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特表2023-520945エンボス・ラミネート加工装置におけるエンボス加工ローラの加熱方法及び装置
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  • 特表-エンボス・ラミネート加工装置におけるエンボス加工ローラの加熱方法及び装置 図1
  • 特表-エンボス・ラミネート加工装置におけるエンボス加工ローラの加熱方法及び装置 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-22
(54)【発明の名称】エンボス・ラミネート加工装置におけるエンボス加工ローラの加熱方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B31F 1/07 20060101AFI20230515BHJP
   B31F 1/36 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B31F1/07
B31F1/36 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562131
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2021052134
(87)【国際公開番号】W WO2021205255
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】102020000007741
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522396816
【氏名又は名称】ケルベール ティッシュ ソチエタ ペル アチオーニ
【氏名又は名称原語表記】KORBER TISSUE S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Giovanni Diodati, 50, 55100 Lucca ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】フラズネッティ,ルーカ
(72)【発明者】
【氏名】ペトローネ,アンドレーア
(72)【発明者】
【氏名】マッツァケリーニ,グラツィアーノ
【テーマコード(参考)】
3E078
【Fターム(参考)】
3E078BB51
3E078BC06
3E078DD09
(57)【要約】
エンボス加工ローラ(4,5)の外面に重点的に渦電流を誘導する電磁誘導装置(19,20)を私用するエンボス加工装置及びエンボス加工方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ウェブ材料の第一プライのための第一経路、
・第一経路に沿って、第一エンボス加工ローラと協働する第一加圧ローラであって、前記第一エンボス加工ローラ及び第一加圧ローラが、ウェブ材料の第一プライのための第一エンボス加工ニップを画定し、第一エンボス加工ローラがエンボス加工突起を備えているようにされた前記第一加圧ローラ、
・ウェブ材料の第二プライのための第二経路、
・第二経路に沿って、第二エンボス加工ローラと協働する第二加圧ローラであって、前記第二エンボス加工ローラ及び第二加圧ローラが、ウェブ材料の第二プライのための第二エンボス加工ニップを画定するようにされた前記第二加圧ローラ、
・前記第一又は第二エンボス加工ローラと協働する少なくとも一つの前記第一プライ及び前記第二プライ結合装置であって、前記結合装置及び前記第一又は第二エンボス加工ローラが、ラミネーション加工ニップを画定し、前記結合装置が一つのローラ又は一連の同軸ローラから成るようにされた前記結合装置、及び、
・前記第一エンボス加工ローラの表面を加熱するために、前記第一エンボス加工ローラに外付けされた少なくとも第一電磁誘導装置
を備えたエンボス加工装置において、
前記第一電磁誘導装置を、前記第一エンボス加工ローラに向けた電磁流束を発生させるように適合された電磁誘導電流を前記第一電磁誘導装置に供給する第一発電機に接続し、
前記電磁誘導電流の動作周波数を、前記第一エンボス加工ローラの外面のプロファイルに重点的に従うような渦電流を前記第一エンボス加工ローラ上に生成する動作周波数とした
ことを特徴とするエンボス加工装置。
【請求項2】
前記渦電流が、前記第一エンボス加工ローラの前記突起にのみ、又は前記突起に重点的に沿う
ことを特徴とする請求項1に記載のエンボス加工装置。
【請求項3】
前記電磁誘導電流の前記動作周波数が、500Hz~100kHz、好ましくは1kHz~100kHz、より好ましくは5kHz~100kHz、さらに好ましくは10kHz~60KHzの範囲である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンボス加工装置。
【請求項4】
前記渦電流が、
・電力密度の最大値の少なくとも30%に等しい電力密度の最小値であって、前記第一エンボス加工ローラの外面から開始して測定した少なくとも0.6mm、好ましくは少なくとも0.4mmに等しい厚みの範囲内で検出される前記電力密度の最小値と、
・前記第一エンボス加工ローラの外面から開始して測定した少なくとも0.6mm、好ましくは少なくとも0.4mmに等しい厚みの範囲内での少なくとも60%の電流密度と
を選択的に有する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項5】
前記電磁誘導装置が、電磁波束集束部材を備えている
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項6】
・前記少なくとも第一電磁誘導装置が関連付けられた前記第一エンボス加工ローラの温度を検出するように適合された少なくとも第一温度センサと、
・前記第一温度センサと通信可能に接続された中央制御装置と
を備えていることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項7】
前記発電機が、前記第一温度センサによって検出された温度に応じて前記中央制御装置によって制御され、前記動作周波数及び/又は前記電磁誘導電流の強度を変化させる
ことを特徴とする請求項6に記載のエンボス加工装置。
【請求項8】
第一及び第二電磁誘導装置が、それぞれ第一及び/又は第二エンボス加工ローラに関連付けされている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンボス加工装置。
【請求項9】
第一及び第二温度センサが、前記第一及び前記第二エンボス加工ローラと関連付けられ、前記第一及び前記第二電磁誘導装置が関連付けられた前記第一及び前記第二エンボス加工ローラの温度を検出するように適合されている
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項10】
前記第一及び前記第二温度センサが、前記中央制御装置と通信可能に接続されている
ことを特徴とする請求項9に記載のエンボス加工装置。
【請求項11】
前記第一及び/又は第二温度センサによって検出される温度が、前記第一及び/又は第二エンボス加工ローラの外面の温度である
ことを特徴とする請求項9又は10に記載のエンボス加工装置。
【請求項12】
前記第一エンボス加工ローラと協働する機能性流体ディスペンサを備え、該機能性流体ディスペンサが、前記第一プライが走行する前記第一エンボス加工ローラの少なくとも一部の突起に流体を分配する
ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項13】
前記流体が、選択的に、接着剤、水、蒸気又はそれらの組み合わせである
ことを特徴とする請求項12に記載のエンボス加工装置。
【請求項14】
前記少なくとも第一電磁誘導装置を、前記第一エンボス加工ニップと前記ラミネート加工ニップとの間に配置した
ことを特徴とする請求項1に記載のエンボス加工装置。
【請求項15】
前記第一電磁誘導装置を、前記第一エンボス加工ニップと前記機能性流体ディスペンサとの間に配置した
ことを特徴とする請求項1~14の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項16】
前記電磁誘導装置は、前記機能性流体ディスペンサと前記ラミネーション加工ニップとの間に配置した
ことを特徴とする請求項1~15の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項17】
前記第一電磁誘導装置を、前記第一エンボス加工ローラに近接して並んでいる動作領域から、前記第一エンボス加工ローラから距離を置いた非動作領域へ移動される移動装置に関連付けした
ことを特徴とする請求項1~16の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項18】
前記動作領域が、1mm~10mm、好ましくは2mm~6mmの範囲の距離に等しい
ことを特徴とする請求項17に記載のエンボス加工装置。
【請求項19】
前記電磁誘導装置が、前記第一エンボス加工ローラに長手方向に隣接し、かつ、前記第一及び/又は第二エンボス加工ローラの軸線方向長さに等しい長さを有する
ことを特徴とする請求項1~18の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項20】
前記中央制御装置に通信可能に接続され、前記ウェブ材料の前記第一又は前記第二プライの破損を検出する少なくとも一つのセンサを備えている
ことを特徴とする請求項1~19の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項21】
前記中央制御装置が、前記センサが前記第一プライ又は前記第二プライのウェブ材料の破断を検出した場合に、前記電磁誘導装置を動作領域から非動作領域へ解放するよう制御する
ことを特徴とする請求項20に記載のエンボス加工装置。
【請求項22】
少なくとも一つの前記加熱システムが関連付けされた少なくとも一つの前記エンボス加工ローラを冷却するための冷却システムを備え、
前記冷却システムが、装置停止中に少なくとも一つの前記エンボス加工ローラを冷却するように動作するように適合されている
ことを特徴とする請求項1~21の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項23】
前記冷却システムが、冷却すべき前記少なくとも一つのエンボス加工ローラに向けて冷却空気を放出するための少なくとも一つの装置を備えている
ことを特徴とする請求項22に記載のエンボス加工装置。
【請求項24】
前記冷却空気を放出する装置が、エアブレードタイプである
ことを特徴とする請求項23に記載のエンボス加工装置。
【請求項25】
前記冷却空気を放出する装置が、ボルテックスチューブタイプである
ことを特徴とする請求項23に記載のエンボス加工装置。
【請求項26】
前記加圧ローラ及び/又は前記結合装置をエンボス加工ローラから遠ざけるように動かし、同時にエンボス加工ローラを低速回転で維持するように構成された装置停止手段を備えている
ことを特徴とする請求項1~25の何れか一項に記載のエンボス加工装置。
【請求項27】
前記装置停止装置が、
・前記エンボス加工ローラを加熱し続ける必要がある場合、前記エンボス加工ローラの低速回転中に、前記エンボス加工ローラに対向する前記誘導装置を、前記エンボス加工ローラの温度を所定のエンボス加工温度周辺の範囲に維持するような誘導電力で動作させる状態に維持し、
・前記エンボス加工ローラを冷却する必要がある場合、請求項23~26の何れか一項による冷却システムを用いて、少なくとも前記エンボス加工ローラの低速回転中に前記エンボス加工ローラを冷却する
ことを特徴とする請求項26に記載のエンボス加工装置。
【請求項28】
前記装置停止手段が、
前記エンボス加工ローラの動作温度未満の温度状態から動作温度状態への初期加熱ステップが必要な場合に、
・前記加圧ローラ及び/又は前記結合装置を前記エンボス加工ローラから離した状態で、前記エンボス加工ローラを低速回転で維持し、
・前記エンボス加工ローラの低速回転中に前記エンボス加工ローラに対向する誘導装置を動作させて、前記エンボス加工ローラを動作温度未満の温度状態から動作温度状態まで加熱する
ことを特徴とする請求項26に記載のエンボス加工装置。
【請求項29】
・エンボス加工突起を備えた第一エンボス加工ローラと協働して第一加圧ローラが、ウェブ材料の第一プライ用の第一エンボス加工ニップを画定するウェブ材料の第一プライ用第一経路を設け、
・前記エンボス加工ローラの外面に向けて時間的に変化する電磁流束を発生させ、前記第一エンボス加工ローラにジュール効果による熱を発生させる渦電流を誘導する電磁誘導装置を設け、
・電磁誘導電流発生装置を備えた
エンボス加工装置におけるエンボス加工ローラを電磁気的に加熱する方法において、
前記第一エンボス加工ローラに、前記第一エンボス加工ローラの外面のプロファイルに重点的に従う渦電流を発生させるような動作周波数で前記電磁流束を発生させる
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記渦電流が、前記第一エンボス加工ローラの前記突起のプロファイルにのみ、又はプロファイルに重点的に従う
ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記電磁誘導電流の動作周波数が、500Hz~100kHz、好ましくは1kHz~100kHz、より好ましくは5kHz~100kHz、さらに好ましくは10kHz~60KHzの範囲である
ことを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記渦電流が、
・前記外面から開始して測定した少なくとも0.6mm、好ましくは0.4mmの厚さの範囲内の電力密度の最大値の少なくとも30%であり、
・前記第一エンボス加工ローラの外面から開始して測定した少なくとも0.6mm、好ましくは少なくとも0.4mmに等しい厚みの範囲内の電流密度の少なくとも60%である
ことを選択的に測定するような渦電流である
ことを特徴とする請求項29~31の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記電磁誘導装置が、電磁波束集束部材を備えている
ことを特徴とする請求項29~32の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
中央制御装置と通信可能に接続された前記第一エンボス加工ローラの外部温度を検出する温度センサを少なくとも備える
ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記電磁波束が、前記温度センサによって検出された前記エンボス加工ローラの外面の温度に応じて制御される
ことを特徴とする請求項29~34の何れか一項に記載の方法。
【請求項36】
中央制御装置が、前記電磁誘導電流の周波数及び/又は強度を変化させるために前記電磁誘導電流発生器を制御し、前記電磁誘導電流が前記発生器によって前記電磁誘導装置に向かって供給される
ことを特徴とする請求項29~35の何れか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記中央制御装置が、前記ウェブ材料の前記第一プライの破損を検出するように適合された少なくとも第一センサが前記第一中央制御装置に前記第一プライの破損を通知すると、前記第一エンボス加工ローラに沿った第一動作領域から、前記第一エンボス加工ローラから離れた非動作領域に向かって前記電磁誘導装置の移動を制御する
ことを特徴とする請求項29~36の何れか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも第一センサが、フォトセル、フォトセルアレイ、レーザーセンサ、ビデオカメラ、高速度ビデオカメラ又はビジョンシステムである
ことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも一つの温度センサが、前記第一エンボス加工ローラの前記突起の温度及び前記第一エンボス加工ローラの底面の温度を検出し、
前記中央制御装置が、前記突起及び前記底面の前記温度の差に応じて前記電磁誘導電流発生器を制御する
ことを特徴とする請求項29~38の何れか一項に記載の方法
【請求項40】
・前記第一加圧ローラを前記第一エンボス加工ローラから離間させるステップと、
・前記第一誘導加熱エンボス加工ローラを低速で回転させた状態に維持するステップと
を有する装置停止ステップを含む
ことを特徴とする請求項29~39の何れか一項に記載の方法。
【請求項41】
・前記エンボス加工ローラの温度を所定のエンボス加工温度付近の範囲に維持するような電力を前記誘導装置に供給するステップと、
・前記誘導装置をオフにし、冷却装置によって前記第一エンボス加工ローラを冷却するステップと
を選択的に含む
ことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記冷却システムが、冷却されるべき前記少なくとも一つのエンボス加工ローラに向かって冷却空気を放出するための少なくとも一つの装置を備える
ことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記エンボス加工ローラを動作温度未満の温度条件から動作温度条件まで初期加熱するステップであって、
・エンボス加工ローラを低速回転に維持するステップと、
・前記誘導装置を作動させて前記エンボス加工ローラを加熱するステップと
を有するステップを含む
ことを特徴とする請求項29~42の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプライセルロースウェブ材料の製造に適合されたエンボス加工ローラを加熱する方法及び装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパの製造及び加工分野では、トイレットペーパ、キッチンタオル、ナプキン、フェイシャルティッシュ等のロール製品を得るために、一つ以上の親リールから複数のセルロース繊維プライを巻き解き、互いに接着した二枚以上のプライからなる半製品又は最終製品に変換することが知られている。
【0003】
セルロース繊維プライを接着してマルチプライウェブ材料を製造するには、接着剤を使用するか、機械的プライ接着、即ち一方のプライを他方のプライに高圧で押し付けることによって行われることがよくある。この目的のために、セルロース繊維プライの少なくとも一つは、通常、弾性を有する可撓性材料でコーティングされたエンボス加工ローラと加圧ローラによってエンボス加工される。エンボス加工により、セルロース繊維プライは永久変形され、エンボス状突起が形成される。セルロース繊維プライをエンボス加工シリンダに密着させたまま、エンボス加工突起に糊を塗布する。その後、エンボス加工されたセルロース繊維プライに第二のプライを重ね合わせ、接着剤を受けた部分で二つのプライを押し付け合い、相互に接着させる。
【0004】
その後、少なくとも一つ、一部又は全部がエンボス加工された二つ以上のプライを接着し、マルチプライウェブ材料を形成する。前記ウェブ材料は、ロールを形成するために巻き取られ得、また、フェイシャルティッシュやナプキン等を形成するために切断されて折り畳まれ得る。
【0005】
また、エンボス加工は、セルロース材料プライの相互接着を可能にすることに加えて、マルチプライ紙製品の品質を向上させる目的もある。例えば、一つ又は複数のセルロース材料プライをロールに巻く場合、最終製品の体積や直径を増加させるように、各単一プライの厚みを厚くすることが可能である。また、他の場合においては、プライの機械的強度、即ち極限引張強度を上げたり、吸収性や柔軟性を向上させたりすることも可能である。
【0006】
上記した理由から、欧州特許第EP1075387号、欧州特許第EP1855876号、米国特許第US3556907号、欧州特許第EP1239079号、欧州特許第EP1319748号、及び米国特許第US6746558号に記載されているように、セルロース材料プライをエンボス加工する多くの方法及び装置が開発されている。
【0007】
セルロース材料プライの特徴をさらに向上させるために、加熱したエンボス加工ローラを用いた改良エンボス加工技術が開発されている。この技術は、特許ITMI-1995-A001197に開示されており、セルロース材料プライを湿らせて、表面にエンボス加工突起が設けられた一対のスチールエンボス加工ローラによって形成されたニップに通す技術であり、この技術では、二つのローラの突起は、「チップ・トゥ・チップ(端から端まで)」パターンに従って、圧力をかけて接触するように配置され、エンボス加工中にプライを乾燥するために二つのスチールローラが加熱される。
【0008】
前述のエンボス加工ローラの加熱のために(そして一般に、例えば紙プライを形成する場合のような平滑加熱ローラを備えた全てのカレンダ加工システムに対して)、エンボス加工ローラの内部に配置されたジアテル油、蒸気又は水を再循環させるシステムが使用されている。これらのシステムは、非常にコストがかかり、エネルギ集約的で、非常に効率が悪く、また、加熱装置やエンボス加工ローラの近くで作業する必要があるため、作業者の危険も伴う。
【0009】
流体の循環によるエンボス加工ローラの加熱は、流体によって内部に供給される熱が、ローラの外表面、即ちセルロース材料プライを処理するための作業面に達する前に、ローラの質量全体を加熱しなければならないため、長い加熱時間を必要とする。
【0010】
また、流体を循環させる加熱システムは、一般的に加熱ボイラーからエンボス加工ローラに至る配管内が加圧されるため、作業者にとって危険である。配管が破損したり、そこから高温の液体が漏れたり、あるいは配管に触れただけで、作業者が大やけどを負う可能性がある。従って、特にエンボス加工ローラの加熱技術を改善する必要があり、即ち、よりエネルギ効率が高く、ローラをより迅速に加熱し、加熱ローラを備えたエンボス加工装置で作業する必要のある作業者にとってより安全なシステムを採用する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
以下により明らかになるこれら及び他の目的は、添付した特許請求の範囲の請求項1に係るエンボス・ラミネート加工装置、及び請求項31に係るエンボス・ラミネート加工装置におけるエンボス加工ローラの電磁的加熱方法によって達成される。
【0012】
本方法、本装置、及びそれによって得られる製品の様々な実施形態の特徴を説明する前に、いくつかの定義を提供する。
【0013】
本明細書において、用語「エンボス加工」は、プライ又はマルチプライシートのようなセルロース構造の一部を、それが横たわる平面と直交する方向に永久変形させる処理に関し、これを通じて、セルロース構造は
セルロース構造体が横たわる通常平面、例えば、マルチプライ材料にエンボス加工を実施する場合、プライ又はマルチプライウェブ材料が横たわる平面から突出する複数の突起又は隆起によって、永久的に変形される。
【0014】
一般にエンボス加工装置は、少なくとも一枚のプライにエンボス加工を施し、必要に応じて、これらのプライの少なくとも一枚、好ましくは一枚以上のプライに形成されたエンボス加工突起の少なくとも一部の上面に塗布された接着剤を用いて、二枚以上のプライをラミネートにより互いに接着する装置を意味する。
【0015】
エンボス加工シリンダの「外面」は、エンボス加工突起の前面、エンボス加工突起の側面、及びエンボス加工突起が外側に突出するローラが位置する平面の表面からなる領域全体を意味する。
【0016】
本発明の目的は、先行技術の問題を解決する加熱ローラを備えた改良型エンボス装置、より詳細には、ローラの外面を均一に加熱するための電磁誘導によって加熱されるローラを備えた装置を提供することにある。
【0017】
本発明の目的はまた、効率的で、急速にエンボス加工ローラの外部温度に達し、それを急速に冷却するローラの加熱システムを有するエンボス装置を得ることにあり、それにより装置のダウンタイムを減少させ、先行技術のシステムに比べて全体の寸法が小さく、経済的であるシステムを得ることにある。実際には、エンボス加工ローラの外面、即ちウェブ材をエンボス加工するローラの作業部位を重点的に加熱することで、ローラ全体を加熱するエネルギの無駄を防ぐことができる。ローラの最小稼働部を必要な温度まで上げるのに必要なエネルギだけを使い、所望の温度を維持するのに必要なエネルギ量を供給する。
【0018】
本発明の目的は、ウェブ材料の第一プライのための第一経路を有し、それに沿って第一加圧ローラが、第一エンボス加工ローラと協働して、ウェブ材料の第一プライのための第一エンボス加工ニップを規定するように構成されたエンボス加工装置を提供することにある。第一エンボス加工ローラは、エンボス加工突起を備えている。また、前記エンボス加工装置は、前記第一エンボス加工ローラの外面を重点的に加熱するために、前記第一エンボス加工ローラに外的に関連付けられた少なくとも第一電磁誘導装置を有し、前記第一電磁誘導装置は、前記第一エンボス加工ローラに向けられた電磁流束を発生させるように適合された電磁誘導電流を前記第一電磁誘導装置に供給する第一発電機に接続され、前記電磁誘導電流の動作周波数は、前記第一エンボス加工ローラの外面のプロファイルに重点的に従うような渦電流を前記第一エンボス加工ローラ上に生成するものである。
【0019】
本発明の目的はまた、前記渦電流が、前記第一エンボス加工ローラの前記突起のみに従うか、又は前記突起に重点的に従う、エンボス加工装置を製造することにある。好ましくは、電磁誘導電流の動作周波数は、500Hz~100kHz、好ましくは1kHz~100kHz、さらに好ましくは5kHz~100kHz、より好ましくは10kHz~60KHzの範囲である。前記誘導加熱式エンボス加工装置は、電力密度の最大値の少なくとも30%に等しい電力密度の最小値を有するような渦電流を有し、前記最小値は、前記第一エンボス加工ローラの外面から測定した厚みが、少なくとも0.6mm、好ましくは少なくとも0.4mmに等しい範囲で検出される。言い換えれば、電流密度の少なくとも70%が、少なくとも0.7mm、好ましくは0.5mmに等しい厚み内に含まれている。
【0020】
好ましくは、本方法は、以下のステップを含む機械停止ステップを含むことができる。1)前記第一の加圧ローラを前記第一のエンボス加工ローラから遠ざける、2)前記第一の誘導加熱されたエンボス加工ローラを低速で回転するように維持する、3)前記エンボス加工ローラの温度を所定のエンボス動作温度周辺の範囲に維持するような電力を前記誘導デバイスに供給する、ことを含む。
【0021】
一般に、装置停止は、装置、即ちエンボス加工装置を安全上の理由、例えば故障、紙プライの破損、又はメンテナンスのために停止しなければならない状態として定義されるが、安全上の理由によるものではない停止中、装置が再起動できる状態を維持しなければならない状態としても定義される。安全のための場合、加熱されたエンボス加工ローラの近くで作業者が作業する必要がある場合、このローラを冷却する必要がある場合がある。生産に関わることで装置が停止し、すぐに再稼働できるようにするためには、エンボス加工ローラを高温に維持しておく必要がある。同様に、装置停止は、装置が単に電源オフの状態、即ち、非稼働状態を意味することもある。この場合、エンボス加工ローラを室温から使用温度まで、又は使用温度に近い温度まで加熱する必要がある。
本発明は、本発明の実施形態の非限定的な実施例を示す説明及び添付図面に従うことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】電磁誘導装置を備えたエンボス・ラミネート加工装置の側面図である。
図1A図1の詳細を示す拡大図である。
図1B図1の詳細を示す拡大図である。
図2】電磁誘導装置と関連付けされたエンボス加工ローラの斜視図である。
図3】ローラの軸線に直交する平面による図2の断面図である。
図4】本発明の一実施例の詳細を示す図である。
図5A】エンボス加工突起に誘起される電力密度分布の第一シミュレーションを示す図である。
図5B】エンボス加工突起に誘起される電力密度分布の第二シミュレーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図示の実施形態では、エンボス・ラミネート加工装置1は、全体を符号2で示した耐荷重構造体を有している。耐荷重構造体は、二つの横方向サイドパネル3を有し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、第一エンボス加工ローラ4及び第二エンボス加工ローラ5が、耐荷重構造体2の二つの横方向サイドパネル3の間に配置され得る。第一エンボス加工ローラ4には、図1Aの詳細拡大図に示すように、複数のエンボス加工突起4Pが設けられ得、第二エンボス加工ローラ5には、図1Bの詳細拡大図に示すように、複数のエンボス加工突起5Pが設けられ得る。エンボス加工ローラ4及び5の底面は、エンボス加工突起4P及び5Pの基部を分離するローラ表面として定義され得、符号4F及び5Fで示される。概して、底面4F及び5Fは平滑である。高さが二つあるエンボス加工突起の場合、高さの小さい方の先端の基部を分離する面がエンボス加工シリンダの底面とされる。
【0025】
第一エンボス加工ローラ4は、第一加圧ローラ6と協働し得る。いくつかの実施形態では、前記加圧ローラ6は、ゴムなどの降伏性材料、好ましくは弾性降伏性材料で作られた外層6Aで被覆され得る。第二エンボス加工ローラ5は、第二加圧ローラ7と協働し得る。また、いくつかの実施形態では、加圧ローラ7も、降伏性材料、特に、弾性降伏性材料で作られた外層7Aで被覆され得る。
【0026】
符号4X、5X、6X及び7Xは、それぞれ二つのエンボス加工ローラ4及び5、並びに二つの加圧ローラ6及び7の回転軸線を示す。これらの軸線は互いに実質的に平行である。
【0027】
第一エンボス加工ローラ4及び第一加圧ローラ6は、それらの間に第一エンボス加工ニップ8を形成し、該ニップ8を第一プライV1が通過して第一エンボス加工ローラ4の突起4Pによってエンボス加工が施される。加圧ローラ6に降伏性外被(外層)6Aが設けられている場合、突起4Pは、第一加圧ローラ6に対して押圧され、降伏性外被6Aに侵入してプライV1を永久変形させる。
【0028】
第二エンボス加工ローラ5及び第二加圧ローラ7は、第二プライV2が通過する第二エンボス加工ニップ9を形成している。第二プライV2には、第二エンボス加工ローラ5の突起5Pを第二加圧ローラ7に押し付けることで、第一プライVIと同様にエンボス加工が施される。弾性降伏性外被(外層)7Aを備える場合、エンボス加工突起5Pは降伏する外被に侵入し、プライV2の永久変形を引き起こす。
【0029】
二つの加圧ローラ6及び7は、以下に説明する目的のために、それぞれのエンボス加工ローラ4及び5に向かって又はそれから離れる方向への移動を可能にするアーム又は他の部材によって支持され得る。加圧ローラ6を第一エンボス加工ローラ4に、第二加圧ローラ7を第二エンボス加工ローラ5に対して押し付けるために、アクチュエータ(図示せず)、例えばピストン・シリンダ型アクチュエータが使用され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、二つのエンボス加工ローラ5及び6は、端から端まで、即ち、二つのエンボス加工ローラ4及び5間に形成されたニップ10内でそれらの突起4P及び5Pが互いに押し付けられた状態で動作するように構成され得る。
【0031】
他の実施形態では、エンボス・ラミネート加工装置1は、エンボス加工ローラ5に押し付けられ、それと共にラミネートニップ12を形成するラミネートローラ11を有し得る。このようにして、第二エンボス加工ローラ5とラミネート加工ローラ11との間で、二枚のプライV1及びV2が積層され得る。ニップ10において、エンボス加工ローラ4及び5は、二つのプライV1及びV2が接触しないように、互いにわずかに間隔をあけて配置されている。この場合、エンボス加工装置は、プライV1のエンボス加工突起間にプライV2のエンボス加工突起が入れ子になっている入れ子技法に従ったエンボス材料、又はその逆のエンボス材料を生成し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、エンボス・ラミネート加工装置1は、チップ・トゥ・チップ技術に従って、即ち、入れ子技術に従って交互に動作するように構成され得る。この目的のために、エンボス加工ローラは、例えば、それらの軸線に対して平行かつ直交に移動することができ、ラミネート加工ローラは、作動位置と非作動位置とに交互に移動することができる。
【0033】
エンボス・ラミネート加工装置1は、機能性流体ディスペンサ13を有し得る。機能性流体ディスペンサ13は、液体又は気体の流体をプライV2上に吐出するように適合された装置である。例えば、機能性流体ディスペンサ13は、プライV1及びV2の、圧力によって得られる接着を促進するために、飽和又は不飽和の蒸気を吐出し得る。本発明の好ましい実施形態では、図1に示すように、機能性流体ディスペンサ13は、液状流体源14と、液状流体源14から液体をピックアップする第一パターン化ローラ又はアニロックスローラ15と、アニロックスローラ15から液液を受け、第二エンボス加工ローラ5に付着したエンボス加工済プライV2の一部上に液状流体を分配する第二クリシェ又はアプリケータローラ16とを有し得る。概して、プライのエンボス加工突起5Pによってエンボス加工された部分における、エンボス加工ローラ5に設けられたエンボス加工突起5Pの先端の少なくとも幾つかには液状流体が塗布される。液状流体は、水でも接着剤でもよい。流体が水の場合、プライの接着は、専ら機械的圧力で行われる。
【0034】
有利な実施形態では、第一エンボス加工ローラ4及び第二エンボス加工ローラ5は、強磁性材料、金属、例えば鋼で作られている必要がある。また、前記金属には、表面硬化処理が施され得る。エンボス加工ローラ4及び5のエンボス加工突起4P及び5Pは、任意の適切な方法で、例えば化学エッチング、レーザーエッチング、工具によるチップ除去、又は別の適切な方法で製造され得る。硬化処理は、エンボス加工突起4P及び5Pに対してのみ行うことができる。
【0035】
エンボス・ラミネート加工装置1が動作状態にある時、第一プライV1及び第二プライV2は、矢印fl及びf2に従ってエンボス加工ローラに向かって移動し、一対のローラ4及び6、並びに5及び7の間で別々にエンボス加工される。エンボス加工されたプライは、エンボス加工ローラ5とラミネートローラ11との間で接着及び積層され、その結果、マルチプライウェブ材料Nが形成され、該ウェブ材料Nは、二重矢印fNに従って下流のステーション、例えば図示しない巻戻し装置に向かって移動するる。加圧ローラ7は、エンボス加工ローラ5に押し付けられ、同時に、加圧ローラ6はエンボス加工ローラ4に押し付けられ、かつ、ラミネートローラ11をエンボス加工ローラ5に押し付けることでプライV1及びV2の接着が得られる。
【0036】
いくつかの実施形態では、機能性流体ディスペンサユニット13は、例えば固定された構造体2の一要素によって支持されるガイド18に沿って、二重矢印f17に従って移動し得るスライドブロック又は支持部材17に搭載される。二重矢印f17に従った動きは、適切なアクチュエータ、例えばピストン・シリンダアクチュエータ、電気モータ、又は図示しない他の適切なアクチュエータによって制御され得る。
【0037】
有利な実施形態では、電磁誘導装置19及び20は、ジュール効果によって加熱されるエンボス加工ローラ4及び5の外面に渦電流を誘導するために、少なくとも一つのエンボス加工ローラ4及び5と関連付けられている。
実際には、誘導渦電流はエンボス加工ローラ4及び5の表面で局所的に循環し、エンボス加工ローラの電気抵抗と誘導渦電流の二乗とに比例した熱を発生させる。
【0038】
図1に示すように、エンボス加工ローラ4に関連付けされた電磁誘導装置19は、好ましくは、全体の寸法に関する理由から、加圧ローラ6との接触点とニップ10との間の領域に配置される。異なる構成を有する他のエンボス・ラミネート加工装置では、電磁誘導装置は、例えば加圧ローラ6との接触点とニップ10との間で異なる位置に配置され得ることは明らかである。同様に、エンボス加工ローラ5に関連付けされた電磁誘導装置20(図1において破線で示す)は、加圧ローラ7との接触点とクリッシュローラ16との間、又は加圧ローラ7との接触点とラミネート加工ニップ12と間、又はクリッシュローラ16とニップ10との間に代わりに配置することが可能である。これらの位置の一つ以上の選択は、市場に存在するローラの異なる構成と配置を有する異なるエンボス・ラミネート加工装置に応じてなされる。
【0039】
所望の加熱を得るために、電磁誘導装置に向かって適切な電流を流すことができる各発電機又はインバータ23及び24が、各電磁誘導装置19及び20に関連付けされている。本発明の好ましい構成では、エンボス加工ローラ4及び5の表面における所望の温度、即ち動作温度を調節するために、閉ループ制御システムが構成される。前記制御システムは、熱電対、パイロメータ、熱カメラ又は別の適切な装置のような任意のタイプの少なくとも一つの温度センサ21及び22を備え、各ローラ、エンボス加工装置4及び5と関連され、制御ユニット25に接続され、制御ユニット25は、以下にさらに詳細に説明するように適切な制御アルゴリズムに基づいて、エンボス加工ローラ4及び5の外面における所望の温度を安定化するようインバータ23及び24を制御する。前記制御装置は、PLC、産業用コンピュータ、マイクロプロセッサ、コンピュータネットワーク、又は他同様の既知の装置とすることができる。
【0040】
発電機23,24は、インバータであり得、これらのインバータは、電磁誘導装置19及び20がこのインバータの出力で形成する電気回路の共振周波数とほぼ同じ特定の動作周波数で動作する。
【0041】
誘導装置が関連付けされたエンボス加工ローラの動作温度の調節は、以下のように行われ得る。誘導装置は、最大電力を供給するように調整されている。この電力は、所望の動作温度(又はその直ぐ下の温度、例えば、その温度の少なくとも3/4)に達するまで維持される。その後、温度を一定に保つため、即ち紙に吸収される熱を調整し補償するために、(誘導装置及びユニット25に関連付けされた)PID(比例積分微分)制御装置が起動される。所望の目標温度に到達した後、PID制御装置を動作させることで、(加熱開始からPID制御装置を動作させる場合よりも)加熱時間を短縮することができる。実際には、PID制御装置は、センサが検出した温度から「目標」温度(動作温度)を引いた値がゼロ又はゼロに近くなるように、誘導装置の電力を調節する。本発明の目的から逸脱することなく、前記調節方法とは異なる他の種類の温度調節が可能であることは理解される。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、加熱ステップの間、即ち、エンボス加工ローラ4及び5を室温から動作温度まで持っていくために、エンボス加工ローラは低速で回転している状態に維持される。このステップでは、エンボス加工ローラは、ペーパプライが巻きついている時と、ペーパプライが完全に解放された時の両方で加熱され得る。最初のケースでは、加圧ローラは、好ましくは開いており、即ち、エンボス加工ローラと接触してなく、エンボス加圧ローラが、それに巻かれた紙に擦れながら回転することを可能にしている。この場合、下流側のステーションに向けて紙が送られないため、大量の紙を廃棄することを避けることができる。
【0043】
図2及び図3に模式的に示すように、誘導装置19及び20は、エンボス加工ローラ4及び5の軸線4X及び5Xにほぼ平行に配置された、銅又は他の適当な材料のような導電材料から成る単一コイル26を有し得る。他の構成では、誘導装置19及び20は、複数のコイルを有し得る。
【0044】
一実施形態では、導電材料から成るコイル26は、コイル26をエンボス加工ローラ4及び5の外面に向かって又は外面から離れるように移動することができるように動くフレーム27によって支持され得る。好ましい実施形態では、フレーム27は、ピボット29を中心に矢印f29に従って旋回する。フレーム27のエンボス加工ローラに向かう、又はエンボス加工ローラから離れる旋回運動は、フレーム27の端部27Aに接続されたアクチュエータ28を介して得ることができる。アクチュエータ28は、制御部25に接続された不図示の電磁弁によって制御される空気圧ピストンであり得る。この場合、ピストンのロッドを伸縮させることにより、誘導装置19は、エンボス加工ローラ4及び5の外面から離れるように及び前記外面に向かうように動かされ得る。他の実施形態では、アクチュエータ28は、電気モータとすることができる。
【0045】
上述したものと同等のフレーム27の移動のための他の代替的な実施形態が製造され得る。例えば、フレーム27を、ガイド上を摺動するスライドブロックに取り付け、空気圧ピストンや電動モータのようなアクチュエータを介してフレーム27をエンボス加工ローラ4及び5に向かうように、及びそれらから離れるように動かすことができる。
【0046】
コイル26の位置は、好ましくは、少なくとも、コイル26が動作位置にあり、コイル26を形成する二つの導体ブランチの一方が他方よりもエンボス加工ローラ4及び5に近づくことを防止するようにしている時に、エンボス加工ローラ4及び5に対して半径方向に対称である。場合によっては、コイル26の二つの導体ブランチは、動作位置とは異なる位置でも半径方向に対称なままである。
【0047】
図4の場合のような特に有利な実施形態では、フレーム27のコイル26を支持する部分は、電磁束をより効率的にローラの外面に向けるように適合された電磁波束集束部材27Aによって形成することが可能である。好ましくは、電磁波束集束部材27Aは、コイル26を完全に囲むが、エンボス加工ローラ4及び5に面する側を空けておくE字型である。これにより、電磁波の漏れが少なくなり、電磁波がエンボス加工ローラ4及び5の外面に集中するため、同じ加熱でも誘導装置の供給電流を小さくすることができる。電磁波束集束部材27Aは、フェライト製、又は非導電性の強磁性体積層体のパックで形成することができ、その高い透磁率により、エンボス加工ローラ4及び5に面したコイルの自由面側に電磁界線を向けることができる。また、電磁波束集束部材は、例えば、矩形やC型、又は他の形状を有することも可能である。図4は、コイル26と、好ましい実施形態ではその全長に渡ってコイルの周りに巻かれる電磁波束集束部材27Aとの一部のみを示している。
【0048】
本発明の好ましい変形例では、エンボス・ラミネート加工装置1には、紙の破断及びエンボス加工ローラ4及び5上のプライV1及びV2のあらゆる蓄積を検出する不図示の一つ又は複数のセンサが設けられ得る。ビデオカメラ、高速度ビデオカメラ、ビューイングビデオカメラ、フォトセル、フォトセルアレイ、又はレーザーセンサ等が、この目的のために使用され得る。加圧ローラ6及び7がそれぞれのエンボス加工ローラ4及び5に隣接している場合、空気圧ピストンによってピストンの圧力ピークを検出し、プライV1又はV2の蓄積信号が生成され得る。言い換えれば、エンボス加工ローラ4及び5の周囲にプライVI又はV2が集積することで、加圧ローラ6及び7並びにエンボス加工ローラ4及び5によって及ぼされる圧力が増加する。紙の破損を検出するセンサが、それらが接続されている制御ユニット25に向けて蓄積信号を発生すると、制御ユニット25は、直ちにエンボス加工ローラ4及び5から離れるようにフレーム27の動作を制御し、エンボス加工ローラと誘導装置の両方の損傷を防ぎ、装置を緊急モードにする。
【0049】
特に有利な実施形態では、表面温度をできるだけ均一にするために、各エンボス加工シリンダに二つ以上の誘導装置を使用することができる。この場合、誘導装置は、一つ又は複数の温度センサによって検出されたエンボス加工ローラ4及び5の外面温度に応じて、中央制御ユニット25によって制御される同一のインバータによって、又はそれぞれのインバータによって給電され得る。
【0050】
誘導装置19は、公知の装置で冷却され得る。例えば、誘導装置19の内部に冷却水を流すことができ、この場合、誘導装置19は、銅パイプや他の導電性材料で作ることができる。
【0051】
動作ステップでは、導電材料から成るコイル26には、交流電流I1及びI2が供給され、前記コイル26はエンボス加工ローラ4及び5の外面から距離dだけ離れた動作範囲に配置される。これにより、エンボス加工ローラ4及び5の最外周部を貫く時間的に変化する磁界Bが発生し、先に説明したように、ジュール効果によりエンボス加工ローラ4及び5を加熱する渦電流Ipが誘起される。距離dはギャップを調整し、磁束を最適化するために可変であり得、1mmから8mmまでとすることができる。
【0052】
場合によっては、単一のエンボス加工シリンダに関して二つ以上の温度センサが使用され得、さらに一般的には、異なるタイプの二つ以上の温度センサ、例えば、一つ以上の熱電対、パイロメータ及び/又はサーモグラフィが、各エンボス加工シリンダに使用され得る。一般に、センサはエンボス加工ローラ4及び5の外側に配置されるが、場合によっては、これらのセンサをシリンダ内部に挿入することもできる。例えば、エンボス加工ローラ4及び5の内部に複数の熱電対を異なる深さで配置し、ローラの温度を半径方向、即ちローラ内部方向に沿って監視することができる。
【0053】
サーモグラフィの使用は、エンボス加工ローラ4及び5の表面の温度分布の概要をより完全に把握することができるため、他のセンサに比べて好ましい。例えば、エンボス加工突起は、エンボス加工ローラの底面に対してより高い温度であってもよく、又はその逆であってもよく、従って、インバータ23及び24から誘導装置19及び20に供給される電磁誘導電流I1及びI2の周波数は、変更され、一般に、好適に制御される必要がある。時間的に変化する磁場によって発生するエンボス加工ローラ4及び5の外面に誘起される渦電流は、誘導装置19及び20の磁化周波数に応じたローラ内への侵入深さを有する。
【0054】
実際には、公知のように、誘導渦電流は以下の式で計算される。
【0055】
有利な実施形態では、エンボス加工ローラ4及び5の外面の温度プロファイルが検出され得、エンボス加工突起4P及び5Pと底面4F及び5Fとの間の任意の温度差、及びローラの外面とエンボス加工ローラ4及び5の最内部との間の任意の温度異常を強調することが可能である。この場合、中央制御ユニット25は、インバータ23及び24を制御して、電磁誘導電流I1及びI2の周波数及び/又は強度を変更し、最適な温度プロファイル、即ちエンボス加工ローラの外面のみが所望の温度となるような温度プロファイルを得ることが可能である。有利には、動作周波数は、500Hz~100kHz、好ましくは1kHz~100kHz、さらに好ましくは5kHz~100kHz、より好ましくは10kHz~60KHz、即ち、誘導渦電流Isがエンボス加工突起4P及び5P上にほとんど閉じ込められる周波数の範囲とすることが可能である。
【0056】
図5Aに示すように、誘導装置19に1000Hz程度の動作周波数で電磁誘導電流I1及び12を供給することにより、エンボス加工突起4P及び5Pの一方の外面SEに重点的に沿う電力密度分布を得ることができる。言い換えれば、外面SEを起点として測定されるエンボス加工ローラ4及び5の厚みSは、電力密度の最大値の少なくとも4分の3に等しい電力密度の最小値を含むものである。厚さSは、10分の1ミリから10分の5ミリまで変化させることができる。図5Aの場合、厚さは、0.4mmに等しく、電力密度の最大値の約5分の3に相当する最小電力密度を含んでいる。
【0057】
図5Bは、誘導装置19に10000Hz程度の動作周波数で電磁誘導電流I1及びI2を供給する実施例を示している。この場合、渦電流、ひいては電力密度分布は、殆どが外面SE、ひいてはそのプロファイルに追従する。この場合、0.1mm程度の厚みS内では、電力密度の最小値は電力密度の最大値の1/3に等しくなる。
【0058】
言い換えれば、例えば500Hz以上、より好ましくは5kHz以上の周波数を用いると、少なくとも50%以上の電流密度を厚さ0.5mm以内に閉じ込めることができる。周波数を上げることで、0.4mm以下の厚みで60%、又は70%以上閉じ込めることが可能である。
【0059】
二つの図示実施例は、誘導された渦電流Isが好ましくはエンボス加工ローラ4及び5の外面SEの近傍でどのように循環しなければならないかを示す例に関するものである。言い換えれば、それらはローラエンボス加工装置4及び5の最外周部の限られた厚さSにほとんど閉じ込めなければならない。有利には、電力密度分布は、エンボス加工突起4P、5Pだけでなく、底面、即ち、各エンボス加工突起4P、5Pを分離するローラの外面に誘導渦電流Isが広く行き渡っていると考えることができるような分布である。
【0060】
エンボスパターン、即ちエンボス加工突起4P及び5Pのサイズ、形状及び分布にも応じエル他の実施形態では、エンボス・ラミネート加工装置1は、エンボス加工突起4P及び5Pを底面4F及び5Fに対して高い温度に保つように調節され得る。有利には、制御ユニット25は、加熱に必要なエネルギを低減し、エンボス加工ローラ4及び5の外面の急速な冷却を得るために、非常に小さな表面厚さSのみを所望の温度に保つようにインバータ23及び24を制御する。
【0061】
エンボス加工装置は、誘導装置19及び20が関連付けされたエンボス加工ローラ4及び5のための冷却システム30(例えば、図1に示される)を有し得る。この冷却システム30は、作業者が高温のエンボス加工ローラに近接して作業する必要がある場合、装置停止中に加熱されたエンボス加工ローラを冷却するように構成される。装置へのアクセスは、ローラが全て停止し、ブレーキがかかっており、かつ、熱いローラの場合は、所定の温度を超えていないという安全な条件下でのみ許可される。
【0062】
冷却システム30は、冷却されるべきエンボス加工ローラに向かって冷却空気を放出するための装置を有し得、これは、例えば、エアブレードタイプの冷却装置(即ち、細長いスロットを有するノズルを備えたディストリビュータであって、好ましくは冷却されるべきエンボス加工ローラの軸方向長さに少なくとも等しい細長い、即ち線形の放出前面を有する空気流を放出するディストリビュータ)、又は「ランク-ヒルシュ渦管」の名称でも知られている渦管タイプの冷却装置で構成される。
【0063】
これとは異なり、エンボス加工装置を生産上の必要性から停止させる必要があり、従って、エンボス加工ローラの近傍で作業者の操作が必要な故障、誤動作、メンテナンス等のためではない場合、エンボス加工ローラの加熱の低下を防ぐ必要があり、従って、誘導装置は、一つローラ(又は複数のローラ)を加熱する動作状態に維持される。完全に停止させると、誘導加熱装置に面した部分だけが加熱されることになり、明らかに不均一に膨張し、許容されない局部的な過熱が生じることになる。この不均一な加熱の不具合は、エンボス加工装置の運転が再開されるとローラのバランスを崩して振動を発生させ、その結果、用紙へのエンボス加工品質が低下したり、ローラが均一に加熱されるまでラインを低速で運転しなければならないため、故障や生産量の低下のリスクがある。従って、エンボス加工装置が直ぐに再稼働するような停止時には、一つのエンボス加工ローラ(又は両方のエンボス加工ローラ)を所望の温度に均一に加熱しておく必要がある。そのためには、ラインが停止した状態では、紙による吸収によって熱量が差し引かれなくなるため、まず一つの誘導装置(又は複数の誘導装置)の供給電流の電力を下げる必要がある。次に、一つのエンボス加工ローラ(又は複数のエンボス加工ローラ)は、誘導装置がローラを均一に加熱し続けることができるように回転し続けなければならない。紙が破れることなくエンボス加工ローラの回転を維持するために、各加圧ローラを適切な量だけ遠ざけ、必要に応じて加圧及びエンボス加工ローラ周りの紙の引っ張りを少し緩めなければならない。これにより、エンボス加工ローラは、その周りに紙が巻かれたまま超低速で回転することができる。紙とローラの摩擦は非常に小さく、プライの破損などの問題は生じない。実用的には、この手順によって、紙プライを、破れることなくエンボスのローラ外周に擦らせることができる。当然ながら、図面に示す例のように、エンボス加工ローラと加圧ローラが複数ある場合には、このロジックはすべてのローラに適用される。
【0064】
要約すると、エンボス加工装置が停止した状態で、
1)加圧ローラ(加圧及び任意にラミネートの両方)をエンボス加工ローラから遠ざけ、エンボス加工ローラから紙を離し、紙のテンション/引っ張りを低減し、
2)誘導によって加熱されたエンボス加工ローラを低速で回転させたまま維持し、
3)誘導装置に、温度をほぼ一定かつ動作温度と同じか僅かに低く、例えば動作温度の3/4に維持するか、又は、いずれにしても動作温度、即ち、(エンボス加工の種類に応じて設定可能な)エンボス加工温度に近い所定の温度範囲内に維持するような電力を供給する。
例えば、動作温度の値をHとすると、H+l/4×H及びH-l/4×Hに相当する温度の間の範囲となる。
【0065】
エンボス加工ローラの低速回転は、エンボス加工ステップ中のローラの動作速度の10分の1に等しい値よりも低い速度、より好ましくは動作速度の20分の1に等しい値よりも低い速度、さらに好ましくは1m/分~10m/分の範囲のエンボス加工ローラの接線速度を意味し得る。
【0066】
同様に、加熱されたエンボス加工ローラを冷却する必要がある場合、
1)加圧ローラ(プレスと任意にラミネートの両方)をエンボス加工ローラから遠ざけ、エンボス加工ローラから用紙を離し、用紙のテンション/引っ張りを低減し、
2)エンボス加工ローラを低速回転で維持し、
3)誘導装置をオフにする。
このように、エンボス加工ローラの低速回転により、その外面全体を徐々に繰り返し冷却システム30に接触させ、冷却時間を短縮し、ローラ表面全体への均一な冷却を得ることを可能にする。
【0067】
従って、エンボス加工装置は、エンボス加工ローラ、加圧ローラ及び/又はラミネート加工ローラを互いに離間させ、エンボス加工ローラを低速で回転させることができる装置停止手段を備えている。これらの手段は、既知のタイプであり、詳細には説明されず、例えば、エンボス加工ローラの軸と加圧ローラの軸及び/又はラミネート装置の軸の相対移動機構又は装置を有し、ローラ間に圧力がない、又は限られた圧力しかないようにするものである。エンボス加工ローラの冷却装置は、これらの手段と関連付けられ得、また、低速で回転するエンボス加工ローラに面して誘導装置を動作させるためのプログラムに関連付けられ得る。
【0068】
同様に、一つ又は複数のエンボス加工ローラを室温から動作温度まで加熱する必要がある場合、
1)エンボス加工ローラを低速で回転させ、
2)誘導装置に電力を供給する。
このステップでは、紙プライをエンボス加工ローラに巻き付ける場合と巻き付けない場合がある。紙がその周りに巻かれている場合、加圧ローラは、好ましくは開いたまま、即ち、加熱されているエンボス加工ローラと接触していない状態に保たれる。
【0069】
上述した実施形態は、本発明の非限定的な実施例として取り上げられたエンボス・ラミネート加工装置の一種に関するものである。実際、当業者は、本発明の原理、概念及び教示から逸脱することなく、エンボス加工ローラの数、それらの配置、及び当然ながら紙プライに対して実施する処理の種類が異なり得る多くの異なるタイプのエンボス・ラミネート加工装置が存在することを知っている。例えば、本発明は、一つのエンボス加工ローラのみを備え、従って、プライ接着装置を必要としないエンボス加工装置にも適用可能である。
【0070】
本発明の実施の形態の幾つかの実施例を、図面を参照して詳述した。当業者であれば、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の原理、概念及び教示から逸脱することなく、多くの変更、変形、追加及び省略が可能であることを理解するであろう。従って、本発明の範囲は、純粋に添付の特許請求の範囲の最も広い解釈に基づいて決定されなければならず、そこにはこれらの変更、変形、追加、省略が含まれる。用語「備える」「有する」及びその派生語は、請求項に具体的に示された構成要素以外の別の構成要素又はステップの存在を排除するものではない。請求項の構成要素、手段又は特徴の前にある定冠詞「a」又は「an」は、これらの構成要素、手段又は特徴が複数存在することを排除するものではない。装置の請求項が複数の「手段」を挙げている場合、これらの「手段」の一部又は全部は、単一の部品、部材又は構造によって実施することができる。所定の構成要素、特徴又は手段を別個の従属請求項に記載することは、当該構成要素、特徴又は手段が互いに組み合わされる可能性を排除するものではない。方法の請求項が一連のステップを記載している場合、これらのステップが記載されている順序は拘束力を持たず、特定の順序が拘束力を持つものとして示されていなければ、変更することができる。添付の特許請求の範囲における任意の符号は、説明及び図面を参照して特許請求の範囲を読みやすくするために付されているものであり、特許請求の範囲によって表される保護の範囲を制限するものではない。
図1
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】