量%または約0.1重量%~約3重量%で変わり得る。
【0332】
摩耗防止化合物
本発明の潤滑油組成物は、摩擦及び過度の摩耗を低減することができる1種以上の摩耗防止剤を含むことができる。当業者に知られている任意の摩耗防止剤が、潤滑油組成物において使用されてもよい。適した摩耗防止剤の非限定的な例としては、ジチオリン酸亜鉛、ジチオリン酸の金属(例えば、Pb、Sb、Moなど)塩、ジチオカルバミド酸の金属(例えば、Zn、Pb、Sb、Moなど)塩、脂肪酸の金属(例えば、Zn、Pb、Sbなど)塩、ホウ素化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルまたはチオリン酸エステルのアミン塩、ジシクロペンタジエンとチオリン酸との反応生成物ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。摩耗防止剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.01重量%~約5重量%、約0.05重量%~約3重量%、または約0.1重量%~約1重量%で変わり得る。
【0333】
特定の実施形態では、摩耗防止剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物などのジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩であるか、またはこれを含む。ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩の金属は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、またはアルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケルもしくは銅であってよい。いくつかの実施形態では、金属は亜鉛である。他の実施形態では、ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩のアルキル基は、約3個~約22個の炭素原子、約3個~約18個の炭素原子、約3個~約12個の炭素原子または約3個~約8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキル基は、直鎖または分岐鎖である。
【0334】
本明細書に開示の潤滑油組成物中にジアルキルジチオリン酸亜鉛塩を含むジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩の量は、そのリン含有量によって測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の潤滑油組成物のリン含有量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.01重量%~約0.14重量%である。
【0335】
発泡防止剤
本発明の潤滑油組成物は、油中の泡を崩壊することができる1種以上の発泡防止剤または消泡剤を含むことができる。当業者に知られている任意の発泡防止剤または消泡剤が、潤滑油組成物において使用されてもよい。好適な発泡防止剤または消泡剤の非限定的な例としては、シリコーン油またはポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーン、アルコキシル化脂肪族酸、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール)、分岐状ポリビニルエーテル、アルキルアクリレートポリマー、アルキルメタクリレートポリマー、ポリアルコキシアミン及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、発泡防止剤または消泡剤は、グリセロールモノステアレート、ポリグリコールパルミテート、トリアルキルモノチオホスフェート、スルホン化リシンオレイン酸のエステル、ベンゾイルアセトン、サリチル酸メチル、グリセロールモノオレエート、またはグリセロールジオレエートを含む。発泡防止剤または消泡剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.001重量%~約5重量%、約0.05重量%~約3重量%、または約0.1重量%~約1重量%で変わり得る。
【0336】
流動点降下剤
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物の流動点を降下させることができる1種以上の流動点降下剤を含むことができる。当業者に知られている任意の流動点降下剤が、潤滑油組成物において使用されてもよい。好適な流動点降下剤の非限定的な例としては、ポリメタクリレート、アルキルアクリレートポリマー、アルキルメタクリレートポリマー、ジ(テトラ-パラフィンフェノール)フタレート、テトラ-パラフィンフェノールの縮合物、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、流動点降下剤は、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、塩素化パラフィン及びフェノールの縮合物、ポリアルキルスチレンなどを含む。流動点降下剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.01重量%から約10重量%まで、約0.05重量%から約5重量%まで、または約0.1重量%から約3重量%で変わり得る。
【0337】
抗乳化剤
一実施形態では、本発明の潤滑油組成物は、1種以上の抗乳化剤を含まない。別の実施形態では、本発明の潤滑油組成物は、水または蒸気にさらした潤滑油組成物中の油水分離を促進することができる1種以上の抗乳化剤を含むことができる。当業者に知られている任意の抗乳化剤が、潤滑油組成物において使用されてもよい。好適な抗乳化剤の非限定的な例としては、アニオン性界面活性剤(例えば、アルキル-ナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩など)、非イオン性アルコキシル化アルキルフェノール樹脂、アルキレンオキシドのポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドのブロック共重合体、プロピレンオキシドなど)、油溶性酸のエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステルならびにこれらの組み合わせが挙げられる。抗乳化剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.01重量%~約10重量%、約0.05重量%~約5重量%または約0.1重量%~約3重量%で変わり得る。
【0338】
腐食抑制剤
本発明の潤滑油組成物は、腐食を低減することができる1種以上の腐食抑制剤を含むことができる。当業者に知られている任意の腐食抑制剤が、潤滑油組成物において使用され得る。好適な腐食抑制剤の非限定的な例としては、ドデシルコハク酸の半エステルまたはアミド、リン酸エステル、チオホスフェート、アルキルイミダゾリン、サルコシンならびにこれらの組み合わせが挙げられる。腐食抑制剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.01重量%~約5重量%、約0.05重量%~約3重量%、または約0.1重量%~約1重量%で変わり得る。
【0339】
極圧剤
本発明の潤滑油組成物は、極圧条件下で金属摺動面の焼き付きを防止することができる1種以上の極圧(EP)剤を含むことができる。当業者に知られている任意の極圧剤が、潤滑油組成物において使用され得る。通常、極圧剤は、金属と化学的に組み合わさって、高荷重下で対向金属表面における凹凸の溶着を防止する表面膜を形成し得る化合物である。好適な極圧剤の非限定的な例としては、動物性または植物性の硫化油脂または油、動物性または植物性の硫化脂肪酸エステル、リンの三価または五価の酸の完全または部分的にエステル化されたエステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビル多硫化物、硫化ディールスアルダー付加物、硫化ジシクロペンタジエン、脂肪酸エステル及びモノ不飽和オレフィンの硫化または共硫化混合物、脂肪酸の共硫化ブレンド、脂肪酸エステル及びアルファ-オレフィン、官能基置換ジヒドロカルビル多硫化物、チア-アルデヒド、チア-ケトン、エピチオ化合物、硫黄含有アセタール誘導体、テルペン及び非環状オレフィンの共硫化ブレンド、及び多硫化物オレフィン生成物、リン酸エステルまたはチオリン酸エステルのアミン塩ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。極圧剤の量は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%、約0.05重量%~約3重量%または約0.1重量%~約1重量%で変わり得る。
【0340】
さび止め剤
本発明の潤滑油組成物は、鉄金属表面の腐食を抑制することができる1種以上のさび止め剤を含むことができる。当業者に知られている任意のさび止め剤が、潤滑油組成物において使用され得る。好適なさび止め剤の非限定的な例としては、非イオン性ポリオキシアルキレン剤、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート及びポリエチレングリコールモノオレエート;ステアリン酸及び他の脂肪酸;ジカルボン酸;金属石けん;脂肪酸アミン塩;重スルホン酸の金属塩;多価アルコールの部分的なカルボン酸エステル;リン酸エステル;(短鎖)アルケニルコハク酸;これらの部分エステル及びこれらの窒素含有誘導体;合成アルカリルスルホン酸塩、例えば、ジノニルナフタレンスルホン酸金属塩;など、ならびにこれらの混合物が挙げられる。さび止め剤の量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.01重量%から約10重量%まで、約0.05重量%から約5重量%まで、または約0.1重量%から約3重量%まで変わり得る。
【0341】
多機能性添加剤
本発明の潤滑油組成物は、1種以上の多機能性添加剤を含むことができる。好適な多機能性添加剤の非限定的な例としては、硫化オキシモリブデンジチオカルバメート、硫化オキシモリブデンオルガノホスホロジチオエート、オキシモリブデンモノグリセリド、オキシモリブデンジエチレートアミド、アミン-モリブデン複合体化合物、及び硫黄含有モリブデン複合体化合物が挙げられる。
【0342】
粘度指数向上剤
本発明の潤滑油組成物は、1種以上の粘度指数向上剤を含むことができる。好適な粘度指数向上剤の非限定的な例としては、エチレン-プロピレン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、含水スチレン-イソプレン共重合体、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメタクリレート、ビニルピロリドン及びメタクリレート共重合体などのオレフィン共重合体ならびに分散タイプ粘度指数向上剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの粘度調整剤は任意選択で、例えば、マレイン酸無水物などのグラフト化材料でグラフト化することができて、グラフト化された材料は、例えば、アミン、アミド、窒素含有複素環化合物またはアルコールと反応して、多機能性粘度調整剤(分散性粘度調整剤)を生成することができる。粘度調整剤の他の例としては、星形高分子(例えば、イソプレン/スチレン/イソプレントリブロックを含む星形高分子)が挙げられる。粘度調整剤のさらに別の例としては、低ブルックフィールド粘度及び高せん断安定性のポリアルキル(メタ)アクリレート、高ブルックフィールド粘度及び高せん断安定性の分散特性を有する官能化ポリアルキル(メタ)アクリレート、700~2,500ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリイソブチレンならびにこれらの混合物が挙げられる。粘度指数向上剤の量は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%~約25重量%、約0.05重量%~約20重量%または約0.3重量%~約15重量%で変わり得る。
【0343】
増粘剤
本発明の潤滑油組成物は、1種以上の増粘剤を含むことができる。ポリイソブチレン(PIB)及びポリイソブテニルコハク酸無水物(PIBSA)などの増粘剤を使用して、潤滑剤を増粘することができる。PIB及びPIBSAは、いくつかの製造者から市販されている物質である。PIBは、PIBSAの製造に使用することができ、典型的には、1000~8000ダルトン(例えば1500~6000ダルトン)の範囲の重量平均分子量及び100℃で2000~6,000mm/sの範囲の動粘度を有する粘性油-混和性液体であり、潤滑油組成物中の1~20重量%で存在し得る。
【0344】
金属不活性化剤
本発明の潤滑油組成物は、1種以上の金属不活性化剤を含むことができる。適した金属不活性化剤の非限定的な例としては、ジサリチリデンプロピレンジアミン、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、及びメルカプトベンゾイミダゾールが挙げられる。
【0345】
前述の添加剤の各々は、使用されるとき、機能的に有効な量で使用され、潤滑剤に所望の特性を付与する。従って、例えば、添加剤が摩擦調整剤である場合、この摩擦調整剤の機能的に有効な量は、所望の摩擦調整特性を潤滑剤に与えるのに十分な量であろう。一般に、潤滑油組成物におけるこれらの添加剤の各々の濃度は、使用時、特に明記しない限り、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.001重量%~約10重量%の範囲であってよいが、これらに限定されなく、一実施形態において、約0.005重量%~約5重量%、または一実施形態において、約0.1重量%~約2.5重量%の範囲であり得る。さらに、潤滑油組成物における添加剤の総量は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.001重量%~約20重量%、約0.01重量%~約10重量%、または約0.1重量%~約5重量%の範囲であり得る。
【0346】
潤滑油配合物の調製において、10~100重量%の有効成分形態で添加剤を導入して、炭化水素油、例えば、鉱物潤滑油または他の好適な溶剤に濃縮することが一般的である。
【0347】
通常、これらの濃縮物は、完成潤滑剤、例えばクランケースモータ油の形成において、最終潤滑剤の成形における添加剤パッケージの重量部あたり3~100重量部、例えば5~40重量部の潤滑油で希釈され得る。濃縮物の目的は、当然ながら、様々な物質の取扱いの困難性及び厄介さを低下させること、及び最終ブレンドにおける溶解または分散を容易化することである。
【0348】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために提供され、本発明を示された特定の実施形態に限定することは意図されていない。逆に示されない限り、全ての部及びパーセンテージは重量による。全ての数値は、おおよそである。数値範囲が与えられる場合、記述された範囲外の実施形態は依然として本発明の範囲に入り得ることが理解されるべきである。各例に記載されている特定の詳細は、本発明の必要な特徴として解釈されるべきではない。
【0349】
様々な改変が本明細書に開示される実施形態に対してなされ得ることが理解される。そのため、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。例えば、上述し、本発明を動作させるための最良の態様として実行される機能は、例示の目的のみのためのものである。他の構成及び方法は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者によって実行され得る。その上、当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲及び趣旨内で他の改変を想定する。
【実施例
【0350】
以下の実施例は、例示のみを目的とするものであり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定しない。
【0351】
自動車用配合物
潤滑性組成物が上述の添加剤の1つ以上を含む場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を提供できる量で基油にブレンドされる。クランクケース潤滑剤に使用される場合の、このような添加剤の代表的な有効量を以下の表4に示す。記載されている全ての値は、有効成分の重量%(A.I)として記載されている。

【表4】
【0352】
以下に概説される試験で評価される、より具体的かつ代表的な自動車形態は次の通りである。
【0353】
代表的な配合物(複数可)
以下の添加剤及び基油の1つ以上を含む潤滑油組成物を調製し、0W-12、0W-16、0W-20、0W-26、0W-30、0W-40、0W-50、0W-60、5W、5W-20、5W-30、5W-40、5W-50、5W-60、10W、10W-20、10W-30、10W-40、10W-50、15W、15W-20、15W-30、または15W-40のSAE粘度グレードを有する完成油を生成する:
(1)コハク酸イミドまたはエチレンカーボネート後処理ビスコハク酸イミド;
(2)ホウ酸化ビスコハク酸イミド分散剤;
(3)中性、低過塩基性、中過塩基性、高過塩基性、または超高過塩基性スルホン酸カルシウム、ホウ酸化カルシウムスルホン酸洗浄剤、ホウ酸化サリチル酸カルシウム洗浄剤、サリチル酸カルシウム洗浄剤、カルシウムマンニッヒ型、またはカルシウムフェネート洗浄剤のうちの1つ以上のカルシウム含有量換算で0~3500ppm;
(4)過塩基性スルホン酸マグネシウムまたは過塩基性サリチル酸マグネシウム洗浄剤のマグネシウム含有量換算で0~2500ppm;
(5)第一級ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び/または第二級ジアルキルジチオリン酸亜鉛のリン含有量換算で0~1200ppm;
(6)硫化または未硫化のモリブデンコハク酸イミド複合体;
(7)MoDTCまたはMoDTP;
(8)ホウ酸化もしくは非ホウ酸化アミン、アミド、またはエステルタイプの有機摩擦調整剤;
(9)1つ以上のアルキル化ジフェニルアミンまたはヒンダードフェノール酸化防止剤;
(10)1つ以上の無灰硫黄または無灰リン系耐摩耗剤;
(11)1つ以上の硫黄もしくは窒素系腐食防止剤または金属不活性化剤;
(12)シリコン、フッ素、またはポリアルキルメタクリレート(PMA)系発泡防止剤;
(13)1つ以上のブロック、ジブロック、トリブロック、及び直鎖状、星型、もしくはくし形構造を有する分散剤または非分散剤タイプのPMA、オレフィンコポリマー(OCP)、またはジエン系粘度調整剤;
(14)PMAまたはOCPベースのPPD;ならびに
(15)上記の残りのバイオベース基油及び任意の2次基油。
【0354】
潤滑油を、本明細書に記載の特性を説明するために以下の方法によって評価する。
【0355】
JIS K2246
JIS 2246に基づき、試料油を所定の手順で塗布した試験片を、温度49℃、95%RH以上の湿度庫内に50時間放置した後、試験片を取り出し、肉眼でさびを評価した。JIS K2246試験は、日本工業規格試験である。主に鉄鋼からなる金属材料や金属製品のさびを防止するオイルの能力を評価するために使用される。評価基準は、さびが見られるか否かである。ASTM D1748試験(湿度キャビネットさび試験)も同様の方法で実行される。
【0356】
ASTM D7563
試料は、変形したASTM D7563方法に従って試験される。ASTM D7563で、オイルが水及びE85燃料を乳化する能力を測定する。この変形において、潤滑油は、25%のE10燃料及び10%の水と混合され、25℃での24時間後の乳化安定性を追跡する。その後、油、水、乳剤の量を観察し、記録する。ASTM D7563では、乳剤が望ましい(すなわち、容器の底に観察可能な水層がない)。これは、エンジンオイルに対して、(凝結)水やE85燃料などが混入しても、各々のエンジン構成要素がさびたり腐食しないよう、表面に析出しないで分離することなく乳剤の形で取り込まれたままであるか、その安定性を確認し、評価する試験である。
【0357】
VW TDI
本発明の潤滑油組成物を調製し、欧州乗用車ディーゼルエンジン試験(CEC-L-78-T-99)であるVolkswagen Turbocharged DI試験に従って、ピストンの清浄度及びピストンリングの固着傾向について試験する。これは、2004年にEuropean Automobile Manufacturers Associationによって公布されたACEA A/B及びC仕様の一部である。この試験は、高速動作の後、アイドリングが繰り返されるサイクルをシミュレーションするために用いられる。Volkswagen 1.9リットル、直列4気筒ターボチャージャー付き直噴自動車用ディーゼルエンジン(VW TDi)を、エンジンダイナモメータースタンドに取り付ける。アイドリング状態の40℃オイルサンプ30分と最大出力(4150rpm)で145℃オイルサンプ150分との間を循環する54時間2段階の手順が、中間オイルを補充せずに行われる。手順の後、ピストンを炭素及びラッカー堆積物ならびに溝炭素充填について評価される。ピストンリングは、リングの固着について評価される。
【0358】
ACEA標準B4、B5、C3、及びVW制限による合否スコアを次の表5に示す。
【表5】
【0359】
DD13燃費試験
DD13燃費試験は、所定の試験サイクルにおけるエンジンの効率利点を定量化することを目的とする。標準的な試験サイクルは、温度と圧力を一貫的に高レベルで安定させるために7分間実行される13個の離散モード(すなわち、特定のエンジン負荷及びRPM)で構成される。このサイクルは、合計8回繰り返され、最後の7回は操作の統計的評価に用いられる。潤滑剤間のフラッシュプロセスにより、キャリーオーバーは確実に発生しない。試験設備は、変形されたデトロイトディーゼルDD13エンジンである。結果は、ベースラインと候補潤滑剤の間の燃料消費の改善率として示される。試験は、Southwest Research Instituteで実施される。詳細については、次を参照されたい。https://www.swri.org/sites/default/files/dd13-fuel-economy-test.pdf
上記の標準DD13燃費試験は、700及び1000RPMでの25%、50%、75%、及び100%の最大エンジントルクの8つモードの追加によって変更される。追加モードは、より広い範囲の潤滑条件を提供する。各モードは、このプログラムの目的のために、そのモードでのRPM/負荷として定義される擬似ストライベック数(quasi-Stribeck number)によって特定される。
【0360】
酸化剤Bx試験
25gの試料を、特殊なガラスの酸化セルに入れる。触媒を加えた後、ガラス攪拌器を挿入する。次に、セルを密封し、340°Fに維持されかつ酸素供給に接続されたオイルバスに配置する。攪拌器でオイル試料を攪拌しながら、1リットルの酸素をセルに供給する。試験は、試料によって1リットルの酸素が消費されるまで実行され、試料実行の合計時間が時間単位で記録される。1リットルまでの時間が長くなるほど、酸化性能が向上する。
【0361】
コマツホットチューブ試験(KHTT)
コマツホットチューブ試験(KHTT)は、高温にさらされるエンジンオイル及びその他のオイルの堆積物形成性能のスクリーニング及び品質管理に使用される。
【0362】
清浄性ならびに熱及び酸化安定性は、潤滑油の満足な全体的な性能に必須であるとして産業界で一般的に受け入れられている性能領域である。コマツホットチューブ試験は、潤滑油の清浄性ならびに熱及び酸化安定性を測定する潤滑産業ベンチ試験(JPI 5S-55-99)である。試験の際に、特定量の試験油を、特定の温度に設定されたオーブン内に配置されたガラス管を通って上方に圧送する。油がガラス管に入る前に、空気は油流れに導入され、そして油と共に上方に流れる。潤滑油の評価は、280℃の温度で実施される。試験結果は、ガラス試験管に付着したラッカーの量を1.0(非常に黒い)から10.0(完全にきれい)までの評価尺度と比較することによって決定される。
【0363】
TEOST MHT4
TEOST MHT4(ASTM D7097-16a)は、ピストンリングベルト及び上部ピストンクラウン領域におけるエンジンオイルの堆積物形成傾向を予測するように設計されている。堆積物形成におけるTEOST MHT手順とTU3MH Peugeotエンジン試験の間には相関関係が示されている。この試験では、285℃の酸化及び触媒条件下で、特別に構築された試験ロッドに形成された堆積物の質量を、8.5gのエンジンオイルを薄膜でロッド上に繰り返し通過させて決定する。酸化条件下でのエンジンオイルの堆積物形成傾向は、オイルの少量の試料(8.4g)と非常に少量(0.1g)の有機金属触媒を含むオイルと触媒の混合物を循環させることによって決定される。この混合物は、TEOST MHT機器内で、ロッドの最も高温の場所で電流によって制御された温度285℃に加熱された特殊な巻線デポジッターロッド上を24時間循環する。試験の前後にロッドの重さを量る。45mgの堆積物の重量は合格/不合格の基準と見なされる。
【0364】
この試験方法のコピーは、ASTM International,100 Barr Harbor Drive, PO Box 0700, West Conshohocken, Pa.19428-2959から入手することができ、全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0365】
LSPI試験
低速早期着火事象は、Ford 2.0Lエコブーストエンジンで測定される。このエンジンは、ターボチャージャー付きガソリン直噴(GDI)エンジンである。Fordエコブーストエンジンは、およそ4時間の4回反復で稼働される。エンジンは、オイルサンプ温度を95℃とし、1750rpm及び1.7MPaの正味平均有効圧(BMEP)で稼働される。エンジンを段階ごとに175,000燃焼サイクル実行し、LSPI事象を計数する。LSPI事象は、ピーク筒内圧(PP)及び筒内に充填された燃料の質量燃焼割合(MFB)を監視することによって決定する。いずれかの、または両方の基準が満たされた場合に、LSPI事象が生じたと見なすことができる。ピーク筒内圧の閾値は試験によって変動するが、典型的には平均筒内圧より高い4~5の標準偏差である。同様に、MFB閾値は、典型的には、平均MFB(クランク角度で表す)より早い4~5の標準偏差である。LSPI事象は、試験1回あたりの平均事象数、100,000燃焼サイクルあたりの事象数、1サイクルあたりの事象数、及び/または1事象あたりの燃焼サイクル数として記録され得る。同様の試験を老化したオイルで行うことができる。
【0366】
ボールさび試験(BRT)-ASTM D6557
本明細書で参照されるボールさび試験は、ASTM-D-6557の方法を使用して実行される。ボールさび試験(BRT)は、液体潤滑剤の耐食能力を評価するための手順である。ASTM D6557に従って、ボールベアリングを油に浸漬する。酸性汚染物質で飽和させた空気を、49℃で18時間にわたって油を通して泡立たせる。18時間の反応期間の後に、試験油からボールを取り出し、そして、光反射率技法を使用してボールの腐食の量を定量化する。反射光の量を平均濃淡値(AGV)として記録する。新しい未腐食のボールのAGVは、約140である。完全に腐食したボールのAGVの結果は、20未満である。少なくとも100のAGVを示す潤滑油組成物は、BRTに合格となる。100未満のAGVを示す潤滑油組成物は、BRTに不合格となる。
【0367】
FZG摩耗
摩耗を測定するために、次のベンチ試験を実行する:FZG摩耗スカッフィング耐荷重試験。自動車用エンジンオイルの摩耗性能を評価するために、CEC-L-84-A-02に準拠したA10ギアを使用したFZG試験リグ(FZG4角試験マシン)で、異なる化学的性質を有する様々なエンジンオイルの荷重特性を評価する。この方法は、多くの車両及び固定アプリケーションで見られる非常に応力のかかった円筒歯車装置で典型的に使用されるオイルのスカッフィング耐荷重能力を評価するのに有用である。16.6m/s及び130℃でのA10ギアの最小負荷段階の不合格は8である。
【0368】
Toyota 2ZR-FEモータ駆動エンジンの燃費試験
潤滑油組成物は、ガソリンモータ駆動エンジン試験でそれらの燃費性能について試験する。ガソリンエンジンの場合、運転中における測定可能な量のすすの発生は、あるとしても極めて少ないことが知られている。エンジンは、Toyota 2ZR-FE1.8L4気筒直列配列である。トルクメータは、モータとエンジンのクランクシャフトの間に配置され、トルク変化%を、基準油と候補油との間で測定する。100℃、80℃、及び60℃の油温、ならびに400~2000RPMのエンジン速度でのトルク変化%データを測定する。トルク変化%がより低い(すなわち、よりマイナス方向に向かっている)ことは、燃費がより良いことを反映している。モータ駆動エンジンの摩擦トルク試験の構成とその試験条件については、SAE Paper 2013-01-2606でさらに説明している。
【0369】
ASTM D6594 HTCBT(高温腐食ベンチ試験)
種々の金属、特にカムフォロア及びベアリングで一般的に使用される鉛と銅の合金を腐食させる傾向を判定するために、ASTM D6594 HTCBT試験を用いて、ディーゼルエンジン潤滑剤を試験する。銅(Cu)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、及びリン青銅の4つの金属試験片を、測定量のエンジンオイルに浸漬する。上昇した温度(170℃)の油に、一定時間(168時間)、空気(5l/時)を吹き込む。試験が完了すると、銅試験片と応力を加えた油を検査し、腐食と腐食生成物をそれぞれ検出する。新しい油及び応力を加えた油中の銅、鉛、及びスズの濃度と、それぞれの金属濃度の変化を記録する。API大型車カテゴリでの合格のためには、鉛の濃度が120ppmを超えてはならず、銅は20ppmを超えてはならない。この試験方法のコピーは、ASTM International,100 Barr Harbor Drive, PO Box 0700, West Conshohocken, Pa.19428-2959から入手することができ、全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0370】
銅ストリップ腐食試験-ASTM D130
原油には硫黄化合物が含まれており、そのほとんどは精製時に除去される。しかしながら、石油製品に残存している硫黄化合物のうちの一部は、様々な金属に対する腐食作用を有する可能性があり、この腐食性は必ずしも総硫黄含有量に直接関係する訳ではない。影響は、存在する硫黄化合物の化学的種類によって異なり得る。銅ストリップ腐食試験は、石油製品の相対的腐食度を評価するために設計されている。この試験では、研磨された銅ストリップを、特定体積の被検試料に浸漬し、被検材料のクラスに特定の温度と時間の条件下で加熱する。加熱期間の終わりに、銅ストリップを取り除き、洗浄し、色と変色レベルを、以下に要約されているASTM銅ストリップ腐食標準に対して評価する(表6)。

【表6】
【0371】
MTU封止材
本発明の潤滑油組成物は、Viton(登録商標)フルオロカーボン試験片を168時間加熱した油ベースの溶液中に懸濁させることにより、MTUベンチ試験で封止材との適合性を試験する。各試料について、体積変化パーセント、点強度変化、引っ張り強さ変化、及び破断延び変化の割合の変動を測定する。引張強度と破断伸び変化については、結果がゼロに近いほど、封止材の適合性が優れていることを示す。
【0372】
シーケンスIVA
シーケンスIVA試験は、頭上カム軸型エンジンのカム軸の丸い突出部の摩耗を防止することに関して潤滑剤の性能を評価するものである。より具体的に、試験は、頭上動弁装置及び移動カム従動子を備えた火花点火エンジンのカム軸の丸い突出部の摩耗を抑制するための、クランクケース油の能力を測定するものである。この試験は、タクシ・キャブ、軽量配達トラックまたは通勤車両のサービスをシミュレーションすることにある。合格/不合格基準には、GF-4/5の最大90μmの平均カム摩耗が含まれる。シーケンスIVA試験法は、1時間サイクル100回を含む100時間試験であり、各サイクルは2つの作動様式または段階からなる。無鉛の「ハルターマンKA24Eグリーン」燃料を使用する。試験設備は、KA24E Nissan 2.4L水冷燃料噴射式エンジン、4気筒直列、頭上カム軸型で、2つの吸気弁とシリンダあたり1つの排気弁があるものである。
【0373】
OM646LA
シーケンスIVA試験は、API試験シーケンスの主要な摩耗試験であるが、ヨーロッパのACEA仕様には適用できない。ACEA仕様の主要なエンジン摩耗試験は、ディーゼルOM646LA試験である。OM646LAは、4気筒2.2LディーゼルOM646 DE 22 LAエンジンを使用して、過酷な作動条件下で、ピストンの清浄度及びリングの固着だけでなく、エンジンの摩耗と全体的な清浄度に関するエンジン潤滑性能を評価する、300時間のサイクル試験である。主な結果はカムの摩耗であるが、ボア研磨、シリンダの摩耗、タペットの摩耗も測定し得る。
【0374】
バイオディーゼル燃料の存在下で作動するエンジンオイルの酸化試験:CEC L-109-14
バイオディーゼル燃料の存在下で作動するエンジンオイルの酸化試験は、バイオディーゼルの存在下での老化したオイルの粘度上昇と酸化レベルを評価する標準的な試験方法である。試験は、7重量%のB100の存在下で、加熱された試料に10l/時の空気を168時間及び/または216時間吹き込むことにより、150℃で実施される。粘度対時間を測定する。試験は、www.cectests.orgで見つけることができる。本発明の実施例は、バイオディーゼル燃料の存在下で作動するエンジンオイルの酸化試験、CEC L-109-14(これは参照により本明細書に組み込まれる)で評価される。
【0375】
すす増粘ベンチ試験
本発明の潤滑油組成物は、配合物の分散能力及びすすの代用物であるカーボンブラックの添加から得られる粘度の増加制御能力を測定するすす試験を用いて動的粘度について評価される。この試験では、ガラス管に40gの潤滑油を充填し、凝縮器に取り付ける。各オイルを200℃で加熱し、115mL/分の空気流でオイルを8時間バブリングする。次いで、0.5gのVULCAN(登録商標)XC72Rカーボンブラック(Cabot Corporation)を12gの各酸化油に添加する。得られた混合物を60℃のオーブンで16時間加熱する。オーブンから取り出した後、混合物を1分間攪拌し、次いでペイントシェーカを使用して30分間均質化し、カーボンブラックを完全に分散させる。次いで、混合物を100℃の真空オーブン(全真空、<25mmHg)で30分間加熱する。混合物を真空オーブンから取り出し、粘度測定の直前に30秒間ボルテックスミキサを使用して攪拌する。次いで、カーボンブラックを含む各潤滑油の動的粘度を、コーン及びプレートの幾何形状を用いてTA Instruments AR-G2レオメータで、0.65s-1のせん断速度にて100℃で900秒間測定したが、ここでコーンはステンレススチールであり、直径60mm、角度2°である。試料温度はペルチェプレート温度制御システムで制御される。記録される動的粘度は、試験終了時の値(EOT)である。動的粘度が低いほど、すすの分散が改善されていることを示す。
【0376】
ASTM D4684ミニロータリー粘度計試験(MRV)
この試験では、ミニロータリー粘度計のセル内で、最初に試験油を加熱し、次に試験温度(この場合は-40℃)まで冷却する。各室は、較正した回転子-固定子の組み合わせを含み、そこでは、回転子が、回転軸を中心に巻き付けられ、重りが取り付けられた糸によって回転する。糸に対して、10gの重りで開始し、回転が起きて降伏応力が決定されるまで連続して重りを増加させる。結果は、適用した力(パスカル)の降伏応力として記録する。次に、150gの重りを適用し、油の見掛け粘度を決定する。見掛け粘度が大きくなると、それに伴って、油が連続的かつ適切に油ポンプの入口に供給されなくなる可能性が高くなる。結果を、粘度(センチポイズ)として記録する。
【0377】
スキャニングブルックフィールド
スキャニングブルックフィールド粘度:エンジンオイルの低温、低せん断速度、粘度/温度依存性を測定するために、ASTM D5133が使用される。エンジンオイルの低温、低せん断粘度的挙動は、油が、サンプインレットスクリーンに流れるであろうか否か、その後に油ポンプに流れるであろうか否か、その後に、低温開始後に直ちにまたは最終的にエンジンダメージを妨げるのに十分な量で潤滑を要求するエンジン中の場所に、流れるであろうか否か、を決定する。ASTM D5133、スキャニングブルックフィールド粘度技術は、1℃/時間の一定の速度で冷却される試料のブルックフィールド粘度を測定する。MRVと同様に、ASTM D5133は、低温でのオイルのポンプ能力に関するように意図されている。試験は、試料が40,000cPに到達する温度または-40℃での粘度を記録する。ゲル化指数も記録され、それは、-5℃から最も低い試験温度までの粘度増加の変化の最も大きい速度として、定義される。乗用車エンジンオイル用の現在のAPI SL/ILSAC GF-5仕様は、12の最大ゲル化指数を要求する。
【0378】
流動点(JIS K 2269)
45mlの試料を、試験管中で45℃まで温め、特定の方法によって冷却する。試料の温度は、2.5℃下がるごとに、冷却浴から試験管が取り出され、試料を5秒間十分に動かないままでいる温度を読み取り、この値に2.5℃が追加され、その結果を流動点と見なす。
【0379】
Plint TE77高周波摩擦機
Plint TE-77高周波摩擦機(Phoenix Tribologyの市販品)を使用し、境界摩擦係数を測定する。各試験で、試験油の5mL試料を、装置に配置する。100℃でTE-77が運転され、試験片上に56Nの負荷がかかる。往復速度は、10Hz~1Hzに一掃され、試験の全体にわたって摩擦係数データを収集する。
【0380】
SRV摩擦試験
各潤滑油組成物の摩擦低減性能は、荷重400N、面圧0.4GPa(最大ヘルツ応力)、周波数10Hz、振幅1.50mm、温度100℃、試験時間60分の条件下で、シリンダオンデスク往復摺動試験機(Optimol社製SRV)により評価される。試験開始から30~60分間の摩擦係数を平均した平均摩擦係数を算出し、摩擦特性を評価する。この測定条件は、境界潤滑の条件に相当する。
【0381】
シェル4球摩耗試験
各潤滑油組成物の摩耗防止性能は、30分間、1200rpm、油温80℃、及び負荷30kgfの条件下でASTM D4172に従って決定される。試験後、試験ボールを取り出し、摩耗痕を測定し、結果として直径を示す。
【0382】
Fordチェーン摩耗試験
Fordチェーン摩耗試験は、エンジンにおけるタイミングチェーンの伸びを評価する方法である。Fordチェーン摩耗試験は、2012 Ford 2.0 Liter EcoBoost TGDi4気筒試験エンジンを用いる。エンジンを、低速から中速の速度及び負荷で、ならびに低運転温度及び通常運転温度で、2段階試験において運転される。試験サイクルは、8時間のならし運転期間と、それに続く216時間のサイクル試験条件で構成される。タイミングチェーンを、ならし運転期間後に測定し、この測定値を、試験終了後のチェーンの伸長計算のためのベースライン測定値として使用する。試験の段階1を、富化燃焼サイクルを用いて、低速、低負荷、及び低温で実行する。段階2を、化学量論的条件を使用して、中速度、中程度の負荷、及び中程度の温度で実行する。段階1と段階2との間で、温度、速度、及び負荷は特定の速度で上昇する。
【0383】
オイルミスト分離器(OMS)適合性
潤滑組成物を、オイルミスト分離器の汚染及びすすの取扱いについて評価する。オイルミスト分離器の適合性を、Detroit Diesel Corporation(DDC)によって製造された2010EC DD15エンジンを備えたディーゼルトラックで評価する。エンジンは、Alfdex(登録商標)遠心式オイルミスト分離器を備える。油を、250,000マイルからほぼ600,000マイルの範囲の野外試験で評価する。オイルミスト分離器(OMS)ユニットの全てを、野外試験が完了した後に調査し、スラッジ堆積物形成及びドレンホールの詰まりについて評価する。OMSスラッジ堆積物評価は、次の表7のように割り当てられる。

【表7】
【0384】
PDSC試験
圧力示差走査熱量測定(PDSC)は、試験物質と標準物質を同じ速度で昇温し、加圧下で熱の発生と試験物質による熱の吸収によって生じる2つの試験片間の温度差をゼロに維持するために必要なエネルギー量を測定する方法である。この場合、PDSC値は、試験片を空気加圧下(0.69MPa)で一定温度(210℃)に保持し、所定温度に達するまでの時間(酸化誘導時間という)を酸化寿命に関連して評価するものである。この酸化誘導時間が長いほど酸化防止機能が高いことを示す。
【0385】
ASTM D3427
本発明は、ASTM D3427によって測定される潤滑油の空気放出について試験された。試験において、圧縮された空気を、50℃の温度まで加熱した潤滑油中に吹き込む。気流を止めた後、油に混入した空気が体積の0.2%まで低減するために必要とされる時間を、放気時間として記録する。望ましい放気の数値は、一般的に3分未満、好ましくは60秒未満、最も好ましくは20秒未満である。
【0386】
ASTM D5800
ノアック法による潤滑油の蒸発損失の標準試験方法。ASTM D5800-15によって測定されるエンジンオイルのノアック揮発性は、乗用車エンジンオイル消費量と相関することがわかった。低揮発性に対する厳しい要求値は、例えば、欧州のACEA A-3やB-3、及び北米のSAE J300、ILSAC GF-5、ならびに次世代ILSAC GF-6のような最近のいくつかのエンジンオイル仕様の重要点である。
【0387】
TPEO配合物
トランクピストンエンジンオイル(TPEO)は、5~35重量%、好ましくは10~28重量%、より好ましくは12~24重量%の濃縮物または添加剤パッケージを含み、残りはベースストック(複数可)(潤滑粘度のオイル)である。好ましくは、TPEOは、10~70mg KOH/g、好ましくは10~60mg KOH/g、好ましくは15~60mg KOH/g、または好ましくは15~55mg KOH/gの組成のTBN(ASTM D2896)を有する。
【0388】
潤滑性組成物が上述の添加剤の1つ以上を含む場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を提供できる量で基油にブレンドされる。このような添加剤の代表的な有効量を以下の表8に示す。記載されている全ての値は、有効成分の重量%(A.I)として記載されている。
【0389】
次の表(表8)は、従来のTPEO組成物中の添加剤の典型的な比率を示し得る。

【表8】
【0390】
代表的なTPEO配合物(複数可)
以下の添加剤及び基油のうちの1つ以上を含むTPEO潤滑油組成物を調製し、SAE30またはSAE40の粘度グレード及び15~60mgKOH/gのTBNを有する完成油を生成する。
(1)0~10.0重量%のコハク酸イミド、ホウ酸化ビスコハク酸イミド分散剤またはエチレンカーボネート後処理ビスコハク酸イミド
(2)1.0~30.0重量%の1つ以上の中性、低過塩基性、中過塩基性、高過塩基性、もしくは超高過塩基性のスルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤;
(3)0.1~4.0重量%の第一級ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び/または第二級ジアルキルジチオリン酸亜鉛;
(4)0~5.0重量%のアルキル化ジフェニルアミンまたはフェノール系酸化防止剤;
(5)0~1.0重量%の乳化剤
(6)0.001~1.0重量%のシリコン、フッ素、またはポリアルキルメタクリレート(PMA)系発泡防止剤;
(7)上記の残りのバイオベース基油及び任意の2次基油。
【0391】
MCL配合物
船舶用シリンダ潤滑剤(MCL)は、5~45重量%、好ましくは10~40重量%の濃縮物または添加剤パッケージを含み、残りはベースストック(複数可)(潤滑粘度のオイル)である。好ましくは、MCLは、5~200mg KOH/g、好ましくは5~150mg KOH/g、好ましくは15~150mg KOH/g、好ましくは10~100mg KOH/g、好ましくは20~80mg KOH/g、もしくは好ましくは30~80mg KOH/g、もしくは好ましくは30~60mg KOH/g、もしくは好ましくは30~50mg KOH/gの組成のTBN(ASTM D2896)を有する。
【0392】
潤滑性組成物が上述の添加剤の1つ以上を含む場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を提供できる量で基油にブレンドされる。このような添加剤の代表的な有効量を以下の表9に示す。記載されている全ての値は、有効成分の重量%(A.I)として記載されている。
【0393】
次の表(表9)は、従来のMCL組成物中の添加剤の典型的な比率を示し得る。
【表9】
【0394】
代表的なMCL配合物(複数可)
以下の添加剤及び基油のうちの1つ以上を含むMCL潤滑油組成物を調製し、SAE40またはSAE50の粘度グレード及び25~200mg KOH/gのTBNを有する完成油を生成する。
(1)0~10.0重量%のコハク酸イミド、ホウ酸化ビスコハク酸イミド分散剤またはエチレンカーボネート後処理ビスコハク酸イミド
(2)1.0~45.0重量%の1つ以上の中性、低過塩基性、中過塩基性、高過塩基性、もしくは超高過塩基性のスルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤;
(3)0.1~6.0重量%の第一級ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び/または第二級ジアルキルジチオリン酸亜鉛;
(4)0~10.0重量%のアルキル化ジフェニルアミンまたはフェノール系酸化防止剤;
(5)0~1.0重量%の乳化剤
(6)0.001~1.0重量%のシリコン、フッ素、またはポリアルキルメタクリレート(PMA)系発泡防止剤;
(7)上記の残りのバイオベース基油及び任意の2次基油。
【0395】
システム油配合物
船舶用システム油(SO)は、1~25重量%の濃縮物または添加剤パッケージを含み、残りはベースストック(複数可)(潤滑粘度のオイル)である。好ましくは、SOは、4~15mg KOH/g、好ましくは5~10mg KOH/gの組成TBN(ASTM D2896)を有する。
【0396】
潤滑性組成物が上述の添加剤の1つ以上を含む場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を提供できる量で基油にブレンドされる。このような添加剤の代表的な有効量を以下の表10に示す。記載されている全ての値は、有効成分(A.I)の重量%として記載されている。
【0397】
次の表(表10)は、従来のシステム油組成物中の添加剤の典型的な比率を示し得る。
【表10】
【0398】
代表的なシステム油配合物(複数可)
以下の添加剤及び基油のうちの1つ以上を含むシステム油潤滑油組成物を調製し、SAE20またはSAE30の粘度グレード及び5~15mgKOH/gのTBNを有する完成油を生成する。
(1)0~5.0重量%のコハク酸イミド、ホウ酸化ビスコハク酸イミド分散剤またはエチレンカーボネート後処理ビスコハク酸イミド
(2)1.0~20.0重量%の1つ以上の中性、低過塩基性、中過塩基性、高過塩基性、もしくは超高過塩基性のスルホン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、またはカルシウムフェネート洗浄剤;
(3)0.1~5.0重量%の第一級ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び/または第二級ジアルキルジチオリン酸亜鉛;
(4)0~5.0重量%のアルキル化ジフェニルアミンまたはフェノール系酸化防止剤;
(5)0~1.0重量%の乳化剤
(6)0.001~1.0重量%のシリコン、フッ素、またはポリアルキルメタクリレート(PMA)系発泡防止剤;
(7)上記の残りのバイオベース基油及び任意の2次基油。
【0399】
試験方法
低温性能
潤滑剤の低温性能は、流動点により、ASTM D6749に従って評価する。
【0400】
DSC酸化試験
DSC酸化試験は、ASTM D-6186に従って試験油の薄膜酸化安定性を評価するために使用される。試験中、試料カップ内の試験油への熱流、及び試験油からの熱流を参照カップと比較する。酸化開始温度は、試験油の酸化が始まる温度である。酸化誘導時間は、試験油の酸化が始まる時間である。酸化誘導時間が長いほど、性能が向上する。酸化反応は、熱の流れによって明確に示される発熱反応をもたらす。酸化誘導時間は、試験油の薄膜酸化安定性を評価するために計算される。
【0401】
酸化ベース粘度増加及びTBN減少の決定
Institute of Petroleum 48(MIP-48)試験
【0402】
本発明の船舶用潤滑油組成物の酸化ベース粘度上昇及びBN減少に対する安定度は、改良型Institute of Petroleum 48(MIP-48)試験を用いて評価する。MIP-48試験は、熱部分及び酸化部分からなる。試験の両方の部分で、試験試料は一定時間加熱される。試験の熱部分では、加熱された油試料に窒素を24時間通過させ、並行して、試験中の酸化部分では、加熱された油試料に空気を24時間通過させる。試料を冷却し、両方の試料の粘度を決定する。酸化による試験油の粘度上昇を決定し、熱の影響を補正する。各船舶用潤滑油組成物のBN減少及び酸化ベース粘度上昇は、空気吹き試料の200℃での動粘度から窒素吹き試料の200℃での動粘度を差し引き、窒素吹き試料の200℃での動粘度で減算積を割ることによって計算する。これは、試験中の潜在的な蒸発効果、またはその他の熱効果を補正するために行われ、それによって酸化の影響に焦点が当てられる。この補正により、マイナスの値になる場合がある。酸化ベースの粘度上昇に対してより優れた安定性を示す試験油は、より低い%値の結果をもたらす。
【0403】
発泡性能
この試験方法は、24℃及び93.5℃での潤滑油の発泡特性の決定を対象としている。24℃(75°F)の温度で維持された試料に、一定の速度で5分間空気を吹き、10分間放置する(「シーケンスI」)。泡の体積は、両期間が終わるときに測定する。試験を、第2の試料について、93.5℃(200°F)で(「シーケンスII」)、次いで泡を壊した後、24℃(75°F)(「シーケンスIII」)で繰り返す。油の発泡傾向は、高速ギアリング、大容量ポンピング、及びスプラッシュ潤滑等のシステムにおける深刻な問題になる可能性がある。十分な潤滑、キャビテーション、及び潤滑剤のオーバーフローロスにより、機械的故障に至る可能性がある。この試験方法は、このような運転条件での油の評価に使用される。
【0404】
堆積物制御
堆積物制御は、コマツホットチューブ(KHT)試験により測定され、これは、加熱ガラス管を使用し、この中を、試料潤滑剤が、約5mLの全試料で、典型的には0.31mL/時にて、16時間のように長時間の間、10mL/分の空気流と共に圧送される。試験の終了時に、ガラス管を、1.0(非常に重いワニス)~10(ワニスなし)のスケールで堆積物について評価する。試験結果を、0.5の倍数で記録する。ガラス管が堆積物で完全に閉塞している場合、試験結果は「閉塞」と記録する。閉塞は、1.0未満の堆積の結果であり、この場合、ラッカーは非常に厚くて黒っぽいが、それでもなお液体は流れることができる。試験は310℃及び325℃で実行され、SAE Technical Paper 840262に記載されている。
【0405】
スラッジ形成
黒色スラッジ堆積物(BSD)試験を使用して、残留燃料油中の不安定な未燃アスファルテンに対処する潤滑剤の能力を評価する。この試験では、重油と潤滑剤との混合物に酸化熱歪みを加えることによって、潤滑油が試験紙に堆積する傾向を測定する。潤滑油組成物の試料は、試験混合物を形成するために、特定の量の残留燃料と混合する。次いで、試験混合物は、試験温度(200℃)で一定時間(12時間)制御される金属試験紙上に薄膜として試験中にポンプで送る。油と燃料との試験混合物は、試料容器に再循環する。試験後、試験紙を冷却し、洗浄及び乾燥する。次いで、試験プレートの重量を測定する。このようにして、試験プレート上に残っている堆積物の重量を測定し、試験プレートの重量の変化として記録する。
【0406】
集束ビーム反射法(FBRM)
アスファルテン凝集ひいては「ブラックスラッジ」生成を予測する集中ビーム反射法(「FBRM」)による光散乱を使用して潤滑剤をアスファルテン分散性について評価する。FBRM試験法は、2005年10月24日~28日、東京、船舶工学に関する第7回国際シンポジウム(7th lnternational Symposium on Marine Engineering)で開示され、その会報中の、「The Benefits of Salicylate Detergents in TPEO Applications with a Variety of Base Stocks」に公表された。さらなる詳細が2007年5月21日~24日、ウィーン、CIMAC会議(CIMAC Congress)で開示され、その会報中の「Meeting the Challenge of New Base Fluids for the Lubrication of Medium Speed Marine Engines-An Additive Approach」に公表された。
【0407】
分散試験
この試験では、ろ紙上の油と黒色物質の分散性を測定することにより、船舶用システム油が、アスファルテン及び炭素質物質を分散させておく能力について評価する。様々な処理加熱条件で、水の添加ありとなしで、新油と劣化油両方の分散性を測定する。
【0408】
新鮮な試料は、大部分の船舶用システム精製油と重油とカーボンブラックとの混合物からなる。劣化した試料は、船舶用システム精製油と、酸化条件で高温に加熱することで劣化した重油との混合物からなる。劣化工程後に、カーボンブラックを劣化試料に加える。
【0409】
次に、新油試料と劣化油試料両方を、3つの異なる熱処理に水の添加ありとなしで掛けて、全部で6つの異なる処理を行う。その後、処理した試料の一滴を一枚のろ紙につけ、定温器で48時間展開する。展開後、液滴は、軽質油部分で囲まれた小さな黒い環状のスラッジを形成している。油及びスラッジ部分の直径を測定し、油:スラッジの直径比を計算する。試験結果を6×として記すが、それは6つの異なる処理からの油:スラッジ直径比の合計である。
【0410】
FZG摩耗
FZGベンチ試験は、摩耗性能を評価する。このFZG試験は、コードCEC L-07-A-95、ASTM D5182及びISO 14635-1:2000の下で様々に特定されている工業的な基準である。
【0411】
天然ガスエンジンの配合物
潤滑性組成物が上述の添加剤の1つ以上を含む場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を提供できる量で基油にブレンドされる。このような添加剤の代表的な有効量を以下の表11に示す。記載されている全ての値は、有効成分(A.I)の重量%として記載されている。
【0412】
次の表(表11)は、天然ガスエンジンオイル組成物中の添加剤の典型的な比率を示し得る。

【表11】
【0413】
潤滑性組成物が上述の添加剤の1つ以上を含む場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を提供できる量で基油にブレンドされる。このような添加剤の代表的な有効量を以下の表12に示す。記載されている全ての値は、有効成分(A.I)の重量%として記載されている。
【0414】
次の表(表12)は、鉄道エンジンオイル組成物中の添加剤の典型的な比率を示し得る。

【表12】
【0415】
潤滑性組成物が上述の添加剤の1つ以上を含む場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を提供できる量で基油にブレンドされる。このような添加剤の代表的な有効量を以下の表13に示す。記載されている全ての値は、有効成分(A.I)の重量%として記載されている。
【0416】
次の表(表13)は、機能性液体組成物中の添加剤の典型的な比率を示し得る。

【表13】
【0417】
潤滑性組成物が上述の添加剤の1つ以上を含む場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を提供できる量で基油にブレンドされる。このような添加剤の代表的な有効量を以下の表14に示す。記載されている全ての値は、有効成分(A.I)の重量%として記載されている。
【0418】
次の表(表14)は、ガソリン添加剤組成物中の添加剤の典型的な比率を示し得る。
【0419】
ペンシルバニア州(Penn State)ミクロ酸化試験
潤滑油組成物の堆積性能は、260℃で35分後にペンシルバニア州ミクロ酸化試験を使用して測定される(SAE Technical Paper 801362)。
【0420】
酸化剤Bx試験
25gの試料を、特殊なガラスの酸化セルに入れる。触媒を加えた後、ガラス攪拌器を挿入する。次に、セルを密封し、340°Fに維持され、かつ酸素供給に接続されたオイルバスに配置する。攪拌器でオイル試料を攪拌しながら、1リットルの酸素をセルに供給する。試験は、試料によって1リットルの酸素が消費されるまで実行され、試料実行の合計時間が時間単位で記録される。
【0421】
PDSC試験
圧力示差走査熱量測定(PDSC)は、試験物質と標準物質を同じ速度で昇温し、加圧下で熱の発生と試験物質による熱の吸収によって生じる2つの試験片間の温度差をゼロに維持するために必要なエネルギー量を測定する方法である。この場合、PDSC値は、試験片を空気加圧下(0.69MPa)で一定温度(210℃)に保持し、所定温度に達するまでの時間(酸化誘導時間という)を酸化寿命に関連して評価するものである。この酸化誘導時間が長いほど酸化防止機能が高いことを示す。
【0422】
TEOST MHT4試験-ASTM 7097
TEOST MHT4(ASTM D7097-16a)は、ピストンリングベルト及び上部ピストンクラウン領域におけるエンジンオイルの堆積物形成傾向を予測するように設計されている。堆積物形成におけるTEOST MHT手順とTU3MH Peugeotエンジン試験の間には相関関係が示されている。この試験では、285℃の酸化及び触媒条件下で、特別に構築された試験ロッドに形成された堆積物の質量を、8.5gのエンジンオイルを薄膜でロッド上に繰り返し通過させて決定する。酸化条件下でのエンジンオイルの堆積物形成傾向は、オイルの少量の試料(8.4g)と非常に少量(0.1g)の有機金属触媒を含むオイルと触媒の混合物を循環させることによって決定される。この混合物は、TEOST MHT機器内で、ロッドの最も高温の場所で電流によって制御された温度285℃に加熱された特殊な巻線デポジッターロッド上を24時間循環する。試験の前後にロッドの重さを量る。45mgの堆積物の重量は合格/不合格の基準と見なされる。
【0423】
この試験方法のコピーは、ASTM International,100 Barr Harbor Drive, PO Box 0700, West Conshohocken, Pa.19428-2959から入手することができ、全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0424】
B2-7試験/ユニオンパシフィック酸化試験
B2-7試験は、以下の表14に示す条件を用いる酸化試験である。

【表14】
【0425】
B2-7試験に従って、試験する油を、酸素をバブリングしながら300°Fで96時間加熱する。銅、鉄及び鉛のクーポンを、油中に懸濁する。50ミリリットルの試料を48時間、72時間、及び96時間で採取する。48時間及び72時間での試料に精製油を補充する。油試験試料を塩基価、酸価、pH、鉛及び銅について評価する。
【0426】
銀ディスク摩耗及び摩擦試験を使用する銀摩耗評価(Amoco改良銀ディスク摩耗及び摩擦試験)
Amoco改良銀ディスク摩耗及び摩擦試験として当業者に公知のものを使用して配合物を評価する。この摩耗試験手順は、潤滑油の耐摩耗特性を決定するための実験室試験である。試験機は、Electromotive Division(EMD)of General Motors, Inc.によって製造された銀ピンインサートベアリングまたは鉄道ディーゼルエンジンのメッキで使用されたものと同一の品質及びサイズの4分の1インチ銀ディスク3個と一緒に組立てた2分の1インチ径52100鋼球が配置されているシステムを含む。これらのディスクは、銀耐摩耗特性用に試験されるべき油試料を含有するリザーバ中の固定した三角形の位置にある。鋼球は、上に位置し、3個の銀ディスクと接触している。これらの試験を実施する上で、当該球は、レバーアームにかかる適切な重量によって及び特定の圧力で当該3個のディスクに押し付けられながら、回転する。試験結果は、ディスク上の傷跡を調べ及び測定するための低倍率の顕微鏡を使用することによって測定される。2.2mm以下の摩耗傷跡径は、十分な銀摩耗保護を示すと考えられる。銀ディスク上の鋼球の回転は、23キログラム静止荷重下に分あたり600回転数で30分間続行する。それぞれの油は500Fで試験する。摩擦係数はそれぞれの配合で測定される。
【0427】
R20摩擦試験
R20摩擦試験を実行して、フェネート1(C20~24異性化オレフィンに由来するCaフェネート)を含む配合物、及びそれと対比するフェネート2(テトラプロピレンに由来するCaフェネート)を含む類似配合物の低速ブレーキトルク変動性能を比較する。R20試験の結果は、3.0~10.0ミリモルのフェネート2を含む配合物に比べて、3.0~10.0ミリモルのフェネート1を含む配合物が低減された低速ブレーキトルク変動を示すことを示す。これは、フェネート1を含む配合物が、低速での低トルク変動を維持しながら、クラッチ及びブレーキ能力を向上させたことを意味する。低速ブレーキトルク変動を軽減する利点は、エネルギー損失と振動が減少することであり、これは、機械部品への損傷のリスクの低下、運転者の不快感の減少、及びブレーキノイズの傾向の減少に関連している。
【0428】
SAE No.2摩擦試験
上記組成物をSAE No.2摩擦試験を用いて下記の条件で評価する。
ディスク:ペーパーディスク
プレート:鋼板
モータ回転速度:2940rpm
加圧力:20kg/cm
潤滑剤温度:80℃
【0429】
動的摩擦係数(μ)として1200rpmの値をとり、剥離摩擦係数(μ0)としてクラッチのエンゲージングポイントでの摩擦係数をとることにより、測定を実施する。0.7rpmでエンゲージングポイントでの最大摩擦係数を、静摩擦係数(μs)として測定する。
【0430】
ブレーキノイズ試験
ストレートダブルブレーキ、ストレート交互ブレーキ、及びターンシングルブレーキを適用し、1200~1800rpmでローギア(ローIギア、ローIIギア、及びローIIIギア)でトラクタを運転する。ノイズレベルは、耳により、「無ノイズ」、「ノイズ」、及び「激しいノイズ」として決定する。最初に、新規の試験油でのトラクタを、0体積%の水で試験する。その後、0.1体積%量の水を添加し、当該運転/制動条件でトラクタを試験する。ブレーキノイズが起こるかまたは水汚染が0.2体積%になるまで、サイクルを繰り返す。
【0431】
ZF V3試験
低速ギア性能は、ZFグループのZF V3試験を使用して評価され、これはS19-5試験としても知られている。この試験において、FZG標準は、速度(9rpm入力速度、13rpmピニオン速度)、ロード(10段階)、及び温度(40時間の90℃、40時間の120℃及び40時間の90℃)の調整した条件の下で、120時間稼働する。試験ギアに、試験オイルで潤滑される。ギア及びピニオンの重量を、試験の前後で決定する。ギア重量減少及びピニオン重量減少を、試験液体で得られた摩耗を評価するために用いる。試験に合格するために、総重量減少(ギア重量減少+ピニオン重量減少)は、30mg未満でなければならない。
【0432】
MAO 23適合性試験
MAO 23適合性試験は、潤滑油の保存安定性を評価するために使用される。配合した油を80℃のオーブンに1ヶ月間放置した後、1ヶ月後の外観及び沈降物を標準試料と比較して評価する。評点は次の通りである:外観:透明で鮮やかである(1)、曇っている(3)、非常に曇っている(6)沈降物:沈降物なし(0)、若干(1)、中位(2)、多い(3)評点1/0の意味:透明で鮮やかな外観(1)/沈降物なし(0)。外観の評点が低いほど、また沈降物の評点が低いほど、良好な生成物である。良好な結果は、外観評点が最大2で沈降物評点が最大1である。
【0433】
乳化性試験-ASTM D1401
耐摩耗作動液の水分離性をASTM D1401試験法によって特徴付ける。この方法では、40mL体積の被検物質を40mL体積の蒸留水と共に、目盛りを付けたシリンダ中で双方の液体を54℃で5分間攪拌することにより乳化する。乳化物から有機層及び水層への分離は、攪拌の停止後、各液体、水及び乳化層の相対体積を観察することにより特徴付けられる。攪拌停止後の一定時間(分)に観察した結果を表1に、液体(mL)-水(mL)-乳化(mL)として、それぞれ示す。
【0434】
さび止め性能試験-ASTM D665
ASTM D665(参照により本明細書に組み込まれる)を用いて耐摩耗油圧液体のさび止め性を決定する。ASTM D665は、水が液体と混合された場合に、鉄製の部品のさびの防止を補助する液体の性能を決定するための試験に関する。本発明においてさび止め特性を決定する場合、ASTM D665の手順Bを採用する。この試験では、試験液体300mLと合成海水30mLとの混合物を60℃の温度で攪拌し、円筒形の鉄製試料が24時間完全に浸漬される。さびの試験結果を、「合格」もしくは「不合格」で記録する。
【0435】
シェル4球WL試験
融着点を、シェル4球試験を用いて評価する。この試験は、クレードルの形態にて固定した3つの鋼球に対して荷重回転下で1つの鋼球について操作する。試験例では、下方の3つの球をカバーする。回転速度は1760±40rpmである。10秒の持続時間の一連の試験は、融着が発生するまで荷重を増大させて行う。目的の融着荷重は、1960Nである。融着点は、リン化合物のタイプ及びそれらの投与量の影響を大いに受ける。
【0436】
コマツマイクロクラッチ試験 KES 07.802
摩擦係数の測定 Komatsu Engineeringにより製作されたマイクロクラッチ装置を用いてKomatsu KES 07.802方法に従って、実施例で調製した試験液体の摩擦係数を測定する。すなわち、その方法に明記されたディスクとプレートを、鉱油に溶解した添加剤成分の存在下で、20rpmで回転するディスクに対して4kgf/cm2の圧力で接触させる。室温(25℃)、60℃、80℃、100℃、120℃、及び140℃にて摩擦係数を測定する。摩擦係数の試験基準は最小0.130である。
【0437】
ASTM D-5704
この試験では、潤滑剤の試料を2個の平歯車、試験軸受、及び銅触媒を含む加熱したギアケース内に置く。潤滑剤を325°Fに加熱し、ギアを予め決めた荷重と速度条件で50時間作動させる。潤滑剤中に空気を特定の速度で通気させ、試験中、潤滑剤の油のバルク温度を制御する。試験後の油分解を評価するのに用いたパラメータは粘度増加、使用した油中の不溶物、及びギア清浄度である。また、試験記録の一部として、銅ストリップの最初の重量に基づく銅触媒のパーセント重量損失も記録する。銅重量損失の結果は、試験潤滑剤の銅活性度を示す。
【0438】
この試験方法のコピーは、ASTM International,100 Barr Harbor Drive,PO Box 0700,West Conshohocken,Pa.19428-2959から入手することができ、全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0439】
摩擦係数の決定
JASO M358:2005に記載されるベルト式CVT油の金属間摩擦特性試験方法(Standard test method for metal on metal friction characteristics of belt CVT fluids)に準拠し、ブロックオンリング試験機により金属間摩擦係数を決定する。試験方法の概要を次に記載する。試験方法の概要を次に記載する。
試験条件
リング:Falex S-10テストリング(SAE 4620鋼)
ブロック:Falex H-60テストブロック(SAE 01鋼)
油量
150mL
ならし条件
油温:110℃
荷重:890N未満で5分間保持後、1112N未満で25分間保持
滑り速度:0.5m/sで5分間保持後、1.0m/sで25分間保持
試験条件
油温:110℃
荷重:1112N
滑り速度:1.0、0.5、0.25、0.125、0.075、0.025m/sの順で各5分間保持
摩擦係数:滑り速度変更前の30秒間の摩擦係数を決定
【0440】
シャダー防止性能の持続性の決定
JASO M-349:2001に記載された「自動車-自動変速機油のシャダー防止性能試験方法」(Road vehicles--Test method for anti-shudder performance of automatic transmission fluids)に従って、低速摩擦試験機を用いてシャダー防止性能の持続性を決定する。試験条件の概要を次に記載する。
試験条件
摩擦材:セルロース系ディスク/スチールプレート
油量:150mL
ならし条件
面圧:1MPa
油温:80℃
滑り速度:0.6m/s
滑り時間:30分
μ-V性能試験条件
面圧:1MPa
油温:40℃、80℃、120℃
滑り速度:0m/s~1.5m/sで連続的に加減速
耐久試験条件
面圧:1MPa
油温:120℃
滑り速度:0.9m/s
時間:30分
休止時間:1分
性能測定:0時間以降、24時間ごとにμ-V特性を測定
注:シャダー防止性能の評価は、0.9m/sでのμd/dVが0になるまでの期間を決定することで評価する。その期間が長いほど、シャダー防止性能が高くなる。
【0441】
摩耗傷跡試験
潤滑油組成物の耐摩耗性能は、1800rpm、油温80℃、荷重392N、60分の条件下で、4球摩耗傷試験ASTM D4172に従って測定される。試験後、試験球を取り出し、摩耗痕を測定する。具体的には、摩耗痕径が0.55mm以下の場合、試料油は良好な摩耗性能を示す。
【0442】
極圧摩耗試験
潤滑油組成物の極圧摩耗性能をファレックスピン及びV字ブロック試験(ASTM D3233,Method B、ピン材料:SAE 3135鋼、ブロック:AISI-C-1137鋼)を使用して決定する。この方法は、潤滑剤試料に浸された2つの固定されたV-ブロックに対して290rpmで回転する鋼ジャーナルを動作させることを含む。荷重を歯止め機構によってV-ブロックに適用する。試験方法B(Method B)では、荷重が250-lbf(1112-N)の増分で適用され、荷重は各荷重増分で1分間一定に維持される。得られた破壊荷重値は、荷重保有特性のレベルについての基準である。具体的には、破壊荷重が1000lb以上である場合、試料油は、望ましい摩耗性能を示す。
【0443】
Cu腐食試験
潤滑油組成物のCu腐食耐性は、ISOT(Indiana Stirring Oxidation Test、試験法JIS K 2514、2つの触媒プレート(銅及び鋼)及びガラスワニス棒を試験油に浸し、試験油を165.5℃まで加熱し、150時間攪拌することによって空気に曝露する)を使用して決定する。油のCu含有量が50ppm以下の場合、試料油は良好な防食性能を示す。また、スラッジまたはワニス形成の出現は、不十分な酸化腐食性能を示す。
【0444】
体積抵抗率
潤滑油組成物の電気絶縁能力をJIS C2101-1999-24に従って決定する。80℃及び250Vの印加電圧での試験油の体積抵抗率を測定し、Ω・cm単位で記録する。1.0×10Ω・cm以上の体積抵抗率は、電気車の用途にとって十分に高い。
【国際調査報告】