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特表2023-521019四辺形状面部分を形成するように連続的な大きな溝および不連続的な小さな溝が交差する回転切削工具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】四辺形状面部分を形成するように連続的な大きな溝および不連続的な小さな溝が交差する回転切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/10 20060101AFI20230516BHJP
   B23B 51/08 20060101ALI20230516BHJP
   B23C 5/16 20060101ALI20230516BHJP
   B23P 15/34 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B23C5/10 Z
B23C5/10 B
B23B51/08 L
B23C5/16
B23P15/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560070
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2021056968
(87)【国際公開番号】W WO2021197863
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/003,931
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591106875
【氏名又は名称】セコ ツールズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ノーランド, デニス
【テーマコード(参考)】
3C022
3C037
【Fターム(参考)】
3C022KK03
3C022KK06
3C022KK16
3C022KK21
3C022KK23
3C022KK25
3C022KK28
3C022KK29
3C037EE03
(57)【要約】
複数の不連続的な小さな溝(135)と相対する、らせん状に配置された複数の連続的な大きな溝(130)を有し、これらの溝が複数の歯を形成するように交差する、回転切削工具(100)。それぞれの歯は、大きな溝によって形成される第1の切刃、および小さな溝によって形成される第2の切刃を含み、第1の切刃および第2の切刃は、頂部で交わり、かつ四辺形状面部分の周辺部の一部を形成する。面部分は、各々の第1の切刃および第2の切刃から延在する非平面を有して、それぞれの切刃の逃げ面を画定する。第1の切刃および第2の切刃は、工具の回転軸と同軸の重心軸を有する仮想円柱上に配置され、各々の逃げ面は、仮想円柱の表面の内方に放射状になっていることで、第1の切刃および第2の切刃はそれぞれ、工具の回転方向にすき間を有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の回転重心軸を含む工具本体であって、細長く、前記長手方向の回転重心軸に沿って回転可能である、工具本体と、
放射状周面および端面を含む溝付き切削端部、および前記溝付き切削端部の軸方向反対側のシャンク部分と、
前記溝付き切削端部に位置する複数の大きな溝であって、それぞれの大きな溝は、前記工具本体の内方に放射状に突出し、かつ前記工具本体の軸方向に連続的にかつらせん状に延在する大きな溝表面を含む、複数の大きな溝と、
前記溝付き切削端部に位置する複数の小さな溝であって、それぞれの小さな溝は、前記工具本体の内方に放射状に突出し、かつ前記工具本体の前記軸方向にらせん状に集合的に延在する複数の不連続的な小さな溝表面部分を有する小さな溝表面を含む、複数の小さな溝と、を備える、回転切削工具であって、
2つの連続して隣接する大きな溝は、帯状に配置された複数の歯によって互いに分離され、前記帯状の前記複数の歯の個々の歯は、第1の小さな溝の第1の不連続的な小さな溝表面部分、および第2の小さな溝の第2の不連続的な小さな溝表面部分によって互いに分離され、前記第1の小さな溝は前記第2の小さな溝に連続して隣接し、
前記帯状に配置された前記複数の歯のそれぞれの歯の前記放射状周面は面部分を画定し、前記面部分は、頂部を形成するように交わる第1の側縁部および第2の側縁部を含む周辺部を有し、前記頂部は2つの前記側縁部が前記回転切削工具の切削回転方向とは反対側に開くように配向され、
前記面部分の前記第1の側縁部は、前記面部分と、第1の大きな溝の前記溝表面との交差によって形成され、前記第1の側縁部は第1の切刃を画定し、
前記面部分の前記第2の側縁部は、前記面部分と、前記第1の小さな溝の前記第1の不連続的な小さな溝表面部分との交差によって形成され、前記第2の側縁部は第2の切刃を画定し、
前記第1の切刃から前記面部分の内部領域の方へ延在する前記面部分の第1の領域は、非平面であり、かつ前記第1の切刃の逃げ面を画定し、
前記第2の切刃から前記面部分の前記内部領域の方へ延在する前記面部分の第2の領域は、非平面であり、かつ前記第2の切刃の逃げ面を画定する、回転切削工具。
【請求項2】
前記第1の切刃の前記逃げ面および前記第2の切刃の前記逃げ面は、同一平面上になく、移行特徴部で交わる、請求項1に記載の回転切削工具。
【請求項3】
前記第1の切刃、前記第2の切刃、および前記頂部は、前記長手方向の回転重心軸と一致する重心軸を有する仮想円柱の表面上に位置する、請求項1または2に記載の回転切削工具。
【請求項4】
前記第1の切刃の前記逃げ面および前記第2の切刃の前記逃げ面は、前記仮想円柱の前記表面の内方に放射状になっている、請求項3に記載の回転切削工具。
【請求項5】
前記面部分の全ての他の部分は、前記仮想円柱の前記表面の内方に放射状になっている、請求項3に記載の回転切削工具。
【請求項6】
前記仮想円柱の内方に放射状になっている前記表面は、前記回転切削工具の前記切削回転方向における前記第1の切刃および前記第2の切刃に対してすき間を提供する、請求項4または5に記載の回転切削工具。
【請求項7】
前記長手方向の回転重心軸と直角を成し、かつ前記帯状に配置された前記複数の歯のうちの少なくとも1つの歯に交差する平面において、前記平面と前記面部分との交差は、前記仮想円柱の外周と弦を形成する、請求項3から6のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項8】
前記弦の終点間の前記仮想円柱の前記外周の円弧(θ)は、30度以上および45度以下、代替的には、30度以上および35度以下、または31±1度である、請求項7に記載の回転切削工具。
【請求項9】
前記溝付き切削端部における、前記長手方向の回転重心軸と直角を成す断面において、前記大きな溝の円弧長さは前記小さな溝の円弧長さを上回る、請求項1から8のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項10】
前記小さな溝の前記円弧長さは(0.5×前記大きな溝の円弧長さ)を上回る、請求項9に記載の回転切削工具。
【請求項11】
前記大きな溝の前記円弧長さは、前記小さな溝の前記円弧長さの非整数倍であり、前記非整数倍は、1より大きく5より小さい、代替的には、1より大きく4より小さい、または1より大きく3より小さい、請求項9に記載の回転切削工具。
【請求項12】
前記第1の切刃の前記逃げ面を通り、移行特徴部と直角を成す断面において、前記第1の切刃の前記逃げ面は第1の半径を有する曲面を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項13】
前記第2の切刃の前記逃げ面を通り、移行特徴部と直角を成す断面において、前記第2の切刃の前記逃げ面は第2の半径を有する曲面を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項14】
前記第1の切刃の前記逃げ面を通り、移行特徴部と直角を成す断面において、前記第1の切刃の前記逃げ面は第1の半径を有する曲面を含み、
前記第2の切刃の前記逃げ面を通り、前記移行特徴部と直角を成す断面において、前記第2の切刃の前記逃げ面は第2の半径を有する曲面を含み、
前記第1の半径の長さおよび前記第2の半径の長さは同じである、請求項1から10のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項15】
前記第1の切刃の前記逃げ面を通り、移行特徴部と直角を成す断面において、前記第1の切刃の前記逃げ面は第1の半径を有する曲面を含み、
前記第2の切刃の前記逃げ面を通り、前記移行特徴部と直角を成す断面において、前記第2の切刃の前記逃げ面は第2の半径を有する曲面を含み、
前記第1の半径の長さおよび前記第2の半径の長さは異なる、請求項1から10のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項16】
前記第1の切刃の前記逃げ面を通り、移行特徴部と直角を成す断面において、前記第1の切刃の前記逃げ面は第1の凸面を含み、
前記第2の切刃の前記逃げ面を通り、前記移行特徴部と直角を成す断面において、前記第2の切刃の前記逃げ面は第2の凸面を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項17】
前記第1の凸面および前記第2の凸面は同じ凸状部を有する、請求項16に記載の回転切削工具。
【請求項18】
前記第1の凸面および前記第2の凸面は異なる凸状部を有する、請求項16に記載の回転切削工具。
【請求項19】
前記頂部を形成するように交わる前記第1の側縁部と前記第2の側縁部との間の頂角は、40度以上および90度以下の、代替的には、45度以上および70度以下のもしくは55度以上および65度以下の、または60±1度に等しい値を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項20】
それぞれの大きな溝のらせん角度(α)は、45°≦|α|≦70°、代替的には、59°≦|α|≦61°の絶対値を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項21】
それぞれの小さな溝のらせん角度(β)は、45°≦|β|≦70°、代替的には、59°≦|β|≦61°の絶対値を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項22】
それぞれの大きな溝の前記らせん角度(α)の前記絶対値、およびそれぞれの小さな溝の前記らせん角度(β)の前記絶対値は同じである、請求項21に記載の回転切削工具。
【請求項23】
それぞれの大きな溝の前記らせん角度(α)の前記絶対値、およびそれぞれの小さな溝の前記らせん角度(β)の前記絶対値は異なる、請求項21に記載の回転切削工具。
【請求項24】
それぞれの大きな溝は、9°≦γ≦11°、代替的にはγ=10°の正の外周すくい角(γ)を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項25】
それぞれの小さな溝は、9°≦ε≦11°、代替的にはε=10°の正の外周すくい角(ε)を有する、請求項1から24のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項26】
前記溝付き切削端部の縦方向長さに沿って、前記2つの連続して隣接する大きな溝のそれぞれのらせん中心線は一定の離隔距離にある、請求項1から25のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項27】
前記長手方向の回転重心軸と直角を成し、かつ前記帯状に配置された前記複数の歯の2つの連続して隣接する歯に交差する平面において、前記第1の切刃の一部分は、前記切削回転方向に対して、前記第2の切刃の一部分の前にある、請求項1から26のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項28】
前記長手方向の回転重心軸に平行であると判断される、1つの帯上の隣接する歯の移行特徴部の間の距離は、勾配を画定し、前記隣接する歯のうちの1つの前記面部分の、前記第1の切刃と前記第2の切刃との間の最も長い距離は、切削幅を画定し、前記切削幅は前記勾配を上回る、請求項1から26のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項29】
前記面部分の前記周辺部は四辺形状を有する、請求項1から28のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項30】
前記四辺形は平行四辺形またはひし形である、請求項29に記載の回転切削工具。
【請求項31】
複数の前記帯のうちの1つにおける全ての歯の前記面部分は、同一の幾何学的形状を有する、請求項1から30のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項32】
複数の前記帯のうちの1つにおける全ての歯は、同一の幾何学的形状を有する、請求項1から30のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項33】
それぞれの帯は同一の幾何学的形状を有する、請求項1から30のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項34】
前記複数の大きな溝における大きな溝の総数は2~6、代替的には4である、請求項1から33のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項35】
前記複数の小さな溝における小さな溝の総数は4~12、代替的には8である、請求項1から34のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項36】
前記大きな溝の半径方向深さは前記小さな溝の半径方向深さを上回る、請求項1から35のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項37】
前記大きな溝は第1のコア径を有し、前記小さな溝は第2のコア径を有し、前記第1のコア径は前記第2のコア径を下回る、請求項1から35のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項38】
前記大きな溝は右巻きの溝であり、前記小さな溝は左巻きの溝である、請求項1から37のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項39】
前記第1の切刃は右側切刃であり、前記第2の切刃は左側切刃である、請求項38に記載の回転切削工具。
【請求項40】
前記大きな溝は左巻きの溝であり、前記小さな溝は右巻きの溝である、請求項1から37のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項41】
前記第1の切刃は左側切刃であり、前記第2の切刃は右側切刃である、請求項40に記載の回転切削工具。
【請求項42】
前記溝付き切削端部の前記端面は中央切削エンドミルの構成を有する、請求項1から41のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項43】
前記溝付き切削端部の前記端面はボールエンドミルの構成を有する、請求項1から41のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項44】
前記溝付き切削端部の前記端面はドリルポイントのエンドミルの構成を有する、請求項1から41のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項45】
前記工具本体は、円柱形、円錐形、または起伏形状を有する、請求項1から44のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項46】
前記溝付き切削端部の表面上にコーティングをさらに含む、請求項1から45のいずれか一項に記載の回転切削工具。
【請求項47】
前記コーティングは化学蒸着(CVD)コーティングである、請求項46に記載の回転切削工具。
【請求項48】
前記化学蒸着コーティングは多結晶ダイヤモンド(PCD)である、請求項47に記載の回転切削工具。
【請求項49】
前記コーティングは物理蒸着(PVD)コーティングである、請求項46に記載の回転切削工具。
【請求項50】
前記物理蒸着コーティングは、ダイヤモンド状炭素(DLC)、グラファイト、Ti(Al、N)、Ti(C、N)、Al(Ti、N)、またはAl(Cr、N)である、請求項49に記載の回転切削工具。
【請求項51】
工作物から材料を除去する方法であって、
請求項1から50のいずれか一項に記載の回転切削工具を回転させることであって、前記回転切削工具は機械加工するための装置のスピンドルに装着される、回転切削工具を回転させることと、
前記第1の切刃および前記第2の切刃を前記工作物に接触させることによって、前記工作物から材料を除去することと、を含む、方法。
【請求項52】
前記工作物は繊維強化複合材料である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記繊維強化複合材料は炭素繊維強化プラスチック(CRFP)またはガラス繊維強化プラスチック(GFRP)である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
長手方向の回転重心軸を含む工具本体であって、細長く、前記長手方向の回転重心軸に沿って回転可能である、工具本体と、
放射状周面および端面を含む溝付き切削端部、および前記溝付き切削端部の軸方向反対側のシャンク部分と、
前記溝付き切削端部に位置する複数の右巻きの溝であって、それぞれの右巻きの溝は、前記工具本体の内方に放射状に突出し、かつ前記工具本体の軸方向にらせん状に延在する溝表面を含む、複数の右巻きの溝と、
前記溝付き切削端部に位置する複数の左巻きの溝であって、それぞれの左巻きの溝は、前記工具本体の内方に放射状に突出し、かつ前記工具本体の前記軸方向に延在する溝表面を含む、複数の左巻きの溝と、を備える、回転切削工具であって、
前記複数の右巻きの溝のそれぞれの前記溝表面は、前記右巻きの溝のらせん形長さの少なくとも大半の部分に沿って連続しており、
前記複数の左巻きの溝のそれぞれの前記溝表面は、前記左巻きの溝のらせん形長さの少なくとも大半の部分に沿って不連続的であり、
2つの連続して隣接する右巻きの溝は、帯状に配置された複数の歯によって互いに分離され、
前記帯状の前記複数の歯の個々の歯は、前記複数の左巻きの溝のうちの1つの一部分によって互いに分離され、
前記帯状に配置された前記複数の歯のそれぞれの歯の前記放射状周面は面部分を画定し、前記面部分は4つの側縁部を含む周辺部を有し、
前記面部分の2つの相対する側縁部の第1のセットは、前記面部分と、前記2つの連続して隣接する右巻きの溝の前記溝表面との交差によって形成され、前記面部分の2つの相対する縁部の第2のセットは、前記面部分と、2つの連続して隣接する左巻きの溝の前記溝表面との交差によって形成され、
前記第1のセットの第1の相対する縁部は、前記歯の前頂部を形成するように前記第2のセットの第1の相対する縁部に交差し、前記第1のセットの前記第1の相対する縁部は右側切刃を画定し、前記第2のセットの前記第1の相対する縁部は左側切刃を画定し、前記歯の前記前頂部は切削点を画定し、
前記第1のセットの第2の相対する縁部は、前記歯の後頂部を形成するように前記第2のセットの第2の相対する縁部に交差し、
前記右側切刃から、前記歯の前記前頂部から前記歯の前記後頂部まで延在する想像線まで延在する前記面部分の領域は、前記右側切刃の逃げ面を画定し、前記左側切刃から、前記歯の前記前頂部から前記歯の前記後頂部まで延在する前記想像線まで延在する前記面部分の領域は、前記左側切刃の逃げ面を画定し、
前記右側切刃の前記逃げ面は非平面であり、前記右側切刃の前記逃げ面は非平面であり、
前記右側切刃の非平面の前記逃げ面は、前記歯の前記前頂部から前記歯の前記後頂部まで延在する前記想像線において前記左側切刃の非平面の前記逃げ面に交差して、これらの間に角度を形成する、回転切削工具。
【請求項55】
長手方向の回転重心軸を含む工具本体であって、細長く、前記長手方向の回転重心軸に沿って回転可能である、工具本体と、
放射状周面および端面を含む溝付き切削端部、および前記溝付き切削端部の軸方向反対側のシャンク部分と、
前記溝付き切削端部に位置する複数の右巻きの溝であって、それぞれの右巻きの溝は、前記工具本体の内方に放射状に突出し、かつ前記工具本体の軸方向に連続的かつ右らせん状に延在する溝表面を含む、複数の右巻きの溝と、
前記溝付き切削端部に位置する複数の左巻きの溝であって、それぞれの左巻きの溝は、前記工具本体の内方に放射状に突出し、かつ前記工具本体の前記軸方向に左らせん状に集合的に延在する複数の不連続的な溝表面部分を有する溝表面を含む、複数の左巻きの溝と、を備える、回転切削工具であって、
2つの連続して隣接する右巻きの溝は、帯状に配置された複数の歯によって互いに分離され、前記帯状の前記複数の歯の個々の歯は、第1の左巻きの溝の第1の不連続的な溝表面部分、および第2の左巻きの溝の第2の不連続的な溝表面部分によって互いに分離されており、前記第1の左巻きの溝は前記第2の左巻きの溝に連続して隣接しており、
前記帯状に配置された前記複数の歯のそれぞれの歯の前記放射状周面は面部分を画定し、前記面部分は、頂部を形成するように交わる第1の側縁部および第2の側縁部を含む周辺部を有し、前記頂部は2つの前記側縁部が前記回転切削工具の切削回転方向とは反対側に開くように配向され、
前記面部分の前記第1の側縁部は、前記面部分と、第1の右巻きの溝の前記溝表面との交差によって形成され、前記第1の側縁部は右側切刃を画定し、
前記面部分の前記第2の側縁部は、前記面部分と、前記第1の左巻きの溝の前記第1の不連続的な溝表面部分との交差によって形成され、前記第2の側縁部は左側切刃を画定し、
前記右側切刃から前記面部分の内部領域の方へ延在する前記面部分の第1の領域は、非平面であり、かつ前記右側切刃の逃げ面を画定し、
前記左側切刃から前記面部分の前記内部領域の方へ延在する前記面部分の第2の領域は、非平面であり、かつ前記左側切刃の逃げ面を画定し、
前記右側切刃の前記逃げ面および前記左側切刃の前記逃げ面は、同一平面上になく、移行特徴部で交わる、回転切削工具。
【請求項56】
回転切削工具を製造する方法であって、
長手方向の回転重心軸を含む工具本体を形成することであって、前記工具本体は、細長く、前記長手方向の回転重心軸に沿って回転可能である、工具本体を形成することと、
前記工具本体の溝付き切削端部において複数の大きな溝および複数の小さな溝を形成することであって、それぞれの大きな溝は、前記工具本体の内方に放射状に突出し、かつ前記工具本体の軸方向に連続的にかつらせん状に延在する大きな溝表面を含み、それぞれの小さな溝は、前記工具本体の内方に放射状に突出し、かつ前記工具本体の前記軸方向にらせん状に集合的に延在する複数の不連続的な溝表面部分を有する小さな溝表面を含み、2つの連続して隣接する大きな溝は、帯状に配置された複数の歯によって互いに分離され、前記帯状の前記複数の歯の個々の歯は、第1の小さな溝の第1の不連続的な小さな溝表面、および第2の小さな溝の第2の不連続的な小さな溝表面によって互いに分離され、前記第1の小さな溝は前記第2の小さな溝に連続して隣接する、複数の大きな溝および複数の小さな溝を形成することと、
前記帯状に配置された前記複数の歯のそれぞれの歯の放射状周面上に表面形状を形成することであって、前記表面形状は、頂部を形成するように交わる第1の側縁部および第2の側縁部を含む周辺部を有する面部分を画定し、前記頂部は2つの前記側縁部が前記回転切削工具の切削回転方向とは反対側に開くように配向され、表面形状を形成することと、を含み、
前記面部分の前記第1の側縁部は、前記面部分と、第1の大きな溝の前記溝表面との交差によって形成され、前記第1の側縁部は第1の切刃を画定し、
前記面部分の前記第2の側縁部は、前記面部分と、前記第1の小さな溝の前記第1の不連続的な小さな溝表面との交差によって形成され、前記第2の側縁部は第2の切刃を画定し、
前記第1の切刃から前記面部分の内部領域の方へ延在する前記面部分の第1の領域は、非平面であり、かつ前記第1の切刃の逃げ面を画定し、
前記第2の切刃から前記面部分の前記内部領域の方へ延在する前記面部分の第2の領域は、非平面であり、かつ前記第2の切刃の逃げ面を画定する、方法。
【請求項57】
前記第1の切刃の前記逃げ面および前記第2の切刃の前記逃げ面は、同一平面上になく、移行特徴部で交わる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
それぞれの歯の前記放射状周面上に前記表面形状を形成することは、研削形態を有する研削砥石によって研削することを含み、前記研削形態は、隆起部で交わる第1の凹面および第2の凹面を含む断面形状を有する、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の凹面および前記第2の凹面は同じ凹状部を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の凹面および前記第2の凹面は異なる凹状部を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の切刃、前記第2の切刃、および前記頂部は、前記長手方向の回転重心軸と一致する重心軸を有する仮想円柱の表面上に位置し、前記第1の切刃の前記逃げ面および前記第2の切刃の前記逃げ面は、前記仮想円柱の前記表面の内方に放射状になっている、請求項56から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の切刃、前記第2の切刃、および前記頂部は、前記長手方向の回転重心軸と一致する重心軸を有する仮想円柱の表面上に位置する、請求項56から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記面部分の全ての他の部分は、前記仮想円柱の前記表面の内方に放射状になっている、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記仮想円柱の内方に放射状になっている前記表面は、前記回転切削工具の前記切削回転方向における前記第1の切刃および前記第2の切刃に対してすき間を提供する、請求項61または63に記載の方法。
【請求項65】
前記長手方向の回転重心軸と直角を成し、かつ前記帯状に配置された前記複数の歯のうちの少なくとも1つの歯に交差する平面において、前記平面と前記面部分との交差は、前記仮想円柱の外周と弦を形成する、請求項61から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記弦の終点間の前記仮想円柱の前記外周の円弧(θ)は、30度以上および45度以下、代替的には、30度以上および35度以下、または31±1度である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記大きな溝は右巻きの溝であり、前記小さな溝は左巻きの溝である、請求項56から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の切刃は右側切刃であり、前記第2の切刃は左側切刃である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記大きな溝は左巻きの溝であり、前記小さな溝は右巻きの溝である、請求項56から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の切刃は左側切刃であり、前記第2の切刃は右側切刃である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
化学蒸着(CVD)コーティングまたは物理蒸着(PVD)コーティングによって前記溝付き切削端部の表面をコーティングすることをさらに含む、請求項56から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記化学蒸着コーティングは多結晶ダイヤモンド(PCD)である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記物理蒸着コーティングは、ダイヤモンド状炭素(DLC)、グラファイト、Ti(Al、N)、Ti(C、N)、Al(Ti、N)、またはAl(Cr、N)である、請求項71に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作物の機械加工用のエンドミルなどの切削工具、より詳細には、回転切削工具を対象とし、この場合、切削工具の溝システムおよび歯形状は、特に繊維複合材料の機械加工の改善のために工学設計されている。回転切削工具は、複数の不連続的な小さな溝と相対する、らせん状に配置された複数の連続的な大きな溝を有し、この2つの溝タイプは、頂部で交わる、大きな溝で形成される第1の切刃および小さな溝で形成される第2の切刃を有する歯を形成し、かつ歯の四辺形状面部分の周辺部の一部を形成するように交差する。各々の第1の切刃および第2の切刃から延在する面部分の表面は、切刃を含有する仮想円柱の表面から半径方向内方にある対応する切刃に対する逃げ面を画定し、これによって、工具による機械加工中に面部分と工作物との間の表面接触がないことが保証される。切刃および逃げ面によって、とりわけ、繊維複合材料を機械加工する時の動的切削が改善される。本開示はまた、そのような回転切削工具を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の論述では、ある特定の構造および/または方法に言及する。しかしながら、以下の言及は、これらの構造および/または方法が先行技術を構成することを認めていると解釈されるべきではない。出願人は、そのような構造および/または方法が本発明に対する先行技術ではないとみなす権利を明白に保有する。
【0003】
複合材料は、主に、重量の低減および柔軟性の増大などの特性により、さまざまな応用での性能の利点を提供することができる。しかしながら、複合材料はまた、金属または木材などの他の材料よりも機械加工するのが困難である可能性がある。一般的な複合材料は、典型的には、高温および/または強い圧力で一緒に接合された繊維および樹脂の層で構成される。複合材料を機械加工することは、例えば、削り取り、破断、または破砕によってさまざまな材料タイプのこれらの種々の層を通り抜けることを必要とする。これらの層のそれぞれは、切断される時に異なるように反作用し、切削工具によって生じた熱は、正しく機械加工されない場合は層間剥離または他の破損形態を引き起こす可能性があり、過度の工具摩耗につながる可能性がある。
【0004】
複合材料を機械加工する時の一般的な問題は、例えば、複合層の層間剥離、切断されていない繊維、繊維の引き裂き、一様でない工具摩耗、および表面仕上げ不良を含む。これらの問題は、複合材料自体によってもたらされた状態によって引き起こされ、修復が困難である可能性がある。複数の材料の組み合わせを同時に切削する単純な事実においては、作業に対する正しい工具および適切な動作パラメータの適正なバランスを取ることを困難にする多くの事実が取り入れられる。さらに、従来の回転切削工具によって機械加工する時、切刃と繊維複合材料との間の非点または線接触は繊維引き抜きをもたらし得、ギザギザの切刃を引き起こす層間剥離および他の破損は回避される。
【0005】
複合材料を機械加工するのに使用されるいくつかのタイプの従来の切削工具が既知である。例えば、真直溝複合カッターは、全ての切削力を放射状に加えることで、典型的ならせん状の切刃から軸力を排除することによって、層状材料の層間剥離を防止するように設計される。切断作用は、繊維をせん断する高い正のすくい角、および刃の寿命の改善のための偏心軽減を取り入れることによって改善可能である。
【0006】
別の例には、アップカットおよびダウンカットのらせん形から成る圧縮カッターがある。切削長の上部分は、左渦巻形になっている右側刃部を有し、切削長の下部分は、右渦巻形になっている右側刃部を有する。この幾何学的形状は、層状複合物を切削する時に材料除去工程を安定させることができ、かつ層間剥離、繊維引き抜き、および表面沿いのバリを防止することができる相反する切削力をもたらす。工作物の上部および底部の圧縮によって層を一緒に接合し続けることが可能になる。
【0007】
他の例は、溝が全て同じ方向に向けられ、材料の排出の改善のために繊維をせん断しかつチップを短くする、切欠き状のチップブレーカ、外径がダウンカット形状であるが、従来、表面仕上げがより不良になると理解されている左側歯および右側歯の組み合わせを有するダイヤモンド切断複合カッターを有する切削工具などの特殊な幾何学的形状を含む。また、漸次的ならせん形および高い溝数から生じる増大した接触点を有する複合仕上げ切削工具が仕上げ加工に使用可能である。複合材料用の従来の切削工具の例は、https://www.harveyperformance.com/in-the-loupe/tooling-machining-composites/に示されかつ説明されており、この内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0008】
複合材料を機械加工するために利用可能な上記の従来の工具タイプを用いても、複合材料の機械加工の性能をさらに最適化し、かつ、繊維引き抜き、層間剥離、および、完成した工作物におけるギザギザの切刃を引き起こし得る他の破損形態を最低限に抑えるまたは防止するために、切削工具の設計のさらなる改善が依然必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
開示された回転切削工具は、溝システムおよび歯形状を有し、ここで、(工具の機械加工回転方向において)2つの切刃の頂部は、機械加工中の工作物との最初の接触点、すなわち、切削点であり、それぞれの切刃は、工具の使用中に面部分と工作物との間に表面接触がないことが保証される真の/効果的な逃げ面を有する。よって、開示された回転切削工具は、繊維引き抜き、層間剥離、および、従来の回転切削工具において目にする、切刃と繊維複合材料との間の非点または線接触によって生じる可能性があるギザギザの切刃を生じさせる他の破損を最低限に抑える。
【0010】
一般的に、開示された回転切削工具は、複数の不連続的な小さな溝と相対する、らせん状に配置された複数の連続的な大きな溝を有する。連続的な大きな溝および不連続的な小さな溝の交差によって歯が形成され、それぞれの歯は、大きな溝によって形成される第1の切刃、および小さな溝によって形成される第2の切刃を含む。第1の切刃および第2の切刃は、頂部で交わり、かつ歯の四辺形状面部分の周辺部の一部を形成し、各々の第1の切刃および第2の切刃から延在する面部分の表面は、切刃を含有する仮想円柱の表面から半径方向内方にある対応する切刃に対する逃げ面を画定し、これによって、工具による機械加工中に面部分と工作物との間の表面接触がないことが保証される。頂部は、機械加工中の工作物との第1の接触点であり、それを受けて切刃による機械加工が行われ、最初に、機械加工の貫通段階時、すなわち、頂部および後部の切刃が工作物を貫通する時に、工作物の材料を圧縮状態にする。工具のさらなる回転時に、頂部は、工作物への最大貫通深さの点を通過し、工具の回転運動によって、頂部(および後部の切刃)は工作物から引き出されることになる。この引き出し段階時に、繊維複合材料における繊維は張力がかけられており、切削モードはせん断になっている。引き抜き、およびギザギザの切刃をもたらし得る他の破損を低減する、繊維複合材料の繊維のせん断が示されているため、開示された回転切削工具は工作物の切削表面上の仕上げの改善をもたらす。
【0011】
開示された回転切削工具の一実施形態は、長手方向の回転重心軸を含む工具本体であって、細長く、長手方向の回転重心軸に沿って回転可能である、工具本体と、放射状周面および端面を含む溝付き切削端部、および溝付き切削端部の軸方向反対側のシャンク部分と、溝付き切削端部に位置する複数の大きな溝であって、それぞれの大きな溝は、工具本体の内方に放射状に突出し、かつ工具本体の軸方向に連続的にかつらせん状に延在する大きな溝表面を含む、複数の大きな溝と、溝付き切削端部に位置する複数の小さな溝であって、それぞれの小さな溝は、工具本体の内方に放射状に突出し、かつ工具本体の軸方向にらせん状に集合的に延在する複数の不連続的な小さな溝表面部分を有する小さな溝表面を含む、複数の小さな溝と、を備える。2つの連続して隣接する大きな溝は、帯状に配置された複数の歯によって互いに分離され、帯状の複数の歯の個々の歯は、第1の小さな溝の第1の不連続的な小さな溝表面部分、および第2の小さな溝の第2の不連続的な小さな溝表面部分によって互いに分離され、第1の小さな溝は第2の小さな溝に連続して隣接する。帯状に配置された複数の歯のそれぞれの歯の放射状周面は面部分を画定し、面部分は、2つの側縁部が回転切削工具の切削回転方向とは反対側に開くように配向される頂部(an apex that is oriented with the two side edges opening opposite to a direction of cutting rotation of the rotary cutting tool)を形成するように交わる第1の側縁部および第2の側縁部を含む周辺部を有する。面部分の第1の側縁部は、面部分と、第1の大きな溝の溝表面との交差によって形成され、第1の側縁部は第1の切刃を画定し、面部分の第2の側縁部は、面部分と、第1の小さな溝の第1の不連続的な小さな溝表面部分との交差によって形成され、第2の側縁部は第2の切刃を画定する。また、第1の切刃から面部分の内部領域の方へ延在する面部分の第1の領域は、非平面であり、かつ第1の切刃の逃げ面を画定し、第2の切刃から面部分の内部領域の方へ延在する面部分の第2の領域は、非平面であり、かつ第2の切刃の逃げ面を画定する。
【0012】
開示された回転切削工具の1つの実施形態は、長手方向の回転重心軸を含む工具本体であって、細長く、長手方向の回転重心軸に沿って回転可能である、工具本体と、放射状周面および端面を含む溝付き切削端部、および溝付き切削端部の軸方向反対側のシャンク部分と、溝付き切削端部に位置する複数の右巻きの溝であって、それぞれの右巻きの溝は、工具本体の内方に放射状に突出し、かつ工具本体の軸方向にらせん状に延在する溝表面を含む、複数の右巻きの溝と、溝付き切削端部に位置する複数の左巻きの溝であって、それぞれの左巻きの溝は、工具本体の内方に放射状に突出し、かつ工具本体の軸方向に延在する溝表面を含む、複数の左巻きの溝と、を備える。複数の右巻きの溝のそれぞれの溝表面は、右巻きの溝のらせん形長さの少なくとも大半の部分に沿って連続しており、複数の左巻きの溝のそれぞれの溝表面は、左巻きの溝のらせん形長さの少なくとも大半の部分に沿って不連続的である。2つの連続して隣接する右巻きの溝は、帯状に配置された複数の歯によって互いに分離され、帯状の複数の歯の個々の歯は、複数の左巻きの溝のうちの1つの一部分によって互いに分離されている。帯状に配置された複数の歯のそれぞれの歯の放射状周面は面部分を画定し、面部分は、4つの側縁部を含む周辺部を有し、面部分の2つの相対する側縁部の第1のセットは、面部分と、2つの連続して隣接する右巻きの溝の溝表面との交差によって形成され、面部分の2つの相対する縁部の第2のセットは、面部分と、2つの連続して隣接する左巻きの溝の溝表面との交差によって形成される。第1のセットの第1の相対する縁部は、歯の前頂部を形成するように第2のセットの第1の相対する縁部に交差し、第1のセットの第1の相対する縁部は右側切刃を画定し、第2のセットの第1の相対する縁部は左側切刃を画定し、歯の前頂部は切削点を画定する。第1のセットの第2の相対する縁部は、歯の後頂部を形成するように第2のセットの第2の相対する縁部に交差する。右側切刃から、歯の前頂部から歯の後頂部まで延在する想像線まで延在する面部分の領域は、右側切刃の逃げ面を画定し、左側切刃から、歯の前頂部から歯の後頂部まで延在する想像線までの面部分の領域は、左側切刃の逃げ面を画定し、右側切刃の逃げ面は非平面であり、右側切刃の逃げ面は非平面である。右側切刃の非平面の逃げ面は、歯の前頂部から歯の後頂部まで延在する想像線において左側切刃の非平面の逃げ面に交差して、これらの間に角度を形成する。
【0013】
開示された回転切削工具の別の実施形態は、長手方向の回転重心軸を含む工具本体であって、細長く、長手方向の回転重心軸に沿って回転可能である、工具本体と、放射状周面および端面を含む溝付き切削端部、および溝付き切削端部の軸方向反対側のシャンク部分と、溝付き切削端部に位置する複数の右巻きの溝であって、それぞれの右巻きの溝は、工具本体の内方に放射状に突出し、かつ工具本体の軸方向に連続的かつ右らせん状に延在する溝表面を含む、複数の右巻きの溝と、溝付き切削端部に位置する複数の左巻きの溝であって、それぞれの左巻きの溝は、工具本体の内方に放射状に突出し、かつ工具本体の軸方向に左らせん状に集合的に延在する複数の不連続的な溝表面部分を有する溝表面を含む、複数の左巻きの溝と、を備える。2つの連続して隣接する右巻きの溝は、帯状に配置された複数の歯によって互いに分離され、帯状の複数の歯の個々の歯は、第1の左巻きの溝の第1の不連続的な溝表面部分、および第2の左巻きの溝の第2の不連続的な溝表面部分によって互いに分離されており、第1の左巻きの溝は第2の左巻きの溝に連続して隣接している。帯状に配置された複数の歯のそれぞれの歯の放射状周面は面部分を画定し、面部分は、2つの側縁部が回転切削工具の切削回転方向とは反対側に開くように配向される頂部を形成するように交わる第1の側縁部および第2の側縁部を含む周辺部を有する。面部分の第1の側縁部は、面部分と、第1の右巻きの溝の溝表面との交差によって形成され、第1の側縁部は右側切刃を画定し、面部分の第2の側縁部は、面部分と、第1の左巻きの溝の第1の不連続的な溝表面部分との交差によって形成され、第2の側縁部は左側切刃を画定する。右側切刃から面部分の内部領域の方へ延在する面部分の第1の領域は、非平面であり、かつ右側切刃の逃げ面を画定し、左側切刃から面部分の内部領域の方へ延在する面部分の第2の領域は、非平面であり、かつ左側切刃の逃げ面を画定し、右側切刃の逃げ面および左側切刃の逃げ面は、同一平面上になく、移行特徴部で交わる。
【0014】
開示された回転切削工具の実施形態は、例えば、第1の切刃および第2の切刃を工作物に接触させることによって、工作物を機械工作しかつ工作物から材料を除去するための装置のスピンドルに装着される時、回転切削工具を回転させることによって、工作物から材料を除去するために利用可能である。例示の工作物は、炭素繊維強化プラスチック(CRFP)またはガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などの繊維強化複合材料である。
【0015】
開示された回転切削工具の実施形態は、例えば、長手方向の回転重心軸を含む工具本体を形成することであって、工具本体は、細長く、長手方向の回転重心軸に沿って回転可能である、工具本体を形成することと、工具本体の溝付き切削端部において複数の大きな溝および複数の小さな溝を形成することであって、それぞれの大きな溝は、工具本体の内方に放射状に突出し、かつ工具本体の軸方向に連続的にかつらせん状に延在する大きな溝表面を含み、それぞれの小さな溝は、工具本体の内方に放射状に突出し、かつ工具本体の軸方向にらせん状に集合的に延在する複数の不連続的な溝表面部分を有する小さな溝表面を含み、2つの連続して隣接する大きな溝は、帯状に配置された複数の歯によって互いに分離され、帯状の複数の歯の個々の歯は、第1の小さな溝の第1の不連続的な小さな溝表面、および第2の小さな溝の第2の不連続的な小さな溝表面部分によって互いに分離され、第1の小さな溝は第2の小さな溝に連続して隣接する、複数の大きな溝および複数の小さな溝を形成することと、帯状に配置された複数の歯のそれぞれの歯の放射状周面上に表面形状を形成することであって、表面形状は、2つの側縁部が回転切削工具の切削回転方向とは反対側に開くように配向される頂部を形成するように交わる第1の側縁部および第2の側縁部を含む周辺部を有する面部分を画定する、表面形状を形成することと、を含む方法によって製造可能である。面部分の第1の側縁部は、面部分と、第1の大きな溝の溝表面との交差によって形成され、第1の側縁部は第1の切刃を画定し、面部分の第2の側縁部は、面部分と、第1の小さな溝の第1の不連続的な小さな溝表面との交差によって形成され、第2の側縁部は第2の切刃を画定する。第1の切刃から面部分の内部領域の方へ延在する面部分の第1の領域は、非平面であり、かつ第1の切刃の逃げ面を画定し、第2の切刃から面部分の内部領域の方へ延在する面部分の第2の領域は、非平面であり、かつ第2の切刃の逃げ面を画定する。
【0016】
さらなる態様、特徴、および利点は続く説明で示され、部分的にはこの説明から明らかとなるであろう、または本発明を実践することによって習得され得る。開示された回転切削工具の目的および他の利点は、本発明の明細書および特許請求の範囲、ならびに添付の図面においてとりわけ指摘される構造によって成就および達成される。しかしながら、他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図および詳細な説明を検討すると当業者には明らかであろう、または明らかになるであろう。そのようなさらなるシステム、方法、特徴、および利点は全て、本明細書内に含まれ、本開示の範囲内にあり、以下の特許請求の範囲により保護されることが意図されている。この節にはそれらの特許請求の範囲に対する限定ととられるべき記載はない。開示された切削工具の前述の全般的な説明および以下の詳細な説明が両方共、例示であり説明のためのものであり、特許請求される開示された切削工具のさらなる説明を提供することが意図されていることは理解されたい。
【0017】
本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、かつ本明細書の一部に組み込まれかつこれを構成する添付の図面は、本発明の実装形態を示し、かつこの説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】AおよびBは、右巻き構成における連続的な大きな溝および左巻き構成における不連続的な小さな溝を有する開示された切削工具の一実施形態による、回転切削工具の2つの異なる角度からの等角図である。
図2】AおよびBは、左巻き構成における連続的な大きな溝および右巻き構成における不連続的な小さな溝を有する開示された切削工具の別の実施形態による、回転切削工具の2つの異なる角度からの等角図である。
図3】連続的な右巻きの大きな溝および不連続的な左巻きの小さな溝を有する回転切削工具の側面平面図である。
図4図3に示される溝付き切削端部P1の拡大された側面平面図である。
図5図4における部分P2に示される帯状の歯の一部分の拡大された平面図である。
図6図4の切断部VI-VIに示される溝付き切削端部の断面図である。
図7図6における部分P3の拡大図である。
図8図4の切断部VIII-VIIIに示される溝付き切削端部の断面図である。
図9】大きな溝の特徴を示す長手方向の回転重心軸と直角を成す平面における溝付き切削端部の断面図である。
図10】小さな溝の特徴を示す長手方向の回転重心軸と直角を成す平面における溝付き切削端部の断面図である。
図11】回転切削工具の溝付き切削端部の一部分の拡大された等角の斜視図であって、帯状の歯における2つの連続した歯上の切刃の関係を示す図である。
図12】回転切削工具の溝付き切削端部の一部分の拡大された等角の斜視図であって、帯状の歯における2つの連続した歯上の移行特徴部の関係を示す図である。
図13A】中央切削エンドミルの構成を有する長手方向の回転重心軸に沿って見られる回転切削工具の例示の実施形態の端面の図である。
図13B】ボールエンドミルの構成を有する長手方向の回転重心軸に沿って見られる回転切削工具の例示の実施形態の端面の図である。
図13C】ドリルポイントエンドミルの構成を有する長手方向の回転重心軸に沿って見られる回転切削工具の例示の実施形態の端面の図である。
図14】開示された切削工具の一実施形態を製造する方法におけるステップを示す図である。
図15】帯状に配置された複数の歯のそれぞれの歯の放射状周面上の表面形状を形成するために使用可能であり、かつ面部分を画定する研削工程の態様を概略的に示す図である。
図16】帯状に配置された複数の歯のそれぞれの歯の放射状周面上の表面形状を形成するために使用可能であり、かつ面部分を画定する研削工程の態様を概略的に示す図である。
図17】Aは、一実施形態による回転切削工具によって機械加工された炭素強化複合材料の工作物を示す図であり、Bは、機械加工された縁部の一部分の拡大図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
見やすくするために、図に示される特徴の全ての事例が参照記号でラベル付けされるわけではないことに留意されたい。
【0020】
図面および詳細な説明全体を通して、別段説明されない限り、同じ図面の参照記号は、別段文脈で指示されない限り、同じ要素、特徴、および構造を指すと理解されるべきである。これらの要素の相対的なサイズおよび描写は、明確さ、例証、および利便性のために強調される場合がある。さらに、いくつかの事例では、参照記号は、参照記号のラベル付けの複雑さを低減し、また、図において伝えられる情報の全体的な理解を改善するように、特定の図におけるそれぞれの特徴のそれぞれの事例に適用されていない。そのような事例では、ラベル付けされていない特徴の識別は、明細書および他の参照記号から容易に理解可能である。
【0021】
以下の詳細な説明では、この一部を形成する添付の図面を参照する。図面では、異なる図面における同様のまたは同じ符号の使用は、別段文脈で指示されない限り、典型的には同様のまたは同一の項目を示す。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。他の実施形態が利用されてよく、ここに提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の変更がなされてよい。説明される処理のステップおよび/または動作の進捗は一例であるが、ステップおよび/または動作の順序は、本明細書に示されるものに限定されず、ある特定の順序で必然的に生じるステップおよび/または動作を除いて、当技術分野で周知であるように変更されてよい。
【0022】
本明細書に説明される構成要素(例えば、動作)、デバイス、物体、および、これらに伴う論述が、概念を明確にするための例として使用され、かつさまざまな構成の修正が考えられることを、当業者は理解するであろう。その結果、本明細書に使用されるように、示される具体的な代表例およびこれに伴う論述は、これらのより一般的なクラスを代表するものであることが意図されている。一般に、いずれの具体的な代表例の使用も、このクラスを代表するものであることが意図され、具体的な構成要素(例えば、動作)、デバイス、および物体を含まないことは、限定ととられるべきではない。
【0023】
本出願は、説明を明確にするために形式的な概略の見出しを使用している。しかしながら、概略の見出しが説明を目的としていること、および異なるタイプの主題が本出願の全体を通して論じられ得ることは理解されたい(例えば、デバイス/構造は、デバイス/構造の見出しに基づいて説明され得る、および/もしくは工程/動作は、構造/工程の見出しに基づいて論じられ得る、ならびに/または単一の論題の説明は、2つまたはそれ以上の論題の見出しに及ぶ場合がある)。それ故に、形式的な概略の見出しの使用は、決して限定することを意図されるものではない。
【0024】
開示された回転切削工具の態様、特徴、および利点は、連続的な大きな溝が右巻きであり、不連続的な小さな溝が左巻きである回転切削工具において、または、連続的な大きな溝が左巻きであり、不連続的な小さな溝が右巻きである回転切削工具において具現化可能である。対称性にかかわらず、大きな溝は、チップ排出を提供し、かつ材料除去のためのものであり、大きな溝と小さな溝とが交差する向きによって、回転切削工具の切刃がもたらされる。以下の説明は、連続的な大きな溝が右巻きであり、不連続的な小さな溝が左巻きである一実施形態に焦点を合わすものになるが、連続的な右巻きの大きな溝および不連続的な左巻きの小さな溝を有する回転切削工具に関して開示された対応する態様、特徴、機能、および利点が、連続的な左巻きの大きな溝および不連続的な右巻きの小さな溝を有する回転切削工具において具現化可能であることは、理解されるであろう。
【0025】
図1Aおよび図1Bは、右巻き構成における連続的な大きな溝および左巻き構成における不連続的な小さな溝を有する開示された切削工具の一実施形態による、回転切削工具の2つの異なる角度からの等角図である。回転切削工具100は、細長く、長手方向の回転重心軸110に沿って回転可能(R1)である工具本体105を含む。工具本体110は、オプションとして、円柱形、円錐形、または起伏形状のうちの1つを有することができる。回転切削工具100は、溝付き切削端部112およびシャンク部分114を有する。シャンク部分114は、(長手方向の回転重心軸110に対して)溝付き切削端部112の軸方向反対側にある。溝付き切削端部112は、放射状周面120および端面125を含む。いくつかの実施形態では、周面120は、長手方向の回転重心軸110の方向に沿った端面125から、溝付き切削端部112がシャンク部分114に直接変わる工具本体100に沿った場所まで、軸方向後方へ延在する。他の実施形態では、1つまたは複数の中間部分が、溝付き切削端部112とシャンク部分114との間に介在する。端面125から工具100の軸方向の反対端において、シャンク部分114は、オプションとして、回転切削工具100を(例えば、チャックまたは締め付け具を介して)、工作機械またはコンピュータ数値制御(CNC)装置などの機械加工するための装置に取り付けるための手段を有してよい。
【0026】
複数の大きな溝130および複数の小さな溝135は、溝付き切削端部112に位置している。それぞれの大きな溝130は、(長手方向の回転重心軸110に対して)工具本体105の内方に放射状に突出し、かつ工具本体105の軸方向に(長手方向の回転重心軸110に対して)連続的にかつらせん状に延在する大きな溝表面140を含む。いくつかの実施形態では、大きな溝表面140は、大きな溝130のらせん形長さの少なくとも一部分、例えば、大半の部分に沿って連続している。他の実施形態では、大きな溝表面140は、大きな溝130のらせん形長さ全体に沿って連続している。それぞれの小さな溝135は、(長手方向の回転重心軸110に対して)工具本体105の内方に放射状に突出する小さな溝表面145を含む。複数の不連続的な小さな溝表面部分150は、小さな溝表面145を集合的に形成し、任意の1つの小さな溝135では、工具本体105の軸方向においてらせん状に集合的に延在する。見やすくするために、一例として、小さな溝135は、1つの小さな溝表面135aの不連続的な小さな溝表面部分150を連結する破線によって識別される。いくつかの実施形態では、小さな溝表面145は、小さな溝135のらせん形長さの少なくとも一部分、例えば、大半の部分に沿って不連続的である。他の実施形態では、小さな溝表面145は、小さな溝135のらせん形長さ全体に沿って連続している。
【0027】
回転切削工具100における大きな溝130の数および小さな溝135の数は変化する可能性がある。例示的な実施形態では、複数の大きな溝における大きな溝130の総数は2~6、代替的には4であり、複数の小さな溝における小さな溝135の総数は4~12、代替的には8である。いくつかの態様において、大きな溝130の総数は小さな溝135の総数を下回る。他の態様では、大きな溝130の総数は小さな溝135の総数と同じである。
【0028】
図1Aおよび図1Bに示される例示の実施形態は、右巻きの工具である(長手方向の回転重心軸110に沿って端面125から見る時、工具100が(図1Aおよび図1Bにおける方向R1によって示される)切削を行うために反時計周りに回転することを意味する)が、他の実施形態は(本明細書にさらに論じられるように)左巻きの工具である可能性がある。
【0029】
図2Aおよび図2Bは、左巻き構成における連続的な大きな溝および右巻き構成における不連続的な小さな溝を有する開示された切削工具の別の実施形態による、回転切削工具の2つの異なる角度からの等角図である。図2Aおよび図2Bにおける回転切削工具200の特徴、幾何学的形状、機能、および利点は、大きな溝および小さな溝の異なる対称性、および機械加工のための付随的な異なる回転方向を除いて、図1Aおよび図1Bにおける回転切削工具100の同様の特徴、幾何学的形状、および機能に対応する。よって、回転切削工具200は、細長く、長手方向の回転重心軸210に沿って回転可能(R2)である工具本体205を含む。回転切削工具200は、溝付き切削端部212およびシャンク部分214を有する。シャンク部分214は、(長手方向の回転重心軸210に対して)溝付き切削端部212の軸方向反対側にある。溝付き切削端部212は、放射状周面220および端面225を含む。いくつかの実施形態では、周面220は、長手方向の回転重心軸210の方向に沿った端面225から、溝付き切削端部212がシャンク部分214に直接変わる工具本体200に沿った場所まで、軸方向後方へ延在する。他の実施形態では、1つまたは複数の中間部分が、溝付き切削端部212とシャンク部分214との間に介在する。複数の大きな溝230および複数の小さな溝235は溝付き切削端部212に位置している。それぞれの大きな溝230は、(長手方向の回転重心軸210に対して)工具本体205の内方に放射状に突出し、かつ工具本体205の軸方向に(長手方向の回転重心軸210に対して)連続的にかつらせん状に延在する大きな溝表面240を含む。それぞれの小さな溝235は、(長手方向の回転重心軸210に対して)工具本体205の内方に放射状に突出する小さな溝表面245を含む。小さな溝表面245は、小さな溝表面245を集合的に形成し、任意の1つの小さな溝235では、工具本体205の軸方向においてらせん状に集合的に延在する複数の不連続的な溝表面部分250を含む。
【0030】
図3は、連続的な右巻きの大きな溝130および不連続的な左巻きの小さな溝135を有する回転切削工具100の側面平面図であり、図4は、図3に示される溝付き切削端部P1の拡大された側面平面図である。図3および図4において、大きな溝130aおよび130bなどの2つの連続して隣接する大きな溝は、帯状300に配置された複数の歯305によって互いに分離される。見やすくするために、一例として、帯状300aの歯305は1つの帯状300aの歯305を連結する破線によって識別される。帯状300の複数の歯305の個々の歯305は、第1の小さな溝135の第1の不連続的な小さな溝表面部分150a、および第2の小さな溝135の第2の不連続的な小さな溝表面部分150bによって互いに分離される(第1の小さな溝135は第2の小さな溝135に連続して隣接する)。
【0031】
図5は、図4における部分P2に示される帯状の歯の一部分の拡大された平面図である。図5において、歯305の放射状周面が示されている。また、図5には、(2つの連続して続く右巻きの大きな溝130からの)大きな溝表面140、ならびに、第1の小さな溝135の第1の不連続的な小さな溝表面部分150aおよび第2の小さな溝135の第2の不連続的な小さな溝表面部分150b(第1の小さな溝135は第2の小さな溝135に連続して隣接する)を含む、歯305にじかに隣接する切削工具100の領域が示されている。歯の放射状周面は周辺部320を有する面部分310を画定する。周辺部320は、面部分310と、第1の大きな溝130の溝表面140との交差によって形成される、第1の側縁部325を含む。第1の側縁部325は第1の切刃を画定する。周辺部320はまた、面部分310と、小さな溝135の不連続的な小さな溝表面部分150aとの交差によって形成される第2の側縁部330を含む。第2の側縁部330は第2の切刃を画定する。第1の側縁部325および第2の側縁部330は、2つの側縁部325、330が回転切削工具100の切削回転方向(R1)とは反対側に開くように配向される頂部335を形成するように交わる。この配置構成を考慮して、頂部335は、切削中の(回転切削工具の切削回転方向R1における)前縁である。
【0032】
切刃の対称性は、回転切削工具の対称性に左右される。例えば、右巻きの回転切削工具において、第1の側縁部は右側切刃を画定し、第2の側縁部は左側切刃を画定する。また、例えば、左巻きの回転切削工具において、第1の側縁部は左側切刃を画定し、第2の側縁部は右側切刃を画定する。
【0033】
面部分310の第1の領域340は、(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃から面部分310の内部領域の方へ延在する。面部分310の第2の領域350は、(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃から面部分の内部領域の方へ延在する。第1の領域340および第2の領域350は両方共、それぞれ非平面であり、かつそれぞれがそれらの対応する切刃の逃げ面を画定する、すなわち、第1の領域340は第1の切刃の逃げ面を画定し、第2の領域350は第2の切刃の逃げ面を画定する。
【0034】
図6図4の切断部VI-VIに示される溝付き切削端部の断面図であり、図7図6における部分P3の拡大図である。図6における断面図は、長手方向の回転重心軸110に平行でありこれを含有する平面である。また、図7図4の切断部VI-VIにおける部分P2の歯の断面図、および図5の切断部VII-VIIにおける歯の断面図に相当することは留意されたい。図7は、(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃および(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃に対する逃げ面として機能する第1の領域340および第2の領域350の形状をさらに示す。図7に見られるように、第1の領域340および第2の領域350は両方共、それぞれが非平面である。いくつかの態様では、(第1の切刃の逃げ面を画定する)第1の領域340は、第1の半径(r1)を有する曲面を含む。他の態様では、(第2の切刃の逃げ面を画定する)第2の領域350は、第2の半径(r2)を有する曲面を含む。1つの実施形態では、両方において、(第1の切刃の逃げ面を画定する)第1の領域340は第1の半径(r1)を有する曲面を含み、(第2の切刃の逃げ面を画定する)第2の領域350は第2の半径(r2)を有する曲面を含み、第1の半径(r1)の長さおよび第2の半径(r2)の長さは同じである。第2の実施形態では、両方において、(第1の切刃の逃げ面を画定する)第1の領域340は第1の半径(r1)を有する曲面を含み、(第2の切刃の逃げ面を画定する)第2の領域350は第2の半径(r2)を有する曲面を含み、第1の半径(r1)の長さおよび第2の半径(r2)の長さは異なる。
【0035】
他の代替的な実施形態では、第1の領域340および第2の領域350の形状は、凸状であり得る、または変動するまたは複数の凸状部を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、(第1の切刃の逃げ面を画定する)第1の領域340は、複数の凸状領域を有する表面を含む。他の実施形態では、(第2の切刃の逃げ面を画定する)第2の領域350は、複数の凸状領域を有する表面を含む。第1の領域340および第2の領域350と関連付けられる凸状部は、2つの領域の間では、同じまたは異なる可能性がある。さらに、これらの凸状部は、円形または楕円形または放物線と関連付けられた曲線などのように単純なものであり得る、または、三次(またはより高次の)多項式関数などと関連付けられるように複雑であり得る。
【0036】
さらに他の代替的な実施形態では、第1の領域340および第2の領域350の形状は、湾曲から変化し得る、または曲線に近似する一連の短い連結平面であり得る。
【0037】
第1の切刃の逃げ面および第2の切刃の逃げ面は移行特徴部360で交わる。移行特徴部360は、2つの非同一平面上の逃げ面340、350が交わること、例えば、2つの非同一平面上の逃げ面の交わりから生じる、線として可視であり得る、または想像線であり得る線によって形成される特徴部であり得る。そのように、該特徴部は、2つの非同一平面上の逃げ面340、350の間の角度によって形成され得る。代替的には、移行特徴部360は、角度付けされた2つの非同一平面上の逃げ面340、350を結合するアール面であり得る。別の代替策では、移行特徴部360は、角度付けされた2つの非同一平面上の逃げ面340、350を結合するランドなどの平面であり得、平面から、角度付けされた2つの非同一平面上の逃げ面340、350のそれぞれまでの移行部はそれ自体、角度付けされ得るまたはアールが形成され得る。
【0038】
図5は、移行特徴部360を直線として示すが、逃し特徴360は、曲線または鋸歯型などの代替的な形を有し得る。さらに、図5に示されるように、逃し特徴は頂角(φ)を二等分する。しかしながら、他の実施形態では、移行特徴部360は、二等分するものではなく、(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃に近くなるように、または(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃に近くなるように、(頂部335から延在するその長さにわたって)向けられ得る。例示的な実施形態では、頂角(φ)は、40度以上および90度以下の、代替的には、45度以上および70度以下のもしくは55度以上および65度以下の、または60±1度に等しい値を有する。
【0039】
例示的な実施形態では、(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃、(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃、および頂部335は、長手方向の回転重心軸110と一致する重心軸を有する仮想円柱400の表面上に位置する。(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃および(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃が仮想円柱400の表面上に位置することを、図6および図7から見ることができる。図6および図7に見られるように、(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃は、仮想円柱400の表面に合致しかつ該表面上に位置する。同様に、(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃は、仮想円柱400の表面に合致しかつ該表面上に位置する。1つの態様では、(第1の切刃の逃げ面を画定する)第1の領域340および(第2の切刃の逃げ面を画定する)第2の領域350は、仮想円柱400の表面の(長手方向の回転重心軸110に対して)内方に放射状になっている。そのような配置構成では、後頂部370は、仮想円柱400の表面に合致し、かつ該表面上に位置してよい(仮想円柱400上に位置する図8における後頂部370を参照)。他の態様では、面部分310の全ての他の部分、すなわち、(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃、(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃、および頂部335以外の全ての部分は、仮想円柱400の表面の(長手方向の回転重心軸110に対して)内方に放射状になっている。この態様では、「全ての他の部分」は、後頂部370、および、(図5に示されるような四辺形状面部分310について)第1の側縁部380の後部、および第2の側縁部385の後部などの、面部分310の周辺部320の他の部分を含む。両方の態様では、仮想円柱400の内方に放射状になっているこれらの表面は、回転切削工具100の切削回転方向(R)における第1の切刃および第2の切刃に対してすき間を提供する。
【0040】
図5に見られるように、面部分310の周辺部320は、四辺形状を有する。いくつかの実施形態では、四辺形は平行四辺形であるが、他の実施形態では、四辺形はひし形である。
【0041】
図4の切断部VIII-VIIIに示される溝付き切削端部の断面図である図8に戻ると、面部分310の周辺部320と仮想円柱400の表面との間の空間関係が示されている。図8の図には、長手方向の回転重心軸110と直角を成し、かつ帯状300に配置された複数の歯のうちの少なくとも1つの歯305に交差する断面が平面で示されている。この図では、平面と面部分310との交差は、仮想円柱400の外周による弦410を形成する。弦410は終点415および420を有する。弦410の終点415、420間の仮想円柱400の外周の円弧(θ)は、30度以上および45度以下、代替的には、30度以上および35度以下、または31±1度である。
【0042】
また、図8を参照すると、大きな溝130および小さな溝135が両方共見て取れる。図8における断面には、大きな溝130の円弧長さ440が小さな溝135の円弧長さ445を上回るのが容易に見て取れる。1つの態様では、大きな溝の開口部を通して複数の小さな溝を見ることができ、大きな溝130の円弧長さ440が小さな溝135の円弧長さ445を上回ることが視覚的に確認できる。1つの態様では、小さな溝135の円弧長さ445は(0.5×大きな溝130の円弧長さ440)を上回る。別の態様では、大きな溝130の円弧長さ440は、小さな溝135の円弧長さ445の非整数倍であり、この非整数倍は、1より大きく5より小さい、代替的には、1より大きく4より小さい、または1より大きく3より小さい。
【0043】
図8に示される断面をさらに参照すると、大きな溝130および小さな溝135のそれぞれと関連付けられた外周すくい角が見て取れる。外周すくい角は、溝のすくい面、および長手方向の回転重心軸110に垂直な平面において測定された半径が成す角度である。図8に示されるように、それぞれの大きな溝130は正の外周すくい角(γ)を有し、それぞれの小さな溝135は正の外周すくい角(ε)を有する。例示的な実施形態では、正の外周すくい角(γ)は9°≦γ≦11°、代替的には、γ=10°であり、正の外周すくい角(ε)は9°≦ε≦11°、代替的には、ε=10°である。
【0044】
全体的に、回転切削工具の例示的な実施形態では、それぞれの帯状300の歯305は、少なくともいくつかの態様において同一である幾何学的形状を有し、いくつかの実施形態において、全ての態様において同一である。いくつかの態様では、複数の帯状300のうちの1つにおける少なくとも全ての歯305は、同一の幾何学的形状を有するが、1つの帯状300の歯305の幾何学的形状は第2の帯状300の歯305の幾何学的形状から変化し得る。他の態様では、複数の帯状300のうちの1つにおける少なくとも全ての歯305は同一の幾何学的形状を有するが、1つの帯状300の歯305の幾何学的形状は、第2の帯状300の歯305の幾何学的形状から変化し得る。さらに他の態様では、複数の帯状300のうちの1つにおける全ての歯305の面部分310は、同一の幾何学的形状を有する。
【0045】
大きな溝130および小さな溝135は両方共、らせん中心線を有し、これは、対応する溝の最も放射状内方の表面に位置する想像線である。図4には、大きな溝130のらせん中心線500および小さな溝135のらせん中心線510の一例が示されており、図6には、らせん中心線500が位置する大きな溝130の最も放射状内方の表面の場所が示されている。らせん中心線は、対応する溝のらせん形状を代表するものであり、らせん中心線と長手方向の回転重心軸110を含有する仮想平面との間に形成される角度は、溝のらせん角度を表す。例えば、大きな溝130のらせん中心線500と、長手方向の回転重心軸110を含有する仮想平面との間で形成される角度は、大きな溝130のらせん角度(α)を表し、小さな溝135のらせん中心線510と、長手方向の回転重心軸110を含有する仮想平面との間で形成される角度は、小さな溝135のらせん角度(β)を表す。例示的な実施形態では、それぞれの大きな溝130のらせん角度(α)は、45°≦|α|≦70°、代替的には、59°≦|α|≦61°の絶対値を有し、それぞれの小さな溝135のらせん角度(β)は、45°≦|β|≦70°、代替的には、59°≦|β|≦61°の絶対値を有する。1つの態様では、それぞれの大きな溝130のらせん角度(α)の絶対値、およびそれぞれの小さな溝135のらせん角度(β)の絶対値は同じである。別の態様では、それぞれの大きな溝130のらせん角度(α)の絶対値、およびそれぞれの小さな溝135のらせん角度(β)の絶対値は異なる。
【0046】
さらなる実施形態では、連続して隣接する2つの大きな溝130のそれぞれのらせん中心線500は、溝付き切削端部112の縦方向長さに沿って一定の離隔距離にある。図6には、2つの連続して隣接する大きな溝130a、130bのらせん中心線500a、500bの間の離隔距離D1の一例が示されている。例示の実施形態では、離隔距離D1は、工具直径、スパイラルリード、および大きな溝の数の関数である。
【0047】
図9は、大きな溝130の特徴を示す長手方向の回転重心軸110と直角を成す平面における溝付き切削端部112の断面図である。図9は、工具の外周における大きな溝130の分布、および、大きな溝表面140の断面形状を概略的に示す。工具は、長手方向の回転重心軸110を中心とし、かつ大きな溝130の最も放射状内方の表面、すなわち、らせん中心線500が位置する大きな溝表面140上の場所を連結する外周を有する仮想円520によって画定される第1のコア径を有する。仮想円柱400の表面の半径(r3)の長さと、第1のコアの半径(r4)の長さとの間の差異は、大きな溝130の半径方向深さを画定する。
【0048】
図10は、小さな溝135の特徴を示す長手方向の回転重心軸110と直角を成す平面における溝付き切削端部112の断面図である。図10は、工具の外周における小さな溝135の分布、および、小さな溝表面145の断面形状を概略的に示す。工具は、長手方向の回転重心軸110を中心とし、かつ小さな溝135の最も放射状内方の表面、すなわち、らせん中心線510が位置する小さな溝表面140上の場所を連結する外周を有する仮想円530によって画定される第2のコア径を有する。仮想円柱400の表面の半径(r3)の長さと、第2のコアの半径(r5)の長さとの間の差異は、小さな溝135の半径方向深さを画定する。
【0049】
例示の実施形態では、r4の値はr3の値の60%であり、r5の値はr3の値の80%である。
【0050】
回転切削工具100の1つの態様では、大きな溝130は、小さな溝135の第2のコア径を下回る第1のコア径を有する。換言すれば、大きな溝130の第1のコアの半径(r4)の長さは、小さな溝135の第2のコアの半径(r5)の長さを下回る。回転切削工具100の別の態様では、大きな溝130の半径方向深さは、小さな溝135の半径方向深さを上回る。
【0051】
図9および図10にはまた、大きな溝130の正の外周すくい角(γ)および小さな溝135の正の外周すくい角(ε)を見られる。
【0052】
図11は、回転切削工具100の溝付き切削端部112の拡大された等角の斜視図であって、帯状の歯300における2つの連続した歯305上の切刃の関係を示す図である。図11は、長手方向の回転重心軸110を含有する平面と直角を成す方向に見られるものである。図11に示される帯状の歯300において、第1の歯305aは、小さな溝135によって第2の歯305から分離される。示される実施形態では、第1の歯305aは(切削回転方向(R1)における、第2の歯305bに対する)先行歯である。第1の歯305aは(第1の側縁部325aによって画定される)第1の切刃、および頂部335aで交わる(第2の側縁部330aによって画定される)第2の切刃を有し、第2の歯305bは、(第1の側縁部325bによって画定される)第1の切刃、および頂部335bで交わる(第2の側縁部330bによって画定される)第2の切刃を有する。図11はまた、(切削回転方向(R)において)先行歯である第1の歯305aと、後行歯である第2の歯305bとの間の重複部分を示す。第1の歯305aの(第1の側縁部325aによって画定される)第1の切刃の少なくとの一部分は、(長手方向の回転重心軸110の軸方向に対して)第2の歯305bの(第1の側縁部330bによって画定される)第2の切刃の少なくとも一部分に軸方向に重複する。図11において、重複部分は重複部分(Δ)として示されている。特定の実施形態では、第1の歯305aの(第1の側縁部325aによって画定される)第1の切刃の後方部分580は、第2の歯305bの(第1の側縁部330bによって画定される)第2の切刃の後方部分585に軸方向に重複する。例示の実施形態では、重複部分(Δ)は勾配(P)の6%~10%である。長手方向の回転重心軸と直角を成し、かつ帯状に配置された複数の歯の2つの連続して隣接する歯に交差する平面、すなわち、重複部分(Δ)の場所に位置する平面において見る時、第1の歯305aの(第1の側縁部325aによって画定される)第1の切刃の一部分は、切削回転方向(R)に対して、第2の歯305bの(第1の側縁部330bによって画定される)第2の切刃の一部分の前にある。重複部分(Δ)によって、工具100が、工作物の機械加工中に切削回転方向(R1)において回転し、かつ工作物上の平滑仕上げを提供する際に、帯状の歯300における歯305によって形成される工具100の効果的な切刃に間隙がないことが保証される。
【0053】
図12は、回転切削工具100の溝付き切削端部112の拡大された等角の斜視図であって、帯状の歯300における2つの連続した歯305の移行特徴部360の関係を示す図である。図12図11に示されるのと同じように見た図である。図12に示される帯状の歯300において、1つの帯状300上の隣接する歯305の移行特徴部360の間の(長手方向の回転重心軸110に平行であると判断される)距離(D2)は、歯の勾配(P)を画定する。また、歯305のうちの1つの面部分310の、(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃と(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃との間の(長手方向の回転重心軸110に平行であると判断される)最も長い距離(D3)は、切削幅(W)を画定する。例示の実施形態では、切削幅(W)は勾配(P)を上回る。勾配(P)および幅(W)が帯状の歯300における複数の歯305に対して一定である時、幅(W)が勾配(P)を上回ることによって、工具100が、工作物の機械加工中に切削回転方向(R1)において回転する際に、帯状の歯300における歯305によって形成される工具100の効果的な切刃に間隙がないことが保証される。
【0054】
回転切削工具100の端面125は、エンドミルに関する技術分野で周知のさまざまな形のいずれかを有することができる。例えば、長手方向の回転重心軸110に沿って見られるような端面の図である図13Aに示されるように、端面125は中央切削エンドミルの構成を有することができる。中央切削エンドミルの構成では、側面平面図における端面125は、平坦であり(図3図4、および図6も参照)、かつ底刃600を含む。平坦な端面125と一致する底刃600の部分は、半径方向においてまっすぐである(図13Aを参照)。
【0055】
別の例では、長手方向の回転重心軸110に沿って見られるような端面の図である図13Bに示されるように、端面125は、湾曲した切刃610を有するボールエンドミルの構成を有することができる。
【0056】
別の例では、長手方向の回転重心軸110に沿って見られるような端面の図である図13Cに示されるように、端面125は、ドリルポイントのエンドミルを有することができ、このドリルポイントのエンドミルは、含まれるドリルポイント625の角度、および2つのオフセットされて角度付けされた切刃630aおよび630b(典型的には、まっすぐな切刃)を形成する、第1の軸方向に角度付けされた切刃620aおよび第2の軸方向に角度付けされた切刃620b(典型的には、まっすぐな切刃)を有する。
【0057】
しかしながら、本明細書に開示された特徴、改善、方法、工程、および他の技術的な詳細は、切先形状を有する他のタイプのエンドミル、正面フライス、側フライス、およびドリルポイントなどの他の種類およびタイプの回転切削工具にも適用可能である。
【0058】
回転切削工具は、オプションとして、溝付き切削端部112の表面上にコーティングを含む。1つの態様では、コーティングは、溝付き切削端部112の表面の全てに存在する。他の態様では、コーティングは、溝、切刃、面部分、またはこれらの組み合わせの表面の一部分に存在する。またさらなる態様では、コーティングは、大きな溝表面140、小さな溝表面145、(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃、(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃、(第1の切刃の逃げ面を画定する)第1の領域340、(第2の切刃の逃げ面を画定する)第2の領域350、またはこれらの表面の組み合わせを含む溝付き切削端部112を含む部分に存在する。さらに、いくつかの態様では、コーティングは、溝付き切削端部112の軸長全体に沿った表面に存在し、他の態様では、コーティングは、溝付き切削端部112の軸長の一部分、例えば、端面125から後方における溝付き切削端部112の軸長の最初の50%、代替的には最初の25%に沿った表面に存在する。上記のそれぞれにおいて、端面125はコーティングされてもよいしされなくもよい。
【0059】
コーティングは、切削工具の技術分野で周知の任意の適したコーティングとすることができる。例えば、コーティングは化学蒸着(CVD)コーティングとすることができる。適したCVDコーティングの一例として、多結晶ダイヤモンド(PCD)がある。別の例では、コーティングは、物理蒸着(PVD)コーティングとすることができる。適した物理蒸着コーティングの例には、ダイヤモンド状炭素(DLC)、グラファイト、Ti(Al、N)、Ti(C、N)、Al(Ti、N)、およびAl(Cr、N)が含まれる。定比および不定比双方のTi(Al、N)、Ti(C、N)、Al(Ti、N)、およびAl(Cr、N)がコーティングとして使用可能である。典型的には、コーティングは、厚さが100nm~3ミクロン、代替的には、厚さが1ミクロン~2ミクロンである。
【0060】
回転切削工具100の実施形態は、オプションとして、切削域への冷却剤(液体または気体)の送出用の内部流路を有してよい。そのような内部流路は、存在する時、長手方向において内部に、かつ必要に応じて、シャンク部分114から、溝付き切削端部112、典型的には、溝表面140、145、および/または端面125の表面に露出する出口まで延在するように、らせん状に勾配をつけて及ぶ場合がある。
【0061】
さらに、本明細書に開示されかつ説明され、図に示される特徴は、典型的には、溝および歯(ならびに、切刃および面部分の幾何学的形状を含む関連の特徴)が工具本体と一体的に形成される立体の回転切削工具において実現される。しかしながら、溝および歯(ならびに、切刃および面部分の幾何学的形状を含む関連の特徴)は、取り外し可能な切削インサートを利用する工具にも実現されてよい。
【0062】
図14は、開示された切削工具の一実施形態を製造する方法におけるステップを示す。図14に示される方法700は、長手方向の回転重心軸110を含む工具本体105を形成すること710を含む。本明細書に開示されるように、工具本体105は、細長く、長手方向の回転重心軸110に沿って回転可能である。いくつかの態様では、工具本体の半完成品は、タングステン超硬合金(WC)または炭化タングステンコバルト(WC-Co)などの硬質材料を凝固することによって、炭化チタン(TiC)または炭化タンタル(TaC)などの炭化物粒子を有するまたは有さない硬質材料の立体として形成される。工具鋼、高速度鋼、およびセラミックなどの他の材料が工具本体に使用可能である。
【0063】
工具本体105の半完成品を形成した後に、複数の大きな溝130および複数の小さな溝135は半完成品の溝付き切削端部112に形成される720。方法700のいくつかの実施形態では、半完成品の立体が棒として形成可能であり、この場合、複数の大きな溝130および複数の小さな溝135は、適した材料除去手段、例えば、研削および/または研磨によって、工具本体105の溝付き切削端部112に形成される。工具のラフ型を製造後、研削および/または研磨などによって最終形態になるように最終的な機械加工が行われるようにするための追加の製造方法が適用可能であることも考えられる。
【0064】
研削は、CBN、酸化アルミニウム、およびダイヤモンド研削砥石などの任意の適した技法によるものとすることができ、一般的に、コンピュータ制御される位置決めおよび平行移動装置によって補助される。機械加工によって、らせん角度(α)およびらせん角度(β)の選択された値を有するように、かつ全てが本明細書に開示された範囲内である頂角(φ)ならびにすくい角(γ)および(ε)の選択された値を有する(および製作公差を考慮して)歯を製作するように、らせん状の溝(大きな溝および小さな溝の両方)の材料が除去される。
【0065】
除去可能な切削インサート回転切削工具について、工具本体の半完成品は、例えば、立体の回転切削工具について上に論述されるものを含めて、任意の適した技法によって作られる。半完成品は、全般的に細長い形態の工具本体を有し、かつらせん状に延在する溝を含む。除去可能で割り出し可能な切削インサート用の座部ポケットが帯状の歯に形成される。座部ポケットは、全てが除去可能で割り出し可能な切削インサート上に形成される、頂部335、および面部分310の特徴を形成するように交わる、第1の側縁部325および第2の側縁部330を含む、歯のさまざまな関連の特徴および表面に対する所望の向きで、対象の除去可能で割り出し可能な切削インサートを収容するように対応した大きさにされ、間隔があけられ、および向けられる。
【0066】
回転切削工具は、工具本体と一体的に形成される特徴、および除去可能で割り出し可能な切削インサート上で形成される特徴の組み合わせを実現後、回転切削工具上の座部ポケットに装着可能であることも考えられる。
【0067】
方法700の他の実施形態では、工具本体105の立体は、粉末冶金技法を使用して(少なくともラフ型で)直接形成可能であり、この場合、(本明細書に開示されるさまざまな特徴のうちの1つまたは複数を有する)複数の大きな溝130および複数の小さな溝135は、粉末冶金工程で利用される成形工程によって、工具本体105の溝付き切削端部112に形成される。いくつかの事例では、粉末冶金技法を使用して形成された溝は、その後、最終寸法および表面仕上げを得るために研削または他の技法によって仕上げられる。
【0068】
工具本体の溝外形が形成された後、帯状300に配置された複数の歯のそれぞれの歯305の放射状周面上に表面形状が形成される730。この表面形状は、本明細書に開示されるさまざまな特徴のうちの1つまたは複数を有する面部分310を画定する。
【0069】
1つの実施形態では、表面形状は研削によって形成される。図15および図16は、帯状に配置された複数の歯のそれぞれの歯の放射状周面上の表面形状を形成するために使用可能である研削工程の態様を概略的に示す。図15に概略的に示されるように、研削形態805を有する研削砥石800は、歯の放射状周面上で研削されるように、表面と回転接触する。研削形態、工具本体、またはこの両方は、回転接触のために回転に影響するように回転させられ得る。研削形態805は、第1の切刃および第2の切刃の各々の逃げ面を画定する、面部分310の第1の領域340および面部分310の第2の領域350の所望の表面形状の凹である断面形状を有する。図示の例では、研削形態805は、隆起部830で交わる第1の凹面810および第2の凹面820を含む断面形状を有する。研削動作中、隆起部830は、典型的には、四辺形状面部分310の頂部335と整列する。隆起部830が移行特徴部360を形成するため、移行特徴部360が、側縁部325、330、380、385、および後頂部370などの、面部分310の特徴に対する所望の場所および向きで形成されるように、研削が行われる。
【0070】
図16は、歯の前頂部335、移行特徴部360、後頂部370、および切刃を示す、歯305の面部分310の側部断面図である。図16に見られるように、面部分310は、15±1度の外周逃げ角(ψ)にある。
【0071】
方法700はまた、オプションとして、本明細書に開示されるように、化学蒸着(CVD)コーティングまたは物理蒸着(PVD)コーティングによって溝付き切削端部120の表面をコーティングすることを含む。
【0072】
開示された回転切削工具の実施形態は、工作物から材料を除去するための機械加工動作において使用可能である。例えば、開示された回転切削工具の実施形態は、工作機械またはコンピュータ数値制御(CNC)装置などの機械加工するための装置のスピンドルに装着可能である。典型的には、シャンク部分114は、長手方向の回転重心軸110を中心とした回転切削100の軸回転用のスピンドルに留められるあるいは据え付けられる。装着された回転切削工具100はさらにまた回転し、工作物の材料は切刃、すなわち、(第1の側縁部325によって画定される)第1の切刃、および(第2の側縁部330によって画定される)第2の切刃を工作物に接触させることによって除去される。典型的には、機械加工中、頂部335は工作物と最初に接触する。代替的には、上述される放射状切刃(および、歯のパターンおよびすくい面の表面のうちの1つまたは複数を含むこの関連の特徴)を有する回転切削工具は、機械加工のための装置において静止位置に装着可能であり、工作物は、工作物から材料を除去するために放射状切刃に対して、位置決めされ、移動させ、ならびに/または回転および接触させることが可能である。工作物は、鉄または非鉄であってよい金属材料、金属合金材料、天然もしくは合成材料、または2つまたはそれ以上の異なる材料の複合材料であってよい。具体的な実施形態では、工作物は、炭素繊維強化プラスチック(CRFP)またはガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などの繊維強化複合材料である。らせん角度(α、β)、外周すくい角(γ、ε)、円弧(θ)、および頂角(φ)の幾何学的形状は、典型的には、機械加工される材料の性質に少なくとも部分的に基づいて変化することになり、歯の幾何学的形状が変動することになる。これらの幾何学的形状は、例えば、繊維層の数、繊維の方向、および、アルミニウムまたはアラミドの外層の積層物などの層および材料の積層された組み合わせに基づいて、調節可能である。
【0073】
例として、開示された回転切削工具の実施形態は、炭素強化複合材料の工作物から材料を除去するための機械加工動作において使用可能である。図17Aは、開示された実施形態による、回転切削工具によって機械加工された炭素繊維強化プラスチック(CRFP)の工作物700を示す。工作物700は、右巻きの大きな溝および左巻きの小さな溝を有する中央切削エンドミルによって縁部705を機械にかけることによって機械加工されている。図17Bは、図17Aにおける部分P3に対応する機械加工された縁部705の一部分の拡大図を示す。拡大図に見られるように、層の層間剥離または破面も、繊維引き抜きまたは非せん断繊維も示されていない。
【0074】
例:表1における以下の情報は、本明細書に開示された実施形態と一致する、製造された切削工具の実施形態について説明されたものである。
【0075】
先に記したように、開示された回転切削工具は、連続的な大きな溝が右巻きであり、不連続的な小さな溝が左巻きである回転切削工具において、または連続的な大きな溝が左巻きであり、不連続的な小さな溝が右巻きである回転切削工具において、具現化可能である。連続的な大きな溝が右巻きであり、不連続的な小さな溝が左巻きである実施形態において(例えば図1Aおよび図1Bを参照)、大きな溝は右巻きの溝であり、小さな溝は左巻きであり、第1の切刃は右側切刃であり、第2の切刃は左側切刃である。連続的な大きな溝が左巻きであり、不連続的な小さな溝が右巻きである実施形態において(例えば、図2Aおよび図2Bを参照)、大きな溝は左巻きの溝であり、小さな溝は右巻きであり、第1の切刃は左側切刃であり、第2の切刃は右側切刃である。連続的な右巻きの大きな溝および不連続的な左巻きの小さな溝を有する回転切削工具の実施形態に関して開示された上記の特徴の全ては、連続的な左巻きの大きな溝および不連続的な右巻きの小さな溝を有する回転切削工具の実施形態において、単独でまたは組み合わせて存在し得る。
【0076】
本発明はこの実施形態に関連して説明されているが、添付の特許請求の範囲において定められる本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、具体的に説明されていない追加、削除、修正、および置換がなされてよいことは、当業者によって理解されるであろう。
【0077】
本明細書における実質的に全ての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。さまざまな単数形/複数形の置き換えは、明確にするために本明細書で特に示されていない。
【0078】
本明細書に記載された主題は、種々の構成要素をしばしば例示しており、これらの構成要素は、種々の他の構成要素内に含有される、または該構成要素に連結される。そのように図示されたアーキテクチャが、単に例示にすぎず、実際には、同じ機能を実現する多くの他のアーキテクチャが実装され得ることは理解されたい。概念的な意味で、同じ機能を実現する構成要素の任意の配置構成は、所望の機能が実現されるように効果的に「関連付け」られる。それ故に、特定の機能を実現するために組み合わされた、本明細書における任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間の構成要素にかかわらず、所望の機能が実現されるように、互いに「関連付け」られていると見ることができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に連結」または「動作可能に結合」されていると見ることもでき、そのように関連付け可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に結合可能である」と見ることもできる。動作可能に結合可能な場合の具体例には、物理的にかみ合わせ可能な、および/もしくは物理的に相互作用する構成要素、ならびに/または無線で相互作用可能な、および/もしくは無線で相互作用する構成要素、ならびに/または論理的に相互作用する、および/もしくは論理的に相互作用可能な構成要素が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの事例では、1つまたは複数の構成要素は、本明細書では、「~ように構成される」、「~によって構成される」、「~ように構成可能である」、「~ように動作可能である/動作する」、「適応される/適応可能である」、「~できる」、「~ように対応可能である/対応する」などと称される場合がある。そのような用語(例えば、「~ように構成される」)が、一般的に、別段文脈で要求されない限り、アクティブ状態の構成要素、および/または非アクティブ状態の構成要素、および/または待機状態の構成要素を包含可能であることを、当業者は理解するであろう。
【0080】
本明細書に記載される本主題の特定の態様について示されかつ説明されているが、本明細書における教示に基づいて、本明細書に記載される主題およびこのより広範な態様から逸脱することなく、変更および修正がなされてよく、従って、添付の特許請求の範囲がこれらの範囲内に、全てのそのような変更および修正を、本明細書に記載される主題の真の趣旨および範囲内にあるように包含するものとすることは、当業者には明らかであろう。一般的に、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全般的に「オープンな」用語として意図されていることが、当業者には理解されるであろう(例えば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図が、特許請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図が存在しないことは、当業者にはさらに理解されるであろう。例えば、理解の一助として、以下の添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」を使用して請求項の記載を導入することを含有する場合がある。しかしながら、そのような句の使用は、同じ請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む時でも、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含有する任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含有する請求項に限定するということを示唆していると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、典型的には、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。さらに、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載が、典型的には、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを、当業者は理解するであろう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載」の単なる記載は、典型的には、少なくとも2つの記載、または2つもしくはそれ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用される事例では、一般的に、そのような構文は、当業者が該慣例表現を理解するであろうという意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共になどを有するシステムを含むがこれに限定されない)。「A、B、またはCなどの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用される事例では、一般的に、そのような構文は、当業者が該慣例表現を理解するであろうという意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共になどを有するシステムを含むがこれに限定されない)。典型的には、2つまたはそれ以上の代替用語を提示する離接語および/または句が、別段文脈で指示されない限り、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあるかにかかわらず、該用語の一方、該用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されるであろう。例えば、句「AまたはB」は、典型的には、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されるであろう。
【0081】
添付の特許請求の範囲に関して、本明細書において記載された動作が一般的に、任意の順序で実行され得ることを当業者は理解するであろう。また、さまざまな動作上の流れが順番に提示されているが、さまざまな動作が、例示した以外の順序で行われてもよく、または同時に行われてよいことは理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例には、別段文脈で指示されない限り、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増分の、予備の、追加の、同時の、逆の、または他の異なる順序付けが含まれ得る。さらに、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、または他の過去時制の形容詞は、一般的に、別段文脈で指示されない限り、そのような別形を除外することが意図されるものではない。
【0082】
前述の具体的な例示の工程および/またはデバイスおよび/または技術が、本明細書と共に出願された特許請求の範囲および/または本出願における他の所など、本明細書における他の所において教示されるより一般的な工程および/またはデバイスおよび/または技術を代表するものであることを、当業者は理解するであろう。
【0083】
さまざまな態様および実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様および実施形態が当業者には明らかとなるであろう。本明細書に開示されるさまざまな態様および実施形態は、例示を目的とするものであり、限定を意図するものではなく、真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲に示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】