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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】かみそりカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/14 20060101AFI20230516BHJP
   B26B 21/56 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B26B21/14 A
B26B21/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560434
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 US2021027447
(87)【国際公開番号】W WO2021211813
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/010,941
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316015877
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE GILLETTE COMPANY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビン シェン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンチン ジュー
(72)【発明者】
【氏名】ケネス ジェームズ スクロービス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム オーウェン ジョリー
(72)【発明者】
【氏名】ソーステン クノブロッホ
(57)【要約】
ハウジングと、ハウジングに装着された刃アセンブリと、を含むかみそりカートリッジが提供される。刃アセンブリは、第1の部分と第2の部分とを含む基板によって画定される少なくとも1つのかみそり刃を含み得る。第1の部分は、第1の外側表面および第2の外側表面を含み得る。第2の部分は、分割線によって分離された第1のセクションと第2のセクションを含み得る。第1のセクションは、第1のファセットと最終ファセットとを含み得る。第2のセクションは、最終ファセットを含み得る。第1のセクションおよび第2のセクションの最終ファセットは、切断縁部を画定するように先端において収束し得る。ショルダーが、第1のセクションの第1のファセットと最終ファセットとの間に位置付けられ、皮膚接触表面を画定し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かみそりカートリッジであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに装着された刃アセンブリであって、
第1の外側表面および第2の外側表面を含む第1の部分と、
分割線によって分離された第1のセクションおよび第2のセクションを含む第2の部分であって、前記第1のセクションは第1のファセットと最終ファセットとを含み、前記第2のセクションは最終ファセットを含み、前記第1のセクションおよび前記第2のセクションの前記最終ファセットは、切断縁部を画定するように先端において収束し、ショルダーが、前記第1のセクションの前記第1のファセットと前記最終ファセットとの間に位置付けられ、皮膚接触表面を画定する、第2の部分と、
を備える基板によって画定された少なくとも1つのかみそり刃を含む、刃アセンブリと、を含むかみそりカートリッジ。
【請求項2】
前記第2のセクションの前記最終ファセットは第2のファセットを含み、前記第1のセクションの前記最終ファセットは第3のファセットを含む、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項3】
前記第2のセクションは、前記第1の部分の前記第2の外側表面から延在する第2のファセットを更に含み、前記第2のセクションの前記最終ファセットは第4のファセットを含み、前記第1のセクションの前記最終ファセットは第3のファセットを含む、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項4】
前記第2のセクションの前記最終ファセットは、前記第1のセクションの前記第1のファセットおよび前記最終ファセットと比べて、前記分割線により近接して位置する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項5】
前記基板の前記第1の部分の前記第1の外側表面および前記第2の外側表面は、互いに略平行であり、前記分割線は、前記先端を通過し、前記第1の部分の前記第1の外側表面および前記第2の外側表面に対して略平行である、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項6】
前記第2の部分の前記第1のセクションおよび前記第2のセクションは、非対称の第1のセクションおよび第2のセクションを画定する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項7】
前記第1のファセットは、前記第1の部分の前記第1の外側表面から直接延在する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項8】
前記ハウジングはキャップ構造とガード構造とを備え、剃毛平面が前記キャップ構造と前記ガード構造との間に画定され、前記刃アセンブリは、前記かみそり刃基板が結合される刃支持部材を更に備え、前記刃支持部材は、前記第1のセクションの前記第1のファセットと前記最終ファセットとの間に位置付けられた前記ショルダーが、前記剃毛平面内またはその近くに位置付けられるように構成されている、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項9】
前記ショルダーが、前記剃毛平面からそれぞれ約0.2mm未満および約0.5mm未満の距離だけ、前記剃毛平面の上方または下方に位置するとき、前記ショルダーは、前記剃毛平面の近くに位置付けられる、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
第1のクリップおよび第2のクリップを更に備え、前記第1のクリップおよび前記第2のクリップは、前記ハウジングに装着され、前記少なくとも1つのかみそり刃を画定する前記基板の前記ショルダーの両端部に係合して、前記かみそり刃を前記ハウジング内に固着する、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのかみそり刃の剃毛平面が、前記少なくとも1つのかみそり刃の前記切断縁部の前方および後方において皮膚接触要素の最上部表面部分から延在する平面によって画定され、前記刃アセンブリは、前記少なくとも1つの刃が結合される刃支持部材を更に備え、前記刃支持部材は、前記少なくとも1つのかみそり刃の前記ショルダーが前記剃毛平面内またはその近くに位置付けられるように構成されている、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、かみそり刃カートリッジに関し、より具体的には、皮膚接触ショルダーを備えたかみそり刃を有するかみそり刃カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
かみそりカートリッジは、典型的には、キャップおよびガード構造を含むカートリッジハウジングと、キャップとガード構造との間に位置する1つ以上のかみそり刃アセンブリと、を備える。平面が、キャップの上部表面とガード構造の上部表面との間に延在して、剃毛面を画定し得る。かみそり刃アセンブリは、典型的には、対称形状を有するかみそり刃を備える。かみそりカートリッジの剃毛ジオメトリは、カートリッジの剃毛性能を決定する上で重要であることがよく知られている。剃毛ジオメトリは、他の皮膚接触部分、特にかみそりカートリッジのキャップ構造およびガード構造に対する刃の位置および向きを規定するものである。剃毛ジオメトリの1つのパラメータが刃露出度であり、これは、刃の切断縁部が剃毛面の上方または下方に突出する垂直距離である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現行のかみそり刃は適切に機能しているが、次世代の製品がより良好に機能するために、刃形状などの剃毛ジオメトリの改善がなされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様によれば、ハウジングと、ハウジングに取り付けられたブレードアセンブリと、を含むかみそりカートリッジが提供される。刃アセンブリは、第1の部分と第2の部分とを含む基板によって画定される少なくとも1つのかみそり刃を含み得る。第1の部分は、第1の外側表面および第2の外側表面を含み得る。第2の部分は、分割線によって分離された第1のセクションと第2のセクションを含み得る。第1のセクションは、第1のファセットと最終ファセットとを含み得る。第2のセクションは、最終ファセットを含み得る。第1のセクションおよび第2のセクションの最終ファセットは、切断縁部を画定するように先端において収束し得る。ショルダーが、第1のセクションの第1のファセットと最終ファセットとの間に位置付けられ、皮膚接触表面を画定し得る。
【0005】
第2のセクションの最終ファセットは、第2のファセットを含み得、第1のセクションの最終ファセットは、第3のファセットを含み得る。
【0006】
第2のセクションは、第1の部分の第2の外側表面から延在する第2のファセットを更に含み得る。第2のセクションの最終ファセットは、第4のファセットを含み得、第1のセクションの最終ファセットは、第3のファセットを含み得る。
【0007】
第2のセクションの最終ファセットは、第1のセクションの第1のファセットおよび最終ファセットと比べて、分割線により近接して位置し得る。
【0008】
基板の第1の部分の第1の外側表面および第2の外側表面は、互いに略平行であり得、分割線は、先端を通過し得、第1の部分の第1の外側表面および第2の外側表面に対して略平行であり得る。
【0009】
第2の部分の第1のセクションおよび第2のセクションは、非対称の第1のセクションおよび第2のセクションを画定し得る。
【0010】
第1のファセットは、第1の部分の第1の外側表面から直接延在し得る。
【0011】
ハウジングは、キャップ構造とガード構造とを備え得る。剃毛平面は、キャップ構造とガード構造との間に画定され得る。刃アセンブリは、かみそり刃基板が結合される刃支持部材を更に備え得る。刃支持部材は、第1のセクションの第1のファセットと最終ファセットとの間に位置付けられたショルダーが剃毛平面内に、あるいはその近くに位置付けられるように構成され得る。ショルダーが、剃毛平面からそれぞれ約0.2mm未満および約0.5mm未満の距離だけ、剃毛平面の上方または下方に位置するとき、ショルダーは、剃毛平面の近くに位置付けられ得る。
【0012】
カートリッジは、第1のクリップおよび第2のクリップを更に備えてもよく、当該第1のクリップおよび当該第2のクリップは、ハウジングに装着され、かみそり刃を画定する基板のショルダーの両端部に係合して、かみそり刃をハウジング内に固着する。
【0013】
本開示の第2の態様によれば、ハウジングと、ハウジングに装着された第1の刃アセンブリであって、第1のかみそり刃を備える、第1の刃アセンブリと、ハウジングに装着された第2の刃アセンブリであって、第2のかみそり刃を備える、第2の刃アセンブリと、を含むかみそりカートリッジが提供される。第1のかみそり刃または第2のかみそり刃のうちの少なくとも1つは、第1の外側表面および第2の外側表面を含む第1の部分と、分割線によって分離された第1のセクションおよび第2のセクションを含む第2の部分と、を含む基板によって画定され得る。第1のセクションは、第1のファセットと最終ファセットとを含み得る。第2のセクションは、最終ファセットを含み得る。第1のセクションおよび第2のセクションの最終ファセットは、切断縁部を画定するように先端において収束し得る。ショルダーが、第1のセクションの第1のファセットと最終ファセットとの間に位置付けられ得、皮膚接触表面を画定する。
【0014】
第2のセクションの最終ファセットは、第2のファセットを含み得、第1のセクションの最終ファセットは、第3のファセットを含み得る。
【0015】
第2のセクションは、第1の部分の第2の外側表面から延在する第2のファセットを更に含み得る。第2のセクションの最終ファセットは、第4のファセットを含み得、第1のセクションの最終ファセットは、第3のファセットを含み得る。
【0016】
第2のセクションの最終ファセットは、第1のファセットおよび第1のセクションの最終ファセットと比べて、分割線により近接して位置し得る。
【0017】
基板の第1の部分の第1の外側表面および第2の外側表面は、互いに略平行であり得、分割線は、先端を通過し得、第1の部分の第1の外側表面および第2の外側表面に対して略平行であり得る。
【0018】
第2の部分の第1のセクションおよび第2のセクションは、非対称の第1のセクションおよび第2のセクションを画定し得る。
【0019】
第1のファセットは、第1の部分の第1の外側表面から直接延在し得る。
【0020】
ハウジングは、キャップ構造とガード構造とを更に備え得る。剃毛平面は、キャップ構造とガード構造との間に画定され得る。第1の刃アセンブリは、第1のかみそり刃が結合される刃支持部材を更に備え得る。刃支持部材は、第1のかみそり刃を画定する基板のショルダーが剃毛平面内にあるいはその近くに位置付けられるように構成され得る。ショルダーが、剃毛平面からそれぞれ約0.2mm未満および約0.5mm未満の距離だけ、剃毛平面の上方または下方に位置するとき、ショルダーは、剃毛平面の近くに位置付けられ得る。
【0021】
カートリッジは、第1のクリップおよび第2のクリップを更に備えてもよく、当該クリップは、ハウジングに装着され、第1のかみそり刃を画定する基板のショルダーの両端部に係合して、第1のかみそり刃をハウジング内に固着する。
【0022】
第1のかみそり刃の切断縁部の前方および後方において皮膚接触要素の最上部表面部分から延在する平面によって、第1のかみそり刃の剃毛平面が画定され得る。第1の刃アセンブリは、第1のかみそり刃が結合される刃支持部材を更に備え得る。刃支持部材は、第1のかみそり刃のショルダーが剃毛平面内にあるいはその近くに位置付けられるように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書は、本発明を形成すると見なされる主題を特に指摘して明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の説明と共に添付図面を参照することでより良好に理解されると考えられる。添付図面における同種の表記番号は、実質的に同じ要素を示すために用いる。
図1】本開示による、ハンドルとかみそりカートリッジとを備えるかみそりシステムの正面図である。
図2A図1のかみそりカートリッジの断面図である。
図2B】本開示のかみそりカートリッジのキャップおよびガード構造、ならびに第1、第2、第3、第4および第5のかみそり刃アセンブリを概略的に示す図である。
図3A】本開示の第1の実施形態による、非対称かみそり刃の断面側面図である。
図3B図3Aのかみそり刃の先端部分の拡大図である。
図3C】剃毛平面に位置する、図3Aおよび図3Bのかみそり刃のベベルショルダーを示す図である。
図3D図3Aの線3D-3Dに沿った図である。
図4A】本開示の第2の実施形態による、非対称かみそり刃の断面側面図である。
図4B図4Aのかみそり刃の先端部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
序論
本明細書で使用される場合、「非対称刃」という用語は、刃本体を含む第1の部分と、先端部分を含む第2の部分と、を有する基板によって画定される刃を意味するものであり、この先端部分において、分割線が先端部分の先端を通過し、第1および第2の部分を通じて延在し、第2の部分を概ね非対称の第1のセクションおよび第2のセクションに分割する。第2の部分の第1のセクションの外側表面は、第2のセクションの外側表面に関して非対称である。第2の部分の第1のセクションの外側表面は、皮膚接触表面として機能し得、第2の部分の第2のセクションの外側表面は、体毛切断表面として機能し得る。
【0025】
「ベベルショルダー」、「ベベルショルダー構造」、または「ショルダー」は、互換的に使用され得る、本明細書では、かみそり刃の基板の第2の部分の第1のセクションの外側表面上の構造を示すために使用される。ベベルショルダー構造は、ファセットが第1のセクションにおいて会合する箇所に配置され、ベベルショルダーは、刃の皮膚接触表面の重要な部分を規定する。ベベルショルダーは、平滑であっても、丸みを帯びていても、あるいは角度をつけられていてもよいが、一般的には、切断縁部に平行に延びる線形構造である。本発明のベベルショルダー構造は、刃の皮膚接触機能の大部分を実行するものであり、したがって、先端から圧力を減じる。最小限からゼロの先端圧力を提供する上で、ショルダーは、第1のセクションに組み込まれた高度に定義された皮膚ガードの利益を提供する。本発明の刃の基板の第2の部分の第1のセクションの外側表面上にベベルショルダーを有する非対称刃において、切断力は、刃基板が対称である場合よりも、依然としてはるかに低くなり得る。これは、望ましくも、体毛切断側(例えば、第2の部分の第2のセクション)上に、実質的にベベルショルダーがないか、あるいは最小限のショルダーしかないという事実によるものである。第2のセクションに顕著なベベルショルダーを有することで、体毛切断効果を支配するセクションは、不都合にも体毛切断力を増加させることになる。以下、本発明のベベルショルダーについて更に詳細に説明する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「分割線」は、刃基板の先端部分の先端を通って延在する線を意味し、第2の部分を非対称の第1のセクションおよび第2のセクションに分離し、刃基板の刃本体を画定する第1の部分の第1および第2の略平行な外側表面と概ね平行である。
【0027】
本明細書で使用される場合、「剃毛平面」は、かみそりカートリッジハウジングのキャップ構造の上部表面とかみそりカートリッジハウジングのガード構造の上部表面との間に延在する平面を意味する。「剃毛平面」は、キャップ構造およびガード構造の各々に接する平面であり得る。いくつかの実施形態では、かみそりカートリッジ内のキャップ構造、ガード構造、および最上部表面部分の全てが同じ平面内に配置されるわけではない。そのような実施形態では、「剃毛平面」は、本明細書で使用される場合、1つはかみそり刃のかみそり刃先端のすぐ前方にあり、もう1つはそのすぐ後方にある、2つの皮膚接触要素の最上部表面部分の間に延在する平面を意味することを意図したものである。一連の刃の中の第1の刃の場合、剃毛平面は、第1のかみそり刃先端の第1の側でガード構造の上部表面、すなわち、最上部の表面部分、および第1の刃先端の第2の側に直接隣接しており、かつその上にある皮膚接触要素の最上部表面部分平面から延在する平面によって画定される。一連の刃の中の中間の刃の場合、剃毛平面は、中間のかみそり刃先端の両側にある隣接する皮膚接触要素の最上部表面部分から延在する平面によって画定される。かみそり刃上の最上部表面部分がベベルショルダーによって画定され得る本発明では、かみそり刃のかみそり刃先端のすぐ後ろにある皮膚接触要素の最上部表面部分は、かみそり刃のベベルショルダーを含み得る。かみそり刃先端の両側にある皮膚接触要素上の最上部表面部分は、隣接するかみそり刃上の最上部表面、かみそり刃自体にある要素(ベベルショルダーなど)、またはガード構造であり得る。図2Bのかみそり刃18Aの場合、剃毛平面は、刃18Aのすぐ前方の刃であるかみそり刃18Bの最上部表面部分から延在する平面、およびかみそり刃18Aのベベルショルダー(41、81)によって画定される。図示のようなかみそり刃18Bの最上部表面部分も同様に、ベベルショルダーである(例えば、41、81)。図2Bのかみそり刃18Eなど、一連の刃の中の第1の刃の場合、剃毛平面は、先行するガード構造28の最上部表面部分、およびこの場合はかみそり刃18Eの刃ベベルショルダー(例えば、41、81)であり得るかみそり刃のかみそり刃先端のすぐ後方の最上部表面部分から延在する表面によって画定される。
【0028】
図1を参照すると、剃毛かみそりシステム10は、ハンドル12と、かみそりカートリッジ14とを備えている。いくつかの実施例では、かみそりカートリッジ14は、図示のようにコネクタ20を用いてハンドル12に取り外し可能に装着されてもよく、他の実施例では、かみそりカートリッジ14は、ハンドル12に永久的に取り付けられてもよい。かみそりカートリッジ14は、ハンドル12に対して枢動してもよい。かみそりカートリッジ14は、1つ以上の刃18を有するカートリッジハウジング16を含んでもよい。5枚の刃が図1に示されているが、それ以上またはそれ以下の任意の枚数の刃がかみそりカートリッジ14内に装着されてもよいことが理解されよう。刃18は、カートリッジハウジング16内に装着され、図示のようにクリップ24aおよび24bで固着され得る。カートリッジハウジング16は、カートリッジハウジング16の後部の近くに位置するキャップ構造22と、カートリッジハウジング16の前部の近くに位置する1つ以上のガード構造28と、を更に備え得る。キャップ構造22は、1つ以上の潤滑部材(ラベル付けされていない)を備え得る。
【0029】
基板30は、コーティングされ得る。基板30上のコーティングは、200~1500オングストローム、好ましくは300~1000オングストロームの範囲にあってよい。
【0030】
図3Aは、本開示の第1の実施形態による、非対称かみそり刃18の断面側面図である。かみそり刃18は、刃本体132Aを含む第1の部分32と、先端部分134Aを含む第2の部分34と、を備える基板30によって画定される。図3Aの実施形態では、点線33は、第1の部分32と第2の部分34との間に延在する。かみそり刃18は、ステンレス鋼、他の金属および/もしくは合金、プラスチック、または任意の他の材料もしくはそれらの組み合わせから形成され得る。第1の部分32は、第1および第2の略平行な外側表面32Aおよび32Bを備え得、基板30のうちのファセットがない部分によって画定され得る。第2の部分34は、それぞれ分割線SL34によって分離された、略非対称の第1のセクション36および第2のセクション38を備えることができ、第1のセクション36および第2のセクション38は、第3および第4の非対称外側表面36Aおよび38Aを含む。分割線SL34は、先端部分134Aの先端46を通過するか、あるいはそこから発出してもよく、また、刃基板30の第1の部分32の第1の外側表面32Aおよび第2の外側表面32Bと概ね平行であってもよい。図3Aを参照されたい。分割線SL34は、第1の部分32を通じて延在してもよい。図3Aおよび3Bの例示的な実施形態では、分割線SL34は、第1の部分32および第2の部分34を等しい半部に分離していない。図示の実施形態では、第2の部分34の非対称の第1のセクション36および第2のセクション38は、先端46から離れて異なる距離だけ長手方向に延在し得る。
【0031】
第1のセクション36は、第1のベベルまたはファセット40および第3のベベルまたはファセット44を備え、第2のセクション38は、第2のベベルまたはファセット42を備える。第1のファセット40は、第1の外側表面32Aから直接延在し得、第1の外側表面32Aと第3のファセット44との間に位置付けられ得る。第3のファセット44は、第1のファセット40から直接延在し得る。ベベルショルダー41は、第1のファセット40と第3のファセット44が合流する箇所に画定され得る。ベベルショルダー41は、例えば図3Dに示されるように、刃18の切断縁部19に平行に延びる、概ね線形の(例えば、紙面に向かって、またX方向に沿って延在する)構造である。ベベルショルダー41は、平滑であるか、丸みを帯びているか、あるいは角度を付けられ得る。第2のファセット42は、第2の外側表面32Bから直接延在し得る。第2のファセット42および第3のファセット44は、毛髪の切断を実施する刃18の切断縁部19を画定するように先端46で収束する最終ファセットを画定してもよい。以下で更に説明するように、かみそり刃18の使用中に、第1のファセット40と第3のファセット44との間のベベルショルダー41は、ユーザの皮膚に接触し、それに沿って移動することができる。第1のファセット40から第3のファセット44へと延在するベベルショルダー41の角度Θ’(図3Aを参照されたい)は、162度~176度であり得る。
【0032】
第1のファセット40の長さL40は、第2および第3のファセット42および44の各々の長さL42およびL44よりも長くてもよい。図3Aおよび図3Bを参照されたい。第3のファセット44の長さL44は、第2のファセット42の長さよりも短くてもよい。図示された実施形態では、第1のファセット40の長さL40は、100マイクロメートル~500マイクロメートルであり得、第2のファセット42の長さL42は、8マイクロメートル~200マイクロメートルであり得、第3のファセット44の長さL44は、8マイクロメートル~150マイクロメートル、好ましくは8マイクロメートル~50マイクロメートルであり得る。第1のファセット40は、第1の外側表面32Aから第2の外側表面32Bに向かって内向きに延在し得、第2のファセット42は、第2の外側表面32Bから第1の外側表面32Aに向かって内向きに延在し得る。図3Aを参照されたい。第1の外側表面32Aおよび第2の外側表面32Bに平行な第1の部分32の中心を通って延在する平面Pは、第1のファセット40を通って延在してもよい。図3Aを参照されたい。図3Aから分かるように、平面Pは、第1の部分32を等しい半部に二分する。
【0033】
第1のファセット40と第1の部分32の第1の外側表面32Aから延在する第1のラインとの間の第1の角度β1’は、第2のファセット42と第1の部分32の第2の外側表面32Bから延在する第2のラインとの間の第2の角度α2’よりも大きくてもよい。図3Aおよび図3Bを参照されたい。第3のファセット44と第1のファセット40から延在する第3のラインとの間の第3の角度α1’は、第2のファセット42と第1の部分32の第2の外側表面32Bから延在する第2のラインとの間の第2の角度α2’よりも大きくてもよい。ウェッジ角度φ’は、第2のファセット42と第3のファセット44との間に延在してもよい。図3Bを参照されたい。ウェッジ角度φ’の値の値は、第1の角度β1’の値と、第2の角度のα2’の値と、第3の角度のα1’の値との合計に等しくてもよく、13.5度から30度の範囲内にあり得る。より小さいウェッジ角度φ’が、刃18のより鋭い切断縁部をもたらし得るため、有利である。第1の角度β1’は、8度~21度の範囲内にあり得、第2の角度α2’は、1度~12度、好ましくは2度~8度の範囲内にあり得、第3の角度α1’は、4度~18度、好ましくは8~18度の範囲内にあり得る。第1の角度β1’と第3の角度α1’との合計は、以下で論じられる刃接触角度Ω以上である。
【0034】
上記のように、かみそり刃18の第2の部分34の略非対称の第1のセクション36および第2のセクション38を分離する分割線SL34は、先端46を通過し、第1の部分32の第1の外側表面32Aおよび第2の外側表面32Bと概ね平行である。図3Aを参照されたい。第2のファセット42の大部分が、第1のファセット40および第3のファセット44の各々の大部分と比べて、分割線SL34により接近して配置され得る。図3Aおよび図3Bを参照されたい。
【0035】
図3Bを参照すると、分割線SL34に沿って先端46から4マイクロメートルの第1の距離DSL1において、分割線SL34に垂直でかつ分割線SL34から第3のファセット44まで延在する第1の距離DSL1Aと、分割線SL34に垂直でかつ分割線SL34から第2のファセット42まで延在する第2の距離(図3Bには参照符号を付されていない)と、の合計は、1.0マイクロメートル~2.3マイクロメートルであり得る。先端46から分割線SL34に沿って8マイクロメートルの第2の距離DSL2において、分割線SL34に垂直でかつ分割線SL34から第1のファセット40または第3のファセット44まで延在する第1の距離DSL2Aと、分割線SL34に垂直でかつ分割線SL34から第2のファセット42または第1の部分32の第2の外側表面32Bまで延在する第2の距離DSL2Bとの合計は、1.9マイクロメートル~4.6マイクロメートルであり得る。当該先端46から分割線SL34に沿って16マイクロメートルの第3の距離DSL3において、分割線SL34に垂直でかつ分割線SL34から第1のファセット40または第3のファセット44まで延在する第1の距離DSL3Aと、分割線SL34に垂直でかつ分割線SL34から第2のファセット42または第1の部分32の第2の外側表面32Bまで延在する第2の距離DSL3Bとの合計は、3.8マイクロメートル~9.2マイクロメートルであり得る。
【0036】
図2Aは、かみそりカートリッジ14の断面図である。かみそりカートリッジ14は、第1、第2、第3、第4および第5のかみそり刃18A~18Eを備える第1、第2、第3、第4および第5のかみそり刃アセンブリ180A~180Eを更に備え、かみそり刃18A~18Eの各々は、図3Aおよび図3Bに示されるかみそり刃18に対応するように形成されている。第1の刃アセンブリ180Aは、第1の刃18Aと、第1の刃18Aに結合された第1の刃支持部材または刃キャリア120Aと、を備え得る。第2の刃アセンブリ180Bは、第2の刃18Bと、第2の刃18Bに結合された第2の刃支持部材または刃キャリア120Bと、を備え得る。第3の刃アセンブリ180Cは、第3の刃18Cと、第3の刃18Cに結合された第3の刃支持部材または刃キャリア120Cと、を備え得る。第4の刃アセンブリ180Dは、第4の刃18Dと、第4の刃18Dに結合された第4の刃支持部材または刃キャリア120Dと、を備え得る。第5の刃アセンブリ180Eは、第5の刃18Eと、第5の刃18Eに結合された第5の刃支持部材または刃キャリア120Eとを備え得る。刃支持部材120A~120Eは、例えば、ステンレス鋼を含み得る。刃支持部材120A~120Eは、それらの対応する刃18A~18Eと一体であってもよく、あるいはそれに代わって、刃18A~18Eは、溶接、接着剤、または他の適切な技術などによって、それぞれの刃支持部材120A~120Eに固定的に結合されてもよい。各刃アセンブリ180A~180Eは、かみそりカートリッジ14のカートリッジハウジング16内に装着され得る。刃支持部材120A~120Eは、カートリッジハウジング16内でハウジング16のX方向に延在する(図1を参照されたい)それぞれの刃スロット162A~162E内に位置付けられてよく、また固定されても、浮遊していてもよい。例えば、刃支持部材120A~120Eは、ハウジング内に弾性的に取り付けられ得、ポリマー板ばねアーム(図示せず)を介してそれらの上昇した休止位置(すなわち、剃毛力によって負荷されない)に付勢され得る。この一実施例は、米国特許第10,391,652号に開示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。刃アセンブリ180A~180Eは、クリップ24B(そのうちの1つのみが図2Aに例示されている)または他の既知のアセンブリ方法によって固着され得る。
【0037】
図2Bは、図2Aのかみそりカートリッジ14のキャップ構造22、ガード構造28、ならびに第1、第2、第3、第4および第5のかみそり刃アセンブリ180A~180Eを概略的に示す。図2Bを参照すると、かみそりカートリッジ14のカートリッジハウジング16のキャップ構造22の上部表面とガード構造28の上部表面との間に延在する平面が、剃毛平面P、すなわち、キャップ構造およびガード構造22および28の各々に接する平面を規定し得る。かみそり刃のキャップ構造、ガード構造および最上部部分の全てが同じ平面内には位置しないかみそりカートリッジの実施形態の場合、かかるかみそりカートリッジ内の所与のかみそり刃の「剃毛平面」は、所与のかみそり刃のかみそり刃先端の直前および直後の皮膚接触要素間に延在する平面として定義され得る。例えば、図2Bに想像線で示されるような修正された実施形態では、刃18E’の最上部部分は、実線で示された刃18Eの位置、ならびにガード構造28の上部表面の位置のわずかに下方に位置する。修正された刃18E’の剃毛平面PS’は、刃18E’のベベルショルダーを含む刃18Eの先端の後ろの皮膚接触要素の最上部部分まで、ガード構造28’の最上部表面から延在する。
【0038】
かみそりカートリッジの剃毛ジオメトリは、カートリッジの剃毛性能を決定する上で重要であることはよく知られている。剃毛ジオメトリは、他の皮膚接触部分、特にかみそりカートリッジのキャップ構造およびガード構造に対する刃の位置および向きを規定するものである。剃毛ジオメトリの1つのパラメータが刃露出度であり、これは、刃の切断縁部が剃毛面の上方または下方に突出する垂直距離である。図2Bに示される実施形態では、第1、第2、第3、第4および第5の刃支持部材120A~120Eは、各刃18A~18Eを画定する基板30のベベルショルダー41が剃毛平面P内に、あるいはその近くに位置付けられるように、それらのそれぞれの刃18A~18Eを位置決めするように構成され得る。図3A図3Cも参照されたい。より具体的には、刃支持部材120A~120Eの各々は、下部部分121Aおよび上部部分121Bを備え得、上部部分121Bは、下部部分121Aに対して100度~125度のΘ121の角度で延在する。図2Bを参照されたい。各刃支持部材120A~120Eの上部部分121Bは、対応する刃18A~18Eを画定する基板30の第1の部分32の外側表面32Bに結合され得る。基材30の非対称形状、および各刃支持部材の下部部分121Aと上部部分121Bとの間の角度Θ121により、各刃18A~18Eを画定する基板30のベベルショルダー41は、剃毛平面P内にあるいはその近くに位置付けられる。図3A図3Cも参照されたい。
【0039】
図3Bおよび図3Cを参照すると、ベベルショルダー41は、ベベルショルダー41(このショルダー41はX方向に延在する)(図1および図3Aを参照)の一部分が剃毛平面P内に位置するとき、すなわち、剃毛平面Pがベベルショルダー41の当該部分に接するか、あるいはベベルショルダー41の一部分が、剃毛平面Pから約0.2mm未満の距離Dだけ、剃毛平面Pのわずかに上方に位置するか、もしくは、剃毛平面Pから約0.5mm未満の距離Dだけ、剃毛平面Pのわずかに下方に位置するとき、剃毛平面P内に、もしくはその近くに位置付けられていると見なされる。図3Cを参照されたい。ベベルショルダー41が剃毛平面P内にあるいはその近くに位置付けられると、刃18の切断縁部19は、刃18の非対称形状および対応する刃支持部材の下部部分121Aと上部部分121Bとの間の角度Θ121により、垂直距離D46だけ剃毛平面Pの下方に離間され得る。垂直距離D46は、0マイクロメートル~46.4マイクロメートルの範囲内にあり得、好ましくは20マイクロメートルを含む。図3Bを参照されたい。刃18の切断縁部19は、好ましくは剃毛平面Pの下方に位置するので、切断縁部19は、剃毛の快適さを改善し、皮膚刺激を低減するために、剃毛中に皮膚から離間される。また、ベベルショルダー41の角度Θ’が大きいため、ベベルショルダー41は、ユーザの皮膚に係合するための概ね滑らかな表面を画定し、それによって、刃が剃毛中に皮膚を横切って移動する際の摩擦を低減する。図2Bも参照されたい。
【0040】
上記のように、刃18A~18Eは、カートリッジハウジング16内に装着され、クリップ24Aおよび24Bで固着され得る。各刃18A~18Eを画定する基板30のベベルショルダー41は、剃毛平面P内にあるいはその近くに位置付けられているため(図3A図3Cも参照されたい)、クリップ24Aおよび24Bは、各刃18A~18Eのベベルショルダー41と係合する(図2Aを参照されたい)。従来技術のかみそり刃は、対応する刃支持部材に刃を固着するために、溶接操作中に機構と位置合わせされていた。位置合わせ機構はしばしば、刃先端の端部に損傷を与えたり、刃先端の端部を破砕したりする。刃先端が剃毛平面内に、あるいはその近くに位置付けられていた従来技術のかみそりカートリッジでは、クリップは刃先端の端部と係合する。しかしながら、刃先端の端部が事前の溶接操作中に破砕されるため、破砕された刃先とクリップとの係合は、剃毛平面に対する刃切断縁部の位置を不定にする結果となっていた。本発明では、クリップ24Aおよび24Bは、各刃18A~18Eのベベルショルダー41(このショルダー41は通常、事前の溶接操作の間に損傷を受けない)と係合するため、その全体の範囲に沿った刃切断縁部19の位置は、剃毛平面に対してより一貫してかつ予測可能に位置する。
【0041】
剃毛ジオメトリにおける別の重要な要素は、刃接触角度Ωであり(図3Aを参照されたい)、これは、非対称刃18の分割線SL34が、剃毛平面Sに対して交差する角度である。図3Aおよび図3Bの実施形態では、刃接触角度Ωは、10度~36度の範囲内にあり得、好ましくは17度である。
【0042】
図4Aは、本開示の第2の実施形態による、非対称かみそり刃50の断面側面図である。かみそり刃50は、刃本体を含む第1の部分72と、先端部分を含む第2の部分74と、を備える基板70によって画定される。図4Aの実施形態では、点線73は、第1の部分72と第2の部分74との間に延在する。かみそり刃50は、ステンレス鋼、他の金属および/もしくは合金、プラスチック、または任意の他の材料もしくはそれらの組み合わせから形成され得る。第1の部分72は、それぞれ、第1および第2の略平行な外側表面72Aおよび72Bを含み得る。第2の部分74は、それぞれ分割線SL74によって分離された、略非対称の第1のセクション76および第2のセクション78を備えることができ、第1のセクション76および第2のセクション78は、第3の非対称外側表面76Aおよび第4の非対称外側表面78Aを含む。分割線SL74は、先端部分74の先端88を通過してもよく、また、刃基板70の第1の部分72の第1の外側表面72Aおよび第2の外側表面72Bと概ね平行であってもよい。図3Aを参照されたい。分割線SL74は、第1の部分72を通じて延在してもよい。図4Aおよび図4Bの例示的な実施形態では、分割線SL74は、第1の部分72および第2の部分74を等しい半部に分離していない。
【0043】
第1のセクション76は、第1のファセット80および第3のファセット84を備え、第2のセクション78は、第2のファセット82および第4のファセット86を備える。第1のファセット80は、第1の外側表面72Aから直接延在し得、第1の外側表面72Aと第3のファセット84との間に位置付けられ得る。第3のファセット84は、第1のファセット80から直接延在し得る。ベベルショルダー81は、第1のファセット80と第3のファセット84が合流する箇所に画定され得る。ベベルショルダー81は、平滑であるか、丸みを帯びているか、あるいは角度を付けられ得る。ベベルショルダー81は、例えば図3Dに示されるように切断縁部50Aに平行に延びる、概ね線形の(例えば、紙面に向かって、あるいはX方向に沿って延在する)構造である。第2のファセット82は、第2の外側表面72Bから直接延在し得、第2の外側表面72Bと第4のファセット86との間に位置付けられ得る。第4のファセット86は、第2のファセット82から直接延在し得る。第3のファセット84および第4のファセット86は、毛髪の切断を実施する刃50の切断縁部50Aを画定するように先端88で収束する最終ファセットを画定してもよい。以下で更に説明するように、かみそり刃50の使用中に、第1のファセット80と第3のファセット84との間の第1のベベルショルダー81は、ユーザの皮膚に接触し、それに沿って移動することができる。第1のファセット80から第3のファセット84まで延在するベベルショルダー81の角度Θ(図4Aを参照されたい)は、162度~176度であり得る。
【0044】
第1および第2のファセット80および82の長さL80、L82は、第3および第4のファセット84および86の各々の長さL84およびL86よりも長くてもよい。図4Aを参照されたい。図4Aに示されるように、第2のファセット82の長さは、第1のファセット80の長さよりも長くてもよい。第3のファセット84の長さL84は、第4のファセット86の長さL86より長くても、短くてもよい。図示された実施形態では、第1のファセット80の長さL80は、100マイクロメートル~500マイクロメートルであり得、第2のファセット82の長さL82は、100マイクロメートル~1000マイクロメートルであり得、第3のファセット84の長さL84は、8マイクロメートル~150マイクロメートル、好ましくは8マイクロメートル~50マイクロメートルであり得、第4のファセット86の長さL86は、8マイクロメートル~200マイクロメートルであり得る。第1のファセット80は、第1の平行な外側表面72Aから第1の角度βをなして内向きに延在してもよく、第2のファセット82は、第2の平行な外側表面72Bから第2の角度βをなして内向きに延在してもよく、第3のファセット84は、第1のファセット80から第3の角度αをなして内向きに延在してもよく、第4のファセット86は、第2のファセット82から第4の角度αをなして内向きに延在してもよい。図4Aを参照されたい。第1の外側表面72Aおよび第2の外側表面72Bに平行な第1の部分72の中心を通って延在する平面Pは、第1のファセット80を通って延在してもよい。図4Aを参照されたい。
【0045】
第1のファセット80と第1の部分72の第1の外側表面72Aから延在する第1のラインとの間の第1の角度βは、第2のファセット82と第1の部分72の第2の外側表面72Bから延在する第2のラインとの間の第2の角度βよりも大きくてもよい。第3のファセット84と第1のファセット80から延在する第3のラインとの間の第3の角度αは、第4のファセット86と第2のファセット82から延在する第4のラインとの間の第4の角度αよりも大きくてもよい。ウェッジ角度φは、第3のファセット84と第4のファセット86との間に延在してもよい。ウェッジ角度φの値は、第1の角度βの値と、第2の角度βの値と、第3の角度αの値と、第4の角度αの値と、の和に等しくてもよい。第1の角度βは、8度~18度の範囲内にあり得、第2の角度βは、0.5度~6.0度の範囲内にあり得、第3の角度αは、4度~18度、好ましくは8度~18度の範囲内にあり得、第4の角度αは、1度~12度、好ましくは2度~8度の範囲内にあり得る。第1の角度βと第2の角度βとの和は、8.5度~24度の範囲内にあり得る。第1の角度βと第3の角度αとの和は、12度~28.5度の範囲内にあり得る。第2の角度βと第4の角度αとの和は、1.5度~18度の範囲内にあり得る。第1の角度βと第2の角度βとの間の差は、非対称の第1のセクション36および第2のセクション38を結果として生じ、また4度~17.5度の範囲内に収まり得る。好ましくは、第2の角度βは、刃50の全体的な厚さT50が最小限に抑えられ得るように小さい。ウェッジ角度φを規定する、第1の角度β、第2の角度β、第3の角度αおよび第4の角度αは、13.5度から30度の範囲内に収まり得る。より小さいウェッジ角度φが、刃50のより鋭い切断縁部50Aをもたらし得るため、有利である。
【0046】
上記のように、かみそり刃50の第2の部分74の略非対称の第1のセクション76および第2のセクション78を分離する分割線SL74は、先端88を通過し、第1の部分72の第1の外側表面72Aおよび第2の外側表面72Bと概ね平行である。図4Aを参照されたい。第2のファセット82および第4のファセット86の大部分が、第1のファセット80および第3のファセット84の各々の大部分と比べて、分割線SL74により接近して配置され得る。図4Aおよび図4Bを参照されたい。
【0047】
図4Bを参照すると、分割線SL74に沿って先端88から4マイクロメートルの第1の距離DSL10において、分割線SL74に垂直でかつ分割線SL74から第3のファセット84まで延在する第1の距離DSL10Aと、分割線SL74に垂直でかつ分割線SL74から第4のファセット86まで延在する第2の距離(図4Bには参照符号を付されていない)と、の合計は、1.0マイクロメートル~2.3マイクロメートルであり得る。先端88から分割線SL74に沿って8マイクロメートルの第2の距離DSL11において、分割線SL74に垂直でかつ分割線SL74から第1または第3のファセット80、84まで延在する第1の距離DSL11Aと、分割線SL74に垂直でかつ分割線SL74から第2または第4のファセット82、86まで延在する第2の距離DSL11Bとの合計は、1.9マイクロメートル~4.6マイクロメートルであり得る。当該先端46から分割線SL74に沿って16マイクロメートルの第3の距離DSL12において、分割線SL74に垂直でかつ分割線SL34から第1または第3のファセット80、84まで延在する第1の距離DSL12Aと、分割線SL74に垂直でかつ分割線SL74から第2または第4のファセット82、86まで延在する第2の距離DSL12Bとの合計は、3.8マイクロメートル~9.2マイクロメートルである。
【0048】
図4Aおよび図4Bのかみそり刃50は、図1および図2Aのかみそりカートリッジ14に使用されているかみそり刃18、18A~18Eのうちの1つ以上の代わりに使用され得る。かみそり刃18A~18Eが第1、第2、第3、第4および第5の刃支持部材120A~120Eに結合されるのと全く同じように、かみそりカートリッジ14に使用される各かみそり刃50もまた、対応する刃支持部材に結合されることになる。刃支持部材は次いで、カートリッジハウジング内で延在するそれぞれの刃スロット内に位置付けられることになり、固定されても、浮遊していてもよい。刃50を含む各刃アセンブリは、クリップまたは他の既知の組立方法によって固着され得る。
【0049】
図2Bに関連して上記で議論されたように、刃支持部材の各々は、下部部分121Aおよび上部部分121Bを備え得、上部部分121Bは、下部部分121Aに対して100度~125度のΘ121の角度で延在する。各刃支持部材の上部部分121Bは、対応する刃50を画定する基板70の第2の部分74の第2のファセット82に結合され得る。基材70の非対称形状、および各刃支持部材の下部部分121Aと上部部分121Bとの間の角度Θ121により、各刃50を画定する基板30のベベルショルダー81は、剃毛平面P内にあるいはその近くに位置付けられる。図4A図4Bも参照されたい。
【0050】
上記のように、第2のファセット82は、第2の平行な外側表面72Bから第2の角度βをなして内向きに延在し得る。各刃支持部材の上部部分121Bは、図3A図3Cの刃18と同様に、第1の部分の外側表面ではなく、その対応する刃50の第2のファセット82に結合されているため、刃50の切断縁部50Aは、図3A図3Cの実施形態の刃18の切断縁部19と比べて、剃毛平面Pから更に離れて位置する。切断縁部50Aは、剃毛平面Pから更に離れて位置するため、剃毛中の快適さが改善されるという有利な利点がもたらされる。
【0051】
図4Bを参照すると、ベベルショルダー81は、ベベルショルダー81(このショルダー81はX方向に延在する)(図1および図4Aを参照)の一部分が剃毛平面P内に位置するとき、すなわち、剃毛平面Pがベベルショルダー81の当該部分に接するか、あるいはベベルショルダー81の一部分が、剃毛平面Pから約0.2mm未満の距離(図3Cの距離Dを参照)だけ、剃毛平面Pのわずかに上方に位置するか、もしくは、剃毛平面Pから約0.5mm未満の距離(図3Cの距離Dを参照)だけ、剃毛平面Pのわずかに下方に位置するとき、剃毛平面P内に、もしくはその近くに位置付けられていると見なされる。ベベルショルダー81が剃毛平面P内にあるいはその近くに位置付けられると、刃50の切断縁部50Aは、刃50の非対称形状および対応する刃支持部材の下部部分121Aと上部部分121Bとの間の角度Θ121により、垂直距離D76だけ剃毛平面Pの下方に離間され得る。刃支持部材の上部部分121Bが刃50の第2のファセット82に結合されているとき、距離D76は、第2のファセット82と刃50の第2の平行な外側表面72Bとの間の第2の角度βを変化させることによって変更され得る。垂直距離D76は、0マイクロメートル~46.4マイクロメートルの範囲内にあり得る。図4Bを参照されたい。刃50の切断縁部50Aは、剃毛平面Pの下方に位置し得るため、切断縁部50Aは、剃毛の快適さを改善し、皮膚刺激を低減するために、剃毛中に皮膚から離間される。
【0052】
また、ベベルショルダー81の角度Θが大きいため、ベベルショルダー81は、ユーザの皮膚に係合するための概ね滑らかな表面を画定し、それによって、刃50が剃毛中に皮膚を横切って移動する際の摩擦を低減する。
【0053】
かみそり刃50がかみそりカートリッジ内で使用されるとき、刃接触角度Ωは、10度~36度の範囲内、好ましくは17度であり得る。
【0054】
上述した本開示の代表的な実施形態を以下のように説明することができる。
A.かみそりカートリッジであって、
ハウジングと、
ハウジングに装着された刃アセンブリであって、
第1の外側表面および第2の外側表面を含む第1の部分と、
分割線によって分離された第1のセクションおよび第2のセクションを含む第2の部分であって、第1のセクションは第1のファセットと最終ファセットとを含み、第2のセクションは最終ファセットを含み、第1のセクションおよび第2のセクションの最終ファセットは、切断縁部を画定するように先端において収束し、ショルダーが、第1のセクションの第1のファセットと最終ファセットとの間に位置付けられ、皮膚接触表面を画定する、第2の部分と、を備える基板によって画定された少なくとも1つのかみそり刃を含む、刃アセンブリと、を含むかみそりカートリッジ。
B.第2のセクションの最終ファセットは第2のファセットを含み、第1のセクションの最終ファセットは第3のファセットを含む、段落Aに記載のかみそりカートリッジ。
C.第2のセクションは、第1の部分の第2の外側表面から延在する第2のファセットを更に含み、第2のセクションの最終ファセットは第4のファセットを含み、第1のセクションの最終ファセットは第3のファセットを含む、段落Aに記載のかみそりカートリッジ。
D.第2のセクションの最終ファセットが、第1のセクションの第1のファセットおよび最終ファセットと比べて、分割線により近接して位置する、段落A~Cのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
E.基板の第1の部分の第1の外側表面および第2の外側表面は、互いに略平行であり、分割線は、先端を通過し、第1の部分の第1の外側表面および第2の外側表面に対して略平行である、段落A~Dのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
F.第2の部分の第1のセクションおよび第2のセクションは、非対称の第1のセクションおよび第2のセクションを画定する、段落A~Eのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
G.第1のファセットは、第1の部分の第1の外側表面から直接延在する、段落A~Fのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
H.ハウジングはキャップ構造とガード構造とを備え、剃毛平面がキャップ構造とガード構造との間に画定され、刃アセンブリは、かみそり刃基板が結合される刃支持部材を更に備え、刃支持部材は、第1のセクションの第1のファセットと最終ファセットとの間に位置付けられたショルダーが、剃毛平面内またはその近くに位置付けられるように構成されている、段落A~Gのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
I.ショルダーが、剃毛平面からそれぞれ約0.2mm未満および約0.5mm未満の距離だけ、剃毛平面の上方または下方に位置するとき、ショルダーは、剃毛平面の近くに位置付けられる、段落Hに記載のカートリッジ。
J.第1のクリップおよび第2のクリップを更に備え、第1のクリップおよび第2のクリップは、ハウジングに装着され、かみそり刃を画定する基板のショルダーの両端部に係合して、かみそり刃をハウジング内に固着する、段落A~Iのいずれか1つに記載のカートリッジ。
K.かみそりカートリッジであって、
ハウジングと、
ハウジングに装着された第1の刃アセンブリであって、第1のかみそり刃を含む、第1のかみそり刃アセンブリと、
ハウジングに装着された第2の刃アセンブリであって、第2のかみそり刃を含む、第2のかみそり刃アセンブリと、
第1のかみそり刃または第2のかみそり刃のうちの少なくとも1つが、基板によって画定されることであって、当該基板は、
第1の外側表面および第2の外側表面を含む第1の部分と、
分割線によって分離された第1のセクションおよび第2のセクションを含む第2の部分であって、第1のセクションは第1のファセットと最終ファセットとを含み、第2のセクションは最終ファセットを含み、第1のセクションおよび第2のセクションの最終ファセットは、切断縁部を画定するように先端において収束し、ショルダーが、第1のセクションの第1のファセットと最終ファセットとの間に位置付けられ、皮膚接触表面を画定する、第2の部分と、を備える、画定されることと、を含むかみそりカートリッジ。
L.第2のセクションの最終ファセットは第2のファセットを含み、第1のセクションの最終ファセットは第3のファセットを含む、段落Kに記載のかみそりカートリッジ。
M.第2のセクションは、第1の部分の第2の外側表面から延在する第2のファセットを更に含み、第2のセクションの最終ファセットは第4のファセットを含み、第1のセクションの最終ファセットは第3のファセットを含む、段落Kに記載のかみそりカートリッジ。
N.第2のセクションの最終ファセットが、第1のセクションの第1のファセットおよび最終ファセットと比べて、分割線により近接して位置する、段落K~Mのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
O.基板の第1の部分の第1の外側表面および第2の外側表面は、互いに略平行であり、分割線は、先端を通過し、第1の部分の第1の外側表面および第2の外側表面に対して略平行である、段落K~Nのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
P.第2の部分の第1のセクションおよび第2のセクションは、非対称の第1のセクションおよび第2のセクションを画定する、段落K~Oのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
Q.第1のファセットは、第1の部分の第1の外側表面から直接延在する、段落K~Pのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
R.第1のかみそり刃は基板によって画定され、当該基板は、第1の部分および第2の部分を備え、第1のセクションの第1のファセットと最終ファセットとの間に位置付けられたショルダーを含み、ハウジングは、キャップ構造とガード構造とを更に含み、剃毛平面がキャップ構造とガード構造との間に画定され、第1の刃アセンブリは、第1のかみそり刃が結合される刃支持部材を更に備え、刃支持部材は、第1のかみそり刃を画定する基板のショルダーが剃毛平面内またはその近くに位置付けられるように構成されている、段落K~Qのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
S.ショルダーが、剃毛平面からそれぞれ約0.2mm未満および約0.5mm未満の距離だけ、剃毛平面の上方または下方に位置するとき、ショルダーは、剃毛平面の近くに位置付けられる、段落Rに記載のカートリッジ。
T.第1のクリップおよび第2のクリップを更に備え、当該クリップは、ハウジングに装着され、第1のかみそり刃を画定する基板のショルダーの両端部に係合して、第1のかみそり刃をハウジング内に固着する、段落K~Sのいずれか1つに記載のカートリッジ。
U.第1のかみそり刃は基板によって画定され、当該基板は、第1の部分および第2の部分を備え、第1のセクションの第1のファセットと最終ファセットとの間に位置付けられたショルダーを含み、第1のかみそり刃に対する剃毛平面が、第1のかみそり刃の切断縁部の前方および後方において皮膚接触要素の最上部表面部分から延在する平面によって画定され、第1の刃アセンブリは、第1のかみそり刃が結合される刃支持部材を更に備え、刃支持部材は、第1のかみそり刃のショルダーが剃毛平面内またはその近くに位置付けられるように構成されている、段落K~QまたはTのいずれか1つに記載のかみそりカートリッジ。
【0055】
本明細書に提示される例示は、任意の特定の基板、装置(例えば、デバイス、システムなど)、または方法の実際的に示すことを意図するものではなく、本開示の様々な実施形態を説明および例示するために用いられる、単に理想化されたかつ/または概略的な図である。
【0056】
本明細書に開示される寸法および値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0057】
相互参照されるまたは関連するあらゆる特許または特許出願、および本願が優先権またはその利益を主張する任意の特許出願または特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外または限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示または特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独でまたは他の任意の参考文献(単数または複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆または開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味または定義が適用されるものとする。
【0058】
本発明の特定の実施形態を例示および説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な他の変更および修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更および修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
【国際調査報告】