(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】熱電モジュールおよびそれを含む熱電デバイス
(51)【国際特許分類】
H10N 10/17 20230101AFI20230516BHJP
H10N 10/13 20230101ALI20230516BHJP
【FI】
H10N10/17 A
H10N10/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561437
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 KR2021000819
(87)【国際公開番号】W WO2021206276
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0043444
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518148205
【氏名又は名称】テグウェイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オー、オクキュン
(57)【要約】
本発明は、熱電モジュール、およびそれを含む熱電デバイスに関連し、本発明の1つの態様は、熱電デバイスであって、第1の端子と第2の端子との間に直列に接続された複数の熱電グループであって、第1の端子と第2の端子は、曲面に変形可能な板状で提供されており、第1の表面と、第1の表面に対向している第2の表面とを主面として有しており、外部から電力を受け取るように構成された、複数の熱電グループを備える、熱電デバイスであって、複数の熱電グループは、電力が印加された場合に第1の表面に向けて冷感および温感のうち任意の1つを提供するように構成された第1の熱電グループであって、第1の表面と第2の表面との間に配置されたN型半導体およびP型半導体と、N型半導体とP型半導体とを交互に接続するように構成されており且つ主面のうち任意の一面に隣接して配置された電極とを含む、第1の熱電グループと、電力が印加された場合に第1の表面に向けて冷感および温感のうちの他方を提供する第2の熱電グループであって、第1の表面と第2の表面との間に配置されたN型半導体およびP型半導体と、N型半導体とP型半導体とを交互に接続するように構成されており且つ主面のうち任意の一面に隣接して配置された電極とを含む、第2の熱電グループとを含み、第1の熱電グループの電極のうち第1の表面に隣接して配置された電極の第1の端子に電気的に隣接した一端がN型半導体と接続している場合、第2の熱電グループの電極のうち第1の表面に隣接して配置された電極の第1の端子に電気的に隣接した一端はP型半導体に接続しており、第1の熱電グループの電極のうち第1の表面に隣接して配置された電極の第1の端子に電気的に隣接した一端がP型半導体に接続している場合、第2の熱電グループの電極のうち第1の表面に隣接して配置された電極の第1の端子に電気的に隣接した一端はN型半導体に接続しており、第1の熱電グループと第2の熱電グループとは接続電極を介して接続され、接続電極は、第1の熱電グループのN型半導体と第2の熱電グループのN型半導体とを接続するか、または、第1の熱電グループのP型半導体と第2の熱電グループのP型半導体とを接続する、熱電デバイスを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子と第2の端子との間に直列に接続された複数の熱電グループであって、前記第1の端子と前記第2の端子は、曲面に変形可能な板状で提供されており、第1の表面と、前記第1の表面に対向している第2の表面とを主面として有しており、外部から電力を受け取るように構成された、複数の熱電グループを備える、熱電デバイスであって、
前記複数の熱電グループは、
前記電力が印加された場合に前記第1の表面に向けて冷感および温感のうち任意の1つを提供するように構成された第1の熱電グループであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置されたN型半導体およびP型半導体と、N型半導体とP型半導体とを交互に接続するように構成されており且つ前記主面のうち任意の一面に隣接して配置された電極とを含む、第1の熱電グループと、
前記電力が印加された場合に前記第1の表面に向けて前記冷感および前記温感のうちの他方を提供する第2の熱電グループであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置されたN型半導体およびP型半導体と、N型半導体とP型半導体とを交互に接続するように構成されており且つ前記主面のうち任意の一面に隣接して配置された電極とを含む、第2の熱電グループと
を含み、
前記第1の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された電極の前記第1の端子に電気的に隣接した一端が前記N型半導体と接続している場合、前記第2の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された電極の前記第1の端子に電気的に隣接した一端は前記P型半導体に接続しており、
前記第1の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された前記電極の前記第1の端子に電気的に隣接した前記一端が前記P型半導体に接続している場合、前記第2の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された前記電極の前記第1の端子に電気的に隣接した前記一端は前記N型半導体に接続しており、
前記第1の熱電グループと前記第2の熱電グループとは接続電極を介して接続され、前記接続電極は、前記第1の熱電グループの前記N型半導体と前記第2の熱電グループの前記N型半導体とを接続するか、または、前記第1の熱電グループの前記P型半導体と前記第2の熱電グループの前記P型半導体とを接続する、熱電デバイス。
【請求項2】
前記第1の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数は、前記第2の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数より多い、請求項1に記載の熱電デバイス。
【請求項3】
前記第1の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数と、前記第2の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数との比は、0.2から4である、請求項1または2に記載の熱電デバイス。
【請求項4】
前記第1の熱電グループおよび前記第2の熱電グループのうちより多い数のN型半導体およびP型半導体を含む熱電グループは、前記第1の表面に向けて温感を提供するように構成された、請求項3に記載の熱電デバイス。
【請求項5】
前記第1の表面は、前記複数の熱電グループにそれぞれ対応する複数の熱刺激提供領域を含み、
前記第1の熱電グループに対応する前記熱刺激提供領域の面積は、前記第2の熱電グループに対応する前記熱刺激提供領域の面積より大きい
請求項1から4のいずれか一項に記載の熱電デバイス。
【請求項6】
前記第1の熱電グループに対応する前記熱刺激提供領域の面積と、前記第2の熱電グループに対応する前記熱刺激提供領域の面積との比は、0.2から4であり得る、請求項5に記載の熱電デバイス。
【請求項7】
前記第1の熱電グループおよび前記第2の熱電グループのうち前記対応する熱刺激提供領域の面積がより大きい熱電グループは、前記第1の表面に向けて温感を提供するように構成された、請求項6に記載の熱電デバイス。
【請求項8】
前記熱電デバイスは、前記第1の表面を介してユーザにサーマルグリル錯覚を提供するように構成された、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱電デバイス。
【請求項9】
前記熱電デバイスはさらに、前記第2の表面に配置された放熱シートを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱電デバイス。
【請求項10】
前記複数の熱電グループのうち前記第1の表面に向けて前記冷感を提供する熱電グループによって前記第2の表面に向けて放散された熱は、前記放熱シートを介して前記複数の熱電グループのうち前記第1の表面に向けて前記温感を提供する熱電グループに伝達される、請求項9に記載の熱電デバイス。
【請求項11】
前記放熱シートは単一のシートで、前記複数の熱電グループは前記単一のシートの一面に配置された、請求項9または10に記載の熱電デバイス。
【請求項12】
前記単一のシートの他面は、平面として形成されており、0.1から20ミリメートルの厚さを有する、請求項11に記載の熱電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電モジュールおよびそれを含む熱電デバイスに関連しており、具体的には、ユーザにサーマルグリル錯覚を含む熱刺激を提供する熱電モジュールと、それを含む熱電デバイスとに関連する。
【背景技術】
【0002】
熱電素子(TE)は、ペルティエ効果によって電気エネルギーを受け取ることによって発熱反応または吸熱反応を引き起こす素子であり、ユーザに熱刺激を提供するために使用される。
【0003】
熱電素子を含む熱電モジュールおよび熱電デバイスによってユーザに提供できる熱刺激は、温感、冷感、およびサーマルグリル錯覚を含む。上記のうち、サーマルグリル錯覚は、ユーザが、温熱と冷熱とが同時に与えられた場合に、温感と冷感とを別々に感知する代わりに、温熱と冷熱とを痛覚として感知することを意味する。
【0004】
最近、VR/AR環境においてこのようなサーマルグリル錯覚を使用してユーザに痛覚を提供すること、または他の応用の方法についての研究が進んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、サーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールと、それを含む熱電デバイスとを提供することを対象とする。
【0006】
本発明によって解決される問題は、上記の問題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題も、本明細書および添付図面から、当業者によって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、第1の端子と第2の端子との間に直列に接続された複数の熱電グループであって、前記第1の端子と前記第2の端子は、曲面に変形可能な板状で提供されており、第1の表面と、前記第1の表面に対向している第2の表面とを主面として有しており、外部から電力を受け取るように構成された、複数の熱電グループを備える、熱電デバイスであって、前記複数の熱電グループは、前記電力が印加された場合に前記第1の表面に向けて冷感および温感のうち任意の1つを提供するように構成された第1の熱電グループであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置されたN型半導体およびP型半導体と、N型半導体とP型半導体とを交互に接続するように構成されており且つ前記主面のうち任意の一面に隣接して配置された電極とを含む、第1の熱電グループと、前記電力が印加された場合に前記第1の表面に向けて前記冷感および前記温感のうちの他方を提供する第2の熱電グループであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置されたN型半導体およびP型半導体と、N型半導体とP型半導体とを交互に接続するように構成されており且つ前記主面のうち任意の一面に隣接して配置された電極とを含む、第2の熱電グループとを含み、前記第1の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された電極の前記第1の端子に電気的に隣接した一端が前記N型半導体と接続している場合、前記第2の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された電極の前記第1の端子に電気的に隣接した一端は前記P型半導体に接続しており、前記第1の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された前記電極の前記第1の端子に電気的に隣接した前記一端が前記P型半導体に接続している場合、前記第2の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された前記電極の前記第1の端子に電気的に隣接した前記一端は前記N型半導体に接続しており、前記第1の熱電グループと前記第2の熱電グループとは接続電極を介して接続され、前記接続電極は、前記第1の熱電グループの前記N型半導体と前記第2の熱電グループの前記N型半導体とを接続するか、または、前記第1の熱電グループの前記P型半導体と前記第2の熱電グループの前記P型半導体とを接続する、熱電デバイスを提供する。
【0008】
本発明の問題に対する解決手段は、上記の解決手段に限定されるものではなく、言及されていない他の解決手段も、本明細書および添付図面から、当業者によって明確に理解されるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、熱電素子と電極との間の接続関係に基づいてサーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールと、それを含む熱電デバイスとが提供できる。
【0010】
本発明の効果は、上記の効果に限定されるものではなく、言及されていない他の効果も、本明細書および添付図面から、当業者によって明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る熱電デバイスの構成に関連した図である。
【0012】
【
図2】一実施形態に係る熱電モジュールに関連した図である。
【
図3】一実施形態に係る熱電モジュールに関連した図である。
【0013】
【
図4】一実施形態に係る熱電素子に関連した図である。
【0014】
【
図5】一実施形態に係る熱電素子、電極、および端子間の接続に関連した図である。
【
図6】一実施形態に係る熱電素子、電極、および端子間の接続に関連した図である。
【0015】
【
図7】一実施形態に係る熱刺激を提供する熱電モジュールに関連した図である。
【0016】
【
図8】一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールの例に関連した図である。
【0017】
【
図9】一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールの別の例に関連した図である。
【
図10】一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールの別の例に関連した図である。
【0018】
【
図11】一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールのさらに別の例に関連した図である。
【0019】
【
図12】一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスの熱流に関連した図である。
【
図13】一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスの熱流に関連した図である。
【0020】
【
図14】一実施形態に係る放熱モジュールの温度変化を示すグラフである。
【0021】
【
図15】一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスに含まれた放熱モジュールの温度変化を示すグラフである。
【0022】
【
図16】一実施形態に係る異なるサイズを有する熱電素子を含む熱電デバイスに関連した図である。
【0023】
【
図17】一実施形態に係る端子の2つのペアを含む熱電モジュールの熱電素子配置パターンを説明するための図である。
【
図18】一実施形態に係る端子の2つのペアを含む熱電モジュールの熱電素子配置パターンを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に記載された実施形態は、当業者に本発明の趣旨を明確に説明するために提供されたものであるので、本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲は本発明の趣旨から逸脱することのない変形例または修正例を含むことを理解されたい。
【0025】
本明細書において使用されている用語としては、本発明の機能を考慮して、可能な限り、幅広く使用されている一般的な用語が選択されているが、これは、当業者の意図、慣例、または新たな技術の出現によって変動し得る。しかしながら、特定の用語が任意の意味として定義され使用される場合には、用語の意味は別途開示される。従って、本明細書において使用されている用語は、単なる用語の名称ではなく、用語の実際の意味と、本明細書の全体にわたっての内容とに基づいて解釈されるべきである。
【0026】
本明細書における添付図面は本発明を容易に説明するために提供されており、図面に示された形状は本発明の理解に役立つために必要に応じて誇張され得るので、本発明は図面によって限定されるものではない。
【0027】
本開示の説明において、本発明に関連する既知の構成または機能についての詳細な説明が本発明の原理を不必要に曖昧にし得ると決定された場合には、その詳細な説明は省略されるであろう。
【0028】
本発明の1つの態様は、第1の端子と第2の端子との間に直列に接続された複数の熱電グループであって、前記第1の端子と前記第2の端子は、曲面に変形可能な板状で提供されており、第1の表面と、前記第1の表面に対向している第2の表面とを主面として有しており、外部から電力を受け取るように構成された、複数の熱電グループを備える、熱電デバイスであって、前記複数の熱電グループは、前記電力が印加された場合に前記第1の表面に向けて冷感および温感のうち任意の1つを提供するように構成された第1の熱電グループであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置されたN型半導体およびP型半導体と、N型半導体とP型半導体とを交互に接続するように構成されており且つ前記主面のうち任意の一面に隣接して配置された電極とを含む、第1の熱電グループと、前記電力が印加された場合に前記第1の表面に向けて前記冷感および前記温感のうちの他方を提供する第2の熱電グループであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置されたN型半導体およびP型半導体と、N型半導体とP型半導体とを交互に接続するように構成されており且つ前記主面のうち任意の一面に隣接して配置された電極とを含む、第2の熱電グループとを含み、前記第1の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された電極の前記第1の端子に電気的に隣接した一端が前記N型半導体と接続している場合、前記第2の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された電極の前記第1の端子に電気的に隣接した一端は前記P型半導体に接続しており、前記第1の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された前記電極の前記第1の端子に電気的に隣接した前記一端が前記P型半導体に接続している場合、前記第2の熱電グループの前記電極のうち前記第1の表面に隣接して配置された前記電極の前記第1の端子に電気的に隣接した前記一端は前記N型半導体に接続しており、前記第1の熱電グループと前記第2の熱電グループとは接続電極を介して接続され、前記接続電極は、前記第1の熱電グループの前記N型半導体と前記第2の熱電グループの前記N型半導体とを接続するか、または、前記第1の熱電グループの前記P型半導体と前記第2の熱電グループの前記P型半導体とを接続する、熱電デバイスを提供する。
【0029】
ここで、第1の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数は、第2の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数より多くてよい。
【0030】
ここで、第1の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数と、第2の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数との比は、0.2から4であり得る。
【0031】
ここで、第1の熱電グループおよび第2の熱電グループのうちより多い数のN型半導体およびP型半導体を含む熱電グループは、第1の表面に向けて温感を提供し得る。
【0032】
ここで、第1の表面は、複数の熱電グループにそれぞれ対応する複数の熱刺激提供領域を含んでよく、ここで、第1の熱電グループに対応する熱刺激提供領域の面積は、第2の熱電グループに対応する熱刺激提供領域の面積より大きくてよい。
【0033】
ここで、第1の熱電グループに対応する熱刺激提供領域の面積と、第2の熱電グループに対応する熱刺激提供領域の面積との比は、0.2から4であり得る。
【0034】
ここで、第1の熱電グループおよび第2の熱電グループのうち対応する熱刺激提供領域の面積がより大きい熱電グループは、第1の表面に向けて温感を提供し得る。
【0035】
ここで、複数の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の各々は、底面と高さとを有する柱形状で提供されており、複数の熱電グループのうち第1の表面に向けて温感を提供する熱電グループのN型半導体およびP型半導体の底面の面積は、冷感を提供する熱電グループのN型半導体およびP型半導体の底面の面積より大きくてよい。
【0036】
ここで、複数の熱電グループのうち第1の表面に向けて温感を提供する熱電グループのN型半導体およびP型半導体の底面の面積と、冷感を提供する熱電グループのN型半導体およびP型半導体の底面の面積との比は、0.2から4であり得る。
【0037】
ここで、熱電デバイスは、第1の表面を介してユーザにサーマルグリル錯覚を提供し得る。
【0038】
ここで、熱電デバイスはさらに、第2の表面に配置された放熱シートを含み得る。
【0039】
ここで、複数の熱電グループのうち第1の表面に向けて冷感を提供する熱電グループによって第2の表面に向けて放散された熱は、放熱シートを介して複数の熱電グループのうち第1の表面に向けて温感を提供する熱電グループに伝達され得る。
【0040】
ここで、第1の表面は、複数の熱電グループにそれぞれ対応する複数の熱刺激提供領域を含んでよく、複数の熱電グループのうち第1の表面に向けて温感を提供する熱電グループに対応する熱刺激提供領域の面積は、複数の熱電グループのうち第1の表面に向けて冷感を提供する熱電グループに対応する熱刺激提供領域の面積より大きくてよい。
【0041】
ここで、複数の熱電グループのうち第1の表面に向けて温感を提供する熱電グループに対応する熱刺激提供領域の面積と、複数の熱電グループのうち第1の表面に向けて冷感を提供する熱電グループに対応する熱刺激提供領域の面積との比は、0.2から4であり得る。
【0042】
以下では、一実施形態に係る熱電モジュールと、それを含む熱電デバイスとについて説明される。
【0043】
一実施形態に係る熱電デバイスは、ユーザに熱刺激を提供するデバイスである。具体的には、熱電デバイスは、発熱動作または吸熱動作を実行することで、ユーザに熱を印加するか、またはユーザから熱を吸収することによって、ユーザに熱刺激を提供し得る。
【0044】
熱刺激とは、主にユーザの体に分散されているユーザの熱感知器官を刺激してユーザに熱痛覚(thermal sensation)を感じさせ、本明細書において、熱刺激は、ユーザの熱感知器官を刺激する全てを含むと理解されたい。
【0045】
温感および冷感は、熱刺激の代表例であり得る。温感は、ユーザが温感を感じるように皮膚に分散された温点に温熱を印加することを指しており、冷感は、ユーザが冷感を感じるように皮膚に分散された冷点に冷熱を印加することを指す。
【0046】
ここで、熱は、正のスカラ形態で表現される物理量であるので、「冷熱を印加する」という表現は、物理的な観点からは厳密な表現ではない可能性があるが、本明細書では、説明の便宜上、熱が印加される現象について温熱が印加される場合と表現し、逆の現象、すなわち、熱が吸収される現象について冷熱が印加される場合と表現する。
【0047】
さらに、本明細書において、熱刺激はさらに、温感および冷感に加えて、サーマルグリル錯覚(thermal grill illusion,TGI)を含み得る。ユーザは、温感と冷感とが同時に与えられた場合には、温感と冷感とを別々に感知する代わりに、温熱と冷熱とを痛覚として感知し、この痛覚はサーマルグリル錯覚と呼ばれる。すなわち、サーマルグリル錯覚は、温熱と冷熱とが複合的に印加される熱刺激を指しており、主に、温感と冷感とを同時に出力することによって提供され得る。さらに、サーマルグリル錯覚は、痛みに近い感覚を提供する態様において、熱痛覚とも呼ばれ得る。
【0048】
サーマルグリル錯覚には、中立サーマルグリル錯覚、温熱サーマルグリル錯覚、および冷熱サーマルグリル錯覚が含まれ得る。
【0049】
ここで、中立サーマルグリル錯覚、温熱サーマルグリル錯覚、および冷熱サーマルグリル錯覚はそれぞれ、中立熱痛覚、温熱痛覚、冷熱痛覚をユーザに引き起こす。中立熱痛覚は、温感または冷感なしに痛覚のみが感じられることを意味し得、温熱痛覚は、温感に加えて痛覚が感じられることを意味し得、冷熱痛覚は、冷感に加えて痛覚が感じられることを意味し得る。
【0050】
中立熱痛覚は、ユーザが感じる温感と冷感の強度が予め定められた比率の範囲に対応する場合に発生する。中立熱痛覚を感じる比率(以下では、「中立比率」と呼ばれる)は、熱刺激を受ける身体部位ごとに異なり得、同じ身体部位の場合でも個人ごとに僅かに異なり得、ほとんどの場合、中立熱痛覚は、冷感の強度が温感の強度より大きい状況において感じられる傾向がある。温熱痛覚は、温感の大きさが中立比率より大きい場合に感じられ得、冷熱痛覚は、冷感の大きさが中立比率より大きい場合に感じられ得る。
【0051】
図1は、一実施形態に係る熱電デバイスの構成に関連した図である。
図1を参照すると、一実施形態に係る熱電デバイス10は、熱電モジュール100、放熱モジュール200、および制御モジュール300を含み得る。熱電デバイス10において、制御モジュール300は、熱電モジュール100を制御することで発熱動作または吸熱動作を選択的にまたは同時に実行することによってユーザに熱刺激を提供し得、熱電モジュール100の熱電動作による廃熱は、放熱モジュール200を介して熱電デバイス10の外部に放出され得る。
【0052】
一実施形態に係る熱電デバイスは、熱電モジュールを含み得る。
【0053】
熱電モジュールは、ゼーベック効果、またはペルティエ効果などといった熱電効果を使用して温度差を使用した発電動作を実行するか、または、電気エネルギーを使用した加熱動作、または冷却動作などの熱電動作を実行するモジュールを指し得る。例えば、熱電モジュールは、温感、冷感、およびサーマルグリル錯覚を含む熱刺激を、熱電動作を介してユーザに提供し得る。
【0054】
図1を参照すると、一実施形態に係る熱電モジュール100は、熱電素子1000、電極2000、端子3000、基板4000、および支持層5000を含み得る。
【0055】
図2は、一実施形態に係る熱電モジュールに関連した斜視図であり、
図3は、一実施形態に係る熱電モジュールに関連した断面図である。以下、熱電素子1000は、
図2および3を参照して説明される。
【0056】
熱電モジュール100は、板状で提供され得る。さらに、熱電モジュール100は、柔軟性を有し得る(以下では、「フレキシブル熱電モジュール」と呼ばれる)。フレキシブル熱電モジュール100は基本的には板状で提供されるが、曲げることが可能な柔軟性を有しており、そのため、湾曲形状を含む様々な形状に変形され得る。さらに、平面状および湾曲形状の間で変形され得るフレキシブル熱電モジュール100が提供され得る。例えば、
図2に示されたような平面状のフレキシブル熱電モジュール100は、力を印加することによって湾曲形状に変形され得、印加された力が除去された場合、湾曲形状のフレキシブル熱電モジュール100は平面状に復元され得る。
【0057】
熱電素子1000は、ゼーベック効果、またはペルティエ効果などといった熱電効果を引き起こす素子であり得る。基本的に、熱電素子1000は、熱電効果を引き起こす熱電ペア(熱電連結,thermoelectric couple)を構成する異なる材料の第1の熱電素子および第2の熱電素子を含み得る。第1の熱電素子と第2の熱電素子とは互いに電気的に接続され、熱電ペアを形成する。熱電ペアは、電気エネルギーが印加された場合に温度差を発生させ得、その一方、温度差が印加された場合には電気エネルギーを生成し得る。テルル化ビスマス(bismuth telluride,Bi-Te)と、テルル化アンチモン(antimony telluride,Sb-Te)とのペアは、熱電素子1000の代表例である。さらに、最近は、N型半導体とP型半導体とのペアが熱電素子1000として主に使用されている。
【0058】
熱電素子1000は、柱形状で提供され得る。
図4は、一実施形態に係る熱電素子に関連した図である。
図4を参照すると、柱形状の熱電素子1000は、底面と高さによって表現され得る。例えば、四角形の柱形状を有する熱電素子1000aは、幅w1および長さw2を含む底面と、高さhとによって表現され得る。この場合、熱電素子1000aの底面の面積は、幅と長さとの積として表現され得る。別の例として、柱形状の熱電素子1000bは、面積Aを有する底面と高さhとによって表現され得る。加えて、熱電素子1000は、三角形の柱形状などといった別の形状で提供され得る。
【0059】
電極2000は、熱電素子1000を電気的に接続させる。熱電素子1000は、少なくとも異なる材料の第1の熱電素子と第2の熱電素子とが互いに電気的に接続されて熱電ペアを形成する場合にのみ、熱電効果を発生させ得る。従って、電極2000は、互いに隣接した第1の熱電素子と第2の熱電素子とを接続させることによって熱電ペアを形成し得る。勿論、電極2000は、例えば第1の熱電素子と第1の熱電素子とを接続させる、または、第2の熱電素子と第2の熱電素子とを接続させるなど、同じ材料の熱電素子1000を電気的に接続させる場合もある。
【0060】
さらに、電極2000は、複数の熱電素子1000を直列に接続させ得る。電極2000によって直列に接続された熱電素子1000は、同じ熱電動作を同時に実行する熱電グループを形成し得る。
【0061】
電極2000は、銅または銀などのような金属材料で提供され得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
図2は、電極2000を、熱電素子1000の上面と下面との両方を覆う形態で配置されているものと示しているが、電極2000と熱電素子1000との間のサイズ関係はこれに限定されるものではなく、電極2000は、熱電素子1000の上面または下面の一部のみを覆う形態で配置され得る。
【0063】
端子3000は、熱電モジュール100を外部に接続させる端子である。例えば、熱電モジュール100は、端子3000を介して制御モジュール300に接続され得る。
【0064】
熱電モジュール100が熱出力モジュールとして使用される場合、端子3000は、熱電モジュール100によってペルティエ効果を使用した加熱/冷却動作を実行するための電力を供給し得る。さらに、熱電モジュール100が熱電発電モジュールとして使用される場合、端子3000は、ゼーベック効果を使用して熱電モジュール100によって生成された電力を外部に伝達し得る。
【0065】
基板のペア4000aおよび4000bは、互いに向かい合うように互いから離間され得る。基板4000は、それらの間に配置される熱電素子1000または電極2000を支持し得る。さらに、基板4000は、その内部の熱電素子1000または電極2000を外部から保護する機能を実行し得る。
【0066】
基板4000の各々は、熱を容易に伝導し、柔軟性を有する材料で提供され得る。例えば、基板4000は、薄いポリイミド(PI)膜であり得る。ポリイミド膜は、優れた柔軟性を有し得、熱伝導率は高くないが、厚さを薄くして製造し得、そのため、熱伝導において有利であり得る。
【0067】
基板4000は、熱電モジュール100の一面にのみ配置され得る。一面にのみ基板4000を有するフレキシブル熱電モジュール100は、両面に基板4000を有するフレキシブル熱電モジュール100と比較して、柔軟性が向上されるという利点を有しており、これは、基板4000がPI膜のようなフレキシブル材料で提供された場合でも、曲げることなどに対してある程度の耐性を有するからである。
【0068】
一面にのみ基板4000を有するフレキシブル熱電モジュール100において、基板4000を有しない面は、反対面より優れた柔軟性を有し得る。フレキシブル熱電モジュール100を湾曲形状として使用しながら、基板4000を有しない面を凸部分として使用する場合、これらの利点は大いに活用され得る。
【0069】
熱電モジュール100は、支持層5000を含み得る。支持層5000は、基板のペア4000aおよび4000b間に位置付けられ得る。支持層5000は、熱電素子1000と電極2000とを支持し得る。従って、熱電素子1000と電極2000とは、基板4000と一緒に、支持層5000によって支持され得る。
【0070】
支持層5000は、熱電モジュール100が柔軟性を維持し得るように、フレキシブル材料で提供され得る。例えば、支持層5000は、スポンジのように内部に孔を有する発泡層であり得る。ここで、発泡層は、基板のペア4000aおよび4000b間に発泡剤を充填することによって形成され得る。有機発泡剤、無機発泡剤、物理発泡剤、ポリウレタン、およびシリコーン発泡体などが、発泡剤として使用され得る。
【0071】
支持層5000が熱電モジュール100に含まれた場合、支持層5000によって熱電素子1000と電極2000とが支持され得るので、基板4000は、必ずしも必要ではない場合がある。
図2および
図3に示された基板のペア4000aおよび4000bのうち任意の1つの基板4000が除去され得る。あるいは、外部基板のペア4000aおよび4000bの両方が除去され得る。基板4000が除去された場合、熱電モジュール100の柔軟性は向上し得る。
【0072】
図2および
図3における熱電モジュール100は単なる例であるのみで、一実施形態に係る熱電モジュール100は、いくつかのコンポーネントを除外するまたは追加のコンポーネントを追加することによって提供され得る。例えば、一実施形態に係る熱電モジュール100は、基板4000および支持層5000のうち少なくとも1つを含まなくてもよい。
【0073】
一実施形態に係る熱電デバイスは、放熱モジュールを含み得る。
【0074】
放熱モジュールは、熱電モジュールから吸収された熱を外部に放散し得る。例えば、熱電モジュールが動作することにつれて生成された廃熱が放熱モジュールに伝達され得、放熱モジュールは受け取った廃熱を外部に放出し得る。
【0075】
放熱モジュールは、高い熱伝導率を有する材料で実装され得る。例えば、放熱モジュールは、アルミニウムまたはマグネシウムのような金属材料および/または合金材料を使用して実装され得る。別の例として、放熱モジュールは、熱伝導性ポリマを使用して実装され得る。加えて、放熱モジュールは、セラミック、炭素複合材料、ポリマ/金属複合材料、およびポリマ/セラミック複合材料などのような様々な材料で実装され得る。
【0076】
放熱モジュールにおいて、1つの領域は高温領域に対応するように配置されており、他の領域は低温領域に対応するように配置されている。放熱モジュールは、低温領域に接触する面積を増やすことが可能な構造で形成され得る。例えば、放熱モジュールにおいて、1つの領域は板状で提供され得、他の領域はフィン形状で提供され得る。あるいは、他の領域は、突出部と凹部とを有するように形成され得る。勿論、放熱モジュールの1つの領域と他の領域との両方は、各々が板状で提供され得る。
【0077】
一実施形態に係る熱電デバイスは、制御モジュールを含み得る。
【0078】
制御モジュールは、熱電デバイスの動作全体を制御し得る。例えば、制御モジュールは、熱電素子に電力を印加すべく熱電モジュールの端子に接続されて、熱電モジュールが発熱動作または吸熱動作を実行し得るように、熱電モジュールを制御し得る。
【0079】
この目的のために、制御モジュールは、様々な情報の計算および処理を実行して、処理結果に従って熱電モジュールに電気信号を出力することによって、熱電モジュールの動作を制御し得る。従って、制御モジュールは、ハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせに従って、コンピュータまたは同様のデバイスとして実装され得る。ハードウェアにおいて、制御モジュールは、電気信号を処理することによって制御機能を実行する電子回路の形態で提供され得、ソフトウェアにおいて、制御モジュールは、ハードウェア回路を駆動するプログラムまたはコードの形態で提供され得る。以下の説明において、別様に言及されない限り、熱電デバイスの動作は、制御モジュールの制御によって実行されると解釈され得る。
【0080】
以下では、ユーザに熱刺激を提供するための熱電素子、電極、および端子間の接続関係について説明する。
【0081】
図5は、一実施形態に係る熱電素子、電極、および端子間の接続に関連した斜視図であり、
図6は、一実施形態に係る熱電素子、電極、および端子間の接続に関連した平面図である。
図5および
図6を参照すると、一実施形態に係る熱電モジュール100は、端子のペア3000間において電極2000を介して接続された熱電素子1000を含み得る。
【0082】
一実施形態に係る熱電モジュール100は、互いに向かい合った2つの主面である第1の表面110と第2の表面120とを含み得る。以下では、第1の表面110の方向が上面と表現されており、第2の表面120の方向が下面と表現されているが、これは説明の便宜上のものであり、この表現は熱電モジュール100の配置位置または方法を限定するものではない。
【0083】
一実施形態に係る熱電モジュール100は、交互に接続された異なるタイプの熱電素子1000を含み得る。上記のように、熱電素子1000は熱電ペアを構成している第1の熱電素子1000aと第2の熱電素子1000bとを含み得、一実施形態に係る熱電モジュール100は、交互に接続された第1の熱電素子1000aと第2の熱電素子1000bとを含み得る。
【0084】
熱電素子1000は、電極2000を介して電気的に接続され得る。例えば、第1の熱電素子1000aと第2の熱電素子1000bとは電極2000を介して接続され得る。
【0085】
電極2000は、第1の表面110に隣接して配置された第1の電極2000aと、第2の表面120に隣接して配置された第2の電極2000bとを含み得る。
図5に示されたように、第1の電極2000aは、第1の熱電素子1000aおよび第2の熱電素子1000bの上面に配置されて、第1の熱電素子1000aと第2の熱電素子1000bとを接続し得、第2の電極2000bは、第1の熱電素子1000aおよび第2の熱電素子1000bの下面に配置されて、第1の熱電素子1000aと第2の熱電素子1000bとを接続し得る。
【0086】
第1の電極2000aと第2の電極2000bとは、第1の熱電素子1000aと第2の熱電素子1000bとを交互に接続し得る。例えば、第1の熱電素子1000a、第1の電極2000a、第2の熱電素子1000bおよび第2の電極2000bは、この順序で接続され得る。あるいは、第1の熱電素子1000a、第2の電極2000b、第2の熱電素子1000bおよび第1の電極2000aは、この順序で接続され得る。
【0087】
一実施形態に係る熱電モジュール100は、外部から電力を受け取る端子3000を含み得る。
図6に示されるように、端子3000の一端は制御モジュール300に接続され得、他端は熱電素子1000に接続され得る。
【0088】
端子のペア3000aおよび3000bは(+)極性の電力と(-)極性の電力とをそれぞれ受け取り得る。ここで、端子3000に印加された電力の極性は変更され得る。例えば、(+)電力が印加されていた端子に(-)電力が印加されてもよく、その逆もまた同様である。
【0089】
図6は、電極2000aおよび2000bを、熱電素子1000aおよび1000bの上面または下面の一部のみを覆う形態で配置されているものと示しているが、電極2000aおよび2000bと熱電素子1000aおよび1000bとの間のサイズ関係はこれに限定されるものではなく、電極2000aおよび2000bは、熱電素子1000aおよび1000bの上面または下面の両方を覆う形態で配置され得る。
【0090】
異なる材料の第1の熱電素子1000aおよび第2の熱電素子1000bが交互に接続された熱電モジュール100の場合において、1つの方向において温感または冷感をユーザに提供し得る。
【0091】
図7は、一実施形態に係る熱刺激を提供する熱電モジュールに関連した図である。
図6および
図7の(a)を参照すると、第1の端子3000aに(+)電力が印加され、第2の端子3000bに(-)電力が印加された場合、温感または冷感は第1の表面110を介してユーザに提供され得る。例えば、第1の表面110を介してユーザに温感を提供すべく、(+)電力が第1の端子3000aに印加され得、(-)電力が第2の端子3000bに印加され得る。この場合、第1の端子3000aに(-)電力が印加され、第2の端子3000bに(+)電力が印加された場合、第1の表面110を介してユーザに冷感を提供し得る。
【0092】
以下では、説明の便宜上、第1の表面110がユーザの皮膚に隣接するように熱電モジュール100が配置されるものと説明されているが、これは単に説明の便宜上のものであり、熱電モジュール100は、第2の表面120がユーザの皮膚に隣接し得るように配置され得、この表現は、熱電モジュール100の配置位置または方法を限定するものではない。
【0093】
熱電モジュール100が第1の表面110に向けて温熱を提供する場合に、冷熱が第2の表面120に向けて提供され得、逆に、熱電モジュール100が第1の表面110に向けて冷熱を提供する場合、温熱が第2の表面120に向けて提供され得る。
【0094】
上記のように、熱電デバイスが冷感と温感とを同時に出力する場合、サーマルグリル錯覚がユーザに提供され得る。例えば、
図7の(b)を参照すると、熱電モジュールの第1の表面110の第1の領域A1と第3の領域A3とが温感と冷感とのうち任意の1つを提供し、且つ、熱電モジュールの第1の表面110の第2の領域A2と第4の領域A4とが温感と冷感とのうちの他方を提供する場合などのような、冷感と温感とが第1の表面110を介して同時に出力される場合、熱電モジュールはユーザにサーマルグリル錯覚を提供し得る。
【0095】
図8は、一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールに関連した図である。
図6と
図8とを比較した場合、
図6に示されるように、熱電素子1000が交互に接続されて単一の熱電グループを形成し、且つ、熱電モジュールが1つの端子のペアのみを含む場合、熱電モジュールは第1の表面に向けて冷感および温感のうち1つのみを出力し得るので、サーマルグリル錯覚はユーザに提供されない場合がある。その一方、
図8の場合は、交互に接続された熱電素子1000が複数の熱電グループ6000を形成し、且つ、各熱電グループが端子のペアに接続されて、そのため熱電モジュールが熱電グループと同じ数の端子ペアを含む場合、熱電モジュールは冷感および温感を同時に出力し得るので、ユーザにサーマルグリル錯覚を提供し得る。例えば、
図8示されるように、同じ順序で交互に接続された複数の熱電グループ6000において、第1の熱電グループ6000aと第3の熱電グループ6000cとに印加された電力の方向が第2の熱電グループ6000bと第4の熱電グループ6000dとに印加された電力の方向と異なるようにした場合、ユーザにサーマルグリル錯覚を提供すべく、第1の熱電グループ6000aおよび第3の熱電グループ6000cは温感および冷感のうち任意の1つを出力し得、第2の熱電グループ6000bおよび第4の熱電グループ6000dは温感および冷感のうちの他方を出力し得る。
【0096】
しかしながら、
図8に示されるように熱電デバイスが構成される場合、端子のペアは各熱電グループに接続され得るので、熱電デバイスのサイズおよび重量は増加し得る。熱電グループの個別制御のための追加的な手段が必要となる場合もある。
【0097】
図9は、一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールに関連した斜視図であり、
図10は、一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールに関連した平面図である。
図9および
図10を参照すると、一実施形態に係る熱電モジュール100は、第1の熱電素子1000a、第2の熱電素子1000bおよび電極2000を含む複数の熱電グループ6000を含み得る。
【0098】
同じ熱電グループ6000に含まれた第1の熱電素子1000aおよび第2の熱電素子1000bは、電極2000を介して交互に接続され得る。さらに、異なる熱電グループ6000に含まれた熱電素子1000も、電極2000を介して接続され得る。以下では、熱電グループ6000において熱電素子1000を接続する電極2000は一般電極と呼ばれており、異なる熱電グループ6000に含まれた熱電素子1000を接続する電極2000は接続電極2100と呼ばれているが、これは説明の便宜上のものであり、一般電極および接続電極2100の材料または形状が異なるべきであることを意味するものではない。
【0099】
図6と
図10とを比較した場合、
図6における熱電モジュールにおいては、第1の熱電素子1000aと第2の熱電素子1000bとが端子のペア3000間で電極2000を介して交互に接続され得る。その一方、
図10の場合においては、熱電モジュールは端子のペア3000を含み、第1の熱電素子1000aと第2の熱電素子1000bとは
図6のように各熱電グループにおいて電極2000を介して交互に接続されているが、異なる熱電グループ6000に含まれた熱電素子1000が接続電極2100を介して接続された場合は、同じタイプの熱電素子1000が接続される。例えば、
図10に示されるように、第1の熱電グループ6000aの第2の熱電素子1000bと第2の熱電グループ6000bの第2の熱電素子1000bとは接続電極2100を介して接続され得、第2の熱電グループ6000bの第1の熱電素子1000aと第3の熱電グループ6000cの第1の熱電素子1000aとは接続電極2100を介して接続され得、第3の熱電グループ6000cの第2の熱電素子1000bと第4の熱電グループ6000dの第2の熱電素子1000bとは、接続電極2100を介して接続され得る。
【0100】
電極の両方の端部に接続された熱電素子のタイプは、異なる熱電グループに含まれた同じタイプの熱電素子が接続されていることにつれ、熱電グループによって変動し得る。上記のように、熱電モジュールの第1の表面に隣接して配置された電極が第1の電極2000aと呼ばれ、第2の表面に隣接して配置された電極が第2の電極2000bと呼ばれる場合、
図10を参照すると、第1の熱電グループ6000aに含まれ且つ第1の端子3000aに電気的に隣接した第1の電極2000aの一端に第1の熱電素子1000aが接続され、第1の電極2000aの他端に第2の熱電素子1000bが接続された場合、第1の端子3000aに電気的に隣接した第1の熱電グループ6000aに接続された第2の熱電グループ6000bに含まれた第1の電極2000aの一端に第2の熱電素子1000bが接続され得、第1の電極2000aの他端には第1の熱電素子1000aが接続され得る。ここで、当業者であれば、電気的に隣接したことの意味は、電流の流れの観点から、特定の地点において開始された電流が先に到達するという概念的な意味を含むものと理解し得る。例えば、上記のように、第1の端子に電気的に隣接した第1の電極の一端に第1の熱電素子が接続され、第1の電極の他端に第2の熱電素子が接続された場合は、第1の端子から開始する電流が第1の熱電素子、第1の電極の一端、第1の電極の他端、第2の熱電素子の順序で流れることを意味し得る。
【0101】
異なる熱電グループに含まれた同じタイプの熱電素子が接続された場合、異なる熱電グループは異なる熱刺激を出力し得る。
図10を参照すると、第1の熱電グループ6000aおよび第3の熱電グループ6000cは温感および冷感のうち任意の1つを出力し得、第2の熱電グループ6000bおよび第4の熱電グループ6000dは温感および冷感のうちの他方を出力し得る。結果として、熱電モジュールは、1つの端子のペアのみを含みながらも、ユーザにサーマルグリル錯覚を提供し得る。
【0102】
図11は、一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電モジュールの別の例に関連した平面図である。以下では、熱電モジュールは
図10と
図11とを比較して説明される。
【0103】
熱電グループに含まれた熱電素子の数は、熱電グループごとに変動し得る。例えば、
図10の場合において、各熱電グループ6000は、20個の熱電素子1000を含むが、
図11に示されるように、熱電グループに含まれた熱電素子の数は場合によって変動し得、例えば、第1の熱電グループ6000aは14個の熱電素子1000を含み得、第2の熱電グループ6000bは26個の熱電素子を含み得、同じ熱刺激を提供する熱電グループでも異なる数の熱電素子を含み得る。
【0104】
熱電グループがユーザに熱刺激を提供する領域の面積(以下、「熱刺激提供領域」と呼ばれる)は、熱電グループごとに変動し得る。例えば、
図10の場合において、全ての熱電グループ6000a、6000b、6000cおよび6000dの熱刺激提供領域は同じサイズを有するが、
図11の場合においては、第2の熱電グループ6000bおよび第4の熱電グループ6000dが、第1の熱電グループ6000aおよび第3の熱電グループ6000cと比較して、より大きい熱刺激提供領域を有する。
【0105】
熱電グループの熱刺激提供領域の面積は、熱電グループによってユーザに提供される熱刺激のタイプによって変動し得る。例えば、ユーザに対して温熱を出力する熱電グループの熱刺激提供領域のサイズは、冷熱を出力する熱電グループの熱刺激提供領域のサイズと異なり得る。ユーザによって感じられる刺激の強度または感覚は、熱刺激のタイプによる熱刺激提供領域間のサイズの差によって変動し得る。
【0106】
熱電モジュールによってユーザに提供されるサーマルグリル錯覚のタイプは、熱刺激提供領域の面積を調節することによって変動し得る。例えば、温感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域のサイズと、冷感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域のサイズとが予め定められた比で提供される場合に、熱電モジュールが中立サーマルグリル錯覚を提供する場合、熱電モジュールは、温感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域のサイズが増加する場合には温熱サーマルグリル錯覚を提供し得、熱電モジュールは、冷感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域のサイズが増加する場合には冷熱サーマルグリル錯覚を提供し得る。
【0107】
接続電極の位置は、熱電モジュールによって変動し得る。例えば、
図10の場合において、接続電極2100は熱電モジュールの左側領域に配置されているが、接続電極の配置の位置はこれに限定されるものではなく、
図11に示されるように、接続電極2100は、熱電モジュールの中央領域などのような熱電モジュール内の任意の位置において熱電素子を接続するように配置され得る。
【0108】
熱電デバイスがサーマルグリル錯覚を提供する場合は、温感および冷感が提供される場合と比較して、放熱に有利になり得る。
【0109】
図12は、一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスの熱流に関連した斜視図であり、
図13は、一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスの熱流に関連した背面図および正面図を示す。
図12および
図13を参照すると、一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスは、複数の熱電グループ6000を含む熱電モジュール100と、放熱モジュール200とを含み得る。以下では、説明の便宜上、熱電モジュール100が、第1の表面を介してユーザに熱刺激を提供し、放熱モジュール200が第2の表面に配置されるものとみなされる。
【0110】
熱電グループは、電力を受け取って熱電動作を実行することによって、温熱および冷熱のうち任意の1つを1つの方向に出力し得、温熱および冷熱のうちの他方を他方向において出力し得る。例えば、
図12および
図13を参照すると、熱電グループ6000は、温熱および冷熱のうち任意の1つを第1の表面に向けて出力する第1の領域R11、R21、R31およびR41と、温熱および冷熱のうちの他方を第2の表面に向けて出力する第2の領域R12、R22、R32およびR42とを含み得る。ここで、第1の領域R11、R21、R31およびR41は、熱刺激提供領域とみなされ得る。
【0111】
複数の熱電グループのうちいくつかは第1の表面に向けて温熱を提供し得、残りの熱電グループは第1の表面に向けて冷熱を提供し得る。この場合、第1の表面に向けて温熱を提供する熱電グループは、温熱を出力する第1の領域と、冷熱を出力する第2の領域とを含み得、第1の表面に向けて冷熱を提供する熱電グループは、冷熱を出力する第1の領域と、温熱を出力する第2の領域とを含み得る。例えば、
図12および
図13を参照すると、第1の熱電グループ6000aおよび第3の熱電グループ6000cは、第1の表面に向けて温熱を提供するために温熱を出力する第1の領域R11およびR31と、冷熱を出力する第2の領域R12およびR32とを含み得、第2の熱電グループ6000bおよび第4の熱電グループ6000dは、第1の表面に向けて冷熱を提供するために冷熱を出力する第1の領域R21およびR41と、温熱を出力する第2の領域R22およびR42とを含み得る。結果として、熱電モジュール100は、第1の表面を介してユーザに冷熱および温熱を同時に提供するので、ユーザはサーマルグリル錯覚を感じ得る。
【0112】
熱電グループから出力される温熱は、放熱モジュールを介して、そこに隣接した熱電グループに伝達され得る。具体的には、温熱を出力する熱電グループと冷熱を出力する熱電グループとが互いに隣接している場合、温熱を出力する熱電グループから出力された温熱が、冷熱を出力する熱電グループに伝達され得る。例えば、
図12および
図13を参照すると、第2の熱電グループ6000b第2の領域R22から出力された温熱は放熱モジュール200を介して第1の熱電グループ6000aおよび第3の熱電グループ6000cの第2の領域R12およびR32に伝達され得、第4の熱電グループ6000dのR42第2の領域から出力された温熱放熱モジュール200を介して第3の熱電グループ6000cの第2の領域R32に伝達され得る。この場合、第1の熱電グループ6000aおよび第3の熱電グループ6000cの第2の領域R12およびR32は冷熱を出力するので、第1の熱電グループ6000aおよび第3の熱電グループ6000cの第2の領域R12およびR32は、第2の熱電グループ6000bおよび第4の熱電グループ6000dの第2の領域R22およびR42より低い温度を有しており、そのため、第2の熱電グループ6000bおよび第4の熱電グループ6000dの第2の領域R22およびR42から伝達された熱を容易に受け取り得る。
【0113】
この熱伝達構造のために、放熱シートは単一のシートであり得る。この場合、複数の熱電グループは単一のシートの一面に配置され得る。さらに、単一のシートの他面(一面に対向する面)は平面で形成されている。例えば、単一のシートは、ヒートシンクのフィンのない構成を有し得、単一のシートの一面および他面は平面であり得る。この場合、単一のシートが曲げられた場合、平面は、外面が平坦である曲面であり得る。
【0114】
さらに、単一のシートは、0.1から20ミリメートルの厚さを有し得る。より具体的には、単一のシートは0.1から3ミリメートルの薄い厚さを有し得る。
【0115】
熱電グループ間の熱伝達によってサーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスの場合において、放熱は、温感および/または冷感を提供する熱電デバイスと比較して、より容易になり得る。一般的な熱電デバイスは、フィン形構造を含むヒートシンクなどのような大きい放熱モジュールを放熱のために使用し得るが、サーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスは、フィン構造を含むことなく、シート形状の放熱モジュールのみを使用して十分な放熱効果を提供し得る。
【0116】
図14は、一実施形態に係る放熱モジュールの温度変化を示すグラフである。円で表現されたデータは、ユーザにサーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスの放熱モジュールの温度であり、ユーザに冷熱を出力する熱電グループに含まれた熱電素子の数と、ユーザに温熱を出力する熱電グループに含まれた熱電素子の数との比が1:1.5の場合である。四角形で表現されたデータは、ユーザに冷感を提供する熱電デバイスの放熱モジュールの温度であり、冷熱を出力する熱電グループのみが存在するので、ユーザに冷熱を出力する熱電グループに含まれた熱電素子の数と、ユーザに温熱を出力する熱電グループに含まれた熱電素子の数との比が1:0であることが分かり得る。グラフのx軸は、熱電デバイスが熱刺激の提供を開始した時点が0とみなされた時間を指しており、y軸は、放熱シートのうち1つの領域において測定された温度を指す。さらに、
図14においてデータを測定するのに使用された熱電デバイスは、
図12に示された熱電デバイスのようにフィン構造が形成されていない薄い板形状の放熱モジュール(以下、「放熱シート」と呼ばれる)を含む。
【0117】
サーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスは、冷感を提供する熱電デバイスと比較して、放熱シートを使用して熱を放散しながらも、放熱を実行するために十分な放熱性能を提供し得る。
図14を参照すると、冷感を提供する熱電デバイスの放熱シートの温度は、例えば、20秒内に40℃を超えるなど急激に上昇するが、サーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスの放熱シートの温度は、40秒以上後に30℃を超えることが分かり得る。さらに、冷感を提供する熱電デバイスの放熱シートの温度が100秒後に60℃以上に上昇し、200秒後に70℃以上に上昇するが、サーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスの放熱シートの温度は、100秒後は40℃以下に、200秒後には45℃以下にのみ上昇することが分かり得る。
【0118】
第1の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数と、第2の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数との比は、0.2から4であり得る。
あるいは、第1の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数と、第2の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数との比は、0.5から3であり得る。
あるいは、第1の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数と、第2の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数との比は、1から2であり得る。
あるいは、第1の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数と、第2の熱電グループに含まれたN型半導体およびP型半導体の数との比は、1.3から1.7であり得る。
【0119】
第1の熱電グループおよび第2の熱電グループのうちより多い数のN型半導体およびP型半導体を含む熱電グループは、第1の表面に向けて温感を提供し得る。この場合、熱電モジュールの放熱性能は、反対の場合と比較して向上され得る。あるいは、ユーザはより鮮明なサーマルグリル錯覚を感じ得る。
【0120】
熱電デバイスの温度(例えば、放熱モジュールの温度)は、熱刺激提供領域の面積によって変動し得る。例えば、温熱を提供する熱電グループの熱刺激提供領域と冷熱を提供する熱電グループの熱刺激提供領域との面積を調節することによって、熱電デバイスに含まれた放熱モジュールの温度が変動し得る。
【0121】
図15は、一実施形態に係るサーマルグリル錯覚を提供する熱電デバイスに含まれた放熱モジュールの温度変化を示すグラフである。
図15において、熱刺激提供領域のサイズは、熱電グループによって提供される熱刺激のタイプによって変動し得、同じ熱刺激を提供する熱電グループは、同じ面積の熱刺激提供領域を有するように製造されている。ユーザに冷感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域の面積と、ユーザに温感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域の面積との比は、a:bで表現されている。例えば、当該比が1:1.5である場合は、温感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域の面積が、ユーザに冷感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域の面積と比較して1.5倍大きいことを意味する。さらに、グラフのx軸は、熱電デバイスが熱刺激の提供を開始した時点が0とみなされた時間を指しており、y軸は、放熱シートのうち1つの領域において測定された温度を指す。
図15においてデータを測定するのに使用された熱電デバイスは、
図12に示された熱電デバイスのそれと同様の放熱シートを含む。
【0122】
図15を参照すると、温感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域の面積が冷感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域の面積より大きい場合、放熱シートの温度上昇は減少し得る。1:1の比を有する熱電デバイスの温度はわずか40秒後に30℃を超えるが、1:1.5および1:2の比を有する熱電デバイスの温度は、70秒後に30℃を超える。さらに、1:1の比を有する熱電デバイスの温度は100秒後におよそ38℃に、200秒後におよそ45℃に上昇するが、1:1.5および1:2の比を有する熱電デバイスの温度は、100秒後におよそ33℃に、200秒後におよそ38℃にのみ上昇することが分かり得る。
図15において、ユーザに冷感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域の面積と、ユーザに温感を提供する熱電グループの熱刺激提供領域の面積との比が1:1、1:1.5、および1:2である場合のみが示されているが、比はこれらに限定されるものではない。例えば、比は、1:2以上、例えば、1:3、1:4、1:5、1:10、1:50、1:100またはそれ以上であり得る。あるいは、比は、1:1以下、例えば、1:0.5、1:0.25、1:0.1、1:0.05、1:0.01またはそれ以下であり得る。
【0123】
熱刺激提供領域の面積は、熱電グループに含まれた熱電素子の数に依存し得る。例えば、熱電デバイスが、同じサイズの熱電素子を含む熱電グループを使用して製造された場合、ユーザに冷感を提供する第1の熱電グループの熱刺激提供領域の面積と、ユーザに温感を提供する第2の熱電グループの熱刺激提供領域の面積との比がa:bである場合は、第1の熱電グループに含まれた熱電素子の数と、第2の熱電グループに含まれた熱電素子の数との比がa:bであることを意味し得る。ユーザに冷感を提供する熱電グループに含まれた熱電素子の数と、温感を提供する熱電グループに含まれた熱電素子の数との比は、1:1以上、例えば、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:50、1:100またはそれ以上であり得る。あるいは、比は、1:1以下、例えば、1:0.5、1:0.25、1:0.1、1:0.05、1:0.01またはそれ以下であり得る。
【0124】
上記の
図10および
図11などは、熱電素子のサイズが同じであることを示しているが、熱電素子のサイズは異なり得る。
【0125】
熱電素子のサイズは、熱電グループによって変動し得る。熱電グループに含まれた熱電素子のサイズは、熱電グループによってユーザに提供された熱刺激のタイプによって変動してよく、例えば、ユーザに温感を提供する熱電グループに含まれた熱電素子のサイズは、冷感を提供する熱電グループに含まれた熱電素子のサイズより大きてもよく、または、逆もまた同様である。ここで、熱電素子のサイズの変化は、柱形状の熱電素子の場合には、底面の面積における変化、および高さにおける変化のうち少なくとも1つを含み得る。
【0126】
同じ面積を有する熱刺激提供領域における場合でも、熱刺激は、熱電素子のサイズが変化されたことにつれて変動し得る。例えば、熱刺激提供領域のサイズが同じである場合、熱刺激の強度は、熱電素子のサイズが増加することにつれて、増加し得る。
【0127】
図16は、一実施形態に係る異なるサイズを有する熱電素子を含む熱電デバイスに関連した平面図である。
図16を参照すると、第1の熱電グループ6000aおよび第3の熱電グループ6000cに含まれた熱電素子1000aおよび1000bの底面の幅は、第2の熱電グループ6000bおよび第4の熱電グループ6000dに含まれた熱電素子1000cおよび1000dの底面の幅より大きくてよい。
図16の熱電素子間の接続関係を考慮して、第1の熱電グループ6000aおよび第3の熱電グループ6000cは温感および冷感のうち任意の1つを提供し得、第2の熱電グループ6000bおよび第4の熱電グループ6000dは温感および冷感のうちの他方を提供し得る。
【0128】
熱電デバイスの温度変化は、熱電デバイスのサイズを調節することによって変動し得る。例えば、熱電デバイスの温度上昇は、熱電素子のサイズを調節することによって減少し得る。
【0129】
図17および
図18は、一実施形態に係る端子の2つのペアを含む熱電モジュールの熱電素子配置パターンを説明するための図である。
【0130】
熱電モジュールは、各々が端子のペアに接続された2つの熱電グループを含み得る。
図17を参照すると、第1の熱電グループ6000aは第1の端子3001aおよび第2の端子3001bに接続され得、第2の熱電グループ6000bは第3の端子3002aおよび第4の端子3002bに接続され得る。
【0131】
熱電グループは、第1方向において配置された熱電素子と、第1方向に対して垂直である第2の方向において配置された熱電素子とを含み得る。ここで、熱電素子が配置される方向は、電極を介して熱電素子が電気的に接続される方向を指しており、例えば、熱電素子が第1方向において配置される場合は、熱電素子‐電極‐熱電素子が第1方向に沿って電気的に接続され、配置されることを意味する。
図17および
図18を参照すると、第1の熱電グループ6000aは、第1の端子3001aから(-y)方向において進むように配置された熱電素子と、(-y)方向に対して垂直である(-x)方向において進むように配置された熱電素子と、(-x)方向に対して垂直である(+y)方向において進むように配置された熱電素子と、(+y)方向に対して垂直である(-x)方向において進むように配置された熱電素子とを含み得、このパターンが繰り返し進んだ後、第2の端子3001bに接続され得る。第2の熱電グループ6000bに含まれた熱電素子も、上記のように配置され得る。
【0132】
特定の熱電グループ内で特定の方向において進むように配置された熱電素子間には、別の熱電グループの熱電素子が配置され得る。
図17および
図18を参照すると、第1の熱電グループ6000aは、(-y)方向において配置された複数の熱電素子を含む第1のサブ熱電グループ6100a、6200aおよび6300aを含み得、第2の熱電グループ6000bは、第1のサブ熱電グループ6100a、6200aおよび6300a間に配置された第2のサブ熱電グループ6100bおよび6200bを含み得る。
【0133】
特定の熱電グループ内で特定の方向において進むように配置された熱電素子間には、同じ熱電グループに含まれるが、異なる方向において進むように配置された熱電素子が配置され得る。
図17および
図18を参照すると、第1の熱電グループ6000aは、第1のサブ熱電グループ6100a、6200aおよび6300a間に配置されているが、第1のサブ熱電グループ6100a、6200aおよび6300aと異なる(+y)方向において進むように配置された複数の熱電素子を含む第3のサブ熱電グループ6400aおよび6500aを含み得る。
【0134】
上記のように配置された熱電素子と、2つのペアの端子とを含む熱電モジュールは、ユーザにサーマルグリル錯覚を提供し得る。サーマルグリル錯覚は、熱電モジュールが、1つの方向において交互に表れる第1の熱電グループと第2の熱電グループとを含むことにつれて、提供され得る。
図17を参照すると、第1の熱電グループ6000aおよび第2の熱電グループ6000bがx軸方向に沿って交互に配置されていることが分かり得る。ここで、第1の熱電グループ6000aが温熱および冷熱のうち任意の1つをユーザに提供し、第2の熱電グループ6000bが温熱および冷熱のうちの他方をユーザに提供するので、熱電モジュールは、ユーザにサーマルグリル錯覚を提供し得る。
【0135】
熱電モジュールは、端子に印加される電力の極性を調節することによって、ユーザに対して、サーマルグリル錯覚に加えて、温感および冷感を提供し得る。例えば、第1の端子3001aおよび第2の端子3001bに印加される電力の極性は
図17に示されるように維持されるが、第3の端子3002aおよび第4の端子3002bに印加される電力の極性は
図17と逆になるように変化される場合、第1の熱電グループ6000aおよび第2の熱電グループ6000bの両方はユーザに温熱または冷熱を提供するので、熱電モジュールは、ユーザに温感または冷感を提供し得る。
【0136】
上記において、本発明の構成および特徴が実施形態に関して説明されているが、本発明はそれに限定されるものではなく、当業者が本発明の趣旨および範囲内の様々な変形例または修正例を実行し得ることは明らかであり、従って、これらの変形例または修正例は、添付された特許請求の範囲に属することに留意されたい。
【国際調査報告】