(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ポンガミアタンパク質製品、ならびに、その製造方法およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A23J 3/14 20060101AFI20230516BHJP
A23J 1/00 20060101ALI20230516BHJP
A23L 11/60 20210101ALI20230516BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20230516BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230516BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20230516BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230516BHJP
A21D 2/26 20060101ALI20230516BHJP
A21D 13/064 20170101ALI20230516BHJP
A21D 13/80 20170101ALI20230516BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20230516BHJP
A23C 9/13 20060101ALI20230516BHJP
A23C 11/06 20060101ALI20230516BHJP
A23C 13/12 20060101ALI20230516BHJP
A23C 20/02 20210101ALI20230516BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230516BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20230516BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230516BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A23J3/14
A23J1/00 B
A23L11/60
A23L11/00 F
A23L11/00 Z
A23L2/00 F
A23L2/66
A23L2/00 B
A21D2/26
A21D13/064
A21D13/80
A23L9/20
A23C9/13
A23C11/06
A23C13/12
A23C20/02
A23L5/00 A
A23L5/00 M
A61K36/48
A61K38/16
A61P3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560238
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 US2021025572
(87)【国際公開番号】W WO2021202994
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521140870
【氏名又は名称】テルヴィーヴァ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アストウッド,ジェームズ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァドラマニ,ケスワラ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】メルー,パメラ バーナデット
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,レンスケ エルミン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ヴェルデ,フレディー
【テーマコード(参考)】
4B001
4B020
4B025
4B032
4B035
4B117
4C084
4C088
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC05
4B001AC15
4B001AC20
4B001AC43
4B001AC99
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4B001BC14
4B001BC99
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(57)【要約】
本明細書では、動物の摂取(特に、ヒトの摂取)に適したポンガミアタンパク質の濃縮物および分離物を含む、タンパク質に富んだポンガミア組成物が提供される。本明細書では、当該タンパク質に富んだポンガミア組成物で栄養強化されてもよい様々な食品および飲料製品も提供される。本明細書には、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法、ならびに当該タンパク質に富んだポンガミア組成物をポンガミア豆または様々な形態のポンガミア粗びき粉から製造する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥重量ベースで少なくとも40%のポンガミアタンパク質を含む、タンパク質に富んだポンガミア成分であって、
前記成分は、以下の(i)~(iii)を有し:
(i)500ppm未満のカランジン;または
(ii)500ppm未満のポンガモール;または
(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;および
前記成分は、乾燥重量ベースで40%以下の炭水化物を有する、成分。
【請求項2】
前記成分は、乾燥重量ベースで40%~70%のポンガミアタンパク質を有する、請求項1に記載の成分。
【請求項3】
前記成分は、ポンガミアタンパク質の濃縮物である、請求項1に記載の成分。
【請求項4】
乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含み、
前記成分は、以下の(i)~(iii)を有し:
(i)500ppm未満のカランジン;または
(ii)500ppm未満のポンガモール;または
(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;および
前記成分は、乾燥重量ベースで20%以下の炭水化物を有する、請求項1に記載の成分。
【請求項5】
前記成分は、乾燥重量ベースで70%~90%のポンガミアタンパク質を有する、請求項4に記載の成分。
【請求項6】
前記成分は、ポンガミアタンパク質の分離物である、請求項5に記載の成分。
【請求項7】
前記成分は、ポンガミア粗びき粉に由来し、
前記タンパク質に富んだポンガミア成分は、前記ポンガミア粗びき粉よりも、少なくとも1.25倍多いポンガミアタンパク質含有量を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の成分。
【請求項8】
前記成分は、乾燥重量ベースで5%未満の脂肪を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の成分。
【請求項9】
前記成分は、乾燥重量ベースで2%未満の脂肪を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の成分。
【請求項10】
前記成分は、少なくとも15%のグルタミン酸、少なくとも12%のアスパラギン酸、少なくとも9%のロイシン、少なくとも8%のリシン、少なくとも6%のフェニルアラニン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、相対的アミノ酸プロファイルを有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の成分。
【請求項11】
前記成分中に存在する前記タンパク質の少なくとも35%は、少なくともpH6のpHで水に可溶性である、請求項1~10のいずれか1項に記載の成分。
【請求項12】
前記成分は、100s
-1のせん断速度で、少なくとも2mPa
*sの粘度を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の成分。
【請求項13】
前記成分は、乳化される場合、少なくとも1μmの平均液滴サイズを有するエマルジョンを形成する、請求項1~12のいずれか1項に記載の成分。
【請求項14】
前記成分は、少なくとも0.7のタンパク質消化率補正アミノ酸価を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の成分。
【請求項15】
前記成分は、10,000ダルトン~250,000ダルトンのタンパク質の平均分子量を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の成分。
【請求項16】
前記成分は、種子貯蔵タンパク質を含み、存在する前記タンパク質の30%~40%は、SDS-PAGEによって決定される45kDa~70kDaの分子量を有するタンパク質である、請求項1~15のいずれか1項に記載の成分。
【請求項17】
前記成分は、170kDa~250kDa、115kDa~160kDa、45kDa~70kDa、19kDa~25kDa、14kDa~17kDa、もしくは10kDa~13kDa、またはそれらの任意の組み合わせの分子量を有する種子貯蔵タンパク質をさらに含む、請求項16に記載の成分。
【請求項18】
前記成分は、以下の(i)~(x)、またはそれらの任意の組み合わせを有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の成分:
(i)100s
-1のせん断速度で、2mPa
*s~100mPa
*sの粘度;
(ii)0.1%タンパク質溶液の体積の100%~200%の発泡能力;
(iii)少なくとも0.2g/cm
3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも35%のタンパク質溶解度;
(v)5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの水の保水能力;
(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの油の保油能力;
(viii)100g当たり、少なくとも10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;
(ix)少なくとも10%の粉分散性;または
(x)薄く、苦くない味。
【請求項19】
前記成分は、以下の(i)~(vii)、またはそれらの任意の組み合わせを有する、請求項18に記載の成分:
(i)100s
-1のせん断速度で、2mPa
*s~100mPa
*sの粘度;
(ii)0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の100%~200%の発泡能力;
(iii)少なくとも0.2g/cm
3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも35%のタンパク質溶解度;
(v)5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vii)薄く、苦くない味。
【請求項20】
前記成分は、以下の(i)~(ix)、またはそれらの任意の組み合わせを有する、請求項18に記載の成分:
(i)100s
-1のせん断速度で、2mPa
*s~100mPa
*sの粘度;
(ii)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の100%~200%の発泡能力;
(iii)少なくとも0.2g/cm
3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも35%のタンパク質溶解度;
(v)5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの水の保水能力;
(viii)100g当たり、少なくとも10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(ix)薄く、苦くない味。
【請求項21】
前記成分は、以下の(i)~(vi)、またはそれらの任意の組み合わせを有する、請求項18に記載の成分:
(i)少なくとも0.2g/cm
3のかさ密度;
(ii)pH7で、少なくとも35%のタンパク質溶解度;
(iii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの水の保水能力;
(iv)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの油の保油能力;
(v)100g当たり、少なくとも10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(vi)薄く、苦くない味。
【請求項22】
前記成分は、以下の(i)~(iii)、またはそれらの任意の組み合わせを有する、請求項18に記載の成分:
(i)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の100%~200%の発泡能力;
(ii)100g当たり、少なくとも7gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(iii)薄く、苦くない味。
【請求項23】
タンパク質に富んだポンガミア組成物の製造方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程、
ここで、前記ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味され、(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの、を有する;
前記水性スラリーのpHを、6~10のpHに調整する工程;
前記スラリーを、タンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
前記タンパク質液体画分を、中和、濃縮および/または低温殺菌する工程;および
前記タンパク質液体画分を乾燥させ、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む、方法。
【請求項24】
前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも50%のポンガミアタンパク質を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
タンパク質に富んだポンガミア成分の製造方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程、
ここで、前記ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味され、(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの、を有する;
前記水性スラリーのpHを、6~10のpHに調整する工程、
前記スラリーを、タンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
前記タンパク質液体画分からポンガミアタンパク質の少なくとも一部を沈殿させて、精製されたポンガミアタンパク質固体を得る工程;
前記精製されたポンガミアタンパク質固体を中和および低温殺菌する工程;および
前記精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア成分を提供する工程、を含む、方法。
【請求項26】
前記ポンガミアタンパク質固体を、乾燥前に洗浄する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記沈殿工程は、等電沈殿によって行われる、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記タンパク質に富んだポンガミア成分は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含む、請求項25~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
以下の工程をさらに含む方法であって:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;および
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、前記ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、前記ポンガミア粗びき粉を製造する工程、
ここで、前記ポンガミア粗びき粉は、低減された脂肪含有量を有する、請求項25~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
以下の工程をさらに含む方法であって:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、前記ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、低脂肪ポンガミア粗びき粉を製造する工程;および
前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を溶媒と組み合わせて、前記ポンガミア粗びき粉を製造する工程、
ここで、前記ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味される、請求項25~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を、溶媒と組み合わせる前に粉砕する工程をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記溶媒は、酢酸エチル、エチルアルコール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
タンパク質に富んだポンガミア成分の製造方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
前記水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程、
前記スラリーを、タンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
前記タンパク質液体画分を膜系に通過させて、ポンガミアタンパク質を含む保持物を得る工程;
前記保持物を、任意に、洗浄、中和および/または低温殺菌する工程;ならびに
前記保持物を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア成分を提供する工程、を含む、方法。
【請求項35】
前記タンパク質に富んだポンガミア成分は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
以下の工程をさらに含む方法であって:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;および
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、前記ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、前記ポンガミア粗びき粉を製造する工程、
ここで、前記ポンガミア粗びき粉は、低減された脂肪含有量を有する、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
以下の工程をさらに含む方法であって:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、前記ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、低脂肪ポンガミア粗びき粉を製造する工程;および
前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を溶媒と組み合わせて、前記ポンガミア粗びき粉を製造する工程、
ここで、前記ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味される、請求項34~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を、溶媒と組み合わせる前に粉砕する工程をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
タンパク質に富んだポンガミア組成物の製造方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
前記水性スラリーのpHを4~5のpHに調整し、ポンガミアタンパク質固体を得る工程;
精製されたタンパク質固体を、洗浄、中和および低温殺菌する工程;および
前記精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む、方法。
【請求項41】
請求項23~40のいずれか1項に記載の方法に従って製造された、タンパク質に富んだポンガミア成分。
【請求項42】
請求項1~22および41のいずれか1項に記載のタンパク質に富んだポンガミア成分を含む、食品、飲料製品、栄養補助食品、または他の製品。
【請求項43】
前記製品は、焼成製品、タンパク質サプリメント、タンパク質バー、または非乳製品飲料である、請求項42に記載の製品。
【請求項44】
前記製品は、医療食品、人工栄養乳、化粧品、または医薬製品である、請求項42に記載の製品。
【請求項45】
前記製品は、飲料製品、乳製品代替品、肉代替品、または卵代替品である、請求項42に記載の製品。
【請求項46】
前記飲料製品は、フルーツスムージー、食事代替飲料、タンパク質飲料、即席シェイクである、請求項45に記載の製品。
【請求項47】
前記製品は、1食当たり少なくとも20gのタンパク質に富んだポンガミア成分を含む飲料製品である、請求項42、45および46のいずれか1項に記載の製品。
【請求項48】
前記乳製品代替品は、非乳製品乳、非乳製品チーズ、非乳製品コーヒーホワイトナー、または非乳製品コーヒークリーマー、非乳製品ヨーグルト、非乳製品ギリシャヨーグルト、非乳製品飲用ヨーグルトである、請求項45に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2020年4月3日に出願された米国仮特許出願第63/004,780号、2020年4月3日に出願された米国仮特許出願第63/004,785号、および、2020年4月3日に出願された米国仮特許出願第63/004,792号の優先権および利益を主張する。前記出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本開示は一般に、ポンガミアタンパク質製品に関する。本開示はより具体的に、高タンパク質含有量を有するポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物など)、ならびにその製造方法、ならびに食品および飲料製品におけるその使用方法に関する。
【0003】
〔背景〕
世界人口は2050年までに90億人を超えると予想されており、食用タンパク質の需要は増加し続けている。動物性タンパク質の生産には、土地や水などの重要な資源が必要であり、環境に大きな影響を与える。植物は環境に好ましい影響を与え、1エーカー(acre)当たりより多くの収率を提供するので、実現性のある代替のタンパク質源を提供する。持続可能性および植物ベースの食事に対する消費者の関心は、世界中で拡大している。米国では、植物ベースの食品市場は、2019年に約45億ドルと推定された。米国では、約5500万人の人々が菜食主義者または準菜食主義者と考えられており、より多くの植物ベースのタンパク質に富んだ食品の選択肢を探している。
【0004】
ポンガミア(pongamia)、ミレティア ピナータ(Millettia pinnata)(L.)は、熱帯地方で生育し、脂肪およびタンパク質に富んだ豆を生産する多目的な木である。ポンガミアは成長し易く、世代時間が短く、大量の脂肪およびタンパク質に富んだ豆を生産するという、いくつかの有利な特徴を有する。ポンガミア豆は、ポンガミア脂肪種子とも呼ばれ、約35%~40%の脂肪および20%のタンパク質を含有する。ポンガミア豆から油を抽出した副産物であるポンガミア豆ケーキは、ヒトが摂取するための動物用食料および食品に使用するための、植物タンパク質の潜在的な再生可能源を提供する。しかしながら、ポンガミア豆およびポンガミア豆ケーキは、多くの固有の活性化学成分(例えば、カランジンおよびポンガモールなど)のために、味が極めて苦く、食べられないと考えられる。これらの固有の活性化合物は、除去されなければならないか、または著しく低減されなければならない。その結果、食用ポンガミアタンパク質製品を製造することができる。
【0005】
現在、ポンガミア豆から食用のクリーン(clean)な味の濃縮ポンガミアタンパク質製品を抽出および製造するために利用可能な、商業的に実現性のある処理方法は存在しない。従って、ポンガミア豆から固有の活性化学成分(例えば、カランジンおよびポンガモールなど)を抽出および除去し、付加価値のある食用タンパク質組成物を製造するための商業的に実現性のある方法が必要とされている。
【0006】
〔概要〕
いくつかの態様では、本明細書にて、動物(特に、ヒト)のための食用タンパク質源としての役割を果たすことができる、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物などの高タンパク質含有量を有するポンガミア組成物が提供される。いくつかの態様では、本明細書に記載のポンガミアタンパク質製品は、機能特性(例えば、溶解度、粘度、および乳化特性が挙げられる)を有し、これらは他の市販の植物タンパク質成分(例えば、大豆、エンドウ豆、ルピナス、およびヒマワリなど)と比較して、同等であるか、または改良されている。これらポンガミアタンパク質製品は、様々な食品および飲料製品における有用な成分としての役割を果たすことができ、優れた味および優れたテクスチャーを有するタンパク質の質について、より優れた新興の植物タンパク質の出現に対する業界での実質的に満たされていない必要性に対処する。
【0007】
いくつかの態様では、乾燥重量ベースで、少なくとも50%のポンガミアタンパク質を含むタンパク質に富んだポンガミア組成物が提供される。いくつかの態様では、乾燥重量ベースで、少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含むタンパク質に富んだポンガミア組成物が提供される。いくつかの実施形態では、組成物はポンガミアタンパク質の濃縮物である。他の実施形態では、組成物はポンガミアタンパク質の分離物である。
【0008】
特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって、ポンガミア粗びき粉(pongamia meal)の水性スラリーを調製する工程;水性スラリーのpHを8~10のpHに調整する工程;スラリーをタンパク質液体画分および不溶性ウェットケーキ画分に分離する工程;タンパク質液体画分を中和、濃縮および/または低温殺菌する工程;ならびに、タンパク質液体画分を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む、方法が提供される。
【0009】
特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって、ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;水性スラリーのpHを8~10のpHに調整する工程;スラリーをタンパク質液体画分および不溶性ウェットケーキ画分に分離する工程;pHを3.5~4.5に調整することによって、液体画分からポンガミアタンパク質の一部を沈殿させて、精製されたポンガミアタンパク質を得る工程;精製されたポンガミアタンパク質を、洗浄、中和および/または低温殺菌する工程;ならびに、精製されたポンガミアタンパク質を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む、方法が提供される。
【0010】
特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって、ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程;スラリーをタンパク質液体画分および不溶性ウェットケーキ画分に分離する工程;タンパク質液体画分を膜系に通過させてポンガミアタンパク質を含む保持物を得る工程;保持物を、洗浄、中和および/または低温殺菌する工程;ならびに、保持物を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む、方法が提供される。
【0011】
一態様では、本明細書に記載の方法に従って製造されるタンパク質に富んだポンガミア組成物が提供される。
【0012】
特定の態様では、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物のいずれかを組み込んだ様々な製品も提供される。いくつかの実施形態では、製品は、食品、飲料製品、または栄養補助食品である。いくつかの態様では、製品は、焼成製品、タンパク質サプリメント、タンパク質バー、または非乳製品飲料である。さらに他の態様では、製品は、医療食品、人工栄養乳、化粧品、または医薬製品である。
【0013】
一態様では、乾燥重量ベースで、少なくとも40%のポンガミアタンパク質を含むタンパク質に富んだポンガミア成分であって、当該成分は(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有し、乾燥重量ベースで、40%以下の炭水化物を有する成分を提供する。本態様のいくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア成分は、乾燥重量ベースで、少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含み、当該成分は(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有し、当該成分は乾燥重量ベースで、15%以下の炭水化物を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、成分は(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;(ii)0.1%タンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;(vi)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの油の保油能力;(viii)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;(ix)少なくとも約10%の粉分散性;または(x)薄く(neutral)、苦くない味;またはそれら(i)~(x)の任意の組み合わせ。
【0015】
他の実施形態では、成分は(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;(ii)0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;(vii)薄く、苦くない味;またはそれら(i)~(vii)の任意の組み合わせを有する。
【0016】
さらに他の実施形態では、成分は(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;(ii)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;(viii)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または(ix)薄く、苦くない味、またはそれら(i)~(ix)の任意の組み合わせを有する。
【0017】
さらに他の実施形態では、成分は(i)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;(ii)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;(iii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;(iv)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの油の保油能力;(v)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または(vi)薄く、苦くない味;またはそれら(i)~(vi)の任意の組み合わせを有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、成分は(i)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;(ii)100g当たり、少なくとも約7gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または(iii)薄く、苦くない味;またはそれら(i)~(iii)の任意の組み合わせを有する。
【0019】
一態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって、ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程、ここで、ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味され、(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する、工程;水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程;スラリーをタンパク質液体画分および不溶性ウェットケーキ画分に分離する工程;タンパク質液体画分を中和、濃縮および/または低温殺菌する工程;ならびに、タンパク質液体画分を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0020】
別の態様では、タンパク質に富んだポンガミア成分を製造する方法であって、ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程、ここで、ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味され、(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する、工程;水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程;スラリーをタンパク質液体画分および不溶性ウェットケーキ画分に分離する工程;タンパク質液体画分からポンガミアタンパク質の少なくとも一部を沈殿させて、精製されたポンガミアタンパク質固体を得る工程;精製されたポンガミアタンパク質固体を中和および低温殺菌する工程;ならびに、精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア成分を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0021】
別の態様では、タンパク質に富んだポンガミア成分を製造する方法であって、ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程;スラリーをタンパク質液体画分および不溶性ウェットケーキ画分に分離する工程;タンパク質液体画分を膜系に通過させて、ポンガミアタンパク質を含む保持物を得る工程;任意に、保持物を、洗浄、中和および/または低温殺菌する工程;ならびに、保持物を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア成分を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0022】
〔図面の説明〕
本出願は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって、理解することができる。
【0023】
図1は、ポンガミア豆から高タンパク質含有量を有するポンガミア組成物を製造するための例示的な方法の概要を示す。
【0024】
図2Aは、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉から、可溶化によってポンガミアタンパク質の濃縮物を製造するための例示的な方法を示す。
【0025】
図2Bは、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉から、等電沈殿によってポンガミアタンパク質の分離物を製造するための例示的な方法を示す。
【0026】
図2Cは、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉から、膜濾過によってポンガミアタンパク質の分離物を製造するための例示的な方法を示す。
【0027】
図3は、様々なpH値での、凍結乾燥されたポンガミアタンパク質の濃縮物中に存在するポンガミアタンパク質の溶解度曲線を示す。
【0028】
図4A~4Cは、市販のタンパク質(大豆、エンドウ豆、およびルピナス)の溶解度(
図4A)、100s
-1のせん断速度での粘度(
図4B)に対する例示的なポンガミアタンパク質の濃縮物の機能特性の比較、ならびに、市販のタンパク質(大豆、エンドウ豆、およびヒマワリ)のエマルジョン(
図4C)に対する例示的なポンガミアタンパク質の濃縮物の機能特性の比較を示す図である。
【0029】
図4D~4Fは、市販のタンパク質(大豆、エンドウ豆、およびルピナス)の溶解度(
図4D)、100s
-1のせん断速度での粘度(
図4E)に対する例示的なポンガミアタンパク質の分離物の機能特性の比較、ならびに、市販のタンパク質(大豆、エンドウ豆、およびヒマワリ)のエマルジョン(
図4F)に対する例示的なポンガミアタンパク質の分離物の機能特性の比較を示す図である。
【0030】
図5A~5Dは、SDS-PAGEによって分析されたタンパク質構成物を示す。当該タンパク質構成物は、処理の安定性、完全性を明示し、大豆タンパク質と比較してポンガミア豆タンパク質を区別するための、様々なポンガミア豆タンパク質の分子量分布を示す。
【0031】
図6Aおよび6Bは、エンドウ豆タンパク質の分離物および大豆タンパク質の分離物と比較した、パイロット規模で製造されたポンガミアタンパク質の分離物の粘度特性および乳化特性を示す。
【0032】
〔詳細な説明〕
以下の説明は、例示的な方法、パラメータなどを記載する。しかしながら、このような説明は、本開示の範囲を限定することを意図しておらず、代わりに、例示的な実施形態の説明として提供されることを認識されたい。
【0033】
いくつかの態様では、高タンパク質含有量を有するポンガミア組成物(例えば、動物(特に、ヒトが挙げられる)による摂取のための、代替的な植物ベースのタンパク質供給源として使用することができる、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物が挙げられる)が、本明細書に提供される。特定の態様では、当該タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法、ならびに、当該組成物を様々な食品および飲料製品に使用する方法が、本明細書に提供される。
【0034】
いくつかの態様では、本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、タンパク質に富んだポンガミア成分である。本明細書で使用される場合、「タンパク質に富んだポンガミア組成物」は、「タンパク質に富んだポンガミア成分」と入れ替えて称され得る。本開示のタンパク質に富んだポンガミア成分は、本明細書に提供されるポンガミア成分のタンパク質含有量が強化されている一方で、他の成分(例えば、炭水化物および脂肪など)が、ポンガミア豆、豆ケーキ、粗びき粉、または粉末(flour)において天然に存在する量と比較して低減されている点で、ポンガミア豆ケーキ、ポンガミア粗びき粉、またはポンガミア粉末と区別される。ポンガミア豆ケーキ、粗びき粉、および粉末は、典型的には、ポンガミア豆供給源を解毒(または脱苦味)し、脱脂する処理を用いて調製される。しかしながら、ポンガミア豆ケーキ、粗びき粉、および粉末は、そのタンパク質含有量が実質的に強化されておらず、その炭水化物含有量も低減されていない。例えば、典型的なポンガミア豆は、乾燥重量ベースで約25%のタンパク質含有量を有する。ポンガミア豆を解毒および/または脱脂するための典型的な処理は、30%~35%のタンパク質含有量を有するポンガミアケーキ、粗びき粉、または粉末を製造する。
【0035】
さらに、タンパク質に富んだポンガミア成分は、ポンガミア豆ケーキ、粗びき粉、または粉末よりも広範な食品用途において、それらの使用を可能にする、タンパク質の強化、ならびに、脂肪および炭水化物の低減を反映するいくつかの物理特性を示す。
【0036】
〔タンパク質に富んだポンガミア組成物〕
タンパク質に富んだポンガミア組成物の成分および特性は、以下にさらに詳細に記載される。本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物の機能特性(例えば、溶解度、粘度、および乳化特性など)は、市販の植物タンパク質成分(例えば、大豆、エンドウ豆、ルピナス、およびヒマワリなど)の機能特性と同等であることが予想外に見出された。本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物のこれらの特性は、そのような製品が多種多様な食品および飲料製品において、それらの使用を見出すことができることを示唆する。
【0037】
〔ポンガミアタンパク質含有量〕
本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、当該タンパク質に富んだ組成物が得られるポンガミア粗びき粉のポンガミアタンパク質含有量と比較して、高いポンガミアタンパク質含有量を有する。
【0038】
いくつかの態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも95%のポンガミアタンパク質を有する。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、50%~99%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、45%~70%、45%~60%、40%~70%、40%~95%、45%~90%のポンガミアタンパク質を有する。
【0039】
特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、もしくは少なくとも65%;または、45%~70%、45%~60%、50%~70%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~70%、もしくは65%~70%のポンガミアタンパク質を有するポンガミアタンパク質の濃縮物である。
【0040】
他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、もしくは少なくとも95%;または、70%~95%、75%~95%、80%~95%、85%~95%、90%~95%、70%~90%、75%~90%、80%~90%、85%~90%、70%~85%、75%~85%、80%~85%、70%~80%、もしくは75%~80%のポンガミアタンパク質を有するポンガミアタンパク質の分離物である。
【0041】
前述の特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、当該富んだ組成物が得られるポンガミア粗びき粉よりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.25倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、または少なくとも4倍多いポンガミアタンパク質を有する。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、当該富んだ組成物が得られるポンガミア粗びき粉よりも、1.25~5倍多いポンガミアタンパク質を有する。
【0042】
〔タンパク質溶解度〕
タンパク質溶解度は、当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して測定し得る。例えば、一態様では、溶解度は、以下の実施例4に記載のプロトコールに従って測定される。
【0043】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在するタンパク質の少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%は、pH6以上のpHで水に可溶性である。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在するタンパク質の少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%は、pH7で水に可溶性である。他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在するタンパク質の50%以下、45%以下、40%以下、または30%以下は、pH3~5で水に可溶性である。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在するタンパク質の50%以下、45%以下、40%以下、または30%以下は、pH4.5で水に可溶性である。
【0044】
〔炭水化物含有量〕
本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物中のタンパク質の強化と並行して、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、当該富んだ組成物が得られたポンガミア粗びき粉の炭水化物含有量と比較して、低減された炭水化物含有量を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、約50%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約10%以下の炭水化物を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも40%のポンガミアタンパク質と、乾燥重量ベースで約50%以下の炭水化物とを有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも40%のポンガミアタンパク質と、乾燥重量ベースで約40%以下の炭水化物とを有する。他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質と、乾燥重量ベースで約20%以下の炭水化物とを有する。特定の他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質と、乾燥重量ベースで約15%以下の炭水化物とを有する。
【0047】
〔脂肪含有量〕
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、0.5%以下、0.75%以下、または1%以下の脂肪を有する。他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下の脂肪を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、0.5%~4%、0.5%~3%、0.5%~2%、0.5%~1%、0.75%~4%、0.75%~3%、0.75%~2%、0.75%~1%、1%~4%、1%~3%、1%~2%、0%~1%の脂肪を有する。
【0048】
前述のタンパク質に富んだポンガミア組成物の他の実施形態では、使用されるポンガミア粗びき粉の組成に応じて、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、以下の(i)若しくは(ii)、または、(i)および(ii)の両方を有し得る:
(i)乾燥重量ベースで、4%未満、3%未満、2%未満、もしくは1%未満の脂肪;または
(ii)500ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満の苦味化合物。
【0049】
〔フラノフラボノイド〕
苦味化合物は、ポンガミア豆中に天然に見出される苦味を有する化合物を指す。いくつかの実施形態では、苦味はフラノフラボノイド(例えば、カランジンおよびポンガモールなど)に起因し得る。
【0050】
前述のいくつかの態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在する苦味化合物は、カランジンおよび/またはポンガモールを含み得る。従って、前述の特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、以下の(i)~(iii)を有する:(i)500ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの。
【0051】
いくつかの態様では、本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物のカランジンおよび/またはポンガモール含有量は、液体クロマトグラフィーによって測定される。カランジンおよび/またはポンガモールの含有量を測定するための分析方法は、ポンガミアサンプルの溶媒抽出、その後の液体クロマトグラフィー分析を含み得る。いくつかの態様では、抽出溶媒はアルキルアルカノエートを含む。一態様では、抽出溶媒は酢酸エチルを含む。特定の実施形態では、液体クロマトグラフィー分析は、高速液体クロマトグラフィーおよび質量分析(例えば、MSもしくはMS/MSなど)、または紫外線の検出(例えば、UV、UV/VisもしくはDADなど)を含み得る。
【0052】
特定の態様では、溶媒抽出は、マイクロ波アシスト溶媒抽出を含み得る。例えば、1つの例示的な分析方法は、酢酸エチルを用いたカランジンおよびポンガモールのマイクロ波アシスト抽出を含み、その後の高速液体クロマトグラフィーおよび質量分析、または紫外線分光光度法のための抽出物を収集し得る。ポンガミアサンプルをマイクロ波抽出管に添加する。次いで、抽出溶媒を試験管に添加し、ボルテックス(vortexed)して混合する。次に、マイクロ波抽出器を用いてサンプルを抽出する。冷却後、上清を真空濾過して粒子を除去する。あるいは、上清を遠心分離して粒子を除去してもよい。次いで、抽出されたサンプルをHPLCによって分析し(および、質量分析またはUV分光光度法によって検出し)、サンプル中に存在するカランジンおよびポンガモールの濃度を測定することができる。
【0053】
特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも40%のポンガミアタンパク質を含み、成分は(i)500ppm未満のカランジン、または(ii)500ppm未満のポンガモール、または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有し、成分は乾燥重量ベースで40%以下の炭水化物を有する。
【0054】
特定の他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含み、成分は(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有し、成分は乾燥重量ベースで15%以下の炭水化物を有する。
【0055】
〔相対的アミノ酸プロファイル〕
前述の特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在するポンガミアタンパク質は、以下の(i)~(xviii)、または(i)~(xviii)の任意の組み合わせを含むタンパク質に基づく相対的アミノ酸プロファイルを有する:
(i)少なくとも約0.5%のメチオニン、
(ii)少なくとも約1%のトリプトファン、
(iii)少なくとも約1%のシステイン、
(iv)少なくとも約2%のヒスチジン、
(v)少なくとも約3%のトレオニン、
(vi)少なくとも約3%のイソロイシン、
(vii)少なくとも約3%のチロシン、
(viii)少なくとも約3%のアラニン、
(ix)少なくとも約3%のグリシン、
(x)少なくとも約4%のバリン、
(xi)少なくとも約5%のプロリン、
(xii)少なくとも約5%のセリン、
(xiii)少なくとも約5%のアルギニン、
(xiv)少なくとも約6%のフェニルアラニン、
(xv)少なくとも約8%のリジン、
(xvi)少なくとも約9%のロイシン、
(xvii)少なくとも約12%のアスパラギン酸、
(xviii)少なくとも約15%のグルタミン酸。
【0056】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも15%のグルタミン酸、少なくとも12%のアスパラギン酸、少なくとも9%のロイシン、少なくとも8%のリシン、少なくとも6%のフェニルアラニン、またはそれらの任意の組み合わせを含む相対的アミノ酸プロファイルを有する。いくつかの態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも15%のグルタミン酸を含む相対的アミノ酸プロファイルを有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも12%のアスパラギン酸を含む相対的アミノ酸プロファイルを有する。さらに他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも9%のロイシンを含む相対的アミノ酸プロファイルを有する。さらに他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも8%のリジンを含む相対的アミノ酸プロファイルを有する。さらに他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも6%のフェニルアラニンを含む相対的アミノ酸プロファイルを有する。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも15%のグルタミン酸、少なくとも12%のアスパラギン酸、少なくとも9%のロイシン、少なくとも8%のリシン、および少なくとも6%のフェニルアラニンを含む相対的アミノ酸プロファイルを有する。
【0057】
〔アミノ酸価〕
またさらなる実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、基準組成物中に存在する同じアミノ酸の量と比較した、組成物中に存在するアミノ酸の量についてのアミノ酸価によって特徴付けられる。アミノ酸(AA)価は、以下のように計算される:
アミノ酸(AA)価=(試験タンパク質1g中の制限必須アミノ酸のmg)/(基準タンパク質1g中の同じ必須アミノ酸のmg)×100。
【0058】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、システインおよびメチオニンの組み合わせ;ヒスチジン、イソロイシン;ロイシン;リジン;トレオニン;トリプトファン;チロシンおよびフェニルアラニンの組み合わせ;またはバリンのうち、少なくとも1つについて、70以上、80以上、90以上、100以上、125以上、もしくは150以上のAA価を有する。いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、システインおよびメチオニンの組み合わせ;ヒスチジン、イソロイシン;ロイシン;リシン;トレオニン;トリプトファン;チロシンおよびフェニルアラニンの組み合わせ;ならびにバリンのそれぞれについて、70以上、80以上、90以上、100以上、125以上、または150以上のAA価を有する。
【0059】
タンパク質消化率補正アミノ酸価(protein digestibility-corrected amino acid score:PDCAAS)は、ヒトのアミノ酸必要量およびヒトのタンパク質の消化能力の両方に基づいて、タンパク質の質を評価するための当該技術分野で公知の方法である。「1」の値が最も高く、「0」の値が最も低い。FAO/WHO/UNU専門家会議で規定されているPDCAASの計算式は、以下の通りである:
PDCAAS=最低必須アミノ酸比率×糞中真性消化率(%)
最低必須アミノ酸比率は、次式によって導き出される:
(試験タンパク質1g中の制限必須アミノ酸のmg)/(基準タンパク質1g中の同じ必須アミノ酸のmg)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、比較的高いPDCAAS値を有する。いくつかの態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも0.7、少なくとも0.75、少なくとも0.8、少なくとも0.85、少なくとも0.9、または少なくとも0.95のPDCAASを有する。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.7~0.95、0.75~0.95、0.8~0.95、0.85~0.95、0.9~0.95、0.75~0.9、0.8~0.9、0.85~0.9、または0.8~0.85のPDCAASを有する。
【0060】
〔分子量〕
タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在するタンパク質の分子量分布は、当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して測定し得る。例えば、一態様では、分子量は、後述する実施例3に記載のプロトコールに従って測定される。
【0061】
本開示のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミア豆に由来するポンガミア粗びき粉から得られる。ポンガミア脂肪種子に由来するそれら起源の効能により、本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、種子貯蔵タンパク質を含有し、例えば、ポンガミア葉から得られる組成物とは対照的に、種子貯蔵タンパク質の存在によって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、本開示のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、タンパク質に富んだポンガミア組成物内に存在するタンパク質の分子量分布によって特徴付けられるように、他の植物供給源(例えば、エンドウ豆または大豆など)に由来するタンパク質組成物とは区別され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、様々な分子量を有するタンパク質を含む。いくつかの態様では、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物は、10,000ダルトン以上、15,000ダルトン以上、20,000ダルトン以上、25,000ダルトン以上、30,000ダルトン以上、35,000ダルトン以上、40,000ダルトン以上、45,000ダルトン以上、50,000ダルトン以上、または55,000ダルトン以上の平均分子量を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、250,000ダルトン以下、200,000ダルトン以下、175,000ダルトン以下、150,000ダルトン以下、130,000ダルトン以下、120,000ダルトン以下、110,000ダルトン以下、100,000ダルトン以下、90,000ダルトン以下、80,000ダルトン以下、70,000ダルトン以下、60,000ダルトン以下、または55,000ダルトン以下の平均分子量を有する。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、前述の重量のいずれかが範囲の上限または下限としての役割を果たすことができる範囲内に入る平均分子量を有する。例えば、一態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、55,000ダルトン~72,000ダルトンの平均分子量を有する。さらに他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、5,000ダルトン~250,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、種子貯蔵タンパク質を含む。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は種子貯蔵タンパク質を含み、存在するタンパク質の約30%~40%は、SDS-PAGEによって決定される約45kDa~約70kDaの分子量を有するタンパク質である。他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、約170~250kDa、約115~160kDa、約45~70kDa、約19~25kDa、約14~17kDa、もしくは約10~13kDa、またはそれらの任意の組み合わせの分子量を有する顕著な種子貯蔵タンパク質を含む。
【0064】
特定の態様では、本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物、成分、濃縮物、および分離物の分子量は、実施例3に記載のプロトコールに従ってSDS-PAGEによって決定される。
【0065】
〔粘度〕
本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、溶液中で調製された時の粘度によっても特徴付けられ得る。そのようなポンガミアタンパク質に富んだ溶液の粘度は、特定の食品用途(例えば、飲料など)に適し得、そのための粘度は、食品の濃さまたは薄さの全体的な知覚に影響を及ぼすことができる。特定の食品(例えば、ヨーグルトなど)には高粘度が好まれ得、一方で高タンパク質飲料には低粘度がより好適であり得る。
【0066】
粘度は、当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して測定することができる。例えば、一態様では、タンパク質溶液の粘度は、後述する実施例4に記載のプロトコールに従って、レオメーターを用いて測定される。
【0067】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、様々な粘度を有する。いくつかの態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、100s-1のせん断速度で測定した場合、少なくとも2ミリパスカル秒(mPa*s)、少なくとも3mPa*s、または少なくとも4mPa*sの粘度を有する。いくつかの態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、100s-1のせん断速度で測定した場合、100mPa*s以下、75mPa*s以下、50mPa*s以下、または25mPa*s以下の粘度を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、100s-1のせん断速度で測定した場合、約10mPa*s以下、8mPa*s以下、7mPa*s以下、6mPa*s以下、または5mPa*s以下の粘度を有する。さらに他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、100s-1のせん断速度では、約2mPa*s~約100mPa*s、約2mPa*s~約75mPa*s、約2mPa*s~約50mPa*s、約2mPa*s~約25mPa*s、約2mPa*s~約10mPa*s、約5mPa*s~約10mPa*s、または約7mPa*~10mPa*sの粘度を有する。
【0068】
さらに他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、せん断速度50秒-1で測定した場合、少なくとも2mPa*s、少なくとも4mPa*s、少なくとも6mPa*s、または少なくとも8mPa*sの粘度を有する。いくつかの態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、50秒-1のせん断速度で測定した場合、15mPa*s以下、12mPa*s以下、または10mPa*s以下の粘度を有する。さらに他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、10s-1のせん断速度で測定した場合、少なくとも2mPa*s、少なくとも4mPa*s、少なくとも6mPa*s、または少なくとも8mPa*sの粘度を有する。さらにまた他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、10s-1のせん断速度で測定した場合、15mPa*s以下、12mPa*s以下、または10mPa*s以下の粘度を有する。
【0069】
〔乳化〕
本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、それらの乳化特性に関してさらに記載され得る。タンパク質に富んだポンガミア組成物の乳化特性は、非混和性液体成分を含有する食品(例えば、非乳製品乳またはタンパク質飲料など)に好適であり得る。例えば、飲料製品の口当たりは飲料内の液滴サイズ分布によって影響され得、より狭い(narrow)分布(単峰性であろうと二峰性であろうと)およびより小さいサイズの液滴は、滑らかな質感および均一な口当たりを提供する。
【0070】
乳化は、当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して測定し得る。例えば、一態様では、エマルジョンは、後述する実施例4に記載のプロトコールに従って、レーザー回折により液滴サイズを分析される。
【0071】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を含むエマルジョンは、様々な液滴サイズ分布を有し得る。いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を含むエマルジョンは、単峰性の液滴サイズ分布を有する。他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を含むエマルジョンは、二峰性の液滴サイズ分布を有する。
【0072】
いくつかの態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を含むエマルジョンは、少なくとも1μm、少なくとも2.5μm、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも25μm、少なくとも50μm、または少なくとも75μmの平均液滴サイズを有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を含むエマルジョンは、150μm以下、100μm以下、75μm以下、または50μm以下の平均液滴サイズを有する。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を含むエマルジョンは、二峰性の液滴サイズ分布を有し、二峰性分布は、約1μmの第1の平均液滴サイズおよび約10μm~約100μmの第2の平均液滴サイズを有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、乳化される場合、タンパク質に富んだポンガミア組成物(エマルジョンの形態で)は、少なくとも1μm、少なくとも2.5μm、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも25μm、少なくとも50、または少なくとも75μmの平均液滴サイズを有する。他の実施形態では、乳化される場合、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、150μm以下、100μm以下、75μm以下、または50μm以下の平均液滴サイズを有する。特定の態様では、乳化される場合、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、二峰性の液滴サイズ分布を有し、二峰性分布は、約1μmの第1の平均液滴サイズおよび約10μm~約100μmの第2の平均液滴サイズを有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を含むエマルジョンは単峰性の液滴サイズ分布を有し、タンパク質に富んだポンガミア組成物(エマルジョンの形態で)は、メジアン液滴サイズを有するものとして特徴付けられ得る。さらに他の実施形態では、乳化される場合、タンパク質に富んだポンガミア組成物(エマルジョンの形態で)は、約5μm以下、約4μm以下、約35μm以下、約2μm以下、または約1μm以下のメジアン液滴サイズを有する。特定の実施形態では、乳化される場合、タンパク質に富んだポンガミア組成物(エマルジョンの形態で)は、約5μm以下のメジアン液滴サイズを有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物を含むエマルジョンは、(例えば、最初の調製の数日後など)経時的なそれらの安定性によってさらに特徴付けられ得る。例えば、さらに他の実施例では、乳化される場合、タンパク質に富んだポンガミア組成物(エマルジョンの形態で)は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、または7日間の保存の後に、約5μm以下、約4μm以下、約35μm以下、約2μm以下、または約1μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズを有する。特定の実施形態では、乳化される場合、タンパク質に富んだポンガミア組成物(エマルジョンの形態で)は、7日間の保存後に、約5μm以下のメジアン液滴サイズを有する。
【0076】
〔発泡性〕
本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミア組成物の単位重量当たりのそれらの最大の泡形成(または泡形成性)、および、それらの泡安定性(例えば、特定の期間の後の泡体積の変化など)を含む、それらの発泡性に関して記載され得る。タンパク質に富んだポンガミア組成物の発泡性は、特定の食品用途において(例えば、卵の代替として)望ましい場合がある。発泡性は、後述する実施例5に記載のプロトコールに従って測定され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液60mL当たり、少なくとも約70mL、少なくとも約80mL、少なくとも約90mL、または少なくとも約100mLの発泡性を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液60mL当たり、少なくとも約70mLの発泡性を有する。他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液60mL当たり、約150mL以下、約140mL以下、約130mL以下、約120mL以下、または約110mL以下の発泡性を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液60mL当たり、約150mL以下の発泡性を有する。さらに他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液60mL当たり、約70mL~約150mL、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液60mL当たり、約70mL~約120mL、または0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液60mL当たり、約70mL~約100mLの発泡性を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液60mL当たり、約70mL~約150mLの発泡性を有する。
【0078】
発泡性は代替的に、発泡能力に関して記載され得る。いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、または少なくとも約150%の発泡能力を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の少なくとも約100%の発泡能力を有する。他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の、約200%以下、約190%以下、約180%以下、約170%以下、約160%以下、または約150%以下の発泡能力を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の約200%以下の発泡能力を有する。さらに他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の、約100%~約200%、約100%~約150%、または約150%~約200%の発泡能力を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力を有する。
【0079】
さらに他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、泡安定性によって特徴付けられ得る(例えば、最初の調製後の最大泡体積に対して、5秒後、5分後、10分後、15分後、または1時間後の泡体積の割合として測定される)。いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、または少なくとも約10%の泡安定性を有する。
【0080】
〔かさ密度〕
タンパク質に富んだポンガミアタンパク質は、それらのかさ密度に関してさらに記載され得る。本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物のかさ密度または体積密度は、大規模食品加工および消費者用途の両方(例えば、タンパク質粉混合物など)のための使用、貯蔵および/または包装の相対的な容易さを示し得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも約0.2g/cm3、少なくとも約0.25g/cm3、少なくとも約0.3g/cm3、少なくとも約0.4g/cm3、少なくとも約0.5g/cm3、少なくとも約0.6g/cm3、少なくとも約0.7g/cm3、少なくとも約0.8g/cm3、少なくとも約0.9g/cm3、または少なくとも約1g/cm3のかさ密度を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度を有する。
【0082】
〔保水能力および保油能力〕
さらに他の実施形態では、本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、それらの保水能力および/または保油能力を特徴とし得る。保水能力(水結合能力または吸水能力としても知られる)は、物質(例えば、本開示のタンパク質粉またはタンパク質に富んだポンガミア組成物など)の単位重量当たりに吸収されることができる水の総量の尺度である。一態様では、保水能力は、後述する実施例5に記載のプロトコールに従って測定される。同様に、保油能力は、物質の単位重量当たりに吸収されることができる油の総量の尺度である。一態様では、保油能力は、後述する実施例5に記載のプロトコールに従って測定される。
【0083】
本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物の保水能力および保油能力は、水および油の保持が望まれる食品において、潜在的な有用性および適切な組み込みを示唆する。例えば、非乳製品ヨーグルトおよびヨーグルトでは、貯蔵中のタンパク質(乳固形分)由来の液状物(乳清)の分離を避けるために、高い保水能力が好ましい場合がある。別の例では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、高い保水能力および保油能力が動物の肉の知覚特性を再現する特定の知覚的側面(例えば、ジュース性など)に寄与し得るために、肉の模倣物で使用され得る。本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物の保水能力および保油能力は、これらの特性がタンパク質の溶解度、タンパク質の変性の程度、およびタンパク質上に露出した疎水性基によって影響されるので、組成物を得るために使用される方法を反映し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約0.5gの水、少なくとも約0.7gの水、少なくとも約1gの水、少なくとも約1.2gの水、少なくとも約1.5gの水、少なくとも約2gの水、少なくとも約2.5gの水、少なくとも約3gの水、または少なくとも約3.5gの水の保水能力を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力を有する。
【0085】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約0.5gの油、少なくとも約0.7gの油、少なくとも約1gの油、少なくとも約1.2gの油、少なくとも約1.5gの油、少なくとも約2.5gの水、少なくとも約3gの水、または少なくとも約3.5gの油の保水能力を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.2gの油、または少なくとも約1.5gの油の保水能力を有する。
【0086】
〔ゲル化特性〕
さらに他の実施形態では、本開示のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、それらのゲル化特性によって特徴付けられ得る。タンパク質に富んだポンガミア組成物のゲルを形成する能力は、半固体ゲル様構造が望ましい食品(例えば、デザート、(非乳製品)ヨーグルト、非乳製品チーズ、プディング、ソース、ディップ、およびスプレッドなど)への潜在的な組み込みを示唆する。一態様では、最小ゲル化濃度は、後述する実施例5に記載のプロトコールに従って測定される。
【0087】
いくつかの実施形態では、本開示のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、総溶液100g当たり、少なくとも約5gのタンパク質に富んだポンガミア組成物、総溶液100g当たり、少なくとも約6gのタンパク質に富んだポンガミア組成物、総溶液100g当たり、少なくとも約7gのタンパク質に富んだポンガミア組成物、総溶液100g当たり、少なくとも約8gのタンパク質に富んだポンガミア組成物、総溶液100g当たり、少なくとも約9gのタンパク質に富んだポンガミア組成物、総溶液100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア組成物、総溶液100g当たり、少なくとも約11gのタンパク質に富んだポンガミア組成物、または総溶液100g当たり、少なくとも約12gのタンパク質に富んだポンガミア組成物の最小ゲル化濃度を有する。特定の実施形態では、本開示のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、総溶液100g当たり、少なくとも約7gのタンパク質に富んだポンガミア組成物の最小ゲル化濃度を有する。特定の他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、総溶液100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア組成物の最小ゲル化濃度を有する。
【0088】
〔粉分散性〕
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、それらの粉分散性に関して記載され得る。粉分散性、または粉が水中で微粒子に分解する能力は、特定の飲料製品(例えば、乾燥乳またはタンパク質シェイク粉など)のように、乾燥粉が水中で再構成するのに適していることを示唆し得る。例えば、一態様では、粉分散性は、後述する実施例5に記載のプロトコールに従って測定される。いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約15%、または少なくとも約17%の粉分散性を有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、少なくとも約10%の粉分散性を有する。
【0089】
〔味と色〕
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、苦味がなく、クリーン(clean)な味のプロファイルを有する。特定の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、薄く(neutral)、および/または、苦くない味を有する。いくつかの実施形態では、苦味化合物(例えば、タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在するカランジンおよび/またはポンガモールなど)の濃度は、500ppm未満である。特定の実施形態では、苦味化合物(例えば、タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在するカランジンおよび/またはポンガモールなど)の濃度は、200ppm未満である。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物中に存在するカランジンおよび/またはポンガモールの濃度は、カランジンおよび/またはポンガモールを測定するための当該技術分野で公知の方法および技術によって検出することはできない。
【0090】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、白色または淡褐色を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、白色を有する。特定の他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、淡褐色を有する。
【0091】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、以下の(i)~(xi)、またはそれら(i)~(xi)の任意の組み合わせを有する:
(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;
(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;
(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;
(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの油の保油能力;
(viii)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;
(ix)少なくとも約10%の粉分散性;
(x)薄く、苦くない味;または
(xi)白色。
【0092】
他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、以下の(i)~(x)、またはそれら(i)~(x)の任意の組み合わせを有する:
(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;
(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;
(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;
(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの油の保油能力;
(viii)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;
(ix)少なくとも約10%の粉分散性;または
(x)薄く、苦くない味。
【0093】
さらに他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、以下の(i)~(vii)、またはそれら(i)~(vii)の任意の組み合わせを有する:
(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;
(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;
(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vii)薄く、苦くない味。
【0094】
またさらに他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、以下の(i)~(ix)、またはそれら(i)~(x)の任意の組み合わせを有する:
(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;
(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;
(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;
(viii)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(ix)薄く、苦くない味。
【0095】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、以下の(i)~(vi)、またはそれら(i)~(vi)の任意の組み合わせを有する:
(i)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;
(ii)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;
(iii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;
(iv)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの油の保油能力;
(v)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(vi)薄く、苦くない味。
【0096】
他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、以下の(i)~(iii)、またはそれら(i)~(iii)の任意の組み合わせを有する:
(i)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;
(ii)100g当たり、少なくとも約7gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(iii)薄く、苦くない味。
【0097】
〔タンパク質に富んだポンガミア組成物の製造方法〕
いくつかの態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物を含む)を製造する様々な方法が本明細書に提供される。本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミア豆に由来する。いくつかの実施形態では、当該タンパク質に富んだポンガミア組成物は、様々な形態の処理されたポンガミア粗びき粉から製造される。
【0098】
〔ポンガミア粗びき粉〕
いくつかの実施形態では、ポンガミア粗びき粉は、以下の(i)~(ii)、または(i)および(ii)の両方を有する:
(i)乾燥重量ベースで、1%未満、2.5%未満、もしくは5%未満の脂肪;または
(ii)1,000ppm未満、900ppm未満、800ppm未満、700ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、もしくは100ppm未満の苦味化合物。
【0099】
特定の実施形態では、ポンガミア粗びき粉は、以下の(i)~(ii)、または(i)および(ii)の両方を有する:
(i)乾燥重量ベースで、0.2%未満、0.5%未満、もしくは1%未満の脂肪;または
(ii)500ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満の苦味化合物。
【0100】
前述のように、苦味化合物は、ポンガミア豆中に天然に見出される苦味を有する化合物を指す。前述のいくつかの態様では、ポンガミア粗びき粉中に存在する苦味化合物は、カランジンおよび/またはポンガモールを含み得る。従って、前述の特定の実施形態では、ポンガミア粗びき粉は、(x)500ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満のカランジン;または(y)500ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満のポンガモール;または(z)500ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、もしくは1ppm未満のカランジンおよびポンガモールの組み合わせ、を有する。
【0101】
いくつかの態様では、ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味されており、(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールの組み合わせ、を有する。特定の態様では、ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味されており、(i)200ppm未満のカランジン;または(ii)200ppm未満のポンガモール;または(iii)200ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの、を有する。
【0102】
本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物の製造方法にて使用されるポンガミア粗びき粉は、当該技術分野で公知の様々な方法および技術から製造され得る。
図1に関して、処理100は、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造するための例示的な処理を示す。処理100は、ポンガミア豆を脱皮する工程102、機械的にプレスする工程104、および粉砕する工程106を示し、低脂肪ポンガミア粗びき粉を製造する。次いで、低脂肪ポンガミア粗びき粉は、溶媒抽出108を受けることができ、脱脂および脱苦味された粗びき粉を製造する。次に、この脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、タンパク質抽出110、続いて、タンパク質の分離/単離112、中和114、低温殺菌116、および乾燥する工程(例えば、噴霧乾燥または凍結乾燥による)118を受けて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する。
【0103】
工程102において、脱皮は、典型的にはポンガミア豆を脱皮機に通して豆から外皮を緩め、2つの画分を分離する工程を含む。当該技術分野において公知の任意の適切な技術を使用して、脱皮および外皮分離を達成し得る。例えば、いくつかの態様では、脱皮する工程は、ポンガミア豆を衝撃型脱皮機に通し、豆から外皮を緩める工程によって行われる。この目的のために、他の型の脱皮装置(例えば、研磨材/ブラッシングタイプなど)を使用し得る。例えば、外皮からの豆の分離は、重力テーブル(gravity table)または吸引器によって行うことができる。いくつかの態様では、脱皮する工程は省略され得る。
【0104】
次に、工程104において、豆を機械的にプレスする(例えば、低温プレスする)。工程104は、典型的には遊離油を除去し、低脂肪(例えば、10~14%脂肪)ポンガミア粗びき粉を製造するために、圧搾機を使用して実施され得る。低温プレスする工程は、当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して実施することができる。例えば、低温プレスは、様々な機器(例えば、ファーメットFL-200圧搾機プレス(Farmet FL-200 expeller press)など)を使用して実施することができる。いくつかの態様では、プレスする工程は、脱皮された豆を装置に通して、遊離油および低脂肪粗びき粉を製造する工程を含むことができる。いくつかの態様では、豆を機械的にプレスすると、元のポンガミア油含有量の約30~45%を保持する部分的に脱脂された豆粗びき粉が製造される。
【0105】
次いで、工程106において、粗びき粉を粉砕して凝集体を分散させ、脂肪含有量が低減された、わずかに少ない粗い粗びき粉(例えば、0.25mm~5.0mmの範囲の粒度)を製造する。粉砕する工程は、当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して実施することができる。例えば、粉砕する工程は、装置(例えば、ハンマーミル(hammer mill)、フィッツミル(FitzMill)、またはクアドロミル(Quadromill)など)を用いて行うことができる。
【0106】
工程108において、粉砕された低脂肪粗びき粉を溶媒で抽出して、脱脂および脱苦味された粗びき粉を製造することができる。いくつかの態様では、得られた脱脂および脱苦味されたポンガミアタンパク質粗びき粉は、200ppm未満のカランジンおよびポンガモールを有する。溶媒抽出は、典型的には油および固有のフラボノイド化合物(例えば、カランジンおよびポンガモールなど)を除去する。いくつかの態様では、溶媒抽出は、溶媒(例えば、酢酸エチル、エチルアルコール、ヘキサン、もしくは他の有機溶媒、またはそれらの任意の組み合わせなど)の選択されたグループに、低脂肪粗びき粉を曝露する工程を含み得る。溶媒抽出は、10:1;9:1;8:1;7:1;6:1;5:1;4:1;3:1:2:1;1:1の溶媒対固体比率で、または前述のいずれかの範囲内の比率で、実施し得る。特定の態様では、抽出は、1時間、2時間、3時間、5時間、6時間、8時間、もしくは10時間、または前述のいずれかの範囲内の時間で保持されてもよい。特定の態様では、抽出は、25℃、45℃、55℃、60℃、もしくは65℃の温度、または前述のいずれかの範囲内の温度で実施される。さらに他の態様では、溶媒抽出は2回以上の連続抽出で実施され得、各々の抽出のための溶媒は、同じであり得、または異なり得る。次いで、溶媒を除去し(例えば、蒸発によって)、タンパク質(例えば、30~39%)および炭水化物(例えば、55~60%)が豊富である、脱脂および脱苦味されたポンガミアタンパク質粗びき粉を製造する。
【0107】
いくつかの実施形態では、例示的な処理100における工程108と工程110との間で、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を、より小さく、より均一な粒度に粉砕し得る。粗びき粉を粉砕するために、任意の適切な方法または技術を使用し得る。例えば、一態様では、コーヒー挽き器(coffee grinder)、または穀物粉砕機(grain mill)/粉末粉砕機(flour grinder)を、その後のふるい分けの有無に関わらず使用し得る。特定の実施形態では、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、直径0.5mm以下の粒度に粉砕される。いくつかの実施形態では、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、直径が0.5mm以下、0.2mm以下、0.15mm以下、または0.05mm以下の粒度に均一に粉砕される。一実施形態では、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、直径0.5mm以下の粒度に均一に粉砕される。
【0108】
再び
図1を参照すると、例示的な処理100は、ポンガミア豆由来のタンパク質に富んだポンガミア組成物の製造を示すが、他の例示的な処理では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミア粗びき粉から製造され得ることを理解されたい。タンパク質に富んだポンガミア組成物は、当該技術分野で公知の任意の方法または技術、または任意の市販の供給源から入手し得る。換言すれば、他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、様々な形態のポンガミア粗びき粉から製造され得る。
【0109】
同様に、
図2A~2Cの例示的な処理200、処理300、および処理400を参照すると、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉が出発物質として使用されることを理解されたい。他の態様では、ポンガミア粗びき粉の他の形態が使用され得る。例えば、特定の実施形態では、ポンガミア粗びき粉は、粉砕された総脂肪ポンガミア粗びき粉または低脂肪ポンガミア粗びき粉であり得る。
【0110】
いくつかの態様では、ポンガミア粗びき粉は、ポンガミア豆を脱皮および粉砕する工程によって得られる。一態様では、粉砕されたポンガミア粗びき粉は、(i)乾燥重量ベースで25%以下のポンガミアタンパク質;または(ii)乾燥重量ベースで少なくとも30%の脂肪;または(iii)20,000ppm以下の苦味化合物(例えば、カランジンおよび/またはポンガモールなど)、または(i)~(iii)の任意の組み合わせ、を有する。
【0111】
他の態様では、ポンガミア粗びき粉は、ポンガミア豆を脱皮する工程、プレス(例えば、低温プレスなど)する工程、および粉砕する工程によって得られる、低脂肪ポンガミア粗びき粉である。一態様では、低脂肪ポンガミア粗びき粉は、(i)乾燥重量ベースで30%以下のポンガミアタンパク質;または(ii)乾燥重量ベースで15%以下の脂肪;または(iii)10,000ppm以下の苦味化合物、または(i)~(iii)の任意の組み合わせ、を有する。
【0112】
さらに他の態様では、ポンガミア粗びき粉は、前述の低脂肪ポンガミア粗びき粉を溶媒抽出する工程によって得られる、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉である。例えば、特定の態様では、当該溶媒抽出に適した溶剤は、有機溶剤(例えば、エステル(例えば、酢酸エチルなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、およびアルカン(例えば、ヘキサンなど))を含み得る。一態様では、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、(i)乾燥重量ベースで40%以下のポンガミアタンパク質;または(ii)乾燥重量ベースで5%以下の脂肪;または(iii)500ppm以下の苦味化合物、または(i)~(iii)の任意の組み合わせ、を有する。別の態様では、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、(i)乾燥重量ベースで40%以下のポンガミアタンパク質;または(ii)乾燥重量ベースで5%以下の脂肪;または(iii)200ppm以下の苦味化合物、または(i)~(iii)の任意の組み合わせ、を有する。
【0113】
タンパク質抽出工程110では、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉中のタンパク質は、以下でさらに詳細に論じるように液体抽出物中に可溶化される。タンパク質の分離および単離112は、様々な固液分離技術を使用し得る。例えば、いくつかの態様では、ウェットポンガミア豆ケーキ(残留固体)からの上清タンパク質液体抽出物のデカンテーションを用いて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を得ることができる。いくつかの態様では、可溶化を用いて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を得ることができる。いくつかの態様では、等電沈殿を用いて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を得ることができる。いくつかの態様では、膜濾過を用いて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を得ることができる。
【0114】
〔可溶化〕
一態様では、可溶化によってポンガミア粗びき粉からタンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法が提供される。
図2Aの例示的な処理200を参照すると、工程202では、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を使用して水性スラリーを調製し、(例えば、好適な塩基(例えば、水酸化ナトリウムなど)を用いて)pHをアルカリ性pH(例えば、8~10)に調整する。工程204では、ポンガミアタンパク質の抽出は、アルカリ性タンパク質液体画分を不溶性ウェットケーキ画分から分離する工程によって達成される。工程202の他の態様では、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を使用して水性スラリーを調製し、pHを好適な酸または塩基で6~10のpHに調整し、タンパク質液体画分を不溶性ウェットケーキ画分から分離する。
【0115】
当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して、このような分離を達成し得る。例えば、このような分離は、デカンターまたは遠心分離機を使用して達成され得る。タンパク質液体が得られ、工程206において、約pH7.0に調整する工程によって(例えば、好適な酸(例えば、塩酸またはリン酸など)を添加する工程によって)、タンパク質液体のpHを中和する。工程208において、中和されたタンパク質液体が濃縮される。工程210および工程212において、濃縮されたタンパク質液体は、それぞれ低温殺菌および噴霧乾燥を受けて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を得る。中和工程、濃縮工程、および低温殺菌工程は、任意に、例示的な処理に含まれる。
【0116】
一態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
水性スラリーのpHを8~10のpHに調整する工程;
スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
任意に、タンパク質液体画分を中和、濃縮および/または低温殺菌する工程;ならびに
タンパク質液体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0117】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程;
スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
任意に、タンパク質液体画分を中和、濃縮および/または低温殺菌する工程;ならびに
タンパク質液体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、水性スラリーを調製する工程は、ポンガミア粗びき粉を水と混合する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、当該方法はポンガミア粗びき粉および水を(例えば、高せん断で)撹拌または混合する工程をさらに含む。
【0119】
本開示において発見されるように、ポンガミアタンパク質は、塩基性水性媒体中で高度に可溶性であることが見出される。ポンガミア粗びき粉を含有する水性スラリーのアルカリ性pHへの調整は、ポンガミアタンパク質の溶液への抽出または可溶化を促進する。いくつかの実施形態では、水性スラリーはpH8~10に調整される。他の実施形態では、水性スラリーはpH6~10に調整される。
【0120】
その後、スラリーは、工程204において、アルカリ性タンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離される。分離は、当該技術分野で公知の固液分離技術(例えば、デカンテーションおよび遠心分離が挙げられる)によって達成し得る。
【0121】
いくつかの態様では、pHを調整してタンパク質液体画分を分離するための工程202および工程204はまた、タンパク質の収率を改善するために得られるウェットケーキ画分に対して1回以上実施され得る。すなわち、ポンガミア粗びき粉は、残存する不溶性ウェットケーキ画分に対して実施されるように、可溶化のいくつかの逐次反復を受け得る。例えば、ウェットケーキを第2の水性スラリー中で調製し、アルカリ性pHに調整し、その後、第2のアルカリ性タンパク質液体画分を不溶性ケーキ画分から分離し、2つの液体画分を組み合わせ得る。反復抽出のために、ポンガミア粗びき粉を水性スラリー中で調製することができる。pHを酸性pH(例えば、pH2)またはアルカリ性pH(例えば、pH8)のいずれかに調整する。得られたpH調整スラリーをそのタンパク質液体画分および不溶性ウェットケーキ画分に分離し、ウェットケーキ画分を後続の水性スラリー中で調製する。次いで、これをアルカリ性pHに調整し、さらなるタンパク質液体画分に分離する。逐次的な可溶化から得られた任意のタンパク質液体画分は、後続の処理の前に、単一のタンパク質液体画分に組み合わされる。他の態様では、ポンガミア粗びき粉中の炭水化物を消化するための酵素を水性スラリーに添加して、タンパク質の可溶化を促進し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、タンパク質液体画分は、約pH7のpHに中和される。タンパク質液体は、適切な食品グレードの酸(例えば、リン酸または塩酸など)を添加する工程によって中和され得る。特定の実施形態では、タンパク質液体画分を中和する工程は、リン酸または塩酸をタンパク質液体画分に添加する工程を含む。
【0123】
他の実施形態では、タンパク質液体画分は、中和された後に濃縮される。タンパク質液体画分の濃度は、より容易な取り扱いまたは下流処理(例えば、酸沈殿および/または膜濾過など)のために、タンパク質液体画分中の液体の体積を低減させる工程を含み得る。
【0124】
またさらに他の実施形態では、タンパク質液体画分は低温殺菌される。低温殺菌は標準的な食品加工技術である。ヒトが摂取する製品は、病原体を排除し、保存期間を延長するために、通常100℃(212°F)未満の穏やかな温熱で処理される。
【0125】
またさらなる実施形態では、タンパク質液体抽出物は乾燥され、最終的なタンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する。タンパク質液体抽出物は、当該技術分野で公知の方法(例えば、噴霧乾燥および/または凍結乾燥(lyophilization)(例えば、凍結乾燥(freeze-drying)など)が挙げられる)によって乾燥され得る。
【0126】
いくつかの態様では、前述の方法によって得られるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミアタンパク質の濃縮物である。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、少なくとも40%、少なくとも50%、または50%~70%のポンガミアタンパク質を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも40%のポンガミアタンパク質;および、乾燥重量ベースで40%以下の炭水化物を有する。
【0127】
〔即時沈殿〕
別の態様では、ポンガミアタンパク質の事前の可溶化なしに、沈殿によってポンガミア粗びき粉からタンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法が本明細書に提供される。本態様の方法は、事前の可溶化なしにポンガミア粗びき粉の水性スラリーからポンガミアタンパク質を即時沈殿させることにより、不溶性タンパク質を含むポンガミア粗びき粉からより広範囲のタンパク質を回収することを可能にする。本方法は、より少ない処理工程を要し、タンパク質の収率を増加させ、水およびエネルギーの使用を低減させ得る。さらに、本方法によって得られる組成物の炭水化物含有量と組み合わせたより広範囲のタンパク質の回収は、特定の食品用途のための強化された機能性を提供し得る。
【0128】
本態様のいくつかの実施形態では、水性スラリーは脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を使用して調製され、pHは酸性pH(例えば、3~5、4~5、4~4.5のpH)に調整され、タンパク質固体の沈殿を誘導する。ポンガミア粗びき粉中に存在するタンパク質は、酸がスラリーに添加されると溶液から直ちに沈殿する。沈殿したタンパク質を水性スラリーから分離する。当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して、このような分離を達成し得る。例えば、このような分離は、デカンターまたは遠心分離機を使用して達成され得る。
【0129】
沈殿したタンパク質を水洗し、塩基で中和する。次いで、中和されたタンパク質を低温殺菌し、乾燥させる。前述の例示的な処理におけるタンパク質の洗浄、中和、濃縮および低温殺菌は任意である。
【0130】
一態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
水性スラリーのpHを4~5のpHに調整し、ポンガミアタンパク質固体を得る工程;
精製されたタンパク質固体を、洗浄、中和、および低温殺菌する工程;ならびに
精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0131】
別の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
水性スラリーのpHを酸性pHに調整して、ポンガミアタンパク質固体を得る工程;
精製されたタンパク質固体を、洗浄、中和、および低温殺菌する工程;ならびに
精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0132】
前述のように、ポンガミアタンパク質は、スラリーのpHを酸性pH(例えば、3~5.5)に調整する工程によって、ポンガミア粗びき粉を含有する水性スラリーから沈殿する。いくつかの実施形態では、タンパク質液体のpHは、3~5.5、3~5、3~4.5、3~4、3~3.5、3.5~5.5、3.5~5、3.5~4.5、3.5~4、4~5.5、4~5、4~4.5、4.5~5.5、4.5~5のpHに調整される。特定の態様では、pHは4~4.5のpHに調整される。
【0133】
その後、ポンガミアタンパク質固体は、水性スラリーから分離される。分離は、当該技術分野で公知の固液分離技術(例えば、デカンテーションおよび遠心分離が挙げられる)によって達成し得る。
【0134】
特定の態様では、本方法は、精製されたポンガミアタンパク質固体を洗浄する工程をさらに含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、ポンガミアタンパク質固体は、約pH7のpHに中和される。精製されたポンガミアタンパク質固体は、適切な食品グレードの塩基(例えば、水酸化ナトリウムなど)を添加する工程によって中和し得る。特定の実施形態では、ポンガミアタンパク質固体を中和する工程は、精製されたポンガミアタンパク質固体に水酸化ナトリウムを添加する工程を含む。
【0136】
他の実施形態では、精製されたポンガミアタンパク質固体は、中和された後に濃縮される。精製されたポンガミアタンパク質固体の中和は、その部分的または完全な可溶化をもたらし得ることを認識されたい。精製されたポンガミアタンパク質固体の濃度は、より容易な取り扱いまたは下流処理のために導入された精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥またはデカントする工程によって、沈殿から残った、またはポンガミアタンパク質固体において中和の間に導入された、液体の体積を低減させる工程を含み得る。
【0137】
またさらに他の実施形態では、ポンガミアタンパク質固体は低温殺菌される。
【0138】
またさらなる実施形態では、ポンガミアタンパク質固体は乾燥され、最終的なタンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する。ポンガミアタンパク質固体は、当該技術分野で公知の方法(例えば、噴霧乾燥および/または凍結乾燥(lyophilization)(例えば、凍結乾燥(freeze-drying)などが挙げられる)によって乾燥され得る。
【0139】
いくつかの態様では、前述の方法によって得られるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミアタンパク質の濃縮物である。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、少なくとも40%、もしくは少なくとも50%;または、40%~50%、もしくは40%~70%のポンガミアタンパク質を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも40%のポンガミアタンパク質;および、乾燥重量ベースで50%以下の炭水化物を有する。
【0140】
〔等電沈殿〕
一態様では、等電沈殿によってポンガミア粗びき粉からタンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法が提供される。
図2Bの例示的な処理300を参照すると、工程302において、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を使用して水性スラリーを調製し、pHを8~10のpHに調整する。工程304において、ポンガミアタンパク質の抽出は、不溶性ウェットケーキ画分からアルカリ性タンパク質液体画分を分離する工程によって達成される。当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して、このような分離を達成し得る。例えば、このような分離は、デカンターまたは遠心分離機を使用して達成され得る。
【0141】
工程302の他の態様では、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を使用して水性スラリーを調製し、pHを好適な酸または塩基で6~10のpHに調整し、タンパク質液体画分を不溶性ウェットケーキ画分から分離する。
【0142】
工程302のいくつかの態様では、水性スラリーを6~10のpHに調整し、タンパク質液体画分を水性スラリーから単離し得る。タンパク質液体が得られ、工程306において、等電沈殿を使用して大量のアルカリ可溶性ポンガミアタンパク質を沈殿させる。いくつかの態様では、等電沈殿はポンガミアタンパク質の等電点以下のpHで実施される(例えば、4.0~4.5のpHで実施される)。工程306において、アルカリ性タンパク質液体画分のpHは、酸(例えば、リン酸または塩酸など)を添加する工程によって、4.0~4.5のpHに調整される。沈殿したポンガミアタンパク質固体は回収される。工程308において、沈殿したタンパク質は洗浄される。工程310において、洗浄されたタンパク質は、塩基(例えば、水酸化ナトリウムなど)を用いて約pH7.0に調整する工程によって中和される。工程312において、中和されたタンパク質は濃縮される。工程314および工程316において、濃縮されたタンパク質液体は、それぞれ低温殺菌および乾燥(例えば、噴霧乾燥または凍結乾燥(freeze-drying)/凍結乾燥(lyophilization)による)を受け、タンパク質に富んだポンガミア組成物を得る。前述の例示的な処理におけるタンパク質の洗浄、中和、濃度および低温殺菌は任意である。
【0143】
一態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
水性スラリーのpHを8~10のpHに調整する工程、
スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
タンパク質液体画分からポンガミアタンパク質の少なくとも一部を沈殿させて、精製されたポンガミアタンパク質固体を得る工程;
精製されたタンパク質固体を、洗浄、中和、および低温殺菌する工程;ならびに
精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0144】
別の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程、
スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
タンパク質液体画分からポンガミアタンパク質の少なくとも一部を沈殿させて、精製されたポンガミアタンパク質固体を得る工程;
精製されたタンパク質固体を、洗浄、中和、および低温殺菌する工程;ならびに
精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0145】
前述のように、ポンガミアタンパク質は、スラリーのpHをアルカリ性pH(例えば、8~10)に調整する工程によって、ポンガミア粗びき粉を含有する水性スラリーから可溶化される。他の態様では、ポンガミアタンパク質は、スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程によって、ポンガミア粗びき粉を含有する水性スラリーから可溶化される。
【0146】
その後、スラリーは、工程304において、アルカリ性タンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離される。分離は、当該技術分野で公知の固液分離技術(例えば、デカンテーションおよび遠心分離が挙げられる)によって達成し得る。
【0147】
いくつかの態様では、pHを調整してタンパク質液体画分を分離するための工程302および工程304はまた、タンパク質の収率を改善するために得られるウェットケーキ画分に対して1回以上実施され得る。すなわち、ポンガミア粗びき粉は、残存する不溶性ウェットケーキ画分に対して実施されるように、可溶化のいくつかの逐次反復を受け得る。例えば、ウェットケーキを第2の水性スラリー中で調製し、アルカリ性pHに調整し、その後、第2のアルカリ性タンパク質液体画分を不溶性ケーキ画分から分離し、2つの液体画分を組み合わせ得る。反復抽出のために、ポンガミア粗びき粉を、水性スラリー中で調製し、pHを酸性pH(例えば、pH2)またはアルカリ性pH(例えば、pH8)のいずれかに調整することができる。得られたpH調整スラリーをそのタンパク質液体画分および不溶性ウェットケーキ画分に分離し、ウェットケーキ画分を後続の水性スラリー中で調製する。次いで、これをアルカリ性pHに調整し、さらなるタンパク質液体画分に分離する。いくつかの態様では、続く可溶化から得られたタンパク質液体画分は、後続の処理の前に、単一のタンパク質液体画分に組み合わされ得る。いくつかの態様では、可溶化は向流抽出(countercurrent extraction)によって行われる。他の態様では、ポンガミア粗びき粉中の炭水化物を消化するための酵素(例えば、セルラーゼまたはアミラーゼを含むカルボヒドラターゼなど)を水性スラリーに添加して、タンパク質の可溶化を促進し得る。いくつかの態様では、炭水化物を消化するための酵素を水性スラリーに添加して、水性スラリーを、酵素活性を可能にするのに適した温度(例えば、37℃など)に加熱し得る。
【0148】
工程306における等電沈殿は、ポンガミアタンパク質の等電点またはその付近のpHで実施して、タンパク質液体画分からポンガミアタンパク質固体を提供し得る。例えば、
図3に示されるように、ポンガミアタンパク質の溶解度は、pH3~pH5.5で実質的により低い。工程304から得られたタンパク質液体に酸を添加して、3~5.5の酸性pHを生成すると、溶液からポンガミアタンパク質固体が沈殿する。いくつかの実施形態では、タンパク質液体のpHは、3~5.5、3~5、3~4.5、3~4、3~3.5、3.5~5.5、3.5~5、3.5~4.5、3.5~4、4~5.5、4~5、4~4.5、4.5~5.5、4.5~5のpHに調整される。
【0149】
特定の態様では、本方法は、精製されたポンガミアタンパク質固体を洗浄する工程をさらに含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、ポンガミアタンパク質固体は、約pH7のpHに中和される。精製されたポンガミアタンパク質固体は、適切な食品グレードの塩基(例えば、水酸化ナトリウムなど)を添加する工程によって、中和し得る。特定の実施形態では、ポンガミアタンパク質固体を中和する工程は、精製されたポンガミアタンパク質固体に水酸化ナトリウムを添加する工程を含む。
【0151】
他の実施形態では、精製されたポンガミアタンパク質固体は、中和された後に濃縮される。精製されたポンガミアタンパク質固体の中和は、その部分的または完全な再可溶化をもたらし得ることを認識されたい。精製されたポンガミアタンパク質固体の濃度は、より容易な取り扱いまたは下流処理のために導入された精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥またはデカントする工程によって、沈殿から残った、またはポンガミアタンパク質固体における中和の間に導入された液体の体積を減少させる工程を含み得る。
【0152】
またさらに他の実施形態では、ポンガミアタンパク質固体は低温殺菌される。
【0153】
またさらなる実施形態では、ポンガミアタンパク質固体は乾燥され、最終的なタンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する。ポンガミアタンパク質固体は、当該技術分野で公知の方法(例えば、噴霧乾燥および/または凍結乾燥(lyophilization)(例えば、凍結乾燥(freeze-drying)などが挙げられる)によって乾燥され得る。
【0154】
いくつかの態様では、前述の方法によって得られるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミアタンパク質の分離物である。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、少なくとも70%、または70%~90%のポンガミアタンパク質を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質;および、乾燥重量ベースで20%以下の炭水化物を有する。
【0155】
〔膜濾過〕
さらに別の態様では、膜濾過によってポンガミア粗びき粉からタンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法が提供される。
図2Cの例示的な処理400を参照すると、工程402において、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を用いて水性スラリーを調製し、pHを6~10のpH(例えば、pH8~10)に調整する。工程404において、ポンガミアタンパク質の抽出は、不溶性ウェットケーキ画分から(アルカリ性)タンパク質液体画分を分離する工程によって達成される。当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して、このような分離を達成し得る。例えば、このような分離は、デカンターまたは遠心分離機を使用して達成し得る。タンパク質液体が得られ、工程406において、タンパク質液体は膜濾過を受けて、精製されたポンガミアタンパク質の保持物が得られる。再び
図2Cを参照すると、工程408、工程410、工程412、および工程414において、保持物を、それぞれ、洗浄、中和、低温殺菌、および乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する。
【0156】
一態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程、
水性スラリーのタンパク質液体画分を分離する工程、
単離されたタンパク質液体画分を膜系に通過させて、ポンガミアタンパク質を含む保持物を得る工程;
任意に、保持物を、洗浄、中和および/または低温殺菌する工程;ならびに
保持物を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0157】
さらに別の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
水性スラリーのpHを8~10のpHに調整する工程、
水性スラリーのタンパク質液体画分を分離する工程、
単離されたタンパク質液体画分を膜系に通過させて、ポンガミアタンパク質を含む保持物を得る工程;
任意に、保持物を、洗浄、中和および/または低温殺菌する工程;ならびに
保持物を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0158】
前述のように、ポンガミアタンパク質は、ポンガミア粗びき粉を含有する水性スラリーから可溶化される。一態様では、ポンガミアタンパク質は、pH6~10でポンガミア粗びき粉を含有する水性スラリーから可溶化される。他の態様では、ポンガミアタンパク質が、スラリーのpHをアルカリ性pH(例えば、8~10)に調整する工程によって、ポンガミア粗びき粉を含有する水性スラリーから可溶化される。
【0159】
その後、スラリーは、工程404において、アルカリ性タンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離される。分離は、当該技術分野で公知の固液分離技術(例えば、デカンテーションおよび遠心分離が挙げられる)によって達成し得る。
【0160】
いくつかの態様では、pHを調整し、タンパク質液体画分を分離するための工程402および工程404はまた、タンパク質収率を改善するために得られるウェットケーキ画分に対して1回以上実施され得る。すなわち、ポンガミア粗びき粉は、残存する不溶性ウェットケーキ画分に対して実施されるように、可溶化のいくつかの逐次反復を受け得る。例えば、ウェットケーキを第2の水性スラリー中で調製し、アルカリ性pHに調整し、その後、第2のアルカリ性タンパク質液体画分を不溶性ケーキ画分から分離し、2つの液体画分を組み合わせ得る。反復抽出のために、ポンガミア粗びき粉を水性スラリー中で調製することができる。pHをそのままに保つか、pHを酸性pH(例えば、pH2)またはアルカリ性pH(例えば、pH8)のいずれかに調整する。得られたpH調整スラリーをそのタンパク質液体画分および不溶性ウェットケーキ画分に分離し、ウェットケーキ画分を後続の水性スラリー中で調製する。次いで、これをアルカリ性pHに調整し、さらなるタンパク質液体画分に分離する。連続的な可溶化から得られた任意のタンパク質液体画分は、後続の処理の前に、単一のタンパク質液体画分に組み合わされる。他の態様では、ポンガミア粗びき粉中の炭水化物を消化するための酵素を水性スラリーに添加して、タンパク質の可溶化を促進してもよい。
【0161】
図2Cを参照すると、工程406において、タンパク質液体画分を、濾過のために膜系に通過させる。膜濾過は、異なるカットオフサイズの可変膜、可変膜間圧力、および濃縮係数、および透析濾過係数を用いて実施し得る。いくつかの態様では、タンパク質液体を、5kDaの分子量カットオフ(MWCO)メンブランフィルター、または10kDaのMWCOメンブランフィルターに通過させる。特定の態様では、タンパク質液体を、5kDaのMWCOメンブランフィルターに通過させる。特定の他の態様では、タンパク質液体を、10kDaのMWCOメンブランフィルターに通過させる。またさらなる態様では、タンパク質液体を、0-5、0-4、0-2、2-5、2-4、または4-5の濃度係数(CF)で、および0-10、0-5、0-4、0-2、2-10、2-5、2-4、4-10、または4-5の透析濾過係数(DF)で、5kDaのMWCOメンブランフィルター、または10kDaのMWCOメンブランフィルターに通過させる。
【0162】
膜濾過から得られたタンパク質に富んだ保持物は、さらに任意に、洗浄、中和および/または低温殺菌され得る。特定の態様では、本方法は保持物を洗浄する工程をさらに含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、保持物は約pH7のpHに中和される。保持物は、適切な食品グレードの酸または塩基(例えば、リン酸もしくは塩酸、および水酸化ナトリウムなど)を添加する工程によって中和され得る。特定の実施形態では、保持物を中和する工程は、リン酸もしくは塩酸および/または水酸化ナトリウムを保持物に添加する工程を含む。
【0164】
またさらに他の実施形態では、保持物は低温殺菌される。
【0165】
またさらなる実施形態では、保持物は乾燥され、最終的なタンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する。ポンガミアタンパク質の固体は、当該技術分野で公知の方法(例えば、噴霧乾燥および/または凍結乾燥(lyophilization)(例えば、凍結乾燥(freeze-drying)などが挙げられる)によって乾燥され得る。
【0166】
いくつかの態様では、前述の方法によって得られるタンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミアタンパク質の分離物である。特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、ポンガミアタンパク質を少なくとも70%、または70%~95%有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで、少なくとも70%のポンガミアタンパク質;および、乾燥重量ベースで20%以下の炭水化物を有する。
【0167】
〔食品、飲料製品、および他の製品〕
特定の態様では、本明細書のタンパク質に富んだポンガミア組成物を組み込むか、またはそれを使用して製造される食品および飲料製品もまた提供される。当該タンパク質に富んだポンガミア組成物は、様々な食品および飲料製品(例えば、ジュースベースの高酸飲料、アレルゲンフリーの非乳低酸飲料、植物ベースのヨーグルト、植物ベースのアイスクリーム、パン製品、焼成スナック(baked snacks)、クリームスープ、肉類似品、およびチーズ類似品が挙げられる)におけるタンパク質強化のために使用され得る。
【0168】
いくつかの実施形態では、好適な食品は、例えば、スープ、ソース、サラダドレッシング、ハム、パン、クッキー、クラッカー、栄養バー、食事代替製品、およびスナックを含み得る。いくつかの態様では、本明細書のタンパク質に富んだポンガミア組成物を組み込むか、またはそれから製造される食品は、パン製品である。
【0169】
いくつかの実施形態では、飲料は、例えば、高酸飲料、中性飲料、炭酸飲料、非炭酸飲料、高タンパク質飲料、および食事代替飲料を含み得る。
【0170】
一態様では、本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア成分を含む食品、飲料製品、栄養補助食品、または他の製品が、本明細書に提供される。ここで、タンパク質に富んだポンガミア成分は、以下の(i)~(x)、またはそれら(i)~(x)の任意の組み合わせを有する:
(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;
(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;
(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;
(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの油の保油能力;
(viii)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;
(ix)少なくとも約10%の粉分散性;または
(x)薄く、苦くない味。
【0171】
本明細書に記載のように、タンパク質に富んだポンガミア組成物の特性は、様々な食品用途において成分として使用され得る。本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア組成物または成分は、それらの高タンパク質含有量に加えていくつかの好ましい特性を有し、それらを広範な食品および飲料製品に適したものにする。特定の用途に関して、本明細書に提供されるタンパク質に富んだポンガミア成分は、市場における他の植物ベースのタンパク質成分(例えば、エンドウ豆および大豆など)と比較して優れた特性を示した。従って、競合他社のタンパク質源よりも特定の食品に有利に組み込み得る。例示的な製品としては、飲料製品(例えば、すぐに飲める飲料またはタンパク質シェイク粉、植物ベースのヨーグルトを含む乳製品代替品、チーズまたは乳、肉代替製品(例えば、植物ベースのバーガー)、および卵代替品などが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0172】
さらに他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア成分を含む飲料製品が、本明細書に提供される。ここで、タンパク質に富んだポンガミア成分は、以下の(i)~(vii)、またはそれら(i)~(vii)の任意の組み合わせを有する:
(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;
(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;
(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vii)薄く、苦くない味。
【0173】
また、さらに他の実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア成分を含む乳製品代替品が、本明細書に提供される。ここで、タンパク質に富んだポンガミア成分は、以下の(i)~(ix)、またはそれら(i)~(x)の任意の組み合わせを有する:
(i)100s-1のせん断速度で、約2mPa*s~約100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;
(iii)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;
(v)約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、約5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;
(viii)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(ix)薄く、苦くない味。
【0174】
いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだポンガミア成分を含む肉代替製品が、本明細書に提供される。ここで、タンパク質に富んだポンガミア成分は、以下の(i)~(vi)、またはそれら(i)~(vi)の任意の組み合わせを有する:
(i)少なくとも約0.2g/cm3のかさ密度;
(ii)pH7で、少なくとも約35%のタンパク質溶解度;
(iii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの水の保水能力;
(iv)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも約1.5gの油の保油能力;
(v)100g当たり、少なくとも約10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(vi)薄く、苦くない味。
【0175】
他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア成分を含む卵代替品が、本明細書に提供される。ここで、タンパク質に富んだポンガミア成分は、以下の(i)~(iii)、またはそれら(i)~(iii)の任意の組み合わせを有する:
(i)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の約100%~約200%の発泡能力;
(ii)100g当たり、少なくとも約7gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(iii)薄く、苦くない味。
【0176】
前述のいくつかの態様では、食品または飲料製品は、1食当たり少なくとも1g、少なくとも2g、少なくとも3g、少なくとも4g、少なくとも5g、少なくとも6g、少なくとも7g、少なくとも8g、少なくとも9g、少なくとも10g、少なくとも12g、少なくとも15g、または少なくとも17gのポンガミアタンパク質を有する。いくつかの態様では、食品または飲料製品は、1食当たり1g~20gのポンガミアタンパク質を有する。特定の態様では、食品または飲料製品中、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%のタンパク質が、ポンガミアタンパク質に由来する。前述のいくつかの態様では、ポンガミアタンパク質は、少なくとも0.7のPDCAASを有する。前述の他の態様では、ポンガミアタンパク質は、少なくとも0.85のPDCAASを有する。
【0177】
食品および飲料製品は、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物以外の様々な他の成分を含むことができる。例えば、食品ならびに飲料製品は、例えば、水、粉末、脂肪および油、甘味料(例えば、糖など)、塩、発酵剤、果汁および野菜汁、増粘剤(例えば、ペクチンおよび他のヒドロコロイドなど)、消泡剤、天然香味料および人工香味料、防腐剤、ならびに着色剤を含み得る。
【0178】
別の態様では、食品および/または飲料製品を調製する方法が提供される。当該方法は、混合する工程/ブレンドする工程、低温殺菌する工程および/または滅菌する工程、焼成する工程、発酵する工程、炭酸塩化する工程、発酵する工程、ならびに包装する工程のうちの1つ以上を含み得る。
【0179】
他の態様では、本明細書のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、医薬品として使用され得るか、または医薬品に組み込まれ得る。前述の態様の特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、医薬グレード純度を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、99%以上のタンパク質純度を有する。
【0180】
他の態様では、本明細書のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、栄養補助食品として使用され得るか、または栄養補助食品に組み込まれ得る。前述の態様の特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、栄養補助食品グレード純度を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、99%以上のタンパク質純度を有する。
【0181】
他の態様では、本明細書のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、化粧品として使用され得るか、または化粧品に組み込まれ得る。前述の態様の特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、化粧品グレード純度を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、99%以上のタンパク質純度を有する。
【0182】
他の態様では、本明細書のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、医療食品として使用され得るか、または医療食品に組み込まれ得る。前述の態様の特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、医療食品グレード純度を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、99%以上のタンパク質純度を有する。
【0183】
他の態様では、本明細書のタンパク質に富んだポンガミア組成物は、人工栄養乳製品として使用するか、または人工栄養乳製品に組み込まれ得る。前述の態様の特定の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、人工栄養乳グレード純度を有する。他の態様では、タンパク質に富んだポンガミア組成物は、99%以上のタンパク質純度を有する。
【0184】
〔列挙された実施形態〕
以下に列挙する実施形態は、本発明のいくつかの態様を代表するものである。
【0185】
1.乾燥重量ベースで少なくとも45%のポンガミアタンパク質を含む、タンパク質に富んだポンガミア組成物。
【0186】
2.前記組成物は、乾燥重量ベースで45%~70%のポンガミアタンパク質を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0187】
3.前記組成物は、ポンガミアタンパク質の濃縮物である、実施形態1に記載の組成物。
【0188】
4.前記組成物は、ポンガミア粗びき粉に由来し、前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミア粗びき粉よりも少なくとも1.25倍多いポンガミアタンパク質含有量を有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【0189】
5.前記組成物は、乾燥重量ベースで5%未満の脂肪を有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【0190】
6.前記組成物は、乾燥重量ベースで2%未満の脂肪を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0191】
7.前記組成物は、ポンガミアに天然に由来する苦味化合物を200ppm未満有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0192】
8.前記組成物は、(i)200ppm未満のカランジン;または(ii)200ppm未満のポンガモール;または(iii)200ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0193】
9.前記組成物は、少なくとも15%のグルタミン酸、少なくとも12%のアスパラギン酸、少なくとも9%のロイシン、少なくとも8%のリシン、少なくとも6%のフェニルアラニン、またはそれらの任意の組み合わせを含む相対的アミノ酸プロファイルを有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0194】
10.前記組成物中に存在するタンパク質の少なくとも50%は、少なくともpH6のpHで水に可溶性である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
【0195】
11.前記組成物は、100s-1のせん断速度で、少なくとも2mPa*sの粘度を有する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
【0196】
12.前記組成物は、乳化される場合、少なくとも1μmの平均液滴サイズを有するエマルジョンを形成する、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物。
【0197】
13.前記組成物は、少なくとも0.7のタンパク質消化率補正アミノ酸価を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物。
【0198】
14.前記組成物は、10,000ダルトン~250,000ダルトンのタンパク質の平均分子量分布を有する、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物。
【0199】
15.タンパク質に富んだポンガミア組成物の製造方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
前記水性スラリーのpHを8~10のpHに調整する工程;
前記スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
前記タンパク質液体画分を中和、濃縮および/または低温殺菌する工程;および
前記タンパク質液体画分を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む。
【0200】
16.前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも50%のポンガミアタンパク質を含む、実施形態15に記載の方法。
【0201】
17.前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミアタンパク質の濃縮物である、実施形態15に記載の方法。
【0202】
18.前記方法は、ポンガミア豆を脱皮および粉砕してポンガミア粗びき粉を製造する工程をさらに含む、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
19.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;および
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、ポンガミア粗びき粉は、低減された脂肪含有量を有する工程をさらに含む、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
20.前記方法は、前記ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態19に記載の方法。
【0205】
21.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、低脂肪ポンガミア粗びき粉を製造する工程;および
前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を溶媒と組み合わせて、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、ポンガミア粗びき粉は脱脂および脱苦味される工程をさらに含む、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
22.前記方法は、溶媒と組み合わせる前に、前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態21に記載の方法。
【0207】
23.実施形態15~22のいずれか1つに記載の方法に従って製造された、タンパク質に富んだポンガミア組成物。
【0208】
24.実施形態1~14および23のいずれか1つに記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物を含む、食品、飲料製品、栄養補助食品、または他の製品。
【0209】
25.前記製品は、焼成食品、タンパク質サプリメント、タンパク質バー、または非乳製品飲料である、実施形態24に記載の製品。
【0210】
26.前記製品は、医療食品、人工栄養乳、化粧品、または医薬製品である、実施形態24に記載の製品。
【0211】
27.乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含む、タンパク質に富んだポンガミア組成物。
【0212】
28.前記組成物は、乾燥重量ベースで70%~90%のポンガミアタンパク質を有する、実施形態27に記載の組成物。
【0213】
29.前記組成物は、ポンガミアタンパク質の分離物である、実施形態27に記載の組成物。
【0214】
30.前記組成物は、ポンガミア粗びき粉に由来し、前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、前記ポンガミア粗びき粉よりも少なくとも1.25倍多いポンガミアタンパク質含有量を有する、実施形態27~29のいずれか1つに記載の組成物。
【0215】
31.前記組成物は、乾燥重量ベースで5%未満の脂肪を有する、実施形態27~30のいずれか1つに記載の組成物。
【0216】
32.前記組成物は、乾燥重量ベースで2%未満の脂肪を有する、実施形態27~31のいずれか1つに記載の組成物。
【0217】
33.前記組成物は、ポンガミアに天然に由来する苦味化合物を200ppm未満有する、実施形態27~32のいずれか1つに記載の組成物。
【0218】
34.前記組成物は、(i)200ppm未満のカランジン;または(ii)200ppm未満のポンガモール;または(iii)200ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する、実施形態27~33のいずれか1つに記載の組成物。
【0219】
35.前記組成物は、少なくとも15%のグルタミン酸、少なくとも12%のアスパラギン酸、少なくとも9%のロイシン、少なくとも8%のリシン、少なくとも6%のフェニルアラニン、またはそれらの任意の組み合わせを含む相対的アミノ酸プロファイルを有する、実施形態27~34のいずれか1つに記載の組成物。
【0220】
36.前記組成物中に存在するタンパク質の少なくとも50%は、少なくともpH6のpHで水に可溶性である、実施形態27~35のいずれか1つに記載の組成物。
【0221】
37.前記組成物は、100s-1のせん断速度で、少なくとも2mPa*sの粘度を有する、実施形態27~36のいずれか1つに記載の組成物。
【0222】
38.前記組成物は、乳化される場合、少なくとも1μmの平均液滴サイズを有するエマルジョンを形成する、実施形態27~37のいずれか1つに記載の組成物。
【0223】
39.前記組成物は、少なくとも0.7のタンパク質消化率補正アミノ酸価を有する、実施形態27~38のいずれか1つに記載の組成物。
【0224】
40.前記組成物は、10,000ダルトン~250,000ダルトンのタンパク質の平均分子量分布を有する、実施形態27~39のいずれか1つに記載の組成物。
【0225】
41.タンパク質に富んだポンガミア組成物の製造方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
前記水性スラリーのpHを8~10のpHに調整する工程、
前記スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
前記タンパク質液体画分からポンガミアタンパク質の少なくとも一部を沈殿させて、精製されたポンガミアタンパク質固体を得る工程;
前記精製されたポンガミアタンパク質固体を中和および低温殺菌する工程;ならびに
前記精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を有する。
【0226】
42.前記方法は、乾燥前に前記ポンガミアタンパク質固体を洗浄する工程をさらに含む、実施形態41に記載の方法。
【0227】
43.前記沈殿工程は、等電沈殿によって行われる、実施形態41または42に記載の方法。
【0228】
44.前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含む、実施形態41~43のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
45.前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミアタンパク質の分離物である、実施形態41~43のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
46.前記方法は、ポンガミア豆を脱皮および粉砕してポンガミア粗びき粉を製造する工程をさらに含む、実施形態41~45のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
47.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;および
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、前記ポンガミア粗びき粉は、低減された脂肪含有量を有する工程をさらに含む、実施形態41~45のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
48.前記方法は、前記ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態47に記載の方法。
【0233】
49.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、低脂肪ポンガミア粗びき粉を製造する工程;および
前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を溶媒と組み合わせて、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、前記ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味される工程をさらに含む、実施形態41~45のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
50.前記方法は、溶媒と組み合わせる前に、前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態49に記載の方法。
【0235】
51.実施形態41~50のいずれか1つに記載の方法に従って製造された、タンパク質に富んだポンガミア組成物。
【0236】
52.実施形態27~40および51のいずれか1つに記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物を含む、食品、飲料製品、栄養補助食品、または他の製品。
【0237】
53.前記製品は、焼成製品、タンパク質サプリメント、タンパク質バー、または非乳製品飲料である、実施形態52に記載の製品。
【0238】
54.前記製品は、医療食品、人工栄養乳、または医薬製品である、実施形態52に記載の製品。
【0239】
55.乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含む、タンパク質に富んだポンガミア組成物。
【0240】
56.前記組成物は、乾燥重量ベースで70%~90%のポンガミアタンパク質を有する、実施形態55に記載の組成物。
【0241】
57.前記組成物は、ポンガミアタンパク質の分離物である、実施形態55に記載の組成物。
【0242】
58.前記組成物は、ポンガミア粗びき粉に由来し、前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミア粗びき粉よりも少なくとも1.25倍多いポンガミアタンパク質含有量を有する、実施形態55~57のいずれか1つに記載の組成物。
【0243】
59.前記組成物は、乾燥重量ベースで5%未満の脂肪を有する、実施形態55~58のいずれか1つに記載の組成物。
【0244】
60.前記組成物は、乾燥重量ベースで2%未満の脂肪を有する、実施形態55~59のいずれか1つに記載の組成物。
【0245】
61.前記組成物は、ポンガミアに天然に由来する苦味化合物を200ppm未満有する、実施形態55~60のいずれか1つに記載の組成物。
【0246】
62.前記組成物は、(i)200ppm未満のカランジン;または(ii)200ppm未満のポンガモール;または(iii)200ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する、実施形態55~61のいずれか1つに記載の組成物。
【0247】
63.前記組成物は、少なくとも15%のグルタミン酸、少なくとも12%のアスパラギン酸、少なくとも9%のロイシン、少なくとも8%のリシン、少なくとも6%のフェニルアラニン、またはそれらの任意の組み合わせを含む相対的アミノ酸プロファイルを有する、実施形態55~62のいずれか1つに記載の組成物。
【0248】
64.前記組成物中に存在するタンパク質の少なくとも50%は、少なくともpH6のpHで水に可溶性である、実施形態55~63のいずれか1つに記載の組成物。
【0249】
65.前記組成物は、100s-1のせん断速度で、少なくとも2mPa*sの粘度を有する、実施形態55~64のいずれか1つに記載の組成物。
【0250】
66.前記組成物は、乳化される場合、少なくとも1μmの平均液滴サイズを有するエマルジョンを形成する、実施形態55~65のいずれか1つに記載の組成物。
【0251】
67.前記組成物は、少なくとも0.7のタンパク質消化率補正アミノ酸価を有する、実施形態55~66のいずれか1つに記載の組成物。
【0252】
68.前記組成物は、10,000ダルトン~250,000ダルトンのタンパク質の平均分子量分布を有する、実施形態55~67のいずれか1つに記載の組成物。
【0253】
69.タンパク質に富んだポンガミア組成物の製造方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
前記水性スラリーのpHを8~10のpHに調整する工程、
前記スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
前記タンパク質液体画分を膜系に通過させて、ポンガミアタンパク質を含む保持物を得る工程;
任意に、前記保持物を、洗浄、中和および/または低温殺菌する工程;ならびに
前記保持物を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を有する。
【0254】
70.前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含む、実施形態69に記載の方法。
【0255】
71.前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、ポンガミアタンパク質の分離物である、実施形態69に記載の方法。
【0256】
72.前記方法は、ポンガミア豆を脱皮および粉砕してポンガミア粗びき粉を製造する工程をさらに含む、実施形態69~71のいずれか1つに記載の方法。
【0257】
73.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;および
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、前記ポンガミア粗びき粉は、低減された脂肪含有量を有する工程をさらに含む、実施形態69~71のいずれか1つに記載の方法:
74.前記方法は、前記ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態73に記載の方法。
【0258】
75.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、低脂肪ポンガミア粗びき粉を製造する工程;および
前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を溶媒と組み合わせて、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、前記ポンガミア粗びき粉が脱脂および脱苦味される工程をさらに含む、実施形態69~71のいずれか1つに記載の方法。
【0259】
76.前記方法は、溶媒と組み合わせる前に、前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態75に記載の方法。
【0260】
77.実施形態69~76のいずれか1つに記載の方法に従って製造される、タンパク質に富んだポンガミア組成物。
【0261】
78.実施形態55~68および77のいずれか1つのタンパク質に富んだポンガミア組成物を含む、食品、飲料製品、栄養補助食品、または他の製品。
【0262】
79.前記製品は、焼成製品、タンパク質サプリメント、タンパク質バー、または非乳製品飲料である、実施形態78に記載の製品。
【0263】
80.前記製品は、医療食品、人工栄養乳、化粧品、または医薬製品である、実施形態78に記載の製品。
【0264】
81.乾燥重量ベースで少なくとも40%のポンガミアタンパク質を含む、タンパク質に富んだポンガミア成分であって、
前記成分は(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する;ならびに
前記成分は、乾燥重量ベースで40%未満の炭水化物を有する、成分。
【0265】
82.前記成分は、乾燥重量ベースで40%~70%のポンガミアタンパク質を有する、実施形態81に記載の成分。
【0266】
83.前記成分は、ポンガミアタンパク質の濃縮物である、実施形態81に記載の成分。
【0267】
84.前記成分は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含み、
前記成分は(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する;ならびに
前記成分は、乾燥重量ベースで約20%以下の炭水化物を有する、実施形態81に記載の成分。
【0268】
85.前記成分は、乾燥重量ベースで、70%~90%のポンガミアタンパク質を有する、実施形態84に記載の成分。
【0269】
86.前記成分は、ポンガミアタンパク質の分離物である、実施形態85に記載の成分。
【0270】
87.乾燥重量ベースで、少なくとも40%のポンガミアタンパク質を含む、タンパク質に富んだポンガミア成分であって、
前記成分は(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する;ならびに
前記成分は、乾燥重量ベースで50%未満の炭水化物を有する、成分。
【0271】
88.前記成分は、ポンガミア粗びき粉に由来し、前記タンパク質に富んだポンガミア成分は、ポンガミア粗びき粉よりも少なくとも1.25倍多いポンガミアタンパク質含有量を有する、実施形態81~87のいずれか1つに記載の成分。
【0272】
89.前記成分は、乾燥重量ベースで5%未満の脂肪を有する、実施形態81~88のいずれか1つに記載の成分。
【0273】
90.前記成分は、乾燥重量ベースで2%未満の脂肪を有する、実施形態81~89のいずれか1つに記載の成分。
【0274】
91.前記成分は、少なくとも15%のグルタミン酸、少なくとも12%のアスパラギン酸、少なくとも9%のロイシン、少なくとも8%のリシン、少なくとも6%のフェニルアラニン、またはそれらの任意の組み合わせを含む相対的アミノ酸プロファイルを有する、実施形態81~90のいずれか1つに記載の成分。
【0275】
92.前記成分中に存在するタンパク質の少なくとも35%は、少なくともpH6のpHで水に可溶性である、実施形態81~91のいずれか1つに記載の成分。
【0276】
93.前記成分は、100s-1のせん断速度で、少なくとも2mPa*sの粘度を有する、実施形態81~92のいずれか1つに記載の成分。
【0277】
94.前記成分は、乳化される場合、少なくとも1μmの平均液滴サイズを有するエマルジョンを形成する、実施形態81~93のいずれか1つに記載の成分。
【0278】
95.前記成分は、少なくとも0.7のタンパク質消化率補正アミノ酸価を有する、実施形態81~94のいずれか1つに記載の成分。
【0279】
96.前記成分は、10,000ダルトン~250,000ダルトンのタンパク質の平均分子量を有する、実施形態81~95のいずれか1つに記載の成分。
【0280】
97.前記成分は、種子貯蔵タンパク質を含み、存在するタンパク質の30~40%は、SDS-PAGEによって決定される45kDa~約70kDaの分子量を有するタンパク質である、実施形態81~96のいずれか1つに記載の成分。
【0281】
98.前記成分は、170kDa~250kDa、115kDa~160kDa、45kDa~70kDa、19kDa~25kDa、14kDa~17kDa、もしくは10kDa~13kDa、またはそれらの任意の組み合わせの分子量を有する種子貯蔵タンパク質をさらに含む、実施形態97に記載の成分。
【0282】
99.前記成分は:
(i)100s-1のせん断速度で、2mPa*s~100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%タンパク質溶液の体積の100%~200%の発泡能力;
(iii)少なくとも0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも35%のタンパク質溶解度;
(v)5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの水の保水能力;
(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの油の保油能力;
(viii)100g当たり、少なくとも10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;
(ix)少なくとも10%の粉分散性;または
(x)薄く、苦くない味;
またはそれら(i)~(x)の任意の組み合わせ、を有する、実施形態81~98のいずれか1つに記載の成分。
【0283】
100.前記成分は:
(i)100s-1のせん断速度で、2mPa*s~100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%w/vポンガミアタンパク質溶液の体積の100%~200%の発泡能力;
(iii)少なくとも0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも35%のタンパク質溶解度;
(v)5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vii)薄く、苦くない味;
またはそれら(i)~(vii)の任意の組み合わせ、を有する、実施形態99に記載の成分。
【0284】
101.前記成分は:
(i)100s-1のせん断速度で、2mPa*s~100mPa*sの粘度;
(ii)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の100%~200%の発泡能力;
(iii)少なくとも0.2g/cm3のかさ密度;
(iv)pH7で、少なくとも35%のタンパク質溶解度;
(v)5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vi)7日間の保存後の、5μm以下のメジアンエマルジョン液滴サイズ;
(vii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの水の保水能力;
(viii)100g当たり、少なくとも10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(ix)薄く、苦くない味、
またはそれら(i)~(x)の任意の組み合わせ、を有する、実施形態99に記載の成分。
【0285】
102.前記成分は:
(i)少なくとも0.2g/cm3のかさ密度;
(ii)pH7で、少なくとも35%のタンパク質溶解度;
(iii)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの水の保水能力;
(iv)タンパク質に富んだポンガミア成分1g当たり、少なくとも1.5gの油の保油能力;
(v)100g当たり、少なくとも10gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(vi)薄く、苦くない味;
またはそれら(i)~(vi)の任意の組み合わせ、を有する、実施形態99に記載の成分。
【0286】
103.前記成分は:
(i)0.1%w/vタンパク質溶液の体積の100%~200%の発泡能力;
(ii)100g当たり、少なくとも7gのタンパク質に富んだポンガミア成分の最小ゲル化濃度;または
(iii)薄く、苦くない味;
またはそれら(i)~(iii)の任意の組み合わせ、を有する、実施形態99に記載の成分。
【0287】
104.タンパク質に富んだポンガミア組成物の製造方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程
ここでは、前記ポンガミア粗びき粉は脱脂および脱苦味され、(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する;
前記水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程;
前記スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
前記タンパク質液体画分を中和、濃縮および/または低温殺菌する工程;ならびに
前記タンパク質液体画分を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む、方法。
【0288】
105.前記タンパク質に富んだポンガミア組成物は、乾燥重量ベースで少なくとも50%のポンガミアタンパク質を含む、実施形態104に記載の方法。
【0289】
106.タンパク質に富んだポンガミア成分を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程、
ここでは、前記ポンガミア粗びき粉は、脱脂および脱苦味され、(i)500ppm未満のカランジン;または(ii)500ppm未満のポンガモール;または(iii)500ppm未満のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する;
前記水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程、
前記スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
前記タンパク質液体画分からポンガミアタンパク質の少なくとも一部を沈殿させて、精製されたポンガミアタンパク質固体を得る工程;
前記精製されたポンガミアタンパク質固体を中和および低温殺菌する工程;ならびに
前記精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア成分を提供する工程、を含む。
【0290】
107.前記方法は、乾燥前に前記ポンガミアタンパク質固体を洗浄する工程をさらに含む、実施形態106に記載の方法。
【0291】
108.前記沈殿工程は、等電沈殿によって行われる、実施形態106または107に記載の方法。
【0292】
109.前記タンパク質に富んだポンガミア成分は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含む、実施形態106~108のいずれか1つに記載の方法。
【0293】
110.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;および
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、前記ポンガミア粗びき粉は、低減された脂肪含有量を有する工程をさらに含む、実施形態106~109のいずれか1つに記載の方法。
【0294】
111.前記方法は、前記ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態110に記載の方法。
【0295】
112.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、低脂肪ポンガミア粗びき粉を製造する工程;および
前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を溶媒と組み合わせて、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、前記ポンガミア粗びき粉が脱脂および脱苦味される工程をさらに含む、実施形態106~111のいずれか1つに記載の方法。
【0296】
113.前記方法は、溶媒と組み合わせる前に、前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態112に記載の方法。
【0297】
114.前記溶媒は、酢酸エチル、エチルアルコール、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態112または113に記載の方法。
【0298】
115.タンパク質に富んだポンガミア成分を製造する方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
前記水性スラリーのpHを6~10のpHに調整する工程、
前記スラリーをタンパク質液体画分と不溶性ウェットケーキ画分とに分離する工程;
前記タンパク質液体画分を膜系に通過させて、ポンガミアタンパク質を含む保持物を得る工程;
任意に、前記保持物を、洗浄、中和および/または低温殺菌する工程;ならびに
前記保持物を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア成分を提供する工程、を含む、方法。
【0299】
116.前記タンパク質に富んだポンガミア成分は、乾燥重量ベースで少なくとも70%のポンガミアタンパク質を含む、実施形態115に記載の方法。
【0300】
117.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;および
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、前記ポンガミア粗びき粉は、低減された脂肪含有量を有する工程をさらに含む、実施形態115または実施形態116に記載の方法。
【0301】
118.前記方法は、前記ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態117に記載の方法。
【0302】
119.前記方法は:
ポンガミア豆を脱皮し、脱皮されたポンガミア豆を製造する工程;
前記脱皮されたポンガミア豆をプレスして、ポンガミア豆中の遊離油の少なくとも一部を除去し、低脂肪ポンガミア粗びき粉を製造する工程;および
前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を溶媒と組み合わせて、ポンガミア粗びき粉を製造する工程であって、前記ポンガミア粗びき粉が脱脂および脱苦味される工程、をさらに含む、実施形態115~117のいずれか1つに記載の方法。
【0303】
120.前記方法は、溶媒と組み合わせる前に、前記低脂肪ポンガミア粗びき粉を粉砕する工程をさらに含む、実施形態119に記載の方法。
【0304】
121.タンパク質に富んだポンガミア組成物の製造方法であって:
ポンガミア粗びき粉の水性スラリーを調製する工程;
前記水性スラリーのpHを4~5のpHに調整してポンガミアタンパク質固体を得る工程;
精製されたタンパク質固体を、洗浄、中和、および低温殺菌する工程;ならびに
前記精製されたポンガミアタンパク質固体を乾燥させて、タンパク質に富んだポンガミア組成物を提供する工程、を含む、方法。
【0305】
122.実施形態103~121のいずれか1つに記載の方法に従って製造された、タンパク質に富んだポンガミア成分。
【0306】
123.実施形態81~103および122のいずれか1つに記載のタンパク質に富んだポンガミア成分を含む、食品、飲料製品、栄養補助食品、または他の製品。
【0307】
124.前記製品は、焼成製品、タンパク質サプリメント、タンパク質バー、または非乳製品飲料である、実施形態123に記載の製品。
【0308】
125.前記製品は、医療食品、人工栄養乳、化粧品、または医薬製品である、実施形態123に記載の製品。
【0309】
126.前記製品は、飲料製品、乳製品代替品、肉代替製品、または卵代替品である、実施形態123に記載の製品。
【0310】
127.前記飲料製品は、フルーツスムージー、食事代替飲料、タンパク質飲料、即席シェイクである、実施形態126に記載の製品。
【0311】
128.前記製品は、1食当たり少なくとも20gのタンパク質に富んだポンガミア成分を含む飲料製品である、実施形態123、126、および127のいずれか1つに記載の製品。
【0312】
129.乳製品代替品は、非乳製品乳、非乳製品チーズ、非乳製品コーヒーホワイトナー、または非乳製品コーヒークリーマー、非乳製品ヨーグルト、非乳製品ギリシャヨーグルト、非乳製品飲用ヨーグルトである、実施形態126に記載の製品。
【0313】
〔実施例〕
本開示の主題は、以下の実施例を参考することによってよりよく理解されるであろう。以下の実施例は本発明の例示として提供されるものであり、限定するものではない。
【0314】
〔実施例1〕
脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉の調製
本実施例は、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉の調製を説明し、一般に、
図1に記載の方法に従う。ポンガミア豆を油圧プレスでプレスして遊離油を除去した。それによって、約15%~25%の脂肪を有する低脂肪ポンガミア粗びき粉を製造した。次に、低脂肪ポンガミア粗びき粉を、油抽出器を用いて、エタノール(5:1;溶媒:固体の比)で3時間、50℃~65℃で抽出した。残留溶媒を乾燥により除去した。溶媒抽出粗びき粉を様々なアッセイに供し、様々な成分(例えば、水分、未精製の脂肪、タンパク質、炭水化物、灰分、食物繊維、アミノ酸、糖など)についてポンガミア粗びき粉を分析した。本開示においてポンガミア粗びき粉を評価するために使用されるアッセイは、AOAC International analytical methodsから得た。アッセイを簡潔に要約し、以下の表1に示す。
【0315】
【0316】
近成分析(proximate analysis)は次のように実行した:総タンパク質含有量は、タンパク質分析装置の燃焼チャンバーにポンガミア粗びき粉のサンプルを入れ、燃焼により生じた気体の総窒素含有量を測定し、観察された窒素含有量(タンパク質含有量=6.25×窒素含有量)からタンパク質を計算することによって測定した。総脂肪含有量は、石油エーテル(AOCS BA3-38参照法、修正)を用いた還流下での溶媒抽出によって測定した。
【0317】
総炭水化物含有量は、総灰分含有量(%)、総タンパク質含有量(%)、総水分含有量(%)、および総脂肪(%)の合計を差し引いたポンガミア粗びき粉(100%)の残りの割合として計算した。総灰分含有量は、ポンガミア粗びき粉のサンプル(2g)をるつぼに入れ、サンプルをオーブン中で乾燥し、サンプルをマッフル炉中にて600℃で灰化し、灰分の重量を測定することによって測定した(AOAC 942.05参照法)。秤量したサンプルを130℃で2時間、強制通風オーブン中で加熱し、水分含有量として計算した%差(AOCS BA 2A-38参照法)を用いてサンプル重量の差を測定することによって、総水分含有量を測定した。
【0318】
ポンガミアサンプルのカランジンおよびポンガモール含有量は、サンプル由来のカランジンおよびポンガモールの溶媒抽出、それに次ぐ本明細書に記載のHPLC分析によって測定した。
【0319】
溶媒抽出した粗びき粉を、未精製(crude)の脂肪、タンパク質、カランジン、およびポンガモールの含有量について分析した。結果を表2に示す。脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、0.5%未満の脂肪、および約10ppm未満のカランジンおよびポンガモールの濃度を有することが観察された。処理された粗びき粉は、異臭がなく、苦くない味を有することが観察された。
【0320】
【0321】
〔実施例2A〕
可溶化によるポンガミアタンパク質の濃縮物の調製
本実施例は、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉由来のポンガミアタンパク質の濃縮物のタンパク質抽出およびタンパク質製造を説明し、一般に、
図2Aに記載の例示的な処理に従う。
【0322】
脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、溶媒として酢酸エチルを使用して、前述の実施例1に記載の方法に従って得た。得られた酢酸エチル抽出ポンガミア粗びき粉を、本実施例におけるタンパク質抽出の出発物質として使用した。脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉の水性スラリーを、高せん断ミキサーを用いて、水(1:6;15%固形分)で調製した。スラリーのpHをNaOH(10M NaOH(水溶液)、約40%水溶液)でpH8に調整し、25℃で2時間連続的に撹拌した。スラリーを、遠心分離によって液相およびウェットケーキを含有するタンパク質に分離した。タンパク質溶液のpHを中性pH(7.0)に調整し、凍結乾燥してポンガミアタンパク質の濃縮物を製造した。この処理は、粗びき粉から総タンパク質の70~75重量%を抽出および回収する工程をもたらした。ポンガミアタンパク質の濃縮物は、50重量%のタンパク質を含有した。
【0323】
タンパク質含有量は、6.25の一般的な変換係数を用いて、総窒素によって測定された。含窒素量は前述の実施例1に記載されるように、燃焼分析方法を用いて測定された。
【0324】
ポンガミアタンパク質の濃縮物の近似組成、相対的アミノ酸プロファイル、タンパク質消化性補正アミノ酸価(PDCAAS)を、以下の表3、表4、および表5に示す。前述の実施例1に記載されたプロトコールによって、近似組成およびアミノ酸プロファイルを測定した。PDCAASは、基準タンパク質としてヒト乳の基準アミノ酸パターンを用いて計算された。本実施例で製造されたポンガミアタンパク質の濃縮物は、大豆タンパク質(米国農務省食品データセントラルデータベース、酸洗浄によって製造された大豆タンパク質の濃縮物(第16420項目))およびエンドウ豆タンパク質(PURIS(商標)エンドウ豆タンパク質870)と同様かつ同等のアミノ酸プロファイルを有することが観察された。
【0325】
【0326】
【0327】
【0328】
〔実施例2B〕
等電沈殿(Isoelectric Precipitation)によるポンガミアタンパク質の分離物の調製
本実施例は、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉由来のタンパク質抽出およびタンパク質に富んだポンガミア組成物(ポンガミアタンパク質の分離物)の製造を説明し、一般に、
図2Bに記載の例示的な処理に従う。
【0329】
処理実験A
本実施例のタンパク質抽出の出発物質として、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を使用した。脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、溶媒として酢酸エチルを使用したことを除いて、前述の実施例1に記載の方法に従って得られた。
【0330】
脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉の水性スラリーを、高せん断ミキサーを用いて、水(1:6;15%固形分)で調製した。スラリーのpHを10MのNaOHでpH8に調整し、25℃で2時間、連続して撹拌した。スラリーを、遠心分離によって液相およびウェットケーキを含有するタンパク質に分離した。タンパク質溶液のpHをリン酸(85%水溶液)でpH4.5に調整し、30分間撹拌してタンパク質沈殿物を形成した。沈殿したタンパク質を遠心分離によって回収し、水で40%固形分に再懸濁した。1MのNaOHでpH7.0に調整し、凍結乾燥してタンパク質の分離物の粉とした。この処理は脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉から約70~75重量%を抽出し、総タンパク質の約40~50重量%を回収することをもたらした。ポンガミアタンパク質の分離物は、約70重量%のタンパク質を含有した。出発物質中の総タンパク質の約38%が回収された。ポンガミアタンパク質の分離物の近似組成および脂肪酸プロファイルを、前述の実施例1に記載されたプロトコールに従って測定した。ポンガミアタンパク質の分離物の水分、未精製の脂肪、タンパク質、炭水化物、および灰分の含有量を、表6に示す。ポンガミアタンパク質の分離物の相対的アミノ酸プロファイルを、表7に示す。
【0331】
【0332】
【0333】
処理実験B
本実施例のタンパク質抽出の出発物質として、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を使用した。脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、溶媒としてエタノールを使用して、前述の実施例1に記載の方法に従って得られた。
【0334】
脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉の水性スラリーを、高せん断ミキサーを用いて、水(1:6;15%固形分)で調製した。スラリーのpHを10%のNaOHでpH8に調整し、25℃で1時間、連続して撹拌した。スラリーを、デカンター遠心分離機を用いてタンパク質含有液相およびウェットケーキに分離した。ウェットケーキを再び水に再懸濁してpH8に調整し、さらに25℃で1時間撹拌した。スラリーを再びデカンター遠心分離機によってタンパク質含有液相およびウェットケーキに分離した。2つのタンパク質含有液相を組み合わせ、リン酸(85%水溶液)でpH4.5に調整した。30分間撹拌して、タンパク質沈殿物を形成した。沈殿したタンパク質を遠心分離により回収して、水で洗浄し、水(~16%固形分)に再懸濁した。10%のNaOHでpH7.0に調整し、低温殺菌し、最後にタンパク質の分離物の粉に噴霧乾燥した。
【0335】
最初の抽出の間、出発物質中に存在する総タンパク質の~45%が抽出された。最初の抽出に由来する不溶性物質(ウェットケーキ)を洗浄することによって、さらに10~14%の出発タンパク質が回収され、最初のタンパク質総量の54~59%の抽出が得られた。抽出されたタンパク質の約35~47%が酸沈殿工程中に回収され、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉由来の総タンパク質の15~26重量%の総収率が得られた。
【0336】
前述の処理を2回実施して、2つのポンガミアタンパク質の分離物サンプルを得た。両方のポンガミアタンパク質の分離物は、約80重量%のタンパク質を含有した。ポンガミアタンパク質の分離物の近似組成およびアミノ酸プロファイルを、前述の実施例1に記載のプロトコールに従って測定した。ポンガミアタンパク質の分離物の水分、未精製の脂肪、タンパク質、炭水化物、および灰分の含有量を、表8に示す。ポンガミアタンパク質の分離物の相対的アミノ酸プロファイルを、表9に示す。
【0337】
【0338】
【0339】
〔実施例2C〕
膜濾過によるポンガミアタンパク質の分離物の調製
本実施例は、膜濾過による脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉由来のタンパク質抽出およびタンパク質に富んだポンガミア組成物(ポンガミアタンパク質の分離物)の製造を説明し、一般に、
図2Cに記載の例示的な方法に従う。
【0340】
本実施例のタンパク質抽出の出発物質として、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉を使用した。脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉は、溶媒として酢酸エチルを使用したことを除いて、前述の実施例1に記載の方法に従って得られた。
【0341】
脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉の水性スラリーを、高せん断ミキサーを用いて、水(1:6;15%固形分)で調製した。スラリーのpHを2MのNaOH(~8%水溶液)でpH8に調整し、25℃で2時間、連続して撹拌した。スラリーは、デカンターを用いて液相およびウェットケーキを含有するタンパク質に分離した。液相を含むタンパク質を、10kDaの分子量カットオフ(MWCO)中空糸膜モジュール(hollow fiber membrane module)(420cm2)または5kDaのMWCOフラットシートカセット(flat sheet cassette)(1000cm2)を用いて、実験室規模の膜濾過装置で濾過した。浸透流および膜間圧力(~2.8bar)を、妥当な浸透流束を得るために選択した。膜濾過は、4~5の濃縮係数(CF)および2~4の透析濾過係数(DF)で行った。得られた保持物をさらに洗浄し、凍結乾燥してタンパク質の分離物の粉とした。
【0342】
この処理により、総タンパク質の約70~75重量%が抽出され、総タンパク質の約30重量%が粗びき粉から回収された。膜濾過により製造されたポンガミアタンパク質の分離物は、約80重量%のタンパク質を含有した。
【0343】
実施された1つの実験では、5kDaの膜または10kDaの膜のいずれかを含む試験を、液相(前述したプロトコールに従って製造される)を含むタンパク質に対して実施した。条件および結果を以下の表10に示す。
【0344】
【0345】
〔実施例3〕
ポンガミアタンパク質の分子量の特性
本実施例は、(i)ポンガミア豆、(ii)低温プレスされたポンガミア粗びき粉、(iii)前述の実施例1に記載の方法に従って得られた脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉、ならびに(iv)前述の実施例2A~2Cに記載の方法に従って得られたタンパク質に富んだポンガミア組成物、の中に存在するタンパク質の分子量の特徴を説明する。様々な処理段階の後に得られたポンガミアタンパク質の分子量を、大豆タンパク質の分離物の分子量、および部分的に脱脂された大豆粗びき粉から抽出されたタンパク質の分子量の特徴と比較して示す。
【0346】
図5A~
図5Dを参照すると、ポンガミア豆中に存在するタンパク質およびそれに由来する物質のサイズ分布および相対存在度は、SDS-PAGEによって決定された。分子量は、一般に以下のプロトコールに従って測定された。
図5Aについては、これらのパネル中のタンパク質抽出物を、50mMのTRIS-HCl、pH8.3、100mMのNaCl、2mMのEDTA、1%のSDS、および1mMのPMSFを含有するタンパク質抽出緩衝液中にて、示された物質を機械的に破壊することによって調製した。各々の抽出物中のタンパク質濃度を、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準として用いたブラッドフォードアッセイ(Bradford assay)を用いて測定した。抽出物を希釈し、変性SDS-PAGEサンプル緩衝液と混合した後、12%のSDS-PAGEゲル(1レーン当たり約30μg)に加えた。市販のストックから純粋なBSAをSDS-PAGEサンプル緩衝液中に直接希釈し、染色されていない分子量マーカー(約66kDa)、ならびにタンパク質量の基準(1レーン当たり約6μg)として含めた。大豆タンパク質の分離物は、Solae(10002061)由来のSUPRO XT40単離大豆タンパク質製品であった。市販の大豆(soybeans)(大豆(soya))を低温プレスすることにより、低脂肪大豆粗びき粉を自社で製造した。事前に染色された分子量の基準(示さず)は、Thermo Scientific PageRuler Plus Prestained Protein Ladder(26619)であった。
図5B~5Dを参照すると、これらのパネル中のタンパク質サンプルは、ポンガミアタンパク質に富んだ組成物の調製において、様々な段階から採取された。ポンガミアタンパク質の濃縮物のための凍結乾燥された(FD)粉、等電沈殿による分離物、または膜濾過による分離物を、20mg/ml(2%w/v)の水中で再構成した。各々のサンプル中のタンパク質濃度を、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準として使用するブラッドフォードアッセイまたはBCAアッセイによって測定した。一定分量をH
2Oで希釈し、変性SDS-PAGEサンプル緩衝液と混合した後、SDS-PAGEゲル上にタンパク質サンプルを加えた。単純なpH8の抽出物の膜濾過によって製造された凍結乾燥された分離物中のタンパク質プロファイルを、対応する「親(parental)」の凍結乾燥されたpH8の抽出物(濃縮物)と比較するパネルについては、レーンごとに比較的少ないタンパク質が加えられ、異なるゲル系が使用されたことに留意されたい。
【0347】
ポンガミア豆は、サイズが約10kDa~250kDaの範囲のいくつかの容易に識別可能なタンパク質を含むことが見出された。単一の最も豊富なタンパク質の種(総タンパク質の30%~40%に相当する)は、約55kDaの二重線(doublet)である。さらに、250kDa、130kDa、25kDa、15kDa、および10kDaの5つの他の顕著なクラスがある。おそらくポンガミア種子貯蔵タンパク質に対応するこれら6つのクラスは一緒になって、ポンガミア粗びき粉および粉末、ならびにそれらから調製されるタンパク質の濃縮物または分離物の機能性に最大の影響を有することが見出されている。ポンガミア豆に見出される顕著なタンパク質(ならびに大部分の他のタンパク質)は、食用粉末を製造するための前述の実施例に記載された処理工程を通して、ほとんど無傷のままであることが観察された。重要なことに、これらのタンパク質は、水抽出プロトコール、等電沈殿プロトコール、または本明細書に記載の膜濾過プロトコール(実施例2A~2C)を用いて、脱脂および/または脱苦味されたポンガミア粗びき粉から容易に抽出できることが観察された。
【0348】
〔実施例4〕
ポンガミアタンパク質の機能特性
本実施例では、前述の実施例2に記載の方法に従って製造されたポンガミアタンパク質組成物の溶解度、粘度、および乳化特性を特徴付け、大豆、エンドウ豆、ルピナス、およびヒマワリ種子のタンパク質と比較した。
【0349】
タンパク質溶解度
ポンガミアタンパク質組成物の溶解度を測定するために、2%w/wのタンパク質溶液(窒素*5.7に基づく)を水中で調製し、酸または塩基を用いて示されたpH値に調整し、室温で2時間撹拌した。サンプルを20℃で10分間、20,000gで遠心分離させ、上清を採取した。上清の窒素含有量は、Kjeldahl法によって測定した。タンパク質溶解度(例えば、20,000gの上清中に存在するタンパク質など)を、溶液中に添加されたタンパク質の最初の量の割合として表した。タンパク質溶解度は、溶媒の体積当たりの溶解溶質の質量(g/L)として表すこともできる。
【0350】
図3は、様々なpH値で水中のポンガミアタンパク質の濃縮物中に存在するポンガミアタンパク質のタンパク質溶解度曲線を示す。HClまたはNaOHを用いて、2%w/wタンパク質水溶液(窒素
*5.7に基づく)のpHを所望の値(pH3~pH9)に調整することによって、溶解度曲線を作成した。懸濁液を室温で2時間撹拌し、次いで遠心分離して不溶性物質を除去した。
図4Aおよび4Dは、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物中のタンパク質のpH7.0での溶解度を、市販の植物タンパク質組成物の溶解度と比較する。
【0351】
粘度
タンパク質に富んだポンガミア組成物の粘度を測定するために、4%w/wタンパク質溶液(窒素
*5.7に基づく)を調製し、室温で30分間撹拌した。次いで、タンパク質溶液を90℃で15分間加熱し、室温に冷却した。粘度は、0s
-1~1000s
-1のせん断速度で、20℃のレオメーターを用いて測定した。
図4Bおよび4Eでは、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物から調製された溶液について、100s
-1のせん断速度での粘度を、市販の植物タンパク質組成物を用いて調製されたものと比較する。
【0352】
タンパク質の乳化
1:10のタンパク質対脂肪比を用いてエマルジョンを調製した。1%タンパク質濃度を水溶液中の10%ヒマワリ油と共に使用した。最初にタンパク質を水和し、高せん断(15,000rpm)で2分間混合しながら脂肪をゆっくりと添加した。水-タンパク質-油の混合物を300/30barで均質化して、安定なエマルジョンを形成した。エマルジョンを、レーザー回折によって液滴サイズについて分析した。観察された液滴サイズを
図4Cおよび4Eに示す。
【0353】
溶解度、粘度、および乳化特性についての機能特性の結果を、
図4A~4Fに示す。ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物は、試験した市販の豆科植物タンパク質と比較して、優れた溶解度(約80%)を有することが見出された。ポンガミアタンパク質(濃縮物または分離物のいずれか)は、粘度および乳化特性において、エンドウ豆タンパク質および大豆タンパク質に匹敵することが見出された。
【0354】
〔実施例5〕
ポンガミアタンパク質の追加機能研究
本実施例は、実施例2Bに示されるプロトコールに従って一般に調製されたポンガミアタンパク質の分離物の機能性評価を詳述する。本実施例は、AおよびB(サンプルB1)を実施する。製造されたポンガミアタンパク質の分離物を、市販の大豆タンパク質の分離物およびエンドウ豆タンパク質の分離物について観察された同じ特性と比較して、それらの乳化特性、粘度、保水能力、保油能力、ゲル化特性、発泡性、粉分散性、およびpH7での溶解度について評価した。
【0355】
タンパク質溶解度
pH7で、2%のタンパク質含有量で調製したタンパク質懸濁液について、溶解度を測定し、15000gで10分間遠心分離した後の上清について、Kjedahl法により溶解度を評価した。
【0356】
表11は、ポンガミアタンパク質の分離物について観察された溶解度を示す。両方のポンガミアタンパク質の分離物は、それぞれ38%および57%の高いタンパク質溶解度を示した。観察された溶解度は、エンドウ豆タンパク質の溶解度よりも有意に高く、大豆タンパク質と同等であった(または、実験B1由来のポンガミアタンパク質の分離物より高かった)。
【0357】
粘度
タンパク質に富んだポンガミア組成物の粘度を測定するために、10%w/wのタンパク質溶液(窒素*5.7に基づく)を調製し、撹拌した。粘度は、0.1s-1~1000s-1のせん断速度で、25℃で、レオメーターを用いて測定した。
【0358】
表11は、ポンガミアタンパク質の分離物について観察された粘度を示す。ポンガミアタンパク質の分離物は、ニュートンの動き(Newtonian behavior)に対応するせん断速度で、比較的一定の粘度を示すことが見出された。ポンガミアタンパク質の分離物の粘度は、水の粘度よりもわずかに高く、エンドウ豆タンパク質の分離物に匹敵する10-2Pa・sに類似して比較的低かった。
【0359】
図6Aは、異なるせん断速度でのポンガミアタンパク質の分離物(実験B1から得られた)の溶液について測定された粘度、ならびに調製されたエンドウ豆タンパク質の分離物または大豆タンパク質の分離物と比較して測定された粘度を示す。全ての測定されたせん断速度において、ポンガミアタンパク質の分離物は、エンドウ豆タンパク質の分離物および大豆タンパク質の分離物の両方よりも低い粘度を示した。
【0360】
【0361】
タンパク質の乳化
タンパク質サンプルの乳化特性は、水中油型エマルジョンを形成することによって測定される。1%のタンパク質を含む溶液を、水中で調製する。エマルジョンはタンパク質溶液を75/25の割合で油と混合し、続いて超音波処理することによって形成される。次いで、油滴のサイズ分布を、PR-14010の手順に従って、2種の分散剤(水およびSDS)を使用して、粒度分析器(Mastersizer、Malvern)で測定する。屈折率1.46はヒマワリ油に、屈折率1.33は水に使用される。ヒマワリ油の吸収指数は0.01である。
【0362】
乳化評価のために、ポンガミアタンパク質の分離物、エンドウ豆タンパク質の分離物、および大豆タンパク質の分離物の乳化特性を、調製直後(0日目)および7日間の保存後(7日目)に評価した。表12は、0日目および7日目におけるポンガミアタンパク質の分離物について、観察された粒度分布D50値を示す。本明細書に提供されるように、D50値は、サンプル中の粒子の50%の液滴サイズが示された値よりも大きい液滴サイズを示す。
【0363】
ポンガミアタンパク質の分離物は、調製直後(5μm未満のメジアンサイズ)に微細エマルジョンを形成することが観察され、7日間の保存後に安定であった。ポンガミアタンパク質のサンプルは、大豆タンパク質および乳カゼイン塩と同様の非常に良好な乳化特性を有していた。
図6Bは、カゼインナトリウム(基準として)、エンドウ豆タンパク質の分離物、または大豆タンパク質の分離物を用いて調製されたエマルジョンと比較した、ポンガミアタンパク質の分離物(パイロット規模で調製された)のエマルジョンの液滴サイズ分布を示す。
図6Bに示されるように、ポンガミアエマルジョンの液滴サイズ分布は単峰性であり、カゼインナトリウムに対するメジアン液滴サイズおよび液滴サイズ分布は類似していた。
【0364】
【0365】
保水能力および保油能力
ポンガミアタンパク質の分離物の保水能力および保油能力を、乾燥材料20mg/mlの濃度で、油または水に各々のサンプルを添加することによって測定した。懸濁液を撹拌しながら1時間ブレンドした。15000gで10分間遠心分離した後、ペレット中の水および油の含有量を測定し、物質の最初の重量と比較した。結果は、サンプルがその重量を水中または油中に保持することができる数値として表される。表13に示されるように、ポンガミアタンパク質の分離物は中程度の保水能力を有したが、エンドウ豆タンパク質の分離物、および大豆タンパク質の分離物よりも低かった;ポンガミアタンパク質の分離物は、大豆タンパク質およびエンドウ豆タンパク質と比較してわずかに高い油結合特性を有した。
【0366】
【0367】
発泡性
発泡性を、pH7(60mL)の0.1%w/vタンパク質溶液を用いて、Foamscan(Teclis Scientific)で評価した。泡(foam)は、200ml/分の流速で30秒間、溶液中に空気を泡立たせることによって形成された。次いで、泡体積およびその安定性を10分間記録した。卵白を本試験の基準として使用した。表14は、卵白(基準として)から得られた結果を示す。当該卵白は、経時的に非常に安定であり、大量の泡体積を製造した。ポンガミアタンパク質は大量の泡を製造したが、時間の経過とともに泡体積の有意な減少を有した。
【0368】
【0369】
ゲル化特性
最小ゲル化濃度は、試験管中に2%~20%のタンパク質含有量の溶液を調製することによって測定した。可溶化後、溶液を85℃の湯浴中で1時間加熱し、次いで4℃で2時間冷却した。タンパク質溶液は、加熱前に液体のような挙動を示し(すなわち、自由流動性である)、加熱後に試験管を逆さまにしたときに流動しなかった場合、ゲルを形成したと考えられた。
【0370】
ポンガミアタンパク質の分離物の最小ゲル化濃度の結果を、表15に示す。ポンガミアタンパク質の分離物は、エンドウ豆タンパク質および大豆タンパク質に匹敵するゲル化を示すことが見出された。
【0371】
粉分散性
粉分散性は、以下のようにして測定した。100mlの水に5gのサンプルを500rpmで混合しながら添加した(ボルテックス)。分散液を5分間混合し、次いで30μm孔径フィルターを通過させて濾過した。フィルターおよびいずれかの保持された内容物を105℃で4時間乾燥し、秤量した。サンプル1g当たりのフィルター(分散されていない製品)上に保持された物質の割合を計算した。
【0372】
ポンガミアタンパク質の分離物についての分散性の結果を、表15に示す。表15に示されるように、ポンガミアタンパク質は、大豆およびエンドウ豆と比較して優れた分散性を有することが観察された。
【0373】
【0374】
〔実施例6〕
タンパク質に富んだポンガミア組成物のための個々の食品の使用および濃度
本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物など)は、多種類にわたる様々な従来の食品および飲食製品において、動物性タンパク質または植物性タンパク質の直接的なタンパク質代替品として使用し得る。例示的な食品の種類および使用する濃度を、以下の表16に要約する。
【0375】
【0376】
〔実施例7〕
植物ベースの乳飲料
本実施例は、前記実施例2A~2Cの方法に従って得られたタンパク質組成物を含む、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物など)を使用する植物ベースの乳飲料の調製を記載する。
【0377】
ポンガミアタンパク質乳は、タンパク質に富んだポンガミア組成物、例えば、ポンガミアタンパク質の分離物(70重量%~80重量%タンパク質)を、5.5重量%~6重量%(1食当たり10gタンパク質)で、熱水(例えば、140~160°F)中、約15分間~20分間、高せん断ミキサーを用いて水和することによって調製される。水和された水性タンパク質に、キャノーラ油/大豆油、糖、増粘剤、および香味料を加え、さらに5分間~10分間混合する。次いで、混合物を均質化して均一なエマルジョンを形成し、低温殺菌する。
【0378】
〔実施例8〕
植物ベースのヨーグルト
本実施例は、前記実施例2A~2Cの方法に従って得られたタンパク質組成物を含む、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物など)を使用する植物ベースのヨーグルトの調製を記載する。
【0379】
ポンガミアタンパク質乳は、タンパク質に富んだポンガミア組成物、例えば、ポンガミアタンパク質の分離物(70重量%タンパク質)を、9重量%~10重量%で、熱水(例えば、140°F~160°F)中で、約15分間~20分間、高せん断ミキサーを用いて水和することによって調製される。水和された水性タンパク質に、他の任意の成分(例えば、キャノーラ油/大豆油、糖、増粘剤、および香味料など)を加え、さらに5分間~10分間混合する。次いで、混合物を均一なエマルジョンに均質化し、低温殺菌し、約100°Fに冷却する。ヴィーガンヨーグルトの培養物を加え、約6時間~10時間発酵させる。ヨーグルトがpH4.5の所望のpH範囲に達した後、それを撹拌し、容器に入れ、冷蔵保存する。
【0380】
〔実施例9〕
栄養強化された白パン
本実施例は、前記実施例2A~2Cの方法に従って得られたタンパク質組成物を含む、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物など)で栄養強化された白パンの製造を記載する。
【0381】
ポンガミアタンパク質の濃縮物:2つのパン生地を調製する:(1)タンパク質の補強を伴わない対照生地(1食当たり3gのタンパク質);および(2)タンパク質に富んだポンガミア組成物を含む試験生地(1食当たり6gのタンパク質)。試験生地中、小麦粉の少なくとも一部(20重量%)を、タンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、濃縮物など)で置き換える。製造物中の他の任意の成分としては、塩、糖、酵母、油、バター、無脂肪乾燥乳、および水が挙げられる。生地を混合し、秤量し、形成し、容器に入れ、イーストを加えて盛り上がらせ、約420°Fで、約25分間~30分間焼成する。次いで、パンを評価する。対照パンおよび強化パンのパン一塊(loaf)の体積、テクスチャー、および味を評価する。
【0382】
ポンガミアタンパク質の分離物:2つのパン生地を調製する:(a)対照物-タンパク質を添加しない(b)タンパク質に富んだ物-ポンガミアタンパク質を含む。タンパク質に富んだ製造物中、小麦粉を、10重量%のタンパク質に富んだポンガミア組成物(ポンガミアタンパク質の分離物、約70重量%~80重量%のタンパク質)で置き換える。任意の成分としては、糖、塩、バター、酵母、および水が挙げられる。成分を生地に混合し、秤量し、形成し、焼き容器に入れ、イーストを加えて盛り上がらせ、約420°Fで約25分間~30分間焼成する。
【0383】
〔実施例10〕
栄養強化されたクラッカー
本実施例は、前記実施例2A~2Cの方法に従って得られたタンパク質組成物を含む、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の濃縮物または分離物など)を用いて栄養強化されたクラッカーの製造を記載する。
【0384】
2つのクラッカー生地を調製する:(1)タンパク質の栄養強化を伴わない対照生地(1食当たり3gのタンパク質);および(2)タンパク質に富んだポンガミア組成物を含む試験生地(1食当たり5gのタンパク質)。試験生地中、小麦粉の一部(20%)をタンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の濃縮物、約50重量%のタンパク質)で置き換える。製造物中の他の任意の成分としては、塩、糖、ゴマ種子、油、発酵剤(例えば、重炭酸ナトリウムなど)、および水が挙げられる。生地を調製し、所望の厚さ(~1.5mm)のシート状にし、所望の形状に切断し、焼成する。対照クラッカーおよび栄養強化されたクラッカーのテクスチャーおよび味を評価する。
【0385】
ポンガミアタンパク質または大豆タンパク質を添加した小麦クラッカー
3つのクラッカー生地を調製した:(A)タンパク質の強化を伴わない対照生地(1食当たり2.1gのタンパク質);(B)タンパク質に富んだポンガミア組成物を含む試験生地(1食当たり4.9gのタンパク質、ポンガミアタンパク質の分離物由来の2.9gのタンパク質);および(C)大豆タンパク質に富んだ試験生地(大豆タンパク質由来の2.7gのタンパク質)。対照生地は、50:50ブレンドの全粒小麦およびプレーン小麦粉を使用して調製した。ポンガミアタンパク質の分離物を用いた試験生地(B)中、全粒小麦/プレーン小麦粉のブレンドを8.7%のポンガミアタンパク質の分離物で置き換え;大豆タンパク質の濃縮物を用いた試験生地(C)中、全粒小麦/プレーン小麦粉を7.4%の大豆タンパク質の分離物で置き換えた。製造物中の他の成分には、塩、糖、麦芽大麦、キャノーラ油、コーンスターチ、重曹、および水が挙げられる。追加の水を2つの試験生地に加えて、対照生地と同様のテクスチャーを得た;小麦粉を除く全ての他の成分を、対照生地および試験生地全体にわたって一定に保った。生地を調製し、所望の厚さ(~1.5mm)のシート状にし、1.5インチの正方形に切断し、焼成した。対照クラッカーおよび栄養強化されたクラッカーのテクスチャーおよび味を評価した。以下の表17は、感覚評価の要約を示す。
【0386】
ポンガミアタンパク質を含有する栄養強化されたクラッカーは、対照クラッカーよりも濃い色およびより強い全粒小麦風味を有した。
【0387】
【0388】
〔実施例11〕
植物ベースの即席タンパク質飲料
本実施例は、前記実施例2A~2Cの方法に従って得られたタンパク質組成物を含む、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の分離物など)を使用する、植物ベースの即席飲用(ready to drink)(RTD)チョコレートタンパク質飲料の調製を記載する。
【0389】
(A)ポンガミアタンパク質16g/食を含む、(B)ポンガミアタンパク質20g/食を含む、および(C)エンドウ豆タンパク質20g/食を含む、3つの即席飲用チョコレート飲料を調製した。まず、カカオを別々に温水中で水和させた。リン酸水素二カリウムと共にポンガミアタンパク質を温水中で15分間水和した。水和された水性タンパク質に、水和されたカカオ、ヒマワリ油、レシチン、糖、天然甘味料、増粘剤、および香味料を加え、さらに5分間混合する。次いで、混合物を均質化して均一なエマルジョンを形成し、低温殺菌し、ボトルに入れ、さらなる評価のために冷蔵温度で保存する。
【0390】
飲料を、以下の特徴について評価した:視覚的外観(色、物理的外観、安定性が挙げられる)、香り、テクスチャーおよび口当たり(クリーム状、滑らか、砂粒状、チョーク状、濃厚、薄い、が挙げられる)、風味および味(甘味、塩味、後味、オフノートが挙げられる)、ならびに全体的な好み(許容可能/許容不可能)。以下の表18は、感覚評価の要約を示す。2つのポンガミアタンパク質飲料は、エンドウ豆タンパク質飲料よりも好ましかった。
【0391】
【0392】
〔実施例12〕
タンパク質粉末飲料混合物
本実施例は、前記実施例2A~2Cの方法に従って得られたタンパク質組成物を含む、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の分離物など)を使用する粉末チョコレートタンパク質飲料混合物の調製を記載する。
【0393】
本実施例は、前記実施例2A~2Cの方法に従って得られたタンパク質組成物を含む、本明細書に記載のタンパク質に富んだポンガミア組成物(例えば、ポンガミアタンパク質の分離物など)を使用する粉末チョコレートタンパク質飲料混合物の調製を記載する。
【0394】
2つのチョコレートタンパク質粉末混合物-(1)15gのポンガミアタンパク質/食、および(2)15gのエンドウ豆タンパク質/食を調製した。他の成分としては、カカオ、糖、天然甘味料、塩、および香味料が挙げられる。全ての成分をブレンダーに添加し、全ての成分が均一に混合されるまで10分間混合した。さらなる使用のために、製造物を、金属化されたパウチ中に包装した。粉末製品を12液量オンスの水と混合し、感覚性について評価した。再構成されたポンガミアタンパク質飲料およびエンドウ豆タンパク質飲料を、以下の特徴について評価した:視覚的外観(色、物理的外観、および安定性が挙げられる)、香り、テクスチャーおよび口当たり(クリーム状、滑らか、砂粒状、チョーク状、濃厚および薄い、が挙げられる)、風味および味(甘味、塩味、後味、およびオフノートが挙げられる)、ならびに全体的な好み(許容可能/許容不可能)。以下の表19は、感覚評価の要約を示す。ポンガミアチョコレート粉は、チョコレートエンドウ豆タンパク質粉よりも好ましかった。
【0395】
【0396】
本明細書で使用される用語「約(about)」は、当業者に容易に知られている各々の値の通常の誤差範囲を指す。本明細書において、値またはパラメータの「約」への言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約x」は「x」自体を含み、記載する。いくつかの実施形態では、用語「約」が測定値と関連して使用される場合、または、値、単位、定数、もしくは値の範囲を修正するために使用される場合は、記載された値またはパラメータの+/-5%の変動を指す。
【0397】
本明細書において、2つの値またはパラメータの「間(between)」への言及は、それら2つの値またはパラメータ自体を含む実施形態を含む(および記載する)。例えば、「xとyとの間」に言及する記述は、「x」および「y」自体の記述を含む。
【図面の簡単な説明】
【0398】
【
図1】
図1は、ポンガミア豆から高タンパク質含有量を有するポンガミア組成物を製造するための例示的な方法の概要を示す。
【
図2A】
図2Aは、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉から、可溶化によってポンガミアタンパク質の濃縮物を製造するための例示的な方法を示す。
【
図2B】
図2Bは、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉から、等電沈殿によってポンガミアタンパク質の分離物を製造するための例示的な方法を示す。
【
図2C】
図2Cは、脱脂および脱苦味されたポンガミア粗びき粉から、膜濾過によってポンガミアタンパク質の分離物を製造するための例示的な方法を示す。
【
図3】
図3は、様々なpH値での、凍結乾燥されたポンガミアタンパク質の濃縮物中に存在する、ポンガミアタンパク質の溶解度曲線を示す。
【
図4A】
図4Aは、市販のタンパク質(大豆、エンドウ豆、およびルピナス)の溶解度(
図4A)に対する例示的なポンガミアタンパク質の濃縮物の機能特性の比較を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、100s
-1のせん断速度での粘度(
図4B)に対する例示的なポンガミアタンパク質の濃縮物の機能特性の比較を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、市販のタンパク質(大豆、エンドウ豆、およびヒマワリ)のエマルジョン(
図4C)に対する例示的なポンガミアタンパク質の濃縮物の機能特性の比較を示す図である。
【
図4D】
図4Dは、市販のタンパク質(大豆、エンドウ豆、およびルピナス)の溶解度(
図4D)に対する例示的なポンガミアタンパク質の分離物の機能特性の比較を示す図である。
【
図4E】
図4Eは、100s
-1のせん断速度での粘度(
図4E)に対する例示的なポンガミアタンパク質の分離物の機能特性の比較を示す図である。
【
図4F】
図4Fは、市販のタンパク質(大豆、エンドウ豆、およびヒマワリ)のエマルジョン(
図4F)に対する例示的なポンガミアタンパク質の分離物の機能特性の比較を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、SDS-PAGEによって分析されたタンパク質構成物を示す。当該タンパク質構成物は、処理の安定性、完全性を明示し、大豆タンパク質と比較してポンガミア豆タンパク質を区別するための、様々なポンガミア豆タンパク質の分子量分布を示す。
【
図5B】
図5Bは、SDS-PAGEによって分析されたタンパク質構成物を示す。当該タンパク質構成物は、処理の安定性、完全性を明示し、大豆タンパク質と比較してポンガミア豆タンパク質を区別するための、様々なポンガミア豆タンパク質の分子量分布を示す。
【
図5C】
図5Cは、SDS-PAGEによって分析されたタンパク質構成物を示す。当該タンパク質構成物は、処理の安定性、完全性を明示し、大豆タンパク質と比較してポンガミア豆タンパク質を区別するための、様々なポンガミア豆タンパク質の分子量分布を示す。
【
図5D】
図5Dは、SDS-PAGEによって分析されたタンパク質構成物を示す。当該タンパク質構成物は、処理の安定性、完全性を明示し、大豆タンパク質と比較してポンガミア豆タンパク質を区別するための、様々なポンガミア豆タンパク質の分子量分布を示す。
【
図6A】
図6Aは、エンドウ豆タンパク質の分離物および大豆タンパク質の分離物と比較した、パイロット規模で製造されたポンガミアタンパク質の分離物の粘度特性および乳化特性を示す。
【
図6B】
図6Bは、エンドウ豆タンパク質の分離物および大豆タンパク質の分離物と比較した、パイロット規模で製造されたポンガミアタンパク質の分離物の粘度特性および乳化特性を示す。
【国際調査報告】