(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】現地組み立て式モジュラフェーズドアレイSATCOM端末
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/06 20060101AFI20230516BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20230516BHJP
H01Q 3/44 20060101ALI20230516BHJP
H01Q 19/06 20060101ALI20230516BHJP
H02J 50/30 20160101ALI20230516BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20230516BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20230516BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q3/26 Z
H01Q3/44
H01Q19/06
H02J50/30
H02J50/90
H02J50/40
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559995
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 IB2021052759
(87)【国際公開番号】W WO2021198990
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517425734
【氏名又は名称】オール ドット スペース ネットワークス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALL.SPACE NETWORKS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】ターピン,ジェレマイア・ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ビルマン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】フィニー,ジョン
【テーマコード(参考)】
5G503
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB09
5J020AA02
5J020BB01
5J020BC04
5J020DA10
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021DB01
5J021FA05
5J021FA17
5J021FA32
5J021GA02
5J021HA03
5J021HA07
(57)【要約】
現地組み立て式衛星通信端末が、複数の個別のモジュラアパーチャブロックを有する。各アパーチャブロックは、電気操作式アンテナアパーチャと、複数のアパーチャブロックの間の電力通信及びデータ通信用の複数の相互接続ポートとを含む。複数の相互接続ポートは、現地においてエンドユーザによって着脱可能に接続することができる。端末は、アパーチャへの信号及びアパーチャからの信号を受信、処理、及び生成する信号処理システムを更に有する。アパーチャブロックは、現地において互いに接続され、電気操作式アンテナを形成するように自己設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個別モジュラアパーチャブロック(103)であって、現地において互いに着脱可能に接続され、かつ、組み合わせ電気操作式アンテナを形成するように自己設定し、前記複数の個別モジュラアパーチャブロックのそれぞれが、
i.電気的に操作されるアンテナアパーチャ(105)、及び
ii.前記複数の個別モジュラアパーチャブロックの間の電力通信及びデータ通信用の複数の相互接続ポート(107)であって、現地においてエンドユーザによって着脱可能に接続することができる、複数の相互接続ポート(107)、
を含む、複数の個別モジュラアパーチャブロック(103)と、
前記アンテナアパーチャ(105)への信号及び前記アンテナアパーチャ(105)からの信号を、受信、処理及び生成する信号処理システム(325)と、
前記個別モジュラアパーチャブロックとこれに隣接する前記個別モジュラアパーチャブロックとの間の相対的な距離及び向きを自動的に測定して、前記組み合わせ電気操作式アンテナを較正する、前記複数の個別モジュラアパーチャブロック(103)のそれぞれにおけるコントローラ(339)と、
を備える、現地組み立て式衛星通信端末(101)。
【請求項2】
前記複数の個別モジュラアパーチャブロック(103)は、組み立てられて、複数の前記アンテナアパーチャ(105)によって形成された組み合わせアパーチャを有するブロックアセンブリを形成する、請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記組み合わせアパーチャは、より高い利得、性能、及びスループットを有する、請求項2に記載の端末。
【請求項4】
前記複数の個別モジュラアパーチャブロックのそれぞれは、統合された電池及び電力制御回路を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の端末。
【請求項5】
相互接続インタフェースを通じて電力を提供する外部電池(433)を更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の端末。
【請求項6】
前記個別モジュラアパーチャブロックは、モジュール間の通信及び制御用のコンピューティングデバイス(311)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の端末。
【請求項7】
前記複数の個別モジュラアパーチャブロックのうちの1つは、構成中に、主ブロックとして動作するように共同で選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の端末。
【請求項8】
前記ブロックアセンブリは、処理容量の一部(329)としてインスタンス化されるモデム及びアンテナ制御ユニットと、前記複数の個別モジュラアパーチャブロックによって提供される位置センサ及び向きセンサ(343,345)と、を有する統合された端末として動作する、請求項2に記載の端末。
【請求項9】
前記ブロックアセンブリは、外部ブロックによって提供される、モデムと、電池と、アンテナ制御ユニットと、位置センサ及び向きセンサと、を有する統合された端末として動作する、請求項2又は8に記載の端末。
【請求項10】
前記複数のモジュラアパーチャブロックのそれぞれに含まれる再構成可能な処理デバイス又はFPGAを更に備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の端末。
【請求項11】
前記個別モジュラアパーチャブロックは、ハウジング内に環境的に密閉される、請求項1~10のいずれか1項に記載の端末。
【請求項12】
前記複数の個別モジュラアパーチャブロック(103)の間の無線電力転送を提供する誘導電力結合部(205)を更に備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の端末。
【請求項13】
前記複数の相互接続ポート(107)は、電力転送用の電気接点(283)を有し、前記端末は、前記電気接点を保護する着脱可能なカバーを更に備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の端末。
【請求項14】
前記複数の相互接続ポートは、データ転送に短距離高周波無線通信を使用する、請求項1~13のいずれか1項に記載の端末。
【請求項15】
前記複数の相互接続ポートは、データ転送に光データカプラを使用する、請求項1~13のいずれか1項に記載の端末。
【請求項16】
前記複数のアパーチャブロックのうちの1つ以上における前記複数の相互接続ポートのうちの1つ以上に接続された1つ以上の外部データ転送電力補機を更に備える、請求項1~15のいずれか1項に記載の端末。
【請求項17】
前記電気的に操作されるアンテナアパーチャはデジタルフェーズドアレイである、請求項1~16のいずれか1項に記載の端末。
【請求項18】
前記電気的に操作されるアンテナアパーチャはアナログフェーズドアレイである、請求項1~16のいずれか1項に記載の端末。
【請求項19】
前記電気的に操作されるアンテナアパーチャはレンズアンテナアレイである、請求項1~16のいずれか1項に記載の端末。
【請求項20】
前記電気的に操作されるアンテナアパーチャは液晶に基づくアンテナである、請求項1~16のいずれか1項に記載の端末。
【請求項21】
前記複数の個別モジュラアパーチャブロックのそれぞれは、72度、54度、54度の内角を有する三角形状を有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の端末。
【請求項22】
前記三角形状は、丸みを帯びた角部を有する、請求項21に記載の端末。
【請求項23】
前記組み合わされたアンテナアパーチャは、内部又は外部において送信されるRF信号から自己較正する、請求項1~22のいずれか1項に記載の端末。
【請求項24】
前記複数のアパーチャブロックの相対的な位置及び向きは、高周波数光学変調信号についての1つの送信機及び少なくとも3つの受信機からの位相比較によって光経路長差を測定することによって較正用に求められる、請求項1~23のいずれか1項に記載の端末。
【請求項25】
前記端末はVSAT衛星通信端末として動作する、請求項1~24のいずれか1項に記載の端末。
【請求項26】
前記端末は、前記商用及び軍用のKaバンドサットコム周波数において動作する、請求項1~24のいずれか1項に記載の端末。
【請求項27】
前記端末は、Kuサットコム周波数において動作する、請求項1~24のいずれか1項に記載の端末。
【請求項28】
前記端末は、Xバンドサットコム周波数において動作する、請求項1~24のいずれか1項に記載の端末。
【請求項29】
前記端末は、複数の帯域にわたって動作することができる、請求項1~24のいずれか1項に記載の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナと、モデムと、サポート機器と、を含むマンパック又はポータブルVSAT衛星通信端末に関する。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2020年4月3日付けで出願された米国仮特許出願第63/004929号の優先権の利益を主張する。本出願は、この米国仮特許出願の内容に依拠するものであり、この米国仮特許出願の内容は、引用することによってその全体が本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
通信衛星は、多数の周波数帯域とサービスを介して、固定サイト、モバイルサイト、恒久的サイト及び一時的サイトへの接続を、世界中に提供する。X周波数帯域、Ku周波数帯域及びKa周波数帯域において提供されるVSAT(超小型地球局:Very Small Aperture Terminal)サービスクラスは、中程度のアパーチャサイズからの世界規模の接続性及び高帯域幅を必要とする、民間用途、商業用途、及び防衛用途に使用される。極めて大きなアンテナを使用することができる場合を除き、代替のより低い周波数帯域(UHF、L-、S-、C-)のサービスが、はるかに低い帯域幅を必要とする使用に適用される。
【0004】
衛星との通信には、アンテナ、モデム、及び、関連した増幅器を含む端末と、ミキサと、他のRF構成要素又はマイクロ波構成要素と、が必要とされる。端末は、主としてアンテナによって区別され、アンテナが固定されているのか又は操作可能であるのか、機械的であるのか又は電子的であるのかによって区別される。
【0005】
間欠的通信及びオンザフライ通信がリモートロケーションにおいて必要とされる防衛用途及び民間用途の場合に、「マンパック」として知られている特定のクラスの端末が、非常に小さな個人グループによって容易に移送、組み立て、操作、及び分解されるように設計される。マンパック端末は、Comms-on-the-Haltアンテナのクラスのサブセットとみなすことができるが、特に、1人又は2人の個人が徒歩で移送することができるアンテナとみなすことができる。重量、電力消費、容積、及び使い易さが、この市場区分に重要な差別化因子である。特に、航空機で手荷物又は預け荷物としてアンテナとともに移動可能であることは高く評価される。
【0006】
VSAT周波数の場合に、マンパックソリューションの中では、放物面鏡アンテナが、ほぼ一般的である。最も一般的な手法は、ピースに分解されるパラボラディッシュである。ピースは、互いにクリップされ、中央の折り畳み可能なフレームが、フィードアンテナ、サブリフレクタ、増幅器、モデム、電池、及び、他の機器を保持して、正しい形状を形成する。これについては、例えば、Hawkeye III Lite、1.2M Tri-band VSAT、www.L3Harris.comを参照されたい。サイズ及び重量は、端末がマンパックとみなされるのか、又は、個人ではなくトラック若しくは飛行機による輸送を対象としたより大きなフライアウェイ(flyaway)端末とみなされるのかを決定する。リフレクタ及びフィードを含むインフレータブル球である多様なものが存在する。これについては、例えば、Expeditionary SATCOM、Cubic、www.cubic.comを参照されたい。いくつかのモデルは、モータ駆動の自動ポインティングを有し、他のモデルは、熟練のユーザ又は半熟練のユーザがリフレクタを所望の衛星と位置合わせすることを必要とする。エンドユーザは、構成及び複雑な配線又はセットアップを行う必要のない通信の高速のセットアップ及び切断に関心があるので、完全統合型の事前設定及び事前構成されたモデムが非常に一般的である。
【0007】
フラットパネルアンテナ(例えば、Digisat International社のParadigm Communications Swarm45(45cm)フラットパネルKaバンド衛星端末)は、SATCOM端末の基本となるアンテナとして放物面鏡の代わりとなるものである。これらの端末は、より小さくすることができ、場合によっては、パラボラアンテナよりも軽くすることができるが、通常、非常に大きなアパーチャサイズ及び極めて高性能な用途には使用されない。
【0008】
通常のフェーズドアレイアンテナ又は電子走査アンテナは、主として、性能と比較して電力消費が高いことと、1人で携行できるように設計された一体型アンテナに課されるアパーチャサイズの制限と、に起因して、マンパック構成にはめったに使用されない。他の用途では、フェーズドアレイは、可動部がないことに起因して、より高い信頼性を有するほぼ瞬時の走査及び追跡の能力を含む多くの利点を有する。高性能を得るには、大きなアパーチャサイズが必要とされ、これは所要電力も増大させる。
【発明の概要】
【0009】
VSAT衛星通信用の現地組み立て式電子走査フェーズドアレイは、独立した同一の自立式アパーチャブロックのセットを含む。これらのアパーチャブロックは、限られた露出接点を用いて又は露出接点なしで現地において機械的又は磁気的にかみ合って単一のフェーズドアレイアンテナアパーチャ又はそれ以外の電気操作式アンテナアパーチャを形成するように自己設定し較正を行う。単一のブロックから多数(数は特定しない)のブロックに至るまで、任意の組み合わせのブロックをタイル状に並べて、機能するサットコム(satcom)端末を形成することができるように、各ブロックは、制御、電源、アンテナセグメント、信号処理、及びインタフェースを含む。異なる実施態様は、統合されたモデム及び電池を含むこともできるし、組み立てられた端末全体のために、それらの能力及び他の能力を提供する単一の外部接続されたブロックを有することもできる。
【0010】
組み立てられたアパーチャブロックのそれぞれからのアンテナアパーチャを組み合わせたものを有する全体的なアンテナアパーチャは、そのサイズに対応する利得及び性能を有する。すなわち、ブロックが多いほど、アンテナ利得は大きくなり、達成可能な性能は高くなる。現地において、できる限り多くの利用可能なブロックがオンザフライで組み合わされ、自動構成、衛星追跡、及び接続初期化によって機能する通信端末が形成される。この通信端末は、その後、移送のために即座に分解及び分割することができる。単一の個人が通信機器を運ぶ従来の場合と比較して、通信能力は個人グループ内で分散される。各個々のブロックは、軽量であり、容易に移送される。このシステムは、配分されたモジュールの数が全体的な性能を決定するマンパック端末又はフライアウェイ端末として使用することができる。
【0011】
以下の本明細書に記載される引用文献は、それらの全体が引用することによって本明細書の一部をなすものとする。
【0012】
添付図面が本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす。これらの図面は、本開示のいくつかの例を示しているにすぎず、図に特に示されていない他の例又は様々な例の組み合わせは、図には示されていないが本開示の範囲内に含まれ得ることが理解されるべきである。次に、図面を使用することによって例を更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】現地で相互接続して端末を形成する自立式電子走査モジュラアンテナアパーチャブロックの集合体を有する本開示内容を示す図である。
【
図2(a)】物理的な位置合わせ用の磁石と、無線データ及び電力の転送方法と、を伴う2つのアパーチャブロックの間の相互接続構造及びインタフェースの側面図である。
【
図2(b)】物理的な位置合わせ用の磁石と、無線データ及び電力の転送方法とを伴う2つのアパーチャブロックの間の相互接続構造及びインタフェースの上面図である
【
図2(c)】電力転送用の変圧器と、データ転送用の光インタフェースとを伴う2つのアパーチャブロックの間の代替の相互接続構造及びインタフェースの側面図である。
【
図2(d)】電力転送用の変圧器と、データ転送用の光インタフェースとを伴う2つのアパーチャブロックの間の代替の相互接続構造及びインタフェースの上面図である。
【
図2(e)】電力及びデータ信号用の導電接点を伴う2つのアパーチャブロックの間の第2の代替の相互接続構造及びインタフェースの側面図である。
【
図2(f)】電力及びデータ信号用の導電接点を伴う2つのアパーチャブロックの間の第2の代替の相互接続構造及びインタフェースの上面図である。
【
図3(a)】単一のアンテナアパーチャブロックのブロック図である。
【
図3(b)】関連した外部モデム及び電力供給機能を有する単一のアンテナアパーチャブロックの代替の実施態様のブロック図である。
【
図5】ブロック形状及び相互接続幾何形状の代表的な選択肢を示す図である。
【
図6】レンズアンテナアレイを電気操作式アンテナアパーチャとして使用して構築されたアパーチャブロックを示す図である。
【
図7(a)-7(d)】同じアパーチャブロックを使用して構築された異なるサイズのアレイを示す図である。
【
図8】アパーチャが、様々な数のアパーチャブロックから構築されるアレイとともにどのように発展することができるのかを例示する図である。
【
図9(a)】補機(accessories)を有する組み立てられた端末を示す図である。
【
図9(b)】外部インタフェースモジュールブロック、電力ブロック、及びモデムブロックを有する組み立てられた端末を示す図である。
【
図10】端末のセットアップ及び動作を示すワークフロー図である。
【
図11】オンザフライ較正目的で2つのアパーチャブロックの間の相対的な位置及び位置合わせを測定する測定システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、ポータビリティ、使い易さ、及びロバスト性が極めて重要であるマンパック用途又はフライアウェイ用途を対象とした現地組み立て式衛星通信端末を含む。ただし、他の用途も提供することができる。
図1に示すように、衛星通信端末101は、相互接続された複数の個別のアパーチャブロック103を含む。このアパーチャブロック103は、第1のブロック103a、第2のブロック103b、第3のブロック103c、及び第4のブロック103dを含む。ただし、任意の適した数のブロック103を利用することができる。概して、アレイ101内の各個別のブロック103は同一であり、単一のブロックから多数のブロックに至るまで、隣接するブロックの間で回転される可能性があるモジュラ形式でその近傍と相互接続されて、より大きな相互接続された任意のサイズのブロックのアレイを形成し、衛星通信端末を形成する。各モジュラブロックは、電力、及び、エンドユーザとのローカルデータ通信チャネル(すなわち、イーサネット、モデム)に適切に接続されている場合に独立して動作することができるが、より多くのモジュラブロックが相互接続されるほど、組み合わされた端末の能力は高くなる。この説明図では、各ブロック103は、実質的に正方形又は長方形であり、エッジを有する4つの側部と、ブロック103の中央に配置されたアパーチャ105とを有する。異なるブロック形状も可能である。
【0015】
本開示の1つの重要な特徴は、個別のモジュラブロック103が、エンドユーザによるオンデマンドで現地において(例えば、使用時に特殊工具も訓練も必要とせず)端末101に組み立てられ、組み合わされたブロックが、使用されるブロック数に関係なく、その後、自身を自己較正及び初期化して衛星と通信するということである。衛星からの受信信号及び各アパーチャブロックから衛星への送信信号は、DSP要件を削減するために、RF周波数又は中間周波数(IF:Intermediate Frequency)又はベースバンドのいずれかで、波形のデジタルサンプルを有するデジタル化された波形としてブロック間で転送される。これは、アレイに組み立てられ、工場において又はモバイルプラットフォームへの設置中に組み立て及び較正が行われるが、エンドユーザによって様々な回数及び構成で繰り返し分解されず、機能する端末へ再び組み立てらもしないモジュラサブアレイで構成されるものとして説明される他のフェーズドアレイと異なる。熱応答又は周波数応答に対する時間依存変化を補正する自己較正は、既存のフェーズドアレイにおいて一般的であるが、この標準的な能力(組み込み試験[BIT:Built-In Test]とも呼ばれる)は、構成要素モジュールへ分解され、移送され、次に必要とされるときに異なる形状及び構成で再び組み立てられると、端末の連続した動作をサポートしない。デジタル通信は、組み立てごとに異なる各ブロック接続部における位相変動及び振幅変動に対する感度を取り除くので、デジタルサンプリング波形データの交換は、較正プロセスを簡単にする。波形は、デジタル化されると、現地で組み立てられたモジュラブロックの間で歪みも信号損失もなく転送することができる。
【0016】
各ブロック103の重要な特徴は、フェーズドアレイアンテナアパーチャ又は他の電気操作式アンテナアパーチャ105である。このアパーチャは、ブロック103の内部に凹設されているが、上半球に自由に放射することができるようにブロック103の上部にある。ブロックが現地において動作するように相互接続されると、各ブロック103のアンテナアパーチャ105は有効になり、ともに動作して、より大きな、組み合わせアンテナアパーチャ又は集約アンテナアパーチャを形成し、組み合わせアンテナアパーチャ又は集約アンテナアパーチャのサイズに見合った利得及び全体的なアンテナ性能を有する。様々な数のブロック103をアレイに組み立てることができる。これらのブロックは、通信電力転送ポート107を通じて相互接続され、これらのポートは、ブロック103間の機械的な位置合わせ及び方向付けも提供する。ポートは、隣接するブロックが(機械公差内で)同一平面上になるとともに、それらの垂直軸が同じ方向に向くように隣接するブロックを制約し、これにより、全てのアンテナアパーチャ105が機械公差内で同一平面上にあり同じ方向に向くようにし、その結果、それらのブロックは全て同じ対象と通信することができる。このように、単一のアパーチャブロック103は、ポート107を介して追加のブロック103a及び103bに接続することができる。図示した実施形態において、ポート107は、ブロック103の各側部エッジの中央に配置されている。各ブロック103のハウジング又は外部ケースは、密閉され、屋外で受ける環境条件(湿気、塵埃、砂、泥等)に対して耐性を有するべきである。ハウジングは、アンテナアパーチャ105の上方にRF透過性レドームを含む。ポート107は、湿気又は汚染物質の侵入を防止する方法でブロックハウジング内に形成される。
【0017】
端末101は、任意の周波数帯域において動作するように設計することができるが、好ましい実施態様は、Xバンド、Kuバンド、並びに軍用及び商用のKaバンドの一般的なVSAT周波数帯域のうちの1つのためのものである。運転柔軟性を高めるために、同じアパーチャにおける複数の帯域にわたる動作が非常に望ましく、例えば、Xバンド及びKuバンド、又は、Kuバンド及びKaバンドにわたって動作する単一の端末が非常に望ましい。
【0018】
各ブロックは、切り替え型半二重モード、若しくは、送信用及び受信用の別々のアンテナサブセットによる同時全二重モードのいずれかにあるアンテナアパーチャ105、又は、共有アパーチャを通じて、衛星信号の送信及び受信の双方が可能であるべきである。送信又は受信のいずれかを行う別々のアパーチャブロック103を有し、双方から端末101を構築することが可能であるが、正しい比率及び配置が必要とされるので、機能する端末を形成するためのブロックの組み立てにより多くの制約が課される。
【0019】
複数の送信ビーム及び受信ビームを同時にサポートするアンテナアパーチャ105が非常に望ましい。なぜならば、端末101は、その場合に、全体として複数のビームをサポートして、複数の衛星への接続を同時に可能にすることができるからである。これは、複数の地上ゲートウェイを通じてより回復力のある通信を可能にするうえで望ましいし、あるいは、異なる帯域幅又はレイテンシ又はデータセキュリティ特性を有する2つの異なるネットワークを通じて通信を選択的にルーティングするうえで望ましい。加えて、LEO(低地球軌道:Low-Earth Orbit)、MEO(中地球軌道:Medium-Earth Orbit)及びHEO(長楕円軌道:Highly-Elliptical Orbit)内の衛星を含むNGSO(非静止軌道:Non-Geostationary Orbit)衛星の新たなコンステレーションは、同じアパーチャからの複数のビームを有する端末にとって、シームレスなメイクビフォーブレークハンドオーバを可能にするうえで有益である。
【0020】
アパーチャブロック103間の相互接続ポート107は、異なるブロック間の全てのデータ転送及び電力転送に使用される。従来のポート、プラグ、ヘッダ、及び/又はケーブルを含む複数の実施方法が可能であるが、露出された接点又は穴部(holes)を必要とするいずれの解決策も、損傷を受けやすいか、又は、汚れ、グリース、湿気、若しくは任意の数の環境汚染物質若しくは環境条件に起因して動作不能になっていく。この理由から、本開示の1つの実施形態は、
図2に示すように、データ転送用の短距離高速無線リンクと、バルク電力転送用の誘導結合とを使用する。
図2には、拡大側面図(
図2(a))及び拡大上面図(
図2(b))が例示されている。
【0021】
全ての場合において、相互接続ポート107の実施態様は、近傍のブロック103上の同一のポートがインタフェースすることを可能にするために幾何学的中心線にわたって対称でなければならない。例えば、単一の電力変圧器コイル205は、ポート107内の中心に位置決めされるべきである一方、近傍のブロックから互いにインタフェースすることを目的としたポスト部(posts)203及び穴部201は、中心線に対して対称であるべきである。
【0022】
1つの実施形態において、アパーチャブロック103の外部ケース又はハウジングは密閉され、穴部も穿孔部(perforations)も有しない。位置合わせ用に、ポート107(電力転送能力及びデータ転送能力を含む)は、アパーチャブロック103どうしが接合されるときに、アパーチャブロック103どうしを位置合わせする対称の位置合わせ取り付け穴部201及びポスト部203によって形成される位置合わせ特徴部を含む。
【0023】
1つの実施形態において、
図1、
図2に示すように、ポート107aの穴部201は、ブロック103の側部エッジから内側に向けて凹設されている。穴部201は、第1の側壁202、第2の側壁204、及び、第1の側壁202と第2の側壁204との間に形成された底面206を有する。穴部201の上部の開きが穴部201の底部206よりも大きくなり、ブロック103間の簡単な位置合わせが可能になるように、側壁202,204は、外側に向けてテーパ状になるように角度付けすることができる。
図2(a)に最もよく示されているように、穴部は、形状を円形又は楕円形とすることができるが、実質的に正方形又は長方形等の他の形状も取ることができる。
【0024】
ポスト部203は、穴部201に対してミラーリングされた幾何形状を有し、一方のブロック103aのポスト部が第2のブロック103bの穴部と係合するとともにその逆もまた同様に係合することを可能にする。ポスト部203は、ブロック103の側部エッジから外側に向けて突出している。ポスト部203は、第1の側壁208、第2の側壁210、及び第1の側壁208と第2の側壁210との間に形成された上面212を有する。ポスト部203は、ブロック103の側部エッジに基部を形成する。上面212が基部よりも小さくなるように、側壁208,210は、上側に向けてテーパ状になるように角度付けすることができる。
図2(a)に最もよく示されているように、ポスト部203は、形状を円形又は楕円形とし、穴部201の形状と整合させることができる。
【0025】
穴部201及びポスト部203が、
図1に示すように、近傍アパーチャブロック103のそれぞれのポスト部203及び穴部201とスライド可能に相互接続して嵌合するように、穴部201及びポスト部203は角度付け及び成形される。したがって、例えば、穴部201の側壁202,204は、近傍嵌合ブロックのポスト部203の側壁208,210をスライド可能に受ける。完全に嵌合されると、ポスト部203の上面212は、穴部201の底面206と接触し、接点の直接の電気的係合、送電変圧器コイル間の誘導結合、及び/又は穴部201及びポスト部203内の隣接する送受信機をそれぞれ介した無線データ伝送をサポートする。
【0026】
図1に更に示すように、穴部201の第2の側壁204と、ポスト部203の第1の側壁208と、を連続させることができる。したがって、或るブロックのポスト部203は、穴部201内に受け入れられるように近傍のブロックの第1の側壁208及び穴部201の第2の側壁204に沿ってスライドすることができる。
図2(a)、
図2(b)に示す別の実施形態では、穴部201及びポスト部203は、両者の間にブリッジ214を形成するように僅かに分離させることができる。
【0027】
適切な分極を有する強力な磁石209a及び209bが、穴部201及びポスト部203内に位置合わせされ、協働してモジュールを保持する。加えて、マイクロチップ207a,207b等の短距離高周波通信構成要素等の電子的構成要素(例えば、Keyssa技術(www.Keyssa.com)(登録商標、2021 Keyssa, Inc.)を参照)が、穴部201及びポスト部203のそれぞれに取り付けられ、ポート107を介して2つのアパーチャブロック103の間でトラフィックを無線で渡す。
【0028】
図2(a)、
図2(b)の実施形態に示すように、第1の磁石209aが、穴部201の底部206に凹設され、穴部201の底面206と実質的に同一平面になるように、穴部201の底部206の内部表面(すなわち、ブロック本体の内部で穴部の内側)の中央に取り付けられる。また、第1の電子デバイス又は構成要素207aが、穴部201の底部206に凹設され、穴部201の底面206と実質的に同一平面になるように、穴部201の底部206の内部表面において第1の磁石209の側方に接近して取り付けられる。また、第2の磁石209bが、ポスト部203の上部212の外側表面の中央に取り付けられ、上面と実質的に同一平面になるようにこの外側表面内に凹設される。また、第2の電子構成要素207bが、第2の磁石209bの側方に接近して取り付けられ、上面と実質的に同一平面になるように、ポスト部203の上部212の外側表面内に凹設される。
【0029】
第1の磁石209a及び第2の磁石209bは、互いに引き付け合う。したがって、ポスト部203が穴部201によってスライド可能に受け入れられている時、磁石209a,209bは、ポスト部203を穴部201内に完全に引き込んで、近傍のブロックを互いに完全係合させ、近傍のブロックの係合を維持する磁気引力を作用させる。加えて、ユーザは、所望される場合には、近傍のブロックを引き離すことができる。
【0030】
第1の電子構成要素207a及び第2の電子構成要素207bは、近傍のブロックのそれぞれの嵌合構成要素207b,207aと位置が合うように位置決めされる。近傍のブロックが完全に係合されると、第1の電子構成要素207a及び第2の電子構成要素207bは互いに位置合わせされ、電気接点を有しない超広帯域送受信機又は誘導結合若しくは容量結合等の短距離無線チャネルを介して通信する。1つの実施形態において、磁石209a及び/又は電子構成要素207aは、穴部201の内側表面と実質的に同一平面になるように、穴部201の外側表面に凹設することができる。磁石209a,209bは、ブロック本体の内部に配置することもでき、ブロック本体を貫通して穴部内に延びる磁力又はポスト部上部を貫通して延びる磁力を作用させることができる。
【0031】
チップ207の能力に応じて、これらのチップのそれぞれは、双方向トラフィックを渡すこともできるし、1つの方向にのみデータを送信することもでき、データは、穴部201を通って送信され、ポスト部203を通って受信されるか、又は、その逆方向に送信及び受信される。2つのアパーチャブロック103が位置合わせされ、穴部201及びポスト部203を介してインタフェースされると、磁石209は、通信チップが適切な動作のために正しく位置合わせされるような適切な公差でそれらをともに保持する。磁石209及び通信マイクロチップ207は、気密密閉されたブロックケース又はハウジングの内部にあり、アパーチャブロックの外側から見えない。磁気結合及びデータ転送は、磁気透過性且つRF透過性(ポリマ)のハウジング、又は、非透過性ハウジング内のRF透過性且つ磁気透過性の窓を通して行われる。ポート107は、アパーチャブロック103の密閉されたケース又はハウジング内にアパーチャ105とともに共存する。交換されるデータは、低速の制御情報、較正情報、及び健全性情報と、端末101によって搬送される各受信ビーム及び各送信ビームの高速デジタル化波形データとを含む。
【0032】
誘導結合ループ又は変圧器等の電力転送メカニズム205が、端末101を形成するブロック103の間で電力を転送するのに使用される。アパーチャブロック103の間の電力転送は、単一の外部電力接続からの埋め込み電池の充電を可能にし、電池が各アパーチャブロックに含まれていない場合にはアレイ全体への動作電力の供給を可能にする。メカニズム205は、コイルの転送効率を高めるために直線構成又は半円構成のワイヤのオープンコイル又はワイヤが巻き付けられたフェライトコアとすることができる。ブロック間の無線通信及び無線電力転送の使用は、端末の直接的なニーズに加えてアレイの所要電力を増加させる。電力転送効率をできる限り最適化することは、電力消費をできる限り最小にし、電池寿命を伸ばし、又は必要とされる電池の数を減らすために重要である。図示した実施形態において、電力転送メカニズム205は、穴部201とポスト部203との間のブリッジ214に取り付けることができる。
【0033】
磁石209(
図2(a)、
図2(b))の代わりとなる代替の位置合わせ特徴部として、機械デバイスを各穴部201及び各ポスト部203に設けることができる。これらの機械デバイスは、穴部201及びポスト部203を近傍のブロックのポスト部203及び穴部201と着脱可能且つ確実に接続すると同時に、電子構成要素207a,207bの間に電子的接続を提供する。例えば、相互接続ポート107bの1つの実施形態を
図2(c)(側面図)及び
図2(d)(上面図)に示す。この実施態様では、1つ以上のポスト部241がポスト部203に取って代わり、1つ以上のスロット243が穴部201に取って代わり、近傍のアパーチャブロック103のロケーションを機械的に位置合わせするように構成され、一方のアパーチャブロックにおける可撓性クリップ245が他方のアパーチャブロックにおける嵌合スロット247と着脱可能に接続することを可能にする。図示するように、ポスト部241は、スロット243から離隔した、例えばブロック103の対向端部に配置することができ、光源257及び/又は受信機259等のブロックの側部エッジ又は表面にある他の構成要素によって分離することができる。
図2(c)の実施形態において、2つのポスト部241及び2つのスロット243が示されているが、任意の適した数を設けることができる。一方で、
図2(a)、
図2(b)の実施形態において、穴部201及びポスト部203は、ブロック103の側部エッジ又は表面における同じエリアに互いに隣接しており、それらの間の表面に構成要素は配置されていない(電力転送部205が表面に又は表面の下方に凹設されていることに留意されたい)。ポスト部及びスロットは、ブロック103の向き合ったエッジに示されているが、上面及び/又は底面等のブロック上の任意の箇所に位置決めすることができる。更に別の実施形態において、光源257及び/又は光受信機259の1つ以上をそれぞれのポスト部241及び/又は穴部243の外側に位置決めすることができる。
【0034】
1つの例示の実施形態において、留め具又はボタン249等の嵌合特徴部を嵌合スロット247と統合し、機械クリップ245との係合及び係合解除に使用することができるとともに、2つのアパーチャブロック103の着脱可能な接続及び接続解除を可能にすることができる。機械クリップ245の使用は、接続されたときに構造をよりロバスト且つ堅固にし、偶発的な接続解除からの保護に役立つものとすることができるので、磁石209よりも好ましい場合があるが、接続及び接続解除により多くの労力が必要とされる。機械クリップの使用は、組み立てられた端末101の剛性を高め、(例えば)スタンド又は強固な基礎の上に載置することによって或る角度で傾斜されたとき等に、複数のアパーチャブロック103から構成される組み立てられた端末101をエッジのみから支持するように置くことを可能にすることができ、したがって、端末の運転柔軟性が向上する。
【0035】
この実施態様では、PCB統合フェライト変圧器コイル205bが、2つのアパーチャブロックの間でいずかの方向に電力を転送するのに使用され、好ましくは、変圧器の磁界を含み、効率を高めるためにフェライトポットコアが使用される。PCB上のトレースを変圧器の界磁巻線に使用するPCB統合平面フェライトコアが良好な解決策である。なぜならば、その結果として得られる変圧器は、非常に低いプロファイルを有し、所与の電力転送に必要とされるサイズ及び質量を最小にすることができるからである。相互接続ポート107b内に統合される回路は、変圧器を監視するとともに、近傍のブロックが設置されて電力を配信又は受信するのに利用可能になった時を示す。この回路は、その後、システムの要件に応じて、変圧器を通じて電力の受信若しくは電力の配信のいずれかを行うように、又はいずれも行わないように、相互接続ポート107を構成する。
【0036】
図2(c)、
図2(d)の実施形態において、データ転送は、光デバイスを通じて行われる。1つ以上の高速光源257が、1つのアパーチャブロック103内で信号を搬送するために回路によって励起され、その結果得られる光は、その後、他のアパーチャブロック内の整合する位置合わせされた1つ以上の光受信機259によって受信される。この実施態様107bでは、光源257及び受信機259が、ブロック103間でデータを転送するポート107内の高速データインタフェース207a,207bに取って代わる。各アパーチャブロックは、相互接続ポート107bを通じて、データを送信する光源257、及び、データを受信する光受信機259の双方を有する。一例示の実施態様は、対応する光導体又は光ガイド256に結合されたLED255を使用して光源257を駆動し、対応する光導体又は光ガイド258に結合されたフォトダイオードセンサ又はフォトトランジスタセンサ254を使用して、光受信機259によって受信された光を検出する。この場合に、LED255及びセンサ254が、アパーチャブロック103の内部のプリント回路基板253上に設置されているとき、光ガイド256,258は、LED255及びセンサ254から光源257及び受信機259に光を結合するのに使用される。別の言い方をすれば、光源257及び光受信機259は、ブロックの端面に位置決めすることができ、LED255及びフォトトランジスタ254は、ブロック内に配置することができ、ガイド256,258によってそれぞれ接続することができる。高速のLED255及びフォトダイオード254を用いることで、高いデータ伝送レートを達成することができ、光源257及びセンサ259の付加的なペアが、広い瞬時帯域幅又は複数の同時ビームに必要とされ得るようなより一層高いレートをサポートするために追加される。光ガイド256,258の外側表面は、光を転送するために少なくとも相対的に清浄でなければならないが、光源257及びセンサ259の表面は、表面を素早く清浄にすることができるように、汚れ又は他の汚染物質を閉じ込めることを回避するように設計することができる。
【0037】
別の実施形態において、相互接続ポート107cは、
図2(e)では側方から示され、
図2(f)では上方から示されている。この実施態様では、ペグ241及びスロット243等の位置合わせ特徴部が、近傍アパーチャブロック103のロケーションを機械的に位置合わせするように構成される。その場合に、ハウジングの埋め込み凹部285が、近傍のブロック103をともに保持する外部保持クリップ又はスナップの設置を可能にするために含まれる。外部クリップの利点は、設置が容易であり、接続されたときに耐えることができる張力をより良好に制御することができることである。
【0038】
この実施態様では、電気接点283が、各相互接続ポート107cにおいてアパーチャブロック間の電力転送に使用される。直接的な電気接点の利点は、変圧器ベースの手法よりも電力転送効率が高められ、したがって、全体的な消費電力の削減及び加熱の削減、並びに設計の簡単さの向上及びコスト削減が行われることである。しかしながら、露出された接点を湿気及び汚染物質から保護しなければならず、これは、ポート107を覆う可撓性シリコーン蓋281等の統合されたカバーを用いて行うことができる。この蓋は、設置のために取り除くことができるとともに、格納及び移送のために元に戻すことができる。電力転送と同様に、データ信号を電気接点287,289によって同じ利点及びコストで搬送することができる。この実施態様107cでは、プラグ287及びソケット289が、ブロック103間でデータを転送するポート107内の高速データインタフェース207a,207bに取って代わる。
【0039】
アパーチャブロック103間の位置合わせ及び機械的取り付け、ブロック103間の電力転送、並びにブロック間のデータ転送について論述した種々の選択肢は、様々に組み合わせて適用することができ、ここで例として示したものだけではない。
【0040】
図3(a)は、
図1又は
図2(a)~
図2(f)に示す実施態様のうちの任意のものを含むアパーチャブロック103の機能及びサブ構成要素の1つの実施形態を示している。アパーチャブロック103は、概ね、複数の相互接続ポート107を含み、これらの相互接続ポートは、このブロックの周囲に幾何学的に配置され、適切な場合には端末101の近傍のブロック103に相互接続する。ブロック103の物理的配置は、(正方形の場合のように)全てのブロックが同一に配置される均一配置とすることもできるし、いくつかのブロックのいくつかのポート107mのみが近傍のブロック103上の特定のポート107nと相互接続することができる回転を伴うこともできる。
【0041】
各ブロック上の物理的なユーザインタフェースは、アレイが接続されて動作している間、ともに物理的にアクセス可能である箇所に配置される複数の入力ボタン301及びインジケータライト303を有する。ロケーションは、用途及び設置ケースに応じて、アパーチャブロックの側部のうちの1つ以上、又は前面若しくは後面上とすることができる。種々の配置及び向きでの容易なアクセスを可能にするために、入力ボタン301及びライト303の複数のセットをアパーチャブロック103の周囲に配置することができる。ブロック103及び端末101全体の制御及び構成は、電源オン及び電源切断等の単純な動作に使用することができる物理的なインタフェース301及び303ではなく、主として外部制御(エンドユーザデバイス、若しくはモデム上で動作するソフトウェアアプリケーション、又は端末上でホストされるウェブアプリケーションとして動作する仮想制御パネル等)を使用して行われる。
【0042】
高速データインタフェース207及びユーザインタフェース301,303を通じた相互接続ポート107m,107n,107pへの/からのデータは双方ともに、伝送ライン307及び305をそれぞれ介して通信コントローラ311に直接接続される。通信コントローラ311は、ブロック103に入力するデータ及びブロック103から出力するデータの管理を担当するマイクロコントローラ又は同様のデバイスとして実施することができる。相互接続ポート107の電力転送メカニズム205は、電力マネージャ313に接続され、電力マネージャ313によって制御される。電力マネージャ313は、電力ライン309を介したブロック103間の電力のフローを制御し、電池315を管理し、(電力がポート107m,107n,107pのうちの1つから供給される間)調整されていない供給ライン317を介して電池315を充電するとともに、調整された電力を電池315から電力ライン319を介してブロック電子構成要素の残りに供給する。電力マネージャは、207を介してブロック間で転送されるデータを使用し、電力転送メカニズム205を通じて電力のフローを変化させることができる。
【0043】
アンテナアパーチャ105は、衛星信号304を受信及び生成する個別のブロックにおける電力効率性及び動作能力を得るために選択されたフェーズドアレイ又は他の様々な電気操作式アンテナ(ESA:electrically-steered antenna)のセグメントである。これは、例えば、長方形、三角形、又は不規則格子の従来のパッチアンテナフェーズドアレイ、デジタルビームフォーミング若しくはアナログビームフォーミングと位相シフトとに基づくアレイ、又は液晶若しくは他の調節可能な材料に基づくアレイとすることができる。ブロック103は、任意の電気操作式アンテナを利用することができるが、米国特許第10116051号にあるような削減された電力消費を有するアンテナを用いることが特に有用である。この米国特許の全内容は、引用することによって本明細書の一部をなすものとする。従来のフェーズドアレイアンテナに対するこのシステムの利点は、アパーチャをより小さなピースに分割することができ、したがって、より大きなアパーチャ又はより小さなアパーチャを構築し、オンデマンドで動作させることができるので、アパーチャの移送性がより向上し、アパーチャが用途においてより高い柔軟性がもたらすことを含む。
【0044】
ESAの状態及び動作は、データプロセッサ325(例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ:Field-Programmable Gate Array)又はSoC(システムオンチップ:System on Chip)として実施される)上で動作するアンテナ制御ロジック327によって制御信号331を介して制御される。アパーチャ105への/からのRF信号又はIF信号333(デジタル信号又はアナログ信号とすることができる)は、DSPプロセッサ335に渡され、DSPプロセッサ335は、フィルタリング、処理、時間シフト及び位相シフト、並びにデータ結合を受信信号及び送信信号に対して行う。このデータ結合は、上記信号を、相互接続ポート107及び通信プロセッサ311を通じた近傍のブロック103からのデータと組み合わせることを含む。処理されたデータ361は、その後、データプロセッサ325に渡され、データプロセッサ325は、アレイの構成に応じてこのデータを処理する。ブロック内の構成要素の全体的な組み合わせは、複数のブロックが組み合わされて共同で動作するような組み合わせとともに単一のアパーチャブロックに対して新規である。
【0045】
データプロセッサ325は、オーケストレーションプロセッサ339と非常に密接に動作してアレイの動作及び状態を制御する。データプロセッサ329は、リアルタイムの信号処理動作及び制御動作をハンドリングする一方、オーケストレーションプロセッサ339は、ブロックの主コントローラであり、ブロック103の間の通信フロー323,321を管理し、ブロック間及びブロックの構成要素間の電力配分を決定し、337を介してデータプロセッサ325を構成し、慣性航法ユニット343及びGNSS受信機345からのセンサデータ341を管理及び統合し、メモリ353に対して構成データ355の記憶及び取り出しを行い、相互接続された他のブロック103のオーケストレーションコントローラ339との挙動及び動作を調整し、最終的に、データポート107又はオンボードインタフェース301,303を通じてユーザインタフェース及び構成を制御する。GNSSアンテナ347は、GNSS信号(すなわち、GPS)349を受信し、それらの信号をGNSS受信機345に渡し、GNSS受信機345は、位置データ及び時間データをオーケストレーションプロセッサ339に提供し、オーケストレーションプロセッサ339は、アンテナコントローラを動作させ、端末のロケーション及び向きに基づいて端末の指示方向を所与の衛星に設定する。
【0046】
データプロセッサ325は、各ブロックの機能及び特徴をソフトウェアによって変更することができるように、再構成可能なハードウェア(FPGA等)を使用して実施される。端末101が組み立てられ、動作すると、構成ブロック103のうちの1つが、マスタブロック又は主ブロックとなるように自動的に選択され、このマスタブロック又は主ブロックから、他のスレーブブロック又は副ブロックが制御され、1つが、モデムとして動作するように選択され、1つが、アンテナ制御ユニット(ACU:antenna control unit)として動作するように選択され、それ以外についても同様に選択される。それらの機能について、1つのインスタンスのみが必要とされる。いくつかの場合には、単一のブロックが、複数の役割で同時に動作することができる。特別な方法で動作するように選択されていないいずれのブロック103も、標準ブロックとして動作する。この標準ブロックは、任意選択で、近傍アパーチャブロックからの受信波形のデジタルサンプルを含むデータをそのポート107から受信し、そのデジタルサンプリング波形データをデジタル処理された波形データ361とともに処理して、それ自身のDSPプロセッサ335から組み合わされたサンプリング信号を生成し、現在のブロック103及び近傍のブロックからの組み合わされたデジタル処理波形データを別のポート107に転送する。
【0047】
アンテナアパーチャ105によって受信されたデータは、端末101全体によって受信された衛星信号を表す最終的な総合データが、モデムとして動作する(又は外部モデムへのインタフェースを保持する)特定のブロック103に達するまで、ルーティングされて近傍のブロック103によって更に組み合わされる前に、アパーチャブロック103の全てによって分散形式で合算される。ブロック103のそれぞれは、イメージ記憶装置351からそれぞれのFPGAイメージ又はソフトウェアイメージ357をロードすることによっていずれかの役割として動作することが可能である。イメージ記憶装置351は、必要とされる特徴及び機能の全てのイメージを含む。或る機能327は、アパーチャ105の制御ロジックであり、あらゆるアパーチャブロック103に含まれ、データプロセッサ325における残りの未配分の容量329は、端末のニーズに基づいてアレイセットアップ時に各ブロックにおいて動的に構成される。この未配分の容量329は、主ブロックにおける制御プロセス、モデム機能、及び選択されたアパーチャブロック103におけるアンテナ制御ユニット(ACU)機能を実施するのに使用される。
【0048】
図3(a)は、アパーチャブロック103に含まれる多数の特徴部及びサブ構成要素を示しているが、いくつかについて、任意選択的なものとみなされるか又はコストを節約するためにアパーチャブロックの異なる変形形態にしか含まれないオプションが存在する。例えば、いくつかのモジュールは電池ユニット315を含むことができ、他のモジュールはFPGA処理ブロック325を含むことができ、他のモジュールはGNSS受信機345を含むことができ、その場合に、アレイ内の少なくとも1つのアパーチャブロックが、必要とされる特徴部のそれぞれを含む限り、そのアレイは機能する。これによって、各ブロックのコストが、設置される構成要素を削減することによって削減されるが、アパーチャブロックの変形形態の数が増大し、端末を組み立てたときに必須の要素が欠落するリスクが高まり、設置及び構成の柔軟性が低減する。この理由から、好ましい実施形態は、各アパーチャブロックが、示した全ての特徴及び機能を含むものであり、それによって、アパーチャブロック103は、相互に交換可能であり、ブロックのいずれの組み合わせも、機能する端末を形成するのに使用することができる。
【0049】
したがって、
図3(a)は、単一障害点が存在しないように電池及びコントローラが組み込まれた完全自立型の実施態様を示している。
図3(b)は、専用の外部ハードウェア(コントローラ、モデム、電源)を必要とするが、アンテナ全体のコスト、重量、電力を削減する簡略化された選択肢を示している。したがって、
図3(b)は、端末の単一のブロック103にしか必要とされない構成要素が、外部ユーザインタフェースブロック381、モデム及びアンテナコントローラブロック383、及び外部パック315zに移動される、アパーチャブロック103の機能及びサブ構成要素の代替の実施態様を示している。この代替の実施態様では、電池315、物理的ユーザインタフェース301,303、慣性航法ユニット343及びGNSS受信機345等の特徴部は、端末ブロック103から省かれ、代わりに、外部に設置される。このように、アレイ内の1つのアパーチャブロック103しか、例えばユーザインタフェース又はGNSS受信機を必要としないので、アパーチャブロックのコストが削減される。
【0050】
外部ユーザインタフェースブロック381は、その場合に、2つのアパーチャブロック103が接続される場合と同様にして(205を介して電力を転送し、207を介して制御及びデジタルサンプリングされた波形を転送する)相互接続ポート107を介してアパーチャブロック103に接続する。通信コントローラ又はプロセッサ311zは、ライン307zを介してポート107zから/へ信号を受信及び送信し、ライン305zを介してユーザインタフェース構成要素301z,303zともインタフェースする。オーケストレーションプロセッサ339zは、IMU343z及びGNSS受信機345zから入力341zを受信し、GNSS受信機345zは、アパーチャブロック103内に設置されているときと同様に、同様のアンテナ347z及びGNSS信号349を用いて動作する。GNSS受信機345z、IMU343z、並びにユーザインタフェース301z及び303zは、位置データ及び運動データが較正目的でアンテナアパーチャに直接関連することを確保するために、アパーチャブロック103に直接取り付けられなければならない。
【0051】
データプロセッサ329z及び全体電源313zを介して動作するモデム機能用の追加の処理容量325zを、任意選択で、バックパック又は他の便利な方法で運ぶのに適している可能性がある別のブロック383にケーブル385を介して接続することができる。外部の又は統合された高容量電池パック315zも、同様の便利な方法で運ぶのに利用可能である。
【0052】
図3(a)に示す実施態様を上回る
図3(b)に示すこの代替の実施態様の利点は、共通の機能があらゆるアパーチャブロック103ではなく単一の外部ブロック381に含まれることに起因して、アパーチャブロック103の質量及びコストが削減されるということである。それによって、マンパック構成において使用される従来のフェーズドアレイ又は他の電子走査アンテナ(レンズアレイアンテナ等)の使用が可能になる。別々のユーザインタフェース301z,303zも、組み立てられたアンテナ101を更に遠隔から制御することを可能にする。動作可能な構成要素311,313,325,329,327,335のうちの任意の1つ以上は、プロセッサ、コントローラ又はASIC等の処理デバイスとすることができることに留意されたい。構成要素311,313,325,329,327,335は、分離したものとすることもできるし、1つ以上の統合された処理デバイスに組み合わせることもできる。103,381,383のいずれの組み合わせも、バックパック又は他のコンテナにおいて単一個人によって運ぶことができ、他のアイテム103,381,383は、その他の者によって運ばれ、端末は必要なときに組み立てられる。
【0053】
図4は、同じポート107を使用して接続された関連した補機421,431,441,451,461を有する代表的な端末101を形成するために、アパーチャブロック103がそれらのポート107を介してどのように相互接続するのかを例示している。ブロック103のうちの1つは、基準セットに基づいて、主ブロック103mとなるように、始動中にオーケストレーションプロセッサによって共同で選択することができる。上記基準セットは、アレイ内のデータ転送の複雑さ、電池レベル等を最小にするために、他のブロック及び関連のある補機との近接性を含むことができる。あるいは、関連したモデムブロック383を有する外部ユーザインタフェースブロック381を接続することができる。
【0054】
ポート107は、例えばインタフェース207を介して通信することができる転送信号401の拡大図に示すように、複数の内部接続又はデータストリームを有するとみなすことができる。ポート107は、主ブロック103mのオーケストレーションプロセッサ339の指揮下にあるブロックのそれぞれのオーケストレーションプロセッサ339及び電力コントローラ313によって発行されるコマンドに応答して、電力403を双方向に渡すことができる。例えば、外部電力433が電力補機431によって供給されている場合に、その補機の可用性が主ブロック103mに報告され、主ブロック103mは、その後、外部電力補機431から、接続されたブロック103の残りへの電力転送を調整する。
【0055】
複数の並列データストリームが、相互接続ポート107、特に通信デバイス207によってサポートされる。これらは、別々の物理チャネル、接点、又は通信チップを介して搬送することもできるし、1つ以上の基本となる物理データストリームに多重化することもできる。低速コマンド及び制御信号405が、CAN(コントローラエリアネットワーク:Controller-Area Network)等を使用したアレイ全体にわたるオーケストレーション並びに低レートの通信及び制御に使用される。接続された要素内の動的ルーティングを有する管理10/100/1000イーサネットネットワーク407等が、アンテナ制御ユニットからのビームポインティング命令、モデムコマンド及び端末の内部又は外部の制御信号、並びに外部コンピュータからの端末及び個々のブロックの管理、プログラミング、及び構成を含む高速通信及び制御に使用される。ユーザデータ10/100/1000イーサネットリンク409が、ユーザトラフィックを、モデムからアレイを通って、ユーザによるアクセス用の1つ以上の補機に搬送する。これらの補機は、wifiアンテナ又はBluetoothアンテナ463を有するローカル無線アクセスカード461、外部イーサネットネットワーク453に接続するイーサネットアダプタ補機451、又はUSB若しくは他の接続を介して外部コンピュータ、無線デバイス、又は他のデバイス423に接続するアダプタ421等である。
【0056】
最後に、高速同期パケットライン411は、取り付けられたブロック103内のアンテナアパーチャ105及びDSPプロセッサ335との間で、又は、デジタルデータ(場合によってLバンドIF信号に変換されている)を外部モデム443に渡すためにモデムポート441を通って端末から完全に外部へ(これはいくつかのユースケースにおいて望ましい場合がある)、サンプリングされたRF信号データ305を伝送する。
【0057】
この柔軟なアーキテクチャは、端末のサイズのカスタマイズ、及び、異なる補機を接続することによる端末の用途のカスタマイズを可能にする。所望の用途及びユースケースに応じて、補機のうちのいくつかの機能は、例えば、管理用の外部接続性及びデータネットワーク、充電用のイーサネットを介した電力、並びにコンピュータとの相互接続を提供する単一のイーサネットポートを各モジュールに設けて、モジュール103自体にカバーで密閉されて(すなわち、モジュールハウジングによって囲まれて)統合することができる。密閉された磁石搭載データポート107によって別々の補機421,431,441,451,461を使用するのか、又は、その機能をアパーチャブロック103自体に含めるのかは、端末システム全体のユースケース及び要件に依存する。データ記憶装置、外部電池、アパーチャブロック103の内部の電池を利用する外部デバイス用の充電器等を含む追加の補機タイプも可能である。
【0058】
本開示の実施態様は、アパーチャブロック103の形状及びサイズに複数の制約を課す。ブロック103が大きいほど、所与の通信性能を達成するために相互接続する必要があるブロックは少なくなるが、個々のブロックは、かさばって重くなり、したがって、移送が難しくなる。ブロック103が小さくなると、相互接続する必要があるブロックは多くなり、組み立て及び分解に要する時間が増加するが、より多くのブロックをグループ内のより多くの個人に分散させて移送を分散させることが可能になり、したがって、それらがどのように分離されることになっても又は或る時点でどのサブグループに分離されていても、或るレベルの通信がグループ内のより多くの個人に利用可能になる。ブロックの形状は、ブロックを任意の数だけタイル張りするか又は互いに隙間なく並べて、任意の大小のアレイを形成することができるようなものにすべきである。アンテナアパーチャ105の間には、たとえ小さくてもギャップが存在するので、アパーチャブロックの非周期的なタイル張り、又は並進対称ではなく回転対称なタイル張りをサポートすることが望ましい。周期的な構造又は対称的な構造は、その結果得られる全体的なアンテナビームのサイドローブに望ましくない特性を有する可能性があるので、非周期的なタイル張り及び非対称的なタイル張りが好ましい。
【0059】
図5は、アパーチャブロック103の3つの可能な実施形状、すなわち、
図5(a)における三角形ブロック103x、
図5(b)における正方形ブロック103y、及び
図5(c)における六角形ブロック103zを示している。多くの三角形構成が可能であるが、特に望ましい選択肢は、三角形ブロック103の内角が72度、54度、及び54度である5つの三角形ブロック103が正五角形を形成する三角形である。この特定の三角形は、鏡映対称性を有しない正多角形にタイル張りされ、多数の異なる不規則多角形及び主として回転対称性を有する他の形状にタイル張りすることができる。これは、正方形103y又は六角形103zの選択肢を使用したときに達成可能である周期的なアレイと比較して非常に望ましい。奇数個の少数の辺を有する正多角形を形成する三角形は、望ましいタイル張り又は敷き詰めを生成する可能性が他のもの(6つの辺を有する正六角形を必然的に形成する正三角形等)よりも高い。もう1つの選択肢は、単一の形状を有する平面をタイル張りすることが可能な15個の系統が存在する不規則五角形である(Wolchover、Pentagon Tiling Proof Solves Century-Old Math Problemを参照)。しかしながら、形状が複雑になるほど、エンドユーザが適切で使用可能なアレイにタイル張りすることは難しくなる。複数の形状のアパーチャブロックをともにタイル張りすることを可能にする選択肢を含む他の形状も可能である。
【0060】
アパーチャブロック103の形状が(三角形103xのような)複数のエッジ長を有する場合に、長いエッジ及び短いエッジの相互接続ポート107は、ブロックを準拠した方法でしか組み立てることができないことを確保するために異なるサイズ又は向きを有することができる。
【0061】
従来のフェーズドアレイアンテナ又は電気操作式アンテナと異なり、アンテナアパーチャ105は、実質的に平坦(例えば、非球面)であるレンズがフェーズドアレイを形成するのに特に有用である米国特許第10116051号に記載されているようなレンズアレイを使用して実施することができる。
図6は、送信レンズ605及び受信レンズ603のアレイを三角形アパーチャブロック601内にどのようにタイル張りすることができるのかを例示している。レンズ603,605は、円形として示されているが、(米国特許第10116051号のように)六角形とすることもできるし、他の任意の適した形状及びサイズとすることもできる。受信レンズに対する送信レンズの比率は、全体的なアレイ性能を調整するために変更することができる。アパーチャ105は、所与の数のブロックについていずれかのモードで端末101の利得を最適化するために全二重動作又は半二重動作のいずれかをサポートする組み合わされた受信レンズ及び送信レンズによって実施することもできる。従来のアレイアンテナを上回るレンズアレイの利点は、電池動作するアプリケーションにとって重要である電力消費及び発熱がより低いことと、構成要素の総数が大幅に削減されることとである。
【0062】
加えて、NGSOの複数ビーム動作への拡張が簡単である能力が含まれる。次に、
図7は、これらのブロックを互いにどのようにタイル張りして、単一のアパーチャブロックのアレイ701(
図7(a))、5つのアパーチャブロックのアレイ703(
図7(b))、10個のアパーチャブロックのアレイ705(
図7(c))、及び20個のアパーチャブロックのアレイ707(
図7(d))を形成することができるのかを示している。
【0063】
任意の数のアパーチャブロックを用いて動作する柔軟性のレベルを例示するために、
図8は、1個~15個の要素から構成されるアレイ端末801~815、及び20個の要素から構成されるアレイ端末820を例示している。これらは、代表的なタイル張りであり、他の配置が可能であり、許容することができる。一般に、タイル張りが密であるほど、実用性は高まる。異なる形状を有する多くのタイル張りをサポートする利点は、任意の数の要素103を組み合わせて端末101を形成することができることと、それらの要素を、アセンブリを単純化する多くの方法で組み合わることができることとである。モジュールは、適合することができる限り、設置して機能させることができる。
【0064】
図9(a)は、5つの三角形アパーチャブロック103xから正五角形に組み立てられた代表的な端末901を示している。デバイス上に組み立てられた3つの補機、すなわち、電力アダプタ431、データケーブル451、及びローカル無線アダプタ461が示されている。これは、前述したブロック及び補機を(例えば、角度72度、54度、及び54度で)使用して達成可能な多くの可能性のある構成のうちの1つである。明瞭にするために、アダプタ431、ケーブル451及びアダプタ461等の補機は、ポート107においてブロック103に結合されるように、三角形ブロック103のハウジングの外側にある。ただし、他の実施形態において、補機は、ブロック103と統合することができる。
【0065】
図9(b)は、ケーブル385を介してモデムブロック383及び外部電池315zに接続された外部ユーザインタフェースブロック381に5つの三角形アパーチャブロック103xを接続する端末アセンブリ951の別の実施形態を示している。バックパック上に重ね合わされたモデムブロック383及び外部電池315zが示されており、それらの構成要素をアンテナアレイ951に接続するために取り出す必要がなく、システムの迅速なセットアップ及び分解が容易であることが示されている。
【0066】
図10は、端末101の動作フローチャートを示している。端末を配備する要求1001から開始して、最初に端末が構成される(1003)。複数のアパーチャブロック103及び任意の関連した補機(外部ユーザインタフェース381又はモデムブロック383を含む)が同時に検査され、任意選択でそれらの電池(存在する場合)が充電され、同じ衛星、モデム、及び動作設定並びにネットワーク上のプロビジョニングされた容量に接続することができる任意の必要とされる証明書(credentials)を用いて構成される(1005)。ブロックのセットが、現地に出発する前に適切に構成されると、その後、ブロック103の任意の組み合わせ又はサブセットを組み合わせて動作可能な端末を形成することができる。その後、配分された補機を有する任意のブロックが、エンドユーザに分配される(1007)。
【0067】
現地において、エンドユーザが通信する必要がある場合に(1011)、端末は、組み立てられ、セットアップされる(1013)。最初に、ブロック及び必要な補機を取り出して、好ましい配置を示す文書を用いてアレイに組み立て、地表面又は他の平坦な表面に単一の接続されたユニットを形成しなければならない(1015)。ここで、ブロック103のうちの1つ以上は、嵌合するポスト部及び穴部を接続して連続的なブロックアセンブリを形成し、任意選択でブロックのうちの1つ以上に補機を取り付けることによって互いに物理的に接続される。
【0068】
ブロック103が組み立てられ、全ての補機が接続されると(ステップ1015)、エンドユーザは、その後、接続されたユニットのうちのいずれか1つの電源ボタン301を押す(1017)。これは、セットアッププロセスの協調フェーズ1019をトリガする。この協調フェーズ1019では、接続されたブロック103のセットは、ブロックが組み立てられたポート接続のアドホックメッシュネットワークによって共同で通信し、接続されたブロックの数、向き、及び幾何形状を特定し、接続された補機のいずれかを特定し、ブロックのうちの1つを主ブロック103mとなるように選択する。主ブロックは、モデムとの近接性、アレイ内の中心位置、又は電池充電レベル等の構成可能なメトリックに基づいて選択される。このプロセスは、オーケストレーションプロセッサ339によって各ブロック103に対して実行される。各ブロック103の一時的なアドレスが、通信を容易にするためにアレイ内のそれらのロケーションに従って相互に決定される。例えば、
図9(a)に関して、ブロック103xをアレイ901の主ブロックとして選ぶことができる。この場合に、アドレスは、その後、アレイ901内の各接続されたブロックの全ての接続されたポート107を通る幅優先探索法で決定することができる。主ブロックはアドレス1を割り当てられ、ポートのそれぞれに取り付けられたブロック(存在する場合)は、その後、アドレス2,3,4を割り当てられる。アレイ901では、アドレス2及び3のみがそれぞれ左及び右のブロックに使用される。残りのブロックは、同じ方法でアドレス指定される。その後、直接接続されていないブロック間では、間にあるアパーチャブロックによって転送されるメッセージを通じてコマンド及び制御信号を送信及び受信することができる。このプロセスのステータス及び何らかの障害は、ステータスインジケータ303を介して報告される。
【0069】
主ブロックが選択された後、主ブロックは、較正及び初期化フェーズ1021において、アレイの通信及び構成の制御を行う(具体的にはオーケストレーションプロセッサ339によって行われる)。以前に決定された幾何形状及び向き情報に基づいて、主ブロック103mは、アレイ全体を通る電力ルーティングパス、信号ルーティングパス、及びデータルーティングパスを確立し、メッシュネットワークトポロジを定義された接続のセットに簡略化する。全体としての端末101は、その後、主ブロック103mの制御下で自己較正し、較正係数を記憶装置からロードし、セルフチェックを実行して、全ての接続が安全であることを確認する。各ブロックは、その近傍に対する相対的な向き及びオフセット距離を独立して計算し、主ブロック103mの制御下にある端末は、合意手法を使用して、異なるブロック103による計算を比較し、端末101における各インタフェースの単一の値に達する。計算された向き及びオフセットは、その後、較正ルーチンが各ブロックの位相設定を補正し、アレイ全体による正確なビームフォーミングを確保するために使用される。
【0070】
外部モデム補機443又は外部モデムブロック383及び外部ユーザインタフェース381が設置されていない限り、単数又は複数のブロックが、アンテナ制御ユニット(ACU)及びモデムとして動作するように選択される。設置されている場合には、デジタル化された波形又は信号が、外部モデム補機又は外部モデムブロックへ/からルーティングされる。地球及び衛星に対する端末のロケーション及び全体的な向きは、主ブロック1203mのオーケストレーションプロセッサ339の制御下で、接続されたブロックのうちの1つ以上におけるINU343及びGNSSセンサ345を使用して求められ、少なくとも1つのビームが、構成フェーズ1003の間にロードされた構成データに基づいて少なくとも1つの衛星に接続するために形成される。
【0071】
ビームは、送信信号及び受信信号を含むデジタル波形サンプルの双方向ストリームとして実施される。送信される信号は、それぞれの各アパーチャ105によって送信される前に適切な振幅及び位相オフセットが適用されるアパーチャブロック103の全てに分配され、受信信号は、アパーチャブロック103におけるアパーチャ105の全てから集約され、端末全体からの単一のサンプリング波形に組み合わされ、モデムに提供される。衛星リンクが確立されると、外部データ補機が起動され、端末101は動作フェーズ1033に入る(1031)。衛星リンクの確立は、送信リンクが有効にされる前に対象衛星の位置を特定し、予想された信号が衛星から受信されることを確認するために、受信のみの接続が確立されることから開始する。このプロセスのステータス及び何らかの障害は、ステータスインジケータ303を介して報告される。
【0072】
動作フェーズ(ステップ1033)では、双方向データが、ステップ1035において、ブロックアセンブリの各ブロック103における相互接続されたアパーチャ105の全てから形成される組み合わされたアパーチャを通じて衛星リンクを介して転送される。このフェーズでは、送信波形及び受信波形の双方が、半二重動作の任意の実施要件に従って、衛星とモデムとの間でアレイを通じて連続的にストリーミングされる。単数又は複数のビームは、衛星を追跡し続け(ステップ1037)、物理ユーザインタフェース303を介して又はエンドユーザデバイスへのデータリンク461,451,421を介してフィードバックをユーザに報告する(ステップ1039)。主ブロック103mからの追跡データ並びにコマンド及び制御信号は、ビームポインティング方向、電力レベル、較正設定、及び端末101内の個々のブロックに役立つ他の動作情報を更新するためにブロックの間で転送され続ける。このプロセスは、端末101が動作している間継続する。端末ステータスは、ステータスインジケータ303を介して報告されるとともに、データリンクを介してエンドユーザデバイスにも報告される。端末は、衛星からの受信信号を追跡目的で使用するために絶えず監視する。受信信号が喪失された場合には、SATCOM端末動作の標準どおりに、受信信号を再取得することができるまで、送信ビームを直ちに無効にしなければならない。
【0073】
端末のシャットダウンは、ユーザがデータリンクを通じてコマンドを発行すること、接続されたアパーチャブロック103のうちのいずれか1つのインタフェース上の電源ボタン301を押すこと、又は端末101の分解を開始することによってブロック間の接続のうちのいずれか1つを切断することのいずれかによってトリガされる(1041)。主ブロック103mは、その後、ブロック103の全ての送信機能を直ちに無効にし(1045)、次に、システム全体の電源を切断する。ユーザは、その後、アパーチャブロック103を移送のために分解し格納する(1047)。通信を再開する必要があるとき(1011)、このプロセスはセットアップフェーズ1013から開始され、繰り返される。
【0074】
新たなモジュール103が、動作状態1033にある端末101に追加された場合に、端末は、自動的にセットアップフェーズ1013に戻って、より大きなサイズに再構成することもできるし、ユーザがセットアップ及び再較正プロセスの開始を要求するのを待つこともできる。
【0075】
本開示は、マンパックSATCOM端末の良好な構成を例示する。この構成は、完全に交換可能な構成要素によって、モジュール性が非常に高い。任意の1つの構成要素の故障は、端末の動作を妨げず、代わりに単一の要素のみが取り除かれる。現地における組み立ては、バックパック又は他の携帯用ケースからタイルを取り出すことと、適度に水平なロケーションにおいてそれらのタイルを全て、所望の衛星が視野に入る上空に向けて配置することと、タイルを互いにパチンと留めることとを含む。LEOコンステレーションとの動作の場合には、衛星ロケーションの知識は必要とされず、上空のクリアな視野のみが必要とされる。組み立ては数分で行うことができる。ポート107は、アパーチャが同じ方向(上方)を向き、三角形(例えば)の全てのエッジが同様のエッジと位置合わせされた状態で接続することになっている場合にのみ接続するように調整される。統合された電池を用いると、端末を動作させるために電源を見つける必要がなく、電池容量は、アプリケーション要件を満たすように増減させることができる。アパーチャの上方にRF透過性レドームを組み込んでいる統合された密閉ハウジングを有する環境的に密閉されたユニットとして、それらのユニットは、汚染環境における動作に適している。ポート自体は十分大きいので、グロスデブリのクリーニング又は洗浄を容易に行うことができ、システムは、表面の砂埃、塵埃、及び汚れの影響をうけにくい。
【0076】
より多くのアパーチャブロック103を合わせて組み立てることによって、アパーチャ面積が増加し、三角形の好ましい形状103xは、アパーチャの観点から好ましい不規則な非周期的タイル張りを生み出す。この端末101は、大きなスループットアプリケーション及び小さなスループットアプリケーションの双方に適しており、より多くのRF電力と、アパーチャ面積及び利得との双方が、送信モード及び受信モードの双方に利用可能であるので、より多くのブロック103が、より大きなスループットを生成するのに使用される。
【0077】
ビームの電気的な操作は、高いアンテナ利得を得ることと、可動部品をなくすこととの双方を可能にするのに必要である。電気的な操作がない場合には、ユーザ又はアクチュエータのいずれかが、アパーチャを衛星に物理的に向ける必要があり、これは望ましくなく、この端末の重要な利点を取り去る。ビーム方向は、ビームコントローラプロセッサ327によって求められたアパーチャ105の特定の設定を用いて、オーケストレーションコントローラ339によって求められる。各ビームは、アンテナを実施するのに使用されるアンテナアパーチャ105のタイプに適切な方法で電子的に走査される。例えば、パッチアンテナのフェーズドアレイは、特定のアパーチャブロックの較正係数に従って、所望の方向にビームを生成するようにビームコントローラ327によって構成される各パッチアンテナにおける位相及び振幅の設定を有する。
【0078】
アレイ101が、複数のアパーチャブロック103から組み立てられるとき、相互接続ポート107に組み込まれた位置合わせ特徴部は、ブロックが許容可能な形式で接続されることを確保する。しかしながら、組み立ての際に達成可能な機械公差が、アパーチャレイが自己較正なしでビームを確実に形成することができる近傍アパーチャブロック103の十分に繰り返し可能で正確な位置合わせ(相対的な位置及び向き)を可能にしない場合がある。
【0079】
動作前のアレイの較正は、アレイ101を形成するアパーチャブロック103の間の相対的な位置及び向きオフセットと、相互接続部107自体における位相差及び不一致とを補正することを目的としている。アレイは、外部機器なしで現地における組み立て及び分解を目的としているので、このプロセスは、このシステムが動作するために自動的でなければならない。
【0080】
1つの解決策は、アパーチャブロックのそれぞれを強い信号に独立してロックオンさせ、各ブロックの位相補正を計算してビームを正確に形成するように各ブロックからの受信信号の差を測定することである。これは、1つ以上のブロックからテスト信号を送信することによって、又は既知の衛星信号をリスンすることによって行うことができる。
【0081】
この方法は、RF領域において信号を評価する前にアパーチャブロックの相対的な位置及び向きを高精度で推定することができる場合に改善することができる。
図11は、2つのアパーチャブロック103の間の相対的な位置及び向きオフセットを同時に特徴付ける測定方法を示している。センサ1101は、相互接続ポート107に統合することができ、動作中は第2の同一のセンサ1101bと連係することができる。センサ1101は、光ガイド1121によってハウジングを通って送信ポート1103に結合される単一の光学送信機又は光送信機1123を含む。光送信機1123は、赤外線、UV、又は可視光のLED又はレーザダイオードとすることができる。
【0082】
センサは、3つの光受信機1133及び対応する光ガイド1131を有する対応する受信ポート1105を含む。受信機1133は、フォトダイオード又はフォトトランジスタとすることができる。受信ポートは、表面にわたって等距離パターンで離隔された3つの光ガイドを有する概ね陥凹した半球形状を有することができる。
【0083】
光送信機は、所望の位置測定精度が公称周波数において1度以下の位相である高周波数信号を生成する信号ジェネレータ1141によって駆動される。例えば、約0.1mmの距離を測定するには、1GHzにおける30cm波長が、1度の位相シフトに対して0.1mm未満の光伝播距離をもたらすので、最大周波数成分1GHzを有する信号を選択することができる。センサ1101によって可能になる絶対距離測定においてより高い精度を可能にするために、複数の正弦波トーン又は他の信号を重畳することができる。
【0084】
光センサは、対向センサ1101bによって生成される光に対応する信号を生成する。3つの受信信号は、信号ジェネレータの出力及び比較器1135によって測定された相対的な時間遅延/位相シフトと比較される。比較器1135は、フェーズロックドループ又は同様の回路によって実施することができる。測定された時間オフセット及び/又は位相シフトは、その後、プロセッサ1143によって読み取られ、3つの信号の間の相対的な時間遅延が比較され、したがって、送信機1103bと受信機1131との間の3つの距離が比較される。プロセッサ1143は、信号ジェネレータ1141も調整して、受信信号を整合させ、2つの異なるシステムを単一のループに変換する。複数のトーンがジェネレータ1141によって生成される場合には、フィルタ又は周波数ダイプレクサを使用して、異なるトーンを分離し、別々の比較器1135において別々に位相を比較することもできるし、統一された比較器が集約信号を処理することもできる。
【0085】
このプロセスは、関連したセンサ1101,1101bの双方において続くので、これらの双方のセンサは、位相オフセットの測定値を生成し、したがって、送信機1103,1103bと受信機1105,1105bとの間の相対的な距離を生成する。1つのセンサ1101における送信機1103及び受信機1105の配置及び間隔は既知であり、その後、経路長差/測定された相対的な距離を用いて、2つのアパーチャブロックの相対的な位置1107及び向き1109,1109bを計算するのに使用される。この方法は、干渉計に使用される方法と同様の処理技法を使用し、光ガイドにおけるベース時間遅延と、それらの影響を位置計算から取り除くことを可能にすることが知られている処理チェーンとに依拠する。この位置及び相対的な向きは、その後、ブロック103のオーケストレーションプロセッサ339が、アレイを較正し、ビームフォーミング制御計算をサポートして各個々のアパーチャ105の位相重みを設定するために使用することができる。
【0086】
図は、各ブロックの全ての側部にポート107を示していることに留意されたい。しかしながら、ポート107は、各ブロックの全ての側部よりも少ない側部に設けることができる。加えて、ポート107の1つの例が示されているが、任意の適したポートを利用することができ、ブロックは、任意の適した方法で電子的及び/又は機械的に互いに結合することができる。
【0087】
側部、エッジ、上部、底部、平面、同一平面、平行、垂直、長方形、正方形、三角形、円形、多角形、五角形、正三角形、不規則多角形等の幾何学用語又は関係用語を、図面は示す場合があり、明細書及び特許請求の範囲は使用する場合があることに留意されたい。これらの用語は、本開示を限定することを意図するものではなく、総じて、図に示す例に基づく説明を容易にするために便宜上使用されるものである。加えて、幾何学用語又は関係用語は正確でない場合がある。例えば、壁は、例えば表面の粗さ、製造において許容される公差等によって互いに正確に垂直又は平行でない場合があるが、それでも、垂直又は平行であるとみなされる場合がある。
【0088】
本開示の非常に多くの応用が、当業者には容易に思い浮かぶであろう。したがって、開示された具体例又は図示若しくは説明された正確な構成及び動作に本開示を限定することは望ましくない。逆に、本開示の範囲内に含まれる全ての適した変更形態及び均等形態を使用することができる。
【国際調査報告】