(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】心電図解析
(51)【国際特許分類】
A61B 5/346 20210101AFI20230515BHJP
【FI】
A61B5/346
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562128
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 IB2021052886
(87)【国際公開番号】W WO2021205355
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522396779
【氏名又は名称】ジェイ-ウェイブ ダイアグノスティクス エス.アール.エル
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アナスタージア、ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティー、アシュトン ボイド
(72)【発明者】
【氏名】チコンテ、ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】グラント、エドワード ロバート
(72)【発明者】
【氏名】メロ、ルーク ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】パッポーネ、カルロ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127GG10
4C127KK03
(57)【要約】
心電図(「ECG」)解析を容易にするコンピュータ実装方法は、患者の1つ以上の検出済み心電図トレースを受信することを含み、検出済み心電図トレースの各々は検出された期間にわたって患者について検出された患者の心臓活動を表す。また、この方法は、1つ以上の検出済み心電図トレースの各々について、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントを識別することと、識別された対応する検出済み心電図トレースセグメントの少なくとも1つに基づいて代表的な心電図トレースを決定することとを含み、検出済み心電図トレースセグメントの各々は、検出された期間のセグメントにわたる患者について検出された患者の心臓活動を表す。この方法は、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を、1つ以上の決定された代表的な心電図トレースに適用させて、患者の少なくとも1つの診断に関連する1つ以上の診断関連スコアを決定することを含む。他の方法、システム、及びコンピュータ可読媒体が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図解析を容易にするコンピュータ実装方法であって、
患者に対する1つ以上の検出済み心電図トレースを受信することであって、前記検出済み心電図トレースの各々は、検出された期間にわたる検出された患者の心臓活動を表す、検出済み心電図トレースを受信することと、
前記1つ以上の検出済み心電図トレースの各々について、
複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントを識別することであって、前記検出済み心電図トレースセグメントの各々は、前記検出された期間のセグメントにわたる前記患者についての検出された患者の心臓活動を表す、検出済み心電図トレースセグメントを識別することと、
識別された前記対応する検出済み心電図トレースセグメントの少なくとも1つに基づいて、代表的な心電図トレースを決定することと、
少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を、1つ以上の決定された前記代表的な心電図トレースに適用させて、前記患者の少なくとも1つの診断に関連する1つ以上の診断関連スコアを決定することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記代表的な心電図トレースを決定することが、前記複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントのサブセットを識別することと、前記サブセットが、前記複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントの少なくとも1つを除外することと、識別された前記サブセットに基づいて前記代表的な心電図トレースを決定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントの前記サブセットを識別することが、
前記複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントに主成分解析を適用して、前記対応する検出済み心電図トレースセグメントの各々に関連する主成分スコアのそれぞれのセットを決定することと、
前記主成分スコアを比較して、前記サブセットから除外されるべき前記複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントの前記少なくとも1つを識別することと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記主成分スコアのセットの各々が、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアを含み、
前記主成分スコアを比較することが、
前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアからそれぞれ第1の信頼限界及び第2の信頼限界を決定することと、
前記対応する検出済み心電図トレースセグメントの各々について、前記検出済み心電図トレースセグメントに関連する前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアを、前記第1の信頼限界及び前記第2の信頼限界と比較することと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記検出済み心電図トレースセグメントに関連する前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアを、前記第1の信頼限界及び前記第2の信頼限界と比較することが、前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアが、前記第1の信頼限界及び前記第2の信頼限界によって設定される半径を有する楕円の外側にあるかどうかを判断することと、前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアが楕円の外側にある場合に、前記サブセットから除外されるべき前記検出済み心電図トレースセグメントを識別することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の信頼限界及び前記第2の信頼限界を決定することが、前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアの各々にホテリングT
2統計量を適用することを含む、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアの各々に前記ホテリングT
2統計量を適用することが、少なくとも約95%の信頼度でF分布の臨界値を使用することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
識別された前記対応する検出済み心電図トレースセグメントの前記少なくとも1つに基づいて前記代表的な心電図トレースを決定することが、前記サブセットに含まれる前記対応する検出済み心電図トレースセグメントを平均化することを含む、請求項2から請求項7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントを識別することが、前記検出済み心電図トレースセグメントにおける各々の共通の特徴を識別することと、前記複数の検出済み心電図トレースセグメントの各々について、識別された前記共通の特徴に対する各々の開始時間及び終了時間を識別することと、を含む、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記各々の共通の特徴を識別することが、前記検出済み心電図トレースセグメントの各々において、各々のRピークを識別することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのディスプレイに前記1つ以上の診断関連スコアの表現を表示させるために、前記1つ以上の診断関連スコアを表す信号を生成することをさらに含む、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器が、BrSニューラルネットワーク分類器を含む、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を訓練することをさらに含み、
前記訓練は、
訓練用心電図トレースの複数のセットを受信することであって、訓練用心電図トレースの前記複数のセットの各セットは、複数の訓練用患者のそれぞれの関連する訓練用患者についての訓練期間にわたる検出された心臓活動を表す、訓練用心電図トレースの複数のセットを受信することと、
前記訓練用心電図トレースの複数のセットの各セットについて、前記訓練用心電図トレースの前記セットに関連する前記訓練用患者のそれぞれの診断を受信することと、
前記訓練用心電図トレースの各々について、
複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントを識別することであって、前記訓練用心電図トレースセグメントの各々は、前記訓練期間のセグメントにわたる患者の心臓活動を表す、訓練用心電図トレースセグメントを識別することと、
識別された前記対応する訓練用心電図トレースセグメントの少なくとも1つに基づいて、代表的な訓練用心電図トレースを決定することと、
前記代表的な訓練用心電図トレース及び前記診断を用いて、前記少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を訓練させることと、
を含む、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
心電図解析を容易にするコンピュータ実装方法であって、
訓練用心電図トレースの複数のセットを受信することであって、前記訓練用心電図トレースの前記複数のセットの各セットは、複数の訓練用患者のそれぞれの関連する訓練用患者についての訓練期間にわたる検出された心臓活動を表す、訓練用心電図トレースの複数のセットを受信することと、
前記訓練用心電図トレースの複数のセットの各セットについて、前記訓練用心電図トレースの前記セットに関連する前記訓練用患者のそれぞれの診断を受信することと、
前記訓練用心電図トレースの各々について、
複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントを識別することであって、前記訓練用心電図トレースセグメントの各々は、前記訓練期間のセグメントにわたる患者の心臓活動を表す、訓練用心電図トレースセグメントを識別することと、
識別された前記対応する訓練用心電図トレースセグメントの少なくとも1つに基づいて、代表的な訓練用心電図トレースを決定することと、
前記代表的な訓練用心電図トレース及び前記診断を用いて、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を訓練させることであって、前記少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器は、少なくとも1つの診断に関連する1つ以上の診断関連スコアを出力するように構成される、ニューラルネットワーク分類器を訓練させることと、
を含む方法。
【請求項15】
前記代表的な訓練用心電図トレースを決定することが、前記複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントのサブセットを識別することと、 前記サブセットが、前記複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントの少なくとも1つを除外することと、識別された前記サブセットに基づいて前記代表的な訓練用心電図トレースを決定することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントの前記サブセットを識別することが、
前記複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントに主成分解析を適用して、前記対応する訓練用心電図トレースセグメントの各々に関連する主成分スコアのそれぞれのセットを決定することと、
前記主成分スコアを比較して、前記サブセットから除外されるべき、前記複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントの少なくとも1つを識別することと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記主成分スコアのセットの各々が、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアを含み、
前記主成分スコアを比較することが、
前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアからそれぞれ第1の信頼限界及び第2の信頼限界を決定することと、
前記対応する訓練用心電図トレースセグメントの各々について、前記訓練用心電図トレースセグメントに関連する前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアを、前記第1の信頼限界及び前記第2の信頼限界と比較することと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記訓練用心電図トレースセグメントに関連する前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアを、前記第1の信頼限界及び前記第2の信頼限界と比較することが、前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアが、前記第1の信頼限界及び前記第2の信頼限界によって設定された半径を有する楕円の外側にあるかどうかを判断することと、前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアが前記楕円の外側にある場合に、前記サブセットから除外されるべき前記訓練用心電図トレースセグメントを識別することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の信頼限界及び前記第2の信頼限界を決定することが、前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアの各々に、ホテリングのT
2統計方程式を適用することを含む、請求項17又は請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の主成分スコア及び前記第2の主成分スコアに前記ホテリングのT
2統計方程式を適用することが、少なくとも約95%の信頼度でF分布の臨界値を使用することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
識別された前記対応する訓練用心電図トレースセグメントの前記少なくとも1つに基づいて前記代表的な心電図トレースを決定することが、前記サブセットに含まれる前記対応する訓練用心電図トレースセグメントを平均化することを含む、請求項15から請求項20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントを識別することが、前記訓練用心電図トレースセグメントにおける各々の共通の特徴を識別することと、識別された前記共通の特徴に対する前記複数の訓練用心電図トレースセグメントの各々について、各々の開始時間及び終了時間を識別することと、を含む、請求項14から請求項21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記各々の共通の特徴を識別することが、前記訓練用心電図トレースセグメントの各々において、各々のRピークを識別することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器がBrSニューラルネットワーク分類器を含み、受信された前記診断の各々がBrS診断を含む、請求項14から請求項23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1から請求項24までのいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える、心電図解析を容易にするためのシステム。
【請求項26】
少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項1から請求項24までのいずれか1項に記載の方法を実行させるコードが記憶されている、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は心電図解析に関し、より詳細には、心電図の解析を容易にするコンピュータ実装に関する。
【背景技術】
【0002】
心電図(「ECG」)解析は、症候群、疾患、及び/又は障害の診断を提供するのを助けるために、病理学において使用され得る。既知の心電図解析システムは、一般に生の心電図を提供するように構成された機器を含み得ると共に、専門家に対して、生の心電図を確認して解析し、その専門的判断のみに頼って診断を下すことを要求する場合がある。しかしながら、専門家であっても、特定の診断を示し得るいくつかの既知の心電図解析システムによって提供されるような、生の心電図トレースの微妙な特性を識別することはできない。
【0003】
さらに、専門家へのアクセスは、制限されかつ/又は費用がかかる場合があり、既知の心電図システムで専門家のみを使用すると、診断結果に一貫性がない場合がある。特に、例えばブルガダ症候群(BrS)の解析などの、一部の症候群、疾患、及び/又は障害については、一部の既知のシステムによって表示される生の心電図は、患者の約3分の1においてのみ診断可能であり得る。残りの3分の2の患者は、非常に目立たない心電図異常を有している可能性があり、これらは、一部の既知のシステムによって提供される生の心電図を見る人間の眼によっては検出できない可能性がある。
【0004】
さらに、BrSの診断に必要な心電図パターンを明らかにするために、一部の既知の心電図診断アプローチでは、専門家が生の心電図トレースを確認する前に患者が薬物を使用する必要がある。このアプローチは、疾患固有の心電図異常を増幅させるが、患者に危険をもたらす可能性がある。実際、これらの薬物の中には潜在的な催不整脈作用を有するものがあり、検査中に生命を脅かす不整脈を引き起こす可能性がある。したがって、一部の既知の心電図システムは、診断に時間がかかり、高価で、安全ではなく、かつ/又は不正確な診断をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態によれば、心電図(ECG:electrocardiogram)解析を容易にするコンピュータ実装方法が提供される。本方法は、患者に対する1つ以上の検出済み心電図トレースを受信することを含み、検出済み心電図トレースの各々は、検出された期間にわたる検出された患者の心臓活動を表す。また、本方法は、1つ以上の検出済み心電図トレースの各々について、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントを識別することと、識別された対応する検出済み心電図トレースセグメントのうちの少なくとも1つに基づいて、代表的な心電図トレースを決定することとを含み、検出済み心電図トレースセグメントの各々は、検出された期間のセグメントにわたる患者についての検出された患者の心臓活動を表す。本方法は、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を1つ以上の決定された代表的な心電図トレースに適用させて、患者の少なくとも1つの診断に関連する1つ以上の診断関連スコアを決定することを含む。
【0006】
代表的な心電図トレースを決定することは、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントのサブセットを識別することと、サブセットが複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントのうちの少なくとも1つを除外することと、識別されたサブセットに基づいて代表的な心電図トレースを決定することと、を含み得る。
【0007】
複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントのサブセットを識別することは、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントに主成分解析を適用して、対応する検出済み心電図トレースセグメントの各々に関連する主成分スコアのそれぞれのセットを決定することと、主成分スコアを比較して、サブセットから除外されるべき複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントの少なくとも1つを識別することと、を含み得る。
【0008】
主成分スコアのセットの各々は、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアを含み得る。主成分スコアを比較することは、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアからそれぞれ第1の信頼限界及び第2の信頼限界を決定することと、対応する検出済み心電図トレースセグメントの各々について、検出済み心電図トレースセグメントに関連する第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアを、第1の信頼限界及び第2の信頼限界と比較することと、を含み得る。
【0009】
検出済み心電図トレースセグメントに関連する第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアを、第1の信頼限界及び第2の信頼限界と比較することは、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアが、第1の信頼限界及び第2の信頼限界によって設定される半径を有する楕円の外側にあるかどうかを判断することと、それらが楕円の外側にある場合に、サブセットから除外されるべき検出済み心電図トレースセグメントを識別することと、を含み得る。
【0010】
第1の信頼限界及び第2の信頼限界を決定することは、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアの各々に、ホテリングT2統計量を適用することを含み得る。
【0011】
第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアの各々にホテリングT2統計量を適用することは、少なくとも約95%の信頼度でF分布の臨界値を使用することを含み得る。
【0012】
識別された対応する検出済み心電図トレースセグメントのうちの少なくとも1つに基づいて代表的な心電図トレースを決定することは、サブセットに含まれる対応する検出済み心電図トレースセグメントを平均化することを含み得る。
【0013】
複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントを識別することは、検出済み心電図トレースセグメントにおける各々の共通の特徴を識別することと、複数の検出済み心電図トレースセグメントの各々について、識別された共通の特徴に対する各々の開始時間及び終了時間を識別することと、を含み得る。
【0014】
各々の共通の特徴を識別することは、検出済み心電図トレースセグメントの各々において、各々のRピークを識別することを含み得る。
【0015】
本方法は、少なくとも1つのディスプレイに1つ以上の診断関連スコアの表現を表示させるために、1つ以上の診断関連スコアを表す信号を生成すること含み得る。
【0016】
少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器は、BrSニューラルネットワーク分類器を含み得る。
【0017】
本方法は、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を訓練することを含み得る。訓練は、訓練用心電図トレースの複数のセットを受信することを含み、訓練用心電図トレースの複数のセットの各セットは、複数の訓練用患者のそれぞれの関連する訓練用患者についての訓練期間にわたる検出された心臓活動を表す。また、訓練は、訓練用心電図トレースの複数のセットの各セットについて、訓練用心電図トレースのセットに関連する訓練用患者のそれぞれの診断を受信することを含む。また、訓練は、訓練用心電図トレースの各々について、複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントを識別することと、識別された対応する訓練用心電図トレースセグメントの少なくとも1つに基づいて、代表的な訓練用心電図トレースを決定することと、を含み、訓練用心電図トレースセグメントの各々は、訓練期間のセグメントにわたる患者の心臓活動を表す。また、訓練は、代表的な訓練用心電図トレース及び診断を用いて、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を訓練させること含み得る。
【0018】
様々な実施形態に従って、心電図(「ECG」)解析を容易にするコンピュータ実施方法が提供される。本方法は、訓練用心電図トレースの複数のセットを受信することを含み、訓練用心電図トレースの複数のセットの各セットは、複数の訓練用患者のそれぞれの関連する訓練用患者についての訓練期間にわたる検出された心臓活動を表す。また、本方法は、訓練用心電図トレースの複数のセットの各セットについて、訓練用心電図トレースのセットに関連する訓練用患者のそれぞれの診断を受信することを含む。また、本方法は、訓練用心電図トレースの各々について、複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントを識別することと、識別された前記対応する訓練用心電図トレースセグメントの少なくとも1つに基づいて代表的な訓練用心電図トレースを決定することと、を含み、訓練用心電図トレースセグメントの各々は、訓練期間のセグメントにわたる患者の心臓活動を表す。本方法は、代表的な訓練用心電図トレース及び診断を用いて、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を訓練させることを含み、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器は、少なくとも1つの診断に関連する1つ以上の診断関連スコアを出力するように構成される。
【0019】
代表的な訓練用心電図トレースを決定することは、複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントのサブセットを識別することと、 サブセットが、複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントの少なくとも1つを除外することと、識別されたサブセットに基づいて代表的な訓練用心電図トレースを決定することと、を含み得る。
【0020】
複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントのサブセットを識別することは、複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントに主成分解析を適用して、対応する訓練用心電図トレースセグメントの各々に関連する主成分スコアのそれぞれのセットを決定することと、主成分スコアを比較して、サブセットから除外されるべき、複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントの少なくとも1つを識別することと、を含み得る。
【0021】
主成分スコアのセットの各々が、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアを含み、主成分スコアを比較することは、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアからそれぞれ第1の信頼限界及び第2の信頼限界を決定することと、対応する訓練用心電図トレースセグメントの各々について、訓練用心電図トレースセグメントに関連する第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアを、第1の信頼限界及び第2の信頼限界と比較することと、を含み得る。
【0022】
訓練用心電図トレースセグメントに関連する第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアを、第1の信頼限界及び第2の信頼限界と比較することは、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアが、第1の信頼限界及び前記第2の信頼限界によって設定された半径を有する楕円の外側にあるかどうかを判断することと、それらが楕円の外側にある場合に、サブセットから除外されるべき訓練用心電図トレースセグメントを識別することと、を含み得る。
【0023】
第1の信頼限界及び第2の信頼限界を決定することは、第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアの各々に、ホテリングのT2統計方程式を適用することを含み得る。
【0024】
第1の主成分スコア及び第2の主成分スコアにホテリングのT2統計方程式を適用することは、少なくとも約95%の信頼度でF分布の臨界値を使用することを含み得る。
【0025】
識別された対応する訓練用心電図トレースセグメントのうちの少なくとも1つに基づいて代表的な心電図トレースを決定することは、サブセットに含まれる対応する訓練用心電図トレースセグメントを平均化することを含む。
【0026】
複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントを識別することが、訓練用心電図トレースセグメントにおける各々の共通の特徴を識別することと、識別された共通の特徴に対する複数の訓練用心電図トレースセグメントの各々について、各々の開始時間及び終了時間を識別することと、を含み得る。
【0027】
各々の共通の特徴を識別することは、訓練用心電図トレースセグメントの各々において、各々のRピークを識別することを含み得る。
【0028】
少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器は、BrSニューラルネットワーク分類器を含み得、受信された診断の各々はBrS診断を含む。
【0029】
様々な実施形態によれば、上記の方法のいずれかを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える、心電図(「ECG」)解析を容易にするためのシステムが提供される。
【0030】
様々な実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、上記の方法のいずれかを実行させるコードが記憶された非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】様々な実施形態による心電図(「ECG」)解析又は分類を容易にするためのシステムの概略図である。
【
図2】様々な実施形態によるプロセッサ回路を含む、
図1に示すシステムの心電図解析装置の概略図である。
【
図3】
図1に示すシステムの心電図解析装置に、様々な実施形態による心電図解析機能を実行するように指示するためのコードブロックを示すフローチャートである。
【
図4】様々な実施形態による、
図1に示すシステムにおいて使用され得る例示的な検出済み心電図トレース記録を表す図である。
【
図5】様々な実施形態による、
図3に示すコードブロックに含まれ得るコードブロックを表すフローチャートである。
【
図6】様々な実施形態による、
図1に示すシステムにおいて使用され得る例示的なRピーク識別子記録を表す図である。
【
図7】様々な実施形態による、
図1に示すシステムにおいて使用され得る例示的な検出済み心電図トレースセグメント記録を表す図である。
【
図8】様々な実施形態による、
図3に示すコードブロックに含まれ得るコードブロックを表すフローチャートである。
【
図9】様々な実施形態による、
図3に示すコードブロックに含まれ得るコードブロックを表すフローチャートである。
【
図10】様々な実施形態による、
図1に示すシステムにおいて使用され得る信頼楕円を示すプロットを表す図である。
【
図11】様々な実施形態による、
図1に示すシステムにおいて使用され得る例示的な代表的な心電図トレース記録を表す図である。
【
図12】様々な実施形態による、
図1に示すシステムにおいて使用され得るBrS診断ニューラルネットワーク分類器を表す図である。
【
図13】様々な実施形態による、ニューラルネットワーク訓練を含む心電図解析を容易にするためのシステムの概略図である。
【
図14】様々な実施形態によるプロセッサ回路を含む、
図13に示すシステムの心電図ニューラルネットワーク訓練装置の概略図である。
【
図15】様々な実施形態による、
図13に示すシステムの心電図ニューラルネットワーク訓練装置に、心電図ニューラルネットワーク訓練機能を実行するように指示するためのコードブロックを示すフローチャートである。
【
図16】様々な実施形態による、
図13に示すシステムにおいて使用され得る例示的な訓練用心電図トレース記録を表す図である。
【
図17】様々な実施形態による、
図13に示すシステムにおいて使用され得る例示的な診断記録を表す図である。
【
図18】様々な実施形態による、
図13に示すシステムにおいて使用され得る例示的な代表的な訓練用心電図トレース記録を表す図である。
【
図19】様々な実施形態による、患者のベースライン心電図と、患者にチャレンジした後に得られた心電図とを表す図である。
【
図20】様々な実施形態による、患者のベースライン心電図と、患者にチャレンジした後に得られた心電図とを表す図である。
【
図21】様々な実施形態による、患者のベースライン心電図と、患者にチャレンジした後に得られた心電図とを表す図である。
【
図22】様々な実施形態による、患者のベースライン心電図と、患者にチャレンジした後に得られた心電図とを表す図である。
【
図23】様々な実施形態による、患者のベースライン心電図と、患者にチャレンジした後に取得された心電図とを表す図である。
【
図24】様々な実施形態による、患者のベースライン心電図と、患者にチャレンジした後に取得される心電図とを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
心臓の健康を改善する食事や生活習慣対策が認識されるようになり、心血管死亡率は過去30年間で低下している。このような進歩にもかかわらず、心血管疾患の問題は依然として残っており、世界中で年間1700万人の死亡の原因となっている。これらの死亡例の約4分の1は、心臓突然死(SCD)として知られる心臓機能の予期せぬ喪失により死亡している。SCDは、既存の心疾患がないにも拘わらず、前触れもなく起こる場合がある。これらの死亡例の3分の1は、ブルガダ症候群(BrS)として知られる、症状がある又は無症状の心原性疾患(cardio-genetic condition)の発現として起こる。
【0033】
医療従事者は、一般に、心臓症候群、心臓疾患、及び/又は心機能障害を診断する際の補助として、心電図波形を分類する病理学的ツールとしての心電図(ECG)解析に頼っている。残念ながら、いくつかの既知のシステムによって提供される患者の生の心電図は、20%未満の症例でBrSの診断を提示する。残りのBrS陽性者は、広範囲の心電図異常を示すことがある。さらに、心停止を生き延びたBrS患者の半数以上は、医療専門家には全く正常であると思われる心電図を示している。その結果、ほとんどのBrS患者は診断されないままである。
【0034】
症候がある患者についてさえ、既知の心電図解析技術では、専門家が生の心電図を確認及び解析し、専門的な判断で診断に至ることが必要である。しかしながら、専門家による観察では、特定の診断の指標となり得る生の心電図トレースの微妙な特性を特定することができない場合がある。専門家へのアクセスは、制限されかつ/又は費用がかかる場合があり、心電図における明白ではないパターンの認識について任意の個人に依存することは、矛盾した診断結果をもたらす可能性が十分にある。さらに、既知の心電図システムを使用すると、診断に時間がかかり、高価で、安全でない、及び/又は不正確な診断となる可能性がある。
【0035】
したがって、BrSの心電図パターンを解明し、BrSの家系(family history)を有する患者の状態を正確に診断するためには、通常、この疾患に固有の心電図異常を誘発するナトリウムチャネル遮断薬の投与が必要である。しかしながら、このような薬物は生命を脅かす不整脈を引き起こす可能性があり、これは、この診断方法は適切な設備の整った手術室でしか行えないことを意味する。
【0036】
これらの安全性の問題は、現在の診断システムの一般的な適用を大幅に制限し、最終的には、未診断のBrS患者をSCDのリスクにさらすことになる。
【0037】
図1を参照すると、様々な実施形態による、心電図(「ECG」)解析又は分類を容易にするためのシステム10が提供されている。システム10は、心電図データ源14及びディスプレイ16と通信するコンピュータ実装の心電図解析装置12を含む。
【0038】
様々な実施形態では、システム10は、心電図データを使用してBrSの診断を補助するように構成され得る。しかしながら、様々な実施形態では、システム10又はシステム10と概ね同様のシステムは、ブルガダ症候群(BrS)、早期再分極症候群(ERS)、QT延長症候群(LQTS)、QT短縮症候群(SQTS)、及び/又は他の解析的でおそらく特発性の機能障害などの、1つ以上の症候群、機能障害、及び/又は原発性電気的疾患(primary electrical diseases)の診断を補助するために使用され得る。いくつかの実施形態では、他の診断技術と共にシステム10を使用することによって、診断に到達することができる。例えば、いくつかの実施形態では、システム10は、非侵襲的スクリーニングプログラムを提供するために使用され得る。様々な実施形態において、BrSのためのそのような非侵襲的スクリーニング検査により、年間100万人の生命を救うことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、システム10は、心電図応答を誘発するために薬物を使用することなく、心電図データからBrSなどの1つ以上の症候群、疾患、及び/又は機能障害の診断を容易にする機能を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、システム10は、患者にナトリウムチャネル遮断薬(例えば、アジマリン、フレカイニド、ピルジカイニド、又はプロカインアミド)などの薬物を使用させることなく、心電図データからのBrSの診断を容易にすることができる。したがって、システム10は、死亡の可能性がある薬物を使用することなく、心電図データからのBrSの非侵襲的な診断又はBrSの可能性の示唆のためのコンピュータ支援方法を容易にすることができる。
【0040】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、システム10は、心電図データで訓練された深層学習モデルによって認識される従来の心電図トレースデータにおけるパターンからのBrSの診断を支援するように構成され得る。様々な実施形態では、システム10は、現在及び将来の世代の心電図記録装置における統合に適していてもよく、これにより、オペレータに依存しない自動化された診断を提供することができる。いくつかの実施形態では、BrS又は他の不整脈原性心筋症に関連する不整脈信号の診断及び/又は認識を容易にするために、システムには様々な医療機器(埋め込み型及び装着型デバイスと、固定型及び携帯型の臨床用及び家庭用モニタとを含む)からの心電図信号で十分な場合がある。いくつかの実施形態では、システム10は、BrS及び/又は他の隠れた不整脈病態の診断を補助するために、スマートウォッチ、スマートフォン、及び/又は他の多目的電子製品などの利用者向けウェアラブルデバイスによって生成された心電図信号を処理するように構成され得る。
【0041】
図1を参照すると、様々な実施形態では、心電図データ源14は、心電図解析装置12に、患者の1つ以上の検出済み心電図トレースを表す心電図データを提供するように構成されてもよく、検出済み心電図トレースの各々は、検出された期間にわたる、検出された患者の心臓活動を表す。例えば、いくつかの実施形態では、心電図データ源14は、患者に結合されたセンサ又はリードを用いて心電図データを取得するように構成された心電図センサシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、心電図データ源14は、患者に結合され、心電図データを検出するように構成された12本のリードを含むことができ、したがって、心電図データは、患者についての12個の検出済み心電図トレースを表すことができる。様々な実施形態では、代替的な数のリード及び/又は心電図トレースを使用することができる。
【0042】
心電図解析装置12は、心電図データ源14から、患者の1つ以上の検出済み心電図トレースを表す心電図データを受信することができる。いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、心電図データをメモリに記憶することができる。
【0043】
次いで、心電図解析装置12は、1つ以上の検出済み心電図トレースの各々について、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントを識別し、検出済み心電図トレースセグメントの各々は、検出された期間のセグメントにわたる、患者について検出された患者の心臓活動を表し、識別された対応する検出済み心電図トレースセグメントの少なくとも1つに基づいて、代表的な心電図トレースを決定することができる。いくつかの実施形態では、検出済み心電図トレースセグメントは、心電図トレースセグメントの各々が単一の心拍について検出された心電図データを表すように選択されてもよい。様々な実施形態では、心電図トレースセグメントの各々は、概ね類似しており、繰り返される特徴(反復特徴:repeated features)を有することができる。
【0044】
様々な実施形態では、互いに対応し、概ね類似している可能性がある検出済み心電図トレースセグメントを識別し、次に、識別された心電図トレースセグメントに基づいて代表的な心電図トレースを決定することは、心電図解析装置12が、心電図トレースセグメント内の反復特徴を代表的な心電図トレースに表現させ、例えば電気的干渉又は無関係な患者の動きから生じるノイズ及び/又は収差によって引き起こされる歪みを低減するのに役立つ場合がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、検出済み心電図トレースセグメント内の共通の特徴を識別することと、識別された共通の特徴に関連する複数の検出済み心電図トレースセグメントの各々について、それぞれの開始時間及び終了時間を識別することとによって、トレースセグメントを識別することができる。いくつかの実施形態では、例えば、心電図解析装置12は、トレースセグメントの各々についてRピークを識別し、識別されたRピークに関連するトレースセグメントについて、開始時間及び終了時間を識別することができる。様々な実施形態では、各トレースセグメントについてRピークなどの共通の特徴を識別することにより、心電図解析装置12は、心電図トレースセグメントを整列させるか又は同期させることができ、それにより、各々の心電図トレースセグメントの開始時間にかかわらず、心電図トレースセグメントを比較することができる。様々な実施形態では、これは、心電図トレースセグメントに含まれる共通の特徴をよりよく反映する代表的な心電図トレースの決定を容易にすることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、各トレースに含まれる心電図トレースセグメントのサブセットのみを使用して、代表的な心電図トレースを決定又は生成することができる。いくつかの実施形態では、例えば、心電図解析装置12は、他の心電図トレースセグメントと比較して外れ値(outlier)心電図情報を表すと考えられる心電図トレースセグメントを無視することができる。様々な実施形態では、心電図トレースセグメントのサブセットのみを使用して代表的な心電図トレースを決定することにより、心電図解析装置12は、異常な心電図トレースセグメントを考慮せずに生成される代表的な心電図トレースを取得することができ、これにより、代表的な心電図トレースが、心電図トレースセグメント内の反復特徴のより良い指標(indications)となることを可能にする。様々な実施形態では、これは診断を補助するために使用され得るシステム10によって提供される、より正確なスコア及び/又は指標を容易にし得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、心電図トレースセグメントを平均化することによって、代表的な心電図トレースを決定することができる。様々な実施形態では、心電図トレースセグメントを平均化することによって、セグメント内の反復特徴の影響が強調され得る一方、セグメントの異常な特徴の影響が最小化され得る。
【0048】
様々な実施形態では、1つ以上の検出済み心電図トレースは、12個の検出済み心電図トレースを含むことができ、したがって、心電図解析装置12は、12個の代表的な心電図トレースを決定することができる。心電図解析装置12は、決定された代表的な心電図トレースをメモリに記憶することができる。様々な実施形態において、12個の代表的な心電図トレースの各々は、12個の検出済み心電図トレースにおける反復特徴を表すことができる。いくつかの実施形態では、12個の代表的な心電図トレースを決定する際に心電図解析装置12によって実行される処理のために、これらのトレースは、患者の診断関連スコアを決定する際に、ニューラルネットワーク分類器又は関数(neural network classifier or function)ための優れた入力として機能することができる。
【0049】
様々な実施形態では、心電図解析装置12は、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器又は関数を1つ以上の決定された代表的な心電図トレースに適用させて、患者の診断に関連する1つ以上の診断関連スコア(diagnostically relevant scores)を決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、BrS診断ニューラルネットワーク分類器を定義するデータを装置内に格納することができ、この分類器は、その入力に12個の代表的な心電図トレースを含み、BrS診断スコアなどの診断スコアを出力するように構成され得る。いくつかの実施形態では、診断スコアは、疾患及び/又は機能障害の機械診断におけるコンピュータが決定した信頼度の統計的表現であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、BrS診断ニューラルネットワーク分類器に、BrS診断スコアを0から1の間の10進数として出力させるように構成されてもよく、0に近いスコアはBrSの陰性診断の高い信頼度を表し(すなわち、患者はBrSを有さない)、1に近いスコアはBrSの陽性診断の高い信頼度を表し(すなわち、患者はBrSを有する)、その中間にあるスコアは様々なレベルの信頼度を表す。いくつかの実施形態では、1つ以上の診断関連スコアは、患者を特定の疾患状態に分類するために使用され得る疾患状態分類器スコアを表し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、BrS診断ニューラルネットワーク分類器を、事前に決定された12個の代表的な心電図トレースに適用させて、BrS診断スコアを決定することができる。心電図解析装置12は、BrS診断スコアをメモリに記憶することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、ディスプレイ16によってスコアの表現を表示させるために、1つ以上の診断関連スコアを表す信号を生成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、スコアを表す0と1との間の数を生じさせるための信号を生成することができ、このスコアは、例えばディスプレイ16に表示される診断確率を表すものであってよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ16は、患者及び/又は医療専門家によって閲覧されてもよい。様々な実施形態では、診断関連スコアの表示された表現に基づいて対処が行われる場合があり、これは、将来の生命を脅かす事象を防止するのに役立つ可能性がある。例えば、患者がBrSを有する可能性が高いことを示すBrS診断スコアは、医師に、追加の診断手順及び/又は治療手順を実行又は修正させ得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、外部又は埋め込み型の除細動器又は心臓ペースメーカの機能を調整させるために、1つ以上の診断関連スコアに基づいて信号を生成するように構成され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ16及び/又はシステム10の一部又は全部は、例えば、カテーテルアブレーションを含む介入処置後の診断薬の用量応答や治療結果の強化されたモニタリングを含む、診断手順及び治療手順の監視を目的として、手術室における患者の診断手順又は治療手順の強化された監視を容易にするために手術室内に含まれ得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ16及び/又はシステム10の一部又は全部は、連続的な心臓モニタリングシステムに含まれて、例えば、外来患者又は座位患者における原発性電気障害性不整脈(primary electronic disorder arrhythmias)の検出を容易にすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ16及び/又はシステム10の一部又は全部は、連続的な心臓モニタリングシステムに含まれて、夜間の原発性電気障害性不整脈の適切な対応者への警告を容易にすることができる。
【0057】
様々な実施形態では、ディスプレイ16及び/又はシステム10の一部又は全部は、決定された1つ以上の診断関連スコアを患者に警告するための、様々な代替的又は追加的な環境に含まれ得る。
【0058】
(心電図解析装置-プロセッサ回路)
ここで
図2を参照すると、様々な実施形態による、
図1に示すシステム10の心電図解析装置12の概略図が示されている。
図2を参照すると、心電図解析装置12は、解析装置プロセッサ100と、解析装置プロセッサ100と通信可能なプログラムメモリ102、ストレージメモリ104、及び入出力(I/O)インタフェース112と、を含むプロセッサ回路を含んでいる。様々な実施形態では、解析装置プロセッサ100は、例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィカル処理装置(GPU)、及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上の処理装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する心電図解析装置12の機能の一部又は全部は、1つ以上のFPGAを使用して実装され得る。
【0059】
I/Oインタフェース112は、心電図データ源14と通信するためのインタフェース120と、ディスプレイ16と通信するためのインタフェース122とを含む。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース112は、インターネットなどのネットワークを介したネットワーク通信を容易にするための追加のインタフェースを含むこともできる。いくつかの実施形態では、インタフェース120及び/又は122の一部又は全部は、無線通信又は有線通信を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、
図2に示すインタフェースの各々が1つ以上のインタフェースを含んでいてもよいし、及び/又はI/Oインタフェース112に含まれるインタフェースの一部又は全部が、複合インタフェース又は単一のインタフェースとして実装され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書でデバイスが情報を受信又は送信すると記載されている場合、デバイスが、デバイスのインタフェースを介して情報を表す信号を受信するか、又は情報を表す信号を生成してデバイスのインタフェースを介して他のデバイスに信号を送信することと理解され得る。
【0061】
解析装置プロセッサ100に様々な機能を実行するように指示するためのプロセッサ実行可能なプログラムコードは、プログラムメモリ102に格納されている。
図2を参照すると、プログラムメモリ102は、心電図解析装置12に容易に心電図解析機能を実行するように指示するためのコードブロック170を含む。本明細書では、アプリケーション又はモジュールなどの特定の符号化されたエンティティが特定の機能を実行すると記載されている場合がある。本明細書では、アプリケーション、モジュール、又は符号化されたエンティティが、例えば、機能又は方法の一部として動作を実行すると記載されている場合、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、解析装置プロセッサ100)は、アプリケーションの一部を定義又は形成するプログラム可能なコード又はプロセッサ実行可能なコード又は命令によって動作を実行するように指示されることが理解されよう。
【0062】
ストレージメモリ104は、検出された心電図データを記憶するための領域140、Rピーク識別子データを記憶するための領域142、検出済み心電図トレースセグメントデータを記憶するための領域144、主成分データを記憶するための領域145、心電図トレースセグメントのサブセットデータを記憶するための領域146、代表的な心電図トレースデータを記憶するための領域148、ニューラルネットワークデータを記憶するための領域150、患者データを記憶するための領域152、及び診断スコアデータを記憶するための領域154を含む、複数の記憶領域を含んでいる。様々な実施形態において、複数の記憶領域は、ストレージメモリ104内のデータベースに格納され得る。
【0063】
様々な実施形態では、コードブロック170は単一のコードブロックに統合されてもよく、又はコードブロック170の一部はプログラムメモリ102内の1つ以上の別個の領域に記憶された1つ以上のコードブロックを含んでいてもよい。様々な実施形態では、領域140~154の一部又は全部が統合されてもよく、及び/又は領域140~154のそれぞれがストレージメモリ104内の1つ以上の別個の領域を含んでいてもよい。
【0064】
プログラムメモリ102及びストレージメモリ104の各々は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、ネットワークドライブ、フラッシュメモリ、メモリスティック若しくはカード、任意の他の形態の非一時的コンピュータ可読メモリ若しくは記憶媒体、及び/又はそれらの組合せを含む1つ以上のストレージデバイスを使用して実装され得る。いくつかの実施形態では、プログラムメモリ102、ストレージメモリ104、及び/又はその任意の部分は、例えば、心電図解析装置12とは別個のデバイスに含まれ、I/Oインタフェース112を介して心電図解析装置12と通信することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する解析装置プロセッサ100の機能、及び/又は心電図解析装置12の機能は、複数のプロセッサ及び/又は複数のデバイスを使用して実装することができ、複数のプロセッサ及び/又は複数のデバイスは、例えば、それぞれのインタフェース及び/又はインターネットなどのネットワークを介して通信する別個のデバイスであり得る。
【0065】
(心電図解析装置の動作)
上述したように、様々な実施形態では、
図1及び
図2に示す心電図解析装置12は、心電図解析を容易にするように構成され得る。
図3を参照すると、
図2に示す解析装置プロセッサ100に、様々な実施形態による心電図解析機能を実行するように指示するためのコードブロックを示すフローチャートが、全体的に200で示されている。フローチャート200に含まれるコードブロックは、例えば、
図2に示すプログラムメモリ102のコードブロック170において符号化されてもよい。
【0066】
図3を参照すると、フローチャート200は、ブロック202で開始し、ブロック202は、解析装置プロセッサ100に、患者の1つ以上の検出済み心電図トレースを受信するように指示し、検出済み心電図トレースの各々は、検出された期間にわたる検出された患者の心臓活動を表している。
【0067】
いくつかの実施形態では、心電図データ源14は、患者に結合された12本のリードを含む心電図モニタ又はセンサシステムを含んでいてもよい。12本のリードは、患者に配置されて、患者の心臓の12個の異なる電気的位置からのトレースを提供することができる。いくつかの実施形態では、例えば、12本のリードは、3本の双極肢リード、3本の単極肢リード、及び6本の胸部単極リードを含んでいてもよい。様々な実施形態では、12本のリードの各々は、患者の心臓の拍動に応じて電圧を検出することができる。検出された電圧の経時的な表現は、検出済み心電図トレースとみなすことができる。いくつかの実施形態では、心電図データ源14は、12個の検出済み心電図トレースの各々について、それぞれの検出済み心電図トレース記録を生成及び/又は保存することができ、その例示的な表現が
図4の260に示されている。
【0068】
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、心電図トレース記録260は、心電図トレースが検出されたリードを識別するリード識別子を記憶するためのリード識別子フィールド262と、検出済み心電図電圧フィールド264とを含むことができ、検出済み心電図電圧フィールド264の各々は、特定の時間に検出された電圧を表す値を記憶する。いくつかの実施形態では、検出済み心電図電圧フィールド264の各々は、例えば、心電図トレース記録260内の検出済み心電図電圧フィールドの順序又は位置に基づいて、それぞれの時間に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、検出済み心電図電圧フィールド264は、2000Hz又は0.5msの間隔で測定された電圧を表すことができ、したがって、最初の検出済み心電図電圧フィールドは0msの時間に関連付けられてもよく、後続の検出済み心電図電圧フィールドの各々は0.5msの増分毎にそれぞれの時間に関連付けられてもよい。様々な実施形態では、例えば500Hz、又は心拍の特徴の有意な表現を容易化することができる別の周波数など、代替のサンプリング周波数が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、心電図トレース記録260の検出済み心電図電圧フィールド264は、選択された測定の持続時間(duration of measurement)にまたがる期間(time period)にわたって電圧を表すことができる。いくつかの実施形態では、測定の継続時間は、心電図データ源14及び/又は心電図解析装置12のオペレータによって選択されてもよい。いくつかの実施形態では、期間は、例えば、約60秒であってもよい。いくつかの実施形態では、信頼性の高い出力が提供され得るように、検出済み心電図トレース記録260の他の期間が使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、期間は、約10秒~20秒、20秒~30秒、又は数秒であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、検出済み心電図電圧フィールド264は、整数値が10,000で割ることによって測定されたmVに変換され得るように、0.0001 mVのステップを表す整数値を記憶することができる。
【0070】
再び
図3を参照すると、ブロック202は、解析装置プロセッサ100に、それぞれが
図3に示す検出済み心電図トレース記録260と略同様のフォーマットを有する12個の検出済み心電図トレース記録の表現を受信し、検出済み心電図トレース記録をストレージメモリ104の領域140に記憶するように指示することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ブロック202は、解析装置プロセッサ100に、
図2に示すI/Oインタフェース112のインタフェース120を介して、検出済み心電図トレース記録の表現を受信するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック202は、解析装置プロセッサ100に、例えば、SQLデータベースを使用して、検出済み心電図トレース記録を記憶するように指示することができる。
【0071】
図3を参照すると、ブロック202が実行された後、解析装置プロセッサ100は、ブロック204、206、及び208に進むことができ、それにより、解析装置プロセッサ100に、検出済み心電図トレースのうちの1つを考慮し、考慮された心電図トレースをセグメント化し、セグメントのうちの少なくとも1つに基づいて代表的な心電図トレースを決定するように指示することができる。様々な実施形態では、ブロック204、206、及び208は、ブロック202において受信された1つ以上の検出済み心電図トレースの各々について実行され得、その結果、受信された検出済み心電図トレースの各々について代表的な心電図トレースが決定される。
【0072】
ブロック204は、解析装置プロセッサ100に、1つ以上の検出済み心電図トレースのうちの1つを、対象の検出済み心電図トレース(subject sensed ECG trace)とみなすように指示する。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック204の最初の実行時に、ブロック204は、解析装置プロセッサ100に、
図4に示す検出済み心電図トレース記録260によって表される検出済み心電図トレースを、対象の検出済み心電図トレースとみなすように指示することができる。
【0073】
図3を参照すると、次にブロック206は、解析装置プロセッサ100に、対象の検出済み心電図トレースについて、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントを識別するように指示し、検出済み心電図トレースセグメントの各々は、検出された期間のセグメントにわたって患者について検出された患者の心臓活動を表している。いくつかの実施形態では、ブロック206は、解析装置プロセッサ100に、検出済み心電図トレースのセグメントを、検出済み心電図トレースセグメントとして識別するように指示することができる。いくつかの実施形態では、検出済み心電図トレースセグメントは、それらが概して類似する特徴又は反復特徴を含むように識別されてもよい。いくつかの実施形態では、ブロック204は、解析装置プロセッサ100に、検出済み心電図トレースセグメントの表現をストレージメモリ104の領域144に記憶するように指示することができる。
【0074】
図5を参照すると、様々な実施形態において、
図3に示すブロック206に含まれ得るコードブロックを示すフローチャート300が示されている。フローチャート300は、ブロック302で開始し、ブロック302は、解析装置プロセッサ100に、検出済み心電図トレースセグメント内のそれぞれの共通の特徴を識別するように指示する。
【0075】
いくつかの実施形態では、ブロック302は、解析装置プロセッサ100に、まず、検出済み心電図トレース記録260によって表される情報を処理して、指定されたフォーマットに適合させるように指示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック302は、1つ以上の無限インパルス応答フィルタ及び/又は他のデジタルフィルタと結合したフーリエ解析及び/又は別の形態の高調波解析を使用して、検出済み心電図トレース記録にノイズ除去及びバックグラウンド抑制を適用するように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、識別された共通の特徴は、検出済み心電図トレースセグメントの各々についてのRピークであってもよく、ブロック302は、解析装置プロセッサ100に、検出済み心電図トレースセグメントの各々におけるそれぞれのRピークを識別するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック302は、解析装置プロセッサ100に、離散的、連続的、非決定的、静的、又は最大重複離散ウェーブレット変換などのウェーブレット分解アルゴリズムを適用して、検出済み心電図トレース記録260によって表されるQRS群の時間的位置を検出するように指示することができ、QRS群は、典型的な心電図トレースで見られる3つのグラフィカルな変位(graphical deflections)の組合せである。QRS群はトレースの中心的で視覚的に最も明白な部分(すなわち、心電図ライン上に見られる主なスパイク)であってもよい。QRS群は、人間の心臓の右心室及び左心室の脱分極と、大心室筋の収縮とに対応することができる。
【0077】
様々な実施形態では、ブロック302は、解析装置プロセッサ100に、検出された各QRS群についてのそれぞれのRピークの時間的位置を表す時間識別子をストレージメモリ104の領域142に記憶するように指示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック302は、解析装置プロセッサ100に、
図6に示すようなRピーク識別子記録340をストレージメモリ104の領域142に記憶するように指示することができる。
【0078】
図6を参照すると、Rピーク識別子記録340は、心電図トレースが検出されたリードを識別するためのリード識別子を記憶するためのリード識別子フィールド341と、
図4に示す検出済み心電図トレース記録260から識別された各Rピークについての時間又は時間的位置を識別する時間識別子を記憶するためのRピーク識別子フィールド342とを含む。例えば、
図6を参照すると、Rピーク識別子記録340は、第1のRピーク識別子フィールド344を含み、第1のRピーク識別子フィールド344は、第1の識別されたRピークに対応する検出済み心電図トレース記録260内での位置を識別する整数値を記憶する。いくつかの実施形態では、1779の値を記憶する第1のRピーク識別子フィールド344は、検出済み心電図トレース記録260の1779番目の検出済み心電図電圧フィールドがRピークに関連する電圧を表すことを示す。3606の値を記憶する第2のRピーク識別子フィールド346は、検出済み心電図トレース記録260の3606番目の検出済み心電図電圧フィールドがRピークに関連する電圧を表すことを示す。
【0079】
次いで、ブロック304は、解析装置プロセッサ100に、複数の検出済み心電図トレースセグメントの各々について、識別された共通の特徴に対するそれぞれの開始時間及び終了時間を識別するように指示する。いくつかの実施形態では、ブロック304は、解析装置プロセッサ100に、検出済み心電図トレース記録を、Rピーク識別子に基づいて正規の時間ウィンドウにセグメント化するように指示することができ、各セグメントウィンドウは、QRS群のRピークを中心とする。様々な実施形態において、ウィンドウの時間的長さは、例えば、事前に設定され、ストレージメモリ104に記憶されていてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、ウィンドウの時間的長さは、心電図トレースセグメントのRピークを中心とするウィンドウに含まれる特徴が、特定の診断ニューラルネットワーク分類器が特定の診断スコアを出力するために十分な情報を提供するような時間、例えば、BrS診断ニューラルネットワーク分類器がBrS診断スコアを出力することができるような時間に設定されてもよい。様々な実施形態では、例えば、ウィンドウの時間的長さは、2000Hzのサンプリングレートで約750ms、又は約1500個の心電図トレースデータ点であり得る。いくつかの実施形態では、時間的長さは、隣接するものと重複することなく心拍を捕捉するのに適切な役割を果たすように経験的に決定され得る。
【0080】
様々な実施形態では、ブロック304は、解析装置プロセッサ100に、各Rピーク識別子からウィンドウの時間的長さの半分をそれぞれ減算及び加算することによって、開始時間及び終了時間を識別するように指示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、
図6に示す第1のRピーク識別子フィールド344によって識別されるRピークの開始時間は、1779-(1500/2)=1029として識別されてもよく、第1のRピーク識別子フィールド344によって識別されるRピークの終了時間は、1779+(1500/2)=2529として識別されてもよい。他の実施形態は、Rピークを心拍ウィンドウの他の場所に、例えば、1779-(2×1500/5)=1179の開始時間で配置することができる。
【0081】
様々な実施形態では、共通の特徴を識別し、次いで共通の特徴に対する開始時間及び終了時間を識別することによって検出済み心電図トレースセグメントを識別することは、一般に、類似の特徴又は反復特徴を含む検出済み心電図トレースセグメントを識別することを容易にすることができ、これにより、外れ値及び/又は類似の特徴又は反復特徴の識別を容易にすることができる。
【0082】
ブロック304は、解析装置プロセッサ100に、決定された開始点及び終了点に従って生成された複数の検出済み心電図トレースセグメント記録を、ストレージメモリ104の領域144に記憶するように指示することができる。
図7には、第1のRピーク識別子フィールド344に記憶され、ストレージメモリ104の領域142に記憶された値に基づいて生成され得る、例示的な検出済み心電図トレースセグメント記録380が示されている。検出済み心電図トレースセグメント記録380は、リードを識別するリード識別子を記憶するためのリード識別子フィールド382と、セグメントを識別するセグメント識別子を記憶するためのセグメント識別子フィールド384と、
図4に示す検出済み心電図トレース記録260の1029番目から2529番目までの心電図電圧フィールドから取得された値を記憶するための検出済み心電図電圧フィールド386とを含む。
【0083】
再び
図3を参照すると、ブロック208は、解析装置プロセッサ100に、識別された対応する検出済み心電図トレースセグメントの少なくとも1つに基づいて、代表的な心電図トレースを決定するように指示する。いくつかの実施形態では、ブロック208は、解析装置プロセッサ100に、ストレージメモリ104の領域144に記憶されている心電図トレースセグメント記録のサブセットを識別するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック208は、解析装置プロセッサ100に、サブセットに含まれる心電図トレースセグメント記録を平均化することによって代表的な心電図トレースを生成するように指示することができる。様々な実施形態では、ブロック208は、解析装置プロセッサ100に、代表的な心電図トレースをストレージメモリ104の領域146に記憶するように指示することができる。
【0084】
図8を参照すると、様々な実施形態による、ブロック208に含まれ得るコードブロックを示すフローチャート420が示されている。フローチャート420は、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントのサブセットを識別するように、解析装置プロセッサ100に指示するブロック422から開始し、このサブセットは、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントのうちの少なくとも1つを除外する。
【0085】
様々な実施形態では、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントのうちの少なくとも1つを除外するサブセットを識別することによって、ニューラルネットワーク分類器を使用して処理されるべきデータから、外れ値を除去することができる。様々な実施形態では、これは異常な心電図トレースセグメントを考慮することなく、代表的な心電図トレースを決定することを容易にし、この結果、代表的な心電図トレースは、心電図トレースセグメント内の反復特徴のより良い指標となる可能性がある。様々な実施形態では、これは、心電図解析装置12によるより迅速かつ/又はより正確な解析を容易にする可能性がある。
【0086】
いくつかの実施形態では、ブロック422は、解析装置プロセッサ100に、主成分解析(PCA)などの教師なし多変量分類を使用して、ストレージメモリ104の領域144に記憶された特定のリード及び患者に対する心電図トレースセグメント記録によって定義された心電図セグメント行列を、各次元がデータセットの全体的な分散に対する固有の独立した寄与を表す直交基底を含む縮小次元空間に分解するように指示することができる。ブロック422は、次に、解析装置プロセッサ100に、多変量分類の結果を解析して、サブセットから除外されるべき少なくとも1つの検出済み心電図トレースセグメントを識別するように指示することができる。
【0087】
図9を参照すると、様々な実施形態において、
図8に示すフローチャート420のブロック422に含まれ得るコードブロックを示すフローチャート440が提供される。フローチャート440は、ブロック442で開始し、ブロック442は、解析装置プロセッサ100に、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントに主成分解析を適用して、対応する検出済み心電図トレースセグメントの各々に関連する主成分スコアのそれぞれのセットを決定するように指示する。ブロック442が実行された後、各患者-リードの組み合わせに対する心電図セグメント記録は、この直交基底に基づいて、主成分スコア及び負荷の観点から表現され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、ブロック442は、解析装置プロセッサ100に、結果として得られる主成分スコアをストレージメモリ104の領域145に記憶するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック442は、解析装置プロセッサ100に、心電図トレースセグメントの各々に関連する3つの主成分スコアをストレージメモリ104の領域145に記憶するように指示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、3成分主成分解析を各リードについての心電図トレースセグメントに適用して、心電図トレースセグメントの各々についてスコア及び負荷を生成し、変換されたデータを直交基底で表すことができる。いくつかの実施形態では、ブロック442の実行は、例えば、Python及びPythonライブラリ、sklearnなどのソフトウェアを使用して実行され得る。いくつかの実施形態では、主成分スコアは、浮動小数点値の行列としてストレージメモリ104の領域145に記憶され得る。
【0089】
再び
図9を参照すると、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、主成分スコアを比較して、サブセットから除外されるべき複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントのうちの少なくとも1つを識別するように指示する。いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、ストレージメモリ104の領域145から主成分スコアを取得し、主成分スコアの共分散の統計的尺度を計算するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、例えば、ホテリングのT
2統計量(Hotelling's T
2 statistic)を計算し、PCAレバレッジを使用し、及び/又はクラスタリング計算を行うように指示することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、主成分スコアに信頼性閾値を適用して、全体的な心電図セグメント行列に対して異質すぎる心電図セグメントを表す心電図セグメント記録を識別するように指示することができ、例えば、いくつかの実施形態では、直交変換された心電図セグメント行列の中心からの距離が大きすぎるセグメントを識別する。
【0091】
いくつかの実施形態では、各主成分Aについて、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、主成分スコアから少なくとも1つの信頼限界を決定し、対応する検出済み心電図トレースセグメントの各々について、関連する主成分スコアを少なくとも1つの信頼限界と比較するように指示することができる。いくつかの実施形態では、主成分スコアが少なくとも1つの信頼限界の外側にある場合、関連するトレースセグメントはサブセットから除外されるものとして識別され得る。
【0092】
例えば、いくつかの実施形態では、ブロック444は、例えば、以下のように、ホテリングT2統計量を適用することによって、第1及び第2の信頼限界(いくつかの実施形態では95%の信頼限界であってもよい)を決定するように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。
【0093】
【0094】
ここで、Fcriticalは、セグメント化されたトレースの個数N及び選択された主成分Aが与えられると、95%の信頼度におけるF分布の臨界値を表す。いくつかの実施形態にでは、信頼限界は、95%、99%、又は別のレベルに設定されてもよい。いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、上記の式を使用して、第1及び第2の主成分スコアからそれぞれ第1の信頼限界及び第2の信頼限界を決定するように指示することができる。ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、対応する検出済み心電図トレースセグメントの各々について、検出済み心電図トレースセグメントに関連する第1及び第2の主成分スコアを第1及び第2の信頼限界と比較するように指示することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、最初の2つの主成分が分散の大部分を占める可能性があり、これらの主成分の信頼限界は、これらの限界に等しい半径を有する信頼楕円を定義するのに十分に役立ち得る。いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、N個の心電図トレースセグメントからのスコアを信頼限界と比較して、N個の心電図トレースセグメントのうちのどれが信頼外れ値とみなされ、心電図トレースセグメントのサブセットから除外されるべきかを決定するように指示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、N個の心電図トレースセグメントのスコアを楕円と同じ軸上にプロットし、楕円内にある点を、楕円内にない信頼外れ値の点から区別するように指示することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、第1及び第2の主成分スコアが第1及び第2の信頼限界によって設定された半径を有する楕円の外側にあるかどうかを判定するように指示することができ、第1及び第2の主成分スコアが楕円の外側にある場合、サブセットから除外されるべき検出済み心電図トレースセグメントを識別し得る。いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、ドロネー三角形分割(Delaunay triangulation)アルゴリズムを適用して、楕円内にある点を、楕円内にない信頼外れ値の点から区別するように指示することができる。
【0096】
図10を参照すると、信頼楕円462と、それぞれの心電図トレースセグメントに関連する第1及び第2の主成分スコアを表す点とを示すプロット460が提供される。様々な実施形態では、主成分スコア464などの主成分スコアに関連する心電図トレースセグメントは、第1及び第2の信頼限界によって定義される楕円内にあるとして識別され得る。主成分スコア466及び468は、第1及び第2の信頼限界によって定義される楕円の外側として識別されてもよく、したがって、主成分スコア466及び468に関連する心電図トレースセグメントは、サブセットから除外されるべき信頼外れ値として識別されてもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、信頼限界を適用する際に、2つよりも多いか又は少ない主成分が使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、単一の主成分を使用して単一の信頼限界を定義し、これを各心電図トレースセグメントについて単一の主成分スコアと比較して外れ値を識別することもできる。
【0098】
いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、代替的又は追加的な方法で主成分スコアを比較するように指示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック444は、例えば、下記式に従って、そのスコアとすべてのスコアとの関係に基づいて、所与のリードに対する心電図トレースセグメントの各々についてPCAレバレッジを計算するように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。
【0099】
【0100】
いくつかの実施形態では、ブロック444は、各レバレッジを所与のリードに対するすべてのレバレッジの平均及び標準偏差と比較して、レバレッジに関連する心電図トレースセグメントが信頼外れ値とみなされるべきかどうかを決定するように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、心電図トレースセグメントのレバレッジが、すべてのレバレッジの平均に標準偏差の2倍を加えたもの(μ+2σ)を超えるかどうかを決定するように指示してもよく、心電図トレースセグメントのレバレッジが、すべてのレバレッジの平均に標準偏差の2倍を加えたもの(μ+2σ)を超える場合、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、心電図トレースセグメントを信頼外れ値とみなすように指示することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、ブロック444は、解析装置プロセッサ100に、最初の2つの主成分スコアのスキャッタ・プロットに対して、ノイズを伴うアプリケーションの密度ベースの空間クラスタリング(DBSCAN)アルゴリズムを、適用するように指示することができる。DBSCANアルゴリズムは、例えば、クラスタを構成するトレースの事前に設定された最小数と、事前に設定された点間の最大距離とを使用して、プロットされたスコア内のクラスタを検出することができる。いくつかの実施形態では、クラスタを構成するトレースの最小数は、例えば、10の値に設定されてもよく、クラスタ内の点間の最大距離は、例えば、0. 5に設定されてもよい。様々な実施形態では、ブロック444は、クラスタ内にないスコアに関連する任意の心電図トレースセグメントを信頼外れ値とみなすように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。いくつかの実施形態では、これは小さなクラスタに関連する心電図トレースセグメントが平均心拍ではなくサンプリングアーチファクトを表すという仮定に基づいて、小さなクラスタの除去を容易にし得る。
【0102】
様々な実施形態では、ブロック444は、信頼外れ値とみなされるべき心電図トレースセグメントを識別するために、概して上述したように、信頼限界を使用すること、レバレッジを比較すること、及び/又はDBSCANアルゴリズムを適用して外れ値を検出することの、一部又は全部を実行するように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。
【0103】
様々な実施形態では、ブロック444は、信頼外れ値に関連するか又は信頼外れ値とみなされる検出済み心電図トレースセグメントを除外することによって、複数の対応する検出済み心電図トレースセグメントのサブセットを識別するように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、ブロック444は、信頼外れ値とはみなされない心電図セグメント記録のコピーをストレージメモリ104の領域146に記憶するように解析装置プロセッサ100に指示することができる。様々な実施形態では、ストレージメモリ104の領域146に記憶された心電図セグメント記録は、ストレージメモリ104の領域144に記憶された心電図セグメント記録のサブセットとして機能することができ、サブセットは、領域144に記憶された少なくとも1つの心電図セグメント記録を除外することができる。
【0105】
再び
図8を参照すると、ブロック424は、次に、識別されたサブセットに基づいて代表的な心電図トレースを決定するように解析装置プロセッサ100に指示する。いくつかの実施形態では、ブロック424は、解析装置プロセッサ100に、ストレージメモリ104の領域146に記憶された心電図セグメント記録によって表される心電図セグメントを平均化するように指示することができる。いくつかの実施形態では、代表的な心電図トレースを決定する他の方法を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック424は、解析装置プロセッサ100に、心拍ウィンドウ内の1500点の各々について中央値を選択するように指示することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、ブロック424は、解析プロセッサ100に、解析及び分類のための代表的な心電図トレースとして機能する、単一の心電図セグメント又は心拍を選択するように指示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、心電図セグメントが導出される心電図トレースは、数回の完全な心拍のみを含む非常に短いトレースである可能性があり、これらの場合、統計的尺度(例えば、PCA)は、データ量が限られているため、信頼性が低くなる可能性がある。このような場合、例えばオペレータの判断に基づいて、単一の心拍を、代表的な心電図トレースとして任意に選択することができるが、これは可能な限り回避されてもよい。いくつかの実施形態では、単一の心電図セグメントは、外れ値ではないとみなされるもの、すなわち、それらの値が信頼性をもって計算できる場合、T2統計量、オブジェクトレバレッジ、クラスタリング、及び/又は別の信頼性テストによって決定される信頼領域内にあるものからランダムに選択された後、代表的なトレースとして扱われてもよい。
【0107】
様々な実施形態では、ブロック424は、
図11の500に示すような代表的な心電図トレース記録をストレージメモリ104の領域148に記憶するように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。
図11を参照すると、代表的な心電図トレース記録500は、心電図トレースが検出されたリードを識別するリード識別子を記憶するためのリード識別子フィールド502と、ストレージメモリ104の領域146に記憶された心電図セグメント記録から取得された値の平均値を記憶するための心電図電圧フィールド504とを含んでいる。
【0108】
再び
図3を参照すると、代表的な心電図トレース記録500が生成され、ストレージメモリ104の領域148に記憶された後、ブロック208の実行が完了されてもよい。
【0109】
次に、ブロック210は、解析装置プロセッサ100に、追加の心電図トレースを考慮する必要があるかどうかを決定するように指示する。様々な実施形態では、ブロック210は、
図3に示すフローチャート200のブロック204で対象の検出済み心電図トレースとしてまだ考慮されていない、ストレージメモリ104の領域142に記憶された追加の検出済み心電図トレース記録が存在するかどうかを判断するように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。考慮されていない検出済み心電図トレース記録が存在する場合、ブロック210は、解析装置プロセッサ100に、ブロック204に戻るように指示し、ブロック204は、解析装置プロセッサ100に、1つ以上の検出済み心電図トレースのうちの1つを対象の検出済み心電図トレースとみなすように指示する。様々な実施形態では、ブロック204は、検出済み心電図トレース記録がまだ考慮されていない場合、解析装置プロセッサ100に、ストレージメモリ104の領域142からの検出済み心電図トレース記録を考慮するように指示することができる。
【0110】
次に、ブロック206及び208は、新たに考慮された検出済み心電図トレース記録に関して実行されてもよい。上記を考慮して、ブロック206及び208は、ストレージメモリ104の領域142に記憶された検出済み心電図トレース記録の各々について実行されてもよい。
【0111】
検出済み心電図トレース記録のすべてが考慮されると、各々が
図11に示す心電図トレース記録500と略同じフォーマットを有し、ストレージメモリ104の領域148に記憶された、複数の代表的な心電図トレース記録が存在してもよい。様々な実施形態では、ストレージメモリ104の領域142に記憶された、検出済み心電図トレース記録の各々について、それぞれの代表的な心電図トレース記録が存在する可能性がある。
【0112】
検出済み心電図トレース記録のすべてが考慮されたとき、ブロック210は、解析装置プロセッサ100にブロック212に進むように指示することができる。
【0113】
ブロック212は、解析装置プロセッサ100に、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を1つ以上の決定された代表的な心電図トレースに適用させて、患者の少なくとも1つの診断に関連する1つ以上の診断関連スコアを決定させるように指示する。様々な実施形態では、BrS診断ニューラルネットワーク分類器を定義するデータは、ストレージメモリ104の領域150に記憶されてもよい。いくつかの実施形態では、BrS診断ニューラルネットワーク分類器は、BrS用のパーセプトロンを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、BrS診断ニューラルネットワーク分類器を定義するデータは、事前に心電図解析装置12に提供されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、BrS診断ニューラルネットワーク分類器を定義するデータは、訓練段階の間に決定されたものであってもよく、訓練は、心電図解析装置12及び/又は別のデバイス/システムによって実行されたものであってもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、ブロック212は、解析装置プロセッサ100に、ストレージメモリ104の領域148に記憶された代表的な心電図トレース記録に含まれる心電図電圧情報を連結し、連結されたデータをBrS診断ニューラルネットワーク分類器のための入力として使用するように指示することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック212は、例えば、リード1からリード12の順序で、代表的な訓練用心電図トレース記録のすべての心電図電圧フィールドからの値を連結し、連結されたデータをBrS診断ニューラルネットワーク分類器のための入力として使用するように、解析装置プロセッサ100に指示することができる。様々な実施形態では、連結のためのリードの順序は、ニューラルネットワーク分類器を生成する際に使用された順序と一致する必要がある場合がある。いくつかの実施形態では、ブロック212は、解析装置プロセッサ100に、患者に関連する患者データ又は変動因子も、BrS診断ニューラルネットワーク分類器のための入力として使用するように指示することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、患者データは、例えば、年齢、性別、及び/又は不整脈原性心筋症に関連する疾患及び合併症についての患者及び/又は家族の病歴を含んでいてもよい。これらは、例えば、BrSを含む不整脈原性心筋症診断に関する個人及び/又は家族の病歴、心臓突然死(SCD)に関する家族の病歴、失神に関する個人の病歴、及び/又は心停止に関する個人の病歴の、数値又はブール表現を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、患者データは、以下のうちの一部又は全部を含み得る。
【0116】
【0117】
様々な実施形態では、患者データは、ストレージメモリ104の領域152に記憶されていてもよい。患者データは、例えば、医療専門家によって事前に提供されたものであってもよい。
【0118】
図12を参照すると、様々な実施形態によるストレージメモリ104の領域150に記憶されたデータによって定義され得るBrS診断ニューラルネットワーク分類器540の表現が示されている。いくつかの実施形態では、BrS診断ニューラルネットワーク分類器540は、連結された代表的な心電図トレース記録を含み得るX
ECG入力542と、患者に関連する患者データの表現を含み得るX
FoV入力544とを取得するように構成されてもよい。入力層はまた、バイアス要素546を含んでいてもよい。
【0119】
様々な実施形態では、BrS診断ニューラルネットワーク分類器540は、ニューロンを含む少なくとも1つの隠れ層560を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、100個のニューロンを有する1つの隠れ層が存在してもよい。いくつかの実施形態では、追加的な及び/又は代替的な隠れ層が使用されてもよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、BrS診断ニューラルネットワーク分類器540は、陽性(1)又は陰性(0)の疾患診断を表す分類を含む出力層570を含んでいてもよい。様々な実施形態では、出力層570は、患者がBrSを有するという診断の信頼度を表し得るBrS診断スコアを提供してもよい。様々な実施形態では、BrS診断スコアは、0~1の間の10進数であってもよく、非常に高いスコア(1に近い)は患者が対象の疾患又は障害を有する高い信頼度を示し、非常に低いスコア(0に近い)は患者がBrSを有さない高い信頼度を示す。いくつかの実施形態では、例えば、0.900等の、閾値を超えるBrS診断スコアは、疾患陽性の診断と関連付けられる場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、0.100等の、閾値未満のBrS診断スコアは、疾患陰性の診断と関連付けられる場合がある。
【0121】
様々な実施形態では、ブロック212は、解析装置プロセッサ100に、領域148に記憶された代表的な心電図トレース記録、ストレージメモリ104の領域152からの患者データ、及び領域150からのBrS診断ニューラルネットワーク分類器の定義を読み出すように指示することができる。また、ブロック212は、解析装置プロセッサ100に、BrS診断ニューラルネットワーク分類器を、例えば、BrS診断ニューラルネットワーク分類器の定義において定義された可能性がある、連結された心電図トレース記録、患者データ、及びバイアス要素に適用させて、例えば、BrS診断スコアを決定するように指示することができる。様々な実施形態では、ブロック212は、解析装置プロセッサ100に、BrS診断スコアの表現をストレージメモリ104の領域154に記憶するように指示することができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、
図3に示すフローチャート200は、少なくとも1つのディスプレイに1つ以上の診断関連スコアの表現を表示させるために、1つ以上の診断関連スコアを表す信号を生成するように、解析装置プロセッサ100に指示するためのさらなるブロックを含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ブロックは、解析装置プロセッサ100に、ストレージメモリ104の領域154から取得されたBrS診断スコアを表す信号を、I/Oインタフェース112のインタフェース122を介してディスプレイ16に送信し、ディスプレイ16に、BrS診断スコアを2値の又はカテゴリカルな(binary or categorical)指標として、及び/又は陽性又は陰性の診断の確率を示す数値として表示させるように指示することができる。
【0123】
様々な実施形態では、ディスプレイ16は、患者及び/又は医療専門家によって閲覧されてもよく、患者及び/又は医療専門家は、ディスプレイ16上のBrS診断スコアの表現を閲覧した場合に、行動を起こしてもよい。様々な実施形態では、患者は、自身がBrSを有するという高い機械信頼度を示す高いBrS診断スコアを閲覧した場合に、診断を確認し、その分野のガイドラインに従ってSCDのリスクを評価するための最も適切な戦略を確立するために、専門家の医学的アドバイスを求めることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、ブロックは、BrS診断スコアが、例えば0.900等の疾患陽性閾値スコアよりも大きいかどうかを判断して、BrS診断スコアが閾値スコアよりも大きい場合に、患者が疾患陽性である旨の表示をディスプレイ16に提示させるための信号を生成するように、解析装置プロセッサ100に指示するためのコードを含むことができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、ブロックは、BrS診断スコアが、例えば0.100等の疾患陰性閾値スコア未満であるかどうかを判断して、BrS診断スコアが閾値スコア未満である場合に、患者が疾患陰性である旨の表示をディスプレイ16に提示させるための信号を生成するように、解析装置プロセッサ100に指示するためのコードを含むことができる。
【0126】
(ニューラルネットワークの訓練)
上述のように、様々な実施形態では、ニューラルネットワーク定義データは、心電図解析装置12のストレージメモリ104の領域150に記憶されてもよい。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワーク定義データは、ニューラルネットワークの訓練中に生成されたものであってもよい。ここで
図13を参照すると、様々な実施形態による、ニューラルネットワークの訓練を含む、心電図解析を容易にするためのシステム700が示されている。
【0127】
図13を参照すると、システム700は、患者心電図データ源704及びディスプレイ706と通信する心電図解析装置702を含む。様々な実施形態において、心電図解析装置702、患者心電図データ源704、及びディスプレイ706は、
図1に示す心電図解析装置12、心電図データ源14、及びディスプレイ16に関して上述した機能と略同様の機能を含むことができる。いくつかの実施形態において、心電図解析装置702は、未知の患者の心電図を入力として使用し、心電図ニューラルネットワーク分類器を使用して、BrS及び/又は他の原発性電気障害の診断を予測することができる。
【0128】
図13を参照すると、様々な実施形態では、システム700はまた、訓練用心電図データ源710と通信する心電図ニューラルネットワーク訓練装置708を含む。様々な実施形態では、心電図解析装置702は、ネットワーク712を介して心電図ニューラルネットワーク訓練装置708と通信することができ、ネットワーク712は、いくつかの実施形態では、例えばインターネットを含むことができる。
【0129】
動作中、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708は、訓練用心電図データ源710から取得されたデータを含む心電図データを使用して、例えばBrS診断ニューラルネットワーク分類器などの1つ以上のニューラルネットワーク分類器を訓練するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708は、訓練用心電図データ源710から取得されたデータを含む心電図データを使用して、
図1に示すシステム10に関して上述したBrS診断ニューラルネットワーク分類器を訓練し、
図13に示す心電図解析装置702に、1つ以上のニューラルネットワーク分類器を定義するデータを提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、BrSニューラルネットワーク分類器は、診断特徴空間において2値でカテゴリカルな変数として表される、既知の医学的診断を伴う心電図の完全なデータセットから訓練されてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、訓練段階において、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708は、訓練用心電図データ源710に格納されたキュレートされたデータライブラリを構築するために、関連する患者データ及び付随する診断とともに、1つ以上の患者心電図データ源から心電図トレース情報を収集することができる。いくつかの実施形態では、データライブラリのサイズが大きくなるにつれて、よりロバスト性及び/又は信頼性が高い診断モデルを生成することができる。
【0131】
図14を参照すると、様々な実施形態による、
図13に示すシステム700の心電図ニューラルネットワーク訓練装置708の概略図が示されている。様々な実施形態において、
図2に示す心電図解析装置12の構成要素と同様である心電図ニューラルネットワーク訓練装置708の構成要素は、
図2に示す心電図解析装置12に関して上述したように概して機能することができる。
【0132】
図14を参照すると、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708は、訓練装置プロセッサ800と、訓練装置プロセッサ800と通信可能なプログラムメモリ802、ストレージメモリ804、及び入出力(I/O)インタフェース812と、を含むプロセッサ回路を含んでいる。
【0133】
I/Oインタフェース812は、
図13に示す訓練用心電図データ源710と通信するためのインタフェース820と、ネットワーク712を介して心電図解析装置702と通信するためのインタフェース822とを含む。
【0134】
訓練装置プロセッサ800に様々な機能を実行するように指示するためのプロセッサ実行可能なプログラムコードは、プログラムメモリ802に記憶されている。
図13を参照すると、プログラムメモリ802は、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708に、心電図ニューラルネットワーク訓練機能を実行するように指示するためのコードブロック870を含む。
【0135】
ストレージメモリ804は、訓練用心電図データを記憶するための領域840、診断データを記憶するための領域842、患者データを記憶するための領域844、主成分データを記憶するための領域849、Rピーク識別子データを記憶するための領域846、心電図トレースセグメントデータを記憶するための領域848、心電図トレースセグメントサブセットデータを記憶するための領域850、代表的な心電図トレースデータを記憶するための領域852、及びニューラルネットワークデータを記憶するための領域854を含む複数の記憶領域を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、プログラムメモリ802、ストレージメモリ804、及び/又はその任意の部分は、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708とは別個のデバイスに含まれていてもよく、例えば、I/Oインタフェース812を介して心電図ニューラルネットワーク訓練装置708と通信してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する訓練装置プロセッサ800及び/又は心電図ニューラルネットワーク訓練装置708の機能は、複数のプロセッサ及び/又は複数のデバイスを使用して実装されてもよく、これらのプロセッサ及び/又はデバイスは、例えば、それぞれのインタフェース及び/又はインターネット等のネットワークを介して通信する別個のデバイスであってもよい。
【0137】
様々な実施形態では、
図13及び
図14に示す心電図ニューラルネットワーク訓練装置708は、心電図ニューラルネットワークの訓練を容易にするように構成されてもよい。
図15を参照すると、
図14に示す訓練装置プロセッサ800に指示して、様々な実施形態による心電図ニューラルネットワークの訓練機能を実行させるためのコードブロックを示すフローチャートが、全体として900で示されている。フローチャート900に含まれるコードブロックは、例えば、
図14に示すプログラムメモリ802のコードブロック870に符号化されてもよい。
【0138】
図15を参照すると、フローチャート900は、訓練装置プロセッサ800に、訓練用心電図トレースの複数のセットを受信するように指示するブロック902から開始し、訓練用心電図トレースのセットの各セットは、複数の訓練用患者のうちの関連する訓練用患者の各々について訓練期間にわたって検出された心臓活動を表す。次に、ブロック904は、訓練装置プロセッサ800に、訓練用心電図トレースの複数のセットの各セットについて、訓練用心電図トレースのセットに関連する訓練用患者の各々の診断を受信するように指示する。
【0139】
いくつかの実施形態では、例えば、訓練用心電図データ源710は、複数の患者の各々についての訓練用心電図トレースのセット及び関連する診断を含む訓練データを、事前に提供されていてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、訓練用心電図データ源710は、複数の訓練用患者についての訓練用心電図データを記憶することができ、心電図データは、各患者について、12個の訓練用心電図トレース記録を含み、その例示的な1つは
図16の940に示されており、訓練用心電図トレース記録の各々は、患者に使用される12個のリードのうちの1つから得られた検出済み心電図トレースを表している。
図16を参照すると、訓練用心電図トレース記録940は、訓練用患者のうちの1人を識別する患者識別子を記憶するための患者識別子フィールド942と、訓練用心電図トレース記録940が生成されたリードを識別するリード識別子を記憶するためのリード識別子フィールド944と、を含む。
【0140】
引き続き
図16を参照すると、訓練用心電図トレース記録940はまた、概して、
図4に示す心電図トレース記録260に関して上述したように、検出済み心電図電圧フィールド948を含む。様々な実施形態では、訓練用患者について訓練用心電図データ源710によって記憶された12個の訓練用心電図トレース記録は、訓練用患者について訓練期間にわたって検出された心臓活動を表す訓練用心電図トレースのセットとして機能する。
【0141】
いくつかの実施形態では、訓練用心電図データ源710によって記憶される訓練用心電図データは、訓練用患者の各々について、したがって訓練用心電図トレースのセットの各々について、それぞれの診断を含んでいてもよい。様々な実施形態では、例えば、訓練用心電図データは、複数の診断記録を含んでいてもよく、その例示的な1つは、
図17の1000で示され、診断記録の各々は、訓練用患者及び訓練用心電図トレース記録のセットに関連付けられる。いくつかの実施形態では、診断記録1000は、訓練用心電図トレースのセットに含まれる患者識別子と共通であってもよい患者識別子を記憶するための患者識別子フィールド1002を含むことによって、訓練用患者及び訓練用心電図トレースのセットに関連付けられてもよい。
【0142】
図17を参照すると、診断記録1000はまた、患者識別子フィールド1002に記憶された患者識別子によって識別される訓練用患者に対する診断を表す診断識別子を記憶するための診断フィールド1004を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、診断フィールド1004は、患者がBrSと診断された場合に「1」に設定され、患者がBrSを有さないと診断された場合に「0」に設定され得る、BrS診断識別子の値を記憶することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、訓練用心電図データ源710に記憶された診断記録における診断識別子フィールドの値は、関連する訓練用心電図トレースのセット及び/又は他の患者関連情報を検討した医療専門家によって事前に提供されていてもよい。
【0144】
再度
図15を参照すると、ブロック902は、訓練装置プロセッサ800に、例えば、訓練用心電図データ源710に記憶された訓練用心電図トレース記録の表現を含むメッセージを、インタフェース820を介して受信するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック902は、訓練装置プロセッサ800に、
図14に示すストレージメモリ804の領域840に訓練用心電図トレース記録を記憶するように指示することができる。
【0145】
ブロック904は、訓練装置プロセッサ800に、例えば、訓練用心電図データ源710に記憶された診断記録の表現を含むメッセージを、インタフェース820を介して受信するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック904は、訓練装置プロセッサ800に、診断記録を、
図14に示すストレージメモリ804の領域842に記憶するように指示することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、ブロック902及び904は同時に実行されてもよく、訓練用心電図トレース及び関連する診断のセットは、同時に受信されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、訓練用心電図データ源710は、その上に、訓練用患者の各々に関連する患者データ又は変動因子を記憶していてもよく、フローチャート900は、患者データの表現を受信するように訓練装置プロセッサ800に指示するコードブロックを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、患者データは、訓練用心電図データ源710における複数の患者データ記録に格納されていてもよく、各々が、患者識別子フィールドと、患者識別子フィールドによって識別される訓練用患者の患者データを表す1つ以上の患者データ値を記憶するための1つ以上の患者データフィールドと、を含んでいてもよい。そのような実施形態では、フローチャート900は、例えば、インタフェース820を介して訓練用心電図データ源710から患者データ記録の表現を受信するように訓練装置プロセッサ800に指示するコードブロックを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ブロックは、訓練装置プロセッサ800に、患者データをストレージメモリ804の領域844に記憶するように指示することができる。
【0148】
上記を考慮して、ブロック902及び904の実行後、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708は、ストレージメモリ804の領域840及び領域842に、訓練用心電図トレース記録の複数のセットと、訓練用心電図トレース記録の各セットに関連するそれぞれの診断記録とを記憶していてもよい。いくつかの実施形態では、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708はまた、ストレージメモリ804の領域844に追加の患者データを記憶していてもよい。様々な実施形態では、この情報は、以下で説明するように、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を訓練するために使用され得る、訓練用心電図データとして機能することができる。
【0149】
図15を参照すると、
図15に示すフローチャート900のブロック906~912は、ブロック906~912がストレージメモリ804の領域840に記憶された各訓練用心電図トレース記録に関して実行され得ることを除いて、
図3に示すフローチャート200のブロック204~210と略同様に機能することができる。
【0150】
ブロック906は、訓練装置プロセッサ800に、訓練用心電図トレースのうちの1つを対象の訓練用心電図トレースとみなすように指示する。いくつかの実施形態では、ブロック906の第1の実行時に、ブロック906は、訓練装置プロセッサ800に、第1の訓練用患者識別子を考慮し、第1の訓練用患者識別子と一致する患者識別子を有する第1の訓練用心電図トレース記録を考慮するように指示することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ブロック906は、訓練装置プロセッサ800に、
図16に示す訓練用心電図トレース記録940を第1の訓練用心電図トレース記録とみなすように指示することができる。
【0151】
次に、ブロック908は、訓練装置プロセッサ800に、対象の訓練用心電図トレースについて、複数の対応する訓練用心電図トレースセグメントを識別するように指示し、訓練用心電図トレースセグメントの各々は、訓練期間のセグメントにわたる患者の心臓活動を表している。いくつかの実施形態では、ブロック908は、
図3に示され、上述されたフローチャート200のブロック206に含まれるコードと略同様のコードを含んでいてもよい。
【0152】
様々な実施形態では、
図15に示すブロック908の実行後、訓練用Rピーク識別子が患者識別子フィールドを含み得ることを除いて、
図6に示すRピーク識別子記録340と略同様のフォーマットを有する訓練用Rピーク識別子記録が、ストレージメモリ804の領域846に記憶されてもよく、訓練用心電図トレースセグメント記録がそれぞれ患者識別子フィールドを有することを除いて、
図7に示す検出済み心電図トレースセグメント記録380と略同様のフォーマットを有する複数の訓練用心電図トレースセグメント記録が、ストレージメモリ804の領域848に記憶されてもよい。
【0153】
次に、ブロック910は、訓練装置プロセッサ800に、識別された対応する訓練用心電図トレースセグメントの少なくとも1つに基づいて、代表的な訓練用心電図トレースを決定するように指示する。様々な実施形態では、ブロック910は、
図3に示され、上述されたフローチャート200のブロック210のコードと略同様のコードを含んでいてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、ブロック910は、訓練装置プロセッサ800に、ブロック908で決定された訓練用心電図トレースセグメント記録のサブセットを識別又は決定するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック910は、訓練装置プロセッサ800に、主成分データを、ストレージメモリ804の領域149に記憶するように指示することができる。様々な実施形態では、ブロック910は、訓練装置プロセッサ800に、識別された訓練用心電図トレースセグメント記録を、ストレージメモリ804の領域850に記憶するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック910は、訓練装置プロセッサ800に、ストレージメモリ804の領域850に記憶された訓練用心電図トレースセグメント記録に基づいて、代表的な訓練用心電図トレース記録を決定するように指示することができ、代表的な訓練用心電図トレース記録は、代表的な訓練用心電図トレース記録が患者識別子フィールドを含み得ることを除いて、
図11に示す代表的な心電図トレース記録500と略同様のフォーマットを有する。いくつかの実施形態では、ブロック910は、訓練装置プロセッサ800に、代表的な訓練用心電図トレース記録を、ストレージメモリ804の領域852に記憶するように指示することができる。
図18を参照すると、様々な実施形態においてストレージメモリ804の領域852に記憶され得る、代表的な訓練用心電図トレース記録1040の一例が示されている。
【0155】
次に、ブロック912は、訓練装置プロセッサ800に、考慮すべき追加の訓練用心電図トレースがあるかどうかを判断するように指示する。いくつかの実施形態では、ブロック912は、訓練装置プロセッサ800に、ストレージメモリ804の領域840に記憶された任意の訓練用心電図トレース記録が、
図15に示すフローチャート900のブロック908及び910の目的のために、対象の訓練用心電図トレースとしてまだ考慮されていないかどうかを判断するように指示することができる。追加の訓練用心電図トレースが考慮される場合、訓練装置プロセッサ800はブロック906に戻り、さらなる訓練用心電図トレース記録が考慮される。ストレージメモリ804の領域840に記憶された訓練用心電図トレース記録のすべてが考慮された場合に、訓練装置プロセッサ800はブロック914に進む。
【0156】
したがって、訓練装置プロセッサ800がブロック914に進むと、ストレージメモリ804の領域848に、代表的な訓練用心電図トレース記録の複数のセットが記憶されてもよく、代表的な訓練用心電図トレース記録の各々は、記録が決定された訓練用患者を識別する患者識別子フィールドと、記録が決定されたリードを識別するリード識別子フィールドとを含む。いくつかの実施形態では、ストレージメモリ804の領域848は、数百人の患者についての代表的な訓練用心電図トレース記録を記憶することができ、これは、例えば、いくつかの実施形態では、約70%に近い精度など、疾患識別のための許容可能な精度を提供することができる。いくつかの実施形態では、ストレージメモリ804の領域848は、1000人を超える患者についての代表的な訓練用心電図トレース記録を記憶することができ、これは、いくつかの実施形態では、約85%の精度を提供することができる。いくつかの実施形態では、ストレージメモリ804の領域848は、10000人を超える患者又は100000人を超える患者の代表的な訓練用心電図トレース記録を記憶することができる。
【0157】
ブロック914は、訓練装置プロセッサ800に、代表的な訓練用心電図トレース及び診断を使用して、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を訓練させるように指示する。いくつかの実施形態では、BrS診断ニューラルネットワーク分類器のアーキテクチャを定義する初期ニューラルネットワークデータ、及び/又は初期BrS診断ニューラルネットワーク分類器自体が、ストレージメモリ804の領域854に記憶されてもよい。様々な実施形態では、初期ニューラルネットワークデータは、例えば、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708をセットアップする際に、事前に提供されたものであってもよい。
【0158】
いくつかの実施形態では、BrS診断ニューラルネットワーク分類器のアーキテクチャは、入力層、隠れ層、及び出力層からなる、順伝播型の人工的なニューラルネットワーク(feed-forward artificial neural network)に基づく多層パーセプトロンを含むことができる。例えば、BrS診断ニューラルネットワーク分類器のための一般的なアーキテクチャは、
図12の540に示すように表すことができる。このニューラルネットワーク分類器に含まれる隠れ層は、入力層を、2値でカテゴリカルな(binary categorical)出力層(BrS診断値等の診断の表現を含むことができる)にマッピングすることができる。いくつかの実施形態では、100個のニューロンを含む隠れ層が使用されてもよいが、いくつかの実施形態では、より多い又はより少ないニューロン及び/又は層が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ブロック914は、訓練装置プロセッサ800に、ストレージメモリ804の領域852に記憶された代表的な訓練用心電図トレース記録の心電図電圧フィールドからのデータと、ストレージメモリ804の領域844に記憶された患者データとを入力として使用すると共に、ストレージメモリ804の領域842に記憶された診断記録の診断フィールド値とをそれぞれの所望の出力として使用して、訓練用患者の各々について、BrS診断ニューラルネットワーク分類器を訓練し、ストレージメモリ804の領域854に記憶されたBrS診断ニューラルネットワーク分類器を定義するデータを更新するように指示することができる。
【0159】
例えば、いくつかの実施形態では、ブロック914は、訓練装置プロセッサ800に、特定の患者又は患者識別子について、例えばリード1からリード12までの順序で、その患者の代表的な訓練用心電図トレース記録のすべての心電図電位フィールドからの値を連結して、それをXECG入力542として使用し、ストレージメモリ804の領域844に記憶されたその患者の患者データフィールドからの値をXFoV入力544として使用して、その患者の診断フィールドからの値を所望の出力として使用するように指示することができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、ブロック914は、訓練装置プロセッサ800に、ニューラルネットワーク分類器が複数の訓練用患者のデータを使用して訓練されるように、誤差逆伝播法アルゴリズムと結合された最適化アルゴリズム(例えば、スケール共役勾配降下、確率勾配降下、適応モーメント推定、及び/又は任意の他の最適化アルゴリズムなど)を使用して、入力層を2値でカテゴリカルな出力層にマッピングするために隠れ層を訓練するように指示することができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、ブロック914は、訓練装置プロセッサ800に、例えば、混同行列、又は曲線下面積-受信者操作特性(AUC-ROC)によってニューラルネットワークを評価すること(benchmarking)によって、分類の精度を特徴付ける関連する定量性能データを生成するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ブロック914は、訓練装置プロセッサ800に、例えば、対数数値空間における誤った分類の確率を定量化する1つのそのような性能指標(例えば、2値交差エントロピー関数と称される対数的な損失関数など)を最小化する、最適化アルゴリズムを使用するように指示することができる。様々な実施形態では、ニューラルネットワーク分類モデルを構築する際に、特定のニューラルネットワーク訓練方法(すなわち、データをランダムに分割し、その結果に基づいて特定の訓練データを除去して、再訓練すること)を選択することができる。
【0162】
様々な実施形態では、ブロック914が実行された後、訓練されたBrS診断ニューラルネットワーク分類器を定義するデータは、ストレージメモリ804の領域854に記憶されてもよい。
【0163】
いくつかの実施形態では、ブロック914は、訓練されたBrS診断ニューラルネットワーク分類器の表現を
図13に示す心電図解析装置702に送信させるために、訓練されたBrS診断ニューラルネットワーク分類器を表す信号を生成するように、訓練装置プロセッサ800に指示することができる。いくつかの実施形態では、心電図解析装置702は、一般に
図2に示すようなプロセッサ回路を含むことができ、心電図解析装置702は、訓練されたBrS診断ニューラルネットワーク分類器の表現を、
図2に示す心電図解析装置12の領域150と同様の領域に格納するように、心電図解析装置702の解析装置プロセッサに指示することができる。
【0164】
様々な実施形態では、心電図解析装置702は、概して上述したように、
図3に示すフローチャート200を実行して、訓練されたBrS診断ニューラルネットワーク分類器を使用し、患者のBrS診断スコアを決定するように構成されてもよい。
【0165】
(様々な実施形態)
いくつかの実施形態では、
図1に示すシステム10の一部又は全部は、単一のデバイスとして、又は別個のデバイスとして実装されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、心電図解析装置12によって実行されるものとして本明細書で説明される機能は、別個のデバイスによって実行されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、心電図解析装置12、心電図データ源14、及びディスプレイ16は、単一のデバイスに組み込まれてもよく、このデバイスは、例えば、フィットネストラッカー及び/又は腕時計デバイスなどのウェアラブルデバイスであってもよく、デバイスに含まれるセンサを使用して心電図データを取得するように構成されてもよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、心電図データ源14の携帯型の実施形態は、例えば、診断的有用性のある稀な又は孤立した心拍間隔を取得するために、一晩又は1日以上の期間にわたるなど、より長い測定期間中に心電図トレース記録260を収集することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、心電図解析装置12は、心電図解析装置12の様々な機能が異なるデバイスによって実行され得るように、複数のデバイス及び/又はプロセッサ回路を使用して実装されてもよい。
【0168】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器の適用は、例えば、心電図解析装置12の処理要求を低減するために、心電図解析装置12と通信するニューラルネットワーク処理装置によって実行されてもよい。そのような実施形態では、少なくとも1つのニューラルネットワーク分類器を定義するデータは、ニューラルネットワーク処理装置に格納されていてもよく、
図3に示すフローチャート200のブロック212は、心電図解析装置12に、少なくとも1つのニューラルネットワーク用の入力をニューラルネットワーク処理装置に送信して、装置に、1つ以上の診断関連スコアを決定させるように指示することができる。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワーク処理装置は、1つ以上の診断関連スコアの表現が決定されると、それらを心電図解析装置12に送信するように構成されてもよい。
【0169】
様々な実施形態では、検出済み心電図トレース記録を生成するために、追加の又はより少ないリードが使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、単一の検出済み心電図トレース記録が生成されてもよく、心電図解析装置12は、単一の検出済み心電図トレース記録を使用するように構成されてもよい。したがって、様々な実施形態では、
図3に示すフローチャート200のブロック204及びブロック210は省略されてもよい。
【0170】
いくつかの実施形態では、心電図解析装置12によって処理されるデータは、特定の患者に関連付けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、検出済み心電図トレース記録260、Rピーク識別子記録340、検出済み心電図トレースセグメント記録380、及び代表的な心電図トレース記録500はすべて、データが適用される患者を識別する患者識別子を記憶するための患者識別子フィールドを含んでいてもよい。
【0171】
いくつかの実施形態では、
図13に示すシステム700の心電図ニューラルネットワーク訓練装置708は、
図14に示すストレージメモリ804の領域854に記憶されたニューラルネットワークデータを更新するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708は、新しい訓練用患者の訓練用心電図トレースのセットと関連診断とを受信し、受信した情報を使用してニューラルネットワークデータを更新するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークデータが更新されると、心電図ニューラルネットワーク訓練装置708は、更新されたニューラルネットワーク情報を心電図解析装置702に送信してもよい。
【0172】
いくつかの実施形態では、システム700は、それぞれが心電図ニューラルネットワーク訓練装置708と通信する、
図1に示すシステム10と概ね同様の複数のシステムを含んでいてもよく、心電図ニューラルネットワーク訓練装置は、システムに含まれる心電図解析装置の各々に、更新されたニューラルネットワーク情報を送信するように構成されてもよい。
【0173】
上述のいくつかの実施形態では、
図1及び
図13に示すシステム10及び/又は700は、特にBrSの診断を容易にするように構成されてもよいが、様々な実施形態では、追加の又は代替の症候群、疾患、及び/又は機能障害、例えば、解析的でおそらく特発性の原発性電気障害(例えば、ウォルフパーキンソンホワイト症候群、早期再分極症候群、QT延長症候群、QT短縮症候群、及び完全若しくは不完全な右脚ブロックや左脚ブロック)や、心筋症(例えば、不整脈原性右室心筋症または異形成、左室緻密化障害、肥大型心筋症、拡張型心筋症、虚血性心筋症、拘束型心筋症、及び/又は他の特発性心筋症)などが、上述のシステム10及び/又は700と略同様のシステムを使用して診断されるか、又は診断を補助されてもよい。
【0174】
したがって、様々な実施形態では、本明細書で説明するBrS診断ニューラルネットワーク分類器は、不整脈原性疾患診断のための診断スコアを出力するように構成された別の不整脈原性疾患用の診断ニューラルネットワーク分類器によって置き換えられてもよい。そのような実施形態では、不整脈原性疾患診断ニューラルネットワーク分類器は、不整脈原性疾患診断に関連するデータを使用して訓練されてもよい。
【0175】
図19~
図24を参照すると、それぞれの患者の安静時の状態を捉えたベースライン心電
図1100、1120、1140、1160、1180、及び1200の各表示と、ナトリウムチャネル遮断薬であるアジマリンの投与によってそれぞれの患者にチャレンジした後に得られた心電
図1102、1122、1142、1162、1182、及び1202の各表示と、が示されている。
【0176】
図19を参照すると、この患者は、タイプ2のBrSパターンを示し、これはアジマリンの投与後にタイプ1に変化している。いくつかの実施形態では、
図1に示すシステム10の心電図解析装置12は、ベースライン心電
図1100の解析から、この患者の疾患状態を疾患陽性として正しく識別することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ベースライン心電
図1100に基づいて決定されるBrSスコアは、0.998であってもよい。
【0177】
図20を参照すると、ベースライン心電
図1120は、アジマリンチャレンジ後にタイプ1のBrS心電図パターンに変化する不完全な右脚ブロックを示している。いくつかの実施形態では、
図1に示すシステム10の心電図解析装置12は、ベースライン心電
図1120の解析から、この患者の疾患状態を疾患陽性として正しく識別することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ベースライン心電
図1120に基づいて決定されるBrSスコアは、1.000であってもよい。
【0178】
図21を参照すると、ベースライン心電
図1140は、タイプ1のパターンを示すBrSについて陽性をもたらすアジマリンチャレンジの結果を伴う、高い右前胸部リード(high right precordial leads)における軽度の異常を示している。いくつかの実施形態では、
図1に示すシステム10の心電図解析装置12は、ベースライン心電
図1140の解析から、この患者の疾患状態を疾患陽性として正しく識別することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ベースライン心電
図1140に基づいて決定されるBrSスコアは、1.000であってもよい。
【0179】
図22を参照すると、ベースライン心電
図1160及びアジマリンチャレンジ後の心電
図1162の解析は、BrSの陰性診断と一致し得る。いくつかの実施形態では、
図1に示すシステム10の心電図解析装置12は、ベースライン心電
図1160の解析から、この患者の疾患状態を疾患陰性として正しく識別することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ベースライン心電
図1160に基づいて決定されるBrSスコアは、0.058であってもよい。いくつかの実施形態では、陰性診断の信頼度は、1からBrSスコアを差し引いたものとして決定されてもよい(例えば、1-0.058=0.942)。
【0180】
図23を参照すると、ベースライン心電
図1180及びアジマリンチャレンジ後の心電
図1182の解析は、BrSの陰性診断と一致し得る。いくつかの実施形態では、
図1に示すシステム10の心電図解析装置12は、ベースライン心電
図1180の解析から、この患者の疾患状態を疾患陰性として正しく識別することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ベースライン心電
図1180に基づいて決定されるBrSスコアは、0.028であってもよい。
【0181】
図24を参照すると、ベースライン心電
図1200及びアジマリンチャレンジ後の心電
図1202の解析は、BrSの陰性診断と一致し得る。いくつかの実施形態では、
図1に示すシステム10の心電図解析装置12は、ベースライン心電
図1200の解析から、この患者の疾患状態を疾患陰性として正しく識別することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ベースライン心電
図1200に基づいて決定されるBrSスコアは、0.010であってもよい。
【0182】
本発明の特定の実施形態が説明され、図示されてきたが、このような実施形態は、本発明の例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲に従って解釈される本発明を限定するものと考えるべきではない。
【国際調査報告】