(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ポンガミア油組成物、ならびに、その製造方法およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20230516BHJP
C11C 1/08 20060101ALI20230516BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230516BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230516BHJP
A23L 27/60 20160101ALI20230516BHJP
A23L 23/00 20160101ALI20230516BHJP
【FI】
A23D9/00
C11C1/08
A23L5/00 L
A23L2/52
A23L27/60 A
A23L23/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560240
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 US2021025576
(87)【国際公開番号】W WO2021202996
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521140870
【氏名又は名称】テルヴィーヴァ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ドラグル,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ラニ,ヴァムシ クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】アストウッド,ジェームズ ディー.
【テーマコード(参考)】
4B026
4B035
4B036
4B047
4B117
4H059
【Fターム(参考)】
4B026DC01
4B026DC07
4B026DG01
4B026DP10
4B026DX01
4B035LC01
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4B036LF03
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4B047LG11
4B117LK10
4H059BA26
4H059BA39
4H059BB02
4H059BB04
4H059BC14
4H059CA72
4H059DA07
4H059DA08
4H059EA21
(57)【要約】
本明細書では、動物の摂取(特に、ヒトの摂取)に適したポンガミア油組成物、ならびに当該組成物を製造する方法が提供される。組成物は食用で苦味がなく、様々な食品および飲料製品としての、および/または、それらの中における、使用に適した当該組成物を作る特定の特性を有する。本明細書ではまた、ポンガミア油を分析する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を有するポンガミア油組成物:
約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;
約1重量%以下の不けん化物;
約5meq/kg以下の過酸化物価;
約10以下のp-アニシジン価;および
約25ppm以下の残留溶媒。
【請求項2】
以下を有する、請求項1に記載の組成物:
約150ppm以下のカランジン;
約150ppm以下のポンガモール;
約1重量%以下の不けん化物;
約5meq/kg以下の過酸化物価;
約5以下のp-アニシジン価;および
約25ppm以下の残留溶媒。
【請求項3】
前記残留溶媒は非極性溶媒を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記残留溶媒は非極性溶媒を含み、前記非極性溶媒はアルカンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は室温で液体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、25℃で測定される場合には、約30センチポアズ~600センチポアズの粘度を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、約5℃の温度で、約1%~約10%の固体脂肪含有量を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、少なくとも約195℃の煙点を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、少なくとも400ppmのトコフェロールを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、2500ppm未満のステロールを有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、αリノレン酸、リグノセリン酸、アラキジン酸、ゴンド酸、オレイン酸、バクセン酸、パルミトレイン酸、エイコサジエン酸、リノール酸、マルガリン酸、ゴンド酸、エルカ酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、もしくはミリスチン酸、またはこれらの任意の異性体、または前述の任意の組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は、少なくとも40%のオレイン酸を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物の色は、1インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、黄色または淡黄色であり:
前記組成物が黄色である場合には、前記組成物は25以上のLovibond Color Y値を有し;および
前記組成物が淡黄色である場合には、前記組成物は25未満のLovibond Color Y値を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、1つ以上の感覚特性を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物は、約1よりも大きいポンガモールに対するカランジンの比率を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物の色は、1インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、淡黄色であり、前記組成物は25未満のLovibond Color Y値を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物の色は、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、淡黄色であり、前記組成物は、約200ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを含む、請求項1~13および16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物は、薄い風味を有する、請求項1~13、16および17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物は、1以下のポンガモールに対するカランジンの比率を有する、請求項1~13および16~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物は、以下の(i)~(x)を有する、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物:
(i)約1%以下の遊離脂肪酸含有量;
(ii)約0.1%以下の不溶性不純物;
(iii)約25ppm以下のリン;
(iv)約0.1ppm以下のクロロフィル;
(v)約1%以下の水分含有量;
(vi)約1%以下のグリセロール;
(vii)約2%以下のモノグリセリド;
(viii)約5%以下のジグリセリド;および
(ix)少なくとも約90%のトリグリセリド、
(x)または(i)~(ix)の任意の組み合わせ。
【請求項21】
前記カランジンおよびポンガモールの濃度は、前記ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
以下の工程を含む、分析方法:
ポンガミア油を抽出溶媒と組み合わせて抽出混合物を提供する工程であって、前記抽出溶媒はアルキルケトンを含み、前記ポンガミア油はカランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、工程;
前記抽出混合物を超音波処理して、超音波処理された混合物を製造する工程;
前記超音波処理された混合物を抽出されたポンガミア組成物とアルキルケトン抽出物とに分離する工程であって、前記抽出物はカランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、工程;および
前記抽出物中に存在するカランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度を測定する工程。
【請求項23】
前記アルキルケトンはアセトンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記測定する工程は、紫外線検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーによって、カランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度を測定する工程を含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記紫外線検出器はダイオードアレイ検出器である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
以下の工程を含む、ポンガミア油組成物の製造方法:
未精製のポンガミア油を非極性溶媒と組み合わせて未精製の混合物を製造する工程であって、前記非極性溶媒はアルカンを含み、前記未精製のポンガミア油はポンガミア油およびフラノフラボノイドを含む、工程;
前記未精製の混合物を、シリカゲルを通して前記非極性溶媒で溶出させて、前記フラノフラボノイドの少なくとも一部を前記ポンガミア油から分離し、ポンガミア油および前記非極性溶媒を含む精製された混合物を製造する工程;および
前記非極性溶媒の少なくとも一部を前記精製された混合物から除去してポンガミア油組成物を製造する工程であって、前記組成物は前記ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;約1重量%以下の不けん化物;約5meq/kg以下の過酸化物価;および約10以下のp-アニシジン価、を有する工程。
【請求項27】
前記未精製のポンガミア油は初期色を有し、製造された前記ポンガミア油組成物は最終色を有し、ここで、前記ポンガミア油組成物の最終色は、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、前記未精製のポンガミア油の初期色よりも明るい、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、前記初期色は赤色および/または茶色であり、前記最終色は黄色または淡黄色である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記未精製のポンガミア油は、機械的に分離されたポンガミア油である、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
以下の工程をさらに含む、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法:
ポンガミア脂肪種子を脱皮して、脱皮された脂肪種子を製造する工程;および
前記脱皮された脂肪種子を機械的に分離して、前記未精製のポンガミア油と、少なくとも部分的に脱油されたシードケーキとを製造する工程。
【請求項31】
以下の工程をさらに含む、請求項26~30のいずれか1項に記載の方法:
25℃~200℃の温度で適切な時間、ポンガミア脂肪種子を加熱し、処理された脂肪種子を提供する工程;
前記処理された脂肪種子を脱皮して、脱皮された脂肪種子を製造する工程;および
前記脱皮された脂肪種子を機械的に分離して、前記未精製のポンガミア油と、少なくとも部分的に脱油されたシードケーキとを製造する工程。
【請求項32】
前記非極性溶媒はヘキサンを含む、請求項26~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
カランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度は、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法によって測定される、請求項26~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記未精製のポンガミア油は、1:1~3:1(w/v)の比率で前記非極性溶媒と組み合わされる、請求項26~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記カランジンおよびポンガモールは前記シリカゲル上に吸着され、前記方法は以下の工程をさらに含む、請求項26~34のいずれか1項に記載の方法:
前記シリカゲルを極性溶媒で溶出させて、前記カランジンおよびポンガモールを単離する工程であって、前記極性溶媒はアルキルアルカノエートを含む工程。
【請求項36】
前記カランジンおよびポンガモールは前記シリカゲル上に吸着され、前記方法は以下の工程をさらに含む、請求項26~35のいずれか1項に記載の方法:
前記非極性溶媒中の極性溶媒の割合を増加させながら段階的勾配を用いて前記シリカゲルを溶出させて、カランジンおよびポンガモールを別々に単離する工程であって、前記極性溶媒はアルキルアルカノエートを含む工程。
【請求項37】
前記極性溶媒は酢酸エチルを含む、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
請求項26~37のいずれか1項に記載の方法に従って製造された、ポンガミア油組成物。
【請求項39】
サラダ油、フライ油、ソテー油、ビネグリット、ソース、ドレッシング、肉模倣品中の脂肪、飲料、または混合マーガリン、および他の固体脂肪の適用、またはそれらの任意の組み合わせとしての、請求項1~21および38のいずれか1項に記載のポンガミア油組成物の使用。
【請求項40】
請求項1~21および38のいずれか1項に記載の前記ポンガミア油組成物を含む、食品または飲料製品。
【請求項41】
前記組成物は、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、淡黄色であり;前記組成物は、前記ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約200ppm以下のカランジンおよびポンガモールの組み合わせを含み、前記組成物は薄い風味を有する、請求項40に記載の製品。
【請求項42】
前記ポンガミア油組成物は、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、黄色であり;前記組成物は、前記ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約150ppm以下のカランジンおよび約150ppm以下のポンガモールを含み;ならびに、前記組成物は、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性を有する、請求項40に記載の製品。
【請求項43】
前記製品は、サラダ油、フライ油、ソテー油、ビネグリット、ソース、ドレッシング、肉模倣品中の脂肪、飲料、または混合マーガリン、および他の固体脂肪の適用である、請求項40~42のいずれか1項に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2020年4月3日に出願された米国仮特許出願第63/004,787号の優先権および利益を主張する。前記出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本開示は一般に、ポンガミア組成物に関する。本開示はより具体的に、食用で苦味のないポンガミア油、ならびにその製造方法、ならびに食品および飲料製品におけるその使用方法に関する。
【0003】
〔背景〕
人口増加、気候変動、および今後数十年間にわたる既存の農業慣行の持続可能性に関する懸念が高まっていることから、将来の世界的な食料安全保障を確保するための代替食料源の研究開発が急増している。世界的な食料供給に対する圧力を軽減するために、環境に優しく持続可能な手段として、再生可能な植物ベースの食料源が重要な関心を促してきた。
【0004】
ミレティア ピナータ(Millettia pinnata)(ポンガミア ピナータ(Pongamia pinnata)またはポンガミア グラブラ(Pongamia glabra)としても知られている、または、より口語的にはポンガミア(pongamia)またはカランジャ(karanja)としても知られている)は、アジア全域で一般的な木である。また、ミレティア ピナータは、将来的に植物ベースの食品の主要な供給源を提供し得る。ポンガミアの木は、大豆植物が同量の豆を生産するために必要な土地の一部を使用する。ポンガミアの木は、劣化した土壌で成長することができ、大豆によって生じる森林破壊問題を回避させることができる。ポンガミアはまた、1エーカー(acre)当たり、大豆よりもはるかに多くのタンパク質および植物油を産生する。ポンガミア脂肪種子から抽出されたポンガミア油は、大豆に匹敵する、食品に使用するための潜在的に再生可能な食料源を提供する。しかしながら、ポンガミア脂肪種子はまた、不快な味および臭いを有することが当該技術分野で公知の他の成分(カランジンおよびポンガモールが挙げられる)を有する。実現可能な食料源として用いるためには、油中のカランジンおよびポンガモールの量を最小限にすることが望ましい。
【0005】
脂肪種子に固有の高栄養成分(タンパク質、炭水化物など)を維持しながら、低濃度のカランジンおよびポンガモールを有するポンガミア組成物を調製する方法は、存在しない。そのため、ポンガミア由来の食品を広範に使用することは、現在妨げられている。ポンガミアシードケーキおよび油の中のこれら望ましくない成分を除去するための既存の方法は不十分であり、しばしばポンガミアの栄養価が深刻な影響を受ける程度にまで栄養素を低減および分解する、厳しく破壊的な状態を必要とする。保存された栄養成分と十分に低濃度の抗栄養素とのクリティカルなバランスを有するポンガミア組成物を製造する方法は、存在しない。そのため、経済的な実現可能性を維持するのに十分に大きな規模のポンガミア由来の油の組み込みが妨げられている。
【0006】
したがって、カランジンおよびポンガモールなどの成分を最小限に抑えながら、最適な栄養バランスを維持するポンガミア脂肪種子由来の食用組成物を得るための商業的に実現可能な方法が、当該技術分野で所望されている。
【0007】
〔概要〕
いくつかの態様では、本明細書では、食用で苦味のないポンガミア油組成物が提供される。このようなポンガミア油組成物は、様々な食品および飲料製品における有用な成分としての役割を果たすことができ、新興の植物ベースの製品に対する業界での実質的に満たされていない必要性に対処する。
【0008】
特定の態様では、固体-液体分離を用いてポンガミア油組成物を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、未精製(crude)のポンガミア油を非極性溶媒と組み合わせて、未精製の混合物を製造する工程;未精製の混合物を、シリカゲルを通して非極性溶媒で溶出させて、未精製の混合物中に存在するフラノフラボノイドの少なくとも一部をポンガミア油から分離し、ポンガミア油および非極性溶媒を含む精製された混合物を製造する工程;ならびに、精製された混合物から非極性溶媒の少なくとも一部を除去して、ポンガミア油組成物を製造する工程、を含む。いくつかの態様では、非極性溶媒はアルカンを含む。
【0009】
未精製のポンガミア油は、カランジンおよびポンガモールを含有する。前述の方法により、カランジンおよびポンガモールの少なくとも一部は、シリカゲルに吸着される。吸着された成分は単離され得る。特定の実施形態では、本方法は、シリカゲルを極性溶媒で溶出させて、カランジンおよびポンガモールを単離する工程をさらに含む。特定の実施形態では、シリカゲルは、非極性溶媒中の極性溶媒の割合を増加させながら、段階的勾配を用いてシリカゲルを溶出させて、カランジンおよびポンガモールを別々に単離する。いくつかの態様では、極性溶媒はアルキルアルカノエートを含む。
【0010】
一態様では、本明細書に記載の方法のいずれかに従って製造されたポンガミア油組成物が提供される。他の態様では、食用で苦味のないポンガミア油組成物が提供される。
【0011】
他の態様では、食品または飲料製品におけるポンガミア油組成物の使用が提供される。いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、サラダ油、フライ油、ソテー油、ビネグリット、ソース、ドレッシング、肉模倣品中の脂肪、飲料、もしくは混合マーガリン、および他の固体脂肪の適用として、またはそれらの中で使用され得る。
【0012】
他の態様では、ポンガミア油サンプル中に存在し得るカランジンおよびポンガモールの含有量を計量するための分析方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、ポンガミア油を抽出溶媒と組み合わせて、抽出混合物を提供する工程;抽出混合物を超音波処理する工程;超音波処理された混合物を、抽出ポンガミア組成物と、カランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む抽出物とに分離する工程;ならびに、抽出物中に存在するカランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度を測定する工程、を含む。いくつかの態様では、抽出溶媒はアルキルケトンを含む。いくつかの実施形態では、測定する工程は、紫外線検出器(例えば、HPLC-DADを使用する)を用いた高速液体クロマトグラフィーによって、カランジンおよび/またはポンガモールの濃度を測定する工程を含む。
【0013】
一態様では、ポンガミア油組成物であって、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;約1重量%以下の不けん化物(unsaponifiable matter);約5meq/kg以下の過酸化物価;約10以下のp-アニシジン価;ならびに、約25ppm以下の残留溶媒、を有するポンガミア油組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約150ppm以下のカランジン;ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約150ppm以下のポンガモール;約1重量%以下の不けん化物;約5meq/kg以下の過酸化物価;約5以下のp-アニシジン価;ならびに、約25ppm以下の残留溶媒、を有する。
【0014】
別の態様では、ポンガミア油組成物を製造する方法であって、未精製のポンガミア油を非極性溶媒と組み合わせて未精製の混合物を製造する工程、ここで、非極性溶媒はアルカンを含み、未精製のポンガミア油はポンガミア油およびフラノフラボノイドを含む、工程;シリカゲルを通して非極性溶媒で未精製の混合物を溶出させ、未精製のポンガミア油からフラノフラボノイドの少なくとも一部を分離して、ポンガミア油および非極性溶媒を含む精製された混合物を製造する工程;ならびに、精製された混合物から非極性溶媒の少なくとも一部を除去して、ポンガミア油組成物を製造する工程、ここで、前記組成物は、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;約1重量%以下の不けん化物;約5meq/kg以下の過酸化物価;ならびに、約10以下のp-アニシジン価、を有する、工程、を含む方法が本明細書に提供される。
【0015】
他の態様では、本明細書に記載の方法によって得ることができるポンガミア油組成物を含む食品または飲料製品が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、淡黄色であり、前記組成物はポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約200ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを含み、組成物は薄い(neutral)風味を有する。他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、黄色であり;前記組成物は、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約150ppm以下のカランジンおよび約150ppm以下のポンガモールを含み;ならびに、前記組成物は、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性を有する。
【0016】
〔図面の説明〕
本出願は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって理解することができる。
【0017】
図1は、ポンガミア油サンプル中のカランジンおよび/またはポンガモールの濃度を測定するための例示的な分析方法を示す。
【0018】
図2は、未精製のポンガミア油混合物を精製して、食用で苦味のないポンガミア油組成物を製造する例示的な工程を示す。
【0019】
図3Aおよび3Bは、HPLCによって測定される、未精製のポンガミア油中に存在するフラノフラボノイド(
図3A)と、例示的な精製されたポンガミア油組成物中に存在しないフラノフラボノイド(
図3B)とを比較する。
【0020】
〔詳細な説明〕
以下の説明は、例示的な方法、パラメータなどを説明する。しかしながら、そのような説明は、本開示の範囲を限定することを意図しておらず、代わりに、例示的な実施形態の説明として提供されることを認識されたい。
【0021】
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物、および当該組成物を製造する方法が本明細書に提供される。いくつかの態様では、ポンガミア油組成物はヒト味覚試験に合格する。特定の態様では、ポンガミア油組成物は食用で苦味がない。食用ポンガミア油を製造するために提供される方法は、存在するフラノフラボノイドの量を除去または低減させる(例えば、食用ではなくヒトに有害である可能性があると典型的に考えられている、カランジンおよび/またはポンガモールの量を除去または低減させる)。さらに、提供されるポンガミア油組成物は、当該組成物を食品および飲料製品中での使用に適したものにする様々な特性を有する。例えば、特定の態様では、ポンガミア油組成物は、低不溶性不純物、低石けん含有量、高煙点、低モノグリセリドおよび低ジグリセリド、低グリセロール、より少ない未同定脂肪酸、低総ステロール、ならびに明るい色(例えば、低クロロフィル含有量が挙げられる)を有する。
【0022】
ポンガミア油組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるポンガミア油組成物は、食用で苦味がなく、ヒトにおいて総合的に許容可能な感覚プロファイル(例えば、味覚および嗅覚に関する)を有する。
【0023】
不けん化物
ポンガミア組成物中に存在するけん化不可能な物質は、一般に、脂肪酸以外の化合物を含む。例えば、不けん化物は、フラノフラボノール、クロロフィル、トコフェロール、およびステロールを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるポンガミア油組成物(本明細書に記載の方法に従って製造されるものが挙げられる)は、前記組成物が得られる未精製のポンガミア油と比較して、より低い不けん化物含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるポンガミア油組成物(本明細書に記載の方法に従って製造されるものが挙げられる)は、低不けん化物含有量を有する。いくつかの態様では、本明細書に提供されるポンガミア油組成物(本明細書に記載の方法に従って製造されるものが挙げられる)は、油中に5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下の不けん化物を有する。いくつかの態様では、本明細書に提供されるポンガミア油組成物(本明細書に記載の方法に従って製造されるものが挙げられる)は、前記組成物が得られた未精製のポンガミア油と比較して、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%少ない不けん化物含有量を有する。不けん化物含有量を計量(measure)または測定(determine)するための、当該技術分野で公知の任意の適切な方法を使用し得る。いくつかの態様では、不けん化物含有量は、AOCS Ca 6a-40によって測定される。
【0024】
前述のように、フラノフラボノールは、不けん化物の一種である。フラノフラボノイドは、ポンガミア脂肪種子中に典型的に存在する化合物のクラスであり、抗栄養素化合物(例えば、カランジンおよびポンガモールなど)を含む。いくつかの実施形態では、低く、無視できるか、または検出不可能なフラノフラボノイド含有量を有するポンガミア油組成物が提供される。いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、約1000ppm以下、約750ppm以下、約500ppm以下、約300ppm以下、約250ppm以下、または約200ppm以下のフラノフラボノイドを有する。いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、500ppm以下、450ppm以下、400ppm以下、350ppm以下、300ppm以下、250ppm以下、200ppm以下、150ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、20ppm以下、または10ppm以下のフラノフラボノイドを有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、150ppm以下のカランジンおよび/またはポンガモールを有する。前述のいくつかの態様では、カランジンおよびポンガモールの濃度は、本明細書に記載の溶媒抽出分析方法によって測定される。
【0026】
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物のカランジンおよびポンガモールの含有量は、ポンガミア油組成物から得られるアルキルケトン抽出物のHPLC分析によって測定される。さらに他の実施形態では、ポンガミア油組成物のカランジンおよびポンガモールの含有量は、本明細書に記載の分析方法に従ってポンガミア油組成物から得られるアルキルケトン抽出物のHPLC分析によって測定される。いくつかの実施形態では、アルキルケトンはアセトンである。特定の実施形態では、アルキルケトン抽出物のHPLC分析は、質量分析検出(mass spectrometry detection)または紫外線検出(ultraviolet detection)をさらに含む。さらに特定の他の実施形態では、ポンガミア油組成物のカランジンおよびポンガモールの含有量は、本明細書に記載の分析方法に従ってポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される。
【0027】
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、250ppm以下、200ppm以下、150ppm以下、140ppm以下、130ppm以下、120ppm以下、110ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、60ppm以下、50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、20ppm以下、または10ppm以下のカランジンを有する。
【0028】
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、250ppm以下、200ppm以下、150ppm以下、140ppm以下、130ppm以下、120ppm以下、110ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、60ppm以下、50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、20ppm以下、または10ppm以下のポンガモールを有する。
【0029】
他の態様では、ポンガミア油組成物は、組み合わされたカランジンおよびポンガモールの濃度の観点から特徴付けられ得る。例えば、いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、約1000ppm以下、約750ppm以下、約500ppm以下、約300ppm以下、約250ppm以下、または約200ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する。特定の態様では、ポンガミア油組成物は、200ppm以下、150ppm以下、140ppm以下、130ppm以下、120ppm以下、110ppm以下、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、60ppm以下、50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、20ppm以下、または10ppm以下のカランジンおよびポンガモールを有する。
【0030】
さらに他の態様では、ポンガミア油組成物は、約1以上のポンガモールに対するカランジンの比率を有する。他の態様では、ポンガミア油組成物は、約1以下のポンガモールに対するカランジンの比率を有する。
【0031】
一態様では、ポンガミア油組成物は、本明細書に記載の溶媒抽出分析方法に基づいて、検出不可能な量のカランジンおよび/またはポンガモールを有する。
【0032】
他の態様では、本明細書に記載の方法に従って製造されたポンガミア油組成物(例えば、未精製のポンガミア油から得られる)は、前記組成物が得られた未精製のポンガミア油と比較して、100倍未満、500倍未満、または1000倍未満の量のカランジンを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って製造されたポンガミア油組成物(例えば、未精製のポンガミア油から得られる)は、前記組成物が得られた未精製のポンガミア油と比較して、100倍未満、150倍未満、または200倍未満の量のポンガモールを有する。
【0033】
脂肪酸
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポンガミア油組成物は、(例えば、本明細書に記載の方法に従って)ポンガミア油組成物が得られる未精製のポンガミア油と比較して、より少ない量のモノグリセリドおよびジグリセリド、低グリセロール、および/または、より少ない未同定脂肪酸を有する。ポンガミア油組成物は、特定の脂肪酸プロファイルを有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、ポンガミア組成物中の総同定脂肪酸の量は、少なくとも90%;または、80%~99%、もしくは85%~95%である。
【0035】
ポンガミア油組成物は、様々な一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、および/または、飽和脂肪酸の組み合わせを有する。いくつかの態様では、ポンガミア組成物は、多価不飽和脂肪酸よりも多い一価不飽和脂肪酸含有量を有する。いくつかの態様では、ポンガミア組成物は、多価不飽和脂肪酸よりも多い飽和脂肪酸含有量を有する。いくつかの態様では、ポンガミア組成物は、飽和脂肪酸よりも多い一価不飽和脂肪酸含有量を有する。
【0036】
特定の態様では、ポンガミア組成物は、(例えば、本明細書に記載の方法に従って)ポンガミア油組成物が得られる未精製のポンガミア油と比較して、低トランス脂肪酸含有量、または、より低いトランス脂肪酸含有量を有する。いくつかの態様では、ポンガミア組成物中のトランス脂肪酸の量は、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0.25%以下である。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、プラス(positive)の方法(例えば、%重量基準でオレイン酸含有量を増加させる)を除いて、健康的な脂肪酸プロファイルを変化させない。これは一般に、脂肪酸プロファイルを不利な方法(例えば、より低い収率、健康の欠如、または脂肪酸の機能的なバランス)で根本的に変化させる可能性がある当該技術分野において公知の他の方法とは対照的である。特定の実施形態では、ポンガミア油組成物は、オメガ6脂肪酸もしくはオメガ9脂肪酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、ポンガミア油組成物は、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ7脂肪酸、もしくはオメガ9脂肪酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、オメガ9脂肪酸の量はオメガ6脂肪酸よりも多い。特定の態様では、オメガ6脂肪酸およびオメガ9脂肪酸を組み合わせたものの量は、オメガ3脂肪酸およびオメガ7脂肪酸を組み合わせたものの量よりも多い。いくつかの態様では、オメガ6脂肪酸およびオメガ9脂肪酸を組み合わせたものの量は、少なくとも50%もしくは少なくとも60%、または15%~80%、または20%~75%である。特定の態様では、オメガ3脂肪酸および/またはオメガ7脂肪酸の量は、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満である。
【0038】
特定の実施形態では、ポンガミア油組成物は、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ヘプタデセン酸、ステアリン酸、バクセン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ゴンド酸、エイコサジエン酸、ベヘン酸、エルカ酸、もしくはリグノセリン酸、またはそれらの任意の異性体、または前述の任意の組み合わせを含む。
【0039】
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、オレイン酸を含む。一態様では、ポンガミア油組成物中のオレイン酸の量は、少なくとも40%、もしくは少なくとも50%;または、30%~70%、30%~60%、もしくは45%~55%である。
【0040】
特定の態様では、ポンガミア油組成物は、リノール酸またはその異性体を含む。一態様では、ポンガミア油組成物中のリノール酸またはその異性体の量は、少なくとも15%;または、10%~20%である。特定の態様では、ポンガミア油組成物は、リノレン酸またはその異性体を含む。特定の態様では、リノレン酸はαリノレン酸である。一態様では、ポンガミア油組成物中のαリノレン酸の量は、1%~5%である。
【0041】
特定の態様では、ポンガミア油組成物は、パルミチン酸を含む。一態様では、ポンガミア油組成物中のパルミチン酸の量は、少なくとも5%;または、5%~10%である。
【0042】
特定の態様では、ポンガミア油組成物は、ステアリン酸を含む。一態様では、ポンガミア油組成物中のステアリン酸の量は、少なくとも5%;または、5%~10%である。
【0043】
特定の態様では、ポンガミア油組成物は、ベヘン酸を含む。一態様では、ポンガミア油組成物中のベヘン酸の量は、1%~10%、または1%~5%である。
【0044】
特定の態様では、ポンガミア油組成物は、アラキジン酸、ゴンド酸、もしくはリグノセリン酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む。一態様では、ポンガミア油組成物中のアラキジン酸、ゴンド酸、またはリグノセリン酸の量は、独立して1%~5%である。
【0045】
特定の態様では、ポンガミア油組成物は、エルカ酸を含む。一態様では、エルカ酸の量は、少なくとも0.06%である。
【0046】
当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中の脂肪酸含有量を計量し得る。例えば、いくつかの態様では、使用される試験方法は、AOAC 996.06である。
【0047】
トコフェロール
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、トコフェロールを含む。いくつかの態様では、トコフェロールは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、またはそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態では、ポンガミア油組成物は、少なくとも250ppm、少なくとも300ppm、少なくとも350ppm、少なくとも400ppm、もしくは少なくとも450ppm;または、200ppm~500ppmの総トコフェロール含有量を有する。
【0048】
いくつかの態様では、α-トコフェロール含有量は、4つの前述のトコフェロールのうち、最も高いものである。特定の態様では、α-トコフェロールおよびγ-トコフェロールを組み合わせたものの含有量は、β-トコフェロールおよびδ-トコフェロールを組み合わせたものの含有量よりも多い。
【0049】
一実施形態では、ポンガミア油組成物は、少なくとも200ppm、少なくとも250ppm、もしくは少なくとも300ppm;または、200ppm~500ppm、200ppm~400ppm、200ppm~350ppm、もしくは200ppm~300ppmのα-トコフェロール含有量を有する。
【0050】
別の実施形態では、ポンガミア油組成物は、少なくとも100ppm、もしくは少なくとも150ppm;または、100~200ppmのγ-トコフェロール含有量を有する。
【0051】
当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中のトコフェロール含有量を計量し得る。例えば、いくつかの態様では、使用される試験方法は、HPLCを用いたAOAC 971.30である。
【0052】
ステロール
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、ステロールを含む。いくつかの態様では、本明細書に記載のポンガミア油組成物は、(例えば、本明細書に記載の方法に従って)ポンガミア油組成物が得られる未精製のポンガミア油と比較して、より少ない量のステロールを有する。
【0053】
いくつかの態様では、ステロールは、24-メチレン-コレステロール、β-シトステロール、ブラシカステロール、カンペスタノール、コレステロール、クレロステロール、δ-5,23-スチグマスタジエノール、δ-5,24-スチグマスタジエノール、δ-5-アベナステロール、δ-7-アベナステロール、δ-7-カンペステロール、δ-7-スチグマステノール、シトスタノール、もしくはスチグマステロール、またはそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態では、ポンガミア油組成物は、2500ppm以下、2000ppm以下、1500ppm以下、1000ppm以下、750ppm以下、500ppm以下、または100ppm以下の総ステロール含有量を有する。
【0054】
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、β-シトステロールをさらに含む。前述の特定の態様では、ポンガミア油組成物は、カンペスタノール、スチグマステロール、もしくはδ-5-アベナステロール、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。前述のさらに他の態様では、ポンガミア油組成物は、クレロステロール、δ-5,24-スチグマスタジエノール、もしくはシトスタノール、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0055】
当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中のステロール含有量を計量し得る。例えば、いくつかの態様では、使用される試験方法は、COI/T.20/Doc No.10である。
【0056】
残留溶媒
本明細書に提供されるポンガミア油組成物を製造する方法は、ポンガミア油組成物中の残留溶媒含有量の存在をもたらし得る。残留溶媒の存在がポンガミア油組成物の感覚プロファイルに影響し得るので、当該ポンガミア油組成物中の残留溶媒の濃度は低いことが望ましい場合がある。いくつかの態様では、ポンガミア油組成物を製造する本明細書の方法は、本明細書に記載される残留溶媒濃度を達成するために、処理技術に供してポンガミア油組成物から残留溶媒を除去するか、またはそれを脱溶媒し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、残留溶媒を含む。いくつかの態様では、残留溶媒は、本明細書に記載の精製方法において使用される非極性溶媒を含む。いくつかの態様では、アルカンはC1~20アルカン、またはC1~10アルカンである。特定の態様では、アルカンは線形である。他の態様では、アルカンは分枝状である。さらに他の態様では、アルカンの混合物を使用し得る。一態様では、非極性溶媒はヘキサンを含む。さらに他の実施形態では、ポンガミア油組成物は残留溶媒を含み、残留溶媒はヘキサンを含む。さらに他の実施形態では、ポンガミア油組成物は残留溶媒を含み、残留溶媒はヘキサンである。
【0058】
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、約100ppm以下、約75ppm以下、約50ppm以下、または約25ppm以下の残留溶媒を有する。特定の実施形態では、残留溶媒はヘキサンを含む。特定の態様では、ポンガミア油組成物は、約100ppm以下、約75ppm以下、約50ppm以下、または約25ppm以下の残留ヘキサンを有する。当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中の残留溶媒含有量を計量し得る。いくつかの態様では、残留溶媒は、AOCS Cg 4-94によって測定される。
【0059】
過酸化物価およびp-アニシジン価
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、油中に存在する酸化産物の濃度によってさらに特徴付けられ得る。酸素および/または熱に曝される場合には、脂肪および油は酸化反応を受け得る。酸化反応は、油に望ましくない酸敗した風味を発生させる。前述したように、ポンガミア油組成物を製造するための本開示の方法は、存在するフラノフラボノイドの量および他の不けん化物の量を除去または低減する手段を提供する。これらの成分を除去するための既存の方法はしばしば、厳しい条件(例えば、高度に苛性の試薬および極めて高い温度(例えば、還流など))を利用する。
【0060】
対照的に、本明細書に提供される方法は、より穏やかな温度および溶媒の条件を用いて未精製のポンガミア油を処理し、フラノフラボノイドおよび他の不けん化物を除去する。結果として、本明細書で得られるポンガミア油組成物は、低フラノフラボノイド含有量、および低不けん化物含有量、ならびに最小限の酸化を示す。
【0061】
酸化の程度は、初期酸化の間に形成され得る一次酸化産物の存在および濃度、ならびに、一次酸化産物が分解する間により広範な酸化で形成され得る二次酸化産物の存在および濃度によって特徴付けることができる。一次酸化の程度は、過酸化物価(ミリ当量/kg)を計量することによって評価し得る。過酸化物価は、油中に存在するヒドロキシペルオキシドの量を定量するために用いられる指標である。二次酸化の程度は、p-アニシジン価を計量することによって評価し得る。過酸化物価およびp-アニシジン価の両方を合わせて、油中の酸化の完全な表出を示す。
【0062】
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、約5meq/kg以下、約4meq/kg以下、約3meq/kg以下、約2meq/kg以下、または約1meq/kg以下の過酸化物価を有する。特定の態様では、ポンガミア油組成物は、約5meq/kg以下の過酸化物価を有する。当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中の過酸化物価を測定し得る。いくつかの態様では、過酸化物価は、AOCS試験方法AOCS Cd 8-53によって測定される。
【0063】
他の態様では、ポンガミア油組成物は、約15以下、約12以下、約10以下、約7以下、約5以下、約4以下、約3以下、または約2以下のp-アニシジン価を有する。特定の態様では、ポンガミア油組成物は、約10以下のp-アニシジン価を有する。特定の他の態様では、ポンガミア油組成物は、約5以下のp-アニシジン価を有する。当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中のp-アニシジンを計量し得る。いくつかの態様では、p-アニシジン価は、AOCS試験方法AOCS Cd 18-90によって測定される。
【0064】
熱的特性および物理的性質
本明細書に提供されるポンガミア油組成物は、それらの熱的特性および物理的特性によってさらに特徴付けられ得る。異なる脂肪および異なる油に利用可能な一連の用途および使用は、主に特定の使用のための特定の温度条件下で、脂肪または油の熱的挙動および物理的挙動によって測定される。次に、脂肪および油の熱的挙動および物理的挙動は、脂肪および油の脂肪酸プロファイルによって大きく影響される。前述のように、カランジン、ポンガモール、および他の不けん化物の濃度が低減されたポンガミア油組成物を製造するための本明細書に提供される方法は、得られた油の脂肪酸含有量および脂肪酸プロファイルに不利な方法(例えば、より低い収率、健康の欠如、または脂肪酸の機能的なバランス)で影響を及ぼし得る当該技術分野における他の方法とは対照的である。
【0065】
本明細書に提供されるポンガミア油組成物の熱的特性および物理的特性は、組成物を得るために使用されるフラノフラボノイドおよび他の不けん化物を除去するための非破壊的な方法を反映する。
【0066】
いくつかの態様では、本開示のポンガミア油組成物は、所定の温度での物理的状態、またはそれらの温度依存性反応(例えば、融解プロファイルなど)によって特徴付け得る。いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、約10℃以上の温度で液体である。いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、室温で液体である。他の態様では、ポンガミア油組成物は、約0~10℃の温度で半固体である。いくつかの態様では、融解プロファイルは、示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。
【0067】
さらに他の実施形態では、本開示のポンガミア油組成物は、所定の温度でのそれらの固体脂肪含有量によって特徴付けられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、前記組成物は、約0℃、約2℃、約5℃、または約10℃の温度で、約1%~約10%の固体脂肪含有量を有する。特定の態様では、前記組成物は、約5℃の温度で、約1%~約10%の固体脂肪含有量を有する。当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中の固体脂肪含有量を計量し得る。いくつかの態様では、固体脂肪含有量は、AOCS試験方法AOCS-Cd 16b-93によって測定される。
【0068】
他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、その滴点によって特徴付けられ得る。滴点は、脂肪(fat)または油脂(grease)が半固体構造を保持することができる上限温度である。滴点を超えると、脂肪または油脂は液体状態に変化する。いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、約20℃以下、約15℃以下、または約10℃以下の滴点を有する。特定の実施形態では、ポンガミア油組成物は、約10℃以下の滴点を有する。当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中の滴点を測定し得る。いくつかの態様では、滴点は、AOCS試験方法AOCS Cc 18-80によって測定される。
【0069】
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、その引火点によって特徴付けられ得る。引火点は、発火源の存在下で物質の蒸気が発火し得る最低温度である。いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、少なくとも約200℃、少なくとも約220℃、または少なくとも約240℃の引火点を有する。当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中の引火点を測定し得る。いくつかの態様では、引火点は、AOCS試験方法AOCS Cc 9b-55によって測定される。
【0070】
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、その煙点によって特徴付けられ得る。油の煙点は、定義された条件下で、油が連続的に目に見える煙を発生し始める温度である。より高い煙点を有する油は、食品関連用途(例えば、高温が一般的である鍋の中で油を使う加熱工程(frying)または炒める工程(sauteing)、極めて高温で油を使う加熱工程(deep frying)または焼成工程(baking)など)において、向上した有用性を見出し得る。さらに他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、少なくとも約180℃、少なくとも約190℃、少なくとも約195℃、少なくとも約200℃、または少なくとも約210℃の煙点を有する。さらに他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、それが得られる未精製のポンガミア油よりも高い煙点を有する。当該技術分野で公知の任意の適切な方法または技術を使用して、本明細書の組成物中の煙点を測定し得る。いくつかの態様では、煙点は、AOCS試験方法AOCS Cc 9a-48によって測定される。
【0071】
他の態様では、本明細書に提供されるポンガミア油組成物は、その粘度によって特徴付けられ得る。液体(例えば、油など)の粘度は、流動および/または変形に対する液体の抵抗の尺度である。いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、約25℃で測定される場合には、少なくとも約30センチポアズ、少なくとも約40センチポアズ、または少なくとも約50センチポアズの粘度を有する。他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、約25℃で測定される場合には、600センチポアズ以下、500センチポアズ以下、250センチポアズ以下、100センチポアズ以下、90センチポアズ以下、80センチポアズ以下、約70センチポアズ以下、または約60センチポアズ以下の粘度を有する。特定の実施形態では、ポンガミア油組成物は、約25℃で、約30センチポアズ~約600センチポアズの粘度を有する。さらに他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、同じ温度で測定される場合には、それが得られる未精製のポンガミア油よりも低い粘度を有する。
【0072】
その他の特性
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、以下の(i)~(x)から選択される1つ以上の特性を有する:
(i)約1%以下の遊離脂肪酸含有量;
(ii)約0.1%以下の不溶性不純物;
(iii)約25ppm以下のリン;
(iv)約0.1ppm以下のクロロフィル;
(v)約25ppm以下の残留溶媒;
(vi)約1%以下の水分含有量;
(vii)約1%以下のグリセロール;
(viii)約1%以下のモノグリセリド;
(ix)約5%以下のジグリセリド;および
(x)少なくとも約90%のトリグリセリド。
【0073】
いくつかの実施形態では、遊離脂肪酸含有量は、AOCS試験方法AOCS Ca 5a-40によって測定される。いくつかの実施形態では、不溶性不純物含有量は、AOCS試験方法AOCS Ca 3a-46によって測定される。いくつかの実施形態では、リン含有量は、AOCS Ca 20-99、modによって測定される。いくつかの実施形態では、クロロフィル含有量は、AOCS Ch 4-91によって測定される。いくつかの実施形態では、水分含有量は、AOCS Ca 2b-38によって測定される。いくつかの実施形態では、グリセロール含有量は、AOCS Cd 11c-93によって測定される。いくつかの実施形態では、モノグリセリド含有量は、AOCS Cd 11c-93によって測定される。いくつかの実施形態では、ジグリセリド含有量は、AOCS Cd 11c-93によって測定される。いくつかの実施形態では、トリグリセリド含有量は、AOCS Cd 11c-93によって測定される。
【0074】
特定の態様では、ポンガミア油組成物は、(例えば、本明細書に記載の方法に従って)前記組成物が得られた未精製のポンガミア油と比較して、より少ない不けん化物含有量を有する。
【0075】
組成物の含有量に加えて、本開示のポンガミア油組成物はまた、色および/または濁りを含むが、これらに限定されない物理的特性の観点から記載され得る。
【0076】
特定の実施形態では、(例えば、本明細書に記載される方法に従って製造される)本明細書に提供されるポンガミア油組成物は、前記組成物が得られる未精製のポンガミア油と比較して、より明るい色を有する。特定の態様では、ポンガミア油組成物の最終色は、未精製のポンガミア油の初期色よりも明るい。一態様では、未精製のポンガミア油は、赤色および/または茶色(例えば、赤色、茶色、赤褐色、または茶褐色が挙げられる)であり;(例えば、本明細書に記載の方法に従って)それらから得られるポンガミア油組成物は、黄色および/または白色(例えば、黄色、淡黄色、白色、またはオフホワイトが挙げられる)である。特定の態様では、同じ色は、Lovibond Color-AOCS Scaleを用いて測定される。特定の実施形態では、色は、1インチのセルパスまたは5.25インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scaleを用いて測定される。したがって、一態様では、未精製のポンガミア油は、1.5R、70YのLovibond Colorを有し;(例えば、本明細書に記載の方法に従って)それらから得られたポンガミア油組成物は、5.25インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scale(AOCS法Cc 13b-45)による、0.5R、18YのLovibond Colorを有する。
【0077】
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、Lovibond Colorであって、1インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scale(AOCS法Cc 13b-45)によって測定される場合には、Y値は25未満である、Lovibond Colorを有する。Y値が25未満である特定の態様では、1インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scale(AOCS法Cc 13b-45)によって測定される場合には、ポンガミア油組成物は淡黄色である。他の実施形態では、1インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scale(AOCS法Cc 13b-45)によって測定される場合には、Y値が25以上であるLovibond Colorを有する。1インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scale(AOCS法Cc 13b-45)によって測定される場合に、Y値が25以上である特定の他の態様では、ポンガミア油組成物は黄色である。
【0078】
ポンガミア油組成物の色に加えて、ポンガミア油組成物は、当該技術分野で公知の方法によって、霞み(haziness)または濁り(turbidity)によって特徴付けられ得る。さらに他の態様では、本開示で提供されるポンガミア油組成物は、前記組成物が得られる未精製のポンガミア油と比較して、濁りが低減している。
【0079】
前記特性を計量または測定するための当該技術分野で公知の任意の適切な方法を使用し得る。
【0080】
感覚特性プロファイル
前述のように、フラノフラボノイドおよび他の不けん化物含有量が低減された本開示のポンガミア油組成物は、食用で苦味がなく、ヒトにおいて総合的に許容可能な感覚プロファイル(例えば、味覚および嗅覚に関して)を有する。
【0081】
さらに他の態様では、本開示のポンガミア油組成物は、ポンガミアの風味/臭い(note)、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、甘味、油性、渋味、刺激性、苦味、および酸味を含むが、これらに限定されない1つ以上の感覚特性の存在または非存在によって特徴付けられ得る。いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、ポンガミアの風味/臭い、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、甘味、油性、渋味、刺激性、苦味、および酸味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性を有する。
【0082】
いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、ポンガミアの風味/臭い、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、甘味、および油性からなる群から選択される1つ以上の感覚特性の存在によって特徴付けられ得る。
【0083】
さらに他の態様では、ポンガミア油組成物は、渋味、刺激性、苦味、および酸味からなる群から選択される1つ以上の感覚特性の非存在によって特徴付けられ得る。
【0084】
さらに他の態様では、ポンガミア油組成物は、感覚特性の穏やかさによって特徴付けられ得る。例えば、いくつかの態様では、ポンガミア油組成物は、苦くない味、薄い風味、淡白な味、すっきりした風味、もしくは後味がない、またはそれらの任意の組み合わせを有するものとして特徴付けられ得る。
【0085】
一態様では、本明細書では、以下の(i)~(viii)、またはそれら(i)~(viii)の任意の組み合わせを有するポンガミア油組成物が提供される:
(i)(例えば、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、)約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;
(ii)(例えば、AOCS Ca 6a-40によって測定される場合には、)約1重量%以下の不けん化物;
(ii)(例えば、AOCS Cd 8-53によって測定される場合には、)約5meq/kg以下の過酸化物価;
(iv)(例えば、AOCS Cd 18-90によって測定される場合には、)約10以下のp-アニシジン価;
(v)(例えば、AOCS Cg 4-94によって測定される場合には、)約25ppm以下の残留溶媒;
(vi)(例えば、AOAC 996.06によって測定される場合には、)総脂肪酸のうち少なくとも40%のオレイン酸の存在;
(vii)(例えば、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、)淡黄色または黄色;
(viii)薄い風味、または、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性。
【0086】
本態様のいくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、以下を有する:
ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;
(例えば、AOCS Ca 6a-40によって測定される場合には、)約1重量%以下の不けん化物;
(例えば、AOCS Cd 8-53によって測定される場合には、)約5meq/kg以下の過酸化物価;
(例えば、AOCS Cd 18-90によって測定される場合には、)約10以下のp-アニシジン価;および
(例えば、AOCS Cg 4-94によって測定される場合には、)約25ppm以下の残留溶媒。
【0087】
本態様の他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、以下を有する:
(例えば、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、)約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;
(例えば、AOCS Ca 6a-40によって測定される場合には、)約1重量%以下の不けん化物;
(例えば、AOCS Cd 8-53によって測定される場合には、)約5meq/kg以下の過酸化物価;
(例えば、AOCS Cd 18-90によって測定される場合には、)約10以下のp-アニシジン価;および
(例えば、AOAC 996.06によって測定される場合には、)総脂肪酸のうち少なくとも40%のオレイン酸の存在。
【0088】
さらに他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、以下(i)~(viii)を有する:
(i)(例えば、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、)約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;
(ii)(例えば、AOCS Ca 6a-40によって測定される場合には、)約1重量%以下の不けん化物;
(ii)(例えば、AOCS Cd 8-53によって測定される場合には、)約5meq/kg以下の過酸化物価;
(iv)(例えば、AOCS Cd 18-90によって測定される場合には、)約10以下のp-アニシジン価;
(v)(例えば、AOCS Cg 4-94によって測定される場合には、)約25ppm以下の残留溶媒;
(vi)(例えば、AOAC 996.06によって測定される場合には、)総脂肪酸のうち少なくとも40%のオレイン酸の存在;
(vii)(例えば、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、)淡黄色または黄色;および
(viii)薄い風味、または、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性。
【0089】
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、淡黄色であり、かつ薄い風味を有する。他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、黄色であり、かつ、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性を有する。前述の実施形態のいずれかと組み合わせ得るいくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、淡黄色であり、前記組成物は、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約200ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する。
【0090】
他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、以下の(i)~(v)、またはそれら(i)~(v)の任意の組み合わせを有する:
(i)室温で液体であり;
(ii)(例えば、25℃で測定される場合には、)約30センチポアズ~600センチポアズの粘度を有し;
(iii)(例えば、AOCS-Cd 16b-93によって測定される場合には、)約5℃の温度で、約1%~約10%の固体脂肪含有量を有し;
(iv)(例えば、AOCS Cc 9a-48によって測定される場合には、)少なくとも約195℃の煙点を有し;または
(v)(例えば、AOCS Cc 9b-55によって測定される場合には、)少なくとも約200℃の引火点を有する。
【0091】
ポンガミア油組成物の分析方法
ポンガミア脂肪種子から得られる油およびシードケーキ中に存在する高濃度のカランジンおよびポンガモールは、一般的に、不都合な味、および臭い、ならびに潜在的な毒性であるが故に食用性が欠如しているため、食品中での油およびシードケーキの使用が妨げられている。これらの化合物により、油およびシードケーキは食用に適さず、ヒトおよび動物に対して有害である可能性がある。食用ポンガミア組成物を開発するこれまでの試みは、一部分は、カランジン濃度、および摂取用の他の抗栄養素の一貫した許容可能な最大値がまだ明らかにされていないという事実のために、成功していない。さらに、ポンガミア組成物を分析する既存の方法は、ポンガミア組成物中のカランジン濃度を評価すること、言うまでもなく、さらに許容可能なカランジン濃度の最大値を測定することが難しい試みであるために、不正確で信頼性が低い。したがって、ポンガミア組成物中に存在するカランジンおよび他の抗栄養素化合物の濃度を測定するためのより正確な方法が依然として必要とされている。
【0092】
本開示は、ポンガミア油組成物を分析する方法、すなわち、既存の方法よりも高い正確性および精度でポンガミア脂肪種子に固有のカランジンおよび他の化合物の濃度を測定する方法を提供することによって、この必要性に対処する。したがって、いくつかの態様では、溶媒抽出分析方法を用いてポンガミア油中のカランジンおよび/またはポンガモールの濃度を分析するための方法が、本明細書に提供される。
【0093】
図1を参照すると、ポンガミア油サンプルを分析する例示的な処理100が提供される。工程102において、サンプルを抽出溶媒と組み合わせることによって、抽出混合物が提供される。いくつかの実施形態では、抽出溶媒はアルキルケトンを含む。特定の態様では、抽出溶媒はメチルケトンを含む。一態様では、抽出溶媒はアセトンを含む。
【0094】
再度
図1を参照すると、工程104および106において、抽出混合物を超音波処理し、次いで抽出されたポンガミア組成物(例えば、油など)と、カランジンおよび/またはポンガモールを有する抽出物とに分離する。
【0095】
次いで、工程108において、抽出物中に存在するカランジンおよび/またはポンガモールの濃度を測定する。いくつかの態様では、カランジンおよび/またはポンガモールの濃度は、紫外線検出器(UV)を用いた高速液体クロマトグラフィーによって測定される。一態様では、紫外線検出器は、ダイオードアレイ検出器(すなわち、HPLC-DADが使用される)である。
【0096】
いくつかの態様では、ポンガミア油を抽出溶媒と組み合わせて、抽出混合物を提供する工程であって、抽出溶媒はアルキルケトンを含み、ポンガミア油はカランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、工程;抽出混合物を超音波処理して、超音波処理された混合物を製造する工程;超音波処理された混合物を抽出されたポンガミア組成物とアルキルケトン抽出物とに分離する工程であって、抽出物はカランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、工程;および、抽出物中に存在するカランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度を測定する工程、を含む分析方法が提供される。一態様では、アルキルケトンはアセトンである。前述のいくつかの実施形態では、測定する工程は、紫外線検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーによって、カランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度を測定する工程を含む。一態様では、紫外線検出器はダイオードアレイ検出器である。
【0097】
特定の態様では、カランジンおよびポンガモールの濃度を検出するための本明細書に提供される分析方法は、当該技術分野で一般的に公知の分析方法(例えば、マススペクトロメトリー(MS)による検出を伴うHPLCの使用を含む方法、およびポンガミア粗びき粉サンプルを分析する工程を一般的に対照とする方法が挙げられる)を超えて改良されている。本明細書に提供される分析方法は、マススペクトロメトリーによる検出を伴うHPLC(例えば、HPLC-MS-MSなど)とは対照的に、特定のサンプル調製物、および紫外線による検出を伴うHPLC(例えば、HPLC-DADなど)を使用することによって、ポンガミア油サンプルの正確な測定を可能にする。
【0098】
ポンガミア油組成物の製造方法
いくつかの態様では、ポンガミアの木または植物(「Cytisus pinnatus」、「Dalbergia arborea」、「Derris indica」、「Galedupa pungum」、「karanj」、「Millettia pinnata」、「pongam」、「pongamia」、「pongamia glabra」、「Pterocarpus flavus」、「pongamia pinnata」、および「Robinia mitis」、「Indian beech」、および「mempari」としても知られる)に由来する植物原料から得られる未精製のポンガミア油から食用ポンガミア油を得る方法が提供される。いくつかの態様では、未精製のポンガミア油は、ポンガミア脂肪種子から得られる。
【0099】
図2を参照すると、例示的な精製処理200は工程202を含む。工程202において、未精製のポンガミア油は非極性溶媒と組み合わされて、未精製の混合物を製造する。得られた未精製のポンガミア油は、ポンガミア油およびフラノフラボノイド(例えば、カランジンおよび/またはポンガモールなど)を含む。工程204において、未精製の混合物を、追加の非極性溶媒を用いてシリカゲルを通して溶出させて、カランジンおよびポンガモールの少なくとも一部をポンガミア油から分離し、ポンガミア油および非極性溶媒を含む精製された混合物を製造する。工程206において、精製された混合物から非極性溶媒の少なくとも一部を除去して、食用で苦味のないポンガミア油組成物を製造する。
【0100】
溶媒
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の精製方法において使用される非極性溶媒はアルカンを含む。いくつかの態様では、アルカンは、C1~20アルカン、またはC1~10アルカンである。特定の態様では、アルカンは線形である。他の態様では、アルカンは分枝状である。さらに他の態様では、アルカンの混合物を使用し得る。一態様では、非極性溶媒はヘキサンを含む。
【0101】
いくつかの態様では、未精製のポンガミア油は、1:1~3:1(w/v)、1:1~2.5:1(w/v)、または1:1~2:1(w/v)の溶媒対油の比率で非極性溶媒と組み合わされる。
【0102】
シリカゲル
いくつかの態様では、シリカゲルは(i)5μm~1000μmの平均粒径(例えば、粒子直径に基づく);または(ii)18単位~2,500単位の平均メッシュ粒径範囲;または(iii)30Å~300Åの平均多孔度範囲、または(i)~(iii)の任意の組み合わせを有する。
【0103】
未精製のポンガミア油
いくつかの実施形態では、未精製のポンガミア油は、ポンガミア油、カランジン、ポンガモール、他のフラノフラボノイド、および他の不けん化物を含む。
【0104】
特定の実施形態では、未精製のポンガミア油は、少なくとも500ppm、少なくとも10,000ppm、もしくは少なくとも30,000ppm;または、10,000ppm~30,000ppmの不けん化物を有する。
【0105】
特定の実施形態では、未精製のポンガミア油は、少なくとも500ppm、少なくとも10,000ppm、もしくは少なくとも30,000ppm;または、10,000ppm~30,000ppmのフラノフラボノイドを有する。特定の実施形態では、未精製のポンガミア油は、少なくとも10,000ppmのカランジンおよび/またはポンガモールを有する。前述のいくつかの態様では、カランジンおよびポンガモールの濃度は、本明細書に記載の溶媒抽出分析方法によって測定される。
【0106】
いくつかの態様では、未精製のポンガミア油は、少なくとも500ppm、少なくとも10,000ppm、もしくは少なくとも30,000ppm;または、10,000ppm~30,000ppmのカランジンを有する。他の態様では、未精製のポンガミア油は、少なくとも500ppm、少なくとも10,000ppm、もしくは少なくとも30,000ppm;または、10,000ppm~30,000ppmのポンガモールを有する。他の態様では、未精製のポンガミア油は、少なくとも500ppm、少なくとも10,000ppm、もしくは少なくとも30,000ppm;または、10,000ppm~30,000ppmのカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する。
【0107】
本明細書に記載の方法に使用される未精製のポンガミア油は、当該技術分野で公知の様々な方法および技術から製造することができ、または任意の市販の供給源から得ることができる。いくつかの態様では、未精製のポンガミア油は、ポンガミア脂肪種子を機械的に分離する工程によって得られる。一態様では、未精製のポンガミア油は、ポンガミア脂肪種子を低温プレスする工程によって得られる。
【0108】
任意に、ポンガミア脂肪種子を脱皮して、未精製のポンガミア油を得ることができる。したがって、いくつかの態様では、未精製のポンガミア油は、ポンガミア脂肪種子を脱皮して、脱皮された脂肪種子を製造する工程;および、脱皮された脂肪種子を機械的に分離して、未精製のポンガミア油と、少なくとも部分的に脱油されたシードケーキとを製造する工程によって得られる。他の態様では、未精製のポンガミア油は、25℃~200℃の温度で適切な時間ポンガミア脂肪種子を加熱して、処理された脂肪種子を提供する工程;処理された脂肪種子を脱皮して、脱皮された脂肪種子を製造する工程;および、脱皮された脂肪種子を機械的に分離して、未精製のポンガミア油と、少なくとも部分的に脱油されたシードケーキとを製造する工程によって得られる。
【0109】
脱皮する工程は、典型的にはポンガミア豆を脱皮機に通して、外皮および豆を緩める工程、ならびに2つの画分を分離する工程を含む。当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して、外皮を和らげ外皮の分離を達成し得る。例えば、いくつかの態様では、脱皮する工程は、ポンガミア豆を衝撃型脱皮機に通す工程、および豆から外皮を緩める工程(loosening)によって行われる。この目的のために、他の型の剥離装置(例えば、研磨材/ブラッシング型など)を使用し得る。外皮からの豆の分離は、例えば、重力テーブル(gravity table)または吸引器によって行うことができる。
【0110】
次いで、豆を機械的にプレスする(例えば、低温プレスなど)が、これは、典型的には、圧搾機を用いて実施し、遊離油を除去して低脂肪(例えば、10~14%の脂肪)ポンガミア粗びき粉を製造し得る。低温プレスは、当該技術分野で公知の任意の適切な技術を使用して実施することができる。例えば、低温プレスは、様々な機器(例えば、Farmet FL-200 expeller pressなど)を用いて実施することができる。いくつかの態様では、プレスする工程は、脱皮された豆を装置に通過させて、遊離油および低脂肪粗びき粉を製造する工程を含むことができる。部分的に脱脂され、機械的にプレスされた豆は、元のポンガミア油含有量の約60~75%を除去することができる。
【0111】
食品および飲料製品
特定の態様では、本明細書のポンガミア油組成物を組み込むか、またはそれを用いて製造される食品および飲料製品もまた提供される。当該ポンガミア油組成物は、サラダ油、フライ油、ソテー油、ビネグリット、ソース、ドレッシング、肉模倣品中の脂肪、飲料、または混合マーガリン、および他の固体脂肪の適用として使用され得る。
【0112】
本明細書に提供されるポンガミア油組成物は、食品用途での使用に適したポンガミア油組成物を作るいくつかの好ましい組成物特性(例えば、低濃度のカランジン、低濃度のポンガモール、および低濃度の不けん化物、低過酸化物価、低p-アニシジン価、低残留溶媒含有量、および高オレイン酸含有量が挙げられる)を有する。これらの組成特性に加えて、本開示のポンガミア油組成物はまた、脂肪および/または油が望まれる様々な用途のために選択することができる様々な感覚特性および機能特性を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物を含む食品および飲料製品であって、ポンガミア油組成物が、(例えば、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、)淡黄色であり、薄い風味を有する、食品および飲料製品が本明細書に提供される。他の実施形態では、ポンガミア油組成物は、(例えば、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、)黄色であり、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性を有する。前述の実施形態のいずれかと組み合わせ得るいくつかの実施形態では、ポンガミア油組成物は、(例えば、Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、)淡黄色であり、前記組成物は、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約200ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを有する。
【0114】
他の実施形態では、食品または飲料製品はポンガミア油組成物を含み、ポンガミア油組成物は、以下の(i)~(vii)、またはそれら(i)~(vii)の任意の組み合わせを含む:
(i)Lovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、淡黄色または黄色であり;および
(ii)薄い風味、または、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性を有し;
(iii)室温で液体であり;
(iv)25℃で測定される場合には、約30センチポアズ~600センチポアズの粘度を有し;
(v)AOCS-Cd 16b-93によって測定される場合には、約5℃の温度で約1%~約10%の固体脂肪含有量を有し;
(vi)AOCS Cc 9a-48によって測定される場合には、少なくとも約195℃の煙点を有し;または
(vii)AOCS Cc 9b-55によって測定される場合には、少なくとも約200℃の引火点を有する。
【0115】
食品および飲料製品は、本明細書に記載のポンガミア油組成物以外の様々な他の成分を含むことができる。例えば、食品および飲料製品は、例えば、水、他の脂肪および油、甘味料(例えば、糖など)、塩、増粘剤(例えば、ペクチンおよび他のハイドロコロイドなど)、消泡剤、天然香味料および人工香味料、防腐剤、ならびに着色剤を含み得る。
【0116】
一態様では、食品はポンガミア油マヨネーズである。別の態様では、食品はポンガミア油マーガリンおよびポンガミア油スプレッドである。さらに別の態様では、食品はポンガミア油サラダドレッシングである。
【0117】
別の態様では、食品および/または飲料製品を調製する方法が提供される。当該方法は、混合する工程(mixing)/ブレンドする工程(blending)、低温殺菌する工程(pasteurizing)および/または滅菌する工程(sterilizing)、ならびに包装する工程(packaging)のうち1つ以上を含み得る。
【0118】
〔列挙された実施形態〕
以下に列挙する実施形態は、本発明のいくつかの態様を代表するものである。
【0119】
1.以下の工程を含む分析方法:
ポンガミア油を抽出溶媒と組み合わせて抽出混合物を提供する工程であって、前記抽出溶媒はアルキルケトンを含み、前記ポンガミア油はカランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、工程;
前記抽出混合物を超音波処理して、超音波処理された混合物を製造する工程;
前記超音波処理された混合物を、抽出されたポンガミア組成物とアルキルケトン抽出物とに分離する工程であって、前記抽出物はカランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、工程;および
前記抽出物中に存在するカランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度を測定する工程。
【0120】
2.前記アルキルケトンはアセトンである、実施形態1に記載の方法。
【0121】
3.前記測定する工程は、紫外線検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーにより、カランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度を測定する工程を含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0122】
4.前記紫外線検出器は、ダイオードアレイ検出器である、実施形態3に記載の方法。
【0123】
5.以下の工程を含む、ポンガミア油組成物の製造方法:
未精製のポンガミア油を非極性溶媒と組み合わせて未精製の混合物を製造する工程であって、前記非極性溶媒はアルカンを含み、前記未精製のポンガミア油はポンガミア油およびフラノフラボノイドを含む、工程;
前記未精製の混合物を、シリカゲルを通して前記非極性溶媒で溶出させて、前記フラノフラボノイドの少なくとも一部を前記ポンガミア油から分離し、ポンガミア油および前記非極性溶媒を含む精製された混合物を製造する工程;および
前記非極性溶媒の少なくとも一部を前記精製された混合物から除去して、ポンガミア油組成物を製造する工程であって、前記組成物は食用で苦味がない、工程。
【0124】
6.前記組成物は、前記未精製のポンガミア油よりも低いフラノフラボノイド含有量を有する、実施形態5に記載の方法。
【0125】
7.前記組成物は、150ppm以下のフラノフラボノイドを有する、実施形態5または6に記載の方法。
【0126】
8.前記フラノフラボノイドは、カランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、実施形態5~7のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
9.前記未精製のポンガミア油は初期色を有し、製造されるポンガミア油組成物は最終色を有し、ここで、前記ポンガミア油組成物の前記最終色は前記未精製のポンガミア油の前記初期色よりも明るい、実施形態5~8のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
10.前記初期色は赤色および/または茶色であり、前記最終色は黄色である、実施形態9に記載の方法。
【0129】
11.前記未精製のポンガミア油は、機械的に分離されたポンガミア油である、実施形態5~10のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
12.ポンガミア脂肪種子を脱皮して、脱皮された脂肪種子を製造する工程;および
前記脱皮された脂肪種子を機械的に分離して、前記未精製のポンガミア油と、少なくとも部分的に脱油されたシードケーキとを製造する工程、をさらに含む、実施形態5~10のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
13.25℃~200℃の温度で適切な時間ポンガミア脂肪種子を加熱して、処理された脂肪種子を提供する工程;
前記処理された脂肪種子を脱皮して、脱皮された脂肪種子を製造する工程;および
前記脱皮された脂肪種子を機械的に分離して、前記未精製のポンガミア油と、少なくとも部分的に脱油されたシードケーキとを製造する工程、をさらに含む、実施形態5~10のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
14.前記非極性溶媒はヘキサンを含む、実施形態5~13のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
15.カランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度は、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法によって測定される、実施形態5~14のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
16.前記未精製のポンガミア油は、1:1~3:1(w/v)の比率で前記非極性溶媒と組み合わされる、実施形態5~15のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
17.前記カランジンおよびポンガモールは前記シリカゲル上に吸着され、前記方法は:
前記シリカゲルを極性溶媒で溶出させて、前記カランジンおよびポンガモールを単離する工程であって、前記極性溶媒はアルキルアルカノエートを含む工程、をさらに含む、実施形態5~16のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
18.前記カランジンおよびポンガモールは前記シリカゲル上に吸着され、前記方法は:
前記非極性溶媒中の極性溶媒の割合を増加させながら段階的勾配を用いて前記シリカゲルを溶出させて、カランジンおよびポンガモールを別々に単離する工程であって、前記極性溶媒はアルキルアルカノエートを含む工程、をさらに含む、実施形態5~16のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
19.前記極性溶媒は酢酸エチルを含む、実施形態17または18に記載の方法。
【0138】
20.前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法に従って製造されたポンガミア油組成物。
【0139】
21.150ppm未満のフラノフラボノイドを有するポンガミア油組成物であって、前記組成物は食用で苦味がない、ポンガミア油組成物。
【0140】
22.前記フラノフラボノイドは、カランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、実施形態21に記載の組成物。
【0141】
23.前記組成物は、150ppm以下のカランジンもしくはポンガモール、またはその両方を有する、実施形態22に記載の組成物。
【0142】
24.カランジンもしくはポルガモール、またはその両方の濃度は、実施形態1~4のいずれかに記載の方法によって測定される、実施形態23に記載の組成物。
【0143】
25.前記組成物は未精製のポンガミア油から得られ、前記組成物は前記未精製のポンガミア油の色よりも明るい色を有する、実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0144】
26.前記組成物の色は黄色である、実施形態25に記載の組成物。
【0145】
27.非極性溶媒をさらに含み、前記非極性溶媒はアルカンを含む、実施形態21~26のいずれか1つに記載の組成物。
【0146】
28.前記非極性溶媒は、25ppm未満の濃度で存在する、実施形態27に記載の組成物。
【0147】
29.前記組成物は脂肪酸を含む、実施形態21~28のいずれか1つに記載の組成物。
【0148】
30.前記脂肪酸は、モノ不飽和脂肪酸、ポリ不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ7脂肪酸、もしくはオメガ9脂肪酸、またはそれらの任意の組み合わせである、実施形態29に記載の組成物。
【0149】
31.前記組成物は、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、αリノレン酸、リグノセリン酸、アラキジン酸、ゴンド酸、オレイン酸、バクセン酸、パルミトレイン酸、エイコサジエン酸、リノール酸、マルガリン酸、ゴンド酸、エルカ酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、もしくはミリスチン酸、またはこれらの任意の異性体、または前述の任意の組み合わせを含む、実施形態21~28のいずれか1つに記載の組成物。
【0150】
32.前記組成物は、以下の(i)~(x)、または(i)~(x)の任意の組み合わせを有する、実施形態21~31のいずれか1つに記載の組成物:
(i)1%以下の遊離脂肪酸含有量;
(ii)0.1%以下の不溶性不純物;
(iii)25ppm以下のリン;
(iv)0.1ppm以下のクロロフィル;
(v)25ppm以下の残留溶媒;
(vi)1%以下の水分含有量;
(vii)1%以下のグリセロール;
(viii)1%以下のモノグリセリド;
(ix)5%以下のジグリセリド;または
(x)少なくとも90%のトリグリセリド。
【0151】
33.前記組成物は、前記組成物が得られた前記未精製のポンガミア油と比較して、より低い不けん化物含有量を有する、実施形態21~32のいずれか1つに記載の組成物。
【0152】
34.前記組成物はトコフェロールをさらに含む、実施形態21~33のいずれか1つに記載の組成物。
【0153】
35.前記トコフェロールは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、もしくはγ-トコフェロール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態34に記載の組成物。
【0154】
36.前記組成物は、少なくとも400ppmのトコフェロールを有する、実施形態34または35に記載の組成物。
【0155】
37.前記組成物は、少なくとも200ppmのα-トコフェロールを有する、実施形態34~36のいずれか1つに記載の組成物。
【0156】
38.前記組成物は、ステロールをさらに含む、実施形態21~37のいずれか1つに記載の組成物。
【0157】
39.前記ステロールは、β-シトステロール、カンペステロール、コレステロール、クレロステロール、δ-5,24-スチグマスタジエノール、δ-5-アベナステロール、シトスタノール、もしくはスチグマステロール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態38に記載の組成物。
【0158】
40.前記組成物は、2500ppm未満のステロールを有する、実施形態38または39に記載の組成物。
【0159】
41.サラダ油、フライ油、ソテー油、ビネグレット、ソース、ドレッシング、ヴィーガン肉模倣品中の脂肪、飲料、または混合マーガリン、および他の固体脂肪の適用、またはそれらの任意の組み合わせとしての、実施形態21~40のいずれか1つに記載のポンガミア油組成物の使用。
【0160】
42.実施形態21~40のいずれか1つに記載の前記ポンガミア油組成物を含む、食品または飲料製品。
【0161】
43.前記製品は、サラダ油、フライ油、ソテー油、ビネグリット、ソース、ドレッシング、肉模倣品中の脂肪、飲料、または混合マーガリンおよび他の固体脂肪の適用である、実施形態42に記載の製品。
【0162】
44.以下を有する、ポンガミア油組成物:
前記ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;
AOCS Ca 6a-40によって測定される場合には、約1重量%以下の不けん化物;
AOCS Cd 8-53によって測定される場合には、約5meq/kg以下の過酸化物価;
AOCS Cd 18-90によって測定される場合には、約10以下のp-アニシジン価;および
AOCS Cg 4-94によって測定される場合には、約25ppm以下の残留溶媒。
【0163】
45.以下を有する、実施形態44に記載の組成物:
前記ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約150ppm以下のカランジン;
前記ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約150ppm以下のポンガモール;
AOCS Ca 6a-40によって測定される場合には、約1重量%以下の不けん化物;
AOCS Cd 8-53によって測定される場合には、約5meq/kg以下の過酸化物価;
AOCS Cd 18-90によって測定される場合には、約5以下のp-アニシジン価;および
AOCS Cg 4-94によって測定される場合には、約25ppm以下の残留溶媒。
【0164】
46.前記残留溶媒は非極性溶媒を含む、実施形態44または45に記載の組成物。
【0165】
47.前記残留溶媒は非極性溶媒を含み、前記非極性溶媒はアルカンを含む、実施形態44~46のいずれか1つに記載の組成物。
【0166】
48.前記組成物は室温で液体である、実施形態44~47のいずれか1つに記載の組成物。
【0167】
49.前記組成物は、25℃で測定される場合には、約30センチポアズ~600センチポアズの粘度を有する、実施形態44~48のいずれか1つに記載の組成物。
【0168】
50.前記組成物は、AOCS-Cd 16b-93によって測定される場合には、約5℃の温度で約1%~約10%の固体脂肪含有量を有する、実施形態44~49のいずれか1つに記載の組成物。
【0169】
51.前記組成物は、AOCS Cc 9a-48によって測定される場合には、少なくとも約195℃の煙点を有する、実施形態44~50のいずれか1つに記載の組成物。
【0170】
52.前記組成物は、HPLCを用いたAOAC 971.30によって測定される場合には、少なくとも400ppmのトコフェロールを有する、実施形態44~51のいずれか1つに記載の組成物。
【0171】
53.前記組成物は、COI/T.20/Doc No.10によって測定される場合には、2500ppm未満のステロールを有する、実施形態44~52のいずれか1つに記載の組成物。
【0172】
54.前記組成物は、AOAC 996.06によって測定される場合には、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、αリノレン酸、リグノセリン酸、アラキジン酸、ゴンド酸、オレイン酸、バクセン酸、パルミトレイン酸、エイコサジエン酸、リノール酸、マルガリン酸、ゴンド酸、エルカ酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、もしくはミリスチン酸、またはそれらの任意の異性体、または前述の任意の組み合わせを含む、実施形態44~53のいずれか1つに記載の組成物。
【0173】
55.前記組成物は、AOAC 996.06によって測定される場合には、少なくとも40%のオレイン酸を含む、実施形態54に記載の組成物。
【0174】
56.前記組成物の色は、1インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、黄色または淡黄色である、実施形態44~55のいずれか1つに記載の組成物であって:
前記組成物が黄色である場合には、前記組成物は、25以上のLovibond Color Y値を有し;および
前記組成物が淡黄色である場合には、前記組成物は、25未満のLovibond Color Y値を有する、組成物。
【0175】
57.前記組成物は、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性を有する、実施形態44~56のいずれか1つに記載の組成物。
【0176】
58.前記組成物は、約1よりも大きいポンガモールに対するカランジンの比率を有する、実施形態44~57のいずれか1つに記載の組成物。
【0177】
59.前記組成物の色は淡黄色であり、前記組成物は、1インチのセルパスを使用するLovibond Color-AOCS Scaleによって測定される場合には、25未満のLovibond Color Y値を有する、実施形態44~56のいずれか1つに記載の組成物。
【0178】
60.前記組成物の色は淡黄色であり、前記組成物は約200ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを含む、実施形態44~56および59のいずれか1つに記載の組成物。
【0179】
61.前記組成物は薄い風味を有する、実施形態44~56、59および60のいずれか1つに記載の組成物。
【0180】
62.前記組成物は、1以下のポンガモールに対するカランジンの比率を有する、実施形態44~56および59~61のいずれか1つに記載の組成物。
【0181】
63.前記組成物は、以下の(i)~(ix)、または(i)~(ix)の任意の組み合わせを有する、実施形態44~62のいずれか1つに記載の組成物:
(i)AOCS Ca 5a-40によって測定される場合には、約1%以下の遊離脂肪酸含有量;
(ii)AOCS Ca 3a-46によって測定される場合には、約0.1%以下の不溶性不純物;
(iii)AOCS Ca 20-99,modによって測定される場合には、約25ppm以下のリン;
(iv)AOCS Ch 4-91によって測定される場合には、約0.1ppm以下のクロロフィル;
(v)AOCS Ca 2b-38によって測定される場合には、約1%以下の水分含有量;
(vi)AOCS Cd 11c-93によって測定される場合には、約1%以下のグリセロール;
(vii)AOCS Cd 11c-93によって測定される場合には、約2%以下のモノグリセリド;
(viii)AOCS Cd 11c-93によって測定される場合には、約5%以下のジグリセリド;および
(ix)AOCS Cd 11c-93によって測定される場合には、少なくとも約90%のトリグリセリド。
【0182】
64.以下の工程を含む、分析方法:
ポンガミア油を抽出溶媒と組み合わせて抽出混合物を提供する工程であって、前記抽出溶媒はアルキルケトンを含み、前記ポンガミア油はカランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、工程;
前記抽出混合物を超音波処理して、超音波処理された混合物を製造する工程;
前記超音波処理された混合物を、抽出されたポンガミア組成物とアルキルケトン抽出物とに分離する工程であって、前記抽出物は、カランジンもしくはポンガモール、またはその両方を含む、工程;および
前記抽出物中に存在するカランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度を測定する工程。
【0183】
65.前記アルキルケトンはアセトンである、実施形態64に記載の方法。
【0184】
66.前記測定する工程は、紫外線検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーによって、カランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度を測定する工程を含む、実施形態64または65に記載の方法。
【0185】
67.前記紫外線検出器は、ダイオードアレイ検出器である、実施形態68に記載の方法。
【0186】
68.以下の工程を含む、ポンガミア油組成物の製造方法:
未精製のポンガミア油を非極性溶媒と組み合わせて未精製の混合物を製造する工程であって、前記非極性溶媒はアルカンを含み、前記未精製のポンガミア油はポンガミア油およびフラノフラボノイドを含む、工程;
前記未精製の混合物を、シリカゲルを通して前記非極性溶媒で溶出させて、フラノフラボノイドの少なくとも一部を前記ポンガミア油から分離し、ポンガミア油と前記非極性溶媒とを含む精製された混合物を製造する工程;および
前記非極性溶媒の少なくとも一部を前記精製された混合物から除去してポンガミア油組成物を製造する工程であって、前記組成物は、ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;AOCS Ca 6a-40によって測定される場合には、約1重量%以下の不けん化物;AOCS Cd 8-53によって測定される場合には、約5meq/kg以下の過酸化物価;ならびに、AOCS Cd 18-90によって測定される場合には、約10以下のp-アニシジン価、を有する、工程。
【0187】
69.前記未精製のポンガミア油は初期色を有し、製造された前記ポンガミア油組成物は最終色を有し、ここで、前記ポンガミア油組成物の前記最終色は前記未精製のポンガミア油の前記初期色よりも明るい、実施形態68に記載の方法。
【0188】
70.前記初期色は赤色および/または茶色であり、前記最終色は黄色または淡黄色である、実施形態69に記載の方法。
【0189】
71.前記未精製のポンガミア油は、機械的に分離されたポンガミア油である、実施形態68~70のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
72.以下の工程をさらに含む、実施形態68~71のいずれか1つに記載の方法:
ポンガミア脂肪種子を脱皮して、脱皮された脂肪種子を製造する工程;および
前記脱皮された脂肪種子を機械的に分離して、前記未精製のポンガミア油と、少なくとも部分的に脱油されたシードケーキとを製造する工程。
【0191】
73.以下の工程をさらに含む、実施形態68~72のいずれか1つに記載の方法:
25℃~200℃の温度で適切な時間ポンガミア脂肪種子を加熱して、処理された脂肪種子を提供する工程;
前記処理された脂肪種子を脱皮して、脱皮された脂肪種子を製造する工程;および
前記脱皮された脂肪種子を機械的に分離して、前記未精製のポンガミア油と、少なくとも部分的に脱油されたシードケーキとを製造する工程。
【0192】
74.前記非極性溶媒はヘキサンを含む、実施形態68~73のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
75.カランジンもしくはポンガモール、またはその両方の濃度は、実施形態21~24のいずれか1つに記載の方法によって測定される、実施形態68~74のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
76.前記未精製のポンガミア油は、1:1~3:1(w/v)の比率で前記非極性溶媒と組み合わされる、実施形態68~75のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
77.前記カランジンおよびポンガモールは前記シリカゲル上に吸着され、前記方法は:
前記シリカゲルを極性溶媒で溶出させて、前記カランジンおよびポンガモールを単離する工程であって、前記極性溶媒はアルキルアルカノエートを含む工程、をさらに含む、実施形態68~76のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
78.前記カランジンおよびポンガモールは前記シリカゲル上に吸着され、前記方法は:
前記非極性溶媒中の極性溶媒の割合を増加させながら段階的勾配を用いてシリカゲルを溶出させて、カランジンおよびポンガモールを別々に単離する工程であって、前記極性溶媒はアルキルアルカノエートを含む工程、をさらに含む、実施形態68~77のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
79.前記極性溶媒は酢酸エチルを含む、実施形態77または78に記載の方法。
【0198】
80.実施形態68~79のいずれか1つに記載の方法に従って製造される、ポンガミア油組成物。
【0199】
81.サラダ油、フライ油、ソテー油、ビネグリット、ソース、ドレッシング、肉模倣品中の脂肪、飲料、または混合マーガリン、および他の固体脂肪の適用、またはそれらの任意の組み合わせとしての、実施形態44~63および80のいずれか1つに記載のポンガミア油組成物の使用。
【0200】
82.実施形態44~63および80のいずれか1つに記載の前記ポンガミア油組成物を含む、食品または飲料製品。
【0201】
83.前記組成物は淡黄色であり;前記組成物は、約200ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたものを含み、前記組成物は薄い風味を有する、実施形態82に記載の製品。
【0202】
84.前記ポンガミア油組成物は黄色であり;前記組成物は、約150ppm以下のカランジンおよび約150ppm以下のポンガモールを含み;前記組成物は、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性を有する、実施形態82に記載の製品。
【0203】
85.前記製品は、サラダ油、フライ油、ソテー油、ビネグリット、ソース、ドレッシング、肉模倣品中の脂肪、飲料、または混合マーガリン、および他の固体脂肪の適用である、実施形態82~84のいずれか1つに記載の製品。
【0204】
86.以下の(i)~(ix)を有する、ポンガミア油組成物:
(i)前記ポンガミア油組成物から得られるアセトン抽出物のHPLC-DAD分析によって測定される場合には、約1000ppm以下のカランジンおよびポンガモールを組み合わせたもの;
(ii)AOCS Ca 6a-40によって測定される場合には、約1重量%以下の不けん化物;
(ii)AOCS Cd 8-53によって測定される場合には、約5meq/kg以下の過酸化物価;
(iv)AOCS Cd 18-90によって測定される場合には、約10以下のp-アニシジン価;および
(v)AOCS Cg 4-94によって測定される場合には、約25ppm以下の残留溶媒;
(vi)AOAC 996.06によって測定される場合には、総脂肪酸のうちの少なくとも40%のオレイン酸の存在;
(vii)淡黄色または黄色;
(viii)薄い風味、または、ナッツ風味、バター風味、草風味、滑らかさ、および甘味、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の感覚特性;
(ix)それら(i)~(viii)の任意の組み合わせ。
【0205】
〔実施例〕
本開示の主題は、以下の実施例を参考することによってよりよく理解されるであろう。以下の実施例は本発明の例示として提供されるものであり、限定するものではない。
【0206】
〔実施例1〕
ポンガミア油の製造
本実施例は、未精製の(例えば、苦味のある)ポンガミア油の液体固体吸着クロマトグラフィーによる、食用(例えば、苦味のない)ポンガミア油の製造を説明する。未精製のポンガミア油は、シリカゲルを用いた吸着精製を受ける。機械的に分離されたポンガミア油から、カランジン、ポンガモール、および可能性のある他の抗栄養素ファクターおよび/または苦味化合物をクロマトグラフィーにより除去して、精製された油製品を得る。
【0207】
カラム調製(ウェットパック法)
使用するカラムを、上部に別の約1Lの容量を有する球形リザーバーを用いて、体積1Lでフリット化した。使用したシリカは、40~63μmの粒径および60Åの孔径を有していた。
【0208】
シリカ(500~550g、~1L体積)をフラスコ中でn-ヘキサン(1000~1100mL)と組み合わせ、かき混ぜてシリカスラリーを形成した。大きな漏斗を用いてシリカをフラスコに移した。カラム出口のストップコックは、1滴/秒の流速を可能にするように十分に開かれた。シリカスラリーを室温に到達させた後、シリカスラリーをカラムに注いだ。スラリーが過度に厚くなって注ぐことができなくなったときに、追加のヘキサンを添加した。カラムが完全に充填されたら、カラム出口のストップコックを閉じ、1~2cmの溶媒をカラムヘッドの上に残した。ガラスウールをシリカスラリー床の上に加えた。
【0209】
未精製の混合物の調製
約1100mL(1000~1100g)の未精製のポンガミア油を、ガラス栓を有する2つのフラスコ中で500mLのn-ヘキサンと組み合わせた。最初に、2つの層が形成されることが観察された。最上層は乳白色で黄色がかった外観を有し、これはエマルジョンを示していた。2つの層を混合し、均質な溶液を形成した。
【0210】
クロマトグラフィーの手順
750mLの前述の調製した未精製の混合物を、カラム床の上部のガラスウールに注いだ。カラムの上部をアルミニウム箔でキャップして蒸発を最小限に抑えながら、カラム出口のストップコックを開いて、2滴/秒(約7mL/分)の流速とさせた。無色のヘキサンを溶出させて最初に回収し、続いて黄色の画分を回収した。残った未精製の混合物を加え、無色のヘキサンおよび黄色の画分を溶出させて、カラムヘッドがほぼ空になるまで回収した。1Lのヘキサンをカラムに加え、無色のヘキサンおよび黄色の画分を溶出させ、回収した。球状リザーバーおよびガラスウールの内壁をヘキサンのアリコートですすぎ、続いて溶出させ、回収した。別の1Lヘキサンをカラムに加え、溶出させ、回収した。最後に、回収された無色のヘキサンおよび黄色の画分を、すすぎの間に回収されたものを除いて組み合わせた。これらには、さらなるわずかなピーク(しかし、ポンガモールやカランジンにはない)が含まれていることが分かった。
【0211】
極性化合物の溶出
1Lの100%酢酸エチルをカラムに加えて、全てのシリカ結合極性化合物(、カランジンおよびポンガモールを含む)を1滴/秒の流速で洗い流した。溶出液をフラスコに集めた。次に、別の1Lの酢酸エチルをカラムに加え、溶出液を別のフラスコに集めた。画分を室温で保存した。
【0212】
他の態様では、極性化合物を溶出するための代替の方法を使用し得る。例えば、実施した他の試験では、ヘキサン中、5%、10%、20%、および30%の酢酸エチルを各々1L、段階的勾配溶出のために調製した。次に、ヘキサン中、1Lの5%酢酸エチルをカラムに加え、溶出液を黄色の画分とほぼ無色の画分として回収した。次いで、ヘキサン中、10%、20%、30%の酢酸エチルを各々1L、続いて500mLの100%酢酸エチルをカラムに添加し、対応する溶出画分を回収した。流速はヘキサンで溶出した黄色の画分の後に増加した。流速を調節して、高速の滴下(約10mL/分)を可能にした。最後に、各々の画分の溶媒を蒸発させた。
【0213】
以下の表1は、未精製のポンガミア油(「未精製の油」)の化学組成を、本実施例に記載のクロマトグラフィーの手順に従って精製されたポンガミア油(「精製された油」)と比較する。計量された組成を測定するために使用した方法を、表1に示す。AOCSはアメリカ石油化学学会(the American Oil Chemists’Society)を指し、それらの試験方法は公に利用可能である。
【0214】
【0215】
以下の表2は、未精製の油中の脂肪酸クラスの量を精製された油と比較する。計量された成分を測定するために使用される方法は、表2に示される。AOACは公式分析化学協会(the Association of Official Analytical Chemists)を指し、それらの試験方法は公に利用可能である。
【0216】
【0217】
以下の表3は、未精製の油および精製された油の中の脂肪酸組成の量を示す。計量された成分を測定するために使用した方法を、表3に示す。
【0218】
【0219】
以下の表4は、未精製の油および精製された油の中のトコフェロール含有量を示す。計量された成分を測定するために使用した方法を、表4に示す。
【0220】
【0221】
以下の表5は、未精製の油および精製された油の中のステロール含有量を示す。計量された成分を測定するために使用した方法を、表5に示す。「COI/T.20/Doc No.10」は、国際オリーブ評議会(the International Olive Council)によって提示されている公に利用可能な試験方法である。
【0222】
【0223】
以下の表6は、未精製の油中のカランジンおよびポンガモールの含有量を、精製された油と比較する。カランジンおよびポンガモールの含有量は、以下の実施例2に記載のプロトコールに従って測定した。
【0224】
【0225】
以下の表7は、未精製の油の色を、精製された油と比較する。色を測定するために使用した方法を、表7に示す。
【0226】
【0227】
〔実施例2〕
ポンガミア油の特性
本実施例は、ポンガミア油を特徴付けるための一般的なプロトコールを提供する。本明細書に提供され、
図1に記載されるプロトコールを使用して、前記実施例1に記載されるように未精製の油および精製された油を特徴付けた。
【0228】
ポンガミア油サンプルを、アセトンと組み合わせて抽出混合物を調製した。次いで、抽出混合物を超音波処理して、油から、カランジンおよび/またはポンガモールを含む液体部分を抽出した。この液体部分を、成分分析のために40%アセトニトリルで平衡化したHPLCカラムに注入した。以下の表8は、使用したHPLC-DADの設定をまとめたものである。
【0229】
【0230】
40%アセトニトリルで平衡化されたC18カラムにサンプル抽出物を充填した後、全体を通して流速0.8mL/分に維持しながら、アセトニトリルの相対濃度は、以下の表9に要約されるように、(i)18分間にわたって90%に直線的に増加させ、(ii)4分間、90%に維持し、(iii)1分間にわたって40%に直線的に減少させ、(iv)2分間、40%に維持した。
【0231】
【0232】
カランジンは約9.6分で溶出することが観察された。これは約67%の相対アセトニトリル濃度に相当する。ポンガモールは、約80%の相対アセトニトリル濃度に相当する約14.4分で溶出することが観察された。カランジンおよびポンガモールに相当する溶出画分の分光分析に基づいて、各々の成分のppm濃度を測定した。
【0233】
前記実施例1の未精製の油および精製された油の中のカランジンおよびポンガモールを特徴付けるために本方法を使用した結果を、前記表6に示す。
図3Aおよび3Bはまた、前記実施例1の未精製の油および精製された油の中の食用油由来のフラノフラボノイドおよび他の化学物質の除去を比較する。
【0234】
〔実施例3〕
精製されたポンガミア油の熱的特性
本実施例は、精製されたポンガミア油の熱的および温度依存性の物理的特性の評価を詳述する。
【0235】
精製されたポンガミア油は、実施例1または2に記載のプロトコールに従って得られる。固体脂肪含有量(SFC)は、AOCS-Cd 16b-93に従って、核磁気共鳴(NMR)を使用して計量される。さらに、引火点、滴点、および煙点は、それぞれAOCS Cc 9b-55、AOCS Cc 18-80、およびAOCS Cc 9a-48に従って、同じサンプルで測定される。
【0236】
ポンガミア油の融解(加熱)および結晶化(冷却)プロファイルを、示差走査熱量測定(DSC)を用いて研究した。
【0237】
〔実施例4〕
ポンガミア油の感覚評価
本実施例は、実施例1および2の方法に従って得ることができるポンガミア油組成物の感覚特性を評価するためのプロトコールを記載する。
【0238】
内部でのポンガミア油の味見には、6人の個人が参加する。各々の参加者は、色、濁り、臭い、味、および総合的な許容可能性に基づいて、各々の油サンプルを評価するよう求められる。味および香りの評価のために、参加者は各々の精製されたポンガミア油サンプルを盲目的に味見し、各々の油サンプルの風味を最も良く記載すると考える特性を割り当てることによって、自由選択プロファイリングを行う。自由選択記述子は、各々のサンプルについて集約される。
【0239】
〔実施例5〕
食品
本実施例は、前記実施例1に記載のプロトコールに従って得られたポンガミア油組成物を用いて製造することができる食品の様々な例を示す。表10は、ポンガミア油マヨネーズの例示的な組成を示す。表11は、ポンガミア油マーガリンおよびポンガミア油スプレッドの例示的な組成を示す。表12は、ポンガミア油サラダドレッシングの例示的な組成を示す。
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
本明細書で使用される用語「約(about)」は、当業者に容易に知られている各々の値の通常の誤差範囲を指す。本明細書において、値またはパラメータの「約」への言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ記載する)。例えば、「約x」は「x」自体を含み、記載する。いくつかの実施形態では、用語「約」が測定値と関連して使用される場合、または、値、単位、定数、もしくは値の範囲を修正するために使用される場合は、記載された値またはパラメータの+/-2%の変動を指す。
【0244】
本明細書において、2つの値またはパラメータの「間(between)」への言及は、それら2つの値またはパラメータ自体を含む実施形態を含む(かつ記載する)。例えば、「xとyとの間」に言及する記述は、「x」および「y」自体の記述を含む。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【
図1】
図1は、ポンガミア油サンプル中のカランジンおよび/またはポンガモールの濃度を測定するための例示的な分析方法を示す。
【
図2】
図2は、未精製のポンガミア油混合物を精製して、食用で苦味のないポンガミア油組成物を製造する例示的な工程を示す。
【
図3A】
図3Aは、HPLCによって測定される、未精製のポンガミア油中に存在するフラノフラボノイド(
図3A)を比較する。
【
図3B】
図3Bは、HPLCによって測定される、例示的な精製されたポンガミア油組成物中に存在しないフラノフラボノイド(
図3B)を比較する。
【国際調査報告】