(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】食品を包装するための堆肥化可能材料
(51)【国際特許分類】
B65D 65/46 20060101AFI20230516BHJP
C08L 1/26 20060101ALI20230516BHJP
C08L 97/02 20060101ALI20230516BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20230516BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20230516BHJP
A23L 5/00 20160101ALN20230516BHJP
【FI】
B65D65/46
C08L1/26
C08L97/02
B65D85/804 200
B65D85/50 100
A23L5/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557096
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 IB2021052432
(87)【国際公開番号】W WO2021205269
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】102020000007519
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520434570
【氏名又は名称】ルイジ ラバッツァ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディ マルコ、マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】ディマコウ、ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】アーガイル、イアン
【テーマコード(参考)】
3E035
3E086
4B035
4J002
【Fターム(参考)】
3E035AA01
3E035BC01
3E035BD10
3E086BA14
3E086BB49
3E086BB72
3E086CA11
3E086DA08
4B035LC16
4B035LE11
4B035LP46
4B035LT16
4J002AB032
4J002AH001
4J002GA00
4J002GG02
(57)【要約】
本開示の1つまたは複数の実施形態の目的は、食品を包装するのに好適な堆肥化可能材料を提供することである。1つまたは複数の実施形態では、堆肥化可能材料は、一定量の食物を含有するように設計されるカプセルの製造に特に好適である。食品を包装するための堆肥化可能材料であって、コーヒー系粒状材料と、メチルセルロース、メチルセルロース誘導体、それらの混合物から選択される少なくとも1種の結合剤とを有する、堆肥化可能材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の包装のための堆肥化可能材料であって、コーヒー系粒状材料と、メチルセルロース、メチルセルロース誘導体、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の結合剤とを有する、堆肥化可能材料。
【請求項2】
前記コーヒー系粒状材料が、焙煎粉砕コーヒー、抽出済粉砕コーヒー、およびそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、好ましくはそれからなる、請求項1に記載の堆肥化可能材料。
【請求項3】
前記メチルセルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシメチルエチルセルロースからなる群において選択される、請求項1または2に記載の堆肥化可能材料。
【請求項4】
前記コーヒー系粒状材料と前記結合剤との重量比が1:1から4:1の間に含まれ、好ましくは4:1に等しい、請求項1から3のいずれか一項に記載の堆肥化可能材料。
【請求項5】
前記堆肥化可能材料が、コーヒー系粒状材料と、結合剤としてのメチルセルロースとからなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の堆肥化可能材料。
【請求項6】
前記堆肥化可能材料が可塑剤を含有しない、好ましくはポリオール化合物を含有しない、請求項1から5のいずれか一項に記載の堆肥化可能材料。
【請求項7】
一定量の少なくとも1種の食物を含有するのに好適なカプセルであって、請求項1から6のいずれか一項に記載の堆肥化可能材料を備える、カプセル。
【請求項8】
前記カプセルが、液体製品の調製のための一定量の少なくとも1種の食物を含有し、前記カプセルが、第1の本体部分と第2の本体部分とを備え、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のそれぞれが外面と内面とを有し、
前記第1の本体部分と前記第2の本体部分とが、それぞれの前記外面が前記カプセルの外側を向き、それぞれの前記内面が対向して前記カプセルの内側を向いて接合され、
前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの少なくとも一方が凹状内面を有し、
前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの少なくとも一方が、請求項1から6のいずれか一項に記載の堆肥化可能材料を有する、好ましくはそれからなる、
請求項7に記載のカプセル。
【請求項9】
前記第1の本体部分が側壁と第1の端壁とで形成され、前記第2の本体部分が第2の端壁のみで形成される、請求項8に記載のカプセル。
【請求項10】
前記第1の本体部分と前記第2の本体部分とが、レンズ形状を有し、前記内面が対向するようにそれぞれの周縁において接合される、請求項8に記載のカプセル。
【請求項11】
前記第1の本体部分が接触接着によって前記第2の本体部分に接続し、前記カプセルが合成接着性物質を含有しない、請求項8から10のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項12】
前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの少なくとも一方が、前記液体製品が前記カプセルから流出することを可能にする少なくとも1つの孔を含む構造を有する、請求項8に記載のカプセル。
【請求項13】
前記側壁、前記第1の端壁、および前記第2の端壁のうちの少なくとも1つが、前記液体製品が前記カプセルから流出することを可能にする少なくとも1つの孔を含む構造を有する、請求項9に記載のカプセル。
【請求項14】
前記第1の本体部分および前記第2の本体部分の一方が、紙、セロハン、セルロース、バイオマスから抽出されるポリマー、合成高分子、微生物によってまたは遺伝子改変細菌によって産生されるポリマー、化石モノマー由来のポリマー、ポリ無水物、ポリビニルアルコール、およびそれらの混合物からなる群において好ましくは選択される堆肥化可能材料を有する、請求項8から13のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項15】
液体製品の調製のための前記一定量の少なくとも1種の物質が、圧縮された一定量のコーヒーである、請求項8から14のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項16】
一定量の少なくとも1種の食物を含有するカプセルを作製するための方法であって、
-前記一定量を含有するための第1の本体部分を用意する段階、
-前記一定量を前記第1の本体部分に配置する段階、
-第2の本体部分を、前記第1の本体部分をそれぞれの周縁において閉鎖するために用いて、前記カプセルを閉鎖する段階
を備え、
-前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの少なくとも一方を、請求項1から6のいずれか一項に記載の堆肥化可能材料で作出する段階、
-前記第1の本体部分および前記第2の本体部分のうちの少なくとも一方を前記周縁において湿らせる段階、および、
-前記第1の本体部分と前記第2の本体部分とを前記周縁において接触させる段階
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品を包装するための堆肥化可能材料に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、食品を包装するための堆肥化可能材料は公知であり、特定の用途に応じて種々の形態で市販されている。高まり続けている関心は、例えば熱応力および圧力に供される場合であってもその完全な状態を維持することができる、食品を包装するための堆肥化可能材料の同定に向けられている。さらに、食品を包装するための材料は、食べ物との接触に対する適合性の要件を満たさなければならない。しかしながら、堆肥化可能性、劣化に対する耐性、熱機械的強度、食べ物との接触に対する適合性に関する特徴は、1つの同じ製品において同時に取得するのが容易ではないと考えられる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の1つまたは複数の実施形態の目的は、食品を包装するのに好適な堆肥化可能材料を提供することである。1つまたは複数の実施形態では、堆肥化可能材料は、一定量の食物を含有するように設計されるカプセルの製造に特に好適である。
【0004】
1つまたは複数の実施形態においては、上記目的は、添付の特許請求の範囲に明記される特徴を有する堆肥化可能材料によって達成される。
【0005】
特許請求の範囲は、実施形態に関連する、本明細書に提供される技術的教示の不可欠な部分を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
次に、以下の図面を参照して、1つまたは複数の実施形態を純粋に非限定的な例として記載する。
【
図1】本開示の実施形態に記載の堆肥化可能材料で作製されるカプセルを示す。
【
図2】本開示の実施形態に記載の堆肥化可能材料で作製されるカプセルを示す。
【
図3】本開示の実施形態に記載の堆肥化可能材料で作製されるカプセルを示す。
【
図4】本開示の実施形態に記載の堆肥化可能材料で作製されるカプセルを示す。
【
図5】本開示の実施形態に記載のカプセルの製造方法の段階に関するブロック図を示す。
【
図6】本開示の実施形態に記載のカプセルの製造のための方法の段階の概略図である。
【
図7】本開示の実施形態に記載のカプセルの製造方法の段階に関するブロック図を示す。
【
図8】本開示の実施形態に記載のカプセルの製造のための方法の段階の概略図である。
【
図9】本開示の実施形態に記載の堆肥化可能材料に対して実行した移行の実験試験の結果を示すヒストグラムを示す。
【
図10】本開示の実施形態に記載の堆肥化可能材料に対して実行した実験試験の結果を示すヒストグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明において、本開示の実施形態の例に対する深い理解を可能とすることを目的として、様々な具体的な詳細を示す。それらの実施形態は、具体的な詳細のうちの1つまたは複数を用いることなく取得しても、他の方法、成分、材料などを用いて取得してもよい。他の場合では、実施形態の様々な側面が不明瞭とならないように、公知の構造、材料、または操作は、詳細に示すことも記載することもしていない。
【0008】
本開示の枠組みにおける「ある実施形態」または「一実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の構成、構造、または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを示すことを意図している。したがって、本記載の様々な箇所に存在し得る「ある実施形態では」または「一実施形態では」などの語句は、必ずしも1つの同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の形態、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な手段で組み合わせることができる。
【0009】
本明細書で使用する参照は、単に便宜上のものとして提供され、したがって、保護範囲も実施形態の範囲も規定しない。
【0010】
本開示の主題を形成する堆肥化可能材料は、コーヒー系粒状材料と、メチルセルロース、メチルセルロース誘導体、それらの混合物から選択される少なくとも1種の結合剤とを有する。
【0011】
前記メチルセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースからなる群において選択され得る。好ましくは、結合剤はメチルセルロースである。
【0012】
堆肥化可能材料は食品を包装するために使用され得る。本開示のある実施形態は、本開示の堆肥化可能材料を備える、好ましくはそれからなる、食べ物のための容器を提供する。好ましくは、容器は、好ましくは液体製品の調製に使用され得る一定量の少なくとも1種の食物を含むカプセルである。取得されるカプセルは、その使用後に含水廃棄物として処分することができる、完全に堆肥化可能なカプセルである。
【0013】
本出願の発明者らは、以下に記載される特定の試験に基づいて、本開示の堆肥化可能材料が、食材のための容器であって、そこに含有される食品の官能特性を変化させない、容器を作製するために使用可能であるという利点を呈することを見出した。これに関連して、食べ物と接触することに対する材料の適合性を試験するために、それを「移行」試験に供した。そのような試験は、材料自体から液体(「模擬液体」としても定義される)に移行する物質の量を決定することで構成される。
【0014】
移行試験は、本開示の主題を形成する堆肥化可能材料の食べ物との接触に対する適合性を示した。加えて、記載される堆肥化可能材料は、液体製品の製造のための一定量の物質を含有するカプセルを製造するのに特に好適であることが証明された。
【0015】
コーヒー系材料は、焙煎粉砕コーヒー、抽出済粉砕コーヒー(SGC:spent ground coffee)、それらの混合物などの様々な形態のコーヒーからなり得る。
【0016】
コーヒー系粒状材料は、焙煎粉砕コーヒー、抽出済粉砕コーヒー(SGC)、およびそれらの混合物などの様々な形態のコーヒーを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、コーヒー系粒状材料は、焙煎粉砕コーヒー、抽出済粉砕コーヒーのうちの少なくとも1つを含み得る、好ましくはそれからなり得る。
【0017】
抽出済粉砕コーヒー(使用済みコーヒーまたはその使用後のコーヒー)は、工業的調製の副産物(例えば、インスタントコーヒーの製造および/またはコーヒー系飲料の製造における副産物など)として取得され得る。さらに、抽出済粉砕コーヒーは、レストランおよび外食部門(例えばバー、レストラン)、さらには家庭におけるコーヒーの調製に由来する廃棄物の収集およびリサイクルからも得ることができる。
【0018】
結合剤は、メチルセルロース、メチルセルロース誘導体、それらの混合物から選択される。
【0019】
コーヒー系粒状材料と組み合わされる結合剤、好ましくは、メチルセルロースは、一定量の食物を含有するカプセル、例えば、コーヒーなどの液体製品の製造のためのカプセルの製造に特に好適な堆肥化可能材料を取得することを可能にした。
【0020】
コーヒー系粒状材料と結合剤、好ましくはメチルセルロースとの特定の組合せは、堆肥化可能材料の耐性と移行試験との両方の観点からの利点を呈する。代わりに、メチルセルロースまたはその誘導体と異なる結合剤、例えばアルギン酸塩を有する堆肥化可能材料に対して実施した実験試験は、使用に関する最適でない特徴を呈した。そのような材料は、食品の官能特性の変化を引き起こすおそれがあり、美的観点から好ましくない脱色の現象を起こすおそれがある。さらに、そのような材料は成形されにくい傾向を有し、その使用は、包装される食品へスプレーするかまたは包装される食品を浸漬させるという手段に限定され得る。本発明者らは、そのような材料の成形性を、特にコーヒーを分注するためのカプセルの製造に好都合なものとするためには、そのような材料にグリセロールなどの少なくとも1種の可塑剤を添加することが必要になることを見出した。しかしながら、グリセロールを(コーヒーおよびアルギン酸塩と組み合わせて)有する堆肥化可能材料を用いて取得されるカプセルは、飲料の分注中に破裂を起こすおそれがある。
【0021】
代わりに、本出願の主題を形成する堆肥化可能材料は、調製される液体製品中および/または上記液体製品の調製のための機械中にいかなる粉末も残渣も放出せずに最適な分注を可能にするような剛性に関する特徴を維持する。詳細には、記載される材料で作製されるカプセルは、それらが50℃から100℃の温度および1バール(0.1MPa)から30バール(3MPa)の圧力での水および/または蒸気の導入によってコーヒーなどの液体製品を分注するための機械において使用される場合であっても、その形状、弾性、および密閉性を維持する。
【0022】
さらに、カプセルの様々な部材は、例えば、起こり得る食物との接触に関連する重大な側面を呈するおそれのある接着剤による連結に頼ることを必要とせず、純粋に接着による連結によって互いに接続し得る。
【0023】
堆肥化可能材料は、コーヒー系粒状材料を、堆肥化可能材料の50wt%から80wt%(wt/wt)の間に含まれる重量百分率で有し得る。
【0024】
結合剤は、重量で堆肥化可能材料の20wt%から50wt%(wt/wt)の間に含まれる量において堆肥化可能材料に含有され得る。
【0025】
上記粒状材料と上記結合剤との重量比は1:1から4:1の間に含まれ得る。好ましくは、上記粒状材料と上記結合剤との重量比は4:1に等しい。
【0026】
上記重量比は、ポリオール化合物などの可塑剤を含有せず、同時に、成形されるのに特に好適である堆肥化可能材料の実現を可能にする。
【0027】
1つまたは複数の実施形態では、上記堆肥化可能材料は、コーヒー系粒状材料と結合剤、好ましくはメチルセルロースとからなる。
【0028】
本開示の主題を形成する堆肥化可能材料は、成分、すなわちコーヒー系粒状材料と結合剤、好ましくはメチルセルロースとを混合する第1の段階によって製造され得る。好ましくは、これらの成分は均質なミックスを取得するために水の存在下で混合される。水の量と固体成分(コーヒー系粒状材料および結合剤)の量との重量比は1.2から1.5の間に含まれ得る。
【0029】
均質なミックスを取得したら、それを成形に供して、例えば押出成形または射出成形によって、所望の厚さの材料を実現する。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、コーヒー系材料と、少なくとも1種の結合剤、好ましくはメチルセルロースと、水とを含む懸濁液から出発して、バブルフィルム押出成形などの技法を使用してフィルムおよびシートを取得することもできる。
【0031】
成形段階は、取得される容器の幾何形状を有する金型を使用して実行され得る。その後、ミックスを圧力下に置いて、材料が金型の形状を取ることを可能にすることができる。次に材料を、例えば、熱源(オーブン内)、マイクロ波照射、赤外照射、ドラム乾燥、真空乾燥、冷凍機乾燥への曝露によって乾燥に供することができる。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、成形および乾燥段階後、材料を、洗浄およびその後の、直前の段落に概説した方法に従った乾燥の段階に供してもよい。洗浄段階は、材料自体からそこに含有される食品への、微量のコーヒー系材料および結合剤の移行を妨げることに寄与し得る。洗浄段階は、低温条件、室温、または温水(さらには熱湯)を用いて実施され得る。洗浄は、1秒から1時間の間に含まれる時間間隔で実行され得る。
【0033】
堆肥化可能材料は、有利には、食品のための容器、好ましくは水および/または蒸気の導入によって液体製品を形成することができる一定量の物質を含有するカプセルの製造に使用され得る。
【0034】
前述の材料は、圧縮された一定量の物質、例えば圧縮された一定量のコーヒーを含有および保護するために使用することもできる。本開示の1つまたは複数の実施形態は、液体製品の調製に使用することができる一定量の少なくとも1種の物質を含有するカプセルを提供し、ここで、一定量はコーヒーの圧縮された一定量である。
【0035】
一定量の物質は、そこに圧力をかけることによって、または例えば、凍結、赤外放射への曝露、もしくはマイクロ波の使用を想定するさらなる圧縮手段を使用することによっても圧縮することができる。
【0036】
様々な実施形態では、一定量の物質は、粉砕コーヒーまたは液体製品の他の何らかの前駆体、例えば、飲料、お茶、粉末チョコレート、もしくは粒状チョコレート、さらにはブロス、スープ、飲み物、および様々な性質の浸出液の調製のための製品であり得る。このリストは非限定的な例として提供されていると理解されるべきである。以下では、説明を簡単にするために、コーヒーの調製のためのカプセルに言及し、一定量は粉砕コーヒーによって構成されるものとして理解される。
【0037】
1つまたは複数の実施形態では、本開示の堆肥化可能材料を備えるカプセルの構造は種々の形態を呈し得る。
【0038】
1つまたは複数の実施形態では、例えば
図1~4に示されるように、カプセル1の構造は、一定量の物質を収容するためのチャンバ2を画定し、第1の本体部分4と第2の本体部分6とを備える。2つの本体部分の一方のみまたは両方は、本明細書に記載される堆肥化可能材料を有し得る、好ましくはそれからなり得る。1つまたは複数の異なる実施形態では、2つの本体部分の一方は、例えば、紙、セロハン、セルロースおよびその誘導体、バイオマスから抽出されるポリマー(例えば、デンプンおよびその誘導体などの多糖)、合成高分子(例えば、デンプンの発酵から得られるポリ乳酸(PLA)、ポリブチレートアジペートテレフタレートPBAT)、微生物によってまたは遺伝子改変細菌によって産生されるポリマー(例えば、PHA、PHB、PHV、PHHなどのポリヒドロキシアルカン酸)、化石モノマー(fossil monomer)由来のポリマー(例えば、ポリブチルサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL))、ポリ無水物、ポリビニルアルコールから選択される堆肥化可能材料を有し得、このカテゴリには、前述の化合物の混合物および/またはナノ粒子(例えば、タルカム、クロイサイト(cloisite))などの添加剤の導入も含まれ得る。
【0039】
各本体部分は外面と内面とを有する。第1の本体部分4と第2の本体部分6とは、それぞれの外面がカプセルの外側を向き、それぞれの内面が互いにカプセルの内側を向いて接合される。第1および第2の本体部分のうちの少なくとも一方は凹状内面を有する。好ましくは、第1および第2の本体部分のうちの少なくとも一方は凸状外面を有し得る。第1および第2の本体部分のうちの少なくとも一方は、本開示の主題を形成する堆肥化可能材料を有する、好ましくはそれからなる。
【0040】
図1および2に示される例では、カプセルは、側壁8と第1の端壁10とで形成される第1の本体部分4を備え得る。第2の本体部分6は第2の端壁12のみで形成される。例えば、第1の端壁10と第2の端壁12とは水平壁(本明細書では、単に説明を簡単にするために「底壁」および「閉鎖壁」としても定義される)であってもよい。
図2に示される例では、カプセル1は、端壁が開口部を含有しない密閉されたカプセルである。端壁10は側壁8と一体で作製される。
【0041】
第2の端壁(または閉鎖壁)12は(周縁11によって)側壁8に(周縁9において)固定される。接着は、単に部材を第1の本体部分4の口部において湿らせて接合することによって確実になされる。
【0042】
第1の本体部分4は、底部10から閉鎖壁12によって閉鎖される端部に向かって広がるカップ様またはトレイ様の形状を呈し得る。この広がった形状は円錐台状であってもよい。カプセル1は、様々な形状、例えば実質的に円筒形または実質的に半球状もしくはカップ状の形状を呈し得る。底壁10は、凹状の丸天井の立体構造であって、丸天井の凹面がカプセル1の外側に向けられている、立体構造を呈し得る。この場合もまた、この立体構造の選択は、カプセル1が、(例えば)凹面がカプセル1の内側を向いている丸天井様の底壁10、またはその他の場合では平面もしくは実質的に平面の底壁10を備え得る限りにおいて、限定的な性質を有しない。1つまたは複数の実施形態では、底壁10は、閉鎖壁12との接触を可能にする高さの、カプセルの内側に向かって延在するレリーフを呈し得る。
【0043】
2つの本体部分の端壁10および12の構造は、カプセルの一方の側にも他方の側にも依存しない飲料の分注が可能となるように対称にしてもよく、これは、液体製品を分注する装置の設計に有用な差別化手段である。
【0044】
1つまたは複数の実施形態では、カプセルの上記端壁10、上記側壁8、および上記閉鎖壁12のうちの少なくとも1つは、本開示の主題を形成する堆肥化可能材料を有し得る、好ましくはそれからなり得る。カプセルは、紙、セロハン、セルロースおよびその誘導体、バイオマスから抽出されるポリマー(例えば、デンプンおよびその誘導体などの多糖)、合成高分子(例えば、デンプンの発酵から得られるポリ乳酸(PLA)、ポリブチレートアジペートテレフタレートPBAT)、微生物によってまたは遺伝子改変細菌によって産生されるポリマー(例えば、PHA、PHB、PHV、PHHなどのポリヒドロキシアルカン酸)、化石モノマー由来のポリマー(例えば、ポリブチルサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL))、ポリ無水物、ポリビニルアルコールから選択される堆肥化可能材料で作製される上記端壁10、上記側壁8、上記閉鎖壁12のうちの少なくとも1つをさらに備え得、このカテゴリには、前述の化合物の混合物および/またはナノ粒子(例えば、タルカム、クロイサイト)などの添加剤の導入も含まれ得る。
【0045】
図3および4に示される例では、カプセル1は、いずれもレンズ(またはシェル様)形状を有する第1の本体部分4と第2の本体部分6とを備える。2つの部分4および6はそれぞれの周縁9、11において接合する。それらの内面は、一定量の物質を収容するためのチャンバ2に向いており、それを画定する。周縁9、11はカプセルの外側、詳細には第1および第2の本体部分の外側に向かって延在し得る。
【0046】
例として考慮される本明細書の実施形態では、カプセルの第1および第2の本体部分のうちの少なくとも一方は、液体製品がカートリッジ1から上記部分を通って流出することを可能にするために、コーヒーを分注するための機械の先端によって穿孔され得ることが想定される。
【0047】
他の実施形態では、前記第1の本体部分4および前記第2の本体部分6のうちの少なくとも一方は、前記液体製品が前記カプセル1から流出することを可能にする少なくとも1つの孔を含む構造(例えば多孔構造)を呈し得る。
【0048】
1つまたは複数の実施形態では、第1の本体部分4が側壁8と第1の端壁10とを有し、第2の本体部分6が第2の端壁12のみを有する場合、前記側壁8、前記第1の端壁10、および前記第2の端壁のうちの少なくとも1つは、前述の液体製品が前記カプセル1から流出することを可能にする少なくとも1つの孔を含む構造(例えば多孔構造)を有し得る。
【0049】
本開示は、好ましくはカプセル1に導入される液体および/または蒸気による液体製品の調製のための一定量の少なくとも1種の物質を含有するカプセル1を製造するための方法をさらに提供する。方法は、
-前記一定量の食物を含有するための第1の本体部分4を用意する段階、
-前記一定量を前記第1の本体部分4に配置する段階、
-第2の本体部分6を、前記第1の本体部分4をそれぞれの周縁9、11において閉鎖するために用いて、前記カプセル1を閉鎖する段階
を備え、
-前記第1の本体部分4および前記第2の本体部分6のうちの少なくとも一方を、コーヒー系粒状材料と、メチルセルロース、その誘導体、それらの混合物から選択される結合剤とを有する、任意選択でそれからなる堆肥化可能材料(本開示の主題を形成する)で作製する段階、
-前記第1の本体部分4および前記第2の本体部分6のうちの少なくとも一方をそれぞれの前記周縁9、11において湿らせる段階、
-前記カプセルの前記第1の本体部分4と前記第2の本体部分6とをそれぞれの前記周縁9、11において接触させる段階、
-任意選択でカプセル1を乾燥させる段階
を備え得る。
【0050】
1つまたは複数の実施形態では、湿らせる段階は、水および/または好ましくは0.01wt%から10wt%の量でメチルセルロースを含む水溶液を用いて実行され得る。
【0051】
図5は、本出願の主題を形成する堆肥化可能材料と、上記材料を用いて取得されるカプセル、例えば
図1および2に示されるカプセルとを製造するための方法のブロック図を示す。
図6は、カプセルの本体部分、すなわち底壁10と側壁8とを有する本体部分4の製造の段階の概略図である。
【0052】
図5に示されるように、コーヒーと、メチルセルロースと、水とを混合して均質なミックスを形成する。ミックスを2つの画分、すなわち、端壁(または閉鎖壁)12のみで形成される本体部分6を製造するための第1の画分と、カップ形状を有し、端壁(または底壁)10と側壁8とを有するカプセルの本体部分4を製造するための第2の画分とに分ける。
【0053】
端壁(または閉鎖壁)12の製造の場合、ミックスを成形段階、例えば回転成形段階に供してフィルムを形成する。例えばパーテルノステル型オーブンにおける乾燥段階後、カプセル1の閉鎖壁12をフィルム材料から取得する。
【0054】
底壁10と側壁8とを有するカプセルの本体4の製造のためのミックスの部分を分配装置に移し、複数個取り金型に供給する。乾燥段階後、カプセルの本体に一定量の物質、例えばコーヒーを充填し、その後、カプセルの本体を、閉鎖壁12を接着させることによって閉鎖する。
【0055】
図6の参照番号20は、ミックスのための分配装置を示し、参照番号22は、複数のカップ形状のキャビティ23を有する金型を示す。パンチ24によってかけられる圧力は、材料の成形およびカップ形状の形成を可能にする。そのように成形された材料は、好ましくは15℃から105℃の温度の乾燥をパーテルノステル型オーブン26において受ける。オーブン26から出した後、パンチ24を金型22から取り外し、この後に、目的に応じた取出装置28による堆肥化可能材料の取り出しの段階が続く。カップ形状を取った堆肥化可能材料を、一定量の物質、例えばコーヒーを充填する段階に供する。
【0056】
次に、カプセルを、閉鎖壁12をカプセル1の本体4の側壁8に、それぞれの周縁9、11において接合することによって閉鎖する。
【0057】
有利には、閉鎖壁12は、接着性物質、粘着剤、溶接剤を使用することを必要とせずに本体部分4、詳細には側壁8に接合することができ、実際、2つの部材の接着は、接触させる領域を湿らせることによって達成することができる。接触させる部材を湿らせることは、例えば、水またはその他の場合ではメチルセルロースを含む水溶液(0.01wt%から10wt%の濃度)の、コーティング、スプレー、絵筆を用いた塗布の技法によって達成することができる。
【0058】
接触させる部材に圧力をかけて、その接着を促進してもよい。
【0059】
任意選択で、その後、既に記載したように例えばパーテルノステル型オーブンにおいて乾燥段階を実行してもよい。
【0060】
第1の本体部分4が接触接着によって第2の本体部分6に接続する、そのように取得されたカプセルは、有利には、合成接着性物質の使用を想定していない。
【0061】
図7は、本開示の主題を形成する堆肥化可能材料と、例えば
図3および4に示されるカプセルとの製造のために使用することができる方法の段階に関するブロック図を示す。詳細には、コーヒーと、メチルセルロースと、水とを混合して均質なミックスを形成する。ミックスを押出成形に供してフィルムを取得する。
【0062】
そのように取得した堆肥化可能材料のフィルムを、レンズ形状の金型における形成、突切り、および乾燥に供する。余分な材料の部分は、回収して新たなサイクルに使用する。乾燥後、所定量のコーヒーをレンズ形状の2つの本体部分の一方に挿入する。第1の本体部分の上に第2の本体部分を、それぞれの周縁9、11にて位置付け、カプセルの閉鎖を達成する。この場合もまた、2つの部分の接着を達成するために、接触させる周縁の部分を湿らせることは十分である。接触させる部材に対し圧力をかけて、その接着を促進してもよい。任意選択で、この後に、既に記載したように例えばパーテルノステル型オーブンにおいて実行される乾燥段階が続いてもよい。
【0063】
第1の本体部分4が接触接着によって第2の本体部分6に接続する、そのように取得されたカプセルは、有利には、合成接着性物質の使用を想定していない。
【0064】
図8は、レンズ形状33を有するキャビティを備える複数個取り金型32上に置かれる堆肥化可能材料のフィルムが取得される押出成形機30を示す。回転パンチ34によってかけられる圧力は、材料がレンズ形状を取ることを可能にする。回転突切り部36は取得される様々な部分を切断および分割する。余分な部分は、回収して押出成形機30に戻す。
図8は、材料を乾燥に供するパーテルノステル型オーブンを示す。オーブン38から出した後、目的に応じた取出装置28による堆肥化可能材料の金型32からの取り出しの段階が続く。
【0065】
取得されるカプセルは、全体として、UNI EN13432規格に準拠して堆肥化可能であると見なすことができる。
【0066】
様々な実施形態では、カプセルの使用の手順は、欧州特許第0507905号または国際公開第2012/077066号に記載されているカプセルの使用の手順に実質的に対応してもよく、そのため、対応する記載のいかなる繰返しも本明細書では不要となる。純粋に例として、様々な変形例を承認するように提供されていると理解されるべきであるこの使用の手順は、それ自体公知であると考えられるべきであり、そのため、そのより詳細な記載は不要となる。
【0067】
結果として、本開示の主題を形成する堆肥化可能材料は、食品を含有するためにも、加熱、圧力に耐性があり、液体製品(例えばコーヒー)を分注するための機械の穿孔先端によって穿孔可能であり、その後、堆肥化可能材料として処分可能である支持体を提供するためにも使用可能であるという利点を呈する。
【0068】
本明細書で考慮される用途において、すなわち、堆肥化可能材料が、加熱と、50℃から100℃の間に含まれる温度および1バール(0.1MPa)から30バール(3MPa)の圧力での水および/または蒸気の導入とを受けることになる食品を包装するために使用される場合、堆肥化可能材料は、材料が天然由来であるという事実に基本的には起因する状況である、そこに含有される食品の軟化、融解、変化の現象を起こすおそれがある。
【0069】
本開示の主題を形成する堆肥化可能材料は、コーヒー系粒状材料と結合剤、好ましくはメチルセルロースとの示される量比での特定の組合せが、飲料の分注に関する温度条件および圧力条件下で構造的特徴の維持を促進するような剛性に関する特徴を呈する限りにおいて、上記欠点の克服を可能にする。
【0070】
複合材料の成分の特定の重量比での特定の組合せは、例えば材料が真空包装またはガス置換包装のプロセスに供される場合、材料に熱機械的強度をさらに付与する。
【0071】
結果として、1つまたは複数の実施形態は、機械的応力および熱応力ならびに圧力に対して特定の安定性および強度を呈し、コーヒーを分注するための機械において使用され得る、堆肥化可能性に関する特徴を呈する材料をもたらす。
(実施例)
【0072】
比較実験試験を、
-可塑剤としてグリセロールを有するおよび有しない、コーヒー系粒状材料とメチルセルロースとを有する本開示の主題を形成する堆肥化可能材料、ならびに
-可塑剤としてグリセロールを有するおよび有しない、コーヒー系粒状材料と結合剤としてのアルギン酸塩とを有する堆肥化可能材料
に対して実施した。
【0073】
これらの材料を、総溶解固形物(TDS)の評価の標準プロトコルを使用する移行試験に供した。
【0074】
(第1のセットの実験)
堆肥化可能材料を80℃から90℃の温度の温水に浸漬し、水溶液を撹拌し続け、数分、概して2分後に溶液の色の変化を評価することによって移行試験を実行した。
【0075】
第1のセットの実験は、コーヒーと、メチルセルロースと、任意選択でグリセロールとを以下の量比で有する、2.5mmの厚さを有する堆肥化可能材料に対して実施した:
-4:1の重量比のコーヒーおよびメチルセルロース(
図9のグラフにおける4:1 C:CMC)、
-20wt%に等しい量で存在するグリセロールと組み合わせた、4:1の重量比のコーヒーおよびメチルセルロース(
図9のグラフにおける4:1 20%Glycer.)、
-材料の15wt%に等しい量で存在するグリセロールと組み合わせた、4:1の重量比のコーヒーおよびメチルセルロース(
図9のグラフにおける4:1 15%Glycer.)、
-20wt%に等しい量で存在するグリセロールと組み合わせた、9:1の重量比のコーヒーおよびメチルセルロース(
図9のグラフにおける9:1 20%Glycer.)、ならびに
-20wt%に等しい量で存在するグリセロールと組み合わせた、7:3の重量比のコーヒーおよびメチルセルロース(
図9のグラフにおける7:3 20%Glycer.)。
【0076】
対照試験は、水のみを用いて実行した。
【0077】
移行試験の結果は、4:1という特定の重量比のコーヒーおよびメチルセルロースと組み合わされて存在する場合、グリセロールが総溶解固形物(TDS)の量を減少させることに寄与することを示す。
【0078】
しかしながら、これらの材料は脱色しやすく、脱色は、60℃での5時間にわたる乾燥の段階中、および材料をおよそ250Paの圧力に供する場合に特に観察され得る。さらに、材料は、カプセルの製造のプロセス中に接触させるカプセルの部材間の最適な表面接着を保証しないという不都合を呈する。
【0079】
(第2のセットの実験)
コーヒーと、結合剤としてのアルギン酸ナトリウムと、グリセロールとを有する堆肥化可能材料を試験した。取得された材料は、特にカプセルの製造中に、満足な特徴を呈しなかった。材料の製造方法は、加工可能なほど十分に可撓性である材料を取得するために、グリセロールの存在下でのアルギン酸塩の架橋の間、酸性pH条件をさらに必要とする。しかしながら、酸性pHは、取得される堆肥化可能材料の色の変更、およびその結果として、美的観点から不満足な外観を備えるカプセルを生じる。移行試験は、グリセロールの堆肥化可能材料から移行する傾向をさらに実証した。
【0080】
(第3のセットの実験)
50mmの直径および1.5mmの厚さを有し、成分の様々な組合せを有する円板の形態の堆肥化可能材料を、脱イオン水(DI水)中で30分間浸漬および煮沸した後、移行試験に供した。詳細には、
-コーヒーとメチルセルロースとを80:20の重量比で有する材料の円板、
-抽出済粉砕コーヒー(SGC)とメチルセルロースとを80:20の重量比で有する材料の円板、
-コーヒーとメチルセルロースとを50:50の重量比で有する材料の円板、および
-抽出済粉砕コーヒー(SGC)とメチルセルロースとを50:50の重量比で有する材料の円板
を取得した。
【0081】
図10のグラフの結果は、コーヒーの代わりに抽出済粉砕コーヒーを有する円板において移行が減少したことを示す。さらに、実験試験前の円板の洗浄は移行をさらに減少させるのに有用であることが証明された。
【0082】
移行試験に供した円板を寸法の観点からも分析した。分析は、円板の洗浄の段階が、移行を減少させるのに好都合であるにもかかわらず、円板の収縮を引き起こすことを示した。
【0083】
例えば、コーヒーとメチルセルロースとを80:20の重量比で有する円板の直径は、50mmの値から46.9mmの値への変化を示した。抽出済粉砕コーヒーとメチルセルロースとを50:50の重量比で有する円板は、直径の50mmから40.2mmへの変化を示した。抽出済粉砕コーヒーとメチルセルロースとを80:20の重量比で有する円板は、50mmから47.2mmへの直径変化を示した。
【0084】
(第4のセットの実験)
食用着色剤をミックスに組み込むことによってさらなる移行試験を実施した。詳細には、青色着色剤(GNT ExBerry Shade Blue)を、コーヒーとメチルセルロースとを80:20の重量比で有する堆肥化可能材料を取得するために使用されるミックス20gに対して0.5mlに等しい量で使用し、直径50mmかつ厚さ1.5mmの円板を取得した。
【0085】
試験は、室温の冷脱イオン水において、さらにおよそ90℃の温度の脱イオン水において実施した。
【0086】
色素の水溶液への移行は観察されず、したがって、本開示の主題を形成する材料の食品を包装することに対する適合性を証明した。
【0087】
(第5のセットの実験)
コーヒーとメチルセルロースとを様々な定量的割合で有する堆肥化可能材料を、材料の製造および処理の様々な段階において分析に供した。
【0088】
詳細には、分析した堆肥化可能材料は、コーヒーとメチルセルロースとの80:20、50:50、30:70に等しい量比を含んだ。
【0089】
上記堆肥化可能材料を、ミックスの総重量に対しておよそ55wt%から60wt%の量の水を含むミックスから取得した。
【0090】
コーヒーとメチルセルロースとの80:20の重量比を有する堆肥化可能材料(80:20)は、混合が容易な軟質ミックスから取得し、コーヒーとメチルセルロースとの50:50の重量比を有する堆肥化可能材料(50:50)は、中程度の硬度を有するミックスから得て、コーヒーとメチルセルロースとの30:70の比を有する堆肥化可能材料(30:70)は、長い混合時間を必要とし、加工が困難なミックスから得る。
【0091】
材料の成形の段階において、材料80:20および50:50は、良好な表面接着を有し、引裂を引き起こさずに成形することが容易である。さらに、材料50:50は薄いシートの製造に好適である。
【0092】
材料80:20は、ミックスが、製造の段階の間、構造変化を起こさずに、低温であってもおよそ2時間または3時間の時間で乾燥可能であるという利点をさらに呈する。メチルセルロースの量を増加すると(材料30:70)、材料は、乾燥中に収縮の現象、すなわち、応力を生じ材料の破損を誘発し得る現象を起こすおそれがある。
【0093】
コーヒーとメチルセルロースとを80:20の重量比で有する材料、さらには50:50の重量比で有する材料は、金型キャビティから容易に取り出すことができ、表面欠陥をほとんどまたは全く有しない。さらに、材料80:20は淡い色を有し、色は材料50:50および30:70ではより濃い。
【0094】
様々なセットの実験試験において得られた結果は、コーヒー系材料を結合剤、好ましくはセルロースと組み合わせて有する堆肥化可能材料が、他の結合剤をコーヒーと組み合わせて有する堆肥化可能材料に対する利点を呈することを示した。コーヒーと結合剤としてのアルギン酸塩とを有する、場合によりグリセロールの存在下の堆肥化可能材料は、食材のための容器、詳細には剛体容器、例えば液体製品の製造のための一定量の物質を含有するカプセルを製造するのに好適であるとは証明されなかった。
【0095】
可塑剤としてのグリセロールの存在は、堆肥化可能材料に明白な利点をもたらさず、移行の現象を起こすおそれがある。
【0096】
好ましくは堆肥化可能材料の20wt%から50wt%の間に含まれる特定量の結合剤、好ましくは、メチルセルロースは、カプセルの製造のプロセスの点で最適な特性を材料に付与する。
【0097】
結合剤、好ましくはメチルセルロースと組み合わせた抽出済粉砕コーヒーの使用は、コストと移行の両方の観点から有利であることがさらに証明される。
【0098】
基礎をなす原理に影響を与えることなく、構造および実施形態の詳細は、純粋に非限定的な例として本明細書に示されてきた内容に対して、保護範囲から逸脱することなく、相当な程度にさえ変更されてもよい。この範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【国際調査報告】