(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】自動車用非常制動装置
(51)【国際特許分類】
B60T 17/18 20060101AFI20230516BHJP
B60T 13/138 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B60T17/18
B60T13/138 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550818
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 KR2021004247
(87)【国際公開番号】W WO2021206404
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0041983
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522333235
【氏名又は名称】ジョン,グァン ソク
(71)【出願人】
【識別番号】522333246
【氏名又は名称】ジョン,ウ ヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,グァン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウ ヨン
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
【Fターム(参考)】
3D048BB07
3D048CC57
3D048HH03
3D048HH37
3D048HH38
3D048HH42
3D048HH50
3D048HH71
3D049BB05
3D049CC02
3D049HH03
3D049HH19
3D049HH30
3D049HH39
3D049HH43
3D049HH47
3D049HH52
3D049PP02
3D049QQ04
3D049RR04
3D049RR13
(57)【要約】
本発明はブレーキパイプなどが破裂しても制動力を加えて安全事故を防止することができる自動車用非常制動装置を提供することが本発明の技術的課題である。このために、本発明の自動車用非常制動装置は、ブレーキペダルを踏む場合、ブレーキパイプを通して伝達されるメインブレーキ液の圧力によって制動される自動車に加えて、既存(メイン)ブレーキパイプの破裂などによって制動ができない場合、瞬間的に非常制動装置に自動で転換される自動車用非常制動装置であり、通常制動の際には、非常ブレーキ液を遮断して既存ブレーキ液を供給して正常制動を遂行するが、既存ブレーキパイプが破裂するか既存ブレーキ液の圧力が低下すれば、既存ブレーキパイプを遮断し、非常ブレーキパイプラインに瞬間的に自動で転換させるバルブユニットと、前記バルブユニットの作動流体として非常ブレーキ液で満たされる非常パイプと、前記非常パイプの一端部に連結され、前記非常制動の際に非常ブレーキ液を押圧する押圧部と、前記押圧部に常時圧力を提供することができる圧力供給源とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルを踏む場合、ブレーキパイプを通して伝達されるメインブレーキ液の圧力によって制動される自動車に加えて、非常制動の際に使われるようにした自動車用非常制動装置であって、
非常ブレーキ液で満たされる非常パイプと、
前記非常パイプの一端部に連結され、前記非常制動の際に前記非常ブレーキ液を押圧する押圧部と、
前記非常制動の際に前記押圧部によって前記非常ブレーキ液が押圧されれば、前記メインブレーキ液を遮断するとともに非常ブレーキ液が前記ブレーキパイプの後端に流動するようにし、そうではない通常制動の際には、非常ブレーキ液を遮断するとともにメインブレーキ液が前記ブレーキパイプの後端に流動するようにするバルブユニットと、を含む、自動車用非常制動装置。
【請求項2】
前記押圧部は、
前記非常パイプの一端部に連結され、ピストンによって押されるように非常ブレーキ液が満たされるシリンダーと、
前記ピストンの末端部に連結され、前記ピストンを押すように前記ピストンで高圧気体を供給する圧力供給源と、
前記圧力供給源の出口ラインに備えられ、前記出口ラインを開閉させる吐出バルブと、
前記ブレーキペダルに対応する位置に備えられ、前記メインブレーキ液の漏洩によって前記ブレーキペダルの間隔より深く踏まれる場合、前記ブレーキペダルによって押されながら前記吐出バルブを開放するスイッチと、を含む、請求項1に記載の自動車用非常制動装置。
【請求項3】
前記押圧部は、前記圧力供給源の出口ラインに備えられ、前記圧力供給源の出口ラインから吐き出される高圧気体の吐出圧力を減圧させる減圧バルブをさらに含む、請求項2に記載の自動車用非常制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の制動に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の制動は制動装置の制動トルクによって自動車の速度を制御することを言う。このための制動装置は、使用エネルギーによって、油圧式、空圧式、機械式制動装置などに分類することができる。
【0003】
このうち、油圧式制動装置は、ブレーキペダルの踏力を油圧に転換するマスターシリンダーと、その転換された油圧を車輪側に伝達するブレーキパイプと、その伝達された油圧でピストンを押すホイールシリンダーと、その押されたピストンによってディスク(またはドラム)に当てて制動力を発生させるブレーキパッド(またはブレーキシュー)とを含む。したがって、使用者がブレーキペダルを踏めば、その踏む力、すなわち踏力がマスターシリンダーを介して油圧に転換され、その転換された油圧がブレーキパイプを介してホイールシリンダーに伝達され、ホイールシリンダー内にあるピストンが油圧によって押されてブレーキパッド(またはブレーキシュー)をディスク(またはドラム)に密着させる方式で制動力を発生させる。
【0004】
一方、空圧式制動装置は圧縮空気を用いて制動力を得るブレーキ方式であり、大型のトラックやバスなどに使われ、ブレーキペダルを踏むときに発生する圧縮空気の圧力がブレーキパイプを介して伝達され、ブレーキパッド(またはブレーキシュー)を押してディスク(またはドラム)に密着させる方式で制動力を発生させる。
【0005】
しかし、このような自動車の制動装置は、ブレーキパイプなどが破裂する場合、その内部の油圧(または空圧)が解除されることで、ディスク(またはドラム)に制動力を加えることができなくて事故を引き起こす問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、ブレーキパイプなどが破裂しても制動力を加えて安全事故を防止することができる自動車用非常制動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の実施例による自動車用非常制動装置は、ブレーキペダルを踏む場合、ブレーキパイプを通して伝達されるメインブレーキ液の圧力によって制動される自動車に加えて、非常制動の際に使われるようにした自動車用非常制動装置であって、非常ブレーキ液で満たされる非常パイプと、前記非常パイプの一端部に連結され、前記非常制動の際に前記非常ブレーキ液を押圧する押圧部と、前記非常制動の際に前記押圧部によって前記非常ブレーキ液が押圧されれば、前記メインブレーキ液を遮断するとともに非常ブレーキ液が前記ブレーキパイプの後端に流動するようにし、そうではない通常制動の際には、非常ブレーキ液を遮断するとともにメインブレーキ液が前記ブレーキパイプの後端に流動するようにするバルブユニットとを含む。
【0008】
一例として、前記押圧部は、前記非常パイプの一端部に連結され、ピストンによって押されるように非常ブレーキ液が満たされるシリンダーと、前記ピストンの末端部に連結され、前記ピストンを押すように前記ピストンで高圧気体を供給する圧力供給源と、前記圧力供給源の出口ラインに備えられ、前記出口ラインを開閉させる吐出バルブと、前記ブレーキペダルに対応する位置に備えられ、前記メインブレーキ液の漏洩によって前記ブレーキペダルの間隔より深く踏まれる場合、前記ブレーキペダルによって押されながら前記吐出バルブを開放するスイッチとを含むことができる。
【0009】
前記押圧部は、前記圧力供給源の出口ラインに備えられ、前記圧力供給源の出口ラインから吐き出される高圧気体の吐出圧力を減圧させる減圧バルブをさらに含むことができる。
【0010】
前記押圧部は、前記ブレーキペダルが踏まれたことを感知する踏み感知センサーと、前記ブレーキパイプの内部圧力を感知する圧力感知センサーと、前記踏み感知センサーから踏み信号を受信した状態で、前記圧力感知センサーの圧力値が設定値より小さければ、警告信号を伝送して使用者が前記ブレーキペダルをもっと深く踏むように案内する警報器をさらに含むことができる。
【0011】
前記押圧部は、前記ブレーキペダルがもっと深く踏まれて前記スイッチが押されれば、前記吐出バルブを開放するバルブ制御部をさらに含むことができる。
【0012】
他の例として、前記押圧部は、前記非常パイプの一端部に連結され、ピストンによって押されるように非常ブレーキ液が満たされるシリンダーと、前記ピストンの末端部に連結され、前記ピストンを押すように前記ピストンに高圧気体を供給する圧力供給源と、前記ブレーキペダルが踏まれたことを感知する踏み感知センサーと、前記ブレーキパイプの内部圧力を感知する圧力感知センサーと、前記圧力供給源の出口ラインに備えられる吐出バルブと、前記踏み感知センサーから踏み信号を受信した状態で、前記圧力感知センサーの圧力値が設定値より小さければ、高圧気体が吐き出されるように前記吐出バルブを開放するバルブ制御部とを含むことができる。
【0013】
前記圧力供給源は高圧気体で満たされた高圧シリンダーまたは高圧タンクであってもよい。
【0014】
前記高圧気体は高圧窒素または圧縮空気であってもよい。
【0015】
前記圧力供給源は、別途の高圧圧縮機を介して前記高圧気体が再充填されるか、または大型商用車の場合、自己空圧式制動装置の圧縮空気発生器を介して前記高圧気体が再充填されることができる。
【0016】
一例として、前記バルブユニットは、前記非常パイプのうち前記ブレーキパイプと連結される部分に備えられ、前記非常ブレーキ液に対して前記非常パイプから前記ブレーキパイプへの流動のみを許すチェックバルブと、前記ブレーキパイプ上に備えられるバルブハウジングと、前記非常パイプと前記バルブハウジングとを連結し、前記非常ブレーキ液を前記バルブハウジングに案内する押圧パイプと、前記バルブハウジングの内部に移動可能に備えられ、貫通路を有し、普段には前記ブレーキパイプと前記貫通路とが連通するように配置され、前記押圧パイプによって非常ブレーキ液が流入すれば移動して前記ブレーキパイプを閉鎖するバルブボディーと、前記バルブハウジングに備えられ、前記押圧パイプに非常ブレーキ液が流入しなければ、前記貫通路が前記ブレーキパイプと連通するように前記バルブボディーを元の位置に復帰させる弾性体とを含むことができる。この場合、前記メインブレーキ液の流動方向を基準に、前記非常パイプの後端は前記バルブハウジングを過ぎて位置することができる。
【0017】
他の例として、前記バルブユニットは、前記ブレーキパイプ上に備えられ、前記非常パイプと連結されるバルブハウジングと、前記ブレーキパイプと前記バルブハウジングとを連結する押圧パイプと、前記バルブハウジングの内部に移動可能に備えられ、貫通路を有し、普段には前記ブレーキパイプと前記貫通路とが連通するように配置され、前記非常パイプによって非常ブレーキ液が流入すれば移動して前記ブレーキパイプを閉鎖するとともに前記押圧パイプを開放するバルブボディーと、前記バルブハウジングに備えられ、前記非常パイプに非常ブレーキ液が流入しなければ、前記貫通路が前記ブレーキパイプと連通するようにし、前記押圧パイプが前記バルブボディーによって閉鎖するように前記バルブボディーを元の位置に復帰させる弾性体とを含むことができる。この場合、前記メインブレーキ液の流動方向を基準に、前記押圧パイプの後端は前記バルブハウジングを過ぎて位置することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の実施例による自動車用非常制動装置は次のような効果を有することができる。
【0019】
本発明の実施例によれば、ブレーキペダルを踏む場合、ブレーキパイプを通して伝達されるメインブレーキ液の圧力によって制動される通常の自動車に加えて、非常制動の際に使われるようにした自動車用非常制動装置であって、非常パイプと、押圧部と、バルブユニットとを含む技術構成を提供するので、ブレーキパイプなどが破裂してメインブレーキ液が漏洩する状態で、押圧部によって非常ブレーキ液が供給され、バルブユニットによってメインブレーキ液が遮断されるとともに非常ブレーキ液がブレーキパイプの後端に流動することができるので、非常ブレーキ液による押圧によって自動車の非常制動を遂行することができ、メインブレーキ液が漏洩しない定常状態であれば、バルブユニットによって非常ブレーキ液が遮断されるとともにメインブレーキ液の圧力がブレーキパイプの後端に伝達されることができ、メインブレーキ液による押圧によって自動車の通常的な制動を遂行することができるので、ブレーキパイプなどが破裂しても自動車に制動力を加えて安全事故を防止することができる。
【0020】
また、本発明の実施例によれば、押圧部は、一例として、シリンダー、圧力供給源、吐出バルブ、及びスイッチを含む技術構成を提供するので、使用者がブレーキペダルを踏むとき、メインブレーキ液の漏洩によってブレーキペダルの正常間隔より深く踏まれることになり、この深く踏まれたブレーキペダルによってスイッチが押されて圧力供給源の吐出バルブが開放して圧力供給源の高圧気体が吐き出され、この吐き出される高圧気体によってピストンが押され、シリンダーの非常ブレーキ液が非常パイプの非常ブレーキ液を押圧することができる。
【0021】
また、本発明の実施例によれば、押圧部は、他の例として、シリンダー、圧力供給源、吐出バルブ、スイッチ、踏み感知センサー、圧力感知センサー、及び警報器を含む技術構成を提供するので、踏み感知センサーでブレーキペダルが踏まれたことを感知した状態で、圧力感知センサーでブレーキパイプの内部圧力を感知し、圧力感知センサーの圧力値が設定値より小さければ、メインブレーキ液が漏洩していると判断し、警報器を介して警告信号を伝送することで、使用者がブレーキペダルをもっと深く踏むように案内することができ、使用者がこの警告信号に応じてブレーキペダルをもっと深く踏むとき、メインブレーキ液の漏洩によってブレーキペダルの正常間隔より深く踏まれ、この深く踏まれたブレーキペダルによってスイッチが押されることで、吐出バルブを開放して圧力供給源の高圧気体が吐き出され、この吐き出される高圧気体によってピストンが押されることにより、シリンダーの非常ブレーキ液が非常パイプの非常ブレーキ液を押圧することができる。
【0022】
また、本発明の実施例によれば、上述した一例または他の例の押圧部は減圧バルブをさらに含む技術構成を提供するので、吐出バルブが開放して圧力供給源から高圧気体が吐き出されるとき、減圧バルブを経ながら設定圧力に減圧した状態で吐き出されることができる。ここで、設定圧力は自動車の重量などによって設定可能である。例えば、自動車の重量が大きくなるほど所要圧力が大きくなるので、この所要圧力に比例するように設定圧力を決定することができる。
【0023】
また、本発明の実施例によれば、上述した一例または他の例の押圧部は、バルブ制御部をさらに含む技術構成を提供するので、ブレーキペダルがもっと深く踏まれてスイッチが押される場合、スイッチの信号を受信して吐出バルブが開放するように制御することができる。ここで、吐出バルブとしては、制御信号に応じてオン/オフされるソレノイドバルブなどを使うことができる。
【0024】
また、本発明の実施例によれば、押圧部は、さらに他の例として、シリンダー、圧力供給源、踏み感知センサー、圧力感知センサー、吐出バルブ、及びバルブ制御部を含む技術構成を提供するので、踏み感知センサーでブレーキペダルが踏まれたことを感知した状態で、圧力感知センサーでブレーキパイプの内部圧力を感知し、圧力感知センサーの圧力値が設定値より小さければ、メインブレーキ液が漏洩していると判断し、バルブ制御部によって吐出バルブが開放して高圧気体が吐き出され、この吐き出される高圧気体によってピストンが押され、シリンダーの非常ブレーキ液が非常パイプの非常ブレーキ液を押圧することができる。
【0025】
また、本発明の実施例によれば、バルブユニットは、一例として、チェックバルブ、バルブハウジング、押圧パイプ、バルブボディー、及び弾性体を含む技術構成を提供するので、メインブレーキ液の漏洩がなく、通常的な制動が可能な普段には押圧部が動作しなくてバルブボディーが弾性体の復元力によって元の位置に復帰してバルブボディーの貫通路がブレーキパイプと連通し、さらに使用者がブレーキペダルを踏む場合、ブレーキパイプのメインブレーキ液が、チェックバルブの遮断によって非常パイプに流動せず、ブレーキパイプの後端に向けて通常的な制動のための圧力をかけることができ、メインブレーキ液の漏洩によって非常制動が遂行される場合、押圧部によって押圧される非常ブレーキ液が非常パイプ及びチェックバルブを経てブレーキパイプの後端に向けて非常制動のための圧力をかけることができ、さらに、非常ブレーキ液の一部が非常パイプ及び押圧パイプを経てバルブハウジングに流入しながらバルブボディーを押し上げることにより、非常ブレーキ液がブレーキパイプの前端に向かって逆流しないようにブレーキパイプを閉鎖することができる。
【0026】
また、本発明の実施例によれば、バルブユニットは、他の例として、バルブハウジング、押圧パイプ、バルブボディー、及び弾性体を含む技術構成を提供するので、メインブレーキ液の漏洩がなく、通常的な制動が可能な普段には押圧部が動作しないので、バルブボディーが弾性体の復元力によって元の位置に復帰してバルブボディーの貫通路がブレーキパイプと連通し、さらに使用者がブレーキペダルを踏む場合、ブレーキパイプのメインブレーキ液が、バルブボディーの遮断によって非常パイプに流動せず、ブレーキパイプの後端に向けて通常的な制動のための圧力をかけることができ、メインブレーキ液の漏洩によって非常制動が遂行される場合、押圧部によって押圧される非常ブレーキ液が非常パイプを通してバルブハウジングに流入しながらバルブボディーを押し上げ、非常ブレーキ液が押圧パイプを経てブレーキパイプの後端に向けて非常制動のための圧力をかけることができ、さらに非常ブレーキ液がブレーキパイプの前端に向かって逆流しないように、押し上げられたバルブボディーがブレーキパイプを閉鎖することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施例による自動車用非常制動装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の自動車用非常制動装置の押圧部を概略的に示す図である。
【
図3】
図1の自動車用非常制動装置のバルブユニットを概略的に示す図である。
【
図4】
図3のバルブユニットが非常制動の際に動作する状態を概略的に示す図である。
【
図5】本発明の第2実施例による自動車用非常制動装置を概略的に示す図である。
【
図6】本発明の第3実施例による自動車用非常制動装置を概略的に示す図である。
【
図7】本発明の第4実施例による自動車用非常制動装置を概略的に示す図である。
【
図8】
図7の自動車用非常制動装置の非常制動状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明はさまざまな形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0029】
図1は本発明の第1実施例による自動車用非常制動装置を概略的に示す図であり、
図2は
図1の自動車用非常制動装置の押圧部を概略的に示す図である。
図3は
図1の自動車用非常制動装置のバルブユニットを概略的に示す図であり、
図4は
図3のバルブユニットが非常制動の際に動作する状態を概略的に示す図である。
【0030】
本発明の第1実施例による自動車用非常制動装置100は、
図1~
図4に示すように、ブレーキペダル10を踏む場合、ブレーキパイプ20を通して伝達されるメインブレーキ液の圧力によって制動される自動車に加えて、非常制動の際に使われるように構成された自動車用非常制動装置であり、非常パイプ110と、押圧部120と、バルブユニット130とを含む。以下、
図1~
図4を参照して各構成要素について詳細に説明する。
【0031】
非常パイプ110は非常ブレーキ液で満たされ、押圧される非常ブレーキ液の圧力をホイールシリンダー40などに伝達するための構成要素である。このような非常パイプ110は、
図1に示すように、メインブレーキ液で満たされたブレーキパイプ20とは別個に備えられることができる。
【0032】
押圧部120は非常制動の際に非常ブレーキ液を押圧するための構成要素である。このような押圧部120は、
図1及び
図2に示すように、非常パイプ110の一端部に連結されることができる。
【0033】
バルブユニット130は、通常制動の際にはブレーキパイプ20を通してメインブレーキ液のみを使うようにし、非常制動の際には非常パイプ110などを通して非常ブレーキ液のみを使うように切り換えるための構成要素である。このようなバルブユニット130は、非常制動の際に押圧部120によって非常ブレーキ液が押圧されれば、メインブレーキ液を遮断するとともに非常ブレーキ液がブレーキパイプ20の後端に流動するようにし(
図4参照)、そうではない通常制動の際には非常ブレーキ液を遮断するとともにメインブレーキ液がブレーキパイプ20の後端に流動するように構成されることができる(
図3参照)。また、バルブユニット130は、
図1、
図3及び
図4に示すように、非常パイプ110の端部とブレーキパイプ20の後端部との間に備えられることができる。
【0034】
したがって、このような構成要素が提供されるので、ブレーキパイプ20などが破裂してメインブレーキ液が漏洩する状態で、押圧部120によって非常ブレーキ液が供給され、バルブユニット130によってメインブレーキ液が遮断されるとともに非常ブレーキ液がブレーキパイプ20の後端に流動することができるので、非常ブレーキ液による押圧によって自動車に対する非常制動を遂行することができ、メインブレーキ液が漏洩しない定常状態であれば、バルブユニット130によって非常ブレーキ液が遮断されるとともにメインブレーキ液の圧力がブレーキパイプ20の後端に伝達され、メインブレーキ液による押圧で自動車に対する通常的な制動を遂行することができるので、ブレーキパイプ20などが破裂しても自動車に制動力を加えて安全事故を防止することができる。
【0035】
参考までに、
図1の図面符号“30”はマスターシリンダーまたはこれに対応する部品を示すものであり、マスターシリンダーに限定してはいけなく、
図1の図面符号“40”はホイールシリンダーまたはこれに対応する部品を示すものであり、ホイールシリンダーに限定してはいけないであろう。また、
図1の図面符号“S10”は圧力供給源の圧力をチェックすることができる圧力ゲージである。
【0036】
以下、
図1及び
図2を参照して押圧部120についてより詳細に説明する。
【0037】
押圧部120は、
図1及び
図2に示すように、シリンダー121、圧力供給源122、吐出バルブ123、及びスイッチ124を含むことができる。
【0038】
シリンダー121は非常パイプ110の一端部に連結されることができ、ピストンP10によって押されるように非常ブレーキ液が満たされることができる。圧力供給源122はピストンP10の末端部に連結されることができ、ピストンP10を押すようにピストンP10に高圧気体を供給することができる。例えば、圧力供給源122は高圧気体で満たされた高圧シリンダーまたは高圧タンクとすることができる。また、高圧気体としては、高圧窒素または圧縮空気などを使うことができる。さらに、圧力供給源122は、一例として、別途の高圧圧縮機(図示せず)を介して高圧気体が再充填されることもでき、他の例として大型商用車の場合、自己空圧式制動装置の圧縮空気発生器(図示せず)を介して高圧気体が再充填されることができる。
【0039】
吐出バルブ123は圧力供給源122の出口ラインに備えられることができ、圧力供給源122の出口ラインを開閉させることができる。スイッチ124は、圧力供給源122などに備えられることができ、ブレーキペダル10に対応する位置に備えられることができ、メインブレーキ液の漏洩によってブレーキペダル10の間隔より深く踏まれる場合、ブレーキペダル10によって押されながら吐出バルブ123を開放することができる。
【0040】
したがって、使用者がブレーキペダル10を踏むとき、メインブレーキ液の漏洩によってブレーキペダル10の正常間隔より深く踏まれるようになり、この深く踏まれたブレーキペダル10によってスイッチ124が押され、圧力供給源122の吐出バルブが開放して圧力供給源122の高圧気体が吐き出され、この吐き出される高圧気体によってピストンP10が押され、シリンダー121の非常ブレーキ液が非常パイプ110の非常ブレーキ液を押圧することができる。
【0041】
さらに、押圧部120は、
図1及び
図2に示すように、減圧バルブ125をさらに含むことができる。減圧バルブ125は圧力供給源122の出口ラインに備えられることができ、圧力供給源122の出口ラインから吐き出される高圧気体の吐出圧力を減圧させることができる。したがって、吐出バルブ123が開放して圧力供給源122から高圧気体が吐き出されるとき、減圧バルブ125を経ながら設定圧力に減圧した状態で吐き出されることができる。ここで、設定圧力は自動車の重量などによって設定することができる。例えば、自動車の重量が大きくなるほど所要圧力が大きくなるので、この所要圧力に比例するように設定圧力を決定することができる。
【0042】
さらに、押圧部120は、
図2に示すように、バルブ制御部126をさらに含むことができる。バルブ制御部126は、ブレーキペダル10がもっと深く踏まれてスイッチ124が押される場合、スイッチ124の信号を受信して吐出バルブ123が開放するように制御することができる。ここで、吐出バルブ123としては、制御信号に応じてオン/オフされるソレノイドバルブなどを使うことができる。
【0043】
以下、
図3及び
図4を参照してバルブユニット130についてより詳細に説明する。
【0044】
バルブユニット130は、
図3及び
図4に示すように、チェックバルブ131、バルブハウジング132、押圧パイプ133、バルブボディー134、及び弾性体135を含むことができる。チェックバルブ131は、非常パイプ110のうちブレーキパイプ20と連結される部分に備えられることができ、非常ブレーキ液に対して非常パイプ110からブレーキパイプ20への流動のみを許すことができる。バルブハウジング132はブレーキパイプ20上に備えられることができる。押圧パイプ133は非常パイプ110とバルブハウジング132とを連結することができ、非常ブレーキ液またはその圧力をバルブハウジング132に伝達することができる。
【0045】
バルブボディー134は、バルブハウジング132の内部に移動可能に備えられることができ、貫通路134aを有することができ、普段にはブレーキパイプ20と貫通路134aとが連通するように配置されることができ、押圧パイプ133によって非常ブレーキ液が流入すれば、移動してブレーキパイプ20を閉鎖することができる。弾性体135はバルブハウジング132に備えられることができ。押圧パイプ133に非常ブレーキ液が流入しなければ、貫通路134aがブレーキパイプ20と連通するようにバルブボディー134を元の位置に復帰させることができる。ここで、メインブレーキ液の流動方向を基準に、非常パイプ110の後端はバルブハウジング132を過ぎて位置することができる。
【0046】
したがって、メインブレーキ液の漏洩がなくて通常的な制動が可能な普段には押圧部120が動作しないので、
図3に示すように、バルブボディー134が弾性体135の復元力によって元の位置に復帰してバルブボディー134の貫通路134aがブレーキパイプ20と連通し、さらに使用者がブレーキペダル10を踏む場合、ブレーキパイプ20のメインブレーキ液が、チェックバルブ131の遮断によって非常パイプ110に流動せず、ブレーキパイプ20の後端に向けて通常的な制動のための圧力をかけることができる。一方、メインブレーキ液の漏洩によって非常制動が遂行される場合、
図4に示すように、押圧部120によって押圧される非常ブレーキ液が非常パイプ110及びチェックバルブ131を経てブレーキパイプ20の後端に向けて非常制動のための圧力をかけることができ、さらに、非常ブレーキ液の一部が非常パイプ110及び押圧パイプ133を経てバルブハウジング132に流入しながらバルブボディー134を押し上げることにより、非常ブレーキ液がブレーキパイプ20の前端に向かって逆流しないようにブレーキパイプ20を閉鎖することができる。
【0047】
以下、
図5を参照して、本発明の第2実施例による自動車用非常制動装置200について説明する。
【0048】
図5は本発明の第2実施例による自動車用非常制動装置を概略的に示す図である。
【0049】
本発明の第2実施例による自動車用非常制動装置200は、
図5に示すように、上述した第1実施例押圧部120に加えて、踏み感知センサー224、圧力感知センサー225、及び警報器226をさらに含む押圧部220を備えることを除き、上述した本発明の第1実施例と同様であるので、以下ではこれを主に説明する。参考までに、本発明の第2実施例で言及する押圧部220は上述した第1実施例で言及した押圧部120と同じ役割を果たす。すなわち、押圧部220は、非常制動の際、非常ブレーキ液を押圧して押す役割を果たす。
【0050】
踏み感知センサー224はブレーキペダル10が踏まれたことを感知することができる。例えば、踏み感知センサー224としては、自動車の尾灯(rear light)をオン/オフさせるための既存のセンサーなどを使うことができる。圧力感知センサー225はブレーキパイプ20に備えられることができ、ブレーキパイプ20の内部圧力を感知することができる。警報器226は、圧力感知センサー225の圧力値が設定値より小さければ警告信号を伝送して使用者がブレーキペダル10をもっと深く踏むように案内することができる。
【0051】
したがって、踏み感知センサー224でブレーキペダル10が踏まれたことを感知した状態で、圧力感知センサー225を介してブレーキパイプ20の内部圧力を感知し、圧力感知センサー225の圧力値が設定値より小さければ、メインブレーキ液が漏洩していると判断し、警報器226を介して警告信号を伝送して使用者がブレーキペダル10をもっと深く踏むように案内することができ、使用者がこの警告信号に応じてブレーキペダル10をもっと深く踏むとき、メインブレーキ液の漏洩によってブレーキペダル10の正常間隔より深く踏まれるようになり、この深く踏まれたブレーキペダル10によってスイッチ124が押されて吐出バルブ123が開放することにより、圧力供給源122の高圧気体が吐き出され、この吐き出される高圧気体によってピストンP10が押され、シリンダー121の非常ブレーキ液が非常パイプ110の非常ブレーキ液を押圧することができる。
【0052】
さらに、押圧部220は、
図5に示すように、バルブ制御部227をさらに含むことができる。バルブ制御部227は、踏み感知センサー224から踏み信号を受信した状態で、圧力感知センサー225の圧力値が設定値より小さければ、高圧気体が吐き出されるように吐出バルブ123を開放することができる。
【0053】
以下、
図6を参照して本発明の第3実施例による自動車用非常制動装置300について説明する。
【0054】
図6は本発明の第3実施例による自動車用非常制動装置を概略的に示す図である。
【0055】
本発明の第3実施例による自動車用非常制動装置は、
図6に示すように、押圧部320を除き、上述した本発明の第1実施例と同様であるので、以下ではこれを主に説明する。
【0056】
押圧部320は、
図2及び
図6に示すように、非常制動の際に非常ブレーキ液を押圧するための構成要素であり、シリンダー121、圧力供給源122、踏み感知センサー322、圧力感知センサー323、吐出バルブ324、及びバルブ制御部325を含むことができる。シリンダー121は非常パイプ110の一端部に連結されることができ、ピストンP10によって押されるように非常ブレーキ液が満たされることができる。圧力供給源122はピストンP10の末端部に連結されることができ、ピストンP10を押すようにピストンP10に高圧気体を供給することができる。さらに、圧力供給源122についてのより具体的が説明は上述した本発明の第1実施例で言及した圧力供給源と同一であるので省略する。
【0057】
踏み感知センサー322は、ブレーキペダル10が踏まれたことを感知することができる。例えば、踏み感知センサー322としては、自動車の尾灯(rear light)をオン/オフさせるための既存のセンサーなどを使うことができる。圧力感知センサー323はブレーキパイプ20に備えられることができ、ブレーキパイプ20の内部圧力を感知することができる。吐出バルブ324は、圧力供給源122の出口を開閉するために、圧力供給源122の出口ラインに備えられることができる。バルブ制御部325は、踏み感知センサー322から踏み信号を受信した状態で、圧力感知センサー323の圧力値が設定値より小さければ、高圧気体が吐き出されるように可動バルブ324を開放することができる。
【0058】
したがって、踏み感知センサー322でブレーキペダル10が踏まれたことを感知した状態で、圧力感知センサー323でブレーキパイプ20の内部圧力を感知し、圧力感知センサー323の圧力値が設定値より小さければ、メインブレーキ液が漏洩していると判断し、バルブ制御部325によって吐出バルブ324が開放して高圧気体が吐き出され、この吐き出される高圧気体によってピストンP10が押され、シリンダー121の非常ブレーキ液が非常パイプ110の非常ブレーキ液を押圧することができる。
【0059】
以下、
図7及び
図8を参照して本発明の第4実施例による自動車用非常制動装置400について説明する。
【0060】
図7は本発明の第4実施例による自動車用非常制動装置を概略的に示す図であり、
図8は
図7の自動車用非常制動装置の非常制動状態を概略的に示す図である。
【0061】
本発明の第4実施例による自動車用非常制動装置400は、
図7及び
図8に示すように、バルブユニット430を除き、上述した本発明の第1、第2及び第3実施例のうちのいずれか一つと同様であるので、以下ではこれを主に説明する。
【0062】
バルブユニット430は、
図7及び
図8に示すように、バルブハウジング431、押圧パイプ432、バルブボディー433、及び弾性体434を含むことができる。バルブハウジング431は、ブレーキパイプ20上に備えられることができ、非常パイプ110と連結されることができる。押圧パイプ432は、ブレーキパイプ20とバルブハウジング431とを連結することができる。バルブボディー433はバルブハウジング431の内部に移動可能に備えられることができ、貫通路433aを有することができ、普段にはブレーキパイプ20に貫通路と連通するように配置されることができ、非常パイプ110によって非常ブレーキ液が流入すれば移動してブレーキパイプ20を閉鎖するとともに押圧パイプ432を開放することができる。弾性体434はバルブハウジング431に備えられることができ、非常パイプ110に非常ブレーキ液が流入しなければ、貫通路433aがブレーキパイプ20と連通するようにするとともに押圧パイプ432がバルブボディー433によって閉鎖するようにバルブボディー433を元の位置に復帰させることができる。ここで、メインブレーキ液の流動方向を基準に、押圧パイプ432の後端はバルブハウジング431を過ぎて位置することができる。
【0063】
したがって、メインブレーキ液の漏洩がなくて通常的な制動が可能な普段には押圧部120が動作しないので、
図7に示すように、バルブボディー433が弾性体434の復元力によって元の位置に復帰してバルブボディー433の貫通路433aがブレーキパイプ20と連通し、さらに使用者がブレーキペダル10を踏む場合、ブレーキパイプ20のメインブレーキ液がバルブボディー433の遮断によって非常パイプ110に流動せず、ブレーキパイプ20の後端に向けて通常的な制動のための圧力をかけることができる。一方、メインブレーキ液の漏洩によって非常制動が遂行される場合、
図8に示すように、押圧部120によって押圧される非常ブレーキ液が非常パイプ110を通してバルブハウジング431に流入しながらバルブボディー433を押し上げ、非常ブレーキ液が押圧パイプ432を経てブレーキパイプ20の後端に向けて非常制動のための圧力をかけることができ、さらに非常ブレーキ液がブレーキパイプ20の前端に向かって逆流しないように、押し上げられたバルブボディー433がブレーキパイプ20を閉鎖することができる。
【0064】
以上で本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いる当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は自動車の制動に関するものであり、産業上利用可能性がある。
【国際調査報告】