(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】流体力学的集束装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20230516BHJP
G01N 21/05 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
G01N15/14 A
G01N21/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542973
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 IB2020061305
(87)【国際公開番号】W WO2021144635
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513134993
【氏名又は名称】フォス アナリティカル アグシャセルスガーッブ
【氏名又は名称原語表記】FOSS ANALYTICAL A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ビスガード,クリスター ゾフマン
(72)【発明者】
【氏名】ブラスク,アンダース
(72)【発明者】
【氏名】テンボリー,ミゲル キャロ
【テーマコード(参考)】
2G057
【Fターム(参考)】
2G057AB04
2G057AD01
2G057BA05
2G057BD01
2G057BD04
2G057BD08
2G057CA07
2G057DB01
2G057DB05
2G057DC07
(57)【要約】
好ましくはマイクロ流体装置として実現される流体力学的集束装置は、第1の流路(4)と、より小さい第2の流路(8)と、第1の流路(4)と第2の流路(8)との間に直列に接続された包囲領域(12)と、本体(16)と、包囲領域(12)を画定する、好ましくは傾斜した壁(20)から包囲領域(12)内に延在するサンプル流体入口(18)とを備える煙突(14)と、を備える。本体(16)およびサンプル流体入口(18)は、それぞれ、第1の流路(4)に面する前縁(28)と、後縁(32)に向かって比較的先細状とされる対向する長縁(30a、30b)とを有する細長い、好ましくは涙滴形状の外形を有して形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流路(4)と、前記第1の流路(4)の断面よりも小さい断面を有して寸法決めされた第2の流路(8)と、前記第1の流路(4)と前記第2の流路(8)との間に直列に接続された包囲領域(12)と、本体(16)およびサンプル流体入口(18)を備える煙突(14)であって、前記本体(16)が、前記包囲領域(12)の壁(20)から前記包囲領域(12)内に延在し、前記包囲領域(12)よりも小さい横方向(X、Y)および縦方向(Z)寸法を有する、煙突と、を備え、前記本体(16)および前記サンプル流体入口(18)が、それぞれ、前記第1の流路(4)に面する前縁(28)、対向する後縁(32)、および前記前縁(28)と前記後縁(32)とを接続し、前記後縁(32)に向かって相対的に先細状とされる長縁(30a、30b)を有する細長外形を有して形成される、流体力学的集束装置(2)。
【請求項2】
前記本体(16)および前記サンプル流体入口(18)の双方の前記細長外形が涙滴形状である、請求項1に記載の流体力学的集束装置(2)。
【請求項3】
前記涙滴形状が対称的な涙滴形状である、請求項2に記載の流体力学的集束装置(2)。
【請求項4】
前記本体(16)が、約30度以下の後縁角度(θ)を有して形成される、請求項1に記載の流体力学的集束装置(2)。
【請求項5】
前記本体(16)が延在する前記壁(20)が、シースされて流体力学的に集束されたサンプル流体の流れ(10)の形態に影響を及ぼすために前記包囲領域(12)内のシース流体の上向きの流れを生成するように選択された前記煙突(14)に対する位置において始まる傾斜を有して前記第2の流路(8)に向かって傾斜している、請求項1に記載の流体力学的集束装置(2)。
【請求項6】
前記本体(16)が延在する前記壁(20)の前記傾斜が、前記前縁(28)のすぐ上流の前記第1の流路(4)の高さ(h)の約3倍、特に約1.5倍以内である前記前縁(28)の中心(C)からの距離において始まる、請求項5に記載の流体力学的集束装置(2)。
【請求項7】
前記本体(16)が延在する前記壁(20)の前記傾斜が、前記前縁(28)の前記中心(C)から始まる、請求項6に記載の流体力学的集束装置(2)。
【請求項8】
前記本体(16)が延在する前記壁(20)の前記傾斜が、前記煙突(14)の上流から始まる、請求項5または6に記載の流体力学的集束装置。
【請求項9】
前記第1の流路(4)、前記第2の流路(8)、前記包囲領域(12)および前記煙突(14)が、前記第2の流路(8)の測定領域(38)の下方の基板内の位置にレンズ(40)も形成される前記基板(42)の一部として形成され、前記レンズ(40)が、前記基板(42)の光学的に透明な材料部分(44)を通して前記測定領域(38)に光学的に結合される、請求項1に記載の流体力学的集束装置(2)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の流体力学的集束装置(2)を使用してサンプル流体を流体力学的に集束させる方法であって、(i)前記第1の流路(4)を通してシース流体(6)を前記包囲領域(12)に流すことと、(ii)サンプル流体(26)が前記煙突を出るときに前記シース流体(6)によって流体力学的に集束されるように、前記サンプル流体(26)を前記包囲領域(12)に位置する前記煙突(14)の前記サンプル流体入口(18)の前記端部(22)を通して前記包囲領域(12)に導入することと、(ii)前記シースされて流体力学的に集束されたサンプル流体(10)を前記包囲領域(12)から前記第2の流路(8)に流すことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体力学的集束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流動するサンプル流体中の単一粒子を分析、分類、またはその他の方法で処理する必要性は、サンプル流体が正確で均一な流れに集束される必要があることが多い。そのような集束は、通常、シース流体を使用することによってサンプル流体を取り囲み、空間的に圧縮して非常に薄く正確に空間的に配置されたストリームにすることによって達成される。流体力学的集束装置は、通常、包囲領域を含む第1のチャネルと、通常はサンプル流体の測定が行われるチャネルである第2のチャネルとの2つの主要構成要素からなる。シース流体は、包囲領域のサンプル流体入口を介してシース流体に導入される第2のサンプル流体の流れを包囲して集束させることを目的とする第1チャネルに流される。この第2のサンプル流体は、通常、測定対象の人工粒子または生物学的粒子を含んでいる。
【0003】
シース流体の体積流量は、サンプル流体の体積流量よりも大きく、通常は30倍である。シース流体の流れは、第1のチャネルに導入され、サンプル流体の流れを第2のチャネルに集束させるために使用される。第2のチャネルは、第1のチャネルに比べてより小さい断面を有し、通常は0.2×0.2mmの領域にある。これは、レーザーまたはその他の既知の測定モダリティが、第2のチャネルの測定領域において、単一のファイル内のサンプル液体に流れているサンプル粒子を調べることを可能にする。
【0004】
サンプル流体の効果的な集束を達成するために、サンプル流体の流れの入口を、流れるシース流体によってサンプル流体が完全に包囲されるように配置することが重要である。この問題を解決する古典的な方法は、第1のチャネルの包囲領域においてシース流体の流れと同軸に配置されたニードル入口を介してサンプル流体の流れを導入することである。しかしながら、この方法は、ニードルの寸法によっては目詰まりを起こしやすい場合がある。また、機械部品間の非常に正確な位置合わせも必要である。さらに、経済的な観点から、射出成形、積層造形、またはリソグラフィなどの製造方法を使用して、そのような装置を製造することが望ましい。しかしながら、サンプル流体入口がシース流体の流れによって完全に取り囲まれることを可能にする前述の方法を用いて形状を生成することは非常に困難である。
【0005】
従来の方法に関連する問題に対処する流体力学的集束装置は、欧州特許第1281059号明細書に記載されている。この流体力学的集束装置は、煙突からのサンプル流体の「プルーム」がシース流体が流れると、第2のチャネルに向かって下流に移動するように、シース流体の流れ方向に垂直な第1のチャネルの包囲領域に突出するサンプル流体用のスタブ、または「煙突」入口を採用している。
【0006】
煙突設計を使用する利点は、設計が負のスリップ角を有しない、すなわち張り出した構造を有しないため、主に製造に関連している。これは、射出成形、積層造形、リソグラフィなど、費用対効果の高い多数の製造技術を可能にする。しかしながら、煙突自体がシースの流れに重大な乱れをもたらす。これは、ひいては、測定領域において集束したサンプル流体の形状に悪影響を及ぼす。乱れの主な原因は、煙突の下流での後流効果である。後流領域の流れ条件は、入口煙突からのプルームを広げたり歪めたりする傾向があり、これは、サンプル流体速度、測定レーザー照度、および光学焦点の違いにより、測定品質に悪影響を及ぼす。
【0007】
米国特許第9784644号明細書に開示されている別の流体力学的集束装置が開発されている。この装置は、基本的に、欧州特許第1281059号明細書に記載された装置の煙突を、サンプル流体入口が形成される特定の形状の島に置き換える。島は、既知の煙突に関連する後流効果が減少するように成形される。装置は、一般に、シース液を運ぶための第1のチャネルが形成されたマイクロ流体チップと、包囲領域を形成するために第1のチャネルと一列に並んだダイヤモンド形のチャンバと、チャンバ内に突出し、チャンバと同心円状に配置された中央のダイヤモンド形の島であって、シース流体がチャネルからチャンバを通って島の側面の周りおよび島の上面を流れるように、チャンバよりも小さい横方向および縦方向の寸法を有する島と、その上面において終端する島を通るサンプル流体入口と、チャンバからシース流体と、封入されて集束されたサンプル液体とを受け取り、第1のチャネルよりも小さい断面を有する第2のチャネルとを備える。したがって、サンプル流体入口を介してマイクロ流体装置に導入されるいかなるサンプル流体も、島の上面に沿って下流に運ばれ、サンプル流体の下方にバリアを形成し、シース流体によって横方向に閉じ込められる。サンプル流体が島の上面から水平に流れると、島の周りを流れたシース流体の一部がサンプル流体を下方から拘束し、サンプル流体は、流体力学的に集束される。
【0008】
しかしながら、流れの状態によっては、サンプル流体の流れが島の表面ににじみ出て、予測できない方法で歪む可能性があるというリスクがある。さらに、サンプル流体中の粒子が島の表面において捕捉される可能性があり、これもサンプル流体の予測不可能な流動特性につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、第1の流路と、第1の流路の断面よりも小さい断面を有する寸法の第2の流路と、第1の流路と第2の流路との間に直列に接続された包囲領域と、本体およびサンプル流体入口を備える煙突であって、本体が包囲領域の壁から包囲領域内に延在し、包囲領域よりも小さい横方向および縦方向の寸法を有する煙突と、を備え、本体およびサンプル流体入口が、それぞれ、第1の流路に面する前縁と、互いに対向し、後縁に向かって相対的に先細状とされる長縁とを有する細長外形を有して形成される、流体力学的集束装置が提供される。
【0010】
煙突のより流体力学的に効率的な形状は、いかなる後流効果も抑制されることができるという利点を有する。いくつかの実施形態では、煙突は、約30°以下の後縁角度(煙突の後縁におけるその長縁に対する接線の間に形成される角度である)を有して構築される。この構造により、後流効果が本質的に取り除かれるか、または少なくとも測定可能に低減されることを見出した。
【0011】
包囲領域を通る流体の流れの方向における煙突本体の範囲は、サンプル流体の支持として機能するには不十分であるため、サンプル流体の汚れおよび粒子の捕捉が回避されることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、煙突が延在する床は、第2の流路に向かって傾斜しており、その傾斜は、上向きのシース流が包囲されたサンプル流体の形態に影響を及ぼすように選択された前縁の中心からの距離(上流または下流)で始まる。この距離は、通常、前縁のすぐ上流の位置における第1の流路の高さの1.5倍以内、いくつかの実施形態ではゼロ倍である。これは、流体力学的に集束されたサンプル流体の形態がより簡単に適合されることができるという利点を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の流路、第2の流路、および包囲領域は、マイクロ流体チップの基板などの基板の一部として形成され、第2の流路の測定領域の下方の基板内の位置にレンズも形成され、レンズは、基板の光学的に透明な材料部分を介して測定領域に光学的に結合される。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様にかかる流体力学的集束装置を使用してサンプル流体を流体力学的に集束する方法であって、(i)第1の流路を通してシース流体を包囲領域に流すことと、(ii)サンプル流体が煙突を出るときにシース流体によって流体力学的に集束されるように、サンプル流体を煙突のサンプル流体入口を通して包囲領域に導入することと、(ii)シースされて流体力学的に集束されたサンプル流体を包囲領域から第2の流路に流すことと、を含む、方法が提供される。
【0015】
特に明記しない限り、方向および寸法は、記載されているチャネルまたは他の特徴、およびそれらのチャネルまたはそれらの他の特徴内の流れに関して本明細書で言及される。したがって、「軸方向」、「流れ方向」、または「上流/下流」は、チャネルまたは他の特徴を通る流体の流れとほぼ平行または一列に並ぶ方向を指す。「底部」または「床」という用語は、チャネルの壁、または使用時に、そのチャンバまたは特徴の最も低い内面であることを意図した他の特徴(例えば、チップ基板に形成される)を指す。同様に、「上部」または「天井」は、チャネルの壁、または使用時に、そのチャンバまたは特徴の最も高い内面であることを意図した他の特徴(例えば、チップ基板上に適用された層によって形成されるバリア)を指す。「上方」という用語は、チャネルまたは他の特徴の床から一般に離れる方向を指す。同様に、「横方向」または「水平方向」は、一般に、チャネルまたは他の特徴の側壁(上壁または下壁ではない)に向かう、または離れる方向を指す。対応する用語は同様に解釈される。いくつかの説明では、方向または寸法は、追加的または代替的に、X、Y、およびZに関して言及される場合があり、これらは相互に直交する方向であり、XおよびY方向は、チャネルまたは他の特徴を通る流体の流れの方向に平行な平面にある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
ここで、本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【
図1】
図1は、本発明にかかる流体力学的集束装置の実施形態の平面図を示している。
【
図2】
図2は、
図1に示された流体力学的集束装置の実施形態のA-Aに沿った側面図を示している。
【
図3】
図3は、(i)後流効果がない場合、(ii)包囲領域の床の傾斜を使用してカスタマイズされた場合、および(iii)後流効果を有する場合のサンプル流体の集束パターンを示している。
【
図4】
図4は、本発明にかかる装置の煙突の特定の設計態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、
図1および
図2に示される本発明にかかる流体力学的集束装置2の例を考える。ここで、流体力学的集束装置2は、シース流体の流れ6のための第1の流路4と、シースされたサンプル流体の流れ10のための第2の流路8と、第1の流路4と第2の流路8との間に直列に接続され、ここでは第1の流路4と一体化された包囲領域12と、煙突本体16と、その中に収容されたサンプル流体入口18とを備える煙突14と、を備える。煙突本体16は、包囲領域12の壁(または床)20から包囲領域12内に延在し、包囲領域12の寸法よりも小さい横方向(「X」および「Y」)および縦方向(「Z」)寸法を有して構築される。サンプル流体入口18は、ここでは本体16の端部と一致する包囲領域12内の第1の端部22において終端し、対向する端部24においてサンプル流体の流れ26に接続する。
【0018】
煙突本体16およびサンプル流体入口18は、実質的に同心であり、第1の流路4から第2の流路8への包囲領域12を通る流体の流れの一般的な方向に平行な平面において一般に細長外形を有する煙突14をともに形成する。本実施形態の煙突14は、丸みを帯びたノーズまたは「前縁」28を備え、一般に対向する長縁30a、30bに沿って先細状とされ、より狭いテールまたは「後縁」32を形成する。
図1および
図2に示される実施形態では、煙突本体16およびサンプル流体入口18は、双方とも対称的な涙滴形状であり、床20から、包囲領域12の対向する壁34、36の間において中央に延在する。この涙滴形状は、流体力学的に特に効率的であるが、上述した一般的な形状に適合するならば、他の流体力学的に効率的な煙突14の形状が使用されてもよいことを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態では、長縁30a、30bの一方または双方は湾曲していてもよく、いくつかの実施形態では、涙滴形状は非対称である。いくつかの実施形態では、煙突本体は、第1の流路4から第2の流路8に向かうシース流体の流れ6の方向において垂直に対して角度を付けられてもよい。これは、シース流体の流れ6の方向にサンプル流体の流れ26のベクトル成分を提供し、これは、このサンプル流体の流れ26の包囲を促進する。
【0019】
シース流体の流れ6が煙突14の前縁28と合流すると、それは、前縁28によって、煙突14の長縁30aと包囲領域12の対向壁34との間の流路を流れて煙突の周りを通過する流れ6iと、煙突14の長縁30bと包囲領域12の対向壁36との間の流路を流れて煙突の周りを通過する流れ6iiと、サンプル流体入口18の第1の端部22と、煙突本体16が延在する壁20(または床)のほぼ反対側にある包囲領域12のカバー46(または天井)との間の流路を流れる流れ6iiiと、に分割される。シース流体の流れ6i、6ii、および6iiiは、煙突14の後縁32の後に再結合する。包囲領域12を通るシース流体6の同時流の間に端部22においてサンプル流体入口18を出るサンプル流体の流れ26は、後縁32の後、シース流体6によって包囲され、第2の流路8に向かう方向に、流体力学的に集束されてシースされたサンプル流体の流れ10として移動する。
【0020】
煙突14の下流でのいかなる後流効果も、サンプル流体入口18を出るサンプル流体のプルームを広げて歪ませる傾向があり、流体力学的に集束されたサンプル流体の形状に悪影響を及ぼす。これは、既知の構造の煙突について
図3(iii)に示されている。本発明のより流体力学的に効率的な煙突形状を採用することによって、この後流効果が抑制されることができる。特に、煙突14を約30°未満の後縁角度θを有して構成することにより(
図4を参照)、いかなる後流効果も、存在する場合、本質的に取り除かれることができ、
図3(i)に示すように、ほぼ円形の流体力学的に集束されたサンプル流が生成されることができる。
図4に示すように、後縁角度θは、その後縁32における煙突本体16のそれぞれの長縁30a、bに対する接線(図中の破線構造)の間に形成される角度である。双方の長縁30a、bが直線状縁である本実施形態では、接線は、これらの縁30a、bに平行である。
【0021】
有用なことに、煙突14の長縁30a、30bに部分的に対向する包囲領域12の壁34、36は、第2の流路8に対して流体力学的に集束されたサンプル流体26の位置決めを支援するために、第2の流路8に向かって先細状とされる。煙突本体16が延在する壁20はまた、この位置決めを支援するために先細状とされる、すなわち傾斜していてもよい。
【0022】
壁20の傾斜の始まりが煙突14のすぐ近くにある場合に特に有用であることが見出された(
図4を参照)。煙突本体16が延在する壁20の傾斜がこの近傍で始まるとき、後縁32の直後の上向きのシース流方向が、シースされて流体力学的に集束されたサンプル流体の形態に影響を及ぼし、煙突14の形状の選択と組み合わせて、特定の用途に適合するように流体力学的に集束されたサンプル流体の形態をより良好に調整するように使用されることができることが見出された。例えば、その場合、サンプル流体の流れ26中の粒子は、第2の流路8の測定領域38においてレーザーを使用して測定されることになる。多くの場合、レーザーからの照明は、流れ方向(「X」方向)に垂直な方向(「Y」方向)に狭い空間強度分布を有する。上述したように始まるように床20の傾斜を配置することにより、流体力学的に集束されたサンプル流体は、
図3(ii)に示されるように「Y」方向に比較的縮小された寸法を有して集束されることができる。例えば、Siemens Star(TM)CCM+またはCOMSOL Multiphysics(TM)ソフトウェアなどの適切な流体力学シミュレーション ソフトウェアを使用して、煙突14に対する傾斜の開始位置を変化させる効果が容易にモデル化されることができ、流体力学的に集束されたサンプル流体の形態に対するその効果が決定されることができる。このようにして、煙突14の前縁28の直ぐ上流の第1の流路4の高さhの約3倍未満、好ましくは約1.5倍以内、特に1倍未満である、煙突14の前縁28の中心Cからの距離において傾斜を始めることが特に有利であることが見出された。
【0023】
いくつかの実施形態では、レンズ40は、流体力学的集束装置2と一体的に設けられてもよい。レンズ40は、一次集束レンズまたは二次レンズとして使用されることができる。二次レンズは、集光を改善するためにのみ使用され、流体力学的集束装置2の外部にある一次集束レンズ(図示しない)を必要とする。一体型レンズ40を一次レンズとして使用する利点は、i)外部集束レンズのコストを節約すること、およびii)空気中の屈折をキャンセルすることによって集光を改善することを含む。一体型レンズ40を二次レンズとして使用する利点は、主レンズ設計の特徴を外部一次集束レンズに残しながら、空気中の屈折をキャンセルすることによる集光の改善である。二次レンズとして使用される際に屈折がキャンセルされるために、レンズ40は、中心が第2の流路8のほぼ中央にある半球形を有するべきである。これは、
図1および
図2に示されている。双方の用途について、光学的位置合わせに関する共通の利点がさらにある:レンズ40と第2の流路8との間の距離が恒久的に固定されるため、これは容易にされる。
【0024】
有用なことに、
図1および
図2の実施形態に示されるように、流体力学的集束装置2は、半導体チップ製造業者において使用されることが多い従来の製造技術、例えば射出成形、積層造形、マイクロマシニングまたはリソグラフィ、および適用される別のカバ-46を使用して、マイクロ流体チップの基板42上または基板内に形成されることができる。次に、レンズ40は、測定領域38の直下の基板42の一部として形成されてもよい。測定領域38とレンズ40との間の基板44の部分は、レンズ40がそれによって測定領域38の少なくとも一部に光学的に結合されるように、光学的に透明な材料を使用して製造される。
【国際調査報告】