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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】建設機械の油圧システムの電気制御
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/028 20060101AFI20230516BHJP
   F15B 11/20 20060101ALI20230516BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20230516BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
F15B11/028 G
F15B11/20
E02F9/22 R
E02F9/20 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558230
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 US2021022874
(87)【国際公開番号】W WO2021202106
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】16/834,810
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー、ラスティン グレン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーマン、コリー リー
(72)【発明者】
【氏名】ナッカーズ、アダム マーティン
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB07
2D003BB03
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003FA02
3H089AA20
3H089AA24
3H089AA75
3H089BB19
3H089CC01
3H089CC12
3H089DA02
3H089DA03
3H089DB43
3H089EE00
3H089FF07
3H089FF12
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】

油圧システムコントローラ(310)が開示される。油圧システムコントローラは、油圧システム(200)の活性油圧回路(220)のセットの最大活性回路圧力を決定してもよく、ここで、油圧システムは、流体を活性油圧回路のセット全体にわたって流れさせる油圧ポンプ(202)を含み、油圧システムの油圧回路の回路圧力を決定してもよく、油圧回路および回路圧力に対する油圧流指令に基づいて、油圧回路に対する所望の回路デルタ圧力を決定してもよく、所望の回路デルタ圧力および最大活性回路圧力と回路圧力との圧力差に基づいて、油圧回路の回路弁(222)に対する回路弁設定を決定してもよく、回路弁設定に従って制御装置(340)に回路弁(222)の位置を設定させてもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧システム(200)を制御するための方法であって、
前記油圧システム(200)の活性油圧回路(220)のセットを識別することであって、
前記油圧システム(200)は、流体を前記活性油圧回路(220)のセット全体にわたって流れさせる油圧ポンプ(202)を含む、識別すること、
前記活性油圧回路(220)のセットの活性回路圧力から最大活性回路圧力を決定すること、
前記最大活性回路圧力と前記油圧システム(200)の油圧回路(220)の回路圧力とを比較して、前記最大活性回路圧力と前記回路圧力との圧力差を決定すること、
前記油圧回路(220)および前記回路圧力に対する油圧流指令に基づいて、前記油圧回路(220)に対する所望の回路デルタ圧力を、決定すること、
前記圧力差より小さい圧力の減少に関連する前記所望の回路デルタ圧力に基づいて、前記圧力の減少に対応する前記油圧回路(220)の回路弁(222)に対する回路弁(222)設定を決定すること、および
制御装置(340)に、前記回路弁(222)設定に従って、前記回路弁(222)の位置を設定させ、前記圧力差を減少させること、を含む、方法。
【請求項2】
前記活性油圧回路(220)のセットが、前記油圧システム(200)の一つ以上の油圧構成要素の制御に関連する一つ以上の油圧流指令に基づいて識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回路弁(222)設定の決定が、
前記油圧回路(220)に関連する弁マッピングを識別することであって、
前記弁マッピングは、複数の回路圧力を前記回路弁(222)の対応する位置にマッピングする、識別すること、および
前記弁マッピングからおよび前記所望の回路デルタ圧力に基づいて、前記回路弁(222)設定を得ること、を含み、
前記回路弁(222)設定は前記位置を識別する、請求項1~2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記回路弁(222)設定の決定が、
前記活性油圧回路(220)のセットのうちの一つに関連する動作状態を決定すること、
前記動作状態に基づいて、前記油圧回路(220)に関連する流量制限を決定すること、および
前記流量制限に基づいて、前記回路弁(222)設定を決定すること、を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記制御装置(340)に前記位置を設定させることが、
前記制御装置(340)に前記回路弁(222)設定を提供することを含み、
前記回路弁(222)設定は前記位置を識別する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記油圧回路(220)が、前記活性油圧回路(220)のセットのうちの一つである、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記油圧回路(220)が、前記油圧システム(200)の第一の油圧回路(220)であり、かつ前記最大活性回路圧力は、前記第一の油圧回路(220)とは異なる前記油圧システム(200)の第二の油圧回路(220)と関連する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
機械(100)の油圧システム(200)であって、前記油圧システム(200)が
メインラインから流体を前記油圧システム(200)に提供する油圧ポンプ(202)と、
前記機械(100)の複数の構成要素を制御するように構成された複数の油圧回路(220)と、
前記複数の油圧回路(220)を通る前記流体のそれぞれの流れを制御する複数の回路弁(222)と、
コントローラ(310)であって、
前記油圧システム(200)の活性油圧回路(220)のセットの最大活性回路圧力を決定することであって、
前記油圧システム(200)は、流体を前記活性油圧回路(220)のセット全体にわたって流れさせる油圧ポンプ(202)を含む、決定すること、
前記油圧システム(200)の油圧回路(220)の回路圧力を決定すること、
前記油圧回路(220)および前記回路圧力に対する油圧流指令に基づいて、前記油圧回路(220)に対する所望の回路デルタ圧力を決定すること、
前記所望の回路デルタ圧力および前記最大活性回路圧力と前記回路圧力との圧力差に基づいて、前記油圧回路(220)の回路弁(222)の回路弁(222)設定を決定すること、および
前記回路弁(222)設定に従って、制御装置(340)に前記回路弁(222)の位置を設定させること、を実施するように構成されるコントローラと、を含む、油圧システム。
【請求項9】
前記コントローラ(310)が、
前記油圧回路(220)と関連付けられた運転者入力、
前記油圧回路(220)の動作状態、
前記油圧システム(200)の動作状態、または
前記機械(100)の動作状態、のうち少なくとも一つに基づき前記油圧流指令を決定するように構成される、請求項8に記載の油圧システム(200)。
【請求項10】
前記コントローラ(310)が、前記回路弁(222)設定を決定する際に、
前記最大活性回路圧力が前記回路圧力よりも大きいことを判定し、
前記所望の回路デルタ圧力が、前記最大活性回路圧力と前記回路圧力との前記圧力差より小さい前記油圧回路(220)内の所望の圧力の減少を示すと判定し、および
前記所望の圧力の減少を提供する前記回路弁(222)の前記位置を決定するように構成される、請求項8に記載の油圧システム(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、油圧システムに関し、例えば、油圧システムの電気制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ショベルまたはその他の類似のタイプの車両などの作業機械または建設機械は、一つ以上の作業現場作業(例えば、材料輸送、掘り込み、スクレープ、整地、および/または同類のもの)を実施するために使用され得る。典型的には、こうした機械は、機械および/または機械の構成要素の動作を制御するために、現場作業を実施するための油圧システムを含む。例えば、油圧システムは、機械の器具を制御するために使用され得る。より具体的には、ショベルの油圧システムを使用して、ショベルの動作、ショベルの本体の回転(例えば、スイング動作)、および/またはブーム、スティック、バケット、および/または同類のものを含むショベルの器具の動作を制御してもよい。
【0003】
多くの場合、油圧システムは、複数の回路弁を個々に含む、複数の油圧ポンプおよび/または油圧回路を含む。より具体的には、油圧回路は、以前の技術では、個々の回路を通る流れを許容または拒否するメインスプール弁と、油圧回路の感知された圧力および油圧システムへの運転者入力に基づいてもよい油圧流指令に基づいて油圧システム全体にわたって流体の流れを油圧機械的に制御する流れ制御弁とを含み得る。したがって、こうした場合、個々の油圧回路間の油圧流バランスは、個々の油圧回路内の複数の弁のうちの一つ以上の油圧機械的制御を介して達成される。
【0004】
建設機械制御に対する一つのアプローチは、2017年7月14日にAkinoriらに発行された中国特許番号CN105008623(‘623特許)に開示されている。特に、’623特許は、制御弁、パイロット油圧ライン開口部を制御する作業装置制御を記述し、圧力センサーを含む。
【0005】
’623特許は、制御弁によって調整されたパイロット圧力を検出することを記述しているが、’623特許では、方向制御弁に供給された油圧油の第一の制御弁によって圧力調整が提供された後、スプールは、軸方向に一方の側に移動され、方向制御弁に供給された油圧油の第二の制御弁によって圧力調整が提供された後、スプールは、軸方向に別の側に移動される。
【発明の概要】
【0006】
一部の実施形態によれば、方法は、油圧システムの活性油圧回路のセットを識別することを含んでもよく、ここで、油圧システムは流体を活性油圧回路のセット全体にわたって流れさせる油圧ポンプを含み、活性油圧回路のセットの活性回路圧力から最大活性回路圧力を決定することを含んでもよく、最大活性回路圧力を油圧システムの油圧回路の回路圧力と比較して、最大活性回路圧力と回路圧力との圧力差を決定することを含んでもよく、油圧回路および回路圧力に対する油圧流指令に基づいて、油圧回路に対する所望の回路デルタ圧力を決定することを含んでもよく、圧力差よりも小さい圧力の減少に関連する所望の回路デルタ圧力に基づいて、減圧に対応する油圧回路の回路弁のための回路弁設定を決定することを含んでもよく、回路弁設定に従って回路弁の位置を制御装置に設定させ、圧力差を減少さることを含んでもよい。
【0007】
一部の実施形態によれば、油圧システムコントローラは、メモリおよびメモリに通信可能に結合され、油圧システムの油圧回路の回路圧力を取得するように構成されるプロセッサを含んでもよく、ここで、油圧システムは、流体を活性油圧回路のセット全体にわたって流れさせる油圧ポンプを含み、活性油圧回路のセットの活性回路圧力を決定してもよく、活性回路圧力から油圧システムの最大活性回路圧力を決定してもよく、油圧回路および回路圧力に対する油圧流指令に基づき、油圧回路に対する所望の回路デルタ圧力を決定してもよく、所望の回路デルタ圧力および最大活性回路圧力と回路圧力との圧力差に基づき、油圧回路の回路弁の回路弁設定を決定してもよく、回路弁設定に基づき、制御装置に回路弁の位置を設定し、回路弁を通る開口部を減少し、圧力差を減少するよう指示してもよい。
【0008】
一部の実施形態によれば、油圧システムは、メインラインから油圧システムへ流体を提供する油圧ポンプと、機械の複数の構成要素を制御するように構成された複数の油圧回路、複数の油圧回路を通る流体のそれぞれの流れを制御する複数の回路弁、および油圧システムの活性油圧回路のセットの最大活性回路圧力を決定するように構成されるコントローラを含んでもよく、ここで、油圧システムは、流体を活性油圧回路のセット全体にわたって流れさせる油圧ポンプを含み、油圧システムの油圧回路の回路圧力を決定してもよく、油圧回路および回路圧力に対する油圧流指令に基づいて、油圧回路の所望の回路デルタ圧力を決定してもよく、所望の回路デルタ圧力および最大活性回路圧力と回路圧力との圧力差に基づいて、油圧回路の回路弁に対する回路弁設定を決定してもよく、回路弁設定に従って回路弁の位置を制御装置に設定させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本明細書に記載の例示的な機械の図である。
図2図2は、本明細書に記載の例示的な油圧システムの概略図である。
図3図3は、本明細書に記述される例示的な装置および/または例示的な方法が実装され得る、例示的なシステムの図である。
図4図4は、本明細書に記述されるように、油圧回路の流量を制限することに関連する実施例の図である。
図5図5は、本明細書に記載の油圧システムの電気制御に関連する例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、油圧システムコントローラを使用した油圧システムの電気的(または電子的な)制御に関する。油圧システムコントローラは、かかる油圧システムを利用する任意の機械に対して普遍的な適用性を有する。「機械」という用語は、例えば、鉱業、建設、農業、輸送、または任意の他の産業などの産業に関連付けられた動作を実行する任意の機械を指し得る。いくつかの実施例として、機械は、車両、バックホーローダー、コールドプレーナー、ホイールローダー、コンパクター、フェラーバンチャー、林業用機械、フォワーダー、収穫機、ショベル、産業用ローダー、ナックルブームローダー、マテリアルハンドラー、モーターグレーダー、パイプレイヤー、道路回収機、スキッドステアローダー、スキッダー、テレハンドラー、トラクター、ドーザー、トラクタースクレーパー、または他の地上設備、地下設備、または海洋設備であり得る。さらに、一つ以上の器具は、本明細書に記述されるように、機械に接続され、油圧システムの油圧回路の油圧構成要素(例えば、シリンダ、アクチュエータ、電磁弁、弁、および/または同類のもの)から駆動され、および/または油圧システムコントローラによって制御され得る。
【0011】
図1は、本明細書に記載の例示的な機械100の図である。図1に示すように、機械100は、ショベルなどの土移動機械として具体化される。別の方法として、機械100は、運搬トラック、ドーザー、ローダー、バックホー、ショベル、モータグレーダー、ホイールトラクタースクレーパー、別の土移動機械、および/または同類のものであってもよい。
【0012】
図1に示すように、機械100は、機械100を前進させるための、トラック、ホイール、ローラー、および/または同類のものなどの地面係合部材102を含む。地面係合部材102は、車体104に取り付けられ、一つ以上のエンジンおよび/またはドライブトレインによって駆動される。車体104は、回転可能な機械本体106および運転者ステーション108を支持する。運転者ステーション108は、機械本体106と車体104との間に位置する回転可能なフレームによって支持され得る機械本体106により支持される、かつ/または機械本体106内に含まれる。運転者ステーション108は、一つ以上の運転者インターフェース110(ジョイスティックなどの統合ディスプレイおよび運転者制御装置として示される)を含む。
【0013】
図1に示すように、機械100は、ブーム114、スティック116、およびバケット118を含む、器具112を含む。器具112は、ハンマードリル、リッパー、および/または同類のものなど、他のタイプの作業ツールを含み得る。本明細書に記載されるように、機械本体106の動作および/または器具112の動作(例えば、機械本体106に対して)は、油圧システムを介して制御および/または実施され得る。本明細書に記載するように、油圧システムは、機械100、機械本体106、および/または器具112の一つ以上の機能を個別におよび/または独立して制御するための複数の油圧回路を含み得る。こうした機能および/または動作は、ブーム114と関連するブームインまたはブームアウト動作、スティック116と関連付するスティックインまたはスティックアウト動作、バケット118と関連するバケットインまたはバケットアウト動作、機械本体106と関連するスイング機能、および/または同類のものを含み得る。こうした機能は、機械の一つ以上の動作(例えば、掘り込み動作、材料輸送動作、移動動作、および/または同類のもの)に関連して行われてもよい。
【0014】
図1に示すように、ブーム114は、ブーム114の近位端で機械本体106に旋回可能に取り付けられる。ブーム114は、油圧システムのブームシリンダ120(例えば、油圧シリンダ、空気シリンダ、および/または同類のものなどの流体作動シリンダ)によって、機械本体106に対して関節接続され得る。スティック116の近位端は、ブーム114の遠位端でブーム114に旋回可能に取り付けられる。スティック116は、油圧システムのスティックシリンダ122によってブーム114に対して関節接続され得る。バケット118の近位端は、スティック116の遠位端でスティック116に旋回可能に取り付けられる。バケット118は、油圧シリンダのバケットシリンダ124によってスティック116に対して関節接続され得る。
【0015】
機械100の油圧システムは、油圧システムの複数の油圧回路(例えば、ブームシリンダ120、スティックシリンダ122、バケットシリンダ124、機械本体106をスイングするための一つ以上のスイングシリンダ、および/または同類のものと関連する個別の油圧回路)に、流体(例えば、オイルまたは他のタイプの油圧流体)の流源(例えば、固定流量または可変流量)を提供する油圧ポンプ126を含み得る。一部の実施形態によると、油圧ポンプ126は、本明細書に記載される複数の機能を制御するように構成される、単一の(または唯一の)油圧ポンプ126であってもよい。追加的に、または代替的に、油圧ポンプ126は、組み合わせて、機械の油圧システムに流体の単一の流源を提供するように構成される、複数の油圧ポンプのうちの一つであってもよい。油圧ポンプ126は、油圧ポンプの排出端部に流体的に連結されたメインラインから、複数の油圧回路に流体を提供する。本明細書に記載されるように、複数の油圧回路を通る流れは、複数の油圧回路の個々の回路弁の電気機械的制御を介して制御されてもよい。本明細書にさらに記載されるように、個々の油圧回路の回路弁は、個々の油圧回路の唯一の(または単一の)回路弁であってもよい。
【0016】
図1に示すように、機械100は、コントローラ128(例えば、電子制御モジュール(ECM))および複数のセンサ130(本明細書では、独立して「センサ130」と称され、「センサ130」と総称される)を含み得る。コントローラ128は、機械100の動作を制御および/または監視し得る。例えば、コントローラ128は、センサ130からの信号および/または運転者インターフェース110から受信した運転者入力に基づいて、機械100の動作を制御および/または監視し得る。コントローラ128は、本明細書に記述されるように、油圧システムを制御するよう構成される、油圧システムコントローラを含んでもよく、および/またはこれと関連付けられてもよい。
【0017】
図1に示すように、センサ130は、機械100の様々な構成要素または部分上および/または内部に、異なる位置に設置される。例えば、センサ130は、機械本体106、ブーム114、スティック116、およびバケット118上に位置付けられ得る、一つ以上の動きセンサ(例えば、カメラ、加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定センサ、速度センサ、位置センサ、および/または同類のもの)を含み得る。こうした例では、コントローラは、センサ130から受信した情報から、機械100の動作、機械本体の動作、器具112の動作、機械100の位置(例えば、機械100の環境に対する)、機械100の配向、および/または同類のものを検出および/または決定し得る。追加的に、または代替的に、センサ130は、機械100の作動シリンダ内(例えば、作動シリンダ、および/または同類のものに対する、またはそれらからの頭部端、ロッド端、流体ライン内に)に含まれる一つ以上の圧力センサを含み得る。こうした例では、コントローラ128は、ブームシリンダ120、スティックシリンダ122、バケットシリンダ124、スイングシリンダ、および/または同類のものに関連する一つ以上の圧力を決定し得る。
【0018】
上述のように、図1は、一実施例として提供されている。他の例は、図1に関連して記載されたものと異なる場合がある。
【0019】
図2は、本明細書に記載の例示的な油圧システム200の概略図である。油圧システム200は、油圧ポンプ202、供給ライン204、メインライン206、流体リザーバ208、コントローラ210、および複数の油圧回路220aから220f(本明細書では総称して「油圧回路220」と称する)を含む。供給ライン204は、流体リザーバ208および油圧ポンプ202の取込み端に流体的に連結される。油圧ポンプ202は、供給ライン204を介して、流体リザーバ208から流体を引き、流体にメインライン206を通って油圧回路220に流れさせ、流体リザーバ208に戻るように構成される、任意の適切な流体ポンプ機構であってもよい。メインライン206は、ポンプの放出に、油圧回路220の回路ライン(および/または回路弁)に、および流体リザーバ208に流体結合される。メインライン206は、油圧回路220を通して流体のそれぞれの流れを供給するように構成される単一の流源であってもよい。コントローラ210は、図1のコントローラ128に対応し、本明細書に記載するように、油圧回路を通る流体の流れを制御するように構成され得る。
【0020】
図2では、油圧回路220は、それぞれ回路弁222a~222f(総称して、「回路弁222」と称する)、およびそれぞれ圧力センサ構成230a~230f(本明細書では、総称して、「圧力センサ構成230」と称する)、それぞれ弁制御装置240a~240f(本明細書では、総称して、「弁制御装置240」と称する)、およびそれぞれシリンダ250a~250f(本明細書では、総称して「シリンダ250」と称する)を、それぞれ含む。油圧回路220は、図1の機械100および/または器具112の個々の機能と関連付けられてもよい。具体的な例として、油圧回路220aおよび油圧回路220bは、機械100の方向移動を制御してもよく、油圧回路220cは、機械本体106のスイング(または回転)を制御してもよく、油圧回路220dは、ブーム114(例えば、シリンダ250dは、ブームシリンダ120に相当し得る)を制御してもよく、油圧回路220eは、スティック116(例えば、シリンダ250eは、スティックシリンダ122に相当し得る)を制御してもよく、および油圧回路220fは、バケット118(例えば、シリンダ250fは、バケットシリンダ124に相当し得る)を制御してもよい。
【0021】
回路弁222は、(例えば、コントローラ210からの指示の受信に基づいて)それぞれの弁制御装置240によって制御されることができる、任意の好適に構成された弁であってもよい。例えば、回路弁222は、(例えば、応答性、性能、サイズ、動作範囲、シリンダタイプ、および/または同類のものに従って)シリンダ250の機能制御に特有な電気機械的構成を有する、個別に構成されたスプール弁であってもよい。
【0022】
油圧ポンプ202は、動作中、および回路弁222の構成(例えば、回路弁の設定または位置に基づく)に従って、流体を油圧回路220へ、それを通って、および/またはそれから流れさせる。油圧ポンプ202を含む図2の例では、回路弁222の一つの開口部への任意の調整は、油圧システム200の物理的特性のために、回路弁222と関連付けられない他の油圧回路220を通る流れに影響を与える可能性が高い。例えば、回路弁222aの領域を閉鎖または低減することは、作動している油圧回路220bから220fのいずれかを通る流体の流量を増加させることができる。一方で、回路弁222aの領域を開くか、または増加させることは、活性である油圧回路220bから220fのいずれかを通る流体の流量を減少させることができる。本明細書に記載されるように、油圧回路220は、対応する回路弁222が、流体がその油圧回路220を通って流れることを可能にする開通路を有するとき、“活性回路”である。
【0023】
圧力センサ構成230は、油圧回路220の個々の圧力を監視するよう構成される、一つ以上の圧力センサを含み得る。例えば、圧力センサ構成230aは、シリンダ250aのロッド端部の圧力、シリンダ250aの頭端部の圧力、および/または回路弁222aとシリンダ250aとの間の回路線内の圧力を測定する、および/または示すための第一の圧力センサを含み得る。示されるように、圧力センサ構成は、コントローラ210と通信可能に結合される。したがって、コントローラ210は、油圧システム200に関連する圧力測定値を受信、取得、および/または監視してもよい。
【0024】
本明細書に記載されるように、コントローラ210は、弁制御装置240に、回路弁222の一つ以上の構成要素(例えば、スプール、ステム、アクチュエータ、プラグ、開口、および/または同類のもの)を構成または位置付けさせ、回路弁222の開口部を(例えば、それぞれの回路弁222の一つ以上を通る通路の領域を増加または減少させることによって)増加および/または減少させる。より具体的には、コントローラ210は、弁制御装置240に、開口部のサイズを制御するために、またそれに応じて、油圧回路220全体の流体の流れを制御するように(例えば、油圧システムの油圧流指令、油圧回路220の一つ以上の油圧流指令、および/または同類のものに従って)、回路弁222のスプールの位置を設定するよう指示してもよい。
【0025】
上述のように、図2は、一実施例として提供されている。他の例は、図2に関連して記載されたものと異なる場合がある。
【0026】
図3は、本明細書に記述される例示的な装置および/または例示的な方法が実装され得る、例示的なシステム300の図である。図3に示すように、システム300は、プロセッサ312、メモリ314、弁制御モジュール316、および弁マッピングモジュール318を含む油圧システムコントローラ310を含み得る。さらに、システム300は、運転者インターフェース320、センサ330、および/または弁制御装置340(本明細書では、それぞれを「制御装置340」と称する)を含んでもよい。システム300の装置は、有線接続、無線接続、または有線および無線接続の組み合わせを介して相互接続してもよい。本明細書に記載するように、油圧システムコントローラ310は、運転者インターフェース320からの運転者入力、センサ330からのセンサ測定値、および/または同類のものに基づいて、決定される油圧流指令に従って、弁制御装置340を使用して、油圧システム(例えば、図2の油圧システム200)を制御するように構成される。
【0027】
運転者インターフェース320(例えば、図1の運転者インターフェース110に対応する)は、機械100および/または器具112の制御に関連する情報の受信、生成、保存、処理、および/または提供に関連する、一つ以上の装置を含み得る。こうした入力構成要素は、電子ユーザーインターフェース(例えば、タッチスクリーン、キーボード、キーパッド、および/または同類のもの)、機械的ユーザーインターフェース(例えば、アクセルペダル、減速ペダル、ブレーキペダル、トランスミッション用のギアシフター、および/または同類のもの)、および/または油圧ユーザーインターフェース(例えば、油圧レベル、油圧ペダル、および/または同類のもの)を含み得る。本明細書に記載するように、油圧システムコントローラ310は、運転者インターフェース320から受信される運転者入力に基づいて、油圧流指令を決定し得る。
【0028】
センサ330は、機械100および/または器具112の動作状態を監視するように構成された任意のタイプのセンサを含み得る。センサ330は、図1のセンサ130および/または図2の圧力センサ構成230に対応し得る。センサ330は、機械100および/または器具の動作状態を決定するための、圧力センサ(例えば、油圧システムのラインおよび/またはシリンダ内の圧力、機械100および/または同類のもののエンジン内の圧力を決定するための)、温度センサ(例えば、空気、排気、構成要素、冷却剤、および/または同類のものの温度を決定するための)、位置センサ(例えば、弁、アクチュエータ、エンジン部品(例えば、ピストン)、および/または同類のものの位置の検出のための)、速度センサ(例えば、機械の速度、エンジン速度、および/または同類のものの速度を検出するための)、および/または同類のものなどの、一つ以上のセンサを含んでもよい。
【0029】
弁制御装置340は、一つ以上の油圧回路(例えば、図2の油圧回路220)を通る流体の流れを電気的に制御するために、油圧システムコントローラ310によって使用され得る任意の適切な装置を含む。例えば、制御装置340は、回路弁(例えば、図2の回路弁222)を解放および/または閉鎖することができる一つ以上のアクチュエータ、電磁弁、スイッチ、および/または同類のもの)を含み得る。一部の実施形態では、弁制御装置340は、油圧システムコントローラ310にフィードバックを提供し得る。例えば、弁制御装置340は、回路弁のスプール(または他の構成要素)の位置、回路弁が開いているかまたは閉じているか、回路弁の開口部の領域、および/または同類のものを提供および/または表示し得る。追加的に、または代替的に、一つ以上のセンサ330は、弁制御装置340と関連付けられ、および/または弁制御装置340内に含まれてもよい。このような場合、センサ330は、弁制御装置340と関連付けられる、および/または弁制御装置340と関連する回路弁の状態または設定を表し得る情報を提供し得る。
【0030】
油圧システムコントローラ310は、図1のコントローラ128および/または図2のコントローラ210に対応し得る。プロセッサ312は、ハードウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実装される。プロセッサ312は、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、加速処理ユニット(APU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または別のタイプの処理コンポーネントを含み得る。プロセッサ312は、関数を実行するようにプログラムされ得る、一つ以上のプロセッサを含み得る。メモリ314は、プロセッサ312(例えば、弁制御モジュール316、および弁マッピングモジュール318および/または同類のものと関連する情報および/または指示)によって使用される情報および/もしくは命令を記憶する、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ならびに/または別のタイプの動的もしくは静的記憶装置(例えば、フラッシュメモリ、磁気メモリ、および/または光メモリ)を含む。
【0031】
弁制御モジュール316は、機械100の一つ以上の油圧回路を通る流体の流量を制御するために、弁制御装置340を決定および/または制御するように構成される。弁制御モジュール316は、機械100および/または器具112の動作状態に関連するセンサ330から測定値を受信してもよい。追加的に、または代替的に、弁制御モジュール316は、本明細書に記載のように、機械100および/または器具に関連する動作、および/または機械100および/または器具112の機能の制御を実行する運転者に関連して、運転者インターフェース320から運転者入力を受信してもよい。
【0032】
弁制御モジュール316は、センサ330の複数の圧力センサを使用して、油圧システムの圧力を監視するように構成され得る。油圧システム全体にわたる圧力に基づいて、弁制御モジュール316は、弁制御装置340に指示し、一つ以上の回路弁の設定を調整して、特定の油圧回路を通る流量を増加または減少させてもよい。例えば、弁制御モジュール316は、圧力および/または運転者入力に基づいて、油圧システムのどの油圧回路がアクティブであるか(例えば、どの油圧回路がゼロ以外の流量を有するか)を識別してもよい。活性である油圧回路については、弁制御モジュール316は、最大活性回路圧力(例えば、活性油圧回路の回路圧力に対する最大回路圧力)を決定してもよい。弁制御モジュール316は、最大活性回路圧力を油圧回路(例えば、活性油圧回路のうちの一つ)の所望の回路デルタ圧力と比較し、その回路弁の領域を、最大活性回路圧力を有する油圧回路の流体の流量を増加させるために減少することができるかどうかを決定し得る。
【0033】
弁制御モジュール316は、所望の油圧流指令(例えば、運転者インターフェース320の運転者入力、センサ330のセンサ測定値に基づいて生成される自動流指令、および/または同類のものから決定される)、および油圧回路を監視するセンサ330の一つによって示される実際のまたは動作圧力に基づいて、特定の油圧回路の所望の回路デルタ圧力を決定し得る。所望の回路デルタ圧力が、領域が減少され得ること(例えば、測定された圧力が、油圧流指令に対応する圧力よりも高い)を示す場合、弁制御モジュール316は、弁マッピングモジュール318を使用して、油圧回路の弁制御装置340に指示し、それに応じて、油圧回路の回路弁の領域を減少させる。このように、最大活性回路圧力に関連する油圧回路の流量(および/または圧力)は、他の回路弁の制御によって増加させ得る。
【0034】
弁制御モジュール316は、情報および/または論理を弁マッピングモジュール318に保存してもよい。例えば、こうした情報は、油圧回路(および/または対応する回路弁)のリスト、回路に関連する優先順位(例えば、一つ以上の油圧回路の制御が、デフォルトで、および/または特定の状態下で、他の制御よりも優先されるべきかどうかの表示)、および油圧システムの油圧回路の特定の回路弁に対応する複数の弁マッピング(「M1」、「M2」、「M3」と表示される)、に含まれてもよい。弁マッピングは、回路弁の特定の領域、油圧回路の特定の圧力、油圧回路の特定の流量、および/または同類のものを有する弁の位置をマッピングしてもよい。したがって、弁マッピングモジュール318によって保存および/または維持される弁マッピングは、弁特異的、動作モード特異的、および/または機能特異的弁マッピングであってもよい。このようにして、弁制御モジュール316は、弁制御装置340に、個々の油圧回路に対する特定の調整戦略に従って、デルタ圧力補償(例えば、開口部の調整)を飽和させ得る。
【0035】
弁マッピングは、メモリ314のデータ構造(例えば、データベース、表、インデックス、グラフ、および/または同類のもの)、および/またはメモリ314と通信可能に結合されたメモリに保存されてもよい。弁マッピングは、所望の圧力、所望の流量、所望の回路デルタ圧力、および/または同類のものに対する回路弁設定と関連付けられてもよい。さらに、特定の回路弁に対する弁マッピングは、回路弁のスプールの特定の位置の、機械100および/または器具112の特定の動作状態に対する弁の開口部の領域へのマッピングに対応し得る。このように、弁マッピングは、回路弁設定および/または回路弁の構成要素の位置を識別する。弁制御モジュール316は、弁マッピングモジュール318の弁マッピングを使用して、機械100の油圧システムの一つ以上の油圧回路を通る制限流量を格付けしてもよい。
【0036】
図3に示す装置の数および配置が例として提供されている。実際には、図3に示されるものよりも、追加の装置、より少ない装置、異なる装置、または異なる配置の装置があり得る。さらに、図3に示す二つ以上の装置は、単一の装置内に実装されてもよく、または図3に示す単一の装置は、複数の分散装置として実装されてもよい。追加的に、または代替的に、システム300の装置セット(例えば、一つ以上の装置)は、システム300の別の装置のセットによって実行されると記述された一つ以上の機能を実行し得る。
【0037】
図4は、本明細書に記載するように、油圧回路の流量を制限することに関連する実施例400の図である。実施例400は、図3の油圧システムコントローラ310によって実行される流量制限スキームおよび/または分析に対応し得る。
【0038】
図4に示すように、油圧システムコントローラ310は、油圧回路に対する油圧流指令が、機械100および/または器具112に関連した一つ以上の決定された動作状態に従って、優先油圧回路と関連しているかどうかを判定し得る。油圧流指令が、優先油圧回路(弁マッピングモジュール318の弁マッピングに従って決定され得る)と関連している場合、油圧システムコントローラ310は、油圧流指令に従って油圧システムを制御する。例えば、油圧システムコントローラ310は、油圧システムの弁制御装置340に、所望の油圧流指令を満たすように、活性油圧回路の流量を制御させ得る。
【0039】
油圧システムコントローラ310が、油圧流指令が、動作状態に従って優先油圧回路と関連していないと判断した場合、油圧システムコントローラ310は、動作状態に基づく制限スキームに従って、油圧システムを制御する。例えば、油圧システムコントローラ310は、油圧回路の流量制限戦略および/または動作状態に基づく油圧流指令の調整に従って、一つ以上の油圧回路に関連した流量を制限するように、弁制御装置340を制御してもよい。
【0040】
例として、スティック116に関連するスティックイン関数(例えば、掘り込み作業のための)は、機械本体106のスイング速度および/または機械本体106のスイングを制御する油圧回路に関連する回路圧力を示す動作状態に基づいて制限され得る。このような場合、油圧システムコントローラ310は、弁制御装置340に、スティック116の油圧回路の流量が特定の最大流量よりも小さくなるように制限させることができる。追加的に、または代替的に、スティックイン機能は、ブームシリンダ120と関連付けられた進行中のブーム流コマンド、バケットシリンダ124と関連付けられたバケット流コマンド、および/またはスイングシリンダと関連付けられたスイング流コマンドに基づいて制限され得る。別の例として、機械100が(例えば、移動動作の間に)移動していることを示す動作状態に基づいて、機械100を動かすために使用される流体の流量の減少を防止するために、バケットシリンダ124に関連付けられた油圧流指令は無視および/または調整されてもよい。同様に、ブームシリンダ120および/またはスティックシリンダの油圧流指令は、作動動作および/または機械100に関連する他のタイプの動作状態の間、無視および/または調整され得る。
【0041】
上述のように、図4は、一実施例として提供されている。他の例は、図4に関連して記載されたものと異なる場合がある。
【0042】
図5は、油圧システムの電気制御に関連する例示的なプロセス500のフローチャートである。一部の実施形態では、図5の一つ以上のプロセスブロックは、コントローラ(例えば、コントローラ128、コントローラ210、油圧システムコントローラ310、および/または同類のもの)によって行われてもよい。一部の実施形態では、図5の一つ以上のプロセスブロックは、別の装置、または例えば、弁制御装置などのコントローラ(例えば、弁制御装置240、弁制御装置340、および/または同類のもの)、および/または同類のものとは別のまたはそれらを含む装置のグループによって行われてもよい。
【0043】
図5に示すように、プロセス500は、油圧システムの活性油圧回路のセットの最大活性回路圧力を決定することを含み得る(ブロック510)。例えば、コントローラ(例えば、プロセッサ312、メモリ314、弁制御モジュール316、弁マッピングモジュール318、および/または同類のものを使用して)は、上述のように、油圧システムの活性油圧回路のセットの最大活性回路圧力を決定してもよい。油圧システムは、流体を活性油圧回路のセット全体にわたって流れさせる、油圧ポンプおよび/または単一の流源を含み得る。
【0044】
コントローラは、油圧システムの一つ以上の油圧構成要素の制御に関連する一つ以上の油圧流指令に基づいて、活性油圧回路のセットを識別し得る。コントローラは、活性油圧回路のセットに関連付けられた圧力センサから、活性油圧回路のセットの個々の圧力測定値を決定し、個々の圧力測定値から、最大活性回路圧力を識別し得る。
【0045】
図5にさらに示すように、プロセス500は、油圧システムの油圧回路の回路圧力を決定することを含み得る(ブロック520)。例えば、コントローラ(例えば、プロセッサ312、メモリ314、弁制御モジュール316、弁マッピングモジュール318、および/または同類のものを使用して)は、上述のように、油圧システムの油圧回路の回路圧力を決定し得る。
【0046】
油圧回路は、活性油圧回路のセットのうちの一つであってもよい。追加的に、または代替的に、油圧回路は、第一の回路弁を有する油圧システムの第一の油圧回路であり、最大活性回路圧力は、第一の油圧回路とは異なる油圧システムの第二の油圧回路と関連付けられている。第一の回路弁および第二の油圧回路の第二の回路弁は、油圧ポンプのメインラインに流体結合されてもよい。
【0047】
さらに図5に示すように、プロセス500は、油圧回路および回路圧力に対する油圧流指令に基づいて、油圧回路に対する所望の回路デルタ圧力を決定することを含み得る(ブロック530)。例えば、コントローラ(例えば、プロセッサ312、メモリ314、弁制御モジュール316、弁マッピングモジュール318、および/または同類のものを使用して)は、上述のように、油圧回路の所望の回路デルタ圧力を決定し得る。コントローラは、油圧回路、油圧回路の動作状態、油圧システムの動作状態、機械の動作状態、および/または同類のものに関連する運転者入力に基づいて、油圧流指令を決定し得る。
【0048】
回路圧力は、油圧回路の圧力センサから受領する動作圧力に一致してもよく、所望の回路デルタ圧力は、動作圧力と油圧流指令に基づく所望の圧力との差を含み得る。
【0049】
図5にさらに示すように、プロセス500は、所望の回路デルタ圧力および最大活性回路圧力と回路圧力との圧力差に基づいて、油圧回路の回路弁の回路弁設定を決定することを含み得る(ブロック540)。例えば、コントローラ(例えば、プロセッサ312、メモリ314、弁制御モジュール316、弁マッピングモジュール318、および/または同類のものを使用して)は、上述したように、所望の回路デルタ圧力および最大活性回路圧力と回路圧力との圧力差に基づいて、油圧回路の回路弁の回路弁設定を決定し得る。
【0050】
コントローラは、最大活性回路圧力が回路圧力よりも大きいと判定してもよく、油圧回路内の所望の圧力の減少が最大活性回路圧力と回路圧力との圧力差よりも小さいと所望の回路デルタ圧力が示すと判定してもよく、所望の圧力の減少を提供する回路弁の位置を決定してもよい。
【0051】
一部の実施形態では、コントローラは、複数の回路圧力を回路弁の対応する位置にマッピングする、油圧回路に関連付けられた弁マッピングを識別してもよく、弁マッピングから、所望の回路デルタ圧力に基づいて、回路弁の位置を示し得る回路弁設定を取得してもよい。
【0052】
追加的に、または代替的に、コントローラは、活性油圧回路のセットの一つに関連する動作状態を決定し、動作状態に基づいて、油圧回路に関連する流量制限を決定し、流量制限に基づいて回路弁設定を決定し得る。活性油圧回路のセットのうちの一つは、機械の動作の制御と関連付けられてもよく、油圧回路は、機械の構成要素の制御と関連付けられてもよい。
【0053】
図5にさらに示すように、プロセス500は、制御装置に回路弁設定に従って回路弁の位置の設定させることを含み得る(ブロック550)。例えば、コントローラ(例えば、プロセッサ312、メモリ314、弁制御モジュール316、弁マッピングモジュール318、および/または同類のものを使用して)は、上述のように、制御装置に回路弁設定に従って回路弁の位置を設定させ得る。コントローラは、制御装置に回路弁設定を提供し得る。
【0054】
図5は、プロセス500の例示的なブロックを示すが、一部の実施形態では、プロセス500は、図5に描写したものよりも、追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、または異なる配置のブロックを含み得る。追加的に、または代替的に、プロセス500のブロックのうちの二つ以上が並列に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
開示された油圧システムコントローラは、油圧システムを使用して機械および/または機械の器具を制御する任意の機械と共に使用され得る。開示された油圧システムコントローラは、油圧回路に関連する圧力の監視および/または決定に基づいて、複数の油圧回路を通る流体の流れを電気的に制御し得る。例えば、一つの油圧回路(例えば、活性油圧回路のセットに対する最大回路圧力)において識別された最大活性回路圧力基づいて、油圧システムコントローラは、油圧システム中の異なる油圧回路の回路弁が、活性油圧回路と関連付けられる油圧回路を通る流体の流量を増加するために調製されるかどうか、を決定し得る(例えば、油圧回路と関連する機能または構成要素の性能および/または反応を向上させるために)。このようにして、一つ以上の圧力センサおよび/または弁制御装置と通信可能に結合されることに基づいて、油圧システムコントローラは、油圧システム全体にわたって流量および/または流体分布を自動的に制御することができる。
【0056】
さらに、本明細書に構成される油圧システムコントローラは、複数(またはすべて)の油圧回路が、油圧機械的よりは、むしろ電気機械的に同時に監視および制御され得るため、油圧システムが油圧ポンプを含めることを可能にする。さらに、油圧システムコントローラは、油圧システムの回路弁を(油圧機械的にではなく)電気機械的に制御するため、油圧システムコントローラは、複数の油圧回路を含む油圧システムを可能にし、活性油圧回路全体にわたって流れを同時に制御しながら、個々の回路弁(例えば、油圧回路当たり一つの制御弁)を使用して、油圧回路を通る流体の流量を独立して制御する。このように、油圧システム用の複数の別個の油圧ポンプおよび/または単一の油圧回路用の複数の別個の回路弁を必要とする機械ではなく、油圧システムは、油圧ポンプ、単一の流源、および/または油圧システムコントローラの油圧回路用の唯一の回路弁を使用して制御することが可能であり、結果として、ハードウェアリソースを削減し、油圧システムの複雑さを低減し、油圧システムおよび/または油圧システムと関連する機械と関連する効率を向上させる(例えば、油圧システムの重量、油圧システムの電力必要量および/または消費電力、および/または同類のものを減少させることにより)。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】