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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】仮ダンパアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20230516BHJP
   F16F 7/10 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
F16F15/02 C
F16F7/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560052
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2021057947
(87)【国際公開番号】W WO2021198074
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】20167989.1
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519081710
【氏名又は名称】シーメンス ガメサ リニューアブル エナジー エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Siemens Gamesa Renewable Energy A/S
【住所又は居所原語表記】Borupvej 16, 7330 Brande, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨーリス ダーメン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン フィヨルドゴール
(72)【発明者】
【氏名】モーテン フォウ ヤコプスン
(72)【発明者】
【氏名】アスカ ホルク ニールセン
(72)【発明者】
【氏名】セーレン マルキルデ ペダーセン
【テーマコード(参考)】
3J048
3J066
【Fターム(参考)】
3J048AA06
3J048AD07
3J048BF11
3J048BF17
3J048CB18
3J048CB22
3J048DA07
3J048EA38
3J066AA26
3J066DA02
3J066DB01
(57)【要約】
本発明は、タワー(2)の鉛直保管中および/または鉛直輸送中に使用するための仮ダンパアセンブリ(1)であって、ダンパアセンブリ(1)は、タワー(2)の固有振動数に調整された液体ダンパ(10)と、保管中および/または輸送中にタワー(2)の環状の上側の開口(20)を覆うように構成されたタワーカバー(11)と、タワー(2)の環状の上側の開口(20)から液体ダンパ(10)を吊り下げるように構成された取付けインタフェース(12)と、液体ダンパ(10)とタワー(2)との間で荷重(F)を伝達するための荷重伝達インタフェース(13)とを備える、仮ダンパアセンブリ(1)を説明する。本発明は、さらに、タワー(2)の鉛直保管中および/または鉛直輸送中にタワー(2)における渦励振動を抑制する方法を説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワー(2)の鉛直保管中および/または鉛直輸送中に使用するための仮ダンパアセンブリ(1)であって、
前記タワー(2)の固有振動数に調整された液体ダンパ(10)と、
保管中および/または輸送中に前記タワー(2)の環状の上側の開口(20)を覆うように構成されたタワーカバー(11)と、
前記タワー(2)の前記環状の上側の開口(20)から前記液体ダンパ(10)を吊り下げるように構成された取付けインタフェース(12)と、
前記液体ダンパ(10)と前記タワー(2)との間で荷重(F)を伝達するための荷重伝達インタフェース(13)と
を備える、仮ダンパアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記液体ダンパ(10)は、前記タワー(2)の内径(D20)の最大80%、より好ましくは最大60%である直径(D10)を有する実質的に円筒形のタンクを備える、請求項1記載の仮ダンパアセンブリ。
【請求項3】
前記取付けインタフェース(12)は、前記液体ダンパ(10)と前記タワー(2)の内面(20S)との間に延在するように構成された複数のブラケット(120)を備える、請求項1または2記載の仮ダンパアセンブリ。
【請求項4】
前記取付けインタフェース(12)は、前記液体ダンパ(10)に配置された複数のシュー(121)を備え、シュー(121)は、ブラケット(120)を収容するように成形されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の仮ダンパアセンブリ。
【請求項5】
前記取付けインタフェース(12)は、円弧セグメント(122)で終端する複数の半径方向のアーム(123)を備え、円弧セグメント(122)の曲率は、前記タワー(2)の前記環状の上側の開口(20)の曲率に基づいている、請求項1から4までのいずれか1項記載の仮ダンパアセンブリ。
【請求項6】
前記取付けインタフェース(12)は、昇降器具(3)のケーブル(30)に接続するための複数のコネクタを備える、請求項1から5までのいずれか1項記載の仮ダンパアセンブリ。
【請求項7】
前記タワーカバー(11)は、昇降器具(3)のケーブル(30)を収容するために開放される複数のハッチ(110)を備える、請求項1から6までのいずれか1項記載の仮ダンパアセンブリ。
【請求項8】
前記荷重伝達インタフェース(13)は、複数の調整ボルト(13)を備え、調整ボルト(13)は、前記取付けインタフェース(12)と前記タワー(2)の内面(20S)との間に延在している、請求項1から7までのいずれか1項記載の仮ダンパアセンブリ。
【請求項9】
前記液体ダンパ(10)は、0.55Hzから0.8Hzの範囲の固有振動数を有するタワー(2)用に寸法設定されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の仮ダンパアセンブリ。
【請求項10】
タワー(2)の鉛直保管中および/または鉛直輸送中に前記タワー(2)における渦励振動を抑制する方法であって、
前記タワー(2)の固有振動数を特定するステップと、
液体ダンパ(10)を前記固有振動数に調整するステップと、
調整された前記液体ダンパ(10)をタワーカバー(11)に取り付けて、前記液体ダンパ(10)と前記タワー(2)との間で荷重(F)を伝達するための荷重伝達インタフェース(13)を提供することによって、仮ダンパアセンブリ(1)を用意するステップと、
前記タワー(2)の鉛直保管および/または鉛直輸送に先だって、前記仮ダンパアセンブリ(1)を前記タワー(2)の上側の端部に取り付けるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記仮ダンパアセンブリ(1)を用意するステップは、前記タワー(2)の直径(D20)に基づいて取付けインタフェース(12)の要素(120,122)を選択するステップを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記取付けインタフェース(12)の複数の半径方向のアーム(123)の各々に、選択された円弧セグメント(122)を取り付けるステップおよび/または前記液体ダンパ(10)の外部のシュー(121)に、複数の選択されたブラケット(120)を取り付けるステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記仮ダンパアセンブリ(1)を前記タワー(2)の上側のレベルにもたらすために、昇降装置を作動させるステップを含む、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記荷重伝達インタフェース(13)の調整ボルト(13)は、前記タワー(2)の内部から手動で締め付けられる、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記仮ダンパアセンブリ(1)を前記タワー(2)から取り外し、前記仮ダンパアセンブリ(1)をナセル輸送フレーム(4)に移送するために、昇降装置を作動させるステップを含む、請求項10から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワーの鉛直保管中および/または鉛直輸送中に使用するための仮ダンパアセンブリを説明する。
【0002】
背景
完全に設置された風力タービンには、常設のダンパ、例えば、タワーの上側の領域に取り付けられるチューンドマスダンパが設けられる場合がある。ダンパは、タワーの固有振動数(タワーの「固有周波数」)での振動を打ち消すように構成されている。風力タービンのタワーが振動すると、チューンドマスダンパも振動するが、タワーの振動に対して位相が変位する。タワーの上側のレベルに永続的に取り付けられた液体ダンパは、スロッシング液体で部分的に満たすことができ、液体の量はタワーの固有周波数に基づいて選択される。常設のダンパの効果は、タワーの振動を抑制して、振幅を安全なレベルに維持することである。
【0003】
洋上風力タービンのタワーの高さは、80~100m程度である。そのようなタワーは、一般的に、両端部に円形フランジを備えた2つ以上の実質的に円筒形の中空タワーセクションを備える。タワーセクションは、フランジを通して挿入されたボルトを使用して、別のタワーセクションにかつ/または移行部材などの更なる構造にボルト固定することができる。
【0004】
風力タービンのタワーは、設置場所への輸送のために船に積み込まれる前に、事前に組み立てて一時的に保管することができる。タワーを水平に保管および輸送することは可能であるが、自重により大幅な変形または楕円化が生じる可能性がある。さらに、重く、長いタワーを逆さまにする操作は危険である可能性がある。これらの理由から、事前に組み立てられたタワーをタワーの鉛直配向または直立配向で保管および輸送することが好ましい場合がある。
【0005】
しかしながら、高いタワーの鉛直保管および鉛直輸送に関連する特定の課題が存在する。主要な課題は、渦励横風振動である。これは、船による輸送中に特に重要である。なぜならば、タワーは甲板上で直立しており、風から避難することができないからである。タワーは、渦励横風振動により、構造的に損なわれる可能性がある。さらに、結果として生じる荷重を甲板上の取付け器具によって受け止める必要があり、これらは損傷する可能性がある。したがって、保管中および輸送中の渦励横風振動は、高コストにつながる可能性がある。風力タービンのタワーに設置することを意図した常設のダンパを使用して、保管中および輸送中のそのような振動を抑制することはできない。なぜならば、常設のダンパは、ナセル、発電機、空力ロータなどを含む完全に設置された風力タービンの固有周波数に明示的に調整されているからである。
【0006】
したがって、保管中および輸送中の事前に組み立てられたタワーの渦励横風振動を抑制または減衰する方法を提供する必要がある。1つのアプローチでは、曝露環境下で保管または輸送する前に、螺旋構成の渦ストレーキが、タワーの外側に取り付けられる。渦ストレーキは、渦の発生を防止するようにタワー表面上の気流を変更し、ひいては渦励振動を防止する。しかしながら、タワーに渦ストレーキを装備するには何時間もかかる可能性があり、渦ストレーキを取り外すのに、再び同様の長さの時間が要求される。さらに、渦ストレーキの取付けに関連する作業は、気象条件に大きく左右され、一般的に、作業の危険性のために、強風または嵐の条件下では実施することができない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、直立タワーを保管および輸送する改良された方法を提供することである。
【0008】
説明
目的は、請求項1記載の仮ダンパアセンブリと、請求項10記載のタワーにおける渦励振動を抑制する方法とによって達成される。
【0009】
本発明によれば、仮ダンパアセンブリは、タワーの保管中および/または輸送中に使用することを意図しており、タワーの固有振動数に調整された液体ダンパと、保管中および/または輸送中にタワーの環状の上側の開口を覆うように構成されたタワーカバーと、タワーの環状の上側の開口から液体ダンパを吊り下げるように構成された取付けインタフェースと、液体ダンパとタワーとの間で荷重を伝達するための荷重伝達手段とを備える。
【0010】
本発明の仮ダンパアセンブリの利点は、洋上での取扱いの労力が減少し、それによって、全体のコストが削減されることである。これは、本発明の仮ダンパを比較的簡単な手順でタワーの上側のレベルに設置することができる(そして後で取り外すことができる)ためである。これと異なり、渦ストレーキを備えたタワーを準備するには何時間もかかる可能性があり、タワーの最終目的地で渦ストレーキを取り外すのにも同様の長さの時間がかかる可能性がある。さらに、本発明の仮ダンパの取扱いは、嵐の条件下では一般的に行うことができない渦ストレーキの取扱いと比較して、気象条件に比較的左右されない。本発明の仮ダンパアセンブリの更なる利点は、仮ダンパアセンブリが、保管および/または輸送のためにタワーを準備する際に伴う危険を低減することである。なぜならば、仮説のダンパアセンブリは、手動での取扱いステップが少ないからである。
【0011】
本発明によれば、保管中および/または輸送中にタワーにおける渦励振動を抑制する方法は、タワーの固有振動数(すなわち固有周波数)を特定するステップと、液体ダンパを上記固有振動数に調整するステップと、調整された液体ダンパをタワーカバーに取り付けて、液体ダンパとタワーとの間で荷重を伝達するための荷重伝達手段を提供することによって、仮ダンパアセンブリを用意するステップと、タワーの保管および/または輸送に先だって、仮ダンパアセンブリをタワーの環状の上側の開口に取り付けるステップとを含む。
【0012】
本発明の特に有利な実施形態および有利な特徴は、以下の説明で明らかになるように、従属請求項によって与えられる。異なる特許請求の範囲のカテゴリの特徴を適宜組み合わせて、本明細書に記載されていない更なる実施形態を提供することができる。
【0013】
以下では、タワーは洋上風力タービンでの使用を意図していると想定することができる。そのような風力タービンのタワーは、一般的に、実質的に円形の断面を有する細い円錐の形状を有する。タワーはタワーの基部が最も広く、タワーの基部は、洋上の基礎の移行片に取り付けることができる。このようなタワーは、2つ以上のタワーセクションを備えていると想定することができ、タワーは、洋上の設置場所に輸送される前に事前に組み立てられる。
【0014】
液体ダンパは、好ましくは、タワーの内部に吊り下げることができるタンクまたは他の容器として構成されている。本発明の好ましい実施形態では、液体ダンパは、タワーの内径の約40%~50%の直径を有する実質的に円筒形のタンクとして構成されている。タンクは、主に不凍液としての使用を意図したBASF Glysantin(登録商標)G30(登録商標)などの流体またはスロッシング液体で部分的に満たすことができる。液体ダンパは、流体入口/流体出口を備えることができ、その結果、流体の充填レベルを調整することができる。好ましくは、液体ダンパは、0.45Hzから0.9Hzの範囲の固有振動数を有するタワーに使用するために寸法設定される。液体ダンパを調整するステップは、液体ダンパ内の液体の体積を調整するステップを含む。タンク内に存在する液体の体積は、例えば、液体ダンパを(液体ダンパ自体または組み立てられた仮ダンパアセンブリの一部として)計量することによって特定することができる。
【0015】
液体ダンパは、任意の適切な種類の取付けインタフェースを使用して設置することができる。本発明の好ましい実施形態では、取付けインタフェースは、複数のブラケット、例えば取外し可能なアダプタブラケットを含む。各ブラケットは、液体ダンパの外面とタワーの環状の上側の開口との間に延在している。ブラケットは、好ましくは、液体ダンパがタワーの内部の中心に位置決めされるように構成されている。本発明の好ましい実施形態では、取付けインタフェースは、液体ダンパの周りに120°の間隔で均等に分配された少なくとも3つのブラケットを備える。
【0016】
ブラケットは、任意の適切な方法で液体ダンパに取り付けることができる。本発明の好ましい実施形態では、シューが液体ダンパの外面に設けられており、各シューは、ブラケットの鉛直側面を収容するように成形されている。例えば、ブラケットをシュー内に挿入し、その後、ボルト、ねじ、または他の締結具を使用して、シューに固定することができる。
【0017】
タワー内で液体ダンパを吊り下げるために、取付けインタフェースは、好ましくは、タワーのフランジに取り付けることができるタワーの上側のリムまで延在している。上述したように、フランジは、タワーが別のタワーまたは更なる構成要素に取り付けられるときにボルトが通過するボルトサークルを有する。本発明の好ましい実施形態では、取付けインタフェースは、上側のリムまで外向きに延在する複数の半径方向のアームを備える。本発明の更なる好ましい実施形態では、各半径方向のアームは円弧セグメントで終端することができる。円弧セグメントの曲率は、好ましくは、タワーの上側のリムの曲率に一致する。好ましくは、半径方向のアームの長さは調整可能であり、かつ/または円弧セグメントは取外し可能であり、その結果、アセンブリをタワーの直径の範囲に適合させることができる。例えば、半径方向のアームの長さは、必要に応じて長くしたり短くしたりすることができ、適切な曲率を有する円弧セグメントの組を選択することができる。こうして、仮ダンパアセンブリを様々なタワーの直径に使用することができる。
【0018】
仮ダンパアセンブリは、液体ダンパが上側のカバーの下面から吊されるように、液体ダンパを上側のカバーに取り付けるように設けられる。上側のカバーがタワー上に配置されると、その後、液体ダンパがタワーの内部の上側のレベルに位置決めされる。
【0019】
タワーにおける渦励振動またはその他の振動を抑制することができるようにするには、液体ダンパとタワー壁との間に荷重伝達ブリッジが必要である。1つのアプローチでは、液体ダンパおよび/または液体ダンパの取付けインタフェースは、形状適合を実現するように、すなわちタワーの内壁と液体ダンパおよび/または液体ダンパの取付けインタフェースの1つ以上の表面との間の物理的接触を実現するように構成することができる。例えば、各ブラケットは、タワーの内面に接する外面を有することができる。しかしながら、そのような形状適合式の構造は、仮ダンパアセンブリを特定のタワーの直径に制限する。したがって、本発明の好ましい実施形態では、取付けインタフェースの最大直径をタワーの内径よりも小さくすることができ、差は複数の調整ボルトによって埋められる。例えば、調整ボルトは、取付けインタフェースのブラケットに取り付けられたかまたはブラケット内に配置された実質的に水平なねじ山付きブシュに挿入することができ、その結果、調整ボルトの外側の端部はタワーの内面と接触することができる。もちろん、調整ボルトの外側の端部は、平坦なパッドまたは平坦なプレートで終端することができるため、力がより広い領域に分散され、したがって、タワーの表面への損傷を回避することができる。取付けインタフェースとタワーとの間の隙間を埋めるための様々な他の方法が存在しており、例えば、液圧シリンダの構成を使用してタワーの内面に圧力を加える等である。
【0020】
荷重伝達インタフェースは、タワーの内部から調整されるか、または仕上げられる。この目的のために、技術者はタワーの内部へのアクセスを得る。上側のカバーがタワーの上側の環状面に載るように仮ダンパアセンブリが所定の位置に降下されると、技術者は、例えば、調整ボルトを回して、調整ボルトの外側の端部がタワーの内面に対して十分な圧力を加えるようにすることができる。技術者は、例えば、タワーアセンブリの一部であるエレベータによって、タワーの上側のレベルにアクセスすることができる。
【0021】
仮ダンパアセンブリは、好ましくは、タワーの上側の端部の高さまでクレーンで持ち上げられる。仮ダンパアセンブリがクレーンの昇降装置から吊り下げられている間、仮ダンパアセンブリを固定的に保持するために、適切な昇降器具を提供することができる。取付けインタフェースは、好ましくは、昇降器具のケーブルに接続するための複数のコネクタ、例えばアイレットを備える。タワーカバーは、このようなケーブルを通すことができる開口を有することができ、その結果、ケーブルを取付けインタフェースのブラケットに取り付けることができる。好ましい実施形態では、上側のカバーは、昇降器具のケーブルを収容するために開放することができる複数のハッチを備える。仮ダンパアセンブリが所定の位置になると、ケーブルが取り外され、ハッチが再び閉鎖されるため、タワーの内部を環境から遮断することができる。更なる好ましい実施形態では、タワーカバーは、タワーの環状の上側の端部に載るように配置された弾性リムを備える。弾性リムまたはゴム製リムは、水がタワーの内部に侵入するのを防止するシールとして機能する。
【0022】
本発明の他の目的および特徴は、添付の図面と併せて考慮される以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、図面は単に例示を目的として設計されたものであり、本発明の限定を定義するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の仮ダンパアセンブリの実施形態を示す図である。
図2】タワー上に降下している本発明の仮ダンパアセンブリの実施形態を示す図である。
図3】タワー上の所定の位置にある本発明の仮ダンパアセンブリの実施形態を示す図である。
図4】タワー上の所定の位置にある本発明の仮ダンパアセンブリの実施形態の斜視図を示す図である。
図5】ナセルの輸送フレーム上に停められた本発明の仮ダンパアセンブリの実施形態を示す図である。
【0024】
図面では、同様の番号は全体を通して同様の対象を指す。図中の対象は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
【0025】
図1は、本発明の仮ダンパアセンブリ1の実施形態を示しており、タワーの上側のカバー11から吊り下げられた液体ダンパ10を示す。例示的な一実施形態では、上側のカバー11は、上側のカバー11の下側に、ボルトを使用してダンパ10を固定することができるパネルの構成または取付け具の構成を有することができる。
【0026】
ダンパ10の直径D10は、タワーの内径よりも著しく小さい。この例示的な実施形態では、取付けインタフェース12は、ダンパ10の周りに均等に分配された3つの山形のブラケット120(図では2つが見える)であって、ダンパ10の外面に設けられたシュー121に取り付けられた3つの山形のブラケット120を備える。弾性シールまたは弾性リム112が、上側のカバー11の外側の縁部に設けられている。いくつかの昇降ブラケット16のうちの1つが示されている。これらは、昇降操作中に昇降器具のケーブルに取り付けるために設けられている。
【0027】
図2は、ダンパ10をタワー1の上側のレベルの内部空間に位置決めするように、タワー2に向かって降下している仮ダンパアセンブリ1を示している。昇降器具3が使用されており、クレーン(図示せず)の昇降装置から吊り下げられている。いくつかのケーブル30が、昇降器具3から昇降ブラケット16まで延在している。昇降操作中、上側のカバーのハッチ110が開放され、ケーブル30は、開放されたハッチを通って延在している。
【0028】
タワー2の上側のレベルは地上80~100mである可能性があるため、地上位置から操作の精度を評価することは困難であるかまたは不可能ですらある。したがって、仮ダンパアセンブリ1またはタワー2への損傷を回避するために、複数のカメラおよび/またはセンサ(図示せず)を作動させて、昇降操作に関するフィードバックを提供することができ、その結果、必要に応じて位置調整を行うことができる。
【0029】
図3は、タワー2の所定の位置にある本発明の仮ダンパアセンブリ1の実施形態を示す。内部フロアまたはプラットホーム20Pが図示されている。タワーは、一般的に、保守担当者がこのレベルで作業できるように、タワーの上側の端部近くにプラットホーム20Pを含むように構成することができる。半径方向のアーム123の外側の端部にある円弧セグメント122は、タワー2の円形リムに載る。簡単にするために、図は、ダンパ10の直径方向で対向する側にある2つのブラケット120を示している。しかしながら、少なくとも3つのブラケット120が作動させられ、好ましくは、液体ダンパ10の円筒形の本体の周りに等間隔に配置されることを理解されたい。図は、調整ボルト13を備えた荷重伝達ブリッジを示しており、調整ボルト13は、調整ボルト13の外側の端部がタワーの内面20Sに押圧されるように締め付けられている。したがって、ブラケット120の外側の端部によって規定される直径D12は、(複数の異なるサイズのタワーのうちの)「最も小さい」タワーの内径D20よりも小さくすることができ、調整ボルト13は隙間を埋めることができる。このようにして、1種類の仮ダンパアセンブリ1を用意して、異なる直径のタワーで使用することができる。これらの各タワーは、1種類の仮ダンパアセンブリ1を使用して、鉛直方向に保管および/または輸送することができる。
【0030】
図4は、タワー2上の所定の位置にある本発明の仮ダンパアセンブリ1の実施形態の斜視図を示す。上側のカバー11は図示されていないが、存在するものと仮定する。図は、交換可能な円弧セグメント122で終端する半径方向のアーム123(この実施形態では6つ)を示している。円弧セグメント122は、タワーフランジの曲率に一致するように選択される。図はまた、格納位置にある(タワーの壁に押圧されていない)いくつかの調整ボルト13を示している。
【0031】
図5は、ナセル輸送フレーム4に「駐止された」本発明の仮ダンパアセンブリ1の実施形態を示す。洋上の設置場所でタワーを降ろし、タワーを基礎に取り付け、ナセルをタワーに取り付けたのち、タワーと共に使用された仮ダンパアセンブリ1は、直径が一致するので、ナセル輸送フレームのヨー支持部分40に駐止することができる。
【0032】
本発明は、好ましい実施形態および好ましい実施形態の変形で開示されたが、本発明の範囲から逸脱することなく、多数の付加的な改良および変形を行うことができることを理解されたい。
【0033】
明確にするために、本出願全体での「a」または「an」の使用は複数を除外するものではなく、「備える(comprising)」は他のステップまたは要素を除外しないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】