(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】アンテナのルーティング及びレイアウト
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/34 20060101AFI20230516BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20230516BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H01Q3/34
H01Q13/10
H01Q13/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560390
(86)(22)【出願日】2021-04-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 US2021025731
(87)【国際公開番号】W WO2021203084
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレル カグダス
(72)【発明者】
【氏名】リン スティーヴン エイチ
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AB05
5J021AB06
5J021DB04
5J021FA01
5J045DA04
5J045DA10
5J045LA01
(57)【要約】
アンテナのためのルーティング及びレイアウトが記載される。1つの実施形態において、アンテナは、アイリススロット開口部とアイリススロット開口部を覆う電極とを各々が含む複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子と、複数のRF放射アンテナ素子に結合された複数の駆動トランジスタと、複数のRF放射アンテナ素子のうちの1つのRF放射アンテナ素子の電極に各々が結合された複数のストレージキャパシタと、を有するアパーチャを備える。また、アパーチャは、RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられた1つのRF放射アンテナ素子用の駆動トランジスタ、RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられたRF放射アンテナ素子用のストレージキャパシタ、及びオーバラップ領域において、ストレージキャパシタンスを形成するために1つのRF放射アンテナ素子に共通電圧を送る共通電圧ルーティングに重なる第1の電圧用の1つのRF放射アンテナ素子への金属ルーティングのうちの少なくとも1つを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、
アイリススロット開口部と前記アイリススロット開口部を覆う電極とを各々が含む複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子と、
前記複数のRF放射アンテナ素子に結合された複数の駆動トランジスタと、
前記複数のRF放射アンテナ素子のうちの1つのRF放射アンテナ素子の前記電極に各々が結合された複数のストレージキャパシタと、
を有するアパーチャを備え、
前記アパーチャは、
前記RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられた前記1つのRF放射アンテナ素子用の前記駆動トランジスタ、
前記RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられた前記1つのRF放射アンテナ素子用のストレージキャパシタ、及び
オーバラップ領域において、ストレージキャパシタンスを形成するために前記1つのRF放射アンテナ素子に共通電圧を送る共通電圧ルーティングに重なる第1の電圧用の前記1つのRF放射アンテナ素子への金属ルーティング、
のうちの少なくとも1つを含む、アンテナ。
【請求項2】
前記電極はパッチを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記金属ルーティングは、前記複数のストレージキャパシタのうちの1つのストレージキャパシタを前記電極に結合するドレイン金属ルーティングを含む、請求項1の記載のアンテナ。
【請求項4】
前記ドレイン金属ルーティングは、前記共通電圧ルーティングの上方又は下方にある、請求項3の記載のアンテナ。
【請求項5】
前記オーバラップ領域は、ストレージキャパシタの第2のキャパシタンスと組み合わせて前記1つのRF放射アンテナ素子のキャパシタンスを提供する第1のキャパシタンスを提供し、前記ドレイン金属層の幅及び前記共通電圧ルーティングの幅の一方又は両方は、前記第1のキャパシタンスを取得するよう設定される、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項6】
オーバラップエリアの幅は、前記電極の外側よりも電極の下方でより大きい、請求項1の記載のアンテナ。
【請求項7】
前記1つのRF放射アンテナ素子用の前記駆動トランジスタは、前記1つのRF放射アンテナ素子用の前記ストレージキャパシタと共に前記RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられる、請求項1の記載のアンテナ。
【請求項8】
前記1つのRF放射アンテナ素子用の前記駆動トランジスタは、前記RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられ、前記1つのRF放射アンテナ素子用の前記ストレージキャパシタは、前記RF放射アンテナ素子の電極の外側に位置付けられる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記1つのRF放射アンテナ素子用の前記駆動トランジスタは、前記RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられ、前記1つのRF放射アンテナ素子用の第1のストレージキャパシタは、前記RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられ、前記1つのRF放射アンテナ素子用の第2のストレージキャパシタは、前記RF放射アンテナ素子の電極の外側に位置付けられる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記電極は、パッチ及びパッチ基板を有するパッチ構造体の一部であり、更にストレージキャパシタは、前記電極の真下に形成され、前記パッチ構造体のパッチ金属層とパッチ基板との間に存在する、請求項1の記載のアンテナ。
【請求項11】
前記パッチの下方のキャパシタンスは、共通電圧金属層を調整することによって調節される、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記電極は、パッチ及びパッチ基板を有するパッチ構造体の一部であり、更に前記駆動トランジスタはTFTを含み、少なくとも1つの前記TFTは、前記パッチ構造体の真下に形成され、且つ前記パッチ構造体のパッチ金属層とパッチ基板との間に存在する、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項13】
アンテナであって、
複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子であって、アイリススロット開口部と前記アイリススロット開口部を覆う電極とを各々が含む、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子と、
前記複数のRF放射アンテナ素子のうちの1つのRF放射アンテナ素子に各々が結合される複数の駆動トランジスタであって、前記駆動トランジスタのペアの間の1又は2以上の金属ルーティング線が1又は2以上の前記RF放射アンテナ素子を通る、複数の駆動トランジスタと、
を備える、アンテナ。
【請求項14】
前記各駆動トランジスタは、前記駆動トランジスタのソース及びゲートにそれぞれ結合されたドレイン金属線及びゲート金属線を有し、前記ドレイン金属線は、前記RF放射アンテナ素子の電極に結合され、前記1又は2以上の金属ルーティング線は、前記ソース金属線及び前記ゲート金属線のうちの1又は2以上を含む、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記1又は2以上の金属ルーティング線は、共通電圧ルーティングを含む、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項16】
前記1又は2以上の金属ルーティング線は、前記少なくとも1つのRF放射アンテナ素子の主軸に沿っている、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記1又は2以上の金属ルーティング線は、前記少なくとも1つのRF放射アンテナ素子の主軸に対して対称である平行ルーティング線を含む、請求項16に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記1又は2以上の金属ルーティング線の一部は、前記電極と基板との間で前記電極が結合される前記基板上の金属層の上に形成される、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項19】
前記電極はパッチ電極であり、前記基板はパッチ基板である、請求項18に記載のアンテナ。
【請求項20】
前記パッチ電極と前記金属ルーティング線との間の寄生キャパシタンスを低減するために前記パッチ電極と金属ルーティング線との間に誘電体を更に備える、請求項19に記載のアンテナ。
【請求項21】
前記金属ルーティング線は、前記電極に近接していないときよりも前記電極に近接しているときに幅狭になる、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項22】
対応する前記アイリススロット開口部の上方のエリアの外側にあるエリアにおいて前記駆動トランジスタのドレイン金属層を少なくとも1つの前記RF放射アンテナ素子の前記電極に接続するためにビアを更に備える、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項23】
アンテナであって、
複数のRF放射アンテナ素子と、
前記複数のRF放射アンテナ素子に結合された複数の構造体と、
を備え、
前記各構造体は、前記複数のRF放射アンテナ素子を駆動するよう結合されたストレージキャパシタに結合される駆動トランジスタを有し、前記複数の構造体の各構造体は、複数のドレイン端子を含む、
アンテナ。
【請求項24】
前記駆動トランジスタは、TFTである、請求項23に記載のアンテナ。
【請求項25】
前記複数のドレイン端子の1つだけが、RF放射アンテナ素子の1又は2以上の異なるリング上で前記1又は2以上のRF素子に結合される、実施例23に記載のアンテナ。
【請求項26】
前記複数の構造体のうちの1つの構造体の前記複数のドレイン端子のうちの1つに結合されたドレイン線は、前記1つの構造体の前記駆動トランジスタに結合されたゲート線に交差する、請求項23に記載のアンテナ。
【請求項27】
前記複数の構造体のうちの1つの構造体の前記複数のドレイン端子のうちの1つに結合されるドレイン線は、前記1つの構造体の前記駆動トランジスタに結合されたゲート線又はソース線に交差していない、請求項23に記載のアンテナ。
【請求項28】
前記複数の構造体のうちの1つの構造体の前記複数のドレイン端子のうちの1つに結合されたドレイン線は、前記1つの構造体の前記駆動トランジスタに結合されたソース線と反対の方向で前記1つの構造体から出ている、請求項23に記載のアンテナ。
【請求項29】
前記複数の構造体のうちの前記構造体は、前記RF放射アンテナ素子のローカルリングの接線で延びるルーティングと整合される、請求項23に記載のアンテナ。
【請求項30】
前記TFT/ストレージキャパシタ構造体のうちの1又は2以上の構造体のルーティング線用の1又は2以上の接続部は、前記RF放射アンテナ素子のローカルリングの接線で延びるルーティングと整合される、請求項29に記載のアンテナ。
【請求項31】
前記TFT/ストレージキャパシタ構造体のうちの1又は2以上の構造体のルーティング線用の1又は2以上の接続部は、前記RF放射アンテナ素子のローカルリングの接線にわたって延びるルーティングと整合される、請求項29に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年4月2日に出願された米国仮出願第63/004,274号、2020年4月3日に出願された米国仮特許出願第63/005,056号、及び2021年3月31日に出願された米国非仮出願第17/219,745号の継続出願であり、これらの優先権の利益を主張し、これらの全てが全体として引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明の実施形態は無線通信に関し、より詳細には、本発明の実施形態は、アンテナ(例えば、衛星アンテナ)における電線又はトレースのルーティングに関する。
【背景技術】
【0003】
複数の帯域を有する及び/又はKa周波数帯域などの高周波数で動作する無線周波数(RF)メタマテリアルアンテナは、高密度のRFアンテナ素子を必要とする。メタマテリアルアンテナの1つのタイプは、液晶(LC)ベースのRF放射メタマテリアルアンテナ素子を使用する。これらのアンテナ素子は、アクティブマトリクス駆動回路によって制御又は駆動することができる。一部の実施構成においては、1つのトランジスタが、各LCベースのRFメタマテリアルアンテナ素子に結合され、トランジスタのゲートに結合された選択信号に電圧を印加することによってアンテナ素子をオン又はオフにするのに用いられる。薄膜トランジスタ(TFT)を含む、多くの異なるタイプのトランジスタを用いることができる。この場合、アクティブマトリクスは、TFTアクティブマトリクスと呼ばれる。
【0004】
アクティブマトリクスは、アドレス及び駆動回路を用いて、各LCベースのRFメタマテリアルアンテナ素子を制御する。アンテナ素子の各々が一意的にアドレス指定されるのを確保するために、マトリクスは、導体の行及び列を用いて選択トランジスタの接続を生成する。アンテナ素子の数が大きい場合には、アンテナ素子を制御及び駆動するための導体の行及び列の数により、接続の全てのルーティングが困難になる可能性がある。
【0005】
RFメタマテリアルアンテナは、駆動トランジスタと共にストレージキャパシタを含むことが多い。例えば、駆動トランジスタがTFTであるときに、RFメタマテリアルアンテナは、レイアウトに多くのTFTキャパシタ構造体を配置することになる。RFアンテナ素子がリング状にレイアウトされたときに、これらのTFT/キャパシタ構造体は、RFアンテナ素子のリング間のスペースの大部分を消費する。このスペースは、RFアンテナ素子に信号を送るために必要とされる。しかしながら、高密度のRFアンテナ素子を有するRFメタマテリアルアンテナでは、RFアンテナ素子間の利用可能な領域量が減少し、これによって、これらの構造体及び構造体内の駆動トランジスタのソース、ゲート、及びドレイン線などのルーティング線に利用できるスペースの量が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願14/550,178号明細書
【特許文献2】米国特許出願14/610,502号明細書
【特許文献3】米国出願公開第2015/0236412号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
アンテナのルーティング及びレイアウトが記載される。1つの実施形態において、アンテナは、アイリススロット開口部とアイリススロット開口部を覆う電極とを各々が含む、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子と、複数のアンテナ素子に結合された複数の駆動トランジスタと、複数のアンテナ素子のうちの1つのアンテナ素子の電極に各々が結合される複数のストレージキャパシタと、を有するアパーチャを備える。また、アパーチャは、RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられる1つのアンテナ素子の駆動回路トランジスタ、アンテナ素子の電極の下方に位置付けられる1つのアンテナ素子のストレージキャパシタ、及びオーバラップ領域でストレージキャパシタンスを形成するために1つのアンテナ素子に共通電圧を送る共通電圧ルーティングに重なる第1の電圧用の1つのアンテナ素子への金属ルーティングのうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
1つの実施形態において、アンテナは、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子であって、アイリススロット開口部とアイリススロット開口部を覆う電極とを各々が含む、複数のRF放射アンテナ素子と、複数のRF放射アンテナ素子のうちの1つのRF放射アンテナ素子に結合される複数の駆動トランジスタであって、駆動トランジスタのペア間の1又は2以上の金属ルーティング線が、1又は2以上のRF放射アンテナ素子を通る、複数の駆動トランジスタと、を備える。
【0009】
1つの実施形態において、アンテナは、複数のRF放射アンテナ素子と、複数のRF放射アンテナ素子に結合された複数の構造体と、を備え、各構造体が、複数のアンテナ素子を駆動するように結合されたストレージキャパシタに結合される駆動トランジスタを有し、複数の構造体の各構造体が、複数のドレイン端子を含む。
【0010】
記載された実施形態及びその利点は、添付図面を参照しながら以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。これらの図面は、記載された実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対して当業者が行い得る形態及び詳細の変更をどのようにも限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】RFアンテナ素子の既存のストレージキャパシタ構造体の1つの実施形態を示す図である。
【
図1B】アンテナ素子及び駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体のレイアウトの1つの実施形態を示す図である。
【
図1C】ソース金属ルーティングの真下に共通電圧ルーティング線を延ばし且つパッチ電極の下のソース金属と共通電圧金属のオーバラップを用いるレイアウトの別の実施形態を示す図である。
【
図2A】電極エリアに位置付けられる駆動トランジスタを備えたアンテナ素子を有するアンテナアパーチャの一部分の1つの実施形態を示す図である。
【
図2B】電極エリアに位置付けられる駆動トランジスタ及びストレージキャパシタを備えたアンテナ素子の1つの実施形態を示す図である。
【
図2C】電極エリアに位置付けられた駆動トランジスタ及びストレージキャパシタを備えた
図2Bに示すアンテナ素子の1つの実施形態を示す側面図である。
【
図2D】駆動トランジスタと電極エリアに移動したストレージキャパシタの一部分の1つの実施形態を示す図である。
【
図3A】主軸に沿って平行なルーティングトレースを備えたRF素子の実施例を示す図である。
【
図3B】主軸に沿って平行なルーティングトレースを備えたRF素子の1つの実施例を示す図である。
【
図3C】RFアンテナ素子における新しい金属層及び追加されたパッシベーション層の使用の1つの実施例を示す図である。
【
図4】パッチ電極がアイリススロット開口部の外側に延びる実施例を示す図である。
【
図5A】マトリクス駆動制御システムの一部として駆動トランジスタ(例えば、TFT)及びストレージキャパシタを包含している構造体の1つの実施形態を示す図である。
【
図5B】複数のドレイン接続部を備えた駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体の構造を示す図である。
【
図5C】反転ドレイン及びゲート位置を有する駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体の1つの実施形態を示す図である。
【
図5D】回転された駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体の1つの実施形態を示す図である。
【
図6】円筒状給電アンテナの入力給電部の周りの同心円リングに配置されたアンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアパーチャを示す図である。
【
図7】グランドプレーン及び再構成可能な共振器層を含むアンテナ素子の1つの行を示す斜視図である。
【
図8A】同調型共振器/スロットの1つの実施形態を示す図である。
【
図8B】物理的アンテナアパーチャの1つの実施形態を示す断面図である。
【
図9A】スロットに対応する位置を有する第1のアイリス基板層の一部分を示す図である。
【
図9B】スロットを包含する第2のアイリス基板層の一部分を示す図である。
【
図9C】第2のアイリス基板層の一部分を覆うパッチを示す図である。
【
図9D】スロット式アレイの一部分を示す上面図である。
【
図10】円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態を示す側面図である。
【
図11】射出波を備えたアンテナシステムの別の実施形態を示す図である。
【
図12】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示す図である。
【
図13】TFTパッケージの1つの実施形態を示す図である。
【
図14】同時送信及び受信経路を有する通信システムの別の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、本発明のより完全な解説を提供するために多数の詳細が示されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしでも実施できることが当業者に明らかであろう。他の事例では、周知の構造及びデバイスは、本発明を曖昧にしないように、詳細にではなくブロック図の形式で図示されている。
【0013】
アンテナ(例えば、衛星アンテナ)において、電線又はトレースをルーティングするために利用可能なエリアを増やす技術が開示される。「線」及び「トレース」という語は、本明細書全体で同義的に用いられる。1つの実施形態において、アンテナは、マトリクス駆動回路の一部である薄膜トランジスタ(TFT)によって駆動される無線周波数(RF)メタマテリアルアンテナ素子を有する。このようなアンテナの実施例(例えば、液晶(LC)ベースのメタマテリアルRF放射アンテナ素子を有する電気的に誘導可能なアンテナなど)を以下に詳しく説明するが、本明細書で説明する技術は、このようなアンテナに制限されず、他のタイプの駆動機構及び/又は駆動トランジスタによって制御される他のタイプのアンテナ素子(例えば、バラクターベースのアンテナ素子、MEMベースのアンテナ素子など)を備えた他のアンテナに用いることができる。
【0014】
1つの実施形態において、電線(トレース)をルーティングするのに利用可能なエリアは、RFアンテナの性能を低下させないように、駆動トランジスタによって駆動されるRFメタマテリアルアンテナのストレージキャパシタを、RF素子によって占められるエリア(すなわち、RF素子エリア)などのレイアウトの以前利用できなかったか又は禁じられていたエリアに配置することによって増大する。1つの実施形態において、これは、RFアンテナ素子用のストレージキャパシタンスの一部としてRFアンテナ素子のストレージキャパシタから電極(例えば、パッチ電極)までのルーティング線を用いることによって達成される。これは、ルーティングに利用可能なエリアを増大させる。1つの実施形態において、ルーティング線は、電圧ルーティング線が重なり合うように上又は下に交互に電圧ルーティング線を延ばすことによってRFアンテナ素子用のストレージキャパシタンスの一部として用いられる。この電圧ルーティング線のオーバラップは、追加のキャパシタンスを生成させる。1つの実施形態において、1つの電圧ルーティング線を、別の電圧ルーティング線の中心を覆うように位置決めすることができる。1つの実施形態において、アンテナ素子用の駆動トランジスタ(例えば、TFT)のドレインからのドレイン金属線が、共通電圧(Vcom)ルーティング線に重なる(例えば、共通電圧ルーティング線の上、下である)。オーバラップは、ルーティングトレースの全長に延びる必要はない。設計プロセスにおいて、単位長当たり生成することができるキャパシタンスの量を計算して次に所望のキャパシタンス値に達するようにオーバラップの長さを計算することができる。1つの実施形態において、重なり合う電圧ルーティング線が、アンテナアパーチャの基板(例えば、パッチ基板)上にルーティングされ、誘電体(例えば、パッシベーション層)などの1又は2以上の材料の層によって互いに分離される。
【0015】
別の実施形態において、電線(トレース)をルーティングするのに利用できるエリアは、位置決めされるRFアンテナ素子の電極の下にストレージキャパシタの一部又は全部を配置することによって増大し、アイリススロット開口部の動作を制御する。1つの実施形態において、電極は、アイリス/パッチのペアのパッチ電極である。別の実施形態において、電極は、同調型誘電デバイスである。
【0016】
1つの実施形態において、電線(トレース)をルーティングするのに利用可能なエリアは、ルーティングに利用可能なエリアを増やすために電極(例えば、パッチ電極)の下にRFアンテナ素子の駆動トランジスタ(例えば、TFT)を配置することによって増加する。
【0017】
これらの技術を用いた結果、ストレージキャパシタ構造体が、ストレージキャパシタのために以前は使用されていなかったスペースに配置され、ストレージキャパシタのサイズが低減され、これによってこれらのエリアにおけるルーティングのためのスペースが広くなる。
【0018】
1つの実施形態において、アンテナは、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアンテナアパーチャを含む。複数のRF放射アンテナ素子の各アンテナ素子は、アイリススロット開口部とアイリススロット開口部を覆う電極とを含む。1つの実施形態において、アンテナアパーチャは、複数の駆動トランジスタ(例えば、マトリクス駆動トランジスタなど)と複数のアンテナ素子に結合された複数のストレージキャパシタとを含む。各ストレージキャパシタは、アンテナ素子の1つの電極に結合される。1つの実施形態において、アパーチャはまた、以下の1又は2以上を含む。
(1)1つのアンテナ素子用の駆動トランジスタが、アンテナ素子の電極(例えば、パッチ電極など)の下方に位置付けられる、
(2)1つのアンテナ素子用のストレージキャパシタが、アンテナ素子の電極の下方に位置付けられる、
(3)第1の電圧用の1つのアンテナ素子への金属ルーティングが、オーバラップ領域において、第2の電圧を1つのアンテナ素子に向ける第2の電圧ルーティング(例えば、共通電圧ルーティングなど)に重なり、2つが重なり合ったときに、ストレージキャパシタンスを形成する。
【0019】
図1Aは、RFアンテナ素子の既存のストレージキャパシティ構造体の1つの実施形態を示す。
図1Aを参照すると、駆動トランジスタ/キャパシタ構造体は、ストレージキャパシタ101及びトランジスタ(例えば、薄膜トランジスタ(TFT)など)102を包含する。1つの実施形態において、ストレージキャパシタ101及びトランジスタ102は、ソースルーティング層上の金属トレースを介して接続される。共通電圧(Vcom)ルーティング103が、ストレージキャパシタ101及びトランジスタ102に結合される。アンテナ素子は、トランジスタ/キャパシタ構造体に結合され、アイリススロット開口部105とアイリススロット開口部105を横断するように位置決めされるパッチ電極106(例えば、パッチ金属)とを含む。ドレイン金属ルーティング線104は、ストレージキャパシタ101に結合されたトランジスタ102のドレインに、同様に1又は2以上のビア111を用いてパッチ電極106に結合される。1つの実施形態において、ソース及びドレインの両方が、同じ金属層上にパターン配列され、ソース線が、TFTソース端子を駆動集積回路に接続し、ドレイン線が、TFTドレイン端子をストレージキャパシタ及びパッチに接続する。
【0020】
図1Bは、アンテナ素子と駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体のレイアウトの1つの実施形態を示す。図示した配列は、2つが重なり合うようにドレイン金属ルーティング線の真下にVcomルーティング線を延ばすことによって追加のキャパシタンスを提供する。1つの実施形態において、これらは、これらの金属層の間のパッシベーション層によって分離される。1つの実施形態において、誘電体が、パッシベーション層として用いられる。1つの実施形態において、2つの電極間の分離の量は、例えば、限定ではないが、誘電体の処理能力、誘電体特性、TFTアレイサイズ、TFTアレイリフレッシュ頻度などの複数の事柄に依存する。0.1~0.3umの厚さの誘電層がLCDに一般的に用いられる点に留意されたい。この配列によって提供される追加のキャパシタンスは、Vcomルーティング線とドレイン金属ルーティング線が重なり合わない場合よりも駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体のストレージキャパシタを小さくできる。
【0021】
図1Bを参照すると、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体は、ストレージキャパシタ115及びトランジスタ102を含む。1つの実施形態において、トランジスタ102は、TFTである。しかしながら、代替えの実施形態において、トランジスタ102は、別のタイプの駆動トランジスタである。電圧ルーティング線を重ね合わせることによって生じるキャパシタンスによって、ストレージキャパシタ115は、前のストレージキャパシタエリア112として
図1Bに外形が示される
図1Aのストレージキャパシタ101よりも小さくなる。
【0022】
駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体は、Vcomルーティング線113に結合される。Vcomルーティング線113は、ドレイン金属ルーティング線104の真下を延びる金属トレースであり、ドレイン金属線104を辿り、1又は2以上のビア111を用いてパッチ電極106への接続部に続く。従って、Vcomルーティング線113は、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体からのドレイン金属ルーティング線104に重なり合い、パッチ電極(例えば、パッチ金属)106に接続する。代替えの実施形態において、Vcom金属ルーティング線113は、ドレイン金属ルーティング線104の上方にある。上述のように、電圧ルーティング線の重なり部分が、追加のキャパシタンスを提供し、ストレージキャパシタ115を
図1Aに示したような従来のストレージキャパシタンスよりも小さくできることを意味する。
【0023】
図1Cは、ドレイン金属ルーティングの真下にVcomルーティング線を延ばすことによって更にドレイン金属とパッチ電極の真下のVcom金属との間の追加のキャパシタンスを形成することによって更なるキャパシタンスを提供する別の配列を示す。
【0024】
図1Cを参照すると、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体は、キャパシタ116及びトランジスタ102(例えば、TFT)を含む。電圧ルーティング線を重ね合わせてVcom金属と電極106の下のドレイン金属との間のキャパシタンスを形成することによって提供される追加のキャパシタンスのために、ストレージキャパシタ116を、外形が前のストレージキャパシタエリア112として示される
図1Aのストレージキャパシタ101より小さくすることができる。
【0025】
駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体は、Vcomルーティング線113に結合される。Vcom金属113は、
図1Bのようにドレイン金属104に重なり、両方がパッチ電極106に続く。ドレイン金属ルーティング線104は、1又は2以上のビア120を用いてパッチ電極106に結合される。
【0026】
ドレイン金属ルーティング線104は、ドレイン金属122に接続される。ドレイン金属122は、パッチ電極106に接続するドレイン金属のエリアより大きい。1つの実施形態において、Vcom金属121は、ドレイン金属122より大きく、ドレイン金属122の側面を超えて延長し、Vcom金属121とドレイン金属122の間のキャパシタンスを形成する。そうだとしても、ドレイン金属122及びVcom金属121は、ほんの小さなエリアを占めることによってキャパシタンスを形成することになる。この場合、キャパシタンスは極めて小さくなる。所望のキャパシタンスを取得するために、TFTアレイパラメータが構成され、TFTアレイパラメータは、例えば、設計に応じて10x10umから600x600umまでのどれにもすることができる。1つの実施形態において、Vcom金属121とドレイン金属122の間の重なりのサイズ(例えば、幅)は、電極の外側ではなく電極の下方で大きい。Vcom金属121とドレイン金属122の重なりによるパッチ電極106の下のキャパシタンスは、共通電圧金属層121とドレイン金属層122の一方又は両方のサイズを調整することによって調節することができる。
【0027】
1つの実施形態において、1つのアンテナ素子用の駆動トランジスタ(例えば、TFT)は、アンテナ素子の電極(例えば、パッチ電極)の下方に位置付けられ、1つのアンテナ素子のストレージキャパシタは、電極エリアの外側に留まる。すなわち、直接マトリクス駆動制御システムの一部であるTFTなどを備えたアンテナ素子を制御するのに用いられるトランジスタは、パッチ電極エリアの中に配置される。これは、ルーティングに利用可能なエリアを増加させる。
【0028】
図2Aは、電極エリア(例えば、パッチ電極エリア)に位置付けられる駆動トランジスタを備えたアンテナ素子を有するアンテナアパーチャの一部分の1つの実施形態を示す。
図2Aを参照すると、ストレージキャパシタ201は、ビア204を用いてドレイン金属ルーティング線210を経由してパッチ電極206に結合される。トランジスタ202(例えば、TFT)は、アイリススロット開口部205を覆って位置決めされるパッチ電極206によって占められるエリアに配置される。
【0029】
1つの実施形態において、パッチ電極206は、パッチ及びパッチ基板を有するパッチ構造体の一部であり、トランジスタ202は、パッチ電極206の真下に形成され、パッチ基板とパッチ基板に取り付けられたパッチ金属層との間に存在する。
【0030】
トランジスタ202は、アンテナ素子用の駆動トランジスタの次の行の電極接続部211及びアンテナ素子用の駆動トランジスタの前の行の電極接続部212に結合される。
【0031】
1つの実施形態において、駆動トランジスタとストレージキャパシタの両方は、電極エリア(例えば、パッチ電極エリア)に移動する。
図2Bは、電極エリア(例えば、パッチ電極エリア)に位置付けられた駆動トランジスタ及びストレージキャパシタを備えたアンテナ素子の1つの実施形態を示す。
図2Bを参照すると、パッチ電極206は、アイリススロット開口部205を覆って位置決めされる。駆動トランジスタ222(例えば、TFT)は、ストレージキャパシタ221と共にパッチ電極206のエリアの中にある。1つの実施形態において、駆動トランジスタ222とストレージキャパシタ221の両方は、パッチ電極206の下方に位置付けられる。1つの実施形態において、パッチ電極206は、パッチ及びパッチ基板を有するパッチ構造体の一部であり、駆動トランジスタ222及びストレージキャパシタ221が、パッチ電極206の真下に形成され、パッチ基板とパッチ基板に取り付けられたパッチ金属層との間に存在する。
【0032】
Vcom金属225は、ストレージキャパシタ221に結合される。ドレイン金属226は、ビア214を用いてストレージキャパシタ221をパッチ電極206に結合する。
【0033】
トランジスタ222とパッチ電極206は、パッシベーション層(
図2Bには図示せず)を用いて分離される。
図2Cは、
図2Bの片側断面図である。電気的接続部211は、トランジスタ222用のソース電極及びゲート電極を含む。ソース電極は、
図2Cのパッシベーション245と246の間にあり、パッシベーション層245は、ゲート絶縁層である。1つの実施形態において、トランジスタ222のアクティブ領域(例えば、a‐Si)は、
図2Cには示されていないが、パッシベーション層245と246の間に入ることになる。パッシベーション層245は、パッチ電極206からトランジスタ222(例えば、TFT)に関係する層を分離する誘電体である。
【0034】
1つの実施形態において、1つのアンテナ素子用の駆動トランジスタ及び第1のストレージキャパシタは、アンテナ素子の電極の下側に位置付けられ、アンテナ素子用の第2のストレージキャパシタは、アンテナ素子の電極の外側に位置付けられる。第1の及び第2のストレージキャパシタは、駆動トランジスタのキャパシタンスを提供する。
【0035】
図2Dは、電極エリア(例えば、パッチ電極エリア)の中に移動する駆動トランジスタとストレージキャパシタの一部との1つの実施形態を示す。
図2Dを参照すると、ストレージキャパシタ2 231は、ドレイン金属210を介して、アイリススロット開口部205を覆って位置決めされるパッチ電極206に結合される。駆動トランジスタ222(例えば、TFT)及びストレージキャパシタ1 221は、パッチ電極206のエリアに位置付けられる。1つの実施形態において、パッチ電極206は、パッチ及びパッチ基板を有するパッチ構造体の一部であり、駆動トランジスタ222及びストレージキャパシタ1 221は、パッチ電極206の真下に形成され且つパッチ基板とパッチ基板に取り付けられたパッチ金属層との間に存在し、ストレージキャパシタ2 261は、パッチ電極206のエリアの外側にある。
【0036】
Vcom金属225は、ストレージキャパシタ1 221に結合され、ドレイン金属226は、1又は2以上のビア214を用いてパッチ電極206に結合される。またVcom金属225は、アンテナ素子用の駆動トランジスタの次の行のVcomとの電気的接続部231及びアンテナ素子用の駆動トランジスタの前の行のVcomとの電気的接続部232に結合される。トランジスタ222は、アンテナ素子用の駆動トランジスタの次の行のソース及びゲートとの電気的接続部211及びアンテナ素子用の駆動トランジスタの前の行のソース及びゲートとの電気的接続部212に結合される。
【0037】
本明細書で説明する技術は、性能の劣化を招くことなくRF素子を通るトレースのルーティングを可能にする構造体を生成することによって、トレースのルーティングに以前は使用されていなかったスペースを使用する。1つの実施形態において、平行ルーティングトレースを用いて、RFアンテナ性能を劣化させることなく電気的トレースをルーティングするのに他の利用できるエリアを増やすことができる。
【0038】
1つの実施形態において、電気的トレースをルーティングするのに利用できるエリアは、RFアンテナ性能を劣化させることなく、RFアンテナ素子エリアなどの以前は利用できなかったか又は禁じられていたエリアであったアンテナ(例えばRFメタマテリアルアンテナ)における個々のRFアンテナ素子に用いられるエリアを再割り当てすることによって増える。換言すると、トレースのルーティングに以前は使用されていなかったスペースは、RF素子を通るトレースのルーティングを可能にする構造体を生成することによって用いることができる。
【0039】
例えば、電気的トレースをルーティングするのに利用できるエリアは、以下の1又は2以上によって増える。
(1)RF素子の主軸に沿ってRFアンテナ素子を通るルーティングトレース構造体を配置する、
(2)例えば、寄生キャパシタンスの金属層間の距離を増す、及び/又は寄生キャパシタンスの誘電体の誘電率を変えることによって、ルーティング構造体を備えたパッチ電極の寄生キャパシタンスを低減する、
(3)ルーティングを可能にするためにパッチ電極との接続部を変える、及び/又は
(4)RF素子を介したルーティングを支援するために追加の金属層を追加する。
【0040】
図3A及び3Bは、主軸に沿った平行ルーティングトレースを備えたRF素子の例を示す。1つの実施形態において、主軸は、アイリススロット開口部を通る軸である。1つの実施形態において、トレースは、主軸に対して対称である。1つの実施形態において、トレースは、ゲート金属層にある。代替えの実施形態において、トレースは、ソース金属層にあるか又はゲート金属層とソース金属層の両方にある。
【0041】
図3Aを参照すると、アイリススロット開口部301は、アイリススロット開口部301の長い部分に沿って延びる軸310を有する。ルーティングトレース312は、駆動トランジスタ(例えば、TFT)の間をアイリス開口部301の長軸に平行に延びるルーティングを提供する。これは、1又は2以上のビア304を用いてパッチ電極に結合されるドレイン金属電圧のルーティング311を阻害しない。
【0042】
図3Bは、
図3Aの平行ルーティングトレースを備えたRF素子の断面図を表す。断面図は、
図3Aに示されるA-A’軸に沿って切り取られている。
図3Bを参照すると、パッチ電極302は、パッシベーション層332及びパッシベーション層333及び334によって囲まれるように図示されている。パッシベーション層333と334の間には、1又は2以上のビア304(
図3Aに図示)を用いてパッチ電極302にドレイン電圧を送るパッチへのルーティング311がある。トランジスタの間のルーティング線312と共にパッシベーション層333及び334は、パッチガラス320に取り付けられる。すなわち、異なるアンテナ素子の駆動トランジスタ間に延びるルーティング線312は、パッチガラス320に取り付けられ、パッチガラス320とパッチ電極302の間に位置付けられる。1つの実施形態において、1又は2以上のルーティング線312は、少なくとも1つのRF素子の主軸に対して対称である平行金属ルーティング線を含む。1つの実施形態において、ルーティング312及び311は、キャパシタの電極であり、パッシベーション層334は、電極を分離する誘電体である。
【0043】
また
図3Bには、アイリスガラス321に取り付けられたアイリス金属322を有するアイリスガラス321が示されている。アイリス金属322は、パッシベーション層330及び331によって覆われている。
【0044】
代替えの実施形態において、アンテナ素子は、パッチの代わりにアイリススロット開口部301を覆う同調形誘電デバイスを含む。このような場合、ルーティング312は、アンテナアパーチャにおける他のアンテナ素子を制御又は駆動するトランジスタ(例えば、PMOS、GaAsなど)の間にある。
【0045】
1つの実施形態において、ルーティングパッシベーションの層の厚み及び誘電率を変えて、ルーティング線312及びパッチ電極302などのルーティング線間の寄生キャパシタンスを低減することができる。1つの実施形態において、パッシベーション層333と334の厚みを増やす(例えば、5~10ミクロン)と、寄生キャパシタンスは低減する。1つの実施形態において、パッシベーションの誘電率が下がる(例えば、0.2~0.3)と、寄生キャパシタンスが低減する。また、材料を、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、有機物(ポリイミド)などに変えることもできる。
【0046】
1つの実施形態において、新しい金属層は、パッチガラスとゲート金属層の間に追加される。更にまた、新しいパッシベーション層が、新しい金属層とゲート金属層との間に追加される。この増えたパッシベーション層スタックが、パッチ電極とルーティング線との間の寄生キャパシティを低減する。
【0047】
図3Cは、新しい金属層及び追加されたパッシベーション層を用いる例を示す。アンテナ素子の駆動トランジスタ(例えば、TFT)の間のルーティング340は、新しい金属層の上で発生する。ルーティング340のための新しい金属層及びパッシベーション層(335)は、ゲート金属層(
図3Bの312)の下に追加される。新しいパッシベーション層335は、TFTの間のルーティングのためのルーティング層340を覆って示されているが、ルーティングパッシベーション層333及びパッシベーション層334は、パッシベーション層335の上部にある。新しいパッシベーション層335は、パッチ電極302と金属ルーティング線の間の誘電体として動作し、パッチ電極302と金属ルーティング線との間の寄生キャパシタンスを低減する。
【0048】
1つの実施形態において、パッチ電極は、アイリススロット開口部の外側に延びて、ビアを動かしてドレイン金属をアイリススロット開口部のエリアの外側のパッチ電極に結合することができる。1つの実施形態において、ルーティング線のトレース幅をパッチ電極のエリアで薄くして、寄生キャパシタンスを低減する。アンテナ素子の動作に有害な影響を与える場合には抵抗を増やさないように薄層化を行うことができる。
【0049】
図4は、パッチ電極がアイリススロット開口部の外側に延びる実施例を示している。
図4を参照すると、パッチ電極403は、パッチ電極403にルーティング311を結合するビア402まで過去のアイリススロット開口部301を延ばす延長部を含む。パッチ電極302用のエリアの外側のビア402を動かすことで、寄生キャパシタンスを低減する。
【0050】
1つの実施形態において、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体との間の電線ルーティングは、
図1A-1Cの設計と比較して修正される。1つの実施形態において、修正は、駆動トランジスタボックス(例えば、TFT)を伴い、且つ構造体のゲート、ソース、Vcom及びドレインルーティングの配置を拡張するための付近のRFアンテナ素子の位置及び回転に基づく。このような設計は、ソース及びゲート線が駆動トランジスタボックス(トランジスタ及び必要な場合はストレージキャパシタに確保されたエリア)に入って出る方向、トランジスタボックス内のTFTの位置及び回転、及びトランジスタボックスからのドレインの出口の方向によって、当技術の現在の状態とは異なる。1つの実施形態において、トランジスタボックスは、ローカルRF素子幾何形状に対して接続位置を改善し、場合によっては最適化するために回転される。
【0051】
1つの実施形態において、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体からのドレインルーティングは、構造体から複数の方向に出る。1つの実施形態において、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体からのドレインルーティングは、アンテナ素子の異なるリング状のRF素子を接続するために出る。アンテナリングの例を以下に詳しく説明する。リングは、大きな半径又は小さな半径を有するリングとすることができる。
【0052】
1つの実施形態において、ドレイン線は、ゲート線に交差して、何らかの寄生キャパシタンスを加えることができる。1つの実施形態において、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体からのドレインルーティングは、ソース線と反対側の構造体から出る。1つの実施形態において、ドレイン位置をどの位置に接続するかを選択するためにアルゴリズムが用いられる。
【0053】
図5Aは、マトリクス駆動制御システムの一部として駆動トランジスタ(TFT)及びストレージキャパシタを包含している構造体の1つの実施形態を示す。
図5Aを参照すると、トランジスタ510(例えば、TFT)は、下部プレート520及び上部プレート521を含むストレージキャパシタ500と共に位置付けられる。ゲート501及びソース502は、トランジスタ510及びストレージキャパシタ500に結合される。1つの実施形態において、ストレージキャパシタ500は、ドレイン端子503を含む。ストレージキャパシタ500は、Vcom530に結合される。
【0054】
1つの実施形態において、アンテナは、複数のRF放射アンテナ素子(例えば、メタマテリアルアンテナ素子)と複数のRF放射アンテナ素子に結合された複数の構造体とを含む。各構造体は、複数のアンテナ素子を駆動するためにストレージキャパシタに結合された駆動トランジスタ(例えば、TFT)を有する。1つの実施形態において、複数の構造体の各構造体は、複数のドレイン端子を含む。
【0055】
図5Bは、複数のドレイン接続部を備えた駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体の構造を示す。
図5Bを参照すると、ゲート501及びソース502は、トランジスタ510(例えば、TFTなど)及びストレージキャパシタ500に結合される。1つの実施形態において、ストレージキャパシタ500は、ストレージキャパシタ500から出る3つのドレイン端子540を含む。ドレイン端子540のドレイン端子の各々は、RFアンテナ素子に結合することができる。ストレージキャパシタ500は、Vcom530に結合される。
【0056】
1つの実施形態において、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体では、ゲート金属線及びソース金属線の位置が交換され、ドレイン線がストレージキャパシタからゲート及びVcom金属線の左に出るようになる。1つの実施形態において、これは、ドレイン線をソース金属線に交差させることなく起こる。
【0057】
図5Cは、反転ドレイン及びゲート位置を有する駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体の1つの実施形態を示す。
図5Cを参照すると、ドレイン端子553は、ゲート信号551の左に位置付けられ、ドレイン上の電圧がゲート信号に交差しないようになる。これは、アンテナ素子及びゲート及びソース線のレイアウトに応じて複数の構成をルーティングに使用できるようにする。
【0058】
ルーティング線の配置に基づいて、RFアンテナ素子用のストレージキャパシタを回転することが有利になる。これは、ルーティングを簡素化することができる。1つの実施形態において、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体は、好ましいルーティング方向を受け入れやすくするため且つルーティング配置アルゴリズムを簡素化するために上述の図の位置と比較して回転される。1つの実施形態において、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体のルーティング線用の1又は2以上の接続位置は、素子のローカルリングの接線にわたって延びるルーティングと整合されるよう回転される。1つの実施形態において、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体のルーティング線のための1又は2以上の接続部は、素子のローカルリングの接線にわたって延びるルーティングと整合されるよう回転される。
【0059】
図5Dは、回転された駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体の1つの実施形態を示す。
図5Dを参照すると、ストレージキャパシタ500は、位置が前の駆動トランジスタ570の方向及び次の駆動トランジスタ571の方向に回転されることを除いて、
図5Aのストレージキャパシタと同じである。この場合、ドレイン503は、次のRFアンテナ素子の方向にある。この次のRF素子は、ストレージキャパシタ500に対応するアンテナ素子の隣りのアンテナ素子のリングに存在できる。リングは、ストレージキャパシタ500に関連付けられるアンテナ素子のリングより大きな半径を有することができるか、又はストレージキャパシタ500に関連付けられるアンテナ素子のリングより小さな半径を有するリングとすることができる。
【0060】
ゲート501及びソース502も示されている。
【0061】
複数の端子位置を有するTFTボックスを用いる例示的アルゴリズム
1つの実施形態において、プロセスは、ローカルエリアにあらゆる駆動トランジスタ素子(例えば、TFT)用の駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体を配置するためのRF素子の端に十分なスペースがないエリアを探す。1つの実施形態において、これは、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体を置くために次に小さな半径リング又は次に大きな半径リングにスペースがあるかどうか決定するためチェックすることによって達成される。スペースがある場合、論理は、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体を置いて、駆動トランジスタ(例えば、TFT素子)に接続するためのドレイン端子を選ぶ。
【0062】
ミラー画像(現在の駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体からの)を用いる例示的アルゴリズム
1つの実施形態において、プロセスは、アンテナ素子の2つのリング間のルーティングの難しさを比較する。1つの実施形態において、この比較は、例えば、最適駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体が、右にルーティングすることができる多くのドレイン又は左にルーティングすることができる多くのドレインを有するかどうか、測定することによって行われる。1つの実施形態において、リングの最適ルーティングが、ミラー画像構造体を用いることである場合、ゲート金属及びドレインのためのルーティングの位置は、使用される駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体のミラー画像である。
【0063】
駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体の回転された配置を用いる例示的アルゴリズム
リング上のRF素子の配置により、1つの実施形態においては、リング間のルーティングが、レイアウト全体を通して方向を変える。1つの実施形態において、単一の固定方位によって現在の駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体を接続するために、ルーティングにおける複数のベンドが要求されることができる。1つの実施形態において、回転方式で駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体を配置するためのアルゴリズムは、ルーティング及びRF素子のローカル方向を見るステップ及び駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体の回転を計算するステップを含み、駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体を隣接する駆動トランジスタ/ストレージキャパシタ構造体及び目標RF素子に接続するのに必要なルーティングの長さを低減し、更には場合によっては最小にする。
【0064】
アンテナ実施形態の実施例
上述した技術は、平面アンテナに用いることができる。このような平面アンテナの実施形態を開示する。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ素子は、液晶セルを含む。1つの実施形態において、平面アンテナは、行及び列に配置されていないアンテナ素子の各々を一意的にアドレス指定し且つ駆動するためのマトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナである。1つの実施形態において、素子は、リング状に配置される。
【0065】
1つの実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナアパーチャは、共に結合された複数のセグメントから構成される。セグメントの組み合わせは、共に結合されたときに、アンテナ素子の閉じた同心円リングを形成する。1つの実施形態において、同心円リングは、アンテナ給電部に対して同心円上にある。
【0066】
アンテナシステムの例
1つの実施形態において、平面アンテナは、メタマテリアルアンテナシステムの一部である。通信衛星地上局のメタマテリアルアンテナシステムの実施形態を説明する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、商用衛星通信用のKa帯域又はKu帯域周波数の何れかを用いて動作するモバイルプラットフォーム(例えば、航空、海上、陸上など)上で動作する衛星地上局(ES)の構成要素又はサブシステムである。アンテナシステムの実施形態はまた、モバイルプラットフォーム上にない地上局(例えば、固定又は可搬型地上局)でも使用できることに留意されたい。
【0067】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、別々のアンテナを介して送信及び受信ビームを形成し誘導するために表面散乱メタマテリアル技術を用いる。
【0068】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、3つの機能的サブシステム、すなわち、(1)円筒波給電アーキテクチャからなる導波路構造、(2)アンテナ素子の一部である波散乱メタマテリアル単位セルのアレイ、(3)ホログラフィ原理を用いてメタマテリアル散乱素子からの調整可能な放射場(ビーム)の形成を命令する制御構造から構成される。
【0069】
アンテナ素子
図6は、円筒状給電ホログラフィック放射アパーチャアンテナの1つの実施形態の略図を示す。
図6に関して、アンテナアパーチャは、円筒状給電アンテナの入力給電部602の周りに同心円リング状に配置されたアンテナ素子603の1又は2以上のアレイ601を有する。1つの実施形態において、アンテナ素子603は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。1つの実施形態において、アンテナ素子(603)は、アンテナアパーチャの表面全体にインターリーブ及び分配されるRx及びTxアイリスの両方を含む。このようなアンテナ素子の例を、以下に詳しく説明する。本明細書におけるRF共振器は、円筒状給電部を含まないアンテナに用いることができる点に留意されたい。
【0070】
1つの実施形態において、アンテナは、入力給電部602を介して円筒波給電部を提供するのに用いられる同軸給電部を含む。1つの実施形態において、円筒波給電アーキテクチャは、給電ポイントから円筒状に外向きに広がる励起によって中心ポイントからアンテナに給電する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進む同心円状給電波を生成する。それでも、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、正方形、又は何らかの形状とすることができる。別の実施形態において、円筒状給電アンテナは、内向きに進む給電波を生成する。このような場合、円形構造から生じる給電波が最も自然である。
【0071】
1つの実施形態において、アンテナ素子603は、アイリスを含み、更に
図6のアパーチャアンテナは、同調型液晶(LC)材料を介してアイリスに放射する円筒状給電波からの励起を用いることによって形成される主ビームを生成するのに用いられる。1つの実施形態において、アンテナを励起して、所望の走査角度で水平又は垂直偏波電界を放射することができる。
【0072】
1つの実施形態において、アンテナ素子は、パッチアンテナのグループを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナシステムの各散乱素子は、下部導体、誘電体基板、及び上部導体からなる単位セルの一部であり、上部導体は、上部導体にエッチングされるか又は堆積される相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んでいる。当業者によって理解されるように、CELCの関連におけるLCは、液晶とは異なり、インダクタンス・キャパシタンスを意味する。
【0073】
1つの実施形態において、液晶(LC)は、散乱素子の周りのギャップに配置される。このLCは、上述の直接駆動型実施形態によって駆動される。1つの実施形態において、液晶は、各単位セルに封入されて、スロットに関連付けられる下部導体をスロットのパッチに関連付けられる上部導体から分離する。液晶は、液晶を構成する分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(従って、誘電率)は、液晶の両端のバイアス電圧を調整することによって制御することができる。1つの実施形態において、液晶は、この特性を利用して、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためのオン/オフスイッチを組み込む。スイッチオンになると、CELCは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を放射する。本明細書における教示は、エネルギー伝達に関して2値的に動作する液晶を有することに限定されない点に留意されたい。
【0074】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度に位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°)を利用できる点に留意されたい。この素子の位置により、素子が受け取った又は素子から送信/放射される自由空間波の制御が可能となる。1つの実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合には、30GHzの送信アンテナにおける素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)である。
【0075】
1つの実施形態において、素子の2つのセットは、互いに垂直であり、同じ同調状態に制御された場合に等しい振幅の励起を同時に有する。これら素子のセットを給電波励起に対して+/-45度回転させると、両方の所望の特徴を同時に達成する。一方のセットを0度回転させ、他方を90度回転させると、垂直目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されないことになる。0度及び90度は、単一の構造でのアンテナ素子のアレイが2つの側から給電されるときに、分離を達成するのに使用できることに留意されたい。
【0076】
各単位セルからの放射出力の量は、コントローラを使用してパッチに電圧(LCチャネルの両端の電位)を印加することによって制御される。各パッチへのトレースは、パッチアンテナに電圧を供給するのに使用される。この電圧は、静電容量及びひいては個々の素子の共振周波数を同調又は離調させて、ビーム形成を実現するのに使用される。必要な電圧は、使用される液晶混合物に依存する。液晶混合物の電圧同調特性は、液晶が電圧の影響を受け始める閾値電圧値と、それ以上に電圧を高めても液晶での大きな同調が生じなくなる飽和電圧とによって、主として説明される。これらの2つの特性パラメータは、異なる液晶混合物については変化することができる。
【0077】
1つの実施形態において、上記で論じたように、マトリクス駆動回路は、セルごとに別個の接続(直接駆動)を有することなく各セルを他の全てのセルとは別個に駆動するために、パッチに電圧を印加するのに使用される。素子の密度が高いので、マトリクス駆動回路は、各セルを個別にアドレス指定する効率的な方法である。
【0078】
1つの実施形態において、アンテナシステム用の制御構造は、2つの主要構成要素を含み、アンテナシステム用のアンテナアレイコントローラ(駆動電子機器を含む)は、波散乱構造の下方に存在し、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように、放射RFアレイ全体にわたって散在する。1つの実施形態において、アンテナシステム用の駆動電子機器は、各散乱素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調整することによって、この素子に対するバイアス電圧を調整する、商用テレビジョン機器で使用される商用既製LCD制御装置を含む。
【0079】
1つの実施形態において、アンテナアレイコントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含有する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び向き情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むこともできる。位置及び向き情報は、地上局内の及び/又はアンテナシステムの一部でなくてもよい他のシステムによってプロセッサに提供することができる。
【0080】
より詳細には、アンテナアレイコントローラは、動作周波数においてどの位相レベル及び振幅レベルで、どの素子をオフにしてオンにするかを制御する。これらの素子は、電圧の印加によって周波数動作に対して選択的に離調される。
【0081】
送信については、コントローラが、RFパッチに一連の電圧信号を供給して、変調又は制御パターンを生成する。制御パターンにより、素子が異なる状態に同調するようになる。1つの実施形態において、多状態制御が使用され、この多状態制御では、様々な素子が異なるレベルにオン及びオフされ、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)ではなく、正弦波制御パターンに更に近づく。1つの実施形態において、一部の素子が放射し、一部の素子が放射しないのではなく、一部の素子が他の素子よりも強力に放射する。可変放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、これにより液晶誘電率を様々な量に調整し、素子を可変的に離調させて一部の素子に他の素子よりも多く放射させるようにする。
【0082】
メタマテリアル素子アレイによる集束ビームの生成は、増加的干渉及び減殺的干渉の現象によって説明することができる。個々の電磁波は、これらの電磁波が自由空間で交わったときに同相を有する場合には合算(増加的干渉)され、これらの電磁波が自由空間で交わったときに、これらの電磁波が逆位相にある場合には、電磁波は互いに打ち消し合う(減殺的干渉)。スロット式アンテナにおけるスロットが、各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に位置するように位置決めされた場合には、この素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波と異なる位相を有するようになる。スロットが、誘導波長の4分の1の間隔を置いて配置される場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1位相遅延を有して波を散乱させることになる。
【0083】
アレイを使用すると、生成できる増加的干渉及び減殺的干渉のパターン数を増加させることができるので、理論的には、ホログラフィの原理を使用して、アンテナアレイのボアサイトからプラスマイナス90度(90°)のあらゆる方向にビームを向けることができるようになる。従って、どのメタマテリアル単位セルをオンにするか又はオフにするかを制御することによって(すなわち、どのセルをオンにし、どのセルをオフにするかについてのパターンを変更することによって)、異なる増加的干渉及び減殺的干渉パターンを生成でき、アンテナは、メインビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、ビームが1つの位置から別の位置に切り替わることができる速度を決定付ける。
【0084】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームと、ダウンリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームとを生成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を用いて、ビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を利用してビームを電気的に形成し誘導するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施形態において、アンテナシステムは、特に、従来のディッシュ型衛星受信機と比較したときに、平面で比較的薄型である「表面」アンテナとみなされる。
【0085】
図7は、グランドプレーン及び再構成可能な共振器層を含むアンテナ素子の1つの行の斜視図を示している。再構成可能共振器層1230は、同調型スロット1210のアレイを含む。同調型スロット1210のアレイは、アンテナを所望の方向に向けるように構成することができる。同調型スロットの各々は、液晶の両端の電圧を変化させることによって同調/調整することができる。
【0086】
制御モジュール1280は、再構成可能共振器層1230に結合され、
図8Aにおける液晶の両端の電圧を変化させることによって同調型スロット1210のアレイを変調する。制御モジュール1280は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システムオンチップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、同調型スロット1210のアレイを駆動するための論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、同調型スロット1210のアレイ上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受け取る。ホログラフィック回折パターンは、アンテナと衛星との間の空間関係に応答して生成され、ホログラフィック回折パターンが、ダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を行う場合には、アップリンクビーム)を通信に好適な方向に誘導することができる。各図には図示されていいないが、制御モジュール1280と同様の制御モジュールは、本開示の図に記載された同調型スロットの各アレイを駆動することができる。
【0087】
無線周波数(「RF」)ホログラフィもまた、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇したときに、所望のRFビームを生成できる類似の技術を用いて実施可能である。衛星通信の場合には、基準ビームは、給電波1205などの給電波の形態である(幾つかの実施形態において、約20GHz)。給電波を放射ビームに変換するために(送信又は受信の何れかの目的で)、所望のRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間の干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が、所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「誘導される」ように、同調型スロット1210のアレイ上に回折パターンとして駆動される。換言すると、ホログラフィック回折パターンに遭遇した給電波は、通信システムの設計要件に従って形成される目標ビームを「再構成」する。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路における波動方程式としてのwin及び射出波上の波動方程式としてのwoutを用いて、whologram=win
*woutによって計算される。
【0088】
図8Aは、同調型共振器/スロット1210の1つの実施形態を示している。同調型スロット1210は、アイリス/スロット1212、放射パッチ1211、及びアイリス1212とパッチ1211との間に配置された液晶1213を含む。1つの実施形態において、放射パッチ1211は、アイリス1212と同じ場所に配置される。
【0089】
図8Bは、物理的アンテナアパーチャの1つの実施形態の断面図を示している。アンテナアパーチャは、グランドプレーン1245と、再構成可能共振器層1230に含まれるアイリス層1232内の金属層1236とを含む。1つの実施形態において、
図8Bのアンテナアパーチャは、
図8Aの複数の同調型共振器/スロット1210を含む。アイリス/スロット1212は、金属層1236の開口部によって定められる。
図8Aの給電波1205などの給電波は、衛星通信チャネルに適合するマイクロ波周波数を有することができる。給電波は、グランドプレーン1245と共振器層1230との間を伝播する。
【0090】
再構成可能共振器層1230はまた、ガスケット層1233及びパッチ層1231を含む。ガスケット層1233は、パッチ層1231とアイリス層1232の間に配置される。1つの実施形態において、スペーサは、ガスケット層1233と置き換えることができることに留意されたい。1つの実施形態において、アイリス層1232は、金属層1236として銅層を含むプリント回路基板(「PCB」)である。1つの実施形態において、アイリス層1232はガラスである。アイリス層1232は、他のタイプの基板とすることができる。
【0091】
開口部は、銅層内でエッチングされてスロット1212を形成することができる。1つの実施形態において、アイリス層1232は、導電性接合層によって、
図8Bにおける別の構造(例えば、導波路)に導電的に結合される。1つの実施形態において、アイリス層は、導電性接合層によって導電的に結合されるものではなく、その代わりに、非導電性接合層と相互連結することに留意されたい。
【0092】
また、パッチ層1231は、放射パッチ1211として金属を含むPCBとすることができる。1つの実施形態において、ガスケット層1233は、金属層1236とパッチ1211との間の寸法を定める機械的離隔部をもたらすスペーサ1239を含む。1つの実施形態において、スペーサは75ミクロンであるが、他のサイズ(例えば3から200mm)が使用できる。上述したように、1つの実施形態において、
図8Bのアンテナアパーチャは、
図8Aのパッチ1211、液晶1213、及びアイリス1212を含む同調型共振器/スロット1210などの複数の同調型共振器/スロットを含む。液晶1213A用のチャンバは、スペーサ1239、アイリス層1232、及び金属層1236によって定められる。チャンバが、液晶で充填された場合には、パッチ層1231は、スペーサ1239上に積層されて、共振器層1230内に液晶をシールすることができる。
【0093】
パッチ層1231とアイリス層1232との間の電圧は、パッチとスロット(例えば、同調型共振器/スロット1210)との間のギャップ内の液晶を同調するように変調することができる。液晶1213の両端の電圧を調整すると、スロット(例えば、同調型共振器/スロット1210)の静電容量が変化する。従って、スロット(例えば、同調型共振器/スロット1210)のリアクタンスは、静電容量を変化させることによって変えることができる。また、スロット1210の共振周波数は、次式:
【数1】
に従って変化し、ここで、fは、スロット1210の共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、スロット1210のインダクタンス及び静電容量である。スロット1210の共振周波数は、導波路を通って伝播する給電波1205から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波1205が20GHzである場合には、スロット1210の共振周波数は、17GHzに調整(静電容量を調整することによって)されて、スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。或いは、スロット1210の共振周波数は、20GHzに調整されて、スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを結合し、このエネルギーを自由空間に放射するようにすることができる。所与の実施例は、2値的(完全に放射するか、又は全く放射しない)であるが、リアクタンス及び従ってスロット1210の共振周波数の完全なグレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を用いて実施可能である。従って、各スロット1210から放射されるエネルギーを精密に制御して、同調型スロットのアレイによって詳細なホログラフィック回折パターンを形成できるようになる。
【0094】
1つの実施形態において、行における同調型スロットは、互いにλ/5だけ離間している。他の間隔を使用することもできる。1つの実施形態において、行における各同調型スロットは、隣接する行における最も近い同調型スロットからλ/2だけ離間しており、従って、異なる行における共通して配向された同調型スロットは、λ/4だけ離間しているが、他の間隔(例えば、λ/5、λ/6.3)も可能である。別の実施形態において、行における各同調型スロットは、隣接する行における最も近い同調型スロットからλ/3だけ離間している。
【0095】
本発明の実施形態は、2014年11月21日に出願された「誘導可能な円筒状給電ホログラフィックアンテナからの偏波及び結合の動的制御」という名称の米国特許出願14/550,178号明細書、及び2015年1月30日に出願された「再構成可能アンテナのためのリッジ型導波路給電構造」という名称の米国特許出願14/610,502号明細書に記載されているような再構成可能なメタマテリアル技術を用いる。
【0096】
図9A-9Dは、スロット式アレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示している。アンテナアレイは、
図6に示されている例示的なリングのようなリング状に位置決めされたアンテナ素子を含む。この実施例では、アンテナアレイは、2つの異なるタイプの周波数帯域に使用される2つの異なるタイプのアンテナ素子を有することに留意されたい。
【0097】
図9Aは、スロットに対応する位置を有する第1のアイリス基板層の一部を示している。
図9Aを参照すると、円は、アイリス基板の下部側におけるメタライゼーション内の空き領域/スロットであり、給電部(給電波)への素子の結合を制御するためのものである。この層は、任意選択の層であり、全ての設計で使用される訳ではない点に留意されたい。
図9Bは、スロットを含む第2のアイリス基板層の一部を示している。
図9Cは、第2のアイリス基板層の一部を覆うパッチを示している。
図9Dは、スロット式アレイの一部の上面図を示している。
【0098】
図10は、円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示している。アンテナは、二重層給電構造(すなわち、2つの層の給電構造)を使用して内向き進行波を生成する。1つの実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、このことは必須ではない。すなわち、非円形の内向き進行構造を使用することができる。1つの実施形態において、
図10のアンテナ構造は、例えば、2014年11月21日に出願された「誘導可能円筒状給電ホログラフィックアンテナからの偏波及び結合の動的制御」という名称の米国出願公開第2015/0236412号に記載されるような同軸給電部を含む。
【0099】
図10を参照すると、同軸ピン1601は、アンテナの下側レベルで場を励起するのに使用される。1つの実施形態において、同軸ピン1601は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン1601は、導電性グランドプレーン1602であるアンテナ構造の下部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0100】
内部導体である間隙導体1603は、導電性グランドプレーン1602から離隔される。1つの実施形態において、導電性グランドプレーン1602及び間隙導体1603は互いに平行である。1つの実施形態において、グランドプレーン1602と間隙導体1603との間の距離は、0.1インチ~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλ/2とすることができ、ここでλは、動作周波数での進行波の波長である。
【0101】
グランドプレーン1602は、スペーサ1604を介して間隙導体1603から離隔される。1つの実施形態において、スペーサ1604は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施形態において、スペーサ1604は、プラスチックスペーサを含む。
【0102】
間隙導体1603の上部には、誘電体層1605がある。1つの実施形態において、誘電体層1605はプラスチックである。誘電体層1605の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速することである。1つの実施形態において、誘電体層1605は、自由空間に対して30%進行波を減速する。1つの実施形態において、ビーム形成に好適な屈折率の範囲は、1.2~1.8であり、自由空間は、定義上、1に等しい屈折率を有する。例えば、プラスチックなどの他の誘電スペーサ材料を用いて、この効果を達成することができる。所望の波動減速効果を達成する限り、プラスチック以外の材料を使用できる点に留意されたい。或いは、例えば機械加工又はリソグラフィにより定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料を誘電体層1605として使用することができる。
【0103】
RFアレイ1606は誘電体層1605の上部にある。1つの実施形態において、間隙導体1603とRFアレイ1606との間の距離は、0.1~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλeff/2とすることができ、ここでλeffは設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0104】
アンテナは、側面1607及び1608を含む。側面1607及び1608は、同軸ピン1601からの進行波給電が反射によって間隙導体1603の下方の領域(スペーサ層)から間隙導体1603の上方の領域(誘電体層)に伝播するような角度が付けられる。1つの実施形態において、側部1607及び1608の角度は45度の角度である。代替えの実施形態において、側部1607及び1608は、反射を達成するために連続した半径に置き換えることができる。
図10は、45度の角度を有する角度付き側部を示しているが、下部給電レベルから上部給電レベルへの信号伝播を達成する他の角度を使用することができる。すなわち、下部給電の有効波長が、上部給電の有効波長とは一般的に異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何らかの偏差を使用して、下部給電レベルから上部給電レベルへの伝送を助けることができる。例えば、別の実施形態において、45度の角度は、単一の段部に置き換えらえる。アンテナの一端上の段部は、誘電体層、間隙導体、及びスペーサ層を一周する。同じ2つの段部が、これらの層の他方の端部に存在する。
【0105】
動作中、給電波が同軸ピン1601から供給されると、この給電波は、グランドプレーン1602と間隙導体1603との間の領域で同軸ピン1601から同心円状に外向きに進む。同心円状射出波は、側部1607及び1608により反射され、間隙導体1603とRFアレイ1606との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部(エッジ)からの反射は、この波を同相に留まらせる(すなわち、この反射は、同相反射である)。進行波は、誘電体層1605によって減速する。この時点で、進行波は、RFアレイ1606の素子との相互作用及び励起を開始して、所望の散乱を取得する。
【0106】
進行波を終了させるために、アンテナの幾何学的中心で終端部1609がアンテナに含まれる。1つの実施形態において、終端部1609は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を含む。別の実施形態において、終端部1609は、未使用エネルギーを終端させて、アンテナの給電構造を通る当該未使用エネルギーが反射して戻るのを阻止するRF吸収体を含む。これらは、RFアレイ1606の上部で使用することができる。
【0107】
図11は、アンテナシステムの別の実施形態を射出波と共に示している。
図11を参照すると、2つのグランドプレーン1610、1611は、互いに実質的に平行であり、グランドプレーンの間に誘電体層1612(例えば、プラスチック層など)を有している。RF吸収体1619(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン1610及び1611を共に結合する。同軸ピン1615(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ1616は、誘電体層1612及びグランドプレーン1610の上部に存在する。
【0108】
動作中、給電波は、同軸ピン1615を介して供給され、同心円状外向きに進んでRFアレイ1616の素子と相互作用をする。
【0109】
図10及び11の両方のアンテナにおける円筒状給電部は、アンテナのサービス角度を改善する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、プラス又はマイナス45度の方位角(±45° Az)、及びプラス又はマイナス25度の仰角(±25° EI)からなるサービス角度の代わりに、全方向でボアサイトから75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成された何らかのビーム形成アンテナと同様に、全体のアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体のアンテナ利得は、典型的には、ビームがボアサイトから離れて向けられるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0110】
円筒状給電部を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、共通分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造を飛躍的に簡素化し、及び従って全体で必要とされるアンテナ及びアンテナ給電量を低減するステップと、より粗い制御(全てを単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造及び制御誤差に対する感度を低下させるステップと、円筒状に配向された給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより有利なサイドローブパターンを与えるステップと、偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波が動的であることを可能にするステップと、を含む。
【0111】
波散乱素子のアレイ
図10のRFアレイ1606及び
図11のRFアレイ1616は、放射体として動作する1つのグループのパッチアンテナ(すなわち、散乱体)を含む波散乱サブシステムを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。
【0112】
1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体と、誘電体基板と、相補的電気誘導容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んだ上部導体とからなる単位セルの一部であり、相補的電気誘導型容量性共振器は、上部導体にエッチング又は堆積される。
【0113】
1つの実施形態において、液晶(LC)が散乱素子の周りのギャップに注入される。液晶は、各単位セルに封入され、スロットに関連付けられる下部導体をパッチに関連付けられる上部導体から分離する。液晶は、この液晶を構成する分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(従って、誘電率)は、液晶の両端のバイアス電圧を調整することによって制御することができる。この特性を利用して、液晶は、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためのオン/オフスイッチとして動作する。スイッチオンにされたときに、CELCは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を放射する。
【0114】
LCの厚みを制御することにより、ビームスイッチング速度が上がる。下部導体と上部導体との間のギャップ(液晶の厚み)が50パーセント(50%)減少すると、速度が4倍に増大する。別の実施形態において、液晶の厚みは、約14ミリ秒(14ms)のビームスイッチング速度を結果として生じる。1つの実施形態において、LCは、応答性が向上するように当技術分野で周知の方法でドープされ、7ミリ秒(7ms)要件を満足させることができる。
【0115】
CELC素子は、CELC素子の面に平行で且つCELCギャップ補完物に垂直に印加される磁界に応答する。電圧がメタマテリアル散乱単位セルの液晶に印加されたときに、誘導波の磁界成分がCELCの磁気励起を誘導し、その結果、誘導波と同じ周波数の電磁波が生成される。
【0116】
単一のCELCによって生成される電磁波の位相は、誘導波のベクトル上のCELCの位置によって選択することができる。各セルは、CELCと平行な誘導波と同相の波を生成する。CELCは、波長よりも小さいので、出力波は、誘導波がCELCの下を通過するときにこの誘導波の位相と同じ位相を有する。
【0117】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの円筒状給電幾何形状は、CELC素子を、給電波における波のベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決めされるようにできる。この素子の位置により、素子から生成されるか又は素子によって受け取られる自由空間波の偏波の制御が可能になる。1つの実施形態において、CELCは、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合、30GHzの送信アンテナの素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)となる。
【0118】
1つの実施形態において、CELCは、スロットを覆って同一場所に位置付けられたパッチとスロットとパッチの間に液晶を含むパッチアンテナによって実施される。これに関して、メタマテリアルアンテナは、スロット(散乱)導波路のように動作する。スロット導波路に関しては、出力波の位相は、誘導波に対するスロットの位置に依存する。
【0119】
セルの配置
1つの実施形態において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路を可能にする方法で円筒状給電アンテナのアパーチャ上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動用のトランジスタの配置を含む。
図12は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。
図12を参照すると、行コントローラ1701は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1711、1712に結合され、列コントローラ1702は、列選択信号Column1(列1)を介してトランジスタ1711及び1712に結合される。また、トランジスタ1711は、パッチへの接続1731を介してアンテナ素子1721に結合され、トランジスタ1712は、パッチへの接続1732を介してアンテナ素子1722に結合される。
【0120】
単位セルが非正規グリッド内に配置された円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップでは、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして動作する。第2のステップでは、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルはリング状に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、ルーティングを達成する物理的トレースの数を著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースのルーティングは、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0121】
1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。これは、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減してルーティングを簡素化し、これによってアンテナのRF性能が向上する。
【0122】
より詳細には、1つの方式では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、セルのアドレス、及び第1のステップで定められた行及び列への接続を維持すると同時に、グループ化され且つ同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0123】
1つの実施形態において、TFTパッケージは、マトリクス駆動回路における配置及び一意のアドレス指定を可能にするのに用いられる。
図13は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。
図13を参照すると、入力及び出力ポートを備えたTFT及び保持キャパシタ1803が示されている。トレース1801に接続された2つの入力ポートと、トレース1802に接続された2つの出力ポートとがあり、行及び列を用いてTFTを共に接続する。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合が低減され、場合によっては最小となることができる。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、様々な層上に存在する。
【0124】
全二重通信システムの例
別の実施形態において、複合アンテナアパーチャは、全二重通信システムで用いられる。
図14は、同時送信及び受信経路を有する通信システムの別の実施形態のブロック図である。1つの送信経路及び1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、2以上の送信経路及び/又は2以上の受信経路を含むことができる。
【0125】
図14を参照すると、アンテナ1401は、上述のように異なる周波数で同時に送信及び受信するように独立して動作可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ1401は、ダイプレクサ1445に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。1つの実施形態において、放射状給電アンテナの場合、ダイプレクサ1445は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1401とダイプレクサ1445の間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0126】
ダイプレクサ1445は、低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)1427に結合され、このLNBは、当技術分野において周知の方法でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅機能を実行する。1つの実施形態において、LNB1427は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態において、LNB1427は、アンテナ装置に組み込まれる。LNB1427は、コンピューティングシステム1440(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1460に結合される。
【0127】
モデム1460は、アナログ‐デジタルコンバータ(ADC)1422を含み、このADCは、LNB1427に結合されて、ダイプレクサ1445から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換された状態で、信号は、復調器1423によって復調され、更に復号器1424によって復号され、受信波上の符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ1425に送られ、このコントローラが、このデータをコンピューティングシステム1440に送る。
【0128】
モデム1460はまた、コンピューティングシステム1440から送信されるデータを符号化する符号器1430を含む。符号化されたデータは、変調器1431によって変調され、次にデジタル‐アナログコンバータ(DAC)1432によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1433によってフィルタリングされ、ダイプレクサ1445の1つのポートに供給される。1つの実施形態において、BUC1433は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0129】
当技術分野において周知の方法で動作するダイプレクサ1445は、伝送のため送信信号をアンテナ1401に供給する。
【0130】
コントローラ1450は、単一の複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1401を制御する。
【0131】
通信システムは、上述のコンバイナ/アービターを含むよう修正されるであろう。このような場合、コンバイナ/アービターはモデムの後であるがBUC及びLNBの前にある。
【0132】
図14に示された全二重通信システムは、限定ではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウェア更新を含む)などを含む幾つかの用途があることに留意されたい。
【0133】
本明細書に記載されている例示的な実施形態が複数ある。
【0134】
本明細書に記載されている例示的な実施形態が複数ある。
【0135】
実施例1は、アイリススロット開口部とアイリススロット開口部を覆う電極とを各々が含む複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子と、複数のRF放射アンテナ素子に結合された複数の駆動トランジスタと、複数のアンテナ素子のうちの1つのRF放射アンテナ素子の電極に各々が結合された複数のストレージキャパシタと、を有するアパーチャを備えたアンテナであって、アパーチャは、RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられた1つのRF放射アンテナ素子用の駆動トランジスタ、RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられた1つのアンテナ素子用のストレージキャパシタと、及びオーバラップ領域において、ストレージキャパシタンスを形成するために1つのRF放射アンテナ素子に共通電圧を送る共通電圧ルーティングに重なる第1の電圧用の1つのRF放射アンテナ素子への金属ルーティングのうちの少なくとも1つを含む、アンテナである。
【0136】
実施例2は、電極がパッチを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0137】
実施例3は、金属ルーティングが、複数のストレージキャパシタのうちの1つのストレージキャパシタを電極に結合するドレイン金属ルーティングを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0138】
実施例4は、ドレイン金属ルーティングが共通電圧ルーティングの上方又は下方にある、ことを任意選択的に含むことができる実施例3のアンテナである。
【0139】
実施例5は、オーバラップ領域がストレージキャパシタの第2のキャパシタンスと組み合わせて1つのアンテナ素子のキャパシタンスを提供する第1のキャパシタンスを提供し、ドレイン金属層の幅及び共通電圧ルーティングの幅の一方又は両方が、第1のキャパシタンスを取得するよう設定される、ことを任意選択的に含むことができる実施例3のアンテナである。
【0140】
実施例6は、オーバラップエリアの幅が、電極の外側よりも電極の下方で大きい、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0141】
実施例7は、1つのRF放射アンテナ素子用の駆動トランジスタが、1つのRF放射アンテナ素子用のストレージキャパシタと共にRF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられる、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0142】
実施例8は、1つのRF放射アンテナ素子用の駆動トランジスタがRF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられ、1つのRF放射アンテナ素子用のストレージキャパシタが、RF放射アンテナ素子の電極の外側に位置付けられる、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0143】
実施例9は、1つのRF放射アンテナ素子用の駆動トランジスタが、RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられ、1つのRF放射アンテナ素子用の第1のストレージキャパシタが、RF放射アンテナ素子の電極の下方に位置付けられ、1つのRF放射アンテナ素子用の第2のストレージキャパシタが、RF放射アンテナ素子の電極の外側に位置付けられる、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0144】
実施例10は、電極がパッチ及びパッチ基板を有するパッチ構造体の一部であり、更にストレージキャパシタが、電極の真下に形成され、パッチ構造体のパッチ金属層とパッチ基板との間に存在する、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0145】
実施例11は、パッチの下方のキャパシタンスが、共通電圧金属層を調整することによって調節される、ことを任意選択的に含むことができる実施例10のアンテナである。
【0146】
実施例12は、電極が、パッチ及びパッチ基板を有するパッチ構造体の一部であり、更に駆動トランジスタがTFTを含み、少なくとも1つのTFTが、パッチ構造体の真下に形成され、パッチ構造体のパッチ金属層とパッチ基板との間に存在する、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0147】
実施例13は、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子であって、アイリススロット開口部とアイリススロット開口部を覆う電極とを各々が含む複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子と、複数のアンテナ素子のうちの1つのアンテナ素子に各々が結合される複数の駆動トランジスタであって、駆動トランジスタのペア間の1又は2以上の金属ルーティング線が、1又は2以上のRF放射アンテナ素子を通る、複数の駆動トランジスタと、を備えるアンテナである。
【0148】
実施例14は、各駆動トランジスタが、駆動トランジスタのソース及びゲートにそれぞれ結合されたドレイン及びゲート金属線を有し、ドレイン金属線が、RF放射アンテナ素子の電極に結合され、1又は2以上の金属ルーティング線が、ソース金属線及びゲート金属線のうちの1又は2以上を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例13のアンテナである。
【0149】
実施例15は、1又は2以上の金属ルーティング線が、共通電圧ルーティングを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例13のアンテナである。
【0150】
実施例16は、1又は2以上の金属ルーティング線が、少なくとも1つのRF放射アンテナ素子の主軸に沿っている、ことを任意選択的に含むことができる実施例13のアンテナである。
【0151】
実施例17は、1又は2以上の金属ルーティング線が、少なくとも1つのRF素子の主軸に対して対称である平行ルーティング線を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例16のアンテナである。
【0152】
実施例18は、1又は2以上の金属ルーティング線の一部が、電極と基板との間で電極が結合される基板上の金属層の上に形成される、ことを任意選択的に含むことができる実施例13のアンテナである。
【0153】
実施例19は、電極がパッチ電極であり、基板がパッチ基板である、ことを任意選択的に含むことができる実施例18のアンテナである。
【0154】
実施例20は、パッチ電極と金属ルーティング線との間の寄生キャパシタンスを低減するためにパッチ電極と金属ルーティング線との間に誘電体を任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0155】
実施例21は、金属ルーティング線は、電極に近接していないときよりも電極に近接しているときに幅狭になる、ことを任意選択的に含むことができる実施例13のアンテナである。
【0156】
実施例22は、対応するアイリススロット開口部の上方のエリアの外側にあるエリアにおいて駆動トランジスタのドレイン金属層を少なくとも1つのRF放射アンテナ素子の電極に接続するために任意選択的にビアを含むことができる実施例13のアンテナである。
【0157】
実施例23は、複数のRF放射アンテナ素子と、複数のRF放射アンテナ素子に結合された複数の構造体とを備え、各構造体が、複数のアンテナ素子を駆動するように結合されたストレージキャパシタに結合される駆動トランジスタを有し、複数の構造体の各構造体が、複数のドレイン端子を含む、アンテナである。
【0158】
実施例24は、駆動トランジスタがTFTである、ことを任意選択的に含むことができる実施例23のアンテナである。
【0159】
実施例25は、複数のドレイン端子の1つだけが、RFアンテナ素子の1又は2以上の異なるリング上で1又は2以上のRF素子に結合される、ことを任意選択的に含むことができる実施例23のアンテナである。
【0160】
実施例26は、複数の構造体のうちの1つの構造体の複数のドレイン端子のうちの1つに結合されたドレイン線が、1つの構造体の駆動トランジスタに結合されたゲート線に交差する、ことを任意選択的に含むことができる実施例23のアンテナである。
【0161】
実施例27は、複数の構造体のうちの1つの構造体の複数のドレイン端子のうちの1つに結合されるドレイン線が、1つの構造体の駆動トランジスタに結合されたゲート線又はソース線に交差していない、ことを任意選択的に含むことができる実施例23のアンテナである。
【0162】
実施例28は、複数の構造体のうちの1つの構造体の複数のドレイン端子のうちの1つに結合されたドレイン線が、1つの構造体の駆動トランジスタに結合されたソース線と反対の方向で1つの構造体から出ている、ことを任意選択的に含むことができる実施例23のアンテナである。
【0163】
実施例29は、複数の構造体のうちの構造体が、RF放射アンテナ素子のローカルリングの接線で延びるルーティングと整合される、ことを任意選択的に含むことができる実施例23のアンテナである。
【0164】
実施例30は、TFT/ストレージキャパシタ構造体のうちの1又は2以上の構造体のルーティング線の1又は2以上の接続部が、RF放射アンテナ素子のローカルリングの接線で延びるルーティングと整合される、ことを任意選択的に含むことができる実施例29のアンテナである。
【0165】
実施例31は、TFT/ストレージキャパシタ構造体のうちの1又は2以上の構造体のルーティング線用の1又は2以上の接続部が、RF放射アンテナ素子のローカルリングの接線にわたって延びるルーティングと整合される、ことを任意選択的に含むことができる実施例29のアンテナである。
【0166】
上記の詳細な説明の幾つかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の観点で提示されている。これらのアルゴリズム的記述及び表現は、データ処理技術分野の当業者により、自らの作業の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムは、ここでは一般的に、望ましい結果に至る自己矛盾のない一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必須ではないが、通常は、これらの量は、格納、転送、結合、比較、及び他の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形式を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、符号、用語、又は数字などとして示すことは、主として共通使用という理由でときに好都合であることが判明している。
【0167】
しかしながら、これらの及び類似の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるものとし、且つこれらの量に付与される有利なラベルに過ぎないことを念頭に置くべきである。以下の説明から明らかなように他に具体的に明記されない限り、説明全体を通して、「処理する」又は「コンピュータ計算する」又は「計算する」又は「決定する」又は「表示する」などのような用語を利用する説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(電子的な)量として表されるデータをそのコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報ストレージ、送信又は表示デバイス内の物理量として同様に表される別のデータに操作及び変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピュータデバイスのアクション及びプロセスを指すことを理解すべきである。
【0168】
本発明はまた、本明細書の動作を実行するための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構成することができ、又はコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを含むことができる。このようなコンピュータプログラムは、限定ではないが、フロッピーディスク、光学ディスク、CD-ROM、及び磁気光学ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、又は電子命令の格納に適するあらゆるタイプの媒体のようなコンピュータ可読ストレージ媒体に格納することができ、各々がコンピュータシステムバスに結合される。
【0169】
本明細書に提示したアルゴリズム及び表示は、何れの特定のコンピュータ又は他の装置にも本質的に関係付けられるものではない。様々な汎用システムを本明細書の教示によるプログラムと共に使用することができるか、又は必要とされる方法ステップを実行するより特殊化された装置を構成することが便利であることが証明されている場合がある。多種多様なこれらのシステムに必要とされる構造は、以下の説明から明らかであろう。これに加えて、本発明は、何れの特定のプログラミング言語に関連しても説明されていない。多種多様なプログラミング言語を使用して、本明細書に説明した本発明の教示を実施することができることが理解されるであろう。
【0170】
機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読の形態の情報を格納又は送信するための何れかの機構を含む。例えば、機械可読媒体は、読取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイスなどを含む。
【0171】
本発明の多くの改変及び修正が前述の説明を読んだ後で疑いなく当業者に明らかになるであろうが、例証によって図示及び説明された何れの特定の実施形態も限定として捉えられるものではない点を理解されたい。従って、様々な実施形態の詳細事項への言及は、本発明にとって基本的なものとしてみなされる特徴のみを記載する請求項の範囲を制限するものではない。
【符号の説明】
【0172】
101 ストレージキャパシタ
102 トランジスタ(例えば、TFT)
103 Vcom
104 ドレイン金属
105 アイリススロット開口部
106 パッチ電極(金属)
111 パッチ金属へのビアドレイン金属
【国際調査報告】